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Production method of food for the sterol fatty acid ester

阅读:269发布:2021-02-07

专利汇可以提供Production method of food for the sterol fatty acid ester专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【要約】 【課題】 脱臭スカム油から、安全性の高い安価な食品用ステロール 脂肪酸 エステルを製造する際の原料の処理条件、合成反応条件、さらには後の精製工程において、
一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材として利用できるよう構成し、色、におい、味などの官能面における品質に優れ、且つトランス型脂肪酸を殆ど含まない、安全性に優れた安価なステロール脂肪酸エステルの製造方法を提供する。 【解決手段】 脱臭スカム油を原料とし、脱臭スカム油中に含まれるトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を予め化学触媒による加 水 分解反応によって分解して、生成した脂肪酸類を分子蒸留により除去し、ステロールを含む画分を得る。 引き続いて、ステロールを含む画分に任意のトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を加えたものを原料として、脂質分解活性を有する酵素を触媒として厳密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、更に、食品として適当な品質を得るために数段階の精製処理を施して、トランス型脂肪酸をはじめとする劣化した脂肪酸を殆ど含まない、安全性の高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを酵素的に製造する。,下面是Production method of food for the sterol fatty acid ester专利的具体信息内容。

(57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 ステロールを含む画分とトリアシルグリ
    セロールを主成分とする油脂に脂質分解活性を有する酵
    素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この
    生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精
    製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造
    する方法において、 ステロール原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、 第1の分子蒸留処理によって主として脂肪酸類の除去を行ってステロールを含む画分を回収し、 回収されたステロールを含む画分に トリアシルグリセロ
    ールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、
    脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を温度および水分含量が制御された系内で一定時間行い、 さらに、 第1の精製工程として 第2の分子蒸留処理によって主として未反応のステロールや脂肪酸の除去を行い、 第2の精製工程として吸着剤処理によって主として色素成分の除去を行い、 第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行うとともに精製温度を制御してトランス型脂肪酸の生成を抑制し、 食品用の優れた物性を有し、且つ官能面および安全面において優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項2】 上記加水分解反応は脱臭スカム油中のトランス型脂肪酸や酸化脂肪酸等の劣化した脂肪酸を 遊離
    酸として除きやすい形態にするために行われることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項3】 ステロール原料として大豆油の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項4】 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行う際に、酸またはアルカリ触媒による加水分解反応を行うことを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項5】 第1の分子蒸留処理によって主として脂肪酸類の除去を行って、ステロールを含む画分を回収する際に、13.3Pa以下、100〜200℃で処理することを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項6】 第1の分子蒸留処理によって主として脂肪酸類の除去を行って、ステロールを含む画分を回収する際に、13.3Pa以下、100〜200℃で処理することにより残存画分としてステロールを含む画分を回収し、さらに得られたステロールを含む画分を更に13.3Pa以下、170
    〜250℃で処理することにより留出画分としてステロールを含む画分を回収することを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項7】 回収されたステロールを含む画分に トリ
    アシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてステロール脂肪酸エステルの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項8】 回収されたステロールを含む画分に トリ
    アシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてシュードモナス( Pseudomonas )属由来のステロール脂肪酸エステルの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項9】 上記脂質分解活性を有する酵素はコレステロールエステラーゼであることを特徴とする請求項7
    又は8記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項10】 回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてトリアシルグリセロールの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項11】 回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてキャンディダ( Candida )属由来のトリアシルグリセロールの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項12】 上記脂質分解活性を有する酵素はリパーゼであることを特徴とする請求項10又は11記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項13】 回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、トリアシルグリセロールを主成分とする油脂に対して0.1〜50重量%
    の水分の存在下で、30〜60℃の範囲で、48時間以内の反応を行うことを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項14】 第1の精製工程として 第2の分子蒸留
    処理によって主として未反応のステロールおよび脂肪酸の除去を行う際に、13.3Pa以下、100〜250℃で処理することを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項15】 第2の精製工程として吸着剤処理によって主として色素成分の除去を行う際に、吸着剤として、処理原料重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲル、活性炭のいずれかの単一物、あるいは二種類以上の混合物を用いて、100℃以下で処理することを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項16】 第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行う際に、1330Pa以下、50〜150℃で処理することを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項17】 製品として得られるステロール脂肪酸エステル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%
    以上であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であり、且つ過酸化物価が10以下であり、且つ酸価が1以下であり、且つ色が6以下(ガードナー法)であり、且つ官能的に殆ど無臭であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項18】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として、大豆油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が20〜40℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項19】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として菜種油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が20〜40℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項20】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてオリーブ油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が25〜45℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする請求項1
    記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項21】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてパーム油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が40〜100℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする請求項1
    記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項22】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてパーム油を使用し、且つ、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が40〜100℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 【請求項23】 回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として魚油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が-10〜20℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、脱臭スカム油から低コストに食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】大豆油や菜種油などの植物油脂の精製過程において、β-シトステロールをはじめとする多くのステロール類が不ケン化物の一部として得られるが、このうち特にβ-シトステロールについては血漿コレステロールの低下作用を持つことが知られている。 また、最近では、β-シトステロールの飽和型であるβ-シトスタノールがβ-シトステロールよりも強な血漿コレステロール低下作用を示すことが明らかとなり、益々注目を浴びつつある。

    【0003】しかしながら、上記の遊離ステロール及び遊離スタノールは消化管内のミセル相には不溶であるために、その生理効果を得るための適切な摂取形態とは言い難い。 これに対し、脂溶性を改善するためにステロール脂肪酸エステルとしての摂取が提案され、最近では、
    ステロール脂肪酸エステルとしての植物ステロール入りマーガリンをはじめとする各種食品への添加も試みられている。

    【0004】しかし、ステロール脂肪酸エステルはこれまで、主としてコレステリック液晶、医薬化粧品用親性基材として用いられている。 このため、その製造方法としては酸触媒、塩基触媒による化学合成法が用いられてきた。 しかし、一般に化学合成ではその反応条件が過酷であるが故に、品質の劣化を招きやすいこと、副反応物が生成しやすいなどの問題点があり、合成反応後の精製工程が非常に煩雑になることは避けられず、また、仮に食品あるいは医薬品等に使用する場合には、副反応物や反応触媒の混入が懸念されるという問題点があった。

    【0005】そこで、上記の如き不具合を回避するために酵素の利用が検討されている。

    【0006】このような酵素としてコレステロールエステラーゼおよびリパーゼがある。 ともにカルボン酸エステルヒドロラーゼの一つとして分類され、コレステロールエステラーゼは加水分解反応によってコレステロール脂肪酸エステルから遊離ステロールと遊離脂肪酸を生成する酵素と定義されている。 また、リパーゼ(主としてトリアシルグリセロールリパーゼを示す。)は加水分解反応によってグリセロール脂肪酸エステルからグリセロールと遊離脂肪酸を生成する酵素と定義されている。

    【0007】しかしながら、コレステロールエステラーゼ活性とリパーゼ活性が同一酵素中にみいだされている例も多く(D. Lombardoら、Biochem. Biophys. Acta, 6
    11,(1980),147-)、コレステロールエステラーゼおよびリパーゼが同様にトリアシルグリセロールの分解反応を触媒することも示されており(WEMomsenら、Bioche
    m. Biophys. Acta, 486, (1977),103-)、現在においてもコレステロールエステラーゼであるか、或いはリパーゼであるか明確に分類できない例が少なからず知られている。

    【0008】ところで、上記の酵素は通常カルボン酸エステルの加水分解反応を触媒する一方で、エステル合成反応を触媒することが知られている。

    【0009】Lawrence A.らはコレステロールエステラーゼとして知られているイヌ膵液由来のステロールエステルヒドロラーゼによって、遊離コレステロールと遊離オレイン酸からコレステロールオレイン酸エステルを合成できることを示している(Biochem. Biophys. Acta,
    231, (1971), 558-560)。

    【0010】また、同様にD. Lombardoらは、ヒト膵液由来のコレステロールエステラーゼがコレステロール脂肪酸エステルの合成反応を触媒することを示している(Biochimie et al, 1980, 62, 427-432 )。

    【0011】また、明星らはリパーゼによってコレステロール脂肪酸エステルを合成できることを確認している(特願昭60-45128号)。

    【0012】以上の様に前述の化学合成に対して、酵素を用いたコレステロール脂肪酸エステルの合成が可能であることがこれまでに示されている。

    【0013】しかしながら、上記酵素を用いた従来のコレステロール脂肪酸エステルの製造方法については、以下の問題点があった。

    【0014】(1)上記の例はいずれも単にステロール脂肪酸エステルの合成反応についてのみ示したものであり、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材としてステロール脂肪酸エステルを製造することを意図したものではない。 つまり、合成反応条件、さらには後の精製方法において、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材として利用するために重要となる色、におい、味などの官能面における品質、さらには安全性を考慮していない。

    【0015】(2)また、ステロールエステル脂肪酸エステルの原料となるステロール類については、精製度の高い純品を原料としていることから合成後のステロール脂肪酸エステルは高価なものとなり、食品等への利用はコスト的に無理である。

    【0016】(3)また、植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム油には、ステロールをはじめとする不ケン化物や脂肪酸などが高濃度に含まれており、これらを原料とすれば低コストにステロール脂肪酸エステルを得ることができる。 しかしながら、この脱臭スカム中には劣化した脂肪酸の産物として過酸化物やトランス型脂肪酸が含まれていることが知られている。 このうち、トランス型脂肪酸は主に油脂の部分水素添加工程や高温下での脱臭工程において生成することが明らかとなっているが、人間がこのトランス型脂肪酸を多量に摂取した場合、冠状動脈性心臓病発生のリスクが高くなるという報告がなされている。 特に欧米を中心として各種食品中のトランス型脂肪酸含量に関心がもたれており、近年ではマーガリンなどにおいて、トランス型脂肪酸を低減化した製品が見られるようになってきた。 つまり、脱臭スカム油そのものを原料としてステロール脂肪酸エステルを合成する際に、ランダムにエステル化反応を触媒する酵素や化学触媒や用いた場合は、トランス型脂肪酸やその他の劣化した脂肪酸を含むステロール脂肪酸エステルが得られることとなるため、安全性の面から好ましくない。

    【0017】

    【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、食品用として好適で、しかも低コストに製造でき、且つトランス型脂肪酸をはじめとする劣化した脂肪酸を殆ど含まない、食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。

    【0018】

    【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、脱臭スカム油からトランス型脂肪酸をはじめとする劣化した脂肪酸を殆ど含まない、安全性の高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを製造することである。

    【0019】すなわち、本発明の概要を図1を参照しながら説明すると、まず、植物油脂の精製工程の一つである脱臭工程において揮発性成分を含む留出分として発生する脱臭スカム油を原料とし(ステップ100)、脱臭スカム油中に含まれるトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を予め化学触媒による加水分解反応(ステップ101)によって分解して(ステップ110)、
    生成した脂肪酸類(ステップ112,113)を分子蒸留(ステップ111)により除去し、ステロールを含む画分を得る(ステップ120)。

    【0020】引き続いて、ステロールを含む画分に任意のトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を加えたものを原料(ステップ122)として、脂質分解活性を有する酵素を触媒として厳密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エステル(ステップ130)の合成反応を行い(ステップ121)、更に、食品として適当な品質を得るために数段階の精製処理(ステップ131,1
    41,151)を施して、トランス型脂肪酸をはじめとする劣化した脂肪酸を殆ど含まない、安全性の高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステル(ステップ160)
    を酵素的に製造するものである。

    【0021】ここで、本発明に係わる請求項1の発明は、 ステロールを含む画分とトリアシルグリセロールを
    主成分とする油脂に脂質分解活性を有する酵素を添加し
    てステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成された
    ステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加
    えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法に
    おいて、 ステロール原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、 第1の分子蒸
    留処理によって主として脂肪酸類の除去を行ってステロールを含む画分を回収し、回収されたステロールを含む画分にトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を温度および水分含量が制御された系内で一定時間行い、 さらに、第1の精製工程として第2の分子蒸留処理によって主として未反応のステロールや脂肪酸の除去を行い、第2の精製工程として吸着剤処理によって主として色素成分の除去を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行うとともに精製温度を制御してトランス型脂肪酸の生成を抑制し、食品用の優れた物性を有し、且つ官能面および安全面において優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする。

    【0022】また、請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、上記加水分解反応は脱臭スカム油中のトランス型脂肪酸や酸化脂肪酸等の劣化した脂肪酸を遊離
    酸として除きやすい形態にするために行われることを特徴とする。

    【0023】また、請求項3の発明は、請求項1記載の発明において、 ステロール原料として大豆油の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする。

    【0024】また、請求項4の発明は、請求項1記載の発明において、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行う際に、酸またはアルカリ触媒による加水分解反応を行うことを特徴とする。

    【0025】また、請求項5の発明は、請求項1記載の発明において、 第1の分子蒸留処理によって主として脂肪酸類の除去を行って、ステロールを含む画分を回収する際に、13.3Pa以下、100〜200℃で処理することを特徴とする。

    【0026】また、請求項6の発明は、請求項1記載の発明において、 第1の分子蒸留処理によって主として脂肪酸類の除去を行って、ステロールを含む画分を回収する際に、13.3Pa以下、100〜200℃で処理することにより残存画分としてステロールを含む画分を回収し、さらに得られたステロールを含む画分を更に13.3Pa以下、170
    〜250℃で処理することにより留出画分としてステロールを含む画分を回収することを特徴とする。

    【0027】また、請求項7の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分にトリ
    アシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてステロール脂肪酸エステルの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする。

    【0028】また、請求項8の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分にトリ
    アシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてシュードモナス( Pseudomonas )属由来のステロール脂肪酸エステルの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする。

    【0029】また、請求項9の発明は、請求項7又は8
    記載の発明において、上記脂質分解活性を有する酵素はコレステロールエステラーゼであることを特徴とする。

    【0030】また、請求項10の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてトリアシルグリセロールの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする。

    【0031】また、請求項11の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、脂質分解活性を有する酵素としてキャンディダ( Candida )属由来のトリアシルグリセロールの分解活性を有する酵素を用いることを特徴とする。

    【0032】また、請求項12の発明は、請求項10又は11記載の発明において、上記脂質分解活性を有する酵素はリパーゼであることを特徴とする。

    【0033】また、請求項13の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に
    リアシルグリセロールを主成分とする油脂を添加したものを原料として、脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を、温度および水分含量が制御された系内で一定時間行う際に、トリアシルグリセロールを主成分とする油脂に対して0.1〜50重量%
    の水分の存在下で、30〜60℃の範囲で、48時間以内の反応を行うことを特徴とする。

    【0034】また、請求項14の発明は、請求項1記載の発明において、第1の精製工程として第2の分子蒸留
    処理によって主として未反応のステロールおよび脂肪酸の除去を行う際に、13.3Pa以下、100〜250℃で処理することを特徴とする。

    【0035】また、請求項15の発明は、請求項1記載の発明において、第2の精製工程として吸着剤処理によって主として色素成分の除去を行う際に、吸着剤として、処理原料重量に対して0.1〜50%の活性白土、シリカゲル、活性炭のいずれかの単一物、あるいは二種類以上の混合物を用いて、100℃以下で処理することを特徴とする。

    【0036】また、請求項16の発明は、請求項1記載の発明において、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理によって主として臭気成分の除去を行う際に、13.3kPa
    以下、50〜150℃で処理することを特徴とする。

    【0037】また、請求項17の発明は、請求項1記載の発明において、製品として得られるステロール脂肪酸エステル中のステロール脂肪酸エステル含量が90重量%
    以上であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であり、且つ過酸化物価が10以下であり、且つ酸価が1以下であり、且つ色が6以下(ガードナー法)であり、且つ官能的に殆ど無臭であることを特徴とする。

    【0038】また、請求項18の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として、大豆油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が20〜40℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする。

    【0039】また、請求項19の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として菜種油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が20〜40℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする。

    【0040】また、請求項20の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてオリーブ油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が25〜45℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする。

    【0041】また、請求項21の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてパーム油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が40〜100℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする。

    【0042】また、請求項22の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂としてパーム油を使用し、且つ、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が40〜100℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が1%以下であることを特徴とする。

    【0043】また、請求項23の発明は、請求項1記載の発明において、回収されたステロールを含む画分に添加するトリアシルグリセロールを主成分とする油脂として魚油を使用し、その際に製品として得られるステロール脂肪酸エステルの融点が-10〜20℃であり、且つステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であることを特徴とする。

    【0044】以下、本発明を図1を参照しながら詳細に説明する。

    【0045】まずはじめに、ステップ100の脱臭スカム油の分解に関する工程について説明する。

    【0046】本発明において、原料として使用される脱臭スカム油としては、植物油脂の脱臭工程で発生するものであれば任意の植物油に由来する脱臭スカム油を用いることができ、例えば大豆脱臭スカム油、菜種脱臭スカム油、パーム脱臭スカム油などがあげられ、その他、ヒマワリ油、米ぬか油、コーン油、サフラワー油などに由来する脱臭スカム油も使用できる。 これらの脱臭スカム油中には、遊離ステロール、遊離脂肪酸をはじめとして、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、
    モノアシルグリセロール、トコフェロール、カロチン、
    ワックスなどが含まれている。

    【0047】このうち、遊離ステロールとしてはβ-シトステロールをはじめとして、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール、コレステロールなどが含まれており、一方、遊離脂肪酸あるいはトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールに結合している脂肪酸としては、リノール酸をはじめとして、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、α-リノレン酸、ミリスチン酸などが含まれている。 これらの脂肪酸のうち、不飽和結合を比較的多く持つリノール酸などではトランス型脂肪酸の割合が高く、リノール酸を多く含む大豆脱臭スカム油では、そのトランス型脂肪酸含量も高いものと考えられる。

    【0048】また、上記のごとき脱臭スカム油には、通常、色素成分やその他の固形物が含まれている場合が多いことから、そのままステロール脂肪酸エステルの合成に用いた場合、脱色、脱臭などの精製工程において困難が生じる可能性が高い。

    【0049】そこで、本発明においては、予め脱臭スカム油中に含まれているトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を加水分解し(ステップ101)、その後生成した脂肪酸類(ステップ110)を分子蒸留(第
    1の分子蒸留処理) (ステップ111)によって除去した後に得られるステロールを含む画分(ステップ12
    0)をステロール脂肪酸エステル合成反応の基質とする。

    【0050】こうして、予めトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を遊離脂肪酸にし(ステップ11
    0)、劣化したトランス型脂肪酸や酸化脂肪酸を分子蒸留(ステップ111)によって除去しやすくする。

    【0051】予め脱臭スカム油中に含まれているトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を加水分解する際に使用する触媒としては、酸、アルカリなどの化学触媒が挙げられ、食品に使用可能なものであればいずれを用いてもよいが、例えば酸としては塩酸、硫酸などが、また、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが用いられる。

    【0052】尚、一般に脂肪酸エステル類の加水分解には、化学触媒の他に、すでに述べたようにリパーゼ等の脂質分解活性を有する酵素を用いることができるが、本発明において、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解を行う際にリパーゼなどを使用すると、トリアシルグリセロール類の分解と同時に、ステロール脂肪酸エステルの合成反応が進行するため、本発明中の脂肪酸エステル類の加水分解においてリパーゼ等の脂質分解活性を有する酵素を用いることは適切ではない。

    【0053】脂肪酸エステル類の加水分解反応(ステップ101)における触媒の濃度、反応温度、反応時間は任意に設定できるが、過度の反応は脱臭スカム油中の各成分の劣化を引き起こし、着色などの好ましくない現象を引き起こすことから、150℃以下で数時間以内に反応を終了することが望ましい。

    【0054】反応終了後は、適当な酸またはアルカリによって中和を行い、続けて水洗によって化学触媒や生成したグリセリン、塩類などの除去を行う。 水洗後は、油水分離後、減圧下、60〜120℃程度で一定時間加熱することにより脱水を行う(ステップ110)。

    【0055】上記脱水処理後の脱臭スカム(ステップ1
    10)は分子蒸留処理によって分画を行う(ステップ1
    11)。 本発明においては、劣化した脂肪酸類として存在するトランス型脂肪酸や脂肪酸の過酸化物など(ステップ112,113)を除去することが目的であり、1
    3.3Pa以下、100〜200℃で処理して、留出画分として脂肪酸類を除去して、残存画分としてステロールを含む画分を得る(ステップ120)。

    【0056】また、脱臭スカム油中に含まれている色素成分やその他の固形物を除くために、先の分子蒸留処理(ステップ111)によって得られた残存画分(ステップ120)を再び13.3Pa以下、170〜250℃で処理して、
    留出画分としてステロールが含まれた画分(ステップ1
    20)を得ることができる。 これにより、後の精製工程において、特に脱色、脱臭工程が容易に行えることとなり、また、得られる製品において特に色、におい、味などの点で非常に優れたものを得ることができる。

    【0057】次に、ステップ121,122,130のステロール脂肪酸エステルの合成に関する工程について説明する。 これによって、ステロール脂肪酸エステル(ステップ130)が生成される。

    【0058】前述の脱臭スカム油の分解および蒸留によって得られたステロールを含む画分(ステップ120の画分)を一方の原料とし、任意のトリアシルグリセロールを主成分とする油脂(ステップ122)を他方の原料としてステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う。

    【0059】トリアシルグリセロールを主成分とする油脂としては、大豆油、菜種油、オリーブ油、パーム油、
    ひまわり油、サフラワー油、コーン油、綿実油、ゴマ油、米ぬか油、ヤシ油、落花生油脂、豚脂、鶏脂、
    魚油などが挙げられるが、これらの油脂は単独で用いても、あるいは二種類以上を混合したものを用いてもよい。 本発明においては、任意の油脂を採用することにより、所望する特定の融点をもつステロール脂肪酸エステルを得ることができる。

    【0060】また、近年、特定の脂肪酸に生理活性が見出されることが知られており、本発明においては、脂肪酸の生理機能に着目して、所望の脂肪酸を多く含む油脂を選択することもできる。

    【0061】油脂の添加量としては、ステロールを含む画分に対して、50〜500重量%であるとよいが、より好ましくは100〜300重量%である。

    【0062】ステロール脂肪酸エステルの合成反応において触媒として使用される脂質分解活性を有する酵素としてはリパーゼやコレステロールエステラーゼが挙げられる。 これらは、各種生物、動物、植物起源のいずれでも良く、微生物起源のものとしては、例えばシュードモナス( Pseudomonas )属、アルカリゲネス( Alcalig en
    es )属、キャンディダ( Candida )属、ムコール( Muco
    r )属、リゾプス( Rhizopus )属、ジオトリカム( Geotr
    icum )属由来の脂質分解活性を有する酵素などが挙げられ、動物起源のものとしては、ブタ膵臓由来の脂質分解活性を有する酵素などが挙げられる。

    【0063】また、本発明において用いられる酵素は、
    ステロール脂肪酸エステルの分解活性を有する酵素(コレステロールエステラーゼ)か、あるいはトリアシルグリセロールの分解活性を有する酵素(リパーゼ)であり、前者の例としてはシュードモナス( Pseudomonas
    属由来の酵素などが挙げられ、後者の例としてはアルカリゲネス( Alcaligenes )属、キャンディダ( Candida
    属などが挙げられる。 尚、ステロール脂肪酸エステルの分解活性とトリアシルグリセロールの分解活性を併せ持つ酵素も数多く知られており、本発明においてはステロール脂肪酸エステルの合成反応を触媒することが可能な脂質分解活性を有する酵素であれば、酵素分類学上の定義によって制約されない。

    【0064】尚、高温条件下でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う場合には、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いてもよい。 また、酵素は精製されたものであっても、粗精製のものであってもよく、また、微生物由来の脂質分解活性を有する酵素を使用する場合は、菌体そのものを用いても、培養液を用いてもよい。
    さらに、上記酵素は遊離型のものでもよく、セライト等の各種担体によって固定化されたものでもよい。

    【0065】本発明で用いられる脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応条件としては、色、におい、味などの官能面における品質はもとより、安全性を考慮した、食品として適当な品質を有する製品を安価に得るために厳密に制御する必要性がある。 以下に合成反応条件について述べる。

    【0066】使用する酵素量は処理原料中に含まれるステロール1g当たり50,000単位以下、より好ましくは10,0
    00単位以下にするとよい(1単位とはオリーブ油から1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する酵素量とする)。 製造工程中の加熱処理による劣化を防ぎ、また、
    より低コストに製品を得るためには酵素使用量をできる限り低減することが望ましく、処理原料中に含まれるステロール1g当たり5,000単位以下にするとよい。 更に合成反応中に酵素を段階的に添加することで酵素使用量を低減することも可能である。

    【0067】本発明においては、水分が全く存在しないか或いは非常に微量に存在する場合には、トリアシルグリセロールあるいは微量のジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールが残存する可能性が非常に高く、後の精製工程で除くことが困難になることから、予め0.1
    %以上の水分を添加して酵素反応を行うことが望ましい。 0.1%以上の水分存在下で酵素反応を行うことによりトリアシルグリセロールおよび共存するジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールなどは加水分解反応を受けることになり、遊離脂肪酸とグリセリンに分解され、分解によって生成した脂肪酸もまたステロール脂肪酸エステルのエステル合成反応の基質となる。

    【0068】また、合成反応そのものは水の添加を増やすことにより反応効率が高められるが、一方で、添加した水をステロール脂肪酸エステル合成後の精製工程において除去しなければならないことから、製造費用を圧縮するためにも水の使用量は最小限に止める必要性があり、原料となるステロール画分に対して300重量%以下であることが望ましい。

    【0069】温度および時間については、反応中の熱劣化を極力抑える為に低温、短時間で行うことが望ましく、通常は30〜60℃で48時間以内であるとよい。 尚、低温で処理する場合には、低温で活性を発現しやすい脂質分解活性を有する酵素を用いるとよい。

    【0070】また、その一方で、原料となるステロール類は融点が非常に高いために、もう一方の基質である脂肪酸類との溶解性が非常に悪く、ステロール脂肪酸エステルの合成反応効率が低い場合がある。 この問題を解消するために、より高温で合成反応を行うことも可能であり、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いて、50〜
    90℃で24時間以内で反応を行うとよい。 この際には、反応中の熱劣化が更に激しく進むこと、また、反応中に酵素が失活する可能性があることから、ステロール脂肪酸エステルの加熱劣化及び酸化劣化を防止するために、ビタミンEや茶ポリフェノール等の酸化防止効果を有する物質を添加し、また、酵素の失活を防止するために胆汁酸塩等の塩類や糖類、蛋白質などの酵素失活を防止する物質を添加してもよい。

    【0071】尚、本反応では合成反応効率を高めるために、通常、撹拌を行いながら反応させるが、場合によっては静置反応も可能である。 静置反応を行う場合には乳化剤などを添加してもよい。 また、ヘキサン等の有機溶媒を使用することによって、反応効率を高めることもできるが、その場合は溶媒除去が必要となり、製造コストの上昇を招く可能性がある。

    【0072】ステロール脂肪酸エステルの合成反応後は酵素の失活処理、脱水処理、酵素蛋白質の除去を行う。
    酵素の失活処理は60〜100℃で30〜120分程度撹拌することにより達成できる。 脱水処理については、減圧条件下において60〜120℃で一定時間処理することによって行う。 酵素蛋白質の除去は通常の濾紙や濾布、或いは濾過フィルターを用いることができるが、その際に酵素蛋白質の除去が不十分である場合、その後の工程において、
    加熱による着色などの品質劣化を生じやすくなることから、より完全に酵素蛋白質の除去を行うことが必要であり、濾過前に珪藻土や白土などの濾過助剤を予め添加、
    撹拌した後に濾過することによって、効率的に実施することができる。 以上がステロール脂肪酸エステルの合成に関する工程である。

    【0073】次にステロール脂肪酸エステルの精製方法について述べる。

    【0074】本発明では、色、におい、味などの食品として適当な品質を有し、なおかつ安全面において優れたステロール脂肪酸エステルを低コストに得るために、前述の合成反応後の精製を慎重に行わなければならない。
    特に高温での処理はトランス型脂肪酸や過酸化物などの生成を新たに引き起こす可能性があることから、温度管理を厳密に行わなければならない。

    【0075】まず、第1の精製工程として分子蒸留処理
    (第2の分子蒸留処理) (ステップ131)によって主として未反応のステロール、脂肪酸類(ステップ13
    2)を除去する。 酵素蛋白質の除去処理後のステロール脂肪酸エステル(反応生成物)中には未反応のステロール、脂肪酸、その他の微量成分が含まれており、これらを除去しなければならない。

    【0076】本発明においては、まず、ステロール、脂肪酸(ステップ132)などを効率よく除去するために分子蒸留処理(ステップ131)を施す。 その際には製品となるステロール脂肪酸エステルは残存画分(ステップ140)として得られ、未反応のステロール、脂肪酸及び一部の臭気成分が留出画分(ステップ132)として除去される。 分子蒸留を行う装置としては流下薄膜式、遠心式、さらにはその他の短行程蒸留装置など挙げられるが、所望する真空度、温度を達成することができ、目的とする遊離ステロール、遊離脂肪酸およびその他の微量成分を除去できるものであれば、いずれの蒸留装置を用いてもよい。

    【0077】分子蒸留条件としては、133Pa以下、100〜
    300℃が望ましいが、好ましくは13.3Pa以下、100〜250
    ℃であるとよい。 尚、分子蒸留操作は複数回繰り返して行ってもよい。 尚、第3の精製工程である水蒸気蒸留処理(ステップ151)では除去しきれない臭気成分を本工程によって除くことが可能であり、また、一方で本工程によって若干の加熱臭が発生する場合があることから、臭気成分が効率よく除去された製品を得るためには、水蒸気蒸留処理(ステップ151)の前に、分子蒸留処理を行う必要がある。

    【0078】引き続いて、第2の精製工程(ステップ1
    41)として主として色素成分(ステップ142)などの除去を行う。 分子蒸留処理後のステロール脂肪酸エステル(ステップ140)には原料由来の色素成分や、分子蒸留中の加熱によって生成した色素成分、臭気成分などが含まれている。

    【0079】本発明では、色素成分(ステップ142)
    を効率よく除去するために吸着剤処理(ステップ14
    1)を施す。 この場合に使用する吸着剤としては、通常の油脂精製に使用される活性白土、酸性白土、活性炭、
    シリカ、シリカマグネシア等が用いられるが、好ましくは活性白土、活性炭、シリカのいずれかを用いるとよい。 これらは単独で用いても、二種類以上を混合したものを用いてもよい。 これらの吸着剤は処理原料に対して
    0.1〜50重量%添加するとよいが、より好ましくは1〜20
    %重量添加するとよい。 また、より効率良く脱色を行うために、ヘキサン等の非極性溶媒中で前述の吸着剤を処理してもよい。 使用する溶媒は処理原料に対して、0.1
    〜50倍重量であることが好ましいが、より好ましくは0.
    5〜20倍重量であるとよい。 非極性溶媒を使用しない場合は、吸着剤を添加し40〜150℃で、一定時間撹拌する。 常圧で行うこともできるが、処理原料の劣化を抑制し、かつ効率よく脱色するために減圧下で行うと更によい。 圧力は低い方が好ましく13.3kPa以下で行うとよい。 吸着剤処理後の吸着剤除去は通常の濾紙や濾布、或いは濾過フィルターを用いることができるが、濾過前に珪藻土などの濾過助剤を予め添加、撹拌した後に濾過することによって、効率的に実施することができる。 また、非極性溶媒を使用する場合には、あらかじめ処理原料を非極性溶媒に溶解し、その後吸着剤を添加して0〜6
    0℃で一定時間撹拌する。 前述と同様に吸着剤除去を行い、その後、蒸留法によって非極性溶媒を除去する。 より完全に色素成分を除去する場合や、処理原料の色が悪い場合には、上記のような吸着剤処理を数回繰り返して行うとよい。 繰り返して行う場合は、吸着剤の濾過後に再び任意の吸着剤を添加し、同様な処理を行う。 非極性溶媒を用いる場合は、吸着剤の添加、撹拌、濾過を行った後に、溶媒除去を行うことなく再び吸着剤を添加し、
    同様に処理する。 溶媒除去は最終の濾過が終わった後に行う。

    【0080】尚、以上のような吸着剤処理を行う前に、
    酸処理、アルカリ処理などを施すことにより更に効果的に脱色された製品を得ることができる。 その際には、ヘキサン等の非極性溶媒に処理原料を溶解してミセラ状態とし、酸処理、アルカリ処理などを行ってもよい。 尚、
    本工程において同時に臭気成分が生成または付着する可能性があることから、以上の吸着剤処理(ステップ14
    1)は分子蒸留処理(ステップ131)後で、且つ水蒸気蒸留後処理(ステップ151)前に実施する必要性がある。

    【0081】こうして色素成分(ステップ142)が除去されたステロール脂肪酸エステル(ステップ150)
    が得られると、最後に第3の精製工程として、水蒸気蒸留処理(ステップ151)によって臭気成分(ステップ152)などの除去を行う。 脱色後のステロール脂肪酸エステルを食品として使用するためには、原料に由来する臭気成分や前述までの工程において発生した臭気成分を除かなければならない。 また、有機溶媒を用いて脱色処理を行った場合は、溶媒除去処理後においても、有機溶媒が残存している可能性があることから、それらを完全に除かなければならない。 そこで、水蒸気蒸留処理によって、上記の臭気成分や残存溶媒をほぼ完全に除去することが可能である。 水蒸気蒸留を行う装置としては、
    連続式、半連続式、バッチ式のものを使用できるが、どの方式の装置を用いても構わない。 水蒸気蒸留条件としては、13.3kPa以下、50〜200℃が望ましいが、好ましくは1330Pa以下、50〜150℃とするとよい。 水蒸気蒸留操作は複数回繰り返して行ってもよい。

    【0082】一般に脱臭目的で実施される水蒸気蒸留処理を高温で実施することにより、トランス型脂肪酸が顕著に生成することが知られており、本発明においては、
    少なくとも200℃以下、好ましくは150℃以下で水蒸気蒸留処理を行うことが重要である。 また、先に記述したように、水蒸気蒸留(ステップ151)のみでは除去しきれない臭気成分を完全に取り除くためには、水蒸気蒸留処理(ステップ151)と分子蒸留処理(ステップ13
    1)を共に実施する必要性があり、その際には水蒸気蒸留処理(ステップ151)の前に分子蒸留処理(ステップ131)を行うことが重要である。

    【0083】本発明によって最終的に得られる製品としてのステロール脂肪酸エステル(ステップ160)は、
    殆ど無味、無臭であり、かつ無色あるいは淡黄色を呈し、さらにはトランス型脂肪酸を全く、或いは殆ど含まない、安全面において優れた、一般食品、健康食品、医薬品素材として適切な品質を有するものである。

    【0084】このステロール脂肪酸エステルにはコレステロール低下作用が期待されており、機能性素材としてマーガリン、ドレッシングなどの一般食品への添加が検討されており、本発明によれば、所望の融点を示す製品が得られることから、より広範囲の食品への応用が期待されるものである。

    【0085】また、任意の脂肪酸を多く含むステロール脂肪酸エステルは、脂肪酸の機能性をも意図した生理活性の高い新たな素材として、健康食品や将来的には医薬品等への利用も期待されるものである。

    【0086】

    【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

    【0087】

    【実施例1】大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3
    %)200gに0.2Nのエタノール性水酸化カリウム(KOH)1
    0mlを加え、60℃で2時間撹拌してトリアシルグリセロールをはじめとする脂肪酸エステル類の分解を行った。 その後、0.4Nの塩酸により中和を行い、水洗を行ってエタノール、KCl、KOHおよびグリセリンを除去し、減圧下、
    80℃で脱水処理を行った。 続いて、遠心式分子蒸留装置によって真空度1.5Pa、蒸発面温度170℃で分子蒸留処理を行い、主として脂肪酸を留出画分として除去し、ステロールを含む残存画分28gを回収した。

    【0088】次に回収した上記のステロールを含む画分
    25gと大豆精製油50gを混合したものに対して、水25ml
    にシュードモナス( Pseudomonas )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(50,000ユニット/g)1.0gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理を行い、湯洗後、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土1gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。

    【0089】引き続いて、まず第2の精製工程として遠心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230
    ℃で分子蒸留処理を行い、未反応の脂肪酸およびステロールを留出画分として除去した。 次に、第2の精製工程としてステロール脂肪酸エステルを含む残存画分に対して10%の活性白土を添加して、減圧下、80℃で30分撹拌し、その後濾過によって色素成分が吸着された活性白土を除去した。 最後に、第3の精製工程としてバッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真空度500Pa、蒸留温度150℃、
    蒸留時間1時間で水蒸気蒸留処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル34gを得ることができた。

    【0090】得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、融点は30.1℃で、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.2%であった。 分析結果は表1に示す。

    【0091】

    【実施例2】実施例1と同様にエタノール性水酸化カリウムによる加水分解を行って得られたものを、遠心式分子蒸留装置によって真空度1.5Pa、蒸発面温度170℃で分子蒸留処理を行って、主として脂肪酸を留出画分として除去し、回収されたステロールを含む残存画分を更に真空度1.5Pa、蒸発面温度230℃で分子蒸留処理を行って、
    留出画分としてステロールを含む画分22gを回収した。

    【0092】次に回収したステロールを含む画分20gと大豆精製油40gを混合したものに対して、水20mlにアルカリゲネス( Alcaligenes )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(90,000ユニット/g)0.4gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、実施例1と同様に酵素失活処理、湯洗、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行った。

    【0093】引き続いて、実施例1と同様に第2の精製工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理を行ってステロール脂肪酸エステル29gを得ることができた。

    【0094】得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭でほぼ無色であり、融点は31.5℃であった。 また、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.3
    %であった。 分析結果は表1に示す。

    【0095】

    【実施例3】実施例1と同様な操作を行って回収したステロールを含む画分25gと菜種精製油50gを混合したものに対して、水25mlにムコール( Mucor )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(80,000ユニット/g)0.5gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、実施例1と同様に酵素失活処理、湯洗、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行った。

    【0096】引き続いて、実施例1と同様に第2の精製工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理を行ってステロール脂肪酸エステル35gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、融点は31.2℃であった。 また、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.0%であった。 分析結果は表1に示す。

    【0097】

    【実施例4】実施例1と同様な操作を行って回収したステロールを含む画分25gとオリーブ精製油50gを混合したものに対して、水25mlにキャンディダ( Candida )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(360,000ユニット/g)0.2gを懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、実施例1と同様に酵素失活処理、湯洗、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行った。

    【0098】引き続いて、実施例1と同様に第2の精製工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理を行ってステロール脂肪酸エステル36gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、融点は34.7℃であった。 また、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は0.4%であった。 分析結果は表1に示す。

    【0099】

    【実施例5】実施例1と同様な操作を行って回収したステロールを含む画分25gとパーム精製油50gを混合したものに対して、水25mlに耐熱性を有するリゾプス( Rhiz
    opus )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(60,000
    ユニット/g)0.5gを懸濁したものを加え、60℃で12時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、実施例1と同様に酵素失活処理、湯洗、脱水処理、
    酵素蛋白質除去処理を行った。

    【0100】引き続いて、実施例1と同様に第2の精製工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理を行ってステロール脂肪酸エステル32gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、融点は68.5℃であった。 また、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は0.2%であった。 分析結果は表1に示す。

    【0101】

    【実施例6】実施例1と同様な操作を行って回収したステロールを含む画分25gと精製マグロ油50gを混合したものに対して、水25mlにムコール( Mucor )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(80,000ユニット/g)0.5g
    を懸濁したものを加え、40℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、実施例1と同様に酵素失活処理、湯洗、脱水処理、酵素蛋白質除去処理を行った。

    【0102】引き続いて、実施例1と同様に第2の精製工程として分子蒸留処理を行い、第2の精製工程として吸着剤処理を行い、第3の精製工程として水蒸気蒸留処理を行ってステロール脂肪酸エステル35gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、融点は15.1℃であった。 また、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.8%であった。 分析結果は表1に示す。

    【0103】

    【比較例1】実施例1で使用した大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3%)200gに対して、シュードモナス( Pseudomonas )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(50,000ユニット/g)4.0gを懸濁したものを加え、40
    ℃で48時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、湯洗後、100℃で脱水処理を行った後、
    酵素蛋白質除去のために濾過を行った。

    【0104】引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230℃で分子蒸留処理を行い、
    ステロール脂肪酸エステル43gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、非常に強い苦味と強い異臭があり、褐色を呈していた。 融点は29.8℃で、
    構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は4.8%であった。 またステロール脂肪酸エステル含量は59.2%であった。 分析結果は表2に示す。

    【0105】

    【比較例2】実施例1で使用した大豆脱臭スカム油(ステロール含量12.3%)200gに対して、アルカリゲネス( Alcaligenes )属由来の脂質分解活性を有する酵素粉末(90,000ユニット/g)0.6gを懸濁したものを加え、40
    ℃で24時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、湯洗後、100℃で脱水処理を行った後、
    酵素蛋白質除去のために濾過を行った。

    【0106】引き続いて、遠心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230℃で分子蒸留処理を行い、
    未反応の脂肪酸およびステロールを留出画分として除去し、次に、バッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真空度1k
    Pa、蒸留温度250℃、蒸留時間2時間で水蒸気蒸留処理を行い、ステロール脂肪酸エステル41gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、弱い苦味と焦げ臭があり、濃い黄色を呈していた。 融点は30.5℃
    で、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は7.5%であった。 またステロール脂肪酸エステル含量は58.9%であった。 分析結果は表2に示す。

    【0107】

    【比較例3】実施例1と同様に脱臭スカムに対して、脂肪酸エステル類の加水分解および分子蒸留処理を行い、
    続いてステロール脂肪酸エステルの合成反応を行って得られた脱水処理物に対して、遠心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発面温度230℃で分子蒸留処理を行い、未反応の脂肪酸およびステロールを留出画分として除去し、次に、バッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真空度500Pa、蒸留温度150℃、蒸留時間1時間で水蒸気蒸留処理を行った。 最後に10%の活性白土を添加して、減圧下、80℃で30分撹拌し、その後濾過によってステロール脂肪酸エステル35gを得ることができた。 得られたステロール脂肪酸エステルは、淡黄色であり、苦味と異臭が感じられた。 融点は30.6℃で、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.7%であった。 またステロール脂肪酸エステル含量は95.2%であった。 分析結果は表2に示す。

    【0108】

    【表1】

    【0109】

    【表2】

    【0110】

    【発明の効果】以上説明したように、本発明では、まず、植物油脂の精製工程の一つである脱臭工程において揮発性成分を含む留出分として発生する脱臭スカム油を原料とし、脱臭スカム油中に含まれるトリアシルグリセロールなどの脂肪酸エステル類を予め化学触媒による加水分解反応によって分解して、生成した脂肪酸類を第1
    の分子蒸留により除去し、ステロールを含む画分を得る。 引き続いて、ステロールを含む画分に任意のトリアシルグリセロールを主成分とする油脂を加えたものを原料として、脂質分解活性を有する酵素を触媒として厳密に制御された反応条件でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、更に、食品として適当な品質を得るために数段階の精製処理を施して、トランス型脂肪酸をはじめとする劣化した脂肪酸を殆ど含まない、安全性の高い安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを酵素的に製造することが出来るという効果を奏する。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の概要を示す全体構成図。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 昌二 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研 株式会社内 (72)発明者 佐藤 ふみ 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−296894(JP,A) 特開 昭53−106710(JP,A) 特開 昭61−204197(JP,A) 特開2000−302777(JP,A) 特開 昭49−489(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C07J 1/00 - 75/00 WPI(DIALOG)

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