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Gene hvd1 induced by salt stress

阅读:194发布:2021-09-18

专利汇可以提供Gene hvd1 induced by salt stress专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To collect a new gene capable of giving salt stress resistance to plants and determine its structure.
SOLUTION: Barley HVD1 gene consisting of the new gene induced by salt stress is given. This gene is the one encoding RNA helicase and it is thought that salt resistance can be given to plants by stabilizing the structure of RNA.
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Gene hvd1 induced by salt stress专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 以下の(a)または(b)に示すアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。 (a)配列表の配列番号1に示す、アミノ酸番号1−7
    64で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、ポリペプチド。 (b)塩ストレスにより発現が誘導される遺伝子によりコードされ、(a)のアミノ酸の一部が欠失、置換若しくは付加された、ポリペプチド。
  • 【請求項2】 請求項1記載のポリペプチドをコードする、遺伝子。
  • 【請求項3】 以下の(c)または(d)に示す塩基配列からなることを特徴とする、遺伝子。 (c)配列表の配列番号2に示す、塩基番号1−279
    9で示される塩基配列からなることを特徴とする、遺伝子。 (d)塩ストレスにより発現が誘導され、(c)の塩基配列の一部が欠失、置換若しくは付加された、遺伝子。
  • 【請求項4】 請求項2又は請求項3記載の遺伝子を植物に導入することにより、植物に塩ストレスに対する耐性を付与する方法。
  • 【請求項5】 請求項2又は請求項3記載の遺伝子を植物に導入することにより、植物に塩ストレスに対する耐性を付与した、形質転換植物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、塩ストレスにより誘導される新規な遺伝子であるオオムギHVD1遺伝子、及び当該遺伝子がコードする蛋白質に関する。

    【0002】

    【従来の技術】人工の増加や環境の変化より、将来の食糧危機が予想されている。 その問題に対応するべく、農業において効率よく作物を生産するための技術開発が求められている。 農業において、種々の環境ストレスにより生産量が減少することは大きな問題であり、種々の環境ストレスに強い植物を作出することが求められている。

    【0003】植物の環境ストレスに対する応答は生理的・代謝的変化を呈し、これらの応答には様々なタンパク質の増減を伴う。 環境ストレス下での遺伝子発現の変化はタンパク質構成の変化を調節する1つの要因である。
    環境ストレス下で発現する遺伝子を解析することはストレス耐性機構を理解するうえで重要なことである。

    【0004】これまでの研究において、浸透圧ストレスや乾燥ストレスにより発現が誘導される遺伝子が様々な植物から単離されている(Skriver,K.and Mundy,J.(199
    0) Plant Cell 2:503-512) (Bray,EA(1993) Plant Ph
    ysiol.103:1035-1040) (Ingram,J.and Bartels,D.(199
    6) Plant Mol.Biol.47:377-403 )。 これらの遺伝子の中にlea 遺伝子と呼ばれる一群の遺伝子がある。 lea 遺伝子(late embryogenesis abundant genes )は種子形成の後期に多量に発現する一群の遺伝子として単離されたが、分ストレスを受けた葉などにおいても発現していることが明らかとなった。 LEA タンパク質はそのアミノ酸配列から6つのグループに分類され、その機能はイオンの隔離、タンパク質や膜の保護、シャペロンのようにタンパク質の構造を保持することなどが推定されている。

    【0005】浸透圧調節に関わる遺伝子も単離され(Bo
    hnert,HJ,et al.(1995) Plant Cell 7:1099-1111)、
    これらの遺伝子としては適合溶質の合成、イオンの取り込み・隔離、水チャネルなどがある。 その他にもプロテアーゼやユビキチンのようなタンパク質の分解に関わるもの、それらと拮抗的に働くシャペロンやプロテアーゼインヒビター、シグナル伝達に関わるプロテインキナーゼや核タンパク質、RNA 結合タンパク質、転写因子などが単離されている。 また、機能のわからない遺伝子も数多く単離され、解析が進められている。

    【0006】一方、塩ストレスに対する耐性を向上させた植物の作製については、適合溶質であるプロリンやグリシンベタイン等について検討がなされてきた。 しかし、塩ストレス下でのRNA の安定性について考慮したものは、全く存在しなかった。

    【0007】

    【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
    塩ストレス下において発現が誘導されるという特徴を有し、RNA の高次構造の安定性に関与する遺伝子を導入することにより、これまでにない機構により植物に塩ストレス耐性を付与する可能性を考えた。 植物は塩ストレスを受けると、細胞内の塩濃度が上昇する。 すると、1本鎖RNA は塩濃度が高くなると、2本鎖の二次構造を採り易くなり、蛋白質合成の阻害やヌクレアーゼによる分解の阻害という弊害をもたらす。 そこで、RNA ヘリカーゼを用いてRNA の高次構造の安定性を高めることにより、
    植物に耐塩性を付与できるのではないかと考えた。 その様な機構による耐塩性を付与する目的に使用できる新規の遺伝子を探索し、その塩基配列を決定することが、本発明の課題である。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】RNA ヘリカーゼは、二本鎖RNA を巻き戻すことにより、RNA の二次構造や三次構造を修飾する作用を有する、RNA 結合蛋白質である。 RN
    A 分子の活性はステム/ループなどの二次構造を形成したり、逆にそれを巻き戻すことにより巧妙に調節されることからRNA の働きにおいて重要であると思われる。 本発明者らはその様な性質を有するRNA ヘリカーゼに注目し、塩ストレスにより誘導されるヘリカーゼを探索したところ、オオムギHVD1遺伝子を得た。 当該遺伝子はオオムギのRNA ヘリカーゼをコードする遺伝子であり、根では発現せず、葉緑組織において発現し、その発現は塩ストレス誘導性であった。 この様な特徴を有するオオムギ
    HVD1遺伝子は、RNA の高次構造を安定化する作用を有し、塩ストレス下で損傷を受けたRNA の高次構造を修復することにより、塩ストレス耐性を付与することができると考えられる。

    【0009】

    【発明の実施の形態】本発明者らは DEAD ボックスタンパク質として知られているATP 依存性RNA ヘリカーゼをコードする塩ストレス応答遺伝子について着目し、塩ストレス下で誘導される DEAD ボックスタンパク質につき解析を行った。 DEADボックスファミリーはLinderら(Li
    nder,P et al.(1989) Nature 337:121-122)により定義されたATP 依存性RNA ヘリカーゼである。 LinderらはRN
    A ヘリカーゼ活性を持つ翻訳開始因子eIF-4Aと、いくつかの機能不明のタンパク質との間に明らかなアミノ酸配列の類似性があることを見出し、大腸菌からヒトにいたるまで多くの生物で高度に保存されているアミノ酸配列が存在することを発見した。 保存されている配列の1つにAsp - Glu - Ala - Asp (一文字表記でDEAD)というモチーフが存在することから、DEADボックスファミリーと名付けられた。

    【0010】DEAD ボックスファミリーを構成するタンパク質はそのほとんどがATP 依存性RNA ヘリカーゼであり、その活性はRNA の二次構造や三次構造を修飾する。
    RNA分子の活性はステム/ループなどの二次構造を形成したり、逆にそれを巻き戻すことにより巧妙に調節されることから、RNA ヘリカーゼは重要であると考えられる。 DEADボックスタンパク質には特によく保存された8
    つのコンセンサス配列(Schmid,SR and Linder,P (19
    92) Mol.Microbiol.6:283-292 )があり、その保存性の高さからRNA ヘリカーゼ活性に直接関連する重要な機能を受け持つと考えられる。 各モチーフの機能は、他のタンパク質のアミノ酸配列との類似性から推測したり、部位特異的な突然変異を導入した変異タンパク質の機能上の欠損を調べて同定された。 図1に、DEADボックスファミリーに保存されたモチーフと、それらの機能を図示する。

    【0011】DEADボックスタンパク質は細胞伸長、細胞分裂、生殖細胞形成など様々な場面に登場する。 DEADボックスタンパク質の中で最も早くから研究され、RNA ヘリカーゼとしての生化学的な解析が進んでいるのは、翻訳開始因子のeIF-4Aである。 eIF-4Aは、mRNAの5'キャップ構造を認識して結合するタンパク質複合体(eIF-4F)
    のサブユニットとして、5'端近傍のRNA 二次構造を巻き戻してリボソームがmRNAと結合しやすくする働きをもつ。 その他にもDEADボックスタンパク質はRNA スプライシング、リボソーム生合成など多くの遺伝子発現の段階に登場し、RNA の機能しているところには必ずRNA ヘリカーゼが関与している。

    【0012】現在、植物から単離されているDEADボックス遺伝子はそのほとんどが翻訳開始因子eIF-4Aである。
    Owttrim らは酵母のeIF-4Aをプローブにしてタバコ(Ni
    cotiana plumbaginifolia )からeIF-4A cDNA (NeIF-4
    A )を単離し、小遺伝子ファミリーが存在することを明らかにした(Owttrim,GWet al.(1991) Nucl.AcidsRe
    s.19:5491-5496)。 その後、ファミリーの遺伝子群を単離して2つのグループがあることを確認し、さらにその発現について詳細に解析した(Owttrim,GW et al.(19
    94) Plant Mol.Biol.26:1747-1757 )。

    【0013】eIF-4Aはタバコ以外にもイネ(Nishi,R.,e
    t al.(1993) Biochem.Biophys.Acta1174:293-294 )やコムギ(Metz,AMand Browning,KS(1993) Gene 131:
    299-300 )からも単離された。 またタバコ(Nicotiana
    tabacum )からは花粉に特異的に発現するeIF-4Aが単離されている(Brander,KAand Kuhlemeier,C.(1995)Pla
    nt Mol.Biol.27:637-649 )。 eIF-4A 以外のDEADボックス遺伝子はタバコ(Nicotiana sylvestris)から単離されているのみである。 Itadani ら(1994)は保存されたモチーフの配列からプライマーを作製し(Itadani,He
    t al.(1994) Plant Mol.Biol.24:249-252)、PCR により9つのクローンを得た。 このうちDB10について全長をクローニングし、塩基配列を決定したところ、ヒト由来の
    DEADボックスファミリーであるp68 との相同性がみられた。 p68 はrRNA合成の場である核小体の形成に関係していることから、DB10も同様の働きを持つことが予想される。

    【0014】ところで、ある特定の状況下で発現する遺伝子を単離する方法として、2次元電気泳動によるタンパク質の同定、ディファレンシャルスクリーニング、サブトラクション法などが従来用いられていたが、近年新しい方法が開発された。 Liang とPardee(1992)が考案したディファレンシャルディスプレイ法は、真核生物mR
    NAの3'端にアンカーするためのプライマーA と任意の配列を持つ短いプライマーB を用いてRT - PCRを行い、放射性同位元素でラベルした後、シークエンスゲルで分離・比較する方法である(Liang,P.and Pardee,AB(1992)
    Science 257:967-971) 。 プライマーA として5- T11VN
    (V= A, G, C ; N= A, T, G, C)の12通りを、プライマーB として任意の10 merをそれぞれ用意してRT - PCRを行うものである。

    【0015】ディファレンシャルディスプレイ法は、従来のディファレンシャルスクリーニングやサブトラクション法と比較して高感度であり、細胞あたり30コピー程度しか存在しないチミジンキナーゼ遺伝子の転写産物を検出することができる。 本発明者らは、上記のLiang と
    Pardee(1992)の原報をもとに改良されたディファレンシャルディスプレイ法(Yoshida,KT et al.(1994) Pl
    ant Cell Physiol.35:1003-1009 )により、塩ストレスで発現が増加する新規遺伝子の単離を試みた。 即ち、PC
    R に用いるプライマーを1反応につき1種のRAPD検出用プライマーとし、mRNAの5'領域および3'領域のどちら側からも同じプライマーで増幅されるPCR産物の解析を行った。 また、この方法では検出にシークエンスゲルの代わりにアガロースゲルを用いるので、クローニングが容易であるという利点がある。

    【0016】本発明者らは、1種のプライマーでディファレンシャルディスプレイを行い、オオムギの塩ストレス応答遺伝子のクローンを2つ得た(BD1 及びBD2 )。
    そのうち、塩ストレスで発現量が増加する事が確認できたクローンであるBD1 について塩基配列を決定し、推定アミノ酸配列を得たところ、当該アミノ酸配列はATP依存性RNA ヘリカーゼとの相同性がみられた。 当該クローンがコードする蛋白質にはDEADボックスで保存されている8つのモチーフが全て存在し、オオムギのDEADボックス蛋白質であると考えられ、HVD1( H ordeum v ulgare D E
    AD protein)と名付けた。

    【0017】これまで植物では、ストレスにより特異的に発現するDEADボックス遺伝子は単離されていない。 本発明のHVD1遺伝子は、塩ストレスで発現量が増加するという特性を有しているために、eIF-4Aとは異なる、これまでに単離されていない新しいタイプのDEADボックス遺伝子である。 そこで本発明者らは当該遺伝子を単離し、
    その解析を行った。 HVD1蛋白質はRNA ヘリカーゼであり、本発明のHVD1遺伝子と植物に導入することにより、
    RNA の高次構造を安定化してRNA の活性が調節され、これまでにない新規な機構により、植物に耐塩性を付与することができると考えられる。

    【0018】本発明は、配列表の配列番号2に示す、塩基番号1−2799で示される塩基配列からなることを特徴とする、オオムギ由来のHVD1遺伝子である。 HVD1遺伝子は上述したように、RNA の安定性に関与するATP 依存性RNA ヘリカーゼである。 本発明のHVD1遺伝子は、RN
    A の高次構造の安定化を介して植物の耐塩性に関与する遺伝子であり、塩ストレスにより発現が誘導されるという性質を有する。

    【0019】遺伝子組み換え技術によれば、基本となる
    DNA の特定の部位に、当該DNA の基本的な特性を変化させることなく、あるいはその特性を改善する様に、人為的に変異を起こすことができる。 本発明により提供される天然の塩基配列を有する遺伝子、あるいは天然のものとは異なる塩基配列を有する遺伝子に関しても、同様に人為的に挿入、欠失、置換を行う事により、天然の遺伝子と同等のあるいは改善された特性を有するものとすることが可能であり、本発明はそのような変異遺伝子を含むものである。 即ち、配列表の配列番号2に示す遺伝子の一部が欠失、置換若しくは付加された遺伝子とは、配列番号2に示す塩基配列において20個以下、好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下の塩基が欠失、
    置換若しくは付加された配列を有する遺伝子である。 また、その様な遺伝子は、配列表の配列番号2に示す遺伝子と70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の相同性を有する。 また、その様な遺伝子は、ストリンジェントな条件下で、配列表の配列番号2
    に示す遺伝子とハイブリッドを形成する。 その様な遺伝子も、塩ストレスにより誘導されるというHVD1遺伝子の特徴を有する限り、本発明の範囲内である。

    【0020】更に本発明は、配列表の配列番号1に示す、アミノ酸番号1−764で示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする、オオムギ由来のHVD1ポリペプチドである。 当該ポリペプチドは、配列表の配列番号2
    記載の塩基配列のオープンリーディングフレーム部分によりコードされるポリペプチドである。 配列番号1に示すポリペプチドの一部が欠失、置換若しくは付加されたポリペプチドとは、配列番号1に示すアミノ酸配列において20個以下、好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された配列を有するポリペプチドである。 また、その様なポリペプチドは、配列表の配列番号1に示すポリペプチドと70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは9
    0%以上の相同性を有する。 その様なポリペプチドも、
    塩ストレスにより誘導される遺伝子によりコードされるというHVD1ポリペプチドの特徴を有する限り、本発明の範囲内である。

    【0021】オオムギ由来のHVD1遺伝子を植物に導入して形質転換を行う方法、当該HVD1遺伝子を導入して得た形質転換した植物もまた、本発明の範囲内である。 本発明のHVD1遺伝子は、塩ストレスにより誘導される遺伝子であり、植物の自己防御に関与している。 そのために、
    当該遺伝子を植物に導入する事により、塩ストレスに対する耐性を付与する事ができる。 本発明の塩ストレス誘導遺伝子を導入する植物の例としては、イネ、ユリ、トウモロコシ、アスパラガス、コムギ等の単子葉植物、またホウレンソウ、ニンジン、ダイズ、トマト、ジャガイモ等の双子葉植物が挙げられる。

    【0022】形質転換体の作製方法としては、本技術分野において知られている通常の方法を用いる事ができる。 本発明において使用可能なベクターはプラスミドベクターであり、例えばpBI121及びpBI221等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。 そのようなベクターを、例えばアグロバクテリウム菌に導入して、カルス又は幼植物に感染させることにより、形質転換植物を作製する事が可能であり、更に、そのような形質転換植物に由来する種子を得る事が可能である。 本発明の植物遺伝子を植物に導入する形質転換法は、アグロバクテリウム法に限定されるものではなく、パーティクルガン法、電気穿孔法等の方法を用いる事も可能である。

    【0023】

    【実施例】(材料と方法) (植物材料)オオムギ(Hordeum vuglare L.cv.Harunan
    ijyo)を材料として用いた。 また、塩ストレス処理を、
    播種後1カ月目の水耕培地に50mM NaCl を添加することにより開始した。 2日目には、最終濃度が100mM に、以降2日毎に100mM づつ塩濃度を上げて、最終的には300m
    M になるように、段階的に NaCl を添加していった。 30
    0mM NaClを含む水耕培地で生育させてから2日目にオオムギの緑葉および根を収穫し、以後の実験に供した。

    【0024】(菌株)プラスミドの作製における形質転換に用いた大腸菌(Escherichia coli)の株は DH5α
    を、cDNAライブラリーを作製する際にはXL1-Blue MRF'S
    OIR をそれぞれ用いた。 大腸菌は、適宜培地で 30-37℃
    で培養した。

    【0025】(酵素、試薬類、その他)植物細胞の全RN
    A の調製、ノーザンブロット解析、PCR 産物のクローニング、塩基配列の決定、プローブDNA の標識、植物ゲノムDNA の調製、サザンブロット解析などは、常法に準じて行った。

    【0026】(ポリ(A) + RNA の調製)ストレスを与えていないオオムギおよび塩ストレスを与えたオオムギ緑葉の全RNA からのポリ(A) + RNA の調製はオリゴ(dT)
    カラムを用いて行った。 全DNA(7mg:4mg/ml)の溶液を2X結合用緩衝液(1M NaCl,10mM Tris-HCl pH7.5,5mME
    DTA,0.5%SDS)で1/2希釈した。 このRNA 溶液を70℃
    で5分間加熱処理した後氷冷し、流速が10ml/hになるように調製して、結合用緩衝液(0.5M NaCl, 10mMTris-HC
    l pH7.5, 5mM EDTA, 0.5% SDS)で洗浄したオリゴ(d
    T)カラム(oligo(dT)cellulose[Pharmacia Biotech]30
    0mgを使用)に通した。 5倍容の結合用緩衝液でカラムを2回洗った後、抽出用緩衝液(10mM Tris-HCl pH7.5,
    5mM EDTA )に切り変えてRNA を抽出し回収した。 この回収した溶液に、1/10量の3M酢酸ナトリウムと2倍容のエタノールを加えて、-20 ℃に一晩放置してRNA を沈殿させた。 15,000rpm で30分間遠心した後、得られた沈殿を70% エタノールで洗浄して乾燥させた。 これを50
    μl の滅菌蒸留水に溶解させ、ポリ(A) + RNA とした。
    この条件下で、全RNA の約1%が回収できた。

    【0027】(ディファレンシャルディスプレイ:ファーストストランドcDNAの合成)ポリ(A) + RNA から逆転写によりファーストストランドcDNAを合成した。 まず5
    μg のポリ(A) + RNA に1nmol のランダムヘキサマーを加え、滅菌水で50μlとした。 これを70℃で10分放置した後、氷冷した。 試薬・酵素を加えて逆転写反応液(1X
    逆転写緩衝液[酵素に添付]、500 μM dNTP mix、10μ
    M ランダムヘキサマー、10mM DTT、10U/μl SuperScrip
    t II TM RNase H Reverse Transcriptase[GIBCO BRL]) 1
    00μl を作製し、37℃で1時間反応させた。 この条件により、ポリ(A) + RNA の約10% にあたる600ng のファーストストランドcDNAを得た。

    【0028】(PCR )PCR およびPCR 産物の解析は、Yo
    shida らの方法(Yoshida,K,T et al.(1994)Plant Cell
    Physiol.35:1003-1009 )に従った。 PCR には1つの特定配列を持つ12塩基のプライマー(RAPD検出用プライマー)を用いた。 プライマーの配列および反応液組成、反応条件は以下の通りである。 5'-ATCAGCGCACCA-3'(Common's primer,A(X):BEX) 反応液組成:1ng ファーストストランドcDNA,1XPCR緩衝液(酵素に添付),200μM dNTP mix,1μM プライマー,
    0.025U/μl AmpliTaq DNAポリメラーゼ(PERKIN ELME
    R) 反応条件:95℃[2分](X1), 95℃[1分],35℃
    [1分],72℃[2分](X40 ),72 ℃[5分](X1) なお、PCR の反応は、GeneAmp PCR System 9600 (PERK
    IN ELMER)を用いて行った。

    【0029】(PCR 産物の比較)PCR 反応液は、1.5%アガロースゲル電気泳動により分画し、エチジイムブロマイド染色で検出した。 塩ストレスのあるなしで差の見られるPCR 産物を1.5%低融点アガロースゲル電気泳動で分離、精製した。

    【0030】(塩基配列およびアミノ酸配列の相同性検索)塩基配列およびアミノ酸配列の相同性検索は電子メールを使い、Genebank、EMBLなどのデータベースを、ブラストプログラムを用いて検索した。

    【0031】(cDNAライブラリーの作製)cDNAライブラリーは、GublerとHoffman の方法(Gubler,U. and Hoff
    man,BJ(1983) Gene 25:263)に従って作製した。 上記の方法でファーストストランドcDNAを合成した後、反応溶液(20μl )に酵素・試薬(92.3μl 滅菌蒸留水、32
    μl 5Xセカンドストランド合成反応緩衝液[94mM Tris-
    HCl pH9.6, 453mM KCl,23mM MgCl 2 , 750μM β−NAD, 5
    0mM(NH 4 ) 2 SO 4, 3μl 10mM dNTP mix, 6μl 0.1MDTT,
    2 μl DNA ligase[7.5U/μl ], 4μl DNA ポリメラーゼ[10U/ μl ], 0.7μl RNaseH[2U/μl ] )を順番に加え、セカンドストランド合成反応を行った。 反応溶液を
    16℃でさらに5分間保温した。 ファーストストランドcD
    NA 1μg あたり10 unitsになるようにT4 DNAポリメラーゼを加え、16℃でさらに5分間保温した。 0.5M EDTA を
    10μl 加えて反応を停止させた後、反応溶液に1/10
    量の3M酢酸ナトリウムと2倍容のエタノールを加えて、
    -20 ℃に一晩放置した。

    【0032】15,000rpm で30分間遠心した後、得られた沈殿を70% エタノールで洗浄して乾燥させた。 これを20
    μl のTE緩衝液に溶解させた。 この溶液に2.5 μl のEc
    oRI-NotI-BamHIアダプター(100pmol/μl 宝酒造)とDN
    A ライゲーションキット(宝酒造)のA 液(80μl )と
    B 液(10μl )を加えて16℃で4時間ライゲーション反応を行った。 エタノール沈殿後、沈殿を20μl のTE緩衝液に溶解させ、Sepharose CL-4B を充填したカラムに重層し、抽出緩衝液(TE pH7.6, 0.1M NaCl )で溶出させ、cDNAのサイズ分画を行った。 アダプターをリン酸化処理するために、回収した画分(800 μl )に80μl 10
    XL/K緩衝液(50mM Tris-HCl pH8.0, 10mMMgCl 2 , 5mM DT
    T, 100 μM ATP )と 8μl T4 ポリヌクレオチドキナーゼ(10units/μl )を加えて穏やかに混和した後、37
    ℃で1時間保温した。

    【0033】反応溶液を、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿処理を行った後、生じた沈殿を10μ
    l のライゲーション溶液A に溶解させた。 これにEcoRI
    で切断したラムダファージベクターLambda ZAP II (Pr
    edigested Lambda II/EcoRIクローニングキット:ストラタジーン)1μl (1μg )と10μl のライゲーション溶液B を十分に混和した後、16℃で一晩ライゲーション反応を行った。 反応溶液をエタノール沈殿させた後、
    得られた沈殿を 5μl のTE緩衝液に溶解した。

    【0034】(ベクターへのサブクローニング)ラムダファージベクターLambda ZAP II にクローン化されたDN
    A は、ヘルパーファージを感染させることによって切り出して再閉環し、pBluescript SKにクローニングされた状態にした(in vivo excision)。

    【0035】200 μl のファージ液(>1X10 5ファージ粒子)に200 μl の新鮮な宿主大腸菌XLI-Blue MRF'(OD
    600 =1.0)と1μl のExAssistヘルパーファージを加えて混和した後、37℃で15分間保温した。 この溶液を5ml の
    2X YT 培地(1.6%ポリペプトン、1%酵母エキス、0.5% N
    aCl )に加えて37℃で3時間振盪培養した。 培養液を70
    ℃で20分間処理した後、6,000rpmで5分間遠心し、得られた上清を 4℃に保存した。 上清の一部(10-20 μl )
    に200 μl の宿主大腸菌SOIR(OD 600 =1.0) を加えて、37
    ℃で15分間振盪した。 これをLB/Ampプレート(1.0%ポリペプトン, 0.5%酵母エキス, 1.0% NaCl, 100μg/ml アンピシリンナトリウム)上に均一に広げて、37℃で一晩培養してコロニーを形成させた。

    【0036】(塩ストレスで発現が誘導される遺伝子の検出)耐塩性のメカニズムを分子レベルで理解するために、塩ストレス下でその発現量が増加する遺伝子の単離・解析を行った。 塩ストレス応答遺伝子の検出にはディファレンシャルディスプレイ法を用いた。 本発明で用いたディファレンシャルディスプレイ法の概要を、図2に示す。 ストレスを与えていないオオムギおよび塩ストレスを与えたオオムギの葉からそれぞれポリ(A) + RNA を調製し、逆転写によりファーストストランドcDNAを合成した。 このファーストストランドcDNAを鋳型としてPCR
    を行った。 1つのRAPD検出用プライマーを使ってPCR を行ったところ、塩ストレスを与えたオオムギの方でより多く増幅するPCR 産物が2つ検出された。 ディファレンシャルディスプレイ法により、オオムギ塩ストレス応答遺伝子の検出を行った結果を、図3に示す。 図3において、右側がコントロールの葉における結果を、左側に塩ストレスを与えた葉における結果を示す。 また、塩ストレスを与えた葉で増幅量が多いPCR 産物(約1.1bp と約
    0.5bp )を矢印で示す。

    【0037】(PCR 産物の発現解析)約1.1kbpのPCR 産物(BDI )と約0.5kbpのPCR 産物(BD2 )をそれぞれプローブに用いてノーザンブロット解析を行った。 BD1 をプローブに用いた結果、葉において約3.2kb のmRNAが検出された。 図4に、BD1 の塩ストレスによる発現誘導を、ノーザンブロットで確認した結果を示す。 図4において、塩ストレスを与えないオオムギ(NaCl- )および塩ストレスを与えたオオムギ(NaCl+ )の、緑葉(Lea
    f)と根(Root)の全RNA を使用して検討を行った。 葉ではストレスがないときにも発現がみられるが、塩ストレスによりその発現は約8倍に増加した。 また、根においては葉に比べて発現量が少ないものの、ストレスのないときにも発現がみられ、塩ストレスにより約3倍に増加した。 BD2 は発現量が低いためか、ノーザンブロット解析では検出することができなかった。 塩ストレスで発現が上昇することが確認できたBD1 をクローニングし、
    以降の解析に用いた。

    【0038】(PCR 産物の同定)クローニングしたBD1
    の塩基配列を決定した。 決定した塩基配列から推定されるアミノ酸配列をデータベースに照合したところ、ATP
    依存性RNA ヘリカーゼと相同性が高いことが判明した。
    ATP 依存性RNA ヘリカーゼはDEADボックスファミリーを構成していて、このファミリーでは8つの保存されたモチーフが存在する(図1)。 PCR 産物には8つのモチーフのうち、第7、8モチーフを含んでいた。

    【0039】(全長のクローングと配列の特徴)BD1 を含むcDNAの全長をクローニングするために、塩ストレスを与えたオオムギの葉のmRNAからcDNAライブラリーを作製した。 BD1 をプローブに用いて約2万の独立したクローンをスクリーニングし、2つの陽性クローンを得た。
    2つのクローンは同じ遺伝子に由来していて、このうち長い方のクローンについて解析を進めた。

    【0040】全塩基配列を決定したところ、HVD1 cDNA
    は2,799bp で22bpのポリA を持っていた。 図5に、HVD1
    のcDNAの全塩基配列と、その推定アミノ酸配列を示す。
    図5において、黄色で囲った部分はDEADボックスファミリーで保存されたモチーフ(I-VIII)を、緑色で囲った部分はRGG モチーフを、青色で囲った部分はRSSSモチーフを、それぞれ示す。 矢印は、ディファレンシャルディスプレイの際、RAPD検出用プライマーの認識した配列を示す。 ポリA 付加シグナル様配列はあるが、典型的なポリA 付加シグナル(AATAAA)はみられなかった。 HVD1cD
    NAには764 アミノ酸からなる1つのオープンリーディングフレームが存在し、このアミノ酸配列から推定される分子量は81.8kDa 、等電点は7.67であった。 図6に、Ky
    te&Doolittleのパラメーター値を使用して、HVD1蛋白質の疎水性・親水性プロットを行った結果を示す。 疎水性・親水性プロットの結果、膜貫通領域のような疎水性部分はみられなかったが、カルボキシル基端領域に親水性の高い領域があった(図6)。

    【0041】図7に、HVD1とこれまでにクローニングされているATP 依存性RNA ヘリカーゼのアミノ酸配列の比較を示した。 図7において、黄色で囲った部分はDEADボックス蛋白質で保存されているモチーフを、緑色で囲った部分はDEADボックス蛋白質で保存されているアミノ酸を、青色で囲った部分は6つの蛋白質で保存されているアミノ酸を、それぞれ示す。 即ち、オオムギ由来のHVD
    1、酵母由来のDBP1、大腸菌由来のCsdA、ヒト由来のp68
    、ショウジョウバエ由来のRM62のアミノ酸配列を比較し、図7に示した。 HVD1はDEADボックスファミリーで保存されている8つのモチーフすべてを保持していた。 8
    つのモチーフを含む領域はHVD1を含めてDEADボックスファミリーで相同性が高いが、アミノ基端側やカルボキシル基端側ではHVD1と相同性の高い蛋白質はこれまでにクローニングされていない。 またHVD1はこれまでにクローニングされているATP 依存性RNA ヘリカーゼの中で最も長いカルボキシル基端を持っていた。 前述した親水性領域であるこの領域には、RGG配列が5回繰りかえされていた。 このモチーフは、RNA 結合蛋白質にみられるRNA
    結合モチーフである。 さらにこの領域には、機能は不明だが、RSSSという配列が4回繰り返されていた。

    【0042】(HVD1の特徴)HVD1は、8つのモチーフを含む領域ではコンセンサス配列以外にも、保存されているアミノ酸がいくつかある。 しかし、この領域についても相同性の高いATP依存性RNA ヘリカーゼは、これまでに単離されていない。 同様に、アミノ基末端側やカルボキシル基末端側においては、相同性のある蛋白質は皆無であった。 HVD1は特にカルボキシル基末端側が長く、これまでに単離されているDEADボックス蛋白質で最も長い。 このカルボキシル基末端領域は親水性に富み、RGG
    モチーフが存在する。 RGG モチーフはRNA 結合蛋白質でみられるRNA 結合モチーフの1つであることから、HVD1
    のカルボキシル末端は非特異的なRNA 結合領域であると考えられる。

    【0043】ヒトやネズミ、ショウジョウバエ、酵母などから単離されたDEADボックス蛋白質の中にも、RGG モチーフを持つものがある。 このうち分裂酵母のSte13 蛋白質(Maekawa,H. et al.(1994) Mol.Gen.Genet.244:456
    -464) はHVD1と同じようにカルボキシル基末端領域にRG
    G モチーフを持つ。 Ste13 遺伝子は、窒素源飢餓においた時に接合や減数分裂ができないSte13 変異株から単離され、遺伝子の発現を転写後の段階で制御しているのではないかと考えられた。 Ste13 蛋白質からRGGモチーフを欠失させると、RNA 結合能が著しく低下することが観察される(Shimoda,C. et al.(1994) The Second UK-Ja
    pan Cell Cycle Workshop )ことから、カルボキシル基末端領域がRNA 結合領域であると推定された。

    【0044】HVD1のRNA 結合領域であると推定される領域には、機能の不明なRSSS配列が4回繰り返されているモチーフがあるが、RNA 分子の特異性に関与している可能性も考えられる。 DEADボックス蛋白質のコンセンサス配列がもつRNA 結合能は弱いので、RNA 分子と安定に結合するためには、HVD1やSte13 のように他のRNA 結合ドメインの助けが必要である可能性が考えられる。 コンセンサス配列以外にRNA結合領域をもっている蛋白質は単独でRNA ヘリカーゼ活性を示すのに対し、elF-4Aのように、それをもたない蛋白質はRNA 結合ドメインをもった他の蛋白質との複合体を形成して、はじめて活性を示すと考えられる。

    【0045】(HVD1のゲノム中のコピー数)オオムギゲノム中のHVD1遺伝子のコピー数をサザンブロット解析により確認した。 図8に、オオムギゲノム中のHVD1遺伝子およびDEADボックス遺伝子の検出を行った結果を示す。
    即ち、HVD1遺伝子特異的領域をプローブに用いてゲノム中のコピー数を確認し、HVD1のDEADボックス遺伝子で保存されている領域をプローブに用いてファミリー遺伝子の検出を行った。 HVD1 cDNA の3'側の遺伝子特異的領域をプローブに用いた結果(図8右側)、1本のバンドが検出され、オオムギゲノム中にHVD1遺伝子はハプロイドあたり1コピー存在することが明らかとなった。 一方、HVD1 cDNA の8つのモチーフを含む保存領域をプローブとして用いると(図8左側)、複数のバンドが検出され、オオムギにDEADボックス遺伝子ファミリーが存在することを伺わせる結果が得られた。

    【0046】(他の植物におけるHVD1遺伝子)オオムギ以外の植物に、HVD1類似遺伝子が存在するかどうかを解析した。 図9に、ホウレンソウ、イネ(2種類)、オオムギのゲノムDNA を使用し、サザンブロッティングによりHVD1類似遺伝子の検出を行った結果を示す。 HVD1 cDN
    A の遺伝子特異的領域をプローブに用いてサザンブロット解析を行った結果、双子葉植物のホウレンソウ、単子葉植物のイネにおいてシグナルが検出された。 ホウレンソウやイネにもHVD1類似遺伝子が存在するものと考えられる。

    【0047】(HVD1の機能)HVD1は塩ストレス下で発現していることから、その活性は塩によって阻害されないことが予想される。 ヒトから単離されたDEADボックス蛋白質であるp68 は、塩(100mM NaCl) によりその活性が促進される。 さらにp68 は耐塩性が高く、250mM 以上の塩の存在下でもRNA に結合することができる。 HVD1もp6
    8 のように高い耐塩性をもっていることが予想される。

    【0048】既に述べたように、塩ストレスにより植物細胞内の塩濃度が上昇すると、1本鎖RNA は、1本鎖やステム/ループなどの二次構造をとりやすくなる(Jacob
    son,AB(1976) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:307-311)
    (Herbeck,R.et al.(1976) Biochem.Biophys.Acta 418:5
    2-62) 。 そして、上記の様なRNA の二次構造化は、蛋白質合成の阻害(Baglioni,C.et al.(1978) Eur.J.Bioche
    m. 92:15-163)やヌクレアーゼによる分解の阻害(Edy,V.
    G.et al.(1976) Eur.J.Biochem.61:563-572) などの弊害をもたらす。

    【0049】蛋白質合成に関わるDEADボックス蛋白質には、翻訳開始因子であるelF-4Aがあるが、ストレスなどで発現が誘導されるものは、これまで報告された例はなく、本発明のHVD1蛋白質が最初である。 HVD1の機能は、
    塩による蛋白質の合成やRNAの分解の阻害を抑える事であるか、あるいは塩ストレス下でのRNA の安定性に寄与する事であると考えられる。 本発明のHVD1遺伝子は、これまでにはなかった機構により植物の塩ストレス耐性に関与しており、多くの応用が可能であると考えられる。

    【0050】

    【発明の効果】本発明により、塩ストレスにより誘導される新規な遺伝子であるオオムギHVD1遺伝子が与えられた。 本発明の遺伝子はRNA ヘリカーゼをコードする遺伝子であり、RNA の構造を安定化させることにより、植物に耐塩性を付与することができると考えられる。

    【0051】

    【配列表】 <110>出願人氏名:九州大学長 <120>発明の名称:塩ストレスにより誘導される遺伝子HVD1 <160>配列の数:2 <210>配列番号:1 <211>配列の長さ:764 <212>配列の型:アミノ酸 <213>起源:Hordeum vulgare L.cv.Harunanijyo <400>配列 MASLLTLPSL SLSSPSGGLA PALRLRAAFR CWALGRRWAG AAAAIASPNS VLSEHAFKRL 60 GLGAGSDDED EDGYGSDQEG PAAVEGDKDE LAISRLGLPA QLVATLEKRG ITHLFPIQRA 120 VLIPALEGRD LIARAKTGTG KTLAFGIPMI KQIIEQDEGR TPGRGRIPRA LVLAPTRELA 180 KQVEKEIMES APKLSTVCVY GGVSYNTQQN ALSRGVDVVV GTPGRLIDLI NGGSLQLGEV 240 RYLVLDEADQ MLAVGFEEDV ETILQQLPAE RQSMLFSATM PSWVKKLSRR YLNNPLTIDL 300 VGDQDEKLAE GIKLFAIPLT TTSKRTILSD LITVYAKGGK TIVFTRTKRD ADEVSLALTT 360 SIASEALHGD ISQHQRERTL NGFRQGKFTV LVATDVASRG LDIPNVDLII HYELPNDPET 420 FVHRSGRTGR AGKAGNAILM FTTNQRRTVK SLERDVGCKF EFIGPPTMEE VLDSSAEHVI 480 ATLRGVHPES IQYFVPAAER LSQELGPTAL ASALAHLSGF SQPPSSRSLI SHEQGSVTLQ 540 LTRDPEYARG FFSPRSVTGF LSDVSPSAAD AVGKIYLIAD ERVQGAVFDL PEEIAKDLLT 600 MELPPGNTLS KVTKLPVLQD DGPATDSYGR FSNSDRGSRN RRGSSRGGMG GGSRGRGGWD 660 SDEGFRRGGR SSSRPDNDIW SDDDFSGGGA RRSNRSSSPS GGRSSYGGRG GSSSFGDRSS 720 SFGERSSSYG GRGGSSFGSR DRSFSGACFT CGQSGHRASD CPNK 764 <210>配列番号:2 <211>配列の長さ:2799 <212>配列の型:核酸 <213>起源:Hordeum vulgare L.cv.Harunanijyo <400>配列 CGCCCGGGCA GGTATTTCTT ATCGCTTCCC CCCTTCCTCC CCCCATGGCT TCCCTCCTCA 60 CGCTCCCGTC CCTCTCCCTC TCCAGCCCCA GCGGCGGCCT CGCGCCCGCG CTCCGGCTCC 120 GCGCCGCCTT CCGCTGCTGG GCGCTCGGCC GCAGGTGGGC GGGCGCCGCC GCGGCCATCG 180 CGTCGCCCAA CTCCGTGCTC AGCGAGCACG CCTTCAAGCG CCTCGGGCTC GGCGCCGGCA 240 GCGACGACGA GGATGAGGAC GGGTACGGGA GCGACCAGGA GGGGCCCGCC GCCGTGGAGG 300 GGGACAAGGA TGAGCTCGCC ATTTCCAGGC TCGGCCTCCC CGCCCAGCTC GTCGCCACCC 360 TCGAGAAGCG CGGAATTACC CACCTCTTCC CCATCCAGAG GGCTGTATTG ATTCCAGCAC 420 TTGAGGGCCG TGACCTGATT GCAAGAGCAA AGACTGGAAC TGGAAAGACG CTAGCCTTTG 480 GTATACCCAT GATCAAGCAA ATAATCGAGC AGGACGAAGG GCGGACTCCC GGGCGAGGTC 540 GTATTCCGAG AGCTTTGGTC CTTGCACCCA CTAGAGAGTT GGCTAAACAA GTTGAGAAAG 600 AAATTATGGA ATCAGCGCCA AAGCTTAGTA CAGTGTGTGT TTATGGTGGT GTATCATATA 660 ATACCCAGCA GAATGCACTC TCCCGTGGTG TTGATGTTGT CGTAGGAACT CCAGGTCGCC 720 TAATTGATTT GATAAACGGT GGAAGTCTTC AGTTGGGAGA AGTAAGGTAT CTGGTCCTTG 780 ATGAGGCTGA CCAGATGCTT GCAGTTGGAT TTGAAGAAGA TGTGGAAACA ATATTGCAAC 840 AGCTGCCAGC TGAACGACAA AGCATGCTTT TCTCTGCGAC CATGCCTAGT TGGGTGAAGA 900 AATTGTCTAG GCGGTACTTG AATAATCCTT TGACAATTGA TTTGGTTGGC GATCAAGATG 960 AAAAATTAGC TGAAGGAATC AAACTCTTTG CTATTCCACT CACAACGACT TCAAAGCGCA 1020 CCATTCTTAG TGATCTCATT ACGGTATATG CAAAGGGTGG GAAAACTATT GTTTTCACTC 1080 GGACAAAACG GGATGCAGAC GAGGTATCAT TAGCATTGAC AACCAGTATT GCGTCTGAGG 1140 CGCTTCATGG TGATATTTCA CAACATCAGC GTGAGAGGAC ATTAAATGGT TTCCGCCAAG 1200 GGAAATTTAC TGTGCTTGTG GCCACTGATG TTGCTTCTCG TGGTCTTGAT ATACCCAATG 1260 TTGATTTGAT TATTCATTAT GAGTTGCCAA ATGACCCCGA GACTTTTGTT CATCGTTCTG 1320 GACGCACTGG ACGAGCAGGG AAAGCAGGAA ATGCAATCTT AATGTTTACA ACCAATCAGC 1380 GAAGGACAGT TAAATCACTT GAACGTGATG TTGGGTGCAA ATTTGAGTTT ATTGGCCCAC 1440 CTACAATGGA AGAAGTACTG GATTCATCTG CAGAGCATGT CATTGCTACT CTGCGAGGTG 1500 TGCACCCCGA GTCGATTCAA TACTTTGTTC CAGCGGCTGA GAGACTAAGC CAAGAACTAG 1560 GACCTACTGC TCTTGCTTCT GCATTGGCAC ATCTGAGTGG ATTTTCTCAG CCACCTTCTT 1620 CACGTTCCCT GATTAGCCAT GAGCAGGGAT CGGTGACACT ACAACTAACC AGGGATCCAG 1680 AATATGCAAG AGGCTTCTTT TCTCCTAGAT CTGTCACCGG TTTTCTGTCT GATGTCTCTC 1740 CATCTGCTGC TGATGCAGTT GGAAAAATAT ACCTAATAGC AGATGAGAGG GTCCAAGGAG 1800 CAGTCTTTGA TTTACCCGAG GAGATTGCAA AGGATCTGCT TACCATGGAA CTGCCCCCAG 1860 GAAACACCTT GAGCAAAGTA ACAAAGCTGC CGGTGTTGCA AGATGATGGC CCTGCTACTG 1920 ATTCTTACGG CCGATTCTCA AACTCAGACC GGGGTTCTAG GAACCGGCGG GGGTCGTCCA 1980 GGGGCGGTAT GGGTGGCGGC TCAAGAGGAC GTGGTGGTTG GGACTCTGAT GAAGGATTCC 2040 GTCGTGGTGG CAGGAGCTCC AGCAGACCTG ACAACGACAT TTGGTCAGAT GATGACTTTT 2100 CAGGTGGTGG TGCGAGAAGA TCAAACCGTT CGTCATCCCC CAGCGGTGGC CGCTCGTCCT 2160 ATGGTGGGCG TGGTGGCTCG TCATCCTTCG GTGACAGATC CTCCTCCTTT GGTGAACGCT 2220 CATCGTCATA CGGTGGTCGC GGTGGCTCGT CCTTTGGCAG CAGGGACAGA AGCTTCAGTG 2280 GCGCGTGCTT CACATGCGGG CAATCAGGGC ACAGAGCATC AGACTGCCCG AACAAGTAGA 2340 CGGCGCATAC GAAGTGCTGC TTGCCTGCCG CGCTGCTCCG TTCGGGCCTC ATCAGCTTCC 2400 GACAAGCGGC TGGACAAAGC TGAACACAAC GCCAAGGAAC ATCGCAAGGC CGGCCTCCCT 2460 TGTGTGTCGA TCTGTGATCT GCATATGCCC GATGAACGGC TGGCTGTGCT AGATACTACT 2520 ACAGTTTTGT GTGGTCGTCG TTTCACAGAG GAGATGATTT TTCTGGCACG CTGCTGACAC 2580 GCCGAAGGAG AGCCTGGCCT TCCGCTGAAT TATTCGTGTA ATATCTAGGG GTTTTACAGG 2640 AACGTTGCTT GTTTTAATTT TTTTTGGTTT GCCGCTTGTC GGAGTTGGTG ATAGAATGTT 2700 AACAACAGCT ACTACTACAT GGGCCCTGTA AAGTTCTATA GAACCAAGAA AGCATTCAGA 2760 ACTGTTACAC GTCGATTAAA AAAAAAAAAA AAAAAAAAA 2799

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 図1は、DEADボックスファミリーに保存されたモチーフとその機能を示した図である。

    【図2】 図2は、ディファレンシャルディスプレイ法の概要を示した図である。

    【図3】 図3は、オオムギの塩ストレス応答遺伝子を、ディファレンシャルディスプレイ法により検出を行った写真である。

    【図4】 図4は、塩ストレスによるBD1 の発現誘導を示す、ノーザンブロット解析の写真である。

    【図5】 図5は、HVD1のcDNAの全塩基配列とその推定アミノ酸配列を示す図である。

    【図6】 図6は、HVD1蛋白質の疎水性・親水性プロットを示す図である。

    【図7】 図7は、既知のDEADボックス蛋白質のアミノ酸配列と、HVD1の推定アミノ酸配列の比較を行った図である。

    【図8】 図8は、オオムギゲノム中のHVD1遺伝子及び
    DEADボックス遺伝子の検出を行った、サザンブロット解析の写真である。

    【図9】 図9は、ホウレンソウ、イネ、オオムギにおいてHVD1類似遺伝子の検出を行った、サザンブロット解析の写真である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B030 AA02 AB03 AD04 CA06 CA17 CA19 CB03 CD02 CD07 CD09 4B024 AA08 BA80 CA04 DA01 EA04 GA11 4B065 AA88X AA88Y AB01 AC08 BA02 CA53 4H045 AA10 BA10 CA32 EA05

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