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結膜のホメオスタシスを確立、回復及び維持するための方法

阅读:1033发布:2020-05-20

专利汇可以提供結膜のホメオスタシスを確立、回復及び維持するための方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且本発明は、>2.5m 3 /kgの固有 粘度 及び 流体 を、ヒト又はヒト以外の動物対象の眼の 角 結膜に局所投与することにより、角結膜における刺激、不快感、 炎症 (急性又は慢性)及び/又は免疫応答の発症を低減又は遅延する方法に関する。,下面是結膜のホメオスタシスを確立、回復及び維持するための方法专利的具体信息内容。

結膜における刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせから選択される症状の発症を低減又は遅延するのに用いられる流体であって、>2.5m3/kgの固有粘度及び<0.2%w/vの濃度を有する高分子量ヒアルロン酸を含み、ヒト又はヒト以外の動物対象の眼の角結膜に局所投与される、流体。前記流体は、前記症状が出る前に、予防的に投与される、請求項1に記載の流体。前記流体は、前記症状が出た後に、治療的に投与される、請求項1に記載の流体。前記症状には、角結膜及び涙での白血球浸潤、角結膜でのCD44アップレギュレーション、並びにIL−1、IL−2、IL−5、IL−6、IL−8、CXCL8、IL−10、IL−12、IL−16、IL−33、MCP1、CCL2、MIP1d(CCL15としても知られている)、ENA−78、CXCL5、sILR1、sIL−6R、sgp sEGFR、sTNFR、I−17A、IL−21、IL−22、CXCL9、MIG、CXCL11、I−TAC、CXCL10、IP−10、MIP−1β、CCL4、RANTES及びCCL5のうち1つ以上を含む免疫カスケードの活性化という特徴のうち1つ以上が含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記症状は、外部刺激により生じ、その結果、前記角結膜の平滑さおよび/または完全性の崩壊となる(例えば、医薬療法、眼の手術、非外科的外傷、コンタクトレンズ装着、生物感染、アレルゲン、ハプテン、毒剤又は刺激物)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記症状は、内部刺激(例えば、ホルモン障害、リウマチ性疾患、上皮間葉転換(EMT)又は自己免疫疾患)により生じる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記症状は、眼の傷により生じる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記傷は、物理的外傷、化学的外傷又は放射線(放射線障害)により生じる、請求項7に記載の流体。前記傷は、眼の手術により生じる、請求項7に記載の流体。眼の手術は、自然又は人工角膜移植、角膜インプラント(例えば、角膜内リング(ICR)及び人工角膜)、緑内障手術、白内障手術(例えば、晶体乳化、水晶体嚢外手術又は水晶体嚢内手術)、屈折手術(例えば、放射状角膜切開術又は屈折角膜切開術)、網膜手術、斜視(strabismus)手術、矯正レーザー眼手術(例えば、レーザー角膜切削形成術(レーシック)又は光屈折角膜切除術(PRK))、及びクロスリンキング手術から選択される、請求項9に記載の流体。前記炎症は、急性角結膜炎である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記炎症は、慢性角結膜炎である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記症状は、眼のアレルギーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記症状は、アレルギー角結膜炎である(例えば、季節性又は非季節性)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記不快感は、痒み又は眼痛である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、症状の発症を防ぐ、又は遅延するために予防的に投与され、対象は免疫不全である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、他の生物活性剤を含まない(例えば、疎水性活性成分を含まない)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、他の免疫調節薬、免疫抑制剤又は抗生物質を含まない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記生物活性剤は、眼に刺激やダメージを与える、請求項19に記載の流体。前記流体は、保存料又は洗剤をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記保存料又は洗剤は、眼に刺激やダメージを与える、請求項21に記載の流体。前記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)、保存料、洗剤、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む組成物の投与前、中及び/又は後に投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記生物活性剤、保存料、洗剤又はこれらの組み合わせは、眼に刺激やダメージを与える、請求項23に記載の流体。前記保存料又は洗剤は、化学保存料又は酸化保存料である、請求項21に記載の流体。前記保存料又は洗剤は、細菌細胞膜のリピド構造を崩壊させて、抵抗の低い細胞膜を死滅することによって、細菌細胞膜の透過性を増大させるものである、請求項21に記載の流体。前記保存料又は洗剤は、角膜組織にダメージを与えるものである、請求項21に記載の流体。前記保存料又は洗剤は、第四級アンモニウム保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK))、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム(EDTA)、ポリクオタニウム−1(例えば、Polyquad(登録商標)保存料)、安定酸化剤(例えば、安定オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標)保存料))、イオン緩衝保存料(例えば、sofZia(登録商標)保存料)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、過ホウ酸ナトリウム(例えば、GenAqua(登録商標)保存料)及びソルビン酸塩からなる群から選択される、請求項21に記載の流体。前記流体は、前記角結膜に、滴下又は洗浄として直接投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。1〜3滴を、1日に1〜3回投与する、請求項29に記載の流体。前記炎症は、慢性角結膜炎であり、1〜3滴を、1日に4、5、6、7、8、9又は10回以上投与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、角結膜又は眼のその他の部分に局所的に投与される送達剤(例えば、流体でコートされる、及び/又は流体を角結膜に分泌する粒子)により角結膜に間接的に投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記ヒアルロン酸は、>2.9m3/kgの固有粘度を有している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、保存料をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、保存料をさらに含まない(すなわち、流体は保存料フリーである)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、追加のグリコサミノグリカン(GAG)、電解質(例えば、塩化ナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記対象の眼は、前記投与時は水性涙液欠乏(ATD)でない(すなわち、ATDなし)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記対象の眼は、前記投与時は定性的ドライアイでない(すなわち、定性的ドライアイなし)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記対象の眼は、投与時は、ドライアイ症でない(すなわち、水性涙液欠乏タイプ又は定性的ドライアイタイプでない)、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記対象は、水性涙液欠乏(ATD)を患っておらず、前記対象は、角結膜での摩擦領域となる、通常の涙膜(通常の表面張力及び粘度の涙膜)ではカバーされない、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、前記投与された流体は、前記摩擦を低減する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記対象の眼は、前記投与時は、角結膜でホメオスタシスにある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記投与前、中及び/又は後に、包帯コンタクトレンズを眼に適用することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は投与され、前記包帯コンタクトレンズは眼の手術後に適用される、請求項42に記載の流体。前記投与された流体は、前記眼の視覚性能を増加させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記流体は、眼の手術前、中及び/又は後に投与され、前記対象は、前記眼の手術後に視覚性能を回復する、請求項44に記載の流体。前記ヒアルロン酸の分子量は、少なくとも3百万ダルトンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。前記ヒアルロン酸の分子量は、3百万〜4百万ダルトンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体。請求項1〜3のいずれか一項に記載の流体と、1つ以上の包帯コンタクトレンズとを含むキット。角結膜における刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせから選択される症状の発症を低減又は遅延する方法であって、>2.5m3/kgの固有粘度及び<0.2%w/vの濃度を有する高分子量ヒアルロン酸を含む流体を、ヒト又はヒト以外の動物対象の眼の角結膜に局所投与することを含む、方法。前記流体は、前記症状が出る前に、予防的に投与される、請求項49に記載の方法。前記流体は、前記症状が出た後に、治療的に投与される、請求項49に記載の方法。前記症状には、角結膜及び涙での白血球浸潤、角結膜でのCD44アップレギュレーション、並びにIL−1、IL−2、IL−5、IL−6、IL−8、CXCL8、IL−10、IL−12、IL−16、IL−33、MCP1、CCL2、MIP1d(CCL15としても知られている)、ENA−78、CXCL5、sILR1、sIL−6R、sgp sEGFR、sTNFR、I−17A、IL−21、IL−22、CXCL9、MIG、CXCL11、I−TAC、CXCL10、IP−10、MIP−1β、CCL4、RANTES及びCCL5のうち1つ以上を含む免疫カスケードの活性化という特徴のうち1つ以上が含まれる、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記症状は、外部刺激により生じ、その結果、前記角結膜の平滑さおよび/または完全性の崩壊となる(例えば、医薬療法、眼の手術、非外科的外傷、コンタクトレンズ装着、微生物感染、アレルゲン、ハプテン、毒剤又は刺激物)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記症状は、内部刺激(例えば、ホルモン障害、リウマチ性疾患、上皮間葉転換(EMT)又は自己免疫疾患)により生じる、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記症状は、眼の傷により生じる、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記傷は、物理的外傷、化学的外傷又は放射線(放射線障害)により生じる、請求項55に記載の方法。前記傷は、眼の手術により生じる、請求項55に記載の方法。眼の手術は、自然又は人工角膜移植、角膜インプラント(例えば、角膜内リング(ICR)及び人工角膜)、緑内障手術、白内障手術(例えば、水晶体乳化、水晶体嚢外手術又は水晶体嚢内手術)、屈折手術(例えば、放射状角膜切開術又は屈折角膜切開術)、網膜手術、斜視(strabismus)手術、矯正レーザー眼手術(例えば、レーザー角膜切削形成術(レーシック)又は光屈折角膜切除術(PRK))、及びクロスリンキング手術から選択される、請求項57に記載の方法。前記炎症は、急性角結膜炎である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記炎症は、慢性角結膜炎である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記症状は、眼のアレルギーである、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記症状は、アレルギー角結膜炎である(例えば、季節性又は非季節性)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記不快感は、痒み又は眼痛である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、症状の発症を防ぐ、又は遅延するために予防的に投与され、対象は免疫不全である、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、他の生物活性剤を含まない(例えば、疎水性活性成分を含まない)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、他の免疫調節薬、免疫抑制剤又は抗生物質を含まない、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)をさらに含む、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記生物活性剤は、眼に刺激やダメージを与える、請求項67に記載の方法。前記流体は、保存料又は洗剤をさらに含む、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記保存料又は洗剤は、眼に刺激やダメージを与える、請求項69に記載の流体。前記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)、保存料、洗剤、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む組成物の投与前、中及び/又は後に投与される、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記生物活性剤、保存料、洗剤又はこれらの組み合わせは、眼に刺激やダメージを与える、請求項71に記載の方法。前記保存料又は洗剤は、化学保存料又は酸化保存料である、請求項69に記載の方法。前記保存料又は洗剤は、細菌細胞膜のリピド構造を崩壊させて、抵抗力の低い細胞膜を死滅することによって、細菌細胞膜の透過性を増大させるものである、請求項69に記載の方法。前記保存料又は洗剤は、角膜組織にダメージを与えるものである、請求項69に記載の方法。前記保存料又は洗剤は、第四級アンモニウム保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK))、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム(EDTA)、ポリクオタニウム−1(例えば、Polyquad(登録商標)保存料)、安定酸化剤(例えば、安定オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標)保存料))、イオン緩衝保存料(例えば、sofZia(登録商標)保存料)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、過ホウ酸ナトリウム(例えば、GenAqua(登録商標)保存料)及びソルビン酸塩からなる群から選択される、請求項69に記載の方法。前記流体は、前記角結膜に、滴下又は洗浄として直接投与される、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。1〜3滴を、1日に1〜3回投与する、請求項77に記載の方法。前記炎症は、慢性角結膜炎であり、1〜3滴を、1日に4、5、6、7、8、9又は10回以上投与する、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、角結膜又は眼のその他の部分に局所的に投与される送達剤(例えば、流体でコートされる、及び/又は流体を角結膜に分泌する粒子)により角結膜に間接的に投与される、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記ヒアルロン酸は、>2.9m3/kgの固有粘度を有している、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、保存料をさらに含む、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、保存料をさらに含まない(すなわち、流体は保存料フリーである)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、追加のグリコサミノグリカン(GAG)、電解質(例えば、塩化ナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含む、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記対象の眼は、前記投与時は水性涙液欠乏(ATD)でない(すなわち、ATDなし)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記対象の眼は、前記投与時は定性的ドライアイでない(すなわち、定性的ドライアイなし)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記対象の眼は、投与時は、ドライアイ症でない(すなわち、水性涙液欠乏タイプ又は定性的ドライアイタイプでない)、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記対象は、水性涙液欠乏(ATD)を患っておらず、前記対象は、角結膜での摩擦領域となる、通常の涙膜(通常の表面張力及び粘度の涙膜)ではカバーされない、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、前記投与された流体は、前記摩擦を低減する、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記対象の眼は、前記投与時は、角結膜でホメオスタシスにある、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記投与前、中及び/又は後に、包帯コンタクトレンズを眼に適用することをさらに含む、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は投与され、前記包帯コンタクトレンズは眼の手術後に適用される、請求項90に記載の方法。前記投与された流体は、前記眼の視覚性能を増加させる、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記流体は、眼の手術前、中及び/又は後に投与され、前記対象は、前記眼の手術後に視覚性能を回復する、請求項92に記載の方法。前記ヒアルロン酸の分子量は、少なくとも3百万ダルトンである、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。前記ヒアルロン酸の分子量は、3百万〜4百万ダルトンである、請求項49〜51のいずれか一項に記載の方法。

说明书全文

関連出願を相互参照 本出願は、2017年6月8日出願の米国仮出願第62/516,911号及び2016年10月14日出願の米国仮出願第62/408,559号の優先権を主張するものであり、図表、核酸配列表、アミノ酸配列表、図面を含む全文を参照することにより組み込まれる。

本発明は、結膜での刺激、不快感、炎症及び/又は免疫応答の発症を低減又は遅延し、及び/又は発症後、それを減衰し、長期的に緩和する流体に関する。

ドライアイ症は、視覚や生活の質に多大な影響を与える一般的な眼症状である。20世紀初頭にドライアイという用語が認識され、シェーグレン症候群の患者に関して主に用いられた。ここ数十年にわたって、ドライアイ症の診断は、角膜及び結膜の染色、涙液層破壊時間の推定、シルマー試験に主に頼ってきた。現在受け入れられているドライアイの一番の治療は、症状改善のためのある種の代用涙液である。

2007年のドライアイワークショップ(DEWS)で、国際的エキスパートとして認められた約50人による、ドライアイ症の現在の見識についての合意が発行された。この合意書は、ドライアイ症についての臨床研究の国際基準となっている。涙液減少型対涙液蒸発亢進型ドライアイの概念、眼炎症についての主要誘発因子としての涙液浸透圧の役割及びマイボーム腺機能不全に対する着目は、DEWSの成果である。患者が経験する症状について、個々の診断試験方法により評価される兆候の予測不足は、兆候と症状の分離として知られており、発表された文献に反映されている。涙液浸透圧の判断やマイボーム腺の目視化等、新たな試験方法が利用できるようになっている。

最近の臨床ドライアイ研究は、細胞及び分子レベルでの炎症プロセスに注目が集まっている。杯細胞の計数によるインプレッションサイトロジー、HLA−DRのようなマーカーのフローサイトメトリー、及びMMP−9レベルの試験がこの着目の結果である。新たな治療の開発として、炎症の長期持続サイクルを中断する見込みのある抗炎症化合物が調査されている。候補としては、シクロスポリン、コルチコステロイド、ドキシサイクリン及び必須脂肪酸が挙げられる。治療の目的は、角結膜免疫ホメオスタシスを回復することである。これに関して、ドライアイ症についての現在の臨床研究は、アレルギー角結膜炎等のその他の眼免疫応答に及んでいる。

本発明は、角結膜のホメオスタシスを確立、回復及び維持するためのホリスティックアプローチを提供する。本発明によれば、超高分子量形態のヒアルロン酸(ヒアルロナン又はHAとも呼ばれる)を含む流体組成物を、角結膜に局所的に投与することにより、角結膜での刺激、不快感(痒みや眼痛等)、炎症(急性又は慢性)及び/又は免疫応答の発症を低減又は遅延することができる。

ヒアルロン酸(HA)は、炭化物、生体内にあるムコ多糖体である。内生HAの生物学的機能には、関節滑液や眼硝子体流体等の液体結合組織の粘弾性の維持が含まれる(Necas Jら、"Hyaluronic acid(hyaluronan):a review",Veterinarni Medicina,2008,53(8):397−411;Stern Rら、"hyaluronan fragments:An information−rich system",European Journal of Cell Biology,2006,85:699−715)。HAの様々なシグナル経路に含まれる特定の機構はまだよく理解されていないが、多角的な生物学的影響を調節することができ、これはHAのサイズによって異なることが分かっている(Cyphert JMら、"Size Matters:Molecular Weight Specificity of Hyaluronan Effects in Cell Biology,"International Journal of Cell Biology,2015,Epub 2015 Sep 10,563818)。

ヒアルロン酸ナトリウム及びその他粘弾性物質は、1970年代から眼内手術に、1980年代からはドライアイの治療に使われてきた(Higashide T and K Sugiyama,"Use of viscoelastic substance in ophthalmic surgery− focus on sodium hyaluronate,"Clinical Ophthalmology,2008,2(1):21−30;Polack FM and MT McNiece,"The treatment of dry eyes with Na hyaluronate(Healon)− preliminary report,1982,1(2):133−136)。しかしながら、上皮におけるヒアルロン酸の生物学的機能についてこれまであまり着目されてこなかった(Muller−Lierheim WGK,"Tranenersatzlosungen,Neues uber Hyaluronsaure," Aktuelle Kontaktologie, April 2015,17−19)。

本発明の態様は、角結膜での刺激、不快感(例えば、痒み又は眼痛)、炎症、免疫応答又はこれらの2つ以上の組み合わせから選択される症状の発症を低減又は遅延する方法であって、ヒト以外の動物対象の角結膜に超高分子量のヒアルロン酸(HA)を局所投与することを含む。ヒアルロン酸は、高分子量で、>2.5m3/kgの固有粘度及び<0.2%w/vの濃度を有する。固有粘度は、ヨーロッパ薬局方9.0、「ヒアルロン酸ナトリウム」、3584頁(内容を参照することにより本明細書に組み込まれる)。簡単に述べると、固有粘度[η]は、マーチンの式Log10(nr−1/c)=log10[η]+κ[η]cを用いて、直線最少二乗回帰分析により計算される。ある実施形態において、ヒアルロン酸の固有粘度は2.9m3/kgを超える。

ある実施形態において、HAは、マルクホウインク式により計算したときに、少なくとも3百万ダルトンの分子量を有する。ある実施形態において、HAは、マルクホウインク式により計算したときに、3百万〜4百万ダルトンの分子量を有する。

ある実施形態において、高分子量HAはヒアルロナンである。ある実施形態において、高分子量HAは、架橋していて、ハイランA及びハイランB等である。ある実施形態において、高分子量HAは非架橋である。ある実施形態において、高分子量HAは直鎖である。ある実施形態において、高分子量HAは直鎖でない。ある実施形態において、高分子量HAは、ヒアルロナンの誘導体、例えば、エステル誘導体、アミド誘導体又は硫酸化誘導体またはこれらの2つ以上の組み合わせである。

ある実施形態において、流体が投与される角結膜は、流体投与時はホメオスタシスにある。他の実施形態において、対象の眼の角結膜は、ホメオスタシスにない。

投与された流体は、流体を眼に投与時に角結膜がホメオスタシスであろうとなかろうと、投与される眼の視覚性能を増大又は向上させる。投与された流体は、眼の流体膜(例えば、角結膜の涙膜)を安定化させるのを助けて、視覚及び視覚性能を最適化する。これは、瞬きができない、又は望ましくない航空や、宇宙旅行、汚染又は中毒誘発流体への潜水、或いは、冷、熱及び乾燥といった極限の気候のエリアにおける操作等の極限状態においては特に有益である。

視覚性能の増大又は向上は、視覚情報の処理の速度及び/又は精度における増大又は向上と定義される。例えば、視覚性能は、個人が、いかに早く正確に順応輝度、ターゲットコントラスト及びターゲットサイズ等の基準用語で定義される視覚刺激を処理できるかを説明するものである。視覚性能及び視覚性能の変化を評価する方法は、業界で公知である(例えば、Toda Iら、"Visual performance after reduced blinking in eyes with soft contact lenses or after LASIK," J Refract. Surg.,2009,Jan.,25(1):69−73; and Rea MS and MJ Quellette,"Relative visual performance:A basis for application," Lighting Res.Technol.,1991,23(3):135−144を参照、これらは内容を参照することにより本明細書に組み込まれる)。

流体は、局所投与法により対象の片眼または両眼の角結膜に投与してよい。例えば、流体は、点眼器等の目薬を分配する装具から1滴以上投与される。流体は、自己投与又は第三者により投与される。一回投与又は複数回投与による角結膜への投与量は、患者の状態や特徴、症状の範囲、同時治療、治療頻度及び望まれる効果をはじめとする様々な要因に応じて異なる。例えば、1滴以上(例えば、それぞれ、約30マイクロリットル)が投与される。典型的には、特に、急性角結膜炎の場合には、1日1〜3回、1〜3滴の投与で十分である。しかしながら、慢性角結膜炎の場合には、より頻回な投与が必要で、治療の初期段階においてはとりわけである。例えば、1日4、5、6、7、8、9、10回以上、1〜3滴である。

有利には、ある実施形態において、角結膜のホメオスタシスが維持又は回復され、角膜が安定化すれば、投与の頻度及び/又は投与量は、経時により減らすことができる。例えば、ある場合、4週間後には、投与量が減り、及び/又は各日の投与頻度が減ったり、投与頻度を1日2回まで減る。

流体は、症状が出る前に、すなわち、刺激、不快感(例えば、眼痛)、炎症又は免疫応答が出る前に、重症化を低減し、及び/又は発症を遅延するために、予防的に投与してもよい。或いは、流体は、症状が出た後に、重症化を低減するために、治療的に投与してもよい。任意で、流体は、眼の外傷(例えば、非外科的外傷)、眼の手術(例えば、緑内障手術、斜視手術等)又は眼の感染等の症状が出たり、刺激が生じる前に、予防的に投与される。ある実施形態において、発症は、無期限に遅延される(すなわち、防がれる)。ある実施形態において、1つ以上の症状が緩和又は排除される。ある実施形態において、全ての症状が緩和又は排除される。

流体はまた、特に感染されやすい対象に予防的に投与して、刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれらの2つ以上の組み合わせを防ぐ又は遅延させるために、予防的に投与してもよい。例えば、対象は免疫不全である。対象の免疫不全には、医療(例えば、放射線治療、化学療法又はその他免疫抑制療法)、環境曝露(例えば、放射線被ばく)又は遺伝子欠陥等の1つ以上の原因がある。

流体投与時に発症していて、流体が治療として投与される場合には、任意で、流体を投与する前に発症している対象を識別するステップが方法に含まれていてもよい。

ある実施形態において、症状には、次の特徴の1つ以上が含まれる。角結膜及び涙の白血球浸潤、角結膜のCD44アップレギュレーション、IL−1、IL−2、IL−5、IL−6、IL−8、CXCL8、IL−10、IL−12、IL−16、IL−33、MCP1、CCL2、MIP1d(CCL15としても知られる)、ENA−78、CXCL5、sILR1、sIL−6R、sgp sEGFR、sTNFR、I−17A、IL−21、IL−22、CXCL9、MIG、CXCL11、I−TAC、CXCL10、IP−10、MIP−1β、CCL4、RANTES及びCCL5のうち1つ以上を含む免疫カスケードの活性化。

症状は、様々な刺激、外的、内的又はその両方による刺激により引き起こされる。ある実施形態において、症状は、外的な刺激により引き起こされ、角結膜の平滑さおよび/または完全性の崩壊となる(例えば、医薬療法、眼の手術、非外科的外傷、コンタクトレンズ装着、微生物感染、アレルゲン、ハプテン、毒剤又は刺激物)。

小分子医薬品や生物製剤といった様々な医薬療法により症状が引き起こされる。例えば、症状は、1つ以上のベータアドレナリンレセプターの活性を阻害又はブロックする薬剤のことである「ベータブロッカー」により引き起こされる。ベータブロッカーは、特に、高血圧、安定及び不安定狭心症、不整脈、片頭痛、出血性食道動脈瘤、心不全及び虚血性心疾患の治療に用いられる。あるベータブロッカーは、ベータアドレナリンレセプターのある特定のサブタイプと拮抗する(例えば、ベータ−1アドレナリンレセプターを選択的に拮抗するベータ−1選択的ベータブロッカーに対し、他のベータブロッカーは、非選択的である。あるベータブロッカーは、ノルアドレナリンやノルエピネフリン等のリガンドの1つ以上のベータアドレナリンレセプターに与える影響を阻害することができる。従って、「ベータブロッカー」という用語は、ベータブロッカーが、1、2又はそれ以上のベータアドレナリンレセプターを拮抗しようがしまいが、そして、それらが他のプロセスに影響しようがしまいが、ベータアドレナリンレセプターの全種類の拮抗薬又は阻害剤のことを指す。ベータブロッカーとしては、これらに限られるものではないが、アセブトロール、アルプレノロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブシンドロール、ブタキサミン、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、エスモロール、ラベタロール、レボブノロール、メドロキサロール、メチプラノロール、メトプロロール、ナドロール、ネビボロール、オキシプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロパフェノン、プロプラノロール、ソタロール、チモロール及びトチュウが例示される。

ある実施形態において、症状は、眼のアレルギーである。ある実施形態において、症状は、外傷、アレルギー角結膜炎(季節性のアレルギー角結膜炎等)による非感染性角結膜炎又はウイルス性角結膜炎、細菌性角結膜炎、真菌性角結膜炎及び寄生性角結膜炎等の感染性角結膜炎である。ある実施形態において、症状は、内部刺激(例えば、ホルモン障害(女性更年期及び男性更年期)、リウマチ性疾患、上皮間葉転換(EMT)又は自己免疫疾患)により引き起こされる。

症状は、眼の創傷が原因のこともある。ある実施形態において、創傷は、物理的外傷、化学的外傷又は放射線(放射線傷害)による。ある実施形態において、創傷は眼の手術による。眼の手術としては、これらに限られるものではないが、自然又は人工角膜移植、角膜インプラント(例えば、角膜内リング(ICR)及び人工角膜)、緑内障手術、白内障手術(例えば、水晶体乳化、水晶体嚢外手術又は水晶体嚢内手術)、屈折手術(例えば、放射状角膜切開術又は屈折角膜切開術)、網膜手術、斜視(strabismus)手術、矯正レーザー眼手術(例えば、レーザー角膜切削形成術(レーシック)又は光屈折角膜切除術(PRK))、及びクロスリンキング手術が例示される。緑内障手術などの眼の手術前、中及び/又は後の本発明の流体の投与によって、臨床成果を改善することができる。例えば、術後の視覚特性の回復をはじめとする回復の促進、傷跡の低減、痒み、刺激及びその他不快感の低減である。

流体は、痒みや眼痛といった眼の不快感の発症を低減、防ぐ、又は遅延するために投与される。痛みには1つ以上の原因がある。例えば、眼痛は、眼の表面の機械的、化学的又は熱刺激に関連する痛みである。眼痛は、急性又は慢性炎症、或いは免疫応答に関連する。痛みの低減は、二次的な神経炎症影響の低減による(Belmonte Cら、"TFOS DEWS II pain and sensation report",The Ocular Surface,15:404−437)。痛みの原因には、既知のものと未知のものがある。

任意で、流体はさらに、1種類以上の生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)を含む。本明細書で用いる「生物活性剤」という用語は、組織に影響する有効量で投与されると、ヒト又はヒト以外の動物対象に影響を与える任意の物質のことを指す。生物活性剤は、薬剤分子又は生物(例えば、ポリペプチド、炭水化物、糖たんぱく質、免疫グロブリン、核酸)等の任意の部類の物質で、自然生成物又は人工的に生成され、薬理学的、免疫学的又は代謝等の機構により作用する。生物活性剤の種類としては、眼圧調整物質(例えば、酵素抑制剤)及び抗血管新生薬が挙げられる。生物活性剤の具体例としては、ステロイド(例えば、コルチコステロイド)、抗生物質、タクロリムス、プラスミン活性剤、抗プラスミン及びシクロスポリンAがあげられる。ある実施形態において、生物活性剤は、眼の感染を処置又は防ぐステロイド又は抗生物質、プロスタグランジン類似体、ベータブロッカー、アルファアゴニスト又は炭酸脱水酵素阻害剤等の緑内障薬、ヒスタミンアンタゴニスト又は非ステロイド抗炎症薬等のアレルギーアイリリーフ剤又は散瞳薬である。残念ながら、場合によっては、生物活性剤又は流体に含まれる薬剤は、眼に刺激があったり、ダメージを与える場合がある(例えば、シクロスポリンA)。レオロジー特性及びその他特性を通じて、流体中の高分子量HAは、生物活性剤や流体内にある薬剤が眼に与える刺激及び/又はダメージを緩和し、及び/又は保護することができる(すなわち、生物活性剤は、高分子量HAなしで投与すると、眼により刺激やダメージを与える)。

ある実施形態において、流体は、ステロイド、抗生物質又は免疫調節薬を含まない。ある実施形態において、流体は、生物活性剤を含まない(例えば、疎水性活性成分を含まない)。

ある状況において、流体に1種類以上の保存料又は洗剤が含まれるのが望ましい。保存料や洗剤は目に刺激やダメージを与えることが多い。レオロジー特性及びその他特性を通じて、流体は、流体内にある保存料又は洗剤による刺激及び/又はダメージを緩和し、及び/又は眼を保護することができる。このように、ある実施形態において、流体は、眼に刺激やダメージを与える保存料又は洗剤(すなわち、高分子量HAなしで投与すると、眼に、より刺激やダメージを与える保存料又は洗剤)を含む。ある実施形態において、流体は保存料又は洗剤を含まない。

ある実施形態において、流体は、シクロスポリンA、塩化セタルコニウム、チロキサポールまたはこれらの2つ以上を含む。

ある実施形態において、生物活性剤を含む他の組成物を対象に投与する前、中及び/又は後に、流体を対象に投与してもよい。ある状況において、他の組成物に1種類以上の保存料又は洗剤が含まれるのが望ましい。上述した通り、保存料や洗剤は、眼に刺激やダメージを与えることが多く、生物活性剤の中には、それ自体が眼に刺激やダメージを与えるものもある。レオロジー特性及びその他特性を通じて、流体は、他の組成物中の生物活性剤、保存料及び/又は洗剤が眼に当たる刺激及び/又はダメージを緩和及び/又は保護することができる。このように、他の組成物中の生物活性剤、保存料及び/又は洗剤は、流体なしで投与すると、眼に、より刺激やダメージを与える。

ある実施形態において、対象に投与される他の組成物は、任意の形態で、任意の経路(例えば、局所又は全身)で投与される。ある実施形態において、他の組成物は、眼に、局所的または注入により投与される。ある実施形態において、他の組成物は、角結膜に局所的に投与される。

ある実施形態において、流体又はその他の組成物に含まれる保存料又は洗剤は、化学保存料又は酸化保存料である。

ある実施形態において、流体又はその他の組成物に含まれる保存料又は洗剤は、細菌細胞膜の脂質リピド構造を崩壊することにより、感染されやすい細菌細胞を死滅して、細菌細胞膜の透過性を増大させる。

ある実施形態において、流体又はその他の組成物に含まれる保存料又は洗剤は、角膜上皮、内皮、ストロマ及び膜等の接点等、角膜組成物にダメージを引き起こすものである。

ある実施形態において、流体又はその他の組成物に含まれる保存料又は洗剤は、第四級アンモニウム保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK))、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム(EDTA)、ポリクオタニウム−1(例えば、Polyquad(登録商標)保存料)、安定酸化剤(例えば、安定オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標)保存料))、イオン緩衝保存料(例えば、sofZia(登録商標)保存料)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、過ホウ酸ナトリウム(例えば、GenAqua(登録商標)保存料)及びソルビン酸塩からなる群から選択される。

ある実施形態において、流体は、少なくとも本質的にムチンフリー、すなわち、ムチン濃度が<0.3%w/vである。

ある実施形態において、流体は保存料を含む。他の実施形態において、流体は、保存料を含まない(すなわち、流体は保存料フリーである)。

ある実施形態において、流体はさらに、グリコサミノグリカン(GAG)を含む。すなわち、高分子量HA、電解質(例えば、塩化ナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含む。

流体を対象の眼に投与するとき、対象は、ドライアイ症(水性涙液欠乏タイプ又は定性的ドライアイタイプ)であってもなくてもよい。治療又は予防的方法のある実施形態において、角結膜における症状は、刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせであり、流体を投与する対象の眼は、流体投与時は水性涙液欠乏(ATD)でない(すなわち、ATDなし)。治療又は予防的方法のある実施形態において、角結膜における症状は、刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせであり、流体を投与する対象の眼は、流体投与時は定性的ドライアイでない(すなわち、水性涙液欠乏又は定性的ドライアイなし)。

治療又は予防的方法のある実施形態において、角結膜における症状は、刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせであり、対象は、涙液量は欠乏していない。しかしながら、対象は、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、通常の涙膜(通常の表面張及び粘度の涙膜)ではカバーされず、角結膜での摩擦領域となる。

流体は、包帯コンタクトレンズと組み合わせて用いられる。このように、本方法は、流体の投与前、中及び/又は後に、包帯コンタクトレンズを眼に適用することをさらに含む。例えば、流体は、包帯コンタクトレンズを適用する前、コンタクトレンズ後、及び/又は包帯コンタクトレンズを眼に適用する前に包帯コンタクトレンズに流体を適用する前に投与される。流体を用いることによって、包帯コンタクトレンズにより角結膜に圧が加わり、同時に角結膜での摩擦を最小にすることができる。流体及び包帯コンタクトレンズは、眼の手術、例えば、緑内障手術後すぐに安全に用いることができ有利である。

本発明の他の態様は、本明細書に記載した本発明の方法を実施するために用いられるキットである。キットは、本明細書に記載した流体と、1つ以上の包帯コンタクトレンズを含む。包帯コンタクトレンズは、(包帯コンタクトレンズを流体と接触させて)流体と同じ容器に詰めてよい。又は、包帯コンタクトレンズは、流体とは別に、別の容器に詰めてもよい。好適な容器としては、例えば、ボトル、ガラス瓶、シリンジ、ブリスターパック等が挙げられる。容器は、ガラスやプラスチック等の様々な材料から形成してよい。

キットは、角結膜又は眼のその他の部分と接触する送達剤(流体とは別又は流体関連)を含む。例えば、キットは、流体でコートされる、及び/又は角結膜に流体を放出する粒子(例えば、ミクロ粒子やナノ粒子)を含む。

任意で、キットは、目薬を分配する装具(例えば、点眼器)を含み、キットの外側パッケージを使用(開ける)前に、キット中の流体の容器として機能してもしなくてもよい。すなわち、目薬分配装具は、未使用(未開封)のキットに入った流体を含む機能を有していても、空で、キットを開封後に流体を受けるものであってもよい。任意で、キットは、本発明の方法を実施するための、キットを用いる印刷又はデジタル説明書の添付されたラベル又はパッケージを含んでいてもよい。

キットは、ガラス瓶、管等の1つ以上の容器を受けるために区画化されたパッケージ材料を含み、各容器は本明細書に記載した方法に用いる個別の要素の1つを含む。医薬製品をパッケージするのに用いるパッケージ材料としては、例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号及び第5,033,252号に記載されたものが例として挙げられる。医薬パッケージ材料としては、これらに限られるものではないが、ブリスターパック、ボトル、管、ポンプ、バッグ、ガラス瓶、気密密閉容器、シリンジ、ボトル、及び選択した処方や投与と治療の目的モードに好適なパッケージ材料が例示される。

キットは、1つ以上の追加の容器を含んでいてよく、それぞれ、本明細書に記載した組成物を用いるのに、商業的そして使用者の立場から望ましい様々な材料の1つ以上が含まれる。かかる材料としては、これらに限られるものではないが、緩衝剤、希釈剤、担体、パッケージ、容器、ガラス瓶、及び/又は、内容及び/又は使用説明書の書かれた管ラベル、並びに、使用説明書の入ったパッケージが例示される。

ラベルは容器に付けたり、添付することができる。ラベルとなる文字、数字その他記号を容器に付ける、モールドしたりエッチングして、ラベルを容器に付けることができる。例えば、添付文書として、容器を保持する入れ物又はキャリア内にあるときは、ラベルは容器に添付することができる。ラベルは、特定の治療用に用いる中身を示すのに用いられる。ラベルはまた、本明細書に記載したような内容を用いる指針も示すことができる。

キットのある実施形態において、本明細書に開示した組成物を含む1つ以上の単位投与形態を含むパック又はディスペンサーで流体を提示することができる。パックには、例えば、金属又はプラスチック箔、例えば、ブリスターパックが含まれる。パック又はディスペンサーデバイスには、処方の説明が添付される。

急性及び慢性角結膜炎 眼の炎症は、炎症の場所によって、様々な重症度の数多くある眼の疾患の形態を採る。眼の炎症に起因する疾患としては、例えば、ブドウ膜炎、結膜炎、上強膜炎、強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎、眼瞼炎等が挙げられる。これらの症状の多くは、細菌又はウイルス感染の二次的なものとして生じる。眼の炎症はまた、眼科手術の結果や、眼の物理的な損傷により生じる眼の外傷の結果でもある。

炎症は、免疫応答の通常の要素であり、治癒プロセスの必要な要素であるが、不適切なレベルや期間、進行していないか判断される。急性白血球炎症は、病原体(例えば、抗原、眼の傷やその他外傷)に数時間晒されることがきっかけとなり、通常、時間限定炎症反応を表すものである。この段階の終わりは異なるが、炎症が低減されてくると、改善の間接的な兆候であり、前の状態への緩やかな再建の兆候である。

急性の眼の炎症とは対照的に、慢性の眼の炎症は、単に期間(すなわち、長期化)の定量的な違いでなく、種類で定性的に異なる。急性の眼の炎症と慢性の眼の炎症の差は大きく、これは、急性の治癒創傷と慢性の治癒しない創傷における免疫学的事象との違いに類似している(例えば、Tarnuzzer RW and Schultz GS,"Biochemical analysis of acute and chronic wound environments," Wound Repair Regen.,1996,Jul−Sep,4(3):321−325を参照)。特に、結膜及び結膜下組織(角膜に対する)での免疫学的事象におけるこれらの差は、角結膜疾患の多様性が根底にあり、疾病又は疾患集団の数人の患者が、有効な治療プランでも効き目がない理由を説明するものである。

角結膜ホメオスタシスは、他の因子の中でも、駐在リンパ球(CD8+ T細胞、ガンマデルタT細胞及びナチュラルキラーT細胞)及びCD4+制御性T細胞により制御される。これらは、インターロイキン(IL)−1レセプターアンタゴニスト等の抗炎症因子、トランスフォーミング増殖因子(TGF)−ベータ2及びメタロプロテアーゼ(TIMP)−1の阻害剤等のマトリックスプロテアーゼ阻害剤と相互作用する。環境課題、感染、内因性ストレス、自己免疫及び遺伝因子を含むストレス因子は全て、角結膜にある微調整されたホメオスタシスバランスを攪乱し、急性免疫応答を活性化させる。本発明の方法は、角結膜のホメオスタシスを確立、回復及び維持するホリスティックアプローチを提供する。これにより、角結膜での刺激、不快感、炎症、免疫応答又これらの2つ以上の組み合わせの発症を低減又は遅延する。このように、発症前後に、流体を投与することによって、角結膜での刺激、不快感、炎症、免疫応答又これらの2つ以上の組み合わせの発症を減衰し、長期的に緩和する。

上皮誘導炎症性サイトカインは、角結膜で、主に樹状細胞である、未熟駐在抗原提示細胞(APC)を活性化する。成熟APCは、所属リンパ節にマイグレートし、Tヘルパー(Th)1及びTh17を含むナイーブCD4+T細胞をプライミングすることにより適応免疫応答を開始する。活性化血管新生及びリンパ脈管新生により、これらの炎症仲介物質は、Th1−分泌インターフェロン(IFN)−ガンマ及びTh17−分泌IL−17がサイトカイン生成を増大した角結膜にトラフィックバックし、上皮及びゴブレット細胞アポトーシスを誘導し、慢性炎症プロセスを永続させる結膜ホメオスタシスを変化させる。ゴブレット細胞欠損の状態では、ゲル形成ムチンが奪われて、摩擦が増え、炎症が永続化する(Pflugfelder SCら、"Epitheliall−immune cell interaction in dry eye,"Cornea,2008,27 Suppl 1:S9−11)。

急性角結膜炎は、急速な発症と比較的短い期間(典型的に、数分から数日)タンパク質滲出液、結膜及び結膜下組織の細胞浸潤物は、主に、好中球であるという特徴があるが、慢性角結膜炎は、長い期間(数日から数年)、好中球が少ない、細胞浸潤物は、主に、マクロファージとリンパ球である、血管の増殖、線維症、組織壊死という特徴がある。確かに、慢性角結膜炎の初代細胞は、結膜及び結膜下ではマクロファージとリンパ球である。

典型的に、慢性角結膜炎はまた、以下の1つ以上を含む角結膜炎マーカーにより識別することもできる。涙膜高浸透圧症、角結膜での上皮細胞及び浸潤白血球による上昇マトリックスメタロプロテアーゼ−9 (MMP−9)発現、角結膜での増大したMMP−9活性(そのMMP−3及びTIMP−1−媒介酵素活性)、上昇インターフェロンガンマ、結膜上皮細胞によるヒトの白血球抗原−抗原D関連(HLA−DR)の過剰発現、結膜上皮細胞、増大した数の活性リンパ球、及び減少した数のゴブレット細胞による細胞内接着分子(ICAM−1)。

ステロイド(例えば、コルチコステロイド)は、眼の炎症の最良のスタンダード治療と考えられている。デキサメタゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド及びロテプレドノールエタボン酸塩が一般的に用いられ、複数の抗炎症サイトカインの阻害、線維素沈着、多形核白血球マイグレーション及び核因子−カッパ−B(NF−kB)シグナル経路の阻害による血管新生阻害等の様々な機構により作用する(Nakaoら、Am J Pathol.2007;171(3):1058-65)。

ステロイドの抗炎症作用は、アラキドン酸の組織ホスホリピドプールを放出させる、アラキドン酸代謝による阻害、すなわち、ホスホリパーゼA2の抑制と考えられている。ステロイドは、眼の炎症の治療に有効と考えられているが、拡大使用は重篤な副作用により複雑である。その最も一般的なものとして、白内障の発症、緑内障及び感染性の眼の疾患である(Kymionis GDら、"Treatment of chronic dry eye: treatment of cyclosporine," Clin Ophthalmol.2008 Dec;2(4):829−836;Schultz C, "Safety and efficacy of cyclosporine in the treatment of chronic dry eye,"Ophthalmol Eye Dis. 2014;6:37-42)。同様に、シクロスポリンのような免疫調節薬、テトラサイクリンのような抗炎症剤及びその誘導体は、患者の中には眼痛や刺激(例えば、焼灼や痒み)を引き起こし、これは炎症眼には耐え難いものである。

高分子量ヒアルロン酸(HA)、例えば、3−4MDaの局所投与を、有効な自然免疫調節薬として用いると、上述の薬剤を用いずに、またその副作用もなしに、慢性角結膜炎又は季節性のアレルギー角結膜炎の患者グループにおいて角結膜免疫ホメオスタシスを取り戻すのに有利である。特に、本発明の流体は、これらの患者の角結膜の免疫ホメオスタシスを回復するのに用いることができる。

目薬に含まれるHA分子の分子量が、生化学的な機能に与える影響は、ごく最近、眼科研究において着目されるようになった。細胞外マトリックスにおけるその機能により、HAは、角膜損傷の治癒と角膜上皮のホメオスタシスにおいて、ケラチノサイトの増殖と分化で重要な役割を果たしている。年配のドライアイの有症率は、50代から始まる細胞外マトリックスにおける遊離HAの大幅な減少に関連しているようである。さらに、HAはシグナル分子としても作用する。一方、高分子量HA (3 - 4 MDa)は、血管新生抑制や免疫抑制として作用するが、中分子量のHAは、炎症性、免疫刺激、及び血管新生特性を有する(Stern Rら、"Hyaluronan fragments: An information−rich system",European Journal of Cell Biology,2006,85:699−715; and Noble PW, "Hyaluronan and its catabolic products in tissue injury and repair," Matrix Biology,2002,21:25−29)。慢性炎症における上昇した酵素レベルは、HAの加水分解の増大を引き起こし、低分子量へシフトする。目薬中の高分子量HAは、角結膜での摩擦を減らし、炎症プロセスのダウンレギュレーションをサポートすることにより、この炎症関連のシフトを最小にするのに寄与する。摩擦の減少はまた、神経性炎症をサポートする経路の維持又は発症の引き金となる侵害受容神経刺激の減少につながる。

急性及び慢性炎症の最中、炎症の様々な推定メディエータが、炎症組織及び白血球から放出されることはよく知られている。これらメディエータ及び白血球の濃度は、炎症のレベルや程度の指標である。同様に、これらメディエータ及び白血球の濃度の減少は、炎症を治療する薬剤の有効性の指標である。角結膜炎マーカーの例としては、これらに限られるものではないが、上述したもの、すなわち、涙膜高浸透圧、角結膜での上皮細胞及び浸透白血球による上昇したマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)発現、角結膜での上昇したMMP−9活性(そのMMP−3及びTIMP−1仲介酵素活性)、上昇したインターフェロン−ガンマ、結膜上皮細胞によるヒト白血球抗原−抗原D関連(HLA−DR)の過発現、並びに、増大した数の活性リンパ球、及び減少した数のゴブレット細胞による細胞内接着分子(ICAM−1)が挙げられる。

任意で、本発明の流体の投与前に、本発明の方法は、角結膜の1つ以上のこれら炎症マーカーを検出又は測定することにより、慢性角結膜炎があるか、対象の眼を識別することをさらに含んでいてもよい。任意で、本方法は、眼の炎症状態を経時にわたってモニターし、本発明の流体の更なる投与の頻度と期間を導き出すために、本発明の流体の投与後、1回以上、角結膜の1つ以上の炎症マーカーを検出又は測定することをさらに含んでいてもよい。

流体調製 上記した通り、流体のヒアルロン酸の>2.5m3/kgの固有粘度、<0.2%w/vの濃度を有する。ある実施形態において、ヒアルロン酸は>2.9m3/kgの固有粘度を有する。

粘弾性は、粘性と弾性の両方を有する流体の特徴と定義される。ゼロせん断粘性は、減少するせん断率での一定の定常せん断粘度と定義される。高粘性の製剤については、制御された応力レオメータによる測定が好ましい。

分子量と固有粘度[η]m3/kの関係は、マルクホウインク式: [η]=k・(Mrm)a により表される。式中、Mrmは、MDaでの分子量であり、 係数は、 k=1.3327・10−4及びa=0.6691 であり、kやaの数値は、最も予測値として見出された。

流体は次のようにして調製される。充填ラインを殺菌する。精製水又は注射用水(WFI)を、ステンレス鋼混合タンクに添加する。混合中、塩を添加する。HAを徐々に添加し、均一な溶液/流体が得られるまで混合する。必要であれば、混合プロセスを続けながら、NaOH又はHClを添加することによりpH値を調整する。溶液を1μmのポアサイズのフィルタカートリッジから殺菌保持タンクへ移し、溶液を殺菌ろ過により、殺菌直接包装(モノドーズ又はガラス瓶)で無菌充填する。モノドーズの場合には、成形同時充填(BFS)プロセスにより行う。

好ましくは、流体は、少なくとも本質的にムチンフリー、すなわち、ムチン濃度が<0.3%w/vである。これは、流動挙動又は特性が、対象の涙流体に自然に存在し、流動挙動に主に影響し得るムチンではなく、本質的に、ヒアルロナンにより達成又は調整されるということである。

粘度を増大させる物質を添加する場合には、最終工程に向けて、その工程中、またはその工程として、添加するのが好ましい。均一な混合物が得られるまで混合する。この代わりに、またはこれに加えて、注入のベースとして精製水又は水を最初に入れ、任意で、粘度を増大しない電解質、緩衝液及び物質を、注入のための精製水又は水に最初に添加するのが好ましい。

HAおよびその生成については、ヨーロッパ薬局方9.0、3583頁(ヒアルロン酸ナトリウム)のモノグラフにさらに記載されている。

一実施形態において、本発明の方法及びキットで用いる流体の特性を表1に示す。

実施形態 実施形態1 角結膜における刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせから選択される症状の発症を低減又は遅延する方法であって、>2.5m3/kgの固有粘度及び<0.2%w/vの濃度を有する高分子量ヒアルロン酸を含む流体を、ヒト又はヒト以外の動物対象の眼の角結膜に局所投与することを含む、方法。 実施形態2 上記流体は、上記症状が出る前に、予防的に投与される、実施形態1の方法。 実施形態3 上記流体は、上記症状が出た後に、治療的に投与される、実施形態1の方法。 実施形態4 上記症状には、角結膜及び涙での白血球浸潤、角結膜でのCD44アップレギュレーション、並びにIL−1、IL−2、IL−5、IL−6、IL−8、CXCL8、IL−10、IL−12、IL−16、IL−33、MCP1、CCL2、MIP1d(CCL15としても知られている)、ENA−78、CXCL5、sILR1、sIL−6R、sgp sEGFR、sTNFR、I−17A、IL−21、IL−22、CXCL9、MIG、CXCL11、I−TAC、CXCL10、IP−10、MIP−1β、CCL4、RANTES及びCCL5のうち1つ以上を含む免疫カスケードの活性化という特徴のうち1つ以上が含まれる、実施形態1〜3のいずれか1つの方法。 実施形態5 上記症状は、外部刺激により生じ、その結果、上記角結膜の平滑さおよび/または完全性の崩壊となる(例えば、医薬療法、眼の手術、非外科的外傷、コンタクトレンズ装着、微生物感染、アレルゲン、ハプテン、毒剤又は刺激物)、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態6 上記症状は、内部刺激(例えば、ホルモン障害、リウマチ性疾患、上皮間葉転換(EMT)又は自己免疫疾患)により生じる、実施形態1〜4のいずれか1つの方法。 実施形態7 上記症状は、眼の傷により生じる、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態8 上記傷は、物理的外傷、化学的外傷又は放射線(放射線障害)により生じる、実施形態7の方法。 実施形態9 上記傷は、眼の手術により生じる、実施形態7の方法。 実施形態10 眼の手術は、自然又は人工角膜移植、角膜インプラント(例えば、角膜内リング(ICR)及び人工角膜)、緑内障手術、白内障手術(例えば、水晶体乳化、水晶体嚢外手術又は水晶体嚢内手術)、屈折手術(例えば、放射状角膜切開術又は屈折角膜切開術)、網膜手術、斜視(strabismus)手術、矯正レーザー眼手術(例えば、レーザー角膜切削形成術(レーシック)又は光屈折角膜切除術(PRK))、及びクロスリンキング手術から選択される、実施形態9の方法。 実施形態11 上記炎症は、急性角結膜炎である、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態12 上記炎症は、慢性角結膜炎である、実施形態1〜10のいずれか1つの方法。 実施形態13 上記症状は、眼のアレルギーである、実施形態1〜5のいずれか1つの方法。 実施形態14 上記症状は、アレルギー角結膜炎である(例えば、季節性又は非季節性)、実施形態49〜51のいずれか1つの方法。 実施形態15 上記不快感は、痒み又は眼痛である、実施形態1〜5のいずれか1つの方法。 実施形態16 上記流体は、症状の発症を防ぐ、又は遅延するために予防的に投与され、対象は免疫不全である、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態17 上記流体は、他の生物活性剤を含まない(例えば、疎水性活性成分を含まない)、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態18 上記流体は、他の免疫調節薬、免疫抑制剤又は抗生物質を含まない、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態19 上記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)をさらに含む、実施形態1〜14のいずれか1つの方法。 実施形態20 上記生物活性剤は、眼に刺激やダメージを与える、実施形態19の方法。 実施形態21 上記流体は、保存料又は洗剤をさらに含む、実施形態1〜16、18、19又は20のいずれか1つの方法。 実施形態22 上記保存料又は洗剤は、眼に刺激やダメージを与える、実施形態21の流体。 実施形態23 上記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)、保存料、洗剤、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む組成物の投与前、中及び/又は後に投与される、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態24 上記生物活性剤、保存料、洗剤又はこれらの組み合わせは、眼に刺激やダメージを与える、実施形態23の方法。 実施形態25 上記保存料又は洗剤は、化学保存料又は酸化保存料である、実施形態21〜24のいずれか1つの方法。 実施形態26 上記保存料又は洗剤は、細菌細胞膜のリピド構造を崩壊させて、抵抗力の低い細胞膜を死滅することによって、細菌細胞膜の透過性を増大させるものである、実施形態21〜25のいずれか1つの方法。 実施形態27 上記保存料又は洗剤は、角膜組織にダメージを与えるものである、実施形態21〜26のいずれか1つの方法。 実施形態28 上記保存料又は洗剤は、第四級アンモニウム保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK))、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム(EDTA)、ポリクオタニウム−1(例えば、Polyquad(登録商標)保存料)、安定酸化剤(例えば、安定オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標)保存料))、イオン緩衝保存料(例えば、sofZia(登録商標)保存料)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、過ホウ酸ナトリウム(例えば、GenAqua(登録商標)保存料)及びソルビン酸塩からなる群から選択される、実施形態21〜27のいずれか1つの方法。 実施形態29 上記流体は、上記角結膜に滴下又は洗浄として直接投与される、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態30 1〜3滴を、1日に1〜3回投与する、実施形態29の方法。 実施形態31 上記炎症は、慢性角結膜炎であり、1〜3滴を、1日に4、5、6、7、8、9又は10回以上投与する、実施形態1〜29のいずれか1つの方法。 実施形態32 上記流体は、角結膜又は眼のその他の部分に局所的に投与される送達剤(例えば、流体でコートされる、及び/又は流体を角結膜に分泌する粒子)により角結膜に間接的に投与される、実施形態1〜28のいずれか1つの方法。 実施形態33 上記ヒアルロン酸は、>2.9m3/kgの固有粘度を有している、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態34 上記流体は、保存料をさらに含む、実施形態1〜16のいずれか1つの方法。 実施形態35 上記流体は、保存料をさらに含まない(すなわち、流体は保存料フリーである)、実施形態1〜16のいずれか1つの方法。 実施形態36 上記流体は、追加のグリコサミノグリカン(GAG)、電解質(例えば、塩化ナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含む、実施形態1〜16のいずれか1つの方法。 実施形態37 上記対象の眼は、上記投与時は水性涙液欠乏(ATD)でない(すなわち、ATDなし)、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態38 上記対象の眼は、上記投与時は定性的ドライアイでない(すなわち、定性的ドライアイなし)、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態39 上記対象の眼は、投与時は、ドライアイ症でない(すなわち、水性涙液欠乏タイプ又は定性的ドライアイタイプでない)、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態40 上記対象は、水性涙液欠乏(ATD)を患っておらず、上記対象は、角結膜での摩擦領域となる、通常の涙膜(通常の表面張力及び粘度の涙膜)ではカバーされない、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、上記投与された流体は、上記摩擦を低減する、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態41 上記対象の眼は、上記投与時は、角結膜でホメオスタシスにある、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態42 上記投与前、中及び/又は後に、包帯コンタクトレンズを眼に適用することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態43 上記流体は投与され、上記包帯コンタクトレンズは眼の手術後に適用される、実施形態42の方法。 実施形態44 上記投与された流体は、上記眼の視覚性能を増加させる、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態45 上記流体は、眼の手術前、中及び/又は後に投与され、上記対象は、上記眼の手術後に視覚性能を回復する(眼の手術後、流体の投与を行わない場合よりも対象は、視覚性能を大いに回復する)、実施形態44の方法。 実施形態46 上記ヒアルロン酸の分子量は、少なくとも3百万ダルトンである、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態47 上記ヒアルロン酸の分子量は、3百万〜4百万ダルトンである、先行する実施形態のいずれかの方法。 実施形態48 実施形態1〜35のいずれか1つの流体と、1つ以上の包帯コンタクトレンズとを含むキット。 本発明はまた、角結膜へ局所投与される流体(局所流体)にも関する。 実施形態49 角結膜における刺激、不快感、炎症、免疫応答又はこれら2つ以上の組み合わせから選択される症状の発症を低減又は遅延するのに用いられる流体であって、>2.5m3/kgの固有粘度及び<0.2%w/vの濃度を有する高分子量ヒアルロン酸を含み、ヒト又はヒト以外の動物対象の眼の角結膜に局所投与される、流体。 実施形態50 上記流体は、上記症状が出る前に、予防的に投与される、実施形態49の流体。 実施形態51 上記流体は、上記症状が出た後に、治療的に投与される、実施形態49の流体。 実施形態52 上記症状には、角結膜及び涙での白血球浸潤、角結膜でのCD44アップレギュレーション、並びにIL−1、IL−2、IL−5、IL−6、IL−8、CXCL8、IL−10、IL−12、IL−16、IL−33、MCP1、CCL2、MIP1d(CCL15としても知られている)、ENA−78、CXCL5、sILR1、sIL−6R、sgp sEGFR、sTNFR、I−17A、IL−21、IL−22、CXCL9、MIG、CXCL11、I−TAC、CXCL10、IP−10、MIP−1β、CCL4、RANTES及びCCL5のうち1つ以上を含む免疫カスケードの活性化という特徴のうち1つ以上が含まれる、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態53 上記症状は、外部刺激により生じ、その結果、上記角結膜の平滑さおよび/または完全性の崩壊となる(例えば、医薬療法、眼の手術、非外科的外傷、コンタクトレンズ装着、微生物感染、アレルゲン、ハプテン、毒剤又は刺激物)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態54 上記症状は、内部刺激(例えば、ホルモン障害、リウマチ性疾患、上皮間葉転換(EMT)又は自己免疫疾患)により生じる、実施形態49〜41のいずれか1つの流体。 実施形態55 上記症状は、眼の傷により生じる、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態56 上記傷は、物理的外傷、化学的外傷又は放射線(放射線障害)により生じる、実施形態55の流体。 実施形態57 上記傷は、眼の手術により生じる、実施形態55の流体。 実施形態58 眼の手術は、自然又は人工角膜移植、角膜インプラント(例えば、角膜内リング(ICR)及び人工角膜)、緑内障手術、白内障手術(例えば、水晶体乳化、水晶体嚢外手術又は水晶体嚢内手術)、屈折手術(例えば、放射状角膜切開術又は屈折角膜切開術)、網膜手術、斜視(strabismus)手術、矯正レーザー眼手術(例えば、レーザー角膜切削形成術(レーシック)又は光屈折角膜切除術(PRK))、及びクロスリンキング手術から選択される、実施形態57の流体。 実施形態59 上記炎症は、急性角結膜炎である、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態60 上記炎症は、慢性角結膜炎である、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態61 上記症状は、眼のアレルギーである、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態62 上記症状は、アレルギー角結膜炎である(例えば、季節性又は非季節性)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態63 上記不快感は、痒み又は眼痛である、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態64 上記流体は、症状の発症を防ぐ、又は遅延するために予防的に投与され、対象は免疫不全である、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態65 上記流体は、他の生物活性剤を含まない(例えば、疎水性活性成分を含まない)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態66 上記流体は、他の免疫調節薬、免疫抑制剤又は抗生物質を含まない、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態67 上記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)をさらに含む、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態68 上記生物活性剤は、眼に刺激やダメージを与える、実施形態67の流体。 実施形態69 上記流体は、保存料又は洗剤をさらに含む、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態70 上記保存料又は洗剤は、眼に刺激やダメージを与える、実施形態69の流体。 実施形態71 上記流体は、生物活性剤(例えば、疎水性活性成分)、保存料、洗剤、又はこれらの2つ以上の組み合わせを含む組成物の投与前、中及び/又は後に投与される、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態72 上記生物活性剤、保存料、洗剤又はこれらの組み合わせは、眼に刺激やダメージを与える、実施形態71の流体。 実施形態73 上記保存料又は洗剤は、化学保存料又は酸化保存料である、実施形態69の流体。 実施形態74 上記保存料又は洗剤は、細菌細胞膜のリピド構造を崩壊させて、抵抗力の低い細胞膜を死滅することによって、細菌細胞膜の透過性を増大させるものである、実施形態69の流体。 実施形態75 上記保存料又は洗剤は、角膜組織にダメージを与えるものである、実施形態69の流体。 実施形態76 上記保存料又は洗剤は、第四級アンモニウム保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK))、クロロブタノール、エデト酸2ナトリウム(EDTA)、ポリクオタニウム−1(例えば、Polyquad(登録商標)保存料)、安定酸化剤(例えば、安定オキシクロロ錯体(例えば、Purite(登録商標)保存料))、イオン緩衝保存料(例えば、sofZia(登録商標)保存料)、ポリヘキサメチレンビグアナイド(PHMB)、過ホウ酸ナトリウム(例えば、GenAqua(登録商標)保存料)及びソルビン酸塩からなる群から選択される、実施形態69の流体。 実施形態77 上記流体は、上記角結膜に滴下又は洗浄として直接投与される、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態78 1〜3滴を、1日に1〜3回投与する、実施形態77の流体。 実施形態79 上記炎症は、慢性角結膜炎であり、1〜3滴を、1日に4、5、6、7、8、9又は10回以上投与する、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態80 上記流体は、角結膜又は眼のその他の部分に局所的に投与される送達剤(例えば、流体でコートされる、及び/又は流体を角結膜に分泌する粒子)により角結膜に間接的に投与される、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態81 上記ヒアルロン酸は、>2.9m3/kgの固有粘度を有している、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態82 上記流体は、保存料をさらに含む、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態83 上記流体は、保存料をさらに含まない(すなわち、流体は保存料フリーである)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態84 上記流体は、追加のグリコサミノグリカン(GAG)、電解質(例えば、塩化ナトリウム)、緩衝液(例えば、リン酸塩緩衝液)又はこれらの2種類以上の組み合わせを含む、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態85 上記対象の眼は、上記投与時は水性涙液欠乏(ATD)でない(すなわち、ATDなし)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態86 上記対象の眼は、上記投与時は定性的ドライアイでない(すなわち、定性的ドライアイなし)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態87 上記対象の眼は、投与時は、ドライアイ症でない(すなわち、水性涙液欠乏タイプ又は定性的ドライアイタイプでない)、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態88 上記対象は、水性涙液欠乏(ATD)を患っておらず、上記対象は、角結膜での摩擦領域となる、通常の涙膜(通常の表面張力及び粘度の涙膜)ではカバーされない、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、上記投与された流体は、上記摩擦を低減する、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態89 上記対象の眼は、上記投与時は、角結膜でホメオスタシスにある、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態90 上記投与前、中及び/又は後に、包帯コンタクトレンズを眼に適用することをさらに含む、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態91 上記流体は投与され、上記包帯コンタクトレンズは眼の手術後に適用される、実施形態90の流体。 実施形態92 上記投与された流体は、上記眼の視覚性能を増加させる、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態93 上記流体は、眼の手術前、中及び/又は後に投与され、上記対象は、上記眼の手術後に視覚性能を回復する、実施形態92の流体。 実施形態94 上記ヒアルロン酸の分子量は、少なくとも3百万ダルトンである、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。 実施形態95 上記ヒアルロン酸の分子量は、3百万〜4百万ダルトンである、実施形態49〜51のいずれか1つの流体。

定義 本発明の文脈において(特に請求項において)、「一つ」、「その」及び同様の用語は、特に断りがない、又は明らかな矛盾がない限り、単数と複数の両方を含むものと解釈される。例えば、「細胞」又は「化合物」とした場合、特に断りがない、又は明らかな矛盾がない限り、単一の細胞又は単一の化合物、そして複数の細胞及び複数の化合物の両方が含まれるものと解釈される。同様に、「又は」は、特に断りのない限り、「及び」も含むものとされる。「例えば(e.g.)」は、ラテン語のexempli gratiaの略であり、ここでは、限定されない例を示すのに使われる。「例えば(e.g.)」は、「例えば(for example)」と同義である。

「単離された」という用語は、組成物の修飾語として用いるときは、ヒトの介入により組成物が生成される、又は、生体内環境で自然に生じるものから分離することを意味する。通常、このようにして分離された組成物は、例えば、1つ以上のタンパク質、核酸、リピド、炭水化物、細胞膜といった通常は自然に関連する1つ以上の材料を実質的に含まない。「実質的に純粋な」分子は、1つ以上の他の分子と結合させることができる。このように、「実質的に純粋な」とは、組成物の組み合わせを排除するものではない。実質的な純度は、質量基準の分子の少なくとも約60%以上とすることができる。純度はまた、約70%又は80%以上、さらに、例えば、90%以上とすることができる。純度は、例えば、UV分光法、クロマトグラフィー(例えば、HPLS、気相)、ゲル電気泳動(例えば、銀又はクーマシー染色)及びシーケンス分析(核酸及びペプチド)をはじめとする適切な方法により求めることができる。

本明細書で用いる「ホメオスタシス」という用語は、内部安定性を維持するための生理系の能力、又はその安定性そのものの状態を指し、それは、通常の非病理的条件又は機能を乱す傾向のある何らかの状況又は刺激に対するその部分の協調的応答によるものである。

本明細書で用いる「ヒアルロン酸」(HA)という用語は、自然界にあるN−アセチルグルコサミン及びグルクロン酸の二糖類の繰り返しから構成されるグルコサミノグリカンを指し、ヒアルロナン(例えば、二糖類[−D−グルクロン酸−b1,3−N−アセチル−D−グルコサミン−b1,4−]nの繰り返し単位から構成される直鎖グルコサミノグリカン)同じく、ヒアルロナンのエステル、アミド誘導体、アルキル−アミン誘導体、ヒアルロナンの低分子量及び高分子量形態、ハイラン等の架橋形態のような化学修飾のあるヒアルロナンの誘導体としても知られている。このように、二糖類鎖は、直鎖又は非直鎖であってよい。ヒアルロナンは、チオール、メタクリレート、ヘキサデシルアミド及びチラミンのようなクロスリンカーを付加することにより架橋することができる。ヒアルロナンはまた、ホルムアルデヒド及びジビニルスルホンと直接架橋することもできる。ハイランとしては、これらに限られるものではないが、ハイランA、ハイランA(ホルムアルデヒド架橋グリコサミノグリカンポリマー)、ハイランB(ジビニルスルホン架橋グリコサミノグリカンポリマー)及びハイランG−F20(Cowman MKら、Carbohydrate Polymers 2000,41:229−235;Takigami Sら、Carbohydrate Polymers, 1993,22:153−160; Balazs EAら、"Hyaluronan, its cross−linked derivative-Hylan-and their medical applications", in Cellulosics Utilization: Research and Rewards in Cellulosics,Proceedings of Nisshinbo International Conference on Cellulosics Utilization in the Near Future(Eds Inagaki, H and Phillips GO),Elsevier Applied Science(1989),NY,pp.233−241;Koehler Lら、Scientific Reports,2017,7,article no.1210;及びPavan Mら、Carbohydr Polym,2013,97(2):321−326、これらは内容を参照することにより本明細書に組み込まれる)を含む。

「ヒアルロン酸」又はHAという用語には、HAそのもの及びその医薬的に許容される塩が含まれる。HAは、医薬的に許容される塩形態へ処方することができる。HAの医薬的に許容される塩は、従来の技術を用いて調製することができる。

本発明のヒアルロン酸の文脈における「高分子量」又は「HMW」という用語は、ヨーロッパ薬局方9.0、「ヒアルロン酸ナトリウム」、3584頁(内容を参照することにより本明細書に組み込まれる)の方法により求められる固有粘度が>2.5m3/kgのヒアルロン酸のことを指す。簡単に述べると、固有粘度[η]は、マーチンの式Log10(nr−1/c)=log10[η]+κ[η]cを用いた直線最少二乗回帰分析により計算される。ある実施形態において、高分子量ヒアルロン酸の固有粘度は、2.9m3/kgを超える。

本明細書で用いる「免疫不全」という用語は、通常の免疫応答をすることが、先天的、後天的又は誘発的にできない対象を指す。従って、免疫不全の対象は、通常の対象に比べて脆弱な、又は損傷した免疫系を持っている。脆弱な、又は損傷した免疫系を持つ対象は、「免疫不全」又は「免疫無防備状態」で、これは、通常の免疫防御系の1つ以上の要素において、誘導された、または誘導されたものでない、一次又は二次栄養不足に関連している。免疫無防備状態は、医療、例えば、放射線療法、化学療法又はその他免疫抑制治療、例えば、ステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、シクロスポリン又はラパマイシンにより治療により引き起こされる、特に、癌治療又は移植拒絶の治療又は防止に関連するものである。対象に免疫無防備状態があるかどうかは、当業者に知られた好適な技術により診断することができる。免疫無防備状態が存在するという強力な指標は、希少疾患が起こるときや、特に対象が繰り返し感染する場合、対象が通常は疾病を引き起こさない有機体から発病するときである。その他の可能性としては、典型的には、例えば、HIV、肝炎、結核等、最近かかった感染等が考えられる。しかしながら、通常、確定診断は、免疫無防備状態の正確な性質を判断する臨床試験に基づいている。大半の試験は血液試料で行われる。血液は、抗体、リンパ球、食細胞及び補体成分を含んでおり、これらは全て免疫欠損を引き起こす主要免疫成分である。血液細胞数を用いて、食細胞又はリンパ球の数が通常より少ないか判断する。これら2つの細胞種のいずれかが通常の数より少ないと、免疫無防備状態に関連している。血液細胞はまた、典型的には、その外観もチェックされる。対象が通常の細胞数を持っていても、細胞の構造に欠陥がある場合もある。リンパ球細胞数が少ない場合は、通常、さらに試験を行って、特定の種類のリンパ球が通常より少ないか判断する。リンパ球増殖試験を行って、リンパ球が刺激に応答するか判断してもよい。刺激応答しないということは、免疫無防備状態に関連している。抗体レベル及び補体レベルを判断して、免疫無防備状態の存在を診断することができる。 本明細書で用いる、「角結膜」という用語は、角膜、結膜、瞼、睫毛、涙液層、主及び副涙腺、マイボーム腺を含む、眼及び付属物の構造を指す。このように、生成部位の個々の成分に関してと、角結膜の膜としての両方で、涙は「角結膜」という用語に含まれる(Craig JPら、"TFOS DEWS II Definition and Classification Report",The Ocular Surface,2017,15:276−283を参照、これらは内容を参照することにより本明細書に組み込まれる)。流体は、例えば、全角結膜を含む、角結膜の1つ以上の部分に局所投与してよい。

「医薬的に許容される塩」には、酸と塩基の付加酸の両方が含まれる。HA又は本明細書に記載した他の化合物のいずれかの医薬的に許容される塩には、あらゆる医薬的に好適な塩形態が包含されるものとする。本明細書に記載した好ましい医薬的に許容される塩は、医薬的に許容される酸付加塩及び医薬的に許容される塩基付加塩である。

「医薬的に許容される酸付加塩」とは、生物学的効果及び遊離塩基の特性を保持し、生物学的又はその他について望ましくないところがなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸等の無機酸により形成される塩のことを指す。また、脂肪族モノ−及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジ酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン等の有機酸により形成される塩も含まれ、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等が挙げられる。例示の塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソブチル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸、クロロ安息香酸、メチル安息香酸、ジニトロ安息香酸、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が挙げられる。同じく考えられるのは、アミノ酸の塩、例えば、アルギン酸塩、グルコン酸塩及びガラクツロン酸塩(例えば、Berge S.M.ら、"Pharmaceutical Salts,"Journal of Pharmaceutical Science,66:1−19(1997)を参照、これらは参照することにより本明細書に組み込まれる。)である。塩基化合物の酸付加塩は、当業者に知られた方法及び技術に従って、遊離塩基形態を、十分量の所望の酸と接触させて、塩を生成することにより調製される。

「医薬的に許容される塩基付加酸」とは、生物学的効果及び遊離酸の特性を保持し、生物学的又はその他について望ましくないところがない塩のことを指す。これらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより調製される。医薬的に許容される塩基付加塩は、アルカリ及びアルカリ土類金属や有機アミンのような金属又はアミンにより形成される。無機塩基から誘導される塩としては、これらに限られるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、これらに限られるものではないが、第1級、第2級及び第3級アミン、自然発生置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂を含む置換アミン、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N−メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、プロアミン樹脂等の塩が挙げられる。上記Bergeらを参照のこと。ある実施形態において、医薬的に許容される塩は、ナトリウム塩である(内容を参照することにより本明細書に組み込まれるヨーロッパ薬局方9.0「ヒアルロン酸ナトリウム」3583頁を参照)。

本明細書で用いる「対象」「患者」及び「個人」とはヒト又はヒト以外の動物を指す。対象とはまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、、羊、ヤギ、馬、犬、猫、ウサギ、ラット、ネズミ、魚、鳥等も指す。ある実施形態において、対象は哺乳類である。ある実施形態において、対象はヒトである。ある実施形態において、対象は、鳥又は魚である。このように、本方法は、医療現場及び獣医療現場で実施される。ヒト以外の動物対象は、例えば、眼の疾患又は眼以外の疾患のペット又は動物モデルであってもよい。

ある実施形態において、対象の眼は、投与時、涙液欠乏症(ATD)ではない(すなわち、ATDなし)。

ある実施形態において、対象の眼は、投与時、定性ドライアイでない(すなわち、定性ドライアイなし)。

ある実施形態において、対象の眼は、投与時、ドライアイ症ではない(すなわち、涙液欠乏症でも定性ドライアイでもない)。

ある実施形態において、対象は涙液欠乏症(ATD)を患っておらず、対象は、角結膜での摩擦領域となる、通常の涙膜(通常の表面張力及び粘度の涙膜)ではカバーされない、角膜その他眼の表面に隆起を含む角結膜に異常(位置特異的な異常)があり、投与された流体は、摩擦を低減する。

ある実施形態において、免疫無防備である、すなわち免疫無防備状態にある。

「局所投与」というフレーズは、従来の意味で用いられ、角結膜等の所望の解剖学的部位への局所送達を意味する。高分子量ヒアルロン酸を含む流体は、有効量の流体と角結膜が接触できる方法により、角結膜に直接的又は間接的に適用される。例えば、流体は、角結膜に、目薬や洗浄により直接適用したり、角結膜や眼のその他の部分と接触する送達剤(すなわち、流体送達剤)により間接的に適用される。送達剤の一例をあげると、流体でコートされ、及び/又は流体を角結膜に放出する粒子(例えば、微粒子又はナノ粒子)がある。かかる粒子は、自然又は合成ポリマー等様々な材料から構成される。ある実施形態において、送達剤それ自体が液滴として投与される。

本発明を、詳細な説明及び図面において実施形態により例示のためにのみ記載してきた。本発明はそれらに限られるものではなく、当業者であれば、本明細書の全内容を、知識と共に検討し、及び/又は組み合わせることによる全ての変形、修正、代替及び組み合わせを含むものとする。

本明細書で言及又は引用した全ての特許、特許出願、仮出願及び文献は、本明細書の明白な教示と矛盾しない範囲で、図表を含む全文を参照することにより組み込まれる。

以下は、本発明を実施するための手順を例示する実施例である。実施例は限定とは解釈されないものとする。断りのない限り、パーセンテージは重量基準であり、溶剤混合物の比率は容積基準である。

実施例1−重症ドライアイの患者における多中心、多国籍予想臨床試験−HYLAN M研究 重症ドライアイの患者について、多中心、多国籍予想、無作為臨床試験(ODISSEY第1判断基準に従って)を、9か国12の研究センターで実施している。HYLAN M研究において、患者は2つのグループに無作為に分け、1つのグループは、前から認識されている最も有効な治療に留まる患者グループ、もう1つのグループは、表1の実施形態に対応する、高分子量ヒアルロン酸目薬(Comfort Shield(登録商標)保存料フリーのヒアルロン酸ナトリウムの目薬(i.com medical GmbH,Munich,Germany))に変えたグループである。

これらの患者(192名)は、眼科医が提供し得る最良の治療を既に受けていた。患者は全員、研究時、「安定」治療に入っていた、すなわち、本研究に入る前定められた期間にわたって治療は変更されていなかった。患者は2つのグループに無作為に分けられ、1つめのグループは、ドライアイ症のための現在の治療を続け、2つめのグループは、代用涙液の代わりに、上述の流体液滴(Comfort Shield(登録商標)液滴)で治療した。

研究の目的としては、(1)Comfort Shield(登録商標)液滴対それまで患者が治療を受けていた(=現在の治療)代用涙液液滴によるドライアイ治療の他覚及び自覚症状の比較であり、患者は、研究者にみせる前、重症ドライアイであった。(2)客観的成果、患者の主観的受容、及び目薬の有害事象を観察することであった。各患者について、両眼を検査し、基礎検査で高い角膜フルオレセイン染色スコアの眼を評価する。

研究センターの1つにおいて、市販の代用涙液は全て、自家血清目薬により、兆候及び症状の十分な軽減とはならなかった。自家血清目薬治療の研究には11名の患者がいた。11名のうち、無作為の6名が、Comfort Shield(登録商標)グループ、すなわち、自家血清目薬をComfort Shield(登録商標)に8週間にわたって用いた。6名の患者のうち、2名は研究の対象から外れた。Comfort Shield(登録商標)が症状を十分に軽減しなかったためである。2名は、研究の8週間にさたって、Comfort Shield(登録商標)目薬を続けたが、自家血清による元の治療に戻るのが好ましかった。残り2名は、自家血清目薬よりもComfort Shield(登録商標)の方が好ましく、研究後も、Comfort Shield(登録商標)目薬を用いていくことになった。

本明細書に記載した実施例及び実施形態は、例示のためのみであって、様々な修正や変更は当業者に示唆され、本明細書及び特許請求の範囲に記されているものとする。さらに、ここに開示された発明又は実施形態の要素又は限定は、ここに開示されたその他の発明又は実施形態の全てのその他の要素又は限定と組み合わせることができ(個別に、又は任意の組み合わせで)、かかる組み合わせは、それに限定されることなく、本発明の範囲内と考えられる。

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