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Chemical-containing body for long-term heat transpiration and method for carrying out heat transpiration of chemical using the same

阅读:94发布:2021-07-05

专利汇可以提供Chemical-containing body for long-term heat transpiration and method for carrying out heat transpiration of chemical using the same专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To obtain a chemical-containing body for heat transpiration capable of obtaining high-concentration chemical components by using only chemical components or these chemical components and a minimum amount of solvent, and effectively and stably transpiring a sufficient quantity of the chemical over a long period almost without causing clogging in use by heating and to provide a method for carrying out heat transpiration using the chemical- containing body.
CONSTITUTION: A chemical-containing body 1 for heat transpiration is obtained by adding only one or more chemical components capable of heat transpiration or these components and a minimum amount of solvent to a solid-like chemical- containing body containing inorganic powder and/or organic powder as a substrate and further adding at least one of 31 kinds of specific compounds such as stearyl-β-(3,5-di-t.-butyl-4-hydroxyphenyl)-propionate, etc., capable of improving stability of chemicals thereto in a ratio of ≤10 pts.wt. based on 100 pts.wt. chemical, and the surface of the chemical-containing body 1 is directly or indirectly heated to 50-150°C by heat generator 3, etc., to transpire the chemical.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO&Japio,下面是Chemical-containing body for long-term heat transpiration and method for carrying out heat transpiration of chemical using the same专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 無機粉末及び/又は有機粉末を基材とする固体状薬剤含有体に、1種以上の加熱蒸散性薬剤成分を含有すると共に、ステアリル−β−(3,5−ジ−t
    −ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
    2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−
    6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6
    −トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、
    テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−
    ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
    メタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、1,1−
    ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N−
    フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−
    1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−
    2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、
    2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス[2−(3',
    5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス[1,
    1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}
    エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−
    t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3
    −(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−
    (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
    プロピオネート]、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−
    4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4
    −ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンから選ばれた化合物の少なくとも1種以上を加熱蒸散性薬剤100重量部に対して10重量部以下の割合にて含有させたことを特徴とする長期間加熱蒸散用薬剤含有体。
  • 【請求項2】 加熱蒸散性薬剤成分を、溶剤を用いることなく、あるいは必要最少限の溶剤と共に含有させたことを特徴とする請求項1に記載の長期間加熱蒸散用薬剤含有体。
  • 【請求項3】 無機粉末及び/又は有機粉末を基材とする固体状薬剤含有体に、1種以上の加熱蒸散性薬剤のみあるいは必要最少限の溶剤と共に、ステアリル−β−
    (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
    プロピオネート、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
    4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
    −ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−
    4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス−[メチレン−3−
    (3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−メルカプトベンズイミダゾール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、
    2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,
    2−ジヒドロキノリン、2−t−ブチル−6−(3−t
    −ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4
    −メチルフェニルアクリレート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス[2−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、
    3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−
    t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−
    3,3'−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,
    3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'
    −チオジプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ビス[3−
    (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
    プロピオニル]ヒドラジン、トリス−(3,5−ジ−t
    −ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−
    ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,
    3,5−トリアジンから選ばれた化合物の少なくとも1
    種以上を加熱蒸散性薬剤100重量部に対して10重量部以下の割合にて含有する加熱蒸散用薬剤含有体の表面を50〜150℃にて加熱し、薬剤を蒸散させることを特徴とする薬剤の加熱蒸散方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、長期間加熱蒸散用薬剤含有体及びそれを用いた薬剤の加熱蒸散方法に関し、更に詳しくは、殺虫、殺菌、消臭、芳香等を目的として、
    薬剤成分のみあるいは必要最少限の溶剤と共に薬剤を含有する加熱蒸散用薬剤含有体、及びこの薬剤含有体を直接的又は間接的に加熱することにより薬剤を長期間に亘って安定して蒸散させる加熱蒸散方法に関する。 ここで、”長期間”とは、断続して又は継続して合計約15
    0時間以上加熱使用可能な場合を指す。

    【0002】

    【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、加熱蒸散製剤として、固体、液体又はペースト状の薬剤を発熱体を用いて加熱蒸散させる方法が知られており、その代表的な例は電気蚊取器である。 電気蚊取器は、薬剤を含有する殺虫マットを電気的に加熱される発熱板上に載置し、薬剤を蒸散させて殺虫等の目的に用いられるものであり、上記殺虫マットとしては、従来よりパルプや石綿等を主とする繊維板等の基材に薬剤を保持させたものが用いられている。

    【0003】電気蚊取器に代表されるこの種殺虫マットの加熱蒸散方法においては、薬剤成分の分解と蒸散速度をいかに調整して薬剤を安定して蒸散させるかということが問題になる。 薬剤成分の蒸散を調節するための徐放化剤としては従来種々の化合物が知られており、例えばピペロニルブトキサイド、ピレスロイド系殺虫剤、パラフィン類、オリーブ油、ピーナッツ油等の油脂類及びそれらの添加油類、あるいはジエチルトルアミド等の忌避剤やある種の界面活性剤類を添加して徐放化させること等が考えられている。 一方、有効成分の分解を抑制する方法としては一般に酸化防止剤の配合が知られており、特開昭53−121927号公報には種々の有効な酸化防止剤が開示されている。

    【0004】しかしながら、これらの方策は、8〜10
    時間程度のごく短時間の使用を目的とする殺虫マットの加熱蒸散に関するものであり、長期間に亘る加熱使用においては充分でない。 すなわち、上記のような薬剤成分の蒸散調節方法は、蒸散させようとする薬剤よりも蒸気圧の低い界面活性剤や酸化防止剤等の物質を配合することにより、薬剤の蒸散を抑制させ、蒸散を安定化させようとするものであり、その効果を得るために、多量の界面活性剤や酸化防止剤等を配合している。 そのため、使用初期においては、適度な蒸散抑制効果が得られ、安定した薬剤蒸散が得られているが、長時間に亘る加熱使用においては、薬剤が蒸散して消失するに従い、界面活性剤や酸化防止剤の濃度が高まり、蒸散抑制効果が強まるため、薬剤の蒸散が著しく抑制され、薬剤残存率が上昇している。 また、8〜10時間の使用であるにも拘らず、初期の2時間で約40%もの薬剤が蒸散しており、
    残りの6〜8時間で約50%の蒸散を行なっており、後半にかけては単位時間当たりの薬剤蒸散量が著しく低下してしまい、安定蒸散していないものであった。

    【0005】そして、上記のような問題を回避し、長期間に亘る安定した薬剤蒸散を得る方策として、薬液中に加熱蒸散体の一部を浸漬することにより該加熱蒸散体に薬液を吸液すると共に、その上部を加熱することにより吸液された薬液を蒸散させる方式、いわゆる薬液吸液式の加熱蒸散方法が種々提案されている。 そして、このような薬液吸液式の加熱蒸散方法においては、一例として無機粉体から成形された加熱蒸散体が用いられており、
    また、このような加熱蒸散体を製造する方法としては、
    無機粉体と澱粉、半合成品のセルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のバインダーを水又は熱水とともに練合し、押出成形する方法が一般に用いられている(特公昭61−23163号公報参照)。

    【0006】しかしながら、前記のような加熱蒸散方法に用いられる薬液は一般に有機溶剤溶液であり、例えば殺虫液の場合、一般にピレスロイド系薬剤を一定濃度含有したn−パラフィン等の炭化水素溶液から成っているものが上市されている。 しかし、炭化水素系溶剤は非常に燃焼し易いため火災を招き易いという欠点を有している。 また、昨今、フロン及び揮散性有機化合物等により地球的規模でオゾン層破壊や大気汚染が問題となっているが、薬液吸液式の場合、例えば市販品においては、殺虫目的には本来不要である炭化水素系溶剤等の溶剤が9
    割以上も含まれている。 従って、この溶剤を削減することは重要な課題となっている。 さらに、薬液吸液式の場合、気温及び大気圧等の変動により薬液容器内の内圧が変動し、液漏れを引き起こし、使用時や保管時に薬液による汚染が発生することがある。 また、薬液吸液式の加熱蒸散方法は、溶剤を含有した薬液を蒸散させるため、
    熱効率を考慮すると、薬剤だけでなく溶剤の蒸散も行うため、不必要な熱量を要していることが言える。 さらに、薬液吸液式の加熱蒸散方法では、使用開始直後は、
    薬剤の蒸散量が安定しないといった欠点を有している。

    【0007】従って、本発明の目的は、前記のような問題を解消し、溶剤の使用を極なくし、薬剤成分のみ、
    あるいは必要最少限の溶剤を含有した高濃度の薬剤成分を含有し、加熱使用時に目詰りが殆ど発生せず、長期間に亘って充分な薬剤を有効に蒸散できる安定した品質の加熱蒸散用薬剤含有体を提供することにある。 さらに本発明の目的は、薬剤の加熱蒸散に際して、薬剤が塗布含浸された薬剤含有体を直接的又は間接的に加熱し、薬剤の熱分解や薬剤含有体の目詰り等の劣化を抑制し、有効揮散率に優れ、使用初期から長期間に亘って安定して薬剤を蒸散でき、例えば殺虫剤の場合、加熱開始直後から、すみやかな殺虫効果が得られる方法を提供することにある。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記目的を達成するために、耐薬剤性の良好な無機粉末及び/
    又は有機粉末を基材とした固体状薬剤含有体に、1種以上の加熱蒸散性薬剤成分のみあるいは必要最少限の溶剤と共に、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−
    4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−
    メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−
    ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(2,6
    −ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,
    4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
    ベンゼン、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−
    4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、
    2−メルカプトベンズイミダゾール、1,1−ビス(4
    −ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−
    ジヒドロキノリンポリマー、6−エトキシ−2,2,4
    −トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、
    3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス[2−(3',5'−ジ−t−
    ブチル−4'−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)
    イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
    メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,
    4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオネート、
    ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
    1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−
    t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t
    −ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、
    2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t
    −ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス−(n
    −オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンから選ばれた少なくとも1種の化合物を含有させたことを特徴とする長期間加熱蒸散用薬剤含有体が提供される。 さらに本発明によれば、前記加熱蒸散用薬剤含有体の表面を、直接又は間接加熱の方式により、50〜150℃の温度に加熱することを特徴とする薬剤の加熱蒸散方法が提供される。

    【0009】

    【発明の作用】本発明の長期間加熱蒸散用薬剤含有体は、前記した特定の化合物を含有し、耐薬剤性の良好な無機粉末及び/又は有機粉末を基材として構成されており、これに薬剤成分をそのまま又は必要最少限の溶剤に溶解させて添加、塗布、浸漬等適当な方法により含有せしめた固体状の薬剤含有体である。 従って、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体を用いることにより、薬剤成分を高濃度で含有せしめることができると共に、発熱体等により間接的にもまた直接的にも加熱でき、いずれの場合にも高い有効揮散率で長期間に亘って薬剤を蒸散できる。

    【0010】ところで、このような固体状の薬剤含有体を直接的又は間接的に加熱して薬剤を蒸散させる場合、
    主として薬剤含有体の被加熱部から薬剤が蒸散し、それに伴って薬剤は薬剤含有体の被加熱側以外の部分から被加熱側部分に向って、即ち薬剤の高濃度域から低濃度域に移行する。 そのため、薬剤の蒸散に過不足のない薬剤供給が行われ、従来の殺虫マットのように約8時間程度の短時間ではなく、約150時間以上の長期間に亘って安定して薬剤を蒸散させるためには、従来の徐放化剤添加の狙いである薬剤蒸散の抑制という技術的思想を適用することには困難がある。 また、本発明の薬剤含有体は、従来の薬液吸液式の加熱蒸散方法と異なり、溶剤を非使用乃至必要最少限の使用に止めるため、加熱初期においても、またその後継続使用した場合においても、常に薬剤成分が薬剤含有体の被加熱部に存在している。 しかしながら、一般的に薬剤は熱に対して不安定であり、
    被加熱部に多量に薬剤が存在していると、長期間に亘る加熱使用において、目詰りを引き起こし、安定した薬剤蒸散が得られない要因となっている。

    【0011】本発明者らは、前記した固体状薬剤含有体を用いた薬剤の加熱蒸散方法に特有の現象、問題に関して鋭意研究の結果、耐熱性及び耐薬品性の良好な無機粉末及び/又は有機粉末を基材として選択使用すると共に、これに含有される薬剤100重量部当り10重量部以下の割合で前記した特定の化合物を含有させて加熱蒸散用薬剤含有体を構成し、しかも薬剤成分のみ又は必要最少限の溶剤と共に含有させ、その表面温度を、使用する薬剤の種類によって選択されるが、50〜150℃に加熱することにより、薬剤の長期(約150時間以上)
    に亘る安定蒸散が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。 従って、本発明の第一の特徴は、約150時間以上もの長期間に亘って加熱使用可能な固体状の加熱蒸散用薬剤含有体において、薬剤の熱に対する安定性を向上させることができる前記特定の化合物を、薬剤の蒸散抑制を生じさせないような量的割合で用いる点にある。 すなわち、本発明においては、前記した特定の化合物を薬剤含有体に含有させることにより、薬剤の熱に対する安定性を向上させ、薬剤含有体の被加熱部での目詰りを回避し、薬剤の長期間に亘る安定蒸散を可能にすると共に、前記特定の化合物の配合量を低く抑えているため、長期間に亘る加熱使用においても薬剤の蒸散抑制が働くことなく、薬剤含有体の目詰り防止にのみ効果を発揮するため、長期間に亘る安定蒸散を可能とするものである。

    【0012】また、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体及びそれを用いた薬剤の加熱蒸散方法によれば、薬剤成分のみあるいは必要最少限の溶剤を含有した高濃度の薬剤を蒸散させるため、従来の薬液吸液式の加熱蒸散方法よりも熱効率が良好である。 すなわち、薬液吸液式の加熱蒸散方法では、薬剤の蒸散だけでなく溶剤の蒸散も必要とするため、不必要な熱を使用している。 それに比べて、
    本発明の薬剤含有体は、薬剤の蒸散にのみ熱を必要とするため、非常に熱効率が良好である。 このため、薬液吸液式よりもより少ない熱量にて薬剤の蒸散が可能であり、その結果、発熱体の消費電力が少なく省エネルギー化が可能となり、例えば乾電池等の小容量の電源を使用することが可能となる。 さらには低温使用もでき、薬剤の熱に対する安定性をより確保することもできる。 また、低温使用の場合、誤使用に伴う発熱体での火傷の危険性を回避し、安全性が向上する。

    【0013】ところで、従来の薬液吸液式の加熱蒸散方法においては、通常、使用初期は薬剤蒸散率が低く、所期の効果、例えば殺虫効果が得られるまで時間を要する。 すなわち、薬液吸液式の加熱蒸散方法は、加熱蒸散体内部に吸液された薬液が発熱体により加熱され、薬剤含有体の被加熱部で蒸散が起こる。 そのため、使用初期においては、薬液中の蒸散しやすい溶剤が過多に蒸散し、薬剤の蒸散量は低くなっている。 その後時間経過と共に薬剤含有体の被加熱部にて薬剤の濃縮が起こり、薬剤の蒸散と溶剤の蒸散が安定し、薬剤蒸散率が高くなる。 また、薬剤の蒸散が安定したものでも、通電直後の薬剤の蒸散の立上がりが悪い。 つまり、薬剤だけでなく溶剤も蒸散させるため、余分な熱を必要とし、安定した殺虫効果の得られる蒸散量に達するまで時間を要する。
    これに対して、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は、溶剤を全く使用せず又は必要最少限で使用するものであるため、加熱時には常に薬剤成分が薬剤含有体の被加熱部に供給され、かつ、薬剤成分のみを蒸散させるため、使用初期から安定した薬剤蒸散が得られる。 また、溶剤を蒸散するのに必要な熱を必要としないため、発熱体への通電直後からすばやく薬剤含有体が加熱され、薬剤蒸散の立ち上がりが非常に良好となり、例えば殺虫剤においては、使用初期から安定した殺虫効果が得られる。

    【0014】また、本発明の加熱蒸散方法は、従来の薬液吸液式の加熱蒸散方法とは異なり、薬剤の有機溶剤溶液を用いないので薬液容器を必要とせず、液漏れを引き起こすことがなく、非常にコンパクトな設計が可能になると共に、薬剤を含有させた固体状薬剤含有体を加熱するだけで薬剤を蒸散させることができるので、火災の危険性を回避でき、安全性を向上できる。 また、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は、薬剤成分のみ、あるいは溶剤を用いる場合でも必要最少限でしか使用していないので、溶剤を蒸散させることによる大気への悪影響を著しく低減させることが可能となる。

    【0015】

    【発明の態様】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(以下、AA−1と略称する)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−
    ブチルフェノール)(以下、AA−2と略称する)、
    2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(以下、AA−3と略称する)、4,4'
    −メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)
    (以下、AA−4と略称する)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(以下、AA−5と略称する)、4,4'−チオビス(3−
    メチル−6−t−ブチルフェノール)(以下、AA−6
    と略称する)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
    トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(以下、AA−7と略称する)、1,
    1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−
    t−ブチルフェニル)ブタン(以下、AA−8と略称する)、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(以下、AA−9と略称する)、2−メルカプトベンズイミダゾール(以下、AA−10と略称する)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、AA−11と略称する)、N−フェニル−β−ナフチルアミン(以下、AA−12と略称する)、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(以下、AA−13と略称する)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマー(以下、AA
    −14と略称する)、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(以下、AA−15
    と略称する)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(以下、AA−16と略称する)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル(以下、AA
    −17と略称する)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−
    4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム(以下、AA−18と略称する)、トリス[2−
    (3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシヒドロ−シンナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート(以下、AA−19と略称する)、トリス−(4−t−
    ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(以下、AA−20と略称する)、3,9−ビス[1,1−ジ−メチル−2−{β−
    (3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10
    −テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(以下、A
    A−21と略称する)、ジトリデシル−3,3'−チオジプロピオネート(以下、AA−22と略称する)、ジミリスチル−3,3'−チオジプロピオネート(以下、
    AA−23と略称する)、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート(以下、AA−24と略称する)、
    トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、AA−25と略称する)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4
    −ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、AA
    −26と略称する)、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)(以下、AA−27と略称する)、2,2
    −チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、AA−28と略称する)、N,N'−ビス[3−
    (3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
    プロピオニル]ヒドラジン(以下、AA−29と略称する)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(以下、AA−30
    と略称する)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−
    6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(以下、AA−31と略称する)から選ばれた特定の化合物の少なくとも一種以上を薬剤含有体に含有することを特徴とする。 前記化合物(AA−1〜AA−31)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。 その使用量は、
    薬剤100重量部に対して通常10重量部以下、好ましくは0.1〜8重量部含有されるのがよく、これにより、薬剤の蒸散抑制が大きく発現することなく、薬剤含有体の長期間に亘る目詰り防止効果が得られる。

    【0016】前記化合物(AA−1〜AA−31)を薬剤含有体に含有させる方法は、薬剤含有体成形前の基材に添加混合する方法等により含有させてもよい。 また、
    薬剤含有体成形後に、薬剤含有体に滴下、塗布、浸漬等適当な方法により直接含有させてもよく、また薬剤の薬剤含有体への浸透性、拡散性等を向上させるため及び特定化合物の溶解補助剤、分散溶剤的に用いる必要最少限の溶剤に溶解させ含有させてもよい。 そして、溶剤としては、例えば脂肪族飽和炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素系溶剤を用いることができる。 その他、水、アルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル等のグルコールエーテル類やグルコール類、イソプロピルミリステート、ブチルステアレート等のエステル類等も用いることが可能である。 その場合、溶剤の使用量は、薬剤100重量部に対して10重量部以下とすることが好ましい。 一方、蒸散させる薬剤は、上記のように薬剤含有体成形後に含有させてもよいし、あるいは薬剤含有体成形前の基材に薬剤を含浸させ、その後に薬剤含有体を成形しても構わない。

    【0017】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体の基材として用いる無機粉末及び/又は有機粉末としては、リン酸水素カルシウム及びその無水物、リン酸カルシウム及びその無水物、リン酸カルシウム系アパタイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ヒドロタルシド、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・マグネシウム、
    炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸、クレ−、ケイソウ土、カオリン、コロイダルシリカ、水ガラス、リン酸アルミニウム、リン酸マグネシウム、石膏、マグネシアセメント、タングステン、酸化亜鉛、べんがら、三酸化タングステン、酸化ジルコニウム等の無機粉末や、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)・PVdF(フッ化ビニリデン樹脂)等のフッ素系樹脂、ポリアセタ−ル、ポリアリレ−ト、ポリエ−テルエ−テルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカ−ボネ−ト、ナイロン6・ナイロン66・ナイロン11・ナイロン12・芳香族ナイロンやそれらの共重合物等のポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン・ポリエ−テルサルホン等のポリサルホン系樹脂、ポリフエニレンエ−テル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレ−
    ト、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、結晶セルロース、CMC、MC、澱粉、HPMC、HPC、HPS等の有機粉末が例示される。

    【0018】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は、前記した特定の化合物と無機粉末及び/又は有機粉末とを混合し、圧縮成形、押出成形等の手法により調製することができるが、成形方法に関しては特に限定されるものでない。 また、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体の形状は、平板状、ドーナツ状、円柱状等任意であり、発熱体の加熱部の形状及び薬剤の蒸散性により選択される。 なお、有機粉末のうち、特に熱可塑性樹脂粉末を用いた場合、薬剤含有体を成形後、熱可塑性樹脂粉末の融点付近にて加熱融着させ、薬剤含有体の強度を向上させることもできる。 すなわち、熱可塑性樹脂粉末が無機粉末及び/又は有機粉末と密着した状態でその接触部分を融着させることにより、多孔性を失うことなく、折れ及び割れに対する強度の向上が得られる。 さらに、熱可塑性樹脂粉末は、耐水性及び耐湿性にも優れているので、高湿時においても強度低下を示さないため、一般的使用の環境下においても一定の強度を保つ安定した品質の加熱蒸散用薬剤含有体の成形が可能である。 また、熱可塑性樹脂粉末は水に対して安定であるため、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体を用いることによって、水ベースの消臭剤、防菌防黴剤、殺虫剤、香料等の水溶性や乳化した薬液を蒸散することが可能となる。

    【0019】また、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体には、圧縮成形時及び押出成形時の粉末の流動性や滑性・
    滑沢性を向上させるために、加熱蒸散用薬剤含有体の特性を損なわぬ範囲で必要に応じて滑剤、滑沢剤として、
    タルク、ステアリン酸マグネシウム・ステアリン酸ナトリウム等のステアリン酸塩、N−ラウリル−DL−アスパラギン酸−β−ラウリルエステルやN 6 −ラウロイル−L−リジン等のアミノ酸系滑沢剤やホウ酸、流動パラフィン、安息香酸ナトリウム、カルボワックス等のワックス類等を添加することもできる。 さらに、加熱蒸散用薬剤含有体の強度向上のために、ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状粉体を添加することもできる。 なお、加熱蒸散用薬剤含有体には、その特性を損なわない範囲で必要に応じて顔料、色素、防腐剤、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、誤食防止剤等の添加剤を配合してもよい。

    【0020】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は多孔質なものであり、その空隙率を通常15〜60%、好ましくは20〜50%とすることにより、長期間に亘る安定した蒸散効果を達成できる。 すなわち、15%未満の空隙率では、加熱蒸散用薬剤含有体内での薬剤移行が円滑に行われず、そのため、薬剤含有体の被加熱部での薬剤の蒸散と被加熱部への薬剤の供給のバランスが悪く、安定した薬剤蒸散が得られ難いので好ましくない。 一方、6
    0%以上の空隙率では、熱伝導性が悪くなり、低温での薬剤蒸散が困難となるので好ましくない。

    【0021】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体は、殺虫、
    殺菌、消臭、芳香等を目的として、各種殺虫剤、殺菌剤、消臭剤、香料等の薬剤を加熱蒸散させる加熱蒸散装置の加熱蒸散用薬剤含有体として好適に用いることができる。 本発明の加熱蒸散用薬剤含有体を用いるのに適した装置の一例を図1に示す。 図中、1は本発明に係る加熱蒸散用薬剤含有体であり、加熱装置2の発熱体3上に載置して用いられる。 図2は、加熱蒸散用薬剤含有体の他の態様を示したものである。 この加熱蒸散用薬剤含有体は、薬剤含有体1とそれを内包する容器4とから成る。 容器4は更に、上部容器5と下部容器6の2部材から成り、その内表面に薬剤含有体担持用の複数のリブ7
    が形成されている。 また、上部容器5及び下部容器6の中央部にそれぞれ通気孔8及び9が形成されている。 そして、上部容器5及び下部容器6の外表面には、発熱体上に載置した時に容器4と発熱体との間に空隙が形成されて間接的に加熱されるように突部10が突設されている。 なお、該突部10を形成せず、容器4を直に発熱体上に載置し、下部容器6の底壁を介して間接的に加熱されるように構成してもよい。 また、前記上部容器5及び下部容器6の内表面と薬剤含有体1の間には上記リブ7
    によって間隙Xが形成されるようにして、加熱により蒸散した薬剤が開口部11に向かってよりスムーズに流れるように構成されている。 以上図示したものは本発明の加熱蒸散用薬剤含有体を用いるのに好適な装置の一例であるが、これに限らず各種形状の装置を用いることができることは言うまでもない。 また、発熱体に熱伝導性部材を設置し、この熱伝導性部材に伝導した熱で薬剤含有体を加熱するような構成としてもよい。

    【0022】前記薬剤含有体を保持する容器の材質としては、使用される薬剤に応じ、耐熱性・耐薬剤性を有する事が望まれる。 例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、ポリアセタール、メラミン樹脂、ポリ四フッ化エチレン、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メタアクリル酸樹脂、ポリアリレート、ポリケトン、ポリアミドイミド、ポリアリルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルニトリル等が挙げられる。 容器の形状は、加熱蒸散用薬剤含有体の形状により選択される。 また、図
    1に示す使用態様のように容器を用いなくてもかまわない。

    【0023】そして、加熱使用時における加熱温度は、
    含有される薬剤により選択されるが、容器を用いる、用いないに拘らず、通常、加熱蒸散用薬剤含有体の被加熱部表面温度を50℃〜150℃に保持することが好ましい。 より好ましくは70℃〜120℃とする。 また、前記発熱体の発熱方法としては、抵抗ヒーター(ニクロム線等)・半導体(PTC)を用いたヒーターに通電する方法、酸化反応(鉄・マグネシウム等の金属の酸化等)、加水反応(生石灰と水の反応等)、アルコール・
    ガス・灯油・ワックス等の燃焼熱、また白金触媒を使用したアルコール・ガス等の燃焼熱を利用する方法、及びその他の熱源を直接あるいは間接的に利用する方法が用いられる。

    【0024】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体には、使用目的に応じて種々の加熱蒸散性薬剤を含有させることができる。 例えば殺虫を目的として使用する場合、殺虫剤としては、従来より用いられている各種加熱蒸散性殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメイト系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。 一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられ、例えばアレスリン(以下、AB−
    1と略称する)、d1・d−T80−アレスリン(以下、AB−2と略称する)、d・d−T80−アレスリン(以下、AB−3と略称する)、d・d−T80−プラレトリン(以下、AB−4と略称する)、フタルスリン(以下、AB−5と略称する)、d−T80−レスメトリン(以下、AB−6と略称する)、d−T80−フラメトリン(以下、AB−7と略称する)、ペルメトリン(以下、AB−8と略称する)、フェノトリン(以下、AB−9と略称する)、フェンバレレート(以下、
    AB−10と略称する)、シペルメトリン(以下、AB
    −11と略称する)、シフェノトリン(以下、AB−1
    2と略称する)、エムペントリン(以下、AB−13と略称する)、テラレスリン(以下、AB−14と略称する)、エトフェンプロックス(以下、AB−15と略称する)、ベンフルスリン(以下、AB−16と略称する)等従来公知の各種ピレスロイド系殺虫剤を用いることができる。 また同様に、芳香を目的として使用する場合には、天然及び人工の各種香料を用いることができ、
    例えば動物性、植物性の天然香料、炭化水素、アルコール、フェノール、アルデヒド、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工香料などであり、これらの1
    種を単独で使用できる他、2種以上を混合して使用することもできる。 さらに、目的に応じて消臭剤、殺菌剤、
    防バイ剤、防錆剤、殺ダニ剤、忌避剤等の各種薬剤についても、加熱により蒸散する薬剤であれば使用できる。
    薬剤の含有量は、薬剤含有体100重量部当り1〜30
    重量部含有させることが好ましい。

    【0025】

    【実施例】以下、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明する。 実施例1〜24 無水リン酸水素カルシウム95重量部及び結晶セルロース5重量部と下記表1に示す化合物とを混合し、プレス機にて50kg/cm 2のプレス圧にて平板状の固形薬剤含有体(サイズ30×18×6.5mm、重量6.0
    g)を調製した。 これに下記表1に示す薬剤を所定量浸漬により含有させ、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体(実施例1〜24)を得た。

    【0026】比較例1〜3 下記表1に示すように、化合物AA−1〜AA−31を添加混合しない以外は、実施例1〜24と同様にして比較例1〜3を得た。

    【表 1】

    【0027】試験例1(蒸散試験) 実施例1〜24及び比較例1〜3で製造した薬剤含有体を、それぞれ図1に示す加熱蒸散器にセットした。 発熱体に通電して、薬剤含有体の表面を90℃±5℃となるように加熱し、各加熱時間目の薬剤の蒸散量を測定した。 その結果を表2に示す。 なお、蒸散量は次のようにして測定した。 蒸散量:蒸散薬剤を一定時間毎にシリカゲル充填カラムで1時間トラップした後、アセトンで抽出、濃縮後、ガスクロマトグラフで定量分析した。

    【表2】

    【0028】表2に示す結果から明らかなように、比較例1〜3のように本発明の特定の化合物を含有しない薬剤含有体は、加熱時間が経過するに従って徐々に目詰りが発生し、薬剤蒸散量が低下し、180時間目には初期蒸散量の半減以下まで落ち込み、240時間目では薬剤が蒸散しなくなった。 しかしながら、実施例1〜24のように本発明の特定の化合物を含有した薬剤含有体を用いた場合、300時間もの長時間に亘る加熱使用において、薬剤の蒸散が抑制されることなく、安定した薬剤蒸散が得られた。

    【0029】実施例25〜30 無水リン酸水素カルシウム90重量部及びナイロン12
    パウダー10重量部と下記表3に示す化合物とを混合し、プレス機にて50kg/cm 2のプレス圧にて平板状の固形薬剤含有体(サイズ30×18×7mm、重量6.0g)を調製した。 これに下記表3に示す薬剤を所定量浸漬により含有させ、本発明の加熱蒸散用薬剤含有体(実施例25〜30)を得た。

    【表3】

    【0030】比較例4及び5 対照品として、薬剤を炭化水素系溶剤に溶解している比較例4(dl・d−T80−アレスリン約1200mg
    /45ml含有)、比較例5(d・d−T80−プラレトリン約300mg/45ml含有)の市販の薬液吸液式の加熱蒸散剤を用いた。

    【0031】試験例2(効力試験) 実施例25〜30にて製造した薬剤含有体を図1に示す加熱蒸散器にセットした。 1日当たり12時間使用とし、発熱体への通電1日目相当(試験前通電なし)、通電2日目相当(試験前通電12時間)、通電10日目相当(試験前通電108時間)、通電20日目相当(試験前通電228時間)、通電30日目相当(試験前通電3
    48時間)の薬剤含有体について、アカイエカ雌成虫に対するノックダウン効果を調べた。 試験前通電は、12
    時間通電、12時間未通電を繰り返し、薬剤含有体の表面を実施例25〜28は90℃±5℃、実施例29〜3
    0は80℃±5℃となるように加熱した。 所定時間試験前通電を行った前記サンプルを、8畳の部屋の下面中央に載置し、通電開始後1時間目にアカイエカ雌成虫を1
    00匹放し、時間の経過に伴うノックダウン虫数を確認し、50%が落下仰転する時間(KT−50)を測定した。 また、比較例についても同様に実施した。 その結果を表4に示す。

    【0032】

    【表4】

    表4に示す結果から明らかなように、比較例の場合、通電1日目は、薬剤の蒸散が充分に行われておらず、殺虫効果が発現するまで8〜9分もの時間を必要とした。 これに対して、本発明の薬剤含有体は、通電1日目から2


    〜3分の短時間にて殺虫効果が得られた。 また、30日間に亘って安定した殺虫効果が得られており、すべての経過日数において比較例を上回っており、通電直後からすばやい殺虫効果が得られることがわかる。

    【0033】

    【発明の効果】以上のように、本発明は、特定の化合物を含有し、無機粉末及び/又は有機粉末を基材とし、加熱蒸散性薬剤成分のみあるいは必要最少限の溶剤と共に含有させた薬剤含有体を用い、これを直接的又は間接的に加熱して薬剤蒸散を行うものであるため、以下のような効果・利点が得られる。 イ)薬剤含有体の目詰り防止効果は発揮するが薬剤蒸散は抑制しないような量的割合で特定の化合物を含有させた基材を用いることにより、溶剤を必要最少限又は全く使用せずに薬剤を含有させ、目詰りもなく長期間に亘る有効かつ安定した薬剤蒸散効果が得られる。 ロ)薬剤成分のみを蒸散させるため、熱効率が良好であり、また薬剤蒸散の立上りが非常に良好であり、殺虫剤の場合、発熱体への通電直後からすばやい殺虫効果が得られる。 また、発熱体の消費電力が少なく、省エネルギー化が可能となり、例えば乾電池等の小容量の電源を使用することが可能となり、加熱装置のコンパクト化や携帯化を図ることができる。 ハ)溶剤を必要最少限で使用するか又は全く使用しないため、火災の危険性を回避し、安全性を向上できると共に、揮発性有機化合物の大幅な削減ができ、それらの蒸散による地球環境に与える悪影響を低減できる。 また省資源化の利点も得られる。 ニ)薬剤のみあるいは必要最少限の溶剤と共に含有させた固形状の薬剤含有体にて薬剤の蒸散を行うため、従来の薬液吸液式のように薬液容器を必要としない。 そのため、液漏れ等の問題もなく、非常にコンパクトな設計が可能となり、省資源化及び低コスト化が可能となる。 ホ)薬剤のみを蒸散させるため、熱効率が良好であり、
    発熱体の低温化が可能となる。 このため、火傷の危険性を回避し安全性を向上できる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体を用いるのに適した装置の一例を加熱装置の内部構造を省略して示す概略断面図である。

    【図2】本発明の加熱蒸散用薬剤含有体の他の使用態様を示す断面図である。

    【符号の説明】

    1 加熱蒸散用薬剤含有体、2 加熱装置、3 発熱体

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