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系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法、非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法、非水系二次電池用電極の製造方法、および非水系二次電池の製造方法

阅读:968发布:2024-01-23

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(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有するバインダー用溶性重合体を含む非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、 水溶性重合体を含む水溶液を中和する工程(A)と、 中和された水溶性重合体を含む水溶液を、目開きが1μm以上30μm以下であるろ過材を用いてろ過することにより、前記バインダー用水溶性重合体を含む非水系二次電池電極用バインダー組成物を得る工程(B)とを含み、 前記非水系二次電池電極用バインダー組成物中の全固形分量に対する粒子径1μm以上の不溶解分率が0.0001質量%以上5.0質量%以下である、 非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法。前記工程(B)後における、前記バインダー用水溶性重合体の重量平均分子量が0.1×106以上20×106以下である、 請求項1に記載の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法。電極活物質および非水系二次電池電極用バインダー組成物を含む非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法であって、 請求項1又は2に記載の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法に従って前記非水系二次電池電極用バインダー組成物を調製する工程を含む、 非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。前記非水系二次電池電極用スラリー組成物が、 芳香族ビニル単量体単位を10質量%以上70質量%以下、脂肪族ジエン単量体単位を20質量%以上80質量%以下、およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上10質量%以下含有する粒子状重合体を更に含む、 請求項3に記載の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。前記バインダー用水溶性重合体の含有割合が、前記バインダー用水溶性重合体と前記粒子状重合体との合計含有量に対して10質量%以上90質量%以下である、 請求項4に記載の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法。集電体上に電極合材層を形成することを含む非水系二次電池用電極の製造方法であって、 請求項3〜5のいずれか1項に記載の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法に従って調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物を用いて前記電極合材層を形成する工程を含む、 非水系二次電池用電極の製造方法。正極、負極、および電解液を備える非水系二次電池の製造方法であって、 前記正極および前記負極の少なくとも一方を、請求項6に記載の非水系二次電池用電極の製造方法に従って作製する工程を含む、 非水系二次電池の製造方法。

说明书全文

本発明は、系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法、非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法、非水系二次電池用電極の製造方法、および非水系二次電池の製造方法に関するものである。

リチウムイオン二次電池などの非水系二次電池(蓄電デバイスおよび電気化学セルとも呼ばれることがある。以下、単に「二次電池」と略記する場合がある。)は、小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、さらに繰り返し充放電が可能という特性があり、幅広い用途に使用されている。そのため、近年では、非水系二次電池の更なる高性能化を目的として、電極などの電池部材の改良が検討されている。

ここで、リチウムイオン二次電池などの二次電池用の電極は、通常、集電体と、集電体上に形成された電極合材層とを備えている。そして、電極合材層は、例えば、電極活物質と、結着材を含むバインダー組成物などとを分散媒に分散させてなるスラリー組成物を集電体上に塗布し、乾燥させることにより形成される。

そこで、近年では、二次電池の更なる性能向上を達成すべく、電極合材層の形成に用いられるバインダー組成物の改良が試みられている。

例えば、特許文献1には、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドに由来する繰り返し単位を含有する水溶性重合体と水とを含む蓄電デバイス用バインダー組成物が提案されている。そして、特許文献1では、当該バインダー組成物を用いて調製された蓄電デバイス用スラリー組成物の曳糸性を所定の範囲に制御することにより、蓄電デバイスにおける、電極活物質および集電体間等の密着性と安定した電池性能とを両立させている。また、特許文献2には、アクリルアミド等を含む水溶性樹脂を、電気化学セル用水性ペーストに用いるバインダーに使用することが提案されている。そして、特許文献2では、当該水溶性樹脂を所定の範囲で配合した電気化学セル用水性ペーストを用いることにより、当該ペーストに集電体および電極活物質等に対する十分な密着性を発揮させるとともに、製造された電気化学セルに良好な電池特性を発揮させている。また、特許文献1〜2では、水溶性重合体の重合反応に用いる水溶液を中和することにより、バインダー組成物等を調製している。

国際公開第2015/008626号

特開2012−151108号公報

ここで、水溶性重合体の重合反応に用いる水溶液を中和する場合は、一般的に、水溶性重合体同士が凝集し、水溶液中に水溶性重合体の不溶解分が発生し易いことが知られている。そして、本発明者らは、水溶性重合体の不溶解分を含んだまま二次電池用バインダー組成物および二次電池用スラリー組成物を調製した場合には、例えば、当該組成物を塗布、乾燥して電極合材層を形成した際に、電極合材層内に当該不溶解分に起因したピンホール等が発生してしまうことに着目した。つまり、当該不溶解分に起因して、電極を構成する電極合材層が有する多孔質構造が不均一化してしまう問題に着目した。

このような多孔質構造の不均一化が生じると、例えば、製造した電極に電解液を注入して電池を組み立てる際に、注入された電解液が電極内に良好に浸透し難く(電解液注液性の悪化)、電池性能が悪化することが考えられる。また、製造された電池の充電時に、例えばリチウムなどの金属イオンがピンホール付近に局所的に集中し、電極上に金属析出が発生し易く、電極同士が短絡する問題が生じると考えられる。

しかしながら、従来の技術により調製したバインダー組成物等では、水溶性重合体の溶液を中和しているにもかかわらず、水溶性重合体の不溶解分の低減については検討されていなかった。従って、当該不溶解分を低減し、当該不溶解分に起因した電解液注液性悪化を抑制すること、および電極上の金属析出を抑制することが求められていた。

そこで、本発明は、電極合材層中の成分同士、並びに電極合材層および集電体間の高い密着性を維持しつつ、電池組立時の良好な電解液注液性、および充電時の金属析出の抑制を並立し得るバインダー組成物を製造可能な、非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法を提供することを目的とする。 また、本発明は、前記高い密着性を維持しつつ、良好な電解液注液性を有し得る電極を製造可能な非水系二次電池用電極の製造方法、並びに、当該電極の製造に用いられるスラリー組成物を製造可能な非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法を提供することを目的とする。 そして、本発明は、充電時の電極上への金属析出を抑制し得る二次電池を製造可能な、非水系二次電池の製造方法の提供を目的とする。

本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、所定の水溶性重合体を中和した後に、中和した水溶性重合体をろ過することによりバインダー組成物を調製することに着眼した。そして、本発明者は、当該ろ過工程を経たバインダー組成物に含有される、溶液中に溶解していない固形分の割合(不溶解分率)を所定の範囲内とすることにより、電極合材層中の成分同士、並びに電極合材層および集電体間の密着性に優れ、かつ良好な電解液注液性を有する電極を製造することができることを見出した。また、本発明者は、当該不溶解分率を所定の範囲内とすることにより、充電時に電極上に金属が析出することを抑制し得る非水系二次電池を製造することができることを確認し、本発明を完成させた。

即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有するバインダー用水溶性重合体を含む非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法であって、水溶性重合体を含む水溶液を中和する工程(A)と、中和された水溶性重合体を含む水溶液を、ろ過材を用いてろ過することにより、前記バインダー用水溶性重合体を含む非水系二次電池電極用バインダー組成物を得る工程(B)とを含み、前記非水系二次電池電極用バインダー組成物中の全固形分量に対する粒子径1μm以上の不溶解分率が0.0001質量%以上5.0質量%以下であることを特徴とする。このように、所定の水溶性重合体を中和およびろ過したバインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を得、かつ当該バインダー組成物中の不溶解分率を所定の範囲に抑制すれば、当該バインダー組成物を使用して作製された電極の密着性および電解液注液性を良好なものにできる。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出を抑制することができる。 なお、本発明において、「水溶性重合体」とは、温度50℃において重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が1.0質量%未満となる重合体を指す。 また、本願において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。 そして、本発明において、「粒子径1μm以上の不溶解分率」とは、目開き1μmのシート状ろ過フィルターを用いて不溶解分率の測定試験を行った場合における、当該測定試験で使用したバインダー組成物中の全固形分量に対する、粒子径1μm以上の不溶解固形分量(つまり、ろ過フィルター上の残渣)の割合を指す。ここで、本発明において、当該「不溶解分率」は、本明細書の実施例に記載の方法にて測定することができる。

ここで、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、前記工程(B)後における、前記バインダー用水溶性重合体の重量平均分子量が0.1×106以上20×106以下であることが好ましい。当該バインダー用水溶性重合体の分子量が上記範囲内であれば、作製される電極における電極合材層および集電体間等の密着性、並びに電解液注液性が更に優れる。 なお、本発明において、「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフで測定される、標準物質としての単分散プルラン換算値として測定することができる。

そして、前記工程(B)に用いられるろ過材の目開きは1μm以上100μm以下であることが好ましい。目開きが上記範囲内のろ過材を用いて前記重合体水溶液をろ過すれば、作製される電極の密着性、および電解液注液性が更に向上し、かつ、製造される二次電池における充電時の金属析出が更に抑制され得るからである。

また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、電極活物質および非水系二次電池電極用バインダー組成物を含む非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法であって、上述したいずれかの非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法に従って前記非水系二次電池電極用バインダー組成物を調製する工程を含むことを特徴とする。このように、上述の製造方法により得られたバインダー組成物を用いてスラリー組成物を製造すれば、当該スラリー組成物を使用して製造された電極の密着性および電解液注液性を良好なものにできる。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出を抑制することができる。

そして、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、前記非水系二次電池電極用スラリー組成物が、芳香族ビニル単量体単位を10質量%以上70質量%以下、脂肪族ジエン単量体単位を20質量%以上80質量%以下、およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を1質量%以上10質量%以下含有する粒子状重合体を更に含むことが好ましい。このような単量体単位の含有割合を有する粒子状重合体を更に含むスラリー組成物を使用すれば、作製された電極の密着性、および電解液注液性がより向上するからである。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出をより抑制することができるからである。 なお、本発明において、各「単量体単位の含有割合」は、1H−NMRなどの核磁気共鳴(NMR)法を用いて測定することができる。

また、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、前記バインダー用水溶性重合体の含有割合が、前記バインダー用水溶性重合体と前記粒子状重合体との合計含有量に対して10質量%以上90質量%以下であることが好ましい。バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との含有割合が上記範囲の関係であれば、作製された電極の密着性、および電解液注液性がより向上するからである。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出をより抑制することができるからである。

また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池用電極の製造方法は、集電体上に電極合材層を形成することを含む非水系二次電池用電極の製造方法であって、上述したいずれかの非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法に従って調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物を用いて前記電極合材層を形成する工程を含むことを特徴とする。このように、上述の製造方法により得られたスラリー組成物を用いて電極を製造すれば、製造された電極の密着性、および電解液注液性が良好なものになる。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出を抑制することができる。

また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の非水系二次電池の製造方法は、正極、負極、および電解液を備える非水系二次電池の製造方法であって、前記正極および前記負極の少なくとも一方を、上述した非水系二次電池用電極の製造方法に従って作製する工程を含むことを特徴とする。このように、正極および負極の少なくとも一方を本発明の製造方法にて得られた電極とすれば、二次電池の製造時に電解液が電極中に良好な注液性をもって浸透される。また、製造された二次電池を充電した時に、電極上への金属析出を抑制することができる。

本発明によれば、電極合材層中の成分同士、並びに電極合材層および集電体間の高い密着性を維持しつつ、電池組立時の良好な電解液注液性、および充電時の金属析出の抑制を並立し得るバインダー組成物を製造可能な、非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法を提供することができる。 また、本発明によれば、前記高い密着性を維持しつつ、前記良好な電解液注液性を有し得る電極を製造可能な非水系二次電池用電極の製造方法、並びに、当該電極の製造に用いられるスラリー組成物を製造可能な非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法を提供することができる。 更に、本発明によれば、充電時の電極上への金属析出を抑制し得る二次電池を製造可能な、非水系二次電池の製造方法を提供することができる。

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。

(非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法) 本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、(メタ)アクリルアミド単量体単位を一成分とする水溶性重合体を含むバインダー組成物を製造することを特徴とする。また、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、水溶性重合体を含む水溶液を中和する工程(A)と、当該工程(A)にて中和された水溶性重合体を含む水溶液をろ過する工程(B)とを含むことにより、所定の不溶解分率を有するバインダー組成物を製造することを特徴とする。更に、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、上記工程(A)に先立ち、(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有する水溶性重合体を準備する、水溶性重合体の調製工程を任意で含むことができる。

ここで、本発明の製造方法で得られる非水系二次電池電極用バインダー組成物は、非水系二次電池電極用スラリー組成物を調製する際に用いることができる。 そして、本発明の製造方法にて得られる非水系二次電池電極用バインダー組成物は不溶解分率が所定範囲に低減されているため、当該バインダー組成物を用いて製造された電極は良好な密着性および電解液注液性を有する。また、当該バインダー組成物を用いて製造された二次電池では、充電時における電極上への金属析出を抑制することができる。 なお、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法は、非水系二次電池負極用スラリー組成物を調製するために用いられるバインダー組成物を製造する際に特に好適に用いることができる。

<水溶性重合体の調製工程> 本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法が任意に含むことができる水溶性重合体の調製工程では、後述する中和およびろ過を施すための水溶性重合体を含む水溶液を準備する。調製される水溶性重合体の組成は、(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有すること以外は特に制限されることなく、(メタ)アクリルアミド単量体単位と(メタ)アクリルアミド単量体単位以外のその他の単量体単位とを含有してもよい。

<<溶媒>> ここで、水溶性重合体を含む水溶液の調製に用いられる溶媒としては、例えば、イオン交換水などの水が挙げられる。なお、当該水溶液を構成する溶媒は、水や、水と少量の有機溶媒との混合溶液であってもよい。

<<(メタ)アクリルアミド単量体単位>> 本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法で使用される水溶性重合体は、(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有する。つまり、当該水溶性重合体は、アクリルアミド単量体単位のみを含有してもよく、メタクリルアミド単量体単位のみを含有してもよく、アクリルアミド単量体単位およびメタクリルアミド単量体単位を含有してもよい。中でも、当該水溶性重合体は、(メタ)アクリルアミド単量体単位としては、アクリルアミド単量体単位のみを含有することが好ましい。 ここで、(メタ)アクリルアミド単量体単位を形成し得る(メタ)アクリルアミド単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。中でも、アクリルアミドが好ましい。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

<<その他の単量体単位>> 水溶性重合体が任意に含有し得る(メタ)アクリルアミド単量体単位以外のその他の単量体単位としては、(メタ)アクリルアミド単量体単位と併用し得る単量体単位であれば特に制限されない。その他の単量体単位としては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体単位、ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位、脂肪族共役ジエン単量体単位等が挙げられる。中でも、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位が好ましい。これらのその他の単量体単位は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせてもよい。

ここで、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を形成し得るエチレン性不飽和カルボン酸単量体の例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのモノまたはジカルボン酸(無水物)などが挙げられる。中でも、アクリル酸が好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせてもよい。

また、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得る(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびt−ブチルアクリレートなどのブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのオクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル;並びにメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートおよびt−ブチルメタクリレートなどのブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのオクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n−テトラデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートがより好ましく、ブチルアクリレートが更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 シアン化ビニル系単量体単位を形成し得るシアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどが挙げられる。中でも、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルがより好ましい。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体単位を形成し得るヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジ−(エチレングリコール)マレエート、ジ−(エチレングリコール)イタコネート、2−ヒドロキシエチルマレエート、ビス(2−ヒドロキシエチル)マレエート、2−ヒドロキシエチルメチルフマレートなどが挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を形成し得るジ(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 芳香族ビニル単量体単位を形成し得る芳香族ビニル単量体としては、特に限定されることなく、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、芳香族ビニル単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 そして、脂肪族共役ジエン単量体単位を形成し得る脂肪族共役ジエン単量体としては、特に限定されることなく、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、置換直鎖共役ペンタジエン類、置換および側鎖共役ヘキサジエン類などが挙げられる。なお、脂肪族共役ジエン単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

ここで、水溶性重合体は、上述した(メタ)アクリルアミド単量体単位を、水溶性重合体に含まれる全単量体単位の含有量に対して、50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがより好ましく、90質量%以下含有することが好ましく、80質量%以下含有することがより好ましい。(メタ)アクリルアミド単量体単位の含有量が上記範囲内であれば、調製したスラリー組成物中での電極活物質の分散性がより向上し、電極合材層および集電体間の密着性もより優れるからである。

<<水溶性重合体の重合方法>> 水溶性重合体の重合方法は、特に限定はされず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法、乳化重合法などのいずれの方法を用いてもよい。また、重合反応としては、イオン重合、ラジカル重合、リビングラジカル重合などの付加重合を用いることができる。そして、重合に使用される重合開始剤、重合促進剤、乳化剤、分散剤、連鎖移動剤などは、一般に用いられるものを使用することができ、その使用量も、一般に使用される量とすることができる。

水溶性重合体の調製に用い得る重合開始剤としては、特に制限されることなく、既知の重合開始剤、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムが挙げられる。中でも、過硫酸カリウムを用いることが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

重合促進剤としては、特に制限されることなく、既知の還元性の重合促進剤、例えば、テトラメチルエチレンジアミンを使用することができる。

乳化剤としては、特に制限されることなく、既知の乳化剤、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれであってもよい。アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウムといったドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムといったドデシル硫酸アンモニウム、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウムなどの高級アルコールの硫酸エステル塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムといったドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリルスルホン酸ナトリウムといったドデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウムなどの脂肪族スルホン酸塩;などが挙げられ、不飽和結合を有するいわゆる反応性乳化剤であってもよい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

分散剤としては、特に制限されることなく、既知の分散剤、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用することができる。分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

連鎖移動剤としては、特に制限されることなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド等のキサントゲン化合物;ターピノレンや、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系化合物;アリルアルコール等のアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素化合物;チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。これらのなかでも、副反応抑制という観点から、アルキルメルカプタンが好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。これらは1種類を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。

<工程(A)> 本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法が含む工程(A)では、上述で得られた水溶性重合体を含む水溶液を中和することにより、中和された水溶性重合体の水溶液が得られる。当該中和に際しては、通常、特に制限されることなく、中和の対象となる水溶性重合体を含む水溶液は、水に溶解した水溶液の状態である。 ここで、中和には、特に制限されることなく、一般的に使用される中和剤を用いることができる。一般的な中和剤としては、例えば、アンモニア、有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。中でも、水酸化リチウムを用いることが好ましい。 また、工程(A)にて調整する、水溶性重合体を含む水溶液のpH範囲は、pH6以上が好ましく、pH6.5以上がより好ましく、pH11以下が好ましく、pH10以下がより好ましく、pH9.5以下が更に好ましい。水溶性重合体を含む水溶液のpHが上記範囲内であれば、得られたバインダー組成物の安定性が向上し、保存時の、粘度などの物性変化が少ないからである。

<工程(B)> 本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法が含む工程(B)では、上述した工程(A)を経て得られた、中和された水溶性重合体を含む水溶液をろ過することにより、(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有するバインダー用水溶性重合体を含む非水系二次電池電極用バインダー組成物が得られる。つまり、工程(B)は工程(A)の後に行われる。また、工程(B)にて得られる当該バインダー用水溶性重合体は、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法に従って、そのまま非水系二次電池電極用バインダー組成物として用いられるか、または、非水系二次電池電極用バインダー組成物の調製に用いられる。 そして、工程(A)および工程(B)を経て得られるバインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物は不溶解分率が所定範囲まで低減されているため、当該バインダー組成物を用いて作製された電極は高い密着性を有し、かつ、当該バインダー組成物を用いて製造された二次電池は良好な電解液注液性、および充電時の金属析出の抑制を両立し得る。

<<バインダー用水溶性重合体の性状>> ここで、工程(B)を経て得られるバインダー用水溶性重合体は、重量平均分子量が0.1×106以上であることが好ましく、1×106以上であることがより好ましく、5×106以上であることが更に好ましく、20×106以下であることが好ましく、17×106以下であることがより好ましく、15×106以下であることが更に好ましい。工程(B)にてろ過されたバインダー用水溶性重合体の重量平均分子量が0.1×106以上であれば、当該バインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて調製したスラリー組成物において、スラリー組成物中の電極活物質等の分散性が良好になるからである。加えて、当該水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて電極を作製した場合に、集電体および電極合材層間の高いピール強度(密着性)が得られるからである。また、工程(B)にてろ過されたバインダー用水溶性重合体の重量平均分子量が20×106以下であれば、当該バインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて作製した電極のピール強度が更に高まるとともに、当該バインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて製造した二次電池における電解液注液性が更に高まるからである。

なお、水溶性重合体およびバインダー用水溶性重合体は、通常、工程(A)前における水溶液、工程(A)後における中和された水溶液、バインダー組成物、および後述するスラリー組成物中においては、非粒子状の形状を有する。

<<非水系二次電池電極用バインダー組成物>> 工程(A)および工程(B)を経て得られるバインダー用水溶性重合体は、本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法に従って、バインダー組成物の調製に用いられる。この際、得られるバインダー組成物は、上述した(メタ)アクリルアミド単量体単位を含有するバインダー用水溶性重合体を含むこと以外は特に制限されず、当該バインダー用水溶性重合体そのままであってもよく、当該バインダー用水溶性重合体以外のその他の成分を更に含んでもよい。また、バインダー組成物に用いられる分散媒は、上述したいずれかの水溶性重合体に用いられた分散媒をそのまま使用してもよい。

[その他の成分] その他の成分としては、例えば、補強材、レベリング剤、粘度調整剤、電解液添加剤等の成分が挙げられる。これらは、電池反応に影響を及ぼさないものであれば特に限られず、公知のもの、例えば国際公開第2012/115096号に記載のものを使用することができる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

[バインダー組成物の性状] ここで、本発明の製造方法にて得られる非水系二次電池電極用バインダー組成物は、当該バインダー組成物中の全固形分量に対する粒子径1μm以上の不溶解分率が0.0001質量%以上5.0質量%以下であることを必要とする。また、当該バインダー組成物中の全固形分量に対する粒子径1μm以上の不溶解分率は、0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましく、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。当該不溶解分率が0.0001質量%以上であれば、バインダー組成物を用いて作製される電極の密着性(ピール強度)を更に向上し得るからである。また、当該不溶解分率が5.0質量%以下であれば、バインダー組成物を含むスラリー組成物中において、電極活物質等がより良好に分散されるからである。加えて、バインダー組成物を用いて作製した電極の柔軟性および電解液注液性が更に向上し、かつ、製造される二次電池における金属析出を更に抑制し得るからである。

ここで、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率が上記範囲内である場合に、作製される電極の密着性が高まり、かつ、製造される二次電池における電解液注液性が向上し、金属析出を抑制できる理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。 即ち、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率が0.0001質量%以上であるということは、工程(B)において、比較的高分子の重合体をろ過により過度に除去していないということを示す。そして、当該比較的高分子の重合体は、バインダー組成物としての結着性および密着性を主に担う重合体である。従って、工程(B)を経た後もなお、バインダー組成物中には、結着性および密着性を発揮する重合体が十分に存在するため、当該バインダー組成物を用いて作製された電極が良好な密着性を示すことができる。 また、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率が5.0質量%以下であるということは、バインダー組成物中に不溶解分が十分に低い割合しか存在しないということを示す。ここで、バインダー組成物中の不溶解分率が十分に低い場合には、当該バインダー組成物を用いて電極合材層を形成した際に、電極合材層内に、不溶解分に起因するピンホール等の凹部の発生を抑えることができる。つまり、形成される電極合材層が均一な多孔質構造を有することができる。そして、当該均一な多孔質構造を有する電極合材層が形成された電極に電解液を接触させた場合には、良好な多孔質構造を通じた毛細管現象により、電解液が電極、とりわけ電極合材層内に良好に浸透する。従って、作製される電極の電解液注液性を良好なものとすることができる。更に、当該均一な多孔質構造には、例えばリチウムイオンなどの金属イオンが入り込む凹部が存在しない。従って、電池を充放電させた場合においても、電池内部にて金属イオンが偏在することなく、充電時の金属析出を抑制することができる。

<<ろ過方法>> ここで、工程(B)にて行われる、中和された水溶性重合体を含む水溶液のろ過方法は、得られるバインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物が上述した所定の不溶解分率を有する限りにおいて、特に制限されない。工程(B)におけるろ過方法は、例えば、任意の目開きを有するフィルター等のろ過材を用いてろ過することができる。また、ろ過に際しては、任意の圧下にて加圧ろ過、または減圧ろ過を行ってもよい。 なお、ろ過の処理レートは、例えば、上記圧力を調節することにより制御することができる。

また、ろ過に用いるろ過材の目開きは、1μm以上であることが好ましく、100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましい。目開きが1μm以上のろ過材を用いて中和された水溶性重合体を含む水溶液をろ過すれば、得られるバインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて調製したスラリー組成物において、スラリー組成物中の電極活物質等の分散性が良好になるからである。加えて、ろ過材の目開きが1μm以上であれば、バインダー組成物としての結着性および密着性を発揮する比較的高分子領域の重合体を除去してしまうことが防がれ、バインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて作製した電極の密着性(ピール強度)をより高め得るからである。また、目開きが100μm以下のろ過材を用いて、中和された水溶性重合体を含む水溶液をろ過すれば、得られるバインダー用水溶性重合体を含むバインダー組成物を用いて製造した二次電池において、電解液注液性を更に向上し、充電時の金属析出を更に抑制し得るからである。

(非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法) 本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、電極活物質および非水系二次電池電極用バインダー組成物を含むスラリー組成物の製造方法であって、上述したいずれかの非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法に従ってバインダー組成物を調製する工程を含むことを特徴とする。 ここで、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法が含むバインダー組成物を調製する工程は、上述した本発明の非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法の通りである。

また、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、前記電極活物質と前記バインダー組成物とに加え、粒子状重合体を更に加えてスラリー組成物を製造することができる。更に、本発明の製造方法で得られる非水系二次電池電極用スラリー組成物は、正極や負極などの非水系二次電池用電極を製造する際に用いることができる。 そして、本発明の製造方法にて得られた非水系二次電池電極用スラリー組成物は、不溶解分率が所定範囲に低減されたバインダー組成物を用いて製造されているため、調製されたスラリー組成物中で電極活物質等が良好に分散される。 なお、本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法は、非水系二次電池用負極を作製するために用いられるスラリー組成物を製造する際に特に好適に用いることができる。 また、以下では、一例として非水系二次電池電極用スラリー組成物がリチウムイオン二次電池負極用スラリー組成物である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。

<電極活物質> 電極活物質は、二次電池の電極において電子の受け渡しをする物質である。そして、リチウムイオン二次電池用の電極活物質としては、通常は、リチウムを吸蔵および放出し得る物質を用いる。

<<負極活物質>> また、負極活物質としては、具体的には、特に限定されることなく、例えば、炭素系負極活物質、金属系負極活物質、およびこれらを組み合わせた負極活物質などが挙げられる。

そして、炭素質材料としては、例えば、易黒鉛性炭素や、ガラス状炭素に代表される非晶質構造に近い構造を持つ難黒鉛性炭素などが挙げられる。 ここで、易黒鉛性炭素としては、例えば、石油または石炭から得られるタールピッチを原料とした炭素材料が挙げられる。具体例を挙げると、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、熱分解気相成長炭素繊維などが挙げられる。 また、難黒鉛性炭素としては、例えば、フェノール樹脂焼成体、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、擬等方性炭素、フルフリルアルコール樹脂焼成体(PFA)、ハードカーボンなどが挙げられる。

更に、黒鉛質材料としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などが挙げられる。 ここで、人造黒鉛としては、例えば、易黒鉛性炭素を含んだ炭素を主に2800℃以上で熱処理した人造黒鉛、MCMBを2000℃以上で熱処理した黒鉛化MCMB、メソフェーズピッチ系炭素繊維を2000℃以上で熱処理した黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維などが挙げられる。

また、金属系負極活物質とは、金属を含む活物質であり、通常は、リチウムの挿入が可能な元素を構造に含み、リチウムが挿入された場合の単位質量当たりの理論電気容量が500mAh/g以上である活物質をいう。金属系活物質としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金を形成し得る単体金属(例えば、Ag、Al、Ba、Bi、Cu、Ga、Ge、In、Ni、P、Pb、Sb、Si、Sn、Sr、Zn、Tiなど)およびその合金、並びに、それらの酸化物、硫化物、窒化物、ケイ化物、炭化物、燐化物などが用いられる。これらの中でも、金属系負極活物質としては、ケイ素を含む活物質(シリコン系負極活物質)が好ましい。シリコン系負極活物質を用いることにより、リチウムイオン二次電池を高容量化することができるからである。

シリコン系負極活物質としては、例えば、ケイ素(Si)、ケイ素を含む合金、SiO、SiOx、Si含有材料を導電性カーボンで被覆または複合化してなるSi含有材料と導電性カーボンとの複合化物などが挙げられる。なお、これらのシリコン系負極活物質は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類上を組み合わせて用いてもよい。 中でも、負極活物質としては、炭素系活物質が好ましく、黒鉛質材料がより好ましく、人造黒鉛が更に好ましい。

<粒子状重合体> スラリー組成物の製造方法が任意に用い得る粒子状重合体は、スラリー組成物中において、粒子状の形状を有する重合体である。また、本発明において、「粒子状重合体」は、25℃において重合体0.5gを100gの水に溶解した際に、不溶分が90質量%以上となる重合体を指す。

<<粒子状重合体の組成>> スラリー組成物が更に含み得る粒子状重合体の組成としては、特に制限されることなく、例えば、芳香族ビニル単量体単位、脂肪族共役ジエン単量体単位、エチレン性不飽和カルボン酸単量体単位、(メタ)アクリルアミド単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、シアン化ビニル系単量体単位、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体単位、ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、等を挙げることができる。 また、各単量体単位を形成し得る芳香族ビニル単量体、脂肪族共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、(メタ)アクリルアミド単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、シアン化ビニル系単量体、ヒドロキシアルキル基を含有する不飽和単量体、ジ(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、上述した水溶性重合体の場合に例示したものと同様の単量体が挙げられる。なお、これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類上を組み合わせて用いてもよい。

上述した単量体の中でも、粒子状重合体の組成としては、芳香族ビニル単量体単位、脂肪族ジエン単量体単位、またはエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位を含むことが好ましく、芳香族ビニル単量体単位、脂肪族ジエン単量体単位、およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の全てを含むことがより好ましい。具体的には、粒子状重合体の組成としては、スチレン、1,3−ブタジエン、またはイタコン酸を含むことが好ましく、スチレン、1,3−ブタジエン、およびイタコン酸の全てを含むことがより好ましい。

ここで、粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合は、粒子状重合体の全重合体の含有量に対し10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下が更に好ましい。粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が10質量%以上であれば、芳香族ビニル単量体単位の寄与により、当該粒子状重合体を更に含むスラリー組成物を用いて作製された電極の密着性(ピール強度)が更に向上し得るからである。また、粒子状重合体中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が70質量%以下であれば、作製された電極の柔軟性が更に向上し得るからである。 また、粒子状重合体中の脂肪族ジエン単量体単位の含有割合は、粒子状重合体の全重合体の含有量に対し20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下が更に好ましい。粒子状重合体中の脂肪族ジエン単量体単位の含有割合が20質量%以上であれば、脂肪族ジエン単量体単位の寄与により、当該粒子状重合体を更に含むスラリー組成物を用いて作製された電極の柔軟性が更に向上し得るからである。また、粒子状重合体中の脂肪族ジエン単量体単位の含有割合が80質量%以下であれば、作製された電極の密着性(ピール強度)が更に向上し得るからである。 更に、粒子状重合体中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有割合は、粒子状重合体の全重合体の含有量に対し1質量%以上が好ましく、1.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましく、10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。粒子状重合体中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有割合が1質量%以上であれば、当該粒子状重合体を更に含むスラリー組成物中において、電極活物質等の分散性をより高め得るからである。加えて、製造される二次電池の電解液注液性を更に向上し、金属析出を更に抑制し得るからである。また、粒子状重合体中のエチレン性不飽和カルボン酸単量体単位の含有割合が10質量%以下であれば、作製された電極の柔軟性および密着性(ピール強度)を更に向上し得るからである。

<非水系二次電池負極用スラリー組成物の調製> 非水系二次電池負極用スラリー組成物は、上述した電極活物質と、バインダー組成物と、任意の粒子状重合体とを、水および/またはN−メチルピロリドンなどの有機溶媒などの溶媒中に溶解または分散させることにより調製することができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、顔料分散機、らい潰機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、フィルミックスなどの混合機を用いて上記各成分と溶媒とを混合することにより、スラリー組成物を調製することができる。なお、スラリー組成物の調製に用いる溶媒としては、上述したバインダー組成物に含まれている溶媒を使用してもよい。

ここで、スラリー組成物を調製する際の各重合体の含有割合は、上述で得られたバインダー用水溶性重合体と前記粒子状重合体との合計含有量に対し、バインダー用水溶性重合体の含有割合が10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが好ましい。バインダー用水溶性重合体の含有割合が10質量%以上であれば、バインダー用水溶性重合体の寄与により、スラリー組成物中において、電極活物質等の分散性をより高め得るからである。加えて、製造される二次電池の電解液注液性を更に向上し、金属析出を更に抑制し得るからである。また、バインダー用水溶性重合体の含有割合が90質量%以下であれば、併用し得る粒子状重合体の寄与により、作製された電極の柔軟性および密着性(ピール強度)を更に向上し得るからである。

(非水系二次電池用電極の製造方法) 本発明の非水系二次電池用電極の製造方法は、集電体上に電極合材層を形成することを含む非水系二次電池用電極の製造方法であって、上述したいずれかの製造方法に従って調製した非水系二次電池電極用スラリー組成物を用いて前記電極合材層を形成する工程を含むことを特徴とする。 ここで、本発明の非水系二次電池用電極の製造方法が含む、電極合材層を形成する工程に用いられるスラリー組成物を製造する方法は、上述した本発明の非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法の通りである。 そして、本発明の製造方法にて得られた非水系二次電池用電極は、不溶解分率が所定範囲に低減されたスラリー組成物を用いて製造されているため、高い柔軟性、高い密着性(ピール強度)、および高い電解液注液性を並立することができる。 なお、以下では、一例として非水系二次電池用電極がリチウムイオン二次電池用負極である場合について説明するが、本発明は下記の一例に限定されるものではない。

<集電体> ここで、集電体としては、電気導電性を有し、かつ、電気化学的に耐久性のある材料が用いられる。具体的には、集電体としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、金、白金などの金属材料からなる集電体を用い得る。なお、前記の材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。

<負極合材層の形成> そして、負極は、例えば、上述した負極用スラリー組成物を集電体上に塗布する工程(塗布工程)と、集電体上に塗布された負極用スラリー組成物を乾燥して集電体上に負極合材層を形成する工程(乾燥工程)とを経て製造される。

<<塗布工程>> 上記負極用スラリー組成物を集電体上に塗布する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。具体的には、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、負極用スラリー組成物を集電体の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。塗布後乾燥前の集電体上のスラリー膜の厚みは、乾燥して得られる負極合材層の厚みに応じて適宜に設定しうる。

<<乾燥工程>> 集電体上の負極用スラリー組成物を乾燥する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥法、真空乾燥法、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上の負極用スラリー組成物を乾燥することで、集電体上に負極合材層を形成し、集電体と負極合材層とを備える負極を得ることができる。

なお、乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、負極合材層に加圧処理を施してもよい。加圧処理により、負極合材層と集電体との密着性を向上させることができる。また、負極合材層が硬化性の重合体を含む場合は、負極合材層の形成後に前記重合体を硬化させることが好ましい。

(非水系二次電池の製造方法) 本発明の非水系二次電池の製造方法は、正極、負極、および電解液を備え、正極および負極の少なくとも一方を、上述した非水系二次電池用電極の製造方法に従って作製した非水系二次電池用電極とする工程を含むことを特徴とする。つまり、本発明の製造方法で得られる二次電池は、二次電池の正極が本発明の電極であり負極が他の既知の負極であってもよく、二次電池の負極が本発明の電極であり正極が他の既知の正極であってもよく、そして、二次電池の正極および負極の両方が本発明の電極であってもよい。中でも、二次電池の負極が本発明の電極であることが好ましい。 また、本発明の非水系二次電池の製造方法は、前記正極、負極、および電解液以外に、正極と負極とを隔離して正極と負極との間の短絡を防ぐセパレータ等の既知の電池部材が含まれていてもよい。そして、特に制限されることなく、例えば、これらの電池部材を既知の電池容器に入れ、既知の組立工程を経ることにより二次電池を製造することができる。 そして、本発明の製造方法にて得られる非水系二次電池は、本発明の製造方法に従って得られた電極を備えているため、充電時に電極上に金属が析出することが抑制され、良好な電池特性を示し得る。

<正極> 正極としては、既知の正極を用いることができる。具体的には、正極としては、特に限定されることなく、集電体と、集電体上に形成された正極合材層とを有する正極を用いることができる。そして、正極合材層は、通常、正極活物質、導電助剤、および結着材を含有する。 ここで、集電体、正極合材層中の正極活物質、導電助剤、および結着材、並びに、集電体上への正極合材層の形成方法には、既知のものを用いることができ、例えば特開2013−145763号公報に記載のものを用いることができる。

[正極用活物質] 正極活物質としては、具体的には、特に限定されることなく、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)、Co−Ni−Mnのリチウム含有複合酸化物(Li(Co Mn Ni)O2)、Ni−Mn−Alのリチウム含有複合酸化物、Ni−Co−Alのリチウム含有複合酸化物、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、オリビン型リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、Li2MnO3−LiNiO2固溶体、Li1+xMn2-xO4(0

0.17Li

0.2Co

0.07Mn

0.56]O

2、LiNi

0.5Mn

1.5O

4等の既知の正極活物質が挙げられる。 なお、正極活物質の配合量や粒子径は、特に限定されることなく、従来使用されている正極活物質と同様とすることができる。

[導電助剤] また、導電助剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラックなどの粒子状炭素材料;気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素材料;等が挙げられる。中でも、導電助剤としては、アセチレンブラックが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 なお、正極活物質および導電助剤の配合量は、特に限定されることなく、従来使用されている正極活物質および導電助剤と同様とすることができる。

[結着材] 更に、結着材としては、特に限定されることなく、上述した水溶性重合体および粒子状重合体以外の既知の結着材を使用することができる。具体的には、例えば、フッ素含有重合体などが挙げられる。フッ素含有重合体の中でも、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。 なお、結着材の配合量は、特に限定されることなく、従来使用されている結着材と同様とすることができる。

<電解液> 電解液としては、通常、有機溶媒に支持電解質を溶解した有機電解液が用いられる。例えば、非水系二次電池がリチウムイオン二次電池である場合には、支持電解質としては、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAlCl4、LiClO4、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、CF3COOLi、(CF3CO)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)NLiなどが挙げられる。なかでも、溶媒に溶けやすく高い解離度を示すので、LiPF6、LiClO4、CF3SO3Liが好ましく、LiPF6が特に好ましい。なお、電解質は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。通常は、解離度の高い支持電解質を用いるほどリチウムイオン伝導性が高くなる傾向があるので、支持電解質の種類によりリチウムイオン伝導性を調節することができる。

また、電解液に使用する有機溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物類;などが好適に用いられる。またこれらの溶媒の混合液を用いてもよい。中でも、誘電率が高く、安定な電位領域が広いのでカーボネート類を用いることが好ましく、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合物を用いることが更に好ましい。 また、電解液には、既知の添加剤、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)やエチルメチルスルホンなどを添加してもよい。

<セパレータ> セパレータとしては、特に限定されることなく、例えば、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂を用いた微多孔膜、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルフォン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアラミド、ポリシクロオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を用いた微多孔膜、ポリオレフィン系の繊維を用いた織布または不織布、絶縁性物質よりなる粒子の集合体等が挙げられる。これらの中でも、セパレータ全体の膜厚を薄くすることができ、これにより、非水系二次電池内の電極合材層の比率を高くして体積あたりの容量を高くすることができるという点より、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニル)の樹脂を用いた微多孔膜が好ましい。中でも、ポリプロピレンの樹脂からなる微多孔膜がより好ましい。

<組立工程> そして、本発明の非水系二次電池の製造方法では、特に制限されることなく、既知の組立方法を用いて非水系二次電池を製造することができる。具体的には、本発明の非水系二次電池の製造方法では、例えば、上述で得られた負極と、正極と、セパレータとを必要に応じて電池形状に巻く、折るなどして電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口することにより、非水系二次電池を製造することができる。非水系二次電池の内部圧力の上昇、過充放電等の発生を防止するために、必要に応じて、ヒューズ、PTC素子等の過電流防止素子、エキスパンドメタル、リード板などを設けてもよい。二次電池の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、シート型、円筒型、形、扁平型など、何れであってもよい。

以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。 そして、実施例および比較例において、バインダー用水溶性重合体の重量平均分子量、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率、スラリー組成物の分散安定性、電極の柔軟性、電極の密着性、二次電池における電極の電解液注液性、および二次電池におけるリチウム金属析出率は、下記の方法で算出、測定および評価した。

<重量平均分子量> バインダー用水溶性重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)を用いて測定した。具体的には、固形分1質量%に調整したものを測定サンプルとした。そして、標準物質で検量線を作成することにより、標準物質換算値としての重量平均分子量を算出した。なお、測定条件は以下の通りである。結果を表1に示す。 装置 :ゲル浸透クロマトグラフ(東ソー社製、ポンプ:製品名「DP−8020」、オートサンプラー:製品名「AS−8020」、検出器:製品名「RI−8020」) カラム :昭和電工社製、製品名「Shodex OHpak(SB−G,SB−807HQ,SB−806MHQ)」 移動相 :0.1M トリス緩衝液(pH9.0)+0.1M 塩化カリウム 流速 :0.5mL/分 注入量 :0.2mL 温度 :40℃ 検出器 :示差屈折率検出器(RI) 標準物質 :単分散プルラン

<不溶解分率> バインダー組成物中の1μm以上の不溶解分率は、以下の方法により算出した。具体的には、目開き1μmのシート状ろ過フィルターをあらかじめ秤量し、秤量した質量をCとした。次に、製造した非水系二次電池電極用バインダー組成物を固形分0.5質量%に調整したバインダー組成物の試料1000g(固形分量5g)を、秤量したフィルター上に移し、試料自体の自重によりろ過した。また、ろ過後に前記フィルターを減圧乾燥処理(ゲージ圧:−0.05MPa以下、温度:110℃、乾燥時間:3時間)し、減圧乾燥後のフィルターを秤量し、秤量した質量をBとした。 そして、以下の算出式(I): 不溶解分率(質量%)=(B−C)÷A×100・・・(I) Aは、バインダー組成物の試料中の全固形分量、 Bは、ろ過後に減圧乾燥させたフィルターの質量、 Cは、ろ過前のフィルターの質量、 に従って、1μm以上の不溶解分率として算出した。 尚、本測定は、比較例2においては、工程(A)のみを経たバインダー組成物に対して、比較例4においては、工程(B)の後に工程(A)を経たバインダー組成物に対して行った。結果を表1に示す。

<スラリー組成物の分散安定性> スラリー組成物の分散安定性は、スラリー組成物中の電極活物質の分散性として、JIS K5600−2−5:1999に準拠したゲージ(粒ゲージ)により評価した。具体的には、ゲージ上に観察される筋の発生点のうち3番目に大きい粒度を測定し、当該測定を6回行った。測定された中での最大値をそのスラリー組成物における粒度とし、以下の基準で判定した。粒度が小さいほどスラリー組成物中の粒子の分散安定性が良好であることを示す。結果を表1に示す。 A:粒度が30μm未満 B:粒度が30μm以上40μm未満 C:粒度が40μm以上50μm未満 D:粒度が50μm以上60μm未満 E:粒度が60μm以上

<電極の柔軟性> 製造した電極を幅1cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とした。得られた試験片を、各種径のSUS製の棒が軸心となるよう、当該SUS製の棒に巻きつけた。巻きつけた電極表面に割れが発生した径から、柔軟性を以下の基準で判定した。電極表面に割れが発生した径が小さいほど、電極の柔軟性が高いことを示す。結果を表1に示す。 A:径が3.0mm未満 B:径が3.0mm以上3.5mm未満 C:径が3.5mm以上4.0mm未満 D:径が4.0mm以上4.5mm未満 E:径が4.5mm以上

<電極の密着性> 電極の密着性は、以下の通り負極のピール強度として測定した。具体的には、製造された負極をそれぞれ、幅1cm×長さ10cmの矩形に切って試験片とした。得られた試験片を、負極合材層面を上にして固定した。固定した試験片の負極合材層の表面にセロハンテープを貼り付けた後、試験片の一端からセロハンテープを50mm/分の速度で180°方向に引き剥がしたときの応力を測定した。同様の測定を10回行い、その平均値をピール強度とし、以下の基準にて判定した。ピール強度が大きいほど、電極(負極)の密着性が高いことを示す。結果を表1に示す。 A:ピール強度が6N/m以上 B:ピール強度が5N/m以上6N/m未満 C:ピール強度が4N/m以上5N/m未満 D:ピール強度が3N/m以上4N/m未満 E:ピール強度が3N/m未満

<電解液注液性> 製造したリチウムイオン二次電池用負極を、直径12mmに打ち抜いた。次に、電解液10μLを、打ち抜いた負極の負極合材層表面に滴下した。そして、滴下液が浸み込むまでの時間を、拡大カメラを用いて目視にて測定した。なお、電解液としては、濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒:エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(体積比)の混合溶媒、添加剤:ビニレンカーボネート2質量%(溶媒比))を使用した。そして、以下の基準により判定した。滴下液が浸み込むまでの時間が短いほど、電解液注液性が高いことを示す。結果を表1に示す。 A:浸み込むまでの時間が60秒未満 B:浸み込むまでの時間が60秒以上90秒未満 C:浸み込むまでの時間が90秒以上120秒未満 D:浸み込むまでの時間が120秒以上150秒未満 E:浸み込むまでの時間が150秒以上

<金属析出率> 二次電池の充電時における電極上での金属析出率は、以下の方法により、負極上でのリチウム析出面積割合として測定した。具体的には、製造したリチウムイオン二次電池を、20℃環境下、1Cの定電流で充電深度(SOC)100%まで満充電した。そして、満充電した二次電池を解体して負極を取り出し、負極合材層の表面上に析出したリチウムの面積割合を、以下の算出式(II): リチウム析出面積割合(%)=(析出したリチウムの面積/負極合材層の表面の面積)×100・・・(II) に従って算出した。そして、以下の基準で評価した。リチウム析出面積割合が低いほど、二次電池として良好であることを示す。結果を表1に示す。 A:リチウム析出面積割合が2%未満 B:リチウム析出面積割合が2%以上5%未満 C:リチウム析出面積割合が5%以上10%未満 D:リチウム析出面積割合が10%以上15%未満 E:リチウム析出面積割合が15%以上

(実施例1) <非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造> <<水溶性重合体の調製工程>> ガラス製1Lフラスコに、イオン交換水789部を投入して、温度40℃に加熱し、流量100mL/分の窒素ガスでフラスコ内を置換した。次に、アクリル酸30部と、アクリルアミド70部を混合して、シリンジでフラスコ内に注入した。その後、重合開始剤としての過硫酸カリウムの2.5%水溶液8.9部をシリンジでフラスコ内に添加して重合反応を開始した。更に、重合反応の開始から15分後に、重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンの2.0%水溶液22.2部をシリンジで添加した。 前記重合開始剤を添加した4時間後、重合開始剤としての過硫酸カリウムの2.5%水溶液4.4部をフラスコ内に追加し、更に重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンの2.0%水溶液11.1部を追加して、温度を60℃に昇温、維持し、重合反応を進めた。前記重合開始剤を追加した3時間後、フラスコを空気中に開放して重合反応を停止させ、重合生成物を温度80℃で脱臭し、残留モノマーを除去することにより、水溶性重合体を含む水溶液を得た。 <<工程(A)>> その後、上述の水溶性重合体の調製工程で得られた水溶性重合体を含む水溶液に対し、水酸化リチウムの5%水溶液を用いてpHを8に調整することにより、中和された水溶性重合体を含む水溶液を得た。 <<工程(B)>> 上述の工程(A)で得られた中和された水溶性重合体を含む水溶液を、使用設計圧力が0.8MPaの加圧タンクへ投入した。該タンク吐出口へホースを接続し、さらにその先に、ろ過材としてのろ過用ハウジングを接続した。また、前記ろ過用ハウジング内に、目開き2μmのフィルターカートリッジ(99%捕捉仕様、(株)ロキテクノ製、製品名「MAPシリーズ」)を設置した。そして、前記加圧タンクを窒素加圧して、中和された水溶性重合体を含む水溶液をろ過することにより、バインダー用水溶性重合体を含む水溶液を得た。なお、ろ過処理レートは、前記窒素の圧力値により制御した。 そして、得られたバインダー用水溶性重合体を含む水溶液を用いて、バインダー用水溶性重合体の重量平均分子量を上述の方法で測定した。結果を表1に示す。 続いて、得られたバインダー用水溶性重合体を含む水溶液を、そのままバインダー組成物として用い、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率を上述の方法で測定した。結果を表1に示す。

<非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造> <<粒子状重合体の調製>> 攪拌機付き5MPa耐圧容器に、芳香族ビニル単量体としてスチレン50部と、脂肪族共役ジエン単量体として1,3−ブタジエン47部と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体としてイタコン酸3部と、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4部と、イオン交換水150部と、連鎖移動剤としてt−ドデシルメルカプタン0.4部と、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5部とを入れ、十分に攪拌した後、50℃に加温して重合を開始した。50℃下にて重合反応を続け、重合転化率が96%になった時点で冷却し、重合反応を停止することにより、粒子状重合体を得た。

<<負極用スラリー組成物の調製>> ディスパー付きのプラネタリーミキサーに、負極活物質としての人造黒鉛(比表面積:3.2m2/g、体積平均粒子径:16μm)98部と、上述で得られたバインダー組成物としてのバインダー用水溶性重合体を固形分相当で1部とを加えた。そして、当該混合物をイオン交換水で固形分濃度56%に調整した後、25℃で60分混合を続けた。 次に、当該混合物をイオン交換水で固形分濃度52%に調整して中間希釈混合物を得た後、さらに25℃で15分混合することにより、負極活物質とバインダー用水溶性重合体とを含む混合液を得た。 次いで、当該混合液に、上述で得られた粒子状重合体を固形分相当で1部加え(即ち、バインダー用水溶性重合体の含有割合が、バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との合計含有量の50質量%)、最終固形分濃度が48%となるようにイオン交換水で調整して、さらに10分間混合した。混合後の混合液を減圧下で脱泡処理することにより、負極活物質、バインダー用水溶性重合体、および粒子状重合体を含む負極用スラリー組成物を得た。 そして、得られた負極用スラリー組成物を用いて、スラリー組成物の分散安定性を上述の方法で評価した。結果を表1に示す。

<非水系二次電池用電極の製造> <<負極>> 上述で得られた負極用スラリー組成物を、集電体としての銅箔(厚さ15μm)の上にコンマコーターで、乾燥後の塗付量が9mg/cm2〜10mg/cm2となるように塗布し、乾燥させた。なお、乾燥は、70℃のオーブン内に、当該負極用スラリー組成物が塗布された銅箔を0.5m/分の速度で2分間かけて搬送することにより行った。その後、乾燥された負極用スラリー組成物を有する集電体を更に120℃にて2分間加熱処理することにより、負極原反を得た。 次に、得られた負極原反を、ロールプレス機にて密度が1.50g/cm3〜1.60g/cm3となるようプレスすることにより、片面に負極合材層が形成された負極を得た。 そして、製造された負極について、電極としての柔軟性、密着性、および電解液注液性を上述の方法にて評価した。結果を表1に示す。

<非水系二次電池の製造> <<正極>> プラネタリーミキサーに、正極活物質としてLiCoO2を100部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製、製品名「HS−100」)を2部、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF、(株)クレハ化学製、製品名「KF−1100」)2部を投入し、さらに全固形分濃度が67%となるようにN−メチルピロリドンを加えて混合することにより、正極用スラリー組成物を得た。 そして、得られた正極用スラリー組成物を。集電体としてのアルミ箔(厚さ20μm)の上にコンマコーターで塗布し、乾燥させた。なお、乾燥は、60℃のオーブン内に、当該正極用スラリー組成物が塗布されたアルミ箔を0.5m/分の速度で2分間かけて搬送することにより行った。その後、乾燥された正極用スラリー組成物を有する集電体を更に120℃にて2分間加熱処理することにより、正極原反を得た。 そして、得られた正極原反をロールプレス機にて密度が3.10g/cm3〜3.20g/cm3となるようにプレスすることにより、片面に正極合材層が形成された正極を得た。 <<リチウムイオン二次電池の組立>> 単層のポリプロピレン製セパレータ(幅65mm、長さ500mm、厚さ25μm;乾式法により製造;気孔率55%)を用意し、5cm×5cmの正方形に切り抜いた。また、電池の外装として、アルミ包材外装を用意した。 そして、上述の通り製造した正極を、4cm×4cmの正方形に切り出し、集電体側の表面がアルミ包材外装に接するように配置した。次に、正極の正極合材層側の表面上に、前記正方形のセパレータを配置した。更に、上述の通り製造した負極を、4.2cm×4.2cmの正方形に切り出し、セパレータ上に、負極合材層側の表面がセパレータに向かい合うよう配置した。その後、電解液として濃度1.0MのLiPF6溶液(溶媒:エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=3/7(体積比)、添加剤:ビニレンカーボネート2質量%(溶媒比))を充填した。次に、アルミ包材外装に対して150℃のヒートシールをして当該アルミ包材外装の開口を密封閉口することにより、非水系二次電池としてのリチウムイオン二次電池を製造した。 そして、製造したリチウムイオン二次電池について、上述の方法によりリチウム析出率を評価した。結果を表1に示す。

(実施例2) 工程(B)において、設置するフィルターカートリッジの目開きを25μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例3) 工程(B)において、設置するフィルターカートリッジの目開きを75μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例4) 水溶性重合体の調製工程において、反応開始時に分子量調整剤としてのイソプロピルアルコール0.06部を新たに添加した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例5) 水溶性重合体の調製工程において、反応開始時に分子量調整剤としてのイソプロピルアルコール0.56部を新たに添加した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例6) 水溶性重合体の調製工程において、重合反応開始時の重合開始剤としての過硫酸カリウムの2.5%水溶液を4.4部に変更し、かつ重合反応の開始から15分後に添加する重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンの2.0%水溶液を11.1部へと変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例7) 水溶性重合体の調製工程において、重合反応開始時の重合開始剤としての過硫酸カリウムの2.5%水溶液を2.2部に変更し、かつ重合反応の開始から15分後に添加する重合促進剤としてのテトラメチルエチレンジアミンの2.0%水溶液を5.6部へと変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例8) 負極用スラリー組成物の調製時において、バインダー組成物を固形分相当で0.4部へ変更し、中間希釈混合物の固形分濃度を54%へ変更した。また、粒子状重合体を固形分相当で1.6部へと変更し(即ち、バインダー用水溶性重合体の含有割合が、バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との合計含有量の20質量%)、混合液の最終固形分濃度を50%へ変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例9) 負極用スラリー組成物の調製時において、バインダー組成物を固形分相当で0.2部へ変更し、中間希釈混合物の固形分濃度を56%へ変更した。また、粒子状重合体を固形分相当で1.8部へと変更し(即ち、バインダー用水溶性重合体の含有割合が、バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との合計含有量の10質量%)、混合液の最終固形分濃度を52%へ変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例10) 負極用スラリー組成物の調製時において、バインダー組成物を固形分相当で1.6部へ変更し、中間希釈混合物の固形分濃度を51%へ変更した。また、粒子状重合体を固形分相当で0.4部へと変更し(即ち、バインダー用水溶性重合体の含有量が、バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との合計含有量の80質量%)、混合液の最終固形分濃度を47%へ変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例11) 負極用スラリー組成物の調製時において、バインダー組成物を固形分相当で1.8部へ変更し、中間希釈混合物の固形分濃度を50%へ変更した。また、粒子状重合体を固形分相当で0.2部へと変更し(即ち、バインダー用水溶性重合体の含有量が、バインダー用水溶性重合体と粒子状重合体との合計含有量の90質量%)、混合液の最終固形分濃度を46%へ変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例12) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを25部、1,3−ブタジエンを72部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例13) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを35部、1,3−ブタジエンを62部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例14) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを65部、1,3−ブタジエンを32部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例15) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを70部、1,3−ブタジエンを27部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例16) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを50.5部、1,3−ブタジエンを48部、イタコン酸を1.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(実施例17) 粒子状重合体の調製時において、スチレンを48部、1,3−ブタジエンを45部、イタコン酸を7部に変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例1) 工程(B)において、設置するフィルターカートリッジの目開きを110μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例2) 工程(B)におけるろ過を行わずに、工程(A)を経て得られる中和された水溶性重合体を含む水溶液をそのままバインダー組成物とした以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例3) 工程(A)において、設置するフィルターカートリッジの目開きを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、中和された水溶性重合体を含む水溶液、バインダー用水溶性重合体、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

(比較例4) 工程(A)および工程(B)の順序を逆転した。つまり、得られた水溶性重合体を含む水溶液を目開き2μmのフィルターカートリッジを用いてろ過した後に、当該ろ過後の水溶性重合体を含む水溶液に対して水酸化リチウム5%水溶液を用いてpH8に中和することにより、バインダー組成物を得た。当該順序によりバインダー組成物を得た以外は、実施例1と同様にして、水溶性重合体を含む水溶液、バインダー組成物、粒子状重合体、スラリー組成物、電極、および二次電池を製造した。 そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。

表1より、工程(B)におけるろ過を施すことなく調製した比較例2のバインダー組成物では、工程(B)を施した実施例1〜17と比較し、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率が8.0質量%と大きく増加した。その結果、調製されたスラリー組成物の分散安定性、電極の柔軟性、電極の密着性、電極の電解液注液性、および二次電池の金属析出率の全てにおいて実施例1〜17の場合よりも悪化した。 また、工程(B)におけるろ過を施した後に工程(A)における中和を行って調製した比較例4のバインダー組成物においても、工程(A)の後に工程(B)を施した実施例1〜17と比較し、バインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率が7.5質量%と大きく増加した。その結果、製造されたスラリー組成物の分散安定性、電極の柔軟性、電極の密着性、電極の電解液注液性、および二次電池の金属析出率の全てにおいて実施例1〜17の場合よりも悪化した。 更に、工程(B)におけるフィルターカートリッジの目開きを調節することによりバインダー組成物中の粒子径1μm以上の不溶解分率を5.0質量%超または0.0001質量%未満とした比較例1および3のバインダー組成物においても、当該不溶解分率が0.0001質量%以上5.0質量%以下である実施例1〜17と比較し、調製されたスラリー組成物の分散安定性、電極の密着性、電極の電解液注液性、および二次電池の金属析出率において悪化した。

本発明によれば、電極の高い密着性を維持しつつ、電池組立時の良好な電解液注液性、および充電時の金属析出の抑制を並立し得るバインダー組成物を製造可能な、非水系二次電池電極用バインダー組成物の製造方法を提供することができる。 また、本発明によれば、前記高い密着性を維持しつつ、前記良好な電解液注液性を有し得る電極を製造可能な非水系二次電池用電極の製造方法、並びに、当該電極の製造に用いられるスラリー組成物を製造可能な非水系二次電池電極用スラリー組成物の製造方法を提供することができる。 更に、本発明によれば、充電時の電極上への金属析出を抑制し得る二次電池を製造可能な、非水系二次電池の製造方法を提供することができる。

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