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IL−4Rアンタゴニストを投与することによるアトピー性皮膚炎を処置するための方法

阅读:69发布:2020-05-08

专利汇可以提供IL−4Rアンタゴニストを投与することによるアトピー性皮膚炎を処置するための方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】アトピー性皮膚炎および関連する状態の処置および/または防止のための方法の提供。 【解決手段】治療上有効量のインターロイキン−4受容体アンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎を処置する方法。 【選択図】なし,下面是IL−4Rアンタゴニストを投与することによるアトピー性皮膚炎を処置するための方法专利的具体信息内容。

治療上有効量のインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する方法。治療上有効量のインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含み、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与がAD関連パラメータの改善をもたらし、AD関連パラメータの改善が、 (a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも55%の低下; (d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (e)5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%の低下;ならびに (f)掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも45%の低下 からなる群から選択される、患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する方法。治療上有効量のインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含み、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与がAD関連パラメータの改善をもたらし、AD関連パラメータの改善が、 (a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも55%の低下; (d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (e)5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%の低下;ならびに (f)掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも45%の低下 からなる群から選択される、局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、85日目から少なくとも197日目までのIGAのベースラインからの少なくとも45%の低下である、請求項2または3に記載の方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、85日目から少なくとも197日目までのBSAスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下である、請求項2または3に記載の方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、85日目から少なくとも197日目までのEASIスコアのベースラインからの少なくとも60%の低下である、請求項2 または3に記載の方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、85日目から少なくとも197日目までのSCORADスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下である、請求項2または3に記載の方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、85日目から少なくとも197日目までの5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも30%の低下である、請求項2または3に記載の方法。AD関連パラメータの改善が、医薬組成物の投与後、少なくとも16週目の終わりまでのNRSスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下である、請求項2または3に記載の方法。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。医薬組成物が、約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片を含む、請求項10に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項10または11に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項12に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項13に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項14に記載の方法。医薬組成物が対象に皮下投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、医薬組成物の前、後、またはそれと同時に対象に投与される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、TNF阻害剤、IL−1阻害剤、IL−5阻害剤、IL−8阻害剤、IgE阻害剤、NSAID、およびIFNγからなる群から選択される、請求項17に記 載の方法。治療上有効量のインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、患者における掻痒感を処置する、低下させる、軽減する、改善する、または防止するための方法。患者が中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を有する、請求項19に記載の方法。患者が局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない、請求項20に記載の方法。患者への医薬組成物の投与が、5D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%の低下または掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも45%の低下のいずれかにより測定された場合、掻痒感の低下をもたらす、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。患者への医薬組成物の投与が、 (a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも55%の低下;ならびに (d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下 からなる群から選択されるAD関連パラメータの改善をもたらす、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項19〜23のいずれか1項に記載の方法。医薬組成物が約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片を含む、請求項24に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項25に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項26に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148 、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項27に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項28に記載の方法。医薬組成物が患者に皮下または静脈内投与される、請求項19〜29のいずれか1項に記載の方法。(a)処置の前、または処置の時点で少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルの上昇を示す患者を選択すること;および(b)患者に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む、患者における中等度から重度のADを処置または防止するための方法。(a)処置の前、または処置の時点で少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルの上昇を示す患者を選択すること;および(b)患者に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む、TCSまたはカルシニューリン阻害剤のいずれかに対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者における中等度から重度のADを処置または防止するための方法。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項31または32に記載の方法。医薬組成物が、約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片を含む、請求項33に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項34に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項35に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項36に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項37に記載の方法。医薬組成物が患者に皮下または静脈内投与される、請求項31〜38のいずれか1項に記載の方法。AD関連バイオマーカーがIgEである、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。AD関連バイオマーカーが胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)である、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。対象が、処置の前に、または処置の時点(「ベースライン」)で2000kU/Lよりも高いIgEレベルを示すことに基づいて選択される、請求項40に記載の方法。対象が、処置の前に、または処置の時点(「ベースライン」)で1000pg/mLよりも高いTARCレベルを示すことに基づいて選択される、請求項41に記載の方法。対象が、投与後50日目以降にベースラインからのIgEレベルの少なくとも5%の低下を示す、請求項42に記載の方法。対象が、投与後50日目以降にベースラインからのIgEレベル少なくとも10%の低下を示す、請求項44に記載の方法。対象が、投与後4日目以降にベースラインからのTARCレベルの少なくとも25%の低下を示す、請求項43に記載の方法。対象が、投与後29日目以降にベースラインからのTARCレベルの少なくとも70%の低下を示す、請求項46に記載の方法。対象に、治療上有効量の、インターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を投与することを含み、対象への医薬組成物の投与が、投与前の対象中のバイオマーカーのレベルと比較して、医薬組成物の投与後4、8、15、22、25、29または36日目までに対象中の少なくとも1つのAD関連バイオマーカーの低下をもたらす、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)を処置するための方法。対象に、治療上有効量の、インターロイキン−4受容体(IL−4R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を投与することを含み、対象への医薬組成物の投与が、投与前の対象中のバイオマーカーのレベルと比較して、医薬組成物の投与後4、8、15、22、25、29または36日目までに対象中の少なくとも1つのAD関連バイオマーカーの低下をもたらす、TCSまたはカルシニューリン阻害剤のいずれかに対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)を処置するための方法。AD関連バイオマーカーがIgEまたは胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)である、請求項48または49に記載の方法。医薬組成物が、約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片を含む、請求項48〜50のいずれか1項に記載の方法。対象への医薬組成物の投与が、投与前の対象中のIgEレベルと比較して、医薬組成物 の投与後36日目で対象中のIgEの少なくとも5%の低下をもたらす、請求項50に記載の方法。対象への医薬組成物の投与が、投与前の対象中のTARCレベルと比較して、医薬組成物の投与後4日目までに対象中のTARCの少なくとも25%の低下をもたらす、請求項50に記載の方法。対象への医薬組成物の投与が、投与前の対象中のTARCレベルと比較して、医薬組成物の投与後29日目までに対象中のTARCの少なくとも70%の低下をもたらす、請求項53に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項48〜54のいずれか1項に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項55に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項56に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項57に記載の方法。医薬組成物が対象に皮下または静脈内投与される、請求項48〜58のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、医薬組成物の前、後またはそれと同時に対象に投与される、請求項48〜59のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、TNF阻害剤、IL−1阻害剤、IL−5阻害剤、IL−8阻害剤、IgE阻害剤、NSAID、およびIFNγからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物の単回初期用量、次いで、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の1つまたはそれ以上の第2の用量を、それを必要とする対象に逐次的に投与することを含む、それを必要とする対象における1つもしくはそれ以上のアトピー性皮膚炎(AD)関連パラメータを改善する、または対象における少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルを減少させるための方法。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である、請求項62に記載の方法。医薬組成物が、約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片を含む、請求項63に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項63または64に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項65に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項66に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項67に記載の方法。医薬組成物が患者に皮下または静脈内投与される、請求項62〜68のいずれか1項に記載の方法。1つまたはそれ以上の第2の用量の医薬組成物が毎週投与される、請求項62〜68のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が医薬組成物の前、後、またはそれと同時に対象に投与される、請求項62〜70のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、TNF阻害剤、IL−1阻害剤、IL−5阻害剤、IL−8阻害剤、IgE阻害剤、NSAID、およびIFNγからなる群から選択される、請求項71に記載の方法。約75mg〜約300mgの、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を対象に投与することを含み、医薬組成物が週に1回の投与頻度で対象に投与される、それを必要とする対象中の1つもしくはそれ以上のアトピー性皮膚炎(AD)関連パラメータを改善するか、または対象中の少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルを減少させるための方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号2/10、18/ 20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項73に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項74に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項75に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項76に記載の方法。医薬組成物が対象に皮下または静脈内投与される、請求項73〜77のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が医薬組成物の前、後、またはそれと同時に対象に投与される、請求項73〜78のいずれか1項に記載の方法。第2の治療剤が、TNF阻害剤、IL−1阻害剤、IL−5阻害剤、IL−8阻害剤、IgE阻害剤、NSAID、およびIFNγからなる群から選択される、請求項79に記載の方法。抗原とIL−4Rアンタゴニストとを含む医薬組成物を投与することを含む、対象における抗原に対する免疫応答を増強または強化するための方法。(a)抗原を含むワクチン組成物を対象に投与すること;ならびに(b)ワクチン組成物の対象への投与の前、それと同時に、および/またはその後にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む、対象における抗原に対する免疫応答を増強または強化するための方法。IL−4Rアンタゴニストが抗IL−4R抗体である、請求項81または82に記載の方法。(a)抗原;および(b)IL−4Rアンタゴニストを含む、対象における抗原に対する免疫応答を増強または強化するための医薬組成物。IL−4Rアンタゴニストが抗IL−4R抗体である、請求項84に記載の医薬組成物。局所コルチコステロイド(TCS)と同時に治療上有効量のインターロイキン−4受容 体(IL−4R)アンタゴニストを患者に投与することを含み、投与がAD関連パラメータの改善をもたらし、AD関連パラメータの改善が、 (a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも50%の低下; (b)掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも65%の低下; (c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも70%の低下;ならびに (d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも60%の低下 からなる群から選択される、患者における中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を処置する方法。TCSがI群TCS、II群TCSおよびIII群TCSからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。TCSが、アセポン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、吉草酸ベタメタゾンおよび酪酸ヒドロコルチゾンからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。患者が、IL−4Rアンタゴニストで処置されていない患者と比較して、50%少ないTCSを用いる、請求項86〜88のいずれか1項に記載の方法。IL−4Rアンタゴニストが抗IL−4R抗体である、請求項86〜89のいずれか1項に記載の方法。抗IL−4R抗体が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項90に記載の方法。抗体が約300mgの用量で投与される、請求項90に記載の方法。ヒト対象に投与されるインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストの治療用量が安全であるかどうかをモニタリングする方法であって、 ヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報が、即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象の発生を含む、前記情報を獲得すること; 1つまたはそれ以上の前記事象が発生したことを決定すること、 前記治療用量が安全ではないと決定すること、ならびに場合により、 治療用量を中止するか、または低下させるよう助言することを含む、前記方法。感染が上気道感染、咽頭炎、または副鼻腔炎である、請求項93に記載の方法。注射部位反応が紅斑、疼痛、結節、血腫または掻痒感である、請求項93に記載の方法。疼痛が2mm VASより大きい、例えば、3mm〜30mm VASである、請求項95に記載の方法。紅斑の直径が9mm以上である、請求項95に記載の方法。ヒト対象に投与されるインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストの治療用量が安全であるかどうかをモニタリングする方法であって、 ヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報が、即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象の発生を含む、前記情報を獲得すること; 1つまたはそれ以上の前記事象が発生しなかったことを決定すること;ならびに 前記治療用量が安全であると決定すること を含む、前記方法。感染が上気道感染、咽頭炎、または副鼻腔炎である、請求項98に記載の方法。注射部位反応が紅斑、疼痛、結節、血腫または掻痒感である、請求項98に記載の方法。疼痛が2mm VASより大きい、例えば、3mm〜30mm VASである、請求項100に記載の方法。紅斑の直径が9mm以上である、請求項100に記載の方法。インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストである薬物の投与後にヒト対象の血清中の抗薬物抗体の量を定量またはモニタリングする方法であって、 (a)前記IL−4Rアンタゴニストの用量を投与されたヒト対象から前記血清の試料を取得すること;および (b)前記血清試料中の抗薬物抗体の量を決定すること を含む、前記方法。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合し、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、抗体または抗原結合断片である、請求項93〜103のいずれか1項に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項104に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項104に記載の方法。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項104に記載の方法。安全な治療用量が500mg以下である、請求項93〜102のいずれか1項に記載の方法。安全な治療用量が75mg、150mg、および300mgからなる群から選択される、請求項93〜102のいずれか1項に記載の方法。インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物の治療剤形であって、ヒトへの該剤形の投与が、 (a)約4mg・h/ml〜約20mg・h/mlの、時間ゼロからリアルタイムまでの台形法を用いて算出された血漿濃度対時間曲線下面積(AUClast); (b)約15μg/ml〜約42μg/mlの、最大観測血漿濃度(Cmax); (c)約40h〜約280hの、第1の最大血漿濃度到達時間(tmax); (d)約5,000,000ng/h*mL〜約25,000,000ng/h*mLの、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)および (e)約50h〜約200hの、終末相半減期到達時間(t1/2Z) の1つまたはそれ以上を提供する、前記剤形。IL−4Rアンタゴニストが、IL−4Rに特異的に結合し、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、抗体または抗原結合断片である、請求項110に記載の剤形。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項111に記載の剤形。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項111に記載の剤形。IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項111に記載の剤形。安全な治療用量が500mg以下である、請求項110〜114のいずれか1項に記載の剤形。安全な治療用量が75mg、150mg、および300mgからなる群から選択される、請求項110〜115のいずれか1項に記載の剤形。第1の方法および提唱される等価な第2の方法により製造されたインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを比較する方法であって、第1の方法により製造されたアンタゴニストの第1のヒトへの投与後、および第2の方法により製造されたアンタゴニストの第2のヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報を獲得することを含み、該情報が、 即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象を含み;ならびに 前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異ならない場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されると決定され;および 前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異なると決定される場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されないと決定される、 前記方法。感染が上気道感染、咽頭炎、または副鼻腔炎である、請求項117に記載の方法。注射部位反応が紅斑、疼痛、結節、血腫または掻痒感である、請求項117に記載の方法。疼痛が2mm VASより大きい、例えば、3mm〜30mm VASである、請求項119に記載の方法。紅斑の直径が9mm以上である、請求項119に記載の方法。第1の方法および提唱される等価な第2の方法により製造されたインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを比較する方法であって、第1の方法により製造されたアンタゴニストの用量の第1のヒトへの投与後、および第2の方法により製造されたアンタゴニストの用量の第2のヒトへの投与後のアンタゴニストの治療用量に関する情報を獲得することを含み、該情報が、 (a)約4mg・h/ml〜約20mg・h/mlの、時間ゼロからリアルタイムまでの台形法を用いて算出された血漿濃度対時間曲線下面積(AUClast); (b)約15μg/ml〜約42μg/mlの、最大観測血漿濃度(Cmax); (c)約40h〜約280hの、第1の最大血漿濃度到達時間(tmax); (d)約5,000,000ng/h*mL〜約25,000,000ng/h*mLの、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)および (e)約50h〜約200hの、終末相半減期到達時間(t1/2Z)の1つまたはそれ以上を含み、 前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異ならない場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されると決定され;および 前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異なると決定される場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されないと決定される、 前記方法。(a)IL−4Rアンタゴニストを用いる処置前に対象から獲得された生物試料中のTARCおよび血清IgEの一方または両方の発現レベルを決定する工程;(b)IL−4Rアンタゴニストを用いる処置の後に対象から獲得された生物試料中のTARCおよび血清IgEの一方または両方の発現レベルを決定する工程;(c)工程(a)で決定されたレベルを、工程(b)で決定されたレベルと比較する工程;ならびに(d)工程(b)で決定されたレベルが工程(a)で決定されたレベルよりも低い場合、処置が有効であると結論付ける工程、または工程(b)で決定されたレベルが工程(a)で決定されたレベルと同じであるか、もしくはそれより高い場合、処置が有効ではないと結論付ける工程を含む、対象における中等度から重度のADの処置の有効性をモニタリングする方法。工程(b)におけるレベルが、工程(a)におけるレベルを決定した1週間、2週間、3週間、4週間、または5週間後に決定される、請求項123に記載の方法。対象が中等度から重度のADを有し、(a)対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与後の対象に由来する生物試料中のTARCとIgEの一方または両方の発現レベルに関する情報を獲得すること;および(b)TARCまたはIgEの発現レベルがIL−4Rアンタゴニストを用いる処置前のレベルと比較して低下した場合、処置を継続するべきであるとの指示を提供することを含む、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置に対する対象の応答をモニタリングする方法。アトピー性皮膚炎の処置および/または防止における使用のためのIL−4Rアンタゴニスト。アトピー性皮膚炎の処置および/または防止における使用のための抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物。医薬組成物が75mg〜600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項127に記載の医薬組成物。医薬組成物が300mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項128に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択される重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対に由来する重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項127〜129のいずれか1項に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項130に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項131に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項132に記載の医薬組成物。医薬組成物が、アトピー性皮膚炎に罹患する対象に皮下または静脈内投与される、請求項127〜133のいずれか1項に記載の医薬組成物。第2の治療剤が、医薬組成物の前、後、またはそれと同時に投与される、請求項127〜134のいずれか1項に記載の医薬組成物。第2の治療剤が、TNF阻害剤、IL−1阻害剤、IL−5阻害剤、IL−8阻害剤、IgE阻害剤、局所コルチコステロイド(TCS)、カルシニューリン阻害剤、NSAID、およびIFNγからなる群から選択される、請求項135に記載の医薬組成物。第2の治療剤が、I群TCS、II群TCSおよびIII群TCSからなる群から選択される、請求項136に記載の医薬組成物。TCSがアセポン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、吉草酸ベタメタゾンおよび酪酸ヒドロコルチゾンからなる群から選択される、請求項136に記載の医薬組成物。処置がAD関連パラメータの改善をもたらす、対象におけるADの処置における使用のための抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物。AD関連パラメータの改善が、 (a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)スコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも55%の低下;ならびに (d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下; (e)5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%の低下;ならびに (f)掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも45%の低下 からなる群から選択される、請求項139に記載の医薬組成物。対象がTCSまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性である、非応答性であるか、または十分に応答しない、請求項139または140記載の医薬組成物。処置の前に、または処置の時点で、TARCまたは血清IgEの一方または両方から選択されるAD関連バイオマーカーのレベルが上昇した対象におけるADの処置における使用のための抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物。処置が、処置前の対象におけるバイオマーカーのレベルと比較して、処置後4、8、1 5、22、25、29または36日目までに対象中のAD関連バイオマーカーの低下をもたらし、AD関連バイオマーカーがTARCまたは血清IgEの一方または両方から選択される、対象におけるADの処置における使用のための抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物。単回初期用量、次いで、1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に逐次的に投与される、AD関連パラメータを改善するのに使用するため、または対象中のAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるための抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物。医薬組成物が75mg〜600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項144に記載の医薬組成物。医薬組成物が300mgの抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項145に記載の医薬組成物。1つまたはそれ以上の第2の用量が毎週投与される、請求項144〜146のいずれか1項に記載の医薬組成物。医薬組成物が皮下または静脈内投与される、請求項139〜147のいずれか1項に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択される重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対に由来する重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項139〜148のいずれか1項に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、請求項149に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む、請求項150に記載の医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号164のアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、請求項151に記載の医薬組成物。

局所的処置により疾患が十分に制御することができないか、または局所的処置が勧められない患者におけるアトピー性皮膚炎(AD)の治療のための方法で使用するための、治療上有効量の抗ヒトインターロイキン−4受容体(IL−4R)抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物であって、前記抗体またはその抗原結合断片が、それぞれ、配列番号148、150および152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列とを含む、前記医薬組成物。抗体またはその抗原結合断片が、配列番号162のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号164のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)を含む、請求項1に記載の医薬組成物。患者が、中程度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を有する、請求項1または2に記載の医薬組成物。患者が、局所的処置による治療に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない、アトピー性皮膚炎(AD)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。患者が、局所的処置に関連する副作用または安全性のリスクの履歴を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。局所的処置が、局所コルチコステロイドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。局所的処置が、局所カルシニューリン阻害剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。方法が、医薬組成物の初回用量の患者への投与、続いて医薬組成物の1つまたはそれ以上のその後の用量の投与を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。方法で投与される医薬組成物の各用量が、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を50〜600mg含む、請求項8に記載の医薬組成物。方法で投与される医薬組成物の各用量が、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を300mg含む、請求項9に記載の医薬組成物。初回用量が、その後の用量の量の2倍である、請求項8または9に記載の医薬組成物。方法が、患者に、600mgの初回用量で、続いて300mgの1つまたはそれ以上のその後の用量で、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、請求項11に記載の医薬組成物。各その後の用量が、直前の用量の1〜4週間後に投与される、請求項8〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。各その後の用量が、直前の用量の1週間後に投与される、請求項13に記載の医薬組成物。各その後の用量が、直前の用量の2週間後に投与される、請求項13に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、皮下投与される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。方法が、さらに、局所コルチコステロイドおよび/または局所カルシニューリン阻害剤を患者に同時に投与することを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、シリンジ、プレフィルドペン型送達デバイス、自己注射器、ガラスバイアル、およびマイクロインフューザーからなる群から選択される容器に含まれる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、シリンジに含まれる、請求項18に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、プレフィルドペン型送達デバイスに含まれる、請求項18に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、自己注射器に含まれる、請求項18に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、ガラスバイアルに含まれる、請求項18に記載の医薬組成物。抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片が、マイクロインフューザーに含まれる、請求項18に記載の医薬組成物。

说明书全文

本発明は、アトピー性皮膚炎および関連する状態の処置および/または防止に関する。より特には、本発明は、それを必要とする患者におけるアトピー性皮膚炎を処置または防止するためのインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストの投与に関する。

アトピー性皮膚炎(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)ならびに鱗状および乾燥した湿疹病変を特徴とする慢性/再発性炎症性皮膚疾患である。ADは、アレルギー性鼻炎および喘息のような他のアトピー性障害と関連することが多い。重症の疾患は、高い社会経済的費用をもたらす、主な精神的問題、著しい睡眠不足、および生活の質の低下のため極端に日常生活に支障を来し得る。

ADの病態生理は、免疫グロブリンE(IgE)による感作、免疫系、および環境因子の間の複雑な相互作用により影響される。主な皮膚の欠陥は、遺伝子突然変異と局部炎症との両方の結果である上皮バリアの機能障害を伴う、IgEによる感作を引き起こす免疫障害であってもよい。ADは5歳より前の子供において始まることが多く、成人期まで続くこともある。

ADのための典型的な処置は、局所ローションおよび保湿剤、局所コルチコステロイド軟膏、クリームまたは注射を含む。しかしながら、多くの処置選択肢は、一時的な、不完全な、症状の緩和を提供するに過ぎない。さらに、中等度から重度のADを有する多くの患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性になる。かくして、ADの処置および/または防止のための新規標的療法が当業界で必要である。

本発明のある特定の態様によれば、中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を含む、ADの症状を処置する、防止する、および/またはその重症度を軽減するための方法が提供される。本発明のある特定の実施形態は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤による処置に対して耐性である患者における中等度から重度のADを処置する、改善する、または防止するための方法に関する。いくつかの実施形態において、本発明は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置にも拘らず制御されていない中等度から重度のADを有する患者を処置する方法を開示する。本発明の方法は、治療上有効量のインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を、それを必要とする対象または患者に投与することを含む。本発明のある特定の実施形態によれば、IL−4Rアンタゴニストは、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。本発明の方法の文脈において用いることができる例示的な抗IL−4R抗体は、実施例1などの本明細書の他の場所に記載される。ある特定の実施形態において、IL−4Rアンタゴニストは、「mAb1」(mAb1の相補性決定領域を含む、抗体またはその抗原結合断片)と本明細書で呼ばれる参照抗体の結合特性を有する抗IL−4R抗体である。一実施形態においては、IL−4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号162/164の重鎖可変領域(HCVR)/軽鎖可変領域(LCVR)配列対中に相補性決定領域(CDR)を含む。

本発明のいくつかの実施形態は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与を含む、患者における掻痒感を処置する、軽減する、改善する、または防止するための方法を対象とする。一実施形態においては、患者は、中等度から重度のADに罹患している。いくつかの実施形態においては、ADに罹患している患者は、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤のいずれかによる処置に対して耐性である。

ある特定の実施形態において、本発明は、患者における中等度から重度のADを処置する方法であって、治療上有効量の、IL−4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物を投与すること、およびAD関連パラメータの改善を決定することを含む前記方法を含む。改善は、当業界で周知の方法によって決定またはアッセイまたは定量することができる。AD関連パラメータおよびその改善は、例えば、実施例7などの本明細書の他の場所で考察される。

ある特定の例示的な実施形態によれば、本発明は、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上のAD関連パラメータを改善するための方法を提供する。AD関連パラメータの改善は、例えば、試験責任医師包括評価(Investigator’s Global Assessment)(IGA)スコアの低下;アトピー性皮膚炎の体表面積病変(Body Surface Area Involvement of Atopic Dermatitis)(BSA)スコアの低下;湿疹面積および重症度指数(Eczema Area and Severity Index)(EASI)スコアの低下;SCORADスコアの低下;5−D掻痒感スケール(Pruritus Scale)の低下;ならびに/または掻痒感数値評価スケール(Pruritus Numeric Rating Scale)(NRS)スコアの低下を含む。例示的な実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、(i)IGAスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下;(ii)BSAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下;(iii)EASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下;(iv)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下;(v)5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下;(vi)掻痒感NRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下;および(vii)EASIの50%以上の改善(EASI50)を示す応答者のパーセントからなる群から選択される。

いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、IL−4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片を含む医薬組成物の投与後22日目から少なくとも85日目でのIGAのベースラインからの少なくとも25%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物の投与後29日目から少なくとも85日目でのBSAスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物の投与後29日目から少なくとも85日目でのEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下を含む。ある特定の実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物を投与された対象の少なくとも70%における29日目でのEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物の投与後29日目から少なくとも85日目でのSCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物の投与後15日目から少なくとも85日目での5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、医薬組成物の投与後2週目の終わりから少なくとも10週目の終わりでのNRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下を含む。

いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目でのIGAのベースラインからの少なくとも45%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目でのBSAスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目でのEASIスコアのベースラインからの少なくとも60%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目でのSCORADスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目での5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも30%の低下を含む。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後85日目から少なくとも197日目でのNRSスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下を含む。

他の例示的な実施形態によれば、本発明は、対象におけるADを処置するための方法であって、(a)少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルの上昇を示す対象を選択すること;および(b)該対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは、IL−4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片である。本発明の文脈において評価および/または測定することができる例示的なAD関連バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC;CCL17としても知られる)、免疫グロブリンE(IgE)、エオタキシン−3、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、好酸球、抗原特異的IgE(例えば、Phadiatop(商標)試験)、およびペリオスチンが挙げられる。いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、それを必要とする患者におけるAD関連バイオマーカーのレベルを決定すること、AD関連バイオマーカーのレベルが上昇した患者を選択すること、および治療上有効量の、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む。いくつかの実施形態においては、患者は、患者におけるAD関連バイオマーカーのレベルに関する情報を獲得することによって選択される。いくつかの実施形態においては、AD関連バイオマーカーのレベルは、当業界で公知の、または本明細書の他の場所に開示されるアッセイまたは試験によって決定される。一実施形態においては、患者は、処置の前、または処置の時点で約1500kU/Lより高いIgEレベルを示すことに基づいて選択される。一実施形態においては、患者は、処置の前、または処置の時点で約1000pg/mLより高いTARCレベルを示すことに基づいて選択される。本発明の関連する態様によれば、対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含み、対象への医薬組成物の投与が、投与後の対象において4、8、15、22、25、29、36日目またはそれ以後までに少なくとも1つのAD関連バイオマーカーの低下をもたらす、ADを処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態においては、患者は、投与後36日目またはそれ以後に、ベースラインからのIgEレベルの5%〜20%の低下を示す。ある特定の実施形態においては、患者は、投与後4日目またはそれ以後に、ベースラインからのTARCレベルの25%〜70%の低下を示す。

本発明はまた、対象における1つもしくはそれ以上のAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるため、または対象における1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータを改善するための方法であって、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の単回初回用量 、次いで、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の1つまたはそれ以上の第2の用量を、それを必要とする対象に逐次的に投与することを含む前記方法も提供する。

ある特定の実施形態によれば、本発明は、対象における1つもしくはそれ以上のAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるため、または対象における1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータを改善するための方法であって、該対象に、IL−4Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む約50mg〜約600mgの医薬組成物を投与することを含む前記方法を提供する。ある特定の実施形態においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、約75mg〜約300mgの前記抗体またはその抗原結合断片を含む。本発明のこの態様によれば、医薬組成物を、例えば、週に1回の投与頻度で前記対象に投与してもよい。いくつかの実施形態においては、それぞれの第2の用量は、直前の用量の1〜8週間後に投与される。ある特定の実施形態においては、少なくとも4つの用量の抗体またはその抗原結合断片が投与される。一実施形態においては、それぞれの第2の用量は、直前の用量の1週間後に投与される。ある特定の実施形態においては、初回用量は、第1の量の抗体またはその抗原結合断片を含み、1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、第2の量の抗体またはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態においては、抗体またはその断片の第1の量は、抗体またはその抗原結合断片の第2の量の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、または5倍である。いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、皮下的または静脈内的に投与される。

いくつかの実施形態においては、本発明は、IL−4Rアンタゴニストと局所コルチコステロイド(TCS)との同時投与を含む、中等度から重度のADを処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、前記方法は、AD関連パラメータの改善をアッセイすることをさらに含む。ある特定の実施形態においては、本発明は、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータを改善するための方法であって、IL−4RアンタゴニストとTCSとを同時に投与することを含み、AD関連パラメータの改善が、(i)IGAスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下;(ii)BSAスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下;(iii)EASIスコアのベースラインからの少なくとも65%の低下;(iv)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下;(v)5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%の低下;および(vi)掻痒感NRSスコアのベースラインからの少なくとも60%の低下からなる群から選択される、前記方法を提供する。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、IL−4Rに結合する抗体またはその抗原結合断片の投与後29日目でのIGAのベースラインからの少なくとも50%の低下である。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、投与後29日目でのNRSのベースラインからの少なくとも65%の低下である。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、投与後29日目でのEASIのベースラインからの少なくとも70%の低下である。いくつかの実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、投与後29日目でのSCORADのベースラインからの少なくとも60%の低下である。

ある特定の実施形態においては、TCSは、I群TCS、II群TCSおよびIII群TCSからなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、TCSは、アセポン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、吉草酸ベタメタゾンおよび酪酸ヒドロコルチゾンからなる群から選択される。

関連する実施形態においては、本発明は、IL−4RアンタゴニストとTCSとの同時投与を含み、TCSの用量がIL−4Rアンタゴニストを投与しない対象と比較して50%減少する、中等度から重度のADを有する患者におけるTCSに対する依存性を低下させるための方法を提供する。一実施形態においては、本発明は、減少した用量のTCSと同時にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む、中等度から重度のADの処置に おけるTCSの用量を減少させるための方法を提供する。TCSの用量を、例えば、10%、20%、30%、40%、または50%を超えて減少させることができる。一実施形態においては、TCSの用量を、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置の前に対象によって用いられる用量と比較して、例えば、10%、20%、30%、40%、または50%を超えて減少させることができる。

本発明はまた、ADを処置もしくは防止するのに用いるため、AD関連パラメータを改善するため、少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるため、および/または本明細書に開示される他の適応症もしくは状態のいずれかを処置するための、本明細書に開示されるIL−4Rアンタゴニストも含む。

ある特定の実施形態においては、本発明の方法のIL−4Rアンタゴニストは、IL−4Rに特異的に結合し、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む、抗体または抗原結合断片である。一実施形態においては、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片は、配列番号162/164のHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む。一実施形態においては、IL−4Rに特異的に結合する抗体または抗原結合断片は、それぞれ、配列番号148、150、152を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列と、それぞれ、配列番号156、158および160を含む3つの軽鎖相補性決定(LCDR)配列とを含む。

いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、患者に皮下的または静脈内的に投与される。いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、IL−4Rに結合する約50mg〜約600mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。さらなる実施形態においては、医薬組成物は、IL−4Rに結合する、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mgまたは約300mgの抗体またはその抗原結合断片を含む。

ある特定の実施形態においては、医薬組成物は、第2の治療剤の前に、後に、またはそれと同時に患者に投与される。いくつかの実施形態においては、第2の治療剤は、局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤である。

別の態様において、本発明は、IL−4Rアンタゴニストを用いる対象における中等度から重度のADの処置の有効性をモニタリングする方法であって、(a)IL−4Rアンタゴニストを用いる処置の前に対象から獲得された生物試料中のTARCまたは血清IgEのようなAD関連バイオマーカーの発現レベルを決定する工程;(b)IL−4Rアンタゴニストを用いる処置の後に対象から獲得された生物試料中のTARCおよび血清IgEの一方または両方の発現レベルを決定する工程;(c)工程(a)で決定されたレベルを、工程(b)で決定されたレベルと比較する工程;ならびに(d)工程(b)で決定されたレベルが工程(a)で決定されたレベルよりも低い場合、処置が有効であると結論付ける工程、または工程(b)で決定されたレベルが工程(a)で決定されたレベルと同じであるか、もしくはそれより高い場合、処置が有効ではないと結論付ける工程を含む、前記方法を提供する。一実施形態においては、工程(b)におけるレベルは、工程(a)におけるレベルを決定した1週間、2週間、3週間、4週間、または5週間後に決定される。一実施形態においては、バイオマーカーはTARCであり、TARCレベルがIL−4 Rアンタゴニストの投与後に低下する場合、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置が有効であると決定される。一実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片であり、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVR配列対に由来する重鎖および軽鎖CDR配列を含む。

バイオマーカーの発現レベルは、例えば、IL−4Rアンタゴニストの投与の1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、またはそれより後に決定し、該アンタゴニストの投与前の発現レベルと比較することができる。IL−4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL4R抗体)の用量または投薬レジメンを、前記決定の後に調整することができる。例えば、バイオマーカーの発現が前記アンタゴニストの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、またはそれより長い期間以内に低下することができない場合、該アンタゴニストを用いる処置を停止するか、または該アンタゴニストの用量を増加させることができる。バイオマーカーの発現がアンタゴニストの投与後に低下する場合、アンタゴニストの用量を維持するか、または低下させて、最小有効用量を同定することができる。いくつかの実施形態においては、処置は最小有効用量で維持される。

別の態様において、本発明は、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置に対する対象の応答をモニタリングする方法であって、対象が中等度から重度のADを有し、(a)対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与後の対象に由来する生物試料中のTARCとIgEの一方または両方の発現レベルに関する情報を獲得すること;および(b)TARCまたはIgEの発現レベルがIL−4Rアンタゴニストを用いる処置前のレベルと比較して低下した場合、処置を継続するべきであるとの指示を提供することを含む、前記方法を提供する。一実施形態においては、バイオマーカーはTARCであり、TARCレベルが前記アンタゴニストの投与後に低下すると決定される場合、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置を継続する指示が提供される。

本発明はまた、アトピー性皮膚炎(AD)(例えば、中等度から重度の好酸球性AD、外因性AD、内因性ADなど)の処置および/もしくは防止のための医薬の製造における使用のため、または本明細書に開示される他の適応症もしくは状態のいずれかを処置するための、本明細書に開示されるIL−4Rアンタゴニストも含む。

本発明はまた、AD(例えば、中等度から重度の好酸球性ADなど)の処置および/もしくは防止における使用のため、または本明細書に開示される他の適応症もしくは状態のいずれかを処置および/もしくは防止するための、本明細書に開示されるIL−4Rアンタゴニストも含む。

一実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは、抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片である。

本発明は、ADおよび関連する状態の処置および/または防止における使用のための、抗IL4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物を含む。

本発明はまた、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上のAD関連パラメータを改善するのに使用するための抗IL4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片 を含む医薬組成物も含む。

さらに、本発明は、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上のAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるのに使用するための抗IL4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物を含む。

本発明は、胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC)、IgE、エオタキシン−3、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、およびペリオスチンからなる群から選択されるバイオマーカーのレベルが上昇した患者におけるADの処置における使用のための抗IL−4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物を含む。

本発明は、処置が、処置前の対象中のバイオマーカーのレベルと比較して、処置後4、8、15、22、25、29または36日目までに対象中のAD関連バイオマーカーの低下をもたらす、対象におけるADの処置における使用のための抗IL−4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物をさらに含む。ある特定の実施形態においては、AD関連バイオマーカーは、TARCとIgEの一方または両方である。

本発明は、単回初回用量、次いで、1つまたはそれ以上の第2の用量として対象に逐次的に投与される、AD関連パラメータの改善における使用のため、またはそれを必要とする対象におけるAD関連バイオマーカーのレベルを低下させるための抗IL−4R抗体アンタゴニストまたはその抗原結合断片を含む医薬組成物をさらに含む。

一実施形態においては、1つまたはそれ以上の第2の用量は、毎週投与される。

いくつかの実施形態においては、医薬組成物は、75mg〜600mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片を含む。一実施形態においては、医薬組成物は、300mgの抗IL−4R抗体またはその断片を含む。

別の態様において、本発明は、ヒト対象に投与されるインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストの治療用量が安全であるかどうかをモニタリングする方法であって、ヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報が、即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象の発生を含む、前記情報を獲得すること;1つまたはそれ以上の前記事象が発生したことを決定すること、前記治療用量が安全ではないと決定すること、ならびに場合により、該治療用量を中止するか、または低下させるよう助言することを含む、前記方法を提供する。

関連する態様において、本発明は、ヒト対象に投与されるインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストの治療用量が安全であるかどうかをモニタリングする方法であって、ヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報が、即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象の発生を含む、前記情報を獲得すること;1つまたはそれ以上の前記事象が発生しなかったことを決定すること;ならびに前記治療用量が安全であると決定することを含む、前記方法を提供する。

一実施形態においては、感染は、上気道感染、咽頭炎、または副鼻腔炎である。一実施形態においては、注射部位反応は、紅斑、疼痛、結節、血腫または掻痒感である。一実施形態においては、疼痛は2mm VASより大きい、例えば、3mm〜30mm VASである。一実施形態においては、紅斑の直径は、9mm以上である。

一実施形態においては、安全な治療用量は500mg以下である。一実施形態においては、安全な治療用量は、75mg、150mg、および300mgからなる群から選択される。

別の態様において、本発明は、薬物がインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストである薬物の投与後のヒト対象の血清中の抗薬物抗体の量を定量またはモニタリングする方法であって、(a)ある用量の前記IL−4Rアンタゴニストを投与されたヒト対象から前記血清の試料を取得すること;および(b)前記血清試料中の抗薬物抗体の量を決定することを含む、前記方法を提供する。

別の態様において、本発明は、第1の方法および提唱される等価な第2の方法により製造されたインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを比較する方法であって、第1の方法により製造されたアンタゴニストの第1のヒトへの投与後、および第2の方法により製造されたアンタゴニストの第2のヒトへの投与後のアンタゴニストの安全性に関する情報を獲得することを含み、該情報が、即時の処置を要するアナフィラキシー反応または急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、正常範囲上限(ULN)の2倍以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、過剰投与、および単純ヘルペスII型ウイルス感染からなる群から選択される1つまたはそれ以上の事象を含み;前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異ならない場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されると決定され;前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異なると決定される場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されないと決定される、前記方法を提供する。

関連する態様において、本発明は、第1の方法および提唱される等価な第2の方法により製造されたインターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを比較する方法であって、第1の方法により製造されたアンタゴニストの用量の第1のヒトへの投与後、および第2の方法により製造されたアンタゴニストの用量の第2のヒトへの投与後のアンタゴニストの治療用量に関する情報を獲得することを含み、該情報が(a)約4mg・h/ml〜約20mg・h/mlの、時間ゼロからリアルタイムまでの台形法を用いて算出された血漿濃度対時間曲線下面積(AUClast);(b)約15μg/ml〜約42μg/mlの、最大観測血漿濃度(Cmax);(c)約40h〜約280hの、第1の最大血漿濃度到達時間(tmax);(d)約5,000,000ng/h*mL〜約25,000,000ng/h*mLの、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)および(e)約50h〜約200hの、終末相半減期到達時間(t1/2Z)の1つまたはそれ以上を含み、前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異ならない場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されると決定され;前記情報が第1の方法により製造されたアンタゴニストおよび第2の方法により製造されたアンタゴニストについて有意に異なると決定される場合、2つの方法は等価なアンタゴニストを製造することについて許容されないと決定される、前記方法を提供する。

別の態様において、本発明は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニ ストを含む医薬組成物の治療剤形であって、ヒトへの該剤形の投与が、(a)約4mg・h/ml〜約20mg・h/mlの、時間ゼロからリアルタイムまでの台形法を用いて算出された血漿濃度対時間曲線下面積(AUClast);(b)約15μg/ml〜約42μg/mlの、最大観測血漿濃度(Cmax);(c)約40h〜約280hの、第1の最大血漿濃度到達時間(tmax);(d)約5,000,000ng/h*mL〜約25,000,000ng/h*mLの、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)および(e)約50h〜約200hの、終末相半減期到達時間(t1/2Z)の1つまたはそれ以上を提供する、前記治療剤形を提供する。

一実施形態においては、安全な治療用量は、500mg以下である。一実施形態においては、安全な治療用量は、75mg、150mg、および300mgからなる群から選択される。

本発明のある特定の態様は、ワクチン適用において有用である方法および組成物に関する。本発明は、対象における抗原に対する免疫応答を増強または強化するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、対象における抗原に対する免疫応答を増強または強化するための方法は、抗原とIL−4Rアンタゴニストとを含む医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態は、(a)抗原を含むワクチン組成物を対象に投与すること;ならびに(b)該ワクチン組成物の該対象への投与の前に、それと同時に、および/またはその後にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法に関する。本発明はまた、(a)抗原;および(b)IL−4Rアンタゴニストを含む、対象における前記抗原に対する免疫応答を増強または強化するための医薬組成物も提供する。1つの例示的実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは、抗IL−4R抗体(本明細書の実施例1に例示される)である。ある特定の実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは、「mAb1」と本明細書で呼ばれる参照抗体の結合特性を有する抗IL−4R抗体(例えば、mAb1の相補性決定領域を含む抗体またはその抗原結合断片)である。

本発明の他の実施形態は、以下の詳細な説明の概説から明らかとなる。

単回皮下投与後の平均(SD)血清機能的mAb1濃度−時間プロファイルのCartesianプロットを示す図である。

実施例5に記載の注射手順および疼痛評価の図表示である。

実施例6における試験に関するIGAスコア応答者率(0または1のスコア)−最終観察繰越(last observation carried forward)(LOCF)を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均IGAスコアの変化を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均IGAスコアの変化率を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均EASIスコアの変化を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均EASIスコアの変化率を示す図である。

実施例6における試験に関するLOCFまでのEASI50応答者率を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均BSAの変化を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均BSAの変化率を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均5−Dの変化を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均5−Dの変化率を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均NRSの変化を示す図である。

実施例6における試験に関するベースラインからLOCFまでの平均NRSの変化率を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの抗IL−4R抗体対プラセボを投与された患者におけるBSAのベースラインからの変化率を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの抗IL−4R抗体対プラセボを投与された患者におけるIGAのベースラインからの変化率を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの抗IL−4R抗体対プラセボを投与された患者におけるEASIのベースラインからの変化率を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの抗IL−4R抗体対プラセボを投与された患者における掻痒感NRSのベースラインからの変化率を示す図である。

実施例8における試験に関する、300mgの抗IL−4R抗体に対する中等度から重度のADを有する患者におけるEASI応答時間経過を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの抗IL−4R抗体対プラセボを投与されたEASIスコアの応答者率を示す図である。

実施例8における試験に関する、75mg、150mgまたは300mgの用量で投与された抗IL−4R抗体対プラセボに対する4週目(29日目)でのEASI応答を示す図である。

実施例8における試験に関する、1以下のIGAを達成する患者の割合を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインから最終観察繰越(LOCF)までの平均EASIスコアの変化率を示す図である。

実施例10における試験に関する、LOCFまでのIGAスコア応答者率(0または1のスコア)を示す図である。

実施例10における試験に関する、LOCFまでのIGAスコア応答者率(2以上のスコアの低下)を示す図である。

実施例10における試験に関する、LOCFまでのEASIスコア応答者率(ベースラインからの50%のスコアの低下)を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均EASIスコアの変化を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均IGAスコアの変化を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均IGAスコアの変化率を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均BSAの変化を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均SCORADスコアの変化を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均NRSスコアの変化を示す図である。

実施例10における試験に関する、ベースラインからLOCFまでの平均5−D掻痒感スコアの変化を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均EASIスコアの変化率を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均EASIスコアの変化を示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでのEASI50応答者率を示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでの最初のEASI50までの時間のKaplan−Meierプロットを示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均IGAスコアの変化率を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均IGAスコアの変化を示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでのIGAスコア応答者率(0または1のスコア)を示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでの1以下の最初のIGAまでの時間のKaplan−Meierプロットを示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでの、依然として再発がない、各来院時に1以下のIGAを有する患者の割合を示す図である。

実施例11における試験に関する、打ち切りLOCFまでの、各来院時に2以上のIGAのベースラインからの低下を有する患者の割合を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均SCORADスコアの変化率を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均SCORADスコアの変化を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均掻痒感NRSの変化率を示す図である。

実施例11における試験に関する、ベースラインから打ち切りLOCFまでの平均掻痒感NRSの変化を示す図である。

実施例12における試験に関する、ベースラインでの血清IgEレベル(A)を示す図である。

実施例12における試験に関する、様々な用量のmAb1またはプラセボに対する応答の中央変化率(B)を示す図である。

実施例12における試験に関する、ベースラインでの血清TARCレベル(A)を示す図である。

実施例12における試験に関する、様々な用量のmAb1またはプラセボに対する応答の平均変化率(B)を示す図である。

実施例12における試験に関する、プラセボと比較したプールされたmAb1群のTARCレベルの変化を示す図である。

実施例12のセクションBの試験における、患者の(A)TARCのベースラインレベルの分布を示す図である。

実施例12のセクションBの試験における、患者の(B)総血清IgEのベースラインレベルの分布を示す図である。

実施例12のセクションBの試験における、患者の(C)乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のベースラインレベルの分布を示す図である。

実施例12のセクションBの試験に関する、ベースラインからのIgEの中央変化率を示す図である。

実施例12のセクションBの試験に関する、ベースラインからのLDHの中央変化率を示す図である。

実施例12のセクションBの試験に関する、ベースラインからのTARCの中央変化率を示す図である。

実施例12のセクションCの試験に関する、ベースラインからのIgEの中央変化率を示す図である。

実施例12のセクションCの試験に関する、ベースラインからのTARCの中央変化率を示す図である。

本発明を説明する前に、本発明が記載される特定の方法および実験条件に限定されず、そのようなものとして方法および条件が変化してもよいことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で用いられる用語は特定の実施形態だけを説明するためのものであり、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。

別途定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業界の通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で用いられる用語「約」は、特定の記載される数値を参照して用いられる場合、その値が記載された値から1%以下で変化してもよいことを意味する。例えば、本明細書で用いられる場合、「約100」という表現は、99および101ならびにその間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。本明細書で用いられる用語「処置する」、「処置すること」などは、症状を軽減する、一時的もしくは永続的な基準で症状の原因を除去する、または名称のある障害もしくは状態の症状の出現を防止する、もしくは遅延させることを意味する。

本発明は、IL−4Rアンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を含む。本明細書で用いられる表現「それを必要とする対象」は、アトピー性皮膚炎の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候を示す、および/またはアトピー性皮膚炎と診断されたヒトまたは非ヒト動物を意味する。ある特定の実施形態においては、本発明の方法を用いて、1つまたはそれ以上のAD関連バイオマーカー(本明細書の他の場所に記載される)のレベルの上昇を示す患者を処置することができる。例えば、本発明の方法は、IgEまたはTARCまたはペリオスチンのレベルが上昇した患者にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む。いくつかの実施形態においては、本明細書の方法を用いて、1歳以下の子供におけるADを処置することができる。例えば、本発明の方法を用いて、1カ月未満、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月または12カ月未満の月齢である幼児を処置することができる。他の実施形態においては、本発明の方法を用いて、18歳以下である子供および/または青年を処置することができる。例えば、本発明の方法を用いて、17歳未満、16歳、15歳、14歳、13歳、12歳、11歳、10歳、9歳、8歳、7歳、6歳、5歳、4歳、3歳、または2歳未満の年齢の子供または青年を処置することができる。

本発明の文脈において、「それを必要とする対象」は、処置の前に、例えば、上昇したIGA、BSA、EASI、SCORAD、5D−掻痒感、および/もしくはNRSスコアなどの1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータ、ならびに/または例えば、IgEおよび/もしくはTARC(本明細書の他の場所に記載される)などの1つもしくはそれ以上のAD関連バイオマーカーの上昇したレベルを示す(または示した)対象を含んでもよい。ある特定の実施形態においては、「それを必要とする対象」は、ADにより罹りやすい集団のサブセットを含んでもよく、またはAD関連バイオマーカーのレベルの上昇を示してもよい。例えば、「それを必要とする対象」は、集団中に存在する人種または民族により定義される集団のサブセットを含んでもよい。

本明細書で用いられる「アトピー性皮膚炎」(AD)は、強い掻痒感(例えば、激しい痒み)ならびに鱗状および乾燥した湿疹病変を特徴とする炎症性皮膚疾患を意味する。用語「アトピー性皮膚炎」としては、限定されるものではないが、上皮バリアの機能障害、アレルギー(例えば、ある特定の食品、花粉、カビ、イエダニ、動物などに対するアレルギー)、放射線曝露、および/または喘息により引き起こされるか、またはそれと関連するADが挙げられる。本発明は、軽度、中等度から重度のADを有する患者を処置する方法を包含する。本明細書で用いられる場合、「中等度から重度のAD」は、持続的な細菌、ウイルスまたは真菌感染によって悪化することが多い、強い掻痒感を伴う広く拡散した皮膚病変を特徴とする。中等度から重度のADはまた、患者における慢性ADも含む。多くの場合、慢性病変は、肥厚した皮膚斑、苔蘚化および線維性丘疹を含む。中等度から重度のADに罹患した患者はまた、一般に、20%を超える身体の皮膚が罹患しているか、または眼、手および身体のシワの病変に加えて、皮膚面積の10%が罹患している。中等度から重度のADはまた、局所コルチコステロイドを用いる頻繁な処置を必要とする患者において存在すると考えられる。患者はまた、その患者が局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤または当業界で公知の任意の他の一般的に用いられる治療剤のいずれかによる処置に対して耐性であるか、または難治性である場合、中等度から重度のADを有すると言うことができる。

本発明は、外因型と内因型のADの両方を処置する方法を含む。IgEによる感作およびTh2サイトカインレベルの増大と関連する外因型のADは、ADを有する患者の70%〜80%を含む。IgEによる感作がない内因型は、ADを有する患者の20%〜30%を含む;これらの患者は、外因性ADよりも低レベルのIL−4およびIL−13を有する。

本発明は、局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない患者におけるADを処置する方法を含む。本明細書で用いられる用語「TCSまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない」とは、TCSまたはカルシニューリン阻害剤で処置され、TCS/カルシニューリン阻害剤が治療効果を有さないADを有する対象または患者を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、ADの症状を軽減する、改善する、または減少させるために投与されたTCS/カルシニューリン阻害剤の患者のコンプライアンスならびに/または毒性および副作用ならびに/または無効性の低下を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、TCS/カルシニューリン阻害剤による処置に対して難治性である中等度から重度のADに罹患している患者を指す。いくつかの実施形態においては、この用語は、TCSおよび/またはカルシニューリン阻害剤を用いる処置にも拘らず制御されないADを有する患者を指す。いくつかの実施形態においては、「TCSまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置に対して耐性である、非応答性である、または十分に応答しない」患者は、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善を示さなくてもよい。AD関連パラメータの例は、本明細書の他の場所に記載されている。例えば、TCS/カルシニューリン阻害剤を用いる処置は、掻痒感またはEASIスコアまたはBSAスコアの低下をもたらさなくてもよい。いくつかの実施形態においては、本発明は、TCS/カルシニューリン阻害剤で1カ月以上前に処置されたが、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの低下を示さない患者における中等度から重度のADを処置する方法を含む。例えば、本発明の方法を用いて、TCS/カルシニューリン阻害剤の安定なレジメン上にあったが、10%以上のBSAスコアおよび3以上のIGAスコアを有する、慢性ADを有する患者を処置することができる。

代替的な実施形態においては、用語「それを必要とする対象」は、6カ月を超えて、1年を超えて、2年を超えて、約5年を超えて、約7年を超えて、または約10年を超えて 1つまたはそれ以上のTCSを投与された中等度から重度のADを有する患者を含む。この患者は、TCSの有害な副作用を最小化するか、または回避することを望むことができる。本発明は、患者における中等度から重度のADの長期間にわたるより安全でより有効な管理のための方法であって、TCSと同時にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含み、その用量がTCSの有害な副作用を最小化するか、または防止するように調整される、前記方法を含む。ある特定の実施形態においては、本発明は、中等度から重度のADを有する患者におけるTCSに対する依存性を低下させる方法であって、強なTCSと同時に治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを投与することを含み、患者により用いられるTCSの量が、IL−4Rアンタゴニストを投与されない患者と比較して約50%減少する、前記方法を含む。ある特定の実施形態においては、本発明は、中等度から重度のADを有する患者におけるTCSに対する依存性を低下させる方法であって、強力なTCSと同時に治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを投与することを含み、患者により用いられるTCSの量が、IL−4Rアンタゴニストを用いる処置前に患者により用いられる量と比較して約50%減少する、前記方法を含む。ある特定の実施形態においては、IL−4RアンタゴニストとTCSの投与は、単剤療法と比較した場合、ADを処置する際に付加的または相乗的活性をもたらす。

本明細書で用いられる用語「TCS」は、I群、II群、III群およびIV群局所コルチコステロイドを含む。世界保健機関の解剖治療分類法によれば、コルチコステロイドは、ヒドロコルチゾンと比較したその活性に基づいて、弱い(I群)、中等度に強力(II群)および強力(III群)および非常に強力(IV群)と分類される。IV群TCS(非常に強力)は、ヒドロコルチゾンより最大600倍強力であり、プロピオン酸クロベタゾールおよびハルシノニドが挙げられる。III群TCS(強力)は、ヒドロコルチゾンより50〜100倍強力であり、限定されるものではないが、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ジフルコルトロン、ヒドロコルチゾン−17−ブチレート、フロ酸モメタゾン、およびアセポン酸メチルプレドニゾロンが挙げられる。II群TCS(中等度に強力)は、ヒドロコルチゾンより2〜25倍強力であり、限定されるものではないが、酪酸クロベタゾン、およびトリアムシノロンアセトニドが挙げられる。I群TCS(軽い)としては、ヒドロコルチゾンが挙げられる。

本明細書に記載のものと類似するか、または等価である任意の方法および材料を本発明の実施において用いることができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本明細書に記載の全ての刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

アトピー性皮膚炎(AD)関連パラメータを改善するための方法 本発明は、それを必要とする対象における1つまたはそれ以上のアトピー性皮膚炎(AD)関連パラメータを改善するための方法であって、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法を含む。

「AD関連パラメータ」の例としては、(a)試験責任医師包括評価(IGA);(b)アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA);(c)湿疹面積および重症度指数(EASI);(d)SCORAD;(e)5−D掻痒感スケール;ならびに(f)掻痒感数値評価スケール(NRS)が挙げられる。「AD関連パラメータの改善」とは、IGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感スケール、またはNRSの1つまたはそれ以上のベースラインからの低下を意味する。AD関連パラメータに関して本明細書で用いられる用語「ベースライン」は、本発明の医薬組成物の投与の前の、または投与の時点での対象に関するAD関連パラメータの数値を意味する。

AD関連パラメータが「改善」されたかどうかを決定するために、そのパラメータを、 ベースライン時に、および本発明の医薬組成物の投与後の1つまたはそれ以上の時点で定量する。例えば、AD関連パラメータを、本発明の医薬組成物を用いる初回の処置後、1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目、10日目、11日目、12日目、14日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目、85日目に;または1週目、2週目、3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目、13週目、14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目もしくはそれより長い期間の終わりに測定することができる。処置の開始後の特定の時点でのパラメータの値と、ベースライン時のパラメータの値との差異は、AD関連パラメータの「改善」(例えば、低下)があったかどうかを確立するために用いられる。

試験責任医師包括評価(IGA)。IGAは、0(消失)から5(非常に重篤)までの6点のスケール範囲に基づいてADの重症度および処置に対する臨床応答を決定するための臨床設定において用いられる評価スケールである。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、IGAスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、IGAスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、IGAのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までにIGAのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後22日目までにIGAのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。他の実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにIGAのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも45%の低下をもたらす。

アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)。BSAは、身体のそれぞれの主要な部分(頭部、胴体、腕および脚)について評価され、組み合わせた全ての主要な身体部分のパーセンテージとして報告される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、BSAスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、BSAスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、BSAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも40%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにBSAスコアのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも50%の低下をもたらす。

湿疹面積および重症度指数(EASI)。EASIは、ADの重症度および程度を評価するための臨床設定において用いられる検証された尺度である(Hanifinら、2001、Exp.Dermatol.10:11〜18頁)。4つのAD疾患特性が、0(なし)から3(重篤)までのスケールで医師または他の適格な医療専門家によって重症度について評価される。さらに、AD病変の面積は、頭部、胴体、腕および脚の体面積によりパーセンテージとして評価され、0〜6のスコアに変換される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、EASIスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、EASIスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、EASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも45%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも50%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにEASIスコアのベースラインからの少なくとも55%または少なくとも60%の低下をもたらす。

SCORAD。アトピー性皮膚炎スコアリング(SCORAD)は、European Task Force on Atopic Dermatitis(Consensus Report of the European Task Force on Atopic Dermatitis、1993、Dermatology(Basel)186(1):23〜31頁)により開発されたアトピー性皮膚炎の重症度(例えば、程度または強度)の臨床評価である。ADの程度は、それぞれ定義される体面積のパーセンテージとして評価され、全面積の合計として報告され、その最大スコアは100%である(全体SCORAD計算において「A」と割当てられる)。ADの6つの特異的症状の重症度を、以下のスケール:なし(0)、軽度(1)、中等度(2)、または重度(3)を用いて評価する(最大18の合計点について、全体SCORAD計算において「B」と割当てられる)。痒みおよび不眠の主観的評価を、患者によってそれぞれの症状について記録するか、または視覚的アナログスケール(VAS)(0は痒み(もしくは不眠)なしであり、10は想像できる最悪の痒み(もしくは不眠)であり、最大可能スコアは20である)で相対的に記録する。このパラメータは、全体SCORAD計算において「C」と割当てられる。SCORADは、A/5+7B/2+Cとして計算される。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、SCORADスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、SCORADのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、SCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後29日目 までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも35%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにSCORADスコアのベースラインからの少なくとも40%または少なくとも45%の低下をもたらす。

5−D掻痒感スケール。5−D掻痒感スケールは、5次元のバックグラウンドの痒み:程度、持続期間、方向、身体障害、および分布を評価するための臨床設定において用いられる1ページの5個の質問のツールである(ElmanおよびHynan、2010、Brit.J.Dermatol.162:587〜593頁)。それぞれの質問は、5次元の痒みの1つに対応する;患者はその症状を、「存在する」または1〜5のスケールで評価し、この場合、5が最も影響されている。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、5−D掻痒感スケールの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85日目またはそれより後の時点で、5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までに5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも15%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後15日目までに5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも20%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までに5−D掻痒感スケールのベースラインからの少なくとも25%または少なくとも30%の低下をもたらす。

掻痒感数値評価スケール(NRS)。掻痒感NRSは、前の12時間におけるADの結果として、1〜10のスケールで対象の最悪の痒みを評価するために用いられる単独質問の評価ツールである。本発明のある特定の実施形態によれば、患者へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、NRSスコアの低下をもたらす。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストの投与後(例えば、約75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体またはその抗原結合断片の皮下投与後)、1週目、2週目、3週目、4週目、5週目、6週目、7週目、8週目、9週目、10週目、11週目、12週目もしくはそれより後の終わりに、NRSスコアのベースラインからの少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%以上の低下をもたらす治療方法を含む。本発明のある特定の例示的な実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、NRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後2週目の終わりまでにNRSスコアのベースラインからの少なくとも25%の低下をもたらす。本発明の一実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、投与後2週目の終わりまでにNRSスコアのベースラインからの少なくとも30%の低下をもたらす。いくつかの実施形態においては、対象へのIL−4Rアンタゴニストの投与は、処置の際に85日目までにNRSスコアのベースラインからの少なくとも45%または少なくとも50%の低下をもたらす。

包括個人徴候スコア(Global Individual Signs Score)(GISS)。AD病変の個々の構成要素(紅斑、浸潤/集団、擦りむき、および苔蘚化)を、EASI重症度等級付け基準を用いて4点スケール(0=なしから3=重篤まで )で包括的に評価する(すなわち、解剖学的領域によってではなく、全身についてそれぞれ評価する)。

掻痒感分類スケール(Pruritus Categorical Scale)。掻痒感分類スケールは、ADの臨床試験において用いられた症状を評価するために用いられる4点スケールであり、「中程度」ほどでもない効果を有する(Kaufmann、2006)。このスケールは以下のように評価される:0:掻痒感なし;1:軽度の掻痒感(たまのわずかな痒み/引っ掻き);2:中等度の掻痒感(睡眠を妨げない定常的または間欠的な痒み/引っ掻き)および3:重度の掻痒感(睡眠を妨げる煩わしい痒み/引っ掻き)。

患者向け湿疹尺度(Patient Oriented Eczema Measure)(POEM)。POEMは、子供および成人における疾患症状を評価するために臨床実務および臨床試験において用いられる7項目の検証された質問票である(Charman、2004)。形式は7項目(乾燥、痒み、剥離、ひび割れ、睡眠不足、出血、および浸出)に対する応答であり、0〜28のスコアリング系であり、高いスコアはQOLの低下を示す。

皮膚科学的生活の質指数(Dermatology Life Quality Index)(DLQI)。DLQIは、QOLに対するAD疾患症状および処置の影響を評価するために臨床実務および臨床試験において用いられる10項目の検証された質問票である(Badia、1999)。形式は、過去の週にわたってQOLを評価する10項目に対する単純な応答であり、0〜30の全体スコアリング系であり、高いスコアはQOLの低下を示す。

痒みQOL(Itchy QOL)。痒みQOLは、掻痒感の症状、感情的、および機能的影響に対処する検証された掻痒感特異的手段である。3つの型の影響に対処するための全体スコアならびにサブスケールスコアが存在する。これは、信頼性が高く、妥当であり、応答性の高い質問票である(Desai、2008)。

EQ−5D。EQ−5Dは、臨床的および経済的評価のための健康の単純で一般的な尺度を提供するためのEuroQOI Groupにより開発された健康状態の標準的な尺度である。健康関連QOLの尺度としてのEQ−5Dは、5次元:運動性、セルフケア、通常活動、疼痛/不快感、および不安/抑鬱に関して健康を定義する。それぞれの次元は、3つの通常レベルの重症度を有する:「問題なし」(1)、「いくつかの問題」(2)、「重度の問題」(3)。全体的な健康状態は、5桁の数字として定義される。5次元の分類により定義される健康状態を、健康状態を定量する対応する指数スコアに変換することができ、ここで0は「死亡」を表し、1は「完全な健康」を表す。

HADS。HADSは、不安および抑鬱の状態を検出するために用いられる一般的なLikertスケールである(Bjelland、2002)。質問票上の14項目は、不安と関連する7項目と、抑鬱と関連する7項目を含む。質問票上の各項目をスコア化する;ある人は不安または抑鬱のいずれかについて0〜21のスコアを有し得る。

疾患状態および処置効果の患者包括評価(Patient Global Assessment of Disease Status and Treatment Effect)。患者は、不良から優秀までの5点のLikertスケールに基づいてその全体の福祉を評価する。患者は、「あなたの湿疹があなたに影響を及ぼす全ての方法を考慮して、あなたがどのようによく考えているかを示してください」と尋ねられる。応答の選択は、「不良」;「順調」;「良好」;「非常に良好」;「優秀」である。

処置の効果について、患者は、不良から優秀までの5点のLikertスケールに基づいて試験処置に関するその満足度を評価する。患者は、「あなたの湿疹が試験医薬に応答した方法をあなたはどのように評価しますか?」と尋ねられる。応答の選択は、「不良」;「順調」;「良好」;「非常に良好」;「優秀」である。

アトピー性皮膚炎の長期的管理のための方法 本発明は、患者における中等度から重度のADの長期的管理のための方法を含む。ある特定の実施形態においては、前記方法は、局所コルチコステロイド(TCS)のような従来の治療剤と同時にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む。さらなる実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストは、本明細書に記載の抗IL−4R抗体であってもよい。

本明細書で用いられる用語「従来の治療剤」とは、患者におけるADを処置するために一般的または日常的に用いられる治療剤および薬物を指す。従来の治療剤は、全身ならびに局所治療剤を含む。例えば、最も一般的または頻繁に処方される薬物は、局所コルチコステロイド(TCS)である。そのような薬剤の他の例としては、限定されるものではないが、局所カルシニューリン阻害剤、抗ヒスタミン剤、経口免疫抑制剤、および糖質コルチコイド、全身免疫抑制剤、例えば、メトトレキサート、シクロスポリン、およびアザチオプリンが挙げられる。従来の治療剤は、ADの症状を緩和するために用いられるが、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症、骨髄抑制、腎毒性、肝毒性、白血球減少症、微生物感染の危険性の増大を含む、いくつかの、およびかなりの有害な副作用を有する。コルチコステロイドおよびカルシニューリン阻害剤のような局所薬剤は、不可逆的な皮膚の萎縮、色素沈着、座瘡状発疹の危険性ならびに皮膚悪性腫瘍およびリンパ腫を含む全身吸収と関連する危険性のため、長期的適用については推奨されない。また、長期間にわたる任意の局所治療剤の反復的適用は、患者のコンプライアンスを損ない得る。

本明細書で用いられる用語「ADの長期的管理」とは、長期間にわたる、典型的には、約2年を超える、約5年を超える、約10年を超える、または約20年を超えるADの1つまたはそれ以上の症状または疾患状態の処置または封じ込めを指す。ADの長期的管理は、6カ月を超える、1年を超える、2年を超える、または約5年を超える期間にわたって1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの処置方法またはそれを改善するための方法であって、TCSのような従来の治療剤と共に、抗IL−4Rアンタゴニストを投与することを含む、前記方法を含む。IL−4R抗体およびTCSの投与レジメンおよび用量を、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータが有意に改善される、ならびに従来の薬剤に起因する毒性が防止または最小化されるように、調整するか、または変化させる。いくつかの実施形態においては、IL−4R抗体を、AD関連パラメータの有意な改善のためのより高い負荷用量で、次いで、改善を持続させるか、または維持するためのより低い通常の用量で投与してもよい。同時に投与されるTCSを、典型的には、IL−4R抗体で処置されない患者と比較して約20%、約30%、約40%、約50%または約60%減少した、少ない用量で投与してもよい。投与レジメンおよび投薬量は、本明細書の他の場所に記載されている。いくつかの実施形態においては、本発明は、中等度から重度のADを有する患者におけるTCSに対する依存性を低下させるための方法を含む。

ある特定の実施形態においては、本発明は、1年を超えて、約5年を超えて、約10年を超えて、または約15年を超えてADを有する患者を処置するための方法であって、TCSのような従来の治療剤と共に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む、前記方法を含む。

別の態様において、本発明は、患者における中等度から重度のADの長期的管理におけ る、より安全な、および/またはより有効な治療のための方法を含む。本明細書で用いられる用語「より安全な、および/またはより有効な治療」とは、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータが有意に改善される、ならびに従来の薬剤に起因する副作用および毒性が最小化または防止されるように、TCSのような従来の治療剤と共にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む処置方法を指す。ある特定の実施形態においては、AD関連パラメータの改善は、(a)試験責任医師包括評価(IGA)スコアのベースラインからの少なくとも50%の低下;(b)掻痒感数値評価スケール(NRS)スコアのベースラインからの少なくとも65%の低下;(c)湿疹面積および重症度指数(EASI)スコアのベースラインからの少なくとも70%の低下;ならびに(d)SCORADスコアのベースラインからの少なくとも60%の低下からなる群から選択される。いくつかの実施形態においては、従来の薬剤の用量を減少させるか、または低下させて、有害な副作用を最小化する。いくつかの実施形態においては、本明細書に記載の処置方法は、ステロイドの減少または中止後のリバウンドの危険性を減少させるか、または除去することができる。

本発明は、従来の治療剤に対してより敏感であるか、またはより感受性であり得る子供または若い成人などの患者におけるADの長期的管理におけるより有効でより安全な治療のための方法を含む。

本発明の別の態様において、中等度から重度のADの処置の間のTCSのような従来の治療剤に対するAD患者の依存性を減少させるか、または除去するための方法が提供される。本発明の一実施形態においては、前記方法は、バックグラウンド治療で制御されないか、または部分的に制御される中等度から重度のADを有する患者を選択すること;初期処置期間にわたって患者のバックグラウンド治療を維持しながら、該患者に、規定用量のIL−4Rアンタゴニスト、好ましくは抗IL−4R抗体を、初回処置期間にわたって投与すること;およびIL−4Rアンタゴニストの投与を継続しながら、その後の処置期間にわたってバックグラウンド治療の1つまたはそれ以上の成分の用量を徐々に減少させることを含む。本明細書で用いられる用語「バックグラウンド治療」とは、ADを処置するために用いられる当業界で公知の標準的または従来的な治療剤(本明細書の他の場所に記載される)を指す。ある特定の実施形態においては、バックグラウンド治療は、TCS、または局所カルシニューリン阻害剤を含む。一実施形態においては、バックグラウンド治療は、フロ酸モメタゾンまたはアセポン酸メチルプレドニゾロンのような強力なIII群TCSである。いくつかの実施形態においては、TCSのような従来の治療剤の用量を、初回処置期間時に除去するか、または完全に離脱させる。例えば、TCSを初回処置期間において投与し、その後の処置期間において完全に停止または離脱させる。ある特定の実施形態においては、TCSを、初回処置期間の間の用量と比較して約10%、約20%、約30%、約40%、約50%以上減少させる。

中等度から重度のADを有する患者のための処置レジメンの一例においては、IL−4Rアンタゴニストは、初回処置期間(「安定期」とも呼ばれる)の間に、中等度から重度のADを有する患者に投与され、TCSのような従来の治療剤はバックグラウンド治療として患者に投与される。その後の処置期間(「離脱期」とも呼ばれる)の間に、TCSの投与を、初回処置期間と比較して約5〜60%徐々に減少させる。一実施形態においては、TCSを停止させる、すなわち、TCSを、それが離脱されるか、または除去されるまでその後の処置期間にわたって徐々に減少させる。

本発明の関連する態様において、体系的バックグラウンド治療離脱を用いたバックグラウンド治療へのアドオン治療を含むADを処置する方法が提供される。本発明のある特定の実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストを、ある特定の期間(例えば、1週間、2週間、3週間、1カ月、2カ月、5カ月、12カ月、18カ月、24カ月、またはそ れ以上)にわたってバックグラウンド治療にある(「安定期」とも呼ばれる)AD患者へのアドオン治療として投与する。いくつかの実施形態においては、バックグラウンド治療は、TCSを含む。安定期の後、バックグラウンド治療離脱期があり、ここで、アドオン治療を継続しながら、バックグラウンド治療を含む1つまたはそれ以上の成分が離脱されるか、または減少もしくは除去される。いくつかの実施形態においては、バックグラウンド治療を、離脱期の間に約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%以上減少させることができる。離脱期は、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間以上続いてもよい。

アトピー性皮膚炎関連バイオマーカー 本発明はまた、AD関連バイオマーカーの使用、定量、および分析を含む方法を含む。本明細書で用いられる用語「AD関連バイオマーカー」は、非AD患者において存在するか、または検出可能であるマーカーのレベルまたは量とは異なる(例えば、それより高いか、または低い)レベルまたは量でAD患者において存在するか、または検出可能である任意の生物学的応答、細胞型、パラメータ、タンパク質、ポリペプチド、酵素、酵素活性、代謝物、核酸、炭化物、または他の生体分子を意味する。いくつかの実施形態においては、用語「AD関連バイオマーカー」は、2型ヘルパーT細胞(Th2)誘導性炎症と関連するバイオマーカーを含む。例示的なAD関連バイオマーカーとしては、限定されるものではないが、例えば、胸腺および活性化調節ケモカイン(TARC;CCL17としても知られる)、免疫グロブリンE(IgE)、エオタキシン−3(CCL26としても知られる)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、好酸球、抗原特異的IgE(例えば、Phadiatop(商標)試験)、およびペリオスチンが挙げられる。用語「AD関連バイオマーカー」はまた、ADを有さない対象と比較してADを有する対象において示差的に発現される当業界で公知の遺伝子または遺伝子プローブも含む。例えば、ADを有する対象において有意に上方調節される遺伝子としては、限定されるものではないが、2型ヘルパーT細胞(Th2)関連ケモカイン、例えば、CCL13、CCL17、CCL18およびCCL26、表皮増殖のマーカー、例えば、K16、Ki67、ならびにT細胞および樹状細胞抗原CD2、CD1b、およびCD1cが挙げられる(Tintleら、2011;J.Allergy Clin.Immunol.128:583〜593頁)。あるいは、「AD関連バイオマーカー」はまた、最終分化タンパク質(例えば、ロリクリン、フィラグリンおよびインボルクリン)のようなADに起因して下方調節される遺伝子も含む(Tintleら、2011;J.Allergy Clin.Immunol.128:583〜593頁)。本発明のある特定の実施形態は、IL−4Rアンタゴニストの投与を用いる疾患の好転をモニタリングするためのこれらのバイオマーカーの使用に関する。そのようなAD関連バイオマーカーを検出および/または定量するための方法は、当業界で公知である;そのようなAD関連バイオマーカーを測定するためのキットは様々な商業的供給源から入手可能である;ならびに様々な臨床検査会社も同様にそのようなバイオマーカーの測定を提供するサービスを提供している。

本発明のある特定の態様によれば、(a)疾患状態を示す処置の前に、または処置の時点で少なくとも1つのAD関連バイオマーカーのレベルを示す対象を選択すること;および(b)該対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む、ADを処置するための方法が提供される。ある特定の実施形態においては、AD関連バイオマーカーのレベルが上昇するかどうかを決定することにより、患者を選択する。当業界で公知のバイオマーカーアッセイのために患者から試料を獲得することによって、AD関連バイオマーカーのレベルを決定または定量する。ある特定の実施形態においては、患者からAD関連バイオマーカーの上昇したレベルに関する情報を獲得することによって、患者を選択する。本発明のこの態様のある特定の実施形態においては、対象を、IgEまたはTARCまたはペリオスチンの上昇したレベルに基づいて選択する。

本発明の目的のために、健康な対象における正常なIgEレベルは、約114kU/L未満である(例えば、ImmunoCAP(登録商標)アッセイ[Phadia,Inc.Portage、MI]を用いて測定される)。かくして、本発明は、約114kU/Lより高い、約150kU/Lより高い、約500kU/Lより高い、約1000kU/Lより高い、約1500kU/Lより高い、約2000kU/Lより高い、約2500kU/Lより高い、約3000kU/Lより高い、約3500kU/Lより高い、約4000kU/Lより高い、約4500kU/Lより高い、または約5000kU/Lより高い血清IgEレベルを示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法を含む。

健康な対象中のTRACレベルは、106ng/L〜431ng/Lの範囲にあり、平均は約239ng/Lである(TARCレベルを測定するための例示的なアッセイ系は、R&D Systems、Minneapolis、MN.によりカタログ番号DDN00として提供されるTARC定量ELISAキットである)。かくして、本発明は、約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/Lより高い、または約5000ng/Lより高い血清TARCレベルを示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含む方法を含む。

別のAD関連バイオマーカーは、抗原特異的IgEである。Phadiatop(商標)は、アレルギー感作のスクリーニングのために導入された血清特異的または抗原特異的IgEアッセイ試験の商業的に入手可能な変異型である(Merrettら、1987、Allergy 17:409〜416頁)。この試験は、一般的な吸入アレルギーを引き起こす関連アレルギーの混合物に対する血清特異的IgEに関する同時試験を提供する。この試験は、得られる蛍光応答に応じて陽性または陰性のいずれかである定性的結果を与える。患者試料が参照よりも高いか、またはそれと同等である蛍光応答を与える場合、陽性の試験結果が示される。より低い蛍光応答を有する患者試料は、陰性の試験結果を示す。本発明は、陽性の試験結果を示す対象を選択すること、および該対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。

ペリオスチンは、Th2媒介性炎症プロセスに関与する細胞外マトリックスタンパク質である。ペリオスチンレベルは、ADを有する患者において上方調節されることがわかっている(Masuokaら、2012 J Clin Invest.122(7):2590〜2600頁、doi:10.1172/JCI58978)。本発明は、ペリオスチンのレベルが上昇した患者を処置するためにIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。

乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)は、組織損傷のマーカーとして用いられ、ADを有する患者において上昇することがわかっている(Kouら、2012;Arch.Dermatol.Res.304:305〜312頁)。本発明は、LDHのレベルが上昇した患者を処置するためにIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。

本発明の他の態様によれば、対象に、治療上有効量のIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を投与することを含み、該対象への医薬組成物への投与が、医薬組成物の投与前の対象におけるバイオマーカーのレベルと比較して、投与後のある時点で少なくとも1つのAD関連バイオマーカー(例えば、IgE、TARC、好酸球、エオタキシン−3、抗原特異的IgE、LDHなど)の低下をもたらす、ADを処置するための方法が提供される。

当業者によって理解されるように、AD関連バイオマーカーの増加または低下を、(i)IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後の規定の時点での対象において測定されたバイオマーカーのレベルを、(ii)IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与前の患者において測定されたバイオマーカーのレベル(すなわち、「ベースライン測定値」)と比較することにより決定することができる。バイオマーカーが測定される規定の時点は、例えば、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与後約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日、50日、55日、60日、65日、70日、75日、80日、またはそれ以上の時点であってもよい。

本発明のある特定の実施形態によれば、対象は、IL−4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL−4R抗体)を含む医薬組成物の投与後、TARCおよび/またはIgEの1つまたはそれ以上のレベルの低下を示してもよい。例えば、第1、第2、第3または第4の用量の、約75mg、150mgまたは300mgの抗hIL−4R抗体(例えば、mAb1)を含む医薬組成物の投与後、約4日目、8日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目または85日目で、対象は、本発明によれば、ベースラインからの約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上のTARCの低下を示してもよい(ここで、「ベースライン」は1回目の投与の直前の対象におけるTARCのレベルと定義される)。同様に、第1、第2、第3または第4の用量の、約75mg、150mgまたは300mgの抗hIL−4R抗体(例えば、mAb1)を含む医薬組成物の投与後、約4日目、8日目、15日目、22日目、25日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目、71日目または85日目で、対象は、本発明によれば、ベースラインからの約1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上のIgEの低下を示してもよい(ここで、「ベースライン」は1回目の投与の直前の対象におけるIgEのレベルと定義される)。

本発明はまた、対象がIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与が有益である好適な対象であるかどうかを決定するための方法も含む。例えば、ある個体が、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を受容する前に、疾患状態を示すあるレベルのAD関連バイオマーカーを示す場合、その個体は本発明の医薬組成物(抗IL−4R抗体を含む組成物)の投与が有益である好適な患者として同定される。関連する実施形態においては、本発明は、例えば、人種または民族に起因して、ADに対してより罹りやすくてもよい好適な対象を処置するための方法を含む。例えば、本発明は、ADにより罹りやすくてもよいアフリカ系アメリカ人の対象にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む方法を含む。そのような対象集団は、AD関連バイオマーカーのレベルが上昇していてもよい。

ある特定の例示的実施形態によれば、個体が、(i)約114kU/Lより高い、約150kU/Lより高い、約500kU/Lより高い、約1000kU/Lより高い、約1500kU/Lより高い、約2000kU/Lより高い、約2500kU/Lより高い、約3000kU/Lより高い、約3500kU/Lより高い、約4000kU/Lより高い、約4500kU/Lより高い、もしくは約5000kU/Lより高いIgEレベル;または(ii)約431ng/Lより高い、約500ng/Lより高い、約1000ng/Lより高い、約1500ng/Lより高い、約2000ng/Lより高い、約2500ng/Lより高い、約3000ng/Lより高い、約3500ng/Lより高い、約4000ng/Lより高い、約4500ng/Lより高い、もしくは約5000ng/Lより 高いTARCレベル;または(iii)陽性のPhadiatop(商標)試験のうちの1つまたはそれ以上を示す場合、その個体を抗IL−4R療法のための良好な候補と同定することができる。ADの他の臨床指標(例えば、ADを示すIGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感、および/またはNRSスコアの上昇)のようなさらなる基準を、前記AD関連バイオマーカーのいずれかと組み合わせて用いて、本明細書の他の場所に記載される抗IL−4R療法のための好適な候補として個体を同定することができる。

インターロイキン−4受容体アンタゴニスト 上記に詳細に開示されたように、本発明は、インターロイキン−4受容体(IL−4R)アンタゴニストを含む治療組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を含む。本明細書で用いられる場合、「IL−4Rアンタゴニスト」は、IL−4Rに結合するか、またはそれと相互作用し、IL−4Rがin vitroまたはin vivoで細胞上で発現される場合にIL−4Rの正常な生物学的シグナリング機能を阻害する任意の薬剤である。IL−4Rアンタゴニストのカテゴリーの非限定例としては、低分子IL−4Rアンタゴニスト、抗IL−4Rアプタマー、ペプチドに基づくIL−4Rアンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトIL−4Rに特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。

本明細書で用いられる用語「IL−4R」、「hIL−4R」などは、インターロイキン−4(IL−4)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体のアルファ鎖、IL−4Rα(配列番号274)を指すことが意図される。非ヒト種に由来すると特に指定されない限り、本明細書で用いられる用語「IL−4R」は、ヒトインターロイキン−4受容体アルファ鎖を意味することが理解されるべきである。

本明細書で用いられる用語「抗体」は、ジスルフィド結合により相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)を含む免疫グロブリン分子、ならびにその多量体(例えば、IgM)を指すことが意図される。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(HCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(LCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された、3つのCDRおよび4つのFRを含む。本発明の異なる実施形態においては、抗IL−4R抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であってもよく、または天然であるか、もしくは人工的に改変されていてもよい。アミノ酸コンセンサス配列を、2つ以上のCDRの比較分析に基づいて定義することができる。

本明細書で用いられる用語「抗体」はまた、完全な抗体分子の抗原結合断片も含む。本明細書で用いられる、抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、抗原と特異的に結合して複合体を形成する、任意の天然の、酵素的に取得可能な、合成の、または遺伝子工学的に操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片を、例えば、タンパク質分解的消化または抗体可変ドメインおよび場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子工学技術のような任意の好適な標準的技術を用いて、完全な抗体分子から誘導することができる。そのようなDNAは公知であり、および/または例えば、商業的供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ−抗体ライブラリーなど)から容易に入手可能であるか、または合成するこ とができる。DNAを配列決定し、化学的に、または分子生物学技術を用いることにより操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常ドメインを好適な構成に配置するか、またはコドンを導入する、システイン残基を作出する、改変する、アミノ酸を付加するか、もしくは欠失させることなどができる。

抗原結合断片の非限定例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体(例えば、CDR3ペプチドのような単離された相補性決定領域(CDR))、または拘束されたFR3−CDR3−FR4ペプチドの超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位が挙げられる。他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインも、本明細書で用いられる表現「抗原結合断片」に包含される。

抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のものであってもよく、一般には1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するか、またはそれと読み枠が一致する少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインと会合したVHドメインを有する抗原結合断片においては、VHおよびVLドメインは任意の好適な配置中に互いに相対的に位置してもよい。例えば、可変領域は、二量体であってもよく、VH−VH、VH−VLまたはVL−VL二量体を含有してもよい。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VHまたはVLドメインを含有してもよい。

ある特定の実施形態においては、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有的に連結された少なくとも1つの可変ドメインを含有してもよい。本発明の抗体の抗原結合断片内に見出すことができる可変および定常ドメインの非限定的な例示的構成としては、(i)VH−CH1;(ii)VH−CH2;(iii)VH−CH3;(iv)VH−CH1−CH2;(v)VH−CH1−CH2−CH3;(vi)VH−CH2−CH3;(vii)VH−CL;(viii)VL−CH1;(ix)VL−CH2;(x)VL−CH3;(xi)VL−CH1−CH2;(xii)VL−CH1−CH2−CH3;(xiii)VL−CH2−CH3;および(xiv)VL−CLが挙げられる。上記に列挙された例示的構成のいずれかなどの、可変および定常ドメインの任意の構成において、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されていてもよく、または完全もしくは部分的なヒンジもしくはリンカー領域によって連結されていてもよい。ヒンジ領域は、単一のポリペプチド分子中の隣接する可変および/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性連結をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個以上)のアミノ酸からなっていてもよい。さらに、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いに、および/または1つもしくはそれ以上のVHもしくはVLドメインとの非共有的会合(例えば、ジスルフィド結合による)にある上記に列挙された可変および定常ドメインの構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含んでもよい。

完全な抗体分子と同様、抗原結合断片は一特異的または多特異的(例えば、二特異的)であってもよい。抗体の多特異的抗原結合断片は、典型的には、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含み、ここで、それぞれの可変ドメインは別々の抗原に、または同じ抗原上の異なるエピトープに特異的に結合することができる。任意の多特異的抗体形式を、当業界で利用可能な日常的な技術を用いて、本発明の抗体の抗原結合断片の文脈における使用のために適合させることができる。

抗体の定常領域は、抗体が補体を固定し、細胞依存的細胞傷害性を媒介する能力において重要である。かくして、抗体のアイソタイプを、それが細胞傷害性を媒介する抗体にとって望ましいかどうかに基づいて選択することができる。

本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導される可変および定常領域を有する抗体を含むことが意図される。それにも拘らず、本発明のヒト抗体は、例えば、CDRおよび特定のCDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroで無作為もしくは部位特異的突然変異誘発によって、またはin vivoで体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含んでもよい。しかしながら、本明細書で用いられる用語「ヒト抗体」は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列から誘導されるCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことは意図されない。

本明細書で用いられる用語「組換えヒト抗体」は、宿主細胞中にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(以下でさらに説明される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体(以下でさらに説明される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離される抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287〜6295頁)、または他のDNA配列へのヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段によって製造、発現、作出もしくは単離される抗体のような、組換え手段によって製造、発現、作出または単離される全てのヒト抗体を含むことが意図される。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列から誘導される可変および定常領域を有する。しかしながら、ある特定の実施形態においては、そのような組換えヒト抗体はin vitro突然変異誘発(または、ヒトIg配列についてトランスジェニックである動物を用いる場合、in vivo体細胞突然変異)にかけられ、かくして、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列から誘導され、それと関連するが、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然には存在しなくてもよい配列である。

ヒト抗体は、ヒンジ異種性と関連する2つの形態で存在してもよい。1つの形態においては、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合により一緒に保持される、およそ150〜160kDaの安定な4鎖構築物を含む。第2の形態においては、二量体は鎖間ジスルフィド結合を介して連結されず、共有的に共役した軽鎖と重鎖を含む約75〜80kDaの分子が形成される(半抗体)。これらの形態は、親和性精製後であっても分離するのが極めて困難であった。

様々な無傷のIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されるものではないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプと関連する構造的相違に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域中の単一アミノ酸置換は、典型的には、ヒトIgG1ヒンジを用いた場合に観察されるレベルにまで、第2の形態の出現を有意に減少させることができる(Angalら(1993)Molecular Immunology 30:105)。本発明は、例えば、所望の抗体型の収率を改善するために、生産において望ましいものであり得るヒンジ、CH2またはCH3領域中に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含する。

本明細書で用いられる場合、「単離された抗体」は、その天然の環境の少なくとも1つの構成要素から同定ならびに分離および/または回収された抗体を意味する。例えば、抗体が天然に存在するか、もしくは天然に生産される、生物の少なくとも1つの構成要素から、または組織もしくは細胞から分離または除去された抗体は、本発明の目的のための「 単離された抗体」である。単離された抗体はまた、組換え細胞内のin situの抗体も含む。単離された抗体は、少なくとも1つの精製または単離工程にかけられた抗体である。ある特定の実施形態によれば、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まなくてもよい。

用語「特異的に結合する」などは、抗体またはその抗原結合断片が、生理的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するかどうかを決定するための方法は、当業界で周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などが挙げられる。例えば、本発明の文脈において用いられる場合、IL−4Rに「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイにおいて測定された場合、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nM未満のKDでIL−4Rまたはその部分に結合する抗体を含む。しかしながら、ヒトIL−4Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種に由来するIL−4R分子のような、他の抗原に対する交叉反応性を有してもよい。

本発明の方法にとって有用な抗IL−4R抗体は、抗体が誘導される対応する生殖系列配列と比較した場合、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域中に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含んでもよい。本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公共の抗体配列データベースから入手可能な生殖系列配列と比較することにより、そのような突然変異を容易に確認することができる。本発明は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかから誘導される抗体、およびその抗原結合断片の使用を含む方法であって、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が、抗体が誘導された生殖系列配列の対応する残基に、または別のヒト生殖系列配列の対応する残基に、または対応する生殖系列残基の保存的アミノ酸置換に突然変異された、前記方法を含む(そのような配列の変化を、本明細書では集合的に「生殖系列突然変異」と呼ぶ)。当業者であれば、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から出発して、1つまたは複数の個体の生殖系列突然変異またはその組合せを含むいくつかの抗体および抗原結合断片を容易に生産することができる。ある特定の実施形態においては、VHおよび/またはVLドメイン内の全てのフレームワークおよび/またはCDR残基を、抗体が誘導された元の生殖系列配列中に見出される残基に復帰変異させる。他の実施形態においては、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8個のアミノ酸内もしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内に見出される突然変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見出される突然変異した残基のみを元の生殖系列配列に復帰変異させる。他の実施形態においては、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR残基を、異なる生殖系列配列(すなわち、抗体が元々誘導された生殖系列配列とは異なる生殖系列配列)の対応する残基に突然変異させる。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2つ以上の生殖系列突然変異の任意の組合せを含有してもよく、例えば、ある特定の個々の残基を特定の生殖系列配列の対応する残基に突然変異させるが、元の生殖系列配列とは異なるある特定の他の残基を維持するか、または異なる生殖系列配列の対応する残基に突然変異させる。一度得られたら、1つまたはそれ以上の生殖系列突然変異を含有する抗体および抗原結合断片を、改善された結合特異性、増大した結合親和性、改善または増強された拮抗または作動生物特性(場合によっては)、低下した免疫原性などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的様式で得られた抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。

本発明はまた、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する本明細書に開示されるHCV R、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかの変異体を含む抗IL−4R抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、本明細書に開示されるHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して、例えば、10個以下、8個以下、6個以下、4個以下などの保存的アミノ酸置換を含むHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL−4R抗体の使用を含む。

本明細書で用いられる用語「表面プラズモン共鳴」とは、例えば、BIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences division of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を用いる、バイオセンサマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によりリアルタイムの相互作用の分析を可能にする光学的現象を指す。

本明細書で用いられる用語「KD」は、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すと意図される。

用語「エピトープ」とは、パラトープとして知られる抗体分子の可変領域中の特定の抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が、1つより多いエピトープを有してもよい。かくして、異なる抗体は抗原上の異なる領域に結合し、異なる生物学的効果を有し得る。エピトープは立体構造または直線状であってもよい。立体構造エピトープは、直線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントに由来する空間的に並置されたアミノ酸により生産される。直線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基により生産されるものである。ある特定の環境においては、エピトープは、抗原上にサッカリドの部分、ホスホリル基、またはスルホニル基を含んでもよい。

ヒト抗体の製造 トランスジェニックマウス中でヒト抗体を生成させる方法は当業界で公知である。任意のそのような公知の方法を本発明の文脈において用いて、ヒトIL−4Rに特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。

VELOCIMMUNE(商標)技術(例えば、米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticals)またはモノクローナル抗体を作成するための任意の他の公知の方法を用いて、ヒト可変領域とマウス定常領域とを有するIL−4Rに対する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域とマウス定常領域とを含む抗体を生産するように、内因性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの作成を含む。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結する。次いで、そのDNAを、完全ヒト抗体を発現することができる細胞中で発現させる。

一般に、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに、対象となる抗原をチャレンジし、リンパ系細胞(B細胞など)を、抗体を発現するマウスから回収する。リンパ系細胞を、ミエローマ細胞系と融合して、不死化ハイブリドーマ細胞系を製造することができ、そのようなハイブリドーマ細胞系をスクリーニングおよび選択して、対象となる抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結することができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞のような細胞中で生産させることができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体または軽鎖および重鎖の可変ドメインをコードするDNAを、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。

最初に、ヒト可変領域とマウス定常領域とを有する高親和性キメラ抗体を単離する。当業者には公知の標準的な手順を用いて、親和性、選択性、エピトープなどの望ましい特徴について抗体を特性評価し、選択する。マウス定常領域を、所望のヒト定常領域と置き換えて、本発明の完全ヒト抗体、例えば、野生型または改変型IgGまたはIgG4を作成する。選択される定常領域は特定の使用に従って変化してもよいが、高親和性抗原結合および標的特異性特性は可変領域中に存在する。

一般に、本発明の方法において用いることができる抗体は、固相上または液相中に固定された抗原への結合によって測定された場合、上記のように高親和性を有する。マウス定常領域を、所望のヒト定常領域と置き換えて、本発明の完全ヒト抗体を作成する。選択される定常領域は特定の使用に応じて変化してもよいが、高親和性抗原結合および標的特異性特性は可変領域中に存在する。

本発明の方法の文脈において用いることができるIL−4Rに特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の特定例としては、配列番号2、18、22、26、42、46、50、66、70、74、90、94、98、114、118、122、138、142、146、162、166、170、186、190、194、210、214、218、234、238、242、258および262からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)内に含まれる3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。この抗体または抗原結合断片は、配列番号10、20、24、34、44、48、58、68、72、82、92、96、106、116、120、130、140、144、154、164、168、178、188、192、202、212、216、226、236、240、250、260および264からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)内に含まれる3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含んでもよい。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するための方法および技術は当業界で周知であり、これを用いて、本明細書に開示される特定のHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定することができる。CDRの境界を同定するために用いることができる例示的な慣例としては、例えば、Kabatの定義、Chothiaの定義、およびAbMの定義が挙げられる。一般的な用語において、Kabatの定義は配列可変性に基づくものであり、Chothiaの定義は構造ループ領域の位置に基づくものであり、AbMの定義はKabatとChothiaのアプローチの折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991);Al−Lazikaniら、J.Mol.Biol.273:927〜948頁(1997);およびMartinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9268〜9272頁(1989)を参照されたい。抗体内のCDR配列を同定するために公共のデータベースも利用可能である。

本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択される重鎖と軽鎖の可変領域アミノ酸配列対(HCVR/LCVR)に由来する6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。

本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、4/6/8/12/14/16;28/30/32/36/38/40;52/54/56/60/62/64;76/78/80/84/86/88;100/102/104/108/110/112;124/126/128/132/134/136;148/150/152/156/158/160;172/174/176/180/182/184;196/198/200/204/206/208;220/222/224/228/230/232;および244/246/248/252/254/256からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する6つのCDR(HCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3)を含む。

本発明のある特定の実施形態においては、抗体またはその抗原結合断片は、2/10、18/20、22/24、26/34、42/44、46/48、50/58、66/68、70/72、74/82、90/92、94/96、98/106、114/116、118/120、122/130、138/140、142/144、146/154、162/164、166/168、170/178、186/188、190/192、194/202、210/212、214/216、218/226、234/236、238/240、242/250、258/260および262/264からなる群から選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。

医薬組成物 本発明は、IL−4Rアンタゴニストが医薬組成物内に含まれる、IL−4Rアンタゴニストを患者に投与することを含む方法を含む。本発明の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、および好適な移動、送達、忍容性などを提供する他の薬剤と共に製剤化される。複数の適切な製剤を、あらゆる薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見出すことができる。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油および油中水乳濁液、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238〜311頁も参照されたい。

本発明の方法による患者に投与される抗体の用量は、患者の年齢およびサイズ、症状、状態、投与経路などに応じて変化してもよい。用量は、典型的には、体重または体表面積に従って算出される。状態の重症度に応じて、処置の頻度および持続期間を調整することができる。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物を投与するための有効な用量およびスケジュールを、経験的に決定することができる;例えば、定期的評価によって患者の進行をモニタリングし、それに応じて用量を調整することができる。さらに、用量の種間スケーリングを、当業界で周知の方法を用いて実施することができる(例えば、Mordentiら、1991、Pharmaceut.Res.8:1351頁)。本発明の文脈において用いることができる抗IL4R抗体の特定の例示的用量、およびそれを含む投与レジメンは、本明細書の他の場所に開示される。

様々な送達系が公知であり、本発明の医薬組成物を投与するために用いることができ、例えば、リポソーム中への封入、マイクロ粒子、マイクロカプセル、変異ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスが挙げられる(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429〜4432頁を参照され たい)。投与方法としては、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。前記組成物を、任意の都合の良い経路により、例えば、輸注またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚系列(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介する吸収により投与してもよく、他の生物活性剤と一緒に投与してもよい。

本発明の医薬組成物を、標準的な注射針および注射筒を用いて皮下的または静脈内的に送達することができる。さらに、皮下送達に関して、ペン型送達デバイスが、本発明の医薬組成物を送達するのに容易に適用可能である。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であるか、または使い捨てであってもよい。再使用可能なペン型送達デバイスは一般に、医薬組成物を含有する交換式カートリッジを用いる。一度、カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含有する新しいカートリッジと交換することができる。次いで、ペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てのペン型送達デバイスにおいては、交換式カートリッジはない。むしろ、使い捨てのペン型送達デバイスは、デバイス内のリザーバ中に保持された医薬組成物を予め充填されるようになる。一度、リザーバの医薬組成物が空になったら、デバイス全体が廃棄される。

いくつかの再使用可能なペン型および自己注射器型送達デバイスが、本発明の医薬組成物の皮下送達において適用可能である。例としては、限定されるものではないが、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、およびOPTICLIK(商標)(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられる。本発明の医薬組成物の皮下送達において適用可能である使い捨てのペン型送達デバイスの例としては、限定されるものではないが、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)自己注射器(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられる。

ある特定の状況においては、医薬組成物を制御放出系において送達することができる。一実施形態においては、ポンプを用いることができる(Langer、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201頁を参照されたい)。別の実施形態においては、ポリマー材料を用いることができる;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態においては、制御放出系を、組成物の標的の近くに配置し、かくして、全身用量のほんの一部を要するようにすることができる(例えば、Goodson、1984、Medical Application s of Controlled Release、上掲、vol.2、115〜138頁を参照されたい)。他の制御放出系は、Langer、1990、Science 249:1527〜1533頁による概説で考察されている。

注射用調製物は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴などのための剤形を含んでもよい。これらの注射用調製物を、公知の方法により製造することができる。例えば、注射用調製物を、例えば、注射のために従来用いられる滅菌水性媒体または油性媒体中に、上記の抗体またはその塩を溶解、懸濁または乳化することにより製造することができる。注射のための水性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO−50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]などの適切な可溶化剤と共に用いることができる、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤などを含有する等張溶液が存在する。油性媒体としては、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と共に用いることができる、ゴマ油、大豆油などが用いられる。かくして製造された注射液を、適切なアンプル中に充填することができる。

有利には、上記の経口または非経口使用のための医薬組成物を、活性成分の用量に適合するように合わせた単位用量中の剤形に製造する。単位用量中のそのような剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射液剤(アンプル剤)、坐剤などが挙げられる。

本発明の文脈において用いることができる抗IL−4R抗体を含む例示的医薬組成物は、例えば、米国特許出願公開第2012/0097565号に開示されている。

用量 本発明の方法に従って対象に投与されるIL−4Rアンタゴニスト(例えば、抗IL−4R抗体)の量は、一般には、治療上有効量である。本明細書で用いられる語句「治療上有効量」とは、(a)1つもしくはそれ以上のAD関連パラメータ(本明細書の他の場所で定義される)の改善;および/または(b)アトピー性皮膚炎の1つもしくはそれ以上の症状もしくは徴候の検出可能な改善の1つまたはそれ以上をもたらすIL−4Rアンタゴニストの量を意味する。「治療上有効量」はまた、対象におけるADの進行を阻害する、防止する、低下させる、または遅延させるIL−4Rアンタゴニストの量も含む。

抗IL−4R抗体の場合、治療上有効量は、約0.05mg〜約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの抗IL−4R抗体であってもよい。ある特定の実施形態においては、75mg、150mg、または300mgの抗IL−4R抗体を、対象に投与する。

個々の用量中に含まれるIL−4Rアンタゴニストの量を、患者の体重1キログラムあたりの抗体のミリグラム数(すなわち、mg/kg)を単位として表すことができる。例 えば、IL−4Rアンタゴニストを、患者の体重1kgあたり約0.0001〜約10mgの用量で患者に投与することができる。

組合せ療法 本発明の方法は、ある特定の実施形態によれば、IL−4Rアンタゴニストと共に1つまたはそれ以上のさらなる治療剤を対象に投与することを含む。本明細書で用いられる表現「と共に」とは、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の前に、後に、またはそれと同時に投与することを意味する。用語「と共に」はまた、IL−4Rアンタゴニストと第2の治療剤の連続的または同時的投与も含む。

例えば、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「前」に投与する場合、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約72時間前、約60時間前、約48時間前、約36時間前、約24時間前、約12時間前、約10時間前、約8時間前、約6時間前、約4時間前、約2時間前、約1時間前、約30分前、約15分前または約10分前に投与することができる。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の「後」に投与する場合、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の約10分後、約15分後、約30分後、約1時間後、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約10時間後、約12時間後、約24時間後、約36時間後、約48時間後、約60時間後または約72時間後に投与することができる。IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物と「同時」の、またはそれと共の投与は、さらなる治療剤を、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物の投与の5分未満以内に(前、後、もしくは同時に)別々の剤形中で対象に投与するか、またはさらなる治療剤とIL−4Rアンタゴニストの両方を含む単一混合用量製剤として対象に投与することを意味する。

さらなる治療剤は、例えば、別のIL−4Rアンタゴニスト、IL−1アンタゴニスト(例えば、米国特許第6,927,044号に記載のIL−1アンタゴニストを含む)、IL−6アンタゴニスト、IL−6Rアンタゴニスト(例えば、米国特許第7,582,298号に記載の抗IL−6R抗体を含む)、IL−13アンタゴニスト、TNFアンタゴニスト、IL−8アンタゴニスト、IL−9アンタゴニスト、IL−17アンタゴニスト、IL−5アンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、CD48アンタゴニスト、IL−31アンタゴニスト(例えば、米国特許第7,531,637号に記載のものを含む)、胸腺間質リンホポエチン(TSLP)アンタゴニスト(例えば、米国特許出願第2011/027468号に記載のものを含む)、インターフェロン−ガンマ(IFNγ)抗生物質、局所コルチコステロイド、タクロリムス、ピメクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、クロモリンナトリウム、プロテイナーゼ阻害剤、またはその組合せであってもよい。ある特定の実施形態においては、抗IL4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を、紫外線(UV)療法のような非薬物療法と一緒に対象に投与する。

本発明の方法は、ADを処置するための付加的または相乗的活性のための第2の治療剤と共にIL−4Rアンタゴニストを投与することを含む。一実施形態においては、本発明は、中等度から重度のADを処置するための方法を含む。本発明のある特定の実施形態は、TCSと同時にIL−4Rアンタゴニストを投与することによって中等度から重度のADを処置するための方法を含む。TCSは、III群TCSのような強力なTCSであってもよい。II群TCSの例としては、アセポン酸メチルプレドニゾロン、フロ酸モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾンおよび吉草酸ベタメタゾンが挙げられる。いくつかの実施形態においては、TCSは、II群TCSのような中等度のTCSまたはI群TCSのような弱いTCSであってもよい。

投与レジメン 本発明は、治療応答が達成される限り、週に約4回、週に2回、週に1回、2週間毎に 1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間毎に1回、6週間毎に1回、8週間毎に1回、12週間毎に1回の投与頻度で、またはそれより低い頻度でIL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に投与することを含む方法を含む。抗IL−4R抗体を含む医薬組成物の投与を含むある特定の実施形態においては、約75mg、150mg、または300mgの量での週に1回の投与を用いることができる。

本発明のある特定の実施形態によれば、複数の用量のIL−4Rアンタゴニストを、規定の時間経過にわたって対象に投与することができる。本発明のこの態様による方法は、複数用量のIL−4Rアンタゴニストを対象に逐次的に投与することを含む。本明細書で用いられる場合、「逐次的に投与すること」とは、それぞれの用量のIL−4Rアンタゴニストを、異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、時間、日、週または月)により隔てられた異なる日に対象に投与することを意味する。本発明は、単回初回用量のIL−4Rアンタゴニスト、次いで、1つまたはそれ以上の第2の用量のIL−4Rアンタゴニスト、場合により次いで、1つまたはそれ以上の第3の用量のIL−4Rアンタゴニストを患者に逐次的に投与することを含む方法を含む。

用語「初回用量」、「第2の用量」および「第3の用量」とは、IL−4Rアンタゴニストの投与の時間的順序を指す。かくして、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量である(「ベースライン用量」とも呼ばれる);「第2の用量」は初回用量の後に投与される用量である;「第3の用量」は第2の用量の後に投与される用量である。初回、第2の、および第3の用量は全て、同じ量のIL−4Rアンタゴニストを含有してもよいが、一般には、投与頻度に関して互いに異なっていてもよい。しかしながら、ある特定の実施形態においては、初回、第2の、および/または第3の用量に含有されるIL−4Rアンタゴニストの量は、処置の経過中に互いに異なる(例えば、必要に応じて上方または下方に調整される)。ある特定の実施形態においては、1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、または5)の用量を、「負荷用量」として処置レジメンの開始時に投与した後、その後の用量をより低い頻度ベースで投与する(例えば、「維持用量」)。例えば、IL−4Rアンタゴニストを、約300mgまたは約600mgの負荷用量でADを有する患者に投与した後、約75mg〜約300mgの1つまたはそれ以上の維持用量で投与することができる。一実施形態においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、50mg〜600mgのIL−4Rアンタゴニスト、例えば、100mg〜400mgのIL−4Rアンタゴニスト、例えば、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mgまたは500mgのIL−4Rアンタゴニストを含む。いくつかの実施形態においては、初回用量および1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ、同じ量のIL−4Rアンタゴニストを含有する。他の実施形態においては、初回用量は、第1の量のIL−4Rアンタゴニストを含み、1つまたはそれ以上の第2の用量はそれぞれ第2の量のIL−4Rアンタゴニストを含む。例えば、IL−4Rアンタゴニストの第1の量は、IL−4Rアンタゴニストの第2の量の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍もしくは5倍またはそれより多いものであってもよい。

本発明の1つの例示的実施形態においては、それぞれの第2の、および/または第3の用量は、直前の用量の1〜14週間(例えば、1、1 1/2、2、2 1/2、3、3 1/2、4、4 1/2、5、5 1/2、6、6 1/2、7、7 1/2、8、8 1/2、9、9 1/2、10、10 1/2、11、11 1/2、12、12 1/2、13、13 1/2、14、14 1/2、またはそれ以上)後に投与される。本明細書で用いられる語句「直前の用量」とは、複数の投与の順序において、介入する用量がない順序ですぐ次の用量の投与の前に患者に投与されるIL−4Rアンタゴニストの用量を意味する。

本発明のこの態様による方法は、任意の数の第2および/または第3の用量のIL−4Rアンタゴニストを患者に投与することを含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態においては、単一の第2の用量のみを患者に投与する。他の実施形態においては、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の第2の用量を患者に投与する。同様に、ある特定の実施形態においては、単一の第3の用量のみを患者に投与する。他の実施形態においては、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の第3の用量を患者に投与する。

複数の第2の用量を含む実施形態においては、それぞれの第2の用量を、他の第2の用量と同じ頻度で投与することができる。例えば、それぞれの第2の用量を、直前の用量の1〜2週間後に患者に投与することができる。同様に、複数の第3の用量を含む実施形態においては、それぞれの第3の用量を、他の第3の用量と同じ頻度で投与することができる。例えば、それぞれの第3の用量を、直前の用量の2〜4週間後に患者に投与することができる。あるいは、第2および/または第3の用量を患者に投与する頻度は、処置レジメンの経過にわたって変化してもよい。投与の頻度を、臨床検査後に個々の患者の必要性に応じて医師によって処置の経過中に調整することもできる。

本発明は、ADを処置するための、患者へのIL−4Rアンタゴニストと第2の治療剤の連続的投与を含む方法を含む。いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、1つまたはそれ以上の用量のIL−4Rアンタゴニスト、次いで、1つまたはそれ以上の用量の第2の治療剤を投与することを含む。例えば、1つまたはそれ以上の用量の約75mg〜約300mgのIL−4Rアンタゴニストを、1つまたはそれ以上の用量の第2の治療剤(例えば、本明細書の他の場所に記載される、局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤または任意の他の治療剤)を、ADの1つまたはそれ以上の症状を処置する、軽減する、減少させるか、または改善するために投与した後に投与することができる。いくつかの実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストを、1つまたはそれ以上のAD関連パラメータの改善をもたらす1つまたはそれ以上の用量で投与した後、ADの少なくとも1つの症状の再発を防止するための第2の治療剤を投与する。本発明の代替的な実施形態は、IL−4Rアンタゴニストと第2の治療剤の同時的投与に関する。例えば、1つまたはそれ以上の用量のIL−4Rアンタゴニストを投与し、第2の治療剤を、IL−4Rアンタゴニストと比較して類似するか、または異なる頻度で別々の用量で投与する。いくつかの実施形態においては、第2の治療剤を、IL−4Rアンタゴニストの前、後、またはそれと同時に投与する。

ワクチンアジュバントとしてのIL−4Rアンタゴニスト 本発明はまた、ワクチン適用において有用である組成物および方法も含む。例えば、IL−4Rアンタゴニスト(例えば、本明細書に開示される抗IL−4R抗体)を、ワクチンにより惹起される免疫応答(体液性および細胞性免疫応答を含む)を改善するか、または強化するためのワクチンと一緒に、すなわち、ワクチンアジュバントとして対象に投与することができる。ある特定の実施形態においては、IL−4Rアンタゴニストを、対象へのワクチン組成物の投与の直前に、それと同時に、および/またはその後に投与する。例えば、本発明は、IL−4Rアンタゴニストを含む医薬組成物を対象に最初に投与した後、抗原を含むワクチン組成物(そのままで、またはIL−4Rアンタゴニストと共に)を対象に投与し、場合により、ワクチン抗原の投与後の一定期間にわたってさらなる用量のIL−4Rアンタゴニストを対象に投与することによって、対象において抗原に対する免疫応答を惹起または増強する方法を含む。

本発明のIL−4Rアンタゴニストを、例えば、生ワクチン、生/弱毒化ワクチン、殺傷したワクチン、サブユニットワクチン、DNAワクチン、およびがん免疫治療ワクチンなどの任意の型のワクチンと共にアジュバントとして投与することができる。本発明のI L−4Rアンタゴニストと一緒に用いることができるワクチンとしては、細菌病原体、ウイルス、寄生虫、および他の感染因子に対するワクチンが挙げられる。本発明のワクチン組成物および方法を標的化することができる感染因子および疾患の非限定例としては、例えば、HIV、HCV、RSV、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)、連鎖球菌、結核、マラリア、天然痘、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、麻疹、風疹、おたふく風邪、インフルエンザ、炭疽病、SARS、エボラウイルス、ハンタウイルス、デングウイルスなどが挙げられる。

本発明はまた、IL−4Rアンタゴニストと1つまたはそれ以上のワクチン抗原とを含む医薬組成物も含む。本発明のこの態様による医薬組成物は、MPL、MDP、CpGオリゴヌクレオチド、リポペプチド、サポニン、dsRNA、低分子免疫増強剤などの1つまたはそれ以上のさらなる免疫増強剤を含んでもよい。

IL−4Rアンタゴニストの他に、IL−4/IL−13シグナリング経路の他の阻害剤(例えば、抗IL−4抗体、抗IL−13抗体、二特異的抗IL−4/抗IL−13抗体など)を、本明細書に開示されるワクチン方法および組成物の文脈で用いることができる。

以下の実施例は、本発明の方法および組成物を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために記載されるものであり、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものではない。用いられる数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力が為されたが、いくらかの実験誤差および偏差もあるべきである。別途指摘しない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。

〔実施例1〕 ヒトIL−4Rに対するヒト抗体の作成 ヒト抗hIL−4R抗体を、米国特許第7,608,693号に記載のように作成した。表1は、選択された抗IL−4R抗体およびその対応する抗体名の、重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列対、ならびにCDRアミノ酸配列に関する配列識別子を記載する。

以下の実施例で用いられる例示的IL−4Rアンタゴニストは、表1でH1H098−bと表示されたヒト抗IL−4R抗体である(本明細書では「mAb1」とも呼ばれる)。

〔実施例2〕 健康な対象における静脈内および皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の単回漸増用量臨床試験 A.試験設計 この試験は、健康な対象における静脈内(IV)および皮下(SC)投与されたmAb1の、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、連続、単回漸増用量試験であった。この試験の主な目的は、健康な対象における静脈内および皮下投与されたmAb1の安全性および忍容性を評価することであった。

スクリーニングを、−21日目から−3日目まで行った。1日目(ベースライン)に、対象を無作為化して、2時間にわたって注入されるIVまたはSC試験薬物(mAb1またはプラセボ)を受けさせた。対象は、安全性評価および血液採取のために4、8、11、15、22、29、43、57および85日目(試験最終日)に臨床検査に戻った。

合計48人の対象が試験に参加した。4つの連続漸増用量コホート(1.0、3.0、8.0および12.0mg/kg)をIV投与のために計画し、2つの連続漸増用量コホート(150および300mg)をSC投与のために計画した。それぞれの用量コホートは、8人の対象(コホート拡張がなかった場合)からなっていた:6人はmAb1を受けるように無作為化し、2人はプラセボを受けるように無作為化した。安全性を最適化するために、IVコホート1(1.0mg/kg)中の最初の3人の対象に少なくとも24時間空けて投与し、残りの5人の対象には5〜7日後に投与した。その後のIVコホートにおいて、8人の対象のうちの3人に1日目に投与し、残りの5人の対象には5〜7日後に投与した。SC用量コホート1(150mg)中の8人全ての対象に同じ日に投与し、その後のSCコホート(300mg)中の8人全ての対象に同じ日に投与した。SCコホートを、IVコホートが完了した後に投与した。

試験のための組入れ基準は以下の通りであった:(1)18〜65歳の男性または女性;(2)50kgを超え、120kgを超えない体重;(3)出産可能な女性については、スクリーニング来院(来院1)時に血清妊娠試験陰性および−1日目の尿妊娠試験陰性;(4)試験期間の任意の24時間に2回を超える標準的なアルコール飲料の消費を控える意欲。標準的なアルコール飲料とは、12オンスのビール、5オンスのワイン、1.5オンスの強い酒と同等であると考えられた;(5)それぞれの試験来院前の24時間にアルコールの消費を控える意欲;(6)男性および出産可能な女性については、試験の全期間に十分な避妊を行い、妊娠しないようにする(またはそのパートナーが妊娠しないようにする)意欲。十分な避妊の手段としては、子宮内デバイス(IUD);卵管結紮術;精 管切除術;コンドームまたはペッサリーと、避妊用スポンジ、気泡またはゼリーが挙げられる;ならびに(7)全てのクリニック来院に戻り、全試験関連手順を完了する意欲、約束、および能力。

試験のための除外基準は以下の通りであった:(1)スクリーニング(来院1)前の4週間以内の新しい定期的運動の開始または以前の定期的運動に対する大きな変更。対象は、試験期間にわたって類似するレベルの運動を維持し、試験期間にわたって通常ではない激しい運動を控えることに意欲的でなければならない;(2)妊娠中または授乳中の女性;(3)心疾患、腎疾患、神経疾患、内分泌疾患、代謝疾患もしくはリンパ系疾患のような重大な合併症または重大な疾患の病歴、またはこの試験への対象の参加に有害に影響した任意の他の疾患もしくは状態;(4)スクリーニング来院中に観察された任意の臨床的に有意な異常;(5)スクリーニング(来院1)の60日以内の任意の理由による入院;(6)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎もしくはC型肝炎の既知の病歴、および/またはスクリーニング来院時にB型肝炎表面抗原陽性、C型肝炎抗体陽性もしくはHIV血清陽性;(7)スクリーニング来院前の1年以内の薬物またはアルコール乱用の病歴または薬物スクリーニング陽性;(8)ドキシサイクリンまたは同様の化合物に対する過敏症の病歴;(9)スクリーニング来院前の被験薬物の30日以内または少なくとも半減期の5倍以内(いずれか長い方)の別の被験薬物または療法を評価する任意の臨床研究試験への参加;(10)任意の治療剤または被験生物剤への曝露;(11)試験責任医師の意見において、対象を危険に晒す;試験への参加を妨げるか、または試験結果の解釈を妨げる任意の医学的または精神的状態;(12)QuantiFERON結核(TB)試験陽性の対象;(13)寄生虫感染の病歴または寄生虫流行地域への最近(以前の6カ月以内)の旅行;(14)以前の5年以内のアルコールまたは物質の乱用の病歴;(15)スクリーニング(来院1)時またはベースライン(来院2)時の尿中薬物スクリーニング結果陽性;ならびに/または(16)スクリーニングの12週間以内もしくは試験中の生/弱毒化ワクチン接種。

B.被験処置 mAb1医薬品を、IVまたはSC投与のために20mlのガラスバイアル中に凍結乾燥粉末として供給した。IVで送達する場合、mAb1医薬品を、7.8mlの注射用滅菌水を用いて単回使用バイアル中で再構成させ、50mg/mLのmAb1を含有する溶液を得た。薬剤師または被指名人は必要な量の再構成されたmAb1(対象の用量および体重に依存する)またはプラセボを引き出し、IV送達のために0.9%生理食塩水を含む輸液バッグ中にそれを注入した。輸注を2時間にわたって与えた。

SCで送達する場合、mAb1医薬品を、2.3mlの注射用滅菌水を用いて再構成させ、150mg/mLのmAb1を含有する溶液を得た。薬剤師または被指名人は、注射液を腹部に投与した;異なる吸収およびバイオアベイラビリティの可能性のため、四肢への投与は許容されなかった。同じ日に複数の注射液の投与が必要であった場合、それぞれの注射液を異なる注射部位で送達した。

試験したmAb1の用量レベルは、IV投与については1.0、3.0、8.0、および12.0mg/kgであり、SC投与については150および300mgであった。

プラセボ一致mAb1を、mAb1と同じ製剤中で製造したが、抗体は添加しなかった。

C.結果および結論 mAb1は、好ましい安全性プロファイルで一般によく忍容された。全体的な有害事象(AE)プロファイルは、健康な集団に特徴的なものであった。mAb1で処置された5 5%未満の対象(19/36)が、プラセボで処置された59%未満の対象(7/12)と比較して1つまたはそれ以上の処置中に発生した有害事象(TEAE)を経験した。最も頻繁に報告されたTEAEは、血中クレアチンホスホキナーゼ(CPK)の上昇、血圧上昇、鼻咽頭炎、および歯痛であった。多くの対象が、軽度または中等度の強度のTEAEを経験した;重篤であると考えられるTEAEが報告された対象は3人のみであった。1人だけの重篤なTEAE(血中CPK上昇)が処置と関連すると庁舎者によって考えられた。試験中に1つの重大な有害事象(SAE)が報告されたが、これは試験責任医師によって試験薬物とは関連しないと考えられた。AEのために試験を中止した対象はなく、死亡も報告されなかった。試験中に他の臨床的に意義のある臨床検査結果(血液化学検査、血液検査、または尿検査)は報告されなかった。いかなる検査パラメータにおいても平均/中央ベースラインの傾向は認められなかった。試験を通して、体温または脈拍におけるベースラインからの平均または中央変化における有意な傾向はなかった。身体診察結果、ECGまたはバイタルサインに関して臨床的に意義のある異常性は認められなかった。

この試験は、対象集団が高い割合の黒人/アフリカ系アメリカ人対象からなる点で有意であった(表2)。

対象は健康なボランティアであったが、グループとしてのアフリカ系アメリカ人はアトピー性疾患により罹りやすい可能性があり(Cagganaら、1999;Genet.Med.1:267〜271頁)、従ってこの集団は探索的バイオマーカー分析に基づく機構の証明の評価にとって適切であると考えられる。

薬物動態(PK)分析に関しては、非線形動力学が観察された。除去の標的媒介性経路は、機能的mAb1の濃度が約30mg/Lより上である場合、8および12mg/kgのIV用量で飽和すると考えられた。9人の対象において抗薬物抗体の低力価が観察された。機能的mAb1の濃度の突然の、および持続的な低下は観察されなかったが、これはADAがPKに対して大きな影響を有さなかったことを示している。

〔実施例3〕 健康な患者における抗IL−4R抗体(mAb1)の皮下投与後の抗IL−4R抗体(mAb1)の2つの異なる医薬品の臨床試験 A.試験設計 この試験は、異なる細胞系および製造方法から作成された2つの異なる抗IL−4R mAb(mAb1)医薬品の皮下投与の安全性および薬物動態プロファイルを評価するための単施設、単回用量、二重盲検、無作為化、プラセボ対照のない試験であった。医薬品を150mg/mLの2mL用量で提供し、300mg(2mL)を、2つの平行群中の30人の健康な成人(1群あたり15人の対象)に皮下投与した。対象は、19〜45歳の年齢の22人の男性(73.3%)および8人の女性(26.7%)の30人であり、54.8〜94,3kgの範囲の体重であった。

mAb1の血清濃度を用いて、以下のPKパラメータを決定した:最大血清濃度(Cmax)、時間0から定量下限より上の最終濃度に対応するリアルタイム(tlast)までの[血清濃度対時間]曲線下面積(AUClast)、および外挿された時間ゼロから無限までの血清濃度対時間曲線下面積(AUC)。また、最大濃度に達するまでの時間(tmax)および終末相半減期(t1/2z)も測定した。

B.評価および方法のための基準 投与後最大2カ月間の処置中に発生した有害事象(TEAE)を含む有害事象、臨床検査評価(生化学検査、血液検査、尿検査)、バイタルサイン、自動読取り式心電図(ECG)、抗mAb1抗体(陰性または力価)、および局所忍容性評価(視覚的アナログスケール[VAS;100mmの目盛が付いていない線]、紅斑[注射部位での直径mm]、および浮腫[注射部位での直径mm]を用いる注射部位疼痛を含む)を測定することにより、安全性を評価した。

注目すべき有害事象(AESI)は、プロトコールに記載される特異的モニタリング、文書化、および管理を必要とする科学的および医学的関心があるAE(重篤または非重篤)であった。以下のAEを、AESIと定義した:過敏症/アナフィラキシー:即時の処置を要するアナフィラキシー反応もしくは急性アレルギー反応、24時間より長く続く重度の注射部位反応、重度の感染、任意の寄生虫感染、2ULN以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の増加、QTc≧500ms、妊娠、または過剰投与。

血液学的および生化学的評価のために、投与前の−1日目および2日目(すなわち、投与後24時間)および57日目に、肝機能に限る生化学的評価については8、15、22、29、36、43および50日目に血液試料を採取した。

血清中の抗mAb1抗体の決定のための血液試料を、1日目ならびに15、29および57日目に採取した。

局所忍容性評価を投与前の1日目に、ならびに投与後2分、2時間、6時間および12時間で、ならびにmAb1投与後2日目(すなわち、投与後24時間)、3、4および8日目に実施した。

薬物動態学的および薬理遺伝学的サンプリングのために、投与前の1日目および投与後12時間で、ならびにmAb1投与後2、3、4、8、11、15、22、29、36、43、50、および57日目に、血液試料を採取した。機能的mAb1の血清濃度を、78ng/mLの定量下限(LLOQ)を有する検証された酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて決定した。

任意選択の薬理遺伝学的分析のために、試料をベースライン時(投与前1日目)に採取した。

血清機能的mAb1の薬物動態パラメータを、記述統計学(平均、幾何平均、中央値、標準偏差(SD)、変動係数[CV]、最小値、および最大値)を用いる処置群によりまとめた。対数変換したCmax、AUClast、およびAUCについては、試験/参照処置比を、固定効果として性別および処置を用いる、ならびに共変量として体重を用いる線形固定効果モデルを用いて評価した。処置比に関する推定値および90%信頼区間(CI)を、Cmax、AUClastおよびAUCについて提供した。

安全性の評価は、個々の値および記述統計学の再検討に基づくものであった。全てのAEを、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)バージョン15.0を用いて符号化し、処置中に発生した有害事象(TEAE)の頻度を、器官別大分類(primary system organ class)、基本語、および処置群によって分類および一覧化した(計数およびパーセント)。臨床検査データ、バイタルサイン、およびECG値に関する臨床的に意義のある異常(PCSA;2009年9月14日付けのバージョン2.0による定義)ならびに臨床検査データに関する正常範囲外の値をフラグし、処置群によりまとめた。

抗mAb1抗体の結果を、陰性として、または処置群、対象および来院による確認アッセイにおいて陽性である場合、力価値と共に列挙した。データを、処置群による陰性または陽性の抗薬物抗体(ADA)応答を示す対象数(計数およびパーセント)としてまとめた。

疼痛VAS、紅斑直径、および浮腫直径の記述統計学(平均、SD、最小値、中央値、および最大値)を、それぞれのスケジュール化された時点について処置群によって提供した。これらの測定値のそれぞれを、時間平均して(試験薬物投与から8日目の評価までが含まれる)、およびピーク値として(投与後評価を用いる)処置群によってさらにまとめた。

C.薬物動態の結果

推定値は、性別、体重、および処置に関する固定された項目を含む線形固定効果モデルに基づくものである。

D.安全性の結果 医薬品A(試験医薬品)上にある15人の対象のうちの12人(80.0%)と医薬品B(参照医薬品)上にある15人の対象のうちの8人が、TEAEを有していた。明らかな処置不均衡がいくつかの器官別大分類のみにおいて出現し、別の原因が同定されることが多かったため、IMPと関連しない事象に起因するものと考えられた。4つのSAEが試験中に2人の対象において報告された。

医薬品1処置群の23歳男性対象は、投与の4日後に始まった視力障害、発汗、発熱、および頭痛の症状を伴う「II型単純ヘルペスウイルス感染」、次いで、腫れた舌(投与の6日後)ならびに咳、胸部鬱血、および両方のふくらはぎの筋肉痙攣(投与の7日後)を経験した。この事象の経過の間に、対象は数回救急処置室に行き、Solumedrol(登録商標)(3回IV用量)、プレドニゾン(9日間)、Rocephin(登録商標)(1回IV用量)、Zithromax(登録商標)(5日間)を含む複数の処置を受けた。対象が投与の3カ月前にトングバーベルピアス(tongue barbell piercing)を設置していたことは注目に値する。全ての症状は投与の19日後に消散した。投与の10日後に実施した初期単純ヘルペスウイルス(HSV)II IgG力価は陰性であったが、投与の7週間後に再評価した時には陽性に転換していた。このSAEは、試験責任医師および会社によりIMPと関連すると判断された。投与の4週間を超えた後で、対象は、左側の「ベル麻痺」と診断され、試験責任医師によって、HSV II感染の結果であると考えられた。この事象を、プレドニゾン(6日間)およびアシクロビル(10日間)処置した。このSAEは、HSV II感染の急性状態における複数かつ反復的なステロイド投与のため、試験責任医師によってIMPと関連しないと見なされ、別の説明が考えられた。会社は、IMPとの因果関係を排除することはできないと考えた。両事象は試験の終わりには回復していた。この対象は、試験中のいかなる時点においてもADAを生じなかった。

医薬品A処置群の22歳男性対象は、「横紋筋融解症」(最大392ULNのクレアチンホスホキナーゼ)と一緒に「ALT上昇」(最大11.4ULNのALT)を経験し、これらは両方とも投与の7週間後に日常的な臨床検査によって発見された。これらの事象に次いで、肉体的な課題(水泳、腕立て伏せ、懸垂、腹筋運動および他の持久型運動からなる;対象はライフガードである)および彼の三頭筋に対する損傷を経験した(NSAE)。対象は水分補給のために病院に収容された。肝機能試験の増加の肝臓側の原因は除外され、ALTの上昇(ならびに最大50.5ULNへのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]の上昇)は横紋筋融解症と関連すると判断された。クレアチニンおよ び糸球体機能は、事象の経過中に正常範囲内にあった。両事象は3週間以内に消散した。これらの2つのSAEは、試験責任医師によってIMPと関連しないと見なされた。この対象はまた、29日目(力価値=120)に検出された陽性の力価で、および58日目(力価値=30)にEOSVでADAを生じた。

ALT増加とは別に、試験中に他のAESIは観察されなかった。

4人の対象は、試験中に感染を経験した。上記の単純ヘルペス感染とは別に、軽度の上気道感染、咽頭炎、および副鼻腔炎の事例(それぞれ1事例)が、それぞれ、投与の54、7および1日後に観察された。これらの3つの後者の事象は、C1P2で処置された対象において観察された。

注射部位反応の15の事例が12人の対象において生じた:紅斑(8人の患者に8事例、各群で4事例)、疼痛(3事例、C2P1で2人およびC1P2で1人)、結節(2事例、各群で1事例)、血腫(C1P2で1事例)、および掻痒感(C2P1で1事例)。全て軽度であり、注射の24時間以内に消散した。

他のTEAEは、C2P1で処置した2人の対象における掻痒感(注射部位ではない)の2事例および頭痛の3事例(C2P1で処置した1人の対象およびC1P2で処置した2人の対象)を除いて、各処置群において1人を超える対象において観察されなかった。

既に記載された検査所見の異常とは別に、PCSAの規定の閾値を超える他の検査値の増加があった。

抗mAb1抗体は、試験を完了した27人の対象のうちの6人(22.22%)において陽性であった(試験を完了しなかった対象はADAを検出されなかった)。陽性のADA力価を有する6人の対象のうち、4人がC2P1で処置され、2人がC1P2で処置された。ADAの発生とTEAEとの間に関係は観察されなかった。

E.特異的局所忍容性評価 疼痛VASについて、平均ピーク値は、C2P1およびC1P2処置群において、それぞれ4.4および4.2mm(100mmスケールで)であり、両群における中央値は2.0mmであった。各群の15人の対象のうちの5人は、「疼痛なし」(ピーク値0mm)であった。最も高い測定値は、C2P1およびC1P2処置群において、それぞれ17および18mmであり、一般に投与の2分後に観察された(投与後2分〜12時間の範囲)。

測定された紅斑直径の平均ピーク値は、C2P1およびC1P2処置群において、それぞれ12.5および10.9mmであった。各群の15人の対象のうちの9人は、任意の時点で紅斑を有さなかった。観察された最大値は、両群において40mmであり、最大値(3mm)が投与の48時間後に観察された1人の対象を除いて、全て投与の2分後に観察された。

測定された浮腫直径の平均ピーク値は、C2P1およびC1P2処置群において、それぞれ1.1および0mmであった。それぞれ、C2P1およびC1P2処置群の15人の対象のうちの13人および15人の対象のうちの15人が、任意の時点で浮腫を有さなかった。最大値は、C2P1処置群の2人の対象において15および1mmであり、投与の2時間後に観察された。

F.結論 健康な対象への300mgのmAb1の単回皮下投与後、血清機能的mAb1曝露は、2つの試験医薬品において類似していた。90%CIを有する幾何平均処置比(DP1/DP2)は、Cmaxについては1.10(0.89〜1.35)、AUClastについては0.90(0.71〜1.16)、およびAUCについては1.05(0.86〜1.29)であった。

mAb1は一般に良好に忍容された。DP1を投与された1人の対象は、「II型単純ヘルペスウイルス感染」、次いで、「ベル麻痺」の重篤な有害事象を経験した。

臨床的に重要な局所忍容性の問題および処置群間の局所忍容性パラメータ(すなわち、疼痛、紅斑、および浮腫)における明らかな相違はなかった。

最も一般的なTEAEは、注射部位での紅斑(30人の対象のうちの8人)であり、両処置群において同じ発生率で観察された(各群の15人の対象のうちの4人[26.7%])。

結論として、健康な対象へのmAb1の単回300mg SC投与の後、2つの異なる医薬品のPKプロファイル、安全性、および局部忍容性において同定された臨床的に重要な相違はなかった。

〔実施例4〕 健康な日本人成人男性対象における漸増単回皮下用量の抗IL−4R抗体の安全性、忍容性および薬物動態に関する臨床試験 A.試験設計 この試験は、健康な日本人成人男性対象における漸増単回皮下用量の抗IL−4R抗体(mAb1)の無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった。主な目的は、健康な日本人男性対象における漸増単回皮下用量後のmAb1の安全性および忍容性を評価することであった。第2の目的は、健康な日本人男性対象における漸増単回皮下用量のmAb1の薬物動態、免疫原性および探索的薬力学を評価することであった。

mAb1を、細胞系2から誘導し、バイアル中に75mg/mLまたは150mg/mL濃度の液体製剤で供給した。mAb1の75、150、300、および600mgの単回漸増用量を1日目に皮下投与した(75mgおよび150mgについては1回注射;300mgについては2回注射;ならびに600mgについては4回注射)。観察期間は、それぞれの対象につき、およそ11週間(投与前の2〜21日間のスクリーニング期間、クリニックでの5日間[1回の処置日を含む−1日目〜4日目]、および投与後最大57日間の外来フォローアップ来院を含む)であった。

B.評価のための基準 安全性:有害事象(AE)、身体診察、臨床検査評価(血液検査、生化学検査、尿検査)、バイタルサイン(臥位および立位血圧ならびに心拍数、体温)、12誘導心電図(ECG)、ならびに抗mAb1抗体。

薬物動態:以下のmAb1血清機能的薬物動態パラメータを、ノンコンパートメント分析を用いて算出した−最大観測血清濃度(Cmax)、最大血清濃度到達時間(tmax)、用量正規化Cmax(Cmax/用量)、時間ゼロから定量下限より上の最終濃度に対応するリアルタイムtlastまでの血清濃度対時間曲線下面積(AUClast)、用量正規化AUClast(AUClast/用量)、外挿された時間ゼロから無限までの血清濃度対時間曲線下面積(AUC)、安定状態での分布の見かけの容量(Vss/F)、見かけの全身クリアランス(CL/F)、平均滞留時間(MRT)、および終末相半 減期(t1/2z)。

薬力学(PD):総IgEおよびTARCに対するmAb1の薬力学的効果。

PK評価のための血液試料を、投与前(1日目)ならびにmAb1投与後1、2、4、8、11、15、18、22、25、29、36、43、50、および57日目(15〜25日目については±1日;29〜57日目については±2日)に採取した。mAb1の血清濃度を、78ng/mL(0.078mg/mL)の定量下限(LLOQ)を有する検証されたELISAを用いて決定した。PD評価のための血液試料を、投与前の−1日目および1日目、次いで、mAb1投与後8、15、22、29、43および57日目(15〜25日目については±1日;29〜57日目については±2日)に採取した。総IgEおよびTARCに関する血清スクリーニングを、検証された方法を用いて決定した。

C.統計学的方法 安全性の評価は、個々の値および記述統計学の再検討に基づくものであった。全ての有害事象を、MedDRAバージョン15.1を用いて符号化し、処置中に発生した有害事象(TEAE)の頻度を、器官別大分類、基本語、および処置群によって分類および一覧化した(計数およびパーセンテージ)。臨床検査データ、バイタルサイン、およびECGデータに関する臨床的に意義のある異常ならびに臨床検査データに関する正常範囲外の値をフラグし、処置群によりまとめた。さらに、バイタルサイン、ECG、および限定された検査パラメータについての生データおよびベースラインからの変化を、記述統計学においてまとめた。

血清機能的mAb1の薬物動態パラメータを、記述統計学(平均、幾何平均、平均の標準誤差[SEM]、中央値、標準偏差[SD]、および変動係数[CV]、最小値および最大値)を用いて各用量群についてまとめた。用量比例を、Cmax、AUClast、およびAUCのパワーモデルを用いて評価した。t1/2zに対する用量効果を、線形固定効果モデルを用いて評価した。tmax値の分布を、ヒストグラムプロットにより表した。mAb1 PDバイオマーカー(総IgEおよびTARC:CCL17)を、記述統計学を用いて各用量群についてまとめた。

D.安全性の結果 最大600mgの単回皮下用量のmAb1投与は、65.1kgの中央体重を有する健康な日本人成人男性対象において良好に忍容された。試験中に重篤なTEAEまたは早期中止は報告されなかった。投与後の57日間の観察期間に、以下のような32人の試験対象間で合計3つのTEAEが報告された:プラセボ群における8人の対象のうちの1人(インフルエンザ)、150mg群の6人の対象のうちの1人(インフルエンザ)および600mg群の6人の対象のうちの1人(起立性低血圧)。

最大2.0mLの容量x4部位(600mg)で注射部位に局部皮膚反応または不快感はなかった。

抗mAb1抗体(ADA)は、低力価レベルを有する32人の対象のうちの5人(75mgの1人、150mg群の2人、300mg群の1人、および600mg群の1人)において陽性であった。ADAは、全ての対象においてベースライン時およびプラセボ群で検出不可能であった。ADA陽性対象はいかなるTEAEも経験しなかった。

血液および生化学検査値における非常に少ないPCSAが、用量−発生関係なしにmAb1処置群において同定された。特に、肝酵素の変化は観察されなかった。バイタルサインまたはECGについては少しのPCSAがあったが、用量関係はなかった。対象はQT cBの延長(>450ms)を経験せず、60msを超えるベースラインからの変化は試験中に観察されなかった。

E.薬物動態の結果 単回皮下用量後の平均(SD)血清機能的mAb1濃度−時間プロファイルを、図1に示す。血清機能的mAb1に関する薬物動態パラメータを、表5中にmAb1で処置した全対象についてまとめる。

mAb1の中央tmaxは、全ての用量で7日であった。平均終末相半減期(t1/2z)は、用量依存的(p<0.01)であり、75mgでの2.77日から600mgでの8.77日の範囲であった。75mgから600mgへの用量の8倍の増加は、幾何平均Cmax、AUClastおよびAUCの、それぞれ13.1倍、30.4倍および24.2倍の増加をもたらした。

F.薬力学の結果 血清IgEおよびTARC値は処置群内で高度に変動性であった。血清IgEに関して(ベースラインからの変化率)、75mgおよび150mgの皮下用量の単回投与時に経時的に薬物関連効果は観察されなかった。300mgおよび600mgでは、処置後に血清IgEを減少させる傾向があった。処置効果はTARCに関して観察された。75mg〜600mgの皮下用量の単回投与は、プラセボと比較した血清TARCレベルの減少と関連していた。より持続的な減少は用量の増加と関連していた。

G.結論 最大600mgの単回皮下用量のmAb1は、健康な日本人男性対象において良好に忍容された。試験中に重篤なTEAEまたは早期中止は報告されなかった。32人の試験対象間で合計3つのTEAEが報告された。最大2.0mLの容量x4部位(600mg)で注射部位の局部皮膚反応または不快感はなかった。全体として、報告されたTEAEおよび検査値、バイタルサインおよびECG評価は、用量関連効果を示唆しなかった。

健康な日本人成人男性への単回用量後、mAb1は7日の中央tmaxで吸収され、75mgでの2.77日から600mgでの8.77日の範囲の用量依存的平均終末相半減期(t1/2z)で除去された。平均血清機能的mAb1曝露は用量比例様式よりも大きく増加し、75mgから600mgへの用量の8倍の増加は、幾何平均Cmax、AUClastおよびAUCの、それぞれ13.1倍、30.4倍および24.2倍の増加をもたらした。

薬力学的効果が観察された。TARCの血清レベルは、mAb1を用いる処置後に減少した。より持続的な減少は用量の増加と関連していた。低力価のADAが32人の対象のうちの5人において検出された。ADAは全ての対象においてベースライン時およびプラセボ群で検出不可能であった。ADA陽性対象はいかなるTEAEも経験しなかった。

〔実施例5〕 健康なボランティアに皮下投与されたmAb1の安全性および忍容性に対する注入速度の効果を評価するための臨床試験 A.概要および試験設計 この試験は、mAb1を投与するための大容量注入デバイスの開発を支援するために行われた。この試験は、2つの異なる皮下(SC)送達デバイスの対応する属性を近似する2つの異なる注入速度を比較評価するものであった:速い注入は自己注射器であり、遅い注入はマイクロインフューザである。試験の主な目的は、正常な健康なボランティアに2つの異なる速度でSC投与された単回300mg/2mL用量のmAb1の相対的安全性および忍容性を評価することであった。試験の第2の目的は、NHVの2つの別々のコホートにおいて2つの異なる速度でSC投与された単回300mg/2mL用量のmAb1の薬物動態(PK)パラメータを比較すること;およびNHVにおいて2つの異なる速度でSC投与された単回300mg/2mL用量のmAb1の相対的免疫原性を評価することであった。

これは、2つの異なる注入速度でSC投与されたmAb1の安全性、忍容性、PKおよび免疫原性に関する非盲検、無作為化、平行群、単一用量試験であった。試験は、試験処置に対象を割当てる際の任意の潜在的な偏りを回避し、転帰に影響し得るベースライン変数に関して処置群間の系統的差異を最小化するために無作為化された。試験は非盲検であったので、注入方法および持続期間を有効に盲検化することはできなかった。36人の対象(処置群あたり18人の対象)を米国において動員し、1つの施設で無作為化した。この試験のサンプルサイズは経験的に選択された。主要評価項目に基づく正式なサンプルサイズまたは検出力の計算は用いられなかった。しかしながら、0.05の有意性レベルで2側検定で疼痛VASにおいて一般的な標準偏差が20.8であると仮定して、1群あたり18人の対象の登録は2群値の疼痛VASにおける20の差異を検出する80%の検出力を提供すると見積もられた。

対象は−14日目〜−2日目にスクリーニングを受けた。−1日目に、対象は注射手順に関して訓練し、慣れるためにクリニックに収容され、第1群(速い注入)または第2群(遅い注入)のいずれかに無作為化された: ・第1群(速い注射):対象は30秒にわたって投与される手動でのSC注射により試 験薬物を受けた。 ・第2群(遅い注射):対象は10分で2mLを送達するようにプログラムされたシリンジポンプに接続されたSC輸液セットにより試験薬物を受けた。

−1日目に、全ての対象は、SC輸液セットを皮膚に簡単に装着するモック注射を受けた。このプロセスは、27Gの6mm針を挿入して約10〜15秒間留置した後、除去することを含んでいた。対象は、以下のようなモック注射手順のそれぞれ対応する工程に関連するその疼痛/不快感を評価した: ・針を挿入し、針を除去してすぐに(10秒以内)、対象は手順のそれぞれ対応する工程に関連するその疼痛/不快感を評価した。 ・包括評価(GA):針を除去して1分後、対象は全手順の間に経験した疼痛/不快感を思い出し、評価することによってGAを提供するよう求められた。 ・相対評価(CA):針の除去のおよそ1分後(GAの直後)、視覚的アナログスケール(VAS)に加えて、対象は、その包括的な疼痛/不快感を、蜂刺されまたはインフルエンザの予防接種のような、よくある経験と関連させることによってCAを提供した。

1日目に、全ての対象は、2mL容量中の300mgのmAb1を受け、図2のダイアグラムに記載のVAS評価を完了した。

紅斑、浮腫、硬化、圧痛、および痒みのような注射部位反応(ISR)の発生率、程度、および重症度に関する情報を、全ての対象(第1群および第2群)についてモニタリングした。紅斑、浮腫、および硬化の程度(最大直径mm)ならびに紅斑および浮腫の重症度を、注射の完了後1、2、4および8時間ならびに試験の終わりまでのフォローアップ来院時または評価された全てのパラメータに基づいて2回の連続する評価において注射部位が正常化されたと考えられるまで評価した。また、対象は、VASを用いて存在するあらゆる掻痒感(痒み)および圧痛(触診時の疼痛)を評価するよう求められた。

対象は2日目にクリニックから退院した。対象は、4、8、11、15、22、29、36、43、50、57および64日目(試験最終日)に外来フォローアップ来院のためにクリニックに戻った。8、11および15日目のクリニック来院は、+/−1日の枠内で行われた。22日目から64日目までの来院は、+/−2日の枠内で行われた。それぞれの対象に関する全観察期間は、1日目の投与後9週間であった。

B.分析変数および統計方法 以下の人口統計およびベースライン特性変数をまとめた:スクリーニング時の年齢(歳)、性別、民族、人種、ベースライン体重(kg)、身長(m)、おおびBMI(kg/m2)、疼痛/不快感VAS。主要な変数は、安全性および忍容性に関する以下の測定値を含む:(i)64日目(試験最終日)までの処置中に発生した有害事象(TEAE)の発生率および重症度;64日目までのISRの発生率、程度、重症度および持続期間;(ii)注射手順と関連する全体的な疼痛/不快感(GA);(iii)針の挿入時、試験薬物を注射する間および針を除去する時の個々の疼痛/不快感の構成要素;ならびに(iv)経時的な残留疼痛/不快感:試験投与後5分、10分、15分、30分、1、2、4および8時間、ならびにその後の試験来院時で存在する疼痛/不快感。

紅斑、浮腫、硬化、圧痛、および痒みのようなISRの発生率、程度、および重症度の情報を、全ての対象についてモニタリングした(第1群および第2群)。紅斑、浮腫および硬化の程度(最大直径mm)を評価した。さらに、紅斑および浮腫の重症度を、注射の完了後1、2、4、および8時間で、ならびに試験の終わりまでのフォローアップ来院時に、または評価した全てのパラメータに基づいて2回の連続する評価において注射部位が正常化したと考えられるまで、標準的な0〜4の皮膚忍容性スケール(Draize)を 用いて定性的に評価した。

以下のスケールを用いて、紅斑および浮腫の重症度を等級付けた: 紅斑: 0=紅斑なし 1=非常にわずかな紅斑(かろうじて認知できる) 2=明確に定義された紅斑 3=中等度から重度の紅斑 4=重度の紅斑(ビートのような発赤)からわずかな痂皮形成(深い傷害) 浮腫: 0=浮腫なし 1=非常にわずかな浮腫(かろうじて認知できる) 2=わずかな浮腫(明確に定義された端部) 3=中等度の浮腫(1mmを超える隆起) 4=重度の浮腫(1mmを超え、曝露領域を超える隆起)。

VASは、患者が試験薬物注射と関連するその疼痛/不快感を評価するために用いられる連続評価スケール(0〜100mm)である。VASを、左側の「疼痛/不快感なし」と右側の「考えられる最悪の疼痛/不快感」により固定した。同じスケールを用いて、注射部位の痒みおよび圧痛を定量し、ISRの一部として評価した。

mAb1の安全性および忍容性を、身体診察、バイタルサイン、心電図(ECG)、および臨床検査評価により評価した。対象は、インフォームドコンセントにサインした時から64日目の試験来院の最終日までに経験した全ての有害事象(AE)をモニタリングし、報告するよう求められた。有害事象、重度の有害事象、および処置中に発生した有害事象は、本明細書の他の場所で定義されている。

ベースライン時に開始して試験毎に(1日目、投与前および投与後[注射の終わり、ならびに投与後1、2、4、8および12時間])PK分析のために血液試料を採取した。1日目(投与前)、ならびに29日目および64日目(試験最終日)に抗mAb1抗体レベルの分析のために、血液試料を採取した。

連続的変数について、記述統計学は以下のものを含んでいた:計算に反映される患者数(n)、平均、中央値、標準偏差、最小値、および最大値。分類または順序データについては、頻度およびパーセンテージをそれぞれのカテゴリーについて表示した。

C.結果 注射時の疼痛および残留疼痛:両注射様式−速いおよび遅い−は良好に忍容され、比較的低レベルの注射時の疼痛と関連していた。両様式について、疼痛は注射の開始後およそ15〜30秒でピークに達した。平均ピーク疼痛レベルは、0〜100mmのVAS上で15mmより下であった。包括評価(注射の1分後に思い出した全体的疼痛)、ならびに経時的な残留疼痛を含む、平均疼痛スコアは、速い注射と遅い注射の間で同等であった;観察された差異は臨床的に関連しなかった(すなわち、0〜100のVASスケールでΔ<10)。遅い注射を受けたより多くの対象が、速い注射を受けた対象と比較して、皆無かそれに近い疼痛を報告した(VAS<5mm)。全体として、注射疼痛プロファイルは、遅い注射の方がわずかにより好ましいと考えられたが、2つの注射様式を明確に区別するものではなかった。

注射部位反応:ISRの全体の発生率は、2つの試験群間で類似していた(速い注射の89%と、遅い注射の94%)。しかしながら、客観的ISR知見(紅斑および/または 硬化)の発生率は、特に、注射部位の紅斑に関して(それぞれ、61%と11%)、速い注射群(44%)と比較して遅い注射群(83%)においてより高かった。主観的ISRは、注射部位での圧痛および掻痒感を含み、その発生率は、特に注射部位の圧痛に関して(それぞれ、72%と39%)、遅い注射(56%)と比較して速い注射(72%)についていくらかより高かった。ISRの開始は、注射後1時間から数日であった。ISR消散までの時間も、開始後1時間から数日で報告された。全体として、ISRプロファイルは、速い注射群の方がいくらかより好ましいと考えられたが、2つの注射様式間の明確な区別を提供するものではなかった。

有害事象:処置中に発生した有害事象の数および発生率は、速い注射群(11人の対象中で報告された19のTEAE)と比較して、遅い注射群(15人の対象中で報告された35のTEAE)においてより高かった。多くのTEAEは、臨床的関連性の試験責任医師による評価に基づいて有害事象として報告されたISRであった。中止をもたらしたTEAEはなかった。試験薬物または注射様式と関連しない1つの事例と関連する3つの重度のTEAEがあった。全体として、有害事象プロファイルは、多くは有害事象として報告されたISRのため、速い注射群の方がわずかにより好ましいと考えられた。

D.結論 試験は、プロトコールに記載された第1および第2の目的を達成した。mAb1は、速いか、または遅い注射のいずれかにより投与された場合、安全であり、良好に忍容された。試験の結果は、2つの注射様式の間の明確な区別を提供しなかった。

〔実施例6〕 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の連続漸増反復用量臨床試験 A.試験設計 この試験は、中等度から重度の外因性アトピー性皮膚炎(AD)を有する患者において皮下投与されたmAb1の第1b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。30人の患者を、試験において無作為化した(プラセボに6人、75mg、150mgおよび300mg群にそれぞれ8人)。28人の患者は全ての処置を受けた。処置期間は、持続期間で4週間であった;患者を、処置期間が終わった後8週間にわたってフォローした。患者を4:1の比に無作為化して、それぞれの3つの漸増用量コホート(75、150または300mgのmAb1)においてmAb1またはプラセボを受けさせた。試験の第1の目的は、第2の目的としてのPKと共に、安全性および忍容性を評価することであった。探索目的は、効能およびバイオマーカー評価項目を含んでいた。探索的効能変数は、(i)4週目まで、およびそれぞれの試験来院で0または1のIGAスコアを達成した患者の割合;(ii)ベースラインからそれぞれの来院までのBSA、EASIおよび5−D掻痒感スケールの変化および変化率;ならびに(iii)NRSスケールのベースラインからの週毎の変化を含んでいた。

B.効能変数 効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感スケール、および掻痒感NRS評価は、本明細書に他の場所に記載されている(例えば、実施例7を参照されたい)。

IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患者は、以下の来院時には5−D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。患者は、最後の試験来院まで1日2回、その掻痒感NRSスコアを記録するためにIVRSを用いた。

効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付またはそれより前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いる。

C.統計学的方法 安全性および探索的効能変数の概要を、用量群および全体により作成した。安全性および忍容性の概要を、安全性分析セット(SAF)に基づいて行った。安全性分析は、報告された有害事象(AE)、臨床検査評価、バイタルサイン、および12誘導心電図に基づくものであった。

全ての分類変数を、名目上のp値および報告された信頼区間を用いるFisherの直接確率検定を用いて分析した。

全ての連続変数を、共分散分析(ANCOVA)により分析した。別途特定しない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、主要因としての処置および共変量としてのベースライン値を含むANCOVAモデルに基づくものであった。2つの処置群間のベースラインからの調整された平均変化の差異の点推定値および95%CIを提供した。この試験の小さいサンプルサイズのため、探索的効能変数の試験からのp値は、記述目的で提供された。欠測値を、最終観察繰越(LOCF)により帰属させた。

D.患者の素因 プラセボ群の患者は最も若く、全患者が非ヒスパニック系ではない処置群と比較して、プラセボ群の患者の33%がヒスパニック系またはラテン系であった。表6は、患者集団の人口特性をまとめたものである。

表7は、患者集団のベースライン疾患特性をまとめたものである。

試験参加者の平均ベースラインIGA、EASI、BSA、および掻痒感NRSは、それぞれ、およそ3.8、28.2、48.5、および6.4であった。

E.結果 中等度から重度のADを有する患者へのmAb1の皮下投与は、この試験において安全であり、良好に忍容された。単一の重篤な有害事象を、運動に関連するCPK増加と診断された150mg群の患者について記録した。死亡は報告されなかった。25人の処置された患者または83%が、少なくとも1つの処置中に発生した有害事象(TEAE)を報告した。処置群に由来する最も頻繁なTEAEは、感染および侵入(n=7[29%]対プラセボの1[17%])であり、mAb1を投与した患者においては頭痛であった(n=3[13%]対プラセボの1[17%])。

試験から得られたベースラインおよび探索的効能の結果を、図3〜14にまとめた。mAb1の投与は、いずれのADの探索的評価項目の統計的に有意な改善も誘導しなかった。これは、小さいサンプルサイズおよびプラセボ患者が活性処置群よりも重症度が低く、若かったという事実に起因する可能性がある。

〔実施例7〕 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の臨床試験 A.試験設計 この試験は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における、本明細書では「mAb1」と呼ばれる抗IL−4R mAbの皮下投与の安全性および薬物動態プロファイルを評価するための、12週間の、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。中等度から重度のADを有する患者は、12以上の湿疹面積および重症度指数(EASI)ならびに最小10%の体表面積病変を有していた。処置期間は、持続期間で4週間であり、患者は処置期間が終わった後8週間フォローされる。患者を、ベースライン前の少なくとも1週間、局所薬剤(例えば、ピメクロリムス、タクロリムス、および局所コルチコステロイド)から離脱させた。経口コルチコステロイドおよび免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸−モフェチル、IFNγ)も、ベースラインの前の4週間以上禁止した。

患者を3:1の比で無作為化して、2つの漸増用量コホート(150mgまたは300mg)のそれぞれにおいてmAb1またはプラセボを受けさせた。この試験は、スクリーニング期間(−14日目から−3日目まで)、処置期間(1日目から29日目まで)(局 所ステロイドは許可されなかった)、およびフォローアップ期間(29日目から85日目まで)(局所ステロイドが許可された)からなっていた。処置期間の間に、患者は、安全性、検査値評価のために少なくとも週に1回、および臨床効果評価のために1、4、8、15、22、25および29日目(4週目)にクリニックで診察された。患者は、1、8、15および22日目に試験薬剤の用量を受けた。患者を、試験薬剤の各用量の後2時間にわたって試験部位でモニタリングした。処置期間の試験来院の終わりは、29日目(4週目)であった。フォローアップ期間の間に、患者は36、43、50、57、64、71および85日目(試験来院最終日)にフォローアップ評価のためにクリニックで診察された。

B.効能変数 この試験で測定された探索的効能変数は、(1)4週目およびそれぞれの試験来院までに0または1の試験責任医師包括評価(IGA)スコアを達成した患者の割合;(2)ベースラインから各来院までのアトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)、湿疹面積および重症度指数(EASI)、SCORAD、および5−D掻痒感スケールの変化および変化率;(3)掻痒感数値評価スケール(NRS)のベースラインからの週の変化;(4)4週目までの循環好酸球、TARC、エオタキシン−3、および総IgEのベースラインからの変化;(5)12週目までの循環好酸球、TARC、エオタキシン−3、および総IgEのベースラインからの変化;ならびに(6)4週目までの応答と関連する好酸球、TARC、エオタキシン−3、Phadiatop(商標)結果、および総IgEのベースラインからの変化を含んでいた。

効能変数のベースラインは、無作為化の日付での、またはその前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付で、またはその前に値を有さない患者については、最初の用量注射の日付での、またはその前の最後の非欠測値を、ベースラインとして用いる。

試験責任医師包括評価(IGA):IGAは、0(消失)から5(非常に重篤)までの範囲の6点スケールでADの重症度および処置に対する臨床応答を決定するための臨床試験において用いられる評価スケールである。IGAスコアを、クリニック来院毎に評価した。

アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA):ADにより影響されたBSAを、身体のそれぞれの主要部分(頭部、胴体、上肢、および下肢)について評価し、それぞれの身体部分に由来するパーセンテージの合計として報告した。患者を、以下の来院時にBSAについて評価した:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71、および85日目(試験最終日)または早期終結。

湿疹面積および重症度指数(EASI):EASIは、ADの重症度および程度を評価するための臨床実務および臨床試験において用いられる検証された尺度である(Hanifinら、2001、Exp.Dermetol.10:11〜18頁)。EASIスコア計算は、個々の徴候の医師による評価[紅斑(E)、硬化/丘疹形成(I)、擦りむき(X)、および苔蘚化(L)]に基づき、ここで、それぞれの徴候は、0=なし、1=軽度、2=中等度、または3=重度とスコア化され、また、面積スコア[罹患した(BSA)%に基づく]に基づき、ここで、0=0%BSA、1=1〜9%BSA、2=10〜29%BSA、3=30〜49%BSA、4=50〜69%BSA、5=70〜89%BSA、6=90〜100%BSAである。

身体の主要部分のそれぞれ(頭部、上肢、胴体および下肢)について、EASIスコア=(E+I+X+L)x面積スコアである。総EASIスコアは、重量10%=頭部、2 0%=上肢、30%=胴体、40%=下肢を用いる部分EASIの加重合計である。可能なEASIスコアの最小値は0であり、可能なEASIスコアの最大値は72であり、ここで、より高いスコアは、アトピー性皮膚炎の重症度が高いことを示す。EASI50の達成(EASIスコアの50%以上の改善)は、評価項目として用いるための臨床的に意義のあるレベルの改善であると皮膚科学試験責任医師によって考えられる。

患者は、以下の来院時にEASIスコア評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。

SCORAD:SCORADは、ADの程度および重症度の評価を標準化するために開発された臨床研究および臨床実務において用いられる検証されたツールである(Dermatology 1993、186:23〜31頁)。ADの程度は、それぞれの規定の体面積のパーセンテージとして評価され、全面積の合計として報告され、最大スコアは100%である(全体SCORAD計算において「A」と割当てられる)。ADの6つの特異的症状(紅斑、浮腫/丘疹形成、擦りむき、苔蘚化、滲出/かさぶたおよび乾燥)の重症度を、以下のスケールを用いて評価する:なし(0)、軽度(1)、中等度(2)、または重度(3)(最大18の合計点について、全体SCORAD計算において「B」と割当てられる)。痒みおよび睡眠不足の主観的評価を、患者がそれぞれの症状について記録するか、または視覚的アナログスケール(VAS)上で比較し、ここで、0は痒み(または睡眠不足)なしであり、10は想像できる最悪の痒み(または睡眠不足)であり、可能なスコアの最大値は20である。このパラメータは、全体SCORAD計算において「C」と割当てられる。SCORADスコアは、A/5+7B/2+Cと計算される。最大SCORADスコアは、103である。

患者は、以下の来院時にSCORAD評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。

5−D掻痒感スケール:5−D掻痒感スケールは、5次元のバックグラウンドの痒み:程度、持続期間、方向、身体障害、および分布を評価するための臨床試験において用いられる5つの質問のツールである(Elmanら、2010、Brit.J.Dermatol.162:587〜593頁)。患者は、先行する2週間にわたってその症状を「存在する」または1〜5のスケールで評価し、5が程度、持続期間、方向および身体障害における各質問について最も影響されている。単一項目ドメインスコア(持続期間、程度および方向)は、応答選択の下に示される値に等しい(1〜5の範囲)。

身体障害ドメインは、日常活動に対する痒みの影響を評価する4つの項目を含む:睡眠、娯楽/社会活動、家事/用事および仕事/学校。身体障害ドメインに関するスコアは、4項目のいずれかに関して最も高いスコアを取ることにより達成される。

分布ドメインについては、罹患した身体部分の数を集計(潜在的な合計0〜16)し、その合計を5つのスコアリング瓶に選別する:0〜2の合計=1のスコア、3〜5の合計=2のスコア、6〜10の合計=3のスコア、11〜13の合計=4のスコア、および14〜16の合計=5のスコア。

5つのドメインのそれぞれのスコアを別々に達成した後、一緒に合計して、総5−Dスコアを得る。5−Dスコアは、潜在的には5(掻痒感なし)〜25(最も重篤な掻痒感)の範囲であってよい。

患者は、以下の来院時に5−D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。

掻痒感数値評価スケール(NRS):掻痒感NRSは、以前の12時間におけるADの結果としての患者の最悪の痒みを評価するために用いられた単一質問形式の評価ツールである。患者は、スクリーニング来院の夕方から1日2回、IVRSに電話し、以下の質問「0〜10のスケールで、0は「痒みなし」であり、10は「想像できる最悪の痒み」である場合、あなたは以前の12時間に経験した痒みの最悪の程度をどのように評価するか?」と尋ねられる。患者は、IVRSを使用する際に、スクリーニング来院時のその掻痒感NRSスコアを記録するように指示され、それぞれの以降のクリニック来院時にコンプライアンスについて問い合わせる。患者は、最後の試験来院まで1日2回、評価スケールを完了させる。

ベースラインNRSは、スクリーニング来院の直後とベースライン来院の直前の間の報告されたNRSの平均と定義される。ベースライン後のNRSについては、週平均のNRSは、その週内の報告された毎日のNRSの平均として計算される(日割平均)。

C.安全性評価 有害事象および重篤な有害事象をモニタリングすることにより、試験を通して安全性を評価した。

有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象または臨床調査対象におけるあらゆる望ましくない医学的出来事である。AEは、従って、医薬品の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、検査所見異常)、症状、または疾患であってよく、医薬(被験)品との因果関係の有無は問わない。AEはまた、試験薬物の使用と時間的に関連する元々存在する状態の任意の悪化(すなわち、頻度および/または強度の任意の臨床的に意義のある変化);試験責任医師によって臨床的に意義があると考えられる検査所見異常;ならびに任意の望ましくない医学的出来事も含む。

重篤な有害事象(SAE)は、任意の用量で死亡をもたらす;命を脅かす;入院患者の入院もしくは存在する入院の延長を必要とする;持続的もしくは有意な身体障害/無能をもたらす;先天異常/出生異常である;または重要な医学的事象である、あらゆる望ましくない医学的出来事である。

さらに、検査値安全性変数、バイタルサイン変数、12誘導心電図(ECG)変数、および身体診察変数を、試験を通して測定した。

臨床検査データは、血液検査、血液化学検査および尿検査からなる。血液検査のための血液試料を、試験来院毎に採取した;血清化学検査のための血液試料および尿検査のための尿試料を、スクリーニング時、1日目/ベースライン(投与前)、8日目、15日目、29日目、36日目、57日目、85日目(試験最終日)または対象が試験を中止した場合、早期終結時に全体的な患者の健康を測定するために採取した。

バイタルサインパラメータとしては、呼吸数(bpm)、脈拍数(bpm)、収縮期および拡張期血圧(mmHg)ならびに体温(℃)が挙げられる。バイタルサインを、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前、投与日)、ならびに4、8、15、22、25、29、36および85日目(試験最終日)または早期終結時に収集した。バイタルサインを、1、8、15、および22日目の試験薬物投与後、注射後1および2時間で取った。

12誘導ECGパラメータとしては、心室HR、PR間隔、QRS間隔、補正されたQT間隔(QTcF=QT/[RR0.33]およびQTcB=QT/[RR0.5])ECG状態:正常、臨床的に意義のない異常または臨床的に意義のある異常が挙げられる。標準的な12誘導ECGを、スクリーニング時、29日目、および85日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。

徹底的、完全な身体診察を、スクリーニング時、29日目、および85日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。

D.データ分析 1.探索的効能変数の分析 全分類変数を、名目上のp値および報告された信頼区間を用いるFisherの直接確率検定を用いて分析した。全連続変数を、共分散分析(ANCOVA)により分析した。別途特定しない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、主要因としての処置および共変量としてのベースライン値を含むANCOVAモデルに基づくものであった。2つの処置群間のベースラインからの調整された平均変化の差異の点推定値および95%CIを提供した。欠測値を、最終観察繰越(LOCF)法により帰属させた。モデル仮定が保証されなかった事象においては、共変量の順位に基づく分析を用いた。相関分析を、Spearmanの相関係数を用いて実施した。

2.安全性データの分析 安全性分析は、報告されたAE、臨床検査評価、バイタルサイン、および12誘導ECGに基づく。検査値変数、バイタルサインおよびECGにおける潜在的に臨床的に意義のある値(PCSV)の閾値は、SAPで定義される。任意の事象または異常を検出するための時間間隔は、試験医薬の注入と試験の終わりの間である。この間隔の外側で収集されたデータは、記述統計学の計算ならびに検査値の評価、バイタルサインおよびECGに関する異常の同定から除外される。

E.結果 上記のように、患者を、4週間にわたって週に1回、150mgもしくは300mgの皮下mAb1、またはプラセボで処置した。300mg処置群における診断時のより高い年齢を除いて、人口特性および臨床特性は、一般に処置間で類似していた(表8)。試験集団は主に男性(62.2%)、白人(94.6%)であり、平均年齢は43.6(15.4)歳である。37人の患者のうち、31人(83.8%)が処置を完了し、25人(67.6%)が全試験を完了した。離脱の最多の理由は、効能の欠如であった(4人のプラセボ患者および各処置群の1人)。投与されたmAb1に関する有害事象に起因する離脱はなかった。

試験から得られたベースラインおよび探索的効能の結果を、表9〜14にまとめる。

F.結論 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者への抗IL−4R抗体(mAb1)の皮下投与は、150または300mgの4週間用量後に一般に安全であり、良好に忍容され、有害事象(AE)率はプラセボと類似し、用量限定毒性または重篤なAEはなかった。mAb1に関する最も一般的なAEは、鼻咽頭炎および頭痛であった。mAb1は掻痒感を迅速に(8日目までに)減少させ、用量依存的様式で皮膚疾患を改善させた。150および300mgでのmAb1の投与は、ベースラインと比較して、平均ならびに絶対変化および変化率の両方において、早ければ8日目から85日目までにIGA、EASI、BSA、SCORADおよびNRS掻痒感の有意な改善をもたらした(表9〜14を参照されたい)。29日目の300mg群において、EASI50応答を達成した患者の割合は、71.4%であったのに対して、プラセボについては18.8%(p=0.0025)であり、NRS掻痒感スコアは45.4%減少したのに対して、プラセボについては18.6%であった(p=0.0016)。その効果は、EASI50については85日目まで、NRS掻痒感については75日目まで持続した。300mg処置群については 、プラセボからの差異は、処置期間の終了後、追加の6週間にわたって有意であった。mAbは、29日目での他の臨床転帰、IGA(p=0.0002)、EASI(p<0.0001)、BSA(p=0.0037)および5D掻痒感(p<0.0001)の平均変化率を有意に改善させた。これらの改善は一般に、8日目までに観察され、処置の終了後も持続した。処置の終了後にリバウンド現象は観察されなかった。

従って、本実施例に示された結果は、mAb1がアトピー性皮膚炎の処置にとって安全であり、有効であることを示している。

〔実施例8〕 抗IL−4R抗体を用いる中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者の処置:プールされた第1b相試験の分析 中等度から重度のADを有する患者においてAD効能パラメータを測定し、2つの別々の臨床試験からの分析のためにプールした。「試験A」は、アトピー性皮膚炎を有する患者における投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の安全性および忍容性を評価するための12週間の二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増用量試験であった。処置期間は4週間であり、患者は処置期間の終了後に8週間フォローされた。患者を4:1の比で無作為化して、3つの漸増用量コホート(75mg、150mgまたは300mg)のそれぞれにおいてmAb1またはプラセボを受けさせた。この試験は、スクリーニング期間(−14日目〜−3日目)、処置期間(1日目から29日目まで)、およびフォローアップ期間(29日目から85日目まで)からなっていた。処置期間の間に、患者を、1、4、8、15、22、25および29日目(4週目)に安全性、検査値および臨床効果の評価のために週に1回、クリニックで診察した。患者は、1、8、15および22日目にmAb1またはプラセボの用量を受けた。処置期間の終了日は、29日目(4週目)であった。患者を、1日目の注射(mAb1またはプラセボ)後6時間、ならびに8、15および22日目の注射後3時間にわたって試験部位でモニタリングした。フォローアップ期間の間に、患者を、36、43、50、57、64、71および85日目(試験来院の終わり)でフォローアップ評価のためにクリニックで診察した。

「試験B」は、中等度から重度のADを有する患者における、12週間の、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、連続漸増、反復用量試験であった。AD対象に、試験の1、8、15および22日目(4つの週用量)に、150mgもしくは300mgのmAb1、またはプラセボを投与した(本明細書の実施例3を参照されたい)。両試験の全ての投与は、皮下であった。

組入れ基準は、(1)18歳以上の男性または女性であること;(2)3年にわたる慢性アトピー性皮膚炎を有すること;(3)12以上のEASIを有すること;(4)3以上のIGA;(5)15%以上のAD病変のBSA(米国内)または10%以上のAD病変のBSA(米国外);(6)局所コルチコステロイド(TCS)またはカルシニューリン阻害剤の安定なレジメンに対する不十分な応答の病歴であった。

除外基準は、(1)3.5x103/μl未満のWBC;(2)125x103/μlの血小板;(3)1.75x103/μl未満の好中球;(4)ULNの1.5倍を超えるAST/ALT;(5)B型肝炎またはC型肝炎陽性;および(6)ベースラインの1週間以内のTCSまたはカルシニューリン阻害剤を用いる処置。

試験の主要評価項目は、ベースラインから12週目までの処置中に発生した有害事象(TEAE)の発生をモニタリングすることであった。効能変数のための探索的評価項目は、(i)4週目までの0または1のIGAの達成率(%);(ii)ベースラインからのBSAおよびEASIの改善率(%);ならびに(iii)NRSスケールのベースライ ンからの変化であった。

効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感スケール、および掻痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例4を参照されたい)。

IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患者は、以下の来院時に5−D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、36、43、57、71および85日目(試験最終日)または早期終結。患者は、IVRSを用いて、その掻痒感NRSスコアを最後の試験来院まで1日2回記録した。

効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付での、またはそれより前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いる。

患者集団のベースライン人口を、以下の表15に提供する。

平均ベースライン疾患特性を、表16に与える。

プールされた試験から得られた探索的効能結果を、表17および図15〜22にまとめ る。

mAb1は、中等度から重度のADを有する成人において良好に忍容され、有効であった。mAb1の投与によりAD疾患活動性および重症度を有意に改善した。4週間で、150mgおよび300mgのmAb1は、BSA%(p<0.05)(図15)、IGA(p<0.001)(図16)、EASI(p<0.001)(図17)、および掻痒感NRS(p<0.01、300mg)(図18)のベースラインからの変化について、プラセボに対して有意な改善を達成した。多くの患者は、150mg(54.5%)および300mg(71.4%)のmAb1対プラセボ(18.8%;両方についてp<0.05)を用いた場合、EASIスコアが50%以上低下した(図19および20)。多くの 患者は、4週目で、プラセボと比較してmAb1を用いた場合にEASI−25、EASI−50およびEASI−75を達成した(図21)。

300mgのmAb1について、BSA%(p<0.02)、IGA(p<0.05)およびEASI(p<0.0001)の有意な改善が2週間以内に認められた。BSA、IGAおよびEASIの改善(p<0.05対プラセボ)は、8週間維持された。4週目でIGA0または1を有する患者の割合は、プラセボより高かったが、統計的に有意ではなかった(図22)。

mAb1投与に関する最も一般的な処置中に発生した有害事象(AE)は、鼻咽頭炎(19.6%対プラセボの12.5%)および頭痛(11.8%対プラセボの6.3%)であった。

〔実施例9〕 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の平行群、用量範囲臨床試験 A.試験設計 この試験は、中等度から重度のADを有する成人におけるmAb1の週用量の用量応答プロファイルを評価するための、32週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、平行群試験であった。試験の主な目的は、中等度から重度のADを有する成人患者における、プラセボと比較した複数のmAb1用量レジメンの効能を評価することであった。第2の目的は、(1)中等度から重度のADを有する成人患者における、プラセボと比較した複数のmAb1用量レジメンの安全性を評価すること;(2)中等度から重度のADを有する成人患者における、複数のmAb1用量レジメンの薬物動態(PK)を評価すること;および(3)中等度から重度のADを有する成人患者における、プラセボと比較した複数のmAb1用量レジメンにわたる潜在的な免疫応答を評価することであった。

標的集団は、局所医薬を用いて十分に制御することができなかったか、またはさもなければ局所的処置が勧められない(例えば、副作用または安全性のリスク)、中等度から重度のADを有する成人を含んでいた。およそ240〜288人の患者を登録した。適格患者を1:1:1:1:1:1の比で無作為化して、6つの週処置レジメン(5つの活性薬剤、1つのプラセボ)のうちの1つを受けさせた。無作為化は、疾患の重症度(中等度対重度のAD)および地域(日本対その他の世界)により層別化した。行われた投薬スケジールを、表26に与える。

全ての患者は、1日目に2回の注射(負荷用量)を受けた後、毎週の注射を受けた。2週間毎(q2w)および4週間毎(q4w)の用量レジメンについて、次の用量の試験薬物を、それぞれ2週目および4週目に投与した。q2wおよびq4w用量レジメンに割当てられた患者は、mAb1が投与されなかった場合、毎週、容量を一致させたプラセボを受けた。インフォームドコンセントを提供した後、患者をスクリーニング来院時に試験適格性について評価した。適格性基準を満たした患者は、1日目/ベースライン評価、無作為化を受けた後、1日目から15週目まで試験薬物の毎週の注射を受けた。この時間に、患者は毎週のクリニック来院に戻り、数週間は電話での接触のみを要した。患者(および/または医療提供者)は、2、3、4、5、および6回目の来院時に試験薬物を注射する訓練を受け、電話での接触のみを要するより後の試験来院時には試験薬物を自己注射した。患者を、最初の5回の毎週の注射のそれぞれの後、最小で1時間にわたって試験部位で密接にモニタリングした。安全性、検査値、および臨床効果の評価を、特定のクリニック来院時に実施した。処置期間来院の終わりは、主要評価項目を評価した場合、16週目であり、試験薬物の最後の投与の1週間後であった。フォローアップ来院は18週目から32週目まで、2週間毎に行った。試験来院の終わりは32週目であった。必要に応じて、試験責任医師の裁量で、ADのための救命処置(医薬および/または光線療法)を試験患者に提供した。救命処置を必要とした患者は、試験薬物をすぐに中止したが、試験評価のスケジュールに従うことを継続するよう求められた。任意の救命処置を投与する直前に、効能測定値を取得した(試験責任医師包括評価[IGA]、湿疹面積および重症度指数[EASI]など)。DNA分析のための1つの試料およびRNA分析のための複数の試料を、任意選択のゲノムサブ試験に参加することに同意する患者から採取した。

試験処置:mAb1皮下投与:1日目から15週目まで、毎週(qw)300mg、300mg q2w、300mg q4w、200mg q2w、または100mg q4w、または1日目から15週目まで、週に1回のプラセボの皮下投与。基本的な商標の局所軟化剤を、−7日目から8日目まで1日2回適用した。

試験の評価項目:試験の主要評価項目は、ベースラインから16週目までのEASIスコアの変化率であった。副次的評価項目は、(1)16週目にIGA0(消失)または1(ほぼ消失)を達成する患者の割合;(2)16週目に2以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;(3)ベースラインから16週目までのEASIスコアの絶対変化; (4)16週目にEASI−50、EASI−75およびEASI−90(EASIスコアのベースラインからの50、75および90%の低下)を達成する患者の割合;(6)16週目にSCORAD−50、SCORAD−75およびSCORAD−90(SCORADスコアのベースラインからの50、75および90%の低下)を達成する患者の割合;(7)掻痒感スコア(NRSおよび4点分類スケール)のベースラインからの絶対変化および変化率;(8)POEMスコアのベースラインからの絶対変化および変化率;(9)GISS構成要素(紅斑、浸潤/集団、擦りむき、および苔蘚化)のベースラインからの変化;(10)GISS累積スコアのベースラインからの変化;(11)ベースラインから32週目までの処置中に発生した有害事象(TEAE)の発生;ならびに(12)複数のmAb1用量レジメンの薬物動態プロファイルを含んでいた。

他の探索的評価項目は、(1)疾患重症度スコア(例えば、IGA、EASI、SCORAD)の分布およびベースラインから16週目までの様々な時点での変化;(2)ベースラインから16週目までの様々な時点での掻痒感NRS、掻痒感分類スケール、SCORAD(掻痒感VASおよび睡眠障害VAS)、疾患状態の患者包括評価、処置効果の患者包括評価、DLQI、POEM、EQ−5D、痒みQOL、およびHADSの変化;(3)ベースラインから16週目までの様々な時点での、BSA%、SCORADスコア、EASIおよび掻痒感NRSの絶対変化および変化率;(4)ベースラインから16週目までの様々な時点で2以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;(5)ベースラインから16週目までの様々な時点で3以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;(6)16週目から32週目までの効能パラメータの変化;(7)mAb1 ADAの発生およびプロファイル(経時的力価);(8)ADAの形成および持続性に対するmAb1血漿濃度の効果;(9)mAb1血漿濃度に対するADAの効果;(14)臨床転帰(安全性および効能)に対するADAの効果;(10)臨床転帰に対するPKパラメータ(CmaxおよびAUC)の効果;ならびに(11)薬物曝露および臨床転帰に対する体重の効果を含んでいた。

試験設計の原理:この試験の目的は、確認的第3相試験においてさらに調査される最適な用量レジメンを見出すことであった。この第2b相試験の設計は、中等度から重度のADを有する患者において12週間連続で毎週(qw)投与された300mg用量のmAb1の安全性および効能を調査した、以前のmAb1試験からの結果により情報提供されたものであった。第2b相用量レジメンの選択はまた、以前の臨床試験からの薬物動態(PK)と薬力学(PD)パラメータ(PK/PDモデル)との、観察され、シミュレートされた相関によっても支持された。用量範囲の高いアンカー(anchor)として300mg qw(すなわち、第2a相で試験された用量レジメン)を用いる場合の目標は、最大もしくはほぼ最大の効能を示す最も低い用量レジメンを同定すること、および/またはmAb1により生じる安全性プロファイルに応じて、最良の利益/危険比を示す用量レジメンを見出すことであった。従って、潜在的に治療レベルを超える用量レジメン(すなわち、高いアンカー)と、明らかに最適ではない効能(すなわち、低いアンカー)との間のスペクトルを合理的に包含するように、5つのmAb1用量レジメンを選択した。このプロトコールはまた、対照とのそれぞれの活性用量レジメンの比較を可能にするプラセボ群も含んでいた。

負荷用量の使用:多くの患者は、その後の来院で投与された2倍の名目上の用量からなる、負荷用量を1日目に受けた。これにより、定常状態に到達するmAb1の全身濃度および標的化された全身濃度が、臨床利益が得られるまでの時間をより速く、潜在的に減少させることができる。機能的mAb1の全身濃度が調査された全用量レジメンについて安定化することができるように、試験処置を16週間投与した。薬物動態モデリングにより、「4週間毎」(q4w)の用量レジメンが初期負荷用量後にトラフ濃度の減少をもたらし得ることが示唆された。結果として、これらのレジメンの免疫能力を、より短い処置経 過内で完全に発現させることができない。試験薬物の最後の用量後、全ての患者をさらに16週間フォローし、mAb1のクリアランスが試験来院が終わる前に実質的に完了することを確保した(定量下限以下の血漿濃度)。

用量選択のための原理:この試験で投与された最も高いmAb1用量レジメンは、300mg qwであった。短い(4週間)処置経過として与えた場合、この用量レジメンは安全であり、それをより低い用量レジメン(150mg qwおよび75mg qw)と一緒に調査した初期第1b相臨床試験において最も有効であると考えられた。薬物動態モデリングにより、300mg qwが長い実行においては治療レベルを超える可能性があることが示唆された:mAb1血漿濃度は4週目までに定常状態に到達せず、標的、すなわち、IL−4受容体の膜結合アルファサブユニットを飽和するのに必要とされるものよりかなり上のレベルで安定化するよう計画された。しかしながら、血漿濃度が調査した全ての用量レジメンについて定常状態に到達することができるように、より長い試験処置(12週間以上)の文脈において、300mg qwを、より低い用量レジメンと比較することによってこれを確認する必要があった。300mg qwを初期の試験(例えば、第2a相概念実証)において12週間投与したが、この用量レジメンを第2b相において繰り返して、第2a相の結果を確認し、同じ試験内でのより低い用量レジメンとの直接比較が可能になった。従って、300mg qwは、本試験における用量範囲の高いアンカーであった。

用量レジメン範囲の低いアンカーは、q4wで投与された100mgであった。PK/PDモデリングに基づいて、定常状態での得られるmAb1血漿濃度は、一貫して標的媒介性クリアランスより下(すなわち、mAb1除去が主にIL−4受容体へのその結合により達成されるような十分に低いレベルで)であると期待されたが、これはこの用量レジメンと関連する臨床応答が不完全であったことを示唆している。他の3つの用量レジメンを、高いアンカーと低いアンカーとの間で選択した。これらの用量レジメンおよびその選択のための主な原理の概要を、以下に提供する: ・300mg qw:高いアンカー。第2a相で試験されたものと同じ用量レジメン。 ・2週間毎(q2w)に300mg:PK/PDデータおよびモデルに基づく高い成功確率。複数の投薬間隔にわたって治療薬物レベルを維持するのに十分であり得る。 ・300mg q4w:PKモデリングにより、mAb1血漿レベルが負荷用量の投与後急速に60mg/Lより上に上昇し、速い作用開始と関連することが示された。q4w投与は、長時間にわたって治療効果を維持するのに十分であり得る。300mg用量は利用可能な最も高いものであるため、このレジメンはq4w投与の効能を証明する最良の機会を有していた。 ・200mg q2w:最大治療効果に達することなく、いくつかの効能が期待された。用量応答評価およびさらなるPK/PDモデリングにとって有用である。q2wレジメンの全スペクトルを評価するのに役立つ。 ・100mg q4w:低いアンカー。おそらく最適ではない有効用量。 ・プラセボ:任意の見かけの薬物効果のための信頼できる参照を提供した。

組入れ基準および除外基準:患者は、試験への含有にとって適格であるための以下の基準を満たさなければならなかった:(1)18歳以上の男性または女性;(2)スクリーニング来院前に少なくとも3年間存在した、慢性AD(AADコンセンサス基準[Eichenfeld 2004]による);(3)スクリーニングおよびベースライン来院時に16以上のEASIスコア;(4)スクリーニングおよびベースライン来院時に3以上のIGAスコア(0〜4のIGAスケールで);(5)スクリーニングおよびベースライン来院時に10%以上のAD病変の体表面積(BSA);(6)局所医薬を用いる外来処置に対する不十分な応答の最近の履歴(スクリーニング来院前の3カ月以内)が文書化された患者、または局所処置がさもなければ勧められない患者(例えば、重要な副作用もし くは安全性のリスクのため)*;(7)患者はベースライン来院前の少なくとも7日間にわたって1日2回、安定用量の添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用していなければならない;(8)全てのクリニック来院および試験関連手順を満たす意思およびそれをできること;(9)試験関連質問票を理解し、完了することができること;ならびに(10)インフォームドコンセントに署名すること。*注意:このプロトコールの目的のために、不十分な応答とは、少なくとも28日間または製剤処方情報により推奨される最大期間(例えば、超強力な局所コルチコステロイドについては、14日間)のいずれか短い方にわたって毎日適用される中程度から高い効力の局所コルチコステロイド(±必要に応じて、局所カルシニューリン阻害剤)を用いる処置にも拘らず、寛解または低い疾患活動状態(例えば、IGA0=消失から2=軽度まで)を達成し、維持することができないことを表した。重要な副作用または安全性の危険は、試験責任医師または患者の主治医により評価された場合、潜在的な処置利益を上回るもの(例えば、過敏性反応、有意な皮膚萎縮、全身効果など、またはその切迫)である。

以下の基準のいずれかを満たした患者は、この試験に参加するのに不適格であった:(1)mAb1を用いる以前の処置;(2)ベースライン来院前の、8週間以内または5半減期以内(既知の場合)のいずれか長い方の被験薬物を用いる処置;(3)ベースライン来院前の4週間以内の以下の処置、または試験処置の最初の4週間のそのような処置を必要とし得る任意の状態:全身コルチコステロイド、免疫抑制薬/免疫調節薬(例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、IFN−γ、アザチオプリンもしくはメトトレキサート)、またはADのための光線療法;(4)ベースライン来院前の1週間以内の局所コルチコステロイド、タクロリムス、および/またはピメクロリムスを用いる処置;(5)以下のようなバイオ医薬品を用いる処置:限定されるものではないが、ベースライン来院前の6カ月以内、もしくはリンパ球およびCD19+リンパ球計数が正常に戻るまでのいずれか長い方のリツキシマブなどの任意の細胞枯渇剤、任意の適応症についてベースライン来院前の16週間以内、もしくは皮膚科学的適応症については5年以内の、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴール、アバタセプト、エタネルセプト、アナキンラ、または5半減期(既知の場合)もしくは16週間以内のいずれか長い方の他のバイオ医薬品;(6)ベースライン来院前の1週間以内の、医学的デバイスとして分類される処方保湿剤(例えば、Atopiclair(登録商標)、MimyX(登録商標)、Epicerum(登録商標)、Cerave(登録商標)など)を用いるADの処置;(7)ベースライン来院前の4週間以内の日焼け室/日焼けサロンの規則的使用(週に2回を超える来院);(8)試験処置中の任意の禁止医薬および手順(限定されるものではないが、局所タクロリムスおよびピメクロリムス;コルチコステロイド;Atopiclair(登録商標)、MimyX(登録商標)、Epicerum(登録商標)、Cerave(登録商標)などの医学的デバイスとして分類される処方保湿剤;アレルゲン免疫療法;免疫抑制/免疫調節物質を用いるADのための全身処置;生(弱毒化)ワクチンまたは被験薬物(mAb1以外のもの)を用いる処置;主な選択的手術)の使用の計画または予測;(9)ベースライン来院前の12週間以内の生(弱毒化)ワクチンを用いる処置;(10)スクリーニング来院前の4週間以内の抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、もしくは抗真菌剤を用いる処置を要する慢性もしくは急性感染、またはスクリーニング来院前の1週間以内の表在性皮膚感染;(11)試験責任医師により判定された場合、感染の消散にも拘らず、侵襲性日和見感染(例えば、ヒストプラスマ症、リステリア症、コクシジオイデス症、ニューモシスティス症、アスペルギルス症)の病歴などの既知の免疫抑制、もしくは免疫抑制の疑い、またはさもなければ、異常な頻度の感染再発、もしくは免疫不全状態を示唆する長期感染;(12)スクリーニング来院時でのヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染またはHIV血清陽性の既知の病歴;(13)スクリーニング来院時のB型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎コア抗体(HBcAb)、またはC型肝炎抗体陽性または不確定;(14)スクリーニング来院時の正常上限値を3倍以上(>3xULN)のトランスアミナーゼ(ALTおよび/またはA ST)の上昇;(15)処置された膣トリコモナス症以外の、ベースライン来院前の12カ月以内の臨床内部寄生虫症の病歴;(16)試験評価を妨害し得る皮膚合併症の存在;(17)完全に処置された頸部のin situがん腫、完全に切除された皮膚の非転移性扁平上皮がん腫または基底細胞がん腫を除く、ベースライン来院前の5年以内の悪性腫瘍の病歴;(18)非悪性リンパ増殖性障害の病歴;(19)その後の医学的評価(例えば、糞便検査、血液試験など)が寄生虫感染/侵入の可能性を除外しない限り、環境が寄生虫曝露と一致する内部寄生虫症の流行領域(例えば、滞在の延長、田舎またはスラム地域、流水の欠如、調理されていない、あまり調理されていない、またはさもなければ潜在的に汚染された食品の消費、キャリアまたはベクターとの密接な接触など)での滞在またはそこへの最近の旅行(ベースライン来院前の12カ月以内)などの、寄生虫感染の高い危険性;(20)スクリーニング来院前の2年以内のアルコールまたは薬物乱用の病歴;(21)試験責任医師の判断において、試験への患者の参加に有害に影響する重度の併発疾患。例としては、限定されるものではないが、平均余命が短い患者、糖尿病が制御されていない患者(HbA1c≧9%)、心血管状態(例えば、New York Heart Associationの分類によるステージIIIまたはIVの心不全)、重度の腎臓状態(例えば、透析患者)、肝臓−胆管状態(例えば、Child−PuigクラスBまたはC)、神経状態(例えば、脱髄疾患)、活動性の主な自己免疫疾患(例えば、狼瘡、炎症性腸疾患、関節リウマチなど)、他の重度の内分泌、胃腸、代謝、、またはリンパ系疾患を有する患者が挙げられる。この基準の下で除外される患者の特定の理由を、試験文書(チャートノート、症例報告書[CRF]など)に書き留める;(22)試験責任医師の意見において、新しい、および/または不十分に理解された疾患が、この臨床試験への彼/彼女の参加の結果として試験患者に対して不合理な危険をもたらし得る、患者の参加を信頼性の低いものにし得る、または試験評価を妨害し得ることを示唆する、スクリーニング時の関連する検査値異常などの任意の他の医学的または心理学的状態。この基準の下で除外される患者の特定の理由を、試験文書(チャートノート、CRFなど)に書き留める;(23)患者がこの試験に参加している間の大きな手術の計画;(24)患者が調査チームの一員または彼/彼女の近親者である;(25)妊娠中または授乳中の女性;ならびに(26)生殖能力があり、性的に活発である場合、十分な避妊を用いる意欲がないこと。十分な避妊は、試験期間を通して、および試験薬物の最後の投与後16週間にわたって、有効かつ許容される避妊方法を一貫して実施することに対する同意と定義される。

B.安全性 有害事象および重篤な有害事象をモニタリングすることによって、試験を通して安全性を評価した。

有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象または臨床調査対象における任意の望ましくない医学的出来事である。AEは、従って、医薬品の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、検査所見異常)、症状、または疾患であってよく、医薬(調査的)品との因果関係の有無は問わない。AEはまた、試験薬物の使用と時間的に関連する元々存在する状態の任意の悪化(すなわち、頻度および/または強度の任意の臨床的に意義のある変化);試験責任医師によって臨床的に意義があると考えられる検査所見異常;ならびに任意の望ましくない医学的出来事も含む。

重篤な有害事象(SAE)は、任意の用量で死亡をもたらす;命を脅かす;入院患者の入院もしくは存在する入院の延長を必要とする;持続的もしくは有意な身体障害/無能をもたらす;先天異常/出生異常である;または重要な医学的事象である、あらゆる望ましくない医学的出来事である。

さらに、検査値安全性変数、バイタルサイン変数、12誘導心電図(ECG)変数、お よび身体診察変数を、試験を通して測定した。

臨床検査データは、血液検査、血液化学検査および尿検査からなる。血液検査のための血液試料を、試験来院毎に採取した;血清化学検査のための血液試料および尿検査のための尿試料を、スクリーニング時、1日目/ベースライン(投与前)、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目、113日目、141日目、169日目、および197日目(試験最終日)または対象が試験を中止した場合、早期終結時に全体的な患者の健康を測定するために採取した。

バイタルサインパラメータとしては、呼吸数(bpm)、脈拍数(bpm)、収縮期および拡張期血圧(mmHg)ならびに体温(℃)が挙げられる。バイタルサインを、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前、投与日)、ならびに4、8、15、22、25、29、43、64、71、85、99、113、127、141、155、169、183、197および211日目(試験最終日)または早期終結時に収集した。バイタルサインを、1、8、15、および22日目の試験薬物投与後、注射後1および2時間で取った。

12誘導ECGパラメータとしては、心室HR、PR間隔、QRS間隔、補正されたQT間隔(QTcF=QT/[RR0.33]およびQTcB=QT/[RR0.5])ECG状態:正常、臨床的に意義のない異常または臨床的に意義のある異常が挙げられる。標準的な12誘導ECGを、スクリーニング時、29日目、および113日目(処置最終日)または早期終結時に実施した。

徹底的、完全な身体診察を、スクリーニング時、29日目、および113日目(処置最終日)または早期終結時に実施した。

C.効能変数 効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感スケール、および掻痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例7を参照されたい)。

IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患者は、以下の来院時に5−D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、113日目(処置最終日)、および211日目(試験最終日)または早期終結。患者はIVRSを用いて、その掻痒感NRSスコアを最後の試験来院まで1日2回記録した。

さらに、包括個人徴候スコア(GISS)、掻痒感分類スケール、患者向け湿疹尺度(POEM)、皮膚科学的生活の質指数(DLQI)、痒みQOL、EQ−50、HADS、ならびに疾患状態および処置効果の患者包括評価などの他の変数も評価した。

効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付またはそれより前の最後の非欠測値と定義された。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いた。

〔実施例10〕 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者における皮下投与された抗IL−4R抗体(mAb1)の反復用量臨床試験 A.試験設計 この試験は、中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者において皮下投与された、本明細書では「mAb1」と呼ばれる、抗IL−4R mAbの28週間の無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験であった。処置期間は、患者については12週間の期間、次いで、処置が終わった後さらに16週間であった。

109人の患者が含まれ、試験のために1:1の比で無作為化した(プラセボの54人および300mgの抗体の55人)。43人の患者(プラセボの30人および300mg群の13人)が試験から離脱した。無作為化を、IgEレベルによって層別化して(スクリーニング来院時にIgE<150kU/L対≧150kU/L)、外因型または内因型のADを有する患者においてmAb1の効能を試験した。適格性基準を満たした患者は、1日目/ベースライン評価、無作為化を受けた後、300mgのmAb1またはプラセボSCを受けた。それぞれの週用量の試験薬物を、1回の2mL注射として与えたか、または2回の1mL注射に分割した。患者は毎週のクリニック来院に戻り、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目に試験薬物の注射を受けた。患者を、試験薬物の各用量後に最小で2時間にわたって試験部位で密接にモニタリングした。処置期間の終わりは85日目であった。フォローアップ来院は92、99、106、113、120、127、134、141、148、155、162、169、176、183、190日目、ならびに197日目の試験来院の終わりに行った。

組入れ基準は以下の通りであった:(1)18歳以上の男性または女性;(2)スクリーニング来院前に少なくとも3年間存在していた、HannifinおよびRajkaのEichenfield改訂基準により診断された、慢性AD;(3)スクリーニングおよびベースライン来院時に16以上のEASIスコア;(4)スクリーニングおよびベースライン来院時に3以上のIGAスコア;(5)スクリーニングおよびベースライン来院時に10%以上のAD病変のBSA;(6)スクリーニング来院より前の最後の3カ月以内のADのための処置としての局所コルチコステロイドまたはカルシニューリン阻害剤を用いる安定(1カ月以上)なレジメンに対する不十分な応答の履歴;(7)患者はベースライン来院前の少なくとも7日間にわたって1日2回、安定用量の添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用していなければならない;(8)全てのクリニック来院に戻り、全ての試験関連手順を完了させる意思、約束、および能力ならびにインフォームドコンセント(ICF)に署名する意思と能力。

除外基準は以下の通りであった:(1)mAb1を用いる以前の処置;(2)スクリーニング来院時の以下の検査値異常のいずれかの存在:3.5x103/μL未満の白血球数;125x103/μL未満の血小板数;1.75x103/μL未満の好中球数;ULNの1.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);およびULNの2倍を超えるCPK;(3)スクリーニング来院時のB型肝炎表面抗原、B型肝炎コア抗体、またはC型肝炎抗体陽性または不確定結果;(4)スクリーニング(来院1)前の4週間以内の新しい定期的運動の開始または以前の定期的運動に対する大きな変更。対象は、試験期間にわたって同様の運動レベルを維持し、試験期間にわたる通常ではない激しい運動を控える意思を有さなければならなかった;(5)ベースライン来院前の、8週間以内または既知の場合、5半減期以内のいずれか長い方の被験薬物を用いる処置;(6)ベースライン来院より前の12週間以内の生(弱毒化)ワクチンを用いる処置;(7)ベースライン来院前の6カ月以内のアレルゲン免疫療法を用いる処置;(8)ベースライン来院前の4週間以内のロイコトリエン阻害剤を用いる処置;(9)ベースライン来院前の4週間以内の全身コルチコステロイドを用いる処置;(10)ベースライン来院前の1週間以内の局所コルチコステロイド、タクロリムス、および/またはピメクロリムスを用いる処置;(11)ベースライン来院前の4週間以内の、免疫抑制/免疫調節物質、例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、IFN−γ、光線療法(狭帯域uvB、uvB、uvA1、プソラレン+ uvA)、アザチオプリン、メトトレキサート、またはバイオ医薬品を用いるADのための全身処置;(12)ベースライン来院前の4週間以内の任意の週での3回以上の漂白浴;(13)ベースライン来院前の1週間以内の、医学的デバイス(例えば、Atopiclair(登録商標)、MimyX(登録商標)、Epicerum(登録商標)、Cerave(登録商標)など)を用いるADの処置;(14)スクリーニング来院前の4週間以内の経口もしくはIVの抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、もしくは抗真菌剤を用いる処置を要する慢性もしくは急性感染、またはスクリーニング来院前の1週間以内の表在性皮膚感染;(15)HIV感染の既知の病歴;(16)ドキシサイクリンまたは関連化合物に対する過敏性反応の病歴;(17)膣トリコモナス症以外の臨床寄生虫感染の病歴;(18)完全に処置された頸部のin situがん腫、および皮膚の非転移性扁平上皮がん腫または基底細胞がん腫の病歴を有する患者を除く、ベースライン来院前の5年以内の悪性腫瘍の病歴;(19)試験への患者の参加の長さの間の手術の計画;(20)スクリーニング来院前の4週間以内の日焼け室/日焼けサロンの使用;(21)精神、心臓、腎臓、神経、内分泌、代謝もしくはリンパ系疾患などの有意な併発疾患もしくは有意な疾患の病歴、またはこの試験への対象の参加に有害に影響した任意の他の疾患もしくは状態;(22)妊娠中または授乳中の女性;ならびに/または(23)十分な避妊を用いる意欲。十分な避妊は、試験期間を通して、および試験薬物の最後の投与後16週間にわたって、有効かつ許容される避妊方法を一貫して実施することに対する同意と定義される。女性については、十分な避妊方法は、ホルモン避妊薬、子宮内デバイス(IUD)、または二重障壁避妊(すなわち、コンドーム+ペッサリー、コンドームまたはペッサリー+殺精子剤ゲルまたは気泡)と定義される。男性については、十分な避妊方法は、二重障壁避妊(すなわち、コンドーム+ペッサリー、コンドームまたはペッサリー+殺精子剤ゲルまたは気泡)と定義される。女性については、更年期は生理がない24カ月と定義される;問題がある場合、25U/mL以上の卵胞刺激ホルモンを記録しなければならない。子宮摘出術、両側卵巣摘出術、または両側卵管結紮術を、必要に応じて記録しなければならない。

B.効能変数 主要評価項目は、ベースラインから12週目までのEASIスコアの変化率であった。この試験で測定された副次的評価項目は、(1)12週目で0または1の試験責任医師包括評価(IGA)スコアを達成した患者の割合;(2)ベースラインから12週目までにEASIスコアの50%以上の全体的改善(EASI50とも呼ばれる)を達成した患者の割合;(3)ベースラインから12週目までのEASIスコアの変化;(4)IGAスコア、アトピー性皮膚炎の体表面積病変(BSA)、湿疹面積および重症度指数(EASI)、SCORAD、掻痒感NRSおよび5−D掻痒感スケールの、ベースラインから12週目までの変化および変化率;(5)ベースラインから28週目までのTEAEの発生;(6)応答と関連する好酸球、TARC、Phadiatop(商標)結果、および総IgEのベースラインからの変化;(7)ベースラインから12週目までのQoLIADの変化;(8)ベースラインから12週目までに2以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;(9)ベースラインから12週目までに3以上のIGAスコアの低下を達成する患者の割合;ならびに(10)循環好酸球、TARCおよび総IgEのPD応答を含んでいた。

効能変数に関するベースラインは、無作為化の日付またはそれより前の最後の非欠測値と定義される。彼/彼女の無作為化の日付またはそれより前に値を有さない患者については、1回目の用量注射の日付またはそれより前の最後の非欠測値をベースラインとして用いる。

調査手順 効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、5−D掻痒感スケール、および掻 痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例7を参照されたい)。

IGA、BSA、EASIおよびSCORADスコアを、クリニック来院毎に評価した。患者は、以下の来院時に5−D掻痒感評価を受けた:スクリーニング、1日目/ベースライン(投与前)、ならびに15、29、43、57、71、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結。患者はIVRSを用いて、その掻痒感NRSスコアを最後の試験来院まで1日2回記録した。

アトピー性皮膚炎に関する生活の質指数(QoLIAD):QoLIADは、QoLに対するAD疾患症状および処置の影響を評価するための臨床実務および臨床試験において用いられる25項目の検証された質問票である。その形式は0〜25のスコアリングシステムを用いる25項目の単純なyes/noの応答である;スコアが高いほど、QoLが良くないことを示す。質問票を、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前)、ならびに29、57、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結時に施した。

C.被験処置 mAb1医薬品は、SC投与のために5mlのガラスバイアル中で凍結乾燥粉末として供給された。SC送達した場合、mAb1医薬品を2.5mlの注射用滅菌水で再構成させて、150mg/mLのmAb1を含有する溶液を得た。試験したmAb1の用量レベルは、SC投与について300mgであった。mAb1またはプラセボを、1日目/ベースラインならびに8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目にクリニックで1回(2mL)または2回(1mL)SC注射として投与した。各週用量の試験薬物を1回の2mL注射として与えるのが好ましかったが、各週用量を2つの1mL注射に分割することができる。皮下注射部位を、以下の部位:腕の後ろ、腹部(臍または腰部を除く)、および大腿上方の間で交代させた。四肢への投与は、異なる吸収およびバイオアベイラビリティの可能性のため許容されなかった。同日に複数の注射の投与が必要であった場合、それぞれの注射を異なる注射部位で送達した(例えば、一方の注射は腹部の右下四半部に投与し、他方の注射は腹部の左下四半部に投与する)。皮下注射部位を交代させて、同じ部位に2週連続で注射しないようにした。

プラセボ一致mAb1を、mAb1と同じ製剤中で製造したが、抗体は添加しなかった。

患者を、試験薬物の各用量後、最小で2時間、試験部位でモニタリングした。

さらに、患者は、ベースライン来院前の少なくとも7日間および試験参加を通して1日2回、添加剤を含まない、基本的な商標の皮膚軟化剤の安定用量を適用することが必要であった。患者は、IVRSまたはIWRSを用いて試験中のバックグラウンド処置のコンプライアンスを報告した。このシステムは、患者に、皮膚軟化剤使用に関する以下の質問:「あなたは皮膚の罹患領域に試験医師によって認可された保湿剤を使用しましたか?」に答えるよう促すものであった。

D.安全性評価 有害事象および重篤な有害事象をモニタリングすることにより、試験を通して安全性を評価した。

有害事象(AE)は、医薬品を投与された対象または臨床調査対象における任意の望ま しくない医学的出来事である。AEは、従って、医薬品の使用と時間的に関連のある、あらゆる好ましくない、意図しない徴候(例えば、検査所見異常)、症状、または疾患であってよく、医薬(被験)品との因果関係の有無は問わない。AEはまた、試験薬物の使用と時間的に関連する元々存在する状態の任意の悪化(すなわち、頻度および/または強度の任意の臨床的に意義のある変化);試験責任医師によって臨床的に意義があると考えられる検査所見異常;ならびに任意の望ましくない医学的出来事も含む。

重篤な有害事象(SAE)は、任意の用量で死亡をもたらす;命を脅かす;入院患者の入院もしくは存在する入院の延長を必要とする;持続的もしくは有意な身体障害/無能をもたらす;先天異常/出生異常である;または重要な医学的事象である、あらゆる望ましくない医学的出来事である。

さらに、検査値安全性変数、バイタルサイン変数、12誘導心電図(ECG)変数、および身体診察変数を、試験を通して測定した。

臨床検査データは、血液検査、血液化学検査および尿検査からなる。血液検査のための血液試料を、試験来院毎に採取した;血清化学検査のための血液試料および尿検査のための尿試料を、スクリーニング時、1日目/ベースライン(投与前)、15日目、29日目、43日目、57日目、71日目、85日目、99日目、113日目、141日目、169日目、および197日目(試験最終日)または対象が試験を中止した場合、早期終結時に全体的な患者の健康を測定するために採取した。

バイタルサインパラメータとしては、呼吸数(bpm)、脈拍数(bpm)、収縮期および拡張期血圧(mmHg)ならびに体温(℃)が挙げられる。バイタルサインを、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前、投与日)、ならびに8、15、22、29、36、43、50、57、64、71、78、85、99、113、141、169、および197日目(試験最終日)または早期終結時に収集した。バイタルサインを、1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目の試験薬物投与後、注射後1および2時間で取った。

12誘導ECGパラメータとしては、心室HR、PR間隔、QRS間隔、補正されたQT間隔(QTcF=QT/[RR0.33]およびQTcB=QT/[RR0.5])ECG状態:正常、臨床的に意義のない異常または臨床的に意義のある異常が挙げられる。標準的な12誘導ECGを、スクリーニング時、141日目、および197日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。

研究試料(血清/RNA/血漿)を、スクリーニング時および1日目/ベースライン(投与前)、ならびに8、15、22、29、57、85、および197日目(試験最終日)または早期終結時、ならびにスケジュールにない来院時に採取した。

徹底的、完全な身体診察を、スクリーニング時、85日目、および197日目(試験最終日)または早期終結時に実施した。

E.データ分析 1.探索的効能変数の分析 全分類変数を、名目上のp値および報告された信頼区間を用いるFisherの直接確率検定を用いて分析した。全ての連続変数を、ベースラインIgE層(スクリーニング来院時に<150kU/L対≧150kU/L)を用いる共分散分析(ANCOVA)により分析した。別途特定されない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、主要因としての処置および共変量としてのベースライン値を含むANC OVAモデルに基づくものであった。2つの処置群間のベースラインからの調整された平均変化の差異の点推定値および95%CIを提供した。欠測値を、最終観察繰越(LOCF)法により帰属させる。モデル仮定が保証されない事象においては、共変量の順位に基づく分析を用いる。

2.安全性データの分析 安全性分析は、報告されたAE、臨床検査評価、バイタルサイン、および12誘導ECGに基づく。検査変数、バイタルサインおよびECGにおける潜在的に臨床的に意義のある値(PCSV)の閾値は、SAPで定義される。任意の事象または異常を検出するための時間間隔は、試験医薬の注入と試験の終わりの間である。この間隔の外側で収集されたデータは、記述統計学の計算ならびに検査値の評価、バイタルサインおよびECGに関する異常の同定から除外される。

F.安全性:結果 mAb1は一般に好ましい安全性プロファイルで良好に忍容された。全体的な有害事象(AE)プロファイルは、健康な集団に特徴的なものであった。死亡は報告されなかった。SAEを示した患者は8人であり、そのうちの1人はmAb1群(顔面骨骨折)にあり、7人はプラセボ群(狭心症、蜂巣炎、ヘルペス性湿疹、皮膚細菌感染、腎不全、喘息による危機、肺障害およびアトピー性皮膚炎)にあった。試験薬物の中止をもたらすTEAEを示した患者は8人であり、そのうちの1人はmAb1群にあり、7人はプラセボ群にあった。少なくとも1つのTEAEを示した患者は87人(mAb1群のn=43人[78.2%]とプラセボ群の44人[81.5%])であった。最も頻繁なTEAEは、mAb1を投与された対象における鼻咽頭炎感染であった(n=22人[40%]とプラセボの10人[18.5%])。処置群における他のTEAEは、眼の感染、神経系障害、および一般的な障害ならびに投与部位状態を含んでいた。その他の臨床的に意義のある臨床検査結果(血液化学検査、血液検査、または尿検査)は試験中に報告されなかった。あらゆる検査パラメータの平均/中央ベースラインにおける傾向は認められなかった。試験を通して体温または脈拍のベースラインからの平均または中央変化に有意な傾向はなかった。身体診察結果、ECGまたはバイタルサインに関する臨床的に意義のある異常は認められなかった。

中等度から重度のADを有する成人患者へのmAb1の皮下投与は、一般に安全であり、良好に忍容された。

G.効能:結果 試験から得られたベースラインおよび探索的効能結果を、図23〜33および表27〜35にまとめる。上記のように、患者を12週間にわたって週1回、300mgの皮下mAb1、またはプラセボで処置した。

H.結論 中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する成人患者への抗IL−4R抗体(mAb1)の皮下投与は、12週間の300mgの投与後に一般に安全であり、良好に忍容された。300mgでのmAb1の投与は、ベースラインと比較した場合、平均ならびに絶対変化および変化率の両方において85日目までにIGA、EASI、BSA、SCORADおよびNRS掻痒感の有意な改善をもたらした(表27〜33を参照されたい)。300mg群について85日目で0または1のIGAスコアを達成する患者の割合は40.0%であったが、プラセボに関する同じ数は7.4%であった(表34)。85日目で、EASIスコアの50%の低下率(「EASI−50」)を達成した患者の割合は、300mg群については85.5%であったが、85日目でのプラセボ処置された患者のEASI−50は35.2%であった(表35)。mAb1のベースラインから12週目までのEASIスコアの変化率は、プラセボ群とは統計的有意差があった(−74.0%と−23.0%、p値<0.0001)。処置群は、全ての副次的効能評価項目においてプラセボ群と統計的に有意に異なっていた。以下は、それぞれ、IGA応答者(0または1)(<0.0001)、EASI応答者(<0.0001)、ベースラインからのEASI絶対変化(<0.0001)、ベースラインからのIGAの絶対変化(<0.0001)、ベースラインからのIGAの変化率(<0.0001)、BSAの絶対変化(<0.0001)、SCORADの絶対変化(<0.0001)、掻痒感NRSの絶対変化(<0.0001)、およびベースラインから12週目までの5−D掻痒感スケールの絶対変化(<0.0001)のp値であった。

〔実施例11〕 中等度から重度のADを有する患者に局所コルチコステロイドと同時に投与されたmAb1の安全性を評価するための臨床試験 A.試験設計 この試験は、中等度から重度のADを有する患者においてADを処置するために局所コルチコステロイド(TCS)と同時に投与されたmAb1の反復皮下用量の安全性を評価し、効能を調査するための無作為化、二重盲検、平行群、プラセボ対照試験であった。患者を2:1で無作為化して、皮下注射により4週間連続で週に1回(1、8、15および22日目)、300mgのmAb1またはプラセボを受けさせた。全ての患者は、アセポン酸メチルプレドニゾロン0.1%、フロ酸モメタゾン0.1%、または吉草酸ベタメタゾン0.1%のような強力なTCS製品(ヒドロコルチゾンの50〜100倍強力である )を用いる最大28日間の同時的な非盲検の毎日の処置を受けた。より低い効力のTCSまたは局所カルシニューリン阻害剤(TCI)のような他の局所医薬を用いて、顔面部、屈曲部および生殖器部に位置するAD病変を処置した。

スクリーニング来院から開始して、患者は、ベースライン来院前の少なくとも7日間、1日2回、添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用し始め、試験を通してその使用を継続した(TCS適用の領域において処置日に1日1回)。環境制御手段および非薬学的処置モダリティ、例えば、アレルゲン回避および漂白浴を、試験責任医師の裁量で許容した。

スクリーニングは、−21日目〜−1日目に行った。患者は、合計4回の週用量について、1日目にその最初の薬物注射(300mg mAb1、またはプラセボ)を受け、8、15および22日目(+/−1日)にさらなる薬物注射のためにクリニックに戻った。1日目に開始して、患者は1日1回、夕方に上記の局所医薬を適用し、制御が最大28日間達成されるまで全てのAD罹患領域(すなわち、活動性AD病変を有する領域)への適用を継続した。制御が達成された後、活動性の病変を有さないADになりやすい領域(すなわち、病変が消失した領域)へのTCS適用は、28日目の試験日まで毎週2日に限定した。28日後、全ての残留AD病変の局所処置を必要に応じて継続した。試験を通して、患者は、1日2回(局所医薬を用いて処置された領域に局所処置日に1日1回)、添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用し続けた。患者は、29、36、50、64および78日目(試験最終日)にクリニック来院に戻った。

組入れ基準は、(1)18歳以上の男性または女性;(2)スクリーニング前に少なくとも2年間存在していた、HannifinおよびRajkaのEichenfield改訂基準により診断された、慢性AD;(3)強力なTCSを用いる処置が指示される1つまたはそれ以上の活動性ADに関する、スクリーニングおよびベースライン来院時の3以上のIGAスコアおよび20を超えるSCORADにより評価されたAD活動性;(4)スクリーニングおよびベースライン来院時のADに罹患した少なくとも10%のBSA;(5)患者は、ベースライン来院前の少なくとも7日間にわたって1日2回、添加剤を含まない基本的商標の皮膚軟化剤を適用しなければならない;(6)クリニック来院および試験関連手順を順守する意思および能力;ならびに(7)インフォームドコンセントを読み、理解する能力があり、署名する意思を有することであった。

除外基準は、(1)mAb1を用いる以前の処置;(2)コルチコステロイドに対する、または試験中に用いられるTCS製品に含有される任意の他の成分に対する過敏症;(3)顔面部、屈曲部および生殖器部に主に位置するAD病変(累積病変部の50%以上);(4)試験評価を妨げ得る皮膚併存疾患の存在;(5)ベースライン来院前の4週間以内の以下の処置または試験中にそのような処置を必要とし得る任意の状態:全身コルチコステロイド、免疫抑制薬または免疫調節薬、例えば、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、IFN−ガンマ、アザチオプリンまたはメトトレキサート;(6)以下のようなバイオ医薬品を用いる処置:(a)ベースライン来院前の6カ月以内の、またはリンパ球およびCD19+リンパ球計数が正常に戻るまでのいずれか長い方の、限定されるものではないが、リツキシマブなどの任意の細胞枯渇剤、(b)ベースライン来院前の8週間以内のインフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴール、アバタセプト、エタネルセプト、アナキンラ、ならびに(c)5半減期(既知の場合)または8週間以内のいずれか長い方のその他のバイオ医薬品;(7)ベースライン前の4週間以内の皮膚疾患のための任意の光線療法(狭帯域UVB、UVB、UVA1、プソラレン+UVA);(8)ベースライン来院前の4週間以内の日焼け室/日焼けサロンの規則的使用(週に2回を超える来院);(9)ベースライン来院より前の12週間以内の生弱毒化ワクチンを用いる処置;(10)ベースライン来院前の、8週間以内または5半減期以内 のいずれか長い方の被験薬物を用いる処置;(11)スクリーニング来院前の4週間以内の経口もしくはIVの抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生虫剤、抗原虫剤、もしくは抗真菌剤を用いる処置を要する慢性もしくは急性感染、またはスクリーニング来院前の1週間以内の表在性皮膚感染;(12)消散にも拘らず、ヒストプラスマ症、リステリア症、コクシジオイデス症、カンジダ症、ニューモシスティス・ジロベシ(pneumocystis jiroveci)、アスペルギルス症のような侵襲性日和見感染、JCウイルス(進行性多巣性白質脳症)の病歴;(13)HIV感染の既知の病歴;(14)スクリーニング来院時のB型肝炎表面抗原、B型肝炎コア抗体、またはC型肝炎抗体陽性または不確定;(15)スクリーニング来院時の以下の検査値異常のいずれかの存在:正常上限値(ULN)の2倍を超えるクレアチンホスホキナーゼ;ULNの2倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)および/またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT);1.75x103/μL未満の好中球数;100x103/μl未満の血小板計数;(16)無作為化の前の2週間以内の新しい定期的運動の開始もしくは以前の定期的運動に対する大きな変更、または試験への参加の長さを通して肉体的活動の現在のレベルを維持する(増加させない)ことに対する不同意;(17)ドキシサイクリンまたは他のテトラサイクリンに対する過敏性反応の病歴;(18)処置された膣トリコモナス症以外の、ベースライン来院の12カ月以内の臨床内部寄生虫感染の病歴;(19)完全に処置された頸部のin situがん腫、完全に切除された皮膚の非転移性扁平上皮がん腫または基底細胞がん腫以外の、ベースライン来院前の5年以内の悪性腫瘍の病歴;(20)非悪性リンパ増殖性障害の病歴;(21)妊娠中または授乳中の女性;(22)避妊手段を実施する意思のない出産可能性のある男性または女性;(23)スクリーニング来院の2年以内のアルコールまたは薬物乱用の病歴;(24)アフリカの発展途上国またはアジアの熱帯/亜熱帯地域のような、寄生虫感染の流行地域への最近の旅行(無作為化の12カ月以内);(25)試験への患者の参加に有害に影響する有意な併存疾患、例えば、ステージIIIまたはIVの心不全、重度の腎疾患、神経疾患、内分泌疾患、GI疾患、肝臓−胆管疾患、代謝疾患、肺疾患またはリンパ系疾患の以前の、または現在の病歴;ならびに(26)試験患者に不合理な危険をもたらし得る、または患者の参加を信頼できないものにし得る、または試験評価を妨げ得る任意の他の状態であった。

試験の主要評価項目は、有害事象の発生および重症度であった。副次的評価項目は、事実上探索的なものであり、(1)EASI50指数−ベースラインから29日目まで、および他のベースライン後の観察時点でEASIの50%以上の低下が達成されるかどうかのバイナリー応答変数;(2)29日目、および他のベースライン後の観察時点での1以下のIGAスコア(消失またはほぼ消失)の達成;(3)IGA≦1およびEASI50までの時間;(4)ベースラインから29日目まで、および他のベースライン観察時点までのIGA、EASIおよびSCORADスコアの変化;ならびに(5)観察期間の終了まで再発がないままである、4週目で1以下のIGAを有する患者の割合を含んでいた。

B.効能変数 効能変数IGA、BSA、EASI、SCORAD、および掻痒感NRS評価は、本明細書の他の場所に記載されている(例えば、実施例7を参照されたい)。IGA、BSA、EASI、掻痒感NRSおよびSCORADスコアを、クリニック来院ごとに評価した。

C.手順および評価 1日目から78日目までの有害事象(本明細書に他の場所に記載)(AE)の発生を評価することにより、ならびに詳細な病歴、完全な身体診察、バイタルサイン、心電図(ECG)、および臨床検査試験により、安全性を評価した。盲検安全性データを、継続的に再検討した。適用可能な場合、スクリーニングから78日目(試験最終日)または早期終結まで、同時医薬および手順を収集した。それぞれのクリニック来院時に安全性、検査値 、および効能の評価を実施した。ベースライン(1日目)に開始する処置の前の試験来院毎に機能的mAb1の全身トラフ濃度の決定のために血液試料を採取した。所定の時点で抗mAb1抗体レベルの分析のために血液試料を採取した。研究試料および探索的バイオマーカー分析のための試料も採取した。mAb1の効能を、EASI、IGA、SCORAD、掻痒感数値評価スケール(NRS)、およびAD病変の体表面積(BSA)%により評価した。所定の時点で薬物動態(PK)分析、および抗mAb1抗体レベルの分析のために血液試料を採取した。研究試料および探索的バイオマーカー分析のための試料も採取した。

D.統計学的方法 このセクションに記載される全ての統計分析は事実上探索的なものであったため、I型誤差に関する多重度調整はなかった。各検定は5%有意差レベルであった。分類変数(それぞれのベースライン後の来院時のEASI−50およびIGA応答者、その後の再発がない29日目でのIGA応答者)を、mAb1群とプラセボ群との間の比較から算出された名目上のp値を有するFisherの直接確率検定を用いて分析した。比率の点推定値および信頼区間を提示した。経時的な比率のグラフを提供した。全ての連続変数(ベースラインからそれぞれのベースライン後の来院までのIGA、EASIおよびSCORAD、NRSの変化または変化率)を、共分散分析(ANOCOVA)により分析した。別途特定されない限り、連続尺度のベースラインからの変化の評価および信頼区間の構築は、主要因としての処置および共変量としてのベースライン値を含むANCOVAモデルに基づくものであった。2つの処置群間のベースラインからの調整された平均変化の差異の点推定値および95%CIを提供した。mAb1群とプラセボ群との比較に由来する名目上のp値を提供する。モデル仮定が保証されなかった事象においては、共変量の順位に基づく分析を用いた。経時的なベースラインからの平均変化のグラフを提供した。事象発生時間変数(EASI50までの時間およびIGA応答までの時間)を、対数順位検定を用いて分析して、mAb1群とプラセボ群とを比較した。2つの処置群にわたるKaplan−Meier生存曲線を提供した。以下の分析手法をこの試験のために実施した:(a)打ち切りLOCF:効能データを、禁止医薬を用いた後または患者が試験を中止した後の欠測値に設定した。次いで、全ての欠測値を単純LOCFにより帰属させた。(b)単純観察事例(OC)手法:観察された事例のみを分析した。

E.安全性 全体として、mAb1はこの試験において安全であり、良好に忍容された。死亡は報告されなかった。プラセボ群の患者について単一の重篤な有害事象(SAE)が記録され、この患者は意識喪失を経験し、結果として試験から離脱した。他の患者は処置中止をもたらす有害事象を経験しなかった。試験に登録した31の患者のうちの合計19人が、少なくとも1つの処置中に発生した有害事象(TEAE)を報告し、プラセボ群の7人の患者(70%)およびmAb1群の12人の患者(57%)であった。器官別大分類(SOC)により、mAb1処置群について報告された最も頻繁なTEAEは、感染および侵入であり、12人の患者(57%)とプラセボ群の3人の患者(30%)であった。最も頻繁な感染は、鼻咽頭炎であり、mAb1群の5人の患者(24%)とプラセボ群の2人の患者(20%)であった。重篤な感染も日和見感染もなかった。1人を超える患者において報告された他のTEAEは、頭痛(mAb1群の3人の患者(14%)とプラセボ群の1人の患者(10%))、眠気(mAb1群の2人の患者(9.5%)とプラセボ群の0%)、口腔咽頭痛(mAb1群の3人の患者(14%)とプラセボ群の1人の患者(10%))、および咳(mAb1群の2人の患者(9.5%)とプラセボ群の0%)のような非特異的症状を含んでいた。多くのAEは軽度から中等度であり、一般に2週間以内に消散した。単一の重篤なAEがmAb1群において報告された:細菌性気管支炎であり、63日目(22日目の試験薬物の最後の投与)に始まり、試験処置と関連しないと考えられた。皮膚レベルで望ましくない薬物−薬物(mAb1−TCS)相互作用を示唆するmAb 1群における有害事象はなかった。安全性臨床検査、バイタルサイン、およびECGに関する処置中の潜在的な臨床的に意義のある値(PCSV)の分析により、PCSVの比は一般的には2つの試験群間で平衡しており、体系的分布または異なる傾向はないことを示し、これはPCSVの出現が偶発的なものであり、試験処置とは関連しないことを示唆している。

F.結果 この試験では、mAb1を、中等度から重度のADを有する患者にTCSと同時に投与した。ADにおけるケアの現在の基準と一致して、制御されたTCSレジメンが、本明細書の他の場所に記載のように、最初の4週間に必要であった(すなわち、試験処置と同時に)。表36は、試験に参加する患者によって用いられたTCS医薬を列挙するものである。患者は、病変の消失まで、毎日、1日1回、全ての活動性病変にTCSを適用した後、1週間あたり2日間、1日1回、病変になりやすい領域(病変が消失した)に適用した。強力なTCS(クラスIII)を病変の少なくとも50%に適用する必要があった。顔面部、皮膚の折畳み部分、または生殖器部分(強力なTCSが通常指示されない)に位置する病変については、より低効力のTCS(クラスIまたはII)が許容された。各週に用いたTCSの量を、それらを患者に調剤した時点で、および彼らが次の試験来院でクリニックに戻る際に、TCS容器を計量することによって測定した。表37および表38は、1日目から29日目までのTCS使用をまとめたものである。

人口統計および疾患特性は、多くの部分について2つの処置群間で均一であった(表39および表40)。平均ベースラインAD疾患重症度スコア(IGA、EASI、SCORAD、BSA、および掻痒感NRS)を、同様に合理的に平衡化させた。

試験から得られた探索的効能結果を、図34〜47および表41〜44にまとめる。比較的小さいサンプルサイズおよび限られた処置期間にも拘らず、分析により、EASI−50応答者率、ならびにEASI、SCORAD、IGA、および掻痒感NRSのベースラインからの変化および変化率などの、重要な探索的効能評価項目におけるmAb1とプラセボの統計的に有意な、および臨床的に関連する効果が示され、いくつかの改善は試験処置の中止後も数週間持続した。EASI−50については、mAb1+TCS群の患者 の100%が29日目に応答者基準を満たしたのに対し、プラセボ+TCS群では50%であった(P値0.0015)。IGA0〜1応答者率のような他の評価項目は、プラセボより優れた数値を示したが、統計的有意性には達しなかった(47.6%対プラセボの30.0%)。注目すべきことに、mAb1で処置した患者は、平均でおよそ50%少ないTCSを用いたが、プラセボ(TCSのみ)比較群と比較してmAb1処置効果を低く見積もった可能性がある。

TCSと同時に処置された中等度から重度のADを有する成人患者へのmAb1の皮下投与は、一般に安全であり、良好に忍容された。TCSと同時に投与されたmAb1を用いる処置は、TCS処置のみと比較して有意に優れた転帰と関連していた。EASI−50を達成する患者の割合は、mAb1を単剤療法として用いた最近の試験において見られたものよりも数値的に多かった(今までのところ最良のEASI−50は75%であった)が、これはmAb1とTCSが付加的または相乗的に作用することを示唆していた。しかしながら、それは部分的には小さいサンプルサイズおよび試験間の患者集団のわずかな相違に起因するものでもあり得る。

この試験により、TCS処置を受ける中等度から重度のADを有する患者におけるmAb1により提供されるさらなる効能が示された。これらの結果は、組合せ療法が、単剤療法として用いられるいずれかの処置と比較して、中等度から重度のADを有する患者に対してさらなる臨床利益を提供することができることを示唆していた。この結果はまた、ADを有する患者のより安全な長期的管理をもたらすことができる、mAb1のTCS節約効果の可能性を示唆していた。

〔実施例12〕 バイオマーカー分析 バイオマーカー分析を、mAb1の臨床試験に参加した対象から取得した試料に対して行った。特に、IgEならびに胸腺および活性化ケモカイン(TARC)レベルを、ベースライン時に、および試験処置の開始後の様々な時点で患者由来試料中で測定した。Phadiatop(商標)試験を行って、抗原特異的IgEを検出した。さらに、分子プロファイリングを、mAb1の臨床試験に参加した患者の皮膚病変に対して実行した。

A.健康な対象へのmAb1の投与 最初の臨床試験において、対象に、単回静脈内(IV)(1.0、3.0、8.0および12.0mg/kg)または皮下(SC)(150および300mg)用量のmAb、またはプラセボを投与した(本明細書の実施例2を参照されたい)。バイオマーカー分析のための試料を、抗体およびプラセボで処置された対象から、1日目(ベースライン)、8日目、29日目、および85日目(または早期終結時)に採取した。IgEおよびTARCのレベルを、各試料中で測定した。0.10未満のp値を、小さいサンプルサイズを許容するため統計的に有意であると考えた。混合効果反復測定モデルを、平均分析のために使用し、非パラメータ検定を中央値分析のために使用した。患者試料由来のIgEおよびTARCレベルの中央変化率を、それぞれ、表45および表46にまとめる。

IgEのベースラインレベルは、処置群あたりの平均および中央ベースラインIgEの比較において示されたように高度に可変性であった(図48A)。用いられたIgEアッセイの検査値参考範囲は0〜114kU/Lであり、40人の対象のうちの15人がベースライン時に114kU/Lを超える総IgEレベルを有していた。表43および図48Bに示されるように、IgEレベルは一般にmAb1用量および曝露時間に比例して減少した。投与後85日目までに、SC投与されたmAb1を受ける対象は、16.5%(150mg)および17.2%(300mg)のIgEレベルの中央減少率を示した。IV投与されたmAb1を受ける患者においても有意なIgE減少が観察され、8mg/kgおよび12mg/kg群において、それぞれ10.7%および25.6%のIgEの減少が観察された。対照的に、IgEレベルは、プラセボ処置対象においては時間と共に増加した。

ベースライン時の中央血清TARCレベルは一般に、処置群間で同等であり(図49A)、文献に報告されたものより高かった。平均ベースラインTARCは616pg/mLであり、その範囲は134〜1327pg/Lであった。健康な対象におけるTARCレベルは、106〜431ng/Lの範囲で報告されていた(Hijnenら、2004、J.Allergy Clin.Immunol.113:334〜340)。TARCの有意な減少が、両皮下用量を用いるプラセボと比較して、mAb1処置対象から採取した試料中で観察された(150mgについてはp=0.044および300mgについてはp=0.047)(図49Bおよび表44)。例えば、単回SC用量の300mgのmAb1は、8日目でTARCレベルのほぼ35%の中央減少率を引き起こしたが(p=0.052)、プラセボ処置患者においてはTARCレベルは7.7%増加した。TARCレベルの有意な減少は、SCおよびIV投与群の両方において29日目から試験最終日(85日目)までmAb1処置患者において持続した。mAb1で処置した全対象についてデータをプールした場合、TARCのベースラインからの変化率に関するmAb1とプラセボとの全体的な差異は有意であった(p=0.004)(図50)。有意差は8日目( p=0.012)および29日目(p=0.022)でも観察された。

B.アトピー性皮膚炎を有する対象へのmAb1の投与 バイオマーカーレベルを、アトピー性皮膚炎(AD)を有する対象を含む2つの別々の臨床試験に由来する試料においても測定した。「試験A」において、AD対象に、試験の1、8、15および22日目(すなわち、4回の週用量)に、mAb1(75、150もしくは300mg)またはプラセボのいずれかを投与した。「試験B」においては、AD対象に、試験の1、8、15および22日目(すなわち、4回の週用量)に、150mgもしくは300mgのmAb1、またはプラセボを投与した(本明細書の実施例7を参照されたい)。両試験に関する全ての投与は、皮下(SC)であった。バイオマーカー分析のために試料を、1日目(ベースライン)、4、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71および85日目(または早期終結時)に、両試験に由来する抗体およびプラセボ処置対象から採取した。IgE、TARC、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、および抗原特異的IgE(Phadiatop)のレベルを、各試料中で測定した。

血清TARCを、検証されたアッセイ(Human CCL17/TARC Quantikine ELISAキット、R&D Systems;Quest Diagnosticsにより行われた検証およびアッセイ)を用いて測定した。総血清IgEレベルを、ImmunoCAP(登録商標)Total IgEテスト(Thermo Scientific FDA認可テスト;Quest Diagnosticsにより行われた)を用いて決定した。乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を、Roche Modularテスト(FDA認可;Covance Central Laboratoriesにより行われた)を用いて測定した。Phadiatop(登録商標)(Thermo Scientific FDA認可テスト)アッセイは、Viracor−IBTにより行われた。2サンプル中央テストを用いて、mAb1に関するベースラインからのバイオマーカー変化を、プラセボと比較した。

試験「B」に登録された全てのAD患者の血清TARC、総IgEおよびLDHの平均ベースラインレベルは、報告された正常上限値(ULN)よりも高かった(表47および図51)。

平均ベースライン好酸球レベルは、参照範囲の上限であった(表47)。試験した利用 できるデータを有する2人の患者を除く全ての患者が、Phadiatop試験で陽性であった。これらの患者は両者とも、正常な総血清IgEレベルを有していた。Phadiatopの結果は、1人の患者について利用不可能であった。

ベースラインTARCおよびIgEの広いスペクトルが、登録された中等度から重度のAD集団において観察された。27/36の患者は1000pg/mLを超える血清TARCレベルを有していた(健康なボランティアについて報告された平均レベルの約2倍)(図51A)。32/36人の患者は150kU/L以上のIgEレベルを有していた(外因性と内因性ADとを区別するために引用されたカットオフ)(図51B)。17/37人は、234U/Lを超えるLDHレベルを有していた(図51C)。100U/Lを下回るLDHレベルを有する患者はいなかった。

局所線形回帰を用いて、両用量群においてプラセボと比較した、総血清IgEに対する全体的なmAb1処置効果(ベースラインからの変化率)を、観察した(p<0.0001)(図52)。総血清IgEレベルはmAb1処置について減少したが、プラセボ処置群においては試験最終日で全体的な増加が観察された。

試験AとBの両方(組み合わせたデータ)に由来する各群のベースラインからのIgEレベルの中央変化率を、表48にまとめる。

表48および図52に示されるように、IgEの統計的に有意な減少が、プラセボと比較してmAb1処置対象に由来する試料中で観察された。85日目でのIgEの中央変化率は、プラセボ群の41.7%の増加と比較して、300mgのmAb1で処置した患者において−23.9%であった(p<0.0001)。プラセボと比較した150mg群におけるベースラインからの中央変化率は、29〜85日目の全ての時点で有意であった(p<0.03)。プラセボと比較した300mg群におけるベースラインからの中央変化率は、15〜85日目の全ての時点で有意であった(p<0.04)。

局所線形回帰を用いて、LDHについて全体的な処置効果を観察した。300mg処置群においてLDHの統計的に有意な減少があった(p=0.0051)(図53)。任意の単一の時点では中央変化率は統計的に有意ではなかったが、時間的傾向が観察された(p=0.008)。

mAb1処置は、AD患者において血清TARCレベルを迅速に抑制した(図54)。両試験(組合せたデータ)に由来する各群に関するベースラインからのTARCレベルの中央変化率を、表49にまとめる。

プラセボと比較して300mgのmAb1で処置した患者において、血清TARCの統計的に有意な減少が観察された(p<0.0001;局所線形回帰分析)。最後の用量(試験の21日目に投与された)のおよそ1カ月後に、300mg mAb1で処置された患者において50日目まで統計的に有意な抑制が維持された。150mg群は同等の規模の抑制を達成したが、レベルは300mg群においてより素早く増加することが観察された。150mg群(p<0.03)において36および43日目で、ならびに300mg群(p<0.04)については22、25、29、36、および50日目で、統計的に有意な抑制(プラセボと比較したベースラインからのTARCの中央変化率)が観察された。

TARCレベルの患者内変動性が、プラセボ処置患者において試験の経過にわたって観察された。プラセボ処置群における高い脱落率のため、試験の終わりで利用可能であったのは、4人のその群の患者からのデータだけであった。

結論として、Th2浸潤および/またはAD疾患活動性と関連するTARC、IgEおよびLDHバイオマーカーは、AD患者におけるmAb1処置によって全て抑制された。mAb1は、プラセボと比較して、AD患者における血清TARCレベルを迅速に低下さ せた。抑制の持続期間は用量と関連すると考えられ、データはその効果が薬物を中止した後も持続し得ることを示唆していた。総血清IgEレベルはmAb1処置された患者において有意に減少した。IgEは300mg群において処置期の後に減少し続けた(中央変化率)が、これは最大のIgE抑制がまだ達成されていないことを示唆している。ベースラインからのLDHレベルの一貫した低下は、mAb1で処置された患者において観察された。LDHとIL−4およびIL−13との直接的な関係は不明であるが、疾患重症度とのその関連は、LDHがAD患者における皮膚損傷の程度の尺度であり得ることを示唆していた。TARCおよびIgEの抑制は、mAb1がTh2炎症の強力な阻害剤であることを示していた。

バイオマーカーおよびAD関連パラメータ間の相関 試験「B」(実施例7を参照されたい)において、重度のADを有する患者に、4週間にわたって150もしくは300mgのmAb1またはプラセボ(PBO)を投与した。1日2回の掻痒感数値評価スケール(NRS;0〜10の範囲)を用いて掻痒感を測定して、平均週NRSスコアおよび2週間毎の5−D掻痒感スケール評価を作成した。5−Dスケールは、複数の次元の痒み:程度、持続期間、方向、身体障害、および分布を評価するために用いられる5つの質問のツールである。平均ベースラインNRSおよび5−Dスコアは、それぞれ、5.5および19であった。平均週NRSスコアは、300mg群において2週目で31.9%(p<0.02)に、および7週目で55.2%(p=0.01)、迅速に低下した(ベースラインからの平均変化率)のに対して、PBO群においてはそれぞれ+1.3%および−17.3%であった。5−Dスコアの迅速な低下は、300mgのmAb1で処置した患者においても観察された(15日目で−28.2%の平均変化率、p=0.0009;29日目で−37.1%、p=0.0007;43日目で−42.5%、p=0.012;PBP群においては、それぞれ+3.6%、+8.1%および−9.4%)。IL4/IL13活性のマーカーであるCCL17の血清レベルも、処置の際に迅速に低下した。CCL17と掻痒感は両方とも、処置が終わった後も数週間にわたって抑制された。表50は、掻痒感(5DおよびNRS)と、皮膚炎(EASI)およびCCL17の転帰との相関を示す。

全体として、全ての処置群について、5Dスコアはこの試験においてCCL17(ベースライン時でr=0.46、p=0.004;29日目でr=0.55、p=0.002)およびEASIスコア(ベースライン時でr=0.41、p=0.011;29日目で0.62、p<0.0001)と有意に相関した。5Dの変化率は、15および29日目に全体の処置群についてEASI(15日目でr=0.65、p<0.0001;および29日目でr=0.61、p<0.0001)ならびにCCL17(15日目でr=0. 46、p=0.0089;および29日目でr=0.48、p=0.0105)のベースラインからの変化率と有意に相関した。また、処置群を、掻痒感5DとEASIおよびCCL17との相関について個別に評価した。15日目で、150mg群のみが、EASIの変化率と5Dの変化率との強く有意な相関を示した(r=0.81、p=0.0005)。同様に、29日目では、有意な相関は150mg群についてのみであった(r=0.57、p=0.0036)。15日目および29日目の両方において、CCL17の変化率と5Dスコアの変化率との間に有意な全体的相関があったが、個々の処置群はいずれも、それぞれの日でそのような相関を示さなかった。

NRSを用いて評価された掻痒感の重症度は、EASIとの中程度から強い相関を示したが、これは有意であった。しかしながら、NRS値はベースライン時でのみCCL17値と相関し、ベースラインからの変化率については有意な相関はなかった。mAb1で処置された成人AD患者において観察された掻痒感の迅速かつ持続的な改善は、IL−4/IL−13シグナリングがAD掻痒感にとって重要な機構であることを示唆している。掻痒感とCCL17レベルとの相関は、重度のADにおけるIL−4/IL−13により媒介される炎症、AD疾患活動性および掻痒感の間の関係を強調するものである。

C.中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する対象へのmAB1の反復投与 中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)を有する対象を含む臨床試験に由来する試料中で、IgEおよびTARCレベルを測定した。AD対象に、試験の1、8、15、22、29、36、43、50、57、64、71および78日目に(すなわち、12回の週用量)、300mgのmAb1またはプラセボを投与した(本明細書の実施例10を参照されたい)。両試験に関する全ての投与は、皮下(SC)であった。バイオマーカー分析のための血清試料を、1日目(ベースライン)、8、15、22、25、29、36、43、50、57、64、71、85、99、113、127、141、155、169、183および197日目(試験最終日)または早期終結時に両試験に由来する抗体およびプラセボで処置された対象から採取した。IgE、TARCおよび抗原特異的IgE(Phadiatop(商標)試験)のレベルを、各試料において測定した。

TARCは、ADの疾患重症度と強く関係し、疾患の発症に関与し得ることが示されているIL−4/IL−13により誘導されるケモカインである。ベースラインTARCレベルを、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、TARCに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。

ADを有する患者は、IgEが上昇することが多い。総IgEレベルはAD重症度と相関し、疾患の発症に関与し得ることがわかっている。ベースラインIgEレベルを、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、総IgEに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。

Phadiatop(商標)試験は、一般的な吸入抗原に対する抗原特異的IgEを検出するために用いられるin vitro診断スクリーニングツールである。Phadiatop(商標)試験のベースライン結果を、処置応答に関する潜在的な予測値について評価した。処置後の試料を、Phadiatop(商標)抗原パネルに対するmAb1の薬力学的効果について評価した。

初期の臨床試験から得られた結果と一致して(上記のセクションAおよびBを参照されたい)、TARCおよびIgEレベルは低下し、16週間の処置後フォローアップ期間までベースラインより下に抑制されたままであった(図55〜56)。

4週間のmAb1と比較して、16週間のフォローアップ中の12週間の300mgの mAb1処置について、より大規模のIgE抑制が観察された(−57%の中央値)。TARC抑制の規模は、12週間(−83%の中央値)および週間(−76%の中央値)のmAb1処置後の処置終了時に同等であった。

D.中等度から重度のアトピー性皮膚炎を有する患者におけるmAb1と局所コルチコステロイドの同時投与 中等度から重度のADを有する成人患者における局所コルチコステロイド(TCS)と組み合わせたmAb1の安全性および効能を評価する試験において、TARCおよびIgEの調節を試験した。2つの処置群を比較した(4週間にわたる毎週の投与):(300mgのmAb1+TCS)対(プラセボ+TCS)。TCSを1日目から28日目まで投与した(患者は病変が消失した場合、TCS処置を停止させた)(本明細書の実施例11を参照されたい)。患者を、スクリーニング時、ベースライン時(1日目)、5週目まで毎週、次いで、11週目まで隔週で評価した。TARCレベルは両処置群において低下し、プラセボ(PBO)+TCSと比較してmAb1+TCS群においてより強く抑制される傾向があった。差異は22、29および50日目で統計的に有意であった。IgEレベルも両処置群において低下した。群間でIgE抑制に統計的有意差はなかった。

TARCは、R&D SystemsのヒトTARC Quantikine ELISAキットを用いて測定した。表51は、処置群別のベースラインTARCレベルをまとめたものである。両処置群に関する平均および中央ベースラインTARCレベルは、106〜431pg/mLの正常範囲(Weihrauchら、2005;Cancer Res.65:13頁)、ならびに上記のセクションAに記載の観察されたベースラインレベルより上であった。

TARCレベルは、両処置群においてベースラインから低下し、かくして、TCS単独でもAD患者における血清TARCレベルを低下させることができる。ベースラインからのTARCの中央変化率(%)の規模は、プラセボ+TCS群と比較してmAb1+TCS群において一貫して大きかったが、その差異は22、29および50日目でのみ統計的に有意であった(共分散分析から見積もられた最小二乗平均差)(表52)。

平均および中央ベースラインIgEレベルを、表53にまとめる。

IgEレベルは両処置群において低下した。29日目の後、IgEの中央変化率の規模はmAb1+TCS群においてより大きくなる傾向があり、試験中の任意の時点で統計的有意差はなかった(共分散分析から見積もられたLS平均差;表54)。

およそ50%の患者が、プラセボ+TCS上で29日目までに少なくともEASI50を達成し、この群におけるTARCおよびIgEの抑制は観察された臨床的改善と一致していた。mAb1+TCSにある全ての患者が、29日目までに少なくともEASI50を達成した(実施例11を参照されたい)。プラセボ+TCSと比較してmAb1+TCSにおいて、TARCおよびIgEのより強い抑制に関する傾向が観察された。しかしながら、統計的有意差は、22、29および50日目でのTARC抑制においてのみ観察された。

本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によってその範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて本発明の様々な改変が上記説明および添付の図面から当業者には明らかとなる。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。

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