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極性リンカーを有する官能化樹脂

阅读:38发布:2020-05-08

专利汇可以提供極性リンカーを有する官能化樹脂专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且樹脂に結合してシラン官能化樹脂を形成する極性シランリンカーが提供される。官能化樹脂をシリカ粒子の表面上のヒドロキシル基に結合させて、ゴム混合物中におけるシリカ粒子の分散性を向上させることができる。更に、シラン官能化樹脂を提供する合成ルート、及びシラン官能化樹脂の予期しなかった特性から利益を享受する種々の使用及び最終生成物を開示する。シラン官能化樹脂は、タイヤ、ベルト、ホース、ブレーキなどのような種々のゴム組成物に優れた特性を付与する。シラン官能化樹脂を導入した自動車タイヤは、転がり抵抗、タイヤの摩耗性、及びウェットブレーキ性能の複数の特性のバランスにおいて優れた結果を有することが示される。 【選択図】なし,下面是極性リンカーを有する官能化樹脂专利的具体信息内容。

非加硫組成物であって、 ポリマー;及び 官能化樹脂; を含み、 前記官能化樹脂は、式I: 樹脂−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]q (I) (式中、Zは、場合によってヘテロ原子を含む芳香族基又は脂肪族基であり; Xは、イオウ、酸素、窒素、カルボニル基、又はこれらの組合せから選択されるヘテロ原子を含むリンカーであり; R1は、1種類以上の脂肪族C1〜C18、及び/又はヘテロ原子を含む連結基を含み; それぞれのR2は、同一か又は異なり、独立してC1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アリール、又はH、或いはOHから選択され、場合によっては分岐しており、少なくとも1つのR2は、C1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、又はH、或いはOHであり; qは、少なくとも1の整数であり; kは、0又は1の整数であり; nは、1〜10の整数であり; mは、0〜10の整数であり;そして pは、1、2、又は3である) を含む上記組成物。前記官能化樹脂が、不飽和脂肪族モノマー、テルペン、ロジン酸、不飽和シクロ芳香族モノマー、不飽和脂環式モノマー、不飽和脂肪酸、メタクリレート、不飽和芳香族モノマー、ビニル芳香族モノマー、及び不飽和脂肪族/芳香族モノマー混合物の1以上を重合又は共重合することによって得られ; 前記官能化樹脂が、素化されているか、部分的に水素化されているか、又は水素化されておらず; 前記ポリマーが、天然ゴム、合成ポリイソプレン、天然ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、溶液重合スチレン−ブタジエン(SSBR)、乳化重合スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、ブタジエンゴム(BR)、ハロブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、ニトリルゴム、液体ゴム、ポリノルボルネンコポリマー、イソプレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリスルフィドゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンターポリマー、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエンコポリマー、ブチルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、エチレンモノマー、プロピレンモノマー、及び/又はエチレンプロピレンジエンモノマーから形成されるターポリマー(EPDM)、イソプレン系ブロックコポリマー、ブタジエン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−[エチレン−(エチレン/プロピレン)]−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン系ランダムコポリマー、水素化スチレン系ブロックコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマー、ポリオレフィン、アモルファスポリオレフィン、半結晶質ポリオレフィン、α−ポリオレフィン、リアクターレディポリオレフィン、アクリレート、メタロセン触媒ポリオレフィンポリマー及びエラストマー、リアクターメイド熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、オレフィンブロックコポリマー、コポリエステルブロックコポリマー、ポリウレタンブロックコポリマー、ポリアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性加硫物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンn−ブチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、ネオプレン、アクリル樹脂、ウレタン、ポリ(アクリレート)、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンを含むポリエチレン、エチレン−プロピレンポリマー、プロピレン−ヘキセンポリマー、エチレン−ブテンポリマー、エチレンオクテンポリマー、プロピレン−ブテンポリマー、プロピレン−オクテンポリマー、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマー、メタロセン触媒ポリエチレンポリマー、エチレン−プロピレン−ブチレンターポリマー、プロピレン、エチレン、C4〜C10−α−オレフィンモノマーから製造されるコポリマー、ポリプロピレンポリマー、マレエート化ポリオレフィン、ポリエステルコポリマー、コポリエステルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、及び/又はポリ酢酸ビニルの1以上であり;及び/又は 前記ポリマーは、場合によっては、前記ポリマー内のポリマー連鎖末端又は懸垂部分において、ヒドロキシル−、エトキシ−、エポキシ−、シロキサン−、アミン−、アミンシロキサン−、カルボキシ−、フタロシアニン−、及びシラン−スルフィド基の1以上から選択される変性部分及び/又は官能化部分を含む、請求項1に記載の非加硫組成物。qが2〜8の整数であり、及び/又はnが1〜4の整数である、請求項1に記載の非加硫組成物。式Iの−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]qが、前記官能化樹脂の1以上の末端部に位置するか、前記官能化樹脂全体にランダムに分布されているか、前記官能化樹脂全体にブロックで存在するか、前記官能化樹脂のセグメント内に存在するか、前記官能化樹脂あたり少なくとも1回存在するか、前記官能化樹脂あたり少なくとも2回存在するか、及び/又はそれぞれの官能化樹脂の中央部に存在する、請求項1に記載の官能化樹脂。前記芳香族モノマー及び/又はビニル芳香族モノマーが、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、及びジイソプロピルベンゼンの1以上を含み、或いは 前記脂肪族モノマーが、C5ピペリレン、クマロン、インデン、及びジシクロペンタジエンの1以上を含む、請求項2に記載の非加硫組成物。Xが、フェノール、ヒドロキシル、アミン、イミダゾール、アミド、ポリスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルホニウム、アンモニウム、カルボン酸、エステル、チオエステル、エーテル、マレイミド、カルバメート、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、ピリジニウム、又はこれらの組合せを含み; R1が、C1〜C10炭素鎖、又はC1〜C5炭素鎖であり; R2が、C1〜C10アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、又はアリール基、或いはC1〜C5アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、又はアリール基であり、場合によって分岐しており;及び/又は Zが、6員芳香族基、又は飽和若しくは不飽和脂環式基である、請求項1に記載の非加硫組成物。Xが酸素又はカルボニルであり;及び/又は それぞれのR2が、独立してヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ基から選択される、請求項1に記載の非加硫組成物。前記官能化樹脂上にグラフトされているシラン含有基の量は、約0.001〜約100モル%、約0.1〜約50モル%、又は約5〜約50モル%であり; 前記官能化樹脂が、約200g/モル〜約200,000g/モル、約200g/モル〜約175,000g/モル、又は約200g/モル〜約150,000g/モルの分子量を有し; 前記官能化樹脂が、約1〜10の多分散指数(PDI)を有し; 前記官能化樹脂が、約200℃より低いか、又は約160℃未満のガラス転移温度:Tgを有し; 前記官能化樹脂上にグラフトされているシラン基の量は、約0.01〜約30モル%であり;及び/又は 前記官能化樹脂が、5〜400phr、5〜120phr、5〜100phr、5〜40phr、5〜30phr、又は5〜10phrの量で存在する、請求項1に記載の非加硫組成物。前記官能化樹脂が、約400〜約2,000g/モルの分子量を有し;及び/又は 前記官能化樹脂の多分散指数(PDI)が、約1〜約5、又は1〜2である、請求項1に記載の非加硫組成物。シリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、加工油、亜鉛化合物、ワックス、加硫剤、加硫遅延剤、加硫促進剤、及び/又は酸化防止剤の少なくとも1つを更に含む、請求項1に記載の非加硫組成物。前記官能化樹脂は、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後にSi−O−Si基によってシリカ粒子に結合しているか; 官能化樹脂の分子は、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後にSi−O−Si基によって第2の官能化樹脂分子に結合しているか、又は 前記官能化樹脂は、極性リンカーに結合している反応性基によってシリカフィラー材料の表面に共有結合している、請求項10に記載の非加硫組成物。R1が、−O−CO−NH−R1−(CH2)2−、−O−CO−R3−(CH2)2−、−O−CH2−R3−(CH2)2−、−CO−R3−(CH2)2−、及び−CO−NH−R3−(CH2)2−の1以上であり;そして R3が、場合によって分岐しており及び/又は場合によっては1以上のヘテロ原子を含む脂肪族又は芳香族C1〜C8炭素鎖である、請求項1に記載の非加硫組成物。前記ポリマーが、天然ポリイソプレン、合成ポリイソプレン、溶液重合スチレン−ブタジエン(SSBR)、及び/又はブタジエンゴム(BR)の1以上である、請求項1に記載の非加硫組成物。請求項1に記載の非加硫組成物を含む物品であって、前記物品が、接着剤、積層体、テープ、ヒートシールコーティング、ヒートシール式の蓋、使い捨て衛生用品、マスチック材、コーキング剤、断熱ガラス(IG)ユニット、船橋甲板、防水膜、防水性化合物、下地材、ケーブル注入/充填化合物、低収縮シート成形化合物、プレミクス成形化合物、オーバーモールド化合物、ポリエステル複合材料、ガラス複合材料、ガラス繊維強化プラスチック、木材−プラスチック複合材料用のカップリング剤、ポリ塩化ビニル押出化合物、ポリアクリル系ブレンド化合物、ロストワックス精密鋳造、インベストメント鋳造用ワックス組成物、ロウソク、窓、フィルム、ガスケット、シール材、o−リング、自動車成形部品、自動車押出部品、シーラント、衣料品、シート成形化合物(SMC)及びプレミックス成形化合物(DMC)用の低収縮添加剤、織布サイジング剤、不織布サイジング剤、ゴム添加剤/加工助剤、靴底、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、タイヤインナーライナー、タイヤスクイージー、タイヤコアプロファイル材、タイヤベルト、タイヤショルダー、タイヤベルトプロファイル材、タイヤカーカスプライ、タイヤビードワイヤー、タイヤケーブルプロファイル材、タイヤホーンプロファイル材、タイヤバンデージ、インナーチューブ、ホース、ベルト、ストラップ、チューブ、ブレーキ、又はエンジン部品であり;そして 前記接着剤が、包装用接着剤、食品接触グレードの接着剤、間接食品接触包装用接着剤、製品組立用接着剤、木工用接着剤、フローリング用接着剤、自動車組立用接着剤、構造用接着剤、感圧接着剤(PSA)、PSAテープ、PSAラベル、PSA保護フィルム、積層用接着剤、フレキシブル包装用接着剤、ヒートシール接着剤、工業用接着剤、衛生用不織構造体用接着剤、衛生用コア結着用接着剤、又は衛生用弾性付着接着剤である、物品。

说明书全文

[0001]本出願は、「極性リンカーを有する官能化樹脂」と題された米国仮特許出願62/483,835及び62/483,820(両方とも2017年4月10日に出願された)(これらは両方ともそれらの全部を参照として本明細書中に包含する)に対する優先権及びその利益を主張する。

[0002]本発明は、特許請求される発明をなした時点又はその前に有効であった、Delawareの企業であるEastman Chemical Companyとドイツの企業であるContinental Reifen Deutschland GmbHとの間の共同開発協定に準拠して考案されたものであり、特許請求される発明は、その共同開発協定の範囲内で実施された作業の結果としてなされたものである。

[0003]官能化基として極性シランリンカーを含むシラン官能化樹脂を開示する。官能化樹脂をシリカ粒子の表面上のヒドロキシル基に結合させて、ゴム混合物中におけるシリカ粒子の分散性を向上させる(これにより、硬化ゴム化合物の粘弾性及び性能特性が変化する)ことができる。更に、極性又は両親媒性シランリンカーを製造し、リンカーを樹脂に結合させる合成ルート、並びにシラン官能化モノマーを共重合する合成ルートを開示する。また、これらの官能化樹脂の予期しなかった特性によって優れた性能を与える種々の使用及び最終生成物も開示する。

[0004]ゴム混合物は、通常は、高い耐摩耗性、低い転がり抵抗、又はウェットグリップのようなタイヤ組成物の技術的要件を向上させるためにフィラー材料を含む。しかしながら、これらの技術的要件は、例えば組成を変化させてタイヤの転がり抵抗を低下させるとウェットグリップが低下する可能性があるといったようにしばしば互いに相容れない。

[0005]シリカは、ゴム混合物のために広く用いられているフィラー材料である。特に、シリカは自動車タイヤ用のゴム混合物中にしばしば含まれる。しかしながら、シリカ粒子の表面は極性ヒドロキシル基の存在のために親性であり、一方でタイヤにおけるゴム材料は通常はより疎水性であり、このためにタイヤの製造中にシリカ粒子をゴム混合物中に分散させることが困難になる可能性がある。

[0006]タイヤに関する現在の樹脂技術は、高いガラス転移温度の樹脂を用いてゴムのガラス転移温度:Tg及び粘弾性を変化させてウェットグリップと転がり抵抗の性能バランスを向上させている。ウェットグリップ性能は、樹脂の導入によって影響を受ける転がり抵抗及び摩耗性などの他のタイヤ特性とバランスをとらなければならない。

[0007]最近になって、自動車タイヤ用途のためのゴム混合物、特にタイヤトレッドのためのゴム混合物において樹脂がますます用いられている。米国特許出願公開2016/0222197においては、50phrを超える量の樹脂を含むタイヤトレッドが開示されている。ゴムと樹脂との間の良好な相溶性は、ポリマーマトリクス中における高い樹脂装填量を達成するために必須である。

[0008]商業的に入手できる樹脂は、フィラー材料の表面への特異的な結合を達成するように官能化されてはいない。而して、商業的に入手できる樹脂はポリマーマトリクス全体に分布し、ゴムとのシリカの界面を標的にしてはいない。

[0009]国際特許出願公開WO−2015/153055においては、式:P−S−X(式中、Sは脂肪族又は芳香族スペーサーであり、Pはポリマー骨格であり、Xはシランである)の官能基で官能化したジシクロペンタジエン(DCPD)系ポリマーが開示されている。しかしながら、DCPD系樹脂は、少なくともタイヤ用の幾つかのゴム混合物中において限定された溶解度を示す。

[0010]更に、米国特許出願公開2013/0296475から、末端官能基を有する熱可塑性ポリマーを提供することが公知である。その中の実施例の幾つかにおいては、2,500〜10,000g/モルのMn(数平均分子量)の比較的高い分子量を有する樹脂が用いられている。しかしながら、炭化水素樹脂の分子量を増加させると、ポリマーマトリクスとの相溶性が低下する可能性がある。

米国特許出願公開2016/0222197

国際特許出願公開WO−2015/153055

米国特許出願公開2013/0296475

[0011]而して、加工助剤として用いられるか、或いは自動車タイヤにおいて非結合樹脂によって与えられる減衰効果又はエネルギー散逸効果を阻止するために用いられる官能化樹脂が開示される。具体的には、ゴム混合物の減衰特性を部位特異的に変化させることができる。本明細書に開示する官能化樹脂は、反応性基、好ましくは極性リンカーに結合している反応性シラン基によって、フィラー材料、好ましくはシリカの表面に結合する。驚くべきことに、官能化樹脂は、ポリマー−フィラーの界面を効率的に変性することができるので、ゴム混合物の粘弾性を向上させる。向上したウェットグリップとより低い転がり抵抗のようなタイヤ組成物の相容れない技術的要件を、より高いレベルで有効に解決することができる。

[0012]本発明においては、シランで官能化した樹脂組成物が提供される。本明細書に開示するようにシランで樹脂を官能化すると、優れた予期しなかった特性が与えられて、ゴム製品、接着剤、タイヤ、ベルト、ガスケット、ホースなどのような製品が、本発明の官能化樹脂を用いない同様の製品と比べて優れた特性を有するようになることが見出された。また、かかる樹脂を得る方法、製造する方法、合成する方法、又は生成させる方法、並びに本発明の官能化樹脂を導入した種々の生成物も開示される。

[0013]官能化樹脂を含む組成物は、ポリマー、及び式I(式中、「樹脂」は樹脂の骨格を表す): 樹脂−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]q (I) (式中、Zは、場合によってヘテロ原子を含む芳香族基又は脂肪族基であり; Xは、イオウ、酸素、窒素、カルボニル基、又はこれらの組合せから選択されるヘテロ原子を含むリンカーであり; R1は、1種類以上の脂肪族及び/又は芳香族C1〜C18、及び/又はヘテロ原子を含む連結基を含み; それぞれのR2は、同一か又は異なり、独立してC1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アリール、又はH、或いはOHから選択され、場合によっては分岐しており、少なくとも1つのR2は、C1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、又はH、或いはOHであり; qは、少なくとも1の整数であり; kは、0又は1の整数であり; nは、1〜10の整数であり; mは、0〜10の整数であり;そして pは、1、2、又は3である) の一般構造を有する1種類(又はそれ以上)の官能化樹脂を含む。

[0014]官能化樹脂を含む組成物は、加硫したもの及び加硫しないものである。特に、本明細書において本発明の組成物の非加硫態様が記載され、ここでは不飽和脂肪族モノマー、テルペン、ロジン酸、不飽和シクロ芳香族モノマー、不飽和脂環式モノマー、不飽和脂肪酸、メタクリレート、不飽和芳香族モノマー、ビニル芳香族モノマー、及び不飽和脂肪族/芳香族モノマー混合物の1以上を重合又は共重合することによって官能化樹脂を得る。幾つかの態様においては、官能化樹脂は、水素化されているか、部分的に水素化されているか、又は水素化されていない。本明細書に記載する非加硫組成物の他の態様においては、芳香族モノマー及び/又はビニル芳香族モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、及びジイソプロピルベンゼンの1以上を含む。他の態様においては、脂肪族モノマーは、C5ピペリレン、クマロン、インデン、及びジシクロペンタジエンの1以上を含む。

[0015]官能化樹脂を含むかかる非加硫組成物においては、ポリマーは、天然ゴム、合成ポリイソプレン、天然ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンコポリマー、溶液重合スチレン−ブタジエン(SSBR)、乳化重合スチレン−ブタジエンゴム(ESBR)、ブタジエンゴム(BR)、ハロブチルゴム、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、ニトリルゴム、液体ゴム、ポリノルボルネンコポリマー、イソプレン−イソブチレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリレートゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリスルフィドゴム、エピクロロヒドリンゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエンターポリマー、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレン−ブタジエンコポリマー、ブチルゴム、水素化スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、エチレンモノマー、プロピレンモノマー、及び/又はエチレンプロピレンジエンモノマーから形成されるターポリマー(EPDM)、イソプレン系ブロックコポリマー、ブタジエン系ブロックコポリマー、スチレン系ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−[エチレン−(エチレン/プロピレン)]−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン系ランダムコポリマー、水素化スチレン系ブロックコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、ポリイソブチレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマー、ポリオレフィン、アモルファスポリオレフィン、半結晶質ポリオレフィン、α−ポリオレフィン、リアクターレディ(reactor-ready)ポリオレフィン、アクリレート、メタロセン触媒ポリオレフィンポリマー及びエラストマー、リアクターメイド(reactor-made)熱可塑性ポリオレフィンエラストマー、オレフィンブロックコポリマー、コポリエステルブロックコポリマー、ポリウレタンブロックコポリマー、ポリアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性加硫物、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンn−ブチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、ネオプレン、アクリル樹脂、ウレタン、ポリ(アクリレート)、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンを含むポリエチレン、エチレン−プロピレンポリマー、プロピレン−ヘキセンポリマー、エチレン−ブテンポリマー、エチレンオクテンポリマー、プロピレン−ブテンポリマー、プロピレン−オクテンポリマー、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマー、メタロセン触媒ポリエチレンポリマー、エチレン−プロピレン−ブチレンターポリマー、プロピレン、エチレン、C4〜C10−α−オレフィンモノマーから製造されるコポリマー、ポリプロピレンポリマー、マレエート化ポリオレフィン、ポリエステルコポリマー、コポリエステルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、及び/又はポリ酢酸ビニルの1以上である。他のかかる態様においては、ポリマーは、天然ポリイソプレン、合成ポリイソプレン、溶液重合スチレン−ブタジエン(SSBR)、及び/又はブタジエンゴム(BR)の1以上である。

[0016]非加硫組成物の更なる態様においては、ポリマーは、場合によっては、ポリマー内のポリマー連鎖末端又は懸垂部分において、ヒドロキシル−、エトキシ−、エポキシ−、シロキサン−、アミン−、アミンシロキサン−、カルボキシ−、フタロシアニン−、及びシラン−スルフィド基の1以上から選択される変性部分及び/又は官能化部分を含む。

[0017]式Iによる官能化樹脂を含む非加硫組成物の他の態様においては、qは2〜8の整数であり、及び/又はnは1〜4の整数である。かかる態様においては、式Iの−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]qの部分は、官能化樹脂の1以上の末端部に位置するか、官能化樹脂全体にランダムに分布されているか、官能化樹脂全体にブロックで存在するか、官能化樹脂のセグメント内に存在するか、官能化樹脂あたり少なくとも1回存在するか、官能化樹脂あたり少なくとも2回存在するか、及び/又はそれぞれの官能化樹脂の中央部に存在する。

[0018]式Iによる官能化樹脂を含む非加硫組成物の更なる態様においては、Xは、フェノール、ヒドロキシル、アミン、イミダゾール、アミド、ポリスルフィド、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルホニウム、アンモニウム、カルボン酸、エステル、チオエステル、エーテル、マレイミド、カルバメート、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、ピリジニウム、又はこれらの組合せである。更なる態様においては、R1はC1〜C10炭素鎖又はC1〜C5炭素鎖である。他のかかる態様においては、R2は、C1〜C10アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、又はアリール基、或いはC1〜C5アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、又はアリール基であり、場合によって分岐している。更なる別の態様においては、Zは、6員芳香族基、又は飽和若しくは不飽和脂環式基である。或いは、Xは酸素又はカルボニルである。更に、他の態様においては、それぞれのR2は、独立してヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシ基から選択される。

[0019]式Iによる官能化樹脂を含む非加硫組成物の他の態様においては、官能化樹脂上にグラフトされているシラン含有基の量は、約0.001〜約100モル%、約0.1〜約50モル%、又は約5〜約50モル%である。他のかかる態様においては、官能化樹脂は、約200g/モル〜約200,000g/モル、約200g/モル〜約175,000g/モル、又は約200g/モル〜約150,000g/モルの分子量を有する。更なるかかる態様においては、官能化樹脂は約1〜10の多分散指数(PDI)を有する。記載する非加硫組成物の他の別の態様においては、官能化樹脂は、約200℃より低いか、又は約160℃未満のガラス転移温度:Tgを有する。他のかかる態様においては、官能化樹脂上にグラフトされているシラン基の量は、約0.01〜約30モル%である。或いは、他の態様においては、官能化樹脂は、5〜400phr、5〜120phr、5〜100phr、5〜40phr、5〜30phr、又は5〜10phrの量で非加硫組成物中に存在する。本発明において意図する他の態様は、官能化樹脂が、約400〜約2,000g/モルの分子量を有する非加硫組成物を包含する。他のかかる態様においては、官能化樹脂の多分散指数(PDI)は、約1〜約5、又は1〜2である。

[0020]本発明の非加硫組成物の更なる態様は、シリカ、カーボンブラック、シランカップリング剤、加工油、亜鉛化合物、ワックス、加硫剤、加硫遅延剤、加硫促進剤、及び/又は酸化防止剤の少なくとも1つを含む。かかる態様においては、官能化樹脂は、例えば、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後にSi−O−Si基によってシリカ粒子に結合している。或いは、かかる態様においては、官能化樹脂の分子は、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後にSi−O−Si基によって第2の官能化樹脂分子に結合している。更なるかかる態様においては、官能化樹脂は、極性リンカーに結合している反応性基によってシリカフィラー材料の表面に共有結合している。

[0021]式Iによる官能化樹脂を含む非加硫組成物の他の態様においては、R1は、−O−CO−NH−R1−(CH2)2−、−O−CO−R3−(CH2)2−、−O−CH2−R3−(CH2)2−、−CO−R3−(CH2)2−、及び−CO−NH−R3−(CH2)2−の1以上であり;そしてR3は、場合によって分岐しており及び/又は場合によっては1以上のヘテロ原子を含む脂肪族又は芳香族C1〜C8炭素鎖である。

[0022]本発明においてはまた、記載する非加硫組成物から製造されるか、又はそれを含む最終生成物も開示する。かかる最終生成物としては、例えば、接着剤、積層体、テープ、ヒートシールコーティング、ヒートシール式の蓋、使い捨て衛生用品、マスチック材、コーキング剤、断熱ガラス(IG)ユニット、船橋甲板、防水メンブレン、防水性化合物、下地材、ケーブル注入/充填化合物、低収縮シート成形化合物、プレミクス成形化合物、オーバーモールド化合物、ポリエステル複合材料、ガラス複合材料、ガラス繊維強化プラスチック、木材−プラスチック複合材料用のカップリング剤、ポリ塩化ビニル押出化合物、ポリアクリル系ブレンド化合物、ロストワックス精密鋳造、インベスト鋳造用ワックス組成物、ロウソク、窓、フィルム、ガスケット、シール材、o−リング、自動車成形部品、自動車押出部品、シーラント、衣料品、シート成形化合物(SMC)及びプレミックス成形化合物(DMC)用の低収縮添加剤、織布サイジング剤、不織布サイジング剤、ゴム添加剤/加工助剤、靴底、タイヤトレッド、タイヤサイドウォール、タイヤインナーライナー、タイヤスクイージー、タイヤコアプロファイル材(profile)、タイヤベルト、タイヤショルダー、タイヤベルトプロファイル材、タイヤカーカスプライ、タイヤビードワイヤー、タイヤケーブルプロファイル材、タイヤホーンプロファイル材、タイヤバンデージ、インナーチューブ、ホース、ベルト、ストラップ、チューブ、ブレーキ、又はエンジン部品が挙げられるが、これらに限定されない。かかる態様においては、接着剤は、包装用接着剤、食品接触グレードの接着剤、間接食品接触包装用接着剤、製品組立用接着剤、木工用接着剤、フローリング用接着剤、自動車組立用接着剤、構造用接着剤、感圧接着剤(PSA)、PSAテープ、PSAラベル、PSA保護フィルム、積層用接着剤、フレキシブル包装用接着剤、ヒートシール接着剤、工業用接着剤、衛生用不織構造体用接着剤、衛生用コア結着用接着剤、又は衛生用弾性付着接着剤である。

[0023]ここで、図面を参照して本発明を記載する。本明細書中に含まれてその一部を構成する添付の図面は幾つかの態様を示すものであり、記載された説明と一緒に本明細書において開示される構造及び方法の幾つかの原理を説明するように働く。

[0024]図1A〜図1Mは、シラン官能化樹脂に関する合成ルート及び構造の複数の形態を示す。図1Aは、アセトキシスチレン官能化による懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。

図1Bは、フェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Cは、無水物シラン(anhydride silane)を用いるフェノール官能化による懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。


図1Dは、樹脂上に無水コハク酸をグラフトすることによる懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。


図1Eは、フリーラジカル共重合による懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。


図1Fは、変動し得る基Zの周囲の種々の構造の態様を示す。


図1Gは、無水コハク酸を用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Hは、クロロシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Iは、イソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合による懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。


図1Jは、グリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Kは、グリシドキシシランを用いる酸官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Lは、グリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


図1Mは、無水フタル酸及びグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成を示す。


[0025]図2Aは、ポリマーマトリクス中に単純にインターカレーションする従来技術の樹脂を概略的に示す。

図2Bは、シリカ粒子:SiO
2の表面への官能化樹脂の結合を概略的に示す。


[0026]図3は、実施例1.1に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂フェノール官能化樹脂の合成である工程1Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なフーリエ変換赤外(FT−IR)スペクトルを示す。

[0027]図4は、実施例1.1に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂フェノール官能化樹脂の合成である工程1Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な熱重量分析(TGA)トレースを示す。

[0028]図5は、実施例1.1に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂フェノール官能化樹脂の合成である工程1Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な示差走査熱量測定(DSC)トレースを示す。

[0029]図6は、実施例1.1に記載のフェノール基官能化による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程1Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0030]図7は、実施例1.1に記載のフェノール基官能化による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程1Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0031]図8は、実施例1.1に記載のフェノール基官能化による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程1Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0032]図9は、実施例1.1に記載のカルボン酸基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程1Cの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0033]図10は、実施例1.1に記載のカルボン酸基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程1Cの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0034]図11は、実施例1.1に記載のカルボン酸基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程1Cの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0035]図12は、実施例1.1に記載のカルボン酸基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程1Cの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なゲル透過クロマトグラフィー(GPC)トレースを示す。

[0036]図13は、実施例1.2に記載のフェノール基官能化によるエンドキャップカルボン酸官能化樹脂の合成である工程2Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0037]図14は、実施例1.2に記載のフェノール基官能化によるエンドキャップカルボン酸官能化樹脂の合成である工程2Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0038]図15は、実施例1.2に記載のフェノール基官能化によるエンドキャップカルボン酸官能化樹脂の合成である工程2Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0039]図16は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0040]図17は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0041]図18は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0042]図19は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なGPCトレースを示す。

[0043]図20は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な13C−核磁気共鳴(NMR)トレースを示す。


[0044]図21は、実施例1.2に記載のカルボン酸基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成である工程2Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な29Si−NMRトレースを示す。


[0045]図22は、実施例1.3に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程3Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0046]図23は、実施例1.3に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程3Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0047]図24は、実施例1.3に記載のアセトキシスチレン脱保護による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程3Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0048]図25は、実施例1.4に記載の無水物シランを用いるフェノール変性による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程4Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0049]図26は、実施例1.4に記載の無水物シランを用いるフェノール変性による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程4Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0050]図27は、実施例1.4に記載の無水物シランを用いるフェノール変性による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程4Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0051]図28は、実施例1.4に記載の無水物シランを用いるフェノール変性による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成である工程4Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なGPCトレースを示す。

[0052]図29は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0053]図30は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0054]図31は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0055]図32は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なGPCトレースを示す。

[0056]図33は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0057]図34は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085(Eastman Chemical, Ltd., Kingsport, TN,米国)上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な13C−NMRトレースを示す。


[0058]図35は、実施例1.4に記載のKristalex(登録商標)3085上へ無水コハク酸をグラフトすることによって誘導される懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程4Bの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な29Si−NMRトレースを示す。


[0059]図36は、実施例1.5に記載のメタクリレートシランを用いるフリーラジカル共重合による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程5Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的なGPCトレースを示す。

[0060]図37は、実施例1.5に記載のメタクリレートシランを用いるフリーラジカル共重合による懸垂シラン官能化樹脂の合成である工程5Aの官能化樹脂合成生成物に関する代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0061]図38は、実施例1.6に記載の無水コハク酸によるフェノール官能化によって達成された官能化樹脂合成生成物に関する代表的なFT−IRスペクトルを示す。

[0062]図39は、実施例1.6に記載の無水コハク酸によるフェノール官能化によって達成された官能化樹脂合成生成物に関する代表的なTGAトレースを示す。

[0063]図40は、実施例1.6に記載の無水コハク酸によるフェノール官能化によって達成された官能化樹脂合成生成物に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0064]図41は、実施例1.6に記載の無水コハク酸によるフェノール官能化によって達成された官能化樹脂合成生成物に関する代表的なGPCトレースを示す。

[0065]図42は、実施例1.7に記載のクロロシランを用いるフェノール官能化によって製造されたエンドキャップシラン含有樹脂に関する代表的な29Si−NMRトレースを示す。


[0066]図43は、実施例1.8に記載のイソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合によって合成された懸垂シラン含有樹脂に関する代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0067]図44は、実施例1.8に記載のイソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合によって合成された懸垂シラン含有樹脂に関する代表的なDSCトレースを示す。

[0068]図45は、実施例1.8に記載のイソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合によって合成された懸垂シラン含有樹脂に関する代表的な29Si−NMRトレースを示す。


[0069]図46は、実施例1.8に記載のイソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合によって合成された懸垂シラン含有樹脂に関する代表的なIRトレースを示す。

[0070]図47は、実施例1.9に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂最終生成物の得られた代表的なTGAトレースを示す。

[0071]図48は、実施例1.9に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂最終生成物の得られた代表的なDSCトレースを示す。

[0072]図49は、実施例1.9に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂最終生成物の得られた代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0073]図50は、実施例1.9に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂最終生成物の得られた代表的なGPCトレースを示す。

[0074]図51は、実施例1.10に記載のグリシドキシシランを用いる酸官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の得られた代表的なGPCトレースを示す。

[0075]図52は、実施例1.10に記載のグリシドキシシランを用いる酸官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の得られた代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0076]図53は、実施例1.10に記載のグリシドキシシランを用いる酸官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の得られた代表的なTGAトレースを示す。

[0077]図54は、実施例1.11に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的なDSCトレースを示す。

[0078]図55は、実施例1.11に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的なGPCトレースを示す。

[0079]図56は、実施例1.11に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的な1H−NMRトレースを示す。


[0080]図57は、実施例1.11に記載のグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的なTGAトレースを示す。

[0081]図58は、実施例1.12に記載の無水フタル酸及びグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的な1H−NMRトレースを示す。


図59は、実施例1.12に記載の無水フタル酸及びグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によって得られたエンドキャップシラン含有樹脂の代表的なGPCトレースを示す。


[0082]図60は、実施例3において試験した試料のそれぞれに関するレジリエンスvsショアA硬度のグラフを示す。




[0083]以下の詳細な記載は、本発明の幾つかの態様、特徴、及び形態の詳細のより完全な理解を読み手に与えるものであり、発明の範囲を限定すると解釈すべきではないと理解すべきである。


定義: [0084]本発明をより容易に理解することができるように、本明細書全体にわたって用いられる幾つかの用語を下記に定義する。更なる定義が本明細書全体にわたって示される。


[0085]本出願において明確に定義されていないそれぞれの用語は、当業者に通常的に認められている意味を有すると理解すべきである。用語の解釈がそれをその文脈の中で無意味なものにするか、又は実質的に無意味なものにする場合には、その用語の定義は標準的な辞書からとるべきである。


[0086]本明細書に規定する種々の範囲における数値の使用は、他に明確に示していない限りにおいて、示されている範囲内の最小値及び最大値が、いずれも「約」の語がその前にあるように概算値とみなされる。この文脈において、「約」の語は、示されている値±示されている値の1%、2%、3%、4%、又は5%以下の偏差を包含すると意図される。このように、示されている範囲の上下の僅かな変動値を用いて、その範囲内の値と実質的に同じ結果を達成することができる。更に、これらの範囲の開示は、最小値と最大値との間の全ての値を含む連続的な範囲として意図される。


[0087]他に示していない限りにおいて、固形分%又は重量%は、特定の配合物、エマルジョン、又は溶液の全重量に対して示される。 [0088]他に示していない限りにおいて、用語「ポリマー」及び「樹脂」は同じものを意味し、骨格に沿って同じ繰り返し単位を有するホモポリマー、及び骨格に沿って2種類以上の異なる繰り返し単位を有するコポリマーの両方を包含する。かかるポリマー又は樹脂としては、重縮合、カチオン重合、アニオン重合、チーグラー・ナッタ重合、可逆的付加−開裂連鎖移動(RAFT)重合、又はフリーラジカル重合のいずれかによって製造される物質が挙げられる。


[0089]本明細書において用いる「含む」の用語(及びその文法的変形体)は、「有する」又は「包含する」の包含的な意味で用いられ、「のみから構成される」の排他的な意味では用いられない。


[0090]本明細書において用いる「a」及び「the」の用語は、1以上の構成要素、即ち複数及び単数)を包含すると理解される。 [0091]示される「phr」は、重量基準でゴム100部あたりの部数を意味し、本明細書においてはブレンド処方に関してゴム産業において通常示される量を意味する。この文脈において個々の物質の重量部の投与量は、常に、ブレンド中に存在する全てのゴムの全重量の100重量部を基準とする。上述の樹脂は、本発明の文脈におけるゴムであるとはみなされない。


[0092]「熱可塑性ポリマー」とは、個々のポリマー巨大分子の間に共有架橋部位を有さず、特定の温度より高い温度において液体になるか、柔軟になるか、又は成形可能になり、冷却によって固体状態に戻るポリマーを指す。多くの場合において、熱可塑性ポリマーはまた、適当な有機溶媒媒体中に可溶でもある。


[0093]他に示していない限りにおいて、「モル%」の用語は、ポリマー中の繰り返し単位に関して用いる場合には、重合プロセスにおいて用いられるエチレン性不飽和重合性モノマーの分子量を基準とする繰り返し単位のみかけの(理論的な)量、或いは好適な分析技術及び装置を用いて求められる得られるポリマー中の繰り返し単位の実際の量のいずれかを指す。


[0094]本明細書において用いる「加硫」という用語は、ポリマーのような化学組成物、例えばエラストマー及び/又は熱可塑性ポリマー組成物を、高温におけるイオウ又は他の同様の硬化剤、活性化剤、及び/又は促進剤の添加などの化学プロセス(例えば、WO−2007/0033720、WO−2008/083242、及びPCT/EP2004/052743を参照)にかけることを意味する。硬化剤及び促進剤は、個々のポリマー鎖の間に架橋又は化学的橋架を形成するように働く。硬化剤は、イオウ加硫剤及び加硫促進剤を総称する。好適なイオウ加硫剤としては、例えば、元素状イオウ(遊離イオウ)、又は約140℃〜約190℃の温度における加硫のためにイオウを利用することができるようにするイオウ供与加硫剤が挙げられる。イオウ供与加硫剤の好適な例としては、アミノジスルフィド、ポリマーポリスルフィド、及びイオウオレフィン付加体が挙げられる。加硫することができる本明細書に記載するポリマー組成物には、幾つかの態様においては1種類以上の加硫促進剤も含ませることができる。加硫促進剤は、加硫のために必要な時間及び/又は温度を制御して、加硫物の特性に影響を与える。加硫促進剤としては、一次促進剤及び二次促進剤が挙げられる。好適な促進剤としては、例えば、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、亜鉛ジチオカルバメート、アルキルフェノールジスルフィド、亜鉛ブチルキサンテート、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、亜鉛−2−メルカプトトルイミダゾール、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−β−ヒドロキシエチルピペラジン)、及びジチオビス(ジベンジルアミン)が挙げられる。他の加硫促進剤としては、例えばチウラム及び/又はモルホリン誘導体が挙げられる。更に、加硫化合物には、幾つかの態様においては、例えばケイ素原子上に解離基として少なくとも1つのアルコキシ、シクロアルコキシ、又はフェノキシ基を有し、他の官能基として、場合によって分裂後にポリマーの二重結合と化学反応を起こすことができる基を有する二官能性有機シランのような1種類以上のシランカップリング剤が挙げられる。後者の群は、例えば次の化学基:SCN、−SH、−NH2、又は−Sx−(式中xは2〜8である)を構成し得る。而して、加硫物、即ち加硫される混合物は、幾つかの態様においては、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、又は2〜8個のイオウ原子を有する3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、例えば3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、対応するジスルフィド(TESPD)、或いは下記に更に詳細に記載するように、種々のスルフィドの異なる含量を有する1〜8個のイオウ原子を有する複数のスルフィドの混合物のような代表的なシランカップリング剤の種々の組合せを含む。


[0095]「重量平均分子量(Mw)」は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて求められる。ここで報告される値は、ポリスチレン相当重量として報告される。 [0096]「Mn」という用語は、本明細書において用いる場合には、数平均分子量(g/モル)、即ち試料中の全ポリマー鎖の統計平均分子量、又はポリマー試料中の全分子の総重量を存在する分子の総数で割った値を意味する。


[0097]「Mz」という用語は、本明細書において用いる場合には、z平均分子量(g/モル)であり、通常は沈降平衡(超遠心分離)及び光散乱によって求められる。本発明においては、Mzは、下記に記載する方法にしたがうゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって求められる。Mzは、ポリマー分子がその分子寸法にしたがって分布されるようになるポリマーの熱学的平衡位置である。この値は、幾つかの場合においては熱可塑性樹脂中の高分子量テイルの指標として用いられる。


[0098]「ガラス転移温度(Tg)」は、二次転移であり、アモルファス材料が、硬質、剛性、又は「ガラス様」の固体状態から、より柔軟、しなやか、又は「ゴム様」の粘性状態へ可逆的に変化する温度範囲であり、摂氏温度又は華氏温度で測定される。Tgは融点と同じではない。Tgは、実施例2において下記に開示するように示差走査熱量測定(DSC)を用いて求めることができる。


[0099]「エンドキャップ」及び「末端キャップ」という用語は、本明細書においては、ポリマーの端部又は末端に配置されるシラン基を有するポリマーの末端又は端部を指すように互換的に用いられる。式Iのシラン分子を樹脂ポリマーの端部又は末端に配置して、エンドキャップ又は末端キャップ樹脂ポリマーを生成させることができる。


[0100]「懸垂」という用語は、本明細書においては、式Iのシラン分子をポリマーの非末端部分中、即ち、ポリマーの端部ではなく骨格上の位置にグラフト、又は付加、或いは共重合して、多重誘導体化したポリマー樹脂を生成させることができることを示すように用いられる。シラン官能化部分を付加するポリマー鎖単位がポリマー骨格のいずれかの端部からの内部の位置を占めている場合には、式Iのシラン官能化部分はポリマーの懸垂位置に付加され、これに対して、エンドキャップ又は末端部シラン部分は、ポリマー(樹脂)のいずれかの端部において最終的な鎖単位に付加される。記載する方法によるシラン官能化のために好適なポリマーのタイプとしては、ピュアモノマー熱可塑性樹脂(PMR),C5熱可塑性樹脂、C5/C9熱可塑性樹脂、C9熱可塑性樹脂、テルペン熱可塑性樹脂、インデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ピュアモノマー(PMR)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5/C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、テルペン熱可塑性樹脂、変性インデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。


樹脂のシラン官能化: [0101]種々の付加物を含むシラン分子を含むように官能化されている樹脂を開示する。本明細書に開示する官能化樹脂は異なる構造を有し、数多くの方法論、アプローチ、及び戦略を用いて製造又は合成することができる。例えば、本明細書に開示する官能化樹脂への幾つかの可能な合成ルートを、図1A〜図1Mに概略的に示す。即ち、図1A〜図1Mは、本明細書に開示するシラン含有樹脂を導く合成戦略の幾つかの代表的な態様の概略的な説明を与える。


[0102]その非限定的な例として、アセトキシスチレンとの共重合による連鎖内懸垂官能基又は官能性モノマーのいずれかを有するフェノール含有樹脂を用いて、シラン官能化のための出発材料を与えることができる。出発材料として用いられる樹脂としては、例えば公知のスチレン系樹脂又はポリ(α−メチル)スチレン(AMS)樹脂の任意の1つ又はそれ以上を挙げることができる。出発材料として用いられ、本明細書に開示する態様にしたがって官能化される他の樹脂としては、完全水素化樹脂、部分水素化樹脂、及び水素化されていない樹脂などの当業者に公知の任意のものが挙げられる。例えば、当該技術において公知で、シラン官能化樹脂を製造する本発明方法のための出発材料として有用な好適な樹脂としては、ピュアモノマー熱可塑性樹脂(PMR)、C5熱可塑性樹脂、C5/C9熱可塑性樹脂、C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ピュアモノマー(PMR)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5/C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、テルペン熱可塑性樹脂、及びインデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。


[0103]本発明のシラン官能化樹脂を得るために用いることができる一般的な合成戦略の更なる非限定的な例として、フェノール末端基を有するエンドキャップ樹脂をこれらの同じ合成反応において用いて、1つ又は複数の末端官能化基を有する樹脂を導くことができる。他の代表的な態様として、Williamsonエーテル合成ルートにおいてフェノール基を反応させ、次に図1Cのように混合無水物反応を行ってシラン含有樹脂を得ることができる。フェノール系樹脂と無水物含有シランとの反応もまた好結果であった。他の合成戦略は、内部位置において所望の程度の官能化を与えることができる懸垂官能化樹脂を生成させることである。


[0104]官能化樹脂はブロックコポリマーの形態であってよく、或いは官能化樹脂のシラン基はポリマー全体にランダムに出現させて、樹脂骨格全体にある程度均一に分布させることができる。即ち、本明細書に開示する官能化樹脂の非限定的な例としては、ブロックコポリマー法、及び既に形成された樹脂の官能化によって形成される樹脂が挙げられ、これによって樹脂骨格全体にわたって官能化されたランダムなモノマーを有する樹脂が生成する。更に、本明細書に開示する官能化樹脂は、樹脂モノマーから出発して合成することができ、ここでは、式5に示すように樹脂モノマーをシラン基と反応させて1工程で官能化樹脂を直接形成する。官能化樹脂はまた、下記の式1〜4、実施例1、及び2に開示するもののような完全に形成された樹脂で出発することによって合成することもできる。


[0105]本明細書に開示するシラン官能化樹脂は、次の式I: 樹脂−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]q (I) (式中、Zは、場合によってヘテロ原子を含む芳香族基又は脂肪族基であり; Xは、イオウ、酸素、窒素、カルボニル基、又はこれらの組合せから選択されるヘテロ原子を含むリンカーであり; R1は、1種類以上の脂肪族及び/又は芳香族C1〜C18、及び/又はヘテロ原子を含む連結基を含み; それぞれのR2は、同一か又は異なり、独立してC1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アリール、又はH、或いはOHから選択され、場合によっては分岐しており、少なくとも1つのR2は、C1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、又はH、或いはOHであり; qは、少なくとも1の整数であり; kは、0又は1の整数であり; nは、1〜10の整数であり; mは、0〜10の整数であり;そして pは、1、2、又は3である) の一般的な化学構造を有し、式中、「樹脂」は例えば図1A〜1E及び図1G〜1Mに示すような樹脂の骨格を表す。


[0106]通常は、ヘテロ原子R1とシラン基Si(R2)pの間の炭素鎖リンカーはメチレン基であるが、より短いか又はより長い炭素鎖リンカーを用いることもできる。ウレタン結合は、フェノール又はヒドロキシル基含有樹脂とシランベースのイソシアネート(トリエトキシシリルプロピルイソシアネート)とを反応させて、式:樹脂−OCONH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3を有する官能化樹脂を生成させることによって形成される。フェノール又はヒドロキシルベースの樹脂を、無水物シラン、例えば3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物と反応させることにより、エステル結合が形成されて、式:樹脂−O−CO−CH(CH2COOH)((CH2)3−Si(OCH2CH3)3)を有する官能化樹脂が形成される。樹脂へのエステル結合はまた、エステル化又はトランスエステル化によって得ることもできる。骨格への酸素によるエーテル結合は、アルキルハロゲン化物官能化シラン、例えばCl−(CH2)3Si(OCH2CH3)3を用いて樹脂−OHのWilliamsonエーテル合成によって直接誘導して、樹脂−O−(CH2)3Si(OCH2CH3)3を形成することができる。クロロ酢酸ナトリウムのような他の試薬を用いる場合には、シラン官能化樹脂を得るために、Williamsonエーテル合成の後に、例えば樹脂−O−CH2COOHをエチルクロロホルメート及び3−(アミノプロピル)トリエトキシシランと反応させることによって後変性して、樹脂−O−CH2CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3を形成することが必要である。任意のロジン酸−樹脂コポリマー又は任意の樹脂−COOHを、エチルクロロホルメート及び3−(アミノプロピル)トリエトキシシランによって官能化して、樹脂−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3を形成することができる。例えば、樹脂−COOHは、ルイス酸触媒を用いて無水コハク酸をスチレン又はα−メチルスチレン上にグラフトして樹脂−CO−(CH2)2−COOHを形成することによって得ることができる。更なる官能化によって、樹脂−CO−(CH2)2−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3が得られる。不飽和を含む樹脂上に無水マレイン酸をグラフトし、トリエトキシシリルプロピルアミンによって無水物を開環することによって、樹脂−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3を得ることができる。


[0107]コポリマーには任意の数の他のコモノマーを含ませることができるが、殆どの場合にはスチレン又はα−メチルスチレンの樹脂のいずれか、或いはこれらの混合物を含ませることができる。これは、樹脂がスチレン及び/又はα−メチルスチレン、或いはこれらの混合物を含む好ましい態様である。樹脂へのフェノールの付加は、パラ、オルト、及びメタなどのような環上の任意の位置であってよい。


[0108]通常の態様においては、Zは芳香族基、より通常的には6員の芳香族基である。他の通常の態様においては、Zは飽和又は不飽和の脂環式基である。更に、変化可能なZは、図1Fにおいて示される式において開示されているように1以上のヘテロ原子を含んでいてよい。ヘテロ原子は、酸素、イオウ、及び/又は窒素の1以上であってよい。


[0109]更に他の通常の態様においては、Xは酸素又はカルボニルである。更なる態様においては、Xはイオウであってよい。特定の態様においては、ビニル芳香族モノマーは、スチレン又はα−メチルスチレン、或いはこれらの混合物であってよい。他の特定の態様においては、ヘテロ原子含有連結基Xは、パラ、メタ、又はオルト付加のフェノール、ヒドロキシル、アミン、イミダゾール、アミド、カルボン酸、イソシアネート、ウレタン、尿素、ケトン、無水物、エステル、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホンアミド、スルホニウム、アンモニウム、マレイミド、又はシラン基に共有結合しているピリジニウムリンカー、及び/又はカーボネートエステルを含む。更に他の特定の態様においては、XnR1−(CH2)mは、ウレタン、エステル、エーテル、ケトン、アミド、及びプロピルを含む1以上の基を含む。


[0110]通常は、それぞれのR2は、同一か又は異なり、独立して、C1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、アルキル、アリール、又はH、或いはOHから選択され、場合によっては分岐しており、少なくとも1つのR2は、C1〜C18アルコキシ、アリールオキシ、又はH、或いはOHである。


[0111]本明細書に開示する樹脂上にグラフトされるシラン含有基は、ポリマー樹脂単位の末端に配置、即ちエンドキャップすることができ、或いはポリマー骨格に沿って、即ちポリマー樹脂内の懸垂位置においてランダムに分布させることができ、或いはこれらの組合せ、即ちエンドキャップ及び懸垂の両方であってよい。エンドキャップ官能化樹脂の態様においては、官能化樹脂上にグラフトされるシラン含有基の量は、0.001〜100モル%、より通常的には0.1〜50モル%、最も通常的には0.1〜30モル%、0.1〜25モル%、0.1〜20モル%、0.1〜15モル%、0.1〜10モル%、又は0.1〜9モル%である。一態様においては、樹脂上にグラフトされるシラン含有基の量は、0.01〜30モル%である。


[0112]他の態様においては、式Iのシラン含有基は、ポリマー内の1以上の懸垂位置に配置される。かかる態様においては、樹脂上にグラフトされるシラン含有基の量は、約0.0001〜約100モル%、約0.1〜約30モル%、約0.1〜約50モル%、又は約0.1〜約100モル%である。


[0113]他の非限定的な態様においては、1つより多いシラン官能基、即ち−R1−(CH2)m−Si(R2)pを、同じリンカー基X又はR1に付加する。同じリンカー基上のシラン基は、同じであっても異なっていてもよい。更に、本明細書に開示する官能化樹脂は、複数の分岐点を含み、1以上のシラン官能化も含んでいてよいR1及びX基を包含する(例えば、下記の実施例1.3の式3を参照)。


[0114]特に、樹脂は、200〜200,000g/モル、より通常的には200〜175,000g/モル、より通常的には200〜150,000g/モル、200〜125,000g/モル、200〜100,000g/モル、200〜75,000g/モル、及び最も通常的には200〜50,000g/モルの分子量(Mw)を有し得る。他の通常的な態様においては、樹脂は、400g/モル〜200,000g/モル、より通常的には400〜175,000g/モル、より通常的には400〜150,000g/モル、400〜125,000g/モル、400〜100,000g/モル、400〜75,000g/モル、最も通常的には400〜50,000g/モルの分子量を有する。更に他の通常的な態様においては、樹脂は400〜25,000g/モルの分子量を有する。


[0115]他の態様においては、樹脂は、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、又は1〜2の任意の多分散指数(PDI)を有し得る。他の通常的な態様においては、樹脂は任意の分子量又はPDIを有し得るが、150〜160℃においてゴム配合物と混合するのに十分に低いTgを有していなければならず、この温度において種々のゴム又はゴムと他の添加剤の混合物と混合しなければならない。


[0116]一態様においては、樹脂は、200℃より低いガラス転移温度Tgを有する。他の態様においては、Tgは、190℃より低く、180℃より低く、170℃より低く、160℃より低く、150℃より低く、140℃より低く、130℃より低く、120℃より低く、110℃より低く、100℃より低く、90℃より低く、80℃より低く、70℃より低く、60℃より低く、50℃より低く、40℃より低く、30℃より低く、20℃より低く、10℃より低く、0℃より低く、−5℃より低く、−10℃より低く、−15℃より低く、−20℃より低く、−25℃より低く、又は−30℃より低い。より特に、一態様においては、Tgは−10℃以上である。他の態様においては、Tgは70℃以下である。


[0117]他の態様においては、樹脂は1以上の末端官能基−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]qを含む。更に、樹脂は、通常は、ランダム、セグメント化、又はブロック構造で樹脂の骨格に懸垂して結合している1つ又は複数(q)の基Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)pで官能化される。他の態様においては、側鎖がエンドキャップされる。更に他の態様においては、側鎖はエンドキャップと懸垂の混合である。


[0118]特に、官能化樹脂は、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後にSi−O−Si連結を介してシリカ粒子に結合する。また特には、官能化樹脂分子は、少なくとも1つの−R2基の加水分解の後に、Si−O−Si連結を介して第2の官能化樹脂分子に連結する。更に、Si基が1つ、2つ、又は3つのR2基によってそれ自体に共有結合している橋架側鎖を形成することができる。


[0119]通常の態様においては、R1は、−O−CO−NH−R3−(CH2)2−、−O−CO−R3−(CH2)2−、−O−CH2−R3−(CH2)2−、−CO−R3−(CH2)2−、−CO−NH−R3−(CH2)2−、又はこれらの混合物であり、R3は、場合によっては分岐しており及び/又は場合によっては1以上のヘテロ原子を含む脂肪族又は芳香族C1〜C8炭素鎖である。好ましくは、R3は脂肪族又は芳香族C1〜C8炭素鎖である。


[0120]一般式Iにおいて、nは、1〜10、1〜9、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、又は1〜2の整数であってよい。更に、変数mは、0〜10、1〜10、2〜10、3〜10、4〜10、5〜10、6〜10、7〜10、8〜10、又は9〜10の任意の整数であってよい。変数n及びmは、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、又は9〜10のようなこれらの間の整数の任意の範囲或いはこれらの中の任意の他の範囲によって分けることができる。特に、mは0〜3、1〜3、又は2〜3であってよい。


[0121]式Iは幾つかの好ましい態様を包含する。例として、官能化樹脂の小数の非限定的な例は、次の構造: 樹脂−[Zk−CH2−Si(R2)p]q; 樹脂−[Zk−O−CO−R−(CH2)2−CH2−Si(R2)p]q; 樹脂−[Zk−O−CH2−R−(CH2)2−CH2−Si(R2)p]q; 樹脂−[Zk−CO−(CH2)2−CH2−Si(R2)p]q; 樹脂−[Zk−CO−NH−R−(CH2)2−CH2−Si(R2)p]q; (式中、Zは芳香族又は脂肪族含有基であり、シラン付加の数である「q」は、少なくとも1の任意の整数であってよいが、通常は1〜20、1〜19、1〜18、1〜17、1〜16、1〜15、1〜14、1〜13、1〜12、1〜11、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、又は1〜2であり、シラン官能基は末端に付加されているか、又は樹脂鎖に懸垂している) 又はこれらの混合物を含む。これらの態様において、kは0又は1の整数であってよい。


[0122]官能化樹脂の他の非限定的な態様としては、例えば、次の構造 樹脂−[Zk−O−CH2CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; 樹脂−[Zk−O−CO−CH(CH2COOH)−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; 樹脂−[Zk−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; 樹脂−[Zk−CO−(CH2)2−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; 樹脂−[Zk−O−CO−NH−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; 樹脂−[Zk−O−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3]q; (式中、Zは、脂肪族又は芳香族基、例えばスチレン又はベンゼン環構造を含むか、或いは長鎖C1〜C18脂肪族鎖を含む基であり、樹脂鎖の末端に付加されるか又はそれに懸垂されるか、或いはそれらの混合物であるシラン付加の数である「q」は、任意の数であってよいが、通常は1〜20、1〜19、1〜18、1〜17、1〜16、1〜15、1〜14、1〜13、1〜12、1〜11、1〜10、1〜9、1〜8、1〜7、1〜6、1〜5、1〜4、1〜3、又は1〜2であってよい。これらの態様において、kは0又は1の整数であってよい。


[0123]本発明のシラン官能化樹脂の更なる好ましい非限定的な代表的態様は、次の一般的な構造: 樹脂−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]q; 樹脂−Zk−SO2NH−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−Zk−SONH−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−Zk−S−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−Zk−SO−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−Zk−SO2−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−(Zk(COO−R−(CH2)2−Si(OCH2CH3)3))q−樹脂; 樹脂−[Zk(COO(CH2)2OCOC(COCH3)N(CH2)3Si(OCH3)3)]q−樹脂; 樹脂−Zk−SO2NH−(CH2)2−CH2−Si(OCH2CH3)3; 樹脂−Zk−Ph−O−Si(OCH2CH3)3; を有する。


[0124]Si(R2)pとSi(OH)n(式中、nは、1以上のシランR2基に関して1〜3の整数である)の加水分解又は置換によるゾルゲル化学的方法から生成する更なる代表的なシラン構造を得ることができ、それによって更なるシラン官能化樹脂を与えることができる。加水分解の後、任意の2つのSi(OH)n基の縮合を行って、樹脂と樹脂、樹脂と他の市販のシラン、樹脂と官能化ゴムグレード品、又は樹脂とフィラーを連結するSi−O−Si構造を形成することができる。−Si(R2)p上のR2基は、例えば、他の同様の樹脂へのヘテロ原子含有又は炭素鎖リンカー、他のタイプのシラン官能化樹脂へのリンカー、更なる小分子シラン(又はシランポリスルフィド、例えばビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(例えば、Evonik Industries AG, Essen,ドイツのSi69(登録商標))、又はビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド(例えば、Evonik Industries AG, Essen,ドイツのSi266(登録商標))を用いることができる)へのリンカー、フィラー粒子への連結部、又は官能化ゴムグレード品への連結部として選択することができる。これらの非限定的な代表的構造としては、Si−O−Si結合が挙げられる。任意の公知の縮合した樹脂−樹脂の組合せが可能であり、即ち、2つの異なるシラン含有基の間の連鎖間結合形成、及び/又は同じシラン含有基内、樹脂−他のシラン、樹脂−官能化ゴムグレード品、又は樹脂−フィラー構造体の連鎖内結合形成が可能であり、それによりSi(OH)が縮合してSi−O−Siになって2つのSi含有基を接続する。他の態様においては、官能化樹脂には、例えばZ基として芳香族基(Ar)を含ませて、樹脂−Ar−O−R1−(CH2)m−Si(R2)p又は樹脂−Ar−CO−R1−(CH2)m−Si(R2)pの構造を与えることができる。


[0125]他の非限定的な態様においては、Xは酸素原子であり、フェノール基は、連鎖停止剤としてフェノールを用いる樹脂合成、又はアセトキシスチレンコモノマーを用いてヒドロキシスチレン含有樹脂を誘導することによってもたらされる。カルボニル(C=O)基付加は、例えば、無水コハク酸又は他の無水物、及び塩化アルミニウムのようなルイス酸触媒を用いてスチレン又はα−メチルスチレン上へグラフトされた基からもたらされ得る。Xがカルボニル(C=O)である代表的な態様は、幾つかの可能な方法、例えば無水マレイン酸を不飽和C5又はC5共重合樹脂の骨格上にグラフトすることによって得ることができる。


シラン官能化樹脂を含む組成物: [0126]上記に記載の官能化樹脂は、数多くの用途に関して種々の化学組成物中に導入することができる。化学組成物は、例えば溶剤性、水性、エマルジョン、100%固体、又はホットメルト組成物/接着剤である。例えば、アルコキシシラン低分子量ポリマー(MW<30000)を他のポリマーとブレンドすることができる。より具体的には、一態様において、エチレン−酢酸ビニル(EVA)又はポリ(エチレン−ビニル)アセテート(PEVA)化合物、種々のポリオレフィン及びα−ポリオレフィン、リアクターレディポリオレフィン、熱可塑性ポリオレフィン、エラストマー(例えばスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、及び天然ゴム)、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、アクリル樹脂、及びアクリレートのような種々の熱可塑性ポリマー及びエラストマーを、本発明の官能化樹脂とブレンドすることができる。下記において、本発明の官能化樹脂をどのように種々の生成物中に導入して、従来得られなかった有益及び有用な特性をこれらの生成物に与えることができるかの幾つかの非限定的な例を与える。


[0127]一態様においては、官能化樹脂は、通常の低分子量ポリマーを用いるのと同じ方法で用いられる添加剤として用いることができるアルコキシシラン低分子量ポリマーとブレンドする。本明細書に開示する官能化樹脂をアルコキシシラン低分子量ポリマーを有する組成物中に存在させると、加工性が向上し(より高いメルトフローレート、より低い粘度)、接着が促進される。アルコキシシラン低分子量ポリマーは、処理後に更に反応させて、それによってかかるブレンド樹脂を導入した最終物品の耐熱性及び化学耐性に関する性能を向上させる架橋ポリマーを得る。変性するポリマーがアルコキシシラン官能基を有する場合には、それ自体を架橋することに加えて低分子量ポリマーを変性するポリマーにグラフトすることができる。加えて、更に反応する能力は、アルコキシシランが種々のフィラー上の表面基に化学結合する充填系(粒子、繊維等)において有益である。


[0128]他の態様においては、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(例えば、Kraton(登録商標)G1650、Kraton Polymers U.S. LLC, Houston, TX,米国)を、アルコキシシランの加水分解及び架橋の活性化温度よりも低い温度で、約20重量%のアルコキシシラン官能化ポリスチレンとブレンドし/それによって処理する。ブレンドには、場合によって、例えば熱可塑性ポリマー、オイル、及びフィラーのような他の添加剤を含ませることができる。物品(フィルム、繊維、プロファイル材、ガスケット、PSAテープ、成形ハンドル、シーラント等)に加工した後、物品を、アルコキシシランの加水分解及びその後の反応を誘発するのに十分な温度に曝露する。フィルム、繊維プロファイル、及びガスケットのような熱可塑性エラストマー用途に関しては、高温圧縮永久歪み及び化学耐性における向上がある。テープ用途に関しては、同じ方法で化学的架橋を引き起こして、剪断抵抗、剪断接着破壊温度、及び化学耐性の上昇を与えることができる。


[0129]他の態様においては、本発明のシラン官能化樹脂を有しない物品と比べて、積層構造体の剥離接着試験における向上した値によって向上した接着強度及び凝集強度を示し、体温における経時変化後の向上した剥離接着性、時間経過と共に減少する弾性ストランドのクリープ、及び最終衛生用品における向上したコア安定性を示す、本発明のシラン官能化樹脂を含む接着剤を含む使い捨て衛生用品が開示される。かかる物品は、特に体液のような流体に対する曝露に関して向上した化学耐性及びバリヤ特性を有する。


[0130]本ポリマー組成物は、場合によって、2〜約12個の炭素原子又は2〜約8個の炭素原子を有するα−モノオレフィンから誘導されるアモルファス又は結晶質のホモポリマー又は2種類以上の異なるモノマーのコポリマーを含むポリオレフィンを更に含む。好適なオレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、2−メチル−i−プロペン、3−メチル−i−ペンテン、4−メチル−i−ペンテン、5−メチル−i−ヘキセン、及びこれらの組合せが挙げられる。更なる好適なポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチック又はシンジオタクチック)、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブテン、及びオレフィン系ブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオレフィンコポリマーはまた、より多い重量部の1種類以上のオレフィンモノマー、及びより少ない量の1種類以上の非オレフィンモノマー、例えばビニルモノマー、例えば酢酸ビニル、又はジエンモノマー、EPDMなども含む。一般に、ポリオレフィンコポリマーは、約30重量%未満の非オレフィンモノマー、20重量%未満、又は約10重量%未満の非オレフィンモノマーを含む。ポリオレフィンポリマー及びコポリマーは、Chevron、Dow Chemical、DuPont、Exxon Mobil、REXtac, LLC、Ticona、及びWestlake Polymerなど(しかしながらこれらに限定されない)の供給源から種々の名称で商業的に入手できる。


[0131]接着剤、熱可塑性エラストマー(TPE)化合物、成形化合物、マスチック材等のようなエラストマー化合物を変性するのに用いられる現在商業的に入手できる熱可塑性樹脂の低分子量成分をマイグレーション及び気化することによって、時間経過に伴う不愉快な臭気、揮発性物質、曇り、製品の欠陥、減少した製品凝集強度、減少した接着性、及び性能の低下が除去される。


[0132]本明細書に記載するシラン官能化又は変性樹脂を導入したTPE組成物は、幾つかの態様においては、当業者によく理解されているような種々の物品に成形する。例えば、TPE組成物を、プレス、圧縮成形、射出成形、カレンダリング、熱成形、ブロー成形、又は押出して最終物品及びその複数の態様にすることなどによって再加工する。TPE組成物を再加工する際には、種々の形状及び寸法の所望の物品に更に成形するのを容易にするために、組成物を、一般に、少なくともTPE組成物の熱可塑性成分の軟化温度又は融点に加熱する。TPE組成物の最終ユーザーは、本明細書全体にわたって記載される加工の有利性によって利益を享受するであろう。


[0133]当該技術において公知の任意のポリマーを本明細書に記載するシラン官能化樹脂と混合して、本明細書に記載する接着剤のような種々の最終製品において有用な組成物を生成させることができる。例えば、一態様においては、TPEとしては、スチレンブロックコポリマー(TPE−S)、メタロセン触媒ポリオレフィンポリマー及びエラストマー、及びリアクターメイド熱可塑性ポリオレフィンエラストマーのようなブロックコポリマー熱可塑性/エラストマーブレンド及びアロイが挙げられるが、これらに限定されない。ブロックコポリマーとしては、スチレンブロックコポリマー、オレフィンブロックコポリマー、コポリエステルブロックコポリマー、ポリウレタンブロックコポリマー、及びポリアミドブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。熱可塑性/エラストマーブレンド及びアロイとしては、熱可塑性ポリオレフィン及び熱可塑性加硫物が挙げられるが、これらに限定されない。2相TPEは、幾つかの態様においては、本明細書に記載するこれらの最終用途において本発明の変性熱可塑性樹脂と組み合わせる。TPE−Sコポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)が挙げられるが、これらに限定されない。


[0134]即ち、本発明の変性シラン樹脂は、幾つかの態様においては、熱可塑性エラストマー(TPE)組成物の特性を変性するために用いる。したがって、幾つかの態様は、少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー及び少なくとも1種類の変性シラン樹脂を含むTPE組成物を包含する。TPEの初期のバージョンは熱硬化性ゴムであり、これもかかる組成物において用いることができる。TPEは、種々の産業において、硬質熱可塑性樹脂の特性を変化させて衝撃強さの向上を与えるために種々の産業において広く用いられていることが公知である。これは、シート商品及び一般的な成形TPEに非常に通常的なものである。而して、本明細書に記載する変性シラン樹脂をこれらの組成物に加えると、これらの組成物及びそれらの標準的な最終用途に更なる優れた特性が与えられる。


[0135]本発明のシラン官能化樹脂を含むTPE組成物は、当該技術において公知の任意のTPEを含む。一態様においては、TPEとしては、ブロックコポリマー、熱可塑性/エラストマーブレンド及びそのアロイ、メタロセン触媒ポリオレフィンポリマー及びエラストマー、並びにリアクターメイド熱可塑性ポリオレフィンエラストマーの少なくとも1つ又は組合せが挙げられる。ブロックコポリマーとしては、スチレンブロックコポリマー、コポリエステルブロックコポリマー、ポリウレタンブロックコポリマー、及びポリアミドブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。かかる組成物において有用な熱可塑性/エラストマーブレンド及びアロイとしては、熱可塑性ポリオレフィン及び熱可塑性加硫物が挙げられるが、これらに限定されない。


[0136]ブロックコポリマー及び熱可塑性/エラストマーブレンド及びアロイのような種々の公知のTPEのタイプが、2相系として公知である。かかる系においては、硬質熱可塑性相を軟質エラストマー相と機械的又は化学的に結合させて、2つの相の組み合わさった特性を有するTPEを生成させる。


[0137]スチレンブロックコポリマー(TPE−S)は、硬質及び軟質セグメントを有する2相ブロックコポリマーをベースとする。代表的なスチレンブロックコポリマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−エチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)が挙げられるが、これらに限定されない。スチレン−ブタジエン−スチレンは、履物、接着剤、瀝青改質物、及び低スペックのシール及びグリップにおいて用いるための組成物中に通常的に導入されることが公知であり、ここでは化学物質及び経時変化に対する抵抗性は最終用途の焦点ではない。Teknor Apex Company (Pawtucket, RI,米国)からの製品であるMonoprene(登録商標)、Tekron(登録商標)、及びElexar(登録商標)は、水素化スチレンブロックコポリマーである完全配合TPE−S化合物の例である。スチレン−[エチレン−(エチレン/プロピレン))]−スチレン(SEEPS)ブロックコポリマーは、Kuraray Co., Ltd.,東京,日本から入手できる。スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーは、Kraton Performance Polymersから商業的に入手できる。


[0138]表1は、かかる特性が有利であると考えられる種々の用途においてシラン官能化樹脂を導入することによって予測される性能の向上を示す。表1における大文字の「X」は、本明細書に開示するシラン官能化樹脂を示されている組成物中に導入することによって達成することができると考えられる、それぞれの用途において望ましい特性を示す。






[0139]記載されるシラン官能化樹脂を用いる熱可塑性エラストマーに関するポリマー変性用途としては、ルーフィング用途(特に改質瀝青ルーフィングにおける瀝青改質剤)、防水膜/化合物、下地材、ケーブル注入/充填化合物、コーキング剤及びシーラント、ポリマー化合物/ブレンド、フィルム、例えば食品包装用ラップ、TPEフィルムなど、成形物品、ゴム添加剤/加工助剤、カーペット裏地、例えば高性能プリコート、熱可塑性化合物など、ワイヤー及びケーブル、動力工具及び手工具、ペングリップ、エアバッグカバー、グリップ及びハンドル、シール、及び積層物品、例えばラミネート紙、水活性化テープ、ホットメルトガムテープ、スクリム補強テープなどが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載するシラン官能化樹脂をかかる最終用途の物品中に導入する場合には、シラン官能化樹脂は幾つかの場合においては組成物中の単独の樹脂である。他の態様においては、シラン官能化樹脂は、他の樹脂、エラストマー/ポリマー、及び/又は添加剤と混合する。かかる最終用途の態様においては、上述の組成物は、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、又は60重量%、及び/又は99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、又は65重量%以下の少なくとも1種類のシラン官能化樹脂を含む。


[0140]而して、他の態様は、エチレン酢酸ビニル、エチレン−ブチルアクリレート、半結晶質シングルサイト触媒(メタロセン)ポリオレフィン、アモルファスポリα−オレフィン、例えばチーグラー・ナッタ触媒ポリマー、アクリル樹脂、及びスチレンブロックコポリマーから構成される、包装、製品組立、木工、自動車組立、及び他の用途において用いられる接着剤を包含する。これらの生成物は、剥離接着破壊温度(PAFT)試験、繊維引裂試験、接着構造体に対する剥離試験、剪断接着破壊温度(SAFT)試験、IoPP(包装管理士会)試験T−3006:ホットメルト接着剤の熱ストレス抵抗性、及び剪断保持力によって測定される向上した接着強度及び凝集強度を示すことができる。本発明の官能化樹脂を含むかかる接着剤の態様は、60℃のような昇温温度における繊維引裂又は剥離接着試験によって示される向上した耐熱性を示すことができる。向上した化学耐性は、選択された化学物質に曝露した後の接着強度及び凝集強度の低下の減少によって示すことができる。


[0141]本発明の官能化樹脂を含む組成物は、上記の試験方法:室温及びそれより高い温度におけるPAFT,SAFT,剥離,繊維引裂、及び剪断保持力のいずれかによって示されるように、本発明の官能化樹脂を含まない組成物と比べて、時間経過に伴う、特に熱経時変化の後の接着特性によって示される可塑剤のマイグレーションに対するバリヤとして機能させることができる。同様に、かかる組成物は、上記にリストした接着試験によって示されるように、本発明の官能化樹脂を含まない接着剤と比べて、困難な表面、又は移動性成分(例えばスリップ助剤又は可塑剤)を有する基材に良好に接着する。


[0142]本発明の官能化樹脂を含むインベストメント鋳造ワックス組成物は、組成物のレオロジー(応力−歪み曲線)によって示されるように、部品の安定な製造のための優れたレオロジーを有する。ワックス鋳造組成物の寸法安定性及び型取り中の鋳造組成物の安定性における傑出した性能は、鋳造生成物に関する向上した公差によって示される。


[0143]他の態様においては、官能化樹脂を含む組成物としては、ASTM−F88を用いるシール温度付近又はそれよりも高い温度における剥離接着試験にしたがって優れた耐熱性を示すヒートシール被覆及び接着剤が挙げられる。


[0144]更なる態様においては、本発明の官能化樹脂を含まないシーラントの性能と比べて経時変化後にシールされた窓の減少した曇りを示す、本発明の官能化樹脂を含むシーラント組成物が開示される。


[0145]本発明の官能化樹脂を含むシーラント及びガスケット並びに他のゴムベースの材料の優れた構造安定性は、本発明の官能化樹脂を含まないシーラント及びガスケット並びに他のゴムベースの材料と比べた、圧縮又は伸びの後の寸法安定性の測定結果によって示される。


[0146]振動及び音響の減衰の向上は、シーラント、ガスケット、構造用接着剤、セメント材料、瀝青及びアスファルト接着剤、熱可塑性エラストマー(TPE)化合物、及び感圧接着剤に関してASTM−E756によって測定することができる。


[0147]また、本発明の官能化樹脂を含む瀝青、アスファルト、又は同様の材料を含むマスチック材のような組成物も提供される。かかる組成物は、本発明の官能化樹脂を含まない組成物よりも低い粘度を有して、それにより、接着した石又はセメント試料に対する引張試験によって示されるように、石又はセメントのような成分、フィラー、及び基材を凝集させる優れた接着性を示しながら、より容易な加工が可能になる。かかるマスチック材は、船橋甲板、フローリング、道路建設、及びルーフィングの製造における用途が見出される。


[0148]他の態様においては、本発明の官能化樹脂を含む感圧接着剤(PSA、テープ、ラベル、グラフィック保護フィルム、窓用フィルム)が提供される。 [0149]粘着性エラストマーブレンドをベースとする感圧接着剤(PSA)に関連する1つの問題は、粘着付与剤及び他の種が接着剤組成物又は物品の部品から支持体又は基材中に拡散及びマイグレーションすることである。その結果、支持体又は基材が時間経過と共に着色するようになる可能性があり、構造体が多少の接着力を失う可能性がある。熱可塑性樹脂を含む接着剤、化合物フィルム、又は他の組成物の一部又は全部の成分のこのマイグレーション又は滲みは、保護フィルムなどを除去した際に結合表面上に残渣を残留させる可能性もあり、或いは望ましくない表面の汚染、皮膚刺激等を引き起こす可能性がある。接着剤用途、熱可塑性樹脂を含む化合物、又は多層フィルムにとってより重要なことには、化学成分の結合界面、例えば接着剤−基材又はフィルム−接着剤−不織布への化学成分のマイグレーション又は「滲み」は、結合強度の迅速又はゆっくりとした低下又は消滅、結合又は積層された物品に対する損傷、及び/又は時間経過に伴う接着力の低下を引き起こす可能性がある。


[0150]シラン官能化熱可塑性樹脂を含む上述の組成物は、幾つかの態様においては、少なくとも1種類のポリマー、及び約0〜約75重量%の非変性熱可塑性粘着付与樹脂を更に含む。他の態様においては、接着剤組成物は、シラン官能化樹脂に加えて、少なくとも1種類の熱可塑性エラストマー及び少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性エラストマーは、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、スチレン−[エチレン−(エチレン/プロピレン)]−スチレンブロックコポリマー(SEEPS)、及び/又はスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)など(しかしながらこれらに限定されない)の水素化及び/又は非水素化スチレンブロックコポリマーの1以上であってよい。他の態様においては、本明細書に記載する接着剤組成物は、約50〜約10,000cPの177℃における粘度、及び約60〜約180℃の軟化点を示し、好適な接着剤である。


[0151]本明細書に記載する組成物の態様においては、接着剤組成物に、少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、又は60重量%、及び/又は99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、又は65重量%以下の少なくとも1種類の変性熱可塑性樹脂を含ませることができる。


[0152]種々の態様においては、本組成物は、10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%、及び/又は90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は55重量%以下の少なくとも1種類のポリマー成分を含む。本発明の組成物の代表的なポリマー成分としては、エチレン酢酸ビニルコポリマー、エチレンn−ブチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルアクリレートコポリマー、ポリエステル、ネオプレン、アクリル樹脂、ウレタン、ポリ(アクリレート)、エチレンアクリル酸コポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、スチレンブロックコポリマー、ランダムスチレンコポリマー、水素化スチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンを含むポリエチレン、エチレン−プロピレンポリマー、プロピレン−ヘキセンポリマー、エチレン−ブテンポリマー、エチレンオクテンポリマー、プロピレン−ブテンポリマー、プロピレン−オクテンポリマー、メタロセン触媒ポリプロピレンポリマー、メタロセン触媒ポリエチレンポリマー、エチレン−プロピレン−ブチレンターポリマー、プロピレン、エチレン、及び種々のC4〜C10−α−オレフィンモノマーから製造されるコポリマー、ポリプロピレンポリマー、マレエート化ポリオレフィンのような官能性ポリマー、ブチルゴム、ポリエステルコポリマー、コポリエステルポリマー、イソプレン、エチレン、プロピレン、及び二環式オレフィンから形成されるターポリマー(EPDMとして知られる)、イソプレンベースのブロックコポリマー、ブタジエンベースのブロックコポリマー、エチレンアクリル酸コポリマーのようなアクリレートコポリマー、ブタジエンアクリロニトリルゴム、及び/又はポリ酢酸ビニルが挙げられるが、これらに限定されない。


[0153]本明細書に開示する組成物は、種々の態様においては、最終用途に応じて、ポリマー、粘着付与樹脂、並びにオイル、ワックス、可塑剤、酸化防止剤、及びフィラーなど(しかしながらこれらに限定されない)の他の添加剤を含む。種々の態様においては、組成物は、変性熱可塑性樹脂100部あたり少なくとも約5部、10部、15部、20部、25部、30部、35部、40部、45部、又は50部、及び/又は500部以下、450部以下、400部以下、350部以下、又は300部以下のポリマー、粘着付与樹脂、及び/又は他の添加剤を含む。例えば、一態様においては、本明細書に開示する組成物は、シラン官能化樹脂100部あたり約50〜約300部のエラストマーを含む。


[0154]上述したように、幾つかの態様においては、記載する組成物は特定の最終用途のために特に好適な添加剤を含む。例えば、接着剤が上述したようにホットメルト包装用接着剤として働かせることを意図する場合には、この態様においては、組成物はワックスを更に含む。幾つかの態様においては、接着剤組成物は、少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、8重量%、又は10重量%、及び/又は40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は20重量%以下の少なくとも1種類のワックスを含む。他の態様においては、ここに記載する組成物は、約1〜40重量%、約5〜約30重量%、約8〜約25重量%、又は約10〜約20重量%の少なくとも1種類のワックスを含む。好適なワックスとしては、限定なしに、微結晶質ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュプロセスによって製造されるワックス、植物性ワックス、官能化ワックス(マレイン化、フマル化、又は官能基を有するワックス)などが挙げられる。かかる態様においては、ワックスは、ポリマー成分100部あたり約10〜約100部の間のワックスの量で組成物中に含ませる。


[0155]テープ、マスチック材、及びラベルにおいて用いる接着剤のような感圧接着剤(PSA)組成物の態様、及び記載する接着剤組成物の不織布用途においては、種々のオイルを接着剤組成物に加える。一態様においては、接着剤組成物は、少なくとも約1重量%、2重量%、5重量%、8重量%、又は約10重量%、及び/又は約40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は約20重量%以下の少なくとも1種類の加工油を含む。感圧接着剤組成物の他の態様においては、接着剤組成物は、約2〜約40重量%、約5〜約30重量%、約8〜約25重量%、又は約10〜約20重量%の少なくとも1種類の加工油を含む。加工油としては、鉱油、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、芳香族オイル、ヒマシ油、菜種油、トリグリセリドオイル、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。加工油としては、また、種々の感圧接着剤組成物において通常的に用いられているエクステンダーオイルも挙げられる。他の態様においては、記載する接着剤組成物は加工油を含まない。


[0156]組成物の他の態様においては、例えばジブチルフタレート及びジオクチルフタレートのようなフタレートエステル、ベンゾエート、テレフタレート、及び塩素化パラフィンなど(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上の可塑剤を接着剤組成物に加える。一態様においては、記載する接着剤組成物は、少なくとも約0.5重量%、1重量%、2重量%、又は約3重量%、及び/又は約20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、又は約5重量%以下の少なくとも1種類の可塑剤を含む。他の態様においては、接着剤組成物は、約0.5〜約20重量%、約1〜約10重量%、約2〜約8重量%、又は約3〜約5重量%の少なくとも1種類の可塑剤を含む。他の代表的な可塑剤としては、Benzoflex(登録商標)及びEastman 168(登録商標)(Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国)が挙げられる。


[0157]他の態様においては、1種類以上のシラン官能化樹脂を導入した組成物は、少なくとも約0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、又は約3重量%、及び/又は約20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、又は約5重量%以下の少なくとも1種類の酸化防止剤を更に含む。当業者に公知の任意の酸化防止剤を、本明細書に開示する接着剤組成物において用いることができる。好適な酸化防止剤の非限定的な例としては、アルキルジフェニルアミン、フェニル−ナフチルアミン、アルキル又はアラルキル置換フェニル−ナフチルアミン、アルキル化p−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミンなどのようなアミン系酸化防止剤、並びに2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタン、例えばIRGANOX(登録商標)1010(BASF Corp., LA,米国);オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメート、例えばIRGANOX(登録商標)1076(BASF Corp., LA,米国)のようなヒンダードフェノール化合物、及びこれらの組合せが挙げられる。用いる場合には、組成物中の酸化防止剤の量は、組成物の全重量の0より多く約1重量%まで、約0.05〜約0.75重量%、又は約0.1〜約0.5重量%であってよい。他のかかる態様においては、接着剤組成物は、約0.1〜約20重量%、約1〜約10重量%、約2〜約8重量%、又は約3〜約5重量%の少なくとも1種類の酸化防止剤を含む。


[0158]組成物の他の態様においては、組成物は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレイ及び他のシリケート、酸化チタン、及び酸化亜鉛など(しかしながらこれらに限定されない)の1種類以上のフィラーを含む。記載する組成物の他の態様においては、組成物は、少なくとも約10重量%、20重量%、30重量%、又は約40重量%、及び/又は約90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は約55重量%以下の少なくとも1種類のフィラーを含む。更なる態様においては、組成物は、約1〜約90重量%、約20〜約80重量%、約30〜約70重量%、又は約40〜約55重量%の少なくとも1種類のフィラーを含む。幾つかの態様においては、クレイ及びフライアッシュ中に存在して見られるシリケートに加えてか、又はこれに代えて、シリカをフィラーとして加える。即ち、シリカ、即ちシリカと酸素の組合せ(SiO2)は、公知の方法によって製造され、純粋又は比較的純粋な形態で白色の粉末として商業的に入手できる。通常は沈澱物によって形成されるシリカは、石英砂から誘導される合成結晶質アモルファス形態の二酸化ケイ素である。幾つかの態様においては、かかるシリカ及びシリケートをフィラーとして組成物に加える。シリカは、通常は、カップリング剤として用いられる有機シランとは別に、シール、ケーブル、プロファイル材、ベルト、及びホースのような物品を製造するために用いられるゴム組成物中に導入する。フィラーとして合成(純粋な)シリカ及びカップリング剤として存在する有機シランの両方を一緒に用いる場合には、シリカ−シラン系を生成させる(これは、白色又は着色生成物を製造する可能性と組み合わせて高い強化を必要とする工業用ゴム物品において通常的に用いられるか又はその中に導入される)。かかる文脈及び態様においては、シリカは耐引裂性を向上させるためのフィラーとして導入され、幾つかの態様においては、シリカ−シラン系によって熱の蓄積が減少する(Uhrland, S., "Silica", Encyclopedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, John Wiley & Sons, Inc., 2006を参照)。対照的に、クレイは、微細な粒径のクレイ鉱物から構成され、実質的にシリカ、アルミナ、及び水の組合せであり、会合するアルカリ及びアルカリ土類元素と共に水和アルミニウムシリケートを生成させる。かかるクレイは、種々の組成及び粒度の粘土鉱床において見られる原材料である。クレイは、シーラント及び接着剤においてフィラーとして通常的に用いられる。例えば、ナトリウム型ベントナイトを、高い膨潤能力によって水抵抗を与え、水の動きに抵抗するフィラーとしてシーラント中に導入する。接着剤中に導入されるクレイは、幾つかの場合においては剪断下で粘度を向上させるアタパルジャイトの形態である。他の態様においては、カオリンフィラーを導入することによって、組成物の粘度に影響を与えることができる。而して、クレイは、合成であるシリカとは異なって区別できる種々の水和アルミニウムシリケートがその中に存在しており、幾つかの態様においてはこれも記載する組成物中にフィラーとして導入される(Id., Murray, H.H., "Clays, Uses" and "Clays, Survey"を参照)。


[0159]更に、記載する組成物の種々の態様中に他の粘着付与樹脂を存在させ、これらは場合によっては物理的ブレンドの形態で存在させる。この態様における記載する組成物に加える粘着付与樹脂としては、限定なしに、脂環式炭化水素樹脂、C5炭化水素樹脂、C5/C9炭化水素樹脂、芳香族変性C5樹脂、C9炭化水素樹脂、ピュアモノマー樹脂、例えばスチレンとα−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン、インデン、及びメチルインデンとのコポリマー、DCPD樹脂、ジシクロペンタジエンベース/含有樹脂、シクロペンタジエンベース/含有樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂、ロジンのエステル、変性ロジンのエステル、完全水素化又は部分水素化ロジンの液体樹脂、完全又は部分水素化ロジンエステル、完全又は部分水素化変性ロジン樹脂、完全又は部分ロジンアルコール、完全又は部分水素化C5樹脂、完全又は部分水素化C5/C9樹脂、完全又は部分水素化DCPD樹脂、完全又は部分水素化ジシクロペンタジエンベース/含有樹脂、完全又は部分水素化シクロペンタジエンベース/含有樹脂、完全又は部分水素化芳香族変性C5樹脂、完全又は部分水素化C9樹脂、完全又は部分水素化ピュアモノマー樹脂、例えばスチレンとα−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン、インデン、及びメチルインデンとのコポリマー、完全又は部分水素化C5/脂環式樹脂、完全又は部分水素化C5/脂環式/スチレン/C9樹脂、完全又は部分水素化脂環式樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。


[0160]幾つかの態様においては、本明細書に記載する組成物は、所望の加工性又は接着剤のための性能特性を得るのに十分な量の他の通常のプラスチック添加剤を含む。この量は、添加剤の無駄であってはならず、接着剤の加工性又は性能に有害であってもならない。熱可塑性樹脂配合の当業者であれば、過度の実験を行うことなく、しかしながらPlastics Design Library (www.elsevier.com)からのPlastics Additives Database (2004)のような論文を参照して、本明細書に記載する化合物中に含ませるために多くの異なるタイプの添加剤から選択することができる。随意的な添加剤の非限定的な例としては、接着促進剤、殺生物剤(抗菌剤、抗真菌剤、及び防かび剤)、防曇剤、静電防止剤;結合、発泡、及び起泡剤;分散剤;フィラー及び増量剤;難燃剤及び煙抑制剤;耐衝撃性改良剤;開始剤;滑剤;マイカ;顔料、着色剤、及び染料;オイル及び可塑剤;加工助剤;離型剤;シラン;チタネート及びジルコネート;スリップ剤及び抗ブロッキング剤;安定剤(例えば、Irganox(登録商標)1010及びIrganox(登録商標)1076、BASF Corporation, LA,米国);ステアレート;紫外線吸収剤;粘度調節剤;ワックス;及びこれらの組合せが挙げられる。酸化防止剤は、これらの化合物に更なる耐久性を与えるために特に有用である。


[0161]かかる組成物は、一態様においては、シラン官能化樹脂をエラストマー(少なくとも1種類のポリマー)とブレンドして接着剤を形成することによって製造される。即ち、本明細書に記載する接着剤組成物は、一態様においては、シラン官能化樹脂、エラストマー、及び添加剤を、通常の技術及び装置を用いて混合することによって調製される。非限定的な代表的態様として、本明細書に記載する組成物の成分は、Sigmaブレードミキサー、プラスチコーダー、ブラベンダーミキサー、二軸押出機、及び/又は缶内ブレンド缶(in-can blend can)(パイント缶)のようなミキサー内でブレンドする。他の態様においては、組成物は、例えば押出、圧縮成形、カレンダリング、又はロールコート法(グラビア、リバースロールなど)などの適当な技術によって、テープ又はシートのような所望の形態に成形する。幾つかの態様においては、本明細書に記載する組成物は、カーテンコート、スロットダイコートを用いて塗布するか、又は通常の塗布装置を用いて異なる速度で異なるノズル構成を通して噴霧する。


[0162]他の態様においては、本明細書に記載する組成物は、組成物を溶融し、次に当該技術において認められている通常のホットメルト接着剤塗布装置を用いて基材を組成物で被覆することによって基材に施す。基材としては、例えば、テキスタイル、布帛、紙、ガラス、プラスチック、及び金属材料が挙げられる。通常は、約0.1〜約100g/m2の接着剤組成物を基材に施す。


[0163]本明細書に記載するシラン官能化樹脂は、幾つかの態様においては、ホットメルト又は溶剤ベースの感圧接着剤、例えばテープ、ラベル、マスチック材、HVACなど、ホットメルト不織布接着剤、例えば建設産業において用いるためのもの、弾性接着のためのもの、又は延伸のためのもの、及びホットメルト包装用接着剤など(しかしながらこれらに限定されない)の種々のタイプの組成物中に導入する。更に、本明細書に記載するシラン官能化樹脂は、他の態様においては、上記で説明した異なるポリマー系中に導入して、かかるポリマー系の加工性、安定性、熱特性、バリヤ特性、粘弾性、振動減衰性、レオロジー、揮発性、曇り性能、及び/又は接着特性及び機械特性の観点で優れた物理的及び化学的特性を与える。更に、本明細書に記載するシラン官能化樹脂は、例えば、熱可塑性エラストマー用途、例えばルーフィング用途(建設)、接着剤、シーラント用途、ケーブル注入/充填用途、及びタイヤエラストマー用途、例えばトレッド組成物、サイドウォール、インナーライナー、インナーチューブ、及び種々の他の空気圧タイヤ部品において種々の物理的及び化学的特性を向上させる。


[0164]上記の議論は主として本明細書に記載するシラン官能化樹脂を導入する接着剤用途に関しているが、これらの原理は、数多くの最終生成物において用いるためのシラン官能化樹脂を含む他のポリマー組成物に一般に拡張及び適用することができる。例えば、本明細書に記載するシラン官能化樹脂を導入するポリマー変性用途としては、ルーフィング用途(改質瀝青ルーフィングにおけるアスファルト改質剤など)、防水膜/化合物、下張り材、ケーブル注入/充填化合物、コーキング剤及びシーラント、構造用接着剤、ポリマー化合物/ブレンド、フィルム、例えば食品包装用ラップ、TPEフィルム、二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムなど、成形物品、ゴム添加剤/加工助剤、カーペット裏地、例えば高性能プリコート、熱可塑性化合物など、ワイヤー及びケーブル、動力工具及び手工具、ペングリップ、エアバッグカバー、グリップ及びハンドル、シール、及び積層物品、例えばラミネート紙、水活性化テープ、ホットメルトガムテープ、スクリム補強テープなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種々の最終用途の中に導入する場合には、記載するシラン官能化樹脂は、幾つかの態様においては、組成物中の単独の樹脂である。他の態様においては、シラン官能化樹脂は、他の樹脂、エラストマー/ポリマー、及び/又は添加剤と組み合わせる。かかる混合樹脂用途においては、上述の組成物は、少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、又は約60重量%、及び/又は約99重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、又は65重量%以下の少なくとも1種類のシラン官能化樹脂を含む。


[0165]而して、種々の態様においては、本明細書に記載する1種類以上のシラン官能化樹脂は、ホットメルト接着剤組成物中に導入する。1以上の態様によれば、接着剤は、したがって、少なくとも約1重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は60重量%、及び/又は約95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下のシラン官能化樹脂、又はそれらの混合物を含む。更に、他の態様における接着剤は、約1〜95重量%、5〜90重量%、10〜80重量%、20〜70重量%、30〜60重量%、又は40〜60重量%の範囲の本明細書に記載する変性熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物を含む。幾つかの更なる態様においては、接着剤は、本明細書に記載するシラン官能化樹脂の1以上から完全に構成される。更に、所望の最終用途に応じて、これらのホットメルト接着剤はまた、幾つかの態様においては、例えばポリマー、粘着付与剤、加工油、ワックス、酸化防止剤、可塑剤、顔料、及び/又はフィラーのような種々の添加剤も含む。


[0166]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%、及び/又は約95重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は55重量%以下の本明細書に記載するシラン官能化樹脂とは異なる少なくとも1種類の熱可塑性粘着付与樹脂を含む。更に、接着剤は、他の態様においては、約10〜90重量%、20〜80重量%、30〜70重量%、又は40〜55重量%の範囲の、本明細書に記載するシラン官能化樹脂と異なる少なくとも1種類の樹脂を含む。意図される熱可塑性粘着付与樹脂としては、ピュアモノマー熱可塑性樹脂(PMR)、C5熱可塑性樹脂、C5/C9熱可塑性樹脂、C9熱可塑性樹脂、テルペン熱可塑性樹脂、インデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ピュアモノマー(PMR)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C5/C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化C9熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、テルペン熱可塑性樹脂、変性インデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂、又はこれらの混合物が挙げられる。


[0167]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、又は60重量%、及び/又は約90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下の少なくとも1種類の粘着付与剤を含む。更に、接着剤は、かかる態様においては、約10〜90重量%、20〜80重量%、30〜70重量%、又は約40〜60重量%の少なくとも1種類の粘着付与剤を含む。本発明において意図する好適な粘着付与剤としては、例えば、脂環式炭化水素樹脂、C5炭化水素樹脂;C5/C9炭化水素樹脂;芳香族変性C5樹脂;C9炭化水素樹脂;ピュアモノマー樹脂、例えばスチレンとα−メチルスチレン、ビニルトルエン、パラメチルスチレン、インデン、メチルインデンとのコポリマー、C5樹脂、及びC9樹脂;テルペン樹脂;テルペンフェノール樹脂;テルペンスチレン樹脂;ロジンエステル;変性ロジンエステル、完全水素化又は部分水素化ロジンの液体樹脂;完全又は部分水素化ロジンエステル;完全又は部分水素化変性ロジン樹脂;完全又は部分水素化ロジンアルコール;インデン−クマロン(IC)熱可塑性樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂、水素化又は部分水素化ジシクロペンタジエン(DCPD)熱可塑性樹脂;完全又は部分水素化C5樹脂;完全又は部分水素化C5/C9樹脂;完全又は部分水素化芳香族変性C5樹脂;完全又は部分水素化C9樹脂;完全又は部分水素化ピュアモノマー樹脂;完全又は部分水素化C5/脂環式樹脂;完全又は部分水素化C5/脂環式/スチレン/C9樹脂;完全又は部分水素化脂環式樹脂;及びこれらの組合せが挙げられる。代表的な商業的炭化水素樹脂としては、Regalite(登録商標)炭化水素樹脂(Eastman Chemical Co., Kingsport, TN,米国)が挙げられる。


[0168]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約1重量%、2重量%、5重量%、8重量%、又は10重量%、及び/又は約40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は20重量%以下の少なくとも1種類の加工油を含む。更に、かかる態様において、接着剤は、約2〜40重量%、5〜30重量%、8〜25重量%、又は約10〜20重量%の範囲の少なくとも1種類の加工油を含む。好適な加工油は当該技術において公知のものであり、例えば鉱油、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル、芳香族オイル、ヒマシ油、菜種油、トリグリセリドオイル、又はこれらの組合せが挙げられる。当業者であれば認識するように、加工油としてはまた、接着剤において通常的に用いられているエクステンダーオイルを挙げることもできる。接着剤中においてオイルを用いることは、幾つかの場合において、接着剤を感圧接着剤(PSA)として用いてテープ又はラベルを製造する場合、或いは不織物品を接着させるための接着剤として用いる場合には望ましい。幾つかの更なる態様においては、接着剤は加工油を含まない。


[0169]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約1重量%、2重量%、5重量%、8重量%、又は10重量%、及び/又は約40重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、又は20重量%以下の少なくとも1種類のワックスを含む。更に、かかる態様において、接着剤は、約1〜40重量%、5〜30重量%、8〜25重量%、又は約10〜20重量%の範囲の少なくとも1種類のワックスを含む。好適なワックスとしては、当該技術において公知のもの、例えば微結晶質ワックス、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュプロセスによって製造されるワックス、官能化ワックス(マレイン化、フマル化、又は官能基を有するワックス等)、及び植物性ワックスを挙げることができる。接着剤中においてワックスを用いることは、幾つかの場合において、接着剤がホットメルト包装用接着剤として用いる場合には望ましい。幾つかの態様においては、接着剤はワックスを含まない。


[0170]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約0.1重量%、0.5重量%、1重量%、2重量%、又は3重量%、及び/又は約20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、又は5重量%以下の少なくとも1種類の酸化防止剤を含む。更に、かかる態様において、接着剤は、約0.1〜20重量%、1〜10重量%、2〜8重量%、又は3〜5重量%の範囲の少なくとも1種類の酸化防止剤を含む。他の態様においては、接着剤は酸化防止剤を含まない。


[0171]種々の態様においては、接着剤は、少なくとも約0.5重量%、1重量%、2重量%、又は3重量%、及び/又は約20重量%以下、10重量%以下、8重量%以下、又は5重量%以下の少なくとも1種類の可塑剤を含む。更に、かかる態様において、接着剤は、約0.5〜20重量%、1〜10重量%、2〜8重量%、又は3〜5重量%の範囲の少なくとも1種類の可塑剤を含む。好適な可塑剤は、当該技術において公知のものであり、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、塩素化パラフィン、及びフタレートフリーの可塑剤が挙げられる。商業的な可塑剤としては、例えばBenzoflex(登録商標)及びEastman 168(登録商標)可塑剤(Eastman Chemical Co., Kingsport, TN,米国)が挙げられる。


[0172]種々の更なる態様においては、接着剤は、少なくとも約10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%、及び/又は約90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は55重量%以下の少なくとも1種類のフィラーを含む。更に、かかる態様において、接着剤は、約1〜90重量%、20〜80重量%、30〜70重量%、又は40〜55重量%の範囲の少なくとも1種類のフィラーを含む。好適なフィラーは、当該技術において公知のものであり、例えばカーボンブラック、クレイ及び他のシリケート、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの組合せが挙げられる。


シラン官能化樹脂を含むゴム組成物 [0173]また、例えば、本発明の官能化樹脂を含む、タイヤ及びタイヤ部品、自動車用ベルト、ホース、ブレーキなど(しかしながらこれらに限定されない)のような自動車部品、並びに、例えばコンベヤーベルトなどのベルト、例えばストラップ、ブレーキ、及びホース、又は配管などのような工業用ゴム物品などの非自動車及び/又は機械装置、並びに靴、ブーツ、スリッパなど(しかしながらこれらに限定されない)の衣料品において用いるための種々のゴム組成物も開示する。本発明のシラン官能化樹脂は、ゴム配合物の混合中にシリカ表面と結合することによって加工助剤として働くことができる。シリカ表面の官能化は、記載する態様が極性基含有連結部を介してポリマー又は樹脂構造に共有結合している1つ乃至多くのシラン官能基を含む(図2B)ことを除いて、ゴム配合用の他の商業的に入手できるシラン(図2A)と匹敵し得る。図2Aにおいて、構成要素110はポリマーに対応し、100Bは樹脂に対応する。これは、非官能化樹脂を用いるかかる組成物中に見られる標準的な配列の理論的描写である。図2Bにおいては、ポリマーに対応する構成要素110、及び樹脂に対応する構成要素100Bが再び示されており、並びに本発明において意図するリンカーに対応する構成要素100Aが示されている。即ち、図2Bにおいて、構成要素100A及び100Bは共に模式図において式Iと同等であり、ここで式Iにおける「樹脂」は部分100Bに対応し、式Iの残り、即ち−[Zk−Xn−R1−(CH2)m−Si(R2)p]qは、図2Bにおける構成要素100Aに対応する。


[0174]而して、エラストマー、フィラー、及び本明細書に開示するシリカ官能化樹脂を含むゴム組成物が開示される。エラストマーは、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエン、ハロブチルゴム、及びニトリルゴム、又は官能化ゴムグレード、或いはこれらのゴム混合物の1以上であってよい。他の特定の態様においては、ハロブチルゴムは、ブロモブチルゴム、クロロブチルゴム、官能化ゴムグレード、又はこれらの混合物である。タイヤにおいて用いる場合には、主ゴム成分は、ポリイソプレン(合成又は天然)、スチレン−ブタジエンコポリマー、又はブタジエンポリマーなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々のポリマーを含む。かかる1種類又は複数のゴムポリマーには、連鎖の末端又はポリマー鎖に沿った懸垂位置において種々の変性基及び/又は官能基を含ませることができる。これらの変性基には、ヒドロキシル、及び/又はエトキシ、及び/又はエポキシ、及び/又はシロキサン、及び/又はアミン、及び/又はアミンシロキサン、及び/又はカルボキシ、及び/又はフタロシアニン、及び/又はシランスルフィド基、及び/又はこれらの組合せなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々の標準的な基を含ませることができる。金属原子のような当業者に公知の更なる変性基を用いるゴムポリマー中に含ませて、本発明のタイヤ及び本明細書に開示する他のゴム含有部品を製造することもできる。


[0175]本発明によるゴム混合物はまた、5〜80phr、好ましくは5〜49phr、特に好ましくは5〜30phr、より特に好ましくは5〜20phrの少なくとも1種類の更なるジエンゴムも含む。


[0176]少なくとも1種類の更なるゴムは、この場合には、天然ポリイソプレン、及び/又は合成ポリイソプレン、及び/又はブタジエンゴム、及び/又は溶液重合スチレン−ブタジエンゴム、及び/又は乳化重合スチレン−ブタジエンゴム、及び/又は20,000g/モルより高い分子量Mwを有する液体ゴム、及び/又はハロブチルゴム、及び/又はポリノルボルネン、及び/又はイソプレン−イソブチレンコポリマー、及び/又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム、及び/又はニトリルゴム、及び/又はクロロプレンゴム、及び/又はアクリレートゴム、及び/又はフッ素ゴム、及び/又はシリコーンゴム、及び/又はポリスルフィドゴム、及び/又はエピクロロヒドリンゴム、及び/又はスチレン−イソプレン−ブタジエンターポリマー、及び/又は水和アクリロニトリルブタジエンゴム、及び/又はイソプレン−ブタジエンコポリマー、及び/又は水和スチレン−ブタジエンゴムの1以上である。


[0177]特に、ストラップ、ベルト、及びホースのような工業用ゴム物品の製造においては、ニトリルゴム、水和アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、又はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを用いる。


[0178]他の態様においては、更なるジエンゴムは、合成ポリイソプレン、及び天然ポリイソプレン、及びポリブタジエンの1以上である。好ましくは、更なるジエンゴムは、少なくとも天然ポリイソプレンである。これにより、ゴム混合物の特に好ましい加工性(押出性、混和性など)を達成することが可能になる。


[0179]本発明の更なる態様によれば、ゴム混合物は、10〜70phrの、−40〜+10℃のガラス転移温度を有する通常の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(高Tg−SSBR)、及び10〜70phrの、−120〜−75℃、好ましくは−110〜−75℃、特に好ましくは−110〜−80℃、最も特に好ましくは−87〜−80℃のTgを有するスチレン−ブタジエンゴムを含み、この態様におけるゴムは、好ましくは1〜12重量%、特に好ましくは9〜11重量%、最も特に好ましくは10〜11重量%のスチレン含量を有する。


[0180]ゴム混合物にまた、少なくとも1種類の更なるジエンゴム、特に天然及び/又は合成ポリイソプレンを含ませることもできる。 [0181]タイヤ混合物において用いる場合には、上記記載の樹脂を、官能化するベース樹脂として用いることができる。極性リンカーは、フィラー材料の反応性部位、即ちシリカの水酸基、又は他のフィラーの反応中心に適合し得る対応する官能基を与えることによって他のフィラーの反応性表面部位への増加した結合強度を有する。而して、本発明は、フィラー材料としてのシリカ、及びカーボンブラックのような他のフィラーに限定されない。


[0182]本発明のシラン官能化樹脂は、当業者に公知の種々の方法によってゴム混合物中に導入することができる。例えば、エンドキャップ及び/又は懸垂官能基として記載される官能基を有する1〜100モル%のモノマー、2〜70モル%のモノマー、5〜50モル%のモノマーを、ゴム混合物中に導入することができる。ゴム混合物中の官能化樹脂の量は、5〜400phr、10〜375phr、10〜350phr、10〜325phr、10〜300phr、10〜275phr、10〜250phr、10〜225phr、10〜200phr、10〜175phr、10〜150phr、10〜125phr、又は10〜100phrであってよい。ゴム混合物には、更に非官能化樹脂を含ませることができる。更に、官能化樹脂と非官能化樹脂の混合物をゴム混合物中に導入することができる。非官能化樹脂及び官能化樹脂を含む全樹脂含量は、5〜400phr、5〜350phr、10〜300phr、10〜275phr、10〜250phr、10〜225phr、10〜200phr、10〜175phr、10〜150phr、10〜125phr、又は10〜100phrであってよく、即ち高度に懸垂官能化された樹脂をゴム混合物中に導入して、希釈によって5〜50のphr値を達成することができる。更に、所望量をゴム混合物に加えて所望のphrを達成することによって、エンドキャップ及び懸垂官能化樹脂の混合物をゴム混合物中に導入することができる。


[0183]他の態様によれば、ゴム混合物中に存在する溶液重合スチレン−ブタジエンゴムの量は、5〜50phr、20〜50phr、又は更には30〜40phrであってよい。本発明のゴム混合物は、20〜250phr、好ましくは30〜150phr、特に好ましくは30〜85phrの少なくとも1種類のフィラーを含む。フィラーは、シリカ、カーボンブラック、アルミノシリケート、チョーク、デンプン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、及び/又はゴムゲル、或いはこれらの混合物の1以上であってよい。更に、例えばヒドロキシ、カルボキシ、又はカルボニル基のような1以上の官能基を含む中空炭素繊維(HCF)及び変性CNTなどのカーボンナノチューブ(CNT)を、フィラー材料として用いることもできる。更に、グラファイト及びグラフェン、並びに「炭素−シリカ二相フィラー」を、フィラー材料として用いることができる。ここでは、当業者に公知の任意のタイプのカーボンブラックを用いることが可能である。


[0184]幾つかの態様においては、ゴム混合物は、単独のフィラー材料又は主フィラーとしてカーボンブラックを含み、即ち、カーボンブラックの量は存在する他のフィラーの量よりも著しく多い。カーボンブラックに加えて他のフィラーが存在する場合には、更なるフィラーはシリカであることが好ましい。したがって、本発明のゴム混合物が同等量のカーボンブラックとシリカ、例えば20〜100phrのシリカと組み合わせて20〜100phrのカーボンブラックを含むことも想到できる。例えば、カーボンブラックとシリカとの比は、約1:150〜100:20の範囲であってよい。


[0185]幾つかの態様においては、ゴム混合物は単独のフィラー又は主フィラーとしてシリカを含み、即ち、シリカの量は存在する他のフィラーの量よりも著しく多い。 [0186]而して、自動車用タイヤにおける用途に関して特に良好な転がり抵抗の指標(70℃における反発弾性)及び引裂特性が達成される。


[0187]フィラーとしてカーボンブラックが存在する場合には、好ましくはゴム混合物中のカーボンブラックの量は、1〜150phr、2〜100phr、2〜90phr、2〜80phr、2〜70phr、2〜60phr、2〜50phr、2〜40phr、2〜30phr、又はより好ましくは2〜20phrである。しかしながら、30〜180kg/g、好ましくは40〜180kg/g、特に好ましくは40〜130kg/gのASTM−D1510にしたがうヨウ素吸着価、及び80〜200mL/100g、好ましくは90〜200mL/100g、特に好ましくは90〜150mL/100gのASTM−D2414にしたがうDBP価を有するカーボンブラックを用いることが好ましい。


[0188]シリカは、タイヤゴム混合物のためのフィラーとして好適である当業者に公知のシリカであってよい。例えば、1つの非限定的な態様としては、35〜350m2/g、好ましくは35〜260m2/g、特に好ましくは100〜260m2/g、最も特に好ましくは130〜235m2/gの窒素表面積(BET表面積)(DIN−ISO−9277及びDIN−66132にしたがう)、及び30〜400m2/g、好ましくは30〜250m2/g、特に好ましくは100〜250m2/g、最も特に好ましくは125〜230m2/gのCTAB表面積(ASTM−D3765にしたがう)を有する微細分散沈降シリカが挙げられる。かかるシリカは、例えばタイヤトレッド用のゴム混合物中において用いる場合には、特に好ましい加硫物の物理特性を生成する。これはまた、同じ生成物特性を保持しながら混合時間を減少させ、これにより向上した生産性をもたらすことによって、混合処理における有利性も与えることができる。シリカとしては、Ultrasil(登録商標)VN3タイプ(Evonik Industries AG, Essen,ドイツ)のもの、及び上述のHDシリカ(例えばZeosil(登録商標)1165MP, Rhodia−Solvay International Chemical Group, Brussels,ベルギー)のような高分散性シリカの両方を用いることができる。


[0189]加工性を向上させるため、及び幾つかの態様においてジエンゴムに存在させるシリカと他の極性フィラーを結合させるために、記載するゴム混合物の種々の態様においてはシランカップリング剤を用いる。かかる態様においては、1つのシランカップリング剤、又は互いと組み合わせた複数の異なるシランカップリング剤を用いる。したがって、幾つかの態様におけるゴム混合物は、種々のシランの混合物を含む。シランカップリング剤は、ゴム又はゴム混合物の混合中(in situ)、又は更には予備処理(予備変性)としてフィラーをゴムに加える前に、シリカの表面シラノール基、又は上記に開示した極性フィラーのような他のフィラーの極性基と反応する。かかる態様においては、シランカップリング剤は、開示するゴム混合物において用いるために好適であるとして当業者に公知の任意のものである。通常のカップリング剤の非限定的な例は、脱離基としてケイ素原子上に少なくとも1つのアルコキシ、シクロアルコキシ、又はフェノキシ基を有し、及び他の官能基として、場合によっては開裂後にポリマーの二重結合との化学反応を起こることができる基を有する二官能性有機シランである。後者の群は、幾つかの態様においては、例えば次の化学基:SCN、−SH、−NH2、又は−Sγ−(γは2〜8である)を構成する。


[0190]かかる態様において用いるための意図されるシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、又は2〜8個のイオウ原子を有する3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド、例えば3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(TESPT)、対応するジスルフィド(TESPD)、或いは種々のスルフィドの異なる含量を有する1〜8個のイオウ原子を有する複数のスルフィドの混合物が挙げられる。例えば、TESPTは、工業用カーボンブラック(X50S(登録商標),Evonik Industries AG, Essen,ドイツ)との混合物として加えることもできる。


[0191]他の態様においては、40〜100重量%までのジスルフィド、特に好ましくは55〜85重量%までのジスルフィド、最も特に好ましくは60〜80重量%までのジスルフィドを含むシラン混合物を用いる。このタイプの混合物は、例として米国特許8,252,863に記載されており、例としてSi261(登録商標)(Evonik Industries AG, Essen,ドイツ)で入手することができる。また、WO−99/09036から公知のもののようなブロックトメルカプトシランをシランカップリング剤として用いることもできる。米国特許7,968,633;7,968,634;7,968,635;及び7,968,636、並びに米国特許出願公開20080161486;20080161462;及び20080161452に記載されているもののようなシラン、又はこれらの任意の組み合わせを用いることもできる。例えば、企業のMomentive, USAによって異なる変異形でNXTの名称で販売されているシラン、又は企業のEvonik IndustriesによってVP-Si363(登録商標)の名称で販売されているものも好適なシランである。


[0192]更に、不連続CNT、所謂中空炭素繊維(HCF)、及びヒドロキシ、カルボキシ、及びカルボニル基のような1つ又は複数の官能基を含む変性CNTなどのカーボンナノチューブ(CNT)をゴム混合物に含ませることが可能である。


[0193]グラファイト、グラフェン、及び所謂「カーボン−シリカ二相フィラー」も、フィラーとして好適である。 [0194]更に、ゴム混合物には、例えばアルミノシリケート、チョーク、デンプン、酸化マグネシウム、二酸化チタン、又はゴムゲルのような他の極性フィラーを含ませることができる。


[0195]一態様においては、ゴム混合物は他のフィラーを含まず、即ちこの態様においては、ゴム混合物は0phrの任意の他のフィラーを含む。この態様においては、したがって第2のフィラーを加えることは必要ない。


[0196]本発明の目的のためには、酸化亜鉛はフィラーであるとはみなされない。 [0197]一態様においては、ゴム混合物は、0〜70phr、0.1〜60phr、又は0.1〜50phrの少なくとも1種類の可塑剤を含む。これらとしては、芳香族、ナフテン系、又はパラフィン系鉱油可塑剤、例えばMES(軽度抽出溶媒和物)又はTDAE(処理蒸留芳香族抽出物)、ゴム・トゥー・リキッド(RTL)オイル又はバイオマス・トゥー・リキッド(BTL)オイル、ファクチス、可塑化樹脂、又は液体ポリマー(例えば液体BR)のような、その平均分子量(BS−ISO−11344:2004に基づき、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定)が500〜20000g/モルの間である当業者に公知の全ての可塑剤の1以上が挙げられる。本発明によるゴム混合物中において可塑剤として液体ポリマーを用いる場合には、これらはポリマーマトリクスの組成を計算する際にゴムとしてはみなされない。


[0198]鉱油を用いる態様においては、鉱油は、DAE(蒸留芳香族抽出物)、及び/又はRAE(残留芳香族抽出物)、及び/又はTDAE(処理蒸留芳香族抽出物)、及び/又はMES(軽度抽出溶媒和物)、及び/又はナフテン系オイル、及び/又はパラフィン系オイルの1以上から選択される。


[0199]更に、本明細書に開示するゴム混合物には、通常の添加剤を通常の重量部数で含ませることができる。これらの添加剤としては、 (a)例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N’−ジトリル−p−フェニレンジアミン(DTPD)、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン(77PD)、及び2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン(TMQ)のような酸化防止剤; (b)例えば、酸化亜鉛及び脂肪酸(例えばステアリン酸)のような活性化剤; (c)ワックス; (d)官能化及び非官能化樹脂、特に接着剤粘着付与樹脂、例えばロジンなど; (e)例えば2,2’−ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBD)のような素練り助剤;及び (f)加工助剤、例えば、亜鉛石鹸、脂肪酸エステル、及びこれらの誘導体のような脂肪酸塩; が挙げられる。


[0200]特に、存在する補強支持材と直接接触するタイヤ又は工業用ゴム物品の内部部品のために本明細書に開示するゴム混合物を用いる場合には、一般に、しばしば接着剤粘着付与樹脂の形態の好適な接着剤系もゴムに加える。


[0201]全量中に含まれる更なる添加剤の割合は、3〜150phr、好ましくは3〜100phr、特に好ましくは5〜80phrである。 [0202]また、全量中に含まれる更なる添加剤の割合は、0.1〜10phr、好ましくは0.2〜8phr、特に好ましくは0.2〜4phrの酸化亜鉛(ZnO)も含む。


[0203]この酸化亜鉛は、例えばZnO顆粒又は粉末のような当業者に公知の任意のタイプのものであってよい。一般的に言うと、従来用いられている酸化亜鉛は、10m2/g未満のBET表面積を示す。しかしながら、10〜60m2/gのBET表面積を有する所謂ナノ酸化亜鉛を用いることもできる。


[0204]加硫は、加硫促進剤を用いてイオウ又はイオウドナーの存在下で行い、幾つかの加硫促進剤はまたイオウドナーとして機能することもできる。イオウ又はイオウドナー、及び1種類又は複数の促進剤を、最後の混合工程において、上述の量でゴム混合物に加える。ここで、促進剤は、チアゾール促進剤、及び/又はメルカプト促進剤、及び/又はスルフェンアミド促進剤、及び/又はチオカルバメート促進剤、及び/又はチウラム促進剤、及び/又はチオホスフェート促進剤、及び/又はチオ尿素促進剤、及び/又はキサントゲネート促進剤、及び/又はグアニジン促進剤の1以上である。


[0205]N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、及び/又はN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DCBS)、及び/又はN−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)から選択されるスルフェンアミド促進剤を用いることができる。


[0206]好適な促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、及び/又はN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(DCBS)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(TBBS)、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、ベンゾチアゾールジスルフィド、ジフェニルグアニジン、亜鉛ジチオカルバメート、アルキルフェノールジスルフィド、亜鉛ブチルキサンテート、N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N,N−ジフェニルチオ尿素、ジチオカルバミルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、亜鉛−2−メルカプトトルイミダゾール、ジチオビス(N−メチルピペラジン)、ジチオビス(N−β−ヒドロキシエチルピペラジン)、ジチオビス(ジベンジルアミン)、及びこれらの組合せから選択されるものが挙げられる。他の加硫促進剤としては、例えばチウラム及び/又はモルホリン誘導体が挙げられる。


[0207]本発明のゴム混合物の一態様においては、混合物は促進剤としてCBSを含む。これにより、かかるゴム混合物に関して特に良好な引裂特性が達成される。 [0208]更に、例えばVulkuren(登録商標)(Lanxess, Shanghai,中国)、Duralink(登録商標)(ChemLink, Schoolcraft, MI,米国)、及びPerkalink(登録商標)(Lanxess, Shanghai,中国)のブランド名で入手できるもののようなネットワーク形成系、又はWO−2010/059402に記載されているもののようなネットワーク形成系を、ゴム混合物において用いることもできる。この系は、4つより多い官能基と架橋する加硫剤、及び少なくとも1種類の加硫促進剤を含む。4つより多い官能基と架橋する加硫剤は、例えば一般式A: G[CaH2a−CH2−SbY]c A (式中、Gは1〜100原子を含む多価環式炭化水素基及び/又は多価ヘテロ炭化水素基及び/又は多価シロキサン基であり;それぞれのYは、ゴム活性基から独立して選択されるイオウ含有官能基を含み;a、b、及びcは、それぞれ独立して次から選択される整数:a=0〜6;b=0〜8;c=3〜5である) を有する。


[0209]ゴム活性基は、チオスルホネート基、ジチオカルバメート基、チオカルボニル基、メルカプト基、炭化水素基、及びナトリウムチオスルホネート基(着色塩基)の1以上である。これにより、本発明によるゴム混合物の非常に好ましい摩耗及び引裂特性を達成することが可能になる。


[0210]本発明の範囲内において、イオウ、及びTESPTのようなイオウ供与シランなどのイオウドナー、EP−2288653に記載されているもののような硬化剤及び加硫剤、上記に記載の加硫促進剤、及びWO−2010/059402に記載の4つより多い官能基と架橋する加硫剤、例えば式(A)の加硫剤、及び上述の系のVulkuren(登録商標)(Lanxess, Shanghai,中国)、Duralink(登録商標)(ChemLink, Schoolcraft, MI,米国)、及びPerkalink(登録商標)(Lanxess, Shanghai,中国)は、加硫剤の用語にまとめられる。


[0211]本発明によるゴム混合物には、これらの加硫剤の少なくとも1つを含ませることができる。これにより、本発明によるゴム混合物から、特に自動車タイヤにおいて用いるための加硫物を製造することが可能になる。


[0212]幾つかの態様においては、加硫遅延剤もゴム混合物中に存在させる。当該技術において公知なように、タイヤ技術において転がり抵抗とウェットブレーキ性の間には通常は「トレードオフ」が存在する。しばしばこれらの2つの要素の1つを向上させると、他は悪化する。而して、転がり抵抗(RR)の向上は、しばしば悪化したウェットブレーキ性能を伴い、逆も成り立つ。これは、RR−ウェットブレーキの目標の対立である。したがって、本発明によって包含される態様は、驚くべきことにウェットブレーキ性を変化させずに向上した転がり抵抗を有するタイヤを包含する。而して、本発明のゴム組成物の目的は、向上した転がり抵抗挙動、並びに道性能を示す自動車タイヤを提供することである。この目的は、自動車タイヤに、上記に記載の少なくとも1つの成分中に本発明によるゴム混合物を含ませることで達成される。この文脈においては、構成要素及びその特性の上述の態様の全てが適用される。


[0213]本発明のゴム組成物の更なる目的は、向上した転がり抵抗挙動、及び向上した引裂特性、特に増加した引裂伝播抵抗を示す自動車タイヤを提供することである。この目的は、自動車タイヤに、上記に記載の少なくとも1つの成分中に本発明によるゴム混合物を含ませることで達成される。この文脈においては、構成要素及びその特性の上述の態様の全てが適用される。


[0214]一態様においては、部品はトレッドである。当業者に公知なように、トレッドは、タイヤの全体的な転がり抵抗に比較的高い程度に寄与する。特に、トレッドにおけるクラック及びクラック伝播に対する高い抵抗性も有利である。一態様においては、本明細書に記載するゴム組成物は、タイヤの他の部品において同様に有用であり、種々のタイヤ部品及び種々のタイヤ部品化合物を構成することができる。タイヤは、公知であり、かかる技術の当業者に容易に明らかになる種々の方法によって、製造し、形成し、成形し、及び硬化させることができる。


[0215]本発明の他の目的は、自動車タイヤの転がり抵抗性能及び引裂特性を向上させることである。本発明によれば、この目的は、上記に記載のゴム混合物を、自動車タイヤの全ての態様及び特徴に関して、特に自動車タイヤのトレッドにおいて、及び/又は自動車タイヤの本体混合物において用いることによって達成される。


[0216]本発明の更なる目的は、例えばベルト、ストラップ、ブレーキ、及びホースのような工業用ゴム物品の摩耗挙動及び引裂特性を、それぞれの用途に関連する他の特性に対して大きな悪影響を与えることなく最適にすることである。


[0217]この目的は、例えば、ベルト(例えばコンベヤベルト、自動車エンジンベルト、例えばタイミングベルト、駆動ベルトなど)、ストラップ、シール、チューブ、及びホースのような工業用ゴム物品の製造のために上記に記載のゴム混合物を用いることによって達成される。他のかかる工業用ゴム物品は、例えばウォーキングシューズ、ランニングシューズ、クロストレーニング用シューズ、ブーツ、スリッパ等のための靴底、足に着用して、ウォーキング、ランニング、ジャンプ等に関連する衝撃又は打撃を与える動きによって引き起こされる損傷から足及び関連する骨及び関節を保護するため、及び湿潤条件及び/又は乾燥条件においてスリップに対して優れた抵抗性を与えるための物品である。ゴム混合物を履物中に導入するための種々の方法が当該技術において公知である。例えば、米国特許出願公開2013/0291409、2011/0252671、及び米国特許8,689,381(これらの全部は全ての目的のためにそれらの全体を参照として本明細書中に包含する)を参照。


[0218]ここで用いる本体混合物と言う用語は、タイヤの内部部品のためのゴム混合物を指す。タイヤの内部部品としては、実質的にスクイジー、サイドウォール、インナーライナー(内側層)、コアプロファイル材、ベルト、ショルダー、ベルトプロファイル材、カーカスプライ、ビードワイヤー、ケーブルプロファイル材、ホーンプロファイル材、及びバンデージが挙げられる。


[0219]これらの本発明のゴム混合物の製造は、ゴム産業において通常用いられている方法によって実施され、ここではまず、加硫系(イオウ及び加硫に影響を与える物質)を除く全ての成分を有する基混合物を1つ又は複数の混合段階で製造する。最後の混合段階において加硫系を加えることによって最終混合物を製造する。最終混合物は、例えば押出プロセスによって更に加工して対応する形態を与える。


[0220]自動車タイヤにおいて用いるためには、混合物は、好ましくはトレッドに成形して、自動車タイヤブランク材の製造において公知の方法で適用する。しかしながら、トレッドは、細長いゴム混合物の片の形態でタイヤブランク材上に巻きつけることもできる。2部品トレッド(上部部品:キャップ、及び下部部品:ベース)においては、本発明によるゴム混合物をキャップ及びベースの両方のために用いることができる。


[0221]自動車タイヤの本体混合物として用いるための本発明によるゴム混合物の製造は、トレッドに関して上記に記載したように実施する。相違点は、押出プロセス後に成形することにある。次に、1つ又は複数の本体混合物のためにこの方法で得られる本発明によるゴム混合物の形態を用いてタイヤブランク材を製造する。ベルト及びストラップ、特にコンベヤベルトにおいて本発明によるゴム混合物を用いるためには、押出した混合物を対応する形態にして、同時か又はその後に、しばしば強化支持材、例えば合成繊維又はスチールコードを装備する。殆どの場合において、ゴム混合物の1つ及び/又は複数の層、ゴム混合物及び/又は異なる強化支持材の1つ及び/又は複数の層、並びにゴム混合物及び/又は他のゴム混合物の1つ又は複数の更なる層から構成される多層構造体を得る。


[0222]他に規定していない限りにおいては、本明細書において用いる全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載するものと同様又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において用いることができるが、好適な方法及び材料を下記に記載する。本明細書において言及する全ての公報、特許出願、特許、及び他の参照文献は、全ての目的のためにそれらの全体を参照として本明細書中に包含する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。更に、材料、方法、及び例は例示のみであり、限定することは意図しない。



[0223]種々の官能化樹脂を、自動車タイヤ用のゴム混合物において調製して試験し、接着剤などのような他の組成物において調製して試験した。合成ルート及び実験データを下記に与える。


実施例1:極性リンカーの変性によるシラン樹脂の官能化: [0224]以下の実施例においては、下記に記載するように種々の樹脂をシラン基で官能化する。官能化樹脂は、下記に与える異なる方法、及び下記に与える方法を読めば当業者に明らかな他の方法を用いて合成することができる。全ての化学試薬は、他に示していない限りにおいてSigna-Aldrich(St. Louis, MO,米国)からものであった。


実施例1.1−アセトキシスチレン官能化による懸垂シラン含有樹脂の合成: [0225]工程1A〜1Cは、アセトキシスチレンの官能化による懸垂シラン含有樹脂の合成を示す。特に、式1は、アセトキシスチレンベースの樹脂をフェノールに脱保護して、次にエーテル形成、並びに樹脂内の内部懸垂位置においてシラン官能化を行うためのエーテルルートの一態様を示す。下記の式1〜5においては、変数「r」及び「q」が現れている場合には、左側における表示は官能化部位であり、樹脂骨格全体ではないことに留意されたい。言い換えれば、これらの式において表される出発物質は、樹脂骨格が誘導化される多くの位置を示すものであり、式自体の中に樹脂骨格は存在しないか又は示されていないが、暗示されている。誘導体化は、樹脂骨格全体にわたってランダムに起こる。出発物質の表示はブロックコポリマーを示しておらず、或いはブロックコポリマー法をこれらの戦略において用いたことを示していないが、かかる戦略は公知であり、下記に示す方法に代えてこれらの実施例において用いることができる。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を図1Aにも示す。






[0226]工程1A:アセトキシスチレン脱保護による懸垂フェノール官能化樹脂の合成: 工程Aにおいてアセトキシスチレン含有樹脂を変性するために、塩基を用いてアセトキシ基を除去することによってアセトキシスチレン変性樹脂のフェノール脱保護を達成した。一口の1L丸底フラスコ(RBF)内に、スターラーバー、及び110.3gの3.4モル%アセトキシスチレン含有樹脂(0.0324モルのアセトキシスチレン単位を含む0.957モル)を充填した。テトラヒドロフラン(THF、600mL)を加えた。溶液を500rpmで撹拌した。20.4mLの脱イオン水中の3.9gの水酸化ナトリウム(0.0975モル)の溶液を調製した。出発物質の樹脂が完全に溶解した時点で、水酸化ナトリウムの溶液を加えた。トリエチルアミン(TEA、16.4g、0.162モル)を加え、RBFに凝縮器を取り付けた。溶液を加熱して4〜5時間還流した。反応をFT−IRによってモニターした。カルボニルバンド(1750cm−1)が完全に消失した時点で反応が完了したとみなした。加熱を停止した。フラスコを室温に冷却した。THFを蒸発させた。ジクロロメタン(DCM、600mL)をRBFに加え、溶液を激しく撹拌した。次に、溶液を分液漏斗中に移した。有機層を、2×600mLのHCl水溶液(1モル/L)、次に4×600mLの脱イオン水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。固体を濾過し、濾液を保持した。DCMを蒸発させ、生成物を40℃、減圧下において一定重量になるまで乾燥した。最終的な収量は102.2g(理論収量の94%)であった。得られた生成物の試料のフーリエ変換−赤外スペクトル(FT−IR)を図3に示す。工程1Aの脱保護生成物の試料のTGA及びDSCスペクトルを、それぞれ図4及び図5に与える。


[0227]工程1B:フェノール基官能化による懸垂カルボン酸官能化樹脂の合成: 一口の2L丸底フラスコ中に、95.2gの3.38モル%フェノール官能化樹脂(28.3ミリモルのフェノール単位を含む836.5ミリモル)、及び839mLのアセトンを充填した。樹脂が完全に溶解するまで混合物を撹拌した。次に、4.58gのヨウ化カリウム(27.6ミリモル)、2.27gの水酸化ナトリウム(56.8ミリモル)、及び16.7gのクロロ酢酸ナトリウム(143.4ミリモル)を加えた。フラスコに還流凝縮器を取り付け、油浴中で58℃に18時間加熱した。溶媒を除去した。粘稠質の物質を700mLのDCM中に溶解した。得られたスラリーを700mLのHClの1M水溶液に加えた。固体物質が完全に溶解するまでこの2相系を撹拌し、水層を廃棄した。有機層を、HClの1M水溶液、次にNaOHの1M水溶液で洗浄した後、最後にHClの1M水溶液で洗浄した。この手順を繰り返して、水層を毎回廃棄した。次に、必要に応じて有機相をHClの1M水溶液で更に4回洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO4上で乾燥した。濾紙上で重力濾過することによってMgSO4を除去し、濾液を保持した。溶媒を除去し、生成物を減圧下室温において一晩乾燥した。得られた固体を秤量すると86.7g(理論収量の90%)であった。得られた生成物の試料のFT−IRを図6に示す。工程1Bの生成物の試料のTGA及びDSCスペクトルを、それぞれ図7及び8に与える。


[0228]工程1C:カルボン酸基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成: 温度計及びスターラーバーを取り付けた三つ口の2L丸底フラスコ中に、83.0gの3.38モル%カルボン酸含有樹脂(24.2ミリモルのカルボキシル単位を含む717ミリモル)、及び715mLのDCMを充填した。溶液をN2ブランケット下に配置し、磁気撹拌した。樹脂が完全に溶解した時点で、フラスコを氷/NaCl/水浴によって冷却した。温度が2.5±2.5℃に達した時点で、2.69gのクロロギ酸エチル(24.8ミリモル)、次に2.46gのTEA(24.3ミリモル)を加えた。活性化時間(混合無水物の形成)は、5±3℃において30分であった。次に、5.38gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(24.3ミリモル)を充填した。冷却浴を取り外し、溶液を室温に加温し、反応を23時間継続した。反応溶液を無水MgSO4上で乾燥した。固体を、Whatman(登録商標)#1濾紙上で重力濾過することによって除去した。溶媒を除去し、50mLの試薬等級無水アルコールをフラスコに加えた。溶媒をデカンテーションし、ワックス状の生成物を50mLの試薬等級無水アルコールでもう一回洗浄した。生成物を、減圧下室温において48時間かけて乾燥した。生成物を秤量したところ、81.0g(理論収量の92%)であった。シリカ導入量は、キシレン誘導結合プラズマ(ICP)分解(digestion)法を用いて5500ppmと確認された。得られた生成物の試料のFT−IRを図9に示す。工程1Cの生成物の試料のTGA、DSC、及びGPCスペクトルを、それぞれ図10、11、及び12に与える。


実施例1.2:フェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0229]式2は、アセトキシスチレンベースの樹脂をフェノールに脱保護し、次にエーテル形成、及びシラン官能化を行うエーテルルートの同様の態様を示すが、樹脂内の内部の懸垂位置において官能化を行うのに代えて、シラン官能基を樹脂のエンドキャップの末端位置に付加する。この態様においては、フェノール、水酸化ナトリウム、クロロ酢酸ナトリウム、及びヨウ化カリウム触媒の反応によって、フェノール基をカルボン酸基で官能化した。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様は図1Bにも示す。






[0230]工程2A:フェノール基官能化によるエンドキャップCOOH官能化樹脂の合成: メカニカルスターラー及び還流凝縮器を取り付けた三つ口の2L丸底フラスコ中に、100.6gの10.8モル%フェノール官能化樹脂(97.2mmのフェノール単位を含む902ミリモル)、及び1.50Lのアセトンを充填した。樹脂が撹拌によって完全に溶解した時点で、10.55gのヨウ化カリウム、6.48gの水酸化ナトリウム、及び101.1gのクロロ酢酸ナトリウムを加えた。反応溶液を57℃に18時間加熱した。溶媒を除去し、生成物を3LのDCM中に溶解し、1.2LのHClの1M水溶液で洗浄した。全ての固形分が完全に溶解するまで、この2相溶液を撹拌した。水層を廃棄した。溶液をHClの1M水溶液、NaOHの1M水溶液、次にHClの1M水溶液で洗浄した。この手順を繰り返し、必要に応じてHClの1M水溶液で更に4回洗浄した。有機相を無水MgSO4上で乾燥した。濾紙上で重力濾過することによってMgSO4を除去した。溶媒を除去し、生成物を減圧下室温において一晩乾燥した。生成物を秤量したところ、103.8g(理論収量の98%)であった。得られた生成物の試料のFT−IRを図13に示す。工程2Aの試料のTGA及びDSCスペクトルを、それぞれ図14及び15に与える。


[0231]工程2B:COOH基官能化によるエンドキャップシラン官能化樹脂の合成: 温度計及びスターラーバーを取り付けた三つ口の3L丸底フラスコ中に、106.0gの10.8モル%カルボン酸含有樹脂(97.0ミリモルのカルボキシル単位を含む900ミリモル)、及び2.70LのDCMを充填した。溶液をN2ブランケット下に配置し、磁気撹拌した。樹脂が完全に溶解した時点で、フラスコを氷/NaCl/水浴によって冷却した。温度が2.5±2.5℃に達した時点で、10.75gのクロロギ酸エチル(99.1ミリモル)、次に9.97gのTEA(98.5ミリモル)を加えた。活性化時間(混合無水物の形成)は、5±3℃において32分であった。次に、21.58gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(97.5ミリモル)を充填した。冷却浴を取り外し、反応系を室温に加温した。反応を室温において25時間継続した。不溶物(トリエチルアミンヒドロクロリド)を、Whatman(登録商標)#1濾紙上で重力濾過することによって除去した。次に、300mLのヘキサンを加えた。混合物を30分撹拌し、冷蔵庫内に48時間貯蔵した。この二相系を室温に加温した。ヘキサンの上層を単離し、溶媒を除去した。生成物を減圧下室温において2〜3日間乾燥した。乾燥エタノールを用いてヘキサンの除去を促進した。ワックス状の生成物を秤量したところ、約80g(理論収量の63〜64%)であった。別の仕上げ工程は、反応が完了した後に全ての溶媒を減圧下で除去し、生成物をジエチルエーテル又はメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)中に溶解することである。次に、溶液を濾紙上で濾過してトリエチルアミンヒドロクロリド副生成物を除去し、溶媒をゆっくりと蒸発させる。生成物を室温において減圧下で乾燥する。ICP−Si生成物含量は19820ppmであった。13C及び29Si核磁気共鳴(NMR)によって、6.4〜6.8モル%のシラン官能化が確認された。得られた生成物の試料のFT−IRを図16に示す。工程2Bの生成物の試料のTGA、DSC、及びGPCスペクトルを、それぞれ図17、18、及び19に与える。また、工程2Bの生成物に関する13C−NMR及び29Si−NMRに対応するスペクトルは、それぞれ図20及び21にもえる。


実施例1.3:無水物シランを用いるフェノール官能化による懸垂シラン含有樹脂の合成: [0232]下記は、式3に示すように、アセトキシスチレン変性出発物質を用いるシラン含有/エステル変性樹脂の合成の一例である。この態様においては、アセトキシ官能基の加水分解によって樹脂のフェノール基を形成し、次に3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物と反応させてエステル結合を形成して、式:樹脂−OCO−CH(CH2COOH)((CH2)3−Si(OCH2CH3)3)を有する官能化樹脂を形成した。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を図1Cにも示す。






[0233]工程3A:アセトキシスチレン脱保護による懸垂フェノール官能化樹脂の合成: 一口の丸底フラスコ(RBF)内に、スターラーバー、及び50.0gの3.4モル%アセトキシスチレン含有樹脂を充填した。テトラヒドロフラン(279mL)を加えた。溶液を撹拌した。9.25mLの脱イオン水中の1.76gの水酸化ナトリウムの溶液を調製した。出発物質の樹脂が完全に溶解した時点で、水酸化ナトリウムの溶液を加えた。トリエチルアミン(TEA、7.43g)を加え、RBFに凝縮器を取り付けた。溶液を加熱して4時間還流した。反応をFT−IRによってモニターした。カルボニルバンド(1750cm−1)が完全に消失した時点で反応が完了したとみなした。加熱を停止した。フラスコを室温に冷却した。THFを蒸発させた。ジクロロメタン(DCM、280mL)をRBFに加え、溶液を激しく撹拌した。次に、溶液を分液漏斗中に移した。有機層を、2×280mLのHCl水溶液(1モル/L)、次に4×280mLのDI水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥した。固体を濾過し、濾液を保持した。DCMを除去し、固体の生成物を30℃、減圧下において一定重量になるまで乾燥した。


[0234]工程3B:無水物シランを用いるフェノール変性による懸垂シラン官能化樹脂の合成: 100mLの一口丸底フラスコ内に、スターラーバー、及び5.00gの3.4モル%ヒドロキシスチレン含有樹脂(0.0015モルのヒドロキシスチレン単位を含む0.0423モル)を充填した。DCM(42mL、ヒドロキシスチレン単位中0.04モル/L)を加えた。反応溶液が透明になった時点で、溶液を窒素でフラッシュした。フラスコに還流凝縮器を取り付け、0.150gの無水ピリジン(0.0019モル)、次に0.907gの3−(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(0.0030モル)を加えた。反応を38〜40℃において約46時間継続した。DCMを減圧下で除去した。生成物を50mLの無水エタノールで(2回)洗浄し、減圧下30℃において一定重量になるまで乾燥した。収量は2.6g(理論収量の48%)であった。得られた生成物の試料のFT−IRを図22に示す。工程3Bの生成物の試料のTGA及びDSCスペクトルを、それぞれ図23及び24に与える。


実施例1.4:Kristalex(登録商標)3085上への無水コハク酸グラフトによる懸垂シラン含有樹脂の合成: [0235]この態様においては、式4に示すように、スチレン又はポリ(α−メチル)スチレン(AMS)樹脂を無水コハク酸のような無水物と反応させてカルボン酸基(その上にシラン基を付加する)を生成させた。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Dにも示す。






[0236]工程4A:Kristalex(登録商標)3085上への無水コハク酸のグラフトによる懸垂COOH−官能化樹脂の合成: 三つ口の2L丸底フラスコに、温度計、均圧滴下漏斗、及びマグネチックスターラーを取り付け、N2下に配置した。次に、77.5gの無水AlCl3(581.2ミリモル)を260mLのDCMによってスラリーにし、撹拌しながら丸底フラスコの底部中に充填した。別の1L丸底フラスコに、100.0gのKristalex 3085(880.4ミリモル)、800mLのDCM、及び26.4gの無水コハク酸(263.8ミリモル)を窒素下で充填し、固形分が完全に溶解するまで磁気撹拌した。溶液を、滴加のために均圧滴下漏斗中に移した。AlCl3及びDCMの溶液を氷/NaCl/水浴によって冷却した。反応混合物の温度は、樹脂/無水物溶液のゆっくりとした添加中(160分間)において−3〜5℃の間に維持した。添加が完了した後、温度を0〜15℃に維持して反応を3時間継続させた。次に、600mLのHClの2.5M水溶液を注意深く加えた。この二相系を室温において一晩撹拌した。水相を廃棄した。DCMを有機相に加えて、1.8Lの全体積に到達させた。得られた溶液を2つの同量の部分に分割した。それぞれの部分を、HClの1M水溶液で(6回)、次に200g/LのNaCl水溶液で(1回)洗浄した。2つの部分を合わせて、無水MgSO4上で乾燥した。固体を濾紙上での濾過によって除去した。溶媒を除去し、生成物を減圧下室温において約20時間乾燥した。黄色がかった固体を秤量したところ、90.2g(理論収量の71%)であった。得られた生成物の試料のFT−IRを図25に示す。工程Aの生成物の試料のTGA、DSC、及びGPCスペクトルを、ぞれぞれ図26、27、及び28に与える。酸滴定データを下表2に与える。






[0237]工程4B:COOH基官能化による懸垂シラン官能化樹脂の合成: 三つ口の1L丸底フラスコに温度計を取り付け、72.9gの27.87モル%カルボキシル−Kristalex(登録商標)3085(143.6ミリモルのカルボキシル単位を含む515.3ミリモル)、及び450mLのDCMを、窒素下で磁気撹拌しながら充填した。樹脂が完全に溶解した時点で、丸底フラスコを氷/NaCl/水浴によって冷却した。温度が2.5±2.5℃に達した時点で、15.6gのクロロギ酸エチル(143.8ミリモル)、次に14.6gのTEA(144.3ミリモル)を加えた。活性化時間(混合無水物の形成)は、5±3℃において12分であった。次に、30.3gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(136.9ミリモル)を充填した。冷却浴を取り外し、反応系を室温に加温した。反応時間は、室温において約15時間であった。溶媒を除去し、生成物を減圧下室温において一晩乾燥した。次に、500mLの無水ジエチルエーテルを窒素下で加えた。樹脂が不溶の副生成物(トリエチルアミンヒドロクロリド)と対比して完全に溶解するまで、混合物を磁気撹拌した。副生成物を、Whatman(登録商標)#1濾紙上で重力濾過することによって除去した。濾液を通して乾燥N2をバブリングしてエーテルの大部分を蒸発させた。生成物を減圧下室温において一晩乾燥した。ワックス状の生成物を秤量したところ、92.2g(理論収量の90%)であった。Siに関するICPの測定値は35700ppmであった。29Si及び13C−NMR画像は、13〜21モル%の官能化を示した。得られた生成物の試料のFT−IRを図29に示す。工程4Bの生成物の試料のTGA、DSC、及GPCスペクトルを、それぞれ図30、31、及び32に与える。また、工程4Bの生成物に関する1H−NMR、13C−NMR、及び29Si−NMRに対応するスペクトルを、それぞれ図33、34、及び35に与える。


実施例1.5:フリーラジカル共重合による懸垂シラン含有樹脂の合成: [0238]この態様においては、官能化樹脂の合成をより前の出発時点から始め、ここでは式5に示すように、樹脂ポリマーモノマーをシラン基と直接反応させて1工程で官能化樹脂を形成する。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Eにも示す。






[0239]工程5A:メタクリレートシランを用いるフリーラジカル共重合による懸垂シラン官能化樹脂の合成: オーバーヘッドパドル・ブレードスターラー、熱電対プローブ、水冷還流凝縮器、及び250mLの滴加漏斗を装備した500mLの三つ口丸底フラスコに、200mLの試薬等級のトルエン、2gのビニルシラン、160gのスチレン、及び連鎖移動剤(CTA)として60gの2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO,米国)を充填し、充填物を20分間撹拌した。次に、この混合物に40gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(CAS#2530−85−0)を加え、不活性雰囲気を保持するためにゆっくりとした窒素スパージを施しながら、混合物全体を80℃に加熱した。


[0240]滴下漏斗に、100mLの50/50酢酸エチル/トルエン中に溶解した4gのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の溶液を充填した後、窒素スパージ及び80℃の反応温度を維持しながら約4時間かけて反応混合物に加えた。この条件を更に4時間保持した後、混合物を冷却し、反応器内容物をワイプドフィルム蒸発器に排出した。次に、約2torrの減圧下、約200℃以下の温度において、溶媒、CTA、及び未反応のモノマーを除去した。生成物は、多少の残留CTAを含み、900(Mn)、3,530(Mw)、及び7,140(Mz)の分子量(気相クロマトグラフィー(GPC)、右(right)、ポリスチレン標準物質、図36)を有する粘着性の固体であった。


[0241]核磁気共鳴スペクトル(図37)は、概してポリスチレン構造と合致しており、(トリメトキシ)シリル基に関する約3.55ppmの強いブロードなピークを示し、その積分面積も充填した量と合致しており、これはケイ素含有モノマーがポリマー鎖中に実質的に完全に導入されたことを示している。


実施例1.6:無水コハク酸を用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0242]この態様においては、式6に示すように、無水コハク酸を用いるフェノール官能化によって官能化樹脂の合成を進行させて、エンドキャップ誘導体を形成する。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Gにも示す。






[0243]スターラーバー及び還流凝縮器を取り付けた1Lの丸底フラスコに、フェノール官能化樹脂(56.7g;38.4ミリモルのフェノール単位を含む)、無水MTBE(380mL)、及びトリエチルアミン(5.4mL;38.74ミリモル)を充填した。混合物をN2ブランケット下で撹拌した。樹脂が完全に溶解した時点で、無水コハク酸(3.85g;38.47ミリモル)を一度に加えた。フラスコを57℃に17時間加熱し(油浴)、次に室温に1時間半おいた。次に、混合物を氷−水−NaCl浴によって冷却した。クロロギ酸エチル(3.7mL;38.7ミリモル)を4分間かけて加えた。活性化時間は30分であった。3−アミノプロピルトリエトキシシラン(9.0mL;38.5ミリモル)を充填し、冷却浴を取り外した。反応時間(アミド形成)は、室温において6時間であった。固体の副生成物を濾過によって除去した。揮発分を減圧下でストリッピングし、残渣を真空下室温において3日間乾燥した。得られた白色の粉末生成物を秤量したところ、58.2g(理論量の85%)であった。IR、TGA、DSC、及びGPCを含むスペクトルグラフを、それぞれ図38〜41に示す。


実施例1.7:クロロシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0244]この態様においては、式7に示すように、ナトリウムエトキシド、ヨウ化ナトリウム、及びアセトンを用いて、(3−クロロプロピル)トリエトキシシランを反応させてエンドキャップシラン誘導体を生成させることによってこの態様における官能化樹脂の合成を進行させる。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Hにも示す。






[0245]温度計、オーバーヘッドスターラー、及び窒素雰囲気を装備した三つ口丸底フラスコ中に、3gのフェノール官能化樹脂(1グラムの樹脂あたり0.677ミリモルのフェノール)、及び6mLのアセトン(硫酸マグネシウム上で乾燥)を充填した。反応混合物を窒素ブランケット下に配置し、メカニカルオーバーヘッドスターラーを用いて撹拌した。反応混合物を20〜25℃に加熱して樹脂を溶解した。樹脂がアセトン中に溶解した後、ナトリウムエトキシド(0.191g)を反応混合物に加え、15分間撹拌した。次に、45〜50℃においてヨウ化ナトリウム(0.42g)を加えた。次に、(3−クロロプロピル)トリエトキシシラン(0.848g)を加え、反応温度を55℃に調節した。反応混合物を55℃において24時間撹拌した。24時間の反応時間の後、n−ヘプタンを反応混合物に加えて塩を沈澱させた。塩を、Buchner漏斗上での濾過により、Celiteパッドを通して濾過することによって除去した。ロータリーエバポレーターを用いて反応混合物をストリッピングした。アモルファスの生成物を秤量したところ、3.1g(理論量の88%)であった。最終生成物を29Si−NMRによって分析して、図42に与えるグラフを得た。


実施例1.8:イソボルニルメタクリレート及び3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートの共重合による懸垂シラン含有樹脂の合成: [0246]この態様においては、イソボルニルメタクリレートを3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートと、式8に示す条件下で反応させることによって、この態様における懸垂官能化樹脂の合成を達成する。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Iにも示す。






[0247]窒素入口、オーバーヘッドスターラー、熱電対プローブ、還流凝縮器、及び500mLの滴下漏斗を取り付けたポートを装備した1Lの三つ口丸底フラスコに、250mLの酪酸ブチルプロセス溶媒を充填した。滴下漏斗に、16gのLuperox DI(ジ−tert−ブチルペルオキシド、全モノマーを基準として8重量%)、40gの3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(全モノマーを基準として20重量%又は18.3モル%)、160gのイソボルニルメタクリレート、及び50mLの酪酸ブチルの溶液を充填した。反応器を窒素の緩流下で撹拌しながら153℃に加熱し、反応の経過中はこの温度に保持した。次に、モノマー及び開始剤の溶液を2時間かけて反応器にゆっくりと滴加した。添加が完了した後、反応混合物を153℃において更に3時間保持し、次に窒素の連続緩流下で室温に冷却した。生成物のポリマーは、溶媒を真空下約200℃以下でストリッピングすることによって得られる。外観は、僅かに曇った無色透明のアモルファスの固体であった。図43に与える最終生成物の1H−NMRスペクトルは、3.57ppmにおいてトリメトキシシリル官能基に関する高い一重線を示し、その積分(vs全脂肪族プロトンの面積)から計算されたモル装填量は約17%(18.3%の充填量に対して)である。GPC分析は、Mn900/Mw1,280/Mz2,220の分子量(ポリスチレン標準物質に対するGPC)/1.42のMWDを与える。DSCによって求められたガラス転移温度(Tg)は、図44に示すように8℃であった。図45は29Si−NMRデータを与え、1.87%のSi(理論的Siレベルは2.26%であった)を与える。図46は生成物のIRスペクトルを示す。生成物のICP分析は1.59%のSiレベルを示した。


実施例1.9:グリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0248]この態様においては、式9に示すように、グリシドキシプロピルトリエトキシシランを用いるPPh3反応によって、エンドキャップ官能化樹脂の合成を達成する。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を、図1Jにも示す。






[0249]マグネチックスターラーバー、及びN2ガスオーバーフローを有する還流凝縮器を装備した三つ口の500mL丸底フラスコに、150gのフェノール官能化樹脂(樹脂1グラムあたり0.677ミリモルのフェノール)を充填した。シリコン浴を用いて樹脂を160℃に加熱した。次に、1.5gのトリフェニルホスフィンをフラスコに加えた。溶解が完了した後、シリンジを用いて27.5gの3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランをフラスコに加えた。次に、反応混合物を160℃において6時間撹拌した。その後、反応混合物を室温に冷却した。粗生成物をメチルエチルケトン中に溶解した後、メタノール中に沈澱させた。沈澱した固体を回収した後、減圧下、N2パージを用いて80℃において乾燥した。生成物の試料のTGA(図47)及びDSC(図48)のスペクトルを与える。生成物の1H−NMRによる分析結果を図49に示す。図50は、最終生成物のGPCクロマトグラム及び分布曲線を与える。


実施例1.10:グリシドキシシランを用いる酸官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0250]この態様においては、式10において示すように、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランと共にインキュベートした酸官能化炭化水素樹脂を用いることによって、エンドキャップ官能化樹脂の合成を進行させた。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を図1Kにも示す。






[0251]100mLの丸底フラスコ内に、10gの酸官能化炭化水素樹脂(樹脂1グラムあたり0.31ミリモルの酸官能基)を充填した。樹脂を、N2ガス下において油浴中で磁気撹拌しながら160℃に加熱した。これに、1.84gの3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを一回で加えた。次に、この混合物を窒素下160℃において6時間撹拌した後、室温に冷却して記載する生成物を与えた。粗生成物をメチルエチルケトン中に溶解し、次にメタノール中に沈澱させた。沈澱した固体を回収し、次にN2パージを行なって減圧下80℃において乾燥した。GPC、1H−NMR、TGAによる最終生成物の分析結果を、それぞれ図51〜53に与える。


実施例1.11:グリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0252]この態様においては、式11に示すように、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン及び酸変性樹脂をトリフェニルホスフィンと共にインキュベートすることによって、エンドキャップ官能化樹脂の合成を達成した。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を図1Lにも示す。






[0253]マグネチックスターラーバー、還流凝縮器、及び隔膜を装備した三つ口の500mL丸底フラスコ中に、60グラムの酸変性樹脂(酸価:53mg−KOH/g)をN2ブランケット下において加えた。次に、樹脂を180℃に加熱し、その後、0.3gのトリフェニルホスフィンをフラスコに加えた。完全に溶解したら、15.76gの3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランをフラスコに一回で加えた。次に、この混合物を窒素下において180℃で6時間撹拌した後、室温に冷却した。粗生成物をメチルエチルケトン中に溶解し、次にメタノール中に沈澱させた。沈澱した固体を回収し、次にN2パージを行って減圧下80℃において乾燥した。図54〜57は、それぞれ最終生成物のDSC、GPC、1H−NMR、及びTGAの分析結果を与える。


実施例1.12:無水フタル酸及びグリシドキシシランを用いるフェノール官能化によるエンドキャップシラン含有樹脂の合成: [0254]この態様においては、式12に示すように、官能化単位を無水フタル酸及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランと共にインキュベートしてエンドキャップ官能化樹脂を生成させることによって、官能化樹脂の合成を行う。この合成ルートの代表的な出発試薬及び最終生成物の態様を図1Mにも示す。






[0255]マグネチックスターラーバーを装備した100mLの丸底フラスコに、10gのフェノール官能化樹脂(樹脂1グラムあたり0.677ミリモルのフェノール)を充填した。シリコンオイル浴を用いて樹脂を160℃に加熱した。次に、0.074gのp−トルエンスルホン酸をフラスコに加えた。15分後、0.98gの無水フタル酸をフラスコに加えた。混合物を160℃において2時間撹拌し、次に0.1gのトリフェニルホスフィン及び1.84gの3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを加えた。次に、混合物を更に4時間撹拌した後、室温に冷却した。粗生成物をメチルエチルケトン中に溶解し、次にメタノール中に沈澱させた。沈澱した固体を回収し、次にN2パージを行って減圧下80℃において乾燥した。1H−NMRによって分析された最終生成物を図58に与える。最終生成物ののGPCクロマトグラム及び分布曲線を図59に示す。


[0256]実施例1.1〜1.12に記載した上記の方法は、異なる合成ルートによって得られる種々の官能化樹脂組成物を与える。それぞれのルートを公知の手順にしたがって変化させて、異なる特性、即ち異なる官能化度、異なる分子量、異なるTg値等を有する樹脂を得ることができる。数百種類のかかる試料を製造したが、実施例1.1〜1.5において上記に記載した合成された極性リンカーの変性によって官能化したシラン樹脂の幾つかの例の化学特性及び物理特性を表3に与える。






* X線蛍光(XRF)で求めた値;全ての他の値はICPによって求めた 試料のタイプ 1=アセトキシ懸垂ルート 2=フェノールエンドキャップルート、 3=シラン無水物グラフトルート 4=無水コハク酸グラフトルート 5=ワンポットメタクリレートシラン共重合ルート 6=エンドキャップエステルアミドルート 7=エンドキャップフェニルエーテルルート 8=イソボルニルメタクリレートと3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートのコポリマー 9=グリセロールエーテルルート 10=グリセロールエステルルート 11=グリセロールスクシネートルート 12=グリセロールエステルエーテルルート 実施例2:官能化樹脂の特性分析:一般的方法: [0257]一般的方法:それぞれのシラン官能化樹脂生成物について分析を行った。IRを用いて反応をモニターした。NMR又はICPを用いてシランの存在を確認した。示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)を用いて熱安定性を評価した。GPCを用いて分子量の変化を求めた。


[0258]8スキャンから誘導される解像度を有するPerkinElmer(登録商標)分光計(PerkinElmer, Waltham, MA,米国)を用いてフーリエ変換−赤外分光法(FT−IR)を行った。試料は、0.1mLのDCM中に約10mgの物質を溶解することによって調製した。得られた溶液の1〜2滴をKBrカード上に配置し、N2流下で数分間乾燥した。


[0259]概して、29Si及び13C−NMR分析は、樹脂(試料の入手容易性に応じて100〜300mg)及びクロム(III)アセチルアセトネート(16〜36mg)を1mLの重水素化クロロホルム中に溶解することを含んでいた。試料を、雰囲気温度において全ての物質が完全に溶解するまで撹拌した。ヘキサメチルジシロキサン(40〜100マイクロリットル)を内部標準物質としてそれぞれの溶液に加え、試料を再び短時間撹拌した。次に、試料溶液を5mmのNMRチューブに移した。26℃において、炭素NMRに関しては125又は150MHz、ケイ素NMRに関しては99又は119MHzにおいてスペクトルを獲得した。緩和遅延は、炭素NMRに関しては1〜2秒、ケイ素NMRに関しては5秒であった。スキャン数は通常は、炭素NMRに関して12500及びケイ素NMRに関して1250、乃至炭素NMRに関して24000及びケイ素NMRに関して7400であった。官能化レベルの計算は、ケイ素NMR及び炭素NMRの両方を用いて行った。NMRは、Bruker500MHz Avance II NMR分光計(Bruker Corp., Billerica, MA,米国)において、500MHzの1H周波数、125MHzの13C周波数、及び99MHzの29Si周波数を用いて行った。また、幾つかの試料に関しては、600MHzの1H周波数、150MHzの13C周波数、及び119MHzの29Si周波数のAgilent600MHz DD2分光計(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)も用いた。全ての試料は、示していない限りにおいては26±1℃で実験した。


[0260]ICPに関する標準的な手順は、キシレン又は試料に対して選択された好適な溶媒中での分解法又は別の調製のいずれかを用いて試料を調製することを含んでいた。分解に関しては、約250ミリグラムの試料を清浄なテフロン(登録商標)試料チューブ中に秤量投入した。次に、3mLの濃硝酸(微量金属グレード、Fischer Chemical, Whippany, NJ,米国)をそれぞれのチューブに加えた。次に、試料チューブをキャップしてマイクロ波装置内に配置した。Ultrawave Single Reaction Chamber Digestion System (Milestone, Inc., Shelton, CT,米国, 表4)を用いて試料をマイクロ波分解した。マイクロ波に関する分解手順を下表3に示す。分解した試料を25mLの体積に希釈して、約10%のHNO3の最終酸濃度(加えた硝酸、及び分解中の硝酸の予測消費量に基づく)を与えた。1ppmのスカンジウム内部標準物質をそれぞれの試料に加えた。次に、この方法のブランク試料を含むそれぞれの試料を、サイクロン非バッフルスプレーチャンバー及び同軸ネブライザーを備えたPerkinElmer(登録商標)Optima 2100 ICP発光分光分析(OES)装置(PerkinElmer, Inc., Walthan, MA)において分析した。ICP−OESは、マトリクスマッチング調製された1ppmの較正標準物質及びブランクを用いて較正した。ICP−OES条件を表5に与える。










[0261]DSCスキャンは、冷凍冷却システム(refrigerated cooling system)(RCS-90)を装備したTA Instruments Q200又はQ2000示差走査熱量計(DSC, TA Instruments, New Castle, DE,米国)において、両方とも20℃/分の加熱速度を用いて窒素下で行った。ガラス転移温度(Tg)は、2番目の加熱トレースから計算して報告した。TGAは、TA Instruments Q500熱重量分析装置(TA Instruments, New Castle, DE,米国)を用い、10℃/分の加熱速度において、50cc/分の窒素パージを用いて窒素下で行った。


[0262]GPC方法は次の通りであった。GPC分析のために、屈折率検出器(RID)を装備したAgilent 1100HPLC(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)を用いた。試料は、25mgの物質を10mLのTHF中に溶解し、約5分間超音波処理することによって調製した。次に、10μLのトルエンを加えて撹拌した。この溶液の一部をバイアルに加えた。実験方法:流量:1mL/分;溶媒:THF;実験時間:26分;RID温度:30℃;カラム温度:30℃;注入量:50μL;較正物質:EasiCal PS-1(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国、製品番号2010-0505);カラムタイプ:第1カラム:GPCガードカラム(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国、部品番号PL1110-1520);粒径−5μm;長さ:50mm×7.5mm;第1カラム:PLGel 5μm MIXED-C、部品番号PL1110-6500;粒径−5μm;長さ:300mm×7.5mm;第2カラム;OligoPore(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国、部品番号PL1113-6520);粒径−6μm;細孔タイプ−100A;長さ:300mm×7.5mm。


[0263]GPC分析のために、Agilent 1260屈折率検出器を備えたAgilent 1100HPLC(Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)を用いた。用いた移動相は、BHT保存料で安定化したテトラヒドロフラン(Mollickrodt Pharmaceuticals, Inc., Staines-upon-Thames, England,英国)であった。固定相は、Agilentからの3つのカラム:PLgel MIXEDガードカラム(5ミクロン、7.5×300mm、Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)、PLgel Mixed C カラム(5ミクロン、7.5×300mm、Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)、及びOligoPoreGPCカラム(5ミクロン、7.5×300mm、Agilent Technologies, Inc., Santa Clara, CA,米国)から構成した。


[0264]用いた較正体は、580〜4,000,000の分子量(MW)範囲を有する単分散ポリスチレン標準物質であったが、ポリスチレン二量体、三量体、四量体、及び五量体に関するピークも観察され、較正に含めた。分析等級のトルエンをフローマーカーとして用いた。四次多項式を用いて、観察された溶出時間に対するLogMWに関するベストフィットを見出した。較正及び試料分析のために用いた装置パラメーターには、1.0mL/分の流速、50マイクロリットルの注入体積が含まれ、カラム及びRI検出器は30℃に加熱した。試料は、25mgの試料をBHTを有する10mLのTHF中に溶解することによって調製し、その後10マイクロリットルのトルエンをフローマーカーとして加えた。試料を分析して、熱可塑性樹脂のMw、Mn、及びMzを求めた。300g/モル未満及び600g/モル未満(300g/モル未満の量を含む)の熱可塑性樹脂の割合は、AgilentGPC/SECソフトウエアバージョン1.2.3182.29519を用いたGPC積分によって求めた。


[0265]較正及び試料分析のために用いた装置パラメーターには、1.0mL/分の流速、50マイクロリットルの注入体積が含まれ、カラム及びRI検出器は30℃に加熱した。試料は、25mgの試料をBHTを有する10mLのTHF中に溶解することによって調製し、その後10マイクロリットルのトルエンをフローマーカーとして加えた。試料を分析して、熱可塑性樹脂のMw、Mn、及びMzを求めた。


[0266]中間体の酸滴定のために、試料を秤量し、25mLのジメチルホルムアミド(DMF)、次に撹拌によって溶解した後に25mLのメタノールを加えた。溶液を約1分間撹拌し、10滴のブロモチモールブルー溶液(Fluka Chemie AG, 現在はSigma-Aldrich, St. Louis, MO,米国)を加えた。メタノール中の0.01Mのナトリウムメチラートを用いて、当量点を過ぎるまで滴定した(視認及び計算の使用の両方)。


実施例3:シラン官能化樹脂を含むゴム組成物: [0267]樹脂の骨格に結合したシラノール基へのエーテル結合を有する官能化樹脂(10モル%〜11モル%の官能化、樹脂B)を調製し、10phr、20phr、及び30phrの量でゴム混合物に加えて、表6に示すゴム混合物(それぞれI1、I2、及びI3)(スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を用いた)、及び表7に示すゴム混合物I7、I8、及びI9(天然ゴム(NR)を用いた)を調製した。樹脂の側基に結合したシラノール基へのスクシニル結合によって合成された更なる官能化樹脂試料(27〜30モル%の官能化、樹脂C)を調製し、10phr、20phr、及び30phrの量でゴム混合物に加えて、これも表6に示すゴム混合物(それぞれI4、I5、及びI6(SBR))、及び表7に示すゴム混合物I10、I11、及びI12(NR)を調製した。ゴム混合物C1〜C6は、本発明の極性スペーサーリンカーを用いない樹脂を含んでおり、混合物の参照試料は樹脂を含んでいなかった。










[0268]混合物の製造は、表8に示すように、工業標準条件下において、2枚羽根構造を有する実験用300mL Brabenderミキサー(CW Brabender GmbH & Co., South Hackensack, NJ,米国)内で2段階で行った。試験片は、圧力下160℃において最適の加硫(表9)を行うことによって全ての混合物から製造し、これらの試験片を用いて、下記に与える試験法を用いることによってゴム産業に特有の材料特性を求めた。










[0269]ゴム混合物を試験して、表10及び11(それぞれSBR混合物及びNR混合物に関する結果)に示す得られたタイヤの特性を求めた。










[0270]表10、表11、及び図60から分かるように、官能化極性リンカーを含む樹脂は、低い転がり抵抗と向上したウェットグリップ性の相反する技術的要件をより高いレベルで解決する。具体的には、10(及びSSBRに関しては20)phrの官能化樹脂を加えると、非官能化樹脂と比べて、70℃におけるレジリエンスと室温におけるレジリエンスとの差の増加した値が示される。70℃におけるレジリエンスは殆ど影響を受けないままであるので、この差は主として室温における減少したレジリエンスによるものである。更に、0℃におけるtanδの増加した値によって示されるように、ウエットグリップ性が向上する。しかしながら、転がり抵抗は、70℃におけるtanδの値の非常に小さい変化によって示されるように概して影響を受けないままである。更に、ショアA硬度は、化合物I4〜I6(SBR)及びI10〜I12(NR)における高官能化樹脂に関して観察されるように、官能化樹脂を加えることによって殆ど影響を受けないままであるか、又は更には増加する。これらのデータから分かるように、効果は両方のポリマー系に関して同等である。


[0271]また、本発明の樹脂をWO−2015153055(その開示事項を全ての目的のために参照として本明細書中に包含する)による混合物において用いた。重負荷操作中に起こる高い温度における耐久性、トラクション、及び操作性における向上を示す、100℃及び14%のひずみにおいて観察されるtanδのより高い値は、ここで与える本発明の樹脂に関しては観察されなかった。これに対して、100℃及び14%のひずみにおけるtanδの値は、WO−2015/153055(その開示事項を全ての目的のために参照として本明細書中に包含する)にしたがって具現化された配合において用いた場合の樹脂に関しては減少した。


実施例4:シラン官能化樹脂を含むエチレン酢酸ビニル(EVA)接着剤組成物: [0272]上述したように、本明細書に記載する官能化樹脂は、種々の最終製品及び/又は最終用途に有用で驚くべき性質を与える。1つのかかる最終用途は接着剤組成物である。本実施例においては、2種類のEVA接着剤組成物を調製して特性分析する。


[0273]規定のポリマー、樹脂、及び酸化防止剤を十分に混合し、次に規定のワックスを下記の表12に示される比(全ての値は重量%である)で加えることによって、2種類の異なる接着剤配合物を調製した。本明細書に記載するように官能化される実施例樹脂1.9、及び市販の樹脂のKristalex(登録商標)3085(Eastman Chemical Company, Kingsport,TN,米国)を、接着剤組成物中に導入して試験した。添加が完了した後、コイルインペラーを装備したメカニカルスターラーを用いて配合物を15分間混合した。配合物VC1及びVE1を150℃において混合し、試験のために130℃において段ボール紙基材に施した。配合物VC2及びVE2を180℃において混合し、試験のために180℃において段ボール紙基材に施した。






[0274]次の試験法を用いて接着剤を特性分析した。Brookfield粘度は、ASTM−D3236「ホットメルト接着剤及び被覆材料のみかけ粘度に関する標準試験法」にしたがい、Thermosel(登録商標)及びスピンドル27を備えたBrookfield DV-II+粘度計(AMETEK Brookfield, Middleborough, MA,米国)を用い、規定温度において試験した。変動係数は7%であった。


[0275]リング・ボール軟化点(RBSP)は、ASTM−D6493−11(2015)「自動リング・ボール装置による炭化水素樹脂及びロジンベースの樹脂の軟化点に関する標準試験法」にしたがい、Herzog 754装置(PAC, L.P., Houston, TX,米国)を用いて求めた。


[0276]日本のMitsubishi Electric Corporation(MEC)によって製造されたホットメルト試験装置モデルASM-15Nを用い、日本接着剤工業(JAI)JAI法JAI−7−Bにしたがって、段ボール紙の波を垂直にして、接着/繊維引裂試験のための結合試料を作製した。繊維引裂試験は、規定の温度条件下で接着した段ボール紙基材を手によって手動で引裂き、繊維の引裂割合を視認によって最も近い10%単位まで評価することから構成される。接着した段ボール紙基材は、試験前にその温度において少なくとも10時間コンディショニングした。剪断接着破壊温度(SAFT)及び剥離接着破壊温度(PAFT)の試験のための試料はJAI法JAI−7−Aにしたがって調製し、保持力試験(剥離モード)のための試料はJAI法JAI−7−Cにしたがって調製した。PAFT及びSAFT試験は、それぞれ100g及び500gの荷重を用い、0.5℃/分のオーブン昇温速度で行った。保持力の試料は、規定温度において250gの荷重を用いて試験した。それぞれの試験に関して最小で5つの試料を試験して、平均値を報告した。用いた段ボール紙は、フルートタイプB、220g/m2Kraftライナー、220g/m2Kraftライナーであった(Rengo Co., Ltd., 日本)。


[0277]表13に、粘度、RBSP、及び接着性の結果を含む配合物の試験結果を与える。接着剤VC1と比べると、シラン官能化樹脂を含む接着剤VE1は、著しくより低い接着剤粘度を与える。このより低い粘度により、−15℃までの温度において迅速なセットタイム及び優れた接着を維持しながらより低い適用温度を使用することが可能になる。これもシラン官能化樹脂を含む接着剤VE2は、VC2に匹敵するSAFT温度、粘度、及びセットタイムを維持しながら、−7℃及び−15℃における段ボール紙に対する接着性を大きく増加させた。






実施例5:シラン官能化樹脂を含むホットメルト感圧接着剤組成物: [0278]シラン官能化した実施例樹脂1.9(上記)、及びエンドブロック変性樹脂として商業的に入手できるKristalex(登録商標)3085(Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国)を用いて、粘着付与樹脂としてPiccotac(登録商標)1095(Eastman Chemical Company, Kingsport, TN,米国)を含むスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ベースのホットメルト感圧接着剤(PSA)組成物を調製した。同様に、エンドブロック変性樹脂を用いないで参照のPSAを調製した。組成物の成分を表14に与える。






[0279]配合物を、Brabender Plasti-CorderモデルDR-2072内で、シグマタイプの混合ブレードを用いて(C.W. Brabender(登録商標)Instruments, Inc., S. Hackensack, NJ,米国)、150℃及び80〜100rpmにおいて調製及び混合した。ポリマー及び酸化防止剤は、配合物中において用いる前にフルボウル(full bowl)内で10分間予備処理した。予備処理したポリマー及び樹脂をボウルに加えて20分間撹拌した。オイルを、50分の全混合時間の間、混合しながら滴加した。


[0280]接着剤を、ホットメルトナイフコーターを用いて140℃において50μm(2ミル)のMylarフィルム上に被覆した。被覆重量は26±2g/m2であり、被覆したテープ試料は、感圧接着剤として試験する前に、制御された温度及び湿度環境(25℃及び50%RH)内でコンディショニングした。


[0281]MTS Criterion汎用引張試験機モデルC43-104Eにおいて、PSTC-16にしたがって(MTS Systems Corporation, Eden Prairie, MN,米国)ループタック試験を行った。クロスヘッド変位速度は5mm/秒であった。この実験においては、テープの25mm×125mmのループを用いた。グリップによって拘束されていないテープのフリーループは、長さ75mmであった。試験片の単位幅あたりの最大の力を記録した。グリップの底部から基材の表面までで測定される当初高さは50mmであった。最大変位は44mmであり、最大変位における停止時間は1秒であった。


[0282]PSTC-101:感圧テープの剥離接着力試験法A(片面粘着テープ、度180°における剥離接着力)にしたがって、単位幅あたりの剥離エネルギー又は剥離力を測定した。MTS Criterion汎用引張試験機モデルC43-104E(MTS Systems Corporation, Eden Prairie, MN,米国)を用い、5mm/秒(12インチ/分)のクロスヘッド変位速度で、25mm×250mm(1インチ×10インチ)の寸法の長方形の片を試験した。


[0283]剪断接着破壊温度(SAFT)の測定は、PSTC-17:感圧テープの剪断接着破壊温度(SAFT)に関する試験法にしたがい、高温剪断バンクテスターを装備した剪断試験オーブン(ChemInstruments, Fairfield, OH,米国)を用いて測定した。面積が25×25mm(1インチ×1インチ)のテープを、標準的な2kg(4.5ポンド)のハンドローラーを1回完全に通過させることによってステンレススチールパネルに接着させた。試料を調製し、25℃及び50%RHにおいて30分間慣らした後、オーブン内に配置して、500gの静荷重をテープから吊り下げた。オーブンを30℃において20分間平衡化させ、次に0.5℃/分の加熱速度を用いて温度を上昇させた。破壊までに測定された時間を記録し、破壊温度(℃)に換算した。SAFT試験に関する試料の最小数は4つであった。


[0284]高温剪断バンクテスターを装備した剪断試験オーブン(ChemInstruments, Fairfield, OH,米国)を用いて、40℃及び70℃における剪断保持力を測定した。面積が12.5×12.5mm(0.5インチ×0.5インチ)又は25×25mm(1インチ×1インチ)のテープを、標準的な2kg(4.5ポンド)のハンドローラーを1回完全に通過させることによってステンレススチールパネルに接着させた。試料をオーブン内に配置し、試料をそれぞれ40℃又は70℃に慣らした。この温度に達した時点で、1000gの静荷重をテープから吊り下げた。破壊までに測定された時間を記録した。剪断保持力試験に関する試料の最小数は5つであった。


[0285]シラン官能化樹脂を含む実施例樹脂1.9は、比較例中に含まれる市販のKristalex(登録商標)3085よりも相当に低いTgを示すが、実施例樹脂1.9においては、接着粘度が大きく低下し、ループタック及びステンレススチール上における180°剥離接着力を保持した。驚くべきことに、実施例樹脂1.9は、より高いTgを有する比較の市販樹脂と同等の40℃における剪断保持時間を与える。この性能と物理特性との組合せにより、配合物が比較の樹脂を用いる同等のPSAと比べて向上した加工性及びより低い適用温度を与えることが可能になる。或いは、配合業者は、変性樹脂を用いて、エンドブロック変性樹脂を用いない参照接着剤と比べて、より低い粘度及び加工温度、並びに改良された180剥離接着力及び40℃及び70℃における保持力を有する生成物を与えることができる。


実施例6:シラン官能化樹脂を含む非加硫熱可塑性エラストマー(TPE)二元ブレンド: [0286]実施例樹脂1.9(上記、20重量%)、及びKraton(登録商標)G-1650(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー,Kraton Performance Polymers, Kraton Corporation, Houston, TX,米国、80重量%)を十分に混合することによって、熱可塑性エラストマーブレンドを調製した。比較のために、実施例樹脂1.9に代えて、市販の樹脂のKristalex(登録商標)3115LV(Eastman Chemical, Ltd., Kingsport, TN,米国)を組成物中に導入した。また、参照として、ニートの加工ポリマーも含ませた。


[0287]本実施例においては次の試験法を用いた。化合物は、Prep-Mixer(登録商標)混合ボウル及びローラーブレードを装備したBrabender PL-2000(CW Brabender(登録商標)Instruments, Inc., S. Hackensack, NJ,米国)内で、220℃において75rpmで15分間混合することによって調製した。ブレンドを、加熱したCarverプレス内で180℃及び約8トンの圧力において5分間圧縮成形することによって、プラーク(5インチ×5インチ×1/8インチ)及び(4インチ×4インチ×1/4インチ)に成形した。BYK-Gardner規格4732及び4733を用いて較正したGardner Haze-Gard Plus 4725装置(BYK Additives and Instruments, Wesel,ドイツ)を用いて、プラークを透過率(%)に関して試験した。フィルムを、引裂強度、引張特性、及び永久圧縮歪みなどの種々の物理試験のための試験品にダイカットした。残りの材料は、メルトフローレートの測定のためにペレットサイズの片に切り出した。


[0288]引張試料は、ASTM−D638(タイプV)にしたがってダイカット及び試験し、MTS Criterion汎用引張試験機モデルC43-104E(MTS Systems Corporation, Eden Prairie, MN,米国)において試験した。引裂試料は、ASTM−D624(ダイC)にしたがってダイカットした。


[0289]ASTM−D412にしたがい、MTS Criterion汎用引張試験機モデルC43-104E(MTS Systems Corporation, Eden Prairie, MN,米国)を用いて、500mm/分のクロスヘッド速度において、引張り強さ、モジュラス、及び破断点伸びを測定した。引裂強さは、ASTM−D624にしたがって同じ条件において測定した。6回の試験の結果を平均した。


[0290]Ceastメルトフローモジュレーター装置(Instron, Norwood, MA,米国)内で、230℃において、2.16kgの荷重を用いてメルトフローレートを測定した。 [0291]永久圧縮歪み試験に関しては、ASTM−395−14を用いた。試験片は、大気温度及び湿度に24時間コンディショニングした後に、13mmの内径を有するパンチスタイルのカッターを用いて厚さ6mmのプラークから切り出した。試験法Bによる一定撓みのために、4.5mmのスペーサーバーを有するプレート圧縮装置中にそれぞれのプラークの3つの試料を装填した。次に、試料を、一定の大気実験条件下、又は70℃のオーブン内に22時間保持した。圧縮前、及び装置から取り出した後のコンディショニング段階の30分後において、厚さの測定値をとった。ASTM−395−14にしたがって計算された結果を報告する。


[0292]ASTM−D2240−05にしたがって硬度試験を行った。試料は、圧縮試験のために用いたものと同じ6mmのプラークから測定したが、圧縮試料を切り出す前のみであった。試験のためのベースとして、「タイプB」のショアAデュロメーターを、非常に密な実験台に沿って用いた。ASTM−D2240−05にしたがって測定値を集めて記録した。


[0293]表15はブレンド試験結果を示し、引裂強さ、%モジュラス、引張特性における驚くべき増加、及び永久圧縮歪みの低下を示している。






[0294]表15から分かるように、シラン官能化樹脂を含むTPEブレンドは、未変性樹脂のKristalex(登録商標)3115LVを用いる場合の結果である70℃の圧縮永久歪みにおける大きな好ましくない増加を起こすことなく、ニートのポリマーと比べて、室温圧縮永久歪み、引裂強さ、モジュラス、引張り強さ、及び伸びを改善した。


[0295]本明細書において引用する全ての公報、特許、及び特許出願は、参照として、及び全ての目的のために、それぞれの個々の公報、特許、又は特許出願が参照によって具体的且つ個々に示されているかのように本明細書中に包含される。不整合の場合には、本開示が優先する。


[0296]上記に記載した態様は、その実施が知られているベストモードを説明するように更に意図され、かかる態様又は他の態様において、特定の用途又は使用に必要な種々の修正を加えて当業者が本発明を利用することを可能にするものである。したがって、この記載は、本発明を本明細書に開示する形態に限定することは意図しない。また、添付の特許請求の範囲は別の態様を包含するように解釈されると意図される。




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