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【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、種々の原因によって起こる造血障害に伴う血小板減少症の治療剤に関し、更に詳しくは、ヒト造血因子の一種であるヒト単球−マクロフアージコロニー刺激因子を有効成分とする血小板減少症治療剤に関するものである。
(ロ)従来技術 種々の造血障害によって、顕著な血小板の減少または機能低下に基づき、現に重篤な出血を見ているか、またはその恐れの強い病態に対して、血小板輸血が有力な手段となっている。 しかし、各医療の現場について見ると、
十分量の血小板製剤が迅速に供給されている状況ではなく、かつ、血小板輸血に伴いATL(adult T cell leu
kemia,成人T細胞白血病)やAIDS(acquired immu
ne deficiency syndrome,後天性免疫不全症候群)等の病原体であるウイルスに感染する危険性が著しく増大している。
(ハ)本発明が解決しようとする問題点 白血病や悪性腫瘍の薬剤ないし放射線による治療中や、
再生不良性貧血の経過中において、重篤な出血を現に見ているか、またはその恐れの強い病態に対して、血小板の産生を促進することを目的として検討を行った結果、
本発明に係るヒト単球−マクロフアージコロニー刺激因子を有効成分としてなる製剤を悪性腫瘍の化学療法において投与することによって血中の血小板レベルの正常値への復帰が早急におこることを見いだして本発明を完成した。
(ニ)問題点を解決するための手段 本発明の治療剤の有効成分であるコロニー刺激糖蛋白質(以下、CSFという)は、本出願人の1人が出願した特願昭62−178697号に記載されており、哺乳動物の単球−マクロフアージ系細胞のコロニー形成刺激作用を有し、次の方法によって製造される。
健康人の尿をpH8.0〜9.0に調整し、尿中の粘性物質を沈澱・除去し、その上澄を分子量10,000〜5
0,000ダルトンを通過させる限外濾過膜を用いて濃縮と脱塩を行う。
少なくとも200倍以上に濃縮(蛋白質濃度として1%
(w/v)以上)した後pHを6.5〜7.5に調整し、
60℃で10時間加熱処理(ウイルス等の不活化)する。 形成された沈澱物を遠心除去し、陰イオン交換体、
例えばDEAE−セルロース等、に有効成分を吸着させる。
次に0.05〜0.1Mの緩衝液(pH6.5〜7.5)
で該イオン交換体を洗浄した後0.2〜0.4Mの緩衝液(pH6.5〜7.5)で有効成分を溶出する。 該溶出液を必要ならば限外濾過膜で濃縮し、1M〜4Mの塩類、例えば硫安、食塩等を含有する緩衝液(pH6.5〜
7.5)で平衡化させたゲル濾過剤、例えばSephacryl
S−300(Pharmacia社製)でゲル濾過し、分子量範囲が70,000〜150,000ダルトンの画分を回収する。 次に該画分を上記1M〜4M塩含有緩衝液で平衡化させた疎水性親和体、例えばPhenyl-Sepharose
(Pharmacia社製)に吸着させ、0.5〜1.0Mの塩含有緩衝液(pH6.5〜7.5)で溶出する。 該溶出液を限外濾過膜で濃縮し、高速液体ゲル濾過カラム、例えばTSKG−3000SW(東洋曹達製)でゲル濾過し、分子量範囲が70,000〜150,000ダルトンの画分を回収する。 該画分を再度、濃縮し、0.1%
トリフルオロ酢酸(TFA)溶液(pH1〜2)で平衡化した高速液体逆相カラム、例えば、Hi−Pore RP−3
04(バイオラド社製)に吸着させ、0.1%TFAを含む溶剤、例えばアセトニトリル又はイソプロパノールの直線濃度勾配溶出法により溶出する。 このようにして得られたCSFは、比活性1×10 8単位/mg・蛋白質以上を有する純粋な物質である。
本発明のCSFは更に本CSFに対する特異抗体との反応を利用して製造することができる。
この製造法は、次の3つの工程からなる。 以下順次説明する。
コロニー刺激糖蛋白質に対する特異抗体(以下、抗C
SF抗体という)の調製 前記第1の製造法又は、別個に行なったこの製造法によって得られた本発明のCSFを用いて、哺乳動物例えばウサギ、ヤギ、ヒツジ及びウマ等を免疫する。 即ち、本発明のCSFを0.1〜1.0mg/mの濃度になるように生理食塩液に溶解して、フロントの完全アジュバントと等量混合し、哺乳動物の皮下へ、週1〜2回、4〜
8週間投与して免疫する。 免疫動物の血中抗体価が上昇したら、静注又は皮下注による追加免疫を行い、追加免疫後3〜7日目に採血を行い、CSF抗血清を採取する。 採取した抗血清のCSFに対する抗体価は、後述するCSF生物力価中和試験によって測定されるが、抗血清中のCSF抗体価は、1m当り5×10 6単位以上のCSF生物力価を中和する抗血清を選択することが望ましい。 採取した抗血清は、2回の硫安塩析及びDEA
E−セルローズクロマトグラフィー等によって、免疫グロブリンG又はM画分の抗CSF抗体として精製する。
また必要であれば、CSF又は抗CSF抗体と交錯反応を示す夾雑タンパク質をリガンドとする抗原カラムへ抗CSF抗体を通液し、抗CSF抗体のみを吸着するか又は夾雑タンパク質を吸着させて、更に抗CSF抗体を精製する。
抗体結合支持体の調製工程 CSF抗体を結合し得る不溶性支持体は、抗体蛋白質のNH 2 −基又はCOOH−基と化学結合できる不溶性支持体であれば、公知のいずれのものでも使用できる。 例えば、臭化シアン活性化又はエポキシ化多糖体ゲル、フオルミル化多糖体ゲル、アミノエチル化又はヒドラジド化ポリマー等である。 不溶性支持体と抗CSF抗体との結合反応は、選択される不溶性支持体の結合基によって条件が異なるので、結合反応の至適条件となるよう抗体を調整する。 例えば、臭化シアン活性化支持体の場合は、pH8〜10の炭酸緩衝液へ、エポキシ化支持体の場合は、pH10以上の溶液へ、またフオルミル化支持体の場合は、中性の溶液へ、それぞれ抗体を溶解し、調整する。 またその結合反応の温度条件も不溶性支持体によって異なるが、本発明の結合反応の場合は、25℃以下の低温で行なうのが望ましい。 特に臭化シアン活性化支持体の場合は、4℃以下で行う。 結合させる抗体量は、不溶性支持体1g(湿重量)当り、10〜50mg、好ましくは20〜30mgであり、結合反応時の抗体濃度を1〜
4%(w/v)に調整する。 結合反応終了後、支持体に残った抗体非結合反応基を適当な処理法で不活性化し、
抗体結合支持体を得る。
抗体結合支持体によるCSFの精製工程 抗体結合支持体を0.5〜1.0Mの塩、例えば塩化ナトリウムを含むpH6〜8の緩衝液で洗浄する。 洗浄した抗体結合支持体は、カラムへ充填するか又は緩衝液に懸濁させる。 前者はカラム式、クロマトグラフィー、後者は、バッチ式クロマトグラフィーとして使用する。 本発明のCSFを含有する溶液は、例えば人尿濃縮液、CS
F産生細胞培養上澄液或いはCSF遺伝子組換え細胞培養上澄液などが用いられ、これをpH6〜8に調整し、次いで抗体結合支持体の洗浄に使用した前記緩衝液と同一の緩衝液と平衡化させるか又は0.5〜1.0M濃度になるように塩化ナトリウムを加え、この処理液と抗体結合支持体とを接触させる。 接触はカラム式又はバッチ式のクロマトグラフィーで行なわれ、カラム式クロマトグラフィーの場合は、室温以下、好ましくは10℃以下で、流速5〜20ml/cm 2・時間で通液させ、CSFを抗体結合支持体のカラムへ吸着させる。 吸着CSF量は、抗体結合支持体1g(湿重量)当り、500〜2,
000万単位が望ましい。 吸着させた後、上記緩衝液を通液として夾雑物質を洗浄・除去する。 バッチ式クロマトグラフィーの場合は室温又は10℃以下で上記処理液と抗体結合支持体を混合し、1〜10時間攪拌する。 攪拌後、ガラス濾紙等で濾過し、抗体結合支持体を回収する。 該抗体結合支持体を上記の緩衝液で洗浄して、夾雑物質を完全に除去する。 抗体結合支持体と特異的に吸着したCSFは、抗源抗体複合体の解離液、例えばpH2〜
3の酢酸緩衝液、3〜4Mのチオシアン酸塩又は0.1
〜0.2Mの2,4−ジニトロフエノール等の溶液で抗体結合支持体から溶出させる。 カラム式クロマトグラフィーの場合は、溶離液をカラムへ通液することによって、またバッチ式クロマトグラフィーの場合は抗体結合支持体を溶離液へ懸濁し、攪拌することによって、CS
Fを溶出させる。 ここに得られるCSFは不純物が除去された純粋なCSFである。
以上のようにして製造された本発明のCSFは次のような理化学的性状を有している。 尚、この理化学的性状の試験には、参考例1の方法により純化したCSFを用いた。
a)分子量 還元剤の非存在下に、Laemmli(Nature,227巻、6
80−685頁,1970年)の方法によるドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量を測定すると、70,000〜90,000ダルトンであった。
次に、0.2Mメルカプトエタノールで還元し、同様の方法で測定すると、分子量35,000〜45,000
ダルトンのサブユニットに解離した(第1図)。
第1図は、本発明のCSFのドデシル硫酸ナトリウム・
ポリアクリルアミドゲル電気泳動の泳動図であり、A〜
Eは非還元(2量体)、F,Gは分子量マーカー蛋白質、H〜Lは還元(サブユニット)を示し、縦軸の数字は分子量(×10 3ダルトン)を示す。
b)サブユニット蛋白質のアミノ酸配列 NH 2 −末端アミノ酸配列は、純化CSFを気相アミノ酸シーケンサーで常法により分析した。 次に純化CSF
を6Mグアニジンで変性させ、モノヨード酢酸でアルキル化した後、脱塩し、トリプシン消化及び臭化シアン分解を行った。 トリプシン消化及び臭化シアン分解ペプチドをVydacC−18逆相高速液体クロマトグラフィーで分画し、分解されたペプチド画分を得、各画分をそれぞれ気相アミノ酸シーケンサーで分析し、ペプチド断片のアミノ酸配列を分析した。 トリプシン消化及び臭化シアン分解ペプチド断片のアミノ酸配列と本発明者らがクローニングしたmRNAの塩基配列から、サブユニット蛋白質のアミノ酸一次構造を決定した。 その結果は第1表に示すとおりである。
NH 2 −末端のアミノ酸であるグルタミン酸から149
番目のグルタミンまでは、公知のCSF−1と同一であるが、150番目から214番目までの65個のアミノ酸は、公知のそれと全く異なっていた。
また、COO−末端のアミノ酸としては、サブユニット蛋白質の分子量に応じ214番目にプロリンが検出された。 122番目と140番目のアスパラギンは、Asn
−X−Ser/Thrの典型的なN−グリコシド結合部位を有し、この部位で糖鎖を結合しているものと推定された。 ここでXは任意のアミノ酸を示す。
d)糖鎖の構成単糖 ポリペプチドと結合している糖鎖の構成単糖は、加水分解して遊離させた後、高速液体クロマトグラフィーで分析した。 アルドース、シアル酸は陰イオン交換カラム、
ヘキソサミンは陽イオン交換カラムでホウ酸緩衝液濃度勾配溶出法で分画し、シアノアセタミド又はアルギニンによるポストカラム標識した後、ケイ光法により同定した。 本CSF分子に含有される糖鎖は不均一であり、定量することは困難であったが、構成単糖としてマンノース、ガラクトース、N−アセチルグリコサミン、N−アセチルガラクトサミン及びN−アセチルノイラミン酸が同定された。
e)円二色性スペクトル 円二色性分散計(JASCO社製J−600)で遠紫外部に於けるCDスペクトルを測定した(第2図)。
第2図は本発明のCSFのCDスペクトルを示し、横軸は波長(nm)、縦軸は楕円率(mdeg)を示す。 波長20
8nm及び222nmにおいて極小ピークがみとめられ、本CSFの二次構造にα−ヘリックス構造が含まれているものと推定された。
f)熱安定性 本CSFを1μg/mの濃度で、希釈緩衝液(pH7.
0)に溶解し、60±0.5℃で60分間加熱し、そのコロニー刺激活性(後述)を測定したが、活性の低下はほとんど認められなかった。
g)赤外線吸収スペクトル 本CSFの凍結乾燥粉末について透過測定法(KBr
窓)によりフーリエ変換赤外分光装置(Nicolet社製5
DXC)を用いて測定した赤外線吸収スペクトルは第3
図に示すとおりであった。 第3図の横軸は波数(cm -1 )
を縦軸は透過率を示す。
本CSFは1650cm -1 、1201cm -1及び1133cm
-1に強い吸収、1537cm -1 、1432cm -1及び106
8cm -1に中程度の吸収を示した。
上記の理化学的性質を有し、且つ哺乳動物の単球−マクロフアージ系細胞のコロニー形成刺激作用を有する糖蛋白質は、前記の製造法により人尿から製造され、バイアル瓶中で無菌的に凍結乾燥され、粉末状で密封される。
凍結乾燥に先だちCSFの安定剤としての人血清アルブミン及び溶解補助剤としてのアミノ酸又は糖類を含有する水溶液を加え、無菌濾過し、のち無菌的に凍結乾燥してもよい。
なお、本発明のCSFのコロニー刺激活性は、マウス骨髄細胞による単層軟寒天ゲルでのコロニー形成試験法で測定した。 CSF試料を0.3%寒天、20%牛胎児血清(FCS)及びマウス骨髄細胞1×10 5個を含むMc
Coy′s5A倍地1mと混合し、7.5%CO 2通気下、37℃で7日間培養した。 培養後、50個以上の細胞集塊をコロニーと判定し、形成されたコロニー数を計測した。 コロニー刺激活性は単位で表現し、1単位は1
コロニーを形成させるに必要なCSF量と規定した。 また非活性は、CSF蛋白質1mg当り形成されるコロニー数(単位)で表した。 その結果、本発明のCSFは、
1.4×10 8単位/mg・蛋白質の比活性を有していた。 また形成されたコロニーをヘマトキシリン−エオジン染色して形態学的に分類したところ、95%以上のコロニーが単球−マクロフアージから形成されていた。
本発明の製剤は、例えば注射用生理食塩水、注射用蒸留水等に10〜100mg/mに溶解して、点滴、直接静注、筋肉内、又は皮下に投与される。
投与量は、1回1,000単位/kg体重〜15万単位/
kg体重を使用するが症状によっては適宜増・減量可能である。
投与時期は、化学療法及び放射線療法後、造血障害が始まったと思われる時点がよい。 投与は、血小板レベルが一定状態になるまでその変動に応じて数回、数日間(2
〜14日間)行ってもよい。
投与対象は、造血障害によって誘起せしめられる血小板減少症の患者であれば特に限定されない。
(ホ)発明の効果 前記対象患者に、実施例に示すように、本発明の製剤を投与したところ、血中内血小板レベルは、著明な改善が認められた。 またその投与結果として有害な副作用は観察されなかった。 かくして本発明の製剤は血小板減少症治療剤として有用であることが示唆される。
(ヘ)実施例・参考例 以下に本発明の製剤の薬理効果についての実験例、毒性についての実験例、臨床実施例、参考例を示すが、本発明はなんらこれらの例に限定されるものではない。
実験例1(毒性) 参考例1により調製された糖蛋白質を用いて急性毒性をリチャードらの方法(ジャーナル・オブ・フアルマコロジー・アンド・エクスペリメンタル・セラビユテイクス、90巻、99頁、1949年)によりC 57 BL系雄性マウスで試験した。
その結果を第2表に示す。
臨床実施例1 悪性腫瘍の患者に第1回目の化学療法後、観察のみ行い(コントロール相)、2回目の化学療法後にhM−CS
Fを有効成分としてなる糖蛋白質800万単位を連続7
日巻点滴静注した(製剤投与相)。 経時的に血中の顆粒球、血小板数を計測し、その変動を第3表に示す。 また、コントロール相と製剤投与相の血小板数の最低値および血小板レベルが10万/mm
3以上に回復するのに要する日数を比較し第4表に示す。
治療法:1/19CPA(Cyclophosphamide) 600mg ACR(Aclarubicin) 60mg CDDP(Cis-platinum) 75mg 2/23CPA(Cyclophosphamide) 600mg ACR(Aclarubicin) 60mg CDDP(Cis-platinum) 75mg 2/24から7日間hM-CSF製剤投与 (800万単位/day) 臨床実施例2 悪性腫瘍の患者10名に第1回目の化学療法後、観察のみ行い(コントロール相)、2回目の化学療法後にhM
−CSFを有効成分としてなる糖蛋白質800万単位を連続7日間点滴静注した(製剤投与相)。 経済的に血中の血小板数を計測し、コントロール相と製剤投与相の血小板数の最低値および血小板レベルが10万/mm
3以上に回復するのに要する日数を比較し第5表に示す。
参考例1 健常人の尿200をpH8.5に調整し、沈澱物を濾過除去し、分画分子量50,000ダルトンの限外濾過膜(アミコン社、H10×50)で濃縮と脱塩を行った。
次に、濃縮液をpH7.0に調整し、密封容器内で60
℃、10時間加熱殺菌した。 殺菌後、遠心分離(5,0
00×g30分間)して沈澱物を除去した後、0.02
Mリン酸緩衝液(pH7.2)で平衡化したDEAE−セルロースと混合し、吸着させた。 DEAE−セルロースを0.02Mリン酸緩衝液、0.05M食塩添加0.0
2Mリン酸緩衝液(pH7.2)で溶出させた。 溶出液を限外濾過膜(アミコン社H1P10)で濃縮して、Seph
acryl S−300(フアルマシア社、φ4×80cm)
を用い、1M硫安添加緩衝液(pH7.2)でゲル濾過した。 ゲル濾過での分子量範囲70,000〜150,0
00ダルトンの画分を上記1M硫安添加緩衝液で平衡化したPhenyl-Sepharose 4Bカラム(フアルマシア社製、φ2×20cm)に吸着させ、次いで、0.5M硫安添加緩衝液(pH7.2)で溶出させた。 溶出液を限外濾過膜(旭化成製、NM−3)で濃縮して、TSKG−
3,000SWカラム(東洋曹達製、φ4×600mm×
2)で高速液体クロマトグラフィーにかけ、分子量範囲70,000〜150,000ダルトンの画分を得た。
この画分を再度濃縮し、Hi-PoreRP−304(バイオラド社製、φ4×150mm)の逆相カラムで0.1Mトリフルオロ酢酸を含む、アセトニトリル0−100%
(pH2.0)の直線濃度勾配による高速液体クロマトグラフィーにかけ、CSFを溶出し、精製された比活性1.4×10
8単位/mg・蛋白質のCSFを得た。 上記製造工程の各ステップにおけるCSFの精製度は第6表に示すとおりであった。
得られたCSFは、前記した第1表に示す214個のアミノ酸配列を有していた。
参考例2 参考例1で得られたCSFで免疫され、抗体価が十分に上昇したウサギ10羽より抗CSF抗血清を採取し、前記の方法により精製された抗CSF抗体を約4g得た。 抗CSF抗体を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
中で透析し、20mg/m濃度に調整した。 該抗体溶液200mを、あらかじめ蒸留水及び0.1Mリン酸緩衝液で洗浄した100gのフオルミル−セルロフアインへ加え、室温で2時間攪拌した後、水素化シアノホウ素ナトリウム700mgを加えて、更に16時間攪拌し、フオルミル−セルロフアインと抗CSF抗体を結合させ抗体結合支持体を調製した。 結合後、0.2Mトリス−塩酸緩衝液で洗浄し、更に水素化シアノホウ素ナトリウム500mgを含むトリス緩衝液200mlを加え、室温で4
時間攪拌して、未反応基を不活化した。 次いで抗体結合支持体を0.5M NaClを含有する0.02Mリン酸緩衝液で十分洗浄した。 抗体結合支持体は、支持体1
g当り、29.5mgの抗CSF抗体を結合していた。 次に、健常人尿1,000を限外濾過濃縮機で濃縮し、
脱塩した後、DEAE−セルローズに吸着させ、非吸着の夾雑物質を除去し、0.3M NaCl溶液で溶出し、該溶出液に0.5M濃度になるよう塩化ナトリウムを加えてCSFを含有する溶液を調整した。 このCSF
の比活性は2×10
5単位/mgであった。 上記抗体結合支持体100gに対し、このCSFを含有する溶液(全量500ml)を加え、10℃以下で一夜攪拌しバッチ式クロマトグラフィー処理を行なった。 攪拌後、ガラスフィルターで濾過して、抗体結合支持体を集め、0.5M
NaClを含有する0.02Mリン酸緩衝液で該抗体結合支持体を十分に洗浄した。 洗浄後、0.2M酢酸緩衝液(pH2.5)500mを加え、10℃、1時間攪拌して、CSFを溶出した。 溶出液のpHを7.0にした後、限外濾過膜で濃縮・脱塩して、精製CSF約10mg
を得た。 精製CSFの比活性は5.2×10
7単位/m
g、SDS−PAGE法による純度は90%以上であった。 得られたCSFは、前記した第1表に示す214個のアミノ酸配列を有していた。
第1図は本発明のCSFのドデシル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)の泳動図であり、第2図及び第3図はそれぞれ本発明CSFの遠紫外部CDスペクトル及び赤外線吸収スペクトルを示す。 第1図において、 A〜E……非還元物(2量体) F,G……分子量マーカ蛋白質 H〜L……還元物(サブユニット)
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