首页 / 专利库 / 化学元素和化合物 / 芳香族化合物 / 多環芳香族化合物

多環芳香族化合物

阅读:311发布:2020-05-08

专利汇可以提供多環芳香族化合物专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且アントラセンなどの特定のアリールを置換させた、ホウ素 原子 と酸素原子、硫黄原子またはセレン原子とで複数の芳香族環を連結してなる多環 芳香族化合物 を発光層用材料として用いることで、量子効率および素子寿命の1つ以上が優れた有機EL素子を提供することができる。,下面是多環芳香族化合物专利的具体信息内容。

下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物。 (上記式(1)中、 X1およびX2は、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>Seであり、 R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、素、アルキル、またはアルキルで置換されていてもよいアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素はアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)で表される基は、各式中の*において上記式(1)で表される化合物と結合し、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、下記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−3)、式(Ar−4)、式(Ar−5)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、 上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される基は、各式中の*において上記式(Z−1)〜式(Z−6)で表される基と結合し、 上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜18のヘテロアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar−1)および式(Ar−2)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1〜4の整数であり、 上記式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。)上記式(1)中、 X1およびX2は、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>Seであり、 R1〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜24のアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数10〜20のアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素は炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの1つまたは2つは、それぞれ独立して、上記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、上記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−3)、式(Ar−4)、式(Ar−5)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、 上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数4〜16のヘテロアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar−1)および式(Ar−2)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1〜4の整数であり、 上記式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい、 請求項1に記載する、多環芳香族化合物。上記式(1)中、 X1およびX2は、>Oであり、 R1〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数10〜18のアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの1つまたは2つは、それぞれ独立して、上記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、下記式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)、式(Ar-2-3)、式(Ar−3)、式(Ar-4-1)、式(Ar-5-1)、式(Ar-5-2)、式(Ar-5-3)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、 上記式(Ar-1-1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)および式(Ar-2-3)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1または2である、 請求項1に記載する、多環芳香族化合物。下記いずれかの式で表される、請求項1に記載する多環芳香族化合物。請求項1〜4のいずれかに記載する多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項5に記載する有機デバイス用材料。発光層用材料である、請求項6に記載する有機電界発光素子用材料。さらに、下記一般式(2)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つを含有する、請求項7に記載する発光層用材料。 (上記式(2)中、 A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、 X1およびX2はそれぞれ独立して>Oまたは>N−Rであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、また、前記N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、そして、 式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。)陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、請求項7または8に記載する発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項9に記載する有機電界発光素子。前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項10に記載の有機電界発光素子。請求項9〜11のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置。請求項9〜11のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。

说明书全文

本発明は、多環芳香族化合物と、これを用いた有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタおよび有機薄膜太陽電池などの有機デバイス、並びに、表示装置および照明装置に関する。

従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、省電化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料からなる有機電界発光素子(以下、有機EL素子)は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および最適な発光特性となる複数材料の組み合わせについては、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。

有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。

発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。

また、近年ではホウ素などを中心原子として複数の芳香族環を縮合した化合物も報告されている(国際公開第2015/102118号公報)。この文献では発光層のドーパント材料として当該複数の芳香族環を縮合した化合物を選択し、ホスト材料として極めて多くの材料が記載されている中で特にアントラセン系化合物(442頁のBH1)等を選択した場合の有機EL素子評価が実施されているが、それ以外の組合せについては具体的には検証されておらず、また、発光層を構成する組合せが異なれば発光特性が異なるため、他の組合せから得られる特性も未だ知られていない。

国際公開第2004/061047号公報

特開2001-172232号公報

特開2005-170911号公報

国際公開第2015/102118号公報

上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の材料が開発されているが、発光特性を更に高めたり、発光層用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる材料組合せの開発が望まれている。特に、特許文献4の実施例で報告された具体的なホストおよびドーパントの組合せ以外から得られる有機EL特性(特に最適な発光特性)については知られていない。

本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素原子と、酸素原子、硫黄原子またはセレン原子で複数の芳香族環を連結した化合物を含有する発光層を一対の電極間に配置して有機EL素子を構成することにより、優れた有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。

項1. 下記一般式(1)で表される多環芳香族化合物。

(上記式(1)中、 X1およびX2は、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>Seであり、 R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、素、アルキル、またはアルキルで置換されていてもよいアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素はアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、下記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、

上記式(Z−1)〜式(Z−6)で表される基は、各式中の*において上記式(1)で表される化合物と結合し、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、下記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−3)、式(Ar−4)、式(Ar−5)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、

上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される基は、各式中の*において上記式(Z−1)〜式(Z−6)で表される基と結合し、 上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜18のヘテロアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar−1)および式(Ar−2)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1〜4の整数であり、 上記式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。)

項2. 上記式(1)中、 X1およびX2は、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>Seであり、 R1〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、または炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜24のアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数10〜20のアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素は炭素数1〜12のアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの1つまたは2つは、それぞれ独立して、上記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、上記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−3)、式(Ar−4)、式(Ar−5)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、 上記式(Ar−1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数4〜16のヘテロアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar−1)および式(Ar−2)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1〜4の整数であり、 上記式(1)で表される化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい、 項1に記載する、多環芳香族化合物。

項3. 上記式(1)中、 X1およびX2は、>Oであり、 R1〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、または炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリールであり、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に炭素数10〜18のアリール環を形成していてもよく、形成されたアリール環における少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、 R1〜R11のうちの1つまたは2つは、それぞれ独立して、上記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基であり、 上記式(Z−1)〜式(Z−6)中のArは、それぞれ独立して、下記式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)、式(Ar-2-3)、式(Ar−3)、式(Ar-4-1)、式(Ar-5-1)、式(Ar-5-2)、式(Ar-5-3)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基であり、

上記式(Ar-1-1)〜式(Ar−12)中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、A1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよく、式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)および式(Ar-2-3)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示し、nは1または2である、 項1に記載する、多環芳香族化合物。

項4. 下記いずれかの式で表される、項1に記載する多環芳香族化合物。

項5. 項1〜4のいずれかに記載する多環芳香族化合物を含有する、有機デバイス用材料。

項6. 前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、項5に記載する有機デバイス用材料。

項7. 発光層用材料である、項6に記載する有機電界発光素子用材料。

項8. さらに、下記一般式(2)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つを含有する、項7に記載する発光層用材料。

(上記式(2)中、 A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、 X1およびX2はそれぞれ独立して>Oまたは>N−Rであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、また、前記N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、そして、 式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。)

項9. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置され、項7または8に記載する発光層用材料を含有する発光層とを有する、有機電界発光素子。

項10. さらに、前記陰極と該発光層との間に配置される電子輸送層および/または電子注入層を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項9に記載する有機電界発光素子。

項11. 前記電子輸送層および/または電子注入層が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項10に記載の有機電界発光素子。

項12. 項9〜11のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた表示装置。

項13. 項9〜11のいずれかに記載する有機電界発光素子を備えた照明装置。

本発明の好ましい態様によれば、式(1)で表される多環芳香族化合物を含有する発光層用材料、特に式(1)で表される多環芳香族化合物と組み合わせて最適な発光特性が得られる、式(2)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つを含有する発光層用材料を用いて有機EL素子を作製することで、量子効率および素子寿命の1つ以上が優れた有機EL素子を提供することができる。

本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。

1.一般式(1)で表される多環芳香族化合物 本発明は、一般式(1)で表される多環芳香族化合物である。

一般式(1)におけるX1およびX2は、それぞれ独立して、>O、>Sまたは>Seであり、好ましくは少なくとも1つが>Oであり、より好ましくは共に>Oである。

一般式(1)におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素、アルキル、またはアルキルで置換されていてもよいアリールである。ただし後述するように、R1〜R11のうちの少なくとも1つは、それぞれ独立して、上記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基である。

R1〜R11における「アルキル」、および「アリール」に置換していてもよい「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。

具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。

R1〜R11における「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、炭素数6〜24のアリールが好ましく、炭素数6〜18のアリールがより好ましく、炭素数6〜16のアリールがさらに好ましく、炭素数6〜12のアリールが特に好ましく、炭素数6〜10のアリールが最も好ましい。

具体的な「アリール」としては、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル(1−ナフチルまたは2−ナフチル)、三環系であるテルフェニリル(m−テルフェニリル、o−テルフェニリルまたはp−テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、縮合五環系であるペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。

一般式(1)では、a環、b環およびc環の置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環を形成していてもよい。したがって、一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およc環における置換基の相互の結合形態によって、例えば下記式(1A)および式(1B)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。なお、式(1A)および式(1B)における各符号は式(1)における定義と同じである。

上記式(1A)および式(1B)中のa’環、b’環およびc’環は、置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがa’環、b’環およびc’環に変化した化合物もある。また、上記式(1A)および式(1B)から分かるように、例えば、b環のR8とc環のR7、b環のR11とa環のR1、c環のR4とa環のR3などは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。

形成された「アリール環」としては、例えば、炭素数10〜20のアリール環が挙げられ、炭素数10〜18のアリール環が好ましく、炭素数10〜16のアリールがより好ましく、炭素数10〜14のアリールがさらに好ましく、炭素数10〜12のアリールが特に好ましい。具体例は、上述したR1〜R11における「アリール」の説明を引用することができる。

形成されたアリール環における少なくとも1つの水素はアルキルで置換されていてもよい。このアルキルの詳しい説明は、上述したR1〜R11における「アルキル」の説明を引用することができる。

上記式(1A)や式(1B)で表される化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した式(1−41)〜(1−48)で表されるような化合物に対応する。すなわち、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、フェナントレン環が縮合して形成されるa’環(またはb’環またはc’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環a’(または縮合環b’または縮合環c’)はそれぞれナフタレン環またはトリフェニレン環である。

R1〜R11のうちの少なくとも1つ、好ましくは1つまたは2つ、より好ましくは1つは、それぞれ独立して、下記式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−4)、式(Z−5)または式(Z−6)で表される基である。なお、式(Z−1)〜式(Z−6)で表される基を「中間基」ともいう。

上記中間基中のArは、それぞれ独立して、下記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−3)、式(Ar−4)、式(Ar−5)、式(Ar−6)、式(Ar−7)、式(Ar−8)、式(Ar−9)、式(Ar−10)、式(Ar−11)または式(Ar−12)で表される基である。なお、式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される基を「末端基」ともいう。

上記式(Ar−1)、式(Ar−2)、式(Ar−4)または式(Ar−5)で表される基の中で好ましい基は、下記式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)、式(Ar-2-3)、式(Ar-4-1)、式(Ar-5-1)、式(Ar-5-2)または式(Ar-5-3)で表される基である。

なお、上記中間基は、各式中の*において上記式(1)で表される多環芳香族化合物と結合する。また、上記末端基は、各式中の*において上記中間基と結合する。

上記末端基中、Xは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数6〜18のアリール、または炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい炭素数2〜18のヘテロアリールである。

なお、式(Ar−1)および式(Ar−2)ならびに式(Ar-1-1)、式(Ar-1-2)、式(Ar-2-1)、式(Ar-2-2)および式(Ar-2-3)中の「−Xn」は、n個のXがそれぞれ独立して任意の位置に結合することを示す。nは1〜4の整数であり、1または2が好ましく、1がより好ましい。

末端基中のXにおける「アルキル」、および「アリール」や「ヘテロアリール」に置換していてもよい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルが挙げられる。

末端基中のXにおける「アリール」としては、例えば、炭素数6〜18のアリールが挙げられ、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールがさらに好ましい。具体的には、単環系であるフェニル、二環系であるビフェニリル、縮合二環系であるナフチル(1−ナフチルまたは2−ナフチル)、三環系であるテルフェニリル(m−テルフェニリル、o−テルフェニリルまたはp−テルフェニリル)、縮合三環系である、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、縮合四環系であるトリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニルなどが挙げられる。

末端基中のXにおける「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜18のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜16のヘテロアリールが好ましく、炭素数4〜16のヘテロアリールがより好ましく、炭素数4〜14のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数4〜12のヘテロアリールが特に好ましい。ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などが挙げられる。

具体的な「ヘテロアリール」としては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、フラザニル、オキサジアゾリル、チアントレニルなどが挙げられる。

なお、上記末端基におけるA1とA2は、共に、水素であるか、または互いに結合してスピロ環を形成してもよい。例えば、後述する式(1−195)の化合物は、式(Ar-5-1)の基におけるA1とA2が共に水素である化合物であり、式(1−191)〜式(1−194)の化合物は、式(Ar-5-1)の基におけるA1とA2が互いに結合してスピロ環を形成した化合物である。また、式(1−201)の化合物は、式(Ar−9)の基におけるA1とA2が互いに結合してスピロ環を形成した化合物である。

一般式(1)で表される多環芳香族化合物における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。

一般式(1)で表される多環芳香族化合物の具体的な例としては、以下の化合物があげられる。各構造式中、「Me」はメチル基、「tBu」はターシャリーブチル基を示す。

2.一般式(1)で表される多環芳香族化合物の製造方法 一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、基本的には、a環とb環およびc環とを結合基(X1およびX2)で結合させることで第1中間体を製造し(第1反応)、その後にa環にボロン酸エステル基を導入し(第2中間体)、さらに任意にこれを加水分解することでそのボロン酸(第2中間体)を製造した後(第2反応)、この第2中間体(ボロン酸またはボロン酸エステル)に塩化アルミニウムのようなルイス酸を反応させることで、製造することができる(第3反応)。

ここで、式(Z−1)〜式(Z−6)で表される中間基および式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される末端基からなる基の多環芳香族化合物への導入方法としては、第1反応で使用する原料として「中間基および末端基からなる基」が既にa環とb環および/またはc環に置換している材料を使用する方法や、第1反応で使用する原料としてa環とb環および/またはc環にハロゲンまたはボロン酸(もしくはその誘導体)などの活性基が導入された材料を使用して、その後の適切な工程でこの活性基を、ボロン酸(もしくはその誘導体)またはハロゲンを有する「中間基および末端基からなる基」で置換する方法などが挙げられる。置換する方法としては例えば鈴木カップリング反応等のクロスカップリング反応を用いることができる。また、一般式(1)の多環芳香族化合物の骨格部分は、後述する、一般式(2)の多環芳香族化合物の製造方法でも製造することができるため、当該方法で骨格部分を製造する途中で、または製造した後に、「中間基および末端基からなる基」を導入してもよい。導入する方法としては、ハロゲンまたはボロン酸(もしくはその誘導体)などの活性基を導入した後に上述と同様にクロスカップリング反応を用いることができる。ハロゲンの例としては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。ここでハロゲン化の方法としては、一般的な方法を用いることができ、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロこはく酸イミド、N−ブロモこはく酸イミド等を用いたハロゲン化が挙げられる。

第1反応では、例えばX1および/またはX2が>Oである場合のエーテル化反応であれば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的反応が利用して第1中間体を製造することができる。第2反応は、下記スキーム(1)に示すように、上記第1反応で得られた第1中間体にBpinのようなボロン酸エステルを導入する反応である。なお、下記スキーム中のBpinは−B(OH)2がピナコールエステル化された基である。また、以降に示す各スキーム中の構造式における符号は上記した定義と同じである。

上記スキーム(1)では、まず水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化することでリチオ化する。ここではn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等を単独で用いる方法を示したが、反応性を向上させるためにN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどを添加してもよい。そして得られたリチオ化体に2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランのようなボロン酸エステル化反応剤を加えることで、ボロン酸のピナコールエステルを製造することができる。ここでは2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを用いる方法を示したが、その他、トリメトキシボランやトリイソプロコキシボラン等も用いることができる。また、国際公開第2013/016185号公報に記載されている方法を応用して、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランなども同様に用いることができる。

また、下記スキーム(2)に示すように、上記スキーム(1)の方法で製造したボロン酸エステルを加水分解することで、ボロン酸を製造することができる。

さらに、上記スキーム(1)〜(2)で得られたボロン酸エステルまたはボロン酸に適当なアルコールを作用させることで、エステル交換または再エステル化を経て、異なるボロン酸エステルを製造することができる。

上述の製造方法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置に置換基を有する第2中間体(ボロン酸またはボロン酸エステル)を製造することができる。

上記スキーム(1)〜(2)においては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、下記スキーム(3)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。そして得られたリチオ化体からボロン酸エステル等の第2中間体を製造することができる。

上記スキーム(3)では、まずハロゲン原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でハロゲン−リチウム交換反応をすることでリチオ化する。ここではn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等を単独で用いる方法を示したが、反応性を向上させるためにN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなどを添加してもよい。そして得られたリチオ化体に2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランのようなボロン酸エステル化反応剤を加えることで、ボロン酸のピナコールエステルを製造することができる。ここでは2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを用いる方法を示したが、その他、トリメトキシボランやトリイソプロコキシボラン等も用いることができる。また国際公開第2013/016185号公報に記載されている方法を応用して、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランなども同様に用いることができる。

また、下記スキーム(4)に示すように、ブロモ化体とビス(ピナコラート)ジボロンまたは4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン等とを、パラジウム触媒および塩基を用いてカップリング反応させることによっても、同様にボロン酸エステル等の第2中間体を製造することができる。

これまで説明してきたスキームにおけるハロゲン−メタル交換反応で使用されるメタル化試薬としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、塩化イソプロピルマグネシウム、臭化イソプロピルマグネシウム、塩化フェニルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウムおよびターボグリニャール試薬として知られている、塩化イソプロピルマグネシウムの塩化リチウム錯体などが挙げられる。

また、これまで説明してきたスキームにおけるオルトメタル交換反応で使用されるメタル化試薬としては、上記の試薬に加えて、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、塩化リチウムテトラメチルピペリジニルマグネシウム・塩化リチウム錯体、トリ−n−ブチルマグネシウム酸リチウムなどの有機アルカリ化合物が挙げられる。

さらに、メタル化試薬としてアルキルリチウムを使用する場合に反応を促進させる添加剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジメチルプロピレン尿素などが挙げられる。

第3反応では、下記スキーム(5)に示すように、ボロン酸エステル等の第2中間体に塩化アルミニウムのようなルイス酸を反応させることで、一般式(1)で表される多環芳香族化合物を製造することができる。

また、p−トルエンスルホン酸のようなブレンステッド酸も用いることができる。特にルイス酸を用いて反応を行う場合には、選択率や収率を向上させるためにジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を加えてもよい。

上記スキーム(5)で使用するルイス酸としては、AlCl3、AlBr3、AlF3、BF3・OEt2、BCl3、BBr3、GaCl3、GaBr3、InCl3、InBr3、In(OTf)3、SnCl4、SnBr4、AgOTf、ScCl3、Sc(OTf)3、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OTf)2、MgCl2、MgBr2、Mg(OTf)2、LiOTf、NaOTf、KOTf、Me3SiOTf、Cu(OTf)2、CuCl2、YCl3、Y(OTf)3、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、ZrBr4、FeCl3、FeBr3、CoCl3、CoBr3などが挙げられる。また、これらのルイス酸を固体に担持して使用することもできる。

上記スキーム(5)で使用するブレンステッド酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、カルボラン酸、トリフルオロ酢酸、(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、塩化水素、臭化水素、フッ化水素などが挙げられる。また固体ブレンステッド酸としてアンバーリスト(商品名:ダウ・ケミカル)、ナフィオン(商品名:デュポン)、ゼオライト、テイカキュア(商品名:テイカ株式会社)などが挙げられる。

上記スキーム(5)で加えてもよいアミンとしては、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルアミンなどが挙げられる。

また上記スキーム(5)で使用する溶媒としては、o−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエチレン、ベンゾトリフルオリド、デカリン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、1,2,4−トリメチルベンゼン、キシレン、ジフェニルエーテル、アニソール、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチル−t−ブチルエーテルなどが挙げられる。

なお、一般式(1)で表される多環芳香族化合物には、少なくとも一部の水素原子が重水素で置換されている化合物も含まれるが、このような化合物は所望の箇所が重水素化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。

3.一般式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体 一般式(2)で表される多環芳香族化合物および一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体は、一般式(1)で表される多環芳香族化合物と組み合わせて発光層用材料として用いることができ、基本的にはドーパントとして機能する。当該多環芳香族化合物およびその多量体は、好ましくは、下記一般式(2’)で表される多環芳香族化合物、または下記一般式(2’)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。 なお、一般式(2)や一般式(2’)の化合物およびその多量体は、一般式(1)で表される多環芳香族化合物とは異なる化合物であり、一般式(1)で表される多環芳香族化合物は一般式(2)や一般式(2’)の定義から除かれる。

上記式(2)中、 A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、 X1およびX2はそれぞれ独立して>Oまたは>N−Rであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、また、前記N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合していてもよく、そして、 式(2)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。

上記式(2’)中、 R1からR11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、また、R1からR11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、 X1およびX2はそれぞれ独立して>N−Rであり、前記>N−RのRは炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、また、前記>N−RのRは−O−、−S−、−C(−R)2−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合していてもよく、前記−C(−R)2−のRは炭素数1〜6のアルキルであり、そして、 式(2’)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。

一般式(2)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシが好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルがあげられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、「B」、「X1」および「X2」から構成される一般式(2)中央の縮合2環構造(以下、この構造を「D構造」とも言う)と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。

ここで、「縮合2環構造(D構造)」とは、一般式(2)の中央に示した、「B」、「X1」および「X2」を含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(2’)で示すように前記D構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記D構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。

一般式(2)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(2’)におけるa環とその置換基R1〜R3(またはb環とその置換基R4〜R7、c環とその置換基R8〜R11)に対応する。すなわち、一般式(2’)は、一般式(2)のA〜C環として「6員環を有するA〜C環」が選択された構造に対応する。その意味で、一般式(2’)の各環を小文字のa〜cで表した。

一般式(2’)では、a環、b環およびc環の置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(2’)で表される化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(2’−1)および式(2’−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(2)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。また、各式中のR1〜R11、a、b、c、X1およびX2の定義は一般式(2’)における定義と同じである。

上記式(2’−1)および式(2’−2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(2’)で説明すれば、置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。また、上記式(2’−1)および式(2’−2)から分かるように、例えば、b環のR8とc環のR7、b環のR11とa環のR1、c環のR4とa環のR3などは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。

上記式(2’−1)や式(2’−2)で表される化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した式(2−402)〜式(2−409)または式(2−412)〜式(2−419)で表されるような化合物に対応する。すなわち、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環などである。

一般式(2)におけるX1およびX2は、それぞれ独立して、>Oまたは>N−Rであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールまたはアルキルであり、前記>N−RのRは連結基または単結合により前記B環および/またはC環と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−または−C(−R)2−が好ましい。なお、前記「−C(−R)2−」のRは水素またはアルキルである。この説明は一般式(2’)におけるX1およびX2でも同じである。

ここで、一般式(2)における「>N−RのRは連結基または単結合により前記A環、B環および/またはC環と結合している」との規定は、一般式(2’)では「>N−RのRは−O−、−S−、−C(−R)2−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定に対応する。 この規定は、下記式(2’−3−1)で表される、X1やX2が縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(2’)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX1(またはX2)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。この化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した、式(2−451)〜式(2−462)で表されるような化合物および式(2−1401)〜式(2−1460)で表されるような化合物に対応し、形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。 また、上記規定は、下記式(2’−3−2)や式(2’−3−3)で表される、X1および/またはX2が縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(2’)におけるa環であるベンゼン環に対してX1(および/またはX2)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する化合物である。この化合物は、例えば後述する具体的化合物として列挙した式(2−471)〜式(2−479)で表されるような化合物に対応し、形成されてできた縮合環A’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。なお、下記式(2’−3−1)、式(2’−3−2)および式(2’−3−3)中のR1〜R11、a、b、c、X1およびX2の定義は一般式(2’)における定義と同じである。

一般式(2)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環があげられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(2’)で規定された「R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。

具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。

一般式(2)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(2’)で規定された「R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。

具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環、チアントレン環などがあげられる。

上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」で置換されていてもよいが、この第1の置換基としての「アリール」や「へテルアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、また「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。

また第1の置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。

具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。

また第1の置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分枝鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分枝鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分枝鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分枝鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ(炭素数3〜4の分枝鎖のアルコキシ)が特に好ましい。

具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどがあげられる。

第1の置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2の置換基で置換されていてもよい。この第2の置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリールまたはアルキルがあげられ、それらの具体例としては、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基、また第1の置換基としての「アルキル」の説明を参照することができる。また、第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール(具体例は上述した基)やメチルなどのアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2の置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2の置換基がカルバゾリル基の場合には、9位における少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリールやメチルなどのアルキルで置換されたカルバゾリル基も第2の置換基としてのヘテロアリールに含まれる。

一般式(2’)のR1〜R11におけるアリール、へテルアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、またはアリールオキシのアリールとしては、一般式(2)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」の一価の基があげられる。また、R1〜R11におけるアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(2)の説明における第1の置換基としての「アルキル」や「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリールまたはアルキルも同様である。また、また、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシ、および、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリールまたはアルキルについても同様である。

一般式(2)のX1およびX2における>N−RのRは上述した第2の置換基で置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはアルキルであり、アリールやヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は例えばアルキルで置換されていてもよい。このアリール、ヘテロアリールやアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)が好ましい。この説明は一般式(2’)におけるX1およびX2でも同じである。

一般式(2)における連結基である「−C(−R)2−」のRは水素またはアルキルであるが、このアルキルとしては上述する基があげられる。特に炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)が好ましい。この説明は一般式(2’)における連結基である「−C(−R)2−」でも同じである。

また、発光層には、一般式(2)で表される単位構造を複数有する化合物の多量体、好ましくは、一般式(2’)で表される単位構造を複数有する化合物の多量体が含まれてもよい。多量体は、2〜6量体が好ましく、2〜3量体がより好ましく、2量体が特に好ましい。多量体は、一つの化合物の中に上記単位構造を複数有する形態であればよく、例えば、上記単位構造が単結合、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などの連結基で複数結合した形態に加えて、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)を複数の単位構造で共有するようにして結合した形態であってもよく、また、上記単位構造に含まれる任意の環(A環、B環またはC環、a環、b環またはc環)同士が縮合するようにして結合した形態であってもよい。

このような多量体としては、例えば、下記式(2’−4)、式(2’−4−1)、式(2’−4−2)、式(2’−5−1)〜式(2’−5−4)または式(2’−6)で表される多量体化合物があげられる。下記式(2’−4)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(2−423)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(2’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2’)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2’−4−1)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(2−2665)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(2’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、二つの一般式(2’)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2’−4−2)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(2−2666)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(2’)で説明すれば、a環であるベンゼン環を共有するようにして、二つの一般式(2’)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2’−5−1)〜式(2’−5−4)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(2−421)、式(2−422)、式(2−424)または式(2−425)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(2’)で説明すれば、b環(またはc環)であるベンゼン環を共有するようにして、複数の一般式(2’)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。また、下記式(2’−6)で表される多量体化合物は、例えば後述する式(2−431)〜式(2−435)で表されるような化合物に対応する。すなわち、一般式(2’)で説明すれば、例えばある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とある単位構造のb環(またはa環、c環)であるベンゼン環とが縮合するようにして、複数の一般式(2)で表される単位構造を一つの化合物中に有する多量体化合物である。なお下記構造式中の各符号の定義は一般式(2’)における定義と同じである。

多量体化合物は、式(2’−4)、式(2’−4−1)または式(2’−4−2)で表現される多量化形態と、式(2’−5−1)〜式(2’−5−4)のいずれかまたは式(2’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2’−5−1)〜式(2’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と、式(2’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよく、式(2’−4)、式(2’−4−1)または式(2’−4−2)で表現される多量化形態と式(2’−5−1)〜式(2’−5−4)のいずれかで表現される多量化形態と式(2’−6)で表現される多量化形態とが組み合わさった多量体であってもよい。

また、一般式(2)または(2’)で表される化合物およびその多量体の化学構造中の水素は、その全てまたは一部がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、式(2)においては、A環、B環、C環(A〜C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A〜C環への置換基、ならびに、X1およびX2である>N−RにおけるR(=アルキル、アリール)における水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素がハロゲン、シアノまたは重水素で置換された態様があげられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくは塩素である。

なお、一般式(2’)で表される化合物のより具体的な例として、下記一般式(2”)で表される化合物が挙げられる。

上記式(2”)中、 R1、R3、R4〜R7、R8〜R11およびR12〜R15は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよく、 X1は−O−または>N−Rであり、前記>N−RのRは炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリールまたは炭素数1〜6のアルキルで置換されていてもよく、 Z1およびZ2は、それぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アリールオキシ、アリール置換アルキル、水素、アルキルまたはアルコキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアルキルで置換されていてもよく、Z1が、アルキルで置換されていてもよいフェニル、アルキルで置換されていてもよいm−ビフェニリル、アルキルで置換されていてもよいp−ビフェニリル、アルキルで置換されていてもよい単環系ヘテロアリール、アルキルで置換されていてもよいジフェニルアミノ、水素、アルキルまたはアルコキシである場合は、Z2は水素、アルキルまたはアルコキシであることはなく、そして、 式(2”)で表される化合物における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。

上記式(2”)中のアリールなどの各基の説明は一般式(2)または(2’)における各基の説明を引用することができる。

Z1およびZ2としては、好ましくは、それぞれ独立して、炭素数6〜10のアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)、炭素数6〜10のアリールオキシ、炭素数6〜10のアリールが1〜3個置換した炭素数1〜4のアルキル、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、これらにおける少なくとも1つの水素は炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。

Z1は、より好ましくは、ジアリールアミノ、アリールオキシ、トリアリール置換の炭素数1〜4のアルキル、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、これらにおけるアリールは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである。さらに好ましくは、ジアリールアミノ、水素または炭素数1〜4のアルキルであり、ジアリールアミノにおけるアリールは、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルである。

Z2は、より好ましくは、炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい、フェニル、ビフェニリルもしくはナフチル、または、水素もしくは炭素数1〜4のアルキルである。

ただし、Z1の位置にフェニル基が選択されても嵩高い置換基とはならないが、Z2の位置は、周囲の空間が制限された、>N−フェニル基におけるオルト位であるため、Z1としては嵩高い置換基とはならないフェニル基であっても、Z2の位置では嵩高い置換基としての役割を有する。このように、位置によって嵩高さの効果が異なる基(Z1の位置で嵩高い置換基としての機能を有さない基)としては、フェニル基の他に、m−ビフェニリル基およびp−ビフェニリル基、単環系ヘテロアリール基(ピリジル基などの1つの環で構成されるヘテロアリール基)、ジフェニルアミノ基があげられる。また、水素、アルキル基およびアルコキシ基は、Z1としてもZ2としても嵩高い置換基とはならない。 すなわち、Z1として、アリールの中でもフェニル基、m−ビフェニリル基およびp−ビフェニリル基、ヘテロアリールの中でも単環系ヘテロアリール基(ピリジル基などの1つの環で構成されるヘテロアリール基)、ジアリールアミノの中でもジフェニルアミノ基、水素、アルキル基およびアルコキシ基、そしてこれらの基における少なくとも1つの水素がアルキルで置換された基は、単独では本願における嵩高い置換基としての役割を有さないため、置換基Z2を嵩高くする必要がある。Z2としては、水素、アルキル基およびアルコキシ基、そしてこれらの基における少なくとも1つの水素がアルキルで置換された基が嵩高くないため、これらのZ1とZ2との組み合わせは本願からは除かれる。 Z1は、好ましくは、o−ビフェニリル基、o−ナフチルフェニル基(フェニル基のオルト位に1−または2−ナフチル基が置換した基)、フェニルナフチルアミノ基、ジナフチルアミノ基、フェニルオキシ基、トリフェニルメチル基(トリチル基)、およびこれらの基の少なくとも1つがアルキル(例えばメチル、エチル、i−プロピルまたはt−ブチル、好ましくはメチルまたはt−ブチル、より好ましくはt−ブチル)で置換された基である。 Z2は、好ましくは、フェニル基、1−または2−ナフチル基、およびこれらの基の少なくとも1つがアルキル(例えばメチル、エチル、i−プロピルまたはt−ブチル、好ましくはメチルまたはt−ブチル、より好ましくはt−ブチル)で置換された基である。

式(2)で表される化合物およびその多量体のさらに具体的な例としては、例えば、下記構造式で表される化合物があげられる。各構造式中、「Me」はメチル基、「iPr」はイソプロピル基、「tBu」はターシャリーブチル基、「Ph」はフェニル基、「D」は重水素を示す。

また、式(2)で表される化合物およびその多量体は、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)の少なくとも1つにおける、中心原子「B」(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基、カルバゾリル基またはジフェニルアミノ基を導入することで、T1エネルギーの向上(およそ0.01〜0.1eV向上)が期待できる。特に、B(ホウ素)に対するパラ位にフェニルオキシ基を導入することで、A環、B環およびC環(a環、b環およびc環)であるベンゼン環上のHOMOがよりホウ素に対するメタ位に局在化し、LUMOがホウ素に対するオルトおよびパラ位に局在化するため、T1エネルギーの向上が特に期待できる。

このような具体例としては、例えば、下記式(2−4501)〜(2−4522)で表される化合物があげられる。 なお、式中のRはアルキルであり、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)が特に好ましい。また、Rとしては他にフェニルがあげられる。 また、「PhO−」はフェニルオキシ基であり、このフェニルは直鎖または分枝鎖のアルキルで置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキル、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)で置換されていてもよい。

また、式(2)で表される化合物およびその多量体の具体的な例としては、上述した化合物において、化合物中の1個または複数個の芳香環における少なくとも1つの水素が1個または複数個のアルキルやアリールで置換された化合物があげられ、より好ましくは1〜2個の炭素数1〜12のアルキルや炭素数6〜10のアリールで置換された化合物があげられる。 具体的には、以下の化合物があげられる。下記式中のRはそれぞれ独立して炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数6〜10のアリール、好ましくは炭素数1〜4のアルキルまたはフェニルであり、nはそれぞれ独立して0〜2、好ましくは1である。

また、式(2)で表される化合物およびその多量体の具体的な例としては、化合物中の1個または複数個のフェニル基または1個のフェニレン基における少なくとも1つの水素が1個または複数個の炭素数1〜4のアルキル、好ましくは炭素数1〜3のアルキル(好ましくは1個または複数個のメチル基)で置換された化合物があげられ、より好ましくは、1個のフェニル基のオルト位における水素(2箇所のうち2箇所とも、好ましくはいずれか一箇所)または1個のフェニレン基のオルト位における水素(最大4箇所のうち4箇所とも、好ましくはいずれか1箇所)がメチル基で置換された化合物があげられる。

化合物中の末端のフェニル基やp−フェ二レン基のオルト位における少なくとも1つの水素をメチル基などで置換することにより、隣り合う芳香環同士が直交しやすくなって共役が弱まる結果、三重項励起エネルギー(ET)を高めることが可能となる。

4.一般式(2)で表される多環芳香族化合物およびその多量体の製造方法 一般式(2)や(2’)で表される多環芳香族化合物およびその多量体は、基本的には、まずA環(a環)とB環(b環)およびC環(c環)とを結合基(X1やX2を含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合基(中心原子「B」(ホウ素)を含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。

第1反応では、アミノ化反応であればブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。なお、後述するスキーム(1)〜(13)では、X1やX2として>N−Rの場合について説明しているが、>Oの場合についても同様である。また、スキーム(1)〜(13)における構造式中の各符号の定義は式(2)および式(2’)における定義と同じである。

第2反応は、下記スキーム(1)や(2)に示すように、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合する中心原子「B」(ホウ素)を導入する反応であり、まず、X1とX2(>N−R)の間の水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム−ホウ素の金属交換を行った後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。

なお、上記スキーム(1)や(2)は、一般式(2)や(2’)で表される化合物の製造方法を主に示しているが、その多量体については、複数のA環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を有する中間体を用いることで製造することができる。詳細には下記スキーム(3)〜(5)で説明する。この場合、使用するブチルリチウム等の試薬の量を2倍量、3倍量とすることで目的物を得ることができる。

上記スキームにおいては、オルトメタル化により所望の位置へリチウムを導入したが、下記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子等を導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる。

また、スキーム(3)で説明した多量体の製造方法についても、上記スキーム(6)および(7)のようにリチウムを導入したい位置に臭素原子や塩素原子等のハロゲンを導入し、ハロゲン−メタル交換によっても所望の位置へリチウムを導入することができる(下記スキーム(8)、(9)および(10))。

この方法によれば、置換基の影響でオルトメタル化ができないようなケースでも目的物を合成することができ有用である。

以上の反応で用いられる溶媒の具体例は、t−ブチルベンゼンやキシレンなどである。

上述の合成法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置に置換基を有する化合物およびその多量体を合成することができる。

また、一般式(2’)では、a環、b環およびc環の置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリールまたはヘテロアリールで置換されていてもよい。したがって、一般式(2’)で表される化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記スキーム(11)および(12)の式(2’−1)および式(2’−2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。これらの化合物は下記スキーム(11)および(12)に示す中間体に上記スキーム(1)〜(10)で示した合成法を適用することで合成することができる。

上記式(2’−1)および式(2’−2)中のA’環、B’環およびC’環は、置換基R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した化合物もある。

また、一般式(2’)における「>N−RのRは−O−、−S−、−C(−R)2−または単結合により前記a環、b環および/またはc環と結合している」との規定は、下記スキーム(13)の式(2’−3−1)で表される、X1やX2が縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する化合物や、式(2’−3−2)や式(2’−3−3)で表される、X1やX2が縮合環A’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現することができる。これらの化合物は下記スキーム(13)に示す中間体に上記スキーム(1)〜(10)で示した合成法を適用することで合成することができる。

また、上記スキーム(1)〜(13)の合成法では、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加える前に、X1とX2の間の水素原子(またはハロゲン原子)をブチルリチウム等でオルトメタル化することで、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応させた例を示したが、ブチルリチウム等を用いたオルトメタル化を行わずに、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等の添加により反応を進行させることもできる。

なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するオルトメタル化試薬としては、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムテトラメチルピペリジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの有機アルカリ化合物があげられる。

なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するメタル−「B」(ホウ素)の金属交換試薬としては、ホウ素の三フッ化物、ホウ素の三塩化物、ホウ素の三臭化物、ホウ素の三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物、CIPN(NEt2)2などのホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物、ホウ素のアリールオキシ化物などがあげられる。

なお、上記スキーム(1)〜(13)で使用するブレンステッド塩基としては、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、2,6−ルチジン、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、トリフェニルボラン、テトラフェニルシラン、Ar4BNa、Ar4BK、Ar3B、Ar4Si(なお、Arはフェニルなどのアリール)などがあげられる。

上記スキーム(1)〜(13)で使用するルイス酸としては、AlCl3、AlBr3、AlF3、BF3・OEt2、BCl3、BBr3、GaCl3、GaBr3、InCl3、InBr3、In(OTf)3、SnCl4、SnBr4、AgOTf、ScCl3、Sc(OTf)3、ZnCl2、ZnBr2、Zn(OTf)2、MgCl2、MgBr2、Mg(OTf)2、LiOTf、NaOTf、KOTf、Me3SiOTf、Cu(OTf)2、CuCl2、YCl3、Y(OTf)3、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、ZrBr4、FeCl3、FeBr3、CoCl3、CoBr3などがあげられる。

上記スキーム(1)〜(13)では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応の促進のためにブレンステッド塩基またはルイス酸を使用してもよい。ただし、ホウ素の三フッ化物、ホウ素の三塩化物、ホウ素の三臭化物、ホウ素の三ヨウ化物などのホウ素のハロゲン化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素といった酸が生成するため、酸を捕捉するブレンステッド塩基の使用が効果的である。一方、ホウ素のアミノ化ハロゲン化物、ホウ素のアルコキシ化物を用いた場合は、芳香族求電子置換反応の進行とともに、アミン、アルコールが生成するために、多くの場合、ブレンステッド塩基を使用する必要はないが、アミノ基やアルコキシ基の脱離能が低いために、その脱離を促進するルイス酸の使用が効果的である。

また、式(1)で表される化合物やその多量体には、少なくとも一部の水素原子が重水素で置換されている化合物等やフッ素や塩素などのハロゲンまたはシアノで置換されている化合物等も含まれるが、このような化合物などは所望の箇所が重水素化、フッ素化、塩素化またはシアノ化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。

5.有機デバイス 本発明に係る多環芳香族化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。

5−1.有機電界発光素子 一般式(1)で表される多環芳香族化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。

<有機電界発光素子の構造> 図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。

なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。

上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。

有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。

<有機電界発光素子における基板> 基板101は、有機電界発光素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。

<有機電界発光素子における陽極> 陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。

陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物が挙げられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどが挙げられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどが挙げられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。

透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。

<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層> 正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。

正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。

正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意の化合物を選択して用いることができる。

それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖または側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N4,N4,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。

また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)または特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)など)が知られている(特開2005-167175号公報)。

<有機電界発光素子における発光層> 発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。例えば、ホスト材料として上記一般式(1)で表される多環芳香族化合物と、ドーパント材料として上記一般式(2)で表される多環芳香族化合物またはその多量体を含有する発光層用材料を用いることができる。

発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。

ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは80〜99.95重量%であり、さらに好ましくは90〜99.9重量%である。

ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.05〜20重量%であり、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。

ホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。

ホスト材料としては、例えば、下記式で表されるカルバゾール系化合物やアントラセン系化合物が挙げられる。

上記式中、L1は炭素数6〜24のアリーレンであり、炭素数6〜16のアリーレンが好ましく、炭素数6〜12のアリーレンがより好ましく、炭素数6〜10のアリーレンが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの二価の基が挙げられる。

上記式中、L2およびL3は、それぞれ独立して、炭素数6〜30のアリールまたは炭素数2〜30のヘテロアリールである。アリールとしては、炭素数6〜24のアリールが好ましく、炭素数6〜16のアリールがより好ましく、炭素数6〜12のアリールがさらに好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましく、具体的には、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、テルフェニル環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、ペリレン環およびペンタセン環などの一価の基が挙げられる。ヘテロアリールとしては、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましく、具体的には、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラザン環、オキサジアゾール環およびチアントレン環などの一価の基が挙げられる。

上記式で表されるカルバゾール系化合物やアントラセン系化合物における少なくとも1つの水素は、炭素数1〜6のアルキル、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。

また、ホスト材料に関して、別の例としては、例えば、Advanced Materials,2017,29,1605444、Journal of Material Chemistry C,2016,4,11355-11381、Chemical Science, 2016, 7, 3355-3363、Thin Solid Films, 2016, 619, 120-124などに記載のホスト材料を用いることができる。また、TADF有機EL素子は発光層のホスト材料に高いT1エネルギーを必要とするために、Chemistry Society Reviews,2011,40,2943-2970に記載のリン光有機EL素子向けのホスト材料もTADF有機EL素子用のホスト材料として用いることができる。

より具体的には、ホスト化合物は、下記式で表される部分構造(H−A)群から選択される少なくとも1つの構造を有する化合物であって、部分構造(H−A)群中の各構造における少なくとも1つの水素原子は、部分構造(H−A)群または部分構造(H−B)群中のいずれかの構造で置換されていてもよく、これらの構造における少なくとも1つの水素は、重水素、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチルやt−ブチル)、トリメチルシリルまたはフェニルで置換されていてもよい。

ホスト化合物としては、好ましくは以下に列挙したいずれかの構造式で表される化合物であり、これらの中でも、より好ましくは上記部分構造(H−A)群から選択される構造を1〜3つ、および、上記部分構造(H−B)群から選択される構造を1つ有する化合物であり、さらに好ましくは上記部分構造(H−A)群としてカルバゾール基を有する化合物であり、特に好ましくは下記式(Cz−201)、式(Cz−202)、式(Cz−203)、式(Cz−204)、式(Cz−212)、式(Cz−221)、式(Cz−222)、式(Cz−261)または式(Cz−262)で表される化合物である。なお、以下に列挙した構造式においては、少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチルやt−ブチル)、フェニルまたはナフチルなどで置換されていてもよい。

また、ドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などが挙げられる。

発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。

また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。

さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。

その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それに挙げられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。

上述するドーパント材料の中でも、特にスチルベン構造を有するアミン、ペリレン誘導体、ボラン誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体またはピレン誘導体が好ましい。

スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。

当該式中、Ar1は炭素数6〜30のアリールに由来するm価の基であり、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar1〜Ar3の少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar1〜Ar3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。

スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。

当該式中、Ar2およびAr3は、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar2およびAr3は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよい。

炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、スチルベニル、ジスチリルフェニル、ジスチリルビフェニリル、ジスチリルフルオレニルなどが挙げられる。

スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどが挙げられる。 また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。

ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などが挙げられる。 また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。

ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどが挙げられる。 また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。

芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。

当該式中、Ar4は炭素数6〜30のアリールに由来するn価の基であり、Ar5およびAr6はそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar4〜Ar6は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。

特に、Ar4がアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンに由来する2価の基であり、Ar5およびAr6がそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar4〜Ar6は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、トリ置換シリル(アリールおよび/またはアルキルでトリ置換されたシリル)またはシアノで置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。

炭素数6〜30のアリールの具体例は、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントレニル、アントリル、フルオランテニル、トリフェニレニル、ピレニル、クリセニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。

芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどが挙げられる。

また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N,N−テトラフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N’−ビス(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,8−ジアミン、N1,N6−ジフェニル−N1,N6−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどが挙げられる。

また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどが挙げられる。

また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどが挙げられる。 また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。

クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などが挙げられる。 また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。

ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどが挙げられる。

また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。

<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層> 電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。

電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。

電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。

電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環もしくは複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳族香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。

また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。

また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。

上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。

上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。

<ボラン誘導体> ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。

上記式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。

上記一般式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM−1−1)で表される化合物や下記一般式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。

式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。

式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、X1は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。

X1の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)で表される2価の基が挙げられる。

(各式中、Raは、それぞれ独立してアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)

このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<ピリジン誘導体> ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。

φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。

上記式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。

上記式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。

各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。

ピリジン系置換基は、上記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれかであることが好ましい。

各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。

R11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。

具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。

ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。

R11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。 具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。

R11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。

具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。

好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルが挙げられる。

上記式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。

このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<フルオランテン誘導体> フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。

上記式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。

このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。

R1〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。

また、R1〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリールまたはアルキルで置換されていてもよい。

また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。

式(ETM−4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM−4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(2)で表される化合物やその多量体の説明を引用することができる。

このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<アントラセン誘導体> アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。

Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。

Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。

これらの基の中でも、上記式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。

R1〜R4における炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分枝鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。

R1〜R4における炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。

R1〜R4における炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。

「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどが挙げられる。

好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5’−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。

アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。

Ar1は、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。

Ar2は、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。

R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。

これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<ベンゾフルオレン誘導体> ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。

Ar1は、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。

Ar2は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのAr2は結合して環を形成していてもよい。

Ar2における「アルキル」としては、直鎖および分枝鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分枝鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分枝鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分枝鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分枝鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどが挙げられる。

Ar2における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。

Ar2における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。

具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。

2つのAr2は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。

このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<ホスフィンオキサイド誘導体> ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。

R5は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、 R6は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、 R7およびR8は、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、 R9は酸素または硫黄であり、 jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。

ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。

R1〜R3は、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。

Ar1は、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基であり、Ar2は、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。

これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基などを挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。

また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。

また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。

また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。

また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。

また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。

また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。

また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。

また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。

また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。

また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基、テルフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。

また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。

ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。

アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。

また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。

シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。

隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、Ar1とR2、Ar1とR3、Ar2とR2、Ar2とR3、R2とR3、Ar1とAr2などの間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR1同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。

このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<ピリミジン誘導体> ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。

Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。

「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。

具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる

「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などが挙げられる。

具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。

また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。

このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<カルバゾール誘導体> カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。

Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは独立して0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。

「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。

具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる

「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などが挙げられる。

具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。

また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。

カルバゾール誘導体は、上記式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。

このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<トリアジン誘導体> トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。

Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。

「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。

具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる

「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環などが挙げられる。

具体的なヘテロアリールとしては、例えば、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリル、キナゾリル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニルなどが挙げられる。

また、上記アリールおよびヘテロアリールは置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。

このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられる。

このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<ベンゾイミダゾール誘導体> ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。

φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった置換基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。

上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。

φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。

このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。

このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<フェナントロリン誘導体> フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。

φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。

各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、上記式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。

各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。

R11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した例のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。

このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどが挙げられる。

このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<キノリノール系金属錯体> キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM−13)で表される化合物である。

式中、R1〜R6は水素または置換基であり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。

キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。

このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体> チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。

ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。

各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった置換基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。

φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。

これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。

電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。

好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。

<有機電界発光素子における陰極> 陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。

陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の物質を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率を上げて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。

さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。

<各層で用いてもよい結着剤> 以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。

<有機電界発光素子の作製方法> 有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、蒸着用ルツボの加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。

次に、有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。

このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。

<有機電界発光素子の応用例> また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも応用することができる。 有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。

表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。

マトリクスでは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。

セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。

照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式が蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。

5−2.その他の有機デバイス 本発明に係る多環芳香族化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。

有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができるトランジスタである。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。

有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多環芳香族化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造が挙げられる。 (1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層 (2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極 (3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極 (4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極 このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子などとして適用できる。

有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多環芳香族化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多環芳香族化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、多環芳香族化合物の合成例について、以下に説明する。

合成例(1−1) 化合物(1−1):3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

まず、フェノール(24.6g、0.260mol)、炭酸カリウム(36.0g、0.260mol)およびN−メチルピロリドン(NMP、500mL)に、窒素雰囲気下、室温で1−ブロモ−2,6−ジフルオロベンゼン(50.4g、0.260mol)を添加し、120℃で160時間加熱撹拌した。その後、NMPを減圧留去した後、トルエンを加えた。シリカゲルショートパスカラムを用いて濾過し、溶媒を減圧留去することで、淡赤色液体の2−ブロモ−1−フルオロ−3−フェノキシベンゼンを得た(52.8g)。

次に、2−ブロモ−1−フルオロ−3−フェノキシベンゼン(43.3g)、3−クロロフェノール(25g)、炭酸カリウム(44.8g)およびN−メチルピロリドン(50mL)の入ったフラスコを窒素雰囲気下、還流温度で42時間攪拌した。反応混合物を冷却し、固体をろ過により除去し、ろ液中の溶媒を減圧濃縮した。得られた油状物をトルエンで希釈し水洗し、有機層のトルエンを減圧留去した。得られた油状物にヘプタンを添加し析出物をろ過し、固体を減圧乾燥することで、褐色固体の2−ブロモ−1−(3−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼンを得た(49g)。

2−ブロモ−1−(3−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼン(49g)、テトラヒドロフラン(250mL)の入ったフラスコにイソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(1.29mol/L、152mL)を滴下し室温で2時間攪拌し、さらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(43.7g)を滴下し室温で2時間攪拌した。反応混合物に水とトルエンを添加し、テトラヒドロフランを減圧留去した。これに希塩酸を添加し有機層を分離し、水洗した。有機層をシリカゲルを用いて脱色して減圧濃縮することで、淡褐色油状物の2−(2−(3−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た(53.4g)。

クロロベンゼン(400mL)と塩化アルミニウム(50.5g)の入ったフラスコを120℃に加熱し、2−(2−(3−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(53.4g)とクロロベンゼン(130mL)の溶液を添加し、この温度で2時間攪拌した。反応混合物を冷却し、氷水に添加した。この混合物にヘプタンを加えて固体を析出させ、ろ過により乳白色固体を得た。ろ液にトルエンを加えて有機層を分離して、これを減圧濃縮し、析出物をヘプタンで洗浄し黄色固体を得た。これら固体を合わせてシリカゲルを用いて脱色することで、白色固体の3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(16g)。

3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(3g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(3.5g)、酢酸パラジウム(0.066g)、りん酸カリウム(3.1g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.24g)、シクロペンチルメチルエーテル(30mL)および水(6mL)の入ったフラスコを還流温度で6時間攪拌した。反応混合物にソルミックスA−11(日本アルコール販売製)を添加し固体を析出させ、ろ過した固体を水およびソルミックスで洗浄した。トルエンを用いてこの固体を再結晶することで、淡色固体の化合物(1−1)を得た(1.6g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.88〜8.85(m,1H)、8.83〜8.80(m,1H)、7.83〜7.65(m,7H)、7.63〜7.50(m,7H)、7.48〜7.42(m,1H)、7.40〜7.34(m,4H)、7.32〜7.24(m,2H).

合成例(1−2) 化合物(1−2):12−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

2−ブロモ−1−フルオロ−3−フェノキシベンゼン(43.3g)、4−クロロフェノール(25g)、炭酸カリウム(44.8g)およびN−メチルピロリドン(50mL)の入ったフラスコを窒素雰囲気下、還流温度で42時間攪拌した。反応混合物を冷却し、固体をろ過により除去し、ろ液中の溶媒を減圧濃縮した。得られた油状物をトルエンで希釈し水洗し、有機層をシリカゲルを用いて脱色し減圧濃縮した。得られた固形物をヘプタンで洗浄し、減圧乾燥することで白色固体の2−ブロモ−1−(4−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼンを得た(54.9g)。

2−ブロモ−1−(4−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼン(54.8g)、テトラヒドロフラン(250mL)の入ったフラスコにイソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(1.29mol/L、169mL)を滴下し室温で2時間攪拌し、さらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(48.9g)を滴下し室温で2時間攪拌した。反応混合物に水とトルエンを添加し、テトラヒドロフランを減圧留去した。これに希塩酸を添加して有機層を分離し、水洗した。有機層をシリカゲルを用いて脱色して減圧濃縮することで、白色固体の2−(2−(4−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た(57.1g)。

クロロベンゼン(450mL)と塩化アルミニウム(53.9g)の入ったフラスコを120℃に加熱し、2−(2−(4−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(57g)とクロロベンゼン(100mL)の溶液を添加し、この温度で2時間攪拌した。反応混合物を冷却し、氷水に添加した。析出した固体をろ過し、ソルミックスA−11で洗浄して乳白色固体を得た。ろ液から分離した有機層を減圧濃縮し、乳白色固体を得た。これら固体を合わせて洗浄(ヘプタン/トルエン=9/1(容量比))することで、淡色固体の2−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(19.3g)。

2−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(3g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(3.5g)、酢酸パラジウム(0.133g)、りん酸カリウム(3.1g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.48g)、シクロペンチルメチルエーテル(30mL)および水(6mL)の入ったフラスコを還流温度で2時間攪拌した。反応混合物から有機層を分離し、溶媒を減圧留去した後、トルエンに溶解して、シリカゲルを用いて脱色して淡黄色固体を得た。固体をソルミックスA−11で洗浄することで、淡黄色固体の化合物(1−2)を得た(2.5g)。

LC−MS測定により得られた化合物が目的物であると確認した。 MS(ACPI) m/z=523(M+H)

また、NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.81〜8.79(m,1H)、8.51〜8.47(m,1H)、7.90〜7.74(m,7H)、7.67〜7.51(m,7H)、7.40〜7.33(m,5H)、7.32〜7.28(m,1H)、7.21〜7.16(m,1H).

合成例(1−3) 化合物(1−4):6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

まず、ジフェノキシベンゼン(26g)およびオルトキシレン(300ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下で、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(75ml)を0℃で加えた。30分間撹拌した後、70℃まで昇温し、更に4時間撹拌した。窒素気流下、100℃で加熱撹拌することでヘキサンを留去した後、−20℃まで冷却して三臭化ホウ素(11.4ml)を加え、1時間撹拌した。室温まで昇温して1時間撹拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(34.2ml)を加えて120℃で5時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(17.1ml)を追加して、フロリジルショートパスカラムを用いて濾過し、溶媒を減圧留去して粗精製物を得た。メタノールを用いて粗成生物を洗浄することで、白色固体の5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(12.1g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.69(dd,2H)、7.79(t,1H)、7.70(ddd,2H)、7.54(dt,2H)、7.38(ddd,2H)、7.22(d,2H).

次に、5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(6g)、N−ブロモこはく酸イミド(4.3g)およびテトラヒドロフラン(120mL)を室温下で6時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、析出した固体をろ過し、ソルミックスA−11で洗浄することで、白色固体の8−ブロモ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(7.8g)。

8−ブロモ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(2g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(2.6g)、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)(Pd−132)(0.12g)、炭酸カリウム(1.2g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.09g)、水(7mL)、トルエン(70mL)の入ったフラスコを還流温度で3時間攪拌した。反応混合物を冷却し、析出した淡色固体をろ過した。この固体をクロロベンゼンに溶解しシリカゲルを用いて脱色し、減圧濃縮し、析出した固体を加熱したトルエンで洗浄することで、白色固体の化合物(1−4)を得た(1.5g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.80〜8.70(m,2H)、7.90〜7.85(m,1H)、7.82〜7.75(m,3H)、7.75〜7.53(m,7H)、7.53〜7.43(m,4H)、7.37〜7.26(m,5H)、6.92〜6.88(m,1H).

合成例(1−4) 化合物(1−3):4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

2−ブロモ−1−フルオロ−3−フェノキシベンゼン(43.3g)、2−クロロフェノール(25g)、炭酸カリウム(44.8g)およびN−メチルピロリドン(50mL)の入ったフラスコを窒素雰囲気下、還流温度で20時間攪拌した。反応混合物を冷却し、固体をろ過により除去した後、ろ液中の溶媒を減圧濃縮した。得られた油状物をトルエンで希釈して水洗し、有機層のトルエンを減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルで脱色することで、黄色油状物の2−ブロモ−1−(2−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼンを得た(58g)。

2−ブロモ−1−(2−クロロフェノキシ)−3−フェノキシベンゼン(58g)、テトラヒドロフラン(250mL)の入ったフラスコに、イソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(1.29mol/L、179mL)を滴下して室温で2時間攪拌し、さらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(51.6g)を滴下して室温で2時間攪拌した。反応混合物に水とトルエンを添加し、テトラヒドロフランを減圧留去した。これに希塩酸を添加して有機層を分離した後、水洗した。有機層をシリカゲルを用いて脱色した後、減圧濃縮することで、淡褐色油状物の2−(2−(2−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た(61.6g)。

クロロベンゼン(300mL)と塩化アルミニウム(58.3g)の入ったフラスコを120℃に加熱し、これに、2−(2−(2−クロロフェノキシ)−6−フェノキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(61.6g)とクロロベンゼン(150mL)の溶液を添加して、この温度で2.5時間攪拌した。反応混合物を冷却し、これを氷水に添加した。この混合物にトルエンを加えて分離したトルエン層を水洗した。このトルエン層を減圧濃縮し、得られた黄土色固体をソルミックスA−11(日本アルコール販売製)で洗浄することで、クリーム色固体の4−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(17g)。

4−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(3g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(3.5g)、酢酸パラジウム(0.133g)、りん酸カリウム(3.1g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.49g)、シクロペンチルメチルエーテル(30mL)および水(6mL)の入ったフラスコを還流温度で1時間攪拌した。反応混合物にソルミックスA−11(日本アルコール販売製)を添加して固体を析出させ、ろ過した固体を水およびソルミックスA−11で洗浄した。この固体をシリカゲルを用いて脱色することで、淡色固体の化合物(1−3)を得た(2.7g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.97〜8.93(m,1H)、8.87〜8.83(m,1H)、7.80〜7.73(m,4H)、7.69〜7.44(m、11H)、7.36〜7.26(m,4H)、7.16〜7.12(m,1H)、6.53〜6.50(m,1H).

合成例(1−5) 化合物(1−5):7−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

フェノール(65.1g)、炭酸カリウム(72.0g)、1−ブロモ−4−クロロ−2,6−ジフルオロベンゼン(59.1g)およびN−メチルピロリドン(NMP、500mL)を窒素雰囲気下、120℃で90時間加熱撹拌した。反応混合物を冷却し、固体をろ過により除去し、ろ液中の溶媒を減圧濃縮した。得られた油状物をトルエンで希釈して水洗した後、有機層のトルエンを減圧留去した。得られた茶色固体をシリカゲルを用いて脱色することで、白色固体の2−ブロモ−5−クロロ−1,3−ジフェノキシベンゼンを得た(65.3g)。

キシレン(300mL)と2−ブロモ−5−クロロ−1,3−ジフェノキシベンゼン(31.4g)の溶液を窒素雰囲気下、−40℃に冷却し、ここにn−ブチルリチウム(1.6mol/Lヘキサン溶液、58mL)を滴下した。この混合物を60℃に加熱し3時間攪拌した。さらにこれを−30℃に冷却し、三臭化ホウ素(25g)を滴下した。室温まで加熱し30分攪拌した。さらにここにN−エチル−N−ジイソプロピルアミン(26.9g)を滴下した後、還流温度まで加熱し2時間攪拌した。冷却後、酢酸ナトリウム水溶液で中和し、ヘプタンを添加して固体を析出させた。この固体を減圧ろ過で回収して、シリカゲルを用いて脱色した後、トルエンを用いて再結晶することで、淡色固体の7−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(6.3g)。

7−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(2.5g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(3.6g)、酢酸パラジウム(0.055g)、りん酸カリウム(2.6g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.20g)、シクロペンチルメチルエーテル(38mL)および水(8mL)の入ったフラスコを還流温度で2.5時間攪拌した。反応混合物にソルミックスA−11(日本アルコール販売製)を添加して固体を析出させ、ろ過した固体を水およびソルミックスA−11で洗浄した。この固体をシリカゲルを用いて脱色することで、淡色固体の化合物(1−5)を得た(1.8g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.82〜8.78(m,2H)、7.79〜7.72(m,6H)、7.67〜7.52(m,7H)、7.49〜7.43(m,2H)、7.42(s,2H)、7.39〜7.34(m,4H).

合成例(1−6) 化合物(1−121):3−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(6.7g)、4,4,4’,4’−5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(14.0g)、酢酸パラジウム(0.10g)、酢酸カリウム(4.3g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.72g)、炭酸カリウム(3.0g)、シクロペンチルメチルエーテル(60mL)の入ったフラスコを還流温度で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却して、固体を減圧ろ過で除去した後、ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、ソルミックスA−11で洗浄することで、淡黄色固体の3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(7.4g)。

3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(2.5g)、9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセン(2.4g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.20g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.047g)、炭酸カリウム(1.6g)、トルエン(20mL)、水(2mL)の入ったフラスコを還流温度で4.5時間攪拌した。反応混合物にソルミックスA−11(日本アルコール販売製)を添加して固体を析出させ、ろ過した固体を水およびソルミックスで洗浄した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、トルエンで洗浄することで、淡黄緑色固体の化合物(1−121)を得た(2.3g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.84〜8.82(m,1H)、8.79〜8.76(m,1H)、8.04〜7.96(m,3H)、7.86〜7.70(m,7H)、7.66〜7.53(m,6H)、7.52〜7.48(m,2H)、7.46〜7.33(m,5H)、7.31〜7.26(m,2H).

合成例(1−7) 化合物(1−122):4−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、この4−クロロ体を用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.82〜8.78(m,2H)、8.00〜7.90(m,5H)、7.85〜7.80(m,1H)、7.77〜7.72(m,3H)、7.67〜7.51(m,9H)、7.47〜7.35(m,5H)、7.29〜7.23(m,2H).

合成例(1−8) 化合物(1−123):3−(3−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに、この3−ブロモ体を用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.76〜8.68(m,2H)、7.99〜7.96(m,1H)、7.93〜7.87(m,2H)、7.82〜7.68(m,8H)、7.64〜7.49(m,7H)、7.42〜7.33(m,5H)、7.26〜7.19(m,2H).

合成例(1−9) 化合物(1−124):2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、この2−クロロ体を用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=9.08〜9.05(m,1H)、8.87〜8.83(m,1H)、8.14〜8.10(m,1H)、8.00〜7.96(m,2H)、7.87〜7.81(m,3H)、7.78〜7.70(m,4H)、7.67〜7.53(m,6H)、7.53〜7.44(m,3H)、7.41〜7.33(m,4H)、7.31〜7.26(m,2H).

合成例(1−10) 化合物(1−221):3,11−ビス(10−フェニルアントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

3−クロロフェノール(100g)、2−ブロモ−1,3−ジフルオロベンゼン(62.6g)、炭酸カリウム(179g)およびN−メチルピロリドン(300mL)の入ったフラスコを窒素雰囲気下、還流温度で15時間攪拌した。反応混合物を冷却して、固体をろ過により除去し、ろ液中の溶媒を減圧濃縮した。得られた油状物をトルエンで希釈して水洗した後、有機層のトルエンを減圧留去した。得られた油状物をシリカゲルを用いて脱色し、ヘプタンを添加して固体を析出させた。この固体をヘプタンで洗浄することで、白色固体の2−ブロモ−1,3−ビス(3−クロロフェノキシ)ベンゼンを得た(133g)。

2−ブロモ−1,3−ビス(3−クロロフェノキシ)ベンゼン(30g)、テトラヒドロフラン(100mL)の入ったフラスコに、イソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(1.29mol/L、68mL)を滴下して、室温で2時間攪拌し、さらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(24.5g)を滴下し、室温で2時間攪拌した。反応混合物に水とトルエンを添加し、テトラヒドロフランを減圧留去した。これに希塩酸を添加し有機層を分離し、水洗した。有機層をシリカゲルを用いて脱色して減圧濃縮することで、淡黄色固体の2−(2,6−ビス(3−クロロフェノキシ)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た(29.6g)。

クロロベンゼン(250mL)と塩化アルミニウム(25.8g)の入ったフラスコを120℃に加熱し、2−(2,6−ビス(3−クロロフェノキシ)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(29.6g)のクロロベンゼン溶液(40mL)を添加し、この温度で3時間攪拌した。反応混合物を冷却し、氷水に添加した。析出した固体を減圧ろ過し、固体をソルミックスA−11で洗浄することで、淡褐色固体の3,11−ジクロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(8.8g)。

3,11−ジクロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(8.8g)、4,4,4’,4’−5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(32.8g)、酢酸パラジウム(0.23g)、酢酸カリウム(10.1g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(1.7g)、炭酸カリウム(7.1g)、シクロペンチルメチルエーテル(180mL)の入ったフラスコを還流温度で8時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、固体を減圧ろ過で除去し、ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、ソルミックスA−11で洗浄することで、淡緑色固体の3,11−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(10.6g)。

3,11−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(3.0g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.40g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.093g)、炭酸カリウム(3.2g)、トルエン(50mL)、水(5mL)の入ったフラスコを還流温度で3時間攪拌した。反応混合物にソルミックスA−11を添加し固体を析出させ、ろ過した固体を水およびソルミックスA−11で洗浄した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、トルエンで洗浄することで、淡黄緑色固体の化合物(1−221)を得た(1.4g)。

LC−MS測定により得られた化合物が目的物であると確認した。 MS(ACPI) m/z=775(M+H)

合成例(1−11) 化合物(1−191):3−(9,9’−スピロビ[フルオレン]−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに2−ブロモ−9,9’−スピロビ[フルオレン]を用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.64〜8.59(m,2H)、7.98〜7.96(m,1H)、7.91〜7.87(m,3H)、7.81〜7.66(m,3H)、7.60〜7.57(m,1H)、7.54〜7.46(m,2H)、7.42〜7.33(m,4H)、7.22〜7.10(m,6H)、6.82〜6.74(m,3H).

合成例(1−12) 化合物(1−198):3−(9,9’−スピロビ[フルオレン]−4−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに4−ブロモ−9,9’−スピロビ[フルオレン]を用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.90〜8.85(m,1H)、8.82〜8.79(m,1H)、7.88〜7.81(m,4H)、7.78〜7.73(m,1H)、7.68〜7.64(m,1H)、7.62〜7.58(m,1H)、7.47〜7.37(m,3H)、7.32〜7.26(m,3H)、7.20〜7.13(m,4H)、7.06〜6.98(m,2H)、6.87〜6.81(m,2H)、6.79〜6.75(m,1H)、6.73〜6.69(m,1H).

合成例(1−13) 化合物(1−174):3−(ジベンゾ[g,p]クリセン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりにジベンゾ[g,p]クリセン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=9.11〜9.08(m,1H)、8.88〜8.72(m,9H)、8.06〜8.02(m,2H)、7.91〜7.81(m,2H)、7.77〜7.65(m,7H)、7.60〜7.57(m,1H)、7.46〜7.41(m,1H)、7.32〜7.24(m,2H).

合成例(1−14) 化合物(1−144)の合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

合成例(1−15) 化合物(1−145)の合成

原料として9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに7−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

合成例(1−16) 化合物(1−156)の合成

原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、この7−クロロ体を用い、さらに9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに7−ブロモテトラフェンを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=9.3(s,1H)、8.9(d,1H)、8.8(dd,2H)、8.2(d,1H)、7.8(d,1H)、7.7(m,4H)、7.6(t,1H)、7.6〜7.5(m,5H)、7.4(t,3H)、7.4(s,2H).

合成例(1−17) 化合物(1−146)の合成

原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、この7−クロロ体を用い、さらに9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに7−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.8(d,1H)、8.7(dd,1H)、8.3(s,1H)、8.2〜8.1(m,2H)、8.1(s,1H)、8.0(dd,1H)、8.0(d,1H)、7.8(m,2H)、7.8〜7.7(m,5H)、7.7〜7.6(m,3H)、7.6(m,2H)、7.5(m,2H)、7.4(m,1H)、7.4〜7.3(m,4H)、7.3(m,2H).

合成例(1−18) 化合物(1−147)の合成

原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、7−クロロ体を用い、さらに9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに6−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−2−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.9(m,1H)、8.8(m,1H)、8.4(s,1H)、8.2(d,1H)、8.1〜8.0(m,4H)、7.9〜7.8(m,2H)、7.8〜7.5(m,11H)、7.5〜7.4(m,1H)、7.4〜7.3(m,4H)、7.3(m,3H).

合成例(1−19) 化合物(1−148)の合成

原料として3−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、この7−クロロ体を用い、さらに9−(4−ブロモフェニル)−10−フェニルアントラセンの代わりに4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)ナフタレン−1−イル トリフルオロメタンスルホネートを用いた以外は合成例(1−6)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.7(dd,2H)、8.2(d,1H)、7.8〜7.7(m,5H)、7.7〜7.5(m,12H)、7.5(m,1H)、7.4(m,2H)、7.4〜7.3(m,6H).

合成例(1−20) 化合物(1−82):2−(10−(2−ビフェニリル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

2−クロロ−9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(20g)、4,4,4’,4’−5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ(1,3,2−ジオキサボロラン)(33g)、酢酸パラジウム(0.29g)、酢酸カリウム(13g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(1.4g)、炭酸カリウム(9.1g)、シクロペンチルメチルエーテル(80mL)の入ったフラスコを還流温度で40分間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、固体を減圧ろ過で除去し、ろ液の溶媒を減圧留去した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、ソルミックスA−11で洗浄することで、白色固体の2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを得た(24g)。

2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(4.8g)、9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセン(5g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(Pd(PPh3)2Cl2、0.51g)、トリフェニルホスフィン(0.38g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.20g)、炭酸カリウム(3.4g)、トルエン(50mL)および水(5mL)の入ったフラスコを還流温度で7時間攪拌した。反応混合物を減圧ろ過して固体を回収した。得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、加熱したトルエンで2回洗浄することで、淡黄色固体の化合物(1−82)を得た(3.6g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.75〜8.44(m,1H)、7.88〜7.83(m,1H)、7.88〜7.82(m,1H)、7.78〜7.42(m,12H)、7.35〜6.85(m,12H).

合成例(1−21) 化合物(1−52):2−(10−(1−ナフチル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセンの代わりに、9−(1−ナフチル)−10−ブロモアントラセンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.90〜8.80(m,1H)、8.58〜8.49(m,1H)、8.11〜8.00(m,2H)、7.93〜7.80m,6H)、7.76〜7.47(m,8H)、7.37〜7.26(m,7H).

合成例(1−22) 化合物(1−57):2−(10−(2−ナフチル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセンの代わりに、9−(2−ナフチル)−10−ブロモアントラセンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.84〜8.81(m,1H)、8.52〜8.49(m,1H)、8.14〜8.02(m,3H)、7.98〜7.92(m,1H)、7.90〜7.75(m,7H)、7.70〜7.60(m,4H)、7.57〜7.53(m,1H)、7.39〜7.27(m,6H)、7.22〜7.17(m,1H).

合成例(1−23) 化合物(1−12):2−(9,10−ジフェニルアントラセン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセンの代わりに、2−ブロモ−9,10−ジフェニルアントラセンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.88〜8.85(m,1H)、8.56〜8.53(m,1H)、8.08〜8.06(m,1H)、7.94〜7.90(m,1H)、7.88〜7.84(m,1H)、7.82〜7.71(m,5H)、7.70〜7.52(m,12H)、7.43〜7.32(m,3H)、7.26〜7.22(m,2H).

合成例(1−24) 化合物(1−102):2−(10−(ジベンゾ[b,d]フラン−2−イル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

9−ブロモアントラセン(5g)、ジベンゾ[b,d]フラン−2−ボロン酸(4.9g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppf)Cl2、0.42g)、トリフェニルホスフィン(0.31g)、テトラブチルホスホニウムブロミド(0.33g)、炭酸カリウム(5.4g)、水(10mL)およびトルエン(100mL)の入ったフラスコを還流温度で4時間攪拌した。反応混合物の有機層を濃縮し、得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、ヘプタンで洗浄して淡黄色固体の2−(アントラセン−9−イル)ジベンゾ[b,d]フランを得た(6.4g)。

2−(アントラセン−9−イル)ジベンゾ[b,d]フラン(6.4g)、N−ブロモこはく酸イミド(3.0g)、テトラヒドロフラン(THF、100mL)の入ったフラスコを50℃に加熱し2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルを用いて脱色した。得られた固体をソルミックスA−11で洗浄して淡黄色固体の2−(10−ブロモアントラセン−9−イル)ジベンゾ[b,d]フランを得た(7.6g)。

2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(3.1g)と、2−(10−ブロモアントラセン−9−イル)ジベンゾ[b,d]フラン(3.7g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(Pd(PPh3)2Cl2、0.33g)、トリフェニルホスフィン(0.25g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.13g)、炭酸カリウム(2.2g)、トルエン(30mL)および水(3mL)の入ったフラスコを還流温度で13時間攪拌した。反応混合物のトルエン層を濃縮し、シリカゲルを用いて脱色した。得られた固体をトルエン、酢酸エチルの順で洗浄することで、淡黄色固体の化合物(1−102)を得た(2.8g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.83〜8.80(m,1H)、8.51〜8.48(m,1H)、8.13〜8.09(m,1H)、7.96〜7.93(m,1H)、7.90〜7.74(m,8H)、7.70〜7.60(m,3H)、7.57〜7.50(m,2H)、7.41〜7.28(m,7H)、7.22〜7.16(m,1H).

合成例(1−25) 化合物(1−182):2−(ブロモ−7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセンの代わりに、5−ブロモ−7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.96〜8.92(m,1H)、8.74〜8.72(m,1H)、8.50〜8.45(m,2H)、8.16〜8.12(m,1H)、7.86〜7.80(m,2H)、7.73〜7.63(m,4H)、7.55〜7.49(m,4H)、7.38〜7.22(m,14H).

合成例(1−26) 化合物(1−166):2−(ベンゾ[a]アントラセン−7−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として9−(2−ビフェニリル)−10−ブロモアントラセンの代わりに、7−ブロモベンゾ[a]アントラセンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=9.34(s,1H)、8.96〜8.93(m,1H)、8.74(s,1H)、8.47〜8.43(m,1H)、8.25〜8.22(m,1H)、7.89〜7.71(m,6H)、7.66〜7.43(m,7H)、7.35〜7.27(m,2H)、7.17〜7.12(m,1H).

合成例(1−27) 化合物(1−55):7−(10−(1−ナフチル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸の代わりに、(10−(1−ナフチル)−アントラセン−9−イル)ボロン酸を用いた以外は合成例(1−5)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.81〜8.77(m,2H)、8.10〜8.00(m,2H)、7.82〜7.70(m,5H)、7.63〜7.57(m,3H)、7.53〜7.43(m,7H)、7.35〜7.19(m,6H).

合成例(1−28) 化合物(1−85):2−(10−(2−ビフェニリル)アントラセン−9−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの合成

出発原料として2−クロロ−9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンの代わりに、7−クロロ−9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを用いた以外は合成例(1−20)と同様の方法で合成した。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.79〜8.75(m,2H)、7.76〜7.63(m,8H)、7.60〜7.53(m,3H)、7.50〜7.41(m,3H)、7.37〜7.35(m,1H)、7.32〜7.23(m,5H)、7.02〜6.99(m,2H)、6.95〜6.87(m,3H).

合成例(1−29) 化合物(1−46):9−(10−フェニルアントラセン−9−イル)−7,11−ジオキサ−17c−ボラナフト[2,3,4−no]テトラフェンの合成

2−ナフトール(7g)、2−ブロモ−5−クロロ−1,3−ジフルオロベンゼン(5g)、炭酸カリウム(7.6g)、N−メチルピロリドン(20mL)を窒素雰囲気下、還流温度で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧ろ過で固体を除去した。ろ液を濃縮し、得られた固体をシリカゲルを用いて脱色し、ソルミックス(A−11)で洗浄することで、白色固体の2,2’((2−ブロモ−5−クロロ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ))ジナフタレン(9.7g)を得た。

2,2’((2−ブロモ−5−クロロ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ))ジナフタレン(8.6g)およびテトラヒドロフラン(30mL)の入ったフラスコにイソプロピルマグネシウムクロリド−塩化リチウム錯体のテトラヒドロフラン溶液(1.29mol/L、17mL)を滴下し室温で2時間攪拌し、さらに2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(5.0g)を滴下し室温で2時間攪拌した。反応混合物に水とトルエンを添加し、テトラヒドロフランを減圧留去した。この溶液を希塩酸、水の順で洗浄した。これをシリカゲルを用いて脱色して減圧濃縮することで、白色固体の2−(4−クロロ−2,6−ビス(ナフタレン−2−イルオキシ)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを得た(8.8g)。

2−(4−クロロ−2,6−ビス(ナフタレン−2−イルオキシ)フェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(7.8g)と塩化アルミニウム(20g)およびクロロベンゼン(50mL)の入ったフラスコにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.6g)をゆっくりと滴下し、130℃まで加熱して4時間攪拌した。反応混合物を冷却し、氷水に添加した。析出した固体を減圧ろ過し、固体をソルミックス(A−11)、トルエンで洗浄することで、淡褐色固体の9−クロロ−7,11−ジオキサ−17c−ボラナフト[2,3,4−no]テトラフェン(0.4g)を得た。

9−クロロ−7,11−ジオキサ−17c−ボラナフト[2,3,4−no]テトラフェン(0.4g)、(10−フェニル−アントラセン−9−イル)ボロン酸(0.59g)、酢酸パラジウム(0.007g)、りん酸カリウム(0.31g)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)フォスファン(0.024g)、シクロペンチルメチルエーテル(10mL)および水(2mL)の入ったフラスコを還流温度で6時間攪拌した。反応混合物の有機層を濃縮し、シリカゲルカラムで精製することで淡黄色固体の化合物(1−46)を得た(0.21g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.21〜8.17(m,2H)、7.96〜7.92(m,2H)、7.87〜7.83(m,2H)、7.78〜7.71(m,6H)、7.65〜7.43(m,9H)、7.37〜7.30(m,4H)、7.17〜7.12(m,2H).

比較合成例 比較例用化合物(EM−3)の合成

7−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(1.5g)、7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(2.0g)、パラジウム触媒としてSPhos Pd G2(商品名:Sigma−Aldrichなど)(18mg)、炭酸カリウム(1.4g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB、0.49g)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME、30mL)および水(3mL)の入ったフラスコを還流温度で3時間攪拌した。反応液を室温まで冷却して、水を加えて攪拌した後に、固体をろ過した。得られた固体を熱o−ジクロロベンゼンに溶解させた後に、セライトろ過をした。ろ液を濃縮して得られた固体をo−ジクロロベンゼンで再結晶することで白色固体の比較例化合物(EM−3)を得た(1.0g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,1,1,2,2-tetrachloroethane-d2、80oC):δ=7.3〜7.4(m,4H)、7.5(dd,4H)、7.6(s,4H)、7.7(m,4H)、8.6(dd,4H).

合成例(2−1) 化合物(2−166)の合成

窒素雰囲気下、2,3−ジクロロ−5−メチルアニリン(25.0g)、1−ブロモ−4−(t−ブチルベンゼン)(75.6g)、Pd−132(2.5g)、NaOtBu(34.0g)およびキシレン(250ml)の入ったフラスコを120℃で4時間加熱撹拌し、反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/へプタン=3/7(容量比))で精製して、更にアルミナカラム(溶離液:へプタン)で精製することで、中間体(K)を得た(55.0g)。

窒素雰囲気下、中間体(K)(12.0g)、中間体(L)(9.7g)、Pd−132(0.19g)、NaOtBu(3.9g)およびキシレン(60ml)の入ったフラスコを120℃で1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、ヘプタンで再沈殿を行い、更にシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(M)を得た(19.0g)。

中間体(M)(19.0g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながら、t−ブチルリチウム/ペンタン溶液(1.62M、41.6ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して1時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(18.8g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び氷浴で冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(6.4g)を加えた。発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加え有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン/へプタン=3/7(容量比))で精製し、更にへプタンで再沈殿させることで、化合物(2−166)を得た(2.6g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=8.92(s,1H)、8.86(s,1H)、7.68(s,1H)、7.67(d,2H)、7.64(d,1H)、7.48(dd,1H)、7.43(dd,1H)、7.27〜7.14(m,5H)、7.00〜6.98(m,3H)、6.71(d,1H)、6.65(d,1H)、6.05(s,1H)、5.90(s,1H)、2.17(s,3H)、1.48(s,9H)、1.46(s,9H)、1.45(s,9H)、1.43(s,9H).

合成例(2−2) 化合物(2−170)の合成

素雰囲気下、2−ブロモ−4−t−ブチルアニリン(30.0g)、3,5−ジメチルフェニルボロン酸(23.7g)、Pd−132(0.93g)、リン酸三カリウム(56.0g)、トルエン(400mL)、t−ブタノール(40mL)および水(20mL)を100℃で加熱攪拌した。反応後に冷却し、水、酢酸エチルを加えて攪拌した後、有機層を分離、水洗して、さらに有機層を希塩酸および水で洗浄した後、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=1/1(容量比))で精製することで、中間体(N)を得た(30.0g)。

窒素雰囲気下、中間体(N)(20.0g)、4−ブロモ−t−ブチルベンゼン(16.8g)、Pd−132(0.56g)、NaOtBu(11.4g)およびキシレン(150mL)を入れ、110℃で0.5時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=2/8(容量比))で精製することで、中間体(O)を得た(28.0g)。

窒素雰囲気下、中間体(I)(12.0g)、中間体(O)(10.3g)、Pd−132(0.19g)、NaOtBu(3.9g)およびキシレン(60mL)を入れ、120℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(P)を得た(17.3g)。

中間体(P)(17.0g)およびt−ブチルベンゼン(100ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながら、t−ブチルリチウム/ペンタン溶液(1.62M、27.1ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して1時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(11.0g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び氷浴で冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.7g)を加えた。発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加え、有機層を分液した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン/へプタン=25/75(容量比))で精製し、更にへプタンで再沈殿させることで、化合物(2−170)を得た(2.1g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=1.4(s,9H)、1.4(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、1.9(s,6H)、6.1(d,1H)、6.2(d,1H)、6.6(s,1H)、6.7(d,1H)、6.8(d,1H)、7.2〜7.3(m,6H)、7.5(m,2H)、7.6(m,1H)、7.6〜7.7(m,3H)、8.9(d,1H)、8.9(d,1H).

合成例(2−3) 化合物(2−180)の合成

窒素雰囲気下、中間体(Q)(22.5g)、4−ブロモ−t−ブチルベンゼン(17.0g)、Pd−132(0.57g)、NaOtBu(11.5g)およびキシレン(150mL)を入れ、1時間過熱攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=2/8(容量比))で精製することで、中間体(R)を得た(31.0g)。

窒素雰囲気下、中間体(I)(7.6g)、中間体(R)(7.0g)、Pd−132(0.12g)、NaOtBu(2.60g)およびキシレン(50mL)を入れ、120℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/7(容量比))で精製することで、中間体(S)を得た(11.5g)。

窒素雰囲気下、中間体(S)(10.0g)とt−ブチルベンゼン(50mL)を入れたフラスコを氷浴で冷却し、t−ブチルリチウム/ヘプタン溶液(1.62M、19.2mL)を加えた後に、減圧下60℃で低沸点の成分を除去した。ドライアイスバスで−50℃程度に冷却し三臭化ホウ素(9.4g)を加えた。室温まで昇温し、氷浴中でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.2g)を加えた後、100℃で1時間攪拌した。反応後、酢酸ナトリウム水溶液を反応溶液に加え撹拌し、さらに酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離した。この有機層から得た粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/7(容量比))で精製することで、化合物(2−180)を得た(3.4g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=1.1(s,9H)、1.4(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、6.1(d,1H)、6.2(d,1H)、6.7(d,1H)、6.8(d,1H)、7.0(d,1H)、7.1(d,1H)、7.2〜7.3(m,7H)、7.5(dd,1H)、7.5(dd,1H)、7.7(m,3H)、8.9(d,1H)、8.9(d,1H).

合成例(2−4) 化合物(2−200)の合成

窒素雰囲気下、中間体(K)(12.0g)、中間体(R)(10.7g)、Pd−132(0.19g)、NaOtBu(3.9g)およびキシレン(60mL)を入れ、120℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=2/8(容量比))で精製することで、中間体(T)を得た(19.9g)。

窒素雰囲気下、中間体(T)(18.0g)とt−ブチルベンゼン(90mL)を入れたフラスコを氷浴で冷却し、t−ブチルリチウム(1.62M、40.0mL)を加えた後に、減圧下60℃で低沸点の成分を除去した。ドライアイスバスで−50℃程度に冷却し三臭化ホウ素(16.5g)を加えた。室温まで昇温し、氷浴中でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.7g)を加えた後、100℃で1時間攪拌した。反応後、酢酸ナトリウム水溶液を反応溶液に加え撹拌し、さらに酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離した。この有機層から得た粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=2/8(容量比))で精製することで、化合物(2−200)を得た(4.0g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=1.1(s,9H)、1.4(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、1.5(s,9H)、2.2(s,3H)、5.9(s,1H)、6.1(s,1H)、6.7(m,2H)、7.0(d,2H)、7.1(d,2H)、7.2(d,1H)、7.3(m,2H)、7.4(m,1H)、7.5(m,1H)、7.6(dd,1H)、7.7(m,3H)、8.9(d,1H)、8.9(d,1H).

合成例(2−5) 化合物(2−252)の合成

窒素雰囲気下、1−ブロモ−3,5−ジ(t−ブチル)ベンゼン(50.0g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(52.0g)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド・ジクロロメタン付加物(PdCl2(dppf)・CH2Cl2、4.5g)、酢酸カリウム(55.0g)およびシクロペンチルメチルエーテル(CPME、500mL)を120℃で6時間加熱攪拌した。反応後、水とトルエンを加えて攪拌した後、有機層を分離し、さらに水洗した。有機層を濃縮して得られる粗生成物をシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、3,5−ジ(t−ブチル)フェニルボロン酸ピナコールエステルを得た(56.0g)。

2−ブロモ−4−t−ブチルアニリン(15.0g)、3,5−ジ(t−ブチル)フェニルボロン酸ピナコールエステル(25.0g)、Pd−132(0.47g)、リン酸三カリウム(28.0g)、トルエン(300mL)、t−ブタノール(30mL)および水(15mL)を100℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮してヘプタンを加えて冷却することで沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過することで、中間体(N−2)を得た(20.0g)。

窒素雰囲気下、中間体(N−2)(18.0g)、1−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン(11.4g)、Pd−132(0.38g)、NaOtBu(7.7g)およびキシレン(150mL)を110℃で0.5時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗成生物を得た。これをシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/7(容量比))で精製することで、中間体(R−2)を得た(23.1g)。

窒素雰囲気下、中間体(I)(12.0g)、中間体(R−2)(12.6g)、Pd−132(0.19g)、NaOtBu(3.9g)およびキシレン(60mL)を120℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(S−2)を得た(15.1g)。

窒素雰囲気下、中間体(S−2)(16.0g)とt−ブチルベンゼン(70mL)を入れたフラスコを氷浴で冷却し、t−ブチルリチウム(1.62M、28.7mL)を加えた後に、減圧下60℃で低沸点の成分を除去した。ドライアイスバスで−50℃程度に冷却し三臭化ホウ素(14.0g)を加えた。室温まで昇温し、氷浴中でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.8g)を加えた後、100℃で1時間攪拌した。反応後、酢酸ナトリウム水溶液を反応溶液に加え撹拌し、さらに酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離した。この有機層から得た粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/7(容量比))で精製することで、化合物(2−252)を得た(3.1g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=1.0(s,18H)、1.5(s,9H)、1.6(s,9H)、1.6(s,9H)、1.6(s,9H)、6.2(d,1H)、6.4(d,1H)、6.8(d,1H)、6.9(d,2H)、7.0(d,1H)、7.0(m,1H)、7.3〜7.4(m,3H)、7.5(d,1H)、7.6(dd,1H)、7.6(m,1H)、7.8(m,4H)、8.9(d,1H)、9.0(d,1H).

合成例(2−6) 化合物(2−296)の合成

窒素雰囲気下、中間体(I−1)(10.0g)、中間体(R−3)(7.1g)、Pd−132(0.14g)、NaOtBu(2.8g)およびキシレン(50mL)を120℃で1時間攪拌した。反応後、水および酢酸エチルを加え撹拌した後、有機層を分離して2回水洗し、これを濃縮して粗生成物を得た。これをシリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン)で精製することで、中間体(S−3)を得た(14.2g)。

窒素雰囲気下、中間体(S−3)(14.0g)とt−ブチルベンゼン(90mL)を入れたフラスコを氷浴で冷却し、t−ブチルリチウム(1.62M、28.0mL)を加えた後に、減圧下60℃で低沸点の成分を除去した。ドライアイスバスで−50℃程度に冷却し三臭化ホウ素(13.1g)を加えた。室温まで昇温し、氷浴中でN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.5g)を加えた後、100℃で1時間攪拌した。反応後、酢酸ナトリウム水溶液を反応溶液に加え撹拌し、さらに酢酸エチルを加えて撹拌した後、有機層を分離した。この有機層から得た粗生成物をシリカゲルカラム(溶離液:トルエン/ヘプタン=3/7(容量比))で精製することで、化合物(2−296)を得た(1.4g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR:δ=1.0(s,9H)、1.4(s,9H)、1.5(s,18H)、1.5(s,9H)、6.0(s,1H)、6.1(s,1H)、6.7(d,1H)、6.9(d,1H)、7.0(m,3H)、7.1〜7.2(m,2H)、7.3(m,3H)、7.5(m,2H)、7.6〜7.7(m,4H)、8.9(d,1H)、8.9(d,1H).

合成例(2−7) 化合物(2−300)の合成

窒素雰囲気下、2−ブロモ−4−(t−ブチル)アニリン(25.0g)、フェニルボロン酸(16.0g)、Pd−132(0.78g)、K3PO4(47.0g)、トルエン(400ml)、t−BuOH(40ml)および水(20ml)の入ったフラスコを100℃で1時間加熱撹拌し、反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて有機層を分離した。次いで、有機層を希塩酸、水の順で洗浄し、溶媒を減圧留去した。その後、メタノールで再沈殿を行った。更に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/へプタン=1/4→1/1→4/1(容量比))で精製することで、5−(t−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−アミンを得た(21.1g)。

窒素雰囲気下、5−(t−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−アミン(21.0g)、1−ブロモ−4−(t−ブチル)ベンゼン(19.9g)、Pd−132(0.66g)、NaOtBu(13.4g)およびキシレン(200ml)の入ったフラスコを110℃で0.5時間加熱撹拌し、反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/へプタン=3/7(容量比))で精製することで、5−(t−ブチル)−N−(4−(t−ブチル)フェニル)−[1,1’−ビフェニル]−2−アミンを得た(32.0g)。

窒素雰囲気下、5−(t−ブチル)−N−(4−(t−ブチル)フェニル)−[1,1’−ビフェニル]−2−アミン(10.0g)、N,N−ビス(4−t−ブチル)フェニル)−2,3−ジクロロアニリン(12.0g)、Pd−132(0.20g)、NaOtBu(4.1g)およびキシレン(60ml)の入ったフラスコを120℃で1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、水および酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、ヘプタンで再沈殿を行った。更に、シリカゲルショートカラム(溶離液:トルエン/へプタン=1/1(容量比))で精製することで、N1−(5−(t−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−N1,N3,N3−トリス(4−(t−ブチル)フェニル)−2−クロロベンゼン−1,3−ジアミンを得た(17.0g)。

上記のN1−(5−(t−ブチル)−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)−N1,N3,N3−トリス(4−(t−ブチル)フェニル)−2−クロロベンゼン−1,3−ジアミン(17.0g)およびt−ブチルベンゼン(90ml)の入ったフラスコに、窒素雰囲気下、氷浴で冷却しながら、1.62Mのt−ブチルリチウムペンタン溶液(35.1ml)を加えた。滴下終了後、70℃まで昇温して1時間撹拌した後、t−ブチルベンゼンより低沸点の成分を減圧留去した。−50℃まで冷却して三臭化ホウ素(17.1g)を加え、室温まで昇温して0.5時間撹拌した。その後、再び氷浴で冷却してN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.9g)を加えた。発熱が収まるまで室温で撹拌した後、100℃まで昇温して1時間加熱撹拌した。反応液を室温まで冷却し、氷浴で冷やした酢酸ナトリウム水溶液、次いで酢酸エチルを加えて有機層を分離した。有機層を水洗した後、溶媒を減圧留去した。その後、シリカゲルカラム(溶離液:トルエン/へプタン=1/4(容量比))で精製した。更にへプタンで再沈殿を行った。最後に、昇華精製を行い、化合物(2−300)を得た(2.4g)。

NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ=8.93(s,1H)、8.89(s,1H)、7.68〜7.61(m,4H)、7.50〜7.47(m,2H)、7.28〜7.22(m,4H)、7.16(d,2H)、6.99〜6.98(m,3H)、6.78(d,1H)、6.71(d,1H)、6.22(d,1H)、6.07(d,1H)、1.48(s,9H)、1.45(s,18H)、1.44(s,9H).

合成例(2−8) 化合物(1−2619)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(1−2619)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=1.47(s,36H)、2.17(s,3H)、5.97(s,2H)、6.68(d,2H)、7.28(d,4H、7.49(dd,2H)、7.67(d,4H)、8.97(d,2H).

合成例(2−9) 化合物(2−2710)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−2710)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.98〜8.96(m,2H)、7.70〜7.65(m,4H)、7.51〜7.47(m,2H)、7.31〜7.26(m,4H)、6.78〜6.75(m,2H)、6.11(s,2H)、1.47〜1.44(m,18H)、0.93(s,9H).

合成例(2−10) 化合物(2−2711)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−2711)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=9.20〜8.60(m,2H)、7.65〜7.20(m,8H)、7.20〜7.05(m,7H)、6.85〜6.50(m,10H)、6.20〜5.20(m,2H)、1.46〜1.44(m,36H).

合成例(2−11) 化合物(2−2712)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−2712)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=9.00〜8.95(m,2H)、7.48〜7.36(m,6H)、7.20〜6.95(m,10H)、6.90〜6.52(m,12H)、6.48〜6.26(m,2H)、5.60〜5.00(m,2H)、1.46(s,18H)、1.26(s,18H).

合成例(2−12) 化合物(2−2713)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−2713)を合成した。

合成例(2−13) 化合物(2−301)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−301)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.95〜8.88(m,2H)、7.71〜7.64(m,3H)、7.61〜7.56(m,1H)、7.50〜7.43(m,2H)、7.28〜7.20(m,3H)、7.11〜7.07(m,2H)、7.01〜6.97(m,2H)、6.85〜6.80(m,1H)、6.76〜6.72(m,1H)、6.16(s,1H)、6.05(s,1H)、1.48〜1.43(m,27H)、1.11(s,9H)、0.97(s,9H).

合成例(2−14) 化合物(2−302)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−302)を合成した。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.90〜8.87(m,1H)、8.75〜8.72(m,1H)、7.73〜7.58(m,4H)、7.48〜7.43(m,1H)、7.35〜7.19(m,5H)、7.11〜7.07(d,2H)、7.01〜6.97(d,2H)、6.67〜6.64(m,2H)、6.17(s,1H)、5.94(s,1H)、1.50〜1.43(m,27H)、1.18(s,9H)、1.11(s,9H).

合成例(2−15) 化合物(2−2714)の合成

前述した合成例と同様の方法を用い、化合物(2−2714)を合成した。なお化学式中のDは重水素である。NMR測定により得られた化合物の構造を確認した。 1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ=8.96〜8.95(m,2H)、7.47〜7.42(m,6H)、7.15〜7.10(m,4H)、6.77〜6.74(m,2H)、5.56(s,2H)、1.46(m,9H)、1.33(s,9H).

上記一般式(2)で表される、その他の多環芳香族化合物およびその多量体は、国際公開第2015/102118号公報を参照して製造することができる。

原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明に係る多環芳香族化合物を合成することができる。

以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。

実施例A−1および比較例A−1〜A−2、実施例B−1〜B−15および比較例B−1〜B−2、さらに実施例C−1〜C−14に係る有機EL素子を作製し、それぞれ1000cd/m2発光時の特性である電圧(V)、発光波長(nm)、外部量子効率(%)を測定し、素子寿命として電流値10mA/cm2で発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。

発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりまたは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。

外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、素子の輝度が1000cd/m2になる電圧を印加して素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。

作製した実施例A−1および比較例A−1〜A−2に係る有機EL素子における各層の材料構成を下記表A1に、EL特性データを下記表A2に示す。

上記表において、「HI」はN4,N4’−ジフェニル−N4,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンであり、「IL」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリルであり、「HT−1」はN−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンであり、「HT−2」はN,N−ビス(4−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)フェニル)−[1,1’:4’,1”−テルフェニル]−4−アミンであり、「EM−1」は9−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−9H−カルバゾールであり、「EM−2」は9−(4−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)フェニル)−9H−カルバゾールであり、化合物(2−2619)は2,12−ジ−t−ブチル−5,9−ビス(4−(t−ブチル)フェニル)−7−メチル−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンであり、「ET−1」は4,6,8,10−テトラフェニル[1,4]ベンゾキサボリニノ[2,3,4−kl]フェノキサボリニンであり、「ET−2」は3,3’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(4−メチルピリジン)である。「Liq」と共に以下に化学構造を示す。

<実施例A−1> スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、IL、HT−1、HT−2、化合物(1−1)、化合物(2−2619)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liq、マグネシウムおよび銀をそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。

透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、ILを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚15nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着することで四層からなる正孔層を形成した。次に、化合物(1−1)と化合物(2−2619)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(1−1)と化合物(2−2619)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2を加熱して膜厚25nmになるように蒸着することで二層からなる電子輸送層を形成した。

その後、Liqを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、マグネシウムと銀を同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得た。このとき、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように0.1nm〜10nm/秒の間で蒸着速度を調節した。

ITO電極を陽極、マグネシウム/銀電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定した。電流値10mA/cm2で発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。

<比較例A−1およびA−2> ホスト材料及びドーパント材料を上記表に記載した材料に変更した以外は実施例A−1に準じて有機EL素子を作製し、同様にして有機EL特性を測定した。

作製した実施例B−1〜B−15および比較例B−1〜B−2に係る有機EL素子における各層の材料構成を下記表B1に、EL特性データを下記表B2に示す。

<実施例B−1> スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、IL、HT−1、HT−2、化合物(1−1)、化合物(2−2619)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。

透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、ILを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚15nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着することで四層からなる正孔層を形成した。次に、化合物(1−1)と化合物(2−2619)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(1−1)と化合物(2−2619)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着することで二層からなる電子輸送層を形成した。ET−2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着することで陰極を形成し、有機EL素子を得た。

ITO電極を陽極、LiF/Al電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定した。電流値10mA/cm2で発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。

<実施例B−2〜B−15および比較例B−1〜B−2> ホスト材料及びドーパント材料を上記表に記載した材料に変更した以外は実施例B−1に準じて有機EL素子を作製し、同様にして有機EL特性を測定した。

作製した実施例B−16〜B−23および比較例B−3に係る有機EL素子における各層の材料構成を下記表B3に、EL特性データを下記表B4に示す。

<実施例B−16> スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、IL、HT−1、HT−2、化合物(1−82)、化合物(2−2619)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。

透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、ILを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚15nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着することで四層からなる正孔層を形成した。次に、化合物(1−82)と化合物(2−2619)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(1−82)と化合物(2−2619)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着することで二層からなる電子輸送層を形成した。ET−2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着することで陰極を形成し、有機EL素子を得た。

ITO電極を陽極、LiF/Al電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定した。電流値10mA/cm2で発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。

<実施例B−17〜B−23および比較例B−3> ホスト材料及びドーパント材料を上記表に記載した材料に変更した以外は実施例B−16に準じて有機EL素子を作製し、同様にして有機EL特性を測定した。

作製した実施例C−1〜C−14に係る有機EL素子における各層の材料構成を下記表C1に、EL特性データを下記表C2に示す。

<実施例C−1> スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、HI、IL、HT−1、HT−2、化合物(1−2)、化合物(2−166)、ET−1およびET−2をそれぞれ入れたタンタル製蒸着用ボート、Liq、LiFおよびアルミニウムをそれぞれ入れた窒化アルミニウム製蒸着用ボートを装着した。

透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HIを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、次に、ILを加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、HT−1を加熱して膜厚15nmになるように蒸着し、次に、HT−2を加熱して膜厚10nmになるように蒸着することで四層からなる正孔層を形成した。次に、化合物(1−2)と化合物(2−166)を同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着して発光層を形成した。化合物(1−2)と化合物(2−166)の重量比がおよそ98対2になるように蒸着速度を調節した。次に、ET−1を加熱して膜厚5nmになるように蒸着し、次に、ET−2とLiqを同時に加熱して膜厚25nmになるように蒸着することで二層からなる電子輸送層を形成した。ET−2とLiqの重量比がおよそ50対50になるように蒸着速度を調節した。その後、LiFを加熱して膜厚1nmになるように蒸着し、次いで、アルミニウムを加熱して膜厚100nmになるように蒸着することで陰極を形成し、有機EL素子を得た。

ITO電極を陽極、LiF/Al電極を陰極として直流電圧を印加し、1000cd/m2発光時の特性を測定した。電流値10mA/cm2で発光させた時、初期輝度の90%以上の輝度を保持する時間(hr)を測定した。

<実施例C−2〜C−14> ホスト材料及びドーパント材料を上記表に記載した材料に変更した以外は実施例C−1に準じて有機EL素子を作製し、同様にして有機EL特性を測定した。

以上、本発明に係る化合物の一部について、有機EL素子用材料としての評価を行い、優れた有機デバイス用材料であること示したが、評価を行っていない他の化合物も同じ基本骨格を有し、全体としても類似の構造を有する化合物であり、当業者においては同様に優れた有機デバイス用材料であることを理解できる。

なお、本発明では式(1)で表される構造に、式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される基が直接または式(Z−2)〜式(Z−6)で表される基を介して結合することで、上述した特徴的な効果を奏する。比較例化合物EM−1〜EM−3のようにもっぱら式(1)で表される構造部分だけでは上記効果を奏しないことが理解できる。また、もっぱら式(Ar−1)〜式(Ar−12)で表される構造から誘導される化合物についても、上記効果を奏する化合物を見出すのは難しい。

本発明の好ましい態様によれば、式(1)で表される多環芳香族化合物を含有する発光層用材料、特に式(1)で表される多環芳香族化合物と組み合わせて最適な発光特性が得られる、式(2)で表される多環芳香族化合物および下記一般式(2)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体の少なくとも1つを含有する発光層用材料を用いて有機EL素子を作製することで、量子効率および素子寿命の1つ以上が優れた有機EL素子を提供することができる。

100 有機電界発光素子 101 基板 102 陽極 103 正孔注入層 104 正孔輸送層 105 発光層 106 電子輸送層 107 電子注入層 108 陰極

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈