专利汇可以提供Numerical control method and device therefor专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PURPOSE: To shorten the tact time by calculating the ratio of the proper acceleration/deceleration time specific to the control system to the actual acceleration/deceleration time and then deciding the servo parameter of an actuator based on the calculated ratio.
CONSTITUTION: The peak time calculated by a peak time calculating part 3 is sent to an acceleration/deceleration pattern generating part 4 and a ratio calculating part 5. The part 5 outputs the calculated ratio to the part 4 and a servo parameter deciding part 6. The part 4 generates an optimum acceleration/deceleration pattern accordant with the optimum peak time based on the ratio calculated by the part 5 and outputs the generated pattern to a servo circuit 7. At the same time, the part 6 outputs the servo parameter that is tuned in an optimum way based on the ratio of the part 5 to the circuit 7. And, a servo loop functions based on a control signal and actuates the robot hand after input of the optimum acceleration/deceleration pattern and the servo parameter.
COPYRIGHT: (C)1994,JPO,下面是Numerical control method and device therefor专利的具体信息内容。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばロボットのアクチュエータを制御するための数値制御装置および数値制御方法に関し、特に、少なくとも一つのアクチュエータのサーボ系に対して、駆動源のパワーを最大限に引き出すための適正な加減速時間Tpを決定すると共に加減速曲線を最適化し、かつ、この加減速時間Tpに基づいた最適なサーボパラメータを決定する数値制御方法および数値制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ロボットの運動能力を評価する場合、その一指標としてタクトタイム(作業時間)を挙げることができるが、このタクトタイムはできるだけ短く、しかも、その際に不要な振動を伴わないようにすることが望ましいとされる。 かかるタクトタイムの短縮化を図る手法としては、従来よりサーボパラメータの最適化を図ること、加減速曲線(以下、加減速パターンともいう)の最適化を図ること、およびモータパワーを考慮した加減速時間Tp(加速開始時間t=0から速度ωがピーク値ω pに達するまでの時間、以下ピーク時間Tpともいう)の最適化を図ることが検討されている。
【0003】このうち、加減速曲線の最適化(上記)
を図る方法としては、本願出願人の特許出願である特願平2−283,867号(特開平4−157,508号公報)が知られている。 この加減速曲線の生成方法は、
予め移動量Δθとピーク時間Tpについての特性を規定しておき、加減速パターンの生成にあたっては、加速開始時点から速度がピーク値となる時点までの時間が移動量に応じたピーク時間となるように加速パターンを生成し、その後、時間的な対称化により減速パターンを得る方法である。
【0004】また、モータパワーを考慮した加減速時間の最適化(上記)を図る方法としては、同じく本願出願人の特許出願である特願平3−96,089号で提案されている。 このピーク時間の決定方法は、例えば多軸のスカラ型ロボットのように、互いに力学的干渉作用を及ぼすように構成された複数の駆動軸を有するサーボ系に対して、複数の駆動軸のうちのどれかは駆動源の許す最大パワーで運動するようにピーク時間Tpを決定する方法である。
【0005】例えば2軸のスカラ型ロボットにおいて、
2つのアームが完全に伸びている状態と、先端側の第2
アームが第1アームに対して折れ曲がった状態とでは、
第1アームの回動中心に作用する慣性モーメントが相違するので、2つのアームが完全に伸びている状態の方が、より大きなパワーを必要とし、しかも停止に至るまでの時間もかかることになる。
【0006】しかしながら、このような事情を考慮せずに、上記の方法を用いて各アームに関する加減速パターンを生成したとすると、第2アームの伸縮状態に拘わらず同じピーク時間を採用することになってしまう(具体的には、第2アームが完全に伸びた状態を想定したピーク時間Tpが一義的に決定される)。 このため、第2
アームが折れ曲がった状態では、駆動源が許す最大のパワーを使用していないので、換言すれば、本来的には最大パワーで作動させればもっと小さいピーク時間を採ることが可能であるにも拘わらず、大きなピーク時間でロボットを作動させることになり、結果的にタクトタイムが長くなってしまうという問題があった。
【0007】そこで、上記特願平3−96,089号で提案された方法では、かかる問題を解消してより効率的にロボットを作動させるために、ロボットの動作を力学的に解析し、アーム同士の干渉作用を理論式で表現して、動作についての適正なピーク時間Tpを算出することにより、加速パターンの生成を行ったのちに時間的な対称化により減速パターンを得るようにしている。
【0008】つまり、本提案はピーク時間Tpの最適値を算出し、この最適ピーク時間Tpに応じた最適な加減速パターンを求めて、この加減速パターンをサーボ系に出力することにより、駆動源のパワーを効率的に利用してタクトタイムの短縮化を実現することができる手法であり、上記特開平4−157,508号公報に開示された手法を一歩進めた加減速パターンの生成方法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記特願平3−96,089号で提案された方法によれば、ピーク時間の最適値を算出して加減速パターンの適正化を図ることにより、駆動源のパワーを効率的に利用してタクトタイムの短縮化を実現することができるものの、この最適化された加減速パターンが指令値として入力されるサーボ系のパラメータについては、機械的なコンプライアンスが最も弱い姿勢、すなわち、第2アームが完全に伸びた状態を想定して調節され、一度サーボパラメータが決定されると、その値は変化せずにロボットが動作するようになっていた。
【0010】したがって、第2アームが折れ曲がった状態では、サーボパラメータについては最適化されておらず、折角加減速パターンを最適な状態に設定できたとしても、サーボ系が最適な状態でループするとは言えない。
【0011】尤も、アームの姿勢に応じてサーボパラメータの適正化を図る手法としては、いわゆるゾーン制御方法などが知られているが、このゾーン制御方法は、決められたアルゴリズムにより最適なサーボパラメータを決定するのではなく、数多くの実験に基づく多量の経験値をゾーン別にメモリに記憶させ、アームの姿勢(ゾーン位置)に応じてゾーン別に記憶された経験値の中からサーボパラメータを選択する手法であるため、大容量のメモリが必要であり、しかもメモリに記憶させるための作業も極めて膨大な時間を必要とする。
【0012】また、ゾーン制御では、アームがゾーン内を移動する場合には同じサーボパラメータで作動するために特に問題とはならないが、アームがゾーン間を移動する場合には、その境界点におけるサーボパラメータが不連続な値を採ることも考えられるので、動作が不安定になるという問題もある。
【0013】そこで本発明者は、移動量に応じた最適なピーク時間を算出し、この最適ピーク時間に応じた最適な加減速パターンを生成して、これを指令信号としてサーボ系に入力するだけでは、未だタクトタイムの改善を図る余地が残されている点に着目し、鋭意検討した結果、これらピーク時間と加減速パターンに応じた最適なサーボパラメータを簡単なアルゴリズムで算出する方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】このように本発明は、駆動源のパワーを最大限に引き出すための適正な加減速時間Tpを決定すると共に加減速曲線を最適化し、かつ、これら加減速時間Tpおよび加減速曲線に基づいた最適なサーボパラメータを決定することにより、タクトタイムの短縮化を図ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の数値制御方法は、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する数値制御方法において、制御系の固有加減速時間(Tp min )と実際の加減速時間(Tp)との比率(α)を算出し、この比率(α)に基づいて前記アクチュエータのサーボパラメータを決定することを特徴としている。
【0016】アクチュエータのサーボパラメータを決定するにあたっては、前記比率(α)を前記サーボパラメータに乗じることが好ましい。
【0017】また、複数のアクチュエータを伴う場合には、アクチュエータ相互間の干渉を緩和するために、L
2 /(L 1 +L 2 ) 2で定義される等価腕長短縮率なる概念を導入し、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する数値制御方法において、制御系の固有加減速時間(Tp min )と実際の加減速時間(Tp)との比率(α)を算出し、この比率(α)に等価腕長短縮率を加算し、得られた比率の補正値(α')に基づいて前記アクチュエータのサーボパラメータを決定することもできる。
【0018】アクチュエータのサーボ系は、入力指令関数をθ r (s) ,出力関数をθ o (s)としたときに、
【数3】
で表すことができる。【0019】また、求められたサーボパラメータが予め決められた範囲外となったときは、予め入力されている標準サーボパラメータを用いて前記アクチュエータの動作を制御することが好ましい。
【0020】一方、上記目的を達成するために、本発明の数値制御装置は、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する数値制御装置において、制御系の固有加減速時間(Tp min )と実際の加減速時間(Tp)との比率(α)を算出する比率算出部と、この比率算出部により求められた比率(α)に基づいて前記アクチュエータのサーボパラメータを決定するサーボパラメータ決定部とを備えたことを特徴としている。
【0021】サーボパラメータ決定部は、アクチュエータのサーボパラメータを決定するにあたり、前記比率(α)を前記サーボパラメータに乗じることが好ましい。
【0022】また、複数のアクチュエータを伴う場合には、アクチュエータ相互間の干渉を緩和するために、L
2 /(L 1 +L 2 ) 2で定義される等価腕長短縮率なる概念を導入し、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する数値制御装置において、制御系の固有加減速時間(Tp min )と実際の加減速時間(Tp)との比率(α)を算出する比率算出部と、この比率(α)に等価腕長短縮率を加算する補正値算出手段と、得られた比率の補正値(α')に基づいて前記アクチュエータのサーボパラメータを決定するサーボパラメータ決定部とを備えることが好ましい。
【0023】アクチュエータのサーボ系は、入力指令関数をθ r (s) ,出力関数をθ o (s)としたときに、
【数4】
で表すことができる。【0024】また、サーボパラメータ決定部は、求められたサーボパラメータが予め決められた範囲外となったときに、予め入力されている標準サーボパラメータを用いて前記アクチュエータの動作を制御することが好ましい。
【0025】
【作用】本発明の数値制御方法および数値制御装置では、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御するにあたり、まず指令値である移動量Δθおよび駆動源の最大パワーに応じた最適ピーク時間Tpを求め、このピーク時間に応じた最適な加減速パターンを求める。
【0026】具体的には、例えば3次系のサーボループに対しては、位置出力θ O (t) は、位置指令の入力値をΔθ、時定数をT 1 ,T 2 ,T 3として、下記(1)式のように一意的に表すことができるので、この(1)式を微分することにより、速度出力dθ O /dtおよび加速度出力d 2 θ O /dt 2が求められる。 したがって、
速度出力dθ O /dtがピークに達する時間Tpは、下記方程式(3)を解くことで求められる。
【0027】
【数5】
【数6】
【0028】次に、例えば2軸のスカラ型ロボットにおいて、第1アームおよび第2アームの移動量をそれぞれΔθ 1 ,Δθ 2 、駆動源のパワーをW 1 , W 2 、A,
B,Cをそれぞれアームのイナーシャと2軸のピーク位置に依存するパラメータ、駆動源の最大パワーをW 1m,
W 2mとしたときに、
【0029】
【数7】
を満足するピーク時間Tpを有する加減速パターンを求める。【0030】このようにして式(5)を満足するピーク時間Tpが求められると、このピーク時間Tpはモータパワーを最大限に引き出すことができる値となっている。 ここで、ピーク時間Tpの最小値Tp minは、ロボットのサーボ系および機械系を含めた固有値であることから、αを1以上の実数として、
【0031】
【数8】
とおくと、αは容易に求められる。 【0032】また、式(14)におけるαは時間軸の伸縮を表すことから、最小値Tp minにおける時定数T
1min ,T 2min ,T 3minについても、αを用いて、
【0033】
【数9】
が成立するので、この式(15)より時定数T1 ,
T
2 ,T
3を求め、加減速パターンを生成する。
【0034】一方、ロボットのサーボ系および機械系を含めた固有値であるTp minにおけるサーボパラメータKp min ,Ki min ,K minを用いて、
【0035】
【数10】
と表せるため、最適なピーク時間および最適な加減速パターンに応じた最適なサーボパラメータを得ることができる。【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。 〔本発明の原理〕まず最初に、本発明に係るサーボパラメータの決定方法の原理につき、制御対象のロボットとして2軸のスカラ型ロボットを例に挙げて説明する。
【0037】 最適な加減速時間Tpの決定図3(a)は本実施例に係るサーボループを示すシグナルフロー線図、図3(b)は同サーボループに対して位置指令として大きさΔθのステップを入力した場合における時間tと位置出力θ Oとの関係を示すグラフ、図3
(c)は同じく時間tと速度出力dθ O /dtとの関係を示すグラフである。
【0038】まず、このサーボループは3次系であるから、位置出力θ O (t) は、位置指令の入力値をΔθ、時定数をT 1 ,T 2 ,T 3として、下記(1)式のように一意的に表すことができる。
【0039】
【数11】
【0040】この(1)式に基づいて、速度出力dθ O
/dtおよび加速度出力d 2 θ O /dt 2は、下記(2
−1)式および(2−2)式のように求めることができる。
【0041】
【数12】
【0042】したがって、速度出力がピークに達する時間Tpは、
【0043】
【数13】
なる方程式(3)を解くことで求めることができる。 【0044】ちなみに、式(2−2)を注意深く観察すると、ピーク時間Tpは時定数T 1 ,T 2 ,T 3のみに依存し、その結果、このピーク時間TpはサーボループのパラメータKp,Ki,Kおよびアーム負荷Mによって一意的に決まり、逆にサーボループのパラメータK
p,Ki,Kおよびアーム負荷Mはピーク時間Tpによって一意的に決まることが理解される。
【0045】換言すれば、これにより得られるピーク時間Tp値には、駆動源(モータ)のパワー情報、駆動軸(2軸のスカラ型ロボットであれば1軸および2軸)のイナーシャ情報、および力学的干渉に関する情報が全て含まれていることが理解され、その意味で制御の基本となる情報であるといえる。 本発明では、かかる知見に基づき以下に述べるように、得られたピーク時間Tpを基に加減速曲線を求め、さらにサーボパラメータを制御する。
【0046】 最適な加減速曲線の決定ところで、2軸のスカラ型ロボットにおいて、第1アームおよび第2アームの移動量をそれぞれΔθ 1 ,Δ
θ 2 、駆動源のパワー(以下、モータパワーともいう)
をW 1 , W 2とすると、総モータパワーWは、
【0047】
【数14】
で表すことができる。 なお、A,B,Cはそれぞれアームのイナーシャと2軸のピーク位置に依存する定数、ピーク位置をθ2Pで表す。
【0048】ここで、駆動源であるモータには最大パワーが存在することから、それをW 1m , W 2mとすると、
【0049】
【数15】
を満足するピーク時間Tpを有する加減速曲線を命令信号としてサーボ系に出力する。【0050】このようにして式(5)を満足するピーク時間Tpが求められると、このピーク時間はモータパワーを最大限に引き出すことができる値となっている。
【0051】 最適なサーボパラメータの決定さて、サーボ系のi軸(i=1〜4)のループ構造は、
図3(a)に示すようになっており、位置出力の関数θ
O (t) をラプラス変換すると、
【0052】
【数16】
で表される。【0053】一方、伝達関数G OP (s)は、
【0054】
【数17】
であるため、式(7)を式(6)に代入することにより、【0055】
【数18】
が得られる。 【0056】これに対して、位置出力のラプラス関数θ
O (t) は3つの時定数T 1 ,T 2 ,T 3を用いて、
【0057】
【数19】
で表されるから、式(8)と式(9)の複素変数sについての下記恒等式(10)、【0058】
【数20】
を解くと、下記式(11)が得られる。【0059】
【数21】
【0060】この式(11)を整理すると、
【0061】
【数22】
となり、時定数とサーボパラメータとの関係が得られる。 【0062】ところで、本願出願人の特許出願である特願平2−283,867号(特開平4−157,508
号公報)に開示されたように、予め移動量Δθとピーク時間Tpについての特性を規定しておき、加減速パターンの生成にあたっては、加速開始時点から速度がピーク値となる時点までの時間が移動量に応じたピーク時間となるように加速パターンを生成し、その後、時間的な対称化により減速パターンを得る場合、移動量Δθに対するピーク時間Tpの関係は、図4に示すようになり、ピーク時間Tpの最小値Tp minと最大値Tp maxとが存在することになる。
【0063】このうち、ピーク時間の最小値Tp
minは、機械系およびサーボ系を含めたシステムによって決定される固有値であり、移動量がΔθ min未満であっても、そのシステムを用いる限り移動時間が2Tp
minだけ必要となることを意味している。 いま、この点P minにおける時定数をTi min (i=1,2,3)とすると、式(12)より下記式(13)が得られる。
【0064】
【数23】
【0065】ここで、既述したように、ピーク時間Tp
の最小値Tp minは、ロボットのサーボ系および機械系を含めた固有値であり、しかも式(4)よりピーク時間Tpと時定数の組み合わせ(T 1 ,T 2 ,T 3 )は1対1の対応であることから、αを1以上の実数として、
【0066】
【数24】
とおくことができ、この式(14)からαは容易に求められる。 また、式(14)におけるαは時間軸の伸縮を表すことから、最小値Tpminにおける時定数T
1min ,
T
2min ,T
3minについても、式(14)と同様にαを用いて、
【0067】
【数25】
が成立する。 【0068】したがって、この式(15)を式(13)
に代入すると、サーボパラメータに関する最終的な式(16)、
【0069】
【数26】
が得られる。 すなわち、最適なピーク時間および最適な加減速パターンに応じた最適なサーボパラメータを得ることができる。【0070】上記式(16)は、モータパワーに応じた最適なピーク時間が決定されると、このピーク時間に応じた最適なサーボループを実行するためのサーボパラメータが決定されることを意味している。 したがって、指令値に対する最適値が演算されると、この最適値を実行するための最適なサーボパラメータが決定され、実際のロボットの動作が演算された最適値に合致することになる。
【0071】 レギュレータ特性への影響に関する考察ちなみに、上述したようにサーボパラメータをピーク時間に応じて変更しても、サーボループ特性を構成するレギュレータ特性(外乱を抑制する能力)には何ら悪影響を及ぼさないことは立証されている。 すなわち、式(7)において、
【0072】
【数27】
とおくと、式(8)から求まるように、【0073】
【数28】
【0074】さて、G(S) =G OP /(1+G OP )の−3
dB周波数(コーナ周波数)をω Cとして、ω Cで規格化すると、
【0075】
【数29】
となり、この式(19)を式(18)に代入すると、下記式(20)を得ることができる。【0076】
【数30】
【0077】一方、フィルタ理論によれば、規格化されたループオープン特性G OP (S) は、下記式(21)で表される。
【0078】
【数31】
ここで、式(21)は3次式であることからバターワース(Butterworth) 多項式の係数にしたがって、【0079】
【数32】
と選択すると、オーバーシュートのないバターワース特性となる。 また、これらの値から僅かにずらすことにより種々の特性を得ることもできる。 なお、上述したバターワース多項式の係数の選択については、例えば(株)
コロナ社発行・テレビジョン学会編の「画像電子回路」
(初版)第269〜276頁などに開示されている。
【0080】式(21)より、
【0081】
【数33】
が得られるから、式(20)の右辺と式(23)の右辺とを恒等式として解くと、下記式(24)が得られる。【0082】
【数34】
【0083】この式(24)に式(17)を代入すると、
【0084】
【数35】
となる。 ωc =2πf
c =2π/T
Cであるから、式(25)に代入し、さらにサーボパラメータについて整理すると下記式(26)のようになる。
【0085】
【数36】
上記式(26)から明らかなように、サーボループの周波数特性を上げる場合(すなわちコーナ周波数ωCを大きくする場合)には、Kpを小さく、KiMを大きく、
Kを小さく設定すればよい。
【0086】ここで、モータパワーを考慮したピーク時間とサーボパラメータとの関係を考察してみると、式(21)のループオープン特性は図5のように示される。 したがって、
【0087】
【数37】
の関係が成立している。 【0088】なお、一般にサーボループの周波数特性は、|G OP (S) |=1なる周波数にて定義されるので、
以下の説明ではω Cに代えてω Oで説明するが、この周波数ω Oは式(27)を用いてω Cと関係付けることができる。 ω c =2π/T C ,ω O =2π/T Oであるから、上記式(27)は、
【0089】
【数38】
と表される。 したがって、式(26)は、【0090】
【数39】
と表すことができる。【0091】この式(29)は、サーボ特性を決めたとき、すなわち、バターワース多項式の係数を決めたときに(若しくは極配置を決めたとき)、サーボループの周波数特性を変えたければ、上記式(29)にしたがってサーボパラメータを調節するだけで、各周波数特性毎に同一特性が得られることを意味している。
【0092】例えば、サーボループ特性をバターワース特性に決めたとき、バターワース多項式の係数を、式(22)のようにして、T Oを変えれば、10Hzまたは20Hz、その他のいかなる周波数でも、適切にバターワース特性を得ることができる訳である。
【0093】次に、上記T Oとモータパワーを考慮して算出した最適なピーク時間Tpとの関係について考察する。 上記式(29)および式(12)より、下記式(3
0)が得られる。
【0094】
【数40】
同様にして、KiMまたはKを用いてTOを他の表現で表すこともできる。
【0095】ところで、式(14)のようにTp=αT
p minとすれば、式(15)が成立することから、結局、上記式(30)は下記式(31)のようになる。
【0096】
【数41】
この式(31)を用いると、式(29)は、【0097】
【数42】
のようになる。 【0098】つまり、この式(32)は既述した式(1
6)と一致している。 このことは、式(16)に従うようにサーボパラメータを調節しても、サーボ特性以外のレギュレータ特性も最適に調節されることを意味しており、これでサーボパラメータをピーク時間に応じて変更しても、サーボループ特性を構成するレギュレータ特性には何ら悪影響を及ぼさないことが立証された訳である。
【0099】〔本発明の数値制御装置の構成〕以上で、
最適なピーク時間に応じた最適なサーボパラメータの解が得られたので、次に上述した理論に基づいた数値制御装置について説明する。 この数値制御装置の構成を説明する前に、これまでの議論をまとめるという意味もこめて、本発明に係る数値制御方法について図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0100】本発明に係る数値制御方法は、図2に示すように概ね5つのステップから構成されている。 なお、
図2に示すフローチャートにおける1サイクルは、例えばロボットに対して与えられた指令を計算する際に、計算上で速度が0から0に至るまでの1単位を取り扱っている。 つまり、計算する上で速度が0となった点から移動を開始し、次に計算上の速度が0となる位置までの指令信号に対して1サイクルの演算が行われる。 したがって、サーボパラメータの変更はこの1サイクルを1単位として逐次変更されてゆくことになる。
【0101】(ステップ1)パラメータや定数の設定:
実験や計算によりサーボパラメータKp min ,K
i min ,K minおよびピーク時間Tp minを決定し、これらの値を設定しておく。 また、駆動モータの最大出力値W 1m ,W 2m等を設定し、ロボットの動作指令に応じた移動量Δθ 1やΔθ 2は指令の毎に設定する。
【0102】(ステップ2)ピーク時間Tpを求める:
具体的な計算方法は、本願出願人が先の特願平3−9
6,089号で提示した方法を採用することができるが、既述したように、速度出力dθ O /dtがピークに達する時間Tpは、上記方程式(3)を解くことで求められる。
【0103】(ステップ3)比率αの算出:ステップ1
で設定されたTp minおよび式(14)を用いて、アルファを計算する。 この比率αは時間軸の伸縮を表すパラメータとなっている。
【0104】(ステップ4)加減速パターンの生成:具体的な計算方法は、本願出願人が先の特願平2−28
3,867号で提示した方法を採用することができるが、既述したように、ステップ3で算出した比率αと式(15)を用いて、3つの時定数T 1 ,T 2 ,T 3を時間軸に対して比率αで伸縮させる。
【0105】(ステップ5)サーボパラメータの決定:
ステップ1で設定されたKp min ,Ki min ,K minとステップ3で算出されたαを式(16)に代入することにより最適なサーボパラメータKp,Ki,Kを算出する。
【0106】このような数値制御方法を具現化する装置例を図示すると図1のような構成となる。 図示する数値制御装置では、指令部1、定数設定部2、ピーク時間算出部3、加減速パターン生成部4、比率算出部5、およびサーボパラメータ決定部6から構成され、生成後の加減速パターンおよび決定されたサーボパラメータに関する制御信号がアームのサーボ回路7に出力されるようになっている(図1では1つのアームのサーボ回路、モータ、および駆動機構のみを示す)。 なお、数値制御装置を構成する各部は、実際にはソフトウェア処理によって実現されるものであるが、図1はその機能を視覚的に示したものである。
【0107】指令部1はロボットの動作命令にしたがってΔθ 1やΔθ 2等の指令信号をピーク時間算出部3に出力する。 また、定数設定部2は、実験や計算により決定されたサーボパラメータKp min ,Ki min ,K min
およびピーク時間Tp min 、駆動モータ8の最大出力値W 1m ,W 2m等が予め入力されて、これらのデータをピーク時間算出部3に出力する。
【0108】ピーク時間算出部3は、既述したステップ2の演算を行う要素であり、算出されたピーク時間を加減速パターン生成部4と比率算出部5に出力する。 比率算出部5では既述したステップ3の演算が行われ、算出された比率αを加減速パターン生成部4およびサーボパラメータ決定部6に出力する。
【0109】加減速パターン生成部4は、比率演算部5
で算出された比率αを基に、ステップ4の演算を行いピーク時間算出部3で得られた最適なピーク時間Tpに応じた最適な加減速パターンを生成する。 そして、この加減速パターンはサーボ回路7に出力される。
【0110】これと同時に、サーボパラメータ決定部6
では、比率算出部5で算出された比率αを基にステップ5の演算を行い、最適にチューニングされたサーボパラメータをサーボ回路7に出力する。
【0111】このようにしてサーボ回路7に最適な加減速パターンとサーボパラメータが入力されたのち、これらの制御信号にしたがってサーボループが機能し、モータ8を作動させてロボットハンド(駆動機構)9を動作させる。
【0112】〔アルゴリズムの微調整(1)〕ちなみに、式(16)および式(32)に示された「M」は、
モータの負荷ゲインを意味するが、図6に示すような2
軸のスカラ型ロボットのθ 1軸については、θ 2軸の回動角度θ 2の如何でMは変動する。 つまり、本来的にはM(θ 2 )と表されるべき量である。 したがって、ロボットのタクトタイムをさらに厳密に短縮しようとするならば、このM(θ 2 )の変化に対してもθ 1軸のサーボパラメータKiをチューニングしなければならない。 つまり、式(16)および式(32)における第2式は、
【0113】
【数43】
と表されるべきである。 【0114】このとき、M minはα=1となるようなθ
2における負荷ゲインの値であり、これは第2アームを最も折り畳んだ状態、つまりθ 2 ≒180°におけるθ
1軸に対する負荷ゲインである。 換言すれば、M minはM(θ 2 )の最大値となる値である(その意味でM min
の添字は適切であるとはいえないが、Ki minに合わせる意味でこのように表現しておく)。
【0115】さて、θ 2がM minとなるような場合と、
一般的なθ 2の場合とをシグナルフロー線図で表すと図7(a)(b)のようになる。 このとき、図7(b)のサーボ系は図7(a)に示すサーボ系と同じサーボ特性を有することが条件となるので、図7(b)のサーボパラメータのうちのKi min /α 2が、
【数44】
となる必要がある。 したがって、一般的なシグナルフロー線図は図7(c)のように示される。【0116】つまり、式(5)も考慮すると、
【数45】
となる。 なお、式(35)におけるθ2Pは第2アームの動作の中心角を表している。
【0117】以上のことから、式(16)および式(3
2)は、下記式(36)のようになる。
【数46】
【0118】なお、L 1 L 2はそれぞれ第1アームおよび第2アームの長さ、M 1 ,M 2はそれぞれ第1アームおよび第2アームの質量、I 1 ,I 2はそれぞれ第1アームおよび第2アームの慣性モーメントを示す。 このようにモータ負荷ゲインMについてもチューニングを施せば、第2アームの姿勢に応じてさらにタクトタイムの短縮を実現することが可能となる。
【0119】〔アルゴリズムの微調整(2)〕上述した手順により導かれる比率αを用いてサーボパラメータをチューニングするとロボットのタクトタイム短縮に対して著しい効果を得ることができるが、さらにスカラ型ロボットの第1アームと第2アームとの相互干渉の影響を考慮して比率αに補正を加えることも可能である。
【0120】例えば、図8に示すような場合では、相互干渉に対しては距離Lが強く影響することを考慮し、この距離Lを等価腕長短縮率と称して、下記式(37)で定義する。
【0121】
【数47】
【0122】そして、式(14)にて求められた比率α
に対し、その補正値α'を、
【数48】
と定義して算出し、これを比率αの代わりに用いてもよい。 例えば、第1アームと第2アームとが直線上に整列したとき(第2アームが最も伸びたとき)には、上記式(38)においてcosθ2P =1であるから、α'=α
+1となる。 また、第2アームが直角に折れ曲がった場合には、α'=α+(L
1
2 +L
2
2 )/(L
1 +L
2 )
2
となる。 このように、アームの相互干渉等を考慮した補正比率α'を採用すれば、より現実的な動作を実現することができ、その結果、タクトタイムの短縮を図ることが可能となる。
【0123】なお、以上説明した実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。 したがって、上記の実施例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0124】例えば、式(16)あるいは式(36)にて算出されたサーボパラメータが、サーボ系の標準範囲を越える場合には、予めかかる異常時における標準パラメータを用意しておき、このパラメータで代用するようにしてもよい。 また、式(37)においては第1アームと第2アームを有する場合の等価腕長短縮率を定義したが、アームが3以上存在する場合であっても同様の考え方で等価腕長短縮率を定義できる。
【0125】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、少なくとも1つのアクチュエータの動作を制御する場合において、制御系の固有加減速時間(Tp min )と実際の加減速時間(Tp)との比率(α)を算出し、この比率(α)に基づいて前記アクチュエータのサーボパラメータを決定するので、駆動源のパワーを最大限に引き出すための適正な加減速時間Tpを決定すると共に加減速曲線を最適化し、かつ、これら加減速時間Tpおよび加減速曲線に基づいた最適なサーボパラメータを決定することにより、タクトタイムの短縮化を図ることが可能となる。
【図1】本発明の一実施例に係る数値制御装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る数値制御方法を示すフローチャートである。
【図3】図3(a)は本発明の一実施例に係るサーボループを示すシグナルフロー線図、図3(b)は同サーボループに対して位置指令として大きさΔθのステップを入力した場合における時間tと位置出力θ Oとの関係を示すグラフ、図3(c)は同じく時間tと速度出力dθ
O /dtとの関係を示すグラフである。
【図4】位置指令として入力される移動量Δθとピーク時間Tpとの関係を示すグラフである。
【図5】本発明がサーボ系のレギュレータ特性へ与える影響を説明するサーボオープン特性図である。
【図6】2軸のスカラ型ロボットを示す平面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の他の実施例に係るサーボループを示すシグナルフロー線図である。
【図8】本発明に係る等価腕長短縮率を説明する概念図である。
1…指令部 2…定数設定部 3…ピーク時間算出部 4…加減速パターン生成部 5…比率算出部 6…サーボパラメータ決定部 7…サーボ回路
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