Vehicle controller

阅读:111发布:2024-02-25

专利汇可以提供Vehicle controller专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To further improve the controllability in vehicle control using yaw rates by improving the judging accuracy for zero-point drift in yaw rate sensors.
SOLUTION: When a vehicle is in a halt condition (S60 and S70), the amount γ10 and γ20 of zero-point drift in first and second yaw-rate sensors are set for first and second yaw rates for this time period, respectively (S80 and S90). When the vehicle is in a running condition (S60), drift determination on the yaw-rate sensors is performed for the running vehicle based on a difference between a low-frequency component γ1L of the first yaw rate γ1 and a low-frequency component γ2L of the second yaw rate γ2 (S100 to S120). When any zero-point drift is not produced in either of the two yaw-rate sensors, the controlled variable for suppressing spin is made larger and the spin suppressing control is started earlier and implemented more effectively than in cases where slight drift is produced (S230 to S310).
COPYRIGHT: (C)2002,JPO,下面是Vehicle controller专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】車輌のヨーレートを検出するヨーレートセンサの検出値を使用して車輌制御を行う車輌制御装置にして、第一及び第二のヨーレートセンサと、前記第一及び第二のヨーレートセンサの出力よりそれぞれ第一及び第二の低周波成分を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記第一及び第二の低周波成分の偏差に基づき前記第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき前記車輌制御の内容を変更する変更手段とを有することを特徴とする車輌制御装置。
  • 【請求項2】前記変更手段は前記偏差の大きさが小さいときには前記偏差の大きさが大きいときに比して前記車輌制御の開始閾値を低く設定することを特徴とする請求項1に記載の車輌制御装置。
  • 【請求項3】前記車輌制御の制御量は大きさが所定の補正量にて低減補正された前記第一及び第二のヨーレートセンサの検出値を使用して演算され、前記車輌制御は前記制御量が基準値以上であるときに実行され、前記変更手段は前記偏差の大きさが小さいときには前記偏差の大きさが大きいときに比して前記補正量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車輌制御装置。
  • 【請求項4】前記判定手段は前記偏差の大きさが異常判定基準値よりも大きいときには前記第一及び第二のヨーレートセンサが異常な零点ドリフト状態にあると判定することを特徴とする請求項1に記載の車輌制御装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車輌の制御装置に係り、更に詳細には車輌のヨーレートを検出するヨーレートセンサの検出値を使用して車輌制御を行う車輌制御装置に係る。

    【0002】

    【従来の技術】自動車等の車輌の制御に使用されるヨーレートセンサに於いては、車輌のヨーレートが零であることを示すヨーレートセンサの零点が本来の零点よりずれる零点ドリフトが生じることがあり、この零点ドリフトの量はヨーレートセンサの温度の変化に応じて変化することが判っている。

    【0003】そのため例えば本願出願人の出願にかかる特開平11−51668号公報には、車輌モデルに基づいて第一の車輌推定ヨーレートを算出する第一のヨーレート推定手段と、左右の車輪速度に基づいて第二の車輌推定ヨーレートを算出する第二のヨーレート推定手段と、ヨーレートセンサにより検出された検出ヨーレートと、第一及び第二の車輌推定ヨーレートとに基づいてヨーレートセンサの零点を補正する手段とを有する零点補正装置が提案されている。

    【0004】この種の零点補正装置によれば、例えば第一及び第二の車輌推定ヨーレートの差の絶対値が所定値よりも大きいときにはヨーレートセンサの零点ドリフトの補正を禁止することにより、かかる処理が行われない場合に比して路面の状態等に拘らずヨーレートセンサの零点を正確に補正することができる。

    【0005】

    【発明が解決しようとする課題】車輌のヨーレートを検出するヨーレートセンサの検出値を使用して車輌制御を行う車輌制御装置に於いては、上述の如き従来のヨーレートセンサの零点補正装置の如く検出ヨーレートと推定ヨーレートとに基づき零点補正や零点ドリフトの判定を行うのではなく、二つのヨーレートセンサを使用することによって車輌制御の制御性を向上させると共に、二つのヨーレートセンサの出を比較することにより零点ドリフトを判定することが考えられる。

    【0006】しかし車輌の走行に伴って車輌の実際のヨーレートが比較的大きく急激に変動するような状況に於いて、二つのヨーレートセンサの出力はそれらのゲイン誤差等に起因して同一には変化せず、一時的に互いに異なる値になることがあるため、二つのヨーレートセンサの出力をただ単に比較する場合には、ヨーレートセンサのゲイン誤差等に起因する出力の不一致を考慮した緩めの判定閾値を設定せざるを得ず、そのためヨーレートセンサの零点ドリフトの判定精度を高くすることができない。

    【0007】本発明は、二つのヨーレートセンサの出力の比較に基づき零点ドリフトを判定する場合に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、二つのヨーレートセンサの出力の比較に基づき零点ドリフトを判定するに当りヨーレートセンサのゲイン誤差等に起因する誤判定要因を排除することにより、ヨーレートセンサの零点ドリフトの判定精度を向上させ、これにより車輌制御の制御性を更に一層向上させることである。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】上述の主要な課題は、本発明によれば、請求項1の構成、即ち車輌のヨーレートを検出するヨーレートセンサの検出値を使用して車輌制御を行う車輌制御装置にして、第一及び第二のヨーレートセンサと、前記第一及び第二のヨーレートセンサの出力よりそれぞれ第一及び第二の低周波成分を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記第一及び第二の低周波成分の偏差に基づき前記第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト状態を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき前記車輌制御の内容を変更する変更手段とを有することを特徴とする車輌制御装置によって達成される。

    【0009】上記請求項1の構成によれば、第一及び第二のヨーレートセンサの出力よりそれぞれ第一及び第二の低周波成分が抽出され、かくしてヨーレートセンサのゲイン誤差等に起因する誤判定要因が排除された第一及び第二の低周波成分の偏差に基づき第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト状態が判定され、その判定結果に基づき車輌制御の内容が変更されるので、車輌の走行に伴い車輌の実際のヨーレートが比較的大きく急激に変動するような状況に於いても、ヨーレートセンサのゲイン誤差等の影響を排除して零点ドリフトを判定することが可能になり、これによりヨーレートセンサの零点ドリフトの判定精度が向上し、また正確な判定結果に基づき車輌制御の内容が変更されることにより、車輌制御の制御性が更に一層向上する。

    【0010】また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記変更手段は前記偏差の大きさが小さいときには前記偏差の大きさが大きいときに比して前記車輌制御の開始閾値を低く設定するよう構成される(請求項2の構成)。

    【0011】請求項2の構成によれば、第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさが小さいときには偏差の大きさが大きいときに比して車輌制御の開始閾値が低く設定されるので、零点ドリフトの量が小さく第一及び第二のヨーレートセンサにより正確に車輌のヨーレートが検出されるときには、車輌制御が早く開始されると共に正確なヨーレートに基づいて車輌制御が実行され、これにより車輌制御の制御性が向上され、逆に零点ドリフトの量が大きく車輌のヨーレートが第一及び第二のヨーレートセンサにより正確に検出されないときには、車輌制御の開始が遅くされることにより不正確なヨーレートに基づいて不適切な車輌制御が実行される虞れが低減される。

    【0012】また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記車輌制御の制御量は大きさが所定の補正量にて低減補正された前記第一及び第二のヨーレートセンサの検出値を使用して演算され、前記車輌制御は前記制御量が基準値以上であるときに実行され、前記変更手段は前記偏差の大きさが小さいときには前記偏差の大きさが大きいときに比して前記補正量を小さくするよう構成される(請求項3の構成)。

    【0013】請求項3の構成によれば、車輌制御の制御量は大きさが所定の補正量にて低減補正された第一及び第二のヨーレートセンサの検出値を使用して演算され、
    車輌制御は制御量が基準値以上であるときに実行され、
    第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさが小さいときには偏差の大きさが大きいときに比して補正量が小さくされるので、零点ドリフトの量が小さいときには零点ドリフトの量が大きいときに比して車輌制御の制御量が大きくなり、結果的に車輌制御の開始が早くなると共に車輌制御が効果的に実行されることにより、車輌制御の制御性が向上し、逆に零点ドリフトの量が大きいときには零点ドリフトの量が小さいときに比して車輌制御の制御量が小さくなり、結果的に車輌制御の開始が遅くされると共に車輌制御の効果が低減されることにより、不正確なヨーレートに基き行われる不適切な車輌制御による悪影響が低減される。

    【0014】また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1の構成に於いて、前記判定手段は前記偏差の大きさが異常判定基準値よりも大きいときには前記第一及び第二のヨーレートセンサが異常な零点ドリフト状態にあると判定するよう構成される(請求項4の構成)。

    【0015】請求項4の構成によれば、偏差の大きさが異常判定基準値よりも大きいときには第一及び第二のヨーレートセンサが異常な零点ドリフト状態にあると判定されるので、第一及び第二のヨーレートセンサの異常を判定することが可能になると共に、ヨーレートセンサの検出値を使用して行われる車輌制御の禁止の如く、変更手段によりヨーレートセンサの異常に応じた車輌制御の内容の変更を行うことが可能になる。

    【0016】

    【課題解決手段の好ましい態様】本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、判定手段は車輌の走行中には第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさに基づき第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフトを判定するが、車輌が停止状態にあるときには第一及び第二のヨーレートセンサの偏差の大きさに基づき第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフトを判定するよう構成される(好ましい態様1)。

    【0017】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様1の構成に於いて、抽出手段は車輌が停止状態にあるときの第一及び第二のヨーレートセンサの出力をそれぞれ第一及び第二の零点ドリフト量として取得し、第一及び第二のヨーレートセンサの出力よりそれぞれ第一及び第二の零点ドリフト量を減算し、減算後の第一及び第二のヨーレートセンサの出力よりそれぞれ第一及び第二の低周波成分を抽出するよう構成される(好ましい態様2)。

    【0018】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、判定手段は第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさがドリフト判定基準値を越えているか否かの判定により第一及び第二のヨーレートセンサに零点ドリフトが生じているか否かを判定するよう構成される(好ましい態様3)。

    【0019】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、ドリフト判定基準値は第一及び第二の零点ドリフト量が取得された時点の温度と現在の温度との差が大きいほど大きくなるよう可変設定されるよう構成される(好ましい態様4)。

    【0020】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、判定手段は第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさがドリフト判定基準値以下であるときには実質的に第一及び第二のヨーレートセンサに零点ドリフトが生じていないと判定し、
    変更手段は車輌制御の内容を変更しないよう構成される(好ましい態様5)。

    【0021】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様3の構成に於いて、判定手段は第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさがドリフト判定基準値を越えているが異常判定基準値以下であるときには第一及び第二のヨーレートセンサに車輌制御の実行が可能な軽微な零点ドリフトが生じていると判定し、変更手段は零点ドリフトの影響を低減するよう車輌制御の内容を変更するよう構成される(好ましい態様6)。

    【0022】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、変更手段は判定手段により第一及び第二の低周波成分の偏差の大きさが異常判定基準値を越えていると判定されたときには、車輌制御の実行を禁止するよう構成される(好ましい態様7)。

    【0023】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4の構成に於いて、異常判定基準値は第一及び第二の零点ドリフト量が取得された時点の温度と現在の温度との差が大きいほど大きくなるよう可変設定されるよう構成される(好ましい態様8)。

    【0024】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項2の構成に於いて、変更手段は第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値を使用して制御制御の制御量を演算するよう構成される(好ましい態様9)。

    【0025】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様9の構成に於いて、変更手段は車輌の基準ヨーレートと第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値との偏差の大きさに応じて開始閾値を低く設定するよう構成される(好ましい態様10)。

    【0026】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項3の構成に於いて、第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値が演算され、車輌制御の制御量は大きさが所定の補正量にて低減補正された平均値を使用して演算されるよう構成される(好ましい態様11)。

    【0027】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様11の構成に於いて、変更手段は車輌基準ヨーレートと第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値との偏差の大きさに応じて所定の補正量を小さくするよう構成される(好ましい態様12)。

    【0028】本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様11又は12の構成に於いて、車輌が停止状態にあるときの第一及び第二のヨーレートセンサの出力がそれぞれ第一及び第二の零点ドリフト量として取得され、前記第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値はそれぞれ第一及び第二の零点ドリフト量にて補正された後の第一及び第二のヨーレートセンサの検出値の平均値であるよう構成される(好ましい態様13)。

    【0029】

    【発明の実施の形態】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。

    【0030】図1は制動力制御式の車輌挙動制御装置として構成された本発明による車輌制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。

    【0031】図1に於て、10FL及び10FRはそれぞれ車輌12の左右の前輪を示し、10RL及び10RRはそれぞれ車輌の駆動輪である左右の後輪を示している。 従動輪であり操輪でもある左右の前輪10FL及び10FRは運転者によるステアリングホイール14の転舵に応答して駆動されるラック・アンド・ピニオン式のパワーステアリング装置16によりタイロッド18L 及び18R を介して操舵される。

    【0032】各車輪の制動力は制動装置20の油圧回路22によりホイールシリンダ24FR、24FL、24RR、
    24RLの制動圧が制御されることによって制御されるようになっている。 図には示されていないが、油圧回路2
    2はオイルリザーバ、オイルポンプ、ホイールシリンダ内の圧力を増減するための増減圧制御弁の如き種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧は通常時には運転者によるブレーキペダル26の踏み込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ28により制御され、また必要に応じて後に詳細に説明する如く電子制御装置3
    0により増減圧制御弁がデューティ比制御されることによって制御される。

    【0033】車輪10FR〜10RLにはそれぞれ対応する車輪の車輪速度Vwi(i=fr、fl、rr、rl)を周速度として検出する車輪速度センサ32FR〜32RLが設けられ、ステアリングホイール14が連結されたステアリングコラムには操舵θを検出する操舵角センサ34が設けられている。

    【0034】また車輌12にはそれぞれ車輌の第一のヨーレートγ1を検出する第一のヨーレートセンサ36及び車輌の第二のヨーレートγ2を検出する第二のヨーレートセンサ38と、前後加速度Gxを検出する前後加速度センサ40と、横加速度Gyを検出する横加速度センサ42と、ヨーレートセンサ36及び38の近傍の温度Tmを検出する温度センサ44とが設けられている。 尚操舵角センサ34、ヨーレートセンサ36、38及び横加速度センサ40は車輌の左旋回方向を正としてそれぞれ操舵角、ヨーレート及び横加速度を検出する。

    【0035】図示の如く、車輪速度センサ32FR〜32
    RLにより検出された車輪速度Vwiを示す信号、操舵角センサ34により検出された操舵角θを示す信号、それぞれヨーレートセンサ36及び38により検出されたヨーレートγ1及びγ2を示す信号、前後加速度センサ40により検出された前後加速度Gxを示す信号、横加速度センサ42により検出された横加速度Gyを示す信号は電子制御装置30に入力される。

    【0036】尚図には詳細に示されていないが、電子制御装置30は例えばCPUとROMとRAMと入出力ポート装置とを有し、これらが双方向性のコモンバスにより互いに接続された一般的な構成のマイクロコンピュータを含んでいる。

    【0037】電子制御装置30は、後述の如く図2乃至図5に示されたフローチャートに従い、制御開始時及び車輌が停止状態にあるときには、そのときの第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2をそれぞれ第一のヨーレートセンサ36及び第二のヨーレートセンサ38の零点ドリフト量γ10及びγ20に設定すると共に、第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の偏差に基づいて第一のヨーレートセンサ36及び第二のヨーレートセンサ38に軽微な零点ドリフト又は過大な零点ドリフトが生じているか否かを判定する。

    【0038】また電気式制御装置30は、車輌が走行状態にあるときには、第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1L及び第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lを演算し、低周波成分γ1L及びγ2Lの偏差に基づいて第一のヨーレートセンサ36及び第二のヨーレートセンサ38に軽微な零点ドリフト又は過大な零点ドリフトが生じているか否かを判定する。

    【0039】また電子制御装置30は、後述の如く図6
    に示されたフローチャートに従い、車輌のヨーレートを含む車輌の走行状態に基づき車輌のスピンの程度を示す指標値としてのスピン状態量SSを演算し、スピン状態量SSに基づきスピン状態を低減するための旋回外側前輪の目標スリップ率SLofを演算し、旋回外側前輪のスリップ率が目標スリップ率になるよう旋回外側前輪の制動力を制御し、車輌のスピン状態を抑制又は低減する。

    【0040】特に電子制御装置30は、二つのヨーレートセンサの何れかに軽微な零点ドリフトが生じていると判定されたときには、それぞれ零点ドリフト量γ10及びγ20にて補正された後の第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の平均値γaを演算し、大きさが補正値Δγo(正の定数)にて低減された補正後の平均値γaに基づきスピン状態量SSを演算するが、二つのヨーレートセンサの何れにも軽微な零点ドリフト及び過大な零点ドリフトが生じてはいないと判定されると、大きさがΔ
    γoよりも小さい補正値Δγにて低減された平均値γaに基づきスピン状態量SSを演算し、これによりヨーレートセンサに零点ドリフトが生じていないときには、ヨーレートセンサに軽微な零点ドリフトが生じている場合に比して、大きい制御量にてスピン抑制制御を行う。

    【0041】更に電子制御装置30は、二つのヨーレートセンサの何れかに過大な零点ドリフトが生じていると判定されると、スピン状態量SSに基づくスピン抑制制御を禁止し、これにより不正確なヨーレートセンサの出力に基づき不適切なスピン抑制制御が行われることを防止する。

    【0042】次に図2乃至図5に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるヨーレートセンサの零点ドリフト判定ルーチンについて説明する。 尚図2
    に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、
    所定の時間毎に繰返し実行される。

    【0043】まずステップ10に於いてはそれぞれ第一のヨーレートセンサ36及び第二のヨーレートセンサ3
    8により検出された第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2を示す信号の読み込みが行われる共に、例えばそれぞれ下記の式1及び2に従って零点ドリフト判定のための第一の基準値(ドリフト判定基準値)Kda及び第二の基準値(異常判定基準値)Kdb(Kda<Kdb)
    が演算される。 Kda=γo+MAX(γ1,γ2)・Ka ……(1) Kdb=Kda+Kb ……(2)

    【0044】尚上記式1に於いて、γoは第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト量に関する規格標準値に基づく定数であり、MAXは( )内の値のうちの大きい値を選択することを意味し、Kaは第一及び第二のヨーレートセンサの感度に関する規格標準値に基づく正の定数である。 また上記式2に於けるKbは正の定数である。

    【0045】ステップ20に於いてはヨーレートセンサの動作が安定するに必要な所定の時間が経過したか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ10へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ30
    へ進む。

    【0046】ステップ30に於いては図3に示されたヨーレートセンサの異常判定Iの判定制御ルーチンに従って第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフトに関する制御開始時の異常判定が行われる。

    【0047】ステップ50に於いては上記ステップ30
    に於いて設定されるカウンタのカウント値Cfa及びCfb
    が何れも0であるか否かの判別、即ち二つのヨーレートセンサの何れにも零点ドリフトが生じていないか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ3
    0へ戻り、肯定判別が行われたときにはステップ60へ進む。

    【0048】ステップ60に於いては車輪速度Vwiを示す信号の読み込みが行われ、車輪速度Vwiに基づき当技術分野に於いて周知の要領にて車速Vが演算され、車速Vに基づき車輌が走行中であるか否かの判別が行われ、
    肯定判別が行われたときにはそのままステップ100へ進み、否定判別が行われたときにはステップ70へ進む。

    【0049】ステップ70に於いては第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2を示す信号の読み込みが行われると共に、Ksを正の定数として第一のヨーレートγ1の絶対値が基準値Ks未満であり且つ第二のヨーレートγ2の絶対値が基準値Ks未満であるか否かの判別、即ち第一及び第二のヨーレートの大きさが何れも小さい値であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ140へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ80へ進む。

    【0050】ステップ80に於いては温度Tmを示す信号の読み込みが行われ、第一のヨーレートセンサ36の零点ドリフト量γ10が検出値γ1に設定され、第二のヨーレートセンサ38の零点ドリフト量γ20が検出値γ2
    に設定され、零点ドリフト量設定時の温度Tm0が検出値Tmに設定され、零点ドリフト量が設定されたか否かを示すフラグF0が1に設定される。

    【0051】ステップ90に於いては後述の如くステップ160に於いて設定されるカウンタのカウント値Cfa
    及びCfbがそれぞれ0にリセットされ、しかる後ステップ100へ進む。

    【0052】ステップ100に於いてはTを時定数とし、sをラプラス演算子として第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1L及び第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lがそれぞれ下記の式3及び4に従って演算される。 γ1L={1/(1+Ts)}(γ1−γ10) ……(3) γ2L={1/(1+Ts)}(γ2−γ20) ……(4)

    【0053】ステップ110に於いては図5に示された基準値演算ルーチンに従って後述のステップ120の異常判定IIに於いて使用される基準値Kda及びKdbが演算され、ステップ120に於いては図4に示されたヨーレートセンサの異常判定IIの判定制御ルーチンに従って第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフトに関する車輌走行時の異常判定が行われ、しかる後ステップ60
    へ戻る。

    【0054】ステップ140に於いては後述の如くステップ120に於いて設定されるカウンタのカウント値C
    faL及びCfbLが0にリセットされ、ステップ150に於いてはステップ110と同様の要領にて基準値Kda及びKdbが演算され、ステップ160に於いては上記ステップ30の場合と同一の要領にてヨーレートセンサの異常判定Iの判定制御が行われ、しかる後ステップ60へ戻る。

    【0055】上記ステップ30又は160に於いて実行される図3に示されたヨーレートセンサの異常判定Iの判定制御ルーチンのステップ32に於いては、第一のヨーレートγ1と第二のヨーレートγ2との偏差の絶対値が第二の基準値Kdbを越えているか否かの判別、即ち少なくとも一方のヨーレートセンサの零点ドリフトが過大であるか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ44へ進み、否定判別が行われたときにはステップ34へ進む。

    【0056】ステップ34に於いては第一及び第二のヨーレートの偏差γ1−γ2の絶対値が第一の基準値Kdaを越えているか否かの判別、即ち少なくとも一方のヨーレートセンサに軽微な零点ドリフトが生じているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ3
    8へ進み、否定判別が行われたときにはステップ36に於いてカウンタのカウント値Cfa及びCdbがそれぞれ0
    にリセットされると共に、第一及び第二のヨーレートセンサが正常であるか否かを示すフラグFeが0にリセットされる。

    【0057】ステップ38に於いてはカウンタのカウント値Cfaが1インクリメントされ、ステップ40に於いてはカウント値Cfaが基準値Cfae(正の一定の整数)
    を越えているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはそのまま次のステップ50又は10へ進み、
    肯定判別が行われたときにはステップ42に於いてフラグFeが1に設定される。

    【0058】ステップ44に於いてはカウンタのカウント値Cfbが1インクリメントされ、ステップ46に於いてはカウント値Cfbが基準値Cfbe(正の一定の整数)
    を越えているか否かの判別が行われれ、否定判別が行われたときにはそのまま次のステップ50又は10へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ48に於いて図には示されていない警報装置が作動されることによってヨーレートセンサに過大な零点ドリフトが生じている旨の警報が出力されると共に、フラグFeが2に設定される。

    【0059】また上記ステップ120に於いて実行される図4に示されたヨーレートセンサの異常判定IIの判定制御ルーチンのステップ122〜138は、ステップ1
    26〜130及びステップ134、136に於けるカウンタのカウント値Cfa及びCfbがそれぞれCfaL及びCf
    bLに置き換えられる点を除き、それぞれ上述のステップ32〜48と同様に実行される。

    【0060】また上記ステップ110又は150に於いて実行される図5に示された基準値演算ルーチンのステップ112に於いては、フラグF0が1であるか否かの判別、即ち上記ステップ80に於ける零点ドリフト量設定時の温度Tm0の設定が完了しているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ116へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ114へ進む。

    【0061】ステップ114に於いては現在の温度Tm
    の読み込みが行われると共に、現在の温度Tmと零点ドリフト量設定時の温度Tm0との偏差Tm−Tm0に基づきそれぞれ図7に於いて実線及び破線にて示されたグラフに対応するマップより基準値Kda及びKdbが演算される。

    【0062】ステップ116に於いてはKcを正の定数として基準値Kda及びKdbがそれぞれ下記の式5及び6
    に従って演算される。 尚γo及びKbはそれぞれ上記式1
    及び2の場合と同一である。 Kda=γo+Kc ……(5) Kdb=Kda+Kb ……(6)

    【0063】次に図6に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける挙動制御ルーチンについて説明する。 尚図6に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。

    【0064】まずステップ210に於いては車輪速度センサ32FR〜32RLにより検出された車輪速度Vwiを示す信号等の読み込みが行われ、ステップ220に於いてはフラグFeが2であるか否かの判別、即ち少なくとも一方のヨーレートセンサに過大な零点ドリフトが生じており、挙動制御を実行すべきではないか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ210へ戻り、否定判別が行われたときにはステップ230に於いて下記の式7に従ってそれぞれ零点ドリフト量γ10及びγ20にて補正された後の第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の平均値γaが演算される。 γa=(γ1+γ2−γ10−γ20)/2 ……(7)

    【0065】ステップ240に於いてはフラグFeが1
    であるか否かの判別、即ち少なくとも一方のヨーレートセンサに軽微な零点ドリフトが生じており、ヨーレートの検出値の大きさを低減補正して挙動制御を実行すべきであるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ250に於いてヨーレートの平均値γaに対する補正値ΔγがΔγo(正の定数)に設定された後ステップ280へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ260へ進む。

    【0066】ステップ260に於いては操舵角θに基づき前輪の実舵角δが演算され、HをホイールベースとしKhをスタビリティファクタとして下記の式8に従って目標ヨーレートγeが演算されると共に、Tを時定数としsをラプラス演算子として下記の式9に従って車速V
    及び操舵角θに基づく車輌の基準ヨーレートγtが演算される。 尚目標ヨーレートγeは動的なヨーレートを考慮すべく車輌の横加速度Gyを加味して演算されてもよい。 γe=Vδ/(1+KhV 2 )H ……(8) γt=γe/(1+Ts) ……(9)

    【0067】ステップ270に於いてはヨーレートの平均値γaと基準ヨーレートγtとの偏差γa−γtの絶対値に基づき図8に示されたグラフに対応するマップよりヨーレートの平均値γaに対する補正値Δγが演算され、
    ステップ280に於いてはsignγaをヨーレートの平均値γaの符号として下記の式10に従って大きさが低減された補正後のヨーレートの平均値γaが演算される。 γa=γa−signγa・Δγ ……(10)

    【0068】ステップ290に於いては車輪速度Vwiに基づき車速Vが演算されると共に、横加速度Gyと車速V及びヨーレートγの積γVとの偏差Gy−γVとして横加速度の偏差、即ち車輌の横すべり加速度Vydが演算され、横すべり加速度Vydが積分されることにより車体の横すべり速度Vyが演算され、更に車体の前後速度Vx
    (=車速V)に対する車体の横すべり速度Vyの比Vy/
    Vxとして車体のスリップ角βが演算され、K1及びK2
    をそれぞれ正の定数として車体のスリップ角β及び横すべり加速度Vydの線形和K1β+K2Vydとしてスピン量SVが演算され、ヨーレートγの符号に基づき車輌の旋回方向が判定され、スピン状態量SSが車輌の左旋回時にはSVとして、車輌の右旋回時には−SVとして演算され、演算結果が負の値のときにはスピン状態量は0とされる。 尚スピン量SVは車体のスリップ角β及びその微分値βdの線形和として演算されてもよい。

    【0069】ステップ300に於いてはスピン状態量S
    Sに基づき図9に於いて実線にて示されたグラフに対応するマップより旋回外側前輪の目標スリップ率SLofが演算され、ステップ310に於いては旋回外側前輪のスリップ率が目標スリップ率SLofになるよう旋回外側前輪の制動力が制御され、しかる後ステップ210へ戻る。

    【0070】かくして図示の実施形態によれば、ステップ10〜50に於いて制御開始時のヨーレートセンサのドリフト判定が行われ、車輌が停止状態にあるが第一及び第二のヨーレートの大きさの少なくとも一方が基準値Ks未満でないときには、ステップ60及び70に於いて否定判別が行われることにより、ステップ140〜1
    60に於いて第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の偏差に基づき車輌停止時のヨーレートセンサのドリフト判定が行われる。

    【0071】また車輌が停止状態にあり第一及び第二のヨーレートの大きさが基準値Ks未満であるときには、
    ステップ60に於いて否定判別が行われると共にステップ70に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ80及び90に於いて第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト量γ10及びγ20がそれぞれそのときの第一及び第二のヨーレートに設定される。

    【0072】更に車輌が走行状態にあるときには、ステップ60に於いて肯定判別が行われ、これによりステップ100に於いて第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1
    L及び第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lが演算され、ステップ110及び120に於いて低周波成分γ1L
    及びγ2Lの偏差に基づき車輌走行時のヨーレートセンサのドリフト判定が行われる。

    【0073】従って図示の実施形態によれば、車輌の実際のヨーレートが比較的大きく変動する車輌の走行時には、第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1Lと第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lとの偏差に基づきヨーレートセンサのドリフト判定が行われるので、第一のヨーレートセンサ36及び第二のヨーレートセンサ38のゲイン誤差に起因して第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の偏差が大きくなるような状況に於いても、ヨーレートセンサのゲイン誤差の影響が低減された二つのヨーレートセンサの検出値の偏差に基づいてドリフト判定を行うことができ、これにより車輌の走行時にも第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の偏差に基づいてドリフト判定が行われる場合に比して、ヨーレートセンサにドリフトが生じているか否かを高精度に判定することができる。

    【0074】特に図示の実施形態によれば、車輌の走行時のドリフト判定(ステップ120)に於いては、第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1Lと第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lとの偏差の大きさが第一の基準値Kdaよりも大きく且つ第二の基準値Kdb以下であるときには、図4に示されたフローチャートのステップ122
    に於いて否定判別が行われると共にステップ124に於いて肯定判別が行われ、ステップ128〜132に於いてフラグFeが1に設定される。

    【0075】そして図6に示された挙動制御ルーチンのステップ240に於いて肯定判別が行われ、ステップ2
    50に於いて第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の平均値γaに対する補正値Δγが標準値Δγoに設定され、ステップ280〜310に於いて大きさが補正値Δγ(=Δγo)分低減されたヨーレートの平均値γaに基づきスピン抑制制御が実行される。

    【0076】これに対し、第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1Lと第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lとの偏差の大きさが第一の基準値Kda以下であるときには、図4に示されたフローチャートのステップ122及び124に於いて否定判別が行われ、ステップ126に於いてフラグFeが0にリセットされる。

    【0077】そして図6に示された挙動制御ルーチンのステップ240に於いて否定判別が行われ、ステップ2
    60及び270に於いて第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の平均値γaに対する補正値Δγが標準値Δγoよりも小さい値に設定され、ステップ280〜
    310に於いて大きさが補正値Δγ分低減されたヨーレートの平均値γaに基づきスピン抑制制御が実行される。

    【0078】また制御開始時のドリフト判定(ステップ30)及び車輌が停止状態にあるときのドリフト判定(ステップ160)に於いても、二つのヨーレートセンサの少なくとも一方に軽微な零点ドリフト又は過大な零点ドリフトが生じているか否かが判定され、その判定結果に応じて車輌の走行時の場合と同様に第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2の平均値γaが補正値Δ
    γ分低減補正される。

    【0079】従って二つのヨーレートセンサの何れにも零点ドリフトが生じていないときには、軽微な零点ドリフトが生じている場合に比してヨーレートセンサの同一の大きさの出力について見てスピン状態量SSが大きくなることにより、スピン抑制制御量である旋回外側前輪の目標スリップ率SLofが大きくなるので、正確なヨーレートに基づくスピン抑制制御を早く開始させることができ、またスピン抑制制御を効果的に実行することができる。

    【0080】このことを逆に見れば、二つのヨーレートセンサの少なくとも一方に軽微な零点ドリフトが生じているときには、何れのヨーレートセンサにも零点ドリフトが生じていない場合に比して、ヨーレートセンサの同一の大きさの出力について見てスピン状態量SSが小さくなることにより、図9に於いて仮想線にて示されている如く、スピン抑制制御の開始閾値SV1がSV2へ高く変更されると共に旋回外側前輪の目標スリップ率SLof
    が低減されたことと等価な処理が行われるので、不正確なヨーレートに基づく不適切なスピン抑制制御が早く開始されることを防止することができると共に、不適切なスピン抑制制御による悪影響を低減することができる。

    【0081】また図示の実施形態によれば、二つのヨーレートセンサの少なくとも一方に過大な零点ドリフトが生じているときには、図3の異常判定Iのステップ32
    に於いて肯定判別が行われることにより、或いは図4の異常判定IIのステップ122に於いて肯定判別が行われることにより、それぞれステップ48又は138に於いてフラグFeが2に設定され、図6の挙動制御ルーチンのステップ220に於いて肯定判別が行われることによりステップ230〜310は実行されないので、過大な零点ドリフトが生じているヨーレートセンサの出力に基づきスピン抑制制御が不適切に実行され、これにより車輌の挙動が悪影響を受けることを確実に防止することができる。

    【0082】また図示の実施形態によれば、二つのヨーレートセンサの何れにも零点ドリフトが生じていないときには、上述の如く平均値γaの大きさが補正値Δγにて低減補正されるが、その場合の補正値Δγは図6のステップ260及び270に於いて平均値γaと車輌の基準ヨーレートγtとの偏差の大きさが大きいほど大きくなるよう可変設定されるので、補正値Δγが一定である場合に比して、スピンの程度を示す指標値としてのスピン状態量SS及び挙動制御量としての旋回外側前輪の目標スリップ率SLofを適正に演算し、これにより車輌制御としてのスピン抑制制御を適正に実行することができる。

    【0083】また図示の実施形態によれば、ステップ1
    20及び160に於けるドリフト判定の基準値Kda及びKdbは、それぞれステップ110及び150に於いて、
    車輌が停止状態にある状況にて第一及び第二のヨーレートセンサの零点ドリフト量γ10及びγ20が設定された時点に於ける温度Tm0と現在の温度Tmとの偏差に応じて可変設定されるので、温度変化に拘らず基準値Kda及びKdbが一定である場合に比して高精度にヨーレートセンサのドリフト判定を行うことができる。

    【0084】また図示の実施形態によれば、第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1L及び第二のヨーレートγ2の低周波成分γ2Lは、それぞれステップ100に於いて上記式3及び4に従って演算されることにより、それぞれ第一のヨーレートγ1より車輌が停止状態にあるときに設定された零点ドリフト量γ10が減算された値γ1−γ1
    0及び第二のヨーレートγ2より車輌が停止状態にあるときに設定された零点ドリフト量γ20が減算された値γ2
    −γ20より抽出されるので、零点ドリフト量γ10及びγ
    20の減算が行われることなく低周波成分が演算される場合に比して、各ヨーレートの低周波成分を正確に演算することができ、これにより車輌の走行時に於けるヨーレートセンサのドリフト判定を正確に実行することができる。

    【0085】以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。

    【0086】例えば図示の実施形態に於いては、第一及び第二のヨーレートセンサの何れにも零点ドリフトが生じてはいないと判定されたときには、ヨーレートの平均値γaの大きさがΔγoよりも小さい補正値Δγにて低減補正されるようになっているが、ヨーレートの平均値γ
    aの大きさが低減補正されるのではなく、例えば旋回外側前輪の目標スリップ率SLofを演算するための図9に示されたマップが一点鎖線にて示されたマップより実線にて示されたマップへ変更されることにより、スピン抑制制御の開始閾値が低くされ若しくは同一のスピン状態量SSについて見て目標スリップ率SLofが高く演算されるよう修正されてもよい。

    【0087】また図示の実施形態に於いては、ステップ270に於いて補正値Δγはヨーレートの平均値γaと車輌の基準ヨーレートγtとの偏差の絶対値に応じて可変設定されるようになっているが、ステップ270に於いては補正値Δγがステップ250に於いて設定される補正値Δγoよりも小さい一定の値に設定されるよう修正されてもよい。

    【0088】また図示の実施形態に於いては、ステップ100に於いて第一のヨーレートγ1の低周波成分γ1L
    は第一のヨーレートγ1より零点ドリフト量γ10が減算された値γ1−γ10より抽出され、第二のヨーレートγ2
    の低周波成分γ2Lは第二のヨーレートγ2より零点ドリフト量γ20が減算された値γ2−γ20より抽出されるようになっているが、第一及び第二のヨーレートの低周波成分γ1L及びγ2Lはそれぞれ第一のヨーレートγ1及び第二のヨーレートγ2より抽出されるよう修正されてもよい。

    【0089】また図示の実施形態に於いては、第一のヨーレートの低周波成分γ1L及び第二のヨーレートの低周波成分γ2Lの偏差はこれらの差として演算されるようになっているが、二つの低周波成分の偏差はそれらの比として演算されるよう修正されてもよい。

    【0090】また図示の実施形態に於いては、ステップ110及び150に於いて演算される基準値Kda及びK
    dbは零点ドリフト量γ10及びγ20が設定された時点に於ける温度Tm0と現在の温度Tmとの偏差に応じて可変設定されるようになっているが、例えば温度センサが省略され、基準値Kda及びKdsは車輌が走行し始めた時点よりの時間の経過と共に高くなるよう該時間に応じて可変設定されるよう修正されてもよい。

    【0091】また図示の実施形態に於いては、制御開始時及び車輌が停止状態にあるときに第一のヨーレートγ
    1及び第二のヨーレートγ2の偏差に基づいてヨーレートセンサのドリフト判定が行われるようになっているが、
    これらのドリフト判定の少なくとも一方が省略されてもよい。

    【0092】また図示の実施形態に於いては、車輌制御を開始すべきか否かを判定するための指標値及び車輌制御の制御量を演算するための基礎となる値は同一であり、スピン状態量SSであるが、車輌制御を開始すべきか否かを判定するための指標値及び車輌制御の制御量を演算するための基礎となる値は少なくとも一方がヨーレートセンサの検出値を使用するものである限り、互いに異なるものであってもよい。

    【0093】更に図示の実施形態に於いては、車輌のヨーレートを使用して行われる車輌制御はスピン抑制制御であるが、車輌制御は車輌のヨーレートを使用して行われるものである限り、ドリフトアウト抑制制御の如き他の挙動制御や挙動制御以外の制御であってもよい。

    【0094】

    【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発明の請求項1の構成によれば、車輌の走行に伴い車輌の実際のヨーレートが比較的大きく急激に変動するような状況に於いても、ヨーレートセンサのゲイン誤差等の影響を排除して零点ドリフトを判定することができ、これによりヨーレートセンサの零点ドリフトの判定精度を向上させることができ、また正確な判定結果に基づき車輌制御の内容が変更されるので、車輌制御の制御性を更に一層向上させることができる。

    【0095】また請求項2の構成によれば、零点ドリフトの量が小さく第一及び第二のヨーレートセンサにより正確に車輌のヨーレートが検出されるときには、車輌制御を早く開始させることができると共に正確なヨーレートに基づいて車輌制御を実行することができ、これにより車輌制御の制御性を向上させることができ、逆に零点ドリフトの量が大きく車輌のヨーレートが第一及び第二のヨーレートセンサにより正確に検出されないときには、車輌制御の開始を遅くすることにより不正確なヨーレートに基づいて不適切な車輌制御が実行される虞れ及びその悪影響を低減することができる。

    【0096】また請求項3の構成によれば、零点ドリフトの量が小さいときには零点ドリフトの量が大きいときに比して車輌制御の制御量が大きくなり、結果的に車輌制御の開始が早くなると共に車輌制御が効果的に実行されるので、車輌制御の制御性をが向上さぜることができ、逆に零点ドリフトの量が大きいときには零点ドリフトの量が小さいときに比して車輌制御の制御量が小さくなるので、結果的に車輌制御の開始を遅くすると共に車輌制御の効果を低減し、不正確なヨーレートに基き行われる不適切な車輌制御による悪影響を低減することができる。

    【0097】また請求項4の構成によれば、偏差の大きさが異常判定基準値よりも大きいときには第一及び第二のヨーレートセンサが異常な零点ドリフト状態にあると判定されるので、第一及び第二のヨーレートセンサの異常を判定することができると共に、ヨーレートセンサの検出値を使用して行われる車輌制御の禁止の如く、変更手段によりヨーレートセンサの異常に応じた車輌制御の内容の変更を行うことができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】制動力制御式の車輌挙動制御装置として構成された本発明による車輌制御装置の一つの好ましい実施形態を示す概略構成図である。

    【図2】図示の実施形態に於けるヨーレートセンサの零点ドリフト判定のメインルーチンを示すフローチャートである。

    【図3】図2のステップ30又は160に於いて実行されるヨーレートセンサの異常判定Iの判定制御ルーチンを示すフローチャートである。

    【図4】図2のステップ120に於いて実行されるヨーレートセンサの異常判定IIの判定制御ルーチンを示すフローチャートである。

    【図5】図示の実施形態に於ける基準値演算ルーチンを示すフローチャートである。

    【図6】図示の実施形態に於ける挙動制御ルーチンを示すフローチャートである。

    【図7】温度差Tm−Tm0と基準値Kda、Kdbとの間の関係を示すグラフである。

    【図8】スピン状態量SVと旋回外側前輪の目標スリップ率SLofとの間の関係を示すグラフである。

    【図9】ヨーレートの偏差γa−γtの絶対値と補正値Δ
    γとの間の関係を示すグラフである。

    【符号の説明】

    10FR〜10RL…車輪 20…制動装置 28…マスタシリンダ 30…電子制御装置 32FR〜32RL…車輪速度センサ 34……操舵角センサ 36…第一のヨーレートセンサ 38…第一のヨーレートセンサ 40…前後加速度センサ 42…横加速度センサ 44…温度センサ

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 111:00 B62D 111:00 113:00 113:00

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