首页 / 专利库 / 农用化学品和农药 / 有害生物 / 高等植物におけるRNAの生成

高等植物におけるRNAの生成

阅读:687发布:2020-05-11

专利汇可以提供高等植物におけるRNAの生成专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】高等 植物 におけるdsRNAの生成および蓄積のための代わりの手法または改善された手法の提供。 【解決手段】維 管束 植物のプラスチドであって、核酸構築物として、二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域、dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーターを含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有するプラスチド、を利用して、維管束植物の細胞においてdsRNAを蓄積する方法。 【選択図】なし,下面是高等植物におけるRNAの生成专利的具体信息内容。

管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − 前記dsRNA分子の生成を可能にする、前記プラスチドで作動可能なプロモー ター を含み、前記dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、プ ラスチド。そこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有するdsRNAをさらに含み、前記 dsRNAは前記コード領域によってコードされる、請求項1に記載のプラスチド。前記コード領域が、前記植物のゲノムで見出されないヌクレオチド配列を有する、請求 項1または2に記載のプラスチド。前記コード領域が前記植物の有害生物または病原体のヌクレオチド配列を有する、請求 項3に記載のプラスチド。siRNA分子が前記プラスチドの中に形成されない、請求項1に記載のプラスチド。前記dsRNAが前記コード領域によってコードされるヌクレオチド配列の実質的に全 てを含有する、請求項1に記載のプラスチド。前記dsRNAが前記プラスチドによる編集、スプライシングまたはキャップ形成を受 けている、請求項6に記載のプラスチド。少なくとも1つの殺虫性薬剤をコードする少なくとも1つのさらなるコード領域をさら に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプラスチド。前記殺虫性薬剤が殺虫性ポリペプチドである、請求項8に記載のプラスチド。維管束植物の形質転換のための核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − 前記dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター ; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの前記構築物の組込みに選択的である1つまた は複数の組込み部位 を含み、前記dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、核 酸構築物。前記コード領域が、前記植物のゲノムで見出されないヌクレオチド配列を有する、請求 項10に記載の構築物。前記コード領域が前記植物の有害生物または病原体のヌクレオチド配列を有する、請求 項10に記載の構築物。少なくとも1つの殺虫性薬剤をコードする少なくとも1つのさらなるコード領域を含む 、請求項10〜12のいずれか一項に記載の構築物。前記殺虫性薬剤が殺虫性ポリペプチドである、請求項13に記載の構築物。請求項1〜14のいずれか一項に記載のプラスチドまたは構築物を含有する植物。前記植物が請求項1のプラスチドに関して実質的にホモプラスミーである、請求項15 に記載の植物。− 殺虫性ポリペプチドをコードする少なくとも1つのさらなる核酸構築物;および/ または − 殺虫性RNAをコードする少なくとも1つのさらなる核酸構築物 をさらに含む、請求項15または16に記載の植物。前記少なくとも1つのさらなる核酸構築物が前記植物の細胞の核に位置する、請求項1 7に記載の植物。請求項18の植物に由来する繁殖材料。維管束植物の細胞においてdsRNAを蓄積する方法であって、 − 維管束植物のプラスチドを請求項1〜19のいずれか1項に記載の核酸構築物で形 質転換することと; − 前記プラスチドにおける前記核酸構築物からのdsRNAの生成のための条件を前 記細胞に提供することと を含む方法。前記dsRNA分子が前記植物細胞の葉緑体のゲノムに安定して組み込まれる、請求項 20に記載の方法。前記核酸構築物が選択マーカーを含む、請求項20に記載の方法。前記核酸構築物の前記選択マーカーを使用して、dsRNA分子をコードする核酸構築 物に関して実質的にホモプラスミーである植物細胞または植物について選択することをさ らに含む、請求項20に記載の方法。有害昆虫を防除する方法であって、前記有害昆虫または前記有害昆虫の環境に、請求項 1〜23のいずれか一項に記載のプラスチドまたは核酸構築物を含む植物を提示すること を含む方法。有害昆虫の防除が必要とされる前記環境が、植物の作物または畑である、請求項24に 記載の方法。− 請求項1〜25のいずれか一項に記載のプラスチドもしくは核酸構築物を含む植物 ;または − 請求項1〜25のいずれか一項に記載のプラスチドもしくは核酸構築物を含む植物 、および、請求項1〜25のいずれか一項に記載のプラスチドも核酸構築物も含まない植 物の形の非葉緑体形質転換避難植物 を含む作物または畑。

说明书全文

本発明は、高等植物でのRNA干渉を含む、高等植物におけるRNAの生成およびプロ セシング、ならびに高等植物の葉緑体および関係するプラスチドにおける遺伝子の発現に 関する。

本明細書でのいかなる先行技術への言及も、この先行技術がいかなる管轄範囲内の普通 の一般知識の一部を形成することの、またはこの先行技術が当業者によって理解され、関 連すると考えられ、および/もしくは他の先行技術と組み合わされると合理的に予想する ことができることの承認でも、提案でもない。

同族有害生物の必須の遺伝子を抑制するための宿主RNAの利用は、有害生物防除のた めの新興の手法である。この手法は、「トランスキングダムRNA干渉」または「トラン スキングダムRNAi」と呼ぶことができる。一般に、宿主によって生成される二本鎖R NA(dsRNA)が有害生物によって摂取されるとき、有害生物のRNA干渉(RNA i)機構は、摂取されたdsRNAを有害生物の生存に影響を与える必須の遺伝子サイレ ンシングまたは関係する事象を有害生物で誘導することが可能であるsiRNAまたは他 のRNAの形に変換するものと理解される。鱗翅類に適用可能であるこの手法の例につい ては、Terenius O. et al. 2011 J. Insect Physiol. 57:231-245を参照する。RNA干 渉(RNAi)は、標的遺伝子配列の全てまたは十分なサイズの任意の部分に特異的であ る干渉RNA(iRNA)分子(例えば、dsRNA分子)が、それによってコードされ るmRNAの分解をもたらす、内因性細胞経路を利用するプロセスである。近年、いくつ かの種および実験系、例えば、線虫(Caenorhabditis elegans)、植物、昆虫胚および組 織培養細胞において、遺伝子「ノックダウン」を実行するためにRNAiが用いられてい る。例えば、Fire et al. (1998) Nature 391:806-811;Waterhouse et al (1998) Proc Natl Acad Sci USA 95: 13959-139;Wesley V et al (2001) Plant J. 27: 581-590;Mar tinez et al. (2002) Cell 110:563-574;McManus and Sharp (2002) Nature Rev. Genet ics 3:737-747を参照。

鱗翅類の遺伝子を含む有害生物遺伝子のサイレンシングを得るために、高レベルのds RNAが必要なことが立証されている(上記Terenius O;Mao Y. et al. 2007 Nat. Biot echnol. 25: 1307-1313;Kumar P. et al. 2012 PLoS ONE 7:e31347)。

国際公開第2012/054919号パンフレットは、下等植物(クラミドモナス属( Chlamydomonas))の葉緑体および核を、カの生存のために必須の遺伝子を含有する構築 物で形質転換する研究である。カ集団を防除するためにその餌を用いることができること を実証するために、次にこの形質転換クラミドモナス属(Chlamydomonas)をカに食べさ せる。

国際公開第2012/054919号パンフレットは、下等植物の葉緑体形質転換およ び核形質転換が両方ともカ集団の防除のための有益な餌を提供することを見出す。具体的 には、国際公開第2012/054919号パンフレットによると、結果は、葉緑体また は核ゲノムから発現される3HKT逆方向反復を発現するトランスジェニッククラミドモ ナス属(Chlamydomonas)を食べさせることが、カ幼虫の増殖を阻害し、最終的にそれら の死を引き起こすことにおいて有効だったことを示す(国際公開第2012/05491 9号パンフレットの[00219])。

他の場所で、核形質転換体の研究から、トランスキングダムRNAiの誘導のために、 宿主を食べるときにdsRNAが昆虫に送達されなければならないと仮定されている。上 記のMao and Kumarを参照する。これは、有害生物が特定の時間に宿主を食べるときにd sRNAが有害生物に摂食可能であるように、有効な有害生物防除は、dsRNAの定常 状態レベルを生成して維持する宿主を必要とすることを意味する。高等または下等植物で dsRNAの定常状態レベルをどのように最適に生成し、維持するかは、不明なままであ る。

下等植物では、国際公開第2012/054919号パンフレットは、[00220] においてサイレンシングRNAの葉緑体での発現がトランスキングダムRNAiの誘導に とって重要であると仮定する。しかし、国際公開第2012/054919号パンフレッ トは、この理由が葉緑体発現がサイレンシングRNAの定常状態レベルを可能にするから であるかどうか、またはそれが摂取されるときにサイレンシングRNAを保護するのが葉 緑体のプラスチドパッケージングであるかどうかについて結論づけていない。プラスチド パッケージングの重要性は、他によって提案された。Bogarad L. 2000 TIBTECH 18: 257- 263;McBride K et al., 1995 Nature Biotechnology 13: 362-365;Verma D and Danie ll H 2007 Am Soc Plant Biol. 145:1129-1143を参照する。

下等植物の葉緑体形質転換体によって発現されるRNAがdsRNAからなるかどうか は、国際公開第2012/054919号パンフレットからは不明なままである。具体的 には、国際公開第2012/054919号パンフレットは、クラミドモナス属(Chlamy domonas)葉緑体形質転換体においても、形質転換体を摂取する昆虫においても、dsR NAもsiRNAも測定しない。したがって、国際公開第2012/054919号パン フレットは、クラミドモナス属(Chlamydomonas)の葉緑体でも他の下等植物の葉緑体で も、トランスキングダムRNAiを促進するのに十分な量でdsRNAを生成することが できることを示していない。

さらに、国際公開第2012/054919号パンフレットから、この形質転換体は、 国際公開第2012/054919号パンフレットによると、表面上葉緑体形質転換体と 同じくらいトランスキングダムRNAi誘導のために有益であったので、dsRNAがク ラミドモナス属(Chlamydomonas)核形質転換体で生成されるようである。dsRNAが トランスキングダムRNAiのために必須であるので、1つの暗示は、dsRNAが高等 植物の核より下等植物の核でより蓄積することができるということであり得る。これは、 高等および下等植物のRNAプロセシング経路の多様化を指すであろう。高等および下等 植物でのRNAプロセシングの間の差の、多くの例がある。特に、Casas-Mollano J. et al. 2008 Genetics 179: 69-81を参照する。葉緑体および核形質転換体がdsRNAを等 しく蓄積するという理解の下で、トランスキングダムRNAiの誘導のための葉緑体およ び核形質転換体の有効性のわずかな差が、プラスチドでのサイレンシングRNAの優れた 蓄積ではなく、葉緑体に特異なプラスチドパッケージングから生じることができるようで ある。これは、実際、国際公開第2012/054919号パンフレットの[00220 ]の仮説である。

重要なことに、プラスチドパッケージング自体は、定常状態レベルのdsRNAの生成 および維持を可能にする機構でない。パッケージングは、単に摂取の後に生成されたもの を保護するだけである。したがって、プラスチドパッケージング自体は、トランスキング ダムRNAiの誘導のために必要とされることが知られている高レベルのdsRNAの生 成に十分でないと理解される。

下等および高等植物の葉緑体RNAプロセシング経路の間のさらなる重要な差は、クラ ミドモナス属(Chlamydomonas)によって例示される下等植物はRNA編集システムを有 しないが、このシステムは高等植物の葉緑体RNAプロセシング経路に存在する、という ことである。Stern et al. 2010 Annu. Rev. Plant Biol. 61:125-55を参照する。したが って、下等植物の葉緑体で生成される同族有害生物の標的遺伝子に対応するRNAは、関 連する有害生物の標的遺伝子の同じ配列を有すると理解され、有害生物での適切に配列特 異的なsiRNAの形成の可能性およびトランスキングダムRNAiの誘導を増加させる 。高等植物の葉緑体でのRNA編集システムの存在は、高等植物の葉緑体形質転換体を用 いてそのような結果が可能であるかどうかの疑問を提議する。

論じられるように、dsRNAは速やかに分解されるので、高等生物体でdsRNAの 定常状態レベルを維持することは困難である。高等植物では、この分解にはsiRNAが 関与すると思われているが、まだ不確定の他のRNAi関係の機構、または他の機構が関 与していることもあり得る。

高等植物の葉緑体でのRNAプロセシング経路に関する我々の理解に、多少の進歩があ った。しかし、未知のままである多くのものがある。一般的な葉緑体ゲノム中の100未 満のわずかな遺伝子の発現がなぜそれほど複雑であるかについて、研究者はしばしば尋ね る。上記Sternを参照する。

高等植物葉緑体のRNAプロセシング経路は、高等植物の細胞核およびサイトゾルでの それらと異なるものと理解される。これは、プラスチドが原核生物起源であるのに対して 、植物細胞核およびサイトゾルは真核生物性であるからである。ラン藻祖先に由来する葉 緑体は、遺伝子発現の原核生物および真核生物の特徴を兼備し、核によってコードされる 多くのタンパク質によって調節されると、何人かは考える。上記Sternを参照する。しか し、経路の差の程度およびRNAプロセシングへのそれらの差の関連性は未知である。

原核生物と真核生物の間の差を考慮すると、真核細胞で作動し、原核細胞で作動しない と見られる機構は、葉緑体で作動しないはずであると、何人かは示唆している。RNAi は、1つの特定の機構である。同時に、他の者は、葉緑体で蓄積するRNAに由来するs iRNAの存在を観察し、葉緑体で作動するRNAi機構を指摘した。Martinez de Alba A.E. et al. 2002 Am. Soc Microbiol. 76: 13094-13096を参照する。さらに、RNアー ゼIIIの葉緑体相同体も、mRNAプロセシングに関与することができる。RNアーゼ IIIは、DicerなどのRNAサイレンシングに関係がある酵素を含む、dsRNA 依存性エンドリボヌクレアーゼの大きなファミリーのメンバーである。上記Sternを参照 する。RNA編集およびスプライシング因子を含む、葉緑体中の核によってコードされた 多くのトランス作動因子の発見を考慮すると、葉緑体での核由来の因子の観察はおそらく 驚くに足らない。

一般に、高等植物の葉緑体の内因性遺伝子のRNAの定常状態レベルがどのように制御 されるかは、わかっていない。関連する機構が高等植物の葉緑体の外因性遺伝子の発現に 等しく適用されるかどうかも、わかっていない。さらに、RNAの定常状態レベルに及ぼ す葉緑体での導入遺伝子の過剰発現の影響は、未知である。核のRNAプロセシング機構 は高等植物でより明らかに理解されていて、結果は予測可能であるので、多くの者が核形 質転換に基づいて高等植物でトランスキングダムRNAi手法に乗り出したのは、おそら くこれらの理由のためである。

これらの研究は、dsRNAプロセシング機構が欠如し、それによってdsRNAの分 解を回避する細胞の使用に最初に焦点を合わせた。1つの問題点は、dsRNAプロセシ ング機構が欠如している植物の生長能への影響であった。この問題点は、高等植物の核 でのdsRNAの形成および保護を可能にする改変構築物の提供によって改善された。例 えば、米国特許出願公開第20090263364号明細書、米国特許出願公開第200 70011775号明細書、米国特許出願公開第20090263364号明細書、米国 特許出願公開第20080194504号明細書、米国特許出願公開第20060095 987号明細書、Fenner B. et al. 2006 J. Virol. 80: 6822-6833およびSalomon W. et al 2010 Nucl. Acids. Res. 38: 3771-3779を参照する。RNAi誘導構築物でのこれら の改善および開発は、トランスキングダムRNAiのためのdsRNA生成を達成するた めの好ましい手法として、表面上確立された核形質転換を有する。

高等植物におけるdsRNAの生成および蓄積のための代わりの手法または改善された 手法が依然として必要とされている。

本発明は上で指摘した必要性に対処しようと追求するものであり、一実施形態では、維 管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、プラス チドが提供される。

別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、コード領域は、植物のゲノムで見出されないヌクレオチド配列を有する、プラ スチドが提供される。

別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、dsRNAの配列を含むsiRNA分子を含まないプラスチドが提供される。

別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター − dsRNA を含み、dsRNAはコード領域によってコードされるヌクレオチド配列の実質的に全 てを含有する、プラスチドが提供される。

さらなる実施形態では、維管束植物の形質転換のための核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込みに選択的である1つまたは複 数の組込み部位 を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、核酸構 築物が提供される。

さらなる実施形態では、維管束植物の形質転換のための核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込みに選択的である1つまたは複 数の組込み部位 を含み、コード領域は、植物のゲノムで見出されないヌクレオチド配列を有する、核酸 構築物が提供される。

さらなる実施形態では、上記のプラスチドまたは構築物を含有する、植物またはそれに 由来する繁殖材料が提供される。

さらなる実施形態では、維管束植物の細胞においてdsRNAを蓄積する方法であって 、 − 維管束植物のプラスチドを上記の実施形態のいずれか1つの核酸構築物で形質転換 することと; − プラスチドにおける核酸構築物からのdsRNAの生成のための条件を細胞に提供 することと を含み、それによって、維管束植物の細胞においてdsRNAを蓄積する、方法が提供さ れる。

本発明のさらなる態様および前の段落に記載される態様のさらなる実施形態は、例とし て与えられ、添付の図面を参照する以下の記載から明らかになる。

核または葉緑体ゲノムへの組込みからdsRNAまたはヘアピン(hpRNA)を生成する方法の概略図。 図1A−1。1つがセンス転写産物を生成し、他がアンチセンス転写産物を生成する2つの独立した転写単位(Waterhouse PM et al. 1998 Proc Natl Acad Sci USA 95: 13959-139で最初に記載された)。転写単位は一緒にゲノムに(例えば、同じT−DNAに導入される単位によって生成される)、または無関係な位置に(例えば、異なる染色体上)配置することができる。合体し、ハイブリダイズしてdsRNAを形成するために、センスおよびアンチセンスRNAが必要とされる。 図1A−2。1つの「コード領域」配列が、2つの「内向き/収束性」プロモーターの間に置かれ(Timmons L and Fire A. 1998 Nature 395: 854によって最初に記載された)、その結果1つが1つのDNA鎖の転写を引き起こしてセンスRNAを生成し、他のプロモーターは他のDNA鎖の転写を指示してアンチセンスRNAを作製する。合体し、ハイブリダイズしてdsRNAを形成するために、2つのRNAが必要とされる。 図1A−3。折り返されて自己ハイブリダイズし、dsRNAに類似の二重構造化ステムとヘアピン(hp)RNAを作製する能力を有する単一のRNAを生成する1つのプロモーターによって促進される1つの転写単位(Waterhouse et al. 1998 Proc Natl Acad Sci USA 95: 13959-139で最初に記載された)。転写産物の第1の領域は、転写産物の最後の領域に対してセンス配向であってもよい(または逆もまた同じ)。DNA構築物を安定させるために、センスおよびアンチセンス領域を分離するための「スペーサー」領域を有することが重要である。この場合には、スペーサー領域は、hpRNA転写産物の一部として転写されて、ループを形成する。 図1A−4。折り返されて自己ハイブリダイズし、dsRNAに類似の二重構造化ステムとヘアピン(hp)RNAを作製する能力を有する単一のRNAを生成する1つのプロモーターによって促進される1つの転写単位。転写産物の第1の領域は、転写産物の最後の領域に対してセンス配向であってもよい(または逆もまた同じ)。DNA構築物を安定させるために、センスおよびアンチセンス領域を分離するための「スペーサー」領域を有することが重要である。この場合には、スペーサー領域は、転写されるがその後スプライスアウトされて非常に小さいループとhpRNA転写産物を生成するイントロンをコードする(Smith NA et al 2000 Nature 407: 319-320で最初に記載された)。

核ゲノムに組み込まれたときの核組込み構築物の概略図。v153核形質転換構築物は、その組み込まれた形で表される。この構築物は、CaMV 35sプロモーターからHa−HpAce1236−189ヘアピンを発現するように設計されている。骨格は、標準の二元アグロバクテリウム形質転換ベクターpORE−03の誘導体である。宿主核ゲノムの組込み部位は、アグロバクテリウム媒介形質転換の標準の組込み動態力学によって異なる。以降のcDNA合成ステップ(301r、216f/rおよびオリゴdT)およびRT−PCR検出ステップ(217f/r+216f/rおよび25f+216f/r)のために用いられるプライマーは、後者のセットのために示した予想生成物サイズ(e=..)で表される。続くイントロンスプライシングによって生成される種のそれらおよび標準の核/細胞質RNAに作動することが知られている標準のRNAiタイプの経路によるプロセシングの後のそれらを含む、予想されるRNA生成物および構造物を示す。

葉緑体ゲノムに組み込まれたときの葉緑体発現構築物(核イントロンと)の概略図。v206葉緑体形質転換構築物は、その組み込まれた形で表される。この構築物は、PrrnプロモーターからHa−HpAce1236−189ヘアピンを発現するように設計されている。骨格は、標準の葉緑体形質転換ベクターpPRV323Cloxの誘導体である。宿主葉緑体ゲノムの組込み部位は正確であり、trnI/trnAの含まれる組換え領域によって規定される。以降のcDNA合成ステップ(301r、216f/r、276r、280rおよびオリゴdT)およびRT−PCR検出ステップ(217f/r+216f/rおよび25f+216f/r)のために用いられるプライマーは、後者のセットのために示した予想生成物サイズ(e=..)で表される。生成される予想RNA生成物を示す。標準のスプライシング機構は葉緑体で作動しないので、この場合には、含まれる核/細胞質イントロンはスプライシングされない。RNAiプロセシング機構のさらなる不在下では、残りの生成物は、設計されたヘアピンで意図した標的を覆うために本来含まれる配列の実質的な部分または全てを含む。多くの葉緑体転写産物で普通に起こることが公知であるように、この場合には、転写が生来の上流の転写単位から連続すること(「リードスルー」)ができるならば、形成される追加のより長いRNA種があってもよい。

葉緑体ゲノムに組み込まれたときの葉緑体発現構築物(葉緑体イントロンと)の概略図。v301葉緑体形質転換構築物は、その組み込まれた形で表される。この構築物は、PrrnプロモーターからHa−HpAce1236−189ヘアピンを発現するように設計されている。骨格は、標準の葉緑体形質転換ベクターpPRV323Cloxの誘導体である。宿主葉緑体ゲノムの組込み部位は正確であり、trnI/trnAの含まれる組換え領域によって規定される。以降のcDNA合成ステップ(301r、216f/r、276r、280rおよびオリゴdT)およびRT−PCR検出ステップ(217f/r+216f/rおよび25f+216f/r)のために用いられるプライマーは、後者のセットのために示した予想生成物サイズ(e=..)で表される。生成される予想RNA生成物および構造を示す。この場合には、含まれる葉緑体イントロンは、葉緑体中でスプライスアウトされる。RNAiプロセシング機構の不在下では、残りの生成物は、設計されたヘアピンで意図した標的を覆うために本来含まれる配列の実質的な部分または全てを含むが、イントロン配列は含まない。スプライシングの結果、RNA構造は、片方の末端で小さいループと一緒に桿状のRNA二重鎖をおそらく形成する。多くの葉緑体転写産物で普通に起こることが公知であるように、この場合には、転写が生来の上流の転写単位から連続すること(「リードスルー」)ができるならば、形成される追加のより長いRNA種があってもよい。

導入遺伝子の発現を実証する形質転換体からのRNA抽出物のRT−PCRを示す図。ニコチアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)葉緑体形質転換植物組織(v206試料#1〜9)、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)核形質転換組織(v153核対照試料#17)および非形質転換N.ベンタミアナ(N. benthamiana)組織(非形質転換対照試料#24)から抽出されたRNA試料を用いた、6つの異なる逆転写(RT)アッセイからの結果を示す。2つの異なる鋳型条件を用いて3つの異なるプライマーセットで各試料を増幅した;鋳型としてcDNA合成前の抽出されたRNA(試料へのDNA汚染の可能性について試験するため)、および対応するcDNA試料セット。予想された生成物サイズは、e=..として示す。含まれたマーカーはMBI Fermentas 100bpマーカーであり、バンドは100bpから1kbまで100bp間隔である。(A〜B)最初のPCRプライマーセットは、アンチセンス(AS)ステムの両方のイントロンループを含有する大きなRNA種の存在について試験するために、イントロンおよび後部ステムの接合部越しに増幅するように設計した(プライマーg25fおよびg216f/r)。四で囲んだ領域は、特異的増幅があった場合に生成物が出現するだろう領域を示す。(C〜D)ループ配列とは無関係に完全長センス(SE)またはアンチセンス(AS)ステムの存在について試験するために、第2のセットはdsRNAステム領域に対して内的であったがステムの末端で結合していた(プライマーg216f/rおよびg217f/r)。(E〜F)第3のセットは、eIF4Eのための遍在するハウスキーピング配列の存在について試験するための対照反応であった(プライマーg165fおよびg166r)。 葉緑体試料#9は、このセットでは分析しなかった。しかし、それは初期のPCRアッセイで陽性であることが既に確認されていた。

葉緑体形質転換体および対照でのdsRNAのノーザンベースの数量化を示す図。 葉緑体形質転換試料を、高分子量(MW)または「大RNA」ノーザン分析にかけた。(A)試料#1〜9、17および24の各々のために、RNA抽出物を再調製した(各試料を、ホルムアミドに再懸濁した)。1レーンあたり各試料のおよそ10μl+ホルムアミドRNA負荷色素の6μl(4μlの試料だけが入手できた試料7を除いて)を1.4%TBEアガロースゲルに加え、2つのより低い色素前線が十分に分離するまで100Vで流した。相対負荷量を測定するために、ゲルを臭化エチジウム(EtBr)で染色して、可視化した。(B)ゲルを一晩キャピラリーでHybond N+(Amersham)に移し、試料を膜にUV架橋させた。膜を前ハイブリダイズさせ、65℃でPerfectHybでハイブリダイズさせた。プローブ(全長538ntで、約357ntはHaAceに隣接して一致する)は、逆挿入HaAce1236 pGEMベクター(v158)からの部分長SE鎖UTPp32リボプローブランオフSP6であった。膜は、1時間曝露させた。(C)RNA量はImageJを用いて数量化し、負荷量に標準化した(EtBr画像を用いた)。相対発現レベルは、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)非形質転換対照(1と設定)と比較したバンド強度の標準化変化倍率として計算した。 追加のRNA抽出のためには不十分な材料が残されていたので、試料#6はこの例のセットで省略された。

葉緑体形質転換体および対照でのsiRNAのノーザンベースの数量化を示す図。siRNAサイズのプロセシングされた生成物の相対量を検出して数量化するために、葉緑体形質転換試料を低分子量(MW)または「小RNA」ノーザン分析にかけた。例4で用いたのと同じRNA抽出物を、ここで用いた。(A)1レーンにつきおよそ25μlの各試料+25μlのホルムアミドRNA負荷色素を、17%PAGEゲルに加えた。これは、約18〜42μgの負荷量の推定範囲になった。負荷前に、150V/40分でPAGEゲルを予備的に流した。負荷すると、150V/約30分+200V/約4〜5時間でゲルを流した(色素前線が十分に移動するまで)。相対負荷量を測定するために、ゲルを臭化エチジウム(EtBr)で染色して、可視化した。(B)ゲルをHybond N+(Amersham)に45V/60分で電気的に移し、試料を膜にUV架橋させた。膜を前ハイブリダイズさせ、42℃でPerfectHybでハイブリダイズさせた。約50nt断片に分割するために標準の方法によって「炭酸化」したこと以外は、前に記載したのと同じようにプローブを調製した。膜を1時間および60時間曝露させたが、2つの時点の間で検出限界の差はなかった(1時間の時点をここに示す)。(C)RNA量はImageJを用いて数量化し、負荷量に標準化した(EtBr画像を用いた)。相対発現レベルは、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)非形質転換対照(1と設定)と比較したバンド強度の標準化変化倍率として計算した。 不十分な材料しか残っていなかったので、試料#6および7はこの例のセットで省略された。

トランスジェニックおよび非トランスジェニック苗の上でのオオタバコガ(Helicoverpa armigera)幼虫の成長速度を示す図。 プラスチックペトリ皿中の洗浄した6〜10日苗で4日間飼育した後の平均的オオタバコガ(Helicoverpa)幼虫の重量(n=4〜13;元は実験開始時n=20/処理)。幼虫の餌とした苗を含有するペトリ皿は、制御環境条件(28℃、約60%相対湿度、16:8[明:暗])の下に置いた。v206で形質転換させた全4つの独立した系(葉緑体でhpRNAを発現する)では、野生型N.ベンタミアナ(N. benthamiana)苗で飼育したものと比較して、幼虫は成長速度が有意に低減した(p<0.005 n=7〜13)ことをこのデータは示す。v153で形質転換させた2つの系(核/細胞質でhpRNAを発現する)で飼育した幼虫の成長速度は、野生型で飼育したものと有意差がなかった(p>0.9;n=4〜7)。

本明細書で参照するベクターの関係経路の概略図。例1で組み立てた葉緑体形質転換構築物は、いくつかの既存のベクター、pPRV323Clox、pORE−03およびpRNAi−GGの誘導体であった。pPRV323Cloxは、誤ったKpnI RE部位を除去するために、先ず改変された。pR1を作製するために、これに葉緑体プロモーター、5’UTR、MCSおよび3’UTRを挿入した。p32cを作製するために、CaMV35sプロモーターの挿入と骨格に存在するBsa I部位の除去によって、pORe−03を先ず改変した。pRNAi−GGは、ゴールデンゲート(GG)クローニングカセットの供給源として用いた。p32c−GGを作製するために、GGカセットをp32cにコピーした。オオタバコガ(Helicoverpa armigera)アセチルコリンエステラーゼ標的遺伝子(Ha−Ace1236−189)に対するヘアピン構築物v153を作製するために、次にp32c−GGをGG反応で用いた。v153は、核形質転換例で用いた構築物であった。この構築物は、GG Ha−HpAce1236−189エレメントをpR1に移し、このようにv206を作製するためにさらに用いた。v206は、葉緑体形質転換例で用いた構築物であった。

例示的な配列を示す図。(A)Genbank受託番号AF369793(標的遺伝子)に対応する、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)(Ha)からのアセチルコリンエステラーゼ(Ac)遺伝子のmRNA配列。(B)HaからのAc遺伝子の配列(標的配列)に由来するHa−Ace1236−189。(C)Ha−HpAce1236−189、pRNAi−GGに存在するようなイントロンスペーサー領域を用いた配列Ha−Ace1236−189のヘアピン。示す配列は、DNA構築物(前スプライシングされた)に出現する、標的配列の末端からの配列である。

例示的な配列を示す図。(A)Genbank受託番号AF369793(標的遺伝子)に対応する、オオタバコガ(Helicoverpa armigera)(Ha)からのアセチルコリンエステラーゼ(Ac)遺伝子のmRNA配列。(B)HaからのAc遺伝子の配列(標的配列)に由来するHa−Ace1236−189。(C)Ha−HpAce1236−189、pRNAi−GGに存在するようなイントロンスペーサー領域を用いた配列Ha−Ace1236−189のヘアピン。示す配列は、DNA構築物(前スプライシングされた)に出現する、標的配列の末端からの配列である。

v153のためのプラスミドマップ。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

v153のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのプラスミドマップ。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

改変されたv206のためのヌクレオチド配列を示す図。

v301のためのプラスミドマップ。

v301のためのヌクレオチド配列を示す図。

v301のためのヌクレオチド配列を示す図。

v301のためのヌクレオチド配列を示す図。

農業において植物の有害生物および病原体の増殖を阻害するための効率的な手段として 、トランスキングダムRNAiが近年出てきた。この手法は、多くの真核生物体に存在す るRNAプロセシング経路を活用し、それにより、外因性dsRNAは、細胞性RNアー ゼIII酵素(例えば、DicerまたはDicer様タンパク質、例えば、DCL1、 DCL2、DCL3およびDCL4)によって小さい干渉(siRNA)分子にプロセシ ングされる。DICERは長いdsRNA分子を長さが一般に約19〜24ヌクレオチド であるsiRNAに切断し、それらは次にパッセンジャー鎖およびガイド鎖の2つの一本 鎖RNAにほどける。パッセンジャー鎖は分解され、ガイド鎖はRNA誘導サイレンシン グ複合体(RISC)に組み込まれる。ガイド鎖がmRNA分子の相補配列に特異的に結 合して、RISC複合体の触媒構成要素であるArgonautによる切断を誘導すると き、転写後遺伝子サイレンシングが起こる。

トランスキングダムRNAiは、dsRNA分子を標的生物に提供することによってこ の内因性RNAプロセシング経路を活用し、ここで、dsRNA分子は標的生物で生成さ れないが別の生物体、例えば、標的生物が消費する生物体で生成される。dsRNAまた はhpRNA分子を生成する方法のいくつかを、図1Aに表す。この手法の1つの例は、 植物でのdsRNA分子の供給であり、ここで、dsRNA分子は標的生物中の特異的標 的遺伝子に相同的である。植物によって生成されるdsRNAが有害生物によって摂取さ れるときに、有害生物のRNA干渉(RNAi)機構は、摂取されたdsRNAを、有害 生物で有害生物の生存に影響を与える必須の遺伝子サイレンシングまたは関係する事象を 誘導することが可能なsiRNAまたは他のRNA形に変換するものと理解される。この 手法は、「非細胞自律RNAi」とも呼ばれ、dsRNA分子が全て1つの細胞で生成さ れ、プロセシングされ、そのサイレンシング効果を発揮する状況から区別される。

宿主細胞でdsRNA分子を提供する1つの手法は宿主の細胞核に構築物を導入するこ とであり、それは、宿主ゲノムの核で発現されるときにdsRNA分子をコードする。宿 主生物でdsRNA分子を提供することにおいて、宿主生物の自身のRNAプロセシング 機構はdsRNA分子をsiRNAに分解することができることも認識されている。この ように、有害生物で遺伝子サイレンシングを誘導することが可能であるsiRNAは、植 物で生成することができる。しかし、トランスキングダムRNAiが成功するためには、 高レベルのdsRNAが標的生物に提供されなければならないことが今ではよく認識され ている。したがって、トランスキングダムRNAi方法論における近年の努力は、siR NAへのそのようなプロセシングを阻止するために、宿主細胞核で生成されたdsRNA 分子を安定させる手段に焦点を合わせている。例えば、いくつかは、分解を阻止するため にRNA結合分子の供給を示唆した。他は、siRNAへのプロセシングによる減少を補 償するために、宿主細胞核でのdsRNA発現のレベルを増加させる必要性を示唆した。 dsRNA分子の化学的改変を示唆したものもあった。明らかなことは、この状況を是正 するための全ての努力が、既存の核形質転換方法を改変することと関係しているというこ とである。

発明者らはdsRNA分解の問題点を解決するための異なる手法をとったが、驚くべき ことに、維管束植物のプラスチド、例えば葉緑体で生成されるdsRNAが、同じ細胞の 核で生成されるdsRNAと同じ分解またはプロセシングに感受性でないことを見出した 。重要なことに、維管束植物の葉緑体を選択的に形質転換することによって維管束植物で dsRNAを蓄積することが可能であることを発明者らは見出した。さらに、本発明によ って生成される葉緑体が実質的にsiRNAを含有しないことを発明者らは見出し、その ことはトランスキングダムRNAi用途への本発明の適用のために有利である。さらに、 葉緑体で蓄積されるdsRNAが別の方法で他の葉緑体RNAプロセシング経路によって 実質的にプロセシングされないことを発明者らは見出した。さらに、必須の幼虫遺伝子を 標的にしたhpRNAを葉緑体で発現するトランスジェニック植物で幼虫を飼育すること が、そのような幼虫の成長に対して強い阻害性の効果を及ぼすことを発明者らは見出した 。

プラスチドがDicer様酵素を用いてdsRNA分子をsiRNAに分解するかどう か今まで未知であったので、発明者らの知見は意外である。例えば、葉緑体複製ウイロイ ドに対応するsiRNAの植物細胞での存在は、高等植物の葉緑体でのDicer様プロ セシング機構を示すと何人かは推測した。しかし、本発明者らは、高等植物のプラスチド で生成されるdsRNA分子がプラスチド内でsiRNAにプロセシングされないことを 見出した。したがって、発明者らは、維管束植物のプラスチドが高レベルのdsRNAの 生成に適する環境を提供することを見出した。

したがって、第1の実施形態では、本発明は、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、プラス チドを提供する。

一般に、siRNAは、長いdsRNA分子を一般に約19〜24ヌクレオチドの長さ であるsiRNAに切断する細胞性RNアーゼIII酵素(例えば、Dicer)によっ て、dsRNA分子から生成される。一般に、長さが19〜24ヌクレオチド未満の二本 鎖構造を有するdsRNA配列は、そこからのsiRNAの生成を可能にしない。

したがって、本発明によって生成されるdsRNA分子は、siRNAがdsRNAか ら生成されるために一般に必要とされるそれらの発生期の特性のかなりの割合を保持する 。言い換えると、このdsRNA分子は、標的生物のRNアーゼIII機構がdsRNA 分子に結合してそこからsiRNA分子を生成することを可能にする特性を保持する。本 発明によって生成されるdsRNAが、そこからのsiRNAの生成を可能にする配列を 有するのは、この文脈においてである。これは下でさらに説明されるが、これに移る前に 、dsRNAの性質をさらに議論することが有益である。

具体的には、dsRNAは、第1および第2の鎖がワトソン−クリック型塩基対によっ て互いに結合して「ステム」を形成することを可能にするのに十分な配列相補性を鎖間で 有する、第1および第2のRNA鎖を一般に含む。一部の実施形態では、dsRNAのス テムは、第1と第2の鎖の間の100%の相補性からなる。一部の実施形態では、ステム を形成する第1および第2の鎖の間に1つまたは複数のミスマッチがあってもよく、その ため、ステムの鎖間の相補性は100%未満であってもよい。一般に、ステムの第1およ び第2の鎖間の相補性レベルは80%を超え、好ましくは85%、好ましくは90%、好 ましくは95、96、97、98または99%である。一般に、ミスマッチは、約3ヌク レオチド以下、好ましくは約2ヌクレオチドの連続した配列にわたる。好ましくは、ミス マッチは、間隔をあけて離れた位置の、ステムの第1および第2の鎖の単一のヌクレオチ ドの間に限定される。

上のことから、規定の長さのdsRNAのステムが、ミスマッチの1つまたは複数の領 域または位置を実際含むことができることが理解されよう。例えば、第1および第2の鎖 が30ヌクレオチド領域内の1、2のミスマッチを除けば30ヌクレオチドの領域にわた って完全な相補性を有する場合、第1および第2の鎖は30ヌクレオチドのdsRNAの ステムを構成すると言われるだろう。

dsRNAは、1つまたは複数のステムを含むことができる。1を超えるステムがある 場合、これらは直列またはクラスタに配置されて直列型のまたは重複する逆方向反復を形 成することができ、それらは、例えば、「ハンマーヘッド」、「バーベル」もしくは「イ ヌの骨」に似ている2ステム構造、または「クローバー型」に似ている3つ以上のステム を含有する構造、または擬似ノット様形状を有する構造に類似したdsRNA構造を形成 する。これらの構築物のいずれも、二本鎖ステムの中で見出される(例えば、複数のアン チセンスもしくはセンスヌクレオチド配列セグメント間のスペーサーとして、または塩基 対合アンチセンスヌクレオチド配列セグメントとセンスヌクレオチド配列セグメントの間 のスペーサーとして)、または二本鎖ステムの外で見出される(例えば、センスまたはア ンチセンス、または逆方向反復の対を分離する無関係なRNA配列のループ領域として) スペーサーセグメントをさらに含むことができる。塩基対合アンチセンスおよびセンスヌ クレオチド配列セグメントの長さが等しくない場合は、より長いセグメントがスペーサー の働きをすることができる。

dsRNAは、RNAの単一の鎖がステム構造を形成することを可能にする逆方向反復 配列を有するRNAの単一の鎖から生じることができる。あるいは、dsRNAは、互い に整列して塩基対合してdsRNA分子のステムを形成する、2つ以上のRNA分子から 生じることができる。

上記のように、一実施形態では、そこからのsiRNAの生成を可能にするのは、ds RNAの長さ、特にdsRNAのステムの長さである。一般的に、dsRNAのステムは 、少なくとも30ヌクレオチドの長さを有する。30ヌクレオチドより短い長さでは、有 害生物体のRNAポリメラーゼIII系がdsRNAからsiRNAを生成することがで きる程度に限界がある場合がある。様々な実施形態では、dsRNAのステムは、少なく とも約50、少なくとも約75、少なくとも約100、少なくとも約150、少なくとも 約200、少なくとも約250、少なくとも約300、またはより多くの塩基対からさえ なることができる。1つの好ましい実施形態では、dsRNAは少なくとも約100塩基 対を含む。別の好ましい実施形態では、dsRNAのステムは、少なくとも約250塩基 対、またはより多く、例えば、500または1000塩基対を含む。

dsRNAは、コード領域によってコードされる。コード領域は、外因性核酸配列であ る。一部の実施形態では、コード領域は導入遺伝子をコードすることができる。一部の例 では、導入遺伝子は、標的遺伝子配列を含む生物体で見出される核酸分子に相補的である ヌクレオチド配列を含むdsRNA分子の片方または両方の鎖をコードする配列であって もよい。さらなる例では、導入遺伝子は、遺伝子配列(例えば、除草剤耐性遺伝子)、疾 患の作用機構に関連するバイオマーカーをコードする遺伝子、薬学的に有益な化合物、ま たは望ましい農業形質をコードする遺伝子であってもよい。

これらおよび他の例では、導入遺伝子は、導入遺伝子のコード配列に作動可能に連結さ れる調節配列(例えば、プロモーター)を含有することができる。例を、下でさらに記載 する。

一部の実施形態では、コード領域は単一の二本鎖RNAを本質的にコードすることがで き、標的遺伝子の少なくとも1つのセグメントにアンチセンスである複数の直列アンチセ ンスヌクレオチド配列セグメント、および標的遺伝子の少なくとも1つのセグメントにセ ンスである複数の直列センスヌクレオチド配列セグメントを含む。複数の直列アンチセン スおよび複数の直列センスセグメントは、単一の二本鎖RNAステムまたは複数の二本鎖 ステムを直列配置で形成することができる(複数の二本鎖ステムを分離する非塩基対合ス ペーサーDNAの有り無しで)。

別の実施形態では、コード領域はRNAの複数のdsRNAステムをコードし、標的遺 伝子の少なくとも1つのセグメントにアンチセンスである複数のアンチセンスヌクレオチ ド配列セグメント、および標的遺伝子の少なくとも1つのセグメントにセンスである複数 のセンスヌクレオチド配列セグメントを含み、そこで、前記複数のアンチセンスヌクレオ チド配列セグメントおよび複数のセンスヌクレオチド配列セグメントは、直列の二本鎖ス テムで配置される。

ある特定の実施形態では、dsRNAは、dsRNAおよびhpRNAの一方または両 方を指すことができる。

コード領域によってコードされるdsRNA分子は、維管束植物の特定の有害生物また は病原体を標的にするsiRNA分子の生成を可能にする配列を有することができる。こ のように、コード領域のヌクレオチド配列は、標的生物の標的遺伝子に相補的であり、宿 主植物のヌクレオチド配列に対応しない。

したがって、別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − dsRNA分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、コード領域は、植物のゲノムで見出されないヌクレオチド配列を有する、プラ スチドが提供される。

一般的に、コード領域は標的遺伝子のヌクレオチド配列を有する。好ましい標的遺伝子 は、関連する有害生物の生存に必須である遺伝子である。有害生物は、植物、動物、細菌 、ウイルスまたは真菌界のものであってもよい。これらの実施形態では、dsRNAは、 標的遺伝子のmRNAを切断するかまたはその翻訳を抑制するsiRNA分子の生成を可 能にする。有害生物および標的遺伝子の例は、以下の通りである: ・鞘翅類有害生物、例えば、ディアブロティカ・ビルギフェラ・ビルギフェラ(Diabro tica virgifera virgifera)LeConte(ウェスタンコーンルートワーム、「WCR」)、 ディアブロティカ・バルベリ(Diabrotica barberi)Smith and Lawrence(ノーザンコー ンルートワーム、「NCR」)、ディアブロティカ・ウンデシムプンクタタ・ホワルディ (Diabrotica undecimpunctata howardi)Barber(サザンコーンルートワーム、「SCR 」)、ディアブロティカ・ビルギフェラ・ゼアエ(Diabrotica virgifera zeae)Krysan and Smith(メキシカンコーンルートワーム、「MCR」)、ディアブロティカ・バルテ アタ(Diabrotica balteata)LeConte;ディアブロティカ・ウンデシムプンクタタ・テネ ラ(Diabrotica undecimpunctata tenella)、D.スペシオサ(D. speciosa)Germarお よびディアブロティカ・ウンデシムプンクタタ・ウンデシムプンクタタ(Diabrotica und ecimpunctata undecimpunctata)Mannerheim; ・半翅類有害生物、例えば、エウスキスツス・ヘロス(Euschistus heros)(Fabr.) (ネオトロピカルブラウンスティンクバグ、「BSB」)、ミナミアオカメムシ(Nezara viridula)(L.)(ミナミアオカメムシ)、ピエゾドルス・グイルジニイ(Piezodorus guildinii)(Westwood)(レッドバンディドスティンクバグ)、クサギカメムシ(Halyo morpha halys)(Stal)(クサギカメムシ)、キナビア・ヒラレ(Chinavia hilare)(S ay)(グリーンスティンクバグ)、エウスキスツス・セルブス(Euschistus servus)(S ay)(ブラウンスティンクバグ)、ディケロプス・メラカンツス(Dichelops melacanthu s)(Dallas)、ディケロプス・フルカツス(Dichelops furcatus)(F.)、エデッサ・ メディタブンダ(Edessa meditabunda)(F.)、チアンタ・ペルディトル(Thyanta perd itor)(F.)(ネオトロピカルレッドショルダードスティンクバグ)、チナビア・マルギ ナツム(Chinavia marginatum)(Palisot de Beauvois)、ホルシアス・ノビレッルス( Horcias nobilellus)(Berg)(コットンバグ)、タエディア・スティグモサ(Taedia s tigmosa)(Berg)、ディスデルクス・ペルビアヌス(Dysdercus peruvianus)(Guerin- Meneville)、ネオメガロトムス・パルブス(Neomegalotomus parvus)(Westwood)、レ プトグロッサス・ゾナツス(Leptoglossus zonatus)(Dallas)、ニエストレア・シデ( Niesthrea sidae)(F.)、リグス・ヘスペルス(Lygus hesperus)(Knight)(ウェス タンターニッシュトプラントバグ)およびリグス・リネオラリス(Lygus lineolaris)( Palisot de Beauvois); ・鱗翅類の有害生物、例えば、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ユ ーロピアンコーンボーラー)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) (フォールアーミーワーム)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)(シロイチモ ジヨトウ)、スポドプテラ・オルニトガリイ(Spodoptera ornithogalli)(イエロース トライプトアーミーワーム)、ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)(コーンイアワ ーム)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)(タマナヤガ)、オオタバコガ(Helicoverpa a rmigera)(オオタバコガ)、ディアトラエア・サッカラリス(Diatraea saccharalis) (シュガーケーンボーラー)、ディアトラエア・グランディオセラ(Diatraea grandiose lla)(サウスウェスタンコーンボーラー)、エラスモパルプス・リグノセルス(Elasmop alpus lignosellus)(レッサーコーンストークボーラー)、パパイペマ・ネブリス(Pap aipema nebris)(ストークボーラー)、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella) (ワタアカミムシ)、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)(グリーンクローバ ーワーム)、コリアス・エウリテメ(Colias eurytheme)(アルファルファキャタピラー )、アンティカルシア・ゲンマタリス(Anticarsia gemmatalis)(ベルベットビーンキ ャタピラー)、プセウドプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)(ソイビ ーンルーパ)、コナガ(Plutella xylostella)(コナガ)、アグロミザ・パルビコルニ ス(Agromyza parvicornis)(コーンブロットリーフマイナー)、アコロイア・グリセラ (Achoroia grisella)、アクレリス・グロベラナ(Acleris gloverana)、アクレリス・ バリアナ(Acleris variana)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana)、アラバ マ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アルソフィラ・ポメタリア(Alsophila pome taria)、アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella)、アナガスタ・クエニ エラ(Anagasta kuehniella)、アナルシア・リネアテラ(Anarsia lineatella)、アニ ソタ・セナトリア(Anisota senatoria)、アンテラエア・ペルニイ(Antheraea pernyi )、アルチプス属の種(Archips sp.)、アルギロタエニア属の種(Argyrotaenia sp.) 、アテティス・ミンダラ(Athetis mindara)、カイコガ(Bombyx mori)、ブクラトリク ス・スルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、スジマダラメイガ(Cadra cautella) 、コリストネウラ属の種(Choristoneura sp.)、コキルス・ホスペス(Cochylls hospes )、ガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)、シディア・ラティフェレアヌス(Cydia latiferreanus)、シディア・ポモネラ(Cydia pomonella)、ダタナ・インテゲリマ(D atana integerrima)、デンドロリムス・シベリクス(Dendrolimus sibericus)、デスミ ア・フェネラリス(Desmia feneralis)、ディアファニア・ヒアリナタ(Diaphania hyal inata)、ディアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis)、エンノモス・スブシグ ナリア(Ennomos subsignaria)、エオレウマ・ロフティニ(Eoreuma loftini)、エスフ ェスティア・エルテラ(Esphestia elutella)、エラニス・ティラリア(Erannis tilari a)、エスティグメネ・アクレア(Estigmene acrea)、エウリア・サルブリコラ(Eulia salubricola)、エウポコエリア・アンビグエラ(Eupocoellia ambiguella)、ブドウホ ソハマキ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクティス・クリソレア(Euproctis chrys orrhoea)、エウキソア・メソリア(Euxoa messoria)、ハチノスツヅリガ(Galleria me llonella)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、ハリシナ・アメリカナ(Harris ina americana)、ヘリコベルパ・スブフレクサ(Helicoverpa subflexa)、ヘミレウカ ・オリビエ(Hemileuca oliviae)、ホモエオソマ・エレクテルム(Homoeosoma electell um)、ヒファンティア・クネア(Hyphantia cunea)、ケイフェリア・リコペルシセラ(K eiferia lycopersicella)、ラムディナ・フィセラリア・フィセラリア(Lambdina fisce llaria fiscellaria)、ラムディナ・フィセラリア・ルグブロサ(Lambdina fiscellaria lugubrosa)、ヤナギドクガ(Leucoma salicis)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botra na)、ロキソステゲ・スティクティカリス(Loxostege sticticalis)、マイマイガ(Lym antria dispar)、マカラ・チリサリス(Macalla thyrisalis)、マラコソマ属の種(Mal acosoma sp.)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、マメストラ・コンフィグラタ(Mames tra configurata)、マンヅカ・キンケマクラタ(Manduca quinquemaculata)、タバコス ズメガ(Manduca sexta)、マルカ・テスツラリス(Maruca testulalis)、メランクラ・ ピクタ(Melanchra picta)、オペロフテラ・ブルマタ(Operophtera brumata)、オルギ ア属の種(Orgyia sp.)、パレアクリタ・ベルナタ(Paleacrita vernata)、パピリオ・ クレスホンテス(Papilio cresphontes)、フリガニディア・カリフォルニカ(Phryganid ia californica)、フィロノリクテル・ブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella )、ピエリス・ナピ(Pieris napi)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、プラチノタ・ フロウエンダナ(Platynota flouendana)、プラチノタ・スツルタナ(Platynota stulta na)、プラチプティリア・カルヅイダクチラ(Platyptilia carduidactyla)、ノシメマ ダラメイガ(Plodia interpunctella)、ポンティア・プロトディス(Pontia protodice )、プセウダレティア・ウニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)、サブロデス・アエグ ロタタ(Sabulodes aegrotata)、シズラ・コンシナ(Schizura concinna)、バクガ(Si totroga cerealella)、リンゴシロヒメハマキ(Spilonta ocellana)、タウルンストポ エア・ピチオカンパ(Thaurnstopoea pityocampa)、エンソラ・ビスセリエラ(Ensola b isselliella)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia hi)、ウデア・ルビガリス(Udea r ubigalis)、キシロミゲス・クリアイルス(Xylomyges curiails)、イポノメウタ・パデ ラ(Yponomeuta padella)およびオオタバコガ(Heliothis virescens)(オオタバコガ );ならびに ・有害線虫、例えば、アフェレンコイデス属の種(Aphelenchoides spp.)、ベロノラ イムス属の種(Belonolaimus spp.)、クリコネメラ属の種(Criconemella spp.)、ディ ティレンクス属の種(Ditylenchus spp.)、グロボデラ属の種(Globodera spp.)、ヘテ ロデラ属の種(Heterodera spp.)、ヒルシュマニエラ属の種(Hyrschmanniella spp.) 、ホプロライムス属の種(Hoplolaimus spp.)、ネコブセンチュウ属の種(Meloidogyne spp.)、ネグサレセンチュウ属の種(Pratylenchus spp.)およびラドホルス属の種(Rad opholus spp.)、特定の種の非網羅的リストには、限定されずに、イヌ糸状虫(Dirofila ria immitis)、グロボデラ・パリダ(Globodera pallida)、ダイズシストセンチュウ( Heterodera glycines)、ヘテロデラ・ゼアエ(Heterodera zeae)、サツマイモネコブセ ンチュウ(Meloidogyne incognita)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica )、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus pene trans)、ラドホルス・シミリス(Radopholus similis)およびニセフクロセンチュウ(R otylenchulus reniformis)が含まれる。

特定の例では、鞘翅類、半翅類および/もしくは鱗翅類の有害生物、または有害昆虫以 外の生物体(例えば、植物寄生性線虫)の1つまたは複数の天然の核酸配列の少なくとも 一部に相同的であってもよい例示的な核酸分子が開示され、それらには、限定されずに、 Caf1−180(米国特許出願公開第2012/0174258号明細書)、Vatp aseC(米国特許出願公開第2012/0174259号明細書)、Rho1(米国特 許出願公開第2012/0174260号明細書)、VatpaseH(米国特許出願公 開第2012/0198586号明細書)、PPI−87B(米国特許出願公開第201 3/0091600号明細書)、RPA70(米国特許出願公開第2013/00916 01号明細書)、RPS6(米国特許出願公開第2013/0097730号明細書)、 ROP(米国特許出願公開第14/577811号明細書)、RNAPII(米国特許出 願公開第14/577854号明細書)、ならびに/または米国特許出願公開第2012 /0164205号明細書、同第2011/0054007号明細書および同第2009 /0265818号明細書、米国特許第6,326,193号明細書、欧州特許出願公開 第1210875号明細書および同第2633048号明細書、およびPCT国際特許出 願公開第2011153418号パンフレット、同第2007080126号パンフレッ ト、同第2012143542号パンフレット、同第2005110068号パンフレッ トおよび同第2006047495号パンフレットで開示されるもの;あるいは、鞘翅類 、半翅類および/または鱗翅類の有害生物または有害昆虫以外の生物体(例えば、植物寄 生性線虫、例えば、米国特許出願公開第2005/0188438号明細書、同第200 6/0080749号明細書、同第2009/0300796号明細書、およびPCT国 際特許出願公開第2003052110号パンフレット、同第2004066183号パ ンフレット、同第2004005485号パンフレット、同第2005019408号パ ンフレット、同第2006046148号パンフレット、同第2007087153号パ ンフレット、同第2007095496号パンフレットおよび同第2009133126 号パンフレットで開示されるもの)の遺伝子を標的にするdsRNA分子が転写されるト ランスジェニック事象が含まれる。

ある特定の実施形態では、核酸構築物は、dsRNAをコードする1を超えるコード領 域を含むことができる。例えば、核酸構築物は、第1の昆虫標的遺伝子のための第1のd sRNAをコードする第1のコード領域、および昆虫標的遺伝子のためのさらなるdsR NAをコードするさらなるコード領域を含むことができる。

さらなる実施形態では、本発明によるプラスチドまたは葉緑体は、1を超えるタイプの 核酸構築物を含むことができる。例えば、本発明によるプラスチドまたは葉緑体は、 − 第1の昆虫標的遺伝子のための第1のdsRNAをコードする第1のコード領域を 含む第1の核酸構築物; − 昆虫標的遺伝子のためのさらなるdsRNAをコードするさらなるコード領域を含 むさらなる核酸構築物 を含むことができる。

第1のおよびさらなるコード領域ならびに各々から生成されるdsRNAは、同じであ っても異なってもよい。

さらに、第1のおよびさらなるコード領域は、同じプロモーターもしくは調節配列、ま たは異なるプロモーターもしくは調節配列の制御下にあってもよい。一実施形態では、第 1のコード領域は構成的プロモーターの制御下にあってもよく、さらなるコード領域は誘 導可能なプロモーターの制御下にあってもよい。

他の実施形態では、第1のおよびさらなるコード領域の両方は、構成的プロモーターの 制御下にあるか、または誘導可能なプロモーターの制御下にある。葉緑体およびプラスチ ドでのdsRNAの発現のために有益な特定のプロモーターの例は、下に記載される。

サイレンシング効果を有すると予想される認識の最小限の程度は、ヘアピンのステム中 の配列と、19ヌクレオチドの連続配列ブロック中で16ヌクレオチド以上を超える完全 な同一性の少なくとも1つのブロックを共有する標的mRNA中の配列の間にあるだろう 。

他の実施形態では、標的遺伝子は、遺伝子サイレンシングまたはRNAiが必要とされ る遺伝子である。そのような遺伝子は、疾患の病状で発現される遺伝子であってもよい。 別の例では、遺伝子は工業プロセスで発現されるものであってもよい。

維管束植物の細胞質でdsRNA分子が提供されるとき(核または他でのDNA構築物 の発現を通してであるかどうかにかかわらず)、dsRNA分子は細胞質中のDicer 酵素によって認識されて、siRNAにプロセシングされることが知られている。しかし 、これらの同じ植物のプラスチドで提供されるdsRNAは、同じプロセシングを受けな いことを発明者らは見出した。したがって、本発明によって生成されるdsRNA分子は siRNAにプロセシングされず、プラスチドはdsRNA分子配列に由来するsiRN A分子を含まない。

したがって、別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、dsRNAの配列を含むsiRNA分子を実質的に含まないプラスチドが提供 される。

一般に、プラスチドはdsRNAの配列を含むsiRNA分子を含有しないが、一部の 実施形態では、プラスチドはRNAの分解または異化作用から生じる分解生成物を含有す ることができること、および、さもなければ、プラスチドでのdsRNAの生成または蓄 積に関係しない量である特定のsiRNAを含有することができることが理解されよう。

維管束植物のプラスチドは、公知の細胞質RNアーゼIII(「Dicer」)酵素の 相同体を含むか場合があると推測されている。さらに、葉緑体RNAがかなりのRNA編 集をしばしば受けることが知られている。したがって、維管束植物のプラスチドで提供さ れるdsRNAが、DNA構築物によってコードされる標的遺伝子のヌクレオチド配列の 実質的に全てを保持するかどうかは、今まで未知であった。発明者らは、高等植物の葉緑 体が標的遺伝子のコード領域から転写されるdsRNAを実質的に編集しないこと、およ びコード領域から転写されるdsRNAの実質的なトランケーションもスプライシングも ないことを驚くべきことに見出した。

したがって、別の実施形態では、維管束植物のプラスチドであって、 − 以下を含む核酸構築物: − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター − dsRNA を含み、dsRNAはコード領域によってコードされるヌクレオチド配列の実質的に全 てを含有する、プラスチドが提供される。

一般に、ステム構造の形成に必要なdsRNAの領域を除去する転写後修飾を受けてい ないという点で、dsRNAはプロセシングされていない。一部の実施形態では、dsR NAは、5’もしくは3’非翻訳領域またはポリAテールを除去するために改変されてい る。一部の実施形態では、dsRNAは、RNAヘアピンの場合のように、ループ構造を 形成することが観察されているものなどの非相補性領域を除去するために改変されている 。

本発明は、トランスキングダムRNAi適用で用いるための高レベルのdsRNA分子 を提供する点で、特定の有用性を有する。前述のように、トランスキングダムRNAiが 成功するためには、大量のdsRNAが標的生物に提供されなければならないことが今で は認識されている。本発明の1つの特に重要な知見は、プラスチドで生成されるdsRN Aがプラスチドからサイトゾルに通過することができないということである。これは、2 つの点で重要である。第1に、プラスチド中に残ることによって、dsRNAはプラスチ ド中で大量に蓄積することができる。第2には、プラスチドによりサイトゾルとの相互作 用を阻止されることによって、dsRNAは、プラスチドで生成されるdsRNAに最終 的に影響を与えるかまたはさもなければ植物の生長および生産に影響を与える可能性があ るサイトゾルRNAiを誘導することができない。実際、プラスチドは、さもなければR NAiを誘導する状況でのdsRNA生成を可能にする。

したがって、本発明により、dsRNAは維管束植物のプラスチド中で蓄積してプラス チドによって保持されると理解されるので、dsRNAはプラスチドからサイトゾルに浸 出することが阻止され、したがってサイトゾルでRNAiを誘導することが阻止される。

上記の実施形態では、プラスチドは、葉緑体、有色体、白色体または原色素体であって もよい。一般的に、プラスチドは葉緑体である。ミトコンドリアは、本発明による核酸構 築物を同様に含むことができる非プラスチドオルガネラである。

さらなる実施形態では、上記のようにプラスチドまたは葉緑体によって生成される場合 のdsRNAが提供される。

B.核酸構築物 一実施形態では、本発明は、維管束植物の形質転換のための核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − プラスチドでのdsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプ ロモーター; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込みに選択的である1つまたは複 数の組込み部位 を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、核酸構 築物が提供される。

具体的には、構築物は植物のプラスチドに形質転換することができる。構築物は、RN Aへの発現の結果、別の生物体で標的遺伝子発現を阻害するために用いることができるd sRNA分子を形成または生成する、コード領域を含む。発現を開始するかまたは増強す るために、そのような核酸構築物は1つまたは複数の調節配列を含むことができ、これら の調節配列は、dsRNAとして発現させることが可能な核酸配列に作動可能に連結する ことができる。

具体的な実施形態では、本発明の核酸構築物は、dsRNA分子をコードする核酸配列 を含むことができる。多くの実施形態では、転写されたdsRNA分子を安定した形で、 例えば、ヘアピンおよびステム・ループ構造として提供することができる。

dsRNA分子をコードする核酸構築物は、少なくとも1つのプロモーターに対して1 つのヌクレオチド配列がセンス配向であり、他のヌクレオチド配列がアンチセンス配向で あるように配置されるコード配列で少なくとも2つのヌクレオチド配列を含むことができ 、ここで、センスヌクレオチド配列およびアンチセンスヌクレオチド配列は、約五(約5 )から約千(1000)のヌクレオチドのスペーサー配列によって連結または接続される 。スペーサー配列は、センスおよびアンチセンス配列の間でループを形成することができ る。センスヌクレオチド配列またはアンチセンスヌクレオチド配列は、標的遺伝子のヌク レオチド配列またはその断片に実質的に相同的であってもよい。しかし一部の実施形態で は、核酸構築物分子は、スペーサー配列のないdsRNA分子をコードすることができる 。実施形態では、センスコード配列およびアンチセンスコード配列は、異なる長さであっ てもよい。

トランスキングダムRNAiを促進するために有益であると特定された配列は、本発明 の核酸構築物での適当な発現カセットの形成を通して、発現されるdsRNA分子に容易 に組み込むことができる。例えば、そのような配列は、第1のセグメントに相同的でも相 補的でもない第2のセグメントスペーサー領域にこの配列を連結する、標的遺伝子配列に 対応する第1のセグメントをとること;およびその少なくとも一部は第1のセグメントに 実質的に相補的である第3のセグメントにこれを連結することによって、ステム・アンド ・ループ構造のヘアピンとして発現させることができる。そのような構築物は、第1のセ グメントと第3のセグメントとのハイブリダイゼーションによってステム・アンド・ルー プ構造を形成し、ループ構造は第2のセグメントを含んで形成される。例えば、米国特許 出願公開第2002/0048814号明細書および米国特許出願公開第2003/00 18993号明細書;ならびに国際公開第94/01550号パンフレットおよび国際公 開第98/05770号パンフレットを参照する。

好ましい一実施形態では、上記スペーサー配列は、イントロンの配列、特に葉緑体また はプラスチドゲノムの遺伝子のイントロンの配列を有することができる。例を、表1に示 す。

本発明のある特定の実施形態では、葉緑体またはプラスチドによってプロセシングされ る葉緑体またはプラスチドのイントロンは、葉緑体またはプラスチドが、昆虫RNAiと 関連する昆虫DICERおよび関係する酵素のためのより優れた基質であり得るより小さいル ープを有するヘアピンRNAを生成することを可能にすることができるので、特定の利点 を有することができる。

別の好ましい実施形態では、スペーサー配列は、プラスチドの一次RNA転写産物から のイントロンのスプライスアウトのためのコンセンサススプライスシグナルの配列を有す ることができる。この実施形態では、コンセンサススプライスシグナルは、葉緑体イント ロンの配列をそれ自体有しないスペーサー配列に連なってもよい。

本発明の実施形態は、1つまたは複数のdsRNA分子の定常状態レベルの発現を達成 するために、プラスチドへの本発明の構築物の導入(すなわち、形質転換)を含む。核酸 構築物は、例えば、線状または閉環状のプラスミドなどのベクターであってもよい。ベク ター系は、単一のベクターもしくはプラスミド、または宿主のプラスチドゲノムに導入さ れる全DNAを一緒に含有する2つ以上のベクターもしくはプラスミドであってもよい。 さらに、ベクターは発現ベクターであってもよい。本発明のコード領域は、例えば、1つ または複数の宿主で連結されたコード配列または他のDNA配列の発現を促進する働きを するのに適したプロモーターの制御下で、ベクターに好適に挿入することができる。この 目的のために多くのベクターが利用でき、適当なベクターの選択は、ベクターに挿入され る核酸のサイズおよびベクターで形質転換される特定のプラスチドに主に依存する。各ベ クターは、その機能(例えば、DNAの増幅またはDNAの発現)およびそれが適合する 特定の宿主細胞または細胞下オルガネラによって様々な構成要素を含有する。

ベクターは、例えば形質転換細胞を生成するために細胞に導入される核酸分子である。 ベクターは、複製開始点などの、宿主細胞でのその複製を可能にする核酸配列を含むこと ができる。ベクターの例には、限定されずに、細胞に外因性DNAを運ぶプラスミド、コ スミド、バクテリオファージまたはウイルスが含まれる。ベクターは、当技術分野で公知 である1つまたは複数の遺伝子、アンチセンス配列、および/または選択可能なマーカー 遺伝子および他の遺伝子エレメントを含むこともできる。ベクターは、細胞を転換、形質 転換または感染させ、それによって、ベクターによってコードされる核酸分子および/ま たはタンパク質を細胞に発現させることができる。ベクターは、細胞への核酸分子の侵入 を達成することを助ける材料を任意選択で含む(例えば、リポソーム、タンパク質コーテ ィングなど)。

ベクターは、宿主細胞のプラスチドでのその複製を可能にする核酸配列を含むことがで きる。好ましくは、これらの配列は、ベクターが宿主細胞のプラスチドで複製することを 可能にするが、宿主細胞のサイトゾルでもまたは核でもそうしない。

一実施形態では、核酸構築物は、それが含む導入遺伝子の宿主細胞のプラスチドゲノム への組込みを可能にする核酸配列を含む。好ましくは、導入遺伝子が核ゲノムよりもプラ スチドゲノムに選択的に、または少なくとも優先的に組み込まれるように、核酸構築物は 調整される。したがって一実施形態では、核酸構築物は、宿主細胞の核のゲノムにではな く、宿主細胞のプラスチドのゲノムへの組込みを可能にする配列を含有する。組込み領域 の例は、trnV−3’−rps12、trnI−trnAおよびtrnfM−trnG である。特異的組込み部位の例は、trnH/pbA、trnG/trnfM、ycf3 /trnS、rbcL/accD、petA/psbJ、5’rps12/clpP、p etD/rpoA、ndhB/rps7、3’rps12/trnV、trnV/rrn 16、rrn16/trnI、trnI/trnA、trnN/trnRおよびrpl3 2/trnLである。

プラスチドでdsRNA分子の発現(すなわち、転写)を可能にするために、核酸構築 物は、1つまたは複数の調節配列、例えば核酸構築物が発現されるプラスチドで機能する 異種プロモーター配列に作動可能に連結されるdsRNA分子をコードする領域を含むこ とができる。

第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的関係にあるとき、第1のヌクレオチド配列は 第2の核酸配列と作動可能に連結している。組換えで生成される場合は、作動可能に連結 する核酸配列は一般に連続しており、2つのタンパク質コード領域を連結することが必要 な場合には、同じ読み枠(例えば、多シストロン性ORF)中にある。しかし、核酸は、 作動可能に連結するために連続している必要はない。

調節配列およびコード配列に関して用いられるとき、用語「作動可能に連結した」は、 調節配列が連結されるコード配列の発現に影響することを意味する。「調節配列」または 「制御エレメント」は、転写のタイミングおよびレベル/量、RNAのプロセシングもし くは安定性、または関連するコード配列の翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。調節 配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、エンハンサー、ステム−ループ 構造、リプレッサー結合配列、終結配列、ポリアデニル化認識配列などを含むことができ る。特定の調節配列は、それに作動可能に連結しているコード配列の上流および/または 下流に位置することができる。また、コード配列に作動可能に連結している特定の調節配 列は、二本鎖核酸分子の関連する相補鎖に位置することができる。

本明細書で用いるように、用語「プロモーター」は、転写の開始の上流にあってもよく 、転写を開始するためにRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関 与することができるDNA領域を指す。プロモーターは細胞での発現のためにコード配列 に作動可能に連結することができ、またはプロモーターは、細胞での発現のためにコード 配列に作動可能に連結することができるシグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作 動可能に連結することができる。「植物プロモーター」は、植物細胞で転写を開始するこ とが可能なプロモーターであってもよい。発達制御下のプロモーターの例には、ある特定 の組織、例えば、葉、根、種子、繊維、道管、仮導管または厚壁組織で転写を優先的に開 始するプロモーターが含まれる。そのようなプロモーターは、「組織選好」と呼ばれる。 ある特定の組織だけで転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と呼ばれる。

「細胞型特異的」プロモーターは、主に1つまたは複数の器官のある特定の細胞型、例 えば、根または葉の維管束細胞で発現を促進する。ある特定の細胞下オルガネラ(例えば 、ミトコンドリアまたは葉緑体または他のプラスチドなど)だけで転写を開始するプロモ ーターは、場合により「プラスチド特異的」、「葉緑体特異的」または「ミトコンドリア 特異的」プロモーターと呼ばれる。一部のプロモーターは、1を超える細胞下位置で転写 を開始することができることが理解されよう。

特に好ましい一実施形態では、核酸構築物は、プラスチドで作動可能であるプロモータ ーまたは調節エレメントを含有し、宿主細胞の核またはサイトゾルまたは他のオルガネラ で作動可能であるプロモーターまたは調節エレメントを含有しない。

「誘導可能な」プロモーターは、環境制御下であってもよいプロモーターであってもよ い。誘導可能なプロモーターによって転写を開始することができる環境条件の例には、嫌 気条件および光の存在が含まれる。組織特異的、組織選好、細胞型特異的および誘導可能 なプロモーターは、「非構成的」プロモーターのクラスを構成する。「構成的」プロモー ターは、ほとんどの環境条件の下で、またはほとんどの細胞もしくは組織型で作動可能で あるプロモーターである。

本発明の一部の実施形態では、任意の誘導可能なプロモーターを用いることができる。 Ward et al. (1993) Plant Mol. Biol. 22:361-366を参照する。誘導可能なプロモーター では、転写の速度は誘導剤に応じて増加する。例示的な誘導可能なプロモーターには、限 定されずに、銅に応答するACEI系からのプロモーター;ベンゼンスルホンアミド除草 剤薬害軽減剤に応答するトウモロコシからのIn2遺伝子;TnlOからのTetリプレ ッサー;および、その転写活性は糖質コルチコステロイドホルモンによって誘導すること ができるステロイドホルモン遺伝子からの誘導可能なプロモーター(Schena et al. (199 1) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:0421)が含まれる。

例示的な構成的プロモーターには、限定されずに、植物ウイルスからのプロモーター、 例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)からの35Sプロモーター;イネアク チン遺伝子からのプロモーター;ユビキチンプロモーター;pEMU;MAS;トウモロ コシH3ヒストンプロモーター;および、ALSプロモーター、アブラナ(Brassica nap us)ALS3構造遺伝子の5’側のXbal/Ncol断片(または前記XbalNco l断片類似のヌクレオチド配列)(国際公開第96/30530号パンフレット)が含ま れる。

さらに、本発明の一部の実施形態では、任意の組織特異的または組織選好プロモーター を利用することができる。組織特異的プロモーターに作動可能に連結されるコード配列を 含む核酸分子で形質転換した植物は、特異的組織でコード配列の生成物を排他的または優 先的に生成することができる。例示的な組織特異的または組織選好プロモーターには、限 定されずに、根選好プロモーター、例えばファゼオリン遺伝子からのもの;葉特異的およ び光誘発プロモーター、例えばキャブ(cab)またはルビスコからのもの;葯特異的プロ モーター、例えばLAT52からのもの;花粉特異的プロモーター、例えばZmJ3から のもの;および花粒粉選好プロモーター、例えばapgからのものが含まれる。

本発明の構築物での使用に適するプロモーターには、誘導可能、ウイルス性、合成的ま たは構成的であるものが含まれ、その全ては当技術分野で周知である。そのようなプロモ ーターを記載する非限定例には、米国特許第6,437,217号明細書(トウモロコシ RS81プロモーター);同第5,641,876号明細書(イネアクチンプロモーター );同第6,426,446号明細書(トウモロコシRS324プロモーター);同第6 ,429,362号明細書(トウモロコシPR−1プロモーター);同第6,232,5 26号明細書(トウモロコシA3プロモーター);同第6,177,611号明細書(構 成的トウモロコシプロモーター);同第5,322,938号明細書、同第5,352, 605号明細書、同第5,359,142号明細書および同第5,530,196号明細 書(35Sプロモーター);同第6,433,252号明細書(トウモロコシL3オレオ シンプロモーター);同第6,429,357号(イネアクチン2プロモーターおよびイ ネアクチン2イントロン);同第6,294,714号明細書(光誘導可能プロモーター );同第6,140,078号明細書(塩誘導可能プロモーター);同第6,252,1 38号明細書(病原体誘導可能プロモーター);同第6,175,060号明細書(リン 欠乏誘導可能プロモーター);同第6,388,170号明細書(両方向プロモーター) ;同第6,635,806号明細書(ガンマ−コイキシン(coixin)プロモーター);な らびに、米国特許出願シリアル番号09/757,089(トウモロコシ葉緑体アルドラ ーゼプロモーター)が含まれる。追加のプロモーターには、ノパリン合成酵素(NOS) プロモーター(Ebert et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(16):5745-9)、お よびオクトピン合成酵素(OCS)プロモーター(両方ともアグロバクテリウム・ツメフ ァシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のTiプラスミドで運ばれる);カリフラワ ーモザイクウイルス(CaMV)19Sプロモーターなどのカリモウイルスプロモーター (Lawton et al. (1987) Plant Mol. Biol. 9:315-24);CaMV 35Sプロモーター (Odell et al.(1985) Nature 313: 810-2);ゴマノハグサモザイクウイルス35Sプロ モーター(Walker et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84(19):6624-8);スク ロース合成酵素プロモーター(Yang and Russell (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 7:4144-8);R遺伝子複合体プロモーター(Chandler et al. (1989) Plant Cell 1:1175 -83);クロロフィルa/b結合タンパク質遺伝子プロモーター;CaMV35S(米国 特許第5,322,938号明細書、同第5,352,605号明細書、同第5,359 ,142号明細書および同第5,530,196号明細書);FMV35S(米国特許第 6,051,753号明細書および同第5,378,619号明細書);PC1SVプロ モーター(米国特許第5,850,019号明細書);SCP1プロモーター(米国特許 第6,677,503号明細書);ならびに、AGRtu.nosプロモーター(Gen Bank受託番号V00087;Depicker et al. (1982) J. Mol. Appl. Genet. 1:561- 73;Bevan et al. (1983) Nature 304:184-7)が含まれる。

特定の実施形態では、本発明の核酸構築物は、根特異的プロモーターなどの組織特異的 プロモーターを含む。根特異的プロモーターは、根組織で作動可能に連結した配列の発現 を排他的または優先的に促進する。根特異的プロモーターの例は、当技術分野で公知であ る。例えば、米国特許第5,110,732号明細書、同第5,459,252号明細書 および同第5,837,848号明細書、ならびにOpperman et al. (1994) Science 263 :221-3およびHirel et al. (1992) Plant Mol. Biol. 20:207-18を参照する。一部の実施 形態では、dsRNA分子をコードする領域は、トランスジェニック植物細胞で作動可能 であって、その中で発現してトランスジェニック植物細胞および/またはプラスチドでd sRNA分子を生成する、2つの根特異的プロモーターの間にクローニングすることがで きる。

目的の核酸分子に任意選択で作動可能に連結することができる追加の調節配列は、プロ モーター配列と翻訳リーダー配列として作用するコード配列の間に位置する5’UTRを 含む。翻訳リーダー配列は完全にプロセシングされたmRNAに存在し、それは一次転写 産物のプロセシングおよび/またはRNA安定性に影響することができる。翻訳リーダー 配列の例には、トウモロコシおよびツクバネアサガオの熱ショックタンパク質リーダー( 米国特許第5,362,865号明細書)、植物ウイルスのコートタンパク質リーダー、 植物のルビスコリーダーおよび他が含まれる。例えば、Turner and Foster (1995) Molec ular Biotech. 3(3):225-36を参照する。5’UTRの非限定例には、GmHsp(米国 特許第5,659,122号明細書);PhDnaK(米国特許第5,362,865号 明細書);AtAntl;TEV(Carrington and Freed (1990) J. Virol. 64:1590-7 );およびAGRtunos(GenBank受託番号V00087;およびBevan et a l. (1983) Nature 304:184-7)が含まれる。

一部の実施形態では、プロモーター領域は、葉緑体遺伝子、例えばホウレンソウまたは エンドウからのpsbA遺伝子、トウモロコシからのrbcLおよびatpBプロモータ ー領域、ならびにrRNAプロモーター(プラスチドrrnオペロンから)に由来する。 プロモーターの例は、Verma & Daniell (2007) Plant Physiol. 145: 1129-43; Rasala e t al. (2011) Plant Biotech. J. 9: 674-83, Hanley-Bowdoin and Chua, TIBS (1987) 1 2:67-70;Mullet et al., Plant Molec. Biol. (1985) 4:39-54;Hanley-Bowdoin (1986) PhD. Dissertation, The Rockefeller University;Krebbers et al., Nucleic Acids R es. (1982) 10:4985-5002;Zurawski et al., Nucleic Acids Res. (1981) 9:3251-3270 およびZurawski et al., Proc. Nat'l Acad Sci. U.S.A. (1982) 79:7699-7703に記載さ れている。他のプロモーターを特定することができ、そのように特定されるプロモーター の相対強度は、目的のプロモーターをプロモーターのないマーカー遺伝子の5’に置き、 例えば、現在まで特定された最強の葉緑体プロモーターであるpsbA遺伝子からのプロ モーターから得られる転写と比較してその有効性を観察することによって評価することが できる。コード領域発現の効率は、様々な技術によってさらに増強することができる。こ れらには、目的のDNA配列の5’に直列に挿入された複数のプロモーター、例えば二重 psbAプロモーターの使用、エンハンサー配列の追加などが含まれる。一実施形態では 、プロモーター領域は、下の表2に示す葉緑体遺伝子に由来する。

ほとんどの場合、葉緑体で機能的であるプロモーターは、誘導可能であるよりも構成的 である。しかし、目的のdsRNA分子の誘導可能な発現を提供することが望ましい場合 は、転写および/または翻訳のレベルでの調節(3’末端で)を提供する配列を含有する 調節可能なプロモーターおよび/または5’非翻訳領域(5’UTR)を提供することが できる。転写およびRNA安定性は、葉緑体遺伝子発現の重要な決定因子であるようであ る。例えば、光によって発現が調節可能である遺伝子からの、5’非翻訳領域を用いるこ とができる。同様に、外来遺伝子のRNAを安定させるために、3’逆方向反復領域を用 いることもできる。調節可能な遺伝子は、目的の特定の刺激に応答して増強された発現お よび刺激不在下での低い発現または無発現によって特定することができる。例えば、光調 節可能な遺伝子は、増強された発現が光照射の間に起こり、光が無視できるときに発現が 実質的に低減されるかまたはない場合に、特定することができる。本発明により用いるこ とができる5’UTRには、GGAGG、psbA、rbcL、atpB、Cry2Aお よびT7gene10が含まれる。

目的の核酸分子に任意選択で作動可能に連結することができる追加の調節配列には、3 ’非翻訳領域、(3’UTR)3’転写終結領域またはポリアデニル化領域も含まれる。 これらはヌクレオチド配列の下流に位置する遺伝子エレメントであり、ポリアデニル化シ グナルおよび/または転写もしくはmRNAプロセシングに影響することが可能な他の調 節シグナルを提供するポリヌクレオチドを含む。ポリアデニル化シグナルは、植物におい てmRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル化ヌクレオチドの付加をもたらす働きをす る。ポリアデニル化配列は、様々な植物遺伝子から、またはT−DNA遺伝子から誘導す ることができる。3’転写終結領域の非限定例は、ノパリン合成酵素3’領域である(n os3’;Fraley et al. (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7)。異なる3 ’非翻訳領域の使用例は、Ingelbrecht et al, (1989) Plant Cell 1:671-80で提供され る。ポリアデニル化シグナルの非限定例には、エンドウ(Pisum sativum)のRbcS2 遺伝子(Ps.RbcS2−E9;Coruzzi et al. (1984) EMBO J. 3:1671-9)およびA GRtu.nos(GenBank受託番号E01312)からのものが含まれる。本発 明により用いることができる3’UTRには、rps16、rbcL、psbAおよびp etDが含まれる。

一部の実施形態では、形質転換ベクターは、1を超える標的配列に特異的に相補的な配 列を含有することができ、したがって、標的生物の1つまたは複数の集団または種の細胞 で2つ以上の遺伝子の発現を阻害するための、1を超えるdsRNAの生成を可能にする 。トランスジェニック植物での発現のために、異なる遺伝子に存在するヌクレオチド配列 に特異的に相補的なヌクレオチド配列のセグメントを、単一の複合核酸分子に合併するこ とができる。そのようなセグメントは連続していても、またはスペーサー配列によって分 離されてもよい。

本発明の核酸構築物またはベクターは、形質転換細胞に選択可能な表現型を付与する選 択マーカーを含むことができる。マーカーは、殺生物剤耐性、抗生物質耐性(例えば、カ ナマイシン、ジェネティシン(G418)、ブレオマイシン、ハイグロマイシンなど)、 または除草剤耐性(例えば、グリホサートなど)をコードすることができる。

選択マーカーの例には、限定されずに、以下のものが含まれる:カナマイシン耐性をコ ードし、カナマイシン、G418などの使用について選択することができるネオ遺伝子; ビアラホス耐性をコードするバー遺伝子;グリホサート耐性をコードする突然変異EPS P合成酵素遺伝子;ブロモキシニルへの耐性を付与するニトリラーゼ遺伝子;イミダゾリ ノンまたはスルホニル尿素耐性を付与する突然変異アセトラクテート合成酵素遺伝子(A LS);およびメトトレキセート耐性DHFR遺伝子。アンピシリン、ブレオマイシン、 クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、ハイグロマイシン、カナマイシン、リンコマイ シン、メトトレキセート、ホスフィノトリシン、ピューロマイシン、スペクチノマイシン 、リファンピシン、ストレプトマイシンおよびテトラサイクリンなどへの耐性を付与する 、複数の選択マーカーを利用できる。そのような選択マーカーの例は、例えば、米国特許 第5,550,318号明細書、同第5,633,435号明細書、同第5,780,7 08号明細書および同第6,118,047号明細書で例示される。

本発明の組換え核酸構築物またはベクターは、スクリーニング可能なマーカーを含むこ ともできる。スクリーニング可能なマーカーは、発現を監視するために用いることができ る。例示的なスクリーニング可能なマーカーには、様々な発色性基質が公知である酵素を コードするβ−グルクロニダーゼまたはuidA遺伝子(GUS)(Jefferson et al. ( 1987) Plant Mol. Biol. Rep. 5:387-405);植物組織でアントシアニン色素(赤色)の 生成を調節する生成物をコードするγ座遺伝子(Dellaporta et al. (1988) "Molecular cloning of the maize R-nj allele by transposon tagging with Ac." In 18th Stadler Genetics Symposium. P. Gustafson and R. Appels, eds. (New York: Plenum), pp. 26 3-82);βラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffe et al. (1978) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3737-41);様々な発色性基質が公知である酵素をコードする遺伝子(例えば、PA DAC、発色性セファロスポリン);ルシフェラーゼ遺伝子(Ow et al. (1986) Science 234:856-9);発色性カテコールを変換することができるカテコールジオキシゲナーゼを コードするxylE遺伝子(Zukowski et al. (1983) Gene 46(2-3):247-55);アミラー ゼ遺伝子(Ikatu et al. (1990) Bio Technol. 8:241-2);その後メラニンに縮合するド ーパおよびドーパキノンにチロシンを酸化することが可能な酵素をコードするチロシナー ゼ遺伝子(Katz et al. (1983) J. Gen. Microbiol. 129:2703-14);およびa−ガラク トシダーゼが含まれる。

一実施形態では、核酸構築物は、殺虫性ポリペプチドの生成のためのコード領域を含む こともできる。

殺虫性ポリペプチドは、鞘翅類、鱗翅類または半翅類の有害生物に殺虫性であってもよ い。

殺虫性ポリペプチドは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)で 見出されるポリペプチドの配列を有するものであってもよい。

殺虫性B.チューリンゲンシス(B. thuringiensis)ポリペプチドは、以下からなる群 から選択することができる:Cry1(例えば、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1 A.105、Cry1Ca、Cry1Da)、Cry2(例えば、Cry2Ab)、Cr y3(例えば、Cry3Bb;Cry3A)、Cry6、Vip3(例えば、Vip3A b1)、Cry34、Cry35、ならびに限定されずに付加および欠失を含むそれらの 改変形。Btsの広範なリストが、http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickm ore/Bt/intro.html.で維持され、定期的に更新される。73主要群の「Cry」毒素(C ry1〜Cry73)を超えて現在あり、さらなるCyt毒素および植物殺虫性タンパク 質(VIP)毒素などがある。数字で表した各群の多くは大文字のサブグループを有し、 大文字のサブグループは小文字のサブサブグループを有する。(例えば、Cry1はA〜 Lを有し、Cry1Aはa〜iを有する)。

殺虫性ポリペプチドは、PIP−1ポリペプチドであってもよい。

一実施形態では、B.チューリンゲンシス(B. thuringiensis)殺虫性ポリペプチドは 、CPB(コロラドハムシ)、コーンルートワームまたは他の有害昆虫の必須遺伝子に殺 虫性であるdsRNAを含有する構築物と一緒に用いることができる。そのような標的遺 伝子には、例えば、CPBのATPアーゼコード遺伝子が含まれる。他のそのような標的 遺伝子には、例えば、コーンルートワームの空胞ATPアーゼ、ARF−1、Act42 A、CHD3、EF−1α、ROP、RNAPIIおよびTFIIBが含まれる。適する 標的遺伝子の例は、国際公開第2007035650号パンフレットに開示される空胞A TPアーゼである。

一部の実施形態では、上記の組換え核酸構築物は、定常状態レベルのdsRNA分子の 生成を可能にするために、トランスジェニック植物の形成、および植物プラスチドでの異 種核酸の特異的発現のための方法で用いることができる。植物形質転換ベクターは、例え ば、dsRNA分子をコードする核酸構築物を植物形質転換ベクターに、特にプラスチド 形質転換ベクターに挿入し、これらをプラスチド(例えば、葉緑体)に導入することによ って調製することができる。

葉緑体に発現カセットを含有するプラスミドの複製を得ることを望む場合、発現構築物 で任意の葉緑体複製開始点を用いることができる。

一実施形態では、核酸構築物は、そこから生成されるdsRNAの宿主細胞核での、ま たはdsRNAからsiRNAを生成できる他の宿主細胞コンパートメントでの発現を阻 止するように調整される。これは、植物由来のsiRNAまたは関連するArgonau teタンパク質が混入していない殺虫性dsRNAを含有する植物材料の生成を可能にし 、したがって増強した殺虫効力を有する。この実施形態により、維管束植物の形質転換の ための核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − 好ましくは表2に示すプロモーターまたは調節エレメントから選択される、プラス チドでのdsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター; − 好ましくは以下の組込み部位、trnH/pbA、trnG/trnfM、ycf 3/trnS、rbcL/accD、petA/psbJ、5’rps12/clpP、 petD/rpoA、ndhB/rps7、3’rps12/trnV、trnV/rr n16、rrn16/trnI、trnI/trnA、trnN/trnRおよびrpl 32/trnLの群から選択される、維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込み に選択的である1つまたは複数の組込み部位 を含む核酸構築物が提供される。

この実施形態により、葉緑体だけで活性化されるプロモーターの使用、および葉緑体ゲ ノムだけへの組込みを可能にする組込み部位の使用は、葉緑体の外側で関連する導入遺伝 子のdsRNAを発現する植物の形成を阻止し、関連する導入遺伝子のsiRNAを発現 する植物の形成を阻止する。1つの利点は、プラスチドおよび核の両方の形質転換体であ る細胞集団が、構築物の使用によって形成されないので、その細胞についてさらに選択す る必要なしに、葉緑体形質転換の存在に基づいて形質転換体について選択することができ ることである。

特に好ましい実施形態では、維管束植物の形質転換のための核酸構築物であって、 − スペーサー領域によって間隔が置かれた第1および第2の領域を有するRNA分子 をコードするコード領域であって、第1の領域は第2の領域と部分的または完全な配列相 補性を有し、スペーサーは表1に示すイントロンの配列と同一または相同的である、コー ド領域; − 好ましくは表2に示すプロモーターまたは調節エレメントから選択される、プラス チドでのRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター; − 好ましくは以下の組込み部位、trnH/pbA、trnG/trnfM、ycf 3/trnS、rbcL/accD、petA/psbJ、5’rps12/clpP、 petD/rpoA、ndhB/rps7、3’rps12/trnV、trnV/rr n16、rrn16/trnI、trnI/trnA、trnN/trnRおよびrpl 32/trnLの群から選択される、維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込み に選択的である1つまたは複数の組込み部位 を含む核酸構築物が提供される。

C.プラスチド形質転換 本発明の核酸構築物は、いくつかの方法のいずれかによって目的の植物細胞に形質転換 することができる。これらの方法には、例えば、微粒子銃装置(例えば、Sanford, Trend s In Biotech. (1988) 6:299-302;米国特許第4,945,050号明細書を参照);エ レクトロポレーション(Fromm et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. (USA) (1985) 82:5824 -5828);葉緑体へのDNAの導入が可能なレーザービーム、エレクトロポレーション、 マイクロインジェクションまたは任意の他の方法の使用が含まれる。これらの技術の使用 は、単子葉および双子葉の両方の様々な植物細胞で本明細書に記載される本発明の適用を 許す。

本明細書で用いるように、用語「形質転換」または「形質導入」は、細胞への1つまた は複数の核酸分子の移動を指す。細胞ゲノムへの核酸分子の組込みまたはエピソーム複製 によって核酸分子が細胞によって安定して複製されるようになるとき、細胞は、細胞に形 質導入される核酸分子によって「形質転換される」。本明細書で用いるように、用語「形 質転換」は、核酸分子をそのような細胞に導入することができる全ての技術を包含する。 例には、限定されずに、以下のものが含まれる:ウイルスベクターによるトランスフェク ション;プラスミドベクターによる形質転換;エレクトロポレーション(Fromm et al. ( 1986) Nature 319:791-3);リポフェクション(Feigner et al. (1987) Proc. Natl. Ac ad. Sci. USA 84:7413-7);マイクロインジェクション(Mueller et al. (1978) Cell 1 5:579-85);アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介移入(Fraley et al. (1983) Pr oc. Natl. Acad. Sci. USA 80:4803-7);直接DNA取込み;および微粒子銃(Klein et al. (1987) Nature 327:70)。

銃撃形質転換技術で用いるために、核酸構築物は、約0.7μmの平均粒径を有するタ ングステン粒子から一般的になる銃撃粒子に吸着させる。金、白金などの、タングステン に類似の密度を有する他の金属からなる粒子も、利用できる。一般的に、1μgのタング ステンにつき、約2〜5μgのDNA、通常1μgのタングステンにつき約2μgのDN Aを吸着させる。粒子へのDNAの吸着の後、例えば超音波処理によって、粒子のいかな る凝集塊も分散させる。金属銃撃粒子の外面にDNAを固定するいかなる方法も許容され 、当業者に公知である。(例えば、上記のSanford et al. (1988)および上記のKlein et al.を参照する)。送達のためにDNAは粒子に固着されなければならないが、細胞への DNAの放出を妨害するような形で固定されてはならない。

形質転換のために、製造業者の指示に従って、発現カセットを吸着させた約100〜5 00μg、一般におよそ200μgの銃撃粒子を、パーティクルガン(Biolisti cs,Inc.およびDuPontから入手できるものなど)に充填する。ペトリプレー ト(直径5cm)につき一般に100〜300μgの新鮮重量の単離細胞を、例えば細胞 を固体表面に接着させるために増殖培地を含むWhatman#1濾紙を含有するペトリ 皿または組織培養皿などの増殖表面に置く。細胞は単細胞層である必要がなく、2、3層 の厚さであってもよい。固定化細胞をパーティクルガンの銃撃チャンバーに置き、一般に 約0.07から0.3気圧、好ましくは0.07気圧の可能な限り高い真空下に置く。次 に、銃撃の前に、試料チャンバー内の気圧を約0.07気圧に低減する。好ましくは、細 胞は、パーティクルガンの筒の末端から約10cmで銃撃される(DuPont遺伝子銃 の第4レベル)。パーティクルガンの発砲機構が作動し、形質転換細胞の数を増加させる ために、細胞は1〜3回、一般に2回銃撃される。真空を次に解放し、銃撃された細胞を 、好ましくは増殖チャンバー内の光の中の、約26℃の新鮮な増殖培地に置く。他の微粒 子銃装置は、「空飛ぶ円盤」、例えばプラスチック膜から作製されたもの、または、例え ばナイロンメッシュ(94μm)(「ヘリウムエントレインメント」方法)で作製された ディスクの使用を含む。

トランスジェニックプラスチド(例えば、葉緑体)を含有する植物は、形質転換プロセ スで用いられる宿主細胞が全能性を有する場合に生成することができる。形質転換細胞ま たは組織からのトランスジェニック植物の再生の手順は、当業者の能力の範囲内にある適 切な改変形に一般に類似している。サトウダイコン、Freytag et al. Plant Cell Rep. ( 1988) 7:30-34;タバコ、Svab et al. Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. (1990) 8526-853 0などの双子葉植物またはコムギなどの単子葉植物の、葯または胚からの再生(下を参照 する)は、通常良好だった。

他の植物材料、例えば葯培養由来の植物または胚由来のカルスでプラスチドを形質転換 することが所望の場合は、植物材料を都合のよい容器、例えば単離細胞について上に記載 したようなペトリ皿に置く。(米国特許第6,680,426号明細書;Hanson et al ( 2012) Journal of Experimental Botany, 64: 753-768およびGolds et al., (1993) Natu re Biotechnology 11, 95-97も参照する)。

プラスチドが形質転換されたことがわかったならば、植物の細胞を組織培養のために、 続いて所望の場合カルス組織の増殖または植物再生のために繰り返し用いることができる 。したがって、細胞および組織の培養を用いて、改変された植物細胞を繰り返し再生する ことができる。一部の場合には、種子から適切な繁殖を維持することができる。形質転換 細胞を特定する能力を向上させるために、前に示したように、選択可能またはスクリーニ ング可能なマーカー遺伝子を採用することを望むことができ、形質転換体を生成するため に形質転換ベクターが用いられる。選択マーカーが用いられる場合には、選択剤(複数可 )に細胞を曝露させることによって、潜在的形質転換細胞集団の中で形質転換細胞が特定 される。スクリーニング可能なマーカーが用いられる場合には、細胞を所望のマーカー遺 伝子形質についてスクリーニングすることができる。

選択剤への曝露後に生存する細胞、またはスクリーニングアッセイで陽性と評価された 細胞は、植物の再生を支える培地で培養することができる。一部の実施形態では、任意の 適する植物組織培養培地(例えば、MSおよびN6培地)は、成長調節剤などのさらなる 物質を含ませることによって改変することができる。植物再生のための努力を開始するの に十分な組織が利用できるまで、または反復手動選択の後に、組織の形態が再生のために 適するまで(例えば、少なくとも2週間)、組織を成長調節剤含有基本培地で維持し、そ の後シュート形成を助長する培地に移すことができる。十分なシュート形成が起こるまで 、培養は周期的に移される。シュートが形成されると、それらは根形成を助長する培地に 移される。十分な根が形成されると、さらなる増殖および成熟のために植物を土に移すこ とができる。

再生植物でdsRNA分子の存在を確認するために、様々なアッセイを実施することが できる。そのようなアッセイには、例えば以下のものが含まれる:分子生物検定、例えば サザンおよびノーザンブロッティング、PCRおよび核酸配列決定;植物器官アッセイ、 例えば葉または根のアッセイ。

形質転換手法によっては、プラスチド形質転換に関連づけられたマーカーの選択がプラ スチドおよび核の両方の形質転換体である細胞の選択ももたらすことができ、結果として 葉緑体の外側でこれらの細胞によって生成される植物の殺虫効力に影響を与えるかもしれ ないdsRNAを発現すること、および/またはsiRNAを形成することができる細胞 を潜在的にもたらすように、形質転換体は、プラスチドおよび核の両方の形質転換体であ る細胞を含むことができる。この問題点は、プラスチドゲノムでの組込みを可能にするが 核ゲノムでは可能にしない相同組換え領域(本明細書で組込み部位とも記載される)を含 有する、上記の本発明の好ましい構築物の利用、および葉緑体だけで作動するプロモータ ーの使用によって対処することができる。これは、プラスチドでdsRNAを生成し、プ ラスチドの外側でdsRNAもsiRNAも生成しない細胞または植物を選択する選択方 法を可能にする。

組込み事象は、例えば、目的の核酸分子またはdsRNAに特異的なオリゴヌクレオチ ドプライマーを例えば用いるPCR増幅によって分析することができる。PCR遺伝子タ イピングは、限定されずに、ゲノムに組み込まれた目的の核酸分子を含有すると予測され る単離された宿主植物カルス組織に由来するゲノムDNAのポリメラーゼ連鎖反応(PC R)増幅と、続くPCR増幅生成物の標準のクローニングおよび配列分析を含むと理解さ れる。PCR遺伝子タイピングの方法はよく記載されており(例えば、Rios, Q. et al. (2002) Plant J. 32:243-53)、細胞培養を含む任意の植物種(例えば、トウモロコシ(Z . mays)またはダイズ(G. max))または組織型に由来するゲノムDNAに適用すること ができる。

特定の実施形態では、植物細胞で少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または1 0またはそれ以上の異なるdsRNA分子が生成される。dsRNA分子は、異なる形質 転換事象で導入される複数の核酸構築物から、または単一の形質転換事象で導入される単 一の核酸構築物から発現させることができる。一部の実施形態では、単一のプロモーター の制御下で複数のdsRNA分子が発現される。他の実施形態では、複数のプロモーター の制御下で複数のdsRNA分子が発現される。標的遺伝子配列を有する1つまたは複数 の生物体の中の異なる遺伝子座に各々相同的である複数の核酸配列を含む、単一のdsR NA分子を発現させることができる。

核酸構築物による植物の直接的な形質転換に加えて、少なくとも1つのトランスジェニ ック事象を有する第1の植物をそのような事象を欠く第2の植物と交配することによって 、トランスジェニック植物を調製することができる。例えば、dsRNA分子をコードす るヌクレオチド配列を含む核酸構築物を形質転換に適合する第1の植物系に導入してトラ ンスジェニック植物を生成することができ、このトランスジェニック植物を第2の植物系 と交配して、dsRNA分子をコードするヌクレオチド配列を第2の植物系の遺伝的背景 に遺伝子移入することができる。

いくつかの維管束植物のいずれも、上記の方法によって形質転換することができる。

本発明のプラスチドおよび核酸構築物によって生成されるdsRNAとして、有害生物 の同じか異なる生物学的作用経路を標的にする殺虫性構築物でプラスチドを形質転換する こともできる。これらの構築物の例には、上で指摘した殺虫性タンパク質、特にB.チュ ーリンゲンシス(B. thuringiensis)殺虫性タンパク質、好ましくはCryタンパク質を コードするものが含まれる。これらの構築物の関連するコード領域は、本発明の核酸構築 物(すなわち、dsRNAを生成するもの)で提供することができるか、またはそれらは 別々の構築物中にあってもよい。後者に関して、例えば一実施形態では、プラスチドは、 第1の核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − プラスチドでのdsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプ ロモーター; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込みに選択的である1つまたは複 数の組込み部位 を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、第1の 核酸構築物;および さらなる核酸構築物であって、 殺虫性薬剤、好ましくは殺虫性タンパク質をコードするコード領域を含む核酸構築物 を含むことができる。

一実施形態では、プラスチドは2つを超える異なる核酸構築物を有し、それの1つは本 明細書に開示される殺虫性dsRNAをコードまたは生成するための核酸構築物である。 他の実施形態では、プラスチドは3つを超える、4、5、6、7、8、9、10またはそ れ以上の異なる構築物を有し、それの少なくとも1つは本明細書に開示される殺虫性ds RNAをコードまたは生成するための核酸である。

D.植物 維管束植物は管束植物としても、さらに高等植物としても知られる。維管束植物は、植 物全体におよび無機物を導くための木化組織(木部)を有する陸生植物である。それら は、光合成生成物を導くための、専門化した非木化組織(師部)も有する。したがって、 本発明の植物は、ヒカゲノカズラ、トクサ、シダ類、裸子植物(針葉樹を含む)および被 子植物(顕花植物)からなる群、ならびに維管束植物門(Tracheophyta)およびトラケオ ビオンタ(Tracheobionta)の群からの植物から選択される植物であってもよい。

好ましい実施形態では、植物は、以下からなる群から選択される双子葉植物である:キ ャノーラ、ワタ、ジャガイモ、キノア、アマランス、ソバ、ベニバナ、ダイズ、サトウダ イコン、ヒマワリ、セイヨウアブラナ、タバコ、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブ ラナ属の種(例えば、ナタネ(B. napus)、カブ(B. rapa)、カラシナ(B. juncea)、 B.カリナータ(B. carinata)、クロガラシ(B. nigra)、キャベツ(B. oleracea)、 シロガラシ(B. alba)など)、ワタ、アルファルファおよびクローバー。

好ましい実施形態では、植物は、以下からなる群から選択される単子葉植物である:ト ウモロコシ、イネ、ライムギ、ソルガム、アワ類、コムギ、サトウキビ、カラスムギ、オ オムギ、パイナップル、バナナ、ヤシ、観賞植物およびイネ科草本(例えば、ブラキアリ ア(Brachiaria)、ライグラス(Lolium)およびウシノケグサ)。

したがって、さらなる実施形態では、本発明は、 − 核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター; を含み、dsRNAは、そこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、核酸 構築物 を含むプラスチドを含有する植物を提供する。

またさらなる実施形態では、本発明は、維管束植物の形質転換のための核酸構築物を含 有する植物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − プラスチドでのdsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプ ロモーター; − 維管束植物のプラスチドゲノムへの構築物の組込みに選択的である1つまたは複 数の組込み部位; を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、植物を 提供する。

好ましい実施形態では、植物は、核酸構築物によってコードされるdsRNAとハイブ リダイズするためのsiRNAを含有することができない。別の好ましい実施形態では、 植物は、核酸構築物によってコードされるdsRNAをプラスチド以外のコンパートメン トで含有することができない。これらの実施形態では、植物は植物のプラスチドにdsR NAを含有することができるが、別のオルガネラ、サイトゾル、核または植物の他の部分 の核酸構築物によって生成されるdsRNAに由来するかさもなければそれと配列相同性 または相補性を有するsiRNAを含有しない。

本発明の植物は、核酸構築物によって生成されるdsRNAに由来するかさもなければ それと配列相同性または相補性を有するsiRNAを一般に含有せず、葉緑体中の核酸構 築物によって生成されるdsRNAと配列相同性または相補性を有するdsRNAも葉緑 体の外側に含有しないが、一実施形態では、本発明の植物は、葉緑体中の核酸構築物によ って生成されるdsRNAと配列相同性も相補性も有しないdsRNAまたはsiRNA を有することができることが理解されよう。この実施形態では、本発明による植物は、植 物の核でのdsRNAまたはsiRNAの生成または発現を可能にする核形質転換事象を さらに含むことができるが、dsRNAまたはsiRNAが葉緑体中で生成されるdsR NAのそれと配列相同性も相補性も有しない場合に限る。1つの例では、遺伝子サイレン シングを提供するように植物をさらに操作し、それによって望ましい農業形質または殺虫 特性を形成することができる。後者は、植物による殺虫性化合物の生成をもたらすsiR NAの形成から生じることができる。

一実施形態では、植物は、RNAもしくはタンパク質などの殺虫性薬剤をコードする核 酸構築物または殺虫性薬剤それ自体を含有する、葉緑体またはプラスチド以外の細胞性オ ルガネラを含むことができる。一実施形態では、核または細胞質は、RNAもしくはタン パク質などの殺虫性薬剤をコードする少なくとも1つの核酸構築物または殺虫性薬剤それ 自体、好ましくは3つを超える、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なる 構築物または構築物によってコードされる遺伝子生成物を含有する。

本発明の植物は、本発明の実施形態の核酸構築物に関して、各細胞の葉緑体の総数の一 部だけが形質転換されているヘテロプラスミーであってもよいか、各細胞の葉緑体のほと んどまたは全てが形質転換されているホモプラスミーであってもよい。好ましくは、植物 はホモプラスミーである。より好ましくは、植物はT1後の世代で、ホモプラスミーであ る。

本発明の植物は、RNAi経路の機能のために必要とされる遺伝子生成物をコードする 遺伝子に、突然変異を含むことができる。そのような遺伝子生成物の1つの例は、DIC ER様4である。他には、DRB4およびそのオルソログが含まれる。これらの植物は、 突然変異(例えば、ノックアウトまたは相同組換えからもたらされる突然変異)を含有す る植物細胞または栄養組織を提供して、本明細書に記載される本発明の実施形態の核酸構 築物でそれらの細胞を形質転換することによって生成することができる。あるいは、本明 細書に記載される本発明の実施形態の核酸構築物で形質転換された植物は、RNAi経路 の機能のために必要とされる遺伝子生成物をコードする遺伝子の突然変異を有する植物と 交配することができる。

本発明の植物は、除草剤、例えばフェノキシオーキシンを含むカルボン酸含有除草剤へ の耐性をコードする遺伝子を含むこともできる。

一実施形態では、本発明は、本発明による植物、特に、 − 核酸構築物であって、 − 二本鎖RNA(dsRNA)分子をコードするコード領域; − dsRNA分子の生成を可能にする、プラスチドで作動可能なプロモーター を含み、dsRNAはそこからのsiRNAの生成を可能にする配列を有する、核酸構 築物 を含むプラスチドを含有する植物に由来するか、さもなければそれから得られる種子、カ ッティングまたは他の栄養形材料を提供する。

上記の種子は殺虫性dsRNAを含有することができ、上記のコード領域およびプロモ ーターを含有する核酸構築物を含有することができる。あるいは、種子は殺虫性dsRN Aを含有することができず(例えば、種子でプロモーターが活性化されないので)、上記 のコード領域およびプロモーターを含有する核酸構築物を単に含有することができ、それ はその後、例えば種子が発芽するときおよび/または茎葉を形成するときに、プラスチド または葉緑体において活性化されて殺虫性dsRNAを形成することができる。

種子はコーティングされてもよく、1つの形では、種子は、任意の形のサイレンシング RNA、好ましくはdsRNAを含む殺虫性RNAでコーティングされてもよい。他のコ ーティングには、当技術分野で公知である殺虫性タンパク質または化学物質を含む他の殺 虫剤を含めることができる。

他の実施形態では、上記の実施形態による植物によって生産される商品が提供される。

E.殺虫性組成物 本発明は、本発明による植物、好ましくは葉緑体または関係するプラスチドで殺虫性d sRNAの生成に関してホモプラスミーである植物に由来する材料の利用にさらに関する 。これらの材料は、本発明の植物のプラスチドまたは葉緑体で生成される殺虫性dsRN Aに関して、特定のグレード形の純度で提供することができる。

一部の実施形態では、材料は、化学的処理ではなく単純な物理的処理(例えば、細断、 切断、磨砕)を受けている加工された植物材料であってもよい。

他の実施形態では、材料は、例えば、材料の1つまたは複数の構成要素を抽出および/ または分離および/または保存するための化学的処理を受けていてもよい。

さらに、材料は生細胞培養の形で提供されてもよい。

ある特定の実施形態では、1つまたは複数の適用において、これらの材料は、殺虫性d sRNAで形質転換されていない種子を含む種子のコーティングのための種子コーティン グを含む、殺虫性組成物として利用されてもよい。

別の実施形態では、材料は、殺虫性の餌として用いることができる。餌は有害生物を誘 引することができるか、または特定の場所への有害生物の進入を阻止することができる。

殺虫性組成物は、種子、植物または作物、または粉末、顆粒、ペレットなどの固形物に 噴霧するための噴霧液の形をとることができる。

F.方法 一実施形態では、有害昆虫を防除する方法であって、前記有害昆虫または前記有害昆虫 の環境に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含む植物を提示または提供することを含 む方法が提供される。一般的に、植物の葉緑体またはプラスチドに含有されるdsRNA は、有害生物または昆虫との接触の後に、好ましくは有害生物または昆虫のGI管と接触 した後に、有害生物または昆虫の生物学的機能を阻害する働きをするか、または有害生物 または昆虫でRNAi経路を起動して、必須の昆虫または有害生物遺伝子の機能への干渉 をもたらす働きをする。好ましくは、有害昆虫の防除が必要とされる環境は、作物または 植物畑である。

一般的に、有害昆虫の防除は、本発明の核酸またはプラスチドを有する植物を含有しな い環境での有害生物集団と比較して有害生物集団の低減をもたらす。

一実施形態では、有害生物の防除は、本発明の核酸構築物またはプラスチドを有する植 物を消費していない有害生物集団と比較して、有害昆虫の増殖の阻害または最小化をもた らす。この実施形態では、有害昆虫は、本発明の核酸構築物またはプラスチドを有する植 物の消費によって死滅させることができるかまたはできない。この実施形態では、有害昆 虫の増殖の阻害または最小化は作物害の最小化をもたらすことができ、収量増をもたらす ことができる。

ある特定の実施形態では、本発明の植物およびプラスチドならびにdsRNAを含有す るそれらは、それらが死を誘導し、および/または増殖率を低減し、および/または繁殖 性を低減する限り殺虫性である。

作物または植物畑は、上記プラスチドまたは核酸構築物を含む植物からなってもよく、 またはこれらの植物を含み、さらに、上記のプラスチドも核酸構築物も含有しない植物の 形の非葉緑体形質転換避難植物を含有してもよい。作物または畑が非葉緑体形質転換避難 植物を含有する場合は、好ましくは、作物または畑は、30%未満、好ましくは20%未 満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満の、非葉緑体形質転換避難植物であ る植物を含有する。

好ましくは、有害生物の防除は、植物の葉、根、生殖組織または茎葉への害の最小化ま たは低減をもたらす。好ましくは、害の低減は、非形質転換対照で観察される害の少なく とも50%、好ましくは60%、70%、80%、90%、95%または95%を超える 。したがって、本発明は、作物または植物畑の収量を向上させるための方法であって、好 ましくは有害生物または病原体による植物またはその一部の害を低減するために、作物ま たは畑の中の有害生物または病原体に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含む植物を 提示することを含む方法を提供する。

別の実施形態では、作物の収量を向上させるための方法であって、 本発明による核酸構築物またはプラスチドを含む植物またはそれからの繁殖材料を提供 すること; 植物を栽培して栽培した植物での核酸構築物の発現を可能にすることを含み、核酸生成 物の発現、それによるdsRNAの形成は、植物の内部または表面の有害生物の生存また は増殖を阻害する、方法が提供される。

一実施形態では、トウモロコシの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き 起こされる発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前 記有害昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むトウモロコシ植物を提示するこ とを含む方法が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

別の実施形態では、ソルガムの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起 こされる発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記 有害昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むソルガム植物を提示することを含 む方法が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、ヒマワリの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こ される発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有 害昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むヒマワリ植物を提示することを含む 方法が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、イネの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こされ る発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有害昆 虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むイネ植物を提示することを含む方法が提 供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、コムギの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こさ れる発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有害 昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むコムギ植物を提示することを含む方法 が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、ワタの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こされ る発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有害昆 虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むワタ植物を提示することを含む方法が提 供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、オオムギの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こ される発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有 害昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むオオムギ植物を提示することを含む 方法が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、油料種子セイヨウアブラナの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫 によって引き起こされる発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法 であって、前記有害昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含む油料種子植物を提 示することを含む方法が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

一実施形態では、ダイズの有害昆虫を防除するか、または有害昆虫によって引き起こさ れる発生もしくは害を阻止するか、または有害昆虫を死滅させる方法であって、前記有害 昆虫に、上記のプラスチドまたは核酸構築物を含むダイズ植物を提示することを含む方法 が提供される。好ましくは、有害昆虫は下の表から選択される。

本明細書に記載されるプラスチドまたは核酸構築物を含む植物は、昆虫抵抗性管理(I RM)戦略で用いることができる。

IRM戦略は、一般に形質転換されたものと、形質転換されていないもの(いわゆる「 避難(refuge)」植物)とを特定の構造で植えることを含む。これらの構造では、避難植 物は、殺虫圧の下になく、したがって、殺虫抵抗性対立遺伝子について選択されそうにな い昆虫のための貯蔵所を提供する。これらの昆虫と、殺虫抵抗性対立遺伝子を形成する突 然変異について選択された昆虫との畑での交配は、ヘテロ接合体遺伝子型を生み出す可能 性がより高く、したがって殺虫抵抗性の発達の可能性、さもなければ抵抗性の発達までの 時間を減少させる。IRMのための例示的な手法は、www.epa.gov/oppbppd1/biopesticid es/pips/bt_corn_refuge_2006.htmに示されている。

IRM戦略は、昆虫の複数の経路を標的にし、それによって殺虫抵抗性ハプロタイプの 継承の可能性をさらに減少させるために、植物への構築物の「スタッキング」によって増 強することができる。例えば、Roushらは、殺虫性トランスジェニック作物の管理の ために、「ピラミッディング」または「スタッキング」とも呼ばれる2毒素戦略を概説し ている。(The Royal Society. Phil. Trans. R. Soc. Lond. B. (1998) 353, 1777-1786 )。具体的には、標的有害生物に対して各々有効であり、交差抵抗性がほとんどまたは全 くない2つ以上の類似の(例えば、2つ以上の異なるdsRNA標的)または異なる殺虫 活性物質(例えば、BtまたはプラスチドRNAi)のスタッキングまたはピラミッディ ングは、より小さい避難所の使用を可能にする。良好なスタックでは、10%未満の避難 所の避難所サイズが、単一(非ピラミッド化)形質のための約50%の避難所と同等の抵 抗性管理を提供することができることを、Roushは示唆する。今日利用できるピラミ ッド化Btトウモロコシ製品については、米国環境保護庁は単一形質製品(一般に20% )の場合よりもかなり低く(一般に5%)構造化された避難所の非Btトウモロコシを植 えることを要求している。

Roushら(前掲)および米国特許第6,551,962号明細書によってさらに論 じられているように、畑での様々な幾何学的栽植様式(上記のような)および袋入種子混 合物を含む、避難所のIRM効果を提供する様々な方法がある。

上記の百分率または類似した避難所比率は、2つ、3つまたはそれ以上の殺虫活性物質 を含有する対象のスタックまたはピラミッドのために用いることができる。単一の標的有 害生物に対して3つの作用部位を有する三重スタックについては、1つの目的は、感受性 の個体の避難所、例えば5%の避難所を維持することであってもよい。これは、例えば1 0エーカーを超える営利耕作地に特にあてはまる。

経時的に致死量が有害生物に有効であることを確実にする抵抗性管理のために、用量が 有効性および信頼性に影響を与える。本発明の一実施形態では、標的有害生物に有効なよ り高い用量をもたらすプラスチドに位置するとき、有効なdsRNAの発現はより多い。 標的有害生物への用量の有効性を経時的に維持するトランスジェニック植物の生長および 発達期間全体において、プラスチド中のdsRNAは安定したままである。

本明細書に開示される組成物および方法は、有害生物による害を防除するための他の方 法および組成物と組み合わせて一緒に用いることができる。例えば、本明細書に記載され る植物、プラスチドおよび核酸構築物は、鞘翅類、鱗翅類および/または半翅類有害生物 に対して有効な1つまたは複数の化学薬剤、鞘翅類、鱗翅類および/または半翅類有害生 物に対して有効なバイオ農薬、輪作、または本発明のRNAi媒介方法およびRNAi組 成物の特徴と異なる特徴を示す組換え遺伝子技術(例えば、鞘翅類、鱗翅類および/また は半翅類有害生物(例えば、Bt毒素)に有害であるタンパク質の植物中での組換え生成 )の追加的使用を含む方法で用いることができる。

文脈が別途定める場合以外は、本明細書で用いるように、用語「含む」ならびにその用 語の変異形、例えば「含んでいる」、「含む」および「含まれる」は、さらなる付加物、 構成要素、整数またはステップを排除するものではない。

具体的に示されるか含意されない限り、本明細書で用いるように、用語「a」、「an 」および「the」は「少なくとも1つ」を表す。

この明細書で開示され、規定される発明は、指摘されるかまたは本文もしくは図面から 明白な個々の特徴の2つ以上の全ての選択的組合せに及ぶことが理解されよう。これらの 異なる組合せの全ては、本発明の様々な代替態様を構成する。

[実施例1] 核酸構築物 葉緑体形質転換ベクターpR1の構築 葉緑体形質転換構築物は、葉緑体形質転換ベクターpPRV323Clox(元はpP RV312L;NCBI受託DQ489715.1)の誘導体であった(Chakrabarti et al., 2006およびLutz et al., 2007)。このベクターは、タバコ(N. tabacum)葉緑体 ゲノムのtrnIおよびtrnA配列により組換えた、タバコ(N. tabacum)の形質転換 のために設計された。タバコ(N. tabacum)およびN.ベンタミアナ(N. benthamiana) 組換え領域は99.52%類似しているので(2076bp中のわずか10個の差)、そ れは近縁のN.ベンタミアナ(N. benthamiana)をうまく形質転換するためにも用いられ た(Davarpanah et al., 2009)。ベクターは、上流リボソームRNAプロモーター(r rn16)からのリードスルー発現(目的の配列の)のために、または、aadA選択マ ーカーの上流への完全発現カセットの挿入のために本来設計された。後者の場面が、本実 施例で用いられた。

pPRV323Cloxは、下記の考案されたアセンブリー計画を妨害しただろう、3 ’相同組換えアームの5’側に隣接して誤って存在したマッピングされていないKpnI 制限酵素認識部位を修正するために、「突然変異PCR」を用いて先ず改変した。ベクタ ーpPRV323Clox(k−fix)を作製するために、以下に示すように配列を変 更し:・・・ATG(G>C)(TACCdel)GCT・・・、ここで、ベクターの元 の配列ATGGTACCGCTは、ATGCGCTに改変された。Asc I、rrnプ ロモーター(Prrn)、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)葉緑体ルビスコのより大 きなサブユニット遺伝子の転写産物の5’非翻訳領域(rbcL 5’UTR)、マルチ クローニングサイト(MCS)およびrbcL 3’UTRおよびNot I(Gens cript)をコードする配列を含むように、合成dsDNA挿入断片を合成した。挿入 断片をpUC57ベクターで送達し、Asc IおよびNot Iで切除し、Asc I およびNot Iで既に消化されていたpPRV323Clox(k−fix)にサブク ローニングして、新しいベクターpR1を作製した。

「ゴールデンゲート」dsRNAアセンブリーベクターp32c−GGの構築 大きなdsRNA発現単位は、pR1に完全単位として移す前に、二次「アセンブリー 」ベクターに先ず組み立てた。逆方向反復(別名ヘアピン)アセンブリーに以前に適合さ せた「ゴールデンゲート」(GG)方法のさらに改変されたバージョンによって、dsR NA発現単位を作製した(Yan et al., 2012)。このアセンブリー方法のための構成要素 を準備するために、プライマーg187fおよびg188rを用いてGGクローニングカ セットをその元のベクターpRNAi−GG(NCBI受託JQ085427.1;Ar abidopsis Biological Resource Center(ARB C)から入手可能、#CD3−1786)から増幅した(表3を参照する)。PCR生成 物をXho IおよびKpn I制限酵素で消化し、既に同じように消化されていた二元 ベクターp32cに挿入した。p32cは、CaMV 35sプロモーター(−343〜 +1バージョン)および変更されたマルチクローニングサイト(MCS)を含むように前 改変された、pORE−03二元ベクターの自家誘導バージョンである。さらに、そのB saI部位は引き続いて起こるGGヘアピンアセンブリーを妨害しただろうから、配列を ・・・GAGAG(G>A)AG(A>G)CC・・・に示すように変換することによっ て、BsaI RE認識部位GGTCTCN|NNNN(本来ホスフィノトリシンアセチ ルトランスフェラーゼII、PPT、選択マーカー遺伝子に存在する)を除去するために 突然変異PCRによってp32cを前改変した。言い換えると、ベクター中の配列GAG AGGAGACCをGAGAGAAGGCCに改変した。これらの変化はサイレント突然 変異をもたらし、そのため、ヌクレオチド配列は変更されたが、翻訳されたPPT配列は 不変のままだろう。GG発現ベクターはさもなければ他の大腸菌(E. coli)ラボ株(例 えばDH5alpha)で細菌細胞死を引き起こすcddB遺伝子をコードしているので 、生じたGGベクターp32c−GGは大腸菌(E. coli)DB3.1細胞で維持した。

ゴールデンゲート方法を用いたp32c−GGベクターでの大きなdsRNA発現単位 アセンブリー 以下の例外を除いては、それらの類似のベクターpRNAi−GGのために元々Yan らによって記載された方法に従って、数百塩基対までのステム長のヘアピンを一般的にコ ードする大きなdsRNA発現単位をp32c−GGアセンブリーベクターで作製した( Yan et al., 2012)。ライゲーションは、PEG追加ライゲーション緩衝液(例えば、2 ×急速ライゲーション緩衝液)で2時間実施し、それに応じて総ライゲーション量を増加 させ、最終80℃のインキュベーションを省略し(それはPEGを含むライゲーション緩 衝液と相容れない)、DH5alphaの代わりにGT116細胞(Invivogen )を用いた(DH5alpha細胞は働いたが、GT116細胞と比較して回収されたコ ロニーが少なかった)。それなしではコロニーがほとんどまたは全く回収されなかったの で、PEGをベースとした緩衝液が不可欠な改変であることがわかった。簡潔には、アセ ンブリープロセスは以下のステップを含んだ。製造業者のプロトコールに従ってKODポ リメラーゼ(Toyobo)を用いてPCRによって標的ステムを増幅し、プライマーは 以下のレイアウトを有するように設計した:

フォワードプライマーレイアウト=ACCA_GGTCTCA(GGAG)_bind 、式中、配列「ACCA」は5’末端の制限酵素結合シートである。(これは、隣接する 下流位置で切断を試みるときに配列を「つかむ」ために制限酵素に多少の追加の「購入品 」を提供するように終端の5’末端に加えられた、余分の4塩基である);「_」は、書 き出すときに短縮形の配列において異なる機能単位を分離するための単なる仕切記号であ り、実際の配列において物理的表示を有しない;「GGTCTCA(GGAG)」は、B sa I制限酵素(RE)部位である。ほとんどのRE部位と異なり、それはGGTCT CAを認識するが、これの外の3’に隣接した4ヌクレオチド(NNNN)で切断する。 これらの4つのヌクレオチドは任意の配列であってもよく、この実施例では配列「(GG AG)」が用いられ、前のBsa I認識配列と一緒に「ブルー」型Bsa I配列(例 えば、GGTCTCAGGAG)と呼ばれる;「bind」は以降のPCRで増幅される 特異的標的配列に「バインド」するために各プライマーの3’末端に加える必要があるい かなる特異的配列も表すための、一般的なプレースホールダーであり、すなわち、この配 列は標的ごとに異なる(例えば、表3の配列番号3を参照する)。

リバースプライマーレイアウト=ACCA_GGTCTCA(TCGT)_bind( 例えば、表3の配列番号4を参照する)。

PCRの後に、反応をカラム精製し(Qiagen)、30μlの溶出緩衝液で溶出し た。次に、50ngの精製PCR反応体、200ngのベクター、5UのBsa I、1 0UのT4リガーゼ、2×急速LIG.緩衝液(New England Biolab s)、およびH2Oにより20μlでGG反応を準備した。GG反応を、37℃で2時間 +50℃で5分間インキュベートした。反応の3μlを、標準手順によって調製した約5 0μlのGT116エレクトロコンピテント細胞混合物にエレクトロポレーションした。 形質転換混合物全体を、カナマイシン(ベクターの選択のために)およびクロラムフェニ コール(イントロン含有について選択するために)を含む適当な選択培地の上に広げた。 一般的に、約50〜100代の数のコロニーを回収した。

核dsRNA発現対照ベクターv153の構築 p32c二元ベクターに由来した図1に示す核dsRNA発現対照ベクターv153は 、対応する葉緑体形質転換ベクターv206を組み立てる途中の中間体ベクターとして作 製した。両ベクターは、dsRNA発現単位Ha−AceHp1236−189をコード しており、これは、自己相補的189ntセンス(SE)/アンチセンス(AS)ステム 構成を有するように設計され、ステムは約1599ntの核/細胞質イントロンベースの スペーサーまたは「ループ」によって分離されている。189ntステム配列は、nt位 置1236(CDSの第1のntに対して)から開始して5’方向に全長189ntの間 続く、鱗翅類のガであるオオタバコガ(Helicoverpa armigera)(Ha;オオタバコガ) からのアセチルコリンエステラーゼ遺伝子(Ace;NCBI受託AF369793)に 相同的であるように選択された。アセンブリーの第1のステップは、既に記載されている 方法を用いてベクターp32c−GGでhp1236−189のdsRNA発現単位を構 築することであった。実施例1での特定のアセンブリーのために、オオタバコガ(H. arm igera)のcDNAとプライマーg216f/rおよびg217f/rを用いるPCRに よって、Ace1236−189に対応する配列を増幅した。結果として生じたベクター p32c−Ha−AceHp1236−189はv153と変名され、核dsRNA発現 対照ベクターの役目をした。当業者に通常公知である標準のアグロバクテリウム(Agroba cterium)形質転換方法および選択プロセスを用いて、これをN.ベンタミアナ(N. bent hamiana)に形質転換させた。v153を図1Aに表すが、N.ベンタミアナ(N. bentha miana)の核ゲノムへの組込みの後にそれが形成されることが予想されるので、一般的な 直線形で示す。このベクターからの予想されるdsRNA生成およびRNAi型プロセシ ングの簡略図を、植物でのこのベクター構築物の組込みまたは発現を判定するための以降 のPCRアッセイで用いられたプライマーの概略図とともに示す。

dsRNA葉緑体形質転換および発現ベクターv206の構築 上で概説した追加のベクターおよび方法を用いて、図1に示す葉緑体形質転換ベクター v206をv153から作製した。dsRNA発現単位をpR1に移動するドナーとして v153を用いて、pR1−Ha−AceHp1236−189とも呼ばれるv206を v153から組み立てた。Xho IおよびKpn IでdsRNA発現単位を切除し、 Sal I(Xho Iに適合する相補末端)およびKpn Iで既に消化済みのpR1 にそれをサブクローニングすることによって、この移動を達成した。結果として生じたベ クターv206を、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)の葉緑体ゲノムへのその正確な 組込みの後の、周囲の葉緑体ゲノム配列との関連で図1CBに表す。このベクターからの 予想されるdsRNA生成およびRNAi型プロセシングの簡略図を、このベクターによ る以降のPCRアッセイで用いられたプライマーの概略図とともに示す。

dsRNA葉緑体形質転換および発現ベクターv301の構築 上で概説した追加のベクターおよび方法を用いて、図1に示す葉緑体形質転換ベクター v301をv206から作製した。PDKイントロン+CMr領域を795bp葉緑体イ ントロン配列(atpFイントロン)および小さい隣接領域で置き換えることによって、 v301をv206から組み立てた。プライマーBEN0002FおよびBEN0003 Rを用いて、ニコチアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana)から置換配列を増幅 した。結果として生じたベクターv301を、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)の葉 緑体ゲノムへのその正確な組込みの後の、周囲の葉緑体ゲノム配列との関連で図1Dに表 す。このベクターからの予想されるdsRNA生成およびRNAi型プロセシングの簡略 図を、このベクターによる以降のPCRアッセイで用いられたプライマーの概略図ととも に示す。 [実施例2]

宿主細胞および葉緑体の形質転換 N.ベンタミアナ(N. benthamiana)組織培養法 最初に少量の種子(約50μl量相当)をCl−ガスで滅菌して、N.ベンタミアナ( N. benthamiana)植物を組織培養に導入した。100mlの次亜塩素酸塩(4%有効)に 加えた3mlの1N HCLのオープンシャーレを有する密封ガラスチャンバー内で約1 〜4時間、種子のオープンチューブを新たにガス処理した。3%(w/v)スクロースお よび5%(w/v)不活性寒天(MSN)を含むムラシゲ−スクーグ培地(Murashige et al., 1962)の上に、種子を広げた。15×6cmポットで植物を維持し、2〜3週おき 、または必要に応じて新しい培地に移した。

金マイクロキャリア調製(銃撃のために) Sanfordら(Sanford et al., 1993)の方法に従う、微粒子銃PDS−1000 /He粒子送達システムのための製造業者のプロトコールによって、0.6ミクロン金マ イクロキャリア(Biorad)を調製した。簡潔には、30mgのマイクロキャリアを 1.5ml微量遠心管に計り入れ、1mlの70%エタノールを加え、混合液を3〜5分 の間撹拌した。15分間金を放置して沈殿させ、その後5秒間、遠心分離した(約20, 000rcfまで)。上清は捨てた。1mlの滅菌水を金に加え、1分間撹拌し、1分間 沈殿させた。5秒間遠心することによって金をペレットにし、上清を除去した。水洗ステ ップを合計3回、二回繰り返した。最終ペレットに500μlの無菌50%グリセロール を加えた(調製物は4℃で保存したが、約2週間まで使用可能である)。この量で、10 個の標準調製物が作製された。

金マイクロキャリアのDNAコーティング 銃撃の当日に、金マイクロキャリアをDNAでコーティングした。上で調製したマイク ロキャリアを≧5分間撹拌して、金を再懸濁した。各構築物について、沈殿を回避するた めに撹拌しながら、金懸濁液の50μl(約3mg)を新しいチューブに取り出した。5 μlのDNA(理想的には1μg/μlで)、50μlの2.5M CaCl2および2 0μlの0.1Mスペルマジンを金の各一定分量に加えた。DNA濃度が十分に高くなか ったならば、十分な量のDNA(>5μl)を最高5μgまで加え、残りの構成成分の量 をそれに応じて増量した。各試料を3分の間撹拌し、10分間(製造業者の定めた1分間 より長く)沈殿させ、5秒間遠心分離した。上清を除去し、140μlの70%エタノー ルをペレットに加え、再懸濁するまで(約1分)混合液を撹拌した。マイクロキャリアを 1分間放置して沈殿させ、さらなる5秒間遠心分離し、上清を捨てた。140μlの10 0%エタノールではあったが、このステップを繰り返した。マイクロキャリアの最終ペレ ットを48μlの100%エタノールに再懸濁させ、銃撃(同じ日)まで氷上で保存した 。この量で、葉緑体の形質転換で使用するための>6「ショット」が作製された。

微粒子銃法を用いた葉緑体の形質転換 微粒子銃PDS−1000/He機器(Biorad)を層流キャビネットに移動し、 70%エタノールで綿密に表面滅菌し、製造業者のプロトコールによって準備した。より 劣るグレードは機器をブロックすること、および/または試料を汚染することがあるので 、推奨に従ってヘリウムは「高グレード」(4.5;>99.995%純度)であった。 阻止スクリーン、マクロキャリアホルダーおよびマクロキャリアディスクを100%エタ ノールへの短時間浸漬によって滅菌した後、無菌濾紙を並べたシャーレの上で風乾させた 。1100psi破裂板を70%イソプロパノールに浸し、湿っている間に(しかし、過 度に湿っていない)発砲ノズルに充填した(適する密封のために多少のイソプロパノール が必要である)。各セッションの最初の「ショット」は、ラインから空気を追い出して、 それらにHeを充填するように、破裂板だけ(すなわち試料なし)によるものであった。 各金マイクロキャリア調製物を>1分間超音波処理し、最初にマクロキャリアホルダーに 置いて風乾させた(約1〜5分)マクロキャリアの中央に、1ショットにつき6μlを均 一に撒いた。銃撃は、約25〜28インチHgの真空圧中で6cmの距離(ノズルから) であった。MSNプレートの上で、背軸側(底側)を上にして葉を銃撃した。標準の10 0×20mm培養皿の中央に置いた組織培養植物からの約2〜3cm2の単一の葉(また はいくつかのより小さい葉)で、葉を24時間まで前に調製した。

外植体、カルスおよび小植物の選択(ヘテロプラスミー) 銃撃の後、直ちに2巻きのミクロポアテープ(3M)でプレートを密封し、約48〜7 2時間暗所に保存した。この後に、各葉を約0.5〜1cm2の小さいセグメントに切断 し、500mg/Lスペクチノマイシン、2mg/L BAPおよび0.5mg/L N AAを含有するMSN選択培地に向軸側を上に(上面を上に)して無菌的に移した(カル スおよびシュート形成を誘導するために)。2〜3週おきに、組織を新鮮な培地に移動し た。約2〜4週間後に非形質転換組織は淡黄色になり、約4〜8週以後にカルスが出現し 始める。約0.5〜1cm3のときに外植体材料からカルスを切り離し、別の培地に移動 した。現れ出たシュートをできる限り早期にカルスから切り離し、同じ培地で維持した。 シュートが約0.5〜1cm2の1〜2葉を出したとき、発根を誘導するために500m g/Lスペクチノマイシンを含有する(しかし、ホルモンなしの)MSN培地にそれらを 移動した。適する発根の後、小植物を土に移動した。

形質転換細胞は、各細胞の葉緑体の総数の一部だけが形質転換されているヘテロプラス ミーであってもよいか、各細胞の葉緑体のほとんどか全てが形質転換されているホモプラ スミーであってもよい。1回の選択、例えばカルス形成、シュートの形成および分離、な らびに根誘導の後の、銃撃された葉から再生したタバコのシュートは、常にキメラ(ヘテ ロプラスミー)であると思われる(Maliga et al., 2012およびMaliga et al., 2004)。 ホモプラスミー、または少なくとも遺伝子的に安定した植物は、新たに形成されたシュー トを繰り返し小さい断片に分け、カルス形成を再誘導することにより、2回以上の連続し た選択によって達成されると一般に考えられる。「プラスミー」レベルは、挿入接合部に わたった、適するPCR反応によって判定することができる。

カルスまたは小植物からのDNA抽出 約2〜3mm3の小部分を取り出すことによって、DNA抽出のために個々のカルスか ら試料を採取した。DNA抽出を予定していた新生の小植物は、抽出のために単一の葉を 収集する前に、各々約0.5〜1cm2の少なくとも2枚の葉を有する段階まで増殖させ た。DNA抽出は、基本的な「塩析」方法で実施した。各組織試料を、無菌の小さいステ ンレス鋼球および約180〜200μlのDNA抽出緩衝液(0.5M NaClおよび 1%SDS)を含む200μlのPCRストリップチューブ中に置いた。約30回転/秒 で約2分間、チューブをミキサー−ミル内で激しく振盪した。反転し、ひっくり返すこと によって試料プレートを再設定し、プレートを再び振盪した。プレート遠心機を用いて3 800rpmで1時間、チューブを遠心分離した。上清の100μlを、200μlの1 00%エタノールを含む新鮮なプレートに移した。前の通り、試料プレートを再遠心分離 した。試料プレートを確実に逆にすることによって、上清を捨てた。試料プレートを逆さ にして約300rpmで約20秒間、遠心分離した。200μlの70%エタノールを各 ウェルに加え(迅速な洗浄)、試料プレートを確実に逆にすることによって上清を再び捨 てた。試料プレートを逆さにして約300rpmで約20秒間、再び遠心分離した。試料 プレートを室温で約20分間風乾させ、ペレットを100μlのT.E.緩衝液に再懸濁 して4℃で保存した。

葉緑体の系の生成 v206葉緑体形質転換を用いて、9つのN.ベンタミアナ(N. benthamiana)植物系 を生成した(試料#1〜9)。選択された各系は、独立した形質転換事象からのものであ った。各系はスペクチノマイシン耐性であって、葉緑体ゲノムへのv206の組込みはP CRによって確認した。非形質転換N.ベンタミアナ(N. benthamiana)は、負または非 形質転換対照(試料#24)として維持し、v153の核形質転換系を前の指示通りに作 製し、正の核形質転換対照(試料#17)として維持した。 [実施例3]

RT−PCRを用いた導入遺伝子発現の確認 RNA抽出およびDNアーゼ処理 製造業者のプロトコールに従ってTrizol(Life Technologies )を用いて、全RNAを抽出した。RNA抽出のための組織は、DNA抽出のために前に 記載したものと同じように収集した。組織を急速凍結し、液体N2中で乳鉢および乳棒に より磨砕した。微粉末組織の約0.5〜1ml相当量に、およそ1.5mlのTrizo lを加えた。標準方法の全ての他の量は、それに(用いた1.5mlのTrizolに) 応じて調整した。初期ホモジネート(ホモジナイゼーション直後)が約4℃で10分間、 12,000×gで遠心分離される、任意選択の分離ステップが含まれた。ペレットを捨 て、透明になったホモジネートはプロトコールに従ってさらに処理した。約30〜50μ lのRNアーゼフリーの水(例えば、DEPC処理)に、各試料を再懸濁した。抽出の後 、以降の逆転写試験で偽陽性増幅の可能性を低減するために、製造業者のプロトコール( New England Biolabs)に従ってRNA試料をDNアーゼ処理した。 簡潔には、8μlのRNA試料を、1μlのDNアーゼ緩衝液および1μlのRQ1 D Nアーゼ酵素(NEB)と合わせた。37℃で約30分間、反応をインキュベートし、そ の時点で、1μlの停止溶液を加え、混合液を65℃で約10分間さらにインキュベート してDNアーゼを完全に不活性化した。

RT−PCR 長いdsRNA種の存在について試験するために、各試料を逆転写PCR(RT−PC R)にかけた。用いたRT−PCRは、単一のcDNA合成ステップを先ず実行し、続い て異なるRNA種のために別個のPCR反応を実行した、2ステップRT−PCRであっ た。各cDNA合成反応は、製造業者のプロトコールに従ってSuperscript III First Strand Synthesisキット(Invitrogen )で実行した。特定のユーザーが含めた構成成分は、5μlの混合プライマー(各々1μ lのg280r、g276r、g216f/r、g301rおよびオリゴdT)、1μl のdNTPおよび7μlのDNアーゼ処理RNA試料であり、合計13μlのユーザー投 入量であった。cDNA合成の後、各試料の1μlを、標準の20μl PCR反応で鋳 型として用いた。PCRは、試料v206葉緑体試料#1〜9、v153核対照#17お よび非形質転換N.ベンタミアナ(N. benthamiana)対照#24で実行した。各試料は、 以下の2つの異なる鋳型条件を用いて3つの異なるプライマーセットで増幅した:1)鋳 型としてcDNA合成前の抽出されたRNA(試料中のDNA汚染の可能性について試験 するため)、および2)対応するcDNA試料セット。最初のPCRプライマーセットは 、ASステムの両方のイントロンループを含有する大きなRNA種の存在について試験す るために、イントロンおよび後部ステムの接合部越しに増幅するように設計した(プライ マーg25fおよびg216f/r)。ループ配列とは無関係に完全長SEまたはASス テムの存在について試験するために、第2のセットはdsRNAステム領域に対して内的 であったがステムの末端で結合していた(プライマーg216f/rおよびg217f/ r)。第3のセットは、eIF4Eのための遍在するハウスキーピング配列の存在につい て試験するための対照反応であった(プライマーg165fおよびg166r)。

図2に示すように、全ての9つの葉緑体cDNA試料はイントロンから後部ステムPC Rに陽性であって、少なくとも両部分を含有するRNA種の発現を確認した(図2Aおよ びB)。イントロンからASステム部分はSEステムの下流にあるので、この結果は完全 長dsRNA形成領域の存在を示す。v153核発現対照ベクターで形質転換したN.ベ ンタミアナ(N. benthamiana)からのcDNAを含有するPCR反応から、アンプリコン はなかった。植物での転写の間かまたは直後に、イントロンがRNAから効率的にスプラ イスアウトされるならば、これは予想されるだろう。対照の、非形質転換N.ベンタミア ナ(N. benthamiana)からのcDNAを含むPCR反応から、アンプリコンはなかった。 N.ベンタミアナ(N. benthamiana)はHa−AceHp1236−189 dsRNA 配列を発現しないので、これも予想通りだった。「非RT」PCR反応(すなわち、cD NA合成の前にRNAだけが鋳型として用いられた反応)は、アンプリコンを示さず、c DNA試料セットで見られる特異的生成物の形成に影響するDNA汚染の検出可能なレベ ルがなかったことを確認した。

全ての9つの葉緑体cDNA試料は、ステム領域(図2CおよびD)に特異的なdsR NA/hp PCRにも陽性であって、少なくともSEおよび/またはASステムが各試 料で完全に存在することをさらに確認した。葉緑体形質転換試料v206#8は非RT対 照反応で少量の生成物を示したが、これは、対応するcDNA反応で見られるものより大 幅に少なかった。植物での転写直後に核発現dsRNA領域/ヘアピンが約19〜24b pのより小さいsiRNAサイズの種に効率的にプロセシングされ、そうすることで、発 現される長いdsRNAの量を検出可能なレベル未満に低減するならば予想されたように 、v153核発現対照からのcDNAを含有するPCR反応から、アンプリコンはなかっ た。予想通り、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)非形質転換対照からのcDNAを含 有するPCR反応から、アンプリコンはなかった。

葉緑体cDNA試料および2つの対照cDNA試料は、eIF4Eハウスキーピング配 列に関して全て陽性であった(図2EおよびF)。この結果は、全てのcDNA試料がP CRに適する鋳型であることを確認し、したがって予想通り、v153試料はRNAi経 路によって効率的にプロセシングされる可能性がかなり高いので検出可能な長いdsRN Aを有しないとの解釈を裏づけた。「非RT」対照反応はいずれの試料でも検出可能な生 成物を有さず、試料が有意なDNA汚染を含まないことをさらに示した。 [実施例4]

ノーザンブロッティングを用いた葉緑体形質転換体および対照でのdsRNAの数量化 対応する核発現対照試料(および非形質転換対照)と比較した、葉緑体形質転換試料に 存在する大きなdsRNAの相対量を検出し、数量化するために、葉緑体形質転換試料を 高分子量(MW)または「大RNA」ノーザンブロット分析にさらにかけた。各試料をR Nアーゼフリーの水ではなくホルムアミドに再懸濁したこと以外は前に記載した方法に従 って、試料#1〜9、17および24の各々のためにRNA抽出を再準備した。(追加の RNA抽出のためには不十分な材料が残されていたので、試料#6はこの例のセットで省 略された。)1レーンあたり各試料のおよそ10μl+ホルムアミドRNA負荷色素の6 μl(4μlの試料だけが入手できた試料7を除いて)を1.4%TBEアガロースゲル に加え、2つのより低い色素前線が十分に分離するまで100Vで動かした。相対負荷量 を測定するために、ゲルを臭化エチジウム(EtBr)で染色して、可視化した(図3A )。ゲルを一晩キャピラリーでHybond N+(Amersham)に移し、試料を 膜にUV架橋させた。膜を前ハイブリダイズさせ、65℃でPerfectHybでハイ ブリダイズさせた。プローブは、逆挿入HaAce1236 pGEMベクター(v15 8)からの部分長SE鎖UTPp32リボプローブランオフSP6であった。換言すると 、プローブは、標的配列のアンチセンス、またはdsRNAのASステムを検出するため のものであった。プローブ長は538ntであって、約357ntはHaAceに相同的 で、葉緑体および核形質転換植物に組み込まれた標的の全189ntにわたっていた。膜 は、1時間曝露させた。

図3Bでわかるように、葉緑体形質転換試料の多くは、RNAi型の機構によってプロ セシングされないままであったときにHaAce1236−189 dsRNA配列で予 想されるものにサイズが対応する特異的高分子量RNAを多量に保有していた。対応する 核発現対照試料#17は、プロセシングされていない長いdsRNAの証拠を示さず、バ ックグラウンドシグナルレベルは非形質転換対照に類似していた。RNA量はImage Jを用いて数量化し、負荷量に標準化した(EtBr画像を用いた)。相対発現レベルは 、N.ベンタミアナ(N. benthamiana)非形質転換対照(1と設定)と比較したバンド強 度の標準化変化倍率として計算した。図3Cでわかるように、全てのv206葉緑体試料 は、特異的dsRNAの検出可能な量を有した。系の間に多少の変動があったが、それは 各系の独立した性質を考慮すると予想外でなかった。この実施例での多くの独立した系、 特に1、2、4、5、8および9は、かなり高いレベルのdsRNA生成および蓄積を示 した。標準化したとき、v153核発現対照試料はdsRNAの検出可能な量を保持しな かったことが明らかで、以前のRT−PCRデータと同様の結果であった。 [実施例5]

ノーザンブロッティングを用いた葉緑体形質転換体および対照でのsiRNAの数量化 試料中のdsRNAをRNAi型のプロセシング機構に曝露させたならば存在すること が予想されるだろうsiRNAサイズのプロセシングされた生成物の相対量を検出して数 量化するために、葉緑体形質転換試料を低分子量(MW)または「小RNA」ノーザン分 析にさらにかけた。実施例4で用いたのと同じRNA抽出物を用いた(不十分な材料しか 残っていなかったので、試料#6および7はこの例のセットで省略された。)。1レーン につきおよそ25μlの各試料+25μlのホルムアミドRNA負荷色素を、17%PA GEゲルに加えた。これは、約18〜42μgの負荷量の推定範囲になった。負荷前に、 150V/40分でPAGEゲルを予備的に流した。負荷すると、150V/約30分+ 200V/約4〜5時間でゲルを流した(色素前線が十分に移動するまで)。相対負荷量 を測定するために、ゲルを臭化エチジウム(EtBr)で染色して、可視化した(図4A )。ゲルをHybond N+(Amersham)に45V/60分で電気的に移し、 試料を膜にUV架橋させた。膜を前ハイブリダイズさせ、42℃でPerfectHyb でハイブリダイズさせた。約50nt断片に分割するために標準の方法によってさらに「 炭酸化」したこと以外は、前に記載したのと同じようにプローブを調製した。膜を1時間 および60時間曝露させたが、2つの時点の間で検出限界の差はなかった(1時間の時点 をここに示す)。

図4Bは、葉緑体形質転換試料のいずれもプローブに特異的である小さいRNA種のい かなる徴候も示さなかったことを示す。しかし、v153核発現対照試料(#17)は、 約19〜24ntの予想サイズ範囲に対応する強力で明らかな生成物を示した。予想通り 、非形質転換N.ベンタミアナ(N. benthamiana)対照は、小さいRNAサイズ範囲内で 特異的結合を示さなかった。RNA量はImageJを用いて数量化し、図4C、負荷量 に標準化した(EtBr画像を用いた)。相対発現レベルは、N.ベンタミアナ(N. ben thamiana)非形質転換対照(1と設定)と比較したバンド強度の標準化変化倍率として計 算した。数量化は、ノーザン像の解釈が、葉緑体試料は小さいRNA種が生成されること の証拠を示さないが、v153核発現対照試料は高レベルの小RNAを保有することを示 すことをさらに確認する。 [実施例6]

作物種の葉緑体形質転換 実質的に本明細書および米国特許出願公開第20080289063号明細書に一般に 記載される通りに、トウモロコシを形質転換する。本明細書およびVerma and Danielle ( 2007) Plant Physiol. 145(4): 1129-1143に一般に記載される通りに、タバコ、ニンジン 、ワタ、ダイズおよび食用の葉菜作物(例えばレタス)の形質転換を実行する。Maliga ( 2014) Chloroplast Biotechnology, Humana Pressで見出されるプロトコールに従って、 イネ、コムギ、ソルガム、ヒマワリ、キャノーラ、サトウダイコンおよびオオムギを形質 転換することができる。植物形質転換の分野の当業者は、作物種に基づいてプロトコール に改変を加えることができる。 [実施例7a]

殺虫活性 トランスジェニックおよび野生型ニコチアナ・ベンタミアナ(Nicotiana benthamiana )の苗の上の新生子オオタバコガ(Helicoverpa armigera)幼虫で実行したバイオアッセ イにおいて、dsRNAを発現する葉緑体を有するトランスプラストーム植物を殺虫活性 について試験した。Helicoverpa幼虫を、人工食餌の卵(民間の昆虫飼育場に よって維持されたコロニーから得た;AgBiTech、Toowoomba、QLD) から孵化させ、孵化の数時間以内に、個々の幼虫を湿らせたラクダヘアブラシで拾い上げ て、プラスチックペトリ皿中の洗浄した6日苗の上に置く(20個体/ペトリ皿)。幼虫 加害苗を含有するペトリ皿を、次にガス交換を可能にするふたで密封した。ペトリ皿を制 御環境条件(28℃、約60%相対湿度、16:8[明:暗])の下に4日間置き、その 後生存幼虫の重量を記録した(図5A)。4日間の給餌期間中、適当な遺伝子型の新鮮な 苗を毎日ペトリ皿に加えた。v206で形質転換させた全4つの独立した系(葉緑体でh pRNAを発現する)では、野生型N.ベンタミアナ(N. benthamiana)苗で飼育したも のと比較して、幼虫は成長速度が有意に低減した(p<0.005 n=7〜13)こと をこのデータは示す。v153で形質転換した2つの系(核/細胞質でhpRNAを発現 する)で飼育した幼虫の成長速度は、wtで飼育したものに対して有意差がなかった(p >0.9;n=4〜7)。 [実施例7b]

殺虫活性 殺虫活性は、限定されずに下記のものを含む、当業者に公知である様々なバイオアッセ イによって測定することができる。鱗翅類の有害昆虫には、限定されずに以下のものが含 まれる:ヘリコベルパ属の種(Helicoverpa sp.)、アグロミザ・パルビコルニス(Agrom yza parvicornis)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、ダイアトレア属の種(Diatraea s p.)、エラスモパルプス・リグノセルス(Elasmopalpus lignosellus)、オストリニア・ ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、スポドプテラ属の種(Spodoptera sp.)、パパイペ マ・ネブリス(Papaipema nebris)、ヘリオチス属の種(Heliothis sp.)、ワタアカミ ムシ(Pectinophora gossypiella)、コナガ(Plutella xylostella)、マメストラ・コ ンフィグラタ(Mamestra configurata)、プセウドプルシア・インクルデンス(Pseudopl usia includens)、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、アンティカルシア・ ゲンマタリス(Anticarsia gemmatalis)、コリアス・エウリテメ(Colias eurytheme) 、アコロイア・グリセラ(Achoroia grisella)、アクレリス・グロベラナ(Acleris glo verana)、アクレリス・バリアナ(Acleris variana)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxo phyes orana)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アルソフィラ・ポメ タリア(Alsophila pometaria)、アミエロイス・トランシテラ(Amyelois transitella )、アナガスタ・クエニエラ(Anagasta kuehniella)、アナルシア・リネアテラ(Anars ia lineatella)、アニソタ・セナトリア(Anisota senatoria)、アンテラエア・ペルニ イ(Antheraea pernyi)、アルチプス属の種(Archips sp.)、アルギロタエニア属の種 (Argyrotaenia sp.)、アテティス・ミンダラ(Athetis mindara)、カイコガ(Bombyx mori)、ブクラトリクス・スルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、スジマダラメイ ガ(Cadra cautella)、コリストネウラ属の種(Choristoneura sp.)、コキルス・ホス ペス(Cochylls hospes)、ガイマイツヅリガ(Corcyra cephalonica)、シディア・ラテ ィフェレアヌス(Cydia latiferreanus)、シディア・ポモネラ(Cydia pomonella)、ダ タナ・インテゲリマ(Datana integerrima)、デンドロリムス・シベリクス(Dendrolimu s sibericus)、デスミア・フェネラリス(Desmia feneralis)、ディアファニア・ヒア リナタ(Diaphania hyalinata)、ディアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis) 、エンノモス・スブシグナリア(Ennomos subsignaria)、エオレウマ・ロフティニ(Eor euma loftini)、エスフェスティア・エルテラ(Esphestia elutella)、エラニス・ティ ラリア(Erannis tilaria)、エスティグメネ・アクレア(Estigmene acrea)、エウリア ・サルブリコラ(Eulia salubricola)、エウポコエリア・アンビグエラ(Eupocoellia a mbiguella)、ブドウホソハマキ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクティス・クリソ レア(Euproctis chrysorrhoea)、エウキソア・メソリア(Euxoa messoria)、ハチノス ツヅリガ(Galleria mellonella)、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、ハリシ ナ・アメリカナ(Harrisina americana)、ヘミレウカ・オリビエ(Hemileuca oliviae) 、ホモエオソマ・エレクテルム(Homoeosoma electellum)、ヒファンティア・クネア(H yphantia cunea)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ラム ディナ・フィセラリア・フィセラリア(Lambdina fiscellaria fiscellaria)、ラムディ ナ・フィセラリア・ルグブロサ(Lambdina fiscellaria lugubrosa)、ヤナギドクガ(Le ucoma salicis)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、ロキソステゲ・スティクテ ィカリス(Loxostege sticticalis)、マイマイガ(Lymantria dispar)、マカラ・チリ サリス(Macalla thyrisalis)、マラコソマ属の種(Malacosoma sp.)、ヨトウガ(Mame stra brassicae)、マンヅカ・キンケマクラタ(Manduca quinquemaculata)、タバコス ズメガ(Manduca sexta)、マルカ・テスツラリス(Maruca testulalis)、メランクラ・ ピクタ(Melanchra picta)、オペロフテラ・ブルマタ(Operophtera brumata)、オルギ ア属の種(Orgyia sp.)、パレアクリタ・ベルナタ(Paleacrita vernata)、パピリオ・ クレスホンテス(Papilio cresphontes)、フリガニディア・カリフォルニカ(Phryganid ia californica)、フィロノリクテル・ブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella )、ピエリス・ナピ(Pieris napi)、モンシロチョウ(Pieris rapae)、プラチノタ・ フロウエンダナ(Platynota flouendana)、プラチノタ・スツルタナ(Platynota stulta na)、プラチプティリア・カルヅイダクチラ(Platyptilia carduidactyla)、ノシメマ ダラメイガ(Plodia interpunctella)、ポンティア・プロトディス(Pontia protodice )、プセウダレティア・ウニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)、サブロデス・アエグ ロタタ(Sabulodes aegrotata)、シズラ・コンシナ(Schizura concinna)、バクガ(Si totroga cerealella)、リンゴシロヒメハマキ(Spilonta ocellana)、タウルンストポ エア・ピチオカンパ(Thaurnstopoea pityocampa)、エンソラ・ビスセリエラ(Ensola b isselliella)、イラクサギンウワバ(Trichoplusia hi)、ウデア・ルビガリス(Udea r ubigalis)、キシロミゲス・クリアイルス(Xylomyges curiails)およびイポノメウタ・ パデラ(Yponomeuta padella)。

人工昆虫食の新生子鱗翅類幼虫で実行したバイオアッセイにおいて、dsRNAを発現 する葉緑体を有するトランスプラストーム植物を殺虫活性について試験する。民間の昆虫 飼育場(Benzon Research Inc.、Carlisle、PA)によっ て維持されたコロニーから得られる卵から、鱗翅類の幼虫を孵化させる。

これらのバイオアッセイは、昆虫バイオアッセイのために特に設計された128ウェル プラスチックトレイ(C−D International、Pitman、NJ)で行 う。各ウェルは、多種鱗翅類食(Southland Products、Lake V illage、AR)を含有する。トランスプラストーム事象からの細断した植物材料を 、食餌に組み込む。

孵化から数時間以内に、個々の幼虫を湿ったラクダヘアブラシで拾い上げ、1ウェルに つき1匹の幼虫を処理食餌の上に置く。次に、寄生させたウェルを、ガス交換をさせるた めにベントのついた透明プラスチックの粘着シート(C−D Internationa l、Pitman、NJ)で密封する。バイオアッセイトレイを制御環境条件(28℃、 約60%相対湿度、16:8[明:暗])の下に5日間置き、その後に、各試料に曝露さ せた昆虫の総数、死んだ昆虫の数および生存昆虫の重量を記録する。死亡率パーセントお よび成長阻害パーセントを、各処理について計算する。成長阻害(GI)は以下の通りに 計算する: GI=[1−(TWIT/TNIT)/(TWIBC/TNIBC)] 式中、TWITは、処理での昆虫の総重量であり、 TNITは、処理での昆虫の総数であり、 TWIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)での昆虫の総重量であり、 TNIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)での昆虫の総数である。

GI50(成長阻害)は、試験昆虫の平均成長(例えば、生重量)がバックグラウンド チェック試料で見られる平均値の50%である投薬量と規定される。JMP(商標)ソフ トウェア(SAS、Cary、NC)を用いて、統計分析を行う。LC50(致死濃度) は、試験昆虫の50%が死滅する投薬量と規定される。

一部の種については、バイオアッセイは32ウェル試験トレイで実行される。およそ5 mLの2%素寒天溶液を各ウェルに加え、寒天を完全に凝固させる。

植物はおよそ3週間経たものであり、T1世代で試験する。3反復のT1葉材料を完成 する。1枚の葉を切断し(2.54cm×1.27cmの長方形)、トレイの単一のウェ ルに置く。各ウェルに、10匹の個々の昆虫幼虫を寄生させる。

寄生させたウェルを、ガス交換をさせるためにベントのついた透明プラスチックの粘着 シート(C−D International、Pitman、NJ)で密封する。トレ イをconvironインキュベーターに置き、3日間28℃に維持し(16:8時間 明:暗、60%Rh)、その後、各葉片への害の合計量(0、5、10、15、25、5 0、75%の害など、最高100%)を記録する。 [実施例8]

トランスジェニック植物のバイオアッセイ。 トランスプラストーム植物細胞で生成されるdsRNAの生物活性は、当業者に公知で ある方法によって実証される(例えば、Huang et al., 2006 Econ. Entomol. 99: 194-20 2を参照する)。有効性は、dsRNAを生成する植物に由来する様々な植物組織または 組織片を、制御された給餌環境中の標的昆虫に給餌することによって実証することができ る。あるいは、dsRNAを生成する植物に由来する様々な植物組織からdsRNA抽出 物を調製し、本明細書で前に記載した人工食バイオアッセイに組み込むことができる。そ のような給餌アッセイの結果は、dsRNAを生成しない宿主植物からの適当な対照組織 を採用する、同じように実行したバイオアッセイと、または他の対照試料と比較するべき であることを理解すべきである。

植物において構築物からもたらされる様々な事象の生物学的活性を、鱗翅類昆虫の摂食 活動によって引き起こされる葉への害の阻止について試験する。

V5(トウモロコシの場合)T0トランスジェニック植物のV3またはV4葉から、1 .0×0.5インチの四角葉片を2反復でとる。各試験のために、葉端での相互汚染を防 止するために先ず野生型植物葉組織を採取し、続いて形質転換植物から採取する。各バイ オアッセイトレイウェル(32ウェルトレイおよびふた、CD Internation al、Pitman、NJ)で、1枚の葉片を2%素寒天(Fisher Scient ific、Fair Lawn、NJ)に置き、これを昆虫種、事象および構築物につき 2回繰り返す。各ウェルに10匹の鱗翅類新生子を寄生させ、空気交換を可能にするプラ スチック製の有孔ふたで密封する。トレイを28℃に置き(16:8時間の明:暗、40 %Rh)、3日後に、それらを葉の害のパーセントについてグレード分けする。JMP( 商標)Pro9.0.1(2010 SAS Institute Inc.、Cary 、NC)を用いることによって、葉の害のパーセントデータはANOVAで、分散が均一 であるときには平均分離をチューキー−クレイマー検定で分析する。

高效检索全球专利

专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

申请试用

分析报告

专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

申请试用

QQ群二维码
意见反馈