首页 / 专利库 / 化学元素和化合物 / 芳香族化合物 / レオロジー改質剤

レオロジー改質剤

阅读:913发布:2020-05-08

专利汇可以提供レオロジー改質剤专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是レオロジー改質剤专利的具体信息内容。

(A)炭化素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含む、水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下である、請求項1に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。更に水を含有し、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上99質量部以下である、請求項1又は2に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。前記レオロジー改質剤が、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含む、請求項3に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有し、液状物である、請求項1〜4の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。更に水を含有し、(A)成分と(B)成分の合計含有量が水に対して6質量%以上50質量%以下である、請求項5に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤。請求項1〜7の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤、水、及び水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物を含有する水硬性スラリー組成物。請求項1〜7の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用レオロジー改質剤、水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物、及び水を混合する、水硬性スラリー組成物の製造方法。水と、水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物とを含むスラリーを調製し、前記レオロジー改質剤を該スラリーに添加し、混合する、請求項9に記載の水硬性スラリー組成物の製造方法。(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)を含む第1の剤と(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含む第2の剤とを含んで構成される、水硬性スラリー組成物製造用キット。(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、それぞれ水溶液である、請求項11に記載の水硬性スラリー組成物製造用キット。(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分との質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下となるように混合される、請求項11又は12に記載の水硬性スラリー組成物製造用キット。(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、水と混合して用いられ、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して0.5質量部以上99質量部以下となるように混合される、請求項11〜13の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物製造用キット。(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、紐状ミセルを形成するように混合される、請求項11〜14の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物製造用キット。更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに含む、請求項11〜15の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物製造用キット。(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、及び(E)分散剤(以下、(E)成分という)を含む水硬性スラリー組成物用混和剤。(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下である、請求項17に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、3/97以上95/5以下である、請求項17又は18に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。(E)成分が、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、(E3)下記重縮合生成物からなる分散剤、(E4)リグニン系分散剤、及び(E5)メラミン系分散剤から選ばれる1種以上の分散剤である、請求項17〜19の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。 <重縮合生成物> 下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物 〔成分E31〕 5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物 〔成分E32〕 (E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)(E)成分が、(E2)ポリカルボン酸系分散剤である、請求項20に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。請求項17〜21の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤、水及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物。(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、水及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物。水硬性粉体が、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、及びエコセメントから選ばれるセメントである、請求項23に記載の水硬性スラリー組成物。水硬性粉体が、ベントナイト、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、及び無水石膏から選ばれる1種以上を含む、請求項23又は24に記載の水硬性スラリー組成物。(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である、請求項23〜25の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、5/95以上95/5以下である、請求項23〜26の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。水/水硬性粉体比(W/P)が、12質量%以上500質量%以下である、請求項23〜27の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。更に(E)分散剤(以下、(E)成分という)を含有する、請求項23〜28の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。(E)成分が、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、(E3)下記重縮合生成物からなる分散剤、(E4)リグニン系分散剤、及び(E5)メラミン系分散剤から選ばれる1種以上の分散剤である、請求項29に記載の水硬性スラリー組成物。 <重縮合生成物> 下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物 〔成分E31〕 5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物 〔成分E32〕 (E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)(E)成分の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、0.06質量部以上1.0質量部以下である、請求項29又は30に記載の水硬性スラリー組成物。(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、3/97以上97/3以下である、請求項29〜31の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有する、請求項23〜32の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。(C)成分の含有量が、水100質量部に対して、0.2質量部以上6質量部以下である、請求項33に記載の水硬性スラリー組成物。更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を含有する、請求項23〜34の何れか1項に記載の水硬性スラリー組成物。(D)成分の含有量が、水100質量部に対して、0.15質量部以上5質量部以下である、請求項35に記載の水硬性スラリー組成物。

说明书全文

本発明は、レオロジー改質剤のレオロジー改質方法、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法及びキットに関する。

近年、極度に長い円筒状ミセルを形成する界面活性剤は、水の循環システム、特に加熱または冷却の分配を目的とする熱交換システムにおいて配管摩擦抵抗低減剤として注目されている。このように注目されている重要な理由としては、圧送エネルギー低減の観点から導管が層流に維持されることを所望する一方で、同時に熱交換器内を乱流にして、その場所での1単位面積当たりの熱伝導率を高くしようとすることが挙げられる。円筒状型ミセルの形態は濃度や流体速度(ミセルにかかるせん断)に大きく依存し、導管および熱交換器内の条件を適切に選択することで導管内を層流に、かつ熱交換器内を乱流にすることができる。一方で、共有結合を有する一般的な高分子にも同様の効果が確認されているが、一般高分子は圧送ポンプによる高せん断力によって共有結合が切断され、分子量が低下し、効果が減少する問題があるが、円筒状ミセルは構造が破壊されても、せん断力が除かれればミセルが再生されるため、効果の劣化が少ない。したがって、導管および交換器の大きさをいずれも低レベルに保つことができ、またはこれに代えて、導管の大きさを同じにしたままでポンプステーションの数を低減可能といった利益が得ることができる。

また建設工事では、建物基礎や地下構造物の施工において、土の掘削、コンクリートの打設が行われている。この掘削工事は地層の崩壊防止、地盤の安定化をはかる目的で、掘削面に安定液が使われる。この安定液には、(1)掘削面を安定にするための十分な密度があること、(2)地盤からの地下水流入と地盤への安定液の流出を防ぐ保護膜を掘削面につくれること、(3)土の空隙中でゲル化し、掘削面の土粒子を支持できること、(4)長時間にわたって掘削面を保持できること等の機能が要求される。

この機能を満足させるものとして、石膏やセメントなどの強アルカリ性を示す泥水に対しても安定性を有し、耐塩性に優れ、耐加圧濾水性及び耐凝集沈降性にも優れた性能を有する掘削泥水用添加剤が提案されている(特許文献1)。

また従来の建築技術として、港湾・橋梁・海底トンネルなど、施工環境に水が存在する現場では、セメントスラリー(ペースト、モルタル、またはコンクリート)の水への拡散を抑制するため、添加剤として増粘剤が一般に用いられる。増粘剤はその高い粘弾性により、無機粒子をスラリー内部に保持することで、水への拡散を著しく抑制する。その結果、水中にセメントスラリーを直接打設可能となるなど高い効果を示す。

一般に、増粘剤には高分子量のポリオキシエチレン、多糖、改質セルロースなどの有機系高分子が用いられる。しかし、これらの有機系高分子によって得られる粘弾性は、せん断力が加わった際の粘弾性低下(チキソトロピー性)が少ないため、例えば配管を通してセメントスラリーを輸送する際、通常よりも著しく高い圧力が必要であるといった課題がある。さらに、多糖、改質セルロースなどの有機系高分子は一般にセメント粒子に吸着する性質を有するため、セメントの水和反応を遅延させるといった課題がある。

一方で、セメントスラリー中に特定のアニオン界面活性剤と特定のカチオン界面活性剤を一定比率で添加することで、紐状ミセルと呼ばれる擬似的な高分子が形成され、高い粘弾性を得られることが知られている(特許文献2)。この擬似的な高分子はアルキル鎖部分での疎水結合や、親水部での特異な相互作用など共有結合以外の分子間相互作用によって構築されているため、一定のせん断力を受けると擬似高分子構造が崩壊し粘弾性が低下するといった特徴を有している(高いチキソトロピー性)。そのため、せん断力のかかる輸送中は擬似高分子構造が崩壊して低粘度化し、せん断力が除かれた打設現場では擬似高分子構造が再生され粘弾性が戻るといった、これまでの有機高分子系増粘剤にはない性能(ポンプ圧送性と粘弾性の両立)を示す。

特許文献2のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤によって形成される紐状ミセルは、水中において、親水基を外側(水相側)、疎水部を内側(油相側)に向けて配列していると考えられている。紐状ミセルの示す粘弾性は疎水部の炭素数に相関があり、界面活性剤のクラフト点以上の温度では、炭素数が多い程、一定温度・添加量において高い粘弾性を示す。粘弾性は擬似高分子である紐状ミセル同士の絡み合いによって発現するが、紐状ミセル同士が絡んだ際、一定の確率でミセル同士にすり抜けが起こる。この時、疎水部の炭素数が多いほど、疎水部の体積が増加し、紐状ミセル同士のすり抜けが困難となる。その結果、すり抜けの確率が減少し、絡み合いが強化され、系全体の粘弾性が向上するものと推察される。

一方、スラリーなどのレオロジー改質剤を、液状で1剤の形態にして取り扱い性を向上させることが提案されている。特開2009−161607号公報には、(1)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及びアニオン性芳香族化合物から選ばれる化合物(B)の組み合わせ、(2)カチオン性界面活性剤から選ばれる化合物(A)及び臭化化合物から選ばれる化合物(B)の組み合わせ、からなる群より選択される化合物(A)、化合物(B)と、所定の溶解度パラメータを有する水溶性有機化合物(C)とを含有する1液型液状レオロジー改質剤が開示されている。

特開2010−270169号公報

特開2003−313536号公報

本発明は、水に対してチキソトロピー性と粘性を付与する、レオロジー改質剤及び水のレオロジー改質方法を提供する。また本発明は、高い粘性を有し、水中分離抵抗性に優れるスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法を提供する。

また本発明は、水溶液やスラリーに対してチキソトロピー性と粘性を付与し、取り扱い性の良い粘度を有する、液状で1剤の形態のレオロジー改質剤を提供する。

本発明は、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含むレオロジー改質剤に関する。

また本発明は、(A)成分、(B)成分、及び(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有し、液状物である、液状レオロジー改質剤に関する。

また本発明は、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を水に混合する、水のレオロジー改質方法に関する。

また本発明は、前記レオロジー改質剤、粉体及び水を含有する、スラリー組成物に関する。 即ち、本発明は、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、粉体及び水を含有する、スラリー組成物に関する。

また本発明は、前記レオロジー改質剤、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法に関する。 即ち、本発明は、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法に関する。

また本発明は、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)を含む第1の剤と(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含む第2の剤とを含んで構成されるキットに関する。

以下、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩を(A)成分、脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドを(B)成分という。

本発明によれば、水に対してチキソトロピー性と粘性を付与する、レオロジー改質剤及び水のレオロジー改質方法が提供される。また本発明によれば、高い粘性を有し、水中分離抵抗性に優れるスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法が提供される。 本発明のレオロジー改質剤は、水に対してチキソトロピー性と粘弾性を付与できるため、水のレオロジー改質に効果があり、またカチオン界面活性剤を積極的に使用しないため環境に対する影響が小さい。本発明のスラリー組成物は、高い粘性を有し、水中分離抵抗性に優れるため、ポンプ圧送性と材料分離抵抗性を必要とする用途において効果がある。 また本発明の液状レオロジー改質剤は、1液の形態でありながらそれ自体の粘度は低く、当該レオロジー改質剤を、水溶液やスラリーに加えると、水溶液やスラリーを増粘させることができる。

実施例1−28の組成物の測定温度20℃における動的粘弾性特性をプロットしたグラフ。

実施例1−28の組成物の電子顕微鏡写真。

実施例6−1の水硬性スラリー組成物を水中に添加したときの写真。

比較例6−1の水硬性スラリー組成物を水中に添加したときの写真。

本発明者らは、種々検討を行った結果、(A)成分の特定の硫酸エステル又はその塩と(B)成分の特定の脂肪酸アルカノールアミドとの組み合わせが、低濃度で高い粘弾性を示す紐状ミセルを形成することを見いだした。水中での界面活性剤のミセル構造に影響する因子の一つに、その界面活性剤の充てんパラメータがある。本発明の(A)成分と(B)成分は、それぞれの充てんパラメータが相違し、これらを混合した系中では、暫定的に(A)成分と(B)成分の混合物を考えるとその混合物の平均(分子数での平均)充てんパラメータが、紐状ミセルを形成するのに適した値となっているものと推察される。 そして、本発明の1つの実施態様では、(C)成分の特定の化合物を用いることで、取り扱い性の良い粘度を有する1液型の形態とすることができる。これは、(C)成分が(A)成分と(B)成分の紐状ミセル構造に介入し、平均充てんパラメータを変化させ、紐状ミセル構造を棒状ミセルや球状ミセル構造に変化させているためであると推察される。また、使用にあたっては、水硬性組成物などのスラリーや水溶液中に(C)成分が拡散し、(A)成分と(B)成分によって紐状ミセル構造を再形成し、低濃度で高い粘弾性を示すことができる。

<レオロジー改質剤> 本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分、及び(B)成分を含有する。

また本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分、(B)成分及び水を含有する。

また本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル及び水を含有する。紐状ミセルが形成されている場合、本発明のレオロジー改質剤は、動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。

本発明のレオロジー改質剤という場合、上記3つのレオロジー改質剤を含む。

<(A)成分> 本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分として、炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩を含有する。

炭化水素基は、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、更に好ましくは直鎖のアルケニル基である。 炭化水素基の炭素数は、高い粘弾性を得る観点から、12以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上、そして、22以下、好ましくは20以下である。

炭化水素基は、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、オレイル基、ステアリル基及びドコシル基から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはミリスチル基、パルミチル基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1以上であり、より好ましくはパルミチル基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはオレイル基、ステアリル基、より更に好ましくはオレイル基である。

アルキレンオキサイドの平均付加モル数は0以上25以下である。 アルキレンオキサイドは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイドが挙げられる。アルキレンオキサイドはエチレンオキサイドが好ましい。(A)成分は、アルキレンオキサイドとしてエチレンオキサイドを含むことが好ましい。

炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、環境への負荷が低い観点から、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は0であることが好ましい。 炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、水への溶解性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、紐状ミセル内における活性剤の配列密度を高める観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下である。 炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、水への溶解性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、そして、紐状ミセル内における活性剤の配列密度を高める観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下である。 (A)成分と後述する(E)成分とを併用し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。 (A)成分と後述する(E)成分とを併用し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上である。

(A)成分の硫酸エステルの塩として、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等から選ばれる無機塩、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、モルホリニウム塩等から選ばれる有機アンモニウム塩が好適である。

(A)成分としては、具体的には、アルキルサルフェート、アルケニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェート、アルキルフェニルサルフェート、アルケニルフェニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテルサルフェートが挙げられ、高い粘弾性を得る観点から、アルケニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェートから選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェートから選ばれる1種以上がより好ましい。

(A)成分としては、高い粘弾性を得る観点から、下記一般式(a1)で表される化合物が好適である。 R1a−O−(R2aO)n−SO3M1 (a1) 〔式中、R1aは、炭素数12以上22以下の炭化水素基であり、R2aは、炭素数2以上4以下のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、nは平均付加モル数であり0以上25以下の数である。M1は水素原子又は陽イオン、好ましくは無機又は有機の陽イオンである。〕

一般式(a1)中、R1aは、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、更に好ましくは直鎖のアルケニル基である。 R1aの炭素数は、高い粘弾性を得る観点から、12以上、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、更に好ましくは18以上、そして、22以下、好ましくは20以下である。

一般式(a1)中、高い粘弾性を得る観点から、R1aは、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、オレイル基、リノール基、ステアリル基及びドコシル基から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはミリスチル基、パルミチル基、リノール基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1以上であり、より好ましくはリノール基、パルミチル基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはリノール基、オレイル基、及びステアリル基から選ばれる1種以上である。また、R1aは、レオロジー改質剤を添加する水の温度が常温近傍、約15℃〜約30℃である場合はオレイル基がより更に好ましい。また、R1aは、レオロジー改質剤を添加する水の温度が比較的高温、約30℃〜約50℃である場合はステアリル基がより更に好ましい。

一般式(a1)中、R1aの炭素数が12以上16以下の場合、nは、環境への負荷が低い観点から、0であることが好ましい。 一般式(a1)中、R1aの炭素数が12以上16以下の場合、nは、水への溶解性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、紐状ミセル内における活性剤の配列密度を高める観点から、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下である。 一般式(a1)中、R1aの炭素数が17以上22以下の場合、nは、水への溶解性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、そして、紐状ミセル内における活性剤の配列密度を高める観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下である。 (A)成分と後述する(E)成分とを併用し、一般式(a1)中、R1aの炭素数が12以上16以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数nは、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。 (A)成分と後述する(E)成分とを併用し、一般式(a1)中、R1aの炭素数が17以上22以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数nは、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上である。

一般式(a1)中、M1は水素原子、あるいはナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の無機陽イオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、モルホリニウムイオン等の有機陽イオンが挙げられ、好ましくはナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンの無機陽イオンであり、より好ましくはナトリウムイオン、アンモニウムイオンである。

(A)成分の平均充てんパラメータは、高い粘弾性を得る観点から、1/3以上1以下が好ましい。本発明において、平均充てんパラメータは以下の式で表される。 平均充てんパラメータ= v/ (a0×lc) v: 炭化水素基の体積 a0 : 界面活性剤の水界面の最適頭部面積 lc: 炭化水素鎖の臨界鎖長

(A)成分のデイビス法で導出されるHLBは、高い粘弾性を得る観点から、10以上40以下が好ましい。

<(B)成分> 本発明のレオロジー改質剤は、(B)成分として、脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドを含有する。

脂肪酸部分の炭化水素基は、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭化水素基であり、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、より好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、更に好ましくは直鎖のアルケニル基である。

脂肪酸部分の炭素数は、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭素数であり、高い粘弾性を得る観点から、10以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、そして、22以下、好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下、より更に好ましくは18である。

脂肪酸アルカノールアミドとしては、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸メチルモノエタノールアミド、脂肪酸エチルモノエタノールアミド、脂肪酸プロピルモノエタノールアミド、脂肪酸メタノールエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等が挙げられ、高い粘弾性を得る観点から、脂肪酸ジエタノールアミドが好ましい。

(B)成分は、例えば、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミドのうち脂肪酸部の炭素数が10以上18以下の化合物、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、及びラウリン酸ジエタノールアミド等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。(B)成分は、水への溶解性を維持し、かつ、高い粘弾性を得る観点から、好ましくはオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミド、及びヤシ脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上であり、より好ましくはオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上であり、更に好ましくはオレイン酸ジエタノールアミドである。

(B)成分は、高級脂肪酸とアルカノールアミンを反応させることにより得られるが、脂肪酸アルカノールアミド以外の副産物が同時に生成される。副産物としては、脂肪酸アルカノールアミドと脂肪酸が脱水縮合した脂肪酸アルカノールアミド脂肪酸モノエステル、脂肪酸アルカノールアミド脂肪酸ジエステル、並びにアルカノールアミンと脂肪酸が脱水縮合した脂肪酸アルカノールアミンモノエステル、脂肪酸アルカノールアミンジエステル等が挙げられる。本発明の(B)成分には、本発明の効果を損なわない限り、前記の副産物を微量に含んでも良い。(B)成分中の前記副産物の含有量は、高い粘弾性を得る観点から、(B)成分100質量部中、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。

本発明のレオロジー改質剤は、水を含有する場合、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、そして、好ましくは99質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下である。 一方、本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、取り扱い性の良い粘度を得る観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。 また本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、巻き返し現象が起こる粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。 一方、本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、取り扱い性の良い粘度を得る観点から、好ましくは12.5質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。 また本発明のレオロジー改質剤は、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、巻き返し現象が起こる粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。 一方、本発明のレオロジー改質剤は、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、取り扱い性の良い粘度を得る観点から、好ましくは12.5質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。 本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ(A)成分と(B)成分の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。

本発明のレオロジー改質剤において、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは3/97以上95/5以下である。更に、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、(A)成分と(B)成分の組み合わせにより、以下の通りとすることが高い粘弾性を得る観点から好適である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、そして、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下、更に好ましくは7/93以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、そして、好ましく45/55以下、より好ましくは35/65以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは55/45以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは35/65以下である。 (A)成分、(B)成分と後述する(E)成分とを併用し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である。 (A)成分、(B)成分と後述する(E)成分とを併用し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である。

(B)成分の平均充てんパラメータは、高い粘弾性を得る観点から、1/2以上2以下が好ましい。

(B)成分のグリフィン法により導出されたHLBは、高い粘弾性を得る観点から、6以上10.5以下が好ましい。

<(C)成分> 本発明のレオロジー改質剤は、取扱い性の良い粘度を有し、液状で1剤の形態のレオロジー改質剤とする観点から、(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有することが好ましい。 すなわち、本発明のレオロジー改質剤の一例として、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する、液状レオロジー改質剤(以下、本発明の液状レオロジー改質剤という場合もある)が挙げられる。なお、以下、本発明のレオロジー改質剤という場合は、本発明の液状レオロジー改質剤を含むものとする。 また本発明の液状レオロジー改質剤は、水を含有することが好ましい。本発明の液状レオロジー改質剤の一例として、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を含有する液状レオロジー改質剤が挙げられる。本発明の液状レオロジー改質剤の他の例として、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び水を含有し、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有する液状レオロジー改質剤が挙げられる。紐状ミセルが形成されている場合、本発明の液状レオロジー改質剤は、動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。

本発明において、(C)成分のオクタノール/水分配係数は、logP値で表される、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告されており、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)などから入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。実測のlogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム“CLOGP"等で計算することができる。このプログラムは、実測のlogP値がある場合にはそれと共に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される“計算logP(ClogP)”の値を出力する。

フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch,P.G.Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値を、化合物の選択に際して実測のlogP値の代わりに用いることができる。本発明では、logPの実測値があればそれを、無い場合はプログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値を用いる。以下、オクタノール/水分配係数を、Log Powと表記する場合もある。

(C)成分は、炭素数1以上10以下の化合物が好ましい。 (C)成分は、ヒドロキシ基を、1つ以上3つ以下有する化合物が好ましい。(C)成分は、ヒドロキシ基を1つ有する化合物及びヒドロキシ基を2つ有する化合物から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。 (C)成分は、分子量が50以上、200以下の化合物が好ましい。

(C)成分は、好ましくはヒドロキシ基を有する有機化合物であり、より好ましくはヒドロキシ基を有する脂肪族化合物であり、更に好ましくはヒドロキシ基を1つ又は2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である脂肪族化合物であり、より更に好ましくは、ヒドロキシ基を2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である、炭素数が5以下の脂肪族化合物である。

(C)成分は、高い粘弾性を得る観点から、溶解パラメータ(Fedors法)が9以上、更に10以上、そして、20以下、更に18以下の化合物が好ましい。以下、溶解パラメータ(Fedors法)を、SP値と表記する場合もある。

(C)成分は、好ましくはヒドロキシ基を有する有機化合物である。ヒドロキシ基を有する有機化合物としては、下記の(C1)及び(C2)から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。 (C1)ヒドロキシ基を有する芳香族化合物 具体的には、ベンジルアルコール(Log Pow 1.10/SP値 9.3)などが挙げられる。 (C2)ヒドロキシ基を有する脂肪族化合物 具体的には、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Log Pow 0.56/SP値 10.5)、2−ブトキシエタノール(Log Pow 0.83/SP値10.8)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(Log Pow 0.05/SP値 11.1)、1−ブタノール(LogPow 0.90/SP値 11.3)、2−メトキシエタノール(Log Pow -0.77/SP値12.0)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(Log Pow 0.02/SP値 10.3)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(Log Pow 1.15/SP値10.4)プロピルプロピレングリコール(Log Pow 0.62/SP値 10.5)、2−ジメチルアミノエタノール(Log Pow -0.58/SP値11.3)、ジエタノールアミン(Log Pow -1.43/SP値 15.4)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(Log Pow 0.58/SP値 13.1)、ジプロピレングリコール(Log Pow -0.70/SP値13.3)、1,3−ブタンジオール(Log Pow -0.85/SP値 14.8)、1,4−ブタンジオール(Log Pow -1.00/SP値15.0)、ジエチレングリコール(Log Pow -1.30/SP値 15.0)、ネオペンチルグリコール(Log Pow 0.23/SP値 13.8)、プロピレングリコール(Log Pow -0.92/SP値15.9)、エチレングリコール(Log Pow -1.36/SP値 17.8)、乳酸(Log Pow -0.62/SP値 14.86)などが挙げられる。

(C)成分は、好ましくは(C2)ヒドロキシ基を有する脂肪族化合物であり、より好ましくはヒドロキシ基を1つ又は2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である脂肪族化合物であり、更に好ましくはヒドロキシ基を2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である、炭素数が5以下の脂肪族化合物である。

(C)成分は、好ましくは、ジエタノールアミン(Log Pow -1.43/SP値 15.4)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(Log Pow 0.58/SP値13.1)、ジプロピレングリコール(Log Pow -0.70/SP値 13.3)、1,3−ブタンジオール(Log Pow -0.85/SP値14.8)、1,4−ブタンジオール(Log Pow -1.00/SP値 15.0)、ジエチレングリコール(Log Pow -1.30/SP値15.0)、ネオペンチルグリコール(Log Pow 0.23/SP値 13.8)、プロピレングリコール(Log Pow -0.92/SP値 15.9)、エチレングリコール(LogPow -1.36/SP値 17.8)、及び乳酸(Log Pow -0.62/SP値14.86)から選ばれる1種以上の化合物である。 (C)成分は、より好ましくは、1,3−ブタンジオール(Log Pow -0.85/SP値 14.8)、1,4−ブタンジオール(Log Pow -1.00/SP値15.0)、ジエチレングリコール(Log Pow -1.30/SP値 15.0)、ネオペンチルグリコール(Log Pow 0.23/SP値 13.8)、プロピレングリコール(Log Pow -0.92/SP値15.9)、エチレングリコール(Log Pow -1.36/SP値 17.8)、及び乳酸(Log Pow -0.62/SP値14.86)から選ばれる1種以上の化合物である。 (C)成分は、臭気と入手性の観点から、ネオペンチルグリコール(Log Pow0.23/SP値 13.8)、及びプロピレングリコール(Log Pow -0.92/SP値15.9)から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。

(C)成分の少ない添加量で低い粘度の液状レオロジー改質剤を得る観点から、(C)成分のオクタノール/水分配係数は、0.03以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、そして、1.15以下が好ましく、0.85以下がより好ましい。この範囲のオクタノール/水分配係数を持つ化合物として、ベンジルアルコール、1−ブタノール、2−ブトキシエタノール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルが好ましく、2−ブトキシエタノールがより好ましい。

(C)成分の少ない添加量で低い粘度の液状レオロジー改質剤を得る観点から、(C)成分のSP値は、9以上が好ましく、10.7以上がより好ましく、そして、11.5以下が好ましく、11.2以下がより好ましく、11以下が更に好ましい。この範囲のSP値を持つものとして、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−ブタノールが好ましく、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルがより好ましく、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノールが更に好ましく、2−ブトキシエタノールがより更に好ましい。

後述するセメントスラリーに添加する場合のスラリー粘度の観点と(C)成分の臭気と入手性の観点から、(C)成分は、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ネオペンチルグリコール及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の化合物が好ましく、ネオペンチルグリコール及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の化合物がより好ましく、プロピレングリコールが更に好ましい。

オクタノール/水分配係数が(C)成分の範囲内であれば、(C)成分として、ヒドロキシ基とカルボキシ基とを有する乳酸(Log Pow -0.62)のような化合物を使用することができる。(A)成分の加水分解抑制の観点からは、(C)成分は、カルボキシ基を有していない化合物が好ましい。 また、オクタノール/水分配係数が(C)成分の範囲内であれば、(C)成分としては、ヒドロキシ基とアミノ基とを有する2−ジメチルアミノエタノール(Log Pow -0.58/SP値11.3)、ジエタノールアミン(Log Pow -1.43/SP値15.4)のような化合物を使用することができる。取り扱い性の良い粘度を有する安定なレオロジー改質剤を得る観点からは、(C)成分はアミノ基を有していない化合物が好ましい。

本発明の液状レオロジー改質剤は、(C)成分として、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−ブタノール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、及びネオペンチルグリコールから選ばれる1種以上の化合物を含有することが好ましい。 (A)成分への影響が少なく、かつ対象物に高い粘弾性を付与し、更に低温における製品安定性を維持する観点から、本発明の液状レオロジー改質剤は、2種以上の(C)成分を含有することが好ましい。この観点から、本発明の液状レオロジー改質剤は、(C)成分として、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−ブタノール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれる2種以上を含有することが好ましく、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールを含有することが好ましい。(C)成分として、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールを含有する場合、プロピレングリコール/ネオペンチルグリコールの質量比は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下である。

なお、ヒドロキシ基を有していてもLog Powが本発明の範囲外である化合物、例えばグリセリン(Log Pow -1.76/SP値16.5)や、Log Powが本発明の範囲内であってもヒドロキシ基を有していない化合物、例えば、メチルアミン(Log Pow -0.71/SP値8.85)、ジメチルアミン(Log Pow -0.20/SP値7.72)、テトラメチルエチレンジアミン(Log Pow 0.30/SP値7.74)では、一液化が困難で、取り扱い性の良い粘度を有する安定なレオロジー改質剤が得られないと考えられる。

本発明の液状レオロジー改質剤は、(C)成分を含有する場合、(A)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する。

本発明の液状レオロジー改質剤は、(C)成分を含有する場合、(B)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは質量7.5%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する。

本発明の液状レオロジー改質剤は、(C)成分を含有する場合、(A)成分と(B)成分を合計で、好ましくは6質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する。

(C)成分が、オクタノール/水分配係数が1以上1.2以下の化合物である場合は、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましく15質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。 また、(C)成分が、オクタノール/水分配係数が0.5以上1未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。 また、(C)成分が、オクタノール/水分配係数が0以上0.5未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。 また、(C)成分が、オクタノール/水分配係数が−0.8以上0未満の化合物である場合は、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。 また、(C)成分が、オクタノール/水分配係数が−0.95以上−0.8未満の化合物である場合は、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは15質量%以上、より好ましくは22質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。 また、(C)成分が、オクタノール/水分配係数が−1.6以上−0.95未満の化合物である場合は、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。

本発明の液状レオロジー改質剤が(C)成分の化合物を複数含有する場合、少なくとも1つの化合物の含有量が、前記の範囲にあることが好ましい。例えば、本発明の液状レオロジー改質剤が(C)成分の化合物を2種含有する場合、少なくとも一方の化合物の含有量が、前記の範囲にあることが好ましい。

(C)成分が、SP値が9以上10未満の化合物である場合は、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましく15質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である。 (C)成分が、SP値が10以上13未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましく50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。 (C)成分が、SP値が13以上13.5未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましく50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。 (C)成分が、SP値が13.5以上14.5未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましく50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である。 (C)成分が、SP値が14.5以上15.5未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましく60質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。 (C)成分が、SP値が15.5以上18未満の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、より更に好ましくは45質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましく60質量%以下である。 (C)成分が、SP値が18以上20以下の化合物である場合は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、当該(C)成分の含有量は、本発明の液状レオロジー改質剤中、好ましくは25質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは45質量%以上、そして、好ましくは55質量%以下、より好ましく80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。

本発明の液状レオロジー改質剤は、水を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下含有する。水は、本発明の液状レオロジー改質剤の残部となる量で用いられるのが好ましい。

本発明のレオロジー改質剤は、(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分ともいう)を含有することが好ましい。(D)成分は、本発明のレオロジー改質剤を適用する対象物、例えば水硬性スラリー組成物が、ベントナイトや粘度鉱物を含有する骨材を含む場合でも、良好なレオロジー改質効果を発現させる観点で好ましい成分である。

粘土鉱物であるベントナイトの結晶構造は珪酸四面体層やアルミナ八面体層が二次元的に結合して層となり、これらが重なり合うことで形成されるが、部分的に珪酸四面体層の珪素がアルミに、またアルミナ八面体層のアルミがマグネシウムとなることで、陽電荷不足となる。そのため、陽電荷不足を補うためにナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどの陽イオンが層間に存在することで電荷不足を中和し、安定な状態を維持している。 しかしながら、層間に存在する陽イオンの結合力が弱いため、他のイオンや、(A)成分、(B)成分などの共有電子対を有する界面活性剤を含む溶液にベントナイトを分散させると、イオン交換が生じ、相互作用を生じるため、(A)成分と(B)成分による、レオロジー改質効果が低下する傾向がある。 そこで、本発明のレオロジー改質剤では、更に(D)成分を併用して、(D)成分の共有電子対をベントナイトや粘土鉱物に吸着させることで、ベントナイトや粘土鉱物を多量に含む水硬性スラリー組成物においても、優れた粘弾性を付与できたものと推定される。

(D)成分のポリエチレングリコールの重量平均分子量は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは4000以上、そして、好ましくは200000以下、より好ましくは110000以下、更に好ましくは80000以下である。 また本発明のレオロジー改質剤が(C)成分を含有する場合、(D)成分のポリエチレングリコールの重量平均分子量は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上、そして、好ましくは200000以下、好ましくは150000以下、より好ましくは120000以下、更に好ましくは90000以下、より更に好ましくは50000以下、より更に好ましくは20000以下である。 また本発明のレオロジー改質剤が(C)成分を含有する場合、(D)成分のポリエチレングリコールの重量平均分子量は、後述するベントナイトスラリーの粘度の観点から、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、更に好ましくは5000以上、そして、好ましくは200000以下、好ましくは150000以下、より好ましくは120000以下、更に好ましくは90000以下、より更に好ましくは50000以下、より更に好ましくは20000以下である。 (D)成分のポリエチレングリコールの重量平均分子量は、レオロジー改質剤の粘度、後述するベントナイトスラリーの粘度及び実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、より更に好ましくは4000以上、より更に好ましくは5000以上、そして、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下、更に好ましくは120000以下、より更に好ましくは110000以下、より更に好ましくは90000以下、より更に好ましくは80000以下、より更に好ましくは50000以下、より更に好ましくは20000以下である。

(D)成分のポリプロピレングリコールの重量平均分子量は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、そして、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下である。

(D)成分のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の重量平均分子量は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、そして、好ましくは30000以下、より好ましくは20000以下である。 また本発明のレオロジー改質剤が(C)成分を含有する場合、(D)成分のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上、そして、好ましくは25000以下、より好ましくは20000以下である。 (D)成分のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の重量平均分子量は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、そして、好ましくは30000以下、より好ましくは25000以下、更に好ましくは20000以下である。

(D)成分の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値であり、(D)成分がポリエチレングリコールの場合、溶媒として水/エタノールを用いることができる。

(D)成分のうち、炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物は、炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以上22以下である。ポリオキシアルキレン基は、ポリオキシエチレン基及びポリオキシプロピレン基から選ばれる基が好ましく、ポリオキシエチレン基がより好ましい。ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは9以上5000以下である。

(D)成分は、実用上十分な粘弾性を得る観点から、重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、及び重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体から選ばれる1種以上のポリマーが好ましく、中でも、重量平均分子量500以上のポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のポリマーが幅広い分子量において実用上十分な粘弾性が得られるため、より好ましい。

本発明のレオロジー改質剤は、水と(D)成分を含有する場合、(D)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。 本発明のレオロジー改質剤が(C)成分と(D)成分を含有する場合、(D)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下含有する。 また、本発明のレオロジー改質剤が(C)成分と(D)成分を含有する場合、該改質剤中の(D)成分の含有量は、ベントナイトスラリーとした時の粘度の観点から、3質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、12質量%以上がより更に好ましく、そして、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましい。 また、本発明のレオロジー改質剤が(C)成分と(D)成分を含有する場合、該改質剤中の(D)成分の含有量は、液状レオロジー改質剤の粘度の観点から、3質量%以上が好ましく、そして、20質量%以下が好ましく、13質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。

本発明の液状レオロジー改質剤の粘度は、作業性の観点から、20℃で、好ましくは1500mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下、更に好ましくは800mPa・s以下、より更に好ましくは500mPa・s以下であり、そして、好ましくは0以上、より好ましくは0を超える。ここで、液状レオロジー改質剤の粘度は、測定対象の液状レオロジー改質剤をスクリュー管(マルエム製、No.7、35mm×78mm)に50g入れ、B型粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMETER TVB−10、ローターM21)を用いて回転数12rpmで撹拌し、3分後に測定した値である。

本発明のレオロジー改質剤は、水を含有する場合、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有する。そして、この紐状ミセルは、配管内を圧送される水に添加した際、乱流や水と配管との摩擦抵抗を抑え、圧送エネルギー損失を抑える効果があるが、従来の高分子と異なり、圧送ポンプの強いせん断力によって構造が破壊されても、ポンプを通過し、せん断力が低下すれば紐状ミセル構造が再生するため、水の圧送エネルギーを低減させる組成物として好適である。 こうした特性から、本発明のレオロジー改質剤は、増粘剤、チキソトロピー付与剤などとして適度な粘弾性が要求される用途にも好適に用いられる。例えば、増粘ゲル化剤、配管摩擦抵抗低減剤、インク用添加剤、農薬助剤、潤滑剤、ワックス、などとして有用である。 本発明のレオロジー改質剤は、水硬性スラリー用レオロジー改質剤としてより有用である。すなわち、水硬性粉体を含有するスラリー用のレオロジー改質剤としてより有用である。本発明のレオロジー改質剤は、水硬性スラリーに対して、材料分離抑制、水中分離抑制といった効果を付与できる。本発明のレオロジー改質剤は、例えば、水中不分離コンクリート、吹付用コンクリート用、トンネル補修用、水平でない壁への施工用、坑井掘削用の添加剤、シールド工法用として用いることができる。また、本発明のレオロジー改質剤は、工事領域を枠で囲って枠内の水を排水することなしに、護岸工事を行う用途などに用いることができる。

本発明のレオロジー改質剤において、(A)成分と(B)成分から紐状ミセルが形成していることは電子顕微鏡写真により確認できる。

また本発明のレオロジー改質剤において、(A)成分と(B)成分から紐状ミセルが形成している場合、組成物の動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。この挙動は「界面活性剤水溶液の粘弾性特性」(四方俊幸、表面 vol.29、No5(1991)、p399-499)の記載から、有限の分子量を有する高分子状構造の絡み合いを示唆するものであり、無限の分子量を有する完全な紐状ミセル形状ではないが、実用上有用な粘弾性を発現するために十分な長さの紐状ミセルが形成していると推察することが出来る。

本発明のレオロジー改質剤は、配管摩擦抵抗低減剤としても用いることができる。 配管摩擦抵抗低減剤とは、密閉循環系を形成する配管中の水に添加することにより、水の乱流を抑え、さらに配管と水との摩擦抵抗を低減させて冷温水ポンプの搬送動力(圧送エネルギー)を軽減させる剤をいう。 配管摩擦抵抗低減剤には、本発明のレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。 冷温水ポンプの密閉循環系の水に、本発明の配管摩擦低減剤を添加すると、(A)成分と(B)成分が紐状ミセルを形成し、この紐状ミセルが循環水の乱れのエネルギー(乱流渦)を吸収し、循環水の流れを乱流から層流に変化させることができる。これにより、配管内の摩擦が低減されるため、冷温水ポンプの搬送動力を低減させることができる。 また配管摩擦低減剤には、カチオン性界面活性剤と芳香族アニオン活性剤を含むものが提案されており、例えば特開昭58−185692号公報が挙げられる。

本発明のレオロジー改質剤は、増粘ゲル化剤としても用いることができる。 増粘ゲル化剤には、本発明のレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。 本発明の増粘ゲル化剤は、(A)成分と(B)成分が紐状ミセルを形成することで、高い粘弾性を有するため、例えば、洗浄剤組成物に添加すれば、垂直又は傾斜した硬質等の汚れた表面に対して、より長い間付着させることができ、高い洗浄効果を上げることができる。

本発明のレオロジー改質剤は、水硬性スラリー組成物のレオロジー改質剤として使用する場合、カチオン界面活性剤を含有しない為、粘土を含む砂も使用可能であり、また粘土を含む場所での施工も可能である。また、ベントナイトは建築土木用のレオロジー改質剤として広く利用されているが、ベントナイトとも併用が可能である。

本発明は、(A)成分と(B)成分及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と水とを含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての用途を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と水とを含む混合物の、レオロジー改質剤としての用途を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と水とを含み、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 これらの使用又は用途には、上記で述べた事項、例えば(A)成分、(B)成分、(C)成分の好ましい態様を、適宜適用することができる。

本発明のレオロジー改質剤は、(E)分散剤(以下、(E)成分ともいう)を含有することができる。(E)成分は、本発明のレオロジー改質剤を適用する対象物が、水硬性スラリー組成物の場合、良好なレオロジー改質効果と流動性を発現させる観点で好ましい成分である。 即ち、本発明は、(A)成分と(B)成分、及び(E)成分を含むレオロジー改質剤を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分、(C)成分及び(E)成分を含むレオロジー改質剤を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を含むレオロジー改質剤を提供する。

本発明のレオロジー改質剤は、(A)成分と(B)成分の合計が、対象物、すなわち水、又はスラリーもしくは水溶液中の水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下となるように用いられる。

<水硬性スラリー組成物用混和剤> (E)成分を含有する本発明のレオロジー改質剤は、水硬性スラリー組成物用混和剤として有用である。 即ち、本発明は、(A)成分と(B)成分、及び(E)成分を含む水硬性スラリー組成物用混和剤を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分、(E)成分及び水を含む水硬性スラリー組成物用混和剤を提供する。 本発明の水硬性スラリー組成物用混和剤という場合、上記2つのレオロジー改質剤を含む。 本発明の水硬性スラリー組成物用混和剤には、本発明のレオロジー改質剤で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明の水硬性スラリー組成物用混和剤において、(E)成分である分散剤としては、ナフタレン系重合体、ポリカルボン酸系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体が挙げられる。

ナフタレン系重合体としては、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(花王株式会社製マイテイ150等)、メラミン系重合体としてはメラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物(例えば花王株式会社製マイテイ150−V2)、フェノール系重合体としては、フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(特開昭49−104919号公報に記載の化合物等)、リグニン系重合体としてはリグニンスルホン酸塩(ボレガード社製ウルトラジンNA、日本製紙ケミカル株式会社製サンエキス、バニレックス、パールレックス等)等を用いることができる。

ポリカルボン酸系共重合体としては、ポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体(例えば特開平8−12397号公報に記載の化合物等)、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸との共重合体、ポリアルキレングリコールを有する不飽和アルコールとマレイン酸等のジカルボン酸との共重合体等を用いることができる。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれるカルボン酸の意味である。

より詳細には、(E)成分は、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、(E3)下記重縮合生成物からなる分散剤(以下、PAE系分散剤ともいう)、(E4)リグニン系分散剤、及び(E5)メラミン系分散剤から選ばれる1種以上の分散剤が挙げられる。 <重縮合生成物> 下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物 〔成分E31〕 5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物 〔成分E32〕 (E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)

(E)成分は、水硬性スラリー組成物の流動性の観点から、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、及び(E4)リグニン系分散剤から選ばれる1種以上が好ましく、(E1)ナフタレン系分散剤、及び(E2)ポリカルボン酸系分散剤から選ばれる1種以上がより好ましく、(E2)ポリカルボン酸系分散剤が更に好ましい。以下、分散剤について説明する。

(E1)ナフタレン系分散剤 ナフタレン系分散剤としては、好ましくはナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩が挙げられる。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物又はその塩である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、性能を損なわない限り、単量体として、例えばメチルナフタレン、エチルナフタレン、ブチルナフタレン、ヒドロキシナフタレン、ナフタレンカルボン酸、アントラセン、フェノール、クレゾール、クレオソート油、タール、メラミン、尿素、スルファニル酸及び/又はこれらの誘導体などのような、ナフタレンスルホン酸と共縮合可能な芳香族化合物と共縮合させても良い。

ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、例えば、マイテイ150、デモール N、デモール RN、デモール MS、デモールSN−B、デモール SS−L(いずれも花王株式会社製)、セルフロー 120、ラベリン FD−40、ラベリン FM−45(いずれも第一工業株式会社製)などのような市販品を用いることができる。

ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、水硬性スラリー組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは80,000以下、より更に好ましくは50,000以下、より更に好ましくは30,000以下である。そして、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、水硬性スラリー組成物の流動性向上の観点から、重量平均分子量が、好ましくは1,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは4,000以上、より更に好ましくは5,000以上である。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は酸の状態あるいは中和物であってもよい。

ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の分子量は下記条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定することができる。 [GPC条件] カラム:G4000SWXL+G2000SWXL(東ソー) 溶離液:30mM CH3COONa/CH3CN=6/4 流量:0.7ml/min 検出:UV280nm サンプルサイズ:0.2mg/ml 標準物質:西尾工業(株)製 ポリスチレンスルホン酸ソーダ換算(単分散ポリスチレンスルホン酸ナトリウム:分子量、206、1,800、4,000、8,000、18,000、35,000、88,000、780,000) 検出器:東ソー株式会社 UV−8020

ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩の製造方法は、例えば、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとを縮合反応により縮合物を得る方法が挙げられる。前記縮合物の中和を行ってもよい。また、中和で副生する水不溶解物を除去してもよい。具体的には、ナフタレンスルホン酸を得るために、ナフタレン1モルに対して、硫酸1.2〜1.4モルを用い、150〜165℃で2〜5時間反応させてスルホン化物を得る。次いで、該スルホン化物1モルに対して、ホルムアルデヒドとして0.93〜0.99モルとなるようにホルマリンを85〜105℃で、3〜6時間かけて滴下し、滴下後95〜105℃で縮合反応を行う。さらに、得られる縮合物の水溶液は酸性度が高いので貯槽等の金属腐食を抑制する観点から、得られた縮合物に、水と中和剤を加え、80〜95℃で中和工程を行うことができる。中和剤は、ナフタレンスルホン酸と未反応硫酸に対してそれぞれ1.0〜1.1モル倍添加することが好ましい。また、中和により生じる水不溶解物を除去することができ、その方法として好ましくは濾過による分離が挙げられる。これらの工程によって、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物水溶性塩の水溶液が得られる。この水溶液は、そのままナフタレン系分散剤の水溶液として使用することができる。更に必要に応じて該水溶液を乾燥、粉末化して粉末状のナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩を得ることができ、これを粉末状のナフタレン系分散剤として使用することができる。乾燥、粉末化は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥等により行うことができる。

(E2)ポリカルボン酸系分散剤 ポリカルボン酸系分散剤としては、下記一般式(e21)で示される単量体(e21)を構成単量体として含む共重合体が初期流動性の観点から、好ましい。 ポリカルボン酸系分散剤としては、下記一般式(e21)で示される単量体(e21)と下記一般式(e22)で示される単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体がより好ましい。

〔式中、 R1e、R2e:同一でも異なっていても良く、水素原子又はメチル基 R3e:水素原子又は−COO(AO)n1X1e X1e:水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基 AO:エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基から選ばれる基 n1:AOの平均付加モル数であり、1以上300以下の数 q:0以上2以下の数 p:0又は1の数 を示す。〕

〔式中、 R4e、R5e、R6e:同一でも異なっていても良く、水素原子、メチル基又は(CH2)rCOOM2eであり、(CH2)rCOOM2eは、COOM1e又は他の(CH2)rCOOM2eと無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1e、M2eは存在しない。 M1e、M2e:同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロアルキル基又はアルケニル基 r:0以上2以下の数 を示す。〕

一般式(e21)中、R1eは、流動保持性の観点から、水素原子が好ましい。 一般式(e21)中、R2eは、流動保持性の観点から、メチル基が好ましい。 一般式(e21)中、R3eは、流動保持性の観点から、水素原子が好ましい。 一般式(e21)中、X1eは、流動保持性の観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。 一般式(e21)中、AOは、流動保持性の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。AOはエチレンオキシ基を含むことが好ましい。 一般式(e21)中、n1は、AOの平均付加モル数であり、水硬性スラリー組成物の流動性及び粘性、並びに材料分離抵抗性の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下、更に好ましくは150以下、より更に好ましくは130以下である。 一般式(e21)中、流動保持性の観点から、pは、1が好ましい。

一般式(e22)中、流動保持性の観点から、R4eは、水素原子が好ましい。 一般式(e22)中、流動保持性の観点から、R5eは、メチル基が好ましい。 一般式(e22)中、流動保持性の観点から、R6eは、水素原子が好ましい。 (CH2)rCOOM2eについては、COOM1e又は他の(CH2)rCOOM2eと無水物を形成していてもよく、その場合、それらの基のM1e、M2eは存在しない。 M1eとM2eは同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、置換アルキルアンモニウム基、アルキル基、ヒドロアルキル基又はアルケニル基である。 M1e、M2eのアルキル基、ヒドロアルキル基、及びアルケニル基は、それぞれ、炭素数1以上4以下が好ましい。 M1eとM2eは、同一でも異なっていても良く、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、アンモニウム基、又はアルキルアンモニウム基が好ましく、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又はアンモニウム基がより好ましく、水素原子、アルカリ金属、又はアルカリ土類金属(1/2原子)が更に好ましく、水素原子、又はアルカリ金属がより更に好ましい。 流動保持性の観点から、一般式(e22)中の(CH2)rCOOM2eのrは、1が好ましい。

単量体(e21)を構成単量体として含む共重合体は、流動保持性の観点から、構成単量体中の単量体(e21)の合計量が、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。 単量体(e21)と単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体は、流動保持性の観点から、構成単量体中の単量体(e21)と単量体(e22)の合計量が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、そして、好ましくは100質量%以下である。この合計量は、100質量%であってもよい。

単量体(e21)と単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体は、単量体(e21)と単量体(e22)の合計中の単量体(e22)の割合が、水硬性スラリー組成物の流動保持性の観点から、好ましくは40モル%以上、そして、好ましくは99モル%以下、より好ましくは97モル%以下、更に好ましくは95モル%以下である。

ポリカルボン酸系分散剤、更に単量体(e21)を構成単量体として含む共重合体、更に単量体(e21)と単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体の重量平均分子量は、水硬性スラリー組成物の流動保持性の観点から、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、更に好ましくは40,000以上、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは100,000未満、更に好ましくは80,000以下である。

ポリカルボン酸系分散剤、更に単量体(e21)を構成単量体として含む共重合体、更に単量体(e21)と単量体(e22)とを構成単量体として含む共重合体の重量平均分子量及び数平均分子量は、それぞれ、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されたものである。 *GPC条件 装置:GPC(HLC−8320GPC)東ソー株式会社製 カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー株式会社製) 溶離液:0.2Mリン酸バッファー/CH3CN=9/1 流量:1.0mL/min カラム温度:40℃ 検出:RI サンプルサイズ:0.2mg/mL 標準物質:ポリエチレングリコール換算(分子量既知の単分散ポリエチレングリコール、分子量87500、250000、145000、46000、24000)

ポリカルボン酸系分散剤は、AOの平均付加モル数や単量体(e21)単量体(e22)の割合などが異なる分散剤を2種以上用いることもできる。

(E3)PAE系分散剤 PAE系分散剤は、下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物からなる。 〔成分E31〕 5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物 〔成分E32〕 (E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)

PAE系分散剤は、3種までの成分E31、E32、及びE33を構成要素とする、場合によっては成分E32を使用しないこともできる。

成分E31は、炭素数5から10の芳香族化合物又は複素芳香族化合物であり、複素芳香族化合物において、炭素原子のいくつか、好ましくは1から5の炭素原子、より好ましくは1から3、最も好ましくは1又は2の炭素原子は、ヘテロ原子によって置換されている。好適なヘテロ原子は、例えば、O、N、S、及び/又はPである。本化合物は、平均して、1種以上の基、好ましくは1種の基を含む。それは、上記芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり1から300の、オキシエチレン[−CH2−CH2−O−]及びオキシプロピレン[−CH(CH3)−CH2−O−及び/又は(−CH2−CH(CH3)−O−)]からなる群より選択される基を有している。

このような基は均一の化合物であることができるが、2又は3の炭素原子を含むオキシアルキレン基(すなわち、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン)の数が異なり、当該オキシアルキレン基の端部のユニットの化学構造は同一である成分の混合物であることが有利なはずであり、また場合によっては、化学的に異なる芳香族化合物の混合物も使用することができる。これらのような混合物を与える、成分中に存在する1分子当たり2又は3の炭素原子からなるオキシアルキレン基の平均数は、1から300、好ましくは2から280、特に好ましくは10から200である。少なくとも3、特に少なくとも4、好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも20のオキシアルキレン基を有する化合物も好ましい。

実施形態において、好ましくはフェノール、ナフトール、アニリン、又はフルフリルアルコール誘導体が、芳香族化合物又は複素芳香族化合物E31として使用される。本発明のために、成分E31はOH、OR7e、NH2、NHR7e、N(R7e)2、C1−C10アルキル、SO3H、COOH、PO3H2、及びOPO3H2からなる群より選択される置換基(ここでC1−C10アルキル基はまた、フェニル又は4−ヒドロキシフェニル基を有していてもよく、R7eはC1−C4アルキル基である)を有することができる。

成分E31の具体例は、1モルのフェノール、クレゾール、レソルシノール、ノニルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、ビスフェノールA、アニリン、メチルアニリン、ヒドロキシアニリン、メトキシアニリン、フルフリルアルコール、又は/及びサリチル酸の、1から300モルのオキシエチレン及び/又はオキシプロピレンラジカルとの付加体である。ホルムアルデヒドとの縮合の実施が容易であるという観点から、成分E31は、C1−C10アルキル基を有することができるベンゼン誘導体の付加化合物であることが好ましい(例えば、フェノール)。より好ましくはアルキレンオキシドとフェノールの付加化合物である。

成分E31に対する芳香族の出発成分は、場合によっては2又は3の炭素原子を有する1種以上のオキシアルキレン基を既に含んでおくことができ、このような場合には、出発物質のオキシアルキレン基を含む成分と、付加反応によって付加されるオキシアルキレン基を持つ成分との両方のオキシアルキレン基の和が、1分子当たり1から300に及ぶ。

そのポリ(オキシアルキレン)基が成分E31に対する芳香族出発成分へ導入された物質は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。付加反応は、ランダムの順序又はブロック構造の形態のいずれかで行うことができる。成分E31のポリ(オキシアルキレン)基の末端のユニットは、ヒドロキシル基に限定されず、この基がホルムアルデヒド又はアルデヒド酸成分との縮合を妨げない限りにおいて、アルキルエーテル又はカルボン酸エステルからなることもできる。

成分E32は、(E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される少なくとも1つの芳香族化合物である。

好ましい実施形態において、芳香族化合物である成分E32は、OH、NH2、OR8e、NHR8e、NR8eR8e、COOH、C1−C4アルキル、SO3H、PO3H2、OPO3H2からなる群より選択される置換基を有しており、ここで上記アルキル基はまた、フェニル又は4−ヒドロキシフェニル基を有してもよく、R8eはC1−C4アルキル基又は(ポリ)オキシC2−C3アルキレン基(1から300のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドユニットを有する)であり、また、それはOH、COOH、SO3H、PO3H2、OPO3H2からなる群より選択される置換基を有してもよい。その例として挙げられるのは、フェノール、フェノキシ酢酸、フェノキシエタノール、フェノキシエタノールホスフェート(モノ−、ジ−、若しくはトリエステル、又はその混合物である)、フェノキシジグリコール、又はフェノキシ(ポリ)エチレングリコールホスフェート(モノ−、ジ−、若しくはトリエステル、又はその混合物である)、フェノキシジグリコールホスフェート、メトキシフェノール、レソルシノール、クレゾール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、アニリン、メチルアニリン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニル−N,N−ジプロパン酸、N−フェニル−N,N−二酢酸、N−フェニルジエタノールアミンジホスフェート、フェノールスルホン酸、アントラニル酸、コハク酸モノアミド、フルフリルアルコール、メラミン、及び尿素である。

成分E33は、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、並びにその混合物からなる群より選択されるアルデヒド化合物であり、ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Csなど、特にNa、K)若しくはアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Baなど)、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。通常、ホルムアルデヒドは、酸性基又はそれらの適切な塩を含むさらなるアルデヒドと組み合わせて使用される。ホルムアルデヒドを存在させずに重縮合を行うことも可能である。アルデヒド成分の少なくとも1つに酸性基が存在することが、得られるポリマーを可塑剤として使用するのに好ましく、これは可塑化効果に必要とされる、セメント粒子表面上へのポリマーの吸着させることができるためである。しかしながら、酸性基が、好適な成分E32を介して導入されるのであれば、酸性基を含むアルデヒドの使用を省くこともできる。好ましいアルデヒドの酸誘導体としてアルデヒドカルボン酸、アルデヒドスルホン酸、及びアルデヒドホスホン酸が挙げられる。特に好ましいのが、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、又はベンズアルデヒドジスルホン酸の使用である。

これらのアルデヒドの酸誘導体の一価塩又は二価塩として、好ましいのがアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム塩、及びアンモニウム塩、又は有機アミンの塩の使用である。好ましい実施形態において、ホルムアルデヒドのアルデヒド酸成分に対する比は、1:0.1から1:100、より好ましくは1:0.5から1:50、最も好ましくは1:0.5から1:20である。

アルデヒド成分は、好ましくはそれらの水溶液の形態で使用される。水溶液の形態で使用した場合は、工業的に実施される合成において成分の計量又は混合をかなり簡素化させるが、純粋な結晶若しくは紛状物質、又はそれらの水和物の使用も可能である。

成分E31、E32、及びE33のモル比は、広い数値範囲内で変動可能であるが、成分E33:成分E31(適用可能であれば成分E31+成分E32)のモル比は1:0.01から1:10が好ましい。より好ましくは1:0.1から1:8に設定することである。また、成分E31:成分E32のモル比は10:1から1:10に設定するのが特に有利である。

初期流動性と流動保持性の観点から、成分E31としては、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテルが好ましい。初期流動性と流動保持性の観点から、オキシエチレンの平均付加モル数は5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、25以上がより更に好ましく、30以上がより更に好ましい、そして、300以下が好ましく、200以下がより好ましく、100以下が更に好ましく、50以下がより更に好ましい。

初期流動性及び流動保持性の観点から、成分E32としては、フェノキシエタノールホスフェート、フェノール、フェノキシエタノール、アントラニル酸、フェノキシ酢酸が好ましく、フェノキシエタノールホスフェートがより好ましい。

初期流動性及び流動保持性の観点から、成分E33としては、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸が好ましく、ホルムアルデヒドがより好ましい。

初期流動性及び流動保持性の観点から、E31成分とE32成分とE33成分の仕込モル比は、例えば、1モル:2モル:3モルとすることができる。

PAE系分散剤の重量平均分子量は、初期流動性及び流動保持性の観点から、10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、18000以上が更に好ましく、そして、50000以下が好ましく、40000以下がより好ましく、35000以下が更に好ましく、30000以下がより更に好ましく、25000以下がより更に好ましい。

PAE系分散剤である重縮合生成物は、特表2008−517080に記載の方法で製造できる。

好ましいPAE系分散剤として、下記成分E31、成分E32、及び成分E33からなり、前記成分E33:(成分E31+成分E32)のモル比が1:0.01から1:10であり、前記成分E31:成分E32のモル比が10:1から1:10である重縮合生成物からなる分散剤が挙げられる。 〔成分E31〕 フェノール、クレゾール、レソルシノール、ノニルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール、メチルナフトール、ブチルナフトール、及びビスフェノールAからなる群より選択される芳香族化合物に対して、O原子又はN原子を介して、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が結合した化合物 〔成分E32〕 フェノキシ酢酸、フェノキシエタノール、フェノキシエタノールホスフェート、フェノキシジグリコール、及びフェノキシ(ポリ)エチレングリコールホスフェートからなる群より選択される、少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、又はPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい)

上記重縮合生成物では、前記アルデヒド成分E33が、ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒドスルホン酸、及びベンズアルデヒドジスルホン酸からなる群より選択される化合物であることが好ましい。 また、上記重縮合生成物では、前記成分E33:(E31+E32)のモル比が1:0.1から1:8であることが好ましい。

(E4)リグニンスルホン酸系分散剤 リグニンスルホン酸系分散剤はリグニンスルホン酸塩又はその誘導体である。リグニンスルホン酸塩又はその誘導体は、水硬性スラリー組成物において、分散剤、減水剤、AE剤としての機能を有するものであってよい。

リグニンスルホン酸塩又はその誘導体は、市販品を用いることが出来る。例えば、減水剤およびAE減水剤として、BASFジャパン社のマスターポゾリスNo.70、マスターポリヒード15Sシリーズ、フローリック社のフローリックSシリーズ、フローリックRシリーズ、グレースケミカル社のダーレックスWRDA、日本シーカ社のプラスクリートNC、プラスクリートR、山宗化学社のヤマソー80P、ヤマソー90シリーズ、ヤマソー98シリーズ、ヤマソー02NL−P、ヤマソー02NLR−P、ヤマソー09NL−P、ヤマソーNLR−P、竹本油脂社のチューポールEX60シリーズ、チューポールLS−Aシリーズ、リグエース社のリグエースUAシリーズ、リグエースURシリーズ、リグエースVFシリーズなどが挙げられる。

リグニンスルホン酸塩、若しくはその誘導体の具体例を以下に挙げる。 (I)リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又はアミン塩 (II)リグニンスルホン酸塩にアミン化合物又はアミノ基が導入されたリグニン誘導体(例えば、特開2016-108183号) (III)リグニンスルホン酸塩とホルムアルデヒドと反応させたリグニン誘導体(例えば、特開2015-229764号) (IV)酸化リグニン、スルホン化リグニンなどの変性リグニン(例えば、特開2003-2714号) (V)リグニンスルホン酸化合物ポリオール複合体(例えば、特開2007-105899号) (VI)下記1)〜3)のリグニンスルホン酸塩変性物(例えば、特開2007-261119号) 1)リグニンスルホン酸又はその塩と、官能基を有するアクリル系モノマーとをグラフト共重合したリグニンスルホン酸塩変性物 2)リグニンスルホン酸又はその塩と、官能基を有するビニル系モノマーとをグラフト共重合したリグニンスルホン酸塩変性物 3)リグニンスルホン酸又はその塩にナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物を付加したリグニンスルホン酸塩変性物 (VII)リグニンスルホン酸塩にポリアルキレングリコール化合物を導入したリグニン誘導体(例えば、特開2015-193804号) (VIII)リグニンスルホン酸系化合物と水溶性単量体との反応物(例えば、特開2011-240224号) ここで、リグニンスルホン酸系化合物としては、リグニンのヒドロキシフェニルプロパン構造の側鎖α位の炭素が開裂してスルホン基が導入された骨格を有する化合物が挙げられる。 また、水溶性単量体としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン基、ニトロキシル基、カルボニル基、リン酸基、アミノ基、エポキシ基などのイオン性官能基、その他極性基を少なくとも1種類以上有する化合物が挙げられる。 (IX)下記4)〜5)のリグニンスルホン酸誘導体(例えば、特開2015-212216号) 4)リグニンスルホン酸系化合物に含まれるフェノール性ヒドロキシル基、アルコール性ヒドロキシル基、チオール基などの官能基に、少なくとも1種の水溶性単量体を反応させて得られるリグニン誘導体 5)リグニンスルホン酸系化合物に(通常は該化合物の官能基に)、少なくとも1種の水溶性単量体を、ラジカル開始剤を用いてラジカル共重合することによって得られるリグニン誘導体 ここで、リグニンスルホン酸系化合物は、特に限定されないが、木材を亜硫酸法によって蒸解して得られるものが例示される。 また、水溶性単量体のうち、リグニンスルホン酸系化合物に含まれるフェノール性ヒドロキシル基および/またはアルコール性ヒドロキシル基と反応し得る水溶性単量体として、エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドなどが挙げられる。 また、水溶性単量体のうち、リグニンスルホン酸系化合物に含まれるチオール基と反応し得る水溶性単量体として、エチレンオキシドやプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド、エチレンイミンやプロピレンイミンなどのアルキレンイミンなどが挙げられる。 また、ラジカル共重合に用いる水溶性単量体として、特開2015-212216号の[0071]〜[0074]に記載の単量体、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸への炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドの1〜500モル付加物類、アリルアルコールにアルキレンオキシドを2〜300モル付加して得られるアルキレンオキシド付加化合物類等が挙げられる。

(E5)メラミン系分散剤 メラミン系分散剤は、以下のものが挙げられる。 メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩は、メラミンにホルムアルデヒドを反応させて得られたN−メチロール化メラミンに重亜硫酸塩を反応させてメチロール基の一部をスルホメチル化し、次いで酸を加えてメチロール基を脱水縮合させてホルムアルデヒド縮合物とし、アルカリで中和して得られる公知の化合物である(例えば特公昭63−37058号公報参照)。アルカリとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、モノ、ジ、トリアルキル(炭素数2〜8)アミン、モノ、ジ、トリアルカノール(炭素数2〜8)アミン等を挙げることができる。

市販品として、マイテイ150V−2(花王(株)製)、SMF−PG(日産化学工業(株))、メルフロー(三井化学(株))、メルメントF−10(昭和電工(株)製)、スーパーメラミン(日産化学社製)、フローリックMS(フローリック社製)、メルメントF4000、メルメントF10M、メルメントF245(いずれもBASFジャパン社製)等がある。

メラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは5000以上、そして、好ましくは10万以下、より好ましくは5万以下、更に好ましくは2万以下である(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法、ポリスチレンスルホン酸換算)。

本発明の水硬性スラリー組成物用混和剤は、水と(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な水硬性スラリー組成物の流動性及び良好な水硬性スラリー組成物用混和剤の長期保存安定性を得る観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。

本発明の水硬性スラリー組成物用混和剤は、(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、良好な水硬性スラリーの粘弾性及び水硬性スラリー組成物用混和剤の長期保存安定性の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である。

本発明は、(A)成分と(B)成分、(E)成分及び水を含む混合物の、水硬性スラリー組成物用混和剤としての使用を提供する。 また本発明は、(A)成分と(B)成分、(E)成分及び水を含む混合物の、水硬性スラリー組成物用混和剤としての用途を提供する。 (A)成分と(B)成分、及び(E)成分の好ましい態様は、上記で述べた事項を適宜適用することができる。

<水のレオロジー改質方法> 本発明の水のレオロジー改質方法は、(A)成分及び(B)成分を水に混合する、水のレオロジー改質方法である。

また本発明の水のレオロジー改質方法は、(A)成分及び(B)成分を水に混合し、(A)成分と(B)成分が紐状ミセルを形成する、水のレオロジー改質方法である。

本発明の水のレオロジー改質方法という場合、上記2つのレオロジー改質方法を含む。 また本発明の水のレオロジー改質方法には、本発明のレオロジー改質剤、及び水硬性スラリー組成物用混和剤で述べた事項を適宜適用することができる。 ここで、本発明の水のレオロジー改質方法における、水としては、水そのものの他、水溶液中の水、スラリー中の水を含む。従って、本発明の水のレオロジー改質方法は、水又は水を含む液体組成物のレオロジー改質方法でもある。

本発明の水のレオロジー改質方法は、(A)成分の泡立ちを低減する観点から、(B)成分を水に混合した後、(A)成分を添加し混合することが好ましい。 すなわち、本発明の水のレオロジー改質方法は、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドを水に混合した後、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩を添加し、混合する、水のレオロジー改質方法が好ましい。

本発明の水のレオロジー改質方法では、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の合計が、対象物、すなわち水、又はスラリーもしくは水溶液中の水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下となるように用いる。

<スラリー組成物> 本発明のスラリー組成物は、(A)成分、(B)成分、粉体及び水を含有する。

また本発明のスラリー組成物は、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセル、粉体及び水を含有する。紐状ミセルが形成されている場合、本発明のスラリー組成物は、該スラリー組成物の(A)成分、(B)成分及び水の組成で調製した水溶液の動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。

本発明のスラリー組成物という場合、上記2つのスラリー組成物を含む。 また本発明のスラリー組成物には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、及び水のレオロジー改質方法で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明の粉体としては、本発明の効果に影響のない範囲内で無機粉体を用いることができる。無機粉体としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。無機粉体のうち、水硬性粉体を用いるものが、水硬性スラリー組成物である。 (1)セメント、石膏などの水硬性粉体 (2)フライアッシュ、シリカフューム、火山灰、けい酸白土などのポソラン作用を持つ粉体 (3)石炭灰、高炉スラグ、けい藻土などの潜在水硬性粉体 (4)カオリン、ケイ酸アルミニウム、クレー、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、セリサイト、ベントナイトなどのケイ酸塩 (5)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸鉛などの炭酸塩 (6)硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩 (7)ストロンチウムクロメート、ピグメントイエローなどのクロム酸塩 (8)モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸マグネシウムなどのモリブデン酸塩 (9)アルミナ、酸化アンチモン、酸化チタニウム、酸化コバルト、四酸化三鉄、三酸化ニ鉄、四酸化三鉛、一酸化鉛、酸化クロムグリーン、三酸化タングステン、酸化イットリウムなどの金属酸化物 (10)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、メタチタン酸などの金属水酸化物 (11)炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、炭化チタンなどの金属炭化物 (12)窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、チタン酸バリウム、サチンホワイト、カーボンブラック、グラファイト、クロムイエロー、硫化水銀、ウルトラマリン、パリスブルー、チタニウムイエロー、クロムバーミリオン、リトポン、アセト亜ヒ酸銅、ニッケル、銀、パラジウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの、上記(1)〜(11)に分類されない他の無機粉体

粉体は、水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物が挙げられる。また粉体は、セメント又はセメントとベントナイトとの混合粉体が挙げられる。

本発明のスラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。 また本発明のスラリー組成物は、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、スラリー組成物中における泡立ち抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。 また本発明のスラリー組成物は、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。 本発明のスラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ(A)成分と(B)成分の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。

また本発明のスラリー組成物は、(C)成分を含有することができる。 (C)成分を含有する場合、本発明のスラリー組成物中の(C)成分の含有量は、水100質量部に対して、液状レオロジー改質剤の作業性の観点から、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、そして、優れた粘弾性を付与する観点から、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。

また本発明のスラリー組成物は、(D)成分を含有することができる。 (D)成分を含有する場合、本発明のスラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。 また(C)成分と(D)成分を含有する場合、本発明のスラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、スラリー組成物がベントナイトや粘土鉱物を含む場合のレオロジー効果発現の観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.35質量部以上、更に好ましくは0.45質量部以上、そして、スラリー組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。 また(D)成分を含有する場合、本発明のスラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、スラリー組成物がベントナイトや粘土鉱物を含む場合のレオロジー効果発現、及び実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.35質量部以上、より更に好ましくは0.45質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、そして、スラリー組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。ここでの水は、スラリー組成物の水相部分の水である。

本発明のスラリー組成物は、水/粉体比(W/P)が、スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは12質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは100質量%以上、より更に好ましくは150質量%以上、そして、スラリー組成物の乾燥による収縮を抑える観点から、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは500質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である。 ここで、水/粉体比(W/P)は、スラリー組成物中の水と粉体の質量百分率(質量%)であり、水/粉体×100で算出される。

<スラリー組成物の製造方法> 本発明のスラリー組成物の製造方法は、本発明のレオロジー改質剤、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法である。

また本発明のスラリー組成物の製造方法は、本発明のレオロジー改質剤、粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有するスラリー組成物を調製する、スラリー組成物の製造方法である。

本発明のスラリー組成物の製造方法という場合、上記2つのスラリー組成物の製造方法を含む。 また本発明のスラリー組成物の製造方法には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法及びスラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明のスラリー組成物の製造方法は、予め水と粉体とを含むスラリーを調製し、本発明のレオロジー改質剤を該スラリーに添加し、混合してスラリー組成物を製造することが好ましい。 また本発明のレオロジー改質剤の成分である(A)成分と(B)成分は、別々に添加してもよい。この場合、予め水と粉体とを含むスラリーを調製し、(B)成分を該スラリーに添加し混合した後に、(A)成分を添加し、混合してスラリー組成物を製造することが好ましい。また本発明のレオロジー改質剤が(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有する場合、予め水と粉体とを含むスラリーを調製し、本発明のレオロジー改質剤を一括で該スラリーに添加し、混合してスラリー組成物を製造することが好ましい。

粉体は、水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物が挙げられる。また粉体は、セメント又はセメントとベントナイトとの混合粉体が挙げられる。

本発明のスラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法は、材料分離抵抗性に優れ、下記の水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法として有用である。 本発明のスラリー組成物は粘性だけでなく、高い粘弾性も併せ持つため、材料分離抵抗性に優れていると考えられる。つまり、高い粘性だけではスラリーの粒子がゆっくりと沈降してしまうため、粘弾性も必要だと考えられる。

<水硬性スラリー組成物> 本発明は、本発明のレオロジー改質剤、水、及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物を提供する。すなわち、本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分、(B)成分、水、及び水硬性粉体を含有する。

また本発明の水硬性スラリー組成物は、本発明のレオロジー改質剤、水、及び水硬性粉体を含有し、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有する。紐状ミセルが形成されている場合、本発明の水硬性スラリー組成物は、該スラリー組成物の(A)成分、(B)成分及び水の組成で調製した水溶液の動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。

本発明の水硬性スラリー組成物という場合、上記2つの水硬性スラリー組成物を含む。 本発明の水硬性スラリー組成物には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物及びスラリー組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明の水硬性スラリー組成物に使用される水硬性粉体とは、水と混合することで硬化する粉体であり、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)が挙げられる。これらの中でも、水硬性スラリー組成物の必要な強度に達するまでの時間を短縮する観点から、早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントが好ましく、早強ポルトランドセメント、及び普通ポルトランドセメントから選ばれるセメントがより好ましい。

また、水硬性粉体には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、無水石膏等が含まれてよく、また、非水硬性の石灰石微粉末等が含まれていてもよい。水硬性粉体として、セメントと高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等とが混合された高炉セメントやフライアッシュセメント、シリカヒュームセメントを用いてもよい。 また、水硬性粉体は、セメント又はセメントとベントナイトとの混合粉末が挙げられる。

本発明の水硬性スラリー組成物は、骨材を含有することが好ましい。骨材は、細骨材や粗骨材等が挙げられ、細骨材は山砂、陸砂、川砂、砕砂が好ましく、粗骨材は山砂利、陸砂利、川砂利、砕石が好ましい。用途によっては、軽量骨材を使用してもよい。なお、骨材の用語は、「コンクリート総覧」(1998年6月10日、技術書院発行)による。

本発明の水硬性スラリー組成物には、水硬性スラリー組成物の流動性の観点から、(E)成分である分散剤を用いることが出来る。(E)成分は、水硬性スラリー組成物用混和剤で述べたものを用いることができ、好ましい態様も同様である。即ち、本発明は、水硬性スラリー組成物用混和剤、水、及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物を提供することができる。 水硬性スラリー組成物に(E)成分を含有する場合、水硬性粉体に水を添加する際に、水と一緒に(E)成分、本発明のレオロジー改質剤を加えることが好ましい。また、水と粉体と(E)成分を混練後、本発明のレオロジー改質剤を加えて混合してもよい。

水硬性スラリー組成物は、本発明の効果に影響ない範囲で、更に(A)〜(E)成分以外のその他の成分を含有することもできる。例えば、AE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、消泡剤等が挙げられる。

本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である。 本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、材料分離抵抗性及び実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上、そして、材料分離抵抗及び水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物中における泡立ち抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、(A)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物中における泡立ち抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物は、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、(B)成分の含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.04質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.07質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害させない観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である。 本発明の水硬性スラリー組成物は、(A)成分と(B)成分の合計含有量が所定の範囲内であり、かつ(A)成分と(B)成分の各含有量が所定の範囲内であることが好ましい。 ここでの水は、水硬性スラリー組成物の水相部分の水である。

本発明の水硬性スラリー組成物において、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上95/5以下である。更に、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、(A)成分と(B)成分の組み合わせにより、以下の通りとすることが高い粘弾性を得る観点から好適である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは15/85以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは45/55以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは65/45以下である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは45/55以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは65/45以上、そして、好ましくは85/15以下、より好ましくは75/25以下である。

また本発明の水硬性スラリー組成物において、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下である場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数の条件により、以下の通りとするのがより好適である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上5以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは65/35以上、そして、好ましくは75/25以下である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が6以上10以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは55/45以上、そして、好ましくは65/35以下である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が11以上15以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは55/45以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物において、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下である場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数の条件により、以下の通りとするのがより好適である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上3以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは90/10以上、そして、好ましくは97/3以下である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が4以上7以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは55/45以上、そして、好ましくは65/35以下である。 (A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が8以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは55/45以下である。

また本発明の水硬性スラリー組成物において、(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物において、(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である。

本発明の水硬性スラリー組成物において、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下である場合、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは0以上、そして、好ましくは2以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物において、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは4以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物において、(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物において、(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、流動性と粘性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上である。

また本発明の水硬性スラリー組成物は、(C)成分を含有することができる。(C)成分を含有する場合、本発明の水硬性スラリー組成物中の(C)成分の含有量は、水100質量部に対して、レオロジー改質剤の作業性の観点から、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、そして、優れた粘弾性を付与する観点から、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。ここでの水は、水硬性スラリー組成物の水相部分の水である。

また本発明の水硬性スラリー組成物は、(D)成分を含有することができる。本発明の水硬性スラリー組成物に用いる粉体が水硬性粉体及びベントナイト、更にセメント及びベントナイトを含む場合、本発明の水硬性スラリー組成物は、(D)成分を含有することが好ましい。 (D)成分を含有する場合、本発明の水硬性スラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である。 また(D)成分を含有する場合、本発明の水硬性スラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、水硬性スラリー組成物がベントナイトや粘土鉱物を含む場合のレオロジー効果発現の観点から、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.35質量部以上、更に好ましくは0.45質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。 また(D)成分を含有する場合、本発明の水硬性スラリー組成物中の(D)成分の含有量は、水100質量部に対して、水硬性スラリー組成物がベントナイトや粘土鉱物を含む場合のレオロジー効果発現、及び実用上、十分な粘弾性を得る観点から、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.35質量部以上、より更に好ましくは0.45質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である。 ここでの水は、水硬性スラリー組成物の水相部分の水である。

本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、実用上十分な流動性を得る観点から、好ましくは0.06質量部以上、より好ましくは0.09質量部以上、更に好ましくは0.12質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の水和反応を阻害しない観点から、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。

本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、良好な水硬性スラリーの粘弾性及び水硬性スラリー組成物用混和剤の長期保存安定性の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である。

本発明の水硬性スラリー組成物は、水/水硬性粉体比(W/P)が、水硬性スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは12質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、そして、水硬性スラリー組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは500質量%以下、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である。 また本発明の水硬性スラリー組成物は、(E)成分を含有する場合、水/水硬性粉体比(W/P)が、材料分離抵抗性及び水硬性スラリー組成物の流動性を確保する観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、水硬性スラリー組成物の水硬性を確保する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。 ここで、水/水硬性粉体比(W/P)は、水硬性スラリー組成物中の水と水硬性粉体の質量百分率(質量%)であり、水/水硬性粉体×100で算出される。水/水硬性粉体比は、水和反応により硬化する物性を有する粉体の量に基づいて算出される。またW/Pは、水硬性粉体がセメントである場合は、W/Cで表記される場合がある。 なお、水硬性粉体が、セメントなどの水和反応により硬化する物性を有する粉体の他、ポゾラン作用を有する粉体、潜在水硬性を有する粉体、及び石粉(炭酸カルシウム粉末)から選ばれる粉体を含む場合、本発明では、それらの量も水硬性粉体の量に算入する。また、水和反応により硬化する物性を有する粉体が、高強度混和材を含有する場合、高強度混和材の量も水硬性粉体の量に算入する。これは、水硬性粉体の質量が関係する他の質量部などにおいても同様である。

<水硬性スラリー組成物の製造方法、圧送方法> 本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、本発明のレオロジー改質剤、水硬性粉体及び水を混合する、水硬性スラリー組成物の製造方法である。

また本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、本発明のレオロジー改質剤、水硬性粉体及び水を混合して、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含有する水硬性スラリー組成物を調製する、水硬性スラリー組成物の製造方法である。

本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法という場合、上記2つの水硬性スラリー組成物の製造方法を含む。 本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法及び水硬性スラリー組成物で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、予め、水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、本発明のレオロジー改質剤を該スラリーに添加し、混合して水硬性スラリー組成物を製造することが好ましい。 すなわち、本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法として、水と水硬性粉体とを含むスラリーを調製し、本発明のレオロジー改質剤を該スラリーに添加し、混合する、水硬性スラリー組成物の製造方法が挙げられる。 また本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法は、(E)成分を添加する場合、材料分離抵抗性の観点から、水硬性粉体に、(D)成分を含む本発明のレオロジー改質剤、及び水を添加し、混合して水硬性スラリー組成物を製造することが好ましい。

本発明の水硬性スラリー組成物の製造方法において、各成分の混合は、既存の装置を全て使用可能であり、例えば、傾胴ミキサー、パン型ミキサー、二軸強制ミキサー、オムニミキサー、ヘンシェルミキサー、V型ミキサー、及びナウターミキサーなどが挙げられる。

本発明に係る水硬性スラリー組成物の打設の方法は、水硬性スラリー組成物をポンプで圧送する工程と、ポンプで圧送された水硬性スラリー組成物を打設する工程、を有する方法が挙げられる。

本発明により、前記本発明の水硬性スラリー組成物は、打設場所まで運搬しその後型枠に流し込み打設を行う。運搬方法は、一般的に用いる方法が挙げられ、特に限定されるものでは無いが、ポンプで圧送する方法、ミキサー車で運搬する方法、混合機からホッパーに流し込み移動させる方法等が挙げられる。せん断力により粘弾性が低減できる観点から、ミキサー車やホッパーで運搬できない場所に打設する場合などは、低い能力のポンプでも圧送出来る利点があり、特にポンプで圧送する運搬方法が好適である。

本発明の水硬性スラリー組成物をポンプ圧送する場合は、所望の物性に調整され、練りあがった水硬性スラリー組成物を、適切に配設された配管にポンプで圧送することで実施できる。ミキサー車などで搬送後に、水硬性スラリー組成物をポンプ車などのポンプを用いて圧送することもできる。

ポンプの種類は、一般的に用いるスクイーズ式とピストン式などが挙げられ、特に限定されるものではない。

<キット> 本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と、(B)成分を含む第2の剤を含んで構成されるキットである。

本発明のキットは、具体的には、(A)成分を含む水溶液と、(B)成分を含む水溶液を、分離した状態で含んで構成されるキットである。

また本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と、(B)成分を含む第2の剤を含んで構成されるキットであって、 (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、紐状ミセルを形成するように混合される、キットである。紐状ミセルを形成するように混合した場合、混合された組成物は、動的粘弾性がMaxwell型に類似した挙動を示す。

本発明のキットという場合、上記3つのキットを含む。 また本発明のキットには、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法、水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。

本発明のキットは、成分を分けて保存できる容器に収容し、使用時に混合して用いる。特に、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤とを、それぞれ分離して保持する容器に充填してなるキットが好ましい。

本発明のキットは、キットを構成する水溶液の取り扱い性の観点から、(D)成分を、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに含むことが好ましい。

本発明のキットは、水硬性スラリー組成物の流動性調整の観点から、(E)成分を、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに含むことが好ましく、または、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤とは別に(E)成分を含む第3の剤を用意して、(A)成分を含む第1の剤と、(B)成分を含む第2の剤と、(E)成分を含む第3の剤を含んで構成されるキットとすることが好ましい。

本発明のキットにおいて、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは3/97以上95/5以下となるように混合される。更に、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、(A)成分と(B)成分の組み合わせにより、以下の通りとすることが高い粘弾性を得る観点から好適である。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、そして、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下、更に好ましくは7/93以下となるように混合される。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、そして、好ましく45/55以下、より好ましくは35/65以下となるように混合される。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは55/45以下となるように混合される。 (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは35/65以下となるように混合される。

また本発明のキットにおいて、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下となるように混合される。 また本発明のキットにおいて、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに(E)成分を含有し、(A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下の場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤は、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下となるように混合される。

本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、水と混合して用いられ、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、高い粘弾性を得る観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、そして、好ましくは99質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下となるように混合される。 一方、本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、水と混合して用いられ、(A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、取り扱い性の良い粘弾性を得る観点から、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下となるように混合される。

本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに(D)成分を含む場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(D)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、ベントナイト(粘土鉱物)を含むスラリーに高い粘弾性を付与する観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下となるように混合される。

本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに(E)成分を含む場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(E)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、実用上十分な水硬性スラリー組成物の流動性及び良好な水硬性スラリー組成物用混和剤の長期保存安定性を得る観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下となるように混合される。

本発明のキットは、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに(E)成分を含む場合、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、良好な水硬性スラリーの粘弾性及び水硬性スラリー組成物用混和剤の長期保存安定性の観点から、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下となるように混合される。

本発明のキットから得られた混合物を、レオロジー改質剤又は水硬性スラリー組成物用混和剤として用いることで、本発明のスラリー組成物又は水硬性スラリー組成物を得ることができる。すなわち、本発明のキットは、レオロジー改質剤製造用、スラリー組成物製造用、又は水硬性スラリー組成物製造用として好適である。また本発明のキットは、配管摩擦抵抗低減剤製造用又は増粘ゲル化剤製造用としても好適である。

<その他の態様> 本発明のその他の態様として、本発明は、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との会合体を含む、レオロジー改質剤を提供する。 また本発明は、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を含む、レオロジー改質剤であって、 前記アニオン性界面活性剤を5質量%、前記ノニオン性界面活性剤を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度が、前記アニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、前記アニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度、前記ノニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、及び前記ノニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度のいずれよりも2倍以上大きい、レオロジー改質剤を提供する。 また本発明は上記2つのレオロジー改質剤を水に混合する、水のレオロジー改質方法を提供する。 また本発明は、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 また本発明は、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤及び水を含む混合物であって、 前記アニオン性界面活性剤を5質量%、前記ノニオン性界面活性剤を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度が、前記アニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、前記アニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度、前記ノニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、及び前記ノニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度のいずれよりも2倍以上大きい混合物の、レオロジー改質剤としての使用を提供する。 上記のレオロジー改質剤、水のレオロジー改質方法、レオロジー改質剤としての使用には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法、水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法、キットで述べた事項を適宜適用することができる。

アニオン性界面活性剤としては、高い粘弾性を得る観点から、(A)成分が好適である。

ノニオン性界面活性剤としては、高い粘弾性を得る観点から、(B)成分が好適である。

アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との会合体は、高い粘弾性を得る観点から、紐状ミセルであることが好ましく、(A)成分と(B)成分から形成される紐状ミセルであることがより好ましい。紐状ミセルを形成していることは電子顕微鏡写真により確認できる。また実施例に記載の粘弾性と曳糸性の有無により確認することができる。

アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との会合体を含む、レオロジー改質剤は、前記アニオン性界面活性剤を5質量%、前記ノニオン性界面活性剤を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度が、前記アニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、前記アニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度、前記ノニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、及び前記ノニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度のいずれよりも2倍以上、好ましくは3倍〜30倍大きい。 20℃における粘度は、測定対象のレオロジー改質剤をスクリュー管(マルエム製、No.7、35mm×78mm)に50g入れ、B型粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMETER TVB−10、ローターM2)を用いて回転数6rpmで撹拌し、3分後に測定した値である。

また本発明のその他の態様として、(A)成分からなるレオロジー改質剤用成分であって、レオロジー改質剤が、(B)成分を含有する、レオロジー改質剤用成分を提供する。 また本発明は、(A)成分からなるレオロジー改質剤用成分であって、(B)成分と組み合わせてレオロジー改質剤を製造するための、レオロジー改質剤用成分を提供する。 また本発明は、(B)成分からなるレオロジー改質剤用成分であって、レオロジー改質剤が、(A)成分を含有する、レオロジー改質剤用成分を提供する。 また本発明は、(B)成分からなるレオロジー改質剤用成分であって、(A)成分と組み合わせてレオロジー改質剤を製造するための、レオロジー改質剤用成分を提供する。 本発明の上記レオロジー改質剤用成分には、本発明のレオロジー改質剤、水硬性スラリー組成物用混和剤、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物、スラリー組成物の製造方法、水硬性スラリー組成物及び水硬性スラリー組成物の製造方法、キットで述べた事項を適宜適用することができる。

上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のレオロジー改質剤、スラリー組成物、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物の製造方法、キット、レオロジー改質剤としての使用、水硬性スラリー組成物用混和剤、及びレオロジー改質剤用成分を開示する。これらの態様には、本発明のレオロジー改質剤、スラリー組成物、水のレオロジー改質方法、スラリー組成物の製造方法、キット、レオロジー改質剤としての使用、水硬性スラリー組成物用混和剤、及びレオロジー改質剤用成分で述べた事項を、相互に適宜適用することができる。

<1> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含むレオロジー改質剤。

<2> (A)成分が、アルキルサルフェート、アルケニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェート、アルキルフェニルサルフェート、アルケニルフェニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェート、及びポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテルサルフェートから選ばれる1種以上である、好ましくはアルケニルサルフェート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェートから選ばれる1種以上である、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテルサルフェート、及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルサルフェートから選ばれる1種以上である、前記<1>に記載のレオロジー改質剤。

<3> (A)成分が、下記一般式(a1)で表される化合物である、前記<1>又は<2>に記載のレオロジー改質剤。 R1a−O−(R2aO)n−SO3M1 (a1) 〔式中、R1aは、炭素数12以上22以下の炭化水素基であり、R2aは、炭素数2以上4以下のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、nは平均付加モル数であり0以上25以下の数である。M1は水素原子又は陽イオン、好ましくは無機又は有機の陽イオンである。〕

<4> 一般式(a1)中、R1aが、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、オレイル基、リノール基、ステアリル基及びドコシル基から選ばれる1種以上である、好ましくはミリスチル基、パルミチル基、リノール基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1以上である、より好ましくはリノール基、パルミチル基、オレイル基及びステアリル基から選ばれる1種以上である、更に好ましくはリノール基、オレイル基、及びステアリル基から選ばれる1種以上である、前記<3>に記載のレオロジー改質剤。

<5> R1aの炭素数が12以上16以下であり、nが0である、前記<3>に記載のレオロジー改質剤。

<6> 一般式(a1)中、R1aの炭素数が12以上16以下であり、nが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8以下、より更に好ましくは6以下である、前記<3>に記載のレオロジー改質剤。

<7> 一般式(a1)中、R1aの炭素数が17以上22以下であり、nが、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下である、前記<3>に記載のレオロジー改質剤。

<8> (B)成分の脂肪酸部分の炭化水素基が、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭化水素基であり、好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基である、より好ましくは直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基である、更に好ましくは直鎖のアルケニル基である、前記<1>〜<7>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<9> (B)成分の脂肪酸部分の炭素数が、脂肪酸アルカノールアミドの原料脂肪酸においてカルボキシル基の炭素原子を含む炭素数であり、10以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、そして、22以下、好ましくは20以下であり、更に好ましくは18以下、より更に好ましくは18である、前記<1>〜<8>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<10> (B)成分が、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸メチルモノエタノールアミド、脂肪酸エチルモノエタノールアミド、脂肪酸プロピルモノエタノールアミド、脂肪酸メタノールエタノールアミド、及び脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上である、好ましくは脂肪酸ジエタノールアミドである、前記<1>〜<9>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<11> (B)成分が、オレイン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミドのうち脂肪酸部の炭素数が10以上18以下の化合物、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、及びラウリン酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上である、好ましくはオレイン酸ジエタノールアミド、パーム核脂肪酸ジエタノールアミドのうち脂肪酸部の炭素数が10以上18以下の化合物、及びヤシ脂肪酸ジエタノールアミドから選ばれる1種以上である、より好ましくはオレイン酸ジエタノールアミド、及びパーム核脂肪酸ジエタノールアミドのうち脂肪酸部の炭素数が10以上18以下の化合物から選ばれる1種以上である、更に好ましくはオレイン酸ジエタノールアミドである、前記<1>〜<10>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<12> (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下である、前記<1>〜<11>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<13> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、そして、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下、更に好ましくは7/93以下である、前記<12>に記載のレオロジー改質剤。

<14> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、そして、好ましく45/55以下、より好ましくは35/65以下である、前記<12>に記載のレオロジー改質剤。

<15> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは55/45以下である、前記<12>に記載のレオロジー改質剤。

<16> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは35/65以下である、前記<12>に記載のレオロジー改質剤。

<17> 更に水を含有し、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは99質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは9質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である、前記<1>〜<16>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<18> (A)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である、前記<17>に記載のレオロジー改質剤。

<19> (B)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である、前記<17>又は<18>に記載のレオロジー改質剤。

<20> 更に水を含有し、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して、好ましくは25質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である、前記<1>〜<16>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<21> (A)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは12.5質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である、前記<20>に記載のレオロジー改質剤。

<22> (B)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは12.5質量部以下、より好ましくは7.5質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である、前記<20>又は<21>に記載のレオロジー改質剤。

<23> 前記レオロジー改質剤が、(A)成分と(B)成分から形成された紐状ミセルを含む、前記<17>〜<22>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<24> 更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有し、液状物である、前記<1>〜<16>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<25> (C)成分が、炭素数1以上10以下の化合物である、前記<24>に記載のレオロジー改質剤。

<26> (C)成分が、ヒドロキシ基を、1つ以上3つ以下有する化合物である、好ましくはヒドロキシ基を1つ有する化合物及びヒドロキシ基を2つ有する化合物から選ばれる1種以上の化合物である、前記<24>又は<25>に記載のレオロジー改質剤。

<27> (C)成分が、分子量50以上200以下の化合物である、前記<24>〜<26>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<28> (C)成分が、好ましくはヒドロキシ基を有する有機化合物である、より好ましくはヒドロキシ基を有する脂肪族化合物である、更に好ましくはヒドロキシ基を1つ又は2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である脂肪族化合物である、より更に好ましくは、ヒドロキシ基を2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である、炭素数が5以下の脂肪族化合物である、前記<24>〜<27>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<29> (C)成分が、溶解パラメータ(Fedors法)が9以上、更に10以上、そして、20以下、更に18以下の化合物である、前記<24>〜<28>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<30> (C)成分が、好ましくはヒドロキシ基を有する有機化合物である、より好ましくは下記の(C1)及び(C2)から選ばれる1種以上の化合物である、前記<24>〜<29>の何れかに記載のレオロジー改質剤。 (C1)ヒドロキシ基を有する芳香族化合物 (C2)ヒドロキシ基を有する脂肪族化合物

<31> (C)成分が、好ましくは(C2)ヒドロキシ基を有する脂肪族化合物である、より好ましくはヒドロキシ基を1つ又は2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である脂肪族化合物である、更に好ましくはヒドロキシ基を2つ有し、炭素−炭素の結合が飽和結合である、炭素数が5以下の脂肪族化合物である、前記<30>に記載のレオロジー改質剤。

<32> (C)成分が、好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテル、ネオペンチルグリコール及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の化合物である、より好ましくはネオペンチルグリコール及びプロピレングリコールから選ばれる1種以上の化合物である、更に好ましくはプロピレングリコールである、前記<24>〜<31>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<33> (C)成分として、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−ブタノール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、及びネオペンチルグリコールから選ばれる1種以上の化合物を含有する、前記<24>〜<31>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<34> (C)成分として、好ましくはベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−ブタノール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールから選ばれる2種以上を含有する、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールを含有する、前記<24>〜<31>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<35> (C)成分として、プロピレングリコール及びネオペンチルグリコールを含有し、プロピレングリコール/ネオペンチルグリコールの質量比が、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下、更に好ましくは60/40以下である、前記<24>〜<31>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<36> 更に水を含有する、前記<24>〜<35>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<37> (A)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する、前記<36>に記載のレオロジー改質剤。

<38> (B)成分を、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは質量7.5%以上、そして、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下含有する、前記<36>又は<37>に記載のレオロジー改質剤。

<39> (A)成分と(B)成分を合計で、好ましくは6質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下含有する、前記<36>〜<38>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<40> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が1以上1.2以下の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましく15質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<41> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が0.5以上1未満の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<42> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が0以上0.5未満の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<43> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が−0.8以上0未満の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは15質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<44> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が−0.95以上−0.8未満の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは15質量%以上、より好ましくは22質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<45> (C)成分が、オクタノール/水分配係数が−1.6以上−0.95未満の化合物であり、当該(C)成分の含有量が、レオロジー改質剤中、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である、前記<36>〜<39>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<46> 水を、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下含有する、前記<36>〜<45>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<47> 更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を含む、前記<1>〜<46>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<48> (D)成分が、ポリエチレングリコールであり、(D)成分のポリエチレングリコールの重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、より更に好ましくは4000以上、より更に好ましくは5000以上、そして、好ましくは200000以下、より好ましくは150000以下、更に好ましくは120000以下、より更に好ましくは110000以下、より更に好ましくは90000以下、より更に好ましくは80000以下、より更に好ましくは50000以下、より更に好ましくは20000以下である、前記<47>に記載のレオロジー改質剤。

<49> (D)成分が、ポリプロピレングリコールであり、(D)成分のポリプロピレングリコールの重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、そして、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下である、前記<47>に記載のレオロジー改質剤。

<50> (D)成分が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体であり、(D)成分のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体の重量平均分子量が、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、そして、好ましくは30000以下、より好ましくは25000以下、更に好ましくは20000以下である、前記<47>に記載のレオロジー改質剤。

<51> (D)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である、前記<47>〜<50>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<52> (D)成分を、好ましくは5質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは7.5質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは13質量%以下含有する、前記<47>〜<50>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<53> レオロジー改質剤中の(D)成分の含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは12質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下である、前記<47>〜<50>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<54> レオロジー改質剤中の(D)成分の含有量が、好ましくは3質量%以上、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下、更に好ましくは7質量%以下である、前記<47>〜<50>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<55> 水硬性スラリー用である、前記<1>〜<54>の何れかに記載のレオロジー改質剤。

<56> 前記<1>〜<54>の何れかに記載のレオロジー改質剤、水及び粉体を含有するスラリー組成物。

<57> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、粉体及び水を含有する、スラリー組成物。

<58> 粉体が、(1)〜(12)から選ばれる無機粉体である、前記<56>又は<57>に記載のスラリー組成物。 (1)セメント、及び石膏から選ばれる水硬性粉体 (2)フライアッシュ、シリカフューム、火山灰、及びけい酸白土から選ばれるポソラン作用を持つ粉体 (3)石炭灰、高炉スラグ、及びけい藻土から選ばれる潜在水硬性粉体 (4)カオリン、ケイ酸アルミニウム、クレー、タルク、マイカ、ケイ酸カルシウム、セリサイト、及びベントナイトから選ばれるケイ酸塩 (5)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、及び塩基性炭酸鉛から選ばれる炭酸塩 (6)硫酸カルシウム、及び硫酸バリウムから選ばれる硫酸塩 (7)ストロンチウムクロメート、及びピグメントイエローから選ばれるクロム酸塩 (8)モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム亜鉛、及びモリブデン酸マグネシウムから選ばれるモリブデン酸塩 (9)アルミナ、酸化アンチモン、酸化チタニウム、酸化コバルト、四酸化三鉄、三酸化ニ鉄、四酸化三鉛、一酸化鉛、酸化クロムグリーン、三酸化タングステン、及び酸化イットリウムから選ばれる金属酸化物 (10)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、及びメタチタン酸から選ばれる金属水酸化物 (11)炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化ホウ素、及び炭化チタンから選ばれる金属炭化物 (12)窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、チタン酸バリウム、サチンホワイト、カーボンブラック、グラファイト、クロムイエロー、硫化水銀、ウルトラマリン、パリスブルー、チタニウムイエロー、クロムバーミリオン、リトポン、アセト亜ヒ酸銅、ニッケル、銀、パラジウム、及びチタン酸ジルコン酸鉛から選ばれる、上記(1)〜(11)に分類されない他の無機粉体

<59> 粉体が水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物である、前記<56>又は<57>に記載のスラリー組成物。

<60> 粉体が、セメント又はセメントとベントナイトとの混合粉体である、前記<56>又は<57>に記載のスラリー組成物。

<61> (A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である、前記<56>〜<60>の何れかに記載のスラリー組成物。

<62> (A)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である、前記<61>に記載のスラリー組成物。

<63> (B)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である、前記<61>又は<62>に記載のスラリー組成物。

<64> 更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有する、前記<57>〜<63>に記載のスラリー組成物。

<65> (C)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である、前記<64>に記載のスラリー組成物。

<66> 更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を含有する、前記<57>〜<65>に記載のスラリー組成物。

<67> (D)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.35質量部以上、より更に好ましくは0.45質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である、前記<66>に記載のスラリー組成物。

<68> 水/粉体比(W/P)が、好ましくは12質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは100質量%以上、より更に好ましくは150質量%以上、そして、好ましくは1000質量%以下、より好ましくは500質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である、前記<56>〜<67>に記載のスラリー組成物。

<69> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を水に混合する、水のレオロジー改質方法。

<70> (A)成分と(B)成分が紐状ミセルを形成する、前記<69>に記載の水のレオロジー改質方法。

<71> (B)成分と水を混合した後、(A)成分を添加し混合する、前記<69>又は<70>に記載の水のレオロジー改質方法。

<72> 前記<1>〜<54>の何れかに記載のレオロジー改質剤、粉体及び水を混合する、又は(A)成分、(B)成分、粉体及び水を混合する、スラリー組成物の製造方法。

<73> 水と粉体とを含むスラリーを調製し、前記レオロジー改質剤を該スラリーに添加し、混合する、又は水と粉体とを含むスラリーを調製し、該スラリーに(B)成分を添加して混合した後に、(A)成分を添加し、混合する、前記<72>に記載のスラリー組成物の製造方法。

<74> 粉体が水硬性粉体又は水硬性粉体とベントナイトとの混合物である、前記<72>又は<73>に記載のスラリー組成物の製造方法。

<75> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)を含む第1の剤と(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)を含む第2の剤とを含んで構成されるキット。

<76> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、それぞれ水溶液である、前記<75>に記載のキット。

<77> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、紐状ミセルを形成するように混合される、前記<75>又は<76>に記載のキット。

<78> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分との質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下となるように混合される、前記<75>〜<77>の何れかに記載のキット。

<79> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、そして、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下、更に好ましくは7/93以下となるように混合される、前記<78>に記載のキット。

<80> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、そして、好ましく45/55以下、より好ましくは35/65以下となるように混合される、前記<78>に記載のキット。

<81> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは40/60以上、そして、好ましくは55/45以下となるように混合される、前記<78>に記載のキット。

<82> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは35/65以下となるように混合される、前記<78>に記載のキット。

<83> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、水と混合して用いられ、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の含有量の合計が、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、そして、好ましくは99質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下、より更に好ましくは30質量部以下、より更に好ましくは25質量部以下、より更に好ましくは15質量部以下、より更に好ましくは10質量部以下となるように混合される、前記<75>〜<82>の何れかに記載のキット。

<84> 更に(E)分散剤(以下、(E)成分という)を、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに含む、前記<75>又は<76>に記載のキット。

<85> 更に(E)分散剤(以下、(E)成分という)を含む第3の剤を含んで構成される、前記<75>又は<76>に記載のキット。

<86> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下となるように混合される、前記<84>又は<85>に記載のキット。

<87> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤が、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下となるように混合される、前記<84>又は<85>に記載のキット。

<88> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(E)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下となるように混合される、前記<84>〜<87>の何れかに記載のキット。

<89> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下となるように混合される、前記<84>〜<89>の何れかに記載のキット。

<90> 更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を、(A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤の少なくともいずれかに含む、前記<75>〜<89>の何れかに記載のキット。

<91> (A)成分を含む第1の剤と(B)成分を含む第2の剤を、(D)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7.5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下となるように混合される、前記<90>に記載のキット。

<92> レオロジー改質用である、前記<75>〜<91>の何れかに記載のキット。

<93> スラリー組成物製造用である、前記<75>〜<91>の何れかに記載のキット。

<94> 水硬性スラリー組成物製造用である、前記<75>〜<91>の何れかに記載のキット。

<95> 配管摩擦抵抗低減剤用又は増粘ゲル化剤用である、前記<75>〜<91>の何れかに記載のキット。

<96> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用。

<97> 前記混合物が、更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含む、前記<96>に記載のレオロジー改質剤としての使用。

<98> 前記混合物が、(A)成分と(B)成分からから形成された紐状ミセルを含む、前記<96>又は<97>に記載のレオロジー改質剤としての使用。

<99> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、及び(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、及び(E)分散剤(以下、(E)成分という)を含む水硬性スラリー組成物用混和剤。

<100> (E)成分が、ナフタレン系重合体、ポリカルボン酸系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、及びリグニン系重合体から選ばれる1種以上である、前記<99>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<101> (E)成分が、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、(E3)下記重縮合生成物からなる分散剤、(E4)リグニン系分散剤、及び(E5)メラミン系分散剤から選ばれる1種以上の分散剤である、前記<99>又は<100>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。 <重縮合生成物> 下記成分E31、成分E33、及び任意に成分E32からなる重縮合生成物 〔成分E31〕 5から10の炭素原子又はヘテロ原子を有する芳香族化合物又は複素芳香族化合物であって、該芳香族化合物又は複素芳香族化合物にO原子又はN原子を介して結合される、1分子当たり平均して1から300の、オキシエチレン及び/又はオキシプロピレン基を含む、芳香族化合物又は複素芳香族化合物 〔成分E32〕 (E32−1)フェノール、(E32−2)フェノールエーテル、(E32−3)ナフトール、(E32−4)ナフトールエーテル、(E32−5)アニリン、(E32−6)フルフリルアルコール、並びに(E32−7)メラミン又はその誘導体、尿素又はその誘導体、及びカルボキサミドからなる群より選択されるアミノプラスト形成剤、からなる群より選択される、任意成分としての少なくとも1つの芳香族化合物 〔成分E33〕 ホルムアルデヒド、グリオキシル酸、及びベンズアルデヒド、又はその混合物からなる群より選択されるアルデヒド(ここでベンズアルデヒドはさらに、COOMa、SO3Ma、及びPO3Maの式で表される酸性基(MはH、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、アンモニウム、又は有機アミン基であり、aは1/2、1、又は2であってもよい)を有してもよい。)

<102> (E)成分が、(E1)ナフタレン系分散剤、(E2)ポリカルボン酸系分散剤、及び(E4)リグニン系分散剤から選ばれる1種以上である、好ましくは(E1)ナフタレン系分散剤、及び(E2)ポリカルボン酸系分散剤から選ばれる1種以上である、より好ましくは(E2)ポリカルボン酸系分散剤である、前記<101>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<103> (A)成分が、下記一般式(a1)で表される化合物である、前記<99>〜<102>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。 R1a−O−(R2aO)n−SO3M1 (a1) 〔式中、R1aは、炭素数12以上22以下の炭化水素基であり、R2aは、炭素数2以上4以下のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、nは平均付加モル数であり0以上25以下の数である。M1は水素原子又は陽イオン、好ましくは無機又は有機の陽イオンである。〕

<104> R1aの炭素数が12以上16以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数nが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である、前記<103>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<105> R1aの炭素数が17以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数nが、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上である、前記<103>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<106> (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、3/97以上95/5以下である、前記<99>〜<105>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<107> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である、前記<106>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<108> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である、前記<106>に記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<109> (A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である、前記<99>〜<108>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物用混和剤。

<110> 前記<1>〜<54>の何れかに記載のレオロジー改質剤、水及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物。

<111> 前記<99>〜<109>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物用混和剤、水及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物。

<112> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩(以下、(A)成分という)、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミド(以下、(B)成分という)、水及び水硬性粉体を含有する、水硬性スラリー組成物。

<113> 水硬性粉体が、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、及びエコセメントから選ばれるセメントである、好ましくは早強ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント、耐硫酸性ポルトランドセメント及び白色ポルトランドセメントから選ばれるセメントである、より好ましくは早強ポルトランドセメント及び普通ポルトランドセメントから選ばれるセメントである、前記<110>〜<112>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<114> 水硬性粉体が、ベントナイト、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、及び無水石膏から選ばれる1種以上を含む、好ましくはベントナイトを含む、前記<110>〜<113>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<115> (A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、より更に好ましくは3質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下である、前記<110>〜<114>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<116> (A)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である、前記<115>に記載の水硬性スラリー組成物。

<117> (B)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.25質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下である、前記<115>又は<116>に記載の水硬性スラリー組成物。

<118> (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上95/5以下である、前記<112>〜<117>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<119> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは25/75以下、より好ましくは15/85以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<120> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が10以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは15/85以上、そして、好ましくは55/45以下、より好ましくは45/55以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<121> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは65/45以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<122> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以上、より好ましくは55/45以上、更に好ましくは65/45以上、そして、好ましくは85/15以下、より好ましくは75/25以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<123> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上5以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは65/35以上、そして、好ましくは75/25以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<124> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が6以上10以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは55/45以上、そして、好ましくは65/35以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<125> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が11以上15以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは55/45以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<126> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上3以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは90/10以上、そして、好ましくは97/3以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<127> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が4以上7以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは55/45以上、そして、好ましくは65/35以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<128> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が8以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは45/55以上、そして、好ましくは55/45以下である、前記<118>に記載の水硬性スラリー組成物。

<129> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは0以上、そして、好ましくは2以下である、前記<112>〜<117>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<130> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下、(B)成分の脂肪酸部分の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは4以上、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である、前記<112>〜<117>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<131> 水/水硬性粉体比(W/P)が、好ましくは12質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、そして、好ましくは500質量%以下、より好ましくは400質量%以下、更に好ましくは300質量%以下である、前記<110>〜<130>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<132> 更に(E)分散剤(以下、(E)成分という)を含有する、前記<112>〜<117>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<133> (A)成分と(B)成分の合計含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.03質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上、そして、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは8質量部以下、より更に好ましくは6質量部以下、より更に好ましくは5質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である、前記<132>に記載の水硬性スラリー組成物。

<134> (A)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である、前記<133>に記載の水硬性スラリー組成物。

<135> (B)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.04質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、より更に好ましくは0.07質量部以上、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下である、前記<133>又は<134>に記載の水硬性スラリー組成物。

<136> (A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上95/5以下である、前記<132>〜<135>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<137> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である、前記<136>に記載の水硬性スラリー組成物。

<138> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)が、好ましくは5/95以上、より好ましくは15/85以上、更に好ましくは25/75以上、そして、好ましくは80/20以下,より好ましくは70/30以下である、前記<136>に記載の水硬性スラリー組成物。

<139> (A)成分の炭化水素基の炭素数が12以上16以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である、前記<132>〜<135>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<140> (A)成分の炭化水素基の炭素数が17以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上、より更に好ましくは7以上、より更に好ましくは10以上、より更に好ましくは15以上、より更に好ましくは20以上である、前記<132>〜<135>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<141> (E)成分の含有量が、水硬性粉体100質量部に対して、好ましくは0.06質量部以上、より好ましくは0.09質量部以上、更に好ましくは0.12質量部以上、そして、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.8質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である、前記<132>〜<140>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<142> (A)成分と(B)成分の含有量の合計と、(E)成分の含有量との質量比[(A)+(B)]/(E)が、好ましくは3/97以上、より好ましくは5/95以上、更に好ましくは10/90以上、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは95/5以下、90/10以下である、前記<132>〜<141>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<143> 水/水硬性粉体比(W/P)が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、そして、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である、前記<132>〜<142>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<144> 更に(C)オクタノール/水分配係数が−1.6以上1.2以下である、ヒドロキシ基を有する化合物(以下、(C)成分という)を含有する、前記<112>〜<143>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<145> (C)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である、前記<144>に記載の水硬性スラリー組成物。

<146> 更に(D)重量平均分子量500以上のポリエチレングリコール、重量平均分子量500以上のポリプロピレングリコール、重量平均分子量500以上のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、及び炭化水素基とポリオキシアルキレン基とを有するエーテル化合物から選ばれる1種以上の化合物(以下、(D)成分という)を含有する、前記<112>〜<145>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<147> (D)成分の含有量が、水100質量部に対して、好ましくは0.15質量部以上、より好ましくは0.25質量部以上、更に好ましくは0.35質量部以上、より更に好ましくは0.45質量部以上、より更に好ましくは0.5質量部以上、そして、水硬性スラリー組成物の増粘抑制の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、より更に好ましくは2質量部以下、より更に好ましくは1.5質量部以下、より更に好ましくは1質量部以下である、前記<146>に記載の水硬性スラリー組成物。

<148> 更にAE剤、遅延剤、起泡剤、増粘剤、発泡剤、防水剤、流動化剤、及び消泡剤から選ばれる1種以上(但し、(A)〜(E)成分を除く)を含有する、前記<110>〜<147>の何れかに記載の水硬性スラリー組成物。

<149> アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との会合体を含む、レオロジー改質剤。

<150> アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤を含む、レオロジー改質剤であって、 アニオン性界面活性剤を5質量%、ノニオン性界面活性剤を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度が、アニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、アニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度、ノニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、及びノニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度のいずれよりも2倍以上大きい、レオロジー改質剤。

<151> 前記<149>又は<150>に記載のレオロジー改質剤を水に混合する、水のレオロジー改質方法。

<152> アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との会合体及び水を含む混合物の、レオロジー改質剤としての使用。

<153> アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤及び水を含む混合物であって、 アニオン性界面活性剤を5質量%、ノニオン性界面活性剤を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度が、アニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、アニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度、ノニオン性界面活性剤単体の液状物の20℃における粘度、及びノニオン性界面活性剤10質量%以上を含む水との混合物の20℃における粘度のいずれよりも2倍以上大きい混合物の、レオロジー改質剤としての使用。

<154> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩からなるレオロジー改質剤用成分であって、 レオロジー改質剤が、(B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドを含有する、レオロジー改質剤用成分。

<155> (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩からなるレオロジー改質剤用成分であって、 (B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドと組み合わせてレオロジー改質剤を製造するための、レオロジー改質剤用成分。

<156> (B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドからなるレオロジー改質剤用成分であって、 レオロジー改質剤が、(A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩を含有する、レオロジー改質剤用成分。

<157> (B)脂肪酸部分の炭素数が10以上22以下である、脂肪酸アルカノールアミドからなるレオロジー改質剤用成分であって、 (A)炭化水素基の炭素数が12以上22以下であり、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が0以上25以下である、硫酸エステル又はその塩と組み合わせてレオロジー改質剤を製造するための、レオロジー改質剤用成分。

<実施例1〜10、比較例4〜10> 表2〜9、11、13に示した(A)成分、(B)成分、(D)成分、(E)成分、及び比較成分は、以下のものを用いた。 (A)成分 (a−1):アルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12のアルキル基、n:0、M1:アンモニウムイオン) (a−2):アルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数16のアルキル基、n:0、M1:アンモニウムイオン) (a−3):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12〜16のアルキル基、R2a:エチレン基、n:1、M1:アンモニウムイオン) (a−4):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12〜16のアルキル基、R2a:エチレン基、n:2、M1:アンモニウムイオン) (a−5):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12〜16のアルキル基、R2a:エチレン基、n:1.5、M1:アンモニウムイオン) (a−6):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:20、M1:アンモニウムイオン) (a−7):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12のアルキル基、R2a:エチレン基、n:2、M1:アンモニウムイオン) (a−8):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12のアルキル基、R2a:エチレン基、n:8、M1:アンモニウムイオン) (a−9):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12のアルキル基、R2a:エチレン基、n:13、M1:アンモニウムイオン) (a−10):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数14〜16のアルキル基、R2a:エチレン基、n:3、M1:アンモニウムイオン) (a−11):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:2、M1:アンモニウムイオン) (a−12):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:5、M1:アンモニウムイオン) (a−13):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:9、M1:アンモニウムイオン) (a−14):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルキル基、R2a:エチレン基、n:12、M1:アンモニウムイオン) (a−15):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:14、M1:アンモニウムイオン) (a−16):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数22のアルキル基、R2a:エチレン基、n:9、M1:アンモニウムイオン) (a−17):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルキル基、R2a:エチレン基、n:11、M1:アンモニウムイオン) (a−18):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12〜18のアルキル基、R2a:エチレン基、n:7、M1:アンモニウムイオン) (a−19):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数16のアルキル基、R2a:エチレン基、n:9、M1:アンモニウムイオン) (a−20):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:23、M1:ナトリウムイオン)

(A)成分は、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルを硫酸化することにより製造した。(A)成分は、例えば「スルファミン酸による高級アルコールの硫酸化について」(油脂化学協会誌 第一巻 第2号(1952) p73−76)に記載の方法で製造することができる。

(A)成分の炭化水素基の炭素数は、(A)成分の原料であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルをヨウ化水素により開裂させ、ガスクロマトグラフィー(GC)により測定した。

(GCサンプル調製条件) 50mgのポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルをヨウ化水素10mLと混合し、還流下150℃で90分反応させた。その後、反応物全量とイオン交換水70mL、石油エーテル70mLを分液ロート内で混合し、分液操作を行った。石油エーテル層に抽出された炭素鎖成分を、無極性カラムを用いたGCによって測定し、炭素数分布を算出した。

(GC測定条件) ・装置名:Agilent 6850シリーズII(アジレント・テクノロジー株式会社) ・カラム名:HP−1(アジレント・テクノロジー株式会社) ・カラム寸法:長さ30m、内径320mm、膜厚0.25μm ・昇温プログラム:80℃→300℃(8℃/min) さらに、(A)成分のエチレンオキシドの平均付加モル数は、(A)成分の原料であるポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテルを、高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)で測定をすることにより算出した。

(LC/MS測定条件) ・装置:Agilent 1260シリーズ(アジレント・テクノロジー株式会社) ・HPLC条件 カラム : L-colmun ODS 2.1φx150mm(財団法人化学物質評価研究機構) カラム温度: 40℃ 流速: 0.25mL/min 注入量 : 5myu−L 移動相(グラジェント) A液:10mmol/L酢酸アンモニウム水溶液 B液:10mmol/L酢酸アンモニウムメタノール グラジェント勾配:表1に示す条件

(MS条件) 乾燥ガス温度:350℃ 乾燥ガス流量:7.0mL/min スキャン範囲:60−1500 ステップサイズ:0.10amu サイクルタイム:1.06sec フラグメンター電圧:130V(POSI:4000V、NEG:3500V) スレッショルド:150

(B)成分 (b−1):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数18のアルケニル基(オレイル基)である化合物 (b−2):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数12のアルキル基である化合物 (b−3):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数10〜16のアルキル基である化合物 (b−4):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数14〜16のアルキル基である化合物 (b−5):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数18のアルケニル基(オレイル基)である化合物(b−5−1)と脂肪酸部分が炭素数10〜18のアルキル基である化合物(b−5−2)の混合物(質量比(b−5−1):(b−5−2)=90:10) (b−6):脂肪酸ジエタノールアミド:パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド パーム核油脂肪酸ジエタノールアミドのうち、脂肪酸部分が炭素数10〜18のアルキル基である化合物が(B)成分であり(97質量%)、炭素数8の脂肪酸ジエタノールアミドを3質量%含有している。 表11、表13中の(b−6)を含むモルタル、コンクリートにおいて、水100質量部に対する(A)成分と(B)成分の含有量の合計、質量比(A)/(B)、及び質量比[(A)+(B)]/(D)は、(b−6)中に含まれる(B)成分のみで含有量を算出した。

(B)成分は、高級脂肪酸とジエタノールアミンを反応させることにより製造した。(B)成分は、例えば特開2003−183232号公報に記載の方法で製造することができる。 (B)成分の脂肪酸部分の炭素数は、(B)成分のエタノール基の末端OH基をTMS化剤試薬(TMSI−H)(ジーエルサイエンス製)により誘導体化し、無極性カラムを用いたGC測定をすることにより炭素数分布を算出した。

(GC測定サンプル調製) 試料2mgをTMS化剤試薬(TMSI−H)(ジーエルサイエンス製)1mLと反応させ、1分間静置する。その後、上澄み液を採取しGC測定を行った。 (GC測定条件) ・装置名:Agilent 6850シリーズII(アジレント・テクノロジー株式会社) ・カラム名:HP−1(アジレント・テクノロジー株式会社) ・カラム寸法:長さ30m、内径320mm、膜厚0.25μm ・昇温プログラム:60℃→300℃(8℃/min) なお、副産物等の定性はLC/MSを用いて行った。LC/MS測定条件は(A)成分に記載した条件と同一である。

(D)成分 (d−1):ポリエチレングリコール、重量平均分子量2,000、和光純薬工業株式会社製 (d−2):ポリエチレングリコール、重量平均分子量4,000、和光純薬工業株式会社製 (d−3):ポリエチレングリコール、重量平均分子量13,000、三井化学株式会社製 (d−4):ポリエチレングリコール、重量平均分子量20,000、和光純薬工業株式会社製 (d−5):ポリエチレングリコール、重量平均分子量80,000、明正化学工業株式会社製 (d−6):ポリエチレングリコール、重量平均分子量110,000、明正化学工業株式会社製 (d−7):ポリプロピレングリコール、重量平均分子量700、和光純薬工業株式会社製 (d−8):ポリプロピレングリコール、重量平均分子量3,000、和光純薬工業株式会社製 (d−9):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量2,270、プルロニックPE−71、三洋化成工業株式会社製 (d−10):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量3,370、プルロニックPE−74、三洋化成工業株式会社製 (d−11):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量4,290、プルロニックL−121、株式会社ADEKA製 (d−12):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量10,200、プルロニックPE−78、三洋化成工業株式会社製 (d−13):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量19,500、プルロニックPE−128、三洋化成工業株式会社製

(D)成分の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値である。

(E)成分 (e−1):単量体(e22)/単量体(e21)=メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコール(120)モノメタクリレート=80モル/20モル、重量平均分子量=56,000(カッコ内は平均付加モル数) (e−2):ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物(マイテイ150:花王株式会社製) (e−3):リグニンスルホン酸系分散(マスターポゾリス No.70,BASFジャパン社製) (e−4):単量体(e22)/単量体(e21)=メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコール(23)モノメタクリレート=73モル/27モル、重量平均分子量=52,000(カッコ内は平均付加モル数) なお(e−1)及び(e−4)の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値である。

比較添加剤 ・メチルセルロース:信越化学製、ハイメトローズ90SH−30000 ・アクリルアミド:ポリアクリルアミド、住友化学製、スミフロックFA−50、重量平均分子量1700万

〔実施例1〕 <レオロジー改質剤の調製方法> 表1に示す質量比の(A)成分と(B)成分を固形分の合計量が水100質量部に対して3質量部となるように調製した。具体的には、20℃の水に、(B)成分を添加し、ガラス棒を用いて、均一に分散するまで、約5分間、撹拌した。次に(A)成分を添加し、ガラス棒を用いて、約5分間、撹拌し、表2記載の各レオロジー改質剤を得た。なお、組成物が十分に混合可能であれば、撹拌方法は特に問わないが、動的粘弾性測定を行うには、組成物中に泡が入らないよう留意する必要がある。また本発明のレオロジー改質剤の調製方法は、上記の調製方法に限定されるものではない。

<レオロジー改質剤の粘弾性評価> 得られた組成物200mlを300mlのビーカーに入れ、以下の方法により曳糸性、巻き返し現象が認められるかを確認し、曳糸性のみ認められるものを「粘性有り」とし、曳糸性、巻き返し現象の両方が認められるものを「粘弾性有り」とした。結果を表2に示す。

(曳糸性) 各試料について、直径6mmの表面平滑なガラス棒をビーカー底中央に垂直に立て、その状態からガラス棒を約1秒間で引き抜き、その際のガラス棒先端における曳糸状態を目視で観察した。 (巻き返し現象) 巻き返し現象とは、組成物内の会合体が絡み合いを生じ、弾性的性質を有することを意味しており、組成物に巻き込まれた気泡が撹拌停止時に回転方向と逆向きに移動する状態のことを言う。 各試料について、直径6mmの表面平滑なガラス棒で1回転/秒で10秒間撹拌し、巻き返し現象が認められるかを目視で観察した。

表2中の水100質量部に対する(A)と(B)の含有量の合計は、(A)成分と(B)成分の各有効分量の合計である。

<紐状ミセル(Maxwell型に類似した挙動)の確認> 実施例1−28の組成物について、下記条件にて、動的粘弾性測定を行った。貯蔵弾性率G’、及び損失弾性率G”を下記波数範囲でプロットしたグラフを図1に示す。 ・測定装置名:(株)アントンパール・ジャパン製 MCR301 ・アプリケーション:RHEOPLUS ・測定治具:コーンプレートCP−50(d=0.097mm) ・ひずみ:10% ・角周波数測定範囲:0.00624〜62.4(1/s) 図1の曲線はMaxwell型に類似した挙動となっており、これは、「界面活性剤水溶液の粘弾性特性」(四方俊幸、表面 vol.29、No5(1991)、p399-499)の記載から、有限の高分子量を有する紐状ミセルが形成していることが分かる。

また実施例1−28の組成物について、以下の方法により、電界放射型操作電子顕微鏡(FE-SEM)にて紐状ミセルに由来する構造が形成されていることを確認した。紐状ミセルの写真を図2に示した。 測定方法:実施例1−28の組成物をクライオミクロトーム用スペシメンキャリア(溝付き)に採取した後、メタルコンタクト法で試料を急速凍結させた。試料をクライオミクロトーム中でトリミング後、ダイヤモンドナイフで表層付近(数μm 程度)の断面を作製し、Cryo-SEM用試料とし、電界放射型操作電子顕微鏡(FE-SEM)S-4000(日立製作所)にて観察を行った。

〔実施例2、3、4、5、及び比較例4〕 <水硬性スラリー組成物の調製> 水400gとセメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物)400gを混合し、市販のハンドミキサーを用いて20℃で1分間撹拌し、その後、表3〜6に記載の各成分を(B)成分、(A)成分の順に添加し、それぞれの添加後に2分間撹拌を続けることで、水硬性スラリー組成物を調製した。 最初にセメントに添加した水量と各組成物中の水量との合計は400gとなるように調製した。 なお、水100質量部に対する(A)成分と(B)成分の含有量と、(A)/(B)質量比は、表3〜6に記載の各組成物と同様になるように調製した。調製した各水硬性スラリー組成物の水/水硬性粉体比(W/P)は100質量%であった。

<スラリー粘度の測定> 得られた水硬性スラリー組成物の粘度をB型粘度計(RION株式会社製、VISCOTESTER VT−04E、ローターNo.1、回転数:62.5rpm)により測定した。この粘度が100mPa・s以上であれば、スラリーに粘弾性が確認されるため好ましい。結果を表3〜6に示す。なお、スラリー温度は20℃であった。 なお、表6の実施例5−1、5−2については、スラリー温度20℃、40℃における各スラリー粘度を測定した。

(考察) 水硬性スラリー組成物中にはカルシウムイオンが多量に存在し、カルシウムイオンが(A)成分と塩を形成するため、(A)成分の親水部の負電荷が遮へいされ、(A)成分同士の静電反発が減少し、より密な配列が可能となる。その結果、(A)成分と(B)成分との間により強い相互作用が生まれ、強固な紐状ミセルが形成されると考えられるので、粘度が100mPa・s以上であれば、粘弾性があると考えられる。

〔実施例6、及び比較例6〕 <水中分離抵抗性の評価> 水1200gとセメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物)320g、及びベントナイト(TB−250、株式会社立花マテリアル製)80gを混合し、市販のハンドミキサーを用いて20℃で3分間撹拌した。その後、比較例6−1、実施例6−1の各組成物を添加し、更に3分間撹拌することで、水硬性スラリー組成物を調製した。 なお、最初にセメントに添加した水量と各組成物中の水量との合計は1200gとなるように調製した。また、水100質量部に対する(A)成分と(B)成分の含有量と、(A)/(B)質量比は、表7に記載の組成物と同様になるように調製した。調製した各水硬性スラリー組成物の水/水硬性粉体比(W/P)は300質量%であった。また比較例6−1は、(A)成分、(B)成分を添加せず、代わりに増粘剤(ビスコトップ200LS−2、アニオン/カチオン界面活性剤系、花王(株)製)を水100質量部に対して1質量部の割合で添加した。 続いて、容量2500mlの透明なアクリル容器に水を2000mL入れ、その水面から500mmの位置に細径180mmの漏斗の下端を設置した。上記の方法により調製したペースト状の水硬性スラリー組成物500gを、漏斗を通して、15秒かけて水中に添加した。ペースト投入後、3分静置し、水面とペースト面の中間地点より上澄み液サンプルを採取し、濁度の測定を行った。また前記と同様にスラリー粘度の測定を行った。結果を表7に示す。なお。濁度の測定はTurbidimeter TN-100(EUTECH INSTRUMENTS製)を用いた。さらに、実施例6−1、比較例6−1の各組成物におけるペースト添加中の写真を図3、図4に示す。

(考察) 実施例6−1は、比較例6−1と比較して、水中におけるペーストの拡散が小さく、その結果、上澄み液の濁りも少なく、水中分離抵抗性に優れていることが分かる。またペースト添加中の写真において、図4中、比較例6−1は水相の濁りが有り、水硬性スラリー組成物が水中で飛散しているのに対して、図3中、実施例6−1は、水相の濁りが無く、水中分離抵抗性に優れていることが分かる。

〔実施例7、8、及び比較例7〕 <セメント/ベントナイトスラリー組成物の調製> 水300gとベントナイト(TB−250、株式会社立花マテリアル製)30gを混合し、市販のハンドミキサーを用いて20℃で60秒間撹拌した後、セメント(普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物)120gを混合し、更に市販のハンドミキサーを用いて20℃で30秒間撹拌した。その後、表8、9に記載の各成分を(B)成分、(A)成分、(D)成分の順に添加し、それぞれの添加後に2分間撹拌を続けることで、セメント/ベントナイトスラリー組成物を調製した。 最初にセメントに添加した水量と各組成物中の水量との合計は300gとなるように調製した。 なお、水100質量部に対する(A)成分と(B)成分の含有量、(A)/(B)質量比、及び水100質量部に対する(D)成分の含有量は、表8、9に記載の各組成物と同様になるように調製した。調製した各セメント/ベントナイトスラリー組成物の水/水硬性粉体比(W/P)は200質量%であった。

<セメント/ベントナイトスラリー粘度の測定> 得られたセメント/ベントナイトスラリー組成物の粘度をB型粘度計(RION株式会社製、VISCOTESTER VT−04E、粘度の測定値が300mPa・sを超える場合、ローターNo.2を、粘度の測定値が300mPa・s以下の場合、ローターNo.3を用いた。回転数:62.5rpm)により測定した。結果を表8、9に示す。なお、スラリー温度は20℃であった。

<水中分離抵抗性の評価> ガラスビーカーにイオン交換水を200ml入れ、調製した各セメント/ベントナイトスラリー組成物125gを量りとり、10分割し、1分割ずつヘラを用いて水面から静かに自由落下させた。全試料の落下は30秒間の間に終了させ、3分間放置した時の水の濁り具合を下記の評価基準で評価した。水中分離抵抗性が〇又は△であれば、実運用上において使用可能であるが、〇であることがより好ましい。 ○:濁りなし △:やや濁りあり ×:濁りあり

セメント/ベントナイトスラリー組成物の粘度が400mPa・s以上で、かつ水中不分離性が○又は△であれば、実運用上において使用可能といえるため好ましい。

(考察) (A)成分、(B)成分、又は(D)成分をそれぞれ単独で用いた比較例7−1〜7−5は、セメント/ベントナイトスラリーの粘度が比較的低く、また水中分離抵抗性の結果が悪いのに対して、実施例7、8は、セメント/ベントナイトスラリーの粘度が比較的高く、また水中分離抵抗性の結果が良いのが分かる。また実施例7,8中、(A)成分と(B)成分に、更に(D)成分を併用すると、セメント/ベントナイトスラリーの粘度がさらに高く、また水中分離抵抗性の結果が更に優れることが分かる。

〔実施例9、及び比較例9〕 <モルタルの調製> ホバート型ミキサー((株)関西機器製作所製、KC−8)に,表10に記載の各配合のセメント,砂を加えて10秒間空練りを行った。次に、表11に記載の各成分を含む水を加えて、2分間撹拌(撹拌速度:公転62rpm,自転141rpm)を行うことでモルタルを調製した。 水の添加量は、表10に記載の各モルタル配合の水量となるように調製した。なお水の配合量には、(A)成分、(B)成分、(E)成分の添加量を含む。

表10中、モルタル配合で用いた、各材料は以下の通りである。 水:水道水(配合量は、(A)成分、(B)成分、及び(E)成分を含む) セメント:普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物、比重3.16 砂:京都府城陽産、表乾比重2.54g/cm3

<モルタルの流動性評価> 混練直後のモルタルを、JIS R 5201に記載のフローコーン(上径70mm×下径100mm×高さ60mm)に充填し、モルタルフローを測定した。結果を表11に示す。

<モルタルの材料分離抵抗性評価> モルタルの流動性評価でモルタルフローを測定した各モルタル(300mm±10mm)の状態を目視で確認し、下記の評価基準で判定した。結果を表11に示す。 4:モルタルの端部でも砂とセメントの分離が見られず、ブリージングも見られない。 3:モルタルの端部でも砂とセメントの分離が見られず、ブリージングも少ない。 2:モルタル端部にて砂とセメントの分離が見られ、ブリージングも若干発生している。 1:モルタル全体で砂とセメントの分離が見られ、ブリージングも多く発生している。

(考察) (A)成分、(B)成分を含む、本発明のレオロジー改質剤が練り水に粘性を付与した結果,実施例9は、比較例9と対比して、ブリージングが抑制され,材料分離抵抗性の向上が見られることが分かる。また,実施例9は、比較例9と対比して、(E)成分添加による流動性付与効果が損なわれていないことが分かる。これは、本発明のレオロジー改質剤が、セメントには作用しないことから,(E)成分によるセメント粒子の分散挙動に影響を与えないためであると考えられる。

〔実施例10、及び比較例10〕 <コンクリートの調製> 表12に記載のコンクリートの配合でコンクリートを調製した。強制2軸型ミキサー((株)IHI製)に、砂利、約半量の砂、セメント、炭酸カルシウム,残部の砂の順に投入し、空練りを10秒間行った。次いで、すばやく下記練り混ぜ水を添加し、120秒間練り混ぜてコンクリートを得た。その際、コンクリート配合における水に、表13に記載の(A)成分、(B)成分、(E)成分、比較添加剤を加え、撹拌して均一にして用いた。

表12中、Pは、セメント(C)と炭酸カルシウムの合計量である。また細骨材比は、S/(S+G)の容積比から算出される。

表12中、コンクリート配合で用いた、各材料は以下の通りである。 水:水道水(配合量は、(A)成分、(B)成分、及び(E)成分を含む) セメント:普通ポルトランドセメント、太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物、比重3.16 炭酸カルシウム:清水工業(株)製、ネオフロー150、比重2.71g/cm3 砂:京都府城陽産、京都府城陽産 表乾比重2.54g/cm3 砂利:兵庫県家島産砕石、密度2.63g/cm3

<コンクリートの流動性評価> 混練直後のコンクリートを、JIS A 1150に基づいてスランプフローを測定した。結果を表13に示す。

<コンクリートの材料分離抵抗性評価> コンクリートの流動性評価でスランプフローを測定した各コンクリートの状態を目視で確認し、下記の評価基準で判定した。結果を表13に示す。 4:骨材が分離せず、ブリージングがない。 3:骨材が分離せず、ブリージングも少ない。 2:コンクリートの端部で粗骨材の分離が見られ、ブリージングも若干発生している。 1:コンクリート全体で骨材の分離が見られ、ブリージングも多く発生している。

(考察) 比較例10の比較添加剤として用いたメチルセルロースやポリアクリルアミド系増粘剤は、セメント粒子に作用することで粘性を付与することが可能であるが、(E)成分である分散剤と併用した場合、比較例10−1〜10−5の結果から、比較添加剤の添加量を増やして材料分離抵抗性を担保しようとすれば流動性の低下が見られ,比較添加剤の添加量を減らして流動性を担保しようとすれば材料分離抵抗性を損なうこととなり、流動性と材料分離抵抗性の両立は困難であることが分かる。一方、実施例10−1〜10−5の結果から、本発明のレオロジー改質剤は高い分離抵抗性と流動性の両立が可能であることが分かる。これは、本発明のレオロジー改質剤が水に対して粘性を付与するため,(E)成分である分散剤と併用した場合、(E)成分によるセメント粒子の分散挙動に影響を与えないためであると考えられる。

<試験No.11〜13> 表14〜20に示した(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分は、以下のものを用いた。 (A)成分 (aa−1):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルキル基、R2a:エチレン基、n:11、M1:アンモニウムイオン) (aa−2):ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数12〜18のアルキル基、R2a:エチレン基、n:7、M1:アンモニウムイオン) (aa−3):ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩(一般式(a1)中、R1a:炭素数18のアルケニル基(オレイル基)、R2a:エチレン基、n:9、M1:アンモニウムイオン)

(B)成分 (bb−1):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数18のアルケニル基(オレイル基)である化合物 (bb−2):脂肪酸ジエタノールアミド:脂肪酸部分が炭素数10〜18のアルキル基とアルケニル基混合物である化合物 (bb−12):(bb−1)/(bb−2)=90/10(質量比)の混合物

(C)成分 表に示す化合物を使用した。

(D)成分 (dd−1):ポリエチレングリコール、重量平均分子量2,000、和光純薬工業株式会社製 (dd−2):ポリエチレングリコール、重量平均分子量4,000、和光純薬工業株式会社製 (dd−3):ポリエチレングリコール、重量平均分子量13,000、三井化学株式会社製 (dd−4):ポリエチレングリコール、重量平均分子量20,000、和光純薬工業株式会社製 (dd−5):ポリエチレングリコール、重量平均分子量80,000、明正化学工業株式会社製 (dd−6):ポリエチレングリコール、重量平均分子量110,000、明正化学工業株式会社製 (dd−7):ポリプロピレングリコール、重量平均分子量700、和光純薬工業株式会社製 (dd−8):ポリプロピレングリコール、重量平均分子量3,000、和光純薬工業株式会社製 (dd−9):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量2,270、プルロニックPE−71、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの質量比=18/82 三洋化成工業株式会社製 (dd−10):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量3,370、プルロニックPE−74、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの質量比=46/54 三洋化成工業株式会社製 (dd−11):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量4,290、プルロニックL−121、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの質量比=10/90 株式会社 ADEKA製 (dd−12):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量10,200、プルロニックPE−78、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの質量比=63/37 三洋化成工業株式会社製 (dd−13):エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、重量平均分子量19,500、プルロニックPE−128、エチレンオキシド/プロピレンオキシドの質量比=48/52 三洋化成工業株式会社製

<液状レオロジー改質剤の調製方法> 表14〜20に示す含有量の(A)成分と(B)成分と(C)成分と水とを混合して液状レオロジー改質剤を調製した。一部の例では、(D)成分も混合した。表中の含有量は、有効分の含有量である。 具体的には、スクリュー管に、20℃の水、(A)成分、及び(C)成分を配合し、恒温槽(60℃)で、(A)成分が完全に溶解するまで加熱し、(A)成分が全量溶解したのを確認したのち、(B)成分を配合し、(B)成分が均一に分散するまでスクリュー管を撹拌した。なお、(D)成分を配合する場合、水、(A)成分、及び(C)成分を配合する時に配合した。この方法で、表14〜20記載の各レオロジー改質剤を得た。 表中の実施例の液状レオロジー改質剤を、水、及び水硬性粉体と混合することで、粘弾性を有する水硬性スラリー組成物を得ることができる。

<液状レオロジー改質剤の評価> (1)外観及び粘度 得られた液状レオロジー改質剤の調製直後の外観を、目視にて観察した。 また、得られた液状レオロジー改質剤の調製直後の粘度を以下の方法で測定した。 測定対象の液状レオロジー改質剤をスクリュー管(マルエム製、No.7、35mm×78mm)に50g入れ、B型粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMETER TVB−10、ローターM21)を用いて回転数12rpmで撹拌し、3分後に測定した値を、液状レオロジー改質剤の粘度とした。

(2)低温安定性 一部の例では、液状レオロジー改質剤の低温安定性を以下の方法で評価した。 液状レオロジー改質剤をスクリュー管(マルエム製、No.7、35mm×78mm)に50g入れ、5℃の条件下に2週間放置し、その後、外観を観察した。下記の基準で評価した。 ○:液状で、やや白濁している。 ◎:液状で、透明である。

<水硬性スラリー組成物に対するレオロジー改質効果> (1)セメントスラリー 水400gとセメント400gとを混合して、W/Cが100質量%のセメントスラリーを調製した。その際、水には、表の液状レオロジー改質剤を、水に対して見掛けの添加量(表中、W×%で示した)が4質量%となるように添加した(表中、添加剤の%は質量%である)。セメントは、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物)を使用した。水は水道水を使用した。

(2)ベントナイト含有セメントスラリー 水300gとセメント120gとベントナイト30gを混合して、W/Pが200質量%の、ベントナイト含有セメントスラリー(表中、BT−セメントスラリーと表示する)を調製した。その際、水には、表の液状レオロジー改質剤を水に対して見掛けの添加量(表中、W×%で示した)が表中の量となるように添加した。W/Pは、水/(セメント+ベントナイト)の質量%である。セメントは、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント製と住友大阪セメント製を質量比50/50で混合した物)を使用した。水は水道水を使用した。ベントナイトは、株式会社立花マテリアル、TB−250を使用した。

(3)スラリーの粘度の測定 得られたセメントスラリー又はベントナイト含有セメントスラリーの粘度を、B型粘度計(RION株式会社製、VISCOTESTER VT−04E、ローターNo.2、回転数62.5rpm)により測定し、その粘度が300mPa・s以下の場合、ローターNo.3を用いた。撹拌から1分後の値を採用した。スラリー温度は、何れも20℃であった。セメントスラリーの場合、この粘度が2500mPa・s以上であれば、スラリーに粘弾性が確認されるため好ましい。また、ベントナイト含有セメントスラリーの場合、この粘度が1500mPa・s以上あれば、スラリーに粘弾性が確認されるため好ましい。 セメントスラリーの結果を表16に、ベントナイト含有セメントスラリーの結果を表19に示した。

(A)成分と(B)成分を高い濃度で混合すると使用可能ではあるが、粘度が高く取り扱い性が低下する傾向にある。本発明のように(C)成分を含有させることで、(A)成分と(B)成分を高い濃度で混合しても粘度は低く、実際の使用場面では、例えば、セメントスラリーに添加すると、粘度が上昇し、使いやすくなると考えられる。

<試験No.14> (A)成分として、上記で使用した(a−17)、(B)成分として、上記で使用した(b−1)、及び蒸留水を用いて、表21に記載の水溶液又は液状物を調製した。調製した水溶液又は液状物のそれぞれについて、下記の通り、20℃における粘度測定、粘弾性評価を行った。結果を表21に示す。なお表21に記載の(A)成分、及び(B)成分の濃度は有効分量である。

(1)粘度測定 20℃における粘度は、調製した水溶液又は液状物を、それぞれスクリュー管(マルエム製、No.7、35mm×78mm)に50g入れ、B型粘度計(東機産業株式会社製、VISCOMETER TVB−10、ローターM2)を用いて回転数6rpmで撹拌し、撹拌から3分後に測定した値を採用した。

(2)粘弾性評価 調製した水溶液又は液状物200mlを、それぞれ300mlのビーカーに入れ、以下の方法により曳糸性、及び巻き返し現象が認められるかを確認し、曳糸性と巻き返し現象が共に認められるものを「粘弾性有り」、認められないものを「粘弾性無し」とした。結果を表21に示す。

(曳糸性) 各試料について、直径6mmの表面平滑なガラス棒をビーカー底中央に垂直に立て、その状態からガラス棒を約1秒間で引き抜き、その際のガラス棒先端における曳糸状態を目視で観察した。 (巻き返し) 各試料について、直径6mmの表面平滑なガラス棒で2回転/1秒で円周状に撹拌を行い、撹拌を中止した際に撹拌と逆方向に溶液が動く現象が観察されたものを「巻き返し現象あり」とした。

表21の結果から、アニオン性界面活性剤である(A)成分を10質量%以上含む水溶液の20℃における粘度、及びノニオン性界面活性剤である(B)成分単体の液状物の20℃における粘度と対比して、アニオン性界面活性剤である(A)成分を5質量%、ノニオン性界面活性剤である(B)成分を5質量%含有する水溶液の20℃における粘度は、2倍以上大きいことが分かる。 このように粘度が高くなるのは、アニオン性界面活性剤である(A)成分を5質量%、ノニオン性界面活性剤である(B)成分を5質量%含有する水溶液が、紐状ミセルを形成しているからであり、該水溶液が粘弾性を有することからも、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤が紐状ミセルを形成しているものと考えられる。

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈