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害虫の防除に有用な改変Cry1Ca毒素

阅读:1025发布:2020-07-30

专利汇可以提供害虫の防除に有用な改変Cry1Ca毒素专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)改変Cry1Ca殺虫性毒素、およびこれらの毒素をコードするポリヌクレオチド配列に関する。トランスジェニック 植物 での使用について記載され、 害虫 による傷害から作物を防御する方法についても記載される。,下面是害虫の防除に有用な改変Cry1Ca毒素专利的具体信息内容。

配列番号2の残基2〜68を含む改変Cry1Ca毒素であって、配列番号2のアミノ酸残基54がGlyおよびAlaからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基57がLeuおよびMetからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基68がVal、Phe、およびIleからなる群から選択される、改変Cry1Ca毒素。配列番号10の残基2〜628を含む改変Cry1Ca毒素であって、配列番号2のアミノ酸残基54がGlyおよびAlaからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基57がLeuおよびMetからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基68がVal、Phe、およびIleからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基73がTrp、AlaおよびMetからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基596がPhe、MetおよびAlaからなる群から選択され、配列番号2のアミノ酸残基620がLeuおよびPheからなる群から選択される、改変Cry1Ca毒素。配列番号36のアミノ酸残基629〜1164からなるカルボキシ末端伸長部をさらに含む、請求項1に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号36のアミノ酸残基629〜1164からなるカルボキシ末端伸長部をさらに含む、請求項2に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、請求項1に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、請求項2に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、請求項3に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、請求項4に記載の改変Cry1Ca毒素。配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38および配列番号40からなる群から選択される改変Cry1Ca毒素。請求項1に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項2に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項3に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項4に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項5に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項6に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項7に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。請求項8に記載の改変Cry1Ca毒素をコードする核酸配列。配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37および配列番号39からなる群から選択される核酸配列。請求項1から9に記載の改変Cry1Ca毒素のうちの1つまたは複数を産生することができるトランスジェニック植物、植物部分または種子。トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、キャノーラ、イネ、モロコシ、コムギ、オオムギ、野菜、観賞植物、コショウ、テンサイ、果実、および芝草からなる群から選択される、請求項19に記載のトランスジェニック植物、植物部分または種子。トウモロコシ、ダイズおよびワタからなる群から選択される、請求項19に記載のトランスジェニック植物、植物部分または種子。トウモロコシである、請求項19に記載のトランスジェニック植物、植物部分または種子。ダイズである、請求項19に記載のトランスジェニック植物、植物部分または種子。ワタである、請求項19に記載のトランスジェニック植物、植物部分または種子。植物害虫を防除する方法であって、1つまたは複数の改変Cry1Ca毒素を発現するトランスジェニック植物を栽培するステップ、および感受性有害生物に、前記トランスジェニック植物を摂食させるステップを含む方法。前記1つまたは複数の改変Cry1Ca毒素が、請求項1から9に記載の1つまたは複数の改変Cry1Ca毒素を含む、請求項25に記載の方法。その他のCry毒素に対する抵抗性を発達させた植物害虫を防除する方法であって、1つまたは複数の改変Cry1Ca毒素を発現するトランスジェニック植物を栽培するステップ、および感受性有害生物に、前記トランスジェニック植物を摂食させるステップを含む方法。

说明书全文

本発明は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)殺有害生物性毒素の改変、これらの毒素をコードするポリヌクレオチド配列、およびこれらの毒素を産生するトランスジェニック植物に関する。

昆虫およびその他の有害生物により、農家は、作物の損失、およびこれらの有害生物を防除し続けるための費用に、毎年数十億ドルを費やしている。圃場作物の損失に加えて、害虫は、野菜および果実栽培者、装飾花生産者ならびに家庭菜園家にとっても負担である。農業生産環境において害虫によって引き起こされる損失には、作物収量の減少、作物品質の低下および収穫コストの増加が含まれる。

害虫は主に、化学的殺有害生物剤を集中的に施用することにより防除され、化学的殺有害生物剤は、昆虫の成長を阻害すること、昆虫の摂食もしくは繁殖を防止することにより作用するか、または死を引き起こす。このようにして良好な昆虫防除が達せられるが、これらの化学物質は、場合によりその他の益虫にも作用しうる。化学的殺有害生物剤を広く使用することで生じる別の問題は、抵抗性昆虫個体群が出現することである。これは、各種抵抗性管理技術により部分的に軽減されてきたが、代わりの有害生物防除剤がますます必要となっている。デルタエンドトキシンなどの殺有害生物性毒素を発現するバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)株などの生物的有害生物防除剤も、作物に施用されて満足のいく結果を出しており、化学的殺有害生物剤の代替物または補完物となっている。これらのデルタエンドトキシンのいくつかをコードする遺伝子が単離されており、異種の宿主においてこれらを発現させることで、経済上重大な害虫の防除のための別の手段が提供されることが示されている。具体的には、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシンなどの殺虫性毒素をトランスジェニック植物において発現させることで、選択された害虫に対する効率的な防御がもたらされ、このような毒素を発現するトランスジェニック植物が商品化されて、農家による化学的昆虫防除剤の施用を減少させている。

鱗翅目は、農業、園芸、および家庭有害生物の重大な群であり、毎年多額の損害を引き起こす。この昆虫目は葉および根摂食性の幼虫および成虫を包含している。鱗翅目の害虫には:コハチノスツヅリガ(Achoroia grisella)、アクレリス・グロベラナ(Acleris gloverana)、アクレリス・バリアナ(Acleris variana)、アドキソフィエス・オラナ(Adoxophyes orana)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)(ブラックカットワーム「BCW」)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アルソフィラ・ポメタリア(Alsophila pometaria)、アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella)、アナガスタ・クエニエラ(Anagasta kuehniella)、アナルシア・リネアテラ(Anarsia lineatella)、アニソタ・セナトリア(Anisota senatoria)、サクサン(Antheraea pernyi)、アンチカルシア・ゲンマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ベルベットビーンキャタピラー「VBC」)、アーキプス属の種(Archips sp.)、アルギロテニア属の種(Argyrotaenia sp.)、アテチス・ミンダラ(Athetis mindara)、カイコガ(Bombyx mori)、ブックラトリクス・ツルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、スジマダラメイガ(Cadra cautella)、コリストネウラ属の種(Choristoneura sp.)、コチルス・ホスペス(Cochylls hospes)、コリアス・エウリテメ(Colias eurytheme)、ガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)、シディア・ラチフェレナス(Cydia latiferreanus)、シディア・ポモネラ(Cydia pomonella)、ダタナ・インテゲリマ(Datana integerrima)、デンドロリムス・シベリクス(Dendrolimus sibericus)、デスミア・フェネラリス(Desmia feneralis)、ジアファニア・ヒアリナタ(Diaphania hyalinata)、ジアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis)、ジアトラエ・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)(サウスウェスタンコーンボーラー「SWCB」)、ジアトラエ・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、エンノモス・スブシグナリア(Ennomos subsignaria)、エオレウマ・ロフチニ(Eoreuma loftini)、エスフェスチア・エルテラ(Esphestia elutella)、エラニス・チラリア(Erannis tilaria)、キシタゴマダラヒトリ(Estigmene acrea)、エウリア・サルブリコラ(Eulia salubricola)、エウポコエリア・アンビグエラ(Eupocoellia ambiguella)、エウポエシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクチス・クリソルホエア(Euproctis chrysorrhoea)、エウクソア・メソリア(Euxoa messoria)、ハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、ハリシナ・アメリカナ(Harrisina americana)、ヘリコベルパ・サブフレクサ(Helicoverpa subflexa)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)(コーンイヤーワーム「CEW」)、ヘリオシス・ビレセンス(Heliothis virescens)(タバコバッドワーム「TBW」)、ヘミレウカ・オリビアエ(Hemileuca oliviae)、ホモエオソマ・エレクテルム(Homoeosoma electellum)、アメリカシロヒトリ(Hyphantia cunea)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ラムディナ・フィスセラリア・フィスセラリア(Lambdina fiscellaria fiscellaria)、ラムディナ・フィスセラリア・ルグブロサ(Lambdina fiscellaria lugubrosa)、ヤナギドクガ(Leucoma salicis)、ロベシア・ボツラナ(Lobesia botrana)、ロキソステゲ・スチクチカリス(Loxostege sticticalis)、マイマイガ(Lymantria dispar)、マカラ・チリサリス(Macalla thyrisalis)、マラコソマ属の種(Malacosoma sp.)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、マメストラ・コンフィグラタ(Mamestra configurata)、マンジュカ・キンケマクラタ(Manduca quinquemaculata)、マンジュカ・セクスタ(Manduca sexta)、マルカ・テスツラリス(Maruca testulalis)、メランクラ・ピクタ(Melanchra picta)、ナミスジフユナミシャク(Operophtera brumata)、オルギア属の種(Orgyia sp.)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ヨーロピアンコーンボーラー「ECB」)、パレアクリタ・ベルナタ(Paleacrita vernata)、パピアペマ・ネブリス(Papiapema nebris)(コモンストークボーラー)、パピリオ・クレスフォンテス(Papilio cresphontes)、ペクチノフォラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella)、フリガニジア・カリフォルニア(Phryganidia californica)、フィロノリクテル・ブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella)、エゾスジグロシロチョウ(Pieris napi)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、プラシペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、プラチノタ・フロウエンダナ(Platynota flouendana)、プラチノタ・スツルタナ(Platynota stultana)、プラチプチリア・カルジュイダクチラ(Platyptilia carduidactyla)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、コナガ(Plutella xylostella)(ダイヤモンドバックモス「DBM」)、ポンチア・プロトディセ(Pontia protodice)、シューダレチア・ユニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)、シュードプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ソイビーンルーパー「SBL」)、サブロデス・アエグロタタ(Sabulodes aegrotata)、シズラ・コンシナ(Schizura concinna)、バクガ(Sitotroga cerealella)、スピロンタ・オセラナ(Spilonta ocellana)、スポドプテラ・エリダニア(Spodoptera eridania)(サザンアーミーワーム「SAW」)、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム「FAW」)、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)(ビートアーミーワーム「BAW」)、タウルンストポエア・ピチオカンパ(Thaurnstopoea pityocampa)、エンソラ・ビセリエラ(Ensola bisselliella)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(キャベツルーパー「CL」)、ウデア・ルビガリス(Udea rubigalis)、キシロミゲス・クリアイルス(Xylomyges curiails)、およびヨーロッパリンゴスガ(Yponomeuta padella)が含まれるが、これらに限定されない。上記で列挙した任意の属(およびその他の属)も、概して、本発明の一部として対象となりうる。これらの属のいずれかに属する任意のさらなる昆虫も(対象として)本発明の範囲内に含まれる。

バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)は、グラム陽性芽胞形成土壌細菌であり、デルタエンドトキシンまたはCryタンパク質として知られる殺虫性結晶タンパク質を産生する(Schnepf et al., 1998で概説される)。新たな殺虫特性を有する新規の結晶(Cry)タンパク質が発見されるスピードは早まる一方であり、440超のCry遺伝子が報告されている。現在、57の一次相同性ランク(primary homology rank)に分類された、450超の固有のCryおよび細胞毒(Cyt)タンパク質が存在する。Cryタンパク質は、配列同一性の程度に基づいて命名され、一次、二次および三次の境界がそれぞれ同一性約45%、78%および95%とされている;近い対立遺伝子は新たな四次の名称を割り当てられる(Crickmore et al., 1998)。デルタエンドトキシンの広範なリストがhttp://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/intro.htmlで維持され、定期的にアップデートされている。現在、73超の主要な群の「Cry」毒素(Cry1〜Cry73)、さらにCyt毒素および栄養型殺虫性タンパク質(Vegetative Insecticidal Protein)(VIP)毒素などが存在する。各番号の群の多くが大文字の下位群を有し、大文字の下位群は小文字のさらなる下位群を有する(例えばCry1はA〜Lを有し、Cry1Aはa〜iを有する)。

現在まで順調に登録または規制緩和され、商品化されてきた昆虫抵抗性トランスジェニック植物を作り出すのに、B.t.タンパク質が使用されてきた。これらには、トウモロコシのCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Vip3A、Cry34Ab1/Cry35Ab1およびCry3Bb、ワタのCry1Ac、Vip3AおよびCry2Ab、ならびにジャガイモのCry3Aが含まれる。B.t.毒素は、生物殺虫剤市場、および本質的に、昆虫による摂食に対する抵抗性をもたらすように開発されたトランスジェニック作物用の遺伝子の供給源全体の90%超を占める。

Cryタンパク質は、感受性昆虫の中腸細胞に作用することにより機能する経口中毒性物質である。多くのCryタンパク質の活性な形態は、3つの明確なタンパク質ドメインを含む。最もよく研究されているB.t.タンパク質は、3ドメインCryデルタエンドトキシンのメンバーである。これらのタンパク質のサイズは、約70kDa〜130kDaの範囲である。一次タンパク質配列分析により、高度に保存された5つの配列ブロック、および保存されたブロック3と5の間の高い配列多様性が明らかとなっている(Schnepf et al., 1998)。

例として、Cry1Aa1、Cry2Aa1、Cry3Aa1、Cry3Bb1、Cry4Aa、Cry4BaおよびCry8Ea1についての3次元結晶構造が決定されている。これらの構造は著しく類似しており、以下の特徴を有する3つの明確なドメインから構成される(de Maagd et al., 2003で概説される)。ドメインIは7つのアルファヘリックスの束であり、ヘリックス5が6つの両親媒性ヘリックスに取り囲まれている。このドメインは、中腸膜への挿入および孔形成に関与する。これは、溶血素およびコリシンを含むその他の孔形成タンパク質と相同性を有する。ドメインIIは、ベータプリズムに一緒に詰まっている3つの逆平行ベータシートから構成される。このドメインは、ビテリンおよびジャカリンを含む特定の糖結合タンパク質と相同性を有する。このドメインのループが、昆虫の中腸受容体との結合において重要な役割を果たす。Cry1Aタンパク質では、ドメインIIベータシートの尖部における表面が露出したループが、鱗翅目のカドヘリン受容体への結合に関与する。ドメインIIIは、第2のクラスの受容体と相互作用するベータサンドイッチ構造であり、Cry1Aタンパク質の場合、第2のクラスの受容体の例はアミノペプチダーゼおよびアルカリホスファターゼである(Piggot and Ellar, 2007)。構造的に、このドメインは、グルカナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、シアリダーゼなどのタンパク質の糖結合ドメインと関連している。このドメインは、特定のクラスの受容体タンパク質と結合し、おそらくオリゴマー毒素孔前駆体(pre−pore)の挿入に関与する。保存されたB.t.配列ブロック2および3はそれぞれ、ドメイン2のN末端およびC末端付近に位置する。したがって、これらの保存された配列ブロック2および3は、3つの機能ドメイン間のおおよその境界領域である。これらの保存されたDNA領域およびタンパク質相同性が、組換えB.t.毒素を設計するのに活用されている(米国特許第6,090,931号明細書、国際公開第91/01087号パンフレット、国際公開第95/06730号パンフレット、国際公開第1998022595号パンフレット)。

Cryタンパク質の作用様式について提唱された1つのモデルは、感受性昆虫の中腸膜での孔形成に基づいている(Knowles and Ellar, 1987)。このモデルの現行のバージョン(Bravo et al., 2007)では、Cryタンパク質の毒性には、鱗翅目の中腸膜のカドヘリン受容体とアミノペプチダーゼ受容体の両方に結合することが必要である。孔形成モデルによれば、Cryタンパク質中毒はいくつかのステップを含む:1)可溶性Cryプロトキシンから活性化コア毒素へのタンパク質分解プロセシング;2)昆虫中腸のカドヘリン受容体へのCryタンパク質の結合;3)コア毒素N末端でのさらなるタンパク質分解切断によるα−ヘリックス領域の除去;4)Cryタンパク質のオリゴマー化による孔前駆体形成;5)第2の部位の膜受容体(アミノペプチダーゼおよびアルカリホスファターゼ)への孔前駆体の結合;6)膜への孔前駆体の挿入、ならびに7)浸透圧による細胞溶解による中腸破壊および昆虫の死。

昆虫抵抗性トランスジェニック植物技術が広く採用されることで、有害生物個体群が、これらの植物により産生される殺虫性タンパク質に対する抵抗性を発達させるという問題が引き起こされる。高用量のタンパク質を、保護区(refuge)と組み合わせて、かつ異なる毒素と交互にまたは異なる毒素とともに配備することを含む、B.t.ベースの昆虫抵抗性形質の有用性を維持するための戦略がいくつか提唱されている(McGaughey et al. (1998), "B.t. Resistance Management," Nature Biotechnol. 16:144-146)。

昆虫における、B.t.Cryタンパク質に対する抵抗性の発達は、いくつかの機構を介して生じうる(Heckel et al., 2007、Piggot and Ellar, 2007)。Cryタンパク質に対する複数の受容体タンパク質クラスが昆虫内で特定されており、各受容体クラス内に複数の例が存在する。特定のCryタンパク質に対する抵抗性は、例えば、受容体タンパク質のカドヘリンドメインの毒素結合部分内における突然変異により発達しうる。さらなる抵抗の手段は、プロトキシンプロセシングプロテアーゼにより媒介されうる。したがって、鱗翅目の種におけるCry1A毒素に対する抵抗性は、少なくとも4つの明確な、主要な抵抗性遺伝子を伴う複雑な遺伝子的基盤を有する。コナガ(Plutella xylostella)(Tabashnik, 1994)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)(Janmaat and Myers 2003, 2005)、オオタバコガ(Helicoverpa zea)(Tabashnik et al., 2008)、およびツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(Storer、et al., 2010)の圃場で、Cryタンパク質に対して抵抗性である鱗翅目の昆虫が出現した。新規の強なCryタンパク質の開発により、鱗翅目害虫のさらなる管理手段がもたらされるであろう。

本発明は、Cry1AcおよびCry1Fに対し抵抗性である昆虫を防除するのに有効なB.t.殺虫性タンパク質を提供する。これらのタンパク質毒素は、有利には昆虫による食害から農作物を防御するのに使用されうる。十分な量の機能的に活性なタンパク質が目的の作物に存在するように、これらの昆虫毒素を発現する能力も、本発明の対象である。

配列番号2の残基2〜68を含む改変Cry1Ca毒素であって、アミノ酸残基54がGlyおよびAlaからなる群から選択され、アミノ酸残基57がLeuおよびMetからなる群から選択され、アミノ酸残基68がVal、Phe、およびIleからなる群から選択される、改変Cry1Ca毒素。配列番号210の残基2〜628を含む改変Cry1Ca毒素であって、アミノ酸残基54がGlyおよびAlaからなる群から選択され、アミノ酸残基57がLeuおよびMetからなる群から選択され、アミノ酸残基68がVal、Phe、およびIleからなる群から選択され、アミノ酸残基73がTrp、AlaおよびMetからなる群から選択され、アミノ酸残基596がPhe、MetおよびAlaからなる群から選択され、アミノ酸残基620がLeuおよびPheからなる群から選択される、改変Cry1Ca毒素。配列番号36のアミノ酸残基629〜1164からなるカルボキシ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。配列番号36のアミノ酸残基629〜1164からなるカルボキシ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。配列番号40のアミノ酸残基1〜74からなるアミノ末端伸長部をさらに含む、前述の改変Cry1Ca毒素。

改変Cry1Ca毒素をコードするDNA、改変Cry1Ca毒素を産生するトランスジェニック植物、および改変Cry1Ca毒素を使用して害虫を防除する方法が本発明に含まれる。

本発明は、植物および農業にとって有害な節足動物有害生物を防除する新規の物品および方法に関する。好ましい実施形態において、本発明は鱗翅目の有害生物を防除するための物品および方法を提供する。

本発明による、特定の有用なB.t.Cryタンパク質(エンドトキシン、毒素)には、MR−1206と呼ばれるB.t.単離株から得られる毒素が含まれる。本発明は、例示されるB.t.単離株の突然変異体の使用、およびプロテアーゼによるプロセシングに抵抗するという、鱗翅目に対して活性な改善された特性を有し、または、遺伝子が異種の発現系に形質転換されると高レベルで発現する毒素の使用も含む。突然変異体を作製する手順は、微生物学分野で周知である。紫外線およびニトロソグアニジンなどの化学的突然変異源が、この目的に対して広く使用される。

本タンパク質毒素は、様々な方法で、標的昆虫に接触するように「施用される」か与えられうる。例えば、トランスジェニック植物(タンパク質が植物により産生され、かつ植物中に存在する)は、当技術分野で使用可能であり周知である。毒素遺伝子の発現は、根、葉などの特定の植物組織で選択的に実現することもできる。これは、例えば組織特異的なプロモーターの使用によって遂行可能である。散布施用は別の例であり、これも当技術分野で既知である。本タンパク質は望ましい最終用途のために適切に製剤化され、次いで、寄生が発見される前、標的昆虫が発見された後、前後両方などに、保護されるべき植物に、および/または植物の周囲に、および/または植物付近に散布(またはその他の方法で施用)されうる。本タンパク質は適切に製剤化され、タンパク質を植物の根領域と接触させてこれを根摂食性昆虫から防御する種子処理剤として種子に施用されてもよい。例えば、ベイト粒剤(bait granule)も、当技術分野で使用可能であり既知である。

本タンパク質を使用して、任意の種類の植物を鱗翅目の昆虫による傷害から実質的に防御することができる。このような植物の例には、数例を挙げれば、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、キャノーラ、イネ、モロコシ、コムギ、オオムギ、野菜、観賞植物、コショウ(トウガラシを含む)、テンサイ、果実および芝草が含まれる。特に好ましい植物はトウモロコシ、ダイズおよびワタである。最も好ましい植物はトウモロコシである。別の最も好ましい植物はダイズである。別の最も好ましい植物はワタである。

本発明の一実施形態において、本発明のポリヌクレオチド配列は、約68〜71kDaの毒素をコードする。これらの毒素は、鱗翅目の有害生物、特にフォールアーミーワーム、ダイヤモンドバックモス、サウスウェスタンコーンボーラー、サザンアーミーワーム、コーンイヤーワーム、およびヨーロピアンコーンボーラーを防除するのに使用される。好ましい実施形態において、本発明は、形質転換された植物細胞が、標的有害生物により摂取される組織において本発明の殺有害生物性毒素を産生しこれを含むような、本発明の少なくとも1つのポリヌクレオチド配列により形質転換された植物細胞に関する。

あるいは、本発明のB.t.単離株、または本明細書に記載される殺有害生物性毒素タンパク質をコードする遺伝子を発現する組換え微生物を使用して、害虫を防除することができる。この点において、本発明は、実質的に無傷の細胞が標的有害生物の環境に施用されると殺有害生物活性が長引くように処理される、実質的に無傷のB.t.細胞および/または本発明の毒素を含む組換え細胞の処理を含む。処理された細胞は、殺有害生物性毒素の防御コーティングとして作用する。毒素は、標的昆虫によって摂取されると活性となる。

本発明の一態様は、殺有害生物性タンパク質およびポリペプチド、またはそれらの生物的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子、ならびに請求項に係る毒素をコードする核酸を特定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに十分な核酸分子に関する。本明細書で使用される場合、「核酸分子」という語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)、およびヌクレオチドアナログを使用して生成されるDNAまたはRNAのアナログを含むことが意図される。核酸分子は一本鎖または二本鎖であってよいが、好ましくは二本鎖DNAである。

本発明のタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39に示す配列、およびそれらの相補体を含む。「相補体」により、所与のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、それにより安定な二本鎖(二本鎖)分子を形成することができるような、所与のヌクレオチド配列に対し十分に相補的であるヌクレオチド配列が意図される。これらのヌクレオチド配列によりコードされる殺有害生物的に活性な改変Cry1Ca毒素に対応するアミノ酸配列を、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、および40に示す。

請求項に係る毒素をコードするヌクレオチド配列の断片である核酸分子も、本発明に包含される。「断片」により、請求項に係る改変Cry1Ca毒素の断片をコードするヌクレオチド配列の一部が意図される。ヌクレオチド配列の断片は、請求項に係る毒素タンパク質の生物的に活性な部分をコードしていてもよく、以下に開示される方法を使用する、ハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプライマーとして使用可能な断片であってもよい。

リーフパンチにより採取されたT

1トウモロコシの葉における、構築物115752によるDIG−465、および構築物115753によるDIG−473の発現レベルを示すグラフである。

DIG−465の発現レベルに対する、FAWまたはCry1Fa抵抗性FAWにより引き起こされるトウモロコシの葉の傷害量についてのグラフである。

DIG−473の発現レベルに対する、FAWまたはCry1Fa抵抗性FAWにより引き起こされるトウモロコシの葉の傷害量についてのグラフである。

本明細書では「遺伝子材料」という語の使用により、遺伝子、核酸、DNAおよびRNA全てを含むことが意図される。これらの配列は、遺伝子が植物、特にトウモロコシおよび双子葉植物において形質転換される場合、発現されるタンパク質毒素の安定性が増大するように変更される。本明細書で論じるタンパク質毒素は、典型的には「殺虫剤」または「殺虫性」と呼ばれる。殺虫剤および殺虫性により、本明細書では、タンパク質毒素が本明細書でさらに規定される「機能活性」を有し、昆虫防除剤として使用されることが意図される。

「機能活性」により、本明細書では、タンパク質が経口的に活性であるか、中毒効果を有するか、摂食を妨害または抑止することができ、それらにより昆虫の死を引き起こしうるか引き起こしえないという点において、タンパク質毒素が昆虫防除剤として機能することが意図される。トランスジェニック植物での発現、製剤化されたタンパク質組成物、散布可能なタンパク質組成物、ベイトマトリックスまたはその他の送達系により送達される有効量の毒素に昆虫が接触すると、典型的には昆虫が死亡するか、昆虫に毒素を摂取させることができる供給源を昆虫が摂食しない結果となる。

「オリゴヌクレオチド」という語の使用により、RNAまたはDNAいずれかのヌクレオチドの短鎖からなる高分子が意図される。このような鎖長は少なくともヌクレオチド1個であってよいが、典型的にはヌクレオチド約10〜約12個の範囲内である。オリゴヌクレオチドの鎖長の決定は、十分に当業者の技術の範囲内であり、本明細書における限定となるべきではない。したがって、オリゴヌクレオチドは10個未満であっても12個超であってもよい。本発明は、これらのクラスの毒素をコードするポリヌクレオチド配列だけでなく、毒素を発現する組換え宿主を産生するためのこれらのポリヌクレオチド配列の使用にも関する。

本明細書で使用される場合、「毒性の」または「毒性」という語の使用により、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)により産生される毒素が、本明細書で規定される「機能活性」を有することが意図される。

「改変Cry1Ca毒素」という語の使用により、配列表のタンパク質配列全て、および本明細書に記載されるそれらの変異体全てを含むことが意図される。

本明細書では「遺伝子材料」という語の使用により、遺伝子、核酸、DNAおよびRNA全てを含むことが意図される。

ポリヌクレオチド、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、およびプライマーのヌクレオチド残基の名称、ならびにタンパク質のアミノ酸残基の名称には、本文書を通して標準的なIUPAC略号が使用される。核酸配列は標準的な5’〜3’方向で提示され、タンパク質配列は標準的なアミノ(N)末端〜カルボキシ(C)末端方向で提示される。

本発明の毒素および遺伝子は、それらのアミノ酸およびヌクレオチド配列、ならびに全長DNAおよびアミノ配列に含まれる固有の断片の配列によりさらに規定されうる。新規の各クラス内の分子の配列は、本明細書で、例示される特定の配列に対する相同性に関して、さらに例示される特定のプローブおよびプライマーとハイブリダイズする能力、またはこれらにより増幅される能力に関して規定されうる。本明細書で提供される毒素のクラスは、特定の抗体に対する免疫反応性に基づいても特定されうる。

毒素の構造。本発明の毒素は、構造およびドメインの組成に関しても特徴付けられる。タンパク質の配列多様性と、生物活性スペクトルの差との相関関係から、ブロック3と5の間の「超可変」領域が、B.t.デルタエンドトキシン間の昆虫に対する特異性の差に関与するという初期の仮説が導かれた。

天然全長Cry1Caタンパク質をコードする遺伝子がトウモロコシ細胞で挿入および発現されると、検出可能なタンパク質分解分解産物が少なくとも5つ観察された。これらの5つのポリペプチドが、以下のアミノ酸鎖長:1〜1164、1〜628、29〜628、74〜628および74〜596を有することが決定された。検出された5つのCry1Ca分解産物のうち、2つの断片が主な昆虫有害生物に対し不活性であることが判明した。ほとんどの場合、これらの不活性な2つの断片は、トウモロコシ細胞で検出されるCry1Ca関連タンパク質の主要な部分に相当していた。トウモロコシでCry1Caの天然全長遺伝子を発現させると、ツマジロクサヨトウ(S. frugiperda)などの主な害虫に対し不十分な機能活性を有する植物が生じた。

切断型天然Cry1Caタンパク質(aa1〜628)を発現する遺伝子がトウモロコシ細胞で挿入および発現されると、タンパク質分解プロセシングの発生が減少した。大部分がプロセシングされず機能的に活性なままであった。したがって、トウモロコシ細胞で切断型Cry1Ca遺伝子を発現させると、トウモロコシ細胞でのタンパク質分解が減少したため、主な害虫に対し十分な機能活性を有する植物が生じた。

Cry1Caの一次アミノ酸配列を変化させることで、主な害虫に対する継続的な生物活性が可能となり、プロテアーゼ酵素としてキモトリプシンを使用してインビトロで測定すると、タンパク質のタンパク質分解プロセシングの減少がもたらされる。改変Cry1Caタンパク質のタンパク質分解プロセシングの減少により、植物中により多量の機能的に活性なタンパク質の蓄積が生じ、標的害虫に対するより大きな活性が生じる。

プロテアーゼ感受性変異体。昆虫腸内プロテアーゼは、典型的には、食物タンパク質から必要なアミノ酸を得る際に昆虫を助けるように機能する。最もよく理解されている昆虫の消化プロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、これは、最も一般的な種類(Englemann and Geraerts, 1980)、特に鱗翅目の種で最も一般的な種類であると思われる。鞘翅目の昆虫は、鱗翅目の腸よりも中性〜酸性の腸を有する。鞘翅目の幼虫および成虫の大部分、例えばコロラドハムシはわずかに酸性の中腸を有し、システインプロテアーゼが大部分のタンパク質分解活性をもたらす(Wolfson and Murdock, 1990)。より正確には、Thie and Houseman (1990)が、コロラドハムシのシステインプロテアーゼ、カテプシンB様およびカテプシンH様、およびアスパルチルプロテアーゼ、カテプシンD様を特定し特徴付けた。Gillikin et al., (1992)は、ウェスタンコーンルートワームの幼虫の腸におけるタンパク質分解活性を特徴付け、主にシステインプロテアーゼを発見した。米国特許第7230167号明細書は、ウェスタンコーンルートワームにセリンプロテアーゼ、カテプシンGが存在することを開示した。昆虫腸内プロテアーゼの多様性および異なる活性レベルが、特定のB.t.毒素に対する昆虫の感受性に影響を与えている可能性がある。

一実施形態において、毒素はそのアミノ酸配列に、トウモロコシ植物に天然に見られるプロテアーゼによる発現タンパク質のプロテアーゼプロセシングレベルを有意に減少させる、特定の変化を有する。アミノ酸の変化により、トウモロコシで発現されるとタンパク質の機能活性レベルの上昇がもたらされる。プロテアーゼ切断部位は、化学的遺伝子合成またはスプライスオーバーラップPCRにより、望ましい位置に導入可能である(Horton et al., 1989)。例えば、特定の害虫の中腸内で、望ましい欠失点におけるタンパク質プロセシングに作用するように、セリンプロテアーゼ認識配列を、場合により、Cryタンパク質構造の特定の部位に挿入することができる。望ましいプロセシング部位にプロテアーゼ認識配列を設計することにより、トリプシンまたはトリプシン様酵素、キモトリプシン、エラスターゼなどの鱗翅目中腸セリンプロテアーゼ(Christeller et al., 1992)を、Cryタンパク質の活性化に活用することができる。同じように、望ましいプロセシング部位に認識配列を設計することにより、トリプシン、キモトリプシンおよびカテプシンG様プロテアーゼなどの鞘翅目セリンプロテアーゼを同様に活用することができる。さらに、望ましいプロセシング部位に認識配列を設計することにより、カテプシン(B様、L様、O様、およびK様プロテアーゼ)などの鞘翅目のシステインプロテアーゼ(Koiwa et al., 2000およびBown et al., 2004)、ADAM10などのメタロプロテアーゼ(Ochoa-Campuzano et al., 2007)、ならびにカテプシンD様およびE様、ペプシン、プラスメプシン、およびキモシンなどのアスパラギン酸プロテアーゼも活用することができる。

本発明の範囲は、昆虫、植物または微生物プロテアーゼによる、より大きな変異体タンパク質のタンパク質分解切断を可能にするか不可能にするように、適切な位置にプロテアーゼプロセシング部位を導入または除去することによって、本殺虫性タンパク質をコードする配列を操作することにより産生される変異体Cry1Ca殺虫性タンパク質を含む。このような操作の最終結果は、無傷(全長)天然毒素タンパク質と同じかより良好な活性を有する毒素分子の生成である。

DNA基質の認識および切断における、II型制限エンドヌクレアーゼに関する高い配列特異性とは異なり、タンパク質分解酵素は、切断認識部位を含むアミノ配列に関しより非特異的である。カテプシンB、K、L、およびSと比較して、一部のプロテアーゼの切断部位、具体的にはカテプシンGの切断部位を含むアミノ酸構造に関する一般原則がいくつか発見されている(Bown et al., 2004)。以下の説明におけるプロテアーゼ切断部位の命名では、切断部位から上流の(すなわちN末端方向の)アミノ酸残基はP1、P2、P3、P4、P5などと付番され、残基P1は切断部位のすぐ隣にあり、残基P5はN末端方向で切断部位から5番目に最も遠位にある。切断部位から下流の(すなわちC末端方向の)アミノ酸残基はP1’、P2’、P3’、P4’、P5’などと付番され、残基P1’は切断部位のすぐ隣にあり、残基P5’はC末端方向で切断部位から5番目に最も遠位にある。カテプシンGは、P1残基グルタミン、リジン、トリプトファンまたはフェニルアラニンの後ろで優先的な切断を示すことが知られており、ここで、残基P2、P3、P4、P5など、およびP1’、P2’、P3’、P4’、P5’などは、天然タンパク質に通常見られる20個のアミノ酸のいずれかであってよい。ある程度増強された切断部位配列特異性がカテプシンB、K、L、およびSにより実証されており、P2アミノ酸の側鎖が、カテプシンの基質結合部位S2に適合する。これらのカテプシンのS2部位は、大きな疎性側鎖(例えばバリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンに見られる)を有するP2アミノ酸とは優先的に相互作用し、荷電側鎖(カテプシンBおよびLが、P2位アルギニンの大きな親水性荷電側鎖を受容することを除く)を有するP2残基との相互作用は嫌う。P3位のアミノ酸が何であるかに、ある程度の特異性が見られる。例えば、カテプシンLは、フェニルアラニンまたはアルギニンがP2位を占める場合に、P1位のアルギニンの後ろを優先的に切断する。P3のアミノ酸は、芳香族型(例えばフェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンまたはチロシン)または疎水性型(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファンまたはチロシン)のいずれかであってよい。P4、P5位など、およびP1’、P2’、P3’、P4’、P5’位などは、天然タンパク質に通常見られる20個のアミノ酸のいずれかであってよい。

さらに、タンパク質分解切断は、各プロテアーゼが本切断配列を利用できるかどうかに依存する;タンパク質の3次元構造内の潜在的な切断部位が隔絶されることにより、そのタンパク質は特定のプロテアーゼによる切断に対し抵抗性となりうる。昆虫腸内プロテアーゼの多様性および異なる活性レベルが、特定のB.t.毒素に対する昆虫の感受性に影響を与えうると考えられる。生化学および分子生物学分野の当業者は、感受性昆虫の腸内プロテアーゼによるより大きなタンパク質のプロテアーゼ切断/活性化により生成される、殺虫性タンパク質断片の生化学特性(ポリペプチドのN末端およびC末端を含むアミノ酸配列の決定を含むが、これに限定されない)を試験することができる。非感受性昆虫の腸または宿主植物のプロテアーゼレジーム(protease regime)を特徴付け、B.t.殺虫性タンパク質のコード配列内の適切な場所に、非感受性昆虫の腸内プロテアーゼ、またはB.t.殺虫性タンパク質が遺伝子導入により産生される見込みの宿主植物により切断されやすい配列を設計することもできる。本B.t.殺虫性タンパク質のこのような分析および操作は、本発明の範囲内であることが理解される。

別の実施形態において、毒素は、植物および細菌を含む様々な異なる発現系で発現される場合、そのアミノ酸配列に、タンパク質発現レベルを有意に増強させる特定の変化を有する。タンパク質の発現増大の結果は、発現系での機能活性の増大である。これは、高用量の毒素を昆虫に与えるのに有利であり、それにより、致死量以下のタンパク質毒素を受ける少数の個体群の昆虫が生き残ることによって毒素に対する抵抗性が昆虫において発達することを防止することができる。

遺伝子および毒素。本明細書の実施形態のタンパク質分子は、既知の殺有害生物性タンパク質、特にB.t.Cryタンパク質、より具体的にはCry1Caタンパク質(Genbank受託番号AAA22343)に相同なアミノ酸配列を含む。実施形態のヌクレオチド配列によりコードされる予測アミノ酸配列が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40として開示される。

本発明の毒素の配列が、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40として与えられる。好ましい実施形態において、本発明の毒素は以下の特性のうちの少なくとも1つを有する: (a)前記毒素は、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39またはこれらの相補的配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列とハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる。 (b)前記毒素は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)単離株由来の約68〜71kDaの殺有害生物性毒素、またはその断片に対して産生される抗体に対し免疫反応性である。 (c)前記毒素はヌクレオチド配列によりコードされており、約25〜40bpの断片を産生するように、前記ヌクレオチド配列の一部がプライマー対を使用してPCRにより増幅されうる。 (d)前記毒素は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40に示すアミノ酸配列の殺有害生物性部分を含む。 (e)前記毒素は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40からなる群から選択されるアミノ酸配列の殺有害生物性部分に対し、少なくとも約(90%)の相同性を有するアミノ酸配列を含む。 (f)前記毒素は、ストリンジェントな条件下で、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40をコードするDNAからなる群から選択されるヌクレオチド配列の殺虫性部分とハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる。 (g)前記毒素は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)単離株、MR−1206由来の約68kDaもしくは130kDaの殺有害生物性毒素、またはその断片に対する抗体に対し免疫反応性である。 (h)前記毒素は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40、ならびに配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40の殺有害生物性部分からなる群から選択されるアミノ酸配列に対し、少なくとも約(90%)の相同性を有するアミノ酸配列を含む。

本明細書で例示される特定の遺伝子、これらの遺伝子の変異物、およびこれらの遺伝子の断片は、例えば、民間の供給業者数社のいずれもが現在実施している方法による、合成での構築によっても得られる(例えば、米国特許第7482119号明細書を参照のこと)。これらの遺伝子、またはその部分もしくは変異体は、例えば、遺伝子合成機、および例えば米国特許第5,380,831号明細書の方法を使用して、合成により構築することもできる。あるいは、合成のまたは天然に存在する遺伝子の変異物を、点突然変異を起こすための標準的な分子生物学的技術を使用して容易に構築することができる。標準的な手順に従い、市販のエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを使用して、これらの遺伝子の断片を作製することもできる。例えば、Bal31などの酵素または部位特異的突然変異誘発を使用して、これらの遺伝子の末端からヌクレオチドを系統的に切り取ることができる。また、様々な制限酵素を使用して、活性な毒素断片をコードする遺伝子断片を得ることができる。

請求項に係る毒素をコードするヌクレオチド配列の断片である核酸分子は、意図される用途次第で、本明細書で開示される、請求項に係る殺虫性毒素をコードする全長ヌクレオチド配列(例えば、配列番号1はヌクレオチド1,878個;配列番号37はヌクレオチド3,495個)に存在する、少なくとも約15、20、30、40、50、60、75、100、200、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、3000、3500個のヌクレオチド、または最大ヌクレオチド数までを含む。本発明の請求項に係るタンパク質の生物的に活性な部分をコードするヌクレオチド配列の断片は、本発明の全長殺虫性タンパク質(例えば、配列番号2はアミノ酸625個、または配列番号38はアミノ酸1,164個)に存在する、少なくとも約15、25、30、40、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1100もしくは1200個の連続するアミノ酸、または最大アミノ酸総数までをコードする。

組換え宿主。本発明の毒素をコードする遺伝子を、多様な微生物または植物宿主に導入することができる。毒素遺伝子の発現により、直接的または間接的に、殺有害生物性タンパク質の細胞内産生および維持が生じる。適切な微生物宿主、例えばシュードモナス属(Pseudomonas)を用いれば、微生物を有害生物の環境に施用することができ、そこで微生物が増殖し、摂取されうる。結果は有害生物の防除である。あるいは、毒素遺伝子の宿主となった微生物を、毒素活性を長引かせ、細胞を安定化させる条件下で処理することができる。次いで、毒性活性を維持している処理済み細胞を、標的有害生物の環境に施用することができる。

毒素遺伝子が適切なベクターを介して微生物宿主に導入され、前記宿主が生きた状態で環境に施用される場合、特定の宿主微生物が使用されることが不可欠である。1つまたは複数の目的作物の「植物圏(phytosphere)」(葉面、葉圏、根圏、および/または根面)を占めることが知られている微生物宿主が選択される。これらの微生物は、特定の環境(作物およびその他の昆虫生息場所)で野生型常在微生物とうまく競合することができ、ポリペプチド殺有害生物剤を発現する遺伝子の安定な維持および発現をもたらし、望ましくは、環境による分解および不活性化からの殺有害生物剤の防御の改善をもたらすように選択される。

B.t.芽胞または組換え宿主細胞も、施用される前に、または植物に施用するため製剤化される前に処理されてよい。例えば、単離されたB.t.芽胞および/または毒素結晶は、殺虫活性を長引かせるために化学的に処理され、それにより本発明の処理済みポリペプチドを含むことができる(米国特許第4,695,462号明細書およびGaertner et al., 1993)。

多様な重要作物の葉面(植物の葉表面)および/または根圏(植物の根の周辺土壌)には多数の微生物が生息していることが知られている。これらの微生物には、細菌、藻類、および菌類が含まれる。特に興味深いのは細菌、例えばシュードモナス属(Pseudomonas)、エルウィニア属(Erwinia)、セラチア属(Serratia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、キサントモナス属(Xanthomonas)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、リゾビウム属(Rhizobium)、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、メチロフィリウス属(Methylophilius)、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、アセトバクター属(Acetobacter)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、アゾトバクター属(Azotobacter)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、およびアルカリゲネス属(Alcaligenes);ならびに菌類、特に酵母、例えばサッカロマイセス属(Saccharomyces)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)、スポロボロマイセス属(Sporobolomyces)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、およびアウレオバシジウム属(Aureobasidium)などの微生物である。特に興味深いのは、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)(以前はリゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti))、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)、およびアゾトバクター・ビネランジー(Azotobacter vinelandii)などの植物圏の細菌種;ならびにロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、R・グルチニス(R. glutinis)、R・マリナ(R. marina)、R・アウランティアカ(R. aurantiaca)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、C・ジフルエンス(C. diffluens)、C・ラウレンティ(C. laurentii)、サッカロマイセス・ロゼイ(Saccharomyces rosei)、S・プレトリエンシス(S. pretoriensis)、S・セレビシエ(S. cerevisiae)、スポロボロマイセス・ロセウス(Sporobolomyces roseus)、S・オドルス(S. odorus)、クリベロマイセス・ベロナエ(Kluyveromyces veronae)、およびアウレオバシジウム・ポルランス(Aureobasidium pollulans)などの植物圏の酵母種である。特に興味深いのは有色微生物である。

本発明の好ましい実施形態は、本殺虫性タンパク質またはその変異体をコードする遺伝子による、植物の形質転換である。形質転換された植物の細胞中に防除量の本殺虫性タンパク質またはその変異体が存在するおかげで、形質転換された植物は、標的害虫による攻撃に対し抵抗性となる。B.t.殺虫性毒素の殺虫特性をコードする遺伝子材料を、特定の害虫により摂食される植物のゲノムに組み込むことにより、成体または幼虫が、食物である植物の摂取後に死亡する。単子葉類および双子葉類の数多くのメンバーが形質転換されてきた。トランスジェニック農作物および果実および野菜が商業上興味深い。このような作物には、トウモロコシ、イネ、ダイズ、キャノーラ、ヒマワリ、アルファルファ、モロコシ、コムギ、ワタ、ピーナッツ、トマト、ジャガイモなどが含まれるがこれらに限定されない。外来性の遺伝子材料を単子葉植物または双子葉植物の植物細胞に導入し、導入された遺伝子を安定に維持および発現する稔性の植物を得るための技術がいくつか存在する。このような技術には、微粒子上にコーティングされた遺伝子材料を加速させて直接細胞に入れることが含まれる(米国特許第4945050号明細書および米国特許第5141131号明細書)。アグロバクテリウム(Agrobacterium)技術を使用して植物を形質転換することもできる、米国特許第5177010号明細書、米国特許第5104310号明細書、欧州特許出願第0131624B1号明細書、欧州特許出願第120516号明細書、欧州特許出願第159418B号明細書、欧州特許出願第176112号明細書、米国特許第5149645号明細書、米国特許第5469976号明細書、米国特許第5464763号明細書、米国特許第4940838号明細書、米国特許第4693976号明細書、欧州特許出願第116718号明細書、欧州特許出願第290799号明細書、欧州特許出願第320500号明細書、欧州特許出願第604662号明細書、欧州特許出願第627752号明細書、欧州特許出願第0267159号明細書、欧州特許出願第0292435号明細書、米国特許第5231019号明細書、米国特許第5463174号明細書、米国特許第4762785号明細書、米国特許第5004863号明細書、および米国特許第5159135号明細書を参照のこと。その他の形質転換技術にはWHISKERS(商標)技術が含まれる、米国特許第5302523号明細書および米国特許第5464765号明細書を参照のこと。エレクトロポレーション技術も植物を形質転換するのに使用される、国際公開第87/06614号パンフレット、米国特許第5472869号明細書、米国特許第5384253号明細書、国際公開第9209696号パンフレット、および国際公開第9321335号パンフレットを参照のこと。これらの形質転換特許および公報は全て、参照により組み込まれる。植物を形質転換する数多くの技術に加えて、外来性遺伝子と接触する組織の種類も様々でありうる。このような組織には、胚形成組織、カルス組織IおよびII型、胚軸、分裂組織などが含まれるがこれらに限定されない。当業者の技術の範囲内の適切な技術を使用して、ほぼ全ての植物組織を脱分化の間に形質転換することができる。

上記で開示される、当技術分野で周知の様々な技術を使用して、改変Cry1Ca殺虫性毒素および変異体をコードする遺伝子を植物細胞に挿入することができる。例えば、形質転換された微生物細胞の選択を可能にするマーカー、および大腸菌(E. coli)で機能する複製系を含む多数のクローニングベクターを、高等植物に挿入するための外来性遺伝子の調製および改変に利用することができる。このような操作には、例えば、意図される用途にとって望ましい突然変異、トランケーション、付加、欠失または置換の挿入が含まれうる。ベクターは例えば、pBR322、pUC系、M13mp系、pACYC184などを含む。したがって、Cryタンパク質または変異体をコードする配列を、適切な制限部位でベクターに挿入することができる。生じたプラスミドは、大腸菌(E. coli)の形質転換に使用され、その細胞が適切な栄養培地で培養され、次いで実用可能な量のプラスミドが回収されるように収集および溶解される。分析方法として、概して配列分析、制限断片分析、電気泳動、およびその他の生化学−分子生物学的方法が実施される。各操作後、使用されたDNA配列を切断し、次のDNA配列に連結することができる。操作された各DNA配列を同じかその他のプラスミドにクローニングすることができる。

植物の形質転換方法によっては、補助的DNA配列が必要となることがある。例えば、植物細胞の形質転換にTiまたはRiプラスミドが使用される場合、TiまたはRiプラスミドの少なくともT−DNA右境界反復配列、しばしば右境界反復配列と左境界反復配列の両方が、植物細胞に挿入されることが望まれる遺伝子の隣接領域として連結される。植物細胞の形質転換にT−DNA含有ベクターを使用することについては集中的に研究されており、欧州特許第120516号明細書;Lee and Gelvin (2008)、Fraley et al., (1986)、およびAn et al., (1985)、に十分に記載され、当分野で十分に確立されている。

挿入されたDNAは、一旦植物ゲノムに組み込まれると次の何世代にもわたって比較的安定である。植物細胞を形質転換するのに使用されるベクターは、通常、とりわけビアラホス、カナマイシン、G418、ブレオマイシンまたはハイグロマイシンなどの除草剤または抗生物質に対する耐性を、形質転換される植物細胞に付与するタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子を含む。したがって、単独で使用される選択マーカー遺伝子により、形質転換された細胞の選択が可能となるはずであり、挿入されたDNAを含まない細胞の増殖は選択化合物により抑制される。

DNAを宿主植物細胞に挿入するのに、多数の技術が利用可能である。これらの技術には、形質転換剤としてのアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)により送達されるT−DNAによる形質転換が含まれる。さらに、植物プロトプラストと、送達されるべきDNAを含むリポソームとの融合、DNAの直接注入、パーティクルガン形質転換(微粒子銃)またはエレクトロポレーション、およびその他の実行可能な方法が使用可能である。形質転換された植物の生産には複数の技法が利用可能であり、これらが、各種宿主植物種間の生物的相違に適合するように改変および特化されてよいことを、植物形質転換分野の当業者は理解するものである。

アグロバクテリウム(Agrobacterium)株が形質転換に使用される場合、挿入されるべきDNAは特殊なプラスミド、つまり中間(シャトル)ベクターまたはバイナリーベクターのいずれかにクローニングされる。中間ベクターは、TiまたはRiプラスミドと中間プラスミドとの間の相同な配列による相同組換えにより、TiもしくはRiプラスミドまたはそれらの誘導体に組み込まれうる。TiまたはRiプラスミドは、T−DNAの導入に必要なvir遺伝子を含むvir領域も含む。中間ベクターは、アグロバクテリア中で複製することができない。ヘルパープラスミド(細菌接合による)、エレクトロポレーション、直接DNA法(direct DNA)、化学媒介性の形質転換、またはその他の技法により、中間ベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)に導入することができる。バイナリーベクターは、大腸菌(E. coli)およびアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞の両方で自律的に複製することができる。バイナリーベクターは、右および左T−DNA境界反復配列領域で挟まれ、形質転換された植物細胞の選択のために機能する選択マーカー遺伝子、クローニングリンカー、クローニングポリリンカー、または植物細胞を形質転換する予定の遺伝子の導入部位として機能しうるその他の配列を含みうる配列を含む。バイナリーベクターは、エレクトロポレーション、または直接DNA法、化学媒介性の形質転換により、アグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞に直接形質転換される(Holsters et al., (1978))か、細菌接合、またはその他の技法により導入されうる。宿主細胞として使用されるアグロバクテリウム(Agrobacterium)は、vir領域を保有するプラスミドを含むことになる。vir領域は、T−DNAを植物細胞に導入するのに必要である。B.t.殺虫性毒素タンパク質またはその変異体をコードする遺伝子を含むT−DNA領域に付加される、さらなるT−DNA領域がアグロバクテリウム(Agrobacterium)宿主細胞に存在していてよい。そのように形質転換された細菌細胞が、植物細胞の形質転換に使用される。植物外植片(例えば、葉の一片、茎、根部分だけでなく、プロトプラストまたは懸濁培養された細胞も)は、有利には、DNAを植物細胞に導入するため、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)とともに培養されうる。次いで、適切な生長条件、および形質転換された植物細胞の選択のため抗生物質または除草剤を含みうる培養培地に配置した後、感染を受けた植物材料から植物体全体が再生しうる。次いで、このように得られた植物が、挿入されたDNAの存在について試験されうる。

形質転換された細胞は、植物内部で通常の方式で増殖する。これらは生殖細胞を形成し、形質転換された形質を子孫植物に伝達することができる。このような植物を、正常な方式で生長させ、形質転換された同じ遺伝因子またはその他の遺伝因子を有する植物と交配することができる。生じた雑種個体は、対応する表現型特性、例えば、植物有害生物昆虫による摂食を防除する能力を有する。

注入およびエレクトロポレーションに使用される場合、プラスミドの構築に特殊な要求はなされない。例えば、植物細胞に導入されることが望ましい遺伝子を全て含むように適切に改変された、pUC誘導体などの通常のプラスミドを使用することができる。

植物細胞に挿入される組換えポリヌクレオチドの活性は、インサートに隣接する内在性植物DNAの影響に依存しうる。したがって別に選択すべきことは、植物ゲノム中の、挿入に優れた位置であることが知られているイベントを活用することである。例えば、Cry1FおよびCry1Acワタイベントに関する国際公開第2005/103266A1号パンフレットを参照のこと;本B.t.殺虫性毒素遺伝子を、Cry1FまたはCry1Acインサートの代わりにそのゲノム遺伝子座において置換することができる。例えば、本発明に従って、標的相同組換えを使用することができる。この種の技術は、例えば、標的組換えのためのジンクフィンガーの使用に関する、国際公開第03/080809号パンフレットおよび対応する米国公開出願(第20030232410号明細書)の対象である。組換え酵素の使用(例えばcre−loxおよびflp−frt)も当技術分野で知られている。

本発明の好ましい実施形態において、タンパク質コード領域のコドン使用が植物用に最適化された遺伝子により、植物が形質転換される。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,380,831号明細書を参照のこと。また、有利には、切断型毒素をコードする植物が使用される。切断型毒素は、典型的には、全長毒素の約55%〜約80%をコードする。植物において使用するための合成B.t.遺伝子を作り出す方法が当技術分野で知られている(Stewart 2007)。

別の変動要素は選択マーカーの選択である。特定のマーカーを優先することは当業者の裁量によるが、選択マーカーとして機能しうる、本明細書に列挙されない任意のその他の遺伝子と併せて、以下の選択マーカーのいずれかを使用することができる。このような選択マーカーには、抗生物質カナマイシン、ネオマイシンおよびG418に対する抵抗性をコードするトランスポゾンTn5(AphII)のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子、ならびにグリホサート;ハイグロマイシン;メトトレキサート;ホスフィノトリシン(ビアラホス);イミダゾリノン、スルホニル尿素、およびクロロスルフロン;ブロモキシニル、ダラポンなどのトリアゾロピリミジン除草剤に対する耐性をコードする遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。このような遺伝子の例が、参照により本明細書に組み込まれるMerlo, (2002)で与えられる。

選択マーカーに加えて、レポーター遺伝子を使用することが望ましい場合がある。一部の例において、レポーター遺伝子は選択マーカーなしで使用されうる。レポーター遺伝子は、典型的にはレシピエント生物または組織に対して生長という利点を有しない遺伝子である。レポーター遺伝子は、典型的には、何らかの表現型の変化または酵素特性をもたらすタンパク質をコードする。好ましいレポーター遺伝子はグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子である。その他のレポーター遺伝子の例は、Merlo (2002)で与えられる。

形質転換技術に関わらず、遺伝子は、好ましくは、ベクターに植物プロモーターを含めることによって植物細胞でB.t殺虫性毒素遺伝子および変異体を発現するように適応させた、遺伝子導入ベクターに組み込まれる。植物プロモーターに加えて、外来性遺伝子を発現するために、様々な供給源由来のプロモーターを植物細胞で効率的に使用することができる。例えば、オクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、マンノピンシンターゼプロモーターなどの細菌起源プロモーター;カリフラワーモザイクウイルスの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルス起源プロモーターが使用可能である。植物プロモーターには、リブロース−1,6−ビスリン酸(RUBP)カルボキシラーゼ小サブユニット(ssu)、ベータ−コングリシニンプロモーター、ファゼオリンプロモーター、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、熱ショックプロモーター、ADF(アクチン脱重合因子)プロモーター、および組織特異的なプロモーターが含まれるが、これらに限定されない。プロモーターは、転写効率を改善しうる特定のエンハンサー配列エレメントも含んでいてよい。典型的なエンハンサーには、ADH1−イントロン1およびADH1−イントロン6が含まれるが、これらに限定されない。構成的プロモーターが使用可能である。構成的プロモーターは、ほぼ全ての細胞型でほぼ常時、持続的な遺伝子発現(例えば、アクチン、ユビキチン、CaMV35S)を誘導する。組織特異的なプロモーターは、葉または種子などの特定の細胞または組織型での遺伝子発現(例えば、ゼイン、オレオシン、ナピン、ACP(アシルキャリアタンパク質))に関与し、これらのプロモーターも使用可能である。特定の植物組織および器官で活性なプロモーターだけでなく、植物の生育の特定の段階の間活性なプロモーターも使用可能である。このようなプロモーターの例には、根特異的、花粉特異的、胚特異的、コーンシルク特異的、綿花特異的、種子胚乳特異的、師部特異的なプロモーターなどが含まれるが、これらに限定されない。

特定の環境では、誘導性プロモーターを使用することが望ましい場合がある。誘導性プロモーターは、物理的刺激(例えば熱ショック遺伝子);光(例えばRUBPカルボキシラーゼ);ホルモン(例えばグルココルチコイド);抗生物質(例えばテトラサイクリン);代謝物;およびストレス(例えば干ばつ)などの特定のシグナルに応答しての遺伝子の発現に関与する。5’非翻訳リーダー配列、RNA転写終結配列およびポリアデニル酸付加シグナル配列などの、植物で機能するその他の望ましい転写および翻訳エレメントが使用可能である。数多くの植物特異的な遺伝子導入ベクターが当技術分野で知られている。

本発明は、全能性でない(非全能性の)植物細胞、繁殖材料でなく(例えば、一部の実施形態においては葉細胞;種子細胞は一部の実施形態から除外される)、植物体全体に分化することができない植物細胞を含む。本発明は、植物体全体に再生すること以外の用途を有する植物細胞を含む。例えば、タンパク質(本発明のDIG−465タンパク質など)を産生するために前記植物細胞を使用することができる。したがって、本発明の植物細胞は、全能性以外の用途を有する植物細胞を含む(つまり、本発明の一部の細胞は植物体全体に再生できない)。しかし、一部の実施形態は、植物体全体に再生可能な種子細胞および植物細胞を含む。

本発明の毒素および遺伝子を特定するさらなる方法は、オリゴヌクレオチドプローブの使用によるものである。これらのプローブは、ヌクレオチド配列を検出することができる。これらの配列を、適切な放射性標識によって検出可能にするか、米国特許第6268132号明細書に記載されるように本質的に蛍光性にすることができる。当技術分野で周知であるように、プローブ分子および核酸試料が、2つの分子間で強力な塩基対結合を形成することによってハイブリダイズする場合、プローブおよび試料が実質的な配列相同性を有することが当然のことながら想定できる。好ましくは、例えばKeller and Manak (1993)に記載される、当技術分野で周知の技術により、ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションが実施される。プローブの検出により、ハイブリダイゼーションが起こったかどうかを既知の方式で決定する手段がもたらされる。このようなプローブ分析により、本発明の毒素をコードする遺伝子を特定する迅速な方法がもたらされる。DNA合成機および標準的な手順を使用して、本発明に従ってプローブとして使用されるヌクレオチドセグメントを合成することができる。これらのヌクレオチド配列は、本発明の遺伝子を増幅するためのPCRプライマーとしても使用可能である。

本明細書で使用される場合、「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という語は、プローブが、その他の配列に対するよりも検出可能に強力に(例えばバックグラウンドの少なくとも2倍)その標的配列に対してハイブリダイズする(アニールする)条件を指すことが意図される。ストリンジェントな条件は配列に依存し、環境が異なれば異なる。ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することにより、プローブに対し100%相補的な標的配列を特定することができる(相同プロービング(homologous probing))。あるいは、配列内のある程度のミスマッチを許容するようにストリンジェンシー条件を調節してもよく、その結果、より小さい類似性が検出される(異種プロービング(heterologous probing))。概して、プローブは約1000ヌクレオチド未満の鎖長であり、好ましくは500ヌクレオチド未満の鎖長である。

典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度がNaイオン約1.5M未満であり、典型的には、pH7.0〜pH8.3で、Naイオン濃度(またはその他の塩)約0.01〜1.0M、温度が短鎖プローブ(例えば10〜50ヌクレオチド)で少なくとも約30℃、長鎖プローブ(例えば50ヌクレオチド超)で少なくとも約60℃である条件である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても実現可能である。例示的な低度のストリンジェンシー条件は、37℃での、30%〜35%ホルムアミド緩衝溶液、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)によるハイブリダイゼーション、および50℃〜55℃での、1x〜2xSSC(20xSSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)による洗浄を含む。例示的な中度のストリンジェンシー条件は、37℃での、40%〜45%ホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDSによるハイブリダイゼーション、および55℃〜60℃での、0.5x〜1xSSCによる洗浄を含む。例示的な高度のストリンジェンシー条件は、37℃での、50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSによるハイブリダイゼーション、および60℃〜65℃での、0.1xSSCによる洗浄を含む。場合により、洗浄緩衝液は約0.1%〜約1%SDSを含んでいてよい。ハイブリダイゼーションの期間は概して約24時間未満、通常約4〜約12時間である。

特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄の機能であり、重要な因子は最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA/DNAハイブリッドでは、熱溶融点(Tm)は、相補的な標的配列の50%が、完全に一致するプローブとハイブリダイズする温度(規定されるイオン強度およびpHで)である。Tmは、1%のミスマッチにつき約1℃低下する;したがって、Tm、ハイブリダイゼーション条件、および/または洗浄条件を調節して、望ましい同一性の配列のアニーリングを促進することができる。例えば、90%超の同一性を有する配列が求められる場合、Tmは10℃低下しうる。概して、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHで、特定の配列およびその相補体についてのTmを約5℃下回るように選択される。しかし、高度にストリンジェントな条件では、Tmを1℃、2℃、3℃または4℃下回る温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ;中度にストリンジェントな条件では、Tmを6℃、7℃、8℃、9℃または10℃下回る温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、低度のストリンジェンシー条件では、Tmを11℃、12℃、13℃、14℃、15℃または20℃下回る温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。

Tm(℃)は実験的に決定してもよく、計算により概算してもよい。DNA−DNAハイブリッドでは、Meinkoth and Wahl (1984)の方程式からTmを概算することができる: Tm(℃)=81.5℃+16.6(log M)+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−500/L; 式中、Mは一価カチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%ホルムアミドはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対でのハイブリッド鎖長である。

あるいは、Tmは以下の式(Beltz et al., 1983)で表される。 Tm(℃)=81.5℃+16.6(log[Na+])+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−600/L 式中、[Na+]はナトリウムイオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%ホルムアミドはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対でのハイブリッド鎖長である。

方程式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の組成、ならびに望ましいTmを使用すれば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーの変動が本質的に説明されることを、当業者は理解するものである。望ましいミスマッチの程度により45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTmが生じる場合、より高い温度が使用可能となるように、SSC濃度を増加させることが好ましい。核酸ハイブリダイゼーションの詳細な手引きは、Tijssen (1993)およびAusubel et al., (1995)に記載されている。さらに、Sambrook et al., (1989)を参照のこと。

サザンブロットに固定化されたDNAと、放射性標識された遺伝子特異的なプローブとのハイブリダイゼーションを、標準的な方法(Sambrook et al., 上記参照)により行ってもよい。ポリヌクレオチドプローブを標識するのに使用される放射性同位元素には、32P、33P、14Cまたは3Hが含まれていてよい。放射性同位元素のポリヌクレオチドプローブ分子への組み込みは、分子生物学分野の当業者に周知のいくつかの方法のいずれかにより行うことができる(例えばSambrook et al.,上記参照、を参照のこと)。概して、請求項に係る毒素をコードする遺伝子に対する相同性を有する標的配列の検出を可能にするストリンジェントな条件下で、ハイブリダイゼーションおよびその後の洗浄を実施することができる。二本鎖DNA遺伝子プローブでは、6X SSPE、5Xデンハルト溶液、0.1%SDS、0.1mg/mL変性DNA[20X SSPEは3M NaCl、0.2M NaHPO4、および0.02M EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)であり;100Xデンハルト溶液は20gm/Lポリビニルピロリドン、20gm/Lフィコールタイプ400および20gm/Lウシ血清アルブミン(フラクションV)である]中で、DNAハイブリッドのTmを20〜25℃下回る温度で一晩、ハイブリダイゼーションを実施することができる。

洗浄は典型的には以下の通り実施されうる: (1)室温で15分間、1X SSPE、0.1%SDSで2回(低度ストリンジェンシー洗浄)。 (2)Tmの−20℃で15分間、0.2X SSPE、0.1%SDSで1回(中度のストリンジェンシー洗浄)。

オリゴヌクレオチドプローブでは、6X SSPE、5Xデンハルト溶液、0.1%SDS、0.1mg/mL変性DNA中で、ハイブリッドのTmを10〜20℃下回る温度で一晩、ハイブリダイゼーションを実施することができる。オリゴヌクレオチドプローブのTmは、以下の式(Suggs et al., 1981)により決定可能である。 Tm(℃)=2(T/A塩基対の数)+4(G/C塩基対の数)

洗浄は典型的には以下の通り実施されうる: (1)室温で15分間、1X SSPE、0.1%SDSで2回(低度ストリンジェンシー洗浄)。 (2)ハイブリダイゼーション温度で15分間、1X SSPE、0.1%SDSで1回(中度のストリンジェンシー洗浄)。

ハイブリダイゼーションのためのプローブ分子、およびプローブと標的分子の間で形成されるハイブリッド分子を、放射性標識以外の手段によって検出可能にしてもよいことを、当業者は理解するものである。

変異体毒素。本発明による有用な遺伝子および毒素には、開示される切断型配列だけでなく、本明細書で特に例示される毒素に特有の殺有害生物活性を維持する全長配列、これらの配列の断片、変異体、突然変異体、および融合タンパク質も含まれる。本明細書で使用される場合、遺伝子の「変異体」または「変異物」という語は、同じ毒素をコードするか、殺有害生物活性を有する同等の毒素をコードするヌクレオチド配列を指す。さらに、本明細書で使用される場合、「同等の毒素」という語は、標的有害生物に対し、請求項に係る毒素と同じか本質的に同じ生物活性を有する毒素を指す。したがって、請求項に係る毒素の変異体または変異物は、請求項に係る毒素の活性の少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約70%、さらにより好ましくは少なくとも約80%を有する。殺有害生物活性を測定する方法は当技術分野で周知であり、本明細書で例示される。「変異体」によって、本明細書では、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40のアミノ酸配列に対し少なくとも約60%、65%、好ましくは約70%、75%、より好ましくは約80%、85%、最も好ましくは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質またはポリペプチドを含むことが意図される。変異体には、ストリンジェントな条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37もしくは39、またはこれらの相補体の核酸分子とハイブリダイズする核酸分子によりコードされるポリペプチドも含まれる。このような変異体は概して、請求項に係る活性を維持している。変異体には、突然変異誘発によってアミノ酸配列が異なるポリペプチドも含まれる。本発明により包含される変異体タンパク質は殺虫的に活性である。

一次アミノ酸配列レベルで異なっており、同じまたは類似した全体の基本的な3次元構造、表面電荷分布などを維持している変異体タンパク質もデザイン可能である。例えば、米国特許第7,058,515号明細書;Larson et al., (2002);Crameri et al., (1997);Stemmer、W. P. C. (1994a);Stemmer、W. P. C. (1994b) " Stemmer、W. P. C. (1995);Crameri et al.、(1996a);およびCrameri et al., (1996b)を参照のこと。

本発明の特定の毒素が、本明細書で特に例示される。これらの毒素は本発明の毒素の例示に過ぎないため、本発明が、例示される毒素と同じか類似した殺有害生物活性を有する変異体または同等の毒素(および同等の毒素をコードするヌクレオチド配列)を含むことは容易に明らかであるはずである。同等の毒素は例示される毒素とのアミノ酸相同性を有する。アミノ酸同一性は、典型的には60%超、好ましくは75%超、より好ましくは80%超、より好ましくは90%超であり、95%超であってもよい。アミノ酸相同性は、生物活性に関与するか、最終的に生物活性に関与する3次元配置の決定に関与する、毒素の不可欠な領域において最も高いものである。この点において、一定のアミノ酸置換は、これらの置換が活性にとって不可欠でない領域にあるか、分子の3次元配置に作用しない保存的アミノ酸置換である場合、許容され予期されうる。例えば、アミノ酸は以下のクラスに分類されうる:非極性、非電荷極性、塩基性、および酸性。あるクラスのアミノ酸が同じ種類の別のアミノ酸で置換される保存的置換は、置換により化合物の生物活性が著しく変化しない限り本発明の範囲内に入る。表1では、各クラスに属するアミノ酸の例のリストを与える。

一部の例において、非保存的置換もなされてよい。不可欠な因子は、これらの置換が毒素の生物活性を有意に損なってはならないことである。

本発明の好ましい殺虫性毒素タンパク質は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37または39のヌクレオチド配列に対し十分に同一であるヌクレオチド配列によりコードされる。「十分に同一である」により、標準的なパラメータを使用する、本明細書に記載されるアラインメントプログラムの1つにより分析すると、参照配列と比較して少なくとも約60%または65%の配列同一性、好ましくは約70%または75%の配列同一性、より好ましくは約80%または85%の配列同一性、最も好ましくは約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸またはヌクレオチド配列が意図される。これらの値は、コドン縮重、アミノ酸類似性、リーディングフレームの位置取りなどを考慮することにより、2つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定するために適切に調節できることを、当業者は認識するものである。

2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するため、最適な比較のために配列がアラインメントされる。2つの配列間の同一性パーセントは、配列が共有する同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性パーセント=同一の位置の数/位置の総数(例えば重複している位置)x100)。一実施形態において、2つの配列は同じ長さである。ギャップを許容してまたは許容せず、下記と同様の技術を使用して2つの配列間の同一性パーセントを決定することができる。同一性パーセントを算出するにあたって、典型的には正確な一致が計数される。

2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して遂行することができる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin and Altschul (1993)で改変された、Karlin and Altschul (1990)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムが、Altschul et al., (1990)のBLASTNおよびBLASTXプログラムに組み込まれている。BLAST検索は、好都合には、核またはタンパク質データベースのクエリ配列に対し相同な(類似の)配列を特定するために使用されうる。本発明の請求項に係る核酸分子に対し相同性を有するヌクレオチド配列を特定するためには、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12でBLASTヌクレオチド検索を行うことができる。本発明の請求項に係る殺虫性タンパク質分子に対し相同性を有するアミノ酸配列を特定するためには、BLASTXプログラム、スコア=50、ワード長=3でBLASTタンパク質検索を行うことができる。

比較のために、ギャップ付きアラインメントを得るため、Altschul et al., (1997)に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blast(Altschul et al., (1997))を使用して、分子間の遠い関係性を検出する繰り返し検索を行ってもよい。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合、各プログラムのデフォルトパラメータ(例えばBLASTXおよびBLASTN)を使用してよい。www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。目視により、手作業でアラインメントを行ってもよい。

配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの非限定的な例は、ClustalWアルゴリズムである(Thompson et al., (1994))。ClustalWは配列を比較して、アミノ酸またはDNA配列の全体をアラインメントし、そのためアミノ酸配列またはヌクレオチド配列全体の配列保存についてのデータを与えることができる。ClustalWアルゴリズムは、Vector NTI Program Suite (Invitrogen、Inc.、Carlsbad、CA)のALIGNXモジュールなどのいくつかの市販のDNA/アミノ酸分析ソフトウェアパッケージに使用されている。アミノ酸配列をALIGNXとアラインメントする場合、好都合には、ギャップ開始ペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.1およびblosum63mt2比較行列のデフォルト設定を使用してよい。2つのタンパク質配列をALIGNXとアラインメントした後、2つの配列間のアミノ酸類似性(コンセンサス)または同一性パーセントが評価されうる。2つのDNA配列をALIGNXとアラインメントする場合、好都合には、ギャップ開始ペナルティ15、ギャップ伸長ペナルティ6.6およびswgapdnamt比較行列のデフォルト設定を使用してよい。2つのDNA配列をALIGNXとアラインメントした後、2つの配列間の同一性パーセントが評価されうる。

ClustalWアラインメントの分析に有用なソフトウェアプログラムの第2の非限定的な例は、GeneDoc(商標)である(Karl Nicholas開発、http://iubio.bio.indiana.edu/soft/molbio/ibmpc/genedoc−readme.html)。GeneDoc(商標)により、複数のタンパク質間のアミノ酸(またはDNA)類似性および同一性の評価が可能となる。

配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的な例は、Myers and Miller (1988)のアルゴリズムである。このようなアルゴリズムがwSTRETCHERプログラムに組み込まれており、このプログラムはwEMBOSS配列アラインメントソフトウェアパッケージ(http://emboss.sourceforge.net/で入手可能)の一部である。STRETCHERは、線形空間を使用する古典的な動的計画法アルゴリズムの改良版を使用して、2つの配列の最適グローバルアラインメントを算出する。アウトプットは標準的なアラインメントファイルである。アラインメントを算出するために使用される置換行列、ギャップ挿入ペナルティおよびギャップ伸長ペナルティが指定されうる。ヌクレオチド配列を比較するためにSTRETCHERプログラムを利用する場合、ギャップ開始ペナルティ16およびギャップ伸長ペナルティ4が使用可能である。DNA配列を比較するためのスコアリングマトリックスファイル(scoring matrix file)はEDNAFULLである。アミノ酸配列を比較するために使用される場合、ギャップ開始ペナルティ12およびギャップ伸長ペナルティ2が使用可能である。タンパク質配列を比較するためのスコアリングマトリックスファイルはEBLOSUM62である。

配列の比較に利用される数学的アルゴリズムのさらなる非限定的な例は、Needleman and Wunsch (1970)のアルゴリズムであり、これは配列アラインメントソフトウェアパッケージGAPバージョン10およびwNEEDLE(http://emboss.sourceforge.net/)に組み込まれている。GAPバージョン10を使用し、以下のパラメータを用いて配列同一性または類似性を決定することができる:ヌクレオチド配列については、GAPウェイト50およびレングスウェイト(Length Weight)3、およびnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用して同一性%および類似性%が判明する。アミノ酸配列比較については、GAPウェイト8およびレングスウェイト2、およびBLOSUM62スコアリングプログラムを使用して同一性%または類似性%が決定される。wNEEDLEは2つのインプット配列を読み取り、その全長に沿って最適アラインメント(ギャップを含む)を検索し、その最適グローバル配列アラインメントをファイルに書き込む。アルゴリズムは、全ての可能なアラインメントを探索し、最適なものを選択することにより、アラインメントが確実に最適となるように動的計画法を使用する。全ての可能な残基またはヌクレオチドの一致についての値を含むスコアリングマトリックスが読み取られる。wNEEDLEは最大の可能なスコアを有するアラインメントを検索し、アラインメントのスコアは、スコアリングマトリックスから採取された一致の合計から、アラインメントされた配列中のオープニングおよび伸長ギャップから生じるペナルティを差し引いたものに等しい。置換行列、ならびにギャップ開始および伸長ペナルティはユーザー指定である。アミノ酸配列が比較される場合、デフォルトのギャップ開始ペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEBLOSUM62比較行列が使用される。wNEEDLEを使用してDNA配列が比較される場合、ギャップ開始ペナルティ10、ギャップ伸長ペナルティ0.5、およびEDNAFULL比較行列が使用される。

同等のプログラムも使用可能である。「同等のプログラム」により、ALIGNX、wNEEDLEまたはwSTRETCHERにより生成される対応するアラインメントと比較すると、問題の任意の2つの配列について、同一のヌクレオチド残基の一致および同一の配列同一性パーセントを有するアラインメントを生成する、任意の配列比較プログラムが意図される。同一性%は、報告されたアラインメント領域(全長における任意のギャップを含む)にわたる2つの配列間の同一の一致のパーセンテージであり、類似性%は、報告されたアラインメント領域(全長における任意のギャップを含む)にわたる2つの配列間の一致のパーセンテージである。

毒素断片および同等物。例示される毒素の殺有害生物活性を維持する断片および同等物も、本発明の範囲内である。また、遺伝暗号の冗長性により、様々な異なるDNA配列が、本明細書で開示されるアミノ酸配列をコードしうる。同じか本質的に同じ毒素をコードするこれらの代替のDNA配列を作り出すことは、当業者の技術の十分に範囲内である。これらの変異体DNA配列は、本発明の範囲内である。本明細書で使用される場合、「本質的に同じ」配列への言及は、殺有害生物活性に著しく作用しないアミノ酸置換、欠失、付加または挿入を有する配列を指す。殺有害生物活性を維持する断片もこの規定に含まれる。

本発明の殺虫性タンパク質および変異体のアミノまたはカルボキシ末端に、生物活性を維持したポリペプチドが生じる変更がなされてもよい。断片または生物的に活性な部分は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40に示すアミノ酸配列に対し十分に同一なアミノ酸配列を含むポリペプチド断片を含む。デルタエンドトキシンタンパク質の生物的に活性な部分は、例えば、鎖長が10、25、50、100、またはそれ超のアミノ酸であるポリペプチドであってよい。このような生物的に活性な部分を、当技術分野で周知の組換えタンパク質工学技術により調製し、殺虫活性について判断することができる。殺有害生物活性を測定する方法は当技術分野で周知である。本明細書で使用される場合、断片は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40の、少なくとも8個の連続するアミノ酸を包含する。しかし本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40の殺虫性タンパク質または変異体タンパク質の、約10、20、30、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150または1200超のアミノ酸、最大その全長までのタンパク質の任意の断片などのその他の断片を包含する。

改善された生物活性、有害生物スペクトル、または抵抗性昆虫個体群を防除する能力を有する断片も、本発明で提供される。改善された孔形成およびそれによる殺有害生物活性を有する断片を産生するように、Cryタンパク質に改変を加えることができる。3ドメインCryタンパク質の場合、ドメイン1は、感受性昆虫の中腸における孔形成に関与する7つのα−ヘリックスから構成されている。ドメイン1のα−ヘリックス1およびα−ヘリックス2に対し仮想の二次構造相同性を有する領域においてN末端欠失を有するように、改善された活性を有する改変されたDIGタンパク質をデザインすることができる。

プロテアーゼを使用して、これらの毒素の活性な断片を直接的に得ることができる。請求項に係る殺虫性毒素の断片は、本発明の全長殺虫性毒素(例えば、配列番号2はアミノ酸625個、または配列番号4はアミノ酸625個)に存在する、少なくとも約15、25、30、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1000、1100もしくは1200個の連続するアミノ酸、または最大アミノ酸総数までを含む。

コア毒素およびプロトキシンキメラ。バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)デルタエンドトキシン結晶タンパク質分子の大半が、2つの機能性セグメントから構成される。プロテアーゼ抵抗性コア毒素は第1のセグメントであり、タンパク質分子のほぼ前半に相当する。分子のC末端側のほぼ半分が第2のセグメントである。本出願では、この第2のセグメントが本明細書で「プロトキシンセグメント」と呼ばれる。プロトキシンセグメントは毒素結晶の形成に関与すると考えられている(Arvidson et al., (1989))。完全な130kDa毒素分子は、昆虫の腸でプロテアーゼにより抵抗性コアセグメントに迅速にプロセシングされる。このように、プロトキシンセグメントは、毒素分子のプロテアーゼプロセシングを減少させる(Haider et al., (1986))か、毒素の溶解性を低下させる(Aronson et al., (1991))ことで、昆虫がコアに接触可能となることを制限することにより、毒素の部分的な昆虫特異性を伝達することができる。

Cry1FaおよびCry1Abの毒素ドメイン内に有利に連結されたキメラタンパク質が報告されている(米国特許第5,527,883号明細書)。この領域におけるその他の成功が文献で報告されている。例えば、ハイブリッドデルタエンドトキシンの構築が以下の関連技術で報告されている。国際特許出願公開第95/30753号パンフレットは、Cry1Fの非毒性プロトキシン断片が、米国特許第5,128,130号明細書で開示されるCry1Ac/Cry1Ab由来の非毒性プロトキシン断片で置換された、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)で産生させるためのハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築について開示している。この特許は、Cry1Acの非毒性プロトキシンセグメントの一部が、対応するCry1Abの非毒性プロトキシン断片で置換された、P・フルオレセンス(P. fluorescens)で産生させるためのハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築についても開示している。米国特許第5,055,294号明細書は、P・フルオレセンス(P. fluorescens)で産生させるための、Cry1Ac(アミノ酸残基1〜466)とCry1Ab(アミノ酸残基466〜1155)との間の特異的なハイブリッドデルタエンドトキシンの構築について開示している。上記特許は活性な毒素セグメント内でのハイブリッド毒素の構築について開示しているが、ハイブリッド毒素の殺虫活性に関しては詳細が提示されていない。国際特許出願公開第95/30752号パンフレットは、Cry1Cの非毒性プロトキシンセグメントが、Cry1Ab由来の非毒性プロトキシンセグメントで置換された、P・フルオレセンス(P. fluorescens)で産生させるためのハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築について開示している。上記出願はさらに、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)に対するハイブリッドデルタエンドトキシンの活性が、元の活性な毒素Cry1Cの活性よりも改善されることを開示している。国際特許出願公開第95/06730号パンフレットは、Cry1Cのドメイン3および非毒性プロトキシンセグメントと共役したCry1Eのドメイン1および2からなるハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築について開示している。マンジュカ・セクスタ(Manduca sexta)(Cry1CおよびCry1E感受性)、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)(Cry1C感受性)、およびヨトウガ(Mamestra brassicae)(Cry1C感受性)に対して行われた昆虫バイオアッセイは、ハイブリッドCry1E/Cry1Cハイブリッド毒素が、M・セクスタ(M. sexta)、S・エクシグア(S. exigua)、およびヨトウガ(M. brassicae)に対し活性であることを示している。バイオアッセイ結果は、LC50値(50%死亡率を与える毒素濃度)よりもEC50値(50%成長低下を与える毒素濃度)として表現された。バイオアッセイに使用されるデルタエンドトキシンはB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)で産生されたが、デルタエンドトキシンの人工的に生成された活性なセグメントのみが使用され、市販のB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)製剤に存在する、B・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)により典型的に産生される天然に産生される結晶は使用されなかった。バイオアッセイ結果は、ツマジロクサヨトウ(S. frugiperda)に対するハイブリッドCry1E/Cry1C結晶のLC50値が、天然Cry1Cを1.5〜1.7倍下回った(すなわちより活性であった)ことを示した。この技術は、Cry1Ab(ドメイン1および2)とCry1C(ドメイン3および非毒性プロトキシンセグメント)との間のハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築についても開示しているが、ハイブリッド毒素の活性または有用性に関してのデータは与えられていない。

Lee et al., (1995)は、活性な毒素セグメント内での、Cry1AcとCry1Aaの間のハイブリッドB・チューリンゲンシス(B. thuringiensis)デルタエンドトキシンの構築について報告している。感受性昆虫の刷子縁膜小胞(BBMV)におけるタンパク質相互作用を試験するため、ハイブリッド毒素の人工的に生成された活性なセグメントが使用された。ハイブリッド毒素の生物活性については報告されなかった。Honee et al., (1991)は、Cry1C(ドメイン1)とCry1Ab(ドメイン2および3)の間のハイブリッドデルタエンドトキシン、およびCry1Ab(ドメイン1)とCry1C(ドメイン2および3)の間の、片割れとなるハイブリッドの構築について報告している。これらのハイブリッドは、感受性昆虫に対する活性の有意な増大を全く示さなかった。さらに、Cry1C(ドメイン1)/Cry1Ab(ドメイン2および3)ハイブリッド毒素は、プロテアーゼ分解に対して超感受性であることが判明した。Schnepf et al., (1990)による報告は、ドメイン2のごく一部がCry1Aaの対応する領域で置換されたCry1Acハイブリッド毒素の構築について開示しているが、感受性昆虫の幼虫に対する活性の有意な増大は観察されなかった。

本発明のキメラ毒素は、B.t.毒素の全長コアN末端毒素部分を含み、タンパク質は、毒素部分の末端を過ぎたある点で異種プロトキシン配列への移行を有する。天然の毒素/プロトキシンのおよその接合部で異種プロトキシンセグメントへの移行が発生してもよく、(毒素部分を過ぎて伸長した)天然プロトキシンの一部が、下流で発生した異種プロトキシンへの移行により維持されていてもよい。例えば、本発明のキメラ毒素は、DIG−473またはDIG−465のアミノ酸1〜628などの、改変Cry1Ca毒素の全長毒素部分、および異種のプロトキシンセグメント(アミノ酸629〜C末端)を有していてよい。好ましい実施形態において、異種のプロトキシンセグメント部分はCry1Abから採取される。

B.t.毒素は、特定のクラス内であっても、鎖長、およびコア毒素部分からプロトキシン部分へ移行する正確な位置がある程度変動するということを、当業者は理解するものである。コア毒素部分からプロトキシン部分への移行は、典型的には全長毒素の約50%〜約60%の間で発生する。本発明のキメラ毒素は、全長628アミノ酸鎖長のIRDIG544.12殺虫性毒素タンパク質などの、完全長のこのコアN末端毒素部分を含む。本発明の一実施形態において、配列番号15は、DIG−465をコードするDNAの1887個のヌクレオチド配列を開示しており、その5’末端の1887個のヌクレオチドは、突然変異L57Aを有する(アミノ酸57位のロイシンがアラニンで置換されている)Cry1Caのコア毒素セグメントのコード領域を含む。配列番号16は全長DIG−465ポリペプチドの628個のアミノ酸配列を開示しており、そのCry1CaのN末端コア部分は上記のアミノ酸置換を有する。本発明の別の対象では、配列番号23が、DIG−473をコードするDNAの1887個のヌクレオチド配列を開示しており、これは突然変異F596Mを有する(アミノ酸596位のフェニルアラニンがメチオニンで置換されている)Cry1Caのコア毒素セグメントのコード領域を含む。配列番号24は、全長DIG−473ポリペプチドの628個のアミノ酸配列を開示しており、これは上記のアミノ酸置換を有するCry1Caの部分を含む。

プロトキシン部分に関して、完全長の天然Cry1Abプロトキシン部分は、Cry1Ab全長タンパク質の毒素部分の末端から分子のC末端まで伸長している。本発明のキメラ毒素に含めるのに最も不可欠である、このプロトキシンの最後の約100〜150個のアミノ酸が注目される。

Cryタンパク質は選択的な殺虫活性を有するため、ほとんどが、限られた範囲の標的有害生物に対して活性である。したがって、Cryタンパク質の生物活性の特質をさらに改善する必要がある。防除される害虫の範囲を拡大し、またはB.t.抵抗性の発達に対抗するための戦略には、固有の結合特性および作用様式を有するCryタンパク質が有用である。

ドメインIII改変。本明細書で記載される通り、本発明のB.t.殺虫性毒素は、ドメインI、ドメインII、およびドメインIIIを含む3−ドメイン型毒素である。ドメインIIIは、特定のクラスの受容体タンパク質に結合し、おそらくオリゴマー毒素孔前駆体の挿入に関与する。ドメインIII置換を含む特定のハイブリッド毒素が、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)に対し優れた毒性を有することが示されており(de Maagd et al., 1996)、Cry毒素ドメインスワップのデザインに関するガイダンスが存在する(Knight et al., 2004)。

ドメインI改変。生化学的および分子的手法を使用する数多くの研究により、Cryタンパク質による昆虫中腸膜への結合および挿入の決定因子に関する情報がもたらされてきた(Piggot and Ellar, 2007で概説)。膜に挿入し孔を形成する能力について、Cry1AおよびCry3Aタンパク質由来のドメインIが研究されてきた。ドメインIのα−ヘリックス4および5は、膜への挿入および孔の形成において重要な役割を果たし(Walters et al., 1993、Gazit et al., 1998;Nunez-Valdez et al., 2001)、その他のヘリックスは傘の骨のように膜表面に接することが提唱されている(Gazit et al., 1998)。

一部の例において、アルファ−ヘリックス3は、オリゴマーによる孔前駆体形成および毒性に必要であると考えられる。一部のα−ヘリックス3突然変異体は、受容体に結合することはできるがオリゴマーは形成せず、マンジュカ・セクスタ(Manduca sexta)に対し非毒性である(Jimenez-Juarez et al., 2008で概説される)。しかし、タンパク質分解により活性化された形態のCry3Aa1はα−ヘリックス1、2および3を欠いている(Carroll et al., 1997)。

アルファ−ヘリックス1は、受容体との結合後に除去される。Gomez et al., (2002)は、BBMV受容体と結合すると形成されるCry1Abオリゴマーが、ドメインIのα−ヘリックス1部分を欠いていることを発見した。また、Soberon et al., (2007)は、3次元Cry構造において、α−ヘリックス1を含む約60個のアミノ酸を欠いたCry1AbおよびCry1AcのN末端欠失突然変異体が、カドヘリン結合非存在下で、分子量約60kDaのモノマーを集合させて孔前駆体を構築することができることを示している。これらのN末端欠失突然変異体は、Cry抵抗性昆虫の幼虫に対し活性であることが報告された。さらに、Diaz-Mendoza et al., (2007)は、地中海コーンボーラー(Sesamia nonagrioides)に対する活性を維持した43kDaおよび46kDaのCry1Ab断片について記載した。これらの断片は、アミノ酸残基116〜423を含むことが実証された;しかし、正確なアミノ酸配列は解明されておらず、これらのタンパク質分解断片の活性の機構は分かっていない。Gomez et al., (2002)、Soberon et al., 2007およびDiaz-Mendoza et al., (2007)の結果は、Cry1AのN末端からアミノ酸36個が欠失することにより、殺虫活性の喪失がもたらされることを報告したHofte et al., (1986)の結果と対照的である。

抗毒素抗体。同等の毒素および/またはこれらの同等の毒素をコードする遺伝子を、本明細書で提供される教示を使用して、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)単離株および/またはDNAライブラリから得ることができる。本発明の殺有害生物性毒素を得る方法は複数ある。例えば、本明細書で開示され請求項に係る殺有害生物性毒素に対し免疫反応性である抗体を使用して、タンパク質の混合物からその他の毒素を特定および単離することができる。特に、最も定常的でありその他のB.t.毒素と最も異なる毒素の部分に対する抗体が産生されてよい。次いでこれらの抗体を使用して、例えば、免疫沈降、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)またはイムノブロッティング(ウェスタンブロッティング)により、特有の活性を有する同等の毒素を特に特定することができる。本明細書で開示される毒素、または同等の毒素、またはこれらの毒素の断片に対する抗体は、当技術分野での標準的な手順を使用して容易に調製することができる。次いで、これらの毒素をコードする遺伝子が、毒素を産生する微生物から得られる。

B.t.殺虫性毒素が一旦単離されると、当技術分野で周知の従来の方法により、毒素に対し特異的な抗体が産生されうる。数週間または数カ月間の期間にわたって、選択された宿主に繰り返し注射すると免疫応答が引き出され、有意な抗B.t.毒素血清力価が生じる。好ましい宿主は哺乳動物の種であり、より好ましい種はウサギ、ヤギ、ヒツジ、およびマウスである。このような免疫された動物から採取された血液を、確立された方法により処理し、B.t.殺虫性毒素に対し反応性である抗血清(ポリクローナル抗体)を得ることができる。次いで抗血清を、当技術分野で既知の技術に従って、毒素に対する吸着によりアフィニティー精製することができる。アフィニティー精製された抗血清を、当技術分野で既知の手順を使用して、抗血清中の免疫グロブリン画分を単離することによりさらに精製することができる。生じた物質は、B.t.殺虫性毒素に対し反応性である免疫グロブリンの異種性集合物である。

抗B.t.毒素抗体は、免疫原担体に接合されたB.t.殺虫性毒素の合成ペプチド断片からなる半合成免疫原を調製することにより生成されてもよい。ペプチド断片を作製するのに有用な数多くの方式および装置が、当技術分野で周知である。ウシ血清アルブミン(BSA)またはキーホールリンペットヘモシアニンなどの、多くの適切な免疫原担体も当技術分野で周知であり、免疫原および担体タンパク質を共役させる技術も同様に周知である。半合成免疫原が一旦構築されると、B.t.殺虫性毒素断片に対し特異的な抗体を作製する手順は、天然B.t.毒素に対し反応性である抗体を作製するのに使用される手順と同一である。

抗B.t.毒素モノクローナル抗体(MAbs)は、精製B.t.殺虫性毒素を使用して容易に調製される。MAbsを産生する方法は15年間実施されており、当業者に周知である。アジュバント中の精製B.t.殺虫性毒素を腹腔内または皮下に繰り返し注射すると、大部分の動物で免疫応答が引き出される。過免疫のB−リンパ球が動物から取り出され、無限に培養可能である適切な融合相手の細胞株と融合される。B−リンパ球が過免疫されMAbsの産生に使用されうる好ましい動物は、哺乳動物である。より好ましい動物はラットおよびマウスであり、最も好ましいものはBALB/c系マウスである。

数多くの哺乳動物細胞株が、ハイブリドーマの産生に適した融合相手となる。多くのこのような株がAmerican Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)および民間の供給業者より入手可能である。好ましい融合相手の細胞株はマウス骨髄腫由来であり、HL−1(登録商標)Friendly骨髄腫−653細胞株(Ventrex、Portland、ME)が最も好ましい。一旦融合されると、生じたハイブリドーマは1〜2週間、選択増殖培地で培養される。混合ハイブリドーマ培養物から、融合していない骨髄腫細胞または骨髄腫細胞同士の融合物を除去するために、2つの周知の選択系が利用可能である。選択系の選択は、免疫されるマウスの系統および使用される骨髄腫融合相手によって決まる。Taggart and Samloff (1983)により記載されるAAT選択系が使用可能である;しかし、上記の好ましいマウス系統および融合相手との適合性から、Littlefield (1964)により記載されるHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択系が好ましい。次いで、使用後の増殖培地が免疫特異的MAbs分泌についてスクリーニングされる。この目的には酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が最適である;しかし、大量のスクリーニングに適したラジオイムノアッセイも許容される。相当数の無関係またはより望ましくない培養物を連続して減少させるようにデザインされたマルチプルスクリーニングを行うことができる。B.t.殺虫性毒素に対し反応性であるMAbsを分泌する培養物を、既知のB.t.殺虫性毒素との交差反応性についてスクリーニングすることができる。好ましいB.t.殺虫性毒素に優先的に結合するMAbsについて、市販のアッセイを使用してアイソタイプを決定してよい。好ましいMAbsはIgGクラスのものであり、より好ましいMAbsはIgG1およびIgG2aサブアイソタイプのものである。

好ましいMAbsを分泌するハイブリドーマ培養物を数回サブクローニングして、単クローン性および安定性を確立することができる。真核生物の非付着細胞培養物をサブクローニングするための周知の方法には、限界希釈法、ソフトアガロースおよび蛍光標識細胞分取技術が含まれる。各サブクローニング後、生じた培養物は、好ましくは、抗体分泌について再アッセイされ、安定な好ましいMAbsを分泌する培養物が確立されたことを確認するためにアイソタイプが決定される。

抗B.t.毒素抗体は、本発明の請求項に係るB.t.殺虫性毒素、およびその変異体または断片を検出する各種方法において有用である。レポーター基で標識された抗体を使用して、様々な環境での抗原の存在について特定できることが周知である。高精度および高感度で様々な生物体液中の抗原の存在について特定するために、放射性同位元素で標識された抗体が数十年間、ラジオイムノアッセイで使用されてきた。より最近では、酵素標識された抗体が、放射性標識された抗体の代用物としてELISAアッセイで使用されている。さらに、本発明のB.t.殺虫性毒素に対し免疫反応性である抗体を、ポリスチレンウェルまたは粒子などの固定化用物質に結合させ、イムノアッセイに使用して、B.t.毒素が試験試料に存在するかどうかを決定することができる。

好ましい一実施形態において、殺虫性タンパク質または変異体は、本発明の毒素を発現する核酸配列を含むトランスジェニック植物を介して経口的に送達される。本発明は、昆虫抵抗性トランスジェニック植物を生産する方法であって、本発明の核酸分子を植物に導入するステップを含み、毒素がトランスジェニック植物において昆虫を防除するのに有効な量で発現可能である、方法を提供する。非限定的な例において、基本的なクローニング戦略は、全長または改変Cryコード配列(CDS)を、NcoIおよびSacI制限部位で植物発現プラスミドにサブクローニングすることであってよい。植物発現エレメント(例えば、植物で発現可能なプロモーター、3’末端転写終結およびポリアデニル酸付加決定因子など)の制御下で、適切なCryコード領域を含む、生じた植物発現カセットは、例えば、Gateway(登録商標)技術または標準的な制限酵素断片クローニング法を利用して、バイナリーベクタープラスミドにサブクローニングされる。例えば、Gateway(登録商標)技術が利用される場合、LR Clonase(商標)(Invitrogen)を使用して、全長および改変遺伝子植物発現カセットをバイナリー植物形質転換プラスミドに組換えることができる。プラスミドが大腸菌(E. coli)およびアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞に存在するとき、抗生物質スペクチノマイシンに対する抵抗性を付与する細菌遺伝子を含有するバイナリー植物形質転換ベクターを使用することが好都合である。望ましい宿主植物で機能する、植物で発現可能な選択マーカー遺伝子を含むバイナリーベクタープラスミドを使用することも好都合である。植物で発現可能な選択マーカー遺伝子の例には、抗生物質カナマイシン、ネオマイシンおよびG418に対する抵抗性をコードするトランスポゾンTn5(AphII)のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子、ならびにグリホサート;ハイグロマイシン;メトトレキサート;ホスフィノトリシン(ビアラホス);イミダゾリノン、スルホニル尿素、およびクロロスルフロン;ブロモキシニル、ダラポンなどのトリアゾロピリミジン除草剤に対する耐性をコードする遺伝子が含まれるが、これらに限定されない。

あるいは、DIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485、DIG−487、IRDIG544.8、IRDIG544.9、IRDIG544.11またはIRDIG544.12遺伝子インサートを含むバイナリー植物形質転換ベクターのプラスミド構造が、アグロバクテリウム(Agrobacterium)操作分野の当業者に周知の標準的な分子生物学的方法により、候補アグロバクテリウム(Agrobacterium)単離株から調製されたプラスミドDNAの制限消化フィンガープリントマッピングによって行われる。

アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換法により形質転換された植物を得る分野の当業者であれば、Z707S以外のアグロバクテリウム(Agrobacterium)株が使用可能であり、株の選択は、形質転換される宿主植物種が何であるかによって決まりうることを理解するものである。

以下は、本発明を実施する手順を例示する実施例である。これらの実施例は、限定的なものと解釈されるべきではない。別途注記されない限り、パーセンテージは全て重量によるものであり、溶媒の混合割合は全て体積によるものである。本明細書で言及または引用される特許、特許出願、仮出願、および公報は全て、本明細書の明確な教示と矛盾しない程度に、その全内容が参照により組み込まれる。特に示されるか示唆されない限り、「a」、「an」および「the」という語は、本明細書で使用される場合「少なくとも1つの」を意味する。

植物用に最適化された型の、B.t.殺虫性タンパク質のコード配列のデザイン トランスジェニック単子葉植物および双子葉植物で殺虫性タンパク質を産生するように、植物コドンバイアスを有するDNA配列をデザインおよび合成した。トウモロコシ(ゼア・メイズ(Zea mays L.))についてのコドン使用表を、GenBankに蓄積された配列から得られる706のタンパク質コード配列(CDS)から算出した。タバコ(ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)、1268CDS)、キャノーラ(ブラシカ・ナプス(Brassica napus)、530CDS)、ワタ(ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)、197CDS)、およびダイズ(グリシン・マックス(Glycine max);約1000CDS)についてのコドン使用表を、ウェブサイトhttp://www.kazusa.or.jp/codon/のデータからダウンロードした。適切な加重平均による相対量で、トウモロコシおよび双子葉植物のデータセットの両方に共通して高度に使用されるコドンを含む、バイアスをかけたコドンセットを、いずれかの植物の種類におけるアミノ酸について、総コドン使用のうち約10%未満しか使用されないあらゆる冗長コドンを除外した後算出した。殺虫性タンパク質をコードする、植物用に最適化された配列を導き出すため、生じるDNA配列が、植物用に最適化されたコドンバイアス表の全体のコドン組成を有するように、殺虫性タンパク質DNA配列へのコドン置換を行った。望ましくない制限酵素認識部位、潜在的な植物イントロンスプライス部位、A/TまたはC/G残基のロングラン、および植物細胞におけるコード領域のRNA安定性、転写または翻訳を妨害しうるその他のモチーフを除去するように、配列のさらなる精製を行った。望ましい制限酵素認識部位を導入し、長い内部のオープンリーディングフレーム(+1以外のフレーム)を除去するように、その他の変化を加えた。これらの変化は全て、植物用にバイアスをかけたコドン組成を維持するという制約内で加えた。デザインを完了させるため、6つのオープンリーディングフレーム全てにおいて、コード領域の3’末端に翻訳終止コドンをコードする配列を付加し、配列の5’および3’末端に適切な制限認識部位を付加した。デザインされた配列の合成は、民間の供給業者(DNA2.0、Menlo Park、CA)により行われた。合成遺伝子の産生に関するさらなるガイダンスが、例えば、国際公開第97/13402号パンフレットおよび米国特許第5,380,831号明細書に見られる。

本発明のDIGタンパク質(配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38および40)をコードする、植物用に最適化されたDNA配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37および39として開示される。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37および39で開示される配列を含むDNA分子は、民間の団体(DNA2.0)によって合成により構築された。

殺虫性毒素をコードする発現プラスミドの構築および細菌宿主での発現 植物用に最適化されたコード領域によりコードされる、DIG−465(配列番号16)、DIG−473(配列番号24)、DIG−468(配列番号2)、DIG−483(配列番号4)、DIG−462(配列番号10)、DIG−463(配列番号12)、DIG−464(配列番号14)、DIG−466(配列番号18)、DIG−467(配列番号20)、DIG−469(配列番号22)、DIG−474(配列番号26)、DIG−482(配列番号28)、DIG−485(配列番号6)、およびDIG−487(配列番号8)タンパク質を産生するように設計されたシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)(Pf)発現プラスミドの構築に、標準的なクローニング方法を使用した。制限エンドヌクレアーゼはNew England BioLabs(NEB;Ipswich、MA)より入手し、T4DNAリガーゼ(Invitrogen Corporation、Carlsbad、CA)をDNAライゲーションに使用した。

基本的なクローニング戦略は、DIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485またはDIG−487毒素コード配列(CDS)を、SpeIおよびXhoIなどの制限部位でpDOW1169にサブクローニングすることを伴い、それにより毒素コード配列は、プラスミドpKK223−3(PL Pharmacia、Milwaukee、WI)由来のPtacプロモーターおよびrrnBT1T2ターミネーターの発現制御下に置かれた。pDOW1169は、RSF1010複製起点、pyrF遺伝子、およびリボソーム結合部位、その後の、タンパク質コード領域を含むDNA断片が導入されうる制限酵素認識部位を有する低コピープラスミドである(米国特許出願第20080193974号明細書)。エレクトロポレーションにより、発現プラスミドをDC454(突然変異ΔpyrFおよびlsc::lacIQIを有する亜野生型(near wild type)P・フルオレセンス(P. fluorescens)株)またはその誘導体に形質転換し、SOC−Soy加水分解物培地で回収し、選択培地(ウラシル不含M9グルコース寒天、Sambrook et al.、上記参照)にプレーティングした。微生物学的操作の詳細については、参照により本明細書に組み込まれる、Squires, C. H. et al., (2004)、米国特許出願第20060008877号明細書、米国特許出願第20080193974号明細書、および米国特許出願第20080058262号明細書で入手可能である。ミニプレッププラスミドDNAの制限消化により株を検証した。

振とうフラスコでの増殖および発現分析。特性決定および昆虫バイオアッセイのための、DIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485またはDIG−487毒素の産生を、発現構築物を含有する、振とうフラスコで増殖させたP・フルオレセンス(P. fluorescens)株により行った。1%グルコースおよび微量元素を添加したM9培地で増殖させた種子培養物を使用して、5%グリセロール含有限定最少培地(Teknova Cat.#3D7426、Hollister、CA)50mLに播種した。最初に、振とうしながら30℃で24時間インキュベートした後、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することにより、Ptacプロモーターを介した殺虫性タンパク質毒素遺伝子の発現を誘導した。誘導した時点、および誘導後の様々な時点で培養物を採取した。光学密度600nm(OD600)で細胞密度を測定した。シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)の増殖に適したその他の培養培地、例えば、Huang et al., 2007および米国特許出願第20060008877号明細書に記載される培地も利用可能である。

振とうフラスコ試料の細胞分画およびSDS−PAGE分析。サンプル採取時点ごとに、0.5mL分量を14000xgで5分間遠心処理した。細胞ペレットを−80℃で凍結した。BugBuster Master Mix(EMDMillipore(登録商標)Darmstadt、Germany)を使用して、凍結させた振とうフラスコ細胞ペレット試料由来の可溶性および不溶性画分を生成させた。各細胞ペレットをBugBuster Master Mix(商標)溶液0.5mL中で再懸濁させ、振とうしながら室温で30分間インキュベートした。ビーズビーターを使用して、0.1mmガラスビーズにより3分間、試料を溶解させた。14,000rpmで5分間ライセートを遠心処理し、可溶性画分として上清を回収した。次いで、ペレット(不溶性画分)を等体積の抽出緩衝液(8M尿素、0.5M NaCl、25mM NaPO4、pH10.4)中で再懸濁させた。

試料を、ジチオスレイトール(DTT)を含む2X NuPAGEトリスグリシンSDS試料緩衝液(Invitrogen、Carlsbad、CA)と1:1で混合し、5分間煮沸した後、Novex4〜20%トリスグリシンSDSポリアクリルアミドゲル(Invitrogen、Carlsbad、CA)にローディングした。推奨されるトリス−グリシン緩衝液中で電気泳動を行った。製造業者(Bio−Rad Inc.、Hercules、CA)のプロトコールに従って、Bio−Safe Coomassie Stainでゲルを染色し、GE Typhooon Series Imaging system(Pittsburgh、PA)を使用して画像化した。

封入体調製。SDS−PAGEおよびMALDI−MS(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析)により実証されたように、不溶性B.t.殺虫性タンパク質を産生したP・フルオレセンス(P. fluorescens)発酵由来の細胞に対し、Cryタンパク質封入体(IB)調製を行った。P・フルオレセンス(P. fluorescens)発酵ペレットを37℃のウォーターバスで解凍した。溶解緩衝液(50mMトリス、pH7.5、200mM NaCl、20mM EDTA二ナトリウム塩(エチレンジアミン四酢酸)、1%Triton X−100、および5mMジチオスレイトール(DTT);5mL/L細菌プロテアーゼ阻害剤カクテル(P8465 Sigma−Aldrich、St.Louis,.MO)を使用直前に添加)で、25%w/vになるように細胞を再懸濁させた。手持ち式のホモジナイザーを使用して、最低の設定で(Tissue Tearor、BioSpec Products、Inc Bartlesville、OK)細胞を懸濁させた。リゾチーム(Sigma−Aldrich L7651 25mg、ニワトリ卵白由来)を、金属スパチュラで混合することによって細胞懸濁液に添加し、懸濁液を室温で1時間インキュベートした。懸濁液を氷上で15分間冷却し、次いでBranson Sonifier 250(1分間のセッションを2回、デューティサイクル50%、アウトプット30%)を使用してソニケーションした。顕微鏡によって細胞溶解を検査した。必要に応じてさらなるリゾチーム25mgを添加し、インキュベーションおよびソニケーションを繰り返した。顕微鏡によって細胞溶解が確認されると、ライセートを11,500xgで25分間(4℃)遠心処理してIBペレットを形成させ、上清を捨てた。溶解緩衝液100mLでIBペレットを懸濁させ、手持ち式のミキサーでホモジナイズし、上記の通り遠心処理した。上清が無色になり、IBペレットが固くくすんだ白色になるまで、懸濁(溶解緩衝液50mLで)、ホモジナイズ、ソニケーション、および遠心処理によりIBペレットを繰り返し洗浄した。最終洗浄のため、2mM EDTAを含む無菌濾過(0.22μm)蒸留水でIBペレットを懸濁させ、遠心処理した。2mM EDTAを含む無菌濾過蒸留水で最終ペレットを懸濁させ、−80℃で1mL分量で保存した。

1mL分量のIBペレットを解凍し、無菌濾過蒸留水で1:20に希釈することにより、IB製剤中のタンパク質のSDS−PAGE分析および定量を行った。次いで、希釈された試料を、4X還元試料緩衝液[250mMトリス、pH6.8、40%グリセロール(v/v)、0.4%ブロモフェノールブルー(w/v)、8%SDS(w/v)および8%β−メルカプト−エタノール(v/v)]とともに煮沸し、Novex(登録商標)4〜20%トリス−グリシン、12+2ウェルゲル(Invitrogen)にローディングし、1Xトリス/グリシン/SDS緩衝液(BioRad)で泳動した。ゲルを200ボルトで60分間泳動し、次いでクーマシーブルー(50%G−250/50%R−250の45%メタノール、10%酢酸溶液)で染色し、7%酢酸、5%メタノールの蒸留水溶液で脱染した。バンドの濃度測定値を、標準曲線を生成するために同じゲルで泳動させたウシ血清アルブミン(BSA)試料と比較することにより、標的バンドの定量を行った。

封入体の可溶化。DIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485またはDIG−487タンパク質を含むPfクローン由来の封入体懸濁液6mLを、Eppendorfモデル5415C微量遠心管の最大設定(約14,000xg)で遠心処理し、封入体をペレットにした。保存緩衝液の上清を除去し、50mLコニカルチューブ中で100mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH11 25mLで置換した。ピペットを使用して封入体を再懸濁させ、ボルテックスして完全に混合した。穏やかに動揺しているプラットフォーム上にチューブを4℃で一晩配置し、標的タンパク質を抽出した。抽出物を30,000xg、4℃で30分間遠心処理し、生じた上清を、Amicon Ultra−15再生セルロース遠心式フィルターデバイス(分子量カットオフ30,000;Millipore)を使用して5倍に濃縮した。次いで、使い捨てPD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用して、試料緩衝液を10mM CAPS[3−(シクロヘキサミノ(cyclohexamino))1−プロパンスルホン酸]pH10に交換した。

ゲル電気泳動。濃縮された抽出物を、還元剤として5mMジチオスレイトールを含むNuPAGE(登録商標)LDS試料緩衝液(Invitrogen)で1:50に希釈することによって電気泳動用に調製し、95℃で4分間加熱した。0.2〜2μg/レーンの範囲のBSA標準液(標準曲線生成用)5種類とともに、試料を4〜12%NuPAGE(登録商標)ゲルの二重のレーンにローディングした。追跡用色素がゲルの底部に達するまで、MOPS SDS泳動緩衝液(Invitrogen)を使用して200Vの電圧を印加した。ゲルを、0.2%クーマシーブルーG−250の45%メタノール、10%酢酸で染色し、45%メタノール、10%酢酸でまず短時間、次いでバックグラウンドがきれいになるまで、7%酢酸、5%メタノールで長時間脱染した。脱染後、Biorad Fluor−S MultiImagerでゲルをスキャンした。装置のQuantity One v.4.5.2ソフトウェアを使用して、染色されたタンパク質バンドの、バックグラウンドを差し引いた体積を得、BSA標準曲線を生成し、これを使用して保存液中のDIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485またはDIG−487タンパク質濃度を算出した。

シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)細菌細胞で発現させたときの、DIG−465、DIG−473、DIG−468、DIG−483、DIG−463、DIG−464、DIG−466、DIG−467、DIG−469、DIG−474、DIG−482、DIG−485、およびDIG−487の発現レベルを、切断型Cry1Ca(DIG−462)の発現レベルと比較した。切断型Cry1Ca(DIG−462)は約1g/l発現され、DIG−473は約0.5g/l発現された。DIG−465は、切断型Cry1Caの4.9g/lより約5倍多く発現された。これらのインビトロでの結果は、L57A突然変異により、切断型Cry1Caタンパク質の発現がより多く生じることを示している。

シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)で産生されるDIGタンパク質の殺虫活性 B.t.殺虫性毒素DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−465、DIG−466、DIG−467、DIG−468、DIG−469、DIG−470、DIG−473、およびDIG−474が、ダイヤモンドバックモス(DBM;コナガ(Plutella xylostella)(Linnaeus))およびフォールアーミーワーム(FAW、ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda)(Smith))を含む鱗翅目の種に対し活性であることが実証された。

試料調製およびバイオアッセイ。10mM CAPS pH10中の封入体製剤を、10mM CAPS、pH10で適切に希釈し、バイオアッセイは全て、死亡率または成長阻害についてのバックグラウンドチェックとして機能する、この緩衝液からなる対照処理を含んでいた。

BioRadイメージングシステム(Quantity Oneソフトウェアバージョン4.5.2を備えたFluor−S MultiImager)を使用して測定を行ったゲル濃度測定用の標準曲線を作り出すためにBSAを使用し、ゲル電気泳動によりバイオアッセイ緩衝液中のタンパク質濃度を推定した。ゲルマトリックス中のタンパク質を、クーマシーブルーベースの色素で染色し、測定前に脱染した。

人工の昆虫食餌で飼育される鱗翅目の新生幼虫に対して実施したバイオアッセイで、殺虫活性について精製タンパク質を試験した。民間の昆虫飼育場(Benzon Research Inc.、Carlisle、PA)によって維持されたコロニーより入手した卵から、DBMおよびFAWの幼虫を孵化させた。私有のコロニー(Dow AgroSciences LLC、Indianapolis、IN)から収集された卵から、rFAWの幼虫を孵化させた。

これらのバイオアッセイは、昆虫バイオアッセイ用に特にデザインされた128ウェルプラスチックトレイ(C−D International、Pitman、NJ)で実施した。各ウェルは、複数種の鱗翅目用食餌(Southland Products、Lake Village、AR)1.0mLを含んでいた。タンパク質試料40μL分量を各ウェルの食餌表面1.5cm2(26.7μL/cm2)にピペットで送達した。Cryタンパク質濃度は、ウェル中の表面積1平方センチメートル(cm2)あたりのDIGタンパク質の量(ng)として算出した。食餌表面の液体が蒸発するか食餌に吸収されるまで、処理済みのトレイをドラフト内に維持した。

孵化から数時間以内に、個々の幼虫を湿らせたラクダ毛のブラシで持ち上げ、1ウェルあたり幼虫1匹で、処理済みの食餌上に配置した。次いで、ガス交換を可能にするため排気口が設けられた透明プラスチック製の粘着性シート(C−D International、Pitman、NJ)で、寄生されたウェルを密封した。5日間、制御された環境条件(28℃、相対湿度約60%、16:8[明:暗])下にバイオアッセイトレイを維持し、その後、各タンパク質試料に曝露された昆虫の総数、死亡した昆虫の数、および生存していた昆虫の重量を記録した。死亡率パーセントおよび成長阻害パーセントを各処理について算出した。成長阻害(GI)は以下の通り算出した: GI=[1−(TWIT/TNIT)/(TWIBC/TNIBC)] 式中、TWITは処理群の昆虫の総重量であり、 TNITは処理群の昆虫の総数であり、 TWIBCはバックグラウンドチェック(緩衝液対照)群の昆虫の総重量であり、 TNIBCはバックグラウンドチェック(緩衝液対照)群の昆虫の総数である。

DBMバイオアッセイでは、10および300ng/cm2のDIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−465、DIG−466、DIG−467、DIG−468、DIG−469、DIG−470、DIG−471、DIG−472、DIG−473、およびDIG−474を、昆虫種に対して試験した。FAWは、希釈率1Xおよび5XのDIG−462、DIG−465、DIG−473の封入体製剤で試験した。死亡率および成長阻害パーセントの結果を比較した。

DIG−462、DIG−463、DIG−464、DIG−465、DIG−466、DIG−468、DIG−469、DIG−473、およびDIG−474処理では、300ng/cm2で死亡率が100%であった(表2および表3)。DIG−465およびDIG−473処理では、成長阻害が10ng/cm2で70〜90%成長阻害、300ng/cm2で100%阻害であった(表2)。

Cry1Caコア毒素(DIG−462)、DIG−465、およびDIG−473タンパク質によるFAW幼虫の成長阻害は、全ての処理において40%超であることが決定された(表4)。タンパク質は元の濃度(full strength)で試験し、緩衝液(10mM CAPS、pH10)で5倍に希釈した。

DBMに対する活性、および精製タンパク質のキモトリプシンによる消化の受けやすさについて評価した。予期しないことに、また驚くべきことに、DIG−473はキモトリプシン切断に対し抵抗性であり、同時に、DBMに対しDIG−462と同じ効力を有することが判明した。これは、インビトロでキモトリプシン切断を受けやすかったCry1Caコア(DIG−462)およびDIG−465タンパク質とは対照的である(表5)。

ヨーロピアンコーンボーラー(ECB)、サウスウェスタンコーンボーラー(SWCB)およびサザンアーミーワーム(SAW)バイオアッセイ 32ウェル試験トレイでバイオアッセイを実施した。2%水−寒天溶液約5mLを各ウェルに加え、寒天を完全に凝固させた。

植物は約3週齢であり、T1世代で試験された。T1葉材料のレプリケート3つを用意した。1枚の葉を切断し(1”X0.5”の長方形)、トレイの1つのウェルに配置した。ECB、Cry1Fa rECBまたはSWCBの個々の昆虫幼虫(通常24時間齢未満)10匹を各ウェルに寄生させた。SAWについては、1ウェルあたりに個々の昆虫幼虫5匹を寄生させた。B104近交系由来の種子ベースの植物および黄色蛍光タンパク質(YFP)形質転換植物が陰性対照として機能した。

次いで、ガス交換を可能にするため排気口が設けられた透明プラスチック製の粘着性シート(C−D International、Pitman、NJ)で、寄生されたウェルを密封した。トレイをconvironインキュベーター内に配置し、28℃(16:8h明:暗、RH60%)に3日間維持し、その後、各葉切片の傷害の総量(0、5、10、15、25、50、75%の傷害など、最大100%)を記録した。

切断型Cry1Ca改変タンパク質を含む植物に昆虫の幼虫を曝露すると、ECBおよびCry1Fa抵抗性ECB(rECB)により引き起こされる食害が減少した。食餌バイオアッセイで試験すると、精製された全長Cry1Caを人工の昆虫食餌の上部に配置し、個々の昆虫に毒素を含む食餌を摂食させた場合、改変Cry1CaはECBおよびrECBに対し不活性であることが判明している。しかし、トウモロコシで発現させた場合、濃度120ng/cm2超で、植物でのCry1Caの発現により、ECBおよび特にrECBによって引き起こされる食害に対し予期しない防御がもたらされる。

タンパク質発現範囲140〜340ng/cm2で、切断型Cry1Ca改変タンパク質を含む植物に昆虫の幼虫を曝露すると、サウスウェスタンコーンボーラー(SWCB)およびサザンアーミーワーム(SAW)によって引き起こされる食害の減少が観察された(表7)。平均発現は、標準偏差35で210ng/cm2であった。

コーンボーラーに対する野外試験を2つの場所で実施した:一方は米国Indiana(IN)にあり、他方は米国Mississippi(MS)にある。複数の構築物およびイベントを各処理ごとに試験した。Cry1AbおよびCry1FはECB試験で陽性対照として機能した。ヌルは陰性対照として機能した。

ECBに対する有効性を評価するため、各植物はV6〜V7段階植物の輪生体にECB二齢幼虫10匹を与えられた。MSでは、V9トウモロコシの輪生体に、サウスウェスタンコーンボーラー(SWCB)二齢幼虫を人工的に寄生させもした(1植物あたり幼虫22匹)。使用されたECBおよびSWCBはBenzon laboratoryより入手した。両方のECB試験で、寄生から2週間後に、植物を葉の傷害について判断した(Guthrie1〜9段階)(Guthrie et al. 1960)。ここで、1は視認可能な傷なし、9は大部分の葉が長い損傷を有する、である(表8)。MS SWCB試験では、茎の傷害および生存昆虫について輪生体を格付けした4〜5日後、植物を試験した。収集されたデータは、茎1本あたりの孔の数、孔の長さおよび茎1本あたりの生存幼虫/蛹を含んでいた。

ECB野外試験。ECBによる輪生体の傷害は、Cry1Ca活性について測定され、ヌルと比較して有意により良好な輪生体防御を示した。Cry1Caイベント活性は、Cry1AbおよびCry1Fによりもたらされた輪生体防御と統計的に同等ではなかった。

MSで生成されたデータは、Cry1Caについての予期しない高レベルの植物防御をさらに補強するものであった。高い摂食困難(pressure)が本研究で確立された。ヌルにおける葉および茎の傷害と比較して、Cry1Caで有意な防除が測定された。Cry1Caの茎では、生存昆虫がほとんど生存していないことが判明した。ヌルと比較して、Cry1AbおよびCry1Fイベントでは有意な輪生体および茎防御が測定された。

SWCB試験では、B.t.1種あたりイベント2つのみについて判断した。高い摂食困難が本研究で確立された。Cry1Ab、Cry1FおよびCry1Caイベントで、統計的に同等な茎の防御、ならびに茎1本あたりの幼虫および蛹の数が測定された。

活性な形態のCry1Caは、アミノ酸29〜628から構成されている。全長(1〜1164)または切断された形態(1〜628および29〜628)は、29〜628の形態にプロセシングされるため、昆虫に与えられるとき、活性である。

コーンイヤーワーム野外試験 Fowler、INで、複数の構築物およびイベント(配列番号31)を用いて、コーンイヤーワームに対する野外試験を実施した。ヌルは陰性対照として機能した。各植物は、トウモロコシの穂のグリーンシルクに一齢幼虫5匹を与えられた。CEWはBenzon Laboratoryより入手した。1イベントにつき、1区画あたりトウモロコシの穂10本を判断し、CEWに寄生されたトウモロコシの穂の穀粒傷害レベルについて評価した。ヌルと比較すると、全てのトランスジェニックイベントで、穀粒傷害レベルの有意な低下がもたらされた。Cry1Ca植物を摂食する幼虫が有意に抑制された(表12)。

アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換 バイナリー植物形質転換および発現プラスミドの構築に、標準的なクローニング方法を使用した。Cry1Ca発現カセットを含むアグロバクテリウム(Agrobacterium)バイナリープラスミドを、Gateway(登録商標)Technology(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して設計し、アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性の植物形質転換に使用した。制限エンドヌクレアーゼはNew England BioLabs(NEB;Ipswich、MA)より入手し、T4 DNAリガーゼ(Invitrogen)をDNAライゲーションに使用した。Gateway(登録商標)LR Clonase(登録商標)酵素ミックス(Invitrogen)を使用して、Gateway反応を行った。NucleoSpin(登録商標)プラスミド調製キットまたはNucleoBond(登録商標)AX Xtra Midiキット(ともにMacherey−Nagel)を使用し、製造業者の説明書に従ってプラスミド調製を行った。ゲル単離後、QIAquick PCR Purification KitまたはQIAEX II Gel Extraction Kit (ともにQiagen)を使用して、DNA断片を精製した。

殺虫性タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むDNA断片が、民間の供給業者(例えばDNA2.0、Menlo Park、CA)により合成され、標準的なプラスミドベクターにクローニングされた断片として供給されるか、適切なヌクレオチド配列を含むその他の構築物に標準的な分子生物学操作を行うことにより得られた。各遺伝子に固有の内部の制限部位を特定し、それぞれが特定の欠失または挿入を含む各遺伝子断片を合成した。改変Cry断片を適切な制限部位でその他のCry断片にサブクローニングし、望ましい全長タンパク質、融合タンパク質または欠失変異体タンパク質をコードする領域を得た。

アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株Z707S(Z707のストレプトマイシン抵抗性誘導体;Hepburn et al., 1985)のエレクトロコンピテントな細胞を調製し、エレクトロポレーションを使用して形質転換した(Weigel and Glazebrook, 2002)。エレクトロポレーション後、YEPブロス1mL(gm/L:酵母抽出物、10;ペプトン、10;NaCl、5)をキュベットに添加し、細胞−YEP懸濁液を15mL培養チューブに移し、絶えず撹拌しながら4時間、28℃のウォーターバス中でインキュベートした。スペクチノマイシン(200μg/mL)およびストレプトマイシン(250μg/mL)を含有するYEP添加寒天(25gm/L)に細胞をプレーティングし、プレートを28℃で2〜4日間インキュベートした。十分に分離されたシングルコロニーを選択し、前述のスペクチノマイシンおよびストレプトマイシンを含有する新しいYEP+寒天プレートに画線し、28℃で1〜3日間インキュベートした。

バイナリー植物形質転換ベクター中の殺虫性タンパク質遺伝子インサートの存在は、選択されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)コロニーから調製された鋳型プラスミドDNAとともに、ベクター特異的なプライマーを使用するPCR分析により行った。前述のスペクチノマイシンおよびストレプトマイシンを含有するYEPで増殖させた一晩培養物15mLのうち4mL分量から、製造業者の説明書に準拠して行われるQiagen Spin Mini Prepsを使用して細胞ペレットを抽出した。アグロバクテリウム(Agrobacterium)エレクトロポレーション形質転換に使用されたバイナリーベクター由来のプラスミドDNAを、対照として含めた。製造業者の説明書に準拠して、0.5x濃度でInvitrogenのTaq DNAポリメラーゼを使用して、PCR反応を遂行した。PCR反応は、以下の条件に設定したMJ Research Peltier Thermal Cyclerで実施した:ステップ1)94℃で3分間;ステップ2)94℃で45秒間;ステップ3)55℃で30秒間;ステップ4)72℃で、予期される産物長の1kbあたり1分間;ステップ5)ステップ2までを29回;ステップ6)72℃で10分間。サイクル後は反応を4℃に維持した。増幅産物をアガロースゲル電気泳動(例えば0.7%〜1%アガロース、w/v)により分析し、エチジウムブロマイド染色により可視化した。PCR産物がプラスミド対照と同一であるコロニーを選択した。

単子葉植物での、DIG−465およびDIG−473B.t.殺虫性タンパク質ならびに変異体の産生 トウモロコシのアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換。High II F1雑種(Armstrong et al., 1991)由来の種子を、Metro−Mix360無土壌生長培地(Sun Gro Horticulture、Bellevue、WA)95%、および埴土/ローム土5%の混合物を含む5ガロン鉢に植え付けた。高圧ナトリウムおよびメタルハライドランプの組合せを使用して、16時間:8時間の明:暗光周期で、植物を温室内で生長させた。形質転換用の未熟なF2胚を得るため、制御された同胞受粉(sib-pollination)を行った。未熟な胚を、受粉の8〜10日後に、胚のサイズが約1.0〜2.0mmになると単離した。

感染および共培養。液体石鹸でこすり、70%エタノールに2分間浸漬させ、次いで20%市販漂白剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)に30分間浸漬させ、その後滅菌水ですすぐことにより、トウモロコシの穂表面を滅菌した。100mg/Lスペクチノマイシン、10mg/Lテトラサイクリン、および250mg/Lストレプトマイシンを含むYEP固形培地で、28℃で2〜3日間増殖させた細菌1〜2ループを、100μMアセトシリンゴンを含む液体感染培地(LS基本培地(Linsmaier and Skoog, 1965)、N6ビタミン(Chu et al., 1975)、1.5mg/L 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、68.5gm/Lスクロース、36.0gm/Lグルコース、6mM L−プロリン、pH5.2)5mLに移すことにより、スーパーバイナリーベクターを含むアグロバクテリウム(Agrobacterium)懸濁細胞を調製した。均一な懸濁液が得られるまで溶液をボルテックスし、紫フィルターを用いるKlett−Summerson比色計を使用して、最終密度200Klett単位に濃度を調節した。未熟な胚を、感染培地2mLを含む微量遠心管に直接単離した。培地を除去し、密度200Klett単位のアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液1mLで置換して、アグロバクテリウム(Agrobacterium)および胚の溶液を室温で5分間インキュベートし、次いで共培養培地(LS基本培地、N6ビタミン、1.5mg/L 2,4−D、30.0gm/Lスクロース、6mM L−プロリン、0.85mg/L AgNO3、100μMアセトシリンゴン、3.0gm/Lジェランガム(PhytoTechnology Laboratories.、Lenexa、KS)、pH5.8)に、暗条件下、25℃に移し、5日間置いた。

共培養後、胚を選択培地に移し、その後約8週間にわたって、形質転換された単離株が得られた。植物で発現可能なpatまたはbar選択マーカー遺伝子を含むスーパーバイナリープラスミドで形質転換されたトウモロコシ組織の選択のため、LSベースの培地(LS基本培地、N6ビタミン、1.5mg/L 2,4−D、0.5gm/L MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸一水和物;PhytoTechnologies Labr.)、30.0gm/Lスクロース、6mM L−プロリン、1.0mg/L AgNO3、250mg/Lセフォタキシム、2.5gm/Lジェランガム、pH5.7)をビアラホス(Gold BioTechnology)とともに使用した。胚形成性単離株が得られるまで、3mg/Lビアラホスを含む選択培地に胚を移した。再生およびさらなる分析のため、回収された単離株を2週間の間隔で新しい選択培地に移すことによって大きくした。

再生および種子産生。再生のため、「28」誘導培地(MS塩およびビタミン、30gm/Lスクロース、5mg/Lベンジルアミノプリン、0.25mg/L 2、4−D、3mg/Lビアラホス、250mg/Lセフォタキシム、2.5gm/Lジェランガム、pH5.7)に、弱光条件(14μEm−2s−1)下に1週間、次いで強光条件(約89μEm−2s−1)下に1週間、培養物を移した。次いで、「36」再生培地(植物生長調節物質不含であることを除いて誘導培地と同じ)に組織を移した。小植物が長さ3〜5cmに生長すると、これらをSHGA培地(Schenk and Hildebrandt salts and vitamins (1972);PhytoTechnologies Labr.)、1.0gm/Lミオイノシトール、10gm/Lスクロースおよび2.0gm/Lジェランガム、pH5.8)を含むガラス培養チューブに移し、シュートおよび根をさらに生長および生育させた。植物を、本明細書で先に記載されたものと同じ土壌混合物に移植し、温室内で開花するまで生長させた。種子産生のための制御受粉を実施した。

構築物115752によるDIG−465の発現レベル、および構築物115753によるDIG−473の発現レベルを図1に提示する。組織試料を得るためのリーフパンチを使用して葉で測定すると、両方が約70〜80ng/cm2で同様のレベルの各タンパク質を発現した。

全長Cry1Caタンパク質(MR−1206)(mw130kDa)をコードする遺伝子を発現するトウモロコシから、抽出物のSDS−PAGEを採取した。Cry1Caを標的とするポリクローナル抗体を使用するイムノブロッティングにより、少なくとも5種類のタンパク質産物が検出された。トウモロコシに挿入された遺伝子によりコードされる全長(130kDa)タンパク質が検出された。その他のバンドは、このタンパク質のタンパク質分解産物に相当する。コア毒素に相当する、アミノ酸配列1〜628から構成されるタンパク質断片は、分子量70kDaを有することが決定された。68kDaのバンドは、N末端から最初のアミノ酸28個が欠失した、アミノ酸29〜628から構成されるタンパク質に相当した。最初の3本のバンドは、ツマジロクサヨトウ(S. frugiperda)およびその他の鱗翅目の昆虫に対し機能的に活性であった。第4のバンドはアミノ酸74〜628(mw62kDa)から構成される切断されたタンパク質に相当し、第5のバンドはアミノ酸74〜596(mw59kDa)までさらにプロセシングされたCry1Caタンパク質に相当した。62kDaおよび59kDaのバンドは、ツマジロクサヨトウ(S. frugiperda)およびその他の鱗翅目の昆虫に対し機能的に活性ではなかったが、主要なタンパク質産物に相当する。

トランスジェニックトウモロコシのバイオアッセイ 植物細胞で産生されるDIG−465およびDIG−473タンパク質ならびに変異体の生物活性を、当業者に既知の方法(例えばHuang et al., 2006を参照のこと)により実証した。DIG−465もしくはDIG−473タンパク質または変異体を産生する植物由来の各種植物組織または組織片を、制御された摂食環境で標的昆虫に摂食させることにより、有効性を実証することができる。あるいは、DIG−465もしくはDIG−473タンパク質または変異体を産生する植物由来の各種植物組織からタンパク質抽出物を調製し、本明細書で先に記載した人工食餌バイオアッセイに組み込んでもよい。このような摂食アッセイの結果を、DIG−465もしくはDIG−473タンパク質または変異体を産生しない宿主植物由来の適切な対照組織を使用する、同様に実施されたバイオアッセイと、またはその他の対照試料と比較すべきであることを理解されたい。

構築物115752(DIG−465)由来のトウモロコシで産生された各種イベントの生物活性を、FAWまたはCry1Fa抵抗性FAW(rFAW)のいずれかの摂食活動により引き起こされる葉の傷害を防止するかどうかについて試験した。結果は、DIG−465タンパク質を発現したイベントが、このタンパク質を発現しない植物に比べて食害の減少を示し、効果が用量依存性であり、DIG−465がより多く発現すればFAWまたはrFAWのいずれかにより引き起こされる食害の減少がもたらされ、rFAWに対する効果が明らかにより大きいことを示している(表14および図2)。

同様に、構築物115753(DIG−473)由来のトウモロコシで産生された各種イベントの生物活性を、FAWまたはCry1Fa抵抗性FAW(rFAW)のいずれかの摂食活動により引き起こされる葉の傷害を防止するかどうかについて試験した。結果は、DIG−473タンパク質を発現したイベントが、このタンパク質を発現しない植物に比べて食害の減少を示し、効果が用量依存性であり、DIG−473がより多く発現すればFAWまたはrFAWのいずれかにより引き起こされる食害の減少がもたらされ、rFAWに対する効果が明らかにより大きいことを示している(表14および図3)。

双子葉植物での、Bt殺虫性タンパク質および変異体の産生 アラビドプシス属(Arabidopsis)形質転換。フローラルディップ法(Weigel and Glazebrook, 2002)を使用して、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)Col−01を形質転換した。選択されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)コロニーを使用して、選択用の、適切な抗生物質を含むYEPブロスの培養物1mL〜15mLに播種した。培養物を220rpmで絶えず撹拌しながら、28℃で一晩インキュベートした。各培養物を使用して、選択用の、適切な抗生物質を含むYEPブロスの培養物500mL2つに播種し、新たな培養物を絶えず撹拌しながら、28℃で一晩インキュベートした。細胞を室温で10分間、約8700xgで遠心処理し、生じた上清を捨てた。1/2xムラシゲスクーグ塩(Sigma−Aldrich)/Gamborg’s B5ビタミン(Gold BioTechnology、St.Louis、MO)、10%(w/v)スクロース、0.044μMベンジルアミノプリン(DMSO中1mg/mLストック10μL/L)および300μL/L Silwet L−77を含む浸潤培地500mL中で、細胞ペレットを穏やかに再懸濁させた。月齢約1カ月の植物を、最も新しい花序が確実に浸水するように注意して、15秒間培地に浸漬させた。次いで、植物を横向きに寝かせ、(透明または不透明な)覆いを24時間かぶせ、水で洗浄し、直立状態に配置した。22℃、16:8明:暗光周期で植物を生長させた。浸漬から約4週間後、種子を収集した。

アラビドプシス属(Arabidopsis)の生長および選択。新しく収集されたT1種子を、乾燥剤の存在下で、室温で少なくとも7日間乾燥させた。種子を0.1%寒天/水(Sigma−Aldrich)溶液中で懸濁させ、次いで4℃で2日間重層化させた。植え付け用に調製するため、10.5インチx21インチ発芽トレイ(T.O. Plastics Inc.、Clearwater、MN)中のSunshine Mix LP5 (Sun Gro Horticulture Inc.、Bellevue、WA)を微細なバーミキュライトで覆い、湿潤になるまでHoagland溶液(Hoagland and Arnon, 1950)で地下灌漑し、次いで24時間排水させた。重層化させた種子をバーミキュライトに植え付け、湿度ドーム(KORD Products、Bramalea、Ontario、Canada)で7日間覆った。種子が発芽すると、一定の温度(22℃)および湿度(40〜50%)で、光強度120〜150μmol/m2secの長日条件(16:8明:暗光周期)下で、Conviron(モデルCMP4030またはCMP3244;Controlled Environments Limited、Winnipeg、Manitoba、Canada)内で植物を生長させた。湿ってはいるが濡れてはいない状態に土壌を保つように、植物にまずHoagland溶液で、次いで脱イオン水で水やりをした。

植え付けから5〜6日後にドームを取り外し、形質転換されていない種子から発芽した植物を枯らすため、化学的選択薬剤を植物に散布した。例えば、バイナリー植物形質転換ベクターによりもたらされる、植物で発現可能な選択マーカー遺伝子がpatまたはbar遺伝子(Wehrmann et al., 1996)である場合、Finale(5.78%グルホシネートアンモニウム、Farnam Companies Inc.、Phoenix、AZ.)の1000X溶液を散布することにより、形質転換された植物を選択することができる。その後、5〜7日間隔で散布を2回行った。最終散布から7〜10日後に生存個体(活発に生長している植物)を特定し、Sunshine Mix LP5を入れて用意した鉢に移植した。移植された植物を湿度ドームで3〜4日覆い、上記の生長条件下でConvironインキュベーター内に配置した。

双子葉植物形質転換分野の当業者であれば、植物で発現可能なその他の選択マーカー遺伝子(例えば除草剤耐性遺伝子)が使用される場合、形質転換された植物のその他の選択方法が利用可能であることを理解するものである。

DIGタンパク質を含むトランスジェニックグリシン・マックス(Glycine max) Cry1Caタンパク質を含む核酸用の発現ベクターを含有するトランスジェニックT0グリシン・マックス(Glycine max)植物10〜20個を、例えばアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換によるものを含めて、当技術分野で既知のように生成した。成熟ダイズ(グリシン・マックス(Glycine max))種子を16時間、塩素ガスで一晩滅菌した。塩素ガスでの滅菌後、LAMINAR(商標)フローフード内の開放容器に種子を配置し、塩素ガスを消散させた。次に、24℃の黒い箱を使用した暗所で16時間、滅菌された種子に滅菌H2Oを吸収させた。

種子分割ダイズの調製。胚軸の一部を含む分割ダイズ種子のプロトコールには、種皮を分離および除去して種子を2つの子葉部分に分割するように、メスに取り付けた#10ブレードを使用して種子のへそに沿って長軸方向に切断されたダイズ種子材料の調製が必要であった。細心の注意を払って、胚軸を部分的に除去し、胚軸の約1/2〜1/3を子葉の節端(nodal end)に付着したままにした。

播種。次いで、胚軸の一部を含む分割ダイズ種子を、DIGタンパク質を含むバイナリープラスミドを含むアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(例えば、EHA101またはEHA105株)の溶液に約30分間浸漬させた。胚軸を含む子葉を浸漬させる前に、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)溶液を最終濃度λ=0.6OD650に希釈した。

共培養。播種後、一片の濾紙で覆われたペトリ皿中の共培養培地(Wang、Kan. Agrobacterium Protocols. 2. 1. New Jersey: Humana Press, 2006. Print.)で5日間、分割ダイズ種子をアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株と共培養させた。

シュート誘導。共培養から5日後、B5塩、B5ビタミン、28mg/L第一鉄、38mg/L Na2EDTA、30g/Lスクロース、0.6g/L MES、1.11mg/L BAP、100mg/L TIMENTIN(商標)、200mg/Lセフォタキシム、および50mg/Lバンコマイシン(pH5.7)からなる液体シュート誘導(SI)培地で、分割ダイズ種子を洗浄した。次いで、B5塩、B5ビタミン、7g/Lノーブル寒天、28mg/L第一鉄、38mg/L Na2EDTA、30g/Lスクロース、0.6g/L MES、1.11mg/L BAP、50mg/L TIMENTIN(商標)、200mg/Lセフォタキシム、50mg/Lバンコマイシン(pH5.7)からなるシュート誘導I(SI I)培地で、子葉の平坦面が上向き、子葉の節端が培地に埋め込まれた状態で、分割ダイズ種子を培養した。培養から2週間後、形質転換された分割ダイズ種子由来の外植片を、6mg/Lグルホシネート(LIBERTY(登録商標))を添加したSI I培地を含むシュート誘導II(SI II)培地に移した。

シュート伸長。SI II培地での培養から2週間後、外植片から子葉を除去し、子葉の根元を切断することにより、胚軸を含むフラッシュシュートパッド(flush shoot pad)を切除した。子葉から単離されたシュートパッドを、シュート伸長(SE)培地に移した。SE培地は、MS塩、28mg/L第一鉄、38mg/L Na2EDTA、30g/Lスクロースおよび0.6g/L MES、50mg/Lアスパラギン、100mg/L L−ピログルタミン酸、0.1mg/L IAA、0.5mg/L GA3、1mg/Lゼアチンリボシド、50mg/L TIMENTIN(商標)、200mg/Lセフォタキシム、50mg/Lバンコマイシン、6mg/Lグルホシネート、7g/Lノーブル寒天、(pH5.7)からなっていた。2週間ごとに培養物を新しいSE培地に移した。光強度80〜90μmol/m2secの18h光周期で、24℃のCONVIRON(商標)生育箱内で培養物を生長させた。

発根。子葉シュートパッドから生育した長いシュートを、子葉シュートパッドの根元で長いシュートを切断することにより単離し、長いシュートを1mg/L IBA(インドール3−酪酸)に1〜3分間浸漬させて発根を促進した。次に、phytaトレイ中の発根培地(MS塩、B5ビタミン、28mg/L第一鉄、38mg/L Na2EDTA、20g/Lスクロースおよび0.59g/L MES、50mg/Lアスパラギン、100mg/L L−ピログルタミン酸、7g/Lノーブル寒天、pH5.6)に長いシュートを移した。

培養。24℃、18h光周期で、CONVIRON(商標)生育箱内で1〜2週間培養した後、生育した根を有するシュートを、覆いをかぶせたサンデーカップ中の土壌混合物に移し、小植物を順化させるため、一定の温度(22℃)および湿度(40〜50%)で、光強度120〜150μmol/m2secの長日条件(明期16時間/暗期8時間)下で、CONVIRON(商標)生育箱(モデルCMP4030およびCMP3244;Controlled Environments Limited、Winnipeg、Manitoba、Canada)内に配置した。発根した小植物をサンデーカップ中で数週間順化させ、その後、さらなる順化および強いトランスジェニックダイズ植物の樹立のため温室に移した。

トランスジェニック系統の生育および形態的特性を、形質転換されていない植物と比較した。植物根、シュート、葉および繁殖特性について比較した。トランスジェニック植物および形質転換されていない植物の根の長さおよび生長パターンには観察可能な差がなかった。高さ、葉の数およびサイズ、開花時間、花のサイズおよび外観などの植物シュートの特性も同様であった。概して、インビトロおよび温室の土壌で培養された場合、トランスジェニック系統と、DIGタンパク質を発現しない系統の間に観察可能な形態的な差はなかった。

さらなる作物種の形質転換 当業者に既知の方法、例えば、以前に米国特許第7,838,733号明細書の実施例9、またはPCT国際特許公開第2007/053482号パンフレットの実施例12に記載されたものと実質的に同じ技術を利用することにより、鱗翅目の昆虫の防除をもたらすように、B.t.タンパク質(葉緑体輸送ペプチドとともに、または無しで)でワタを形質転換する。

本明細書に記載される実施例および実施形態が例示のためだけのものであり、当業者はその観点から各種改変または変更を思いつき、その改変または変更が、本出願の趣旨および範囲内、ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。本明細書で提供される教示により、当業者は本明細書に記載される各種毒素およびポリヌクレオチド配列を容易に産生および使用することができる。

配列番号1は、DIG−468をコードするDNA配列である。 配列番号2は、DIG−468タンパク質配列である。 配列番号3は、DIG−483をコードするDNA配列である。 配列番号4は、DIG−483タンパク質配列である。 配列番号5は、DIG−485をコードするDNA配列である。 配列番号6は、DIG−485タンパク質配列である。 配列番号7は、DIG−487をコードするDNA配列である。 配列番号8は、DIG−487タンパク質配列である。 配列番号9は、DIG−462をコードするDNA配列である。 配列番号10は、DIG−462タンパク質配列である。 配列番号11は、DIG−463をコードするDNA配列である。 配列番号12は、DIG−463タンパク質配列である。 配列番号13は、DIG−464をコードするDNA配列である。 配列番号14は、DIG−464タンパク質配列である。 配列番号15は、DIG−465をコードするDNA配列である。 配列番号16は、DIG−465タンパク質配列である。 配列番号17は、DIG−466をコードするDNA配列である。 配列番号18は、DIG−466タンパク質配列である。 配列番号19は、DIG−467をコードするDNA配列である。 配列番号20は、DIG−467タンパク質配列である。 配列番号21は、DIG−469をコードするDNA配列である。 配列番号22は、DIG−469タンパク質配列である。 配列番号23は、DIG−473をコードするDNA配列である。 配列番号24は、DIG−473タンパク質配列である。 配列番号25は、DIG−474をコードするDNA配列である。 配列番号26は、DIG−474タンパク質配列である。 配列番号27は、DIG−482をコードするDNA配列である。 配列番号28は、DIG−482タンパク質配列である。 配列番号29は、トウモロコシ用に最適化された、改変Cry1CaコドンをコードするDNA配列である(IRDIG544.11)。 配列番号30は、改変Cry1Caタンパク質タンパク質毒素配列である(IRDIG544.11)。 配列番号31は、高度にGCコドン最適化された、改変Cry1Ca、IRDIG544.12をコードするDNA配列である。 配列番号32は、IRDIG544.12のタンパク質毒素配列である。 配列番号33は、改変Cry1Ca、IRDIG544.9をコードする、双子葉植物用に最適化されたDNA配列である。 配列番号34は、改変Cry1Ca、IRDIG544.9のタンパク質配列である。 配列番号35は、改変Cry1Ca、IRDIG544.8をコードする、双子葉植物用に最適化されたDNA配列である。 配列番号36は、双子葉植物用に最適化された、IRDIG544.8タンパク質のコドンである。 配列番号37は、Cry1Abプロトキシンセグメントと融合させた改変Cry1Ca毒素をコードするDNA配列である。 配列番号38は、配列番号37のDNAから産生されるタンパク質毒素配列である。 配列番号39は、TraP12と融合させた改変Cry1Ca、IRDIG544.12をコードする、高度にGCコドン最適化されたDNA配列である。 配列番号40は、TraP12と融合させた改変Cry1Ca毒素、IRDIG544.12である。

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