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発酵槽での真核生物の超高密度培養によるポリエン脂肪酸を含有する脂質の生産促進

阅读:225发布:2024-01-10

专利汇可以提供発酵槽での真核生物の超高密度培養によるポリエン脂肪酸を含有する脂質の生産促進专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且,下面是発酵槽での真核生物の超高密度培養によるポリエン脂肪酸を含有する脂質の生産促進专利的具体信息内容。

真核生物脂質を生産するための方法であって、 (a)炭素源および制限栄養素源を添加し、発酵培地中で少なくとも飽和の4%の溶存酸素含量を維持するのに十分な条件を提供することにより、該発酵培地中で微生物を増殖させるステップと、 (b)前記発酵培地中の飽和の1%またはそれ未満の溶存酸素レベルを維持するのに十分な条件を提供し、かつ、前記微生物が前記脂質を生産できるのに十分な条件を提供するステップと、 (c)前記脂質を回収するステップであって、回収した微生物脂質の少なくとも15重量%が多価不飽和脂質であるステップと、 を含み、ここで、 前記微生物がスラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目である、方法。前記微生物が、スラウストキトリウム(Thraustochytrium)属、シゾキトリウム(Schizochytrium)属およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1項記載の方法。前記微生物が、シゾキトリウム(Schizochytrium)属である、請求項2記載の方法。前記方法が、少なくとも0.5g/L/hrの平均速度で脂質を生産する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。前記方法が、少なくとも0.7g/L/hrの平均脂質生産速度である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。前記炭素源が、炭化物を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。前記制限栄養素源が、窒素源を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。前記窒素源が無機アンモニウム源を含み、前記発酵培地のpHが、前記制限栄養素源により制御される、請求項7記載の方法。前記多価不飽和脂質がドコサヘキサエン酸である、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。回収された脂質の少なくとも25%がドコサヘキサエン酸である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。前記脂質が、発酵の1時間あたり発酵培地のリッターあたり少なくとも0.5グラムの平均速度で生産され、かつ、ω−3およびω−6脂肪酸の合計量が前記脂質の少なくとも20%である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。前記脂質が、発酵の1時間あたり発酵培地のリッターあたり少なくとも0.5グラムの平均速度で生産され、かつ、ドコサヘキサエン酸が前記脂質の少なくとも25%である、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。前記発酵培地中の溶存酸素が制御されている、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。前記方法が、発酵の1時間あたり発酵培地のリッターあたり平均少なくとも0.2グラムのドコサヘキサエン酸を生産する、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。前記微生物から脂質を回収する前に、前記発酵培地から水を除去して乾燥微生物を供することをさらに含む、請求項1記載の方法。前記微生物から脂質を回収する前に、前もって遠心せずに蒸発により前記発酵培地から水を除去して乾燥微生物を供する、請求項1記載の方法。前記微生物が、ポリケチドシンターゼ系を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。

说明书全文

(発明の属する技術分野) 本発明は、生物を増殖させ、微生物脂質を回収する新規方法に関する。特に、本発明は、微生物多価不飽和脂質の生産に関する。

(発明の背景) 一般に、真核微生物におけるポリエン脂肪酸(2つ以上の不飽和炭素−炭素結合を含む脂肪酸)の生産には、分子状酸素の存在(すなわち、好気的条件)が必要であると考えられてきた。これは、すべての非寄生性真核微生物の脂肪酸に形成されるシス形二重結合に、直接酸素依存性不飽和化反応(酸化微生物デサチュラーゼ系)が関与すると考えられるからである。分子状酸素を必要とすることが知られている他の真核微生物脂質には、菌類および植物ステロール、オキシカロテノイド(すなわち、キサントフィル)、ユビキノン、ならびにこれらの脂質のいずれかから製造された化合物(すなわち、二次代謝産物)が含まれる。

(藻類;酵母を含む菌類;および原生生物などの)ある種の真核微生物は、発酵槽中でポリエン脂肪酸を良好に生産することが証明されている。しかし、(約100g/L微生物バイオマスを超える、特に商業的スケールでの)超高密度培養は、ポリエン脂肪酸含量を低下させ、したがって、ポリエン脂肪酸の生産性を低下させ得る。これは、一部には、発酵ブロス中の高濃度の微生物によって発生する高酸素所要量のために高溶存酸素レベルを維持することが困難であることを含めたいくつかの要素により得る。高溶存酸素レベルを維持する方法には、発酵槽中で、通気速度を増大させる方法および/または通気のために空気の代わりに純粋酸素を使用する方法および/または撹拌速度を増大させる方法などがある。これらの解決法は、一般に、脂質生産コストおよび発酵槽の資本コストを増大させたり、さらなる問題を生起させたりする可能性がある。例えば、通気速度を増大させると、高細胞密度の発酵槽中ではひどい発泡の問題が容易に発生し得るし、混合速度を増大させると、発酵ブロス中のせん断が増大するために微生物細胞の破壊が生じ得る(これによって発酵ブロス中で脂質が遊離し、遊離した脂質は、酵素によって酸化かつ/または分解状態になり得る)。微生物細胞の破壊は、脂質形成を誘発させるために窒素を制限または喪失させ、その結果として細胞壁が弱体化された細胞で増大する問題である。

結果として、脂質生産真核微生物を超高細胞濃度で増殖させた場合、それらの脂質は、通常、極く少量のポリエン脂肪酸しか含まない。例えば、炭素源としてアルコールを用いて酵母リポミセス スタルケイイ(Lipomyces starkeyi)を153g/Lの密度に増殖させ、140時間で83g/Lの脂質濃度を得た。しかるに、100g/Lを超える濃度におけるこの酵母のポリエン脂肪酸含量は、平均して、(20〜30g/Lの細胞密度での総脂肪酸の11.5%という高含量から低下して)総脂肪酸の4.2%に過ぎなかった。Yamauchiら,J.Ferment.Technol.,1984,61,275−280(非特許文献1)。これでは、約3.5g/Lのポリエン脂肪酸濃度および約0.025g/L/時の平均ポリエン脂肪酸生産性しか得られない。さらに、この酵母脂質で報告されたポリエン脂肪酸はC18:2だけであった。

別の酵母、ロドトルラ グルチヌス(Rhodotorula glutinus)は、約0.49g/L/時の平均脂質生産性を有するが、これもやはりその脂質中の総ポリエン脂肪酸含量は低く(総脂肪酸の15.8%、14.7%のC18:2および1.2%のC18:3)、フェッドバッチ培養でのポリエン脂肪酸生産性は約0.047g/L/時、連続培養では0.077g/L/時に過ぎないことが示された。

本発明者らの一人は、スラウストキトリアレス(Thraustochytriales)目のある種の海洋微細藻類が、発酵槽中で、特に、低塩分レベル、特に超低塩化物レベルで増殖させると、優れたポリエン脂肪酸生産体となり得ることを既に証明している。120時間で、59g/Lの細胞密度に増殖させると、約0.158g/L/時の平均ポリエン脂肪酸(DHA、C22:6n−3;およびDPA、C22:5n−6)生産性を示すスラウストキトリズ(Thraustochytrids)を説明している者もいる。しかし、この生産性は、慣用のステンレス鋼発酵槽では重大な腐蝕を生起し得る濃度である約50%の塩分でのみ達成された。

ポリエン脂肪酸、特に、C18:4n−3、C20:4n−6、C20:5n−3、C22:5n−3、C22:5n−6およびC22:6n−3などの高不飽和脂肪酸を含有する微生物脂質の生産コストは、一部には、高ポリエン脂肪酸含有真核微生物を増殖させる密度が限られており、かつ高生産性の達成に必要なこれらの高細胞濃度および高温では酸素の利用可能性が限られているために、依然として高いままである。 したがって、微生物を高濃度で増殖させ、さらにポリエン脂肪酸含有脂質の生産増大を促進する方法が求められている。

Yamauchiら,J.Ferment.Technol.,1984,61,275−280

(発明の要旨) 本発明は、真核微生物バイオマスの少なくとも約20%を脂質として生産し得る真核微生物を増殖させる方法およびそれらの脂質を生産する方法を提供する。脂質は1種以上のポリエン脂肪酸を含むのが好ましい。この方法は、真核微生物を含む発酵培地に、炭素源、好ましくは非アルコール炭素源と、制限栄養源とを添加することを含む。炭素源と制限栄養源は、発酵培地のバイオマス密度を少なくとも約100g/Lまで増大させるのに十分な速度で添加するのが好ましい。

本発明の1つの態様において、発酵条件は、バイオマス増大段階と脂質生産段階を含み、バイオマス密度増大段階は、炭素源および制限栄養源を添加することを含み、脂質生産段階は、脂質生産を誘発させる条件を創出するために、制限栄養源を加えずに炭素源を添加することを含む。

本発明の別の態様において、脂質生産段階において発酵培地中に存在する溶存酸素量は、バイオマス密度増大段階において発酵培地中に存在する溶存酸素量より低い。

本発明のさらに別の態様において、微生物は、藻類、(酵母を含めた)菌類、原生生物、細菌、およびそれらの混合物からなる群から選択され、微生物は、一般に合成に分子状酸素を要求すると考えられているポリエン脂肪酸または他の脂質を生産し得る。本発明の特に有用な微生物は、約3%未満の飽和度の発酵培地酸素レベルで脂質を生産し得る真核微生物である。

本発明のさらに別の態様において、微生物はフェッドバッチ法で増殖される。 本発明のさらに別の態様は、発酵プロセスの後半に発酵培地中約3%未満の飽和度の酸素レベルに維持することを提供する。

本発明の別の実施形態は、 (a) 発酵培地中で真核微生物を増殖させて、発酵培地のバイオマス密度を少なくとも約100g/Lまで増大させるステップと、 (b) 微生物に脂質を生産させるのに十分な発酵条件を提供するステップと、 (c) 約15%を超える部分が多価不飽和脂質である脂質を回収するステップと、から成る真核微生物脂質の生産方法を提供する。

本発明の別の態様は、 (d) 発酵培地から水分を除去して乾燥微生物を得るステップ、 (e) 乾燥微生物から脂質を分離するステップ、 から成る脂質回収方法を提供する。

水除去ステップは、発酵培地を前もって遠心せずに直接ドラム乾燥機上に接触させることを含むのが好ましい。 本発明の別の態様は、 (d) 微生物細胞を透過化、溶解または破裂するように発酵培地を処理するステップと、 (e)脂質/水エマルションの破壊を支援する水溶性溶媒の支援があるかまたは支援がない状態で、比重選別法、好ましくは遠心により、発酵ブロスから脂質を回収するステップと、から成る脂質回収方法を提供する。

ステップ(c)において、発酵槽または類似の槽中で微生物細胞を処理するのが好ましい。

本発明の他の態様では、微生物のポリエン脂肪酸含量を豊富にする方法が提供される。この方法は、10%未満の溶存酸素レベルを有する成長培地中で微生物を発酵させることを含む。

本発明の他の態様は、産物および微生物を生産するための従属栄養方法である。この方法は、成長培地中でポリケチドシンターゼ遺伝子を有する微生物を培養するステップと、培地中の溶存酸素レベルを約10%未満に維持するステップとから成る。

(発明の詳細な説明) 本発明は、例えば、藻類、(酵母を含めた)菌類、原生生物および細菌などの微生物を増殖させる方法を提供する。微生物は、藻類、原生生物およびそれらの混合物からなる群から選択するのが好ましい。微生物が藻類であればなお好ましい。さらに、本発明の方法は、多様な脂質化合物、特に、不飽和脂質、好ましくは多価不飽和脂質(すなわち、少なくとも2つの不飽和炭素−炭素結合、例えば、二重結合を含む脂質)、より好ましくは、ドコサヘキサン酸(すなわち、DHA)を含めた、ω−3および/またはω−6多価不飽和脂肪酸などの高度不飽和脂質(すなわち、4つ以上の不飽和炭素−炭素結合を含む脂質);ならびに他の天然の不飽和、多価不飽和および高度不飽和化合物の生産に用い得る。本明細書に用いられている限りにおいて、用語「脂質」には、リン脂質;遊離脂肪酸;脂肪酸エステル;トリアシルグリセロール;ステロールおよびステロールエステル;カロテノイド;キサントフィル(例えば、オキシカロテノイド);炭化水素;イソプレノイド誘導化合物ならびに当業者には公知の他の脂質が含まれる。

より特定的に言えば、本発明の方法は、真核微生物のポリエン脂肪酸、カロテノイド、菌類ステロール、フィトステロール、キサントフィル、ユビキノン、および一般に不飽和炭素−炭素結合の生成に酸素を要求すると考えられている他のイソプレノイド誘導化合物、ならびにそれらの二次代謝産物の生産に有用である。特に、本発明の方法は、ポリエン脂肪酸を生産する微生物の増殖、および微生物ポリエン脂肪酸の生産に有用である。

本発明の方法は、多様な微生物を増殖させるため、およびそれらの微生物が生産する多価不飽和脂質含有化合物を得るために用い得るが、簡潔さ、便宜上および例示のために、本発明のこの詳細な説明は、ω−3および/またはω−6多価不飽和脂肪酸を含む脂質を生産し得る微生物、特にDHA(またはDPA、EPAまたはARAなどの同類化合物)を生産し得る微生物を増殖させる方法について述べる。好ましい微生物には、微細藻類、(酵母を含めた)菌類、原生生物および細菌が含まれる。1つの好ましい微生物群は、微細藻類および藻様微生物を含むいわゆるストラメノパイル(Stramenopiles)と称される微生物群のメンバーである。ストラメノパイルには以下の微生物群が含まれる:ハマトレス(Hamatores)、プロテロモナズ(Proteromonads)、オパリネス(Opalines)、ディベロペイエルラ(Developayella)、ディプロフリス(Diplophrys)、ラビリンツリド(Labrinthulids)、スラウストキトリド(Thraustochytrids)、ビオセシド(Biosecids)、オオミセテス(Oomycetes)、ヒポチトリジオミセテス(Hypochytridiomycetes)、コマチオン(Commation)、レチキュロスファエラ(Reticulosphaera)、ペラゴモナス(Pelagomonas)、ペラゴコッカス(Pelagococcus)、オリコラ(Ollicola)、アウレオコッカス(Aureococcus)、パルマレス(Parmales)、ジアトムス(Diatoms)、キサントフィテス(Xanthophytes)、ファエオフィテス(Phaeophytes)(褐藻)、ユースチグマトフィテス(Eustigmatophytes)、ラフィドフィテス(Raphidophytes)、シヌリドス(Synurids)、〔リゾクロムリナアレス(Rhizochromulinaales)、ペディネルラレス(Pedinellales)、ディクチオカレス(Dictyochales)を含めた〕アキソディネス(Axodines)、クリソメリダレス(Chrysomeridales)、サルキノクリシダレス(Sarcinochrysidales)、ヒドルラレス(Hydrurales)、ヒバーディアレス(Hibberdiales)、およびクロムリナレス(Chromulinales)。他の好ましい微細藻類群には、クリプテコディウム(Crypthecodium)属のメンバーを含めた、緑藻類および渦鞭毛虫類(dinoflagellates)がある。より特定的に言えば、本発明の好ましい実施形態は、海洋微生物、特に、スラウストキトリアレス目のスラウストキトリウム、より特定的には、共にBarclayに付与され、それらの全文が本明細書に援用される共に譲渡された米国特許第5,340,594号および同第5,340,742号に開示されているスラウストキトリアレスを含めた、スラウストキトリウム属およびシゾキトリウム(Schizochytrium)属のスラウストキトリアレスなどの藻類を増殖させる方法に関連して述べられるであろう。多くの専門家はウルケニア(Ulkenia)が別の属ではなく、実際にはシゾキトリウム属の一部であると了解していることに留意すべきである。本明細書に用いられている限りにおいて、シゾキトリウム属にはウルケニアが含まれる。

好ましい微生物は、ポリケチドシンターゼ系を介して目的化合物を生産するものである。そのような微生物には、内在性ポリケチドシンターゼ系を有する微生物およびポリケチドシンターゼ系が遺伝子設計されている微生物が含まれる。ポリケチドは、抗生物質特性および薬理学的特性を含めた、広範囲な生物活性を有する構造的に多様な天然産物である。ポリケチドの炭素鎖構造の生合成は、ポリケチドシンターゼによって触媒される。構造的および機構的に関連する脂肪酸シンターゼと同様に、ポリケチドシンターゼは、一度に炭素鎖の2つの炭素を延長するアシルチオエステル間で繰り返される脱炭酸縮合を触媒する。しかし、脂肪酸シンターゼとは異なり、ポリケチドシンターゼは、最終産物中で大きな構造変動性を生成し得る。個々のポリケチドシンターゼ系は、アセテート以外の出発単位を用い、延長単位としてマロン酸メチルまたはマロン酸エチルを利用し、各縮合後に形成されたβ−ケト基上のケト還元、脱水およびエノイル還元の還元サイクルを変えることにより、これを行い得る。ここで、特に興味深いことは、脱水ステップにより導入される炭素−炭素二重結合が最終産物中に保持され得ることである。さらに、これらの二重結合は初期にはトランス配置であるが、酵素的異性化によりDHA(および他の目的ポリエン脂肪酸)中に見出されるシス配置に変換され得る。デヒドラーゼ反応も異性化反応も分子状酸素の不在下で起こり得る。

好ましくは、本発明に従って、産物および微生物を生産するために従属栄養方法が提供される。この方法は、成長培地中で、ポリケチドシンターゼ系を含有する微生物を培養するステップを含むのが好ましい。溶存酸素レベルは、好ましくは約8%未満、より好ましくは約4%未満、さらに好ましくは約3%未満、より好ましくは約1%未満に維持する。

しかし、本発明は全体としてそのように制限することを意図しておらず、当業者には、本発明の概念を、本明細書に述べられている技法に従って、他の脂質組成物を含めた様々な他の化合物を生産する他の微生物にも適用可能であることが認識されるであろうことは当然である。

藻類により比較的一定した速度で脂質が生産されるとすると、バイオマス密度が高いほど容量当たりの総脂質生産量も高くなることは容易に分る。藻類を増殖させるための現行の発酵法は約50〜約80g/L以下のバイオマス密度をもたらす。本発明者らは、本発明の方法を用いることにより、現在知られているバイオマス密度より有意に高いバイオマス密度を達成し得ることを見出した。本発明の方法は、好ましくは少なくとも約100g/L、より好ましくは少なくとも約130g/L、さらに好ましくは少なくとも150g/L、より好ましくは少なくとも約170g/L、最も好ましくは200g/Lより高いバイオマス密度を生成する。したがって、そのような高いバイオマス密度では、たとえ藻類の脂質生産速度がわずかに減少しても、容量当たりの全脂質生産速度は現在知られている方法より有意に高くなる。

本発明のヤブレツボカビ目微生物増殖法は、微生物を含む発酵培地のバイオマス密度を上述の密度まで増大させるに十分な速度で発酵培地に炭素源および制限栄養源を添加するステップを含む。本明細書に用いられている限りにおいて、用語「制限栄養源」とは、成長培地から制限栄養素が失われると、その不在が微生物のさらなる増殖または複製を有意に制限するという点で、微生物の増殖に不可欠な(栄養素自体を含めた)栄養源を表す。しかし、それでも、他の栄養素が豊富に存在するので、微生物は細胞内および/または細胞外産物を生産かつ蓄積し続けることができる。特定の制限栄養素を選択することにより、蓄積される産物のタイプを制御し得る。したがって、一定の速度で制限栄養源を供給することにより、微生物の増殖速度と、所望産物(例えば、脂質)の生産または蓄積とを制御し得る。1種以上の基質(例えば、炭素源および制限栄養源)を段階的に増量添加するこの発酵法は、一般に、フェッドバッチ発酵法と称されている。バッチ発酵法に基質を加える場合、存在する大量の炭素源(例えば、60g/Lのバイオマス密度当たり約200g/L以上)が微生物に対して有害作用を与えることが見出された。いずれの定理にも拘束されることなく、そのような高量の炭素源は、微生物に対して、浸透圧を含めた有害作用を及ぼし、微生物の初期生産性を阻害すると考えられる。本発明の方法はこの望ましくない有害作用を回避しながら、上記微生物バイオマス密度を達成するに十分な量の基質を提供する。

本発明の微生物増殖法は、バイオマス密度増大段階を含み得る。バイオマス密度増大段階において、発酵プロセスの第1目的は、上述のバイオマス密度を得るように発酵培地中のバイオマス密度を増大させることである。炭素源の添加速度は、通常、微生物の生産性、または液体ブロスから熱を除去し、かつ液体ブロスとの間で気体を移動させるのに不十分な発酵装置能力に基因する微生物の生存率に有意な有害作用を及ぼさない特定のレベルまたは範囲に維持される。発酵プロセスにおいて特定の微生物に必要とされる炭素源量の適切な範囲は当業者には周知である。本発明の炭素源は、非アルコール炭素源、すなわち、アルコールを含まない炭素源であるのが好ましい。本明細書に用いられている限りにおいて、「アルコール」とは、4つ以下の炭素原子を有し、ヒドロキシ基1つを含む化合物、例えば、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールを表すが、本発明用には、乳酸および類似化合物などのヒドロキシ有機酸は含まれない。より好ましくは、本発明の炭素源は、フルクトース、グルコース、スクロース、糖ミツおよびスターチを含むがそれらには限定されない炭水化物である。他の適当な単純炭素源および複合炭素源ならびに窒素源は、上記に引用した特許に開示されている。しかし、通常は、主炭素源として、炭水化物、好ましくはコーンシロップが用いられる。ヒドロキシ脂肪酸、トリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグリセリドの形態の脂肪酸も炭素源としての働きをし得る。

特に好ましい窒素源は、尿素、硝酸塩、亜硝酸塩、大豆タンパク質、アミノ酸、タンパク質、コーンスティープリカー、酵母エキス、動物副産物、無機アンモニウム塩、より好ましくは硫酸アンモニウム塩、水酸化アンモニウム塩、最も好ましくは水酸化アンモニウムである。他の制限栄養源には、(上記定義の)炭素源、リン酸塩源、ビタミン源(ビタミンB12源、パントテン酸塩源、チアミン源など)、ならびに微量金属源(亜鉛源、銅源、コバルト源、ニッケル源、鉄源、マンガン源、モリブデン源など)、および主要金属源(マグネシウム源、カルシウム源、ナトリウム源、カリウム源、およびシリカ源など)が含まれる。微量金属源および主要金属源は、これらの金属の硫酸塩および塩化物塩(例えば、MgSO4・7H2O;MnCl2・4H2O;ZnSO4・7H2O;CoCl2・6H2O;Na2MoO4・2H2O;CuSO4・5H2O;NiSO4・6H2O;FeSO4・7H2O;CaCl2;K2SO4;KCl;およびNa2SO4、但しそれらには限定されない)を包含し得る。

窒素源としてアンモニウムを用いると、発酵培地は、塩基添加または緩衝液により調節しなければ、酸性になる。主要窒素源として水酸化アンモニウムを用いる場合、水酸化アンモニウムはpHの調節にも用い得る。スラウストキトリアレス目、特に、スラウストキトリウム属およびシゾキトリウム属のスラウストキトリアレス微生物は、広範なpH範囲、例えば、約pH5〜約pH11にわたって増殖するであろう。特定の微生物の発酵に適したpH範囲は当業者の知識の範囲内である。

本発明の微生物増殖方法は、さらに生産段階を含み得る。この段階において、微生物による基質の主要用途は、バイオマス密度を増大させることではなく、脂質を生産させるために基質を用いることである。脂質はバイオマス密度増大段階でも微生物によって生産されるが、上述のように、バイオマス密度増大段階の主目的はバイオマス密度を増大させることであると理解すべきである。通常、生産段階での制限栄養基質の添加は、少なくするか、好ましくは停止する。

かつては、発酵培地中の溶存酸素の存在は、真核微生物によるω−3および/またはω−6多価不飽和脂肪酸を含めた多価不飽和化合物の生産に極めて重要であると一般に考えられていた。したがって、一般に、発酵培地中に比較的大量の溶存酸素が存在することが好ましいと考えられた。しかし、驚くべきことに、思いがけなく、本発明者らは、生産段階の溶存酸素レベルを低下させると、脂質の生産速度が劇的に増大することを見出した。したがって、バイオマス密度増大段階における発酵培地中の溶存酸素レベルは、好ましくは少なくとも約8%の飽和度、より好ましくは少なくとも約4%の飽和度であるが、生産段階における発酵培地中の溶存酸素は、約3%以下の飽和度、好ましくは約1%以下の飽和度、より好ましくは約0%の飽和度に低下させる。発酵開始時には、DOは飽和状態または飽和に近い状態であってよく、微生物が増殖するにつれ、これらの低DO整定値まで穏やかに低下させ得る。本発明の1つの特定の実施形態において、発酵培地中の溶存酸素レベル量は発酵プロセス中に変更される。例えば、総発酵時間が約90〜約100時間の発酵プロセスの場合、発酵培地中の溶存酸素レベルは、最初の24時間には約8%、約24時間目から約40時間目までは約4%、約40時間目から発酵プロセスの終りまでは約0.5%以下に維持される。

発酵培地中に存在する溶存酸素の量は、発酵槽のヘッドスペースの酸素量を調節するか、または好ましくは発酵培地のかきまぜ(もしくは攪拌)速度を調節することにより制御し得る。例えば、高かきまぜ(もしくは攪拌)速度では、低かきまぜ速度の場合より発酵培地中の溶存酸素量が比較的高くなる。例えば、約53キロリットル(約14,000ガロン)容量の発酵槽では、約90〜約100時間の総発酵プロセス時間で上記溶存酸素レベルを達成するために、かきまぜ速度は、最初の12時間は、約50〜約70rpm、約12時間目から約18時間目までは約55〜約80rpm、約18時間目から発酵プロセスの終りまでは約70〜約90rpmに設定される。発酵培地中で特定の溶存酸素量を達成するために必要な特定のかきまぜ速度範囲は当業者が容易に決定し得る。

本発明の方法に好ましい温度は、少なくとも約20℃、より好ましくは少なくとも約25℃、最も好ましくは少なくとも約30℃である。冷水は温水より高い量の溶存酸素を保持できると理解すべきである。したがって、高発酵培地温度は、上述のような特に望ましい、溶存酸素量を減少させるという追加利点を有する。

ある種の微生物は、発酵培地中に一定量の塩類溶液ミネラルを要求し得る。これらの塩類溶液ミネラル、特に塩化物イオンは、発酵槽や他の下流加工装置を腐蝕させ得る。発酵倍中に存在する比較的大量の塩化物イオンによるこれらの望ましくない作用を防止または減少させるために、本発明の方法はさらに、発酵培地中にナトリウム源として非塩化物含有ナトリウム塩、好ましくは硫酸ナトリウムを用いることを含み得る。より特定的に言えば、発酵のナトリウム所要量の有意な部分を非塩化物含有ナトリウム塩として供給する。例えば、発酵培地中のナトリウムの約75%未満、より好ましくは約50%未満、さらに好ましくは約25%未満を塩化ナトリウムとして供給する。本発明の微生物は、約3g/L未満、より好ましくは約500mg/L未満、さらに好ましくは約250mg/L未満、より好ましくは約60〜約120mg/Lの塩化物濃度で増殖させ得る。

非塩化物含有ナトリウム塩には、ソーダ灰(炭酸ナトリウムと酸化ナトリウムの混合物)、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物が含まれ得るが、硫酸ナトリウムが好ましい。ソーダ灰、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムは、発酵培地のpHを上昇させる傾向があり、したがって、培地の適切なpHを維持する調節ステップが必要である。微生物の塩分所要量を満たす硫酸ナトリウム濃度が有効であり、ナトリウム濃度は、(g/LのNaで表して)好ましくは少なくとも約1g/L、より好ましくは約1〜約50g/Lの範囲、さらに好ましくは約2〜約25g/Lの範囲である。

微生物の接種、増殖および回収に関する種々の発酵パラメータは、米国特許第5,130,242号に詳細に述べられており、この特許はその全文が本明細書に援用される。発酵培地から微生物を分離するには、遠心、濾過、限外濾過、デカントおよび溶媒蒸発を含めた現在知られているいずれの分離法を用いてもよい。本発明者らは、本発明の方法によって得られる上記のような高いバイオマス密度のために、微生物の回収に遠心を用いる場合、水を添加することにより発酵培地を希釈してバイオマス密度を低下させ、それによって発酵培地から微生物をより効果的に分離し得ることを見出した。

本発明において達成される超高バイオマス密度により、微生物脂質の「無溶媒」回収法が容易になる。発酵槽中で細胞を溶解する好ましい方法は、2000年1月19日出願の「SOLVENTLESS EXTRACTION PROCESS」と題する米国仮特許出願第60/177,125号、2001年1月19日出願の「SOLVENTLESS EXTRACTION PROCESS」と題する米国特許出願、および2001年1月19日出願の「SOLVENTLESS EXTRACTION PROCESS」と題するPCT特許出願に記載されており、これらの特許出願はそれらの全文が本明細書に援用される。(脂質エマルションを分離し、脂質に富む分画を回収し得る)発酵槽中で細胞を透過化、破壊または溶解した後で脂質を回収する好ましい方法には、その全文が本明細書に援用されるWO96/05278に略記されている脱油法が含まれる。この方法では、油/水エマルションに、水溶性化合物、例えば、アルコールまたはアセトンを添加してエマルションを破壊し、得られた混合物を、比重選別法、例えば、遠心により分離する。この方法は、エマルションの破壊に他の物質(水および/または溶解可能な脂質)を用いるように改変することもできる。

あるいは、発酵培地から水分を蒸発させること、例えば、発酵培地を直接(すなわち、例えば遠心により予備濃縮せずに)ドラム乾燥機装置などの乾燥機と接触させること、すなわち、直接ドラム乾燥機回収法により、発酵培地から微生物を乾燥形態で回収する。微生物の分離に直接ドラム乾燥機回収法を用いる場合、通常、蒸気加熱ドラム乾燥機を用いる。さらに、直接ドラム乾燥機回収法を用いる場合、発酵培地のバイオマス密度は、好ましくは少なくとも約130g/L、より好ましくは少なくとも約150g/L、最も好ましくは少なくとも約180g/Lである。一般に、直接ドラム乾燥機回収法にこの高バイオマス密度が望ましいのは、低バイオマス密度では、発酵培地がドラムを有意に冷却するに十分な水分量を含み、それによって微生物の乾燥が不完全になるからである。スプレー乾燥を含めた他の細胞乾燥法は当業者には周知である。

微生物の種々の脂質生産パラメータ対発酵培地中の溶存酸素量の表およびプロット。

本発明の方法は、少なくとも約0.5g/L/時、好ましくは少なくとも約0.7g/L/時、より好ましくは少なくとも約0.9g/L/時、最も好ましくは少なくとも約1.0g/L/時の平均脂質生産速度を提供する。さらに、本発明の方法により生産される脂質は、約15%、好ましくは約20%、より好ましくは約25%、さらに好ましくは約30%、最も好ましくは約35%を超える量の多価不飽和脂質を含む。脂質は、乾燥微生物または発酵培地中の微生物から回収し得る。一般に、本発明の方法で微生物が生産する脂質の少なくとも約20%、好ましくは脂質の少なくとも約30%、より好ましくは脂質の少なくとも約40%、最も好ましくは脂質の少なくとも約50%は、ω−3および/またはω−6多価不飽和脂肪酸である。あるいは、本発明の方法は、少なくとも約0.2gのω−3脂肪酸(例えば、DHA)/L/時、好ましくは少なくとも約0.3gのω−3脂肪酸(例えば、DHA)/L/時、より好ましくは少なくとも約0.4gのω−3脂肪酸(例えば、DHA)/L/時、最も好ましくは少なくとも約0.5gのω−3脂肪酸(例えば、DHA)/L/時の平均ω−3脂肪酸(例えば、DHA)生産速度を提供する。あるいは、本発明の方法は、少なくとも約0.07gのω−6脂肪酸(例えば、DPAn−6)/L/時、好ましくは少なくとも約0.1gのω−6脂肪酸(例えば、DPAn−6)/L/時、より好ましくは少なくとも約0.13gのω−6脂肪酸(例えば、DPAn−6)/L/時、最も好ましくは少なくとも約0.17gのω−6脂肪酸(例えば、DPAn−6)の平均ω−6脂肪酸(例えば、DPAn−6)生産速度を提供する。あるいは、(総脂肪酸メチルエステルに基づく)脂質の少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約35%、最も好ましくは少なくとも約40%がDHAである。

微生物、微生物から抽出された脂質、脂質抽出後に残留するバイオマスまたはそれらの組み合わせは、飲料、ソース、(ミルク、ヨーグルト、チーズおよびアイスクリームなどの)乳製品、ならびに焼き菓子類中の成分などの食物成分;(カプセルまたは錠剤形態の)栄養サプリメント;肉や産物をヒトが消費する任意の動物用の飼料または飼料サプリメント;ベビーフードおよび乳児用調合乳を含めた食物サプリメント;ならびに(直接または付加療法用の)医薬品として直接用い得る。用語「動物」とは、動物界に属する任意の生体を意味し、トリ肉、シーフード、ビーフ、ポークまたはラムが由来する任意の動物を包含するがそれらには限定されない。シーフードは、魚、小形エビおよび貝由来であるが、それらには限定されない。用語「産物」には、卵、乳または他の産物を含むがそれらには限定されない上記動物由来の肉以外の任意の産物が含まれる。上記動物に与えると、多価不飽和脂質は、動物の肉、乳、卵または他の産物中に組み込まれて、動物の多価不飽和脂質含量を増大させ得る。 本発明のさらなる目的、利点および新規特徴は、本発明を制限するものではない以下の実施例を吟味すれば当業者には明らかになるであろう。

これらの実施例に用いたシゾキトリウム株は、広くさまざまな発酵条件下に、概して約3:1比の2種の主要ポリエン酸、DHAn−3およびDPAn−6と、EPAおよびC20:3などの少量の他のポリエン酸を生産する。したがって、以下の実施例にはDHAの量しか列挙されていないが、上記に開示されている比率を用いることにより、生産されるDPA(n−6)の量は容易に計算し得る。

実施例1 この実施例は、脂質の生産性に及ぼす発酵培地中の酸素含量の影響を示している。 種々の溶存酸素レベルにおけるシゾキトリウム ATCC20888番の発酵結果を測定した。結果を図1に示すが、図中、RCSは糖の残留濃度、DCWは乾燥細胞重量である。

実施例2 この実施例も最終バイオマス産物のDHA含量(%乾燥重量)に及ぼす発酵培地中の低酸素含量の影響を示している。 大型発酵槽で培養したシゾキトリウム種細胞中のDHA含量に及ぼす低酸素含量の影響を模擬するために、250ml三フラスコで「縮小(スケールダウン)」実験を実施した。シゾキトリウム種(ATCC20888番)をO4−4培地中で培養した。この培地は、脱イオン水に溶かした1リットル当たりの以下の成分からなっていた:Na2SO4 12.61g;MgSO4・7H2O 1.2g;KCl 0.25g;CaCl2 0.05g;グルタミン酸一ナトリウム 7.0g;グルコース 10g;KH2PO4 0.5g;NaHCO3 0.1g;酵母エキス 0.1g;ビタミンミックス 1.0mL;PII金属 1.00mL。PII金属ミックスは(1リットル当たり):6.0gのNa2EDTA、0.29gのFeCl3・6H2O、6.84gのH3BO3、0.86gのMnCl2・4H2O、0.06gのZnCl2、0.026gのCoCl2・6H2O、0.052gのNiSO4・H2O、0.002gのCuSO4・H2Oおよび0.005gのNa2MoO4・2H2Oを含む。ビタミンミックスは(1リットル当たり):100mgのチアミン、0.5mgのビオチンおよび0.5mgのシアノコバラミンを含む。培地のpHを7.0に調整し、次いでフィルター滅菌した。

この縮小実験を行った理由は、それぞれ異なる量の培地を有する振とうフラスコ中で細胞を培養するためであった。ほとんど満杯のフラスコ(例えば、250mL振とうフラスコ中200mL)は振とうテーブル上では良く混ざらず、したがって、細胞が増殖するにつれ、低溶存酸素状態が発生するであろう。したがって、この実験では、4種の処置を設定し、それぞれを2回実施した:(1)250mLフラスコに50mLの培地を充填;(2)250mLフラスコに100mLの培地を充填;(3)250mLフラスコに150mLの培地を充填;(4)250mL振とうフラスコに200mLの培地を充填。8つのフラスコそれぞれに、処理1の条件下、28℃、振とうテーブル上220rpmで、O4−4培地中で48時間培養したシゾキトリウム培養株からの細胞を接種した。

この実験用の8つのフラスコすべてを、インキュベータ(28℃)の振とうテーブル(220rpm)上に乗せ、暗所で48時間培養した。実験後、各フラスコ中の溶存酸素(DO)レベルをYSI溶存酸素メーターで測定し、培地のpH、細胞乾燥重量および細胞の脂肪酸含量も測定した。実験結果を表1に概説する。

これらの結果は、(%FAMEとしての)脂質含量およびDHA含量(%乾燥重量)は、低溶存酸素レベルで培養した細胞では高く、溶存酸素レベルが低くなるほど、脂質およびDHA含量が高くなったことを示している。これは、一般に脱飽和(二重)結合の形成には酸素が必要であると考えられていたので、予想外である。DHAは最も不飽和な脂肪酸の1つであるから、そのように多くのDHAが低溶存酸素レベルで形成されたのは驚くべきことである。溶存酸素レベルが低下するにつれバイオマスの生産は低下するが、DHA含量は増大する。したがって、高溶存酸素レベルでバイオマスの形成を最大にし、次いで、低溶存酸素レベルで長鎖脂肪酸の生産を最大にする増殖期を有するのが有利である。

実施例3 この実施例は、本発明の方法の再現性を示している。 1,200ガロンの呼称作業容量を有する発酵槽を用いて微生物を生産した。得られた発酵ブロスを濃縮し、ドラム乾燥機を用いて微生物を乾燥した。得られた微生物のアリコートから脂質を抽出し、精製して、精製、脱色、脱臭した油を得た。脂質を分析する前に、栄養を補うために約3,000ppmのd−l−α−酢酸トコフェリルを加えた。

シゾキトリウムATCC20888番の9回の発酵を実行し、その結果を表2に示す。最初の24時間の溶存酸素レベルは約8%であり、その後は約4%であった。

発酵槽中の容量が約4.5kl(約1,200ガロン)に達するまでコーンシロップを充填し、約4.5kl(約1,200ガロン)に達した時点でコーンシロップの添加を停止した。残留糖濃度が5g/Lを下回った時点で発酵プロセスを停止した。接種から最後までの典型的な発酵時間は約100時間であった。

発酵ブロス、すなわち、発酵培地を約2:1比を用いて水で希釈して、最終産物の灰含量を低減させ、遠心ステップにおける相分離の増進を支援した。濃縮細胞ペーストを71℃(160°F)に加熱し、Blaw Knoxダブルドラム乾燥機〔106.68cm×91.44cm(42”×36”)〕で乾燥した。しかし、微生物は前もって遠心せずに直接ドラム乾燥機上で乾燥するのが好ましい。

表2の各記入項目のアリコートから抽出した脂質の分析結果を表3に概説する。

特に断りの無い限り、実施例項全体に用いた発酵培地は以下の成分を含み、最初の数時は呼称目標濃度を示し、( )内の数字は許容可能範囲を示す:硫酸ナトリウム 12g/L(11−13);KCl 0.5g/L(0.45−0.55);MgSO4・7H2O 2g/L(1.8−2.2);Hodag K−60消泡剤 0.35g/L(0.3−0.4);K2SO4 0.65g/L(0.60−0.70);KH2PO4 1g/L(0.9−1.1);(NH4)2SO4 1g/L(0.95−1.1);CaCl2・2H2O 0.17g/L(0.15−0.19);95DEコーンシロップ(固体ベース)4.5g/L(2−10);MnCl2・4H2O 3mg/L(2.7−3.3);ZnSO4・7H2O 3mg/L(2.7−3.3);CoCl2・6H2O 0.04mg/L(0.035−0.045);Na2MoO4・2H2O 0.04mg/L(0−0.045);CuSO4・5H2O 2mg/L(1.8−2.2);NiSO4・6H2O 2mg/L(1.8−2.2);FeSO4・7H2O 10mg/L(9−11);チアミン 9.5mg/L(4−15);ビタミンB12 0.15mg/L(0.05−0.25)およびパントテン酸カルシウム 3.2mg/L(1.3−5.1)。さらに、窒素源として28% NH4OH溶液を用いる。

乾燥微生物の灰含量は約6重量%である。

実施例4 この実施例は、約53キロリットル(14,000ガロン)スケールの微生物生産性に及ぼす発酵培地中の低減溶存酸素レベルの影響を示している。 実施例3に記載の手順を用い、上述の米国特許第5,340,594号および同第5,340,742号に開示されている分離法を用いて得られる野生型シゾキトリウム株を用いて、14,000ガロン呼称容量発酵を実施した。発酵培地中の溶存酸素レベルは、最初の24時間には約8%であり、24時間目から40時間目までは約4%、40時間目から発酵プロセスの終りまでは約0.5%であった。この発酵培地中低溶存酸素レベルプロセスの結果を表4に示す。

実施例5 この実施例は、約155キロリットル(41,000ガロン)スケールの微生物生産性に及ぼす発酵培地中の低溶存酸素レベルの影響を示している。

約155キロリットル(41,000ガロン)発酵槽で発酵を実施したこと以外は、実施例4と同じ手順を用いた。このスケールで目的化合物濃度を維持するために、培地量を増やした。結果を表5に示す。

実施例6 この実施例は、本発明の発酵プロセスに及ぼす追加窒素の影響を示している。 実施例4と類似の手順を用い、250−Lスケールのフェッドバッチ実験を4セット実施した。2種の対照実験と、追加のアンモニア(標準量の1.15倍と1.25倍)を含む2種の実験を行った。結果を表6に示す。

一般に、追加窒素は、追加アンモニアを加えた2つのバッチのDHA生産性に有意な低下が観察されたので、発酵性能に負の影響を与える。表6に示されているように、対照バッチでは、最終DHAレベルが18.4%および総細胞乾燥重量が22.1%であったのに対し、追加窒素補充バッチでは、それぞれ、9.2%(1.15倍のアンモニア)および12.6%(1.25倍のアンモニア)であった。

実施例7 この実施例は本発明の発酵プロセスの動力学的プロフィールを示している。 実施例4と類似の手順を用いて約3.8キロリットル(1,000)ガロンスケールのフェッドバッチ実験を行った。本発明の発酵法の動的プロフィールを表7に示す。

表7. シゾキトリウムの約3.8キロリットル(1,000)スケールフェッドバッチ発酵の動的プロフィール

実施例8 この実施例は生産性に及ぼす炭素源量の影響を示している。 実施例4の方法を用い、種々の量の炭素源を用いて、3種の異なる発酵法を実施した。結果を表8に示す。

実施例9 この実施例は、バイオマス、脂質(最も特定的にはDHA)に対する炭素転化効率に及ぼす栄養制限の影響を示している。

以下の化合物(呼称濃度)からなる基本増殖(ICM−2)培地中の2リットル容量Applikon発酵槽中でシゾキトリウム ATCC20888番を培養して、栄養制限の影響を調べる連続培養実験を実施した:グループI成分:Na2SO4(18.54g/L)、MgSO4・7H2O(2.0g/L)およびKCL(0.572g/L);グループII成分(それぞれ別個に調製):グルコース(43.81g/L)、KH2PO4(1.28g/L)、CaCl2・2H2O(0.025g/L)および(NH4)2SO4(6.538g/L);グループIII成分:Na2EDTA(6.0mg/L)、FeCl3・6H2O(0.29mg/L)、H3BO3(6.84mg/L)、MnCl2・4H2O(0.86mg/L)、ZnSO4・7H2O(0.2347mg/L)、CoCl2・2H2O(0.026mg/L)、Na2MoO4・2H2O(0.005mg/L)、CuSO4・5H2O(0.002mg/L)およびNiSO4・6H2O(0.052mg/L);ならびにグループIV成分:チアミンHCl(0.2mg/L)、ビタミンB12(0.005mg/L)、パントテン酸カルシウム(0.2mg/L)。発酵槽に加える前に、グループIおよびIIはオートクレーブ滅菌し、グループIIIおよびIVはフィルター滅菌した。次いで、成長培地にシゾキトリウム属を接種し、最大細胞密度が得られるまで、30℃、pH5.5および20%の溶存酸素飽和度の制御条件下に増殖させた。

次いで、同時に滅菌ICM−2供給培地を発酵槽にポンプで汲み上げ、定常状態に達するまで、シゾキトリウム細胞を含むブロスを0.06hr−1の希釈速度を維持するに十分な流速で除去して、連続作業モードを確立した。栄養制限の影響を調べるために、出口細胞含有ブロス中に特定の要求栄養素が無くなるように、ICM−2供給培地中のこの栄養素を含有する化合物を少なくすると、特定要求栄養素の不在によって細胞の増殖が制限される。各条件に適した定常状態が確立されたら、最終ブロス乾燥バイオマス、残留グルコース、ならびに細胞の制限栄養素濃度、細胞の脂質含量および細胞のDHA含量を測定した。消費された総グルコースを形成された総乾燥バイオマスで割って、グルコースのバイオマスへの転化効率を計算し、百分率ベースで表した。

以下の表にリストされている個々の栄養素に関してこの実験を繰り返し、個々の栄養素による制限増殖の影響を研究した。最終結果を以下の表に要約する: 表9.シゾキトリウム種のバイオマス収率、転化効率(グルコース→バイオマス)、脂質含量およびDHA含量に及ぼす栄養制限の影響

上記表から、窒素を制限すると、細胞中でDHAの蓄積が最高になり、次いで、リン酸塩、ナトリウム、ニッケル、マンガン、グルコース(炭素)、亜鉛および鉄の順であったことは明らかである。これらの栄養素の1種以上を細胞増殖を制限するのに十分な速度でバッチ発酵に供給することにより、この情報を商業用に利用することができる。最も好ましいケースでは、細胞のDHA含量を最大にするために、窒素を制限的にバッチ発酵に供給する。バイオマスまたは他の有益な産物の生産を最大にするために、他の栄養素(またはそれらの混合物)を制限的に供給し得る。この発酵制御法における制限栄養素として、硫黄などの評価されなかった他の生物学的に要求される成分または栄養素を用いることも可能である。

本発明は、種々の実施形態において、種々の実施形態、それらの副組み合わせおよび部分セットを含めた、本明細書に実質的に提示かつ記載されている構成成分、方法、プロセス、システムおよび/または装置を含む。当業者が本発明の開示を理解すれば、本発明の形成法および使用法が分るであろう。本発明は、種々の実施形態において、例えば、性能を改善したり、実施しやすくしたりかつ/または実施コストを低減させたりするために、これまでの装置または方法に用いられていたであろう品目の不在下を含めた、本発明またはその種々の実施形態において提示かつ/または記載されていない品目の不在下に装置および方法を提供することを含む。

本発明の上記説明は、例示および説明の目的で提示されている。上記説明は、本発明を本明細書に開示されている1つまたは複数の形態に限定しようとするものではない。本発明の説明には、1つ以上の実施形態や、いくつかの変形や改良の説明が含まれているが、例えば、本発明の開示を理解した後では当業者の技術および知識の範囲内に含まれ得る他の変形および改良も本発明の範囲内にある。本明細書に開示されているか否かに拘わらず、また、特許を受けることができる主題を公開するつもりなしに、権利請求されているものの代替となるか、交換可能であるか、かつ/または同等な構造、機能、範囲またはステップを含めた、許容される程度の代替実施形態を含む権利を得ることを意図する。

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