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Production of austenitic stainless steel product

阅读:577发布:2024-01-02

专利汇可以提供Production of austenitic stainless steel product专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide excellent corrosion resistance and high surface rigidity by holding an austenistic stainless steel product at a temp. in specific range, while generating glow discharge under the atmosphere of hydrocarbon-type gas, to allow carbon atoms to diffuse and penetrate into the surface and forming a carburized layer in the surface. SOLUTION: Although any stainless steel having a base material showing austenitic phase can be used as the austenitic stainless steel, molybdenum- containing SUS316 can be suitably used in particular because of its excellent corrosion resistance and relatively stable austentic phase. This stainless steel product is held at 400 to 500 deg.C while generating glow discharge under the atmosphere of hydrocarbon-type gas, by which a carburized layer is formed in the surface. Usually methane is used as the above hydrocarbon gas, and the surface of the stainless steel product is previously activated by sputtering before the introduction of the hydrocarbon (reactant gas). It is preferable to regulate the thickness of the carburized layer to be formed to 5 to 50 μm.,下面是Production of austenitic stainless steel product专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 母材がオーステナイト相を呈するオーステナイト系ステンレス製品を、炭化水素系ガス雰囲気下でグロー放電を発生させて400℃〜500℃の温度で保持することにより、炭素原子を拡散浸透させて表面層に浸炭層を形成させることを特徴とするオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項2】 オーステナイト系ステンレス製品にスパッタリングをしたのちグロー放電を発生させて炭素原子を拡散浸透させるようにした請求項1記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項3】 浸炭層が、クロム炭化物粒子が存在しないオーステナイト相からなる請求項1または2記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項4】 浸炭層の深さが5〜50μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項5】 炭素原子を拡散浸透させたのち最表面層を除去する仕上げ処理を行う請求項1〜4のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項6】 オーステナイト系ステンレス製品が、モリブデンを1〜6%含有する安定型ステンレスからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 【請求項7】 仕上げ処理が、酸洗処理である請求項5
    記載のオーステナイト系ステンレス製品の製法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、オーステナイト系ステンレスに高い表面剛性と高度の耐蝕性とを付与するオーステナイト系ステンレス製品の製法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】従来から、耐蝕性が重視される分野に使用されるオーステナイト系ステンレスは、一般に鉄を基材としてクロムを18重量%,ニッケルを8重量%含有させた基本組成のものであり、一般に「18−8ステンレス」と呼ばれているものである。 また、この18−8
    ステンレスに、1〜3重量%のモリブデン(Mo)を含有させたオーステナイト系ステンレスも汎用鋼種として多用されている。

    【0003】これらの汎用型のオーステナイト系ステンレスとしては、JISにおいて、SUS304,SUS
    316等を中心に、用途や特性に合わせて多くの鋼種が規格化されている。 これらのなかでもSUS304は、
    最も多用される代表的な汎用鋼種であるが、使用される環境によっては耐蝕性が不充分な場合がある。 例えば、
    有機,無機の酸や塩類,薬品類,,ハロゲンガス,
    SO 2等の強い腐食性環境下では、上記SUS304等の18−8ステンレスを用いた金属製品では腐食されてしまい、安定した使用ができない。 そこで、上記のような腐食性環境下においては、上記基本組成の18−8ステンレスにモリブデンを3〜7重量%まで多量に含有させた高耐蝕性のステンレス鋼が用いられることがある。
    つまり、これら高耐蝕性のステンレス鋼は、モリブデンの添加により、ステンレスの耐蝕性機能の源である不働態皮膜が強化されるものと考えられる。 そして、海水硫酸等の腐食性環境用としては、モリブデンを5〜7重量%まで含有させた鋼種も開発されている。 ところが、
    上記モリブデンはフェライト安定化元素であるため、多量に添加すると、オーステナイト系ステンレスのオーステナイト相を安定化させる必要が生じ、オーステナイト安定化元素であるニッケルや銅,窒素(N)等を多量に添加させなければならなくなる。 さらに、上記のような強い腐食性環境下では、オーステナイト系ステンレス以外に、26Cr−4Mo,29Cr−4Mo−2Ni等の高クロム含有フェライト系ステンレスや、ハステロイ,モネル等のニッケル基合金材料やチタン合金材料が用いられたり、あるいは、プラスチック材料,セラミック材料等の非金属材料等が用いられている。

    【0004】

    【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記高耐蝕性のステンレス鋼は、添加元素が増加することからくる原料コストや製鋼コストが高くなるだけでなく、市場流通性も低いことから、材料自体が高価なものになる。 しかも、難加工性で溶接性も悪いことから量産性にも劣り、成形加工,溶接等の加工コストも高くなる。 したがって、上記高耐蝕性のステンレス鋼を原料とした金属製品は、上記SUS304等の汎用鋼種を使用したものと比べてはるかに割高となる。 また、ニッケル基合金材料やチタン合金材料では、上記高耐蝕性向ステンレスよりもさらに材料コスト,加工コストが高くなる。 また、樹脂材料,セラミック材料等の非金属材料を用いる場合には、機械的強度等の信頼性の面で金属材料に劣り,適用範囲が限定される。

    【0005】また、オーステナイト系ステンレス製品は、焼き入れによって強度を向上させることが不可能で、製品形状を成形するまでに行われる塑性加工で生じる加工硬化に依存している。 このため、炭素鋼や合金鋼等を焼き入れすることにより得られるような表面剛性を得ることはできず、機械部品として耐蝕性と同時に耐焼付き性や耐磨耗性等を要求される場合には、湿式めっきやPVD等のコーティング処理が施されるのが一般的である。 ところが、これらの表面処理は、高価であるだけでなく、コーティング層が剥離しやすい等、表面剛性も不充分な場合な場合が多かった。

    【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、基本組成に近い安価な汎用型のオーステナイト系ステンレスの表面に浸炭層を形成させることにより、
    優れた耐蝕性と、高い表面剛性とを付与するオーステナイト系ステンレス製品の製法の提供をその目的とする。

    【0007】

    【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明のオーステナイト系ステンレス製品の製法は、母材がオーステナイト相を呈するオーステナイト系ステンレス製品を、炭化水素系ガス雰囲気下でグロー放電を発生させて400℃〜500℃の温度で保持することにより、炭素原子を拡散浸透させて表面層に浸炭層を形成させることを要旨とする。

    【0008】本発明者らは、強い腐食性環境下での使用に耐える安価な金属製品を得ることを目的として一連の研究を重ねる過程で、汎用されている安価なオーステナイト系ステンレスに対して表面処理を施すことにより、
    その耐蝕性をさらに向上させることができるのではないかと想起し、オーステナイト系ステンレスに対する表面処理に関して種々実験を繰り返した。 その結果、オーステナイト系ステンレスを母材とした金属製品を、炭化水素系ガス雰囲気下でグロー放電を発生させて400〜5
    00℃の温度で保持することにより、炭素原子を拡散浸透させ、表面層に形成された浸炭層が、芯部よりもはるかに高い硬度を示すだけでなく、母材であるオーステナイト系ステンレスよりもはるかに良好な耐蝕性を示し、
    これによって得られた金属製品が強い腐食環境下においても安定して使用できるようになることを突き止め、本発明に到達した。

    【0009】すなわち、本発明は、オーステナイト系ステンレスがオーステナイト相を呈するうえで最小限のニッケル,クロムあるいはモリブデンを含有する基本組成の安価な汎用型ステンレスを使用し、この汎用型ステンレスを加工して得られた金属製品の表面に炭素原子を拡散浸透させたものであり、これにより、高い表面剛性を示すとともに、厳しい腐食環境下であっても良好な耐蝕性を発揮し、しかも汎用鋼種を用いることから安価な金属製品が得られるのである。

    【0010】

    【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。

    【0011】本発明は、汎用型のオーステナイト系ステンレスを所定の製品形状に加工して得られたオーステナイト系ステンレス品を用いる。

    【0012】上記オーステナイト系ステンレスとしては、オーステナイト相を呈したステンレスであれば、特に限定されるものではなく、例えば、JISに規定されるSUS304およびSUS316を中心に、Cr,N
    i,Mo,Cu,Mn,N,Nb,Ti等の有価合金元素を、その要求特性に応じて所定量添加したオーステナイト系ステンレスをいう。 なお、Niを全てMnで置換したFe−Cr−Mn系の非磁性特殊ステンレスも含まれる。 したがって、ほとんどのSUS300系統のステンレスや、SUS201やSUS202等の鋼種が含まれる。 これらのなかでも、モリブデンを含有するSUS
    316は、もともと耐蝕性の向上を主眼におかれたもので母材自体の耐蝕性もSUS304よりは良く、しかも比較的オーステナイト相が安定であるため、本発明に好適に用いられる。 また、SUS304やSUS316等のような安価な汎用型のステンレスに限られず、SUS
    317,SUS310等の上記汎用型ステンレスよりも耐蝕性のよいオーステナイト系ステンレスを母材として使用することにより、その母材よりも耐蝕性のよい浸炭層を形成させ、一層優れた耐蝕性を発揮させることができる。

    【0013】すなわち、本発明で使用するオーステナイト系ステンレス品としては、常温においてフェライトの生成がなくオーステナイト相を呈していればよい。 したがって、常温での加工によってもフェライトの生成がない安定型のオーステナイト系ステンレスを用いれば、より好ましい。 また、SUS301やSUS304は、オーステナイト相が不安定で、強度の冷間加工によってフェライトが生成し、本発明によっても耐蝕性が劣化する場合がある。 このため、SUS301やSUS304を用いる場合には、加工度が低いオーステナイト系ステンレス製品が好ましい。 また、加工によってフェライトが析出したオーステナイト系ステンレス品であっても、固溶化処理等により、完全にオーステナイト相を呈するようにすれば、本発明に使用することができる。

    【0014】本発明は、上記母材がオーステナイト相を呈するオーステナイト系ステンレス品を、炭化水素系ガス雰囲気下でグロー放電を発生させて400〜500℃
    の温度で保持することにより、炭素を拡散浸透させて表面層に浸炭層を形成させる。

    【0015】本発明における浸炭処理は、例えば、図1
    に示す炉で行われる。 この炉は、水冷された炉壁17内が、隔壁6によって処理室1と循環用ガス加熱室2とに分割されている。 上記処理室1には開閉扉3が設けられ、内部にワーク(オーステナイト系ステンレス品)4
    を載置する治具5が設けられている。 16は温度センサー、11は真空計、7は真空排気穴である。 上記循環用ガス加熱室2には、循環用ファン10が設けられ、内部にはヒータ8が設けられている。 9はヒータ8用の電極である。 上記処理室1および循環用ガス加熱室2には、
    炭化水素ガスボンベ18,H 2ガスボンベ19およびA
    rガスボンベ15が連通し、それぞれ反応ガス(炭化水素ガス+H 2ガス)およびArガスが供給されるようになっている。 13は炭化水素ガスとH 2ガスを所定割合で混合させる反応ガス制御装置である。 そして、処理室1内の治具5には、放電用電源12のマイナス側が接続されるとともに、炉壁17には上記放電用電源12のプラス側が接続されている。 これにより、ワーク4が陰極に、炉壁17が陽極になり、処理室1内に反応ガスを適当に減圧した状態で流すとともに両極間に印加すると、
    グロー放電が起こるようになっている。 14は放電量を調節してワーク4の温度を調節する温度調節装置である。

    【0016】このようなグロー放電装置は、従来から鋼の窒化処理に利用されているイオン窒化炉装置の改良品であり、650℃以下の低温領域でも有効な加熱を行い、炭素源が使用されることによって発生するすす等の汚染を最小限にするようになっている。

    【0017】上記炉を用いてオーステナイト系ステンレス品への浸炭処理は、例えば、つぎのようにして行われる。 まず、開閉扉3を開けて処理室1内の治具5上にワーク4を載置し、開閉扉3を閉じる。 ついで、Ar+H
    2混合ガスで処理室1内を15〜20分間パージを行う。 つぎに、ヒータ8用の電極9に通電してヒータ8を加熱するとともに循環用ファン10を作動させる。 上記ヒータ8は処理室1内を均一に昇温させるためにAr+
    2混合ガスを加熱するためのもので、500℃以下の低温下では輻射伝熱の寄与が小さいため、対流伝熱を強化する目的で強な循環用ファン14によって攪拌する。 この加熱と同時に、処理室1内を0.5〜1Tor
    rまで真空排気を行う。 処理室1内が所定温度に近くなると、放電用電源12を入れ、ワーク4(陰極)と炉壁17(陽極)との間でグロー放電を起こさせ、このグロー放電によってもワーク4の加熱を行う。 このときのグロー電圧は最終的に300〜400Vになり、電流は最大で10〜30Aになる。 そして、ヒータ8用の電極9
    を停止し、10〜15分後H 2 +C 38もしくはH 2
    +CH 4の反応ガスを炉内に供給し、所定時間保持する。

    【0018】反応ガスを導入する前に、ワーク表面をスパッタリングで活性化しておくことが重要である。 スパッタリングは、例えば、400〜500℃の温度領域において、0.5〜5.0Torr程度のAr+H 2混合ガス雰囲気でグロー加熱することにより、高温のガスイオンを金属表面に打ち込み、最表面の数原子層の金属を気化蒸発させることにより、酸化皮膜や吸着汚染層を除去するようして行われる。 この操作が適切でなければ、
    形成される浸炭層が不充分になり、極端な場合は浸炭層が形成されなくなることもある。

    【0019】炭素源の炭化水素としては、通常CH 4が用いられるが、C 38 ,C 410 ,C 26 ,C 2
    4等の他の炭化水素ガスも使用可能である。 これらのガスは、H 2ガスと混合させた反応ガスとして炉内に導入される。 このときの反応ガス中の炭化水素濃度は、通常3〜5%程度で十分である。 また、炭化水素濃度は浸炭処理の処理時間を通じて常に一定濃度に保つ必要がない。 むしろ、前半を3〜5%の濃度に保持し、後半を0.1〜0.5%の低濃度にして操業するのが好ましい。

    【0020】上記のようにして、オーステナイト系ステンレス品の表面層に浸炭層が形成される。 この浸炭層は、製品の表面から、5〜50μmの厚さに設定するのが好ましく、20〜30μmであれば一層好ましい。 すなわち、5μm未満では良好な耐蝕性を得るのに不充分であり、50μmを超えると、処理時間が長くなってコスト的に不利になるからである。

    【0021】一般に、オーステナイト系ステンレスは、
    700℃以上の高温での浸炭処理や、500〜600℃
    での窒化処理によって表面硬化を行うと耐蝕性が著しく劣化する。 したがって、オーステナイト系ステンレスへの浸炭処理や窒化処理は、耐蝕性を犠牲にして例外的に行われているにすぎなかった。 また、400〜600℃
    の低温度域での浸炭は、工業プロセスとして困難と考えられていたため、実施されることもなかった。 本発明者らは、図1に示すような装置を用い、炭化水素ガスを炭素源として用い、400〜500℃の処理温度でオーステナイト系ステンレス製品の表面に浸炭層を形成することに成功した。 この浸炭層は、表面から5〜50μm程度と、従来の処理法で得られる浸炭層の厚さよりはるかに薄いが、表面硬さはマイクロビッカース硬度でHv6
    00〜1000程度を示し、Hv200〜220程度の芯部の硬度よりもはるかに高い硬度になる。

    【0022】本発明の方法で490℃で浸炭処理したときの浸炭処理品および未処理品のX線回折結果を図2に示す。 図に示すように、浸炭処理品のチャートにクロム炭化物のピークは認められず、母材(未処理品)とほぼ同等のパターンを示すことが明らかで、浸炭層は、クロム炭化物粒子が存在しないオーステナイト相からなるのである。 また、浸炭処理品は、回折ピークの位置が母材に比べて各指数面でも低度側にずれており、格子定数aが母材よりも約2.7%程度増大している。 すなわち、上記浸炭処理品は、オーステナイト相に格子歪が生じていることがわかる。 この格子歪は、炭素が高濃度に侵入固溶したことにより、格子が等方に膨張したものであり、この歪みが浸炭層を硬化させているものと考えられる。 なお、上記X線回折は、RINT1500装置を用い、50kV,40mA,Cuターゲットの条件下で行った。

    【0023】すなわち、本発明における浸炭処理で形成される浸炭層は、オーステナイト相の面心立方格子の隙間に炭素原子が侵入型に固溶し、等方に膨張した面心立方格子の結晶(オーステナイト相)から形成されている。 このように、従来の浸炭処理法で高クロム鋼を浸炭したときのように、クロム炭化物が析出せず、耐蝕性の向上に寄与するクロムが減少しないことから、耐蝕性の劣化がないものと考えられる。 また、本発明によって浸炭した浸炭処理品が、母材以上の耐蝕性を有することの理由は、現在のところ明白でないが、最表面の不働態皮膜直下に高濃度のCバンドが形成され、金属イオンや自由電子の運動バリヤーが形成されるためと推測される。
    そして、上記浸炭層が高い硬度を示すのは、上記格子歪みにより転位が増加することに基づくものと考えられる。 なお、上記のようなクロム炭化物粒子が存在しないオーステナイト相とは、X線回折によって、Cr
    236 ,Cr 73 ,Cr 32等の結晶質のクロム炭化物が確認できないオーステナイト相をいう。

    【0024】このように、本発明では、浸炭処理の温度が400〜500℃と、上記一般の浸炭温度領域よりはるかに低いことから、ステンレス等の高クロム鋼を高温で浸炭したときに生じるCr 32 ,Cr 73 ,Cr
    236等のクロム炭化物が形成されない。 そして、浸炭層がクロム炭化物が存在しないオーステナイト相からなるため、固溶クロムがクロム炭化物の生成に消費されず、浸炭処理品の耐蝕性が低下しない。

    【0025】図3に、本発明における浸炭処理を行ったオーステナイト系ステンレス製品の浸炭層のEPMA線分析結果を示す。 図3からわかるとおり、表面から約3
    0μmにわたって浸炭層が形成され、最表面での炭素濃度は2重量%強を示している。 この数値は、1100℃
    における純鉄のオーステナイト相への炭素の固溶度(1.7重量%)よりも大きい。 このように、本発明では、形成される浸炭層の炭素濃度が非常に高くなることが特徴であり、浸炭層が高硬度を示す一因となっていると考えられる。

    【0026】本発明において、図1に示す炉から取り出した直後のサンプルは、黒色を呈している。 その表層は、ごく薄くではあるが酸化層(処理後の冷却時に生じているものと思われる)が存在している。 これを50〜
    65℃のHNO 3 +HF溶液に15〜30分浸漬して酸洗処理(仕上げ処理)すると、母材と同様の金属光沢の表面が得られる。 ここで、HNO 3 +HF溶液の濃度は、HNO 3 :10〜20重量%+HF:1〜7重量%
    程度が好ましい。 この酸洗処理を行った後でも、処理前と殆ど変わらない表面剛性を備えている。

    【0027】厳密には、この酸洗処理の前後で浸炭層の厚みや硬度が変化するが、使用されているオーステナイト系ステンレス材の性状によって変化の程度が異なる。
    母材として、オーステナイト相が不安定なSUS301
    系オーステナイト系や、冷間加工でフェライト相が発生しやすいSUS304系の場合、酸洗処理後の浸炭層厚みは、処理前と比べて減少する。 しかし、SUS31
    6,SU305,SUS310のようなオーステナイト相の安定な材料では、浸炭層の厚みに大きな変化はない。 これらのことは、浸炭層の耐蝕性の高さに依存しているのである。 すなわち、SUS301やSUS304
    を用いると、母材と同様程度の耐蝕性を示し、SUS3
    16やSUS310を用いると、母材以上の耐蝕性を示す。

    【0028】なお、浸炭処理後の酸洗処理としては、H
    NO 3 +HF溶液による浸漬洗浄処理に限るものではなく、HCl+HNO 3溶液や、HNO 3溶液,H 2 SO
    4 +HNO 3溶液等を用いた浸漬洗浄処理でもよい。 ここで、HCl+HNO 3溶液の濃度は、HCl:5〜2
    0重量%+HNO 3 :15〜40重量%程度が好ましく、HNO 3溶液の濃度は、10〜30重量%程度が好ましい。 なお、上記酸洗処理に用いる溶液の液温としては、50〜65℃に限らず、65℃を超えてもよいし、
    50℃未満でもよい。 また、仕上げ処理としては、酸洗処理でなくても、機械的研磨や化学研磨あるいは電解研磨でもよい。

    【0029】つぎに、実施例について説明する。

    【0030】

    【実施例1】SUS316(Cr17%,Ni13.5
    %,Mo2.5%,C0.05%)圧延品(厚み2m
    m,芯部硬度Hv210〜220)の小片、SUS30
    4(Cr18.5%,Ni8.5%,C0.04%)板材(厚み1.5mm,芯部硬度Hv180)の小片を、
    図1に示す装置において下記の条件で浸炭処理をした。
    SUS316小片の浸炭処理品の浸炭層の厚みは25μ
    mであり、浸炭層の硬度はHv810〜820であった。 また、SUS304小片の浸炭処理品の浸炭層の厚みは20μmであり、浸炭層の硬度はHv980〜10
    00であった。 〔処理条件〕 反応ガス :97%H 2 +3%C 38処理時間 :8時間 圧力 :1Torr 温度 :490℃ グロー放電条件:280〜300V,5〜7A 酸洗 :15%HNO 3 −5%HF,60℃×20分

    【0031】それぞれの小片について、本発明における浸炭処理品と未処理品を、硫酸もしくは塩酸に浸漬した時の重量減少を測定した結果を図4および図5に示す。
    また、浸炭処理品の表面層金属組織写真を図6および図7に示す。 塩酸および硫酸いずれの酸に浸漬した場合でも、浸炭処理品は、未処理品よりも重量減少が少なく、
    良好な耐蝕性を示すことがわかる。 また、硫酸に浸漬した場合には、SUS304の浸炭処理品よりもSUS3
    16の浸炭処置品の方が良好な耐蝕性を示すことがわかる。

    【0032】

    【実施例2】軟質のSUS304の圧延板の小片(厚み2mm,芯部硬度Hv170),硬質のSUS304の圧延板の小片(厚み2mm,芯部硬度Hv250)およびSUS305製のシャフト片(直径6mm)ならびにSUS316の圧延板小片(厚み2mm,芯部硬度Hv
    290)を準備した。 これらのサンプルを図1に示す炉において、下記の条件で浸炭処理を行った。 〔処理条件〕 反応ガス :95%H 2 +5%CH 4処理時間 :12時間 圧力 :1.5Torr 温度 :470℃ グロー放電条件:280〜300V,5〜7A 酸洗 :15%HNO 3 −5%HF,55℃×20分

    【0033】上記各サンプルの浸炭処理品について、酸洗前および酸洗後それぞれの浸炭層の厚みと表面(浸炭層)硬度および芯部硬度を調査した。 その結果を下記の表1に示す。

    【0034】

    【表1】

    【0035】上記表1からわかるように、いずれのサンプルも浸炭処理により、厚み20〜20数μm程度の浸炭層が形成され、Hv980〜1150程度の表面硬度が得られている。 浸炭処理品を酸洗することにより、浸炭層の厚みは減少し表面硬度も低下するが、SUS31
    6材では、厚みの減少も硬度低下も少ないことがわかる。

    【0036】

    【実施例3】実施例1で得られたSUS316小片の浸炭処理品と、未処理品とについて弱酸性3.5%食塩水溶液における孔食電位の測定結果を図8に示す。 図からわかるとおり、電位を徐々に上昇させると、未処理材では約0.4V前後の電位で急激に電流密度が上昇している。 これに対し浸炭処理品は、上記未処理材の場合よりもはるかに高い約1Vまで急激な電流密度の上昇はない。 すなわち、この測定において急激に電流密度が上昇した時点で孔食が発生するものと考えられ、本発明の浸炭処理をしたものは、未処理品に比べ孔食電位が高く、
    オーステナイト系ステンレス材において弱点とされている耐孔食性について著しく改善され、母材以上の耐蝕性を示していることがわかる。 なお、孔食電位の測定は、
    JIS 0577の規定に準じた条件で行った。

    【0037】

    【発明の効果】このように、本発明によれば、基本組成に近い安価な汎用型のオーステナイト系ステンレスを使用し、その表面に浸炭層を形成させることにより、耐酸性,耐海水性,耐薬品性に優れ、高い耐蝕性を有するオーステナイト系ステンレス製品を安価に得ることができる。 そのため、ボルト,ナット,ねじ等のファスナー類から、一般産業分野において使用される、機械部品、すなわち、各種のシャフト類やインペラー,ベアリング,
    ばね類,バルブ部品等,多様な機械部品に適用することができる。 また、特に、食品機械,化学プラント,半導体工業等の分野に用いられる機械部品の製法として有望である。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明における浸炭処理に用いる炉の構成図である。

    【図2】SUS316材のX線回折チャートであり、
    (a)は未処理品、(b)は浸炭処理品である。

    【図3】本発明における浸炭処理を行ったオーステナイト系ステンレス製品の浸炭層のEPMA線分析結果である。

    【図4】SUS316の浸炭処理品および未処理品の塩酸浸漬試験結果である。

    【図5】浸炭処理品および未処理品の硫酸浸漬試験結果であり、(a)はSUS316材を20%の硫酸に浸漬した結果であり、(b)はSUS316材およびSUS
    304材を50%の硫酸に浸漬した結果である。

    【図6】SUS316材の浸炭処理品の断面金属顕微鏡写真である。

    【図7】SUS304材の浸炭処理品の断面金属顕微鏡写真である。

    【図8】SUS316材の浸炭処理品および未処理品の孔食電位測定結果である。

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