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線維芽増殖因子受容体2に対するモノクローナル抗体

阅读:1025发布:2020-06-07

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線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)を発現する腫瘍を検出する方法であって、 線維芽細胞増殖因子受容体2アイソフォームIIIb(FGFR2IIIb)に結合するモノクローナル抗体(mAb)と腫瘍患者の前記腫瘍又は循環器系由来のサンプルとを接触させるステップと、 FGFR2が発現しているか否かを示すために前記mAbと前記腫瘍又は前記循環器系由来のサンプルとの結合を検出するステップと、を有し、 前記mAbは、配列番号1の残基24から34、50から56及び89から97によってそれぞれ規定されるCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域と、配列番号4の残基31から35、50から66及び99から103によってそれぞれ規定されるCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖可変領域と、を含む、方法。前記軽鎖可変領域は、配列番号1の配列を含み、 前記重鎖可変領域は、配列番号4の配列を含む、請求項1に記載の方法。前記軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域に連結され、 前記重鎖可変領域は、重鎖定常領域に連結される、請求項1から2のいずれかに記載の方法。前記mAbは、マウスIgG2aアイソタイプである、請求項1から3のいずれかに記載の方法。前記mAbは、ATCC番号PTA-9586の細胞株によって産生される、請求項1に記載の方法。前記mAbは、FGFR2の発現場所を突き止めるために免疫組織化学において使用する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。FGFR2の発現場所は、腫瘍生検材料中である、請求項6に記載の方法。前記mAbは、前記循環器系由来の前記サンプル中のFGFR2レベルを測定するために、ELISA又はラジオイムノアッセイにおいて使用する、請求項1から7のいずれかに記載の方法。前記循環器系由来の前記サンプルは、血清サンプルである、請求項8に記載の方法。前記mAbは、蛍光分子、スピン標識分子、酵素又は放射性同位元素で標識されている、請求項1から9のいずれかに記載の方法。

说明书全文

関連出願についてのクロスリファレンス 本願は、2008年11月7日に出願した米国特許出願番号第61/112,686号及び2009年3月30日に出願した米国特許出願番号第61/164,870号の米国特許法第119条(e)の利益を主張し、すべての目的のためのそれら全部がここに取り入れられる。

政府権益の声明 本願に記載されている本発明は、米国国立衛生研究所からグラント5R44 CA 101283-03により提供される資金の一部によってなされた。アメリカ政府は、本発明にかかる、ある種の権利を有する。

本発明は、一般に、新規の生物製剤を開発するための、モノクローナル抗体(mAb)と組換えDNA技術の組合せに関するものであって、より詳しくは、例えば、線維芽増殖因子受容体2に結合して、中和するモノクローナル抗体の生産に関する。

発明の背景 線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーには、22のメンバーが知られている。サイズは17から34KDaにまで渡っており、類似性がある内部コア領域を共有する。そして、それは活性及び配列の類似性に基づいて7つのサブファミリーに分類できる(Ornitz et al., Genome Biol. 2:3005.1, 2001)。例えば、FGF1サブグループは、複数の原型FGF、FGF1(酸性FGF)及びFGF2(塩基性FGF)からなり;FGF4サブグループはFGF4、FGF5及びFGF6からなり;そして、FGF7サブファミリーはFGF3、FGF7、FGF10及びFGF22からなる(Zhang et al., J. Biol. Chem. 281 :15694, 2006)。

FGF2の1つの型は、155個のアミノ酸前駆体から誘導される146個のアミノ酸からなる18kDaの非グリコシル化ポリペチドである(Ornitz et al., Genome Biol. 2:3005.1,2001; Okada-Ban et al., Int. J. Biochem. Cell. Biol. 32:263, 2000)。ヒト146アミノ酸FGF2の典型的な配列は、US20020115603の配列番号4において提供される。ほとんどの他のFGFと異なり、FGF2は分泌のためのシグナル配列をコードしていないが、18kDa型はER-ゴルジ複合体から独立している非慣習的なエネルギー依存的経路によって分泌可能である。他のFGF1サブファミリーのメンバーは、 FGF1自体であり、FGF2と類似のサイズと構造を有して、更にシグナル配列を欠いているが、分泌は可能である。ここで興味がある他のFGFは、FGF7であり(ケラチノサイト増殖因子(KGF)とも呼ばれる)、間葉起源の細胞により生産され、上皮細胞増殖を刺激する(Finch et al., Adv. Cancer Res. 91 :69, 2004; Finch et al., J. Natl. Cancer Inst. 98:812, 2006)。KGFは、、前立腺、乳房、消化管及び皮膚を含む多くの器官において発現し、器官の発達及び皮膚損傷の修復に関係する(Cho et al., Am. J. Pathol. 170: 1964, 2007)。

FGFファミリーのメンバーは、たった4つの既知のチロシンキナーゼ受容体である線維芽細胞増殖因子受容体1-4(FGFR1-4)及びそれらのアイソフォームと結合し、様々なFGFが程度を変えながら種々のFGFRに結合する(Zhang et al., J. Biol. Chem. 281 :15694,2006)。ヒトFGFR2のタンパク質配列は、例えば、GenBank Locus AF487553において提供される。各FGFRは、図1にて図示したように、3つの免疫グロブリン(Ig)様ドメイン(D1、D2及びD3)、1回膜貫通ヘリックス及び細胞内触媒キナーゼドメインを含む細胞外ドメイン(ECD)からなる(Mohammadi et al., Cytokine Growth Factor Revs, 16:107,2005)。酸性アミノ酸が連続している領域が、D1とD2との間のリンカーにあり、それは「アシッドボックス」(AB)と呼ばれる。D1とABを含む領域は、受容体の自己抑制に関与していると考えられており、その領域はリガンドと結合することによって露になる。FGFRは、それらのmRNAの多重選択的スプライシングによって特徴づけられ、様々なアイソフォームが誘導される(Ornitz et al., J. Biol. Chem. 271 :15292, 1996; FGFR2とそのアイソフォームの配列に関するSwiss-Prot P21802とアイソフォームP21802-1から-20も参照)。特に、3つ全てのIgドメインを含む型(αアイソフォーム)又は2つのIgドメイン(D1を除くD2及びD3ドメイン)だけを含む型(βアイソフォーム)がある。FGFR1-FGFR3における特に重要なことは、すべての型にはIIIaを意味するD3の前半を含む一方で、2つあるいずれかのエクソンがD3の後半であって、IIIb及びIIIc型となる。FGFR2の場合、これらはそれぞれFGFR2IIIb及びFGFR2IIIc(または、FGFR2b及びFGFR2c)を意味し、対応するベータ型は、FGFR2(ベータ)IIIb及びFGFR2(ベータ)IIIcを意味する。FGFR2のFGFR2IIIb型 (または、K-sam-IIと表す{Swiss-Protは、これをK-sam-IIC1?と称する})(Swiss-Prot P21802-18を参照)は、FGF1及びKGFの高親和性受容体であるが、FGFR2IIIc(または、K-sam-Iと表す)(Swiss-Prot P21820-5を参照)は、FGF1及びFGF2とよく結合するが、KGFとは結合しない(Miki et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:246, 1992)。実際、FGFR2IIIbは、KGFの唯一の受容体であることから(Ornitz et al., 1996, op. cit.)、KGFRとも称される。

FGFR及びそれらのアイソフォームは、様々な組織において異なる発現をする。特に、FGFR2IIIb(及びFGFR1とFGFR3のIIIb型)は、上皮組織において発現する一方で、FGFRIIIcは間葉組織において発現する(Duan et aI., J. BioI. Chem. 267:16076,1992; Ornitz et al., 1996, op. cit.)。これらの受容体に対するある種のFGFリガンドは、逆パターンの発現を示す。このように、FGF7(KGF)を含むFGF3サブファミリーのメンバーは、FGFRIIIbのみと結合し(Zhang et al., op. cit.)、間葉組織において発現することから、上皮細胞のパラクリンエフェクターであるかもしれない(Ornitz et al., 1996, op. cit.)。反対に、FGF4サブファミリーのメンバーであるFGF4-6は、FGFR2IIIcと結合し、上皮及び間葉系統の両方において発現することから、オートクリン又はパラクリン機能を有するかもしれない。FGFR2のアイソフォームとそれらのリガンドの発現パターンに関しては、FGFR2が、上皮-間葉相互作用の役割を担うため(Finch et al., Dev. Dyn. 203: 223, 1995)、マウスのFGFR2IIIbのノックアウトが重篤な胚異常及び致死率に至ることは驚くべきことではない(De Moerlooze et al., Development 127:483, 2000)。

高い親和性でFGFR1-4と結合することに加えて、FGFは、より低い親和性でヘパリン硫酸塩プロテオグリカン(HSPG)と結合する。実際、細胞表面上のヘパリン/ヘパリン硫酸塩(HS)にFGFが結合するためには、FGFRを通るシグナルを必要とする。FGF (特にFGF2)とFGFR及びヘパリンとの相互作用は、X線結晶学及び変異解析によって広く研究され、今日では、ヘパリン/HSは対称形の2:2のFGF-FGFRダイマーの形成に関与し(Mohammadi et al., 2005)、受容体の活性化、自己リン酸化及びシグナル伝達を誘導すると考えられている。

FGFは、増殖、遊走及び分化(特に胚発生の間)を含む様々な細胞のタイプにおける様々な反応を仲介し(Ornitz et al., op. cit.)、成体においては、組織の恒常性及び修復に関与している。例えば、FGF2は、繊維芽細胞及び内皮細胞を含む特定の細胞の増殖を刺激し(即ち、分裂促進的であり)、特定の細胞(例:神経細胞)の抗アポトーシス的生存因子である。FGF2は、内皮細胞の分化(形態形成)及び遊走(運動性)を刺激する(Dow et al., Urology 55:800, 2000)。いくつかのFGF(特にFGF1及びFGF2)は、強な血管新生因子である(Presta et al., Cytokine and Growth Factor Rev. 16:159, 2005)。

頭蓋骨癒合症症候群(頭蓋縫合の早期融合)を含むヒト先天性骨疾患と関係する、FGFR1-3における多数の変異の発見によって、発達におけるFGFシステムの重要性が増している(Wilkie et al., Cytokine Growth Factor Revs 16:187, 2005)。これらの遺伝病が、通常優位であるのは、関連する変異が機能の獲得につながる(多くの場合、受容体の二量体化を促進することによる)ためである。特に、重篤な頭蓋骨癒合障害アペール症候群(AS)は、リガンド結合の親和性を増加させる、FGFR2の保存的なD2-D3リンカー領域における2つの変異のうちの1つ(Ser-252 ->Trp又はPro-253 -> Arg)と関係している(Ibrahimi et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 98:7182, 2001)。

FGF2及び他のFGFは、直接、血管新生及び腫瘍細胞の両方を刺激することによって癌の一因になることが報告されている(Grose et al., Cytokine Growth Factor Revs. 16:179, 2005; Presta et al., op cit.)。FGFR2IIIb RNAは、多くの種類の腫瘍において発現するが(Finch et aI., J. Natl, Cancer Inst. 98:812, 2006)、その多くは、対応する正常組織における発現の結果によるものである(Orr- Urtreger et aI., Dev. BioI. 158: 475, 1993)。KGF(FGF7)及びKGFR(FGFR2IIIb)は、多くの膵臓癌において過剰発現し(Ishiwata et aI., Am. J. Pathol. 153: 213, 1998)、それらの共発現は、予後不良と相関がある(Cho et al., Am. J. Pathol. 170: 1964, 2007)。FGFR2遺伝子の体細胞変異が子宮内膜(子宮)癌腫の大きなパネルの12%で見つかり、いくつかの試験症例においては、その変異が腫瘍細胞の生存に必要であった(Dutt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105:8713, 2008)。2つの腫瘍において、FGFR2の変異がアペール症候群に関連するS252W置換と同じであることが明らかとなった。FGFR2の増幅及び過剰発現は、未分化で、びまん性タイプの胃癌と強く関係しており、特に予後不良となる。低分子化合物によるFGFR2活性の阻害は、かかる癌細胞の増殖を強く阻害する(Kunii et al., Cancer Res. 68:2340, 2008; Nakamura et al., Gastroenterol. 131 :1530, 2006)。FGFR2IIIb RNAは、16/20の上皮卵巣癌(EOC)において発現し、通常の卵巣表層の上皮においては、発現しなかった(Steele et al., Oncogene 20:5878, 2001);そして、FGFR2IIIbリガンドであるFGF1、FGF7及びFGF10は、EOC細胞株の増殖、運動性及び細胞死からの保護を誘導した(Steele et al., Growth Factors 24:45, 2006)。このことから、FGFR2IIIbが卵巣癌の悪性形質に関与する可能性が示唆されている。

FGFR2に対するモノクローナル抗体は、限られた数のものだけが報告されている。Fortinら(J. Neurosci. 25:7470、2005)は、FGFR2に対する遮断抗体を報告し、Weiら(Hybridoma 25: 115, 2006)は、KGF誘導細胞増殖を阻害した、FGFR2(即ち、KGFR)のIIIb型に特異的な2つのmAbを開発した。Yayonら(W02007/144893、2006)は、FGFR2及びFGFR3の両方に結合する阻害性mAbを開示した。R&D Systemsは、2005年以降、IIIb型を優先する、彼らのアッセイにおいて活性を中和する抗FGFR2 mAbを市場に出している。しかしながら、インビボにおけるFGFR2に対する抗体の抗腫瘍活性に関する報告はなかった。

1つの実施形態において、本発明は、マウスにおけるヒト腫瘍異種移植片の成長を阻害する、ヒト線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)に対するモノクローナル抗体(mAb)を提供する。上記mAbは、受容体の生物活性(FGF2による受容体との結合を含む)の少なくとも1つ、そして好ましくはいくつか又はすべてを阻害することができる。上記mAbは、FGFR2IIIbとFGFRIIIc型の受容体のいずれか又は両方と結合する(例:FGFR2IIIbと結合し、FGFR2IIIcとは結合しない)ことができる。好ましくは、本発明のmAbは、遺伝子工学的に操作(例:キメラ化、ヒト化又はヒト型)される。典型的な抗体は、GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23とそれらのキメラ及びヒト化型であり、これらのmAbのうちの1つと同じエピトープを有したり、結合が競合したりするmAbである。他の実施形態において、遺伝子工学的に操作された抗FGFR2抗体(例:キメラ又はヒト化GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23)を含む医薬組成物が提供される。第3の実施形態において、上記医薬組成物を患者に投与し、癌又は他の疾患、例えば胃癌、を治療する。

例証されたヒト化抗体は以下を有する:図13A(GAL-FR21)の配列由来のCDRを有するヒト化軽鎖と図13B(GAL-FR21)の配列由来のCDRを有するヒト化重鎖、又は図16A(GAL-FR22)の配列由来のCDRを有するヒト化軽鎖と図16B(GAL-FR22)の配列由来のCDRを有するヒト化重鎖。いくつかのヒト化抗体は、図13A(GAL-FR21)に示す3つの軽鎖CDRと図13B(GAL-FR21)に示す3つの重鎖CDRを有し、又は図16A(GAL-FR22)に示す3つの軽鎖CDRと図16B(GAL-FR22)に示す3つの重鎖CDRを有する。任意に、軽鎖可変領域は、図13A(HuGAL-FR21)に示す配列と少なくとも95%の配列同一性を有し、重鎖可変領域は、図13B(HuGAL-FR21)に示す配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。かかる抗体のいくつかにおいて、カバットナンバリングによる残基H27、H28、H30、H48及びH67は、図13B(GAL-FR21)に示す重鎖に対応する位置を占めている残基によって占有される。好ましいヒト化抗体は、図13A(HuGAL-FR21)に示す配列を有する軽鎖可変領域と図13B(HuGAL-FR21)に示す配列を有する重鎖可変領域を含む。

図1は、3つのIg様ドメイン(D1、D2及びD3)、膜貫通ドメイン(黒四)及び細胞内キナーゼドメインを示す、FGFR2の構造の模式図である。ヘパリン結合部位(HBS)、アシッドボックス(AB)及びIIIbあるいはIIIcの部分的なドメインが示されている。N =アミノ末端、C =カルボキシ末端。

図2は、実施例において記載されている、抗FGFR2 mAbであるGAL-FR21、GAL-FG22、GAL-FR23の特性の概要である。

図3は、FGFR2IIIbに対する、mAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23とネガティブコントロールであるmlgGの結合ELISAである。

図4は、Fcとの融合タンパク質である、FGFR2の4つの型(FGFR2IIIb、FGFR2(ベータ)IIIb、FGFR2(IIIc)及びFGFR2(ベータ)IIIc)のそれぞれに対する、mAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23とネガティブコントロールであるマウスmAb 5G8の結合ELISAである。アッセイにおいて、各mAbは、固定の濃度で用いた。

図5は、mAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23とネガティブコントロールマウスmAb 5G8の各々についての、FGFR2IIIbに対する競合結合ELISAであって、各mAbはビオチン化型である。ビオチン化されたmAbと標識されていないmAbの比率が100:1であるものを用いた。

図6は、SNU-16及びKATO III細胞上のFGFR2IIIbに対するmAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23とネガティブコントロールmAbの結合に関するフローサイトメトリーである。

図7は、FGFR2IIIc又はFGFR2IIIb(S252W)をトランスフェクトした293F細胞に結合するmAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23及びネガティブコントロールmAbのフローサイトメトリーである。

図8(A)は、mAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23による、FGFR2IIIbに対するFGF1(上方パネル)及びFGF2(下方パネル)の結合阻害を測定しているELISAアッセイである。

図8(B)は、mAb GAL-FR21及びGAL-FR22による、FGFR2IIIbに対するFGF7(上方パネル)及びFGF10(下方パネル)の結合阻害を測定しているELISAアッセイである。

図9は、PBS単独、GAL-FR21、GAL-FR23若しくはFR2bC 54.8.11(上方パネル)又はPBS、GAL-FR22若しくはFR2bC 54.8.11(下方パネル)を用いて処理したマウスにおけるSNU-16ヒト胃腫瘍異種移植片の成長を示したものである。上記mAbは、20μgを週2回、グループ当たり約5匹のマウスに投与した。

図10は、PBS単独、GAL-FR21又はGAL-FR22を用いて処理したマウスにおけるSNU-16(A、上方パネル)又はOCUM-2M(B、下方パネル)ヒト胃腫瘍異種移植片の成長を示したものである。

図11は、ヒト及びマウスFGFR2IIIbに対するGAL-FR21(上方パネル)又はGAL-FR22(下方パネル)の結合ELISAを示す。

図12は、ヒト及びカニクイザルFGFR2IIIbに対するGAL-FR21(上方パネル)又はGAL-FR22(下方パネル)の結合ELISAを示す。

図13は、HuGAL-FR21の軽鎖(A)及び重鎖(B)の成熟可変領域におけるアミノ酸配列を、マウスGAL-FR21及びヒトアクセプターV領域に合わせて示している。GAL-FR21配列中のCDRには、下線が引かれており、HuGAL-FR21配列において、マウスのアミノ酸によって置換されたアミノ酸には、二重下線が引かれている。1-文字アミノ酸コード及びカバットナンバリングシステムを軽鎖及び重鎖の両方に用いている。

図14は、完全に成熟したHuGAL-FR21抗体の軽鎖(A)及び重鎖(B)のアミノ酸配列を示す。各行の最初のアミノ酸に番号が付され、番号は連続して付されている。軽鎖においては、Ck領域の最初のアミノ酸に下線が引かれ、重鎖においては、CH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域の最初のアミノ酸に下線が引かれている。

図15は、明細書において記述した通りに実施したヒト化HuGAL-FR21及びマウスGAL-FR21 mAbとコントロールヒト抗体hlgGの競合結合である。

図16は、HuGAL-FR22の軽鎖(A)及び重鎖(B)の成熟可変領域を示し、CDRには下線を引いている。1-文字アミノ酸コード及びカバットナンバリングシステムを軽鎖及び重鎖の両方に使用している。

本発明は、FGFR2の生物活性を阻害する及び/又はマウスにおいてFGFR2発現腫瘍異種移植片の成長を阻害する抗FGFR2モノクローナル抗体(mAb)、上記mAbを含む医薬組成物、及び疾患治療のためのそれらの使用方法を提供する。

1. 抗体 抗体は、非常に大きな複合分子(〜150,000の分子量又は約1320アミノ酸)であって複雑な内部構造を有する。天然の抗体分子は、2つの同一のポリペプチド鎖対(各対は、1つの軽鎖及び1つの重鎖を有するもの)を含む。各軽鎖及び重鎖は、2つの領域(標的抗原との結合に関係する可変(「V」)領域及び免疫系の他の要素と相互作用する定常(「C」)領域からなる。軽鎖及び重鎖の可変領域は、3次元空間的に一体となり、抗原(例:細胞表面の受容体)に結合する可変領域を形成する。各軽鎖又は重鎖の可変領域の中には、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる3つの短い断片(平均10アミノ酸の長さ)が存在する。抗体の可変ドメインにおける6つのCDR(軽鎖由来の3つと重鎖由来の3つ)は、3次元空間的に一緒に折り畳まれ、標的抗原と結合する実際の抗体結合部位を形成する。CDRの位置及び長さは、Kabat, E. et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1983, 1987により正確に定義されている。CDRに含まれない可変領域の部分は、フレームワークと呼ばれ、CDRのための環境を形成する。

ヒト化抗体は、遺伝子工学的に操作された抗体であって、マウス抗体(「ドナー抗体」であって、ラット、ハムスター又は他のヒト以外の種であってもよい)由来のCDRがヒト抗体(「アクセプター抗体」)へ移植されたものである。アクセプター抗体の配列は、例えば、成熟ヒト抗体の配列、ヒト抗体配列の共通配列、又は生殖系領域の配列であってもよい。従って、ヒト化抗体は、ドナー抗体由来のCDRとヒト抗体由来の可変領域のフレームワーク及び定常領域を有する抗体である。加えて、高い結合親和性を保持するために、2つの追加構造要素のうちの少なくとも1つが採用可能である。米国特許番号第5,530,101及び5,585,089(参照し、引用によってここに組み込まれる)は、ヒト化抗体の構築に関する詳細な指示を提供している。ヒト化抗体は、多くの場合マウス抗体由来の全部で6つのCDR(好ましくは、カバットにより定義されるものであるが、あるいは他の定義(例:コチア(Chothia))によるものである)が組込まれるが、マウス抗体由来の完全なCDRより少ないものによって、作製することもできる(例:Pascalis et al., J. Immunol. 169:3076, 2002); Vajdos et al., Journal of Molecular Biology, 320: 415-428 (2002); Iwahashi et al., Mol. Immunol. 36:1079- 1091, (1999); Tamura et aI, Journal of Immunology, 164:1432-1441 (2000)。

同様に、CDRの一部(即ち、結合に必要なCDR残基のサブセット。SDRと称される。)だけをヒト化抗体に組込むことを必要としてもよい。抗原に接触せず、SDR中にないCDR残基は、以前の研究(例:CDRH2の残基H60-H65は、必要とされない場合が多い。)に基づいたり、コチア超可変ループ(Chothia, J. Mol. BioI. 196: 901, 1987)の外側に位置するカバットCDRの領域からであったり、分子モデリング及び/又は経験によったり、又はGonzales et al., Mol. Immunol. 41: 863, 2004中の記述によったりして同定することができる。1以上のドナーCDR残基が欠損している位置を有するヒト化抗体において、上記位置を占有しているアミノ酸は、アクセプター抗体配列中の(カバットナンバリングによる)対応する位置を占有しているアミノ酸であってもよい。含まれる置換の数は、互いに競合する、考慮すべき複数の事項のバランスを反映する。かかる置換は、ヒト化抗体中に存在するマウスアミノ酸の数を減少させ、その結果、潜在的な免疫原性を減少させる点で、潜在的に有利である。しかしながら、置換は親和性の変化を引き起こす場合があり、親和性の著しい減少は、回避することが好ましい。CDR中における置換の位置及び置換するアミノ酸も、経験的に選択できる。

従って、典型的には、ヒト化抗体は、(i)マウス抗体(例:GAL-FR21)由来のCDR(多くの場合3つのCDR)、ヒト可変領域フレームワーク及びヒト定常領域を含む軽鎖;及び(ii)マウス抗体(例:GAL-FR21)由来のCDR(多くの場合3つのCDR)、ヒト可変領域フレームワーク及びヒト定常領域を含む重鎖を有する。軽鎖及び重鎖の可変領域フレームワークは、それぞれ、成熟ヒト抗体の配列、ヒト抗体配列の共通配列、又は生殖系領域の配列であってもよい。

第1の構造要素において、ヒト化抗体における重鎖可変領域のフレームワークは、数ある既知のヒト抗体の中からアクセプター抗体を適切に選択することによって、ドナー抗体における重鎖可変領域のフレームワークと配列同一性が最大(65%と95%の間)となるように選ばれる。第2の構造要素において、ヒト化抗体の構築の際に、ヒトアクセプター抗体のフレームワークの中(CDRの外側)において選択されたアミノ酸は、所定の規則に従って、ドナー抗体由来の対応するアミノ酸で置換される。具体的には、フレームワーク中で置換されるアミノ酸は、CDRと相互作用するこれらの能力に基づいて選択される。例えば、置換されるアミノ酸は、ドナー抗体配列中のCDRに隣接可能であったり、3次元空間において測定される、ヒト化抗体中のCDRにおける4-6オングストローム以内に隣接可能であったりする。

キメラ抗体は、マウス(又は他の齧歯動物)抗体の可変領域がヒト抗体の定常領域と結合している抗体であり、遺伝子工学による構築がよく知られている。かかる抗体は、マウス抗体の結合特異性を保持する一方で、約2/3がヒト型である。マウス、キメラ及びヒト化抗体に存在する非ヒト配列の比率から、キメラ抗体の免疫原性は、マウスとヒト化抗体との中間であることが示される。遺伝子工学的に操作された抗体の他のタイプであって、マウス抗体と比較して免疫原性が減少している可能性のあるものには、ファージディスプレイ法を使用(Dower et al., WO91/17271; McCafferty et al., WO92/001047; Winter, WO92/20791; 及び Winter, FEBS Lett. 23:92, 1998, それぞれは参照によりここに組み込まれる)したり、トランスジェニック動物を使用(Lonberg et al., WO93/12227; Kucherlapati WO91/10741, それぞれは参照によりここに組み込まれる)したりして作製されたヒト抗体が含まれる。

ここで使用する、「ヒト様」抗体という用語は、一方又は両方の鎖のうちのかなりの部分のアミノ酸配列(例:約50%以上)がヒト免疫グロブリン遺伝子を起源とするmAbのことを指す。故に、ヒト様抗体は、キメラ、ヒト化及びヒト抗体を包含するが、これらに限定はされない。ここで使用する、「免疫原性が減少している」mAbとは、ヒト患者に投与した時、マウス抗体より著しく少ない免疫原性を有すると期待されるものである。かかる抗体には、キメラ、ヒト化及びヒトmAbと、マウス抗体中の特定のアミノ酸を置換することによって作製されたmAbであってB細胞又はT細胞のエピトープ(例:露出した残基)に寄与する可能性のあるもの(Padlan, Mol. Immunol. 28:489, 1991)が含まれる。ここで使用する、「遺伝子工学的に操作された」mAbとは、遺伝子が組換えDNA技術の助けを借りて、構築されたか又は非天然環境(例:マウス中又はバクテリオファージ上のヒト遺伝子)に置かれたものである。従って、例えば、従来のハイブリドーマ技術により作製されるマウスmAbは含まれないであろう。

ヒト化抗体を設計する他の方法としては、上述の米国特許番号第5,530,101及び5,585,089号における方法(例:「スーパーヒト化(superhumanization)」(Tan et al. J. Immunol. 169: 1119, 2002、及び米国特許番号第6,881,557号を参照))又はStudnicak et al., Protein Eng. 7:805, 1994の方法と同じ結果を得るために用いることもできる。さらに、遺伝子工学的に操作され、免疫原性が減少しているmAbを生産する他の方法には、「再形成」、「ハイパーキメラ化(hyperchimerization)」、及びベニアリング(veneering)/表面再構成(resurfacing)(例えば、Vaswami et al., Annals of Allergy, Asthma and Immunology 81:105, 1998; Roguska et al. Protein Eng. 9:895, 1996と、米国特許番号第6,072,035及び5,639,641号に記述されているもの)が含まれる。

mAbのエピトープとは、その抗原中の、mAbが結合する領域である。2つの抗体のうち、一方が抗原へ結合することを競合的に阻害する(遮断する)場合、2つの抗体は同じ又は重複するエピトープと結合する。即ち、一方の抗体が1x、5x、10x、20x又は100x過剰である場合、他方の結合を、少なくとも50%、しかし好ましくは75%、90%又はさらに99%阻害する(競合結合アッセイ(例えば、Junghans et al., Cancer Res. 50:1495, 1990を参照)にて測定)。あるいは、一方の抗体の結合を低減又は排除する、抗原中における実質的に全てのアミノ酸変異が、他方の結合を低減又は排除する場合は、2つの抗体は同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を低減又は排除するいくつかのアミノ酸変異が他方の結合を低減又は排除する場合は、2つの抗体は重複するエピトープを有する。

2. 抗FGFR2抗体 結合することがFGFR2の1以上の生物活性を部分的に又は完全に阻害する場合、FGFR2に結合するモノクローナル抗体(mAb) (即ち、抗FGFR2 mAb)は、FGFR2を中和する(又は阻害する若しくはアンタゴニストである)と言える。中和抗体が阻害又は遮断可能なFGFR2の生物活性とは、1以上又は全てのFGFリガンド(例:FGF1及び/又はFGF2)と結合するFGFR2の能力である。FGFRIIIbの場合、これらのリガンドには、FGF1、FGF7(KGF)及びFGF7サブファミリーの他のメンバーであるFGF3、FGF10及びFGF22が含まれる。FGFRIIIcの場合、これらのリガンドには、FGF1及びFGF2; FGF4及びFGF4サブファミリーの他のメンバーであるFGF5及びFGF6; FGF8及びFGF8サブファミリーの他のメンバーであるFGF17及びFGF18; そして、FGF9及びFGF9サブファミリーの他のメンバーであるFGF16及びFGF20が含まれる。中和抗FGFR2 mAbによって阻害可能なFGFR2の他の重要な活性は、細胞増殖(例:上皮又は内皮細胞、繊維芽細胞、FGFR2をトランスフェクトしてあるBa/F3細胞のような細胞及び様々なヒト腫瘍細胞)を刺激することである。中和抗FGFR2 mAbによって阻害可能な他の活性とは、細胞(例:内皮細胞)の分化及び遊走の刺激であり、そして血管新生の誘導である。これらは、例えばヒト血管内皮細胞(HUVEC)の増殖又は管形成の刺激によったり、ニワトリ胚絨毛尿膜(CAM)に対して実施した際の血管の誘導によったりして測定される。通常、中和mAbは、上記リスト化したFGFのうちの1つ以上によって誘導される、これらの活性を阻害する。同様に、上記mAbは、好ましくは、FGFR2に対するFGFリガンドの結合によって刺激されるシグナル伝達経路(例:FGFR2及び下流のMAPキナーゼのリン酸化)の全部又は一部を阻害する(Dailey et al., Cytokine Growth Factor Revs 16:233, 2005)。

例えば、0.01、0.1、0.5、1、2、5、10、20又は50 g/mlの濃度における本発明の中和mAbは、実施例において記載されている方法又は従来技術として公知の方法によりアッセイされることで、FGFR2の生物学的機能を、少なくとも約50%、しかし好ましくは75%、より好ましくは90%又は95%又は更に99%、最も好ましくはほぼ100%(実質的には完全に又はFGFR2を欠いているネガティブコントロールとは区別不可能なまでに)阻害する。典型的には、阻害の度合いは、使用するFGFリガンドの量が生物活性を完全に刺激するにはちょうど十分な量である時に測定されたり、1、2若しくは5ng/ml又は0.01、0.02、0.05、0.1、0.5、1、3若しくは10g/mlである時に測定されたりする。好ましくは単剤として使用される時に、上記mAbは中和化する(即ち、生物活性を阻害する)が、任意に、阻害を得るために、2つのmAbを一緒に使用することが可能である。最も好ましくは上記mAbが、上記の生物活性のうち、1つのみならず、2、3又はいくつかを中和する。ここでの目的に関しては、単剤として使用する抗FGFR2 mAbが、FGFR2のすべての生物活性を中和することを「完全に中和する」と言え、このようなmAbが最も好ましい。

本発明は、中和mAbを提供するものであって、上記中和mAbは、FGFR2IIIbと結合するが、FGFRIIIcとはあまり結合しない若しくは検出可能な程度までは結合しない、又は代わりにFGFRIIIcと結合するが、FGFR2IIIbとはあまり結合しない若しくは検出可能な程度までは結合しない、又は第3の選択肢として上記中和mAbは、FGFR2IIIbとFGFR2IIIcの両方に結合する。そして、本発明は、医薬組成物、特に癌又は他の疾患治療用の医薬組成物中において、これらの種類の抗体のいずれかの使用を提供する。本発明は、mAb(中和又は非中和のいずれかのもの)を提供するものであって、上記mAbは、1以上のFGFR2の型と結合し、FGFR2を発現する腫瘍異種移植片(例えば、SNU-16又はOCUM-2M異種移植片)の成長を、好ましくは完全に阻害する。かかるmAbは、例えば、FGFR2を通じて負の成長シグナル又はプロアポトーシス性のシグナルを送ることによって、腫瘍成長を阻害する可能性がある。本発明のmAbは、好ましくはFGFR2に特異的である又は優先してそれに結合する、即ちFGFR2 (例:他のFGF受容体であるFGFR1、FGFR3及びFGFR4や他の膜受容体チロシンキナーゼ)に関連するタンパク質とは結合しない、又はより小さい程度(例:少なくとも10倍より小さい程度)で結合する。他方で、いくつかの事例においては、FGFR2に加えて、1以上の他のFGF受容体と結合するmAbが、好ましい。本発明のmAbは、典型的には、少なくとも107 M-1、しかし好ましくは108 M-1以上、そして最も好ましくは109 M-1以上又は更に1010 M-1以上の、FGFR2に対する結合親和性(会合定数Ka)を有する。他のものよりもFGFR又はFGFR2の1つの型に対して異なる結合又は優先的な結合を示すmAbは、好ましくは型と型との間に少なくとも5、10又は100倍の優先度を示す。これらは、例えばKaによって測定される。抗体と抗原との間の結合の欠損(即ち、抗体が抗原と結合しないこと)とは、両者の間で試みられた結合反応由来のいかなるシグナルも、ネガティブコントロール(例:抗体又は抗原が無いもの又は不活性物質と置換えたもの)由来のものと区別がつかないことを意味する。

本発明にかかるいくつかのmAbは、ヒトFGFR2及びマウスFGFR2の両方と結合したり、ヒトFGFR2や、1つ、2つ又はそれ以上又は全てのマウス、ラット、ラビット、チキン、イヌ及び/又はサル(例:カニクイザル)FGFR2と結合したりする。ある場合においては、上記mAbは、ヒトFGFR2に対する親和性の2、10又は100倍以内の親和性(即ち、Ka)でマウスFGFR2(例:マウスFGFR2IIIb)と結合する;同様に、上記mAbは、ヒトFGFR2に対する親和性の2、10若しくは100倍以内の親和性又はヒトFGFR2に対する結合より実質的に同じか又は区別できない(即ち、実験誤差以内の)親和性でカニクイザル及び/又はチンパンジーFGFR2(例:FGFR2IIIb)と結合するかもしれない。他のmAbは、ヒトFGFR2だけに特異的である。

本発明のmAbは、天然4量体(2つの軽鎖及び2つの重鎖)の抗FGFR2抗体を含み、既知のアイソフォームIgG、IgA、IgM、IgD及びIgE及びそれらのサブタイプ(即ち、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4並びにマウスIgG1、IgG2a、IgG2b、及びIgG3)のいずれであってもよい。本発明のmAbには、抗体の断片(例:Fv、Fab及びF(ab')2)、二機能性ハイブリッド抗体(例:Lanzavecchia et al., Eur. J. Immunol. 17:105, 1987)、単鎖抗体(Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879, 1988; Bird et al., Science 242:423, 1988)、単一アームの抗体(Nguyen et al., Cancer Gene Ther. 10:840, 2003)、及び定常領域を変更した抗体(例:米国特許第5,624,821号)も含まれる。mAbは、動物(例:マウス、ラット、ハムスター又はチキン)起源であってもよく、遺伝子工学的に操作されたものであってもよい。齧歯動物のmAbは、標準的な方法によって作製される。この方法には、i.p.、i.v.又は足蹠内への、適当なアジュバント中に存在するFGF2を用いた多重免疫の後に、脾臓又はリンパ節細胞を抽出し、適切な不死化細胞株と融合させ、FGF2に結合する抗体を生産するハイブリドーマを選別することが含まれる(例として実施例を参照)。上記の技術的に公知の方法によって作製されたキメラ及びヒト化mAbは、本発明の好ましい実施形態である。例えば、ファージディスプレイ又はトランスジェニックマウス法によって作製されたヒト抗体も好適である(例:上記Dower et al., McCafferty et al., Winter, Lonberg et al., Kucherlapatiを参照)。

後述する抗FGFR2 mAb であるGAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23は、本発明の例示である。FGFR2を中和する、ここに記載される所望の特性を有する単一で原型的な抗ヒトFGFR2 mAb(例:GAL-F21)が一度単離されると、既知の方法を用いて、類似の特性(例:同じエピトープを有すること)を有する他のmAbを生成することは容易である。例えば、上記の通りハイブリドーマを作製し、FGFR2との結合に対して原型的なmAbと競合する能力に関するスクリーニングによりmAbを得る目的で、マウスをFGFR2にて免疫してもよい。原型的なmAbが結合するエピトープを含むより小さいFGFR2断片を用いて、マウスを免疫化してもよい。エピトープは、例えば、FGFR2に渡っている一連の重複ペプチドに対する結合に関してスクリーニングすることにより突き止めることができる。あるいは、Jespers et al., Biotechnology 12:899, 1994に記載の方法を用いて、同じエピトープを有し、その結果、原型的なmAb(例:GAL-FR21)に類似した特性を有するmAbを選別する指針としてもよい。ファージディスプレイを用いることにより、最初に、原型的な抗体の重鎖が(好ましくはヒトの)軽鎖の集団とペアを作り、FGFR2結合mAbを選別する。そして新規な軽鎖は、(好ましくはヒトの)重鎖の集団とペアを作り、原型的なmAbと同じエピトープを有する(好ましくはヒトの)FGFR2結合mAbを選別する。あるいは、例えば、GAL-FR21の変異体は、GAL-FR21の重鎖及び軽鎖をコードしているcDNAの突然変異誘発によって得ることが可能である。

GAL-FR21、GAL-FG22又はGAL-FR23のように同じ又は重複するエピトープを有するmAb(例:各mAbとFGFR2に対する結合が競合するもの)は、本発明にかかる他の例示として提供される。GAL-FR21、GAL-FG22又はGAL-FR23のキメラ又はヒト化型は、特に好適な実施形態である。GAL-FR21、GAL-FG22又はGAL-FR23の重鎖及び/又は軽鎖可変領域のアミノ酸配列(シグナル配列を含まない配列)と90%、95%又は99%の同一性があり、その機能的特性を維持するmAb、及び/又は少数の機能的に重要でないアミノ酸置換(例:同類置換)、欠失又は挿入により区別されるmAbも本発明に含まれる。GAL-FR21、GAL-FG22又はGAL-FR23の対応するCDRに対して90%、95%又は99%又は100%の同一性がある、少なくとも1及び好ましくは6つ全てのCDRを有するmAbも含まれる。ここで、本願の他の箇所と同様に、配列同一性のパーセントは、カバットナンバリング慣習により最大限アライメントした抗体配列で決定される。アライメント後、対象の抗体領域(例:重鎖又は軽鎖の全ての成熟した可変領域)と、参照する抗体の同じ領域とを比較する場合、対象の抗体領域と参照する抗体領域との間における配列同一性のパーセントは、対象の抗体領域と参照する抗体領域の両方において同じアミノ酸によって占められる位置の数を、2つの領域においてアライメントされた位置の総数(ギャップは数に入れない)で割り、100を掛けることでパーセントに変換されるものである。

アミノ酸置換を保存的又は非保存的に分類する目的で、アミノ酸を以下のように分類してもよい:グループI(疎性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性の親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn,、gln、his、lys、arg;グループV(鎖の立体構造に影響を及ぼす残基):gly、pro;グループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。保存的置換は、同じグループにおけるアミノ酸間の置換に関係する。非保存的置換は、上記グループの内の1つのメンバーをもう一方のグループのメンバーと交換することから構成される。

本発明にかかる天然のmAbは、ハイブリドーマから生産されたものであってもよい。遺伝子工学的に操作されたmAb(例:キメラ又はヒト化mAb)は、様々な技術的に公知の方法により発現してもよい。例えば、それらの軽鎖及び重鎖V領域をコードしている遺伝子は、重複するオリゴヌクレオチドから合成してもよく、必要な調節領域(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリA部位等)を提供する発現ベクター(例:Invitrogenから市販されているもの)に、利用可能なC領域と共に挿入してもよい。CMVプロモーター—エンハンサーの使用が好適である。発現ベクターは、様々な周知の方法(例:リポフェクション又は電気穿孔法)を用いて、様々な哺乳類の細胞株(例:CHO又はSp2/0及びNS0を含む非生産性骨髄腫)、及び適切な抗生物質による選別により選択された抗体発現細胞へトランスフェクトしてもよい。米国特許第5,530,101号を参照。より大きな量の抗体は、市販のバイオリアクターにおいての生育させた細胞によって生産してもよい。

一度発現させると、本発明のmAb又は他の抗体は、標準的な技術的方法(例:精密濾過法、限外濾過法、プロテインA又はGアフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー及び/又は有機染料又はその他に基づくアフィニティークロマトグラフィー)に従って精製してもよい。少なくとも約90又は95% w/w の同質性を有する実質的に純粋な抗体が、好適であり、製薬用途のためには、98%又は99% w/w 又はそれ以上の同質性が、最も好適である。

3. 処理法 本発明は、本発明にかかるmAb(例:抗FGF2 MAb)を、疾患を患っている患者に投与(治療処置)又は疾患の発症若しくは再発の危険がある患者に投与(予防処置)する治療法を提供する。「患者」という用語には、ヒトの患者、獣医学的な患者(例:ネコ、イヌ及びウマ)、家畜(例:ウシ、ヒツジ及びブタ)、及び試験目的で使用する実験動物(例:マウス及びラット)が含まれる。上記方法は、特にヒト患者の治療に適している。ヒト患者を治療する方法において使用するmAbは、ヒトFGFR2タンパク質(GenBankのLocus AF487553により提供される配列)に結合する。本開示において参照する、他のFGFR又はFGFに関する引用は、背景の節において提供される。ヒトタンパク質に対するmAbは、種ホモログがヒトタンパク質と抗原交差反応性を有する他の種においても使用することができる。かかる交差反応性を欠いている種においては、抗体は、その種に存在する種ホモログに対して適切な特異性で使用される。しかしながら、実験動物での異種移植実験においては、異種移植片により発現されるヒトタンパク質に対して特異性を有するmAbが、通常使用される。

好ましい実施形態として、本発明は、ここに記載されている抗体を含む医薬製剤を提供する。医薬製剤は、生理的に許容可能な担体中にmAbが含まれる。この製剤は、任意に、賦形剤又は安定剤を有し、凍結乾燥又は水性溶液の形態である。許容可能な担体、賦形剤又は安定剤は、採用する投与量及び濃度においては受益者に対して毒性が無いものであり、それには、緩衝液(例:典型的にはpH 5.0〜8.0、最も多くの場合はpH6.0〜7.0のリン酸塩、クエン酸塩又は酢酸塩)、塩(例:等張にするための塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、抗酸化剤、防腐剤、低分子量のポリペプチド、タンパク質、親水性ポリマー(例:ポリソルベート80)、アミノ酸(例:グリシン)、炭水化物、キレート剤、糖及び当業者に公知の他の標準成分(Remington's Pharmaceutical Science 16th edition, Osol, A. Ed. 1980)が含まれる。上記mAbは、典型的には0.1-100 mg/ml(例:1-10 mg/ml又は10-50 mg/mlであって、例えば、5、10、20、30、40、50又は60 mg/ml)の濃度である。

他の好ましい実施形態として、本発明は、抗FGFR2 mAb含有の医薬製剤を使用して、疾患患者を治療する方法を提供する。医薬製剤中に調製されたmAbは、任意の適切なルート、特に静脈内投与又はボーラス投与による非経口ルート、筋肉内ルート又は皮下的なルートによって、患者に投与することが可能である。静脈内投与は、少なくとも15分間に渡って、しかしより多くの場合30分間に渡って、又は1、2若しくは更に3時間に渡って投与可能である。mAbは、直接疾患部位(例:腫瘍)に注入することも可能であり、又は担体となる薬剤(例:リポソーム)にカプセル化することも可能である。与える用量は、治療中の状態を少なくとも部分的に軽減するのに十分な量(「治療的に有効な用量」)であり、任意に0.1〜5 mg/kg(体重あたり)で、例えば1、2、3又は4 mg/kgであるが、0.1又は1〜10 mg/kgという多くの量であってもよく又は更に1〜15、20又は30 mg/kgのいずれであってもよい。一定の単位投与量(例:100、200、500、1000又は2000 mg)で投与してもよく、又はこれらの用量は、患者の表面積(例:1000 mg/m2)に基づいてもよい。通常、1〜8用量(例:1、2、3、4、5、6、7又は8)が癌治療のために投与されるが、10、20又はそれ以上の用量が投与されてもよい。mAbは、毎日、週2回、毎週、隔週、又は毎月投与してもよい。また、例えばmAbの半減期に依存する若干の他の間隔(例:1週間、2週間、4週間、8週間、3-6ヵ月間又はそれ以上)で投与してもよい。長期投与のような、治療の繰り返しコースも可能である。

治療中の患者が患っている疾患を、少なくとも部分的に軽減する効果的な用量、投与頻度及び投与ルートの組み合わせは、治療的に有効な投与計画と言える。患者における疾患の発症を阻害又は遅延させる効果的な用量、投与頻度及び投与ルートの組み合わせは、予防的に有効な投与計画と言える。

本発明の抗FGFR2mAbを用いる治療に対して特に影響を受けやすい疾患には、血管新生が必要であると考えられていたり、FGFR2及び/又はあるFGFのレベルが検出可能であること、好ましくはレベルの上昇と関係していると考えられていたりする固形腫瘍(例:卵巣癌、子宮内膜癌、乳癌、肺癌(小細胞又は非小細胞)、大腸癌、前立腺癌、子宮頸癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、肝細胞腫(肝癌)、腎癌(腎臓癌)、頭頚部腫瘍、中皮腫、黒色腫、肉腫及び脳腫瘍(例:グリア芽細胞腫のようなグリオーマ))が含まれる。レベルの上昇は、癌組織におけるタンパク質又はmRNAレベルであって、FGFR2(例:FGFR2IIIb)又はFGF(例:FGF2、FGF7又はFGF10)の比較可能なレベルにあるものを、正常組織(非癌組織と同等の組織、好ましくは同じ患者由来の組織)におけるそれぞれのFGFR2又はFGFの比較可能なレベルのものと比較することによって測定することが可能である。検出可能なレベルも同様に、癌組織におけるタンパク質又はmRNAレベルを測定し、コントロールサンプル(分析物(例:FGFR2又はFGF)には不存在のもの)又はネガティブコントロール(分析物又は分析物をコードしている核酸に結合しないことが知られている抗体、プライマー又はプローブを用いて検出を行うもの)における背景レベルと比較することで測定可能である。白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫及び他の造血器腫瘍(特にFGFR2及び/又はFGFの発現増強を伴うこれらの癌のうちのいずれか)は、抗FGFR2 mAbを用いる治療の影響を受けやすい。本発明の抗FGFR2 mAbを用いる治療に関する、血管新生と関連した他の疾患には、年齢関連性黄斑部変性(AMD)、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障及び目に関する他の病気;乾癬及び皮膚に関する他の病気;慢性関節リウマチ;そして、上記FGFR2の変異と関連した遺伝的な骨格の障害(例:アペール症候群)が含まれる。

好ましい実施形態として、抗FGFR2 mAbは、他の治療法と組み合わせて(即ち、他の治療法と一緒に、言い換えると他の治療法の前、間又は後に)投与される。例えば、癌治療のために、抗FGFR2 mAbは、既知の化学療法薬、例えばアルキル化剤(例:カルマスティン、クロラムブシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン及びシクロホスファミド);代謝拮抗薬(例:フルオロウラシル、フロキシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、メトトレキセート及びヒドロキシウレア);植物アルカロイド及び抗生物質(例:ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エトポシド、マイトマイシン、ミトキサントロン、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びタキソール(パクリタキセル)又は関連化合物(例:タキソテール(登録商標))を含む天然物;トポイソメラーゼ1阻害イリノテカン;テモゾロマイド及びグリアデル(登録商標)ウェハースであってカルマスティンを含有しているものを含む、脳腫瘍のために特に承認される薬剤;そしてチロシンキナーゼ阻害剤(例:グリベック(登録商標)、スーテント(登録商標) (リンゴ酸スニチニブ)、ネクサバール(登録商標) (ソラフェニブ)及びタルセバ(登録商標) (エルロチニブ)又はイレッサ(登録商標) (ゲフィチニブ));血管新生阻害剤;並びにすべての承認された抗癌剤及び試験的な抗癌剤であって、WO 2005/017107 A2(参照よりここに組み込まれる)に一覧として表示されているものの内、任意の1つ以上と共にも投与してもよい。抗FGFR2 mAbは、標準化学療法の投与計画で使用する1、2、3又はそれ以上のこれらの他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。通常、他の薬剤とは、治療している癌の特定のタイプに対して効果的であることが既知の物である。抗FGFR2 mAbは、化学療法薬に対する耐性に打ち勝ち、これによりそれらの効果を増加させることに特に役立つ。

癌治療のために抗FGFR2 mAbと投与ができる他の薬剤には、モノクローナル抗体(例:HER2抗原に対するハーセプチンTM;VEGFに対するアバスチン(登録商標)を含む);又は上皮増殖因子(EGF)受容体(例:アービタックス(登録商標) (セツキシマブ)及びベクチビックス(登録商標) (パニツムマブ))に対する抗体のような生物製剤が含まれる。肝細胞増殖因子(HGF)に対する抗体は、抗FGFR2 mAbと共に使用することが特に好ましい。上記抗FGFR2 mAbには、mAb L2G7 (Kim et al., Clin Cancer Res 12:1292, 2006 及び米国特許番号第7,220,410号)及び特にそのキメラ及びヒト化型(例:HuL2G7(WO 07115049 A2);WO 2005/017107 A2(特に2.12.1)に記載のヒト抗HGF mAb;そしてWO 07143090 A2又はWO 07143098 A2に記載のHGF結合タンパク質;そして、上述したmAbのいずれかと結合が競合するその他の中和抗HGF mAbが含まれる。HGFのcMet受容体と結合するmAbも、好適である(例:抗cMet mAb OA-5D5(Martens et al., Clin. Cancer Res. 12:6144, 2006)であって、遺伝子工学的に操作され、たった1つの「アーム」(即ち、結合ドメイン)を有するもの)。他のFGFR受容体であるFGFR1、3、4に対する抗体又は様々なFGF(例:FGF1、FGF2及びFGF7)に対する抗体を抗FGFR2 mAbと組合せて使用することも好ましい。更に、抗FGFR2 mAbは、いかなる形態の手術及び/又は放射線療法(外照射療法、強度変調放射線治療(IMRT)及びいかなる形態の放射線手術(例:ガンマナイフ)を含む)と共に使用してもよい。

抗FGFR2 mAb抗体を含む治療(例:標準化学療法)は、抗FGFR2 mAbを使用しないこと以外は同じ治療(例:化学療法)と比較して、癌患者の無増悪期間の中央値又は全生存期間の中央値を少なくとも30%又は40%、しかし好ましくは50%、60%〜70%又は更に100%以上増加させることによって疾患を軽減できる可能性がある。加えて、又は、代わりに、抗FGFR2 mAbを含む治療(例:標準化学療法)は、抗FGFR2 mAbを使用しないこと以外は同じ治療(例:化学療法)と比較して、これらの腫瘍(例:卵巣、子宮内膜、脾臓、胸部、肺、結腸及びグリア芽細胞腫であって、特に再発性又は難治性の時のもの)を患っている患者の完全寛解率、部分的な寛解率又は客観的な寛解率(完全+部分的)を少なくとも30%又は40%、しかし好ましくは50%、60%〜70%又は100%上昇させる可能性がある。

典型的には、臨床試験(例:第2相、第2/3相又は第3相試験)において単独の化学療法(又はこれにプラセボを加えた療法)を受けている患者のコントロール群と比較して、抗FGF2 mAbを加えた化学療法で治療される患者における増悪期間の中央値及び/又は寛解率の、上述した増加は、例えばp = 0.05又は0.01又は更に0.001のレベルにおいて統計的に有意である。完全及び部分的な寛解率は、癌の臨床試験において、一般的に用いられる客観的基準(例:国立癌研究所及び/又は食品医薬品局によって、リスト化されるか又は承認されるようなもの)で測定される。

4. 他の方法 本発明の抗FGFR2 mAbは、診断、予防及び検査方法での使用も見いだせる。これらを用いて腫瘍患者の腫瘍又は循環器系におけるFGFR2のレベルを測定してもよく、その結果、腫瘍治療の経過観察や指針としてもよい。例えば、高レベルのFGFR2(例:同じ患者由来の非癌サンプルと同等の組織と比較して増加するもの)を伴う腫瘍は、特に抗FGFR2 mAbを有する治療に対して影響を受けやすい。特定の実施態様において、mAbは、ELISA又はラジオイムノアッセイにおいて使用し、FGFR2のレベル(例:血清中のレベル)を測定したり、免疫組織化学において使用し、FGFR2の発現場所(例:腫瘍生検材料中の場所)を突き止めたりすることが可能である。異なるエピトープに結合する(即ち、結合が競合しない)2つの抗FGFR2 mAbの使用は、FGFR2を検出するための、感度が高い「サンドイッチ」ELISAを開発することに特に役立つ。様々なアッセイのために、mAbを蛍光分子、スピン標識分子、酵素又は放射性同位元素で標識してもよく、FGFR2アッセイを実行するための、必要な試薬の全てを有するキットの形で提供してもよい。他の用途において、抗FGFR2 mAbは、例えば、アフィニティークロマトグラフィーにより、FGFR2を精製するために使用される。

実施例1:試薬及びアッセイ Flag-FGF1、FLAG-FGF2及びFLAG-FGF7の調製 ヒトFGF1(155個のアミノ酸を有する型;Chiu et al., Oncogene 5:755-1990)及びヒトFGF2(155個のアミノ酸を有する型;Sommer et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 144: 543, 1987)のDNA配列を合成(GenScript, Inc)し、そしてPCRによりN末端にFlagペプチドタグを有するように増幅し、標準分子生物学技術を用いてpETベクター(Invitrogen)の誘導体にクローンした。これらのプラスミドをE.coli BL21(DE3)細胞に形質転換し、1mMのIPTGを使用してFGF1又はFGF2発現を誘導した。FGFの発現レベルは、FGF1又はFGF2特異的ELISAキット(R&D Systems)を使用して測定した。FGFは、Wiedlocha et al., Mol. Cell. Biol., 16:270, 1996に記載されているように、ヘパリン-セファロースCL-6Bビーズ(Amersham Biosciences)を使用して精製した。同様に、ヒトFGF7(194個のアミノ酸を有する前駆体型;Finch, P.W. et al., Science 245:752, 1989)の遺伝子を合成し、PCRによりpCMVベクター(pDriveの誘導体;Invitrogen)中においてN末端にFlagタグを有するように増幅した。そして、Flag-FGF10も同様に作製した。プラスミドDNAをヒト293F細胞にトランスフェクションした。トランスフェクションした293F細胞の培養上清をリガンド-受容体結合アッセイのために用いた。

FGFR2融合タンパクの調製 ヒトFGFR2IIIb及びヒトFGFR2IIIcの細胞外ドメイン(ECD)をイムノアドヘシン分子として発現させた。アルファ型に関しては、FGFR2IIIb(アミノ酸1-378)又はFGFR2IIIc(アミノ酸1-377)の完全なECDをコードしているDNA断片を、ポリペチドリンカーを介してヒトFc(残基216〜446)に融合し;ベータ型(D1が欠如している)に関しては、アミノ酸152-378のFGFR2(ベータ)IIIb及びアミノ酸152-377のFGFR2(ベータ)IIIcを代わりに用いた。これらのFGFR2-Fc分子は、以下手順によって発現させた:293F細胞にトランスフェクトし、そしてG418(1mg/ml)含有293発現培地(Invitrogen)において、安定した形質導入体を選別した。293Fトランスフェクト細胞から分泌されたFGFR2-Fcは、プロテインA/Gカラムを使用して精製した。同様に、カニクイザル(cyno)サルFGFR2 ECDのcDNAは、cyno肝臓mRNAから標準的な方法によってクローンし、そしてアミノ酸1-378をヒトFcに融合して、発現用cynoFGFR2IIIb-Fcを作製した。チンパンジーFGFR2IIIb-Fcは、インビトロにおける突然変異生成を用いて、ヒトFGFR2IIIb ECD中の1つのアミノ酸であって、チンパンジーFGFR2IIIbとは異なるものをチンパンジーアミノ酸に(GenBankにおける既知の配列に基づいて、残基186のメチオニンをスレオニンに)変換し、構築した。マウスFGFR2(ベータ)IIIb-Fcタンパク質は、R&D Systems(カタログ# 708-MF)から購入した。

FGFR2融合タンパクに結合するmAb用ELISAアッセイ ELISAプレートを、4℃で一晩、ヤギ抗ヒトIgG-Fc(2 μg/ml)でコートした。そして、非特異的結合部位は、RTで1時間、2%BSAでブロックした。プレートを上記FGFR2融合タンパクのうちの1つ(1 μg/ml)と共に1時間インキュベートした。その後、様々な濃度のmAb又はハイブリドーマ培養液で1時間インキュベートした。結合したmAbは、HRP-ヤギ抗マウス抗体を用いて検出した。この検出は、洗浄し、TMB基質(Sigma)を添加し、そして450nmを読み取ることで行った。すべてのELISAアッセイにおいて、プレートは、各ステップとステップの間で3回洗浄した。

フローサイトメトリー 細胞選別バッファー(CSB: PBS/1%FBS/0.02%NaN3)を用いて2度洗浄した後、2×105細胞をマイクロタイターウェル中において50μl CSBに再懸濁し、50μlの抗FGFR2 mAbと共にインキュベートし、氷上で1時間試験(1 μg/50μl)した。細胞をCSBで2回洗浄し、結合した抗体を、氷上で1時間、FITC-ヤギ抗マウスIgG(Jackson ImmunoResearch Laboratories)と共にインキュベートすることによって検出した。CSBで2度洗浄した後、細胞をFACScan(Becton Dickinson)で分析した。

実施例2: FGFR2に対するモノクローナル抗体の生成 Balb/cマウス(5-6週齢のメス)は、その後部足蹠に対して、1週間間隔で、20若しくは22回のFGFR2(ベータ)IIIb-Fc(初期量10μg/足蹠、以後5μg/足蹠)投与を、又は17回のFGFR2IIIc-Fcの投与(初期量10μg/足蹠、その後2μgで5回投与、以後5μg)に続き、5回のFGFR2(ベータ)IIIc-Fcの投与(5μg/足蹠)を、MPL/TDM (Sigma-Aldrich)に懸濁された抗原として注射することによって免疫化した。最後の注射の3日後、膝窩のリンパ系細胞を抽出し、ハイブリミューンエレクトロフュージョンシステム(Cyto Pulse Sciences)を使用して1:1の比率で、P3/X63-Ag8U1マウスミエローマ細胞と融和した。ハイブリドーマに2x HAT(Sigma)を添加し、24時間後に選別した。融合の10日後、ハイブリドーマの培養上清を用いて、FGFR2IIIb-Fcには結合するが、ヒトIgGには結合しない能力に関してスクリーニング(ELISAを使用)した。選別されたmAbを用いて、ヒト胃腫瘍細胞株SNU-16(Shin et al, J. Cancer Res. Clin. Oncol. 126: 519, 2000)上のFGFR2IIIbを認識する能力に関してスクリーニングした。選別されたハイブリドーマは、限界希釈法を用いて、2度クローン化した。このようにして選別された3つのmAbは、第1の免疫化措置由来のGAL-FR21及びGAL-FR22と、第2の免疫化措置由来のGAL-FR23であった。更に後述するように、これらのmAbの特性は図2に示される。

加えて、他の抗FGFR2 mAbの多くは、複数の融合体(FR2bB 100.12.9、FR2bC 54.8.11、FR2bC 100.7.9、FR2bC 101.8.2、FR2bC 115.1.5、FR2bC 149.8.8、FR2bB 11.5.3及びFR2bB 18.1.6を含む)から得られた。

実施例3: 抗FGFR2 mAbの特性 図3に示されるように、選別された3つ全てのmAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23は、実施例1に記載されているELISAアッセイにおいて、FGFR2IIIbとよく結合する。ELISAにおいてFGFR2-Fcの4つの異なる型を用いることによって、これらのmAbの各々は、異なる結合パターンを示すことから、異なるエピトープを有することが測定された(図4)。GAL-FR21は、FGFR2IIIbのアルファ及びベータ型(即ち、D1を有するもの及び有さないもの)の両方には結合するが、FGFRIIIcには結合しない。従って、上記エピトープは、D1には含まれず、D3IIIbに含まれるに違いない。故に、上記エピトープは、D3IIIb又はD3中に含まれる可能性がある。GAL-FR22もアルファ及びベータ型に結合するが、IIIbとIIIcの両方の構成には結合しないため、上記エピトープは、おそらくD2-D3IIIa又は確実にD2-D3に含まれる。最後に、GAL-FR23は、ベータ型のいずれにも結合しないので、そのエピトープは、完全又は部分的にD1に存在していなければならない。従って、D1又はD2-D3又はD3のいずれかにエピトープを有するmAbは、本発明に含まれる。

mAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23が異なるエピトープに結合することを確認するために、上記ELISAアッセイ(しかし、検出試薬であるHRP-ストレプトアビジンを含むアッセイ)において、各mAbをビオチン化した。0.4μgのビオチン化されたmAbと100:1の過剰な他の各非標識mAb(又は、コントロールマウスmAb 5G8)とを用いて、FGFR2IIIb-Fcに対する結合を競合させた。図5に示されるように、各mAbは、自身とは結合が競合するが、他のmAbとは競合しないことから、これらは、異なるエピトープを有することが示される。加えて、他のmAbである FR2bB 100.12.9、FR2bC 54.8.11、FR2bC 100.7.9、FR2bC 101.8.2、Fr2bC 115.1.5、FR2bC 149.8.8は、このアッセイにおいてビオチン化されたGAL-FR21と結合が競合したことから、GAL-FR21と同じ又は重複するエピトープを有する。その一方で、mAb FR2bB 11.5.3及びFR2bB 18.1.6は、ビオチン化されたGAL-FR22と結合が競合したことから、GAL-FR22と同じ又は重複するエピトープを有する。

選別されたmAbが細胞膜上のFGFR2の適当な型に結合することを確認するために、フローサイトメトリーを行った。KATO-III(ATCC HTB-103)及びSNU-16(ATCC CRL-5974)細胞であって、FGFR2IIIbを過剰発現している細胞を用いて、その型の受容体に対する結合試験を行った。図6に示されるように、3つ全てのmAb GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23が、両方の細胞株と結合することは、上記のそれらのエピトープから予想される通りである。いずれのmAbも宿主である293F細胞自体に結合しないことを確かめた後、FGFRIIIcの遺伝子でトランスフェクトしたヒト293F細胞を用いて、その型に対する結合試験を行った。図7に示されるように、GAL-FR22及びGALFR23は、FGFRIIIb-トランスフェクト細胞には結合するがGALFR21には結合しないことは、それらのエピトープから予想される通りである。最後に、FGFR2のS252W変異体がいくつかの癌細胞において見られることから、その変異を含むように構築したFGFR2IIIb遺伝子(FGFR2IIIb(S252W))をトランスフェクトした293F細胞に対するmAbの結合試験を行った。図7にも示すように、全てのmAbは、FGFR2IIIb(S252W)-トランスフェクト細胞と結合した。FGFR2IIIb(S252W)に結合する能力は、本発明のmAbの好ましい特性である。

FGFR2に対するFGFリガンドの結合を阻害するmAbの能力を測定するために、ELISAアッセイを用いた。ELISAウェルを4℃で一晩、2μg/mlのヤギ抗ヒトIgG-Fcでコートした。2%BSAでRT、1時間のブロッキング後、ウェルを0.5μg/mlのFGFR2IIIb-Fcで1時間インキュベートし、その後、様々な濃度のmAb存在下において、1時間、Flag-FGF1又はFLAG-FGF2(0.2μg/ml)と共にインキュベートした。結合したFlag-FGF1は、HRP-抗Flag M2抗体(Sigma)を添加し、TMB基質を添加することによって検出した。図8Aから分かるように、mAb GAL-FR21は、このアッセイにおいて、FGFR2IIIbに対するFGF1の結合を弱く阻害したが、GAL-FR22及びGAL-FR23は、FGF1結合を阻害しなかった。対照的に、GAL-FR21は、FGFR2IIIbに対するFGF2の結合を強く阻害し、GAL-FR22は適度にFGF2結合を阻害したが、GAL-FR23は結合を阻害しなかった。Flag-FGF7及びFlag-FGF10を使用すること以外は同じであるアッセイにおいて、GAL-FR21及びGAL-FR22がFGFR2IIIbに対するFGF7及びFGF10の結合を阻害することも示された(図8B)。実際、GAL-FR21及びGAL-FR22のような本発明の有利なmAbは、FGFR2IIIbに対するFGF2、FGF7及びFGF10の結合を、好ましくは80%又は90%又は95%又は完全に又は本質的には完全に阻害する。従って、GAL-FR21及びGAL-FR22は、FGFR2の少なくとも一つの生物活性を中和するが、GAL-FR23は中和しないことが示される。

実施例4: 異種移植片モデル 既に述べられている(Kim et al., Nature 362:841,1993)通りに、異種移植片実験は行われる。完全DMEM培地において典型的に生育させたヒト腫瘍細胞をHBSSに回収する。メスの無胸腺ヌードマウス又はNIH-III Xid/Beige/nudマウス(4-6週齢)に、2-10×106細胞が存在する0.1mlのHBSSを背面の皮下に注射する。腫瘍サイズが50-100のmm3に達すると、マウスをランダムに分類し、5mg/kg(総量は100μg)のmAb又は若干異なる投与量のmAbを、i.p.で週2回、0.1ml量を投与する。腫瘍サイズは、[長さ(a)及び幅(b)]の2次元で測定することによって、週2回測定される。腫瘍体積は、V = ab2/2に従って計算され、平均腫瘍体積±SEMとして表される。各処理グループ中のマウスの数は、典型的にはマウス5-7匹である。統計解析は、例えば、スチューデントt検定を使用することで実行できる。

図9及び10Aは、様々な実験において、20μg(1mg/kg)の投与レベルで週2回投与したGAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23の全ては、SNU-16胃腫瘍異種移植片の成長を強く阻害し、GAL-FR21が最も強力且つ完全に異種移植片の成長を阻害することを示す。GAL-FR21と結合が競合する上記mAb FR2bC 54.8.11も、異種移植片の成長を阻害した。図10Bは、50μg(2.5mg/kg)の投与レベルで週2回投与したGAL-FR21及びGAL-FR22は、OCUM-2Mヒト胃腫瘍細胞株(Yashiro et al., Jpn J Cancer Res 85:883,1994に記載)の異種移植片の成長も強く阻害したことを示す。KATO III又は他のFGFR2発現細胞株の異種移植片を阻害するmAbの能力が、同様に示される。上記他の抗腫瘍薬剤と共に加法的又は相乗的に腫瘍成長を阻害するmAbの能力は、mAb単独、他の薬剤単独及びmAbと他の薬剤との併用を用いた、異種移植されたマウス群の治療によって示され、2つの薬剤を用いた治療の方が、いずれかの薬剤単独よりも阻害効果が強いことが示される。

実施例5: 他の種由来のFGFR2に対するmAbの結合 ヒト以外の種由来のFGFR2に結合するmAbの能力を測定するために、ELISAアッセイを用いた。ELISAウェルを、4℃で一晩、2μg/mlのヤギ抗ヒトIgG-Fcを用いてコートした。RTで1時間、2%BSAでブロッキング後、ウェルを0.2μg/mlのFGFR2IIIb-Fcと共に1時間インキュベートした。融合タンパク質中のFGFRIIIbは、ヒト、マウス、カニクイザル又はチンパンジーFGFRIIIbのいずれかであった。ウェルを、様々な濃度のGAL-FR21又はGAL-FR22 mAbと共にインキュベートした。結合したmAbは、HRP共役ヤギ抗マウスIgG-Fcを添加し、そしてTMB基質を添加することによって検出した。図11は、GAL-FR21がヒトFGFR2と結合するのとほぼ同程度に(10倍以内で)マウスFGFR2と結合する一方で、GAL-FR22がマウスFGFR2と程良く(ヒトFGFR2の約100倍以内で)結合することを示す。図12は、GAL-FR21がヒトFGFR2と結合するのと同程度に(区別ができないくらいに)カニクイザルFGFR2と結合する一方で、GAL-FR22がカニクイザルFGFR2と程良く(ヒトFGFR2の約100倍以内で)結合することを示す。チンパンジーFGFR2を用いた同様の実験から、カニクイザルFGFR2と同様の結果が得られた:GAL-FR21がヒトFGFR2と結合するのと同程度に(区別ができないくらいに)チンパンジーFGFR2と結合する一方で、GAL-FR22がチンパンジーFGFR2と程良く(ヒトFGFR2の約100倍以内で)結合することを示す。本発明の好ましいmAbは、GAL-FR21及びGAL-FR22のように、マウス、サル、チンパンジー及びヒトFGFR2の全てに結合し、最も好ましくは、ヒトFGFR2の2、10、100又は1000倍以内でマウスFGFR2と結合し、及び/又はヒトFGFR2の2、10又は100倍以内又はヒトFGFR2と区別できない程度(実験変動内)でサル及び/又はチンパンジーFGFR2と結合する。これは、例えば、Kaによって測定される。他の種のFGFR2に結合することは、それらの動物種におけるmAbの試験を実施しやすくする。

実施例6: GAL-FR21及びGAL-FR22のヒト化 GAL-FR21 mAbにおける軽鎖及び重鎖可変領域のクローニング、キメラmAbの構築及び発現、並びにヒト化GAL-FR21 mAbの設計、構築、発現及び精製は、全て分子生物学の標準方法(例:L2G7 mAbに関するUS2008019974(全ての目的は参照によりここに組み込まれる)にて説明)を使用して実施した。GAL-FR21における(成熟)軽鎖及び重鎖可変(V)領域のアミノ酸配列は、それぞれ図13A及び13Bに示され、上段にGAL-FR21が表示される。より詳しくは、ヒト化GAL-FR21 mAbを設計するために、Queen et al.(米国特許第5,530,101及び5,585,089号)の方法に、通常従った。ヒトVκ配列CAG27369及びVH配列AAB00780は、図13A及び13Bの最下段にそれぞれ示され、GAL-FR21 VL及びVH配列に対するアクセプター配列として提供するためにそれぞれ選択された。理由は、それらが特に高いフレームワーク相同性(即ち、配列同一性)をそれらに対して有するためである。GAL-FR21可変ドメインについてコンピューターが生み出した分子モデルは、潜在的にそれらと相互作用するのに十分CDRに近い、GAL-FR21フレームワーク中におけるアミノ酸の位置を決定するために用いた。ヒト化GAL-FR21軽鎖及び重鎖可変領域を設計するために、マウスGAL-FR21 mAb由来のCDRを、初めは概念的に、アクセプターフレームワーク領域に移植した。コンピューターモデルがCDRとの重要な接触を示唆したフレームワーク位置(それはCDRの立体構造を維持するために必要かもしれない)において、マウス抗体由来のアミノ酸をヒトフレームワークのアミノ酸に置換した。ヒト化GAL-FR21 mAb(HuGAL-FR21と表す。)に対しては、カバットナンバリングを使用した、重鎖の残基27、28及び30(コチア超可変ループH1中に存在する)及び48及び67において実行し、軽鎖の残基においては実行しなかった。HuGAL-FR21における軽鎖及び重鎖V領域の配列は、それぞれ図13A及び13Bに示され、中段にはHuGAL-FR21が表示され、そこではそれぞれのGAL-FR21ドナー及びヒトアクセプターV領域に対向して配置され、CDR(カバットにより定義)には下線が引かれ、上記の置換アミノ酸には二重下線が引かれている。

本発明は、図13に示す軽鎖及び重鎖V領域を含むヒト化GAL-FR21 mAbであるHuGAL-FR21だけでなく、異型ヒト化mAbも提供する。この異型ヒト化mAbは、通常はフレームワーク(CDRの可能性もある)中での、少数(例:典型的には1、2、3、5、又は10以下)の置換、欠失又は挿入により、軽鎖及び重鎖の可変領域がHuGAL-FR21の配列と異なる。特に、上記の置換のサブセットだけをアクセプターフレームワーク中に作製したり、追加の置換を作製したりすることが可能である。例えば、マウスGAL-FR21 VHアミノ酸69Lをアクセプターアミノ酸69Iに置換してもよく、及び/又はマウスアミノ酸をヒト化軽鎖中の各アミノ酸であって、カバットナンバー位置1、3及び60及び63(CDRに若干近い位置)のいずれかであるアミノ酸と置換してもよい。実際、ヒト化mAbのCDRと接触しないフレームワーク残基の多くは、ドナーマウスmAb又は他のマウス若しくはヒト抗体において対応する位置を由来とするアミノ酸での置換は適合可能であり、そして、CDRと接触する可能性のある多くの残基でさえも置換を受け入れることが可能であったり、CDR中のアミノ酸でさえも変更可能であったりする。CDR置換の1つの例は、CDR中の残基を、可変領域のフレームワークを供給するために用いるヒトアクセプター配列において対応する位置を占有している残基で置換することである。

ほとんどの場合、異型ヒト化GAL-FR21配列においてなされた置換は、置換されたHuGAL-FR21アミノ酸に対して保存的である。アミノ酸は、保存的な置換(即ち、グループ内置換)を決めるために以下の通りに分類することができる:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性の親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn,、gln、his、lys、arg;グループV(鎖の配向性に影響を及ぼす残基):gly、pro;グループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。

好ましくは、HuGAL-FR21中における置換(保存的であってもなくても)は、結合親和性又はヒト化mAbの有効性、即ち、FGFR2の生物活性を中和するその能力に対して実質的な影響を及ぼさない。その能力とは、例えば、異型ヒト化GAL-FR21 mAbについての、ここに記載のアッセイにおける一部又は全部の有効性が、HuGAL-FR21と基本的に同じ(即ち、実験誤差の範囲内)であることをいう。好ましくは、成熟異型軽鎖及び重鎖V領域の配列は、それぞれ、HuGAL-FR21成熟軽鎖及び重鎖V領域と、少なくとも90% 、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%同一である。あるいは、GAL-FR21の可変領域に対して高い配列同一性を有する他のヒト抗体可変領域も、ヒト化抗体フレームワーク、特にヒトサブグループI由来のカッパーV領域及びヒトサブグループI由来の重鎖V領域、又はこれらのサブグループの共通配列の提供に適している。

他のヒト化抗体において、例示した抗体に関して述べたドナー置換に対するアクセプターの位置(即ち、H27、H28、H30、H48、H67)のうち、少なくとも1、2、3、4、又は5つ全ての位置が、好ましくは、マウスドナー抗体の重鎖において対応する位置を占有している残基によって占められている。重鎖アクセプター配列がAAB00780以外の場合、ドナー置換に対するアクセプターは、特定の位置を占めている残基がアクセプターとドナー間で既に同一であるか否かによって、特定の可変フレームワーク領域の位置における特定の占有を必要とするとしても、必要としないとしてもよい。

ここで述べられる典型的なmAb HuGAL-FR21は、ヒトκ及びγ1定常領域を有している(例:US 2008019974に示される)ため、これはIgG1である。HuGAL-FR21の(成熟)軽鎖及び重鎖の完全配列は、図14に示される。これらの配列がそれぞれKm(3)及びG1m(3)のアロタイプである一方で、IgG1 mAbのいずれの(IgG1、κ)アロタイプもHuGAL-FR21の表示によって包含されることが理解される。HuGAL-FR21が従来の手順により製造される場合、軽鎖及び/又は重鎖のアミノ末端又はカルボキシ末端における1つ又はいくつかのアミノ酸(例:重鎖のC末端リシン)は、ある比率で又は全ての分子において欠落している又は誘導体化される可能性があり、そのような組成物であってもHuGAL-FR2の表示によって包含され、ヒト化GAL-FR21 mAbと考えられるだろう。ヒト化mAbの他のアイソタイプ(例:IgG2、IgG3及びIgG4)は、HuGAL-FR21の可変領域と適切なヒト定常領域とを組合せることによって作製することができる。置換をHuGAL-FR21定常領域に作製することで、エフェクター機能(例:補体媒介細胞毒性又はADCC(例えば、Winter et al.,米国特許第5,624,821号; Tso et al., 米国特許第5,834,597号; 及びLazar et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103:4005, 2006を参照))を減少又は増加させることが可能であり、また、ヒトにおける半減期を延長(例えば、Hinton et al., J. Biol. Chem. 279:6213, 2004を参照)させることも可能である。具体的には、しかし、限定するものではないが、IgG定常領域の位置250のGln及び/又は位置428のLeuに対して変異を有するHuGAL-FR21は、本発明の実施形態である。

HuGAL-FR21の結合親和性をマウスmAb GAL-FR21のそれと比較するために、競合結合実験を、標準ELISA法を用いて実行した。具体的には、ELISAウェルを、4℃で一晩、2μg/mlのヤギ抗ヒトIgG-Fcでコートした。RTで1時間、2%BSAでブロッキング後、ウェルを0.5μg/mlのFGFR2IIIb-Fcと共にインキュベートした。ウェルを、非標識GAL-FR21、HuGAL-FR21又はコントロールヒト抗体hIgGの濃度を増加させた状態で、ビオチン化されたGAL-FR21 mAb(0.05μg/ml)と共にインキュベートした。ビオチン化されたGAL-FR21の結合レベルは、HRP-ストレプトアビジン及び基質の添加によって測定した。図15に示すように、HuGAL-FR21とGAL-FR21は、ほぼ同等に良好な競合を示し、HuGAL-FR21がわずかに良好の可能性があることから、HuGAL-FR21のFGFR2に対する結合親和性は、少なくとも(マウス) GAL-FR21 mAbと同程度であることを示している。標識したmAbの結合を50%阻害するのに必要とされるHuGAL-FR21の濃度から、FGFR2に対するHuGAL-FR21の結合親和性Kaが少なくとも約109 M-1であると推定することができる。HuGAL-FR21は、ここで記載されているFGFR2活性に関する生物学的アッセイ(例:FGFR2に対するFGF2又はFGF7の結合の阻害)のいずれかにおいて試験してもよく、GAL-FR21と同等にFGFR2活性を阻害する。

ヒト化GAL-FR22 mAbが、HuGAL-FR22と同一又は類似の方法で設計、構築、生産及びアッセイすることが可能である。GAL-FR22の(成熟)軽鎖及び重鎖可変領域のアミノ酸配列は、それぞれ図16A及び16Bに示しており、GAL-FR22に対して線を引くことで表している。ヒト化GAL-FR22 mAbは、図16Aの配列を由来とするCDRを含むヒト化軽鎖と図16Bの配列を由来とするCDRを含むヒト化重鎖を有する。ある場合おいて、ヒト化GAL-FR22 mAbには、図16Aに示される3つの軽鎖CDR及び図16Bに示される3つの重鎖CDRが含まれる。好ましくは、ヒト化GAL-FR22 mAbは、マウスGAL-FR22 mAbの親和性の2又は3倍以内のFGFR2に関する結合親和性を有し、最も好ましくは、GAL-FR22 mAbの親和性と区別がつかない結合親和性又はより大きな結合親和性を有する。これは、例えばHuGAL-FR21及びGAL-FR21に関することで述べたような、競合ELISAによって測定される。

本発明が好ましい本実施形態に関して記載されていたにもかかわらず、様々な修正が本発明を逸脱しない範囲でなされることが可能であることを理解すべきである。もし文脈から明らかでなければ、本発明のいかなるステップ、要素、実施形態、特徴又は態様も、他のものと共に使うことができる。全ての公開公報、特許、特許出願、登録番号及び同種の引例は、同じ文脈に対する全ての目的に関して、それら全体を参照することによりここに組込まれ、あたかも、それぞれ個々の公開公報、特許、特許出願又は登録番号は、全ての目的に関して、その全体を参照することにより組込まれることが、具体的に且つ個々に示される。登録番号に関連した核酸配列又はタンパク質配列が変わる場合、2008年11月7日現在のその登録番号に関連した配列のバージョンが意図される。

ブタペスト条約の下、2008年1月8日に、モノクローナル抗体GAL-FR21、GAL-FR22及びGAL-FR23を生産しているハイブリドーマは、米国菌培養収集所、私書箱1549、マナッサ、VA 20108に、それぞれをATCC番号PTA-9586(2008年11月6日)、ATCC番号PTA-9587(2008年11月6日)及びATCC番号PTA-9408(2008年8月12日)として寄託している。これらの寄託は、公認の寄託機関に保管され、寄託機関が受け取ったサンプルに関する開放の最近の要求後少なくとも5年の期間、寄託日から少なくとも30年の期間、又は関連特許の有効期間の内、いずれか最も長い期間の間は、変異、生存不能、棄損が起きた場合取り替えてもらえるだろう。公開されたこれらの細胞株に関する入手可能性に対するすべての制限は、本願から生じる特許の発行の際に、取り除かれるであろう。

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