セリアック病の経口酵素治療のためのメタクリルヒアルロン酸誘導体のヒドロゲル

申请号 JP2016565378 申请日 2015-05-06 公开(公告)号 JP2017514836A 公开(公告)日 2017-06-08
申请人 ネミシス リミテッド; ネミシス リミテッド; 发明人 ジョヴァンナ ピタッレシ; ジョヴァンナ ピタッレシ; ファビオ サルヴァトーレ パルンボ; ファビオ サルヴァトーレ パルンボ; ガターノ ジャンモナ; ガターノ ジャンモナ;
摘要 本発明は、セリアック病の経口処置用のプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)およびエンドプロテアーゼ(EP)からなる群から選択される外来酵素を導入された、官能基化ヒアルロン酸誘導体由来のヒドロゲルを含む組成物に関する。特に、本発明は、ヒアルロン酸のヒドロキシル基に特定の活性基を形成し、その後、挿入した活性基をエチレンジアミンで置換し、最後に、メタクリル酸無 水 物との反応により、ヒアルロン酸のメタクリル酸誘導体を調製するのに有用なワンポット法に関する。得られたメタクリルヒアルロン酸誘導体は、照射によりプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)およびエンドプロテアーゼ(EP)からなる群から選択される外来酵素を導入したヒドロゲルの調製に使用される。調製されたヒドロゲルは、人工胃腸液中で活性型としての酵素放出を可能にする能 力 が証明されている。【選択図】図10
权利要求

プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、エンドプロテアーゼ(EP)およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、光架橋型メタクリルヒアルロン酸誘導体(HA−EDA−MA)ヒドロゲルに包括された少なくとも1つの外来酵素を含む組成物であって、前記ヒアルロン酸誘導体は50,000〜1,500,000ダルトンの分子量のヒアルロン酸(HA)またはその塩を含み、少なくとも1つのヒドロキシル基が、炭酸フェニルエステルまたはギ酸フェニルエステルの間で選択される炭酸化剤で活性化後、エチレンジアミン(EDA)との反応およびその後のメタクリル酸無物(MA)との反応で官能基化されている、組成物。前記酵素は1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度で前記ヒドロゲルに包括される、請求項1に記載の組成物。前記組成物はゲルの形態である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の組成物。前記組成物は凍結乾燥粉末の形態である、請求項1〜2のいずれか一項に記載の組成物。ポリマーの重量に対して0.1〜10%w/wの濃度で少なくとも1つの凍結保護物質をさらに含み;前記凍結保護物質は好ましくはトレハロースである、請求項4に記載の組成物。前記酵素は、PEPである場合、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)(FM)、ミキソコッカス・ザンサス(Myxococcus xanthus)(MX)、スフィンゴモナス・カプスラータ(Sphingomonas capsulata)(SC)もしくはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(AN)またはそれらの組み合わせからなる群から選択される生物に由来し、EPである場合、オオムギエンドプロテアーゼである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。セリアック病の処置に使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を含む経口投与用の医薬製剤。請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物を調製するためのプロセスであって、1%w/v〜20%w/vの濃度の水溶液中にて、180〜800nmの範囲の波長での光照射によってHA−EDA−MA誘導体を光架橋するステップを含み、 前記光架橋は、1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度の少なくとも1つの外来酵素の存在下で行われるか;または 前記光架橋は前記外来酵素の非存在下で行われ、その後前記外来酵素は、得られたヒドロゲルを1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度の外来酵素の溶液と接触させることにより導入され; 前記酵素はプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、エンドプロテアーゼ(EP)およびそれらの組み合わせからなる群から選択され; 前記HA−EDA−MA誘導体は50,000〜1,500,000ダルトンの分子量のヒアルロン酸(HA)またはその塩を含み、 少なくとも1つのヒドロキシル基がエチレンジアミン(EDA)との反応およびその後のメタクリル酸無水物(MA)との反応で官能基化されている、プロセス。以下のステップ: (a)ヒアルロン酸(HA)の少なくとも1つのヒドロキシル基の活性化を得るため、極性非プロトン性溶媒中のHA塩を、炭酸フェニルエステルまたはギ酸フェニルエステルの間で選択される炭酸化剤と接触させるステップであって、前記HAは前記極性非プロトン性有機溶媒に可溶な塩の形態である、ステップ; (b)求核置換によってHA−EDAを得るため、前記ステップ(a)で得られた活性化HA塩をエチレンジアミン(NH2−CH2−CH2−NH2、EDAと表記される)と接触させるステップ; (c)求核置換によってHA−EDA−MAを得るため、前記ステップ(b)で得られたHA−EDAをメタクリル酸無水物(MAと表記される)と接触させるステップ、 によりHA−EDA−MA誘導体を調製するステップを含む、請求項9に記載のプロセス。前記HA−EDA−MA誘導体を調製するステップはすべて続いて同じ容器で行われる、請求項10に記載のプロセス。

说明书全文

本発明は、少なくとも1つの外来酵素を導入したヒアルロン酸誘導体ヒドロゲルを含む医薬組成物であって、前記酵素はプロリルエンドペプチダーゼ(PEP:prolyl endopeptidase)、エンドプロテアーゼ(EP:endoprotease)およびそれらの組み合わせからなる群から選択され;前記組成物はセリアック病の経口処置用である医薬組成物に関する。

セリアック病は、この複雑な炎症性疾患に環境要因が関与している場合でも、やはり遺伝的感受性がある者にグルテンにより引き起こされる小腸病変である。

グルテンは、ヒト胃腸管の酵素にとって好ましい基質でないプロリンおよびグルタミンが多く含まれる、グリアジンとグルテニンとの混合物である。その結果、グルテンは、ヒトにおいて完全には分解されず、最大30〜40アミノ酸の準安定な免疫原性ペプチドが産生される。特に、代表的なグルテンタンパク質α2−グリアジンの配列は、胃内のペプシンにより切断されて大きなペプチドを形成し、これが小腸の管腔内で吸収のため膵臓プロテアーゼおよび腸管刷子縁膜のペプチダーゼにより単一アミノ酸、ジ−およびトリ−ペプチドに消化される。しかしながら、33mer配列は消化を通じて存続して上皮性関門を通過し、選択されたグルタミン残基でトランスグルタミナーゼ2(TG2)により脱アミノ化される。粘膜固有層において、脱アミノ化33merに由来するエピトープは、ヒト白血球抗原(HLA:human leukocyte antigen)DQ2に対して高親和性を示す。抗原提示細胞(APC:antigen−presenting cell)の表面上の脱アミノ化グルテンペプチド−DQ2複合体は、グルテン特異的腸管T細胞から強な炎症反応を惹起し、これが腸管構造の破壊、栄養素の吸収障害、下痢および貧血を引き起こす。

完全なグルテンフリー食により大部分の患者のセリアック病の徴候および症状の回復が可能になり、これまでこの病変の唯一の処置である。言うまでなく、グルテンはヒトの食事に広く含まれているため、この制限はつらい経験であり、多くの場合、生活の質の低下を伴う。さらに、グルテンフリーの食物は非常に高価であり、したがって最適とは言えない味に加えて、経済的理由により患者はためらってしまうことが多い。

残念ながら、自発的かどうかに関わらず、厳格なグルテンフリー食に対する患者のコンプライアンスが不良であると、骨粗鬆症、二次性免疫障害、悪性腫瘍等の罹患率および死亡率の上昇に関連し得る合併症が起こる。

したがって、中でも外来プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)の経口投与を含む、グルテンフリー食の代替治療法が強く求められている。

胃腸管のヒト酵素と異なり、外来PEPは、プロリンリッチなグルテンペプチドを効率的に加分解し、次いで炎症反応を回避することができる。

この目的で、異なる配列および鎖長特異性、ならびに酸性媒体中または消化管プロテアーゼの存在下での安定性を有するフラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meninosepticum)(FM)、ミキソコッカス・ザンサス(Myxococcus xanthus)(MX)、スフィンゴモナス・カプスラータ(Sphingomonas capsulata)(SC)およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(AN)に由来するPEPなど様々なPEPが提案されている(非特許文献1)。

しかしながら、これらの酵素の経口投与では、酵素を変化させることのない製造プロセスと、好ましくは時間をかけて徐々に一定に活性型として有効用量で胃および/または腸管においてそれが放出されることとの両方を許容する適切な製剤を選択することが必要である。

これまでPEPを含む経口製剤は市場にない一方、臨床試験においてはPEP SCとEP−B2(オオムギエンドプロテアーゼ)との、ALV003というブランドの組み合わせなど、ほんの数例が存在する(非特許文献2)。

しかしながら、現在まで検討された経口酵素治療は、>13gになる通常の1日のグルテン摂取の免疫原性エピトープを十分に分解できずに、むしろグルテン感受性の高いまたは難治性1型セリアック病の患者において数百ミリグラムから数グラムのグルテンの有害作用を除去できるか、またはグルテンフリー食の時々の不遵守を許容できるかであるようである。

最後に、これまで提案された経口治療はおそらく、食事性グルテンが意図的にまたは意図せずに摂取されるあらゆる食事と共に、PEPの投与を必要とすると考えられる。

以上のように当該分野では、前の部分の欠点に悩まされない、セリアック病の経口処置に使用される外来PEPの放出の改善が求められている。

したがって、本発明は、胃腸管において活性型の酵素を有効用量で徐々に放出することができ、PEPおよび/またはEP投与を1日1回にすることができる、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)およびエンドプロテアーゼ(EP)からなる群から選択される外来酵素の経口投与用の新規な製剤を提供する目的を有する。

定義および略語 EDA:エチレンジアミン EP:エンドプロテアーゼ HA:ヒアルロン酸 MA:メタクリル酸無水物 HA−EDA−MA:少なくとも1つのヒドロキシル基がエチレンジアミン(EDA)との反応およびその後のメタクリル酸無水物(MA)との反応で官能基化されているヒアルロン酸 PEP:プロリルエンドペプチダーゼ PEP FM:フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meninosepticum)に由来するプロリルエンドペプチダーゼ PEP MX:ミキソコッカス・ザンサスに由来するプロリルエンドペプチダーゼ PEP SC:スフィンゴモナス・カプスラータに由来するプロリルエンドペプチダーゼ PEP AN:アスペルギルス・ニガーに由来するプロリルエンドペプチダーゼ

ベチューン(Bethune)MTおよびコースラ(Khosla)C著、「Oral enzyme therapy for celiac sprue.」メソッズ・イン・エンジモノジー(Methods in Enzymology)、2012年、第502巻、p.241〜271

タイ−ディン(Tye−Din)JA、アンダーソン(Anderson)RP、フレンチ(Ffrench)RA、ブラウン(Brown)GJ、ホドスマン(Hodsman)P、シーゲル(Siegel)M、ボトウィック(Botwick)W、シュリーニワズ(Shreeniwas)R著、「The effects of ALV003 pre−digestion of gluten on immune response and symptoms in celiac disease in vivo.」クリニカルイムノロジー(Clinical Immunology)、2010年、第134巻、p.289〜95

本発明は、プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、エンドプロテアーゼ(EP)およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、光架橋型メタクリルヒアルロン酸誘導体(HA−EDA−MA)ヒドロゲルに包括された、少なくとも1つの外来酵素を含む組成物であって、ヒアルロン酸誘導体は50,000〜1,500,000ダルトンの分子量のヒアルロン酸(HA)またはその塩を含み、好ましくはワンポット合成を用いることにより少なくとも1つのヒドロキシル基が、炭酸フェニルエステルまたはギ酸フェニルエステルの間で選択される炭酸化剤で活性化後、エチレンジアミン(EDA)との反応およびその後のメタクリル酸無水物(MA)との反応で官能基化されている組成物を提供する。

得られた組成物は、ゲルまたは凍結乾燥粉末として調製される。

ヒドロゲルに包括された酵素は驚くべきことに、凍結乾燥プロセス中の分解から保護され、したがって凍結乾燥された粉末形態としての本発明の組成物の製造、および安定な長期保管期間を可能にした。

本発明による組成物は、グリアジンペプチドを解毒できる活性型としての外来酵素の人工胃腸液における持続的な放出を可能にする。したがって本発明による組成物はセリアック病の処置に使用するのに好適であり、セリアック病患者のグリアジンペプチドを解毒できる活性型としての酵素(PEP、EPまたはそれらの組み合わせ)の経口投与および持続放出のため、腸溶コーティングを用いてまたは用いずに顆粒、カプセルまたは錠剤のような従来の経口剤形を調製するのに使用してもよい。したがって本発明の主題はまた、本発明による組成物と、セリアック病の処置に使用される少なくとももう1つの薬学的に許容される成分とを含む経口医薬製剤である。

出発ポリマー、すなわちヒアルロン酸の粘膜付着特性により、胃腸管の粘膜への接着と、その結果として、グリアジンペプチドを解毒しなければならない部位での酵素(PEP、EPまたはそれらの組み合わせ)を導入した製剤の耐久時間を長くすることとが可能になり得る。

本発明のさらなる目的は、メタクリルヒアルロン酸誘導体を調製するためのプロセスであって、ヒアルロン酸のヒドロキシル基がエチレンジアミン、次いでメタクリル酸無水物で官能基化され、前記プロセスがワンポットプロセスであるプロセスである。

HA−EDA−MA誘導体の1H−NMRスペクトルを示す。

HA−EDA−MA溶液の光照射に使用されるパイレックス(登録商標)管−ピストン系のスキームを示す。

4℃で5日まで保存後に酵素で処理した基質溶液(Z−Gly−Pro−pNA)の380nmの吸光度(ABS:absorbance)指標で表したリン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの安定性を示す。

366nmで様々な時間照射後に酵素で処理した基質溶液(Z−Gly−Pro−pNA)の380nmの吸光度(ABS)指標で表したPEP FM活性を示す。

その調製直後(a)および4℃で10日間保存後(b)に解析したHA−EDA−MAゲルから放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

その調製直後(a)、4℃で10日間保存後(b)および−20℃で10日間保存後(c)に解析したHA−EDA−MA凍結乾燥粉末から放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

その調製直後(a)、4℃で10日間保存後(b)および−20℃で10日間保存後(c)に解析した、1.5w/wのトレハロースの存在下でのHA−EDA−MA凍結乾燥粉末から放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

その調製直後(a)、4℃で10日間保存後(b)および−20℃で10日間保存後(c)に解析した、3%w/wのトレハロースの存在下でのHA−EDA−MA凍結乾燥粉末から放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

4℃で10日間(a)、1ヶ月(b)および2ヶ月(c)保存後に解析した、3%w/wのトレハロースの存在下でHA−EDA−MA凍結乾燥粉末から放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

−20℃で10日間(a)、1ヶ月(b)および2ヶ月(c)保存後に解析した、3%w/wのトレハロースの存在下でのHA−EDA−MA凍結乾燥粉末から放出されたPEP FMを示す。放出試験は、人工腸液、pH7.2中で0〜24時間行った。

本発明によるHA−EDA−MA誘導体は、ヒアルロン酸の少なくとも1つのヒドロキシル基から全ヒドロキシル基の間でEDAおよびMAの官能基度を示す。

HA−EDA−MA誘導体は、1%w/v〜20%w/vの濃度の水溶液中、180〜800nmの範囲の波長での光照射によって、1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度の少なくとも1つの外来酵素、好ましくはPEPの存在下で光架橋することができる。

HA−EDA−MA誘導体は、1%w/v〜20%w/vの濃度で180〜800nmの範囲の波長での光照射によって光架橋し、次いで得られたヒドロゲルを、1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度の少なくとも1つの外来酵素、好ましくはPEPの溶液と接触させることにより導入することができる。

HA−EDA−MA誘導体は、外来酵素、好ましくはプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)の存在下で好ましくは366nm波長のUV照射によって水性媒体中で光架橋することができる。

本発明による組成物において、酵素は、単一の生物に由来するPEPでもまたはEPでもよいし、あるいは酵素は、異なる微生物に由来するPEPおよび/もしくはEPの組み合わせであっても、またはバイオテクノロジー法によって製造してもよい。本発明によれば、当該技術分野において公知の任意のPEPまたはEPおよびそれらの組み合わせが、ヒドロゲルに包括するのに好適である。

PEPはまた、ベチューンら著、メソッズ・イン・エンジモノジー、2012年、第502巻、p.241〜271およびその中の注記に記載されているように、大腸菌(E.coli)を用いた組換え技術により調製してもよい。

本発明によれば、好ましくはPEPは、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)(FM)、ミキソコッカス・ザンサス(MX)、スフィンゴモナス・カプスラータ(SC)またはアスペルギルス・ニガー(AN)からなる群から選択される微生物に由来する。

本発明によれば、好ましくはEPはオオムギEPであり、特に好ましいのはEP−B2である。

好ましくは、本発明によれば、前記酵素は、1mU/mg〜100U/mgのポリマー濃度でゲル形態のヒドロゲルに包括される。

酵素を導入したHA−EDA−MAヒドロゲルは、ゲルとして製造してもよい。

酵素を導入したHA−EDA−MAヒドロゲルは、凍結乾燥粉末として製造してもよい。

凍結乾燥は、ポリマーの重量に対して0.1〜10%w/wの濃度の凍結保護物質の非存在下または存在下の両方で行うことができる。前記凍結保護物質は好ましくはトレハロースである。

本発明によるPEP(特にPEP FM)を導入したHA−EDA−MAヒドロゲルは、様々な時間(調製から6ヶ月まで)および様々な温度(−20〜37℃)でのその保存後に、人工胃腸液中のPEPの放出アッセイで試験されている。

以前の特許(ジャムモーナ(Giammona),G.、パランボ(Palumbo),F.S.、ピタレジ(Pitarresi).G.、ヒアルロン酸官能基化誘導体を製造するための方法およびそのヒドロゲルの形成(Method to produce hyaluronic acid functionalized derivatives and formation of hydrogels thereof)。国際公開第2010/061005A1号)では、HA−EDA−MAの合成が報告されているが、HA−EDA誘導体を最初に製造し、それを単離および精製後にMAとのさらなる反応に利用することを含み、したがってツーポット合成が報告されている。

これに対して本発明では、HA−EDA誘導体を単離することなくHA−EDA−MA誘導体の直接製造を可能にするワンポット合成が特許請求されている。

次いで、メタクリルヒアルロン酸誘導体の製造のための、好ましくはワンポットである手順であって、以下の: (a)HAの少なくとも1つのヒドロキシル基の活性化を得るため、極性非プロトン性溶媒中のヒアルロン酸(HA)塩を、炭酸フェニルエステルまたはギ酸フェニルエステルの間で選択される炭酸化剤と接触させるステップであって、前記HAは、前記極性非プロトン性有機溶媒に可溶な塩の形態であるステップ; (b)求核置換によってHA−EDAを得るため、ステップ(a)で得られた活性化HA塩をエチレンジアミン(NH2−CH2−CH2−NH2、EDAと表記される)と接触させるステップ; (c)求核置換によってHA−EDA−MAを得るため、ステップ(b)で得られたHA−EDAをメタクリル酸無水物(MAと表記される)と接触させるステップ; を含み、 好ましくは上記のすべてのステップは同じ容器で行われる 手順は、本発明のさらなる主題である。

有機溶媒に可溶なヒアルロン酸塩は、好ましくはテトラブチルアンモニウム塩(TBAと表記される)またはセチルトリメチルアンモニウム塩(CTAと表記される)との間で選択される。

官能基化反応に利用される極性非プロトン性有機溶媒は、好ましくはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびそれらの混合物の間で選択される。

ステップ(a)に利用される炭酸化剤は、好ましくはビス(4−ニトロフェニルカーボネート)(カルボニルフェニルエステル)および/またはクロロニトロフェニルカーボネートであってもよい。

ステップ(c)は、好ましくはジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジンおよびそれらの混合物の間で選択される触媒の存在下で行われる。

すべてのステップは、好ましくは5〜60℃の温度で行われる。

HAに結合したEDA基およびMA基の官能基度は、HAの1つのみのヒドロキシル基から全ヒドロキシル基にわたってもよく、上述のプロセスに使用される炭酸化(carbonilating)剤の量に(正比例して)依存する。好ましくは官能基度は、5〜95%、一層好ましくは20〜80%にわたる。

さらなる態様によれば、本発明は、上述のようなプロセスから得られる50,000〜1,500,000ダルトンの範囲の分子量を有するHA−EDA−MA誘導体を扱う。

以下に、上述のプロセスに供したときHAヒドロキシル基に起こる官能基化(共有結合)の種類の単なる代表例を意図しているHA−EDA−MAの構造式を示す。

以下に報告した構造は、官能基化度の代表例を意図するものではなく、官能基化度はむしろ、上記のように、上記のプロセスに使用した反応性炭酸化(carbonilating)剤の量に正比例する。

具体的には、HA−EDA−MA誘導体の官能基化の種類は、出発ヒアルロン酸の2つの連続した二糖単位を記載する以下の構造で表すことができ、少なくとも1つのヒドロキシル基が官能基化されている。

さらなる態様によれば、本発明は、光架橋手順を利用して上述の生成物、すなわちHA−EDA−MA誘導体から得られる架橋したヒドロゲルであって、水溶液または有機溶液中の前述した官能基化誘導体の濃度が1%w/v〜20%w/vであるヒドロゲルを扱う。好ましくはヒドロゲルは、5分から10時間の照射時間で、ラジカル光開始剤を用いてまたは用いずに180〜800nmの波長にて照射することにより得られる。

こうしたヒドロゲルは、γ線、マイクロ波照射または他の電離放射線によっても得ることができる。

こうした光架橋は、単官能および多官能両方の、アクリル酸およびメタクリル酸モノマー、ポリエチレングリコールメタクリレートおよびアクリレートのような適切な添加剤の存在下でも、または可塑性、硬度、親水性および親油性の特徴を変化または向上させるのに利用される他の添加剤の存在下でも起こり得る。

さらなる態様によれば、本発明は、光照射により得られ、照射プロセス中および/またはその後1mU/mg〜100U/mgのポリマーの酵素濃度を有する外来プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)を導入する、HA−EDA−MAのヒドロゲルの製造を扱う。

特定の態様によれば、本発明は、1mU/mg〜100U/mgのポリマーの酵素濃度を有する外来プロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、好ましくはフラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)(FM)に由来するPEPの存在下、好ましくは366nmにて10分間水性媒体中で光架橋されるHA−EDA−MA誘導体の製造を扱う。

PEPを導入したHA−EDA−MAヒドロゲルは、ポリマーの重量に対して0.1〜10%w/wの濃度の凍結保護物質の非存在下または存在下でゲルまたは凍結乾燥粉末の両方として製造される。

得られたPEPを導入したヒドロゲルは、その製造直後と、様々な時間(調製から6ヶ月まで)および様々な温度(−20〜37℃)でのその保存後との両方の、人工胃腸液中での放出実験に使用した。

実験結果から、以下: ・ リン酸塩緩衝溶液pH7.2に単独で溶解させたPEP FMは、低温、たとえば4℃で保存しても経時的にその活性を徐々に失う。 ・ リン酸塩緩衝溶液pH7.2に単独で溶解させたPEP FMは、凍結保護物質の存在下でも溶液の凍結乾燥後、完全にその活性を失う; ・ リン酸塩緩衝溶液pH7.2に単独で溶解させ、366nmで10分間光照射したPEP FMは、光照射の間にその活性を維持するが、溶液の凍結乾燥後、凍結保護物質の存在下でも完全にその活性を失う; ・ HA−EDA−MA誘導体の存在下でリン酸塩緩衝溶液pH7.2に溶解させ、366nmで10分間光照射したPEP FMは、凍結保護物質の非存在下および存在下の両方で凍結乾燥後もその活性を維持する; ・ 光照射の間にPEP FMを導入し、ゲルとして回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、それらの調製直後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約70%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができる。HA−EDA−MAゲルに残存するPEP FMの量は、完全にその活性を維持する。 ・ 光照射の間にPEP FMを導入し、ゲルとして回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、4℃で10日間保存後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約60%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができ、活性の消失が起きるのはごく一部である(約20%)。 ・ 凍結保護物質の非存在下で光照射の間にPEP FMを導入し、凍結乾燥粉末として回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、それらの調製直後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約70%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができる。HA−EDA−MAヒドロゲルに残存するPEP FMの量は、完全にその活性を維持する。 ・ 凍結保護物質の非存在下で光照射の間にPEP FMを導入し、凍結乾燥粉末として回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、4℃または−20℃で10日間保存後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約50%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができ、活性の消失が起きるのはごく一部である(約30%)。これは、凍結乾燥後にPEP FMは、単独すなわちHA−EDA−MAヒドロゲルの非存在下で完全にその活性を失うため、非常に良好な結果である。 ・ ポリマーの重量に対して1.5%w/wのトレハロース(凍結保護物質の例として)の存在下で光照射の間にPEP FMを導入し、凍結乾燥粉末として回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、それらの調製直後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約60%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができる。HA−EDA−MAヒドロゲルに残存するPEP FMの量は、完全にその活性を維持する。 これらのサンプルは4℃で10日間保存される場合、人工腸液pH7.2中で24時間まで活性型として約50%のPEP FMをなお持続的に放出することができ、活性の消失が起きるのはごく一部である(約30%)。 これらのサンプルは−20℃で10日間保存される場合、人工腸液pH7.2中で24時間まで活性型として約50%のPEP FMをなお持続的に放出することができ、PEP FMは完全にその活性を維持する。 ・ ポリマーの重量に対して3%w/wのトレハロース(凍結保護物質の例として)の存在下で光照射の間にPEP FMを導入し、凍結乾燥粉末として回収したHA−EDA−MAのヒドロゲルは、それらの調製直後に解析した場合、人工腸液pH7.2中で約50%の酵素を24時間まで活性型として持続的に放出することができる。HA−EDA−MAヒドロゲルに残存するPEP FMの量は、完全にその活性を維持する。 これらのサンプルは4℃または−20℃で1および2ヶ月保存される場合、人工腸液pH7.2中で24時間まで活性型として約50%のPEP FMをなお持続的に放出することができ、PEP FMは完全にその活性を維持することが立証される。

したがって、上記の結果によれば、PEP FMおよび適切な濃度の凍結保護剤の存在下でHA−EDA−MAヒドロゲルの光照射により調製された本発明による組成物は、酵素活性を凍結乾燥プロセスから完全に保護することができる。

凍結乾燥粉末として回収されたHA−EDA−MAヒドロゲルに導入されたPEP FMは、様々な時間および温度での保存中に完全にその活性を維持し、人工腸液pH7.2中で24時間まで活性型としてHA−EDA−MAヒドロゲルから放出される。

PEP FMの導入に利用したのと同じアプローチに従い、本発明は、ミキソコッカス・ザンサス(MX)由来のPEP、スフィンゴモナス・カプスラータ(SC)由来のPEPまたはアスペルギルス・ニガー(AN)由来のPEPのようなプロリルエンドペプチダーゼ(PEP)、およびエンドプロテアーゼ(EP)からなる群から選択される他の外来酵素を導入したHA−EDA−MAヒドロゲルを、すべて単独で、またはPEP FMと組み合わせて、もしくはそれらの間で組み合わせてもしくは他の酵素と組み合わせて利用して扱う。

結論としてHA−EDA−MAヒドロゲルは、 − 導入した酵素を凍結乾燥プロセスから保護することができる; − 導入した酵素を、凍結保護物質の存在下で全体として、凍結乾燥粉末の保存中の変化から保護することができる; − 人工胃液(酸活性酵素の場合)および人工腸液(すべての酵素の場合)において活性型としての酵素の持続的な放出を可能にすることができる、 − セリアック病患者のグリアジンペプチドを解毒できる活性型としての酵素の経口投与および放出のため、腸溶コーティングを用いてまたは用いずに顆粒、カプセルおよび錠剤のような従来の経口剤形を調製するのに使用することができる。

本発明について以下の例によってさらに説明する。以下の例は、本発明の理解を促進することを意図するものであり、本明細書に説明され特許請求された本発明を特に限定するものと解釈されることを意図するものではない。

実施例1 ワンポット合成によるHA−EDA−MA誘導体の調製 水酸化テトラブチルアンモニウム溶液を用いてヒアルロン酸溶液の中和により調製したヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)1gを、90mlの無水ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させた(ヒアルロン酸の重量平均分子量260kDa)。

4−NPBC/HA−TBAの繰り返し単位のモル比を0.5と等しくなるように選択した好適な量のビス(4−ニトロフェニル)カーボネート(4−NPBC)を、10mlの無水DMSOに溶解させた。この溶液を40℃で撹拌下、HA−TBA溶液に一滴ずつ加えた。4時間後、175μlのエチレンジアミン(EDA)を一滴ずつ加え、この溶液を40℃でさらに3時間放置した。

HA−TBA−EDAのアミノ基のモル数と比較して8倍モル過剰になるよう適切な量(900μl)のメタクリル酸無水物(MA)を加え、次いで105μlの触媒トリエチルアミン(TEA)を加え、最終溶液を40℃で24時間放置した。

反応のワークアップは最初に10mlのNaCl飽和溶液を加えることにより達成し、この混合物を室温で撹拌下30分放置した。次いで、反応液をエタノールに沈殿させ、生成物を、反応中間体およびNaClを含まない生成物が得られるまでエタノール/再蒸留水(9:1)の溶液で数回洗浄した。得られた固体はHA−EDA−MA誘導体と命名した。スキーム1は、HA−EDA−MA誘導体を調製するのに使用したワンポット手順を示す。

スキーム1.ワンポット手順によりHA−EDA−MA誘導体を得るため、エチレンジアミン(EDA)およびメタクリル酸無水物(MA)を用いた、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA−TBA)の官能基化反応

HA−EDA−MA誘導体について1H−NMRによるキャラクタリゼーションを行ったところ(図1を参照)、以下のピークを示した(D2O):δ 1.9(s,−CO−CH=CH−CH3);δ 2.0(s,−NH−CO−CH3);δ 5.5および5.7(m,−CO−CH=CH−CH3)。

官能基度は、メタクリル基のビニルプロトンに帰属するピークδ5.5および5.7の面積を、HA反復単位のN−アセチルグルコサミン部分のメチル基に帰属するδ1.9の面積と比較することにより評価した。HA−EDAの反復単位に結合したメタクリル基の官能基度は50%mol/molになり、EDAのフリーなアミノ基に帰属するピークは、すなわちδ3.1(m,CO−NH−CH2−CH2−NH2)で存在しておらず、したがってすべてのアミノ基は、メタクリル酸無水物で誘導体化されていた。

実施例2 HA−EDA−MA誘導体の光架橋 実施例1に従い得られた30mgのHA−EDA−MA誘導体を、6%w/vに等しい最終濃度を有すべく、500μlの0.05Mリン酸塩緩衝溶液pH7.2に室温で溶解させ、真空下で脱気した。次いで、この溶液をパイレックス(登録商標)管に入れ、Rayonet photoreactor UVを用いて366nmの波長で10分間照射した(図2を参照)。この後、得られたヒドロゲルをゲルとして回収するか、または凍結乾燥して粉末を得た。

実施例3 PEP FM活性の評価 フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meninosepticum)(FM)に由来するPEPの活性を、当該酵素がその特異的基質、すなわちカルボベンゾキシ−Gly−Pro−p−ニトロアニリド(Z−Gly−Prp−pNA)と反応する比色アッセイにより測定した。

具体的には、40%ジオキサン中の0.25mlの2mM Z−Gly−Pro−pNAを、1.0mlの0.1M リン酸塩緩衝溶液pH7.2と混合し、この溶液を30℃で5分間プレインキュベートした。この後、0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.1mlの酵素を加え、30℃で10分間インキュベーション後、2.0mlのトリトン−X100溶液(10gのトリトン−X100/95mlの1M 酢酸塩緩衝液、pH4.0)の添加により反応を止めた。

得られた生成物の吸光度を380nmで測定した。

酵素活性の1単位は、Z−Gly−Pro−pNAから30℃、pH7.2で1分につき1μmolのp−ニトロアニリンを生成する酵素活性と定義される。

実施例4 リン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの、時間の関数としての安定性 0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.2U/mlのPEP FMのアリコート(1.0ml)を調製し、その経時的な安定性を評価するため5日間まで4℃で冷蔵庫に保管した。1日後、2日後、3日後、4日後および5日後、酵素の活性を、実施例3で報告したように比色アッセイにより評価した。各実験は3回ずつ行った。結果を図3に示す。

実施例5 リン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの凍結乾燥およびその活性の評価 トレハロース(7.5μg/mlまたは15μg/ml)の非存在下または存在下、0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.2U/mlのPEP FM1mlを凍結乾燥した。次いで酵素の活性を実施例3で報告したように比色アッセイにより評価した。各実験は3回ずつ行った。すべての場合において、活性は認められなかった。

実施例6 リン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの光照射およびその活性の評価 0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.2U/mlのPEP FM1mlを、366nmに等しい波長で様々な時間(1〜20分)光照射した。

各照射時間後、酵素の活性を実施例3で報告したように比色アッセイにより評価した。

非照射酵素溶液の活性アッセイも行い、陽性対照として使用した。各実験は3回ずつ行った。結果を図4に示す。

実施例7 リン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの光照射後の凍結乾燥およびその活性の評価 0.05M リン酸塩緩衝溶液(PBS)pH7.2中の0.2U/mlのPEP FM1mlを、366nmに等しい波長で10分間光照射した。

照射溶液を凍結乾燥させ、酵素の活性を実施例3で報告したように比色アッセイにより評価した。

実験は3回ずつ行い、すべての場合において活性は認められなかった。

実施例8 トレハロースの存在下でのリン酸塩緩衝溶液pH7.2中のPEP FMの光照射後の凍結乾燥およびその活性の評価 0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.2U/mlのPEP FM200μlを、0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の15μg/mlのトレハロース800μlと混合した。この溶液を366nmに等しい波長で10分間光照射した。

照射溶液を凍結乾燥させ、酵素の活性を実施例3で報告したように比色アッセイにより評価した。

実験は3回ずつ行い、すべての場合において活性は認められなかった。

実施例9 PEP FMを導入したHA−EDA−MAゲルの調製 30mgのHA−EDA−MA誘導体を、400μlの0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2に溶解させた。この溶液を真空下で脱気し、次いで0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.4U/mgのPEP FM100μlを加えた。ここにおいて最終ポリマー濃度は、6%w/vに等しかった。この溶液を366nmに等しい波長で10分間光照射した。

得られたPEP FMを導入したHA−EDA−MAゲルをその調製直後または4℃で10日間保存後に解析した。

各実験は3回ずつ行った。

実施例10 PEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルの調製 0.4U/mgのポリマーのPEP FMを導入したHA−EDA−MAヒドロゲルを、実施例9で報告したように調製した。

光照射後、得られたヒドロゲルを凍結乾燥させ、次いでその調製直後または4℃もしくは−20℃で10日間保存後に解析した。

各実験は3回ずつ行った。

実施例11 1.5%w/wのトレハロースの存在下でPEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルの調製 30mgのHA−EDA−MA誘導体を、350μlの0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2と、0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の4.5mg/mlのトレハロース100μlとの混合物に溶解させた。この溶液を真空下で脱気し、次いで0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.4U/mgのPEP FM50μlを加えた。この溶液を366nmに等しい波長で10分間光照射した。

光照射後、得られたヒドロゲルを凍結乾燥させ、次いでその調製直後または4℃もしくは−20℃で10日間保存後に解析した。

各実験は3回ずつ行った。

実施例12 3%w/wのトレハロースの存在下でPEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルの調製 30mgのHA−EDA−MA誘導体を、350μlの0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2と、0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の9mg/mlのトレハロース100μlとの混合物に溶解させた。この溶液を真空下で脱気し、次いで0.05M リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の0.4U/mgのPEP FM50μlを加えた。この溶液を366nmに等しい波長で10分間光照射した。

光照射後、得られたヒドロゲルを凍結乾燥させ、次いでその調製直後または4℃もしくは−20℃で10日間、1ヶ月もしくは2ヶ月保存後に解析した。

各実験は3回ずつ行った。

実施例13 人工腸液pH7.2中の実施例9のサンプルからの放出試験 PEP FMを導入したHA−EDA−MAゲルのアリコート(15mg)を、10mlの人工腸液pH7.2を含むバイアルに24時間入れた(100rpm、37℃)。所定の時間間隔で、0.15mlの放出媒体を採取し、アッセイにより解析して実施例3に記載されているように酵素活性を判定した。等量の新鮮な媒体を加え、シンク条件を、実験を通して維持した。酵素の量は、検量線(y=1,5836×+0,0537、r2=0.9981)を用いて判定した。

各実験は3回ずつ行った。

24時間後にHA−EDA−MAゲルに残存する酵素量の判定は、酵素活性判定のためのアッセイを用いて行ったが、この場合基質Z−Gly−Pro−pNAをゲルと直接接触させて加えた。

具体的には、放出試験に使用した15mgのゲルを、0.5mlの人工腸液pH7.2および4.0mlの0.1M リン酸塩緩衝溶液pH7.2と共に加え、次いでこのサンプルを100rpm、37℃で24時間インキュベートした。この後、40%ジオキサン中の1.25mlの2mM Z−Gly−Pro−pNAを1.0mlの0.1M リン酸塩緩衝溶液pH7.2と混合し、得られた溶液を30℃で5分間プレインキュベートし、次いでこの溶液をゲルに加え、30℃で10分間インキュベーション後、20mlのトリトン−X100溶液(10gのトリトン−X100/95mlの1M 酢酸塩緩衝液、pH4.0)の添加により反応を止めた。

得られた生成物の吸光度を380nmで測定した。

各実験は3回ずつ行った。放出実験の結果を図5に示す。

実施例14 人工腸液pH7.2中の実施例10のサンプルからの放出試験 凍結保護物質の非存在下でPEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルからのPEP FM(実施例10)の放出試験を、実施例13に記載されているように行った。放出実験の結果を図6に示す。

実施例15 人工腸液pH7.2中の実施例11のサンプルからの放出試験 トレハロース(1.5%w/w)の存在下でPEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルからのPEP FM(実施例11)の放出試験を実施例13に記載されているように行った。放出実験の結果を図7に示す。

実施例16 リン酸塩緩衝溶液pH7.2中の実施例12のサンプルからの放出試験 トレハロース(3%w/w)の存在下でPEP FMを導入した凍結乾燥粉末としてのHA−EDA−MAヒドロゲルからのPEP FM(実施例12)の放出試験を実施例13に記載されているように行った。放出実験の結果を図8、9および10に示す。

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