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Carbonaceous material for a secondary battery electrode

阅读:423发布:2024-02-28

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  • X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.365nm以上の多孔質炭素質材料であり、該炭素質材料を 1300倍の偏光顕微鏡で観察したとき光学的に等方性であり、反射率を異にする微小な2種類の領域が観察され、更に、空気雰囲気中での示差熱分析の発熱ピーク温度Tp(℃)と真密度σ(g/cm )とが下記式(1)及び式(2)を満足するものであることを特徴とする非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料。
    式(1):1.70≧σ≧1.45
    式(2):280≧Tp−250σ≧230
  • X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.365nm以上の多孔質炭素質材料であり、該炭素質材料を 1300倍の偏光顕微鏡で観察したとき光学的に等方性であり、反射率を異にする微小な2種類の領域が観察されること;
    空気雰囲気中での示差熱分析の発熱ピーク温度Tp(℃)と真密度σ(g/cm )とが下記式(1)及び式(2)を満足するものであること式(1):1.70≧σ≧1.45
    式(2):280≧Tp−250σ≧230;
    該炭素質材料をH OとN の等モル混合ガス気流中で900℃において重量減少が60%になるまで反応させた後に残る炭素質物質のX線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.350nm以下を示すこと;
    および小角X線散乱の測定により求めた値をもとにしてギニエ(Guinier)プロットして求めた原点における規格化された散乱強度I S(0)が15以下を示すものであること;
    を特徴とする非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料。
  • 石油ピッチ、石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱成形し、その後、ピッチに対し低溶解度を有しかつ添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去せしめ、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化し、得られた熱に対し不融性の多孔性ピッチを、不活性雰囲気中で焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料の製造方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    【産業上の利用分野】
    本発明は、二次電池電極用炭素質材料に関するものであり、更に詳しくは電池活物質のドープ−脱ドープ容量で代表される有効利用率が高く、充放電サイクル特性に優れる、高エネルギー密度の非溶媒系二次電池の電極材料として好適な炭素質材料に関するものである。
    【0002】
    【従来の技術】
    高エネルギー密度の二次電池として、炭素質材料を負極として用いる非水溶媒系リチウム二次電池が提案されている(例えば、特開昭57−208079号公報、特開昭62−90863号公報、特開昭62−122066号公報、特開平2−66856号公報参照)。 これは、リチウムの炭素層間化合物が電気化学的に容易に形成できることを利用したものであり、この電池を充電すると、例えばLiCoO 等のカルコゲン化合物からなる正極中のリチウムは電気化学的に負極炭素の層間にドープされる。 そして、リチウムをドープした炭素は、リチウム電極として作用し、放電に伴ってリチウムは炭素層間から脱ドープされ、正極中に戻る。
    【0003】
    このような負極材料としての炭素質材料、あるいはリチウム源をドープする正極材料としての炭素質材料においても、単位重量当たりに利用できる電気量は、リチウムの脱ドープ量によって決まるため、これら電極材料を構成する炭素質材料は、リチウムの脱ドープ量を大きくすることが望ましい。 従来、フェノール樹脂やフラン樹脂を焼成して得られる炭素質材料は、リチウムのドープ量が大きく、この観点では好ましいことが知られている。
    【0004】
    しかし、フェノール樹脂やフラン樹脂を焼成して得られる炭素質材料を用いて負極を構成した場合、負極炭素にドープされたリチウムが完全には脱ドープされず、多量のリチウムが負極炭素中に残り、活物質であるリチウムが無駄に消費されるという問題がある。
    【0005】
    また黒鉛または黒鉛構造の発達した炭素質材料を用いて電極を構成した場合、炭素質材料にリチウムをドープすることにより黒鉛層間化合物が形成されるが、c軸方向の結晶子の大きさが大きいほどドープ−脱ドープにより結晶子に繰り返し生じる歪みが大きく結晶の破壊が起き易い。 そのため黒鉛または黒鉛構造の発達した炭素質材料を用いて構成した二次電池は充放電の繰り返し性能が劣る。 更に、このような黒鉛構造の発達した炭素質材料を使用した電池においては電池作動時に電解液の分解が起こり易いという問題もある。
    【0006】
    【発明が解決しようとする課題】
    本発明は大きな充放電容量を有し、活物質利用率が高く、充放電サイクル特性の優れた非水溶媒系二次電池を可能とする二次電池電極用炭素質材料を提供することを目的とする。 具体的にはリチウム等の活物質のドープ−脱ドープ容量が大きく、脱ドープされずに残る活物質の量が少なく、充放電の繰り返しによる崩壊や電解液の分解等を起こさない炭素質材料を提供することを目的とする。
    【0007】
    【課題を解決するための手段】
    本発明者等の研究によれば、炭素質材料の微細構造を適正に制御することにより、大きな充放電容量を有し、活物質利用率が大きく、充放電サイクル特性に優れた非水溶媒系二次電池を可能とする炭素質材料が得られることが見出された。 すなわち、本発明の非水溶媒系二次電池電極用炭素質材料は、 X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔が0.365nm以上の多孔質炭素質材料であり、該炭素質材料を1300倍の偏光顕微鏡で観察したとき光学的に等方性であり、反射率を異にする微小な2種類の領域が観察され、更に、空気雰囲気中での示差熱分析の発熱ピーク温度Tp(℃)と真密度σ(g/cm )とが下記式(1)及び式(2)を満足するものであることを特徴とするものである。
    式(1):1.70≧σ≧1.45
    式(2):280≧Tp−250σ≧230
    【0008】
    【作用】
    本発明の炭素質材料が、二次電池電極材料としてリチウム等の活物質に対して、高いドープ−脱ドープ容量を示し、ドープ容量と脱ドープ容量の差として定義される「非脱ドープ容量」が小さいという優れた適性を有する理由は必ずしも明らかでないが、以下の説明からも明らかとなるようにドープ容量の増大に寄与する難黒鉛化性成分すなわち低結晶性成分と、脱ドープ容量の増大に寄与する易黒鉛化性成分すなわち高結晶性成分とが適当な割合で存在しているためと推定される。
    【0009】
    【発明の具体的説明】
    本発明の炭素質材料が満たすべき第1の特性は、X線回折法により求めた(002)面の平均面間隔(以下「d 002 」と略記する)が0.365nm以上となることである。 d 002が0.365nm未満の炭素質材料を負極として非水溶媒系二次電池を構成した場合、電池活物質のドープ量が小さくなり、電解液の分解が起こり易くなるので好ましくない。 d 002は好ましくは0.370nm以上0.395nm以下、更に好ましくは0.375nm以上0.390nm以下である。
    【0010】
    本発明の炭素質材料の具備すべきもう一つの特性は、 1300倍の偏光顕微鏡観察により観察すると光学的に等方性ではあるが、反射率を異にする(明るさの異なる)微小な2種類の領域が存在するのが観察されることである。
    【0011】
    偏光顕微鏡による炭素質材料の観察は、主に光学的異方性組織の観察に用いられるが、本発明の炭素材料は、試料全体としては光学的に等方性であるが、反射率が均一ではなく、反射率の異なる2種類の領域が図2(後述する実施例1により得られた炭素質材料の1300倍の偏光顕微鏡写真)に示すように明暗を異にする領域として観察される。 図2の写真像は明暗を基準にして大別すると、3種類の領域に分類できる。 すなわち、図中の像は、最も黒く見える領域(領域Aと呼ぶ)、最も白く見える領域(領域Bと呼ぶ)及びその中間の明るさを示す領域 ( 領域Cと呼ぶ ) から構成されていることがわかる。 領域Aは空隙すなわち炭素質材料が存在しない領域であり、本発明の炭素質材料は領域Bおよび領域Cから構成されている。 これらの2種類の領域(領域B及び領域C)は、互いに網目状あるいは海・島状の組織を構成して存在するのが観察される。
    【0012】
    本発明の炭素質材料は、1300倍の偏光顕微鏡で観察した場合、全体としては光学的に等方性であるが、反射率を異にする微小な2種類の炭素質の構成単位(領域B及び領域C)からできていることが特徴である。
    【0013】
    これに対しフェノール樹脂等を焼成炭素化して得られる炭素質材料は、図3(後述する比較例1で得られた炭素質材料の1300倍の偏光顕微鏡写真)に示すように光学的に等方性であり、全体が均一で反射率が異なる領域は観察されない。 図3中、黒色の2つの円形の領域は空隙である。 一般にフェノール樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性の樹脂を焼成炭素化したいわゆるハードカーボンはこの様な組織を示す。
    【0014】
    また、石油系又は石炭系のピッチ若しくはタールを焼成炭素化したいわゆるソフトカーボンは図4(後述する比較例6で得られた炭素質材料の1300倍の偏光顕微鏡写真)に示すように、光学的に異方性でいわゆる流れ構造と呼ばれる微細組織を示す。 図4中、最も黒く見える連続した相は試料の埋め込みに使用したエポキシ樹脂の部分を示している。 光学的に異方性を示す場合は、偏光顕微鏡観察においては、色の違いとして明瞭に識別できる。
    【0015】
    炭素質材料を偏光顕微鏡で観察すると、光学的に等方性であっても内部に歪みが含まれる場合は反射率に違いを生じることが知られている。 炭素質材料内部の歪みは、外部からの圧等によっても生じるが、炭素前駆体を焼成炭素化する時の局部的な熱収縮の差によっても生じるものと考えられる。
    【0016】
    本発明の炭素質材料は、上述したように、高結晶性の部分と低結晶性の部分が混在する構造を有する炭素材料である。 本発明の炭素質材料においては、炭素前駆体の焼成炭素化の工程において、高結晶性部分と低結晶性部分が生成するときの熱収縮の差により内部的な歪みが生じたものと推定される。
    【0017】
    本発明の炭素質材料の偏光顕微鏡観察による上述のような特徴は、このような構造を反映したものと考えられる。
    【0018】
    本発明の炭素質材料は、更に次の性質を有するものである。 すなわち、炭素質材料の空気雰囲気中での示差熱分析の発熱ピーク温度Tp(℃)(以下単に「示差熱発熱ピーク温度」または「Tp」と略記する場合がある。)と、真密度σ(g/cm )(以下単に「 σ」と略記する場合がある)は、下記式(1)及び式(2)を満足するものである。
    式(1):1.70≧σ≧1.45
    式(2):280≧Tp−250σ≧230
    【0019】
    炭素質材料の真密度は炭素の結晶構造及び微細な細孔の構造に大きく依存する。 炭素質材料の真密度は結晶化の増大にともなって増加し、黒鉛の2.27g/cm
    に近づく。 本発明の炭素質材料は結晶化が余り進んでいない、真密度が上記式(1)で示される範囲の炭素質材料であるものである。
    【0020】
    一方炭素質材料の示差熱発熱ピーク温度は、炭素質材料の結晶構造、細孔構造、細孔表面の物理的・化学的特性に依存する。
    【0021】
    炭素質材料のTpは一般にσの増大に伴って高くなるが、その変化の様子は一義的ではない。 本発明の炭素質材料はTpとσが式(2)の関係を満たすものであり、下記式(2a)の関係を満たすことがより好ましい。
    式(2a):270≧Tp−250σ≧230
    【0022】
    本発明の炭素質材料は、これをH OとN の等モル混合ガス気流中で900℃において重量減少が60%になるまで反応させた後に残存する炭素質物質のd 002が0.350nm以下を示すことが好ましい
    【0023】
    炭素質材料をH OとN の混合ガスと900℃において反応させ炭素質材料の一部をガス化させることを、以下、「バーンオフ」と呼ぶことにする。 バーンオフにより炭素質材料はH Oと反応し、CO、CO 、CH 、H 等を生成し、その重量を減少する。 バーンオフ後の炭素質物質は、バーンオフによる重量減少量(バーンオフ量)の増大に伴って、そのd 002の値は減少する。 従ってバーンオフは炭素質材料中の、より結晶性の低い部分で起り易いと考えられる。 バーンオフ量とd 002の値の関係は炭素質材料の種類により異なり、その関係は炭素質材料を規定する指標となり得る。 バーンオフにより60%重量減少させた後に残る炭素質物質を、60%バーンオフ炭と呼ぶことにする。
    【0024】
    本発明の炭素質材料は、その60%バーンオフ炭のd 002が0.350nm以下になることが好ましい
    【0025】
    このことは、本発明の炭素質材料は、少なくとも60%バーンオフの過程を経てd 002が0.350nm以下となる炭素成分(高結晶性成分すなわち易黒鉛化性成分)を含有することを意味する。 本発明の炭素質材料はd 002が0.350nm以下の炭素成分を含有し、全体としてd 002が0.365nm以上を示すような構造の炭素質材料であると考えられる。 本発明の炭素質材料が大きな活物質のドープ、脱ドープ容量を有し、なおかつ、脱ドープされずに炭素質材料中に残る活物質の量が小さいという特性を有しているのは、上述のような炭素質材料の微細構造に由来するものと推定される。
    【0026】
    本発明の炭素質材料は上記必須要件の他に、更に、以下の特性を有することが好ましい。
    【0027】
    発明の炭素質材料は、小X線散乱の測定により求めた値をもとにしてギニエ(Guinier)プロットして求めた原点における規格化された散乱強度I S(0)が15以下を示すことが好ましい。 このような特性を有する炭素質材料を用いて二次電池を作成することにより、ドープ−脱ドープ容量のより大きな二次電池を得ることができる。 I S(0)は好ましくは10以下である。
    【0028】
    炭素質材料の内部に細孔構造がある場合、細孔1個当たりの空隙の平均体積をV、単位重量当たりの空隙の数をN、1個の電子のトムソン散乱強度をIe、空気の密度および炭素の密度をそれぞれρ 、ρ とすると、I S(0)は次式で表わすことができる。
    【0029】
    S(0) =C・N・I ・V ・(ρ −ρ (Cは比例定数)
    試料が炭素材料であり、I 、ρ は測定した試料の全てでほぼ同じ値であり、ρ は一定値だから、I S(0)は下式の如く示される。
    【0030】
    S(0) =C'・N・V (C'は比例定数)となる。
    【0031】
    従って、I S(0)は炭素質材料の微細構造を規定する指標である。
    【0032】
    本発明の炭素質材料は、真密度が1.45〜1.70g/cm でI S(0)が15以下であることが好ましい。
    【0033】
    なお、本発明に記載する炭素質材料のd 002 、L C(002) (すなわちC軸方向の結晶子の大きさ、単にL とも記す)、示差熱分析による発熱ピーク温度、真密度、I S(0) 、偏光顕微鏡観察及び60%バーンオフ炭のd 002の値は、それぞれ下記の方法によるものである。
    【0034】
    「炭素質材料のd 002およびL C(002) 」:炭素質材料粉末を試料ホルダーに充填し、グラファイトモノクロメーターにより単色化したCuKα線を線源としX線回折図形を得る。 回折図形のピーク位置重心法(回折線の重心位置を求め、これに対応する2θ値でピークの位置をもとめる方法)により求め、標準物質用高純度シリコン粉末の(111)面の回折ピークを用いて補正する。 CuKα線の波長を0.15418nmとし、Braggの公式によりd 002を計算する。
    【0035】
    C(002)は、炭素試料の002回折線の半値幅から標準物質用高純度シリコン粉末の(111)回折線の半値幅を差し引いた値β 1/2を用いScherrerの式により計算した。 ここで、形状因子Kは、0.9とした。
    【0036】
    002 =λ/(2・sinθ) (Braggの公式)
    C(002) =(k・λ)/(β 1/2・cosθ)(Scherrerの式)
    「示差熱分析による発熱ピーク温度」:必要に応じ粉砕し、250メッシュ以下に篩分した炭素質材料粉末を白金製パンに2.0mg秤量し、示差熱分析装置に設置し、100ミリリットル/分の流量で乾燥空気(露点−50℃以下)を流し、200℃で1時間保持した後、10℃/分の昇温速度で昇温し、炭素質材料の酸化による発熱曲線を得、最大発熱量を示した温度を発熱ピーク温度とした。
    【0037】
    「真密度」:真密度の測定はJIS R7212に定められた方法に従い、ブタノール法により測定した。
    【0038】
    「I S(0) 」:X線小角散乱の測定は(株)リガク製の装置を用いて行った。
    【0039】
    X線発生装置 高輝度ロータフレックスRU−200BH
    X線源 ポイントフォーカス、CuKα(Niフィルター使用)
    X線出力 50KV−20mA
    ゴニオメーター 型式2203E1
    スリット径 (ファースト)0.2mm−(セカンド)0.2mm
    X線真空通路装置 ゴニオメーター(型式2203E1)付属品 検出器 型式PSPC−5(有効長100mm、PRガス(アルゴン +10%メタン)フロー)
    窓高さ制限スリット幅 4mm
    カメラ長 271mm
    測定時間 1000秒【0040】
    上記の装置を用いて、試料ホルダーと検出器の間に設置されたX線真空通路装置内を真空にし、試料ホルダーに粉末状炭素試料を充填した(試料ホルダーの両面に厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを貼りつけ、粉末試料がこぼれ落ちるのを防止した)ときのX線散乱強度I m(s) 、試料ホルダーに試料を充填しないときのX線散乱強度B(s)を測定した。 この場合、試料の単位重量当たりの干渉性散乱強度I G(S)は、次式で表わされる。
    【0041】
    G(S) =(I m(s) −A・B(s))/(A・1nA)
    ここに、sは散乱角度2θと波長λにより次式で表わされるパラメータである。
    【0042】
    s=2sinθ/λ
    また、Aは粉末状炭素試料の吸引因子で、X線広角散乱測定装置を用いて次のような方法により求めた。
    【0043】
    標準物質用高純度シリコン粉末の(111)回折X線をNiフィルターにより単色化する。 この回折線が、試料ホルダー中の炭素試料を透過したときの強度をI とし、試料ホルダー中から試料を取り除いたときの強度をI とする。 これにより吸収因子Aを次式より求める。
    【0044】
    A=I /I
    以上の測定値を使用し、I G(s)とsの関係をギニエ・プロット(縦軸に1n(I G(s) )を、横軸にs をプロット)する。 そしてs が0.0004から0.0011までの範囲の点の回帰直線を求め、この直線のs =0のときの値を原点の散乱強度I G(O)とする。
    【0045】
    このようにして求めた散乱強度I G(O)は入射X線の強度等により変化するので、試料ホルダーと検出器の間のX線の通路の空気による散乱強度を測定し、この値を用いて炭素質材料試料の散乱強度I G(O)を規格化した。 すなわち、上記の小角散乱測定装置において試料ホルダーに試料を充填せず、試料ホルダーと検出器の間のX線真空通路装置内に1気圧の空気を存在させて、X線真空通路装置内の空気の散乱強度I A(s)を求める。 このI A(s)のギニエ・プロット(縦軸に1n(I A(s) )を、横軸にs をプロットする。)により、上述の炭素質材料に対する場合と同様に処理し原点の散乱強度I A(O)を求め、この値を用いて次式により規格化した炭素質材料試料の散乱強度I S(O)を求めた。
    【0046】
    S(O) =I G(O) /I A(O)
    「偏光顕微鏡観察」:(i)炭素質材料が粉末状の場合は、液状エポキシ樹脂に10重量%程度の炭素質材料粉末試料を添加し、よく混合した後シリコンゴム製の型枠(直径25mm)に充填し、また(ii)炭素質材料が粒状又は塊状の場合は、炭素質材料を粒径数mmとした後上記型枠に充填した液状エポキシ樹脂中に数個埋め込み、それぞれ120℃で24時間保持してエポキシ樹脂を硬化させた後、炭素質材料試料が表面に出るように適当な位置で硬化エポキシ樹脂を切断し切断面を研磨し鏡面としたのち、偏光顕微鏡(オリンパス(株)製)に100倍の対物レンズと10倍の接眼レンズをセットし、総合倍率1000倍で偏光顕微鏡観察及び写真撮影を行う。 なお、添付写真(図2〜4)では、焼 付けのときの引き伸ばしの結果、約1300倍の倍率となっている。 観察にあたっては、試料のコントラストが低いため、開口絞りおよび視野絞りをできるかぎり絞った状態で行う。
    【0047】
    「60%バーンオフ炭のd 002 」:炭素質材料(粒径1mm以下)をN 気流中で900℃まで昇温する。 温度が900℃に達したら、温度を900℃に保ちながらN 50モル%、H O50モル%からなるバーンオフガスに切り替え、所定の時間バーンオフを行う。 その後、バーンオフガスをN に切り替え、冷却してバーンオフ炭を得る。 バーンオフによる炭素質材料の重量減少率を%単位で表わしたものをバーンオフ率と呼ぶ。 この操作を繰り返し、バーンオフ率の異なるバーンオフ炭を得、そのd 002の値を上述の炭素質材料のd 002の測定法により測定する。 得られるバーンオフ率とd 002の関係を滑らかな曲線で近似し、該曲線からバーンオフ率60%に相当するd 002の値を求める。
    【0048】
    本発明の炭素質材料は例えば以下の方法により製造することができる。
    【0049】
    石油ピッチ、石炭ピッチ等のピッチに対し、添加剤として沸点200℃以上の2乃至3環の芳香族化合物又はその混合物を加えて加熱混合した後、成形しピッチ成形体を得る。 次にピッチに対し低溶解度を有しかつ添加剤に対して高溶解度を有する溶剤で、ピッチ成形体から添加剤を抽出除去せしめ、得られた多孔性ピッチを、酸化剤を用いて酸化し、得られた熱に対し不融性の多孔性ピッチを、不活性雰囲気中で焼成する。
    【0050】
    上記した芳香族添加剤の目的は、成形後のピッチ成形体から該添加剤を抽出除去せしめて成形体を多孔質となし、後工程の酸化による炭素質材料の構造制御ならびに焼成を容易にすることにある。 このような添加剤は、例えばナフタレン、メチルナフタレン、フェニルナフタレン、ベンジルナフタレン、メチルアントラセン、フェナンスレン、ビフェニル等の1種又は2種以上の混合物から選択される。 ピッチに対する添加量は、ピッチ100重量部に対し10〜50重量部の範囲が好ましい。
    【0051】
    ピッチと添加剤の混合は、均一な混合を達成するため、加熱し溶融状態で行う。 ピッチと添加剤の混合物は、添加剤を混合物から容易に抽出できるようにするため、粒径1mm以下の粒子に成形することが好ましい。 成形は溶融状態で行ってもよく、また混合物を冷却後粉砕する等の方法によってもよい。
    【0052】
    ピッチと添加剤の混合物から添加剤を抽出除去するための溶剤としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ナフサ、ケロシン等の脂肪族炭化水素主体の混合物、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール類等が好適である。
    【0053】
    このような溶剤でピッチと添加剤の混合物成形体から添加剤を抽出することによって、成形体の形状を維持したまま添加剤を成形体から除去することができる。 この際に成形体中に添加剤の抜け穴が形成され、均一な多孔性を有するピッチ成形体が得られるものと推定される。
    【0054】
    かくして得られた多孔性を示すピッチ成形体を、次いで不融化処理、すなわち酸化剤を用いた、好ましくは常温から400℃までの温度での酸化処理により、熱に対して不融の多孔性不融性ピッチ成形体とする。 酸化剤としては、O 、O 、SO 、NO 、Cl 、これらを空気、窒素等で希釈した混合ガス、または空気等の酸化性気体、及び硫酸、リン酸、硝酸、クロム酸塩水溶液、過マンガン酸塩水溶液、過酸化水素水溶液等の酸化性液体を用いることができる。
    【0055】
    多孔性不融性ピッチ成形体を、不活性雰囲気中で、必要に応じて500〜700℃で予備炭化した後、更に900〜2000℃で焼成することにより、本発明の炭素質材料が得られる。
    【0056】
    ピッチ成形体の酸化の度合いと後の焼成温度を適当に制御することによって、容易に本発明の炭素質材料を得ることができる。 一般的には、酸化の度合いが同一であれば、焼成温度が高くなればd 002は減少する方向であり、焼成温度が同一であれば、酸化の度合いが高くなればd 002は増大する方向である。 例えば、酸化剤として空気を用いた場合は、温度150〜400℃で、ピッチ成形体の酸素含有量が2〜30重量%となるように酸化した後に焼成することが好ましい。
    【0057】
    本発明の炭素質材料を用いて非水溶媒系二次電池の電極を構成する場合には、炭素質材料を、必要に応じて平均粒径約5〜100μmの微粒子とした後、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン等の非水溶媒に対して安定な結合剤により、例えば、円形あるいは矩形の金属板等からなる導電性の集電材に接着して厚さが例えば10〜200μmの層を形成する等の方法により電極を製造する。 結合剤の好ましい添加量は、炭素質材料に対して1〜20重量%である。 結合剤の添加量が多すぎると、得られる電極の電気抵抗が大きくなり電池の内部抵抗が大きくなり電池特性を低下させるので好ましくない。 また結合剤の添加量が少なすぎると、炭素質材料粒子相互及び集電材との結合が不十分となり好ましくない。 微粒子化は、不融化ピッチ成形体の炭素化前、予備炭素化後のように、炭素質材料形成の中間段階で行ってもよい。 なお、上記は、比較的小容量の二次電池についての値であるが、より大容量の二次電池の形成のためには、上記炭素質微粒子と結合剤の混合物をプレス成形等の方法により、より大なる厚さの成形体を製造し、これを集電材と電気的に接続する等の方法も可能である。
    【0058】
    本発明の炭素質材料は、その良好なドープ特性を利用して、非水溶媒型二次電池の正極材料として用いることも可能であるが、上述したように、非水溶媒型二次電池の負極、特にリチウム二次電池の負極活物質としてのリチウムのドープ用負極、の構成に用いることが好ましい。
    【0059】
    この場合、正極材料としては、一般式LiMY (Mは、Co、Ni等の遷移金属の少なくとも一種;YはO、S等のカルコゲン元素)で表わされる複合金属カルコゲン化合物、特にLiCoO をはじめとする複合金属酸化物が好ましく、そのまま、あるいは適当なバインダーとともに成形して、導電性の集電材上に層形成される。
    【0060】
    これら正極及び負極との組合せで用いられる非水溶媒型電解液は、一般に非水溶媒に電解質を溶解することにより形成される。 非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒の一種または二種以上を組合せて用いることが出来る。 また電解質としては、LiClO 、LiPF 、LiBF 、LiCF SO 、LiAsF 、LiCl、LiBr、LiB(C 、LiCH SO が用いられる。
    【0061】
    二次電池は、一般に上記のようにして形成した正極層と負極層とを、必要に応じて不織布、その他の多孔質材料等からなる透液性セパレータを介して、対向させ電解液中に浸漬することにより形成される。
    【0062】
    【実施例】
    以下、実施例および比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
    【0063】
    (実施例1)
    軟化点210℃、キノリン不溶分1重量%、H/C原子比0.63の石油系ピッチ68kgと、ナフタレン32kgとを、撹拌翼のついた内容積300リットルの耐圧容器に仕込み、190℃で加熱溶融混合を行った後、80〜90℃に冷却して押し出し、径約500μmの紐状成形体を得た。 次いで、この紐状成形体を直径と長さの比が約1.5になるように破砕し、得られた破砕物を93℃に加熱した0.53重量%のポリビニルアルコール(ケン化度88%)を溶解した水溶液中に投入し、撹拌分散し、冷却して球状ピッチ成形体スラリーを得た。 大部分の水をろ過により除いた後、球状ピッチ成形体の約6倍量の重量のn−ヘキサンでピッチ成形体中のナフタレンを抽出除去した。 この様にして得た多孔性球状ピッチを、流動床を用いて、加熱空気を通じながら、260℃まで昇温し、260℃に1時間保持して酸化し、熱に対して不融性の多孔性球状ピッチ成形体を得た。 得られた熱に対して不融性の多孔性ピッチ成形体を窒素ガス雰囲気中で600℃/hrの速度で1200℃まで昇温して、この温度で1時間焼成した後、冷却し、炭素質材料を製造した。
    【0064】
    このようにして製造された平均粒径が約400μmの球状炭素質材料は、上述の方法により求めたd 002が0.378nmおよび60%バーンオフ炭のd 002が0.342nmであり、c軸方向結晶子の大きさLcは1.26nm、BET法により測定した比表面積は2.4m /gであった。
    【0065】
    (実施例2)
    実施例1における多孔性球状ピッチの酸化温度を300℃とした以外は実施例1と同様にして多孔性炭素質材料を製造した。
    【0066】
    このようにして製造された炭素質材料は、d 002が0.379nm、60%バーンオフ炭のd 002が0.345nmであり、Lcは1.15nm、比表面積は2.8m /gであった。
    【0067】
    (実施例3)
    実施例1で得られた熱に対して不融性の多孔性球状ピッチ成形体を、窒素ガス気流中で600℃/hrの速度で600℃まで昇温し、この温度で1時間保持した後冷却して予備焼成炭を得た。 この予備焼成炭を平均粒径25μmに粉砕したものを、さらい窒素ガス気流中で600℃/hrの速度で1000℃まで昇温し、この温度で1時間保持して本焼成した後冷却して炭素質材料を製造した。
    【0068】
    (実施例4、5)
    実施例3における本焼成の温度を、それぞれ1100℃(実施例4)および1300℃(実施例5)とした以外は実施例3と同様にして炭素質材料を製造した。
    【0069】
    (実施例6)
    実施例3における本焼成を、予備焼成炭粉砕物を保持した焼成炉内を窒素ガスで置換した後窒素ガス気流をとめて昇温して、焼成時に発生する発生ガス雰囲気中で1100℃で行った以外は、実施例3と同様にして炭素質材料を製造した。
    【0070】
    (実施例7、8)
    実施例3における多孔性球状ピッチの酸化温度を、それぞれ200℃(実施例7)および220℃(実施例8)とし、本焼成温度を1200℃とした以外は、実施例3と同様にして炭素質材料を製造した。
    【0071】
    上記実施例1〜8の炭素質材料は、偏光顕微鏡観察の結果、光学的に等方性であるが反射率の異なる2種類の微少部分から構成されていることが認められた。 代表的に実施例1による炭素質材料を粉砕前の球状粒子の状態で観察した偏光顕微鏡写真(1300倍)を図2に示す。 図2においては視野の全体が炭素質材料を示している。
    【0072】
    (比較例1)
    フェノール樹脂(「ベルパール C−800」;鐘紡(株)製)を170℃で3分予備硬化後、130℃で8時間硬化させた。 次に窒素雰囲気中で250℃/hの速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間保持した後冷却してフェノール樹脂焼成炭を得た。
    【0073】
    得られたフェノール樹脂焼成炭は、d 002が0.381nm、60%バーンオフ炭のd 002が0.357nmであり、Lcは1.06nm、比表面積は0.3m /gであった。
    【0074】
    (比較例2)
    フラン樹脂(「ヒタフラン VF−303」;日立化成(株)製)を100℃で14時間硬化させた。 次に窒素雰囲気中で250℃/hの速度で1200℃まで昇温し、1200℃で1時間保持した後、冷却してフラン樹脂焼成炭を得た。
    【0075】
    得られたフラン樹脂焼成炭は、d 002が0.378nm、60%バーンオフ炭のd 002が0.357nmであり、Lcは1.21nm、比表面積は6.5m /gであった。
    【0076】
    (比較例3)
    比較例2における焼成温度を1600℃とした以外は比較例2と同様にして炭素質材料を製造した。
    【0077】
    (比較例4)
    やし殻仮焼炭を平均粒径25μmに粉砕し、さらにこれを窒素雰囲気中1200℃で1時間本焼成し、やし殻焼成炭を得た。
    【0078】
    (比較例5)
    比較例4における焼成温度を1500℃とした以外は比較例4と同様にして炭素質材料を製造した。
    【0079】
    (比較例6)
    実施例1で使用した石油ピッチを窒素雰囲気下600℃で1時間予備焼成した後、平均粒径25μmに粉砕し、さらにこれを窒素雰囲気中1200℃で1時間本焼成し炭素質材料を製造した。
    【0080】
    (比較例7)
    石油ピッチの代わりに塩化ビニル樹脂(平均重合度700)を比較例6と同様に処理して炭素質材料を製造した。
    【0081】
    上記比較例1〜5の炭素質材料を偏光顕微鏡で観察したところ、すべて光学的に等方性であり、反射率の異なる部分は観察されなかった。 代表的に比較例1で得られた炭素質材料を粉砕前の塊状炭の状態で観察した偏光顕微鏡写真(1300倍)を図3に示す。 図3においては視野の全体が塊状炭を示している。
    【0082】
    上記比較例6、7の炭素質材料は偏光顕微鏡下に光学的に異方性を示し、その異方性単位は流れ構造の組織を示した。 代表的に比較例6の炭素質材料(微粉状)の偏光顕微鏡写真(1300倍)を図4に示す。 図4において、黒色の連続して存在する領域は埋め込みのために使用したエポキシ樹脂層を示している。
    【0083】
    実施例及び比較例で得られた各炭素質材料の基礎物性を表1にまとめて示す。
    【0084】
    【表1】

    【0085】


    (活物質のドープ−脱ドープ試験)


    実施例及び比較例で得られた各炭素質材料を用いて、以下のようにして非水溶媒系二次電池を作成し、その特性を評価した。


    【0086】


    本発明の炭素質材料は非水溶媒二次電池の負極として用いるのに適しているが、本発明の効果である電池活物質のドープ容量、脱ドープ容量及び脱ドープされずに炭素質材料中に残存する量(以下「非脱ドープ容量」と称する。)を、対極の性能のバラツキに影響されることなく精度良く評価するために、特性の安定したリチウム金属を負極とし、上記で得られた炭素質材料を正極とするリチウム二次電池を構成し、その特性を評価した。


    【0087】


    正極は以下のようにして製造した。 上記のようにして製造した炭素質材料を粉末状の物はそのまま、粒状の物は平均粒径約20μmに粉砕したもの90重量部、ポリフッ化ビニリデン10重量部に、N−メチル−2−ピロリドンを加えてペースト状とし、銅箔上に均一に塗布し、乾燥した後、銅箔より剥離させ直径21mmの円板状に打ち抜く。 これを直径21mmのステンレススチール網円板にプレスにより加圧して圧着し正極とした。 なお正極中の炭素質材料の量は約40mgになるようにした。 負極には、厚さ1mmの金属リチウム薄板を直径21mmの円板状に打ち抜いたものを使用した。


    【0088】


    このようにして製造した正極及び負極を用い、電解液としてはプロピレンカーボネートとジメトキシエタンを容量比で1:1で混合した混合溶媒に1モル/リットルの割合でLiClO

    を加えたものを使用し、ポリプロピレン製微細孔膜をセパレータとし非水溶媒系リチウム二次電池を構成した。


    【0089】


    このような構成のリチウム二次電池において約40mA/g(炭素)の一定電流で炭素質材料にリチウムをドープした。 このドーピングは1時間通電した後2時間休止する操作を、正極−負極間の平衡電位が0ボルトになるまで行った。 このときの電気量を、使用した炭素質材料の重量で除した値をドープ容量と定義し、mAh/gを単位として表わした。 次に同様にして逆方向に電流を流し炭素質材料にドープされたリチウムを脱ドープした。 脱ドープはリチウム負極を基準として、炭素質正極が+1.5ボルトになるまで行った。 このときの電気量を、使用した炭素質材料の重量で除した値を脱ドープ容量と定義し、mAh/gを単位として表わした。 次いでドープ容量と脱ドープ容量との差として非脱ドープ容量を求めた。 脱ドープ容量をドープ容量で除した値に100を乗じて、放電効率(%)を求めた。 これは活物質がどれだけ有効に使用されたかを示す値である。


    【0090】


    以上のようにして求めた各炭素質材料を正極としたリチウム二次電池の電池特性を表2にまとめて示す。


    【0091】


    【表2】


    【0092】


    本発明の炭素質材料から製造した正極は、フェノール樹脂焼成炭(比較例1)、フラン樹脂焼成炭(比較例2、3)及びやし殻焼成炭(比較例4、5)から製造したものと比較して、ドープ容量と脱ドープ容量がともに高く、両者の差で表わされる非脱ドープ容量が著しく小さいため、電池活物質の有効利用が可能であることがわかる。


    【0093】


    (電池の充放電繰り返し試験−1)


    以下のようにして、本発明の炭素質材料の負極材料としての特性を評価した。


    【0094】


    [正極の製造]


    LiCoO

    91重量部、黒鉛粉末6重量部及びポリフッ化ビニリデン3重量部にN−メチル−2−ピロリドンを加えてよく混合しペースト状とした後乾燥する。 このようにして得た乾燥混合物を型込め成形により、直径21mmの円板状に成形して正極を製造した。 正極中のLiCoO

    の量は約1gとした。


    【0095】


    [負極の製造]


    前述のドープ容量の測定に用いた炭素質材料正極の製造方法と同様の方法で、実施例1で得られた炭素質材料を用いて製造したものを、負極とした。 負極中の炭素質材料は約40mgである。


    【0096】


    以上のようにして製造した、LiCoO

    正極及び炭素質材料負極を用い、電解液としてプロピレンカーボネートとジメトキシエタンを容量比で1:1で混合した混合溶媒に1モル/リットルの割合でLiClO

    を加えたものを使用し、ポリプロピレン製微細孔膜をセパレータとし非水溶媒系リチウム二次電池を構成した。


    【0097】


    この二次電池について、充電容量を380mAh/g(炭素)、放電終了電圧を1.5V、充放電電流密度0.43mA/cm

    で充放電試験を行い、放電効率(%)(=(放電容量/充電容量)×100)を求めた。


    【0098】


    その結果、第1回目の放電効率は約80%であるが、2回目以降は95%以上となり、5回目以降は99%以上の高い放電効率で充放電を繰り返すことができた。


    【0099】


    (電池の充放電繰り返し試験−2)


    本発明及び比較例で得られた炭素質材料を負極とした二次電池の充放電サイクル特性試験を以下の方法で行った。


    【0100】


    炭素質材料としては、実施例1、比較例6及び比較例7で得られた炭素質材料を使用して比較試験を行った。


    【0101】


    [正極の製造]


    正極中のLiCoO

    の量を約0.2gとした以外は電池の充放電繰り返し試験−1と同様にして、正極を製造した。


    【0102】


    [負極の構造]


    前述のドープ容量の測定に用いた炭素質材料正極の製造方法と同様の方法で製造したものを、負極とした。 負極中の炭素質材料は約40mgである。


    【0103】


    以上のようにして製造した、LiCoO

    正極及び炭素質材料負極を用い、充放電繰り返し試験−1の場合と同様の非水溶媒系リチウム二次電池を構成した。


    【0104】


    これらの二次電池について、充電容量を250mAh/g(炭素)、充電停止電圧を4.3V、放電終了電圧を2.5Vとし、充放電電流密度0.86mA/cm

    で連続充放電試験を行った。 繰り返しによる放電容量の変化を示す結果を図1に示す。 図1中曲線(a)、(b)、(c)は、それぞれ実施例1、比較例6及び比較例7により得られた炭素質材料を負極とした二次電池の充放電特性曲線である。


    【0105】


    図1から明らかなように、本発明の特定構造の炭素質材料を用いて負極を製造した二次電池(曲線(a))は、従来公知のピッチ焼成炭(比較例6)及びポリ塩化ビニル焼成炭(比較例7)を用いて負極を製造した二次電池(曲線(b)、(c))に比較して、充放電サイクル特性が顕著に優れていることがわかる。


    【0106】


    【発明の効果】


    上述したように、本発明によれば、炭素質材料の微細構造を制御することにより電池活物質のドープ、脱ドープ容量の大きな非水溶媒系二次電池用の炭素質材料が提供される。 そして、この炭素質材料を用いて、例えばリチウム二次電池の負極を構成することにより、リチウムの利用率の高い、充放電サイクル特性の優れた高エネルギー密度の二次電池を製造することができる。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】 本発明及び比較例により得られる炭素質材料を負極とした二次電池の充放電繰り返し試験の放電容量の変化を示す図である。


    【図2】 本発明の実施例1で得られる炭素質材料の偏光顕微鏡写真(1300倍)である。


    【図3】 比較例1で得られる炭素質材料の偏光顕微鏡写真(1300倍)である。


    【図4】 比較例6で得られる炭素質材料の偏光顕微鏡写真(1300倍)である。

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