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Transpiration wick made of porous ceramic, its production and chemicals transpiration method

阅读:939发布:2021-06-27

专利汇可以提供Transpiration wick made of porous ceramic, its production and chemicals transpiration method专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE:To obtain a wick having high transpiration stability of chemicals with time, low activity and high stability to chemicals, stably usable for both oily and aqueous liquids, exhibiting high heat-resistance and enabling easy recycling and reuse. CONSTITUTION:This transpiration wick made of a porous ceramic material is composed of a liquid-ducking material obtained by calcining inorganic powder free from substances which are carbonized or dissipated in the form of CO gas or CO2 gas together with other gases in the calcination process in an oxidizing atmosphere. The liquid-sucking material is composed of a skeleton part made of an inorganic material (e.g. glass or ceramics) and through-holes included in the skeleton and enabling the migration of a solution to the surface of the wick, e.g. large-diameter channels included in the skeleton part and small-diameter connecting holes connecting the channels with each other and the channel with the surface of the wick. The liquid-sucking wick can be produced, e.g. by using raw material powder containing inorganic powder sinterable to form aggregates by heating to cause the formation of voids, forming the raw material powder to the wick form, drying the formed product and baking at the objective temperature, i.e., 1000-1450 deg.C.,下面是Transpiration wick made of porous ceramic, its production and chemicals transpiration method专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 無機粉末を焼成してなる吸液芯であって、 該吸液芯には、無機質の骨格部と、該骨格部に囲まれて溶液が吸液芯表面に移動可能な連通孔と、を備えたことを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯。
  • 【請求項2】 前記吸液芯には、ガラス質又は陶磁器質の骨格部と、該骨格部に囲まれた大径の洞穴孔と、前記骨格部中に形成されて前記洞穴孔同士及び洞穴孔と吸液芯表面とを連通する小径の連通孔と、を備えたことを特徴とする前記請求項1記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯。
  • 【請求項3】 前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法であって、 加熱による焼結凝集塊が空孔生成因となる無機粉末を含む原料粉末を用いて、吸液芯形状に成形し、乾燥した後に、1000〜1450℃を目的温度として焼成することを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。
  • 【請求項4】 前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法であって、 空孔生成因となる塩類粉末を含む無機質の原料粉末を用いて、吸液芯形状に成形し、乾燥した後に、650〜1
    450℃を目的温度として焼成するとともに、該製造工程中又はその後に前記塩類の揮散又は溶脱を行なうことを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。
  • 【請求項5】前記空孔生成因となる塩類粉末を、加熱による焼結凝集塊が空孔生成因となる無機粉末に含むことを特徴とする前記請求項4記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。
  • 【請求項6】 前記請求項3,請求項4又は請求項5の何れかに記載の蒸散用多孔質セラミックス製蒸散用吸液芯の製造方法であって、 主たる制御内容を焼成温度とし、従たる制御内容を焼成温度保持時間とすることにより、芯体に形成される孔の状態を調節することを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。
  • 【請求項7】 前記原料粉末中に、鉄,マンガン,コバルト,銅,クローム,ニッケル又はチタンから選ばれた金属の酸化物,水酸化物又は塩である無機質顔料を、顔料以外の原料100重量部に対して、0.5〜10重量部を混入することを特徴とする前記請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6の何れかに記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。
  • 【請求項8】 薬剤を含有する溶液を吸液芯に吸液し、
    薬剤を蒸散させる蒸散方法において、 前記吸液芯が前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯であることを特徴とする薬剤蒸散方法。
  • 【請求項9】 前記薬剤を含有する溶液が水性溶液又は油性溶液であることを特徴とする前記請求項8記載の薬剤蒸散方法。
  • 【請求項10】 前記薬剤がピレスロイドであることを特徴とする前記請求項8又は請求項9に記載の薬剤蒸散方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、例えば吸上式加熱蒸散装置に用いられる蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯及びその製造方法並びに薬剤蒸散方法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】

    (1)従来より、殺虫等の目的で薬剤を加熱蒸散させる方法としては、蚊取り線香や電気蚊取りマット等による方法が愛好されてきた。 (2)また近年では、薬剤溶液中に多孔質吸液芯を浸漬し、芯上部を加熱して薬剤を加熱蒸散させる方式(以下、液体方式と称す)が、一回毎にマット等を交換する必要がない事、効果が長時間安定する事等の理由で再び注目されている。 ところが、これら液体方式加熱蒸散器に用いられる多孔質吸液芯としては、かってはフェルトがそのままの形で用いられていたが、フェルトの場合には、一般に吸液量が多すぎるという問題や、保管,輸送,使用時に薬液が芯を介して溢れるという問題や、その柔軟性の故に芯を正しくセットしにくいという問題等があった。

    【0003】(3)これに対し、無機粉体あるいは無機粉体と木粉等を溶性糊材で固着成形した吸液芯が、特公昭61ー23163号公報,特公昭59ー40409
    号公報,特開昭63ー24841号公報,特開昭63ー74440号公報,特開平1ー296933号公報,特開平2ー39841号公報,特開平2ー174628号公報,特開平4ー36137号公報に示されている。 しかしながら、水溶性糊材で固着した吸液芯は、無機粉体の表面活性の為にしばしば薬液が化学的に分解を受ける等の問題があり、その上、薬液が水性溶液の場合は、糊材の溶解,溶出,膨潤により吸液芯に形状や組織内微構造の変化や機械的強度低下等の物理的劣化が起こるという問題が残っていた。

    【0004】(4)また、特開平3ー72833号公報には、中心に多孔質の吸液蒸散層を有し周囲に保持材層を有する構造の吸液芯が示されているが、このタイプのものとして、繊維を束ねた中心層を薬液を透過させうる保持層で囲む吸液芯が例示されている。 この繊維芯は用いる材料が耐水性のものであれば、前記の水性薬液にも用いる事ができ、また、薬液も分解される事も少ないが、その柔軟性の為に寸法的に定まりにくいとか、製造面で困難が予想される。

    【0005】(5)更に、特開平4ー117303号公報には、無機粉体,有機粉体及び粘結剤を混合成形し高温で焼結させる焼結芯が示されており、特開平4ー20
    0336号公報には、無機粉体及び/又は有機粉体及び炭化するバインダーを混合成形し高温で焼結させる焼結芯が示されている。

    【0006】このタイプの芯は水性薬液にも使用でき、
    寸法的にも安定するという利点があるが、その構造には下記(a)〜(c)の特徴がある。 (a)多孔体骨組み(又は壁)構造体が、原粒小粒子又は焼結作用による二次小粒子等の粒子間隙孔を連通孔として薬液を通過させ表面から蒸散させる多孔体の微構造(いわゆる”素焼状”の構造)であり、比表面積[m 2
    g -1 ]は大である事。

    【0007】(b)前記(a)の構造のものの内で、連通孔径に比し極めて大径の洞穴を有するものであっても、洞穴と洞穴との間や洞穴と吸液芯表面との間の壁構造が、上述の小粒子間隙孔を有する”素焼状”組織である事(図12(b)参照)。 (c)吸液芯では黒色が好まれる傾向があって、多孔体組織内粒子に炭素粒子を残存させている例が多い事(図12(b)参照)。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】ところが、この様な構造の吸液芯は、いずれも酸化雰囲気下での焼成工程を行なうと、炭化したりCOガスやCO 2ガスやその他のガスによって揮散する物質(例えば天然及び人工の油脂及びその誘導,加工,分画品や、黒鉛や、石炭及びその誘導,加工,分画品や、石油及びそのその誘導,加工,分画品や、天然ガスの誘導,加工,分画品や、動植物及びその誘導,加工,分画品等)を原料中に使用して形成されるものであるので、下記(1)〜(5)の問題が生じてしまう。

    【0009】(1)従来は、吸液芯の材質や吸液機能(多孔質の微構造)によって、薬液物性(界面張粘度や水性や油性)の選択範囲が狭く限定されていた。 (2)薬液の組み合せによっては、薬剤の選択吸着等の対薬剤活性が生起することがある。 つまり、上述した”
    素焼状”構造は、比表面積が大となり、原料小粒子の表面活性が残り易く、かつ、活性炭作用の残存がある事など、耐薬品活性が残り易い原因となっている。

    【0010】(3)前記”素焼状”構造は、磁器質の緻密な壁構造と比較して一般に機械的強度が弱いという問題がある。 (4)長時間使用により単位時間当りの薬剤の蒸散量が利用時間に比例して低下してしまう。 例えば、60日目を利用終了日とする物では、60日目の単位時間当りの蒸散量で目的の薬効を確保する様な薬効成分の濃度を必要とするが、前記の吸液芯では、それ以前の大量の蒸散量にも同一濃度の薬効成分を含むので常時過剰薬効成分の放出を行っていることになり、無駄が多い(図13参照)。

    【0011】(5)大気雰囲気で運転される汎用炉利用での再生焼が不可能である。 つまり、上述した構造では、可燃性炭素(炭化物)粒子を壁構成小粒子として含んでいる例が殆どであり、しかも安価で容易な操作のできる汎用炉は大気雰囲気中で運転されるので、この様な炉での再生焼では、有機物や炭化物等は、全てガス化し壁内連通孔径は大値化し、新品の示した吸液芯機能の再現は不可能となる。

    【0012】本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、下記(a)
    〜(h)の様な優れた性能を有する吸液芯を提供することである。 (a)水性、油性を問わず正常利用可能な吸液芯。

    【0013】(b)各種薬液の界面張力や粘度等の薬液物性に対応し、一定目的の吸液速度が得られる様な吸液芯が容易に幅広く提供され得る事。 (c)各種薬剤液に対し、選択吸着や、分解や、合成等の対薬剤活性が生起しない吸液芯。

    【0014】(d)機械的強度が高く、装置の組み立て、運送、最終利用時等での利用勝手が良い吸液芯。 (e)防黴、防腐、防虫、難燃等の処理が不要な吸液芯。 (f)薬液の蒸散速度の経時変化特性が優れている事で、有効薬効成分剤の消費量が節約できる吸液芯。

    【0015】(g)汎用の原料や設備で容易に製造できる吸液芯。 (h)汎用大気雰囲気炉で誰でも容易に再生処理できる耐熱性の高い吸液芯。

    【0016】

    【課題を解決するための手段】

    [1] 前記目的を達成するための手段 (1)請求項1の発明は、無機粉末を焼成してなる吸液芯であって、該吸液芯には、無機質の骨格部と、該骨格部に囲まれて溶液が吸液芯表面に移動可能な連通孔と、
    を備えたことを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯を要旨とする。

    【0017】ここで、前記無機粉末とは、天然及び人工の油脂及びその誘導,加工,分画品や、黒鉛や、石炭及びその誘導,加工,分画品や、石油及びそのその誘導,
    加工,分画品や、天然ガスの誘導,加工,分画品や、動植物及びその誘導,加工,分画品等であり、酸化雰囲気下の焼成工程で、炭化したりCOガスやCO 2ガスやその他のガスによって揮散する物質を除いた物質である。

    【0018】(2)請求項2の発明は、前記吸液芯には、ガラス質又は陶磁器質の骨格部と、該骨格部に囲まれた大径の洞穴孔と、前記骨格部中に形成されて前記洞穴孔同士及び洞穴孔と吸液芯表面とを連通する小径の連通孔と、を備えたことを特徴とする前記請求項1記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯を要旨とする。

    【0019】ここで、前記ガラス質又は陶磁器質の骨格部とは、図12(a)に示す様な骨格部(壁部)のことであり、図12(b)に示す様な”素焼状”の骨格部(壁部)のことではない。 (3)請求項3の発明は、前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法であって、加熱による焼結凝集塊が空孔生成因となる無機粉末を含む原料粉末を用いて、吸液芯形状に成形し、乾燥した後に、任意(酸化性,中性又は還元性のいずれか)
    の雰囲気で1000〜1450℃を目的温度として焼成することを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法を要旨とする。

    【0020】(4)請求項4の発明は、前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法であって、空孔生成因となる塩類粉末を含む無機質の原料粉末を用いて、吸液芯形状に成形し、乾燥した後に、任意(酸化性,中性又は還元性のいずれか)の雰囲気で650〜1450℃を目的温度として焼成するとともに、該製造工程中又はその後に前記塩類の揮散又は溶脱を行なうことを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法を要旨とする。

    【0021】(5)請求項5の発明は、前記空孔生成因となる塩類粉末を、加熱による焼結凝集塊が空孔生成因となる無機粉末に含むことを特徴とする前記請求項4記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法。

    【0022】(6)請求項6の発明は、前記請求項3,
    請求項4又は請求項5の何れかに記載の蒸散用多孔質セラミックス製蒸散用吸液芯の製造方法であって、主たる制御内容を焼成温度とし、従たる制御内容を焼成温度保持時間とすることにより、芯体に形成される孔の状態を調節することを特徴とする蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法を要旨とする。

    【0023】(7)請求項7の発明は、前記原料粉末中に、鉄,マンガン,コバルト,銅,クローム,ニッケル又はチタンから選ばれた金属の酸化物,水酸化物又は塩である無機質顔料を、顔料以外の原料100重量部に対して、0.5〜10重量部を混入することを特徴とする前記請求項3,請求項4,請求項5又は請求項6の何れかに記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製造方法を要旨とする。

    【0024】(8)請求項8の発明は、薬剤を含有する溶液を吸液芯に吸液し、薬剤を蒸散させる蒸散方法において、前記吸液芯が前記請求項1又は請求項2記載の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯であることを特徴とする薬剤蒸散方法を要旨とする。

    【0025】(9)請求項9の発明は、前記薬剤を含有する溶液が水性溶液又は油性溶液であることを特徴とする前記請求項8記載の薬剤蒸散方法。 (10)請求項10の発明は、前記薬剤がピレスロイドであることを特徴とする前記請求項8又は請求項9に記載の薬剤蒸散方法を要旨とする。 [2] 本発明の概要 (1)本発明の蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯は、
    原料粉粒子の焼結粒子間隙孔を利用したものではなく、
    汎用陶磁器と同じ様な共融体の骨格材(不透水性の壁)
    の中に生成される(溶液が移動可能な)連通孔を備えた多孔体であり、特に骨格材の中に生成される大径の洞穴孔及びその骨格材中の(洞穴孔同士又は洞穴孔と吸液芯表面とを連通する)小孔である連通孔の両孔によって形成される多孔体である(図12(a)参照)。

    【0026】そして、本発明の製造方法によれば、焼成時に小粒子は溶けて大粒子と共に溶けあった緻密な不透水性の壁と成るが、その時、組織小部分が溶けて凝集移動する時に連通孔と洞穴孔とが形成されるので、比表面積Sも極めて小値となる(図3の表3のS参照)。

    【0027】(2)また、この溶け合い焼成の意味はガラス質を組織内に多く含む事であって、原料粒子表面がガラス質と溶けあって包囲される事でもある。 従って、
    対薬剤安定性は前記(1)項と相まって、良好な性能となる(図8の表8参照)。 (3)本発明の洞穴孔及び連通孔を有するものは、その表面開口部孔径(連通孔径)が”素焼状”の従来品(図12(b)参照)の表面開口部孔径より大径で、かつ数が少なく(着眼孔径での気孔率で示すことができる)、
    しかも開口の連通孔の内側に連通孔径に比し格段に大径の洞穴があるので、加熱蒸散残査物や変化物(以後、残変物と略称する)による薬液移動抵抗層の成長は、従来品より速くある一定値に達し、その後は安定した蒸散速度が確保される(図9の表9参照)。 従って薬効成分の無駄が少なくなる(図13参照)。

    【0028】(4)従来の多孔体骨格(壁)部分の構造は小粒子の焼結品であり、小粒子間隙孔を有するいわゆる”素焼状”の物であるが、本発明の多孔体骨格部(壁)はそれより緻密であるので、強度σ bも高くなっている(図4の表4,図14参照)。

    【0029】特に、本発明の製造方法の焼成温度範囲のうち、適切な実施例である目的温度t B =1175〜1
    275℃に対応する吸液芯の機械的強度は、従来品より約1.8倍程度大きい。 [3] 本発明の構成例及び適用例 (1)本発明の吸液芯は、殺虫,殺菌,芳香等を目的として、各種殺虫剤,殺菌剤,消臭剤,香料等の薬剤を液体方式蒸散装置、例えば薬剤を加熱飛散させる液体方式加熱蒸散装置の吸液芯として好適に用いる事ができる。

    【0030】本発明の吸液芯を用いるのに適した装置の1例を図15に示す。 図中1は薬液2を入れた容器であり、該容器1は収納容器3内に係脱自在に収納、保持されている。 収納容器3の上部は解放されており、この開放部に環状(あるいは一対の半環状)の発熱体4が固定されている。 5は発熱体4に接続された電源コードである。 容器1の上部には、薬液注入口6が設けられており、この薬液注入口6に吸液芯7の上部が環状発熱体4
    の中心部に配設される様に、略密栓状に保持されている。 図示するものは、本発明の吸液芯を用いるのに好適な装置の一例であるが、これに限らず各種形状の装置を用いることができる事は言うまでもない。

    【0031】前記容器1に収納する薬液としては目的に応じて殺虫液、芳香液等が用いられる。 前記装置が加熱蒸散殺虫装置として用いられる場合には、容器1に殺虫液を入れ、発熱体4に通電して、殺虫剤の種類に応じて好ましくは吸液芯7の表面温度が70〜140℃となる様に加熱する。 加熱温度が高すぎると、薬剤の熱分解や重合が生じ易く、蒸散有効成分量が低くなるという問題があり、また、この結果生成される高沸点物質等の吸液芯内への蓄積、及びこれによる芯の目詰まりを起こし易くなるので好ましくない。 また、加熱温度が低すぎると、当然の事ながら有効成分の蒸散が遅くなり、場合によっては溶剤のみ蒸散し、有効成分の蒸散が妨げられる事もある。 従って、有効成分の種類、濃度、溶剤の揮発性によって最適の温度が選択される。

    【0032】(2)前記殺虫液としては、殺虫剤を各種溶媒中に溶解した溶液を用いる。 溶媒としては引火点が高く、臭みがなく、かつ毒性学上安全なものが好ましい。 また、用いる溶媒の沸点としては吸液芯の加熱温度にもよるが、150〜350℃の範囲に入るものが好ましい。 これらの条件を満足するものとしては炭素原子数12以上の飽和脂肪族もしくは脂環式炭化水素を挙げる事ができ、これらは、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、あるいはナフテン系炭化水素として工業的に入手可能である。

    【0033】もちろん前記条件を満足する溶媒であれば、これら炭化水素に限定されるものではない。 例えば、各種非イオン型界面活性剤、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル系の可溶化剤(ミセル形成の有無にかかわらず殺虫成分を水中で清澄な状態で安定化しうるものを指し、通常の界面活性剤の他、水及び、
    油に相溶する溶剤をも含む。 )を配合して水性殺虫液となし引火性の問題を解消することもできる。

    【0034】(3)本発明で用いられる殺虫剤としては、従来より用いられている各種揮散性殺虫剤を用いる事ができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げる事ができる。 一般に安全性の高い事からピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられる。 例えば図5の表5,図6の表6の殺虫剤を採用でき、このうち、殺虫剤A〜Hが、その工業的入手性、経済性、効力、安全性の諸点で好ましく、中でも殺虫剤D
    が効力及び経済性の点で優れている。

    【0035】また、殺虫液中の有効殺虫成分の濃度は、
    0.5重量%以上、20重量%以下が良好である。 これら殺虫剤は単独で用いても良いし、複合して用いる事もできる。 更に、必要に応じて安定剤、消臭剤、共力剤、
    色素、その他の助剤を薬液中に小量添加する事もできる。

    【0036】(4)同様に、芳香を目的として使用する場合には、天然及び人工の各種香料を用いる事ができ、
    例えば動物性及び/又は植物性の天然香料,炭化水素,
    アルコール,フェノール,アルデヒド,ケトン,ラクトン,オキシド,エステル類等の人工香料等であり、これらの1種を単独で使用できる他、2種以上を混合して使用する事もできる。 更に、目的に応じて、消臭剤,殺菌剤,忌避剤等の各種薬剤についても、加熱により蒸散する薬剤であれば使用できる。 この様な各種薬剤濃度としては0.5〜10重量%が好ましい。

    【0037】(5)本発明の吸液芯の形状は、棒状芯形のみに限定するものではない。 また、蒸散方法は加熱式に限定するものではない。 用途は殺虫、芳香、消臭のみに限定するものではない。 [4] 本発明の蒸散用多孔質セラミックス吸液芯の製造方法の説明 (1)吸液芯を製造する方法のうち、焼成温度に対応して組織内の部分共融現象による凝集核(温度によっては無変形原料粒子を一部含有する)の間の架橋と空孔とで形成される共融凝集核架橋多孔質セラミックスの製造方法について簡単に説明する。 尚、この方法は、既に特願平3ー105947号及び特願平4ー116358号にて提案したものである。

    【0038】即ち、釉式にて示す材料成分として、酸性成分RO 2 、中性成分R 23 、アルカリ土属成分RO、
    アルカリ成分R 2 Oを、モル比で下記〜式を満たす範囲、又は、下記及び式で決定された配合座標点(X,Y)を中心として下記式で示される半径rの円内の範囲で用いるとともに、前記中性成分R 23の原料粒子径を10〜60[μm]とし、かつアルカリ土属成分ROは、原料粒子径40[μm]以上の含有率を40
    〜70重量%とし、1.15<θ<1.45(但し、θ=
    t℃×10 -3 )を満たす焼成温度tの範囲で焼成することを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法、即ち共融凝集核架橋多孔質セラミックスの製造方法である。

    【0039】 X=RO 2 /(RO+R 2 O) … Y=R 23 /(RO+R 2 O) … Z=R 2 O/(RO+R 2 O) … Z=2.311×10 5 ×exp(−12.28×θ)±exp(−3.8×θ)… Y 1 <Y<Y 2 … 但し、Y 1 =X−1.75,Y 2 =X+0.75 Y=−X+A(θ) … 但し、A(θ)=5808.75×{1−exp(−6.7
    5×θ)}−5805.07 r={A(θ+0.05)−A(θ)}/2 1/2 … 尚、この製造方法において、前記中性成分(R 23 )の原料粒子径の範囲,アルカリ土属成分(RO)の原料粒子径の範囲及び重量比,焼成温度tの範囲に加え、前記〜の各式にて示されるX,Y,Zの成分比の範囲はいずれも実験によって定められたものであり、この範囲であれば良好な多孔質セラミックスが形成できる。 この吸液芯の製造目的として、多孔性(孔構成、気孔率、孔径)の制御を行うのは、上式によって原料配合の一種類を決め、次いで、その吸液芯が必要とする多孔性を示す焼成温度を上式のθより低温側の任意温度(以後t Bと略称する)で決定すればよい。 また、前記釉式で示すR
    とは窯業で通常用いられる酸化物の成分のことであり、
    例えば、Si,Zr, Al,Fe,Mg,Ca,N
    a,K等の元素が挙げられる。 従って、酸性成分RO 2
    としては、例えば、SiO 2 ,ZrO 2 ,中性成分としては、例えば、Al 23 ,Fe 23 ,アルカリ土属成分R
    Oとしては、例えば、CaO,MgO,アルカリ成分としては、例えば、Na 2 O,K 2 O等を各々使用できる。

    【0040】(2)着色製品を得るための方法としては、前記(1)項の配合品100重量部に対して、無機質顔料(例えば、鉄,マンガン,コバルト,銅,クローム,チタン等の酸化物や水酸化物や塩を目的に応じて適宜配合した粉末)を、0.5〜10重量部、望ましくは2〜6重量部を原料配合中に混入する方法がある。

    【0041】(3)前記(1)及び(2)項の原料配合物中に、油脂粉や液,合成樹脂粉や液,有機物粉や液,
    炭素又は炭化水素系粉等を更に付加配合しても、多孔質セラミックス原料となることは自明のことである。 この時の焼成雰囲気は、酸素の含有条件の制限を受ける。 しかし、一般的には強度の弱いものができ易い。

    【0042】(4)前記材料を用いて成形する場合、常法に従ってダイス孔より棒状物を押し出し、次いで所定長で切断し、棒状吸液芯の成形物を得る。 (5)焼成雰囲気としては、前記(3)項の特例を除いて、酸素の有無は特に関係なく、例えば大気雰囲気や非酸化性雰囲気等の各種雰囲気中での焼成が可能である。

    【0043】(6)吸液芯が必要とする機能として、吸液速度,漏液速度,蒸散速度経時変化特性等の制御のため、適切な孔径(多孔質細孔径の意、以後同じ)が容易に得られる必要がある。 本法では、同一配合品で同一焼成温度保持時間であれば、前記式,,の示す焼成温度θより低温の目的焼成温度(t B )を制御することのみで、目的孔径及び気孔率の多孔質セラミックス吸液芯が容易に得られる。

    【0044】(7)上述した製造方法による焼成温度t
    より低温の焼成温度t Bを必要とする場合(例えばt B
    1150℃)には、低温を共融点とする無機原料配合、
    例えばガラス粉と食塩を原料とする方法や、或は、RO
    やR 2 Oの配合比を特に高めたところの陶磁器原料と食塩(又はt B以下で揮散する塩類、或は焼成後、水浴又は特殊薬品によって溶脱させ得る塩類)を原料とする方法があることは、特開平4−240167号公報に開示されていることから容易にわかる。

    【0045】

    【作用】[1] 吸液芯の製造方法に関する作用 (1)本発明の請求項3の吸液芯の製造方法は、下記(a)〜(d)の性質や現象を利用したものである。

    【0046】(a)焼成温度は、同一成分の粉末であれば、粒子径が小値ほど、より低温で相互反応する。 (b)釉式R 23成分(例えばAl 23 )は、その含有率が小値ほど、より共融点が低温化する。

    【0047】(c)釉式R 2 O成分(例えばNa 2 OやK
    2 O)は、微量含有率で共融点が大巾に低温化する。 (d)釉式RO成分は、セラミックス焼成温度より大巾に低温でCO 2ガスを発生するので(例えば原料としてCaCO 3やMgCO 3は、1[atm]下での解離圧は各々900℃,540℃)、低い温度で分子レベルに近い極微小孔による多孔化によって、その物質粒子の外形を殆ど変化させず軽量化する。 その後例えば1150℃を越えてくると、微小孔の凝集と共融両作用で小塊化が組織内で進行するため、5[μm]以上の小孔多孔化が開始される。

    【0048】(2)そして、上述した(1)の(a)〜
    (d)の性質や現象によって、下記の様にして反応及び組織の小孔多孔から大孔多孔への変化が進行する。 (a)まず1150℃を越えてくると、組織内部で小径粒子(数[μm]以下)のものの間で前記釉式成分間の多成分共融が部分的に進行し、無定形化(ガラス化)した部分が粘性流動し、より大径粒子のRO 2 ,R 23
    RO成分粒子に凝集する。 この時数[μm]以上の小孔ができ始める。

    【0049】(b)次にその配合が示す焼成温度に達すると、大径粒子でも熔け易い物を含んだ釉式成分間の共融が進行することで、大径の孔の生成が製品の内部や表面で進行する。 この最終的共融による無定形化物による凝集場での核塊として最後まで原形を保持して残っているのは、Al 23成分の大径粒子や前記流動化の結果生成された二次塊であるが、前記式,,中の焼成温度θ前後になると、原形の無い磁器化しした多孔体の骨格(壁)として一体化している。

    【0050】(c)この様に、核部分が焼成過程の終末近くまで存在することによって、全体的組織は特に大きな変形や組織全体の流動化はなく、成形時の形状は寸法的には2〜3%の変形内で保形されながら多孔質セラミックスが形成される。 (3)この終末段階の温度が前記式,,中のθで示されているが、その配合が示す焼成温度を越えて昇温焼成すると、組織全体が軟化し、孔径は小径化し、ついには無孔化する。 更に昇温すると組織全体が流動化して湯となる。

    【0051】(4)つまり、焼成し製造する製品には、
    各々の配合比によって望ましい最終温度θがあるが、この製造方法では、大径粒子のR 23を含有しているので、その比表面積は小さく、従って、選択した配合物のθ以下の温度帯では、小粒子間の共融場に関与するR 2
    3成分含有比が小値となり、共融点は、組織全体のR 2
    3成分含有比が来す温度より低温度となる。

    【0052】この理由によって先ず大径粒子以外の部分で、θより低温で熔融が起き、その時小孔が多数できる。 次いでθに近づく昇温に伴って、成形体は、大きな寸法変化を起すことなく、無数の小孔が融合して次第に大孔多孔化していく。 (5)顔料を前記「手段」の欄の[4](2)項の記載範囲内で混入しても、前記「作用」の欄の[1]
    (1),(2)項で述べたところの基本的変化は変らない。

    【0053】(6)吸液芯用の棒に関する必要機能を満足する焼成温度が、θ以下で650℃以上の間で選択した目的温度(t B ℃)になることは、上述の作用から、
    容易に解ることである。 尚、請求項4の製造方法については、前記「手段」欄の[4](7)項にて簡単に記載した。 [2] 加熱蒸散機能の作用 次に、吸液量及び蒸散量の律速について述べる。 以下(1)〜(4)は一般論であり、(5)は従来品の作用、(6)は本法の作用である。

    【0054】(1)ポアズイユの式(注1)からT時間後の毛管吸液量Qiの式を導く。 但し薬液の湿潤張力(σ・cosθ)や粘度η等の薬液物性値は、同一薬液利用比較なので一定値となるので除いて考える。

    【0055】

    【数1】

    【0056】但し、L :T時間後の吸液距離(高さ) σ・cosθ:湿潤張力 η :粘度 R :毛管半径=do/2 do :毛管直径 dm :速通孔径、ポロシメーター法で求めた積算細孔容積中央値(median)に相当する細孔径 T :吸液時間 Qi :T時間後の吸液芯(棒状)内流入液量 Ao :毛管内断面積 A :吸液芯の断面積(直径7φ[mm]で一定) ε p :吸液芯の気孔率 上式よりQiは(ε p・dm 1/2 )値に比例することが理解できる。 *注1:化学工学会編,化学工学便覧,改訂5版,第2
    刷,丸善(株)発行,1991.1.25,P246 (2)蒸散量Qoより小値なQiを取ると、即ち極小値な(ε p・dm 1/2 )値であれば、Qoは吸液芯多孔性、即ち(ε p・dm 1/2 )値で律速となる。

    【0057】(3)逆にQo<Qiである様な、吸液芯多孔性であれば、蒸散量の駆動力、即ち、受熱,蒸散面積,蒸散場温度,蒸散場表面風速で律速となる。 (4)経時的に薬液移動抵抗が増加すると、初頭時のQ
    oは経時的に減少する。 薬液移動抵抗の増加因は、薬液の蒸散残査物や変化物(以後、残変物と略称する)である。 この残変物の性質は、 (a)加熱時軟化して、薬液粘度より大値な粘度の液状体となる。

    【0058】(b)冷却時(吸液芯加熱電源の入力無しの時)は固化する。 (5)従来品の場合の作用 (a)多孔体の壁組織が小粒子同志の焼結で構成されている”素焼状”壁の連通孔は、小粒子間隙孔であるので、加熱時、残変物が液状体期間は、吸液芯の中心方向の低濃度液中へも残変物の拡散が徐々に進行する(図1
    2(b)参照)。 壁の中で経時的に芯中心方向へ、残変物の堆積厚みが増加する。

    【0059】(b)粘性大値層が吸液芯の外周から中心方向へ累積蒸散量に比例して厚みを増加するので、(粘度ηの逆数に比例する)拡散係数Dは徐々に小値化する。 即ち、薬液移動抵抗は累積蒸散量に比例して増大し、蒸散速度は反比例して減少する。

    【0060】(c)残変物厚みの増大は、粘性以外に、
    多孔体に於ける有効拡散係数De=D・(ε p /τ)(但し、ε pは気孔率,τは迷宮度)を小値化することにもなる。 即ち、τの大値化及びε pの小値化が残変物と”
    素焼状”壁の小粒子間隙孔の相互作用で生じる。従って上述(b)のD小値化もあって、Deはさらに小値化する。この観点からも薬液移動抵抗の増大が、経時的に増加することが明白である。 (6)本発明による場合の作用 (a)本法による多孔質セラミックスの壁構造は緻密である。そして、洞穴孔及び連通孔を有するものでは、上述の”素焼状”壁より比較的大孔径の連通孔が、吸液芯表面と内部洞穴、又は洞穴と洞穴の間に存在する。表面近くの連通孔の内、小孔が残変物で薬液の移動抵抗値を増加させることは、”素焼状”壁と同様であるが、表面開口部孔径の内、大孔径連通孔が、従来品の”素焼状”
    壁より多数のため、移動抵抗の小なる大口径連通孔から表面への薬液流出が、蒸散場への薬液供給の主流となる。

    【0061】残変物堆積も、開口部周辺で徐々に開口径を小径化させるが、開口部の内側に連通孔より格段に大径の洞穴が存在することで、吸液芯の半径中心方向への残査物進入があっても、従来品の様な、小粒子間隙孔への進入と違い、厚い高粘度層への発達は防止される。 開口径の周辺で開口を塞ぐ層の発達は、吸液芯表面上に堆積することが主流となり、加熱時には、重力作用によって吸液芯表面上を落下して行く。 即ち、ある一定厚みで薬液移動抵抗層厚みの成長は止まることになる。 尚、従来品の”素焼状”物より急速に抵抗厚みが増加(蒸散速度が短期間で低下する現象)するのは、表面のみに堆積することが原因である。

    【0062】また、加熱停止時点で、半固化や固化部分への薬液の侵入は、”素焼状”の様な物では連続的変化になるが、本法品では、不連続部分が主流であり、唯一連続点は、大開口部を覆う層部分のみである。 (b)上述の本法製法セラミックス多孔体の特徴によって、本法では急激な薬液移動抵抗の増大と、その後の一定した抵抗による長期安定な蒸散を可能としている(図13(a)の線分A−C−B−F,同図(b)の線分A
    −C−B 1 −F 1経時変化特性線参照)。 また、図13
    (a)に示す様に、本法品を示す特性曲線A−C−B−
    Fより、従来品の示す線A−B−Fは必要以上の蒸散量を必要としている。 更に、利用末期E時点に対応する単位時間当りの蒸散量Gに含有される薬効成分含有率は、
    Gより大なる蒸散量の時点でも同一である。 即ち図13
    (a)で示したハッチング部分が、従来品より本法品の方が、利用期間を同一とした時に有利になる量を示している。 また、図13(b)では、蒸発総量を従来品と同一とした場合、本法によると利用時間T 1 (=E 1 −E)
    が延長可能であることを示している。

    【0063】(c)蒸散量の増減は、受熱及び蒸散の場の面積の増減によって容易に増減できる。 例えば吸液芯の受熱部長の増減による方法は容易な実施例となる。 (d)ポアズイユの式によれば、(A・ε p・dm 1/2
    値を一定とした場合でも、薬液の界面張力や粘度等の物性値を変えることによっても、蒸散量の増減制御が可能であることは自明である。

    【0064】

    【実施例】以下、本発明の実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるのではない。 [1] 蒸散用多孔質セラミックス製吸液芯の製作 (1)原料については、図1の表1に示す様な組成(重量%)の窯業原料No.1〜5を準備し、それらを混合して、図2の表2のX,Y,Zのモル配合比及び原料粒子径となる様に、表2の試料No.A1〜A3を調製した。

    【0065】(2)前記試料No.A1〜A3の100部に対し、黒色顔料として、川村化学(株)製造の品名K
    R960(組成Fe 23 ,MnO,CoO)、又はKR
    350(組成Fe 23 ,Cr 23 ,MnO,CoO)
    を、0.5部,1部,2部,3部,4部,8部,16部配合した物を各々製作した。

    【0066】(3)成形については、常法に従って、即ち水にて試料を混練後、スクリュー式押出機の出口板の7φ[mm]ダイス開口孔部より棒状の長尺形状物を押し出し、ピアノ線にて所定長67〜75[mm]で切断し、
    7φ[mm]×67〜75[mm]の成形品を得た。

    【0067】(4)次いで、常法に従って、乾燥むら発生が少なくなる様にして乾燥した。 (5)焼成については、大気零囲気下にて、昇温3
    [h]、焼成温度保持時間4[h]とし、匣鉢内に積層状態で焼成した。 焼成温度は1150〜1300℃として、25℃区分で焼成温度別製品を得た。 尚、この時、
    前記式,,で記述した標準焼成温度θ=1.35
    (t=1350℃)より低温で焼成したのは、多孔体の細孔径が、今回の実施例の薬剤の吸液芯目的に対して、
    大値過ぎる孔径となることを防止するためである。 [2] 製品の特性試験 (1)上述した方法によって製造した吸液芯に対して、
    その多孔性をポロシメーター法によって調べた。 また、
    色調を観察し、更に後述する蒸散実験と同様な実験によって蒸散特性を調べた。 その結果、前記試料No.A1〜
    A3から製造される吸液芯のうち、試料No.A1からなるものが、多孔性及び蒸散特性の点で優れていた。 また、黒色顔料を変えた吸液芯のうち、4部配合のものが、色調,多孔性,蒸散特性の点で優れていた。

    【0068】(2)ここで、この性能の優れた製品、即ち、試料No.A1の100部に対し黒色顔料KR350
    を4部配合した原料の製品の多孔性試験の結果を、図3
    の表3,図10及び図11に示す。 この表3及び図10
    から明かな様に、組織内空孔容積基準での中央値相当の連通孔径dmは、焼成温度tが上昇するに従って大値化しており、気孔率ε pもtの大値化に伴って若干大値化している。 また、図11に示す様に、吸入機能を示す値(ε p・dm 1/2 )はt上昇に伴い上昇していることが判る。

    【0069】(3)更に、この製品の強度を、JIS1
    601の曲げ強さ試験にて測定した。 この結果を図4の表4及び図14に示す。 図14に示す様に、焼成温度t
    =1175〜1275℃の範囲で焼成した吸液芯が今回実施例の製品の強度であり、従来品の2倍弱(約1.8
    倍)の強度であることが判る。 また、容器内装着状態での落下による耐衝撃性試験でも、強度と同様な優れた結果であり、実用上の取扱い勝手が従来品より格段に良いものであった。 [3] 吸液芯の吸油(水)量及び吸液速度の実験 次に、本実施例の吸液芯の吸油(水)量及び吸液速度の実験を行った。 尚、対比のために下記比較例の吸液芯も製造して同様な実験を行った。

    【0070】(1)実施例の吸液芯 まず、本実施例の吸液芯(試料No.A1の100部に対し黒色顔料KR350を4部配合した原料を使用し、焼成温度を違えた図7の表7の実施例1〜5)に対し、吸油量,吸水量,吸液速度を測定した。 その結果を同じく表7に記す。

    【0071】この実施例および下記比較例において吸油量とは、吸液芯1[mL]当りに吸油されるノルマルパラフィンの重量[g]であり、吸油速度とは、吸液芯を7
    0[mm]に切断し、室温にてその下部15[mm]を前記ノルマルパラフィンに浸漬し、芯頂にノルマルパラフィンが到達する時間をう。

    【0072】尚、特に断らない限り、ノルマルパラフィンとは、炭素原子数14〜16の留分のものを指す。 また、吸水量及び吸水速度とは、可溶化剤(ジエチレンオキシブチルエーテル)を40重量%配合の水溶液について前記と同様に測定したものである。

    【0073】(2)比較例の吸液芯 (a)比較例1 タルク粉43.0重量%,生コークス粉30.0重量%,
    木粉6.0重量%,カオリンクレー19.0重量%,デンプン2.0重量%からなる粉体をよく混合し、これに全粉体量に対して30.0重量%の水を加え混練した。 これを7.0[mm]のノズルを有する押し出し成形機で加圧押し出しを行なって、得られた棒状成形物を風乾後、
    1000℃で焼成して比較例1の従来の吸液芯を得た。
    そして、この吸液芯に対して前記実施例1〜5と同様な実験を行った。 以下、実験方法は同様である。

    【0074】(b)比較例2 マイカ粉53.0重量%,カオリンクレー22.0重量%,アクリル樹脂粉末20.0重量%,カルボキシメチルセルロース5.0重量%からなる粉体をよく混合し、
    これに全粉体量に対して30.0重量%の水を加え混練した。 これを比較例1と同様の方法で押し出し成形し、
    焼成を行って比較例2の吸液芯を得た。

    【0075】(c)比較例3 珪藻土50.0重量%,木粉24.0重量%,活性炭2
    4.0重量%,デンプン2.0重量%の混合物に、全粉体量に対して130.0重量%の水を加え混練し、これを押し出し成形後、風乾して、比較例3の吸液芯を得た。

    【0076】(d)比較例4 同様にして珪藻土14.0重量%,クレー35.0重量%,焼石膏49.0重量%,CMC−Na2.0重量%から比較例4の吸液芯を作成した。 この吸液芯の吸油量は0.30[g/mL]、吸油速度は9時間であった。 尚、
    比較例3及び4の吸液芯を水性殺虫液に浸漬した場合、
    膨潤、劣化が生じ使用に耐えなかった。

    【0077】(e)比較例5 前記比較例1の配合組成に準じ、タルク粉43.0重量%,生コークス粉30.0重量%,木粉6.0重量%,カオリンクレー19.0重量%,デンプン2.0重量%からの混合物に、全粉大量に対して50.0重量%の水を加え混練し、これを押し出し成形後、水分が1重量%以下になるまで50〜80℃で乾燥したところ、芯の形状が壊れる現象が見られ、吸液芯として不可であった。

    【0078】図7の表7から明かな様に、本実施例1〜
    5の吸液芯は、同一配合品なのに、焼成温度t Bの上昇に伴って大きい孔径dmが増加する(但し吸油量に比例する気孔率ε pの増加は少ない)ことにより、(ε p・d
    m 1/2 )によって定まる吸液速度もまた上昇していること、即ち吸液芯頂部への液上昇が短時間であることが示されている。 また、幅広い吸液速度がt Bによって得られるので、対象薬液物性も目的に応じて幅広い選択ができる特徴が示されている。 更に、対象薬液が油性であっても水性であっても、同様な結果を示していて安定である。

    【0079】それに対し、比較例のうち焼成操作なしの比較例3〜5のものは、水性液に対し、安定使用が不可能であった。 また、焼成操作ありの比較例1,2は、耐水性,耐油性ともあったが、後述する対薬品安定性が劣っていた。 また、多孔性については、有機物や炭化物の揮散残孔に依存しているため、比較例1,2は、実施例の様に、同一配合でt B変化によって多孔性を大幅に連続的に変化させることは困難である。 [4] 吸液芯の対薬品安定性実験 前記実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3,4の吸液芯を粉砕し、得られた粉体3gに殺虫剤Kの1.8
    重量%ノルマルパラフィンまたは、ジエチレンオキシブチルエーテル40重量%配合の水に溶解した薬液を吸収させ、この粉体を130℃、8時間の条件で密栓保存し、これら殺虫有効成分の残存率[%]を比較した。 その結果を図8の表8に示す。

    【0080】この表8から明かな様に、本実施例のものは、油性及び水性殺虫剤ともに、殺虫有効成分の残存率91%以上と高く好適であるが、それに対して比較例のものは、いずれも86%以下である。 [5] 吸液芯の蒸散実験 図15に示す加熱蒸散器に、実施例1,2,4の吸液芯及び比較例1,3,4の吸液芯をそれぞれセットし、殺虫剤D1.8重量%をノルマルパラフィン又はジエチレンオキシブチルエーテル40重量%配合の水に溶解した薬液45[mL]を容器にいれ、吸液芯側面を120℃に加熱して蒸散実験を行った。 尚、所定の加熱時間までに薬液が不足する時は、その時点で新たに薬液のみ補充した。

    【0081】蒸散試験は、(1)薬液の時間当りの減少量と、(2)時間あたりの殺虫剤揮散量を調べた。
    (2)においては一定時間毎にシリカゲル充填カラムでトラップし、アセトンで殺虫剤を抽出し、ガスクロマトグラフで分析した。 その結果を図9の表9に示す。 尚、
    この表9中で、各例の上段の値(a)は薬液蒸散量[g
    /h]を表し、下段の値(b)は殺虫剤蒸散量[mg/
    h]を表す。

    【0082】この表9から明かな様に、本実施例のものは、加熱時間が長くなっても、薬液の時間当りの減少量の変化並びに時間あたりの殺虫剤揮散量の変化が少なく好適である。 それに対して、比較例のものは、加熱時間が長くなるにつれて、薬液の時間当りの減少量の変化並びに時間あたりの殺虫剤揮散量の変化が大きくなってしまう。

    【0083】つまり、前記対薬品安定性試験及び蒸散試験の結果、本発明の吸液芯を用いることにより、殺虫剤Dの様なフラン環や炭素−炭素三重結合を有するものが薬剤であっても、本加熱蒸散方式において安定であり、
    薬液の蒸散量、殺虫有効成分の経時的減少が殆どないという効果が得られた。

    【0084】

    【発明の効果】本発明は、上述した構成によって、下記の効果を奏する。 (1)耐アルカリ性,耐酸性,耐油性,耐水性等が従来品より優れている。 油性や水性のいずれの薬液に対しても安定して利用できる。

    【0085】(2)目的薬液の性状に合わせた吸液機能が、吸液芯製造時における焼成温度制御だけで容易に達成できるので、幅広い薬液の選択が可能となった。 また、同一薬液量であっても、蒸散可能時間の長短が幅広く選択可能となった。 (3)対薬品活性が小値で安定している。 つまり、多孔性について、細孔径が従来品より大のため、比表面積が従来品より格段に小値であること、ガラス質が組織内で多い磁器質なので原料粒子の表面活性の発現は殆ど無いこと等によって、薬剤の分離吸着作用や分解重合促進作用等の対薬品活性が殆ど無い。 例えば、殺虫剤Dの様な、フラン環や、炭素−炭素三重結合を有するものが薬剤であっても、殺虫有効成分の経時的減少は殆ど無い。

    【0086】(4)蒸散結果からみて、主たる利用範囲は1150〜1275℃焼成物であるが、同様な機能を示す従来品の”素焼状”の焼成物より、機械的強度において約1.8倍程度丈夫である。 また、容器内装着状態での落下による耐衝撃性試験でも同様な結果であり、実用上の取扱い勝手が格段に良くなった。

    【0087】(5)従来品と違い、汎用磁器品と同様材質なので、防黴,防腐,防虫,難燃等の処理は不用である。 (6)薬剤蒸散速度の経時変化特性が優れている。 つまり、長期間にわたり、一定の薬液蒸散速度を保つことができるので、例えば殺虫剤等の薬剤の効き目が長持ちする。 又は、有効薬効成分剤の消費量の節約ができる。

    【0088】(7)耐熱性が高い。 製造時の焼成温度より約50〜100℃以下で、例えば大気零囲気中での簡単な再生焼を施した時、多孔質組織の微構造及び色調の変化は無いので、安価なガス炉等で簡単に新品と同一品が得られる様なリサイクル性に優れた物である。 一方、
    焼結製の従来品は多孔質の壁構造構成粒子に多量の炭素粒を残した焼結品であり、500〜600℃の再生焼を大気零囲気中で行うと炭素粒が無くなり、連通孔径が大化するので新品と同一の機能を得ることはできない。 また、焼結製でない従来品は炭化物の代わりに有機物を多く含んでいて、600℃加熱で保形さえできない物が多い。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 原料粉末の成分を表1として示す図である。

    【図2】 試料の原料の配合を表2として示す図である。

    【図3】 焼成温度と連通孔径等との関係を表3として示す図である。

    【図4】 焼成温度と強度との関係を表4として示す図である。

    【図5】 殺虫剤一覧を表5として示す図である。

    【図6】 殺虫剤一覧の続きを表6として示す図である。

    【図7】 吸液芯の多孔性による特性を表7として示す図である。

    【図8】 薬剤成分の残存率を表8として示す図である。

    【図9】 蒸散速度の経時変化の特性を表9として示す図である。

    【図10】 焼成温度と連通孔径及び気孔率との関係を示すグラフである。

    【図11】 焼成温度と吸液速度比例値との関係を示すグラフである。

    【図12】 本発明と従来の吸液芯の構造を示す説明図である。

    【図13】 吸液時間と蒸散量との関係を示すグラフである。

    【図14】 焼成温度と強度との関係を示すグラフである。

    【図15】 吸液芯が使用される容器の構造を示す説明図である。

    【符号の説明】

    1…容器 2…薬液
    3…収納容器 4…発熱体 5…コード
    6…薬液注入口 7…吸液芯

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