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Epoxy resin composition for sealing semiconductor, and semiconductor device

阅读:67发布:2023-12-26

专利汇可以提供Epoxy resin composition for sealing semiconductor, and semiconductor device专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an epoxy resin composition for sealing a semiconductor, which is excellent in productivity of continuous production in the sealing process of the semiconductor and also having good reliability. SOLUTION: This epoxy resin composition for sealing the semiconductor comprises (A) an epoxy resin, (B) a compound containing ≥2 phenolic hydroxy groups, (C) an inorganic filler and (D) a curing accelerator, wherein, the epoxy resin (A) contains (A1) an epoxy resin having a structure expressed by formula (1) by the ratio of ≥20 wt.% based on the total epoxy resin, and the inorganic filler (C) is contained in the ratio of ≥86 and ≤92 wt.% based on the whole composition. COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT,下面是Epoxy resin composition for sealing semiconductor, and semiconductor device专利的具体信息内容。

  • (A)エポキシ樹脂と、
    (B)フェノール性水酸基を2個以上含む化合物と、
    (C)無機充填剤と、
    (D)硬化促進剤とを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、
    前記(A)エポキシ樹脂が下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を全エポキシ樹脂中の20重量%以上の割合で含み、前記(C)無機充填剤が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で含まれ、さらに該樹脂組成物を金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した直径100mm、厚さ3mmの円盤状硬化物における下記(イ)式で算出される収縮率が0.40%以上、0.65%未満であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    (ただし、上記一般式(1)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、R3は水素、炭素数1〜4の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)
    収縮率(%)={(175℃での金型キャビティの内径寸法)−(25℃での円盤状硬化物の外径寸法)}/(175℃での金型キャビティの内径寸法)×100(%)
    (イ)
  • 前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した後、175℃で4時間後硬化させた、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度より低い領域における線膨張係数が0.6×10 −5 /℃以上、1.2×10 −5 /℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  • 前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形後の硬化物のガラス転移温度が100℃以上、125℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  • 前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形後の硬化物のガラス転移温度を超える領域における線膨張係数が2.2×10 −5 /℃以上、4.0×10 −5 /℃以下であることを特徴とする請求項3に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  • 前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した後、175℃で4時間後硬化させた、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度が110℃以上、140℃以下であることを特徴とする請求項4に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  • 前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)が、フェノール性水酸基含有芳香族類、アルデヒド類、下記一般式(2)で表される化合物(J)とを共縮合して得られたフェノール樹脂類をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    (ただし、上記一般式(2)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。)
  • 前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)が、下記一般式(3)で表される構造を有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    (ただし、上記一般式(3)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)
  • 前記一般式(3)で表される構造を有するエポキシ樹脂が、下記一般式(4)で表される構造を有するエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    (ただし、上記一般式(4)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)
  • 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
  • 说明书全文

    本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものである。

    近年、集積回路(IC)、大規模集積回路(LSI)、超大規模集積回路(VLSI)等の電子部品や半導体装置の高密度化、高集積化に伴い、それらの実装方式は、挿入実装から表面実装に移り変わりつつある。 それに伴い、リードフレームの多ピン化及びリードの狭ピッチ化が要求されており、小型・軽量でかつ多ピン化に対応できる表面実装型のQFP(Quad Flat Package)等が各種の半導体装置に用いられている。 そしてその半導体装置は、生産性、コスト、信頼性等のバランスに優れることから、エポキシ樹脂組成物を用いて封止されるのが主流となっている。

    また、更なる多ピン化、高速化に対応し半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半田実装の温度が鉛フリー化に伴い高くなることにより、信頼性のレベルが厳しくなっている。 一方で、生産性向上、コスト削減の観点からは半導体装置の封止成形に関し、成形金型のクリーニングの短縮や成形不良による歩留低下を防ぐために連続成形性が重要な課題となっている。 連続成形性を改善するためには、以下の特性改善が必要であることが既に知られている。
    すなわち、
    1)硬化性の向上2)効果的離型剤の添加3)成形時の収縮率を大きくする等である。

    1)に関しては、硬化性の高いエポキシ樹脂と硬化剤とを組み合わせる方法や効果的な硬化促進剤を添加する方法がある(例えば、特許文献1参照。)が、硬化性を高くすると硬化する前の樹脂組成物の貯蔵時における保存安定性が低下する問題や、封止成形時において硬化が制御し難くなり、充填不良、ボイド、界面での応等が発生する問題が起こり、半導体装置の信頼性低下の原因になるといった問題があった。

    また、2)に関しては、適切なワックスの選択、添加量の調整により連続性形成性を向上させることは可能である(例えば、特許文献2参照。)が、相反してワックス起因により信頼性が低下する等の問題があった。

    3)に関しては、成形時の収縮率を大きくすればするほど金型からの離型性が向上し、連続成形性が向上する効果が得られるものである。 成形時の収縮率は、金型温度から室温に冷却される間における樹脂成分の反応収縮と、樹脂硬化物の線膨張に係る熱収縮とを合せたものであり、成形時の収縮率を大きくするための1手段として、樹脂成分の反応収縮を大きくする方法が考えられるが、半導体封止材料用途として既知であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂系硬化剤の組み合わせでは、大幅に反応収縮を大きくする組み合わせは見出されていない。 また、無機充填剤の含有量を低下させることにより反応収縮及び熱収縮を大きくする方法が考えられ、そうした点を開示している文献もある(例えば、特許文献3参照。)ものの、この方法では線膨張係数の上昇、内部応力の増加等を伴い、半導体装置としての信頼性が低下する恐れがあった。 更に、エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂系硬化剤のフェノール性酸基との当量比をずらす方法により反応収縮を大きくする方法も考えられるが、従来の樹脂系において所望する反応収縮が得られる程度まで当量比をずらした場合には、相反事象として架橋密度の低下に伴いスティッキング性が増長されることにより、離型が悪くなり好ましくない。 以上のような点から、信頼性と連続成形性を両立させることは困難であった。

    特開2003−128757号公報

    特開2002−220434号公報

    特開2003−002954号公報

    本発明は、半導体封止工程における連続生産性に優れ、且つ信頼性が良好な半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を提供するものである。

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール性水酸基を2個以上含む化合物と、(C)無機充填剤と、(D)硬化促進剤とを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記(A)エポキシ樹脂が下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を全エポキシ樹脂中の20重量%以上の割合で含み、前記(C)無機充填剤が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で含まれ、さらに該樹脂組成物を金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した直径100mm、厚さ3mmの円盤状硬化物における下記(イ)式で算出される収縮率が0.40%以上、0.65%未満であることを特徴とする。

    (ただし、上記一般式(1)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、R3は水素、炭素数1〜4の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)


    収縮率(%)={(175℃での金型キャビティの内径寸法)−(25℃での円盤状硬化物の外径寸法)}/(175℃での金型キャビティの内径寸法)×100(%)


    (イ)

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した後、175℃で4時間後硬化させた、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度より低い領域における線膨張係数が0.6×10 −5 /℃以上、1.2×10 −5 /℃以下であるものとすることができる。

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形後の硬化物のガラス転移温度が100℃以上、125℃以下であるものとすることができる。

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形後の硬化物のガラス転移温度を超える領域における線膨張係数が2.2×10 −5 /℃以上、4.0×10 −5 /℃以下であるものとすることができる。

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した後、175℃で4時間後硬化させた、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、熱機械分析法(TMA)により測定した、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度が110℃以上、140℃以下であるものとすることができる。

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)が、フェノール性水酸基含有芳香族類、アルデヒド類、下記一般式(2)で表される化合物(J)とを共縮合して得られたフェノール樹脂類をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂であるものとすることができる。

    (ただし、上記一般式(2)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。)

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)が、下記一般式(3)で表される構造を有するエポキシ樹脂であるものとすることができる。

    (ただし、上記一般式(3)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(3)で表される構造を有するエポキシ樹脂が、下記一般式(4)で表される構造を有するエポキシ樹脂であるものとすることができる。

    (ただし、上記一般式(4)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    本発明の半導体装置は、上述の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする。

    本発明に従うと、連続成形性に優れ、信頼性が良好な半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を得ることができる。

    本発明は、(A)エポキシ樹脂と、(B)フェノール性水酸基を2個以上含む化合物と、(C)無機充填剤と、(D)硬化促進剤とを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、(A)エポキシ樹脂が一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を全エポキシ樹脂中の20重量%以上の割合で含み、(C)無機充填剤が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で含まれ、さらに該樹脂組成物を金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した直径100mm、厚さ3mmの円盤状硬化物における収縮率(%)={(175℃での金型キャビティの内径寸法)−(25℃での円盤状硬化物の外径寸法)}/(175℃での金型キャビティの内径寸法)×100(%)が0.40%以上、0.65%未満であることにより、連続成形性に優れ、信頼性が良好なエポキシ樹脂組成物が得られるものである。 以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。

    本実施形態では、エポキシ樹脂(A)として下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を用いる。 該エポキシ樹脂を用いると、同じ無機充填剤含有量とした樹脂組成物での従来のエポキシ樹脂との比較において、成形時の収縮率が大きい硬化物を得ることができる。 このため、エポキシ樹脂(A)として下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を用い、かつ無機充填剤の配合割合を後述する特定範囲とすることにより、封止成形時における優れた連続成形性と半導体装置における良好な信頼性とを得ることができる。 また、下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)は、分子内に芳香族環炭素が多く、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は耐燃性に優れ、吸水率が低くなるという特徴も有している。

    (ただし、上記一般式(1)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基、R3は水素、炭素数1〜4の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)におけるmとnとの比率m/nとしては、1/10〜1/1であることが好ましく、1/9〜1/2であることがより好ましい。 m/nの値が小さいほど、エポキシ樹脂の架橋密度が増大することにより反応収縮は大きくなるものの、逆にガラス転移温度が高くなり、また線膨張率も低くなることで熱収縮は小さくなるため、結果として成形時の収縮率全体としては小さくなることとなる。 このため、m/nの値が小さいほど、連続成形性を向上させる効果が得られ難くなり好ましくない。 逆に、m/nの値が大きいほど、先の効果と逆になり、成形時の収縮率は大きくなるものの、分子中における可塑的構造が増大するため、成形時に金型へのスティッキングが起き易すくなり好ましくない。 m/nが上記範囲内であると、スティッキング等の問題を起こすことなく、成形時の収縮率が大きな硬化物を得ることができるため、優れた連続成形性を得ることができる。 また、m/nが上記範囲内であると、耐燃性向上効果を得ることができる。 また、上記範囲内であれば、樹脂粘度が高くなることによる樹脂組成物の流動性の低下を引き起こす恐れが少ない。

    本実施形態で用いられる一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)としては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(4)で表される構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(5)で表される構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(6)で表される構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(7)で表される構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。 耐燃性の観点からは、下記一般式(4)で表される構造を有するエポキシ樹脂、下記一般式(6)で表される構造を有するエポキシ樹脂がより好ましい。

    (ただし、上記一般式(4)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基である。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    (ただし、上記一般式(5)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基である。dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    (ただし、上記一般式(6)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基である。cは0〜5の整数であり、dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    (ただし、上記一般式(7)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基である。dは0〜3の整数である。m、nはモル比を表し、0<m<1、0<n<1で、m+n=1、かつ、m/nは1/10〜1/1である。)

    本実施形態で用いられる一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)は、フェノール性水酸基含有芳香族類、アルデヒド類、下記一般式(2)で表される化合物(J)を共縮合して得られたフェノール樹脂類をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化することにより得ることができる。 下記一般式(2)で表される化合物(J)は、グルシジルエーテル基が結合していない芳香族環にW1R2(W1は酸素原子又は硫黄原子、R2は炭素数1〜4の炭化水素基)が結合している点を特徴とするものである。 W1R2が結合していることで下記一般式(2)で表される化合物(J)は極性を有し、これにより反応性が向上するため、フェノール性水酸基含有芳香族類、アルデヒド類からなるノボラック樹脂の構造中に該化合物(J)の構造を導入することができるものである。 該エポキシ樹脂(A1)は、同様に耐燃性に優れ、低吸水性であるビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂よりも原料コストが安く、原料も入手し易いといった利点があるため、低コストで製造又は入手することができるものである。

    (ただし、上記一般式(2)において、Arは炭素数6〜20の芳香族基、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。aは0〜10の整数であり、bは1〜3の整数である。)

    エポキシ樹脂(A1)の製造に用いられるフェノール性水酸基含有芳香族類としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェノール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、o−クレゾール、p−クレゾール、m−クレゾール、フェニルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、t−ブチルフェノール、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノール、ノニルフェノール、メシトール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等のフェノール類、1−ナフトール、2−ナフトール、メチルナフトール等のナフトール類が挙げられる。 これらの中でも、フェノール、o−クレゾール、1−ナフトール、2−ナフトールが好ましく、更にo−クレゾールがより好ましい。 これらは、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。

    エポキシ樹脂(A1)の製造に用いられるアルデヒド類としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族系アルデヒド、ベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、3,4−ジメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルアルデヒド、ナフチルアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒドが挙げられる。 これらの中でも、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒドが好ましく、更にホルムアルデヒドがより好ましい。 これらは、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。

    エポキシ樹脂(A1)の製造に用いられる一般式(2)で表される化合物(J)としては、一般式(2)の構造であれば特に限定されるものではないが、例えば、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1−メチル−2−メトキシナフタレン、1−メトキシ−2−メチルナフタレン、1,3,5−トリメチル−2−メトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、2−エトキシナフタレン、1−t−ブトキシナフタレン、メチルナフチルスルフィド、エチルナフチルスルフィド、1,4−ジメトキシナフタレン、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1−メトキシアントラセン等が挙げられる。 これらの中でも、他の必要特性として耐燃性、低吸水性等を考慮すると、下記式(8)で表される化合物が好ましく、下記式(9)で表されるメトキシナフタレン化合物がより好ましい。

    (ただし、上記一般式(8)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。R2は炭素数1〜4の炭化水素基で、W1は酸素原子又は硫黄原子である。cは0〜5の整数である。)

    (ただし、上記一般式(9)において、R1は炭素数1〜6の炭化水素基であり、互いに同じであっても異なっていてもよい。cは0〜5の整数である。)

    本実施形態で用いられるエポキシ樹脂(A1)の前駆体であるフェノール樹脂類の合成方法については特に限定しないが、例えば、フェノール性水酸基含有芳香族類とアルデヒド類と一般式(2)で表される化合物(J)とを共存下で酸性触媒を用いて共縮合させる方法が挙げられる。

    本実施形態で用いられる一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)の合成方法については特に限定しないが、例えば、エポキシ樹脂(A1)の前駆体であるフェノール樹脂類を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下で50〜150℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時間反応させる方法等が挙げられる。 反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂(A1)を得ることができる。

    本実施形態では、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を用いることによる効果が損なわれない範囲で、他のエポキシ樹脂を併用することができる。 併用できるエポキシ樹脂としては、例えばビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、アントラセン又はその水添化物の骨格を有するエポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が挙げられる。 半導体封止用エポキシ樹脂組成物としての耐湿信頼性を考慮すると、イオン性不純物であるNaイオンやClイオンが極力少ない方が好ましく、硬化性の点からエポキシ当量としては100g/eq以上500g/eq以下が好ましい。

    他のエポキシ樹脂を併用する場合における一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)の配合割合としては、全エポキシ樹脂中、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。 上記範囲内であると、成形時の収縮性が大きい硬化物となる効果が得られ、(C)無機充填剤の配合割合を特定範囲とすることと相俟って優れた連続成形性を発現することができる。

    本実施形態では、硬化剤として、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、保存安定性等の点からフェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)を用いる。 このフェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格等を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格等を有するナフトールアラルキル樹脂、ビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。 これらのうち、硬化性の点から水酸基当量は90g/eq以上250g/eq以下のものが好ましい。 その中でも、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格等を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格等を有するナフトールアラルキル樹脂が、架橋点が適度に離れており、スティッキング性とのバランスにおいて、成形時の収縮率を安定して増大させることができるため好適である。

    エポキシ樹脂(A)とフェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)の構成比は、エポキシ樹脂(A)全体のエポキシ基数(Ep)と化合物(B)全体のフェノール性水酸基数(Ph)との当量比(Ep/Ph)が0.9以上、1.3以下であることが好ましく、0.9以上、1.2以下であることがより好ましい。 この範囲内であれば、樹脂組成物の封止成形時のおける硬化性の低下、スティッキングの悪化、樹脂硬化物におけるガラス転移温度の低下、並びに、半導体装置における耐湿信頼性の低下等を引き起こす可能性が低い。

    本実施形態に用いる無機充填剤(C)としては、一般に半導体封止用樹脂組成物に用いられているものを使用することができ、例えば、溶融シリカ、球状シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等が挙げられる。 無機充填剤(C)の粒径としては、金型への充填性を考慮すると0.01μm以上、150μm以下であることが望ましい。 また、無機充填剤(C)の含有量としては、エポキシ樹脂組成物全体の86重量%以上、92重量%以下であることが好ましく、86重量%以上、90重量%以下であることがより好ましい。 無機充填剤(C)の含有量が上記下限値以上であると、前述した成形時の収縮性が大きい硬化物を与える効果を有する一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)用いることと相俟って、信頼性に影響を及ぼすような離型効果の強い離型剤を用いずとも、スティッキング等の不具合が発生し難く、優れた連続成形性を得ることができる。 また、無機充填剤(C)の含有量が上記上限値以下であると、流動性が損なわれることによる充填不良やボイドの発生等の成形面での不具合を引き起こす恐れが少ない。 更に、無機充填剤(C)の含有量が上記範囲内であると、半導体装置における信頼性も満足させることができる。 無機充填剤(C)は信頼性を向上させるために予め表面にカップリング剤等による表面処理をすることも可能である。

    本実施形態に用いる硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)のフェノール性水酸基との反応を促進するものであればよく、一般の半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものを利用することができる。 具体例としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物等のリン原子含有化合物、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等の窒素原子含有化合物が挙げられる。 これらのうち、リン原子含有化合物が好ましく、特に流動性という点を考慮するとテトラ置換ホスホニウム化合物が好ましく、またエポキシ樹脂組成物の硬化物熱時低弾性率という点を考慮するとホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましく、また潜伏的硬化性という点を考慮すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が好ましい。

    本実施形態で利用することができる有機ホスフィンとしては、例えばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。

    本実施形態で利用することができるテトラ置換ホスホニウム化合物としては、下記一般式(10)で表される化合物等が挙げられる。

    (ただし、上記一般式(10)において、Pはリン原子を表す。R4、R5、R6及びR7は芳香族基又はアルキル基を表す。Aはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸のアニオンを表す。AHはヒドロキシル基、カルボキシル基、チオール基から選ばれる官能基のいずれかを芳香環に少なくとも1つ有する芳香族有機酸を表す。x、yは1〜3の整数、zは0〜3の整数であり、かつx=yである。)

    一般式(10)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。 まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。 次いで水を加えると、一般式(10)で表される化合物を沈殿させることができる。 一般式(10)で表される化合物において、リン原子に結合するR4、R5、R6及びR7がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。

    本実施形態で利用することができるホスホベタイン化合物としては、下記一般式(11)で表される化合物等が挙げられる。

    (ただし、上記一般式(11)において、X1は炭素数1〜3のアルキル基、Y1はヒドロキシル基を表す。fは0〜5の整数であり、gは0〜3の整数である。)

    一般式(11)で表される化合物は、例えば以下のようにして得られる。 まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。 しかしこれに限定されるものではない。

    本実施形態で利用することができるホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、下記一般式(12)で表される化合物等が挙げられる。

    (ただし、上記一般式(12)において、Pはリン原子を表す。R8、R9及びR10は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。R11、R12及びR13は水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよく、R11とR12が結合して環状構造となっていてもよい。)

    ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換あるいはアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基の有機基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。 入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。

    またホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。

    ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。 溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。 しかしこれに限定されるものではない。
    一般式(12)で表される化合物において、リン原子に結合するR8、R9及びR10がフェニル基であり、かつR11、R12及びR13が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物がエポキシ樹脂組成物の硬化物熱時弾性率を低下させる点で好ましい。

    本実施形態で利用することができるホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、下記一般式(13)で表される化合物等が挙げられる。

    (ただし、上記一般式(13)において、Pはリン原子を表し、Siは珪素原子を表す。R14、R15、R16及びR17は、それぞれ、芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。式中X2は、基Y2及びY3と結合する有機基である。式中X3は、基Y4及びY5と結合する有機基である。Y2及びY3は、プロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y2及びY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。Y4及びY5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基を表し、同一分子内の基Y4及びY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。X2、及びX3は互いに同一でも異なっていてもよく、Y2、Y3、Y4、及びY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。Z1は芳香環又は複素環を有する有機基、あるいは脂肪族基である。)

    一般式(13)において、R14、R15、R16及びR17としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等の置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。

    また、一般式(13)において、X2は、Y2及びY3と結合する有機基である。 同様に、X3は、基Y4及びY5と結合する有機基である。 Y2及びY3はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y2及びY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。 同様にY4及びY5はプロトン供与性基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y4及びY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。 基Y2及びY3は互いに同一でも異なっていてもよく、基Y2、Y3、Y4、及びY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。 このような一般式(13)中の−Y2−X2−Y3−、及び−Y4−X3−Y5−で表される基は、2価以上のプロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、2価以上のプロトン供与体としては、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール及びグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。

    また、一般式(13)中のZ1は、芳香環又は複素環を有する有機基又は脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等の脂肪族炭化水素基や、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族炭化水素基、グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基及びビニル基等の反応性置換基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基が熱安定性の面から、より好ましい。

    ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等の2価以上のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。 さらにそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。 析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。 しかし、これに限定されるものではない。

    本実施形態に用いる硬化促進剤(D)の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.1重量%以上、1重量%以下が好ましい。 硬化促進剤(D)の配合量が上記範囲内であると、硬化性の低下を引き起こす恐れが少ない。 また、硬化促進剤(D)の配合量が上記範囲内であると、流動性の低下を引き起こす恐れが少ない。

    本実施形態では、封止成形時において、スティッキングの問題や、充填不良、ボイド等の不具合を起こさずに、優れた連続成形性を発現させ、かつ半導体装置における良好な信頼性を得るために、無機充填剤(C)が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で高充填されていながら、樹脂組成物の成形時の収縮率が0.40%以上、0.65%未満の範囲と、高い値になるようにすることが好ましい。 成形時の収縮率の下限値については、0.42%以上であることがより好ましい。 成形時の収縮率がこの範囲内であれば、優れた連続成形性、信頼性を維持することができる。 図1に、従来技術、並びに本実施形態の実施例及び比較例における無機充填剤配合割合と成形時の収縮率の関係を示した。 図1に示すとおり、無機充填剤(C)が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で高充填されていながら、樹脂組成物の成形時の収縮率が0.40%以上、0.65%未満という高い範囲となるような技術は今までにはなかったものであり、エポキシ樹脂(A)中における一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)の配合割合や、エポキシ樹脂(A)とフェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)との構成比等を、本実施形態の範囲内で適宜調整することで実現させることができる。 尚、本実施形態において、樹脂組成物の成形時の収縮率は、以下のようにして測定する。 すなわち、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で、直径100mm、厚さ3mmの円盤状の硬化物を成形し、175℃での金型キャビティの内径寸法と、室温(25℃)での円盤状の硬化物の外径寸法とを測定し、下記(イ)式で算出する。
    収縮率(%)={(175℃での金型キャビティの内径寸法)−(25℃での円盤の硬化物の外径寸法)}/(175℃での金型キャビティの内径寸法)×100(%)
    (イ)

    本実施形態において硬化物性として好ましい態様は、成形後の硬化物のガラス転移温度が100℃以上、125℃以下であり、より好ましくはガラス転移温度を超える領域における線膨張係数が2.2×10 −5 /℃以上、4.0×10 −5 /℃以下である。 成形後の硬化物の物性は、成形性を示す指標として重要である。 成形後の硬化物のガラス転移温度に関しては、上記下限以上では、硬化物のスティッキングが起き難く、上記上限以下では成形時の収縮率を好ましい範囲に調整することが容易となる。 また、成形後の硬化物のガラス転移温度を超える領域における線膨張係数に関しては、この範囲に制御することにより、本実施形態の成形時の収縮率を好ましい範囲に調整することが容易となる。 尚、本実施形態において、成形後の硬化物のガラス転移温度及びガラス転移温度を超える領域における線膨張係数は、以下のようにして測定する。 すなわち、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、圧縮荷重5g、昇温速度10℃/分、測定範囲−65℃〜300℃の条件下で、熱機械分析法(TMA)により測定する。 熱機械分析装置としては、例えば、セイコーインスツル(株)製、TMA−120/SSC6200等を用いることができる。 尚、ガラス転移温度を超える領域における線膨張係数とは、測定によって得られる温度と試料寸法とのグラフにおいて、ガラス転移温度を越える領域でその傾きがほぼ一定となった部分における平均値を持ってその値とするものである。

    本実施形態において硬化物性として更に好ましい態様としては、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度が110℃以上、140℃以下であり、ガラス転移温度より低い領域における線膨張係数が0.6×10 −5 /℃以上、1.2×10 −5 /℃以下である。 成形後、更に後硬化することで完全硬化に近い状態となった後における硬化物の物性は、半導体装置としての信頼性を示す指標として重要である。 成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度、及びガラス転移温度より低い領域における線膨張係数が上記範囲内であれば、半導体装置として優れた信頼性を得ることができる。 尚、本実施形態において、成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度及びガラス転移温度より低い領域における線膨張係数は、以下のようにして測定する。 すなわち、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で成形した後、175℃で4時間後硬化させた、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片の長さ方向について、圧縮荷重5g、昇温速度10℃/分、測定範囲−65℃〜300℃の条件下で、熱機械分析法(TMA)により測定する。 熱機械分析装置としては、例えば、セイコーインスツル(株)製、TMA−120/SSC6200等を用いることができる。 尚、ガラス転移温度より低い領域における線膨張係数とは、測定によって得られる温度と試料寸法とのグラフにおいて、ガラス転移温度より低い領域でその傾きがほぼ一定となった部分における平均値を持ってその値とするものである。

    本実施形態のエポキシ樹脂組成物が、無機充填剤(C)が全組成物中に86重量%以上、92重量%以下の割合で高充填されていながら、成形時の収縮率が0.40%以上、0.65%未満の範囲と高い値となり、好ましくは成形後の硬化物のガラス転移温度が100℃以上、125℃以下となり、好ましくは成形後の硬化物のガラス転移温度を超える領域における線膨張係数が2.2×10 −5 /℃以上、4.0×10 −5 /℃以下となり、好ましくは成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度が110℃以上、140℃以下となり、好ましくはガラス転移温度より低い領域における線膨張係数が0.6×10 −5 /℃以上、1.2×10 −5 /℃以下となるようなものとするには、エポキシ樹脂(A)と、フェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)と、無機充填剤(C)と、硬化促進剤(D)との種類と配合割合を調整することで達成することができる。 特に、エポキシ樹脂(A)における一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)の配合割合、及び全組成物中における無機充填剤(C)の配合割合の選択が重要である。 また、後述する離型剤や各種添加剤を適宜選択して用いることにより、上記特性を更に向上させることもできる。

    本実施形態では連続成形性を発現させるために適宜離型剤を添加することもできる。 その例としてはカルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレン等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類若しくはパラフィン、高級脂肪酸エステル等の離型剤が挙げられ、単独又は複数添加することができる。

    本実施形態で用いることができる離型剤の配合割合としては、全樹脂組成物中に、0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.03重量%以上0.5重量%以下である。 上記範囲内であると、金型からの樹脂硬化物の離型性に優れる。 また、上記範囲内であると、樹脂硬化物と界面の密着性が損なわれることがなく、半田処理時における樹脂硬化物とリードフレーム部材との剥離を抑制することができる。 また、上記範囲内であると、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を抑制することもできる。

    また、本実施形態では、連続成形性に関し、成形時の金型表面の汚れや樹脂硬化物表面の汚れの進行を抑え、且つ連続成形性を高める添加剤を含むことができる。 そのような添加剤の例としては、カルボキシル基を有するブタジエン・アクリロニトリル共重合体及び/又は、カルボキシル基を有するブタジエン・アクリロニトリル共重合体とエポキシ樹脂との反応生成物、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンとエポキシ樹脂との反応生成物等が挙げられる。 これらカルボキシル基を有する化合物を添加することにより、封止用エポキシ樹脂組成物の原料として含まれるエポキシ樹脂組成物各成分と離型剤との相溶性、具体的にはエポキシ樹脂と離型剤との相溶性が適正な状態となり、成形時の金型表面の汚れや樹脂硬化物表面の汚れの進行を抑えることができ、また連続成形性を向上させる効果も有し好ましい。

    本実施形態で用いることができるこれらの添加剤の総配合量としては、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、0.05重量%以上、0.5重量%以下がより好ましく、0.1重量%以上、0.3重量%以下が特に好ましい。 上記範囲にすることで、流動性の低下による成形時における充填不良の発生や高粘度化によるワイヤー流れ等の不具合の発生を抑えることができる。

    本実施形態においては、エポキシ樹脂と無機充填剤との密着性を向上させるため、シランカップリング剤等の密着助剤を添加することができる。 その例としては特に限定されないが、エポキシシラン、アミノシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン等が挙げられ、エポキシ樹脂と無機充填剤との間で反応し、エポキシ樹脂と無機充填剤の界面強度を向上させるものであればよく、より具体的には、エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。 また、アミノシランとしては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン等が挙げられる。また、ウレイドシランとしては、例えば、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。また、メルカプトシランとしては、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。

    本実施形態に用いることができるシランカップリング剤の配合量としては、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.05重量%以上、0.8重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以上、0.6重量%以下である。 シランカップリング剤の配合量が上記範囲内であれば、エポキシ樹脂と無機充填剤との界面強度が低下することによる半導体装置における耐半田クラック性の低下を引き起こす恐れが少ない。 また、シランカップリング剤の配合量が上記範囲内であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸水性が増大することによる耐半田クラック性の低下も引き起こす恐れが少ない。

    本実施形態では、前述した成分以外に、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン等の着色剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力添加剤;ハイドロタルサイト等の無機イオン交換体;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物や、酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、フォスファゼン等の難燃剤;等の添加剤を適宜配合してもよい。

    本実施形態の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、本実施形態の構成成分及びその他の添加剤等を、例えば、ミキサー等を用いて常温で均一に混合したもの、更にその後、加熱ロール、ニーダー又は押出機等の混練機を用いて溶融混練し、続いて冷却、粉砕したものなど、必要に応じて適宜分散度や流動性等を調整したものを用いることができる。

    本実施形態の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止し半導体装置を製造するには、例えば、半導体素子を搭載したリードフレーム、回路基板等を金型キャビティ内に設置した後、半導体封止用エポキシ樹脂組成物をトランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で成形硬化すればよい。

    本実施形態で封止を行う半導体素子としては、特に限定されるものではなく、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられる。

    本実施形態の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)等が挙げられる。

    上記トランスファーモールドなどの成形方法で封止された本実施形態の半導体装置は、そのまま、或いは80℃から200℃程度の温度で、10分から10時間程度の時間をかけて完全硬化させた後、電子機器等に搭載される。

    図2は、本実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。 ダイパッド3上に、ダイボンド材硬化体2を介して半導体素子1が固定されている。 半導体素子1の電極パッドとリードフレーム5との間は金線4によって接続されている。 半導体素子1は、封止用樹脂組成物の硬化体6によって封止されている。

    以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。 以下配合割合は重量部とする。
    実施例、比較例で用いた成分について、以下に示す。

    (エポキシ樹脂)
    エポキシ樹脂1:下記式(14)で表される構造を有するエポキシ樹脂(o−クレゾールとホルムアルデヒドと2−メトキシナフタレンを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量251、軟化点58℃。下記一般式(14)において、m/n=1/4。)
    エポキシ樹脂2:下記式(14)で表される構造を有するエポキシ樹脂(o−クレゾールとホルムアルデヒドと2−メトキシナフタレンを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量220、軟化点52℃。下記一般式(14)において、m/n=1/9。)
    エポキシ樹脂3:下記式(14)で表される構造を有するエポキシ樹脂(o−クレゾールとホルムアルデヒドと2−メトキシナフタレンを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量270、軟化点63℃。下記一般式(14)において、m/n=3/7。)

    エポキシ樹脂4:下記式(15)で表される構造を有するエポキシ樹脂(フェノールとホルムアルデヒドとメチルフェニルスルフィドを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量196、軟化点54℃。下記一般式(15)において、m/n=1/4。)

    エポキシ樹脂5:下記式(16)で表される構造を有するエポキシ樹脂(フェノールとベンズアルデヒドとメチルフェニルスルフィドを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量285、軟化点74℃。下記一般式(16)において、m/n=1/4。)

    エポキシ樹脂6:下記式(17)で表される構造を有するエポキシ樹脂(o−クレゾールとホルムアルデヒドとメチルナフチルスルフィドを共縮合して得られたフェノール樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量255、軟化点60℃。下記一般式(17)において、m/n=1/4。)

    エポキシ樹脂7:フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂をエピクロルヒドリンでグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂。エポキシ当量238、軟化点60℃。)
    エポキシ樹脂8:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、N660。エポキシ当量196、軟化点62℃。)
    エポキシ樹脂9:トリフェノールメタン型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、E−1032H60。エポキシ当量169、軟化点58℃。)
    エポキシ樹脂10:4,4'−ジヒドロキシ−3,3',5,5'−テトラメチルビフェニルのグリシジルエーテル(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000HK。エポキシ当量192、融点107℃。)

    (フェノール性水酸基を2個以上含む化合物)
    フェノール樹脂1:フェノールノボラック樹脂(住友ベークライト(株)製、PR−HF−3。水酸基当量104。軟化点80℃。)
    フェノール樹脂2:フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、XLC−4L。水酸基当量165、軟化点65℃)
    フェノール樹脂3:ビフェニレン骨格を有するビフェニルアラルキル樹脂(日本化薬(株)製、GPH−65、水酸基当量196、軟化点65℃)

    (無機充填剤)
    溶融球状シリカ(平均粒径30μm)

    (硬化促進剤)
    硬化促進剤1:下記式(18)で表される硬化促進剤

    硬化促進剤2:トリフェニルホスフィン

    硬化促進剤3:下記式(19)で表される硬化促進剤

    硬化促進剤4:下記式(20)で表される硬化促進剤

    硬化促進剤5:下記式(21)で表される硬化促進剤


    (離型剤)
    離型剤1:カルナバワックス(日興リカ(株)製、ニッコウカルナバ)
    離型剤2:酸化ポリエチレン(滴点120℃、酸価20mgKOH/g、数平均分子量2000、密度0.98g/cm 、平均粒径45μm、106μm以上の粒子の含有量0.0重量%。高密度ポリエチレンの酸化物。)

    (シランカップリング剤)
    シランカップリング剤1:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン シランカップリング剤2:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン

    (着色剤)
    カーボンブラック

    実施例1
    エポキシ樹脂1 8.36重量部 フェノール樹脂1 2.27重量部 フェノール樹脂2 2.27重量部 溶融球状シリカ 86.00重量部 硬化促進剤1 0.30重量部 離型剤1 0.20重量部 シランカップリング剤1 0.15重量部 シランカップリング剤2 0.15重量部 カーボンブラック 0.30重量部をミキサーにて常温混合し、80〜100℃の加熱ロールで溶融混練し、冷却後粉砕し、エポキシ樹脂組成物を得た。 得られたエポキシ樹脂組成物を用いて以下の方法で評価した。 評価結果を表1に示す。

    スパイラルフロー:低圧トランスファー成形機(コータキ精機(株)製、KTS−15)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型に、175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件でエポキシ樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。 スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が、流動性が良好である。 単位はcm。

    成形時の収縮率:トランスファー成形機(藤和精機(株)製、TEP−50−30)を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で、エポキシ樹脂組成物を注入成形して、直径100mm、厚さ3mmの試験片を作製した。 175℃での金型キャビティの内径寸法と、室温(25℃)での試験片の外径寸法とを測定し、下記(イ)式により収縮率を算出した。
    収縮率(%)={(175℃での金型キャビティの内径寸法)−(25℃での円盤の硬化物の外径寸法)}/(175℃での金型キャビティの内径寸法)×100(%)
    (イ)

    成形後の硬化物のガラス転移温度及びガラス転移温度を超える領域における線膨張係数:トランスファー成形機(藤和精機(株)製、TEP−50−30)を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で、樹脂組成物を注入成形して、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片を作製した。 得られた試験片の長さ方向について、圧縮荷重5g、昇温速度5℃/分、測定範囲−65℃〜300℃の条件下で、熱機械分析法(TMA、熱機械分析装置としてセイコーインスツル(株)製、TMA−120/SSC6200を使用)により測定した。 尚、ガラス転移温度を超える領域における線膨張係数とは、測定によって得られる温度と試料寸法とのグラフにおいて、ガラス転移温度を越える領域でその傾きがほぼ一定となった部分における平均値を持ってその値とするものである。

    成形、後硬化後の硬化物のガラス転移温度及びガラス転移温度より低い領域における線膨張係数:トランスファー成形機(藤和精機(株)製、TEP−50−30)を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件下で、樹脂組成物を注入成形して、幅4mm、厚さ3mm、長さ15mmの試験片を作製し、更に後硬化として175℃、4時間加熱処理を行った。 成形、後硬化後の試験片の長さ方向について、圧縮荷重5g、昇温速度5℃/分、測定範囲−65℃〜300℃の条件下で、熱機械分析法(TMA、熱機械分析装置としてセイコーインスツル(株)製、TMA−120/SSC6200を使用)により測定した。 尚、ガラス転移温度より低い領域における線膨張係数とは、測定によって得られる温度と試料寸法とのグラフにおいて、ガラス転移温度より低い領域でその傾きがほぼ一定となった部分における平均値を持ってその値とするものである。

    連続成形性:低圧トランスファー自動成形機(第一精工(株)製、GP−ELF)を用いて、金型温度175℃、成形圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で、エポキシ樹脂組成物によりシリコンチップ等を封止して80ピンQFP(Cu製リードフレーム、パッケージ外寸:14mm×20mm×2.0mm厚、パッドサイズ:8.0mm×8.0mm、チップサイズ7.0mm×7.0mm×0.35mm厚)を得る成形を、連続で700ショットまで行なった。 判定基準は未充填等全く問題なく600ショットまで連続成形できたものを◎、未充填等全く問題なく450ショットまで連続成形できたものを○、それ以外を×とした。

    パッケージ外観及び金型汚れ性:上記連続成形性の評価において、450及び600ショット成形後のパッケージ表面及び金型表面について、目視で汚れを評価した。 パッケージ外観判断及び金型汚れ基準は、600ショットまで汚れていないものを◎で、450ショットまで汚れていないものを○、汚れているものを×で表す。 また、上記連続成形性において、450ショットまで問題なく成形できなかったものについては、連続成形を断念した時点でのパッケージ外観及び金型汚れ状況で判断した。

    耐半田性:上記連続成形性の評価において成形したパッケージを175℃、8時間で後硬化し、得られたパッケージを85℃、相対湿度60%で168時間加湿処理後、260℃のIRリフロー処理をした。 パッケージ20個について、半導体素子とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の密着状態を超音波探傷装置により観察し、剥離発生率[(剥離発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を算出した。 単位は%。 耐半田性の判断基準は、剥離が発生しなかったものは○、剥離発生率が20%未満のものは△、剥離発生率が20%以上のものは×とした。

    実施例2〜19、比較例1〜6
    表1、表2、表3の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を製造し、実施例1と同様にして評価した。 評価結果を表1、表2、表3に示す。

    実施例1〜19は、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を20重量%以上含むエポキシ樹脂(A)、フェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)、樹脂組成物全体に対して86重量%以上、92重量%以下の無機充填剤(C)及び硬化促進剤(D)を含むものであり、エポキシ樹脂(A1)の種類と配合割合、フェノール性水酸基を2個以上含む化合物(B)の種類、無機充填剤(C)の配合割合、硬化促進剤(D)の種類、等を変えたものを含むものであるが、いずれも樹脂組成物の収縮率が0.40%以上、0.65%未満の範囲にあるものであり、流動性(スパイラルフロー)、連続成形性、パッケージ外観及び金型汚れ性、耐半田性のバランスに優れる結果が得られた。

    一方、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂(A1)を用いていない比較例1〜3では、樹脂組成物の収縮率が充分に大きな値となっていないため、離型性が低下し、連続成形性、パッケージ外観及び金型汚れ性が劣る結果となった。 また、樹脂組成物全体に対する無機充填剤(C)の配合割合が86重量%を下回る比較例4、5では、樹脂成分が多いことでスティッキングし易くなって離型性が低下し、連続成形性、パッケージ外観及び金型汚れ性が劣る結果となった。 逆に、樹脂組成物全体に対する無機充填剤(C)の配合割合が92重量%を越える比較例6では、樹脂成分が少ないことで流動性が低下し、充填不良、ボイド等の成形不具合が発生し易くなって、連続成形性、パッケージ外観及び金型汚れ性が劣る結果となった。

    本発明に従うと、連続成形性に優れ、信頼性が良好な半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができるため、半導体装置封止用として好適である。

    従来技術、並びに本発明の実施例及び比較例における無機充填剤配合割合と成形時の収縮率の関係を示す図である。

    本発明に係るエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。

    符号の説明

    1 半導体素子 2 ダイボンド材硬化体 3 ダイパッド 4 金線 5 リードフレーム 6 封止用樹脂組成物の硬化体

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