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抗PD−L1/抗PD−1天然抗体構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体およびその調製方法

阅读:832发布:2020-05-08

专利汇可以提供抗PD−L1/抗PD−1天然抗体構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体およびその調製方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且抗PD−L1/抗PD−1天然 抗体 構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体およびその調製方法を提供する。特に、天然IgGの特徴を有し、ミスマッチ重鎖−軽鎖を有さない非常に安定なヘテロダイマー抗PD−L1/抗PD−1二重特異性抗体、およびその調製方法を提供する。二重特異性抗体は両標的分子と結合することができ、複雑な疾患の治療においてより有効である。,下面是抗PD−L1/抗PD−1天然抗体構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体およびその調製方法专利的具体信息内容。

PD−L1と特異的に結合できる第一抗原結合機能領域と、PD−1と特異的に結合できる第二抗原結合機能領域とを含むヘテロダイマー二重特異性抗体であって、前記二重特異性抗体が一つ以上の鎖間ジスルフィド結合によって連結された第一Fc鎖と第二Fc鎖とを含み、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖はそれぞれPD−L1抗原結合機能領域およびPD−1抗原結合機能領域と共有結合もしくはリンカーによって連結されるか、または、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖はそれぞれ前記PD−1抗原結合機能領域および前記PD−L1抗原結合機能領域と共有結合もしくはリンカーによって連結され、そして、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は、以下の位置で五つのアミノ酸置換、すなわち、 前記第一Fc鎖上の位置366および399のアミノ酸の置換ならびに前記第二Fc鎖上の位置351、407および409のアミノ酸の置換を含み、前記アミノ酸置換を含む前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は、各々のホモダイマーではなく、互いとヘテロダイマーを形成する傾向があり、前記アミノ酸の位置は、Kabat EUインデックスナンバリングシステムにしたがって番号付けされる、ヘテロダイマー二重特異性抗体。前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖上の前記アミノ酸置換が、以下、 a)位置351でのグリシン、チロシン、バリン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはトリプトファンによる置換、 b)位置366でのロイシン、プロリン、トリプトファンまたはバリンによる置換、 c)位置399でのシステイン、アスパラギン、イソロイシン、グリシン、アルギニン、トレオニンまたはアラニンによる置換、 d)位置407でのロイシン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トレオニンまたはヒスチジンによる置換、 e)位置409でのシステイン、プロリン、セリン、フェニルアラニン、バリン、グルタミンまたはアルギニンによる置換、 である、請求項1に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記アミノ酸置換が、以下、 a)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Rの置換、前記第二Fc鎖上のL351E、Y407LおよびK409Vの置換、 b)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Cの置換、前記第二Fc鎖上のL351G、Y407LおよびK409Cの置換、 c)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Cの置換、前記第二Fc鎖上のL351Y、Y407AおよびK409Pの置換、 d)前記第一Fc鎖上のT366PおよびD399Nの置換、前記第二Fc鎖上のL351V、Y407PおよびK409Sの置換、 e)前記第一Fc鎖上のT366WおよびD399Gの置換、前記第二Fc鎖上のL351D、Y407PおよびK409Sの置換、 f)前記第一Fc鎖上のT366PおよびD399Iの置換、前記第二Fc鎖上のL351P、Y407FおよびK409Fの置換、 g)前記第一Fc鎖上のT366VおよびD399Tの置換、前記第二Fc鎖上のL351K、Y407TおよびK409Qの置換、 h)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Aの置換、前記第二Fc鎖上のL351W、Y407HおよびK409Rの置換、 を含む、請求項1または2に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記第一Fc鎖上の前記アミノ酸置換がT366LおよびD399Rであり、前記第二Fc鎖上の前記アミノ酸置換がL351E、Y407LおよびK409Vである、請求項1に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記Fc鎖がIgG由来である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記PD−L1抗原結合機能領域および前記PD−1抗原結合機能領域がFabフラグメントまたはscFvフラグメントである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記PD−L1抗原結合機能領域および前記PD−1抗原結合機能領域がどちらもFabフラグメントである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記PD−L1抗原結合機能領域およびPD−1抗原結合機能領域の一方がFabフラグメントであり、他方がscFvである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記Fabフラグメントが異なる第一重鎖可変領域および第二重鎖可変領域と、異なる第一軽鎖可変領域および第二軽鎖可変領域とを含む、請求項6〜8のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記第一Fc鎖およびそれに連結された前記PD−L1抗原結合機能領域ならびに前記第二Fc鎖およびそれに連結された前記PD−1抗原結合機能領域、または、前記第一Fc鎖およびそれに連結された前記PD−1抗原結合機能領域ならびに前記第二Fc鎖およびそれに連結された前記PD−L1抗原結合機能領域が、還元剤の存在下で単独で存在する場合、50重量%未満の割合でホモダイマーを形成する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。前記二重特異性抗体のアミノ酸配列が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および18からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体。請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体をコードする、単離されたポリヌクレオチド。前記単離されたポリヌクレオチドの配列が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15および17からなる群から選択される、請求項12に記載の単離されたポリヌクレオチド。請求項12または13に記載の単離されたポリヌクレオチドを含む、組換え発現ベクター。前記発現ベクターが、pCDNAに基づく操作によって得られるプラスミドベクターX0GCである、請求項14に記載の組換え発現ベクター。請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチド、または、請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクター、を含む、宿主細胞。ヒト胚腎細胞HEK293またはHEK293T、HEK293F、HEK293EなどのHEK293細胞に基づく操作によって得られる細胞、ハムスター卵巣細胞CHOまたはCHO−S、CHO−dhfr−、CHO/DG44、ExpiCHOなどのCHO細胞に基づく操作によって得られる細胞、Escherichia coliまたはBL21、BL21(DE3)、Rosetta、OrigamiなどのE.coliに基づく操作によって得られる株、酵母またはPichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces cerevisiae、Hansenula polymorphaなどの酵母に基づく操作によって得られる株、昆虫細胞またはHigh5、SF9などの昆虫細胞に基づく操作によって得られる細胞、植物細胞、哺乳類乳房細胞、体細胞などから選択される、請求項16に記載の宿主細胞。請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、または、請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチド、または、請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクター、または、請求項16もしくは17に記載の宿主細胞と、医薬的に許容される担体と、を含む、組成物。請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体を産生するための方法であって、 1)宿主細胞において請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクターを別々に発現させるステップと、 2)前記宿主細胞において別々に発現されたタンパク質を還元するステップと、 3)還元されたタンパク質を混合し、次いで混合物を酸化するステップと、を含む、方法前記宿主細胞が、ヒト胚腎細胞HEK293またはHEK293T、HEK293F、HEK293EなどのHEK293細胞に基づいた操作によって得られる細胞、ハムスター卵巣細胞CHOまたはCHO−S、CHO−dhfr−、CHO/DG44、ExpiCHOなどのCHO細胞に基づく操作によって得られる細胞、Escherichia coliまたはBL21、BL21(DE3)、Rosetta、OrigamiなどのE.coliに基づく操作によって得られる株、酵母またはPichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces cerevisiae、Hansenula polymorphaなどの酵母に基づいた操作によって得られる株、昆虫細胞またはHigh5、SF9などの昆虫細胞に基づいた操作によって得られる細胞、植物細胞、哺乳類乳房細胞、体細胞などから選択される、請求項19に記載の方法。前記還元するステップが、 1)還元剤が2−メルカプトエチルアミン、ジチオトレイトール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンもしくはその化学誘導体、または、それらの組み合わせからなる群から選択される、還元反応を実施し、 2)前記還元剤を除去することを含む、請求項19または20に記載の方法。前記酸化するステップが空気中の酸化であり、 L−デヒドロアスコルビン酸または他の化学誘導体からなる群から選択される酸化剤の存在下で酸化反応を実施することも含む、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。分離および精製のステップをさらに含む、請求項19〜22のいずれか一項に記載の方法。対象において疾患を予防および/または治療するための薬剤の製造における、請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または、請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチド、および/または、請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクター、および/または、請求項16もしくは17に記載の宿主細胞、および/または請求項18に記載の組成物の使用。対象における疾患の予防および/または治療のための薬剤として使用するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または、請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチド、および/または、請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクター、および/または、請求項16もしくは17に記載の宿主細胞、および/または、請求項18に記載の組成物。それを必要とする対象に、請求項1〜11のいずれか一項に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または、請求項12もしくは13に記載の単離されたポリヌクレオチド、および/または、請求項14もしくは15に記載の組換え発現ベクター、および/または、請求項16もしくは17に記載の宿主細胞、および/または、請求項18に記載の組成物を投与することを含む、疾患を予防および/または治療するための方法。前記対象が哺乳類、好ましくはヒト対象である、請求項24に記載の使用、請求項25に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、単離されたポリヌクレオチド、組換え発現ベクター、宿主細胞もしくは組成物、または、請求項26に記載の方法。前記疾患が、白血病、リンパ腫、骨髄腫、脳腫瘍、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞がん、鼻咽腔がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、子宮肉腫、前立腺がん、膀胱がん、腎細胞がん、黒色腫からなる群から選択される腫瘍である、請求項24に記載の使用、請求項25に記載のヘテロダイマー二重特異性抗体、単離されたポリヌクレオチド、組換え発現ベクター、宿主細胞もしくは組成物、または、請求項26に記載の方法。

说明书全文

本発明は、抗PD−L1/抗PD−1天然抗体構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体およびその調製方法に関する。具体的には、本発明は、天然IgGの特徴を有し、ミスマッチ重鎖−軽鎖を有さない非常に安定なヘテロダイマー抗PD−L1/抗PD−1二重特異性抗体、およびその調製方法を提供する。

モノクローナル抗体は、単抗原性エピトープに対してのみ作用する非常に特異的な抗体であり、がん、炎症および自己免疫疾患、ならびに感染性疾患などの多くの疾患の治療において広く用いられている。しかしながら、疾患の複雑さのために、そのような治療分子はいずれも単独で使用した場合には充分な有効性を示さない。例えば、がんまたは炎症性疾患は、多くの場合、様々な疾患媒介性分子経路およびシグナル伝達経路の相互作用と関連する。このような状況下で、単一標的化分子は至適治療効果をもたらさない場合がある一方で、治療効果は、複数の標的または単一の標的の複数の部位を同時にブロックする分子によって改善され得る場合がある。一方、多重特異性、例えば二重特異性分子を使用する二重標的化療法は、新規薬物の開発を簡単にする可能性がある。というのも、このような分子は単一の分子であるからである。複数の単一特異性分子の併用投与と比較すると、患者と介護従事者との両方にとってより便利となるであろう。

二重特異性抗体または二機能性分子の多くの異なる様式が当該技術分野で報告されている。第一の二重特異性抗体は、二機能性カップリング試薬を使用して二つの既存のIgG分子であるFab’、または(Fab’)2フラグメントを一緒に連結する化学的方法によって得られた。しかしながら、そのような化学的にカップリングさせた二重特異性抗体には、産生の作業強度、異種構造(heterologous)のコンジュゲートの精製、同種構造(homologous)のコンジュゲートおよびもとの単一特異性抗体もしくはフラグメントの除去の複雑さ、ならびに低収率など、において、多くの制限がある。

二重特異性抗体を産生するための別の方法は、異なる抗体を分泌する二つのハイブリドーマ細胞株の体細胞融合によって産生される、ハイブリッド−ハイブリドーマ(またはクアドローマ)の技術を利用する。イムノグロブリン重鎖および軽鎖の任意の対合のために、所望の機能的二重特異性抗体は抗体混合物のわずか1/10でしかなく、そのことが精製プロセスを複雑にし、産生収率を低下させる。

特許文献1:国際公開第2013/060867号は、ヘテロダイマー二重特異性抗体の大量生産の方法であって、二つのホモダイマー抗体を混合物中でまず還元し、次に、非対称アミノ酸変異を二つのホモダイマー抗体のCH3領域に導入して異なる抗体間のFabアーム交換を促進し、安定な二重特異性抗体を最後にヒンジ領域の鎖間ジスルフィド結合の酸化によって形成する方法を記載している。

特許文献2:国際公開第2009/089004号は、ヘテロダイマータンパク質を調製する方法であって、ヘテロダイマーの形成が静電気的に好都合である一方でホモダイマーの形成が静電的に不都合であるようにCH3−CH3界面のアミノ酸を荷電アミノ酸に変異させる方法を記載している。

特許文献3:米国特許第5731l68号は、「protuberance−into−cavity」ストラテジーにしたがってヘテロダイマーIgGを調製する方法であって、第一鎖のCH3領域の界面の小さなアミノ酸をより大きなアミノ酸で置換することによって「凸部(protuberances)」を構築し、同時に、第二鎖のCH3界面の対応する大きなアミノ酸をより小さなアミノ酸で置換することによって「凹部(cavities)」を創出する方法を記載している。前記凸部と前記凹部との相互作用はヘテロダイマーIgGの形成に好都合であるが、ホモダイマーの形成には不都合である。

特許文献4:国際公開第2012/058768号は、安定且つ非常に特異的なヘテロダイマーIgGを調製する方法を記載している。この方法は、コンピュータ構造モデル化誘導プロテインエンジニアリングの技術とともにネガティブデザインとポジティブデザインの両方を組み合わせて、IgG1のCH3ドメイン中の複数のアミノ酸を変異させ、それによって低含有量のホモダイマー不純物を有する安定なヘテロダイマーIgGを形成する。

抗体の有効性を改善するための有効な手段として、エフェクタ細胞を動員することができる二機能性抗体を設計することができる。今に至るまで、CD3分子の機能の利用が最も研究されてきた。キラーT細胞をCD3分子で活性化することによって、関心対象の腫瘍を効果的に除去することができる(非特許文献1:Haas C. et al.,Immunobiology,214:441−453,2009)。上述したもののうち、Micromet, Inc.によって開発された組換え二機能性T細胞刺激抗体であるBiTEがかなり有望であることが示されている。しかしながら、最大の課題は、その血清半減期が非常に短く、ヒトの体内でのその半減期はわずか1時間しかないことである(非特許文献2:Loffler A.et al.,Blood,95:2098−2103)。これは、分子量わずか60kDaの二つの単鎖抗体フラグメントで構成され、半減期延長に対して著しい効果を有する抗体分子中のFcフラグメントが欠損している、BiTE自体の構造によるものである。

別の前途有望な多機能性抗体としてのカツマクソマブは、CD3およびEpCAMを標的とするハイブリッドIg分子である。近年、この製品は、腹がんの治療について認可されている(非特許文献3:Jager M. et al.,Cancer Res,72:24−32,2012)。第二相臨床試験下にあるさらに別の多機能性抗体は、CD3およびPD−L1を標的とするエルツマキソマブである。ハイブリッド抗体の一つの重鎖と一つの軽鎖はラットIgG由来であり、CD3を標的とし、別の重鎖および軽鎖は、マウスIgG由来であり、PD−L1を標的とする。その結果、二機能性抗CD3/抗PD−L1抗体を発現できるクアドローマは二機能性エルツマキソマブを発現する細胞株を得ることを必要とするので、そのような産物の産生は非常に困難であるという問題がある。前記クアドローマは、まず、CD3抗体を発現するジプロイドハイブリドーマ株と、PD−L1抗体を発現するジプロイドハイブリドーマ株とを得、次いで二つのハイブリドーマ株をハイブリダイズすることによって得られる。対照的に、従来型単一標的化抗体の産生には一つのジプロイドハイブリドーマ株しか必要でない。それと比べると、クアドローマを得るのはなお一層困難であるので、二機能性抗体の産生プロセスはさらに複雑である。さらに、マウス起源はその非常に高い免疫原性をもたらす。

さらに、抗CD3抗体によって引き起こされるほとんどの明らかな副作用は、サイトカインストームとも呼ばれる、インビボの短時間でのサイトカインのバーストである。したがって、腫瘍細胞の表面に同時に腫瘍細胞を動員する新規二機能性抗体が必要とされる。

プログラム死受容体−1(PD−1)は近年多くの注目を集める免疫チェックポイントである。PD−1はCD28ファミリーに属するメンバーである。ジスルフィド結合を介した共有結合ダイマーを形成することができるCTLA4などのCD28ファミリーの他のメンバーとは異なり、PD−1はモノマー形態で存在する。PD−1の構造は主にイムノグロブリン可変領域様細胞外ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。細胞内ドメインは、二つの独立したリン酸化部位:免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)および免疫受容体チロシン系スイッチモチーフ(ITSM)をそれぞれ含む。PD−1は主に、活性化T細胞の表面上で、またB細胞、NK細胞、単球、およびDC細胞上でも誘導的に発現される。PD−1は主に、T細胞活性化の負の制御に関与し、免疫応答の強度および期間を調節することができる。PD−1のリガンドは、PD−L1(プログラム死リガンド1)とPD−L2(プログラム死リガンド2)とを含む。これらのリガンドはB7ファミリーに属する。上述したものにおいて、PD−L1は、T細胞、B細胞、単球、マクロファージ、DC細胞、および内皮細胞、上皮細胞などを含む様々な免疫細胞の表面上で誘導的に発現される一方で、PD−L2はマクロファージ、DC細胞およびB細胞をはじめとする一部の免疫細胞上でのみ誘導的に発現される。PD−L1は、PD−1のリガンドとして作用するだけでなく、CD80のリガンドとしても作用し、負の調節シグナルをT細胞へ伝達し、T細胞の免疫寛容を誘導する(非特許文献4:Autoimmun Rev,2013,12(11):1091−1100、非特許文献5:Front Immuno1,2013,4:481、非特許文献6:Nat Rev Cancer、2012,12(4):252−264、非特許文献7:Trends Mo1 Med.2015 Jan;21(1):24−33、非特許文献8:Clin Cancer Res.2012 Dec 15;18(24):6580−7)。

通常の状況下で、PD−1およびPD−L1は、生命体組織の自己免疫寛容を媒介し維持することができ、免疫系が過剰活性化したり炎症プロセスにおける自己組織を損なったりするのを防ぐことができ、自己免疫疾患の発生の回避に対して正の影響を及ぼすことができる。病理学的状況下で、それらは腫瘍免疫ならびに様々な自己免疫疾患の発生および発達に関与する。PD−L1が様々な腫瘍組織において高度に発現され、PD−1は腫瘍浸潤性リンパ球において高度に発現されることを報告するいくつかの刊行物がある。さらに、PD−L1およびPD−1の過剰発現は腫瘍の不良な臨床予後と密接に関連する(非特許文献9:Anticancer Agents Med Chem.2015;15(3):307−13、非特許文献10:Hemato1 Onco1 Stem Cell Ther.2014 Mar;7(1):1−17、非特許文献11:Trends Met Med. 2015 Jan; 21(1):24−33、非特許文献12:Immunity.2013 Jul 25;39(1):61−73、非特許文献13:J Clin Onco1.2015 Jun 10;33(17):1974−82)。PD−1/PD−L1およびPD−1/PD−L2のPD−1 mAbでのブロッキング、またはPD−1/PD−L1およびCD80/PD−L1のPD−L1 mAbでのブロッキングは、前臨床および臨床試験の両方において満足できる抗腫瘍効果を示す。現在のところ、PD−1 mAbはアメリカ食品医薬品局により、非小細胞がん、黒色腫、頭頸部がんなどをはじめとする様々な腫瘍の治療について認可されている。PD−L1 mAbはまた、非小細胞肺がんおよび尿路上皮がんの治療についても認可されている。しかしながら、腫瘍患者のごく一部はそのようなモノクローナル抗体療法から恩恵を受けることができるが、ほとんど患者はそのようなモノクローナル抗体に反応しない(非特許文献14:Expert Opin Ther Targets.2014 Dec;18(12):1407−20、非特許文献15:Oncology(Wi11iston Park).2014 Nov;28 Suppl3:15−28)。

国際公開第2013/060867号

国際公開第2009/089004号

米国特許第5731l68号

国際公開第2012/058768号

Haas C. et al.,Immunobiology,214:441−453,2009)

Loffler A.et al.,Blood,95:2098−2103

Jager M. et al.,Cancer Res,72:24−32,2012

Autoimmun Rev,2013,12(11):1091−1100

Front Immuno1,2013,4:481

Nat Rev Cancer、2012,12(4):252−264

Trends Mo1 Med.2015 Jan;21(1):24−33

Clin Cancer Res.2012 Dec 15;18(24):6580−7

Anticancer Agents Med Chem.2015;15(3):307−13

Hemato1 Onco1 Stem Cell Ther.2014 Mar;7(1):1−17

Trends Met Med. 2015 Jan; 21(1):24−33

Immunity.2013 Jul 25;39(1):61−73

J Clin Onco1.2015 Jun 10;33(17):1974−82

Expert Opin Ther Targets.2014 Dec;18(12):1407−20

Oncology(Wi11iston Park).2014 Nov;28 Suppl3:15−28

したがって、PD−1/PD−L1、PD−1/PD−L2およびCD80/PD−L1を同時にブロックし、免疫細胞を腫瘍細胞の表面に動員する新規でさらに有効な二機能性抗体を開発することが必要である。

発明の概要 本発明は、天然IgGの構造特性を有し、ミスマッチ重鎖−軽鎖を有さず、PD−L1およびPD−1を同時にブロックすることができる非常に安定なヘテロダイマー二重特異性抗体を提供し、これを調製する方法を提供する。二機能性抗体は、腫瘍細胞上で発現されたPD−L1および免疫細胞上で発現されたPD−1と同時に結合し、それによって非常に有効かつ特異的な殺滅効果、および毒性の低い副作用を同時に発揮する。

第一の態様において、本発明は、PD−L1と特異的に結合できる第一抗原結合機能領域と、PD−1と特異的に結合できる第二抗原結合機能領域とを含むヘテロダイマー二重特異性抗体に関し、前記二重特異性抗体は、一つ以上の鎖間ジスルフィド結合によって連結された第一Fc鎖と第二Fc鎖とを含み、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は共有結合またはリンカーによってPD−L1抗原結合機能領域およびPD−1抗原結合機能領域とそれぞれ連結され、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は、以下の位置での五つのアミノ酸置換、すなわち、前記第一Fc鎖上の位置366および399でのアミノ酸の置換と、前記第二Fc鎖上の位置351、407および409でのアミノ酸の置換とを含み、上述のアミノ酸置換を含む前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は、各々のホモダイマーを形成するのではなく、互いとヘテロダイマーを形成する傾向があり、アミノ酸位置はKabat EUインデックスナンバリングシステムに従って番号付けされる。

いくつかの実施形態において、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖の前記アミノ酸置換は以下のとおりである、 a)位置351でのグリシン、チロシン、バリン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジンまたはトリプトファンによる置換、 b)位置366でのロイシン、プロリン、トリプトファンまたはバリンによる置換、 c)位置399でのシステイン、アスパラギン、イソロイシン、グリシン、アルギニン、トレオニンまたはアラニンによる置換、 d)位置407でのロイシン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トレオニンまたはヒスチジンによる置換、 e)位置409でのシステイン、プロリン、セリン、フェニルアラニン、バリン、グルタミンまたはアルギニンによる置換。

いくつかの実施形態において、前記アミノ酸置換は以下のものである。 a)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Rの置換、前記第二Fc鎖上のL351E、Y407LおよびK409Vの置換、 b)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Cの置換、前記第二Fc鎖上のL351G、Y407LおよびK409Cの置換、 c)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Cの置換、前記第二Fc鎖上のL351Y、Y407AおよびK409Pの置換、 d)前記第一Fc鎖上のT366PおよびD399Nの置換、前記第二Fc鎖上のL351V、Y407PおよびK409Sの置換、 e)前記第一Fc鎖上のT366WおよびD399Gの置換、前記第二Fc鎖上のL35lD、Y407PおよびK409Sの置換、 f)前記第一Fc鎖上のT366PおよびD399Iの置換、前記第二Fc鎖上のL351P、Y407FおよびK409Fの置換、 g)前記第一Fc鎖上のT366VおよびD399Tの置換、前記第二Fc鎖上のL351K、Y407TおよびK409Qの置換、 h)前記第一Fc鎖上のT366LおよびD399Aの置換、前記第二Fc鎖上のL351W、Y407HおよびK409Rの置換。

いくつかの実施形態において、前記第一Fc鎖上の前記アミノ酸置換はT366LおよびD399Rであり、前記第二Fc鎖上の前記アミノ酸置換はL351E、Y407LおよびK409Vである。

いくつかの実施形態において、前記Fc鎖はIgGから誘導される。

いくつかの実施形態において、前記PD−L1抗原結合機能領域および前記PD−1抗原結合機能領域はFabフラグメントまたはscFvフラグメントである。

いくつかの実施形態において、前記PD−L1抗原結合機能領域および前記PD−1抗原結合機能領域はどちらもFabフラグメントである。

いくつかの実施形態において、前記PD−L1抗原結合機能領域および前記PD−1抗原結合機能領域の一方はFabフラグメントであり、他方はscFvである。

いくつかの実施形態において、前記Fabフラグメントは、異なる第一重鎖可変領域および第二重鎖可変領域と、異なる第一軽鎖可変領域および第二軽鎖可変領域とを含む。

いくつかの実施形態において、前記二重特異性抗体のアミノ酸配列は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、および18からなる群から選択される。

第二の態様において、本発明は、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体をコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。

いくつかの実施形態において、前記ポリヌクレオチドの配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、および17からなる群から選択される。

第三の態様において、本発明は、第二の態様による単離されたポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクターに関する。

いくつかの実施形態において、前記発現ベクターは、pCDNAに基づいた操作(engineering)によって得られるプラスミドベクターX0GCである。

第四の態様において、本発明は、第二の態様による単離されたポリヌクレオチド、または第三の態様による組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関する。

いくつかの実施形態において、前記宿主細胞は、ヒト胚腎細胞HEK293またはHEK293T、HEK293F、HEK293EなどのHEK293細胞に基づく操作によって得られる細胞、ハムスター卵巣細胞CHOまたはCHO−S、CHO−dhfr、CHO/DG44、ExpiCHOなどのCHO細胞に基づく操作によって得られる細胞、Escherichia coliまたはBL21、BL21(DE3)、Rosetta、OrigamiなどのE.coliに基づく操作によって得られる株、酵母またはPichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces cerevisiae、Hansenula polymorphaなどの酵母に基づく操作によって得られる株、昆虫細胞またはHigh5、SF9などの昆虫細胞に基づく操作によって得られる細胞、植物細胞、哺乳類乳房細胞、体細胞などから選択される。

第五の態様において、本発明は、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体、または第二の態様による単離されたポリヌクレオチド、または第三の態様による組換え発現ベクター、または第四の態様による宿主細胞と、医薬的に許容される担体とを含む組成物に関する。

第六の態様において、本発明は、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体を産生する方法であって 1)宿主細胞において第二の態様による単離されたポリヌクレオチドまたは第三の態様による組換え発現ベクターを別々に発現させるステップと、 2)前記宿主細胞において別々に発現されたタンパク質を還元するステップと、 3)還元されたタンパク質を混合し、次いで混合物を酸化するステップと、を含む、方法に関する。

いくつかの実施形態において、前記宿主細胞は、ヒト胚腎細胞HEK293またはHEK293T、HEK293F、HEK293EなどのHEK293細胞に基づく操作によって得られる細胞、ハムスター卵巣細胞CHOまたはCHO−S、CHO−dhfr、CHO/DG44、ExpiCHOなどのCHO細胞に基づく操作によって得られる細胞、Escherichia coliまたはBL21、BL21(DE3)、Rosetta、OrigamiなどのE.coliに基づく操作によって得られる株、酵母またはPichia pastoris、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces cerevisiae、Hansenula polymorphaなどの酵母に基づく操作によって得られる株、昆虫細胞またはHigh5、SF9などの昆虫細胞に基づく操作によって得られる細胞、植物細胞、哺乳類乳房細胞、体細胞などから選択される。

いくつかの実施形態において、前記還元するステップは、1)還元剤が、2−メルカプトエチルアミン、ジチオトレイトール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンもしくはその化学誘導体、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、還元反応を実施し、2)前記還元剤を除去することを含む。

いくつかの実施形態において、前記酸化するステップは空気中での酸化であるが、L−デヒドロアスコルビン酸または他の化学誘導体からなる群から選択される酸化剤の存在下で酸化反応を実施することも含む。

いくつかの実施形態において、前記方法は分離および精製のステップもさらに含む。

第七の態様において、本発明は、対象における疾患を予防および/または治療するための薬剤の製造における、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または第二の態様による単離されたポリヌクレオチド、および/または第三の態様による組換え発現ベクター、および/または第四の態様による宿主細胞、および/または第五の態様による組成物の使用に関する。

第八の態様において、本発明は、対象における疾患を予防および/または治療するための薬剤として使用するための、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または第二の態様による単離されたポリヌクレオチド、および/または第三の態様による組換え発現ベクター、および/または第四の態様による宿主細胞、および/または第五の態様による組成物に関する。

第九の態様において、本発明は、疾患を予防および/または治療するための方法であって、それを必要とする対象に、第一の態様によるヘテロダイマー二重特異性抗体、および/または第二の態様による単離されたポリヌクレオチド、および/または第三の態様による組換え発現ベクター、および/または第四の態様による宿主細胞、および/または第五の態様による組成物を投与することを含む方法に関する。

いくつかの実施形態において、前記対象は哺乳類、好ましくはヒト対象である。

いくつかの実施形態において、前記疾患は、白血病、リンパ腫、骨髄腫、脳腫瘍、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、鼻咽腔がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、子宮肉腫、前立腺がん、膀胱がん、腎細胞がん、黒色腫からなる群から選択される腫瘍である。

本発明者らは、天然IgGの特徴を有し、かつミスマッチ重鎖−軽鎖を有さない非常に安定なヘテロダイマー抗PD−L1/抗PD−1二重特異性抗体である、完全に新しい抗PD−L1/抗PD−1天然抗体構造様ヘテロダイマー二重特異性抗体を設計する。前記二重特異性抗体は、PD−L1およびPD−1の二つの標的分子と同時に結合することができ、PD−1/PD−L1、PD−1/PD−L2およびCD80/PD−L1を同時にブロックすることができ、免疫細胞を腫瘍細胞の表面に動員することができ、腫瘍治療においてより強な有効性を示すはずである。

図1は、ヘテロダイマー抗体分子のモノマーの溶出ピークを示す。

図2は、ヘテロダイマー抗体分子のモノマーのSDS−PAGE分析を示す。

図3は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の構造を示す。

図4は、1本の重鎖および1本の軽鎖の半抗体分子の概略的構造を示す。

図5は、抗PD−L1および抗PD−1抗体の半抗体分子の酸化産物のSDS−PAGE分析の結果を示す。

図6は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の溶出ピークを示す。

図7は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のSDS−PAGE分析の結果を示す。

図8は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のSEC分析の結果を示す。

図9は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のPD−L1結合活性およびPD−1結合活性を示し、パネルAおよびパネルBは、それぞれ、PD−L1結合活性およびPD−1結合活性を示す。

図10は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子が、PD−L1の高い発現を伴ってSK−BR−3細胞と、PD−1の高い発現を伴ってCHO/PD−1細胞と、同時に結合することを示し、パネルA〜パネルDは、それぞれ、PD−L1 mAb、PD−1 mAb、PD−L1 mAb+PD−1 mAb、および抗PD−L1/抗PD−1

BJHMとの結合を示す。

図11は、抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子がサイトカインIL−2およびIFN−γの分泌を促進することを示す。

図12は、腫瘍細胞に対するPD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体分子のインビトロ殺滅活性を示す。

図13は、マウスモデルにおける腫瘍細胞に対する抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の殺滅活性を示す。

発明の詳細な説明 定義 ヘテロダイマー二重特異性抗体において、「共有結合」とは、二つのFc鎖間、またはいずれか一つのFc鎖と各抗原結合機能領域とを連結させて分子を形成する共有結合を指し、ここで、前記Fc鎖は、第一抗原結合機能領域と一つ以上の共有結合(例えば、ジスルフィド結合)によって連結された第二抗原結合機能領域とを含み、第一Fc鎖および第二Fc鎖は、それぞれ共有結合(イミン結合またはアミド結合など)を介して前記抗原結合機能領域に連結されている。

前記抗原結合機能領域は、抗原などの標的分子と特異的に相互作用することができる領域を指す。そのような相互作用は非常に選択的である。概して、一つの標的分子を認識する配列は、他の分子の配列を認識することができない。代表的な前記抗原結合機能領域は、抗体可変領域、アロステリック抗体可変領域、受容体結合領域、リガンド結合領域、または酵素結合領域を含む。

一つ以上の「鎖間ジスルフィド結合」とは、第一Fc鎖と第二Fc鎖との間の一つ以上のジスルフィド結合を指し、これは、前記鎖を結合させて、ヘテロダイマーフラグメントを形成する。本発明において、一つ以上のジスルフィド結合は、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖ならびにそれらに連結された前記抗原結合機能領域が同じ細胞中で合成される場合に形成することができるか、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖ならびにそれらに連結された前記抗原結合機能領域が異なる細胞中で別々に合成された後にインビトロ還元−酸化プロセスによって形成することができる。

前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖とは、共有結合によって形成された複合フラグメント(combined fragment)であって、前記共有結合がジスルフィド結合を含むものを指す。

各鎖は、イムノグロブリン重鎖定常領域の少なくとも一部を含む。さらに、前記第一鎖および前記第二鎖は、少なくとも一つのアミノ酸位置における差異など、アミノ酸配列において異なっている。本発明の第一Fc鎖および第二Fc鎖において、同じ鎖間に強力な反発力が存在し、その一方で、異なる鎖間には引力が存在する。したがって、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖ならびにそれらに連結された前記抗原結合機能領域は、細胞において同時発現された場合、ヘテロダイマーを形成する傾向を有する。前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖ならびにそれらに連結された前記抗原結合機能領域が二つの宿主細胞において別々に発現される場合、前記第一Fc鎖または前記第一Fc鎖およびそれらに連結された前記抗原結合機能領域はホモダイマーを形成する傾向を有さず、前記第二Fc鎖、または前記第二Fc鎖およびそれに連結された前記抗原結合機能領域はホモダイマーを形成する傾向を有さない。本発明において、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖ならびにそれに連結された前記抗原結合機能領域は還元剤の存在下で二つの宿主細胞において別々に発現され、ホモダイマーの割合は50%未満である。すなわち、モノマーの割合(前記Fc鎖または前記Fc鎖およびそれに連結された前記抗原結合機能領域)は50%超である。

イムノグロブリンは、より長く、より高い相対分子量を有し、450〜550のアミノ酸残基を含み、55,000Da〜70,000Daの相対分子量を有する二つの同じ重鎖と、より短く、より低い相対分子量を有し、約210のアミノ酸残基を含み、約24,000Daの相対分子量を含む二つの同じ軽鎖(L鎖)とを含む四つのポリペプチド鎖の対称構造を有する。N末端付近の約110アミノ酸の配列は、異なるイムノグロブリン重鎖および軽鎖において高可変性であり、可変領域(V領域)として知られている。C末端付近の残りのアミノ酸配列は比較的安定であり、定常領域(C領域)として知られている。重鎖において、前記可変領域は前記重鎖の長さの約1/4を占め、その一方で、前記定常領域は前記重鎖の長さの約3/4を占める。既知の五つのIgアイソタイプ、すなわちIgG(γ)、IgA(α)、IgD(δ)、IgM(μ)およびIgE(ε)に関しては、前者の3つのIgアイソタイプ、すなわち、CH1、CH2およびCH3のH鎖には三つの定常領域がある。後者の二つのアイソタイプ(IgMおよびIgE)のH鎖では、一つのVH領域と四つの定常領域、すなわち、CH1〜CH4がある。前記定常領域は、イムノグロブリン分子のフレームワークであると同様に、免疫応答を活性化する領域の一つである。

本発明において、前記定常領域の一部は少なくとも前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖の相互作用領域を含む。IgGについて、前記領域は、少なくともGLN347、TYR349、THR350、LEU351、SER354、ARG355、ASP356、GLU357、LYS360、SER364、THR366、LEU368、LYS370、ASN390、LYS392、THR394、PR0395、VAL397、ASP399、SER400、PHE405、TYR407、LYS409、LYS439をはじめとする、CH3領域中のいくつかのアミノ酸である。

共有結合またはリンカーを介した前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖と、それぞれ「一つの抗原結合機能領域」との連結とは、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖が共有結合またはリンカーを介してそれぞれ抗体の抗原結合フラグメント、または抗原を認識することができる単鎖抗体、または抗原を認識することができる他のアロステリック抗体フラグメント、またはリガンドを認識することができる受容体、または受容体を認識することができるリガンドと連結していることを指す。前記共有結合とは、一種の化学結合であり、二つ以上の原子がそれらの外側の電子を共有し、理想的には飽和状態に達し、それによって共有結合と呼ばれる比較的安定な化学構造を構成する。言い換えると、前記共有結合とは、電子対を共有することによって原子間に形成される相互作用である。同じ元素および異なる元素の原子は、どちらも前記共有結合を介して結合することができる。本発明の第一Fc鎖と第二Fc鎖との間の前記共有結合としては、限定されるものではないが、一つのアミノ酸分子のアミノ基と別のアミノ酸分子のカルボキシル基との間の脱水反応によって形成されたアミド結合またはエチレングリコール、もしくはポリエチレングリコール、もしくは他の化合物、もしくはそのポリマーのアルデヒド基と一つのアミノ酸分子のアミノ基から形成されたアミド結合もしくはイミン結合が含まれる。前記リンカーは、アミノ酸配列または二つのポリペプチド鎖を、共有結合を介して連結することができる化合物もしくは化合物のポリマーのセグメントである。アミノ酸配列のセグメントとしては、限定されるものではないが、GGGGSGGGGSGGGGSなどの小さなペプチドセグメントが含まれる。前記第一Fc鎖または前記第二Fc鎖、および抗原を認識することができる単鎖抗体、または抗原を認識することができる他のアロステリック抗体フラグメントはアミド結合を介して連結させることができる。

「前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖は各々のホモダイマーを形成するのではなくヘテロダイマーを形成する傾向がある」ことに関連する文脈は、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖に関して、同じ鎖間に存在する反発力および異なる鎖間に存在する引力のために、前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖およびそれらに連結された前記抗原結合機能領域は細胞において同時発現された場合にヘテロダイマーを形成する傾向を有することを指す。前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖、または前記第一Fc鎖および前記第二Fc鎖およびそれに連結された前記抗原結合機能領域が二つの宿主細胞において別々に発現される場合、前記第一Fc鎖または前記第一Fc鎖およびそれらに連結された前記抗原結合機能領域はホモダイマーを形成する傾向を有さず、前記第二Fc鎖、または前記第二Fc鎖およびそれに連結された前記抗原結合機能領域はホモダイマーを形成する傾向を有さない。

Kabatインデックスナンバリングシステムとは、抗体配列の各アミノ酸に番号を割り当てるためのKabatによって使用される方法を指し、これは当該技術分野において標準的な方法になっている。Kabatナンバリングスキームは彼の研究を越えて、他の抗体に拡張することができる。保存されたアミノ酸に基づいて、標的抗体をKabatによって同定されたコンセンサス配列のうちの一つと整列させる。

「Fcドメイン」とは、エフェクタ分子または細胞と相互作用するIgの部分である、IgのCH2およびCH3ドメインに対応するフラグメント結晶化可能な領域(Fc)を指す。

イムノグロブリンG(IgG)の略号であるIgGは血清中の主な抗体成分である。ヒトIgGは、IgG分子のr鎖における抗原性の相違に基づいて4つのサブクラス、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に分類される。

「半抗体」分子とは、抗体の一つの重鎖と一つの軽鎖によって形成される構造であって、前記重鎖および前記軽鎖が前記共有結合を介して連結されてもよいし、連結されなくてもよいものを指す。それは抗原を認識する一価抗体構造である。

「Fabフラグメント」、すなわち、抗原結合(Fab)のフラグメントは、インタクトな軽鎖と、重鎖のVHおよびCHIドメインとから構成される、抗体分子の二つのアームに対応する分子認識配列である。「scFv」は分子認識配列であり、抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域の遺伝子操作によって得られる改変抗体フラグメントである。膜受容体の「細胞外領域」は分子認識配列である。前記膜受容体は概して、対応する抗原またはリガンドを認識し結合する細胞の外側に位置する細胞外領域と、細胞表面上の受容体上に固定する膜貫通領域と、細胞内キナーゼ活性を有するかまたはシグナル伝達経路を伝送することができる、細胞の内部の細胞内領域とを含む。細胞膜受容体の「リガンド」とは、タンパク質、小ペプチド、または膜受容体の細胞外領域によって認識することができ結合できる化合物を指す。サイトカインは、免疫原、マイトジェン、または他の刺激物によって誘導される様々なタイプの細胞によって産生され、自然免疫および適応免疫、造血、細胞成長、成人多能性幹細胞(APSC)の調整、および損傷組織の修復などの様々な機能を有する低分子量可溶性タンパク質である。サイトカインは、インターロイキン、インターフェロン、腫瘍壊死因子スーパーファミリー、コロニー刺激因子、ケモカイン、成長因子などに分類される。「タンパク質発現タグ」とは、標的タンパク質のN末端またはC末端に付加される、小さなペプチドまたはある長さのアミノ酸のいずれかであるアミノ酸配列のセグメントを指す。タグの付加は、タンパク質の正しいフォールディング、タンパク質の単離および精製、ならびにタンパク質の細胞内分解の減少に有利であり得る。通常使用されるタグとしては、限定されるものではないが、HA、SUMO、His、GST、GFP、およびFlagが含まれる。

本発明のヘテロダイマー二重特異性抗体に適用可能な抗体に制限はない。好ましくは、疾患の治療および/または予防のために当該技術分野で公知の任意の抗体を本発明で使用することができる。

本発明のヘテロダイマー二重特異性抗体は、一つ以上の置換、欠失、付加、および/または挿入を有していてもよい。例えば、いくつかのアミノ酸は、他のポリペプチド(例えば抗原)または細胞に対する結合における可能性の著しい損失なしにタンパク質構造中の他のアミノ酸と置換することができる。タンパク質の生物学的機能活性はタンパク質の結合能力および特性によって決定されるので、タンパク質配列を、その生物学的エフェクタ活性の著しい損失なしにいくつかのアミノ酸配列の置換に供することができる。

多くの場合、ポリペプチド変異体は一つ以上の保存的置換を含む。「保存的置換」とは、ペプチド化学の当業者がポリペプチドの二次構造および親水性特性は実質的に変化しないと予想するような、類似の特性を有する他のアミノ酸でのアミノ酸の置換を指す。

アミノ酸置換は、概して、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどのアミノ酸の側鎖置換基の相対的類似性に基づく。様々な特性を考慮して、例示的置換は当業者には周知であり、アルギニンおよびリジン、グルタミン酸およびアスパラギン酸、セリンおよびトレオニン、グルタミンおよびアスパラギン、ならびにバリン、ロイシン、およびイソロイシンが含まれる。

本発明で使用される用語「同一性」は、当該分野で通常知られている意味を有し、(必要ならば最大相同性%を達成するために)配列を整列させギャップを導入した際のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列変異体および非変異体配列間の同じ残基のパーセンテージを指す。異なる配列間の同一性を決定するための規則および範疇も当業者には知られている。本発明において、同一性の定義が満足される場合、得られた変異体配列は、親配列が保有する生物学的活性を有することも必要とされる。活性を有する変異体配列をスクリーニングするための方法および手段は当業者には周知である。本明細書中で開示する教示から、当業者はそのような変異体配列を容易に達成するであろう。具体的な実施形態において、前記ポリヌクレオチドおよびポリペプチド変異体は、本明細書中で記載する前記ポリヌクレオチドまたはポリペプチドと、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、または少なくとも約99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%または99.9%のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド同一性を有する。遺伝子コードの重複性のために、これらの配列と同じアミノ酸配列をコードする変異体がある。

本発明の別の実施形態において、中程度から高度にストリンジェントな条件下で、本発明によって提供されるポリヌクレオチド配列、またはそのフラグメント、またはその相補配列とハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド組成物が提供される。ハイブリダイゼーション技術は、分子生物学の分野では周知である。例示の目的で、本発明のポリヌクレオチドの他のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションを試験するための好適な中程度にストリンジェントな条件は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mMのEDTA(pH8.0)の溶液で予洗し、50℃〜60℃にて5×SSCの条件下で一晩ハイブリダイズし、そして0.1%SDSを含む2×、0.5×および0.2×SSCで65℃にて2回20分間洗浄することを含む。当業者は、例えばハイブリダイゼーション溶液および/またはハイブリダイゼーション温度の塩含有量を変えることによって、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを容易に操作し得ることを理解している。例えば、別の実施形態において、好適な高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には、ハイブリダイゼーション温度を、例えば60〜65℃または65〜70℃まで上昇させることを除く条件が含まれる。

本発明の宿主細胞は、限定されるものではないが、E.coli、酵母、昆虫細胞、植物細胞、および哺乳類細胞をはじめとする、異種の遺伝子発現のために使用されるいかなる細胞であってもよい。

本発明のベクターとしては、例えば、限定されるものではないが、プラスミド、バクテリオファージ、コスミド、およびミニ染色体をはじめとする、任意の種類の細胞または生命体中で複製できるベクターが含まれる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリヌクレオチドの伝播(propagation)もしくは複製に適したベクター、または本発明のポリペプチドの発現に適したベクターである。そのようなベクターは、当該技術分野で公知であり、市販されている。

「ベクター」には、シャトルベクターおよび発現ベクターが含まれる。概して、プラスミド構築物はまた、複製起源(例えば、CoEl複製起源)ならびにプラスミド複製および細菌における選択のためにそれぞれ使用される選択可能なマーカー(例えば、アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性)も含む。「発現ベクター」とは、細菌または真核細胞において、抗体フラグメントを含む、本発明の抗体を発現するために必要な制御配列または調要素を含むベクターを指す。

本発明のベクターは、限定されるものではないが、プラスミドベクターをはじめとする、異種の遺伝子発現のために使用される任意のベクターであってよく、プラスミドベクターは少なくとも複製起源、プロモータ、関心対象の遺伝子、複数のクローニング部位および選択マーカー遺伝子を含む。好ましくは、本発明のベクターには、限定されるものではないが、X0GCベクターなどの、pcDNAに基づく改変によって得られるプラスミドベクターが含まれる。

本発明の対象には、家禽、爬虫類、哺乳類などが含まれる。好ましくは、前記哺乳類には齧歯類および霊長類が含まれる。好ましくは、前記霊長類にはヒトが含まれる。

本発明に関連する疾患の範囲には、限定されるものではないが、腫瘍が含まれる。好ましくは、前記腫瘍には、白血病、リンパ腫、骨髄腫、脳腫瘍、頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がん、鼻咽腔がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、胆嚢がん、肝臓がん、結腸直腸がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、子宮肉腫、前立腺がん、膀胱がん、腎細胞がん、黒色腫が含まれる。

薬剤的に許容される担体とは、調剤分野で一般的に用いられる医薬担体、例えば、希釈剤、賦形剤、水など、デンプン、スクロース、ラクトース、微結晶セルロースなどのフィラー、セルロース誘導体、アルギネート、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンなどの結合剤、グリセリンなどの湿潤剤、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロース、寒天、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、四級アンモニウム化合物などの吸収増強剤、ヘキサデカノール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、カオリナイト、ベントナイトなどの吸着担体、タルク、ステアリン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウム、微粉化シリカゲルおよびポリエチレングリコールなどの潤滑剤を指す。さらに、矯味矯臭剤および甘味料などの他のアジュバントを組成物に添加してもよい。

本発明を、以下の非限定例を参照して、本明細書中でさらに説明する。本発明の主旨から逸脱することなく本発明に様々な改変を加えることができることは当業者にはよく知られている。そのような改変も本発明の範囲内に含まれる。

以下の実験方法は、特に記載しない限り、すべて通常の方法である。採用した実験材料は、特に別段の記載がない限り、商業的企業から容易に入手することができる。本発明の以下の実施例で使用する抗体は、すべて、市販の標準的抗体である。

実施例1.ヘテロダイマー抗体分子のベクター構築 それぞれ、抗PD−L1抗体の重鎖および軽鎖を含むX0GC発現ベクターを構築し、抗体可変領域の配列は、https://www.drugbank.ca/drugs/DB11595から得た。重鎖定常領域はヒトIgG1由来であった。軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号1として示され、そのアミノ酸配列は配列番号2として示され、軽鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号3として示され、そのアミノ酸配列は配列番号4として示され、重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号5として示され、そのアミノ酸配列は配列番号6として示され、重鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号7として示され、そのアミノ酸配列は配列番号8として示される。前記軽鎖可変領域および前記軽鎖定常領域、前記重鎖可変領域および前記重鎖定常領域をそれぞれPCR法によって増幅した。Phusionハイフィテリティ(High−Fidelity)DNAポリメラーゼ(F−530L、NEB,Inc.製)を本願の全てのPCR反応で使用した。PCRプライマーを、相補塩基対合の原則および酵素消化部位の要件にしたがって従来通りに設計した。すべての反応系は、8.9μlのH2O、4μLの5×PhusionハイフィテリティDNAポリメラーゼ緩衝液、4μLの1mM dNTP、1μlの上流プライマー、1μlの下流プライマー、0.1μlのPhusionハイフィテリティDNA ポリメラーゼ、および1μlの鋳型であった。可変領域および定常領域のPCR産物を1.5%アガロースゲル電気泳動に供し、対応するフラグメントを、DNA回収キット(Promega、A9282、以下同様)を使用して回収した。前記可変領域の上流プライマーおよび前記定常領域の下流プライマーを使用して、回収した可変領域フラグメントおよび定常領域フラグメントを鋳型として用いてさらなるPCRを実施した。次に、対応するフラグメントを回収して、軽鎖または重鎖の完全長フラグメントを得た。X0GCベクターおよび完全長フラグメントをEcoRI(NEB、カタログ番号R3101L)およびHindIII(NEB、カタログ番号R3104L)で消化した。酵素消化反応系は、2μLの10×緩衝液3、それぞれ0.5μlのEcoRIおよびHindIII、前記ゲルから回収した3μLの完全長フラグメント、および14.5μLのH2Oであった。酵素消化反応系を37℃で3時間反応させた。酵素消化産物をT4 DNAリガーゼ(NEB、カタログ番号M0202V)(以下同様)でライゲーションさせた。反応系は、2μlの10×リガーゼ緩衝液、0.5μlのリガーゼ、ゲルから回収された3μlの完全長フラグメント、ゲルから回収された3μlのX0GCベクター、および11.5μlのH2Oであった。ライゲーションを室温で12時間実施した。ライゲーションされた産物をE.coli DH5αコンピテント細胞に形質転換させ(Tiangen、CB104、以下同様)、それぞれ真核細胞において抗体重鎖および軽鎖を発現させるために、抗体重鎖および軽鎖の各X0GC発現ベクターを得た。

抗PD−1(Pem)抗体の重鎖および軽鎖のX0GC発現ベクターをそれぞれ構築し、抗体可変領域の配列はhttp://www.imgt.org/3Dstructure−DB/cgi/details.cgi?pdbcode=9798から入手し、軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号9として示され、そのアミノ酸配列は配列番号10として示され、軽鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号3として示され、そのアミノ酸配列は配列番号4として示され、重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号11として示され、そのアミノ酸配列は配列番号12として示され、重鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号13として示され、そのアミノ酸配列は配列番号14として示される。真核細胞において抗体重鎖および軽鎖をそれぞれ発現させるために抗体重鎖および軽鎖の各X0GC発現ベクターを得た。

抗PD−1抗体(BJHM)の重鎖および軽鎖のX0GC発現ベクターも本発明において構築した。軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号15として示され、そのアミノ酸配列は配列番号16として示され、軽鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号3として示され、そのアミノ酸配列は配列番号4として示され、重鎖可変領域のヌクレオチド配列は配列番号17として示され、そのアミノ酸配列は配列番号18として示され、重鎖定常領域のヌクレオチド配列は配列番号13として示され、そのアミノ酸配列は配列番号14として示される。抗体重鎖および軽鎖の各X0GC発現ベクターを、真核細胞においてそれぞれ抗体重鎖および軽鎖を発現するために入手した。

実施例2.ヘテロダイマー抗体分子の発現 前記抗体重鎖および軽鎖の各発現ベクターを293F細胞株に同時トランスフェクトした(FreeStyle(商標)293−F細胞、カタログ番号R79007、Invitrogen)、トランスフェクションの前日に、細胞を接種した。トランスフェクション当日に、前記細胞を遠心分離によって収集し、次いで新鮮なFreeStyle(商標)293発現培地(カタログ番号12338001、Gibco)中に200×105細胞/mLの細胞密度で再懸濁させた。プラスミドをトランスフェクション体積にしたがって36.67ug/mLの最終濃度になるように添加し、穏やかに混合した。次に、線状PEI(ポリエチレンイミン、線状、M.W.25000、カタログ番号43896、Alfa Aesar)を55ug/mLの最終濃度になるように添加し、穏やかに混合した。その後、混合物を細胞インキュベータ中に入れ、シェーカー中で120rpm、37℃にて1時間インキュベートした。次いで、前記トランスフェクション体積の19倍の体積の新鮮な培地を添加した。インキュベーションをシェーカー中で、120rpm、37℃にて続けた。5〜6日間トランスフェクトした細胞培養の上清を遠心分離によって収集した。

発現量をELISA法によって決定した。クロマトグラフィーカラムを適用することによる精製前に、沈殿を、0.2μmフィルター膜でのろ過によって除去した。このステップを4℃で実施した。

実施例3.ヘテロダイマー抗体分子発現産物の精製 精製は、4℃でAKTA Explorer100 Protein Purification System(GE Healthcare)およびrProtein A Sepharose Fast Flowアフィニティクロマトグラフィーカラム(16mmLD、22ml、GE Healthcare)を使用して実施した。まず、クロマトグラフィーカラムを移動相A(20mMリン酸ナトリウム緩衝液、150mM塩化ナトリウム、PH7.4)で平衡化した。ベースラインを安定化させたのち、上述の様に処理した細胞上清を5ml/分の流速でロードした。ローディングプロセス後、移動相Aを平衡化のために使用した。その後、5カラム容積の移動相B1(移動相A+0.5Mアルギニン)を、カラムを洗浄するために使用し、そして5カラム容積の移動相B2(100mMクエン酸、PH3.0)を、溶出ピーク、すなわち、関心対象のタンパク質のピークを溶出させて集めるために使用した。溶出ステップのすべてにおいて流速は5ml/分であった。抗PD−L1発現産物の溶出ピークのクロマトグラムを図1に示す。抗PD−1発現産物の溶出ピークはこれと類似している(結果は含まれていない)。表示された溶出ピーク(図示した灰色部分)を収集し、1M酢酸ナトリウム溶液の滴下によってpHをpH5.0に調節した。

精製産物をSDS−PAGE法によって分析し、結果を図2に示す。

実施例4.抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の調製および精製 抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の構造を図3に示す。

rProtein A Sepharose Fast Flow(16mmI.D.、22ml、GE Healthcare)の方法で得られた抗体の半抗体分子をインビトロ再構築に供して、ヘテロダイマーを得た。上述のようにして精製し収集したタンパク質溶液をまず限外ろ過濃縮管(10kDaの公称カットオフ分子量)を通した限外ろ過によって濃縮し、次いで溶液をリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(pH=7.4)で置換した。抗PD−L1および抗PD−1抗体の半抗体分子の得られた分子溶液は、PBSをそれぞれ添加することによって1mg/mlに調節した。DTTの最終濃度がそれぞれ5mMとなるように、1MのDTTを最終溶液の1/200倍で添加した。還元を4℃で(3〜8時間)実施して、ジスルフィド結合を切断した。抗PD−1半抗体分子中に少量で含まれるホモダイマー抗体分子のヒンジ領域中のジスルフィド結合も切断し、それによって図4に図示した構造のような一つの重鎖と一つの軽鎖とを含む半抗体分子を形成した。還元サンプルをSEC−HPLCで分析した。前記半抗体分子の割合は90%超であった。

その後、還元抗PD−L1および抗PD−1半抗体分子を等モル比で混合し、4℃で24時間再構築反応に供した。再構築中、前記抗PD−L1および前記抗PD−1半抗体分子の両方を含むヘテロダイマー二重特異性抗体を、前記抗PD−L1および前記抗PD−1半抗体分子からCH2/CH3間の非共有結合性相互作用を介して形成した。次いで、タンパク質溶液は、限外ろ過濃縮管(10kDaの公称カットオフ分子量)を通した限外ろ過によって濃縮した。溶液をリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(pH−7.4)で置換して還元を停止させた。酸化を空気中、または酸化剤を使用して実施して、ヘテロダイマー二重特異性抗体のジスルフィド結合を再編成させた。酸化条件は以下の通りであった。100mMのL−デヒドロアスコルビン酸を酸化剤として添加、前記タンパク質の最終濃度は1mg/mlであり、前記酸化剤の最終濃度は1mMであった、酸化反応は4℃で24時間実施した。前記酸化反応によって得られたサンプルをSDS−PAGE分析に供した。結果を図5に示す。

前記抗PD−L1および前記抗PD−1半抗体分子の還元−酸化によって得られるヘテロダイマー分子は、限外ろ過濃縮管(10kDaの公称カットオフ分子量)を通した限外ろ過によって濃縮した。溶液を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH=5.8)で置換した。精製を4℃で、AKTA Explorer 100 Protein Purification System(GE Healthcare)およびイオンクロマトグラフィーカラムSource 15S(16mmI.D.、17ml、GE Healthcare)を使用して実施した。まず、クロマトグラフィーカラムを移動相A(10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化した。ベースラインを安定化させた後、上述のように処理したタンパク質溶液を3ml/分の流速でロードした。ローディングプロセス後、移動相Aを平衡化のために使用した。その後、カラムを20カラム容積でA(10mMリン酸ナトリウム、pH5.8)からB(10mMリン酸ナトリウム、pH5.8)(0%B−100%B、170分、流速2ml/分)の勾配にて溶出させた。表示された主要溶出ピークを収集し(図6に示す)、収集したタンパク質溶液を、限外ろ過濃縮管(10kDaの公称カットオフ分子量)を通した限外ろ過によって濃縮した。溶液をリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS、pH=7.4)で置換し、ろ過により滅菌し、4℃で保存した。精製産物をSDS−PAGE法によって分析した。結果を図7に示す。SEC−HPLCによる純度分析により、図8に示す結果として純度は96.44%であった。

実施例5.抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のインビトロ標的結合活性 単抗原に対するPD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体の結合能力を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定した。

アッセイの詳細なプロセスは以下のとおりである。組換えヒトPD−L1(Beijing Sino Biological Inc.、カタログ番号10377−H08H)またはヒトPD−1(Beijing Sino Biological Inc.、カタログ番号10377−H08H)は、pH9.6の炭酸塩緩衝液を使用し、ウェルあたり100μLのコーティング量で1μg/mLのコーティング濃度にて、96ウェル高吸着性ELISAプレート上にコーティングした。コーティングを4℃で一晩実施した。プレートをPBSTで5回洗浄した。次いで、前記プレートは、1%のBSAを含有する300μL/ウェルのPBSTでブロックし、25℃で1時間インキュベートし、次いでPBSTで5回洗浄した。1%のBSAを含有するPBSTで段階希釈した、ヘテロダイマー抗体のサンプルおよび対照を100μL/ウェルで添加し、25℃で1時間インキュベートした。前記プレートをPBSTで5回洗浄した。次いで、1%のBSAを含有するPBSTで1:2000にて希釈した、ホースラディッシュペルオキシダーゼで標識した抗ヒトIgG抗体(Chemicon、カタログ番号AP309P)を100μL/ウェルで添加し、25℃で1時間インキュベートした。プレートをPBSTで5回洗浄した。発色基質TMBを100μL/ウェルで添加し、10分間室温にて発色させた。1MのH2SO4を100μL/ウェルで添加することによって発色を停止させた。450nmでの吸光度をマイクロプレートリーダーで読み取った。

図9に示した結果によると、抗PD−L1/抗PD−1pemおよび抗PD−L1/抗PD−1BJHMの両方がPD−L1およびPD−1に対して高い親和性を有し、二価モノクローナル抗体の抗原親和性活性は充分に保持された。上述したことにおいて、抗PD−L1/抗PD−1BJHMは抗PD−L1/抗PD−1pemよりも高いPD−1親和性を有する。

実施例6.二重標的に対して同時に結合することによる誘導細胞結合の抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の活性 二重標的に対して同時に結合することによる細胞結合を誘導するPD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体の活性を、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって高PD−1発現でPD−L1およびCHO/PD−1細胞を発現するHCC827細胞(GenScript、カタログ番号M00529)に関して測定した。

CHO/PD−1細胞をPKH26キット(Sigma、カタログ番号SLBH4568V)の使用説明書に従って染色した。手短に言うと、CHO/PD−1細胞を収集し、無血清培地で一回洗浄し、PKH26キット中の希釈剤Cで2×107/mLにて懸濁させた。PKH26染料を希釈剤Cで4μMに希釈し、1:1の比で細胞懸濁液と混合した。1×107/mlの細胞密度および2μMのPKH26濃度を有する混合懸濁液を1分間室温でインキュベートし、次いで等体積のFBSとともに1分間インキュベートして染色を停止させた。懸濁液を400gで10分間遠心分離し、完全培地で2回洗浄し、さらなる使用のために完全培地中に再懸濁させた。HCC827細胞をCFSEキット(Life technology、カタログ番号C34554)の使用説明書に従って染色した。手短に言うと、CFSEをPBSで0.5PMの処理濃度(working concentration)に希釈し、37℃で予熱した。HCC827細胞を1000rpmで5分間の遠心分離によって収集し、次いで予熱したCFSE処理溶液(working solution)で懸濁させ、37℃で15分間インキュベートした。細胞を1000rpmで5分の延伸分離によって収集し、完全培地中に再懸濁させ、30分間インキュベートした。次いで、前記細胞を前記完全培地で一回洗浄し、次いでさらなる使用のために前記完全培地中に再懸濁させた。

染色細胞を遠心分離によって集め、2%FBSを含む冷PBSで一回洗浄した。前記細胞を、2%FBSを含む冷PBS中に5×106/mLの細胞密度で再懸濁させた。HCC827およびCHO/PD−1細胞を1:1の比で混合した。100μLの細胞混合物を各流管中に採取し(すなわち、2.5×105のHCC827と2.5×105のCHO/PD−1)、次いで、2%FBSを含有する冷PBS中で希釈した100μLのヘテロダイマー抗体サンプル、対照、またはアイソタイプ対照(ヒトイムノグロブリン、Jiangxi Boya Biopharmaceutica1 Co,, Ltd.、全国薬物認可番号(National Drug Approval No.)S19993012)を添加した。流管を氷上で30分間インキュベートし、2%FBSを含有するPBSで二回洗浄し、次いで500μLの冷PBS中に再懸濁させた。細胞懸濁液を検出し、フローサイトメトリで分析した。

結果を表1および図10に示す。ヘテロダイマー抗体を用いた高PD−1発現でPD−L1およびCHO/PD−1細胞を発現するHCC827細胞に対する同時結合によって、PD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体はHCC827とCHO/PD−1細胞との間の密接な結合を誘導することができ、これはT細胞による腫瘍細胞殺滅を媒介するための基礎となる。

実施例7.抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のT細胞調節活性 T細胞免疫応答に対するPD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体の調節活性を、混合リンパ球反応(MLR)によって決定した。

ヒト樹状細胞(DC)の取得: ヒトPBMC細胞(Lonza、カタログ番号CC−2702)を復活させ、収集した。前記ヒトPBMC細胞を無血清RPMI1640培地中、5×106/mLの細胞密度で再懸濁させ、細胞培養フラスコ中に接種し、CO2インキュベータ中、37℃にて90分間インキュベートした。培養上清を廃棄し、細胞を懸濁させた後、付着細胞を、100ng/mlのGM−CSF(Beijing Sino Biological Inc.、カタログ番号10015−HNAH)および100ng/mlのIL−4(Beijing Sino Biological Inc.、カタログ番号1l846−HNAE)を添加した完全培地(10%FBSを含むRPMI1640)中で培養した。3日間のインキュベーションの後、培地を交換し、細胞をさらに3日間インキュベートした。次いで、培養培地を、100ng/mlのGM−CSF、100ng/mlのIL−4および20ng/mlのTNF−αを含む前記完全培地(10%FBSを含むRPMI1640)と交換し、前記細胞を1日間インキュベートしてDC細胞を得た。

ヒトT細胞の取得: ヒトPBMC細胞を復活させ、収集し、続いてこのPBMC細胞およびDC細胞を誘導するためのPBMCを異なる個体から誘導した。ヒトT細胞をPan T Cell Separationキット(Miltenyi Biotech、カタログ番号5150414820)の使用説明書に従って分離した。手短に言うと、前記PBMCをPBSで一回洗浄し、そして40μLの分離緩衝液(2mMのEDTA、0.5%のBSAを含むPBS、pH=7.2)あたり107細胞で再懸濁させた(本明細書では、以下、量はすべて107細胞で算出した)。10μLのPan T cell Biotin Antibody Cocktailを添加し、4℃で5分間インキュベートした。その後、30μLの分離緩衝液および20μLのPan T cell MicroBead Cocktailを添加し、4℃で10分間インキュベートした。T細胞はMACS分離カラムを通して得た。

収集したヒトDC細胞およびヒトT細胞を完全培地(10%FBSを含むRPMI1640)中に再懸濁させ、96ウェルプレート上に1×104/ウェルおよび1×105/ウェルでそれぞれ接種し、そして混合物中で培養した。完全培地中で段階希釈した前記PD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体のサンプルと対照とを添加した。培養プレートを37℃で5日間のインキュベーションのためにCO2インキュベータ中に入れた。インキュベーションが完了したら、ウェル中の上清を採取し、サイトカインIL−2(Ray Biotech、カタログ番号ELH−IL2)およびIFN−γ(Ray Biotech、カタログ番号ELH−IFNg)をキットマニュアルにしたがって検出した。

図11に示すように、同種異系DC細胞によって刺激されたヒトT細胞は、IL−2およびIFN−γを活性化することができ、分泌することができる。PD−L1抗体またはPD−1抗体の添加はT細胞の活性化を増強することができ、サイトカインの分泌を促進することができる。PD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体は、モノクローナル抗体よりも強力なT細胞調節活性を有し、サイトカインIL−2およびIFN−γの分泌をより著しく促進する。

実施例8.腫瘍細胞に対する抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子のインビトロ殺滅活性 HCC827腫瘍細胞を収集した。HCC827細胞を完全培地(10%FBSを含むRPMI1640)中に5×104/mLの細胞密度で再懸濁させ、96ウェルプレート上にウェルあたり100μL(各ウェル中5×103細胞)で接種した。プレートを、37℃にて3〜4時間、CO2インキュベータ中で3〜4時間インキュベートした。ヒトPBMC細胞(Lonza、カタログ番号CC−2702)を再懸濁させ、収集した。前記PBMCを完全培地(10%FBSを含むRPMI1640)中に2×106/mLの細胞密度で再懸濁させ、エフェクタ細胞の標的細胞に対する比が20:1となるように96ウェルプレート中に50μL/ウェル(ウェルあたり1×105細胞)で添加した。Trop−2/CD3ヘテロダイマー抗体(Beijing Hanmei Pharm.)を1nMの最終濃度で添加した。前記完全培地中で段階希釈したPD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体のサンプルと対照とを添加した。各ウェル中の液体の合計体積は200μLであった。インキュベーションプレートを37℃で3日間インキュベーションするためにCO2インキュベータ中に入れた。インキュベーションの最後に、培養上清および懸濁PBMC細胞を廃棄した。HCC827細胞をPBSで2回洗浄して、残留PBMCを除去した。最後に、100μLの前記完全培地および20μLのMTS発色剤(Promega、カタログ番号G358B)を添加し、2〜3時間インキュベートした。490nmでの吸収をマイクロプレートリーダーで検出した。

図12に示すように、Trop−2/CD3ヘテロダイマー抗体はHCC827腫瘍細胞上のPBMCによって細胞殺滅を開始し、PD−L1抗体またはPD−1抗体は濃度に依存して腫瘍細胞に対するPBMCの殺滅効果を増強することができる一方で、PD−Ll/PD−1ヘテロダイマー抗体はモノクローナル抗体およびモノクローナル抗体の組み合わせよりも腫瘍細胞に対してより強力な殺滅活性を有する。

実施例9.異種移植腫瘍モデルにおける抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマー抗体分子の抗腫瘍効果 Beijing Vitalstar Biotechnology Co. Ltd.から購入した6〜8週令のメスNPG(NOD−PrkdcscidIl2rgnull)マウスを実験材料として使用した。1週間の環境への適応後、5×106のHCC827ヒト肺がん細胞を各マウスの右背部に皮下接種した。腫瘍体積が約100mm3まで成長したら、前記マウスを前記腫瘍体積にしたがって、各グループ6匹の腫瘍保有マウスとなるようにグループ分けした。動物それぞれにビヒクル(PBS)、70nmo1/kgのPD−L1モノクローナル抗体、70nmo1/kgのPD−1モノクローナル抗体、70nmo1/kgのPD−L1モノクローナル抗体+70nmo1/kgのPD−L1モノクローナル抗体との医薬組成物、70nmol/kgの抗PD−L1/抗PD−1ヘテロダイマーを腹腔内注射によって2週間にわたり週2回投与した。投与日から始めて、前記腫瘍体積を週に3回測定した。長径aおよび短径bを測定し、前記腫瘍体積を式:腫瘍体積(mm3)=(a×b2)/2にしたがって算出した。

結果は図13に示すとおりである。PD−L1 mAbおよびPD−1 mAbはどちらも抗腫瘍効果を示したが、PD−L1/PD−1ヘテロダイマー抗体はモノクローナル抗体およびモノクローナル抗体の組み合わせよりも強力な抗腫瘍効果を示した。さらに、薬物中止の後でも良好な腫瘍管理が示された。

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