首页 / 专利库 / 皮革加工 / 合成皮 / 色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成する方法

色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成する方法

阅读:203发布:2024-02-16

专利汇可以提供色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成する方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且摂動因子及び皮膚の色素沈着状態に関連する遺伝子間の関連性を特定する際に使用するための、皮膚色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成する方法。方法は、ビヒクル組成物に懸濁した少なくとも1つのベンチマークとなる皮膚色素沈着調節剤により処理したヒト皮膚細胞サンプルの遺伝子発現プロファイル、並びにビヒクル組成物により処理したヒト皮膚細胞サンプルの遺伝子発現プロファイルを提供する工程、発現プロファイルを比較して、差次的に発現した遺伝子のセットを含む遺伝子発現シグネチャーを決定する工程と、遺伝子発現シグネチャーを構成する各遺伝子に識別子を割り当て、差次的発現の方向に従って識別子を順序付けて、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成する工程と、少なくとも1つのコンピュータ可読な媒体に1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを格納する工程と、を包含する。,下面是色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成する方法专利的具体信息内容。

摂動因子及び皮膚の色素沈着状態に関連する遺伝子間の関連性を特定する際に使用するための遺伝子発現シグネチャーを生成する方法であって、 (a)少なくとも1つのベンチマークとなる皮膚色素沈着調節剤により処理したヒト皮膚細胞サンプルの遺伝子発現プロファイルを生成する工程であって、前記ベンチマークとなる皮膚色素沈着調節剤がビヒクル組成物に懸濁される、工程と、 (b)前記ビヒクル組成物により処理したヒト皮膚細胞サンプルの遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、 (c)(a)及び(b)の発現プロファイルを比較して、(a)及び(b)において差次的に発現した遺伝子組を含む遺伝子発現シグネチャーを決定する工程と、 (d)前記遺伝子発現シグネチャーを構成する各遺伝子に識別子を割り当て、差次的発現の方向に従って前記識別子を順序付けて、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成する工程と、 (e)少なくとも1つのコンピュータ可読な媒体に前記1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを格納する工程と、を含む、方法。前記ヒト皮膚細胞が、表皮又は真皮層に由来し、かつケラチノサイト、線維芽細胞、黒色腫、及びメラニン細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。前記ベンチマークとなる皮膚色素調節剤が、メラニン細胞刺激阻害剤、抗炎症薬、α−MSH顔料誘導拮抗剤、メラノファージ真皮内滞留時間短縮剤、メラニン合成に関連する酵素阻害剤、メラノソーム輸送阻害剤、ビタミンB3化合物、ヘキサミジンジイセチオネート(hexamidine diisothionate)、ミオイノシトール、N−アセチル−グルコサミン(NAG)、NDP−MSH、N−アシルアミノ酸化合物、レチノイド化合物、ヘキシルデカノール、ヒドロキノン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される剤を含む、請求項2に記載の方法。前記皮膚細胞が、ケラチノサイトであり、前記シグネチャーが、表D、E、F、G、H、I、M、及びNからなる群から選択される表の少なくとも1つに示される前記識別子に関連付けられる遺伝子を含む、請求項3に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、ビタミンB3化合物であり、前記皮膚細胞が、ケラチノサイト細胞であり、前記シグネチャーが、表H又は表Iに示す前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項4に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、ヘキサミジンジイセチオネート(hexamidine diisothionate)であり、前記皮膚細胞が、ケラチノサイト細胞であり、並びに前記シグネチャーが、表D又は表Eに示す前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項4に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、N−アセチル−グルコサミンであり、前記皮膚細胞が、ケラチノサイト細胞であり、前記シグネチャーが、表F又は表Gに示される前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項4に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、N−アシルアミノ酸化合物であり、前記皮膚細胞が、ケラチノサイト細胞であり、前記シグネチャーが、表J又は表Kに示される前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項4に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、レチノイド化合物であり、前記皮膚細胞が、ケラチノサイトであり、前記シグネチャーが、表M又は表Nに示される前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項4に記載の方法。前記ベンチマークとなる美白剤が、レチノイド化合物であり、前記皮膚細胞が、線維芽細胞であり、前記シグネチャーが、表O又は表Pに示される前記識別子と関連付けられる遺伝子を含む、請求項3に記載の方法。前記少なくとも1つのベンチマークとなる皮膚調節剤が、ビタミンB3化合物、N−アシルアミノ酸化合物、N−アセチルグルコサミン及びヘキサミジンからなる群から選択される美白剤を含み、かつ前記シグネチャーが表Lに示される識別子を含む、請求項3に記載の方法。前記ベンチマークとなる皮膚色素沈着調節剤が美白剤を含み、 前記ベンチマークとなる皮膚調節剤が皮膚黒化剤を含むこと以外は(a)〜(e)を繰り返すものである、(a)(2)〜(e)(2)の工程と、 (a)前記(e)(2)由来の遺伝子発現シグネチャーリストを、前記(e)由来の遺伝子発現シグネチャーリストと比較して、前記(e)由来の遺伝子発現シグネチャーリストから、(e)(2)リストに見られ、かつ前記(e)リスト上の遺伝子と同方向に差次的発現する遺伝子に対応する任意の識別子を除外する工程と、を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。前記皮膚の色素沈着状態が、メラニン細胞刺激の活性化、炎症、α−MSH色素の誘導の活性化、メラノファージの真皮内滞留時間の増加、メラニン合成経路に関与する酵素の活性化、並びにメラノソーム輸送の活性化のうちの1つ以上と関連付けられる病因を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。前記皮膚の色素沈着状態が、日光黒子であり、前記生成された遺伝子発現シグネチャーが、表B及び表Cに示す前記識別子に関連付けられる遺伝子を含む、請求項1に記載の方法。請求項1〜14のいずれか一項に記載の遺伝子発現シグネチャーを構成する前記遺伝子に結合するオリゴヌクレオチドの固定化アレイ。

说明书全文

皮膚色素のむらは、民族及び人種間において共通し、美容的に外観を損なうものであると考えられることが多い。色素の産生及び分布に関する障害は、暴露される紫外線強度及び持続時間、生活習慣、暦年齢、内分泌腺の機能、及び疾患の状態に応じて生じ、高齢者人口において広範に見られる。したがって、皮膚色素を調節し、皮膚を美白し、皮膚の色調を向上させる製品が、化粧品市場で広く求められている。

正常なヒトの皮膚の色は、主にメラニン、ヘモグロビン、及びカロチノイドの量及び分布によるものである。美容的皮膚処置プロトコルにおいては、これらの色素のうちメラニンが特に重要である。メラニンは、メラニン産生細胞と呼ばれる、皮膚において専門化した細胞により、銅及びマンガンを含有する酵素のチロシナーゼが主に関与する複雑な一連の化学反応及び酵素反応を介して産生される。一度合成されると、メラニン顆粒はメラノソームに収容され、メラニン細胞の樹状突起(伸展)により周囲のケラチノサイト(表皮において最も豊富な細胞型)に輸送される。メラニンの合成速度、及びそれに続く、メラノサイトによる樹状突起を介したメラニンの輸送は、紫外線への暴露により影響を受けるものと考えられている。皮膚の外層に移動したメラノソームは、皮膚の黒化に関与し、黒化の程度は、皮膚の種類、日光への暴露、及び/又は特定の皮膚科学的な条件と関係がある。

ヒトの皮膚には2種類のメラニン、すなわち(1)ユーメラニン(ほとんどの肌、髪、及び瞳に見られる暗褐色−黒色色素であり、この色素の産生は紫外線の暴露により促進される)、及び(2)フェオメラニン(非常に色白の人々、特に赤毛を有する人々の皮膚に主に見られる黄色−オレンジ色の色素)、が存在する。認識される肌色は、フェオメラニンに対するユーメラニンの割合と、程度はわずかながら真皮内の血管により決定される。

色素沈着経路はこれまでに詳細に解明されてきた。要約すると、メラニンは、酵素チロシナーゼの存在下で、アミノ酸のチロシンの関与する一連の酸化反応を介して形成される。チロシナーゼは、チロシンをジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)に変換し、次にドーパキノンに変換する。続いて、ドーパキノンは、自動酸化によりドパクロムに変換され、最終的にはジヒドロキシインドール又はジヒドロキシインドール−2−カルボン酸(DHICA)に変換されて、重合してユーメラニンを形成する。後者の反応は、ドーパクロムトートメラーゼ及びDHICAオキシダーゼの存在下で生じる。イオウを含有するシステイン又はグルタチオンの存在下で、ドーパキノンは、システイニルDOPA又はグルタチオンDOPAへと変換され、続いて、フェオメラニンが形成される。

各種皮膚の色素沈着過剰症が既知であるが、その病因は多様であり、多くの場合重なりあっており、大抵の場合、完全には解明されていない。例えば、メラニン沈着症又は黒皮症(melasma)は、通常、頬、額、及び時には上唇及び首にわたり対称的に分布する、境界がはっきりとしたでき物のような茶色いスポットの発生により特徴付けられる病態である。この病態は、しばしば妊娠中(妊娠性黒皮症又は「妊娠顔貌」)及び閉経期に生じる。また、この病態は、しばしば経口避妊薬を摂取している者に見られ、時折、経口避妊薬を摂取していない非妊娠女性に見られ、また時には男性にも見られる。同様の顔面の色素沈着過剰のパターンに、褐色斑と呼ばれる慢性の肝疾患と関連付けられるものがある。皮膚老化に関連する一般的な状態には、時として「老人性色素斑」又は「肝斑」と呼ばれる色の濃い領域の発達がある。他の形態の色素沈着過剰は、紫外線照射、特にチロシナーゼの産生を上方調節して結果として皮膚の「日焼け」をもたらすUVB照射により生じる可能性があるものであり、あるいは条件に関係する遺伝的素因の結果、生じる可能性があり、あるいは皮膚の炎症イベントに伴い、又は創傷の治癒過程において生じる可能性がある。

白斑症は、皮膚のメラニン産生細胞が消失するか、又は色素を十分に産生し損なうかのいずれかによる色素脱失の一形態である。理想的な治療では、白斑症に罹患している皮膚において損なわれた色素沈着が復元されるが、このアプローチは局所的な介入及び処方により僅かな成果しか得られていない。ジヒドロキシアセトン系サンレス・タンニング・ローションを用いる、化粧によるカモフラージュでは、色素沈着過剰領域にある程度の黒化がもたらされ、これにより、正常な皮膚の周囲が黒化し、望ましくない色調差が実質的に維持されてしまう傾向もある。したがって、影響を受けていない皮膚の通常の色素沈着を減少させることで、色調差を減少させ、色調を均一化させる効果をもたらす美容上のアプローチはより望ましいものである。

色素沈着に関することが証明されているいくつかの標的が既知であるものの、これらは一般的に色素沈着プロセスの解明に由来するものである。例えば、ヒドロキノン(パラオキシベンゼン)は、広範に使用される美白剤であり、満足のいく美容効果をもたらすことが知られているが、糖尿病、高血圧、組織黒変症、眼窩周囲色素異常症、感染性皮膚症、接触性湿疹、伸展皮膚糸状菌症、及びセルライトの壊死を含む各種疾患に関連付けられることから、美容目的のために厳密に使用することは難しい(例えば、Raynaud E.et al.,Ann Dermatol Venereol 128(6〜7):720〜724,2001を参照されたい)。ヒドロキノンは、これまでに遺伝毒性及び変異原作用も示している(例えば、Jagetia G.C.et al,Toxicol Lett 121(1):15〜20,2001を参照されたい)。毒性及び発がん性に対する懸念に起因し、米国は処置溶液の濃度を2%以下に制限しており、FDAは店頭販売製剤のすべてを禁止することを提案している一方で、現在、欧州では美白剤又は色素沈着減少剤としてのヒドロキノンの使用は禁止されている。

コウジ酸、アゼライン酸及びグリコール酸などのある種のヒドロキシ酸は、実証されている美白効果を有するものの、共通して局所的な刺激及び炎症が報告されている。プレニル化フラボノールアルトカプリン(artocarpin)は、紫外線により誘導された皮膚の色素沈着の場合に、ある程度の美白効果があることが示されている(Shimizu K.et al.,Planta Med 68(1):79〜81,2002)。

最近では、メラニン形成は、ゲノム及びプロテオミクスにより更に詳細な解明が進み、メラニン細胞、メラニン細胞−ケラチノサイト相互作用、及びメラニン細胞−線維芽細胞相互作用に関しては、色素沈着過程及び色素沈着過剰疾患の病因に関与する可能性がある数百のタンパク質及びその他のエフェクターが明らかにされており、更なる標的が得られる可能性がある。化粧品業界では、可能性のある美白剤の開発、並びに色素沈着過剰及び色素異常症を化粧料により処置するにあたって効果的でありかつ安全性が高いものと想定される皮膚用活性化剤を特定するための効果的でかつ効率的な選別方法、のいずれもが必要とされている。

従来の科学者たちは、肌の美白のために処方された安全でかつ効果的な局所組成物の開発及び提供に焦点をあててきた。このようなアプローチは、表皮の局部的な色素沈着過剰を処置するのに、並びに色素沈着過剰な皮膚領域を覆い隠すのに有用であった。しかしながら、いずれの場面においても、局所適用により、色素沈着の程度を減少させることのできる、安全で効果的な剤が今なお必要とされている。

したがって、皮膚の色素沈着、及び皮膚の色調に関するより広範な美容上の概念は、多数の及び重なり合っている病因により非常に複雑な状態であり、一部は個人の性質に応じて現れるため、治療法の重大な課題がもたらされる。当該技術分野では、色素条件の作用機序又は病因とは実質的に独立する選別法を使用して、色素をの調節の可能性のある剤、特に美白剤を特定し、並びに想定される皮膚用活性剤の有効性を評価するための方法が必要とされている。したがって、本研究者らは、色素沈着過剰疾患及び関連する皮膚の状態の処置に効果的な新規皮膚用活性剤を探索するための「関連性マッピング」として既知の本出願の比較的新規の技術の調査を行った。

関連性マッピングは、オペレーションズリサーチ分野、電気通信分野、及びより最近では創薬における応用に成功している、周知の仮説生成・検証ツールである。ヒトゲノムプロジェクトの着手及び完了、並びに細胞mRNA発現レベルの迅速かつ同時の量子化を可能にする非常にハイスループットな高密度DNAマイクロアレイ技術の並行開発は、大量の遺伝子データベースの生成をもたらした。同時に、分子モデリング及び分子ドッキングの研究等、コンピュータを用いる方法による新しい医薬活性剤の模索は、可能性のある小分子活性剤の巨大ライブラリの生成を促進した。疾病及び遺伝子プロファイル、遺伝子プロファイル及び薬物、並びに疾病及び薬物を関連付ける情報量は飛躍的に増加し、創薬科学における関連性マッピングの仮説検定ツールとしての用途は成熟した。

性質不明の遺伝子の機能が正確に決定され得る、並びに遺伝子発現プロファイルのデータベースにおいて関連性をマッピングすることにより可能性のある薬剤が特定され得るという一般概念は、2000年に、T.R.Hughes et al.による影響の大きい論文[「発現プロファイル一覧を介する機能発見(Functional discovery via a compendium of expression profiles)」セル102巻、第109〜126頁(2000年)]の出版、続いてその直後に立ち上げられた関連性マップ(Justin Lamb及びMITの研究者等によるマッププロジェクト(「関連性マップ:小分子、遺伝子、及び疾患を関連付けるための遺伝子発現シグネチャー(Connectivity Map: Gene Expression Signatures to Connect Small Molecules, Genes, and Disease)」、サイエンス、第313巻(2006年))が先駆けとなった。2006年、Lambのグループは、Cマップ構築の方法の詳細な概要及び第一世代Cマップのに使用した遺伝子発現プロファイルの参照コレクションの連載、並びに現在進行中の大規模コミュニティCマッププロジェクト(ハイパーリンクhttp://www.sciencemag.org/content/313/5795/1929/suppl/DC1の「supporting materials」で閲覧可能)の始動の発表を開始した。

疾患と、疾患表現型と、その疾患表現型を変更するために使用する薬物との間の新規の関係を、既知の関係との比較により予測する基本的パラダイムは、臨床医により直感科学として何世紀もにわたり実践されている。現代の関連性マッピングは、その厳密な数学的土台、及び現代の計算能力の支えにより、癌を含む様々な疾患の治療用の新規薬剤を特定することの確定された医学的成功をもたらした。それにもかかわらず、一部の制限的な推測が、多種多様であり、しばしば明らかに関連のない細胞表現型発現を特徴とする多遺伝子起源の疾患又は症候性状態に関して、Cマップの応用を困難にしている。Lambによると、有用なCマップを構築することの課題は、問い合わせ時に臨床的に顕著かつ有用な出力の生成を可能にする入力参照データを選択する過程であった。Lambの薬物に関連するCマップでは、強い関連付けは参照関連付けを含み、強い関連付けは、ヒットとして認識される所望の出力である。

自動増幅、ラベリングハイブリダイゼーション、及び1日に並行して96のサンプルのスキャニングを可能にする、ハイスループットの効果、高密度のプロファイリングプラットフォームは認めるが、Lambは、それにもかかわらず、「これだけの性能をもってしても、可能な全ての持続時間にわたって、可能な全ての濃度で、あらゆる既知の摂動因子(perturbagen)に曝露される、推定200の異なる細胞型の1つ1つの分析を可能にするには不十分である・・・したがって、妥協案が必要とされる」(54ページ、第3欄、最終段落)と警告した。しかしながら、Lambは、細胞型が最終的には問題にならないという立場を取り、効率及び正規化の懸念から、極めて少数の樹立細胞株からのデータにそのCマップを限定した。理論上は、このことはインビトロとインビボとの不一致の可能性の増加につながり、出力情報を特定の細胞株の背景に限定する。細胞株が問題にならないというLambの論を受け入れるのであれば、この限定は無害であろう。

しかしながら、医薬品として好適な薬剤と化粧料として好適な薬剤とは、分類上はっきりと異なり、前者は、特異性で選択される、身体の構造及び機能に測定可能な効果を有するよう意図される薬剤を定義し、一方後者は、外観に対する効果で選択され、身体の構造及び機能に測定可能な程度の効果がなくてもよい。化粧料は、細胞表現型への効果に関して実質的に非特異的である傾向があり、体への投与は概して、身体面上又は付近への適用に限られる。

医薬品に関するCマップを構築する際、Lambは、参照する関連性が極めて高感度であり、同時に検出が困難(弱い)である場合、特定の困難に遭遇し得ることを強調し、Lambは、数多くの冗長な関連付けを最小限に抑えるために妥協案を採用した。薬物製品に対する規制方針が、意図される薬剤と病状との間の高度の特異性を必要とし、かつ関係のない関連性を最小限に抑えて、単一のタンパク質に影響を及ぼすことによる、疾患の調節が、薬学的活性剤の開発において所望であるため、LambのCマップは、Lambの妥協案にもかかわらず、可能性のある医薬剤のスクリーニングによく適している。

Lambの関連性マッピングのプロトコルは予測され得るものではなかったものの、化粧料分野における仮説の試験/作成に有用であり、あるいは症状が分散し、全身性であり、比較的軽度である主に美容上の障害に関し有用であった。製薬活性を発見するという目標とは完全に反して、化粧品の配合者らは、複数の標的を調節することができ、複雑な症状及び状態のそれぞれに対し有効である剤又は剤の組成物を探索している。更に、化粧料が医薬活性剤の規制政策の対象となることを回避するため、表現型に対する化粧料の影響は本質的に比較的低くなくてはならない。それにもかかわらず、影響は消費者にとって知覚可能でなければならず、好ましくは、科学的方法によって実験的に確認可能でなければならない。美容上の状態の遺伝子転写/発現プロファイルは、低い倍数から中程度の倍数の差を有する多くの遺伝子を含み、一般に冗長である。したがって、化粧料は、細胞表現型により多様であまり急性ではない効果を与え、確信のある仮説検証に有用な関連性マップの生成に適さない、Lambにより明示的に教示された種類の関連を生成する。

美白剤を首尾よく特定することは、色素沈着過剰状態そのものの病因に関与する多細胞、多因子の過程に起因し困難であることが判明している。可能性のある美白剤に対する生物学的応答の従来のインビトロ研究は、想定される又は可能性のある薬剤によって通常は誘導及び/又は引き起こされる複雑又は検出しにくい応答により妨げられる可能性がある。そのような弱い応答は、一部には、関与する多数の遺伝子及び遺伝子産物が原因で生じ、実際のところ、皮膚用活性剤及び化粧料は、複数の手段で複数の遺伝子に影響を与え得る。更に、化粧料の生物活性の程度は、それぞれの遺伝子について異なり、定量化が困難な可能性がある。

色素沈着した皮膚、遺伝子発現の摂動、及び化粧料の作用等、化粧品の表現型の間の機能的関連性を発見するための関連性マップ法の値は、薬物ベースのCマップの前駆細胞(progenor)によって反対指示される。関連する表現型は極めて複雑であり、遺伝的摂動は多数ありかつ弱く、また化粧料の作用は、同様に分散的であり、本質的に比較的弱い。統計学的に有効なデータが化粧品Cマップから生成され得るかどうかは不明であり、更に、顕著又は検出可能な化粧品データを提供し得る細胞株が存在するかどうかも不明である。

したがって、本発明者らは、驚くべきことに、皮膚の色素沈着に関する障害に有効性を有する、皮膚の色調剤を発見することができるCマップアプローチ法を開発した。

それにもかかわらず、本発明者らは、驚くべきことに、特に色素沈着過剰用活性剤及び化粧料に関して、この種の活性剤が一般に生じる効果は非常に拡散的で全身性で低レベルであるのにもかかわらず、化粧活性剤−細胞表現型−遺伝子発現データの関連付けから有用な関連性マップを開発できることを発見した。Lambのチームは、この結果は実質的に細胞型とは無関係であると強く主張しているが、本発明者らは、驚くべきことに、細胞株を選別することで、皮膚の色素沈着活性及び色素沈着過剰障害の処置に関する仮説の生成及び試験の際のCマップの有効性に影響が出ることを発見した。特に、メラノサイト又は黒色腫細胞以外のケラチノサイト細胞は、美白剤により処置した場合に、よりロバストな転写プロファイルを示し、同準の皮膚活性成分により処置した細胞型間の主題の重複はわずかでありあるいは全くなかった(実施例8に示す)。

結果的に、本発明は、色素沈着過剰等の皮膚状態の治療に有効な可能性のある新しい皮膚用活性剤の生成に有用な新規の方法、システム、及びモデルを提供する。細胞型の慎重な選択によって、既知の皮膚活性剤及び認識されている皮膚疾患の遺伝子発現プロファイルの参照コレクションの生成によって、本発明者らは、驚くべきことに、皮膚活性剤及び皮膚の色素沈着過剰症に関する仮説を検証及び生成するために有用な関連性マップアーキテクチャを作成することができた。

本発明は、皮膚状態/対象とする障害と、1つ以上の皮膚用活性剤、その皮膚疾患の状態に関連付けられる1つ以上の遺伝子、並びにその皮膚状態が関与する生理学的主題及び/又は皮膚用活性剤の影響を受ける生理学的主題との間の関係を判定するための方法及びシステムを広く含む実施形態を提供する。本発明の方法は、対象皮膚疾患若しくは状態に関連付けられる生物過程の機序、そのような状態に関連付けられるすべての遺伝子、又はそのような状態に関連付けられる細胞型の詳しい知識なしに、皮膚用活性剤を特定するために使用することができる。

本発明の一態様は、摂動因子及び皮膚の色調に関連する遺伝子間の関連性を特定する際に使用するためのデータ・アーキテクチャを構築する方法を提供し、(a)対照ヒト細胞の遺伝子発現プロファイルを準備する工程であって、対照細胞は、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト及び黒色腫細胞株からなる群から選択されるヒト細胞株に由来する、工程と、(b)少なくとも1つの摂動因子に暴露されたヒト細胞の遺伝子発現プロファイルを作成する工程であって、細胞は、対照細胞と同一の細胞株から選択される、工程と、(c)(a)及び(b)の遺伝子発現プロファイルを比較することにより、少なくとも1つの摂動因子に応答して差次的に発現された遺伝子を特定する工程と、(d)差次的に発現した遺伝子を表す識別子を含む順序リストを作成する工程であって、識別子は、遺伝子の差次的発現に従って順序付けられる、工程と、(e)少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体にインスタンスとして順序リストを格納する工程であって、このインスタンスは、(a)における選別に従う、ケラチノサイト、線維芽細胞メラノサイト又は黒色腫のインスタンスである、工程と、並びに(f)(a)〜(e)を繰り返すことにより格納されたインスタンスのデータ・アーキテクチャを構築する工程であって、工程(a)の少なくとも1種の摂動因子は、各インスタンスと質的及び量的に異なる、工程と、を含む。具体的な実施形態では、Cマップ試験において各インスタンスは、2回反復される。実施例4は、シグネチャーを作成するために線維芽細胞を使用し、並びにシグネチャーを作成するためにケラチノサイトを使用し、ベンチマークとなる皮膚用色調剤シグネチャーを作成することを例示する。

データ・アーキテクチャは、摂動因子、遺伝子型及び表現型間の関連性を特定するために利用することもでき、並びに美容上の状態を処置するのに有効な可能性のある新規の活性物質を開発する際のインシリコのツールとして使用することもできる。データ・アーキテクチャは、問い合わせの使用を介する本目的のために実装されてもよく、この場合、問い合わせはCマップに対する入力となり、出力は、問い合わせに対する関連性スコアに基づきなされる。一実施形態では、皮膚の色素沈着の状態を処置するのに有効である可能性がある少なくとも1種の想定される皮膚用活性剤を特定するために、データ・アーキテクチャを実装するための方法が提供される。この方法は、色素沈着に関連する遺伝子発現シグネチャーについてデータ・アーキテクチャに問い合わせを行うことを含み、この問い合わせには、色素沈着に関連する遺伝子発現シグネチャーを、格納されている各細胞インスタンスと比較することが含まれ、更には、色素沈着に関連する遺伝子発現シグネチャーは、色素沈着過剰状態に罹患している皮膚に由来する細胞において差次的に発現した遺伝子、あるいは色素沈着過剰状態の処置に既知の有効性を有する少なくとも1種のベンチマークとなる皮膚用活性剤により処置した細胞において差次的に発現した遺伝子を表す。細胞インスタンスは、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト又は黒色腫細胞株に由来し、色素沈着に関連する遺伝子発現シグネチャーは、対応する細胞株に由来する。実施例1は、色素沈着過剰状態発現シグネチャーの生成を例示する。

他の実施形態は、摂動因子、及び皮膚の色素沈着状態に関連付けられる遺伝子間の関連を特定する際に使用するための、色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーを生成するための方法を目的とするものである。方法は、(a)色素沈着状態に罹患していないヒト皮膚細胞の参照サンプルの遺伝子発現プロファイルを準備する工程と、(b)色素沈着過剰状態を示す対象者由来の少なくとも1種のヒト皮膚細胞の遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、(c)(a)及び(b)の発現プロファイルを比較して、(a)及び(b)において差次的に発現した遺伝子組を含む遺伝子発現シグネチャーを決定する工程と、(d)遺伝子発現シグネチャーを構成する各遺伝子に識別子を割り当て、差次的発現の方向に従って識別子を順序付けて、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成する工程と、並びに(e)少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを格納する工程と、を含む。

別の実施形態は、摂動因子、及び皮膚の色素沈着状態に関連付けられる遺伝子間の関連性を特定するのに使用する際の、皮膚の色素沈着を調節する遺伝子発現シグネチャーのベンチマークを生成する方法を提供し、方法は、(a)ベンチマークとなる少なくとも1種の皮膚の色素沈着調節剤により処置されたヒト皮膚細胞サンプルに関する遺伝子発現プロファイルを生成する工程であって、ベンチマークとなる皮膚の色素沈着調節剤は、賦形剤組成物に懸濁される、工程と、(b)賦形剤組成物により処置されたヒト皮膚細胞サンプルの遺伝子発現プロファイルを生成する工程と、(c)(a)及び(b)の発現プロファイルを比較して、(a)及び(b)において差次的に発現した遺伝子組を含む遺伝子発現シグネチャーを決定する工程と、(d)遺伝子発現シグネチャーを構成する各遺伝子に識別子を割り当て、差次的発現の方向に従って識別子を順序付けて、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを作成する工程と、並びに、(e)少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体上に1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを格納する工程と、を含む。遺伝子発現シグネチャー、並びに本発明のシグネチャーを構成する遺伝子に対応するプローブの固定化アレイも提供される。

一部の態様では、単一のベンチマークとなる皮膚用活性剤を使用して、ベンチマークとなるシグネチャー(実施例2を参照されたい)を生成してもよく、他の態様では、1種以上の剤により細胞サンプルを処置して複合シグネチャーを生成することもできる(実施例3、6、及び7を参照されたい)。複合シグネチャーは2通りの方法で加えることができ、すなわち、細胞を別個に各剤により処置し、すべての剤により調節された遺伝子を比較して、すべての剤により同方向に調節された遺伝子を探索することによりシグネチャーを生成することができ(一緒に)、第2に、細胞を処置する前に剤を一緒に混合することができる。別の実施形態では、複合シグネチャーのベンチマークは、美白剤(実施例2)に関し生成することができ、並びに別の実施形態では、皮膚黒化剤に関し生成することができる。美白剤のシグネチャーに関しては、シグネチャーから、皮膚の色素沈着剤のシグネチャーにおいても同じ方向に調節されることが明らかである任意の遺伝子を排除することで更に微調整することもでき、逆もまた同様に可能である。本発明者らは、望ましい方向に皮膚色素を調節することのできる剤に関するCマップの微調整には、このような複合シグネチャーが特に有用なことを発見した。

摂動因子、及び色素沈着過剰状態に関連付けられる遺伝子間の関連を特定するためのシステムも提供される。システムは、(a)複数のインスタンス、及び色素沈着過剰に関連付けられる遺伝子発現シグネチャーを格納された、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記インスタンス及び前記遺伝子発現シグネチャーが、ヒトケラチノサイト細胞、ヒト線維芽細胞、ヒトメラニン細胞、又はヒト黒色腫細胞のうちの1つに由来するものであり、インスタンスのそれぞれは、差次的に発現した遺伝子に関し順序付けした識別子のインスタンスリストを構成し、前記色素沈着過剰に関連する遺伝子発現シグネチャーは、色素沈着過剰状態に関連する差次的に発現した遺伝子、又はベンチマークとなる美白剤に関連する差次的に発現した遺伝子を表す識別子の、1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを構成する、少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能な媒体と、(b)以下の(i)前記コンピュータ読み取り可能な媒体に格納された、前記複数のインスタンス、及び色素沈着過剰に関連する遺伝子発現シグネチャーにアクセスすること、(ii)前記色素沈着過剰に関連する遺伝子発現シグネチャーを前記複数のインスタンスと比較することであって、前記遺伝子発現シグネチャーリスト中のそれぞれの識別子を、前記それぞれの複数のインスタンスの前記インスタンスリスト中の同一の識別子の順位と比較することを含む、比較すること、並びに(iii)前記複数のインスタンスのそれぞれに対し関連性スコアを割り当てること、をコンピュータに実行させるコンピュータ読み取り可能な命令を含む、プログラム可能なコンピュータと、を含む。

コンピュータ読み取り可能な媒体は、それぞれスプレッドシート、文書処理、又はデータベースコンピュータプログラムによる読み取りに好適なスプレッドシートファイル形式、文書処理ファイル形式、又はデータベースファイル形式で格納される第1のデジタルファイルを含み、この第1のデジタルファイルは、それぞれスプレッドシート、文書処理、又はデータベースコンピュータプログラムによって読み取られたときに、複数の識別子を含む1つ以上の遺伝子発現シグネチャーリストを提供するように配列されたデータを含み、各識別子は、マイクロアレイプローブセットID、ヒト遺伝子名、ヒト遺伝子記号、及び表B〜Pのいずれかに記載される遺伝子の組み合わせからなる群から選択され、1つ以上のそれぞれの遺伝子発現シグネチャーリストは、約10〜約400個の識別子を含む。デジタルファイル読み取りのための指示も包含されてよい。

これら及び付加的な本発明の対象、実施形態、並びに態様は、下記の図面及び詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。

表Aに記載される通り、対象とされる色素沈着対照、及び一部のベンチマークとなる皮膚用活性剤を説明する。

図2−1から図2−11は、色素沈着の生じた皮膚の遺伝子発現シグネチャーを構成する遺伝子の識別子を説明する。表Bは、200の最も大幅に上方調節された遺伝子の識別子を説明し、表Cは、200の最も大幅に下方調節された遺伝子の識別子を説明する。

本発明に使用するのに好適なコンピュータシステムの略図である。

図3のコンピュータシステムのコンピュータ読み取り可能な媒体と関連付けられるインスタンスの略図である。

本発明に使用するのに好適なプログラム可能なコンピュータの略図である。

インスタンスを生成するための例示のシステムの略図である。

遺伝子発現シグネチャーとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には正相関が存在する。

遺伝子発現シグネチャーとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には負相関が存在する。

遺伝子発現シグネチャーとインスタンスとの比較の略図であり、これらのリスト間には中立的相関が存在する。

図10−1から図10−3は、表Dに示す通り、識別子として、上方調節された100のヘキサミジンベンチマークシグネチャーを示す。

図11−1から図11−3は、表Eに示す通り、下方調節された上位100のヘキサミジンベンチマークシグネチャーを示す。

図12−1から図12−2は、表Fに示す通り、識別子として、大幅に上方調節された39のNAGベンチマークシグネチャーを示す。

図13−1から図13−2は、表Gに示す通り、識別子として、最も大幅に下方調節されたNAGベンチマークシグネチャーを示す。

図14−1から図14−3は、表Hに示す通り、識別子として、上方調節された上位100のナイアシンアミドベンチマークシグネチャーを示す。

図15−1から図15−3は、表Iに示す通り識別子として、下方調節された上位100のナイアシンアミドベンチマークシグネチャーを示す。

図16−1から図16−3は、表Jに示す通り、識別子として、上方調節された上位100のSepiwhiteベンチマークシグネチャーを示す。

図17−1から図17−3は、表Kに示す通り、識別子として、上方調節された上位100のSepiwhiteベンチマークシグネチャーを示す。

図18−1から図18−5は、表Lに示す通り、識別子として、「皮膚の色調の」のベンチマーク複合シグネチャーを示す。約40が上方調節され、58が下方調節された。

図19−1から図19−5は、表Mに示す通り、識別子として、tKC細胞におけるRAベンチマークシグネチャーを示す。200が上方調節されている。

図20−1から図20−6は、表Nに示す通り、識別子として、tKC細胞におけるRAベンチマークシグネチャーを示す。200が下方調節されている。

図21−1から図21−6は、表Oに示す通り、識別子として、BJ線維芽細胞におけるRAベンチマークシグネチャーを示す。200が上方調節されている。

図22−1から図22−6は、表Pに示す通り、識別子として、BJ線維芽細胞におけるRAベンチマークシグネチャーを示す。200が下方調節されている。

表Qに示す通り、レチノイン酸ケラチノサイトRA_200シグネチャーにより、可能性のある数種類の代表的な美白剤に対する平均Cマップスコアを示す。

図24−1から図24−2は、表Rに示す通り、マウスB16黒色腫細胞メラニン形成アッセイにおいて、化合物の活性を予想するための異なるCマップシグネチャーの予想精度を比較して示す。

表Sに示す通り、皮膚色調のベンチマークに対する、tert−ケラチノサイト、メラニン産生細胞、及び黒色腫細胞の応答性を概略するデータを示す。

ここでは本発明の具体的な実施形態を時折参照して、本発明を説明する。しかしながら、本発明は、異なる形態で実施されてもよく、明細書において記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示が徹底され、完全なものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように、これらの実施形態が提供される。

特に定義しないかぎり、本明細書で用いるすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において本発明の説明に使用される用語は、特定の実施形態を説明するために過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の説明及び添付の「特許請求の範囲」において使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに示さないかぎり、同様に複数形を含むものとする。

本明細書で互換的に使用される「関連性マップ」及び「Cマップ」という用語は、装置、システム、製品、及び細胞表現型又は美容上の状態と、遺伝子発現と、化粧活性剤等の摂動因子との間の関係を特定するための方法を広く指す。

本明細書で使用するとき、用語「化粧料」とは、哺乳動物の体又はその任意部分に擦り込まれる、注がれる、振りかけられる、噴霧される、導入される、又は別様に適用されることが意図されている、任意の物質、同様にその任意の成分を意味する。化粧料としては、米国食品医薬品局により一般に安全と認められる(GRAS)物質、食品添加物、及び市販薬を含む美容用ではない消費者製品に使用される材料を挙げることができる。一部の実施形態では、化粧料は、皮膚への局所塗布に好適な皮膚科学的に許容可能な担体を含む化粧品組成物に組み込んでもよい。化粧料としては、(i)皮膚組織に少なくとも1つの効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘導する又は引き起こすことが知られている、化学物質、化合物、小分子若しくは大分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせ、(ii)皮膚組織に少なくとも1つの効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘導する又は引き起こすことが知られており、提供される方法及びシステムを用いて、皮膚組織に少なくとも1つのこれまで知られていない効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘導する又は引き起こすことが発見される、化学物質、化合物、小分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせ、並びに(iii)皮膚組織に対する影響を有することが知られておらず、提供される方法及びシステムを用いて、皮膚組織に対する影響を誘導する又は引き起こすことが発見される、化学物質、化合物、小分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。

化粧料又は美容作用可能な材料の一部の例は、米国国立衛生研究所に関連するPubChemデータベース(http://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov)、米国化粧品工業会の成分データベース(http://online.personalcarecouncil.org/jsp/Home.jsp)、及び米国化粧品工業会発行の2010 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,13th Edition、EU化粧品成分及び物質リスト、日本化粧品成分リスト、米国化粧品工業会のSkinDeepデータベース(URL:http://www.cosmeticsdatabase.com)、FDA認可賦形剤リスト、FDA OTCリスト、日本医薬部外品リスト、米国FDA全食品添加物データベース、EU全食品添加物リスト、日本既存食品添加物、香味料GRASリスト、米国FDA GRAS物質評価委員会、米国家庭製品データベース、世界新製品データベース(GNPD)パーソナルケア、保健医療、食品/飲料/ペット、及び家庭用品データベース(URL:http://www.gnpd.com)において、並びに化粧品成分及び植物成分供給業者から見出すことができる。

他の化粧料の非限定的な例としては、植物成分(植物の根、幹皮、葉、種子、又は果実のうちの1つ以上に由来してもよい)が挙げられる。一部の植物成分は、もう1つの溶剤を用いて植物バイオマス(例えば、根、茎、樹皮、葉等)から抽出されてもよい。植物成分は、化合物の複合混合物を含んで、明白な活性成分を含まなくてもよい。別のカテゴリの化粧料は、ビタミン化合物並びにそれらの誘導体及び組み合わせ、例えばビタミンB3化合物、ビタミンB5化合物、ビタミンB6化合物、ビタミンB9化合物、ビタミンA化合物、ビタミンC化合物、ビタミンE化合物、並びにそれらの誘導体及び組み合わせ(例えば、レチノール、レチニルエステル、ナイアシンアミド、葉酸、パンテノール、アスコルビン酸、トコフェロール、及び酢酸トコフェロール)である。他の化粧料の非限定的な例としては、糖アミン、植物ステロール、ヘキサミジン、ヒドロキシ酸、セラミド、アミン酸、及びポリオールが挙げられる。

本明細書において利用される剤の非限定例は、以降に詳細に記載され、例えば、ビタミンB3化合物、N−アシルアミノ酸化合物、及びレチノイド化合物などである。一部の実施態様では、ビタミンB化合物は、式

を有するB3化合物及びこれらの誘導体並びにこれらの任意の塩類を意味し、式中、Rは、−CONH2(すなわち、ナイアシンアミド)、−COOH(すなわち、ニコチン酸)又は−CH2OH(すなわち、ニコチニルアルコール)である。例示的な誘導体としては、ニコチン酸の非血管拡張性エステル(例えば、トコフェリルニコチネート、ミリスチルニコチネート)を含むニコチン酸エステルが挙げられる。好適なビタミンB3化合物の例は、当該技術分野において周知であり、多数の販売元(例えば、Sigma Chemical Company、ICN Biomedicals社及びAldrich Chemical Company)から市販されている。

本発明の組成物の一部の実施形態は、安全かつ有効な量の1種以上のN−アシルアミノ酸化合物を含む。アミノ酸は、当該技術分野において既知のいかなるアミノ酸の1つでもあることができる。本発明のN−アシルアミノ酸化合物は、次式の化合物に相当する。

式中、Rは、水素、アルキル(置換又は非置換、分枝鎖又は直鎖)、又はアルキルと芳香族基との組み合わせであり得る。当該技術分野において既知のアミノ酸に存在し得る側鎖の一欄は、W.H.Freeman and Companyにより出版のStryer,Biochemistry(1981年)に記載される。R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐鎖状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;あるいはそれらの混合物であり得る。

好ましくは、N−アシルアミノ酸化合物は、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらの異性体、それらの塩、及びそれらの誘導体からなる群から選択される。アミノ酸は、D異性体又はL異性体、あるいはそれらの混合物であり得る。N−アシルフェニルアラニンは次式に相当する。

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐鎖状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;あるいはそれらの混合物であり得る。

N−アシルチロシンは次式に相当する。

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐鎖状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;あるいはそれらの混合物であり得る。

本発明において特に有用な化合物は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンである。この薬剤は、広い分類のN−アシルフェニルアラニン誘導体に属し、そのアシル基はC11モノ不飽和脂肪酸部分、及びアミノ酸はフェニルアラニンのL異性体である。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは次式に相当する。

本明細書で使用するとき、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、SEPPIC(France)から商標名Sepiwhite(登録商標)で市販されている。

本発明の一部の実施形態は、レチノイド化合物を含有する。本発明で使用するとき、「レチノイド化合物」は、皮膚内でビタミンAの生物学的活性を有するビタミンA又はレチノール様化合物の全ての天然及び/又は合成類縁体、並びにこれらの化合物の幾何異性体及び立体異性体を含む。レチノイド化合物は、好ましくは、レチノール、レチノールエステル(例えば、レチニルパルミテート、レチニルアセテート、レチニルプロピオネートを含む、レチノールのC2〜C22アルキルエステル)、レチナール、及び/若しくはレチノイン酸(全てのトランスレチノイン酸及び/若しくは13−シス−レチノイン酸を含む)、又はこれらの混合物から選択される。一部の実施態様では、レチノイド化合物はレチノイン酸である。これらの化合物は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)、及びBoerhinger Mannheim(Indianapolis,Ind.)などの数多くの供給元から市販されている。本明細書で有用な他のレチノイド化合物は、米国特許第4,677,120号(1987年6月30日にParish et al.に対し発行)、米国特許第4,885,311号(1989年12月5日にParish et al.に対し発行)、米国特許第5,049,584号(1991年9月17日にPurcell et al.に対し発行)、米国特許第5,124,356号(1992年1月23日にPurcell et al.に対し発行)、再発行特許第34,075号(1992年9月22日にPurcell et al.に対し発行)において記載されている。

本明細書で使用するとき、用語「想定される皮膚用活性剤」は、摂動因子、及び皮膚の色調に関連付けられる遺伝子間の、関連性を特定するのに使用するための、データ・アーキテクチャの構築に関し本明細書において記載される方法により、未だ有効性が試験されておらず、予備選別により、色素沈着に関連する皮膚生物学的に特有の変化に影響を及ぼすものとしてその見込みが示されている、本明細書に定義される通りの化粧料を意味する。

本明細書で使用する「皮膚活性剤」という用語は、本明細書で定義する化粧料の小集団であり、望ましくない皮膚状態、又は疾患の処置を達成する目的で、又は望ましい皮膚状態を達成する目的で、皮膚への塗布が意図されたあらゆる物質、並びにあらゆるその成分を概ね含む。皮膚の色調に関連する例としては、そばかす(しみ)、老人性色素斑(日光黒子)を含む黒子、炎症後色素沈着、カフェ・オ・レ斑(Cafe au lait macules)、アディソン病、及びその他の全身性疾患による影響、へマクロマトーシス、黒皮症(妊娠性黒皮症及びその他のホルモンに関連する色素障害)及び黒色表皮腫、並びに色素形成における光毒性及び薬剤誘導性の交互変化などの色素沈着過剰に関する障害を含む、皮膚の色素沈着障害が挙げられる。色素沈着減少に関する障害の例としては、白斑症及び皮膚の外傷に関連する、限局性の領域におけるメラニン産生細胞の消失が挙げられる。一部の場合、化粧料の消費者は、一ある程度日焼けした人々の中での美白、並びにある程度色白の人々の中での皮膚の黒化又は日焼けなど、一部の文化的基準により色素状態に求められるような変化を所望するに過ぎない。

用語「皮膚の色調」は、殆どの場合、色素沈着及び着色の均一性に対するものであると考えられるが、「皮膚の色調」には、消費者が全体的な色調と知覚するのに関与する、その他の皮膚特徴も包含される。例えば、孔径及び分布、並びに肌のきめも、一般的に、全体的な皮膚の色調に関与すると見なされる。

皮膚活性剤のカテゴリの例としては、皮膚色素調節剤、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、殺シラミ薬、感覚剤、酵素、ビタミン、育毛活性剤、日焼け止め剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本発明による化粧品組成物は、皮膚用活性剤を含有してもよい。

色素分泌過程には多くの過程及びタンパク質が関与することが知られており、色素分泌調節剤を選別することを目的とする多様なアレイが存在している。これらのうちの多くは、メラニン細胞刺激の阻害因子(例えば、抗酸化物質、抗炎症剤)、細胞受容体アンタゴニスト(例えば、α−MSHアンタゴニスト)、メラニン合成酵素阻害因子(例えば、チロシナーゼ、TRP−1、TRP−2)、メラニン細胞内メラノソームの運搬並びにケラチノサイトへの輸送の阻害因子(例えば、PAR−2アンタゴニスト)、及びケラチノサイト内メラニン分解活性化因子を対象とする。

皮膚の色素沈着を調節する皮膚用活性剤は当該技術分野において既知である。ある種の物質は、化粧料が対象とする範囲を超えて、望ましくない全身作用を示す副作用が存在するために、極めて低濃度でのみ化粧品用途が検討され得る。これらには、ヒドロキノン、trans−レチノイン酸、及びコルチコステロイドが含まれる。一般的に、化粧料組成物に典型的に目標は、チロシンをメラニンに変換する最初の酵素であるチロシナーゼを阻害することである。コウジ酸、アルブチン、アスコルビン酸、エラグ酸、スルフヒドリル化合物及びレゾルシノールなどの化合物の広範なアレイは効果的であり、これにより、最近ではチロシナーゼ阻害剤としてはデオキシアルブチンが議論されている。しかしながら、これらの材料のうちの数種類のものは他の効果も有することから、特定の機序に直接関連付けて色素沈着に対する影響を観察することは難しい。表Aは、主として知られる対象、及びそれらに対し有効である数種類の剤の一覧を提供する。

本明細書で使用する「ベンチマークとなる皮膚用活性剤」という用語は、皮膚組織に優れた効果(プラス効果又はマイナス効果)を誘導する又はもたらすことが知られている、あらゆる化学物質、化合物、環境因子、小分子若しくは大分子、抽出物、製剤、又はそれらの組み合わせを指す。本発明に従って、美白又は皮膚の黒化のいずれかの内容において既知の有効性を有する剤は、本明細書において「ベンチマークとなる剤」としても参照される。

ベンチマークとなる皮膚用活性剤の非限定例を、対応する、理論上の、色素沈着を調節する対象とともに、表Aに示す。

より新規の、ベンチマークとなる皮膚用活性剤には、ナイアシンアミド及びグルコサミン(特に、N−アセチルグルコサミン[NAG]誘導体)が含まれ、これらは培養下でメラニン産生を低下させるのに有効であることが最近示されている。インビトロでは、グルコサミンは、チロシナーゼの活性化を阻害することによりメラニンの産生を低下させるのに対し、ナイアシンアミドは、メラニン産生細胞からケラチノサイトへのメラノソームの輸送を阻害する。ナイアシンアミドのみを含有する、化粧料の保湿組成物は、インビボにおいて色素沈着斑の出現を減少させるのに有効であり、NAGを処方に加えることにより更に有効性が高くなる。別のベンチマークとなる色素沈着調節剤は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンであり、この剤は、これまでにインビボにおいてメラノサイトに対するα−MSHの結合を阻害すること、並びに臨床試験においては化粧料保湿剤組成物の成分として有効であることが報告されている。

「遺伝子発現シグネチャー」という用語は、皮膚組織の状態又は皮膚剤を表す遺伝子の合理的に得られたリスト又は複数のリストを指す。特定の文脈において、皮膚用活性剤は、ベンチマークとなる皮膚用活性剤又は可能性のある皮膚用活性剤であってもよい。したがって、遺伝子発現シグネチャーは、皮膚組織の対象となる表現型のプロキシとしての役割を果たし得る。遺伝子発現シグネチャーは、正常又はコントロール状態と比較して、発現が増加(上方調節)された遺伝子、発現が減少(下方調節)された遺伝子、及びそれらの組み合わせを含んでもよい。概して、調節された細胞表現型に対する遺伝子発現シグネチャーは、細胞表現型と比較して、調節された細胞表現型において差次的に発現した遺伝子のセットとして記載され得る。遺伝子発現シグネチャーは、インビトロ試験、インビボ試験、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない種々のデータ源から得ることができる。一部の実施形態では、遺伝子発現シグネチャーは、対象となる状態の複数の上方調節された遺伝子を表す第1のリストと、対象となる状態の複数の下方調節された遺伝子を表す第2のリストとを含んでもよい。

本明細書において使用する「問い合わせ」という用語は、関連性マップへの入力として使用されるデータを指し、これに対して複数のインスタンスが比較される。問い合わせには、老人性色素斑等の皮膚状態に関連付けられる遺伝子発現シグネチャーが含まれてもよく、又は皮膚状態に関連する生理学的過程のシグネチャーから得られる遺伝子発現シグネチャーが含まれてもよい。Cマップは、摂動因子、遺伝子発現シグネチャー、皮膚疾患、主題シグネチャー、あるいはデータ・アーキテクチャを含む任意のデータ特性若しくはデータ特性の組み合わせ、又は関連性を用いて問い合わせることができる。

本明細書で使用する「インスタンス」という用語は、皮膚細胞に摂動因子を投与する遺伝子発現プロファイリング実験からのデータを指す。一部の実施形態では、このデータは、遺伝子発現プロファイリング実験の一環である遺伝子を表す識別子のリストを含む。識別子は、遺伝子名、遺伝子記号、マイクロアレイプローブセットID、又は他の任意の識別子を含んでもよい。一部の実施形態では、インスタンスは、マイクロアレイ実験からのデータを含んでもよく、コントロールと比較した差次的発現の程度によって順序付けされたマイクロアレイのプローブセットIDのリストを含む。このデータはメタデータも含んでよく、これには、摂動因子、遺伝子発現プロファイリング試験条件、皮膚細胞、及びマイクロアレイのうちの1つ以上に関するデータが含まれるが、これらに限定されない。

本明細書で使用される「摂動因子」という用語は、本発明で使用するための遺伝子発現データを生成するための遺伝子発現プロファイリング実験においてチャレンジとして使用されるあらゆるものを意味する。一部の実施形態では、摂動因子をヒト細胞に適用し、遺伝子発現プロファイリング実験から得られた遺伝子発現データをインスタンスとしてデータ・アーキテクチャ内に格納してもよい。本発明に従った場合、ヒト細胞は、ケラチノサイト、メラノサイト、線維芽細胞、又は黒色腫細胞であってよい。遺伝子発現データを生成するために使用される、任意の物質、化学物質、化合物、活性物質、天然産物、抽出物、薬物(例えば、Sigma−Aldrich LOPAC(薬理活性化合物ライブラリ)コレクション)、小分子、及びそれらの組み合わせが、摂動因子であり得る。また、摂動因子は、差次的遺伝子発現データを生成するために使用される他のいかなる刺激であってもよい。例えば、摂動因子はまた、紫外線、熱、浸透圧ストレス、pH、微生物、ウイルス、及び低分子干渉RNAであってもよい。摂動因子は、いかなる化粧料であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。

本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容できる」とは、記載される組成物又は構成成分がヒト皮膚組織と接触した使用に好適であることを意味する。

本明細書で使用する「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ及びデータ構造、デジタルファイル、ソフトウェアプログラム及びアプリケーション、又は他のデジタル情報等の情報の格納のために任意の方法又は技術で実装されたあらゆる電子記憶媒体を指し、これにはあらゆる揮発性、非揮発性、着脱式、及び非着脱式媒体が含まれるが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な媒体には、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、ダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、ディスク、搬送波、及びメモリスティックが含まれるが、これらに限定されない。揮発性メモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、及びダイレクトRAMバスRAM(DRRAM)が含まれるが、これらに限定されない。非揮発性メモリの例には、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、及び電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)が含まれるが、これらに限定されない。メモリは、プロセス及び/又はデータを格納することができる。また他のコンピュータ読み取り可能な媒体としては、あらゆる好適なディスク媒体が挙げられ、これには、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、ジップドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティック、コンパクトディスクROM(CD−ROM)、CD書き込み可能ドライブ(CD−Rドライブ)、CD書き換え可能ドライブ(CD−RWドライブ)、及びデジタル多用途ROMドライブ(DVD ROM)が含まれるが、これらに限定されない。

本明細書で使用する「ソフトウェア」及び「ソフトウェアアプリケーション」という用語は、計算装置又は他の電子装置に、機能、動作、及び/又は挙動を望ましい形で実行させる、1つ以上のコンピュータ読み取り可能及び/又は実行可能な命令を指す。命令は、ルーチン、アルゴリズム、モジュール、ライブラリ、方法、及び/又はプログラム等、1つ以上の様々な形態で実施されてもよい。ソフトウェアは、様々な実行可能及び/又は読み込み可能な形態で実装することができ、1つのコンピュータ構成要素に位置してもよく、並びに/又は2つ以上の通信、協働、及び/若しくは並列処理するコンピュータ構成要素の間に分散されてもよく、それにより直列、並列、及び他の形で読み込み及び/又は実行が可能である。ソフトウェアは、1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納されていてもよく、本発明の方法及び機能を全体的又は部分的に実行してもよい。

本明細書で使用する「色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャー」という用語は、色素沈着過剰状態の遺伝子発現プロファイリングから得られる遺伝子発現シグネチャーを指す。

本明細書で使用する「関連性スコア」という用語は、インスタンスが問い合わせに相関する程度を表す、得られた値を指す。

本明細書で使用する「データ・アーキテクチャ」という用語は、概して、編成されたデータコレクションを含む1つ以上のデジタルデータ構造を指す。一部の実施形態では、デジタルデータ構造は、デジタルファイル(例えば、スプレッドシートファイル、テキストファイル、文書処理ファイル、データベースファイル等)として、コンピュータ読み取り可能な媒体上に格納することができる。一部の実施形態では、データベースに格納されたデータ(例えば、インスタンス及び遺伝子発現シグネチャー)にアクセスし、これを編成し、選択するために使用されるデータベース管理システム(DBMS)によって管理することができるデータベースの形態で、データ・アーキテクチャが提供される。

本明細書で使用される「遺伝子発現プロファイリング」及び「遺伝子発現プロファイリング実験」という用語は、任意の好適なプロファイリング技術を用いる、生体サンプル中の複数の遺伝子の発現の測定を指す。例えば、多数の遺伝子のmRNA発現は、マイクロアレイ法を用いて測定することができる。使用可能な他の新たな技術としては、NextGen配列決定法を用いるRNA−Seq又は全トランスクリプトームの配列決定が挙げられる。

本明細書で使用する「マイクロアレイ」という用語は、生体サンプルの遺伝子発現プロファイリングを可能にする基板上の核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、小分子、大分子、及び/又はそれらの組み合わせのあらゆる順序配列を広く指す。マイクロアレイの非限定例は、Affymetrix社、Agilent Technologies社、Illumina社、GE Healthcare社、Applied Biosystems社、Beckman Coulter社などから入手することができる。

別途記載のないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用する成分の量、分子量等の特性、反応条件等を表すすべての数は、すべての場合に「約」という用語によって修飾されることを理解すべきである。更に、本明細書及び特許請求の範囲中の任意の範囲の開示は、その範囲それ自体及びまたその中に包含されるあらゆるもの、並びに終点も含むと理解されるべきである。全ての数範囲はより狭い範囲を包含し、表現された上方及び下方範囲の限界値は互換可能であって、明示されていない範囲を更に作り出す。別途記載のないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」に記載の数値的性質は、本発明の実施形態において得ることが求められる所望の性質に応じて変化し得る近似値である。本発明の広い範囲を示している数値範囲及びパラメーターは近似値であるが、具体的な実施例に示される数値は、できるかぎり正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値は、それらのそれぞれの測定値に認められる誤差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に包含する。

本発明の一態様によると、色素沈着又は色素沈着関連状態に関連付けられる1つ以上の問い合わせシグネチャーを用いて関連性マップを実行する装置、システム、及び方法が提供される。問い合わせシグネチャーは、様々な方法で得ることができる。一部の実施形態では、問い合わせシグネチャーは、コントロールと比較して、対象皮膚状態を呈する皮膚の全層皮膚生検の遺伝子発現プロファイリングから得られる遺伝子発現シグネチャーであってもよい。遺伝子発現プロファイリングは、マイクロアレイ解析又はNextGen配列決定を含むがこれらに限定されない、任意の好適な技術を用いて実施することができる。遺伝子発現シグネチャーの例としては、色素沈着過剰遺伝子の発現シグネチャーが挙げられ、このインスタンスは、より詳しく後述する。問い合わせシグネチャーは、美白剤などのベンチマークとなる皮膚用活性剤に暴露したケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト、又は黒色腫細胞株の転写プロファイルに由来するものであり得る。他の実施形態では、問い合わせシグネチャーは、ベンチマークとなる遺伝子発現シグネチャーであってもよく、美白剤のベンチマークシグネチャーは、皮膚黒化剤のベンチマークシグネチャーと比較し、かつ同方向の調節を有する遺伝子を除外することにより更に精密化される。更なる実施形態では、細胞は、1種以上のベンチマークとなる皮膚用活性剤により処置され、ベンチマーク複合シグネチャーが導出され、特定の実施形態では、細胞はベンチマークとなる複数の皮膚用活性剤により処置され、選択される剤には、色素沈着を支持することが知られている異なる機序により作用する剤が含まれる。その他の具体的な実施形態では、一般的なベンチマークとなる皮膚色調シグネチャーは、色素沈着、皮膚の毛穴の大きさ及び分布、及び/又は肌のきめに関するベンチマークとなる皮膚用活性剤を含む剤を含む、ベンチマークとなる複数の皮膚用活性剤で、細胞を処置することにより生成することもできる。これらの問い合わせシグネチャーは、単独で、又は組み合わせで使用することができる。具体的な実施形態では、複合シグネチャーは、単一の化学物質に由来するシグネチャーと比較して、色調に影響を及ぼす複数の化学物質に関し遺伝子変化を予測する際に、利点を提供することが示されてきた。

本発明の別の態様にしたがった場合、化粧料などの摂動因子に表皮又は真皮細胞株(例えば、ケラチノサイト、線維芽細胞、メラノサイト、及び黒色腫細胞など)を暴露することに由来する1つ以上のインスタンスを利用する、関連性マップを実行するためのデバイス、システム及び方法が提供される。また、対象とする細胞又はエクスビボヒト皮膚を含む皮膚器官型培養物等、より複雑な細胞培養系からのインスタンスを使用してもよい。複数の細胞株からのインスタンスを本発明で使用してもよい。

本発明のまた別の態様によると、皮膚状態、例えば色素沈着過剰な状態の問い合わせシグネチャーと複数のインスタンスとの間の関係の特定のための装置、システム、及び方法が提供され、この問い合わせシグネチャーは、遺伝子発現シグネチャー又は生理学的主題発現シグネチャーであってもよい。例えば、対象皮膚状態に関連付けられる統計的に有意な数の遺伝子に統計的に有意な活性を引き起こす摂動因子を突き止めて、その皮膚状態を治療するための新しい化粧料又は既知の化粧料の新しい用途の特定に至ることが可能となり得る。

I.システム及び装置 図3、5、及び6を参照して、撹乱因子と、色素沈着状態と、色素沈着状態に関連付けられる遺伝子と間の関係を特定に使用するための本発明によるシステム及び装置のいくつかの例をここで説明する。システム10は、計算装置12、14、計算装置12と関連付けられるコンピュータ読み取り可能な媒体16、及び通信網18のうちの1つ以上を備える。

ハードディスクドライブとして設けられてもよいコンピュータ読み取り可能な媒体16は、デジタルファイル20と関連付けられるデータ構造に格納された複数のインスタンス22、24、及び26を含むデジタルファイル20、例えばデータベースファイルを含む。複数のインスタンスは、リレーショナルテーブル及びインデックス、又は他の種類のコンピュータ読み取り可能な媒体に格納してもよい。また、インスタンス22、24、及び26は、複数のデジタルファイルにわたって分散されてもよいが、本明細書では簡単にするために単一のデジタルファイル20について説明する。

デジタルファイル20は、文書処理ファイル形式(例えば、Microsoft Word)、スプレッドシートファイル形式(例えば、Microsoft Excel)、及びデータベースファイル形式を含むが、これらに限定されない多様な形式で提供することができる。好適なファイル形式の一般的な一部の例には、*.xls、*.xld、*.xlk、*.xll、*.xlt、*.xlxs、*.dif、*.db、*.dbf、*.accdb、*.mdb、*.mdf、*.cdb、*.fdb、*.csv、*sql、*.xml、*.doc、*.txt、*.rtf、*.log、*.docx、*.ans、*.pages、*.wps等のファイル拡張子に関連付けられるものが含まれるが、これらに限定されない。

図4を参照すると、一部の実施形態では、インスタンス22は、マイクロアレイプローブセットIDの順序付きリストを含んでもよく、このときNの値は、解析に使用するマイクロアレイ上のプローブの総数と等しい。一般的なマイクロアレイとしては、Affymetrix GeneChip及びIllumina BeadChipが挙げられ、これらはどちらもプローブセットとカスタムプローブセットとを備える。本発明による参照遺伝子プロファイルを生成する目的で、好ましいチップは、ヒトゲノムのプロファイリングのために設計されたものである。本発明において使用されるAffymetrixチップの例としては、モデルヒトゲノムHG−U133 Plus 2.0及びHG−U219が挙げられる。本研究者らが採用した具体的なAffymetrixチップは、HG−U133A2.0であるが、当業者は、所有権の所在にかかわらず、本発明によるデータ・アーキテクチャの構築に使用されるチップのプローブセットが実質的に類似するかぎり、いかなるチップ又はマイクロアレイも好適であることを理解するであろう。

Affymetrix GeneChipを使用してマイクロアレイ解析から得られたインスタンスは、遺伝子プローブセットIDの順序付きリストを含んでもよく、このリストは22,000以上のIDを含む。順序付きリストは、デジタルファイル20のデータ構造に格納してもよく、データは、デジタルファイルがソフトウェアアプリケーション28によって読み取られたときに、プローブセットIDの順序付きリストを表す複数の文字列が再生されるように配列してもよい。それぞれのインスタンスがプローブセットIDの完全なリストを含むことが好ましいが、インスタンスのうちの1つ以上が、マイクロアレイのすべてに満たないプローブセットIDを有してもよいことが意図される。また、インスタンスが、プローブセットIDの順序付きリストに加えて、又はその代わりに、他のデータを含んでもよいことも意図される。例えば、同等の遺伝子名及び/又は遺伝子記号の順序付きリストでプローブセットIDの順序付きリストを代用してもよい。インスタンス及び/又はデジタルファイル20と共に、追加データを格納してもよい。一部の実施形態では、この追加データはメタデータと称され、これは細胞株ID、バッチ番号、暴露期間、及び他の実験によって得られるデータ、並びにインスタンスIDに関連付けられる他の任意の記述的材料をのうちの1つ以上を含んでもよい。また、順序付きリストは、順序付きリスト中のその識別子の序列付けされた位置を表す、それぞれの識別子と関連付けられる数値も含んでよい。

再び図3、4、及び5を参照すると、コンピュータ読み取り可能な媒体16は、その媒体上に格納された第2のデジタルファイル30も含んでよい。第2のデジタルファイル30は、1つ以上の色素沈着に関連する遺伝子発現シグネチャーと関連する、マイクロアレイプローブセットIDの1つ以上のリスト32を含む。マイクロアレイプローブセットIDのリスト32は、通常は、第1のデジタルファイル20のインスタンスよりもはるかに小さいプローブセットIDのリストを含む。一部の実施形態では、このリストは、2〜1000個のプローブセットIDを含む。他の実施形態では、このリストは、10個を上回る、50個を上回る、100個を上回る、200個を上回る、若しくは300個を上回る、及び/又は約800個未満、600個未満、若しくは約400個未満のプローブセットIDを含む。第2のデジタルファイル30のプローブセットIDのリスト32は、対象となる皮膚の色調の状態を表すために選択される、上方及び/又は下方調節された遺伝子を表すプローブセットIDのリストを含む。一部の実施形態では、第1のリストは、遺伝子発現シグネチャーの上方調節された遺伝子を表してもよく、第2のリストは、遺伝子発現シグネチャーの下方調節された遺伝子を表してもよい。リスト(複数可)は、デジタルファイル30のデータ構造に格納してもよく、データは、デジタルファイルがソフトウェアアプリケーション28によって読み取られたときに、プローブセットIDのリストを表す複数の文字列が再生されるように配列してもよい。プローブセットIDの代わりに、同等の遺伝子名及び/又は遺伝子記号(又は別の命名)でプローブセットIDのリストを代用してもよい。遺伝子発現シグネチャー及び/又はデジタルファイル30と共に追加データを格納してもよく、これは一般にメタデータと称され、これは、例えば、細胞株又はサンプル源、及びマイクロアレイID等のいかなる関連情報を含んでもよい。皮膚の色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャー、特に色素沈着過剰が老人性色素斑である場合のシグネチャーの、プローブセットのID一覧例を、図2、表B(最も上方調節された200の遺伝子)及びC(色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーにおいて最も下方調節された200の遺伝子)に示す。一部の実施形態では、1つ以上の色素沈着過剰状態の遺伝子発現シグネチャーは、複数のデジタルファイルに格納してもよく、及び/又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体上に格納してもよい。他の実施形態では、複数の遺伝子発現シグネチャー(例えば、32、34)は、同じデジタルファイル(例えば、30)に格納してもよく、又はインスタンス22、24、及び26を含む同じデジタルファイル若しくはデータベースに格納してもよい。

前述したように、第1及び第2のデジタルファイルに格納されたデータは、様々なデータ構造及び/又は形式で格納することができる。一部の実施形態では、データは、1つ以上の検索可能なデータベース、例えば無料データベース、商用データベース、又は社内の独自のデータベースに格納される。データベースは、例えば、限定するものではないが、フラットモデル、階層モデル、ネットワークモデル、関係モデル、次元モデル、又はオブジェクト指向モデル等、当該分野において既知のいかなるモデルによって提供又は構造化されてもよい。一部の実施形態では、少なくとも1つの検索可能なデータベースは、社内の独自のデータベースである。システム10のユーザは、データベース管理システムと関連付けられるグラフィカル・ユーザ・インターフェースを用いて、そのシステムが操作可能に接続される1つ以上のデータベース又は他のデータ源にアクセスし、そこからデータを引き出すことができる。一部の実施形態では、第1のデジタルファイル20は、第1のデータベースの形態で提供され、第2のデジタルファイル30は、第2のデータベースの形態で提供される。他の実施形態では、第1及び第2のデジタルファイルを組み合わせて、単一ファイルの形式で提供してもよい。

一部の実施形態では、第1のデジタルファイル20は、コンピュータ読み取り可能な媒体38上に格納されたデジタルファイル36から通信網18を通して送信されるデータを含んでもよい。一実施形態では、第1のデジタルファイル20は、細胞株(例えば、線維芽細胞株及び/又はケラチノサイト細胞系)から得られる遺伝子発現データ、またデジタルファイル36からのデータ、例えば、他の細胞株又は細胞型からの遺伝子発現データ、遺伝子発現シグネチャー、摂動因子情報、臨床治験データ、科学文献、化学データベース、薬学データベース、並びに他のそのようなデータ及びメタデータを含んでもよい。デジタルファイル36は、Sigma−Aldrich LOPACコレクション、Broad Institute C−MAPコレクション、GEOコレクション、及びChemical Abstracts Service(CAS)データベースを含むが、これらに限定されないデータベースの形態で提供してもよい。

また、コンピュータ読み取り可能な媒体16(又は別のコンピュータ読み取り可能な媒体、例えば16)上には、読み取り、書き込み、ないしは別の方法でデジタルファイル20、30の管理、及び/若しくはデジタルファイル20、30へのアクセスのためのコンピュータ読み取り可能な命令又はソフトウェアを含む1つ以上のデジタルファイル28が格納されていてもよい。また、コンピュータ読み取り可能な媒体16は、計算装置12に本発明の方法の1つ以上の工程を実行させるソフトウェア又はコンピュータ読み取り可能及び/若しくは実行可能な命令も含んでよく、この工程には、例えば、限定するものではないが、デジタルファイル30に格納された遺伝子発現シグネチャーをデジタルファイル20に格納されたインスタンス22、24、及び26と比較することに関連する工程(複数可)が含まれる。一部の実施形態では、1つ以上のデジタルファイル28は、デジタルファイル20、28を管理するためのデータベース管理システムの一部をなしてもよい。データベース管理システムの非限定的な例は、米国特許第4,967,341号及び同第5,297,279号に記載されている。

コンピュータ読み取り可能な媒体16は、計算装置12の一部をなしてもよく、ないしは別の方法で計算装置12に接続されていてもよい。計算装置12は、あらゆる汎用又は専用コンピュータ、例えばサーバー、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タワー型コンピュータ、マイクロコンピュータ、ミニコンピュータ、及びメインフレームコンピュータを含むが、これらに限定されない様々な形態で提供することができる。様々な計算装置が本発明との使用に好適となり得るが、汎用計算装置12を図5に示す。計算装置12は、プロセッサ40、システムメモリ42、及びシステムバス44から選択される1つ以上の構成要素を備えてもよい。システムバス44は、システムメモリ42及びプロセッサ40を含むがこれらに限定されない、システム構成要素のインターフェースを提供する。システムバス36は、何種類かのバス構造のいずれであってもよく、これは種々の市販のバスアーキテクチャのうちのいずれかを使用して、メモリバス(場合によりメモリコントローラを備える)、周辺バス、及びローカルバスと更に相互接続していてもよい。ローカルバスの例としては、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)バス、拡張ISA(EISA)バス、周辺構成要素相互接続(PCI)バス、ユニバーサルシリアル(USB)バス、及び小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)バスが挙げられる。プロセッサ40は、あらゆる好適なプロセッサから選択可能であり、これにはデュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャを含むが、これらに限定されない。プロセッサは、1つ以上のプログラムアプリケーション又はソフトウェアと関連付けられる1組の格納された命令を実行する。

システムメモリ42は、非揮発性メモリ46(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)等)、及び/又は揮発性メモリ48(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))を含んでもよい。基本入力/出力システム(BIOS)は、非揮発性メモリ38に格納してもよく、また計算装置12内の要素間で情報を伝達するのに役立つ基本ルーチンを含んでもよい。また、揮発性メモリ48は、データキャッシングのためのスタティックRAMなどの高速RAMを含んでもよい。

計算装置12は、ストレージ44を更に含んでもよく、これは例えば、ストレージ用の内蔵ハードディスクドライブ[HDD、例えば、拡張統合ドライブエレクトロニクス(EIDE)、又はシリアル・アドバンスド・テクノロジー・アタッチメント(SATA)]を含んでもよい。計算装置12は、(例えば、CD−ROM又はDVD−ROM 48を読み取るための)光ディスクドライブ46を更に含んでもよい。ドライブ及び関連するコンピュータ読み取り可能な媒体は、データの非揮発性ストレージ、本発明のデータ構造及びデータ・アーキテクチャ、コンピュータ実行可能な命令等を提供する。計算装置12において、装置及び媒体は、好適なデジタル形式で任意のデータのストレージを収容する。コンピュータ読み取り可能な媒体についての上記の説明は、HDD及び光学式媒体、例えばCD−ROM又はDVD−ROMに関するが、当業者は、コンピュータにより読み取り可能な他の種類の媒体、例えばジップディスク、磁気カセット、ラッシュメモリカード、カートリッジ等を使用してもよく、また更に、そのようないかなる媒体も本発明の方法を実施するためのコンピュータ実行可能な命令を含んでもよいことを理解すべきである。

本明細書に記載の機能及び/又は方法を全体的若しくは部分的に実行するオペレーティングシステム及び1つ以上のソフトウェアアプリケーションを含む複数のソフトウェアアプリケーションを、ドライブ44及び揮発性メモリ48上に格納してもよい。各実施形態が、様々な市販のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせを用いて実行できることを理解すべきである。中央演算処理装置40は、揮発性メモリ48内のソフトウェアアプリケーションと共に、本明細書に記載の機能を実行するように構成又は適合された計算装置12の制御システムとしての機能を果たしてもよい。

ユーザは、1つ以上の有線若しくは無線入力装置50、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、例えばマウス(図示せず)、又はタッチスクリーンを介して計算装置12にコマンド及び情報を入力することができる。これら及び他の入力デバイスは、しばしば、システムバス44に連結される入力デバイスインターフェース52を介して、中央演算処理装置40に接続されるが、パラレルポート、IEEE 1394シリアルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IRインターフェース等の他のインターフェースによって接続されてもよい。コンピュータデバイス12は、別個又は内蔵の表示デバイス54を駆動してもよく、それもまた、ビデオポート56等のインターフェースを介してシステムバス44に接続されてもよい。

計算装置12、14は、有線及び/又は無線ネットワーク通信インターフェース58を用いて、ネットワーク化された環境でネットワーク18を通して動作してもよい。ネットワークインターフェースポート58は、有線及び/又は無線通信を容易にすることができる。ネットワークインターフェースポートは、ネットワークインターフェースカード、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)、ネットワークアダプタ、又はLANアダプターの一部であってもよい。通信網18は、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)、又はローカルエリアネットワーク(LAN)であってもよい。通信網18は、光ファイバーネットワーク、ツイストペアネットワーク、Tl/Elラインベースネットワーク若しくはT−キャリア/Eキャリアプロトコルの他のリンク、又は無線ローカルエリア若しくは広域ネットワーク(ウルトラモバイルバンド(UMB)、ロングタームエボリューション(LTE)等の複数のプロトコルを介して作動する)を含んでよい。更に、通信網18は、トランシーバ、変調/復調のための関連電子装置、並びにパケット交換通信の場合などのバックホール通信用のバックボーンネットワークに接続するためのスイッチ及びポートを含む、無線通信用の基地局を含んでもよい。

II.複数のインスタンスを作成するための方法 一部の実施形態では、本発明の方法は、複数の遺伝子発現プロファイリング実験から得られたデータを含む複数のインスタンス(例えば、22、24、26)を少なくとも第1のデジタルファイル20に投入する工程を含んでもよく、これらの実験のうちの1つ以上は、例えば、ケラチノサイト細胞(又は他の皮膚細胞、例えばヒト皮膚等価物培養物若しくはエクスビボ培養したヒト皮膚)を少なくとも1つの摂動因子に暴露することを含む。説明を簡単にするために、下記で説明する遺伝子発現プロファイリングは、マイクロアレイ実験の状況とする。

図6を参照すると、本発明の方法の一実施形態が図示されている。方法58は、ケラチノサイト細胞を摂動因子64に暴露する工程を含む。摂動因子は、ジメチルスフフォキシド(DMSO)などの担体に溶解してもよい。暴露後、摂動因子に暴露された細胞、及び担体のみに暴露される参照細胞66(例えば、ケラチノサイト細胞)からmRNAを抽出する。mRNA 68、70、72をcDNA 64、76、78に逆転写して、二色マイクロアレイ解析を実施する場合は、異なる蛍光染料(例えば、赤色及び緑色)で標識してもよい。あるいは、単色マイクロアレイ解析用にサンプルを準備して、所望であれば更に複数の複製を処理してもよい。cDNAサンプルを、複数のプローブ82を含むマイクロアレイ80に同時にハイブリダイズさせてもよい。マイクロアレイは、多数のプローブ82を含んでもよい。一部の実施形態では、マイクロアレイ80上に10,000〜50,000個の遺伝子プローブ82が存在する。マイクロアレイをスキャナ84でスキャンし、これにより染料を励起し、蛍光量を測定する。計算装置86を使用して原画像を解析し、参照細胞66に対する、細胞60、62における遺伝子の発現レベルを決定する。スキャナ84は、計算装置86の機能を組み込んでもよい。発現レベルは、i)上方調節[例えば、参照物質(例えば、cDNA 78)よりも、試験物質(例えば、cDNA 74、76)のプローブへのより大きい結合]、又はii)下方調節[例えば、試験物質(例えば、cDNA 74、76)よりも、参照物質(例えば、cDNA 78)のプローブへのより大きい結合]、iii)発現するが、差次的ではない[例えば、試験物質(例えば、cDNA 74、76)と比べて、参照物質(例えば、cDNA 78)のプローブへの結合が同様]、及びiv)検出可能な信号又はノイズがない、を含む。上方及び下方調節された遺伝子は、差次的に発現したと表現される。マイクロアレイ及びマイクロアレイ解析法は当該技術分野において周知であり、他のマイクロアレイ法を本発明の方法、装置、及びシステムと共に使用してもよいことが意図される。例えば、任意の好適な商業用又は非商業用のマイクロアレイ技術及び関連技法を使用してもよい。Affymetrix GeneChip(登録商標)技術及びIllumina BeadChip(商標)技術で良好な結果が得られている。1つの例となる技法を、実施例の「一般に適用可能な」方法の項に記載する。しかしながら、当業者は、本発明が実施例の方法論に限定されず、他の方法及び技法も本発明の範囲に含まれると意図されることを理解するであろう。

極めて具体的な実施形態では、インスタンスは、Affymetrix HG−U133A2.0 GeneChip上のすべてのプローブセットの序列付けされたデータからなり、このときチップ上のそれぞれのプローブは、固有のプローブセット識別子を有する。プローブセットは、同じCマップバッチのコントロールに対する倍率変化によって序列付けされる(単一インスタンス/コントロールの平均)。プローブセット識別子は、最も上方調節されたものから最も下方調節されたものまでを反映するように序列付けされる。

注目すべきことに、非差次的に制御された遺伝子の場合にも、特定のプローブセットのシグナル値は、インスタンスとコントロールで同一である可能性は低く、包括的な序列付けに使用可能な、1とは異なる倍率変化が算出される。Lamb et al.(2006)によって開示される方法に従って、データは、疑似の大きい倍数変化を引き起こし得る、非常に低いノイズ信号値を有し得る、遺伝子の効果を最小限に抑えるために、2つの閾値を使用して調整される。この閾値化は、好ましくは、序列付けの前に実施する。説明のための例としては、第1の閾値が20に設定される過程が挙げられる。プローブセットのシグナルが20未満の場合、これは20に補正される。序列の同位は第2の閾値を用いて分割するが、このとき倍率変化が再び算出され、2未満のあらゆる値は2に設定される。残りのあらゆる同位については、順序は、使用する特定の並べ替えアルゴリズムに依存するが、本質的にはランダムである。リストの中央のプローブセットは、実際の関連性スコアに有意義には寄与していない。

序列付けされたデータは、インスタンスとして格納される。プローブは、検出された遺伝子発現制御のレベルによって並べ替えてリストにしてもよく、このリストは、上方調節から、わずかな制御又は制御なし、そして下方調節へと進み、このプローブIDの序列付きリストは、インスタンス(例えば、22)として第1のデジタルファイル20に格納される。図4を参照すると、インスタンスと関連付けられるデータは、プローブID 80と、そのリスト中の序列を表す値82(例えば、1、2、3、4...Nであり、Nは、マイクロアレイ上のプローブの総数を表す)とを含む。順序付きリスト84は、一般に、プローブIDのおよそ3つのグループである、上方調節された遺伝子に関連付けられるプローブIDの第1のグループ86、わずかな制御を含むか、又は検出可能なシグナル若しくはノイズを含まない遺伝子に関連付けられるプローブIDの第2のグループ88、及び下方調節された遺伝子に関連付けられるプローブIDの第3のグループ90を含んでもよい。最も上方調節された遺伝子は、リスト84の最上部又はその付近にあり、最も下方調節された遺伝子は、リスト84の最下部又はその付近にある。これらのグループは説明のために示すが、それぞれのインスタンスのリストは連続的であってもよく、制御された遺伝子の数は、そのインスタンスに関連付けられる摂動因子の影響の強さに依存することになる。リスト84内の他の配列も提供することができる。例えば、下方調節された遺伝子に関連付けられるプローブIDをリスト84の最上部に配列してもよい。このインスタンスデータは、メタデータ、例えば摂動因子ID、摂動因子濃度、細胞株又はサンプル源、及びマイクロアレイIDを更に含んでもよい。

一部の実施形態では、1つ以上のインスタンスは、少なくとも約1,000個、2,500個、5,000個、10,000個、若しくは20,000個の識別子、及び/又は約30,000個、25,000個、若しくは20,000個未満の識別子を含む。一部の実施形態では、データベースは、少なくとも約50個、100個、250個、500個、若しくは1,000個のインスタンス、及び/又は約50,000個、20,000個、15,000個、10,000個、7,500個、5,000個、若しくは2,500個未満のインスタンスを含む。インスタンスの複製を作成してもよく、また同じ摂動因子を使用して、ケラチノサイト細胞からの第1のインスタンスと、別の皮膚細胞型、例えば線維芽細胞、メラニン細胞、黒色腫又は複合組織、例えばエクスビボヒト皮膚からの第2のインスタンスとを得てもよい。

本発明者らは、ケラチノサイト細胞などの細胞型に由来するインスタンスは、同一の細胞型に由来する、美白のベンチマークとなる剤が表すシグネチャーと組み合わせて使用した場合に、他の細胞型よりもより予測的(predictive)であることを発見した。換言すれば、問い合わせシグネチャーを生成するために使用された細胞型がインスタンス細胞型のものと同一である場合に、良好な結果が得られる。この細胞一貫性ガイドが、予想可能なものであることが明らかであるが、ベンチマークとなる剤のシグネチャーに関し何が驚くべきことなのかというと、本発明者らは、驚くべきことに、ベンチマークとなる皮膚用活性剤が、他の細胞型と比べて特定の細胞型に関し非常に高い予想効率を有することを発見した。例えば、実施例4及び5に示す通り、本発明者らが、BJ線維芽細胞細胞及びケラチノサイト細胞に由来する、レチノイン酸のベンチマーク遺伝子発現シグネチャーを比較したところ、驚くべきことに、ケラチノサイト細胞に由来するシグネチャーにより、問い合わせシグネチャーとの関連性に基づく一覧に合致し可能性のある剤に関し、良好な結果が得られることが発見された。

III.色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーを抽出する方法 本発明の一部の方法は、対象皮膚状態、特に皮膚の色調又は色素沈着過剰に関連付けられる上方調節及び下方調節された遺伝子を表す遺伝子発現シグネチャーを特定する工程を含む。

色素沈着状態の発症機序は、典型的には、多くの既知及び未知の外因性及び内因性要因を伴う複雑なプロセス、並びに比較的短い期間ではわずかであるが、より長い期間ではわずかではない、かかる要因への応答を伴う。これは、特定の標的、遺伝子、又は作用機序が興味の対象である、薬物開発及び薬物スクリーニングの方法で通常観察されるものとは対照的である。色素沈着状態と関連する独特のスクリーニング課題によって、対象となる状態を表す遺伝子発現シグネチャーの質は、実際に摂動因子への反応と関連する遺伝子発現データと、バックグラウンド発現データとの間の区別に重要であり得る。

皮膚の色調及び色素沈着に関連する皮膚疾患の遺伝子発現シグネチャーの生成における1つの課題は、選択される遺伝子の数が、主要かつ重要なバイオロジーを反映するためには十分であるが、偶然により統計的有意性のレベルに達しており、情報価値がない多くの遺伝子を含むほど多くはない数である必要があるということである。したがって、問い合わせシグネチャーは、予測値が遺伝子発現シグネチャーの質に依存し得ることから、慎重に得るべきである。

問い合わせシグネチャーの質に影響を与える可能性がある1つの因子は、シグネチャーに含まれる遺伝子の数である。本発明者らは、美容上のデータ・アーキテクチャ及び関連性マップに関して、少なすぎる遺伝子は、最も高いスコアのインスタンスに関して不安定なシグネチャーをもたらし得ることを発見した。言い換えると、遺伝子発現シグネチャーへの小さい変更が、最も高いスコアのインスタンスに顕著な差異をもたらす可能性がある。反対に、多すぎる遺伝子は、主要な生物学的応答を部分的に隠す傾向がある可能性があり、より高い割合の偶然により統計的カットオフを満たす遺伝子を含み、それによりシグネチャーに望ましくないノイズを付加することになる。遺伝子発現シグネチャーに望まれる遺伝子数は、統計上有意な最小値を満たすのに必要とされる状態及び/又は遺伝子数に関連付けられる生物学的な応答強度にも関係することを見出した(例えば、P値は約0.05未満又は約1.0未満であり、あるいは適用可能な統計的原則に従う)。したがって、理想的な遺伝子数とみなされる数は、状態ごとに異なることになる。典型的には美容状態の表現型に関する場合のように、バイオロジーが弱い場合、先行技術における統計的含有要件を満たし得る数よりも少ない遺伝子を用いて、ノイズの多い遺伝子の付加を回避することができる。

例えば、本発明者らは、皮膚状態の遺伝子発現プロファイリング解析が、0.05未満の統計的p値を有する約2,000〜4,000個の遺伝子と、0.001未満のp値を有するおよそ1000個の遺伝子とをもたらす場合、極めて強い生物学的応答が示唆されると判断した。中程度に強い生物学的応答は、0.05未満の統計的p値を有するおよそ800〜2000個の遺伝子と、0.001未満のp値を有するおよそ400〜600個の遺伝子をもたらし得る。これらの場合に、約100個〜約600個の遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャーが理想的と思われる。より弱いバイオロジーは、より少ない遺伝子、例えば約20〜100個の遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャーによって、より良好に表すことができる。

遺伝子発現シグネチャーは、対象皮膚状態に関連付けられるすべての顕著に制御された遺伝子を表すことができ、これは通常、そのような遺伝子のサブセットを表す。本発明者らは、上方調節及び/又は下方調節された遺伝子のほぼ等しい数の約50個〜約400個の遺伝子を含む色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーが、安定かつ信頼性があり、予測的結果をもたらすことが可能であることを発見した。例えば、好適な遺伝子発現シグネチャーは、約100〜150個の遺伝子、250〜300個の遺伝子、300〜350個の遺伝子、又は350〜400個の遺伝子を有してもよい。極めて具体的な実施形態において、色素沈着過剰の遺伝子発現シグネチャーは、100個の最も上方及び下方調節された遺伝子を含む。しかしながら、当業者は、より少ない又はより多い遺伝子を含む遺伝子発現シグネチャーも本発明の種々の実施形態の範囲に含まれることを理解するであろう。遺伝子発現シグネチャーを表現する目的で、遺伝子に関連付けられるプローブセットIDは、好ましくは、図2の表B及びCに示すように、最も上方調節された遺伝子を含む第1のリストと、最も下方調節された遺伝子を含む第2のリストとに分割する。

遺伝子発現シグネチャーは、コントロールと比較して、対象皮膚状態を有する皮膚の全層皮膚生検から生成することができる。色素沈着過剰な遺伝子発現シグネチャー例を作成するに当たり、前腕の老人性色素斑により生検を行い、同一の対象者から採取した影響を受けていない前腕皮膚と比較する。

本発明の他の実施形態では、遺伝子発現シグネチャーをベンチマーク皮膚活性剤、特に美白剤で治療されたケラチノサイト細胞の遺伝子発現プロファイリング解析から得て、そのベンチマーク皮膚剤で治療された皮膚組織状態の改善につながる細胞の摂動を表すことができ、このときシグネチャーは、インビトロで細胞においてベンチマーク皮膚剤により上方調節及び下方調節された複数の遺伝子を含む。説明のための一例として、摂動因子が既知の皮膚抗老化薬剤、オールトランス型レチノイン酸(tRA)である、マイクロアレイ遺伝子発現プロファイルデータは、問い合わせ結果におけるランク付けられたインスタンスから、最高スコアインスタンスと関連する遺伝子を決定するために、本発明を使用して解析されてもよい。

本発明に従う複合ベンチマークシグネチャーは、1種以上のベンチマークとなる皮膚用活性剤により処置した細胞に由来するシグネチャーである(実施例3、6、及び7に記載)。活性剤は、皮膚において作用する1つ以上の機序を反映して選別することもでき、あるいは全体的な皮膚の色調に関与する1つ以上の機序を反映して選別することもできる。

更に特異的な実施形態では、ベンチマークとなる美白遺伝子発現シグネチャーとベンチマークとなる皮膚黒化遺伝子発現シグネチャーを比較し、並びに2つの間で差次的に調節されない遺伝子を、問い合わせシグネチャーに意図されるシグネチャーから除外する。この実施形態に従う皮膚黒化剤の非限定例としては、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)及び任意の関連するメラノコルチン1受容体アゴニスト又はこれらの刺激剤が挙げられる。

IV.複数のインスタンスを1つ以上の色素沈着遺伝子発現シグネチャーと比較するための方法 図7及び図8を参照すると、色素沈着過剰に関連する1つ以上の遺伝子シグネチャーで複数のインスタンスに問い合わせを行うための方法がここに記載される。概して、本方法は、1つ以上の色素沈着過剰に関連する遺伝子シグネチャーで複数のインスタンスに問い合わせを行う工程と、シグネチャー遺伝子がインスタンス中の制御された遺伝子とどれほど強く一致するかを決定するために、統計的方法を適用する工程とを含む。正の関連は、インスタンス中の上方調節された遺伝子の中で、上方調節されたシグネチャーリスト中の遺伝子が濃縮されている場合、及びインスタンス中の下方調節された遺伝子の中で、下方調節されたシグネチャーリスト中の遺伝子が濃縮されている場合に存在する。一方、インスタンスの下方調節された遺伝子の中にシグネチャーの上方調節された遺伝子が主に認められる場合、及びその逆の場合には、これは負の関連としてスコアされる。図7は、シグネチャー90と、プローブID 102を含むインスタンス104との正の関連の極端な例を概略的に図示しており、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方調節されたものから最も下方調節されたものへと順序付けられる。この例では、上方リスト97及び下方リスト99を含む遺伝子シグネチャー90のプローブID 100(例えば、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス104の最も上方調節及び下方調節されたプローブID 102とそれぞれ一対一の正の対応を有する。同様に、図8は、シグネチャー94と、プローブID 90を含むインスタンス88との負の関連の極端な例を概略的に図示しており、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方調節されたものから最も下方調節されたものへと順序付けられる。この例では、上方リスト93のプローブID(例えば、X1、X2 X3、X4)は、インスタンス88の最も下方調節された遺伝子と正確に一致し、下方リスト95のプローブID(例えば、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス88の最も上方調節されたプローブIDと正確に一致する。図9は、中間的関連の極端な例を概略的に図示しており、このとき正であれ負であれ、インスタンスの上方及び下方調節された遺伝子の中に、シグネチャーの上方及び下方調節された遺伝子の一致する濃縮は存在しない。したがって、遺伝子シグネチャー108(上方リスト107及び下方リスト109を含む)のプローブID 106(例えば、X1、X2 X3、X4、X5、X6、X7、X8)は、インスタンス112のプローブID 110との序列に関して散在し、このときインスタンスのプローブIDは、最も上方調節されたものから最も下方調節されたものへと順序付けられる。上記の実施形態が、遺伝子シグネチャーが、皮膚状態の最も有意に上方及び下方調節された遺伝子を代表する、上方リスト及び下方リストの両方を含む、プロセスを示す一方で、遺伝子シグネチャーは、対象となる状態と関連する主要な生態が、主に一方向への遺伝子制御を示す時に、上方リスト又は下方リストのみを含んでもよいことが考えらえる。

一部の実施形態では、関連性スコアは、上方スコアと下方スコアとの組み合わせであってもよく、上方スコアは、遺伝子シグネチャーの上方調節された遺伝子とインスタンスの上方調節された遺伝子との間の相関を表し、下方スコアは、遺伝子シグネチャーの下方調節された遺伝子とインスタンスの下方調節された遺伝子との間の相関を表す。上方スコア及び下方スコアは、+1〜−1の値を有してもよい。上方スコア(及び下方スコア)について、高い正の値は、インスタンスの対応する摂動因子が、遺伝子シグネチャーの上方調節された(又は下方調節された)遺伝子のマイクロアレイプローブの発現を誘導したことを示唆し、高い負の値は、インスタンスに関連付けられる対応する摂動因子が、遺伝子シグネチャーの上方調節された(又は下方調節された)遺伝子のマイクロアレイプローブの発現を抑制したことを示唆する。上方スコアは、上方調節された遺伝子を含む遺伝子シグネチャーの上方リストの各識別子(例えば、表B、D、F、H、並びにリスト93、97、及び107)を、順序付けられたインスタンスリストと比較することによって計算することができ、一方で、下方スコアは、下方調節された遺伝子を含む遺伝子シグネチャーの下方リストの各識別子(例えば、表C、E、G、I、並びに下方リスト95、99、及び109を参照)を、順序付けられたインスタンスリストと比較することによって計算することができる。これらの実施形態では、遺伝子シグネチャーは、上方リストと下方リストとの組み合わせを含む。

一部の実施形態では、関連性スコアの値は、+2(最大の正の関連)〜−2(最大の負の関連)の範囲であってよく、このとき関連性スコア(例えば、101、103、及び105)は、遺伝子シグネチャーのそれぞれの識別子を順序付けされたインスタンスリストの識別子と比較することによって得られる、上方スコア(例えば、111、113、115)と下方スコア(例えば、117、119、121)との組み合わせである。他の実施形態では、関連の範囲は、+1〜−1であってよい。スコアの例は、図7、8、及び9に、参照番号101、103、105、111、113、115、117、119、及び121として図示する。上方スコア及び下方スコア、並びに/又は関連性スコアによって表されるシグネチャーとインスタンスとの間の一致の強さは、当該技術分野において既知の1つ以上の手法によって得ることができ、これにはパラメトリック手法及び非パラメトリック手法が含まれるが、これらに限定されない。パラメトリック手法の例としては、ピアソンの相関(又はピアソンr)及びコサイン相関が挙げられる。非パラメトリック手法の例としては、スピアマンの順位(又は順序)相関、ケンドールのタウ相関、及びガンマ統計が挙げられる。概して、全てのプロファイルを同一のマイクロアレイプラットフォーム上で生成する必要条件を排除するために、ノンパラメトリックでランクに基づくパターン・マッチング戦略は、コルモゴロフ・スミルノフ統計(M.Hollander et al.「ノンパラメトリックな統計法(Nonparametric Statistical Methods)」;Wiley,New York,ed.2,1999を参照)(例えば、第178〜185頁を参照)に基づく。しかしながら、すべての発現プロファイルが単一の技術プラットフォームから得られる場合、従来の相関手段、例えばピアソンの相関係数を用いて、同様の結果を得ることができることに留意されたい。

特定の実施形態では、本発明の方法及びシステムは、遺伝子セット強化解析(GSEA)(例えば、Lamb et al.2006 and Subramanian,A.et al.(2005)Proc.Natl.Acad Sci U.S.A,102,15545〜15550を参照)として当該技術分野において一般的に既知の、Lambのグループによって、遺伝子プロファイリングデータに対して精緻化されている、コルモゴロフ・スミルノフ統計に基づく、ノンパラメトリック、ランクベースパターン一致戦略を採用する。それぞれのインスタンスについて、下方スコアは、問い合わせとインスタンスとの下方調節された遺伝子間の一致を反映するように算出され、上方スコアは、問い合わせとインスタンスとの上方調節された遺伝子間の相関を反映するように算出される。特定の実施形態では、下方スコア及び上方スコアはそれぞれ、−1〜+1の範囲であってよい。この組み合わせは、問い合わせシグネチャーとインスタンスとの間の全体的一致の強さを表す。

上方スコアと下方スコアとの組み合わせは、それぞれのインスタンスについての全体的関連性スコアを算出するために使用され、上方及び下方スコアの範囲が−1〜+1に設定される実施形態では、関連性スコアは−2〜+2の範囲であり、問い合わせシグネチャーとインスタンスとの間の一致の強さを表す。全体的スコアの符号は、インスタンスがシグネチャーに対して正に関連するか、負に関連するかによって決定される。正の関連は、インスタンスに関連付けられる摂動因子が、シグネチャーの上方リスト中の遺伝子を上方調節し、下方リスト中の遺伝子を下方調節する傾向にあるときに存在する。反対に、負の関連性は、摂動因子が、上方及び下方のシグネチャー遺伝子発現の変化を逆にする傾向がある時に生じる。関連性スコアの規模は、上方及び下方スコアが異なるサインを有する時の、上方及び下方スコアの絶対値の合計である。高い正の関連性スコアは、摂動因子が、問い合わせシグネチャーを生成するために使用した状態を誘導する傾向を有することになると予測し、高い負の関連性スコアは、摂動因子が、問い合わせシグネチャーに関連付けられる状態を逆転させるであろうことを予測する。ゼロのスコアは、上方及び下方スコアが同じ符号を有する場合に割り当てられ、これは摂動因子が状態シグネチャーに対して一貫した影響を有さなかった(例えば、上方及び下方リストの双方を上方調節する)ことを示唆する。

Lamb et al.(2006)によると、観察される関連性の統計的有意性を評価するための基準は存在しない。Lambは、関連性を検出する能力は、多くの複製を有する化合物の場合により高くなり得ることを教示している。これに関して、複製するとは、同じ摂動因子を複数回プロファイルすることを意味する。バッチごとの変動を避けなければならない場合、摂動因子をそれぞれのバッチで複数回プロファイルするべきである。しかしながら、マイクロアレイ実験が強いバッチ影響を有する傾向がある場合、異なるバッチ(つまり、実験)でインスタンスを複製して、関連性スコアが有意義かつ再現可能であるという最高の信頼度を得ることが望ましい。

それぞれのインスタンスを問い合わせシグネチャーに対するその関連性スコアによって序列付けし、データの可視化を可能にする任意の好適なソフトウェア及びコンピュータハードウェアを用いて、得られた序列付きリストをユーザに表示してもよい。

一部の実施形態では、本方法は、表示されたインスタンスの序列付きリストから、(i)対象インスタンスに関連付けられる1つ以上の摂動因子(それによって、問い合わせシグネチャーに記載される複数の遺伝子の活性化又は抑制を1つ以上の摂動因子と相関させる);(ii)任意の対象インスタンスに関連付けられる差次的に発現された遺伝子(それによって、そのような遺伝子を、1つ以上の摂動因子、対象皮膚組織状態、又はそれら双方と相関させる);(iii)任意の対象インスタンスに関連付けられる細胞(それによって、そのような細胞を差次的に発現された遺伝子、1つ以上の摂動因子、及び対象皮膚組織状態のうちの1つ以上と相関させる);又は(iv)それらの組み合わせを特定する工程を含んでもよい。インスタンスに関連付けられる1つ以上の摂動因子は、そのインスタンスのデータベースに格納されたメタデータから特定してもよい。しかしながら、当業者は、インスタンスの摂動因子データが、他の手段に、又は他の手段で、検索可能なように格納してもよいことを理解するであろう。特定された摂動因子が、問い合わせシグネチャー中にリストされる遺伝子の活性化又は阻害に統計的に相関するため、かつ問い合わせシグネチャーが、対象となる皮膚組織の状態に対するプロキシであるため、特定された摂動因子は、新しい化粧料のため、既知の化粧料の新しい使用のため、又は既知の使用に対する既知の薬剤を実証するための候補となり得る。

一部の実施形態では、本発明の方法は、インビトロアッセイ及び/又はインビボ試験を用いて、選択された化粧料候補を試験して、その化粧料の活性及び化粧料としての有用性を検証する工程を更に含んでもよい。当該技術分野において既知の方法を含む、いかなる好適なインビトロ試験法を用いてもよく、最も好ましくは、本発明に従って開発されたインビトロモデルである。例えば、対象皮膚状態の生理学的主題パターンを構成する遺伝子の制御に関して対象皮膚状態を模倣するために選択された1つの摂動因子又は摂動因子の組み合わせで、MatTekヒト皮膚等価物培養物又は他の皮膚等価物培養物を処理してもよい。一部の実施形態では、インビトロアッセイを用いる選択された化粧料の評価は、1つ以上新しい化粧料候補が、対象皮膚状態を制御するために、既知の化粧料(又は既知の化粧料の組み合わせ)と共に使用可能であることを明らかにするか、確認するか、又はその双方が可能である。

臨床試験は、想定される、色素沈着調節効率を確認するのに有効なものであり得る。臨床的な方法としては、専門家による経時的な等級付け(live expert grading)、クロマメーター、並びにカラー画像の撮像及び解析が挙げられる。有効性の評価において有用な、新規の臨床測定ツールは、皮膚のメラニン含量及び分布を測定するための方法として最近報告されている、非接触式のSIAscopy(商標)の原理を元にしたものである。このツールは皮膚の発色団の顔面マップを迅速に捕捉し、皮膚の任意の小領域又は任意の領域におけるメラニンの含量及び分布を測定することができる。これまでに、前腕、顔面、胸部及び背部などの各種身体部位に対する臨床試験が報告されており、すべてが評価技術において有用性を有している。十分に制御された臨床評価は高価であることから、実用的に、試験は最も有望な候補のみに制限される。

V.色素沈着過剰障害 本発明は、色素沈着状態及び障害、並びに特に色素沈着過剰に関連する状態及び障害を処置するために想定される皮膚用活性剤を特定するための方法を提供する。特定の環境条件への暴露並びにホルモンの変化が、色素沈着過剰状態の進行に関する主因子である。一般的に、皮膚の単位面積当たりの活性なメラニン産生細胞数は、年齢とともに減少し(10年毎に10〜20%減少する)、長期にわたって日光に暴露されていた皮膚では、暴露されていない皮膚と比較して、より活性なメラニン産生細胞が存在する。日光によりダメージを受けた皮膚において、活性なメラニン産生細胞の数が増加しているため、長期にわたって紫外線に暴露されることで(例えば、顔面、手、及び腕が)メラニン産生活性が刺激されるという影響が示唆される。長期にわたって紫外線に暴露されることで、真皮の線維芽細胞は肌が老化するよう機能することから、並びに線維芽細胞がメラニン産生を制御する役割を果たすことは明らかであることから、日光による真皮の損傷は、皮膚老化に暴露されることでもたらされる過剰な色素沈着に関与し得る。

肌の炎症により炎症後色素沈着過剰(PIH)が生じ、人々には肌の黒化作用が偏って作用することになる。炎症により誘導される色素沈着は、多くの場合、にきびの損傷、内生毛、引っ掻き傷、虫刺され、及び界面活性剤による損傷に関連して見られる。後者の例としては、ヒトの前腕の皮膚を露出させて、強力な界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を数時間貼付した場合に、1日以内に紅斑が生じるというものがある。このSLSへの暴露後1〜2週間の間に、色素沈着過剰が生じ、特により色の暗い皮膚に生じるものの、白人の皮膚であっても生じる。抗炎症剤による局所的な処置により寛解されることは既知である。非限定例はフィトステロールである。

日光への皮膚の暴露は、色素沈着過剰の最も一般的な原因であり、紫外線による皮膚の損傷に対する炎症後応答により、PIHのサブセットが生じるものと考えられるようになってきている。炎症反応が日焼けなどの急性の炎症イベントにより生じ得ることは明らかであり、あるいは準紅斑(sub-erythemal)が繰り返し紫外線に曝露されることに起因して生じ得る。後者においては組織学的に視認される紅斑ではない場合があり、曝露された皮膚は炎症細胞の含有量が上昇し、「潜在性の」炎症プロセスがもたらされる。この説明は、UVBへの暴露後、直ぐに抗炎症剤により局所的に処置することで、遅延型の日焼けの誘導が予防されるという事実により支持される。

炎症は、複数の機序を介し、色素沈着過剰をもたらし得る。これらのなかでも、メラニン産生細胞は、IL−1−αなどの炎症メディエーターにより直接刺激される。ダメージを受けた皮膚(例えば、紫外線暴露により)において生成された、又は炎症細胞の副生成物として放出された超酸化物及び一酸化窒素などの活性酸素種も、メラニン産生細胞の刺激因子として既知である。加えて、上皮細胞に誘導されたダメージにより、α−メラニン刺激ホルモン(MSH)などの色素沈着に関係する内分泌腺誘導因子の放出が導かれ得る。これらのすべての作用により誘導され生じる色素沈着過剰は、メラニンが、紫外線吸収能及び活性酸素種除去能の両方を有することが既知であり、色素沈着過剰に続く損傷に対しある程度保護をもたらすと考えられていることから、適応的なものである。

炎症イベント中に産生されるメラニンも、真皮に入り込み得るものであり、真皮においてマクロファージにより貪食され、「メラノファージ」がもたらされる。真皮メラニンの除去は明らかに非常に緩徐なプロセスであることから、これらの細胞は、多くの場合、長期間にわたって真皮上層に保持される。したがって、炎症後の色素沈着過剰は、皮膚にとって非常に長期にわたる問題となり得る。

日光(化学線)による黒子は、黒子群、老人性色素斑、及び肝斑としても知られる色素沈着斑である。これらの黒子は、紫外線に対する長期にわたる暴露の結果として発達し、並びに日光に暴露された身体部位に発生する(特に、手、腕、顔面、胸郭上部、及び肩)。紫外線に対する長期にわたる皮膚の曝露により、上皮エンドセリンカスケードなどの慢性炎症が生じる。老人性色素斑の暗色の外見は、領域において過剰なメラニンにより生じ、機能亢進性メラニン産生細胞、並びに組織学的に黒子の真下に観察されてきた真皮メラニンを含有するメラノファージにおける、メラニンの過剰産生の結果として生じ得るものであり、この組織層の緩徐な代謝回転に起因し老化した表皮において、メラニンは長期間保持され、乳頭間隆起内のケラチノサイトにおいて、メラニンは長期間保持される。血管及びリンパ管が変化することに明らかに起因し、真皮由来の物質のクリアランスが低下することに少なくとも一部由来して、加齢とともに創傷治癒は低下し、高齢者集団では真皮におけるメラノファージの滞留時間が延長され得る。

ある種の観察により、老人性色素斑では、周辺の無影響の皮膚における皮膚と比較して、遺伝子発現及び表現型発現において変化があることが示唆される。例えば、皮膚の黒子の病変では、乳頭間隆起は非常に肥大しており、真皮の深部に延長している。この深部への侵入は、乳頭間隆起の縮小により証明される、加齢とともに入り組んだ真皮−上皮接合部が平坦化されるという、一般的な観察とは矛盾する。日光黒子では、基底膜も摂動され、これが恐らく真皮へのメラニンの侵入によるメラノファージの形成に関与している。

更に、化学線に由来する黒子では、メラニン形成に関連付けられる複数の遺伝子の発現レベルが上昇することが知られている。上皮エンドセリン炎症カスケードは、増殖の減少並びに損傷性のケラチノサイトの分化とともに増強される。更なる紫外線暴露は避けると、これらの斑は変化がないように見えるため、これらの変化の多くは常在するものに見える。

黒子は明らかに持続性のものであるのに対し、メラニン含量ひいてはその強度は季節によって変化する。例えば、女性の顔面の色素沈着領域を10月及び12月に比較評価したところ(神戸(日本)又はシンシナティ(オハイオ州、米国)、時間経過とともに領域の大きさが著しく減少したことから、冬季に、日光への持続的な暴露が不足すると、色素沈着領域でさえもメラニン産生が漸減(季節的な退色)することが示唆される。これに加えて、3月及び5月に顔面領域を別個に評価したところ(シンシナティ、オハイオ州、米国)、領域の大きさが著しく増加したことが観察され、これは、春に日光への暴露が増加することに起因して色素沈着の増加(季節的な黒化)が予想されることと一致する。

消費者の体裁の観点から、色素沈着斑及び不均一な色素沈着は、年齢の知覚において重要である。一連の研究において、顔の画像をデジタル処理により修正して、年齢を感じさせる全てのテクスチャ特徴(例えば、額のしわ、くぼみ、筋、しわ)を除去したところ、色素沈着のみが変数として残った。研究により、単純判断評価及び顔画像の画像解析を用いた場合に、色素沈着の特徴は、各人に知覚される年齢に関し最大で20年分に関与し得ることが示された。

色素の過剰沈着障害は、一般的にメラノーマと呼ばれ、十分には解明されていない。これは、典型的には、主に、思春期又は中年期以降に、より色黒なタイプの女性の顔面上に、対称的な病斑として生じる。顔面に生じることから(日光に暴露される身体部位)、並びに夏季に状態が悪化することから、恐らくは、日光への暴露が黒皮症の進行の要因である。黒皮症保有者のほとんどは紫外線過敏症を有し、日光へのほんの僅かな暴露でさえも色素沈着過剰が刺激され得る。また、多くの場合、黒皮症の発症は妊娠並びにホルモン剤による避妊と関連付けられることから、プロゲステロンなどのホルモンも要因である。エストロゲン受容体の発現により黒皮症が増加することから、エストロゲンも要因となり得る。

黒皮症病斑では、血管外マクロファージと関連する表皮及び真皮上層の両方にメラニンが過剰に存在する。メラニン産生細胞数がほんの僅かに増加するだけでも皮膚細胞の機能に異常が発生し、特に、関与する皮膚中のケラチノサイト、線維芽細胞、及びメラニン産生細胞において因子の発現が増加する。PIHとは対照的に、進行に関与する炎症段階は見られない。これに加えて、黒皮症になりやすくする遺伝的な素因も存在するようであるが、具体的な遺伝的根拠は特定されていない。

色素沈着プロセスは、特に遺伝解析及びプロテオーム解析により近年明らかにされている通り、複雑である。すべての進行段階において、メラノソームでは約1,500種の遺伝子産物(タンパク質)が発現されており、そのうち600種は常に発現され、100種は明らかにメラノソームに特有のものである。これに加え、その他の数多くのタンパク質(膜結合型タンパク質、細胞骨格タンパク質、輸送タンパク質など)が、メラノサイト及びケラチノサイトの両方の色素沈着に関与するすることからも、色素沈着プロセスが複雑であることが示される。基本的なプロセス(例えば、メラノサイトの刺激、及びチロシンのメラニンへの変換)はよく研究されており、メラノサイト内のメラノソームの輸送並びにメラノソームのケラチノサイトへの輸送におけるシグナル伝達に関係する最近の研究から、数多くの調節エレメントが存在することがわかっている。

VI.化粧料組成物及びパーソナルケア製品 一般に、皮膚の色調の向上又は色素に関連する皮膚の状態の処置のために特定された皮膚活性剤は、当該技術分野において周知の化粧品組成物及び製剤パラメーターに従って適用することができる。治療、適用、制御、又は改善の様々な方法は、本発明の方法によって特定される皮膚用活性剤を含むスキンケア組成物を利用してもよい。

美容上の関心事として、色素沈着過剰は、一般的に、色素沈着過剰が色素沈着領域に制限され、かつ正常な皮膚は薬剤による影響を受けずに済むよう、局所用組成物の投与により処置されてきた。

種々の化粧品の皮膚抗老化の利益を消費者に提供することが望ましいため、本明細書に記載されるスクリーニング方法のうちの1つ以上によって特定される試験薬剤又は化合物を、皮膚への局所適用に好適な化粧組成物に組み込むことが有益であり得る。つまり、化粧組成物中に成分として試験薬剤を含むことが望ましくあり得る。ある特定の実施形態では、化粧組成物は、皮膚科学的に許容できる担体、試験薬剤、及び提供される特定の化粧組成物に一般的に含まれる種類の1つ以上の任意の成分を含んでもよい。

皮膚科学的に許容可能な担体は、ヒト皮膚組織に接触して使用するために安全であるべきである。好適な担体としては、水及び/又は水混和性溶剤が挙げられ得る。化粧用スキンケア組成物は、約1重量%〜約95重量%の水及び/又は水混和性溶剤を含んでもよい。組成物は、約1%、3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、又は85%〜約90%、85%,80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%の水及び/又は水混和性溶剤を含んでもよい。好適な水混和性溶剤としては、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、グリコール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。スキンケア組成物が乳液の形態である時に、水及び/又は水混和性溶剤は、典型的には、水相と関連する担体である。

好適な担体としては、油も挙げられる。スキンケア組成物は、約1重量%〜約95重量%の1つ以上の油を含んでもよい。組成物は、約0.1%、0.5%、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%,80%、85%、又は90%〜約90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、又は3%の1つ以上の油を含んでもよい。油は、水又は水溶性溶剤に好適ではない物質を可溶化、分散、又は担持するために使用されてもよい。好適な油としては、シリコーン、炭化水素、エステル、アミド、エーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。油は、揮発性又は不揮発性であってもよい。

好適なシリコーン油としては、ポリシロキサンが挙げられる。市販のポリシロキサンとしては、ジメチコーンとしても既知である、ポリジメチルシロキサンが挙げられ、その例としては、Shin−Etsuから販売されているDM−Fluidシリーズ、Momentive Performance Materials社から販売されているVicasil(登録商標)シリーズ、及びDow Corning Corporationから販売されるDow Corning(登録商標)200シリーズが挙げられる。好適なポリジメチルシロキサンの具体例としては、6.5E−7、1.5E−6、5E−5、0.0001、0.00035、0.01、0.0125、0.1、及び0.3m2/s(0.65、1.5、50、100、350、10,000、12,500、100,000、及び300,000センチストーク)の粘度を有する、Dow Corning(登録商標)200 fluids(Xiameter(登録商標)PMX−200 Silicone Fluidsとしても販売されている)が挙げられる。

好適な炭化水素油としては、直鎖、分枝鎖、又は環状アルカン及びアルケンが挙げられる。鎖長は、揮発性等の所望の機能特徴に基づき選択されてもよい。好適な揮発性炭化水素は、5〜20の炭素原子、あるいは、8〜16の炭素原子を有してもよい。

他の好適な油としては、エステルが挙げられる。好適なエステルは、典型的には、少なくとも10個の炭素原子を含有した。これらのエステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖とのエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル、及びジ−及びトリ−カルボン酸エステル)が挙げられる。このエステルのヒドロカルビルラジカルは、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合等)のような他の適合性のある官能基を含むか、又はこのヒドロカルビルラジカルをこうした官能基へ共有結合させてよい。

他の好適な油としては、アミドが挙げられる。アミドとしては、25℃で液体であり、水に不溶性である、アミド官能基を有する化合物が挙げられる。好適なアミドとしては、N−アセチル−N−ブチルアミノプロピオネート、イソプロピルN−ラウロイルサルコシナート、及びN,N,−ジエチルトルアミドが挙げられる。他の好適なアミドは、米国特許第6,872,401号に開示される。

他の好適な油としては、エーテルが挙げられる。好適なエーテルとしては、多価アルコールの飽和及び不飽和脂肪エーテル、並びにそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。例示のエーテルとしては、ポリプロピレングリコールのC4〜20アルキルエーテル、及びジ−C8〜30アルキルエーテルが挙げられる。これらの物質の好適な例としては、PPG−14ブチルエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、ジオクチルエーテル、ドデシルオクチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。

スキンケア組成物は、乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、組成物が乳液の形態である時、又は不混和性物質が混合されている場合、特に好適である。スキンケア組成物は、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.5%、又は1%〜約20%、10%、5%、3%、2%、又は1%の乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であり得る。乳化剤の非限定的な例は、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びM.C.Publishing Co.から発行されたMcCutcheonのEmulsifiers and Detergents,2010 Annual Ed.に開示されている。他の好適な乳化剤は、the Personal Care Product Council’s International Cosmetic,Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Edition,2006の「Surfactants−Emulsifying Agents」の機能カテゴリに更に記載されている。

直鎖又は分枝鎖タイプのシリコーン乳化剤もまた、使用され得る。特に有用なポリエーテル修飾シリコーンとしては、Shin EtsuからのKF−6011、KF−6012、KF−6013、KF−6015、KF−6015、KF−6017、KF−6043、KF−6028、及びKF−6038が挙げられる。また、特に有用なのは、Shin EtsuからのKF−6100、KF−6104、及びKF−6105を含むポリグリセロール化直鎖又は分岐鎖シロキサン乳化剤である。乳化剤としては、乳化シリコーンエラストマーも挙げられる。好適なシリコーンエラストマーは、粉末形態であってもよく、又は揮発性若しくは不揮発性シリコーン等の溶剤、又はパラフィン系炭化水素若しくはエステル等のシリコーン相溶性媒体中で分散又は可溶化されてもよい。好適な乳化シリコーンエラストマーとしては、少なくとも1つのポリアルキルエーテル又はポリグリセロール化単位が挙げられ得る。

粘度を増加させるために、スキンケア組成物を濃化、凝固、又はそれに固体若しくは結晶構造を提供するために、構造剤が使用されてもよい。構造剤は典型的には、溶解性、分散性、又は相適合性に基づきグループ化される。水性又は水構造剤の例としては、高分子剤、天然又は合成ゴム、多糖類等が挙げられる。一実施形態では、組成物は、組成物の重量で約0.0001%、0.001%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、5%〜約25%、20%、10%、7%、5%、4%、又は2%の1つ以上の構造剤を含んでもよい。

多糖類及びゴムは、好適な水相増粘剤であってもよい。ポリマー構造剤の好適なクラスとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、スフフォン酸化ポリマー、高分子量ポリアルキルグリコール又はポリグリセリン、これらのコポリマー、これらの疎水的に修飾された誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。シリコーンゴムは、別の油相構造剤である。別の種類の油相構造剤としては、シリコーンワックスが挙げられる。シリコーンワックスは、アルキルシリコーンワックスと称されてもよく、それらは、室温で半固体又は固体である。他の油相構造剤は、動物性、植物性、又はミネラルワックス等、1つ以上の天然又は合成ワックスであってもよい。

スキンケア組成物は、一般に、組成物及び局所用組成物の製造分野において既知であるような従来の方法によって調製されてもよい。かかる方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用等を用いて、又はそれらを用いずに、1つ又はそれ以上の工程で、成分を比較的均一な状態になるまで混合する工程を伴う。一般に、乳濁液は、最初に水相物質を脂肪相物質とは別個に混合し、その後2相を適宜組み合わせて、所望の連続層を得ることにより調製される。組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性等)、及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。本組成物は、治療期間にとって十分な量の組成物を保存するように寸法設定されたパッケージ中で提供されてもよい。パッケージの寸法、形状、及びデザインは幅広いものであり得る。ある特定のパッケージの例は、米国デザイン特許第D570,707号、同第D391,162号、同第D516,436号、同第D535,191号、同第D542,660号、同第D547,193号、同第D547,661号、同第D558,591号、同第D563,221号、米国特許公開第2009/0017080号、同第2007/0205226号、及び同第2007/0040306号に記載されている。

本発明は、例示を目的として提示され、限定するものではない以下の実施例を参照することにより、更によく理解できるであろう。

一般に適用可能なCマップ方法論 インスタンスの生成 個々の実験(バッチと称する)は、概して、ビヒクルコントロール(例えば、DSMO)の6個の複製、使用する細胞型に強い再現可能効果を与える陽性コントロールの2個の複製サンプル、及び試験材料/摂動因子のサンプルを含む、Affymetrix GeneChip(登録商標)技術プラットフォームを用いて解析される30〜96個のサンプルを含む。試験材料の複製は、バッチ影響のため、別のバッチで実施する。GeneChip(登録商標)解析に十分なRNA(2〜4μgの全RNA収量/ウェル)を提供するために、インビトロ試験を6ウェルプレートで実施した。

University of Texas,Southwestern Medical Center,Dallas,TXからヒトテロメル化ケラチノサイト(tKC)を得た。コラーゲンIコーティング細胞培養フラスコ及びプレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)上で、1Xヒトケラチノサイト成長サプリメント(Invitrogen,Carlsbad,CA)を有する、EpiLife(登録商標)培地で、tKC細胞を増殖させた。化学物質暴露の24時間前に、ケラチノサイトを20,000細胞/cm2で6ウェルプレート中に播種した。通常の細胞培養フラスコ及びプレート(Corning,Lowell,MA)内で、ヒト皮膚線維芽細胞(BJ細胞株、ATCC,Manassas,VA)を、10%ウシ胎児血清(HyClone,Logan,UT)を補充したイーグル最小必須培地(ATCC)で成長させた。化学物質暴露の24時間前に、BJ線維芽細胞を12,000細胞/cm2で6ウェルプレート中に播種した。

すべての細胞を調湿したインキュベーター中、5% CO2、37℃でインキュベートした。t=−24時間で、T−75フラスコ及びプレートから細胞をトリプシン処理し、6ウェルプレート中の基本成長培地に蒔いた。t=0で、培地を取り除き、実験計画に従って適切な投与溶液と交換した。投与溶液は、前日に滅菌4mL Falconスナップキャップチューブ中で調製した。純粋試験材料は、濃度1〜200μMで調製してもよく、植物抽出物は、投与溶液の0.001〜1重量%の濃度で調製してもよい。化学物質暴露の6〜24時間後、細胞を観察し、画像化した。毒性の形態学的証拠を評価するために、細胞溶解及びRNA単離前に、ウェルを顕微鏡で観察した。形態学的変化が細胞毒性を示唆するのに十分であった場合に、低濃度の摂動因子を試験した。次に、細胞をβ−メルカプトエタノール(Qiagen,Valencia,CA)入りの350uL/ウェルのRLT緩衝液で溶解し、96ウェルプレートに移し、−20℃で保存した。

Agencourt(登録商標)RNAdvance Tissue−Bind磁気ビーズ(Beckman Coulter)を用いて、製造業者の使用説明に従って、細胞培養バッチのRNAをRLT緩衝液から単離した。Ambion Message Amp(商標)II Biotin Enhancedキット(Applied Biosystems Incorporated)を用いて、製造業者の使用説明に従って、1サンプル当たり1μgの全RNAを標識した。得られたビオチン標識され、断片化されたcRNAを、Affymetrix HG−U133A 2.0 GeneChip(登録商標)にハイブリダイズさせ、次いでこれを洗浄し、染色し、Affymetrixにより提供されるプロトコルを用いてスキャンした。

(実施例1) 本実施例は、色素沈着状態に関連付けられる摂動因子及び遺伝子間の関連性を特定するためのCマップの使用法を例示し、この場合の色素沈着状態は、色素沈着過剰状態である。具体的には、色素沈着過剰状態である日光黒子(老人性色素斑)を示す、対象者の腕由来の組織解析を、完全に正常な対照由来の組織解析と比較し、特定の統計比較、フィルタリング、及びソーティングを介し、本明細書に記載のとおりに発現シグネチャーを生成する。次に発現シグネチャーを使用して、Cマップ・問い合わせを準備することによりデータ・アーキテクチャを実装し、色素沈着過剰な色素沈着状態に関連付けられる摂動因子及び遺伝子間の関係を特定する。

色素沈着過剰状態をもたらす発現シグネチャー 20,000超の遺伝子の転写産物に相補的な54,613のプローブセットを含有するAffymetrix HG−U133 Plus 2.0 GeneChipsを使用して、臨床サンプルから単離されたRNAを解析した。しかしながら、使用した提供されるデータベース中のインスタンスは、Plus 2.0 GeneChip上に存在するものサブセットである、22,214個のプローブセットを含むAffymetrix HG−U133A 2.0 GeneChipを用いた遺伝子発現プロファイリング実験から得られた。したがって、臨床データから遺伝子発現シグネチャーを生成する際には、HG−U133A 2.0遺伝子チップに含まれるものについてプローブセットをフィルタにかけた。

マイクロアレイデータの統計分析を行って、統計的に関連がある数の上方調節及び下方調節された遺伝子を含み得る、複数の色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーを得た。特定の実施形態では、色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーは、10〜400個の上方調節された遺伝子及び/又は10〜400個の下方調節された遺伝子を含む。より具体的な実施形態では、色素沈着過剰遺伝子発現シグネチャーは、50個の最も統計的に関連がある上方調節された遺伝子を単独で含むか、又は50個の最も統計的に関連がある下方調節された遺伝子と組み合わせて含む。制御は、正常細胞における遺伝子発現と比較することにより求められる。 a.非存在/限界/存在コールに基づくフィルタリング。このフィルタは、遺伝子発現シグネチャー中に含むための可能性のある遺伝子のリストを作成する。例えば、好適なフィルタは、1つの処置群中のサンプルの少なくとも50%が、各プローブセットに対して存在コールを有しなければならないようなものであってもよい。存在コールは、生のGeneChipデータの処理から得られ、プローブセットに相補的な遺伝子転写物が生体サンプル中で実際に発現するという証拠を提供する。全サンプルからの非存在であるプローブは、単にノイズの測定値である可能性が高い。この工程は、シグネチャーにとって重要なデータに寄与しないプローブセットをフィルタリングして除去するために重要である。紫外線老化及び内因性老化遺伝子発現シグネチャーの両方に対して、Affymetrix MAS 5ソフトウェアによって提供される、少なくとも50%の存在コールを有する、プローブセットに対して、データをフィルタリングした。 b.統計的尺度によるフィルタリング。例えば、好適な統計的尺度は、t検定からのp値、ANOVA、相関関数、又は他のモデルに基づく解析であってよい。一例として、p値を統計的尺度として選択し、カットオフ値p=0.05を選択することができる。適切なコントロールと比較して、ある合理的な統計的有意性のカットオフを満たす遺伝子にシグネチャーリストを限定することは、対象となる生物学的状態の特徴を示す遺伝子の選択を可能にするために重要である。これは、測定値周囲のノイズを考慮しない倍率変化値を使用するよりも好ましい。符号が付されて、遺伝子発現変化の方向性(つまり、上方又は下方調節)を提供し、また統計的有意性を提供することから、t統計量を用いてシグネチャー中のプローブセットを選択した。 c.プローブセットの並べ替え。すべてのプローブセットは、統計的尺度を用いて、上方調節されたセットと下方調節されたセットとに並べ替えられる。例えば、p値を計算するためにt検定を使用した場合、p値が常に正であることから、t統計量の値(正及び負)を用いてリストを並べ替える。並べ替えられたt統計量は、最も有意なp値を有するセットをリストの最上部及び最下部に、最も有意でないものを中央付近に配置する。 d.遺伝子発現シグネチャーの作成。作成されたフィルタリング及び並べ替えされたリストを使用して、上部及び下部から好適な数のプローブセットを選択して、好ましくは上部から選択されたセットが下部から選択されたセットとほぼ同じ数を有する遺伝子発現シグネチャーを作成する。例えば、作成される遺伝子発現シグネチャーは、少なくとも約10個、50個、70個、100個、200個、又は300個、及び/又は約800個、600個、400個、又は約100個未満の、チップ上のプローブセットに対応する遺伝子を有してもよい。プローブセットの数は、遺伝子の数に近似的に対応するが、単一の遺伝子は、2つ以上のプローブセットによって表されてもよい。本明細書で使用する「遺伝子の数」という表現が「プローブセットの数」という表現と概ね一致することは理解される。

本発明に従って色素沈着過剰状態シグネチャーの例が提供され、本例では色素沈着過剰状態は日光黒子(老人性色素斑)である。データは、完全な斑組織と、完全な正常組織とを比較する、腕部の老人性色素斑のゲノム試験により生成される。上方調節に関するプローブの選別法では、それぞれ、1.斑組織の平均発現値>200。2.斑組織チップに存在するコール比>=50%。3.プローブはp<0.05で有意に上方調節される。4.上位50、100、及び200のプローブがp値によりランク付けされる、が選択される。それぞれ、50、100及び200でカットし、上方及び下方調節されたプローブを使用し、3つのシグネチャーを生成する。Cマップは評価をヒットする:ヒットは、3つのシグネチャーから得られる平均重量をもとに選択される。下方調節に関するプローブの選別法では、それぞれ、1.正常組織の平均発現値>200。2.正常組織チップに存在するコール比>=50%。3.プローブはp<0.05で有意に下方調節される。4.上位50、100、及び200のプローブがp値によりランク付けされる、が選択される。シグネチャー例を、表B及びCの図2に示す。

(実施例2) 本実施例は、Cマップ問い合わせにおいてベンチマークシグネチャーを使用して、想定される剤を生成するための指示を提供する。本実施例は、具体的には、皮膚の色素沈着を調節する遺伝子発現シグネチャーのベンチマークの生成を概説する。本明細書に記載される通り、実施例1に記載される通りのフィルタリング法などの手法を使用して、色素沈着を調節する遺伝子発現シグネチャーのベンチマークを生成した。より詳細には、ヘキサミジン、N−アセチルグルコサミン、ナイアシンアミド、又はSEPIWHITE(Sepiwhiteは、ウンデシレノイルフェニルアラニンとして既知の剤の商品名を意味する)を、以下のとおりにtert−ケラチノサイト細胞に適用し、色素沈着を調節する遺伝子発現シグネチャーのベンチマークを生成する。

A.ヘキサミジン(hex) Affy U133Aチップを用い、tert−ケラチノサイト(tKC)細胞株を使用してゲノム試験を行う。(a)上方調節に関するプローブの選別法:1.ヘキサミジン処置後の平均発現値>200。2.ヘキサミジン処置チップに存在するコール比>=50%。3.ヘキサミジンにより上方調節されるが、MSH(皮膚黒化剤)により下方調節される。4.ヘキサミジン処置した、p>5の上位100のプローブがp値によりランク付けされる。(b)下方調節に関するプローブの選別法:1.DMSO対照の平均発現値>200。2.DMSO対照チップに存在するコール比>=50%。3.ヘキサミジンにより下方調節されるが、MSH(皮膚黒化剤)により上方調節される。4.ヘキサミジンにより処置した、p<0.05の上位100のプローブがP値によりランク付けされる。シグネチャー例は、それぞれ図10及び11の表D及びEに示す。

B.N−アセチル−グルコサミン(NAG) tKC細胞株、Affy U133Aチップ;上方調節されたプローブのプローブ選別法:1.NAG処置後の平均発現値>200。2.NAG処置されたチップに存在するコール比>=50%。3.NAGにより上方調節されるが、MSH(皮膚黒化剤)により下方調節される。4.NAGにより処置した、p<0.05の39のプローブを選別する。下方調節されたプローブのプローブ選別法:1.DMSO対照の平均発現値>200。2.DMSO対照チップに存在するコール比>=50%。3.NAGにより下方調節されるが、MSH(皮膚黒化剤)により上方調節される。4.NAGにより処置した、p<0.05の43のプローブを選別する。シグネチャー例を、それぞれ図12及び13の表F及びGに示す。

C.ナイアシンアミド ヘキサミジン又はNAGを使用する際に使用した類似体をフィルタリングすることにより、ナイアシンアミドシグネチャーを生成した。シグネチャー例は、それぞれ図14及び15の表H及びIに示す。

D.Sepiwhite ヘキサミジン又はNAGを使用する際に使用した類似体をフィルタリングすることにより、Sepiwhiteシグネチャーを生成した。シグネチャー例は、それぞれ図16及び17の表J及びKに示す。

(実施例3) 本実施例は、Cマップの使用法、並びに実施例2で測定された通りのシグネチャーの生成を例示する;しかしながら、実施例3は、「皮膚の色調」の複合シグネチャーの作成を概説し、ナイアシンアミド、Sepiwhite、NAG、及びヘキサミジンを共に使用してシグネチャーを生成する。本実施例は、美白剤の4種のベンチマーク:ナイアシンアミド、Sepiwhite、NAG、及びヘキサミジンから構成される「皮膚の色調」の複合シグネチャー例の生成を例示する。シグネチャーの生成に使用されるチップ:シグネチャー生成に使用したDMSO対照チップ:シグネチャー生成条件:1.プローブは、対照チップ又はベンチマークチップ間に存在するコールのうち10%を有するものでなくてはならない。2.処置されたチップ上の上方調節されたプローブの平均シグナルは、>200でなければならない。3.対照チップ上の下方調節されたプローブの平均シグナルは、>200でなければならない。4.プローブは、すべてのベンチマークチップに対し上方又は下方調節されなければならない。表見出し:すべての対照チップの平均シグナル、AvgFC、AvgSignalTreated(処置したすべてのチップの平均シグナル)、平均倍数変化、AvgSignalControl。シグネチャー例を、図18の表Lに示す。

本実施例は、1種以上の剤で細胞サンプルを処置することにより複合シグネチャーを生成する方法について概説する、実施形態を提供する。上記した通り、複合シグネチャーは2通りの方法で加えることができ、すなわち、細胞を別個に各剤により処置し、すべての剤により調節された遺伝子を比較して、すべての剤(一緒に)により同方向に調節された遺伝子を探索することによりシグネチャーを生成することができ、第2に、細胞を処置する前に剤を一緒に混合することができる。別の実施形態では、複合シグネチャーのベンチマークは、美白剤に関し生成することができ、並びに別の実施形態では、皮膚黒化剤に関し作成することができる。美白剤のシグネチャーに関しては、シグネチャーから、皮膚黒化剤のシグネチャーにおいても同じ方向に調節されることが明らかである任意の遺伝子を排除することで更に微調整することもでき、逆もまた同様に可能である。本発明者らは、望ましい方向に皮膚色素を調節することのできる剤に関するCマップの微調整には、このような複合シグネチャーが特に有用なことを発見した。

(実施例4) 本実施例は、Cマップの使用法及びシグネチャーの生成を例示する。より詳細には、シグネチャーは、レチノイン酸を線維芽細胞及びケラチノサイトに適用することを介して生成される。本実施例は、本発明に従って、Cマップのヒット評価を比較するため、それぞれ2つの異なる細胞型において、ベンチマークとなる皮膚用色調剤のシグネチャーを生成するための方法を例示する。ベンチマークとなる皮膚用活性剤はレチノイン酸(「RA」)であり、細胞型は、(a)線維芽細胞、及び(b)ケラチノサイトである。

(a)Tert−ケラチノサイト(tKC)RAシグネチャーこの細胞を3セットずつ用意して、1μMのtRAで6時間処理し(DMSO対照も3セット用意する)、HG−U133A遺伝子チップで解析した。シグネチャーは、以下のBJ線維芽細胞と同様に生成した。シグネチャーKC_RA_200は、最も大幅に上方調節された100のプローブセット、並びに最も大幅に下方調節された100のプローブセットから構成される。シグネチャーKC_RA_400は、最も大幅に上方調節された200のプローブセット、並びに最も大幅に下方調節された200のプローブセットから構成される。

(b)線維芽細胞RAシグネチャー細胞型としてBJ線維芽細胞を選択する。この細胞を3セットずつ用意して、1μMのtRAで6時間処理し(DMSO対照も3セット用意する)、HG−U133A遺伝子チップで解析した。未処置、DMSO及びRAに存在するコール>0(計9サンプル)。DMSO又はRAサンプルのt検定の平均シグナル>=200(p<0.05)。上方又は下方最小倍数変化は1.2でフィルタリング。対数変化を使用し、指向性を設定し、t検定のP値により上方調節及び下方調節リストをソートした。シグネチャーBJ_RA_200は、最も大幅に上方調節された100のプローブセット、並びに最も大幅に下方調節された100のプローブセットから構成される。シグネチャーBJ_RA_400は、最も大幅に上方調節された200のプローブセット、並びに最も大幅に下方調節された200のプローブセットから構成される。シグネチャー例を、それぞれ図19、20、21、及び22の、表M、N、O、及びPに示す。

(実施例5) 本実施例は、本発明に従うベンチマークとなる美白剤の全トランス−レチノイン酸に関し得られた、可能性のある代表的な美白剤及びCマップの問い合わせを要約する。レチノイン酸/ケラチノサイトの200のベンチマークシグネチャーを使用し、Cマップを問い合わせした。上位にスコア付けされる既知の美白剤の平均Cマップスコアを表にする。シグネチャーを生成するために使用したことから、レチノイン酸は、表に含まれる物質の中で最も高いスコアを有した。掲載するデータは、テロメル化ヒトケラチノサイト(tKC)についてのものである。レチノイン酸ケラチノサイトRA_200シグネチャーを用い、数種類の美白剤の平均CMapスコアを図23の表Qに示す。

(実施例6) 本実施例は、複合シグネチャーを使用する利点の根拠を提供し、美白剤の有効性を予測するCマップモデルの臨床的確認を例示する。本実施例は、複合シグネチャーに関連する実施形態(実施例3の最後に記載)を裏付ける。ナイアシンアミド、ヘキサミジン、Sepiwhite、及びNAGに由来し、ベンチマークとなる美白剤の複合シグネチャーを使用して、ゲノム試験により「皮膚の色調」シグネチャー例を生成した。シグネチャーは、Cマップの問い合わせ、及び可能性のある美白剤リストの作成に使用する。有効性を確認するため、最上位にヒットしたクロルヘキシジン二酢酸(CD)に臨床試験を行う。臨床上の有効性に関しては、対照溶媒に5%のナイアシンアミド+1%のSepiwhiteを加えた配合物を対照とする。

色斑領域(画像解析)並びにメラニン斑領域(NC2)の基準からの変化を主要評価項目とする。L*a*b(色画像解析)、メラニングレースケールの平均(NC2)、及びメラニンの均一性(NC2)における、基準からの変化を二次エンドポイントとする。全体的な皮膚の色調に関連するその他の様相に対する影響を調査するため、肌のきめ領域及び毛穴領域も評価する。これらの時点のうちの1つで、溶媒のみの場合と比較して統計的に有意に優れていることを、プロジェクトの成功基準とする。溶媒の性能と比較して有効性の高いベンチマークとなる皮膚用活性剤よりも、統計的に有意に優れていることが、臨床上の成功基準である。

試験デザイン:試験プロトコルは、9週間(1周間のプレコンディショニング、及び8週間の処置)の、無作為化、二重盲検、総当たり、溶媒対照の、顔面領域を分割した色調有効性試験から構成された。対象者集団には、25〜55歳齢で色素沈着斑を有する330名の中国人女性が包含された。318名の対象者で全試験を完了した。Nature Science Deep Purify cleanser及び試験専用の保湿剤を一週間適用してプレコンディショニングを行った。プレコンディショニング及び処置中、Olay Complete SPF 15 UV保湿ローションを併用する。顔の半分(額から顎のラインで分割;約4mg/cm2)に各試験製品0.5gを1日2回投与する(朝/晩)。色調SAF及び処置領域、メラニンSAF、グレースケール、NC2による均一さ、並びに小じわ、しわ及び肌のきめの追加測定はREAL 3.01Aにより行う。データは、開始時、並びに4、6及び8週目の最終日に採取した。ベンチマークとなる組成物処理と比較して、臨床エンドポイントに違いがないものと仮説し、試験する。試験は昆泰(Kuntai)医療センター(中国、北京)で行い、試験期間は2010年2月(プレコンディショニング)〜2010年4月とする。

SC−99溶媒(7%グリセリン)に溶解させた0.05%のクロルヘキシジン二酢酸は、実施例3に記載されるとおり、ベンチマークとなる色調の複合シグネチャーの問い合わせセットを使用した場合に、関連性に関し最上位にヒットした。この組成物を、有効性の高い既知のベンチマーク組成物(SC−99溶媒中5%のナイアシンアミド及び1%のSepiwhite)と比較し、4つの異なる色調基準に関して臨床上の有効性について試験した。

結果: 斑領域色調試験により、8週目に、0.05%のCDでは、溶媒と比較して斑が有意に少なくなっていた。斑領域のNC2試験では、CDは、6週目及び8週目の両方で、溶媒と比較した場合に領域を著しく減少させていた。NC2メラニン均一性試験では、6週目及び8週目の両方で、CDは溶媒と比較して優れていることが示され、基本的な皮膚の色調については、CDは8週目に優れていることが実証された。驚くべきことに、CDは、8週目に溶媒と比較した場合に、毛穴領域及び肌のきめ領域においても優れた有効性を有することが実証され、全体的な皮膚の色調及び肌のキメを向上させるのに良好な候補であることが示唆された。

(実施例7) 本実施例は、Cマップ法に使用する複合シグネチャーの予想外の有効性に関し裏付けを提供する。本実施例は、予想される阻害剤の発現シグネチャーの有効性を比較することを実証し、具体的には、マウスB16黒色腫細胞アッセイにおいて、33種の多様な化学物質をメラニン形成阻害剤として特定した(図24、表R)。複合シグネチャーは、予想外にも、阻害剤を特定するにあたって、個々のシグネチャー(ナイアシンアミド、NAG、ヘキサミジン、又はSepiwhite)よりも有効であった。このCマップ解析に関し、ヒットは、スコアに0.30を掛けた上位200のインスタンス(2266インスタンスと同一のプール由来)に生じたマテリアルとして定義した。メラニン形成阻害剤に関し正確に予想された結果の要約:複合シグネチャー:20、ナイアシンアミド:1、NAG:1、ヘキサミジン:2、及びSepiwhite:9。表Rに示されるCマップスコアは、化学物質のインスタンス全体の平均スコアである。Cマップの最大のポジティブスコアは2.0であり、これにより完全にポジティブな関連性が示される。再現性のばらつきに起因し、各物質は、自身に関し完全に高いスコアは示さない。これは、遺伝子発現に対して比較的弱い作用を有する物質に関しより顕著である。驚くべきことに、この物質の組に関し、4つの場合のうち3つにおいて、個々のベンチマークシグネチャーよりも、複合シグネチャーの方が、ベンチマークとなる物質に良好なスコアを与えた。この結果を構成し得る最も一貫して調節されたプローブセットを、ベンチマークシグネチャーの作成プロセスにより選択することもできる。

実施例3に記載される通り、本実施例(7)は、1種以上の剤で細胞サンプルを処理することにより複合シグネチャーを作成する方法を概略する実施形態を裏付ける。上記した通り、複合シグネチャーは2通りの方法で加えることができ、すなわち、細胞を別個に各剤により処置し、すべての剤により調節された遺伝子を比較して、すべての剤(一緒に)により同方向に調節された遺伝子を探索することによりシグネチャーを生成することができ、第2に、細胞を処置する前に剤を一緒に混合することができる。別の実施形態では、複合シグネチャーのベンチマークは、美白剤に関し生成することができ、並びに別の実施形態では、皮膚黒化剤に関し作成することができる。美白剤のシグネチャーに関しては、シグネチャーから、皮膚黒化剤のシグネチャーにおいても同じ方向に調節されることが明らかである任意の遺伝子を排除することで更に微調整することもでき、逆もまた同様に可能である。本発明者らは、望ましい方向に皮膚色素を調節することのできる剤に関するCマップの検索には、このような複合シグネチャーが特に有用なことを発見した。

(実施例8) 本実施例は、美白剤により処理したときに、ケラチノサイト細胞は、メラニン細胞又は黒色腫細胞よりもロバストな転写プロファイルを示すと考えられることを実証するための、裏付けを提供する。これまでに、ケラチノサイトは、メラニン産生細胞よりも容易に増殖することが示されており、かつ応答性が高いことから、ケラチノサイトは、メラニン産生細胞と比較して、多様な濃度にわたって活性な化学物質を検出するために使用することができる。より詳細には、本実施例では、皮膚の色調のベンチマーク物質6種を3種類の各細胞型(tert−ケラチノサイト、メラニン産生細胞、及び黒色腫細胞)に適用したところ、tert−ケラチノサイトは、試験した6種類の物質のうち4種類に対し強い応答を示した(図25の表Sに掲載する通り。この表は、試験した6種類の物質のうち4種類の物質に関し、DMSO対照と比較して有意なP値を有するプローブセットの数は、tert−ケラチノサイトが最も多かったことを示す)。表Sに見ることができる通り、試験した皮膚の色調のベンチマーク物質6種には、ヘキサミジン二酢酸(Haxamidine diisothionate)、ミオイノシトール、N−アセチル−グルコサミン、NDP−MSH、ナイアシンアミド、及びSepiwhiteが包含された。網羅性のため、メラニン産生細胞及び黒色腫細胞の正確な種類、並びに細胞培養条件及び解析結果を本明細書において以降に提供する。

新生児中期初代HEMn色素メラニン産生細胞をインビトロジェン(カリフォルニア州、カールズバッド)より得て、インビトロジェンの培地254で培養した。HBL黒色腫細胞を、腫瘍学及び実験的手術研究所(Laboratory of Oncology and Experimental Surgery)、Institut Bordet、Universite’Libre de Bruxelles(ベルギー)より得て、10%ウシ胎児血清(HyClone、ローガン、ユタ州)を添加したF−10栄養培地(Ham)(インビトロジェン)で培養した。テキサス大学南西医療センター(テキサス州、ダラス)からヒトテルメル化ケラチノサイト(tert−ケラチノサイト)を得て、1×ヒトケラチノサイト増殖サプリメント(インビトロジェン)を添加したEpiLife(登録商標)培地で増殖させた。すべての細胞は、調湿インキュベーター内で、5% CO2、37℃でインキュベートした。

化学物質に暴露する24時間前に、細胞を6ウェルプレートに播種し、以降の表に掲載される、皮膚の色調のベンチマークとなる化学物質を、DMSOに溶解させた培養培地に加えた。DMSOの最終濃度は0.1%であり、DMSOのみにより処理した細胞と対照として用意した。化学物質に暴露した6時間後、次にβ−メルカプトエタノール(Qiagen、カリフォルニア州、バレンシア)を含有させた350μL/ウェルのRLT緩衝液に細胞を溶解させ、96ウェルプレートに移し、−20℃で保存した。Agencourt(登録商標)RNAdvance Tissue−Bind磁気ビーズ(Beckman−Coulter、カリフォルニア州92821、ブレア)を用いて、製造業者の使用説明に従って、細胞培養バッチのRNAをRLT緩衝液から単離した。製造元の指示に従い、Ambion Message Amp(商標)II Biotin Enhanced kit(Life Technologies、ニューヨーク州14072、グランドアイランド)サンプル当たり1μgの全RNAを標識した。得られた、ビオチン標識され、断片化されたcRNAを、Affymetrix HG−U133A 2.0 GeneChip(登録商標)にハイブリダイズさせ、次いでこれを洗浄し、染色し、Affymetrixにより提供されるプロトコルを用いてスキャンした。

試験結果及び解析:2つのサンプルのt検定を各処理に対し実施し、DMSO対照と比較した。有意なP値(<0.05)を有する複数のプローブセットを以下の表に要約する。各GeneChip(登録商標)には22215プローブセットを含有させた。有意水準0.05を用いたところ、単独の機会で1111のプローブセット(1047〜1174の95%信頼区間)が有意であることが見込まれた。同一の遺伝子に対し複数のプローブが関係し得ることから、この評価はある程度保存的なものである。

要約すると、tert−ケラチノサイトは、概して、皮膚の色調のベンチマーク物質に対し最も応答性の高い細胞であった。tert−ケラチノサイトでは、HeMnMPメラニン産生細胞又はHBL黒色腫細胞のいずれかと比較して、皮膚の色調のベンチマーク物質6種のうち4種に関しプローブセットが大幅に調節された。tert−ケラチノサイトは、2番めに応答性の高かった細胞、HeMnMPメラニン産生細胞と比較して更なる利点を有し、大幅に早く増殖し、かつルーチンスクリーニングに際し、より実用的な細胞株である。

本願に引用される全ての文書は、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。

本明細書に開示される値は、列挙される正確な数値に厳しく限定されると理解されるべきではない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした値はそれぞれ、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。

本発明は、本明細書に記載される特定の実施例に限定されると見なされるべきではなく、むしろ、本発明の全ての態様を含めると理解されるべきである。種々の修正、同等のプロセス、並びに本発明が適用可能であり得る多くの構造及びデバイスは、当業者に容易に明らかとなるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、それが、本明細書に記載されるものに限定されると見なされるものではないことを理解するであろう。

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈