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リグノセルロース系材料の酵素加分解および糖類発酵のための方法

阅读:1038发布:2020-05-14

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リグノセルロース系材料から発酵産物を調製する方法であって、 a)リグノセルロース系材料を前処理するステップと; b)少なくともGH61、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、β−グルコシダーゼ、キシラナーゼ及びβ−キシロシダーゼを含む酵素組成物を使用して、前記前処理されたリグノセルロース系材料を酵素加分解するステップであって、前記酵素加水分解中に、酸素が前記前処理されたリグノセルロース系材料に添加され、前記酵素加水分解のための反応器が50m3以上の容量を有し、前記酵素加水分解時間が5〜150時間であり、前記酵素加水分解が50℃以上の温度で実施され、前記酵素加水分解ステップにおける乾物含量が14〜33重量%であり、前記酵素組成物の量が6mgタンパク質/g乾物重量以下である、ステップと; c)前記酵素加水分解されたリグノセルロース系材料を発酵させて、発酵産物を生成するステップであって、前記発酵が少なくとも1種のC5糖を発酵できる酵母を用いて実施される、ステップと; d)発酵産物を回収するステップと を含む、方法。前記酸素が、泡の形態で添加される、請求項1に記載の方法。前記酵素加水分解が、55℃以上の温度で実施される、請求項1または2に記載の方法。前記酵素組成物が、真菌に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。前記酵素組成物が、ラサムソニア属(Rasamsonia)の生物に由来する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。前記酵素組成物が、ラサムソニア属(Rasamsonia)酵素を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。前記酵素加水分解が、バッチ、流加および/または連続培養反応器内で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。前記酸素が、酸素含有気体として導入される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。前記発酵産物が、エタノールである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

発明の詳細な説明

[技術分野] 本発明は、リグノセルロース系材料の酵素加分解および糖類発酵のための方法に関する。

[発明の背景] 本明細書で原材料とも称される、リグノセルロース系植物材料は、糖類の形態の再生可能なエネルギー源であり、例えば糖類またはバイオエタノールのようなバイオ燃料などの有価製品に変換され得る。この過程において、麦藁、トウモロコシ茎葉、もみ殻などの原材料中に存在する、(リグノまたはヘミ)セルロースは、(ヘミ)セルロース分解酵素によって、還元糖に変換され、これは次に任意選択的に、酵母、細菌、および真菌などの生物によって、エタノールなどの有価製品に変換される。

(ヘミ)セルロースは結晶性であり、リグニンネットワーク中に封入されているので、還元糖への変換は、一般に緩慢で不完全である。典型的に、未処理原材料の酵素加水分解は、理論量の<20%の糖類を生じる。化学的および熱物理的な前処理を適用することで、(ヘミ)セルロースは、(ヘミ)セルロース分解酵素によってアクセスしやすくなり、したがって変換がより迅速に進行して、収率がより高くなる。

前処理トウモロコシ茎葉から誘導されるグルコースから生じる典型的なエタノールは、1000kgの乾燥トウモロコシ茎葉あたり40ガロンのエタノール(Badger,P,Ethanol from cellulose:a general review,Trends in new crops and new uses,2002,J.Janick and A.Whipkey(eds.)ASHS Press,Alexandria,VA)、あるいは1gの原材料あたり0.3gのエタノールである。セルロースを基準にしたエタノールの最大収率は、およそ90%である。

その大多数はトリコデルマ属(Trichoderma)、フミコーラ属(Humicola)およびアスペルギルス属(Aspergillus)のような種によって産生されるセルロース分解酵素が、商業的に使用されて、前処理原材料を、不溶性(ヘミ)セルロース、それから生成される還元糖、およびリグニンを含有するマッシュに変換する。リグノセルロース系原材料を分解するために、ラサムソニア属(Rasamsonia)に由来する熱安定性セルロース分解酵素が使用されており、これらの酵素は熱安定性であることで知られている。国際公開第2007091231号パンフレットを参照されたい。製造されたマッシュは、還元糖が、酵母バイオマス(細胞)、二酸化炭素、およびエタノールに変換される発酵で使用される。このようにして製造されたエタノールは、バイオエタノールと称される。

前処理リグノセルロース系原材料からの一般的な糖類生産である加水分解は、液化、前糖化または糖化とも称されて、45〜50℃の高温および非無菌条件下で、6〜168時間持続する工程において典型的に実施される(Kumar,S.,Chem.Eng.Technol.32(2009)517−526)。この加水分解中に、存在するセルロースは、部分的に(酵素活性および加水分解条件次第で典型的に30〜95%)還元糖に変換される。前処理原材料中に存在する化合物による、および放出糖類による酵素阻害がある場合;そして熱失活を最小化するために、この高温期間は、できる限り短くされる。

加水分解に続く発酵は、同一または異なる容器内で、別個の好ましくは嫌気的工程段階で実施され、その中では、温度が30〜33℃(中温性工程)に調節されて、一般に酵母である微生物バイオマスによる増殖およびエタノール産生の便宜を図る。この発酵工程中に、残りの(ヘミ)セルロース系材料が、既存の加水分解ステップからの酵素によって還元糖に変換される一方で、微生物バイオマスおよびエタノールが生成される。ひとたび(ヘミ)セルロース系材料が、発酵性糖類に変換され、全ての発酵性糖類が、エタノール、二酸化炭素、および微生物細胞に変換されると、発酵は完了する。これには、最長6日かかることもある。一般に、加水分解および発酵の総工程時間は、最長13日かかることもある。

このようにして得られた発酵マッシュは、非発酵性糖類、非加水分解性(ヘミ)セルロース系材料、リグニン、微生物細胞(最も一般的な酵母細胞)、水、エタノール、溶解二酸化炭素からなる。連続的段階において、エタノールは、マッシュから蒸留され、さらに精製される。残りの固体懸濁液は乾燥されて、例えば、燃料、肥料または畜飼料として使用される。

国際公開第2010080407号パンフレットは、嫌気的条件下における、セルラーゼ組成物によるセルロース系材料の処理を提案する。反応性酸素種の除去または排除が、セルロース加水分解酵素系の能を改善することもある。酵素組成物による、例えばリグノセルロースなどのセルロース系材料の加水分解は、例えば分子酸素による、酵素組成物成分の酸化損傷、および/またはセルロース系材料の酸化によって、低下され得る。

国際公開第2009046538号パンフレットは、真空下で実施される材料処理のための酵素加水分解工程を使用して、リグノセルロース系原材料植物材料を処理し、発酵性糖類を放出させ、フルフラールおよび酢酸などの揮発性糖/発酵阻害化合物の量を低下させた、糖分に富むプロセス流を生成する方法を開示する。揮発性阻害化合物が除去される以外に、除去されるその他の化合物および/または分子としては、窒素、酸素、アルゴン、および二酸化炭素が挙げられる。

各原材料バッチ毎に酵素が添加され、所定の工程時間内に前処理リグノセルロース系原材料から放出される発酵性糖類の収率と比率を最大化させる。一般に、エタノール生産の原材料であり投資である酵素生産コストが、全体的な生産コストの主要なコスト要因である(Kumar,S.Chem.Eng.Technol.32(2009)517−526)。これまで、その使用が、より低い酵素要求、より迅速な変換速度および/またはより高い変換収率を目指し、ひいては全体的なより低いバイオエタノール産生コストを目指す、より広いおよび/またはより高い(特異的)加水分解活性がある、単一または複数微生物源からの酵素製品を適用することで、酵素使用コストの低下が達成されてきた(国際公開第2008/008793号パンフレット)。これらの酵素製品の研究と開発には、大規模な投資が必要である。酵素製品が、複数微生物源からの酵素から構成される場合、それぞれの単一酵素化合物の生産のために大規模な資本投資が必要である。

したがって加水分解および発酵が関与する、上記工程を改善することが望ましい。

[発明の概要] したがって本発明の目的は、加水分解ステップが、改善された条件において実施される方法を提供することである。本発明の別の目的は、工程時間が短縮された加水分解を伴う方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、酵素用量が低下されてもよく、同時に、有用な加水分解産物の生成量が同一レベルに保たれ、または増大することすらある、方法を提供することである。別の目的は、加水分解の工程条件が最適化された、加水分解を伴う方法を提供することである。本発明のなおもさらなる目的は、同一酵素用量を使用して、有用な加水分解産物の生成量が増大される、加水分解を伴う方法を提供することである。これらの目的の1つまたは複数が、本発明によって達成される。

本発明は、 a)リグノセルロース系材料を任意選択的に前処理するステップと; b)任意選択的に前処理されたリグノセルロース系材料を任意選択的に洗浄するステップと; c)少なくとも2種のセルラーゼを含む酵素組成物を使用して、任意選択的に洗浄されおよび/または任意選択的に前処理されたリグノセルロース系材料を酵素加水分解するステップであって、酵素組成物が少なくともGH61を含むステップと; d)糖生成物を任意選択的に回収するステップと を含み、 前処理の後および酵素加水分解の前および/または最中に、酸素がリグノセルロース系材料に添加される、 リグノセルロース系材料から糖生成物を調製する方法を提供する。

さらに本発明は、リグノセルロース系材料から発酵産物を調製する方法であって、 a)リグノセルロース系材料を任意選択的に前処理するステップと; b)任意選択的に前処理されたリグノセルロース系材料を任意選択的に洗浄するステップと; c)少なくとも2種のセルラーゼを含む酵素組成物を使用して、任意選択的に洗浄されおよび/または任意選択的に前処理されたリグノセルロース系材料を酵素加水分解するステップであって、酵素組成物が少なくともGH61を含むステップと; d)加水分解されたリグノセルロース系材料を発酵させて、発酵産物を生成するステップと; e)発酵産物を任意選択的に回収するステップと を含み、 前処理の後および酵素加水分解の前および/または最中に、酸素がリグノセルロース系材料に添加される、方法を提供する。

好ましくは、酸素は、ステップc)の酵素加水分解中に添加される。

好ましい実施形態では、酸素は、(気)泡形態で添加される。

驚くことに、本発明によれば、酸素を添加することで、最適温度条件、工程時間短縮、酵素用量低下、酵素再使用、より高い収率、およびその他の工程最適化をはじめとする、多数の工程上の利点を獲得でき、コストの低下がもたらされる。

この方法の一実施形態では、発酵時間は5〜120時間である。一実施形態では、使用される安定酵素組成物は、活性を30時間以上保つ。さらなる実施形態によると、加水分解は、好ましくは45℃以上の温度、より好ましくは50℃以上の温度、またはなおもより好ましくは55℃以上の温度で実施される。好ましい実施形態では、酵素組成物は、好ましくはラサムソニア属(Rasamsonia)の微生物である真菌に由来し、または酵素組成物は、好ましくはラサムソニア属(Rasamsonia)酵素である真菌酵素を含む。本発明の方法を下でより詳細に例証する。

TEC−210ミックス(1)、4E−GH61ミックス(2)および4E−EGミックス(3)によって放出されるグルコース(g/L)の総量に対する、加水分解前に10%aCS原材料を通して散布された窒素または空気の効果。

グルカン変換(%)が、低いDO(−□−)および高いDO(−■−)における、3.75mgのTEC210/g原材料DMの工程所要時間(時間)の関数としての20%aCSで示される、270リットル反応器(パイロットプラント規模)内の酵素加水分解。

2.5mg/gの酵素およびDO=0.030mol/m

3 (−◆−)、および3.5mg/gの酵素およびDO=0.005mol/m

3 (−■−)における、加水分解時間の関数としての、前処理リグノセルロース系原材料中のグルカン加水分解に対する、溶存酸素濃度(DO)の効果。

[発明の詳細な説明] 本明細書および添付の特許請求の範囲全体を通じて「含む(comprise)」および「含む(include)」と言う語、および「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および「含む(including)」などのバリエーションは、包括的に解釈される。すなわち、これらの語は、文脈が許せば、特に列挙されないその他の構成要素または整数の可能な包含を伝えることが意図される。冠詞「a」および「an」は、冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち1つまたは少なくとも1つ)の文法的目的に言及するために、本明細書で使用される。一例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味してもよい。

本発明の文脈で「改善した」、「増大した」、「低下した」は、追加の酸素が添加されないこと以外は同一である、状況、工程または工程条件と比較して、本発明が利点を示すことを示唆するために使用される。本発明の文脈で、「同一条件下で評価される」または「同一条件下で分析される」などは、本発明の方法と、酸素添加なしの同一方法とが、(酸素添加以外は)同一条件下で実施されること、そして酸素添加なしの方法と比較される場合は、本方法の結果が、好ましくは同一アッセイおよび/または手順を使用して、より好ましくは同一または並行実験内で、同一条件を使用して評価されることを意味する。加水分解条件は、このような条件の一例である。

先行技術では、酵素加水分解中に嫌気的(国際公開第2010/080407号パンフレット)または真空(国際公開第2009/046538号パンフレット)条件を使用することで、セルロース分解性材料の加水分解が改善することが示唆される。どちらの文献の方法でも、酸素レベルは低下された。本発明の加水分解は、酸素が添加されない方法と比較して、加水分解に続いて発酵中でより大量の(還元)糖産物および/または所望の発酵産物を与える、改善された反応生成物における結果を示すことが、驚くことに今や見い出された。一般に、5〜15w/w%へ至る、グルコース変換の増大が観察される。

酸素は、いくつかの方法で添加し得る。例えば酸素は、酸素ガス、酸素富化空気などの酸素富化ガスまたは空気として添加し得る。酸素は、継続的に、または断続続的に添加し得る。酸素「が添加される」とは、加水分解反応器内で、(リグノセルロース系材料を含む)液相に酸素が添加されることを意味し、酸素が反応器の液相上のヘッドスペース内に存在して、酸素が、ヘッドスペースから液相に拡散しなくてはならないことは意味しない。したがって酸素は、好ましくは泡として、最も好ましくは小泡として添加される。

酵素が、酸素の存在または添加によって損傷を受けることもある状況では、より穏やかな酸素供給を使用してもよい。その場合、改善されたグルコース生成と酵素性能との間に均衡を見い出し得る。セルロース分解性材料への酸素の添加は、酵素加水分解の前および/または最中に実施し得る。酸素が気体形態で添加される状況では、例えば液体加水分解反応器のセルロース分解性材料内容物中に吹き込むことで、酸素含有気体を導入し得る。発明の別の実施形態では、加水分解反応器に入る液体セルロース分解性材料ストリームに、酸素含有気体が導入される。本発明のなおも別の実施形態では、酸素含有気体は、加水分解反応器に入るセルロース分解性材料と一緒に、または反応器の外部ループを通過する液体反応器内容物の一部と一緒に、導入される。ほとんどの場合、加水分解反応器内に入る前の酸素の添加では十分でなく、酸素添加は、加水分解中にもまた実施してもよい。本発明の別の実施形態では、反応器上部(ヘッドスペース)に存在する気相が、酸素含有気体で、継続的にまたは断続的に新しく補給される。後者の状況では、液体反応器内容物に気泡としておよび/または拡散によって酸素を入れるために、好ましくは反応器内の過剰圧力と組み合わせて、(激しい)混合または撹拌が必要とされる。一般に、(激しい)混合または撹拌と組み合わされた、空気によるヘッドスペースの洗浄は、最大で100リットルから1m3の規模の反応器で、加水分解反応器内のセルロース系材料に、十分な酸素を導入する。例えば100m3などの50m3以上の反応器内のより大きな規模では、激しい撹拌のために非常に多くのエネルギーが必要であり、これは経済的観点から、商業的に稼働する工程には適用されない。

本発明によれば、加水分解ステップ前に、加水分解ステップの一部において、加水分解ステップ全体において、または加水分解ステップ前または最中の組み合わせで、酸素を添加してもよい。有利には、加水分解ステップの前半に酸素が添加される。例えば酵素に酸化損傷が発生する場合は、加水分解の一部のみにおいて酸素の添加を実施してもよい。加水分解反応器内容物中に、または加水分解ステップで形成される糖生成物または加水分解物中に存在する酸素が、引き続く発酵ステップに影響しまたは妨害するかもしれない場合は、加水分解バイオマスが発酵反応器に入る前に、(大部分の)酸素が消費されるように、加水分解の最後の部分を除いて酸素添加を実施してもよい。

本発明の有益な効果を示すために、酵素加水分解工程における曝気のいくつかの例が、実施例で示される。この有益な効果は、数種の基質または原材料で見られ、したがってあらゆる種類の基質または原材料の加水分解に存在すると考えられる。

本発明の有益な効果を示すために、酵素加水分解工程のための酵素組成物のいくつかの例が、実施例で示される。この有益な効果はいくつかの酵素組成物で見られ、したがってあらゆる種類の加水分解酵素組成物に存在すると考えられる。

本発明のさらなる好ましい実施形態では、液相中の酸素濃度(DO)は、リグノセルロース系材料が酵素加水分解中に存在する場合、少なくとも0.001mol/m3、好ましくは少なくとも0.002mol/m3、より好ましくは少なくとも0.003mol/m3であり、なおもより好ましくは0.01mol/m3を超えて、例えば0.02mol/m3または0.03mol/m3を超える。1m3未満の反応器内では、緩慢な撹拌によって、0.01mol/m3または0.02mol/m3未満のDO値が得られる。このような規模での激しい混合または撹拌は、反応液体に、ヘッドスペースの気相の一部を導入する。例えば混合または撹拌が、酸素を液体中に引き込む渦流浴を作ることもある。一般に、(激しい)混合または撹拌と組み合わされた、空気によるヘッドスペースの洗浄は、最大で100リットルから1m3の規模の反応器で、加水分解反応器内のセルロース系材料に、十分な酸素を導入する。例えば100m3などの50m3以上の反応器内のより大きな規模では、激しい撹拌のために非常に多くのエネルギーが必要であり、これは経済的観点から、商業的に稼働する工程には適用されない。一般に大型反応器内では、空気または酸素導入なしの撹拌または混合が、0.01mol/m3未満のDO値をもたらす。

本発明のなおも別の好ましい実施形態では、液相中の酸素生成または産生中の酸素濃度(曝気または酸素の添加)は、液相リグノセルロース系材料が酵素加水分解中に存在する場合の酸素濃度は、好ましくは加水分解反応条件下における酸素飽和濃度の最大80%、より好ましくは最大0.12mol/m3、さらにより好適には最大0.09mol/m3、なおもより好ましくは最大0.06mol/m3、なおもさらにより好適には最大0.045mol/m3、最も好ましくは最大0.03mol/m3である。温度および圧力は、DOに影響を与える。上述の好ましい例示的なmol/m3値は、標準大気圧および約62℃の温度に関する。熟練した当業者は、本教示に基づいて、好ましいDO値を理解するであろう。

本発明による空気またはその他の酸素含有気体の形態での酸素添加はまた、少なくとも部分的に、加水分解反応器内容物を撹拌または混合するのにも使用してもよい。本発明の方法は、特にパイロットプラントおよび工業規模における利点を与える。好ましくは加水分解反応器は、1m3以上であり、好ましくは10m3を超え、最も好ましくは50m3以上の容量を有する。一般に加水分解反応器は、3000m3または5000m3より小型である。本発明者らは、特に大規模では、加水分解にとって利用できる酸素が不十分であり、それは例えばセルロース分解性バイオマス中などの反応器内の酸素移動の限界に起因するかもしれないという理論を提起する。実験室規模の実験では、この酸素不足の果たす役割は、あまり重要でないかもしれない。反応器体積に対する表面積(または反応器内容物の酸素接触面積)の比率は、大規模実験よりも小規模実験で有利である。さらに小規模実験における混合は、大規模よりも比較的容易である。これらの小規模実験中にはまた、加水分解反応器のヘッドスペースからの酸素輸送も、大規模実験状況と比較してより迅速である。この理論は、単に、本発明者らによって見い出された、可能性のある説明として提示され、本発明はこの理論の正確さによって否定されることも、また肯定されることもない。本発明のさらなる実施形態によると、酸素の添加を使用して、加水分解工程を少なくとも部分的に制御してもよい。

本発明の方法は、有利には熱安定性酵素の使用と組み合わせて適用される。

「熱安定性」酵素とは、酵素が、例えば75℃以上などの70℃以上、例えば85℃以上などの80℃以上などの、60℃以上の最適温度を有することを意味する。これらは、例えば好熱性微生物から単離されてもよく、または当業者によってデザインされて人工的に合成されてもよい。一実施形態では、ポリヌクレオチドは好熱性または耐熱性糸状菌から単離または入手されもよく、または非好熱性または非耐熱性真菌であるが、熱安定性であると分かったものから単離されてもよい。

「好熱性真菌」とは、50℃以上の温度で成長する真菌を意味する。「耐熱性」真菌とは、45℃以上、最高50℃近くの温度で成長する真菌を意味する。

好熱性真菌株の例は、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)である(以前はタラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersoni)として知られていた;タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)、ペニシリウム・ゲオスミチア・エメルソニイ(Penicillium geosmithia emersonii)およびラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)は、本明細書で同義的に使用される)。

適切な好熱性または耐熱性真菌細胞は、フミコーラ属(Humicola)、リゾムコール属(Rhizomucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ラサムソニア属(Rasamsonia)、タラロミセス属(Talaromyces)、サーモミセス属(Thermomyces)、サーモアスクス属(Thermoascus)またはチエラビア属(Thielavia)細胞、好ましくはラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)細胞であってもよい。好ましい好熱性または耐熱性真菌は、フミコーラ・グリセア変種サーモイディア(Humicola grisea var.thermoidea)、フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、パプラスポラ・サーモフィラ(Papulaspora thermophila)、ラサムソニア・ビソクラマイドイデス(Rasamsonia byssochlamydoides)、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)、ラサムソニア・アルギラセア(Rasamsonia argillacea)、ラサムソニア・エブルネアン(Rasamsonia eburnean)、ラサムソニア・ブレビスチピタタ(Rasamsonia brevistipitata)、ラサムソニア・シリンドロスポラ(Rasamsonia cylindrospora)、リゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)、タラロミセス・バシリスポルス(Talaromyces bacillisporus)、タラロミセス・レイセッタヌス(Talaromyces leycettanus)、タラロミセス・サーモフィルス(Talaromyces thermophilus)、サーモミセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)、サーモアスクス・クルスタセウス(Thermoascus crustaceus)、サーモアスクス・サーモフィルス(Thermoascus thermophilus)、サーモアスクス・アウランチアクス(Thermoascus aurantiacus)、およびチエラビア・テルレストリス(Thielavia terrestris)である。

好熱性真菌は特定の分類学上の目に限定されず、真菌生命樹の至る所に存在する。例は、ケカビ目(Mucorales)のリゾムコール属(Rhizomucor)、フンタマカビ目(Sordariales)のミセリオフトラ属(Myceliophthora)、およびユーロチウム目(Eurotiales)のタラロミセス属(Talaromyces)、サーモミセス属(Thermomyces)、およびサーモアスクス属(Thermoascus)である(Mouchacca 1997)。タラロミセス属(Talaromyces)種の大多数は中温細菌であるが、例外はエマーソニー節(Emersonii)およびサーモフィラ節(Thermophila)内の種である。エマーソニー節(Emersonii)は、タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)、タラロミセス・ビソクラミドイデス(Talaromyces byssochlamydoides)、タラロミセス・バシリスポルス(Talaromyces bacillisporus)、およびタラロミセス・レイセッタヌス(Talaromyces leycettanus)を含み、それらは全て40℃で良好に増殖する。タラロミセス・バシリスポルス(Talaromyces bacillisporus)は耐熱性であり、T.レイセッタヌス(T.leycettanus)は耐熱性から好熱性であり、T.エメルソニイ(T.emersonii)およびT.ビソクラマイドイデス(T.byssochlamydoides)は真性好熱性である(StolkおよびSamson 1972)。タラロミセス属(Talaromyces)のサーモフィラ節(Thermophila)の唯一の構成員であるT.サーモフィルス(T.thermophilus)は、50℃で迅速に成長する(EvansおよびStolk 1971;Evans 1971;StolkおよびSamson 1972)。これらの好熱性タラロミセス属(Talaromyces)種の現行の分類は、主に、それらの40℃以上における増殖能力、子嚢胞子の色、子嚢果被覆の構造、および特定型の無性世代の形成などの表現型および生理学的特徴に基づく。StolkおよびSamson(1972)は、エマーソニー節(Emersonii)の構成員が、ペシロミセス属(Paecilomyces)(T.ビソクラマイドイデス(T.byssochlamydoides)およびT.レイセッタヌス(T.leycettanus))またはペニシリウム・シリンドロスポラム(Penicillium cylindrosporum)系のどちらかの無性世代(T.エメルソニイ(T.emersonii)およびT.バシリスポルス(T.bacillisporus))を有すると記述した。後に、Pitt(1979)は、ペニシリウム属(Penicillium)およびペシロミセス属(Paecilomyces)の特徴である頸部(首)上でなく、末端孔からの分生子形成などの様々な特徴に基づいて、ペニシリウム・シリンドロスポラム(Penicillium cylindrosporum)系に属する種をゲオスミチア属(Geosmithia)に移した。ゲオスミチア属(Geosmithia)内では、G.アルギラセア(G.argillacea)のみが耐熱性であり、Stolkら(1969)およびEvans(1971)は、サーモミセス属(Thermomyces)エマーソニー節(Emersonii)の構成員との関連性を提案した。タラロミセス属(Talaromyces)内の好熱性タラロミセス属(Talaromyces)種と、トリココマ科(Trichocomaceae)の系統学的関係は不明である。J.Houbraken,Antonie van Leeuwenhoek 2012 Feb;101(2):403−21を参照されたい。

ラサムソニア属(Rasamsonia)は、耐熱性および好熱性タラロミセス属(Talaromyces)およびゲオスミチア属(Geosmithia)種を含む新しい属である(J.Houbrakenら、上記参照)。表現型、生理学的および分子のデータに基づいて、Houbrakenらは、T.エメルソニイ(T.emersonii)、T.ビソクラマイドイデス(T.byssochlamydoides)、T.エブルネウス(T.eburneus)、G.アルギラセア(G.argillacea)、およびG.シリンドロスポラ(G.cylindrospora)種をラサムソニア(Rasamsonia)新属に移動させることを提案した。タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)、ペニシリウム・ゲオスミチア・エメルソニイ(Penicillium geosmithia emersonii)およびラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)は、本明細書で同義的に使用される。

好ましい好熱性真菌は、ラサムソニア・ビソクラマイドイデス(Rasamsonia byssochlamydoides)、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)、サーモミセス・ラヌギノスス(Thermomyces lanuginosus)、タラロミセス・サーモフィルス(Talaromyces thermophilus)、サーモアスクス・クルスタセウス(Thermoascus crustaceus)、サーモアスクス・サーモフィルス(Thermoascus thermophilus)、およびサーモアスクス・アウランチアクス(Thermoascus aurantiacus)である。

「糸状菌」は、亜門真正菌類(Eumycota)および卵菌門(Oomycota)の全ての糸状体を含む(Hawksworth et al.,In,Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi,8th edition,1995,CAB International,University Press,Cambridge,UKによって定義される通り)。糸状菌は、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン、およびその他の複合多糖から構成される、菌糸体壁によって特徴付けられる。栄養成長は菌糸伸長により、炭素異化作用は偏性好気性である。糸状菌株としては、アクレモニウム属(Acremonium)、アガリクス属(Agaricus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、アウレオバシジウム属(Aureobasidium)、クリソスポリウム属(Chrysosporium)、コプリナス属(Coprinus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、フィロバシジウム属(Filobasidium)、フザリウム属(Fusarium)、ゲオスミチア属(Geosmithia)、フミコーラ属(Humicola)、マグナポルテ属(Magnaporthe)、ケカビ属(Mucor)、ミセリオフトラ属(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス属(Neocallimastix)、ニューロスポラ属(Neurospora)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、ペニシリウム属(Penicillium)、ピロミセス属(Piromyces)、ファネロカエテ属(Phanerochaete)、ヒラタケ属(Pleurotus)、ラサムソニア属(Rasamsonia)、スエヒロタケ属(Schizophyllum)、タラロミセス属(Talaromyces)、サーモアスクス属(Thermoascus)、サーモミセス属(Thermomyces)、チエラビア属(Thielavia)、トリポクラジウム属(Tolypocladium)、およびトリコデルマ属(Trichoderma)の株が挙げられるが、これに限定されるものではない。

糸状菌のいくつかの株は、米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection;ATCC)、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH;DSM)、オランダ微生物株保存センター(Centraalbureau Voor Schimmelcultures;CBS)、およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL)などのいくつかの菌株保存機関で、一般人が容易に利用できる。このような株の例としては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)CBS513.88、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)ATCC20423、IFO4177、ATCC1011、ATCC9576、ATCC14488−14491、ATCC11601、ATCC12892、P.クリソゲヌム(P.chrysogenum)CBS455.95、ペニシリウム・シトリナム(Penicillium citrinum)ATCC38065、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)P2、タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)CBS393.64、アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenum)ATCC36225またはATCC48272、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)ATCC26921またはATCC56765またはATCC26921、ショウユコウジカビ(Aspergillus sojae)ATCC11906、クリソスポリウム・ラクノウエンス(Chrysosporium lucknowense)C1、Garg27K、VKM F−3500−D、ATCC44006およびその誘導体が挙げられる。

適切な微生物中における、酵素(例えば少なくとも2、3または4種の異なるセルラーゼ)の発現および生成の利点は、本発明の方法で使用し得る、高い酵素組成物収率であってもよい。

本発明によれば、酸素を添加することで、最適温度条件、工程時間短縮、酵素用量低下、酵素再使用、およびその他の工程最適化をはじめとする、多数の工程上の利点を獲得でき、コストの低下がもたらされる。有利なことに本発明は、加水分解ステップが改善された条件下で実施される方法を提供する。本発明は、工程時間が短縮された加水分解を伴う方法もまた提供する。さらに本発明は、有用な加水分解産物の生成量を同一レベルに維持しながら、酵素用量を低下してもよい方法を提供する。本発明の別の利点は、加水分解を伴う本方法が、最適化された工程条件をもたらしてもよいことである。本発明のさらなる利点は、加水分解を伴う工程の有用な加水分解生成物の生成量が、同一酵素用量を使用して増大されることである。

[安定酵素組成物] 本明細書では、安定酵素組成物は、30時間の加水分解反応時間後に、好ましくはその初期活性の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の活性を30時間の加水分解反応時間後に保つ酵素組成物を意味する。好ましくは酵素組成物は、加水分解反応時間の40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500時間後に、活性を保つ。

酵素組成物は、例えばラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などの適切な微生物による適切な基質の発酵によって調製されてもよく、その中では酵素組成物が微生物によって産生される。微生物を改変して、改良し、またはセルラーゼ組成物を生成してもよい。例えば微生物は、古典的株改良手順または組換えDNA技術によって、変異させてもよい。したがって本明細書で言及される微生物をそのまま使用して、セルラーゼ組成物を生成し得て、または改変して生成量を増大させ、または微生物によって元来生成されない酵素である異種セルラーゼをはじめとする改変セルラーゼ組成物を生成してもよい。好ましくは真菌、より好ましくは糸状菌を使用して、セルラーゼ組成物が生成される。有利には、好熱性または耐熱性微生物が使用される。任意選択的に、酵素組成物の生成中に、酵素組成物中で酵素発現を誘導する基質が使用される。

酵素組成物を使用して、多糖類を含むリグノセルロースから糖類を放出させる。主な多糖類は、セルロース(グルカン)、ヘミセルロース(キシラン、ヘテロキシラン、およびキシログルカン)である。さらに例えば木材由来原材料中では、いくらかのヘミセルロースが、グルコマンナンとして存在してもよい。例えば、グルコース、セロビオース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ラムノース、リボース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、およびその他のヘキソースおよびペントースなどの、単量体および多量体の双方をはじめとする可溶性糖類への、これらの多糖類の酵素加水分解は、協力して作用する異なる酵素の作用下で起こる。糖生成物とは、原材料またはリグノセルロース系材料の酵素加水分解産物を意味する。糖生成物は、単量体および多量体の双方をはじめとする可溶性糖類を含み、好ましくはグルコースを含む。糖類のその他の例は、セロビオース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ラムノース、リボース、ガラクツロン酸、グルクロン酸、およびその他のヘキソースおよびペントースである。糖生成物は、そのまま使用してもよく、または例えば精製するなど、さらに処理してもよい。

さらに、ペクチン、そしてアラビナンなどのその他のペクチン質が、典型的に非木本組織からの細胞壁の乾燥質量のかなりの割合を構成してもよい(乾燥質量の約4分の1から半分がペクチンであってもよい)。

セルロースは、β−1,4結合によって連結するグルコース残基から構成される直鎖多糖類である。セルロース繊維の直線的性質、ならびに(αと比較した)β結合グルコースの化学量は、デンプンの高度に分岐したα結合型構造よりも、鎖間水素結合をより起こしやすい構造を生じる。したがってセルロースポリマーは概して溶解度がより低く、デンプンに見られる繊維よりも、さらに密接に結合した繊維を形成する。

本発明で使用される安定酵素組成物中に含まれてもよい酵素を、ここでより詳細に説明する: GH61、エンドグルカナーゼ(EG)、およびエキソセロビオヒドロラーゼ(CBH)は、セロオリゴ糖(セロビオースを主生成物とする)などの生成物への不溶性セルロースの加水分解を触媒する一方で、β−グルコシダーゼ(BG)は、主にセロビオースおよびセロトリオースであるオリゴ糖をグルコースに変換する。

ヘミセルロースは複合型ポリマーであり、その組成は、生物毎におよび組織型毎に幅広く変動することが多い。一般に、ヘミセルロースの主成分は、五炭糖であるβ−1,4結合キシロースである。しかしこのキシロースは、キシロースの0−3および/または0−2原子で分岐することが多く、アラビノース、ガラクトース、マンノース、グルクロン酸、ガラクツロン酸への結合によって、または酢酸へのエステル化(およびフェルラ酸へのアラビノースのエステル化)によって置換され得る。ヘミセルロースはまた、β結合六炭糖(既述のβ−(1,3)(1,4)グルカンおよびヘテログルカンなど)の総称であるグルカンも含有し、それに加えてグルコマンナン(グルコースおよびマンノースの双方が、β−結合により互いに結合して直鎖主鎖中に存在する)も含有し得る。

キシラナーゼは、例えばα−L−アラビノフラノシダーゼ、フェルロイルおよびアセチルキシランエステラーゼ、グルクロニダーゼ、およびβ−キシロシダーゼ)などのその他の付属酵素と共に、ヘミセルロースの加水分解を触媒する。

ペクチン質としては、ペクチン、アラビナン、ガラクタン、およびアラビノガラクタンが挙げられる。ペクチンは、植物細胞壁中の最も複雑な多糖である。これらは、L−ラムノース中にある程度散在する、α(1,4)結合D−ガラクツロン酸単位のコア鎖の周囲に構成される。あらゆる1個の細胞内に、この説明に適合するいくつかの構造単位があり、単一ペクチン分子内では、異なる構造単位のコア鎖が互いに連続していると、一般に考えられている。

主要な構造単位のタイプは、次のようである:カルボキシル基上のメタノール、およびO−2およびO−3上の酢酸エステルで置換されてもよい、ガラクツロナン(ホモガラクツロナン);その中でガラクツロン酸単位が、(1,4)結合ガラクタンおよび(1,5)結合アラビナン側鎖を保有するラムノース単位と交互する、ラムノガラクツロナンI(RGI);ラムノースに直接付着し、またはガラクタン鎖を通じて間接的に付着してもよい、アラビナン側鎖;ガラクツロン酸のO−3上に単一キシロシル単位がある、キシロガラクツロナン(RGIと密接に結び付いている);および例えばアピオースなどの珍しい糖を含有する、特に複雑な微量単位である、ラムノガラクツロナンII(RGII)。RGII単位は、適切なイオン条件下でホウ酸とのエステルを可逆的に生成し得る、2つのアピオシル残基を含有してもよい。

本発明の方法で使用される組成物は、好ましくは少なくとも2種の活性を含むが、典型的に組成物は、例えば、3、4、5、6、7、8、9種以上などの2種を超える活性を含む。典型的に、本発明の組成物は、少なくとも2種の異なるセルラーゼ、または1種のセルラーゼと、少なくとも1種のヘミセルラーゼとを含んでもよい。本発明の組成物は、セルラーゼを含んでもよいが、キシラナーゼは含まない。さらに本発明の組成物は、補助酵素活性、すなわち直接または間接的のどちらかの追加的活性を含み、リグノセルロース分解をもたらしてもよい。このような補助活性の例が、本明細書で言及される。

したがって本発明で使用するための組成物は、GH61、エンドグルカナーゼ活性および/またはセロビオヒドロラーゼ活性および/またはβ−グルコシダーゼ活性を含んでもよい。本発明で使用するための組成物は、これらのクラスの1つまたは複数中の、2種以上の酵素活性を含んでもよい。例えば、本発明で使用するための組成物は、例えば、エンド−1,3(1,4)−βグルカナーゼ活性と、エンド−β−1,4−グルカナーゼ活性との2種のエンドグルカナーゼ活性を含んでもよい。このような組成物はまた、1種または複数種のキシラナーゼ活性を含んでもよい。このような組成物は、補助酵素活性を含んでもよい。

本発明で使用するための組成物は、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)に由来してもよい。本発明では、コアセットの(リグノセルロース分解)酵素活性が、ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)に由来してもよいことが予期される。ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)は、リグノセルロース系バイオマスの加水分解について本明細書で実証されるように、非常に効果的な活性セットを提供し得る。次にこの活性は、その他の起源からの追加的な酵素活性で補い得る。このような追加的な活性は、古典的起源に由来してもよく、および/または遺伝子改変生物によって生成されてもよい。

本発明で使用するための組成物の活性は、熱安定性であってもよい。本明細書において、これは活性が、例えば約75℃以上などの約70℃以上、例えば85℃以上などの約80℃以上などの、約60℃以上の最適温度を有することを意味する。本発明で使用するための組成物の活性は、典型的に同一最適温度を有しないが、好ましくはそれでもなお熱安定性である。

さらに本発明で使用するための組成物の酵素活性は、低pHで機能できてもよい。本発明の目的では、低pHは、約5.5以下、約5以下、約4.9以下、約4.8以下、約4.7以下、約4.6以下、約4.5以下、約4.4以下、約4.3以下、約4.2以下、約4.1以下、約4.0以下、約3.9以下、または約3.8以下、約3.7以下、約3.6以下、または約3.5以下のpHを指す。

本発明で使用するための組成物の活性は、上記の最適温度とpH価のいずれかの組み合わせによって定義されてもよい。

本発明の方法で使用される組成物は、ラサムソニア属(Rasamsonia)に由来する活性に加えて、セルラーゼ(例えばラサムソニア属(Rasamsonia)以外の起源に由来するもの)、および/またはヘミセルラーゼ(例えばラサムソニア属(Rasamsonia)以外の起源に由来するもの)、および/またはペクチナーゼを含んでもよい。

本発明で使用するための組成物は、例えば1、2、3、または4種のまたは全種のGH61、エンドグルカナーゼ(EG)、1種または2種のエキソセロビオヒドロラーゼ(CBH)およびβ−グルコシダーゼ(BG)などの、1、2、3、4種以上のセルラーゼを含んでもよい。本発明で使用するための組成物は、これらのセルラーゼ種のいずれかの2種以上を含んでもよい。

本発明の組成物は、本発明の方法で使用される組成物によって提供されるものとは、異なるタイプのセルラーゼ活性および/またはヘミセルラーゼ活性および/またはペクチナーゼ活性を有する活性を含んでもよい。例えば本発明の組成物は、本明細書に記載される組成物によって提供される、第1のタイプのセルラーゼおよび/またはヘミセルラーゼ活性および/またはペクチナーゼ活性と、追加的なセルロース/ヘミセルラーゼ/ペクチナーゼによって提供される第2のタイプのセルラーゼおよび/またはヘミセルラーゼ活性および/またはペクチナーゼ活性とを含んでもよい。

本明細書において、セルラーゼは、セルロースを分解または改質できる、あらゆるポリペプチドである。セルロースを分解できるポリペプチドは、セルロースを部分的に例えばセロデキストリンに、または完全にグルコースモノマーに、より小型の単位に分解する過程を触媒できるものである。本発明によるセルラーゼは、セルラーゼとの接触時に、セロデキストリンとグルコースモノマーの混合集団を生じてもよい。このような分解は、典型的に加水分解反応の手段によって起きる。

GH61(グリコシドヒドロラーゼファミリー61または時にEGIVと称される)タンパク質は、最新の文献に記載される酸素依存性多糖類モノオキシゲナーゼ(PMO)である。文献中では、これらのタンパク質が、リグノセルロース基質に対するセルラーゼ作用を増強すると言及されることが多い。GH61は、元々は、1つのファミリーメンバーの非常に弱いエンド−1,4−β−d−グルカナーゼ活性の測定に基づいて、エンドグルカナーゼに分類された。「GH61」という用語は、本明細書の用法では、十分に確立されたCAZY GH分類体系(http://www.cazy.org/GH61.html)のファミリー61に分類される、共通保存配列部分および折り畳みを共有する酵素ファミリーと理解される。グリコシドヒドロラーゼファミリー61は、グリコシドヒドロラーゼEC3.2.1ファミリーのメンバーである。GH61は、本明細書でセルラーゼの一部として使用される。

本明細書において、ヘミセルラーゼは、ヘミセルロースを分解または改質できる、あらゆるポリペプチドである。すなわちヘミセルラーゼは、1種または複数種のキシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、グルコマンナンおよびキシログルカンを分解または改質できてもよい。ヘミセルロースを分解できるポリペプチドは、ヘミセルロースを部分的に例えばオリゴ糖に、または完全に例えばヘキソースまたはペントース糖モノマーなどの糖モノマーに、より小型の多糖類に分解する過程を触媒できるものである。本発明によるヘミセルラーゼは、ヘミセルラーゼとの接触時に、オリゴ糖と糖モノマーの混合集団を生じてもよい。このような分解は、典型的に加水分解反応の手段によって起きる。

本明細書において、ペクチナーゼは、ペクチンを分解または改質できる、あらゆるポリペプチドである。ペクチンを分解できるポリペプチドは、ペクチンを部分的に例えばオリゴ糖に、または完全に糖モノマーに、より小型の単位に分解する過程を触媒できるものである。本発明によるペクチナーゼは、ペクチナーゼとの接触時に、オリゴ糖と糖モノマーの混合集団を生じてもよい。このような分解は、典型的に加水分解反応の手段によって起きる。

したがって本発明の組成物は、例えば、GH61、セロビオヒドロラーゼ、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、β−グルコシダーゼまたはβ−(1,3)(1,4)−グルカナーゼなどのあらゆるセルラーゼを含んでもよい。

本明細書において、セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)は、セルロースまたはセロテトラオース中の1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒して、鎖末端からセロビオースを放出させることができる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、セルラーゼ1,4−β−セロビオシダーゼ、1,4−β−セロビオヒドロラーゼ、1,4−β−D−グルカンセロビオヒドロラーゼ、アビセラーゼ、エキソ−1,4−β−D−グルカナーゼ、エキソセロビオヒドロラーゼまたはエキソグルカナーゼと称されることもある。

本明細書において、エンド−β−1,4−グルカナーゼ(EC3.2.1.4)はセルロース、リケニンまたは穀類β−D−グルカン中の1,4−β−D−グルコシド結合のエンド加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドはまた、1,3−結合もまた含有するβ−D−グルカン中の1,4−結合を加水分解できてもよい。この酵素はまた、セルラーゼ、アビセラーゼ、β−1,4−エンドグルカンヒドロラーゼ、β−1,4−グルカナーゼ、カルボキシメチルセルラーゼ、セルデキストリナーゼ、エンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、エンド−1,4−β−D−グルカノヒドロラーゼ、エンド−1,4−β−グルカナーゼまたはエンドグルカナーゼと称されることもある。

本明細書において、β−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)は、β−D−グルコースを放出させる、末端非還元β−D−グルコース残基の加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドは、β−D−グルコシドに対する幅広い特異性を有してもよく、以下の1つまたは複数もまた加水分解してもよい:β−D−ガラクトシド、α−L−アラビノシド、β−D−キシロシドまたはβ−D−フコシド。この酵素はまた、アミグダラーゼ、β−D−グルコシドグルコヒドロラーゼ、セロビアーゼまたはゲンチオビアーゼと称されることもある。

本明細書において、β−(1,3)(1,4)−グルカナーゼ(EC3.2.1.73)は、1,3−および1,4−結合を含有するβ−D−グルカン中の1,4−β−D−グルコシド結合の加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドは、リケニンおよび穀物β−D−グルカンに作用してもよいが、1,3−結合のみまたは1,4−結合のみを含有するβ−D−グルカンには作用しない。この酵素はまた、リケニナーゼ、1,3−1,4−β−D−グルカン4−グルカノヒドロラーゼ、β−グルカナーゼ、エンド−β−1,3−1,4グルカナーゼ、リケナーゼまたは混合結合β−グルカナーゼと称されることもある。この種の酵素の代案は、エンド−1,3(4)−β−グルカナーゼとして記載されるEC3.2.1.6である。この種の酵素は、加水分解される結合にその還元基が関与するグルコース残基それ自体が、C−3で置換される場合に、β−D−グルカン中の1,3−または1,4−結合を加水分解する。代案の名称としては、エンド−1,3−β−グルカナーゼ、ラミナリナーゼ、1,3−(1,3;1,4)−β−D−グルカン3(4)グルカノヒドロラーゼが挙げられ;基質としては、ラミナリン、リケニン、および穀物β−D−グルカンが挙げられる。

本発明の組成物は、例えば、エンドキシラナーゼ、β−キシロシダーゼ、α−L−アラビノフラノシダーゼ、α−D−グルクロニダーゼ、アセチルキシランエステラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、クマロイルエステラーゼ、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−マンナナーゼまたはβ−マンノシダーゼなどのあらゆるヘミセルラーゼを含んでもよい。

本明細書において、エンドキシラナーゼ(EC3.2.1.8)は、キシラン中の1,4−β−D−キシロシド結合のエンド加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、エンド−1,4−β−キシラナーゼまたは1,4−β−D−キシランキシラノヒドロラーゼと称されることもある。代案は、グルクロノアラビノキシラン中の1,4キシロシド結合もまた加水分解できる酵素である、EC3.2.1.136のグルクロノアラビノキシランエンドキシラナーゼである。

本明細書において、β−キシロシダーゼ(EC3.2.1.37)は、1,4−β−D−キシランの加水分解を触媒して、非還元末端から連続D−キシロース残基を除去できる、あらゆるポリペプチドである。このような酵素はまた、キシロビオースを加水分解してもよい。この酵素はまた、キシラン1,4−β−キシロシダーゼ、1,4−β−D−キシランキシロヒドロラーゼ、エキソ−1,4−β−キシロシダーゼまたはキシロビアーゼと称されることもある。

本明細書において、α−L−アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)は、α−L−アラビノフラノシド、(1,2)および/または(1,3)および/または(1,5)結合含有α−L−アラビナン、アラビノキシラン、およびアラビノガラクタンに作用できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、α−N−アラビノフラノシダーゼ、アラビノフラノシダーゼまたはアラビノシダーゼと称されることもある。

本明細書において、α−D−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.139)は、以下の形式の反応を触媒できる、あらゆるポリペプチドである:α−D−グルクロノシド+H(2)O=アルコール+D−グルクロン酸。この酵素はまた、α−グルクロニダーゼまたはα−グルコシドウロナーゼと称されることもある。これらの酵素はまた、キシラン中の置換基としてもまた存在し得る、4−O−メチル化グルクロン酸を加水分解してもよい。代案は、α−1,2−(4−O−メチル)グルクロノシル結合の加水分解を触媒する、EC3.2.1.131のキシランα−1,2−グルクロニダーゼである。

本明細書において、アセチルキシランエステラーゼ(EC3.1.1.72)は、キシランおよびキシロ−オリゴ糖の脱アセチル化を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドは、重合キシラン、アセチル化キシロース、アセチル化グルコース、α−ナフチル酢酸またはp−ニトロフェニル酢酸エステルからのアセチル基の加水分解を触媒してもよいが、典型的にトリアセチルグリセロールからのアセチル基の加水分解は触媒しない。このようなポリペプチドは、典型的に、アセチル化マンナンまたはペクチンには作用しない。

本明細書において、フェルロイルエステラーゼ(EC3.1.1.73)は、以下の形式の反応を触媒できる、あらゆるポリペプチドである:フェルロイル−糖類+H(2)O=フェルラ酸+糖類。糖類は、例えばオリゴ糖または多糖類であってもよい。これは、典型的に、通常は「天然」基質中のアラビノースである、エステル化糖からの4−ヒドロキシ−3−メトキシシンナモイル(フェルロイル)基の加水分解を触媒してもよく、酢酸p−ニトロフェノールおよびメチルフェルラは、典型的に基質として劣る。この酵素はまた、シンナモイルエステルヒドロラーゼ、フェルラ酸エステラーゼまたはヒドロキシシンナモイルエステラーゼと称されることもある。これはまた、キシラナーゼおよびペクチナーゼが植物細胞壁をヘミセルロースおよびペクチンに分解するのを助けてもよいので、ヘミセルラーゼ付属酵素と称されることもある。

本明細書において、クマロイルエステラーゼ(EC3.1.1.73)は、以下の形式の反応を触媒できる、あらゆるポリペプチドである:クマロイル−糖類+H(2)O=クマル酸+糖類。糖類は、例えばオリゴ糖または多糖類であってもよい。この酵素はまた、トランス−4−クマロイルエステラーゼ、トランス−p−クマロイルエステラーゼ、p−クマロイルエステラーゼまたはp−クマル酸エステラーゼと称されることもある。この酵素は、EC3.1.1.73にも含まれるので、フェルロイルエステラーゼと称されることもある。

本明細書において、α−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.22)は、ガラクトースオリゴ糖、ガラクトマンナン、ガラクタン、およびアラビノガラクタンをはじめとする、α−D−ガラクトシド中の末端非還元α−D−ガラクトース残基の加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドはまた、α−D−フコシドを加水分解できてもよい。この酵素はまた、メリビアーゼと称されることもある。

本明細書において、β−ガラクトシダーゼ(EC3.2.1.23)は、β−D−ガラクトシド中の末端非還元β−D−ガラクトース残基の加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。このようなポリペプチドはまた、α−L−アラビノシドを加水分解できてもよい。この酵素はまた、エキソ−(1−>4)−β−D−ガラクタナーゼまたはラクターゼと称されることもある。

本明細書において、β−マンナナーゼ(EC3.2.1.78)は、マンナン、ガラクトマンナン、およびグルコマンナン中の1,4−β−D−マンノシド結合のランダム加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、マンナンエンド−1,4−β−マンノシダーゼまたはエンド−1,4−マンナナーゼと称されることもある。

本明細書において、β−マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)は、β−D−マンノシド中の末端非還元β−D−マンノース残基の加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、マンナナーゼまたはマンナーゼと称されることもある。

本発明の組成物は、例えば、エンドポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、エンド−ガラクタナーゼ、βガラクトシダーゼ、ペクチンアセチルエステラーゼ、エンド−ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、αラムノシダーゼ、エキソ−ガラクツロナーゼ、エキソポリガラクツロン酸リアーゼ、ラムノガラクツロナンヒドロラーゼ、ラムノガラクツロナンリアーゼ、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼ、ラムノガラクツロナンガラクツロノヒドロラーゼ、キシロガラクツロナーゼなどのあらゆるペクチナーゼを含んでもよい。

本明細書において、エンドポリガラクツロナーゼ(EC3.2.1.15)は、ペクチン酸およびその他のガラクツロナン中の1,4−α−D−ガラクトシドウロン酸結合のランダム加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、ポリガラクツロナーゼペクチンデポリメラーゼ、ペクチナーゼ、エンドポリガラクツロナーゼ、ペクトラーゼ、ペクチンヒドロラーゼ、ペクチンポリガラクツロナーゼ、ポリ−α−1,4−ガラクツロニドグリカノヒドロラーゼ、エンドガラクツロナーゼ;エンド−D−ガラクツロナーゼまたはポリ(1,4−α−D−ラクツロニド)グリカノヒドロラーゼと称されることもある。

本明細書において、ペクチンメチルエステラーゼ(EC3.1.1.11)は、以下の反応を触媒できる、あらゆる酵素である:ペクチン+nH2O=nメタノール+ペクチン酸。本酵素はまた、ペクチンエステラーゼ、ペクチンデメトキシラーゼ、ペクチンメトキシラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクターゼ、ペクチノエステラーゼまたはペクチンペクチルヒドロラーゼとしても知られている。

本明細書において、エンドガラクタナーゼ(EC3.2.1.89)は、アラビノガラクタン中の1,4−β−D−ガラクトシド結合のエンド加水分解を触媒できる、あらゆる酵素である。酵素はまた、アラビノガラクタンエンド−1,4−β−ガラクトシダーゼ、エンド−1,4−β−ガラクタナーゼ、ガラクタナーゼ、アラビノガラクタナーゼまたはアラビノガラクタン4−β−D−ガラクタノヒドロラーゼとしても知られている。

本明細書において、ペクチンアセチルエステラーゼは、本明細書において、ペクチンのGalUA残基のヒドロキシル基で、アセチル基の脱アセチル化を触媒する、アセチルエステラーゼ活性を有する、あらゆる酵素と規定される。

本明細書において、エンドペクチンリアーゼ(EC4.2.2.10)は、(1→4)−α−D−ガラクツロナンメチルエステルの除去的切断を触媒して、非還元末端に4−デオキシ−6−O−メチル−α−D−ガラクト−4−エヌロノシル基があるオリゴ糖を生成できる、あらゆる酵素である。酵素はまた、ペクチンリアーゼ、ペクチントランスエリミナーゼ;エンド−ペクチンリアーゼ、ポリメチルガラクツロン酸トランスエリミナーゼ、ペクチンメチルトランスエリミナーゼ、ペクトリアーゼ、PL、PNLまたはPMGLまたは(1→4)−6−O−メチル−α−D−ガラクツロナンリアーゼとしても知られている。

本明細書において、ペクチン酸リアーゼ(EC4.2.2.2)は、(1→4)−α−D−ガラクツロナンの除去的切断を触媒して、非還元末端に4−デオキシ−α−D−ガラクト−4−エヌロノシル基があるオリゴ糖を生成できる、あらゆる酵素である。酵素はまた、既知のポリガラクツロン酸トランスエリミナーゼ、ペクチン酸トランスエリミナーゼ、ポリガラクツロン酸リアーゼ、エンドペクチンメチルトランスエリミナーゼ、ペクチン酸トランスエリミナーゼ、エンドガラクツロン酸トランスエリミナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ、α−1,4−D−エンドポリガラクツロン酸リアーゼ、PGAリアーゼ、PPase−N、エンド−α−1,4−ポリガラクツロン酸リアーゼ、ポリガラクツロン酸リアーゼ、ペクチントランスエリミナーゼ、ポリガラクツロン酸トランスエリミナーゼまたは(1→4)−α−D−ガラクツロナンリアーゼであってもよい。

本明細書において、αラムノシダーゼ(EC3.2.1.40)は、末端非還元α−L−ラムノース残基のα−L−ラムノシドへの、または代案としてはラムノガラクツロナンへの加水分解を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、α−L−ラムノシダーゼT、α−L−ラムノシダーゼNまたはα−L−ラムノシドラムノヒドロラーゼとしても知られている。

本明細書において、エキソガラクツロナーゼ(EC3.2.1.82)は、非還元末端からペクチン酸を加水分解でき、ジガラクツロン酸を放出させる、あらゆるポリペプチドである。酵素はまた、エキソ−ポリ−α−ガラクツロノシダーゼ、エキソポリガラクツロノシダーゼまたはエキソポリガラクツラノシダーゼとしても知られている。

本明細書において、エキソ−ガラクツロナーゼ(EC3.2.1.67)は、以下を触媒できる、あらゆるポリペプチドである:(1,4−α−D−ガラクツロニド)n+H2O=(1,4−α−D−ガラクツロニド)n−1+D−ガラクツロン酸。酵素はまた、ガラクツラン1,4−α−ガラクツロニダーゼ、エキソポリガラクツロナーゼ、ポリ(ガラクツロン酸)ヒドロラーゼ、エキソ−D−ガラクツロナーゼ、エキソ−D−ガラクツロナナーゼ、エキソポリ−D−ガラクツロナーゼまたはポリ(1,4−α−D−ガラクツロニド)ガラクツロノヒドロラーゼとしても知られている。

本明細書において、エキソポリガラクツロン酸リアーゼ(EC4.2.2.9)は、ペクチン酸、すなわち脱エステル化ペクチンの還元末端からの4−(4−デオキシ−α−D−ガラクト−4−エヌロノシル)−D−ガラクツロン酸の除去的切断を触媒できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素は、ペクチン酸二糖類リアーゼ、ペクチン酸エキソ−リアーゼ、エキソペクチン酸トランスエリミナーゼ、エキソペクチン酸リアーゼ、エキソポリガラクツロン酸−トランス−エリミナーゼ、PATE、エキソ−PATE、エキソ−PGLまたは(1→4)−α−D−ガラクツロナン還元末端二糖類リアーゼとして知られている。

本明細書において、ラムノガラクツロナンヒドロラーゼは、エンド様式で、二糖類[(1,2−α−L−ラムノイル−(1,4)−α−ガラクトシルウロン酸]からなる、厳密に交互するラムノガラクツロナン構造中のガラクトシルウロン酸とラムノピラノシルの間の結合を加水分解できる、あらゆるポリペプチドである。

本明細書において、ラムノガラクツロナンリアーゼは、β−除去によって、エンド様式で、ラムノガラクツロナン中のα−L−Rhap−(1→4)−α−D−GalpA結合を切断できる、あらゆるポリペプチドである、あらゆるポリペプチドである。

本明細書において、ラムノガラクツロナンアセチルエステラーゼは、ラムノガラクツロナン中で交互するラムノースおよびガラクツロン酸残基主鎖の脱アセチル化を触媒する、あらゆるポリペプチドである。

本明細書において、ラムノガラクツロナンガラクツロノヒドロラーゼは、エキソ様式で、厳密に交互するラムノガラクツロナン構造の非還元末端からガラクツロン酸を加水分解できる、あらゆるポリペプチドである。

本明細書において、キシロガラクツロナーゼは、エンド様式で、β−キシロース置換ガラクツロン酸主鎖を切断することで、キシロガラクツロナンに作用する、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、キシロガラクツロナンヒドロラーゼとしても知られている。

本明細書において、α−L−アラビノフラノシダーゼ(EC3.2.1.55)は、α−L−アラビノフラノシド、(1,2)および/または(1,3)および/または(1,5)結合含有α−L−アラビナン、アラビノキシラン、およびアラビノガラクタンに作用できる、あらゆるポリペプチドである。この酵素はまた、α−N−アラビノフラノシダーゼ、アラビノフラノシダーゼまたはアラビノシダーゼと称されることもある。

本明細書において、エンド−アラビナナーゼ(EC3.2.1.99)は、1,5−アラビナン中の1,5−α−アラビノフラノシド結合のエンド加水分解を触媒できるポリペプチドである。酵素は、エンド−アラビナーゼ、アラビナンエンド−1,5−α−L−アラビノシダーゼ、エンド−1,5−α−L−アラビナナーゼ、エンド−α−1,5−アラバナーゼ;エンド−アラバナーゼまたは1,5−α−L−アラビナン1,5−α−L−アラビナノヒドロラーゼとしても知られている。

本発明の組成物は、典型的に少なくとも1種のセルラーゼおよび/または少なくとも1種のヘミセルラーゼおよび/または少なくとも1種のペクチナーゼ(その1つは本発明によるポリペプチドである)を含む。本発明の組成物は、GH61、セロビオヒドロラーゼ、エンドグルカナーゼおよび/またはβ−グルコシダーゼを含んでもよい。このような組成物はまた、1種または複数種のヘミセルラーゼおよび/または1種または複数種のペクチナーゼを含んでもよい。

さらに本発明の組成物中に、1種または複数種の(例えば2、3、4または全種の)アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、リグニナーゼ、ヘキソシルトランスフェラーゼ、グルクロニダーゼまたはエクスパンシンまたはセルロース誘導タンパク質またはセルロース組み込みタンパク質などのタンパク質が存在してもよい(これらは上で助剤活性と称される)。

「プロテアーゼ」としては、ペプチド結合を加水分解する酵素(ペプチダーゼ)、ならびにペプチドと糖などのその他の部分との結合を加水分解する酵素(グリコペプチダーゼ)が挙げられる。多数のプロテアーゼが、EC3.4の下で特徴付けられ、参照によって本明細書に援用する発明で使用するのに適する。いくつかの特定タイプのプロテアーゼとしては、ペプシンをはじめとするシステインプロテアーゼ、パパイン、およびキモトリプシンをはじめとするセリンプロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼ、およびメタロエンドペプチダーゼが挙げられる。

「リパーゼ」としては、ホスホグリセリド、リポタンパク、ジアシルグリセロールなどをはじめとする、脂質、脂肪酸、およびアシルグリセリドを加水分解する酵素が挙げられる。植物中では、脂質は、水損失および病原体感染を制限するための構造的構成要素として使用される。これらの脂質としては、脂肪酸に由来するワックス、ならびにクチンおよびスベリンが挙げられる。

「リグニナーゼ」としては、リグニンポリマーの構造を加水分解または分解し得る酵素が挙げられる。リグニンを分解し得る酵素としては、リグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、およびフェルロイルエステラーゼ;そしてリグニンポリマーを脱重合しまたは別の様式で切断することが知られていると当該技術分野で記述される、その他の酵素が挙げられる。ヘミセルロース糖(特にアラビノース)とリグニンの間に形成される結合を加水分解できる酵素もまた、挙げられる。リグニナーゼとしては、以下の酵素群が挙げられるが、これに限定されるものではない:リグニンペルオキシダーゼ(EC1.11.1.14)、マンガンペルオキシダーゼ(EC1.11.1.13)、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)、およびフェルロイルエステラーゼ(EC3.1.1.73)。

「ヘキソシルトランスフェラーゼ」(2.4.1−)としては、トランスフェラーゼ反応を触媒できるが、例えばセルロースおよび/またはセルロース分解産物などの加水分解反応もまた触媒し得る酵素が挙げられる。本発明で使用してもよいヘキソシルトランスフェラーゼの一例は、β−グルカノシルトランスフェラーゼである。このような酵素は、(1,3)(1,4)グルカンおよび/またはセルロースおよび/またはセルロース分解産物の分解を触媒できてもよい。

「グルクロニダーゼ」としては、例えばβ−グルクロノシなどのグルクロノシドの加水分解を触媒して、アルコールを生じる酵素が挙げられる。例えば、β−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.31)、ヒアルロノ−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.36)、グルクロノシル−ジスルホグルコサミングルクロニダーゼ(3.2.1.56)、グリチルリチン酸β−グルクロニダーゼ(3.2.1.128)またはα−D−グルクロニダーゼ(EC3.2.1.139)などの多数のグルクロニダーゼが特性解析されており、本発明で使用するのに適してもよい。

本発明で使用するための組成物は、スウォレニン(Salheimo et al.,Eur.J.Biohem.269,4202−4211,2002を参照されたい)またはスウォレニン様タンパク質などの、エクスパンシンまたはエクスパンシン様タンパク質を含んでもよい。

エクスパンシンは、植物細胞増殖中における細胞壁構造の緩みと関係があるとされる。エクスパンシンは、加水分解活性を有することなく、セルロースとその他の細胞壁多糖類の間の水素結合を妨害することが提案されている。このようにして、これらは、セルロース繊維の滑りと細胞壁の拡張を可能にすると考えられる。エクスパンシン様タンパク質であるスウォレニンは、N末端炭水化物結合モジュールファミリー1ドメイン(CBD)と、C末端エクスパンシン様ドメインとを含有する。本発明の目的では、エクスパンシン様タンパク質またはスウォレニン様タンパク質は、このような領域の片方または双方を含んでもよく、および/または任意選択的に検出可能な量の還元糖を生成することなく、(セルロース構造を破壊するなど)細胞壁構造を破壊してもよい。

本発明で使用するための組成物は、例えばcip1またはcip2遺伝子または類似遺伝子のポリペプチド産物(Foreman et al.,J.Biol.Chem.278(34),31988−31997,2003を参照されたい)などのセルロース誘導タンパク質、例えばcipAまたはcipC遺伝子のポリペプチド産物などのセルロース/セルロソーム組み込みタンパク質、またはスキャフォルディンまたはスキャフォルディン様タンパク質であってもよい。スキャフォルディンおよびセルロース組み込みタンパク質は、セルロース分解性サブユニットを多酵素複合体に組織化してもよい、多機能組みサブユニットである。これは、2つの相補的ドメインクラス、すなわちスキャフォルディン上の粘着ドメインと、各酵素的単位上のドッケリンドメインとの相互作用によって達成される。スキャフォルディンサブユニットはまた、セルロソームの基質への付着を媒介する、セルロース結合モジュール(CBM)も保有する。スキャフォルディンまたはセルロース組み込みタンパク質は、本発明の目的ではこのような領域の片方または双方を含んでもよい。

本発明の方法で使用される組成物は、上述の各酵素クラスの1メンバー、1酵素クラスのいくつかのメンバー、またはこれらの酵素クラスまたはヘルパータンパク質(すなわちそれ自体は酵素活性を有しないがそれでもなおリグノセルロース分解を助ける、本明細書で言及されるタンパク質)の任意の組み合わせから構成されてもよい。

本発明の方法で使用される組成物は、以下からの酵素から構成されてもよい:(1)商業的供給元;(2)酵素を発現するクローン遺伝子;(3)複合ブロス(タンパク質および酵素を培地中に分泌する微生物株の培地中の増殖から得られるものなど;(4)(3)で増殖した株の細胞溶解産物;および/または(5)酵素を発現する植物材料。本発明の組成物中の異なる酵素は、異なる起源から得られてもよい。

酵素は、微生物、酵母、真菌、細菌または植物中で外来性に生成させ、次に単離して、例えばリグノセルロース系原材料に添加し得る。代案としては、酵素を生成させるが単離せず、粗製細胞集団発酵ブロス、または植物材料(トウモロコシ茎葉または麦藁など)などを例えば原材料に添加してもよい。代案としては、粗製細胞集団または酵素生産培地または植物材料を処理して(例えば加熱または抗菌剤添加によって)、さらなる微生物成長を妨げ、次に例えば原材料に添加してもよい。これらの粗製酵素混合物は、酵素産生生物を含んでもよい。代案としては、酵素は、(前処理)原材料(トウモロコシ茎葉または麦藁など)を使用して酵素産生生物に栄養を提供する発酵中で、生成されてもよい。この様にして、酵素産生植物それ自身がリグノセルロース系原材料の役割を果たしてもよく、リグノセルロース系原材料に添加されてもよい。

本明細書に記載される方法および使用では、上述の組成物の成分は、同時に(すなわち単一組成物として)または別途または順次提供されてもよい。

したがって本発明は、その中で上述の組成物が使用される方法と、工業プロセスにおける組成物の使用とに関する。

[リグノセルロース系材料] 本明細書において、リグノセルロース系材料としては、あらゆるリグノセルロースおよび/またはヘミセルロース系材料が挙げられる。本発明で原材料として使用するのに適するリグノセルロース系材料としては、例えば農業バイオマス、商業的有機物、建築および解体廃材、都市固形廃棄物、古紙および庭ごみなどのバージンバイオマスおよび/または非バージンバイオマスなどのバイオマスが挙げられる。バイオマスの一般形態としては、樹木、灌木および牧草、小麦、麦藁、サトウキビバガス、スイッチグラス、ススキ、トウモロコシ、トウモロコシ茎葉、トウモロコシ苞葉、トウモロコシ穂軸、キャノーラ茎、大豆茎、サトウモロコシ、穀粒からの繊維を含むトウモロコシ穀粒、「ふすままたは繊維」と称されることが多い、トウモロコシ、小麦、および大麦などの穀物製粉(湿式磨砕および乾式製粉を含む)からの製品および副産物、ならびに都市固形廃棄物、古紙、および庭ごみが挙げられる。バイオマスはまた、草質材料、農業残渣、林業残渣、都市固形廃棄物、古紙、およびパルプおよび製紙工場残渣でもあり得るが、これに限定されるものではない。「農業バイオマス」としては、枝、低木、トウ、トウモロコシおよびトウモロコシ苞葉、エネルギー作物、森林、果実、花卉、穀物、牧草、草本作物、葉、樹皮、針状葉、丸太、根、若木、短期輪作木質作物、灌木、スイッチ草本、樹木、野菜、果、ブドウの木、甜菜パルプ、小麦ミドリング粉、オート麦外皮、および硬質および軟質木材(有害物質のある木材は含まない)が挙げられる。さらに、農業バイオマスとしては、特に林業木材廃棄物をはじめとする、農業および林業活動をはじめとする農業プロセスから生じる有機廃棄物材料が挙げられる。農業バイオマスは、前述のいずれか単独、またはそのあらゆる組み合わせまたは混合物であってもよい。

[前処理] 原材料は、酵素加水分解のための基質へのアクセスしやすさを高め、および/またはヘミセルロースを加水分解し、および/またはヘミセルロースおよび/またはセルロースおよび/またはリグニンを可溶化するために、任意選択的に、加熱、機械および/または化学修飾、またはこのような方法の任意の組み合わせによって、当該技術分野で公知のあらゆる方法で前処理してもよい。一実施形態では、前処理は、蒸気爆発、熱水処理または希酸または希塩基処理によって、リグノセルロースを処理することで実施される。

[洗浄ステップ] 任意選択的に、本発明による方法は、洗浄ステップを含む。任意の洗浄ステップを使用して、発酵ステップの阻害物質として作用することもある水溶性化合物を除去してもよい。洗浄ステップは、既知の様式で実施してもよい。

[酵素加水分解] 本発明の方法で使用される酵素組成物は、例えばトウモロコシ茎葉または麦藁などのリグノセルロース分解性材料を極めて効果的に加水分解し得て、それは次に、エタノール、バイオガス、ブタノール、乳酸、プラスチック、有機酸、溶媒、動物飼料補給剤、薬剤、ビタミン、アミノ酸、酵素または化学原料などの有用な生成物にさらに変換される。さらに例えばバイオガス生産中間体としての乳酸などの加水分解に続く工程からの中間生成物は、その他の材料の基礎的要素として使用し得る。本発明は、エタノール生産によって例示されるが、これは限定でなく例証としてのみ実施され、別の言及される有用な生成物も等しく良好に生成され得る。

本発明による方法は、酵素的加水分解ステップを含む。酵素加水分解としては、原材料を液化するための加水分解、および原材料から糖を放出させるための加水分解、またはその双方が挙げられるが、これに限定されるものではない。このステップでは、任意選択的に前処理され、任意選択的に洗浄されたリグノセルロース系材料を発明による酵素組成物に接触させる。リグノセルロースから糖への所望転化率を得るために、リグノセルロース系材料と前処理に応じて、例えば、温度、酵素用量、加水分解反応時間、および乾物濃度などの異なる反応条件が、当業者によって適応されてもよい。いくつかの指標が、以下に示される。

本発明の一態様では、加水分解は45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、または70℃以上の温度で実施される。加水分解中の高温は、酵素組成物の最適温度での作業、(細菌)汚染リスク低下、粘度低下、より少ない所用冷却水、より高温の冷却水の使用、酵素再使用などをはじめとする、多数の利点を有する。

本発明のさらなる態様では、添加される酵素組成物の量(本明細書において酵素用量または酵素負荷とも称される)は低い。一実施形態では、酵素の量は、6mgタンパク質/g乾物重量以下、5mgタンパク質/g乾物以下、4mgタンパク質/g乾物以下、3mgタンパク質/g乾物以下、2mgタンパク質/g乾物以下、または1mgタンパク質/g乾物以下(mgタンパク質/g乾物中のタンパク質として表される)である。一実施形態では、酵素の量は、0.5mg酵素/g乾物重量以下、0.4mg酵素組成物/g乾物重量以下、0.3mg酵素/g乾物重量以下、0.25mg酵素/g乾物重量以下、0.20mg酵素/g乾物重量以下、0.18mg酵素/g乾物重量以下、0.15mg酵素/g乾物重量以下または0.10mg酵素/g乾物重量以下(mg酵素/g乾物中のセルラーゼ酵素合計として表される)である。酵素の活性および安定性のために、加水分解反応時間を増大できるので、低い酵素用量が可能である。

本発明のさらなる態様では、加水分解反応時間は、5時間以上、10時間以上、20時間以上、40時間以上、50時間以上、60時間以上、70時間以上、80時間以上、90時間以上、100時間以上、120時間以上、130時間以上である。別の態様では、加水分解反応時間は、5〜150時間、40〜130時間、50〜120時間、60〜120時間、60〜110時間、60〜100時間、70〜100時間、70〜90時間または70〜80時間である。酵素組成物の安定性のために、より長い加水分解反応時間が可能であり、対応するより高い糖収率がもたらされる。

加水分解中のpHは、当業者によって選択されてもよい。本発明のさらなる態様では、加水分解中のpHは3.0〜6.4であってもよい。本発明の安定酵素は、最大で2pH単位、最大で3pH単位、最大で5pH単位の幅広いpH範囲を有してもよい。最適pHは、pH2.0〜8.0、3.0〜8.0、3.5〜7.0、3.5〜6.0、3.5〜5.0、3.5〜4.5、4.0〜4.5の範囲内に位置してもよく、あるいは約4.2である。

本発明のさらなる態様では、加水分解ステップは、リグノセルロース系材料中の利用可能糖の70%以上、80%以上、85%以上、90%以上、92%以上、95%以上が放出されるまで実施される。

顕著に、本発明の方法は、加水分解反応中で、高レベルの(リグノセルロース系材料の)乾物を使用して実施されてもよい。したがって本発明は、約5重量%以上、約8重量%以上、約10重量%以上、約11重量%以上、約12重量%以上、約13重量%以上、約14重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、または約40重量%以上の乾物含量で実施してもよい。さらなる実施形態では、加水分解ステップ中の乾物含量は、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%またはそれ以上、または14〜33重量%である。

[発酵] 本発明による方法は、発酵ステップを含む。したがってさらなる態様では、本発明は、ステップ中に、例えばグルコース、L−アラビノースおよび/またはキシロースなどの糖(類)を含む炭素源の発酵のために微生物が使用される、発酵工程を含む。炭素源としては、例えばリグノセルロース、キシラン、セルロース、デンプン、アラビナンなどの、L−アラビノース、キシロースまたはグルコース単位を含む、あらゆる炭水化物オリゴマーまたはポリマーなどが挙げられる。このような炭水化物からのキシロースまたはグルコース単位の放出のために、適切なカルボヒドラーゼ(キシラナーゼ、グルカナーゼ、アミラーゼなど)が、発酵培地に添加されてもよく、または改変宿主細胞によって産生されてもよい。後者の場合、変性宿主細胞は遺伝子改変されて、このようなカルボヒドラーゼを産生し排出してもよい。グルコースのオリゴまたはポリマー原料を使用する追加的な利点は、例えばカルボヒドラーゼの律速量を使用して、発酵中に遊離グルコースの(より)低い濃度を維持できることである。これは次に、キシロースなどの非グルコース糖代謝および輸送に必要なシステムの抑制を防止する。好ましい方法では、改質宿主細胞は、L−アラビノース(任意選択的にキシロース)およびグルコースの双方を発酵し、好ましくは同時に発酵するが、その場合、好ましくは、グルコース抑制に非感受性の改変宿主細胞を使用して、ジオキシックな増殖を防止する。L−アラビノース供給源、任意選択的に炭素源としてのキシロース(およびグルコース)に加えて、発酵培地は、改質宿主細胞の増殖に必要な適切な成分をさらに含む。酵母または糸状菌などの微生物の増殖のための発酵培地の組成は、当該技術分野で周知である。

発酵時間は、同一条件における従来の発酵よりも短くてもよく、酵素加水分解の一部は、発酵中になおも起きなくてはならない。一実施形態では、発酵時間は、リグノセルロース系原材料からの50g/lグルコースおよび対応するその他の糖の糖組成物(例えば50g/lキシロース、35g/lL−アラビノースおよび10g/lガラクトースについて、100時間以下、90時間以下、80時間以下、70時間以下、または60時間以下である。より希釈された糖組成物では、発酵時間は対応して短縮されてもよい。

発酵工程は、好気的または嫌気的発酵工程であってもよい。嫌気的発酵工程は、本明細書において、酸素不在下で実施され、またはその中で実質的に酸素が消費されず、好ましくは5、2.5または1mmol/L/h未満、より好ましくは0mmol/L/hが消費されて(すなわち酸素消費は検出不能)、有機分子が電子供与体および電子受容体双方の役割を果たす発酵工程と定義される。酸素不在下では、解糖およびバイオマス形成中に生じるNADHは、酸化リン酸化によって酸化され得ない。この問題を解決するために、多数の微生物は、電子および水素受容体として、ピルビン酸またはその誘導体の1つを利用し、それによってNAD+を再生する。したがって好ましい嫌気的発酵工程では、電子(および水素受容体)としてピルビン酸が使用され、エタノール、乳酸、3−ヒドロキシ−プロピオン酸、アクリル酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アミノ酸、1,3−プロパン−ジオール、エチレン、グリセロール、ブタノール、β−ラクタム抗生物質、およびセファロスポリンなどの発酵産物に還元される。好ましい実施形態では、発酵工程は嫌気的である。嫌気的工程は、あまり特殊な装置を必要とせず、好気的工程より安価であり、有利である。さらに嫌気的工程は、好気的工程よりも高い生成物収率を与えることが予測される。通常、バイオマス収率は、好気的条件下では嫌気的条件下よりも高い。結果として、生成物収率は、通常、好気的条件下では嫌気的条件よりも低いことが予測される。

別の実施形態では、発酵工程は酸素制限条件下にある。より好ましくは、発酵工程は好気的で、酸素制限条件下にある。酸素制限発酵工程は、その中で酸素消費量が、気体から液体への酸素移動によって制限される工程である。酸素制限の程度は、入って来るガス流の量と組成、ならびに使用される発酵装置の実際の混合/質量移動特性によって定まる。好ましくは、酸素制限条件下の工程において、酸素消費速度は少なくとも5.5、より好ましくは少なくとも6、なおもより好ましくは少なくとも7mmol/L/hである。

発酵工程は、好ましくは改変細胞に最適な温度で実施される。したがってほとんどの酵母または真菌細胞では、発酵工程は、42℃未満、好ましくは38℃未満の温度で実施される。酵母または糸状菌宿主細胞では、発酵工程は、好ましくは35、33、30または28℃よりも低い温度、および20、22、または25℃よりも高い温度で実施される。

本発明の一実施形態では、発酵ステップは、少なくとも1種のC5糖を発酵できる微生物を用いて実施される。一実施形態では、方法は、エタノールを製造する方法であり、方法は、少なくとも1種のC5糖を発酵できる微生物を用いて、糖(類)を含有する培地を発酵させるステップを含むステップを含み、それによって宿主細胞は、グルコース、L−アラビノースおよびキシロースをエタノールに発酵できる。その一実施形態では、少なくとも1種のC5糖を発酵できる微生物は酵母である。一実施形態では、酵母は、遺伝子修飾がなされた、サッカロミセス属(Saccharomyces)、好ましくはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)種に属する。このような微生物の一例およびその調製は、国際公開第2008/041840号パンフレット、および2010年4月21日に出願された欧州特許出願第10160622.6号明細書に、より詳細に記載される。一実施形態では、エタノール生産のため発酵工程は嫌気的である。嫌気的は、本明細書において既に前文中で定義されている。別の好ましい実施形態では、エタノール生産のための発酵工程は好気的である。別の好ましい実施形態では、エタノール生産のための発酵工程は、酸素制限条件下にあり、より好ましくは好気的、および酸素制限条件下にある。酸素制限条件は、本明細書において既に前文中で定義されている。

このような方法では、容量エタノール生産性は、好ましくは少なくとも1時間あたり1リットルあたり0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、5.0または10.0gのエタノールである。方法における、L−アラビノースおよび任意選択的にキシロースおよび/またはグルコース上のエタノール収率は、好ましくは少なくとも20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、95または98%である。本明細書において、エタノール収率は、理論的な最大収量の百分率と定義され、グルコースおよびL−アラビノースおよび任意選択的にキシロースでは、1gのグルコースまたはキシロースあたり、0.51gのエタノールである。

一態様では、エタノール生産をもたらす発酵工程は、既知のエタノール発酵工程と比較していくつかの利点を有する: −嫌気的工程が可能である; −酸素制限条件もまた可能である; −より高いエタノール収率およびエタノール生産速度が得られ得る; −使用される株はL−アラビノースおよび任意選択的にキシロースを利用できてもよい。

上述の発酵工程の代案としては、少なくとも2種の異なる細胞を使用してもよく、これはこの工程が同時発酵工程であることを意味する。上述したような発酵工程の全ての好ましい実施形態はまた、この同時発酵工程の好ましい実施形態でもある:発酵産物のアイデンティティー、L−アラビノース起源およびキシロース起源のアイデンティティー、発酵条件(好気的または嫌気的条件、酸素制限条件、工程実施温度、エタノール生産性、エタノール収率)。

発酵工程は、pHを工程中に調節するいかなる必要もなしに実施されてもよい。すなわち工程は、いかなる酸または塩基も添加することなくに実施される工程であってもよい。しかしこれは、酸が添加されてもよい前処理ステップを除外する。要するに、本発明の組成物は、低pHで作用でき、したがって糖化または加水分解を実施するために、酸前処理原材料のpHを調節する必要がない。したがって本発明の方法は、無機化学物質を投入する必要がない、有機製品のみを使用する無廃棄物方法であってもよい。

[総反応時間] 本発明によって、総反応時間(または加水分解ステップおよび発酵ステップを合わせた反応時間)が短縮されてもよい。一実施形態では、総反応時間は、90%のグルコース収率で、300時間以下、200時間以下、150時間以下、140時間以下、130以下、120時間以下、110時間以下、100時間以下、90時間以下、80時間以下、75時間以下、または約72時間である。より低いグルコース収率では、それ相応により短い総時間に達してもよい。

[発酵産物] 本発明によって生産されてもよい発酵産物としては、アミノ酸、ビタミン、医薬品、動物飼料補給剤、特殊化学薬品、化学物質原材料、プラスチック、溶媒、燃料、またはその他の有機ポリマー、乳酸、および、燃料エタノールをはじめとするエタノール(「エタノール」という用語は、エチルアルコールまたはエチルアルコールと水の混合物を含むと理解される)が挙げられる。

本発明の方法によって生成されてもよい特定の付加価値生産物としては、(バイオガス、エタノール、およびブタノールをはじめとする)バイオ燃料;乳酸;3−ヒドロキシ−プロピオン酸;アクリル酸;酢酸;1,3−プロパン−ジオール;エチレン;グリセロール;プラスチック;特殊化学薬品;クエン酸、コハク酸およびマレイン酸をはじめとする有機酸;溶剤;動物飼料補給剤;β−ラクタム抗生物質またはセファロスポリンなどの薬剤;ビタミン;リジン、メチオニン、トリプトファン、スレオニン、およびアスパラギン酸などのアミノ酸;プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、グルカナーゼ、ラクターゼ、リパーゼ、リアーゼ、酸化還元酵素、トランスフェラーゼまたはキシラナーゼなどの酵素;化学原料;または動物飼料補給剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。

[発酵産物の分離] 本発明による方法は、任意選択的に発酵産物を回収するステップを含む。発酵産物は、発酵ブロスから、あらゆる既知の様式で分離されてもよい。したがって当業者は、各発酵産物について適切な分離技術を選択できる。例えばエタノールは、例えば従来の方法で、水蒸気蒸留/真空蒸留などの蒸留によって、酵母発酵ブロスから分離されてもよい。

本発明の特定の実施形態は、下でより詳細に記載されるが、本発明の範囲はどのようにも限定されない。

[最適温度条件下における熱安定性酵素の使用] 一実施形態では、本発明は、これに限定されないが、エタノール生産において、前処理リグノセルロース系原材料から還元糖を生産するための、ラサムソニア属(Rasamsonia)のセルロース分解酵素などの熱安定性酵素の使用に関する。

前処理リグノセルロース系原材料に適用されたラサムソニア属(Rasamsonia)のセルロース分解酵素は、50〜70℃の範囲の温度で最大の変換を示した。酵素は、このような状況下で、活性の完全な中断なしに、14日間以上にわたり活性のままである。

最適温度条件を使用することで、最大量の還元糖が、加水分解可能な最短時間内に原料(完全加水分解)から放出され得る。このようにして、グルコースへのセルロースの100%変換が、5日間未満で達成される。

発酵産物の理論的な最大収率(1グラムのグルコースあたりの生成物g数で示されるYps max)は、教科書的生化学から誘導し得る。エタノールでは、酵母中の標準的解糖発酵経路に従って、1モルのグルコース(180g)が2モルのエタノール(=2×46=92gエタノールをもたらす。したがってグルコース上のエタノールの理論的な最大収率は、92/180=0.511gエタノール/gグルコースである。

ブタノール(MW74g/モル)またはイソブタノールでは、理論的な最大収率は、1モルのグルコースあたり1モルのブタノールである。したがって(イソ)ブタノールのYps max=74/180=0.411g(イソ)ブタノール/gグルコースである。

乳酸では、ホモ乳酸発酵の発酵収率は、1モルのグルコースあたり2モルの乳酸(MW=90g/モル)である。この化学量論によると、Yps max=1g乳酸/gグルコースである。

その他の発酵産物でも、同様の計算を行ってもよい。

ラサムソニア属(Rasamsonia)セルロース分解酵素の適用によって達成されるコスト削減は、総工程時間の短縮の結果である。

[ラサムソニア属(Rasamsonia)酵素を使用した長時間加水分解によるより低い酵素用量の補償] 安定性酵素の高い安定性のために、活性は時間内に中断しないが、加水分解過程でより少ない還元糖が放出される。加水分解時間を延長することで、酵素用量を低下させて酵素の使用を延長し、同様のレベルの放出還元糖を得ることが可能である。例えば、0.175mL酵素/g原材料乾物は、72時間以内に、前処理原材料からの理論的な最大還元糖のおよそ90%の放出をもたらした。0.075mL酵素/g原材料乾物を使用した場合、120時間以内に、理論的な最大量のおよそ90%の変換が達成される。結果は、酵素活性が安定しているので、加水分解時間を延長することで、酵素用量の低下を補償して、同一量の還元糖を入手し得ることを示す。同じことは、乾物含量が10%を超える前処理原材料の加水分解にも当てはまり、15%の乾物原材料での加水分解時間延長の補償効果が示される。

ラサムソニア属(Rasamsonia)などの安定したセルロース分解酵素を使用して達成されるコスト削減は、より少ない酵素用量を必要とすることに起因して、同様の加水分解変換収率をもたらす。

[安定性酵素による汚染リスク低下] リグノセルロース系材料をエタノールに変換する通常の工程では、運用コストを低下させるために工程段階は、好ましくは腐敗条件下で実施される。したがって汚染と汚染微生物の増殖が存在して、乳酸、ギ酸、および酢酸の生成、基質に対するエタノール収率損失、毒素生成、および細胞外多糖類などの有害な副作用をもたらし得て、それは生産コストにかなりの影響を及ぼすこともある。高い工程温度および/または短い工程時間は、加水分解および発酵中の汚染リスクを制限する。ラサムソニア属(Rasamsonia)酵素のような熱安定性酵素は、60℃を超える温度でリグノセルロース系原材料を加水分解できる。これらの温度では、望まれない副作用を引き起こす汚染微生物のリスクは、ほぼ皆無である。

その中でエタノールが生成される発酵ステップで、温度は典型的に30〜37℃であり、好ましくは生産量損失の理由から上昇されない。可能な限り短い発酵工程時間を適用することで、汚染および/または汚染菌増殖のリスクおよび影響が、可能な限り低下される。ラサムソニア属(Rasamsonia)酵素のような安定酵素は、可能な限り短時間の発酵を適用し得て(上記参照)、したがって汚染および/または汚染物質増殖のリスクが可能な限り低下する。このようにしてラサムソニア属(Rasamsonia)熱安定性セルロース分解酵素を適用することで達成されるコスト削減は、汚染に起因する工程不良リスクがより低いことに起因する。

[安定性酵素は、冷却コストを低下させ、エタノール工場の生産性を増大させる] 予備熱処理後の最初のステップは、前処理原材料を酵素活性が最適である温度に冷却することである。大規模では、これは典型的に、(冷却)水を添加することで実施され、これは温度を低下させるのに加えて、乾物含量を低下させる。ラサムソニア属(Rasamsonia)の酵素のような魔法瓶安定性酵素を使用することで、(i)加水分解中のより高い温度が可能であるため、前処理原材料に必要な冷却がより少なく、(ii)添加水がより少なく、加水分解および発酵中の乾物含量が増大し、したがってエタノール工場のエタノール生成能力(容量あたり時間単位あたりの生産量)が増大するという事実によって、コスト削減が達成され得る。また、ラサムソニア属(Rasamsonia)の酵素のような本発明による熱安定性酵素を使用して、非熱安定性酵素を用いた工程で使用される水よりも温度がより高い冷却水を使用することで、コスト削減を達成してもよい。

[安定性酵素を用いた加水分解後の酵素再利用] ひとたびほぼ全てのセルロースが変換されると、遊離される還元糖はわずかなので、加水分解終了時に、酵素活性は低いようである。しかし僭越なことに主に基質への酵素吸収のために、存在する酵素活性量の減少はわずかである。加水分解後に、遠心分離、濾過、デカンテーションなどの固液分離を適用することで、溶液中の例えば70%などの60%以上の酵素活性を回復させて、次の加水分解において、新たな前処理リグノセルロース系原材料を加水分解するために再利用し得る。

さらに固液分離後、酵素作用からの還元糖およびその他の加水分解産物を含有する溶液から、溶液中の酵素を分離し得る。この分離は、最初に任意の種類の担体に酵素を吸着させて、または吸着させないで、(限外およびマイクロ)濾過、遠心分離、デカンテーション、沈殿によって実施し得るが、これらに限定されるものではない。

例えば、0.175mL/g原材料乾物の酵素負荷における、20時間にわたる前処理原材料の加水分解後には、還元糖の理論的最大量の50%が放出され、72時間にわたる同一加水分解後には、還元糖の理論的最大量の90%が放出される。遠心分離および限外濾過によって、残余分中に60〜70%の酵素活性が回復される一方で、濾液は80%を超える放出還元糖を含有する。残余分をそのまま、あるいはさらなる精製および/または濃縮後に、再利用することで、次の加水分解ステップにおける酵素用量を60〜70%低下させ得る。このようにしてラサムソニア属(Rasamsonia)酵素などの安定セルロース分解酵素の使用によって達成されるコスト削減は、より少ない酵素用量を必要とすることに起因する。

[安定性酵素を用いた酵素生産および酵母細胞再利用と組み合わされた加水分解後の酵素再利用] 上述したような加水分解後の酵素再利用を含む工程は、発酵後のエタノール産生微生物の再利用と、酵素生産発酵における基質としての、およびエタノール産生微生物の培地としての(精製および/または濃縮または希釈)還元糖含有濾液の使用と、組み合わせ得る。

[安定性酵素を用いた真空蒸留後の酵素再利用] ラサムソニア属(Rasamsonia)からの酵素などの酵素の熱安定性は、加水分解、発酵、および真空蒸留後における、薄い蒸留廃液中の残留セルロース分解活性を引き起こす。酵素の全活性は、3回の連続工程段階中に低下する。したがって真空蒸留後に得られる薄い蒸留廃液は、前処理麦藁をエタノールに変換する、新たに開始される加水分解−発酵−蒸留工程サイクルのための酵素源として再利用し得る。薄い蒸留廃液は、濃縮または(非)希釈形態および/または精製および追加的な酵素補給あり、またはなしのいずれかで使用し得る。

[熱安定性酵素を用いた真空蒸留後の酵素補給と組み合わされた酵素再利用] 最適工程では、新規工程サイクルにおけるその再利用前に、薄い蒸留廃液に、先の工程サイクルの3回の連続工程段階中に失われた活性に等しい、一定量の酵素が補給される。このようにして過量の酵素が回避され、したがって最も効率的な酵素の使用が得られる。

さらに最初の工程サイクルで高い酵素用量を提供することで、および続く工程サイクルの3回の連続工程段階中に失われた活性に等しい量の酵素を補給することで、各工程サイクルにおいて可能な限り高い加水分解速度が得られ得て、最も効率的な酵素の使用と組み合わせされた、48時間未満の短い加水分解時間がもたらされる。

[混合システムにおける安定性酵素の使用] 加水分解中に混合することで、酵素はより頻繁に基質に接触するようになり、これはより効率的な触媒活性の使用をもたらす。混合が酵素に対して悪影響を及ぼさない限り、これはより低い酵素使用量をもたらし、したがってコストを低下させる。ラサムソニア属(Rasamsonia)からの熱安定性酵素のような安定性酵素は、頑強であり、徹底的なスラリー混合における状況である、(局所的に)高い剪断および温度の状況に抵抗し得る。したがって混合システムにおけるその使用は有益であり、用量低下したがってコスト低下をもたらす。

本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない、以下の実施例によって、本発明をさらに説明する。

[実施例] [実験情報] [株] ラサムソニア・エメルソニイ(Rasamsonia emersonii)(サーモミセス・エメルソニイ(Thermomyces emersonii))株は、1964年12月に受入番号CBS393.64で、CENTRAAL BUREAU VOOR SCHIMMELCULTURES,Uppsalalaan 8,P.O.Box 85167,NL−3508 AD Utrecht,The Netherlandsに寄託された。

その他の適切な株も本実施例で等しく使用され、本発明の効果および利点を示し得る。例えば、TEC−101、TEC−147、TEC−192、TEC−201またはTEC−210が、適切なラサムソニア属(Rasamsonia)株であり、それらは国際公開第2011/000949号パンフレットに記載される。

[酸前処理トウモロコシ茎葉基質の調製] Schell,D.J.,Applied Biochemistry and Biotechnology(2003),vol.105−108,pp 69−85に記載されるようにして、希釈酸前処理トウモロコシ茎葉(aCS)を得た。パイロット規模の前処理反応器を使用して、190℃、1分間の滞留時間、および液相中の1.45%(w/w)の有効H2SO4酸濃度の定常状態条件で稼働させた。

[タンパク質測定アッセイ] [1.総タンパク質] [TCAビウレット] 本方法は、妨害物質を除去するためのトリクロロ酢酸(TCA)を使用したタンパク質沈殿の組み合わせであり、比色分析ビウレット反応によるタンパク質濃度の判定を可能にした。ビウレット反応では、銅(II)イオンが銅(I)に還元され、それはアルカリ溶液中で、ペプチド結合中の窒素および炭素と錯体を形成する。紫色は、タンパク質の存在を示唆する。色の強さ、ひいては546nmにおける吸光は、ランベルト・ベールの法則に従って、タンパク質濃度に正比例する。BSA(ウシ血清アルブミン)を使用して標準化を実施し、タンパク質含有量は、BSA当量/Lとしてgタンパク質で、またはBSA当量/Lとしてmgタンパク質で表された。既知濃度のサンプル濃度に対してOD546をプロットすることで、当該技術分野で公知の標準的計算プロトコルを使用してタンパク質含有量を計算し、検量線から作成された方程式を使用した、未知サンプルの濃度の計算がそれに続いた。

[2.PAGEを使用した個々のタンパク質] [サンプル前処理SDS−PAGE] サンプルの推定タンパク質濃度に基づいて、以下のサンプル調製を実施した。10μLのサンプルに、40μLのミリQ水および50μLのTCA(20%)をに添加して、サンプルを5倍(約1mg/ml)に希釈して、タンパク質を沈殿させた。氷上で1時間後に、サンプルを遠心分離した(10分間、14000rpm)。ペレットを500μLのアセトンで洗浄し、遠心分離(10分間、14000rpm)した。ペレットを下述するように処理した。

[SDS−PAGE] ペレットを65μLのミリQ水、25μLのNuPAGE(商標)LDSサンプル緩衝液(4×)Invitrogen、および10μLのNuPAGE(商標)サンプル還元剤(10×)Invitrogenに溶解した。変性ステップ前に、65:25:10の比率のMilliQ;NuPAGE(商標)LDSサンプル緩衝液および10μLのNuPAGE(商標)サンプル還元の混合物を使用して、サンプルを5倍に希釈した。混合後、サンプルをサーモミキサー内で10分間70℃で培養した。サンプル溶液を4〜12%のBis−トリスゲル(NuPAGE(商標)BisTris、Invitrogen)に塗布した。マーカーM12(Invitrogen)のサンプル(10μL)もまた、ゲルに塗布した。XCELL Surelockを使用して、外側緩衝液チャンバー内の600mlの20×希釈SDS緩衝液、および内側緩衝液チャンバー内の0.5mlの抗酸化剤(NuPAGE(商標)Invitrogen)を含有する200mlの20×希釈SDS緩衝液によって、ゲルを200Vで50分間電気泳動した。泳動後、脱ミネラル水でゲルを2回水洗して、ゲルを50%メタノール/7%酢酸溶液で1時間固定し、Sypro Ruby(ゲルあたり50ml)で一晩染色した。ミリQ水でゲルを洗浄した後、Typhoon 9200(610 BP 30、Green(532nm)、PMT 600V、100ミクロン)を使用して、造影した。

[タンパク質の定量分析] Typhoonスキャナを使用して、当該技術分野で公知の標準法を使用して、レーン内のタンパク質バンド間の比率を判定した。サンプルを三重反復試験にかけて、Image quantプログラムを使用して濃淡値を判定した。値は、総タンパク質に対する相対%タンパク質として表され、全てのタンパク質バンドの全濃淡値と比較して、選択されたタンパク質バンドの濃淡値を使用して計算される。

[グルカン変換計算:] %グルカン変換(%)=(グルコース(g/l)×100%)/(グルカン(DM上の画分)×dm(g/kg)×1.1) 式中、 グルコース(g/l)=加水分解後の上清中のグルコース濃度。 グルカン(dm上の画分)=処理前の基質のグルカン含有量。 dm(g/kg)=加水分解の乾物(例えば20%dm=200g/kg)。 1.1=加水分解中の水取り込みに起因する重量増大。

[例証的計算:] グルコース=60g/l グルカン画分=0.40(乾物基準で40%) dm=200g/kg グルカン変換例=(60*100)/(0.4×200×1.1)=68%の変換

[実施例1] [セルラーゼ酵素混合物のセルロース分解活性に対する加水分解中の酸素不在効果の評価] 下述の手順に従って、3種の異なる酵素混合物のセルロース分解活性に対する、加水分解中の酸素不在の効果を評価した。酸前処理トウモロコシ茎葉(aCS)原材料を用いて、10w/w%DMの最終濃度で加水分解反応を実施した。この原材料溶液は、濃縮原材料溶液を水で希釈して調製した。その後、pHを4MのNaOH溶液でpH4.5に調節した。原材料からの酸素の除去は、二段階で実施した。最初に、超音波処理槽(Bransonic 5510E−DTH、設定;脱気)内の真空下超音波処理によって、原材料溶液を15分間脱気した。第2のステップでは、3時間にわたる10%DM原材料の500mlの溶液を通過する窒素の継続的散布によって、酸素をさらに除去した。窒素流を水蒸気で飽和させて原材料溶液からの水の蒸発を防止するために、窒素流を原材料溶液を通して散布する前に、水を通して散布した。並行して、酸素含有対照サンプルとして、同様の機構で同一プロトコルに従って、500mlの同一バッチの10w/w%DM aCSに空気を散布した。

酸素枯渇(窒素散布)および酸素飽和(空気散布)10w/w%aCS原材料溶液の加水分解は、10mlの全反応容積で気密性の30ml遠心分離瓶(Nalgene Oakridge)内で実施した。酸素枯渇実験のために使用した既にセルラーゼ溶液を含有する瓶に、原材料充填の前と最中に、窒素を散布した。各加水分解は、375μLより少ない総容積で添加された7.5mg/gのDMセルラーゼ酵素混合物を用いて、二連で実施した。以下を含む、3種のセルラーゼ酵素混合物を試験した:TEC−210混合物(セルラーゼ混合物)、4E−GH61混合物(総タンパク質9w/w%のBG、総タンパク質30w/w%のCBHI、総タンパク質25w/w%のCBHII、および総タンパク質36w/w%のGH61からなる)、および4E−EG混合物(総タンパク質9w/w%のBG、総タンパク質30w/w%のCBHI、総タンパク質25w/w%のCBHII、および総タンパク質36w/w%のEGからなる)。TEC−210は、国際公開第2011/000949号パンフレットに記載される接種および発酵手順に従って発酵させた。(国際公開第2011/098577号パンフレットに記載されるような)4E混合物を使用した。

原材料および酵素溶液を含有する遠心分離瓶をオーブンインキュベーター(Techne HB−1 Dハイブリダイゼーションオーブン)に入れて、設定点3で回転させながら(毎分12rpm)、65℃で72時間培養した。加水分解に続いて、サンプルを氷上で冷却し、即座に50μLの各上清を1450μLのグレードIの水中で希釈した。希釈上清を引き続いて濾過し(0.45μmフィルター、Pall PN 454)、下述するように糖含有量について濾液を分析した。

希釈サンプルの糖濃度は、1分あたり0.6mlの流速の85℃の水による溶出によって、Aminex HPX−87Pカラム(Biorad#1250098)を装着したHPLCを使用して測定し、グルコース標準溶液で較正された屈折率検出(R.I.)からのグルコースシグナルの組み込みを用いて定量化した。

表1/図1に提示されるデータは、TEC−210混合物および4E−GH61混合物インキュベーションの双方について、窒素散布原材料からの放出グルコースが、空気散布原材料からの放出グルコースよりも低いことを示す。4E−EG混合物によって加水分解されたサンプルでは、窒素および空気散布原材料間で、検出可能なグルコース放出に違いはない。

これらの結果に基づいて、我々は、酸素の存在が、GH61酵素を含有するセルラーゼ混合物のセルロース分解性能を改善すると結論づける。

[実施例2] [パイロット規模(270リットル)におけるリグノセルロース系原材料加水分解中のセルラーゼ酵素組成物のセルロース分解活性に対する溶存酸素濃度の効果] パイロット規模(270リットル)におけるリグノセルロース系原材料加水分解における、酵素組成物または酵素混合物のセルロース分解活性に対する、溶存酸素濃度の効果が、本実施例で示される。酸前処理トウモロコシ茎葉(aCS)原材料を用いて、20w/w%DMの最終濃度で加水分解反応を実施した。濃縮原材料スラリーを水で希釈して、原材料溶液を調製した。25%(w/w)NH4OH溶液で、pHをpH4.5に調節した。

酵素加水分解は、150リットルの作業容積で、pHおよび温度調節される270リットルのパイロット反応器内で実施した。工程中の溶存酸素は、インペラ速度を所定の気流および超過圧力に調節することで、制御した。酵素加水分解は、3.75mg TCAタンパク質/g DMのTEC−210セルラーゼ酵素組成物の用量で実施した。TEC−210は、国際公開第2011/000949号パンフレットに記載される接種および発酵手順に従って生成した。

以下の実験を実施した: 1.150Lの20%aCS、pH4.5、温度62℃、超過圧力なし、気流なし、3.75mg TCA/g dmのTEC−210セルラーゼ組成物、270リットルパイロット反応器内で120時間の培養時間。DO電極を使用して、反応混合物の溶存酸素濃度(DO)を絶えず測定した。DOは、インペラ速度を調節することで、0.01mol/m3のレベルに制御された。 2.150Lの20%aCS、pH4.5、温度62℃、1バールの超過圧力、反応器のヘッドスペース内の10kg/hの気流、3.75mgTCA/g dmのTEC−210セルラーゼ組成物、270リットルパイロット反応器内で120時間の培養時間。DO電極を使用して、反応混合物の溶存酸素濃度(DO)を絶えず測定した。DOは、インペラ速度を調節することで、0.2mol/m3のレベルに制御された。

酵素加水分解中、NMRによる炭水化物分析(グルコース、セロビオース)と、粘度およびpH測定のために、サンプルを毎日採取した。

酸前処理トウモロコシ茎葉(aCS)の組成分析は、サンプルの化学加水分解と、NMRによる単糖類の判定によって実施した。

酵素加水分解中に採取されたサンプルは、フローNMRによって、(オリゴ)糖、有機酸、および阻害物質について分析した。

変換は、酵素加水分解開始時の測定されたグルカン濃度(g/kg)と、酵素加水分解中に測定されたグルコース濃度(g/l)に基づいて計算した。

結果は、図2に提示される。

本実施例は、例えば100リットル以上などのより大きな反応器容積では、酸素(空気の形態)の添加が、前処理リグノセルロース系材料の加水分解を大きく改善することを示す。1m3以上、または10m3以上または50m3以上の反応器内容物の規模では、加水分解中に同様の変換の改善が見られるであろう。

[実施例3] [低い酵素用量を使用したリグノセルロース系原材料加水分解におけるセルラーゼ酵素組成物のセルロース分解活性に対する酸素の効果] リグノセルロース系原材料加水分解中に低い酵素用量を使用した、酵素組成物のセルロース分解活性に対する酸素の効果が、本実施例で示される。酸前処理トウモロコシ茎葉(aCS)原材料を用いて、20w/w%DMの最終濃度で加水分解反応を実施する。この原材料溶液は、濃縮原材料溶液を水で希釈して調製する。その後、10%(w/w)NH4OH溶液によって、pHをpH4.5に調節する。適用トウモロコシ茎葉のグルカンの含有量は、37%乾物基準であった。

加水分解は、1Lの作業容積で、撹拌されpH調節される恒温反応器内で実施される。各加水分解は、2.5mg/g DMのTEC−210セルラーゼ酵素組成物(または混合物)を用いて二連で実施される。TEC−210は、国際公開第2011/000949号パンフレットに記載される接種および発酵手順に従って生成された。

以下の実験が実施される。 1.1Lの20%aCS、pH4.5、温度62℃、撹拌機速度60rpm、1グラムの原材料あたり3.5mgのTEC−210セルラーゼ組成物(乾物基準)、閉鎖反応器内で120時間の培養時間(参考実験)。DO電極を使用して、反応混合物の溶存酸素レベルを絶えず測定した。この緩慢な撹拌は、0.005mol/m3の溶存酸素レベルをもたらす。 2.実験1と同様であるが、および酵素用量、1グラムの原材料あたり2.5mgのTEC−210(乾物基準)、および250rpmの撹拌機速度、新鮮空気が絶えず新しく補給される反応混合物上のヘッドスペースを使用する。新鮮空気によるヘッドスペースの補給と組み合わされたより高い撹拌速度は、反応混合物中に0.030mol/m3の溶存酸素レベルをもたらした。

分析のために、加水分解中にサンプルを採取した。サンプルを氷上で冷却し、即座に50μLの各上清を1450μLのグレードIの水中で希釈した。希釈上清を引き続いて濾過し(0.45μmフィルター、Pall PN 454)、下述するように糖含有量について濾液を分析する。

希釈サンプルの糖濃度は、1分あたり0.6mlの流速の85℃の水による溶出によって、Aminex HPX−87Pカラム(Biorad#1250098)を装着したHPLCを使用して測定し、グルコース標準溶液で較正された屈折率検出(R.I.)からのグルコースシグナルの組み込みを用いて定量化する。

結果は、図3に提示される。

グルカン変換は、表2に列挙される。

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