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積層フィルムおよび輸液バックならびに積層フィルムの製造方法

阅读:609发布:2024-01-09

专利汇可以提供積層フィルムおよび輸液バックならびに積層フィルムの製造方法专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且【課題】支持体、有機層と無機層との積層構造、この積層構造の上のオーバーコート層、オーバーコート層の上の接着層、接着層の上のシーラント層とを有する積層フィルムにおいて、接着層を、ハジキや抜けを生じることなく、オーバーコート層の表面に適正に形成できる積層フィルムおよび製造方法を提供する。 【解決手段】オーバーコート層の表面粗さRaが1nm以上で、オーバーコート層および接着層と、接着層を形成した塗布液の溶剤とのSP値の差が2以下であることにより、この課題を解決する。 【選択図】図1,下面是積層フィルムおよび輸液バックならびに積層フィルムの製造方法专利的具体信息内容。

支持体の上に、1組以上の無機層および前記無機層の下地層となる下地有機層の組み合わせと、前記下地有機層と無機層との組み合わせの上に設けられる、有機化合物からなるオーバーコート層と、前記オーバーコート層の上に設けられる接着層と、前記接着層の上に設けられるシーラント層とを有し、 前記オーバーコート層の表面粗さRaが1nm以上であり、かつ、前記オーバーコート層および前記接着層と、前記接着層を形成した塗布液の溶剤とのSP値の差が2以下であることを特徴とする積層フィルム。前記オーバーコート層の最大高さRyが300nm以下である請求項1に記載の積層フィルム。前記オーバーコート層に、熱硬化性を有する材料が含まれる請求項1または2に記載の積層フィルム。前記熱硬化性を有する材料が、イソシアネート基を含む化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一方である請求項3に記載の積層フィルム。前記オーバーコート層に、フッ素系の界面活性剤が含まれる請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルムを、前記支持体を外面にして貼り付けたことを特徴とする輸液バック。支持体の上に、無機層と前記無機層の下地層となる下地有機層との組み合わせを1以上形成された積層フィルムの表面に、有機化合物からなり、表面粗さRaが1nm以上であるオーバーコート層を形成し、 前記オーバーコート層の表面に、接着層となる材料および溶剤を含み、かつ、前記オーバーコート層および前記接着層となる材料と、前記溶剤とのSP値の差が2以下である塗布液を塗布して、接着層を形成し、 前記接着層に、シーラント層を貼着することを特徴とする積層フィルムの製造方法。前記接着層を形成する塗布液を塗布した後、20秒以上経過した後に前記塗布液の乾燥を行って、前記接着層を形成する請求項7に記載の積層フィルムの製造方法。前記接着層を形成する塗布液の乾燥を70〜80℃で行う請求項7または8に記載の積層フィルムの製造方法。前記接着層を形成する塗布液の表面張が21〜27mN/mである請求項7〜9のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。前記接着層を形成する塗布液の粘度が5〜40mPa・秒である請求項7〜10のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。前記接着層を形成する塗布液の塗布を、グラビア塗布、バー塗布およびスロットダイコータのいずれかで行う請求項7〜11のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。前記オーバーコート層の形成を塗布法で行うものであり、前記オーバーコート層を形成する塗布液が、熱硬化性を有する材料を含有する請求項7〜12のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。前記熱硬化性を有する材料が、イソシアネート基を有する化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一方である請求項13に記載の積層フィルムの製造方法。前記オーバーコート層の形成を塗布法で行うものであり、前記オーバーコート層を形成する塗布液が、フッ素系の界面活性剤を含有する請求項7〜14のいずれか1項に記載の積層フィルムの製造方法。

说明书全文

本発明は、医療用の輸液バッグなどに利用される積層フィルム、この積層フィルムを利用する輸液バック、および、この積層フィルムの製造方法に関する。

分や酸素によって変質する薬剤を収容する輸液バックや、同じく水分や酸素によって劣化する食品を収容するチューブや包装袋では、薬剤等の保存性を高める観点から、高いガスバリア性を有することが要求される。 このような輸液バック等では、表面にガスバリアフィルムを貼着することで、ガスバリア性を向上している。

一方で、高いガスバリア性を有するガスバリアフィルムとして、支持体の上に、ガスバリア性を発現する無機層と、この無機層の下地となる有機層との組み合わせを、1以上有する、有機−無機積層型のガスバリアフィルムが知られている。 この有機−無機積層型のガスバリアフィルムの性能を維持したまま、シーラント層と複合化して、このシーラント層でガスバリアフィルムを輸液バックに貼着することにより、ガスバリア性の高い輸液バックとすることが、特許文献1に記載されている。

また、特許文献2には、ガスバリア性の付与するために輸液バック等に貼着する積層フィルムとして、支持体に第1の有機層、無機層および第2の有機層を形成してなる有機−無機積層型のガスバリアフィルムに、接着層を設け、この接着層にシーラント層としてポリエチレンおよび/またはポリプロピレンの樹脂フィルムを接着してなり、かつ第1の有機層および/または第2の有機層のTg(ガラス転移温度)が、樹脂フィルムの融点よりも高い積層フィルムが記載されている。 特許文献2の積層フィルムによれば、シーラント層と輸液バックとをヒートシールする際における、ヒートシール部での加圧や、加熱や冷却による圧縮や収縮に起因する無機層の損傷を防止して、薬剤等の保存性に優れた輸液バックを得ることができる。

特開2012−75716号公報

特開2012−218378号公報

有機−無機積層型のガスバリアフィルムを、輸液バック等に貼着する際には、特許文献1および2にも示されるように、最表層の有機層に接着剤(接着剤を含む塗布液)を塗布し、この接着剤に、輸液バックへのヒートシールを行うための樹脂フィルム等のシーラント層を貼着する。 ガスバリアフィルムは、長尺な被処理物を長手方向に搬送しつつ、処理を行う、いわゆるロール・トゥ・ロール(以下、RtoRとも言う)によって製造される。そのため、シーラント層を貼着するための接着剤の塗布もRtoRによって行われる。

ここで、本発明者の検討によれば、RtoRによって、ガスバリアフィルムに接着剤を塗布する際に、接着剤が微小な円形に抜けてしまう故障いわゆるドット抜けや、接着剤が線状に抜けてしまう故障いわゆるスジ抜け等の、塗工不良が生じる場合が有ることが分かった。

このようなドット抜けやスジ抜け等が発生すると、輸液バックとして完成した後の検査工程において、外観不良により不適正品と判断されるため、製品の得率が低下する原因となる。

本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、有機無機の積層構造を有するガスバリアフィルムに、接着層およびシーラント層を設けてなる積層フィルムにおいて、RtoRによって高速の塗工速度で接着剤等を塗布する際にも、ドット抜けやスジ抜け等の塗工不良が無い接着層を形成できる積層フィルム、この積層フィルムを利用する輸液バック、および、この積層フィルムの製造方法を提供することにある。

この課題を解決するために、本発明の積層フィルムは、支持体の上に、1組以上の無機層および無機層の下地層となる下地有機層の組み合わせと、下地有機層と無機層との組み合わせの上に設けられる、有機化合物からなるオーバーコート層と、オーバーコート層の上に設けられる接着層と、接着層の上に設けられるシーラント層とを有し、 オーバーコート層の表面粗さRaが1nm以上であり、かつ、オーバーコート層および接着層と、接着層を形成した塗布液の溶剤とのSP値の差が2以下であることを特徴とする積層フィルムを提供する。

このような本発明の積層フィルムにおいて、オーバーコート層の最大高さRyが300nm以下であるのが好ましい。 また、オーバーコート層に、熱硬化性を有する材料が含まれるのが好ましい。 また、熱硬化性を有する材料が、イソシアネート基を含む化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一方であるのが好ましい。 また、オーバーコート層に、フッ素系の界面活性剤が含まれるのが好ましい。

また、本発明の輸液バックは、本発明の積層フィルムを、支持体を外面にして貼り付けたことを特徴とする輸液バックを提供する。

さらに、本発明の積層フィルムの製造方法は、支持体の上に、無機層と無機層の下地層となる下地有機層との組み合わせを1以上形成された積層フィルムの表面に、有機化合物からなり、表面粗さRaが1nm以上であるオーバーコート層を形成し、 オーバーコート層の表面に、接着層となる材料および溶剤を含み、かつ、オーバーコート層および接着層となる材料と、溶剤とのSP値の差が2以下である塗布液を塗布して、接着層を形成し、 接着層に、シーラント層を貼着することを特徴とする積層フィルムの製造方法を提供する。

このような本発明の積層フィルムの製造方法において、接着層を形成する塗布液を塗布した後、20秒以上経過した後に塗布液の乾燥を行って、接着層を形成するのが好ましい。 また、接着層を形成する塗布液の乾燥を70〜80℃で行うのが好ましい。 また、接着層を形成する塗布液の表面張が21〜27mN/mであるのが好ましい。 また、接着層を形成する塗布液の粘度が5〜40mPa・秒であるのが好ましい。 また、接着層を形成する塗布液の塗布を、グラビア塗布、バー塗布およびスロットダイコータのいずれかで行うのが好ましい。 また、オーバーコート層の形成を塗布法で行うものであり、オーバーコート層を形成する塗布液が、熱硬化性を有する材料を含有するのが好ましい。 また、熱硬化性を有する材料が、イソシアネート基を有する化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一方であるのが好ましい。 さらに、オーバーコート層の形成を塗布法で行うものであり、オーバーコート層を形成する塗布液が、フッ素系の界面活性剤を含有するのが好ましい。

このような本発明の積層フィルムは、RtoRによって高速の塗工速度で接着剤等を塗布する際にも、接着剤にドット抜けやスジ抜け等の塗工不良が発生することがなく、オーバーコート層に適正に接着剤等を塗布できるので、ドット抜けやスジ抜け等の無い接着層を形成できる。そのため、本発明の積層フィルムによれば、輸液バック等に熱溶着するためのシーラント層を積層しても、ドット抜け等に起因する外観不良を生じることを防止して、得率を向上できる。 また、本発明の積層フィルムの製造方法によれば、このような優れた性能を有する本発明の積層フィルムを、安定して製造できる。

本発明の積層フィルムの一例を概念的に示す図である。

本発明の積層フィルムの別の例を概念的に示す図である。

以下、本発明の積層フィルム、輸液バック、および、積層フィルムの製造方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。 図1に本発明の積層フィルムをガスバリアフィルムに利用した一例を概念的に示す。

なお、本発明の積層フィルムは、ガスバリアフィルムに限定はされない。すなわち、本発明は、特定の波長の光を透過するフィルタや光反射防止フィルムなどの各種の光学フィルム等、公知の積層フィルムに、各種、利用可能である。 ここで、本発明の積層フィルムは、下地となる有機層と、その上の無機層との積層構造の上にオーバーコート層を有するため、このオーバーコート層で無機層を保護でき、ヒビや割れ等の欠陥の無い無機層を有する積層フィルムを得ることができる。また、本発明の積層フィルムは、表面に前述のドット抜け等を生じることなく、接着剤を塗布して、その上にシーラント層等を貼着できる。 そのため、本発明の積層フィルムは、無機層の損傷による性能劣化が大きく、さらに、シーラント層によって輸液バック等に貼着される用途が期待されるガスバリアフィルムには、より好適に利用される。

図1に示すガスバリアフィルム10は、基本的に、支持体12と、下地有機層14と、無機層16と、オーバーコート層18(以下、OC層18とも言う)と、接着層34と、シーラント層36とを有して構成される。 このガスバリアフィルム10は、対象となる輸液バックや有機EL装置等にシーラント層36を当接して、シーラント層36をヒートシール(熱溶着/熱シール)することにより、輸液バック等に貼着される。

なお、図1に示すガスバリアフィルム10は、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、1組つのみ、有するものである。しかしながら、本発明の積層フィルムは、これ以外にも、各種の構成が利用可能である。

例えば、図2に概念的に示すガスバリアフィルム20のように、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、2つ有して、その上に、OC層18、接着層34およびシーラント層36を有する構成であってもよい。 あるいは、下地有機層14と無機層16との組み合わせを、3以上有して、その上に、OC層18、接着層34およびシーラント層36を有する構成であってもよい。 すなわち、本発明の積層フィルムは、無機層の下地となる下地有機層14と無機層16との組み合わせを1以上有する、有機−無機の積層構造を有し、最上の無機層16の上にOC層18を有し、OC層18の上に接着層34およびシーラント層36を有する構成であれば、各種の構成が利用可能である。

ガスバリアフィルム10において、支持体12は、有機−無機積層型のガスバリアフィルムに限らず、各種のガスバリアフィルムや各種の積層型の積層フィルムにおいて支持体として利用されている、公知のシート状物が、各種、利用可能である。

支持体12としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの、各種の樹脂材料(高分子材料)からなるフィルムが、好適に例示される。 また、本発明においては、このような樹脂材料製のフィルムの表面に、保護層、接着層、光反射層、反射防止層、遮光層、平坦化層、緩衝層、応力緩和層等の、各種の機能を得るための層(膜)が形成されているものを、支持体12として用いてもよい。

ガスバリアフィルム10において、支持体12の上には、無機層16の下地層としての下地有機層14を有する。 下地有機層14は、有機化合物からなる層で、基本的に、モノマやオリゴマ等を、重合したものである。

支持体12の下地有機層14は、ガスバリア性を発現する無機層16を適正に形成するための、下地層として機能する。 このような下地層となる下地有機層14を有することにより、支持体12の表面の凹凸や、支持体12の表面に付着している異物等を包埋して、無機層16の成膜面を、無機層16の成膜に適した状態にできる。これにより、支持体12の表面の凹凸や異物の影のような、無機層16となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層16を成膜することが可能になる。

ガスバリアフィルム10において、下地有機層14の形成材料には、限定はなく、公知の有機化合物が、各種、利用可能である。 具体的には、ポリエステル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、あるいはポリシロキサン、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。

中でも、ガラス転移温度が高いことで、塗布液の乾燥および貼り合わせ時の加熱等に対する耐熱性や、常温での強度に優れる等の点で、ラジカル重合性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン重合性化合物の重合物から構成された下地有機層14は、好適である。 中でも特に、上記ガラス転移温度や強度に加え、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、下地有機層14として好適に例示される。 その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。

下地有機層14の厚さには限定は無いが、0.5〜5μmとするのが好ましい。 下地有機層14の厚さを0.5μm以上とすることにより、支持体12の表面の凹凸や、支持体12の表面に付着した異物を包埋して、下地有機層14の表面すなわち無機層16の成膜面を平坦化できる。 また、下地有機層14の厚さを5μm以下とすることにより、下地有機層14が厚すぎることに起因する、下地有機層14のクラックや、ガスバリアフィルム10のカール等の問題の発生を、好適に抑制することができる。 以上の点を考慮すると、下地有機層14の厚さは、1〜3μmとするのが、より好ましい。

なお、図2に示すガスバリアフィルム20のように、複数の下地有機層14を有する場合は、各下地有機層14の厚さは、同じでも、互いに異なってもよい。また、各下地有機層14の形成材料は、同じでも異なってもよい。

無機層16は、無機化合物からなる層である。 ガスバリアフィルム10において、無機層16は、目的とするガスバリア性を、主に発現するものである。

無機層16の形成材料には、限定はなく、ガスバリア性を発現する無機化合物からなる層が、各種、利用可能である。 具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。 特に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムは、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、好適に利用される。中でも特に、窒化ケイ素は、優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に利用される。

無機層16の膜厚は、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。なお、本発明者の検討によれば、無機層16の厚さは、10〜200nmとするのが好ましい。 無機層16の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層16が形成できる。また、無機層16は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層16の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。 また、このような点を考慮すると、無機層16の厚さは、15〜100nmにするのが好ましく、特に、20〜75nmとするのが好ましい。

なお、本発明において、図2に示すガスバリアフィルム20のように、複数の無機層16を有する場合には、各無機層16の厚さは、同じでも異なってもよい。また、各無機層16の形成材料は、同じでも異なってもよい。

ガスバリアフィルム10は、無機層16の上に、OC層18を有する。 このOC層18は、無機層16を保護するために形成される。OC層18を有することで、ガスバリアフィルム10のハンドリングや、ガスバリアフィルム10を使用する過程などで、主にガスバリア性を発現する無機層16が損傷することを防止できる。これにより、ガスバリアフィルム10は、水蒸気透過率が1×10-4[g/(m2・day)]未満のような高いガスバリア性能を、安定して発現することが可能になる。

本発明のガスバリアフィルム10において、OC層18は、表面粗さRa(算術平均粗さRa)が1nm以上である。 後述するが、本発明において、接着層34は、一例として、塗布法によって形成する。OC層18の表面粗さRaが1nm未満では、接着層34を形成する際に、接着層34を形成する塗布液の塗工が適正に行えず、接着層34にドット抜けやスジ抜け等の不良が生じてしまう、密着力が低下する等の不都合が生じる。 また、上記不都合を、より確実に回避できる等の点で、OC層18の表面粗さRaは5nm以上が好ましい。

なお、OC層18の表面粗さRaが1nm以上である点に関しては、後に詳述する。 また、以下の説明では、接着層34を形成する塗布液、すなわち、接着層34となる塗布液を接着層塗布液とも言う。

OC層18の表面粗さRaは、170nm以下が好ましく、57nm以下がより好ましい。 OC層18の表面粗さRaを170nm以下とすることにより、OC層18の表面粗さRaが大きすぎることに起因する接着層34のドット抜けやスジ抜け等の不良を好適に抑制できる等の点で好ましい。

OC層18は、最大高さRyが300nm以下であるのが好ましく、最大高さRyが100nm以下であるのがより好ましい。 OC層18の最大高さRyを300nm以下にすることにより、接着層塗布液の厚さ分布を少なくでき、接着層塗布液が薄い箇所での塗布液のハジキを抑制して、ドット抜けやスジ抜け等の不良を好適に抑制できる点で好ましい。 この接着層塗布液のハジキに関しては、後に詳述する。

なお、表面粗さRaおよび最大高さRyは、JIS B 0601(1994)に準拠して測定すればよい。

OC層18の厚さには、特に限定は無いが、0.2〜3μmが好ましく、0.8〜1.5μmがより好ましい。 OC層18の厚さを0.2μm以上とすることにより、無機層16の保護効果を好適に得られる等の点で好ましい。 OC層18の厚さを3μm以下とすることにより、ガスバリアフィルム10を薄くできる、カール等のガスバリアフィルム10の変形を好適に抑制できる等の点で好ましい。

OC層18の形成材料には、特に限定は無く、各種の有機化合物が利用可能である。 一例として、前述の下地有機層14で例示した各種の有機化合物が例示される。 また、OC層18は、主鎖がアクリルポリマで構成され、分鎖に末端がアクリル基(アクリロイル基)のウレタンポリマおよび末端がアクリル基のウレタンオリゴマの少なくとも一方を有する、ウレタン骨格アクリルポリマを重合したものであるのも好ましい。

OC層18は、熱硬化性を有する材料が含まれるのが好ましい。熱硬化性を有する材料とは、具体的には、イソシアネート基を有する化合物および/またはシランカップリング剤である。 前述のように、接着層34は、接着層塗布液をOC層18に塗布して、乾燥あるいはさらに硬化することで形成する。後に詳述するが、本発明では、接着層塗布液を塗布した際に、OC層18が、若干、溶解する。本発明は、このOC層18の溶解による塗布液の粘度向上、およびOC層18の表面粗さRaによって、塗布液の厚さが薄い箇所での塗布液のハジキを抑制して、ドット抜けやスジ抜け等の不良を抑制している。 ここで、OC層18が、熱硬化性を有する材料を含有することにより、接着層34の形成時に、接着層34となる塗布液の粘度増加が促進して、接着層34のドット抜けやスジ抜け等の不良を、より好適に抑制できる。

OC層18が含有するイソシアネート基を有する化合物およびシランカップリング剤に関しては、後に詳述する。

さらに、OC層18は、フッ素系の界面活性剤を含むのが好ましい。 下地有機層14と同様、OC層18も塗布法で形成する場合が多い。OC層18すなわちOC層18となる塗布液がフッ素系の界面活性剤を含むことにより、OC層18の形成面となる無機層16に対する塗布液の表面張力が下がり、塗布性が向上するので、より適正にOC層18を形成できる。 フッ素系の界面活性剤に関しては、後に詳述する。

OC層18の上には、接着層34が形成される。 接着層34は、シーラント層36をOC層18に貼着するものである。

ここで、本発明のガスバリアフィルム10においては、OC層18および接着層34と、接着層34を形成するための接着層塗布液の溶剤とのSP値(溶解パラメータ(Solubility Parameter))の差が、2以下である。言い換えれば、本発明のガスバリアフィルム10においては、OC層18のSP値と接着層塗布液の溶剤のSP値との差が2以下で、かつ、接着層34のSP値と接着層塗布液の溶剤とのSP値との差が2以下である。 より正確には、OC層18を形成するための塗布液(OC層塗布液)が含有する、OC層18となる有機化合物のSP値、および、接着層塗布液が含有する、接着層34となる化合物のSP値と、接着層塗布液の溶剤のSP値との差が、2以下である。 本発明は、OC層18および接着層34と、接着層塗布液の溶剤とのSP値の差を2以下とし、かつ、OC層18の表面粗さRaを1nm以上とすることで、ドット抜けやスジ抜け等の不良が無い、適正な接着層34を有するガスバリアフィルム10を得ている。

前述のように、ガスバリアフィルムを輸液バック等へのガスバリアフィルムの貼着は、ガスバリアフィルムの表面に接着剤を塗布して、接着剤にシーラント層を貼着して、シーラント層と輸液バックの表面とをヒートシールすることで行われる。 ところが、本発明者の検討によれば、従来のガスバリアフィルムでは、表面に接着剤を塗布すると、ドット抜けやスジ抜けのような塗工不良が発生して、シーラント層を貼着した際に、外観不良で不適正品となってしまう場合が有る。

本発明者は、このドット抜けやスジ抜けの発生原因を解析した。その結果、ドット抜け等は、局所的に接着剤がハジキを起こしていることに起因していることを見出した。またこの接着剤のハジキが、バーコータやグラビアーコータといった接着剤の塗布プロセスが高速塗布になり、塗布した液面の搬送方向にかかるせん断力の増加とレベリング時間の不足によって膜厚の分布に偏りが生じると、顕著に発生することも見出した。 すなわち、接着剤の塗布が不均一な状態で、接着剤の支持体となるガスバリアフィルムの最表面において何らかの表面張力分布があると、ドット抜け等の塗工不良が発生しやすくなる。

これに対して、本発明のガスバリアフィルム10は、OC層18の表面粗さRaを1nm以上とし、かつ、OC層18のSP値および接着層34のSP値と、接着層塗布液の溶剤とのSP値との差を、2以下とする。

接着層34は、一例として、接着層34となる化合物を溶剤に溶解してなる接着層塗布液を調製し、接着層塗布液をOC層18に塗布して、接着層塗布液を乾燥し、あるいはさらに接着層34となる化合物を硬化することで形成する。 ここで、OC層18および接着層34と、接着層塗布液の溶剤とのSP値の差を2以下とすることにより、接着層34の形成時に、接着層塗布液の溶剤によって、OC層18の表面が溶解する。このOC層18の表面の溶解によって、接着層塗布液に溶解されている接着層34となる化合物と、OC層18を形成する有機化合物とが混ざり合う。その結果、OC層18と接着層塗布液との界面において、接着層塗布液の粘度が上昇し、接着層塗布液のハジキが抑制される。 加えて、OC層18の表面粗さRaを1nm以上とすることにより、OC層18の表面積を増加するので、接着層塗布液の溶剤によるOC層18の溶解を促進して、OC層18と接着層塗布液との界面における接着層塗布液の粘度上昇が、大きくなる。しかも、OC層18の表面粗さRaを1nm以上とすることにより、OC層18の表面エネルギを向上して、接着層塗布液に対してハジキにくくなるような構成を形成する。

本発明においては、このOC層18と接着層塗布液との界面における接着層塗布液の粘度上昇と、OC層18の表面エネルギの向上との相乗効果によって、接着層塗布液のハジキを抑制して、OC層18の表面に、ドット抜けやスジ抜け等の不良が無い接着層34を形成できる。 また、不良が無い接着層34を形成することで、OC層18と、その上層の接着層34との強固な密着を形成することが可能になる。

しかも、接着層塗布液に対し、塗れ性をコントロールするような性質を有すると、接着層塗布液の塗布プロセスにおける条件の調節が不要になり、生産性を大きく上げることができる。 このような効果は、輸液バッグ以外の用途でも、ガスバリアフィルム10上に接着剤を塗布する各種の製品に対し、非常に有利になる。例えば、有機無機のガスバリアフィルムに接着剤を塗布し、有機EL素子と組み合わせることで、「フレキシブル」や「薄手/軽量」といった付加価値を与える提案がなされているが、このような接着剤に対しても有用であることが言える。 すなわち、有機−無機の積層構成の表面に対して、被着体となる接着層34の相性が良いことは、最終製品の品質を向上させることにもつながり、ガスバリアフィルム10の製品への汎用性を高めることもできる。

また、上記効果を、より好適に得られる点で、OC層18および接着層34と、接着層塗布液の溶剤とのSP値の差は、1.8以下が好ましく、0.9以下がより好ましい。

接着層34となる化合物は、OC層18および接着層34と、接着層塗布液の溶剤とのSP値の差が2以下という条件を満たすものであれば、公知の接着剤が利用可能である。 具体的には、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、アクリル樹脂系接着剤などが例示される。また、接着層には、接着剤以外の成分を含んでいても良いが、これらの成分は全体の1質量%以下であるのが好ましい。

また、接着層34の厚さには限定はなく、OC層18にシーラント層36を確実に貼着できる厚さを、適宜、選択すればよい。 ここで、本発明者の検討によれば、接着層34の厚さは、0.1〜50μmが好ましく、2.1〜30μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。 接着層34の厚さを0.1μm以上とすることにより、より確実にOC層18とシーラント層36とを貼着できる等の点で好ましい。 接着層34の厚さを50μm以下とすることにより、ガスバリアフィルム10の薄膜化を図れる、貼着部のカールの発生を抑制できる、層間同士の応力差による無機層16の破壊を防止できる等の点で好ましい。

接着層34には、シーラント層36が貼着される。 前述のように、ガスバリアフィルム10は輸液バック等の表面にヒートシールされる。シーラント層36は、このヒートシールを行うための層である。 従って、シーラント層36は、基本的に、ガスバリアフィルム10がヒートシールされる輸液バック等の形成材料と同じ材料で形成される。すなわち、ヒートシールされる対象がポリエチレン(PE)製である場合には、シーラント層36としてはPE製のシート状物(フィルム状物)を用いればよく、ヒートシールされる対象がポリプロピレン(PP)製である場合には、シーラント層36としてはPP製のシート状物を用いればよい。

また、シーラント層36の厚さにも限定はなく、シーラント層36の形成材料に応じて、輸液バック等のヒートシールされる対象の形状や状態等に応じて、確実に熱溶着できる厚さを、適宜、選択すればよい。 ここで、本発明者の検討によれば、シーラント層36の厚さは、5〜150μmが好ましく、10〜100μmがより好ましく、40〜70μmがさらに好ましい。 シーラント層36の厚さを5μm以上とすることにより、より確実なヒートシールが可能になる、ヒートシールされる対象の表面の凹凸を好適に吸収できる等の点で好ましい。 シーラント層36の厚さを150μm以下とすることにより、ガスバリアフィルム10の薄膜化を図れる、輸液バック等に熱溶着した際に、シーラント層36の側面からの水蒸気や酸素の侵入をより効果的に抑制できる等の点で好ましい。

本発明の輸液バックは、公知の輸液バックの表面に、このような本発明のガスバリアフィルム10やガスバリアフィルム20を貼着してなるものである。 ガスバリアフィルム10を輸液バックに貼着する際には、シーラント層36を輸液バックの表面に当接して、必要な温度まで加熱することにより、シーラント層36を輸液バックの表面にヒートシールして、ガスバリアフィルム10を輸液バックの表面に貼着すればよい。

以下、ガスバリアフィルム10の製造方法の一例を説明することにより、本発明の積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法について、より詳細に説明する。

なお、本発明の製造方法は、RtoRによって、ガスバリアフィルム10を製造してもよく、あるいは、カットシート状の被成膜材料を用いて、いわゆる枚葉式(バッチ式)によって、ガスバリアフィルム10を製造してもよい。 周知のように、RtoRとは、長尺な被成膜材料をロール状に巻回してなる材料ロールから、被成膜材料を送り出し、被成膜材料を長手方向に搬送しつつ成膜を行い、成膜済の被成膜材料を、再度、ロール状に巻回する製造方法である。生産性を考慮すると、本発明の製造方法では、RtoRが好適に利用される。 なお、以下に示す製造方法は、基本的に、RtoRでも、枚様式でも同様である。

まず、支持体12の一面に、下地有機層14を形成し、下地有機層14の上に無機層16を形成する。 下地有機層14は、形成する下地有機層14に応じて、公知の方法で形成すればよい。一例として、下地有機層14は、有機溶剤、下地有機層14となる有機化合物(モノマ、ダイマ、トリマ、オリゴマ、ポリマ)、界面活性剤、シランカップリング剤などを含む塗布液を調製して、この塗布液を塗布、乾燥して、さらに、必要に応じて紫外線照射等によって有機化合物を重合(架橋)する、いわゆる塗布法によって形成する。 無機層16も、形成する無機層16に応じて、公知の方法で形成すればよい。一例として、無機層16は、CCP−CVDやICP−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着などの気相成膜法によって形成する。

次いで、無機層16の上に、OC層18を形成する。 一例として、OC層18は、下地有機層14と同様に、塗布法で形成する。 すなわち、OC層18は、有機溶剤、OC層18となる有機化合物(モノマ、ダイマ、トリマ、オリゴマ、ポリマ等)、界面活性剤、シランカップリング剤などを含む塗布液を調製して、この塗布液を塗布、乾燥して、さらに、必要に応じて紫外線照射等によって有機化合物を重合することで、形成する。 なお、前述のように、このOC層18となる有機化合物および接着層塗布液に含まれる接着層34となる化合物と、接着層塗布液の溶剤とは、SP値の差が2以下である。

OC層18となる有機化合物としては、前述のように、下地有機層14で例示したものが例示される。

また、OC層18となる有機化合物としては、前述のように、主鎖がアクリルポリマで構成され、分鎖に末端がアクリル基(アクリロイル基)のウレタンポリマおよび末端がアクリル基のウレタンオリゴマの少なくとも一方を有する、ウレタン骨格アクリルポリマも、好適に例示される。このウレタン骨格アクリルポリマは、重量平均分子量が10,000〜1,000,000であるのが好ましい。また、このウレタン骨格アクリルポリマは、アクリル当量が500〜5000g/molであるのが好ましい。 このウレタン骨格アクリルポリマは、例えば、大成ファインケミカル株式会社製のUV硬化型アクリルウレタンポリマ(アクリット8BRシリーズ)など、各種の市販品を用いてもよい。

前述のように、OC層18は、熱硬化性を有する材料を含むのが好ましい。また、熱硬化性を有する材料としては、イソシアネート基を有する化合物および/またはシアンカップリング剤が例示される。 従って、OC層18を形成する塗布液すなわちOC層18となる塗布液は、イソシアネート基を有する化合物および/またはシアンカップリング剤を含有するのが好ましい。 以下、このOC層18を形成する塗布液を、OC塗布液とも言う。

OC塗布液が含有するイソシアネート基を有する化合物としては、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が好適に例示される。

OC塗布液が含有するシランカップリング剤としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルキルオキシ基またはアセトキシ基等の加水分解可能な反応基と、エポキシ基、ビニル基、アミノ基、ハロゲン基、メルカプト基、および(メタ)アクリル基から選択される1以上の反応性基を有する置換基とが同じケイ素に結合した構造を有する化合物、2つのケイ素が酸素または—NH−を介して結合している部分構造を有し、これらのケイ素のいずれかに上記の加水分解可能な反応基と、上記の反応性基を有する置換基とが結合した構造を有する化合物などが挙げられる。

OC塗布液におけるイソシアネート基を有する化合物および/またはシランカップリング剤の含有量は、使用する物質に応じて、適宜、設定ればよい。本発明者らの検討によれば、これらの物質の含有量は、OC塗布液の固形分中の1〜30質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜25質量%がさらに好ましい。 なお、塗布液の固形分とは、塗布液の揮発分が揮発した後の残分のことである。

また、前述のように、OC層18は、フッ素系の界面活性剤を含むのが好ましい。従って、OC塗布液は、フッ素系の界面活性剤を含有するのが好ましい。 OC塗布液が含有するフッ素系の界面活性剤としては、ルキルスルホン酸類およびその塩類、フッ素化アルキルカルボン酸類およびその塩類、パーフルオロアルキルリン酸エステル類、フッ素化アルキルポリオキシエチレンエタノール類、フッ素化アルキルエーテル類等が好適に例示される。 OC塗布液におけるフッ素系の界面活性剤の含有量は、使用する界面活性剤に応じて、適宜、設定ればよい。本発明者らの検討によれば、フッ素系の界面活性剤の含有量は、OC塗布液の固形分中の0.05〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.3質量%がより好ましい。

また、OC塗布液は、これ以外にも、重合開始剤(架橋剤、硬化剤)等を含有してもよい。重合開始剤は、各種の市販品が好適に利用可能である。具体的には、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Esacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が例示される。

OC塗布液は、公知の塗布法による有機層の形成と同様に、有機溶剤に、OC層18となる有機化合物を投入し、あるいはさらに、前述のイソシアネート基を含有する化合物および/またはシランカップリング剤、フッ素系の界面活性剤、重合開始剤、その他の添加剤等を投入して、攪拌して調製すればよい。 有機溶剤は、用いる有機化合物等に応じて、適宜、選択すればよい。具体的には、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサン、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。有機溶剤は、複数を混合して用いてもよい。

無機層16へのOC塗布液の塗布方法には、特に限定は無い。 従って、塗布液の塗布は、ダイコータ、浸漬塗布、エアーナイフ塗布、カーテン塗布、ローラ塗布、バー塗布、グラビア塗布、スライド塗布等の公知の塗布液の塗布方法が、全て利用可能である。 ここで、OC塗布液は、無機層16に塗布されるので、ダイコータによって塗布を行なうのが好ましい。無機層16は、脆く、ヒビ等が入り易いが、ダイコータによれば、OC塗布液以外が無機層16に接触することが無いので、無機層16の損傷を防止できる。 なお、OC塗布液の塗布量は、OC塗布液における固形分の含有量に応じて、目的とするOC層18の厚さを得られる塗布量を、適宜、設定すればよい。

無機層16の上にOC塗布液を塗布したら、次いで、OC塗布液の乾燥を行う。 乾燥方法は、公知の加熱手段や乾燥手段が全て利用可能である。 具体的には、ヒートローラを用いる乾燥手段、温風による乾燥手段、伝熱板を用いる乾燥手段等が、例示される。OC塗布液の乾燥は、これらの1つのみを用いてもよく、複数を併用してもよい。

OC塗布液を乾燥したら、必要に応じて、OC層18となる有機化合物の重合を行う。 有機化合物の重合は、使用する有機化合物に応じて、紫外線照射や可視光照射などの光照射、電子線照射、加熱重合、プラズマ照射等の公知の方法で行えばよい。

前述のように、OC層18は、表面粗さRaが1nm以上である。 OC層18の表面粗さRaは、OC層塗布液中の固形分濃度を調節することで制御できる。同様に、OC層18の最大高さRyも、OC層塗布液中の固形分濃度を調節することで制御できる。一般的に、OC層塗布液中の固形分濃度を高くすることで、表面粗さRaおよび最大高さRyを、共に、大きくできる。

このようにしてOC層18を形成したら、OC層18の上に、接着層34を形成する。 一例として、接着層34は、下地有機層14と同様に、塗布法で形成する。 すなわち、接着層34は、有機溶剤、接着層34となる化合物、重合開始剤等の必要な添加剤を含む、接着層34を形成する接着層塗布液を調製して、この接着塗布液を塗布、乾燥して、さらに、必要に応じて紫外線照射等によって接着剤を重合することで、形成する。

前述のように、接着層34を形成する化合物は、一例として、各種の接着剤である。 接着層塗布液も、公知の塗布法による有機層の形成と同様に、有機溶剤に、接着層34となる化合物としての接着剤を投入し、あるいはさらに、重合開始剤等の必要な添加剤等を投入して、攪拌して調製すればよい。 有機溶剤は、用いる有機化合物等に応じて、適宜、選択すればよい。具体的には、MEK、MIBK、シクロヘキサン、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチル等が例示される。有機溶剤は、複数を混合して用いてもよい。

ここで、本発明においては、OC層18および接着層34と、接着層塗布液の溶剤とのSP値の差が、2以下である。 従って、接着剤塗布液は、先にOC層18を形成したOC塗布液が含有するOC層18となる有機化合物のSP値に応じて、OC層18とシーラント層36との貼着が可能で、かつ、SP値の差が2以下となるような、溶剤および接着層34となる化合物(接着剤)を選択して、調製する。あるいは、接着層34となる化合物に応じて、SP値の差が2以下となるように、接着層塗布液の溶剤およびOC層18となる有機化合物を選択する。

例えば、OC層18をTMPTA(SP値9.7)で形成する場合には、接着層34となる接着剤としてエチルシアノアクリレート(SP値10.7)を用い、溶剤としてMEK(SP値9.3)を用いて、接着層塗布液を調製すればよい。 また、OC層18をDPHA(SP値11.1)で形成する場合には、接着層34となる接着剤としてポリウレタン樹脂(SP値10)を用い、溶剤として酢酸エチル(SP値9.1)を用いて、接着層塗布液を調製すればよい。 さらに、OC層18をポリメタクリル酸メチル(SP値9.25)で形成する場合には、接着層34となる接着剤として酢酸ビニル樹脂(SP値10)を用い、溶剤としてMIBK(SP値8.5)を用いて、接着層塗布液を調製すればよい。

前述のように、本発明によれば、この各材料のSP値の差と、OC層18の表面粗さRaとの相乗効果によって、OC層18と接着層塗布液との界面において、接着層塗布液の粘度が上昇し、接着層塗布液のハジキが抑制できる。

ここで、接着層塗布液は、表面張力が20〜27mN/mであるのが好ましく、23〜26mN/mであるのがより好ましい。 接着層塗布液の表面張力を上記範囲とすることにより、OC層18に対する接着層塗布液の塗布性をより向上させ、接着層塗布液のハジキを、より好適に防止できる。なお、表面張力は、JIS K 2241 に準拠してリング法で測定すればよい。 また、接着層塗布液は、粘度が5〜40mPa・秒であるのが好ましく、13〜26mPa・秒であるのがより好ましい。なお、この粘度は、25℃における粘度である。 接着層塗布液の粘度を上記範囲とすることにより、同様に、OC層18に対する接着層塗布液の塗布性をより向上させ、接着層塗布液のハジキを、より好適に防止できる。

OC層18への接着層塗布液の塗布方法には、特に限定は無い。 従って、塗布液の塗布は、スロットルダイコータなどのダイコータ、浸漬塗布、エアーナイフ塗布、カーテン塗布、ローラ塗布、バー塗布、グラビア塗布、スライド塗布等の公知の塗布液の塗布方法が、全て利用可能である。 中でも、バー塗布、グラビア塗布、スロットルダイコータは、好適に利用される。接着層塗布液の塗布を、これらの塗布方法で行うことにより、OC層18に接着層塗布液以外が接触することがないためOC層18の損傷を防ぐことが可能である、幅方向の膜厚均一性を高くできる、高速塗布が可能である等の点で好ましい。

OC層18の上に接着層塗布液を塗布したら、次いで、接着層塗布液の乾燥を行う。 乾燥方法は、公知の加熱手段や乾燥手段が全て利用可能である。 具体的には、ヒートローラを用いる乾燥手段、温風による乾燥手段、伝熱板を用いる乾燥手段等が、例示される。接着層塗布液の乾燥は、これらの1つのみを用いてもよく、複数を併用してもよい。

ここで、接着層塗布液の乾燥は、接着層塗布液をOC層18に塗布した後、20秒以上経過した後に行うのが好ましく、40秒以上経過した後に行うのが好ましい。 接着層塗布液の乾燥を、塗布後、20秒以上経過した後に行うことにより、接着層塗布液が乾燥するまでの時間を十分に確保して、接着層塗布液を十分にレベリングすることができ、接着層塗布液のハジキを、より好適に抑制できる。

また、接着層塗布液の乾燥は、接着層塗布液の温度が70〜80℃となるようにして行うのが好ましい。 接着層塗布液の乾燥を、接着層塗布液の温度が70〜80℃となるようにして行うことにより、熱硬化による粘度増加が好適に生じ、前述の粘度増加によるハジキの抑制効果を、より好適に得られる。

接着剤塗布液を乾燥したら、必要に応じて、接着層34の形成材料すなわち接着剤の重合を行う。 接着層34の形成材料の重合は、使用する形成材料に応じて、紫外線照射や可視光照射などの光照射、電子線照射、加熱重合、プラズマ照射等の公知の方法で行えばよい。

このようにして接着層34を形成したら、接着層34の上にシーラント層36を貼着して、ガスバリアフィルム10を作製する。 接着層34へのシーラント層36の貼着は、圧着、加熱圧着等の公知の方法で行えばよい。

以上、本発明の積層フィルム、輸液バックおよび積層フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。

以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。 [実施例1] 支持体12の上に、下地有機層14、無機層16、OC層18、および、シーラント層を有するガスバリアフィルム10を作製した。

支持体12は、幅1000mm、厚さ100μm、長さ100mのPETフィルム(東洋紡社製 コスモシャインA4300)を用いた。

<下地有機層14の形成> TMPTA(ダイセルサイテック社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをMEKに溶解して、下地有機層14を形成するための固形分濃度15質量%の塗布液を調製した。 ダイコータによる塗布部、温風による乾燥部、および、紫外線照射による硬化部を有する、一般的なRtoRによる成膜装置の塗布部の所定位置に、この塗布液を充填した。また、支持体12をロール状に巻回してなるロールを、この成膜装置の所定位置に装填して、支持体12を所定の搬送経路に挿通した。 成膜装置において、支持体12を長手方向に搬送しつつ、ダイコータによって塗布液を塗布し、50℃の乾燥部を3分間通過させた。その後、紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)して後にUV硬化にて硬化させ、巻き取って、支持体12の上に下地有機層14を形成したロールとした。下地有機層14の厚さは、1μmであった。

<無機層16の形成> 下地有機層14を形成した支持体12のロールを、RtoRを用いて、CCP−CVD(容量結合形プラズマCVD)によって成膜を行う、一般的なCVD成膜装置の所定位置に装填し、支持体12を所定の搬送経路に挿通した。 このCVD成膜装置において、下地有機層14を形成した支持体12を長手方向に搬送しつつ、下地有機層14の上に、無機層16として窒化ケイ素膜を形成した。 原料ガスは、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源は、周波数13.56MHzの高周波電源を用い、プラズマ励起電力は800Wとした。成膜圧力は40Paとした。無機層16の膜厚は、50nmであった。

ウレタン骨格アクリルポリマ(大成ファインケミカル社製、アクリット8BR500、SP値:9.5)および光重合開始剤(チバケミカル社製、Irg184)を用意し、質量比率として95:5となるように秤量し、これらをMEKに溶解して、表層有機層18を形成するための固形分濃度15質量%の重合性組成物を調製した。

下地有機層14と同様の一般的なRtoRによる成膜装置を用い、下地有機層14の形成と同様にして、OC塗布液を無機層16の上に塗布、乾燥、硬化して、OC層18を形成した。 乾燥温度は90℃、乾燥部の通過時間は3分、紫外線の照射量は積算照射量約600mJ/cm2とした。OC層18の厚さは、1μmであった。

任意に選択した位置で100×100mmのサンプルを切り取り、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製のSPA500によってOC層18の表面粗さRaを測定したところ、表面粗さRaは10nmであった。 さらに、このサンプルについて、接触式膜厚段差計(Veeco社製、DEKTAK3ST)を用いてOC層18の最大高さRyを測定したところ、最大高さRyは18nmであった。

<接着層34の形成> 2液硬化性のポリウレタン系接着剤(サンユレック社製、SU3600AおよびSU3600B、SP値:10)を質量比率として30:100となるように秤量し、これらを酢酸エチル(SP値:9.1)に溶解して、接着層34を形成するための固形分濃度30質量%の接着層塗布液を調製した。 表面張力計(協和界面科学社製 DY300)によって接着層塗布液の表面張力を測定したところ、24mN/mであった。 また、B型粘度計によって接着層塗布液の粘度を測定したところ、20mPa・秒であった。

グラビアコータによる塗布部および乾燥部を有する、塗布法による成膜を行う一般的なRtoRによる成膜装置を用い、下地有機層14の形成と同様にして、接着層塗布液を無機層16の上に塗布および乾燥して、接着層34を形成した。 なお、この成膜装置の乾燥部は、搬送方向に3つの領域に分割されており、各領域毎に温度調節が可能である。また、塗布部の移動により、塗布から乾燥部に進入するまでの時間も調節可能である。本例では、接着層塗布液の塗布完了から乾燥部に進入するまでの時間(乾燥の開始時間)を20秒、乾燥温度を70℃、75℃および80℃、乾燥部の通過時間を45秒とした。 接着層34の厚さは3μmであった。

<シーラント層36の貼着> シーラント層36としてポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工社製、厚さ:30μm、融点:約161℃)を用意した。 RtoRによって、シート状物の積層を行う一般的な装置を用いて、このポリプロピレンフィルムを接着層34に貼着して、ガスバリアフィルム10を作製した。

[実施例2] OC層18の形成において、OC塗布液の固形分濃度を5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは1nm、最大高さRyは1.8nmであった。

[実施例3] 下地有機層14の形成に用いた塗布液をOC塗布液として用い、下地有機層14と同様にして厚さ1μmのOC層18を形成した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。なお、TMPTAのSP値は9.7である。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは10nm、最大高さRyは18nmであった。

[実施例4] OC層18の形成において、OC塗布液の固形分濃度を5質量%に変更した以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは1nm、最大高さRyは1.8nmであった。

[実施例5] 接着層34の形成において、接着層塗布液の溶剤としてシクロヘキサン(SP値:8.2)を用いた以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルムを作製した。 実施例1と同様に接着層塗布液の表面張力および粘度を測定したところ、表面張力は35.2mN/m、粘度は21mPa・秒であった。

[比較例1] OC層18の形成において、OC塗布液の固形分濃度を1質量%に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは0.5nm、最大高さRyは0.9nmであった。

[比較例2] OC層18の形成において、OC塗布液の固形分濃度を1質量%に変更した以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは0.5nm、最大高さRyは0.9nmであった。

[比較例3] 接着層34の形成において、接着層塗布液の溶剤としてヘキサン(SP値:7.3)を用いた以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルムを作製した。 実施例1と同様に接着層塗布液の表面張力および粘度を測定したところ、表面張力は18mN/m、粘度は20mPa・秒であった。

[比較例4] 接着層34の形成において、接着層塗布液の溶剤としてヘキサン(SP値:7.3)を用いた以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルムを作製した。 実施例1と同様に接着層塗布液の表面張力および粘度を測定したところ、表面張力は18mN/m、粘度は20mPa・秒であった。

[実施例6] OC層18の形成において、OC塗布液の固形分濃度を70質量%に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に、OC層18の表面粗さRaおよび最大高さRyを測定したところ、表面粗さRaは230nm、最大高さRyは400nmであった。

[実施例7] OC層18の形成において、OC層塗布液にイソシアネート基を有する化合物(DIC社製、DN−980)を添加した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 ウレタン骨格アクリルポリマ、光重合開始剤およびイソシアネート基を有する化合物は、質量比率として85:10:5となるように秤量して添加した。OC層塗布液の固形分濃度は、15質量%とした。 OC層18の厚さは、1μmであった。 [実施例8] OC層18の形成において、OC層塗布液にシランカップリング剤(信越シリコーン社製、KBM5103)を添加した以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 TMPTA、光重合開始剤およびシランカップリング剤は、質量比率として85:10:5となるように秤量して添加した。OC層塗布液の固形分濃度は、15質量%とした。 接着層34の厚さは、1μmであった。 [実施例9] OC層18の形成において、OC層塗布液にフッ素系の界面活性剤(3M社製、FC4432)を添加した以外は、実施例3と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 TMPTA、光重合開始剤および界面活性剤は、質量比率として94.7:5:0.5となるように秤量して添加した。OC層塗布液の固形分濃度は、15質量%とした。 接着層34の厚さは、1μmであった。

[実施例10] 接着層34の形成において、接着層塗布液の溶媒をトルエン(SP値8.9)に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に接着層塗布液の表面張力および粘度を測定したところ、表面張力は28.5mN/m、粘度は20mPa・秒であった。 [実施例11] 接着層34の形成において、接着層塗布液の固形分濃度を60質量%に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 実施例1と同様に接着層塗布液の表面張力および粘度を測定したところ、表面張力は28mN/m、粘度は110mPa・秒であった。

[実施例12] 接着層34の形成において、接着層塗布液の塗布完了から乾燥部に進入するまでの時間を40秒に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。 [実施例13] 接着層34の形成において、乾燥温度を60℃、65℃および70℃に変更した以外は、実施例1と同様にガスバリアフィルム10を作製した。

<塗布ハジキの評価> 作製したガスバリアフィルムの任意の位置を0.7×15mに切断して、目視によって0.5m2以上の接着剤抜けの個数を計数した。 評価は、以下のとおりである。 A; 1m2あたりの接着剤抜けの数が0.5個未満 B; 1m2あたりの接着剤抜けの数が0.5個以上1個未満 C; 1m2あたりの接着剤抜けの数が1個以上2個未満 D; 1m2あたりの接着剤抜けの数が2個以上。 結果を下記の表に示す。

上記表に示されるように、本発明のガスバリアフィルムは、1m2あたりの接着剤抜けの数が2個未満と、良好な外観を有している。特に、OC層18にイソシアネート基を含む化合物を添加した実施例7、OC層18にシランカップリング剤を添加した実施例8、OC層18に界面活性剤を添加した実施例9、接着層塗布液の乾燥開始までの時間を40秒と長くした実施例12は、1m2あたりの接着剤抜けの数が0.5個未満と、非常に優れた外観を有している。 これに対して、OC層18の表面粗さRaが0.5以下の比較例1および2、接着層塗布液の溶剤のSP値と、OC層18および接着層34のSP値との差が2を超える比較例3および4は、いずれも、1m2あたりの接着剤抜けの数が2個以上で、外観不良で不適正品になってしまう可能性が有る。

なお、作製したガスバリアフィルム10の水蒸気透過率を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、測定した。恒温恒湿処理の条件は、温度25℃、相対湿度50%とした。 その結果、実施例および比較例に関わらず、全てのガスバリアフィルムにおいて、水蒸気透過率が2.5×10-5g/(m2・day)以下という、高いガスバリア性を有していた。 すなわち、本発明によれば、接着剤抜けに起因する外観不良が無く、しかも、ガスバリア性も優れたシーラント層付きのガスバリアフィルムを得ることができる。 以上の結果より、本発明の効果は明らかである。

医療用の輸液バックや食品用のチューブや包装袋等に、好適に利用可能である。

10,20 ガスバリアフィルム 12 支持体 14 下地有機層 16 無機層 18 オーバーコート層(OC層) 34 接着層 36 シーラント層

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