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The pharmaceutical composition comprising the polypeptide and a heterologous antigen comprising at least one cxxc motifs, and use thereof

阅读:1发布:2022-05-28

专利汇可以提供The pharmaceutical composition comprising the polypeptide and a heterologous antigen comprising at least one cxxc motifs, and use thereof专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、経口ワクチン接種又は粘膜ワクチン接種により、腫瘍 抗原 、 微 生物 抗原、又は他の抗原等の選択された異種抗原に対する免疫応答を高めるために、ジアルジア属の寄生虫の可変表面タンパク質(VSP)又はその断片等の少なくとも1つのCXXCモチーフを含むポリペプチドを用いる医薬組成物に関する。,下面是The pharmaceutical composition comprising the polypeptide and a heterologous antigen comprising at least one cxxc motifs, and use thereof专利的具体信息内容。

  • − 少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドと、
    − 異種抗原とを少なくとも含む医薬組成物。
  • 経口投与するための請求項1記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、腸の上皮細胞に付着することができ、そして、組成物が、必要な場合、異種抗原及びポリペプチドが上部消化管の酵素的分解及び化学的分解に対して耐性であるように製剤化されている請求項1又は2記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、少なくとも2アミノ酸により互いに分離されている少なくとも2つのCXXCモチーフを含むポリペプチドからなる請求項1〜3のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • 2つのCXXCモチーフが、5〜8アミノ酸を含むアミノ酸配列により分離されている請求項4記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、1〜70個のCXXCモチーフを含む請求項1〜5のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、微生物の可変表面タンパク質(VSP)、VSP様タンパク質、又はこれらの断片である請求項1〜6のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • 微生物が、ジアルジア属(Giardia)、テトラヒメナ属(Tetrahymena)、ゾウリムシ属(Paramecium)、及びエントアメーバ属(Entamoeba)の種からなる群より選択される請求項7記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である請求項8記載の医薬組成物。
  • 異種抗原が、植物、動物、寄生虫、細菌、ウイルス、腫瘍抗原、又は化学分子からなる群より選択される請求項1〜9のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、異種抗原に結合している請求項1〜10のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、異種抗原に融合している請求項1〜10のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • ポリペプチドが、異種抗原を含有するベクター粒子に結合している請求項1〜10のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • ベクター粒子が、ウイルス粒子、ウイルス様粒子(VLP)、又はナノ粒子である請求項13記載の医薬組成物。
  • ベクター粒子が、表面にポリペプチドを提示しているVLPである請求項14記載の医薬組成物。
  • 異種抗原が、VLPの内部に含有されるか又はVLPの表面上にある請求項14記載の医薬組成物。
  • ベクター粒子が、表面にポリペプチド及び異種抗原を提示しているナノ粒子である請求項14記載の医薬組成物。
  • 少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含み、そして、腸の上皮細胞に付着する能力を保持しているポリペプチドと、異種抗原とを含む融合タンパク質。
  • ポリペプチドが、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である請求項18記載の融合タンパク質。
  • 少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含み、そして、ベクター粒子に結合している腸の上皮細胞に付着する能力を保持しているポリペプチド。
  • ベクター粒子に結合しているジアルジア属のVSP又はその断片。
  • ベクター粒子が、更に、異種抗原を内部に含有するか又は表面に提示する請求項20記載のポリペプチド又は請求項21記載のジアルジア属のVSP。
  • 被験体における疾患、障害、又は生理学的状態の治療又は予防において使用するための請求項1〜17のいずれか一項記載の医薬組成物。
  • 異種抗原の提示及びワクチン接種のためのキャリアとしての、少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドの使用。
  • ポリペプチドが、腸の上皮細胞に付着することができる、ならびに/又は上部消化管の酵素的分解及び/もしくは化学的分解に対して耐性である請求項24記載の使用。
  • ポリペプチドが、微生物の可変表面タンパク質(VSP)、VSP様タンパク質、又はこれらの断片である請求項24又は25記載の使用。
  • 说明书全文

    本発明は、被験体における免疫応答を発生、調節又は制御するための医薬組成物、及びその使用方法に関する。

    本発明は、より具体的には、腫瘍抗原生物抗原又は他の抗原等の選択された異種抗原に対する免疫応答を経口ワクチン接又は粘膜ワクチン接種により高めるための、ジアルジア属(Giardia)の寄生虫の可変表面タンパク質(VSP)又はその断片(例えば、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片)等の少なくとも1つのCXXCモチーフを含むポリペプチドを使用する医薬組成物に関する。

    発明の背景:
    抗原の直接投与、免疫細胞(例えば、Tリンパ球又は樹状細胞等)のエクスビボ刺激及び増殖、遺伝的に又は化学的に改変されている癌細胞の注射、不活化ウイルスの投与、ならびに特定の抗原又はサイトカインをコードする核酸を用いる遺伝子治療等、被験体における免疫応答を高める様々なストラテジが当技術分野において提案されている。

    これら様々なアプローチは、特定の種類の抗原又は病原体に対する免疫応答を生じさせることができるが、免疫応答を誘発、制御、又は刺激するより優れた方法が依然として必要とされている。 具体的には、特に経口投与により、腫瘍抗原、ウイルス抗原、又は病原体に由来する他の抗原等の様々な抗原に対して、効率的な細胞性及び/又は体液性免疫応答等の効率的な免疫応答を生じさせる簡単な方法が必要とされている。

    実際には、安全性、患者の受容性、及び罹患率の問題により、今日市販されているワクチンの大部分は注射により送達されているが、これは、特に資源の乏しい開発途上国において、集団予防接種のコストを増大させ且つ安全性を低下させている。 したがって、他の投与経路、特に非経口ワクチンに比べて、経口送達は多数の著しい利点を提供する(投与が簡単であり、安全性が改善される)。 更に、全身性免疫とは異なり、経口送達は、粘膜免疫応答を誘導することができる。

    したがって、経口送達されたワクチンは、腸関連リンパ系組織(GALT)と呼ばれることの多い消化管の免疫系によってプロセシングされ、提示される。 GALTは、ホーミング系により関連付けられている(抗原が遭遇し、応答を開始する)誘導部位と、(局所免疫応答が生じる)エフェクター部位からなる複雑な系であって、GALTにおいて抗原により活性化された細胞は、循環に、次いで粘膜に遊走する(Lavelle et al.;2006)。 結果として、経口ワクチン接種は、腸及び遠位の粘膜部位において局所的に免疫応答を誘導できることに加えて、全身性の体液性及び細胞性免疫応答も誘導することができる。 経口ワクチン接種は、典型的に、粘膜の防御において重要な役割を果たす分泌型IgA(sIgA)を大量に産生させる。

    更に、たとえ経口経路のワクチン送達が予防的及び治療的なワクチンを送達する理想的な手段を表し、全身性送達よりも著しい利点を提供するとしても、経口経路は、胃腸管によってもたらされる多数の障壁のせいで最も困難な経路である。 ペプチド及びタンパク質のワクチンで有効な免疫を促進するためには、抗原を保護し、取り込みを強化し、そして、先天性免疫応答を活性化しなければならない。 したがって、生ベクター、不活性粒子及び細菌毒素を含む多数の送達系及びアジュバントが、経口ワクチン送達について評価されている。 しかし、タンパク質又はウイルス様粒子(VLP)のみを用いることによる効率的な経口免疫は未だ得られていないので、現在のところ経口ワクチンの開発は成功していない。

    結果として、経口投与又は粘膜投与により、腫瘍抗原、ウイルス抗原、又は病原体に由来する他の抗原等の様々な抗原に対して、効率的な細胞性及び/又は体液性免疫応答等の免疫応答を誘発、制御、又は刺激するより優れた方法が依然として必要とされている。

    発明の概要:
    本発明は、経口投与又は粘膜投与により、被験体における免疫応答を誘発、制御、又は刺激する新規の、代替となる、そして改善された方法を提供する。

    本発明は、より具体的には、被験体における選択された抗原により引き起こされる疾患を治療又は予防するために、ジアルジア属の寄生虫の可変表面タンパク質(VSP)又はその断片(例えば、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片)等の少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドを用いて、経口投与又は粘膜投与により、このような選択された抗原に対する免疫応答、特に細胞性及び/又は体液性免疫応答を高める新規概念に基づく。

    また、本発明は、経口投与又は粘膜投与により、抗原に対する改善された免疫応答を生じさせることができるベクター粒子及び/又は融合タンパク質を含む関連する医薬組成物、その調製及び使用について開示する。

    したがって、第1の態様では、本発明は、
    − 少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドと、
    − 異種抗原とを少なくとも含む医薬組成物に関する。

    第2の態様では、本発明は、上に定義される少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含み、そして、腸の上皮細胞に付着する能を保持しているポリペプチドと、異種抗原とを含む融合タンパク質に関する。

    第3の態様では、本発明は、上に定義される少なくとも1つのCXXCモチーフを含み、そして、ベクター粒子に結合している腸の上皮細胞に付着する能力を保持しているポリペプチドに関する。

    第4の態様では、本発明は、被験体における疾患、障害、又は生理学的状態の治療又は予防において使用するための医薬組成物に関する。

    第5の態様では、本発明は、提示用及びワクチン接種、特に経口ワクチン接種又は粘膜ワクチン接種用の異種抗原のキャリアとしての、ジアルジア属のVSP又はその断片等の上に定義される少なくとも1つのCXXCモチーフを含むポリペプチドの使用に関する。

    発明の詳細な説明:
    本発明者らは、ジアルジア属の可変表面タンパク質(VSP)(例えば、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片)等の少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むタンパク質又はポリペプチドを、候補ワクチン抗原のキャリアとして又は防御免疫を誘導するために、経口経路により用い得ることを初めて実証する。 更に、本発明者らは、VSPの細胞外ドメイン等のこのようなポリペプチドが、プロテアーゼ、様々なpHに対して耐性であり、そして、腸の上皮細胞に付着することができ、経口投与に適したウイルス様粒子(VLP)を形成するのに有用であることを実証する。

    定義:
    明細書の全体を通して、以下の段落で幾つかの用語を使用し、そして、定義する。

    本明細書で使用するとき、用語「免疫原性」は、免疫応答又は免疫反応を誘発するか、引き起こすか、刺激するか、又は制御する生成物、組成物、又は方法を意味する。 したがって、免疫原性組成物は、被験体又はインビトロにおいて免疫系の活性を変化させる任意の組成物である。 これは、防御免疫応答、細胞性免疫応答、抗体応答、免疫応答の中和、抗体レベルの変化、免疫細胞レベルの改変等を含む。

    本明細書で使用するとき、用語「抗原」は、MHC分子によってプロセシング及び提示される場合、抗体又はT細胞受容体(TCR)に特異的に結合することができる分子を指す。 また、用語「抗原」は、本明細書で使用するとき、T細胞のエピトープを含む。 更に、抗原は、免疫系によって認識され得る、ならびに/又はBリンパ球及び/もしくはTリンパ球の活性化を導く体液性免疫応答及び/もしくは細胞性免疫応答を誘導することができる。 しかし、これは、少なくとも特定の場合において、抗原がTh細胞のエピトープを含有するか又はTh細胞のエピトープに結合し、そして、アジュバントにおいて与えられることを必要とする場合があるか、あるいは、抗原が本発明に従って提示されることを必要とする場合がある。 抗原は、1以上のエピトープ又は抗原性部位(B−及びT−エピトープ)を有し得る。 用語「特異的に結合する」は、本明細書で使用するとき、抗原が、好ましくは、典型的には高度に選択的に、対応する抗体又はTCRと反応し、他の抗原によって誘起され得る多数の他の抗体又はTCRとは反応しないことを示すことを意味する。

    本明細書で使用するとき、用語「エピトープ」は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトにおいて抗原性活性又は免疫原性活性を有するポリペプチド性又は非ペプチド性の分子の連続する部分又は不連続な部分を指す。 MHC分子に関しては、エピトープは、抗体に又はそのT細胞受容体を通してT細胞に認識される。 本明細書で使用するとき「免疫原性エピトープ」は、当技術分野において公知の任意の方法により求めたとき、動物における抗体応答を誘発するか又はT細胞応答を誘導するポリペプチド性又は非ペプチド性の分子の部分として定義される。 本明細書で使用するとき、用語「抗原性エピトープ」は、当技術分野において周知の任意の方法により求めたとき、抗体がその抗原に免疫特異的に結合することができるタンパク質又は非ペプチド性の分子の部分として定義される。 免疫特異的結合は、非特異的な結合を除くが、他の抗原との交差反応性を必ずしも除くものではない。 抗原性エピトープは、必ずしも免疫原性である必要はない。 また、抗原性エピトープは、T細胞エピトープであってもよく、この場合、抗原性エピトープは、MHC分子に関する文脈において、T細胞受容体と免疫特異的に結合し得る。

    本明細書で使用するとき、用語「異種抗原」は、寄生虫ジアルジア属(特にランブル鞭毛虫(Giardia lamblia))又は本発明に定義される他の微生物に対して異種である抗原を指し、したがって、このような異種抗原は、寄生虫ジアルジア属又は前記他の微生物に由来するものではない。 したがって、本発明の文脈では、用語「異種抗原」は、植物、動物、寄生虫(例えば、ジアルジア属に由来するもの以外)、細菌、ウイルス、腫瘍抗原、自己抗原、又は化学分子を含む。 しかし、本発明のポリペプチドが、例えばテトラヒメナ属(Tetrahymena)、ゾウリムシ属(Paramecium)、エントアメーバ属(Entamoeba)等の別の微生物に由来する場合、前記異種抗原がジアルジア属に由来する場合もあることに留意すべきである。

    本明細書で使用するとき、用語「ジアルジア属」又は「ジアルジア属の寄生虫」は、幾つかの脊椎動物の小腸においてコロニー形成し、そして繁殖して、ジアルジア症を引き起こすメタモナーダ(Metamonada)門の嫌気性有鞭毛寄生原虫の属を指す。 世界中で、糞便−口腔衛生状態の悪い人々の間でジアルジア症は一般的であり、主な伝播様式は、汚染の供給又は性行為を含む。 有鞭毛ジアルジア属の栄養体は、小腸の上皮細胞(すなわち、腸管粘膜の表面)に付着し、そこで、顕著な炎症反応を誘発することなく疾患を引き起こすことができる(Rivero et al., 2010)。 毒性因子又は毒素は知られておらず、表面タンパク質の発現を変化させることにより、ホストの免疫応答を回避し、そして、様々なホスト環境に適応することができる(Rivero et al. 2010)。 その生活環は、活発に泳ぐ栄養体と感染性の保護嚢子とを交互に繰り返す。 ジアルジア属の寄生虫はヒトに感染するが、ネコ、イヌ及びトリに感染する最も一般的な寄生虫のうちの1つでもある。 また、哺乳類ホストは、ウシ、ビーバー、シカ、及びヒツジを含む。 したがって、用語「ジアルジア属」は、ランブル鞭毛虫及びジアルジア・ムリス(Giardia muris)を含む様々な種を含む。

    本明細書で使用するとき、用語「ランブル鞭毛虫」(腸鞭毛虫(Giardia intestinails)又はジアルジア・デュオデナリス(Giardia duodenalis)とも呼ばれる)は、ヒトの最も一般的な腸内寄生虫のうちの1つを指す。 ランブル鞭毛虫は、米国で最も流行している寄生性原生生物であり、米国における発生率は0.7%もの高さである場合もある(Hlavsa et al. 2005)。

    本明細書で使用するとき、「可変表面タンパク質」又は「VSP」という用語は、ジアルジア属の寄生虫の全表面を被覆するポリペプチドを指し、そして、ホストの免疫系によって認識される主な抗原である。 VSPは、一部のVSPにおけるCXCモチーフ、ジアルジア属に特異的なジンクフィンガーモチーフ、及びGGCYモチーフの存在を含む、幾つかの特定の特徴を有するCXXCモチーフ(式中、Xは任意のアミノ酸である)が頻繁に存在するシステインリッチタンパク質である(Nash, 2002; Adam wt al, 2010)。 より正確には、VSPは、サイズが20〜200kDaで変動する1型内在性膜タンパク質であり;可変アミノ末端システインリッチ領域(ホスト/寄生虫の接触面を表し、そして、タンパク分解及び低pHに対する耐性をタンパク質に付与する細胞外ドメイン)と、免疫系には「見つからない」疎水性膜貫通領域及びわずか5アミノ酸(CRGKA)を含む短いサイトゾル側末端を含む保存されたカルボキシ末端領域とを有する。 Nash (1997)に記載されている通り、各寄生虫の表面上では常に1つのVSPしか発現していない。 本発明の文脈において、用語「可変表面タンパク質」は、ジアルジア属のVSPの完全なレパートリ、特にランブル鞭毛虫の任意の可変表面タンパク質を含むことを意図する。 実際、集合体Aについては、Morrison et al. (2007)及びAdam et al. (2010)に記載の通り、ジアルジア属の寄生虫は、VSPをコードする約200の遺伝子のレパートリをコードし、Svardのグループによる2つの報告は、集合体B及びEに由来する分離菌のVSPレパートリについて記載している(Jerlstrom-Hultqvist et al. (2010)及びFranzen et al. (2009)。VSPの細胞外ドメインは、上部小腸の苛酷な環境で寄生虫が生存することを可能にする。VSPは、可変pHに対する耐性(特定のVSPに対するモノクローナル抗体(mAb)の立体構造エピトープに対する反応性は、pH2〜12で不変である)、ならびにトリプシン及び他の幾つかのプロテアーゼによる消化に対する耐性が非常に高い。更に、栄養体がそれに付着した後、VSPは腸粘膜に付着したままである(Rivero et al., 2010)。

    更に、ジアルジア属のVSP又は他の微生物のVSP様タンパク質等の少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドは、遺伝子操作によりインビトロで作製されてもよく、異種系で産生されてもよいことに更に留意しなければならない。 したがって、野性型の寄生虫ではみられないアミノ酸変異を有するもの(例えば、ジアルジア属のVSPの変異体)を含む、化学的に作製されるか又は細胞で産生されるポリペプチドも含まれる。 したがって、固相合成、液相合成又は遺伝子工学等の当技術分野において周知の任意の手順によってVSPを調製することができる。

    本発明のVSPは、場合により化学的修飾を含んでもよい。 化学的修飾は、インビボにおいて酵素的分解に対するタンパク質の保護が増大し及び/又は膜障壁を通過する能力が上昇し、それによって、半減期が増加し且つ生物活性が維持されているか又は改善しているタンパク質を得ることを目的とする。 当技術分野において公知の任意の化学的修飾を、本発明に従って使用してよい。 このような化学的修飾は、以下を含むが、これらに限定されない:
    − 例えば、N末端のアシル化(好ましくは、アセチル化)もしくは脱アミノ化、又はC末端カルボキシル基のアミド基もしくはアルコール基への修飾等、タンパク質のN末端及び/又はC末端に対する修飾;
    − 2つのアミノ酸間のアミド結合における修飾:2つのアミノ酸を結合させるアミド結合の窒素原子又はアルファ炭素におけるアシル化(好ましくはアセチル化)又はアルキル化(好ましくはメチル化);
    − 例えば、2つのアミノ酸を結合させるアミド結合のアルファ炭素におけるアシル化(好ましくはアセチル化)又はアルキル化(好ましくはメチル化)等、2つのアミノ酸を結合させるアミド結合のアルファ炭素における修飾;
    − 例えば、1以上の天然に存在するアミノ酸(L鏡像異性体)を対応するD鏡像異性体に置換する等、キラリティの変更;
    − (C末端からN末端に)アミノ酸鎖を反転させると共に、1以上の天然に存在するアミノ酸(L−鏡像異性体)を対応するD鏡像異性体に置換するレトロインバージョン;及び/又は − 1以上のアルファ炭素を窒素原子に置換するアザペプチド。

    用語「タンパク質」又はそれと互換的に用いられる用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用するとき、アミド結合(ペプチド結合としても知られている)によって直鎖状に結合されるモノマー(アミノ酸)で構成される分子を指す。 ポリペプチドの翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化等も含まれる。 また、用語「タンパク質」又は「ポリペプチド」は、そのポリペプチドの配列と70%を超える、好ましくは80%を超える、更により好ましくは90%を超える、更により好ましくは95%を超える、そして、最も好ましくは97%を超えるアミノ酸配列同一性を有する任意の天然の又は遺伝的に改変されているポリペプチドを含む、又は好ましくは前記ポリペプチドからなる任意のポリペプチドを含むはずである変異体も含む。 ポリペプチドの変異体を作製する好ましい方法は、遺伝子工学による方法、好ましくは挿入、置換、欠失又はこれらの組合せによる方法である。 用語「タンパク質の変異体」を本発明に従って抗原に適用する場合、このような変異体は、インビボにおいて抗体の産生又はT細胞の刺激を誘導することができなくてはならない。 用語「タンパク質の変異体」を本発明に従ってジアルジア属のVSP又は他の微生物のVSP様タンパク質に適用する場合、このような変異体は、細胞、具体的には粘膜細胞、より具体的には腸の上皮細胞に付着する能力を保持し、最終的にはそれ自体が免疫応答を誘導することができなくてはならない。

    本明細書で使用するとき、用語「タンパク質の断片」又はそれと互換的に用いられる用語「ポリペプチドの断片」を本発明に従ってVSPに適用する場合、このような断片は、本明細書に定義するとき、タンパク質、ポリペプチド、又は抗原のうちの少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、100、150、200、300、400、500の連続するアミノ酸もしくは不連続なアミノ酸を含むか、又は好ましくは前記アミノ酸からなる任意のポリペプチド、並びにそれに対して65%を超える、好ましくは80%を超える、より好ましくは90%を超える、そして、更により好ましくは95%を超えるアミノ酸配列同一性を有する任意のポリペプチドを含むべきである。 用語「タンパク質の断片」を本発明に従って抗原に適用する場合、このような断片は、インビボにおいて抗体の産生又はT細胞の刺激を誘導することができなくてはならない。 したがって、タンパク質の断片は、少なくとも1つの免疫原性エピトープを含まなくてはならない。 用語「タンパク質の断片」を本発明に従ってジアルジア属のVSP又は他の微生物のVSP様タンパク質に適用する場合、このような断片は、細胞、具体的には粘膜細胞、より具体的には腸の上皮細胞に付着する能力を保持し、最終的にはそれ自体が免疫応答を誘導することができなくてはならない。

    本明細書で使用するとき、用語は「結合」は、例えば、化学的カップリング等の共有結合であってもよく、又は例えばイオン相互作用、疎水的相互作用、水素結合等の非共有結合であってもよい結合を指す。 共有結合は、例えばエステル、エーテル、ホスホエステル、アミド、ペプチド、イミド、炭素−硫黄結合、炭素−リン結合等であり得る。 また、この用語は、物質(例えば異種抗原)の封入、又は部分的封入も含む。 用語「結合」は、「カップリング」、「融合」、「封入」、「パッケージ化」、「偽型化」、「脂質二重膜における発現」、及び「付着」等の用語よりも広く、そして、これらを含む。

    本明細書で使用するとき、用語「融合」は、様々な起源のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をインフレームで組合せることにより、1本のポリペプチド鎖中に様々な起源のアミノ酸配列を組合せることを指す。 遺伝子コードの縮重により、1を超えるヌクレオチド配列が1つの所与のアミノ酸配列をコードし得ることに留意しなければならない。 用語「融合」は、明示的に内部融合(すなわち、その末端のうちの1つに融合させることに加えて、ポリペプチド鎖内に異なる起源の配列を挿入すること)を含む。

    本明細書で使用するとき、用語「コンジュゲート」は、(a)ジアルジア属のVSP又はその断片と(b)有機分子(例えば、非タンパク質抗原からなる異種抗原)とのコンジュゲート産物であって、要素(a)及び(b)が互いに結合しているコンジュゲート産物を指す。 このような要素(a)及び(b)は、例えばリンカーにより結合する場合もある。

    本明細書で使用するとき、用語「連結配列」又はそれと互換的に用いられる用語「リンカー」は、タンパク質又はニコチン分子等の非タンパク質抗原をポリペプチドに共有結合させることに加えて、ベクター粒子をポリペプチドに共有結合させる分子実体を指す。 例えば、リンカーは、チオール基、アルキル基、グリコール基又はペプチド基を含み得る。 リンカーは、架橋分子を含み、そして、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/009116号として公開されている国際特許出願に幾つかの例が記載されている。

    本明細書で使用するとき、「ベクター粒子」は、その表面にジアルジア属のVSPもしくはその断片及び/又は異種抗原を提示する傾向のある任意の粒子を意味する。 本発明の文脈においては、用語「ベクター粒子」は、ウイルスベクター粒子、ウイルス様粒子(VLP)及びナノ粒子を含むことを意図する。

    本明細書で使用するとき、用語「ウイルスベクター粒子」は、ウイルスの形態学的形態を指す。 一部のウイルス型では、ウイルスベクター粒子は、タンパク質カプシドに囲まれたゲノムを含み;他のウイルス型は、付加構造(例えばエンベロープ、尾部等)を有する。

    本明細書で使用するとき、用語「ウイルス様粒子」(VLP)は、ウイルス粒子に類似する構造を指す。 本発明に係るウイルス様粒子は、ウイルスゲノムの全て又は一部が欠損しており、典型的にそして好ましくは、ウイルスゲノムの複製及び感染に関する成分の全て又は一部が欠損しているので、非複製的である。 本明細書で使用するとき、用語「非複製的」とは、VLPに含まれるか又は含まれないゲノムを複製することができないことを指す。

    本発明の医薬組成物 第1の態様では、本発明は、少なくとも− 少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含むポリペプチドと− 異種抗原とを含む医薬組成物、好ましくは免疫原性医薬組成物に関する。

    本発明の医薬組成物を個体に投与する場合、本発明の医薬組成物は、塩、バッファ、アジュバント、キャリア、又は組成物の有効性を改善するために望ましい他の物質を含有する形態であってよい。 医薬組成物の調製において使用するのに適した薬学的材料の例は、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Osol, A, ed., Mack Publishing Co., (1990))を含む多数の情報源に提供されている。 「薬学的に」又は、「薬学的に許容しうる」は、適切な場合、哺乳類、特にヒトに投与されたとき、副作用、アレルギー反応、又は他の有害な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。 薬学的に許容しうるキャリア又は賦形剤は、任意の種類の無毒な固体、半固形又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は製剤助剤を指す。

    更に、医薬組成物は、更なるアジュバント又は免疫原性剤もしくは生物学的活性剤を含み得る。 しかし、本発明の有利な特徴は、アジュバントが存在しない場合でさえも組成物の免疫原性が高いことであるので、1つの好ましい態様では、医薬組成物はアジュバントを含まない。 更に、アジュバントが存在しないことにより、ワクチン接種における安全性の問題を提示する望ましくない炎症性T細胞応答の発生が最小限に抑えられる。

    本発明の医薬組成物は、好ましくは、経口投与又は粘膜投与用に製剤化される。 経口投与又は粘膜投与用に使用される用量は、様々なパラメータに応じて、特に、関連する病状又は望ましい治療期間に応じて適応させることができる。

    任意の適切な粘膜に医薬組成物を投与してよく、投与は、(消化器系の粘膜を介する)経口投与、鼻内投与、膣内投与、舌下投与、眼球投与、直腸内投与、泌尿器(urinal)内投与、乳房内投与(intramammal)、内投与、経(すなわち、耳を介する)投与及び頬側投与、好ましくは頬側投与又は舌下投与(口腔粘膜投与)を含む。

    製剤化する際、医薬組成物は、投薬製剤に適合する方法で、そして治療上有効な量で投与される。 製剤は、例えば、経口投与又は粘膜投与用の錠剤又は他の固体;徐放性カプセル;及び現在使用されている任意の他の形態の種類等の様々な剤形で容易に投与される。 したがって、医薬組成物は、噴霧剤、煙霧剤、合剤、懸濁剤、分散剤、乳剤、ゲル、ペースト剤、シロップ剤、クリーム、軟膏剤、インプラント(耳、目、皮膚、鼻、直腸、及び膣)、乳房内調製物、膣剤(vagitories)、坐剤、又は子宮剤(uteritories)の形態であってよい。 特定の実施形態では、リポソームの使用を意図する。 リポソームの形成及び使用は、当技術分野において公知である。

    上述の通り、好ましい実施形態では、医薬組成物は経口投与に適している。

    より具体的には、必要な場合、異種抗原及びポリペプチドが上部消化管の酵素的分解及び化学的分解に対して耐性であるように医薬組成物を製剤化する。 更に、ポリペプチドは、細胞、より具体的には腸の上皮の細胞に付着できなければならないことに留意すべきである。 したがって、1つの実施形態では、ポリペプチドは腸の上皮細胞に付着することができ、そして、必要な場合、異種抗原及びポリペプチドが上部消化管の酵素的分解及び化学的分解に対して耐性であるように組成物を製剤化する。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸によって分離された少なくとも2つのCXXCモチーフを含むポリペプチドからなる。

    したがって、2つのCXXCモチーフは、3〜20アミノ酸、好ましくは5〜8アミノ酸を含むアミノ配列によって分離される。

    少なくとも2つのCXXCモチーフを分離するアミノ酸は、任意のアミノ酸残基であってよいことに留意すべきである。

    別の1つの実施形態では、ポリペプチドは1〜10のCXXCモチーフ、1〜20のCXXCモチーフ、1〜30のCXXCモチーフ、1〜40のCXXCモチーフ、1〜50のCXXCモチーフ、1〜60のCXXCモチーフ、1〜70のCXXCモチーフ、1〜80のCXXCモチーフ、1〜90のCXXCモチーフ又は1〜100のCXXCモチーフを含む。

    したがって、ポリペプチドは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70のCXXCモチーフを含み得る。

    1つの特定の実施形態では、上に定義されるポリペプチドは、微生物の可変表面タンパク質(VSP)、VSP様タンパク質、又はこれらの断片である。

    したがって、微生物は、好ましくはジアルジア属、テトラヒメナ属、ゾウリムシ属及びエントアメーバ属の種からなる群より選択される。

    1つの好ましい態様では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である(前記細胞外ドメインは、ジアルジア属のVSPタンパク質の複数のCXXCモチーフを含むアミノ末端システインリッチ領域であるため)。

    実際、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメインは、pH、温度及びタンパク分解に対して耐性であるドメインである。

    したがって、別の好ましい実施形態では、本発明に係るポリペプチドは、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片のみを含む。 したがって、ジアルジア属のVSPの膜貫通領域及び細胞質側末端は除去されている。

    また、ペプチドシグナルも除去できることに留意すべきである。

    可変表面タンパク質(VSP)
    したがって、可変表面のタンパク質(VSP)又はその断片は、寄生虫のゲノムにおいてDNAレベルでコードされているVSPの完全なレパートリの中から選択することができる。 このレパートリは、ジアルジア属の分離菌によって異なる約200の同種のVSPをコードする遺伝子(vsp)で構成される。 本発明に係る組成物においてVSPの変異体も使用できることに更に留意すべきである。

    上述の通り、ジアルジア属のVSP、より具体的にはジアルジア属のVSPの細胞外ドメインは、複数のCXXCモチーフ、好ましくは、(複数の配列のアラインメントによって観察されるように)3〜20アミノ酸、より具体的には5〜8アミノ酸等の幾つかのアミノ酸により分離される複数のCXXCモチーフを含む。

    特定の実施形態では、ジアルジア属の寄生虫はランブル鞭毛虫である。

    好ましい実施形態では、ジアルジア属のVSPは、ランブル鞭毛虫のVSP9B10、VSP1267、VSPA6、VSPS1、VSPS2、VSPS3、VSPS4、VSPS5、VSPS6、VSPS7、VSPS8、VSPAS1、VSPAS2、VSPAS3、VSPAS4、VSPAS5、VSPAS6、VSPAS7、VSPAS8、VSPAS9、VSPAS10、VSPAS11、VSPAS12及びVSPH7からなる群より選択される。

    VSP様ドメイン したがって、ジアルジア属と配列相同性及び生化学的特性を共有するジアルジア属以外の微生物に由来するポリペプチド、特に、複数のCXXCモチーフ、好ましくは5〜8アミノ酸により分離される複数のCXXCモチーフを含有するポリペプチドの中から、VSP様タンパク質又はその断片を選択することができる。 実際、VSP1267配列の細胞外ドメイン(クエリー)と他のVSP様分子の配列(分析からジアルジア属を除いてBLASTPを行った後のドメイン構造から得られた)とのアライメントから、ゾウリムシ属、テトラヒメナ属及びエントアメーバ属の種に属するタンパク質に複数のCXXCモチーフ、特に5〜8アミノ酸により分離される複数のCXXCモチーフが存在することが観察された。 したがって、ゾウリムシ属の表面キナーゼ、ならびにエントアメーバ属の種及びテトラヒメナ属の種の表面タンパク質の一次配列の代表的な断片は、pH、温度及びタンパク分解に対する耐性に関与する(VSP1267、9B10、及びH7と比較した)、VSP様構造におけるCXXCモチーフを含有する保存ドメインと予測される。

    1つの実施形態では、テトラヒメナ属の微生物はテトラヒメナ・サーモフィラ(Tetrahymena thermophila)である。

    別の実施形態では、エントアメーバ属の微生物は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)である。

    別の実施形態では、ゾウリムシ属の微生物はヨツヒメゾウリムシ(Paramecium tetraurelia)である。

    異種抗原 異種抗原は、1つの天然に存在する抗原又はその一部からなり得、前記天然に存在する抗原の一部は、少なくとも1つの免疫原性エピトープを含むか、又は少なくとも1つの免疫原性エピトープからなる。 天然に存在する抗原とは、自然界に存在する抗原、好ましくは植物、動物、寄生虫、細菌又はウイルス等の生物中に存在する抗原を指す。

    したがって、好ましい実施形態では、異種抗原は、植物、動物、寄生虫、細菌、ウイルス、自己、腫瘍抗原、又は化学分子からなる群より選択される。

    したがって、本発明の1つの好ましい実施形態では、異種抗原は、非自己(又は外来)タンパク質抗原、その断片又は変異体である。

    意図される例示的な非自己タンパク抗原は、細菌タンパク質抗原、ウイルスタンパク質抗原、寄生虫タンパク質抗原、腫瘍タンパク質抗原、マイコプラズマタンパク質抗原及びアレルゲンタンパク質抗原を含む。

    前記粒子(例えば、下記のウイルス様粒子(VLP))がウイルスに由来するか、又はそれに対する免疫が求められるウイルスの一部を含む場合、異種抗原がベクター粒子自体で構成される場合もあることに更に留意しなければならない。 例えば、粒子がヒト免疫不全ウイルス(HIV)に由来する場合、前記粒子は異種抗原を構成し得る。

    本発明の別の好ましい実施形態では、異種抗原は、自己タンパク質抗原、その断片又は変異体である。

    実際、疾患、特に自己免疫疾患及び慢性炎症性疾患は、自己タンパク質抗原の過剰産生又は機能不全により引き起こされ得る。

    意図される例示的な自己タンパク質抗原は、サイトカイン、インターロイキン、ホルモン、成長因子及び受容体を含む。

    更に別の好ましい実施形態では、異種抗原は非タンパク質抗原である。

    意図される例示的な非タンパク質抗原は、多糖抗原、脂質抗原、核酸抗原、リポ多糖抗原、及び薬物等の化学分子を含む。

    依存性薬物及び治療薬の両方を含む典型的な薬物は、ニコチン等のアルカロイド類、ステロイド類、毒素炭水化物、多くの汚染物質を含む芳香族化合物、及びそれに対する免疫応答が高まり得る他の化合物である。

    例示的な異種抗原(タンパク質抗原又は非タンパク質抗原)は、国際公開第2006/02674号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、異種抗原に結合する。

    別の実施形態では、ポリペプチドは、異種抗原に融合する。

    更に別の実施形態では、ポリペプチドは、異種抗原を含有するベクター粒子に結合する。 したがって、ベクター粒子は、ウィルス粒子、ウイルス様粒子(VLP)又はナノ粒子であり得る。

    1つの特定の実施形態では、ベクター粒子は、その表面に本発明のポリペプチドを提示するVLPである。

    別の特定の実施形態では、異種抗原は、VLPの内部に含有されるか又はその表面上に存在する。

    異種抗原に結合する本発明に係るポリペプチド 本発明の別の態様は、異種抗原に結合するジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係る少なくとも1つのCXXCモチーフを含むポリペプチドに関する。

    本発明に係るポリペプチド−異種抗原融合タンパク質 異種抗原が自己又は非自己のタンパク質抗原である場合、ジアルジア属のVSP又はその断片等の上に定義される本発明に係るポリペプチドは、異種抗原と融合し得る。

    したがって、本発明の1つの態様は、少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含み、そして、腸の上皮細胞に付着する能力を保持しているポリペプチドと、異種抗原とを含む融合タンパク質に関する。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSP又はその断片である。

    特定の実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である。

    本発明の融合タンパク質は、(例えば、組換え型核酸技術の使用等)当技術分野において公知の技術に従って調製することができる。

    また、本発明は、上に定義される異種タンパク質抗原に融合しているジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片等の本発明に係るポリペプチドに加えて、前記ポリペプチドをコードする配列を含む核酸に関することに留意しなければならない。

    本発明に係るポリペプチド−異種抗原コンジュゲート 異種抗原が非タンパク質抗原である場合、ジアルジア属のVSP又はその断片等の上に定義される本発明に係るポリペプチドは、連結配列により非タンパク質抗原に共有結合し得る。

    したがって、本発明の別の態様は、少なくとも1つのCXXCモチーフ(式中、Cはシステイン残基を表し、Xは任意のアミノ酸残基を表す)を含有し、そして、腸の上皮細胞に付着する能力を保持しているポリペプチドと、異種抗原とを含むコンジュゲートに関する。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSP又はその断片である。

    特定の実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である。

    本発明のコンジュゲートは、当技術分野において公知の技術に従って(例えば、有機分子をアミノ酸にカップリングさせるための技術により)、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/009116号として公開されている国際特許出願に記載の通り調製することができる。

    また、本発明は、上に定義される異種非タンパク質抗原にコンジュゲートする、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片等の本発明に係るポリペプチドに関することに留意しなければならない。

    ベクター粒子に結合する本発明に係るポリペプチド 更に別の態様では、ジアルジア属のVSP又はその断片等の上に定義される本発明に係るポリペプチドは、ベクター粒子に結合する。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSP又はその断片である。

    特定の実施形態では、ポリペプチドは、ジアルジア属のVSPの細胞外ドメイン又はその断片である。

    別の実施形態では、異種抗原はベクター粒子に結合する。

    更に別の実施形態では、ジアルジア属のVSP又はその断片等の上に定義される本発明に係るポリペプチドと異種抗原とは、両方ともベクター粒子に結合する。

    したがって、上記融合タンパク質又はコンジュゲートは、ベクター粒子に結合し得る。

    本発明の文脈において、ベクター粒子は、ウィルスベクター粒子、ウイルス様粒子(VLP)又はナノ粒子であり得る。

    特定の実施形態では、ベクター粒子はウイルス様粒子(VLP)である。

    ウイルス様粒子が使用される場合、それらは、当技術分野において公知の技術、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第02/34893号として公開されている国際特許出願に記載の通り調製することができる。

    好ましい実施形態では、VLPは、ジアルジア属の寄生虫のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドをその表面に提示する。

    したがって、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドは、VLPの表面に露出し得る。 この点に関して、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドは、エンベロープタンパク質又はその断片、合成リンカー等の様々な構造に対する結合を通して、あるいは抗体を含む化学反応又は酵素反応を通して露出し得る。

    1つの特定の実施形態では、VLPは、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドに融合しているレトロウイルスのエンベロープの膜貫通ドメインの少なくとも一部を含む合成(キメラ)エンベロープであり得る改変エンベロープを含む。

    したがって、好ましい実施形態では、例えば、水疱性口内炎ウイルス(VSV)エンベロープタンパク質又はその断片との遺伝的又は化学的融合によりVLPの表面に露出しているジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドと融合しているVSVに由来するエンベロープタンパク質又はその断片(例えば、VSV G糖タンパク質の膜貫通(TM)領域)等のウイルスのエンベロープタンパク質をVLPは提示する。

    別の好ましい実施形態では、(i)ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドと融合している水疱性口内炎ウイルス(VSV)に由来するエンベロープタンパク質又はその断片(例えば、VSV G糖タンパク質の膜貫通(TM)領域)等のウイルスのエンベロープタンパク質と、(ii)異種抗原とをVLPは提示する。

    別の特定の実施形態では、合成エンベロープを官能化することにより、共有相互作用又は非共有相互作用を通して、対象となる任意の選択された分子に前記合成エンベロープが結合できるようにしてもよい。 官能化されたエンベロープは、対象となる任意の選択された分子の(特異的)結合を可能にするリンカーを含んでもよい。 一例として、エンベロープは、分子の特異的結合を可能にするためにアビジン部分又はビオチン部分を含んでもよい。 結合する分子は、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドに加えて、異種抗原(すなわち、非タンパク質抗原及びタンパク抗原)であってよい。

    1つの特定の実施形態では、異種抗原はVLPの内部に含有される。

    好ましい実施形態では、ウイルス様粒子(VLP)は、レトロウイルス又はレンチウイルスのGagタンパク質(マウス白血病ウイルス(MLV)もしくはHIVのGagタンパク質、又はこれらの断片等)を含み、更により好ましくは、レトロウイルスの改変Gagタンパク質を含む。 具体例では、Gagタンパク質は、異種抗原を含む融合タンパク質(すなわち、インフルエンザヘマグルチニン(HA)又はその断片(例えば、ペプチドHA 111−119からなるSFEペプチド)であり、このことから、異種抗原がVLPの内部に含有されているという事実が導かれる。

    したがって、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドは、消化管において分解を受けることなく粘膜(例えば、腸管粘膜)に異種抗原を正確に送達することを可能にする保護表面を形成することができ(寄生虫栄養体において自然に生じるので)、同時に、異種抗原は、適切な防御免疫応答を生じさせるために、VSP自体により免疫賦活される場合もある。

    また、本発明は、本発明に係る上記ウイルス様粒子(VLP)に関することに留意しなければならない。

    別の実施形態では、ベクター粒子はナノ粒子である。

    本発明の文脈において、ナノ粒子は、細胞表面上に抗原を提示させるために細胞によって取り込まれるのに十分な程度小さなサイズである。 好ましい実施形態では、ナノ粒子は、0.5〜10nm、より好ましくは1〜2.5nmの平均直径を有するコアを有する。

    ナノ粒子のコアは、金属コアであり得る。 好ましくは、金属コアは、Au、Ag又はCu、例えば、Au/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/Pd、Au/Ag/Cu/Pd、Au/Fe、Au/Cu、Au/Gd、Au/Fe/Cu、Au/Fe/Gd又はAu/Fe/Cu/Gdから選択される合金を含む。

    好ましくは、本発明のナノ粒子は、ほとんどの有機溶媒、特に水に可溶性である。

    ナノ粒子が使用される場合、それらは、当技術分野において公知の技術、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/122388号として公開されている国際特許出願に記載の通り調製することができる。

    好ましい実施形態では、ナノ粒子は、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドをその表面上に提示する。

    別の好ましい実施形態では、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドと異種抗原とは、両方ともナノ粒子の表面に結合する。

    したがって、上記融合タンパク質又はコンジュゲートは、ナノ粒子に結合し得る。

    本発明の医薬組成物の治療的及び予防的使用 別の態様では、本発明は、被験体における疾患、障害、又は生理学的状態の治療又は予防において使用するための本発明の医薬組成物に関する。

    本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、げっ歯類、ネコ科、イヌ科、及び霊長類等の哺乳類を意味する。 好ましくは、本発明に係る被験体はヒトである。

    本発明の文脈において、用語「治療する」又は「治療」は、本明細書で使用するとき、このような用語が適用される障害又は状態、あるいはこのような障害又は状態の1以上の症状の進行を逆行、緩和、阻害するか、又は予防することを意味する。

    本発明の意味において、ある事象に関する用語「予防する」又は「予防」は、前記事象の発生リスクを減少させることを意味することを意図する。

    したがって、本発明において意図される疾患、障害、又は生理学的状態は、癌、免疫疾患、自己免疫疾患、同種異系移植片拒絶、インフルエンザ又はAIDS等のウイルス疾患、マラリア又はトリパノソーマ等の寄生虫病、結核等の細菌感染、アレルギーからなる群より選択され得る。

    また、本発明は、ワクチンとして使用するための本発明の医薬組成物に関する。

    本発明は、更に、本発明の医薬組成物、本発明の異種抗原に結合するジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチド(融合タンパク質及びコンジュゲートを含む)、免疫応答を誘発する及び/又は免疫応答を強化するために本発明のベクター粒子に結合するジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドに関する。

    また、本発明は、被験体における疾患、障害又は生理学的状態を治療又は予防する方法であって、治療上有効な量の本発明の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法に関する。

    1つの好ましい実施形態では、医薬組成物は経口経路によって投与される。

    別の好ましい態様では、医薬組成物は粘膜経路によって投与される。

    「治療上有効な量」は、被験体に治療効果を付与するのに必要な活性剤の最小量を意図する。 例えば、哺乳類に対する「治療上有効な量」は、病理学的症状、疾患の進行、又は障害に関連する生理学的状態もしくは障害に屈することに対する抵抗における向上を誘導するか、改良するか、又はその他を引き起こす量である。

    また、本発明は、被験体を免疫する方法であって、本発明の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む方法に関する。

    本発明は、更に、異種抗原の提示及びワクチン接種、特に経口ワクチン接種又は粘膜ワクチン接種のためのキャリアとしての、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドの使用に関する。

    上述の通り、ジアルジア属のVSP又はその断片等の本発明に係るポリペプチドは、消化管において広範囲にわたる分解を受けることなく、異種抗原を粘膜に正確に送達するのに役立つ。

    1つの実施形態では、ポリペプチドは、腸の上皮細胞に付着することができる、ならびに/又は上部消化管の酵素的分解及び/もしくは化学的分解に対して耐性である。

    1つの特定の実施形態では、ポリペプチドは、微生物の可変表面タンパク質(VSP)、VSP様タンパク質、又はこれらの断片である。

    本発明は、以下の図面及び実施例により更に例証される。 しかし、これら実施例及び図面は、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

    SFE−TCRマウス(10

    /ウェル)に由来するCFSE標識脾細胞を、培地のみ、指定の濃度のVLP−VSP−HA、又は組換え型SFEペプチド(ポジティブコントロール)中で72時間CD11cで精製されたDC(5T:1DC比)と共に培養した。 ヒストグラムは、SFEに特異的なT細胞のCFSE希釈によるT細胞の増殖を示す(抗CD4+抗体、及びトランスジェニックT細胞を特異的に認識する6.5抗クローン型抗体を使用してゲート制御した)。 数は、分裂した細胞の割合を示す。

    ELISPOTアッセイ(HA−VSP融合タンパク質による経口免疫)。 標準的なELISPOTアッセイ(Mabtech, Sophia Antipolis, France)により、HA特異的なIFN−γの産生を求めた。 脾細胞(5×10

    細胞/ウェル)を、5%CO2中で37℃にて一晩、1μg/mLのHAタンパク質で刺激した。 PBS又はコンカナバリンA(5μL/mL;ConA;Sigma-Aldrich)をそれぞれネガティブ及びポジティブコントロールとして使用した。 顕色後、AID ELISPOTリーダー(ELR03、AID AutoimmunDiagnostika、Strassberg、Germany)を使用してスポットを計数し、ネガティブコントロールで検出された非特異的なスポットを減じた。 記号は個々のマウスを表し、横線は、各群の幾何平均を表す。

    * p<0.05、

    ** p<0.01。

    VSP−HA融合タンパク質を経口ワクチン接種したマウスにおける体液性免疫応答。 酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)。 96ウェルのマイクロタイタープレートを組換え型HA H5N1でコーティングした。 血清の段階希釈物を添加し、室温で2時間インキュベートし、ビオチンで標識したヤギ抗マウスIg(H+L)(Biot. Human adsorbed. Southern Biotech カタログ番号1010-08)を用いて室温で1時間、そして、超感受性ストレプトアビジンペルオキシダーゼポリマー(Sigma-Aldrich)を用いて室温にて1時間顕色させた。 TMB基質(Sigma-Aldrich)を使用してペルオキシダーゼ活性を測定し、HClを添加することにより反応をブロックした後に450nmにおける光学密度(OD450)を読み取った。 標準モノクローナル抗体抗H5N1 HA(マウス抗インフルエンザA型及びトリH5N1ヘマグルチニン(HA)カタログ番号17649-55B。USBiological)に基いて、抗HAの量を計算した。

    ELISPOTアッセイ(HA及びVSPで偽型化(pseudotyped)されたVLPによる経口免疫)。 標準ELISPOTアッセイ(Mabtech、Sophia Antipolis, France)により、HA特異的なIFN−γ(A)及びIL−4−(B)の産生を求めた。 HA及びNA†で偽型化されたHIV−Gagに基づく粒子20ngを用いて、脾細胞(5×10

    細胞/ウェル)を5%CO2中で37℃にて一晩刺激した。 培地のみ又はコンカナバリンA(2μL/mL;ConA;Sigma-Aldrich)をそれぞれネガティブ及びポジティブコントロールとして使用した。 顕色後、AID ELISPOTリーダー(ELR03、AID AutoimmunDiagnostika、Strassberg、Germany)を使用してスポットを計数し、ネガティブコントロールで検出された非特異的スポットを減じた。 記号は個々のマウスを表し、横線は、各群の幾何平均を表す。

    * p<0.05、

    ** p<0.01、

    *** p<0.001。 †:ウイルス成分(pCMV9(Gap)+HA(pXD14)+NA(pXD15))をコードする発現ベクターで293T細胞をトランスフェクトすることにより、HIV−Gagに基づくレンチウイルス粒子を作製した。 HIVp24特異的ELISAアッセイ(Kit RETRO-TEK# HIV-1 p24 Antigen ELISA;ZeptoMetrixCorp., New-York, USA)を使用して、製造業者の指示に従ってレンチウイルスのベクターサンプル中のp24の濃度を求めた。

    VLP−VSP−HA/NAを経口ワクチン接種したマウスにおける体液性免疫反応。 赤血球凝集抑制(HI)抗体応答。 血清サンプルを段階希釈し、25μLのPBS中でH5N1−偽型化MLV−Gagに基づく粒子4HAユニットと共に37℃で1時間インキュベートした。 次いで、各ウェルに0.5%のニワトリ赤血球懸濁液50μLを添加した。 凝集を阻害するサンプルの中で最も高い希釈度の逆数としてHI抗体価を表す。 記号は個々のマウスを表し、横線は、各群の幾何平均を表す。

    実施例 潜在的なワクチン候補の原理証明を得ると同時に開発するために、モデルワクチン抗原としてインフルエンザの赤血球凝集素(HA)を使用した。

    したがって、VSPによって運ばれるHA抗原の経口送達により防御及び完全(T及びB)免疫応答が誘発され得るかどうかを判定するために、VSP及びHA抗原を同時に発現させることができる幾つかのベクターを構築した。 B細胞特異的免疫応答及びT細胞特異的免疫応答を誘導するための抗原としてインフルエンザA型H5N1/香港ウイルスに由来するHAタンパク質を使用した。

    実施例1
    材料及び方法経口ワクチンとして使用するための3つの異なるVSP/HAコンストラクトの作製:
    ジアルジア属のVSPによって運ばれるインフルエンザの赤血球凝集素(HA)抗原の経口送達により防御及び完全(T及びB)免疫応答が誘発され得るかどうかを判定するために、VSP及びHA抗原を同時に発現させることための幾つかのベクターを作製した。 それぞれB細胞特異的免疫応答及びT細胞特異的免疫応答を誘導するための異種抗原として、HAタンパク質及びその免疫優勢のSFEペプチドを使用する。

    これらVSP/HAコンストラクションは、融合タンパク質とVSP及びHA抗原が結合しているウイルス様粒子(VLP)とを含む。

    より正確には、3つの異なるVSP/HAコンストラクションを作製する、すなわち:
    1−T細胞特異的免疫応答をモニタするための、SFEペプチドに融合しているVSP。
    2−B細胞特異的免疫応答及びT細胞特異的免疫応答をモニタするための、HAの細胞外部分(ΔHA)に融合しているVSP。
    3−その表面にVSP及びHAのタンパク質(完全長形態)を提示するウイルス様粒子(VLP)及び/又はgag融合タンパク質としての前記粒子内部のSFEペプチド。 VLPは、SFEペプチドと融合したMLV Gagタンパク質によって形成される。 VLPの表面でVSPタンパク質を提示するために、VSPはVSV−G膜貫通(TM)領域に融合する。

    VSP融合タンパク質の作製及び生化学的特徴:
    対照:ΔHAのみ及び本発明のポリペプチド:HAの細胞外部分(ΔHA)に融合しているVSP Ex。
    より具体的には、ΔHAをコードするcDNA配列は、インフルエンザA型H5N1(香港)に由来していた。 タンパク質の産生はGenscript Companyに依頼した。 組換え型タンパク質のDNA配列のコドンを最適化し、Genscript Companyの発現ベクターを使用して細菌を形質転換した。 大腸菌(E. coli)BL21(DE3)株を使用して、細菌発現系で組換え型HAを得た。 HAタンパク質の精製については、変性条件下でQカラムを使用し、そして、50mMのTris−HCl、5%のグリセロール、pH8.0に対する透析により得られたタンパク質を再び折り畳んだ。

    HAタンパク質の細胞外部分に融合しているVSPの作製については、TM領域が欠失している可溶性形態のHA(ΔHA)を用いた。 オンラインのトポロジー予測プラットフォームPhobius(http://phobius.sbc.su.se/)を使用して、タンパク質配列を解析した。

    完全長VSPは、多数のCXXCモチーフを含有するシステインリッチ細胞外領域を含有する。 シグナルペプチド、膜貫通領域、及び細胞質側の5つの残基を除去した(VSP Ex)。 これら実験においてはVSP 1267を使用した。

    バキュロウイルス系にクローニングするために、融合タンパク質の配列のコドンを最適化した。 タンパク質を発現させ、そして、タンパク質のカルボキシル末端部分に存在するHisタグを使用して1工程の親和性精製により精製した。

    表面におけるVSP及びHAで偽型化されたレトロウイルス粒子(VLP)の作製:
    Gagから作製され、HA及びNAで偽型化されたVLP(ノイラミニダーゼ):
    HAベクターについては、それ自身のTMドメインを含むHA H5N1(香港)配列をクローニングした(pXD14ベクター)。 ウイルス又は偽ウイルス粒子上において野性型HAを自然に且つ非常に効率的に偽型化する。 NA発現については、pXD15ベクターを使用した。

    Gagから作製され、VSP及びHA及びNAで偽型化されたVLP:
    VLP上においてVSP配列を偽型化するために、水疱性口内炎ウイルスのGタンパク質(VSV−G)の膜貫通領域(TM)に、VSPの細胞外ドメインを融合させた。 これは、哺乳類細胞において原形質膜で効率的にエクスポートされ、Gagタンパク質と共局在し、そして、新たに形成されるウイルス偽ウイルスの粒子上で偽型化されることが知られている(pCP1267ベクター)。

    注記:幾つかの実験については、CD8応答を測定するために、GAGの代りにGag−Gp33−41融合タンパク質を使用した。 粒子の内部でGp33−41ペプチドを提示するために、MLV Gagのカルボキシル末端にGp33−41を融合させた(pEB1ベクター)。

    DNA産生:全てのコンストラクトを検証したら、プラスミドを増幅し、そして、精製した。 内毒素を含まない調製キット(Nucleobond(登録商標)PC 2000 EF; Macherey-Nagel, Hoerd, France)を使用して、プラスミドの産生を行った。

    VLP産生:組み換え型レトロウイルス粒子を作製するために、作製した発現ベクター(pEB1、pCP1267、pXD15及びpXD14)で293T細胞をトランスフェクトした。 粒子を含有する上清を濃縮し、そして、超遠心分離により精製し、FPLCによる更なる精製を行った又は行わなかった。
    − 様々な技術によりMLV−Gag、HA又はVSPの存在を検証するために、VLPの各バッチを品質管理分析に供した:
    − pCP1267ベクターによってトランスフェクトされた細胞の表面における適切な発現により、VSP−TMコンストラクトの機能性を実証する。

    超遠心分離した上清に対してウェスタンブロットを行うことにより、VLP産生及びVLP中又はVLP上へのVSPの取込みの効率を評価した。

    結果:
    赤血球凝集素アッセイにより、VLP上におけるHAの正確な偽型化を評価した。 優れた立体構造のHAタンパク質の存在下における凝集を評価するために、様々なVLPの段階希釈物の存在下でニワトリ赤血球(RBC)をインキュベートした。 ポジティブコントロールとしてVLP−HAH5N1/NAを使用し、ネガティブコントロールとしてVLP−Gag−GFPを使用した。 RBCをPBSと共にインキュベートすることは、沈降時間を評価する機能を有する。 この試験によって、この研究中に開発されたVLP−VSP−HA/NAは、ニワトリRBCの凝集を促進できることが示された。

    実施例2
    材料及び方法:
    3つのコンストラクトのインビトロにおける検証:
    2.1−生化学的レベル:
    VSP−ΔHA及びVLPコンストラクトを検証するために、VSP特異的な免疫沈降を行った。 ウェスタンブロットにより免疫沈殿を分析する。 それぞれコンストラクトを検証するためにHAの検出及びHA/Gagタンパク質の検出を行う。

    2.2−免疫学的レベル:
    HA特異的T細胞によりHA抗原が認識され得るかどうかを判定するために、3つのコントラクトのそれぞれで感作されるか、又は精製組換え型タンパク質でロードされたDCの存在下で、SFE特異的CD4+T細胞(Kirberg et al. 1994に記載のSFEトランスジェニックマウスから得られた)を用いてインビトロ増殖試験を行った。

    結果:
    (SFEトランスジェニックマウスから得られた(Kirberg J.,1994))SFE110−119ペプチド型HAを特異的に認識するTCRについてトランジェニックのCFSE標識SFE特異的CD4+T細胞を用いるインビトロ増殖試験を用いて、VLP中に存在するHA抗原が正確にプロセシングされ、HA特異的T細胞を活性化したことが確認された。 図1から分かる通り、トランスジェニック細胞は、VLP−VSP−HAでパルス処理された樹状細胞(DC)の存在下で活発に分裂しており、これは、VLP中に存在するHAタンパク質が正確にプロセシングされ、MHCcII制限様式において提示されることを示す。

    実施例3
    VSP/HAコンストラクトで経口免疫されたマウスにおける免疫応答抗HA及び抗VSPの特性評価:
    マウスにおける局所免疫応答及び全身免疫応答を、経口ワクチン接種後の様々な時点で分析する。

    モデル:
    マウス(H−2 )をVSP−ΔHA又はHA−VLP(VSP−)で経口免疫する。 対照として、ΔHA又はHA−VLP(VSP−)でマウスを経口免疫し、Al(OH) 中のHA−VLPで皮下免疫する[ポジティブコントロール]。

    分析:
    −全身性T細胞応答:脾臓細胞のHA特異的再刺激後に、HA特異的T細胞の頻度をIFN−γELISPOTによって分析する。
    −全身性B細胞応答:ELISA又は阻害赤血球凝集アッセイによって、血清におけるHA特異抗体応答を研究する。

    VSP−HA融合タンパク質による経口免疫:
    免疫プロトコール:
    雌のBalb/c(H−2d)マウス(7週齢)に、滅菌PBS−Tween20、0.01%に懸濁させた組換えΔHAタンパク質又は組換えΔHA−VSPタンパク質35μgを3日間おきに3回連続して経口投与した。 対照として、マウスにビヒクルのみを投与した(ネガティブコントロール)、又はアルム中35μgのΔHAを一度皮下免疫した(ポジティブコントロール)。

    17日目(最後の経口投与の10日後)に屠殺したマウスの群において抗HA T細胞応答を分析した。 21日目(最後の免疫の14日後)に屠殺したマウスの別の群において抗HA B細胞応答を調べた。

    結果:
    T細胞応答の分析:
    図2から分かる通り、3匹のワクチン接種されたマウスの内3匹で著しい応答が誘導されなかったHAタンパク質のみの経口免疫とは対照的に、VSP−HA融合タンパク質で免疫することにより、2匹の免疫されたマウスのうちの2匹でHA特異的IFN−γT細胞応答が成功裏に誘導された。

    これら結果は、VSPタンパク質にHA抗原を融合させることにより、前記融合タンパク質に、経口経路により投与されたときにHA抗原特異的全身T細胞応答を生じさせる独自の能力が付与されることを確認する。

    B細胞応答の分析:
    ELISAにより抗HA特異的Abの生成を分析した。 HAタンパク質の経口投与は、抗HA Abを誘導することができなかったが、VSP−HA融合タンパク質は、経口免疫されたマウスのうちの1匹において高力価の抗HA Abを誘導した。 これは、VSPの存在下において、HAに対して全身性B細胞応答が生じ得ることを示す(図3)。

    表面においてVSP及びHAで偽型化されたVLPによる経口免疫:
    免疫プロトコール:
    雌のBalb/c(H−2d)マウス(7週齢)に、滅菌PBS−Tween20、0.01%に懸濁させたVLP−HA/NA、VLP−VSP−HA/NA35μgを3日間おきに3回連続して経口投与した。 対照として、マウスにビヒクルのみを投与した(ネガティブコントロール)、又はアルム中35μgのVLP−VSP−HA/NAを一度皮下免疫した(ポジティブコントロール)。
    17日目(最後の経口投与の10日後)にマウスを屠殺し、HAに対するT細胞応答及びB細胞応答を分析した。

    結果:
    T細胞応答の分析:
    図4から分かる通り、3匹のワクチン接種されたマウスの内3匹で著しい応答が誘導されなかったVLP−HA/NAの経口免疫とは対照的に、VLP−VSP−HA/NA融合タンパク質で免疫することにより、3匹の免疫されたマウスのうちの3匹でHA特異的IFN−γT細胞応答が成功裏に誘導された。 著しいHA特異的IL−4産生は検出されなかった。 これは、融合タンパク質によって生じた免疫応答がTh1型であることを示唆する。 これら結果は、VSPタンパク質でVSP−HAを遮蔽することにより、粒子に、経口経路により投与されたときにHA抗原特異的全身T細胞応答を生じさせる独自の能力が付与されることを確認する。

    B細胞応答の分析:
    全身性B細胞応答の分析については、図5に示す通り、阻害赤血球凝集反応アッセイを使用して、血清におけるHA特異抗体応答を定量した。 HA及びVSPで偽型化されたVLPのみが、特異的抗HA抗体を生じさせ得ることが分かる。 これは、VLP上におけるVSPの存在が、全身性の抗HA B細胞応答を生じさせるのに必須であったことを示す。

    結論:
    VSP−HAキメラタンパク質又はVSPで被覆されているHA発現VLPで構成される経口ワクチン、及び対応する対照を作製した。 VSP及びHAタンパク質が対応するコントラクトにおいて正確な立体構造を維持することを生化学的に検証した。 動物を経口免疫するために、作製をスケールアップした。 これら実験において、特異的T又はB細胞応答を誘導しないHAタンパク質のみの経口投与とは対照的に、融合タンパク質としてVSPにより又はVLP製剤において運ばれるHAの経口投与は、HA特異的な体液性及び細胞性応答を生じさせることが分かった。

    この研究により、本発明者らのストラテジの妥当性が証明される。

    ワクチンの経口送達の普遍的なプラットフォームの開発は、様々な感染性疾患に対して広く利用されるはずである。 特に、集団予防接種用の予防的ワクチンのために、経口投与経路が大きな注目を集めている。

    ジアルジア属のVSP、より一般的には本発明に係る少なくとも1つのCXXCモチーフを含むポリペプチドは、消化管を通って腸まで候補抗原を運び、免疫応答を生じさせる時間腸で留まらせることができる優れたキャリアを表すと考えられることがこの実験の結果である。 そして、特に、単独で免疫応答(抗体応答)を誘導する能力により示唆される通り、VSPは粘膜アジュバントとしても作用し得る。

    実際は、原理証明として、経口ワクチン用の候補抗原を運ぶキャリアとしての腸内寄生虫ジアルジア属のVSPの細胞外ドメインは、経口ワクチン接種によってインフルエンザHAに対する有効な免疫応答を誘導する能力を有することが示された。

    本出願を通じて、様々な参照は本発明が関係する技術状況を記載する。 これによって、これらの参照の開示は、参照によって本発明に組み込まれる。

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