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性インキ、及びそれを用いた印刷物

阅读:0发布:2021-01-04

专利汇可以提供性インキ、及びそれを用いた印刷物专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】 本発明の課題は、粗大粒子が低減された容易に分散可能な微細な顔料を特定溶剤と用いることにより、吐出性や耐 水 性に優れ、かつ安定性を維持できる水性インキを提供することにある。 【解決手段】 上記課題は、表面が樹脂により被覆されてなる顔料(A)であって、前記樹脂が、酸性基を有するα-オレフィン共重合物であって、顔料(A)の前記樹脂吸着量が、被覆されていない顔料(B)に対し10質量%以上50質量%以下であることを特徴とする顔料(A)を用い、 水溶性 溶剤としてアルコールアルキルエーテルを用いることにより解決される。 【選択図】なし,下面是性インキ、及びそれを用いた印刷物专利的具体信息内容。

表面が樹脂で被覆されてなる顔料、溶性有機溶剤、塩基性物質(ただし、前記樹脂である場合を除く)、および水を含み、 前記樹脂が、酸性基を有するα-オレフィン共重合物であり、 前記水溶性有機溶剤が、アルコールアルキルエーテルである、水性インキ。前記樹脂が、グラフト鎖および酸性基を有するα-オレフィン共重合物である、請求項1に記載の水性インキ。前記グラフト鎖は、下記一般式(1)〜(3)で示される構造からなる群から選択される部分構造を含む、請求項1または2に記載の水性インキ。 一般式(1) [一般式(1)中、R1は置換されているC6〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよいフェニル基を表す] 一般式(2) [一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいC1〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよいフェニル基を表す。ただし、R1およびR2は、一方が水素原子の場合、他方は水素原子ではない。] 一般式(3) [一般式(3)中、R1は水素原子、炭素原子数6〜20のアルキル基、または炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、A1OおよびA2Oはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキレンオキシ基を表し、mおよびnはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を表し、それぞれ独立に0〜100の整数であり、m+nは1以上である。]前記顔料の前記樹脂被覆量が被覆前の顔料(B)100質量部に対し、10質量部以上50質量部以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載の水性インキ。前記顔料が、アゾ顔料である、請求項1〜5いずれか1項に記載の水性インキ。さらに、架橋剤を含む、請求項1〜6いずれか1項に記載の水性インキ。請求項1〜6いずれか1項に記載の水性インキを含む被膜を備える、印刷物。

说明书全文

本発明は樹脂が被覆された顔料分散体を用いた性インキ、及びその用途に関する。

顔料および色材として有機顔料を使用した顔料組成物は、屋内外を問わず自動車や建材等の塗料分野、オフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ、トナー等の印刷インキ分野、インクジェット記録用インキ分野やカラーフィルター用カラーレジスト、塗料、文具など様々な用途で使用されている。特に意匠性を必要とする塗料分野、インクジェット記録分野、カラーフィルター用カラーレジスト分野、トナー分野など高機能性を要求される分野では、汎用顔料に比べ微細な顔料が求められており、さらに微細な顔料を分散した後の分散液には未分散物等の粗粒が極めてすくないことが必須となる。

微細な有機顔料を得る方法として、例えばソルトミリングがあげられる。ソルトミリングは顔料を水不溶性の合成樹脂、食塩等の水溶性無機塩、及び水溶性有機溶剤とニーダー等で機械的に混練する工程であり、この後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する方法がある(例えば、特許文献1〜3)。この方法では、顔料の一次粒子の粉砕と結晶成長が並行して起こるため、最終的に極めて小さい平均粒径の有機顔料が得られる。

前記方法は微細な有機顔料を得られる優れた方法である。しかしながら、目的の顔料が微細なために顔料同士の凝集が極めて強く、その後の顔料分散液を得る工程において顔料を1次粒子まで分散することが困難であり、極めて多大なエネルギーを投入する分散工程が必要となる。そのため、顔料の一次粒子への粉砕と同時に水不溶性の合成樹脂によって顔料を被覆することで顔料同士の凝集を抑制する。この被覆は一般に顔料分散に用いられるビーズミル等による分散工程と異なり、均一で脱着しがたい強固なものとなる。しかしながら、使用する水不溶性の合成樹脂の量、種類が適性ではない場合、顔料の被覆が不十分、顔料へ処理された樹脂同士の凝集などによって、かえって粗大粒子を低減することができない。特にTgの高い樹脂、例えばアクリル系樹脂や芳香族を含む樹脂を単独で用いた場合にその傾向は顕著である。そのため、粗大粒子を分散するための過度な分散工程によって顔料の1次粒子が破砕され、高粘度化、保存安定性不良等の課題を引き起こす。

また、粗大粒子を除去するために、微細な目開きのろ過フィルターを使用する場合、多大な負荷のかかるろ過工程を必須とする。これらの粗大粒子はインクジェット記録用インキ用途の場合、インクジェットヘッドのノズル目詰まりを引き起こすことが知られており致命的な問題となる。特に近年のインクジェットプリンターはオフセット印刷等の既存印刷技術の画質をターゲットとして高解像度化が急速に進んでいる。これに伴いインクジェットヘッドのノズルの高密度化及び液滴の微細化が進み、インキを吐出するノズル径の微細化、高集積化が進んでいる(例えば特許文献4)。ノズル径の微細化に伴い許容できる異物の大きさが小さくなるため、粗大粒子を多く含むインキではノズルの目詰まりが発生してしまう。そのため、これまで以上の粗大粒子を除去したインキを提供しなければ、高解像度のインクジェットプリンターに適用することができないという問題がある。

また、一般的に、水性インクジェットインキの乾燥機構は、インキが基材へ着弾後、基材への浸透と蒸発に分類されるが、浸透の寄与が非常に大きく、コート紙、アート紙や塩化ビニルシート、フィルムなどの疎水性が高い基材はインキの浸透が遅いため、多色印刷の場合はインキが混色してきれいな画像を形成するための適切なドット形成が困難である、印刷速度を上げられない等の問題があった。このため、インキ中に水溶性溶剤を添加することにより、基材に対する濡れ性、乾燥性、浸透性を制御する必要がある(例えば特許文献5)。しかしながら、インキ中への浸透性溶剤の添加は、顔料分散状態を安定化させている分散樹脂の溶解状態を変化させ、顔料分散状態の保存安定性を著しく低下させ、顔料凝集、粘度上昇をひき起こす場合があった。また、近年、水溶性溶剤の中でも比較的疎水性の強い溶剤を添加する傾向があり、より顔料分散性及び保存安定性を確保することが困難であった。即ち、浸透性の高い溶剤が存在しても顔料分散性を低下させない顔料分散体の提供が望まれていた。

更に、アゾ顔料など水溶性溶剤に溶けやすい構造を含むことが多いイエロー顔料においては、特に保存安定性を取ることが難しい。また、イエロー顔料の安定化にはコカップラーを安定剤として含むこともあり、このコカップラーは赤い色相のことが多いため、黄色の色相が悪化してしまう問題などもある。従って、コカップラーを含まずに安定化でき、吐出性や浸透性の高い溶剤を用いたイエローインキに好適な水性インキの提供が強く望まれている。

特開平05−043704号公報

特開平7−13016号公報

特開2009−144126号公報

特開2013−993号公報

特開2004−315673号公報

本発明の課題は、吐出性や耐水性に優れかつ安定性を維持できる水溶性インクジェットインキに好適な水性インキを提供することにある。

すなわち本発明は、表面が樹脂で被覆されてなる顔料、水溶性有機溶剤、塩基性物質(ただし、前記樹脂である場合を除く)、および水を含み、 前記樹脂が、酸性基を有するα-オレフィン共重合物であり、 前記水溶性有機溶剤が、アルコールアルキルエーテルである、水性インキに関する。

また、本発明は、前記樹脂が、グラフト鎖および酸性基を有するα-オレフィン共重合物である、上記水性インキに関する。

また、本発明は、前記グラフト鎖は、下記一般式(1)〜(3)で示される構造からなる群から選択される部分構造を含む、上記水性インキに関する。 一般式(1)

[一般式(1)中、R1は置換されているC6〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよいフェニル基を表す] 一般式(2)

[一般式(2)中、R1およびR2は、それぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいC1〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよいフェニル基を表す。ただし、R1およびR2は、一方が水素原子の場合、他方は水素原子ではない。] 一般式(3)

[一般式(3)中、R1は水素原子、炭素原子数6〜20のアルキル基、または炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、A1OおよびA2Oはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキレンオキシ基を表し、mおよびnはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を表し、それぞれ独立に0〜100の整数であり、m+nは1以上である。]

また、本発明は、前記顔料の前記樹脂被覆量が被覆前の顔料(B)100質量部に対し、10質量部以上50質量部以下である、上記水性インキに関する。

また、本発明は、前記顔料が、アゾ顔料である、上記水性インキに関する。

また、本発明は、さらに、架橋剤を含む、上記水性インキに関する。

また、本発明は、上記水性インキを含む被膜を備える、印刷物に関する。

本発明により、顔料が均一に分散され透明性、意匠性、色再現性、演色性に優れ、かつ安定な水性インキを得ることができる。本発明の顔料水性分散体は、インクジェットインキ、フレキソインキ、塗料、グラビアインキ、シルクスクリーンインキ、文具等の各用途に用いることができる。より好ましくはインクジェットインキとしての用途である。

<顔料(A)> 本発明の顔料(A)は、表面が樹脂により被覆されてなるものであり、当該樹脂は、酸性基を有するα-オレフィン共重合物であり、顔料(A)の前記樹脂被覆量:樹脂吸着量が、被覆されていない顔料(B)に対し10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。 上記により、粗大粒子が低減された容易に分散可能な微細な顔料を提供することができる。さらに 該顔料が分散された水性分散体において、水溶性有機溶剤、その他の添加剤等と共存する状態においても、顔料分散状態が安定に得られる。

<酸性基を有するα−オレフィン共重合物> 酸性基を有するα−オレフィン共重合物は、α−オレフィンと酸性基含有モノマーとの共重合物である。

(α−オレフィン) α−オレフィンは、炭素数5〜50の化合物である。α−オレフィンの炭素数は、10〜30が好ましい。炭素数5〜50になると顔料表面をより被覆し易くなり、被覆顔料の分散性がより向上する。

α−オレフィンは、例えば、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン、1−テトラトリアコンテン、1−ヘキサトリアコンテン、1−オクタトリアコンテン等が挙げられる。

α−オレフィンは、単独または2種類以上を併用して使用できる。

(酸性基含有モノマー) 酸性基含有モノマーは、α−オレフィンとラジカル重合可能な官能基(エチレン性不飽和二重結合)および酸性基を有する化合物である。エチレン性不飽和二重結合は、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。また、酸性基は、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基、リン酸基、等が挙げられる。これの中でもグラフト鎖の形成を考慮するとカルボキシル基、酸無水物基が好ましい。

酸性基含有モノマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびω-カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。

酸性基含有モノマーは、単独または2種類以上を併用して使用できる。

(その他モノマー) 酸性基を有するα-オレフィン共重合物の合成は、必要に応じてその他モノマーを使用できる。 その他モノマーは、α−オレフィンおよび酸性基含有モノマー以外のモノマーである。 その他モノマーは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、およびイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル(メタ)アクリレート; シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、およびイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、および3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、およびノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、およびテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー);2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(メタ)アクリレート、およびポリエチレングリコールモノステアリルエーテル(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、およびアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル;スチレン、およびα−メチルスチレン等のスチレン;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;酢酸ビニル、およびプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル;水酸基を有する(メタ)アクリレート系モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(または3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(または3または4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、あるいは水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系モノマー、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、あるいは、水酸基を有するビニルエーテル系モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル、あるいは水酸基を有するアリルエーテル系モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(または3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(または3−または4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル、さらに、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアルキルビニルエーテルあるいはヒドロキシアルキルアリルエーテルにアルキレンオキサイドおよび/またはラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和モノマー等のヒドロキシル基含有類;ビニルスルホン酸、アクリロニトリルt-ブチルスルホン酸、ベタイン構造を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物等のスルホン酸含有類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の三級アミノ基を有する(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。

その他モノマーは、単独または2種類以上を併用して使用できる。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物の合成) 酸性基を有するα−オレフィン共重合物は、α−オレフィンと酸性基含有モノマーとをラジカル重合して合成する。ラジカル重合は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等から任意に選択できるところ、溶液重合、塊状重合が好ましい。 溶液重合での合成法は、例えば、α−オレフィンと酸性基含有モノマー、重合開始剤、有機溶剤、必要に応じて連鎖移動剤を使用して重合する。前記反応で有機溶剤を使用しないと塊状重合になる。 本明細書では、酸性基含有モノマーに無水マレイン酸を使用すると、α−オレフィンユニットと無水マレイン酸ユニットの交互重合物が形成しやすい。前記反応の生成物は、また、(メタ)アクリル酸を使用すると、α−オレフィンユニットと(メタ)アクリル酸とランダム共重合物が形成し易い。

α−オレフィン(O)と酸性基含有モノマー(M)とのモル比は、O/M=30/70〜99/1が好ましく、40/60〜95/5がより好ましく、45/55〜80/20がさらに好ましい。α−オレフィン(O)と酸性基含有モノマー(M)とを適量使用すると被覆顔料の分散安定性がより向上する。

重合開始剤は、アゾ系化合物、過酸化物が好ましい。アゾ系化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル等が挙げられる。また、過酸化物は、例えば、キュメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が挙げられる。

酸性基を有するα−オレフィン共重合物の酸価は、5〜300mgKOH/gが好ましく、20〜200mgKOH/gがより好ましく、30〜160mgKOH/gがさらに好ましい。特に好ましくは50〜160mgKOH/gである。酸価を適切な範囲に調整すると被覆顔料の分散性がより向上する。

酸性基を有するα−オレフィン共重合物の重量平均分子量は、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜35,000がさらに好ましい。重量平均分子量を適切な範囲に調整すると分散性がより向上する。また、顔料水性分散体の粘度を適切な範囲に調整しやすい。

(グラフト鎖および酸性基を有するα−オレフィン共重合物) 酸性基を有するα−オレフィン共重合物は、グラフト鎖を有することが好ましい。 グラフト鎖は、1)例えば、グラフト鎖を有しかつ、前記酸性基に対して、反応可能な官能基(以下、反応性官能基という)を有する化合物を反応させることで形成できる。かかる場合、酸性基は、酸無水物基、カルボキシル基が好ましく、酸無水物基がより好ましい。酸無水物基を使用するとグラフト鎖形成に寄与しない未反応のカルボキシル基は、被覆顔料の親水性向上に寄与する。前記反応性官能基は、例えば、水酸基、アミノ基が挙げられる。 2)また他のグラフト鎖形成法は、例えば、酸性基を有するα-オレフィン共重合物を合成する際、グラフト鎖を有するモノマーを共重合することで形成できる。なお、グラフト鎖の形成がこれらの方法に限定されないことはいうまでもない。

グラフト鎖および酸性基を有するα−オレフィン共重合物の酸価および重量平均分子量は、既に説明したものと同様である。

グラフト鎖および酸性基を有するα−オレフィン共重合物のグラフト鎖の部分構造は、例えば、一般式(1)〜一般式(3)で示す構造が挙げられる。なお、下記構造中の1価の結合手は、上記1)の方法であれば、α-オレフィン共重合物中の酸性基の−C(O)−と結合する。上記2)の方法であれば、例えば、(メタ)アクリル酸エステルであり、メタ)アクリル酸の−C(O)−と結合する。グラフト鎖の形成は、公知の反応手法で行う。

一般式(1)で示す構造

[一般式(1)中、R1は置換されているC6〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよいフェニル基を表す]

一般式(1)で示す構造は、例えば、α-オレフィン共重合物中の酸性基もしくは(メタ)アクリル酸と水酸基含有化合物との反応で形成できる。水酸基含有化合物は、例えば、イソプロパノール、α−オキシ酪酸、12−ヒドロキシステアリン酸、乳酸、グリコール酸、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコールが挙げられる。

一般式(2)で示す構造

[一般式(2)中、R1、R2は、それぞれ水素原子、置換されていてもよいC1〜C30のアルキル基、置換されていてもよい脂環式構造、置換されていてもよりフェニル基を表す。ただし、R1およびR2は、一方が水素原子の場合、他方は水素原子ではない。]

一般式(2)で示す構造は、例えば、α-オレフィン共重合物中の酸性基もしくは(メタ)アクリル酸とアミノ基含有化合物との反応で形成できる。アミノ基含有化合物は、1つのアミノ基を有する化合物であり、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、o−トルイジン、2−エチルアニリン、2−フルオロアニリン、o−アニシジン、m −トルイジン、m−アニシジン、m−フェネチジン、p−トルイジン、2,3−ジメチルアニリン、5−アミノインダン、アスパラギン酸、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸等が挙げられる。

一般式(3)で示す構造

[一般式(3)中、R1は水素原子、炭素原子数6〜20のアルキル基、または炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、A1OおよびA2Oはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜6のアルキレンオキシ基を表し、mおよびnはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を表し、0〜100の整数であり、m+nは1以上である。]

一般式(3)で示す構造は、例えば、α-オレフィン共重合物中の酸性基もしくは(メタ)アクリル酸とアルキレンオキシ基含有化合物との反応で形成できる。

アルキレンオキシ基含有化合物は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;が挙げられる。これらの中でのポリオキシエチレンモノメチルエーテルが好ましい。アルキレンオキシ基含有化合物の市販品は、例えば、ユニオックスM−400、同M−550、同M−1000(以上、日油社製)が挙げられる。

グラフト鎖は、単独または2種類以上を併用できる。

本明細書の被覆顔料は、酸性基を有するα-オレフィン共重合物に加え、さらに、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(無水)マレイン酸樹脂、(メタ)アクリル樹脂からなる群から選択される1種以上を含むことができる。 これらの樹脂は、公知の樹脂であり、市販品でいうと、例えばスチレン(メタ)アクリル樹脂であればJoncryl690、67等に代表されるJoncyrlシリーズ(BASF社製)、X−1(星光PMC社製)、スチレン(無水)マレイン酸樹脂であればSMA1440、SMA2625、SMA3840等に代表されるSMAレジンシリーズ(CrayValley社製)、(メタ)アクリル樹脂であればVS−1057、X−310、TS−1316(星光PMC社製)等が挙げられる。

<被覆されていない顔料(B)> 本発明で使用される共重合物に被覆される顔料(B)は本発明の趣旨に逸脱しない範囲であれば特に限定されず、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。

前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。

顔料(B)は、通常、未処理の顔料が用いられるが、何らかの処理工程を経た顔料を用いてもよい。特に未処理で有れば、樹脂の被覆が容易に進み目的の顔料(A)を得やすい。また、顔料(B)は、単独又は複数を併用することができる。

前記有機顔料としては、例えば、 C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、32、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、147、148、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、266、269、270、272、279、 C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214、C.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73、 C.I. Pigment Green 7、10、36、37、58、62、63、 C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79、80 C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42 C.I.Pigment Brown 25、28 C.I.Pigment Black 1、7等を挙げることができる。

これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。これらの顔料であれば、インクジェット印刷用インキ、フレキソ印刷用インキ、トナー、シルクスクリーン印刷用インキ、塗料、グラビア印刷用インキ、オフセット印刷用インキとして十分な色再現性及び(又は)耐光性を保持することができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。 C.I.Pigment Red 48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、122,146、147、148、150、170、176、177、184、185、242、254、255、264、266、269、 C.I.Pigment Yellow 12、13、14、17、74、83、93、108、109、120、150、151、154、155、180、185、213 C.I.Pigment Orange 36,38、43、64 C.I.Pigment Green 7、36、37、58、62、63 C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、 C.I.Pigment Violet 19、23、32、 C.I.Pigment Brown 25、 C.I.Pigment Black 1、7

<樹脂被覆量=樹脂吸着量> イオン交換水100gに顔料(A)に処理されている樹脂の酸価に対し当量の水酸化カリウムを添加し溶解させ、これに顔料(A)を顔料(B)の濃度が15質量%となるように顔料(A)を添加した後、液温を70℃とし2時間撹拌し顔料分散液を得る。この分散液を次に、遠心分離機により70,000rpmで20時間かけて顔料を沈降させ、上澄み液部分をくまなく回収しさらに遠心分離機で70,000rpmで20時間かけて顔料を沈降させ、上澄み液部分をくまなく回収し固形分を乾燥法から求め、顔料(A)から遊離している樹脂の質量を求め、顔料(A)を製造するときに添加した樹脂の質量から顔料へ吸着している樹脂量を算出し顔料(A)全体に対する樹脂吸着量を算出する。これを顔料の被覆状態として評価した。スチレン(メタ)アクリル樹脂、スチレン(無水)マレイン酸樹脂、(メタ)アクリル樹脂から選ばれる1つ以上の樹脂を単独、又は共重合物と併用する場合も上記と同様の方法によって評価した。本発明における樹脂の吸着量は、顔料(B)に対して10質量%以上50質量%以下である。10質量%を下回ると顔料が樹脂によって十分に被覆されないため凝集を生じ粗粒を分散することが困難となる。また50質量%を超える場合、顔料が過度に親水化されインクジェット印刷後の印刷物の耐水性を確保することができない。

<顔料(A)の製造方法> 本発明の顔料(A)の製造方法は、顔料(B)に少なくとも水溶性無機塩、混練用水溶性有機溶剤及び樹脂を加えて摩砕混練により顔料に樹脂を被覆する方法が好ましい。摩砕混練による顔料の被覆方法は、特に限定されず任意の方法を適用できるが、いわゆるソルトミリング処理による混練工程等が好適である。具体的には、 工程(1)混練用水溶性有機溶剤、無機塩、酸性基を有するα-オレフィン共重合物で被覆されていない顔料(B)及びα-オレフィンユニットを直鎖に含む共重合物を混練機で混合する工程、 工程(2)混合工程の後、無機塩及び混練用水溶性有機溶剤を除去する工程、 を経て製造することが好ましい。

<工程(1)> 混練方法は、顔料(B)と水溶性無機塩と混練用水溶性有機溶剤と樹脂を少なくとも含む混合物を、ニーダー、トリミックス、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、横型サンドミル、縦型サンドミル又は/及びアニューラ型ビーズミル等の混練機を用いて行うことができる。これらの中でもニーダー、又はトリミックスが好ましい。これらであれば顔料(B)と水溶性無機塩、混練用水溶性有機溶剤と樹脂の混合物を高粘度で混練することが可能であり、顔料の被覆、粗粒の分散が効果的に進行する。処理条件は、顔料の種類や、求められている被覆の程度等に応じて、処理条件等を適宜調整すればよい。機械的に混練する際に加熱を行うことが好ましい。加熱の上限温度は樹脂が熱分解を生じない範囲であれば任意に設定可能である。さらに、使用する樹脂の融点よりも高ければ樹脂の処理効率が効果的に得られる。水溶性無機塩は、凝集した顔料を分散することに加え摩砕する機能として働く効果も存在する。ソルトミリング時に水溶性無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。ソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅が狭く、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。

<工程(2)> 工程(1)を行った後は例えば以下のような処理により顔料(A)を得ることが可能である。摩砕混練機から顔料(A)を含む混合物を取り出し、イオン交換水を投入して撹拌を行い、懸濁液を得る。加える水の分量は、懸濁液を得るのに充分な量であればよく、特に限定されない。必要に応じて加温してもよい。例えば、工程(1)の質量の10〜10,000倍の質量の水を加えて混合撹拌する。このときの混合撹拌条件は特に限定されないが、温度25〜90℃で行うことが好ましい。ついで、ろ過等の操作によりろ液を除去することで、摩砕混練機で用いた水溶性有機溶剤、水溶性無機塩を除去することができ、顔料(B)が未中和の酸性基を有するα-オレフィン共重合物(A)を得ることができる。また、次いで樹脂を中和することで、顔料(A)が水中に均一に分散した顔料分散体を得ることが出来る。

上記、顔料(A)はイオン交換水を含むので、さらに水を除去する工程を行ってもよい。水を除去する方法であれば限定されないが、好適な方法としては、乾燥処理を行う方法を挙げることができる。乾燥条件としては、例えば、常圧下、80〜120℃の範囲で12〜48時間程度の乾燥を行う方法、減圧下、25〜80℃ の範囲で12〜60時間程度の乾燥を行う方法などが例示できる。乾燥処理は特に限定されないが、スプレードライ装置を利用する方法も例示できる。乾燥処理と同時もしくは乾燥処理後に粉砕処理を行ってもよい。これにより顔料(A)はイオン交換水を含むもの、イオン交換水が極めて除去された乾燥状態のものを目的に応じて得ることができる。顔料(A)に含まれるイオン交換水量は任意に設定可能である。

(混練用水溶性有機溶剤) 水溶性有機溶剤としては、水に溶解、混和すればいかなる溶剤でも使用可能である。具体的には、グリセリン、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジール、ペンタンジール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、モノアセチン)、ジアセチン、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールが挙げられるがこれに限るものではない。またこれらの溶剤は単独又は複数を併用することが可能である。水溶性有機溶剤を加える量は特に限定されないが、顔料100質量部に対し5〜1,000質量部用いることが好ましく、50〜500質量部用いることがより好ましい。

(水溶性無機塩) 水溶性無機塩は、その名称の如く水溶性を示す無機塩であればよく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で限定されない。好ましい例として、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いることが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50〜2,000質量部用いることが好ましく、300〜1,000質量部用いることがより好ましい。

(顔料水性分散体) 本発明の顔料水性分散体は、顔料(A)と水と塩基性物質から得ることができる。

(水、塩基性物質) 水は水道水等の一般的な水を使用することが可能であるが、イオン交換水又は蒸留水等を用いることが好ましい。塩基性物質は無機塩基、有機塩基のいずれをも用いることが可能である。具体的には、無機塩基としては、水に可溶であればいかなるものを用いることが可能である。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるがこれに限るものではない。有機塩基としては、水に可溶であればいかなるものを用いることが可能である。例えば、1級〜3級のアミンを用いることができる。例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン。アミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン。メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)-2-プロピルアミン等のノニオン性基を有するアミン等が挙げ有られるがこれに限るものではない。

さらに、必要に応じて、架橋剤、防腐剤、レベリング剤、表面張調整剤、消泡剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、水溶性樹脂、エマルジョン等を任意に加えることができる。

(架橋剤) 特に、架橋剤はインクジェットインキ、重合トナーの製造工程での顔料分散状態、フレキソインキ、塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、文具等の保存安定性を向上させる上で非常に重要である。ただし、十分な架橋剤の効果を得るには、顔料に架橋剤と反応しうる反応性官能基を有する化合物が顔料(B)に十分に吸着している必要がある。架橋に適切な樹脂吸着量は前記の方法で測定可能であり、顔料(B)に対して10質量%以上である。10質量%以上であれば顔料が樹脂によって十分に被覆されるため十分な架橋の効果を得ることができる。

本発明において架橋剤としては、α-オレフィンユニットを直鎖に含む共重合物を適度に架橋するため、分子中に2つ以上のカルボキシル基と反応しうる反応性官能基を有する化合物が好ましく用いられる。具体的な反応性官能基としては、イソシアネート、アジリジン、カルボジイミド、オキセタン、オキサゾリン、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1以上が好ましく挙げられる。架橋剤の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋着色剤粒子の保存安定性の観点から、100〜2000が好ましく、120〜1500が更に好ましく、150〜1000が特に好ましい。架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜6が好ましい。

本発明に用いられる架橋剤の具体例としては、下記が挙げられる。 分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー、 有機ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート; 脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体が挙げられる。イソシアネート基末端プレポリマーは、有機ポリイソシアネート又はその変性体と低分子量ポリオール等とを反応させることにより得ることができる。

分子中に2つ以上のアジリジン基を有する化合物:例えば、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、2,2'−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン、4,4'−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。

分子中に2つ以上のカルボジイミド基を有する化合物:例えば、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドが挙げられる。このような高分子量ポリカルボジイミドとしては、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズが挙げられる。

分子中に2つ以上のオキセタン基を有する化合物:例えば、4,4'−(3−エチルオキセタン−3−イルメチルオキシメチル)ビフェニル(OXBP)、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(EHO)、1,4−ビス[{(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ}メチル]ベンゼン(XDO)、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(DOX)、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル(DOE)、1,6−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ヘキサン(HDB)、9,9−ビス[2−メチル−4−{2−(3−オキセタニル)}ブトキシフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−[2−{2−(3−オキセタニル)}ブトキシ]エトキシフェニル]フルオレン等が挙げられる。

分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物: 例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2〜3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には2, 2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。

分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物: 例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA 型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。

これらの中では、分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、特にエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが好ましい。架橋剤は、効率よくポリマーを表面架橋する観点から、適度に水溶性があることが好ましく、例えば架橋剤を25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が0.1〜50gが好ましく、0.2〜40gがさらに好ましく、更に好ましくは0.5〜30gが最も好ましい。

<顔料分散体の製造> 顔料分散体の作製方法としては、イオン交換水に、顔料(A)を作製する際に処理した樹脂の酸価に対し適量の水酸化カリウム等の塩基性物質を添加し溶解させ、これに顔料(A)を添加、加温しながら撹拌して得ることができる。水酸化カリウム等の塩基性物質の添加量は顔料(A)を作製する際に処理した樹脂の酸価に対し120%以下で添加することが望ましい。さらに好ましくは100%以下である。この範囲であれば顔料分散体のpHが高すぎず、インキ化後にインクジェットヘッドの材料を破壊することのないインキを設計しやすい。撹拌する方法は均一な混合が可能であればいかなる方法、装置を用いてもよい。例えば、装置としては具体的には以下のものがあげられる。ハイスピードミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、トリミックス、ニーダー、エクストルーダー、横型サンドミル、縦型サンドミル又は/及びアニューラ型ビーズミル、ペイントシェイカー、ボールミル等、超音波発振子を具備する分散機、2本ロールミル、3本ロールミル等が挙げられるがこれに限るものではない

さらに顔料分散体に架橋剤を用い顔料(A)に被覆した樹脂を架橋した架橋顔料分散体を作製することができる。架橋反応は樹脂のカルボキシル基と架橋剤が反応することで進行する。したがって、架橋顔料分散体とする場合は、樹脂がカルボキシル基を有していることが必要である。このような樹脂として好ましくは、無水マレイン酸とα-オレフィンの共重合物、または無水マレイン酸とα-オレフィンの共重合物のマレイン酸グラフト重合体が挙げられる。無水マレイン酸のような酸無水物の場合、酸無水物が加水分解していることが望ましい。加水分解してから架橋顔料分散体を作製すれば、反応速度、反応率が十分に得られ、生産時間を短くすることができ十分な性能が得られる。

架橋顔料分散体を作製するときに使用する顔料分散体は、顔料分散体を作製する際に用いられる塩基性物質が無機塩基、または無機塩基と前述の有機塩基の併用であることが望ましい。無機塩基は具体的には前述のものが使用することができる。無機塩基を用いた方が架橋剤の反応が進行しやすい。

架橋顔料分散体の作製方法としては、顔料分散体に架橋剤を添加し撹拌することで作製することができる。撹拌は前述の顔料分散体を作製する際に使用可能な撹拌をすることができる装置であればいかなるものを用いることも可能である。さらに反応を促進させる目的で必要に応じて加熱してもよい。反応終了後にpHの調整が必要であれば任意の酸で目的のpHに調整することができる。具体的には、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。また、遠心分離処理やろ過処理を加えることも可能である。架橋剤の添加量は、α-オレフィンユニットを直鎖に含む共重合物のカルボキシル基を1〜100モル%反応させる量であることが好ましい。中でも1〜50モル%反応させる量を添加することがより好ましい。

顔料分散体に架橋剤を添加し顔料を被覆した樹脂を架橋することで、インクジェットインキをはじめとする水溶性インキにおいて、顔料が分散された分散媒(水、その他の添加剤等で形成された成分)の変化による顔料凝集に対する安定性(粘度や粒度分布が分散媒の変化直後及び長期の保存後に変化しないこと)が極めて高くなる。いくつかの仮説があげられるが、1つに顔料を被覆した樹脂同士が架橋されることで顔料表面でネットワーク状で分子量の大きな状態となると推察される。これにより、顔料が分散された分散媒の変化に伴う顔料に吸着した樹脂の吸着平衡が変化したとしても、樹脂が顔料から脱着しにくくなり安定性を保持できるものと考えられる。もう1つに、架橋基剤が顔料に吸着した樹脂へ立体障害部位を導入する効果を与えているものと推察される。この立体障害部位により安定性が付与されているものと推察される。

本発明の架橋顔料分散体の製造方法として例えば以下のようなものが挙げられる。被覆されていない顔料(B)、無水マレイン酸とα-オレフィンの共重合物のマレイン酸グラフト重合体、水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を含有する混合物を混練して微細化する工程と、水溶性無機塩及び水溶性有機溶剤を除去する工程と、塩基性化合物を添加して無水マレイン酸とα-オレフィンの共重合物のマレイン酸グラフト重合体を中和する工程と、架橋剤を添加して無水マレイン酸とα-オレフィンの共重合物のマレイン酸グラフト重合体と架橋剤を反応させる工程とが、順次行われる製造方法である。

本発明の顔料分散体及び架橋顔料分散体の体積平均粒子径(D50)は、200nm以下であることが印刷物の鮮明性、着色力、色再現性の観点から好ましい。好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは90nm以下がよい。体積平均粒子径が小さいほど印刷物の鮮明性、着色力、色再現性が良好となる。また、良好な印刷物の鮮明性、着色力、色再現性を得る上では、顔料分散体の粒子の上限値では、体積平均粒子径(D99)は、500nm以下に抑えることが好ましい。

<水溶性インキ> 本発明の水溶性インキは着色剤などとして各種用途に好適に用いられるが、特に、以下に説明するインクジェットインキとして好適に用いられる。

(インクジェットインキ) 本発明の顔料(A)を用いたインクジェットインキは、顔料(A)に対して、塩基性物質、水、水溶性溶剤を含有する。さらに必要に応じてアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、水溶性樹脂、エマルジョン等、pH調整剤等及びその他の成分を添加してもよい。

本発明の顔料(A)を用いたインクジェットインキの体積平均粒子径(D50)は、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。さらに好ましくは50nm以下である。体積平均粒子径(D50)が100nm以下であれば、吐出安定性が向上し、更に画像の彩度及び画像濃度(OD値)も向上する。前記顔料(A)の前記インクジェットインキにおける含有量は、顔料(B)の固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がより好ましい。前記含有量が1質量%未満であると、インキの発色性及び画像濃度が極めて低くなってしまうことがあり、15質量%を超えると、インキが増粘して、吐出性が悪くなってしまうことがあり、更に経済的にも好ましくない。

(塩基性物質) 前記塩基性物質は無機塩基、有機塩基のいずれをも用いることが可能である。具体的には、無機塩基としては、水に可溶であればいかなるものを用いることが可能である。例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられるがこれに限るものではない。有機塩基としては、水に可溶であればいかなるものを用いることが可能である。例えば、1級〜3級のアミンを用いることができる。例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン。アミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン。メトキシポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)-2-プロピルアミン等のノニオン性基を有するアミン等が挙げ有られるがこれに限るものではない。

(水) 水は水道水等の任意の水を用いることが可能であるが、イオン交換水、蒸留水、精製水を用いることが望ましい。

<水溶性有機溶剤> 本発明のインクジェットインキは、水を液媒体として使用するものであるが、インキの乾燥を防止するため、また分散安定性を向上するため、印刷後の基材への浸透性、濡れ広がり性等の目的で、下記の水溶性有機溶剤が使用される。乾燥性を防止、分散安定性が向上する目的とする前記水溶性溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の水溶性溶剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、水溶性有機溶剤としては、エーテルが好ましく、アルコールアルキルエーテルが好ましく、多価アルコールアルキルエーテル類がより好ましい。

前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。

前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテルなどが挙げられる。

水溶性有機溶剤は、エーテルと併用して以下の溶剤も使用できる。 前記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。

前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、などが挙げられる。 前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。 前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、などが挙げられる。 前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。

前記その他の水溶性溶剤としては、糖を含有してなるのが好ましい。該糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(ただし、n=2〜5の整数を表す)で表される〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。

前記顔料と前記水溶性溶剤との質量比は、ヘッドからのインキ吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインキメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。

(界面活性剤) 前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤などの活性剤を単独、又は2つ以上を混合して使用することができる。

(アニオン性界面活性剤) 前記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばNH4、Na、Ca等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えばNH4、Na、Ca等)、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物及びその塩、ジアルキルサクシネートスルホン酸Na塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えばNH4、Na等)、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。これらフッ素系界面活性剤の塩における対イオンとしては、例えば、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる等が例示できる。

(カチオン性界面活性剤) カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等が例示できる。

(ノニオン性界面活性剤) ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アセチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系等のノニオン性活性剤が例示できる。特にアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、該市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。

また、以下に示されるフッ素系の界面活性剤を使用することも可能である。例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、ZonylTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもDuPont社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが例示できる。

(両イオン性界面活性剤) 両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、ホスファジルコリン等が例示できる。例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタインなどが挙げられる。

(水溶性樹脂/エマルジョン) 前記水分散性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物、などが挙げられる。前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、珪素樹脂などが挙げられる。前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。前記水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用されてもよく、また、コポリマーとして使用して複合系樹脂として用いてもよく、単相構造型、コアシェル型、及びパワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。

前記水分散性樹脂としては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基を持つ樹脂にて分散性を付与したものが使用できる。これらの中でも、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが好適である。不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、及び界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、pH調整剤などを添加した水にて反応を行い樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。

前記不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアノ化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独及び複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることで柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行うことで樹脂の特性を改質することもできる。

前記不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。 前記単官能の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。

前記多官能の(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル) プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、などが挙げられる。

前記(メタ)アクリル酸アミド単量体類としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。 前記芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。

前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。 前記アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸又はその塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。 前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。 前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。 前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。

前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。

前記水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、水分散着色剤との混和性の点からpHは6〜11がより好ましく、7〜10が更に好ましい。前記水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インキ化した時に過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインキ中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インキ吐出性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましい。

(pH調整剤) 前記pH調整剤としては、調合されるインクジェットインキに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、などが挙げられる。前記pHが7〜11を超えるとインクジェットのヘッドやインキ供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インキの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。

前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオールなどが挙げられる。 前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。 前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。 前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。

(その他) 前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。

(防腐防黴剤) 前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。

(キレート試薬) 前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。

(防錆剤) 前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、ベンゾトリアゾール、などが挙げられる。

(酸化防止剤) 前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。 前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。 前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、等が挙げられる。 前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。 前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。

(紫外線吸収剤) 前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。 前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。 前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。 前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。 前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。 前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。

(インクジェットインキの調整) 本発明によって得られる表面が樹脂により被覆された顔料(顔料(A))を用いてインクジェットインキを作製する方法を示す。インクジェットインキは次の2つの製造方法が挙げられる。ただし、インクジェットインキを構成する成分をいかなる順番、方法でも添加することも可能であり以下にあげられる2つの製造方法に限られるものではない。

1つ目の方法は顔料(A)を分散させた顔料分散体、架橋顔料分散体のいずれかまたは両方を作製しこれとインクジェトインキを構成する成分を混合しインクジェトインキを得る方法、2つ目の方法は顔料(A)とインクジェットインキを構成する成分および必要に応じて架橋剤を直接混合しインクジェットインキを得る方法である。顔料(A)とインクジェットインキを構成する成分を混合する方法は均一な混合が可能であればいかなる方法、装置を用いてもよい。装置としては具体的には以下のものがあげられる。ハイスピードミキサー、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、トリミックス、ニーダー、エクストルーダー、横型サンドミル、縦型サンドミル又は/及びアニューラ型ビーズミル、ペイントシェイカー、ボールミル等、超音波発振子を具備する分散機、2本ロールミル、3本ロールミル等が挙げられるがこれに限るものではない。

以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」は「質量部」、および「%」は「質量%」である。

(酸価) 三フラスコ中に試料、約1gを精密に量り採り、蒸留水/ジオキサン(質量比:蒸留水/ジオキサン=1/9)混合液50mlを加えて溶解する。上記試料溶液に対して、電位差測定装置(京都電子工業株式会社製、装置名「電位差自動滴定装置AT−710M」)を用いて、0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液(力価a)で滴定を行い、滴定終点までに必要な水酸化カリウム・エタノール溶液の量(b(mL))を測定した。乾燥状態の樹脂の値として、酸価(mgKOH/g)を次式により求めた。 酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100) ただし、 S:試料の採取量(g) a:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の消費量(ml) F:0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール溶液の力価

(重量平均分子量(Mw)) 重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソ−社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソ−社製、HLC−8320GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物(母体樹脂A)の合成) ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、α−オレフィンとして1−ヘキセンを46.2g、無水マレイン酸を53.8g仕込み、キシレン10gをフラスコに仕込み、窒素置換した後、130℃で加熱、撹拌した。そこへ、撹拌しながら、過酸化物のパーブチルO(日油株式会社)1.0gとキシレン20gとの混合物を、2時間かけて滴下した。その後、温度を130℃に保ったままさらに1時間撹拌して反応させ、キシレンを減圧濃縮して完全に除去し、共重合物(母体樹脂A)を得た。得られた共重合物(母体樹脂A)の重量平均分子量(Mw)は約10,000、酸価は615.7mgKOH/gであった。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物(母体樹脂B及びC)) 表1に記載した原料と仕込み量に変更した以外は(母体樹脂A)と同様にして合成を行い、共重合物(母体樹脂B及びC)を得た。なお、分子量の調整は、パーブチルOの添加量を変更し、適宜調整した。それぞれの重量平均分子量(Mw)、酸価は表1に記載した通りである。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物(重合体A)の製造) ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に母体樹脂Aを32.2g、表2記載の化合物(3)−1を67.8g、触媒としてジアザビシクロウンデセンを0.2g加え、撹拌しながら130℃に加温した。1時間後に温度を110℃に変更してさらに1時間保持し、さらに90℃に変更し4時間保持して、エステル反応を行い、前記一般式(3)において、R1=メチル基、A1O=C2H4O、m=12、n=0のグラフト鎖を有するα−オレフィン無水マレイン酸共重合物(重合体A)を得た。なお、得られた共重合物の重量平均分子量(Mw)は約13,000、酸価は99mgKOH/gであった。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物(重合体B、C、E)の製造) 表2に記載した原料と仕込み量に変更した以外は(重合体A)と同様にして合成を行い、共重合物(重合体B、C、E)を得た。それぞれの重量平均分子量(Mw)、酸価は表2に記載した通りである。

(酸性基を有するα−オレフィン共重合物(重合体D)の製造) ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に母体樹脂Bを61.7g、ステアリルアミン38.3gを加え、撹拌しながら窒素気流中で、反応温度180℃で5時間反応を行った。反応終了後、内容物を熱時に取り出して酸性基を有するα−オレフィン共重合物(重合体D)を得た。得られた共重合物の重量平均分子量(Mw)は約11,000、酸価は79.7mgKOH/gであった。

以下に、表2中の略称を示す。 (3)−1:一般式(3)の右端が水素原子と結合したアルコール。一般式(3)のR1=メチル基、A1O=C2H4O、m=12、n=0である。 (3)−2:一般式(3)の右端が水素原子と結合したアルコール。一般式(3)のR1=C8H17、A1O=C2H4O、A2O=C3H6O、m=3、n=6である。

≪インクジェットインキ≫ <顔料(A)(Wet)の製造方法> [製造例1] 顔料としてPY12(トーヨーカラー社製「LIONOL YELLOW TCH1205」)250部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム1250部、樹脂として重合体A87.5部及び水溶性有機溶剤としてジエチレングリコール250部をステンレス製3Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を水7,500部に投入後24時間放置し、ハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び水溶性有機溶剤を除去し、表面が樹脂により被覆された顔料(被覆顔料)(1)を得た。(固形分濃度30.5%)

[製造例2〜11、比較製造例1、3、4] 表3に示される組成に変更した以外は製造例1と同様の方法で被覆顔料(2)〜(12)及び(14)、(15)を得た。

[比較製造例2] 顔料としてPY12(トーヨーカラー社製「LIONOL YELLOW TCH1205」)250部、水溶性無機塩として塩化ナトリウム1250部、水溶性有機溶剤としてジエチレングリコール250部をステンレス製3Lニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を水7、500部に投入後24時間放置し、ハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及び水溶性有機溶剤を除去し被覆顔料(13)(実際は被覆されていない顔料)を得た。(固形分濃度30.5%)

表3中の略称について、以下に示す。 Joncryl690:スチレン(メタ)アクリル樹脂(BASF社製) DEG:ジエチレングリコール NaCl:塩化ナトリウム

<顔料分散体の製造方法> [製造例12] 顔料分散体(1)100部のうちの、被覆されていない顔料(顔料(B))が15部となるように、被覆顔料(1)とイオン交換水と被覆顔料を作製する際に処理した樹脂の量と酸価から計算して当量となるジメチルアミノエタノールをはかり取り、液温70℃でハイスピードミキサーで1時間撹拌し、揮発した水分をイオン交換水により調整し顔料分散体(1)100部を得た。得られた顔料分散体の粒度分布を被覆顔料(1)の粒度分布として評価した。粒度分布はNanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を使用しイオン交換水で希釈して測定した。顔料分散体(1)の粒度分布は、d1=21nm、d50=104nm、d99=402nm(体積平均粒子径)であった。

[製造例13〜22、比較製造例5、7、8] 表3に示される組成に変更した以外は製造例12と同様の方法で顔料分散体(2)〜(12)及び(14)、(15)を得た。得られた顔料分散体について、製造例12と同様にして粒度分布を測定した。

[比較製造例6] イオン交換水49.6部、ジメチルアミノエタノール1.3部、重合体A5.3部をはかり取り、70℃に加温しながらハイスピードミキサーで1時間撹拌混合し、揮発した水分をイオン交換水により調整し重合体Aの水性分散体を得た。被覆顔料(13)(実際は被覆されていない顔料)43.9部と重合体Aの水性分散体56.1部をはかり取り、液温70℃でハイスピードミキサーで1時間撹拌し揮発した水分をイオン交換水により調整し顔料分散体(13)100部を得た。

<顔料分散体の評価> 得られた顔料分散体について次の項目を評価した。評価結果を表4に示す。 (1)粗粒量試験 顔料分散体中の粗粒量の評価を、定量の顔料分散体の25mmφのガラスファイバー製フィルター(GF/B GEヘルスケアライフサイエンス社製)への通過時間で評価した。粗粒が多い場合はフィルターが目詰まりをおこし通過時間が長く観測される。またさらに粗粒が多い場合はフィルターが閉塞し顔料分散体を全量ろ過することができない。一般にインクジェットヘッドへインキを供給する経路に使用されるフィルターは1μmより大きく、またインクジェットインキの顔料濃度は顔料分散体に比べ低いものが一般的であり、本試験方法によりろ過を通過すれば十分といえる。具体的な評価条件を以下に示す。コックを経由して減圧ポンプを付属したサクションベッセルに15mlの目盛のついたファンネルと25mmφのガラスファイバー製フィルター(GF/B GEヘルスケアライフサイエンス社製)をのせた直径25mmフィルターホルダー(ADVANTEC社製)をのせる。サクションベッセル内が減圧されないようにコックを使用して減圧ポンプを稼働する。顔料分散体15gをファンネルにはかり取る。ポンプとサクションベッセルの開圧をスタートとし顔料分散体全量がフィルターを通過する時間を計測する。この時のサクションベッセル内の圧力は0.05MPa〜0.07Mpaである。60秒以内にろ過フィルターが閉塞し顔料分散体が通過しない場合はファンネル内に残留した顔料分散体量を計測した。

表4において製造例(12)〜(22)の分散体は、比較製造例(5)〜(8)が粗粒量試験で閉塞したのに対し、良好な粗粒量試験結果であり、被覆顔料(1)〜(11)は粗粒の分散性が優れていた。

表4中の略称について、以下に示す。 ジメチルアミノエタノール:アミノアルコール2Mabs(日本乳化剤社製)

<インクジェットインキの製造方法(1)> [実施例23] 顔料分散体(1)26.7部と下記希釈液A73.3部をハイスピードミキサーで500rpmで撹拌して混合しインクジェットインキ(1)を得た。

(希釈液A) グリセリン 10.0部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

[実施例24〜35、比較例9〜15] 表5に示される組成に変更した以外は実施例23と同様の方法でインクジェットインキ(2)〜(20)を得た。

[比較例16] 顔料分散体(1)26.7部とイオン交換水73.3部をハイスピードミキサーで500rpmで撹拌して混合しインクジェットインキ(21)(実際には分散体の希釈液)を得た。

<インクジェットインキの評価(1)> 得られたインクジェットインキについて下記を評価した。結果を表5に示す。

(粒度分布安定性) 粒度分布を前記のNanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を使用しイオン交換水で希釈して測定した(体積平均粒子径)。さらにインクジェットインキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、同様にして粒度分布を測定し、変化率を求めた。評価基準は以下のとおりである。 ○:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±10%未満(良好) △:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし) ×:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±20%以上(不良)

(粘度安定性) 粘度をE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃ において回転数20rpmという条件で測定した。さらにインクジェットインキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、同様にして粘度を測定し、変化率を求めた。評価基準は以下のとおりである。 ○:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±10%未満(良好) △:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし) ×:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±20%以上(不良)

(吐出性) インクジェットインキを25℃の環境下でピエゾ素子を有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターに充填し、コピー用紙(Xerox社4024)に30枚連続印刷しドット抜けを観察した。ドット抜けしたノズルの数が全ノズルに対して何%あるかについて、0%の場合は〇、0より多く5%以下の場合は△、5%より多い場合は×とした。△以上であれば使用可能であるが〇が望ましい。

(耐水性) インクジェットインキを25℃の環境下でピエゾ素子を有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターに充填し、コピー用紙(Xerox社4024)にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、オレンジ、グリーン、バイオレットのインキ用いて記録し、記録物を気温25℃、湿度50%条件下、記録物を水道水に浸漬させて、記録物のにじみを観察した。記録した直後に浸漬させても1時間経ても記録物がにじまない場合は〇、記録した直後に浸漬させ1時間以内でにじんだものは△、記録した直後に浸漬させてすぐに記録物がにじむものは×とした。△以上であれば使用可能であるが〇が望ましい。

表5において、実施例23〜35のインクジェットインキは、比較例9〜11に比べ、粘度や粒度分布の保存安定性に優れており、また、比較例9、10、13〜15に比べ吐出性が優れていた。さらに、実施例23〜35のインクジェットインキを用いて印刷した印刷物は、比較例9、10,12に比べ耐水性に優れていた。また、比較例16はピエゾ素子を有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターで吐出することができず記録物を作製することができなかったため耐水性評価は未実施である。更に、実施例28、29、31、32、34においては耐水性の面で特に良好な結果が得られた。これは、グラフト鎖の長さが長く、疎水性が高まったためであると考えられる。

表5中の希釈液について、以下に示す。 (希釈液A) グリセリン 10.0部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

(希釈液B) グリセリン 10.0部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

(希釈液C) グリセリン 10.0部 エチレングリコールモノエチルエーテル 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

(希釈液D) グリセリン 10.0部 1,3−プロパンジオール 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

(希釈液E) グリセリン 10.0部 トリエチレングリコール 15.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

(希釈液F) グリセリン 25.0部 サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部 プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部 イオン交換水 47.6部

<架橋分散体の製造方法> [製造例36] 顔料分散体(1’)100部のうちの、被覆されていない顔料(顔料(B))が20部となるように、被覆顔料(1)とイオン交換水と被覆顔料を作製する際に処理した樹脂の量と酸価から計算して当量となる水酸化カリウムをはかり取り、液温70℃でハイスピードミキサーで1時間撹拌し、揮発した水分をイオン交換水により調整し顔料分散体(1’)100部を得た。顔料分散体(1’)100部に架橋剤としてデナコールEX321(エポキシ架橋剤、ナガセケミテックス製、不揮発分100%、エポキシ当量140g/eq)を2.45部加え、70℃で約2時間撹拌し、揮発した水分をイオン交換水により調整し架橋顔料分散体(1)を得た。さらに、架橋顔料分散体(1)100部のうちの、被覆されていない顔料(顔料(B))が15部となるように架橋顔料分散体(1)をイオン交換水を用いて調整し架橋顔料分散体(1)100部を得た。

[製造例37〜42] 表6に示される組成に変更した以外は実施例37と同様の方法で架橋顔料分散体(2)〜(7)を得た。

[製造例43〜45] ジメチルアミノエタノールを水酸化カリウムに変更した以外は製造例12と同様の方法で顔料分散体を作製し架橋顔料分散体(8)〜(10)(但し、実際は架橋されてない)を得た。

表6中の略称について下記に示す。 デナコールEX321:ナガセケムテックス製、エポキシ架橋剤、不揮発分100%、エポキシ当量140g/eq

<インクジェットインキ(2)の製造方法> インクジェットインキ(2)を作成するための溶剤は、安定性を得にくいものであるが、架橋剤を併用することで安定性を得ることができる。 [実施例46] インクジェットインキ100部を得るにあたり、インクジェットインキ中の顔料(B)が4部となるように架橋顔料分散体(1)とトリエチレングリコールモノブチルエーテル16.0部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル16.0部、サーフィノールDF110D(エアープロダクツジャパン社製消泡剤)0.5部、プロキセルGXL(LONZA社製防腐剤) 0.2部、イオン交換水63.3部をハイスピードミキサーで、500rpmで撹拌して混合し、インクジェットインキ(1)を得た。

[実施例47〜55] 表7に示される架橋顔料分散体(ただし架橋顔料分散体(8)〜(10)は架橋されていない)に変更した以外は実施例46と同様の方法でインクジェットインキ(2)〜(10)を得た。

<インクジェットインキ(2)の評価> 得られたインクジェットインキ(2)について下記を評価した。結果を表7に示す。

(粒度分布安定性) 粒度分布を前記のNanotrac Wave(マイクロトラック・ベル社製)を使用しイオン交換水で希釈して測定した(体積平均粒子径)。さらにインクジェットインキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、同様にして粒度分布を測定し、変化率を求めた。評価基準は以下のとおりである。 ○:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±10%未満(良好) △:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし) ×:70℃1週間保存前後の粒度分布(D50)変化率が±20%以上(不良)

(粘度安定性) 粘度をE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃ において回転数20rpmという条件で測定した。さらにインクジェットインキを70℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、同様にして粘度を測定し、変化率を求めた。評価基準は以下のとおりである。 ○:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±10%未満(良好) △:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±10%以上±20%未満(実用上問題なし) ×:70℃1週間保存前後の粘度変化率が±20%以上(不良)

表7において、実施例46〜52は架橋剤を使用することでインクジェットインキにしたのちの粘度、粒度分布の安定性に優れていた。これに対し、実施例53〜55は架橋剤を使用していないため粒度分布、粘度の経時促進後の保存安定性を十分に得ることができなかった。

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