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手術手技訓練用の人工臓器モデル、その人工臓器モデルの製造方法、及びその人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法

阅读:1018发布:2020-11-03

专利汇可以提供手術手技訓練用の人工臓器モデル、その人工臓器モデルの製造方法、及びその人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【解決課題】 従来の人工組織と比較して手術手技トレーニングにより好適に使用することができる人工組織モデル、及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 手術手技訓練実施者の手術手技により剥離可能に積層され互いに接着された2以上の繊維質層2,3を有し、上記積層され互いに接着された2以上の繊維質層2,3は、導電性の液体またはゲルで全体的に浸潤されてなり、上記2以上の繊維質層のうち互いに隣り合う2つの繊維質層は、異なる膜であることを前記手術手技訓練実施者が認識できるように互いに異なる材料、材質若しくは異なる色を有するように形成されたものである手術手技訓練用の人工臓器モデル。 【選択図】 図1,下面是手術手技訓練用の人工臓器モデル、その人工臓器モデルの製造方法、及びその人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法专利的具体信息内容。

手術手技訓練用の人工臓器モデルであって、 2以上の繊維質層が、手術手技訓練実施者が剥離可能な強度で互いに接着されて積層されてなる繊維質構造体を有し、 前記繊維質構造体は、上記2以上の繊維質層(ハイドロゲル材料を含まない)を上記強度で互いに接着した後に、導電性の液体、液状ゾル若しくは液状ゲルで内部に亘り全体的に浸潤してなるものである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 上記2以上の繊維質層のうち互いに隣り合う2つの繊維質層は、異なる膜であることを前記手術手技訓練実施者が認識できるように互いに異なる材料、材質若しくは異なる色を有するように形成されたものである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 上記2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間には、手術手技訓練用の模擬臓器が配置されている ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項3記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は人工素材で形成された人工模擬臓器である ことを特徴とする人工臓器モデル。請求項3記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は動物から採取したものである ことを特徴とする人工臓器モデル。請求項3記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は、尿管、血管、腸管、神経のうちの1つ若しくは2以上である ことを特徴とする人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質層間の接着は、熱可塑性樹脂を用いて行われている ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質層間の接着は、多孔質材料からなる接着層を介して行われている請求項8記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記接着層は接着芯地である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項9記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記接着芯地は、必要な剥離強度に応じて2以上用いられるものである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 この人工臓器モデルは、所定の模擬臓器の表面に接着されているものであることを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体、液状ゾル又は液状のゲルの粘度は、1cp以上50、000cp以下である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項12記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルの粘度は140cP〜20,000cPである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項12記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルの粘度は900cP〜5000cPである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルは無色透明である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体、液状ゾル又は液状のゲルは、粘性を有する電解質溶液、流動性を有するハイドロゲル、ハイドロゾル、エマルジョン、卵白、又はこれら2以上の混合水溶液である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。請求項1記載の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質構造体は、導電性の液体又はゲルで全体的に浸潤された後に封入される ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。2以上の繊維質層(ハイドロゲル材料を含まない)を用意する工程と、 上記2以上の繊維質層を積層させて互いに接着する工程と、 上記互いに接着された2以上の繊維質層に導電性の液体、液状ゾル又は液状ゲルを供給し内部に亘り浸潤させる工程と、 を有することを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデルの製造方法。請求項18記載の製造方法において、 前記接着工程は、手術手技訓練実施者の手術手技により剥離可能な強度で前記2以上の繊維質層同士を接着するものである ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、 さらに、 前記2以上の繊維質層のうち互いに隣り合う2つの繊維質層を、異なる膜であることを手術手技訓練実施者が認識できるように互いに異なる材料、材質若しくは異なる色を有するように準備する工程を有する ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、 前記2以上の繊維質層を積層させて互いに接着する工程は、 上記2以上の繊維質層を積層させる際に、上記繊維層間にシート状の接着層を介在させる工程と、 前記積層された2以上の繊維質層を加熱して上記繊維質層同士を接着する工程と を有することを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、さらに、 上記2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間に、手術手技訓練用の模擬臓器が配置する工程を有する ことを特徴とする製造方法。請求項22記載の製造方法において、 前記模擬臓器は人工素材で形成された人工模擬臓器である ことを特徴とする製造方法。請求項22記載の製造方法において、 前記模擬臓器は動物から採取したものである ことを特徴とする製造方法。請求項22記載の製造方法において、 前記模擬臓器は、尿管、血管、腸管、神経のうちの1つ若しくは2以上である ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、 前記繊維質層間の接着は、熱可塑性樹脂を用いて行われている ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、 前記繊維質層間の接着は、熱可塑性樹脂若しくは接着剤が含浸若しくはコーティングされた薄膜シートを選択された1枚若しくは枚数積層して用いることで行う ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、さらに、 前記人工臓器モデルを、所定の模擬臓器の表面に接着する工程を有する ことを特徴とする製造方法。請求項18記載の製造方法において、 さらに、 前記導電性の液体、液状ゾル又は液状ゲルで湿潤された繊維質層を封入する工程を有する ことを特徴とする製造方法。人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法において、 前記人工臓器モデルは、 2以上の繊維質層が、手術手技訓練実施者が剥離可能な強度で互いに接着されて積層されてなる繊維質構造体を有し、 前記繊維質構造体は、上記2以上の繊維質層(ハイドロゲル材料を含まない)が上記強度で互いに接着された後に、導電性の液体又は液状ゾル若しくは液状ゲルで内部に亘り全体的に浸潤されてなるものであり、 この手術手技訓練方法は、 前記2以上の繊維質層のうち表層をピンセットでリフトアップして牽引(カウンタートラクション)を付加する工程と、 電気メスや超音波メスで前記リフトアップした繊維質層を切開し、下層の繊維質層から分離して剥離する工程と を有することと特徴とする手術手技訓練方法。請求項30記載の訓練方法において、 前記人工臓器モデルの2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間には、手術手技訓練用の模擬臓器が配置されおり、 この訓練方法は、 さらに、前記模擬臓器を採取する工程をさらに有する ことを特徴とする訓練方法。

说明书全文

本発明は、手術手技訓練用の人工臓器モデル、その人工臓器モデルの製造方法、及びその人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法に関する。

高度な手術執刀技術が要求される手術、例えば、心臓手術を例にとると、日本では年間約5万例の手術が行われている。しかし、多数の病院(約500病院)と多数の心臓外科医でそれらの手術を分け合っているため、実際には外科医一人当たりの執刀数は限られているのが現状である。

加えて、患者の高齢化、再手術の増加、オフポンプバイパス手術の一般化、ステント挿入後で吻合部位が限定されている症例など、症例の難易度は年々上昇しており、若手心臓外科医が執刀できるチャンスは減少しているといわれている。

このような執刀経験の減少を補うため、従来、ブタなどの動物の内部臓器や、人工臓器を用いた手技訓練が行なわれている。

このうち、人工臓器モデルとしては、従来、シリコーン、ウレタンエラストマー、スチレンエラストマー、ポリビニールアルコール(PVA)等で製造されたモデルが提案されている。

このうち、ポリビニールアルコール(PVA)で生成されたゲル状で血管等の模擬臓器を封入して成るモデルは、人工的であるのに実際の人体組織と切開感が似ているということがあり、比較的好適である。

しかしながら、上記した従来の人工臓器モデルでは、依然として実際の臓器の再現性に乏しいところがあり、より手術手技のトレーニングに適した人工組織の開発が求められている。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来の人工組織と比較して手術手技トレーニングにより好適に使用することができる人工組織モデル、及びその製造方法を提供することを目的とするものである。

発明者らは、手術手技訓練において実際の人臓器を切開した場合と比較した場合の再現性を向上させるべく、試行錯誤したところ、臓器の膜剥離再現性の高い人工臓器モデルについての知見を得、実際に試作品を作成して鋭意開発をしたところ、本発明を完成するに至ったものである。

すなわち、本願発明の主要な観点によれば、(1)手術手技訓練用の人工臓器モデルであって、2以上の繊維質層が、手術手技訓練実施者が剥離可能な強度で互いに接着されて積層されてなる繊維質構造体を有し、前記繊維質構造体は、上記2以上の繊維質層が上記強度で互いに接着された後に、導電性の液体、液状ゾル又は液状ゲルで全体的に浸潤されてなるものであることを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデルを得ることができる。

このような構成によれば、繊維質層を積層して互いに接着することで人体の膜構造体を再現することができ、その後導電性液/ゲルで濡れ性及び導電性を与えることで電気メス等を用いた剥離手技のシミュレーションを実現することができる。すなわち、外科的に適切なカウンタートラクション、牽引を負荷することで、電気メスによる剥離、切断、焼灼、凝固などの処理を実現することができる。また、各層間に尿管、血管、腸管、神経などの、手術トレーニング手技対象となる臓器及び構造体が適切に配置することができる。ここで、上記導電性の液体、液状ゾル又はゲルは、1cP以上の粘度を有する電解質溶液、流動性を有するハイドロゲル、ハイドロゾル、エマルジョン、卵白、卵白および電解質水溶液の混合溶液などであることが好ましい。

また、この第1の観点の人工臓器モデルによれば以下の態様で実施することが好ましい。

(2) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 上記2以上の繊維質層のうち互いに隣り合う2つの繊維質層は、異なる膜であることを前記手術手技訓練実施者が認識できるように互いに異なる材料、材質若しくは異なる色を有するように形成されたものである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(3) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 上記2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間には、手術手技訓練用の模擬臓器が配置されている ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(4) 上記(3)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は人工素材で形成された人工模擬臓器である ことを特徴とする人工臓器モデル。

(5) 上記(3)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は動物から採取したものである ことを特徴とする人工臓器モデル。

(6) 上記(3)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記模擬臓器は、尿管、血管、腸管、神経のうちの1つ若しくは2以上である ことを特徴とする人工臓器モデル。

(7) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質層間の接着は、熱可塑性樹脂を用いて行われている ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(8) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質層間の接着は、多孔質材料からなる接着層を介して行われている ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(9) 上記(8)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記接着層は接着芯地である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(10) 上記(9)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記接着芯地は、必要な剥離強度に応じて2以上用いられるものである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(11) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 この人工臓器モデルは、所定の模擬臓器の表面に接着されているものであることを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(12) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルの粘度は50、000cp以下である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(13) 上記(12)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルの粘度は140cP〜20,000cPである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(14) 上記(12)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルの粘度は900cP〜5000cPである ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(15) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記導電性の液体又はゲルは無色透明である ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(16) 上記(1)の手術手技訓練用の人工臓器モデルにおいて、 前記繊維質構造体は、導電性の液体又はゲルで全体的に浸潤された後に封入される ことを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデル。

(17) 2以上の繊維質層を用意する工程と、 上記2以上の繊維質層を積層させて互いに接着する工程と、 上記互いに接着された2以上の繊維質層に導電性の液体またはゲルを供給し浸潤させる工程と、 を有することを特徴とする手術手技訓練用の人工臓器モデルの製造方法。

(18) 上記(17)の製造方法において、 前記接着工程は、手術手技訓練実施者の手術手技により剥離可能な強度で前記2以上の繊維質層同士を接着するものである ことを特徴とする製造方法。

(19) 上記(17)の製造方法において、 さらに、 前記2以上の繊維質層のうち互いに隣り合う2つの繊維質層を、異なる膜であることを前記手術手技訓練実施者が認識できるように互いに異なる材料、材質若しくは異なる色を有するように準備する工程を有する ことを特徴とする製造方法。

(20) 上記(17)の製造方法において、 前記2以上の繊維質層を積層させて互いに接着する工程は、 上記2以上の繊維質層を積層させる際に、上記繊維層間にシート状の接着層を介在させる工程と、 前記積層された2以上の繊維質層を加熱して上記繊維質層同士を接着する工程と を有することを特徴とする製造方法。

(21) 上記(17)の製造方法において、さらに、 上記2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間に、手術手技訓練用の模擬臓器が配置する工程を有する ことを特徴とする製造方法。

(22) 上記(21)の製造方法において、 前記模擬臓器は人工素材で形成された人工模擬臓器である ことを特徴とする製造方法。

(23) 上記(21)の製造方法において、 前記模擬臓器は動物から採取したものである ことを特徴とする製造方法。

(24) 上記(21)の製造方法において、 前記模擬臓器は、尿管、血管、腸管、神経のうちの1つ若しくは2以上である ことを特徴とする製造方法。

(25) 上記(17)の製造方法において、 前記繊維質層間の接着は、熱可塑性樹脂を用いて行われている ことを特徴とする製造方法。

(26) 上記(17)の製造方法において、 前記繊維質層間の接着は、前記熱可塑性樹脂若しくは接着剤が含浸若しくはコーティングされた薄膜シートを選択された1枚若しくは枚数積層して用いることで行う ことを特徴とする製造方法。

(27) 上記(17)の製造方法において、さらに、 前記人工臓器モデルを、所定の模擬臓器の表面に接着する工程を有する ことを特徴とする製造方法。

(28) 上記(17)の製造方法において、 さらに、 前記導電性の液体またはゲルで湿潤された繊維質層を封入する工程を有する ことを特徴とする製造方法。

(29) 人工臓器モデルを用いた手術手技訓練方法において、 前記人工臓器モデルは、 2以上の繊維質層が、手術手技訓練実施者が剥離可能な強度で互いに接着されて積層されてなる繊維質構造体を有し、 前記繊維質構造体は、上記2以上の繊維質層が上記強度で互いに接着された後に、導電性の液体又は液状ゲルで全体的に浸潤されてなるものであり、 この手術手技訓練方法は、 前記2以上の繊維質層のうち表層をピンセットでリフトアップして牽引力(カウンタートラクション)を付加する工程と、 電気メスや超音波メスで前記リフトアップした繊維質層を切開し、下層の繊維質層から分離して剥離する工程と を有することと特徴とする手術手技訓練方法。

(30) 上記(28)の訓練方法において、 前記人工臓器モデルの2以上の繊維質層のうち、選択された2つの繊維質層の間には、手術手技訓練用の模擬臓器が配置されおり、 この訓練方法は、 さらに、前記模擬臓器を採取する工程をさらに有する ことを特徴とする訓練方法。

なお、上記した以外の本発明の特徴は、以下の発明を実施するための形態の項及び図面に示される。

図1は、この発明の第1の実施形態を示す人工臓器モデルの概略構成図。

図2は、同じく、製造工程を示す概略図。

図3は、同じく、人工臓器モデルを使用した手術手技訓練を示す写真。

図4は、同じく、人工臓器モデルを使用した手術手技訓練を示す模式図。

図5は、同じく、人工臓器モデルを使用した手術手技訓練を示す模式図。

図6は、第2の実施形態の人工臓器モデルを示す概略構成図。

図7は、同じく、図6のA−A視図及び平面図。

図8は、同じく、図7に対応する写真。

図9は、第3の実施形態の人工臓器モデルを示す概略構成図。

図5は、同じく、外観を示す写真。

図11は、同じく、図10に対応する概略構成図。

図12は、同じく、手術手技訓練を示す写真。

図13は、第4の実施形態の人工臓器モデルを示す写真。

図14は、同じく、図13に対応する概略構成図。

図15は、同じく、図14のA−A視図。

図16は、同じく、図14のB−B視図。

図17は、同じく、剥離強度測定結果を示す表。

図18は、同じく、試験片間の剥離強度を比較するグラフ。

図19は、同じく、導電性粘液の最適粘度の分布を示すグラフ。

図20は、同じく、第4の実施例の人工臓器モデルの製造工程を示す図。

図21は、同じく、人工臓器モデルを組み立てた状態を示す斜視図。

図22は、同じく、人工臓器モデルを組み立て階層構造を示す模式図。

図23は、同じく、人工臓器モデルの固定枠を示す写真。

図24は、同じく、人工臓器モデルの固定枠を示す写真。

図25は、同じく、人工臓器モデルの完成状態を示す写真。

図26は、同じく、人工臓器モデルの使用態様を示す写真。

以下、この発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。

(第1の実施形態) (構成) 図1はこの発明の最も基礎的な形態を有する人工臓器モデル1(基礎モデル)を示す斜視図であり、図2はその製造工程を示す模式図である。

この人工臓器モデル1は、第1、第2の繊維質層2,3を有する2層構造であり、第1、第2の繊維質層2,3の間には接着層4が設けられ、この接着層4により第1、第2の繊維質2,3が剥離可能に接着されている。

各繊維質層2,3は、天然若しくは化学繊維の織物若しくは不織物であり、繊維質の長手方向が概ね各層の面方向に沿って延長するように構成されている。そして、各繊維質層2,3は、それぞれ異なる臓器(皮膚層や脂肪層、血管等)を模擬するものであり、互いに異なる色に着色されているか、異なる材質若しくは材料の繊維で構成されていて、ユーザが繊維質層2,3の境目を容易に認識できるようになっている。

前記接着層4は、所定の接着剤が含有若しくは含浸されているか、或はその一方若しくは両面に塗布されてなる繊維質からなる薄膜シート状の材料である。この接着層は後でこの人工臓器モデルに含浸させる導電性ゲルがその厚さ方向に流通可能なように多孔質材料で構成されているものであり、好ましくは接着芯地である。また、この接着層4は上記第1、第2の繊維質層間に必要な剥離強度に応じて1若しくは複数枚重ねて用いられる。

そして、この実施形態においては上記図2に示すように、前記接着層4を前記第1、第2の繊維質層2,3間に挟んで厚さ方向に積層した後(ステップS1〜S3)、アイロン等を使用して加圧すると共に加熱し、その後冷却することで上記第1、第2の繊維質層2,3を相互に接着するものである(ステップS4)。ついで、この人工臓器モデル1は、全体が導電性粘液により湿潤することで完成する(ステップS4)。

なお、ここで、EBM社実施品においては、繊維構造体を着色して、繊維質層の視認性、層の境界を明示している。したがって、導電性粘液(又は単なる液体)については、あくまで流動性を有する液体状であり、かつ、繊維質層の識別を妨げないように無色若しくは透明(透光性)でなければならない。 (本発明における接着層の機能) 本発明では、上記第1、第2の繊維質層2,3同士を接着層4、具体的には接着芯地を用いて接着することで本モデル1の基本構造体を構築している。これが、従来のPVAを用いたモデルのようにPVA自体が基本構造体を構成しているものと大きく異なる点である。

ここで、接着芯地4は、繊維質層2,3間の境界層に用いられることで任意の剥離強度を付与するものである。これにより、複数層の繊維質からなる繊維構造体において、剥離手技訓練に対する剥離強度を設計でき、意図的な再現を実現することができる。

ここで、発明者らは、本発明の接着層により実現される剥離強度の意義を検証するべく、前記繊維質層を導電性粘液で湿潤する前の乾燥状態、自然状態において幅10mm, 長さ15cm, 厚み約3mmの単層繊維質を、接着芯地により2層に接着した短冊形状の2層繊維質構造体を試験片(サンプル)A,Bとし、定格10Nのロードセルを用いて、剥離強度の計測を実施した。

図17は上記試験片として、試験片A:接着芯地有り且つ導電性粘液による浸潤無し、試験片B:接着芯地有り且つ導電性粘液による浸潤有り、試験片C:単層の繊維質層(境界層がないもの)、を作成し、その試験・計測結果を表したものである。 なお、試験辺の片端50mmの部分は、試験片A、B、Cいずれも接着芯地を用いない非接着領域とし、引張試験機の掴み具による把持用領域(チャック領域)とした。

試験方法としては、一般的に実施されているテープの剥離強度の計測系を参考に、計測系を設計した。初期状態の上記掴み具の間隔は20mmとした。チャック領域は幅10mm, 長さ10mmであり、試験片と一致する形状とした。引張速度は、外科手術における剥離手技を想定し、300mm/minを設定した。初期状態から200mmの変位をチャック領域に与え、最大荷重を剥離強度として採用した。剥離強度は、試験片の幅に比例して増加するため、最大荷重を幅で除した値(N/cm)を剥離強度として採用した。

このようにして計測した剥離強度の試験結果を図17中及び図18に示した。

すなわち、試験片Aは、接着芯地による接着のみで、粘液の浸潤は提供されていない、いわゆる乾燥状態の試験片である。この構成によれば、Aの剥離強度は、0.911N, 標準偏差0.146であった。

試験片Bは接着芯地で接着した繊維構造体に対して、導電性粘液を浸潤した試験片である。剥離強度は、0.559N、標準偏差0.158Nであり、試験片Aに比して有意に低値であったが、安定した剥離強度を示した。剥離強度の一定程度の低下については、接着芯地に対して粘液の水分が作用していることが考えられる。

試験片Cは、接着芯地を用いていない繊維層単層の試験結果である。Cの剥離強度は3.217N, 標準偏差は0.290であり、接着芯地を用いたA, Bに比して、安定的に高い剥離強度を有することが明らかとなった。この試験片Cの結果より、本発明においては接着芯地を用いることで、意図的に脆弱な剥離境界面を再現することができることが示された。

すなわち、本発明は、接着芯地を用いることで、繊維構造体を構成する繊維層単層の剥離強度以下の領域(範囲)において、任意の剥離強度を再現することが可能である。また、導電性粘液は臓器モデルを構成する上での構造的強度を有しておらず、あくまで流動性を有する液体として、専ら本臓器モデルの導電性を付与するために用いる。そして、上記試験の場合のように粘液を用いる際に剥離強度が低下する場合には、このことを考慮して上記接着芯地の接着強度を調整することが望ましい。

(導電性粘液の機能) 本発明においては、前記接着層4を有する多層構造を有する繊維質構造体の製造工程を経て、最終的には導電性粘液を当該繊維構造体に含浸させ、構造体の内部を粘液で満たすことによって完成する。

本発明において重要なのは、上記導電性粘液は、上記繊維質層2,3同士を接着する目的で用いられるのではなく、専ら人工臓器モデルに濡れ性と導電性を付与するためのものであることである。そして、この濡れ性と導電性が手術手技トレーニング中に一定時間以上(例えば5分〜60分)保たれる必要があるため、上記導電性粘液は一定の粘性を有する必要があるのである。

すなわち、本発明の導電性粘液は、従来のモデルのようにハイドロゲルを硬化させて流動性を消失させ構造上の主体として用いて対象臓器自体を模擬するものと異なり、対象臓器そのものを模擬するのに用いられるものではないのである。むしろ、本実施形態における導電性粘液は、粘液とはいえ、一定以上の粘性(粘度)を有すると、メスにまとわりついて手術手技の訓練を妨げるため、流動性を有する、例えば粘性10000cp以下であることが好ましい。すなわち、この実施形態における粘液は、流動性を必須とすることからゾルと表現すべきものである。

この発明における導電性粘液とは、液体に電解質や導電性粒子を含むことによって、導電性を有する液体を指す。そして、この発明における導電性粘液は、本モデを使用したトレーニング時においても所定の流動性(粘性)を有している必要がある。

以下、本発明で用いる導電性粘液として適した粘度の範囲を調べるために行った試験例を示す。

ゲルやゾルといった高分子を含む粘液は、その多くが非ニュートン流体であり、測定条件によって計測される粘度の値が異なるという特徴がある。よって、本発明の発明者らは、臓器モデルとして好適な範囲を示すために、粘度測定として国際的にも一般的に用いられている単一円筒形回転粘度計であるブルックフィールド粘度計を用い、JIS Z 8803:2011に規定される粘度測定方法(ブルックフィールド製回転B型粘度計を用い、スピンドルLV-3を用いて回転速度12 rpmで計測)により、室温下(摂氏17度〜20度)で、最大測定値を50万cPとする条件において粘度の測定を行なった。

導電性粘液としては、吸水性ポリマー材料であるポリアクリル酸ナトリウムを溶質とし、溶媒を蒸留水とした。

図19は、導電性粘液の重量濃度と粘度の関係を示したものである。

導電性粘液の粘度は、指数的に近似されることが明らかとなっている。最小値は溶液濃度0%、すなわち蒸留水単体としての粘度である1cP であり、臓器モデルとして使用可能な範囲の最大値は50,000cPであった。すなわち、50,000cP以下が十分な流動性を有する粘度であると言える。50,000cP以下の範囲は、十分な流動性があり、ゲルとゾルの連続的な状態変化において、ゾル領域に属している。

このうち、内視鏡外科の熟練専門医による臓器モデルの評価実験の結果、好剥離手技訓練として使用可能な範囲は140cPから20,000cPの範囲であることが明らかとなった。この時の溶液の重量濃度は、0.5% から3.0%の範囲である。

さらに鋭意評価実験を進めた結果、浸潤性、膜組織の視認性、触覚的視覚的再現性などの観点から剥離手技の臓器モデルとして特に好適な範囲は、900cP 〜 5000cP であり、この時の重量濃度は、0.9%から2.0%の範囲であった。

導電性粘液として必須な構成としては、粘液固有の流動性と導電性がある。流動性については、繊維構造体に対して浸潤可能であり、かつ、剥離手技を実施している時間において粘液が繊維構造体に残存している範囲の粘度となる。

導電性については、手術訓練の剥離手技に用いられるモノポーラ、バイポーラ電気メスのいずれにおいても、電極間が絶縁されていないこと、すなわち導通可能な比較的低値な電気抵抗値であることである。

このことから、粘液として特に適しているものとしては、ハイドロゾル、ハイドロゲル、電解質モノマーを溶質とした溶液、エマルジョン、天然由来の材料としては卵白、卵白および塩類水溶液(例えば食塩水)の混合液などがある。

本発明において導電性粘液は、さらに着色されておらず無色かつ極力透明であることが望ましい。なぜならば、繊維質構造体(繊維質層2,3)に対して、粘液を浸潤することによって、繊維構造体に濡れ感を付与することで、外科医が当該繊維構造体を人体の膜組織であることを視覚的、触覚的に認識することが可能となり、剥離手技の対象物として再現性が大幅に向上するからである。

(使用方法) 次に上記人工臓器モデル1の使用方法を、図3〜図5を参照し、内視鏡剥離手技のトレ—ニングに用いる場合を例にとって説明する。

この場合、まず、助手(第1の使用者)が第1の繊維質層2を鑷子5(ピンセット)でつまんで情報に持ち上げる。このことにより、前記第1の繊維質層2に対して牽引力(カウンタートラクション)を負荷する。このことで、積層方向に並んでいる上部の複数の繊維質が束で持ち上げられる。この繊維質の長さ方向の引っ張り強さは積層方向の結合力よりも強い、すなわちせん断力に異方性があるので、繊維質間の隙間が広がりながらテントのように稜線ができる形状(図3、図4に6で示す三形状)で持ち上げられる。

すなわち、従来のPVA製の人工臓器モデルであれば、弾性率が全方向に均一であるので、ピンセット5でつまんで上に持ち上げたとしても局所的にしか変形しないものであるのに対して、本発明の構成では、1本1本の繊維質は長さ方向の弾性に乏しく略伸びないので、1か所を上に引っ張った場合でも、すそ野がかなり広がる状態(図4に6で示す形状)で引きあげられ、三角形状に変形することになるのである。

ついで、前記三角形状に持ち上がった部分6の高さ方向中央部分に対して、外科医(第2の使用者)が、電気メス7(や超音波メス)で第1の繊維質層2を切開し(図4に符号8で示す線)、剥離手技を開始する。この際に、第2の繊維質層3を損傷しないように注意する。ここで、含浸されたゲルの導電性が乏しいと電気が導通せず、出力をあげて高電圧を印加する必要があるから、繊維質が焦げてしまう。従って、十分な導電性を確保するための導電性ゲルは必要である。

1つのコツとして、外科医は、一度の剥離手技動作で、例えば底辺の半分程度の長さに相当する長さ(図4に符号8に示す)で切開することにより、効率的な剥離動作を実現することができる。

ここで外科医がマスターするべきテクニックとしては、牽引力、剥離部位、剥離長さ等である。これが不適切だと、第1、第2の繊維質層2,3の損傷の原因となり、手技としては不適当なものとなる。

(第2の実施形態) 次に、具体的な手術手技トレーニングに最適化された例として、図6〜8を参照し、上記第1の実施形態である剥離基礎モデル1に模擬臓器を配置して挟み込んだ例1’について説明する。この例では、模擬人工血管モデル10を配置した内視鏡下静脈採取法(EVH)訓練用の人工臓器モデル1’を示すものである。

この人工臓器モデル1’を用いた訓練対象手技であるEndoscopic vessel harvesting (EVH)は、CABGにおけるグラフト採取法であり、その低侵襲から欧米を中心に適応が拡大されてきたものである。しかしながら、この手技は適切な技量を習得するまでに相当の経験を有する一方、不適切な静脈採取手技は静脈へのダメージを増大させ、静脈グラフトの開存性を低下させ、さらには患者の長期予後に影響することが知られ、非人体モデルでの訓練が強く要望されている領域である。

図6は、この人工臓器モデル1’の各層を示す模式図、図7(a)は、図6のA−A視図、図7(a)はその平面図である。なお、上記基礎人工臓器モデル1と同様の構成要素については同一符号を付してその詳しい説明は省略している。図8は、この人工臓器モデル1’の図7に対応する写真である。

この人工臓器モデル1’では、図6に示すように、第1、第2の繊維質層2,3の間に、人工血管モデル10が配置され、その上下に配置された接着層4と共に厚さ方向に加圧、加熱されて相互に接着された後、液状ゲルで湿潤され固化されたものである。この人工臓器モデル1’によれば、内視鏡スコープを用いて、血管モデル10と繊維構造体2,3を剥離していく手技の訓練を実現することができる。

また、上記人工臓器モデル1’として、上記の人工血管10に変えて人工臓器ではなく、天然の動物由来の臓器を配置するようにしても良い。例えば、ブタ血管を配置し、心臓外科領域の冠動脈バイパス手術における内胸動脈(ITA)剥離モデルとして用い例が考えられる。

ここで、内胸動脈剥離は、電気メス、超音波メスを用いて、グラフト血管を採取していくための手術手技である。内胸動脈には分枝が付随しており、これを結紮、切断処理を行い、本管部分を剥離、採取する。

この人工臓器モデル1’によれば、冠動脈バイパス手術(CABG, OPCAB), 内視鏡下冠動脈バイパス手術(MICS CAB)、ロボット冠動脈バイパス手術などの術式に対応した訓練を実現することができる。

(第3の実施形態) この実施形態は、手術手技訓練の臨場感を出すために、図9に示すように、実際の動物臓器12の表面に上記第2の実施形態の人工臓器モデル1’を接着して構成した例11である。製造方法法としては、図9に示す順序で動物臓器12の表面に各層2〜4、10を積層した後、加圧・加熱し、その後液状ゲルで全体を湿潤することが好ましいが、前記第2の実施形態の完成した人工臓器モデル1’を単に動物臓器12上に接着するものであっても良い。図10,11は、この人工臓器モデル11の外観図である。

図12は、心臓外科医がこの人工臓器モデル11を内胸動脈(ITA)に見立てて、電気メスによる剥離を行なっている様子である。この図では認識し辛いが、着色による異なる層の視認、繊維構造による牽引により、有効な訓練が実現されている。

(第4の実施形態) この実施形態の人工臓器モデル1"は、図13、図14に示すようなもので、前記第1〜第3の実施形態の人工臓器モデル1,1’を発展させた、内視鏡下S状結腸モデルである。

図15及び図16は、それぞれ、この人工臓器モデル1"を図14のA−A線及びB−B線で切断した断面図である。この例では、5つの繊維質層14〜18を有し、各層14〜18は、隣り合う層同士が互いに異なる色で着色され、図示しない接着層を介して積層されている。

そして各繊維質層14〜18の間には、S字腸菅19、尿管20、血管21、神経22など、手術トレーニングにおけるターゲット臓器が適宜配置されている。これらのターゲット模擬臓器は、損傷してはいけない、摘出すべき、触れてはいけない等の対象であり、各繊維質14〜18層と適度に接着されている。また、図に23で示すのは脂肪層である。

なお、この発明においては、この第4の実施形態に示すように、複数の繊維質層は互いに異なる大きさや厚さのものであっても良い。また、接着範囲も必ずしも繊維質層同士を全体的に接着するものである必要はなく、部分的に接着するものであっても良い。その場合、前記した接着層のカバーするべき範囲に合わせて適宜の形状にカットして使用することが好ましい。

(第4の実施形態の製造工程) 次に上述した第4の実施形態に係る臓器モデルを具体的に製造するための工程について説明する。

図20は、本実施形態の具体的な製造工程を示すフローチャートである。

なお、各工程を示す四角の枠内に示す数字は、工程を示す番号であり、以下で適宜参照する工程番号と一致する。

(1)工程1.ファイバー(繊維質)を染色する工程 工程1では、前記繊維質層14〜18であるファイバー集合体を、各繊維質14〜18が代表する層に応じて所望の色に着色する。具体的には、以下のようにファイバーを染料に所定時間浸漬することによって行う。

1)容器に60℃の湯7Lを溜め、そこに着色のための染料を溶かす。

2)前記ファイバー集合体を投入し、全体に染料を吸収させる。

3)15分ほど経過した後ひっくり返し、さらに15分放置する。

4)最後に水洗いして余分な染料を落とし、各ファイバー集合体を完全に乾燥させる。

(2)工程2.ファイバー及び接着芯地を所望の形状にカットする工程 工程1では、繊維質層14〜18であるファイバー集合体を、各繊維質層が代表する層に応じて所望の形状にカット成形する。具体的には、以下のようにファイバーをレーザーで切断することによって行う。

1)上記染色工程にて黄色に染色した「ファイバー1」、同工程で桃色に染色した「ファイバー2」および「接着芯地」をレーザーにてカットし、組立パーツを作成する。

2)染色を行っていない「ファイバー3」、「ファイバー4」および「接着芯地」の寸法を計測して、ロールカッターでカットし、組立パーツを作成する。

ここで、ファイバーと接着芯地は1対1に対応するため、接着芯地は、ファイバーと同じ形状にカットする。

(3)工程3.ターゲット臓器の作製工程 工程3では、前記S字腸菅、尿管、血管、神経(前記符号19〜22に対応)など、手術トレーニングにおけるターゲット臓器をシリコーンにて作成する。

1)各臓器専用の金型を用意し、これにシリコーンを流し込み、血管(IMA・IMV・性腺動静脈)・下腹神経・尿管を作製する。

2)次に、上記作成した各臓器に不織布をらせん状に巻きつけ、繊維質層との接着性を高める処理を行う。

(4)工程4.臓器モデルの組立工程 工程4では、上記で作成した繊維質層14〜18とターゲット臓器19〜22を互いに接着し、図21、図22に示すように臓器モデルを組み立てる。具体的に以下の工程を実施する。

1)「腸管」用の同じ形状パーツを重ね合わせ、接着芯地にて固定する。

2)「腸管」に「腸管周り脂肪」をミシンにて一部を縫い合わせる。

3)「腸管」を筒状に、ミシンにて縫い合わせる。

4)「腸管」に「腸管下フレキシブル脂肪_proximal」「腸管下フレキシブル脂肪_distal」を接着芯地にて固定する。

5)「腸管下フレキシブル脂肪_distal」に「血管モデル(IMA)」の末梢を、数点手縫いで縫い付け位置を固定する。

6)「腸管周り脂肪」を「腸管下フレキシブル脂肪」に接着芯地にて固定する。

7)「直腸固有筋膜_腸間膜後葉側」を「腸管周り脂肪」に接着芯地にて固定する。

8)「腸間膜後葉側の脂肪」を「直腸固有筋膜_腸間膜後側」に接着芯地にて固定する。

9)「腸間膜後葉側の脂肪」と「直腸固有筋膜_腸間膜後側」に「血管モデル(IMA)」の中枢側を貫通させるための穴をあけ、「血管モデル(IMA)」の中枢側をその穴に通す。

10)「血管モデル(IMA)」・「血管モデル(IMV)」を「腸間膜前葉側の脂肪」・「腸間膜後葉側の脂肪」で挟み、接着芯地にて固定する。

11)「直腸固有筋膜_腸間膜前葉側」を「腸間膜頭葉側の脂肪」・「腸管周りの脂肪」にかぶせ、接着芯地にて固定する。このことにより腸管ユニットが完成する。

12)「後腹膜」に「血管モデル(性腺動静脈)」・「尿管」・「下腹神経」をそれぞれ数点手縫いで縫い付け位置を固定する。

13)「後腹膜」と「下腹神経前筋膜」で12)の構造物をはさみ、接着芯地にて固定する。

14)「後腹膜」と「下腹神経前筋膜」に「血管モデル(IMA)」の中枢側を貫通させるための穴をあける。

15)上記11)で完成した腸管ユニットを「下腹神経前筋膜」に接着芯地にて固定する。このとき、「血管モデル(IMA)」の中枢側を14)であけた穴に通す。

16)「血管モデル(IMA)」・「下腹神経」を「後腹膜」へ手縫いで縫い付け固定する。(もしくはホッチキス止めする) 17)腸管ユニットの上に、「腸間膜外側脂肪_外側」・「腸間膜外側脂肪_内側」を接着芯地にて固定する。

18)「後腹膜」の下に同形状のファイバーを接着芯地にて固定する。

19)「腸管」の末梢部を「後腹膜」へ手縫いで縫い付け固定する。

20)モデルからはみ出た構造物(血管モデル・尿管・下腹神経)を切る。

これにより、以下のような図21に示すような層構造体(臓器モデルの基本構造体)を得ることができる。

(5)工程5.モデル固定枠の作製工程 工程5では、工程4で得られた層構造物を立体的に成形するための固定枠(図23,24)を用意する。

1)まず、ステンレス平織金網を30cm×40cmにカットする。

2)安全対策のため、切り口にガムテープを張り付ける(図24)。

3)石膏製の骨盤モデル内腔型に押し当てながら、形状を作製する(図23)。

(6)工程6.モデルの固定工程 工程6では、工程4で組み立てた臓器モデルを、工程5で用意したモデル固定枠に固定する。

1)まず臓器モデルを金網と合わせ、固定する位置を決める。

2)金網越しに、固定箇所をマジックでマーキングする。

3)一度モデルを金網から外し、マーキングした箇所に糸を結びつける。

4)上記モデルに結んだ糸を利用し、金網にモデルを固定する。

5)余分な糸を切り取る。

(7)工程7.臓器を追加する工程 工程7では、直腸のZ軸方向上部に、膀胱の役割の構造体を追加する。

1)ファイバー2を15cm×20cm程度の大きさにカットする。

2)直腸付近のステンレス平織金網に、手縫いで上記ファイバーを縫いつける。

(8)工程8.導電性粘液で浸潤する工程 工程8では、最終工程となる導電性粘液による湿潤を行う。導電性粘液は、用途に応じて種類を選択しても良い。ここでは一般的に用いる粘液を、種類ごとに、工程A、 工程Bと区分した。 工程8−1A 粘液混合・配合サブ工程A(ハイドロゾル)

1A)まず、「ゲル化剤(ポリアクリル酸ナトリウム)」と「グリセリン」を計量し、混ぜ合わせる(溶液A) 2A)「炭酸水素ナトリウム」と「除菌剤」と「水道水」を混ぜ合わせる(溶液B) 3A)溶液Bに溶液Aを流し込み、すぐにかき混ぜる。

4A)遠心撹拌脱泡器にて、撹拌脱泡を行う。 工程8−1B 粘液混合・配合サブ工程B(天然由来の卵白食塩水混合液) 1B)卵白を計量する。 2B)10wt%の食塩水を計量し、作成する。 3B)卵白10に対して、10wt%の食塩水を5の割合で混合する。 4B)遠心撹拌脱泡器にて、撹拌脱泡を行う。 工程8−2 S状結腸モデルへの流し込み、刷り込み工程

5)前記工程8−1A若しくはBで得られた導電性粘液をS状結腸モデルに流し込み、手又は刷毛で繊維層に刷り込む。

6)モデルは上記粘液中で一晩程度放置するのが好ましい。この放置後の状態における好ましい粘液の粘度は1210cpである。なお、この粘度の設定は、ポリアクリル酸ナトリウム、グリセリン、炭酸水素ナトリウム、水の配合比を調整することで行えるが、本発明における粘度の好ましい下限および上限は上述した値である。

これにより、第4の実施形態に係るS状結腸モデルが完成する。

なお、本実施形態において、導電性粘液はあくまで流動性を有するゾルであることが必須であり、逆に流動性を失った固体ゲルではあってはならない。 上記工程8−1A,工程8−1Bにおいては、いずれも導電性粘液はハイドロゾルと定義されるものであるが、これは濾紙の透過実験によって証明される。 例えばコーヒーフィルタのような濾紙に対象となる導電性粘液を入れ、静置する。本実施形態で用いている粘液は数分程度でフィルタを透過することが確認できた。これは、モデルの主要な構造体である繊維構造体への浸潤性能と同義でもある。一方、ハイドロゲル、オルガノゲル、アルコゲルなどのゲルであって、濾紙を透過しないものは、本実施形態で用いる導電性粘液としては好ましくないことを確認した。 (9)工程9.完成した臓器モデルを梱包する工程 工程9では、工程8の導電性粘液の湿潤により完成した人工臓器モデルを、粘液が乾燥したいり固化しないように図25に示すようにラップを使用して封入する。

1)ゲルを浸潤させたモデルをラップで包む。または、真空パックで包装しても良い。

2)ラップ(真空パック)で包んだモデルをビニール袋に入れ封を閉じる。

3)導電性粘液の漏れ防止対策、金網変形防止対策のため、コンテナボックスに入れ、ふたを閉じる。これにより効果的に乾燥若しくは固化が防止される。

このことで導電性粘液の流出、蒸発や乾燥が防止され、所望の湿潤状態が維持される

図26は、このように製造された人工臓器モデルの使用形態を示すものである。

上記人工臓器モデルを使用する際には、この人工臓器モデルを上記コンテナボックスから取り出し、ビニール袋及びラップを外すことで封入状態を解除する。この封入状態の解除は、手術手技の訓練開始の直前に行うことが望ましい。このことで、上記導電性粘液による濡れ性と導電性が手術手技トレーニング中に一定時間以上(例えば5分〜60分)保たれる。

なお、この発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。

例えば、上記一実施形態の接着層は接着芯地であったが、これに限定されるものではない。多孔質素材であれば他の素材で成形されたものであっても良い。また、導電性粘液の流通性を妨げない構成であれば、繊維質層同士を接着剤で直接接着するようにしても良い。

1…人工臓器モデル 2…第1の繊維質層 3…第2の繊維質層 4…接着層 5…鑷子(ピンセット) 6…三角形部分 7…電気メス 10…模擬人工血管モデル 11…第3の実施形態の人工臓器モデル 12…動物臓器 14〜18…繊維質層 19…S字腸菅 20…尿管 21…血管 22…神経

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