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等価フィッサイル係数の設定方法

阅读:1002发布:2020-05-14

专利汇可以提供等価フィッサイル係数の設定方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且MOX 燃料 集合体を製造対象として、適用されるPu同位体組成に対応するPu富化度の決定に用いる等価フィッサイル係数の設定方法において、前記適用Pu同位体組成の範囲を網羅する複数のPu同位体組成を等価フィッサイル係数の全数より多く選定する工程と、選定されたPu同位体組成の夫々に対し、基準設計と任意の特性が等価となる各MOX燃料棒の富化度分布を決定する工程と、該富化度分布に基づくMOX燃料棒平均Pu富化度ε及び各Pu同位体組成におけるウランまたはPu中に各同位体が占める重量割合に基づくデータを用いて等価フィッサイル法に最小2乗法を適用した式を計算して等価フィッサイル係数を求める工程と、を備えたことにより、MOX燃料集合体のより効率的な設計及び製造のための、従来より高 精度 に等価フィッサイル係数を設定できる方法が提供できる。,下面是等価フィッサイル係数の設定方法专利的具体信息内容。

ウランとプルトニウムとを核燃料物質として含むMOX燃料集合体を製造対象として、前記核燃料物質に適用されるプルトニウム同位体組成に対応するプルトニウム富化度を等価フィッサイル法により決定するのに用いる予め定められた核種毎の等価フィッサイル係数の設定方法であって、 前記適用されるプルトニウム同位体組成の範囲を網羅する複数のプルトニウム同位体組成を、前記等価フィッサイル係数の全数より多く選定する工程と、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれに対し、予め定められた基準となる設計と無限増倍率が等価となる各MOX燃料棒の富化度分布を決定する工程と、 前記決定された富化度分布に基づくプルトニウム富化度εと、各プルトニウム同位体組成におけるウランまたはプルトニウム中における各同位体が占める重量割合に基づくデータを用いて、式(1)で定義される等価フィッサイル法に最小2乗法を適用した式を計算して等価フィッサイル係数を求める工程と、 を備えていることを特徴とする等価フィッサイル係数の設定方法。前記富化度分布を決定する工程は、該工程で設定された富化度分布に対する無限増倍率と前記基準設計の無限増倍率との差が予め定められた収束判定値より小さくなるまで、初期富化度分布として与えられた各MOX燃料棒の富化度を一様に定数倍する工程を繰り返す調整工程によって決定することを特徴とする請求項1に記載の等価フィッサイル係数の設定方法。前記等価フィッサイル係数を求める工程は、式(11)に、前記選定されたプルトニウム同位体組成の前記プルトニウム富化度εと各同位体が占める重量割合に基づくデータをフィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして対応させてCを計算で求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の等価フィッサイル係数の設定方法。設定すべき前記フィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして、式(12)に示す関数を設定し、この式(12)を前記式(11)に対応させてCを計算で求めることを特徴とする請求項3に記載の等価フィッサイル係数の設定方法。設定すべき等価フィッサイル係数として、プルトニウム中の巨視的断面積が最も大きい順に選択した1種以上の同位体の組成割合に対して依存性を持たせたものとすることを特徴とする請求項2又は3に記載の等価フィッサイル係数の設定方法。設定すべき前記フィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして、式(13a)に示す関数とすることで式(14a)を設定し、この式(14a)を前記式(11)に対応させてCを計算で求めることを特徴とする請求項5に記載の等価フィッサイル係数の設定方法。請求項2〜6の何れか1項に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、 前記製造対象のMOX燃料集合体としてプルトニウム富化度種類を3種類以上含んだものを対象とし、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれに対し、設計最適化対象の単一の物理量について、プルトニウム富化度種類毎に予め定められた前記物理量の分布を再現する富化度分布を、式(29)、式(31)及び式(32)を用いた式(30)に基づいて設定する工程と、 該工程で設定された富化度分布に対して前記設計最適化対象の単一の物理量を計算し、前記予め定められた物理量分布との差が、予め定められた収束判定値より小さくなるまで前記工程を繰り返し、得られた富化度分布を前記初期富化度分布とする調整工程と、 前記初期富化度分布に対する無限増倍率と前記基準設計の無限増倍率との差が予め定められた収束判定値より大きい場合には小さくなるまで前記初期富化度分布を一様に定数倍する工程を繰り返す調整工程と、を備え、 この調整工程で調整された富化度分布に基づいて、富化度種類毎にそれぞれ等価フィッサイル係数を最小2乗法を適用して求めることを特徴とする等価フィッサイル係数の設定方法。前記請求項7に記載の方法で予め求められた等価フィッサイル係数とE239富化度を第0次等価係数とし、前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれについて、前記第0次等価係数を用いて前記式(1)から前記E239富化度と等しくなるMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を仮決めして前記初期富化度分布とする第1処理工程と、 前記仮決めされたプルトニウム富化度分布に対して無限増倍率を計算して、前記基準設計の無限増倍率との差を予め定められた収束判定値と比較判定する第2処理工程と、 前記判定にて両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より大きい場合には、前記仮決めされたプルトニウム富化度分布を一様に定数倍して各MOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を調整して新たな仮決めプルトニウム富化度分布を得る第3処理工程と、 第3処理工程で得られた新たな仮決めプルトニウム富化度分布に対して第2処理工程に戻り、再度無限増倍率を計算して前記判定を行う工程を、前記両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなるまで繰り返す工程と、 前記無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなった時点のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度と、各プルトニウム組成に基づいて、前記請求項7に記載の方法によって等価フィッサイル係数を決定し第1次等価係数とする第4処理工程と、を備え、 前記第1処理工程から第4処理工程までの一連の作業を繰り返すものであり、各一連の作業は、前回の第4処理工程で決定された等価フィッサイル係数を次回の第1処理工程に用いるものであり、最終のN回目の作業は、第1処理工程を第N−1次等価係数を用いて開始して第4処理工程で第N次等価係数を決定することを特徴とする等価フィッサイル係数の設定方法。前記請求項7又は8に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、 前記設計最適化対象の単一の物理量は、プルトニウム富化度種類毎の燃料棒線出の最大値、又は燃料棒燃焼度の最大値であることを特徴とする等価フィッサイル係数の設定方法。前記製造対象のMOX燃料集合体としてプルトニウム富化度種類を3種類以上含んだものを対象に、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法で予め求められた等価フィッサイル係数を第0次等価係数とし、該第0次等価係数と、前記基準設計のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度とに基づいて、前記式(1)から前記基準設計のMOX燃料棒毎のE239富化度を計算して決定する第1処理工程と、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれについて、前記第0次等価係数を用いて前記式(1)から前記基準設計のMOX燃料棒毎のE239富化度と等しくなるMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を仮決めして前記初期富化度分布とする第2処理工程と、 前記仮決めされたプルトニウム富化度分布に対して無限増倍率を計算して、前記基準設計の無限増倍率との差を予め定められた収束判定値と比較判定する第3処理工程と、 前記判定にて両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より大きい場合には、前記仮決めされたプルトニウム富化度分布を一様に定数倍して各MOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を調整して新たな仮決めプルトニウム富化度分布を得る第4処理工程と、 第4処理工程で得られた新たな仮決めプルトニウム富化度分布に対して第3処理工程に戻り、再度無限増倍率を計算して前記判定を行う工程を、前記両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなるまで繰り返す工程と、 前記無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなった時点のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度と、各プルトニウム組成に基づいて、前記請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法によって等価フィッサイル係数を決定し第1次等価係数とする第5処理工程と、を備え、 前記第1処理工程から第5処理工程までの一連の作業を繰り返すものであり、各一連の作業は、前回の第5処理工程で決定された等価フィッサイル係数を次回の第1処理工程に用いるものであり、最終のN回目の作業は、第1処理工程を第N−1次等価係数を用いて開始して第5処理工程で第N次等価係数を決定することを特徴とする等価フィッサイル係数の設定方法。

说明书全文

本発明は、ウラン−プルトニウム混合酸化燃料集合体の製造において、ウラン及びプルトニウムの同位体組成が基準となる設計と異なる場合に、反応度が目標となる基準設計と等価となるよう行われる富化度調整の際に用いられる等価フィッサイル法に関するものであり、詳しくは等価フィッサイル係数の設定方法及び該係数を用いてプルトニウム富化度調整を行う燃料集合体の製造方法に関するものである。

沸騰原子炉(BWR)及び加圧水型原子炉(PWR)では、使用済燃料の再処理によって得られたプルトニウムを核燃料物質として用いてなるウラン−プルトニウム混合酸化物燃料(以下、MOX燃料と記す)を炉内に装荷することで、ウランの省資源化とプルトニウムの利用を図る、いわゆるプルサーマル計画が進められている。MOX燃料の装荷に当たっては、取替燃料の一部としてウラン燃料と共に炉心に混在させて装荷する方法がある。

ところで、MOX燃料中に含まれるプルトニウム(以下、Puと記す)の同位体組成は、主に再処理する使用済み燃料のタイプ、濃縮度及び燃焼度によって異なる。例えば、BWRの9×9配列燃料(B型)の燃焼度45GWd/tの使用済み燃料を再処理して得られるPu中のPu239の重量割合は約51%であるが、当該燃料を50GWd/tまで燃焼させて得られるPu中のPu239の重量割合は約48%である。

また、Pu241は、再処理時点から炉心に装荷されるまでの期間においても半減期約14年のβ崩壊により、Am241の生成とPu241の減少が生じる。そのためMOX燃料の製造においては、多様な組成のMOX粉が供給されることを前提とする必要がある。

MOX燃料中に含まれるPuの同位体組成が異なると、基準となる設計(以下、基準設計と記す)と同じPu富化度(以下、単に富化度と記す)としても、燃料中に含まれる各プルトニム同位体の存在量は、当然、基準設計と異なる。

特に、核分裂性核種であるPu239及びPu241の存在量が基準設計よりも多ければ、反応度は基準設計よりも高くなる。一方、中性子に対する毒物効果の大きいPu240及びAm241の存在量が多ければ、反応度は基準設計よりも低くなる。したがってMOX燃料中に含まれる同位体組成に応じて、少なくとも基準設計の反応度と等価となるように富化度を調整する必要がある。

ここで、PWR向けMOX燃料のPu富化度について論じられている文献(非特許文献1)がある。この非特許文献1では、PWR炉心のサイクル末期において、炉心内に装荷されるウラン燃料とMOX燃料の反応度を等価とすることで、MOX燃料を取替燃料の一部として装荷した場合にも、所定のサイクル燃焼度が達成されるよう配慮している。具体的には、サイクル末期(以下、EOCと記す)の炉心平均燃焼度において、ウラン燃料の無限増倍率kとMOX燃料の無限増倍率kとが同等な値となるように、MOX燃料中のPu同位体組成に応じて富化度を調整するものである。この富化度調整に際して、非特許文献1では等価フィッサイル法が用いられている。

一方、反応度の等価性を保ちつつ、局所出ピーキングを自由に制御するため、燃料集合体の内層・中間層領域と外層領域の富化度配分を、目標のLPFとなるまで変化させた上で、反応度の等価性を満たす各領域の富化度配分を決定する方法が示されているもの(特許文献1参照)がある。

また、非特許文献1とは異なる等価フィッサイル係数を求める方法として、例えば、核種組成が異なる2つのケースに対して反応度が等価となるMOX燃料棒平均富化度をそれぞれ予め求め、求めるべき2つの等価フィッサイル係数を未知数とした連立一次方程式を解くことで、等価フィッサイル係数を求めるものが特許文献2に開示されている。

さらに、特許文献3には、等価フィッサイル係数を求める方法として、直接計算によって核種組成と必要濃度の相関を数点求め、それらをフィッティングすることにより反応度係数を求めるものが開示されている。

なお、等価フィッサイル法とは、ウラン及びPu原料物質の同位体組成が与えられた時に、適正な反応度を与えるPu富化度を数式によって求めるものである。即ち、各種同位体が混在するMOX燃料について、原料物質の各同位体の反応度価値をPu239に換算し、Pu239とU238のみからなる仮想的MOX燃料に変換したときの等価Pu239富化度をE239とすると、あるMOX燃料についてのウラン及びPuの同位体組成とPu富化度ε(Put富化度:{(全Pu+Am241)/(全Pu+Am241+全U)}×100(重量%)が与えられれば、E239 =εΣiαiηi+(100−ε)Σiβiηi・・・非特許文献1の基礎式(1)からE239が計算で求められる。

ここで、αiはPu同位体組成(全Pu+Am241に対する重量割合)、βiはU同位体組成(全Uに対する重量割合)、ηiは各同位体のPu239等価係数(Pu及びUの同位体核種の反応度価値をPu239に換算する係数、等価フィッサイル係数)である。

そこで、与えられた原料物質のウラン及びPuに対してMOX燃料が適正な反応度を持ち得るようにPu富化度を決定する場合には、代表的な同位体組成を持つMOX燃料について適正な反応度と成るPu富化度を求めて該MOX燃料のE239を計算し、これを定数として定めれば、与えられた原料物質の同位体組成において、E239が定められた値となるようにPu富化度εを決定する。この場合に用いられる非特許文献1の基礎式(2)に対して、標記は異なるが等価な式(1)を以下に示す。

上記式(1)により、MOX燃料の反応度が適正値となるようにPu富化度εを決定することができる。この際に必要な等価フィッサイル係数Cを求める方法として、非特許文献1の7頁には「各同位体濃度の寿命初期値変化に対する無限増倍率の変動を分析・整理することにより決定」するとある。具体的な求め方の手順は、非特許文献1には何ら記載がないが、概ね図27のフローチャートで示すような手順によるものと考えられる。即ち以下の手順である。

手順1:炉心に装荷された場合の寿命、熱的制限値を満たすことが設計計算により確認済みの基準となる設計(基準設計)を設定。該当設計がなければ炉心に装荷された場合の寿命、熱的制限値を満たすように各燃料棒の富化度を決定する。 手順2:Pu239の存在重量を微少量変化させた時の単位変化重量当たりの無限増倍率kの変化量dk49を、基準設計の核的特性を評価する際に用いた集合体計算コードで評価する。なお、Pu239の存在量を変化させる際には、MOX燃料中のウランとPuの寿命初期における総重量が保存されるようにU238の存在量を調整する。例えば、Pu239の存在量を増やしたケースの評価を行う場合には、U238の存在量を同重量分減らす。 手順3:求めたい等価フィッサイル係数の対象核種m(またはn)の存在重量を微少量変化させた時の単位変化重量あたりの無限増倍率kの変化量dkm(またはdkn)を集合体計算コードで評価する。なお、対象核種m(またはn)の存在量を変化させる際には、MOX燃料中のウランとPuの寿命初期における総重量が保存されるようにU238の存在量を調整する。即ち、対象核種m(またはn)の存在量を増やしたケースの評価を行う場合には、U238の存在量を同重量分減らす。 手順4:等価フィッサイル係数Cm(またはCn )を、Cm=dkm/dk49、または(Cn=dkn/dk49)、の式で算出する。 手順3と手順4を、求めたい等価フィッサイル係数の対象核種分実施する。

なお、非特許文献1の等価フィッサイル係数は、非特許文献1の第8頁にも記載があるように「実際のMOX燃料成形加工に用いるプルトニウムの同位体組成はきわめて多様であるため、広い範囲の同位体組成変動に対しても適用可能であるように等価係数を決定する必要があるが、一組の等価係数をあらゆる同位体組成に適用しようとすると、等価フィッサイル法の基礎式1が線形方程式であるため、精度の低下が避けられない。これを避けるためには、プルトニウム同位体組成を幾つかのグループに分類し、各グループ毎に等価係数の組を設定する必要がある」とされている。即ち、等価フィッサイル係数は定数ではなく、様々な要因で変化するものであり、実際に用いられるPuが非常に広い範囲の同位体組成のものであるため、ある特定の同位体組成において決定された一組の等価フィッサイル係数をそのまま広い範囲の多様な同位体組成での富化度決定に用いても高い精度が得られない。

そこで、非特許文献1では、主にPuf割合:(Pu239+Pu241)/(全Pu+Am241)×100(重量%)の数値範囲毎にグループ1〜5を設定し、図27に示した手順を、図28のフローチャートに示すようにグループ毎に行っている。なお、グループ1はPuf割合が55%以上,60%未満、グループ2はPuf割合が60%以上,65%未満、グループ3はPuf割合が65%以上,70%未満、グループ4はPuf割合が70%以上,75%未満、グループ5はPuf割合が75%以上である。このように非特許文献1の手法においては、多様な同位体組成に対応して精度低下なくPu富化度を決定するために、グループ個別に基準設計と等価フィッサイル係数を用意して行っている。

以上の非特許文献1には、集合体平均の富化度の決定法について述べられているが、各燃料棒の富化度の決定法については何ら触れられていない。これは、非特許文献1の第2頁にも記載があるとおり、「本資料では、MOX燃料集合体の反応度を適正化する手法を提示することを目的としているので、燃料棒毎の同位体組成やプルトニウム富化度の違いについては議論せず、集合体平均の同位体組成やプルトニウム富化度のみを取り扱」っているためである。

ただし、このような取扱いでは、反応度は目標値を得ることができても、燃料集合体内のPu富化度配分についての配慮がなされていないため、LPF(燃料集合体内の出力分布平坦化の指標である局所出力ピーキング係数)が目標値から大きく変動する可能性があるという問題を有するものである。

特許文献1では、以下の方法によりこのような問題を解決している。即ち、まず集合体の内層・中間層領域と外層領域それぞれに着目し、これら領域に対応する等価フィッサイル係数をそれぞれ予め求めておく。次にLPFを目標の値とするため、内層・中間層領域の富化度を変化させていく際に、反応度の等価性が保たれるように外層領域の富化度を決定する。この外層領域の富化度決定の際、先に予め求めておいた内層・中間層領域と外層領域それぞれの等価フィッサイル係数が用いられる。以上のようにして、目標のLPFを満たしつつ、反応度の等価性を有す富化度を決定することが可能となった。

特許第3008129号公報

特開2009−14511公報

特開2010−261866公報

三菱重工株式会社発行、MHI-NES-1001、「PWR向けMOX燃料のプルトニウム富化度について」、平成8年2月

しかしながら、広いPu同位体組成の範囲を対象としたBWR向けMOX燃料において、上記の如き従来技術である非特許文献1と特許文献1の技術の組合わせで「基準設計に対して反応度とLPFの等価性を有す富化度配分を精度良く決定可能」となるわけではない。

まず、前記式(1)中の等価フィッサイル係数Cは、Cm=dkm/dk49(またはCn=dkn/dk49)で求められ、dkm(またはdkn)は、求めたい等価係数の対象核種m(またはn)の存在重量を微小量変化させた時の単位変化重量あたりの無限増倍率kの変化量である(kの変化量自体は集合体計算コードで評価)。

一方、対象核種m(またはn)の存在重量を「どの程度」変化させるかについては任意性があり、求める等価フィッサイル係数の精度へ少なからず影響がある。これは、等価フィッサイル係数の線形性が成り立つと言う観点では、存在重量の変化量は、なるべく小さく設定するほうが好ましいが、変化量があまりにも微小量であるとkの変化量として有意な感度が得られないからである。これは、集合体計算コードにおいてkを評価する際に解く中性子輸送方程式の数値計算手続が、所謂反復計算手法に依っているためと考えられる。即ち、中性子輸送方程式の反復計算の過程において、事前に定められた中性子束分布に対する収束判定条件に基づき、有限回数で反復計算を打ち切るため、kの計算結果には、常に一定の反復計算打ち切りに伴う誤差が含まれているためである。逆に、kの変化量として有意な感度が得られるように、対象核種の存在重量をある程度大きめに変化させると、kに対する感度に非線形性が現れる。したがって現実的には、kに対する感度の非線形性を許容、すなわち等価フィッサイル法の精度悪化を許容しつつ、全体の誤差が最小となるように存在重量の変化幅を決定する必要がある。しかし、このような高度な技術的判断の方法として、定量的な手法は、非特許文献1をはじめ、これまで明らかにされていない。

また、非特許文献1における「各グループ毎に等価係数の組を設定する」方法では、より精度の高い等価係数が求められる場合、グループ分けをより細かく設定することで対応可能と思われがちであるが、実際には、いくら詳細にグループを分割しても、高い精度の等価フィッサイル係数を得るには限界があると考えられる。これは、非特許文献1では、前記Puf割合の数値範囲毎のグループ分けに加え、Pu239とPu242の同位体組成割合を、2次元直交座標系における座標と見なしてさらに領域分けする方法を用いているが、等価フィッサイル係数の線形性に有意な影響があると考えられるPu239とPu242以外のプルトニム同位体について、グループ分けの指標として、考慮されていないためである。特に、Pu240については、単位原子個数あたりの中性子に対する毒物効果はさほど大きくはないが、存在量が比較的多いため、正味の中性子に対する毒物効果は比較的大きく、等価フィッサイル係数の線形性に有意な影響があると考えられる。

従って、グループ分けの指標に用いる核種の数をPu239とPu242の2種類から、Pu240を含む3種類以上とすれば、高い精度の等価係数を達成することが可能になると考えられる。ただし、グループ分けとして取り扱う空間として3次元以上の直交座標系を取り扱う必要があり、グループ分けの数は、累乗的に膨大な数となり、実用上、取り扱うには無理がある。

さらに、MOX燃料の成形加工においては、ある成形加工単位でPu組成は公差の範囲でばらつくが、当該ばらつきの範囲がグループ分けの境界をまたぐ場合の取扱いについても以下のような問題が考えられる。ある成形加工単位においてPu組成のばらつきがグループ分けの境界をまたいだ場合、実運用上の複雑さを避けるため、成形加工単位内の平均組成が含まれるグループ分けの等価フィッサイル係数を一貫して使用する方法が合理的と考えられる。従って、グループ分けの分割幅がPu組成の公差より狭かったとしても、「平均組成が含まれるグループ分けの等価フィッサイル係数を一貫して使用する」ために、グループ分けの分割幅を詳細化することによる等価フィッサイル係数の精度向上は望めない。すなわち、グループ分けの分割幅は、Pu組成の公差程度までが限界となる。

以上のように、非特許文献1に示される技術を用いて等価フィッサイル係数の高精度化を図ることは、グループ分けが膨大となること、実質的な精度の限界が成形加工におけるPu組成の公差程度に制限されることから、実用に適さないと言える。

次に、前記特許文献1では、「基準設計に対する反応度の等価性を保ちつつ、目標のLPFを有す富化度配分の決定方法」として、実施例で引用された第2図に示されている燃料集合体の例では、内層燃料棒および中間層燃料棒の燃料物質には同一の原料が使われ、内層・中間層領域でPu富化度1種類、外層領域でPu富化度1種類と、計2種類のPu富化度からなっている。したがってこの特許文献1の実施例では、たかだか2領域について等価フィッサイル係数を取り扱うのみで良い。また、内層・中間層領域のPu富化度と外層領域のPu富化度の2変数のみを取り扱うことから、目標LPFを満たす両富化度の関係は、特許文献1の第3図に示されるような2次元上の単純な曲線でしかない。したがって基準燃料と反応度が等価となる「目標等価フィッサイル量」を満たす第3図上の曲線「E」と左記の目標LPFを満たす曲線との交点をただ一つ求めることが可能である。

一方、使用するPu富化度種類として4種類程度用いた設計は、BWR用のMOX燃料では一般的に行われている。図1に示したBWR向けMOX燃料集合体の設計例は、燃料棒9行×9列の燃料棒格子配列で中央部に燃料棒9本(3×3)分の領域を占める管形状の太径水ロッドWを持ち、上端領域を排除したMOX燃料棒P1〜P4と、MOX燃料を含まないウラン燃料棒Uの14本が、それぞれ所定位置に配されたものである。MOX燃料棒P1〜P4それぞれに対し、Pu富化度1種類が用いられている。したがってこの図1に示した例では、燃料集合体内でPu富化度種類は4種類用いられている。

特許文献1に示される技術をこの図1のような設計例へ適用する場合、P1が配置される領域を特許文献1の実施例で言う「内層・中間層領域」、P2〜P4が配置される領域を特許文献1の実施例で言う「外層領域」と見なしうる。この場合、取り扱う領域の数が、たかだか2領域であることから、特許文献1に示される技術は適用可能に思われる。しかしながら実際には、P2〜P4配置領域については、当該領域の平均Pu富化度のみが取り扱われることから、P2〜P4の富化度配分を如何に決定するかについて、任意性がある。

特に、LPFが生じる燃料棒は、BWR用燃料集合体の場合、通常、集合体外周領域の燃料棒となることが多く、この領域にはP2〜P4が配置される。したがってP2〜P4の富化度配分によってLPFは影響を受け、「内層・中間層領域」のP1のPu富化度と「外層領域」のP2〜P4の平均Pu富化度の配分のみで、LPFを目標値とすることができるとは限らない。この問題を解決するためには、P2〜P4の富化度配分について、一意に定める方法を見いだす必要があるが、そのような方法について、特許文献1では、何ら触れていない。

この問題に対する容易に想起される解決策の候補としては、「外層領域」のP2〜P4内での富化度配分については、基準設計のP2〜P4の富化度配分を定数倍することで与える方法が考えられるが、このような方法では、Pu組成が基準組成から大きく異なった場合、P2〜P4内の何れかの燃料棒の出力ピーキングが過大となり、P1のPu富化度とP2〜P4の平均富化度の配分を調整するのみでは、目標のLPFとなる組合わせが存在しない可能性が容易に想像される。そのため結局は、非特許文献1に示される技術と同様に、複数のグループ分けに対し、目標のLPFを満たす富化度配分を、事前に設計者が用意しておく必要がある。これは、特許文献1のLPFを目標値へ調整する技術が、「狭い組成範囲において、元来、微小な変化しか示さないLPFに対し、微調整程度の効果しか発揮しない」という点で、特許文献1に示される技術の大部分のメリットは失われていると考えられる。

さらに、図1のような設計例への特許文献1に示される技術の別の適用法としては、P1〜P4それぞれの領域に対し、等価フィッサイル係数を求める方法が考えられる。すなわち、取り扱う領域の数を4領域とする方法である。この場合、拘束条件は、「目標のLPFを達成する」ことと「基準燃料と反応度が等価になる」ことの二つであるが、これに対し、取り扱う変数は4つの領域それぞれのPu富化度、すなわち4変数である。従って、拘束条件2つに対し、求めるべき変数は4つなので、自由度は2変数分多く、一意に4領域の富化度を決めることはできない。特許文献1は、このような変数の自由度が多い場合の富化度の決定法について何ら触れていない。

この問題に対する容易に想起される解決策の候補としては、拘束条件を増やす、例えば目標のLPFとして、燃焼度B1,B2,B3における目標LPFを定め、これを満たすようにP1〜P4の富化度を決定する方法が考えられる。ただし、この方法に対して、「全ての拘束条件を満たす解が必ず見つかるか」と言う疑問が生じる。この疑問は、「P1〜P4の富化度配分によって、燃焼度B1,B2,B3のLPFを自由に制御できるか」と言う問題に言い換えることができる。一般に、BWR向けのMOX燃料の燃焼を通じたLPFは、P1〜P4の富化度配分と可燃性毒物であるガドリニアを添加した燃料棒の配置、本数によって影響を受ける。特にガドリニア添加燃料棒中にガドリニアが存在する期間では、LPFは燃料の燃焼に伴うガドリニアの消費量に強く影響される。このガドリニアの消費量は、P1〜P4の富化度配分にはあまり影響を受けず、MOX燃料棒中に含まれるPu組成に影響される。したがってガドリニア添加燃料棒中にガドリニアが存在する期間は、P1〜P4の富化度配分によって、LPFを制御することは不可能である。また、ガドリニア添加燃料棒中のガドリニアが全て消費された以降の期間におけるLPFの燃焼に伴う推移は、主にMOX燃料棒中に含まれるPu組成により決定される。したがって「P1〜P4の富化度配分によって、燃焼度B1,B2,B3のLPFを自由に制御する」ことは物理的に困難と考えられる。すなわち、燃焼度B1,B2,B3における目標LPFを満たすP1〜P4の富化度配分は、物理的に存在しない可能性が高い。

以上の通り、特許文献1に示される技術は、富化度種類が3種類以上のMOX燃料に対しては適用が困難と考えられる。

また、特許文献2に開示されている等価フィッサイル係数を求める方法では、求めるべき等価フィッサイル係数の数とたかだか同じ数のMOX燃料棒平均富化度の値の組をもって等価フィッサイル係数が連立一次方程式によって決定されている。これは、前述のような反復計算などの数値計算に起因する誤差成分をお互いに打ち消すには十分な数ではない。そのため、この特許文献2においても、非特許文献1をはじめ従来技術同様に、kに対する感度の非線形性を許容、即ち等価フィッサイル法の精度悪化を許容しつつ全体の誤差が最小となるような存在重量の変化幅、即ち核種組成のケースを決定する必要があるが、そのための定量的な手法はこれまでに明らかにされていない。

また、特許文献3では、必要濃度を予め求める際の方法について具体的な説明が何ら記載されておらず、集合体内の複数種類のMOX燃料棒の富化度配分を決定する際に任意性がある。従って、一般に行われるように、各核種組成に対し、富化度配分を設計者が人為的に決定すると、前述のように反応度等価となるMOX燃料棒平均富化度は富化度配分に影響を受け、この影響はそのまま等価フィッサイル係数の誤差として現れることから、精度良く等価フィッサイル係数を求めることができない。よって、この特許文献3の方法においても、等価フィッサイル法に含まれる誤差を全体として最小化することはできない。

本発明の目的は、上記問題点に鑑み、MOX燃料集合体のより効率的な設計及び製造のために、等価フィッサイル係数に含まれる誤差を全体として最小化して従来より高精度に等価フィッサイル係数を設定できる方法を提供することにある。また本発明は、広いPu組成範囲に対しても、基準設計に対する反応度等価性がより優れたものとなる等価フィッサイル係数の設定方法の提供を目的とする。さらに本発明は、富化度種類が3種類以上のMOX燃料においても、基準設計と等価な局所出力ピーキング係数となる燃料棒毎の富化度配分を決定できる方法の提供を目的とする。

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、ウランとプルトニウムとを核燃料物質として含むMOX燃料集合体を製造対象として、前記核燃料物質に適用されるプルトニウム同位体組成に対応するプルトニウム富化度を等価フィッサイル法により決定するのに用いる予め定められた核種毎の等価フィッサイル係数の設定方法であって、 前記適用されるプルトニウム同位体組成の範囲を網羅する複数のプルトニウム同位体組成を、前記等価フィッサイル係数の全数より多く選定する工程と、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれに対し、予め定められた基準となる設計と無限増倍率が等価となる各MOX燃料棒の富化度分布を決定する工程と、 前記決定された富化度分布に基づくプルトニウム富化度εと、各プルトニウム同位体組成におけるウランまたはプルトニウム中における各同位体が占める重量割合に基づくデータを用いて、式(1)で定義される等価フィッサイル法に最小2乗法を適用した式を計算して等価フィッサイル係数を求める工程と、を備えているものである。

請求項2に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項1に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、前記富化度分布を決定する工程は、該工程で設定された富化度分布に対する無限増倍率と前記基準設計の無限増倍率との差が予め定められた収束判定値より小さくなるまで、初期富化度分布として与えられた各MOX燃料棒の富化度を一様に定数倍する工程を繰り返す調整工程によって決定するものである。

請求項3に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項1又は2に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、前記等価フィッサイル係数を求める工程は、式(11)に、前記選定されたプルトニウム同位体組成の前記プルトニウム富化度εと各同位体が占める重量割合に基づくデータをフィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして対応させてCを計算で求めるものである。

請求項4に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項3に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、設定すべき前記フィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして、式(12)に示す関数を設定し、この式(12)を前記式(11)に対応させてCを計算で求めるものである。

請求項5に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項2又は3に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、設定すべき等価フィッサイル係数として、プルトニウム中の巨視的断面積が最も大きい順に選択した1種以上の同位体の組成割合に対して依存性を持たせたものとすることを特徴とする。

請求項6に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項5に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、設定すべき前記フィッティング関数yおよびフィッティング関数の変数xとして、式(13a)に示す関数とすることで式(14a)を設定し、この式(14a)を前記式(11)に対応させてCを計算で求めるものである。

請求項7に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項2〜6のいずれか1項に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、前記製造対象のMOX燃料集合体としてプルトニウム富化度種類を3種類以上含んだものを対象とし、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれに対し、設計最適化対象の単一の物理量について、プルトニウム富化度種類毎に予め定められた前記物理量の分布を再現する富化度分布を、式(29)、式(31)及び式(32)を用いた式(30)に基づいて設定する工程と、 該工程で設定された富化度分布に対して前記設計最適化対象の単一の物理量を計算し、前記予め定められた物理量分布との差が、予め定められた収束判定値より小さくなるまで前記工程を繰り返し、得られた富化度分布を前記初期富化度分布とする調整工程と、 前記初期富化度分布に対する無限増倍率と前記基準設計の無限増倍率との差が予め定められた収束判定値より大きい場合には小さくなるまで前記初期富化度分布を一様に定数倍する工程を繰り返す調整工程と、を備え、 この調整工程で調整された富化度分布に基づいて、富化度種類毎にそれぞれ等価フィッサイル係数を最小2乗法を適用して求めることを特徴とする。

請求項8に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、前記請求項7に記載の方法で予め求められた等価フィッサイル係数とE239富化度を第0次等価係数とし、前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれについて、前記第0次等価係数を用いて前記式(1)から前記E239富化度と等しくなるMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を仮決めして前記初期富化度分布とする第1処理工程と、 前記仮決めされたプルトニウム富化度分布に対して無限増倍率を計算して、前記基準設計の無限増倍率との差を予め定められた収束判定値と比較判定する第2処理工程と、 前記判定にて両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より大きい場合には、前記仮決めされたプルトニウム富化度分布を一様に定数倍して各MOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を調整して新たな仮決めプルトニウム富化度分布を得る第3処理工程と、 第3処理工程で得られた新たな仮決めプルトニウム富化度分布に対して第2処理工程に戻り、再度無限増倍率を計算して前記判定を行う工程を、前記両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなるまで繰り返す工程と、 前記無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなった時点のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度と、各プルトニウム組成に基づいて、前記請求項7に記載の方法によって等価フィッサイル係数を決定し第1次等価係数とする第4処理工程と、を備え、 前記第1処理工程から第4処理工程までの一連の作業を繰り返すものであり、各一連の作業は、前回の第4処理工程で決定された等価フィッサイル係数を次回の第1処理工程に用いるものであり、最終のN回目の作業は、第1処理工程を第N−1次等価係数を用いて開始して第4処理工程で第N次等価係数を決定するものである。

請求項9に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、請求項7又は8に記載の等価フィッサイル係数の設定方法において、前記設計最適化対象の単一の物理量は、プルトニウム富化度種類毎の燃料棒線出力の最大値、又は燃料棒燃焼度の最大値であることを特徴とする。

請求項10に記載の発明に係る等価フィッサイル係数の設定方法は、前記製造対象のMOX燃料集合体としてプルトニウム富化度種類を3種類以上含んだものを対象に、請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法で予め求められた等価フィッサイル係数を第0次等価係数とし、該第0次等価係数と、前記基準設計のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度とに基づいて、前記式(1)から前記基準設計のMOX燃料棒毎のE239富化度を計算して決定する第1処理工程と、 前記選定されたプルトニウム同位体組成のそれぞれについて、前記第0次等価係数を用いて前記式(1)から前記基準設計のMOX燃料棒毎のE239富化度と等しくなるMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を仮決めして前記初期富化度分布とする第2処理工程と、 前記仮決めされたプルトニウム富化度分布に対して無限増倍率を計算して、前記基準設計の無限増倍率との差を予め定められた収束判定値と比較判定する第3処理工程と、 前記判定にて両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より大きい場合には、前記仮決めされたプルトニウム富化度分布を一様に定数倍して各MOX燃料棒毎のプルトニウム富化度を調整して新たな仮決めプルトニウム富化度分布を得る第4処理工程と、 第4処理工程で得られた新たな仮決めプルトニウム富化度分布に対して第3処理工程に戻り、再度無限増倍率を計算して前記判定を行う工程を、前記両者の無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなるまで繰り返す工程と、 前記無限増倍率の差が前記収束判定値より小さくなった時点のMOX燃料棒毎のプルトニウム富化度と、各プルトニウム組成に基づいて、前記請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法によって等価フィッサイル係数を決定し第1次等価係数とする第5処理工程と、を備え、 前記第1処理工程から第5処理工程までの一連の作業を繰り返すものであり、各一連の作業は、前回の第5処理工程で決定された等価フィッサイル係数を次回の第1処理工程に用いるものであり、最終のN回目の作業は、第1処理工程を第N−1次等価係数を用いて開始して第5処理工程で第N次等価係数を決定するものである。

本発明においては、MOX燃料集合体のより効率的な設計及び製造のために、等価フィッサイル係数に含まれる誤差を全体として最小化して従来より高精度に等価フィッサイル係数を設定できる方法を提供できる。また本発明は、広いPu組成範囲に対しても、基準設計に対する反応度等価性がより優れたものとなる等価フィッサイル係数の設定方法を提供できる。さらに本発明は、富化度種類が3種類以上のMOX燃料集合体においても、基準設計と等価な局所出力ピーキング係数となる燃料棒毎に富化度配分を決定できる方法を提供できる。

本発明の実施例で対象としたBWR向けMOX燃料集合体例を示す概略設計図である。

本発明の実施例1にて決定した等価フィッサイル係数を用いて算出したMOX燃料棒平均富化度と集合体計算コードにより計算したMOX燃料棒平均富化度との比較図である。

本発明の実施例2にて決定した等価フィッサイル係数を用いて算出したMOX燃料棒平均富化度と集合体計算コードにより計算したMOX燃料棒平均富化度との比較図である。

本発明の実施例2においてN=0〜6に対して、得られた等価フィッサイル係数を用いて求めたPu富化度と集合体計算コードによるPu富化度との相対差異の統計量を示した線図である。

本発明の実施例3における第0次の等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

本発明の実施例3における第N次の等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

本発明の実施例3にて決定した等価フィッサイル係数を用いて算出したMOX燃料棒平均富化度と集合体計算コードにより計算したMOX燃料棒平均富化度との比較図である。

本発明の実施例3にて決定した等価フィッサイル係数を用いて算出した富化度分布に対する、集合体のLPFと基準設計のLPFとの相対差異を示す分布図である。

本発明の実施例4における第0次の等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

本発明の実施例4における第N次の等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

本発明の実施例4にて得られた等価フィッサイル係数により決定されたPu富化度分布に対する、集合体計算コードで計算したEOC炉心平均燃焼度における無限増倍率と基準設計の無限増倍率との差異を示す分布図である。

本発明の実施例4にて得られた等価フィッサイル係数により決定されたPu富化度分布に対する、燃焼初期におけるLPFと基準設計のLPFとの相対差異を示す分布図である。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第1のソースプログラムである。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第2のソースプログラムの前半部である。

第2のソースプログラムの後半部である。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第3のソースプログラムの前半部である。

第3のソースプログラムの後半部である。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第4のソースプログラムである。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第5のソースプログラムである。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第6のソースプログラムの前半部である。

第6のソースプログラムの後半部である。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第7のソースプログラムである。

本発明の実施例1において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの第8のソースプログラムである。

本発明の実施例2において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの、実施例1の第2のソースプログラムに代わるソースプログラムの前半部である。

図24に示したソースプログラムの後半部である。

本発明の実施例2において等価フィッサイル係数を求めるための最小2乗法を適用した計算に用いたFortran 95プログラムのうちの、実施例1の第5のソースプログラムに代わるソースプログラムである。

従来の非特許文献1において想定される等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

従来の非特許文献1において想定されるPu同位体組成グループ毎に等価フィッサイル係数を求める処理手順を示すフローチャート図である。

本発明は、製造対象であるMOX燃料集合体に核燃料物質として適用されるPu同位体組成に対応するPu富化度を、等価フィッサイル法により決定するのに用いる予め定められた核種毎の等価フィッサイル係数の設定方法である。まず、適用されるPu同位体組成の範囲を網羅する複数のPu同位体組成を、等価フィッサイル係数の全数より多く選定し、該選定されたPu同位体組成のそれぞれに対し、予め定められた基準となる設計と反応度等価となるまで基準設計の各MOX燃料棒の富化度を一様に定数倍することで各MOX燃料棒の富化度分布を決定し、MOX燃料棒平均Pu富化度εを計算で求めておき、このMOX燃料棒平均Pu富化度εと、各Pu同位体組成におけるウランまたはPu中における各同位体が占める重量割合に基づくデータを用いて、等価フィッサイル法に最小2乗法を適用した式を計算して等価フィッサイル係数を求めるものである。

この方法は、ある核種の等価フィッサイル係数を求めるkの計算ケースとしてたった一つの計算結果を用いるのではなく、数多くの計算ケースの結果をもとにある核種の等価フィッサイル係数を求めることによって反復計算などの数値計算に起因する誤差成分がお互いに打ち消されて本来のkの変化量を求めることが可能である、と考えられることから、求めるべき等価フィッサイル係数の個数よりも多くの集合体計算コードの結果を用いて等価フィッサイル係数を求めることで、集合体計算コードの数値計算誤差を排した有意な等価フィッサイル係数を求めることを可能としたものである。

本発明においては、以上の方法に加えて「過剰決定の状態に対する解を求めるために、よく使われる」(株式会社オーム社発行「新版 数値計算ハンドブック」、1990年9月,ISBN4-274-07584-2 )とされる最小2乗法を適用することによって、等価フィッサイル係数に含まれる誤差を全体として体系的に最小化するものである。

等価フィッサイル法への最小2乗法の適用は以下の通り行える。まず、最小2乗法を式(1)に適用するため、式(1)を次の式(2)のように変形する。

C28=0,C49=1であるから、上記式(2)は次の式(3)となる。

本発明では、式(3)へ最小2乗法を適用するにあたり、あるPu組成に対して基準設計と反応度等価になるMOX燃料棒平均のPu富化度εを集合体計算コードで予め求めておく。ここで、各MOX燃料棒の富化度の決定法として、基準設計の各MOX燃料棒の富化度を一様に定数倍することで、MOX燃料棒平均の富化度を調整し、基準設計と反応度等価になるMOX燃料棒の富化度分布を決定する。

これは、一般に多種類の富化度からなるMOX燃料集合体では、Pu組成とMOX燃料棒平均富化度が同一であっても、富化度配分が異なった設計間では僅かにkが異なり、反応度等価となるMOX燃料棒平均富化度が、富化度配分に影響を受け、この影響はそのまま等価フィッサイル係数の誤差として現れるためである。本発明では、これを避けるために、前記「基準設計の各MOX燃料棒のPu富化度を一様に定数倍する」という明確に法則化され、任意性の少ない方法で各MOX燃料棒の富化度配分を決定している。即ち、Pu組成と反応度等価となるMOX燃料棒平均富化度との間に、連続的な相関が成り立つことが重要である。

前記「基準設計の各MOX燃料棒のPu富化度を一様に定数倍する」工程は以下のa)〜e)に示す通りである。 a)まず、基準設計の富化度分布(各燃料棒種の富化度ε1〜ε4)と、これらからのMOX燃料棒平均富化度(基準平均富化度)ε、当該設計で使用されるU/Pu組成(基準組成)、当該設計に対し集合体計算コードで評価したEOC相当炉心平均燃焼度での無限増倍率(基準無限増倍率)kを入力値として与える。 b)基準組成とは異なるU/Pu組成(対象組成)を与える。 c)第0次の富化度分布(ε1(0)〜ε4(0)(0))として基準富化度分布(ε1〜ε4,ε)を用い、これと対象組成の組み合わせで、EOC相当炉心平均燃焼度での無限増倍率k(0)を集合体計算コードで評価する。k(0)とkを比較し、収束判定値(例えば0.00001)以内の差異であれば、求めるべき富化度分布が求められたとして計算を終了する。該差異が収束判定値以内でなければ次のステップd)へ移行する。 d)第1次の富化度分布として、適当に設定された微小富化度Δεとε(0)により次式D1で算出されたものを用い、無限増倍率k(1)を集合体計算コードで評価する(U/Pu組成は「対象組成」)。 ε(1)(0)−Δε、εi(1)=(ε(1)(0)i(0),i=1,4 …式D1 k(1)とkとを比較し、収束判定値以内の差異であれば、求めるべき富化度分布が求められたとして計算を終了する。そうでなければ、次式D2のパラメータを算出した後、次のステップe)へ移行する。 a(1)=(k(1)−k(0))/(ε(1)−ε(0)) …式D2 e)第n次の富化度分布として、次式E1で算出されたものを用い、無限増倍率k(n)を集合体計算コードで評価する(U/Pu組成は「対象組成」)。なお前ステップの評価値は、第n−1次の評価値と見なす。 ε(n)(n−1)−(k(n−1)−k)/a(n−1)、εi(n)=(ε(n)(n−1)i(n−1),i=1,4 …式E1 k(n)とkとを比較し、収束判定値以内の差異であれば、求めるべき富化度分布が求められたとして計算を終了する。そうでなければ、次式E2のパラメータを算出した後、このステップe)を再び繰り返す。 a(n)=(k(n)−k(n−1))/(ε(n)−ε(n−1))…式E2

また、前記「反応度等価」としては、EOC炉心平均燃焼度相当の燃焼度において、基準設計の無限増倍率kと、あるPu組成のMOX燃料集合体のkとが、例えば0.00001の差異で一致するまでMOX燃料棒平均Pu富化度を調整する。ここで非特許文献1のように「集合体平均Pu富化度」ではなく「MOX燃料棒平均Pu富化度」としたのは、BWR向けMOX燃料集合体では、図1の例にも示すように、燃料集合体中にPuを含まないウラン燃料棒が存在するためである。非特許文献1で対象としているPWR向けMOX燃料には、ウラン燃料棒は含まれておらず、集合体平均Pu富化度はMOX燃料棒平均Pu富化度と等価である。

次に、評価ケースであるPu組成としては、特定の燃料タイプについて、現実に即した燃焼履歴及び再処理シナリオに基づいた複数のPu組成を網羅的に選定する。これは、使用済みの核燃料の再処理工場から供給される実際のMOX粉に対して、等価フィッサイル係数に含まれる誤差を最小化可能であると言う点と、評価された等価フィッサイル係数の統計量により、誤差の範囲を統計的に推定可能と言う点で有用である。また、非特許文献1の記載から推定されるような、一つの核種の重量割合のみを変化させた複数ケースの計算結果を用いる場合、当該計算結果へ反復計算打ち切りに伴う誤差が傾向を持って現れることで、「必ずしも等価フィッサイル係数を求める際の当該誤差が打ち消し合う効果を期待できない」と言う懸念を払拭することができる。

以上のように複数のPu組成と集合体計算コードで予め求めたMOX燃料棒平均Pu富化度εを用いて、式(1)の等価フィッサイル係数を最小2乗法で求める。以下に、最小2乗法を式(3)へ適用する方法について、詳細に示す。まず、最小2乗法で扱うフィッティング式が、次の式(4)のように表されるとする。

フィッティングするデータとして以下の式(5)を考える。

最小2乗法では、フィッティング式とフィッティング・データとの間の残差Rの2乗の総和が最小となるように、フィッティング関数の展開係数を決定する。残差Rは次式(6)で表される。

残差Rの2乗の総和は次式(7)で表される。

残差Rの2乗の総和が最小になる展開係数Ciは、「残差Rの2乗の総和」を展開係数Ciの関数と見なした時に、「残差Rの2乗の総和」が極小となる変数Ciを求めれば良い。すなわち、「残差Rの2乗の総和」の変数Ciに対する微分がゼロとなる変数Ciを求めれば良い。これは、数学的には、次式(8)で表すことができる。

したがって、それぞれの展開係数Ciに対して、次式(9)の関係を満たすCiを求めれば良い。

上記式(9)は、行列を用いて次式(10)のように表される。

したがって、展開係数Ciは次式(11)で求められる。

以上の最小2乗法を式(3)へ適用するため、それぞれ最小2乗法の式(4)と、以下の式(12)のように対応づける。

従って、BWR燃料を対象として各種Pu組成を用意し、前述の集合体計算コードによって、各Pu組成に対して基準設計と反応度等価となるまで、基準設計の各MOX燃料棒の富化度を一様に定数倍することで各MOX燃料棒の富化度分布を決定すると共にMOX燃料棒平均Pu富化度εを求めておき、該富化度εと各Pu組成に基づく核種毎の重量割合wから式(12)のy、x1〜x8を設定すれば、これらのデータを対応させて式(11)を計算することで、等価フィッサイル係数(C24,C25,C26,C48,C40,C41,C42,C51)が求められる。

以上の方法によれば、後述の実施例1に示すように、非特許文献1を含む従来技術ではなし得なかった高精度な等価フィッサイル係数の決定が可能である。

また、以上のように最小2乗法を適用して等価フィッサイル係数を設定する際に、各等価フィッサイル係数に、Pu中の巨視的断面積が最も大きい1種以上の同位体の組成割合に対して依存性を持たせることによって、以下の通り、極めて広いPu組成領域に対して極めて高い精度を有する唯一組の等価フィッサイル係数を決定できる。

非特許文献1を含めて従来の技術では、前述のように等価フィッサイル法の基礎式(1)の線形性のために、高精度化に際してPu組成の領域分けをひたすら細かくしていくという対処療法的な対応を取らざるを得なかった。

そもそも、基礎式(1)の線形性がある程度広い組成範囲に対して成り立たないのは、Pu組成の変化に伴い燃料集合体内の中性子スペクトルが変化し、各核種の反応度価値、すなわち等価フィッサイル係数が影響を受けるためと考えられる。これは、以下のように説明される。まず、核種の反応度価値は当該核種の吸収反応率や核分裂反応率によって決まるが、これらの反応率は吸収断面積及び核分裂断面積と中性子束との乗算によって決まる。一方、これら吸収断面積及び核分裂断面積は各核種によって異なる上に中性子のエネルギーに対して依存性があること、中性子スペクトルは中性子束の中性子エネルギーに対する分布として定義されることから、中性子スペクトルの変化によって各核種の反応度価値は変化することになる。

中性子スペクトル自体は、燃料棒内の燃料物質、その周辺の構造材及び冷却材の吸収及び散乱断面積によって決まる。Puの組成の変化は、MOX燃料中のPu同位体の存在量、即ちPu同位体の正味の吸収断面積の変化を生じる。Pu同位体の正味の吸収断面積は、各同位体の1原子当たりの吸収断面積(微視的断面積と称される)に燃料棒内の存在量(原子数密度)を乗じることで得られ、この物理量は巨視的断面積と称される。微視的断面積は、各Pu同位体毎に異なるが、Pu239を基準とすると、Pu238とPu242が1/4程度、Pu240が半分程度、Pu241とAm241が同程度である。Pu239は微視的断面積も大きい上にその存在量自体も50wt%〜80wt%程度と最も多いため、Pu中の巨視的断面積で最も支配的な同位体である。Pu240は微視的断面積はさほどでもないが、その存在量が13wt%〜35wt%程度とPu239を除いて他の同位体(多くて10wt%程度)よりも比較的多い。従ってPu240は、Pu239に続いて、Pu中の巨視的断面積において比較的支配的な同位体と言える。

以上のように、中性子スペクトルは、Pu組成の変化によって影響を受けるが、特にPu239とPu240の存在量が支配的と考えられるため、非特許文献1のサブグループ分けの指標がPu239とPu242であったのに対して、Pu239とPu240に換えてグループ分けを行うことが考えられる。ただしこれだけでは多少の精度改善が見込めるだけである。

そこで、本発明では、等価フィッサイル係数自体に、中性子スペクトル依存性、すなわち巨視的断面積の大きい順に選択された同位体へ依存性を持たせた。選択される同位体核種の個数Nは1以上であり、実際の個数は、適用組成範囲と要求精度に応じて適宜設定される。まず、等価フィッサイル係数を、従来の定数値から次の式(13a)に示す関数として表し、最小2乗法を適用する際の該関数との対応は式(14a)に示す通りである。

例えば、前記巨視的断面積が最も大きい順にN=2個の同位体Pu239とPu240を選択し、これら2核種への依存性をもたせる場合、等価フィッサイル係数を、従来の定数値から次の式(13b)に示すPu239とPu240の組成割合に対する関数として表した上で、最小2乗法を適用する。

ここで、上記式(13b)の右辺の係数Cはいずれも定数値である。 この式(13b)を最小2乗法で取り扱うため、次の式(14b)を用いる。

従って、BWR燃料を対象として各種Pu組成を用意し、集合体計算コードによって基準設計と反応度等価となるMOX燃料棒平均Pu富化度εを求めておき、式(14b)のy、x1〜x23を設定すれば、これらのデータから式(11)を計算することによって、主要なPu同位体であるPu239とPu240の依存性を持たせた等価フィッサイル係数(C24,C25,C26,C48,C40,C41,C42,C51)が求められる。

以上の方法において、後述の実施例2に示すように、Pu同位体の組成割合への依存性を考慮する核種の個数Nとして、N=1〜6とした場合全てで、得られた等価フィッサイル係数を用いて求められた富化度の精度は、このような依存性を考慮しないものと比べて高いものであった。なお、該実施例の結果においてN=3個以上で飽和傾向が示されたことから、N=2個までが実用上好適である。

上記の如く、該方法によれば、非特許文献1をはじめとする従来技術では全く不可能であった、極めて広いPu組成領域に対して極めて高い精度を有する唯一組の等価フィッサイル係数を決定することが可能となる。このようなPu中の巨視的断面積が最も大きい同位体に着目して、等価フィッサイル係数にその依存性を持たせた方法は、新しい等価フィッサイル法と言える。

なお、以上の等価フィッサイル係数の決定手順は、図5に示したフローチャートで表すことができる。

また、本発明においては、以上の等価フィッサイル係数の設定方法を用いることにより、これまで見出されていなかった、富化度種類が3種類以上のMOX燃料に対して基準設計と等価なLPFとなる燃料棒毎の富化度配分を決定する方法を実現可能とした。

即ち、本発明者等は、MOX燃料棒単位で反応度が等価なPu富化度が決定されれば各燃料棒の反応度分布が基準設計と等価となり、出力分布についても基準設計と等価になると期待されることから、これまでMOX燃料棒の平均富化度に対してのみ定義されてきたE239富化度を、Pu富化度種類毎に定義することを考え、以下の通り該方法を見出した。

厳密には、MOX燃料棒の燃料集合体内の配置位置毎に中性子スペクトルが異なり、等価フィッサイル係数も異なったものになると考えられる。前記特許文献1でもこのような考えに基づいて、「内層・中間層領域」と「外層領域」とで個別に等価フィッサイル係数を求めている。

そこで本発明では、まず簡単のために、各領域の等価フィッサイル係数として共通の値を用い、E239富化度のみをPu富化度種類毎に定義した。Pu富化度種類毎のE239富化度の決定手順を図6のフローチャート図をもって以下に説明する。

この方法では、図5に示す手順で求められた等価フィッサイル係数を第0次等価係数と称して用いるものである。この段階では、MOX燃料棒毎のPu富化度は、基準設計のPu富化度を単純に定数倍したものである。

図6における処理1では、まずN=1とみなして、先に求められた第0次等価係数を用いて基準設計のMOX燃料棒毎のE239富化度を決定する。ここで、基準設計においては、MOX燃料棒毎のPu富化度は既知であるため、第0次等価係数を用いて式(1)を逆算することによりE239富化度が求められる。

処理2では、各Pu組成について、処理1で求めた基準設計のE239富化度と等しくなるように、式(1)と第0次等価係数とから、MOX燃料棒毎のPu富化度を求めて仮決めとする。

処理3では、処理2で仮決めされたPu富化度分布に対し、集合体計算コードでkを計算し、基準設計と反応度等価(基準設計のkと0.00001の差異以内で一致する)かどうかを判定し、反応度等価でなければ、処理4にて、各MOX燃料棒のPu富化度を処理2で仮決めされたPu富化度分布から一様に定数倍することで調整する。

処理3、4の繰り返し計算の結果、基準設計と反応度等価なPu富化度が各Pu組成で得られたら、処理5として、これらのMOX燃料棒平均Pu富化度εを用いて、図5に示した手順の処理6と同様に、式(14b)のy、x1〜x23を設定し、式(11)を計算することによって、Pu239とPu240の依存性を持たせた等価フィッサイル係数を決定し、これを第1次等価係数とする。

この第1次等価係数を基に、N=2と見なしてまた処理1から処理5までの手順により第2次等価係数を決定する。以降同様に、第N−1次等価係数を用いて等価フィッサイル係数が充分収束するまで処理1から処理5までの手順を繰り返し、第N次等価係数まで求める。このようにして得られた等価フィッサイル係数は、後述の実施例3で示すように、非特許文献1及び特許文献1をはじめとする従来技術では全く不可能であった極めて広いPu組成領域に対し、極めて高い反応度等価精度とLPF等価性とを有する富化度を決定できる唯一組の等価フィッサイル係数である。

なお、以上の方法では、等価フィッサイル係数自体は、燃料集合体内の全領域で同一のものを用いたが、LPF等価性のより高い精度を実現できる等価フィッサイル係数を決定するため、富化度種類が同一の領域(集合体内の中性子スペクトルが等価な領域とほぼ同意)に対し、それぞれの領域について等価フィッサイル係数を求めても良い。

各領域の等価フィッサイル係数は図9のフローチャート図に示した処理1〜処理6に沿った手順により求めることができる。まず、処理1、処理2は図5及び図6における処理1、処理2と同様に、基準設計を設定し、適用するPu組成群を適宜選択する。

まず、Pu富化度が4種類の場合、富化度毎の出力分担をALPFi(集合体内の燃料棒出力分布の平均値が1となるように規格化した後の、Pu富化度種類が同一の燃料棒の平均の出力)とすると、集合体内の燃料棒出力が規格化されていることから、以下の式(17)の関係が成り立つ。

ここでNiは燃料棒種類iの本数である。図1の例では、燃料棒種類として、MOX燃料棒4種類に加え、プルトニウムを含まないウラン燃料棒がある。ウラン燃料棒の出力分担については、MOX燃料棒全体の富化度を変更することによって相対的に変化させることはできるが、反応度を等価とするためにMOX燃料棒の平均富化度を決定する必要から、ウラン燃料棒の出力自体を目標値へ調整することは、実質的に難しい。

一方、MOX燃料棒については、Pu富化度をそれぞれ変化させることで、富化度毎の出力分担を自由に調整することは可能であるが、それでも、MOX燃料棒4種類に対して同時に目標の出力分担となる富化度分布を決定することはできない。これは、例えばi=1が「ある燃料棒種類」に対応するとして、残りの燃料棒種類について出力分担が既知であるとすると、式(17)からi=1の燃料棒種類の出力分担が以下の式(18)のように自明に定まることから言える。すなわち、MOX燃料棒4種類のうち、3種類の出力分担の調整のみが可能であることを意味する。

この制約は、富化度毎の出力分担LPFi(集合体内の燃料棒出力分布の平均値が1となるように規格化した後の、Pu富化度種類が同一の燃料棒の最大の出力)についても同様にあてはまる。以下では、LPFiの出力分担の調整について本実施例を説明する。

まず、MOX燃料棒4種類のうち出力分担を調整するPu富化度種類として、LPFiが最小のPu富化度種類以外を選択した。選択されたPu富化度種類を表す添字としてi=1〜3を用い、選択外のPu富化度種類を表す添字をi=4とする。

次に、Pu富化度種類1のPu富化度がΔε1だけ変化した際、i=1〜3の何れかの出力分担に与える感度を以下の式(19a)ように定義する。Δε1の値は、有意な微小量であればどのような値でもよいが、後述の実施例では、Pu富化度へ0.05を乗じたものとした。

ここで、ΔLPFi,1 は、富化度変動後のLPFiから富化度変動前の値を引いたものである(いずれも、集合体計算コードによる計算値であり、集合体内の燃料棒出力分布の平均値が1となるように規格化されている)。また、Pu富化度種類1の富化度をΔε1だけ変化させる際には、出力分担調整対象である残りのPu富化度種類2及び3の富化度は変更しない。さらに、出力分担調整対象でないPu富化度種類4は、MOX燃料棒の平均のPu富化度がPu富化度種類1の富化度変動前後で変化しないように富化度を調整する。同様に、Pu富化度種類2については以下の式(19b)、Pu富化度種類3については以下の式(19c)がそれぞれ定義される。

Pu富化度種類1〜3のPu富化度が、それぞれ変化した場合のPu富化度種類iの出力分担へ与える影響は、式(19a)〜式(19c)の効果の線形結合によって表されると仮定することで、次式(20)で表される。

したがって、式(20)の行列表現は、次の式(21)となる。

次に、Pu富化度調整前のPu富化度配分εi(0)、出力分担をLPFi(0)、目標の出力分担をLPFiTとすると、LPFiTとなるPu富化度配分は、次式(22)で推定される。

ここで、n=1とする。Δεi(1)は式(21)の関係から、次式(23)で得られる。

ここで、ΔLPFi(0)は次式(24)で表される。

なお、出力分担調整の対象外であるPu富化度種類4の富化度については、富化度調整前後でMOX燃料棒の平均のPu富化度が変化しないように富化度を調整する。式(22)で調整されたPu富化度配分εi(1)に対し、集合体計算コードによる計算で得られた出力分担をLPFi(1)とする。ΔLPFi(1)は、式(24)をn=2として算出する。

ΔLPFi(1)の絶対値が充分小さい値、たとえば本実施例の場合には0.00002以下であれば、目標の出力分担LPFiTとなるPu富化度配分が得られたとして、式(22)で決定されたものを、図9の処理3で設定すべきPu富化度分布とする。しかし、ΔLPFi(1)の絶対値が充分小さい値でない場合、新たなPu富化度分布を式(22)のn=2として算出し、該富化度分布に対して集合体計算コードで計算されたLPFi(n)からΔLPFi(n)を求め、その絶対値が充分小さい値となるまで以上の手順を繰り返す。

以上の図9に示す手順に沿った方法によれば、富化度種類が3種類以上のMOX燃料に対しても、LPFと反応度が基準設計と等価な富化度分布を決定することが可能となる。これは、特許文献1をはじめとする従来技術では、全く不可能であるか、あるいは適用の方法が見出されていなかったものである。

なお、以上のようなLPF等価性に代わって、LBU(ここでは、個々の富化度種類の燃料棒において、MOX燃料集合体の寿命末期等における最大燃焼度と定義する)を用いて富化度分布を決定すれば、MOX燃料集合体の寿命末期等における燃焼度分布を基準設計と等価にすることも可能である。この場合、Pu富化度種類1〜3それぞれについてPu富化度がΔε1だけ変化した際にi=1〜3の何れかの最大燃焼度に与える感度を以下の式(25)で定義し、目標の最大燃焼度となるPu富化度配分を式(27)及び式(28)を用いて式(26)で推定し、ΔLBFi(n)の絶対値が充分小さな値となるまでLPFの場合と同様の手順を繰り返す。

また、以上の手順では、Pu富化度種類毎の設計最適化対象の物理量をLPFやLBUとしたが、運転中の熱的制限値である最小限界出力比を計算するために必要なR因子と称されるパラメータを、LPFやLBUに代えて選択することも可能である。

さらに、以上の手順では、設計最適化対象の物理量の目標値として基準設計の値を採用したが、実際の設計にあたっては、Pu組成毎に炉心特性を最適化する観点から、意図的にPu組成毎の設計最適化対象の物理量を基準設計の値と異ならせることも考えられる。このような場合においても、Pu組成毎の設計最適化対象の物理量を前記最適設計に基づき予め定めておくことで、当該予め定められた値を基準設計の値に代えて、目標値とすることも可能である。例えば、設計最適化対象の物理量をPuf割合依存の関数として表現したものを予め定めておき、これを目標値とすることができる。

本発明の第1の実施例として、式(12)を図1に示した設計のBWR用MOX燃料集合体に適用した場合を以下に示す。

まず、対象とするPu組成として、BWR燃料を対象に、多様な濃縮度、燃焼履歴、再処理までの期間を現実に即して評価した56組成を用意し、さらにこれら各組成に対し、再処理後からMOX燃料として装荷されるまでの期間を3ケース想定して評価した(56組成×3ケース=)計168組成を用意した。

このうち、非特許文献1のグループ1へ該当する43組成を選定し、これに加えて非特許文献1に記載のグループ1の7組成(非特許文献1の表3.2を引用)を加えた全50組成を用意した。

次に、各Pu組成に対して基準設計と反応度等価となるまで、本実施例ではEOC炉心平均燃焼度相当の燃焼度において基準設計のkと0.00001の差異で一致するまで、基準設計の各MOX燃料棒のPu富化度を一様に定数倍することで、各MOX燃料棒のPu富化度を調整し、各Pu組成に対するMOX燃料棒平均Pu富化度εを求めた。

以上により、用意された前記50組成について、求められたMOX燃料棒平均富化度εと各Pu組成における核種毎の重量割合wとから、それぞれ式(12)のy、x1〜x8を設定し、これらのデータを対応させて式(11)を計算することにより、等価フィッサイル係数(C24,C25,C26,C48,C40,C41,C42,C51)を求めた。該計算は、図13〜23に示したFortran 95のプログラム(これらのプログラムは本出願人の著作物である)を用いて行った。結果は以下の表1のグループ1の欄に示す通りである。

さらに、同様の手順によって、非特許文献1に記載のグループ2〜5のそれぞれに該当するPu組成を選択し、これらにそれぞれ非特許文献1に記載のグループ2〜5の各組成を加えたものを用意し、各グループ毎に式(12)のy、x1〜x8をそれぞれ設定し、図13〜23に示したFortran 95のプログラムを用いて、これらのデータを対応させて式(11)を計算することにより各グループの等価フィッサイル係数(C24,C25,C26,C48,C40,C41,C42,C51)を求めた。結果は表1のグループ2〜5の欄に示した。

以上の手順で求めた5組の等価フィッサイル係数を用いてMOX燃料棒平均富化度を求め、集合体計算コードで求めたMOX燃料棒平均富化度と比較し、結果を図2に示す。図2の比較図から明らかなように、非特許文献1の方法における等価フィッサイル係数から求められたPuf富化度を設計コードによる値と比較した場合(図3.3)に比べると、本実施例に示した方法によれば、より高精度で等価フィッサイル係数が決定できることがわかる。しかも、非特許文献1ではPu組成領域をグループ2〜4について更に二つのサブグループへ分けていたのに対し、本実施例ではこのようなサブグループへの分割なしで取り扱っており、また非特許文献1での評価対象全63組成に対して3倍以上も上回る全197組成に対する評価において、より高精度に等価フィッサイル係数が決定可能であることから、非特許文献1を含む従来の技術ではなし得なかった優れた等価フィッサイル係数の決定方法を見出したと言える。なお、本実施例および以下の実施例で用いた集合体計算コードは、集合体計算コード改良NEUPHYS(原子燃料工業株式会社、NLR−01改訂1,「BWRの燃料集合体核特性計算手法について」平成20年4月.に開示の計算コードの改良版)である。

次に、本発明の第2の実施例として、式(13a)及び式(14a)の数列n(k)を{49,40,41,42,51,48}、Pu同位体の組成割合への依存性を考慮するPu核種の個数N=2とした式(13b)及び式(14b)を図1に示した設計のBWR用MOX燃料集合体に適用した場合を以下に示す。式(14b)を適用するPu組成として、実施例1で用意したBWR燃料由来の168組成と非特許文献1の63組成、これに加えて設計段階でPu組成の変動の効果を確認するために用いられる典型6組成との計237組成を用意した。

最小2乗法で用いる各MOX燃料棒のPu富化度εは、実施例1と同様に求めた。即ち、集合体計算コードを用いて、基準設計と反応度等価となるまで(基準設計のkと0.00001の差異で一致するまで)、基準設計の各MOX燃料棒のPu富化度を一様に定数倍することで、各MOX燃料棒のPu富化度を調整し、各Pu組成に対するMOX燃料棒平均富化度εを求めた。ここで、基準設計は、237組成に対し、一つの基準設計のみを用いることとする。

求められたMOX燃料棒平均富化度εと、用意された前記237組成における核種毎の重量割合wに基づいて、それぞれ式(14b)のy、x1〜x23を設定し、これらのデータを対応させて式(11)を計算することにより、等価フィッサイル係数を求めた。該計算は、実施例1で用いた図13〜図23に示したFortran 95プログラムのうち、図14と図15及び図19で示したプログラムを若干変更した図24と図25及び図26に示すプログラム(これらのプログラムは本出願人の著作物である)を図14と図15、図19のプログラムに代えて行った。得られた等価フィッサイル係数は表2に示す通りである。

表2に示す等価フィッサイル係数を用いてMOX燃料棒平均富化度を算出して、集合体計算コードで求めたMOX燃料棒平均富化度と比較し、結果を図3に示す。この図3の比較図から明らかなように、本実施例によれば、得られた唯一つの等価フィッサイル係数の組を、極めて広いPu組成の範囲に対し、適用可能であることが確認された。

前記実施例1においては、グループ1〜5全体で得られた等価フィッサイル係数5組、係数の数としては全45個を用い、求められた富化度の精度は、相対差異の絶対値の最大値が0.27%、標準偏差が0.09%であった。これに対して本実施例においては、得られた等価フィッサイル係数は1組、係数の数は全25個と実施例1よりも半数程度であるにも拘わらず、該等価フィッサイル係数を用いて求められた富化度の精度は、相対差異の絶対値の最大値が0.12%、標準偏差が0.04%と、いずれも実施例1の倍以上であった。

なお、上記実施例ではN=2に対応した評価を行った例を示したが、ここで、同様にN=1〜6とした場合の評価を、N=0、即ち依存性を考慮しない従来の非特許文献1と同じ等価フィッサイル式で評価した場合を対照として行った。N=1〜6は、表3に示すように巨視的断面積が最も大きいものから順に6番目の核種までをいう。結果は、N=0〜6に対して上記方法で得られた等価フィッサイル係数を用いて求めたPu富化度と集合体計算コードによるPu富化度との相対差異の統計量として図4に示す。

図4の結果から、N=1〜6としてPu同位体の組成割合への依存性を考慮した等価フィッサイル係数を用いて求められた富化度の精度は、Pu同位体の組成割合への依存性を考慮しないN=0の場合と比較して、前記相対差異の絶対値の最大値が1/3〜1/15、標準偏差が1/5〜1/25、と極めて高い精度が得られることが確認された。Pu同位体の組成割合への依存性を考慮する核種の個数Nとして何個を採用するかは、一組のフィッサイル係数を適用する組成の範囲、及び求められる精度、に応じて適宜設定すれば良いが、図4の結果からは、N=3個以上で飽和傾向を示しており、4個以上の考慮は不要と考えられる。したがって、実用上の観点からは、上記の例で示したN=2個までとするのが好適と考えられる。

以上のように、本実施例の方法によれば、等価フィッサイル係数に、主要なPu同位体の存在量の依存性を持たせることで、非特許文献1をはじめとする従来技術では全く不可能であった、極めて広いPu組成領域に対して極めて高い精度を有する唯一組の等価フィッサイル係数を決定することが可能となる。

次に、本発明の第3の実施例として、図1に示すようなPu富化度が4種類(P1〜P4)のBWR用MOX燃料集合体の設計において、Pu富化度種類毎にE239を定義した上で、実施例2で示した等価フィッサイル係数の決定方法を図6に示した手順に沿って繰り返すことによって、基準設計に対して反応度等価性とLPF等価性とを共に満たす富化度を決定することが可能な等価フィッサイル係数を求める場合を以下に示す。

まず、前記実施例2において図5に示した手順に沿って決定された等価フィッサイル係数を第0次等価係数と見なして、図6に示した手順にて、N=2と見なして第2次等価係数まで求めた。即ち、ここで使用したPu組成は、実施例2と同じ237組成であり、式(14b)で設定されたデータを用いて式(13b)に最小2乗法をフィッテイングしてなる式(11)の計算を実施例2と同じFortran 95のプログラムを用いて行った。得られた等価フィッサイル係数を表4に示す。

表4に示した等価フィッサイル係数を用いてMOX燃料棒平均富化度を算出し、集合体計算コードで求めたMOX燃料棒平均富化度と比較し、結果を図7の比較図に示す。求められた富化度の精度は、相対差異の絶対値の最大値が0.12%、標準偏差が0.04%と、実施例2の場合と同等な精度が得られている。

また、基準設計のLPFと表4の等価フィッサイル係数を用いて決定した富化度分布でのLPFの相対差異を寿命初期で比較し、図8に示した。この図8の結果より、本実施例により決定された富化度分布でのLPFは、相対差異約1%以内で基準設計のLPFと一致しており、基準設計に対するLPF等価性を有することがわかる。

以上のように、本実施例によれば、等価フィッサイル係数の式として式(13a)に基づく式(13b)を用いて図6に手順を示した等価フィッサイル係数の決定過程を複数回繰り返すことによって、非特許文献1及び特許文献1をはじめとする従来技術では全く不可能であった極めて広いPu組成領域に対し、極めて高い反応度等価精度とLPF等価性とを有する富化度が求められる唯一つの等価フィッサイル係数を決定することが可能となる。なお、本実施例3では、Pu同位体の組成割合への依存性を考慮する核種の個数として2個の場合を示したが、0個、即ち依存性を考慮しない従来の非特許文献1と同じ等価フィッサイル式を適用した場合にも、実施例1で示したようなPu組成領域のグループ分けが必要ではあるものの、同様な効果を得ることができる。

次に、本発明の第4の実施例として、図1に示すようなPu富化度が4種類(P1〜P4)のBWR用MOX燃料集合体の設計において、上記実施例3で示した等価フィッサイル係数の決定法を図9に示した手順に変えることによって、基準設計に対して反応度等価性と厳密なLPF等価性とを共に満たす富化度を決定することが可能な等価フィッサイル係数を求める場合を以下に示す。

ここで、本実施例4と実施例3との本質的な違いは、実施例3における図5に示した処理3が、本実施例4における図9に示した処理3へ変更されることである。なお、実施例3における図5に示した処理6も本実施例4における図9に示した処理6と異なるが、等価フィッサイル係数をMOX燃料棒の平均富化度に対して求めるか、各富化度種類のMOX燃料棒毎に求めるかの違いであり、技術的な手段は同一である。

まず、図9に示した手順に沿って、処理1、処理2にて、図5における処理1と処理2と同様に、基準設計を設定し、適用するPu組成群を適宜選択する。本実施例では、実施例2と同じPu組成群を選択した。そして、処理3により、富化度分布を設定した。

処理3では、Pu富化度種類1〜4のうちLPFiが最小のもの以外、ここではi=1〜3を選択して、Pu富化度へ0.05を乗じたものをΔεiとして式(19a)〜(19c)を定義し、目標のLPFiTとなるPu富化度配分を式(22)及び式(23)で推定し、Pu富化度種類1〜3の富化度分布を設定する。Pu富化度種類4は、富化度調整前後でMOX燃料棒の平均Pu富化度が変化しないように富化度を調整する。ΔLPFi(n)の絶対値が0.0002以下となるまで式(22)及び式(23)のnをn=1,2・・・として以上の手順を繰り返し、目標の出力分担を再現するPu富化度分布を設定する。

以上のように、目標の出力分担を再現するPu富化度分布を図9の処理3で設定した以降は、処理4〜処理6の手順を実施例3と同様に行うことによって等価フィッサイル係数を得る。さらに、該等価フィッサイル係数を第0次等価係数として、図10に手順を示した等価フィッサイル係数の決定過程を複数回繰り返すことによって、最終的な等価フィッサイル係数を得ることができる。以上の手順で得られた等価フィッサイル係数は表5に示すとおりである。

また、表5の等価フィッサイル係数により決定されたPu富化度分布に対し、EOC炉心平均燃焼度における無限増倍率を集合体計算コードで計算し、この値と基準設計の無限増倍率との差異を図11に示す。さらに、表5の等価フィッサイル係数により決定されたPu富化度分布に対する燃焼初期におけるLPFと基準設計のLPFとの相対差異を図12に示した。

これらの結果から、表5の等価フィッサイル係数により、無限増倍率はほぼ±0.02%dkの範囲で基準設計と反応度等価であり、またLPFについては基準設計とほぼ等しい値になっていることがわかる。

以上のように、本実施例4の方法によれば、等価フィッサイル係数の式として式(13a)に基づく式(13b)を用いて図9の手順で得られた等価フィッサイル係数を第0次等価係数として図10に手順を示した等価フィッサイル係数の決定過程を複数回繰り返すことによって、非特許文献1及び特許文献1をはじめとする従来技術では全く不可能であった極めて広いPu組成領域に対し、極めて高い反応度等価精度とLPF等価性とを有する富化度が求められる唯一の等価フィッサイル係数を決定することが可能となる。なお、本実施例4では、Pu同位体の組成割合への依存性を考慮する核種の個数として2個の場合を示したが、0個、即ち依存性を考慮しない従来の非特許文献1と同じ等価フィッサイル式を適用した場合にも、実施例1で示したようなPu組成領域のグループ分けが必要ではあるものの、同様な効果を得ることができる。

なお、以上の手順では、Pu富化度種類毎の設計最適化対象の物理量をLPFとしたが、寿命末期等における最大燃焼度や、運転中の熱的制限値である最小限界出力比を計算するために必要なR因子と称されるパラメータを、LPFに代えて選択することも可能である。

さらに、以上の手順では、設計最適化対象の物理量の目標値として基準設計の値を採用したが、実際の設計にあたっては、Pu組成毎に炉心特性を最適化する観点から、意図的にPu組成毎の設計最適化対象の物理量を基準設計の値とは異ならせることも考えられる。このような場合においても、Pu組成毎の設計最適化対象の物理量を前記最適設計にもとづき予め定めておくことで、当該予め定められた値を基準設計の値に代えて、目標値とすることも可能である。例えば、設計最適化対象の物理量をPuf割合依存の関数として表現したものを予め定めておき、目標値とすることができる。

U:ウラン燃料棒 P1,P2,P3,P4:MOX燃料棒 W:水ロッド

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