专利汇可以提供Production of vegetable secondary metabolite专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To improve the productivity of vegetable secondary metabolite useful as a raw material for medicines and cosmetics, a coloring matter for foods, etc., by carrying out the tissue culture or cell of a specific plant in the presence of jasmonic acids. SOLUTION: The tissue culture or cell culture of a plant belonging to the family Ginkgoaceae, Berberidaceae, Menispermaceae, Curcubitaceae, Nyssaceae, Arakiaceae, Phytolaccaceae, Chenopodiaceae or Dioscoreaceae is carried out in the presence of jasmonic acids to recover a vegetable secondary metabolite contained in the respective parent plants from the resultant cultured product. The jasmonic acids are preferably added or made to act thereon during a period just after the start of culture to 72hr.,下面是Production of vegetable secondary metabolite专利的具体信息内容。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬原料、化粧品原料、食品用色素などとして有用な植物二次代謝産物を植物組織または細胞培養を用いて製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、医薬原料、化粧品原料、食品用色素などとして使用されている各種植物二次代謝産物は、
ほとんど栽培または野生植物から抽出されており、ムラサキ培養細胞による創傷治癒薬原料シコニンの生産、薬用ニンジン培養細胞によるジンセノシド等含有エキスの生産など少数の例を除けば、植物組織または細胞培養を用いて工業的に生産した例は知られていない。
【0003】植物組織または細胞培養によるこれら有用二次代謝産物の生産については、20年以上も前から、
大学、公的研究機関または企業で精力的に研究が進められてきたにもかかわらず、実用化に結びついた例は極めて少ない。 その原因の一つに、培養物に含まれる二次代謝産物の含量が低いことが挙げられる。 この二次代謝産物の含量を増加させる有力な戦略の一つに、培地組成の最適化が挙げられるが、含量の増加に適した培地組成は植物種および二次代謝産物ごとに異なるのが普通であり、また長期間の検討を要する割には、実用化に充分なレベルにまで二次代謝産物の含量を増加させることが困難であるケースが多かったため、効率よく実用化研究を進める上での障害になっていた。
【0004】近年、汎用的に二次代謝産物の生産性を向上させる一つの手段として、微生物の培養物などのエリシターを培養組織または細胞に添加する方法が提案されたが、普遍的に使用できる菌種を見いだすことができず、また生産性向上にも限界があったため、実用化には至らなかった。 このような背景のもと、特定の植物種では、上記のエリシターを処理した細胞中で、植物ホルモンの一種であるジャスモン酸のレベルが高まり、これが二次代謝産物の生産性向上に寄与することが明らかにされ、この原理に基づいた植物二次代謝産物の生産促進物質に関する特許(DE 4122208)がドイツで成立し、日本にも出願されている(特開平5-184355号公報)。
【0005】前記日本特許には、ジャスモン酸が二次代謝産物の生産性を向上させうる植物種として、マメ科、
キョウチクトウ科、アカネ科、ナス科およびショウガ科に属する植物種が挙げられ、それらをもってジャスモン酸が植物全般に効果を有するものとしているが、本願発明者らが実施した結果では、ナス科に属するズボイシア
(Duboisia myoporoides)のようにジャスモン酸を作用させても二次代謝産物生産量が増加しない植物種も認められた。 さらに、何らかの二次代謝産物の増加が認められる植物種においても、ジャスモン酸の作用によって生産性が増加する二次代謝産物と全く増加を示さない二次代謝産物が共存する場合があり、ジャスモン酸による二次代謝産物の生産性向上は、植物全般に一様に認められるものではないと考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ジャスモン酸が有効に作用する植物種及び二次代謝産物を明らかにし、各親植物に含まれる二次代謝産物を効率よく生産させ、回収することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記特許に記載されていない植物種について広くジャスモン酸の効果の有無を検討し、特定の植物では前記特許に記載されている以上にジャスモン酸の効果が認められ、さらに前記特許には記載されていないジャスモン酸類の使用および添加時期などの作用条件を工夫することによって、
前記特許に記載されている効果を上回る効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、イチョウ科、メギ科、ツヅラフジ科、ウリ科、ニッサ科、ウコギ科、ヤマゴボウ科、アカザ科またはヤマノイモ科に属する植物の組織または細胞培養において、ジャスモン酸類の存在下に培養を行い、得られる培養物から各親植物に含まれる二次代謝産物を回収することを特徴とする植物二次代謝産物の製造方法に関する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の製造方法の対象となる植物種としては、イチョウ科イチョウ属のイチョウ(Ginkgo biloba)、およびメギ科植物、好ましくはメギ(Berberis thunbergii)などを含むB
erberis属植物ならびにPodophyllum peltatumなどを含むPodophyllum属植物、およびツヅラフジ科植物、好ましくはタマサキツヅラフジ(Stephania cepharantha)などを含むStephania属植物、およびウリ科植物、好ましくはヘチマ(Luffa cylindrica)などを含むLuffa属植物ならびにメロン(Cucumis melo)などを含むCucumis属植物ならびにスイカ(Citrullus vulgaris)などを含むCitr
ullus属植物、およびニッサ科植物好ましくはキジュ(Ca
mptotheca acuminata)などを含むCamptotheca属植物、
およびウコギ科植物、好ましくはオタネニンジン(Panax
ginseng)などを含むPanax属植物、およびヤマゴボウ科植物、特に好ましくはヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca
americana)などを含むPhytolacca属植物、およびアカザ科植物、好ましくはビート(Beta vulgaris)などを含むB
eta属植物、およびヤマノイモ科植物、好ましくはDiosc
orea compositaなどを含むDioscorea属植物ならびにオニドコロ(Aspidistra elatior)などを含むAspidistra属植物が例示される。
【0010】また、これらの中でも、イチョウ(Ginkgo
biloba)、Berberis属植物、Podophyllum属植物、Stepha
nia属植物、Luffa属植物、Cucumis属植物、Citrullus属植物、Camptotheca属植物、Panax属植物、Phytolacca属植物、Beta属植物が特に好ましい。 また、本発明の製造方法の対象となる二次代謝産物としては、前記の植物が産生する二次代謝産物が挙げられるが、好ましくはイチョウが生産するギンゴリドAなどのギンゴリド類およびビロバリド類、Berberis属植物などが生産するベルベリンなどのイソキノリンアルカロイド類、Podophylum属植物などが生産するポドフィロトキシンなどのフェニルテトラリン型リグナン類、Stephania属植物などが生産するアロモリン、セファランチンなどのビスベンジルイソキノリンアルカロイド類、Luffa属植物、Cucumis属植物、Citrullus属植物などが生産するブリオノール酸などのトリテルペン類、Camptotheca属植物などが生産するカンプトテシンなどのキノリンアルカロイド類、Pana
x属植物などが生産するジンセノシドなどのジンセンサポニン類、Phytolacca属植物、Beta属植物などが生産するベタニンなどのベタシアニン類、Dioscorea属植物、A
spidistra属植物などが生産するジオスゲニンなどのステロイド類が例示される。
【0011】また、これらの中でも、ギンゴリド類およびビロバリド類、イソキノリンアルカロイド類、フェニルテトラリン型リグナン類、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド類、トリテルペン類、キノリンアルカロイド類、ジンセンサポニン類、ベタシアニン類が特に好ましい。 本発明で使用されるジャスモン酸類としては、ジャスモン酸およびその誘導体、ククルビン酸およびその誘導体、並びに、ツベロン酸およびその誘導体を例示することができる。
【0012】ジャスモン酸誘導体は、下記の一般式(I):
【0013】
【化1】
【0014】〔式中、R 1は炭素数1〜4のアルキル基又は次式: −(CH 2 ) n −CO−R 6 (式中、R 6は水酸基、OM(ここで、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH 4を表す。)、
NHR 7 (ここで、R 7は、水素原子、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ酸残基を表す。)又はOR 8 (ここで、R 8は炭素数1〜4のアルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表し、nは1
〜7の整数を表す。 )で示される基を表し;R 2 、
R 3 、R 4 、及びR 5は、それぞれ水素原子を表すか、
あるいはR 2とR 3 、R 3とR 4 、又はR 4とR 5は、
共同して二重結合を表してもよく、;前記5員環は、更に水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。 〕で示すことができる。
【0015】前記一般式(I)において、R 1 、R 7又はR 8で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、
例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、
t−ブチル基が挙げられる。 R 6がOMである場合において、Mで表されるアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げられる。
【0016】R 6がNHR 7である場合において、R 7
で表される炭素数1〜4のアシル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、アクリロイル基が挙げられる。 R 6がNHR 7である場合において、R 7で表されるアミノ酸残基とは、イソロイシル基、チロシル基、トリプトフィル基が挙げられる。
【0017】R 6がOR 8である場合において、R 8で表される炭水化物残基としては、グルコピラノシル基が挙げられる。 前記一般式(I)で示される化合物の好ましいものとしては、R 1が−(CH 2 ) n COOH又は−(CH 2 ) n COOCH 3であり、R 2 、R 3 、R 4
及びR 5が、それぞれ水素原子を表すか、あるいはR 2
とR 3 、R 3とR 4 、又はR 4とR 5が、共同して二重結合を表す化合物が挙げられる。
【0018】これらの好ましい化合物の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。 (化合物A) R 1 :−(CH 2 ) n COOH又は−(CH 2 ) n CO
OCH 3 (n=1〜3) R 2 ,R 3 :H R 4 +R 5 :二重結合 (化合物B) R 1 :−CH 2 COOH R 2 ,R 3 ,R 4 ,R 5 :H また、前記一般式(I)で示される化合物は、5員環が、更に水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。
【0019】5員環が、更に水酸基で置換された化合物、又は隣接する環員炭素原子間で二重結合が形成された化合物の具体例としては、例えば、以下に示す化合物が挙げられる。 (化合物C)
【0020】
【化2】
【0021】(化合物D)
【0022】
【化3】
【0023】(化合物E)
【0024】
【化4】
【0025】(化合物F)
【0026】
【化5】
【0027】以上のジャスモン酸誘導体は、全て植物二次代謝産物の生産性向上に効果を有するが、中でも前記一般式(I)においてR 1が−CH 2 COOH又は−C
H 2 COOCH 3であり、R 2及びR 3が水素原子であり、R 4とR 5が共同して二重結合を形成している化合物であるジャスモン酸又はジャスモン酸メチルが生産性向上に対する効果の大きさの点から特に好ましい。
【0028】ククルビン酸誘導体は、下記の一般式(I
I):
【0029】
【化6】
【0030】〔式中、R 1は炭素数1〜4のアルキル基又は次式: −(CH 2 ) n −CO−R 6 (式中、R 6は水酸基、OM(ここで、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH 4を表す。)、
NHR 7 (ここで、R 7は、水素原子、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ酸残基を表す。)又はOR 8 (ここで、R 8は炭素数1〜4のアルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表し、nは1
〜7の整数を表す。 )で示される基を表し;R 2 、
R 3 、R 4 、及びR 5は、それぞれ水素原子を表すか、
あるいはR 2とR 3 、R 3とR 4 、又はR 4とR 5は、
共同して二重結合を表してもよく、R 9は水酸基、又は−O−炭化物残基を示し、;前記5員環は、更に水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。 〕で示すことができる。
【0031】前記一般式(II)において、R 1 、R 7 、
又はR 8で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を例示することができる。 R 6がOMである場合において、Mで表されるアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げられる。
【0032】R 6がNHR 7である場合において、R 7
で示される炭素数1〜4のアシル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、アクリロイル基が挙げられる。 R 6がNHR 7である場合において、R 7で示されるアミノ酸残基とは、イソロイシル基、チロシル基、トリプトフィル基が挙げられる。
【0033】R 6がOR 8である場合において、R 8で示される炭水化物残基、及びR 9が−O−炭水化物残基である場合における炭水化物残基としては、グルコピラノシル基が挙げられる。 また、前記一般式(II)で示される化合物は、5員環は、さらに水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。
【0034】一般式(II)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられるが、中でもツベロン酸、又はツベロン酸メチルが植物二次代謝産物の生産性向上に対する大きさの点から特に好ましい。
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】ククルビン酸誘導体は、下記の一般式(II
I):
【0040】
【化11】
【0041】〔式中、R 1は炭素数1〜4のアルキル基又は次式: −(CH 2 ) n −CO−R 6 (式中、R 6は水酸基、OM(ここで、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNH 4を表す。)、
NHR 7 (ここで、R 7は、水素原子、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜4のアルキル基又はアミノ酸残基を表す。)又はOR 8 (ここで、R 8は炭素数1〜4のアルキル基又は炭水化物残基を表す。)を表し、nは1
〜7の整数を表す。 )で示される基を表し;R 2 、
R 3 、R 4 、及びR 5は、それぞれ水素原子を表すか、
あるいはR 2とR 3 、R 3とR 4 、又はR 4とR 5は、
共同して二重結合を表してもよく、;前記5員環は、更に水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。 〕で示すことができる。
【0042】前記一般式(III)で示される化合物において、R 1 、R 7 、又はR 8で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−
プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基を例示することができる。 R 6がOMである場合において、Mで表されるアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子としては、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムが挙げられる。
【0043】R 6がNHR 7である場合において、R 7
で示される炭素数1〜4のアシル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、アクリロイル基が挙げられる。 R 6がNHR 7である場合において、R 7で示されるアミノ酸残基とは、イソロイシル基、チロシル基、トリプトフィル基が挙げられる。
【0044】R 6がOR 8である場合において、R 8で示される炭水化物残基としては、グルコピラノシル基が挙げられる。 また、前記一般式(III)で示される化合物は、5員環は、さらに水酸基で置換されていてもよく、隣接する環員炭素原子間で二重結合を形成してもよい。 一般式(III)で示される化合物の具体例としては、以下に示す化合物が挙げられるが、中でもククルビン酸、又はククルビン酸メチルがタキサン型ジテルペンの生産性向上に対する大きさの点から特に好ましい。
【0045】
【化12】
【0046】
【化13】
【0047】
【化14】
【0048】
【化15】
【0049】以上のジャスモン酸類は、合成により、又は植物からの抽出等により調製される(H.Yamane et a
l. Agric. Biol. Chem., 44, 2857-2864(1980) )。 本発明で使用されるジャスモン酸類には種々の異性体が存在し、それぞれの異性体を単独で用いても、混合物の形で用いてもかまわないが、シス体化合物を用いることが特に好ましい。
【0050】前記植物の組織または細胞培養は、本発明によりジャスモン酸類の存在下に行うこと以外は、従来から知られている方法によって行なうことができる。 ジャスモン酸類の用途としては、本願に記載の培地に添加するなどして組織または細胞を培養し、得られる培養物および/または培地から二次代謝産物を回収する方法のほか、当該植物体にジャスモン酸類を含む溶液を噴霧するなどして、二次代謝産物含量を増加させる方法を例示することができる。
【0051】本発明で使用されるジャスモン酸類は、培地における濃度が0.01〜1000μMとすることが必要であり、この中でも特にジャスモン酸類の濃度を0.1〜500μMの範囲に調整することが本発明の方法にとって好ましい。 植物細胞培養物にジャスモン酸類を添加して特定の二次代謝産物の生産が促進されることはドイツで特許公告[DE 4122208]になっているが、本発明に記載の各植物種に関しては、具体的な実施結果が全く記載されていない。
【0052】また、本発明者らが、該ドイツ特許に基づいて、多くの植物種の二次代謝産物生産に対して、ジャスモン酸メチルの生産促進効果を調べた結果では、ジャスモン酸メチルの効果は植物種によって大きく異なり、
ジャスモン酸メチルの存在下に組織または細胞を培養しても、二次代謝産物生産が全く促進されない植物種も認められた。
【0053】たとえば、ズボイシア(Duboisia myoporoi
des)の培養根は、通常、乾燥重量当たり約1%のトロパンアルカロイド(ヒヨシアミン+スコポラミン)を生産するが、広濃度範囲のジャスモン酸メチルの存在下に培養を行っても、トロパンアルカロイドの生産量は全く増加しなかった。 さらに、他の植物について、二次代謝産物の生産に対するジャスモン酸メチルの効果を調べた結果、該ドイツ特許に記載されない特定の植物種、すなわちイチョウ科、メギ科、ツヅラフジ科、ウリ科、ニッサ科、ウコギ科、ヤマゴボウ科、アカザ科、キキョウ科またはヤマノイモ科に属する植物の組織または細胞培養においては、該ドイツ特許に記載される効果(対照に対する目的二次代謝産物生産性の増加割合:2倍〜40倍)
をはるかに上回るレベルで、各二次代謝産物の生産性向上が認められた。 これらの結果は、予想外のことであった。
【0054】さらに、本発明者らは、ジャスモン酸メチルなどの添加効果を詳しく検討する中で、培養開始後、
言い換えれば組織または細胞を新鮮培地に移植後、ジャスモン酸類などを特定の期間に添加することによって、
それらの二次代謝産物の生産促進作用を著しく高めうることを見いだした。 このことは、細胞内におけるジャスモン酸類などの受容機構、つまりレセプターや信号伝達機構が整うのが、特定の期間に限定されることを意味しており、予想外のことであった。
【0055】具体的な添加時期としては、組織または細胞を新鮮培地に添加した後、0〜72時間後を例示することができ、特に好ましくは0〜36時間後を例示することができる。 これらの時期は、細胞の増殖から見たときの誘導期初期にあたる。 本発明の組織培養に使用される培地としては、従来から知られている植物の組織培養に用いられる培地、例えばムラシゲ・スクーグ(1962年)
〔Murashige & Skoog〕の培地、リンスマイヤー・スクーグ(1965年)〔Linsmaier Skoog〕の培地、ウッディー・プラント・メディウム(1981年) 〔Woody Plant Mediu
m〕の培地、ガンボルグ〔Gamborg〕のB−5培地、三井のM−9培地等が挙げられる。
【0056】これら培地に植物ホルモンを添加し、更に必要に応じて炭素源、無機成分、ビタミン類、アミノ酸等を添加することもできる。 炭素源としては、シュクロース、マルトース、ラクトース等の二糖類、グルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、デンプンあるいはこれら糖源の2種類以上を適当な比率で混合したものを使用できる。
【0057】無機成分としては、例えばリン、窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、イオウ、鉄、マンガン、亜鉛、ホウ素、銅、モリブデン、塩素、ナトリウム、ヨウ素、コバルト等があげられ、これらの成分は例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、
塩化カリウム、リン酸1水素カリウム、リン酸2水素カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、ホウ酸、硫酸銅、モリブデン酸ナトリウム、三酸化モリブデン、ヨウ化カリウム、塩化コバルト等の化合物として添加できる。
【0058】植物ホルモンとしては、例えばインドール酢酸(IAA)、ナフタレン酢酸(NAA)、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)等のオーキシン類、カイネチン、
ゼアチン、ジヒドロゼアチン等のサイトカイニン類が用いられる。 ビタミン類としては、例えばビオチン、チアミン(ビタミンB1)、ピリドキシン(ビタミンB6)、
パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等が用いられる。
【0059】アミノ酸類としては、例えばグリシン、フェニルアラニン、ロイシン、グルタミン、システイン等を添加できる。 一般に前記の各成分は、無機成分が約0.
1μM、ないし100mM、炭素源が約1〜約30g/l、植物ホルモン類が約0.01〜約10μM、ビタミン類およびアミノ酸類がそれぞれ約0.1〜約100mg/lの濃度で用いられる。
【0060】尚、本発明には液体培地および寒天やゲランガム等を通常0.1〜1%含有する固形培地のいずれも使用できるが、通常は液体培地が好ましい。 本発明の組織培養においては、上記植物の根、生長点、葉、茎、種子、花粉、葯、がく等の組織片または細胞、あるいはこれらを上記培地あるいは他の従来の培地によって組織培養して得られる培養細胞を使用することができる。
【0061】これらの組織または細胞をジャスモン酸類の存在下に培養すると、無添加または無処理の場合と比較して、当該植物種が生産する各二次代謝産物の高生産性培養組織または培養細胞が得られる。 以上のようにして生産された二次代謝産物は、得られた培養組織または培養細胞および/または培地から、メタノール等の有機溶媒による抽出によって分離することができる。 また、
培地中に適当な吸着剤や有機溶媒を共存させ、連続的にを回収することもできる。
【0062】本発明における組織培養の好ましい一例としては、次の方法が挙げられる。 イチョウ科、メギ科、
ツヅラフジ科、ウリ科、ニッサ科、ウコギ科、ヤマゴボウ科、アカザ科、またはヤマノイモ科に属する植物の植物体、例えば根、生長点、葉、茎、種子などから採取される植物片を殺菌処理後、ゲランガムで固めたムラシゲ・スクーグ培地などの固体培地上に置床し、10〜35℃で
14〜60日程度経過させて組織片の一部から、苗条、培養根またはカルスを生成させる。 このようにして得られた培養体を継代培養すると生育速度が漸次高まり安定化した培養体が得られる。 ここで、安定化した培養体とは、
培養中に目的外の器官分化やカルス化が起こらない状態を保持する性質をもち培養体の生育速度が均質であるものをいう。
【0063】この安定化した培養体を増殖に適した液体培地、例えばムラシゲ・スクーグの液体培地に移して増殖させる。 液体培地において更に生育速度が高められる。 本発明では、この安定化した培養体は、ジャスモン酸類を含有する固体培地または液体培地で培養される。
本発明で使用されるジャスモン酸類は、培養体が増殖の誘導期に添加することがもっとも効果的であり、この中でも特に誘導期初期に添加することが本発明の方法にとって好ましく、培養直後〜72時間がジャスモン酸類の添加の適期として例示できる。 ジャスモン酸類の添加方法としては、一度に行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。
【0064】本発明の培養のための温度としては、通常は約10〜約35℃、特に約23〜28℃が増殖速度が大きいので好適である。 また、培養期間としては、7〜42日間が好適である。 また、培養体が苗条である場合、または二次代謝産物の生成に光が必要な場合には、培養体を蛍光灯など、1000〜10000ルックスの照明下で行うことも可能である。
【0065】本発明の培養方法において液体培地を用いた場合には、培養終了後に培養体をデカンテーションまたは濾過等の方法によって培地から分離し、培養細胞および/または培地から目的とする二次代謝産物を有機溶媒による抽出等の方法によって分離することができる。
以上のようにして生産された二次代謝産物は、得られた培養体からメタノール等の有機溶媒による抽出によって分離することができる。
【0066】
【0067】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。 [参考例1]ズボイシア(Duboisia myoporoides)の茎から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -5 Mの2,4-
Dを含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、三角フラスコを用いて振盪培養し、暗黒下、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が10
0μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるトロピン誘導体、スコポラミンは、Yukimuneらの方法(Y. Yukimune e
t al., Biosci. Biotech. Biochem., 58, pp.1824-182
7, 1994)にしたがって抽出し、同文献に記載のGC−M
Sを用いる方法で同定および定量した。 結果を表1に示した。
【0068】[参考例2]参考例1において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、参考例1と同様に実施した。 結果を表1に示した。 [参考例3]参考例1において、取得した培養物が培養根であり、その培養に用いた培地に含まれる植物ホルモンが10 -5 MのIBAであること以外は、参考例1と同様に実施した。 結果を表1に示した。
【0069】[参考例4]参考例3において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、参考例3と同様に実施した。 結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】[実施例1]イチョウ(Ginkgo biloba L.)
の幼葉から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -5
Mのα-ナフタレン酢酸および10 -8 Mのベンジルアデニンを含むリンスマイヤー・スクーグ液体培地に移植した後、三角フラスコを用いて振盪培養し、暗黒下、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の
24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるギンゴリド類は、Carrierらの方法(DJ Carrier et al., In
"Progress in Plant Cellular and Molecular Biolog
y" eds. HJJ Nijkamp et al., Kluwer Academic Pub
lishers, Dordrecht, 1990, pp.614-618)にしたがって抽出し、同文献に記載のGC−MSを用いる方法で同定および定量した。 結果を表2に示した。
【0072】[比較例1]実施例1において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例1と同様に実施した。 結果を表2に示した。
【0073】
【表2】
【0074】[実施例2]メギ(Berberis thunbergii D
C.)の幼葉から誘導したカルスを、植物ホルモンとして1
0 -5 Mのα−ナフタレン酢酸と10 -8 Mのベンジルアデニンを含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、2週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100
μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から2週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるベルベリンは、Mo
rimotoらの方法(T. Morimoto et al., Agric. Biol. Ch
em., vol. 52, pp.1835-1836, 1988)にしたがって抽出し、同文献に記載の液体クロマトグラフィー(LC)を用いる方法で定量した。 なお、化合物の同定は、塩化ベルベリン標品とのLC−MSフラグメントの比較によって行った。 結果を表3に示した。
【0075】[比較例2]実施例2において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例2と同様に実施した。 結果を表3に示した。
【0076】
【表3】
【0077】[実施例3]Podophyllum peltatum L.の胚から誘導した培養根を、植物ホルモンとして10 - 6 Mのα−ナフタレン酢酸を含むガンボルグのB5液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた安定化培養根を使用した。 培地に培養根を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、培養根を回収し、凍結乾燥した。 得られた乾燥培養根に含まれるポドフィロトキシンは、Van Udenらの方法(W. Van Uden eta
l., Plant Cell Reports Vol.8, 165-168, 1989)にしたがって抽出し、同文献に記載の液体クロマトグラフを用いる方法で同定および定量した。 結果を表4に示した。
【0078】[比較例3]実施例3において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例3と同様に実施した。 結果を表4に示した。
【0079】
【表4】
【0080】[実施例4]タマサキツヅラフジ(Stephan
ia cephantha Hayata)の幼葉から誘導した培養根を、植物ホルモンとして10 -5 Mの3-インドール酪酸を含むガンボルグのB5液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた培養根を使用した。 培地に培養根を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるアロモリンは、Sugimotoらの方法
(Y. Sugimoto et al., J. Nat. Prod., vol.52, 199-20
2, 1989)にしたがって抽出し、同文献に記載の液体クロマトグラフを用いる方法で同定および定量した。 結果を表5に示した。
【0081】[比較例4]実施例4において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例4と同様に実施した。 結果を表5に示した。
【0082】
【表5】
【0083】[実施例5]ヘチマ(Luffa cylindrica)の胚軸から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -7 M
のα−ナフタレン酢酸を含むリンスマイヤー・スクーグ液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)
を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるブリオノール酸は、Kamisakoらの方法(W. Kami
sako et al., Plant & Cell Physiol., Vol.25, 1571-1
574, 1984)にしたがって抽出し、同文献に記載のGC−
MSを用いる方法で同定および定量した。 結果を表6に示した。
【0084】[比較例5]実施例5において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例5と同様に実施した。 結果を表6に示した。
【0085】
【表6】
【0086】[実施例6]キジュ(Camptotheca acumina
ta Dence)の茎から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -5 Mのαーナフタレン酢酸と10 ー6 Mのカイネチン含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100
μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるカンプトテシンは、Arjonらの方法(Plant Cell, Tissue and Organ Cul
ture, vol.28, pp.11-18, 1992)にしたがって抽出し、
同文献に記載の液体クロマトグラフィー条件にを用いる方法で定量した。 なお、カンプトテシンの同程は、前記条件にしたがったLC−MSによった。 結果を表7に示した。
【0087】[比較例6]実施例6において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例6と同様に実施した。 結果を表7に示した。
【0088】
【表7】
【0089】[実施例7]オタネニンジン(Panax ginse
ng CAMeyer)の幼葉から誘導した培養根を、植物ホルモンとして2.2μMの2,4-Dおよび0.8μMのカイネチンを含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた培養根を使用した。
培地に培養根を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、培養根を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥培養根に含まれるジンセンサポニン類は、Furuyaらの方法(T. Furuya et al., Chem. Pharm. Bull. Vol.2
1, 98-101, 1973)にしたがって抽出し、同文献に記載の液体クロマトグラフを用いる方法で同定および定量した。 結果を表8に示した。
【0090】[比較例7]実施例7において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例7と同様に実施した。 結果を表8に示した。
【0091】
【表8】
【0092】[実施例8]ヨウシュヤマゴボウ(Phytola
cca americana)の茎から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -5 Mの2,4-Dを含むニッチ・アンド・ニッチ液体培地に移植した後、約8000ルックスの光照射下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100
μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるベタシアニンは、
三澤らの方法(化学と生物13巻、pp.625-632, 1977)にしたがって抽出し、抽出液の535nmにおける吸光度を測定し標品の吸光度と比較することによって定量した。 結果を表9に示した。
【0093】[比較例8]実施例8において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例8と同様に実施した。 結果を表9に示した。
【0094】
【表9】
【0095】[実施例9]ビート(Beta vulgaris)の茎から誘導したカルスを、植物ホルモンとして10 -5 Mの2,
4-Dを含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、
暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた液体培養細胞を使用した。 培地に細胞を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が10
0μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、ろ過によって細胞を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥細胞に含まれるベタシアニンは、三澤らの方法(化学と生物13巻、pp.625-632, 1977)
にしたがって抽出し、抽出液の535 nmにおける吸光度を測定し標品の吸光度と比較することによって定量した。
結果を表10に示した。
【0096】[比較例9]実施例9において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例9と同様に実施した。 結果を表10に示した。
【0097】
【表10】
【0098】[実施例10]Dioscorea compositaの幼葉から誘導した培養根を、植物ホルモンとして10 -5 Mのαーナフタレン酢酸および10 ー8 Mのベンジルアデニンを含むムラシゲ・スクーグ液体培地に移植した後、暗黒下、三角フラスコを用いて振盪培養し、3週間おきに移植を繰り返すことによって得られた培養根を使用した。
培地に培養根を移植する直前または移植の24時間後、メタノールに溶解したジャスモン酸メチル(シス体およびトランス体の混合物)を、培地中の濃度が100μMになるように添加し、振盪培養を継続した。 培養開始から3週間経過後、培養根を集め、凍結乾燥した。 得られた乾燥培養根に含まれるジオスゲニンは、Stohsらの方法
(ST Stohs et al., Lloydia, Vol.38, 191-194, 197
5)にしたがって抽出し、同文献に記載の液体クロマトグラフを用いる方法で同定および定量した。 結果を表11
に示した。
【0099】[比較例10]実施例10において、ジャスモン酸メチルを添加しないこと以外は、実施例10と同様に実施した。 結果を表11に示した。
【0100】
【表11】
【0101】
【発明の効果】本発明によれば、イチョウ科、メギ科、
ツヅラフジ科、ウリ科、ニッサ科、ウコギ科、ヤマゴボウ科、アカザ科またはヤマノイモ科に属する植物の組織または細胞培養において、ジャスモン酸類の存在下に培養を行い、得られる培養物から各親植物に含まれる二次代謝産物を効率よく回収することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 庸介 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 三宅 篤子 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内
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