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多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法

阅读:1030发布:2020-05-15

专利汇可以提供多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】従来品と比べて長期わたって加工 精度 が高く、寿命が長い多結晶ダイヤモンド被覆超硬 合金 基材の製造方法の提供。 【解決手段】表面に変形層を有する超硬合金基材にアルカリ処理を施す工程と、脆化基材をダイヤモンド砥粒メディアが分散した分散液A 1 に浸漬し、分散液A 1 に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B 1 に浸漬し、酸性液B 1 に超音波を印加して攪拌して脱層基材を得る工程と、脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、 酸溶液 に浸漬して電気分解する電気分解処理を1回以上繰り返し行うことでエッチング基材を得るエッチング工程と、エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成するPCD膜形成工程と、を備える多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 【選択図】図1,下面是多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法专利的具体信息内容。

表面に変形層を有する超硬合金基材にアルカリ処理を施して、前記変形層の少なくとも一部が脆化された脆化基材を得る脆化工程と、 前記脆化基材をダイヤモンド砥粒メディアが分散した分散液A1に浸漬し、前記分散液A1に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B1に浸漬し、前記酸性液B1に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[1]、 前記脆化基材をダイヤモンド系研磨砥粒が分散した分散液A2に浸漬し、前記分散液A2に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B2に浸漬し、前記酸性液B2に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[2]、あるいは、 前記脆化基材にイオン照射を施すことで、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[3]、 である脱層工程と、 前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解する電気分解処理を1回以上繰り返し行うことでエッチング基材を得るエッチング工程と、 前記エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成するPCD膜形成工程と、 を備える多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記PCD膜形成工程において、前記種ダイヤモンドの粒子径分布最大径が4nmである、請求項1に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記PCD膜形成工程において、前記エッチング基材の表面に前記種ダイヤモンドを付着させた後、ボロンを含むガスを用いたPCD−CVD法によって電気抵抗が10Ω以下の前記多結晶ダイヤモンド膜を形成する、請求項1または2に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脆化工程において、前記超硬合金基材に5〜20分間のアルカリ処理を施す、請求項1〜3のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脱層工程[1]において、前記酸性液B1に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、請求項1〜4のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脱層工程[2]において、前記酸性液B2に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、請求項1〜5のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記エッチング工程において、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.1A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解した後、酸溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.5A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解する、請求項1〜6のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。請求項1〜7のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法によって製造された多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材。

表面に変形層を有する超硬合金基材にアルカリ処理を施して、前記変形層の少なくとも一部が脆化された脆化基材を得る脆化工程と、 前記脆化基材をダイヤモンド砥粒メディアが分散した分散液A1に浸漬し、前記分散液A1に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B1に浸漬し、前記酸性液B1に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[1]、 前記脆化基材をダイヤモンド系研磨砥粒が分散した分散液A2に浸漬し、前記分散液A2に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B2に浸漬し、前記酸性液B2に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[2]、あるいは、 前記脆化基材にイオン照射を施すことで、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[3]、 である脱層工程と、 前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解する電気分解処理を1回以上繰り返し行うことでエッチング基材を得るエッチング工程と、 前記エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成するPCD膜形成工程と、 を備える多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記PCD膜形成工程において、前記種ダイヤモンドの粒子径分布最大径が4nmである、請求項1に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記PCD膜形成工程において、前記エッチング基材の表面に前記種ダイヤモンドを付着させた後、ボロンを含むガスを用いたPCD−CVD法によって電気抵抗が10Ω以下の前記多結晶ダイヤモンド膜を形成する、請求項1または2に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脆化工程において、前記超硬合金基材に5〜20分間のアルカリ処理を施す、請求項1〜3のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脱層工程[1]において、前記酸性液B1に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、請求項1〜4のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記脱層工程[2]において、前記酸性液B2に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、請求項1〜5のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。前記エッチング工程において、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.1A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解した後、酸溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.5A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解する、請求項1〜6のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。

说明书全文

本発明は、多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材およびその製造方法に関する。

CFRP(carbon fiber reinforced plastic、炭素繊維強化プラスチック)材料は金属材料に比べて比強度が高い。このため航空機、自動車、パソコン筺体、日用品などの部材として使用されている。

CFRPは難加工材料の典型例であり、その加工のためには、多結晶ダイヤモンドが被覆された超硬合金を基材とするドリル、エンドミル、カッターが用いられる。このような基材はCFRPを加工した場合であっても、寿命が長く、長期にわたって良好な加工精度を備える傾向がある。

超硬合金基材に多結晶ダイヤモンドを被覆する場合、基材に予め種ダイヤモンドを植え付け、その後、真空にされた容器内に設置する。一般的にはタングステン(W)フィラメントを用い、Wフィラメントに電気を流し、赤熱されたフィラメントは基材を輻射熱で加熱する。この時、容器内に素(H2)およびメタン(CH4)を導入すれば、時間経過と共に、基材の表面に多結晶ダイヤモンドが成長する。このような多結晶ダイヤモンド膜の形成方法は、PCD−CVD法−Poly Crystalline Diamond - Chemical Vapor Depositionといわれる。こうして得られた多結晶ダイヤモンド被覆基材は、被覆されない基材に比べて、著しい長寿命、正確な加工精度が得られる基材となる。

超硬合金工具の一般的な製造方法をドリルの場合を例にとって記載する。 主として原料は硬質の炭化タングステン(WC)とその結合剤コバルト(Co)である。WCはおよそ1ミクロン(μm)程度の張った粉体であり、昇華性で、硬質材料である。Coは粉体であり高温下で軟化、硬質材料の結合材となる。硬質材料と結合材料は混合され、プレス成型後、高温に加熱され所定の形状に成型される。ドリルの場合は、例えば、棒状に成型される。 棒状成型された超硬合金素材は、ダイヤモンド砥石などで、切削成型される。ドリルの場合、切り刃、溝、逃げ面、掬い面などをもつ製品形状に仕上げられる。

上記に関連する従来法として、例えば特許文献1〜11および非特許文献1〜4に記載の方法が挙げられる。

特許第5,408,091号公報

特許第5,573,635号公報

特許第5,477,781号公報

特許第5,397,689号公報

特許第5,459,504号公報

特許第5,282,911号公報

特許第5,499,751号公報

特許第5,499,650号公報

特許第5,402,543号公報

特許第4,825,490号公報

特許第4,588,453号公報

B. Sahoo, A.K. Chattopadhyay, On effectiveness of various surface treatment on adhesion of HF-CVD diamond coating to tungsten carbide inserts, ELSEVIER DIAMOND and RELATED MATERIALS 11 (2002) 1660-1669

R. Haubner, et al, Murakami and H2SO4/H2O2 Pretreatment of WC-Co Hard Metal Substrates to Increase the Adhesion of CVD Diamond Coating, JOURNAL DE PHYSIQUE IV Colloque C5, supplement au Jourmal de Physique II, Volume 5, juin 1995 C5-753-C5-760

L.B.J.W. Hegeman et al, Grinding of WC-Co hardmetals, Wear 248 (2001) 187-196 ELSEVIER

若生仁志ら、超硬合金上に成膜したダイヤモンドモンド薄膜の密着性に及ぼす硝酸処理の影響、表面技術、Vol.61, No.7, 2010 p516-521

従来、PCD−CVD法を施されたドリル、エンドミル、カッターなどの多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材によって被削物を機械加工すると、工具表面(特に工具の逃げ面)での摩耗が発生し、場合によっては、多結晶ダイヤモンド膜の脱落または工具(基材)の破壊が発生していた。工具(基材)が破壊されると、通常、多結晶ダイヤモンド膜が付いた基材が脱落することになる。これらの現象から、従来のPCD−CVD法による多結晶ダイヤモンド被覆基材は、期待される長寿命、加工精度の維持が困難であった。

また、前述のように、例えば、棒状に成型された超硬合金基材は、主に、ダイヤモンド砥石で切削成型される。その工程に伴って、Co(結合剤)で結合された硬質微粒子WCは微粉化した混合層となり超硬合金層の最外層に付着する。 なお、この混合層について、非特許参考文献3では"deformed layer"、非特許文献4では"変形層"と記述されており、以降では"変形層"と言う。 切削成型の工程は、冷却されながら行われるが、切削点は瞬間的には高い温度となり、わずかではあるがW3Co3Cで代表される複合炭化物相、いわゆるη(イータ)相を若干生じる。η相の抗折は非常に劣化している。しかしながら、これら変形層はCoの効果もあり、金属光沢を有する。非特許参考文献3,4によれば、この変形層は粒子間辷りにより発生する延性物であり、炭化物粒子には亀裂が検出されている。市販されている超硬合金工具の断面を走査型電子顕微鏡で断面観察をした結果を図1に示す。基材の表面に厚さ420nm程度の層が観察される。これが非特許文献1等に記述されている変形層である。このような観察から、成型された基材がナノメータからマイクロメータの厚さの変形層で覆われていることがわかる。 この変形層の上にPCD膜を成長させた場合、PCD膜の超硬合金基材への密着力は弱いため、PCD膜の剥離を起こし、工具寿命が短くなる。従って、PCD膜を形成する前に、この変形層を取り除く必要がある。

また、特許文献11では切削成型後の超硬高合金工具の表面において、結合材を選択的除去する工程が述べられているが、この方法では変質層が残存したままである。加えて、その後、強アルリ処理、及びそれに続く炭化珪素砥粒をブラストすることで最外層付近のWCを除去することが述べられており、PCDの基材に対する密着力に最も影響する変形層を取り除くことには言及されていない。また、超硬基材を砥粒でブラストする場合、ブラスト材は往々にして基材、特に硬質粒子の粒間、あるいは結合剤に突き刺さり、以降のCVD成膜においてPCD膜の密着強度を低下させる要素となる。

本発明は上記のような課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、従来品と比べて長期にわたって加工精度が高く、寿命が長い多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材およびその製造方法を提供することを目的とする。

本発明者は上記のような課題を解決するため鋭意検討し、本発明に至った。 本発明は以下の(1)〜(8)である。 (1)表面に変形層を有する超硬合金基材にアルカリ処理を施して、前記変形層の少なくとも一部が脆化された脆化基材を得る脆化工程と、 前記脆化基材をダイヤモンド砥粒メディアが分散した分散液A1に浸漬し、前記分散液A1に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B1に浸漬し、前記酸性液B1に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[1]、 前記脆化基材をダイヤモンド系研磨砥粒が分散した分散液A2に浸漬し、前記分散液A2に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B2に浸漬し、前記酸性液B2に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[2]、あるいは、 前記脆化基材にイオン照射を施すことで、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[3]、 である脱層工程と、 前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解する電気分解処理を1回以上繰り返し行うことでエッチング基材を得るエッチング工程と、 前記エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成するPCD膜形成工程と、 を備える多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (2)前記PCD膜形成工程において、前記種ダイヤモンドの粒子径分布最大径が4nmである、上記(1)に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (3)前記PCD膜形成工程において、前記エッチング基材の表面に前記種ダイヤモンドを付着させた後、ボロンを含むガスを用いたPCD−CVD法によって電気抵抗率が10Ω以下の前記多結晶ダイヤモンド膜を形成する、上記(1)または(2)に記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (4)前記脆化工程において、前記超硬合金基材に5〜20分間のアルカリ処理を施す、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (5)前記脱層工程[1]において、前記酸性液B1に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (6)前記脱層工程[2]において、前記酸性液B2に1〜10分間、超音波を印加しながら攪拌する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (7)前記エッチング工程において、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.1A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解した後、酸溶液に浸漬し、電位差2V以上、電流値0.5A以上、処理時間1分以上の処理条件で電気分解する、上記(1)〜(6)いずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法。 (8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法によって製造された多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材。

本発明によれば、従来品と比べて長期にわたって加工精度が高く、寿命が長い多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材およびその製造方法を提供することができる。

市販されている超硬合金工具の断面を走査型電子顕微鏡で断面観察をした結果(SEM像)である。

実施例1で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

実施例1で得られたドリルの外観写真である。

実施例1で得られたドリルを用いて穴を開けたCFRP板の写真である。

CFRP板に穴を開けた後の、実施例1で得られたドリルの逃げ面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

実施例3で得られたドリルの脱層基材表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

比較例1で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

比較例2で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

比較例3で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

比較例4で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

比較例5で得られたドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察して得たSEM像(写真)である。

本発明について説明する。 本発明は、表面に変形層を有する超硬合金基材にアルカリ処理を施して、前記変形層の少なくとも一部が脆化された脆化基材を得る脆化工程と、 前記脆化基材をダイヤモンド砥粒メディアが分散した分散液A1に浸漬し、前記分散液A1に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B1に浸漬し、前記酸性液B1に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[1]、 前記脆化基材をダイヤモンド系研磨砥粒が分散した分散液A2に浸漬し、前記分散液A2に超音波を印加して撹拌した後、酸性液B2に浸漬し、前記酸性液B2に超音波を印加して攪拌し、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[2]、あるいは 前記脆化基材にイオン照射を施すことで、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得る脱層工程[3]、 である脱層工程と、 前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解する電気分解処理を1回以上繰り返し行うことでエッチング基材を得るエッチング工程と、 前記エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成するPCD膜形成工程と、 を備える多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法である。 このような多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。

また、本発明の製造方法によって製造された多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材を、以下では「本発明の基材」ともいう。

<脆化工程> 本発明の製造方法における脆化工程について説明する。 脆化工程では、初めに、超硬合金基材を用意する。

超硬合金は、一般的には、周期表4,5,6族金属の炭化物をFe、Co、Niなどの鉄系金属と混合し焼結した複合材料を意味する。さらに、炭化チタン(TiC)や炭化タンタル(TaC)などが添加されたものであってもよい。 超硬合金として、具体的には、炭化タングステン(WC、タングステン・カーバイド)と結合剤(バインダ)であるコバルト(Co)とを混合して焼結したものが挙げられる。

超硬合金基材は、上記のような超硬合金からなる基材であり、従来公知のドリル、エンドミル、カッター等と同様の形状に加工されたものである。

例えば、炭化タングステンを主成分とする超硬合金基材は、粉砕された炭化タングステン(WC)微粉末とコバルト(Co)とを混合した後、コバルトの軟化点以上の温度まで加熱することで、WC微粉末を焼結結合させ、得られた素形状の超硬合金(WC−Co)を機械加工して、ドリル、エンドミル、カッター等と同様の形状とされる。

この機械加工の際に、基材表面に前述のような変形層が形成される。

脆化工程では、超硬合金基材にアルカリ処理を施す。 これによって変形層の少なくとも一部のCoリッチな層に対して密着力が弱いスポンジ状のものとすることができる。

アルカリ処理とは、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムのアルカリ溶液を超硬合金基材と接触させる処理である。典型的には、アルカリ水溶液中に超硬合金基材を浸漬して撹拌する処理が挙げられる。 アルカリ溶液として村上試薬を用いることが好ましい。村上試薬とは、K3Fe(CN)6:KOH:H2O=1:1:10の質量比で混合した溶液である。

超硬合金基材をアルカリ溶液に接触(浸漬)させる時間は特に限定されないものの、1〜60分とすることが好ましく、5〜30分とすることがより好ましく、5〜20分とすることがさらに好ましい。

アルカリ処理した後、超硬合金基材を、水等を用いて洗浄することが好ましい。

このような脆化工程によって、変形層の少なくとも一部が脆化された脆化基材を得ることができる。

<脱層工程> 本発明の製造方法における脱層工程について説明する。 脱層工程は脱層工程[1]、脱層工程[2]および脱層工程[3]の3つの工程のうちのいずれかである。また、3つの工程のうちの2つ以上を組み合わせて脱層工程とすることもできる。すなわち、例えば脆化基材に脱層工程[1]を施した後、さらに脱層工程[2]を施して得られたものを脱層基材とすることもできる。

<脱層工程[1]> 脱層工程[1]では、ダイヤモンド砥粒メディアを用いる。 ダイヤモンド砥粒メディアとは、例えばSIRIUS−Z(登録商標)メディアで、直径数百μm(例えば200〜500μm)の粒状ゴムの表面に、直径数μm(例えば0.5〜5μm)のダイヤモンド砥粒を付着させたものである。

このようなダイヤモンド砥粒メディアを前記脆化基材と共に分散液A1に浸漬する。 分散液A1は、ダイヤモンド砥粒メディアを分散させかつ脆化基材を濡らすことが出来る液体であればよく、例えば水であってよい。

ダイヤモンド砥粒メディアを前記脆化基材と共に分散液A1に浸漬した後、分散液A1に超音波を印加して撹拌する。 超音波は従来公知の超音波発生装置を用いて分散液A1に印加することができる。 超音波の出力や、分散液A1に超音波を印可する時間は特に限定されず、処理対象物の量などによって変わる。例えば超音波の出力は100W以上であってよく、500W以上であることが好ましい。また、例えば超音波出力は1200W以下であってよく、800W以下であってもよい。 分散液A1に超音波を印加する時間は、例えば0.5h以上とすることが好ましく、1h以上とすることがより好ましい。また、例えば、3h以下であってもよく、1.5h以下であってもよい。

このような処理を施した後、分散液A1中から脆化基材を取り出し、酸性液B1に浸漬する。

酸性液B1は、脆化基材の表面の少なくとも一部を溶解する酸性の液体であれば特に限定されず、硝酸、塩酸、硫酸、カロ酸等の酸性液であってよい。酸性液B1は、硝酸であることが好ましい。

脆化基材を酸性液B1に浸漬した後、酸性液B1に超音波を印加して撹拌する。 超音波は従来公知の超音波発生装置を用いて酸性液B1に印加することができる。 超音波の出力や、酸性液B1に超音波を印可する時間は特に限定されず、処理対象物の量などによって変わる。例えば超音波の出力は50W以上であってよく、80W以上であることが好ましい。また、例えば超音波出力は200W以下であってよく、120W以下であってもよい。 酸性液B1に超音波を印加する時間は、例えば1分間以上とすることが好ましく、2分間以上とすることがより好ましい。また、例えば、10分間以下としてよく、4分間以下としてもよい。

酸処理した後、脆化基材を、水等を用いて洗浄することが好ましい。

このような脱層工程[1]によって、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得ることができる。

<脱層工程[2]> 脱層工程[2]では、ダイヤモンド系研磨砥粒を用いる。 ダイヤモンド系研磨砥粒とは、直径数μm〜数十μm(例えば3〜90μm)のものが挙げられる。

このようなダイヤモンド系研磨砥粒が分散した分散液A2に、前記脆化基材を浸漬する。 分散液A2は、ダイヤモンド系研磨砥粒を分散させかつ脆化基材を濡らすことが出来る液体であればよく、例えば水であってよい。 分散液A2に分散させるダイヤモンド系研磨砥粒の量は、脆化基材を十分に覆う量があればよい。

前記脆化基材を分散液A2に浸漬した後、分散液A2に超音波を印加して撹拌する。 超音波は従来公知の超音波発生装置を用いて分散液A2に印加することができる。 超音波の出力や、分散液A2に超音波を印可する時間は特に限定されず、処理対象物の量などによって変わる。例えば超音波の出力は50W以上であってよく、80W以上であることが好ましい。また、例えば超音波出力は200W以下であってよく、120W以下であってもよい。 分散液A2に超音波を印加する時間は、例えば1h以上とすることが好ましく、2h以上とすることがより好ましい。また、例えば、6h以下としてよく、4h以下としてもよい。

このような処理を施した後、分散液A2中から脆化基材を取り出し、酸性液B2に浸漬する。

酸性液B2は、脆化基材の表面の少なくとも一部を溶解する酸性の液体であれば特に限定されず、硝酸、塩酸、硫酸、カロ酸等の酸性液であってよい。酸性液B2は、硝酸であることが好ましい。

脆化基材を酸性液B2に浸漬した後、酸性液B2に超音波を印加して撹拌する。 超音波は従来公知の超音波発生装置を用いて酸性液B2に印加することができる。 超音波の出力や、酸性液B2に超音波を印可する時間は特に限定されず、処理対象物の量などによって変わる。例えば超音波の出力は50W以上であってよく、80W以上であることが好ましい。また、例えば超音波出力は200W以下であってよく、120W以下であってもよい。 酸性液B2に超音波を印加する時間は、例えば1分間以上とすることが好ましく、2分間以上とすることがより好ましい。また、例えば、10分間以下としてよく、4分間以下としてもよい。

酸処理した後、脆化基材を、水等を用いて洗浄することが好ましい。

このような脱層工程[2]によって、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得ることができる。

<脱層工程[3]> 脱層工程[3]では、イオン照射を施す。 イオン照射は従来公知の装置を用いて行うことができる。例えば、イオンガンおよび真空チャンバーを有し、真空チャンバー内にはその中央部にホルダーが設置されていて、イオンガンはガス入口から導入されるガスをプラズマ化し、そのガスイオンを生成させ、イオンビームとしてのイオン流がホルダーにセットされた被処理材に照射される装置である。 イオンビームの発生装置は各種様式のものが市販されており、例えばCED型イオンガン(Closed Electron Drift Ion Gun)を用いることができる。 ここで、ガス入口から導入されるガスは、例えば、不活性な化学種であり、脱層効果が高い点から希ガス、なかでもネオンよりも原子量の大きい不活性元素アルゴン、キセノン、クリプトンなどが好ましく、アルゴンがより好ましく使用される。 真空チャンバーを満たすガスの圧力は、0.01〜1.0Paであることが好ましく、0.05〜0.5Paであることがより好ましい。 イオン照射条件(脱層処理条件)は、ガス種、装置の種類によっても異なるが、イオン加速電圧は2〜4kVであることが好ましく、処理時間は5分〜6時間程度であることが好ましい。CED型イオンガンを使用する場合のイオン電流は0.1〜1A程度であることが好ましい。 また、イオン照射温度は約200℃以下で行うことが好ましい。

このような脱層工程[3]によって、前記脆化基材の表面から前記変形層の少なくとも一部が除去されてなる脱層基材を得ることができる。

<エッチング工程> 本発明の製造方法におけるエッチング工程について説明する。 エッチング工程では、前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、電気分解処理を施す。

初めに、脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解する。 アルカリとしては水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが例示され、村上試薬を用いることもできる。前述の通り、村上試薬とは、K3Fe(CN)6:KOH:H2O=1:1:10の質量比で混合した溶液である。

アルカリ溶液は、これらのアルカリを水等の溶媒に溶解してなる溶液である。 エッチング工程では、このようなアルカリ溶液に脱層基材を浸漬した状態で、電気分解処理を施す。 ここで電気分解の処理条件は脱層基材の量によって変わるが、電位差2V以上、電流値0.1A以上、処理時間1分以上が挙げられる。例えば、従来公知の1本のドリルである超硬合金基材に由来する脱層基材(1本のドリル形状の脱層基材)を電気分解する場合であれば、電位差2〜10V、処理時間1〜5分として電気分解することができる。なお、この工程では水素の発生が電気分解の阻害要素となる。水素発生を他極で行わせるため、電極を交互に変換する交流でも良い。

エッチング工程では、上記のように、脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解する。 酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、カロ酸が挙げられる。 酸溶液は、これらの酸を水等の溶媒に溶解してなる溶液である。酸溶液として、硝酸希釈液を用いることが好ましい。

エッチング工程では、このような酸溶液に脱層基材を浸漬した状態で、電気分解処理を施す。 ここで電気分解の処理条件は脱層基材の量によって変わるが、電位差2V以上、処理時間1分以上が挙げられる。例えば、従来公知の1本のドリルである超硬合金基材に由来する脱層基材(1本のドリル形状の脱層基材)を電気分解する場合であれば、電位差2〜10V、処理時間1〜5分として電気分解することができる。

このような、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解するという一連の処理を電気分解処理とする。そして、エッチング工程では、電気分解処理を1回以上繰り返し行う。例えば、前記脱層基材をアルカリ溶液に浸漬して電気分解した後、酸溶液に浸漬して電気分解し、さらにアルカリ溶液に浸漬して電気分解し、その後、酸溶液に浸漬して電気分解するという処理、すなわち、電気分解処理を2回繰り返すことが好ましい。

エッチング工程では、前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下となるように、上記のような電気分解処理を1回以上繰り返し行い、エッチング基材を得る。

ここで前記脱層基材の表面のCo除去深さが1μm以下または超硬粒子の平均粒子径以下であるかは電気分解処理後の基材を走査型電子顕微鏡(SEM)で1,000〜20,000倍で観察することで確認することができる。 また、脱層基材の表面のCo除去深さは基材を切断し、その断面をSEMで観察することで測定することができる。 また、超硬粒子の平均粒子径は脱層基材を走査型電子顕微鏡で、20,000倍で観察し、視野内の50個の超硬粒子について最大径と最小径との平均値を求めてその超硬粒子の粒子径とし、これを50個の超硬粒子について単純平均して求める、という方法で測定することができる。

本発明の製造方法におけるPCD膜形成工程について説明する。 PCD膜形成工程では、初めに、前記エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させる。

種ダイヤモンドは、従来公知のPCD−CVD法を適用する際に用いられているものを用いることができる。 種ダイヤモンドの形状や粒子径も特に限定されないが、粒子径分布最大径が4nmであることが好ましい。この場合、基材への密着度がより優れる多結晶ダイヤモンド膜を形成することができる。

種ダイヤモンドをエッチング基材の表面に付着させる方法も特に限定されず、従来公知のPCD−CVD法を適用する際に利用される方法を利用することができる。 ここで、エッチング基材の表面に付着させる種ダイヤモンドは粒子径分布最大径が4nmの場合、付着量(集中度)を1010/cm2以上とすることが好ましい。この場合、基材への密着度がより優れる多結晶ダイヤモンド膜を形成することができる。なお、この付着量(集中度)は1013/cm2以下であることが好ましい。

エッチング基材の表面に種ダイヤモンドを付着させた後、多結晶ダイヤモンド膜を形成する方法は特に限定されないが、従来公知のPCD−CVD法を適用することが好ましい。

ここで、ボロンを含むガスを用いたPCD−CVD法を適用することが好ましい。この場合、電気抵抗が10Ω以下の多結晶ダイヤモンド膜を形成することができる。

CFRPは非電導性のエポキシ樹脂などでカーボンファイバーを結合させて作られる。非電導体の樹脂を切削工程で擦過した場合、摩擦静電気が大きな容量で発生し、PCD膜に帯電する。PCDがkΩ〜MΩの抵抗値を持つ場合、帯電した正電荷は逃げ場を失い、短時間に電気伝導性の超硬合金素材に流れる放電現象を起こし、PCD膜の放電破壊を起こすと推定される。本発明の基材からなる工具を用いて被処理物(CFRP等)を加工している際、正電荷はPCD膜に帯電することなく、放電破壊現象が著しく減少し、帯電したPCD膜中の正電荷はPCDから工具に移動し、放電現象を起こしにくいと推定される。その結果、工具の長寿命化、工作精度の維持に繋がると、本発明者は現時点では推定している。

種ダイヤモンドの種付けにおいて、超硬合金基材の表面層のCo表面層から若干深さ方向にCoを取り除けば、種ダイヤモンドの種付けは表面から内部にまで可能となり、その結果、ダイヤモンド膜が基材内部から成長可能となるため、ダイヤモンド膜の密着強度が向上する。この際、種ダイヤモンドの大きさはWC微粉末粒径に比べて遙かに小さければ、基材内部からのダイヤモンド膜成長が可能となる。 当然、この種ダイヤモンド種付けの工程においてはWC粉末の結合材となるCo層を取り除く工程を必要とするが、取り除き層が深ければWCの結合が失われた浮遊したWC粒子が発生し、切削時に機械的衝撃が付加されれば、組織の結合状態が容易に破壊される。

CFRPは織られた多層カーボン繊維がエポキシ樹脂などで層間が固められ、オートクレーブなどで焼成されたものである。カーボン繊維は若干の電気電導性を有するが、樹脂には電気電導性が殆どない。 このため、静電気は多結晶ダイヤモンド膜が非電気電導性である場合、静電気が容易に、かつ、かなりの電圧で切削開始とほぼ同時に発生すると推定される。 切削時、通常、市水などのエマルジョンが切削油剤として滴下されるが、市水の電気抵抗値から発生した静電気を逃がすのには全く効果を発揮せず、蓄積された正電荷は、その容量がダイヤモンド膜の受領限界を超えれば、電気電導性の高い超硬合金素材に瞬間的に放電し電荷を消失すると推定される。この放電の際、ダイヤモンド膜、超硬合金素材を放電破壊すると推定される。切削工程の継続で静電気の蓄積、放電(放電破壊)、電荷の消失の一連を繰り返すと、本発明者は現時点では推定している。 ダイヤモンド膜が電気伝導性を有するならば、これらの放電破壊現象が殆ど見られない。

前述のように、上記のような本発明の製造方法によって製造された多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材が、本発明の基材である。 上記のように、超硬合金基材にアルカリ処理および酸処理を行うと、それによって形成された穴や凹部へ種ダイヤモンドが入り込み、その後にPCD−CVD法等によって多結晶ダイヤモンドを成長させると、基材に対して密着度が高い多結晶ダイヤモンド膜が形成される。

実施例および比較例では、マコトロイ工業(株)製、コーティングRドリル(呼び径7.95mm)に各処理を施す実験を行った。このドリルは、研削成形する工程を含む方法によって製造されたものであり、本発明における、表面に変形層を有する超硬合金基材に相当する。 このドリルのPCDコートをしていないものを、以下の実施例および比較例では「試験用ドリル」ともいう。

また、実施例および比較例において得られた多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材を用いて切削試験を行って、切削性能を確認した。 切削試験はMAZAK VTC2000を用い、水冷しつつ、回転数:2400rpm、送り速度:192mm/minで、下向き加工で、連続で322穴を被削材に切削する試験である。ここで被削材は厚さが20.6mmのCFRP板であり、カーボン繊維を多層に重ねエポキシ樹脂で固め、それをオートクレーブで焼成したものである。

<実施例1> 初めに、試験用ドリルを村上試薬(K3Fe(CN)6:KOH:H2O=1:1:10の質量比で混合した溶液)に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[1α](本発明の脆化基材に相当する)を得た。その後、水で洗浄した。

次に、ドリル[1α]を、ダイヤモンド砥粒メディアを水に分散させた分散液と共に軟質プラスチック容器、あるいはステンレス容器へ入れ、その容器を水中へ浸漬した。そして、水中においてその容器の外側から超音波を印加した。このように超音波を印加すると容器内は撹拌される。 ここで、ダイヤモンド砥粒メディアは(株)不二製作所製、SIRIUS−Z(登録商標)であり、およそ200〜500μmの粒状ゴム塊の表面におよそ2μm程度のダイヤモンド砥粒を付着させたものである。 また、超音波の出力は900Wとし、概ね60%出力で1時間運転した。 さらに、超音波が効率的にダイヤモンド砥粒メディア等へ作用するように、容器内の水へ若干のエタノールを添加し、水中での発泡を抑えた。 その後、ドリル[1α]を容器内から取り出し、1molのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[1β](本発明の脱層基材に相当する)を得た。

次に、ドリル[1β]を0.2molのKOHに浸漬し、電気分解(4V印加、1分間)を行い、その後、ドリル[1β]を1mol/LのHNO3に浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で、1分間)を行うことで、電気分解処理を1回施した。 次に、1回目の電気分解処理を施したドリル[1β]について、0.2mol/LのKOHに浸漬し、電気分解(4V印加し、定電圧で30秒間)を行い、その後、ドリル[1β]を1mol/LのHNO3に浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で1分間)を行うことで、2回目の電気分解処理を施し、ドリル[1γ](本発明のエッチング基材に相当する)を得た。

ここで、ドリル[1γ]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図2に示す。 図2より、変質層が除去されていることが確認できた。また、図2より、電気分解による結合剤Co除去深さは1μm以下であり、この時、基材の超硬微粒子WCの平均粒度は1μmであることを確認した。

次に、ドリル[1γ]を、ND(ナノダイヤモンド、新明和工業(株)製、公称粒子径2.7〜3.5nm)が純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた。ここで、超音波振動を与えたことによって、ドリル[1γ]の表面における種ダイヤモンドの集中度を約2.8×1011/cm2とした。なお、この集中度は、SEM観察によって測定した。

次に、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[1γ]にPCD膜を形成した。 ここで用いたPCD−CVD装置は、ホットフィラメント化学蒸着法(HFCVD)を行う装置である。具体的には、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[1γ]を密閉容器内のホルダーに、その長手方向が鉛直方向と略平行となるように設置した。ここで、略水平方向に複数本配置されているタングステン(W)ワイヤーがエッチング基材を横方向から挟むように配置されており、ワイヤーに通電することでワイヤーは加熱され、その輻射熱によって種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[1γ]は加熱される。このような通電加熱による輻射加熱によって、ワイヤーと略直角方向に配列された種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[1γ]の表面温度が800℃±50℃となるように通電を制御した。なお、密閉容器内を真空とした後、容器内へガスを投入し、その後、上記の通電を行った。ここで投入ガスの種類およびそれらの流量は、メタンCH4−30sccm、水素H2−300sccm、溶剤トリメトキシボラン(CH3O)3B−0.4g/hであり、密閉容器内の全圧を3000Paとした。

上記のようなホットフィラメント化学蒸着法(HFCVD)を種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[1γ]へ施す処理を8時間継続することで、ドリル[1γ]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[1δ](本発明の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材に相当する)を得た。 ドリル[1δ]の写真を図3に示す。

そして、ドリル[1δ]のPCD膜と基材の間の電気抵抗値を測定したところ1Ω(測定限界値)であった。 また、PCD膜へドーピングされたB量をFE−EPMA(JEOKL JXA8500F)を用いて測定した。質量百分率は2.676であった。

さらに、ドリル[1δ]におけるPCD膜の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。そして、ダイヤモンド成長が基材内部にまで入り込んでおり、PCD膜の密着強度が優れていることを確認した。

次に、前述の切削試験を行った。 図4に穴開けしたCFRP板を示す。穴径はダイヤルゲージおよび所定治具で全数測定した。その結果、穴径は全て基準値内であった。また、炭素繊維が毛羽立つファイバーブレイクは検出されず、基材穴周辺の盛り上がり(ボルケイノ)も検出されなかった。加えて、超音波による測定では、層間剥離(デラミネーション)も全穴で検出されなかった。 図5に切削後のドリル先端部の逃げ面を走査電子顕微鏡で観察した結果(SEM写真)を示す。逃げ面摩耗は切り刃稜と平行状態で、放電破砕を示す凹凸状の摩耗、剥離、工具基材のカケも観察されなかった。

<実施例2> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[2α](本発明の脆化基材に相当する)を得た。その後、水で洗浄した。

次に、ドリル[2α]にイオン照射を施した。 イオン照射は従来公知のCED型イオンガン(Closed Electron Drift Ion Gun)を用いた。このCEDイオンガンはイオンガンおよび真空チャンバーを有し、真空チャンバー内にはその中央部にホルダーが設置されていて、イオンガンはガス入口から導入されるガスをプラズマ化し、そのガスイオンを生成させ、イオンビームとしてのイオン流がホルダーにセットされた被処理材に照射される装置である。 ここで、ガス入口からアルゴンガスを導入し、真空チャンバーを満たすガスの圧力を0.05〜0.5Paとした。また、イオン加速電圧を2〜4kVとし、イオン電流を0.1〜1Aとし、イオン照射温度を200℃以下とし、処理時間を3時間とした。 このようなイオン照射をドリル[2α]に施すことで、ドリル[2α]の表面から変形層の少なくとも一部が除去されてなるドリル[2β](本発明の脱層基材に相当する)を得た。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[2β]に電気分解処理を2回施し、ドリル[2γ](本発明のエッチング基材に相当する)を得た。

ここで、ドリル[2γ]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。そして、図2とほぼ同じSEM像(写真)を得た。そして、そのSEM像から、実施例1の場合と同様に変質層が除去されていることが確認できた。また、電気分解による結合剤Co除去深さは1μm以下であり、この時、基材の超硬微粒子WCの平均粒度は1μmであることを確認した。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[2γ]を、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[2γ]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[2γ]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[2δ](本発明の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材に相当する)を得た。

ここで、ドリル[2δ]のPCD膜と基材の間の電気抵抗値を測定したところ1Ω(測定限界値)であった。 また、PCD膜へドーピングされたB量をFE−EPMA(JEOKL JXA8500F)を用いて測定した。質量百分率は2.676であった。

さらに、ドリル[2δ]におけるPCD膜の断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。そして、ダイヤモンド成長が基材内部にまで入り込んでおり、PCD膜の密着強度が優れていることを確認した。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、実施例1の場合と同様に、性能に優れるドリルが得られることが確認できた。

<実施例3> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[3α](本発明の脆化基材に相当する)を得た。その後、水で洗浄した。

次に、このような処理を施したドリル[3α]をビーカーへ入れ、ドリル[3α]が完全に浸漬するように水を満たした後、ここへダイヤモンド砥粒スラリーサスペンション(Struers製DP-Suspesion P 公称粒度15μm)と6mlのナノダイヤモンド(新明和工業株式会社製 公称3nm、4.09w/v %)とを添加した。ここでダイヤモンド砥粒スラリーサスペンションの添加量は、ドリル[3α]1本あたり30グラムとした。その後、これらへ超音波を印加することで3時間撹拌した。 その後、ドリル[3α]を容器内から取り出し、1mol/LのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[3β](本発明の脱層基材に相当する)を得た。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[3β]に電気分解処理を2回施し、ドリル[3γ](本発明のエッチング基材に相当する)を得た。

ここで、ドリル[3γ]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。そして、図6に示すSEM像(写真)を得た。図6に示すSEM像から、実施例1の場合と同様に変質層が除去されていることが確認できた。また、電気分解による結合剤Co除去深さは1μm以下であり、この時、基材の超硬微粒子WCの平均粒度は1μmであることを確認した。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[3γ]を、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[3γ]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[3γ]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[3δ](本発明の多結晶ダイヤモンド被覆超硬合金基材に相当する)を得た。

ここで、ドリル[3δ]のPCD膜と基材の間の電気抵抗値を測定したところ1Ω(測定限界値)であった。 また、PCD膜へドーピングされたB量をFE−EPMA(JEOKL JXA8500F)を用いて測定した。質量百分率は2.676であった。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、実施例1の場合と同様に、性能に優れるドリルが得られることが確認できた。

<比較例1> 試験用ドリルの表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図7に示す。 図7より、試験用ドリルの表面を変質層が覆っていることを確認できた。また、試験用ドリルに角張ったWC粒子は確認できず、この状態でPCD成膜を行ってもPCD膜の密着強度が低くなると考えられた。

次に、実施例1の場合と同様に、試験用ドリルを、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着した試験用ドリルにPCD膜を形成した。 そして、試験用ドリルの表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[10δ]を得た。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、摩耗し易いことが確認された。 また、切削試験の後、ドリル[10δ]の先端を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、逃げ面が破壊されていることを確認された。

<比較例2> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[20α]を得た。その後、水で洗浄した。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[20α]を、ダイヤモンド砥粒メディアを水に分散させた分散液と共に軟質プラスチック容器、あるいはステンレス容器へ入れ、その容器を水中へ浸漬し、水中においてその容器の外側から超音波を印加した。このように超音波を印加すると容器内は撹拌される。 ここで用いたダイヤモンド砥粒メディアは実施例1の場合と同じとした。 ただし、超音波の出力は900Wとし、概ね60%出力で375分間運転した。 さらに実施例1と同様に、容器内の水へ若干のエタノールを添加した。処理後は実施例1の場合と同様に、1mol/LのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[20β]を得た。

次に、ドリル[20β]を0.2mol/LのKOHに浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で、3分間)を行い、その後、ドリル[20β]を1mol/LのHNO3に浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で60分間)を行うことで、電気分解処理を1回施した。 次に、1回目の電気分解処理を施したドリル[1β]について、0.2mol/LのKOHに浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で、1分)を行い、ドリル[20γ]を得た。

ここで、ドリル[20γ]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図8に示す。 図8より、ドリル[20γ]の表面から変質層が除去されているものの、ドリル[20γ]に丸みを帯びたWC粒子が確認され、Coの除去深さを測定すると1μm以上あり、この状態でPCD成膜を行ってもPCD膜の密着強度が低くなると考えられた。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[20γ]を、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[20γ]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[20γ]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[20δ]を得た。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、摩耗し易いことが確認された。 また、切削試験の後、ドリル[20δ]の先端を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、逃げ面が破壊されていることが確認された。

<比較例3> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[30α]を得た。その後、水で洗浄した。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[30α]を、ダイヤモンド砥粒メディアを水に分散させた分散液と共に軟質プラスチック容器、あるいはステンレス容器へ入れ、その容器を水中へ浸漬し、水中においてその容器の外側から超音波を印加した。このように超音波を印加すると容器内は撹拌される。 ここで用いたダイヤモンド砥粒メディアは実施例1の場合と同じであり、超音波の出力等の諸条件も実施例1の場合と同じとした。さらに実施例1と同様に、容器内の水へ若干のエタノールを添加した。処理後は実施例1の場合と同様に、1mol/LのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[30β]を得た。

そして、次に実施例1の場合とは異なり、電気分解処理を施さなかった。

ここで、ドリル[30β]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図9に示す。 図9より、ドリル[30β]の表面から変質層が除去されているものの、結合剤Coの選択的エッチングが不十分であることが確認され、この状態でPCD成膜を行ってもPCD膜の密着強度が低くなると考えられた。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[30β]を、NDが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[30β]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[30β]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[30δ]を得た。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、摩耗し易いことが確認された。 また、切削試験の後、ドリル[30δ]の先端を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、逃げ面が破壊されていることが確認された。

<比較例4> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[40α]を得た。その後、水で洗浄した。

次に、実施例1の場合と同様とは異なり、ダイヤモンド砥粒メディアを用いた処理は施さなかった。 そして、ドリル[40α]を1mol/LのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[40β]を得た。

次に、ドリル[40β]を0.2mol/LのKOHに浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で、3分間)を行い、その後、ドリル[40β]を1mol/LのHNO3に浸漬し、電気分解(4V印加し定電圧で、1分間)を行うことで、電気分解処理を1回施した。 そして、このような電気分解処理を、さらに6回繰り返し(同じ電気分解処理を合計で7回行い)、ドリル[40γ]を得た。

ここで、ドリル[40γ]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図10に示す。 図10より、ドリル[40γ]の表面から変質層が除去されているものの、電気分解処理が過度であるため基材の剛性が失われていると考えられた。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[40γ]を、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[40γ]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[40γ]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[40δ]を得た。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、摩耗し易いことが確認された。また、切削試験中にカケが発生した。 また、切削試験の後、ドリル[40δ]の先端を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、逃げ面が破壊されていることが確認された。

<比較例5> 実施例1と同様に、初めに試験用ドリルを村上試薬に浸漬し、撹拌するアルカリ処理を10分間施して、ドリル[50α]を得た。その後、水で洗浄した。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[50α]を、ダイヤモンド砥粒メディアを水に分散させた分散液と共に軟質プラスチック容器、あるいはステンレス容器へ入れ、その容器を水中へ浸漬した。そして、水中においてその容器の外側から超音波を印加した。このように超音波を印加すると容器内は撹拌される。 ここで、用いたダイヤモンド砥粒メディアは実施例1の場合と同様に、(株)不二製作所製、SIRIUS−Z(登録商標)であり、およそ200〜500μmの粒状ゴム塊の表面におよそ2μm程度のダイヤモンド砥粒を付着させたものである。 また、超音波の出力は900Wとし、概ね60%出力で1時間運転した。 さらに、超音波が効率的にダイヤモンド砥粒メディア等へ作用するように、容器内の水へ若干のエタノールを添加し、水中での発泡を抑えた。 その後、ドリル[50α]を容器内から取り出し、1mol/LのHNO3に浸漬し、3分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌した。

次に、再度、類似の処理を施した。すなわち、1mol/LのHNO3に浸漬して3分間超音波を印加して撹拌したドリル[50α]を、ダイヤモンド砥粒メディアを水に分散させた分散液と共に軟質プラスチック容器、あるいはステンレス容器へ入れ、その容器を水中へ浸漬した。そして、水中においてその容器の外側から超音波を印加した。このように超音波を印加すると容器内は撹拌される。 ここで、用いたダイヤモンド砥粒メディアは実施例1の場合と同様である。 また、超音波の出力は900Wとし、概ね60%出力で3時間運転した。 さらに、超音波が効率的にダイヤモンド砥粒メディア等へ作用するように、容器内の水へ若干のエタノールを添加し、水中での発泡を抑えた。 その後、ドリル[50α]を容器内から取り出し、1mol/LのHNO3に浸漬し、1分間、100Wの超音波を印加しながら撹拌してドリル[50β]を得た。

このようにして得たドリル[50β]の表面を走査型電子顕微鏡で観察した(倍率:2万倍)。SEM像(写真)を図11に示す。 図11より、試験用ドリルの表面を変質層が残存してことを確認できた。したがって、この状態でPCD成膜を行ってもPCD膜の密着強度が低くなると考えられた。

次に、実施例1の場合と同様に、ドリル[50β]を、ナノダイヤモンドが純水に懸濁してなる懸濁液中に浸漬し、超音波振動を掛け、その後、乾燥させた後、種ダイヤモンドが表面に付着したドリル[50β]にPCD膜を形成した。 そして、ドリル[50β]の表面に膜厚が8μmのPCD膜を形成して、ドリル[50δ]を得た。

次に、前述の切削試験を行った。 その結果、摩耗し易いことが確認された。 また、切削試験の後、ドリル[50δ]の先端を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、逃げ面が破壊されていることが確認された。

以上の実施例1〜3および比較例1〜5の試験内容を、表1にまとめた。

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