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活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板

阅读:64发布:2024-01-17

专利汇可以提供活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性及び難燃性に優れる活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路 基板 を提供する。 【解決手段】 ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がその芳香環上にエステル構造部位(z1)を有する活性エステル化合物。 【選択図】なし,下面是活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板专利的具体信息内容。

ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がその芳香環上にベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイルオキシ基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイルオキシ基、又は炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基の何れから選択されるエステル構造部位(z1)を有する活性エステル化合物。前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基が、フラン環を形成する酸素原子が結合する炭素原子のパラ位に前記エステル構造部位(z1)又は酸基(z2)を有する請求項1に記載の活性エステル化合物。下記構造式(I)又は下記構造式(II)で表される分子構造を有し、前記分子構造中のO−Zで表される部分の少なくとも一つが前記エステル構造部位(z1)である請求項2に記載の活性エステル化合物。 [式(I)、(II)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)である。Ar1は下記構造式(i)で表される構造部位であり、Ar2は下記構造式(i)又は(ii)で表される構造部位である。] [式(i)、(ii)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、アラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)である。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(i)において、ナフタレン環に結合するR2、O—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。]下記構造式(1)〜(4)の何れかで表される分子構造を有する請求項2記載の活性エステル化合物。 [式(1)〜(4)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(1)〜(3)において、ナフタレン環に結合するR2、O—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。]請求項1に記載の活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂。活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数を基準とした官能基当量が110〜310g/eqの範囲である請求項5に記載の活性エステル樹脂。活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対するカルボニルオキシ基の割合が40%以上である請求項5に記載の活性エステル樹脂。分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを酸触媒の存在下で反応させてフェノール化合物を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物とモノカルボン酸又はそのハライドとを反応させる工程とを備え、前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中に2つのフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は分子内にナフタレン環を有するものである活性エステル化合物の製造方法。請求項1に記載の活性エステル化合物又は請求項5に記載の活性エステル樹脂と、硬化性樹脂と、を必須成分とする硬化性樹脂組成物。請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥してなるビルドアップ用接着フィルム。請求項9に記載の硬化性樹脂組成物と無機充填材とを含有し、前記無機充填材の含有量が硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲にある半導体封止材料。請求項9に記載の硬化性樹脂組成物をワニス化したものを補強基材に含浸してなる含浸基材を半硬化して得られるプリプレグ。請求項9に記載の硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型してなる回路基板

说明书全文

本発明は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板に関する。

エポキシ樹脂とその硬化剤を必須成分とする硬化性樹脂組成物は、その硬化物において優れた耐熱性と絶縁性を発現することから、半導体や多層プリント基板などの電子部品用途において広く用いられている。この電子部品用途のなかでも多層プリント基板絶縁材料の技術分野では、近年、各種電子機器における信号の高速化、高周波数化が進んでいる。しかしながら、信号の高速化、高周波数化に伴って、十分に低い誘電率を維持しつつ低い誘電正接を得ることが困難となりつつある。

そこで、高速化、高周波数化された信号に対しても、低い誘電率と、低い誘電正接を発現しうる硬化物の開発が望まれている。特許文献1には、低誘電率と、低誘電正接を実現するために、フェノールノボラック樹脂中のフェノール性酸基をアリールエステル化して得られる活性エステル化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として用いることが記載されている。

しかしながら、特許文献1に記載された活性エステル化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として用いると、従来と比較して誘電率や誘電正接が低い硬化物を得ることが出来るものの、そのレベルは昨今益々高まる要求レベルを満たすものではなかった。さらに、電子部品における高周波化や小型化の傾向から多層プリント基板絶縁材料には、極めて高度な耐熱性とハロゲン形難燃剤を用いずとも高い難燃性を示すことが求められているが、特許文献1に記載の活性エステル化合物をエポキシ樹脂用硬化剤として用いると、前記活性エステル化合物には、エステル構造が導入されているため硬化物の架橋密度が低下してしまい、前記活性エステル化合物から得られる硬化物は、耐熱性、耐熱分解性が十分でなく、また難燃性に劣るものであった。

特開平7−82348号公報

従って、本発明が解決しようとする課題は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板を提供することにある。

本発明者らは前記課題を解決するため鋭意検討した結果、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基が、その芳香環上にエステル構造部位(z1)を有する活性エステル化合物は、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。

即ち、本発明は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がその芳香環上にベンゾイルオキシ基、ナフトイルオキシ基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイルオキシ基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイルオキシ基、又は炭素原子数が2〜6のアシルオキシ基の何れから選択されるエステル構造部位(z1)を有する活性エステル化合物に関する。

本発明は更に、前記活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂に関する。

本発明は、分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを酸触媒の存在下で反応させてフェノール化合物を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物とモノカルボン酸又はそのハライドとを反応させる工程とを備え、前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は分子内にナフタレン環を有するものである活性エステル化合物の製造方法に関する。

本発明は更に、前記活性エステル化合物又は前記活性エステル樹脂と、硬化性樹脂と、を必須成分とする硬化性樹脂組成物に関する。

本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関する。

本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を支持フィルム上に塗布し、乾燥してなるビルドアップ用接着フィルムに関する。

本発明は更に、硬化性樹脂組成物と無機充填材とを含有し、前記無機充填材の含有量が硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲にある半導体封止材料に関する。

本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物をワニス化したものを補強基材に含浸してなる含浸基材を半硬化して得られるプリプレグに関する。

本発明は更に、前記硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型してなる回路基板に関する。

本発明によれば、得られる硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物、活性エステル樹脂、活性エステル化合物の製造方法、硬化性樹脂組成物、その硬化物、ビルドアップ用接着フィルム、半導体封止材料、プリプレグ、及び回路基板を提供できる。

図1は、実施例1で得られたフェノール樹脂(A)のGPCチャートである。

図2は、実施例2で得られたフェノール樹脂(B)のGPCチャートである。

図3は、実施例3で得られたフェノール樹脂(C)のGPCチャートである。

図4は、実施例4で得られたフェノール樹脂(D)のGPCチャートである。

以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の活性エステル化合物は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有し、前記ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方のアリーレン基がナフチレン骨格を有することを特徴としている。

前記のように、本発明の活性エステル化合物は、ジアリーレン[b,d]フラン構造を有するので、その分子構造は剛直であり、芳香環濃度が高いという特徴を有する。本発明の活性エステル化合物は、前記のように分子構造が剛直であることから、分子運動が抑制され、硬化物における誘電率及び誘電率を低いという特徴を有する。さらに、本発明の活性エステル化合物は、前記のように剛直な分子構造であることに加え、芳香環濃度が高いという特徴を有するため、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる特徴を有する。

一般的に、硬化物の耐熱性を向上させるためには、芳香環をホルムアルデヒド等の結節基で多官能化する方法が知られているが、このような方法により多官能化された化合物は芳香環同士が1つの結節基のみで結節しているため、燃焼時に前記結節基が容易に開裂してしまい、難燃性が低い。これに対し、本発明の活性エステル化合物は、芳香環同士がエーテル結合と直接結合との2つの結合により固定されたジアリーレン[b,d]フラン構造を有しているため、燃焼時に芳香環を結びつけているこれら結合が容易に開裂せず、硬化物において高い難燃性を発現する。さらには、2つのアリーレン基のうち少なくとも一方がナフタレン骨格を有するものであることから、さらに芳香環濃度が高くなり、得られる硬化物は極めて優れた難燃性を発現するものである。

本発明の活性エステル化合物は、更に、反応性に優れ、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、ジアリーレン[b,d]フラン構造を形成する2つのアリーレン基のうち少なくとも一方アリーレン基がナフチレン骨格を有するものであり、前記2つのアリーレン基が何れもその芳香環上にエステル構造部位(z1)を有し、かつ、前記2つのアリーレン基のうち少なくとも一方アリーレン基が、フラン環を形成する酸素原子に結合する炭素原子のパラ位にエステル構造部位(z1)又は水酸基(z2)を有するものであることが好ましい。

このような活性エステル化合物としては、例えば、下記構造式(I)又は下記構造式(II)で表される分子構造を有し、前記分子構造中のO−Zで表される部分の少なくとも一つが前記エステル構造部位(z1)である化合物が挙げられる。

式(I)、(II)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)である。Ar1は下記構造式(i)で表される構造部位であり、Ar2は下記構造式(i)又は(ii)で表される構造部位である。

式(i)、(ii)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)である。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(i)において、ナフタレン環に結合するR2、O—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

前記のように、前記一般式(I)、(II)、(i)、(ii)中のZはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)である。

炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基としては、例えば、2,4−ジメチルベンゾイル基、2,6−ジメチルベンゾイル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル基、2−エチルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基2−t−ブチル−4−エチルベンゾイル基、4−i−プロピルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、2,6−ジ−t−ブチルベンゾイル基等が挙げられる。

炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基としては、例えば、2−メチル−1−ナフトール基、4−メチル−1−ナフトイル基、2−エチル−1−ナフトイル基、3−メチル−4−エチル−2−ナフトイル基、2−プロピル−1−ナフトイル基、2−プロピル−4−エチル−1−ナフトイル基、6−プロピル−2−ナフトイル基、2−t−ブチル−1−ナフイル基、3−t−ブチル−1−ナフイル基、4−t−ブチル−1−ナフイル基等が挙げられる。また、炭素原子数2〜6のアシル基は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、カプロイル基等が挙げられる。

炭素原子数が2〜6のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基を挙げることができる。

前記エステル形成構造部位(z1’)は、前記した各構造のなかでも、特に硬化時の誘電特性に優れる点、硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた際の反応性が良好なものとなる点からアセチル基、ベンゾイル基、又はナフトイル基が好ましく、とりわけベンゾイル基が好ましい。

なお、本発明の活性エステル化合物を含む活性エステル樹脂において、誘電率及び誘電正接のより低い硬化物が得られることから、前記エステル形成構造部位(z1’)と水素原子(z2’)との存在割合は、前記エステル形成構造部位(z1’)と水素原子(z2’)との合計に対して、前記エステル形成構造部位(z1’)が40%以上となる割合であることが好ましく、65%以上となる割合であることがより好ましい。即ち、活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との存在割合は、両者の合計の官能基数に対し、カルボニルオキシ基の割合が40%以上であることが好ましく、65%以上であることがより好ましい。この様に、活性エステル樹脂中のZはその全てが前記エステル形成構造部位(z1’)であってもよいが、Zの一部が水素原子(z2’)であること、即ち、フェノール性水酸基を一部有することにより、硬化性が良好なものとなり、耐熱性の改善効果が顕著なものとなる。

また、本発明の活性エステル樹脂において、活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数を基準とした官能基当量は、硬化性に優れることから110〜310g/eqの範囲であることが好ましい。

前記構造式(I)、(II)で表される活性エステル化合物は、例えば、分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)とを、無触媒又は酸触媒条件下、40〜180℃の温度範囲で反応させてフェノール化合物又はフェノール樹脂を得る工程と、前記工程で得られたフェノール化合物又はフェノール樹脂とモノカルボン酸又はそのハライドとを反応させる工程と、を備える製造方法であって、前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)の少なくとも一方の化合物は、分子内にナフタレン環を有する化合物である製造方法により製造される。このような方法により本発明の活性エステル化合物を得る場合、反応条件により任意の成分を選択的に得たり、複数種の活性エステル化合物の混合物である活性エステル樹脂を得ることができる。なお、活性エステル化合物を得る場合、混合物である活性エステル樹脂から任意の成分のみを単離することにより得ても良い。

前記キノン構造を有する化合物(Q)は、例えば、下記構造式(Q1)又は(Q2)で表される化合物が挙げられる。

式(Q1)又は(Q2)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかである。

前記構造式(Q1)又は(Q2)で表される化合物として、具体的には、パラベンゾキノン、2−メチルベンゾキノン、2,3,5−トリメチル−ベンゾキノン、ナフトキノン、及びこれらのベンゾキノンや、ナフトキノンに炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基又はアラルキル基が1つ乃至複数置換した化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物が得られることから、ナフトキノンを用いることが好ましい。

前記フェノール性水酸基を有する化合物(P)は、例えば、下記構造式(P1)又は(P2)で表される化合物が挙げられる。

式(P1)又は(P2)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数、p、qは2以上の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。なお、式(P2)において、ナフタレン環に結合するOH基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

前記構造式(P1)又は(P2)で表される化合物として、具体的には、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、及びこれらのジヒドロキシベンゼンや、ジヒドロキシナフタレンに炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基又はアラルキル基が1つ乃至複数置換した化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物又は前記活性エステル化合物を含む活性エステル樹脂が得られることから1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンの何れかが好ましく、2,7−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。

前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記フェノール性水酸基を有する化合物(P)との反応は、反応性が高いことから無触媒条件下でも進行するが、適宜酸触媒を用いて行うことが好ましい。ここで用いる酸触媒は例えば、塩酸、硫酸、リン酸、などの無機酸や、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸等が挙げられる。これら酸触媒を用いる場合は、前記キノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との合計質量に対し、5.0質量%以下の量で用いることが好ましい。

また、該反応は無溶剤条件下で行うことが好ましいが、必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。ここで用いる有機溶媒は例えば、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これら有機溶剤を用いる場合は、反応効率が向上することから、キノン構造を有する化合物(Q)と分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との合計100質量部に対し、有機溶剤が50〜200質量部の範囲となる割合で用いることが好ましい

前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)と前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)との反応終了後は、減圧乾燥するなどしてフェノール化合物又はフェノール樹脂を得ることが出来る。

そのようなフェノール化合物又はフェノール樹脂に含まれるフェノール化合物としては、例えば、下記のような構造で表される化合物等を挙げることができる。

式(a1)〜(a4)中、R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(a1)〜(a3)において、ナフタレン環に結合するR2、OH基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

前記反応では、前記構造式(a1)〜(a4)で表される化合物以外にも、例えば、下記構造式(a1−1)〜(a4−1)で表される化合物等が生成する。

式(a1−1)〜(a4−1)中、k、iは、それぞれ1〜2の整数を表す。x、yはナフタレン環との結合点を示し、フラン環を形成するように互いに隣接する炭素に結合することを表す。

前記構造式(a1−1)、(a3−1)、又は(a4−1)において、kは1〜2の整数である。ここで、kの値が1の場合に相当する化合物(以下「2核体化合物(α1)」と略記する。)は、モノカルボン酸化合物又はそのハライドと反応することによって、硬化物において誘電率と誘電正接が低く、かつ耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れる活性エステル化合物を与える。一方、前記構造式(a1−1)、(a3−1)、又は(a4−1)で表される化合物において、kの値が2の場合に相当する化合物(以下「3核体化合物(α2)」と略記する。)は、分子骨格の剛直性がより高く、芳香環濃度も高いことから、モノカルボン酸化合物又はそのハライドと反応することによって、硬化物において耐熱性により一層優れるシアン酸エステル化合物を与える。

なお、フェノール樹脂が前記のような構造で表される2核体化合物(α1)や3核体化合物(α2)を含む場合、前記2核体化合物(α1)や前記3核体化合物(α2)の含有率は、その後の反応でも維持され、最終的に得られる活性エステル樹脂において、2核体の活性エステル化合物(β1)と3核体の活性エステル化合物β2)の含有率と、おおよそ同一となる。そのため、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、難燃性及び誘電特性に優れる活性エステル樹脂を得たい場合には、フェノール樹脂に含まれる2核体化合物(α1)や3核体化合物(α2)の含有率が重要となる。

次いで、得られたフェノール化合物又はフェノール樹脂と、反応させるモノカルボン酸化合物又はそのハライドは、具体的には、フェニル基、ナフチル基、芳香環上の置換基として炭素原子数が1〜4のアルキル基を1〜5つ有するフェニル基、ナフチル基、芳香環上の置換基として炭素原子数が1〜4のアルキル基を1〜7つ有するナフチル基から成る群から選択される炭化水素構造をもつ芳香族モノカルボン酸又はそのハライド(以下、これを「芳香族モノカルボン酸又はそのハライド」と略記する。)、或いは、炭素原子数2〜5の飽和脂肪酸又はそのハライド(以下、これを「飽和脂肪酸又はそのハライド」と略記する。)が挙げられる。

前記芳香族モノカルボン酸又はそのハライドは、具体的には、安息香酸、或いは、メチル安息香酸、2,4−ジメチル安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2−エチル安息香酸、4−エチル安息香酸、2−t−ブチル−4−エチル安息香酸、4−i−プロピル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸等のアルキル安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、2−メチル−1−ナフトエ酸、4−メチル−1−ナフトエ酸、2−エチル−1−ナフトエ酸、3−メチル−4−エチル−2−ナフトエ酸、2−プロピル−1−ナフトエ酸、2−プロピル−4−エチル−1−ナフトエ酸、6−プロピル−2−ナフトエ酸、2−t−ブチル−1−ナフトエ酸、3−t−ブチル−1−ナフトエ酸、4−t−ブチル−1−ナフトエ酸、並びにこれらの酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物等の酸ハロゲン化物等が挙げられる。

また、前記飽和脂肪酸又はそのハライドは、具体的には、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、並びに、これらの酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、及び酸ヨウ化物等の酸ハロゲン化物等が挙げられる。

これらの中でも、特に誘電特性に優れる点から安息香酸又はエタン酸の酸塩化物が好ましい。

前記フェノール化合物又はフェノール樹脂と、モノカルボン酸化合物又はそのハライドとの反応は、具体的には、これらを塩基性触媒下に反応させる方法が挙げられる。

前記フェノール化合物又はフェノール樹脂と、モノカルボン酸化合物又はそのハライドとの反応割合は、フェノール化合物又はフェノール樹脂中のフェノール性水酸基と、モノカルボン酸化合物又はそのハライド中のカルボキシル基又は酸ハライド基との当量比[フェノール化合物又はフェノール樹脂中のOH/モノカルボン酸化合物又はそのハライド中のカルボキシル基又は酸ハライド基]が1.0/0.40〜1.0/1.0となる割合であることが、得られる活性エステル樹脂の溶剤溶解性が良好なものとなる点から好ましい。

ここで使用し得るアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。これらのなかでも特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが水溶液の状態で使用することができ、生産性が良好となる点から好ましい。

前記フェノール化合物又はフェノール樹脂と、カルボン酸化合物又はそのハライドとの反応では、各原料成分を有機溶媒に溶解させて反応に供することが好ましく、ここで用いる有機溶媒としては、トルエン、ジクロロメタンなどが挙げられる。

反応終了後は、反応液に適量の水を加えて生成塩を溶解する。その後、水洗を繰り返して系内の生成塩を除去した後に、脱水や濾別でさらに精製し、有機溶媒を蒸留で除去することにより目的とする活性エステル化合物又は前記活性エステル化合物を含む活性エステル樹脂を得ることができる。

なお、本発明の活性エステル化合物は、前記一般式(I)、(II)で表される構造を有するものであれば、いずれの場合であっても、得られる硬化物において、誘電率、誘電正接が低く、耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性に優れるという特徴を有する。以下で、前記一般式(I)、(II)で表される構造を有する活性エステル化合物のより好ましい態様について説明する。

前記構造式(I)、(II)で表される活性エステル化合物は、具体的には、下記構造式(1)〜(4)の何れかで表される分子構造を有するものが挙げられる。

式(1)〜(4)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。R2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基の何れかであり、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数である。m又はnが2以上の場合、R2は同一であっても良いし、それぞれ異なっていても良い。x、yはナフタレン環との結合点を示し、酸素原子との間でフラン環を形成するように互いにナフタレン環の隣接する炭素原子に結合していることを表す。なお、式(1)〜(3)において、ナフタレン環に結合するR2、O—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

前記構造式(1)で表される活性エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(1−1)〜(1−9)で表される活性エステル化合物等が挙げられる。

式(1−1)〜(1−9)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。

前記構造式(1−1)〜(1−9)に代表される前記(1)で表される活性エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)としてパラベンゾキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このときパラベンゾキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、パラベンゾキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。

前記構造式(1−1)〜(1−9)の何れかで表される活性エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(1−8)又は(1−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。

前記構造式(1)で表される活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂としては、更にこれら以外の活性エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高い活性エステル樹脂となることから、下記構造式(1’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。

式(1’)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。kは1〜2の整数である。なお、ナフタレン環に結合するO—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

この場合、活性エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(1)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で5〜60%の範囲であり、かつ、前記構造式(1’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で10〜70%の範囲であることが好ましい。

なお、本発明において、活性エステル樹脂中の各成分の含有率とは、下記の条件によるGPC測定データから算出される、活性エステル樹脂の全ピーク面積に対する前記各成分のピーク面積の割合である。

測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、 カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」 検出器: RI(示差屈折計) データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」 測定条件: カラム温度 40℃ 展開溶媒 テトラヒドロフラン 流速 1.0ml/分 標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。 (使用ポリスチレン) 東ソー株式会社製「A−500」 東ソー株式会社製「A−1000」 東ソー株式会社製「A−2500」 東ソー株式会社製「A−5000」 東ソー株式会社製「F−1」 東ソー株式会社製「F−2」 東ソー株式会社製「F−4」 東ソー株式会社製「F−10」 東ソー株式会社製「F−20」 東ソー株式会社製「F−40」 東ソー株式会社製「F−80」 東ソー株式会社製「F−128」 試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。

前記構造式(2)で表される活性エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(2−1)〜(2−9)の何れかで表される活性エステル化合物等が挙げられる。

式(2−1)〜(2−9)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。

前記構造式(2−1)〜(2−9)に代表される前記構造式(2)で表される活性エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(2)で表される化合物を高効率で製造できることから、2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。

前記構造式(2−1)〜(2−9)の何れかで表される活性エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(2−8)又は(2−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。

前記構造式(2)で表される活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂としては、更にこれら以外の活性エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高い活性エステル樹脂となることから、下記構造式(2’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。

式(2’)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。なお、ナフタレン環に結合するO—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。

この場合、活性エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(2)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で50〜95%の範囲であり、かつ、前記構造式(2’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で1〜50%の範囲であることが好ましい。

前記構造式(3)で表される活性エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(3−1)〜(3−9)の何れかで表される活性エステル化合物等が挙げられる。

式(3−1)〜(3−9)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。

前記構造式(3−1)〜(3−9)に代表される前記構造式(3)で表される活性エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として1,4−ナフトキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシナフタレンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき1,4−ナフトキノンとジヒドロキシナフタレンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、1,4−ナフトキノン1モルに対し、ジヒドロキシナフタレンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。

前記構造式(3−1)〜(3−9)の何れかで表される活性エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(3−8)又は(3−9)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。

前記構造式(3)で表される活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂は、これら以外のその他の活性エステル化合物を含有していても良い。活性エステル樹脂が前記構造式(3)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物以外のその他の活性エステル化合物を含有する場合、活性エステル樹脂中の前記構造式(3)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率は、GPC測定における面積比率で5〜70%の範囲であることが好ましい。

その他の活性エステル化合物の具体例としては、耐熱性の高い活性エステル樹脂となることから、下記構造式(3’)又は(3”)で表される多官能化合物が好ましい。

式(3’)〜(3”)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。kは1〜2の整数である。なお、ナフタレン環に結合するO—Zで表される基は、ナフタレン環を構成する芳香環のうち、いずれの芳香環に結合していてもよい。式(3”)中のx、yはナフタレン環との結合点を示し、フラン環を形成するように互いに隣接する炭素に結合する。

活性エステル樹脂が前記構造式(3’)で表される多官能化合物を含有する場合、その含有率はGPC測定における面積比率で2〜60%の範囲であることが好ましい。また、活性エステル樹脂が前記構造式(3”)で表される多官能化合物を含有する場合、その含有率はGPC測定における面積比率で2〜40%の範囲であることが好ましい。

前記構造式(4)で表される活性エステル化合物は、更に具体的には、下記構造式(4−1)〜(4−4)の何れかで表される活性エステル化合物等が挙げられる。

式(4−1)〜(4−4)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。

前記構造式(4−1)〜(4−9)に代表される前記構造式(4)で表される活性エステル化合物は、例えば、前記分子構造中にキノン構造を有する化合物(Q)として1,4−ナフトキノンを、前記分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として各種のジヒドロキシベンゼンを用い、前述の方法により製造することが出来る。このとき1,4−ナフトキノンとジヒドロキシベンゼンの反応割合は、前記構造式(1)で表される化合物を高効率で製造できることから、1,4−ナフトキノン1モルに対し、ジヒドロキシベンゼンが0.1〜10.0モルの範囲となる割合であることが好ましい。

前記構造式(4−1)〜(4−4)の何れかで表される活性エステル化合物の中でも、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性により優れることから、前記構造式(4−2)又は(4−3)で表される化合物が好ましい。即ち、分子構造中にフェノール性水酸基を有する化合物(P)として1,3−ジヒドロキシベンゼンを用いて得られる活性エステル化合物が好ましい。

前記構造式(4)で表される活性エステル化合物を含有する活性エステル樹脂は、更にこれら以外の活性エステル化合物を含有していても良い。中でも、耐熱性の高い活性エステル樹脂となることから、下記構造式(4’)で表される多官能化合物を含有していることが好ましい。

式(4’)中、Zはベンゾイル基、ナフトイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜5つ有するベンゾイル基、炭素原子数が1〜4のアルキル基を芳香環上の置換基として1〜7つ有するナフトイル基、若しくは炭素原子数が2〜6のアシル基の何れかから選択されるエステル形成構造部位(z1’)、又は水素原子(z2’)であり、Zのうち少なくとも一つはエステル形成構造部位(z1’)である。k、iはそれぞれ1〜2の整数である。

この場合、活性エステル樹脂中の各成分の含有割合は、前記構造式(4)で表されるジナフト[b,d]フラン化合物の含有率がGPC測定における面積比率で5〜70%の範囲であり、かつ、前記構造式(4’)で表される多官能化合物の含有率がGPC測定における面積比率で1〜60%の範囲であることが好ましい。

これら例示した活性エステル化合物のうち、硬化物における耐熱性、耐熱分解性、及び難燃性とのバランスに優れることから前記構造式(1)〜(3)の何れかで表される活性エステル化合物が好ましく、前記構造式(3)で表される活性エステル化合物が特に好ましい。

前記本発明の活性エステル化合物を含む活性エステル樹脂は、硬化性に優れることからそのエステル当量が100〜350g/eqの範囲であることが好ましい。

次に、本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。本発明の硬化性樹脂組成物は、前記で詳述した本発明の活性エステル化合物又は活性エステル樹脂と、硬化性樹脂とを必須成分とするものである。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂などを挙げることができる。

ここで用いるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂の中でも、特に難燃性に優れる硬化物が得られる点から、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。

本発明の硬化性樹脂組成物における前記活性エステル化合物又は前記活性エステル樹脂と、エポキシ樹脂との配合量は、硬化性及び硬化物の諸物性が良好なものとなる点から前記活性エステル樹脂中のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計1当量に対して、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基が0.8〜1.2当量となる割合であることが好ましい。

本発明の硬化性樹脂組成物は、前記した活性エステル樹脂及びエポキシ樹脂に加え、前記活性エステル樹脂の他のエポキシ樹脂用硬化剤を併用してもよい。ここで用いることのできるエポキシ樹脂用硬化剤としては、例えばアミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの硬化剤を使用できる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミンやベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。

これらの中でも、特に芳香族骨格を分子構造内に多く含むものが難燃効果の点から好ましく、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂が難燃性に優れることから好ましい。

前記したエポキシ樹脂用硬化剤を併用する場合、その使用量は、本発明が奏する低誘電率性及び低誘電正接性に優れる効果が十分に発揮されることから、前記活性エステル樹脂を含む全硬化剤成分中、10〜50質量%の範囲であることが好ましい。

また必要に応じて本発明の硬化性樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。

以上詳述した本発明の硬化性樹脂組成物は溶剤溶解性にも優れることから、有機溶剤で希釈して用いることが出来る。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。

また、前記硬化性樹脂組成物は、難燃性を発揮させるために、例えばプリント配線板の分野においては、信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。

前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。

前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。

また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。

前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5—ジヒドロオキシフェニル)—10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10—(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。

それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。

また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。

前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。

前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。

前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。

前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。

また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。

前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。

前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。

前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。

前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。

前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。

前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。

前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。

前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。

前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO2−MgO−H2O、PbO−B2O3系、ZnO−P2O5−MgO系、P2O5−B2O3−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V2O5−TeO2系、Al2O3−H2O系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。

前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。

前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。

前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。

本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填材を配合することができる。前記無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、硬化性樹脂組成物の全体量に対して20質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。

本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。

本発明の硬化性樹脂組成物は、前記した各成分を均一に混合することにより得られ、加熱することにより硬化し容易に硬化物とすることができる。具体的には、前記した各成分を均一に混合することにより得られ、かかる硬化性樹脂組成物を約100℃以上の温度、好ましくは20〜250℃の温度で加熱することにより容易に硬化物とすることができる。このようにして得られる硬化物としては、積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。

本発明の硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、硬質プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用絶縁材料、半導体封止材料、導電ペースト、ビルドアップ用接着フィルム、樹脂注型材料、接着剤等が挙げられる。これら各種用途のうち、硬質プリント配線板材料、電子回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、耐熱性が高く、特に低誘電率性及び低誘電正接性に優れる特性を生かし、硬質プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用材料、及び半導体封止材料に用いることが好ましい。

ここで、本発明の回路基板は、硬化性樹脂組成物を有機溶剤に希釈したワニスを得、これを板状に賦形したものを銅箔と積層し、加熱加圧成型して製造されるものである。具体的には、例えば硬質プリント配線基板を製造するには、前記有機溶剤を含むワニス状の硬化性樹脂組成物を、更に有機溶剤を配合してワニス化し、これを補強基材に含浸し、半硬化させることによって製造される本発明のプリプレグを得、これに銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性樹脂組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この際、用いる硬化性樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、前記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とする回路基板を得ることができる。

本発明の硬化性樹脂組成物からフレキシルブル配線基板を製造するには、活性エステル樹脂及びエポキシ樹脂、及び有機溶剤を配合して、リバースロールコータ、コンマコータ等の塗布機を用いて、電気絶縁性フィルムに塗布する。次いで、加熱機を用いて60〜170℃で1〜15分間加熱し、溶媒を揮発させて、接着剤組成物をB−ステージ化する。次いで、加熱ロール等を用いて、接着剤に金属箔を熱圧着する。その際の圧着圧は2〜200N/cm2、圧着温度は40〜200℃が好ましい。それで十分な接着性能が得られれば、ここで終えても構わないが、完全硬化が必要な場合は、さらに100〜200℃で1〜24時間の条件で後硬化させることが好ましい。最終的に硬化させた後の接着剤組成物膜の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましい。

本発明の硬化性樹脂組成物から半導体封止材料を製造するには、活性エステル樹脂、エポキシ樹脂、及び無機充填剤等の配合剤を必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填材としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ,アルミナ,窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。無機充填材の含有量は、硬化性樹脂組成物100質量部当たり、30〜95質量部の範囲であることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上や、線膨張係数の低下を図るためには、70〜95質量部であることがより好ましく、80〜95質量部であることがさらに好ましい。

本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ用接着フィルムを製造する方法は、例えば、支持フィルムの上に、本発明の硬化性樹脂組成物を塗布したのち、硬化性樹脂組成物を乾燥させることにより、支持フィルムの上に樹脂組成物層を形成して多層プリント配線板用の接着フィルムとする方法が挙げられる。

本発明の硬化性樹脂組成物をビルドアップ用接着フィルムに用いる場合、該フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう前記各成分を配合することが好ましい。

ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。

前記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。

形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。

なお、本発明における層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。

前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。

支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。

前記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。

次に、前記のようして得られた接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。

ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。

次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、GPCは以下の条件にて測定した。

測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、 カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」 +東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」 検出器: RI(示差屈折計) データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」 測定条件: カラム温度 40℃ 展開溶媒 テトラヒドロフラン 流速 1.0ml/分 標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。 (使用ポリスチレン) 東ソー株式会社製「A−500」 東ソー株式会社製「A−1000」 東ソー株式会社製「A−2500」 東ソー株式会社製「A−5000」 東ソー株式会社製「F−1」 東ソー株式会社製「F−2」 東ソー株式会社製「F−4」 東ソー株式会社製「F−10」 東ソー株式会社製「F−20」 東ソー株式会社製「F−40」 東ソー株式会社製「F−80」 東ソー株式会社製「F−128」 試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。

実施例1 活性エステル樹脂(A−1)の製造 温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、1,4−ナフトキノン158g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、メチルイソブチルケトン318gを仕込み、撹拌しながら室温から120℃まで昇温した。120℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、水200gで3回洗浄した。その後、150℃まで加熱して減圧下乾燥し、フェノール樹脂(A)300gを得た。得られたフェノール樹脂(A)のGPCチャートを図1に示す。フェノール樹脂(A)の水酸基当量は137g/eqであった。また、GPCチャートから算出される、下記構造式(a)で表されるジナフトフラン化合物に相当する成分の含有量は55.3%、下記構造式(b)で表され、kの値が1である2核体化合物に相当する化合物に相当する成分の含有量は9.7%、下記構造式(c)で表される3核体化合物に相当する成分の含有量は22.0%であった。

次いで、温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記で得られたフェノール樹脂(A)137g(水酸基1eq)とメチルイソブチルケトン270gを仕込み、系内を減圧窒素置換し溶解させた。次いで、塩化ベンゾイル127g(0.9モル)を仕込みその後、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.55gを溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液182gを3時間かけて滴下した。その後、この条件下で1時間撹拌を続けた。反応終了後、静置分液し、水層を取り除いた。更に反応物が溶解しているメチルイソブチルケトン相に水を投入して約15分間撹拌混合し、静置分液して水層を取り除いた。水槽のPHが7になるまでこの操作を繰り返した。その後、デカンタ脱水で水分を除去し、続いて減圧脱水でメチルイソブチルケトンを除去し、活性エステル樹脂(A−1)260gを得た。この活性エステル樹脂(A−1)の官能基当量は仕込み比より264g/eqであった。また、活性エステル樹脂中(A−1)のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対するカルボニルオキシ基の割合は90%であった。

実施例2 活性エステル樹脂(B−1)の製造 温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、1,4−ナフトキノン158g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、イソプロピルアルコール333gを仕込み、撹拌しながら室温から80℃まで昇温した。80℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、水200gで3回洗浄した。その後、150℃まで加熱して減圧下乾燥し、フェノール樹脂(B)295gを得た。得られたフェノール樹脂(B)のGPCチャートを図2に示す。フェノール樹脂(B)の水酸基当量は119g/eqであった。また、GPCチャートから算出される、前記構造式(a)で表されるジナフト[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は50.2%、前記構造式(b)で表されkの値が1である2核体化合物に相当する成分の含有量は14.8%、前記構造式(c)で表される3核体化合物に相当する成分の含有量は24.2%であった。

次いで、前記で得られたフェノール樹脂(B)119g(水酸基1eq)、塩化ベンゾイル98.4g(0.7モル)、20%水酸化ナトリウム水溶液135gに変更した以外は実施例1と同様にして活性エステル樹脂(B−1)215gを得た。この活性エステル樹脂(B−1)の官能基当量は仕込み比より217g/eqであった。また、活性エステル樹脂中(B−1)のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対するカルボニルオキシ基の割合は70%であった。

実施例3 活性エステル樹脂(C−1)の製造 温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、2,3,5−トリメチル−パラベンゾキノン150g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、メチルイソブチルケトン310gを仕込み、撹拌しながら室温から120℃まで昇温した。120℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、析出した結晶を水200gで3回洗浄後、減圧下乾燥し、フェノール樹脂(C)290gを得た。得られたフェノール樹脂(C)のGPCチャートを図3に示す。フェノール樹脂(C)の水酸基当量は148g/eqであった。また、GPCチャートから算出される、前記構造式(2)で表されるジアリーレン[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は100%であった。

次いで、前記で得られたフェノール樹脂(C)148g(水酸基1eq)、塩化ベンゾイル98.4g(0.7モル)、20%水酸化ナトリウム水溶液135gに変更した以外は実施例1と同様にして活性エステル樹脂(C−1)240gを得た。この活性エステル樹脂(C−1)の官能基当量は仕込み比より246g/eqであった。また、活性エステル樹脂中(C−1)のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対するカルボニルオキシ基の割合は70%であった。

実施例4 活性エステル樹脂(D−1)の製造 温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、1,5−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、1,4−ナフトキノン158g(1.0モル)、パラトルエンスルホン酸6g、イソプロピルアルコール333gを仕込み、撹拌しながら室温から80℃まで昇温した。80℃に到達した後、3時間攪拌して反応させた。反応終了後中和し、水200gで3回洗浄した。その後、150℃まで加熱して減圧下乾燥し、フェノール樹脂(D)292gを得た。得られたフェノール樹脂(D)のGPCチャートを図4に示す。フェノール樹脂(D)の水酸基当量は132g/eqであった。また、GPCチャートから算出される、前記構造式(a)で表されるジナフト[b、d]フラン化合物に相当する成分の含有量は24.1%であった。

次いで、前記で得られたフェノール樹脂(D)132g(水酸基1eq)、塩化ベンゾイル98.4g(0.7モル)、20%水酸化ナトリウム水溶液135gに変更した以外は実施例1と同様にして活性エステル樹脂(D−1)227gを得た。この活性エステル樹脂(D−1)の官能基当量は仕込み比より230g/eqであった。また、活性エステル樹脂中(D−1)のカルボニルオキシ基とフェノール性水酸基との合計の官能基数に対するカルボニルオキシ基の割合は70%であった。

比較合成例1 活性エステル樹脂(A’−1)の製造 フェノール樹脂(A)をフェノールノボラック樹脂(DIC株式会社製「TD−2090」)に変更した以外は実施例1と同様にして、活性エステル樹脂(A’−1)180gを得た。この活性エステル樹脂(A’−1)の官能基当量は仕込み比より199g/eqであった。

実施例5〜8、比較例1 下記表1記載の配合に従い、エポキシ樹脂として、DIC製「850-S」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:187g/eq)、硬化剤として前記活性エステル(A−1)、(B−1)、(C−1)、(D−1)、(A’−1)を配合し、硬化促進剤としてジメチルアミノピリジン0.5phrを加え、最終的に各組成物の不揮発分(N.V.)が58質量%となるようにメチルエチルケトンを配合して調整した。次いで、下記の如き条件で硬化させて積層板を試作し、下記の方法で耐熱性、耐熱分解性、誘電特性及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。

<積層板作製条件> 基材:日東紡績株式会社製 ガラスクロス「#2116」(210×280mm) プライ数:6 プリプレグ化条件:160℃ 硬化条件:200℃、40kg/cm2で1.5時間、成型後板厚:0.8mm

<耐熱性の測定> 粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置RSAII、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて測定し、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。

<耐熱分解性の測定> 厚さ0.8mmの硬化物を幅5mm、長さ54mmのサイズに積層板を切り出して得た試験片を、250℃で72時間保持した後、初期質量と比較した際の質量減少率を評価した。

<難燃性の測定> UL−94試験法に準拠し、試験片5本を用いて難燃性を測定した。

<誘電率及び誘電正接の測定> JIS−C−6481に準拠し、アジレント・テクノロジー株式会社製インピーダンス・マテリアル・アナライザ「HP4291B」により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の試験片の1GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。

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