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多極化細胞の作製方法

阅读:956发布:2024-02-27

专利汇可以提供多極化細胞の作製方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且細胞中に3個以上の中心体が散在し、該3個以上の中心体の各々から伸びる多極紡錘体が形成された多極化細胞を提供する。本発明によって提供される多極化細胞作製方法は、培養された真核細胞に対して、多極化誘導ペプチドとして配列番号1〜配列番号12のうちの何れかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列を有する合成ペプチドを供給する。,下面是多極化細胞の作製方法专利的具体信息内容。

少なくとも一種の真核細胞から3個以上の中心体及び多極紡錘体を有する多極化細胞を作製する方法であって、 対象とする真核細胞を培養すること、 前記培養中の真核細胞に、FtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能する以下のアミノ酸配列: (1)CSSATGKSC (配列番号1); (2)CLAPSPSKC (配列番号2); (3)CLGQTKMRC (配列番号3); (4)CGHRPYQYC (配列番号4); (5)CWAFPLHHC (配列番号5); (6)CTLNSHSNC (配列番号6); (7)CEISAKRTC (配列番号7); (8)CHILHAQAC (配列番号8); (9)CPRPPSLEC (配列番号9); (10)CTGHWASEC (配列番号10); (11)CSYEKRPMC (配列番号11); (12)CLTKSYTSC (配列番号12); のうちの何れかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列から成る合成ペプチドを供給すること、 を包含する、多極化細胞作製方法。少なくとも一種の真核細胞から3つ以上の中心体及び多極紡錘体を有する多極化細胞を作製する方法であって、 対象とする真核細胞を培養すること、 前記培養中の真核細胞に、FtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能する以下のアミノ酸配列: (1)CSSATGKSC (配列番号1); (2)CLAPSPSKC (配列番号2); (3)CLGQTKMRC (配列番号3); (4)CGHRPYQYC (配列番号4); (5)CWAFPLHHC (配列番号5); (6)CTLNSHSNC (配列番号6); (7)CEISAKRTC (配列番号7); (8)CHILHAQAC (配列番号8); (9)CPRPPSLEC (配列番号9); (10)CTGHWASEC (配列番号10); (11)CSYEKRPMC (配列番号11); (12)CLTKSYTSC (配列番号12); のうちの何れかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列と、 核小体局在シグナル(NoLS)を構成するアミノ酸配列であって配列番号13〜配列番号20のうちから選択される何れかの配列番号のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列と、 から成る合成ペプチドを供給すること、 を包含する、多極化細胞作製方法。前記培養する真核細胞をG2期又はM期に同調させ、該G2期又はM期に同調された培養細胞に対して前記ペプチドの供給が行われる、請求項1又は2に記載の多極化細胞作製方法。前記真核細胞として、培養された腫瘍細胞を使用する、請求項1〜3の何れか一項に記載の多極化細胞作製方法。前記腫瘍細胞が、扁平上皮癌由来の細胞である、請求項4に記載の多極化細胞作製方法。請求項1〜5の何れか一項に記載の方法によって作製された多極化細胞。

说明书全文

本発明は、対象とする細胞を多極化する合成ペプチドとその利用に関する。詳しくは、該ペプチドを対象細胞に供給して該細胞中に多数の中心体を生じさせた細胞(cells with extra centrosomes)、即ち多極化細胞を作製する方法に関する。 なお、本出願は2011年12月20日に出願された日本国特許出願2011−278975号に基づく優先権を主張しており、当該日本国出願の全内容は本明細書中に参照として援用されている。

腫瘍細胞(がん細胞)の特徴の一つとして、正常細胞に比べて細胞分裂が活発に行われ、その結果として細胞増殖速度が著しく高いことが挙げられる。従って、腫瘍細胞の死滅もしくは増殖阻害を目的とする抗がん剤として、腫瘍細胞(がん細胞)の細胞分裂を阻害する薬剤が使用されている。例えば、アルキル化剤は、腫瘍細胞(がん細胞)のDNAに作用して二重鎖の塩基同士を架橋することにより、DNAの複製を妨害して細胞分裂を阻止する薬剤である。また、5−FU等の代謝拮抗剤はDNAの合成を阻害して細胞分裂を阻止する薬剤である。

国際公開第2009/093692号公報

国際公開第2011/013698号公報

国際公開第2011/013699号公報

プロテインエンジニアリング、デザイン&セレクション(ProteinEngineering, Design & Selection)、18巻(2号)、2005年、pp.85−91

ジャーナル・オブ・アンチマイクロバイアルケモセラピー(Journalof Antimicrobial Chemotherapy)、54巻(1号)、2004年、pp.278−280

ところで、正常細胞が腫瘍化(がん化)するメカニズムの遺伝子レベルでの解明や、がん化の際若しくはがん化した後の細胞の状態を生化学的アプローチで調べるためには、正常細胞とは異なり細胞分裂や細胞周期に変調を来した細胞試料の調達が必要となる場合がある。 例えば、正常な二極性の紡錘体ではなく多極紡錘体、即ち細胞中に3個以上の中心体(中心体の周辺物質(Pericentriolar material:PCM)の断片である場合を包含する。以下同じ。)が散在し、該散在した3個以上の中心体をそれぞれ極として該3個以上の中心体の各々からランダムに伸びる紡錘体(多極紡錘体)が形成されたいわゆる多極化細胞(cells with extra centrosomes、或いはcells with multipolar spindle)を細胞試料として利用することは、真核細胞における細胞分裂の異常に関与する遺伝子やタンパク質(ペプチド)の同定、或いは細胞分裂の異常を解消する方法の解明に資すると考えられる。 そこで本発明は、かかる細胞試料としての多極化細胞を効率よく提供するための材料と方法を提供することを目的とする。

本発明者は、上記非特許文献1或いは非特許文献2において報告された幾つかのペプチド、具体的には、原核生物である細菌に存在し、細菌の細胞分裂に関与するZリングと呼ばれるタンパク質集合体を構成するタンパク質であるフィラメント状温度感受性変異株Z(Filamenting temperature-sensitive mutant Z:FtsZ)タンパク質、或いは、該FtsZタンパク質のC末端側に結合してFtsZタンパク質を細胞膜に繋ぎ止めるアンカーとして機能することが知られているフィラメント状温度感受性変異株A(Filamenting temperature-sensitive mutant A:FtsA)タンパク質の活性(即ち、FtsZタンパク質のGTPアーゼ活性またはFtsAタンパク質のATPアーゼ活性)を阻害するペプチドとして、一般的なファージディスプレー法を採用して単離された幾つかのペプチド(即ちFtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能し得るペプチド)に着目した。 そして、これらFtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能し得るペプチドを種々の腫瘍細胞(がん細胞)に適当量供給することにより、該細胞中に多数の中心体(PCMであり得る。)が散在し該散在した多数の中心体を極として二極性とは異なり該多数の中心体の各々から二極性の紡錘体とは異なる多極紡錘体が形成された多極化細胞(cells with extra centrosomes)を作製し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。 なお、本明細書において、用語「腫瘍細胞」は腫瘍化していない正常細胞と区分するために使用される用語である。従って、正常細胞ではなく腫瘍(典型的には、がん)を構成する細胞であれば、該細胞の起源や性状に関わりなく腫瘍細胞と呼称する。

上記の目的を実現するべく、本発明によると以下の方法が提供される。即ち、ここで開示される方法は、少なくとも一種の真核細胞(典型的には哺乳類に属するヒト若しくは動物の細胞、或いは鳥類の細胞)から3個以上の中心体及び多極紡錘体を有する多極化細胞を作製する方法であって、対象とする真核細胞を培養すること、前記培養中の真核細胞に、FtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能する以下のアミノ酸配列: (1)CSSATGKSC (配列番号1); (2)CLAPSPSKC (配列番号2); (3)CLGQTKMRC (配列番号3); (4)CGHRPYQYC (配列番号4); (5)CWAFPLHHC (配列番号5); (6)CTLNSHSNC (配列番号6); (7)CEISAKRTC (配列番号7); (8)CHILHAQAC (配列番号8); (9)CPRPPSLEC (配列番号9); (10)CTGHWASEC (配列番号10); (11)CSYEKRPMC (配列番号11); (12)CLTKSYTSC (配列番号12); のうちの何れかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列から成る合成ペプチドを供給することを包含する方法である。

かかる構成の本発明の方法では、所定の濃度で上記合成ペプチド(即ち、多極化誘導ペプチド)を培養細胞に供給することにより、当該培養細胞中(典型的にはM期の細胞中)に3個以上(典型的には5個以上、好ましくは8個以上)の中心体を生じさせ、それら複数の中心体を極とする多極紡錘体の発生を誘導することができる。 従って、本発明の方法によると、真核細胞における細胞分裂の異常に関与する遺伝子やタンパク質(ペプチド)の同定、或いは細胞分裂の異常を解消する方法等の解明に資する多極化細胞(培養細胞)を安定して作製することができる。

また、ここで開示される方法の他の好ましい一態様は、少なくとも一種の真核細胞(典型的には哺乳類に属するヒト若しくは動物の細胞)から3個以上の中心体及び多極紡錘体を有する多極化細胞を作製する方法であって、対象とする真核細胞を培養すること、前記培養中の真核細胞に、FtsZインヒビターまたはFtsAインヒビターとして機能する以下のアミノ酸配列: (1)CSSATGKSC (配列番号1); (2)CLAPSPSKC (配列番号2); (3)CLGQTKMRC (配列番号3); (4)CGHRPYQYC (配列番号4); (5)CWAFPLHHC (配列番号5); (6)CTLNSHSNC (配列番号6); (7)CEISAKRTC (配列番号7); (8)CHILHAQAC (配列番号8); (9)CPRPPSLEC (配列番号9); (10)CTGHWASEC (配列番号10); (11)CSYEKRPMC (配列番号11); (12)CLTKSYTSC (配列番号12); のうちの何れかのアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列と、核小体局在シグナル(NoLS)を構成するアミノ酸配列であって配列番号13〜配列番号20のうちから選択される何れかの配列番号のアミノ酸配列又は該アミノ酸配列について1個、2個又は3個のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加されて形成されたアミノ酸配列とから成る合成ペプチドを供給することを包含する方法である。

本発明者は、核小体局在シグナル(NoLS:Nucleolar localization signal)として知られるアミノ酸配列(特許文献1、2及び3参照)が細胞外から核内(典型的には核小体)へのペプチド移行に関与するアミノ酸配列であることを見出しており、該アミノ酸配列を含むように構成された合成ペプチド(多極化誘導ペプチド)を使用することにより、対象とする細胞により効率よく該ペプチドを導入することができる。従って、本態様の方法の利用により、多極化細胞の発生効率が向上し、より効果的に多極化細胞を作製、提供することができる。

ここで開示される多極化細胞作製方法において、好ましくは、前記培養する真核細胞をG2期又はM期に同調させ、該G2期又はM期に同調された培養細胞に対して前記ペプチドの供給が行われる。 培養細胞の周期をG2期又はM期に同調(培養細胞を一定期間G2期又はM期にブロック)するとともに多極化誘導ペプチドを対象培養細胞に供給することによって、より効率よく当該培養細胞を多極化することができる。

ここで開示される多極化細胞作製方法は、好適には、対象真核細胞として、培養された(初期培養或いは継代培養された)腫瘍細胞を使用する。特に好ましい対象細胞として、悪性腫瘍細胞(がん細胞)、例えば扁平上皮癌由来の細胞(培養細胞)が挙げられる。 ここで開示される方法は、特に効果的に培養腫瘍細胞を多極化することができる。従って、本発明は、ここで開示される何れかの合成ペプチドを培養腫瘍細胞に供給することを特徴とする、腫瘍細胞を多極化する多極化誘導方法(即ち3個以上の中心体が生じた細胞)を提供する。

また、本発明によって、ここで開示される何れかの方法により作製された多極化細胞を提供することができる。本発明によって提供される多極化細胞(cells with extra centrosomes)は、典型的には、細胞内に3個以上(典型的には5個以上、好ましくは8個以上)の中心体が生じ、更に好ましくは、該複数の中心体を極とする多極紡錘体を生じさせている。また、好ましくは、当該多極化した状態で細胞分裂を起こすことなく数日以上(典型的には5日以上、例えば5日〜14日)生存し得る。

図1は、ノコダゾール処理により細胞周期をG2期(又はM期)に同調させたHeLa細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル9)を培養液中の濃度が10μMとなるように添加して培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DAPIによる核染色画像と、抗チューブリン抗体を使用した免疫染色法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。

図2は、ノコダゾール処理により細胞周期をG2期(又はM期)に同調させたHeLa細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル12)を培養液中の濃度が10μMとなるように添加して培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DAPIによる核染色画像と、抗チューブリン抗体を使用した免疫染色法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。

図3は、ノコダゾール処理により細胞周期をG2期(又はM期)に同調させたHeLa細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル9)を培養液中の濃度が10μMとなるように添加して培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DAPIによる核染色画像と、抗チューブリン抗体を使用した免疫染色法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。特に多極化の程度の激しい細胞を示す画像である。

図4は、ノコダゾール処理により細胞周期をG2期(又はM期)に同調させたA549細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル6)を培養液中の濃度が10μMとなるように添加して培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体ならびに抗セントリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。

図5は、ノコダゾール処理により細胞周期をG2期(又はM期)に同調させたA549細胞の培養液にサンプルペプチド(サンプル11)を培養液中の濃度が10μMとなるように添加して培養した後の培養細胞の状態を調べた蛍光顕微鏡写真(画像)であり、DAPIによる核染色画像と、蛍光色素標識抗チューブリン抗体ならびに抗セントリン抗体を使用した免疫抗体法で調べた結果を示す蛍光画像とを重ねた(マージした)画像である。

以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えばここで開示される合成ペプチドの一次構造)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチドの化学合成法、細胞培養技法、ペプチドを成分とする薬学的組成物の調製に関するような一般的事項)は、細胞工学、生理学、医学、薬学、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、遺伝学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。 また、本明細書中で引用されている全ての文献の全ての内容は本明細書中に参照として組み入れられている。

本明細書において「合成ペプチド」とは、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造されるペプチド断片をいう。 また、本明細書において「ペプチド」とは、複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されないが、典型的には全アミノ酸残基数が概ね50以下(例えば30以下)のような比較的分子量の小さいものをいう。 また、本明細書において「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。

本明細書において「腫瘍」とは、広義に解釈される用語であり、癌腫及び肉腫或いは血液や造血組織の病変(白血病、リンパ腫等)を含む腫瘍一般(典型的には悪性腫瘍)をいう。また、「腫瘍細胞」とは、そのような腫瘍を形成する細胞であって、典型的には周辺の正常組織とは無関係に異常に増殖を行うに至った細胞(所謂がん化した細胞)をいう。従って、特別に規定しない限り、正常細胞ではなく腫瘍細胞(がん細胞)に区分される細胞であれば、該細胞の起源や性状に関わりなく腫瘍細胞と呼称される。上皮性腫瘍(扁平上皮癌、腺癌等)、非上皮性腫瘍(各種の肉腫、骨肉腫等)、各種の細胞腫(神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫等)、リンパ腫、メラノーマ、等を構成する細胞は、ここでいう腫瘍細胞に包含され得る。 また、本明細書において所定のアミノ酸配列に対して「改変アミノ酸配列」とは、当該所定のアミノ酸配列が有する機能(例えば上記多極化誘導ペプチドが有する多極化誘導能やNoLSが有する細胞外から核内への移行能)を損なうことなく、1個又は数個(例えば2個又は3個)のアミノ酸残基が置換、欠失及び/又は付加(挿入)されて形成されたアミノ酸配列をいう。例えば、1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が保守的に置換したいわゆる同類置換(conservative amino acid replacement)によって生じた配列(例えば塩基性アミノ酸残基が別の塩基性アミノ酸残基に置換した配列:例えばリジン残基とアルギニン残基との相互置換)、或いは、所定のアミノ酸配列について1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が付加(挿入)した若しくは欠失した配列等は、本明細書でいうところの改変アミノ酸配列に包含される典型例である。従って、ここで開示される多極化誘導ペプチドには、各配列番号のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列で構成される合成ペプチドに加え、各配列番号のアミノ酸配列において1個又は数個(典型的には2個又は3個)のアミノ酸残基が置換(例えば上記同類置換)、欠失及び/又は付加したアミノ酸配列であって、同様に多極化誘導性を示すアミノ酸配列からなる合成ペプチドを包含する。 また、本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されたポリヌクレオチドをいう。

また、本発明によると、ここで開示される多極化細胞作製方法を実施するのに好適に用いられる組成物を提供する。即ち、ここで開示される組成物は、薬学上許容され得る少なくとも一種の担体と、本発明者によって初めて所定の真核細胞(典型的にはヒトを含む哺乳類その他の動物細胞若しくは鳥類の細胞、好ましくは培養された腫瘍細胞)において上述の多極化を誘導し得るという作用が見出されたアミノ酸配列から成る多極化誘導ペプチド若しくは該ペプチドのアミノ酸配列のN末端側若しくはC末端側にNoLSを連結して構成されるNoLS付き多極化誘導ペプチドを有効成分として含有する組成物(以下、「多極化誘導組成物」と略称する場合がある。)である。多極化誘導剤ともいう。 ここで開示される多極化誘導ペプチドの幾つかは、配列番号1〜配列番号12のうちの何れかの配列番号に示すアミノ酸配列(又はその改変配列)から構成される。これらアミノ酸配列から成るペプチドは、上述のとおり、上記非特許文献1或いは非特許文献2において報告されたように、ある種の細菌に対してFtsAインヒビター(配列番号1〜10)またはFtsZインヒビター(配列番号11〜12)として機能し得るペプチドである。しかし、従来、かかるFtsAインヒビターまたはFtsZインヒビターとして機能し得る種々のペプチドが所定の細胞(典型的には腫瘍細胞)の多極化を誘導することは全く知られておらず、そのことを示唆するものも存在しない。

或いはまた、ここで開示される多極化誘導ペプチドの幾つかは、配列番号1〜配列番号12のうちの何れかの配列番号に示すアミノ酸配列(又はその改変配列)と、以下に示す配列番号13〜配列番号20: (13)KKRTLRKNDRKKR (配列番号13); (14)WRRQARFK (配列番号14); (15)RSRKYTSWYVALKR (配列番号15); (16)MAKSIRSKHRRQMRMMKRE (配列番号16); (17)MARRRRHRGPRRPRPP (配列番号17); (18)GRCRRLANFGPRKRRRRRR (配列番号18); (19)RRRKRNRDARRRRRKQ (配列番号19); (20)MQRKPTIRRKNLRLRRK (配列番号20); のうちの何れかの配列番号に示すNoLSを構成するアミノ酸配列(又はその改変配列)とから構成される。これら列挙したアミノ酸配列はいずれもNoLSとして知られており、その情報は例えばNCBI(National Center for Biotechnology Information)が提供するタンパク質のアミノ酸配列データベースから得ることができる。 即ち、配列番号13のアミノ酸配列は、細胞内情報伝達に関与するプロテインキナーゼの1種であるヒト内皮細胞に存在するLIMキナーゼ2(LIM Kinase 2)の第491番目のアミノ酸残基から第503番目のアミノ酸残基までの13個のアミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号14のアミノ酸配列は、コロナウイルス属に属するIBV(トリ伝染性気管支炎ウイルス:avian infectious bronchitis virus)のNタンパク質(nucleocapsid protein)に含まれる8個のアミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号15のアミノ酸配列は、FGF2(塩基性線維芽細胞増殖因子)由来の合計14アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号16のアミノ酸配列は、核小体タンパク質の一種(ApLLP)由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号17のアミノ酸配列は、HSV−1(単純ヘルペスウイルス タイプ1)のタンパク質(γ(1)34.5)由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号18のアミノ酸配列は、HIC(human I-mfa domain-containing protein)のp40タンパク質由来の合計19アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号19のアミノ酸配列は、MDV(Marek病ウイルス)のMEQタンパク質由来の合計16アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 配列番号20のアミノ酸配列は、アポトーシスを抑制するタンパク質であるSurvivin- deltaEx3由来の合計17アミノ酸残基から成るNoLSに対応する。 これら配列番号に示されるNoLSを上記配列番号1〜配列番号12のうちの何れかの配列番号に示すアミノ酸配列(又はその改変配列)のN末端側若しくはC末端側に配置することにより、好適な多極化誘導ペプチド(合成ペプチド)を構築することができる。

ここで開示される多極化誘導ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、合成ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させることができる。 ここで開示される多極化誘導ペプチドはアミノ酸残基数が比較的少ない(典型的には30以下)鎖長の短いペプチドである。このため、化学合成が容易であり、容易に多極化誘導ペプチドを提供することができる。なお、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、上記多極化を誘導する活性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、ここで開示される多極化誘導組成物を作製するのに用いられるペプチドとして好ましい。 なお、ここで開示される多極化誘導ペプチドとしては、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、上記多極化を誘導する能を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。

ここで開示される多極化誘導ペプチドは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。 ここで開示される多極化誘導ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。

或いは、遺伝子工学的手法に基づいて多極化誘導ペプチドを生合成してもよい。すなわち、所望する多極化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のポリヌクレオチド(典型的にはDNA)を合成する。そして、合成したポリヌクレオチド(DNA)と該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。 一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からペプチドを単離し、必要に応じてリフォールディング、精製等を行うことによって、目的の多極化誘導ペプチドを得ることができる。 なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。

例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の多極化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズ及びアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出し、精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した多極化誘導ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。また、必要に応じて適当な方法によってリフォールディングする。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、ここで開示される多極化誘導ペプチドを製造することができる。 或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち多極化誘導ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。

ここで開示される多極化誘導ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、多極化誘導ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。また、ポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。 こうして得られるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、多極化誘導ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。

ここで開示される多極化誘導ペプチドは、少なくとも1種の真核細胞(好ましくは哺乳類若しくは鳥類の腫瘍細胞)に作用し、(典型的にはM期の)該細胞中に多数の中心体(典型的には一つの細胞中に3個以上、好ましくは5個以上、特に好ましくは8個以上、さらに好ましくは10個以上、例えば3〜20個程度の中心体)を生じさせ、それに対応する数の多極紡錘体が形成されることを誘導することができる。 なお、多極化誘導ペプチドは、上記多極化の形成誘導活性を損なわない限りにおいて塩の形態であってもよい。例えば、常法に従って通常使用されている無機酸又は有機酸を付加反応させることにより得られ得る該ペプチドの酸付加塩を使用することができる。或いは、上記多極化の形成誘導活性を有する限り、他の塩(例えば金属塩)であってもよい。従って、本明細書及び特許請求の範囲に記載の「ペプチド」は、かかる塩形態のものを包含する。

ここで開示される多極化誘導組成物は、有効成分である多極化誘導ペプチドの上記多極化を誘導する能力が失われない状態で保持し得る限りにおいて、使用形態に応じて薬学(医薬)上許容され得る種々の担体を含み得る。例えば、希釈剤、賦形剤等としてペプチド医薬において一般的に使用される担体を適用し得る。 ここで開示される組成物(即ち多極化誘導組成物)の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、典型的には、、生理学的緩衝液、種々の有機溶媒が挙げられる。適当な濃度のアルコール(エタノール等)水溶液、グリセロール、オリーブ油のような不乾性油であり得る。或いはリポソームであってもよい。また、多極化誘導組成物に含有させ得る副次的成分としては、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、色素、香料等が挙げられる。 多極化誘導組成物(多極化誘導剤)の典型的な形態として、液剤、懸濁剤等が挙げられる。また、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。 なお、多極化誘導ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の組成物を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる調製方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。

ここで開示される多極化誘導ペプチドの適用対象細胞は、多極化を誘導し得る真核細胞(培養細胞)であれば特に制限されないが、ヒト又はヒト以外の哺乳動物或いは鳥類の細胞、特に培養腫瘍細胞(種々のセルライン)に対して適用可能である。例えば、扁平上皮癌を構成する細胞、腺癌を構成する細胞、或いは、神経芽細胞腫(神経芽腫)、網膜芽細胞腫、褐色細胞腫その他の細胞腫を構成する細胞(培養細胞)が挙げられる。

ここで開示される多極化誘導ペプチド(多極化誘導組成物)を対象培養細胞に供給する方法としては特別な処理を要しない。例えば、対象細胞(生体から摘出された細胞塊又は組織又は器官である場合を包含する。)を培養している培養物(典型的には培養液)中に適当量の多極化誘導ペプチド(若しくは該ペプチドを主成分とする組成物)を添加するとよい。 1回当たりのペプチド供給量及び供給回数は、培養物中の細胞の多極化効率を考慮して決定すればよく、培養する腫瘍細胞の種類、細胞密度(培養開始時の細胞密度)、継代数、培養条件、培地の種類、等の条件によって異なり得るため特に限定されないが、培地中の多極化誘導ペプチド濃度が概ね1μM以上20μM未満、好ましくは5μM以上10μM以下程度の範囲になるように調整するとよい。ペプチド添加量が少なすぎると培養物中の細胞の多極化誘導率が低すぎるために好ましくなく、逆にペプチド添加量が多すぎると過剰な多極化誘導によって早期に細胞死を引き起こすため好ましくない。

また、ここで開示される多極化細胞作製方法(多極化誘導方法)では、対象とする培養細胞の細胞周期を予め同調させておき、かかる同調された後の細胞に対して所望の多極化誘導ペプチドを供給することが培養物中の細胞の多極化率を向上させ得るため好ましい。特に培養物中の細胞をG2期又はM期に同調させることが好ましい。 ここで「G2期又はM期に同調」とは、培養細胞に対して適切な処理(典型的にはノコダゾール等の細胞周期同調に汎用される薬剤の添加)を行うことにより、培養細胞のG2期からM期への移行若しくはM期からG1期への移行を阻害して当該細胞をG2期又はM期にとどまらせることをいう。例えば、細胞培養物(典型的には培養液)中に適当な濃度となるようにノコダゾール、コルヒチン、コルセミド、ビンクリスチン等を添加することにより細胞周期を調整し、対象細胞をG2期又はM期に同調させておくことができる。G2期に同調して多極化誘導ペプチドを供給することが特に好ましい。 或いは、一般的なダブルチミジンブロック法等を採用して培養細胞の細胞周期をG1期に同調(即ちG1期からS期への移行を阻害)することができる。

以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。

<実施例1:ペプチド合成> 表1に示す各アミノ酸配列から成る計24種類の合成ペプチドを、ペプチド合成機を用いて製造した。なお、以下の説明では、合成した計24種類のペプチドをサンプル1〜24と呼称する。

各サンプルは、表1(及び配列表)に示す何れかのアミノ酸配列を有するように構成されている。具体的には、サンプル1〜12は、上記非特許文献1若しくは非特許文献2に記載のFtsAインヒビター(配列番号1〜10)またはFtsZインヒビター(配列番号11〜12)として機能し得るペプチドであり、何れもN末端及びC末端のアミノ酸残基がシステインであることを特徴とする計9アミノ酸残基から成る合成ペプチドである。 また、サンプル13〜24は、それぞれ、サンプル1〜12の各ペプチドのアミノ酸配列のC末端側に、上記配列番号13のNoLSを構成するアミノ酸配列を連結したことを特徴とする計22アミノ酸残基から成る合成ペプチドである。 いずれのペプチドも、市販のペプチド合成機(Intavis AG社製品)を用いてマニュアルどおりに固相合成法(Fmoc法)を実施して合成した。なお、ペプチド合成機の使用態様自体は本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。 合成した各サンプルは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)に溶かし、ペプチド濃度が1mMのストック液を調製した。

<実施例2:各合成ペプチドの多極化誘導能の評価試験1> 上記実施例1において得られたサンプルペプチドのうちの幾つかのペプチドの多極化誘導活性を、培養腫瘍細胞を対象にして調べた。評価試験の詳細は以下のとおりである。 供試腫瘍細胞としてHeLa細胞株(HeLa S3)を使用した。かかる細胞株を予めDMEM培地(即ち、10%のウシ胎児血清(FBS:Gibco社製品)、2mMのL−グルタミン、50ユニット/mLのペニシリン、及び50μg/mLのストレプトマイシンを含むダルベッコのMEM培地(DMEM培地:Gibco社製品))で培養し、8穴(ウェル)スライドガラスの1ウェルあたりの細胞数が約3×104個となるように植え、上記培地に最終濃度が2.5mMになるようにチミジンを添加した。そして、37℃、5%CO2条件下で16時間の培養を行った。培地を交換してチミジンを除去して更に8時間の培養を行い、次いで最終濃度が2.5mMになるようにチミジンを再度添加して16時間培養した。 かかるダブルチミジンブロックを行うことによって、培養中の細胞の周期をG1期に同調させた。かかる同調処理後、培地を交換してチミジンを除去して更に2時間の培養を行った後、サンプルペプチドの何れかをウェル中に添加した。本実施例では、ウェル中のペプチド濃度が10μMとなるように、サンプル1,4,8,9,12及び14のうちの何れかを添加した。

上記のようにして何れかのサンプルペプチドを添加後、当該8穴(ウェル)スライドガラスを更に上記条件下で6時間培養した。 6時間の培養後、蛍光抗体法により多極化の有無を蛍光顕微鏡で観察した。具体的には、サンプルペプチドを添加して6時間経過後、培養細胞についてDAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)による核染色を行うとともに、紡錘体のマーカーとしてα−チューブリンを採用し、当該チューブリンを識別する抗チューブリン抗体(一次抗体)と当該抗体を認識する蛍光色素(Alexa Fluor(登録商標)555)標識二次抗体を用いた蛍光抗体法によって細胞中のチューブリンの存在(即ち紡錘体の存在)を調べた。 表2に、蛍光顕微鏡観察に基づいて算出された多極化率(即ち蛍光顕微鏡観察したM期細胞数に対し、3個以上の中心体の各々からランダムに伸びる紡錘体(多極紡錘体)が認められた多極化細胞数の割合:%)を示している。

表2に示すように、サンプルペプチドを添加していない対照区の多極化率:3.5%と比較して、何れかのサンプルペプチドを添加した処理区では多極化率の向上が認められた(8.3〜18.6%)。特にサンプル4,8,9,12又は14を添加した処理区では、M期の細胞中の10%以上(好ましくは15%以上)の細胞において多極化が認められた。

<実施例3:各合成ペプチドの多極化誘導能の評価試験2> 上記実施例2において使用したものと同じサンプルペプチドを使用し、G2期(若しくはM期)に同調させた培養腫瘍細胞に対する多極化誘導活性を調べた。評価試験の詳細は以下のとおりである。 供試腫瘍細胞としてHeLa細胞株(HeLa S3)を使用した。かかる細胞株を上記実施例2と同じ条件で培養し、8穴(ウェル)スライドガラスの1ウェルあたりの細胞数が約3×104個となるように植え、上記培地に最終濃度が2.5mMになるようにチミジンを添加した。そして、37℃、5%CO2条件下で18時間の培養を行った。培地を交換してチミジンを除去して更に6時間の培養を行い、次いで最終濃度が0.1μg/mLになるようにノコダゾールを添加して16時間培養した。かかるノコダゾール添加によって、培養中の細胞の周期をG2期(若しくはM期)に同調させた。 そして、上記16時間の培養後、培地を交換することなく(即ちノコダゾールが含有された状態で)サンプルペプチドの何れかをウェル中のペプチド濃度が10μMとなるように添加し、4時間培養した。次いで、培地を交換してノコダゾール及びサンプルペプチドを除いた状態で更に2時間培養を継続した。

上記2時間の培養後、実施例2と同様に蛍光抗体法により多極化の有無を蛍光顕微鏡で観察した。 表3に、蛍光顕微鏡観察に基づいて算出された多極化率(即ち蛍光顕微鏡観察したM期細胞数に対し、3個以上の中心体の各々からランダムに伸びる紡錘体(多極紡錘体)が認められた多極化細胞数の割合:%)を示している。

表3に示すように、サンプルペプチドを添加していない対照区の多極化率:2.7%と比較して、サンプルペプチドを添加した処理区は何れも顕著に高い多極化率が認められた(61.3〜73.3%)。このことは、対象とする培養細胞をG2期(又はM期)に同調させることにより、多極化誘導ペプチドの多極化誘導活性が顕著に高まることを示すものである。一例として、サンプル9、12に係る蛍光顕微鏡観察の結果を図1〜図3に示す。サンプル9(図1、図3)或いはサンプル12(図2)を添加した処理区の蛍光顕微鏡画像に示されるように、多くの細胞で中心体が3個以上生じ、それに伴って多極紡錘体が形成された細胞が数多く観察された。

<実施例4:各合成ペプチドの多極化誘導能の評価試験3> 上記実施例1において得られたサンプルペプチドのうちの幾つかのペプチドの多極化誘導活性を、培養腫瘍細胞を対象にして調べた。評価試験の詳細は以下のとおりである。供試腫瘍細胞は、ヒトの扁平上皮癌を構成する細胞(ヒト胞基底上皮腺癌細胞:A549細胞)を使用した。かかる細胞株を、上述した実施例2と同様に培養し、得られた培養腫瘍細胞を上述した実施例3と同様にG2期(若しくはM期)に同調させた。そして、上述した実施例2および3と同様に(ただしM期細胞数は100。)、蛍光抗体法によって多極化の有無を蛍光顕微鏡で観察した。また、中心体(中心小体)のマーカーとしてセントリン2(centrin-2)を採用し、当該セントリン2を識別する抗セントリン2抗体(一次抗体)と当該抗体を認識する蛍光色素標識二次抗体を用いた蛍光抗体法によって細胞中のセントリン2の存在(即ち中心体の存在)を調べた。 表4に、蛍光顕微鏡観察に基づいて算出された多極化率(即ち蛍光顕微鏡観察したM期細胞数に対し、3個以上の中心体の各々からランダムに伸びる紡錘体(多極紡錘体)が認められた多極化細胞数の割合:%)を示している。

表4に示すように、サンプルペプチドを添加していない対照区の多極化率:3%以内と比較して、サンプルペプチドを添加した処理区では何れも高い多極化率が認められた(30〜61%)。なかでも、サンプル1、3、5、9、11、12のペプチドや、NoLSが付加されたサンプル19のペプチドを添加した細胞で、40%以上と顕著に高い多極化率が認められた。

一例として、サンプル6および11に係る蛍光顕微鏡観察の結果を、図4、図5に示す。サンプル6(図4)或いはサンプル11(図5)を添加した処理区の蛍光顕微鏡画像に示されるように、多くの細胞で中心体が3個以上(典型的には4個以上、例えば8個以上)生じ、それに伴って多極紡錘体が形成された細胞が数多く観察された。したがって、ここで開示されるペプチドによれば培養腫瘍細胞(例えば扁平上皮癌由来の細胞)を好適に多極化することができ、多極化細胞(培養細胞)の作製を安定して行うことができる。

上述のように、ここで開示される多極化誘導ペプチドによると、対象とする培養細胞(典型的には腫瘍細胞)の多極化を高頻度に誘導し、種々の研究目的(例えば細胞分裂に関与するファクターの探索や機能解析)に寄与し得る研究材料としての多極化細胞を提供することができる。

配列番号1〜12,21〜32 合成ペプチド

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