首页 / 专利库 / 环境工程 / 蒸散量 / Thermistor heating element device having positive characteristic and its production

Thermistor heating element device having positive characteristic and its production

阅读:346发布:2021-07-09

专利汇可以提供Thermistor heating element device having positive characteristic and its production专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE:To obtain a thermistor heating element device having positive characteristics and installed in a liquid type electronic mosquito-repellent device, capable of concentrating heating value of the thermistor having positive characteristics into a metallic body and reduced in heat transmission. CONSTITUTION:An adhesive 221 is applied to a thermistor having positive characteristics and having electrodes on opposed both main planes and both electrode faces of the thermistor and the thermistor and both electrodes are pressurized and interposed with electrode plates and fixed to form a heater core 26 and guide supports 284a and 284b of a part of the second insulating case 28 are communicated to a housing part 271 of a metallic body 27 to install three components and a packing resin 30 is injected and the first insulating case 25 is covered and circumference of the second insulating case 28 and both are fixed and the packing resin 30 is heat-cured to integrate the these components. In this constitution, the heater core 26 and the metallic body 27 are integrally fixed with the packing resin 30. Thereby, heating value of thermistor having positive characteristics can be concentrated sized and inexpensive thermistor heat generating element device having positive characteristics, excellent in reliability and safety and capable of readily carrying out automatic production can be realized.,下面是Thermistor heating element device having positive characteristic and its production专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】相対向する両主平面に電極を設けた正特性サーミスタの上記両電極面にそれぞれ電極板を固着して形成されたヒータコアと、このヒータコアを収納する収納部を設けると共に隣接する貫通孔を設けた金属体と、
    この金属体の収納部に収納されたヒータコアを固着して一体化する充填材と、上記収納部側の金属体を覆うように結合された第1ならびに第2の絶縁ケースからなる正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項2】第1の絶縁ケースに、ヒータコアの端子を導出するための一対の孔と、金属体の収納部の一部に嵌合して位置決めを行う突出壁と、金属体を囲んで断熱する外壁を設けた請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項3】第2の絶縁ケースの周縁に機器に装着するための固定部と、金属体の収納部に嵌合すると共にヒータコアを位置決めして装着しヒータコアと金属体とを絶縁するガイド溝を形成したガイド支柱と、金属体を囲んで断熱する外壁を設けた請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項4】金属体を囲む第1の絶縁ケースの壁面および第2の絶縁ケースの壁面の殆どは金属体に直接接することなく部分的に接触し、空間を介して金属体を覆った構造である請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項5】正特性サーミスタは、両主平面が金属体の収納部と貫通孔のそれぞれの中心を結ぶ中心軸に対しほぼ垂直にかつ貫通孔に近接して配置され、この両主平面は金属体の収納部の内壁に充填樹脂を介して一体化されると共に絶縁されたものである請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項6】正特性サーミスタの両主平面は金属体の収納部と貫通孔のそれぞれの中心を結ぶ中心軸の延長上にこの中心軸を挟んでほぼ平行に配置され、またこの両主平面は上記金属体の収納部の側壁に近接すると共に対向し、充填樹脂を介して金属体と一体化ならびに絶縁されたものである請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項7】金属体の一部に、第1の絶縁ケースと第2
    の絶縁ケースを位置決めするストッパ部を形成した請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項8】電極板の一部に、正特性サーミスタの電極に食い込む切り起こし部を設けた請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項9】電極板の一部に、正特性サーミスタを位置決めするガイド部を設けた請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置。
  • 【請求項10】正特性サーミスタの両主平面あるいは各電極板に接着剤を塗布し、接着剤を介して正特性サーミスタを電極板で挟持して加圧することにより正特性サーミスタと電極板を接続して位置決め固定し、これを外部から加熱、もしくは電極板に通電して正特性サーミスタを発熱させ内部から接着剤を加熱し硬化させて正特性サーミスタと電極板を固着したヒータコアを作成した後に、金属体の下部に第2の絶縁ケースを装着し、この金属体の収納部に上記ヒータコアを所定の位置にはめ込んで樹脂を充填して埋没した後、金属体の上部に第1の絶縁ケースを装着すると共にこの第1の絶縁ケースの端子導出孔からヒータコアの電極板の端子部を導出し、第1
    の絶縁ケースと第2の絶縁ケースを固着し、さらに充填した樹脂を加熱硬化して金属体とヒータコアを固着し一体化する請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項11】金属体は切削、インパクト成型、押し出し成型と切断あるいは鋳物成型で作成する請求項10記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項12】帯状の金属板を順送し打ち抜き加工して第1の電極板と第2の電極板を作成すると共に第1の電極板と第2の電極板に分離し、かつそれぞれの一部を接続したままブロック化された一対のコム状に切断した後に、このコム状になった第1の電極板と第2の電極板のそれぞれに接着剤を塗布し正特性サーミスタの両主平面に貼付けて正特性サーミスタを挟持し、さらに各電極板を加圧し複数個のヒータコアのブロックを電気的に並列接続してその一部に電圧を印加してブロック毎の複数の正特性サーミスタを発熱させて各々の接着剤を加熱硬化した後、各電極板の一部が接続されている部分を切断し、上記加圧を開放して個々の独立したヒータコアを作成する請求項10記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項13】金属体の収納部の孔壁と貫通孔の孔壁のそれぞれの厚みと高さの設定、または充填樹脂の量の設定、または熱伝導率を任意に設定した充填樹脂の選択の中で、少なくとも1つ以上の方法を用いることにより目的とする発熱温度の設定を行う請求項10記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項14】第1の絶縁ケースに金属体を装着する際に、予め第2の絶縁ケースの一部に金属体に無理に嵌合するリブを形成しておき、このリブで金属体の一部を無理押しして第2の絶縁ケースと金属体を位置決め支持し、金属体を加圧あるいは加圧した後に金属体に超音波振動を与えて上記リブを削除または溶融して両者の接合面を密着結合させ、この金属体の収納部の上面側の開口部を第1の絶縁ケースに密着結合してシールし閉塞する請求項10記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項15】第1の絶縁ケースと第2の絶縁ケースの結合を、嵌合または接着または加熱溶着または超音波溶着により行う請求項10記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項16】第1の絶縁ケースと第2の絶縁ケースを超音波溶着にて結合する場合、予め第1の絶縁ケースまたは第2の絶縁ケースのどちらかの固着面に複数の溶着リブを形成しておき、このリブを溶着することにより両者を結合する請求項15記載の正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法。
  • 【請求項17】第1の絶縁ケースまたは第2の絶縁ケースの一部を器具に固定し、金属体の貫通孔に殺虫剤が浸透した芯を挿通してその一部を加熱し、殺虫剤の蒸散を行う請求項1記載の正特性サーミスタ発熱体装置を用いた蚊取器。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、液体を浸透させた棒状の固形物を外周から加熱することにより蒸散させるのに好適な正特性サーミスタを用いた正特性サーミスタ発熱体装置およびその製造方法に関するものである。

    【0002】具体的な一例として、リキッド式電子蚊取器の殺虫剤を蒸散する薬剤浸透芯の加熱用ヒータに上記の正特性サーミスタを熱源として応用しており、この正特性サーミスタは、自己温度制御による定温発熱機能と規定温度以上に過熱しない安全機能を備えているため、
    小型高性能で取扱いが容易な安全なヒータとしてその殆どが専用的に用いられてきている。

    【0003】

    【従来の技術】近年、電子蚊取器は使用の都度交換するマット式から、ほぼ1ヵ月間交換しなくても使えるボトル型のリキッド式に市場ニーズは移り変わり、使用時間も連続的になってきたことで、ヒータの熱源に対する安全性と信頼性はより高度なものが要求されてきている。

    【0004】そのため、熱源はニクロム線や印刷抵抗器等の固定電型の抵抗体に替わり、その殆どが自己電力制御型で自己温度制御する温度依存性半導体抵抗器の正特性サーミスタに置き替わりつつあり、市場も意識的に安全で高信頼性の熱源として正特性サーミスタ発熱体装置を求めるようになってきた。

    【0005】また、正特性サーミスタ発熱体装置を用いた電子蚊取器もその普及に伴い、メーカ側の市場ニーズへの対応は正特性サーミスタ発熱体装置をより高品質高性能で安全性の高いものに仕上げ、自動化等により大量に生産され、安価に提供されることがその使命となってきている。

    【0006】以下に従来の正特性サーミスタ発熱体装置について説明する。 図11は従来の正特性サーミスタ発熱体装置を取り付けたリキッド式電子蚊取器の概略断面図、図12は従来の正特性サーミスタ発熱体装置の断面図、図13は従来の正特性サーミスタ発熱体装置の分解斜視図を示すものである。

    【0007】図11において、1は殺虫剤ボトル、2は殺虫剤薬液、3は殺虫剤薬液2に浸漬して毛細管現象により殺虫剤薬液2を吸い上げる棒状浸透芯である。 10
    1は殺虫剤ボトル1の内側に一部突き出て棒状浸透芯3
    の下部を周囲から起立支持するガイド、102は同じく殺虫剤ボトル1の上部の一部に形成した棒状浸透芯3を支持する鍔型の蓋を兼ねるガイドであり、棒状浸透芯3
    の一部を周囲から締めつけて殺虫剤薬液2が漏れ出ないようにするものである。 なお、上記棒状浸透芯3は殺虫剤ボトル1から上方向の外に向かって適当寸法突出している。 103は殺虫剤ボトル1の上部に形成したネジ山状の突出帯で、リキッド式電子蚊取器(以下、器具と呼ぶ)の内側一部に嵌合し殺虫剤ボトル1を器具に収納し固定するものである。

    【0008】4は前記器具の一部品で殺虫剤ボトル1の位置決めと据えつけを行うボトル台である。 401はボトル台4に殺虫剤ボトル1の底部を固定支持する凹部でボトル台4から容器状に突き出して形成し、殺虫剤ボトル1を手で無理押しし、その底部を嵌合するようにしてある。 402は同ボトル台4の凹部401の外周に平方向に突き出した外周凸部で、上記器具の底部内側の一部と嵌合する。 また、ボトル台4は器具底面からの蓋の機能も持つ。

    【0009】5は正特性サーミスタ発熱体装置の固定と殺虫剤ボトル1の上部位置決め固定とボトル台4の嵌合固定を行ってそれぞれを一体化する内装器具である。 5
    01は殺虫剤ボトル1の突出帯103のネジ山とネジ山の谷に嵌合する帯状の突起、502はボトル台4の凸部402の直下部の窪みに嵌合する帯状の内周突起である。

    【0010】6はPPS等の耐熱性を有する正特性サーミスタ発熱体装置の容器状ケース、7はPPS等の耐熱性を有する同装置の蓋体、8は同装置の容器状ケース6
    と蓋体7を結合して鳩目固着し一体化するアルミニウムや銅合金等の筒状放熱板であり、これらを一体化したものを正特性サーミスタ発熱体装置と呼ぶ。

    【0011】上記筒状放熱板8は容器状ケース6と蓋体7の両者を一体化すると共に正特性サーミスタの発熱を伝熱し、同筒内を挿通する棒状浸透芯3の上部周囲を規定の均一な温度で加熱し、殺虫剤薬液2を蒸散するものである。 9は内装器具5に正特性サーミスタ発熱体装置を固定するビスである。

    【0012】10は正特性サーミスタ発熱体装置のU字状の間隙で、機種の異なる器具に機能するために設けられた汎用性のものであり、このU字状の間隙は、本説明に引用した器具には機能しないもので全く無関係のものである(例えば、別機種では筒状放熱板8を用いず異形状な特殊放熱板をU字状の間隙に装着することで、正特性サーミスタ発熱体装置のU字状の間隙10の開口側から被加熱物を装着して行う時に機能するものである)。

    【0013】11は同器具の外装ケースで前記内装器具5のカバーとして取り付けられ、正特性サーミスタ発熱体装置に対し空間距離を保って外部と断熱し、かつ内部配線を外部と絶縁して覆う位置に取り付く。 111は外装ケース11の頭頂部に設けた殺虫剤薬液2が蒸散する孔で、一般的に棒状浸透芯3が挿通する筒状放熱板8の筒径より幾分大きく開けてあり、殺虫剤薬液2の蒸散ガスが器具内部に滞留しないようにしてある。 12は器具の電源プラグで、13は同器具のON−OFFスイッチであり、このスイッチ13にはランプが内蔵されているものが多い。

    【0014】図8は上記正特性サーミスタ発熱体装置の断面図であり、図8において、14は正特性サーミスタ素体、15a,15bは同素体14の相対向する両主平面に設けた電極、15は正特性サーミスタ素体14に電極15a,15bを付与した正特性サーミスタ、16
    a,16bは正特性サーミスタ15から導出して通電するステンレス等の電極板で、16c,16dは同電極板16a,16bの導出端子、17a,17bは正特性サーミスタ15の発熱を伝熱するアルミニウムや銅合金等のU字状伝熱板であり、上記正特性サーミスタ15をシリコン等の耐熱性樹脂接着剤(図示せず)を介して電極板16a,16bで挟持し、さらにU字状伝熱板17
    a,17bで挟持し、電極板16a,16bとU字状伝熱板17a,17bの間には電極板16a,16bからはみ出た前記耐熱性樹脂接着剤が介在している。

    【0015】これら正特性サーミスタ15の両面に重層挟持する3者は耐熱性樹脂接着剤により一体化して同時に加熱固着しヒータのコアを形成する。 このヒータコアを容器状ケース6の開口形状に合わせて収納し、位置決めして装着し、シリコン等の樹脂によりヒータコアを埋没するべく密着充填し、恒温槽で加熱硬化もしくは室温にて放置硬化しヒータコアを容器状ケース6内に固着する。 18はヒータコアを埋没した樹脂充填部である。

    【0016】これらに蓋体7を被せ、容器状ケース6の外周形状と合同設置し、筒状放熱板8を容器状ケース6
    のU字状間隙10と繋がる孔に挿通し、さらに蓋体7をも挿通し、一部突出した筒状放熱板8の筒開口部を叩き広げて鍔を形成し、容器状ケース6と蓋体7を鳩目固着のように機械的に強固に加圧固着し一体化して正特性サーミスタ発熱体装置を形成する。

    【0017】なお、8a,8bは筒状放熱板8の筒開口部を叩き広げた前記鳩目固着の鍔部、19は容器状ケース6と蓋体7の固着接続部、20は筒状放熱板8の挿通孔であり、棒状浸透芯3はこの挿通孔20に挿通し、筒状放熱板8の孔壁内径周囲の面から加熱され、殺虫剤薬液2が棒状浸透芯3の上部加熱部から蒸散する。 なお、
    201は容器状ケース6と筒状放熱板8との間にできた空隙である。

    【0018】次に、図12の断面図および図13の分解斜視図を用いて、以下にその製造方法を説明する。 まず図13に記載する詳細な部材の構成要素を図中の上から順に説明する。 以下、構成番号は順不同とする。

    【0019】蓋体7において、71a,71bは電極板16a,16bの導出端子16c,16dを挿通する端子導出孔、72a,72bは容器状ケース6をガイドする突起帯、73は筒状放熱板8を挿通し同鍔8bにて鳩目固着するU字形底の加圧縁部、74は前記内装器具5
    にビス9で固定するU字状の装置固定用突起、75はそのビス9を挿通するU字状の装置固定用溝、20aは筒状放熱板8を挿通するU字底部の孔である。

    【0020】U字状伝熱板17a,17bにおいて、1
    71a,171bはU字形伝熱腕、172a,172b
    は容器状ケース6内のU字形底の孔壁に近似し合同するU字孔である。 電極板16a,16bにおいて、161
    a,161bは容器状ケース6内に形成したU字溝に合同し位置決めするガイド端、162a,162bは同容器状ケース6内のU字形底の孔壁に近似し合同するU字底形に切り欠いたガイド弧、163a,163bはシリコン等の耐熱性樹脂接着剤をはみ出させるためのY字孔、164a,164bは正特性サーミスタ素体14の電極15a,15bに食い込んで導電接続するバーリング孔であり、前記Y字孔163a,163bはバーリング孔164a,164bの複数孔を互いに個別に分離して各々を独立弾性可変および独立懸架にする機能をも持つ。

    【0021】容器状ケース6において、61は正特性サーミスタ15と電極板16a,16bとU字状伝熱板1
    7a,17bを積層して構成したヒータコアを設置収納する収納部、62はU字状伝熱板17a,17bのU字形伝熱腕171a,171bをガイドし収納するガイド溝、20bは筒状放熱板8を挿通するU字底部の孔である。 筒状放熱板8において、8cは筒開口部である。

    【0022】以上の詳細な構成において、正特性サーミスタ15の電極15a,15bの両面に印刷等の手段により耐熱性樹脂接着剤(図示せず)を塗布し、これらを電極板16a,16bを介してU字状伝熱板17a,1
    7bで挟持する。 電極板16a,16bに形成したバーリング孔164a,164bの突出部は上記電極15
    a,15bに互いに食い込んで導電接続し、バーリング孔164a,164bとY字孔163a,163bからは塗布した耐熱性樹脂接着剤がはみ出てU字状伝熱板1
    7a,17bに付着する。 同時に導出端子16c,16
    dを水平一列に位置決めし、電極板16a,16bのガイド端161a,161bおよびガイド弧162a,1
    62bとU字状伝熱板17a,17bのU字形伝熱腕1
    71a,171bおよびU字孔172a,172bのそれぞれの形状を合同して位置決めし、挟持する方向から加圧しながら高温恒温槽で規定時間加熱硬化して一体化し、ヒータコアを作製していた。 また加圧時において導出端子16c,16dに通電して正特性サーミスタ15
    を発熱させ、この発熱量で耐熱性樹脂接着剤を加熱硬化することも行っていた。

    【0023】容器状ケース6の内底部全面に予め低粘度で流れ性の良いシリコン等の樹脂充填剤を適量注入しておき、これにヒータコアを収納していた。 収納部61には正特性サーミスタ15を挟持した固着部を、ガイド溝62にはU字状伝熱板17a,17bのU字形伝熱腕1
    71a,171bをそれぞれ配置して収納設置し、さらに前記同樹脂充填剤を静かに注入して樹脂充填部18を埋め、容器状ケース6の開口面から充填樹脂が溢れ出ないようにし、ヒータコアが見えなくなるまで注入充填し、これを真空脱泡機に放置、または室温に適当時間放置して、樹脂内に残留した気泡を除去し、蓋体7を被せる。

    【0024】蓋体7の端子導出孔71a,71bからは導出端子16c,16dを挿通し、蓋体7の突起帯72
    a,72bには容器状ケース6の外壁をガイドして装着し、蓋体7のU字底部の孔20aと容器状ケース6のU
    字底部の孔20bは互いに合同して装着する。 これら、
    U字底部の孔20a,20bに筒状放熱板8を挿通して筒開口部8cを突出させ、蓋体7のU字形底の加圧縁部73に前記筒開口部8cを機械的に叩き広げて鍔を形成し、さらに加圧して鳩目固着する。 これを、高温恒温槽に規定時間放置して加熱硬化または室温に規定時間放置して自然硬化し、ヒータコアと容器状ケース6と蓋体7
    と筒状放熱板8とを強固に熱的にまた機械的に密着固着する。

    【0025】さらに、組み込んだ正特性サーミスタ発熱体装置を温度検査機に装着し、導出端子16c,16d
    から電圧を印加して正特性サーミスタを発熱させ、筒状放熱板8を温度上昇させて規定時間放置して表面温度を安定させ、筒状放熱板8の挿通孔20に温度センサを当接して温度検査を行い、製品を完成させるという製造方法であった。

    【0026】以上のように構成された従来の正特性サーミスタ発熱体装置について、以下その動作について説明する。 まず、リキッド式電子蚊取器の電源プラグ12をコンセントに差し込んでスイッチ13をONすると、電圧は電極板16a,16bの導出端子16c,16dに印加され、電極15a,15bを介して正特性サーミスタ15に通電され、ジュール熱により自己発熱して電極板16a,16bを介してU字状伝熱板17a,17b
    に伝熱する。 さらに樹脂充填部18に充填したシリコン等の埋没樹脂に伝熱し、容器状ケース6の孔壁を介して筒状放熱板8に伝熱し、棒状浸透芯3を加熱して棒状浸透芯3は温度上昇する。 正特性サーミスタ15は自己発熱を続け筒状放熱板8はこれに応じて放熱し棒状浸透芯3をさらに加熱する。

    【0027】時間が経過すると共に、正特性サーミスタ15は自己発熱と共に自らの抵抗値が上昇し電力を減少していき、正特性サーミスタ15の自己発熱量と筒状放熱板8の放熱も一定になって、正特性サーミスタ発熱体装置の表面温度は安定する。

    【0028】これらの発熱状態において、正特性サーミスタ15に印加される電圧が変動した場合(100/1
    10V商用電源の電圧変動は最大±10%以内、また2
    20/240V商用電源では最大±20%以内と考えて良い)、例えば規定の電圧より低くなったとすると、正特性サーミスタ15への印加電圧が小さくなるため、正特性サーミスタ15は自己発熱が小さくなる方へ働くが、同時に自らの抵抗値が下がるため電流を増加させ、
    電力は元のまま一定で発熱量は変わらず、筒状放熱板8
    の表面温度は一定で変わらない。 逆に、電圧が高くなると、印加電圧が大きくなり、正特性サーミスタ15は自己発熱が大きくなる方へ働き、抵抗値が上昇して電流を低減させ、前記同様電力は元のままを維持し一定で発熱量は変わらず、筒状放熱板8の表面温度は変わらない。

    【0029】また、周囲温度に変動が生じた場合、例えば周囲温度が低くなった場合、正特性サーミスタ15は冷やされ、自らの抵抗値が下がり電流が増加し電力が幾分増加するため、正特性サーミスタ15の発熱量が増加し、正特性サーミスタ15は筒状放熱板8が周囲温度の低下により冷やされた分を補い加熱し、周囲温度の低下よりも小さい低下量で安定するため、筒状放熱板8の表面温度は若干低下する程度で安定する。

    【0030】逆に、周囲温度が上昇すると、正特性サーミスタ15が外温で加熱されることになるため、自らの抵抗値を上昇して電流を減少させ電力が幾分減少することから、正特性サーミスタ15の発熱量が低下し、正特性サーミスタ15は筒状放熱板8が周囲温度の上昇により加熱された分よりも少ないことから、周囲温度の上昇量よりも小さい上昇量で安定するため、筒状放熱板8の表面温度は若干上昇する程度で安定する。 このように、
    電圧の変動、周囲温度の変動に対し、正特性サーミスタ15はそれぞれの条件に応じて自らの抵抗値を変え、電力制御して自己発熱するため固定抵抗型のヒータで構成された発熱体装置に比べ、安定した加熱を行うことができる。

    【0031】また、電圧の上昇、周囲温度の上昇により、正特性サーミスタ15は自らの抵抗値を敏感に対数的に著しく上昇して自己発熱を抑えることから、異常時には電力量が極小になり過熱することがない。 そのため、固定抵抗型のヒータで構成された発熱体装置よりも安全性が高く、かつ巻線固定抵抗型ヒータのように通常使用での経時的な熱酸化による断線等の不具合が起こることもなく、信頼性の高いヒータとして用いられる。 この安定性に優れ、安全性、信頼性の高い正特性サーミスタ発熱体装置の加熱をリキッド式電子蚊取器に用いることで、加熱温度で蒸散がデリケートに変化する殺虫剤薬液2を棒状浸透芯3から安定して加熱蒸散させることができるというものであった。

    【0032】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来の構成では、以下の問題点を有していた。

    【0033】まず、性能上の問題点として、正特性サーミスタ15と電極板16a,16bとU字状伝熱板17
    a,17bで形成される前記ヒータコアは容器状ケース6内にシリコン等の樹脂で埋没し密着充填しているため、正特性サーミスタ15の自己発熱量は正特性サーミスタ15の側面とU字状伝熱板17a,17bからの両熱伝達路から樹脂充填部18の充填樹脂に伝熱し、筒状放熱板8が装着される容器状ケース6のU字底部の孔2
    0bの壁に伝熱し、前記空隙201を介して筒状放熱板8に伝熱することから、ヒータコアの熱量が筒状放熱板8に伝熱するまでの各部品が熱抵抗となって、熱伝達に大きなロスを生じさせるという問題を有していた。

    【0034】具体的には、筒状放熱板8は容器状ケース6と蓋体7とが合同する孔部に挿通して鳩目固着して結合されているため、筒状放熱板8の筒壁と容器状ケース6とは密着せず、前記U字底部の孔20bの孔壁との間に空隙201ができ、この空隙201が断熱となり伝熱の妨げとなっていた。 さらに、容器状ケース6はPPS
    等の熱伝導率の良くないプラスチックで作成されていたことから、容器状ケース6の一部であるU字底部の孔2
    0bの孔壁でも断熱することとなり、この両者の断熱が熱伝達の妨げとなっていた。

    【0035】そのため、これら両者の断熱によって正特性サーミスタ15の発熱が筒状放熱板8に伝熱し難いことから、筒状放熱板8の表面温度を得るために正特性サーミスタ15のスイッチング温度(キュリー温度)を高温に設定する必要があった。

    【0036】また、電圧の変動に対し正特性サーミスタ15が敏感に応答して自己温度制御しても、前記2者によって断熱されるため、筒状放熱板8の表面温度の応答性が遅いものであった。 また周囲温度の変動により、筒状放熱板8の表面温度が低下または上昇した場合、同様にこの前記2者が断熱して熱伝達が鈍感になるため正特性サーミスタ15の自己温度制御の応答が遅く、筒状放熱板8にフィードバックされる熱量制御の速度も遅いという問題も有していた。

    【0037】また、製造する上で容器状ケース6に注入する樹脂の量が多いと、筒状放熱板8を取り付けて鳩目固着する場合、蓋体7が鳩目固着の機械的加圧力により希に樹脂を押すため、充填した樹脂が容器状ケース6の開口部から溢れ出て、固着接続部19の合わせ目から前記空隙201に流れ出し、この空隙201をも充填してしまう場合もあった。 空隙201が樹脂で充填されると、容器状ケース6と筒状放熱板8との断熱がなくなるため熱伝達が良くなり、筒状放熱板8の表面温度が異常に高くなることから、空隙201に樹脂が存在するかしないかのバラツキで熱伝達が大きく異なり、筒状放熱板8の表面温度の設定が困難を極めるという問題を有していた。

    【0038】また、信頼性上の問題点として、容器状ケース6に注入して充填するシリコン等の樹脂は、微視的にポーラスであるため、溶剤や石油系の化合液がかかると吸収膨潤し、樹脂の高分子結合を破壊して樹脂の性能を損なうことが一般的に知られている。 リキッド式電子蚊取器に用いる殺虫剤薬液2は、この石油系化合液をベースにして殺虫効果のある薬品を成分調整し混合して造られていることから、前記シリコン等の樹脂に与える影響は同様であった。

    【0039】正特性サーミスタ発熱体装置に殺虫剤薬液2がかかった場合、殺虫剤薬液2は固着接続部19の合わせ目から浸透し、容器状ケース6内に充填しているシリコン等の樹脂を膨潤させる。 この膨潤する膨脹力は大きく、その力は正特性サーミスタ15に固着している電極板16a,16bとU字状伝熱板17a,17bを引き剥がす方向に働くため、正特性サーミスタ15の導通接続をオープンにし断線状態にしたり、さらには容器状ケース6や蓋体7に亀裂を生じさせることもあるという問題を有していた。

    【0040】また、製造上の問題点として、正特性サーミスタ15、電極板16a,16b、U字状伝熱板17
    a,17bを耐熱性樹脂で接着して固着したり、またこれらを一体化してヒータコアを形成し容器状ケース6内に収納し機械的にかつ熱的に密着固着するために、それぞれに耐熱性の樹脂接着剤、埋没充填する樹脂充填剤を用いていたことで、製造工程の各固着工程において以下のような種々の問題点を有していた。

    【0041】例えば接着工程においては各構成部材を位置決めして重層し、固着するために加圧した時、伝熱板17a,17bと電極板16a,16bとの間に介在する樹脂により滑りを生じて重層ズレを起こし、また樹脂硬化後、樹脂のはみ出しやズレにより外形寸法に異常を生じて、容器状ケース6内に収納する際に時折不具合なことがあった。

    【0042】また樹脂充填工程においては、充填樹脂を容器状ケース6に注入して容器状ケース6に蓋体7を被せ、容器状ケース6と蓋体7のU字底部の孔20a,2
    0bに筒状放熱板8を挿通して鳩目固着する時、その加圧力が容器状ケース6と蓋体7を若干圧縮変形させて充填樹脂を圧迫しやすく、容器状ケース6の外壁63や固着接続部19の合わせ目から内部の充填樹脂が外部に漏れ、外観を汚し、また組み立て設備や治具等も汚してメンテナンスを困難にしたり、時に蓋体7の端子導出孔7
    1a,71bの隙間から漏れ出て導出端子16c,16
    dに付着し、この導出端子16c,16dに接続するリセプタクルや溶接端子や半田付け端子等の接続に接続不良を起こす要因になることがあった。

    【0043】また、容器状ケース6のU字底部の孔20
    bの孔壁と筒状放熱板8との間の空隙201に漏れて空隙201がなくなると熱伝達が良くなり、筒状放熱板8
    の表面温度が著しく上昇するため、温度検査において不良となる場合があった。

    【0044】これらの不具合はいずれも製造上不良品となり歩留まりに悪影響を与えているばかりでなく、前記それぞれの樹脂硬化において恒温槽や室温に規定時間放置する必要があったため、工程の流れが一時的に中断してしまい、また製品の移動時間や放置時の待ち時間等があり、完成品となるまでに多くの時間ロスがあったことと、硬化するための場所や設備も必要であり、総じて生産効率が悪いという問題を有していた。

    【0045】本発明は上記従来の問題点を解決するもので、樹脂の漏れによる表面温度の異常を皆無にし、また樹脂の膨潤によるオープンの事故を皆無にして信頼性を著しく向上し、使用目的に応じて正特性サーミスタの特性を選択して組立てることにより容易に必要温度が設定でき、製造の自動化を容易に実現することができる正特性サーミスタ発熱体装置およびその製造方法を提供することを目的とするものである。

    【0046】

    【課題を解決するための手段】この課題を解決するために本発明の正特性サーミスタ発熱体装置は、相対向する両主平面に電極を設けた正特性サーミスタの上記両電極面にそれぞれ電極板を固着して形成されたヒータコアと、このヒータコアを収納する収納部を設けると共に隣接する貫通孔を設けた金属体と、この金属体の収納部に収納されたヒータコアを固着して一体化する充填材と、
    上記収納部側の金属体を覆うように結合された第1ならびに第2の絶縁ケースからなる構成としたものである。

    【0047】また、上記正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法としては、正特性サーミスタの両主平面あるいは各電極板に接着剤を塗布し、接着剤を介して正特性サーミスタを電極板で挟持して加圧することにより正特性サーミスタと電極板を接続して位置決め固定し、これを外部から加熱、もしくは電極板に通電して正特性サーミスタを発熱させ内部から接着剤を加熱し硬化させて正特性サーミスタと電極板を固着したヒータコアを作成した後に、金属体の下部に第2の絶縁ケースを装着し、この金属体の収納部にヒータコアを所定の位置にはめ込んで樹脂を充填して埋没した後、金属体の上部に第1の絶縁ケースを装着すると共にこの第1の絶縁ケースの端子導出孔からヒータコアの電極板の端子部を導出し、第1の絶縁ケースと第2の絶縁ケースを固着し、さらに充填した樹脂を加熱硬化して金属体とヒータコアを固着し一体化する製造方法としたものである。

    【0048】

    【作用】この構成により、正特性サーミスタと金属体とが樹脂で固着されて一体化されていることから、従来のように正特性サーミスタと筒状放熱板との間に介在するU字状伝熱板や絶縁ケースや空隙等の大きな熱抵抗がなくなり、正特性サーミスタと金属体の貫通孔との間の熱抵抗が著しく小さくなり、両者を効率よく熱伝達できることとなるものである。

    【0049】例えば、正特性サーミスタに電極を付与した主平面を金属体の貫通孔の筒方向に対して同方向に起立させると共に、従来の構成であるU字状伝熱板と筒状放熱板の両機能を金属体に持たせ、また従来の構成である正特性サーミスタを絶縁して位置決め固着する絶縁ケースと充填樹脂の両機能を充填樹脂のみに持たせる等により大幅に構成部品の省略化を図り、上記両者の熱抵抗を著しく小さくし、また断熱する空隙部分をなくすることができる。 また、正特性サーミスタで成り立つヒータコアが装着される金属体の収納部の内壁は正特性サーミスタの形状に近似した高さで囲んでいることから、正特性サーミスタの両主平面から発熱する熱量を収納部の内周でその殆どを受熱し、この金属体に連続して設けた貫通孔へ迅速に効率良く伝熱することができるようになるものである。

    【0050】次に製造方法では電極板と正特性サーミスタの接続におけるヒータコアの作成が、従来のようにU
    字状伝熱板を用いずに作成できることから、接着剤を介して正特性サーミスタを挟持する構成部品が電極板のみであるために組立てが容易になるものである。

    【0051】また、金属体の収納部の壁を囲んで第2の絶縁ケースを装着し、金属体と第2の絶縁ケースを固着して収納部が容器になるようにシールし、充填樹脂を適量充填してヒータコアを入れ埋没させ、第1の絶縁ケースの端子導出孔から電極板の端子部を導出し、第1の絶縁ケースと第2の絶縁ケースを固着して、これらをトンネル乾燥機等でケーシングした充填樹脂を加熱硬化してヒータコアを固着して金属体と一体化する製造方法であるため、これら個々の組立ては常に連続動作で次工程につながり製造の自動化を容易に行うことができることとなるものである。

    【0052】また、ヒータコアと金属体の形状は基本形状として変えずに、第1の絶縁ケースまたは第2の絶縁ケースまたは両絶縁ケースだけを適宜任意の形状に変えることで、生産上の扱いが大変容易になり、また前記両絶縁ケースを目的によって種々準備することにより同一部品と共通工程が確保できることから品種切り替えが大変容易となり、このような工程と共通部品を得ることで、品種や数量が頻繁に変動する多くの機器への応用や対応も容易に実現できることとなるものである。

    【0053】

    【実施例】

    (実施例1)以下、本発明の第1の実施例について図面を参照しながら説明する。 図1は同実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の主要部分であるヒータコアの分解斜視図を示し、図2は前記ヒータコアを組み込んだ正特性サーミスタ発熱体装置の分解斜視図を示すものである。

    【0054】図1において、21は正特性サーミスタ素体、22a,22bはこの正特性サーミスタ素体21の相対向する両主平面に設けた電極で、以下これらを正特性サーミスタ22と呼ぶ。

    【0055】23は第1の電極板で、231は第1の電極板23に連続してその一部から突出して形成した端子部、232は第1の電極板23の中心から放射状に形成したスリットで233はそのスリット232の内辺それぞれの一部に複数設けた切り起こしであり、この複数の切り起こし233は後記する正特性サーミスタ22と接着して固着製造するとき、電極22aに当接して食い込み、電気導通を確実に行う機能を持つものである。

    【0056】234は第1の電極板23の端面で正特性サーミスタ22の外形にほぼ近似すると共に、同等または若干大きめにして正特性サーミスタ22を抱えるように形成してあり、235は前記第1の電極板23の端子部231から直線的に連続するガイド端面で、前記同様に正特性サーミスタ22を抱えて固着したとき、正特性サーミスタ22の外形よりも外になる位置に大きめに形成してあり、236は第1の電極板23の底面で正特性サーミスタ22の外形と同等または若干大きめに形成すると共に、正特性サーミスタ22の外形から直線的に前記ガイド端面235の辺とほぼ直に結ばれる辺になるように形成してある。 これら第1の電極板23の端面2
    34とガイド端面235と底部236に囲まれて正特性サーミスタ22が第1の電極板23に固着されるものである。

    【0057】24は第2の電極板で、241は第2の電極板24に連続してその一部から突出して形成した端子部、242は第2の電極板24の中心から放射状に形成したスリットで243はそのスリット242の内辺それぞれの一部に複数設けた切り起こしであり、この複数の切り起こし243は後記する正特性サーミスタ22と接着して固着製造するとき、電極22bに当接して食い込み、電気導通を確実に行う機能を持つものである。

    【0058】244は第2の電極板24の端面で正特性サーミスタ22の外形にほぼ近似すると共に、同等または若干大きめにして正特性サーミスタ22を抱えるように形成してあり、245は前記第2の電極板24の端子部241から直線的に連続するガイド端面で、前記同様に正特性サーミスタ22を抱えて固着したとき、正特性サーミスタ22の外形よりも外になる位置に大きめに形成してあり、246は第2の電極板24の底面で正特性サーミスタ22の外形と同等または若干大きめに形成すると共に、正特性サーミスタ22の外形から直線的に前記ガイド端面245の辺とほぼ直角に結ばれる辺になるように形成してある。 これら第2の電極板24の端面2
    44とガイド端面245と底部246に囲まれて正特性サーミスタ22が第2の電極板24に固着されるものである。

    【0059】なお、これら第1の電極板23と第2の電極板24は正特性サーミスタ22の発熱を受けることから耐腐食性の良い金属を用い、例えば、ステンレスや、
    銅または銅合金または鉄に耐食メッキしたもの等を用いると良好な電極板を得ることができる。

    【0060】図2において、221aは正特性サーミスタ22の電極22aと第1の電極板23の間に介在して両者を固着する接着剤、221bは同じく正特性サーミスタ22の電極22bと第2の電極板24の間に介在して両者を固着する接着剤であり、以下前記それぞれの接着剤を総称して接着剤221と呼び、例えば導電性ペースト(銀ペースト、銅ペースト、亜鉛ペースト、アルミペースト等)や絶縁性樹脂(エポキシ系、シリコン系、
    ポリイミド系等)を用いるものとし、特に付着作業時の垂れや、接着加工時のはみ出しによる垂れなどによる電気的ショートを懸念する場合等の安全な接着においては、シリコン系の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。

    【0061】25は連続する2面(図2において下面と側面の一面で、共に図示されていない)がL字状に開口した箱状の第1の絶縁ケース、251a,251bは端子部231,241を挿通する端子導出孔、252aは外周壁に設けた固着面、252bは同じく固着面252
    aと段差を付けて突出した固着面であり、特に固着面2
    52bは第1の絶縁ケース25の下面から突出していることから固着時のガイドの機能も合わせ持つ。 253は本図では影の部分にあって描画されない前記L字状の開口部に連続する底面の一部に形成した突出壁である。 これらの構成を有する第1の絶縁ケース25は正特性サーミスタ22の発熱を受けることから、高温度に耐えると共に断熱性の材質で構成されていなければならない。 例えば、樹脂成型体ではPPS、シリコン、フェノール、
    ポリアミド、テフロン、エポキシ等から必要温度の耐熱性を考慮して選択して用いるが、その多くはPPSやフェノール等を用いるのが好ましい。

    【0062】26は前記正特性サーミスタ22を接着剤221を介して第1の電極板23と第2の電極板24で挟持し固着したヒータコアである。 27は金属体で、2
    71は金属体27の一部に設けたヒータコア26を装着収納する第1の孔、272は同じく金属体27の一部に設けた第2の孔で、それぞれの孔は貫通孔に形成してある。 271aは第1の孔271を囲む左伝熱壁、271
    bは同じく右伝熱壁、271cは同じく後伝熱壁で前記ヒータコア26の発熱量を受けて第2の孔272に熱伝達する機能を持ち、273aは第1の孔271の左伝熱壁271aの内壁面、273bは同じく右伝熱壁271
    bの内壁面、273cは同じく後伝熱壁271cの内壁面、273dは第2の孔272に近接して熱伝達する孔壁の内壁面で、それぞれの内壁面はヒータコア26の発熱量を受け、前記それぞれの伝熱壁に熱伝達する機能を持つ。

    【0063】274aは第1の孔271と第2の孔27
    2を分離する左伝熱壁271aの部位に設けた両孔の境界ガイド部であり、274bは同じく右伝熱壁273b
    の部位に設けた境界のガイド部である。 275は第2の孔272を囲む筒状の放熱壁で前記左伝熱壁271aと右伝熱壁271bと連続し、ヒータコア26の発熱量を第2の孔272に熱伝達して同孔内に放熱させる機能を持つ。

    【0064】これらの構成を有する金属体27は熱伝導に優れた材質であることが必須条件であり、アルミニウムや銅または銅合金を用いることが好ましい。 金属体2
    7の第1の孔271と第2の孔272が貫通する方向を金属体27の高さとした場合、この高さはヒータコア2
    6の正特性サーミスタ22を抱えて固着する第1の電極板23および第2の電極板24の固着面の大きさよりも若干大きく設定してあり、ヒータコア26を第1の孔2
    71に装着したとき、ヒータコア26が第1の孔271
    からはみ出て突出することがないようにしているものである。

    【0065】28は連続する2面(図2において上面と側面の一面)がL字状に開口した箱状の第2の絶縁ケースで、281はその底部、282aは第2の絶縁ケース28の外周壁に設けた固着面で第1の絶縁ケース25の固着面252aと固着する部位、282bは固着面28
    2aよりも低く段差を付けた固着面であり、特に固着面282bは前記第1の絶縁ケース25の固着面252b
    と固着する際に、第1の絶縁ケース25と第2の絶縁ケース28を精度よく固着するための両者の位置決めを行うガイドの機能も合わせ持ち、第1の絶縁ケース25から突出した分を第2の絶縁ケース28の内側周囲に当接して最適な高さでガイドされるようにしているものである。

    【0066】283は前記底部281に連続する底面の一部に形成した帯状の突出壁で、前記金属体27の第1
    の孔271に嵌まって内壁面273dに近接もしくは当接するように形成してある。 284aは底部281の図中左側の一部から突出する例えばコ字状の第1のガイド支柱で、前記第1の孔271の内壁面273aの一部と内壁面273dの一部に近接もしくは当接して嵌まり、
    284bは同じく底部281の図中右側の一部から突出する例えばコ字状の第2のガイド支柱であり、前記第1
    の孔271の内壁面273bの一部と内壁面273dの一部に近接もしくは当接して嵌まり、それぞれのガイド支柱284a,284bの位置は第1の孔271の孔内において、孔の対角に位置するように形成してある。

    【0067】285aは第1のガイド支柱284aの半分に形成した例えばコ字状のガイド溝で、ヒータコア2
    6を装着するとき第2の電極板24のガイド端面245
    を両面から挟持して起立支持し固定するものである。 同じく285bは第2のガイド支柱284bの半分に形成した例えばコ字状のガイド溝で、ヒータコア26を装着するとき第1の電極板23のガイド端面235を両面から挟持して起立支持し位置決め固定するものである。 このことにより、これら金属体27の第1の孔271に嵌合する第1のガイド支柱284aおよび第2のガイド支柱284bが、ヒータコア26と金属体27とを完全に絶縁する部位として機能することになるものである。

    【0068】286aは前記第1の絶縁ケース28の外周の一部(図中左側)に形成した固定部で、286bは同じく固定部286aに対向する位置(図中右側)に設けた固定部であり、287aは固定部286aの所定の位置に設けた固定孔で、同じく287bは固定部286
    bの所定の位置に設けた固定孔である。 これらの固定部286a,286bと固定孔287a,287bは各機器に装着する際に、ビスやボスピン等を用いて行うことができるように形成しているものである。 これら固定部286a,286bは図中に示すように互いに対向して2個設けることにより、種々の機器へ装着する場合、2
    点支持で容易に確実に固定できるが、前記構成の質量が軽い場合は、2個の固定部は必要とせず、例えば固定部286aと固定孔287aのみの1個の固定による1点支持で行うことができることから、第2の絶縁ケース2
    8が固定部286aのみになることで、容易に小型化ができる効果がある。 288aは金属体27のガイド部2
    74aに嵌まるガイド壁、同じく288bはガイド部2
    74bに嵌まるガイド壁で、金属体27を位置決め固定するものである。

    【0069】また、第2の絶縁ケース28の材質は前記第1の絶縁ケース25と同じく、正特性サーミスタ22
    の発熱を受けることから、高温度に耐えると共に断熱性の良い材質で構成されていなければならない。 前記同様に例えば、樹脂成型体ではPPS、シリコン、フェノール、ポリアミド、テフロン、エポキシ等を必要温度の耐熱性を考慮して選択して用いるが、その多くはPPSやフェノール等を用いるのが好ましいものである。

    【0070】図3は上記図1,図2で構成した正特性サーミスタ発熱体装置を組立てた状態の斜視図である。 また図4は本発明の正特性サーミスタ発熱体装置の断面図であり、図3の斜視図記載のA1−A1断面図である。
    また、図5は同じくA2−A2断面図である。

    【0071】図3および図4,図5において、正特性サーミスタ22の両主平面のほぼ中心を、金属体27の第1の孔271の中心と第2の孔272の中心とを結ぶ中心軸(例えば図3のA1−A1軸のような中心軸)が連通し、また正特性サーミスタ22の主平面は第2の孔2
    72と第1の孔271に介在する壁(その一部は内壁面273d)に当接しないように近接すると共に互いに面対向し、面対向した正特性サーミスタ22と内壁面27
    3dの間に充填樹脂30が介在して絶縁しながら、両者の熱伝達を効率よくするように構成する。

    【0072】29は第1の絶縁ケース25の固着面25
    2aと第2の絶縁ケース28の固着面282aが当接した合わせ目であり、固着面252bと固着面282bが当接する固着部にも連続しているもので、この合わせ目は両者を強固に固着しているものである。 30は充填樹脂で金属体27の第1の孔271に装着したヒータコア26を埋没して固着するものであり、正特性サーミスタ22の発熱量を充填樹脂30を介して金属体27に熱伝導させる機能を持つ。 そのためこの充填樹脂30は高い熱伝導率と耐熱性を必要とすることから、例えば耐熱性に優れているシリコン樹脂をベースに、熱伝導率を上げる金属酸化物やアルミナ粉体等をフィラーとして適量混入して十分攪拌し均等に拡散させるとともに粘度調整を行って、化学的に安定させて作成するなどの手段を講じた樹脂を用いるものである。

    【0073】31は第1の絶縁ケース25の側壁および第2の絶縁ケース28の側壁と金属体27を断熱する空隙で、正特性サーミスタ22の発熱量を金属体27に熱伝達させた熱量を前記絶縁ケース25,28に熱伝達して不要外部へ放熱する熱ロスを低減するために設けたもので、前記それぞれの絶縁ケース25,28の底部のコーナーから勾配を形成して斜めに壁面を作り、前記両固着面の合わせ目29を頂点とした断面三角形の空隙31
    としたものである。 311は第1の絶縁ケース25の底面を金属体27の第1の孔271の孔形と同形もしくは若干大きめに座ぐって底落としした空隙であり、金属体27に充填した充填樹脂30の面が第1の絶縁ケース2
    5に接触しないように断熱を目的としたものである。 これも正特性サーミスタ22の発熱量を第1の絶縁ケース25に熱伝達し不要外部へ放熱して熱ロスが発生するのを低減するために設けた断熱のためのものである。

    【0074】また第1の絶縁ケース25と第2の絶縁ケース28は金属体27の左伝熱壁271a、右伝熱壁2
    71b、後伝熱壁271cを囲んで外部への放熱を抑えて断熱するために、第1の絶縁ケース25にはその底面から固着面252bに至る高さで外壁を断面コ字状に形成し、また同じく第2の絶縁ケース28にもその底部2
    81から固着面282bに至る高さで断面コ字状に形成して、金属体27のそれぞれの伝熱壁を両者絶縁ケース25,28の外壁で囲んで外部と断熱を図る構成としたものである。

    【0075】次に図1〜図5を用いて同装置の詳細な構成の説明を加えながら、製造方法について説明する。

    【0076】正特性サーミスタ素体21の上下または表裏の相対向する両主平面にメッキ、印刷、蒸着、溶射等の方法により電極22a,22bを形成し、正特性サーミスタ22を作成する。 一般に電極22a,22bの材質にはニッケル、銀、金、インジウム、ガリウム、アルミニウム、亜鉛、銅、カーボン等があり、正特性サーミスタ素体21とオーミック接続できる電極材としてそれぞれ単一材もしくは合金材あるいはそれぞれを複合して電極形成時に重層する加工法を用いて使用する。 その材料形態は電解液、固体(棒または板またはワイヤ等)、
    粉体、ペーストの状態にして電極形成を行うものである。 なお、正特性サーミスタ素体21の上下または表裏の相対向する両主平面は平行であり、その面の粗さは小さいほうが望ましい。

    【0077】このように構成された前記正特性サーミスタ発熱体装置の製造方法について、以下に詳細に説明する。

    【0078】正特性サーミスタ22を、ステンレス等の板材を打ち抜いて作成した第1の電極板23にシリコン等の接着剤221aを適量付着させた上に、第1の電極板23の外形からはみ出ないように位置決めして載せ、
    次にこの正特性サーミスタ22の表面に前記と同一の接着剤221bを適量付着させて、第2の電極板24を載せる。 このとき、正特性サーミスタ22が第2の電極板24の外形からはみ出さないように位置決めして載せ、
    接着剤221を介して正特性サーミスタ22を第1の電極板23と第2の電極板24で挟持し一体化させて、各々の電極板が対向する挟持面から適度の加圧を行って、
    正特性サーミスタ22に第1の電極板23および第2の電極板24を押圧し、介在する余分な接着剤221を正特性サーミスタ22の外周にはみ出させ、その介在量を適量にし、加熱して接着剤221を熱硬化して正特性サーミスタ22と第1の電極板23および第2の電極板2
    4を強固に固着する。

    【0079】固着は高温槽で外部から加熱したり、第1
    の電極板23の端子部231と第2の電極板24の端子部241に電圧を印加して正特性サーミスタ22に通電し、正特性サーミスタ22を自己発熱させることによって接着剤221を加熱する熱量を得、所定の時間発熱させて接着剤221を内部から加熱し、強固に固着する。
    この時、前記第1の電極板23および第2の電極板24
    の中心から放射状に形成した複数の各スリット232,
    242の一部から複数切り起こした各切り起こし23
    3,243は正特性サーミスタ22の電極22a,22
    bに前記加圧によって食い込み、電気接続を強固に確実に行ってヒータコア26を製造する。

    【0080】また、第1の電極板23と第2の電極板2
    4は互いに同一形状のものを使用し、切り起こし23
    3,243側を互いに向き合わせて対称的に使用していることから、1種類の電極板で構成することができるため、電極板金型は1種類を準備するだけで共有することができ、効率的な電極板作成ができるものである。

    【0081】また、これらヒータコア26を自動的に設備を用いて作成する方法として、一定幅の帯状金属板をフープ状に束ね、その一端から順次規則的に送り、第1
    の電極板23と第2の電極板24を同時に作製できるように、スリット232と242、切り起こし233と2
    43、外形、のように順に打ち抜き加工し、その一部が互いに連続するコム形状の電極板に形成して仕上げ、第1の電極板23の群と第2の電極板24の群とに並行分離して次工程に送り、それぞれの電極板が2種に分離して連続したものを、一対のコム状の連続した複数個の電極板のブロックに(例えば、可能な範囲で10対、20
    対、50対、100対等のブロックに)切断形成して次工程に送り、この第1の電極板23と第2の電極板24
    のそれぞれの切り起こし233と243側に接着剤22
    1を適量付着させるか、または第1の電極板23の切り起こし233に接着剤221aを付着し、その上に正特性サーミスタ22を載せ、次に正特性サーミスタ22の電極22b上に適量の接着剤221bを適量付着させ、
    第2の電極板24の切り起こし243側を載せ、各部品を重層したヒータコア26の原形のブロックを作成する。

    【0082】これらのブロックは複数の正特性サーミスタ22の主平面に接着剤221が付着し、接着剤221
    を介して複数の第1の電極板23と第2の電極板24で挟持され、各群の電極板が異電極で2つの極性に分離したペアで、同電位でつながった1群ずつのブロックを形成する。

    【0083】このとき、下側になる電極板の外から棒または板で台を当てて各電極板を支え、ブロックの一部が自重で垂れて落ちないようにしておき、上面の電極板が重ねられたら、上面の電極板に前記同様に棒または板で同時にそれぞれを適量の荷重で加圧し、正特性サーミスタ22がずれないように支える。 その加圧力により、内部の余分な接着剤221が正特性サーミスタ22の周辺にはみ出て、介在する接着剤221の量を常に一定にすることができ、接着剤221の付着量の管理も自動的に一定にできることになる。 はみ出た接着剤221は適量の付着であることと、それぞれの電極板形状が、正特性サーミスタ22の外形よりも若干大きいことから、はみ出た接着剤221は各電極板の外には露出しないこととなる。

    【0084】次に、前記第1の電極板23と第2の電極板24の上下から加圧し、そのまま各ブロックのコム状電極板の一部から電圧を印加し、複数の正特性サーミスタ22を同時に自己発熱させ、介在する接着剤221を所定の時間加熱し硬化する。

    【0085】硬化後、前記各々の電極板の一部が接続している複数の部分を切断し、前記加圧を開放して個々の独立したヒータコア26を作成する。 または、硬化後、
    先に上下の加圧を開放して個々に固着独立したヒータコア26を作成し、前記連続したコム状の各電極板のつながった部分を複数同時に一括して切断、または個別に一個一個順に切断して、一個のヒータコア26を作成する等して、ヒータコア26を次工程に送る自動化製造を行うものである。

    【0086】次に、前記第2の絶縁ケース28に金属体27を装着し、金属体27の第1の孔271と第2の絶縁ケース28の突出壁283と第1のガイド支柱284
    aと第2のガイド支柱284bを連通し、第2の絶縁ケース28を固定して金属体27から加圧または超音波加圧を行って、第2の絶縁ケース28の底部281に金属体28の第1の孔271を囲むそれぞれの伝熱壁の面を固着シールして閉塞することにより前記第1の孔271
    を容器に形成する。

    【0087】次に第1の孔271に適量の充填樹脂30
    を注入し、前記ヒータコア26を装着する。 ヒータコア26を装着するに当たって、第1の電極板23のガイド端面235は前記第2のガイド支柱284bに形成した第2のガイド溝285bに、また第2の電極板24のガイド端面245は同じくガイド支柱284aに形成した第2のガイド溝285aに嵌めて、充填樹脂30に気泡を巻き込まれないように静かに沈み込ませ、第1の電極板23の底面236と第2の電極板24の底面246が第2の絶縁ケース28の底部281に当接するまで沈み込ませる。 こうすることにより、ヒータコア26は金属体27の第1の孔271内に充填樹脂30で埋没し正特性サーミスタ22の発熱量が万遍なく充填樹脂30に伝熱することになる。

    【0088】もし充填樹脂30の量が注入バラツキにより少なめであったならば、ヒータコア26が十分充填樹脂30の中に埋没しないことがあるため、ヒータコア2
    6を装着の後、充填樹脂30を不足分若干再注入して、
    完全に埋没させる。 また、ヒータコア26が第2の絶縁ケース28の底部281に当接しないようであれば、ヒータコア26の露出部を若干加圧して、確実に沈み込ませ当接させる。 充填樹脂30は金属体27と第2の絶縁ケース28のシール固着により外部に漏れることがないため、注入後の充填樹脂30の量を一定量に維持するとともに外部を汚すこともなく製造が容易となる。

    【0089】次に、第1の絶縁ケース25を装着する。
    装着するに当たり、ヒータコア26の端子部231は第1の絶縁ケース25の端子導出孔251bに、同じく端子部241は端子導出孔251aに挿通し、第2の絶縁ケース28の固着面282aには第1の絶縁ケース25
    の固着面252aを、同じく固着面282bには固着面252bを当接し、金属体27のそれぞれの伝熱壁をガイドしながら装着する。 装着後、第2の絶縁ケース28
    を固定して第1の絶縁ケース25の上面から超音波溶着機にて固着する。

    【0090】このとき、第1の絶縁ケース25の固着部252aまたは252bに適量高さで帯状の断面三角形の溶着リブを形成することにより、第2の絶縁ケース2
    8の固着面282aおよび282bに、前記三角形の溶着リブの頂点が当接し、当接部が超音波振動で摩擦熱を生じ両者固着面が溶融し合い、短時間で強固に固着するものである。 2次効果として、充填樹脂30にも超音波振動が伝達することから、充填樹脂30も短時間激しく流動または噴流するため、充填樹脂30に紛れ込んだ見えない気泡を除去できることにもなる。

    【0091】また、前記両者を固着する他の方法として、両者固着面に接着剤を塗布し第1の絶縁ケース25
    と第2の絶縁ケース28を加圧して接着剤を万遍なく付着させ、適当時間外部から加熱して固着することもできる。 また、第1の絶縁ケース25と第2の絶縁ケース2
    8の両者の一部に互いに嵌合するフックを形成し、機械的に固着することもできる。

    【0092】次に、これらを高温のトンネル乾燥炉を適当時間で通過させ、充填樹脂30を硬化し、ヒータコア26と金属体27とを強固に固着することで両者を一体化し、両者の熱伝達をロスなく円滑に行うように充填樹脂30を介して結合固着するものである。

    【0093】前記において、金属体27を作成する場合、金属固体を規定形状に仕上げるために、旋盤やフライス盤で切削したり、または高加圧な衝撃力でインパクト成型を行ったり、または高温の金属固体を押し出し成型して切断したり、または溶融金属を鋳物成型して作成したりする。 本発明の構成における金属体27は正特性サーミスタ発熱体装置の製造を、例えば自動化生産するためには、その部品である金属体27の部品作成を自動化生産工程と直結することが望ましく、容易に作成するためのその加工手段として、インパクト成型または押し出し成型と切断のいずれかの方法から選択して導入するのが好ましい。

    【0094】以上のように本発明による正特性サーミスタ発熱体装置は構成し、製造されるものであり、このように構成された本発明の正特性サーミスタ発熱体装置をリキッド式電子蚊取器に装着した時の動作原理について、図4,図5の断面図と図11のリキッド式電子蚊取器の概略断面図を用いて、以下に説明する。

    【0095】まず、リキッド式電子蚊取器の電源プラグをコンセントに差し込んでスイッチ13をONすると、
    電圧は第1の電極板23の端子部231と第2の電極板24の端子部241に通電し、第1の電極板23と第2
    の電極板24の接着面から正特性サーミスタ22に通電し、ジュール熱により正特性サーミスタ22は自己発熱し、前記接着剤221を介して第1の電極板23と第2
    の電極板24に伝熱し、さらに充填樹脂30を介し金属体27に熱伝達する。 正特性サーミスタ22の各主平面は金属体27の第1の孔271の内壁面273cと内壁面273dと対向していることから、正特性サーミスタ22の発熱量は主に前記両内壁面の方向に充填樹脂30
    を介して熱伝達し、また正特性サーミスタ22の外周からの発熱量は内壁面273aと273bに充填樹脂30
    を介して熱伝達する。

    【0096】これら内壁面273a,273b,273
    cで受けた熱は、それぞれ左伝熱壁271a、右伝熱壁271b、後伝熱壁271cを熱伝達の流路として迂回して第2の孔272の孔壁である放熱壁275に集められ、第2の孔272から放熱される。 内壁面273dで受けた熱はそのまま第2の孔272に放熱されるが、一部放熱壁275にも熱伝達し、結果的には第2の孔27
    2へは前記流路から熱伝達したものが混在して均一化され放熱壁275から放熱されることになる。

    【0097】なお、この際、第1の絶縁ケース25と第2の絶縁ケース28にも上記同様熱伝達が行われるが、
    両絶縁ケースにPPS等の熱伝導率が著しく小さい樹脂等を用いていると共に、空隙31および311が断熱するため、その伝達量は小さく不要外部への放熱は小さい。 充填樹脂30を介してヒータコア26と固着している金属体27の第1の孔271の内壁面がその殆どの熱量を受け、この金属体27は第1の孔271と第2の孔272とが近接して連続しているため、殆どの熱量を第2の孔272の放熱壁275へ熱伝達して、孔内を挿通する例えば殺虫剤が浸透した棒状浸透芯3を効率よく加熱し、殺虫剤薬液2を蒸散する。

    【0098】また、第1の絶縁ケース25と第2の絶縁ケース28が金属体27の第1の孔271を空隙30と311を介して全周から覆うため、蚊取り器具に装着した場合に熱の対流で生ずる微風で冷却されることを防止できるものである。 そのため、微風による不要外部への放熱を抑えることから、放熱壁275を介して第2の孔272に熱を集中させることができるものである。

    【0099】このようにして、正特性サーミスタ22の自己発熱は増加し熱伝達によって第2の孔272の放熱壁275の表面温度を上昇させ、棒状浸透芯3を加熱し続ける。 時間が経過すると、正特性サーミスタ22は自己発熱と共に自らの抵抗値を上昇させて電力が減少し、
    正特性サーミスタ22の自己発熱量と第2の孔272の放熱壁275からの放熱量がバランスして正特性サーミスタ22の自己発熱が抑制され電力の減少が停止して安定し、放熱壁275の表面温度は一定に安定する。 印加電圧の変動や周囲温度の変動によっても、正特性サーミスタ22の特異な性質である自己温度制御機能による自らの電力制御により、常に安定した表面温度を放熱壁2
    75から得ることができるものである。

    【0100】以上のような正特性サーミスタ22の発熱量を放熱壁275に熱伝達する熱伝達路や、ヒータコア26の周囲の条件変動による第2の孔272の放熱量の変化を正特性サーミスタ22にフィードバックして正特性サーミスタ22の発熱量を制御させ、放熱壁275に熱伝達して温度制御する熱伝達路のメカニズムは、全て正特性サーミスタ22、第1の電極板23、第2の電極板24、接着剤211、充填樹脂30、金属体27の放熱壁275の熱伝達路で構成されるものである。

    【0101】それ以外への熱伝達は全て不要な部分への熱伝達となることからロスになるが、その量は第1の絶縁ケース板25と第2の絶縁ケース板28の材質、金属体27との空間31,311が断熱することで熱伝達量は小さく、いずれの条件においても熱伝達路を正特性サーミスタ22と第2の孔272の放熱壁275に集中させることができるものである。

    【0102】なお、従来の正特性サーミスタ発熱体装置であれば、図12で示すように正特性サーミスタ15の全周辺は樹脂充填部18の樹脂で充満されて密着されているため、正特性サーミスタ15の発熱量は樹脂充填部18を介して全周辺に放熱し、さらに容器状ケース6からも放熱し、目的である筒状放熱板8に熱伝達するまでに正特性サーミスタ15の発熱量の殆どが発熱体装置周辺に放熱してロスしてしまうことから、筒状放熱板8の挿通孔20への放熱を集中させることができず、熱伝達ロスの大きい発熱体装置となっていたものである。

    【0103】本発明の正特性サーミスタ発熱体装置では、熱ロスが少ないことから、放熱壁272の放熱温度を種々可変して使用目的に応じ容易に設定調整することが可能で、その第1の方法は金属体27の第1の孔27
    1の孔壁(左伝熱壁271a、右伝熱壁271b、後伝熱壁271c)と第2の孔272の放熱壁275の板厚を適宜選択して用いることで、正特性サーミスタ22の発熱量を板厚断面積の面積当たりによる熱流制御を行い、熱伝達量を調整して温度設定を容易に行うことを可能にするものである。

    【0104】第2の方法は、第1の孔271に充填した充填樹脂30の量を加減することで、第1の孔271の内壁面273a,273b,273c,273dに接する充填樹脂30の高さを調整し、充填樹脂30から金属体27に熱伝達する伝達面積を制御し、放熱壁275の温度設定を容易に行うことを可能にするものである。

    【0105】第3の方法は、上記充填樹脂30に、その物性である熱伝導率を種々に変えたものを作成または既存樹脂から選択して用いることで、温度設定を容易に行うことを可能にするものである。

    【0106】第4の方法は、前記第1の方法、第2の方法、第3の方法を組み合わせて総合的に調整制御し、温度設定を容易に行うことを可能にするものである。

    【0107】図4の断面図において、第1の絶縁ケース25の突出壁253、第2の絶縁ケース28の突出壁2
    83はヒータコア26と金属体27の内壁面273dの間に位置して、第1の孔271に適量の深さで嵌まり込んで障壁を形成しているため、第2の孔272側から、
    金属体27と前記両絶縁ケース25,28の隙間接触部に針のような異物を差し込んでも両突出壁が障害してヒータコア26を守ることになる。 また逆に、最悪何らかの原因でヒータコア26がショート破壊して飛散したり、放電火が生じても突出壁253,283が障害し第2の孔272に噴出して漏れることがないため、安全性にすぐれた正特性サーミスタ発熱体装置を構成することができるものである。

    【0108】(実施例2)以下、本発明の第2の実施例について図面を参照しながら説明する。 本実施例では、
    前記第1の実施例の正特性サーミスタ22の発熱特性を改善すると共に、第2の孔272へ放熱する放熱壁27
    5への伝熱機構を改善し、両者の熱伝達をさらに効率よく行って、一層の小型化と高性能化を図ることを狙いとしたものである。

    【0109】図6は本発明の第2の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の主要部分であるヒータコアの分解斜視図を示し、図7はこのヒータコアを組み込んだ正特性サーミスタ発熱体装置の分解斜視図を示すものである。 図6において、22は上記第1の実施例と同様に構成された正特性サーミスタ22である。

    【0110】32は第1の電極板で321は第1の電極板32に連続してその一部から突出して形成した端子部、322は第1の電極板32の中心から放射状に形成したスリットで323はそのスリットの内辺それぞれの一部に複数設けた切り起こしであり、この複数の切り起こし323は後記する正特性サーミスタ22と接着して固着製造する際に電極22bに当接して食い込み電気導通を確実に行う機能を持つものである。

    【0111】324は第1の電極板32の端面で正特性サーミスタ22の外形にほぼ近似すると共に、同等または若干大きめにして正特性サーミスタ22を抱えるように形成してあり、325は前記第1の電極板32の端子部321から直線的に連続するガイド端面で、前記同様に正特性サーミスタ22を抱えて固着したとき、正特性サーミスタ22の外形よりも外になる位置に大きめに形成してあり、326は第1の電極板32の底面で正特性サーミスタ22の外形と同等または若干大きめに形成すると共に、正特性サーミスタ22の外形から直線的に前記ガイド端面325の辺とほぼ直角に結ばれる辺になるように形成してある。 これら第1の電極板32の端面3
    24とガイド端面325と底部326に囲まれて正特性サーミスタ22が第1の電極板32に固着されるものである。

    【0112】33は第2の電極板で331は第2の電極板33に連続してその一部から突出して形成した端子部、332は第2の電極板33の中心から放射状に形成したスリットで333はそのスリットの内辺それぞれの一部に複数設けた切り起こしであり、この複数の切り起こし333は後記する正特性サーミスタ22と接着して固着製造する際に電極22aに当接して食い込み電気導通を確実に行う機能を持つものである。 334は第2の電極板33の端面で正特性サーミスタ22の外形にほぼ近似すると共に、同等または若干大きめにして正特性サーミスタ22を抱えるように形成してあり、335は前記第2の電極板33の端子部331から直線的に連続するガイド端面で、前記同等に正特性サーミスタ22を抱えて固着したとき、正特性サーミスタ22の外形よりも外になる位置に大きめに形成してあり、336は第2の電極板33の底面で正特性サーミスタ22の外形と同等または若干大きめに形成すると共に、正特性サーミスタ22の外形から直線的に前記ガイド端面335の辺とほぼ直角に結ばれる辺になるように形成してある。

    【0113】337a,337b,337c,337d
    のそれぞれは、第2の電極板33の主面外周の一部に、
    前記切り起こし333側の向きに切り起こした素子ガイド爪で、正特性サーミスタ22を各電極板32,33で挟持するときの位置決め用に形成したもので、ヒータコアの組み立て時に正特性サーミスタ22を抱えて外に落ちないようにガイドする機能を有する。 これら第2の電極板33の端面334とガイド端面335と底部336
    に囲まれて正特性サーミスタ22が第2の電極板33に固着されるものである。 これら第1の電極板32と第2
    の電極板33は正特性サーミスタ22の発熱を受けることから上記第1の実施例と同様の金属を用いることで、
    良好な電極板を得ることができる。

    【0114】図7において、221aは上記第1の実施例と同様の正特性サーミスタ22の電極22aと第1の電極板32の間に介在して両者を固着する接着剤で、2
    21bは同じく正特性サーミスタ22の電極22bと第2の電極板33の間に介在して両者を固着する接着剤で、221は以下前記それぞれの接着剤221a,22
    1bを総称する接着剤であり、上記第1の実施例と同様の材料を用い、特に安全な接着においてはシリコン系の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。

    【0115】34は連続する2面(図7において下面と側面の一面で、共に図示されていない)がL字状に開口した箱状の第1の絶縁ケース、341a,341bは端子部321,331を挿通する端子導出孔、342aは第1の絶縁ケース34の外周壁に設けた固着面で、34
    2bは同じく固着面342aと段差を付けて突出した固着面であり、特に固着面342bは第1の絶縁ケース3
    4の下面から突出していることから固着時のガイドの機能も合わせ持つ。 343は本図では影の部分にあって描画されない前記L字状の開口部に連続する底面の一部に形成した突出壁である。 344aは第1の絶縁ケース3
    4の端部に設けたL字状ガイド面で第1の絶縁ケース3
    4を組み込むときの位置決めに機能する。 344bも前記同様のL字状ガイド面である。 345は後記する金属体の第2の孔の形状に近似する円弧で形成された第1の絶縁ケース34の外形を整えるものである。 346は前記第1の絶縁ケース34の外周の一部(図中左側)に形成した固定部で、347は固定部346の所定の位置に設けた固定孔である。

    【0116】これらの固定部346と固定孔347は各機器に装着するにおいて、実施例1と同様にビスやボスピン等を用いて行うことができるように形成しているものである。 これら固定部346は第1の絶縁ケース34
    の両側に互いに対向して2個設けることにより、種々の機器へ装着する場合、2点支持で容易に確実に固定できるが、前記構成の質量が軽い場合は、2個の固定部は必要とせず、図に示すように例えば固定部346のみの1
    個の固定による1点支持で行うことができることから、
    第1の絶縁ケース34が固定部346のみになることで、容易に小型化ができるという効果がある。

    【0117】これらの構成を有する第1の絶縁ケース3
    4は正特性サーミスタ22の発熱をうけることから、上記第1の実施例と同様に高温度に耐えると共に断熱性の材質で構成されていなければならない。 よって、実施例1と同様の材質のものから必要温度の耐熱性を考慮して選択して用い、その多くはPPSやフェノール等を用いるのが好ましい。

    【0118】35は前記正特性サーミスタ22を接着剤221を介して第1の電極板32と第2の電極板33で挟持し固着したヒータコアである。

    【0119】36は金属体で、361は金属体36の一部に設けたヒータコア35を装着収納する第1の孔、3
    62は同じく金属体36の一部に設けた第2の孔で、それぞれの孔は貫通孔に形成してある。 361aは第1の孔361を囲む左伝熱壁、361bは同じく右伝熱壁、
    361cは同じく後伝熱壁で、これらの伝熱壁は前記ヒータコア36の発熱量を受けて第2の孔362に熱伝達する機能を持ち、363aは第1の孔361の左伝熱壁361aの内壁面、363bは同じく右伝熱壁361b
    の内壁面、363cは同じく後伝熱壁361cの内壁面、363dは第2の孔362に近接して熱伝達する孔壁の内壁面で、それぞれの内壁面はヒータコア35の発熱量を受け、前記それぞれの伝熱壁に熱伝達する機能を持つ。

    【0120】364aは第1の孔361と第2の孔36
    2を分離する左伝熱壁361aの部位に設けた両孔境界のストッパ部であり、364bは同じく右伝熱壁361
    bの部位に設けた境界のストッパ部である。 365は第2の孔362を囲む筒状の放熱壁で前記左伝熱壁361
    aと右伝熱壁361bと連続しヒータコア35の発熱量を第2の孔362に熱伝達して同孔内に放熱させる機能を持つ。 これらの構成を有する金属体36は熱伝導に優れた材質であることが必須条件であり、上記第1の実施例と同様にアルミニウムや銅または銅合金を用いることが好ましい。

    【0121】金属体36の第1の孔361と第2の孔3
    62が貫通する方向を金属体36の高さとした場合、この高さはヒータコア35の正特性サーミスタ22を抱えて固着する第1の電極板32および第2の電極板33の固着面の大きさよりも若干大きく設定してあり、ヒータコア35を第1の孔361に装着したときヒータコア3
    5が第1の孔361からはみ出て突出することがないようにしているものである。

    【0122】37は連続する2面(図7において下面と側面の一面)がL字状に開口した箱状の第2の絶縁ケースで、371はその底部、372aは第2の絶縁ケース37の外周壁に設けた固着面で第1の絶縁ケース34の固着面342aと固着する部位、372bは固着面37
    2aよりも低く段差を付けた固着面であり、特に固着面372bは前記第1の絶縁ケース34の固着面342b
    と固着する際に、第1の絶縁ケース34と第2の絶縁ケース37を精度よく固着するための両者の位置決めを行うガイドの機能も合わせ持ち、第1の絶縁ケース34から突出した分を第2の絶縁ケース37の内側周囲に当接して適量高さでガイドされるようにしているものである。

    【0123】373は前記底部371に連続する底面の一部に形成した帯状の突出壁で、前記金属体36の第1
    の孔361に嵌まって内壁面363dに近接もしくは当接するように形成してある。 374aは金属体36のストッパ部364bに当接または近接して第2の絶縁ケース37に金属体36を装着しやすくする位置決めのL字状ガイド壁であり、374bは同じくストッパ部364
    aに当接または近接して第2の絶縁ケース37に金属体36を装着しやすくする位置決めのL字状ガイド壁である。 375は金属体36の第2の孔362の形状に近似する円弧で形成された第2の絶縁ケース37の外形を整えるものである。

    【0124】376aは底部371の図中左側の一部から突出する例えばL字状の第1のガイド支柱で、前記第1の孔361の内壁面363aの一部と内壁面363c
    の一部に近接もしくは当接して嵌まり、376bは同じく底部371の図中右側の一部から突出する例えばL字状の第2のガイド支柱であり、前記第1の孔361の内壁面363bの一部と内壁面363cの一部に近接もしくは当接して嵌まる。

    【0125】377aは第1のガイド支柱376aの内側に位置するガイド側壁で、ヒータコア35を装着した場合、ヒータコア35の第1の電極板32の主平面に位置するガイド端面325の横面を支持してヒータコア3
    5を位置決めするものである。 377bはガイド側壁3
    77aとL字状に連続する前記同様のガイド後壁でガイド端面325を位置決めする。 377cは第2のガイド支柱376bの内側に位置するガイド側壁で、ヒータコア35を装着した場合、ヒータコア35の第2の電極板33の主平面に位置するガイド端面335の横面を支持してヒータコア35を位置決めするものである。

    【0126】377dはガイド側壁377cとL字状に連続する前記同様のガイド後壁でガイド端面325を位置決めする。 378aは底部371の図中左側の一部から突出する例えばL字状の第3のガイド支柱で、前記第1の孔361の内壁面363aの一部と内壁面363d
    の一部に近接もしくは当接して嵌まり、378bは同じく底部371の図中右側の一部から突出する例えばL字状の第4のガイド支柱であり、前記第1の孔361の内壁面363bの一部と内壁面363dの一部に近接もしくは当接して嵌まる。

    【0127】379aは第3のガイド支柱378aの内側に位置するガイド側壁で、ヒータコア35を装着した場合、ヒータコア35の第1の電極板32の主平面に位置する端面324の横面を支持してヒータコア35を位置決めするものである。 379bはガイド側壁379a
    とL字状に連続する前記同様のガイド前壁で端面324
    を位置決めする。 379dは第4のガイド支柱378b
    の内側に位置するガイド側壁で、ヒータコア35を装着した場合、ヒータコア35の第2の電極板33の主平面に位置する端面334の横面を支持してヒータコア35
    を位置決めするものである。

    【0128】379cはガイド側壁379dとL字状に連続する前記同様のガイド前壁で端面334を位置決めする。 それぞれのガイド支柱の位置は第1の孔361の孔内において、孔の4隅に位置するように形成してあり、それぞれのガイド支柱のL字が互いに内側に向き合って囲むように位置し、ヒータコア35を装着するとき第1の電極板32のガイド端面325と端面324、第2の電極板33のガイド端面335と端面334の両面から各4隅のガイド支柱で挟持し起立支持して位置決めし固定するものである。

    【0129】このことにより、これら金属体36の第1
    の孔361に嵌合する第1のガイド支柱376a、第2
    のガイド支柱376b、第3のガイド支柱378a、第4のガイド支柱378bがヒータコア35と金属体36
    とを完全に絶縁する部位として機能することになるものである。 これらの構成を有する第2の絶縁ケース37は正特性サーミスタ22の発熱を受けることから、上記第1の実施例と同様に高温度に耐えると共に断熱性の良い材質で構成されていなければならない。 従って、前記同様に第1の絶縁ケース34と同じ材質のものから必要温度の耐熱性を考慮して選択して用い、その多くはPPS
    やフェノール等を用いるのが好ましい。

    【0130】図8は上記図7で構成した正特性サーミスタ発熱体装置の斜視図である。 また図9,図10は本実施例の正特性サーミスタ発熱体装置の断面図で、図9は図8の斜視図記載のA3−A3断面図で、図10は同じくA4−A4断面図である。 図8,図9および図10において、金属体36の第1の孔361と第2の孔362
    を結ぶ中心軸(例えば図8のA3−A3軸のような中心軸)が、正特性サーミスタ22の主平面が対向する正特性サーミスタ素体21のほぼ中心を連通し、この中心軸を挟んでほぼ平行に位置してなり、またこの両主平面は前記金属体36の第1の孔361の内壁面363a,3
    63bに近接すると共に互いに面対向し、正特性サーミスタ22と内壁面363a,363bの間に後記する充填樹脂が介在して絶縁しながら、両者の熱伝達を効率よく行うように構成する。

    【0131】38は第1の絶縁ケース34の固着面34
    2aと第2の絶縁ケース37の固着面372aが当接した合わせ目であり、固着面342bと固着面372bが当接する固着部にも連続しているもので、この合わせ目は両者を強固に固着しているものである。

    【0132】39は充填樹脂で、金属体36の第1の孔361に装着したヒータコア35を埋没して固着するものであり、正特性サーミスタ22の発熱量を充填樹脂3
    9を介して金属体36に熱伝達させる機能を持つ。 そのためこの充填樹脂39は高い熱伝導率と耐熱性を必要とすることから、上記第1の実施例と同様に例えば耐熱性に優れているシリコン樹脂をベースに、熱伝導率を上げる金属酸化物やアルミナ粉体等をフィラーとして適量混入して十分攪拌し均等に拡散させるとともに粘度調整を行って、化学的に安定させて作成するなどの手段を講じた樹脂を用いるものである。

    【0133】40は第1の絶縁ケース34の側壁および第2の絶縁ケース37の側壁と金属体36を断熱する空隙で、正特性サーミスタ22の発熱量を金属体36に熱伝達させた熱量を前記両絶縁ケース34,37に熱伝達して不要外部へ放熱する熱ロスを低減するために設けたもので、前記それぞれの絶縁ケース34,37の底部のコーナから勾配を形成して斜めに壁面を作り、前記両固着面の合わせ目38を頂点とした断面三角形の空隙としたものである。 401は第1の絶縁ケース34の底面を金属体36の第1の孔361の孔形と同形もしくは若干大きめに座ぐって底落としした空隙であり、金属体36
    に充填した充填樹脂39の面が第1の絶縁ケース34に接触しないように断熱を目的としたものである。 これも正特性サーミスタ22の発熱量を第1の絶縁ケース34
    に熱伝達し不要外部へ放熱して熱ロスが発生するのを低減するために設けた断熱のためのものである。

    【0134】また第1の絶縁ケース34と第2の絶縁ケース37は金属体36の左伝熱壁361a、右伝熱壁3
    61b、後伝熱壁361cを囲んで外部への放熱を抑えて断熱するために、第1の絶縁ケース34にはその底面から固着面342bに至る高さで外壁を断面コ字状に形成し、また同じく第2の絶縁ケース37にもその底部から固着面372bに至る高さで断面コ字状に形成して、
    金属体36のそれぞれの伝熱壁を両者絶縁ケースの外壁で囲んで外部と断熱を図る構成としたものである。

    【0135】次に図6,図7,図8,図9,図10を用いて同装置の詳細な構成の説明を加えながら、その製造方法について説明する。 但し、基本構成は上記第1の実施例と同様であることから、本実施例では重複するところは簡略化し、異なるところを以下に詳細に説明する。

    【0136】まず、上記第1の実施例と同様に、正特性サーミスタ22を接着剤221を介して第1の電極板3
    2と第2の電極板33で挟持して作製するヒータコア3
    5において、特に自動的に設備を用いて作成する場合、
    一定幅のフープ材をその一端から順次規則的に送り、第1の電極板32と第2の電極板33を同時に作成できるように、順に打ち抜き加工して連続した端子状にする。
    特に第2の電極板33の主平面外周に形成した切り起こし337a,337b,337c,337dを形成するにおいて、外形抜きの時に抜きと切り起こしを同時に行うことが好ましい。

    【0137】次に、上記第1の実施例と同様にその一部が互いにつながって連続し、異なる電極で2種に分離する一対のコム状の連続した複数個の電極板のブロックに切断形成して次工程に送る。

    【0138】次に第2の電極板33を前記主平面に形成した切り起こし337a,337b,337c,337
    dを上向きにして前記スリット332に形成した切り起こし333の上に接着剤221bを塗布して正特性サーミスタ22を載せ、前記4つの切り起こし337a,3
    37b,337c,337dで正特性サーミスタ22の外周を抱え、その上に接着剤221aと第1の電極板3
    2を載せる。

    【0139】これらは、上記第1の実施例と同様に上下が異電極で分離している片側電極どうしは同電位でつながった複数個のヒータコア35で1群のブロックを形成している。 このとき、下側になる第2の電極板33の主平面に棒または板を当てて台とし各電極板を支え、ブロックの一部が自重で垂れて落ちないように、その上面に第1の電極板32を重ね、同じく第1の電極板32の外側の主平面に棒または板で同時にそれぞれを上下から挟持して適量の荷重で加圧し、正特性サーミスタ22がずれないように支える。

    【0140】次に、前記電極板上下の棒または板で加圧しながら正特性サーミスタ22の各ブロックのコム状電極板の一部から電圧を印加し、複数の正特性サーミスタ22を同時に自己発熱させ、介在する接着剤221を所定の時間加熱し硬化する。 硬化後、上記第1の実施例と同様に前記各々の電極板の一部が接続している複数の部分を切断し、前記加圧を開放して個々の独立したヒータコア35を作成する。

    【0141】以上がヒータコア35を自動化設備にて製造を行う方法である。 次に、前記第2の絶縁ケース37
    に金属体36を装着する。 このとき、金属体36の第1
    の孔361に前記突設壁373と第1のガイド支柱37
    6aと第2のガイド支柱376bと第3のガイド支柱3
    78aと第4のガイド支柱378bを連通し、第2の絶縁ケース37を位置決めして固定し、金属体36の上面から加圧または加圧後に超音波振動を伝達する等して底部371に沈み込ませ、底部371に当接して金属体3
    6のそれぞれの伝熱壁の面を底部371に固着シールして閉塞し、前記第1の孔361を容器に形成する。

    【0142】また、より強固に固着シールするために、
    予め第2の絶縁ケース37の固着面372a,372b
    を形成している外壁である断面コ字状の壁と底部371
    のコーナの所定の位置に最適形状の複数個のせり上がったリブ(図示せず)を形成し、このリブに金属体36の左伝熱壁361a、右伝熱壁361b(必要に応じて後伝熱壁361cも)を当接して位置決めし無理に押して嵌合させ、底部371に加圧または超音波振動の伝達により、リブを切削または溶融させて強固に沈み込ませ、
    両者の接合面を当接して密着させる製造方法を用いるのが効果的で好ましい。 特に両者を超音波溶着で行うと、
    第2の絶縁ケース37と金属体36の接する部分が溶融して金属体36の微妙な凹凸になじんで密着することから強固なシール行うことができる。

    【0143】次に第1の孔361に適量の充填樹脂39
    を注入し、前記ヒーターコア35を装着する。 このヒーターコア35を装着するに当たって、第1の電極板32
    のガイド端面325は前記第1のガイド支柱376aのガイド側壁377aとガイド後壁377bに収納し、同じくその端面324は第3の支柱378aのガイド側壁379aとガイド後壁379dに収納し、第2の電極板33のガイド端面325は前記第2のガイド支柱376
    bのガイド側壁377cとガイド後壁377dに収納し、同じくその端面334は第4の支柱378bのガイド側壁379dとガイド後壁379cに収納し、充填樹脂39に気泡を巻き込まないようにヒーターコア35を静かに沈み込ませ、第2の絶縁ケース37の底部371
    に当接させる。 以上によって、ヒーターコア35は金属体36の第1の孔361内に充填樹脂39で埋没し、正特性サーミスタ22の発熱量が万遍なく充填樹脂39に伝熱することになる。

    【0144】次に、第1の絶縁ケース34を装着する。
    装着するに当たり、ヒーターコア35の端子部321は第1の絶縁ケース34の端子導出孔341aに、同じく端子部331は端子導出孔341bに挿通し、第2の絶縁ケース37の固着面372aには第1の絶縁ケース3
    4の固着面342aを、同じく固着面372bには固着面342bを当接し、金属体36のそれぞれの伝熱壁をガイドしながら装着する。

    【0145】装着後、第2の絶縁ケース37を固定して第1の絶縁ケース34の上面から超音波溶着機にて固着する。 このとき、上記第1の実施例と同様に第1の絶縁ケース34の固着面342aまたは342bに適量高さで帯状の断面三角形の溶着リブ(図示せず)を形成することにより、第2の絶縁ケース37の固着面372aおよび372bに、前記三角形の溶着リブの頂点が当接し、当接部が超音波振動で摩擦熱を生じ両者の固着面が溶融し合い、短時間で強固に固着することができるものである。 さらに2次効果として、充填樹脂39にも超音波振動が伝達することから、充填樹脂39も短時間激しく流動または噴流するため、充填樹脂39に紛れ込んだ見えない気泡を除去できることにもなる。

    【0146】次に、これらを高温のトンネル乾燥炉を適当時間で通過させ、充填樹脂39を硬化し、ヒータコア35と金属体36とを強固に固着することで両者を一体化し、両者の熱伝達をロスなく円滑に行うように充填樹脂39を介して結合固着するものである。

    【0147】以上のように本発明による正特性サーミスタ発熱体装置は構成し、製造されるものであり、このように構成された本発明の正特性サーミスタ発熱体装置をリキッド式電子蚊取器に装着した時の動作原理について、図9,図10の断面図と図11のリキッド式電子蚊取器の概略断面図を用いて、以下に説明する。

    【0148】上記第1の実施例と同様に、リキッド式電子蚊取器の電源プラグ12をコンセントに差し込んでスイッチ13をONすると、電圧は第1の電極板32の端子部321と第2の電極板33の端子部331に通電し、第1の電極板32と第2の電極板33の接着面から正特性サーミスタ22に通電し、ジュール熱により正特性サーミスタ22は自己発熱して前記接着剤221を介して第1の電極板32と第2の電極板33に伝熱し、さらに充填樹脂39を介し金属体36に熱伝達する。

    【0149】本実施例は上記第1の実施例と異なり、ヒータコア35の主平面は金属体36の第2の孔362の中心に向かって両主平面が平行になる方向を向き、第1
    の孔361の内壁面363aと内壁面363bにそれぞれ対向していることから、正特性サーミスタ22の発熱量は主にこの両内壁面363a,363bの方向に充填樹脂39を介して左右均等に熱伝達し、正特性サーミスタ22の発熱量を放熱壁365の両側から第2の孔36
    2を囲むように均等に効率よく伝熱する。

    【0150】また、上記第1の実施例の場合は、第2の孔272に向かってヒータコア26の主平面は前後に向き合うため、正特性サーミスタ22の発熱量は第2の孔272に近い内壁面273dに向いた主平面から大きく伝熱し、内壁面273cが位置する後ろに向いた主平面からの伝熱は第2の孔272へ伝熱するに当たって迂回して遠回りになることから、伝熱途中にロスする構造になっているため、放熱壁275の温度を規定温度にするためには高温度に発熱する正特性サーミスタ22を用いることが必要となるが、本実施例では構造的に伝熱のロスが著しく小さいため、比較的低温度で発熱する正特性サーミスタ22を使用することで目的の温度を得ることができる。 これらは、正特性サーミスタ22の主平面の面積が一番大きいために、前記発熱量は放熱面積が最も大きい主平面から放熱することによるものである。

    【0151】ヒータコア35は充填樹脂39で囲まれているため、正特性サーミスタ22の外周面からの放熱も充填樹脂39を介して内壁面363c,363dにも幾分伝熱するため、これら内壁面363a,363b,3
    63c,363dで受けた熱は、それぞれ左伝熱壁36
    1a、右伝熱壁361b、後伝熱壁361cを熱伝達の経路として内壁面363dで受けた熱と合流混在し均一化して第2の孔362の孔壁である放熱壁365に集められ、第2の孔362から放熱される。

    【0152】また、上記第1の実施例と同様に第1の絶縁ケース34と第2の絶縁ケース37にも上記同様の熱伝達が行われるが、両絶縁ケース34,37にPPS等の熱伝導率が著しく小さい樹脂等を用いていると共に、
    空隙40および401が断熱するため、その伝達量は小さく不要外部への放熱は小さい。 充填樹脂39を介してヒータコア35と固着している金属体36の第1の孔3
    61の内壁面がその殆どの熱量を受け、この金属体36
    は第1の孔361と第2の孔362とが近接して連続しているため、殆どの熱量を第2の孔362の放熱壁36
    5へ熱伝達して、孔内を挿通する例えば殺虫剤が浸透した棒状浸透芯3を効率よく加熱し、殺虫剤薬液2を蒸散することができる。

    【0153】また、上記第1の実施例と同様に第1の絶縁ケース34と第2の絶縁ケース37が金属体36の第1の孔361を空隙40と401を介して全周から覆うため、蚊取り器具に装着した場合に熱の対流で生ずる微風で冷却されることを防止できるものである。 そのため、微風による不要外部への放熱を抑えることから、放熱壁365を介して第2の孔362に熱を集中させることができるものである。

    【0154】このようにして、正特性サーミスタ22の自己発熱は増加し、熱伝達によって第2の孔362の放熱壁365の表面温度を上昇させ、棒状浸透芯3を加熱し続ける。 時間が経過すると、正特性サーミスタ22は自己発熱と共に自らの抵抗値を上昇させて電力が減少し正特性サーミスタ22の自己発熱量と第2の孔362の放熱壁365からの放熱量がバランスして正特性サーミスタ22の自己発熱が抑制され電力の減少が停止して安定し、放熱壁365の表面温度は一定に安定する。 従って印加電圧の変動や周囲温度の変動によっても、正特性サーミスタ22の特異な性質である自己温度制御機能による自らの電力制御により、常に安定した表面温度を放熱壁365から得ることができるものである。

    【0155】また、本発明の正特性サーミスタ発熱体装置では、ヒータコア35の両主平面が前記第2の孔36
    2に最も近い右伝熱壁361aと左伝熱壁361bにほぼ等距離で近接していることから、上記第1の実施例よりも熱ロスが非常に少ない構造となり、放熱壁365の放熱温度を種々可変して使用目的に応じ容易に設定調整することが可能になるものである。 また温度設定の方法としては、上記第1の実施例と同様に金属体36の放熱壁365またはそれぞれの伝熱壁の板厚を適宜選択して用いたり、充填樹脂39の量を加減したり、熱伝導率が種々異なる充填樹脂39を作成選択して用いたり、また、これらの方法を組み合わせて総合的に調整制御し、
    温度設定を容易に行うことを可能にするものである。

    【0156】さらに、図9の断面図において、第1の絶縁ケース34の突出壁343、第2の絶縁ケース37の突出壁373はヒータコア35と金属体36の内壁面3
    63dの間に位置して、第1の孔361に適量の深さで嵌まり込んで障壁を形成しているため、第2の孔362
    側から、金属体36と前記両絶縁ケース34,37の隙間接触部に針のような異物を差し込んでも両突出壁34
    3,373が障害して、ヒータコア35を守ることになる。 また逆に、最悪何らかの原因でヒータコア35がショート破壊して飛散したり、放電火が生じても突出壁3
    43,373が障害し第2の孔362に噴出して漏れることがないため、安全性に優れた正特性サーミスタ発熱体装置を構成することができるものである。

    【0157】

    【発明の効果】以上のように構成された本発明の正特性サーミスタ発熱体装置は、正特性サーミスタと金属体とが充填樹脂で固着して一体化され、またヒータコアが装着された金属体の第1の孔を絶縁ケースが適度の空隙で断熱しながらケーシングし、また放熱部である第2の孔が金属体で一体化していることから、発熱部と放熱部が一体化して連結するため、両者間に大きな熱抵抗の要因となるものがなく、また前記空隙の断熱効果により絶縁ケースから不要に外部へ放熱する熱の逃げを小さくすることができ、正特性サーミスタの発熱量を放熱部である第2の孔に集中でき、熱伝達に著しくロスの少ない正特性サーミスタ発熱体装置を提供できることとなるものである。

    【0158】また、本発明には従来の正特性サーミスタ発熱体装置に見られる多くの構成部材を必要とせず、伝熱のための機能を集約して複数の部材を単一部材に持たせる等の手段を講じたことから、例えば、従来の構成であるU字状伝熱板と筒状放熱板の両機能を本発明では金属体に持たせ、また従来の構成である正特性サーミスタを絶縁して位置決め固着する絶縁ケースと充填樹脂の両機能を本発明では充填樹脂のみに持たせる等の手段を講じ、大幅に構成部品を省略できたものである。

    【0159】また、構成部品の大幅な省略化と質量の軽量化により、従来の1/3〜1/2の著しく小型な形状で従来の目標温度を得ることができることから高性能化が図れると共に、質量の著しい軽量化により、従来正特性サーミスタ発熱体装置の固定部2箇所をそれぞれビス2本で機器へ固定をしなければならなかったものが、本発明では固定部1箇所のビス1本で固定を行うことができ、搭載する応用機器も著しく小型化できることになるものである。

    【0160】また、前記両者の熱抵抗を著しく小さくするために、正特性サーミスタに電極を付与した主平面を金属体の第2の孔の筒方向に対して同方向に起立させると共に、正特性サーミスタで成り立つヒータコアを、正特性サーミスタの形状に近似した高さの金属体の第1の孔の内壁でその全周を囲んでいることから、両主平面から発熱する熱量は第1の孔の内周でその殆どを受熱し、
    金属体に連続して形成した第2の孔へ迅速に伝達することができることとなるものである。

    【0161】また、本発明による正特性サーミスタ発熱体装置を例えば蚊取器具に実装して何らかの原因で転倒した場合、殺虫剤薬液が漏れて正特性サーミスタ発熱体装置の内部に浸透することがありうる。 浸透すると充填樹脂は膨潤するが、金属体の伝熱壁が強固な固体枠の箱となってストッパの機能を果たすため、第1の孔に充満している充填樹脂は金属体の伝熱壁の方向には膨潤せず、第1の孔の開口側にのみとなる。 このとき、第1の絶縁ケースの底部は座ぐりを施して空間を設けてあることから、膨潤量はこの空間に逃げて異常をきたさない。
    また、ヒータコアの各電極板は金属体の伝熱壁と面対向しているため、前記伝熱壁がストッパとなることで膨潤による電極板を剥離するような力は働かないように構成している。 そのため、殺虫剤浸透に対する信頼性を十分確保できるものである。

    【0162】また絶縁ケースの一部にヒータコアを装着するガイド支柱を設けてあることから、狙ったところに安定して位置決めされるとともに、このガイド支柱が金属体とヒータコアとの電気絶縁を確実に得ることができることから、容易に、また安全に装着できることになるものである。

    【0163】また、金属体の第2の孔に近い各絶縁ケースの底部の一部に突出壁を設け、金属体の第1の孔に適量の深さで嵌まり込ませてあることから、金属体と前記両絶縁ケースの隙間接触部に針のような異物を差し込んでも両突出壁が障害して、中まで入り込むことがなく、
    ヒータコアを守り、感電やショート等の異常をきたすことがない。 また逆に、最悪何らかの原因で内部のヒータコアがショート破壊して飛散したり、放電火が生じたりしても前記突出壁が障害し、外の第2の孔に噴出して漏れることがなく、また殺虫剤が浸透している棒状浸透芯に引火して燃えるという心配もないことから、安全性に優れた正特性サーミスタ発熱体装置を提供できるものである。

    【0164】製造方法では電極板と正特性サーミスタの接続におけるヒータコアの作成では、従来のようにU字状伝熱板を用いずに作成することから、接着剤を介して正特性サーミスタを挟持する構成部品が電極板のみで行うことができ、個々に独立して作成したり、または電極板の一部を連続させた連続端子状の複数の電極板でそれぞれ接着剤を介して複数の正特性サーミスタを個々同時に挟持し、この挟持面を複数同時に加圧し正特性サーミスタと電極板を接続して位置決め固定し、加圧したまま外部から複数同時に加熱もしくは連続した電極板の一部に通電して複数同時に正特性サーミスタを発熱させ内部から接着剤を加熱硬化させることができることから、正特性サーミスタと電極板を固着し複数同時にヒータコアを作成でき、また、それぞれ個々順番に切断または一括して複数同時に切断することもできることとなるため、
    個々のヒータコアを容易に製造できることとなる。 そのため、ヒータコア製造の自動化が容易にできることになるものである。

    【0165】また、前記金属体と第2の絶縁ケースを固着シールして容器を形成するにおいて、その固着方法が特に超音波溶着を行って短時間で形成できることから、
    製造工程の自動化設定を大変容易に行うことができるものである。

    【0166】また充填樹脂を適量充填してヒータコアを入れ埋没させ、前記第1の絶縁ケースの端子導出孔から電極板の端子部を導出し、第1の絶縁ケースと第2の絶縁ケースを固着することにも、超音波溶着にて固着できるとともに、これらをトンネル乾燥機等でケーシングした充填樹脂を加熱硬化しヒータコアを固着して金属体と一体化することもできるため、これら個々の組立ては常に連続動作で次工程につながることになり、製造の自動化を容易に行うことができることで安価な正特性サーミスタ発熱体装置を提供できるものである。

    【0167】さらに、ヒータコアと金属体の形状は基本形状として変えずに、第1の絶縁ケースまたは第2の絶縁ケースまたは両絶縁ケースだけを適宜任意の形状に変えることで、目的に応じた種々の絶縁ケースに装着して固着すると、その応用範囲が飛躍的に、かつ容易に拡大されるものである。 このことは、正特性サーミスタ発熱体装置を製造するにおいて、絶縁ケース組み込み以降の工程のみ変更適用することで、任意かつ臨機応変に、しかも使用目的に応じた工程を短時間に容易に設定し切り替えできることになるものである。 つまりは、工程切り替えに大変フレキシブル性を持つため、効率的かつ合理的な製造方法を提供し実現できることとなるものである。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の第1の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の主要部であるヒータコアの構成を示す分解斜視図

    【図2】同実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の構成を示す分解斜視図

    【図3】同実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の斜視図

    【図4】同実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の図3のA1−A1における断面図

    【図5】同A2−A2における断面図

    【図6】本発明の第2の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の主要部であるヒータコアの構成を示す分解斜視図

    【図7】同第2の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の構成を示す分解斜視図

    【図8】同第2の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の斜視図

    【図9】同第2の実施例における正特性サーミスタ発熱体装置の図8のA3−A3における断面図

    【図10】同A4−A4における断面図

    【図11】従来の正特性サーミスタ発熱体装置を取り付けたリキッド式電子蚊取器の構成を示す概略断面図

    【図12】従来の正特性サーミスタ発熱体装置の構成を示す断面図

    【図13】従来の正特性サーミスタ発熱体装置の構成を示す分解斜視図

    【符号の説明】

    21 正特性サーミスタ素体 22 正特性サーミスタ 22a,22b 電極 221 接着剤 221a 接着剤 221b 接着剤 23 第1の電極板 231 端子部 232 スリット 233 切り起こし 234 端面 235 ガイド端面 236 底面 24 第2の電極板 241 端子部 242 スリット 243 切り起こし 244 端面 245 ガイド端面 246 底面 25 第1の絶縁ケース 251a 端子導出孔 251b 端子導出孔 252 固着面 253 突出壁 26 ヒータコア 27 金属体 271 収納部 271a 左伝熱壁 271b 右伝熱壁 271c 後伝熱壁 272 貫通孔 273a 内壁面 273b 内壁面 273c 内壁面 273d 内壁面 274a ガイド部 274b ガイド部 275 放熱壁 28 第2の絶縁ケース 281 底部 282 固着面 283 突出壁 284a 第1のガイド支柱 284b 第2のガイド支柱 285a 第1のガイド溝 285b 第2のガイド溝 286a 固定部 286b 固定部 287a 固定孔 287b 固定孔 288a ガイド壁 288b ガイド壁 29 固着部 30 充填樹脂 31 空隙 311 空隙 32 第1の電極板 321 端子部 322 スリット 323 切り起こし 324 端面 325 ガイド端面 326 底面 33 第2の電極板 331 端子部 332 スリット 333 切り起こし 334 端面 335 ガイド端面 336 底面 337a 素子ガイド爪 337b 素子ガイド爪 337c 素子ガイド爪 337d 素子ガイド爪 34 第1の絶縁ケース 341a 端子導出孔 341b 端子導出孔 342a 固着面 342b 固着面 343 突出壁 344a L字状ガイド面 344b L字状ガイド面 345 弧 346 固定部 347 固定孔 35 ヒータコア 36 金属体 361 収納部 361a 左伝熱壁 361b 右伝熱壁 361c 後伝熱壁 362 貫通孔 363a 内壁面 363b 内壁面 363c 内壁面 363d 内壁面 364a ストッパ部 364b ストッパ部 365 放熱部孔壁 37 第2の絶縁ケース 371 底部 372a 固着面 372b 固着面 373 突出壁 374a L字状ガイド壁 374b L字状ガイド壁 375 弧 376a 第1のガイド支柱 376b 第2のガイド支柱 377a ガイド側壁 377b ガイド後壁 377c ガイド側壁 377d ガイド後壁 378a 第3のガイド支柱 378b 第4のガイド支柱 379a ガイド側壁 379b ガイド前壁 379c ガイド前壁 379d ガイド側壁 38 固着部 39 充填樹脂 40 空隙 401 空隙

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂下 敦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

    高效检索全球专利

    专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

    我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

    申请试用

    分析报告

    专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

    申请试用

    QQ群二维码
    意见反馈