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研磨液組成物の製造方法

阅读:438发布:2024-01-09

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一次粒子の平均粒子径が1nm以上100nm以下のコロイダルシリカを含有する被処理シリカ分散液を、珪藻土を含むフィルタでろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、前記被処理シリカ分散液は、pHが5.0以下であり、かつ、前記コロイダルシリカの含有量が20質量%未満である、研磨液組成物の製造方法。前記被処理シリカ分散液が、酸化剤、アニオン性基を有する溶性高分子、複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、及び、脂環式アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種類を含有する、請求項1に記載の研磨液組成物の製造方法。前記被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカの含有量が、15質量%未満である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物の製造方法。コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、15nm以上40nm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物の製造方法。使用時の状態に調製した研磨液組成物を用いた研磨の一工程として実施される、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物の製造方法。請求項1から5いずれかに記載の製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、 前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む、磁気ディスク基板の製造方法。請求項1から5いずれかに記載の製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、 前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む、基板の研磨方法。

说明书全文

本開示は、研磨液組成物の製造方法、並びに、該製造方法により製造される研磨液組成物を用いた磁気ディスク基板の製造方法及び基板の研磨方法に関する。

近年のメモリーハードディスクドライブには、高容量・小径化が求められ、記録密度を上げるために磁気ヘッドの浮上量を低下させて、単位記録面積を小さくすることが求められている。それに伴い、磁気ディスク用基板の製造工程においても研磨後に要求される表面品質は年々厳しくなってきている。即ち、ヘッドの低浮上化に応じて、表面粗さ、微小うねり、ロールオフ及び突起を低減する必要があり、単位記録面積の減少に応じて、許容される基板面当たりのスクラッチ数は少なく、その大きさと深さはますます小さくなってきている。

また、半導体分野においても、高集積化と高速化が進んでおり、特に高集積化では配線の微細化が要求されている。その結果、半導体基板の製造プロセスにおいては、フォトレジストに露光する際の焦点深度が浅くなり、より一層の表面平滑性が望まれている。

このような要求に対して、表面平滑性の向上を目的に、被研磨物の表面に生じる傷(スクラッチ)の低減を図るべく、研磨材のスラリー原料を、ろ過助剤として珪藻土を利用したフィルタを用いてろ過処理することが開示されている(特許文献1)。

特開2012-86357号公報

より高容量、高集積といった高密度化に対応するためには、基板表面のスクラッチをいっそう低減することが要求される。したがって、本開示は、一又は複数の実施形態において、研磨後の被研磨物表面スクラッチの原因物質を低減できる研磨液組成物の製造方法を提供する。

本開示は、一又は複数の実施形態において、一次粒子の平均粒子径が1nm以上100nm以下のコロイダルシリカを含有する被処理シリカ分散液を、ろ過助剤を含むフィルタ(以下、「ろ過助剤含有フィルタ」ということがある。)でろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、前記被処理シリカ分散液は、pHが5.0以下であり、かつ、前記コロイダルシリカの含有量が20質量%未満である、研磨液組成物の製造方法(以下、「本開示に係る製造方法」ともいう。)に関する。

また、本開示は、一又は複数の実施形態において、本開示に係る製造方法により製造された研磨液組成物を用いる研磨方法、又は、磁気ディスク基板の製造方法に関する。更に、本開示は、一又は複数の実施形態において、ろ過助剤を含むろ過フィルタを備えるろ過処理装置と、研磨機とを含む研磨システムに関する。

本開示に係る製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、スクラッチの原因物質が低減された研磨液組成物を製造できる。また、本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、pH調整や希釈等により使用時の状態(POU)に調製した研磨液組成物を用いた研磨の一工程として実施することができ、研磨システムの一連の工程において容易にスクラッチの原因物質を除去できるようになる。

ろ過助剤を含むフィルタを用いた被処理シリカ分散液のろ過処理は、従来、特許文献1の[0064]段落に記載のように、pH9〜11といった高いpHの被処理シリカ分散液で行われていた。これは、粗大粒子の発生抑制及びコロイダルシリカの安定性を向上させる観点からであった。また、該ろ過処理に供する被処理シリカ分散液のシリカ濃度は、特許文献1の[0055]段落に記載のように、30〜40質量%が更により好ましいとされていた。

つまり、従来、濾過工程の効率化と高精度を考えた場合には、例えば、コロイダルシリカの量は高濃度でも十分であり、できれば電気的な相互作用により濾過により除外したい物質への影響を避けるためにpHはアルカリ性域で行うことが好ましいことが知られていたのである。

しかし、意外なことに、該特許文献1の開示とは反対に、低いpHかつ低いシリカ含有量の被処理シリカ分散液の方が、従来の前記条件よりも、ろ過助剤を含むフィルタを用いたろ過処理におけるスクラッチ原因物質の除去効果が向上すること、すなわち、ろ過精度が向上することが見出された。

そこで、本開示に係る製造方法は、一又は複数の実施形態において、一次粒子の平均粒子径が1nm以上100nm以下のコロイダルシリカを含有する被処理シリカ分散液を、ろ過助剤含有フィルタでろ過処理する工程を有し、前記被処理シリカ分散液が、pHが5.0以下であり、かつ、前記コロイダルシリカの含有量が20質量%未満である、研磨液組成物の製造方法である。

本開示に係る製造方法にてろ過精度が向上するメカニズムの詳細は明らかではいが、被処理シリカ分散液におけるシリカ凝集物やゲル化物等のスクラッチ原因物質が、「低いpH」かつ「低いシリカ含有量」という2条件が同時に満たされることで、ろ過助剤との静電的な反発作用が低下すると同時に濾過助剤との接触確率が向上し、ろ過助剤含有フィルタにより除去され易くなったためであると推定される。但し、本開示はこの推定に限定して解釈されなくてもよい。

[被処理シリカ分散液] 本開示において、「被処理シリカ分散液」は、ろ過助剤含有フィルタによるろ過処理に供される前のシリカスラリー(シリカ分散液)をいう。被処理シリカ分散液は、コロイダルシリカ及び水を含有する。被処理シリカ分散液の状態としては、コロイダルシリカが分散した状態が好ましい。

一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液は、基板の研磨に用いる研磨液組成物に配合され得る他の成分を含有する。被処理シリカ分散液が研磨液組成物の成分を含有することで、ろ過処理後シリカ分散液をそのまま研磨液組成物とすることができ、あるいは、ろ過処理後シリカ分散液からの研磨液組成物の製造を容易にすることができる。よって、被処理シリカ分散液がPOUの研磨液組成物の成分を含有する実施形態は、本開示に係る製造方法を研磨システムの一連の工程の中の一工程として行い易い点で好ましい。

<コロイダルシリカ> 被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカは、一又は複数の実施形態において、珪酸水溶液から生成させる製法によって得ることができる。また、これら研磨粒子を官能基で表面修飾あるいは表面改質したもの、界面活性剤や他の研磨材で複合粒子化したもの等も用いることができる。

コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、ろ過精度向上の観点から、1nm以上100nm以下であり、5nm以上60nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以上50nm以下、更に好ましくは15nm以上40nm以下、更により好ましくは20nm以上30nm以下である。ここで、コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法により測定される値である。

被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカの含有量は、ろ過精度向上の観点から、20質量%未満であって、好ましくは18質量%未満、より好ましくは15質量%未満、更に好ましくは12質量%未満、更により好ましくは10質量%未満である。一方、ろ過精度向上の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更により好ましくは5質量%以上である。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカの含有量は、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれと同様又は同じであってよい。

<水> 被処理シリカ分散液に使用される水としては、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。被処理シリカ分散液中の水の含有量は、100質量%からコロイダルシリカ及び他の成分を除いた残部に相当し、一又は複数の実施形態において、ろ過精度向上の観点から、好ましくは60質量%以上99質量%以下、より好ましくは80質量%以上97質量%以下である。

前記被処理シリカ分散液のpHは、ろ過精度向上の観点から、5.0以下であり、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、更により好ましくは2.5以下である。また、人体への影響や研磨装置の腐食防止の観点から、pHは、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.4以上である。特に、製造された研磨液組成物の研磨対象が、ニッケル-リン(Ni-P)メッキされたアルミニウム合金基板のような材質が金属材料の精密部品用基板においては、前記観点を考慮してpHは、好ましくは0.5以上5.0以下、より好ましくは1.0以上5.0以下、更に好ましくは1.4以上4.0以下、更により好ましくは1.4以上3.0以下、更により好ましくは1.4以上2.5以下、更により好ましくは1.4以上1.8以下である。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液のpHは、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれと同様又は同じであってよい。

前記被処理シリカ分散液のpHは、例えば、以下の酸又はその塩によって適宜調整することができる。具体的には、硝酸硫酸、亜硝酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸又はそれらの塩、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸又はそれらの塩、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸又はそれらの塩、クエン酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸又はそれらの塩、などが挙げられる。酸又はその塩は単独で又は2種類以上を混合して用いてもよい。中でもろ過精度向上の観点から、無機酸、クエン酸、又は有機ホスホン酸及びそれらの塩が好ましい。

前記好ましい無機酸又はそれらの塩の中では、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホスホン酸又はそれらの塩が挙げられる。前記好ましい有機ホスホン酸又はそれらの塩の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)又はそれらの塩が挙げられる。

前記酸の塩としては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニア、アルキルアミンとの塩が挙げられる。金属の具体的な例としては、周期律表(長周期型)の1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。スクラッチを低減する観点から、アンモニア又は1A族に属する金属が好ましい。

<その他の成分:複素環芳香族化合物> 被処理シリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板のスクラッチル低減の観点から、コロイダルシリカに加えて複素環芳香族化合物を含有してもよい。前記複素環芳香族化合物の複素環内に窒素原子を含むことが好ましく、その数は、研磨後の基板のスクラッチ低減の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、更に好ましくは3個以上9個以下、更により好ましくは3個以上5個以下、更により好ましくは3又は4個である。

前記複素環芳香族化合物は、研磨後の基板のスクラッチル低減の観点から、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,5−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、3-アミノピラゾール、4−アミノピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、ピラゾール、2−アミノイミダゾール、4−アミノイミダゾール、5−アミノイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、5−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1H−テトラゾール、5−アミノテトラゾール、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾール、2−アミノベンゾトリアゾール、3−アミノベンゾトリアゾール、又はこられのアルキル置換体若しくはアミン置換体が好ましく、1H−ベンゾトリアゾール、1H−トリルトリアゾールがより好ましく、1H−ベンゾトリアゾールが更に好ましい。前記アルキル置換体のアルキル基としては例えば、炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基が挙げられる。また、前記アミン置換体としては1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチレン)アミノメチル]トリルトリアゾールが挙げられる。

被処理シリカ分散液における複素環芳香族化合物の含有量は、研磨後の基板のスクラッチ低減の観点から、被処理シリカ分散液の質量に対して好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.05質量以上2質量%以下、更に好ましくは0.06質量%以上1質量%以下、更により好ましくは0.07質量%以上0.5質量%以下、更により好ましくは0.08質量%以上0.3質量%以下である。なお、被処理シリカ分散液中の複素環芳香族化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液の複素環芳香族化合物及びその含有量は、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれらと同様又は同じであってよい。

<その他の成分:アニオン性水溶性高分子> 被処理シリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板のスクラッチル低減の観点から、アニオン性基を有する水溶性高分子(以下、アニオン性水溶性高分子ともいう)を含有してもよい。該高分子は、研磨時の摩擦振動を低減して研磨パッドの開孔部からのシリカ凝集体の脱落を防止し、研磨後の基板のスクラッチ及び表面粗さの最大値(AFM‐Rmax)を低減するものと推定される。

アニオン性水溶性高分子のアニオン性基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、ホスホン酸基等が挙げられるが、スクラッチ低減の観点から、カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有するものがより好ましく、スルホン酸基を有するものが更に好ましい。なお、これらのアニオン性基は中和された塩の形態を取ってもよい。

カルボン酸基及び/又はスルホン酸基を有する水溶性高分子としては、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位及びスルホン酸基を有する単量体由来の構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有する(共)重合体又はその塩が挙げられる。カルボン酸基を有する単量体としては、例えば、イタコン酸、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等が挙げられる。スルホン酸基を有する単量体としては、例えば、イソプレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、イソアミレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アニオン性水溶性高分子には、カルボン酸基を有する単量体由来の構成単位、及び、スルホン酸基を有する単量体由来の構成単位は、それぞれ、2種類以上含まれてもよい。

好ましいアニオン性水溶性高分子としては、スクラッチ低減の観点から、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イソプレンスルホン酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸/2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体がより好ましい。

アニオン性基を有する水溶性高分子の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等のイオンが挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から1A、3B、又は8族に属する金属が好ましく、1A族に属するナトリウム及びカリウムがより好ましい。アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。これらの塩の中では、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。

アニオン性水溶性高分子の重量平均分子量は、スクラッチ低減及び生産性維持の観点から、好ましくは500以上10万以下、より好ましくは1000以上8万以下、更に好ましくは2000以上6万以下、更により好ましくは3000以上5万以下、更により好ましくは5000以上4万以下、更により好ましくは7000以上3万以下、更により好ましくは10000以上2万以下、更により好ましくは10000以上15000以下である。該重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC PEG換算)により測定される。

被処理シリカ分散液における、アニオン性水溶性高分子の含有量は、スクラッチ低減と生産性との両立の観点から、被処理シリカ分散液の質量に対して好ましくは0.001質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、更に好ましくは0.08質量%以上0.2質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.075質量%以下である。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液のアニオン性水溶性高分子及びその含有量は、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれらと同様又は同じであってよい。

<その他の成分:脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物> 被処理シリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、研磨後の基板のスクラッチル低減の観点から、脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物を含有してもよい。前記脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物は、研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から、分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の数は2個以上であることが好ましい。また、前記脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物は、研磨速度の維持の観点から、分子内の窒素原子数は4個以下であることが好ましく、3個以下がより好ましく、2個以下が更に好ましい。したがって、前記脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物は、研磨速度の維持、並びにスクラッチ低減の観点から、分子内の窒素原子数又はアミノ基若しくはイミノ基の数は好ましくは2個以上4個以下、より好ましくは2個以上3個以下、更に好ましくは2個である。

前記脂肪族アミン化合物としては、研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルの低減の観点から、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、N−アミノエチル−N−メチルエタノールアミン、ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミンからなる群から選択されることが好ましく、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、及びN−アミノエチル−N−メチルエタノールアミンからなる群から選択されることがより好ましく、更にアミン臭低減、水への溶解性向上の観点から、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、N−アミノエチル−N−メチルエタノールアミンからなる群から選択されることが更に好ましく、N−アミノエチルエタノールアミンが更により好ましい。

前記脂環式アミン化合物としては、研磨後の基板表面のスクラッチ及びパーティクルの低減の観点から、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、N−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることが好ましく、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2、5−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることがより好ましく、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることが更に好ましく、N−(2−アミノエチル)ピペラジン及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることが更により好ましい。

したがって、研磨液組成物に用いられる脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物は、研磨後の基板表面のスクラッチ低減、アミン臭低減、水への溶解性向上の観点から、N−アミノエチルエタノールアミン、N−アミノエチルイソプロパノールアミン、N−アミノエチル−N−メチルエタノールアミン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることが更により好ましく、N−アミノエチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン及びヒドロキシエチルピペラジンからなる群から選択されることが更により好ましく、N−アミノエチルエタノールアミンが更により好ましい。

被処理シリカ分散液における脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物の含有量は、研磨後の基板表面のスクラッチ低減の観点から、被処理シリカ分散液の質量に対して好ましくは0.001質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.008質量%以上2質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。なお、研磨液組成物中の脂肪族アミン化合物又は脂環式アミン化合物は1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液の脂肪族アミン化合物及び脂環式アミン化合物及びその含有量は、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれらと同様又は同じであってよい。

<その他の成分:酸化剤> 被処理シリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、研磨速度向上の観点から、酸化剤を含有してもよい。前記酸化剤としては、研磨速度を向上させる観点から、過酸化物、過マンガン酸又はその塩、クロム酸又はその塩、ペルオキソ酸又はその塩、酸素酸又はその塩、金属塩類、硝酸類、硫酸類等が挙げられる。

前記過酸化物としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム等が挙げられる。過マンガン酸又はその塩としては、過マンガン酸カリウム等が挙げられ、クロム酸又はその塩としては、クロム酸金属塩、重クロム酸金属塩等が挙げられ、ペルオキソ酸又はその塩としては、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸金属塩、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸ナトリウム、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸等が挙げられ、酸素酸又はその塩としては、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等が挙げられ、金属塩類としては、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、クエン酸鉄(III)、硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。

好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。

被処理シリカ分散液中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、基板の表面粗さ低減の観点から、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。表面品質を保ちつつ研磨速度を向上する観点から、上記含有量は、好ましくは0.01質量%以上4質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液の酸化剤及びその含有量は、本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物におけるそれらと同様又は同じであってよい。

<その他の成分> 被処理シリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、必要に応じてさらにその他の成分を配合することができる。例えば、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。

[ろ過助剤] 前記ろ過助剤としては、例えば、二酸化ケイ素、カオリン、酸性白土、珪藻土、パーライト、ベントナイト、タルク等の不溶性の鉱物性物質が挙げられる。ろ過精度向上の観点から、前記ろ過助剤のうち、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライトが好ましく、珪藻土、パーライトがより好ましく、珪藻土が更に好ましい。

ろ過助剤は、ろ過精度向上の観点から、一又は複数の実施形態において、酸で前処理されていることが好ましい。酸による前処理とは、ろ過助剤を無機酸や有機酸等の酸水溶液に一定時間浸漬させる処理のことであり、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、シュウ酸、クエン酸による処理等が挙げられるが、ろ過精度向上の観点から、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸による処理がより好ましく、塩酸、硫酸、ホスホン酸による処理が更に好ましい。

ろ過助剤は、ろ過精度向上の観点及び研磨液組成物の生産性向上の観点から、一又は複数の実施形態において、水銀圧入法による平均細孔径が、好ましくは0.1μm以上3.5μm以下、より好ましくは0.1μm以上3.0μm以下、更に好ましくは0.5μm以上2.7μm以下、更により好ましくは1.0μm以上2.5μm以下、更により好ましくは1.2μm以上2.3μm以下、更により好ましくは1.3μm以上2.2μm以下、更により好ましくは1.4μm以上2.0μm以下、更により好ましくは1.5μm以上1.8μm以下である。なお、本開示において「水銀圧入法による平均細孔径」とは、ろ過助剤粒子の容積基準の細孔径の平均値であり、実施例に記載の方法により測定することができる。

ろ過助剤は、ろ過精度向上の観点から、一又は複数の実施形態において、水銀圧入法による0.5μm以下の積算細孔容積が、好ましくは2.5mL/g以上、より好ましくは2.7mL/g以上、更に好ましくは3.0mL/g以上、更により好ましくは3.2mL/g以上、更により好ましくは3.4mL/g以上である。また、研磨液組成物の生産性向上の観点からは、一又は複数の実施形態において、好ましくは1000mL/g以下、より好ましくは100mL/g以下、更に好ましくは50mL/g以下、更により好ましくは20mL/g以下、更により好ましくは10mL/g以下、更により好ましくは5mL/g以下である。ろ過助剤の0.5μm以下の積算細孔容積は、ろ過精度向上の観点及び研磨液組成物の生産性向上の観点から、好ましくは2.5mL/g以上、より好ましくは2.5mL/g以上1000mL/g以下、更に好ましくは2.7mL/g以上100mL/g以下、更により好ましくは3.0mL/g以上50mL/g以下、更により好ましくは3.2mL/g以上20mL/g以下、更により好ましくは3.2mL/g以上10mL/g以下、更により好ましくは3.4mL/g以上5mL/g以下である。ここで、ろ過助剤の「水銀圧入法による0.5μm以下の積算細孔容積」とは、水銀圧入法によるろ過助剤粒子の容積基準の細孔分布における0.5μm以下の細孔容積の総和であり、実施例に記載の方法により測定することができる。

ろ過助剤は、ろ過精度向上の観点から、一又は複数の実施形態において、窒素吸着法による0.15μm以下の積算細孔容積が、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.07mL/g以上、更に好ましくは0.10mL/g以上、更により好ましくは0.15mL/g以上、更により好ましくは0.18mL/g以上である。また、研磨液組成物の生産性向上の観点からは、一又は複数の実施形態において、好ましくは100mL/g以下、より好ましくは50mL/g以下、更に好ましくは10mL/g以下、更により好ましくは5mL/g以下、更により好ましくは1mL/g以下である。ろ過助剤の0.15μm以下の積算細孔容積は、ろ過精度向上の観点及び研磨液組成物の生産性向上の観点から、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.05mL/g以上100mL/g以下、更に好ましくは0.07mL/g以上50mL/g以下、更により好ましくは0.10mL/g以上10mL/g以下、更により好ましくは0.15mL/g以上5mL/g以下、更により好ましくは0.18mL/g以上1mL/g以下である。尚、濾過助剤の0.15μm以下の積算細孔容積は、実施例に記載の方法により測定することができる。

前記ろ過助剤のレーザー平均粒径は、ろ過精度向上の観点から、一又は複数の実施形態において、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは1μm以上18μm以下、更により好ましくは1μm以上16μm以下、更により好ましくは2μm以上16μm以下、更により好ましくは5μm以上16μm以下、更により好ましくは7μm以上16μm以下である。ここで、ろ過助剤の「レーザー平均粒径」とは、レーザー式粒度分布測定装置により測定されたろ過助剤粒子の平均粒径であり、実施例に記載の方法により測定することができる。

[ろ過助剤含有フィルタ] 本開示に係る製造方法に用いられるろ過助剤含有フィルタは、前記ろ過助剤をフィルタ表面及び/又はフィルタ内部に含有するものであれば特に制限されない。ろ過精度向上の観点から、フィルタ目開きは、好ましくはろ過助剤の平均粒径の1/10以下、より好ましくは1/20以下、更に好ましくは1/30以下である。本開示に係る製造方法においては、プレコートに更にボディーフィードを組み合わせて用いてもよい。フィルタ目開きは、ろ過助剤の漏れを防ぐ観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下、更により好ましくは2μm以下、更により好ましくは1μm以下である。また、フィルタ通液速度向上の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、更により好ましくは0.5μm以上である。ここでプレコートとは、ケークろ過フィルタの形成方法であり、後述のフィルタ材料(濾材)の上に厚さ数mm程度のろ過助剤の薄い層を形成することである。例えば、水にろ過助剤粒子を分散させ、濾材でろ過助剤をこしとりろ過助剤層を形成する手法が挙げられる。また、ボディーフィードとは、ろ過の際にケークろ過される原液にろ過助剤を一定量投入しながらろ過処理する方法であり、目的は、原液のろ過性の改善である。粒径が細かくすぐにケーク抵抗が極大化する(ろ過ができなくなる)ような原液に対して有効である。

前記ろ過助剤含有フィルタにおけるろ過助剤の含有量(g/cm2)は、ろ過精度向上の観点から、一又は複数の実施形態において、好ましくは0.001g/cm2以上、より好ましく0.005g/cm2以上、更に好ましくは0.01g/cm2以上、更により好ましくは0.02g/cm2以上、更により好ましくは0.04g/cm2以上、更により好ましくは0.1g/cm2以上である。ろ過速度向上の観点からは、好ましくは1g/cm2以下、より好ましくは0.8g/cm2以下、更に好ましくは0.6g/cm2以下、更により好ましくは0.4g/cm2以下、更により好ましくは0.3g/cm2以下、更により好ましくは0.2g/cm2以下である。ろ過助剤の含有量(g/cm2)は、好ましくは0.001g/cm2以上1g/cm2以下、より好ましくは0.005g/cm2以上0.8g/cm2以下、更に好ましくは0.01g/cm2以上0.6g/cm2以下、更により好ましくは0.02g/cm2以上0.4g/cm2以下、更により好ましくは0.04g/cm2以上0.3g/cm2以下、更により好ましくは0.04g/cm2以上0.2g/cm2以下、更により好ましくは0.1g/cm2以上0.2g/cm2以下である。

前記ろ過助剤含有フィルタのフィルタ材料としては、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロン、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)などのプラスティック、セラミック、金属メッシュ等が挙げられるが、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロン、ポリカーボネート、テフロン(登録商標)などのプラスティックが好ましく、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、セルロースアセテート、ナイロンがより好ましく、ろ紙、ポリエチレン、ポリプロピレンが更に好ましい。

前記ろ過助剤含有フィルタの形状は特に限定されないが、取り扱い易さ、スクラッチ及びパーティクル低減の観点から、シート型、円筒型、円盤型、折込型が好ましく、シート型、円盤型、折込型がより好ましく、円盤型、折込型が更に好ましい。

ろ過助剤含有フィルタを用いてろ過処理する工程におけるろ過条件は、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、一又は複数の実施形態において、ろ過時の差圧は、0.01MPa以上10MPa以下が好ましく、0.05MPa以上1MPa以下がより好ましく、0.05MPa以上0.5MPa以下が更に好ましい。ろ過助剤含有フィルタの段数は、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、1段以上5段以下が好ましく、1段以上3段以下がより好ましく、1段以上2段以下が更に好ましい。ろ過速度は、ろ過精度向上と生産性向上の両立の観点から、0.1L/(分・m2)以上30L/(分・m2)以下が好ましく、0.5L/(分・m2)以上25L/(分・m2)以下がより好ましく、1L/(分・m2)以上20L/(分・m2)以下が更に好ましい。ろ過する工程は、一又は複数の実施形態において、10℃〜40℃、室温、約25℃、又は25℃の温度条件下で行うことが挙げられる。

本開示に係る製造方法の一又は複数の実施形態において、被処理シリカ分散液がコロイダルシリカ以外に研磨液組成物に配合されうる成分(例えば、酸化剤、アニオン性基を有する水溶性高分子、複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、及び、脂環式アミン化合物など)を含有している場合、ろ過助剤含有フィルタでろ過処理する工程で得られたろ過処理後シリカ分散液をそのまま研磨液組成物としてもよい。本開示に係る製造方法は、その他の一又は複数の実施形態において、ろ過助剤含有フィルタろ過処理する工程で得られたろ過処理後シリカ分散液に研磨液組成物に配合されうる成分(例えば、酸化剤、アニオン性基を有する水溶性高分子、複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、及び、脂環式アミン化合物など)を混合して研磨液組成物としてもよい。

[研磨液組成物を用いた研磨] 本開示に係る製造方法にて得られた研磨液組成物は、例えば、不織布の有機高分子系研磨布等(研磨パッド)と被研磨基板との間に供給され、即ち、研磨液組成物が研磨パッドを貼り付けた研磨盤で挟み込まれた基板研磨面に供給され、所定の圧の下で研磨盤及び/又は基板を動かすことにより、基板に接触しながら研磨工程に用いられる。一又は複数の実施形態において、この研磨においてスクラッチの発生が顕著に抑えられる。

したがって、本開示は、その他の態様において、本開示に係る製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む基板の研磨方法に関する。

前記研磨液組成物は、特に精密部品用基板の製造に好適である。例えば磁気ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板、光ディスク、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、光学プリズム、半導体基板などの精密部品基板の研磨に適している。半導体基板の製造においては、シリコンウエハ(ベアウエハ)のポリッシング工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において本開示に係る製造方法にて得られた研磨液組成物を用いることができる。

よって、本開示は、さらにその他の態様において、本開示に係る製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。該磁気ディスク基板の製造方法は、一又は複数の実施形態において、さらに、記録部形成工程を有してもよい。前記記録部形成工程は、一又は複数の実施形態において、付着層、軟磁性層、下地層、中間層、磁性層、保護層、及び潤滑層からなる群から選択される少なくとも1層を成膜する工程を含む。

本開示に係る製造方法にて得られた研磨液組成物を用いる好適な被研磨物の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨物に好適である。例えば、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板や結晶化ガラス、強化ガラス等のガラス基板により適しており、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。

被研磨物の形状には特に制限は無く、例えばディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状のものに本開示の研磨液組成物は用いられる。中でも、ディスク状の被研磨物の研磨に優れている。

基板の製造工程において、複数の研磨工程がある場合、2工程目以降に本開示に係る製造方法にて得られた研磨液組成物を用いるのが好ましく、スクラッチ及びパーティクルを顕著に低減し、優れた表面平滑性を得る観点から、仕上げ研磨工程に用いられるのがより好ましい。仕上げ研磨工程とは、複数の研磨工程がある場合、少なくとも一つの最後の研磨工程を指す。

その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、各工程に基板を洗浄することが好ましい。なお、研磨機としては、特に限定されない。このようにして製造された基板は、スクラッチ及びパーティクルが顕著に低減されており、且つ表面平滑性に優れたものである。即ち、研磨後の表面粗さ(AFM-Ra)は、例えば1Å以下、好ましくは0.9Å以下、より好ましくは0.8Å以下である。

尚、本開示におけるろ過助剤含有フィルタを用いたろ過処理の後の研磨液組成物を用いた研磨工程に供する前の基板の表面性状は特に限定しないが、例えば、AFM−Raが10Å以下の表面性状を有する基板が適する。

かかる基板の製造において使用される研磨材としては、前記の本開示の研磨液組成物に使用されるものと同一のものであればよい。前記研磨工程は、複数研磨工程の中でも2工程目以降に行われるのが好ましく、仕上げ研磨工程に行われるのが特に好ましい。

本開示は、更にその他の態様において、前記ろ過助剤含有フィルタを備えるろ過処理装置と、研磨機とを含む、研磨システムに関する。該システムであれば、一又は複数の実施形態において、ろ過精度が向上したろ過処理を行ったろ過処理後シリカ分散液から速やかに研磨液組成物を調製でき、さらに、該研磨液組成物を使用して速やかに該研磨機にて研磨を行える。これにより研磨後の基板表面の品質を向上させることが期待できる。

本開示はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。

<1> 一次粒子の平均粒子径が1nm以上100nm以下のコロイダルシリカを含有する被処理シリカ分散液を、ろ過助剤を含むフィルタでろ過処理する工程を有する研磨液組成物の製造方法であって、前記被処理シリカ分散液は、pHが5.0以下であり、かつ、前記コロイダルシリカの含有量が20質量%未満である、研磨液組成物の製造方法。

<2> ろ過助剤が珪藻土である、<1>に記載の製造方法。 <3> コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径が、好ましくは5nm以上60nm以下、より好ましくは10nm以上50nm以下、更に好ましくは15nm以上40nm以下、更により好ましくは20nm以上30nm以下である、<1>又は<2>に記載の製造方法。 <4> 被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカの含有量が、好ましくは18質量%未満、より好ましくは15質量%未満、更に好ましくは12質量%未満、更により好ましくは10質量%未満である、<1>から<3>のいずれかに記載の製造方法。 <5> 被処理シリカ分散液中のコロイダルシリカの含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、更により好ましくは5質量%以上である、<1>から<4>のいずれかに記載の製造方法。 <6> 前記被処理シリカ分散液のpHが、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、更により好ましくは2.5以下である、<1>から<5>のいずれかに記載の製造方法。 <7> 前記被処理シリカ分散液のpHが、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.4以上である、<1>から<6>のいずれかに記載の製造方法。 <8> 被処理シリカ分散液が、酸化剤、アニオン性基を有する水溶性高分子、複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、及び、脂環式アミン化合物からなる群から選択される少なくとも1種類を含有する、<1>から<7>のいずれかに記載の製造方法。 <9> 被処理シリカ分散液における複素環芳香族化合物の含有量が、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.05質量以上2質量%以下、更に好ましくは0.06質量%以上1質量%以下、更により好ましくは0.07質量%以上0.5質量%以下、更により好ましくは0.08質量%以上0.3質量%以下である、<8>に記載の製造方法。 <10> アニオン性水溶性高分子の重量平均分子量が、好ましくは500以上10万以下、より好ましくは1000以上8万以下、更に好ましくは2000以上6万以下、更により好ましくは3000以上5万以下、更により好ましくは5000以上4万以下、更により好ましくは7000以上3万以下、更により好ましくは10000以上2万以下、更により好ましくは10000以上15000以下である、<8>又は<9>に記載の製造方法。 <11> 被処理シリカ分散液におけるアニオン性水溶性高分子の含有量が好ましくは0.001質量%以上1質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.5質量%以下、更に好ましくは0.08質量%以上0.2質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.075質量%以下である、<8>から<10>のいずれかに記載の製造方法。 <12> 被処理シリカ分散液における脂肪族アミン化合物及び/又は脂環式アミン化合物の含有量が、好ましくは0.001質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上5質量%以下、更に好ましくは0.008質量%以上2質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上1質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.5質量%以下、更により好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である、<8>から<11>のいずれかに記載の製造方法。 <13> ろ過助剤の水銀圧入法による平均細孔径が、好ましくは0.1μm以上3.5μm以下、より好ましくは0.1μm以上3.0μm以下、更に好ましくは0.5μm以上2.7μm以下、更により好ましくは1.0μm以上2.5μm以下、更により好ましくは1.2μm以上2.3μm以下、更により好ましくは1.3μm以上2.2μm以下、更により好ましくは1.4μm以上2.0μm以下、更により好ましくは1.5μm以上1.8μm以下である、<1>から<12>のいずれかに記載の製造方法。 <14> ろ過助剤の水銀圧入法による0.5μm以下の積算細孔容積が、好ましくは2.5mL/g以上、より好ましくは2.7mL/g以上、更に好ましくは3.0mL/g以上、更により好ましくは4.0mL/g以上、更により好ましくは4.5mL/g以上である、<1>から<13>のいずれかに記載の製造方法。 <15> ろ過助剤の水銀圧入法による0.5μm以下の積算細孔容積が、好ましくは1000mL/g以下、より好ましくは100mL/g以下、更に好ましくは50mL/g以下、更により好ましくは20mL/g以下、更により好ましくは10mL/g以下、更により好ましくは6mL/g以下である、<1>から<14>のいずれかに記載の製造方法。 <16> ろ過助剤の水銀圧入法による0.5μm以下の積算細孔容積が、好ましくは2.5mL/g以上、より好ましくは2.5mL/g以上1000mL/g以下、更に好ましくは2.7mL/g以上100mL/g以下、更により好ましくは3.0mL/g以上50mL/g以下、更により好ましくは4.0mL/g以上20mL/g以下、更により好ましくは4.5mL/g以上10mL/g以下、更により好ましくは4.5mL/g以上6mL/g以下である、<1>から<15>のいずれかに記載の製造方法。 <17> ろ過助剤の水銀圧入法による0.15μm以下の積算細孔容積が、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.07mL/g以上、更に好ましくは0.10mL/g以上、更により好ましくは0.15mL/g以上、更により好ましくは0.18mL/g以上である、<1>から<16>のいずれかに記載の製造方法。 <18> ろ過助剤の水銀圧入法による0.15μm以下の積算細孔容積が、好ましくは100mL/g以下、より好ましくは50mL/g以下、更に好ましくは10mL/g以下、更により好ましくは5mL/g以下、更により好ましくは1mL/g以下である、<1>から<17>のいずれかに記載の製造方法。 <19> ろ過助剤の水銀圧入法による0.15μm以下の積算細孔容積が、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.05mL/g以上100mL/g以下、更に好ましくは0.07mL/g以上50mL/g以下、更により好ましくは0.10mL/g以上10mL/g以下、更により好ましくは0.15mL/g以上5mL/g以下、更により好ましくは0.18mL/g以上1mL/g以下である、<1>から<18>のいずれかに記載の製造方法。 <20> ろ過助剤のレーザー平均粒径が、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下、更に好ましくは1μm以上18μm以下、更により好ましくは1μm以上16μm以下、更により好ましくは2μm以上16μm以下、更により好ましくは5μm以上16μm以下、更により好ましくは7μm以上16μm以下である、<1>から<19>のいずれかに記載の製造方法。 <21> ろ過助剤を含むフィルタにおけるろ過助剤の含有量(g/cm2)が、好ましくは0.001g/cm2以上、より好ましく0.005g/cm2以上、更に好ましくは0.01g/cm2以上、更により好ましくは0.02g/cm2以上、更により好ましくは0.04g/cm2以上、更により好ましくは0.1g/cm2以上である、<1>から<20>のいずれかに記載の製造方法。 <22> ろ過助剤を含むフィルタにおけるろ過助剤の含有量(g/cm2)が、好ましくは1g/cm2以下、より好ましくは0.8g/cm2以下、更に好ましくは0.6g/cm2以下、更により好ましくは0.4g/cm2以下、更により好ましくは0.3g/cm2以下、更により好ましくは0.2g/cm2以下でである、<1>から<21>のいずれかに記載の製造方法。 <23> ろ過助剤を含むフィルタにおけるろ過助剤の含有量(g/cm2)が、好ましくは0.001g/cm2以上1g/cm2以下、より好ましくは0.005g/cm2以上0.8g/cm2以下、更に好ましくは0.01g/cm2以上0.6g/cm2以下、更により好ましくは0.02g/cm2以上0.4g/cm2以下、更により好ましくは0.04g/cm2以上0.3g/cm2以下、更により好ましくは0.04g/cm2以上0.2g/cm2以下、更により好ましくは0.1g/cm2以上0.2g/cm2以下である、<1>から<22>のいずれかに記載の製造方法。 <24> <1>から<23>のいずれかに記載の製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む、磁気ディスク基板の製造方法。 <25> <1>から<23>のいずれかに記載の製造方法により研磨液組成物を製造すること、及び、前記研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨基板を動かして、前記研磨対象面を研磨することを含む、基板の研磨方法。 <26> <1>から<23>のいずれかに記載の製造方法におけるろ過助剤を含むフィルタを備えるろ過処理装置と、研磨機とを含む、研磨システム。

1.実施例1〜12、比較例1〜14 <被処理シリカ分散液> 下記表1の原料コロイダルシリカスラリーa〜d、酸(硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、クエン酸)、及び水を用いて下記表3に示すpH及びコロイダルシリカ含有量の被処理シリカ分散液を作製した(実施例1〜12及び比較例1〜14)。酸は、pHの調整に使用した。pHは、25℃におけるpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて、電極の浸漬後3分後に測定した数値である(以下同様)。

[コロイダルシリカの一次粒子の平均粒子径の測定方法] まず、コロイダルシリカスラリーを固形分で1.5g分を200mLビーカーに採取し、イオン交換水100mLを加えてスターラーで混合する。次に、電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの塩酸標準溶液で試料溶液のpHを3.0に調整する。塩化ナトリウム30.0gを加えスターラーで溶解して、ビーカーの150mLの標線までイオン交換水を加えスターラーで混合する。恒温水槽(20±2℃)に約30分間浸漬する。電位差滴定装置を用いて、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム標準溶液で滴定をおこない、pHが4.0から9.0に変化したときの水酸化ナトリウム標準溶液の消費量(A)を読み取る。同時に空試験をおこない、空試験の滴定に要した水酸化ナトリウム標準溶液の消費量(B)を読み取る。そして、下記計算式により平均粒子径(nm)を算出する。 平均粒子径(nm)=3100÷26.5×(A−B)÷試料採取量(g)

<珪藻土フィルタの作製> [ろ過助剤] 珪藻土フィルタのろ過助剤として、表2のろ過助剤を用いた。

(ろ過助剤のレーザー平均粒径の測定方法) ろ過助剤をレーザー回折/散乱式粒度分布計(商品名LA−920、堀場製作所製)で測定して得られた体積基準のメジアン径として得られた値をレーザー平均粒径とした。

<ろ過助剤の平均細孔径及び0.5μm以下の積算細孔容積の測定方法> ろ過助剤を4桁天秤で約0.1〜0.3g精秤し、水銀をヘキサンでよく洗浄した5cc粉末用測定セルにステム内やスリ部にサンプルを付着させないように入れ、AutoPoreIV−9500(島津製作所社製 水銀圧入法 細孔分布測定装置)にセルをセットした。次に、パソコンでアプリケーション(AutoPoreIV−9500 ver1.07)を立上げ、Sample Information(先に測定したろ過助剤の重量)、Analysis Condition(Standardを選択)、Penetrometer Property(セル重量)、Report condition(Standardを選択)に必要事項をInputし、測定を行った。低圧部、高圧部の順に測定を行い、自動的にMedian Pore Diameter (Volume)(μm)と各Pore Size Diameter(μm)に対するLog Differential Pore Volume(mL/g)の結果を得た。

(測定条件) 測定セル:Micromeritics社製 5cc−Powder(08−0444) 測定方式:圧力制御方式(圧力テーブルモード) Low Pressure equilibrium time 5secs High pressure equilibrium time 5secs Hgに関するパラメータ:接触:130°、表面張力:485dynes/cm Stem Volume Used:100%以下で約50%にサンプル量を調整

(平均細孔径の算出方法) Median Pore Diameter (Volume)をろ過助剤の平均細孔径(μm)とした。

(0.5μm以下の積算細孔容積の算出方法) 0.5μm以下のLog Differential Pore Volume(mL/g)の値を積算して0.5μm以下の積算細孔容積とした。

(0.15μm以下の積算細孔容積の測定方法) ろ過助剤の0.15μm以下の積算細孔容積は、窒素吸着法により測定した。具体的には、精秤した約1gの各ろ過助剤をASAP2020(株式会社島津製作所社製、比表面積・細孔分布測定装置)にセットし、窒素吸着等温線からBJH法のHalsey式により求めた0.15μm以下の細孔容積の総和を、0.15μm以下の積算細孔容積とした。なお、試料の前処理は、10℃/分で昇温させ100℃で2時間保持させて行った。また、60℃の時点で500μmHgまで脱気を行なった。

[ろ過助剤を含有する珪藻土フィルタの作製] 前記ろ過助剤10gに100mLのイオン交換水を加え、撹拌・混合しろ過助剤分散水溶液を得た。次に、90mmφの平板型SUS製ハウジング(住友3M社製INLET90−TL、有効ろ過面積55.4cm2)にろ紙(No.5A:アドバンテック社製、目開きと相関する保留粒子径は7μm、セルロース製)をセットし、0.1MPa以下の圧力でろ過助剤分散水溶液をろ過して濾紙上にろ過助剤の均一なケーク層を形成させた後、1〜2Lのイオン交換水で洗浄し、珪藻土含有フィルタを得た。

<被処理シリカ分散液のろ過処理> 上記の被処理シリカ分散液を、上記の珪藻土フィルタを用いてろ過処理して、ろ過処理後シリカ分散液(実施例1〜12、比較例1〜14)を得た。これらのろ過処理後シリカ分散液につき、下記条件に従って0.20μmフィルタの通液量(以下、「MF値」ともいう)を測定し、ろ過処理の精度を評価した。該MF値が高いほど、フィルタが目詰まりするまでの通液量が多く、不純物が少ないこと、すなわち、ろ過精度が高いことを示す。MF値測定の結果を下記表3に示す。

[ろ過処理条件] 前記珪藻土含有フィルタを乾燥させずに洗浄水で濡れたままの状態で、0.1MPaの圧力で被処理シリカ分散液を1L分ろ過し、ろ過処理後シリカ分散液(実施例1〜12、比較例1〜14)を得た。なお、最初に流出するろ液200gは端切りした。使用するフィルタは上記珪藻土含有フィルタ1段のみ、ろ過速度はフィルターハウジングの入口側に設置した流量調整バルブで10〜20L/(分・m2)の範囲に調整した。ろ過操作は室温(25℃)で行った。

[0.2μmフィルタ通液量(MF値)の測定方法] ろ過処理後シリカ分散液(実施例1〜12、比較例1〜14)のシリカ濃度を5質量%、pHを1.5に調整し、0.2μmフィルタ(アドバンテック社製 親水性PTFE0.20μmフィルタ、型式:25HP020AN)で、エアー圧力0.25MPaの一定圧力の下でフィルタに通液させ、フィルタが閉塞するまでの通液量(g)を求めた。

表3のとおり、実施例1〜8のろ過処理後シリカ分散液は、比較例1〜8とそれぞれ比較して、MF値が向上しており、ろ過精度が向上していた。また、実施例1及び9〜10のろ過処理後シリカ分散液は、比較例9〜10と比較して、MF値が向上しており、ろ過精度が向上していた。更に、実施例11のろ過処理後シリカ分散液は、比較例11と比較して、MF値が向上しており、ろ過精度が向上していた。更にまた、実施例1及び12のろ過処理後シリカ分散液は、比較例12〜14と比較して、MF値が向上しており、ろ過精度が向上していた。

2.実施例13、比較例15 <実施例13の研磨液組成物の調製> 表1の原料コロイダルシリカスラリーaに水、下記の助剤及び硫酸を加え、シリカを5質量%、アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(モル比92/8、重量平均分子量12000(PEG換算)、東亞合成社製)を0.03質量%、ベンゾトリアゾールNa塩を0.17質量%、N−アミノエチルエタノールアミンを0.05質量%、過酸化水素を0.51質量%含有する被処理研磨液組成物)を作製した。硫酸は、pHの調整に使用した。前記被処理研磨液組成物のpH及びシリカ含有量は、表4のとおりである。このようにして調製した実施例13のための被処理研磨液組成物を、上記と同様に珪藻土フィルタを用いてろ過処理し、研磨液組成物(実施例13)とした。この研磨液組成物について、上記と同様にMF値を測定するとともにこの研磨液組成物を使用して基板を研磨した。

<比較例15のろ過処理済みシリカ分散液の調製> 表1の原料コロイダルシリカスラリーaを上記と同様に珪藻土フィルタを用いてろ過処理し、比較例15のためのろ過処理済みシリカ分散液とした。前記ろ過処理前の原料コロイダルシリカスラリーaのpH及びシリカ含有量は、表4のとおりである。

<比較例15の研磨液組成物の調製> 上記の比較例15のためのろ過処理済みシリカ分散液に水、下記の助剤及び硫酸を加え、シリカを5質量%、アクリル酸/アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸共重合体ナトリウム塩(モル比92/8、重量平均分子量12000(PEG換算)、東亞合成社製)を0.03質量%、ベンゾトリアゾールNa塩を0.17質量%、N−アミノエチルエタノールアミンを0.05質量%、過酸化水素を0.51質量%含有する研磨液組成物を作製した。硫酸は、pHの調整に使用した。この研磨液組成物について、上記と同様にMF値を測定するとともにこの研磨液組成物を使用して基板を研磨した。

<基板の研磨> 上記研磨液組成物(実施例13、比較例15)を用いて被研磨基板を研磨し、純水によって洗浄を行って評価用基板を得た。この評価用基板のスクラッチ数を評価した。評価結果を下記表4に示す。研磨条件(研磨方法)、洗浄条件及び評価方法は以下のとおりである。被研磨基板として、アルミナ研磨材を含有する研磨液であらかじめ粗研磨し、AFM−Raが5〜15Åとした、厚さ1.27mmの外径95mmφで内径25mmφのNi−Pメッキアルミニウム合金基板を用いた。

[研磨条件] ・研磨試験機:スピードファム社製、両面9B研磨機 ・研磨パッド:フジボウ社製、ウレタン製仕上げ研磨用パッド ・上定盤回転数:32.5r/分 ・研磨液組成物供給量:100mL/分 ・本研磨時間:4分 ・本研磨荷重:7.8kPa ・投入した基板の枚数:10枚

[洗浄条件] 研磨した基板をヒカリ社製Sub基板洗浄機で、以下の工程で洗浄した。 (1)US(超音波)浸漬洗浄 (950kHz) (2)スクラブ洗浄 スポンジブラシ3段 (3)USシャワー洗浄 (950kHz) (4)スピンリンス (5)スピンドライ

[スクラッチの測定条件] ・測定機器:KLA-Tencor社製 Candela OSA6100 ・評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。

表4のとおり、実施例13の研磨液組成物は、比較例15の研磨液組成物と比較して、MF値が向上しており、ろ過精度が向上していた。また、実施例13の研磨液組成物は、比較例15の研磨液組成物と比較して、スクラッチを効果的に低減できる。

本開示に係る製造方法により製造される研磨液組成物は、例えば、高密度化又は高集積化用の精密部品基板の研磨工程に用いることができる。

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