加齢黄斑変性の処置

申请号 JP2015551090 申请日 2014-01-08 公开(公告)号 JP2016507514A 公开(公告)日 2016-03-10
申请人 ベニテック バイオファーマ リミテッド; ベニテック バイオファーマ リミテッド; 发明人 スーイ,デイビッド; マオ,ティン; カオ,シー−チュ;
摘要 本発明は、加齢黄斑変性を処置するためのRNA干渉(RNAi)薬およびそのRNAi薬の使用、さらには、本発明のRNAi薬を含有する医薬組成物を対象とする。このRNAi薬は、細胞中(in vivo中を含む)でその薬剤を発現するための発現カセットまたはコンストラクトと共に、AMD関連遺伝子の発現を阻害、防止、または低減するためのDNA 指向性 RNA干渉(ddRNAi)薬(RNA分子である)である。好ましくは、このAMD関連遺伝子は、滲出型AMDに関係するものである。
权利要求

AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列、 を含み、その際、前記エフェクター配列が、前記1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である前記ddRNAi薬。第2のエフェクター配列および第2のエフェクター相補配列を含む、請求項1に記載のddRNAi薬。5’から3’方向で、 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列、 第2のエフェクター相補配列;および 第1のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、前記1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である、請求項2に記載のddRNAi薬。5’から3’方向で、 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列;および 第2のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、前記1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である、請求項2に記載のddRNAi薬。前記AMD関連遺伝子が、VEGF−A、VEGFR2、PDGFR−β、およびCFBの1つまたは複数から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記ターゲット配列が、配列番号1〜39のいずれか1つからの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記AMD関連遺伝子がVEGF−Aであり、かつ各エフェクター配列が配列番号40〜49から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記AMD関連遺伝子がVEGFR2であり、かつ各エフェクター配列が配列番号50〜59から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記AMD関連遺伝子がPDGFR−βであり、かつ各エフェクター配列が配列番号60〜69から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記AMD関連遺伝子がCFBであり、かつ各エフェクター配列が配列番号70〜78から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のddRNAi薬。miRNA構造内で発現される、請求項1から10のいずれか一項に記載のddRNAi薬。前記AMDが滲出型AMDである、請求項1から11のいずれか一項に記載のddRNAi薬。請求項1から12のいずれか一項に記載のddRNAi薬を発現するためのddRNAi発現カセットであって、 (不特定の順序で) 1つまたは複数のプロモーター配列、 1つまたは複数のエフェクター配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列; および場合により、 1つまたは複数のターミネーター配列、 ループ配列、スペーサー配列、またはその両方をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエンハンサー配列 を含む前記ddRNAi発現カセット。miRNAエンコーディング(ME)配列をさらに含む、ddRNAi発現カセット。請求項13または14に記載のddRNAi発現カセットを含むddRNAi発現コンストラクト。ウイルス送達コンストラクトである、請求項15に記載のddRNAi発現コンストラクト。治療有効量の、請求項15または16に記載のddRNAi発現コンストラクトを投与することを含む、対象におけるAMDを処置する方法。前記AMDが滲出型AMDである、請求項17に記載の方法。治療有効量の、請求項15または16に記載のddRNAi発現コンストラクトを投与することを含む、対象における脈絡膜血管新生を処置する方法。治療有効量の、請求項15または16に記載のddRNAi発現コンストラクトを投与することを含む、対象におけるドルーゼン沈着物を低減する方法。前記ddRNAi発現コンストラクトを硝子体内注射により前記対象の眼に投与する、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。請求項15または16に記載のddRNAi発現コンストラクトと、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。

说明书全文

本発明の分野 本発明は、加齢黄斑変性を処置するためのRNA干渉(RNAi)薬およびそのRNAi薬の使用、さらには、本発明のRNAi薬を含有する医薬組成物を対象とする。

本発明の背景 加齢黄斑変性(AMD)は、米国および他の多くの先進国における不可逆的な視低下の主な原因である。「乾燥型」AMDが黄斑変性の最も一般的な種類であり、その状態の人々のうちの90%が罹患している。この乾燥型は、眼に入った光を感受する網膜の特殊構造領域である黄斑内にドルーゼンが形成することにより特徴づけられる。典型的には、ドルーゼンは、網膜色素上皮(RPE)細胞下に形成され、その存在は、光受容細胞を支持するRPE層の破壊または薄化により、光受容体の萎縮につながると考えられている。また、網膜内にドルーゼンが存在し続けることは、持続性の炎症反応につながり、また、滲出型AMDに最終的につながり得る二次応答のカスケードをもたらすと考えられている。

AMDの「滲出型」は、多くの場合に脈絡膜血管新生(CNV)と称されるプロセスにおける網膜の後ろに位置する血管系からの血管の異常な増殖により特徴づけられる。乾燥型のように優勢ではないものの、滲出型はより急速に発症し、また、より深刻な表現型であり、多くの場合に、視野の大部分の縮小をもたらす。

滲出型AMDのための現行の標準治療は、細胞から分泌され、発生期血管の形成または成長を引き起こすことが公知の分子成分である血管内皮成長因子−A(VEGF−A)に対して強い親和性を有するモノクローナル抗体断片であるラニビズマブ(RAN)である。RANは、VEGF−Aに結合して、その生物学的活性を阻害し、それにより、内皮細胞の表面上でのVEGF−Aとその受容体(VEGFR1およびVEGFR2)との相互作用を防止する。その結果、内皮細胞増殖の低減、血管漏出の低下、およびCNVに特徴的な新たな血管形成の低減が生じる。

しかしながら、RANの眼内半減期は、硝子体内注射後9日間に過ぎず、したがって、血管増殖の抑制を有効に維持するためには、治療量を患者に毎月投与しなければならない。視力の安定化という点では患者の約95%において有用であるが、視力の改善は、患者の29%〜40%において認められたにすぎない。RANは、分泌されたVEGF−Aを拭き取る分子スポンジとして作用する。このプロセスにおける非効率性が、多くの患者において視力が安定化されるだけで改善しない理由の1つであり得る。言い換えると、これは、症状は治療するが、原因は治療しない。

既存のモノクローナル抗体による滲出型AMD治療の主な欠点は、頻繁で連続的な処置を必要とすること、典型的には眼への毎月の注射を必要とすることである。人口が急速に高齢化していることと、対応して、この治療の適用である硝子体内注射の投与に適任な臨床家の人数が少ないことを考え合わせると、これは、多大な負担を医療制度に課している。したがって明らかに、より長期の持続的処置および/または症状を反転させ得る処置が必要とされている。滲出型AMDのための代替処置も、その投与頻度、さらにはその副作用または不十分な有効性の結果として、同様に不十分である。

治験を開始するさらに新しい薬物の1つが、VEGFR−1受容体の第2結合ドメインおよびVEGFR2受容体1の第3ドメインを組み込んでいるVEGF Trap Eye(VTE)のものである。これらの細胞外タンパク質配列をヒトIgGバックボーンのFcセグメントに融合させることにより、開発者らは、非常に高いVEGF結合親和性を有するキメラタンパク質を作成している(Stewart MW. Br J Ophthalmol(2012). doi:10.1136/bjophthalmol−2011−300654)。VEGF−Aファミリーのすべての異性体に結合するだけでなく、これは、VEGF−Bおよび胎盤成長因子にも結合する。

しかしながら、このキメラタンパク質が依然として、相対的に短期の半減期を有するという事実により、VTEは依然として、2カ月毎に定期的に投与しなければならない。

AAV2−sFLT01は、ヒトIgG1Fcにカップリングした改変可溶性Flt1受容体を発現する遺伝子治療用ベクターである。高親和性VEGF結合タンパク質として、AAV2−sFLT01は、硝子体内注射による滲出型AMDの処置では、VEGFの血管新生促進活性を中和するように機能する(Wasworthら、Molecular Therapy vol. 19 no. 2 Feb. 2011; 326〜334)。AAVベクターの使用は、1回の注射から数か月または数年にさえわたって持続する長期の発現を保証すると予測される。しかしながら、sFLT01およびIgG1重鎖Fc融合タンパク質を収容するためには、一本鎖AAVを使用しなければならず、これは、効率的な導入のために高品質のベクターを必要とし、したがって、ウイルスカプシドタンパク質に対する免疫応答のリスクを増大させる。さらに、有病率の高い正常な成人集団が、AAVの血清型2変異体に暴露されていて、これに対して既存の免疫を有していることもある。

分子PF−04523655は、低酸素誘導遺伝子RTP801の発現を阻害する19ヌクレオチドsiRNAである(Nguyenら、Ophthalmology. 2012 Sep;119(9):1867〜73)。今日までに行われた臨床研究において、これは、血管新生および血管漏出を防ぐが、VEGFとは異なる経路により防ぐことが見出されている。siRNAは、眼内に数週間にわたってしか残存しないことが実証されており、このことは、他の既存の治療および開発中の治療の多くと同様に、患者が、処置のために定期的な硝子体内注射を必要とするであろうことを意味する。多くの処置でそのようにすることができなければ、視力の連続的な低下および変性の進行が生じている。

より一般に、滲出型AMDを処置および管理するための先行するsiRNAベースの手法は失敗している。当初の前臨床的実験結果は励みとなるものであったが、後に、これらの分子の作用機序は、配列特異的RNAiベースの機序によるものではなく、むしろ、siRNAとToll様受容体TLR3との相互作用により媒介される非特異的インターフェロン応答の誘導によるものであることが実証された(Kleinmannら、2008)。Toll様受容体は、先天免疫系において鍵となる役割を果たす膜貫通タンパク質である。細胞表面上またはエンドソームなどの細胞内ベシクル上に多くの場合に位置するので、このファミリーの一部のファミリーメンバーは、内在細胞中に通常は存在しない二本鎖RNAを外来物質として認識し、分子応答カスケードの引き金を引く。これは、インターフェロンの活性化をもたらし、そのインターフェロンの活性化は、マウスモデルにおいて一過性の治療効果を有する。しかしながら、インターフェロンは、ヒトにおいてはかなり低い有効性を有し、これは、ヒト治験におけるこの処置の不十分な有効性が説明している。

Retinostatは、両方とも眼コンパートメント内に天然に存在する血管形成阻害物質であるアンジオスタチンおよびエンドスタチンを発現する、ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV)をベースとしたレンチウイルスベクターである。エンドスタチンは、VEGFシグナル伝達を遮断し、血管透過性を低減させ、低下細胞マトリックス接着を低下させ、かつ内皮細胞アポトーシスを促進する。アンジオスタチンは、内皮細胞増殖および遊走を防止する。その遺伝子は、網膜下注射により送達され、新たな血管の形成を阻害する。しかしながら、網膜下送達は、集中的な外科手術を必要とし、これは、硝子体内への送達とは異なり、外来患者の処置または地元の医師での処置に適さない。

AMD治療学、特に滲出型AMDの分野において、開発活動が盛んであるにも関わらず、副作用、処置様式、およびその頻度に関しても患者に優しい、より有効な治療を創製する必要が依然として存在する。本発明は、個体における滲出型AMDを管理および処置するためのRNA干渉(RNAi)薬およびそのRNAi薬の使用を対象とする。

RNAi経路は、 1441584294895_0 (dsRNA)分子を、約20〜25のヌクレオチドの短い断片(一般に、siRNAと称される)に切断する酵素 1441584294895_1 により開始される。次いで、ガイド鎖または活性鎖として公知の各断片の2本の鎖のうちの1本は、アルゴノートタンパク質ファミリーのメンバーへの結合により、 1441584294895_2 (RISC)に取り込まれる。RISCへの組み込みの後に、ガイド鎖は、そのターゲットmRNAと塩基対形成し、翻訳の阻害(翻訳機構の失速により)および/またはmRNAの切断の誘導のいずれかにより、ターゲットを阻害し、それにより、ターゲットが翻訳テンプレートとして使用されることを防ぐと考えられる。

ダイサーにより産生される断片は二本鎖であるが、ガイド鎖のみが、遺伝子サイレンシングを指示する。アンチガイド鎖(一般に、パッセンジャー鎖およびキャリア鎖、または*鎖と称される)は往々にして、RISC活性化の間に分解される(Gregory Rら、2005)。RISCアセンブリは、dsRNAダイサー産物のいずれの鎖をRISCに負荷するかを選択する酵素により管理されると考えられる。この鎖は通常、その5’末端がその補足物とあまり緊密に対形成されていない鎖である。また、5’位には、一部のアルゴノートタンパク質への結合を促進するために、Aについての明確なバイアスおよびより低い程度でUについてのバイアスが存在するようである(Schwarz DSら、2003; Frank F et al.、2010)。

本発明は、この分野におけるRNAi治療が直面する先行する困難を克服しつつ、上記ですでに検討したとおりの他の治療に随伴する問題の克服に努めるものである。

本明細書におけるいずれの従来技術に対する参照も、この従来技術がオーストラリアまたはいずれの他の管轄における一般共通知識の一部を形成しているか、またはこの従来技術が、当業者により、容易に確認され、理解され、関連するとみなされると予測され得るであろうとの承認もしくは何らかの形の示唆ではなく、また、そのように解釈されるべきではない。

発明の概要 AMD、特に滲出型AMDのための長期治療が、いまだ叶えられることなく必要とされている。本発明者らは、特定のRNAiコンストラクトが、AMDの発生に関連する遺伝子(まとめて「AMD関連遺伝子」と称される)の発現をダウンレギュレートする能力を有することを発見した。次いで、これは、AMDおよび随伴する視力低下の進行を減速させ、一部の場合には、視力の改善をもたらすことができる。これらのターゲット配列の長期抑制を達成するために、非侵襲性の手法でRNAi薬をターゲット細胞へと向かわせるベクター送達ビヒクルの使用と一緒に、RNAi技術を利用することにより、この必要に応えることができ、また、患者に簡便で優しい手法で応えることができる。さらに、DNA指向性RNAi(ddRNAi)コンストラクトから発現されるRNA薬は核で産生され、細胞表面上、またはエンドソームコンパートメント(endomal compartment)内のいずれのToll様受容体とも相互作用しないので、ddRNAi薬は、TLRによりインターフェロン応答を活性化させることなく、産生され得る。

本発明の一態様では、AMD関連遺伝子、好ましくは、滲出型AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬(RNA分子である)、および細胞(in vivoを含む)中でこの薬剤を発現するための発現カセットまたはコンストラクトであって、この薬剤は、 ・少なくとも17のヌクレオチドのエフェクター配列(以下でさらに説明)、および ・エフェクター相補配列を含み、その際、このエフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して相補的か、または実質的に相補的であるDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬、および細胞中でこの薬剤を発現するための発現カセットまたはコンストラクトを提供する。

ターゲット領域は、配列番号1〜39のいずれか1つまたは複数から選択されるターゲット配列の転写産物内の任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択することができる。エフェクター相補配列は、二本鎖RNAセグメントを形成するようにアニールする傾向を有するように、エフェクター配列に対して実質的に相補的である。

エフェクター配列は、ターゲット遺伝子のターゲット配列の転写産物内のターゲット領域を対象とする。したがって、エフェクター配列は、ターゲット領域を含有するターゲット遺伝子からの転写産物に対して、配列において実質的に相補的であることによって(「実質的な相補性」は以下で定義するとおり)、ターゲット領域に対して「指向性」である。したがって、エフェクター配列を含有する二本鎖部分を有するddRNAi薬などのRNAi薬は、ターゲット領域を含有するターゲット遺伝子配列により、「ターゲット遺伝子配列の発現を阻害する」ことができる。したがって、AMD関連遺伝子を有する細胞内で、エフェクターの配列(「エフェクター」は以下で定義するとおり)が、ターゲット遺伝子の(少なくとも)mRNAターゲット配列の領域に対して実質的に相補的であるので、RNAi薬は、ターゲット遺伝子配列の発現を阻害することができる。これは、次の無作為の仮定的な短い配列を考えることで例示することができる: 5’GGCATTGCG3’ ターゲット配列内のターゲット領域 5’GGCAUUGCG3’ ターゲット配列の転写産物 3’GUAACG5’ ターゲット配列の転写産物中のターゲット領域に対して実質的に相補的なエフェクター配列。

典型的には、ターゲット領域は、サイレンシングされるか、またはその発現が(転写または翻訳のレベルで)低減、阻害、もしくは防止されることが意図されている遺伝子のmRNA内の核酸配列の領域である。

上記の例示的な比較で示すことができるように、エフェクター配列とエフェクター相補配列との間の「実質的な相補性」は、100%相補性であってよい。しかしながら、以下でより詳細に説明され、さらに定義されるとおり、実質的な相補性は、80%〜100%相補的であってよい。したがって、例えば、20のヌクレオチドの長さを有するエフェクター配列では、20のヌクレオチドのうちの17のヌクレオチドが相補的である、すなわち、85%相補性であれば、そのエフェクター配列は、エフェクター相補配列に対して実質的に相補的である。さらに通常は、二本鎖セグメントの一端が、shRNAと称される「ヘアピン」形状の構造を形成するように、ループ配列により連結されている。そのようなRNA配列をコードするDNAは、ループをコードするスタッファーまたはスペーサー配列により中断される、エフェクター配列に転写されるターゲット遺伝子の領域の中断される繰り返しを含有するので、これは「中断逆転繰り返し「interrupted inverted repeat」構造としても公知である。

上記のパラグラフにおいて記載した実質的に相補的のコンセプトは、エフェクター配列とターゲット配列との実質的な相補性にも等しく当てはまり、この際、実質的な相補性は、80%〜100%相補性であってよい。すなわち、ターゲット配列内のターゲット領域が20ヌクレオチド長であり、かつエフェクター配列が20ヌクレオチド長である場合に、エフェクター配列は、ターゲットと相補的な例えば、16、17、18、または20のヌクレオチドを有すればよく、これは、それぞれ80%、85%、90%、および100%相補性に等しい。

いずれの場合においても、実質的な相補性は、全数に至るまで等しくなくてもよいことは分かるであろう。例えば、22のヌクレオチドの配列に対する少なくとも85%相補性は18.7のヌクレオチドであり、したがって、22のうちの19が相補的であることが有効な要件となる。

別法では、80〜100%相補性の実質的な相補性(エフェクターとターゲットとの間、およびエフェクターとその相補部との間の実質的な相補性の両方の内容において)は、G−C/A−U塩基対形成しないヌクレオチドの数に関して記載することができる(下記で記載するとおりのウォッブル対を除く)。ヌクレオチド配列全体にわたる少なくとも80%相補性で考慮すると、2つのRNAの間の相補的領域内に、他の鎖上のヌクレオチドと相互に相補的ではない1、2、3、4、または5つのヌクレオチドが存在してよい。塩基対形成しない1、2、3、4、または5つのヌクレオチドが存在してよいかどうかは、関連配列の長さに依存する。例えば、エフェクター配列が17ヌクレオチド長である場合、これは、71%相補性に等しいにすぎないので、塩基対形成しないヌクレオチドを5つ有することはできない。17ヌクレオチド配列では、少なくとも80%相補性では、17のヌクレオチドのうちの14の間で相補性が存在しなければならない。

本発明の好ましい一実施形態では、エフェクター配列およびその相補部により形成される二本鎖領域は、内因性RNAiプロセシング経路のための天然基質である内在miRNAの構造と同様のマイクロRNA(miRNA)構造の一部として発現される。ddRNAiコンストラクトから発現される二本鎖RNAのプロセシングは、不正確であり得、毒性をもたらし得る。McBrideら(2008)は、内在miRNAの塩基およびループから配列を発現する「人工miRNA」コンストラクトを設計し、miRバックボーンから発現されたshRNAのより正確なプロセシングがコンストラクトからの毒性の低減をもたらすことを示唆した。Wuら(2011)は、ことによると、内在miRNAに対するそれらのより大きな構造上の類似により、二重鎖のミスマッチ(パッセンジャー鎖中にミスマッチを含有)は時には、サイレンシング活性の増大を示すことを示した。

本発明の一態様では、AMD関連遺伝子、好ましくは、滲出型AMD関連遺伝子の発現を阻害、防止、または低減するためのddRNAi薬、および細胞においてその薬剤を発現するための発現カセットであって、その薬剤が、 ターゲット領域の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して相補的または実質的に相補的な少なくとも17ヌクレオチド長のエフェクター配列、およびエフェクター相補配列 を含み、その際、そのエフェクター配列およびそのエフェクター相補配列が、miRNA構造内で発現されるddRNAi薬、および細胞においてその薬剤を発現するための発現カセットを提供する。ターゲット領域は、配列番号1〜39のいずれか1つまたは複数から選択される配列の転写産物内の任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択することができる。

本発明の一部の形態では、この薬剤は、1つを超えるエフェクター配列を有する。複数のエフェクターは、滲出型AMD関連遺伝子の同じ領域(典型的には、同じ領域の変異体)、滲出型AMD関連遺伝子の異なる領域、1つより多い滲出型AMD関連遺伝子、または上記のすべての組み合わせをターゲティングし得る。

ddRNAi薬などのRNAi薬は、2つまたは3つ以上のエフェクター配列を含有してよい。上記で説明したとおり、ddRNAi薬は、各エフェクター配列についてのエフェクター相補配列を含み、したがって、複数のエフェクター−エフェクター相補部対を形成する(すなわち、第1のエフェクター−第1のエフェクター相補部対、第2のエフェクター−第2のエフェクター相補部対など)。これらの対は、それぞれの対のアニールが可能であるようにRNAi薬が折り重なり得る限り、必ずではないが、互いに連続していてよい。様々な他の考察が、RNAi薬の長さに沿ったエフェクターおよびエフェクター相補部のいろいろな順序を示唆している。加えて、当業者であれば理解するであろうとおり、また、図面において図示しているとおり、任意の個別のエフェクター配列が、その薬剤中のその相補部と位置交換されていてよい。重要な特徴は、以下の様々な実施形態において例示するとおり、エフェクター配列が、その相補部とアニールして、二本鎖領域を形成し得ることである。例えば: ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;第3のエフェクター配列;第3のエフェクター相補配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター;第1のエフェクター相補配列;第2のエフェクター配列;および第2のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第1のエフェクター相補配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;第3のエフェクター配列;および第3のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第1のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドの配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および第2のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第1のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および第2のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬; ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第1のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第3のエフェクター配列;および第3のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬。

非自己相補的ヌクレオチドは、エフェクターとその相補部との間にある場合にはループ配列として、また、あるエフェクター配列の相補部と次のエフェクター配列との間に位置する場合には、スペーサー配列として作用する。これらの実施形態のそれぞれでは、エフェクター配列およびその相補部、さらには、2〜100の非自己相補的ヌクレオチドの配列などの任意の追加の配列は、miRNA構造内で、またはその一部において発現される。

上記実施形態のそれぞれの特定の形態では、各エフェクター配列は、少なくとも17ヌクレオチド長、好ましくは17〜30ヌクレオチド長、より好ましくは17〜21ヌクレオチド長であり、配列番号40〜78のいずれか1つからの配列からの任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。エフェクター配列はすべて同じであっても、またはすべて異なっても、または組み合わせ、例えば、配列番号47の少なくとも10の連続するヌクレオチドの2つのエフェクター配列と、配列番号56の少なくとも10の連続するヌクレオチドの1つのエフェクター配列との組み合わせであってもよい。

好ましくは、エフェクター配列は、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの任意の連続する11、12、13、14、15、または16のヌクレオチド、好ましくは、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの17以上の連続するヌクレオチド、最も好ましくは、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの17〜21の連続するヌクレオチドからなる群から選択される。典型的には、エフェクター相補部は、その対応するエフェクター配列と同じ長さ、またはほぼ同じ長さ(すなわち、±15%ヌクレオチド長、または全長に応じて±1〜3のヌクレオチド)であろう。

特定の実施形態では、ddRNAi薬のエフェクター配列は、配列番号40〜78(40および78を含む)のいずれか1つからなる群から選択されるヌクレオチド配列からなるか、または主にそれからなる。これらの実施形態では、ddRNAi薬の配列番号40〜78、さらには、追加のヌクレオチドまたは他の化学的改変は、下記のアッセイに従って決定することができるとおり、ターゲット遺伝子の発現を阻害、低減、または防止するための活性を示す限り、配列番号40〜78「から本質的になる」であろう。同様に、RNAi薬は、下記のアッセイに従って決定することができるとおり、ターゲット遺伝子の発現を阻害、低減、または防止するための活性を示す限り、対応する配列番号よりも短いが、配列番号40〜78の1つ「から本質的になる」。

代替実施形態では、dsRNAは、アニールされて二重鎖を形成している2つの別々のRNA鎖からなる。次いで、この二重鎖は、miRNAバックボーンに埋め込まれてよい。

ddRNAi薬は、任意の適切なベクターまたはddRNAiコンストラクトに挿入されたDNA発現カセットから発現されてよい。したがって、本発明の態様では、 (不特定の順序で) ・1つまたは複数のプロモーター配列、 ・1つまたは複数のエフェクター配列をコードする1つまたは複数のDNA配列(好ましくは配列番号40〜78のいずれか1つからの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドをコードするDNA配列)、 ・1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 ならびに場合により、 ・1つまたは複数のターミネーター配列、 ・スペーサー配列、ループ配列、またはその両方をコードする1つまたは複数のDNA配列;および ・1つまたは複数のエンハンサー配列 を含むddRNAi発現カセットを提供する。

一部の実施形態では、複数のエフェクター配列を有するddRNAi薬が産生されるように、1つのプロモーターが、複数のエフェクターコード領域に機能的に連結されている。各エフェクターコード領域が、それ自身のプロモーターに機能的に連結されている代替実施形態では、複数のddRNAi薬が、単一の発現カセットから産生される。複数のプロモーターが存在するコンストラクトでは、これらは、すべて同じでも、または異なってもよい。好ましいプロモーターは、U6およびH1などのpol IIIプロモーター;RPE細胞特異的プロモーターRPE−65(Boyeら2012)およびVMD2(Zhuら、2010)などのpol IIプロモーターであり、脈絡膜内皮特異的プロモーターFLT−1またはICAM2も、ddRNAiコンストラクトの発現を駆動するために使用することができる。

エフェクター配列およびその相補部が、miRNA構造内で発現される実施形態では、ddRNAi発現カセットは追加で、本明細書においてmiRNAコード(ME)配列と称されるmiRNA構造をコードする配列を含む。ME配列はまた、ループ配列をコードすることができる。

また、ddRNAi発現カセットが発現のために挿入されているddRNAi発現コンストラクトを提供する。加えて、コンストラクトのベクターバックボーンが送達システムと適合性である場合には、ddRNAi発現コンストラクトはまた、送達コンストラクトである。特に好ましい送達コンストラクトは、硝子体内への注射の後にddRNAi発現カセットを網膜深部の適切な細胞に送達することを可能にする改変アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターなどのウイルスベクターである(Petrs−Silvaら、2011)。細胞内から治療用ddRNAi薬を産生する発現コンストラクトを送達するために改変AAVを使用することで、表面発現されるtoll様受容体3との核酸の直接的な相互作用に起因することが多いインターフェロン応答が回避される。これは、治験におけるsiRNAベースの眼薬のいくつかの失敗の理由であると仮定される。

したがって、この実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのddRNAi薬を発現するためのddRNAi発現カセットを含むddRNAi発現コンストラクトであって、この発現カセットが、 (不特定の順序で) 1つまたは複数のプロモーター配列、 1つまたは複数のエフェクター配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 ならびに場合により、 1つまたは複数のターミネーター配列、 ループ配列、スペーサー配列、またはその両方をコードする1つまたは複数のDNA配列;および 1つまたは複数のエンハンサー配列 を含み、その際、そのコンストラクトがウイルスベクター送達ビヒクルであるddRNAi発現コンストラクトを提供する。

好ましくは、発現カセットは、ddRNAi薬がmiRNA構造の一部として、またはその中で発現されるように、ME配列をさらに含む。

一実施形態では、ウイルスベクター送達コンストラクトの発現カセットは、AMD関連遺伝子VEGF−A(配列番号47)の5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列をコードする1つのDNA配列を含む。

さらなる一実施形態では、ウイルスベクター送達コンストラクトの発現カセットは、AMD関連遺伝子VEGRF−2(配列番号56)の5’ UGUAACAGAUGAGAUGCUCCA 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列およびAMD関連遺伝子VEGFA(配列番号47)の5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列をコードする2つのDNA配列を含む。

また別の代替実施形態では、ウイルスベクター送達コンストラクトの発現カセットは、AMD関連遺伝子VEGRF−2(配列番号52)の5’ AAGUAGCCAGAAGAAGAACAUGGC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列;AMD関連遺伝子CFB(配列番号78)の5’ UUAUAGAAAACCCAAAUCCUC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列;およびAMD関連遺伝子PDGFR−β(配列番号63)の5’ UAGCUGAAGCCCACGAGGUCC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第3のエフェクター配列をコードする3つのDNA配列を含む。

本発明はまた、配列番号40〜78のいずれか1つからの配列のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも17ヌクレオチド長の配列およびその配列が共に二重鎖を形成する配列相補部を含み、滲出型AMD関連遺伝子の発現を阻害することができるsiRNA薬を提供する。

一部の実施形態では、対象においてAMD関連遺伝子によりコードされるmRNAまたはポリペプチドの発現を阻害する方法であって、対象に、配列番号40〜78および配列番号40〜78とは1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なる配列のいずれか1つからなる群から選択されるヌクレオチド配列から主になるか、またはそれからなるddRNAi薬を含む本発明の組成物を投与することを含む方法を提供する。このddRNAi薬を発現するためのddRNAi発現カセットまたはddRNAi発現コンストラクトも投与することができる。

別の実施形態では、本発明は、対象におけるAMD、好ましくは、滲出型AMDを処置するか、または網膜内での不適切な血管新生に起因する他の疾患を処置するための組成物であって、活性成分として、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを含む組成物を提供する。

別の実施形態では、本発明は、主な成分として、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを有効量で含む医薬組成物を提供する。。この組成物は、例えば、対象におけるAMD、好ましくは、滲出型AMDを処置するか、または網膜内での不適切な血管新生に起因する他の疾患を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、この組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む。

別の実施形態では、本発明は、対象におけるAMD、好ましくは、滲出型AMDを処置するか、または網膜内での不適切な血管新生に起因する他の疾患を処置するための組成物であって、活性成分として、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを含む組成物を提供する。

別の実施形態では、本発明は、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための組成物であって、対象における滲出型AMDの処置において使用するために本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを含む組成物を提供する。一部の実施形態では、組成物は、薬学的に許容される担体または希釈剤をさらに含む。

別の実施形態では、本発明は、対象におけるAMDを処置するための医薬品の調製における、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するためのddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを提供する。好ましくは、この医薬品は、滲出型AMDのためのものである。

別の実施形態では、本発明は、場合により、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に、主な成分として、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを有効量で含むAMD処置用組成物を提供する。

本発明は、また、対象における網膜内での不適切な血管新生に起因する疾患を処置するか、またはその進行を遅延させるための方法であって、対象に、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクト、または組成物を投与し、それにより、AMDの重症度を低減することを含む方法を提供する。

また、本発明のさらなる態様は、対象におけるAMD、好ましくは、滲出型AMDの進行を低減するための方法であって、対象に、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクト、または組成物を投与し、それにより、AMDの重症度を低減することを含む方法を提供する。

本発明の方法ではそれぞれ、本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクト、または組成物を、好ましくは、硝子体内注射または網膜下注射により、対象の眼に送達する。

さらなる一態様では、本発明は、(a)本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクト、または組成物、および(b)薬学的に許容される担体または希釈剤を含むキットを提供する。

ある種の実施形態では、本発明のRNAi薬または医薬組成物を、RNAi薬または医薬組成物を保持するための容器を含む使い捨てか、または再利用可能なデバイスの形態で提供することができる。一実施形態では、このデバイスは、シリンジ、好ましくは、硝子体内注射または網膜下注射に適したシリンジである。RNAi薬または医薬組成物は、すぐに使用できる状態か、またはさらなる成分の混合もしくは添加を必要とする状態のデバイスで提供することができる。

本発明は、ヒトに適用されるが、本発明は、獣医学の目的のためにも有用である。本発明は、ウシ、ヒツジ、ウマ、および家禽などの家畜;ネコおよびイヌなどのコンパニオン動物;ならびに動物園の動物におけるAMDまたは不適切な血管新生に起因する他の疾患の処置に有用である。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

本発明のddRNAi薬の構造の一部を示す。

pSilencer(Invitrogen)のマップである。この発現カセットは、ヒトU6プロモーター(黒色の矢印)を含有し、BamH I/Hind III断片としてこのベクターにクローニングされたshRNA配列を発現するように設計された。

AMD関連遺伝子をサイレンシングするために設計されたBamH I/Hind III shRNA断片の配置図を示す一般化マップである。BamHi/Hind III制限部位の位置が示されており、白色の矢印は、miR30aの5’ステムからの配列、mir30aのループに由来する配列、およびmiR30aの3’ステムを示している。灰色の矢印は、予測されるパッセンジャー鎖を表し、黒色の矢印は、予測されるガイド鎖を表す。予測されるガイド鎖および予測されるパッセンジャー鎖の相対位置は、互換可能であってよい。黒色の線は、pol III停止シグナルを示す。

VEGF−Aを有効にサイレンシングするmiR−8断片のDNA配列であり、これは、配列番号98に対応する。小文字は、制限部位、mir30a関連配列、およびpol IIIターミネーター配列を示す。下線を付された配列は、ヒトmiR30a前駆体RNAの塩基(5’および3’の両方)に由来し、イタリック体の配列は、miR30aのループ配列に由来する。大文字の配列は、予測されるパッセンジャー鎖配列を示し、太字で大文字の配列は、予測されるエフェクター配列(配列番号47)を示す。

M−foldプログラムを使用して決定されたmiR−8の予測されるRNA二次構造を示す図であり(配列番号147)、予測されるダイサーおよびDroshaプロセシング部位が矢印により示されている。

pGL3−VEGFA−センスレポーターのマップである。このプラスミドは、SV40プロモーター(灰色の矢印)および真核転写ターミネーターにより駆動されるホタルルシフェラーゼ(Fluc

+)をコードする。親プラスミド(pGL3;Promega)の3’UTRに存在するXba IおよびFse I制限部位を使用して、VEGF−A遺伝子の非コード鎖の一部を、FLuc+転写ユニットの3’UTRに挿入した。このプラスミドを使用して、二重ルシフェラーゼアッセイにおいて、miR−2のパッセンジャー鎖の阻害活性を定量化した。

pGL3−VEGFa−アンチセンスレポーターのマップであり、特徴は、図3Aに示される。図3Aにおいて使用されるVEGF−A遺伝子の対応する部分を、Xba IおよびFse I制限部位を使用して、FLuc+転写ユニットの3’UTRに挿入したが、VEGF−A遺伝子のコード鎖を使用した。このプラスミドを使用して、二重ルシフェラーゼアッセイにおいて、miR−2のエフェクター鎖の阻害活性を定量化した。

二重ルシフェラーゼアッセイを使用して決定されたVEGF−A発現の阻害パーセントを示すグラフであり;センサーコンストラクト中のセンスおよびアンチセンスターゲットの両方に対する活性が示されている(n=3±SD)。

全長VEGF−Aタンパク質を発現する全長cDNAと共にmiR−2、miR−5、およびmiR−8のいずれかを同時形質移入されたHEK293T細胞における、qRT PCRにより決定されたVEGF−A mRNAレベルの阻害パーセントを示すグラフである。阻害パーセントは、形質移入されていない細胞および空ベクター対照(pSilencerおよび空のU6発現カセット)に対して算出されている。

miR−8を発現するアデノウイルスベクターを導入されているARPE−19細胞におけるVEGF−A mRNAおよびタンパク質のレベルを示すグラフである。RNAおよびタンパク質の試料を、導入から24、48、72、および96時間後に収集した。三形は、ループ配列が切断されている成熟したプロセシング済みのmiR−8の細胞内レベルを示している。

上記のとおりにホタルルシフェラーゼレポーターを使用して決定されたVEGFR2の阻害パーセントを示すグラフであり、センスおよびアンチセンスレポーターコンストラクトの両方に対する活性が示されている(n=3±SD)。

miR−V−2、miR−V−3、miR−V−7、またはmiR−V−10と、VEGFR2への全長cDNAを発現するプラスミドを同時形質移入されたHEK203T細胞における、RT QPCRにより決定されたVEGFR2 mRNAレベルの阻害パーセントを示すグラフである。阻害パーセントは、空ベクター対照(pSilencer;Invitrogenおよび無関係プラスミド)と比較してmRNA残存(mRNA remaining)として算出した。

5Bと同様に平行条件で形質移入された細胞のウェスタンブロット分析であり、VEGFR2の低減を示している(矢印)。ゲル上でのVEGFR2のポジショニングを示すために、HUVEC細胞からのタンパク質抽出物を同時に流した。

miR−V−4またはmiR−V−9のいずれかと、PDGFR−βへの全長cDNAを発現するプラスミドとを同時形質移入されたHEK293T細胞におけるPDGFR−β mRNAレベルの阻害パーセントを示すグラフである。阻害パーセントは、対照(pSilencer;Invitrogenおよび無関係プラスミドおよび空のU6発現カセット)と比較してmRNA残存として算出した。

6Bと同様に平行条件で形質移入された細胞のウェスタンブロット分析であり、PDGFR−βの低減を示している(矢印)。

上記のとおりにホタルルシフェラーゼレポーターを使用して決定されたCFB発現の阻害パーセントを示すグラフであり、センスおよびアンチセンスレポーターコンストラクトの両方に対する活性が示されている(n=3±SD)。

miR−C−1、miR−C−8、またはmiR−C−9と、CFBへの全長cDNAを発現するプラスミドとを同時形質移入されたHEK293T細胞におけるCFB mRNAレベルの阻害パーセントを示すグラフである。阻害パーセントは、対照(pSilencer;Invitrogenおよび無関係プラスミドおよび空のU6発現カセット)と比較して算出した。

7Bのとおりに平行処理ウェルで行われたウェスタンブロット分析は、CFBの低減を示した(矢印)。

U6−miR−7のマップである。これは、VEGF−AをターゲティングするmiR−7の発現を駆動するために、ヒトU6プロモーター(黒色の矢印)を使用する。miR−7コード配列は、図2Aのものと同一であり、白色の矢印として示されており、miR−7パッセンジャーおよびmiR−7エフェクター配列の位置は、矢印として示されている。U6−miR−7断片の配列は、配列番号132として列挙されている。

VMD2−miR−7のマップである。これは、VEGF−AをターゲティングするmiR−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトVMD2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。VMD2−miR−7断片の配列は、配列番号133として列挙されている。

ICAM2−miR−7のマップである。これは、VEGF−AをターゲティングするmiR−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトICAM2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。ICAM2−miR−7断片の配列は、配列番号134として列挙されている。

RPE−65−miR−7のマップである。これは、VEGF−AをターゲティングするmiR−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトRPE65プロモーター(黒色の矢印)を使用する。RPE65−miR−7断片の配列は、配列番号135として列挙されている。

FLT−miR−7のマップである。これは、VEGF−AをターゲティングするmiR−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトFLTプロモーター(黒色の矢印)を使用する。FLT−miR−7断片の配列は、配列番号136として列挙されている。

U6−miR−7−miR−V−7のマップである。これは、VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするmiR−7−miR−V−7の発現を駆動するために、ヒトU6プロモーター(黒色の矢印)を使用する。miR−7−miR−V−7コード配列は、白色の矢印として示されており、miR−7パッセンジャーおよびmiR−7エフェクター配列、ならびにmiR−V−7パッセンジャーおよびmiR−V−7エフェクター配列の位置は、灰色の矢印として示されている。U6−miR−7断片の配列は、配列番号137として列挙されている。

VMD2−miR−7 miR−V−7のマップである。これは、VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするmiR−7 miR−V−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトVMD2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。VMD2−miR−7 miR−V−7断片の配列は、配列番号138として列挙されている。

ICAM2−miR−7 miR−V−7のマップである。これは、VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするmiR−7 miR−V−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトICAM2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。ICAM2−miR−7 miR−V−7断片の配列は、配列番号139として列挙されている。

RPE−65−miR−7 miR−V−7のマップである。これは、VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするmiR−7 miR−V−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトRPE65プロモーター(黒色の矢印)を使用する。RPE65−miR−7 miR−V−7断片の配列は、配列番号140として列挙されている。

FLT−miR−7 miR−V−7のマップである。これは、VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするmiR−7 miR−V−7(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトFLTプロモーター(黒色の矢印)を使用する。FLT−miR−7断片の配列は、配列番号141として列挙されている。

U6−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9のマップである。これは、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βをターゲティングするmiR−V−7−miR−C−8−miR−P−9の発現を駆動するために、ヒトU6プロモーター(黒色の矢印)を使用する。miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9コード配列は、白色の矢印として示されており、miR−V−7パッセンジャーおよびmiR−V−7エフェクター配列、miR−C−8パッセンジャーおよびmiR−C−8エフェクター配列、ならびにmiR−P−9パッセンジャーおよびmiR−P−9エフェクター配列の位置は、灰色の矢印として示されている。U6−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9断片の配列は、配列番号142として列挙されている。

VMD2−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9のマップである。これは、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βをターゲティングするmiR−V−7−miR−C−8−miR−P−9(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトVMD2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。VMD2−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9断片の配列は、配列番号143として列挙されている。

ICAM2−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9のマップである。これは、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βをターゲティングするmiR−V−7−miR−C−8−miR−P−9(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトICAM2プロモーター(黒色の矢印)を使用する。ICAM2 miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9断片の配列は、配列番号144として列挙されている。

RPE65−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9のマップである。これは、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βをターゲティングするmiR−V−7−miR−C−8−miR−P−9(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトRPE65プロモーター(黒色の矢印)を使用する。RPE65−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9断片の配列は、配列番号145として列挙されている。

FLT−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9のマップである。これは、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βをターゲティングするmiR−V−7−miR−C−8−miR−P−9(白色の矢印)の発現を駆動するために、ヒトFLTプロモーター(黒色の矢印)を使用する。FLT−miR−V−7−miR−C−8−miR−P−9断片の配列は、配列番号146として列挙されている。

本明細書で言及される配列である。

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実施形態の詳細な説明 以下では、本発明のいくつかの実施形態に詳細に言及する。本発明を、実施形態と併せて説明するが、本発明をこれらの実施形態に限定する意図はないことは理解されるであろう。逆に、本発明は、特許請求の範囲により定義されるとおりの本発明の範囲内に含まれ得るすべての代替形態、変更形態、および同等形態に及ぶことが意図されている。

当業者であれば、本発明を実施する際に使用することができるであろう本明細書に記載のものと同様また同等の多くの方法および物質が分かるであろう。本発明は、記載の方法および物質に決して限定されることはない。

本明細書において開示および定義されている本発明は、述べられているか、または内容および図面から明らかな個々の特徴の2つ以上の代替の組み合わせのすべてに及ぶことは理解されるであろう。これらの種々の組み合わせのすべてが、本発明の様々な代替態様を構成する。

本明細書を説明するために、次の定義を適用し、適切な場合にはいつでも、単数形で使用されている用語も、複数形を含み、逆も同様である。記載されている何らかの定義が、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文献と矛盾する場合には、以下に記載の定義が優先されることとする。

定義 本明細書で使用する場合、内容が他を必要としない限り、用語「(単数)を含む」、ならびに「を含むこと」、「(複数)を含む」、および「を含んだ」などのその用語の変形は、さらなる添加剤、成分、整数、またはステップを除外することを意図したものではない。

用語「RNA干渉」または「RNAi」は、一般に、細胞の細胞質中の二本鎖RNA(dsRNA)分子により開始されるRNA依存性遺伝子サイレンシングプロセスを指す。dsRNAは、そのRNA発現産物が低減されるDNA、またはdsRNA分子が実質的または完全な相動性を共有するRNAであってよいターゲット核酸配列の発現を低減させる。

「二本鎖RNA」または「dsRNA」では、相同性を共有するターゲット核酸配列の発現を阻害することができる二本鎖RNA分子が意味されている。一部の実施形態では、dsRNAは、場合により少なくとも1つのヌクレオチドにより連結している二重鎖領域を有するヘアピン型またはステムループ型構造であり、「ヘアピン型RNA」または「ショートヘアピン型RNAi薬」または「shRNA」と称される。この二重鎖は、エフェクター配列と、「エフェクター相補部」と本発明において称されるエフェクター配列に対して相補的な配列との間で形成される。典型的には、エフェクター相補部は、その対応するエフェクター配列と同じ長さである。以下で説明するとおり、エフェクター配列は、ターゲット核酸配列に対して相補的である。

「エフェクター配列」は、RISC複合体の一部である場合に、ターゲットヌクレオチド配列に結合し、それにより、細胞による分解のためにその配列をターゲティングするヌクレオチド配列である。これは、背景のセクションにおいて検討した「ガイド」鎖に類似している。エフェクター配列は、ターゲット領域からの転写産物に対して配列において相補的または実質的に相補的であることにより、ターゲット領域「に対して指向性」であるので、エフェクター配列を含有する二本鎖部分を有するRNA薬は、ターゲット遺伝子配列の発現を阻害することとなる。

背景において検討したパッセンジャー鎖に類似した「エフェクター相補部」は、エフェクター配列にアニールするような十分な相補性をエフェクターに対して有する。おそらく、エフェクター相補部は、ターゲット遺伝子配列と同様の配列を有するであろうが、必ずしもそうである必要はない。

「実質的に相補的」または「実質的な相補性」の上記のセクションにおいて既に詳述したとおり、配列は、アニーリング(下記で定義)のハイブリッド形成を可能にする十分な相補性を有することが意図されている。簡単には、上記のとおりの実質的な相補性は、 ・エフェクターとその相補部との間、またはエフェクターとターゲット配列のターゲット領域との間の同一性パーセント(80〜100%);または ・80〜100%の同一性パーセント要件に一致することを条件として、相補的ではないヌクレオチドの数が1、2、3、4、または5つであること の点において説明することができる。

したがって、実質的な相補性は、100%相補性を含むが、100%相補性は、本明細書を通じて、「相補的」または「相補的である」と称されることもある。ターゲット遺伝子のある領域に対して相補的または実質的に相補的な配列は、連続するターゲット配列にわたって、その程度の配列相補性を有する。一般に、本発明の二本鎖RNA領域を、単一または複数のヌクレオチド置換、欠失、または付加をもたらす変異誘発に掛けることができる。エフェクターとその相補部との間、またはエフェクターとターゲット配列のターゲット領域との間のこのレベルの相違は、ターゲット配列の発現を阻害し得るddRNAi薬の能力に対してマイナスの影響を及ぼさないと考えられる。

第1のエフェクター配列が、ターゲット配列と共にG−C/A−U塩基対形成しない1、2、3、4、または5つのヌクレオチドを有する場合には、その相違は、第1のエフェクター配列の最初または最後の5つのヌクレオチドにあり、エフェクター配列の中心部分には1または2つのヌクレオチド変化のみを伴うことが好ましい。

上記のとおり、実質的な相補性では、その配列がハイブリッド形成可能か、またはアニーリング可能であることを意味することが意図されている。用語「ハイブリッド形成」および「アニーリング」(および文法的に同等の語)は、ヌクレオチド配列に関して本明細書において互換的に使用され、それらの相補性により、ワトソン−クリック型塩基対を形成することができるヌクレオチド配列を指す。好ましくは、実質的に相補的な配列は、中ストリンジェンシーまたは高ストリンジェンシーの条件下でハイブリッド形成することができる: ・高ストリンジェンシー条件:0.1倍SSPE(または0.1倍SSC)、0.1%SDS、65℃、 ・中ストリンジェンシー条件:0.2×SSPE(または1.0倍SSC)、0.1%SDS、50℃。

別法では、「実質的に相補的」はまた、当業者には、特に、RNA配列の文脈において、RNA中においてグアノシンとウラシル残基との間で形成し得るいわゆる「ウォッブル対」などの非ワトソン−クリック型塩基対形成を含むと理解されるであろう。「相補的」は、本発明においては通常、ワトソン−クリック型塩基対形成を示すために使用され、「非相補的」は、そのような非相補配列がウォッブル対または他の相互作用を形成するとしても、非ワトソン−クリック型塩基対形成を意味するために使用される。本発明の内容において、「非対形成」配列に対する言及は、特に、ワトソン−クリック型塩基対を形成しない配列に関する。

用語「RNAi薬」は、RNAiを誘発するdsRNA配列を指す。この用語は、「低分子干渉RNA」(siRNA薬)および低分子ヘアピン型RNA(shRNAiまたはhpRNAi薬)と互換的に使用することができ、この際、ヘアピンは、ステム−ループ型構造を有する。

ヘアピン型構造の「ループ」は、ヌクレオチドの少なくとも一部がそれ自体、ターゲット配列、エフェクター配列、またはエフェクター相補部のいずれかに対して非相補的である追加の配列である。ループは、ループを形成することができる2〜100のヌクレオチドの配列であってよい。ループ配列のヌクレオチドのすべてが、アニーリングされていないことを必要とするわけではない。例えば、ACUGUGAAGCAGAUGAGUのループ配列において、ヌクレオチドACUは、AGUとアニーリングされていてよいが、介在GUGAAGCAGAUG配列は、アニーリングされていないままである。

ddRNAi薬がmiRNA構造の一部として発現される実施形態では、ループ配列は、miRNAに由来してよく、ME配列によりコードされる。

「マイクロRNA」または「miRNA」は、遺伝子発現の転写後調節において機能する、生体中に存在する天然に生じる小分子ノンコーディングRNA分子である。miRNA転写産物は、ヘアピン様構造を形成することができ、典型的には、二本鎖RNA領域内に、またはそれに隣接して、ミスマッチおよびバルジを含有する。本発明のddRNAi薬が好ましくは発現されるmiRNA構造は、上記で詳述したとおり、ミスマッチおよび挿入を含有する。Wuら(2011)は、ことによると、内在miRNAに対するそれらのより大きな構造上の類似により、二重鎖のミスマッチ(パッセンジャー鎖中にミスマッチを含有)は時には、サイレンシング活性の増大を示すことを示した。同様に、Guら(2012)は、shRNA分子中のループ配列に隣接してバルジを導入することにより、ダイサープロセシングの精度の上昇が生じ得ることを示した。

二本鎖折りたたみmiRNA構造において、トップ鎖上のヌクレオチドの少なくとも50%が、ボトム鎖のヌクレオチドにアニーリングされている。アニーリングされていない(すなわち、対形成していない)ヌクレオチドでは、これらは挿入であってよく、すなわち、それらは、反対側の鎖上に対して相補的ヌクレオチドを有さないか、またはアニーリングしないミスマッチであってよい。例えば、GおよびAである。二本鎖折りたたみmiRNA構造は、1つ以上のアニーリングされていないヌクレオチドにより分離されている2つ以上のアニーリングされたヌクレオチドを含有して、ヌクレオチドがアニーリングされていない「バブル」または「バルジ」を有する二本鎖RNA構造をもたらしていてよい。

「miRNAコード配列」または「ME配列」では、miRNA構造へと折りたたまれ得るRNAをコードする、ddRNAi発現カセット(定義および説明については以下を参照されたい)内に含まれるDNA配列が意味されている。ddRNAi薬のエフェクター配列およびエフェクター相補部は、そのmiRNA構造内で、またはその一部として発現される。ME配列は、第1の部分および第2の部分を有する。単一のヘアピンを発現するための発現カセット(1つまたは複数のエフェクター/エフェクター相補部の対を有する)では、ME配列の第1の部分は、5’側の最大エフェクターまたはエフェクター相補部エンコード配列の上流(すなわち、5’側)に設置され、第2の部分は、3’側の最大エフェクターまたはエフェクター相補部エンコード配列の下流に(すなわち、3’側)に設置される。

複数ヘアピン型構造のための発現カセットの場合には、各エフェクター/エフェクター相補部の対は、対応する第1および第2のME配列を有し、この際、第1のME配列は、エフェクターまたはエフェクター相補部エンコード配列の上流にあり、第2の部分は、対応するエフェクターまたはエフェクター相補部コード配列の下流にある。次の例示的な構造を有する発現カセットでは、5’から3’方向で、 ・プロモーター ・第1のME配列; ・第1のエフェクター; ・第1のエフェクター相補配列; ・第2のME配列; ・第3のME配列; ・第2のエフェクター配列; ・第2のエフェクター相補配列;および ・第4のME配列 となる。

第2および第3のME配列は、(ポイントを説明するために例示的な配列を使用すると)連続していてよいか、それらの間に介在配列を有してよいか、または第2および第3のME配列と同じ機能を果たす単一のME配列であってよいかのいずれかであることは分かるであろう。 i) 連続する場合:ggtatattgctgttgacagtgagcgaggtatattgctggggacagtgagccc ME配列2 ME配列3 ii) 介在がある場合: ggtatattgctgttgacagtgagcgaATTGCCATGggtatattgctggggacagtgagccc ME配列2 介在 ME配列3 iii)単一の場合:ggtatattgctgttgacagtgagcgaggtatattgctggggacagtgagccc ME配列

RNAi薬の二本鎖または二重鎖領域は、少なくとも17塩基対長であり、通常、17〜30塩基対の範囲である。RNAi薬は、細胞外部で化学的または酵素的に合成して、後で細胞に送達することができるか、または細胞内で適切なベクターによりin vivoで発現させることができる(例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,573,099、WO2004/106517、およびWO1999/49029を参照されたい)。

用語「DNA指向性RNAi薬」または「ddRNAi薬」は、DNA発現カセット(ddRNAi発現カセット」)から転写されるRNAi薬を指す。ddRNAi発現カセット内でのターミネーターおよびプロモーターの配置に応じて、これらは、単一または複数のエフェクター配列を有するddRNAi薬を発現し得るか、または複数のddRNAi薬を発現し得る。発現カセットから転写されたddRNAi薬は、少なくとも2つのヌクレオチドにより連結された二重鎖領域を有する単一のヘアピン型構造へと自己アニーリングすることができる単一のRNAとして転写され得る。単一のヘアピンは、1つのエフェクター配列およびその相補部(図1BまたはEを参照されたい)を、または複数のエフェクター配列およびそれらの相補部(図1AまたはDを参照されたい)を含み得る。別法では、この薬剤は、複数のshRNAドメイン(すなわち、エフェクター配列およびそれらの相補部により形成される複数のヘアピン型構造、図1CまたはFを参照されたい)を有する単一のRNAであってよい。

ddRNAi発現カセットは、ddRNAiベクターまたはddRNAiコンストラクトと称されるベクターに結合させることができる。このベクターは、in vivoまたはin vitroでddRNAi発現カセットの転写を指定する配列を提供し得る。加えて、このベクターは、ddRNAi発現カセットのための送達ビヒクルとして役立ち得る。例えば、ウイルスベースのベクターは、ddRNAi発現カセットの発現に有用であり、さらには、ウイルス送達と適合性であるddRNAiコンストラクトを生成する。

そのような核酸が細胞に導入されている場合、細胞は、外在または異種の核酸またはベクターにより、「形質転換されている」か、「形質導入されている」か、または「形質移入されている」。形質転換DNAは、細胞のゲノムに組み込まれ(共有結合され)ていてもよいし、されていなくてもよい。真核細胞に関しては、安定形質転換された細胞は、形質転換DNAが、宿主細胞染色体に組み込まれているか、または染色体外で(エピソームで)維持されていて、形質転換DNAが、細胞複製の間に娘細胞により遺伝されるものである。非複製分化細胞では、形質転換DNAは、エピソームとして存続し得る。

「遺伝子発現」は、転写または翻訳のいずれかまたは両方を指し得る。

「発現の阻害」は、ターゲット遺伝子からのタンパク質および/またはmRNA産物の欠如またはそのレベルの観測可能な低下を指す。この阻害は、完全である必要はないが、本発明のRNAiまたはddRNAi薬またはsiRNA薬またはddRNAi発現カセットまたは発現コンストラクトの投与の結果として検出可能また観測可能な変化に至るに十分な部分的な阻害であってよい。阻害は、ddRNAi薬またはコンストラクトを欠いた細胞に対する、ターゲットからのmRNAおよび/またはタンパク質産物のレベルの低下を決定することにより測定することができ、わずか1%、5%、または10%であり得るか、または完全、すなわち、100%阻害であり得る。阻害の効果は、外部特性、すなわち、細胞または生体の定量的および/または定性表現型の試験により決定することができる。

「オフターゲット」効果は、RNAi試薬での処置の意図していない副作用を記載するために使用される用語である。これは、ノックダウンの代謝による補償(metabolic compensation)から生じるわずかな効果も起こるが、パッセンジャーまたはエフェクター配列および別のターゲット遺伝子との偶然の相動性の結果としてのターゲット配列の意図されていなかったノックダウンに関係していると往々にして考えられる。内在RNAi経路によるmiRNAのプロセシングは往々にして、エフェクター鎖のみのRISCへの負荷およびパッセンジャー鎖の分解をもたらす。オフターゲット効果の潜在的な供給源の1つは、パッセンジャー鎖のRISCへの予期せぬ組み込みであり、その結果、パッセンジャー配列は、相同性を偶然に共有している遺伝子をサイレンシングさせ得ることとなる。RISC負荷のステップは、dsRNA前駆体中の潜在的なターゲット部位全体にわたってRNA二重鎖の予測される熱力学的安定性を「センシング」して、その二重鎖のうちで5’末端の安定性が低い方の鎖を優先的に負荷するという証拠が存在する。オフターゲット効果の可能性を最小限にするための戦略の1つは、二重ルシフェラーゼアッセイを使用して、パッセンジャー鎖の活性についてddRNAi分子をスクリーニングすることである。RISCへのこの鎖の付加は、望ましくない。

本明細書で使用する場合、「血管内皮成長因子−A遺伝子」または「VEGF−A遺伝子」には、血管形成を刺激するタンパク質をコードする遺伝子が含まれる。一実施形態では、VEGF−A遺伝子は、ヒトVEGF−AをコードするGenbankにおいて受入番号NM_001025366(配列番号79)で示されるとおりのヌクレオチド配列をコードする。別の実施形態では、VEGF−A遺伝子は、これだけに限定されないが、Genbankにおいて受入番号NM_001025250(Mus musculus、配列番号80)またはXM_001089925(Macaca mulatta、配列番号81)で示されるとおりのヌクレオチド配列を含めたVEGF−A遺伝子に対してオルソロガスまたはパラロガスな遺伝子である。別の実施形態では、VEGF−A遺伝子は、ヒト遺伝子または本明細書に記載のとおりの動物に由来する遺伝子であってよく、対立遺伝子変異型を含む。

本明細書で使用する場合、「血管内皮成長因子受容体2遺伝子」または「VEGFR2遺伝子」には、VEGFのための受容体をコードする遺伝子が含まれる。一実施形態では、VEGFR2遺伝子は、ヒトVEGFR2をコードするGenbankにおいて受入番号NM_002253(配列番号82)で示されるとおりのヌクレオチド配列をコードする。別の実施形態では、VEGFR2遺伝子は、これだけに限定されないが、Genbankにおいて受入番号NM_010612(Mus musculus、配列番号83)またはXM_001086814(Macaca mulatta、配列番号84)で示されるとおりのヌクレオチド配列を含めた、VEGFR2に対してオルソロガスまたはパラソロガスな遺伝子である。別の実施形態では、VEGFR2遺伝子は、ヒト遺伝子または本明細書に記載のとおりの動物に由来する遺伝子であってよく、対立遺伝子変異型を含む。

本明細書で使用する場合、「ベータ型血小板由来成長因子受容体遺伝子」または「PDGFR−β遺伝子」には、PDGFR−β 1441584294895_3 をコードする遺伝子が含まれる。一実施形態では、PDGFR−β遺伝子は、ヒトPDGFR−βをコードするGenbankにおいて受入番号NM_002609(配列番号85)で示されるとおりのヌクレオチド配列をコードする。別の実施形態では、PDGFR−β遺伝子は、これだけに限定されないが、Genbankにおいて受入番号NM_001142706(Mus musculus、配列番号86)またはXM_00110759(Macaca mulatta、配列番号87)で示されるとおりのヌクレオチド配列を含めたPDGFR−βに対してオルソロガスまたはパラソロガスな遺伝子である。別の実施形態では、PDGFR−β遺伝子は、ヒト遺伝子または本明細書に記載のとおりの動物に由来する遺伝子であってよく、対立遺伝子変異型を含む。

本明細書で使用する場合、「補体因子B遺伝子」または「CFB遺伝子」には、ドルーゼンの成分であるCFBタンパク質をコードする遺伝子が含まれる。一実施形態では、CFB遺伝子は、ヒトCFBをコードするGenbankにおいて受入番号NM_001710(配列番号88)で示されるとおりのヌクレオチド配列をコードする。別の実施形態では、CFB遺伝子は、これだけに限定されないが、Genbankにおいて受入番号NM_00114270(Mus musculus、配列番号89)またはXM_001113553(Macaca mulatta、配列番号90)で示されるとおりのヌクレオチド配列を含むCFBに対してオルソロガスまたはパラソロガスな遺伝子である。別の実施形態では、CFB遺伝子は、ヒト遺伝子または本明細書に記載のとおりの動物に由来する遺伝子であってよく、対立遺伝子変異型を含む。

配列が遺伝子重複事象により分離されている場合に、その配列は「パラソロガス」であり、生体中の遺伝子が、同じゲノムにおいて2つの異なる位置を占めるように重複していれば、その2つのコピーはパラソロガスである。

配列が種分化事象により分離されている場合に、その配列は「オルソロガス」であり、一つの種が2つの別々の種に派生した場合に、その結果生じた種における単一の遺伝子の派生コピーは、オルソロガスであると記載される。

本明細書で使用する場合、「定量的表現型形質」は、宿主細胞における核酸の分子発現に関係する形質を指し、したがって、転写もしくは複製されたRNA分子の量、転写後改質されたRNA分子の量、翻訳されたペプチドもしくはタンパク質の量、またはそのようなペプチドまたはタンパク質の活性を含み得る。

表現型が定性的形質である核酸の表現型発現の低減は、本発明のRNAi薬の存在下で、そのRNAi薬が存在しない状況と比較した場合に、その表現型形質が異なる状態へと変わることを意味する。したがって、核酸の表現型発現の低減は、その核酸(の一部)の定常状態のレベルの低減、その核酸(の一部)の翻訳の低減、または転写されたRNA(複数可)もしくは翻訳されたポリペプチド(複数可)の存在が真核細胞または生体に対して有する効果の低減として測定することができ、最終的には、表現型形質の変化をもたらすであろう。対象の核酸の表現型発現における低減が、表現型における観測可能な変化に随伴するか、または相関し得ることは明らかである。その評価は、ノーザンハイブリダイゼーション、定量的リアルタイムPCRアッセイ、遺伝子発現アッセイ、抗体結合、ELISA、RIA、ウェスタンブロット、ならびに当技術分野で公知の他のアッセイおよび技法などの生化学的技法によるものであってよい。

「ターゲット核酸」は、その転写産物がターゲティングされるコード配列または非コード配列の内在または外在RNAまたはDNAのいずれかであってよい。

「治療用組成物」または「医薬組成物」または「処置用組成物」は、ddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、ddRNAiコンストラクト、またはsiRNA薬を含む組成物を指す。

用語「処置する」または「処置」は、対象が望ましくない生理学的変化または障害を減速(緩和)し得る治療上の処置を指す。本発明の目的では、有益か、または所望の臨床結果には、これらだけに限定されないが、AMDの症状の緩和、AMDの安定化(すなわち、悪化また進行しないこと)、およびCNVの安定化が含まれる。

語句「治療有効量」は、(i)特定の疾患、状態、もしくは障害を処置するか、(ii)特定の疾患、状態、もしくは障害の1つもしくは複数の症状を減弱、寛解、もしくは除去するか、(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、もしくは障害の1つまたは複数の症状の発症を予防または遅延させるか、(iv)特定の疾患、状態、もしくは障害の進行を予防もしくは遅延させるか、または(v)処置の前に生じた損傷をある程度反転させる本発明の化合物の量を意味する。反転は完全である必要はないが、処置後の視力の何らかの臨床的に関連する回復を、損傷の反転と判断する。

本発明は、罹患している個体、特に、滲出型AMDを有する個体において、AMDに関連する視力の退縮を低減するための新たなRNAi薬、およびそのRNAi薬の使用を提供する。処置は、次の1つまたは複数を目的とするものである: i. VEGF−A発現に関連する特異的遺伝子をサイレンシングすることを目的とした1つまたは複数の配列を含有するDNAコンストラクトを使用して、網膜細胞からのVEGF−A翻訳およびその後の分泌を長期間にわたってノックダウンすることにより、脈絡膜血管新生(CNV)に関連する血管形成を制御すること。VEGF−Aは、したがって、血管形成および網膜の後ろの血管系からの血管の異常な増殖を刺激する。いくつかの既存の治療は、分泌されたVEGF−Aを「拭き取る」ために役立つに過ぎず、視力は安定化させ得るが、必ずしもすべての患者において視力を改善するものではない。 ii. VEGF−Aおよびその受容体VEGFR2の両方をノックダウンすることにより、血管形成の追加的な制御が得られるであろう。それというのも、この戦略は、2つの別個のステップにおいてプロセスに干渉すると予測されるためである。 iii. 3つのターゲット、すなわち、VEGFR2、PDGFR−β、およびCFBをノックダウンすることにより、AMDの反転が実現され得る。VEGFR2のノックダウンは、血管形成を制御すると予測され、PDGFR−βのノックダウンは、初期の血管形成を阻害また反転させると予測され、かつCFBのノックダウンは、ドルーゼンの沈着を阻害、さらには反転させると予測される。 iv) 処置頻度の限定および治療用分子の局所注射によるRPE細胞への処置の限定。

ターゲット遺伝子中の適切なターゲット配列を同定し、その配列に基づき機能するRNAi薬を設計することは、常套的ではない。結果のセクションにおいて実証するとおり、紙上では良好な候補物質と思われたターゲット配列が、ターゲットを必ずしも有効にサイレンシングし得なかったり、または治療上の目的に有効なレベルでサイレンシングし得なかったりする。一部のエフェクター配列は、ターゲットをサイレンシングするために他のものよりもかなり有効に機能するが、特に、RISCへのパッセンジャー鎖の組み込むは望ましくなく、それというのも、これは、重大なオフターゲット効果および結果として生じる毒性につながり得るためである。しかし、配列自体の単なる外観検査では、いずれの配列がサイレンシングされ得るか、ましてどの程度までそれらをサイレンシングされ得るか、また、本発明の目的に十分であるかは、予測不可能である。2つ以上の無関係ターゲットをサイレンシングすることを求めているならば、なおさらである。

VEGF−Aは、AMD治療に適したターゲットであるという当技術分野における認識にも関わらず、有効な治療を創製する努力は今日まで、背景において概説した問題に悩まされている。特にRNAi技法によるサイレンシングに関して、in vitroで生産されたsiRNA薬を使用する先行する努力は、膜結合型TLR3とのsiRNAの相互作用およびその後のインターフェロンの活性化により失敗している。加えて、VEGF−Aの大部分を分泌する細胞はRPE細胞であり、これは、一般に、眼の背部の特殊細胞の層の下に埋もれて存在する。RNAi成分は、高度に負荷された複合体であり、この物理的特性により、多数の細胞層を通過することは困難であり得る。利用される新たな範囲のターゲット、ddRNAi薬、およびウイルス送達薬は、これらの問題の克服に努めるものである。

VEGF−Aに加えて、これらのターゲットには、次の1つまたは複数が含まれる: ・VEGFR2:VEGF−Aの受容体;VEGFR2のサイレンシングは、VEGF−Aのサイレンシングと同様の結果を有すると予測される。 ・PDGFR−β:PDGFR−βの受容体。この分子は、発生期血管の安定化に重要な内皮細胞の動員および安定化において役割を果たす。 ・CFB:これは、ドルーゼンの主な成分であり、AMDに関連した特徴的な細胞外沈着物である(Andersonら、2010)。CFBのサイレンシングは、ドルーゼンの形成を阻害し得る。

RNA干渉(RNAi)は、細胞の細胞質中で短い二本鎖RNA分子により開始されるRNA依存性遺伝子サイレンシングプロセスである。哺乳動物では、RNAiは、低分子干渉RNA(siRNA)と称される二本鎖RNA分子により媒介される。RNAi薬の二本鎖または二重鎖領域は、少なくとも17塩基対長、通常は、17〜30塩基対の範囲である。RNAi薬は、細胞外部で化学的または酵素的に合成して、後で細胞に送達することができるか、または細胞内で適切なベクター(AAV、アデノウイルス、レンチウイルス、または非ウイルスリポソームベースの送達系など)によりin vivoで発現させることができる。

AMD治療薬としてのRNAi薬の前臨床試験は、動物モデルの広範な使用を必要とする。マウス(Mus muscularis)および霊長類(例えば、マカク属、Macaca fasciularis)モデルが、処置の有効性を試験するために広く使用され、イヌ(Canis familiaris)などの他の種は、治療用化合物の臨床安全性を決定するためのモデルとして一般に使用される。RNAi治療薬では、前治験のすべての段階で単一のRNAi試薬を使用することができるので、ヒトと様々な前臨床試験種との間で高度に保存されたAMD関連遺伝子のヌクレオチド配列をターゲティングする試薬を設計することが有利である。保存が不十分な遺伝子では、異なる試験種の間でわずかに異なる配列を有する複数のRNAi試薬を、潜在的な毒性を正確に決定するために平行して試験しなければならない。

したがって、創薬プログラムに多大な利点をもたらすので、本出願に記載のRNAi試薬を、可能な場合には、ヒトと潜在的な試験種(マウス、イヌ、およびマカクなどの霊長類)との間で保存された配列をターゲティングするように設計する。

ddRNAi薬 RNAi薬は、DNAベクターから発現され得て、DNA指向性RNAiまたはddRNAiと称される。これらは、最小限のオフターゲット事象で、遺伝子の活性を直接的にターゲティングし得る。AMDの場合には、これは、まだ叶えられていない臨床的処置の必要性に対処する特有の機会を提供する。したがって、本発明の一態様では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、少なくとも、 ・少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列;および ・第1のエフェクター相補配列 を含み、その際、第1のエフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して相補的または実質的に相補的であるddRNAi薬を提供する。

典型的には、第1のエフェクター配列は、第1のエフェクター相補配列と二本鎖領域を形成している。

本発明のddRNAi薬の配列は、ターゲット特異的RNAiを媒介するために、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−β遺伝子などのAMD関連遺伝子に対して十分な同一性を有する必要がある。

第1のエフェクター配列は、少なくとも17ヌクレオチド長、好ましくは、17〜30のヌクレオチド、より好ましくは、17〜21のヌクレオチドである。これは、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30ヌクレオチド長であってもよい。第1のエフェクター配列が、17のヌクレオチドよりも長い場合、第1のエフェクター配列の少なくとも17の連続するヌクレオチドが相補鎖と二本鎖領域を形成していることが好ましい。したがって、本発明のこの実施形態によるddRNAi薬は、エフェクター配列(複数可)の長さおよび数により決定される最大長さを有し、すなわち、各エフェクター配列は、さらに長い配列内に含まれることはない。

本発明のddRNAi薬は、AMD関連ターゲット遺伝子の発現を阻害する。好ましくは、AMD関連遺伝子は、VEGF−A、またはVEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの1つまたは複数であり、各エフェクター配列は、配列番号40〜78のいずれか1つからの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される。

以下の表に例示するとおり、阻害、予防、または低減されるAMD関連遺伝子がVEGF−Aである場合、各エフェクター配列は、配列番号40〜49から選択される。阻害、予防、または低減されるAMD関連遺伝子がVEGFR2である場合、各エフェクター配列は、配列番号50〜59から選択される。阻害、予防、または低減されるAMD関連遺伝子がPDGFR−βである場合、各エフェクター配列は、配列番号60〜69から選択される。阻害、予防、または低減されるAMD関連遺伝子がCFBである場合、各エフェクター配列は、配列番号70〜78から選択される。 表1:VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−β遺伝子ターゲット配列ならびにそれらに対応するddRNAiエフェクター配列

aターゲット遺伝子は、ヒトVEGF−A(NM_0010253660)、VEGFR2(NM_002253)、PDGFR−β(NM_002609)、およびCFB(NM_001710)であり;遺伝子名の下の名称は、特定の遺伝子をターゲティングしたddRNAiコンストラクトのバージョンを指す。 b列挙されているヒト配列でのターゲット位置 cターゲット配列は、エフェクター配列により認識されるDNA配列である。 dエフェクター配列は、AMD関連遺伝子をターゲティングするddRNAi薬のダイサープロセシングにより産生される予測RNA配列であり;Tは、エフェクターが、発現されるRNAの構造を維持するように改質されているコンストラクトを指す。

本発明のddRNAi薬は、好ましくは、miRNA構造内で、またはその一部として発現される。これらのmiRNA構造は、「miR配列」として示されている配列を有し、表2に挙げられており(配列番号91〜129)、示されているエフェクター配列(配列番号40〜78)を発現するように設計されている。miRNA構造を発現するための発現カセットを含有する対応するコンストラクトも、「miR名称」として示されている。 表2:AMD関連遺伝子の強い配列特異的サイレンシングを示すmiRコンストラクト

a示されているヒトターゲット遺伝子に対するサイレンシング活性および好ましい鎖特異性について試験されたmiRコンストラクト(図4〜7を参照されたい)。 bmiRコンストラクトの挿入に対応する配列番号 c示されているmiRコンストラクトにより産生される予測エフェクター配列の配列番号

本発明のddRNAi薬はいずれも、miRNA構造内で、またはその一部として発現され得る。本明細書を通じて説明するとおり、これは、細胞内でのddRNAi薬のより正確なプロセシングおよびより低い毒性で援助し得る。

本発明の一実施形態では、本発明のddRNAi薬は、VEGF−A遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する。ターゲット配列は好ましくは、表1に列挙されているddRNAi VEGF−Aターゲット配列(配列番号1〜10)から選択され;これらの配列をターゲティングするddRNAi薬のダイサープロセシングにより産生されるであろう対応するエフェクター配列は、それぞれ配列番号40〜49に示されている。VEGF−Aターゲット配列およびエフェクター配列は、ヒトと、前臨床試験種であるマウス、イヌ、およびマカクとの間でヌクレオチド配列の保存を示すように選択されていることに注意されたい。

本発明の一代替実施形態では、本発明のddRNAi薬は、VEGFR2遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する。ターゲット配列は、好ましくは、表2に列挙されているddRNAi a VEGFR2ターゲット配列(配列番号11〜20)から選択され、したがって、対応するエフェクター配列は、それぞれ表2に示されているとおりの配列番号50〜59から選択される。VEGFR2ターゲット(配列番号11〜20)およびエフェクター配列(配列番号50〜59)は、ヒトと、前臨床試験種であるマウス、イヌ、およびマカクとに対して同一であるか、またはそれらの間で単一のヌクレオチドだけ異なることに注意されたい。

本発明の一代替実施形態では、本発明のddRNAi薬は、PDGFR−β遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する。ターゲット配列は、好ましくは、表2に列挙されているddRNAi PDGFR−βターゲット配列(配列番号21〜30)から選択され、したがって、対応するエフェクター配列は、それぞれ表2に示されているとおりの配列番号60〜69から選択される。PDGFR−βターゲット(配列番号21〜30)およびエフェクター配列(配列番号60〜69)は、ヒトと、前臨床試験種であるマウスおよびマカクとに対して同一であるか、またはそれらの間で単一のヌクレオチドだけ異なることに注意されたい。

本発明の一代替実施形態では、本発明のddRNAi薬は、CFB遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する。ターゲット配列は、好ましくは、表1に列挙されているddRNAi CFBターゲット配列(配列番号31〜39)から選択され、したがって、対応するエフェクター配列は、それぞれ表2に示されているとおりの配列番号70〜78から選択される。CFBターゲット(配列番号31〜39)およびエフェクター配列(配列番号70〜78)は、ヒトと、前臨床試験種であるマウスおよびマカクとに対して同一であるか、またはそれらの間で単一のヌクレオチドだけ異なることに注意されたい。

すでに提示した説明により、DNAターゲット配列と、ddRNAi薬の対応するエフェクター配列との間の関係は(表1からのターゲットの配列番号2およびその対応するエフェクター配列の配列番号41を使用すると): 5’ GGCCTCCGAAACCATGAACTT 3’ − VEGF−Aのターゲット配列(配列番号2)、 5’ GGCCUCCGAAACCAUGAACUU 3’ − 配列番号2のmRNA転写産物、 3’ AAGUUCAUGGUUUCGGAGGCC 5’ − 5’から3’方向で読んだ場合に、ターゲット配列の転写産物に対して実質的に相補的であるとみなし得る、配列番号2をターゲティングするddRNAi薬のエフェクター配列(配列番号41) と示すことができる。

背景のセクションで説明したとおり、ddRNAi薬の両方の鎖が、エフェクター配列である可能性を有する。しかしながら、配列の特定の特徴が、一方の鎖をRISCに入れ、他方の鎖を分解することを支持するという証拠が存在する。RISC負荷のステップは、dsRNA前駆体中の潜在的なターゲット部位全体にわたってRNA二重鎖の予測される熱力学的安定性を「センシング」して、その二重鎖のうちで5’末端の安定性が低い方の鎖を優先的に負荷するという証拠が存在する。したがって、ターゲット部位配列を典型的には、ターゲット部位の3’末端でのAT塩基対の数を最小限にするように、すなわち、エフェクター鎖の5’末端中のAまたはU塩基の数を最小限にするように調節した。次いで、精密化ターゲット部位のリストを、有望な試験種間での、特にマウスおよびサルの間での保存についてスクリーニングした。次いで、BLASTを使用して、ターゲット部位配列を、ヒトトランスクリプトームに対してスクリーニングして、他のヒト遺伝子に対して高い相同性を示すもの(>3ミスマッチ)を廃棄した。これらのターゲット配列に基づくコンストラクトを、miRNAバックボーンにおいて調製し、下記のとおりに、活性および鎖選択性について経験的に試験した。これらの配列優先性は、好ましい実施形態において反映され、他を上回る一部の配列の優位性を示すデータを、実施例セクションにおいて示す。

例えば、本発明のこの態様の一実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、少なくとも、 5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’(配列番号47)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列;および 第1のエフェクター相補配列 を含むddRNAi薬を提供する。

第1のエフェクター配列は、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中のターゲット領域に対して実質的に相補的である。この実施例では、ターゲット遺伝子は、VEGF−Aである。

好ましくは、第1のエフェクター配列は、5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’(配列番号47)のうちの少なくとも17以上の連続するヌクレオチドである。

第1のエフェクター配列が、配列番号47とは異なる1、2、3、4、または5つのヌクレオチドを有する場合、その相違は、好ましくは、最初および/または最後の5つのヌクレオチドに存在し、好ましくは、少なくとも中心の10のヌクレオチドは、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中のターゲット領域に対して100%相補的である。

代替実施形態では、ddRNAi薬は、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、または配列番号78のうちの任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列を含む。

特に好ましい実施形態では、ddRNAi薬は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列を含む。好ましくは、この実施形態では、第1のエフェクターは、配列番号8の配列をターゲティングする配列番号47から選択される。

第1のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される配列を含んでよいか、または別法では、各エフェクター配列は、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってよい。またさらなる一実施形態では、各エフェクター配列は、そのうちの17、18、19、または20すべてのヌクレオチドが、配列番号40〜78からなる群から選択される配列からの連続するヌクレオチドである20のヌクレオチドからなってよい。

多重ターゲティングddRNAi薬 複数のエフェクター配列を有するddRNAi薬は、一連の分子ターゲットおよび個体間で存在し得る天然に存在するその変異体をターゲティングし得るという利点と、さらには、単一のエフェクター配列とは対照的に、複数のエフェクター配列で達成される相加効果または相乗効果の利点を有する。本発明では、一実施形態で、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βから選択される2または3つの異なるターゲット遺伝子が存在する場合、2または3つの遺伝子をターゲティングするために、単一のコンストラクトを利用することが特に有利である。このことにより、それぞれ異なる遺伝子をターゲティングする複数のddRNAi薬を送達する必要性が排除される。当業者には理解されるように、その送達が、各薬剤の同等および十分な濃度をもたらすことを保証することは困難であろう。

本発明の一実施形態では、ddRNAi薬は、AMD関連遺伝子の1つより多いターゲット配列をターゲティングし得るように、2つ以上のエフェクター配列を含む。複数のターゲット配列は、1つの遺伝子の同じ領域にあってよい。例えば、個体間で配列に天然の変化を伴うVEGF−A、VEGFR2、CFB、またはPDGFR−β内の17〜30ヌクレオチド領域、好ましくは、17〜21ヌクレオチド領域。別法では、ターゲット配列は、1つのターゲット遺伝子の異なる領域にあってよく、その際、ターゲット遺伝子は、VEGF−A、VEGFR2、CFB、またはPDGFR−βであってよい。

上記のとおり、ターゲット配列はまた、異なるAMD関連遺伝子中にあってよい。例えば、第1のエフェクター配列は、VEGFR2中の配列をターゲティングする一方で、同じddRNAi薬中の第2のエフェクター配列は、VEGF−A遺伝子中の配列をターゲティングする。好ましい実施形態では、それぞれがVEGF−AおよびVEGFR中の配列をそれぞれターゲティングする少なくとも2つのエフェクター配列が存在する。一代替実施形態では、それぞれがVEGFR2、CFB、およびPDGFR−β中の配列をそれぞれターゲティングする少なくとも3つのエフェクター配列が存在する。

より高い特異性を得るために、ddRNAi薬は、次のものを(不特定の順序で)含む: ・少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; ・少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列; ・第1のエフェクター相補配列;および ・第2のエフェクター相補配列。

多重ターゲティングddRNAi薬の第1および第2のエフェクター配列は、それらの個々のエフェクター相補部と二本鎖領域を形成する。好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は、17〜30ヌクレオチド長である。より好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は両方とも、上記の表1において列挙した配列番号40〜78の配列のいずれか1つのうちの任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されるか、または表1において列挙した配列とは1、2、3、4、または5つのヌクレオチドの相違を有する配列である。

一実施形態では、第1のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群のいずれか1つからの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択され、第2のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群のいずれか1つからの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される。第1および第2のエフェクター配列は両方とも、同じ配列であってよく、または別法では、異なる配列であってよい。

第1および第2のエフェクター配列はそれぞれ、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドから選択される配列を含んでよく、または別法では、各エフェクター配列はまた、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってよい。またさらなる実施形態では、各エフェクター配列は、そのうちの17、18、19、または20すべてのヌクレオチドが、配列番号40〜78からなる群から選択される配列からの連続するヌクレオチドである20のヌクレオチドからなってよい。2つ以上のエフェクター配列が存在する場合、それらは、上記の3種の組み合わせを表してよい。

特に好ましい実施形態では、第1および第2のエフェクター配列は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくはこの実施形態では、各エフェクター配列は、配列番号47および配列番号56からなる配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されるので、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、 5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’(配列番号47)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; 5’ UGUAACAGAUGAGAUGCUCCA 3’(配列番号56)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチド第2のエフェクター配列;および 第2のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬を提供することとなる。

ロングヘアピン型バージョン ddRNAi薬が、1つより多いエフェクター配列を含有し、また、ddRNAi薬が、RNAの一本鎖として発現される場合、これは、折りたたまれて、エフェクター配列と、エフェクター配列に対して相補的な配列の順序に応じて種々の構造を形成するであろう。一実施形態では、AMD関連遺伝子、好ましくは、VEGF−A遺伝子、および/または1つもしくは複数のVEGFR2、CFB、およびPDGFR−β遺伝子中の1つもしくは複数ターゲット配列の発現を阻害するDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列; 第2のエフェクター相補配列;および 第1のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬を提供する。これは、図1Aに示されているとおりの構造を有するddRNAi薬をもたらすはずである。また、参照により本明細書に組み込まれるWO2004/106517を参照されたい。

別法では、少なくとも1つのエフェクター、好ましくは、両方のエフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は両方とも、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される。例えば、一実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 5’ AAGUUCAUGGUUUCGGAGGCC 3’(配列番号41)の第1のエフェクター配列; 5’ UCUUUCUUUGGUCUGCAUUCA 3’(配列番号44)の第2のエフェクター配列; 第2のエフェクター相補部;および 第1のエフェクター相補部 を含み、その際、そのAMD関連遺伝子がVEGF−AであるddRNAi薬を提供する。

各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である。

別法では、少なくとも1つのエフェクター、好ましくは、両方のエフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

特に好ましい実施形態では、第1および第2のエフェクター配列は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、この実施形態では、各エフェクター配列は、配列番号40〜78から、より好ましくは、配列番号40〜59から、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

ddRNAi薬が3つのエフェクター配列を有するまた別の実施形態では、ターゲット遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 5’ AAGUUCAUGGUUUCGGAGGCC 3’(配列番号41)の第1のエフェクター配列; 5’ UCUUUCUUUGGUCUGCAUUCA 3’(配列番号44)の第2のエフェクター配列; 5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’(配列番号47)の第3のエフェクター配列; 第3のエフェクター相補配列; 第2のエフェクター相補配列;および 第1のエフェクター相補配列 を含むddRNAi薬を提供する。

各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である。

別法では、少なくとも1つのエフェクター、場合により、3つのエフェクターのうちの2つ、またはエフェクターの3つすべては、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

特に好ましい実施形態では、第1、第2、および第3のエフェクター配列は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、この実施形態では、各エフェクター配列は、配列番号40〜78から、より好ましくは、配列番号40〜59から、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

また、エフェクター配列とそのエフェクター相補部とがアニーリングしてdsRNAを形成することにより、単一のロングヘアピン型構造が形成されることを条件として、エフェクターおよびエフェクター相補部の順序は変わり得ることは、当業者には分かるであろう。例えば、2−エフェクター配列ddRNAi薬では、配列は、次の例示的な5’から3’への順序で配置されていてよい: ・第1のエフェクター−第2のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第1のエフェクター相補部; ・第2のエフェクター−第1のエフェクター−第1のエフェクター相補部−第2のエフェクター相補部; ・第1のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第1のエフェクター相補部; ・第1のエフェクター相補部−第2のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第1のエフェクター; ・第1のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第1のエフェクター。

3−エフェクター配列ddRNAi薬では、配列は、次の例示的な5’から3’への順序で配置されていてよい: ・第1のエフェクター−第2のエフェクター−第3のエフェクター−第3のエフェクター相補部−第2のエフェクター相補部−第1のエフェクター相補部 ・第1のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第3のエフェクター−第3のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第1のエフェクター相補部; ・第1のエフェクター−第2のエフェクター−第3のエフェクター相補部−第3のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第1のエフェクター相補部 ・第1のエフェクター−第3のエフェクター−第2のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第3のエフェクター相補部−第1のエフェクター相補部 ・第1のエフェクター相補部−第2のエフェクター相補部−第3のエフェクター相補部−第3のエフェクター−第2のエフェクター−第1のエフェクター相補部 ・第1のエフェクター相補部−第2のエフェクター相補部−第3のエフェクター−第3のエフェクター相補部−第2のエフェクター−第1のエフェクター。

またさらなる実施形態では、第1のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されてよく;第2のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されてよく;第3のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されてよく;任意のさらなるフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択されてよい。別法では、各エフェクター配列はまた、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってもよい。好ま しくは、この相違は、最初および/または最後の5つのヌクレオチドに存在し、少なくとも中心の11〜12のヌクレオチドは、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。各実施形態では、VEGF−Aのみがターゲティングされている際には、各エフェクター配列は、配列番号40〜49から選択され;VEGFR2のみがターゲティングされている際には、各エフェクター配列は、配列番号50〜59から選択され;PDGFR−βのみがターゲティングされている際には、各エフェクター配列は、配列番号60〜69から選択され;CFBのみがターゲティングされている際には、各エフェクター配列は、配列番号70〜78から選択される。

第1、第2、および第3のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドから選択される配列をそれぞれ含んでよいか、または別法では、各エフェクター配列は、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってもよい。またさらなる一実施形態では、各エフェクター配列は、そのうちの17、18、19、または20すべてのヌクレオチドが配列番号40〜78からなる群から選択される連続するヌクレオチドである20のヌクレオチドからなってよい。複数のエフェクター配列が存在する場合、これらは、上記の3つの種類の組み合わせを表してよい。

多重ヘアピン型バージョン 一代替実施形態では、1つまたは複数のAMD関連遺伝子、好ましくは、VEGF−A、VEGFR2、CFBまたはPDGFR−β遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補部; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列;および 第2のエフェクター相補部 を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬を提供する。

別法では、少なくとも1つのエフェクター、好ましくは、両方のエフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

この結果、発現させるために使用する発現カセットの種類に応じて、図1BまたはCにおいて示されているとおりの構造を有するddRNAi薬が生じる(本明細書中において下記を参照されたい)。参照により本明細書に組み込まれるWO2005/087926およびWO2006/084209も参照されたい。

いずれの実施形態でも、2つのターゲット配列が存在する場合、第1および第2のエフェクター配列が両方とも、個々のターゲット配列の転写産物の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であることが好ましい。

好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は両方とも、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される。例えば、一実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’(配列番号47)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; 5’ AAGUUCAUGGUUUCGGAGGCC 3’(配列番号41)または5’ UCUUUCUUUGGUCUGCAUUCA 3’(配列番号44)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列;および 第2のエフェクター相補配列 を含み、その際、AMD関連遺伝子がVEGF−AであるddRNAi薬を提供する。

各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である。

別法では、少なくとも1つのエフェクター、好ましくは、両方のエフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補性を有する。

特に好ましい実施形態では、第1および第2のエフェクター配列は、ターゲット領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、この実施形態では、各エフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

ddRNAi薬が3つのエフェクター配列を有するまた別の実施形態では、1つまたは複数のAMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 5’ AAGUUCAUGGUUUCGGAGGCC 3’(配列番号41)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; 5’ UCUUUCUUUGGUCUGCAUUCA 3’(配列番号44)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列; 第2のエフェクター相補配列; 5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC(配列番号47)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第3のエフェクター配列;および 第3のエフェクター相補配列 を含み、その際、AMD関連遺伝子がVEGF−AであるddRNAi薬を提供する。

ddRNAi薬が2つのエフェクター配列を有するまた別の実施形態では、1つまたは複数のAMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: AMD関連遺伝子VEGRF−2の5’ UGUAACAGAUGAGAUGCUCCA 3’(配列番号56)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; AMD関連遺伝子VEGFA(配列番号47)の5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’内の任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列;および 第2のエフェクター相補配列. を含むddRNAi薬を提供する。

これらの実施形態における各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である。

VEGFA配列が第1であってよく、VEGFR2配列が第2であってよいことは、当業者には分かるであろう。これは、同等の一実施形態である。

ddRNAi薬が3つのエフェクター配列を有するまた別の実施形態では、1つまたは複数のAMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: AMD関連遺伝子VEGRF−2の5’ AAGUAGCCAGAAGAACAUGGC 3’(配列番号52)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列; 第1のエフェクター相補配列; AMD関連遺伝子CFBの5’ UUAUAGAAAACCCAAAUCCUC 3’内の任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列(配列番号78); 第2のエフェクター相補配列; AMD関連遺伝子PDGFR−βの5’ UAGCUGAAGCCCACGAGGUCC 3’(配列番号63)のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第3のエフェクター配列;および 第3のエフェクター相補配列 を含むddRNAi薬を提供する。

これらの実施形態の両方における各エフェクター配列は、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的である。配列が、異なる5’から3’への順序であってよく、また、同等の実施形態を表すことは、当業者には分かるであろう。例えば、PDGFR−βが第1であってよく、VEGFR2が第2であってよく、CFBが第3であってよい。別法では、少なくとも1つのエフェクター、および場合により、3つのエフェクターのうちの2つ、または3つすべてが、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

特に好ましい実施形態では、第1、第2、および第3のエフェクター配列は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害し得る配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、この実施形態では、各エフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

またさらなる実施形態では、第1のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドであってよく;第2のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドであってよく;第3のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドであってよく;任意のさらなるエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドであってよい。好ましくは、各エフェクター配列は、少なくとも17の連続するヌクレオチドである。

各エフェクター配列はまた、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってよい。好ましくは、この相違は、最初および/または最後の5つのヌクレオチドに存在し、少なくとも中心の10〜12のヌクレオチドは、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

第1、第2、および第3のエフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドから選択される配列をそれぞれ含んでよいか、または別法では、各エフェクター配列はまた、1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有する配列番号40〜78の変異体であってよい。またさらなる実施形態では、各エフェクター配列は、そのうちの17、18、19、または20すべてのヌクレオチドが、配列番号40〜78からなる群から選択される配列からの連続するヌクレオチドである20のヌクレオチドからなってよい。複数のエフェクター配列が存在する場合、それらは、上記の3種の組み合わせを表してよい。

さらに、ロングヘアピン型構造または多重ヘアピン型構造では、ddRNAi薬は、次の式のいずれかにより、追加のエフェクター配列および対応する相補配列を含んでよい: ロングヘアピン型: ・[エフェクター配列]1〜10[エフェクター相補配列]1〜10 多重ヘアピン型: ・[エフェクター配列−エフェクター相補配列]1〜10

好ましくは、ロングヘアピン型の式では、エフェクター配列の数は、エフェクター相補配列の数と等しい。典型的には、2、3、4、または5つのエフェクター配列が存在し、したがって、それぞれ2、3、4、または5つのエフェクター相補配列が存在する。

ddRNAi薬が、1つより多いエフェクター配列を含有する場合、それらのエフェクター配列は、同じでも、異なってもよい。例えば、ddRNAi薬が3つのエフェクター配列を有する場合、2つのエフェクター配列が同じ配列を有してもよく、1つは異なる。別法では、3つすべてのエフェクター配列が異なってよい。好ましくは、エフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドであるか、または1、2、3、4、または5つのヌクレオチド変化を有するその変異体である。好ましくは、この相違は、最初および/または最後の5つのヌクレオチドに存在し、少なくとも中心の10〜12のヌクレオチドは、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的である。

天然に存在する変異体を有するターゲット配列の単一の領域、または単一のヌクレオチド多型をターゲティングする場合、少なくとも1つのエフェクター配列が、配列番号40〜78からなる群から選択される配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される一方で、他のエフェクター配列は、選択された配列の変異体であることが好ましい。例えば、第1のエフェクター配列は、配列番号47の20のヌクレオチドを含んでよく;したがって、第2のエフェクター配列は、配列番号47の変異体であるべきである。

ヘアピン型構造 上記の実施形態では、エフェクター配列は、その対応するエフェクター相補配列とハイブリッド形成して、ヘアピン型構造を形成する。ヘアピンの末端では、2つ以上の未結合のヌクレオチドが、「ヒンジ」または「ループ」を形成する。一実施形態では、未結合のヌクレオチドがエフェクター配列およびエフェクター相補部の一部であるので、エフェクター配列の少なくとも17のヌクレオチドの一部のみが、その対応する相補配列と二重鎖を形成することとなる。例えば、エフェクター配列およびその相補部が両方とも20ヌクレオチド長である場合、そのヌクレオチドの18のヌクレオチドは塩基対形成して二本鎖領域を形成し得るが、残りの合計4つのヌクレオチドはエフェクター配列およびそのエフェクター相補配列との間で一緒に、一本鎖ループを形成することとなる。

一代替実施形態では、それ自体、ターゲット配列、エフェクター配列、またはエフェクター相補部に対して非相補的である追加の配列が、「ループ」を作成するために、ddRNAiに含まれていてよい。したがって、本発明のまた別の実施形態では、ddRNAi薬は、ループを形成することができる2〜100の不対ヌクレオチド、より好ましくは、2〜10の不対ヌクレオチドの配列をさらに含む。好ましい実施形態では、ループは、ヌクレオチド配列AA、UU、UUA、UUAG、UUACAA、CAAGAGA、またはN1AAN2を含み、その際、N1およびN2は、C、G、U、およびAのいずれかであり、同じでも、異なってもよい。別段に、特異的なループ配列は、ACUGUGAAGCAGAUGGGUを含む。これらのループでは、ループ配列のすべてが、アニーリングされていないままでなければならないというわけではない。例えば、18のヌクレオチドのループでは、例えば、最初および最後の3つのヌクレオチドは、相互にアニーリングしていてもよく、残りの介在する15のヌクレオチドは、アニーリングされていない。

ddRNAi薬がmiRNA構造の一部として発現される実施形態では、ループ配列は、miRNAに由来してもよく、また、miRNAエンコーディング(ME)配列によりコードされる。

ddRNAi薬構造に応じて、1つまたは複数のループが存在してよい。ddRNAi薬が式[エフェクター配列]1〜10[エフェクター相補配列]1〜10に基づく構造を有する場合、図1Dに図示されているとおり、単一のループ型構造を生じさせる追加の非自己相補配列が、最後のエフェクター配列と、その最後のエフェクター配列のエフェクター相補配列との間に含まれている。したがって、この実施形態では、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βから選択されるAMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列; 第2のエフェクター相補配列;および 第1のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬を提供する。

ddRNAi薬が、式[エフェクター配列−エフェクター相補配列]1〜10に基づき、多重ヘアピン型構造を有する場合、図1EおよびFに図示されているとおり(発現のために使用される発現カセットの種類による;本明細書において下記を参照されたい)、ループ型構造を生じさせるために、追加の非自己相補配列が、各エフェクター配列と、その相補配列との間に含まれている。この実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列; 第1のエフェクター相補配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および 第2のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であり、遺伝子が、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの1つまたは複数から選択されるddRNAi薬を提供する。

2つより多いエフェクターおよび相補配列が存在し、したがって、2つより多いヘアピン型構造が存在するこの実施形態では、各ループ型構造を形成する追加の非自己相補配列の長さは、同じでなくてもよい。例えば、あるループ型構造は5つのヌクレオチドを有してよく、別のループ型構造は9つのヌクレオチドを有してよい。

加えて、2つ以上のヘアピン型構造が存在する場合、各ループの間でスペーサー配列として作用する追加の非自己相補配列が存在し得る。この実施形態では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)薬であって、5’から3’方向で、少なくとも: 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列; 第1のエフェクター相補配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列; 少なくとも17ヌクレオチド長の第2のエフェクター配列; 2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および 第2のエフェクター相補配列 を含み、その際、各エフェクター配列が、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であり、遺伝子が、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの1つまたは複数から選択されるddRNAi薬を提供する。

2鎖ddRNAi薬 当業者であれば分かるとおり、ddRNAi薬全体が1配列として発現される必要はない。例えば、本発明の一実施形態では、第1のエフェクター配列は、(例えば、一方のDNA配列により転写されて)生成されてよく、第1のエフェクター相補配列は、(例えば、別のDNA配列から転写されて)生成されてよい。場合により、ループ配列は、転写産物に結合していてよいか、または一方の転写産物の3’末端および他方の転写産物の5’末端に結合しているループの一部に結合していてよいかのいずれかであり、そのループ配列は、エフェクターまたはエフェクター相補配列がmiRNA構造の一部として発現される場合、miRNAに由来し得る。次いで、細胞内で、2つの転写産物は、第1のエフェクター配列とその相補部とのアニーリングによるハイブリッド形成により、ddRNAi薬を形成する。

化学的に合成されたsiRNAのin vitroで発現されるddRNAi薬 滲出型AMDの有効な処置は、ddRNAiコンストラクトからインビボで発現されるddRNAi薬を必要とするであろうと考えられている一方で(以下で概説するとおり)、in vitroで発現されるddRNAi薬を投与するか、または化学的に合成されるsiRNAを投与して、それにより、一時的な効果を伴う治療として機能することが望ましい状況も存在し得る。in vivoで発現されるddRNAi薬での長期治療を開始する前に、その処置に対する反応について患者をスクリーニングするために、例えば、細胞に組み込まれず、細胞中で複製されないsiRNAで短期間処置することは有利であり得る。

したがって、本発明のddRNAi薬を、in vitroで発現させ、次いで、ターゲット細胞に送達することができる。別法では、siRNAを化学的に合成し、次いで、ターゲット細胞に送達することができる。このことを考慮して、本発明の別の態様では、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するための低分子干渉RNAi薬(siRNA薬)であって、 少なくとも17ヌクレオチド長の第1のエフェクター配列;および 第1のエフェクター相補配列; を含み、その際、エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるsiRNAを提供する。

上記のddRNAi薬と同様に、siRNA薬も、VEGF−Aなどの単一の遺伝子中の複数のターゲット、またはVEGFR2、CFB、およびPDGFR−βなどの1つより多い遺伝子中のターゲットを重複ターゲティングするために1つより多いエフェクター配列を含んでよい。エフェクター配列は、好ましくは、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される。

siRNAの設計においては、かなりの柔軟性が可能である。典型的には、siRNAは、5’−ホスフェートおよび3’−ヒドロキシル残基を有するdsRNA分子からなり、鎖長は、20〜29のヌクレオチドで様々であってよく、場合により、2つのヌクレオチドの3’末端オーバーハングを含むように設計されていてよい。一部の実施形態では、各鎖は、N19〜2TT(ここで、TTはデオキシリボヌクレオチド7であってよい)として合成されてよい。siRNAは、上記のとおりの配列番号40〜78の領域に基づき容易に設計することができ、また、単一の配列として、または任意に組み合わせて治療で使用することができる。別法では、siRNA薬は、ddRNAi発現カセットから発現されるものと同様、または同一のエフェクターおよびエフェクター相補配列を含有する単一のRNA分子からなり得る。これらの配列は、配列番号40〜78に基づいてよく、単一の配列として、または相互に任意に組み合わせて治療で使用することができる。siRNAは、適切に保護されたリボヌクレオシドホスホラミデートおよび従来のシンセサイザーを用いて化学的に合成することができ、したがって、広く市販されていて、当技術分野において日常的な方法に従って設計および合成することができる。好ましい実施形態では、siRNAは、配列番号40〜78の1つまたは複数からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドの配列を有する。

発現カセットおよびmiRNAバックボーン 本発明のddRNAi薬は、DNA発現カセットから発現される。この発現カセットは、プロモーターなどの発現に必要な制御配列を、ddRNAi薬自体をコードするDNA配列と一緒に含む。ddRNAi薬がmiRNA構造の一部として発現される実施形態では、発現カセットはまた、そのmiRNA構造をコードするDNA配列を含む。

ddRNAi発現カセットは、 (不特定の順序で) ・1つまたは複数のプロモーター配列、 ・1つまたは複数のエフェクター配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 ・1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列; および場合により、 ・1つまたは複数のターミネーター配列、 ・ループ配列、スペーサー配列、またはそれら両方をコードする1つまたは複数のDNA配列、 ・1つまたは複数のエンハンサー配列 を含む。

最初のプロモーター配列および最後のターミネーター配列は、発現カセットがクローニングされるベクターに由来してよい。

一実施形態では、ddRNAi薬を発現するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)発現カセットであって、そのddRNAi薬がAMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害し、そのddRNAiコンストラクトが、5’から3’方向で、: プロモーター配列、 第1のエフェクター配列をコードするDNA配列、 第1のエフェクター相補配列をコードするDNA配列、および ターミネーター配列 を含むDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)発現カセットを提供する。

第1のエフェクター配列をコードするDNA配列は、好ましくは、配列番号40〜78のいずれか1つからの配列内の10以上、好ましくは、17以上の連続するヌクレオチドをコードするDNAである。特に好ましい一実施形態では、第1のエフェクター配列は、ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害することができる配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、この実施形態では、第1のエフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

別法では、ddRNAi薬自体に関連して上記で概説したとおり、ターゲット配列の転写産物と塩基対形成してターゲット配列の発現を阻害するようにコードされた配列の能力に影響を及ぼさなければ、エフェクター配列をコードする配列は、配列番号40〜78とは1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なるエフェクター配列をコードしてよい。

任意の所与のRNA配列をコードするDNA配列は、ウラシル(U)塩基の代わりにチミン(T)塩基を有することを除いて、RNAと同じ配列であることは、当業者であれば分かるであろう。ロングヘアピン型構造中に1つより多いエフェクター配列を有するddRNAi薬をコードするddRNAi発現カセットは、5’から3’方向で、 プロモーター配列; 第1のエフェクター配列をコードするDNA配列; 第2のエフェクター配列をコードするDNA配列; 場合により、ループを形成することができる配列をコードする配列; 第2のエフェクター相補配列をコードするDNA配列; 第1のエフェクター相補配列をコードするDNA配列;および 場合により、ターミネーター配列 を含む。

好ましくは、DNA配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される第1および第2のエフェクター配列をコードする。好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は、配列番号40〜59から選択される。別法では、ターゲット配列の転写産物と塩基対形成してターゲット配列の発現を阻害するようにコードされたエフェクター配列の能力に影響を及ぼさなければ、DNA配列は、配列番号40〜78とは1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なるエフェクター配列をコードする。

式[エフェクター配列−エフェクター相補配列]1〜10に基づき、ddRNAi薬が1つより多いエフェクター配列および多重ヘアピン型構造を有する場合、各[エフェクター配列−エフェクター相補配列]対の発現は、単一のプロモーターにより、または別法では別々のプロモーターにより制御されてよい。別々のプロモーターが企図される場合、ddRNAi発現カセットは、5’から3’方向で、 プロモーター配列、 第1のエフェクター配列をコードするDNA配列、 第1のエフェクター相補配列をコードするDNA配列; 場合により、ターミネーター配列; プロモーター配列; 第2のエフェクター配列をコードするDNA配列; 第2のエフェクター相補配列をコードするDNA配列;および 場合により、ターミネーター配列 を含む。

この実施形態では、各エフェクター/エフェクター相補部は、単一のヘアピン型構造として発現されるので、複数のddRNAi薬が、1つの発現カセットから産生される。

単一のプロモーターが企図されている場合、ddRNAi発現カセットは、5’から3’方向で、: プロモーター配列 第1のエフェクター配列をコードするDNA配列、 第1のエフェクター相補配列をコードするDNA配列; 第2のエフェクター配列をコードするDNA配列; 第2のエフェクター相補配列をコードするDNA配列;および 場合により、ターミネーター配列 を含む。

上記の実施形態と同様に、このDNA配列は、好ましくは、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドから選択される第1および第2のエフェクター配列、または配列が配列番号40〜78とは1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なるエフェクター配列をコードする。好ましくは、第1および第2のエフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

上述のddRNAi薬はいずれも、好ましくは、発現カセットからmiRNA構造で発現される。

ddRNAiコンストラクトから発現されるshRNAのプロセシングは、不正確であり得る。RNAiプロセシング経路のための天然基質であるmiRNAなどのRNA構造内での、またはその一部としてのddRNAiの発現が、これを最小限にする1つの方法である。McBrideら(2008)は、内在miRNAの塩基およびループから配列を発現する「人工miRNA」コンストラクトを設計し、これらは、発現されたshRNAのより正確なプロセシングを示唆する毒性の低減を示した。Wuら(2011)は、ことによると、内在miRNAに対するそれらのより大きな構造上の類似により、二重鎖のミスマッチ(パッセンジャー鎖中にミスマッチを含有)は時には、サイレンシング活性の増大を示すことを示した。同様に、Guら(2012)は、ループ配列に隣接するバルジのshRNA分子への導入は、ダイサープロセシングの精度の上昇をもたらし得ることを示した。

エフェクターおよびエフェクター相補部がmiRNA構造として発現される実施形態では、ddRNAi発現カセットは、「miRNAエンコード配列」または「ME配列」と称されるmiRNA構造をコードする配列をさらに含む。これは、発現されると折りたたまれてmiRNA構造になるRNAをコードするddRNAi発現カセット内に含まれるDNA配列である。したがって、エフェクター配列およびエフェクター相補部は、そのmiRNA構造の一部として、またはその内部で発現される。miRNA構造で発現されるddRNAi薬を示す図から理解されるとおり、また、本明細書において既に詳述したとおり、ME配列は、必要とされるように、エフェクター配列およびエフェクター相補配列の上流および下流に設置されるであろう。例として単一のエフェクター−エフェクター相補部の対を有するddRNAi薬を発現する発現カセットを使用すると、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するddRNAi薬を発現するためのDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)発現カセットであって、5’から3’方向で、 プロモーター配列、 第1のME配列、 第1のエフェクター配列をコードするDNA配列、 場合により、ループを形成することができる配列をコードする配列、 第1のエフェクター相補配列をコードするDNA配列; 第2のME配列;および 場合により、ターミネーター配列 を含み、その際、第1および第2のME配列によりコードされる配列が、miRNA構造を形成することができるddRNAiカセットを提供する。したがって、エフェクター配列およびエフェクター相補部は、そのmiRNA構造の一部として、またはその内部で発現される。

ループを形成することができる配列をコードする場合による配列も、ME配列であり得る。例えば、特定のmiRNA構造を、ddRNAi薬がその内部で、またはその一部として発現される構造として利用するならば、ddRNAi薬のループ配列は、同じmiRNAに由来してよい。代替実施形態では、ループ配列は、ME配列によりコードされるmiRNA構造とは異なるmiRNAに由来してよいが、それでもなお、miRNA由来または起源の配列である。

別法では、ddRNAi発現カセットを、プロモーターおよびターミネーターの間の配列の全長の産物である、発現されるddRNAi薬の全長に対する言及によって記載することもできる。例えば、単一のエフェクターddRNAi中のエフェクター配列の長さが、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオチドからなる場合、ddRNAi発現カセットは、プロモーターおよびターミネーターの間に34〜60のヌクレオチドの長さを有するであろう。この長さは、「ループ」または「ヒンジ」配列の2〜100のヌクレオチドをさらに含んで、36〜160のヌクレオチドの長さとなってもよい。各エフェクター配列が17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオチドからなる複数のエフェクター配列を有するddRNAi薬では、比例して、全長が増大する。

miRNA構造(複数可)をコードするME配列の存在も、全長に加わるであろう。

本発明のddRNAi発現カセットを設計する有用な方法の1つは、ダイサーがヌクレオチドを22ごとに切断すると仮定することであり(「22ntフェージング(22nt phasing)」とも称される)、したがって、エフェクター配列は、配列番号40〜78からなる群からの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを、適切なスペーサーおよび適切なプロモーターのための他の配列要求と共にコードするように設計され得る。

mRNAの二次構造の影響を回避し、したがって、それらの機能を独立に果たし得るので、mRNAの種々の部位をターゲティングする薬剤が、shRNAコンストラクションには適している。

U6プロモーターを使用する場合には、プロモーターに作動可能に連結されているDNA配列がグアニン(G)塩基で始まることが、必須ではないが好ましく;H1プロモーターを使用する場合には、プロモーターに作動可能に連結されているDNA配列がアデニン(A)塩基で始まることが、必須ではないが好ましい。したがって、それに応じて、エフェクターエンコード配列は、改変されていてよい。

shRNAの発現を駆動するためのmiRNA由来配列の使用は、poI IIプロモーターを使用すると、特に有利である。pol IIプロモーターでの転写開始部位は、往々にして不明確である。shRNAのダイサープロセシングは、shRNAの構造に大きく依存するので、多くの場合に、プロセシングは、転写開始部位のわずかな変化により、大きな影響を受けないであろう。したがって、miRNA由来配列の使用は、pol IIプロモーターを利用するddRNAiコンストラクトの設計において、より大きな柔軟性を可能にする。

一部の場合には、shRNAの長さを増大させることが有利であり得る。これを達成するための方法の1つは、5’または3’方向のいずれかでshRNA中のエフェクター配列の長さを延長して、ターゲット配列に対するその相補性を最大化し、また、エフェクター相補部の長さを延長して、shRNAのステム内での塩基対形成を最大化することである。例えば、配列番号8中の配列に隣接する追加の配列をターゲティングするために、配列番号47をベースとするshRNAを、5’または3’方向に容易に延長して、30のヌクレオチドステムを有するshRNAを生産することができる。エフェクター配列は、本明細書において他の箇所で定義したとおり、ターゲットに対して実質的な相同性を共有し得るであろう。

一部の場合には、エフェクター、エフェクター相補部、またはループ配列内でDNA配列TTTTを回避することが望ましいことがある。それというのも、これらは、U6またはH1などのPol IIIプロモーターを使用する発現コンストラクトにおいて転写ターミネーターとして作用し得るためである。shRNA設計はまた、U6停止が、shRNAの3’末端に1〜5U残基を付加すると予測されることを考慮すべきである。ロングヘアピン型RNAを設計する場合には、ダイサーによりプロセシングされるエフェクター配列が5’UまたはAを含む可能性を最大化し、それにより、AGO2への組み込みを促進するように、エフェクター配列の正確な選択を(配列番号40〜78からの配列か、またはそれに隣接する配列のいずれかを使用して)改変することが時には有利である。

個別のプロモーターまたは単一のプロモーターで各[エフェクター配列−エフェクター相補配列]対の発現を制御するかどうかの選択は、いくつかの因子に左右される。プロモーター間の干渉を最小限にするためには、単一のプロモーターを利用することができる。単一のプロモーターのみを伴うddRNAiコンストラクトはまた、サイズが比較的小さく、このことは、場合によっては、産生(例えば、E.coliにおける複製)および送達の両方の間でのコンストラクトの安定性に重要であり得る。加えて、単一のプロモーターを使用することで、プロモーター間の何らかの相同的な組換えの可能性が回避される。

しかし、各エフェクター配列または相補部の発現のある程度の調節が必要とされる状況では、複数のプロモーターを有するddRNAiコンストラクトを設計し、それにより、各[エフェクター配列−エフェクター相補配列]対の発現を別々のプロモーターにより制御することが有利である。エフェクター配列が異なる配列を有する状況では、配列の性質は、ある1つの配列が、より高い発現レベルで発現されることを意味することがある。各エフェクター配列のより均等な発現レベルを保証することが望ましい場合には、より高度に発現されるエフェクター配列を、より弱いプロモーターと対にすることができ、逆も同様である。さらに、特にpol IIIプロモーターでは、転写されるべき任意の1配列の長さが、比較的短いと、より効率的な発現を達成することができる。複数のプロモーターを使用する場合には、発現カセット中のプロモーター間の何らかの相同的な組換えのリスクを最小限にするために、プロモーターがすべて同じというわけではないことが好ましい。2つのプロモーターの場合には、好ましくは、それぞれ異なる。3つのプロモーターの場合には、少なくとも2つ、場合により3つすべてが、相互に異なる。

エフェクター配列をコードするDNA配列は、プロモーター配列に作動可能に連結されている。配列は、別のヌクレオチド配列と機能的に関連した状態に置かれている場合に、別のヌクレオチド配列に「作動可能に連結」されている。例えば、コード配列がプロモーター配列に作動可能に連結されているならば、これは一般に、そのプロモーターが、そのコード配列の転写を促進し得ることを意味する。作動可能に連結されているとは、連結されているDNA配列が典型的には連続していて、また、2つのタンパク質コード領域を合わせる必要がある場合には、連続していて、かつリーディングフレームにあることを意味する。しかしながら、エンハンサーはプロモーターから数キロ塩基離れても機能することがあり、またイントロン配列が様々な長さを有し得るので、一部のヌクレオチド配列は、連続していなくても、作動可能に連結され得る。

「プロモーター」または「プロモーター配列」または「プロモーターエレメント」は、一般に、細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、かつ、mRNAまたは任意のRNAポリメラーゼの任意のクラスにより転写される任意の種類のRNAなどのポリヌクレオチドまたはポリペプチドコード配列の転写を開始することができるDNA制御領域である。プロモーターおよびターミネーターは、異なる遺伝子から取られていてよいが、典型的には相互にマッチされる。すなわち、プロモーターおよびターミネーターエレメントは、それらがその中に天然に存在する同じ遺伝子から取られる。より弱い、またはより強いレベルの転写を達成するために、プロモーターはまた、分子技法を使用して、他の方法で、例えば、制御エレメントの変更により変更されていてもよいし、変更されていなくてもよい。

プロモーターに関連して言及される用語「構成的な」は、そのプロモーターが、特異的な刺激(例えば、熱ショック、薬品、光など)が存在しない状態で、作動可能に連結された核酸配列の転写を指示することができることを意味する。典型的には、構成的プロモーターは、実質的に任意の細胞および任意の組織においてコード配列の発現を指示することができる。ddRNAi薬を転写するために使用されるプロモーターは、好ましくは、RNAポリメラーゼIIにより制御されるユビキチン、CMV、β−アクチン、ヒストンH4、EF−1アルファ、もしくはpgk遺伝子のためのプロモーター、またはRNAポリメラーゼIにより制御されるプロモーターエレメントなどの構成的プロモーターである。他の実施形態では、CMV、SV40、U1、hAAT、β−アクチン、またはハイブリッドPol IIプロモーターなどのPol IIプロモーターを使用する。他の実施形態では、U6プロモーター(例えば、U6−1、U6−8、U6−9)、H1プロモーター、7SLプロモーター、ヒトYプロモーター(hY1、hY3、hY4(Maraiaら(1994)を参照されたい)、およびhY5(Maraiaら(1994)を参照されたい)、ヒトMRP−7−2プロモーター、アデノウイルスVA1プロモーター、ヒトtRNAプロモーター、5SリボソームRNAプロモーター、さらには、機能性ハイブリッド、およびこれらのプロモーターの任意の組み合わせなどの、RNAポリメラーゼIIIにより制御されるプロモーターエレメントを使用する。その活性を低下または上昇させるために改変されているこれらのプロモーターすべての変異体も利用することがでる。例えば、強いプロモーターが、それに作動可能に連結されている配列の多すぎる発現の原因となる場合には、それを、その活性を低下させるように改変することができる。

U6プロモーターを使用する場合には、プロモーターに作動可能に連結されているDNA配列がグアニン(G)塩基で始まることが好ましく;H1プロモーターを使用する場合には、プロモーターに作動可能に連結されているDNA配列がアデニン(A)塩基で始まることが好ましい。したがって、核酸の配列は、別のプロモーターよりもある1つのプロモーターを使用することが好ましいことがある。

別法では、一部の実施形態では、ddRNAiコンストラクトから発現される複数のddRNAi薬の誘導性発現を可能にするプロモーターを選択することが最適であることがある。これだけに限定されないが、テトラサイクリン応答系およびlacオペレーター−リプレッサー系(WO03/022052 A1公報;および米国特許出願公開第2002/0162126A1号を参照されたい)、エクジソン制御系、またはグルココルチコイド、プロゲスチン、エストロゲン、RU−486、ステロイド、甲状腺ホルモン、環式AMP、サイトカイン、レギュレーターのカルシフェロールファミリーにより制御されるプロモーター、またはメタロチオネインプロモーター(亜鉛またはカドミウムなどの無機金属により調節)を含めた、そのようなプロモーターを使用する誘導性発現のためのいくつかのシステムが、当技術分野では公知である。

本発明の一部の実施形態で有用なプロモーターは、組織特異的または細胞特異的であり得る。用語「組織特異的」は、プロモーターに対して適用される場合、異なる種類の組織(例えば、脳)では、目的の同じヌクレオチド配列を相対的に発現させることなく、特異的な種類の組織に対して目的のヌクレオチド配列の選択的発現を指示することができるプロモーターを指す。用語「細胞特異的」は、プロモーターに対して適用される場合、同じ組織内の異なる種類の細胞では、目的の同じヌクレオチド配列を相対的に発現は相対的に発現させることなく、特異的な種類の細胞では目的のヌクレオチド配列の選択的発現を指示することができるプロモーターを指す。用語「細胞特異的」は、プロモーターに対して適用される場合、単一の組織内のある領域において目的のヌクレオチド配列の選択的発現を促進することができるプロモーターも意味する。別法では、プロモーターは、構成的または制御可能であり得る。加えて、プロモーターは、異なる特異性を有するように改変され得る。

本発明において特に有用な細胞特異的プロモーターの例には、RPE細胞特異的プロモーターRPE−65およびVMD2、ならびに脈絡膜内皮特異的プロモーターFLT−1またはICAM2が含まれる。

上記のとおり、エンハンサーエレメントが、場合により、本発明のddRNAiコンストラクトに含まれる。

ddRNAi発現カセットまたはコンストラクトが、1つより多いターミネーター配列またはエレメントを含有する場合、そのターミネーター配列またはエレメントは、同じでも異なってもよいか、または任意のカセット内で1回だけ現れるターミネーションエレメントおよび2回以上現れるターミネーションエレメントの組み合わせが存在し得る。どのようなターミネーター配列またはエレメントが使用されても、それらは、使用される肝臓特異的プロモーターと共に適切に機能することを保証するように選択されるべきである。Pol I、Pol II、またはPol IIIプロモーターが使用される場合には、適切なターミネーター配列を使用すべきである。本発明で有用なターミネーションエレメントには、U1停止配列(U1ボックス)、合成ポリAターミネーター、およびいわゆるミニマルポリAターミネーターが含まれる。MAZ1およびMAZ2などの転写ポーズ部位(Ashfieldら、EMBO J 1994 Vol13 No 23 5656 ppおよびYonahaおよびProudfoot EMBO J. 2000 Jul. 17;19(14):3770〜7を参照されたい)が、転写停止のカップリングおよびポリアデニル化を促進するために、ポリAターミネーターの上流に挿入されていてよい。Pol IIIプロモーターでは、配列TTTT、TTTTT、またはTTTTTTが、ターミネーターとして共通して使用される。これらの場合、転写産物は典型的には、配列UUにより停止される。

ddRNAi薬発現コンストラクト ddRNAi薬は、本明細書において「ddRNAiコンストラクト」と称される任意の適切なベクターまたはddRNAiコンストラクトに挿入されたDNA発現カセットから発現されてよい。AMDのための治療薬を開発するに際しての以前の難題は、投与を繰り返すことを必要とせずに、長期間の発現を保証する正確な細胞の効率的かつ均一な形質導入であった。

コンストラクトのベクターバックボーンが送達システムと適合性である場合、ddRNAi発現コンストラクトも、送達コンストラクトである。特に好ましい送達コンストラクトは、ウイルスベクターである。細胞内から治療用ddRNAi薬を産生する発現コンストラクトを送達するために、アデノ関連ウイルス(AAV)、アデノウイルス(Ad)、またはレンチウイルス(LV)などのウイルスベクターを使用することで、表面発現されるtoll様受容体3との核酸の直接的な相互作用に多くの場合に起因するインターフェロン応答が回避される。これが、治験におけるsiRNAベースの眼薬の数回の失敗の主な理由である。

本発明の場合、本発明のddRNAi薬が、網膜層内の深部にある網膜色素上皮(RPE)細胞または他の細胞に届く必要がある。この作用のために、本発明は、マウスモデルにおいて、硝子体内注射の後にRPE層に浸透し得ることが示されている改変型アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターを利用する。野生型の非改変型AAV血清型は、この経路により目に導入された場合に、細胞の隣接層よりも多く形質導入するには限られた能力を有する。この理由により、本発明では、改変型AAVベクターを利用することが好ましい。

例えば、チロシン残基を置換して、形質導入の増大をもたらすために、AAV株の部位特異的突然変異誘発が使用されている(Li Zhong、Baozheng Li、Cathryn S. Mah,(2008)Proc Natl Acad Sci U S A. 105(22): 7827〜7832)。AAVベクターに対する同様の改変により、硝子体内注射の後に網膜の全層にわたって形質導入し得るベクターが作製されている(Hilda Petrs−Silva、Astra Dinculescu、Qiuhong Liら(2009)Mol Ther. 17(3):463〜471)。同様に、AAVベクター中の特異的セリン、トレオニン、またはリシン残基が、宿主細胞のキナーゼ/ユビキチン化/プロテアソーム機構を回避し、かつ、形質導入効率を有意に上昇させるように改変されている(Gabriel N、Hareendran S、Sen Dら(2013)Hum Gene Ther Methods. 2013(2):80〜93)。特異的ターゲット組織について増大した組織特異性または免疫原性の低減の所望の特性を有する変異体を単離するために、AAVカプシド変異体のライブラリを作出する方法をスクリーニングすることができる。最近では、Schafferらが、7マーペプチドがカプシド配列に挿入されているAAV変異ベクターの硝子体内注射後に幅広い経網膜送達を示し得ている(Dalkara, D.、L.C. Byrne、R.R. Klimczakら(2013)Science Translational Medicine、5:189ra76)。

典型的には、AAVのゲノムは、2個の遺伝子のみを含有する。「rep」遺伝子は、DNA複製において利用される少なくとも4つの別々のタンパク質をコードする。「cap」遺伝子産物は、差別的にスプライシングされて、ウイルスのカプシドを含む3つのタンパク質を生成する。ゲノムを発生期ウイルスにパッケージングする場合、末端逆位配列(ITR)のみが、絶対配列(obligate sequence)であり;repおよびcapは、ゲノムから削除して、選択した異種配列と置き換えることができる。しかしながら、複製に必要なタンパク質を産生し、AAVベースの異種コンストラクトを発生期ウイルス粒子にパッケージングするためには、repおよびcapタンパク質をトランスに供給しなければならない。アデノウイルスまたはヘルペスウイルスなどのヘルパーウイルスの同時感染により通常は供給されるヘルパー機能も、1つまたは複数のDNA発現プラスミドの形態でトランスに供給することができる。このゲノムは通常、2つの遺伝子のみをコードするので、送達ビヒクルとして、AAVが、4.5一本鎖キロ塩基(kb)のパッケージング容量により制限されることは意外ではない。しかしながら、このサイズ制限が、置換遺伝子治療のために送達され得る遺伝子を限定することはあるが、これが、ddRNAiベクターなどの比較的短い配列のパッケージングおよび発現に不利な影響を及ぼすことはない。

本発明は、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害するためのddRNAi薬を発現するためのddRNAi発現カセットを含むddRNAi発現コンストラクトであって、 (不特定の順序で) 1つまたは複数のプロモーター配列、 1つまたは複数のエフェクター配列をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列; および場合により、 1つまたは複数のターミネーター配列、 ループ配列、スペーサー配列、または両方をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエンハンサー配列を含み、その際、そのコンストラクトがウイルス送達コンストラクトであり、好ましくは、ウイルス送達コンストラクトがAAV改変型ベクターである、ddRNAi発現コンストラクトを提供する。

好ましくは、この発現カセットは、ME配列をさらに含み、ddRNAi薬がmiRNA構造の一部として、またはその内部に発現されるようになっている。

好ましい実施形態では、ウイルス送達コンストラクトの発現カセットは、AMD関連遺伝子VEGRF−2(配列番号56)の5’ UGUAACAGAUGAGAUGCUCCA 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第1のエフェクター配列、およびAMD関連遺伝子VEGF−A(配列番号47)の5’ UAUGUGGGUGGGUGUGUCUAC 3’のうちの任意の10以上の連続するヌクレオチドの第2のエフェクター配列をコードする2つのDNA配列を含む。

ウイルス送達後の本発明のddRNAi薬の発現は、持続的であり、薬物の1回の投与から、患者の寿命までであり得る。したがって、本発明の別の態様では、本発明によるddRNAi発現カセットが挿入されているウイルスベクターを含むddRNAi治療薬を提供する。好ましくは、この発現カセットは、本明細書を通じて記載している組み合わせおよび実施形態から選択されるロングヘアピン型構造または多重ヘアピン型構造のいずれかとして、複数のddRNAi薬をコードする。好ましい実施形態では、ddRNAi薬のエフェクター配列およびエフェクター相補配列は、miRNA構造内で発現される。

典型的には、ウイルスベクターの生産において、ウイルスの正常な内在遺伝子をゲノムから削除し、選択した異種の配列と交換することができる。しかしながら、複製に必要なタンパク質を産生し、ウイルスベースの異種コンストラクトを発生期ウイルス粒子にパッケージングするためには、ゲノムから取り除いたウイルスタンパク質をトランスに供給しなければならない。限定ではないが、PCR、オリゴヌクレオチド合成、DNA合成、制限エンドヌクレアーゼ消化、結紮、形質転換、プラスミド精製、およびDNA配列決定の標準的な技術を含めた当技術分野で周知の任意の適切な遺伝子工学技術を使用して、コンストラクトの生成を達成することができる。ウイルスコンストラクトはまた、ウイルスの複製および伝播を可能にする遺伝子を含有してよいが、好ましい実施形態では、そのような遺伝子は、トランスに供給されるであろう。加えて、ddRNAiコンストラクトは、天然の形態または改変形態で組み込まれる任意の既知の生体のゲノムからの遺伝子または遺伝子配列を含有してよい。例えば、好ましいウイルスコンストラクトは、細菌中でのコンストラクトの複製に有用な配列を含む。

ウイルスベースのddRNAiコンストラクトの生成の後に、コンストラクトを、ウイルス粒子にパッケージングする。当技術分野で公知の任意の方法を使用して、そのゲノムが、ウイルスddRNAiコンストラクトのコピーを含む感染性ウイルス粒子を生産することができる。方法の1つは、ウイルスddRNAiコンストラクトをウイルス粒子に組み込むために必要なウイルスタンパク質、さらには、特定のウイルス送達システムに必要か、または好ましい他の配列(例えば、複製、構造タンパク質、およびウイルスアセンブリに必要な配列)、および組織侵入のためのウイルス由来また人工リガンドのいずれかをトランスで安定発現するパッケージング細胞を利用する。ウイルスddRNAiコンストラクトをパッケージング細胞に形質移入した後に、次いで、パッケージング細胞は、ウイルス配列を複製し、ウイルスタンパク質を発現し、ddRNAi発現コンストラクトを感染性ウイルス粒子にパッケージングする。パッケージング細胞系は、これだけに限定されないが、当業者に公知であるか、または当業者により開発された293、HeLa、A549、PerC6、D17、MDCK、BHK、アメリカンチェリー(bing cherry)、フェニックス(phoenix)、Cf2Th、または任意の他の系統を含めた、ウイルスタンパク質を発現することができる任意の細胞系であってよい。パッケージング細胞系の1つは、例えば、米国特許第6,218,181号に記載されている。

別法では、機能性粒子の効率的な生産を達成するために、必要なウイルスタンパク質を安定発現しない細胞系に、1つまたは複数のコンストラクトを同時形質移入することができる。そのコンストラクトの1つは、ウイルスベースのddRNAiコンストラクトであり、他のコンストラクトは、細胞が機能性ウイルスを、さらには他のヘルパー機能を産生することが可能であるために必要なタンパク質をコードする核酸を含む。

パッケージング細胞系または複製およびパッケージングコンストラクトは、エンベロープ遺伝子産物を発現しなくてもよい。これらの実施形態では、エンベロープ遺伝子をコードする遺伝子は、ウイルスベースのddRNAiコンストラクトと同時形質移入される別のコンストラクト上に供給されていてよい。エンベロープタンパク質は、ウイルス粒子の宿主範囲を部分的に担っているので、ウイルスは、偽型であってよい。上記のとおり、「偽型」ウイルスは、ゲノムが由来するウイルス以外のウイルスに由来するエンベロープタンパク質を有するウイルス粒子である。当業者であれば、使用されるウイルス送達システムおよびターゲティングされた細胞に適した偽型を選択することができる。

特異的な宿主範囲をもたらすことに加えて、選択された偽型は、非常に高い力価までウイルスを濃縮することを可能にし得る。別法では、ウイルスは、感染を特異的な種に限定する環境栄養性エンベロープタンパク質で偽型になっていてよい(例えば、環境栄養性エンベロープは、例えば、マウス細胞の感染のみを可能にし、両栄養性エンベロープは、例えば、ヒト細胞およびマウス細胞の両方の感染を可能にする)。加えて、遺伝的に改変されたリガンドを、細胞特異的ターゲティングのために使用することができる。

パッケージング細胞系における産生の後に、ddRNAi発現カセットを含有するウイルス粒子を精製および定量(タイター)する。精製ストラテジには、密度勾配遠心分離、または好ましくは、カラムクロマトグラフィーによる方法が含まれる。

方法 本発明のddRNAi薬、siRNA薬のddRNAiコンストラクトの投与により、網膜内の細胞中で発現される遺伝子の発現が阻害される。したがって、本発明の別の態様では、個体におけるAMDを処置する方法であって、治療有効量のddRNAiコンストラクトを、処置を必要とする患者に投与することを含み、その際、そのddRNAi薬が、AMD関連遺伝子、好ましくは、VEGF−A遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する方法を提供する。好ましくは、処置されるAMDは、滲出型AMDである。

患者に投与されるddRNAi薬は、以下の1つまたは複数であってよい: ・第1のエフェクター配列;および第1のエフェクター相補配列を含み;その際、そのエフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;第3のエフェクター配列;第3のエフェクター相補配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第1のエフェクター相補配列;第2のエフェクター配列;および第2のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第1のエフェクター相補配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;第3のエフェクター配列;および第3のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第2のエフェクター相補配列;および第1のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第1のエフェクター相補配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および第2のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;第1のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第2のエフェクター配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのループ配列;および第2のエフェクター相補配列を含み、その際、各エフェクター配列が、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して実質的に相補的であるddRNAi薬、 ・5’から3’方向で、第1のエフェクター配列;第1のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第2のエフェクター配列;第2のエフェクター相補配列;2〜100の非自己相補的ヌクレオチドのスペーサー配列;第3のエフェクター配列;および第3のエフェクター相補配列を含むddRNAi薬、 ・miRNA構造内で、またはその一部として発現される上述のddRNAi薬のいずれか。

当業者には理解されるように、また、図において示されているとおり、いずれの特定のエフェクター配列も、ddRNAi薬中で、その相補部と位置交換していてよい。上記の各実施形態の特定の形態では、各エフェクター配列は、配列番号40〜78のいずれか1つからの配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される少なくとも17ヌクレオチド長である。エフェクター配列は、すべて同じか、またはすべて異なるか、または例えば、配列番号47の少なくとも10の連続するヌクレオチドの2つのエフェクター配列と、(例えば)配列番号56の少なくとも10の連続するヌクレオチドの1つのエフェクター配列との組み合わせであってよい。

好ましくは、エフェクター配列は、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの任意の連続する11、12、13、14、15、または16のヌクレオチド、最も好ましくは、配列番号40〜78のいずれか1つのうちの17以上の連続するヌクレオチドからなる群から選択される。典型的には、エフェクター相補部は、対応するエフェクター配列と同じ長さ、またはほぼ同じ長さ(すなわち、±15%ヌクレオチド長さ、または全体長さに応じて1〜3つのヌクレオチドだけ異なる)である。

本明細書の先行するセクションにおいて記載したとおり、これらのddRNAi薬はそれぞれ、ddRNAiコンストラクト中のddRNAi発現カセットにより投与することができる。好ましくは、ddRNAiコンストラクトは、そのコンストラクトが、眼の背部にあるRPE細胞をターゲティングすることができるように、AAVベースのコンストラクトである。それぞれ単一のddRNAi薬を発現することができる2つ以上のddRNAi発現カセットまたはコンストラクトを送達することにより、または別法では、かつ最も好ましくは、1つより多いddRNAi薬を発現することができる1つのddRNAi発現カセットまたはコンストラクトを送達することにより、多重ターゲティングを達成することができる。

代替実施形態では、エフェクター配列はそれぞれ、1つまたは複数のターゲット配列の転写産物中の1つまたは複数のターゲット領域に対して100%相補的であってよいか、または1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なってよい。

AMDを処置する方法は、場合により、AMDの症状を有し、処置を必要とする個体を同定する先行ステップを含んでよい。その同定ステップは、対象を、滲出型AMDまたは乾燥型AMDを有すると鑑別診断することを含んでよい。

本発明のddRNAi薬をより長期的に、または安定的に提供するために、このddRNAi薬を、本発明のddRNAiコンストラクトにより、すなわち、細胞に送達される適切なベクターに挿入されたddRNAi発現カセットからのddRNAi薬のin vivoでの発現により提供する。このddRNAi発現カセットは、 1つまたは複数のプロモーター配列、 配列番号40〜78からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドをコードする配列からなる群から選択される1つまたは複数のDNA配列; 1つまたは複数のエフェクター相補配列をコードする1つまたは複数のDNA配列; および場合により、 1つまたは複数のターミネーター配列、 ループ配列、スペーサー配列、またはその両方をコードする1つまたは複数のDNA配列、 1つまたは複数のエンハンサー配列 を含む。

本明細書において既に概説したとおり、ddRNAi発現カセットのこれらの構成要素は、異なる5’から3’への配置を有してよく、それらはすべて、本発明の方法において使用するために適している。この発現カセットはまた、好ましくは、miRNA構造を形成することができる配列をコードするDNA配列を含む。

好ましくは、本発明の方法におけるターゲットAMD関連遺伝子はVEGF−Aである。したがって、本発明の一実施形態では、ddRNAi薬は、VEGF−A遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する。第1のエフェクター配列をコードするDNA配列は、好ましくは、表1において列挙されている配列番号40〜49からの配列内の任意の10以上の連続するヌクレオチドのddRNAiエフェクターコード配列から選択される。別法では、すでに詳述したとおり、ターゲット配列と塩基対形成してVEGF−Aターゲット配列の発現を阻害するようにコードされた配列の能力に影響しなければ、エフェクター配列をコードする配列は、配列番号40〜49とは、1、2、3、4、または5つのヌクレオチドだけ異なっていてよい。

典型的には、各エフェクター配列は、対応するエフェクター相補配列と共に二本鎖領域を形成する。

一代替実施形態では、本発明の方法におけるターゲットAMD関連遺伝子は、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの1つまたは複数である。

一代替実施形態では、個体におけるAMDを処置する方法は、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するために、配列番号40〜78として上記で列挙したものなどの1つより多いエフェクター配列を有するddRNAi薬をコードするddRNAiコンストラクトを治療有効量で投与することを含む。

本発明の処置方法のいずれにおいても、患者は、投与されるddRNAiコンストラクトが補助的治療となるような他の処置を受けることもできる。

AMDおよび特に滲出型AMDは、多くの場合に脈絡膜血管新生(CNV)と称されるプロセスにおいて、網膜の後ろに位置する血管系からの血管の異常な増殖により特徴づけられる。したがって、CNVを制御することは、滲出型AMDに罹患している患者に対してプラスの効果を有する。したがって、本発明の別の態様は、個体における脈絡膜血管新生を処置する方法であって、処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明のddRNAi薬、発現カセット、またはコンストラクトを投与することを含み、その際、そのddRNAi薬が、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの1つまたは複数中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する方法である。これらの遺伝子はそれぞれ、血管形成、血管新生、またはVEGF経路におけるそれらの役割により、目的のターゲットである。

AMDの病因における別の重要な因子は、ドルーゼンと称される眼の基底での細胞外沈着物の形成である。これらの沈着物は、黄斑のゆがみの一因となり、また、血管新生において役割を果たし得る。CFBは、ドルーゼンの構成要素である。したがって、そのタンパク質産生物の発現を阻害するためにCFB遺伝子をターゲティングすることは、沈着するドルーゼンの量を低減させ、したがって、AMDに罹患している患者に対してプラスの効果を有する。したがって、個体におけるドルーゼン沈着物を低減する方法であって、処置を必要とする患者に、治療有効量の本発明のddRNAi薬、発現カセット、またはコンストラクトを投与することを含み、その際、そのddRNAi薬が、CFB中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害する方法を提供する。

したがって、VEGF−A、VEGFR2、CFB、およびPDGFR−βの組み合わせをターゲティングすることにより、ドルーゼンの沈着を阻害しようと努めながら、血管形成、したがって、CNVを最小限にしようと努めることは、当技術分野で以前には企図されたことのないAMD、特に、滲出型AMDのための多面的な攻撃戦略をもたらし、AMDの進行を停止させるだけでなく、視力を回復させようと努めることである。

一部の場合には、組み込まれているか、または安定的に維持されているddRNAiコンストラクトからのddRNAi薬の長期の発現とは対照的に、ddRNAi薬またはsiRNA薬の一時的な存在に依存することが好ましいことがある。例えば、処置に対する患者の忍容性を初めに決定すべき場合である。この例では、in vitroで作製された本発明のddRNAi薬またはsiRNA薬を投与することができる。

本発明のさらなる一態様では、AMDを処置するか、CNVを処置するか、ドルーゼンの沈着を最小限にするか、またはAMDの症状を緩和するために、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための活性成分としてddRNAiコンストラクト、ddRNAi薬、またはsiRNA薬を含む組成物を提供する。

本発明のさらなる一態様では、AMDを処置するか、CNVを処置するか、ドルーゼンの沈着を最小限にするか、またはAMDの症状を緩和するために、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するためのddRNAiコンストラクト、ddRNAi薬、またはsiRNA薬の使用を提供する。同様に、AMDを処置するか、CNVを処置するか、ドルーゼンの沈着を最小限にするか、またはAMDの症状を緩和するために、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための医薬品の調製におけるddRNAiコンストラクト、ddRNAi薬、またはsiRNA薬の使用を提供する。

好ましくは、AMDは滲出型AMDである。

本発明の方法で使用されるddRNAiコンストラクト、ddRNAi薬、またはsiRNA薬の1つまたは複数のエフェクター配列は、AMD関連ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害することができる配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、1つまたは複数のエフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

本発明の方法ではそれぞれ、本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを、好ましくは、硝子体内注射により対象の眼に送達するが、網膜下注射も利用することができる。

医薬組成物 本発明のddRNAi薬、siRNA薬、またはddRNAi発現カセットを含むベクターは、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることにより、医薬組成物に製剤化することができる。したがって、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、ddRNAiコンストラクト、またはsiRNA薬と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。

別の実施形態では、本発明は、AMD関連遺伝子中の1つまたは複数のターゲット配列の発現を阻害、防止、または低減するための主な成分として、有効量の本発明のddRNAi薬、ddRNAi発現カセット、またはddRNAi発現コンストラクトを、場合により、薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含むAMD処置用組成物を提供する。

医薬剤形で、本薬剤またはddRNAi発現カセットを含むベクターを単独で、または他の薬学的に活性な化合物と組み合わせて投与することができる。薬剤またはddRNAi発現カセットを含むベクターの用量レベルは、送達ビヒクルの性質、ターゲット細胞の形質導入の相対的な容易さ、ターゲット細胞におけるRNAi薬の発現レベルなどに応じて、変化するはずであることは、当業者であれば容易に分かるであろう。

本発明のddRNAi薬、siRNA薬、またはddRNAi発現カセットを含むベクターは、それらをオイル、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはプロピレングリコールのエステルなどの性または非水性溶媒中に、所望の場合には、溶解補助剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、および防腐剤などの従来の添加剤と共に溶解、懸濁、または乳化させることにより、注射または投与用の製剤に製剤化することができる。

対象の眼への本発明の医薬組成物の最も好ましい投与様式は、硝子体内注射によるものである。代替投与方法は、網膜下注射である。

本発明により企図される薬学的に許容される担体または希釈剤には、使用される投薬量および濃度で受容者に対して毒性ではない任意の希釈剤、担体、賦形剤、安定剤が含まれ、また、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含めた抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レソルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血漿アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含めた単糖、二糖、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。

一般に、製剤は、活性成分を液体担体もしくは微粉の固体担体またはその両方と均一かつ十分に混合し、必要な場合には、生成物を成形することにより調製される。製剤化は、周囲温度、適切なpH、所望の純度で、生理学的に許容される担体、すなわち、使用される投薬量および濃度で受容者に非毒性である担体と混合することにより行うことができる。

本発明の組成物で使用されるddRNAiコンストラクト、ddRNAi薬、またはsiRNA薬の1つまたは複数のエフェクター配列は、AMD関連ターゲット遺伝子領域の発現を少なくとも70%阻害することができる配列内の任意の10以上、好ましくは、任意の17以上の連続するヌクレオチドを含む。好ましくは、その1つまたは複数のエフェクター配列は、配列番号40〜78、より好ましくは、配列番号40〜59、最も好ましくは、配列番号40〜49から選択される。

別の実施形態では、上記のとおりのRNAi薬または医薬組成物を含むキットまたは製品を提供する。

他の実施形態では、上述の治療用途において使用するためのキットであって、 - RNAi薬または医薬組成物を保持する容器; - 取扱説明を記載したラベルまたは添付文書 を含むキットを提供する。

ある種の実施形態では、本キットは、AMDを処置するためか、または上記のとおりのAMD関連状態を処置するための1つまたは複数のさらなる活性成分を含有してよい。

キットまたは「製品」は、容器と、容器上か、または容器に随伴するラベルまたは添付文書を含んでよい。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、ブリスターパックなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成されていてよい。容器は、状態を処置するために有効なRNAi薬または医薬組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有してよい(例えば、容器は、皮下用注射針で穿刺可能なストッパーを備えた静脈内輸液バッグまたはバイアルであってよい)。ラベルまたは添付文書は、このRNAi薬または医薬組成物が、選択された状態を処置するために使用されることを示す。一実施形態では、ラベルまたは添付文書は、取扱説明を含み、このRNAi薬または医薬組成物がAMDを処置するためか、または上記のとおりのAMD関連状態を処置するために使用することができることを示す。

キットは、(a)RNAi薬または医薬組成物;および(b)第2の活性成分を含有する第2の容器を含んでよい。本発明のこの実施形態でのキットは、このRNAi薬または医薬組成物および他の活性成分を、AMDを処置するためか、または上記のとおりのAMD関連状態を処置するために使用することができることを示す添付文書をさらに含んでよい。別法では、または加えて、キットは、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびデキストロース液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2(または第3)の容器をさらに含んでよい。これは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含めた商業上および使用者の立場から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。

ある種の実施形態では、RNAi薬または医薬組成物を、RNAi薬または医薬組成物を保持するための容器を含めた使い捨てまたは再利用可能なデバイスの形態で提供することができる。一実施形態では、デバイスは、シリンジ、好ましくは、硝子体内注射または網膜下注射に適したシリンジである。デバイスは、RNAi薬または医薬組成物1〜2mLを保持し得る。RNAi薬または医薬組成物を、すぐに使用することができる状態で、またはさらなる成分を混合または添加することを必要とする状態でデバイス中に提供することができる。

以下では、本発明を次の非限定的実施例を参照しつつ説明する。

実施例 1. VEGF−Aをサイレンシングするためのコンストラクトの設計および調製 ヒトと前臨床試験種であるマウスおよびマカクとの間で良好に保存されているVEGF−A mRNA中のRNAiターゲット配列を認識するように、VEGF−AをターゲティングするshRNAを発現するddRNAiコンストラクトを設計した。表2において列挙したエフェクター配列を発現するために、10のddRNAiコンストラクト(miR−1、miR−2、miR−3、miR−4、miR−5、miR−6、miR−7、miR−8、miR−9、およびmiR−10)を作出した。オリゴヌクレオチドを合成し(Sigma Aldrich)、BamHI/Hind III断片を作製するためにアセンブルし、これを、製造元(Invitrogen)のプロトコルに従って、pSilencer2.1−U6 hygroのBamHI/Hind III部位にクローニングした。これらのコンストラクトは、shRNAの発現を駆動するために、ヒトU6プロモーターを使用した。そのようなコンストラクトの1つについてのベクターおよびインサートのマップが、図2Aおよび2Bに示されている。miR−8でのインサートの配列および発現されるshRNAの予測二次構造が、図2Cおよび2Dに示されている。miR−1〜10を調製するために使用されるBamHI/Hind III断片の配列は、配列番号91〜100として列挙する。

2. VEGF−Aをターゲティングするコンストラクトの活性および鎖特異性 二重ルシフェラーゼアッセイを使用して、miRコンストラクトの活性を決定した。ホタルルシフェラーゼは、約4時間の比較的短い半減期を有するので、ホタルルシフェラーゼ活性の測定は、RNAi阻害活性を評価するための代理マーカーをもたらす。これらの実験のために、VEGF−A cDNAの領域を含有するセンサーコンストラクトを、ホタルルシフェラーゼ発現コンストラクトpGL3(Promega)の3’UTRにクローニングした。XbaIおよびFseI制限部位が隣接する断片を調製するために、当技術分野で周知の方法を使用して、Open Biosystems(a Thermo Scientific company)から得られるVEGF−A cDNAクローンの領域をPCRにより増幅し;次いで、これらの増幅された断片を、pGL3の3’UTR中のXbaI/FseI部位にクローニングした。VEGF−Aの5つの別々の領域をこうして増幅して、表3に示されているとおりのアッセイmiR1〜10を評価するために使用することができるレポーターコンストラクトを調製した。これらの5つの領域(A〜E、表3)を、両方の配向でクローニングし、それにより、RISC負荷の鎖優先性(strand preference)を決定することができるようにした。「センス」レポーターコンストラクトは、パッセンジャー鎖の活性をアッセイし、「アンチセンス」と称されるレポーターは、エフェクター鎖の活性をアッセイした。強いエフェクター活性および弱いパッセンジャー活性を有するddRNAiコンストラクトが、治療用途には非常に好ましい。それというのも、上記で検討したとおり、これらは、より少ないオフターゲット効果をもたらす可能性があるためである。

VEGF−AをターゲッティングするmiRコンストラクトのそれぞれの活性および鎖優先性をアッセイするために、製造元(Promega)のプロトコルに従って、二重ルシフェラーゼアッセイを行った。簡単には、製造元(Roche Applied Sciences)のプロトコルに従って、Fugeneを使用して、特異的ddRNAiコンストラクトを、適切なVEGF−Aセンサーおよびウミシイタケルシフェラーゼ発現プラスミド(pRL:Promega)(後者は、ウェル間の形質移入効率を正規化し得る)と共に、HEK293T細胞に同時形質移入した。細胞を、48時間にわたって培養し、Turner Biosystems Veritasルミノメーターを使用する製造者(Promega)のプロトコルに従って、二重ルシフェラーゼアッセイを行った。

代表的な実験の結果が、図4Aに示されている。これらのデータは、10のddRNAiコンストラクトのすべてが、アンチセンスターゲットの有意なサイレンシングを示すが、異なるddRNAiコンストラクト間でのパッセンジャー鎖のRISC負荷における顕著な相違を反映して、センスターゲットに対する活性においては有意に異ったことを示した。これらのデータに基づき、miR−2、5、および8を、さらに分析するために選択した。

天然のVEGF−Aに対するこれらのコンストラクトの活性を確認するために、造元(Roche Applied Sciences)のプロトコルに従って、Fugeneを使用して、HEK293T細胞に、VEGF−Aタンパク質を発現する発現プラスミドをmiR−2、5、および8のための発現コンストラクトと共に同時形質移入した。48時間後に、改変Trizolプロトコル(Invitrogen)を使用して、RNAを単離した。製造元(Applied Biosystems Inc.)のプロトコルに従ってRT QPCR Assay on Demandを使用して、VEGF−A mRNAレベルを決定した。これらのデータ(図4B)は、VEGF−A shMiR2、5、および8は、形質移入細胞において、定常状態のVEGF−A mRNAレベルを有意に低下させることを示している。

内在発現されるVEGF−Aに対するshMiR−8の活性をさらに確認するために、ARPE−19と名付けられている自発的に生じる網膜色素上皮(RPE)細胞系に、miR−8を発現するアデノウイルスコンストラクト(MOI=200)を形質導入した。24、48、72、および96時間目に、RNAおよびタンパク質を細胞から単離した。上記のとおりRTQPCRを使用して、VEGF−A mRNAレベルを決定した。製造元(R&D Systems)のプロトコルに従ってHuman VEGF Quantikine ELISA Kitを用いて行われるELISAアッセイを使用して、タンパク質レベルを決定した。これらのデータ(図4C)は、miR−8が、タンパク質およびmRNAレベルの両方において、VEGF−A発現を強力にサイレンシングし、その際、ノックダウンのレベルは経時的に上昇したことを示した。

miR−8からのshRNA発現のレベルを定量化するために、カスタムRT−QPCRアッセイを開発した。miR−8の発現shRNAからプロセシングされたエフェクターRNAのレベルを定量化するために、合成RNA標準(Sigma Aldrich)およびフォワードDNAプライマー(Sigma Aldrich)を使用して、このアッセイを開発した。合成RNA標準およびDNAプライマーの配列は、以下である: 合成RNA標準:UGGGUUAUGUGGGUGGGUGUGUCUACCGCCU(配列番号130) フォワードプライマー(DNA):TATGTGGGTGGGTGTGTCTAC(配列番号131) リバースプライマー(DNA):キットからのmiScript Universalプライマー(Qiagen)。

製造元(Qiagen)のプロトコルに従ってmiSCRIPT Reverse Transcription Kitを使用して、RNAを逆転写した。このキットの構成要素は、RNAをポリアデニル化し、逆転写酵素、およびcDNA合成のためのプライマーとして作用する固定されたオリゴdTプライマーの作用により、cDNAコピーを合成する。当業者に周知のプロトコルを使用して、SYBR green QRT PCRアッセイを使用して、cDNAを増幅し、定量化した。標準曲線を用意するために、既知の量の合成RNA標準を逆転写し、QPCR増幅した。RNAを上述のARPE−19細胞から単離し、このアッセイを使用して、発現されたshRNAのレベルを定量化した。図4Bは、miR−8から発現されプロセシングされたshRNAのレベルが経時的に上昇し、タンパク質およびRNAレベルにおいてVEGF−Aノックダウンのレベルと相関したことを示している。まとめると、これらのデータは、miR-8がVEGF−Aを強力にサイレンシングしたことを示した。VEGF−Aターゲット配列ならびにmiR−2、5、および8のエフェクター配列は、ヒトと、前臨床試験種であるマウスおよびマカクとの間でヌクレオチド配列の完全保存を示すことに注意されたい。

3. VEGFR2をサイレンシングするためのコンストラクトの設計および調製 上記の基準を使用して、ヒトと前臨床試験種であるマウスおよびマカクとの間で保存されているVEGFR2 mRNA中のターゲット配列を認識するように、VEGFR2をターゲティングするshRNAを発現するddRNAiコンストラクトを設計した。多くの場合に、ヒト、マウス、およびサル種の間で完全に保存されている配列を見出すことは困難であった。10のddRNAiコンストラクト(miR−V−1、miR−V−2、miR−V−3、miR−V−4、miR−V−5、miR−V−6、miR−V−7、miR−V−8、miR−V−9、およびmiR−V−10)がコンストラクトされた。これらを調製するために使用されたBamHI/HindIII断片の配列は、表2においてまとめられているとおりの配列番号101〜110として列挙される。実施例1において記載したとおりに、インサートをpSilencer 2.1−U6 hygroにクローニングした。

4. VEGFR2をターゲティングするコンストラクトの活性および鎖特異性 実施例2に記載のプロトコルおよび表3に列挙されているレポーターコンストラクトを使用して、二重ルシフェラーゼアッセイを上記のとおりに行って、miR−V−1からmiR−V−10の活性および鎖優先性を決定した。 表3:miRコンストラクトの活性および鎖特異性をアッセイするために使用したレポーターコンストラクト

amiRコンストラクトの活性および鎖特異性をアッセイするための二重ルシフェラーゼアッセイにおいて使用される特定のluc融合コンストラクトを記載するコード。 bluc融合コンストラクトに含まれる配列。 c個々のレポーターでアッセイされたmiRコンストラクト。

これらの実験の結果は図5Aに示されている。これらのデータは、10のコンストラクトのすべてが、アンチセンスレポーターコンストラクトの有意なサイレンシングを達成し得たが、異なるddRNAiコンストラクト間でのパッセンジャー鎖のRISC負荷における顕著な相違およびオフターゲット作用についてその結果生じる当然の性向を反映して、センスレポーターコンストラクトに対する活性においては有意に異ったことを示した。これらのデータに基づき、miR−V−2、−3、−7、および−10を、さらに分析するために選択した。

天然のVEGFR2 mRNAに対するこれらのコンストラクトの活性を確認するために、製造元(Roche Applied Sciences)のプロトコルに従ってFugeneを使用して、HEK293T細胞に、VEGFR2 miR−V−2、3、7、および10を発現するプラスミド、ならびにVEGFR2のための全長cDNAを発現する発現プラスミドを同時形質移入した。72時間後に、RNAを、上記のとおりに単離した。製造元のプロトコルに従ってRT QPCR 「Assay on Demand」を使用して、VEGFR2 mRNAレベルを決定した。これらのデータ(図5B)は、miR−V−2、3、7、および10が、対照と比較して、定常状態のVEGFR2 mRNAレベルを有意に低下させたことを示した。図5Cは、miR−V−2、3、7、および10は、ウェスタンブロット分析により評価すると、形質移入された細胞の平行ウェルにおいて、VEGFR2タンパク質レベルも著しく低下させたことを示している。まとめると、これらのデータは、miR−V−2、3、7、および10は、VEGFR−2を強力にサイレンシングしたことを示した。

5. PDGFR−βをサイレンシングするためのコンストラクトの設計および調製 ヒトと、前臨床試験種であるマウスおよびマカクとの間で良好に保存されたPDGFR−B mRNA中のターゲット配列を認識するように、上記の基準を使用して、PDGFR−BをターゲティングするshRNAを発現するddRNAiコンストラクトを設計した。多くの場合に、ヒト配列と、マウスおよびサルモデルの両方における対応する配列との間には、単一のヌクレオチドミスマッチが存在する。10のddRNAiコンストラクト(miR−P−1、miR−P−2、miR−P−3、miR−P−4、miR−P−5、miR−P−6、miR−P−7、miR−P−8、miR−P−9、およびmiR−P−10)を作製した。これらを調製するために使用したBamHI/HindIII断片の配列は、表2にまとめられているとおりの配列番号111〜120として列挙されている。実施例1において記載したとおりに、インサートを、pSilencer 2.1−U6 hygroにクローニングした。

6. PDGFR−βをターゲティングするコンストラクトの活性および鎖特異性 実施例2において記載したプロトコルを表3に列挙されているレポーターコンストラクトと共に使用して、二重ルシフェラーゼアッセイを上記のとおりに行い、miR−P−1からmiR−10の活性および鎖優先性を決定するために使用した。これらのデータは、10のコンストラクトのすべてが、アンチセンスレポーターコンストラクトの有意なサイレンシングを示したことを示した。これらのデータに基づき、miR−P−4およびmiR−P−9を、その後の分析のために選択した。

天然のPDGFR−β mRNAに対するこれらのコンストラクトの活性を確認するために、製造元(Roche Applied Sciences)のプロトコルに従って、Fugeneを使用して、HEK293T細胞に、PDGFR−β miR−P−4またはmiR−P−9のいずれかを発現するプラスミドおよびPDGFR−βの全長cDNAを発現するプラスミドを同時形質移入した。48時間後に、上記のとおりに、RNAを単離した。製造元のプロトコルに従ってRT QPCR「Assay on Demand」を使用して、PDGFR−β mRNAレベルを決定した。これらのデータ(図6A)は、miR−P−4およびmiR−P−9が、対照に対して、定常状態ののmiR−P−4およびmiR−P−9レベルを有意に低下させたことを示した。図6Bは、miR−P−4およびmiR−P−9は、対照と比較して、細胞の平行形質移入ウェルにおいてPDGFR−βタンパク質レベルも著しく低下させたことを示す。まとめると、これらのデータは、miR−P−4およびmiR−P−9がPDGFR−βを強力にサイレンシングしたことを示した。

7. CFBをサイレンシングするためのコンストラクトの設計および調製 ヒトと、前臨床試験種であるマウスおよびマカクとの間で保存されたCFB mRNA中のターゲット配列を認識するように、上記の基準を使用して、CFBをターゲティングするshRNAを発現するddRNAiコンストラクトを設計した。多くの場合に、ヒト配列と、マウスおよびサルモデルの両方における対応する配列との間には、単一のヌクレオチドミスマッチまたは複数のミスマッチが存在する。9つのddRNAiコンストラクト(miR−C−1、miR−C−2、miR−C−3、miR−C−4、miR−C−5、miR−C−6、miR−C−7、miR−C−8、およびmiR−C−9)を作製した。これらを調製するために使用したBamHI/HindIII断片の配列は、表2にまとめられているとおりの配列番号121〜129として列挙されている。実施例1において記載したとおり、インサートを、pSilencer 2.1−U6 hygroにクローニングした。

8. CFBをターゲティングするコンストラクトの活性および鎖特異性 実施例2において記載したプロトコルを表3に列挙されているレポーターコンストラクトと共に使用して、二重ルシフェラーゼアッセイを、miR−C−1〜9の活性および鎖優先性を決定するために上記のとおりに使用した。これらの実験の結果は、図7Aにおいて示されている。これらのデータは、コンストラクトの多くが、アンチセンスレポーターコンストラクトの有意なサイレンシングを示したが、異なるddRNAiコンストラクト間でのパッセンジャー鎖のRISC負荷における顕著な相違およびオフターゲット作用の当然の可能性を反映して、センスレポーターコンストラクトに対する活性においては有意に異ったことを示した。これらのデータに基づき、miR−C−1、miR−C−8、およびmiR−C−9を、その後の分析のために選択した。

天然のCFB mRNAに対するこれらのコンストラクトの活性を確認するために、上述の方法を使用して、HEK293T細胞に、miR−C−1、miR−C−8、またはmiR−C−9のいずれかを発現するプラスミドおよびCFBの全長cDNAを発現するプラスミドを同時形質移入した。48時間後に、RNAを収集し、RT QPCR「Assay on Demand」を使用して、CFB mRNAレベルを決定した。これらのデータ(図7B)は、miR−C−1、miR−C−8、およびmiR−C−9が、対照処理された細胞に比較すると、定常状態ののCFB mRNAレベルを有意に低下させたことを示した。図7Cは、miR−C−1、miR−C−8、またはmiR−C−9が、対照と比較すると、平行形質移入細胞においてCFBタンパク質レベルも著しく低下させたことを示した。ウェスタンブロット分析により決定されたとおりであった。まとめると、これらのデータは、miR−C−1、miR−C−8、およびmiR−C−9が、CFBを強力にサイレンシングしたことを示した。

9. VEGF−Aをターゲティングするコンストラクト VEGF−Aをターゲティングする治療用のmiR−ベースのshRNAを発現するように設計されたコンストラクトを調製した。これらは、すべての細胞においてshRNAを発現するであろうU6プロモーターか、または適切な細胞において治療用のshRNAを発現するであろう4つの組織特異的プロモーターのうちの1つを使用した。4つの組織特異的プロモーターは、ヒトVDM2プロモーター、ヒトICAM2プロモーター、ヒトRPE65プロモーター、およびヒトFLTプロモーターであった。

図2Cに記載のmiR−7配列に融合したプロモーター配列からなるDNA断片を合成した(Blue Herron)。これらの断片は、AAVベクターへのクローニングを可能にするために、隣接する制限部位を含有した;pol IIプロモーターを使用するコンストラクトのために、AAVベクターは、適切な転写停止を保証するために、最小限のポリアデニル化部位を含有した。これらの断片のマップが、図9に示されており、配列番号132〜配列番号136として列挙されている。

10. VEGF−AおよびVEGFR2をターゲティングするコンストラクト VEGFF−AおよびVEGFR2をターゲティングする治療用のmiR−ベースのshRNAを発現するように設計されたコンストラクトを調製した。これらは、すべての細胞においてshRNAを発現するであろうU6プロモーターか、または実施例9における4つの組織特異的プロモーターのうちの1つを使用した。

miR−7−miR−V−7に融合したプロモーター配列からなり、実施例9に記載されているとおり、AAVベクターへのクローニングを可能にするために、隣接する制限部位を含有するDNA断片を合成した(Blue Herron)。これらの断片のマップが、図10に示されており、配列番号137〜配列番号141として列挙されている。

11. VEGFR2、PDGFR−β、およびCFBをターゲティングするコンストラクト VEGFR2、PDGFR−β、およびCFBをターゲティングする治療用のmiR−ベースのshRNAを発現するように設計されたコンストラクトを調製した。これらは、すべての細胞においてshRNAを発現するであろうU6プロモーターか、または実施例9における4つの組織特異的プロモーターのうちの1つを使用した。単一のベクターに組み込まれた一連の制限酵素を使用して、単一のコンストラクトmiR−V−7、miR−C−8、およびmiR−P−9配列からのヘアピンをそれぞれ、単一のベクターに(同じ順序で)サブクローニングした。その結果生じた発現コンストラクトはまた、実施例9において記載したとおり、AAVベクターへのクローニングを可能にするために、隣接する制限部位を含有した。これらのコンストラクトを発現するために使用された実際のプロモーターには、Blue Heronにおいて独立に合成されるヒトU6プロモーター、FLTプロモーター、およびICAM2プロモーターが含まれた。産生されたコンストラクトはそれぞれ、使用前に確認された配列であった。これらの断片のマップが、図11に示されており、配列番号142から配列番号146として列挙されている。

参考文献 Andersonら、2010. Prog Retin Eye Res. 29: 95〜112、 Ashfieldら、1994. EMBO J Vol13 No 23 5656 Boyeら、2012. Human Gene Ther 23:1101〜1115、 Dalkara, Dら 2013. Science Translational Medicine, 5:189ra76、 Gregoryら、2005. Cell 18: 631〜640、 Guら、2012. Cell 151: 900〜911、 Frankら、2010. Nature. 465:818〜22 Gabriel Nら 2013. Hum Gene Ther Methods. (2):80〜93)、 Kleinmanら、2008. Nature 452: 591〜7、 Maraiaら 1994. Nucl Acids Res. 22: 3045〜3053、 McBrideら、2008. PNAS 105:5868〜5873、 Nguyenら Ophthalmology. 2012 Sep;119(9):1867〜73、 Petrs−Silvaら 2009. Mol Ther. 17(3): 463〜471、 Schwarzら、2003. Cell 115: 199〜208 Stewart MW. Br J Ophthalmol (2012). doi:10.1136/bjophthalmol−2011〜300654、 Wasworthら Molecular Therapy vol. 19 no. 2011年2月2日; 326〜334、 Wuら 2011. PLoS ONE 6:e28580、 YonahaおよびProudfoot, 2000. EMBO J. 19:3770−3777、 Zhongら 2008. Proc Natl Acad Sci U S A. 105(22): 7827〜7832、 Zhuら、2010. Adv Exp Med Biol 664: 211〜216、 US 6573099、 US 2002/162126 US 6218181、 WO1999/49020、 WO2003/022052。

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