Complement b factor analog and its applications

申请号 JP2014509468 申请日 2012-05-04 公开(公告)号 JP2014518621A 公开(公告)日 2014-08-07
申请人 ウェルスタット イムノセラピューティクス, エルエルシー; 发明人 チャンフン チェン,; マイケル カレコ,; ベイベイ リ,; ティアンシー ルオ,; ジェフリー アレン ミラー,; ルイゴン ワン,;
摘要 本発明は補体B因子アナログを含有しているポリペプチドを提供する。 本発明はまた、遊離のシステインアミノ酸の変異を含有している補体B因子アナログを含む様々な補体B因子アナログ、ならびに関連する方法、核酸、およびベクターを提供する。 これらの補体B因子アナログ、ならびに関連する方法、核酸、およびベクターは、補体経路をモジュレートするため、あるいは、補体経路に関連する様々な状態または疾患の研究および/または処置のために使用することができる。
权利要求
  • 補体B因子タンパク質アナログを含有しているポリペプチドであって、ここでは、該補体B因子アナログが遊離のシステインアミノ酸の変異を含む、ポリペプチド。
  • 前記変異が前記遊離のシステインの置換を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記遊離のシステインが2つ以上のアミノ酸で置換されている、請求項2に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが配列番号4のアナログであり、該補体B因子タンパク質アナログがジスルフィド結合を形成するシステインアミノ酸を有しており、そして遊離のシステインアミノ酸が別のアミノ酸で置換されている、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記遊離のシステインが、アラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸で置換されている、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記ヒト補体B因子アナログがネイティブの補体B因子の結合と競合する、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記変異が前記遊離のシステインの欠失を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログがヒト補体B因子タンパク質アナログである、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記遊離のシステインが配列番号1のアミノ酸292に対応する、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、K258A、R259A、K260A、D279G、N285D、およびD740Nからなる群より選択される配列番号1の変異に対応する少なくとも1つの変異を含む、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、配列番号1のK258A、R259A、K260A、D279G、およびN285Dに対応する変異を含む、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが配列番号1のD740Nに対応する変異を含む、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが配列番号2のアミノ酸26〜480を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが配列番号2のアミノ酸481〜764を含まない、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して増大したC3b結合親和性を有しており、該補体B因子タンパク質アナログが以下を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のポリペプチド:
    (i)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下したプロテアーゼ活性;
    (ii)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下した、D因子タンパク質により切断される能力;または(iii)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下したプロテアーゼ活性、および対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下した、D因子タンパク質により切断される能力。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログがC3b結合ドメイン中に変異を含み、該補体B因子タンパク質アナログが、対応するネイティブの補体B因子タンパク質のC3bに対する結合親和性と比較して増大した、C3bに対する結合親和性を示す、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記C3b結合ドメイン中の変異が以下を含む、請求項16に記載のポリペプチド:
    (i)配列番号1のアミノ酸279に対応するアスパラギン酸の置換もしくは欠失、配列番号1のアミノ酸285に対応するアスパラギンの置換もしくは欠失、またはこれらの両方;あるいは(ii)前記アスパラギン酸または前記アスパラギンの隣への少なくとも1つのアミノ酸の挿入。
  • 前記アスパラギン酸、前記アスパラギン、または両方が1つ以上のアミノ酸で置換されている、請求項17に記載のポリペプチド。
  • 前記アスパラギン酸が、グリシン、アラニン、またはアスパラギンで置換されている、請求項17または18に記載のポリペプチド。
  • 前記アスパラギンがグリシン、アラニン、またはアスパラギン酸で置換されている、請求項17、18、または19に記載のポリペプチド。
  • 前記置換が、前記アスパラギン酸をグリシンで置き換えること、および前記アスパラギンをアスパラギン酸で置き換えることを含む、請求項17に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、補体D因子切断部位中に変化を含み、ここでは、該変化が、D因子タンパク質による補体B因子タンパク質アナログの切断を減少させるかまたは取り除く、請求項15に記載のポリペプチド。
  • 前記D因子切断部位中の変化が以下を含む、請求項22に記載のポリペプチド:
    (i)配列番号1のアミノ酸259に対応するアルギニンの置換もしくは欠失、配列番号1のアミノ酸258もしくは260に対応する一方もしくは両方のリジンの置換もしくは欠失、またはアルギニンおよび両方のリジンの置換または欠失;あるいは(ii)アルギニンの隣、1つもしくは両方のリジンの隣、またはアルギニンおよび1つもしくは両方のリジンの隣への挿入。
  • 配列番号1のアミノ酸258〜260に対応する前記アミノ酸がそれぞれアラニンで置換されている、請求項23に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、前記セリンプロテアーゼドメインの活性部位の中に変異を含み、ここで、該変異が、対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して補体B因子タンパク質アナログが補体因子C3を切断する能力を低下させるかまたは取り除く、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記変異が、配列番号1のアミノ酸740に対応するアスパラギン酸の欠失または置換を含む、請求項25に記載のポリペプチド。
  • 前記配列番号1のアミノ酸740に対応するアスパラギン酸が、セリン、チロシン、グリシン、アラニン、またはグルタミン酸で置換されている、請求項26に記載のポリペプチド。
  • 前記置換が前記アスパラギン酸のアスパラギンでの置換を含む、請求項26に記載のポリペプチド。
  • 前記ヒト補体B因子タンパク質アナログが、配列番号1、2、3、22、23、または26に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記ヒト補体B因子タンパク質アナログが、配列番号1、2、もしくは3のアミノ酸26〜764に対して;配列番号22もしくは23のアミノ酸26〜990に対して;配列番号2のアミノ酸26〜480に対して;または配列番号26のアミノ酸26〜1003に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である、請求項1〜28のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、配列番号2、3、22、23、26、または配列番号2のアミノ酸1〜480を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、配列番号2のアミノ酸26〜764、配列番号3のアミノ酸26〜764、配列番号2のアミノ酸26〜480、配列番号22のアミノ酸26〜990、配列番号23のアミノ酸26〜990、または配列番号26のアミノ酸26〜1009を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、配列番号2のアミノ酸26〜764、配列番号3のアミノ酸26〜764、配列番号2のアミノ酸26〜480、配列番号22のアミノ酸26〜990、配列番号23のアミノ酸26〜990、または配列番号26のアミノ酸26〜1009から本質的になる、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記ポリペプチドが免疫グロブリンFcドメインを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  • 前記Fcドメインが前記補体B因子アナログに対してC末端側にある、請求項34に記載のポリペプチド。
  • 前記Fcドメインが前記Fcドメインの配列中にシステインの1つ以上の変異を有しており、ここでは、該1つ以上の変異が二量体の形成を阻害する、請求項34または35に記載のポリペプチド。
  • Fcドメインが、配列番号27のアミノ酸17または20に対応する1つ以上のシステインの変異を含む、請求項34〜36のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記1つ以上のシステインが、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸で置換されている、請求項36〜37のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記Fcドメインが、配列番号21のアミノ酸766〜990、配列番号26の766〜1003、配列番号26の786〜1003、配列番号27の1〜238より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項34または35に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログのアミノ酸配列が補体B因子の断片に対応する、請求項1〜3または34〜39のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログがB因子のN末端の短縮化に対応する短縮化を含む、請求項40に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログがB因子のC末端の短縮化に対応する短縮化を含む、請求項40または41に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、配列番号1、2、または4のアミノ酸407、427、457、477、480、484、487、507、または527に対応するアミノ酸に対してC末端側の短縮化に対応するC末端の短縮化を含む、請求項42に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、配列番号1、2、または4のアミノ酸407〜487、470〜495、または477〜487に対応するアミノ酸の間のアミノ酸でのC末端短縮化に対応する短縮化を含む、請求項42に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、配列番号1、2、または4のアミノ酸408〜764、428〜764、458〜764、478〜764、481〜764、485〜764、488〜764、508〜764、528〜764に対応するアミノ酸を含まない、請求項40〜42のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、崩壊促進因子と相互作用する補体B因子中のアミノ酸に対応するアミノ酸の変異を含む、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、配列番号1のアミノ酸290、291、323、363、364、または407に対応するアミノ酸の1つ以上の変異を含む、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記1つ以上の変異が置換または欠失である、請求項47に記載のポリペプチド。
  • 前記1つ以上の変異が、配列番号1のK290A、K291A、K323E、Y363A、S364A、またはD407Nのうちの1つ以上に対応する、請求項48に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子アナログが、配列番号1のK290A/K291A、Y363A/S364A、またはK290A/K291A/Y363A/S364Aに対応する変異の組み合わせのうちの1つを含む、請求項49に記載のポリペプチド。
  • 前記補体B因子タンパク質アナログが、タンパク質全体において少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%純粋である、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記ポリペプチドが補体活性を阻害するかまたは低下させる、上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  • 前記ポリペプチドが代替補体経路を阻害する、請求項52に記載のポリペプチド。
  • 上記請求項のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含有している核酸。
  • 請求項54に記載の核酸を含有しているウイルスベクター。
  • 前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、肝炎ウイルスベクター、SV40ウイルスベクター、AAVベクター、EBVベクター、およびNDVベクターからなる群より選択される、請求項55に記載のウイルスベクター。
  • 前記レンチウイルスベクターが、BIV、HIV、EIAV、SIV、またはFIVベクターである、請求項56に記載のウイルスベクター。
  • 前記ウイルスベクターが崩解促進因子を含む、請求項57に記載のウイルスベクター。
  • 請求項1〜53のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項54に記載の核酸、請求項55〜58のいずれか1項に記載のウイルスベクター、またはこれらの任意の組み合わせを含有している、薬学的製剤。
  • ヒスチジン、MgCl 、トレハロース、ポリソルベート、ポリソルベート20、スクロース、アルギニン、およびプロリンからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含有している、請求項59に記載の薬学的製剤。
  • 補体活性を阻害する方法であって、該方法は、該補体活性を阻害するために十分な量の請求項1〜53のいずれか1項に記載のポリペプチド、請求項54に記載の核酸、請求項55〜58のいずれか1項に記載のウイルスベクター、請求項59〜60のいずれか1項に記載の薬学的組成物、またはこれらの任意の組み合わせを、補体活性の部位に導入または投与する工程を含み、ここでは、該ポリペプチドが該補体活性を阻害する、方法。
  • 患者に対して、前記ポリペプチド、前記核酸、前記ウイルスベクター、前記薬学的組成物、またはこれらの任意の組み合わせを投与する工程を含む、請求項61に記載の方法。
  • 前記ポリペプチドが、ネイティブの補体B因子の結合と競合する、請求項61または62に記載の方法。
  • 請求項62または63に記載の方法を含む、患者の補体媒介疾患を処置する方法。
  • 前記補体媒介疾患が眼の疾患である、請求項64に記載の方法。
  • 前記薬学的組成物を眼に投与する、請求項65に記載の方法。
  • 前記薬学的組成物を、硝子体内注射、網膜下注射、前眼房内への注射、角膜への注射または局所適用、結膜下注射、テノン下注射、または点眼により投与する、請求項66に記載の方法。
  • 前記補体媒介疾患が、黄斑変性症、加齢性黄斑変性(AMD)、地図状委縮、湿性AMD、心筋梗塞、乾性AMD、ドルーゼン形成、関節炎、脳卒中、虚血再灌流傷害、糖尿病性網膜症、硝子体網膜症、外傷性臓器損傷、角膜の炎症、角膜血管新生、ブドウ膜炎、高眼圧症、または緑内障である、請求項64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記補体媒介疾患が、アテローム性動脈硬化症、気道応答性亢進、免疫関連疾患、自己免疫関連疾患、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、リウマチ性疾患、抗リン脂質抗体症候群、腸および腎臓のI/R傷害、喘息、非定型溶血性尿毒症症候群、II型膜増殖性糸球体腎炎、非増殖性糸球体腎炎、胎児喪失、脳傷害、外傷後臓器損傷、梗塞後臓器損傷、血管炎、遺伝性血管浮腫、発作性夜間ヘモグロビン尿症、脳血管偶発症、アルツハイマー病、移植片拒絶、感染症、敗血症、敗血症性ショック、シェーグレン症候群、重症筋無力症、抗体に媒介される皮膚疾患、I型およびII型真性糖尿病、インスリン抵抗性症候群、妊娠性糖尿病、甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病および溶血性貧血、神経障害、多発性硬化症、心肺バイパス傷害、結節性多発性動脈炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、血清病、グッドパスチャー病、全身性壊死性血管炎、連鎖球菌感染後の糸球体腎炎、特発性肺線維症、膜性糸球体腎炎、急性ショック性肺症候群、成人呼吸窮迫症候群、および再灌流からなる群より選択される、請求項64〜67のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記薬学的組成物の投与前、投与と同時、または投与後に、補体阻害因子または抗血管形成因子を前記患者に投与する工程をさらに含む、請求項64〜69のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記補体阻害因子が、H因子、H因子様1、MCP、DAF、または可溶性形態のMCPからなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
  • 前記抗血管形成因子が、エンドスタチン、VEGF結合分子、PEDF、T2−TrpRS、sFLT、アフリバーセプト、およびキニノスタチンからなる群より選択される、請求項70または71に記載の方法。
  • 抗炎症剤を、前記薬学的組成物の投与前、投与と同時、または投与後に投与する、請求項64〜72のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記抗炎症剤を(i)前記薬学的組成物と同時に投与する、または(ii)前記薬学的組成物が前記抗炎症剤を含む、
    請求項73に記載の方法。
  • 前記抗炎症剤を眼に投与する、請求項73または74に記載の方法。
  • 前記抗炎症剤が、デキサメタゾン、デキサメタゾンナトリウムメタスルホベンゾエート、デキサメタゾンナトリウムホスフェート、フルオロメトロン、ブロムフェナク、プラノプロフェン、シクロスポリン眼科用乳液、ナプロキセン、糖質コルチコイド、ケトロラク、イブプロフェン、トルメチン、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド性抗炎症薬、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、インドメタシン、およびスプロフェンからなる群より選択される、請求項73、74、または75に記載の方法。
  • 前記ウイルスベクターを含有している薬学的製剤を、約1週間、1か月、2か月、3か月、6か月、9か月、1年、18か月、2年、30か月、3年、5年、または10年に1回投与する、請求項62〜64のいずれか1項に記載の方法。
  • 補体活性、T細胞の活性化、B細胞、腫瘍壊死因子(TNF)、エストロゲン、インターロイキン−1、またはインターフェロン−γを阻害する化合物を、前記薬学的組成物の投与前、投与と同時、または投与後に投与する、請求項64〜77のいずれか1項に記載の方法。
  • 前記化合物が、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、アバタセプト、およびリツキシマブからなる群より選択される、請求項78に記載の方法。
  • 前記ウイルスベクターを含有している薬学的製剤を前記患者に1度だけ投与する、請求項62〜64のいずれか1項に記載の方法。
  • 請求項54に記載の核酸を含有している細胞であって、ポリペプチドを発現する、細胞。
  • 前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項81のいずれか1項に記載の細胞。
  • 前記細胞が、293細胞、CHO細胞、PerC6細胞、またはVero細胞からなる群より選択される、請求項81に記載の細胞。
  • 前記細胞が原核生物細胞である、請求項81に記載の細胞。
  • 前記細胞が大腸菌細胞である、請求項81に記載の細胞。
  • 補体B因子タンパク質アナログを含有しているポリペプチドを生産する方法であって:
    a. 請求項1〜53のいずれか1項に記載のポリペプチドを細胞中で発現させる工程;およびb. 該ポリペプチドを精製する工程を含む、方法。
  • 说明书全文

    発明の背景 補体系は、先天免疫系および適応免疫系の構成要素である(非特許文献1(Volanakis,J.E.,による概説、1998、J.E.Volanakis,and M.M.Frank編、Marcel Dekker,Inc.,New York pp9−32のThe Human Complement System in Health and Diseaseの第2章))。 補体は、生物の殺傷において、そして免疫複合体の輸送およびクリアランスに重要な役割を果たしている。 補体系の活性化産物の多くはまた、プロ炎症性または免疫調節の機能にも関連している。 補体系は、3つの酵素活性化カスケード:古典経路、レクチン経路、および代替経路において組織化されている血漿および膜結合タンパク質からなる(図1)。 3つの経路全てが、終末補体複合体(TCC)および生物学的に活性な産物のアレイの形成をもたらすことができる。

    いくつかの場合は、補体活性化は、様々な病原体および外来分子を認識してそれらに結合する特定の抗体により、および/または、外来物質との補体タンパク質の直接の相互作用によるかのいずれかで開始される。 活性化されれば、これらの経路はプロテアーゼ複合体であるC3コンバターゼの形成を生じる。 古典経路のC3コンバターゼであるC4b2a、および代替経路のC3コンバターゼであるC3bBbはいずれも、C3のα鎖を切断してC3bを生じることができる。 C3bは生物学的表面に共有結合する潜在能を有する。 C3bの結合は多形核細胞およびマクロファージによる貪食作用のためのオプソニン作用をもたらす。 さらにC3bが利用できる場合は、C3コンバターゼはC5コンバターゼとして機能することができ、C5を切断してTCCまたは膜攻撃複合体(MAC)の組み立てを開始し、これがターゲティングされた細胞膜内への細孔形成タンパク質複合体の挿入により細胞溶解を媒介する。

    図1Aに示すように古典的経路においては、第1の補体(C1)のコラーゲン性の亜成分であるC1qが免疫複合体の中の免疫グロブリンに結合し、そしてその関連するセリンプロテアーゼであるC1rおよびC1sが活性化される。 この補体カスケードは、続くC4およびC2の切断によって開始され、C3の活性化が続く。 生じるC3b断片はオプソニンとしての役割を果たすだけではなく、溶解経路において膜攻撃複合体(MAC)の形成ももたらす。 先天免疫においては、認識分子(レクチン)とセリンプロテアーゼからなる、マンノース結合レクチン(MBL)−結合性セリンプロテアーゼ(MASP)と呼ばれる複合体が、レクチン経路を介して微生物の表面上の炭化物に結合する際に、C4およびC2を活性化する。 この結合は免疫グロブリンの非存在下で起こる。 顎のある脊椎動物において見られるレクチン経路の認識分子はMBLおよびフィコリンであり、これらは両方ともC1qのようなコラーゲン様ドメインおよびGlcNAcに対して共通の結合特異性を有している炭水化物結合ドメインの存在を特徴とする。 MASPおよびC1r/C1sは同じドメイン構成を共有しており、セリンプロテアーゼのサブファミリーを形成している。

    先天免疫におけるレクチン補体経路は、適応免疫における古典的補体経路と、例えば、それらの成分の構造および機能に関して密接に関連している。 いずれの経路とも典型的には、コラーゲン性タンパク質およびマンノース結合レクチン(MBL)結合性セリンプロテアーゼ(MASP)/C1r/C1sファミリーのセリンプロテアーゼからなる複合体により開始される。 古典的経路はレクチン経路の後に進化的に出現すると推定されている。

    図1Bに示す代替補体経路の活性化は、典型的には、C3bタンパク質(またはC3i)が、例えば微生物の細胞および他の表面成分に結合すると開始する。 C3bはまた、免疫グロブリンG(IgG)抗体にも結合できる。 次に、代替経路のB因子タンパク質がC3bタンパク質と結合してC3bBを形成する。 次に、D因子タンパク質が、結合したB因子タンパク質を断片BbとBaに分割し、C3bBbを形成する。 次にプロペルジンがBbに結合して、典型的には数百のC3分子を酵素的に分割してC3aとC3bにすることができるC3コンバターゼとして機能するC3bBbPを形成する。 C3bの一部はその後C3bBbの一部に結合して、C5分子をC5aとC5bに分割することができるC5コンバターゼであるC3bBbC3bを形成する。

    C3bは血漿中で遊離しているために、これは宿主細胞または病原体の表面のいずれかに結合できる。 宿主細胞に対して補体活性化が進行しないようにするためには、補体活性化の過程を中断させるいくつかの異なる種類の調節タンパク質がある。 補体受容体1(CR1またはCD35)およびDAF(CD55としても知られている)は細胞表面上のC3bとの結合においてB因子と競合し、そしてなおさらに、既に形成されたC3bBb複合体からBbを取り外すこともできる。 C3コンバターゼの形成はまた、第I因子と呼ばれる血漿プロテアーゼがC3bを切断してその不活性型であるiC3bにする場合にも妨げられ得る。 第I因子はC3b結合タンパク質コファクター、例えば、CR1およびタンパク質分解の膜コファクター(MCPまたはCD46)と共に作用する。 別の補体調節タンパク質は、B因子と競合するか、コンバターゼからBbにとって代わるか、第I因子のコファクターとして機能するか、または脊椎動物細胞に結合したC3bに優先的に結合するかのいずれかである因子Hである。

    補体系の正確な機能は、補体カスケードの活性化が炎症に寄与する多数のタンパク質の生産をもたらすため、その調節に依存している。 これは宿主の防御に寄与する場合は有益であるが、自己組織上で活性化されれば有害となり得る。 典型的には、血液中のC3の活性化は低いレベルで維持され、そしてC3bの付着は病原体表面に限定される。

    ヒトの野生型補体B因子タンパク質は、5つのタンパク質ドメインから構成されている764個のアミノ酸の一本鎖の糖タンパク質(およそ93kDa)である(非特許文献2(Moleら、1984 The J.Biol Chem,259:6,3407−3412))。 ヒト野生型補体B因子タンパク質(fB)は典型的には、N末端の25個のアミノ酸の一本鎖ペプチドを伴って発現される(例えば、配列番号1を参照のこと)。 ヒト野生型補体B因子タンパク質のアミノ末端領域(Ba)は、主として3つの短鎖コンセンサスリピートからなる。 中央の領域は、フォン・ビルブラント因子中に見られるものと類似するA型ドメインである(非特許文献3(Colombattiら、Blood(1991)77(11):2305−15))。 カルボキシ末端はセリンプロテアーゼ(SP)ドメインである(非特許文献4(Perkins and Smith,Biochem J.(1993)295(Pt 1):109−14);非特許文献5(Hourcadeら、JBC(1998)273(40):25996−6000);非特許文献6(Hourcadeら、J Immunol.(1999)162(5):2906−11);非特許文献7(Xuら、J Biol Chem.2000 275(1):378−85);非特許文献8(Milderら、Nat Struct Mol Biol(2007)14(3):224−8))。

    補体B因子アナログ、ならびに補体の阻害および補体媒介疾患の処置のためのそれらの使用は、特許文献1(国際公開第08/106644号)および特許文献2(米国特許出願公開第2010/0120665号)に記載されている。 例えば、ヒト補体B因子タンパク質アナログであるhfB3(特許文献2(米国特許出願公開第20100120665号)に記載されている)は、代替補体(AP)活性を効率的に阻害する優性阻害ヒトB因子タンパク質バリアントである。 hfB3タンパク質(配列番号4)は、ヒト野生型B因子タンパク質(配列番号1)と比較して5個のアミノ酸変化を有している。 これらの5個のアミノ酸変化が、hfB3タンパク質が(i)C3bタンパク質に対してはるかに強く結合すること、(ii)D因子タンパク質によるC3b依存性切断に耐えること、および(iii)野生型B因子タンパク質と比較してD因子タンパク質に対してより強く結合することを可能にする。 C3bタンパク質およびD因子タンパク質とのhfB3タンパク質のより強い結合は、不活性なC3コンバターゼ(hfB3)中の代替補体経路(ACP)の2つの必須の成分を隔離して、AP活性を遮断する。 C3bが結合したhfB3タンパク質はD因子タンパク質によっては切断することができないため、hfB3タンパク質の立体構造の変化は起こらず、hfB3タンパク質のC末端のセリンプロテアーゼは活性化されない。

    ヒト野生型補体B因子タンパク質およびhfB3は両方とも、23個のシステインアミノ酸を含む。 両方の「活性」形態が、配列番号1のC292に対応するシステインを除く、他のシステインのうちの1つとジスルフィド結合を形成するシステインを全て有する。 hfB3および野生型B因子の「活性形態」のC292は遊離のシステインであり(非特許文献9(Parkesら、1983 Biochem J.213,201−209))、様々な哺乳動物種の間で高度に保存されている(例えば、以下の表1を参照のこと)。

    本明細書に記載する参考文献の引用および考察は、それが本発明の先行技術であることの受け入れとは解釈されるべきではない。

    国際公開第08/106644号

    米国特許出願公開第2010/0120665号明細書

    Volanakis,J. E. ,による概説、1998、J. E. Volanakis,and M. M. Frank編、Marcel Dekker,Inc. ,New York pp9−32のThe Human Complement System in Health and Diseaseの第2章 Moleら、1984 The J. Biol Chem,259:6,3407−3412 Colombattiら、Blood(1991)77(11):2305−15 Perkins and Smith,Biochem J. (1993)295(Pt 1):109−14 Hourcadeら、JBC(1998)273(40):25996−6000 Hourcadeら、J Immunol. (1999)162(5):2906−11 Xuら、J Biol Chem. 2000 275(1):378−85 Milderら、Nat Struct Mol Biol(2007)14(3):224−8 Parkesら、1983 Biochem J. 213,201−209

    本発明は、補体B因子アナログを含有するポリペプチドを提供する。 本発明はまた、様々な補体B因子アナログも提供する。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは遊離のシステインアミノ酸の変異を含む。 本発明はまた、本発明のポリペプチドおよび補体B因子タンパク質アナログをコードするヌクレオチド配列を含む核酸ならびにウイルスベクターも提供する。 本発明のいくつかの実施形態は、本発明の補体B因子タンパク質アナログをコードする核酸を含有し、補体B因子タンパク質アナログを発現する細胞を提供する。

    さらに、本発明は、本発明のポリペプチドまたは補体B因子タンパク質アナログ、本発明の核酸、本発明のウイルスベクター、あるいはこれらの任意の組み合わせを含有している薬学的製剤を提供する。

    本発明の薬学的製剤、本発明のポリペプチド、本発明の補体B因子タンパク質アナログ、本発明の核酸、本発明のウイルスベクター、またはこれらの任意の組み合わせを患者に投与する工程を含む、補体媒介疾患を処置する方法もまた、本発明により提供される。

    本発明はまた、補体B因子タンパク質アナログを含有するポリペプチドを生産する方法を提供し、この方法は、細胞の中で本発明の補体B因子タンパク質アナログを発現させる工程、および上記補体B因子タンパク質アナログを精製する工程を含む。

    本発明のポリペプチド、本発明の補体B因子アナログ、ならびにそれらをコードする核酸およびベクターは、補体経路をモジュレートするため、ならびに補体経路に関連する様々な症状または疾患の研究および/あるいは処置に使用することができる。

    本発明は、遊離のシステインの変異または除去が(i)活性なおよび/または適切に折り畳まれた補体B因子タンパク質アナログの収率を改善する(例えば、実施例9および10を参照のこと);(ii)補体B因子タンパク質アナログの熱安定性を高める(例えば、実施例13および14を参照のこと);ならびに/あるいは(iii)補体B因子タンパク質アナログの凝集を減少させる(例えば、実施例6を参照のこと)という発見に基づく。

    本発明のこの概要は、本発明の全ての特徴または必須の特徴を必ずしも記載しているものではない。 本発明はまた記載する特徴の部分的組み合わせにおいても固有であり得る。

    本発明を説明する目的のために、本発明の特定の実施形態を図面において説明する。 しかしながら、本発明は図面に示す実施形態の厳密な配置および手段に限定されない。

    図1Aは、古典的補体経路およびレクチン補体経路を示す。 古典的経路はC1を介して開始されるが、レクチン経路はマンノース結合レクチン(MBL)を介して開始される。 C4bC2aはC3を切断してC3aおよびC3bとするプロテアーゼであり、C3コンバターゼと呼ばれる。 同様に、C4bC2aC3bはC5を切断してC5aおよびC5bとし、そしてC5コンバターゼと呼ばれる。 C3a、C4a、およびC5aは炎症特性を有しており、貪食性細胞を引き付ける。 C5b6〜9は膜攻撃複合体(MAC)を形成し、これは、感染性物質を死滅させるが宿主細胞にも損傷を与える可能性がある膜細孔を作製する。 MASPはマンナン結合レクチン関連セリンプロテアーゼである。 。 図1Bは代替補体経路を示す。 この経路はC3の自発的切断を介して低レベルで構成的に活性である。 適切な表面の存在下においては、C3bは補体B因子(fB)に結合する。 次に、この複合体が補体D因子(fD)により切断されてC3bBbが生じる。 数分以内のこの複合体の自発的解離(「崩壊」)がその不活性化をもたらし、一方、プロペジンによる安定化によりC3を切断する複合体、即ちC3コンバターゼが生成される。 補体経路を減衰させる因子のいくつかはC3コンバターゼおよびC5コンバターゼの崩壊を加速させることによりそれを行う。 C3bはC3コンバターゼに参加して追加のC3bを生成し、これにより大きな矢印で示すような正のフィードバックループを生じさせる。 C3bBbはC3コンバターゼである。 C3bBbC3bはC5コンバターゼである。

    図2は、hfB3−292S発現構築物である。 CMV−サイトメガロウイルス即時初期プロモーター;IRES−配列内リボソーム進入部位;Neo−ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子;SynポリA−合成ポリA;Amp−アンピシリン耐性遺伝子。 配列番号8は、図2に示すhfB3−292S発現構築物のヌクレオチド配列である。

    図3は、細胞培養物の72時間のインキュベーション(2×10

    細胞/mL)後のhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質のいずれかを含有している未精製の細胞培養物上清のウェスタンブロット分析を示す。 レーン1、陰性対照とした未処理の非トランスフェクト293 FreeStyle細胞由来の1μlの細胞培養培地;レーン2、陽性対照とした血漿から精製した100ngのヒト野生型B因子(Quidel,Santa Clara,CA);レーン3、hfB3生産細胞由来の1μlの細胞培養培地;レーン4、hfB3−292S生産細胞由来の1μlの細胞培養培地。 KDaの分子量マーカーを右側に示す。

    図4は溶血試験の結果を示す。 これらの結果は、未精製のhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質生産細胞の培養培地によるヒト代替補体経路の溶血活性の阻害を示す。 相対的な溶血活性を、ヒト代替補体経路の活性によるrRBCの溶血後に放出されたヘモグロビンによりスコアする。 X軸(左から右に):0μgの精製したヒトB因子タンパク質を補充したB因子枯渇ヒト血清(対照、rRBCの溶解なし);0.5μgの精製したヒトB因子タンパク質と、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質生産細胞の培養培地由来の、示すとおりの、1.0、0.5、0.25、もしくは0.125μgのhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質との混合物をそれぞれの反応において補充したB因子枯渇ヒト血清。 注:100%の阻害はrRBCの溶解がないことを示す。 Y軸は、平均OD405と標準偏差(SD)を示す。

    図5Aは、3工程のクロマトグラフィー処理により精製し、SDS−PAGEおよび銀染色分析を行ったhfB3タンパク質(200ng)を示す。 図5Bは、精製したhfB3タンパク質によるヒト代替補体経路の溶血活性の阻害を示す。 X軸(左から右に):0μgの精製した野生型ヒトB因子タンパク質(wt hfB)を補充したB因子タンパク質枯渇ヒト血清(対照、rRBCの溶解なし);0.5μgの精製した野生型ヒトB因子タンパク質と、示すとおりの、1.0、0.5、0.3、0.2、0.1、または0.05μgのhfB3との混合物をそれぞれの反応において補充したB因子タンパク質枯渇ヒト血清。 100%の阻害はrRBCの溶解がないことを示す。 Y軸は、平均OD405とSDを示す。

    図6は、hfB3タンパク質の2つの集団の生物学的活性を示す。 ヒト代替補体経路の溶血活性の阻害について、ピークIおよびピークIIに由来する、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により精製したhfB3タンパク質の結果を示す。 X軸(左から右に):0μgの精製したヒトB因子タンパク質を補充したB因子タンパク質枯渇ヒト血清(対照、rRBCの溶解なし);0.5μgの精製した野生型ヒトB因子タンパク質と1.0〜0.05μgの範囲の様々な量のhfB3タンパク質との混合物をそれぞれの反応において補充したB因子タンパク質枯渇ヒト血清。 100%の阻害はrRBCの溶解がないことを示す。 Y軸は、平均OD405とSDを示す。

    図7は、組織培養物の72時間のインキュベーション(2×10

    細胞/mL)後の、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質のいずれかを含有している未精製の細胞培養物上清の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を示す。 A)hfB3生産細胞(.....)、hfB3−292Sタンパク質生産細胞(_____)、および未処理の293細胞(_ _ _ _ _)由来の上清を、狭口径Jupiter(商標)C4カラム(Phenomenex)を使用するAgilent HP1100 HPLCシステムにアプライし、0.1%のTFAを含有する水/アセトニトリル(25〜70%のアセトニトリル)勾配で50分間で溶離させた。 溶離をPDA検出器で215nmでモニターした。 3つの試料全ての中に存在する熱ショックタンパク質70(HSP70)の位置もまた示す。 B)hfB3タンパク質のピークIおよびピークII、ならびにhfB3−292Sタンパク質を含有しているピークを含む領域(25〜29分)に焦点を当てた、図7Aに示すクロマトグラムの拡大図。

    図7は、組織培養物の72時間のインキュベーション(2×10

    細胞/mL)後の、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質のいずれかを含有している未精製の細胞培養物上清の逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を示す。 A)hfB3生産細胞(.....)、hfB3−292Sタンパク質生産細胞(_____)、および未処理の293細胞(_ _ _ _ _)由来の上清を、狭口径Jupiter(商標)C4カラム(Phenomenex)を使用するAgilent HP1100 HPLCシステムにアプライし、0.1%のTFAを含有する水/アセトニトリル(25〜70%のアセトニトリル)勾配で50分間で溶離させた。 溶離をPDA検出器で215nmでモニターした。 3つの試料全ての中に存在する熱ショックタンパク質70(HSP70)の位置もまた示す。 B)hfB3タンパク質のピークIおよびピークII、ならびにhfB3−292Sタンパク質を含有しているピークを含む領域(25〜29分)に焦点を当てた、図7Aに示すクロマトグラムの拡大図。

    図8は、hfB3−Fcタンパク質を含有している2μlの細胞培養物上清について非還元SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析を行ったことによる、hfB3−Fcタンパク質の発現の分析を示す(実施例12を参照のこと)。 hfB3−Fcタンパク質の2つのバンドを、左に示したKDaの分子量マーカーとともに検出した。

    図9は、実施例16に記載する関節リウマチについてのコラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)のマウスモデルにおける、hfB3−292Sを試験する研究によるマウスの右前肢関節のパラフィン切片の代表的なH&E染色を示す。 グループ1はコラーゲン抗体カクテルを投与しなかった溶媒対照グループである。 グループ2はコラーゲン抗体カクテルを投与した未処置のグループである。 グループ3は、コラーゲン抗体カクテルを投与し、hfB3−292Sで処置した処置グループである。

    図10は、実施例16に記載する関節リウマチについてのコラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)のマウスモデルにおける、hfB3−292Sを試験する研究による関節腫脹の測定値を示す。 グループは段落に記載したように図8のグループと同じである。 hfB3−292Sは、未処置のグループ(グループ2)と比較して、関節腫脹の統計的に有意な軽減(p<0.0003)を生じた。

    図11は、hfB3−292SN480発現構築物をトランスフェクトした細胞由来の細胞培養培地のウェスタンブロット分析を示す。 このウェスタンブロット分析は、hfB3−292Sに特異的なモノクローナル抗体を使用して行った。 左のレーンはhfB3−292Sを含み、右のレーンはhfB3−292SN480発現構築物をトランスフェクトした細胞由来の細胞培養培地である。 この分析により、hfB3−292SN480細胞株の細胞培養培地からおよそ55KDaのバンドを検出した(右のレーン)。

    図12は、以下の実施例19に記載するhfB3−292S/Fc−mono発現構築物をトランスフェクトした細胞由来の細胞培養培地のウェスタンブロット分析を示す。 およそ115KDaのバンドを、この非還元SDS−PAGEによって精製したヤギ抗ヒトB因子抗体により検出した。

    図13は、hfB3−292SN480を発現する細胞由来の細胞培養物上清がヒト代替補体経路の溶血活性を用量依存性様式で阻害したことを示す。

    図14は、hfB3−292S/Fc−monoを発現する細胞由来の細胞培養物上清がヒト代替補体経路の溶血活性を用量依存性様式で阻害したことを示す。

    配列の簡単な説明 配列番号1 − 野生型ヒト補体B因子のアミノ酸配列。

    配列番号2 − 以下の変異を含むヒト補体B因子タンパク質アナログhfB3−292Sのアミノ酸配列:K258A、R259A、K260A、D279G、N285D、およびC292S。

    配列番号3 − 配列番号1と比較して以下の変異を含むヒト補体B因子アナログhfB3−292S−740Nのアミノ酸配列:K258A、R259A、K260A、D279G、N285D、D740N、およびC292S。

    配列番号4 − 配列番号1と比較して以下の変異を含むヒト補体B因子アナログ、hfB3のアミノ酸配列:K258A、R259A、K260A、D279G、およびN285D。

    配列番号5 − hfB3発現構築物のヌクレオチド配列。 この構築は実施例1に記載する。
    配列番号6〜7 − 部位特異的変異誘発のためのプライマー。

    配列番号8 − hfB3−292S発現構築物のヌクレオチド配列。 この構築は実施例2に記載する。

    配列番号9〜14 − それぞれ、ヒト、マウス、ラット、ブタ、サル、およびヒツジ由来の補体B因子タンパク質の部分的アミノ酸配列。

    配列番号15〜16 − 部位特異的変異誘発のためのプライマー。

    配列番号17 − ヒト補体B因子タンパク質アナログhfB4のアミノ酸配列。

    配列番号18 − hfB3−Fc発現構築物のヌクレオチド配列。 この構築は実施例12に記載する。

    配列番号19〜20 − 部位特異的変異誘発のためのプライマー。

    配列番号21 − ヒト補体B因子タンパク質アナログhfB3−Fcのアミノ酸配列。

    配列番号22 − ヒト補体B因子タンパク質アナログhfB3−292S−Fcのアミノ酸配列。

    配列番号23 − ヒト補体B因子タンパク質アナログhfB3−292S−740N−Fcのアミノ酸配列。

    配列番号24 − hfB3−292SN480を発現させるための発現構築物のヌクレオチド配列。

    配列番号25 − hfB3−292S/Fc−monoについてのヌクレオチド配列遺伝子発現構築物。

    配列番号26 − hfB3−292S/Fc−monoのアミノ酸配列。

    配列番号27 − Fcドメインのアミノ酸配列。

    (詳細な説明)
    本発明の実施では、特段の記載が無い限り、当業者の技術の範囲内である細胞生物学、分子生物学、細胞培養、ウイルス学などの従来技術を利用する。 これらの技術は本明細書中および/または最新文献、例えば、Sambrook,Fritsch and Maniatis編、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989);Celis J. E. 「Cell Biology,A Laboratory Handbook」Academic Press,Inc. (1994)、およびBahnsonら、J. of Virol. Methods,54:131−143(1995)の中に十分に開示されている。

    本明細書に記載するいずれかの方法、調製物、または組成物を、本明細書に記載するいずれかの他の方法、調製物、または組成物に関して実施することができる。 請求項および/または明細書における「含む」という用語と組み合わせて使用する場合の「ある〜」という単語の使用は「1つの〜」という意味を有してよいが、「1つ以上の〜」、「少なくとも1つの〜」および「1つまたは1つより多い〜」の意味とも合致するものである。 「および/または」という用語/句の使用は、列挙により使用する場合、列挙された項目の1つ以上を利用してよいこと、例えば、要素の1つまたは全てに限定されないことを意味する。

    hfB3と命名した補体B因子タンパク質アナログ(配列番号4)の生産および精製の間に、補体B因子タンパク質アナログの2つの集団が検出された。 一方の集団は補体B因子タンパク質アナログについて所望される活性を有していたが(ピークI)、他方の集団は所望される活性を実質的には有していなかった(ピークII)(例えば、図6および7を参照のこと)。 2つの集団の特性決定による結果は、2つの集団がそれらのジスルフィド結合パターンにおいて異なることを示唆していた。 遊離のシステイン(配列番号4の292位)がセリンに変異していた場合には、ピークIIは検出できなかった。 図6は、ピークII画分が補体/溶血活性を阻害する能力をいくらか示すものの、ピークI画分と比較するとタンパク質1μgあたりの能力がはるかに低いことを示している。 ピークIIを用いた場合に見られた補体/溶血阻害活性は、主に、またはもっぱら、おそらくは、ピークIおよびピークIIの結果が互いに完全には分解されていないために、292位に遊離のシステインを持ついくつかのhfB3を含有しているピークIIの結果である可能性がある。

    配列番号1の292位に対応するシステインは、様々な哺乳動物種の補体B因子タンパク質の間で高度に保存されている(例えば、表1を参照のこと)。 高度に保存されている配列は、通常、タンパク質の機能に重要である。 「分子進化状態の中立説は、変異が遺伝子産物の機能に影響を及ぼさない限りは、アミノ酸の変異は確率的に一定の様式で起こると述べている[Kimura M:The neutral theory of molecular evolution.Sci Am 1979,241(5):98−100,102,108 passim]。一方、タンパク質の機能および構造に重要なアミノ酸は、タンパク質活性に有害な影響を及ぼさずに変異することはできない。したがって、これらのアミノ酸は、進化の間に所定のタンパク質ファミリーにおいて極めてゆっくりと変化するであろう」(Liuら、BMC Bioinformatics 2006,7:37)。

    例えば配列番号2(hfB3−292)に示すような、補体B因子タンパク質アナログのアミノ酸292位のシステインのセリンへの変異は、取り除かれなければ、ピークII(実質的に低活性)集団の量を大きく減少させ、hfB3−292S補体B因子タンパク質アナログはその活性(この場合は、補体活性を阻害するまたは低下させる能力)を保持する(例えば、以下の実施例10を参照のこと)。

    理論に縛られることは望ましくないが、hfB3タンパク質の低活性の集団(ピークII画分)はhfB3タンパク質の誤った折り畳みの結果であり得る。 hfB3タンパク質について使用した様式と同様の様式で野生型ヒト補体B因子タンパク質(配列番号1)を発現するように細胞が操作された場合には、野生型ヒトB因子タンパク質の1つの集団だけが検出された(未公開データ)という理由から、ピークII集団の大部分の生成は、遊離のシステインとhfB3タンパク質に導入された変異の組み合わせが原因である可能性がある。

    遊離のシステインのこの変異は、生産される補体B因子タンパク質アナログの全てではないがほとんどが活性な形態であるため、活性な補体B因子アナログの高い収率を可能にする。 さらに、残りの変異していないシステインが全てジスルフィド結合の一部であり、起こり得る望ましくない有害な反応に関与し得る遊離のシステインが残っていないために、遊離のシステインの変異はより安定なタンパク質を生じる。 さらに、遊離のシステインの変異は予想外に、補体B因子タンパク質アナログの凝集を減少させたまたは排除したとみられる。 例えば、実施例6および図3を参照のこと。

    PCT公開番号WO08/106644または米国特許公開番号US20100120665(両方とも言及されたことによりそれらの全体が組み入れられたこととなる)に記載されている補体B因子タンパク質アナログは、変異したそれらの遊離のシステインを有し得、そして変異の上記利点による恩恵を受けつつ、なおもそれらの所望される機能を保持し得る。 したがって、本発明は、遊離のシステインの変異を持つ、PCT公開番号WO08/106644または米国特許公開番号US20100120665に記載されている任意の補体B因子タンパク質アナログを含む。

    用語「遊離のシステイン」は、同じタンパク質またはペプチド中の別のシステインとジスルフィド結合を形成しない、タンパク質またはペプチドの一部であるシステインを意味する。 いくつかの場合は、タンパク質アナログの「遊離のシステイン」は、タンパク質アナログが所望される活性を有している場合には(同じタンパク質またはペプチド中の)別のシステインとジスルフィド結合を形成しないが、タンパク質アナログの低活性または不活性の形態においては(同じタンパク質またはペプチド中の)別のシステインとジスルフィド結合を形成することができる。

    用語「補体媒介」は補体が関与する過程または疾患を意味する。 典型的には、「補体媒介」疾患または状態は、補体活性が疾患または状態の根本となる原因の1つであり、そして、補体活性の阻害またはブロッキングが疾患または状態の程度を低下させるものである。 多数の補体媒介疾患または状態の例を本明細書に記載する。

    用語「野生型」(wildtypeまたはwild−type)は、「ネイティブ」と互換的に使用され、哺乳動物ゲノム、自然界に存在する核酸などによりコードされる自然界に存在するタンパク質に関する。 いくつかの場合は、例えば、対立遺伝子の相違;様々なイソ型;および/または1つの種の様々な個体間での遺伝的バリエーションが原因で、野生型バージョンに対応する2つ以上のタンパク質が実際に存在し得る。

    用語「アナログ」はタンパク質(親タンパク質)の構造的誘導体を意味する。 アナログは、必ずしも親タンパク質の全ての特性を保持している必要はなく、いくつかの場合は、対応するネイティブの親タンパク質と比較して少なくとも1つの変化した特性を有する。 いくつかの実施形態においては、親タンパク質はネイティブの(自然界に存在する)タンパク質である。 アナログまたはバリアントタンパク質は、そのタンパク質の対応するネイティブのアミノ酸配列に関して、アミノ酸を置き換える、置換する、欠失させる、および/または付加することにより生成される。 置換または挿入は典型的には、自然界に存在するアミノ酸が関与するが、合成または非従来のアミノ酸も同様に含まれ得る。 いくつかの実施形態においては、アナログまたはバリアントはタンパク質を変異させること、例えば、それをコードする核酸を変異させることにより生成される。 アナログは典型的には、対応するネイティブの親タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%を保持することになる(例えば、親タンパク質全体の長さに渡り、または、特定の実施形態においては、親タンパク質の特定のドメインまたは一部分にわたり決定した場合に、自然界に存在する親タンパク質に関してそのようなパーセントアミノ酸配列同一性を有する)。 アナログはまた、アミノ酸配列の一部分を含む全長アナログの断片を含み、そして親タンパク質または全長アナログの生物学的活性の1つ以上を保持しているか、あるいはこれらの生物学的活性の1つ以上を阻害するかのいずれかである。

    用語「対応する」または「対応している」は、特定のタンパク質中のアミノ酸に言及する場合は、その特定のタンパク質中の特定のアミノ酸を、そしてまた、関連するまたは類似するタンパク質中のアミノ酸も意味し、タンパク質に同様の機能を提供し得る。 例えば、ヒト補体B因子中のアミノ酸は、通常は2つのアミノ酸配列をアラインすることにより決定される、マウス補体B因子中の、またはB因子のヒト対立遺伝子バリアント中のアミノ酸と対応させて見ることができる。 例えば当業者であれば、例えば、BLASTプログラムを使用して、2つ以上の関連する配列、例えば、配列番号9〜14をアラインさせて対応するアミノ酸を決定することができる(例えば、上記表1を参照のこと)。 さらにまた、対応するアミノ酸は、例えば、関連または関連のないタンパク質内のモチーフ(例えば、プロテアーゼ切断モチーフ)をアラインさせることにより決定することができる。 そのようなアライメントはまた、標的タンパク質のコンセンサス配列またはそのドメインを導くために使用され得る。

    本明細書中で使用する場合は、用語「遺伝子」は典型的にはタンパク質のコード領域を意味する。 しかし本明細書中の一部の文脈においては、用語「遺伝子」はまた、プロモーター、エンハンサー、スプライシング部位(アクセプターおよび/またはドナー)、ポリアデニル化シグナル、イントロン、5'非翻訳領域、3'非翻訳領域などのような、コード領域に作動可能であるように連結されたエレメント(例えば、調節エレメント)を意味していることが明らかであろう。

    用語「薬学的に許容され得る」は、連邦または州政府の規制機関により認可されているか、あるいは米国薬局方または人における使用に関する他の一般的に認知された薬局方に列挙されていることを意味する。

    「治療上の利益」は必ずしも特定の疾患または状態(本明細書に記載する任意の疾患または状態を含む)の治癒ではなく、むしろ疾患または状態の軽減、疾患または状態の排除、疾患または状態に関連する1つ以上の症状の低減、原発性の疾患または状態の発生により生じる二次的な疾患または状態の予防または軽減、状態または疾患を発症する可能性の低減、疾患または状態の重症度の低下、疾患または状態の性質の変化、疾患または状態の経過の短縮、疾患または状態の進行または悪化の緩徐化または予防、および/あるいは疾患または状態の予防を最も典型的には含む結果を含む。

    補体B因子アナログ 本発明は、補体B因子タンパク質アナログおよび補体因子アナログを含有しているポリペプチドおよびそれらの使用を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、遊離のシステインが変異した補体B因子タンパク質アナログを含む。 いくつかの実施形態においては、遊離のシステインのこの変異には、遊離のシステインの欠失、または別のアミノ酸(単数または複数)での遊離のシステインの置換が含まれ得る。 遊離のシステインは、補体B因子タンパク質アナログが所望される特性(単数または複数)のうちの少なくともいくつか、例えば、補体活性をダウンレギュレートする、低下させる、または取り除く能力を保持することをなおも可能にする、原則的に任意のアミノ酸で置換することができる。 置換は1つ以上のアミノ酸を用いて行われ得る。 いくつかの実施形態においては、遊離のシステインがセリンで置換される。 いくつかの実施形態においては、遊離のシステインが、アラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンからなる群より選択される1つ以上のアミノ酸で置換される。 いくつかの実施形態においては、遊離のシステインは配列番号1のアミノ酸292に対応する。

    いくつかの実施形態においては、本発明は遊離のシステインを含まない補体B因子タンパク質アナログを提供する。 本発明はまた、遊離のシステインを変異させる工程を含む補体B因子タンパク質アナログを作製または生産する方法も提供する。

    遊離のシステインの変異は、補体B因子タンパク質の他の変異、例えば、本明細書中に記載する他の変異と組み合わせることができる。

    本発明はまた、配列番号1のアミノ酸292に対応するシステインが変異している補体B因子タンパク質アナログも提供する。 この変異は、欠失、挿入、または置換(例えば、セリン置換)、または本明細書中に記載する他の変異であり得る。

    アナログは、自然界に存在するアミノ酸配列以外の配列の様々な変異タンパク質を含み得る。 例えば、単一または多数のアミノ酸置換(例えば、保存的または非保存的アミノ酸置換)を自然界に存在する配列の中に作製することができる。 保存的アミノ酸置換は一般的には、親配列の構造的特徴を実質的に変化させてはならない(例えば、置き換えのアミノ酸は親配列中に存在するへリックスを断裂する傾向を有してはならず、また親配列を特徴づける他の型の二次構造を崩壊させてはならない)。 当該分野で知られているポリペプチドの二次および三次構造の例は、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,編,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));およびThorntonら、Nature 354:105(1991)に記載されている。 保存的置換としては、以下の群による置換が挙げられるがこれらに限定されるわけではない:酸性残基Asp(D)およびGlu(E);塩基性残基Lys(K)、Arg(R)、およびHis(H);親水性無電化残基Ser(S)、Thr(T)、Asn(N)、およびGln(Q);脂肪族無電化残基Gly(G)、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、およびIle(I);非極性無電化残基Cys(C)、Met(M)、およびPro(P);芳香族残基Phe(F)、Tyr(Y)、およびTrp(W);アルコール基を含有している残基SおよびT;脂肪族残基I、L、V、およびM;シクロアルケニルを伴う残基F、H、W、およびY;疎水性残基A、C、F、G、H、I、L、M、R、T、V、W、およびY;負電荷を持つ残基DおよびE;極性残基C、D、E、H、K、N、Q、R、S、およびT;正電荷を持つ残基H、K、およびR;小さい残基A、C、D、G、N、P、S、T、およびV;非常に小さい残基A、G、およびS;ターンの形成に関与する残基A、C、D、E、G、H、K、N、Q、R、S、P、およびT;ならびに可撓性残基Q、T、K、S、G、P、D、E、およびR。

    いくつかの実施形態においては、非保存的置換が使用される。

    いくつかの実施形態においては、変異には、1つ以上のアミノ酸の置換、1つ以上のアミノ酸の欠失、または1つ以上のアミノ酸の挿入が含まれるがこれらに限定されるわけではない。 変異には(1)タンパク質分解に対する補体B因子アナログの感受性を低下させるもの、(2)酸化に対する補体B因子アナログの感受性を低下させるもの、(3)タンパク質複合体を形成する補体B因子アナログの結合親和性を変化させるもの、(4)補体B因子アナログの結合親和性を変化(例えば、増大または低下)させるもの、(5)補体B因子アナログの免疫原性を低下させるもの、(6)補体B因子アナログの安定性(例えば、熱安定性)を高めるもの;(7)補体B因子タンパク質アナログの凝集を減少させるもの;あるいは、1〜7の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。

    いくつかの実施形態においては、本発明のヒト補体B因子アナログはネイティブの補体B因子の結合と競合する。 例えば、ネイティブの補体B因子は補体因子C3bと結合してC3bBを形成することができる(例えば、図1Bを参照のこと)。 B因子はC3bB複合体の一部であり、D因子に結合することができる。 したがっていくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログは、(i)C3bに対する結合、(ii)D因子に対する結合、または(iii)両方についてネイティブのB因子の結合と競合し得る。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは、ジスルフィド結合を形成するシステインアミノ酸と、別のアミノ酸により置換された遊離のシステインアミノ酸を有しており、2つ以上のアミノ酸が置換されずに欠失している、配列番号4のアナログである。

    本発明のいくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して増大したC3b結合親和性を有し、補体B因子タンパク質アナログは、(i)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下したプロテアーゼ活性;(ii)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下した、D因子タンパク質により切断される能力;または(iii)対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下したプロテアーゼ活性と対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して低下した、D因子タンパク質により切断される能力を含む。

    いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログはC3b結合ドメイン中に変異を含み、補体B因子タンパク質アナログは、対応するネイティブの補体B因子タンパク質のC3bに対する結合親和性と比較して高い、C3bに対する結合親和性を示す。 いくつかの実施形態においては、C3b結合ドメイン中の変異は、(i)配列番号1のアミノ酸279に対応するアスパラギン酸の置換もしくは欠失、配列番号1のアミノ酸285に対応するアスパラギンの置換もしくは欠失、またはこれらの両方;あるいは、(ii)上記アスパラギン酸または上記アスパラギンの隣への少なくとも1つのアミノ酸の挿入を含む。 いくつかの実施形態においては、このアスパラギン酸、アスパラギン、または両方が、1つ以上のアミノ酸で置換される。 いくつかの実施形態においては、配列番号1のアミノ酸279に対応するアスパラギン酸がグリシン、アラニン、またはアスパラギンで置換される。 いくつかの実施形態においては、配列番号1のアミノ酸285に対応するアスパラギンがグリシン、アラニン、またはアスパラギン酸で置換される。 いくつかの実施形態においては、配列番号1のアミノ酸279に対応するアスパラギン酸がグリシンで置換され、配列番号1のアミノ酸285に対応するアスパラギンがアスパラギン酸で置換される。

    いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログはヒト補体因子タンパク質をベースとするヒト補体B因子タンパク質アナログである。

    本発明は、例えば、補体活性化の代替経路を減衰させるためにタンパク質として、および/または遺伝子導入を介して送達することができる補体B因子タンパク質アナログを含む。 これらのアナログは、例えば以下を含むいくつかの補体阻害剤の開発を妨害する複数のハードルを克服すると考えられる:1)長期の全身免疫抑制を回避すること;2)血中の補体因子のそうしなければ悲観的なほどに高いレベルにもかかわらず薬効を達成すること;3)薬効のために網膜およびブルーフ膜の近傍において治療用補体B因子タンパク質アナログの十分なレベルおよび分布を達成すること;4)ドルーゼン内部で治療用補体B因子タンパク質アナログの活性を達成すること;5)慢性疾患を処置するための治療薬送達の十分な継続期間を達成すること;6)眼の後ろ側における古典的補体経路の活性を弊害をもたらすほどに妨害することなく薬効を達成すること;および/または7)治療薬に対する免疫応答(例えば、局所免疫反応)を回避するもしくは小さくすること。

    代替経路における正のフィードバックループの減衰は、代替経路全体のダウンレギュレーションの手段である。 代替経路のフィードバックループを減衰させるための1つの適切な手段は、補体B因子(fB)タンパク質の機能またはレベルを妨害することである。 本発明のいくつかの実施形態では、補体活性を減衰させるために補体B因子アナログを使用する。

    本発明の補体B因子タンパク質アナログは、K258A、R259A、K260A、D279G、N285D、およびD740Nからなる群より選択される配列番号1の変異に対応する少なくとも1つの変異を含み得る。 いくつかの実施形態においては、これは、配列番号1のK258A、R259A、K260A、D279G、およびN285Dに対応する変異を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは配列番号1のD740Nに対応する変異を含む。

    例示的な目的については、補体B因子タンパク質の特異的アナログを本明細書中に記載する。 例えば、代替経路の活性化を阻害するまたは低下させるためのB因子タンパク質は、多数の方法で操作することができる。 いくつかの実施形態においては、B因子中の特定の部位を、その分子がもはや完全には適切に機能しないように、例えば、部位特異的変異誘発によって変化させることができる。 いくつかの実施形態においては、その分子がもはや酵素活性を有さないかまたは低下した(例えば、少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍、または100倍低下した)酵素活性を有するように、分子の酵素部分またはドメイン(例えば、プロテアーゼドメイン、これはセリンプロテアーゼである)を変化させることができる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログはセリンプロテアーゼドメインの活性部位の中に変異を含み、ここでは変異は対応するネイティブの補体B因子タンパク質と比較して補体因子C3を切断する補体B因子タンパク質アナログの能力を低下させるか、または取り除く。

    いくつかの実施形態においては、これは配列番号1のアミノ酸740に対応する残基を変化させることにより達成することができる。 いくつかの実施形態においては、この変異は、配列番号1のアミノ酸740に対応するアスパラギン酸の欠失または置換を含む。 いくつかの実施形態においては、配列番号1のアミノ酸740に対応するアスパラギン酸(D)が、別のアミノ酸、例えば、アスパラギン(N)、アラニン(A)、グルタミン酸(E)、セリン(S)、チロシン(Y)、またはグリシン(G)で置換される。 本明細書に記載する特定のB因子アミノ酸のナンバリングはシグナルペプチドを含むポリペプチド全体に関連しており、そして配列番号1に反映される。 Hourcadeら(JBC(1998)273(40):25996−6000)は、配列番号1のアミノ酸739〜746(Hourcadeらのナンバリングには25個のアミノ酸のシグナル配列/ペプチドが含まれないために、Hourcadeらにおいてはアミノ酸714〜721と呼ばれる)がB因子タンパク質のセリンプロテアーゼ機能において役割を担うことを記載している。 さらに、N693、T694、およびD740は、基質結合部位の一部を構成するかまたは一部であり得、そしてH526、D576、およびS699は触媒中心の一部を構成するかまたは一部であり得る。 例えば、Xuら、J Biol Chem. 2000 275(1):378−85を参照のこと。 いくつかの実施形態においては、B因子タンパク質アナログは、配列番号1のアミノ酸739〜746より選択されるアミノ酸の少なくとも1つの変異を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、配列番号1のアミノ酸739に対応するアミノ酸のアラニンでの置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、アスパラギン、グルタミン酸、アラニン、セリン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸740に対応するアミノ酸の置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、トリプトファンおよびアラニンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸741に対応するアミノ酸の置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、配列番号1のアミノ酸742に対応するアミノ酸のグルタミンでの置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは配列番号1のアミノ酸743に対応するアミノ酸のフェニルアラニンでの置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは配列番号1のアミノ酸745に対応するアミノ酸のフェニルアラニンでの置換を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは配列番号1のアミノ酸746に対応するアミノ酸のトリプトファンまたはアラニンでの置換を含む。 いくつかの実施形態においては、B因子タンパク質アナログは配列番号1のアミノ酸693および694のうちの1つまたは2つの変異、例えば、置換または欠失を含む。 いくつかの実施形態においては、B因子タンパク質アナログは配列番号1のアミノ酸526、576、および699のうちの1つまたは2つの変異、例えば、置換または欠失を含む。

    変化させることができるB因子中の他の部位としては以下が挙げられる:1)結合がより低い親和性(例えば、野生型B因子タンパク質と比較して2倍、5倍、10倍、50倍または100倍低い親和性)で、またはより高い親和性(例えば、野生型B因子タンパク質と比較して少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍高い親和性)で起こるようなプロペルジンに対する結合部位(プロペルジン結合ドメイン);2)結合がより低い親和性(例えば、野生型B因子タンパク質と比較して少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍低い親和性)で、またはより高い親和性(例えば、野生型B因子タンパク質と比較して少なくとも2倍、5倍、10倍、50倍または100倍高い親和性、例えばこれは、配列番号1の279位および/または285位に対応するアミノ酸を他のアミノ酸で置換することにより達成され得、例えばこの場合は、279位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン(N)、アラニン(A)、もしくはグリシン(G)で置換される、および/または285位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン酸(D)またはアラニン(A)で置換される)で起こるようなC3bタンパク質に対する結合部位(C3b結合ドメイン);3)D因子がB因子を切断してBbを形成する能力が低下しているか、もはや切断しないように、D因子が作用する部位(例えば、D因子切断部位で、例えば、配列番号1の258、259、または260位に対応する位置のアミノ酸の少なくとも1つを、例えばアラニン(A)に変化させることができる、あるいは、上記1、2、および/または3の任意の組み合わせ。

    いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは補体D因子切断部位の中に変化を含み、この場合は、この変化によりD因子タンパク質による補体B因子タンパク質アナログの切断が減少するまたは取り除かれる。 いくつかの実施形態においては、D因子切断部位中の変化には、(i)配列番号1のアミノ酸259に対応するアルギニンの置換または欠失、配列番号1アミノ酸258もしくは260に対応するリジンの一方もしくは両方の置換または欠失、またはアルギニンと両方のリジンの置換または欠失;あるいは(ii)アルギニンの隣、1つもしくは両方のリジンの隣、またはアルギニンと1つもしくは両方のリジンの隣への挿入が含まれる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、それぞれがアラニンで置き換えられた配列番号1のアミノ酸258〜260に対応するアミノ酸を有する。

    本発明は、(i)C3b因子およびD因子の両方に結合する補体B因子タンパク質アナログ;(ii)C3b因子およびD因子の両方に対して(それらのネイティブの形態と比較して)増大した結合を有する補体B因子タンパク質アナログ;(iii)D因子タンパク質に対して(それらのネイティブの形態と比較して)増大した結合を有する補体B因子タンパク質アナログ;および(iv)C3bB複合体に対して(それらのネイティブの形態と比較して)増大した結合を有する補体B因子タンパク質アナログを含む。 本発明はまた、上記i〜ivのような本発明の補体B因子タンパク質アナログを使用して補体経路を阻害する方法を含む。

    いくつかの実施形態においては、増大した結合は、約1.5〜約10,000、約10〜約10,000、約100〜約10,000、約1,000〜約10,000、約1.5〜約1,000、約1.5〜約100、約1.5〜約10、約2〜約5、約2〜約10、約5〜約10、約5〜約20、約10〜約20、約10〜約30、約20〜約30、約30〜約50、約50〜約100、約100〜約500、約500〜約1,000、約1,000〜約5,000、または約5,000〜約10,000倍まで増大する。 いくつかの実施形態においては、増大した結合は1.5、2、3、4、5、10、50、100、500、1000、5000または10,000倍を上回って増大する。 いくつかの実施形態においては、増大した結合は、例えば、野生型タンパク質と比較して免疫沈降により、またはBiacore(GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用して測定することができる。 上記(i)の一例として、結合はC3bタンパク質についての結合分子を用いるタンパク質の免疫沈降、次に、例えばELISAまたはウェスタンのような免疫測定法を使用して、免疫沈降物中のD因子タンパク質を検出することにより測定することができる。 例えばこの場合、増大した結合はウェスタンにおいて強度が増大したバンドとして明らかとなる。

    本発明のいくつかのB因子タンパク質アナログは、野生型のB因子のC3b因子および/またはD因子に対する結合と比較して、2倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍の、C3bタンパク質および/またはD因子タンパク質に対する増大した結合を有し得る。 いくつかの実施形態においては、増大した結合は、免疫沈降により、またはBiacore(GE Healthcare,Piscataway,NJ)を使用して測定することができる。

    本発明のいくつかの修飾されたB因子タンパク質アナログは本明細書中で考察するアミノ酸変化のうちの1つ以上を含み、そしてさらに、1つ以上の追加的なアミノ酸の置換、挿入または変化(例えば、少なくとも1、2、5、8、10、15、20、50、100、もしくは200の変化、または1、2、5、8、10、15、20、50、100、もしくは200を超えない変化)を有し、そのアナログはC3bおよび/またはD因子に対する増大した結合、または補体経路の阻害を媒介する本明細書中で考察するB因子タンパク質アナログの他の生物学的活性を保持している。 そのようなアナログは野生型B因子タンパク質、例えば、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも99.9%、99%、98%、95%、90%、85%、80%、75%または70%のアミノ酸配列同一性を有し得、そしてC3bおよび/またはD因子に対する増大した結合を保持し得る。

    遺伝子治療および補体B因子タンパク質アナログの発現の状況下では、変化/変異がコードしている核酸のレベルで反映される。 したがって、修飾はまた、発現を増強するために核酸について行うこともできる。 例えば、特定のコドンが特定の宿主細胞により好まれる場合がある。 したがって、例えば特定の哺乳動物発現系または細胞において特定のコドンが好まれる場合には、再コーディングを行うことができる。

    本発明のいくつかの実施形態は、補体B因子タンパク質アナログの生産に有用なポリヌクレオチドおよび宿主細胞(または宿主多細胞生物)に関し、また、アナログ、例えば、hfB3−292S(配列番号2)、hfB3−292S−740N(配列番号3)、hfB3−292S−Fc(配列番号22)、hfB3−292S−740N−Fc(配列番号23)、またはhfB3−292S/Fc−mono(配列番号26)に関する。 これらの補体B因子タンパク質アナログを単離する、およびその補体媒介活性を試験する方法も提供される。 本発明のいくつかの態様は、補体B因子タンパク質アナログが治療および/または予防の状況下で有効成分となる医薬組成物/薬学的製剤に関する。 本発明のいくつかの実施形態はまた、治療有効量の補体B因子タンパク質アナログを使用して補体媒介障害を処置する方法にも関する。

    本発明のいくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、自然界に存在する補体B因子上でのグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを含む場合があり、あるいは、グリコシル化を全て欠く場合もある。 炭水化物は、例えばイヌ膵臓ミクロソーム系(例えば、Mueckler and Lodish(1986)Cell 44:629 and Walter,P.(1983)Meth.Enzymol.96:84を参照のこと)などのように、インビトロでN−および/またはO−連結グリコシル化のためのグリコシル化部位配列を含むB因子アナログに付加される場合、および/またはそれから除去される場合がある。 グリコシル化部位に対応するアミノ酸配列の付加または欠失/変異を含む本発明の補体B因子アナログを生成させることができ、例えば、タンパク質のグリコシル化パターン/状態を変化させることにより、タンパク質の機能的特性を変化させることができる。 例えば、hfB2、hfB3(配列番号4)、hfB3−292S(配列番号2)、hfB3−292S−740N(配列番号3)、hfB3−292S−Fc(配列番号22)、hfB3−292S−740N−Fc(配列番号23)、およびhfB3−292S/Fc−mono(配列番号26)は、野生型B因子(配列番号1)と比較して、Nグリコシル化部位の除去を生じるN285D置換を含む。 (hfB2およびhfB3補体B因子タンパク質アナログはいずれも、米国特許公開番号US20100120665の中で詳細に記載されている)。 Nグリコシル化部位の消失はタンパク質の特性を変化させる。 同じ作用は、グリコシル化パターンが変化したか、またはこのN285をグリコシル化しない細胞中でこのタンパク質を生産させることにより達成され得る。 例えば、B因子タンパク質またはアナログはN285をグリコシル化しない大腸菌細胞中で生産され得る。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、例えば、配列番号1のアミノ酸N285に対応する、通常はグリコシル化される野生型B因子タンパク質に対応するアミノ酸をグリコシル化しない細胞(例えば、大腸菌)の中で生産される。

    PCT公開番号WO08/106644および米国特許公開番号US20100120665において明らかにされているように、いくつかの場合は、1つの種に由来するネイティブのB因子タンパク質が別の種に由来する補体反応/経路において活性を有し得る。 したがって、本発明はまた、別の種において補体活性を阻害するための1つの種に由来する補体B因子タンパク質アナログを含む。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログがPEG化される。 例えば、Robertsら、Advanced Drug Delivery Reviews 54(4):459−476(2002);Veronese,Biomaterials 22(5):405−417(2001);Fee and Alstine,Chemical Engineering Science 61(3):924−939(2006);Koderaら、Progress in Polymer Science 23(7):1233−1271(1998);Morar,Biopharm International 19(4):34(2006);およびVeronese and Pasut,Drug Discovery Today 10(21):1451−1458(2005)を参照のこと。 ポリエチレングリコール(PEG)を本発明の補体B因子タンパク質アナログに付着させることができる。 いくつかの実施形態においては、PEGは、(例えば、補体B因子アナログのN末端に対して、またはC末端に対して)PEGの部位特異的コンジュゲーションを通じて、またはリジン残基上に存在するεアミノ基を介してのいずれかにより、多機能性リンカーを伴ってまたは伴わずに付着させられる。 いくつかの実施形態においては、いくつかの実施形態においては、生物学的活性の損失を最小限にしか生じない直鎖状または分枝鎖の重合体誘導体化を使用することができる。 コンジュゲーションの程度は補体B因子アナログに対するPEG分子の適正なコンジュゲーションを確実にするためにSDS−PAGEおよび質量スペクトル分析により厳密にモニタリングすることができる。 いくつかの実施形態においては、未反応のPEGを、サイズ排除クロマトグラフィーにより、および/またはイオン交換クロマトグラフィーにより、PEG結合体から分離することができる。

    特定の実施形態においては、補体B因子アナログのカルボキシ末端またはアミノ末端、または両方が化学修飾される。 アシル化(例えば、アセチル化)またはアルキル化(例えば、メチル化)のようなアミノ末端修飾、およびアミド化のようなカルボキシ末端修飾、ならびに他の末端修飾(環化を含む)を本発明の様々な実施形態に組み込むことができる。 コア配列に対する特定のアミノ末端および/もしくはカルボキシ末端の修飾、ならびに/あるいはペプチドの伸長(例えば、非相同ポリペプチド、例えば、アルブミン、免疫グロブリン、またはその一部分、例えば、免疫グロブリンFcドメインへの融合)は、好都合な物理的、化学的、生化学的、および薬理学的特性;例えば、増強された安定性、増大した効能および/または薬効、血清プロテアーゼに対する耐性、望ましい薬物動態特性などを提供することができる。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは免疫グロブリンFcドメイン(例えば、ヒト免疫グロブリンFcドメイン)を含む。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは、対応する補体B因子アナログのアミノ酸配列に対してC末端側に存在する。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは、配列番号21のアミノ酸766〜990、または配列番号26のアミノ酸766〜1003もしくは786〜1003を含むか、あるいはそれからなる。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは配列番号27のアミノ酸1〜239または2〜239である。 いくつかの実施形態においては、FcドメインはヒトFcドメインである。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは、免疫グロブリン、例えば、IgG4のようなIgG由来である。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは、別のFcドメインと二量体を形成することができる。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログは、例えば、限定ではないがFcドメインの相互作用を通じて二量体(例えば、相同二量体)を形成することができる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは二量体を形成することができないか、または補体B因子アナログ集団/調製物の大部分が単量体の形態である。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインを含有している補体B因子アナログは二量体を形成しないか、またはこの補体B因子アナログの集団/調製物の大部分が単量体の形態である。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、Fcドメイン配列中のシステイン(単数または複数)(例えば、Fcドメインの二量体化に関与するシステイン)のうちの1つまたは複数の変異を有するFcドメインを含む。 いくつかの実施形態においては、Fcドメインは、配列番号27のアミノ酸17および/または20に対応する1つ以上のシステインの変異を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、Fcドメイン配列中に遊離のシステイン(単数または複数)の1つまたは複数の変異を有するFcドメインを含む。 いくつかの実施形態においては、システイン(単数または複数)が、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸で置換される。 いくつかの実施形態においては、システインが欠失させられる。 いくつかの実施形態においては、アミノ酸配列リンカーが、補体B因子アナログとFc領域のアミノ酸配列の間で使用される。 いくつかの実施形態においては、このリンカーは1アミノ酸、例えば、アルギニンである。

    いくつかの実施形態においては、ポリペプチドは、短縮型補体B因子アナログとFc領域の両方を含み、例えば、配列番号2のアミノ酸26〜480とFc領域に対応するアミノ酸を含有している。

    本発明はさらに、補体B因子タンパク質もしくはアナログの少なくとも20、30、50、70、100、150、200、300、400、480、500、600、または700個のアミノ酸部分を含有する、および/または、タンパク質の1、2、または3個のドメインを含み、そして野生型補体B因子タンパク質もしくはアナログの1つ以上の生物学的活性を有するかまたは保持する、ならびに/あるいは補体系(古典的経路、代替経路のいずれか、または両方)の1つの態様の阻害剤として作用する、補体B因子タンパク質またはアナログの断片であるアナログを提供する。 これらの断片は、アナログの安定性を増大させるおよび/または半減期を延長するために、Fcのような別のタンパク質もしくは断片と連結または融合させることによりさらに修飾することができる。 いくつかの実施形態においては、アナログは、補体B因子タンパク質またはアナログの断片であり、この断片は、野生型補体B因子の対応するアミノ酸配列と少なくとも99.5%、99%、98%、95%、90%、85%、または62%の同一性を有する。

    本発明は、補体B因子タンパク質またはアナログの断片を含有しているタンパク質を提供する。 この場合、断片は、N末端および/またはC末端の短縮を有する。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログはC末端短縮を含み、この場合、アナログは、配列番号1、2、もしくは4のアミノ酸407、427、457、477、480、484、487、507、または527に対応するアミノ酸で、あるいはその後ろ(C末端)で短縮される。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、アナログが配列番号1、2、もしくは4のアミノ酸407〜487、470〜495、または477〜487に対応するアミノ酸の間にあるアミノ酸で短縮されたC末端短縮を含む。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログは、配列番号1、2、もしくは4のアミノ酸408〜764、428〜764、458〜764、478〜764、481〜764、485〜764、488〜764、507〜764、527〜764に対応するアミノ酸を含まない。 いくつかの実施形態においては、B因子タンパク質もしくはアナログの短縮化または断片化により遊離のシステインを生じさせることができる。 例えば、短縮化は、ネイティブの補体B因子タンパク質においてジスルフィド結合を形成するシステイン対の一方のシステインの欠失を生じさせることができ、これによりシステインを含むが、そのネイティブのシステイン「パートナー」を含まないポリペプチドを生じさせることができる。 これらの実施形態のいくつかにおいては、対の残っているシステインが変異させられる場合があり、例えば、アラニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンのような別のアミノ酸で置換される場合があり、また、例えば、望ましくないジスルフィド結合形成の可能性を排除するためにシステインが欠失させられる場合もある。

    本発明のアナログは、化学合成を含むがこれに限定されない様々な技術により、または組み換えアナログの発現により調製することができる。

    ヒトB因子をコードする遺伝子およびコード領域のヌクレオチド配列、ならびにアミノ酸配列は当該分野で公知である。 例えば、ヒトB因子をコードする遺伝子はNCBIデータベースアクセッション番号NG_000013の中に見られる。 ヒトB因子のコード配列はNCBIデータベースアクセッション番号NM_001710の中に見られ、ヒト補体B因子プレプロタンパク質のアミノ酸配列はNCBIデータベースアクセッション番号NP_001701またはP00751の中に見られる。 他の動物種由来の配列も当該分野で知られている。 比較として、マウスB因子タンパク質配列(例えば、NCBIデータベースアクセッション番号P04186参照)においては、第3のSCRドメインはこの761アミノ酸のプレタンパク質の160〜217位に位置し、そして成熟マウスB因子タンパク質は23〜761位に及ぶ。 マウスB因子タンパク質の最初の22個のアミノ酸はシグナル配列を含む。

    典型的には、ヒトB因子プレタンパク質はアミノ酸位置1〜25に及ぶシグナルペプチドを持つ764個のアミノ酸のタンパク質(例えば、配列番号1を参照のこと)である。 B因子の成熟鎖は位置26〜764に対応する(例えば、配列番号1を参照のこと)。 ヒトB因子の3つのSCR領域は、SCR1(Sushi 1とも呼ばれ、約35位から約100位に及ぶ)、SCR2(Sushi 2とも呼ばれ、約101位から約160位に及ぶ)、およびSCR3(Sushi 3とも呼ばれ、約163位から約220位に及ぶ)である。

    PCT公開番号WO08/106644および米国特許公開番号US20100120665にはとりわけ、hfB1、hfB2、およびhfB3と命名された3つの特異的優性阻害ヒトB因子タンパク質アナログが記載されている。 これらの3つのアナログの第1のものはfB1と呼ばれ、B因子(fB)プロテアーゼ部位中に1つの変異したアミノ酸を含む。 このfB部分は通常の親和性および反応速度論でC3bに結合するが、D因子(fD)による作用を受け、プロペルジンにより安定化されれば、プロテアーゼとしては機能せず、C3コンバターゼを形成しない。 fB1は、配列番号1のアミノ酸740に対応するアミノ酸においてNによる置換(例えば、D740N)を含む。 これらの補体B因子アナログの第2のものはfB2と呼ばれ、fB1と同じアミノ酸が変化しているが、加えて、C3b結合ドメイン中の2つのさらなるアミノ酸も変化しており(配列番号1のアミノ酸279および285に対応するアミノ酸の置換)、これがC3bに対するfB2の結合親和性を増大させ、例えば、D279G、N285D、およびD740Nの変化である。 N285Dの置換は推定されるNグリコシル化部位を除去する。 これらの補体B因子タンパク質アナログの第3のものはhfB3と呼ばれ、fB2からのC3b結合を増大させる変異を、D因子による切断のための部位をノックアウトする変異と、特に、配列番号1の残基258、259、および260に対応するアミノ酸の置換、ならびに残基279および285に対応するアミノ酸の置換、例えば、K258A、R259A、K260A、D279G、およびN285Dの変化と組み合わせている。 野生型fBのD因子による切断はfBプロテアーゼを活性化する。 したがって、その5つのアミノ酸変化を持つhfB3はC3bに効率的に結合するが、プロテアーゼ活性を最小限にしか有さない。

    hfB1、hfB2、およびhfB3は、配列番号1のアミノ酸292に対応する遊離のシステインを変異させることにより、例えば、このシステインをセリンで置換することにより本発明の補体B因子アナログにさらに修飾されることができるヒトB因子アナログの例であるが、本発明はこれらの特定のアナログに限定されない。 本発明のいくつかの実施形態は補体経路を調節する、遊離のシステインを含まない任意の補体B因子アナログを含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、変異した遊離のシステインに加えて、配列番号1の以下のアミノ酸:アミノ酸258、259、260、279、285、739、740、741、742、743、744、745、および746の1つ以上に対応するアミノ酸の1つ以上の変異を含む。 これらの1つ以上の変異はアミノ酸の置換もしくは欠失、あるいは対応するアミノ酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個のアミノ酸に隣接するか、またはその内部への少なくとも1つのアミノ酸の付加であり得る。 いくつかの実施形態においては、この付加は列挙したアミノ酸の機能を混乱させる、変化させる、増強する、または阻害し、例えば(i)別のタンパク質の切断におけるその役割(例えば、740)、(ii)別のタンパク質による切断の部位としてのその役割(例えば、配列番号1の残基258、259、および/または260に対応するアミノ酸)、あるいは(iii)別のタンパク質への結合におけるその役割(例えば、配列番号1の残基279または285に対応するアミノ酸)を混乱させる。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸で、配列番号1の258、259、および/または260に対応するアミノ酸の1つ以上に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸258、259、および/または260に対応するアミノ酸のうちの1、2、または3つに対応するアミノ酸の欠失を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸258、259、および/または260に対応するアミノのすぐ隣への1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いアミノ酸の少なくとも1つの付加を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸739に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、例えば、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群から選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸739に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1の739位のアミノ酸に対応するアミノ酸の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、グルタミン酸、アスパラギン、アラニン、セリン、グリシン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸740に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、システイン、メチオニン、グルタミン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、グルタミン酸、アスパラギン、アラニン、セリン、グリシン、およびチロシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸740に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1の740位のアミノ酸に対応するアミノ酸の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、トリプトファンおよびアラニンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸741に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸741に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸741に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1の741位のアミノ酸に対応するアミノ酸の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、グルタミンでの配列番号1のアミノ酸742に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、およびアスパラギン酸からなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸742に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸742に対応するアミノ酸の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、フェニルアラニンでの配列番号1のアミノ酸743および/または745に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸743および/または745に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸743、744、および/または745に対応するアミノ酸の1つ以上の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、トリプトファンおよびアラニンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸746に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸746に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、トリプトファン、チロシン、およびフェニルアラニンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸746に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸746に対応するアミノ酸の欠失を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸739、740、741、742、743、744、745、および/または746に対応するアミノ酸の任意の1つ以上のすぐ隣の、あるいはその代わりに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いアミノ酸の挿入あるいは置換を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、グリシン、アラニン、およびアスパラギンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸279に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸279に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、アスパラギン、グルタミン酸、およびグルタミンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸279に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸279に対応するアミノ酸の欠失を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸279に対応するアミノ酸すぐ隣の、またはその代わりに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いアミノ酸の挿入あるいは置換を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、アラニンおよびアスパラギン酸からなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸285に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸285に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびグルタミンからなる群より選択されるアミノ酸での配列番号1のアミノ酸285に対応するアミノ酸の置換を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸285に対応するアミノ酸の欠失を含む。 本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸285に対応するアミノ酸のすぐ隣の、またはその代わりに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いアミノ酸の挿入あるいは置換を含む。

    本発明のいくつかの実施形態は、配列番号1のアミノ酸279、282、283、284、および285に対応するアミノ酸の1つ以上の置換を含む。 いくつかの実施形態においては、これらのアミノ酸は、グリシン、イソロイシン、プロリン、ヒスチジン、およびアスパラギン酸でそれぞれ置き換えられる。

    本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載するように、配列番号1の258、259、260、279、および285位に対応するアミノ酸の変異を含む。

    いくつかの特別な実施形態において、本発明は、配列番号2、3、21、22、または23のアミノ酸配列(随意に、任意のシグナル配列、例えば、その中に含まれるアミノ酸1〜25を伴わない)を含むB因子タンパク質アナログを提供する。 これらのB因子タンパク質アナログを本発明の方法において使用することができる。

    本発明は、本明細書中で考察した変異(置換、欠失、および付加)の組み合わせを含有する補体B因子タンパク質アナログを含む。 いくつかの実施形態においては、これらの補体B因子アナログは、hfB1、hfB2、hfB3、hfB3−292S、もしくはhfB3−292S−740Nアナログ、または本明細書で考察した任意の他の補体B因子アナログの特性の1つ以上を保持している。 本発明はさらに、上記で考察したアナログの特性の1つ以上を有しているこれらのアナログの断片(例えば、本明細書に示した1つ以上のアミノ酸変異を有している補体B因子タンパク質の1つ以上のドメインを含有している)であるアナログを提供する(例えば、hfB3−292SN480)。 加えてアナログは、そのアナログが対応する野生型補体B因子と少なくとも99.5%、99%、98%、95%、90%、85%、80%、75%、または75%の同一性を有するように、追加的なアミノ酸置換、欠失または挿入(例えば、保存的アミノ酸の置換、N末端またはC末端の短縮化など)を含んでよく、また、補体B因子の断片を含有するアナログの場合は、このアナログは、そのアナログと野生型補体B因子の対応する部分との間に少なくとも99.5%、99%、98%、95%、90%、85%、80%、75%、または70%の同一性を有する。

    hfB3−292Sタンパク質およびhfB3−292SN480タンパク質は、N末端からC末端に向かって以下の重要な特徴を含む:1)ヒト293細胞、CHO細胞、BHK細胞のような哺乳動物の発現細胞での効率的な分泌のためのB因子タンパク質のネイティブのシグナル配列;2)変異したC3b依存性D因子タンパク質切断部位(K258R259K260からA258A259A260にアミノ酸を変化させる);3)C3bタンパク質とのその強力な結合およびC3bタンパク質の捕捉を可能にするための、変異したC3bタンパク質結合部位(D279からG279にアミノ酸を変化させる;およびN285からD285にアミノ酸を変化させる);ならびに4)「活性な」または正確に折り畳まれたタンパク質の量を増加させるための変異した遊離のシステイン(C292からS292にアミノ酸を変化させる)。

    本発明のいくつかの実施形態においては、ヒト補体B因子タンパク質アナログは、(i)配列番号1、2、3、22、または23;(ii)配列番号1、2、または3のアミノ酸26〜764;(iii)配列番号22または23のいずれかのアミノ酸1〜990もしくは26〜990;配列番号2のアミノ酸26〜480;および(iv)配列番号26のアミノ酸1〜1003もしくは26〜1003に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%同一である。 いくつかの実施形態においては、本発明のヒト補体B因子タンパク質アナログは、(i)配列番号2、3、22、23、または26;(ii)配列番号2のアミノ酸1〜480;(iii)配列番号2のアミノ酸26〜480;(iv)配列番号2または3のアミノ酸26〜764;(v)配列番号22または23のアミノ酸26〜990;あるいは(vi)配列番号26のアミノ酸26〜1003を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログは、(i)配列番号2または3のアミノ酸26〜764;(ii)配列番号2または3のアミノ酸26〜480;(iii)配列番号22または23のアミノ酸26〜990;あるいは(iv)配列番号26のアミノ酸26〜1003から本質的になる。

    図1は、古典的補体経路およびレクチン補体経路(図1a)、ならびに代替補体経路(図1b)を示す。 両方の経路がC3bを利用する。 C3bBb複合体はC3をC3bに転換するC3コンバターゼである。 数分以内のC3bBbの自発的解離(「崩壊」)はその不活化をもたらすが、一方、プロペルジンはC3bBb複合体を安定化させる。 C3bは追加のC3bを生じさせるようにC3コンバターゼに関与し、それにより大きな矢印により示すようなポジティブフィードバックループを生じる。 崩壊促進因子(DAF)のような補体経路を減衰させる因子のいくつかは、C3コンバターゼであるC3bBbの崩壊を促進することによりそのように作用する。 理論に縛られることは望ましくないが、本明細書中に記載する補体B因子アナログのいくつかはネイティブの補体B因子の代わりにC3bに結合し、それによりC3bに対する結合についてネイティブの補体B因子と競合する。 本発明のいくつかの補体B因子アナログはC3bに結合して、不活性な複合体またはネイティブのC3bBb複合体と比較してC3コンバターゼ活性が有意に低下した複合体を生じる。

    本発明はまた、C3bBb複合体の崩壊を促進する因子/分子と相互作用する補体B因子中のアミノ酸に対応するアミノ酸の変異を含有している補体B因子アナログを提供する。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、DAFと相互作用するアミノ酸の変異を含む。 これらの変異には、配列番号1のアミノ酸290、291、323、363、364、または407に対応するアミノ酸の1つ以上の変異が含まれるが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、これらの変異は、配列番号1のアミノ酸290、291、323、363、364、または407に対応するアミノ酸の1つ以上の置換あるいは欠失である。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、配列番号1のK323E、K290A、K291A、Y363A、S364A、またはD407Nに対応する変異のうちの1つ以上を含む。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、配列番号1のK290A/K291A、Y363A/S364A、またはK290A/K291A/Y363A/S364Aに対応する変異の組み合わせのうちの1つを含む。 理論に縛られることは望ましくないが、C3bBb複合体の崩壊を促進する因子/分子と相互作用する補体B因子アナログ中のアミノ酸の変異は、C3bと本発明の補体B因子アナログとの複合体の崩壊を阻害し得、それにより補体B因子アナログが補体活性をより良好に阻害することを可能にする。

    cDNA(例えば、ヒト野生型fBおよび3つの補体B因子アナログ、ならびに4つの類似するマウス配列)を作製するための例示的な手順、およびベクターへのそれらの取り込みは、PCT公開番号WO08/106644の実施例8および米国特許公開番号US20100120665に詳細に記載されている。

    核酸 本発明は、本発明の補体B因子タンパク質アナログをコードするヌクレオチド配列を含有している核酸を含み、そしてこれらの核酸を含有しているベクターを含む。

    目的の核酸の局所的および長期の発現を確実にするために、本発明のいくつかの実施形態は、本発明の補体B因子アナログをコードする核酸またはベクターでの細胞の形質導入を意図する。 本発明はいずれかの1つの特定の核酸送達方法に限定されると解釈されるべきではなく、インビボまたはインビトロのいずれかの核酸送達ストラテジーとともに用いる任意の利用可能な核酸送達媒体、または操作された細胞(例えば、Neurotech,Lincoln,RI,例えば、米国特許第6,231,879号;同第6,262,034号;同第6,264,941号;同第6,303,136号;同第6,322,804号;同第6,436,427号;同第6,878,544号の技術を参照のこと)、ならびに補体B因子アナログ自体をコードする本発明の核酸(例えば「裸のDNA」)の使用も本発明の実施において使用することができる。 様々な送達媒体、例えばベクターを本発明とともに使用することができる。 例えば、ウイルスベクター、アンフィトリピック脂質(amphitrophic lipid)、陽イオン性重合体(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)およびポリリジン)、デンドリマー(例えば、コンバースト(combburst)分子およびスターバースト(starburst)分子、非イオン性脂質、陰イオン性脂質、小胞、リポソームおよび遺伝子送達の他の合成核酸手段(例えば、米国特許6,958,325号および同第7,098,030号;およびLanger,Science 249:1527−1533(1990);Treatら、「Liposomes」、「The Therapy of Infectious Disease and Cancer」;およびLopez−Berestein & Fidler(編),Liss,New York、pp.317−327および353−365(1989)参照);「裸の」核酸などを、本発明の実施において使用することができる。

    ベクターは、目的の核酸(例えば、治療用タンパク質をコードし得る治療用核酸)を目的の標的細胞に導入する手段である。 ベクターは典型的には、出発材料(例えば、外来遺伝子またはトランスジーンを担持することができ、そして標的細胞内に侵入してそこで発現されることができる核酸)から構築または獲得される。 ベクターを獲得できる適切な出発材料としては、当該分野で公知であるように、トランスポゾン、プラスミド、ウイルス、PCR産物、cDNA、mRNAなどが挙げられる。 目的のベクターを獲得または構築するための方法としては、当該分野で公知であるように、標準的な遺伝子操作技術、配列決定反応、制限酵素消化、ポリメラーゼ反応、PCR、PCR SOEイング、ライゲーション、リコンビナーゼ反応(例えば、InvitrogenのGATEWAY(登録商標)技術)、核酸に作用する他の酵素、細菌およびウイルスの増殖物質および方法、化学薬品および試薬、部位特異的変異誘発プロトコルなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 例えば、Maniatisらの文献である「Molecular Cloning」を参照のこと。

    本発明の核酸は典型的には、補体B因子タンパク質アナログをコードする配列に対して作動可能であるように連結されたプロモーターを含む。 プロモーターは例えば、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、誘導性プロモーター、抑制可能プロモーター、構成性プロモーター、合成プロモーター、またはハイブリッドプロモーターであり得る。 本発明の構築物において有用なプロモーターの例としては、例えば、ファージλ(PL)プロモーター;SV40初期プロモーター;単純疱疹ウイルス(HSV)プロモーター;サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(例えば、ヒトCMV即時初期プロモーター;テトラサイクリン制御トランス活性化物質応答性プロモーター(tet)系);長末端リピート(LTR)プロモーター(例えば、MoMLV LTR、BIV LTR、またはHIV LTR);モロニーマウス肉腫ウイルスのU3領域プロモーター;グランザイムAプロモーター;メタロチオネイン遺伝子の調節配列(単数または複数);CD34プロモーター;CD8プロモーター;チミジンキナーゼ(TK)プロモーター;B19パルボウイルスプロモーター;PGKプロモーター;グルココルチコイドプロモーター;熱ショックタンパク質(HSP)プロモーター(例えば、HSP65およびHSP70プロモーター);免疫グロブリンプロモーター;MMTVプロモーター;ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター;lacプロモーター;CaMV 35Sプロモーター;およびノパリン合成酵素プロモーターが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、プロモーターはMNDプロモーター(Robbinsら,1997,J.Virol.71:9466−9474)またはMNCプロモーター(これは、LTRエンハンサーが最小CMVプロモーターと組み合わせられている、MNDプロモーターの誘導体である(Habermanら,J.Virol.74(18):8732−8739,2000))である。

    いくつかの実施形態においては、本発明のベクターは、例えば、補体B因子タンパク質アナログをコードする遺伝子の一部としてイントロンを含む。 異種イントロンは公知であり、非限定的な例として、ヒトβ−グロビン遺伝子イントロンが挙げられる。 イントロンは補体B因子遺伝子に由来し得るか、または異種イントロンであり得る。

    シグナル配列またはリーダー配列は公知であり、例えば、補体B因子発現構築物中で使用することができる。 シグナル配列は、選択されたポリペプチドのアミノ末端に結合させられたペプチドとしてインフレームで翻訳され、分泌シグナル配列は宿主細胞の機構と相互作用することによりポリペプチドの分泌を引き起こす。 分泌過程の部分として、この分泌シグナル配列は切断除去される。 ヒト胎盤アルカリンホスファターゼ分泌シグナル配列が有用なシグナル配列の一例である。 本発明は特定の分泌シグナル配列に限定されず、そして他のものは当業者に公知である。 用語「シグナル配列」はまた分泌ペプチドをコードする核酸配列も意味する。 シグナル配列が含まれる場合、それは野生型補体B因子配列、相同配列、または非相同配列のいずれかであり得る。

    ウイルスベクター

    本発明は、本発明の補体B因子アナログ(単数または複数)をコードするウイルスベクターを含む。 本発明において有用なウイルスベクターの例は、PCT公開番号WO08/106644および米国特許公開番号US20100120665に記載されている。 本発明は特定のウイルスベクターに限定されない。 ウイルスベクターとして、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター(例えば、米国特許第7,045,344号を参照のこと)、AAVベクター(例えば、米国特許第7,105,345号を参照のこと)、ヘルペスウイルスベクター(例えば、米国特許第5,830,727号および同第6,040,172号を参照のこと)、肝炎(例えば、D型肝炎)ウイルスベクター(例えば、米国特許第5,225,347号を参照のこと)、SV40ベクター、EBVベクター(例えば、米国特許第6,521,449を参照のこと)、およびニューカッスル病ウイルスベクター(例えば、米国特許第6,146,642号、同第7,442,379号、同第7,332,169号、および同第6,719,979号を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、レンチウイルスベクターは、HIV、EIAV、SIV、FIV、またはBIVベクターである。 本発明はまた、本発明のウイルスベクターを生産する細胞を提供する。

    BIV系の例は、例えば、Matukonisら,2002 Hum. Gene Ther. 13,1293−1303;Molinaら,2002 Virology. 304,10−23;Molinaら、2004 Hum. Gene Ther. ,15,65−877;米国特許第6,864,085号、同第7,125,712号、同第7,153,512号;PCT公開番号WO08/106644および米国特許公開番号US20100120665に記載されている。

    本発明のベクタービリオンは、インビボまたはインビトロで細胞(例えば、哺乳動物細胞)に投与することができる。 ベクター(ウイルス性および非ウイルス性)を使用して細胞(未分化細胞、分化細胞、体細胞、原始細胞および/または幹細胞を含むがこれらに限定されるわけではない)を形質導入または形質転換することができる。 いくつかの実施形態においては、幹細胞はヒトへの投与のために意図され、小児への分化および発生のための適切な擬似妊娠女性への移植は意図されない。

    いくつかの実施形態においては、本発明のウイルスベクターは崩壊促進因子(DAF)を含む。 例えば、エンベロープを有するウイルスベクターはウイルス膜上にDAFを含む。 いくつかの実施形態においては、DAFは野生型DAFである。 いくつかの実施形態においては、DAFはエンベロープタンパク質との融合タンパク質の一部である。 例えば、Guibingaら、Mol Ther. 2005、11(4):645−51を参照のこと。 いくつかの実施形態においては、BIVプロデューサー細胞はDAFを発現する。

    本発明の補体B因子アナログの生産

    本発明の補体B因子タンパク質アナログは細胞により生産させることができる。 いくつかの実施形態においては、その後、補体B因子タンパク質アナログが細胞から、および/または細胞培養培地から精製される。

    本発明は、(i)本発明の補体B因子アナログをコードするヌクレオチド配列を含有している核酸を含む細胞、および/または(ii)本発明の補体B因子タンパク質アナログを発現する細胞を含む。 いくつかの実施形態においては、哺乳動物細胞が利用される。 いくつかの実施形態においては、原核生物細胞が利用される。

    宿主細胞は典型的には、タンパク質生産のための発現またはクローニングベクターでトランスフェクトあるいは形質導入され、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、所望される配列をコードする遺伝子の増幅のため、または下流での精製および/もしくは濃縮の手順のために必要に応じて改変された従来の栄養培地中で培養される。

    ベクター中のコード領域のクローニングまたは発現に適している宿主細胞は、原核生物、酵母、またはより高等真核生物の細胞である。 この目的に適している原核生物として、真正細菌目(例えば、グラム陰性またはグラム陽性の生物、例えば、腸内細菌科(例えば、Escherichia(例えば、大腸菌))、エンテロバクター属、エルウイニア属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属(例えば、Salmonella typhimurium)、セラチア属(例えば、Serratia marcescans)、およびシゲラ属、ならびにバシラス属(例えば、B.subtilisおよびB.licheniformis(例えば、B.licheniformis 41P))、シュードモナス属(例えば、P.aeruginosa)、およびストレプトマイセス属が挙げられるがこれらに限定されるわけではない。いくつかの実施形態においては、大腸菌クローニング宿主はE.coli 294(例えばATCC 31,446)であるが、他の株、例えば、E.coli B、E.coli X1776(例えば、ATCC 31,537)およびE.coli W3110(例えば、ATCC 27,325)も適している場合がある。

    原核生物に加えて、真核生物の微生物、例えば、糸状菌または酵母も適切なクローニングまたは発現の宿主である。 Saccharomyces cerevisiae、即ち一般的なパン酵母が、より下等の真核生物宿主微生物の中では一般的に使用されている。 しかし、以下のような多数の他の属、種、および株が一般的に入手可能であり、本明細書中で有用である:Schizosaccharomyces pombe;クルイベロマイセス属宿主(例えば、K.lactis、K.fragilis(例えば、ATCC 12,424)、K.bulgaricus(例えば、ATCC 16,045)、K.wickeramii(例えば、ATCC 24,178)、K.waltii(例えば、ATCC 56,500)、K.drosophilarum(例えば、ATCC 36,906)、K.thermotolerans、およびK.marxiamis);ヤロウイア属(例えば、EP402,226);Pichia pastoris(例えば、EP183,070);カンジダ属;Trichoderma reesia(例えば、EP244,234);Neurospora crassa;Schwanniomyces(例えば、Schwanniomyces occidentalis);および糸状菌(例えば、ニューロスポラ属、ペニシリウム属、トリポクラジウム属、およびアスペルギルス属の宿主(例えば、A.nidulansおよびA.niger))。

    例えば、グリコシル化されたタンパク質の発現に適している宿主細胞は多細胞生物から誘導することができる。 無脊椎動物細胞の例として、植物細胞および昆虫細胞が挙げられる。 多数のバキュロウイルス株およびバリアントおよび以下のような宿主に由来する対応する許容される昆虫宿主細胞が同定されており、タンパク質を発現するために使用することができる:Spodoptera frugiperda(イモムシ)、Aedes aegypti(カ)、Aedes albopictus(カ)、Drosophila melanogaster(ミバエ)、およびBombyx mori。 トランスフェクションのための様々なウイルス株(例えば、Autographa californica NPVのL−1バリアントおよびBombyx mori NPVのBm−5株)をタンパク質の発現のために使用することができ、これらは公的に入手することができ、そしてそのようなウイルスは、例えば、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために本発明にしたがって使用され得る。 綿花、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養物もまた宿主として利用することができる。

    本発明のいくつかの実施形態は、脊椎動物または哺乳動物の細胞を利用し、そして培養物(組織培養物)中での脊椎動物細胞の増殖が日常的に行われいる手法であり得る。 有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40で形質転換されたサル腎CVI細胞株(例えば、COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎細胞株(例えば、293または293T細胞(293 Freestyle(Invitrogen,Carlsbad,CA))または293FTのような懸濁培養物中での増殖のためにサブクローニングされたいずれかの細胞株(Grahamら、J.Gen Virol.36:59(1977))を含む));ベビーハムスター腎細胞(例えば、BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞;チャイニーズハムスター卵巣細胞/−DHFR(例えば、CHO、Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(例えば、TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243−251(1980));サル腎細胞(例えば、CVI ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎細胞(例えば、VERO−76、ATCC CRL−1587);ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎細胞(例えば、MOCK、ATCC CCL 34);CF2TH細胞;バッファローラット肝細胞(例えば、BRL3A、ATCC CRL 1442);ヒト細胞(例えば、W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(例えば、Hep G2、HB 8065);マウス乳癌細胞(例えば、MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.383:44−68(1983));MRC5細胞;およびFS4細胞である。

    いくつかの場合には、宿主細胞は内因性タンパク質の発現を低下または排除するように改変され得る。 例えば、補体B因子タンパク質アナログを特定の宿主細胞(例えば、CHO細胞)中で生産させようとする場合は、宿主細胞のネイティブのB因子タンパク質(例えば、ハムスターB因子)の発現が低下するかまたは排除されるように宿主細胞が改変され得る。 これは、下流での補体B因子タンパク質アナログの精製に有利であり得る。 したがって本発明は、宿主細胞中での対応するネイティブの補体タンパク質の発現を低下させるまたは排除することを含む本発明の補体タンパク質アナログを生産する方法を提供する。 宿主細胞タンパク質の発現を低下させる、排除する、またはノックアウトする方法は当該分野で公知である。 例えば、タンパク質の発現レベルは、タンパク質をコードするRNAに特異的な阻害性RNA(例えば、RNAi)を発現するように宿主細胞を操作することにより低下させられ得るかまたは排除され得る。 例えば、Clontech(Mountain View,CA)が様々なベクターおよびキット、例えば、宿主細胞中でのタンパク質の発現をノックダウンするためのKNOCKOUT(商標)RNAiシステムの一部と呼ばれるものを販売している。 他の方法には、任意のクローニングされた遺伝子内への特異的変異の導入を可能にする相同組み換えによる遺伝子ターゲティングが含まれる。 例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc. ,1994−1998、セクション9.16および9.17を参照のこと。 これは宿主細胞タンパク質を発現している遺伝子をノックアウトするために使用することができる。

    内因性タンパク質の発現を低下させるために利用することができる別の方法には、内因性タンパク質の発現を抑制するターゲティングされた転写因子を使用することが含まれる。 例えば、転写因子に由来するリプレッサードメインが亜鉛フィンガーポリペプチドのようなDNA結合ドメインに結合または融合させられ得る。 当業者であれば特定のDNA配列に結合する亜鉛フィンガーポリペプチドを設計することができる。 例えば、米国特許6,140,081号;および同第7,067,617号;および米国特許出願公開番号20060078880;同20040224385;および同20070213269を参照のこと。 当業者であれば設計された亜鉛フィンガーポリペプチドを転写リプレッサードメイン(例えば、KRAB(Kruppel関連ボックス)ドメイン)と結合させることができる。 そのような分子および技術の例は、Beerliら(Proc Natl Acad Sci USA.2000、97(4):1495−1500)および米国特許出願公開番号20070020627に記載されている。 本発明のいくつかの実施形態においては、宿主細胞に転写リプレッサーを発現するベクターが形質導入される。 このアプローチは、ほとんどの場合において、宿主細胞が二倍体となり、そして両方の遺伝子コピーをノックアウトすることが望ましいために、相同組み換えを使用して目的の遺伝子をノックアウトすることよりも有利である。 その一方で、転写リプレッサーの発現は両方の遺伝子コピーの発現を抑制するはずである。

    特定の内因性タンパク質の発現はまた、その特定の内因性タンパク質の発現を直接または間接的に低下させる化合物を使用して低下させられる場合がある。 fBを例とすると、様々な化合物を内因性fB発現の発現を低下させるために使用することができる。 例えばfBタンパク質の発現はヒスタミン(Falus & Meretey,Immunology 1987 60:547−551およびFalus & Meretey,Mol Immunol 1988、25(11):1093−97)、酪酸ナトリウム(Andohら、Clin Exp Immuno 1999,118:23−29)、糖質コルチコイド、例えばデキサメタゾン(Dauchelら,Eur J Immunol 1990、20(8):1669−75)、血小板由来成長因子(Circoloら、1990、The Journal of Biol Chem 265(9):5066−5071)、表皮成長因子(Circoloら、1990)、および線維芽細胞成長因子(Circoloら、1990)により阻害されることが示されている。 本発明の宿主細胞は、補体B因子タンパク質の内因性発現を低下させるためにこれらの分子の任意の1つまたは組み合わせの存在下で培養され得る。 したがって、本発明のいくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログを発現する宿主細胞が、ヒスタミン、酪酸ナトリウム、糖質コルチコイド(例えば、デキサメタゾン)、血小板由来成長因子、表皮成長因子、または線維芽細胞成長因子からなる群より選択される任意の1つ以上の化合物の存在下で培養される。

    様々な化合物およびタンパク質が補体B因子タンパク質の発現をアップレギュレートまたは維持することが示されている。 例えば、補体B因子タンパク質の発現は、腫瘍壊死因子(TNF)(Andohら、Clin Exp Immuno 1999 118:23−29)、エストロゲン(Sheng−Hsiangら、Biology of Reproduction 2002 66:322−332)、インターロイキン−1(Dauchelら、Eur J Immunol 1990、20(8):1669−75)、デキサメタゾン(Lappin & Whaley,BiochemJ、1991、280:117−123)、プレドニソロン(Lappin & Whaley 1991)、コルチカール(Lappin & Whaley 1991)、およびインターフェロン−γ(Huangら、2001 Eur J Immunol 31:3676−3686)によりアップレギュレートまたは維持されることが示されている。 本発明の宿主細胞をこれらの分子の任意の1つまたは組み合わせの非存在下で培養して、補体B因子タンパク質の内因性発現を低下させることができる。 さらに、宿主細胞はこれらの化合物の任意の1つ以上の阻害剤の存在下で培養される場合がある。 したがって、本発明のいくつかの実施形態においては、補体B因子タンパク質アナログを発現する宿主細胞が、TNF、エストロゲン、インターロイキン−1、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチカール、およびインターフェロン−γからなる群より選択される化合物を阻害する任意の1つ以上の化合物の存在下で培養される。 いくつかの実施形態においては、1つ以上のこれらの化合物の宿主細胞による発現が、例えば本明細書に記載する方法を使用して低下させられる。 エストロゲンの阻害剤の例としてタモキシフェンが挙げられるが、これに限定されるわけではない。 阻害剤にはまた、化合物に結合し、その活性を低下させる抗体も含まれる。 例えば、TNFに結合してTNFを不活性化させる様々な抗体が当該分野で公知である。

    細胞から調製された組成物を含有している補体B因子タンパク質アナログは、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、サイズ排除クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、免疫アフィニティークロマトグラフィー、接線流精製、透析濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)、逆相クロマトグラフィー、ヘパリンセファロースアフィニティークロマトグラフィー、ならびに他の公知の分離および濃縮の形態を使用して精製することができる。 任意の事前の精製工程(単数または複数)に続いて、補体B因子タンパク質アナログと、もし存在するならば混入物質とを含有している混合物について、いくつかの場合には、低塩濃度(例えば、約0〜0.25Mの塩)で行われる低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーが、例えば約2.5〜4.5の間のpHの溶離緩衝液を使用して、あるいは、さらなる精製のための他の手順が行われ得る。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは、全タンパク質に関して少なくとも90%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%純粋である。

    本発明はまた、本発明の補体B因子タンパク質アナログを細胞中で発現させる工程および補体B因子タンパク質アナログを精製する工程を含む、補体B因子タンパク質アナログの生産方法を提供する。

    補体媒介状態/疾患

    補体活性化には3つの経路:古典的経路、代替経路、およびレクチン経路がある(図1)。 本発明の補体B因子タンパク質アナログの例を本明細書中に記載する。 いくつかの実施形態においては、これらの補体B因子タンパク質アナログは、補体活性化の代替経路を減衰させることができる。 しかし、3つの補体経路の全てが交差する状況に基づくと、これらのアナログは3つの補体経路のいずれかにより引き起こされる炎症を小さくすることができ、これによりその病因に少なくとも部分的に補体活性化が関与している任意の疾病の治療法を提供することができる。 これらには、早期AMD、湿性AMD、および地図状委縮が含まれるがこれらに限定されるわけではない。 図1Aおよび1Bは補体経路を要約する。 これらがC3bで交差することに留意されたい。

    本発明は、本発明の薬学的製剤、本発明の補体B因子アナログ、または本発明の補体B因子アナログをコードする核酸もしくはベクターを患者に投与する工程を含む、補体媒介疾患の処置方法を提供する。 本発明はまた補体活性を阻害する方法も含み、ここでは、この方法には、被検体においてネイティブの補体B因子の結合と競合することにより補体経路を阻害するために十分な量の変異したヒト補体B因子アナログをヒト被検体に投与する工程が含まれる。 この場合、変異したヒト補体B因子アナログは、ジスルフィド結合を形成するシステインアミノ酸と、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸で置換された遊離のシステインアミノ酸を有している配列番号4の活性な補体B因子アナログである。 いくつかの実施形態においては、変異した補体B因子アナログは配列番号2、3、22、または23を含む。

    本発明はまた補体活性を阻害する方法を提供し、ここでは、この方法には、補体活性を阻害するために十分な量の本発明の補体B因子アナログ、本発明の核酸、本発明のウイルスベクター、本発明の薬学的組成物/薬学的製剤、またはこれらの任意の組み合わせを補体活性の部位に導入する工程が含まれる。 いくつかの実施形態においては、本発明の方法は、ジスルフィド結合を形成するシステインアミノ酸と別のアミノ酸で置換された遊離のシステインアミノ酸を有している配列番号4のアナログである補体B因子を利用する。

    本発明は補体活性を阻害する方法を提供し、ここでは、この方法には、ネイティブの補体B因子の結合と競合する変異したヒト補体B因子アナログにより補体活性を阻害するために十分な量の変異したヒト補体B因子アナログを補体活性の部位に導入する工程が含まれる。 この場合、変異したヒト補体B因子アナログは、ジスルフィド結合を形成するシステインアミノ酸と、アミノ酸で置換された遊離のシステインアミノ酸を有している配列番号4の活性な補体B因子アナログである。 いくつかの実施形態においては、この方法は、配列番号2のアミノ酸26〜764、配列番号3のアミノ酸26〜764、配列番号22のアミノ酸26〜990、または配列番号23のアミノ酸26〜990を含む補体B因子アナログを利用する。

    補体経路は、免疫系の体液性および細胞に媒介される分岐の活性化の前に感染からの即時保護をもたらす先天免疫系として知られている免疫系の一部である。 これらは高次の反応速度論を示すが相当に十分調節されているカスケード反応を介して活性化され、そして不活性化される。 代替補体経路は特に、正のフィードバックループを介して迅速にサイクルアップするように展開する。

    本発明の補体B因子タンパク質アナログおよび/またはそれらを発現するベクターは、哺乳動物への局所および/または全身投与のため、ならびに/あるいは、慢性疾患を処置するために好都合に使用され得る。 本発明のいくつかの実施形態においては、補体B因子アナログがネイティブの補体B因子の、例えば、C3bタンパク質および/またはD因子タンパク質に対する結合と競合することにより補体経路を阻害する。 これは経路の完全な遮断とは逆に、補体活性の減衰を可能にし得る。 したがって、補体活性を完全に遮断することなく治療性がある(例えば、一部の症状またはその重症度を軽減する)レベルにまで補体活性をダウンレギュレートすることが可能である場合がある。 これにより、高い感染リスクのような補体活性の遮断に伴うリスクが回避されるかまたは低下する。 したがって本発明は、本発明の補体B因子タンパク質アナログの局所もしくは全身投与(例えば、i.v.、腹腔内、または経口)により補体媒介疾患(例えば、慢性疾患)を処置するための方法を提供する。

    いくつかの実施形態においては、本発明は補体活性をモジュレートする、調節する、阻害する、および/または増強するための組成物ならびに方法を提供する。 補体関係経路には、古典的補体経路、レクチン補体経路、および代替補体経路が含まれるがこれらに限定されるわけではない。 いくつかの場合には、補体関係経路は特定の状態または疾患(単数または複数)において役割を果たす場合がある。 したがって、本発明のいくつかの実施形態は、本発明の補体B因子アナログまたは本発明の補体B因子アナログをコードする核酸もしくはベクターを投与することにより、1つ以上の補体関係経路により媒介される疾患の状況を調節する、改質する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、進行を遅らせる、および/または処置する方法を提供する。 そのような疾患の状況または状態として以下が挙げられるが、これらに限定されるわけではない:ドルーゼン形成、黄斑変性、AMD、ドライアイ、膜潰瘍、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症、硝子体網膜症(Grisantiら、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.32:2711−2717)、角膜炎症、気道応答性亢進、免疫関連疾患、自己免疫関連疾患、ループス腎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎(例えば、関節リウマチ)、リウマチ性疾患、抗リン脂質抗体症候群、腸および腎臓のI/R傷害、喘息、非定型溶血性尿毒症症候群、II型膜増殖性糸球体腎炎、非増殖性糸球体腎炎、胎児喪失(例えば、自然胎児喪失)、緑内障、ブドウ膜炎、高眼圧症、脳傷害(例えば、外傷性脳傷害)、脳卒中(例えば、Arumugamら、PNAS 93(12):5872−6(1996)を参照のこと)、外傷後臓器損傷、熱傷(例えば、火傷)、梗塞後臓器損傷(例えば、心臓、神経系)、血管炎、川崎病、遺伝性血管浮腫(HAE)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH、マルキアファーバ−ミケリ症候群と呼ばれる場合もある)、大腸炎、炎症性腸疾患、腫瘍転移、虚血再灌流傷害、脳血管偶発症、アルツハイマー病、移植片拒絶(例えば、異種移植片および自家移植片)、感染症、敗血症、敗血症性ショック、シェーグレン症候群、重症筋無力症、抗体に媒介される皮膚疾患、全ての抗体に媒介される臓器特異的疾患(I型およびII型真性糖尿病、甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病および溶血性貧血、および神経障害を含む)、インスリン抵抗性症候群(例えば、Weyerら(2000)Diabetes Care,23(6):779−785を参照のこと)、妊娠性糖尿病、多発性硬化症、乾癬、心肺バイパス傷害、結節性多発性動脈炎、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、血清病、グッドパスチャー病、全身性壊死性血管炎、連鎖球菌感染後の糸球体腎炎、特発性肺線維症(通常の間質性肺炎)、膜性糸球体腎炎、心筋炎(例えば、自己免疫性心筋炎)(Kayaら、Nat Immunol.2001;2(8):739−45)、心筋梗塞、筋ジストロフィー(例えば、ジストロフィン欠損に関連)、急性ショック性肺症候群、成人呼吸窮迫症候群、再灌流、および/または補体媒介疾患。

    いくつかの実施形態においては、補体媒介疾患は眼の疾患である。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログまたは薬学的組成物は、例えば、硝子体内注射、網膜下注射、前眼房内への注射、角膜への注射または局所適用、結膜下注射、テノン下注射、または点眼によって眼に投与される。 いくつかの実施形態においては、例えば、hfB3−292S(配列番号2)、hfB3−292S−740N(配列番号3)、hfB3−292S−Fc(配列番号22)、およびhfB3−292S−740N−Fc(配列番号23)の群より選択される少なくとも1つの補体B因子アナログを含有している薬学的組成物が眼に投与される。

    加齢性黄斑変性(AMD)は、先進国において65歳超の人の視力低下の最も一般的な原因である。 乾式AMDは中央の視野の喪失を引き起こす黄斑の進行性の変性を特徴とする。 より急性の消耗性のAMDは湿性AMDとして知られている網膜の病性盛んな血管新生および管外遊出を含む。 現在AMDについて有効な治療法はない。

    AMDの特徴は網膜色素上皮(RPE)の基底層とブルーフ膜の内層のと間に位置するドルーゼンの蓄積である(Pauleikhoffら、1990 Am.J.Ophthalmol.109,38−43;Bresslerら、1990 Arch.Ophthalmol.108,1442−1447)。 ドルーゼン、ならびにブルーフ膜の近位で生じる他の加齢による変化は、虚血を誘導すること、ならびに網膜と脈絡膜との間の栄養および老廃物の交換の制限により、RPEおよび網膜の機能不全および変性に寄与すると考えられている(Bird,1992 Pathophysiology of AMD.Age−Related Macular Degeneration:Principles and Practice(Hampton,G.,and Nelsen,P.T.,編)第3章,Raven Press,New Yorkによる報告)。 いくつかの研究はAMDの発症における免疫媒介過程を示している。 重要なことは、免疫および炎症媒介過程がドルーゼンの発生および/または除去に関与しているという仮説により予測されたように、自己抗体がAMD患者の血清中で検出されたことである(Penfoldら、1990 Graefes Arch.Clin.Exp.Ophthalmol.228,270−274)。

    眼におけるドルーゼンの形成は黄斑変性のような様々な疾患に関連し得る。 いくつかの場合には、ドルーゼンの形成および/またはその疾患との関連性が補体活性と関係していることが示唆されている。 本発明のいくつかの実施形態は、ヒトのような動物におけるドルーゼンの形成または成長をモジュレートする、調節する、阻害する、減少させる、遅らせる、および/または逆戻りさせるための組成物ならびに方法を提供する。 例えば、本発明の組成物または分子は(例えば、ドルーゼン内への直接の注射(ドルーゼン内注射)、ドルーゼンの近傍への注射、または硝子体内注射により)ドルーゼンに送達され得る。 本発明のいくつかの実施形態は、おそらくドルーゼン形成を阻害することにより黄斑変性の進行を遅らせるために利用することができる。 ドルーゼンの大量成分であるビトロネクチンはまた、アテローム性動脈硬化症(Niculescuら、1989 Atherosclerosis,78,197−203)、アミロイドーシス(Dahlbackら、1993 J.Invest.Dermatol.100,166−170)、弾力線維症(Dahlbackら、1988 Acta Derm.Venereol.68,107−115)、およびMPGN II型(Jansenら、1993 Am.J.Pathol.143,1356−1365)に関連する細胞外付着物の成分でもある。 ビトロネクチンは、細胞接着、止血の維持、および補体に誘導される細胞溶解の阻害において機能する多機能性タンパク質である(Preissner,1991 Ann.Rev.Cell Biol.7,275−310)。 さらに、アテローム性動脈硬化症のプラークはドルーゼンと共通して、補体成分およびアポリポタンパク質Eのような多くの他の構成成分を有している。 進行型AMDと頸動脈のアテローム性動脈硬化症と間の関連性が疫学的研究(Vingerlingら,1995 Am.J.Epidemiol.142,404−409)において報告されており、そして別の研究ではAMD患者における日光に曝露されたものではない皮膚炎の弾性症変性と脈絡膜血管新生との間での有意な相関関係が明らかにされている(Blumenkranzら,1986 Ophthalmology,93,552−558)。 最後に、アルツハイマー病におけるニューライトプラークの主要な構成成分であるアミロイドβペプチドもまたドルーゼンの中に見られる(Johnsonら、2002 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99,11830−11835)。 アミロイドβペプチドは補体の主要な活性化物質として関与しているとされている(Bradtら、1998 J.Exp.Med.188,431−438)。

    ヒトドルーゼンの分子組成ならびにドルーゼンに隣接するまたはドルーゼンに重なるRPE細胞の包括的な分析により、免疫グロブリンに対する免疫反応性、および、免疫複合体の付着に関連する補体系の成分が明らかにされた(Johnsonら、2000 Exp.Eye Res.70,441−449)。 ドルーゼンはまた、免疫系のモジュレーションにおいて役割を果たしているビトロネクチン(Hagemanら、1999 FASEB J.13,477−484)およびアポリポタンパク質E(Andersonら、2001 Am.J.Ophthalmol.131,767−781)のような多機能性タンパク質も含む。 加えて、アミロイドP成分およびα −抗トリプシンのような炎症に対する急性期応答に関与する分子もドルーゼンの中に認められており(Mullinsら、2000 The FASEB Journal,14,835−846)、さらには、凝固およびフィブリン溶解に関与するタンパク質(X因子、トロンビン、およびフィブリノーゲン)も認められている(Mullinsら、2000 The FASEB Journal,14,835−846)。 ドルーゼンの形成および関連するRPEの病理は補体カスケードを活性化する慢性の炎症応答に寄与していると示唆されている(Hagemanら、2001 Prog.Retin,Eye Res.20,705−732;Johnsonら、2001 Exp.Eye Res.73,887−896)。

    AMDにより生じ、網膜の混乱をもたらす視覚障害の1つの他の形態は地図状委縮であり、これは桿状細胞および錐体細胞ならびにRPE細胞の斑の死滅につながる。

    アテローム性動脈硬化症は補体が関係する経路に典型的に関与していることが示されている。 例えば、Niculescuら、Immunologic Research,30(1):73−80(8)(2004)およびNiculescu and Horea,Immunologic Research 30(1):73−80(2004)を参照のこと。 補体活性化およびC5b−9の付着は、典型的にはヒトおよび実験用のアテローム性動脈硬化症の両方において起こる。 C5b−9は細胞溶解を担っている場合があり、C5b−9の溶解下でのアセンブリは平滑筋細胞(SMC)および内皮細胞(EC)の活性化および増殖を誘導する。 補体C6の機能不全は食事によるアテローム性動脈硬化症に対して保護的作用を有しており、これは、C5b−9のアセンブリがアテローム性動脈硬化症の病変の進行に必要であるか、またはそれにおいて少なくとも有意な役割を担っていることを示唆している。 例えば、Niculescu and Horea,Immunologic Research 30(1):73−80(2004)を参照のこと。 本発明のいくつかの実施形態は、C5b−9の形成を阻害するため、および/またはアテローム性動脈硬化症を阻害するために使用され得る。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログがアテローム性動脈硬化症の部位またはその可能性がある部位に投与される。 このB因子タンパク質アナログは1つの経路(例えば、古典的経路および/または代替補体経路)を阻害し、次にこれが、C5b−9またはアテローム性動脈硬化症に関与している別の補体経路関連化合物の形成あるいは活性化を阻害する。 その形成および/または活性化が同様の様式で阻害または遮断され得る、アテローム性動脈硬化症に関与している他の補体関連タンパク質が存在すると考えられる。

    気道応答亢進症(AHR)は、喘息(例えば、アレルギー性喘息)を含むがこれに限定されない様々な疾患の特徴である。 AHRは補体が関係する経路に典型的に関与していることが示されている。 例えば、Taubeら、2006 PNAS 103(21):8084−8089;Parkら、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 169:726−732,(2004);Thurman and Holers,J Immunology 176:1305−1310(2006)、および米国特許公開番号20050260198を参照のこと。 Parkらは腹腔内注射により投与されたCrry−IgがAHRに対する作用を有していることを示した。 本発明のいくつかの実施形態は、ヒトのような動物においてAHRをモジュレートする、調節する、阻害する、および/または低下させる組成物ならびに方法を提供する。 処置、軽減、阻害、および/または改善することができる特定のAHRに関係する疾患として、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、肺気腫、気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、過敏性肺臓炎、職業性喘息、類肉腫、反応性気道疾患症候群、間質性肺疾患、過好酸性症候群、鼻炎、副鼻腔炎、運動誘発喘息、公害誘発喘息、咳喘息、肺寄生虫症、呼吸系発疹ウイルス(RSV)感染症、パラインフルエンザウイルス(PIV)感染症、ライノウイルス(RV)感染症、ハンターンウイルス(例えば、フォーコーナーズ株)感染症およびアデノウイルス感染症が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

    自己免疫関連疾患、HLA−B27関連炎症性疾患、ループス腎炎および全身性エリテマトーデス(SLE)のような免疫関連疾患は補体が関係する経路に典型的に関与していることが示されている。 例えば、Thurman and Holers,J Immunology 176:1305−1310(2006)を参照のこと。 ループス腎炎はSLEの1つの合併症である。 これは狼瘡の自己免疫過程に関係しており、この場合、免疫系が体成分に対する抗体(抗核抗体など)を生産する。 これらの抗体と補体成分との複合体は典型的には腎臓に蓄積し、そして炎症反応を生じる。 本発明のいくつかの実施形態は、例えば、SLEのような、補体経路に関与しているかまたは関係する免疫関連疾患を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    関節炎は補体に関係する経路が典型的に関与していることが示されている。 例えば、Thurman and Holers,J Immunology 176:1305−1310(2006)およびBandaら、J Immunol. 177(3):1904−12(2006)を参照のこと。 代替補体経路は関節炎の誘導において重要な役割を担っており、そして代替補体経路がなおも必要とされる場合がある。 本発明のいくつかの実施形態は、関節炎(例えば、関節リウマチまたは炎症性関節炎)を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、補体系の制御できていない増幅を生じる補体による赤血球(RBC)の血管内での分解が原因で起こる補体に誘導される血管内溶血性貧血および血栓症を特徴とする、血液の生死にかかわる可能性がある疾患であり、これはRBC膜の分解を生じる。 この疾患に罹患した人は、典型的には、PIG−Aと呼ばれる遺伝子を欠損している血球を有している。 この遺伝子は、グリコシル−ホスファチジルイノシトール(GPI)と呼ばれる物質が、細胞に特定のタンパク質を突き刺すことを手助けすることを可能にする。 PIG−Aを伴わなければ、補体調節タンパク質は細胞表面につながることができず、補体から細胞を保護することができない。 本発明のいくつかの実施形態は、発作性夜間ヘモグロビン尿症を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    遺伝性血管浮腫(HAE)は、典型的には補体系のタンパク質であるC1阻害剤の不足により起こる、生死にかかわる可能性がある遺伝性の状態である。 この症状としては、手、足、顔、および気道を含む様々な体の部分における浮腫(腫脹)のエピソードが挙げられる。 遺伝性血管浮腫(HAE)には3つの形態があり、これらの全てが、常染色体優性の形態で遺伝する遺伝性変異により起こる。 I型およびII型はSERPING1遺伝子の変異により起こる。 SERPING1遺伝子の変異は、C1阻害剤タンパク質の低下したレベルまたは機能が失われた形態のいずれかを生じる(I型HAE)。 III型HAEは、XII凝固因子タンパク質をコードするF12遺伝子の変異と連鎖している。 全てのHAE形態が補体系の異常な活性化につながる。 いくつかの現在行われている処置としては、カリクレインのペプチド阻害剤であるエカランチド(例えば、米国特許公開番号US20070213275を参照のこと)、イカチバント(Firazyr、Jerini)(これは、選択的ブラジキニン受容体アンタゴニストである)、およびC1エステラーゼ阻害剤であるシンライズ(Cinryze)(Viropharma,Inc.)が挙げられる。 本発明のいくつかの実施形態は、発作性夜間ヘモグロビン尿症を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    緑内障は視神経障害の特徴的パターンにおける網膜神経節細胞の喪失を伴う視神経の疾患の1つの群である。 網膜神経節細胞を喪失した緑内障患者のおよそ25%が正常な眼圧を有している。 高眼圧症(OHT)は緑内障の発症についての重要なリスクファクターであり、医薬品または外科手術によりそれを低下させることが緑内障の処置の現在の主流である。 高眼圧症および緑内障は、典型的には補体が関係する経路が関与していることが示されている。 例えば、Khalyfaら、Molecular Vision,13:293−308(2007);Stasiら、IOVS 47(3):1024−1029(2007);およびKuehnら、Experimental Eye Research 83:620−628(2006)を参照のこと。 C1qおよびC3の発現および/または存在はOHTに罹患した網膜においてより高くなることが示されている。 本発明のいくつかの実施形態は、緑内障を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    ブドウ膜炎は、典型的には補体経路に関連することが示されている。 例えば、Mondino and Rao,Investigative Ophthalmology & Visual Science 24:380−384(1983)およびJhaら、Molecular Immunology 44:3901−3908(2007)を参照のこと。 MondinoおよびRaoは、房水から血清の計測までの全ての試験した補体成分の平均値が過去に眼の手術の病歴がある患者において上昇しており、そして前部ブドウ膜炎の患者において最も高かったことを明らかにした。 本発明のいくつかの実施形態は、ブドウ膜炎を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    糖尿病性網膜症は中年個体における視力喪失の主要原因の1つである。 補体系の活性化は糖尿病性網膜症の発症において重要な役割を果たしていると考えられている(例えば、Jhaら、Molecular Immunology 44:3901−3908(2007)を参照のこと)。 本発明のいくつかの実施形態は、糖尿病性網膜症を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    増殖性硝子体網膜症(PV)は網膜剥離の最も一般的な合併症の1つである。 PVは補体活性と関連している。 例えば、Grisanteら、Invest Ophthalmol Vis Sci. 1991;32(10):2711−7、およびGrisanteら、Ophthalmologe. 1992;89(1):50−4を参照のこと。 本発明のいくつかの実施形態は、PVを調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    抗リン脂質抗体症候群、腸および腎虚血再灌流I/R傷害、非定型溶血性尿毒症候群、II型膜増殖性糸球体腎炎、および胎児損失(例えば、自発的胎児損失)には典型的には補体に関係する経路が関与していることが示されている。 例えば、Thurman and Holers,J Immunology 176:1305−1310(2006)を参照のこと。

    脳傷害(例えば、外傷性脳傷害)には典型的には補体に関係する経路が関与していることが示されている。 例えば、Leinhaseら、J Neuroinflammation 4:13(2007)、およびBMC Neurosci. 7:55(2006)を参照のこと。 Leinhase 2006は、野生型(fB+/+)マウスにおける実験用の外傷性脳傷害の後に、時間依存性の全身性の補体活性化が存在することを示した。 これとは対照的に、全身性補体活性化の程度はfB−/−マウスにおいては有意に減衰されていた。 本発明のいくつかの実施形態は、神経細胞死、外傷性神経傷害(例えば、脳)、補体媒介神経炎症および/または神経障害を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    虚血再灌流傷害は細胞および組織により生産される様々な有害となる可能性がある化合物の生産量または酸化の増大を引き起こすことができ、これは細胞および組織の酸化性の損傷または死滅をもたらす可能性がある。 例えば、腎虚血再灌流傷害は急性尿細管壊死に特徴的な腎尿細管の損傷および変化を含む腎臓の組織学的損傷を生じ得る。 結果として生じる腎機能不全は腎臓から通常排出される窒素性の老廃物(例えば、血清中尿素態窒素(SUN))の蓄積を可能にする。 虚血再灌流はまた、肺のような離れた臓器にも傷害を起こす場合がある。 本発明のいくつかの実施形態は、例えば、虚血再灌流を経験または発症しているか、あるいはそのリスクがある動物に投与されると、補体経路のモジュレーター、例えば、阻害剤(例えば、B因子活性の阻害剤)を利用する。 いくつかの実施形態においては、これらのモジュレーターは虚血再灌流が原因である傷害の少なくとも1つの症状を予防する、低減させる、または阻害する。 本発明の方法および組成物を使用して予防するかまたは低減させることができる虚血再灌流傷害の他の型として、心臓虚血再灌流傷害、例えば、心筋梗塞または冠動脈バイパス手術、中枢神経系虚血再灌流傷害、四肢または指の虚血再灌流傷害、肺、肝臓または腸のような臓器の虚血再灌流、あるいは任意の移植された臓器または組織の虚血再灌流傷害が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 例えば、心筋梗塞および補体経路について考察しているPCT公開番号WO03/061765を参照のこと。

    炎症は心筋梗塞の主要な病因の決定因子である(Ridker,2007 Nutr.Rev.65(12 Pt 2):S253−9)。 骨髄(幹)細胞の送達(例えば、冠動脈内)が急性心筋梗塞後の収縮期機能の改善をもたらすこともまた示されている(Wollert,2008,Curr.Opin.Pharmacol.Jan 31[Epub])。 また、骨髄幹細胞は梗塞した心筋を再生させることができる(Orlicら、2003 Pediatr.Transplant.7 補遺3:86−88)。 間葉性幹細胞は虚血性心疾患において心臓保護作用を提供することが示されている(Guoら、2007 Inflammation 30(3−4):97−104)。 本発明においては幹細胞の送達は、冠動脈内注射、心筋への(例えば、罹患した心筋および/または健常な心筋内への(例えば、受傷領域の隣接部))直接の注射のような任意の手段により行うことができる。 いくつかの実施形態においては、哺乳動物をサイトカインで処置して、循環の中にその骨髄幹細胞を移動させて、幹細胞を心筋梗塞まで運搬することができる。

    様々な幹細胞が様々な用途のためにインビボで使用されている。 インビボでの幹細胞の使用に伴う1つの問題は、例えば、目的の領域における幹細胞の生存および/または播種が所望に満たないことである。 幹細胞の低い播種性および生存性の1つの重大な理由はその部位での炎症である可能性がある。 従って本発明は、処置方法ならびに/あるいは幹細胞の生存性および/または播種性を改善する方法を提供する。 いくつかの実施形態においては、これらの方法は幹細胞の投与または移動の前、その間、および/またはその後に本発明の組成物を投与することを含む。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体阻害剤は所望される播種領域(例えば、損傷した心臓または骨髄)へと帰巣し、そして生存するように、そしてしたがって損傷した組織を修復するかまたはそれに置き換わるために幹細胞にとって好ましい環境を作り出す抗炎症剤として機能する。 幹細胞は、本発明の補体B因子タンパク質アナログもまた含有する溶液中で投与される場合がある。 幹細胞は、造血幹細胞、胚性幹細胞、間葉性幹細胞、神経幹細胞、乳腺幹細胞、嗅幹細胞、膵島幹細胞、全能性幹細胞、多能性幹細胞または多分化性幹細胞であってよいが、これらに限定されるわけではない。 幹細胞は、自系であっても、同種異系であっても、または同系であってもよい。

    補体活性は筋ジストロフィーに関与していると考えられる(例えば、ジストロフィン欠損に関連)。 例えば、PCT公開番号WO2007130031,Spuler & Engel 1998 Neurology 50:41−46、およびSelcenら、2001 Neurology 56:1472−1481を参照のこと。 したがって本発明のいくつかの実施形態は、筋ジストロフィーを調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。

    補体活性は、角膜の炎症にも寄与する場合がある。 したがって本発明のいくつかの実施形態は、例えば、外科手術後に角膜の炎症を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するための方法ならびに組成物を提供する。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログは点眼薬により、あるいは本明細書に記載する別の方法で投与される。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログが、角膜血管新生を調節する、改変する、治癒させる、阻害する、予防する、改善する、および/または処置するために使用される。

    本発明のいくつかの実施形態は、冠動脈もしくは末梢動脈のバイパス移植または血管形成術の後の薬効を高めるための方法を提供する。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログ(例えば、hfB3−292SまたはhfB3−292S−740N)をコードする本発明のベクターを使用して血管の細胞(例えば、内皮細胞)を形質導入する。 いくつかの実施形態においては、血管の細胞が動物への移植の前に形質導入される。 いくつかの実施形態においては、血管の細胞はインビボで形質導入される。

    術後の患者の疼痛および苦痛および炎症を軽減することは、臨床医学において特に着目されている分野であり、特に、実施される外来患者の手術の件数が毎年増加している。 本発明の補体B因子アナログは、例えば、補体活性を阻害することにより炎症を阻害するために利用することができる。 したがって、補体B因子アナログは、例えば術後患者において炎症を軽減するために使用できる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、炎症を阻害しようとする手術部位に局所的に投与され(例えば、周術期送達)、これは一部の場合においては、疼痛および苦痛を軽減することになる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、溶液中で、例えば、生理学的電解質分散媒体中で投与される。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログは、組成物を含有している灌注用溶液の手術部位への周術期送達により直接送達される。 いくつかの実施形態においては、本発明の局所的周術期送達法が原因で、所望される治療効果は、他の送達方法(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、および経口)を利用する場合に必要であるよりも低用量の薬剤を用いて達成される場合がある。 いくつかの実施形態においては、周術期に使用される場合は、この溶液は手術部位の疼痛および/または炎症の臨床的に意味のある低下をもたらすことになり、これにより患者の術後の鎮痛剤(例えば、鎮静剤)の必要性の低下をもたらし、そして適切である場合には、患者が手術部位を早期に動かすことを可能にする。 いくつかの実施形態においては、従来の灌注用液に対して本発明の溶液を使用するためには、外科医および手術室の担当者の役割に過剰な負担がかからないことが求められる。 いくつかの実施形態においては、本発明の組成物は、関節鏡検査、心臓血管および一般的な血管の治療および診断の手順、泌尿器科の手順、一般的な外科的創傷および一般的な創傷に使用される(例えば、灌注用液中で)。 本発明の組成物は、注射により(例えば、注射器による)、灌注用液により、創傷を被覆する包帯の一部として、または局所適用において、例えば、溶液剤、クリーム剤、ゲル剤などとして送達され得るが、これらに限定されるわけではない。

    本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログおよび/またはベクターは、補体B因子アナログおよび/またはベクターの投与前、それと同時、またはその後に補体阻害因子と組み合わせて投与される。 補体阻害因子としては、H因子、H因子様1、MCP、DAF、またはMCPの可溶性形態が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

    本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログおよび/またはベクターは抗血管新生因子と組み合わせて投与される。 抗血管新生因子としては、エンドスタチン、VEGF結合分子、PEDF、T2−TrpRS(例えば、米国特許第7,273,844号を参照のこと)、sFLT(例えば、Kongら、Hum Gene Ther(1998)9:823−833を参照のこと)、アフリバーセプト(VEGF Trap)、VEGF Trap−eye、キニノスタチン、ラニビズマブ、およびベバシズマブが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナロおよび/またはベクターは、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、VEGF Trap−eye、アフリバーセプト、あるいは、VEGFに結合するおよび/または血管形成を阻害する分子(単数または複数)と組み合わせて投与される。 LUCENTIS(登録商標)は湿性AMDを処置するために使用される。 本発明のいくつかの実施形態はまた、湿性AMDを処置するためにも使用することができる。 したがって本発明は、LUCENTIS(登録商標)(ラニビズマブ)、AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)、VEGF Trap−eye、アフリバーセプト、ならびに/あるいは、VEGFに結合するおよび/または血管形成を阻害する分子(単数または複数)と組み合わせて本発明の組成物を別々に、あるいはそれらと一緒に投与することを含む、湿性AMDを処置するための方法ならびに組成物を提供する。 さらに、眼内炎症は、LUCENTIS(登録商標)の投与後に報告されている最も一般的な有害反応の1つである。 例えば、LUCENTIS(登録商標)についての「Full Prescribing Information」を参照のこと。 本発明は、LUCENTIS(登録商標)、VEGF Trap−eye、またはアフリバーセプトの投与の前、それと同時、および/またはその後に本発明の分子または組成物を投与することを含む、眼内炎症(例えば、LUCENTIS(登録商標)の投与によって生じる)を阻害または低減するための方法を提供する。

    本発明のいくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログまたはベクターは、T細胞の活性化、B細胞、TNF、インターロイキン−1(例えば、インターロイキン−1b)、インターロイキン−6、および/またはインターフェロン−γを阻害する化合物のような別の化合物(単数または複数)と組み合わせて投与される。 本発明の補体B因子アナログまたはベクターはまた、補体活性、例えば、代替補体活性を阻害する化合物(単数または複数)と組み合わせて投与することもできる。 使用することができるTNFを阻害する化合物としては、抗体(例えば、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、ゴリムマブ(SIMPONI(登録商標))、およびアダリムマブ(HUMIRA(登録商標)))のような、TNFに結合する化合物、あるいは、エタネルセプト(ENBREL(登録商標))のような、TNFに結合する可溶性受容体が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 使用することができ、T細胞の活性化を阻害する他の化合物としては、アバタセプト(ORENCIA(登録商標))のようなB7に結合する化合物が挙げられるがこれに限定されるわけではない。 リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)およびMABTHERA(登録商標))のようなCD20に結合する化合物を含むがこれらに限定されないB細胞をダウンレギュレートする化合物もまた使用することができる。

    疾患に寄与している、および/または疾患を誘発する補体経路は、本発明の一部である様々な方法および/または補体B因子タンパク質アナログを使用してモジュレート、調節、阻害、および/または活性化することができる。

    組成物、製剤、および調製物

    本発明のいくつかの実施形態は、例えば、治療薬として使用されるような、本発明の補体B因子アナログを含有している組成物、例えば、薬学的組成物を提供する。 いくつかの実施形態においては、薬学的組成物は、配列番号2のアミノ酸26〜764、配列番号3のアミノ酸26〜764、配列番号22のアミノ酸26〜990、または配列番号23のアミノ酸26〜990、例えば、hfB3−292S(配列番号2)、hfB3−292S−740N(配列番号3)、hfB3−292S−Fc(配列番号22)、またはhfB3−292S−740N−Fc(配列番号23)を含有している補体B因子アナログを含む。 いくつかの実施形態においては、薬学的組成物は、配列番号2のアミノ酸26〜764、配列番号3のアミノ酸26〜764、配列番号22のアミノ酸26〜990、または配列番号23のアミノ酸26〜990からなる補体B因子アナログを含有する。 本発明の補体B因子アナログとともに使用することができる薬学的組成物および製剤の例は、PCT公開番号WO08/106644および米国特許公開番号US20100120665に記載されている。

    本発明のいくつかの実施形態は、本発明の補体B因子タンパク質アナログ、本発明の核酸、本発明のウイルスベクターまたはこれらの任意の組み合わせを含有している薬学的製剤を含む。

    製剤(例えば、注射用)は一般的に、例えば、Hank溶液またはRinger溶液を含有している有効成分の生体適合性溶液であるが、必ずしもそうではない。 経皮または経粘膜投与のための製剤は一般的には、浸透剤(例えば、フシジン酸または胆汁酸塩)を界面活性剤または表面活性剤と組み合わせて含むが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、製剤はエアロゾル、坐剤、またはパッチとして製造することができる。 いくつかの実施形態においては、経口投与はタンパク質またはペプチドである有効成分について好ましくない場合がある。 しかしこの型の組成物は、経口投与もまた利用できるように、消化酵素から保護されるべく、例えば、腸溶性コーティング形態において、デポー製剤において、カプセル剤においてなどで、適切に製剤され得る。 本発明のいくつかの製剤はバランス塩溶液(Alcon Laboratories,Inc.,Fort Worth,Texas)またはバランス塩溶液プラス(Alcon,Laboratories,Inc.)を含む。 いくつかの実施形態においては、製剤は以下の1つ以上を含む:クエン酸塩、NaCl(例えば0.64%)、塩化カリウム(KCl)(例えば、0.075%)、塩化カルシウム2水和物(CaCl ・2H O)(例えば、0.048%)、塩化マグネシウム6水和物(MgCl ・6H O)(例えば、0.03%)、酢酸ナトリウム3水和物(CH CO Na・3H O)(例えば、0.39%)、クエン酸ナトリウム2水和物(C Na ・2H O)(例えば、0.17%)、スクロース、ならびに水酸化ナトリウムおよび/または塩酸(pH調節用)、ならびに水。 上記列挙には特定の水和物、例えば、2水和物、3水和物、6水和物などとして列挙されるいくつかの分子が含まれる。 これらの化合物の様々な水和物を本発明において使用することができ、そして本発明は列挙した分子のこれらの特定の水和物形態に限定されないことが理解される。 いくつかの実施形態においては、製剤は以下の1つ以上を含む:NaCl、1塩基性リン酸塩1水和物、2塩基性リン酸ナトリウム7水和物、ならびにpH調節用の塩酸および/または水酸化ナトリウム、ならびに水。 いくつかの実施形態においては、薬学的組成物は、ヒスチジン、MgCl 、トレハロース、ポリソルベート、ポリソルベート20、NaCl、スクロース、アルギニン、およびプロリンからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む。 いくつかの実施形態においては、製剤は、ヒスチジン(例えば、約10mM);α,α−トレハロース脱水物(例えば、約10%または約50mM);MgCl (例えば、約10mM);ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20(例えば、約0.01%);およびNaCl(例えば、約0.1%)のうちの1つ以上を含む。 いくつかの実施形態においては、製剤は、スクロース、アルギニン、またはプロリンのうちの1つ以上を含み得る。 いくつかの実施形態においては、製剤は、本発明の分子(単数または複数)、10mMのヒスチジン、10mMのMgCl 、50mMのトレハロースおよび0.01%のポリソルベート20を含むかまたはこれらからなる。 いくつかの実施形態においては、製剤は、本発明の分子(単数または複数)、0.1%のNaClおよび10mMのMgCl を含むかまたはこれらからなる。 いくつかの実施形態においては、製剤は、本発明の分子(単数または複数)と、重炭酸塩、デキストロース、およびグルタチオンを多く含む平衡化された塩溶液(例えば、BSS PLUS(登録商標))を含むか、あるいはこれらからなる。 いくつかの実施形態においては、製剤はトレハロースを含まない。 いくつかの実施形態においては、製剤または組成物は、約5.5のpHである。 いくつかの実施形態においては、製剤または組成物は、有効成分(単数または複数)の生物学的活性および安定性を保持するために適切である限りは、約5.0〜9.0、約5.0〜5.5、約5.3〜5.7、約5.5〜6.0、約5.8〜6.2、約6.0〜6.5、約6.3〜6.7、約6.5〜7.0、約6.8〜7.2、約7.0〜7.5、約7.3〜7.7、約7.5〜8.0、約7.8〜8.2、約8.0〜8.5、約8.3〜8.7、および約8.5〜9.0のpHである。

    本発明のいくつかの製剤は、エアロゾル、座薬、点眼薬、またはパッチとして製造できる。

    所望される投与様式に適している製剤およびのための製剤方法の例は、最新版のRemington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co. ,Easton,PAおよび米国特許7,208,577号に見ることができる。

    いくつかの実施形態においては、インビボで使用される組成物は「担体」または「薬学的に許容され得る担体」を含有する。 用語「担体」は希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を意味し、これとともに目的のベクターが投与される。 用語「担体」には、固体または液体のいずれかの物質が含まれるがこれらに限定されるわけではなく、これは無機であっても有機であってもよく、また、合成のものであっても天然起源のものであってもよく、被検体への投与を容易にするために、これとともに組成物の有効成分(単数または複数)が混合されるかまたは製剤される。

    一般的には、適切な油脂(単数または複数)、生理食塩水、水性デキストロース(グルコース)、ならびに関連する糖溶液およびグリコール類(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が、非経口溶液に典型的に適している担体である。 いくつかの実施形態においては、非経口投与のための溶液は有効成分の水溶性の塩、適切な安定化剤、および所望されるかまたは必要である場合は、緩衝物質を含有する。 抗酸化剤(例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸)が、単独で、または組み合わせにおいて、安定化剤として使用され得る。 クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムも同様に使用される。 加えて、非経口溶液には、保存料(例えば、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピル−パラベン、およびクロロブタノール)が含まれ得る。

    担体としては、炭水化物(例えばトレハロース、マンニトール、グルタチオン、キシリトール、スクロース、ラクトース、およびソルビトール)を挙げることができる。 製剤中で使用される他の成分としては、例えば、DPPC(1,2−ジデカノイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、DOPE(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン)、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、およびDOPC(1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)を挙げることができる。 天然または合成の界面活性剤が使用される場合がある。 ポリエチレングリコールが使用される場合がある(タンパク質を送達する場合のその使用とは別個に)。 デキストラン(例えば、シクロデキストラン)が使用される場合がある。 いくつかの実施形態においては、シクロデキストリン、第3級アミンおよび/またはβ−シクロデキストリンが使用される場合がある。 胆汁酸塩および他の関連するエンハンサーが使用される場合がある。 セルロースおよびセルロース誘導体が使用される場合がある。 緩衝物質製剤における使用のようにアミノ酸が使用される場合がある。 また、リポソーム、マイクロカプセルまたはマイクロスフェア、封入複合体、または他の型の担体の使用も意図される。

    適切な薬学的賦形剤として、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、抗生物質、保存料、麦芽、コメ、コムギ、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。 所望される場合は、組成物にはまた、水和剤および/または乳化剤および/またはpH緩衝剤も含めることができる。 必要に応じて、組成物にはまた、可溶化剤および/または局所麻酔剤(例えば、リグノカイン)が、注射部位の疼痛を緩和するために含まれる場合がある。

    本発明の薬剤またはタンパク質(またはその誘導体)の肺送達もまた本明細書中で意図される。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログ(単数または複数)は、哺乳動物の肺に吸入しながら送達されて、大部分が肺の中に留まることができ、いくつかの実施形態においては、肺の上皮内層を横断して血流に到るように送達される(例えば、Adjeiら、Pharmaceutical Research 7:565−569(1990);Adjeiら、International Journal of Pharmaceutics 63:135−144(1990);Braquetら、Journal of Cardiovascular Pharmacology 13(補遺5):s.143−146(1989);Hubbardら、Annals of Internal Medicine 3:206−212(1989);Smithら、J.Clin.Invest.84:1145−1146(1989);Osweinら、Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II,Keystone,Colo.,March,1990;Debsら、The Journal of Immunology 140:3482−3488(1988)およびPlatzら、米国特許5,284,656号を参照のこと)。 治療用製品の肺送達のために設計された広範な種類の機械装置(ネブライザー、計量吸入器、および粉末吸入器を含むがこれらに限定されるわけではない)は、本発明の実施における使用が意図される。 本発明のいくつかの実施形態の実施に適している市販されている装置のいくつかの具体例は、Mallinckrodt,Inc. ,St. Louis,Mo. により製造されたULTRAVENT(商標)ネブライザー;Marquest Medical Products,Englewood,Colo. により製造されたACORN II(登録商標)ネブライザー;Glaxo Inc. ,Research Triangle Park,N. C. により製造されたVENTOLIN計量吸入器;およびFisons Corp. ,Bedford,Massにより製造されたSPINHALER粉末吸入器である。

    いくつかの実施形態においては、タンパク質が粒状形態に調製される。 いくつかの実施形態においては、この粒状形態は遠位の肺への送達のために10μm(またはミクロン)未満、最も好ましくは0.5〜5μmの平均粒径を有する。

    ネブライザー(例えば、ジェットまたは超音波)とともに使用するために適している製剤は典型的には、水中に溶解させられた補体B因子アナログを、いくつかの実施形態においては、溶液1mL当たり約0.1〜約25mgの生物学的に活性なタンパク質の濃度で含む。 製剤にはまた、緩衝液および/または単糖(例えば、タンパク質の安定化および浸透圧の調節のため)が含まれる場合がある。 ネブライザー製剤にはまた、エアロゾルを形成する際の溶液の霧状化により起こるタンパク質(単数または複数)の表面で誘導される凝集を減らすまたは防ぐために、界面活性剤が含まれる場合がある。

    計量吸入装置とともに使用される製剤は一般的に、例えば、界面活性剤の助けを借りて高圧ガス中に懸濁した本発明の補体B因子アナログを含有している微粉末を含む。 高圧ガスはこの目的のために利用される任意の従来物質、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、または炭化水素(トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン)、またはこれらの組み合わせであり得る。 適切な界面活性剤としてソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが挙げられる。 オレイン酸はまた、界面活性剤としても有用である場合がある。 いくつかの実施形態においては、粉末吸入装置から分散させるための製剤に、本発明の補体B因子アナログを含有している乾燥微粉末が含まれ、増量剤(例えば、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはキシリトール)もまた、装置からの粉末の分散を容易にする量、例えば、製剤の50〜90重量%で含まれる場合がある。

    投与および送達

    補体B因子タンパク質アナログをコードする核酸の導入または投与について議論される場合は、本発明が補体B因子タンパク質アナログ自体の導入または投与も意図することが理解される。 補体B因子アナログの導入について議論される場合は、本発明が補体B因子タンパク質アナログをコードする核酸の導入もまた意図することが理解される。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログまたは組成物は局所的または全身に投与することができる。 有用な投与経路を本明細書に記載し、そしてこれらは当該分野で公知である。 導入または投与の方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、気管内、局所、吸入、経皮、直腸、非経口経路、硬膜外、頭蓋内、脳内、脳室内、硬膜下、動脈内、髄腔内、心臓内、冠動脈内、硝子体内、網膜下、前眼房内、特に、角膜上に局所的に、結膜下、テノン下注射、点眼薬の適用による、経口経路、バルーンカテーテルによる、ステントによる、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、本発明の組成物または補体B因子アナログは、例えば、ドルーゼンへの直接の注射により、ドルーゼンに投与される。 全身投与は、静脈内または動脈内注射によるか、あるいは経粘膜、皮下、および/または経皮送達によって行われ得るが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、本発明の組成物は、最初は罹患部位以外の部位に向けられ得る。 例えば、動物の肺において起こるAHRに関しては、本発明のタンパク質、ベクター、または核酸の腹腔内注射が肺のAHRの変化を生じる場合がある。 例えば、Parkら、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 169:726−732,(2004)を参照のこと。 いくつかの実施形態においては、組成物の用量レベルおよび/または投与様式は組成物の性質、治療すべき状態(単数または複数)の性質、および/または個々の患者の病歴に応じたものとなり得る。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子アナログを発現する細胞が投与される。 これらの細胞は、異種、同種異系、または自系の細胞株であり得る。

    例えば眼への投与を含むいくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログまたはベクターは、約1週間、1か月、2か月、3か月、6か月、9か月、1年、18か月、2年、30か月、3年、5年、10年に1回、または必要に応じて投与される。 例えば眼への投与を含むいくつかの実施形態においては、本発明の分子またはベクターは、約1〜4週毎、約4〜8週毎、約1〜4か月毎、約3〜6か月毎、約4〜8か月毎、約6〜12か月毎、約9〜15か月毎、約12〜18か月毎、約15〜21か月毎、約18〜24か月毎、約1〜2年毎、約1.5〜3年毎、約2〜4年毎、約3〜5年毎、約5〜7年毎、約7〜10年毎、または約10〜20年毎に投与される。 補体B因子タンパク質アナログをコードするベクターの投与は、補体B因子タンパク質アナログの投与よりも少ない頻度であると予想される。 本発明のいくつかの実施形態においては、薬学的製剤に本発明の補体B因子アナログをコードするベクターが含まれ、この薬学的製剤がわずかに1度、患者に投与される。

    例えば眼への投与を含むいくつかの実施形態においては、補体B因子アナログをコードするベクターが患者に対して、その生涯において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれより多い回数投与される。 例えば眼への投与を含むいくつかの実施形態においては、本発明のレンチウイルスベクターが患者に対して、その生涯において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回、またはそれより多い回数投与される。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは、硝子体内注射によってヒトの眼に投与される。 いくつかの実施形態においては、約15μg〜約5mg;約15μg〜約500μg;約100μg〜約900μg;約300μg〜約700μg;約500μg〜約1mg;約1mg〜約5mg;約1mg;または約500μgの補体B因子タンパク質アナログが、硝子体内注射によってヒトの眼に投与される。

    いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは、レンチウイルスもしくはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの網膜下注射または硝子体内注射によって投与される。 いくつかの実施形態においては、約5×10 〜約5×10 ;約5×10 〜約5×10 ;約5×10 〜約5×10 ;約1×10 〜約1×10 ;約3×10 〜約5×10 ;約2.5×10 ;約5×10 ;約7.5×10 ;または約1×10 形質導入単位のレンチウイルスベクターが網膜下注射によって投与される。 いくつかの実施形態においては、約5×10 〜約1×10 ;約5×10 〜約7.5×10 ;約7.5×10 〜約1×10 ;約6×10 〜約9×10 ;約7×10 〜約8×10 ;約5×10 ;約6×10 ;約7×10 ;約8×10 ;約9×10 ;または約1×10 形質導入単位のAAVベクターが網膜下注射によって投与される。

    いくつかの実施形態においては、約5×10 〜約1×10 10 ;約5×10 〜約5×10 ;約5×10 〜約2×10 ;約2×10 〜約5×10 ;約5×10 〜約1×10 10 ;約5×10 〜約1×10 ;約1×10 〜約3×10 ;約3×10 〜約6×10 ;約6×10 〜約1×10 10 ;または約1×10 〜約1×10 10形質導入単位のAAVベクターが硝子体内注射によって投与される。

    いくつかの実施形態においては、約50μl〜約100μl、約50μl〜約75μl、約75μl〜約100μl、約60μl〜約90μl、約70μl〜約80μl、約50μl;約60μl;約70μl;約80μl;約90μl;または約100μlの補体B因子タンパク質アナログあるいは補体B因子タンパク質アナログをコードするベクターが網膜下に注射される。 いくつかの実施形態においては、約50μl〜約1ml、約50μl〜約500μl、約500μl〜約1ml、約250μl〜約750μl、約250μl〜約500μl、約500μl〜約750μl、約400μl〜約600μl、または約750μl〜約1mlの補体B因子タンパク質アナログあるいは補体B因子タンパク質アナログをコードするベクターが硝子体に注射される。

    いくつかの実施形態においては、抗炎症剤は、本発明の補体B因子タンパク質アナログ(例えば、hfB3−292SまたはhfB3−292S−740N)、ベクター、または核酸と組み合わせて送達される場合がある。 抗炎症剤は、本発明の分子またはベクターの投与の前、それと同時、および/またはその後に送達され得る。 いくつかの実施形態においては、抗炎症剤は本発明の補体B因子タンパク質アナログ、核酸、またはベクターと同じ溶液および/または同じ注射器中で投与される。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログまたはベクターと抗炎症剤が、例えば本明細書に記載するように眼に同時投与される。

    多くの抗炎症剤が当該分野で公知であり、デキサメタゾン、デキサメタゾンナトリウムメタスルホベンゾエート、デキサメタゾンナトリウムホスフェート、フルオロメトロン、ブロムフェナク、プラノプロフェン、RESTASIS(商標)、シクロスポリン眼科用乳液、ナプロキセン、糖質コルチコイド、ケトロラック、イブプロフェン、トルメチン、非ステロイド系抗炎症剤、ステロイド系抗炎症剤、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、インドメタシン、およびスプロフェンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。

    本発明のいくつかの実施形態は、補体B因子タンパク質アナログおよびそれをコードするベクターの両方の投与を含む。 本発明の補体B因子タンパク質アナログは、本発明のベクターの投与前、それと同時、および/またはその後に送達され得る。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログは、本発明のベクターと同じ溶液および/または同じ注射器中で投与される。 いくつかの実施形態においては、本発明の補体B因子タンパク質アナログと本発明のベクターが、例えば本明細書に記載するように眼に同時投与される。

    さらに、補体B因子アナログまたはそれをコードする核酸は、例えば細胞療法として、細胞を介して動物に送達または投与することができる。 例えば、これは補体B因子アナログ(単数または複数)を発現する細胞(単数または複数)を投与または送達することにより達成することができる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログ(単数または複数)は、調節可能な、誘導可能な、および/または抑制可能なプロモーターにより細胞から発現させられる。 いくつかの実施形態においては、補体B因子アナログ(単数または複数)を発現するカプセル化された細胞が動物に送達される。 例えば、カプセル化された細胞に関するPCT公開番号WO07078922を参照のこと。 いくつかの実施形態においては、細胞は局所に(例えば、関節内、硝子体内、網膜内、頭蓋内など)、または全身に(例えば、i.v.)投与される。

    動物に投与される細胞は、自系、同種異系、または異種であり得る。 いくつかの実施形態においては、自系細胞が、それらが本発明の補体B因子タンパク質アナログの生産を生じるようにエキソビボで操作され、いくつかの実施形態においては、細胞が動物に導入されて戻される。 コード領域を含む核酸のエキソビボでの細胞への転移は、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、染色体媒介遺伝子転移、マイクロ細胞媒介遺伝子転移、スフェロプラスト融合、リポフェクション、マイクロパーティクルボンバードメント、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、ウイルス感染などのような任意の方法により行うことができる。 任意に、選択マーカーもまた細胞内に導入することができる。 選択マーカーが利用される場合は、細胞をその後、例えば発現を増強するため、および/または転移されたコード領域を発現するそのような細胞を単離するための選択下に置くことができる(例えば、Loeffler & Behr,Meth.Enzymol.217:599−618(1993);Cohenら、Meth.Enzymol.217:618−644(1993);およびCline,Pharmac.Ther.29:69−92(1985)を参照のこと)。

    組み換え細胞(例えば、インビトロで形質導入された自系または同種異系の細胞)を当該分野で公知の様々な方法により患者に送達することができる。 例えば、当該分野で公知であるように、細胞を投与の前にカプセル化することができる。 いくつかの実施形態においては、カプセル化する場合は細胞は自系ではない。 いくつかの実施形態においては、組み換え体である血球(例えば、造血幹細胞および/または前駆細胞)が静脈内投与される。 いくつかの実施形態においては、眼細胞および/または多分化能細胞を目に直接注射することができる。 必要な細胞の量は所望される作用、動物の状態などに依存する。

    本発明のいくつかの実施形態においては、遺伝子送達系は、標的細胞への補体B因子アナログの遺伝子またはコード領域の形質導入および/あるいは安定な組み込みを生じることができる。 いくつかの実施形態においては、標的細胞は哺乳動物細胞、例えば、霊長類細胞およびヒト細胞である。 いくつかの実施形態においては、標的細胞は眼の細胞、例えば、網膜色素上皮細胞、網膜細胞、または多分化能細胞である。 標的細胞はインビトロ、エキソビボ、またはインビボであり得る。 いくつかの実施形態においては、標的細胞は幹細胞である。 幹細胞として、多分化能幹細胞、全能性幹細胞、造血幹細胞、癌幹細胞、および胚性幹細胞が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。 いくつかの実施形態においては、本明細書中で意図される多分化能細胞は接合体または分割球からの生存実体の増殖のためのものではない。 本発明はまた、例えば眼の細胞を再生させるための処置を必要とする患者の眼への移植のための部分的に未分化である細胞の使用も意図する。

    トランスジェニック動物

    本発明のいくつかの実施形態は、本発明の補体B因子アナログを発現するトランスジェニック動物(例えば、非ヒト)を提供する。 トランスジェニック動物を作製するための方法は当該分野で公知である。 いくつかの実施形態においては、トランスジェニック動物(例えば、マウス)はまた、Fas遺伝子中に変異、欠失または断裂を含む。 例えば、Macmickingら、Cell. 81:641−650(1995)を参照のこと。

    本発明を以下の実施例を参照しながらここに記載する。 これらの実施例は説明の目的のためだけに提供され、本発明はこれらの実施例に限定されるものとは決して解釈されるべきではなく、むしろ本明細書中に提供する教示の結果として明らかになる任意の全てのバリエーションを含むと解釈されるべきである。

    説明する目的のために本発明の特定の実施形態を本明細書中に記載しているが、詳細についての多数のバリエーションが添付の特許請求の範囲に記載するような本発明から逸脱することなく行われ得ることが当業者に理解されるものとする。

    実施例1. hfB3発現構築物の作製

    ヒトhfB3のコード配列をIRES−Neo選択マーカーとともに含むプラスミドを設計した(hfB3−IRES−Neo)。 このプラスミドはGENEART AG(Regensburg,Germany,plasmid)により合成され、業務受託機関に個別に支払った。 Nhe I制限酵素部位をコード配列の5'末端および3'末端の両方に組み込んだ。 hfB3核酸コード配列を、哺乳動物細胞中での最適な発現のためにコドン最適化した。

    遺伝子発現プラスミドpCI(Promega,Madison,WI)を修飾した。 最初に、BGH(ウシ生長ホルモン)ポリAをpCIから除去し、合成のポリAで置き換えた。 次に、選択マーカーを持つhfB3コード配列(hfB3−IRES−Neo)をプラスミドからNhe Iによって切り出し、修飾したpCIのSal I部位に平滑末端ライゲーションとしてクローニングしてhfB3発現構築物を作製した。 このプラスミドをその全体において配列決定して、この構築物の配列完全性を確認した(配列番号5)。

    実施例2. hfB3−292S発現構築物の作製

    さらなる修飾をhfB3タンパク質に導入した。 ヒト野生型B因子タンパク質およびhfB3タンパク質は23個のシステインアミノ酸(C)を有しており、このことはタンパク質中に少なくとも1つの対合しない遊離のシステインが存在することを示唆している。 ジスルフィド結合マッピングは、生物学的に活性なhfB3中の遊離のCがアミノ酸292に位置していることを示唆した。 292位のCは様々な種のB因子タンパク質の間で高度に保存されている(表1、上記)。 本実施例では、この292位のCをセリン(S)に変化させてhfB3−292Sを作製する。

    hfB3−292S発現構築物を作製するために、部位特異的変異をhfB3発現構築物に導入した(配列番号5)。

    hfB3発現構築物を鋳型として使用して、Stratageneの部位特異的変異誘発キットを製造業者の説明書にしたがって利用して292位のCをSに変化させる部位変異を作製し、hfB3−292S発現構築物を作製した。 2つのプライマーを使用した:

    下線を付けたヌクレオチドはCからSに変異させたアミノ酸を示す。 hfB3−292S発現カセットは、5'から3'の方向に、CMVプロモーター、キメライントロン、コドン最適化したhfB3−292Sのコード配列、IRES−Neo選択マーカー、および合成ポリAを含む(図2)。 構築物全体を配列決定して、変異と構築物の完全性を確認した(配列番号8)。 hfB3−292Sについて予想したアミノ酸配列を配列番号2に示す。

    実施例3. 安定なhfB3発現細胞株およびhfB3−292S発現細胞株の作製

    hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質を発現する安定な細胞株を、293 FreeStyle細胞(Invitrogen,カタログ番号R79007)にhfB3発現構築物またはhfB3−292S発現構築物をトランスフェクトすることにより作製した。 プラスミドDNAの293 FreeStyle細胞へのトランスフェクションは、PEI(ポリエチレンイミン、Sigma、カタログ番号23966)に基づくトランスフェクションにより媒介された。 1mg/mLの最終濃度のPEI溶液を滅菌水中に調製した。 pHを5NのHClで7.0に調整した。 この溶液を0.22μmの濾紙を使用して滅菌した。 PEIのアリコートを使用するまで−80℃で凍結保存した。

    トランスフェクションプロトコールは以下の通りとした:
    トランスフェクションの1日前に、細胞を無血清293F発現培地(Invitrogen,カタログ番号12338−018)中に1×10 細胞/mLで播種した。

    翌日、細胞を、HT Supplement(カタログ番号11067−030,Invitrogen)だけを補充した基本RPMI1640培地(Invitrogen,カタログ番号22400−089)で洗浄し、同じ培地中に2×10 細胞/mLで再懸濁し、新しい6ウェルプレートに、各ウェル中に1mLで分注した。

    DNAおよびPEIのストック溶液を以下のように滅菌の150mMのNaCl中に調製した:2.5μgのhfB3またはhfB3−292S発現構築物DNA(2.5μL中)を47.5μLの150mM NaCl中に希釈し、ピペッティングにより混合した(DNA溶液)。 10マイクロリットル(10μL)のPEI溶液を40μLの150mM NaCl中に希釈し、続いて静かにボルテックスした(PEI溶液)。 このDNA溶液とPEI溶液を室温で5分間インキュベートした。 次に、PEI溶液をDNA溶液に添加し、この混合液を室温でさらに10分間インキュベートし、その後、DNA/PEI混合液を6−ウェルプレート中の細胞に添加し、細胞を8%のCO および85%の湿度のインキュベーターの中で37℃で5時間、撹拌(200RPM)しながらインキュベートした。 5時間後、1.1mLの完全293F発現培地(添加物なし)を各ウェルに添加し、インキュベーションを72時間継続した。

    その後、細胞を回収し、293F発現培地で1回洗浄し、300μg/mLのG418(Teknova)を含有している新鮮な293F発現培地に入れた。 陰性対照として、同数のトランスフェクトしていない293Fネイティブ細胞を同じG418含有培地中で培養した。 細胞をG418選択下におよそ3週間置いておいた。 この時点で、G418含有培地中のトランスフェクトされていない細胞は死滅した。 トランスフェクトされた細胞は、G418耐性である生存している集団から死滅したまたは死滅しつつある細胞を取り除くためのFICOL勾配(Sigma)を通り抜けた。 G418耐性である生存している集団を約2週間さらに増殖させ、その間、2〜3日毎に細胞をスピンダウンさせ、300μg/mLのG418を含有している新鮮な293発現培地中に再懸濁した。

    実施例4. hfB3およびhfB3−292Sの生産

    G418耐性であるhfB3またはhfB3−292S生産細胞を、各ウェルに2mLの培地を含む6−ウェルプレート中、各フラスコの中に100mLの培地を含む500mLのスピナーフラスコ中、または各フラスコの中に1,000mLの培地を含む3,000mLのスピナーフラスコ中のいずれかにおいて、293F発現培地中に2×10 細胞/mLの密度で播種した。 細胞を、8%のCO および80%の湿度の37℃のインキュベーター中で、オービタルシェーカー上で100rpmで振盪させながら72時間インキュベートした。

    次に、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質を含有している細胞培養培地上清を回収し、2,000rpmで10分間遠心分離して細胞の破片を取り除き、その後、培養培地を0.22μmの濾紙を通過させて濾過した。

    実施例5. hfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質の定量

    標準としてヒト野生型B因子を用いる電気化学発光試験(ECL)を、hfB3およびhfB3−292Sの定量のために開発した。 この試験はBioVerisのECL技術に基づくサンドイッチ免疫測定法であった。 簡単に説明すると、ECL試験は、96ウェルプレートサンドイッチである、1工程の、そして洗浄を行わない試験として様式化される。 品質管理試料(ヒト血漿から精製されたB因子、Quidel,カタログ番号A408)と試験試料を、ビオチニル化抗hfBモノクローナル抗体(抗ヒトB因子モノクローナル抗体、R&D Systems,カタログ番号MAB2739)、BV−TAG+標識化抗hfBポリクローナル抗体(抗ヒトB因子ポリクローナル抗体、R&D Systems,カタログ番号AF2739)を含有しているマスターミックス試薬とストレプトアビジンがコーティングされた常磁性ビーズとともにインキュベートした。 この混合物を150分間インキュベートした。 インキュベーション後、停止溶液(500mMの塩化ナトリウムおよび1.6mg/mLのBSAを含有しているホウ酸塩緩衝液、250mM、pH9.2)を添加し、次にプレートをM1MR分析器で読み取った。 この試験について推定したダイナミックレンジは9.0〜950ng/mLであった。

    実施例6. hfB3およびhfB3−292Sについてのウェスタンブロット分析

    変性(denturing)であるが非還元性の条件下でのhfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質のポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)を、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質の試料を非還元性のタンパク質試料緩衝液(Pierce)と混合することにより行った。 血漿から精製されたヒトB因子タンパク質(試料あたり100ng、Quidel)を陽性対照として使用した。 各ゲルにはまた、予め染色されたタンパク質分子量マーカー(15μL/レーン)(Invitrogen)を含むウェルも含めた。 試料とマーカーを、非還元性タンパク質試料緩衝液中で95℃で5分間加熱した。 試料を7.5%のTris−HCL Precastミニゲル(Bio−Rad)上にロードした。 このゲルを75Vで15分間、または色素が濃縮用ゲルの前面を通過して分離ゲルに入るまで泳動させた(10×SDS/Tris/グリシンランニングバッファー、Bio−Rad)。 色素の前面が分離ゲルに入ったら、電圧を100Vまで高め、色素の前面がゲルから出てしまうまで電気泳動を継続した。

    ウェスタンブロット分析を、静かに揺らしながら20分間、トランスファーバッファー(10×Tris/グリシントランスファーバッファー、Bio−Rad)中でゲルを洗浄し、平衡化させることにより行った。 ニトロセルロースメンブレン(Bio−Rad)および吸い取り紙もまた、トランスファーバッファー中で平衡化させた。 SDS−PAGEにより分離したタンパク質を、Trans Blot Semi−Dry Transfer Cell(Bio−Rad)を使用してニトロセルロース上に電気泳動により移動させた(20Vで45分間)。 移動が完了したら、メンブレンを、振盪機上で静かに撹拌しながら室温で少なくとも1時間、1×カゼイン溶液(Vector Laboratories)でブロックした。 メンブレンを、1×カゼイン溶液中に1:10,000に希釈した一次抗体(ヒトB因子に対するモノクローナル抗体、R&D Systems,カタログ番号MAB2739)で、静かに撹拌しながら室温で1時間プローブし、10mLの1×カゼイン溶液中で5分間を3回、それぞれ振盪機上で静かに撹拌しながら室温で洗浄した。 メンブレンを、1×カゼイン溶液中に1:20,000に希釈したビオチニル化ヤギ抗マウスIgG(二次抗体、R&D Systems,カタログ番号BAF007)とともに、振盪機上で静かに撹拌しながら室温で1時間インキュベートし、10mLの1×カゼイン溶液中で5分間を3回、それぞれ室温で静かに撹拌しながら洗浄した。 このメンブレンを、40μLの試薬Aおよび40μLの試薬Bを含有している20mLの1×カゼイン溶液中で45分間、Vectastain ABC−AmP試薬(Vector Laboratories)中でインキュベートした。 このメンブレンを10mLの1×カゼイン溶液中で5分間を3回、それぞれ室温で静かに撹拌しながら洗浄した。

    ウェスタンブロットから化学発光シグナルを獲得するために、メンブレンを20mLの0.1M Tris(pH9.5)中で5分間、撹拌せずに平衡化させた。 過剰量の緩衝液を、メンブレンを垂直に保ち、メンブレンの縁をKimwipeに触れさせることによりメンブレンから除去した。 メンブレンの標的側を表面を上に向けて新しい容器の中においた。 Duolox Substrate(7mL、Vector Laboratories)を、暗所で5分間インキュベートしたメンブレンの標的側の上に直接おいた。 過剰量のDuoloxを、メンブレンを垂直に保ち、メンブレンの縁をKimwipeに触れさせることによりメンブレンから除去した。 メンブレンを、暗所で撹拌しながらこれを20mLの0.1M Tris(pH9.5)中に5分間沈めることにより洗浄した。 過剰量の緩衝液を、メンブレンを垂直に保ち、メンブレンの縁をKimwipeに触れさせることによりメンブレンから除去した。 このメンブレンを折り畳んだプラスチックラップシートの中に置き、フィルムカセットの中でKodak BioMax MS X線フィルムに1〜5分間感光させた。 フィルムをKodak現像液(92mLのddH O中に26mLのこの現像液を希釈する)の中に1分間置いた。 フィルムを現像液から取り出し、Kodak定着液(92mLのddH O中に26mLのこの定着液を希釈する)の中に1分間置いた。 最後に、フィルムを水道水で濯ぎ、室温で乾燥させた。

    図3に示すように、G418耐性hfB3生産細胞およびG418耐性hfB3−292S生産細胞は、細胞培養培地中で、適切な大きさ(およそ100KDa)のhfB3タンパク質(レーン3)およびhfB3−292Sタンパク質(レーン4)を生産した。 これらのタンパク質は、ヒト血漿から精製された野生型ヒトB因子とほぼ同じ速度で移動した(レーン2)。 可視バンドはトランスフェクトされていない細胞培養培地(陰性対照)中では検出されず、これはモノクローナル抗ヒトB因子抗体の特異性を示している(レーン1)。 興味深いことに、推定したおよそ200〜260KDaの凝集物はhfB3試料中では容易に検出されたが(レーン3)、同じ実験条件下で生産させたhfB3−292S試料中では凝集物は検出されなかった(レーン4)。 凝集は、細胞培養培地中の誤って折り畳まれたhfB3の集団によって引き起こされた可能性がある。 タンパク質が誤って折り畳まれると、これらは疎水性−疎水性相互作用により凝集物を形成する傾向がある疎水性領域を露出することになる。 これらのデータは、hfB3−292Sタンパク質の調製において、hfB3タンパク質と比較して誤った折り畳みが排除されたかまたは有意に減少したかのいずれかであったことを示唆している。

    実施例7. 代替補体経路の溶血活性試験

    ヒト代替補体経路の活性は、この実施例に記載するように溶血試験を使用して測定することができる。

    1ミリリットル(1mL)のウサギ赤血球(rRBC)(Lampire Biological Laboratory,カタログ番号7246408)懸濁液を新しく作製した冷却したMg 2+ −EGTA緩衝液で洗浄した。 赤血球を50mLの円錐形の遠心分離管に移し、30mLのMg 2+ −EGTA緩衝液を添加し、細胞を静かに混合した。 rRBCを4℃、1,200rpmでブレーキをかけずに5分間、Beckman Allegra 6KR遠心分離機においてペレット化させ、Mg 2+ −EGTA緩衝液中に再懸濁した。 この洗浄工程を2回繰り返した。 rRBCを2mLの氷冷したMg 2+ −EGTA緩衝液中に再懸濁し、細胞数を血球計を使用して求めた。

    溶血活性反応混合物を、氷上に置いたV底96ウェルプレートの中にセットした。 hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質が野生型ヒトB因子タンパク質と競合し、その溶血活性を阻害することができるかどうかを決定するために、競合試験を、500ngの野生型ヒトB因子、漸増量のhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質、およびGVB ++緩衝液(Sigma、カタログ番号G6415)を含む40μLの全容量の中にセットした。 Mg 2+ −EGTA緩衝液で25倍に希釈した50マイクロリットル(50μL)のB因子枯渇ヒト血清を各ウェルに添加し、続いて10μLの、Mg 2+ −EGTAで洗浄した5×10 のrRBCを添加した。 rRBCの添加後、各試料を、マルチチャンネルピペットを使用して96ウェルプレートの中で静かに混合した。

    96ウェルプレートを、37℃の水の層を含むガラストレイの中に置き、プレートの底に沈めた。 次に、このトレイを37℃の水浴の中に置き、110rpmで40分間オービタルシェーキングした。 インキュベーション後、プレートを氷上に置き、150μLの氷冷した0.9%の生理食塩水を各ウェルに添加し、各反応をピペッティングによって静かに混合して反応を停止させた。 96ウェルプレートを、Eppendorf 5810R遠心分離機においてブレーキをかけずに2,000rpmで4℃で5分間(min)、遠心分離して、rRBCをプレートの底にペレット化させた。 上清(180μL)を、ペレットを乱さずに各ウェルから除去し、新しい96ウェルプレートの対応するウェルに移動させた。 各試料の吸光度をマイクロプレートリーダーにおいて405nmで測定した。

    実施例8. hfB3およびhfB3−292Sの生物学的活性

    hfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質の生物学的活性を、代替補体経路に媒介されるrRBCの溶血を測定することにより試験した。 実施例7に記載した試験を使用して、ヒト代替補体経路の阻害におけるhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質の効力を試験した。 各反応を3連で行った。 図4に示すように、hfB3−292Sタンパク質生産細胞およびhfB3タンパク質生産細胞由来の未精製の細胞培養培地は、用量依存性の様式で代替補体経路の活性を効率よく阻害した/低下させた。 理論に縛られることは望ましくないが、hfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質は、野生型B因子タンパク質と競合する、ならびに/あるいはC3bおよび/または補体D因子を捕捉することにより、代替補体経路の活性を阻害することができる。

    実施例9. hfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質の精製

    トランスフェクトされた、hfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質を安定的に発現し、分泌するヒト293 FreeStyle細胞株由来の細胞培養培地をhfB3タンパク質またはhfB3−292Sタンパク質の精製のための出発材料として使用した。 可溶性の分泌されたhfB3またはhfB3−292Sタンパク質を、GE AKTA Purifierを使用して、捕捉工程、中間精製工程、および研磨工程についてそれぞれ、陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー、疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー、およびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の組み合わせにより細胞培養物上清から精製した。 2つの精製のスキームを以下に記載する。 これらの2つのスキームは、一方が1つのHICクロマトグラフィー工程を使用し、他方がHICクロマトグラフィーを2工程を使用する点で異なる。

    hfB3タンパク質を含有している細胞培養物上清を、伝導性をセンチメートルあたり約8ミリシーメンス(mS/cm)に下げるために培養上清/水の4:1の容量比で蒸留水で希釈し、50mMのリン酸塩緩衝液でpH7.5に調整した。 この物質を、1分あたり30mLの流速でP−960ポンプを使用して、AKTA清浄機上の予め充填したイオン交換カラム(POROS HQ 50,ABI)上に直接ロードした。 このカラムを緩衝液A(50mMのリン酸塩緩衝液(PB)、pH7.5、伝導性約8mS/cm)で、600mL/hr(約1カラム容量/分、CV/分)の線流速で予め平衡化した。 溶出液を280nmでのUV検出によりモニターした。 結合しなかった物質を洗い流した後、保持されている物質を、8mS/cm(2CVについては0%の緩衝液B)から33mS/cm(8CVについては25%の緩衝液B)まで、そして最終的には105mS/cm(5CVについては100%の緩衝液B)に移動相の伝導性を段階的に順次上昇させるための緩衝液Aおよび緩衝液B(50mMのPBおよび1MのNaCl、pH7.5)の非線形勾配で溶離させた。

    宿主タンパク質混入物、中間体の混入物の除去をさらに容易にするために、疎水性相互作用(HIC)クロマトグラフィー工程を導入した。 これにより、それらの表面疎水性の差に基づいてタンパク質を精製し、分離する。 hfB3タンパク質を含有している主要な画分(AEXクロマトグラフィー工程による)をプールし、およそ1.4Mの硫酸アンモニウムおよび47mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)(伝導性216mS/cm)(hfB3−292Sについては、1.0Mの硫酸アンモニウムおよび33.7mMのリン酸塩緩衝液、pH7.5、伝導性169mS/cm)を含むように、緩衝液C(1.5Mの硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸塩緩衝液、pH7.5)を硫酸アンモニウム/リン酸塩緩衝液対試料のおよそ30:1の容量比で試料に添加することにより調整した。 プールした試料を0.2μmの濾紙を通過させて濾過し、1.5Mの硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)(緩衝液C)(hfB −292Sについては1.0Mの硫酸アンモニウムおよび33.7mMのリン酸塩緩衝液)で予め平衡化した疎水性相互作用カラム(HiTrap Phenyl HP,GE Healthcare)に、300mL/hr(1CV/min)の流速でアプライした。 保持された物質を非線形様式で硫酸アンモニウム濃度を低下させることにより溶離させた。

    あるいは、中間のHICクロマトグラフィー工程を、例えば、スケールアップすることがより容易な精製過程を作り上げるために、2工程のHICクロマトグラフィーで置き換えることができる。 この2工程のHIC精製過程においては、宿主細胞タンパク質の大部分を、最初の工程のHICクロマトグラフィー、HIC陰性選択により、低塩条件(fB3については0.75Mの硫酸アンモニウムおよび25mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)、そしてhfB3−292Sについては0.6Mの硫酸アンモニウムおよび20mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)伝導性100mS/cm)でHICカラム(HiTrap Phenyl HP,GE Healthcare)に結合させることによって、fB3またはfB3−292Sから分離した。 次に、hfB3またはfB3−292Sタンパク質を含有しているHIC陰性選択工程によるフロースルー画分を、fB3についてはおよそ1.5Mの硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)(伝導性216mS/cm)、またはhfB3−292Sについては1.0Mの硫酸アンモニウムおよび33.7mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)(伝導性169mS/cm)を含むように再度調整した。 第2の工程のHICクロマトグラフィーについては、試料を0.2μmの濾紙を通して濾過し、fB3については1.5Mの硫酸アンモニウムおよび50mMのリン酸塩緩衝液(pH7.5)、ならびにhfB −292Sについては1.0Mの硫酸アンモニウムおよび33.7mMのリン酸塩緩衝液で予め平衡化した疎水性相互作用カラム(HiTrap Phenyl HP,GE Healthcare)に、300mL/hr(1CV/min)の流速でアプライした。 保持されている物質を硫酸アンモニウム濃度を非線形様式で低下させることにより溶離させて、残っている宿主細胞タンパク質からfB3またはfB3−292Sタンパク質をさらに分離した。

    HICクロマトグラフィー工程による生物学的に活性なhfB3タンパク質を含有している画分をプールし、遠心濾過装置(Millipore,Amicon Ultra,カタログ番号901024、10,000MWのカットオフ)で濃縮した。 濃縮した試料について、PBS緩衝液(4mMのリン酸塩、150mMのNaCl(pH7.4)(GIBCO))中で平衡化させたSephacryl S300 26/60 HRカラム(最大充填容量:CVの3%、約10mL)上でサイズ排除クロマトグラフィーを行った。 hfB3タンパク質の溶離は、PBSを使用して60cm/hrの一定の線流速で行い、280nmでのUV検出により溶出液をモニタリングした。 精製したhfB3タンパク質をアリコートで−80℃で保存した。

    この手順により、他の混入物質からhfB3タンパク質をほぼ完全に分離することができた。 3工程のクロマトグラフィー過程後のhfB3タンパク質の純度は、0.2μgの精製したhfB3タンパク質のSDS−PAGE銀染色分析だけが1つの鋭いバンドを生じたという事実により示されるように、極めて高かった(図5、左のパネル)。 上記3工程のクロマトグラフィー過程により精製したhfB3タンパク質について溶血試験においてヒト野生型B因子に対する競合試験を行った場合には、これがヒト代替補体経路の溶血活性を抑制し、このことは、精製したhfB3タンパク質が生物学的に活性であることを明らかに示している(図5、右のパネル)。 驚くべきことに、hfB3の2つの集団がHICによって検出され、一方は生物学的に活性であり(ピークIまたは活性集団と命名した)、他方は、はるかに低い生物学的活性を有していた(ピークIIまたは低活性集団と命名した)(図6)。 これらの2つの形態は、安定なhfB3タンパク質生産細胞の未処理の細胞培養培地中で逆相HPLC(RP−HPLC)によって容易に検出された(図7)。

    実施例10. hfB3−292Sタンパク質生産細胞株はピークII集団を生産しない 292位にセリンで置換された遊離のシステインを持つ補体B因子アナログを含有している未精製のhfB3−292Sタンパク質細胞培養培地について、陰性対照としての未精製の未処理の293 FreeStyle細胞培養培地、および陽性対照としての未精製のhfB3タンパク質細胞培養培地とともにRP−HPLC分析を行った(図7)。 hfB3−292Sタンパク質細胞培養培地は検出可能なピークII集団を全く生じることはなく、一方、hfB3タンパク質細胞培養培地の分析は、hfB3の35%が低活性のピークII集団であったことを示した(図7AおよびB)。

    実施例11. hfB4発現構築物およびhfB4タンパク質の作製と特性決定

    hfB3中のアミノ酸740のアスパラギン酸をアスパラギンに変化させるようにhfB4タンパク質を設計した。 この変化は、この補体B因子タンパク質アナログのセリンプロテアーゼ機能の機能を減衰させるかまたは阻害すると考えられる。

    hfB4発現構築物を作製するために、部位特異的変異をhfB3発現構築物中に導入した。

    実施例1に記載したhfB3発現構築物(配列番号5)を鋳型として使用して、配列番号4中の740位のアスパラギン酸(D)をアスパラギン(N)に変化させる変異を、Stratageneの部位特異的変異誘発キット(Stratagene,Santa Clara,CA)を製造業者の説明書にしたがって利用して作製し、hfB4発現構築物を作製した。 2つのプライマーを使用した:

    下線を付けたヌクレオチドは、DからNへのアミノ酸変化を生じるヌクレオチド変化を示す。 このhfB4発現構築物は、5'から3'の方向に、CMVプロモーター、キメライントロン、コドン最適化されたhfB4のコード配列、IRES−Neo選択マーカー、および合成ポリAを含む。 構築物全体を配列決定して、変異と構築物の完全性を確認した。 hfB4について予想したアミノ酸配列を配列番号17に示す。 hfB3のアミノ酸配列とhfB4のアミノ酸配列の間の唯一の相違がD740Nの変化である。

    hfB4タンパク質を発現する安定な細胞株を、実施例3に記載したように293細胞のPEI媒介トランスフェクションおよび薬剤選択により作製した。 選択した細胞集団の細胞培養培地中のhfB4タンパク質の濃度を、実施例5に記載したようにECLによって測定した。

    1回のHICクロマトグラフィー工程の方法を使用して実施例9に記載したように精製したhfB4タンパク質の生物学的活性を、実施例7に記載したような溶血活性試験によって試験した。 表2は、hfB4タンパク質を含有している細胞培養培地によるヒト代替補体経路の溶血活性の阻害を示す。 相対的な溶血活性を、ヒト代替補体経路の活性によるrRBAの溶血後に放出されたヘモグロビンによりスコアした。 表2に示すように、hfB4タンパク質は代替補体経路の活性を効率よく阻害した。

    実施例12. hfB3−Fc発現構築物およびhfB3−Fcタンパク質の作製と特性決定

    hfB3−Fcは、hfB3とIgG Fcの間での融合タンパク質である。 具体的には、全長のhfB3タンパク質をヒトIgG4 Fcと融合させた。

    hfB3−Fc発現構築物を作製するために、PCR産物を2つのプライマーを使用して実施例1に記載したhfB3発現構築物(配列番号5)から増幅させた:正方向プライマー:5'−GCGCACCGGTGCTAGCGAATTCGGCGACAAGAAGGGCAGCTGCGA−3'(配列番号19);および逆方向プライマー:5'−GCGCAGATCTCAGGAAGCCCAGGTCCTCAT−3'(配列番号20)。 次に、hfB3−FcのC末端のコード領域を含有している377bpのPCR産物をAge IとBgl IIで消化し、Age IとBgl IIで予め消化したpFUSE−hIgG4Fc(Invivogen,カタログコード:pfuse−hg4fcl)にライゲーションして、プラスミドphfB3Cterm−Fcを作製した。 hfB3発現構築物(実施例1に記載した配列番号5)をEcoR IとEcoR Vで消化した。 hfB3のN末端を含有しているEcoR I/EcoR V断片を、EcoR IとEcoR Vで予め消化したphfB3Cterm−Fcにライゲーションして、phfB3−Fcを作製した。 phfB3−FcプラスミドをNhe Iで消化し、hfB3とFcコード配列を含有している断片を、実施例1に記載したIRES−Neoを持つ修飾したpCI構築物にライゲーションして、hfB3−Fc発現構築物を作製した(配列番号18)。 このhfB3−Fc発現構築物は5'から3'の方向に、CMVプロモーター、キメライントロン、hfB3−Fcのコード配列、IRES−Neo選択マーカー、および合成ポリAを含む。 構築物全体を配列決定して構築物の完全性を確認した(配列番号18)。 配列番号21はhfB3−Fcタンパク質のアミノ酸配列である。

    hfB3−Fcタンパク質を発現する安定な細胞株を、実施例3に記載したように293細胞のPEI媒介トランスフェクション、および薬剤選択により作製した。 薬剤選択した細胞を2×10 細胞/mLで72時間培養した。 その後、hfB3−Fcタンパク質の発現を、2μlの細胞培養物上清について非還元SDS−PAGEとウェスタンブロット分析を行うことにより試験した。 図8に示すように、hfB3−Fcタンパク質の2つのバンドがヤギ抗B因子特異的抗体(R&D Systems,カタログ番号AF2739)により検出された。 KDaの分子量マーカーを左に示す。 理論に縛られることは望ましくないが、hfB3−Fcタンパク質のこれらの2つのバンドは、このタンパク質の単量体と二量体を示している可能性がある。 hfB3−Fcタンパク質(細胞培養物上清中)の生物学的活性を、実施例7に記載した溶血活性試験によって試験した。 表3に示すように、hfB3−Fcタンパク質は代替補体経路の活性を阻害した。

    実施例13. hfB3−292Sの補体阻害に対する凍結/解凍の繰り返しの影響

    hfB3−292Sタンパク質を、1回のHICクロマトグラフィー工程の方法を使用して実施例9に記載したように精製した。 −80℃の冷凍庫から取り出し、室温で解凍したPBS中の精製したhfB3−292Sタンパク質を、最初の凍結解凍サイクルとしてカウントした。 この解凍後、hfB3−292Sタンパク質濃度をPBSで2mg/mLに調整し、hfB3−292Sの1つのアリコートをサンプリングし、最初の凍結解凍試料として氷上に置いておいた。 その後、hfB3−292Sタンパク質のチューブを、メタノール/ドライアイス浴の中に20分間チューブを置くことにより凍結し、その後、室温で完全に融解するまで解凍した(2回目の凍結解凍サイクル)。 試料の1つのアリコートをサンプリングし、次の凍結解凍サイクルを繰り返す前にとっておいた。 各凍結解凍サイクル(全部で7回)による試料の生物学的活性を、実施例7に記載したように代替補体経路が媒介する溶血試験において野生型ヒトB因子と競合するそれらの能力を測定することによって分析した。 各反応に、漸増量のhfB3−292Sとともに定量の野生型ヒトB因子(0.5μg)を含めた。 表4の結果は、溶血試験における阻害の百分率を示す。

    これらの結果は、hfB3−292Sタンパク質が7回の凍結解凍サイクルの後もなお、代替経路が媒介する溶血を依然効率よく阻害できることを示している(表4)。 同様のレベルの溶血阻害が全ての試料にわたり観察され、これは、凍結解凍の繰り返し(7回まで)が補体媒介溶血を阻害するhfB3−292Sタンパク質の能力に影響を及ぼさなかったことを示している。

    実施例14. hfB3タンパク質よりも高いhfB3−292Sタンパク質の熱安定性

    hfB3およびhfB3−292Sタンパク質を、1回のHICクロマトグラフィー工程の方法を使用して実施例9に記載したように精製した。 精製したhfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質(いずれもPBS中)を−80℃から取り出した。 タンパク質濃度をPBS(pH7.4)中に2mg/mLになるように再度調整した。 hfB3タンパク質およびhfB3−292Sタンパク質を3個の0.6mLのエッペンドルフチューブに等しくアリコートし(チューブあたり40μL)、その後、4℃、−80℃、および37℃の条件で7日間保存した。 保存した試料のそれぞれの生物学的活性(補体媒介溶血を阻害する能力)を、実施例7に記載したように代替補体経路に媒介される溶血を阻害するそれらの能力を測定することによって分析した。 この溶血試験の結果は、4℃または−80℃で7日間の保存が代替補体経路に媒介される溶血を阻害するhfB3またはhfB3−292Sのいずれの能力にも影響を及ぼさなかったことを示した。 しかし、37℃で7日間保存したhfB3タンパク質は、試験した4つの試料の全てにおいてその生物学的活性を本質的には全て失った。 際立つのは、37℃で7日間保存したhfB3−292Sがその生物学的活性を良好に保存し、なおも野生型ヒトB因子と効率的に競合できたことである(表5)。 表5の結果は、hfB3またはhfB3−292Sのいずれかによるヒト代替補体活性の阻害の百分率を(標準偏差とともに)示す。 これらの結果は、hfB3−292Sタンパク質が37℃でhfB3タンパク質よりも高い熱安定性を有していることを示した。

    実施例15. ヒトB因子、fB3、およびfB3−292Sタンパク質のタンパク質融解温度の決定

    タンパク質融解温度(Tm)はタンパク質の熱安定性の尺度であり、タンパク質のアミノ酸配列の変化は、特に、タンパク質の熱安定性に影響を及ぼし得る。 ヒトB因子タンパク質(hfB)は23個のシステイン残基を含み、そのうちの22個はジスルフィド結合対(シスチン)として存在し、C292である1つは対合していない遊離のスルフヒドリル形態で存在する。

    hfB3タンパク質(K258A、R259A、K260A、D279G、N285D)およびhfB3−292Sタンパク質(hfB3タンパク質の1つの対合していないシステイン残基がセリンになるように修飾された)の融解温度プロフィールを、1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)の存在下で各タンパク質をインキュベートし、460nmでのANSの蛍光の増大を測定することにより、hfBタンパク質のものと比較した。 ANSはタンパク質の疎水性領域に結合し(Stryer,J.Molecular Biology(1965)13:482−495)、そしてhfBタンパク質の表面疎水性に対する温度の影響を調べるために使用されている(Takadaら、Complement(1985)2:193−203)。 hfBタンパク質(35μg)、hfB3タンパク質(50μg)、およびhfB3−292Sタンパク質(39μg)を含有している試料を、10mMのANS(Invitrogen,カタログ番号A−47)を含有している100μLのPBS(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのリン酸塩、pH7.4)緩衝液中に調整した。 各タンパク質試料(3連)を閉じたポリプロピレンチューブの中で、21℃、30℃、37℃、44℃、47℃、50℃、55℃、60℃、および65℃で30分間インキュベートした。 試料を透明な96ウェルマイクロプレート(Costar、カタログ番号3635)に移し、蛍光をPerceptive Biosystems Cytofluor 4000マイクロプレート分光光度計(励起=60/40nm、発光=460/40nm)において測定した。 結果を非線形4PL曲線フィットを使用して分析した。 野生型hfBタンパク質、hfB3タンパク質、およびhfB3−292Sタンパク質のTm値(2回の実験による結果の平均)を、それぞれ46.4℃、45.1℃、および47.0℃と決定した。 野生型hfBタンパク質に関してhfB3タンパク質中に作製した5個のアミノ酸変化(K258A、R259A、K260A、D279G、N285D)は、ΔTm=−1.3℃を生じ、これは、hfB3タンパク質が対応する野生型hfBタンパク質と比較して熱安定性が低かったことを示している。 しかし、hfB3−292Sタンパク質のTm(47.0℃)はhfB3タンパク質に対してΔTm=+1.9℃を生じ、hfB3−292Sタンパク質が野生型hfBタンパク質(46.4℃)と少なくとも同程度に熱安定性であったことを示していた。

    したがって、ヒト線維芽細胞成長因子(FGF−1)タンパク質中のシステイン残基のセリンでの置換(C83SまたはC117S)は、Tmをそれぞれ13℃および2℃低下させたことを示したCulajayら(Biochemistry(2000)39:7153−7158)の結果とは対照的に、アミノ酸C292でのhfB3のセリン置換はhfB3よりも熱安定性が高いhfB3−292Sを生じた。

    実施例16. hfB3−292Sタンパク質はマウス関節リウマチモデルにおいて関節の炎症と損傷を予防する

    コラーゲン抗体誘導関節炎(CAIA)は、関節リウマチについての侵襲性のマウスモデルである(Terato Kら、J.Immunol.(1992)148(7):2103−8;Terato Kら、Autoimmunity(1995)22(3):137−47)。 このモデルにおいては、コラーゲンに対する4種類のモノクローナル抗体を含有しているコラーゲン抗体カクテル(Chondrex,Inc.,カタログ番号:10010)をLPS追加抗原とともに使用して、6週齢の雄のDBA/1J野生型マウス(Jackson Laboratory)において関節炎を誘導した。

    40匹のマウスを3つのグループに分けた。 グループ1には溶媒対照グループとして10匹のマウスを含めた。 ここでは、100μLのPBS(リン酸塩緩衝化生理食塩水、pH7.4)を0日目に尾静脈に注射し、マウス1匹あたり25μgのLPSの追加抗原注射(List Biological Lab,Campbell,California,カタログ番号:421)を3日目に腹腔内に投与し(LPSはPBS中に500μg/mLの濃度とした)、そして3、5、7、および9日目に尾静脈から再び100μLのPBSを投与した。 グループ2には0日目に尾静脈からコラーゲン抗体カクテル(マウス1匹あたり100μLのPBS中の0.25mg)を注射し、3日目に25μgのLPSの追加抗原注射を投与し、そして3、5、7、および9日目に尾静脈から100μLのPBSを投与した15匹のマウスを含めた。 グループ3には、0日目に尾静脈から0.25mgのコラーゲン抗体カクテルと1mgのhfB3−292Sタンパク質をマウス1匹あたり100μLのPBS中で両方一緒に注射し、3日目に25μgのLPSの追加抗原注射を投与し、そして3、5、7、および9日目に尾静脈から100μLのPBS中の1mgのhfB3−292Sタンパク質を投与した15匹のマウスを含めた。

    マウスを毎日試験した。 各マウスの体重を関節の測定を行う時に記録した。 前肢と後肢の関節を、−1、4、6、9、および11日目に幅と厚みの両方についてノギスを使用して測定した。 測定順序は、左前肢、左後肢、右後肢、および右前肢とした。 11日目に、全ての動物を屠殺し、全ての肢(左前肢、右前肢、左後肢、および右後肢)を回収し、個別にラベルを付けたプラスチックカセットの中に保存した。 各カセットを10%の中性緩衝ホルマリン溶液を含有している組織学用容器箱に入れた。

    これらのマウスの肢を、関節中の発病を試験するためにパラフィン切片化し、H&E染色した。 具体的には、固定後、各マウス由来の各肢をプラスチックカセットに別々に移した。 これらの肢を、固定液を除去するために室温(RT)で30分間(min)、ビーカー中で流水で濯いだ。 その後、各カセットを脱灰した溶液(Thermo Scientific、カタログ番号8340)を含むビーカーに、この溶液中にカセットを浸すことによって移動させた。 前肢を8時間脱灰し、後肢を9時間脱灰した。 8時間または9時間後、肢を再び流水で、RTで30分間濯いで脱灰した溶液を除去した。 脱灰後、次の脱水工程のために肢を70%のエタノール中で一晩(O/N)保存した。 肢を、75%のエタノール(100%のエタノールから作製した)に2回;85%のエタノールに2回、95%のエタノールに2回、そして100%のエタノールに2回、それぞれRTで15分間、振盪させながら順次浸すことにより脱水した。 次に、肢を、100%のエタノールおよびセダーウッド油(Fisher、カタログ番号040−1)の1:1混合物中にRTで15分間、振盪させながら浸し、さらに2回、合計3回繰り返した。 その後、肢を100%のセダーウッド油に浸し、40℃で5時間インキュベートした。 5時間のインキュベーション後、肢をセダーウッド油とサリチル酸メチル(ACROS、カタログ番号119−36−8)の1:1混合物中にRTで60分間浸した。 次に肢を、別の、セダーウッド油とサリチル酸メチルの1:1混合物中でRTでO/N浸した。 O/Nのインキュベーション後、肢を100%のサリチル酸メチル中にRTで40分間浸し、さらに1回繰り返した(合計2回)。 最後に、肢を、60℃で7時間のインキュベーションにより調製したパラフィン中に包埋した。

    マウスの肢のパラフィン切片をミクロトームを使用して調製し、7μmの厚さにカットした。 これらの切片を40℃の水浴上でインキュベートし、Superfrost Plus顕微鏡スライドに移動させた。 スライドをRTでO/N乾燥させ、スライドウォーマー上でのO/Nのインキュベーションによりさらに乾燥させた。 このスライドを染色するまでRTで保った。

    取り付けたマウスの肢のパラフィン切片についてH&E染色を行った。 切片を脱パラフィン化し、キシレンに3分間浸し、2回繰り返し、合計3回行うことにより再水和した。 次に、過剰量のキシレンをブロットし、切片を100%のエタノール中に3分間、合計3回、次に、95%のエタノール中に3分間を1回、80%のエタノール中に3分間を1回、そして脱イオン水中に5分間を1回浸した。 全てのインキュベーションをRTで行った。 ヘマトキシリン染色のために、スライドをヘマトキシリン中に4分間を1回浸し、脱イオン水で濯いだ。 これらのスライドを水道水に1回、5分間浸して、染色を明らかにさせた。 スライドを酸エタノール(200mlの70%のエタノール+150μLの濃HCL)中に8〜12回、素早く浸して切片を脱染色した。 その後、スライドを水道水中で1分間、2回濯ぎ、次に脱イオン水中で1回、2分間濯いだ。 過剰量の水をエオシン染色の前にスライドからブロットした。

    エオシン染色のために、スライドを1回、20秒間エオシンに浸した。 次に、スライドを95%のエタノール中に5分間を3回浸すことによって脱水した。 スライドを100%のエタノール中で5分間を3回、インキュベートした。 過剰量のエタノールをブロットし、スライドをキシレン中で15分を3回、インキュベートした。 カバースライドを、キシレンベースのPermount(EMS、カタログ番号17986−01)を使用して、泡が形成しないように注意しながらガラス棒を使用してスライド上にPermountを1滴載せることにより、スライドに付着させた。 次に、カバースリップをスライド上に角度をつけておき、スライド上に静かに落とした。 Permountが、カバースリップの真下に広がって切片全体を覆うことができた。 スライドをドラフトの中でRTでO/N乾燥させた。

    図10に示すように、hfB3−292Sの非存在下でコラーゲン抗体カクテルを注射したグループ(グループ2)は、重症の前肢の腫脹を誘導した。 抗体カクテルを注射したが、hfB3−292Sタンパク質で処置したマウス(グループ3)は、肢の大きさの65%の低減を示した(p<0.0003)(図10)。 これらの結果は、hfB3−292Sによるこのモデルの関節炎の有意な阻害効果を示している。 CAIAの誘導のためのマウス1匹あたり250μgのコラーゲン抗体カクテルの投与量では、マウスの後肢は明らかな腫脹を示さなかった。 マウスの体重に対してhfB3−292Sタンパク質での処置についての有意な悪影響は観察されなかった。 全てのマウスの平均体重は一定に維持された。 3つのグループの全ての全マウスの平均体重は、実験の終わりまで20.4±1.1グラムであった。

    図9に示すように、グループ1のマウスは正常な関節を有しているように見え、関節および軟骨および骨への炎症細胞の浸潤は検出されず、正常に見えた(図9、上のパネル)。 グループ2のマウスは、関節の重篤な炎症、炎症細胞の浸潤、パンヌスの形成、軟骨の損傷、および骨浸食を有していた(図9、中央のパネル)。 hfB3−292Sで処置したグループ3のマウスは正常な関節構造を有しており、炎症細胞の浸潤はなく、軟骨もしくは骨の浸食または損傷もなかった(図9、下のパネル)。

    これらのデータは、hfB3−292SがこのCAIAマウスモデルにおいて関節の炎症および損傷を予防することについて有意に有効であることを示しており、これは関節リウマチについてのhfB3−292Sタンパク質の治療上の有用性を実証している。

    実施例17. hfB3−292S−Fc発現構築物およびhfB3−292S−Fcタンパク質の作製および特性決定

    hfB3−292S−Fcタンパク質(配列番号22)を発現する安定な細胞株を、実施例3に記載したように293細胞のPEI媒介トランスフェクションおよび薬剤選択により作製した。 薬剤選択した細胞を2×10 細胞/mLで72時間培養した。 その後、hfB3−292S−Fcタンパク質の発現を、2μLの細胞培養物上清について非還元SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析を行うことにより試験した。 hfB3−292S−Fcタンパク質の2つのバンドをヤギ抗B因子特異的抗体により検出した(未公開データ)。 理論に縛られることは望ましくないが、hfB3−292S−Fcタンパク質のこれらの2つのバンドは、このタンパク質の単量体および二量体を示している可能性がある。

    hfB3−292S−FcをプロテインAカラムで精製した。 精製したhfB3−292S−Fcタンパク質の生物学的活性を、実施例7に記載した溶血活性試験により試験した。 表6に示すように、hfB3−292S−Fcタンパク質は代替補体経路の活性を用量依存性様式で阻害した。

    実施例18. C末端短縮型hfB3−292S

    C末端の284個のアミノ酸(セリンプロテアーゼドメイン)が欠失しているhfB3−292Sの短縮型を発現する遺伝子発現構築物を作製した。 この分子をhfB3−292SN480と命名した。 これは、hfB3−292SのN末端の480個のアミノ酸(配列番号2のアミノ酸1〜480、または分泌ペプチドの切断後は配列番号2のアミノ酸26〜480)からなる。 hfB3−292SN480の発現構築物のDNA配列を、hfB3−292SN480のコード配列であるヌクレオチド1064〜2509とともに配列番号24に示す。 この発現構築物を、実施例3に先に記載したように293 FreeStyle細胞にトランスフェクトし、G418で選択した。 G418耐性非クローン性細胞培養培地について、対照として全長hfB3−292S(左のレーン)を使用して、hfB3−292SN480の発現についてのウェスタンブロット分析を行った。 図11に示すように、hfB3−292Sに特異的なモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロット分析により、hfB3−292SN480細胞株の細胞培養培地からおよそ55KDaの1つのバンドを検出し(右のレーン)、これは、hfB3−292SのC末端から280個のアミノ酸が欠失していてもなお、N末端の480個のアミノ酸が適切な大きさで発現され得ることを示唆している。

    代替補体活性の試験を先に記載したように行って、hfB3−292SN480が代替補体活性を阻害できるかどうかを決定した。 図13に示すように、hfB3−292SN480を発現する細胞由来の細胞培養上清は、容量依存性様式で代替補体活性を阻害した。 これは、hfB3−292Sの断片がなおも補体活性を阻害する能力を保持し得、したがって、hfB3−292S(配列番号2)について本明細書中に記載したものと同様に利用できることを示している。

    実施例19. 単量体hfB3−292S/Fc融合タンパク質hfB3−292S/Fc−mono

    ヒトIgG4 Fcに「融合させた」全長hfB3−292Sをコードする遺伝子発現構築物を操作した。 hfB3−292Sは、先に記載したように、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞中で生産される場合は単量体である。 例えば、hfB3−292Sが非還元条件下でおよそMW 100KDaの1つのバンドとして検出されたことを示し、hfB3−292Sが単量体であることを示唆している実施例6に記載した図3を参照のこと。 ヒトIgG4 Fcのヒンジ領域中の2つのシステインを変異させて、融合タンパク質が単量体であり、補体活性を阻害するhfB3−292Sの生物学的特性を保持することを確実にした。 これらの2つのシステインを、これらをそれぞれセリンで置換することにより変異させた。 hfB3−292Sと変異させたIgG4 Fcとのこの融合タンパク質をhfB3−292S/Fc−monoと命名した。 この融合タンパク質発現構築物のDNA配列を配列番号26に示す。 hfB3 292S/Fc monoの対応するアミノ酸配列を、hfB3−292S領域であるアミノ酸1〜764、およびネイティブのヒトIgG4 Fcにおいて見られるシステイン残基に置き換わったセリンアミノ酸であるアミノ酸782と785を持つヒトIgG4 Fc領域であるアミノ酸765〜1003とともに、配列番号25に示す。

    hfB3−292S/Fc−mono遺伝子発現構築物(配列番号26)をヒト293 FreeStyle細胞にトランスフェクトした。 次に、これらの細胞についてG418選択を行った。 薬剤耐性細胞由来の培養培地を、融合タンパク質についてウェスタンブロット分析した。 図12に示すように、およそ115KDaの1つのバンドがこの非還元SDS−PAGEおよびウェスタンブロット分析において、精製されたヤギ抗ヒトB因子抗体によって検出された。 2つのより大きなバンドは単量体融合タンパク質の凝集物である可能性が最も高い。 データは、hfB3−292SとヒトIgG4 Fcとの単量体融合タンパク質(hfB3−292S/Fc−mono)が哺乳動物細胞中でうまく発現されたこと、そしてこの融合タンパク質の大部分が単量体であると見られることを示唆していた。

    hfB3−292S/Fc−monoが代替補体活性を遮断するhfB3−292Sの特性を保存しているかどうかを試験するために、代替補体活性の試験を先に記載したように行った。 図14に示すように、hfB3−292S/Fc−mono生産細胞由来の細胞培養物上清は代替補体活性を容量依存性様式で阻害し、これはhfB3−292Sの補体阻害活性がこの単量体hfB3−292S/Fc−mono融合タンパク質において失われていないことを示唆している。

    本明細書中で言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々に引用されたことにより本明細書中に組み込まれることが示されているかのように、同じ程度まで本明細書中にそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれる。

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