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Method for producing sterol fatty acid ester for food

阅读:983发布:2021-01-30

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  • 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に上記脂質分解活性を有する酵素を添加し、加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、 上記取得した遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル合成するとともに反応によって発生する水分を減少させつつ反応を進行させてステロール脂肪酸エステルを生成し、 ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項2】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に対し0.1重量%以上の水分を加えたうえで上記脂質分解活性を有する酵素を添加して加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、 上記加水分解反応後の反応液を静置して油水分離させることによって大半の水分を除去し、 さらに、減圧条件下で60〜100℃で一定時間撹拌することによって反応液を脱水し、 上記脱水した反応液に反応系内の含水量が0.1〜90重量%となるよう水分量を調整し、上記遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル反応によって発生する水分を減少させつつ反応を進行させてステロール脂肪酸エステルを生成し、 ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項3】 上記ステロール脂肪酸エステル合成反応終了時の含水量が反応開始時の含水量の少なくとも90%
    以下になるようにすることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項4】 上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料は、(1)植物由来のステロール類及び/又はスタノール類と脂肪酸又はトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドとの混合物、(2)植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム油、(3)木材パルプの製造時等に副成するトール油、から選択されることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項5】 製品として得られるステロール脂肪酸エステルは、(1)ステロール脂肪酸エステル含量が90重量%以上であり、(2)ステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であり、
    (3)過酸化物価が10以下であり、(4)酸価が1以下であり、(5)色が6以下(ガードナー法)であり、
    (6)官能的に殆ど無臭である、ことを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項6】 ステロール原料として大豆油の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする請求項1記載の食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項7】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行うことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項8】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 原料として木材パルプの製造時等に副成するトール油を使用し、 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行うことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項9】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、 脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、 含水量を減少させつつエステル反応を進行させ、 ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項10】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 原料として木材パルプの製造時等に副成するトール油を使用し、 シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、 含水量を減少させつつエステル反応を進行させ、 ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。 【請求項11】 ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、 上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に上記脂質分解活性を有する酵素を添加し、加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、 上記取得した遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル反応によって発生する水分を減少させつつエステル反応を進行させ、 さらに、 遊離ステロールと遊離脂肪酸の除去、色素成分の除去、
    臭気成分の除去、の各操作を各々1回又は複数回任意の順番で行い、 食品用の優れた物性を有し、かつ官能面及び安全面において優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、安価で、人体に対して安全であり、かつ官能的にも優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法に関し、特にステロール類及び脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に対し脂質分解活性を有する酵素を作用させることによってステロール脂肪酸エステルを合成する方法において、エステル化率を向上させ、もって高い収率でステロール脂肪酸エステルを得るようにした食品用ステロール脂肪酸エステルの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】大豆油や菜種油等の植物油脂の精製過程において、β-シトステロールをはじめとする多くの植物ステロールが不ケン化物の一部として得られるが、このうち特にβ-シトステロールについては血漿コレステロールの低下作用を持つことが明らかにされ、注目を浴びている。 【0003】しかし、上記植物ステロールは一般にエステル体ではなく遊離体である為に、消化管内のミセル相には溶けにくく、生理効果を得る為の適切な摂取形態とは言い難い。 そこで、ミセル相における脂溶性を改善する為に、植物ステロールを脂肪酸エステル体として摂取することが提案されている。 最近では、植物ステロールをステロール脂肪酸エステルとして添加したマーガリン等、各種食品に対し植物ステロールを脂肪酸エステル体として添加することが試みられている。 【0004】従来、上記植物ステロールを含む各種ステロール類と脂肪酸とのエステルは、例えば酸又はアルカリ等の化学触媒を使用する化学合成法で製造されている。 例として、コレステリック液晶、医薬化粧品用親性基材として用いられているコレステロール脂肪酸エステルが知られている。 しかし、一般に化学合成法では、
    その反応条件が過酷である為に品質の劣化を招きやすい、副反応物が生成しやすい、合成反応後の精製工程が非常に煩雑で副反応物や反応触媒等の混入も懸念される、という問題点がある為に、化学合成法により得られる製品を食品等へ利用することは不適切である。 【0005】そこで、化学合成法にかわる方法として、
    コレステロールエステラーゼやリパーゼといった脂質分解活性を有する酵素の利用が検討されている。 【0006】コレステロールエステラーゼ及びリパーゼは、ともにカルボン酸エステルヒドロラーゼ群に含まれる酵素で、それぞれ、コレステロール脂肪酸エステルを加水分解し遊離コレステロールと遊離脂肪酸を生成する酵素、及びグリセロール脂肪酸エステルを加水分解しグリセロールと遊離脂肪酸を生成する酵素として定義されている。 【0007】一方、両酵素活性が同一酵素中に見出されている例として(D. Lombardoら、Biochem. Biophys. A
    cta, 611, (1980),147-)や、両酵素が同一の反応を触媒する例として(WEMomsenら、Biochem. Biophys. A
    cta, 486, (1977),103-)にあるように、両酵素を明確に分類することは困難とも考えられている。 【0008】各種ステロール類と脂肪酸とのエステルの合成においては、上記酵素の、エステル加水分解の逆反応であるエステル合成反応を触媒するという機能が利用されている。 【0009】Lawrence A.らは、コレステロールエステラーゼとして知られているイヌ膵液由来のステロールエステルヒドロラーゼによって、遊離コレステロールと遊離オレイン酸からコレステロールオレイン酸エステルを合成できることを示した(Biochem. Biophys. Acta, 23
    1, (1971), 558-560)。 またD. Lombardoらは、人体膵液由来のコレステロールエステラーゼがコレステロール脂肪酸エステルの合成反応を触媒することを示した(Bi
    ochimie et al, 1980, 62, 427-432 )。 さらに明星らは、リパーゼがコレステロール脂肪酸エステルの合成反応を触媒することを確認した(特願昭60-45128号)。 【0010】このように、酵素法を用いた各種ステロール類と脂肪酸とのエステルの合成については数多くの例が知られているが、一方で以下のような問題点があった。 【0011】(1)上記の例は、いずれも単に実験的に合成反応についてのみ示したものであり、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材として工業的規模で製造することを意図したものではない。 つまり、一般食品素材や健康食品素材あるいは医薬品素材として利用するために重要な、収率、製造コストや、色、におい、味等の官能面における品質、さらには安全性については一切考慮されていない。 【0012】(2)一般に、脂質分解酵素によって触媒される反応においては、酵素の触媒機能を発現させる為には反応系内にある程度以上の含水量が必要である。 一方、エステルの合成反応は水の生成を伴う反応であるから、エステルの合成がある程度進んだ時点で反応系内の含水量が過剰である場合、エステル合成とエステル分解の反応が平衡に達しエステルの収率が向上しなくなる。
    例えば特開2000-302777号公報に記載されている、大豆スカムを原料としたリパーゼによるステロール脂肪酸エステルの合成においては、酵素反応後のエステル化率が
    70.1%であると記載されているが、これは上記のような理由によって、エステル化率がそれ以上向上できなくなったものと考えられる。 【0013】酵素反応におけるステロールのエステル化率を向上させる方法としては、反応系内での有機溶媒の使用や、あるいは大豆スカムを原料とする場合においては分子蒸留等による原料中の不純物の除去等が考えられる。 【0014】しかし、これらの方法はそれぞれ、蒸留時の加熱による脂肪酸類の着色や酸化劣化、及び製造コストの増大を招くという問題点があり、安全で、安価で、
    かつ食品として官能的に優れた食品用ステロール脂肪酸エステルの製造を目的とする場合においては、採用しがたい。 【0015】(3)酵素法による各種ステロール類と脂肪酸とのエステルの合成において、従来使用されている原料としては、植物由来のステロール類と脂肪酸との混合物、植物由来のステロール類とトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリド類との混合物、あるいは植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム油が知られている。 【0016】一般に、市販されている植物由来のステロール類、脂肪酸、及び脂肪酸グリセリド類は、高度に精製されており不純物を殆ど含んでいないので、食品用として人体に対して安全なステロール脂肪酸エステルを製造するという目的において、良質な原料といえる。 しかしながら、これらは高価で、ステロール脂肪酸エステルの製造コストの増大を招く。 従って、これらを原料として食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する場合には、可能な限り高い収率で安価に製造することが重要であるが、従来の方法ではこれらの対処方に対して充分でなかった。 【0017】一方、脱臭スカム油は、β-シトステロールをはじめとする上記植物ステロール類や、脂肪酸及びトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリド類等が高濃度に含まれており、しかも植物油脂の脱臭工程において発生する副成物であることから、安価な食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する為の原料としての利用が期待できる。 【0018】しかしながら、この脱臭スカム油には、トランス型脂肪酸、酸化劣化した脂肪酸、及び色素類等、
    多くの不純物が含まれている。 トランス型脂肪酸は、人体体内において冠状動脈性心臓病の発生リスクを増大させることから、近年では欧米を中心にマーガリン等各種食品中のトランス型脂肪酸の含量を低減化させる傾向が広まっている。 また酸化劣化した脂肪酸は官能的にも好ましくない性状を製品に与える。 このようなことから、
    脱臭スカム油を使用する場合には、トランス型脂肪酸や酸化劣化した脂肪酸を含まない、人体に対して安全で、
    かつ官能的にも優れた食品用ステロール脂肪酸エステルの製造法が求められているが、従来の方法ではこれらの対処方に対して充分でなかった。 【0019】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、安価で、人体に対して安全であり、かつ官能的にも優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法を提供することを目的とする。 【0020】 【課題を解決するための手段】図1は本発明の全体的な概略構成を示す構成図であり、図2は図1の内容を概略的にフローチャートで示したものである。 【0021】図1、2を参照しながら本発明の概要を説明すると、ステロール類及び脂肪酸又は脂肪酸グリセリド類を含む原料に対して、脂質分解活性を有する酵素を作用させることによってステロール脂肪酸エステルを合成する際に、まず反応系内の含水量を反応中に減少させることによって、高いエステル化率でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い(図2のステップ100)、さらに数段階の精製処理を施して(図2のステップ20
    0)、安価であり、人体に対して安全であり、かつ官能的にも優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを製造するものである。 【0022】ここで本発明に係わる請求項1記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に上記脂質分解活性を有する酵素を添加し、加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、上記取得した遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル合成反応を行うとともに反応によって発生する水分を減少させつつ反応を進行させてステロール脂肪酸エステルを生成し、ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする。 【0023】また、請求項2記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に対し0.1重量%以上の水分を加えたうえで上記脂質分解活性を有する酵素を添加して加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、上記加水分解反応後の反応液を静置して油水分離させることによって大半の水分を除去し、さらに、減圧条件下で60〜100℃で一定時間撹拌することによって反応液を脱水し、上記脱水した反応液に反応系内の含水量が0.1〜90重量%となるよう水分量を調整し、上記遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル反応によって発生する水分を減少させつつ反応を進行させてステロール脂肪酸エステルを生成し、ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする。 【0024】また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記ステロール脂肪酸エステル合成反応終了時の含水量が反応開始時の含水量の少なくとも
    90%以下になるようにすることを特徴とする。 【0025】また、請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料は、(1)植物由来のステロール類及び/又はスタノール類と脂肪酸又はトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドとの混合物、(2)植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム油、(3)木材パルプの製造時等に副成するトール油、から選択されることを特徴とする。 【0026】また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、製品として得られるステロール脂肪酸エステルは、(1)ステロール脂肪酸エステル含量が
    90重量%以上であり、(2)ステロール脂肪酸エステルの構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量が2%以下であり、(3)過酸化物価が10以下であり、(4)酸価が1
    以下であり、(5)色が6以下(ガードナー法)であり、(6)官能的に殆ど無臭である、ことを特徴とする。 【0027】また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、ステロール原料として大豆油の精製工程において発生する大豆脱臭スカム油を用いることを特徴とする。 【0028】また、請求項7記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行うことを特徴とする。 【0029】また、請求項8記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、原料として木材パルプの製造時等に副成するトール油を使用し、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行うことを特徴とする。 【0030】また、請求項9記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、原料として植物油脂の脱臭工程において発生する脱臭スカム油を使用し、脱臭スカム油中の脂肪酸エステル類の加水分解反応を行い、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、含水量を減少させつつエステル反応を進行させ、
    ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする。 【0031】また、請求項10記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、原料として木材パルプの製造時等に副成するトール油を使用し、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、含水量を減少させつつエステル反応を進行させ、ステロール脂肪酸エステル化率を向上させたことを特徴とする。 【0032】また、請求項11記載の発明は、ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に上記脂質分解活性を有する酵素を添加し、加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、上記取得した遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル反応によって発生する水分を減少させつつエステル反応を進行させ、さらに、遊離ステロールと遊離脂肪酸の除去、色素成分の除去、臭気成分の除去、の各操作を各々1回又は複数回任意の順番で行い、食品用の優れた物性を有し、かつ官能面及び安全面において優れた食品用ステロール脂肪酸エステルを得ることを特徴とする。 【0033】以下、本発明を図3乃至図7を参照しながら詳述する。 【0034】なお、以下の説明では、まず図2のステップ100の処理を図3乃至図6に基づいて説明し、次にステップ200の処理を図7に基づいて説明する。 【0035】本発明に使用する原料としては、ステロール類、脂肪酸、脂肪酸グリセリドを含む混合物であれば任意のものを使用することができるが、以下の説明では、(1)植物由来のステロール類と脂肪酸との混合物を使用する場合(図3)、(2)植物由来のステロール類とトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドとの混合物を使用する場合(図4)、(3)植物油脂の脱臭工程で発生する脱臭スカム油を使用する場合(図5)、
    (4)木材パルプの製造時等に副成するトール油を使用する場合(図6)、に分けて説明する。 【0036】まず、図3を参照しながら(1)の植物由来のステロール類と脂肪酸との混合物を原料として使用する場合について説明する。 【0037】なお、図1のステップ110〜118の処理は図3乃至図6の処理と等価であり、代表として図3
    の符号を使用している。 【0038】ここでいう植物由来のステロール類としては、大豆や菜種等をはじめとする植物に由来するステロールであればいずれでも良く、β-シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール等があげられるが、さらにこれらを飽和化したβ-
    シトスタノールをはじめとするスタノール類も用いることができる。 また、これらのステロール及びスタノール類は遊離型でもよいが、他の物質と結合したエステル体も使用できる。 【0039】また、脂肪酸としては、動物あるいは植物由来の飽和脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸のいずれでも良く、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等があげられる。 通常、直鎖脂肪酸を用いる場合が多いが、分岐脂肪酸を用いてもよい。 【0040】これらの植物ステロール類や脂肪酸は、通常高度に精製されているので、トランス型脂肪酸等の酸化劣化した脂肪酸類や色素類等の不純物の含量は非常に少ない。 【0041】従って、出発物質としての原料内には、ステロール類、脂肪酸、臭気成分、色素成分を主成分として含むことになる(ステップ110)。 【0042】次に、これらの原料を基にステロール類と脂肪酸との酵素反応(エステル合成)を行う(ステップ112)。 これによって、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分とともにステロール脂肪酸エステルを少量取得できることになる(ステップ114)。 【0043】なお、ステップ112の酵素反応処理に使用する酵素は、次に述べるエステル合成反応に使用する酵素と同一の酵素が使用されるが、上記の如き原料を使用する場合は、シス型脂肪酸に選択的な脂質分解活性を有する酵素を必ずしも使用する必要はない。 【0044】ところで、これらの原料はすでにそれぞれの原料として精製された精製品であり高価である。 一方、製品の製造コストを可能な限り低減する為に、高い収率でステロール脂肪酸エステルを製造しなければならないという要請もある。 【0045】そこで、本発明では、酵素反応によってステロール脂肪酸エステルを合成する際に、反応系内の含水量を反応中に減少させることによって、高いエステル化率でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、高い収率でステロール脂肪酸エステルを得ることができるようにしている(ステップ116)。 なお、ステップ11
    6の含水量の調節処理については、後に詳述する。 【0046】なお、原料となる植物由来のステロール類は、その融点が非常に高い為に、もう一方の基質である脂肪酸との溶解性が非常に悪くなり、ステロールのエステル化率が低くなる場合がある。 この場合には、より高温で合成反応を行うことも可能であり、例えば耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いて、50〜90℃で反応を行うとよい。 但しこの際に、反応中の熱劣化がさらに激しく進むこと、また、反応中に酵素が失活する可能性があることから、ステロール脂肪酸エステルの加熱劣化及び酸化劣化を防止する為に、ビタミンEや茶ポリフェノール等の酸化防止効果を有する物質を添加し、また、酵素の失活を防止する為に胆汁酸塩等の塩類や糖類、蛋白質等の酵素失活を防止する物質等を添加することもできる。 【0047】こうして、最終取得物として、ステロール脂肪酸エステル、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分を取得できることになる(ステップ11
    8)。 【0048】以上が、図2のステップ100のステロール脂肪酸エステルの合成処理の内容である。 【0049】次に、図4を参照しながら(2)の植物由来のステロール類とトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドとの混合物を使用する場合について説明する。 【0050】ここでいう植物由来のステロール類としては、大豆や菜種等をはじめとする植物に由来するステロールであればいずれでも良く、上記(1)で使用したものと同一のものが使用できる。 【0051】また、脂肪酸グリセリド類の構成脂肪酸も上記(1)で使用したものと同一のものが使用できる。 【0052】これらの植物ステロール類や脂肪酸グリセリド類は、通常高度に精製されているので、トランス型脂肪酸等の酸化劣化した脂肪酸類や色素類等の不純物の含量は非常に少ない。 【0053】従って、出発物質としての原料内には、ステロール類、脂肪酸グリセリド類、臭気成分、色素成分を主成分として含むことになる(ステップ120)。 【0054】次に、これらの原料を基にステロール類と脂肪酸グリセリド類との酵素反応(加水分解)を行う(ステップ122)。 これによって、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分とともにステロール脂肪酸エステルを少量取得できることになる(ステップ12
    4)。 【0055】ところで、ステップ122のステロール類と脂肪酸グリセリド類との酵素反応(加水分解)は反応初期(30分〜2時間)でほぼ完全に終了し、グリセロールと遊離脂肪酸が生成する。 と、同時にステロール脂肪酸エステルの合成も始まるが、含水量が多いため、エステル合成率は次第に低下する。 従って、ステップ126
    の含水量の調節処理(減水処理)が必要になる。 【0056】なお、ステップ122の酵素反応処理に使用する酵素は、次に述べるステップ126のエステル合成反応に使用する酵素と同一の酵素が使用されるが、上記の如き原料を使用する場合は、上記(1)の場合と同様、シス型脂肪酸に選択的な脂質分解活性を有する酵素を必ずしも使用する必要はない。 【0057】ところで、これらの原料はすでに述べたようにそれぞれの原料として精製された精製品であり高価である。 一方、製品の製造コストを可能な限り低減する為に、高い収率でステロール脂肪酸エステルを製造しなければならないという要請もある。 【0058】そこで、すでに述べたように、反応系内の含水量を反応中に減少させることによって、高いエステル化率でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い、
    高い収率でステロール脂肪酸エステルを得ることができるようにしている(ステップ126)。 なお、ステップ1
    26の含水量の調節処理については、後に詳述する。 【0059】なお、原料となる植物由来のステロール類は、その融点が非常に高い為に、もう一方の基質である脂肪酸との溶解性が非常に悪くなり、ステロールのエステル化率が低くなる場合がある。 この場合には、より高温で合成反応を行うことも可能であり、例えば耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いて、50〜90℃で反応を行うとよい。 但しこの際に、反応中の熱劣化がさらに激しく進むこと、また、反応中に酵素が失活する可能性があることから、ステロール脂肪酸エステルの加熱劣化及び酸化劣化を防止する為に、ビタミンEや茶ポリフェノール等の酸化防止効果を有する物質を添加し、また、酵素の失活を防止する為に胆汁酸塩等の塩類や糖類、蛋白質等の酵素失活を防止する物質等を添加することもできる。 【0060】こうして、最終取得物として、ステロール脂肪酸エステル、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分を取得できることになる(ステップ12
    8)。 【0061】次に、図5を参照しながら(3)の脱臭スカム油を原料として使用する場合について説明する。 脱臭スカム油としては、植物油脂の脱臭工程で副成するものであれば任意の植物油に由来するものでよく、例えば大豆脱臭スカム油、菜種脱臭スカム油、パーム脱臭スカム油などがあげられ、その他、ヒマワリ油、米ぬか油、
    コーン油、サフラワー油などに由来する脱臭スカム油も使用できる。 【0062】これらの脱臭スカム油中には、遊離ステロール、遊離脂肪酸をはじめとして、トリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、臭気成分、色素成分、トコフェロール、カロチン、
    ワックス、スクワレンなどが含まれている(ステップ1
    30)。 【0063】このうち、ステロール類には遊離ステロールとしてβ-シトステロールをはじめとして、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール等が含まれており、一方、遊離脂肪酸あるいはトリアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドに結合している脂肪酸としては、リノール酸をはじめとして、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、α-リノレン酸、ミリスチン酸等が含まれている。 【0064】これらの脂肪酸のうち、不飽和結合を比較的多く持つリノール酸などではトランス型脂肪酸の割合が高く、リノール酸を多く含む大豆脱臭スカム油では、
    そのトランス型脂肪酸含量も高いものと考えられる。 【0065】そして、ここでも、上記ステップ130の内容物を含む脱臭スカム油を原料として図4のステップ122、124、126と同様、ステロール類と脂肪酸や脂肪酸グリセリド類との酵素反応(加水分解)(ステップ132)、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分及び少量のステロール脂肪酸エステルの取得(ステップ134)を行い、含水量調節によるエステル合成を行う(ステップ136)。 【0066】ところで、上記のごとき脱臭スカム油を原料として用いる際には、通常色素成分やその他の固形物が含まれている場合が多いため、ステップ132の処理に進む前に予め吸着剤処理や濾過等によって固形物等の不要な成分を除いておくとよい。 【0067】また、コスト的に可能な範囲であれば、ステップ136のエステル合成処理では、予め、ステップ134で取得された脱臭スカム油中の遊離ステロールと遊離脂肪酸を蒸留法や分別法によって任意に濃縮したものを用い、また脱臭スカム油に遊離ステロールや遊離脂肪酸を添加したものを原料としてもよい。 【0068】しかし、脱臭スカム油を原料として用いる長所は、脱臭スカム油中にステロール脂肪酸エステルの原料となるステロール、脂肪酸及び脂肪酸グリセリド類がすでに存在している点であり、これらが共存する状態で脱臭スカム油を用いることによって安価なステロール脂肪酸エステルを得ることができることにあるので、遊離ステロールや遊離脂肪酸をさらに添加するということはこれらの長所を減殺することになることはいなめない。 【0069】ここで、脱臭スカム油を原料としてステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う場合、先に述べたトランス型脂肪酸も利用される為に、得られるステロール脂肪酸エステルはトランス型脂肪酸を含むこととなり、食品に適した安全性の高い製品であるとは言い難くなる。 【0070】そこで、本発明において脱臭スカム油を原料とする場合には、トランス型脂肪酸に全く作用しないか、あるいは非常に作用しがたい、言い換えればシス型脂肪酸にだけ選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素を用いることによって、脱臭スカム油中のトランス型脂肪酸を基質としないステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い(ステップ132、136)、トランス型脂肪酸の含量が非常に少ない製品を安価に得ることができる。 【0071】ここで、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素としては、キャンディダ( Ca
    ndida )属、ムコール( Mucor )属、リゾプス( Rhizopu
    s )属、アスペルギルス( Aspergillus )属、フミコラ( Humicola )属の脂質分解活性を有する酵素等があげられるが、高温条件下でステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う場合には、耐熱性の脂質分解活性を有する酵素を用いてもよい。 また、酵素は精製されたものであっても、粗精製のものであってもよく、また、生物由来の脂質分解活性を有する酵素を使用する場合は、菌体そのものを用いても、培養液を用いてもよい。 さらに、上記酵素は遊離型のものでもよく、セライト等の各種担体によって固定化されたものでもよい。 但し、本発明で用いられる脂質分解活性を有する酵素によるステロール脂肪酸エステルの合成反応条件としては、色、におい、味などの官能面における品質はもとより、安全性を考慮した、食品として適当な品質を有する製品を安価に得るために厳密に制御する必要性がある。 【0072】なお、脱臭スカム油を原料とする場合においても、酵素反応によってステロール脂肪酸エステルを合成する際に、反応系内の含水量を反応中に減少させることによって、酵素反応におけるエステル化率が向上し、高い収率でステロール脂肪酸エステルを得ることができる。 【0073】ここで、脱水前の反応は主にトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリド類の加水分解反応(ステップ132)であるから、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素を使用する以外にも、
    例えば酸叉はアルカリ性触媒等を使用して脂肪酸グリセリド類の加水分解反応を行ってもよい。 この場合は、加水分解反応後反応液を水洗し、洗浄水のpHが中性付近になったのを確認後、反応液を脱水し、ステップ134以下の工程に進めばよい。 【0074】こうして、最終取得物として、ステロール脂肪酸エステル、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分を取得できることになる(ステップ13
    8)。 【0075】以上が、図2のステップ100のステロール脂肪酸エステルの合成処理の内容である。 【0076】次に、図6を参照しながら(4)のトール油を使用する場合について説明する。 トール油は、木材チップからパルプを製造する際に得られる副成物で、主成分は、植物ステロール、遊離脂肪酸、ロジンで、植物ステロールは約10%程度含まれている。 【0077】ここで植物ステロールとしてはβ-シトステロールをはじめとして、カンペステロール、ブラシカステロール、スチグマステロール等が含まれており、一方、遊離脂肪酸としては、リノール酸及びオレイン酸がほとんどで、他にパルミチン酸、ステアリン酸等が含まれている。 これらの脂肪酸のうち、不飽和結合を比較的多く持つリノール酸などではトランス型脂肪酸の割合が高く、リノール酸を多く含むトール油では、一般にそのトランス型脂肪酸含量も高いものが多い。 【0078】上記のごときトール油を原料として用いる際には、脱臭スカム油の場合と同様に、ステップ142
    の酵素反応処理の前に予め吸着剤処理や濾過等によって固形物等の不要な成分を除いてから用いるとよい。 【0079】また、コスト的に可能な範囲であれば、ステップ142のエステル合成処理において、予め、遊離ステロールと遊離脂肪酸を蒸留法や分別法によって任意に濃縮したものを用いるとよい。 また、トール油中に遊離ステロールや遊離脂肪酸を添加したものを原料としてもよいが、トール油を原料として用いる長所は、上記脱臭スカム油の場合と同様、トール油中にステロール脂肪酸エステルの原料となるステロールと遊離脂肪酸がすでに存在している点であり、遊離ステロールや遊離脂肪酸を新たに添加するということはこれらの長所が減殺される。 【0080】ここで、トール油を原料としてステロール脂肪酸エステルの合成反応を行う場合には、脱臭スカム油を使用する場合と同様に、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解活性を有する酵素を用いることによって、トール油中のトランス型脂肪酸を基質としないステロール脂肪酸エステルの合成反応を行い(ステップ14
    2、146)、トランス型脂肪酸の含量が非常に少ない製品を安価に得ることができる。 【0081】さらに、反応系内の含水量を反応中に減少させることによって、酵素反応におけるエステル化率が向上し、高い収率でステロール脂肪酸エステルを得ることができる。 【0082】こうして、最終取得物として、ステロール脂肪酸エステル、遊離ステロール、遊離脂肪酸、臭気成分、色素成分を取得できることになる(ステップ14
    8)。 【0083】なお、いずれの原料を使用する場合にも、
    合成反応におけるエステル化率を高める為に、通常撹拌を行いながら反応させるが、場合によっては静置反応も可能である。 静置反応を行う場合には乳化剤などを添加してもよい。 また、ヘキサン等の有機溶媒を使用することによって、エステル化率を高めることもできるが、その場合は溶媒除去が必要となり、製造コストの上昇を招く可能性がある。 【0084】次に、本発明の特徴的な構成である酵素反応条件について詳述する。 なお、以下の説明では、一例として脱臭スカム油を原料として使用する場合について述べるが、他の原料を使用する場合も同様である。 【0085】本発明において使用する酵素量は原料(脱臭スカム油)中に含まれるステロール1g当たり50,000単位以下、より好ましくは10,000単位以下にするとよい(なお、1単位とはオリーブ油から1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離する酵素量とする。)。 製造工程中の加熱処理による劣化を防ぎ、また、より安価な製品を得るためには酵素使用量をできる限り低減することが望ましく、処理原料中に含まれるステロール1g当たり5,00
    0単位以下にするとよい。 さらに合成反応中に酵素を段階的に添加することで酵素使用量を低減することも可能である。 段階的に添加することで酵素の使用効率を高めることができるからである。 【0086】本発明においては、反応系内の含水量が微量である場合には、トリアシルグリセロールあるいは微量のジアシルグリセロール、モノアシルグリセロールが残存する可能性が非常に高く、後の精製工程での除去が困難になることから、予め原料の重量に対して0.1重量%以上の水分を添加して酵素反応を行うことが望ましい。 0.1重量%以上の含水量で酵素反応を行うことにより、反応開始後直ちにトリアシルグリセロール及び共存するジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール等は加水分解されて遊離脂肪酸とグリセリンになる。 その後、遊離脂肪酸はエステル合成反応の基質となり、ステロール脂肪酸エステルの合成が進む。 【0087】しかし、エステルの合成反応は水の生成を伴う反応であるから、反応系内の含水量が過剰である場合、エステルの合成がある程度進んだ時点でエステル合成とエステル分解の反応が平衡に達しエステルの収率が向上しなくなることが充分予想できる。 【0088】そこで、従来では、酵素反応におけるステロールのエステル化率を向上させる為に、脱臭スカム油を原料とする場合においては分子蒸留等による原料中の不純物の除去方法や、あるいは反応系内での有機溶媒の使用方法等が検討されていた。 【0089】しかしながら、これらの方法はそれぞれ、
    蒸留時の加熱による脂肪酸類の着色や酸化劣化、及び製造コストの増大を招く可能性から、安全であり、安価であり、かつ食品として官能的に優れた食品用ステロール脂肪酸エステルの製造を目的とする場合においては、好ましい方法ではなかった。 【0090】このような理由から、エステル化率を向上させる為の方法を鋭意研究した結果、反応系内におけるエステル化合物の増加とともに、反応系内の含水量を漸減させることが、最終的なエステル化率の向上に有効であることをはじめて見出し、本発明に至ったものである。 【0091】本発明において、例えば次のような手順によって反応系内の含水量を調整することができる。 【0092】まず、反応系内の含水量が、原料の重量に対し0.1重量%以上、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは25〜50重量%となる量の水に、一定量の酵素を懸濁したものを原料に添加し、所定の温度で一定時間撹拌することによって、原料に含まれるトリアシルグリセロール及び共存するジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール等はすみやかに加水分解される。 また、エステル合成反応も始まり、少量のステロール脂肪酸エステルが生成するが、先に述べた理由によりエステル化率は低下し、エステル生成量は増加しなくなる。 【0093】次に、反応系内の含水量を調整する為に脱水を行うが、ここでの脱水方法としては、加水分解反応後の反応液を静置して油水分離させることによって大半の水分を除去した後、減圧条件下において60〜100℃で一定時間撹拌することによって反応液を脱水することができるが、それ以外にも、例えば反応液を遠心分離することによって大半の水分を除去した後、上記減圧条件下において反応液を脱水してもよい。 【0094】さらに、減圧条件下での脱水において加熱による着色等の問題を解決する方法として、例えば食品添加用の硫酸ナトリウム等の脱水剤を使用してもよい。 【0095】最後に、脱水した反応液に、反応系内の含水量が反応開始時の含水量の例えば0.1〜90%、好ましくは1.0〜50%以下、さらに好ましくは1.0〜10%になる量の水、及び一定量の酵素を添加し、引き続き所定の温度で一定時間撹拌することによって、ステロール脂肪酸エステルの合成を行うことができる。 【0096】ここで、反応系内の含水量の調整は、上記のように非連続的に行ってもよいし、あるいは減圧下で脱水しながら反応を行うというように連続的に行ってもよい。 非連続的に行う場合の回数は2回以上であってもよい。 即ち、本発明においては、反応開始時の含水量と反応終了時の含水量が最重要であって、反応途中の含水量の増減そのものについては、基本的には含水量減少の方向で進めるものの、当業者の都合により調整できることは当然である。 【0097】酵素反応温度については、反応中の熱劣化を極抑える為に低温であることが望ましく、通常は30
    〜60℃であるとよい。 なお、低温で処理する場合には、
    低温で活性を発現しやすい脂質分解活性を有する酵素を用いるとよい。 【0098】また、酵素反応時間については、所定の反応温度で酵素が失活しない時間であればよく、通常48時間以内であればよい。 なお、原料に含まれるトリアシルグリセロール及び共存するジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール等の加水分解反応時間については、
    加水分解反応が充分達成される時間であればよく、通常は30分間〜2時間程度でよい。 【0099】以上が、本発明の酵素反応条件の内容である。 【0100】次に図7を参照しながら図2のステップ2
    00の酵素反応後の工程について述べる。 【0101】本発明では、色、におい、味などの食品として適当な品質を有し、なおかつ安全面において優れたステロール脂肪酸エステルを安価に得るために、前述の合成反応後の精製を慎重に行わなければならない。 特に高温での処理はトランス型脂肪酸や過酸化物などの生成を新たに引き起こす可能性があることから、温度管理を厳密に行わなければならない。 【0102】ステロール脂肪酸エステルの合成反応後は、まず酵素の失活処理、脱水処理、酵素蛋白質の除去を行う。 酵素の失活処理は一般に80〜100℃で30分程度撹拌することにより達成できる。 失活後の処理液の脱水は、処理液をしばらく静置して油水分離させるか、あるいは遠心分離等によって大半の水を除去した後、減圧条件下において60〜100℃で処理することによって行うことができる。 酵素蛋白質の除去は通常の濾紙や濾布、あるいは濾過フィルターを用いることができるが、その際に酵素蛋白質の除去が不十分である場合、その後の工程において、加熱による着色などの品質劣化を生じやすくなることから、より完全に酵素蛋白質の除去を行うことが必要であり、濾過前に珪藻土や白土などの濾過助剤を予め添加、撹拌した後に濾過することによって、効率的に実施することができる。 【0103】次に、酵素蛋白質の除去処理後のステロール脂肪酸エステル(反応生成物)中に含まれる未反応のステロール、脂肪酸、その他の微量成分を除去する為に分子蒸留処理及びアルカリ脱酸処理(ステップ210)
    を行う。 分子蒸留装置としては流下薄膜式、遠心式、さらにはその他の短行程蒸留装置等があげられるが、所望する真空度、温度を達成することができ、目的とする遊離ステロール、遊離脂肪酸及びその他の微量成分を除去できるものであれば、いずれの蒸留装置を用いてもよい。 分子蒸留条件としては、133Pa以下、100〜300℃が望ましいが、好ましくは13.3Pa以下、150〜250℃であるとよい。 なお、分子蒸留処理は複数回繰り返して行ってもよい。 さらに、分子蒸留処理の他にも、超臨界処理、
    精密蒸留処理等を適宜行うことによって、未反応のステロール、脂肪酸類、その他の微量成分を除去することができる。 【0104】さらに、分子蒸留後に得られるステロール脂肪酸エステル画分に微量に残存する遊離脂肪酸を除去する為に、アルカリ脱酸処理を行う。 使用するアルカリとしては水酸化ナトリウム(NaOH)あるいは水酸化カリウム(KOH)が好ましく、使用濃度は10〜50%重量濃度、使用量は遊離脂肪酸中和量の1.1〜1.2倍量であるのが好ましい。 また温度は50〜80℃、時間は10分間〜1時間であるとよい。 処理後、ステロール脂肪酸エステル画分に残存するアルカリやセッケン分を除去する為に、水洗する。 またここでは、予め処理原料に対してヘキサン等の非極性溶媒を添加し、ミセラ状態とした後にアルカリ脱酸処理を行ってもよい。 この場合、溶媒使用量は処理原料の重量に対して0.1〜50倍、好ましくは0.5〜10倍量とするのがよい。 【0105】アルカリ脱酸処理後のステロール脂肪酸エステルには、原料由来の色素成分や、分子蒸留中の加熱によって生成した色素成分、臭気成分等が含まれている
    (ステップ220)ので、色素成分を効率良く除去するために吸着剤処理を施す(ステップ230)。 【0106】この場合に使用する吸着剤としては、通常の油脂精製に使用される活性白土、酸性白土、活性炭
    シリカ、シリカマグネシア等が用いられるが、好ましくは活性白土、活性炭、シリカのいずれかを用いるとよい。 これらは単独で用いても、二種類以上を混合したものを用いてもよい。 これらの吸着剤は処理原料に対して
    0.1〜50重量%添加するとよいが、より好ましくは1〜10
    %重量添加するとよい。 吸着剤を添加後、60〜100℃で一定時間撹拌する。 常圧で行うこともできるが、処理原料の劣化を抑制し、かつ効率よく脱色するために減圧下で行うとさらによい。 圧力は低い方が好ましく13.3kPa
    以下で行うとよい。 【0107】また、ここで、より効率良く脱色を行うために、ヘキサン等の非極性溶媒中で吸着剤処理を行ってもよい。 この場合、使用する溶媒の量は処理原料に対して、0.1〜50倍重量であることが好ましいが、より好ましくは0.5〜10倍重量である。 この場合、予め処理原料を非極性溶媒に溶解し、その後吸着剤を添加して20〜40
    ℃で一定時間常圧で撹拌する。 【0108】吸着剤処理後の吸着剤除去は通常の濾紙や濾布、あるいは濾過フィルターを用いることができるが、濾過前に珪藻土などの濾過助剤を予め添加、撹拌した後に濾過することによって、効率的に実施することができる。 非極性溶媒を使用する場合は、ここでの濾液から蒸留法によって非極性溶媒を除去する。 【0109】ここで、より完全に色素成分を除去する場合や、処理原料の色が悪い場合には、上記のような吸着剤処理を数回繰り返して行うとよい。 繰り返して行う場合は、吸着剤の濾過後に再び任意の吸着剤を添加し、同様な処理を行う。 非極性溶媒を用いる場合は、吸着剤の添加、撹拌、濾過を行った後に、溶媒除去を行うことなく再び吸着剤を添加し、同様に処理する。 溶媒除去は最終の濾過が終わった後に行う。 【0110】こうして色素成分を除去するが、まだ臭気成分などが残っている(ステップ240)。 【0111】そこで、最後に、水蒸気蒸留処理によって臭気成分などの除去を行う(ステップ250)。 脱色後のステロール脂肪酸エステルを食品として使用するためには、原料に由来する臭気成分や前述までの工程において発生した臭気成分を除かなければならない。 また、有機溶媒を用いて脱色処理を行った場合は、溶媒除去処理後においても、有機溶媒が残存している可能性があることから、それらを完全に除かなければならない。 そこで、水蒸気蒸留処理によって、上記の臭気成分や残存溶媒をほぼ完全に除去することが可能である。 【0112】水蒸気蒸留を行う装置としては、連続式、
    半連続式、バッチ式のものを使用できるが、どの方式の装置を用いても構わない。 水蒸気蒸留条件としては、1
    3.3kPa以下、100〜200℃が望ましいが、好ましくは1330
    Pa以下、100〜150℃とするとよい。 水蒸気蒸留操作は複数回繰り返して行ってもよい。 一般に脱臭目的で実施される水蒸気蒸留処理を高温で実施することにより、トランス型脂肪酸が顕著に生成することが知られており、本発明においては、少なくとも200℃以下、好ましくは150
    ℃以下で水蒸気蒸留処理を行うことが重要である。 また、先に記述したように、水蒸気蒸留のみでは除去しきれない臭気成分を完全に取り除くためには、水蒸気蒸留処理と分子蒸留処理をともに実施する必要性があり、その際には水蒸気蒸留処理の前に分子蒸留処理を行うことが重要である。 【0113】本発明によって最終的に得られる製品としてのステロール脂肪酸エステル(ステップ260)は、
    殆ど無味、無臭であり、かつ無色あるいは淡黄色を呈し、さらにはトランス型脂肪酸が低減された、安全面において優れた、一般食品、健康食品、医薬品素材として適切な品質を有するものである。 【0114】このステロール脂肪酸エステルにはコレステロール低下作用が期待されており、機能性素材としてマーガリン、ドレッシングなどの一般食品や健康食品や将来的には医薬品等への利用も期待されるものである。 【0115】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0116】 【実施例1】オレイン酸(オレイン酸:99重量%含有)
    1kg及び植物由来ステロール(β-シトステロール:90重量%含有)0.5kgからなる原料1.5kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の50%となるように水750gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/g)45.0gを加え、40℃で2時間撹拌した。 その後、反応液を静置し油水分離して水を除去後、80℃で減圧下で脱水し、反応系内の含水量が反応開始前の含水量の2%になるように水15gを加え、さらに上記酵素を45.0g加えて14時間撹拌した。 その後、80
    ℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、
    湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は95.0%
    であることが分かった。 【0117】引き続き、この濾液に対して遠心式分子蒸留装置を用いて真空度1.5Pa、蒸発温度170℃及び230℃
    で分子蒸留処理を行い、未反応の脂肪酸及びステロールを留出画分として除去した。 次に、残存画分として得たステロール脂肪酸エステルに対してアルカリ脱酸処理を行った。 さらに活性白土を残存画分の重量に対して10重量%添加して、減圧下、80℃で30分撹拌し、その後濾過によって色素成分を吸着した活性白土を除去した。 最後に、バッチ式水蒸気蒸留装置を用いて、真空度500Pa、
    蒸留温度130℃、蒸留時間30分間で水蒸気蒸留処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル682.5gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は98.0%、
    構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.1%であった。 分析結果は表1に示す。 【0118】 【実施例2】大豆精製油1kg及び植物由来ステロール(β-シトステロール:90重量%含有)0.5kgからなる原料1.5kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の50%となるように水750gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/
    g)45.0gを加え、40℃で2時間撹拌した。 その後、反応液を静置し油水分離して水を除去後、80℃で減圧下で脱水し、反応系内の含水量が反応開始前の含水量の2%になるように水15gを加え、さらに上記酵素を45.0g加えて
    14時間撹拌した。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃
    で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は92.0%であることが分かった。 【0119】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル585.6gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は98.0%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.
    0%であった。 分析結果は表1に示す。 【0120】 【実施例3】原料の大豆脱臭スカム油(ステロール含量
    10.5%)1kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の25
    %となるように水250gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持つキャンディダ(Candida)属由来の酵素粉末(360,000ユニット/g)0.
    69gを加え、40℃で2時間撹拌した。 その後、反応液を遠心分離して水を除去後、80℃で減圧下で脱水し、反応系内の含水量が反応開始前の含水量の4%になるように水1
    0gを加え、さらに上記酵素を0.69g加えて14時間撹拌した。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は91.0%であることが分かった。 【0121】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル132gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は97.8%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.2
    %であった。 分析結果は表1に示す。 【0122】 【実施例4】原料の大豆脱臭スカム油(ステロール含量
    10.5%)1kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の25
    %となるように水250gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持つキャンディダ(Candida)属由来の酵素粉末(360,000ユニット/g)0.
    69gを加え、40℃で2時間撹拌した。 その後、40℃で真空度500Paにて脱水しながら14時間撹拌した。 反応液の重量から求めた反応終了後の含水量は、反応開始前の含水量の8.5%であった。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、
    80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、
    酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は90.5%であることが分かった。 【0123】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル130gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は97.6%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.2
    %であった。 分析結果は表1に示す。 【0124】 【比較例1】オレイン酸(オレイン酸:99重量%含有)
    1kg及び植物由来ステロール(β-シトステロール:90重量%含有)0.5kgからなる原料1.5kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の50%となるように水750gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/g)45.0gを加え、40℃で16
    時間撹拌した。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は84.0%であることが分かった。 【0125】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル600gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は97.0%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.1
    %であった。 分析結果は表1に示す。 【0126】 【比較例2】大豆精製油1kg及び植物由来ステロール(β-シトステロール:90重量%含有)0.5kgからなる原料1.5kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の50%となるように水750gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/
    g)45.0gを加え、40℃で16時間撹拌した。 その後、80℃
    に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土
    5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、
    酵素反応によるステロールのエステル化率は75.0%であることが分かった。 【0127】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル477.7gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は97.7%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.
    1%であった。 分析結果は表1に示す。 【0128】 【比較例3】原料の大豆脱臭スカム油(ステロール含量
    10.5%)1kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の25
    %となるように水250gを加え、さらに脂質分解活性を有しシス型脂肪酸に対する選択的活性を持つキャンディダ(Candida)属由来の酵素粉末(360,000ユニット/g)0.
    69gを加え、40℃で16時間撹拌した。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。
    なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は71.0%であることが分かった。 【0129】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル103gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、殆ど無味、無臭で淡黄色であり、純度は97.4%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は1.3
    %であった。 分析結果は表1に示す。 【0130】 【比較例4】原料の大豆脱臭スカム油(ステロール含量
    10.5%)1kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の25
    %となるように水250gを加え、さらに脂質分解活性を有し脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/
    g)4.97gを加え、40℃で16時間撹拌しながらステロール脂肪酸エステルの合成反応を行った。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。
    なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は69.0%であることが分かった。 【0131】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル100gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、わずかに苦味と酸化臭を有しており、
    淡黄色であり、純度は97.3%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は5.6%であった。 分析結果は表1に示す。 【0132】 【比較例5】原料の大豆脱臭スカム油(ステロール含量
    10.5%)1kgに対し、反応系内の含水量が原料重量の25
    %となるように水250gを加え、さらに脂質分解活性を有し脂肪酸に対する選択的活性を持たないシュードモナス(Pseudomonas)属由来の酵素粉末(50,000ユニット/
    g)4.97gを加え、40℃で2時間撹拌した。 その後、反応液を静置し油水分離して水を除去後、80℃で減圧下で脱水し、再度反応系内の含水量が反応開始前の含水量と同じになるように水250gを加え、さらに上記酵素を0.69g
    加えて14時間撹拌した。 その後、80℃に達温して30分間撹拌することにより酵素失活処理、湯洗を行い、減圧下、80℃で脱水処理を行った後、珪藻土5gを添加、撹拌し、酵素蛋白質除去のために濾過を行った。 なお、この濾液のステロール純度の測定結果から、酵素反応によるステロールのエステル化率は70.0%であることが分かった。 【0133】引き続き、この濾液に対して実施例1と同様の処理を行い、最終的に臭気成分が除去されたステロール脂肪酸エステル101gを得た。 得られたステロール脂肪酸エステルは、わずかに苦味と酸化臭を有しており、
    淡黄色であり、純度は97.3%、構成脂肪酸中のトランス型脂肪酸含量は5.5%であった。 分析結果は表1に示す。 【0134】 【表1】

    【0135】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では、


    (1)ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に脂質分解活性を有する酵素を添加してステロール脂肪酸エステルを生成し、この生成されたステロール脂肪酸エステルにさらに所定の精製工程を加えて食品用ステロール脂肪酸エステルを製造する方法において、上記ステロール類と脂肪酸又は脂肪酸グリセリドを含む原料に上記脂質分解活性を有する酵素を添加し、加水分解反応によって遊離ステロールと遊離脂肪酸を取得し、上記取得した遊離ステロールと遊離脂肪酸に同じく上記脂質分解活性を有する酵素を添加してエステル合成するとともに反応によって発生する水分を減少させつつ反応を進行させてステロール脂肪酸エステルを生成し、ステロール脂肪酸エステル化率を向上させるようにし、(2)


    また、原料にトランス型脂肪酸が含まれる場合は、シス型脂肪酸に選択的に作用する脂質分解酵素を使用することによって、トランス型脂肪酸を殆ど含まないステロール脂肪酸エステルを合成するようにしたので、食品用として安価であり、人体に対して安全であり、かつ官能的にも優れたステロール脂肪酸エステルを製造することができるという効果を奏する。

    【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の全体的な概略構成を説明する構成図。 【図2】本発明の全体的な概略構成を説明する概略フローチャート。 【図3】図2においてステロール脂肪酸エステルを合成する場合、植物由来のステロール類と脂肪酸の混合物を原料として使用する場合の処理手順を示すフローチャート。 【図4】図2においてステロール脂肪酸エステルを合成する場合、植物由来のステロール類とトリアシルグリセロール等の脂肪酸グリセリドとの混合物を原料として使用する場合の処理手順を示すフローチャート。 【図5】図2においてステロール脂肪酸エステルを合成する場合、脱臭スカム油を原料として使用する場合の処理手順を示すフローチャート。 【図6】図2においてステロール脂肪酸エステルを合成する場合、トール油を原料として使用する場合の処理手順を示すフローチャート。 【図7】図2において、酵素反応後、食品用ステロール脂肪酸エステルを精製処理する場合の処理手順を示すフローチャート。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 昌二 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内(72)発明者 佐藤 ふみ 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内(72)発明者 万倉 三正 広島県福山市箕沖町95番地7 池田食研株 式会社内Fターム(参考) 4B018 MD07 MD10 MD90 ME04 MF12 4B064 AH07 CA21 CB01 CB26 CC03 CC04 CC06 CD07 CD22 DA10 4H059 BA14 BA26 BA33 BA35 BB02 BB03 BB57 BC13 BC48 CA38 CA48 DA04 DA07 DA08

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