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Supported liquid membrane and separation process employing same

阅读:96发布:2021-07-14

专利汇可以提供Supported liquid membrane and separation process employing same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To obtain a liquid membrane for removing dissolved molecular species, particularly polar org. compounds, selectively from an aq. soln. which may contain a high conc. of inorg. salts by supporting a hydrophobic polyamphiphilic oligomeric or polymeric liquid on a hydrophobic microporous support. CONSTITUTION: A hydrophobic polyamphiphilic oligomeric or polymeric liquid is supported on a hydrophobic microporous support, to constitute a liquid membrane. The oligomeric or polymeric liquid is a hydrophobic poly (amphiphilic) compd. contg. repeated groups expressed by formula I or II (wherein Hy is a hydrophobic molecular group, X is a polar molecular group, n is a number of between 3-1,000). Then, the hydrophobic molecular group Hy is a linear or branched 3-7C alkylene group. Alternatively, the hydrophobic molecular group Hy is formula III (wherein R is a 1-4C alkyl group, 4-8C cycloalkyl group, aryl group, alkylaryl group or arylalkyl group).,下面是Supported liquid membrane and separation process employing same专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 微小細孔内に固定化されたオリゴマー又はポリマー液を包含する支持された液膜。
  • 【請求項2】 微小細孔支持体が疎水性である、請求項1記載の支持された液膜。
  • 【請求項3】 前記オリゴマー又はポリマー液が、繰り返し基 : 【化1】 (式中、Hyは疎水性分子基であり、Xは極性分子基であり、そしてn は3〜1000の間の数である)を含有する疎水性ポリ(両親和性)化合物である、請求項1記載の支持された液膜。
  • 【請求項4】 疎水性分子基(Hy)が、炭素数3〜7の線形又は枝分かれアルキレン基である、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項5】 疎水性分子基(Hy)が、式 : 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜8
    のシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項6】 極性分子基Xが、エーテル結合(−O
    −)、エステル結合(−OCO−)、カルボニル基(−
    CO−)、ウレタン結合(−NR−COO−)、尿素結合(−NR−CO−)、アミノ基(−NR−)、ニトロ基(−NO 2 )、スルフォン基(−SO 2 −)、スルフォキシド(−SO−)、及びフォスフィンオキシド基(>PO−)など( 式中、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である) である、請求項4記載の支持された液膜。
  • 【請求項7】 極性分子基Xが、エーテル結合(−O
    −)、エステル結合(−OCO−)、カルボニル基(−
    CO−)、ウレタン結合(−NR−COO−)、尿素結合(−NR−CO−)、アミノ基(−NR−)、ニトロ基(−NO 2 )、スルフォン基(−SO 2 −)、スルフォキシド(−SO−)、及びフォスフィンオキシド基(>PO−)など(式中、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である) から選択される、請求項5記載の支持された液膜。
  • 【請求項8】 前記オリゴマー又はポリマー液が、ポリアルキレンオキシド、ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、及び官能化されたポリオレフィンからなる群から選択されるポリ(両親和性)化合物である、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項9】 前記ポリ(両親和性)化合物が、ポリアルキレンオキシドである、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項10】 前記ポリアルキレンオキシドが、式 【化3】H〔O−R 1n OH (式中、R 1は炭素数3〜7の線形アルキレン基又は式 【化4】 (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜8
    のシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基である) の置換アルキレン基であり、 そして n は、5〜1000間の数である) を有するものである、請求項9記載の支持された液膜。
  • 【請求項11】 前記ポリ(両親和性)化合物が、 【化5】 CH 3 -(CH 2 ) 3 -NC(O)-O-(CH 2 ) 6 -OC(O)-N-(CH 2 ) 3 -CH 3である、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項12】 前記ポリ(両親和性)化合物が、 【化6】 である、請求項3記載の支持された液膜。
  • 【請求項13】 前記微小細孔支持体が、前記ポリ( 両親和性) 化合物によって湿潤され得るものである、請求項1記載の支持された液膜。
  • 【請求項14】 前記ポリアルキレンオキシドが、ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコールである、請求項10記載の支持された液膜。
  • 【請求項15】 前記ポリアルキレンオキシドが、少なくとも約1000の分子量を有する、請求項9記載の支持された液膜。
  • 【請求項16】 前記ポリブチレングリコールが、少なくとも約1000の分子量を有する、請求項14記載の支持された液膜。
  • 【請求項17】 前記ポリプロピレングリコールが、少なくとも約2000の分子量を有する、請求項14記載の支持された液膜。
  • 【請求項18】 前記疎水性微小細孔支持体が、ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート及びポリスチレンから成る群から選択される材料から製造される、請求項1記載の支持された液膜。
  • 【請求項19】 前記疎水性微小細孔支持体が、ポリオレフィンのフィルムである、請求項18記載の支持された液膜。
  • 【請求項20】 前記疎水性微小細孔支持体が、ポリオレフィンの中空ファイバーである、請求項18記載の支持された液膜。
  • 【請求項21】 前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項19記載の支持された液膜。
  • 【請求項22】 前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項19記載の支持された液膜。
  • 【請求項23】 前記疎水性微小細孔支持体がポリプロピレンから製造される、請求項14記載の支持された液膜。
  • 【請求項24】 前記疎水性微小細孔支持体がポリプロピレンから製造される、請求項15記載の支持された液膜。
  • 【請求項25】 前記液が、ポリアルキレンオキシド、
    ポリエステル、ポリウレア、ポリウレタン、及び官能化されたポリオレフィンからなる群から選択される、請求項18記載の支持された液膜。
  • 【請求項26】 微小細孔ポリプロピレン支持体内に固定化された、疎水性ポリプロピレングリコール又はポリブチレングリコールのオリゴマー又はポリマー液を包含する、支持された液膜。
  • 【請求項27】 水溶液から有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項1記載の支持された液膜の相対する側に、上記水溶液とストリッピング液とを接触させることを包含する方法。
  • 【請求項28】 水溶液から有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項18記載の支持された液膜の相対する側に、上記水溶液とストリッピング液とを接触させることを包含する方法。
  • 【請求項29】 水溶液から有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項19記載の支持された液膜の相対する側に、上記水溶液とストリッピング液とを接触させることを包含する方法。
  • 【請求項30】 水溶液から有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項21記載の支持された液膜の相対する側に、上記水溶液とストリッピング液とを接触させることを包含する方法。
  • 【請求項31】 水溶液から揮発性有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項1記載の支持された液膜の一面側に上記水溶液を接触させること、及び上記の支持された液膜の他面側から上記揮発性有機化合物を蒸発させることを包含する方法。
  • 【請求項32】 水溶液から揮発性有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項18記載の支持された液膜の一面側に上記水溶液を接触させること、及び上記の支持された液膜の他面側から上記揮発性有機化合物を蒸発させることを包含する方法。
  • 【請求項33】 水溶液から揮発性有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項19記載の支持された液膜の一面側に上記水溶液を接触させること、及び上記の支持された液膜の他面側から上記揮発性有機化合物を蒸発させることを包含する方法。
  • 【請求項34】 水溶液から揮発性有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項21記載の支持された液膜の一面側に上記水溶液を接触させること、及び上記の支持された液膜の他面側から上記揮発性有機化合物を蒸発させることを包含する方法。
  • 【請求項35】 前記有機化合物が、アルコール、フェノール化合物、有機酸、ケトン、エステル、有機ニトリル、有機アミン、及びアルデヒドから成る群から選択される極性有機化合物である、請求項 24 記載の方法。
  • 【請求項36】 前記有機化合物が、アルコール、フェノール化合物、有機酸、ケトン、エステル、有機ニトリル、有機アミン、及びアルデヒドから成る群から選択される極性有機化合物である、請求項27記載の方法。
  • 【請求項37】 前記有機化合物が、アルコール、フェノール化合物、有機酸、ケトン、エステル、有機ニトリル、有機アミン、及びアルデヒドから成る群から選択される極性有機化合物である、請求項29記載の方法。
  • 【請求項38】 前記揮発性有機化合物が、アルコール、フェノール化合物、有 機酸、ケトン、エステル、
    有機ニトリル、有機アミン、及びアルデヒドから成る群から選択される極性有機化合物である、請求項28記載の方法。
  • 【請求項39】 気体流から揮発性有機化合物を選択的に除去する方法において、請求項1記載の支持された液膜の相対する側に、上記気体流と、 1. ピックアップ液(ストリップ溶液) 2. pH 3. 蒸散 4. 生物学的又は反応劣化、又は 5. 1〜4項の組合せから選択される、 手段とを接触させ、前記の支持された膜の反対側から上記の有機化合物を除去することを包含する方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、疎性の微小細孔固体支持体内に支持又は固定化されたオリゴマー又はポリマー液膜を包含する安定な支持された液膜(SLM)に関する。 本発明はまた、溶解された分子種(溶質又は目的化合物)を選択的に除去する方法に関し、上記溶解分子種は、気体流から又は水溶液流からの、液体又は気体であり得る。 換言すれば、本発明の分離方法は、気/気、
    気/液、又は液/液分離に適用し得る。 該方法の一つとしては、上記水溶液とストリッピング用水溶液とを、微小細孔固体支持体内に固定化された疎水性オリゴマー又はポリマー液膜を包含する支持された液膜の相対する側、つまり相対する表面にて接触させる方法が挙げられる。

    【0002】

    【従来の技術及び課題】固定化液膜は既知である。 よく使われている設計では、親水性微小細孔膜内に固定化された水溶液膜を使用するのであるが、この親水性微小細孔膜は、一方では疎水性の微小細孔膜で支持されている。 この疎水性膜は、上記組立体の低圧側に位置され、
    親水性膜から水溶液膜が押し出されてくる速度を遅くしている。

    【0003】このような設計は、米国特許第 3,819,806
    号、第 4,089,653号、第 4,115,512号、第 4,119,408
    号、第 4,147,754号及び第 4,174,374号各明細書に記載されている。 このような固定化液体膜は、気体混合物から気体成分を除去するためには用いられるが、水溶液から溶解成分を除くには好適なものとは言えないのは勿論である。 上記の組立体は、更に強化することも可能で、
    その場合は、細かい網目を有する、平らなステンレス鋼のスクリーンを用いる。

    【0004】米国特許第 4,973,434号明細書には固定化水溶性液膜及びその調製法が記載されているが、この場合、従来的に用いられている親水性膜に代えて疎水性微小細孔支持体が用いられる。 おそらく、疎水性の支持体を用いることにより、相当な正圧差、例えば、175ps
    igでも水溶液膜の逸出を無くしようというものであろうと思われる。 固定化水溶液膜を調製するには、この微小細孔疎水性支持体に対して、交換剤、例えば、エチルアルコールの水溶液と水とを交互に接触させる方法が必要である。 この系も、水溶液から溶解成分を除去するには好適とはいえないであろう。

    【0005】別の形のアプローチとしては、水溶液のような液体混合物から一種又はそれ以上の成分、つまり目的化合物(複数を含む)を選択的に抽出することを一般に目的として、微小細孔支持体の細孔に保持された有機膜(有機溶剤)が提唱されている。 典型的には、目的成分が液体膜中を移動する速度を向上させる目的で、担体剤を、有機溶剤、例えば、ケロシン又はアルコールに溶解又は懸濁させて用いる。 しかし、これらの設計を用いることも、有機溶剤の損失、担体の損失、浸透圧におけるアンバランス及び液体膜の自然乳濁化などを含む膜の不安定性問題に妨げられてきた。

    【0006】これらの問題があるにもかかわらず、固定化液膜は、他の形式の膜移動よりも選択的及び/又は高速的分離を行うことができ、しかも大抵は容易に製造できるので、ある種の適用には依然として望ましいものである。

    【0007】従って、固定化液体膜の技術には、この技術に本質的な利点を有しつつ、従来技術を悩ませてきた不安定性問題(例えば、有効寿命が最小限しかないこと)を最小とする系への必要性が存在している。

    【0008】米国特許第 4,276,179号明細書には、水溶液の流からハロゲン化炭化水素を吸着によって除去する方法が記載されている。 好ましい態様によれば、ハロゲン化炭化水素含有の水性媒体を、飽和又は不飽和油脂又は蝋含浸の微小細孔ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)と接触させるものである。 これらの油脂又は蝋としては、鉱油、シリコーン油、植物油並びに植物蝋及び動物油並びに動物蝋が挙げられる。

    【0009】

    【課題を解決するための手段】本発明は、微小細孔支持体内に固定化又は含浸された疎水性オリゴマー又はポリマー液を包含する、支持された液体膜(SLM)に関するものである。 本発明の固定化液膜は、高濃度の無機塩を有し得る水溶液媒体から、溶解された分子種(複数を含む)を選択的に除去する(すなわち、移動させる)のに特に有用である。

    【0010】本発明はまた、微小細孔支持体の細孔内に支持又は固定化された疎水性オリゴマー又はポリマー液を包含する、支持された液体膜の一面と水性媒体とを接触させて、溶解分子種が液膜を浸透又は拡散させ、そして支持された液体膜の反対側の面から上記溶解分子種を除去することによって、水溶液媒体から溶解分子種、特に極性有機化合物を選択的に除去する方法に関する。 なお、該水溶液媒体には他の有機化合物及び/又は高濃度の塩を含有してもよい。 溶解分子種つまり極性有機化合物が支持された液膜間を連続的に移動する駆動は、ピックアップ(ストリップ)溶液との親和力又は相互力でもあり得るし、pH(塩基又は酸を用いて)でもあり得るし、蒸気圧(蒸散力)でもあり得るし、そして劣化(生物学的破壊)でもあり得る。 好ましくは、この力は、生物学的破壊によるもの、揮発性化合物の場合は蒸散力によるもの、或いはストリップ液への捕捉によるものである。

    【0011】本発明はまた、水性媒体から分子種を除くために上記に記載の方法と同じように、気体流から溶解分子種を選択的に除去する方法、つまり気/気分離に関する。 換言すれば、本方法は、本明細書に記載の支持された液膜の反対側に気体流を接触させること、及び支持された液膜間を連続的に移動する手段とを包含する。 駆動力は、直ぐ上の段落に記載の水性媒体から分子種を分離する場合のものと同じであり得る。

    【0012】固定化されたオリゴマー又はポリマー液膜を浸透・移動する溶解分子種は、溶解分子(複数を含む)次第ではあるが、例えば、水溶液ストリッピング溶液によって固定化液膜から回収することができるし、又は蒸発によって、蒸散によって、又は活性勾配が確立される他の手段によって、例えば、反応劣化によって除かれる。 好ましい実際においては、ストリッピング溶液に入った溶解分子種は、非浸透性の形に転化され、従ってストリッピング溶液に保持されることになる。 このような方法によって、少量のストリッピング溶液を用いて比較的大量の水溶液を効率的に処理することが可能となる。 従って、本発明の膜と方法とは、水質汚濁防止の分野で特に適用性がある。 もっとも、本発明はそのような適用例に限定されるものではない。

    【0013】固定化液膜として特に疎水性のオリゴマー又はポリマー液を使用することによって、支持された液膜間を有機薬剤、及び特に極性有機化合物が選択的かつ高速に移動するようになるとともに、従来技術の液膜の使用を限定してきた不安定性問題を実質的に克服することになった。 本発明の術語においては、疎水性の、オリゴマー又はポリマー液は、複数の、一般に交互する疎水性領域と極性領域とを有するものであって、その結果該液は、有機化合物、特に極性有機化合物に対して高い親和力を有するとともに、該液は水に対して低い溶解度(つまり、実質的に水に不溶)と水に対する低い相溶性を示すものである。

    【0014】本明細書において使用する場合、特にオリゴマー又はポリマー液に関して使用する場合の術語「疎水性」は、該液が実質的に水に不溶であり、しかも水に相溶性がないことを意味する。 「水に不溶」とは、オリゴマー又はポリマー液が、使用中に接触している水溶液に殆ど不溶なので、水溶液流に溶解することなく長期間にわたって微小細孔性支持体の細孔中に保持されていることを意味する。 本発明の術語においては、長期間という意味は、多くの要因に左右されるが、基本的には経済性に立脚する変数である。 特定の適用例次第であるが、
    長期間とは、数時間から数週間の範囲になることがある。 上記疎水性液は、水溶液中に好ましくは約50ppm
    未満、より好ましくは約30ppm 未満そして最も好ましくは約10ppm 未満の量で溶解するものである。 「水に相溶性がない」とは、水が疎水性オリゴマー又はポリマー液に対して極めて低い溶解度しか有しないので、使用中に水が液膜を殆ど浸透していかないということを意味する。 好ましくは疎水性液に対する水の溶解度は、約1
    0%未満、より好ましくは約5%未満でなければならず、そして一般には約3%以下でなければならない。 特に好ましいオリゴマー又はポリマー液は、水のみならず、水に極めて溶解性の高い分子種、例えば、無機塩も当オリゴマー又はポリマー液に極めて低い溶解度を有するもの、である。 水に不溶でありしかも水に非相溶であるというこの組み合わせの特性を示さない液は、本発明の場合「疎水性」であるとは認められない。

    【0015】本発明のもう一つの点は、本発明に有用な疎水性の、オリゴマー又はポリマー液が、ポリ(両親媒性)化合物として特性化することができることである。
    ポリ(両親媒性)化合物という術語は、極性領域と疎水性領域とを交互に有するオリゴマー又はポリマーの一族をいう。 極性と疎水性とのこれらの領域は、オリゴマー又はポリマーの骨格に沿って交互に現れ、極性基及び疎水基の両者が高密度に分子に含まれるようになっている。 このようなポリ(両親媒性)化合物は、例えば、極性有機モノマー、好ましくは水に僅少の溶解度しか有しないモノマーを温和にオリゴマー化又はポリマー化させること、或いは疎水性オリゴマー又はポリマーを極性基で官能化することによって、調製することができる。 このようなポリ(両親媒性)化合物を調製する手順及び技法は当業に既知であるので特に記載する必要はない。 更にこのようなポリ(両親媒性)化合物は、数多くの業者から市販されている。

    【0016】一般法則として言えば、好適な疎水性の、
    オリゴマー又はポリマーのポリ(両親媒性)化合物は、
    以下のような繰り返し基:

    【化7】

    を含有する。 式中、Hy は、オリゴマー又はポリマーが実質的に水に不溶並びに水に非相溶になるに十分な疎水基であり、Xは、極性有機目的化合物に対する選択的な親和力に寄与する極性基である。 繰り返し数, n はオリゴマー又はポリマー内の繰り返し基(例えば、モノマー基)の平均数を示す数である。 典型的には, n は少なくとも3であり、通常は5と1000との間のどこかにある数であり、10と200との間が最も多い。 本発明の重要な点は、このようなポリ(両親媒性)化合物の水に対する溶解度が、このような化合物の分子量が増加するにつれて、つまり、n の値が増加するにつれて減少するということであり、またこれは、化合物の官能性を、化合物の疎水性及び極性の相対値を含めて変えることなく、達成されるということである。

    【0017】好適な疎水基としては、線形又は枝分かれアルキレン基、好ましくは3〜7個の炭素原子を有するもの、及びフェニレニル基が挙げられ、このフェニレニル基は他の実質的にヒドロカルビル基で全て置換されているものでよい。 例えば、式

    【化8】

    (式中、Rは炭素原子1〜4個のアルキル基)のアルキレン分子基、メチル(プロピレン)又はエチル(ブチレン)が有用であることが証明されている。 他のR置換基としては、例えば、炭素原子4〜8のシクロアルキル及びフェニルのようなアリール基、エンジルのようなアルキルアリール及びトリールのようなアリールアルキル基が挙げられる。 好適な極性基(X)としては、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−OCO−)、カルボニル基(−CO−)、ウレタン結合(−NR−COO


    −)、尿素結合(−NR−CO−)、アミノ基(−NR


    −)、ニトロ基(−NO

    2 )、スルフォン基(−SO

    2


    −)、スルフォキシド基(−SO−)、フォスフィンオキシド基(>PO−) などを含有する基などが挙げられる。 なお、Rは水素か上記に定義のものである。 多くの、異なる形式の、疎水領域と極性領域とを交互して含有するオリゴマー及びポリマーも考えられる。 例えば、


    上記液体オリゴマー又はポリマーは、アミノ基とカルボニル基とを共に有し、疎水基を交互に有するポリアミンでよい。 繰り返すモノマー基から成るオリゴマー及びポリマーに加えて、ポリマーの官能基部分、つまり、Xも全ポリマーを水に不溶にするための疎水基に付加することができる。 支配する条件は、疎水性の、オリゴマー及びポリマーのポリ(両親媒性)化合物が、操作条件下に上記のように実質的に水に不溶で、水に非相溶である液体でなければならないということである。

    【0018】この定義に当てはまる、水に不溶、水に非相溶で、本発明の固定化液膜を調製するのに使用することができる既知のオリゴマー及びポリマーはたくさんある。 疎水性の、オリゴマー及びポリマー液は天然品にしろ合成品にしろ蓋然的には使用できる。 好適なオリゴマー及びポリマー液の代表は、酸化ポリアルキレン、特にポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、
    ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール及びポリヘプタメチレングリコール、ポリエステル、ポリユリア、ポリウレタン、シリコン油(ポリジメチルシロキサンなど) などである。 オリゴマー又はポリマーであることから、これらの液体は、極めて低い蒸気圧を有しているので、事実上、通常の条件では非揮発性である。 従って、
    このような液体は取扱に安全であり、疎水性微小細孔支持体からの蒸発損失は極めて少ない。

    【0019】オリゴマー及びポリマー液はまた、かなり粘稠であるので、比較的大きな静圧差下における多孔性マトリックスからの物理的逸出(例えば、漏出又は浸出)に対しては、従来技術の有機溶媒に較べて、より安定性がある。 オリゴマー及びポリマー液の粘度が極めて大きく、単味のオリゴマー又はポリマー液を微小細孔支持体の多孔マトリックスへ上手く担持させるのに障害になる場合は、担体溶媒を、米国特許第 4,973,434号明細書に記載のように、必要に応じて用い、該液の低粘度の溶液を作り、より粘稠のオリゴマー又はポリマー液を微小細孔支持体の多孔マトリックスへ容易に担持させることができる。 担体溶媒は、膜の細孔に実質的に純粋な液体オリゴマー又はポリマーを残すために、その後、例えば、蒸発によって除かれることになろう。

    【0020】ポリマー技術に熟達した者にはよく分かっているように、このようなオリゴマー及びポリマー液の粘度及び、ある程度は、水への溶解度並びに水への相溶性は分子量によって強く影響されるのであるが、分子量は、多くの場合必要に応じて変えることが可能であり、
    膜の安定性や性能の向上に資するために液体オリゴマー又はポリマーに望まれるこれらの性質を得ることができる。 上記のように、このようなオリゴマー及びポリマー液においては、分子量を増大させて、液の官能性に影響を与えることなく、水への溶解度を下げることができる。 液体ポリブチレングリコールの場合は、約1000
    以上の分子量が満足的であることが証明されているが、
    ポリプロピレングリコールに対しては、約2000以上の分子量が満足的となるはずである。

    【0021】特定の適用に当たっては、例えば、水溶液から選択的に取り除こうとしている目的化合物(複数を含む)に対する選択的親和力を最大にするように、そして目的化合物(複数を含む)が液膜を通過する移動速度を最大にするようにオリゴマー又はポリマー液が選択され、或いは合成されるであろう。 固定化液膜を形成するのにオリゴマー又はポリマー液を用いる重要な利点は、
    ポリマーの骨格に沿って多くの官能基を導入し、修飾して、オリゴマー又はポリマーの選択的親和力、及び液膜を通過して移動させる目的の成分(典型的には極性有機化合物) に対する移動速度を向上させることができるということである。 オリゴマー又はポリマー液をこのように修飾すると、液膜を通過する移動速度と並んで目的成分に対する選択性をも共に改善することができる。

    【0022】実際のところ、本発明の液膜は、回収に使われ得るばかりではなく、物理的性質、例えば、疎水性、水素結合能力、pKによって示されるような水溶液における解離度などの差に基づいて、水溶液中の他の有機化合物から一種又はそれ以上の有機化合物を分離するのにも使われ得るのである。

    【0023】さて、発見されたところによると、既知のオクタノール/水系と本発明のSLM/水の分配係数との間に相関関係が存在する。 化合物 Kオクタノール/水 K PPG −4000/水アクリル酸 1.35 5 フェノール 28.8 150 P−ニトロフェノール 77 300 トルエン 537 1000 この相関関係は、本発明の、支持された液膜の適用性を決定する基礎を与える。 例えば、EPA(アメリカ環境保護局) のマニュアル(March 1990 Manual EPA/600/8-90/00
    3)に記載の「表 1A. 主な化学品に対する水への溶解度、蒸気圧、ヘンリー定数 Koc, 及びKow 」を参照されたい。

    【0024】発見されたところによると、式

    【化9】H〔O−R 1n OH (式中、R 1は炭素原子3〜7個の線形アルキレンであるか、又は式

    【化10】

    (式中、Rは上記に定義のもので、(Rはこの場合水素ではあり得ない))の置換アルキレン基であり、そして


    n は5〜1000である)を有するポリアルキレングリコール(ポリアルキレンオキサイド)、そして特にポリプロピレンとポリブチレングリコールが、極性化合物及びフェノール並びに関連化合物、例えば、フェノール、


    ニトロフェノール、ニトロアニリンなどに対して特に強い親和力を有し、水溶液からこのような化合物を除去するのに特に有用である。 これらの化合物に対する分配係数、つまり、ポリアルキレングリコール相における該化合物の濃度の、平衡条件下に接触している水溶液相における該化合物の濃度に対する商又は比は、約150から500以上の範囲になる。 これらの高分配係数は、有機化合物とポリ(両親媒性)オリゴマー及びポリマー液との間の生起した水素結合及び疎水相互反応の結果であると考えられる。

    【0025】もう一つ別の態様においては、疎水性液と高い相溶性があり、目的化合物に対する強い親和力を示す低分子量物質を包含する担体剤を、上記のオリゴマー及びポリマー液と混ぜ合わせて、目的成分に対する選択性及び/又はその液膜通過速度を向上させることができる。 例えば、水溶液から極性化合物である酢酸を除去する場合では目的化合物酢酸の透過性を改良するためにトリオクチルホスフィンオキシドを該疎水性液へ添加することができる。 特定の適用に用いることが可能な、他の低分子量担体剤は、当業者には明らかとなろう。 このような場合、液体オリゴマー及びポリマーの化学修飾を行うと、固定化液膜から担体剤の損失が起こる速度を遅くさせるため担体剤(複数を含む) に対するポリマー液に親和力を向上させるのに役立たせることもできる。 担体剤のオリゴマー又はポリマー液に対する添加比率は、疎水性支持体の細孔に固定化される液体の粘度及び揮発特性が悪影響を受けないことと、液膜からの蒸発又はその他の分離現象による担体の損失が起こらないようにするように定める。

    【0026】本発明に使用するのに好適な微小細孔支持体及びその調製方法は、当業に周知であり、詳細には述べる必要はない。 この点に関しては、米国特許第 3,42
    6,754号、第 3,801,404号、第 3,802,444号、第 3,839,
    516号、第 3,843,761号、第3,843,762 号、第 3,920,78
    5号、第 4,055,696号、第 4,255,376号、第 4,257,997
    号、第 4,359,510号、第 4,405,688号及び第 4,438,185
    号各明細書を参照されたい。 なおこれらの明細書に開示の内容を本明細書に参考文献として引用する。 広く言えば、開放したセルが、互いに入り組んだ構造を有する疎水性微小細孔物質は、つまり水で自動的に濡れない物質は、どんなも物質でも本発明に使用することができる。
    該膜は、目的化合物(複数を含む) を効率的に移動することが出来る限りは最小の細孔径を有し、そして適当な機械的一体性を有する限りは最大の空隙率及び最小の厚さを有すべきである。 該膜支持体も、水溶液の原料又は廃棄溶液、強酸又は強塩基の可能性のあるストリッピング用水溶液、オリゴマー又はポリマー液膜に対して、並びに特定の適用下において遭遇する可能性のある他の条件に対して化学的に安定な物質で構成される必要がある。 このような物質を挙げてみると、ポリオレフィン、
    ポリスルフォン、ポリテトラフルオロ−エチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなどである。

    【0027】これらの記載条件を満足する微小細孔膜は、幾つかの発売元から商業的に入手可能であり、当業者には周知である。 このような物質においては、各微小細孔は、曲がりくねった通路で相互につながっており、
    曲がった通路は膜表面又は表面領域の一から他へと伸びている。 市販の微小細孔物質の細孔は、有効径約0.0
    2〜2ミクロンの範囲に入るのが大部分である。 もっとも各細孔の径は上記の平均細孔径とは相当に異なることが多い。 下は0.01ミクロンから上は10ミクロンの細孔も珍しくはなく、特定の細孔径も厳密には臨界的ではない。 平均細孔径約0.1μを有する微小細孔物質を用いると、分子量約4000のプロピレングリコールを用いて安定な液膜が得られる。

    【0028】上記のように、空隙率は、支持体全体に開かれた網目状の通路(開放細孔構造)を構成するように十分に大きくなければならない。 典型的には、市販の微小細孔膜支持体は約30〜80%の空隙率を有するが、
    セルガード(Celgard TM ) 膜のような等方性膜に対する、
    より通常な空隙率は約40〜50%の範囲である。 空隙率は、基板物質の容積分率でなく、空隙となっている膜の容積分率(%で表示)として定義される。 空隙率は、
    別のやり方では、物質の嵩密度を参照して決めることもできる。 好適な微小細孔物質は、セル構造を有しない同じポリマー物質の嵩密度よりも低い嵩密度を有するであろう。 嵩密度とは、その単位全容量当たりの物質の重量を言うのであるが、全容量とは、置換された流体の容積であり、水銀のような流体は表面張力を示すので、該流体が物質の微小細孔へ流れ込むのは防止される。 1949年刊行のカーク・オスマー著の化学技術百科辞典第4巻の892頁(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Tech
    nology, Vol. 4, page 892(1946)) の水銀法密度計を参照のこと。

    【0029】微小細孔質の膜支持体の細孔は、オリゴマー又はポリマー液を毛細管作用によって保持するような大きさにする必要がある。 細孔径と空隙率とを適当に組み合わせると、オリゴマー又はポリマー液を多孔性マトリックス内に担持させることが容易に行えるが、毛細管力は、液膜を使用している時に支持体からオリゴマー又はポリマー液が逸出するのを抑える程度に十分強い状態とする。

    【0030】支持体の空隙率は、その断面積に対して均一な場合が多いが、別の態様においては、疎水性の微小細孔質の膜支持体が非対照性空隙率を有するものでも差し支えない。 例えば、支持体の表面領域が、主マトリックス領域より小さな細孔及び/又はより低い空隙率を有し、主領域の大きな空隙率のおかげで目的成分の移動が容易になることも差し支えない。 このような構成を用いると、均一な空隙率の膜支持体に対比して、より高い移動速度が得られる可能性がある。 このような構成を満足させる非対照ポリスルフォンの一つは、米国特許第 5,0
    30,672号明細書に開示されているので、この明細書の開示内容を参考文献として引用するものとする。

    【0031】薄い膜を用いると、複合液膜を通過する目的成分の移動速度が高くなろう。 しかし、膜の安定性及び支持体の強度を考えると、このアプローチを性能向上に用いることができる程度が限定される。 典型的には、
    商用の膜支持体(壁)厚さは10〜200ミクロンの範囲である。

    【0032】本発明の微小細孔支持体として有用な疎水性微小細孔フィルムの好ましい一つは、ノースカロライナ州サウスポイントのヘキストセラニーズ社(Hoechst C
    elanese Corporation)のヘキストセラニーズ分離製品事業部(Hoechst Celanese Separations Products Divisio
    n)から市販されているセルガードTMポリプロピレン材である。 このような微小細孔材料は、シート状もしくは微小細孔質中空ファイバーとして入手可能である。 他の有用な材料としては、パーフルオロカーボンポリマー、特にデラウエアー州ニューアークのゴア社(WLGore & A
    ssociates, Inc.)の商標ゴアテックス(Goretex TM ) として示される形式のものと、アキュレル(Accurel TM ) という 商標の下にアクゾー社(Akzo NV) から市販のポリプロピレン中空ファイバーである。

    【0033】ポリプロピレンマイクロフィルター膜(セルガードTM 2400)を分子量約4000のポリプロピレンで含浸することによって調製された固定化液膜は、
    20%NaCl含有の水溶液に一面を、そして純水もしくは低伝導度水溶液に他面を曝した時に一週間を超える間その一体性を保った。 この液膜は、ほとんど塩を通過させず、水の移動(拡散)もほとんど示されなかった。

    【0034】本発明の固定化液膜は、微小細孔支持体と水に不溶のオリゴマー又はポリマー液とを接触させることによって容易に調製できることが多い。 これらは相互に疎水性であるが故に、液体は該支持体を容易に湿潤し、多孔質マトリックス内に吸収される。 例えば、中空ファイバー微小細孔支持体の場合は、固定化液膜は、ファイバーの束にオリゴマー又はポリマー液を満たし、その後で適当な接触時間約10分後に水又は他の非相溶性液でゆすぎ、過剰のオリゴマー又はポリマーを除くことによって単純に調製することができる。 別法としては、
    前記膜をオリゴマー又はポリマーの溶液と、例えば、ポンプ輸送を可能とするためにエタノール中にオリゴマー又はポリマー(例えば、PPG )50重量%とした溶液と接触させることもできる。 溶媒(アルコール)は次いで空気ストリップ又は真空乾燥で除かれる。

    【0035】同様に、劣化した膜の再生は、膜支持体を揮発性溶媒、例えば、ポリプロピレングリコール液膜の場合アルコールで洗浄し、残余のオリゴマー又はポリマー液を除き、その後で更に追加の液と接触させて支持体に吸収させることによって容易に達成される。 本発明の複合液膜の調製及び再生が一般に簡単であるということは、容易にその場で再生することができない膜を使うことに比較して、特定の適用にての必要要件とされる膜安定性を、ある程度は気にしなくて済むようにする。

    【0036】本発明の固定化液膜は、低濃度の低分子量有機化合物、特に極性有機化合物、例えば、アルコール、フェノールや置換フェノールを含むフェノール化合物、カルボン酸を含む有機酸、芳香族アミンを含む有機アミン、ケトン、アルデヒド、エステル、有機ニトリルなどを、液膜を通過することができない無機塩を高濃度に含有する水溶液から選択的に除去するのに特に有用である。 そのような流れは、有機合成のために酸−塩基化学がふんだんに使用されているので、産業に共通の廃棄物問題を投げかける。 塩が存在すると処理法の選択が複雑化し、従って廃棄コストが増大する。 本発明は、これらに直接的な解決を与えるものである。 本発明の固定化複合オリゴマー又はポリマー液膜は、水及び特に水に易溶の物質、例えば、無機塩及びイオン性有機分子種に対して効果的に不浸透性である理由で選択される。 そのような液膜の液は、低分子量の非イオン性有機化合物、特に極性有機化合物を容易に移動させることができる。 更に、上記のように、本発明を用いれば、多くの有機分子種の物性に基づいて、水性媒体中の他の有機化合物から極性有機化合物を選択的に分離する方法が得られる。

    【0037】イオン化した有機溶質、そして特にイオン化し得る極性化合物の場合、フェノール化合物を含めて、水溶液の pH はどんな特定条件においても分配係数に相当な影響を与える。 最良の結果は、最初に水溶液の
    pH を、必要に応じて、目的とする溶質化合物の pKaより pH 約1単位以上だけ下の pH に調整した後で分離を行うことによって得られる。 溶質の pKaとは、溶質化合物が水溶液に50%イオン化した時の pH である。 この意図は、原料水溶液中に溶質化合物が主として非イオン形にて存在する pH 条件を確立することにある。 実際、
    水溶液の pH を各有機分子種の pKa値の間になるように調整することによって、イオン化可能の有機化合物に一つを他の化合物から分離する高い選択性を得ることが可能である。 この技法は、以下の実施例27にて説明される。

    【0038】使用に際しては、本発明の固定化オリゴマー又はポリマー液膜を、二種の液、例えば、二種の水溶液の間に位置させることができる。 溶液の一、例えば、
    目的有機化合物又は抽出すべき化合物を含有する廃棄水溶液流が該液膜の一面に接触し、ストリッピング水溶液が他の面に接して、目的化合物が液膜を拡散した後でそれを受容する。 ストリッピング溶液は、受動モード、つまり液膜からの目的化合物の移動の駆動力が単純に希釈であるモードでも、又は能動モード、つまり目的化合物が液膜からストリッピング液へ通過する際に化学的に変化するモードのいずれでも操作することができる。 目的化合物の化学変化は、 pH 制御からのような、イオン化状態の変化、又は触媒或いは生物学的に引き起こされた変化程度に単純であって差し支えない。 例えば、フェノール化合物は、ストリッピング水溶液中のアルカリ物質を用いる pH 制御によってそのフェネート塩へと転化することができる。

    【0039】別のアプローチにおいては、液膜のストリッピング側を、真空下に置いたり、又はガス、好ましくは不活性の、例えば、空気や窒素で吹いて、目的化合物を蒸発によって除去することができる。 この技法は、本発明に使用されるオリゴマー又はポリマー液の揮発性が極めて低いという事実から可能となるのである。 明らかにこのアプローチは、当業では蒸散と呼ばれているものであるが、目的化合物が十分な揮発性を示す事例においてのみ有用である。

    【0040】有用な態様の一つにおいて、目的化合物(複数を含む)を含有する水溶液が、ハウジング内に支持された微小細孔壁を有する長い中空ファイバーの束を通って循環され、該ファイバー壁には水に不溶で水に非相溶のオリゴマー又はポリマー液が吸収されており、そしてストリッピング溶液がファイバーの外側に循環されている。 別の態様においては、当業ではプレート・フレーム構造と呼ばれているものであるが、少なくとも一枚の固定化液膜が、フィルムの形で、液体が漏れないハウジング内に納められ、該ハウジングの内部を少なくとも二つの室、原料水溶液室とストリッピング液室へと分割する。 固定化液膜によって二つの室の間の連絡が達成される。 上記二つの構成において、ハウジングには入口及び出口又は分岐管が備えられ、原料水溶液及びストリッピング溶液をそれぞれ導入したり、排出したり出来るようにしている。

    【0041】以下の実施例は、本発明を特定的に説明するために示されるものであり、本発明を限定する目的のものではない。 本発明の範囲を定めるには、前記の特許請求の範囲を参照されたい。 これらの実施例では、多くの目的化合物の移動初期速度は1.0mg/hr−cm
    2以上が一般であり、2.0mg/hr−cm 2以上が多い。 これらの高移動速度と、終始一貫して12時間を超え、一般に24時間を超え、そして多くは48時間を超える該複合膜の安定性を組み合わせることにより、選択的物質移動に対する特に効果的なシステムが得られる。

    【0042】

    【実施例1】平板シート状の微細孔ポリプロピレン膜(セルガード2400, 空隙率38%、平均細孔径0.
    05ミクロン、厚さ25ミクロン)をダウケミカル社(D
    ow Chemical Company)から入手のポリプロピレングリコール(PPG) 分子量4000で湿潤した。 やり方としては、膜にPPG を数滴たらして塗り広げた。 膜はPPG が接触すると極めて容易にPPG を吸収し、PPG で完全に飽和されると透明になった。 半透明から透明フィルムへのこの変化は、液膜の状態を可視的に決定するのに便利に用いることができる。 過剰のPPG を拭い去り、固定化PPG
    付きの膜の使用準備が整った。 この膜は、PPG が実際上非揮発性であるので、空気中で室温にて数カ月も取り扱ったり、貯蔵したりすることができる。 同じ湿潤手順を、中空ファイバー膜に使用することができる。 モジュール形においては、ファイバーの束の中にPPG を緩やかにポンプで送ることによって、湿潤することができる。
    ファイバーに残された過剰のPPG は、その後ファイバーの管内側に空気を吹いたり、又は水を流したりすることによって除去することができる。

    【0043】

    【実施例2】実施例 1に従って調製した平板シート状固定化液膜を、二つのセル室の間に挟んだ。 膜の表面積は8cm 2であった。 一つのセル室は、濃度4000mg
    /lのパラ -ニトロフェノール(PNP) と20重量% KClを含有した。 他の室は、ストリップ用水溶液として0.1
    N NaOHを含有した。 両液はポンプで循環した。 膜の左右の側の液の全容量は、100mlであった。 この系の温度は室温であった。 両室のPNP 濃度は、分光光度法を用いて定期的に測定を行った。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、膜面積平方センチ当たり約5ミリグラム/時であった。 一晩操作を行うと、系はPNP 分布に関して平衡に達した。 廃棄側のPNP 濃度は約3mg/
    lに落ちたが、苛性液側は約3800mg/lで、濃度差は、1000倍もあった。 苛性ストリップ溶液の塩素含有率は、PPG 液膜の通過するKCl のいい指標であるが、僅か0.049g/lであることが見出された。 一方これに比較して廃棄側は100g/lを超える濃度であった。 これは、PNP/KCl 分配係数にして少なくとも2
    000に対応する。 分配係数とは、PNP 濃度/KCl濃度のストリッピング側比のPNP 濃度/KCl濃度の廃棄側の比に対する商又は割合として定義される。

    【0044】

    【実施例2a】実施例2の方法を繰り返したが、0.1
    N NaOHの代わりにストリップ溶液としてPEG-200
    を用いた。 PEG ポリマーは、PPG ポリマーと同じ官能性を有するか、水により易溶である。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、実施例2で見出された速度よりも高かった。 廃溶液中のPNP 濃度は、4700 ppmから1
    2 ppmへ約 8時間運転後に下がり、2日後には0.6 p
    pmへ下がった。

    【0045】

    【実施例2b】実施例2の方法を繰り返したが、ストリップ溶液は水に溶かした50重量% のPEG −200であった。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、実施例2で見出された速度と概略同じであった。 廃溶液中のPN
    P 濃度は、4449 ppmから192ppm へ約9時間運転後に下がった。

    【0046】

    【実施例2c】実施例2の方法を繰り返したが、セルガード支持体は、以下の構造:

    【化11】

    すなわち、カーバメート官能性を有する液膜で湿潤した。 PNP が膜を通過して移動する初期速度はPPG 400


    0を用いたものの二倍も速かった。 廃溶液中のPNP濃度は、4300 ppmから25ppm へ5.5時間運転後に下がり、一晩では5 ppmへ下がった。

    【0047】

    【実施例2d】実施例2の方法を繰り返したが、廃溶液は、約1800ppm のカプロン酸を含むものであった。
    カプロン酸が膜を通過して移動する初期速度は、PPF −
    4000を用いた場合と概略同じであった。 廃溶液中のカプロン酸濃度は、1800 ppmから13ppm へ23時間運転後に下がった。

    【0048】

    【実施例2e】実施例2の方法を繰り返したが、しかし、セルガード支持体は、カスター油、つまり脂肪酸のトリグリセリドで湿潤した。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、PPG −4000を用いた場合の1/4であった。 廃溶液中のPNP 濃度は、4272 ppmから4 p
    pmへ96時間運転後に下がった。

    【0049】

    【実施例2f】実施例2の方法を繰り返したが、セルガード支持体は、以下構造:

    【化12】

    (式中、n は1.5である) を有するイゲパル(Igepal


    TM ) で湿潤した。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、PPG −4000で得られたものと同等であった。 廃溶液中のPNP 濃度は、4397 ppmから10ppm へ24


    時間運転後に下がった。

    【0050】

    【実施例3】実施例2の方法を繰り返したが、セルガード2500を膜支持体として用いた。 この膜支持体は、
    セルガード2400と同じ厚さであるが、少し大きい細孔(平均細孔径0.075ミクロン)を有し、しかも高空隙率(45%)を有する。 PNP 移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり約8ミリグラム/時であり、この膜支持体の、より開放された構造によって、移動速度が向上したことが示された。 一晩経つと、原料側とストリッピング側とのPNP 濃度は、それぞれ5mg/lと44
    30mg/lとなった。

    【0051】

    【実施例4】実施例2の方法を再び繰り返したが、セルガード2402を膜支持体として用いた。 この膜支持体は、セルガード2400と細孔径と空隙率では同じであるが、二倍ほど厚い(50ミクロン) ものであった。 PN
    P 移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり約2ミリグラム/時であった。 一晩経つと、原料側のPNP 濃度は、10mg/lに落ち、ストリッピング側のそれは、
    4900mg/lへ上がった。

    【0052】

    【実施例5】セルガードX20 400中空ファイバー(空隙率40%, 細孔径0.065ミクロン, 内径40
    0ミクロン, 外径460ミクロン) を、18センチ長さのファイバー54本を含むモジュールに組み立てた。 全膜面積は、120cm 2であった。 PPG MW4000を該ファイバー束へポンプで送り、これを湿潤させた。 次に、水をポンプで送り、過剰のPPG を除去した。 次にファイバー壁にPPG を固定化したモジュールを用いて、PN
    P 約4000〜5000mg/l及びKCl 20重量%を含有する水溶液からPNP を除去した。 ストリッピング用水溶液は0.1NNaOHであった。 実験装置構成は、
    実施例2で使用のものと類似であった。 中空ファイバー膜を通過するPNP 移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり約4ミリグラム/ 時であった。 3時間の運転後、
    ストリッピング側のPNP 濃度は、4400mg/lへ上がり、原料側のそれは、45mg/lに落ちた。

    【0053】

    【実施例6】実施例5の方法と類似の方法を用いるが、
    ポリスルフォン中空ファイバー(ペルミア(Permea),
    セントルイス) を膜支持体として用いて、廃水溶液から
    PNPの選択的抽出を検討した。 超濾過ポリスルフォン中空ファイバー(長さ18センチ、MWカットオフ160,
    000、外径1150ミクロン、内径870ミクロン)
    を、17.6センチ長さのファイバー10本を含むモジュールに組み立てた。 有効膜面積は、約48cm 2であった。 移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり約1ミリグラム/時であった。

    【0054】

    【実施例7】実施例2の方法を繰り返したが、 pH 5.
    8を有し、フェノール(≒5000mg/l)と20%
    KCl を含有する原料(廃)水溶液を用いた。 フェノール移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり10ミリグラム/時以上であった。 一晩経つと、原料側のPNP 濃度は、5mg/lに落ち、ストリッピング溶液側のそれは、約5050mg/lヘ上がった。 塩化物は、ストリッピング溶液にはほとんど検出されなかった。

    【0055】

    【実施例8】実施例2の方法を再び繰り返したが、≒5
    00mg/lのp−ニトロアニリン(PNA) と20%KCl
    を含有する、pH9の原料溶液を用いた。 また、ストリッピング用水溶液は、 pH 0.54の0.1 N硝酸であった。 移動の初期速度は、膜面積平方センチ当たり1.
    5ミリグラム/ 時であった。 一晩経つと、原料側のPNA
    濃度は、70mg/lに落ち、ストリッピング溶液側のそれは、450mg/lへ上がった。 塩化物は、ストリッピング溶液にはほとんど検出されなかった。

    【0056】

    【実施例9】実施例2の方法を繰り返したが、原料水溶液は、蟻酸、酢酸、又はプロピオン酸を5重量%の濃度で20重量%KCl 含有の溶液に含有するものであった。
    ストリッピング用水溶液は0.1N NaOHであり、
    この工程は室温で運転された。 得られた結果は、表1に示される。 再度この場合も、一晩の実験後にも塩化物は、ストリッピング溶液にはほとんど検出されなかった。

    【表1】 表 1 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 化合物 初期速度 ( ミリグラム/ 時 - 平方センチ) ─────────────────────────────── 蟻酸(C 1 ) 1.0 酢酸(C 2 ) 1.6 プロピオン酸(C 3 ) 5.4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【0057】

    【実施例10】実施例2の方法を繰り返したが、原料水溶液は、硫酸アンモニウム約6重量%及び低MWの有機化合物( ニトリル, イミド,及び有機酸) など全部で1重量%を含有するものであった。 一晩で有機物の約40%
    が膜を通じて移動したが、硫酸アンモニウムは、ストリッピング溶液にはほとんど検出されなかった。

    【0058】

    【実施例11】実施例2の方法を繰り返したが、液膜としていろいろなシリコーン油を使用した。 原料水溶液は4000mg/lのPNP と20重量% KClを含有した。
    ストリッピング用水溶液は0.1N NaOHであり、
    この工程は室温で運転された。 得られた結果は、表2に示される。 一晩の実験後にも塩化物は、ストリッピング溶液にはほとんど検出されなかった。

    【表2】 表 2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 液 膜 初期速度 ( ミリグラム/ 時 - 平方センチ) ─────────────────────────────── シリコン油 分子量 975 0.17 分子量 5000 0.17 分子量 12500 0.13 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【0059】

    【実施例12】実施例1に従って調製した平板シート状固定化液膜を二つのセル室の間に挟んだ。 膜の表面積は
    8cm 2であった。 一つのセル室は、いろいろな一塩基性カルボン酸を含有した。 他の室は、ストリップ用水溶液として0.1N NaOHを含有した。 両液はポンプで循環した。 膜の左右の側の液の全容量は、30mlであった。 この系の温度は室温であった。 これらの酸の膜移動の相対速度及び対応する分配係数は、表3に示される。 表3で注目されることは、酸の分子量が大きくなればなるほど、またより疎水性となり、よりポリマー側に溶解性になるのであるが、その移動速度も速くなった。
    これは、分配係数の大きさによって示されるようにPPG
    液膜における分配能力が高いからであることが明白である。

    【表3】 表 3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 化合物 透過率 分配係数 (センチ/ 秒) ( Kp )* ─────────────────────────────── 蟻酸 ( C 1 ) 0.055×10 -4 0.45 酢酸 ( C 2 ) 0.10 ×10 -4 0.65 プロピオン酸( C 3 ) 0.33 ×10 -4 …… 酪酸( C 4 ) 0.42 ×10 -4 7.2 吉草酸( C 5 ) 1.6 ×10 -4 24.6 カプロン酸( C 6 ) 4.0 ×10 -4 83 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ * Kp = PPG中における酸濃度÷水中における酸濃度(平衡時) 透過率は実施例19にて定義。

    【0060】

    【実施例13】実施例12に記載の方法に類似の方法を用いて、カルボン酸が液膜を通過して移動する速度に対する原料(廃液) 流の pH の影響を検討した。 結論としては、PPG の液膜は、一塩基性カルボン酸を移動させるに際し、その非イオン状態のものは効果的に移動させるが、そのイオン形のものは排除する。 pKa 3.75を有する蟻酸については表4に示される。

    【表4】 表4 膜 : セルガード中の PPG 4000 原料 : 4.4重量%ギ酸, 20重量%KCl 水溶液 ストリップ液: 0.1 N NaOH 溶液 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 溶液の pH 速度, ミリグラム/ 時 - 平方センチ ─────────────────────────────── 5.0 0.026 1.6 1.0 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    【0061】

    【実施例14】実施例12の方法を繰り返したが、ただし、原料は、C 2 〜C 6の一塩基性カルボン酸混合物を含有し、全有機カーボン(TOC) 含有量2000 ppmを有する、実際の廃液流であった。 約7時間後、廃液流におけるTOC レベルは約50%へ減少した。 一日後、約50
    0 ppmのTOC が原料中に残ったが、これは約80%除去に相当する。

    【0062】

    【実施例15】実施例12の方法を繰り返したが、セルガード2500を膜支持体として用いたものである。 この膜支持体は、セルガード2400と同じ厚さであるが、より大きい細孔(0.075ミクロン) 及び高空隙率(45%)を有する。 約4時間の運転後TOC の約60
    %が除去され、そして約9時間後は約80%が除去された。

    【0063】

    【実施例16】実施例15と同じであるが、工程は65
    ℃で運転され、約6時間の運転後、TOC の92%が除去された。

    【0064】

    【実施例17】セルガードX20 400中空ファイバー( 空隙率40%, 細孔径0.065ミクロン, 内径4
    00ミクロン, 外径460ミクロン) を、18センチ長さのファイバー120本を含むモジュールに組み立てた。 全膜面積は、260cm 2であった。 PPG MW 40
    00を該ファイバー束へポンプで送り、これを湿潤させた。 次に、水をポンプで送り、過剰のPPG を除去した。
    実施例12に類似の方法を用い、ファイバー壁にPPG を固定化した、このモジュールを用いて、次に実施例14
    に記載の廃溶液からTOC を除去した。 原料容積は、20
    0mlであった。 ストリッピング用水溶液は、容積35
    mlの10%炭酸ナトリウム/酸ナトリウム( pH 約10) であった。 温度は、60℃であった。 6時間後、
    廃液中のTOCは、75 ppmへ落ち、全TOC 除去は約96
    %であった。 また、原料対ストリップ溶液の差のために、有機物の約5倍の濃縮が達成された。

    【0065】

    【実施例18】実施例17と同じであったが、室温で行うとともに原料容積は500mlを用いた。 2日の運転後、原料液中のTOC は、67 ppmであった。 ストリップ溶液中に蓄積したTOC を基準とすると13倍の濃縮が達成された。

    【0066】

    【実施例19】廃水溶液からTOC を除去するため実施例12及び17の工程においていろいろな膜支持体を代替する効果を研究したが、その結果を以下の表5に示す。
    透過率は、原料流中のTOC レベルを時間の関数として追跡し、結果を点轍することによって測定した。 Ln(原料
    TOC )対時間を点轍すると、直線が得られ、その勾配は、透過率と膜面積の積を原料容積で割ったものに等しい。 すなわち、透過率は、次の式 : Ln(原料TOC )= (透過率×膜面積/原料容積 )×時間 から決定することができる。 表5で注目されることは、
    透過率は液膜支持体の厚さと空隙率に極めて依存するということである。

    【表5】

    【0067】

    【実施例20】実施例2の方法を繰り返したが、ただし、セルガード2400膜を、ダウケミカル社(Dow Che
    mical Company)から得たポリブチレングリコール(PBG)
    MW2000で含浸した。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、膜平方センチ当たり約3.3ミリグラム/時であった。 一晩の運転後、苛性側のPNP の廃液(原料)
    側に対する比は、約1300であった。

    【0068】

    【実施例21】実施例20の方法を繰り返したが、ただし、MWが約5000のポリブチレングリコールを代わりに用いた。 PNP が膜を通過して移動する初期速度は、膜平方センチ当たり約2.1ミリグラム/時であった。 一晩の運転後、PNP 比(ストリップ側の濃度の原料側に対する) は、約120であった。

    【0069】

    【実施例22】実施例2の方法を繰り返したが、ただし、廃(原料)水溶液は、マレイミド7,000mg/
    L及び40重量%硫酸アンモニウムを含有するものであった。 マレイミドが膜を通過して移動する初期速度は、
    膜平方センチ当たり約1.2ミリグラム/時であった。

    【0070】

    【実施例23】実施例22の方法を繰り返したが、ただし、使用液膜は、PPG −4000中にプルロニック(Plu
    ronic)L −81(BASF 社(BASF Corporation)からの) を溶かした30重量%溶液であった。 プルロニックは、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコーポリマーであり、従って親ポリマー二つの間の中間の疎水性特質を有する。 マレイミドの初期速度は、二倍を超えて(=膜平方センチ当たり2.5ミリグラム/時 )測定された。 この実施例は、いろいろな相溶性のあるポリマーを混ぜ合わせて優れた性能を得ることができることを示す。

    【0071】

    【実施例24】実施例2の方法を繰り返したが、ただし、該廃水溶液は、1,000mg/lのフマロニトリル及び40重量% 硫酸アンモニウムを含有するものであった。 フマロニトリル移動の初期速度は、膜平方センチ当たり約0.5ミリグラム/時であった。

    【0072】

    【実施例25】実施例2の方法を繰り返したが、ただし、該液膜として、オクタノール、つまりp-ニトロフェノールに高い親和性を有する典型的な溶媒を用いた。 オクタノールは、揮発性が高いので、オクタノール含浸の膜は、液の膜の全体性を維持するために手早く取り扱う必要があったことが観察された。 膜を通過する PNPの移動の初期速度は、膜平方センチ当たり約5ミリグラム/
    時であり、PPG 液膜で得られたものと同等であった。 しかし、固定化オクタノール液膜は、約10分の操作で壊れてしまったが、恐らく浸透圧の差に基づく静圧の急激な変化によるもので、そのため塩並びに苛性液は一室から他室へ通過してしまうことになった。 この実験の証明するところは、固定化PPG 液膜が、膜の安定性において従来の有機溶媒より優れ、移動速度にもほとんど悪影響がないことである。

    【0073】

    【実施例26】この実施例の証明するところは、固定化
    PPG 液膜が揮散モードで水溶液からブタノールを除去する能力である。 セルガード2500(平板シート状の微細孔ポリプロピレン膜)をPPG −4000で湿潤し、実施例 2に記載のようにセル膜の二室の間に挟んだ。 室の一つにはブタノール5000mg/l含有の水溶液を充填した。 空気を他の室の方へ吹き流し、膜を拡散してくるブタノールを取り除き、かくして更に移動させるための駆動力を生じさせる。 この系は、65℃で運転した。
    ブタノール除去の初期速度は膜平方センチ当り約7ミリグラム/時であった。 運転約5時間後、水溶液中のブタノール濃度は約400mg/lへ落ちた。

    【0074】

    【実施例27】実施例12の方法を酢酸に対して繰り返したが、ただし、使用液膜は、PPG −4000中にトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)を溶かした50重量%溶液であった。 TOPOは、水溶液から酢酸を除く溶剤抽出プロセスに使用されてきたものである。 TOPOは、弱塩基であることから、カルボン酸のような弱酸との相互作用が良好である。 TOPO−PPG 液膜で得られる透過率は、
    PPG 液膜単独で得られるものより二倍も高かった。

    【0075】

    【実施例28】実施例14の方法を繰り返したが、ただし、原料(実廃液) の容量は300mlでストリップ溶液は30mlの1N NaOHであった。 試験は、二週間以上にわたって連続的に行われ、その間原料中のTOC
    の約80%が取り除かれ、その結果、ストリップ溶液の有機物濃度は、初期原料のそれより約9倍にも上昇した。 上記の二週間運転の前と後に膜について個別に測定を行ったが、基本的に透過率は同一であった。 この実施例が示すことは、実際の適用条件でも固定化PPG 液膜が長期にわたって安定性があるということである。

    【0076】

    【実施例29】この実施例は、異なった解離定数を有する化合物、例えば、p−ニトロフェノール(pKa=
    7.1)と安息香酸(pKa=4.25)とを溶液 pH
    を変えることによって達成することができる分離選択性を示す。

    【0077】この方法は、実施例2と同じであったが、
    違いは、原料水溶液が、20重量%KCl 中にPNP 約40
    00mg/lと安息香酸約2000mg/lとを含むもので、その pH は5.4であり、この pH は該二つの極性化合物のpKa の間にある。 この pHでは、PNP は溶液、主にその非イオン形で存在するが、安息香酸は実際上完全にイオン化されている。 見出されたことによると、PNP は、
    容易に膜を通過し、一夜にして原料溶液から約99%の
    PNP が除去される結果になった。 しかし、安息香酸は膜でほとんど阻止された。 一夜の処理を行っても、安息香酸は痕跡量( 原料の<1%) しかストリップ水溶液に検出されなかった。 注目すべきは、この分離が極めて高いイオン強度(20重量%KCl)の存在下に行われたことで、このイオン強度ではイオン交換法ではこのような分離は実際上操作不能となるであろう。

    【0078】

    【実施例30】移動速度に対する pH とイオン化との効果を更に示すために、実施例29の方法を繰り返したが、今回は原料水溶液の pH を2.5に調整した。 この
    pH は、極性有機化合物二種の pKaより低い。 一夜にして、PNP と安息香酸の両方は原料からほとんどなくなり、実質上完全にストリップ側へ移動してしまった。

    【0079】以下の実施例ではPPG −4000の鎖長さ(大きさ)を、いろいろな量のトルエンジイソシアネート(TDI) を用いてPPG 分子を結合することによって大きくした。 この操作は、4000より大きい有効分子量を有するPPG を得て、これらの高分子量ポリマー液が、支持される液膜として効果的であることを示すために行われたのである。

    【0080】

    【実施例31】約6gのPPG −4000(アルドリッチ社(Aldrich) 製造) を室温でいろいろな量のTDI(工業用, 80% , アルドリッチ社製造) と混ぜて、TDI/PPG −
    4000のモル比が0(TDI無添加),0.25,0.5及び1.0の溶液を調製した。 次に、これらの溶液を約6
    0時間60℃に加熱して反応を完結させ、その後室温まで冷却した。 観察によると、純粋なPPG −4000には変化が見られなかったが、0.25モル比の混合液は、
    より粘稠になり、0.5及び1.0モル比の溶液は、濃いゲルとなった。 このことは、TDI 量が多いと、PPG 分子の連鎖度が高くなる結果になるという事実に一致する。

    【0081】上記のTDI/PPG −4000生成物をセルガード2400支持体に吸収させ、支持された液膜を得、
    この液膜体を用いて、実施例2に記載の方法と類似の方法で水溶液からPNP を除去した。 TDI/PPG −4000のモル比が0,0.25,及び1.0の液膜に対して測定された透過率は、それぞれ、3.6×10 -4 , 3.8×
    10 -4 , 及び2.6×10 -4センチ/秒であった。 一晩経過すると、純粋なPPG −4000使用の液膜では原料溶液中のPNP 濃度は約8 ppmまで下がったが、他の二つのケースに対するPNP 濃度は1 ppm以下であった。

    【0082】

    【実施例32】実施例31における方法と同じ方法を用いたが、ただし、セルガード2400支持体を最初にいろいろな未反応のTDI/PPG −4000溶液で室温で湿潤してから、 その後で 60時間60℃に加熱して反応を完結させた。 この方法を用いると、セルガード支持体の細孔内で分子鎖の延長が行われるようになる。 この方法での純粋なPPG 液膜及びTDI/PPG モル比1.0の液膜を用いて、PNP を除去した。 上記のPPG 液膜及びTDI/PPG 液膜に対して得られた透過率は、それぞれ、4.8×10
    -4 , 及び5.3×10 -4センチ/秒であった。 一晩経過すると、純粋なPPG 液膜に対して原料溶液中のPNP 濃度は約2 ppmまで下がり、他の液膜に対しては約5 ppmまで下がった。

    【0083】

    【実施例33】本実施例は、液膜を通って移動した有機化合物(この場合はエステル) を異なる化合物へ化学的に転化してしまうことによって、通過した化合物が原料側に戻らないようにするという概念を示すものである。
    実施例2の方法を用いたが、ただし、原料は、 pH 7.
    1にて安息香酸エチル(エステル) を500mg/l含有するものであった。 ストリップ液は同じく0.1N
    NaOHであった。 アルカリ側 pH ではエステルは、対応する酸とアルコールとへ加水分解されることが知られている。 従って、安息香酸エチルが膜を通過してアルカリ性ストリップ液へ浸透すると、それは安息香酸ナトリウムへと転化されるが、この塩は、水溶性であり、従ってPPG 液膜を通って浸透することはない。 温度23℃における安息香酸エチルの透過率は、約9×10 -4センチ/秒であった。 一晩経過すると、原料側の安息香酸エチルの濃度は、1mg/lまで落ちた。 ストリップ液を分析すると、安息香酸が約420mg/lの濃度で存在していることが示された。

    【0084】本発明の原理、好ましい態様及び運転モードは、前記の詳細な説明の項に記載した。 しかし、保護されるべき本発明は、特定の開示内容に限定されると解釈してはならない。 前記の開示は説明のためであり、決して限定する目的ではないからである。 当業者は、本発明の精神から逸脱することなく部分的な改変や変更は可能であろう。

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