【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、レギュラーコーヒーの抽出を行なう自動販売機の飲料抽出装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のレギュラーコーヒーの抽出を行なう飲料抽出装置は、実開平０１−９６０８７号公報に示されているものがある。

【０００３】以下、図面を参照しながら上記従来の飲料抽出装置を説明する。

【０００４】図４は、従来の飲料抽出装置の構成を示す概略構成図である。 図４において、１はコーヒー豆２を貯蔵・搬出を行なう原料供給装置、３はコーヒー豆を粉砕するミル、４は原料供給装置１の吐出口１ａとミル３
の投入口３ａと連通する豆シュート、５は湯とコーヒー粉を混合するシリンダ、６はシリンダ５の樋５ａと連通し回動自在な粉シュート、７は粉シュートと係止するソレノイドである。

【０００５】８は湯タンク、９は樋５ａにバルブ８ａを介し湯を供給するノズル、１０はシリンダ５の上開口部５ｂを封止するピストン、１１はシリンダ上部の空気供給口５ｃよりシリンダ内に空気を供給するエアポンプ、
１２はフィルタ１３を介しシリンダ５の下開口部５ｄを封止する濾過液受け、１２ａは抽出液の濾過液受け吐出口、１４はフィルタ１３を一定量送るギア、１５はピン１５ａに回転自在に軸支されフィルタ１３をギア１４と挟着するローラ、１６は抽出済の滓、１７は滓バケツである。

【０００６】以上のように構成された飲料抽出装置について、以下その動作を説明する。

【０００７】まず、濾過液受け１２が上昇しシリンダ５
の下開口部５ａを封止する。 原料供給装置１の吐出口１
ａよりコーヒー豆２が豆シュート４を介してミル３の投入口３ａに投入され、粉砕されたコーヒー粉は粉シュート６を介してシリンダ５の樋５ａに投入される。 投入後、ソレノイド７によりシュート６が振動しシュート６
内に付着したコーヒー粉をシリンダ５の樋５ａに振り落とす。

【０００８】湯タンク８より湯が湯弁８ａを介してノズル９より樋５ａに注入されコーヒー粉をシリンダ内に流し込む。 ピストン１０が下降しシリンダ５の上開口部５
ｂを封止する。 エアポンプ１１により空気供給口５ｃからシリンダ５内に空気が圧送され、シリンダ５内の混合液がフィルタ１３にて濾過され、抽出液が濾過液受け吐出口１２ａより吐出される。

【０００９】ピストン１０が上昇し、濾過液受け１２が下降してギア１４が回転しフィルタ１３がローラ１５に挟着され、抽出済の滓１６は一定量送られ滓バケツ１７
内に廃棄される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の飲料抽出装置は、シュート内に付着したコーヒー粉をシリンダ内に振り落とすことにより、シュート内に付着しやすいコーヒーの渋味の原因である渋皮や微紛も入ることになるという欠点を有していた。

【００１１】本発明は従来の課題を解決するもので、渋味の少ないコーヒーを抽出する飲料抽出装置を提供することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため本発明は、シュートの粉出口がシリンダの上面開口部の上方にくる位置と、シュートの粉出口がシリンダの上面開口部の上方から外れてシュートの下部が当接部材と当接する位置とに、シュートの回動位置を駆動手段により切り換えることができるようにしたものであり、この構成により、渋味の少ないコーヒーを抽出することができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の飲料抽出装置の発明は、ミルにより挽かれたコーヒー粉をシュートによりシリンダ内に導き、前記シリンダ内で湯と混合して抽出する飲料抽出装置において、前記シュートの下部に形成された粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方から外れる位置に移動できるように、前記シュートを回動自在に支持し、前記シュートの粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方から外れるように回動させたときに、前記シュートの下部と当接するように配置された当接部材と、前記シュートの粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方にくる位置と、前記シュートの粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方から外れて前記シュートの下部が前記当接部材と当接する位置とに、前記シュートの回動位置を切り換える駆動手段とを備えたものであり、駆動手段により、シュートの下部が当接部材に衝突し、その衝撃でシュート内に付着した渋皮や微紛をシリンダ外に振り落とすことにより、渋味の少ないコーヒーを抽出することができるという作用を有する。

【００１４】また、請求項２に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項１に記載の発明における当接部材を、シュートの回動軸を軸支するホルダーで構成したものであり、請求項１に記載の発明の作用に加え、構成が簡単になるという作用を有する。

【００１５】また、請求項３に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項１または請求項２に記載の発明において、
シュートの回動軸に前記シュートの回動と連動して回動する駆動軸を設け、駆動手段を電磁石の磁力でプランジャーを吸引するソレノイドで構成し、前記駆動軸と前記プランジャーとをリンクを介して連結したものであり、
駆動手段がシュートの回動軸に回転力を加えるため、シュートの構造が簡単になり、駆動手段をソレノイドで構成したため、簡単な構成で、シュートを所定の回動位置で停止させることができるという作用を有する。

【００１６】また、請求項４に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項３に記載の発明において、ソレノイドがプランジャーを吸引していないときに、シュートの自重で前記シュートの下部が当接部材と当接した状態を維持するように前記シュートの回動軸を前記シュートの側面に配置し、前記ソレノイドが前記プランジャーを吸引したときに、前記シュートの粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方にくる位置で前記シュートが静止するように前記ソレノイドを配置したものであり、簡単な構成で、
シュートを所定の二つの回動位置で停止させることができ、また、ミルにより挽かれたコーヒー粉をシュートによりシリンダ内に導くときのみソレノイドに電力を供給すればよいため、省エネに寄与できるという作用を有する。

【００１７】また、請求項５に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の発明において、シュートの下部が当接部材に当たる衝撃で振り落とされる前記シュート内の付着物を、シリンダ内において抽出済みの滓と一緒に廃棄できるように、前記シュートの下部が前記当接部材と当接するときの前記シュートの粉出口を、前記抽出済みの滓の廃棄経路の上方に位置させたものであり、シュートの下部が当接部材に当たる衝撃で振り落とされるシュート内の付着物を、シリンダ内において抽出済みの滓と一緒に廃棄できるという作用を有する。

【００１８】また、請求項６に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項４に記載の発明において、ソレノイドの吸引動作を数回繰り返すことによりシュート内に付着した渋皮や微紛を完全にシリンダ外に振り落とすという作用を有する。

【００１９】また、請求項７に記載の飲料抽出装置の発明は、請求項４に記載の発明において、販売後、一定時間経過した時にもソレノイドの吸引動作を行なうことにより、シュート内に付着したままの微紛等が乾燥したときに衝撃を与えることにより振り落とすことができるという作用を有する。

【００２０】以下、本発明による飲料抽出装置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。 なお、
従来と同一の構成に関しては、同一記号を付して詳細な説明を省略する。

【００２１】（実施の形態１）図１は、本発明の実施の形態１による飲料抽出装置の待機時における抽出部の斜視図である。 図２は、同実施の形態１による飲料抽出装置の粉投入時における抽出部の斜視図である。 図３は、
同実施の形態１による飲料抽出装置の構成を示す概略構成図である。

【００２２】図１〜３図において、１８はシリンダ、１
８ａは上開口部、１８ｂは下開口部、１８ｃは空気供給口、１９は粉シュート、１９ａはＤ形の穴が開いたシュート左フランジ、１９ｂは丸穴が開いたシュート右フランジ、２０はクランクピンでシュート右フランジ１９ｂ
の丸穴に貫通し、先端２０ａはＤ形に切削されて粉シュート１９のシュート左フランジ１９ａのＤ形穴に勘合している。 ２１はクランクピン２０を軸支するホルダーで待機時には下端２１ａは粉シュート１９の下部と当接しており、この時粉シュート１９の粉出口１９ｃは抽出滓１６の上方に位置している。 ２２は仕切り板でホルダー２１を保持しておりクランクピン２０が貫通している。
２３はソレノイドでクランクピン２０の駆動軸２０ｂとリンク２４にて係止しており、仕切り板２２の裏側に固定されている。

【００２３】以上のように構成された飲料抽出装置について以下その動作を説明する。

【００２４】まず、濾過液受け１２が上昇しシリンダ１
８の下開口部１８ｂを封止する。 ソレノイド２３が吸引しリンク２４を介してクランクピン２０の駆動軸２０ｂ
が下方に回転することによりクランクピン２０の先端２
０ａと勘合した粉シュート１９が回転し粉シュート１９
の粉出口１９ｃがシリンダ１８の上開口部１８ａ上に位置する。 原料供給装置１の吐出口１ａよりコーヒー豆２
が豆シュート４を介してミル３の投入口３ａに投入され、粉砕されたコーヒー粉は粉シュート１９を介してシリンダ１８内に直接投入される。 投入後、ソレノイド２
３が吸引を終了することによりシュート１９は自重で待機位置に戻りシュート１９の下方がホルダー２１の下端２１ａに衝突することによりシュート１９内に付着したコーヒー粉を抽出済の滓１６上に振り落とす。 湯タンク８より湯が湯弁８ａを介してノズル９よりにシリンダ１
８内に注入される。 ピストン１０が下降しシリンダ１８
の上開口部１８ａを封止する。 エアポンプ１１により空気供給口１８ｃからシリンダ１８内に空気が圧送され、
シリンダ１８内の混合液がフィルタ１３にて濾過され、
抽出液が濾過液受け吐出口１２ａより吐出される。 ピストン１０が上昇し、濾過液受け１２が下降してギア１４
が回転しフィルタ１３がローラ１５に挟着され、抽出済の滓１６は一定量送られ滓バケツ１７内に廃棄される。
その後、販売指令がない場合、上記ソレノイド２３の吸引動作を繰り返す。 また、販売終了後一定時間経過しシュート１９内が乾燥した状態で上記ソレノイド２３の吸引動作を行なう。

【００２５】以上のように本実施の形態１の抽出装置はシリンダ１８内にコーヒー粉を導くシュート１９と、シュート１９に装着されたクランクピン２０と、クランクピン２０を軸支し通常はシュート１９下部がシリンダ上開口部１８ａの外に位置するようにシュート１９下部と当接するホルダー２１と、クランクピン２０の駆動軸２
０ｂとリンク２４により係止したソレノイド２３よりなり、ソレノイド２３が吸引した時にはシュート１９の粉出口１９ｃがシリンダ上開口部１８ａに位置するようにしたものである。

【００２６】これにより、ソレノイド２３が吸引終了すると、シュート１９下部がホルダー２１に衝突し、その衝撃でシュート１９内に付着した渋皮や微紛をシリンダ１８外に振り落とすことにより、渋味の少ないコーヒーを抽出するという作用を有する。

【００２７】また、ソレノイド２３の吸引動作を数回繰り返すことによりシュート１９内に付着した渋皮や微紛を完全にシリンダ１８外に振り落とすという作用を有する。

【００２８】また、販売後、一定時間経過した時にもソレノイド２３の吸引動作を行なうことにより、湿気てシュート１９内に付着したままの微紛等が乾燥したときに衝撃を与えることにより振り落とすことができるという作用を有する。

【００２９】また、通常はシュート１９下部が抽出済の滓１６方向に位置するようにしたことによりシュート１
９より振り落とされた粉は抽出滓と共に滓バケツ１７に廃棄されるという作用を有する。

【００３０】さらに、シュート１９とソレノイド２３を仕切り板２２により隔離したため、ソレノイド２３に粉が付着して動作不良となるのを防止できる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明の飲料抽出装置は、シュートの粉出口がシリンダの上面開口部の上方にくる位置と、シュートの粉出口がシリンダの上面開口部の上方から外れてシュートの下部が当接部材と当接する位置とに、シュートの回動位置を駆動手段により切り換えることができるようにしたことにより、シュートの下部が当接部材に衝突する衝撃でシュート内に付着した渋皮や微紛をシリンダ外に振り落として、渋味の少ないコーヒーを抽出することができる。

【００３２】この場合、当接部材を、シュートの回動軸を軸支するホルダーで構成すれば、構成が簡単になる。

【００３３】また、さらに、シュートの回動軸に前記シュートの回動と連動して回動する駆動軸を設け、駆動手段を電磁石の磁力でプランジャーを吸引するソレノイドで構成し、前記駆動軸と前記プランジャーとをリンクを介して連結することにより、シュートの構造が簡単になり、駆動手段をソレノイドで構成したため、簡単な構成で、シュートを所定の回動位置で停止させることができる。

【００３４】また、さらに、ソレノイドがプランジャーを吸引していないときに、シュートの自重で前記シュートの下部が当接部材と当接した状態を維持するように前記シュートの回動軸を前記シュートの側面に配置し、前記ソレノイドが前記プランジャーを吸引したときに、前記シュートの粉出口が前記シリンダの上面開口部の上方にくる位置で前記シュートが静止するように前記ソレノイドを配置することにより、簡単な構成で、シュートを所定の二つの回動位置で停止させることができ、また、
ミルにより挽かれたコーヒー粉をシュートによりシリンダ内に導くときのみソレノイドに電力を供給すれば、省エネに寄与でき、また、シリンダに湯を注入するときは、シュート下部はシリンダの外に位置するため、シュート内が湿気ることを抑制できる。

【００３５】また、シュートの下部が当接部材に当たる衝撃で振り落とされる前記シュート内の付着物を、シリンダ内において抽出済みの滓と一緒に廃棄できるように、前記シュートの下部が前記当接部材と当接するときの前記シュートの粉出口を、前記抽出済みの滓の廃棄経路の上方に位置させることにより、シュートの下部が当接部材に当たる衝撃で振り落とされるシュート内の付着物を、シリンダ内において抽出済みの滓と一緒に廃棄できる。

【００３６】また、ソレノイドの吸引動作を数回繰り返すことによりシュート内に付着した渋皮や微紛を完全にシリンダ外に振り落とすことができる。

【００３７】また、販売後、一定時間経過した時にもソレノイドの吸引動作を行なうことにより、シュート内に付着したままの微紛等が乾燥したときに衝撃を与えることにより振り落とすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１による飲料抽出装置の待機時における抽出部の斜視図

【図２】同実施の形態１による飲料抽出装置の粉投入時における抽出部の斜視図

【図３】同実施の形態１による飲料抽出装置の構成を示す概略構成図

【図４】従来の飲料抽出装置の構成を示す概略構成図

【符号の説明】

１ 原料供給装置 ２ コーヒー豆 ３ ミル １６ 抽出済みの滓 １８ シリンダ １８ａ 上開口部 １９ シュート １９ｃ 粉出口 ２０ クランクピン ２０ｂ 駆動軸 ２１ ホルダー ２３ ソレノイド ２４ リンク