首页 / 专利库 / 酸,碱,盐,酸酐和碱 / 丹酚酸 / Method for purifying chromosomal dan duplication initiation protein, dna a, of pathogenic bacterium using affinity between dna a protein and atp, and evaluation of antibacterial activity using affinity between dna a protein and atp

Method for purifying chromosomal dan duplication initiation protein, dna a, of pathogenic bacterium using affinity between dna a protein and atp, and evaluation of antibacterial activity using affinity between dna a protein and atp

阅读:32发布:2021-07-11

专利汇可以提供Method for purifying chromosomal dan duplication initiation protein, dna a, of pathogenic bacterium using affinity between dna a protein and atp, and evaluation of antibacterial activity using affinity between dna a protein and atp专利检索,专利查询,专利分析的服务。并且PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a method for efficiently purifying a Dna A protein while holding its activity, a method for efficiently evaluating antibacterial activity by using an activity of a Dna A protein purified by the method as an indicator and a method for effectively screening a compound having an antibacterial activity. SOLUTION: A Dna A protein of Staphylococcus aureus is purified to a purity of >=90% from a crude extraction fraction by using an ATP bonding activity as an indicator. The purified Dna A protein exhibits a strong affinity to ATP. The use of the affinity between a purified Dna A protein and ATP enables efficient evaluation of an antibacterial activity and efficient screening of a compound having an antibacterial activity.,下面是Method for purifying chromosomal dan duplication initiation protein, dna a, of pathogenic bacterium using affinity between dna a protein and atp, and evaluation of antibacterial activity using affinity between dna a protein and atp专利的具体信息内容。

【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 病原性細菌のDnaA蛋白質の精製方法であって、(a) 病原性細菌のdnaA遺伝子を有する発現ベクターを宿主細胞に導入する工程、および(b) 発現させた該DnaA蛋白質をATP結合活性を指標に精製する工程、
    を含む方法。
  • 【請求項2】 病原性細菌がブドウ球菌属の菌である請求項1に記載の方法。
  • 【請求項3】 ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である請求項2に記載の方法。
  • 【請求項4】 請求項1に記載の方法により精製される病原性細菌のDnaA蛋白質。
  • 【請求項5】 精製後の純度が90%以上である請求項4に記載の病原性細菌のDnaA蛋白質。
  • 【請求項6】 精製後のKd値が0.3μM以下である請求項4に記載の病原性細菌のDnaA蛋白質。
  • 【請求項7】 病原性細菌がブドウ球菌属の菌である請求項4〜6のいずれかに記載のDnaA蛋白質。
  • 【請求項8】 ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である請求項7に記載のDnaA蛋白質。
  • 【請求項9】 被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) 病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) 該DnaA蛋白質のA
    TP結合活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が該DnaA蛋白質のATP結合活性を低下させるか否かを評価する工程、を含む方法。
  • 【請求項10】 被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) ATPが結合した病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b)
    該DnaA蛋白質のATP加水分解活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料がDnaA蛋白質のAT
    P加水分解活性を増強させるか否かを評価する工程、を含む方法。
  • 【請求項11】 被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) 病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) DnaA蛋白質活性制御因子による、該DnaA蛋白質のATP結合活性またはA
    TP加水分解活性の制御を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が、DnaA蛋白質活性制御因子による該DnaA蛋白質のATP結合活性またはATP加水分解活性の制御を抑制させるか否かを評価する工程、を含む方法。
  • 【請求項12】 病原性細菌のDnaA蛋白質が請求項1に記載の方法により精製されたものである、請求項9〜1
    1のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項13】 病原性細菌がブドウ球菌属の菌である請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
  • 【請求項14】 ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である請求項13に記載の方法。
  • 【請求項15】 病原性細菌に対し抗菌活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、(a)請求項9〜14のいずれかに記載の方法により、複数の被検試料について、病原性細菌に対する抗菌活性を評価する工程、および(b)複数の被検試料から、抗菌活性を有すると評価された化合物を選択する工程、を含む方法。
  • 【請求項16】 請求項9〜15のいずれかに記載の方法により同定される、病原性細菌に対し抗菌活性を有する化合物。
  • 【請求項17】 請求項16に記載の化合物を有効成分とする抗菌剤。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、DnaA蛋白質の精製並びにDnaA蛋白質を標的とした抗菌活性の評価および抗菌活性を有する化合物のスクリーニングにおいて、DnaA
    蛋白質とATPとの親和性を利用する方法に関する。

    【0002】

    【従来の技術】近年、抗菌剤に耐性化した病原性細菌による感染症が臨床上、問題となっている。 一般に、抗菌剤の標的となる細菌の蛋白質には、その蛋白質の機能が、細菌が増殖するために必須な役割を果たしていること、およびその蛋白質と構造が共通した蛋白質がヒトには存在しないこと、が重要である。

    【0003】ところで、大腸菌では、染色体DNAの複製の開始には、DnaA蛋白質が必須であることがすでに判明している。 DnaA蛋白質をコードする遺伝子(dnaA遺伝子)が変異すると、大腸菌の染色体DNAの複製の開始が異常となることが知られている。 実際、大腸菌において、数多くのdnaA遺伝子の温度感受性変異株が報告されている(Hirota, Y., et al. (1968) Cold Spring Harb
    or Symp. Quant. Biol. 33: 677)。 従って、DnaA蛋白質の活性の阻害は、細菌の増殖を阻害する。 (細菌の染色体DNAの複製開始蛋白質であり、細菌の増殖に必須である。)一方、DnaA蛋白質は、大腸菌を初めとして細菌に広く見出されるが、ヒトを含む真核細胞には存在していない。 このような特質から、DnaA蛋白質は、臨床上有効な抗菌剤の標的として有望であると考えられる。

    【0004】特定の標的を有する抗菌剤を探索するためには、その標的の活性を測定する方法が明らかにされていなければならない。 また、混在する蛋白質が活性測定に及ぼす影響をさけるために、その標的蛋白質は精製されている必要がある。

    【0005】従来、細菌のDnaA蛋白質の精製においては、DnaA蛋白質の活性を測定することなく、電気泳動法によりDnaA蛋白質の存在を検出し、それを指標に精製する方法が一般的に採られてきた。 例えば、枯草菌において、電気泳動によりDnaA蛋白質を検出し、それをもとに
    DnaA蛋白質を精製した報告がある(Fukuoka, et al. (1
    990) J. Biochem. 107: 732)。 しかしながら、抗菌剤を探索するための手段としての蛋白質の精製においては、精製後の蛋白質は活性を有していることが必要である。 なぜなら、目的の物質の抗菌活性の評価においては、精製した標品の活性を測定して、抗菌効果を検出する必要があるからである。 従って、電気泳動法を利用したDnaA蛋白質の精製は、抗菌剤探索の手段としては不適当である。

    【0006】一方、大腸菌のDnaA蛋白質については、試験管内の複製活性を指標にDnaA蛋白質を精製する方法が報告されている(Fuller, RS and Kornberg, A. (19
    83)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80: 5817, Sekim
    izu, K. et al. (1988) J.Biol. Chem. 263: 7136)。
    しかしながら、この方法では、試験管内DNA複製系を構築する必要があり、そのためには、複製開始部位を含むプラスミド(oriCプラスミド)及び、DNA複製反応に必要なDNAポリメラーゼなどの種々の複製蛋白質を用意しなければならない。 DNA複製反応に必要な複製蛋白質は少なくとも10種類以上ある。 また、複製蛋白質が機能するには複製蛋白質同士の相互作用が重要であり、大腸菌などの一つの細菌の系を他の細菌に置き換えることは不可能である。 従って、複製活性を指標にDnaA蛋白質を精製するには、対象となる細菌それぞれに対してそれぞれに対応する複製蛋白質を調製する必要がある。 残念ながら、それは容易なことではない。

    【0007】このため、抗菌活性の評価に適した形態で
    DnaA蛋白質を精製するための、より効率的な方法の開発が望まれていた。 特に抗菌剤開発の標的となる病原性細菌に関しては、DnaA蛋白質の精製に成功したという報告例はなく、抗菌剤の開発のための第一ステップとして、
    その精製法の開発が強く望まれていた。

    【0008】

    【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、DnaA蛋白質をその活性を保持したまま効率的に精製する方法を提供することにある。 さらに、本発明は、このようにして精製されたDnaA蛋白質の活性を指標に、効率的に抗菌活性を評価する方法および効率的に抗菌活性を有する化合物をスクリーニングする方法を提供することをも目的とする。 特に、本発明は、病原性細菌を標的とした、Dn
    aA蛋白質の精製方法並びに該蛋白質を利用した抗菌活性の評価方法および抗菌活性を有する化合物のスクリーニング方法を提供することを目的とする。

    【0009】

    【課題を解決するための手段】本発明者は、大腸菌DnaA
    蛋白質が、ATPに結合して活性化されることを報告しているが(Sekimizu, K. et al. (1987) Cell 50: 25
    9)、菌体内にはATPに親和性を有する多くの蛋白質が存在するため、当業者においては、このATP結合活性を指標としてDnaA蛋白質を精製するのは、困難であると考えられていた。 このため、これまで、DnaA蛋白質のATP結合活性を指標としてDnaA蛋白質を精製は行なわれていなかった。 しかし、本発明者は、DnaA蛋白質のATP結合活性が容易に定量的測定が可能であるという利点に着目し、日和見感染が臨床上問題となっている黄色ブドウ球菌を用いて、ATP結合活性を指標にそのDnaA蛋白質の精製を試みた。 その結果、意外にも、黄色ブドウ球菌のDn
    aA蛋白質を90%以上の純度で精製することに成功した。
    精製したDnaA蛋白質のATPに対する親和性を定量した結果、黄色ブドウ球菌のDnaA蛋白質がATPに対し高い親和性を有することが判明した。 DnaA蛋白質の精製の成功は、この親和性の高さによるものと考えられた。

    【0010】また、本発明者は、このようにATPとの高い親和性を保持したままDnaA蛋白質を精製することに成功したことから、DnaA蛋白質とATPとの結合を指標として、抗菌活性を評価しうると考えた。 上記したように、
    DnaA蛋白質のATP結合活性はその定量的測定が容易である。 さらに、DnaA蛋白質とATPとの結合は、DnaA蛋白質の複製活性に必要であり(Sekimizu, K. et al. (1988)
    J. Biol. Chem. 263:7124、Sekimizu, K. et al. (198
    7) Cell 50: 259)、DnaA蛋白質とATPとの結合を阻害する物質は細菌の増殖を抑制することが期待される。 従って、DnaA蛋白質とATPとの結合は、効率的な抗菌活性の評価のための有効な指標となると考えられる。

    【0011】さらに、本発明者らは、DnaA蛋白質とATP
    との高い親和性に基づき、ATPが結合されたDnaA蛋白質のATP加分解活性を指標として、あるいは活性制御因子によるDnaA蛋白質のATP結合活性やATP加水分解活性の制御を指標として、効率的に抗菌活性を評価することが可能であると考えた。 これら抗菌活性の評価系を利用すれば、多くの物質の中から、効率的に抗菌剤の候補化合物をスクリーニングすることも可能となる。

    【0012】即ち、本発明は、DnaA蛋白質とATPとの親和性を利用したDnaA蛋白質の精製方法、並びにDnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、抗菌活性の評価方法および抗菌活性を有する化合物のスクリーニング方法に関し、より詳しくは、(1)病原性細菌のDnaA蛋白質の精製方法であって、(a) 病原性細菌のdnaA遺伝子を有する発現ベクターを宿主細胞に導入する工程、および(b)
    発現させた該DnaA蛋白質をATP結合活性を指標に精製する工程、を含む方法、(2)病原性細菌がブドウ球菌属の菌である(1)に記載の方法、(3)ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である(2)に記載の方法、(4)
    (1)に記載の方法により精製される病原性細菌のDnaA
    蛋白質、(5)精製後の純度が90%以上である(4)
    に記載の病原性細菌のDnaA蛋白質、(6)精製後のKd値が0.3μM以下である(4)に記載の病原性細菌のDna
    A蛋白質、(7)病原性細菌がブドウ球菌属の菌である(4)〜(6)のいずれかに記載のDnaA蛋白質、(8)
    ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である(7)に記載のDnaA蛋白質、(9)被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) 病原性細菌のDna
    A蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) 該DnaA蛋白質のATP結合活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が該DnaA蛋白質のATP結合活性を低下させるか否かを評価する工程、を含む方法、(10)
    被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) ATPが結合した病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) 該DnaA蛋白質のATP
    加水分解活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料がDnaA蛋白質のATP加水分解活性を増強させるか否かを評価する工程、を含む方法、(11)
    被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法であって、(a) 病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) DnaA蛋白質活性制御因子による、該DnaA蛋白質のATP結合活性またはATP加水分解活性の制御を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が、DnaA蛋白質活性制御因子による該DnaA
    蛋白質のATP結合活性またはATP加水分解活性の制御を抑制させるか否かを評価する工程、を含む方法、(12)
    病原性細菌のDnaA蛋白質が(1)に記載の方法により精製されたものである、(9)〜(11)のいずれかに記載の方法、(13)病原性細菌がブドウ球菌属の菌である(9)〜(12)のいずれかに記載の方法、(14)
    ブドウ球菌属の菌が黄色ブドウ球菌である請求項(1
    3)に記載の方法、(15)病原性細菌に対し抗菌活性を有する化合物をスクリーニングする方法であって、
    (a)(9)〜(14)のいずれかに記載の方法により、複数の被検試料について、病原性細菌に対する抗菌活性を評価する工程、および(b)複数の被検試料から、抗菌活性を有すると評価された化合物を選択する工程、を含む方法、(16)(9)〜(15)のいずれかに記載の方法により同定される、病原性細菌に対し抗菌活性を有する化合物、(17)(16)に記載の化合物を有効成分とする抗菌剤、を提供するものである。

    【0013】

    【発明の実施の形態】本発明は、DnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、病原性細菌のDnaA蛋白質の精製方法を提供する。

    【0014】本発明の精製方法は、(a)病原性細菌のdna
    A遺伝子を有する発現ベクターを宿主細胞に導入する工程、および(b)発現させた該DnaA蛋白質をATP結合活性を指標に精製する工程、を含む方法である。

    【0015】本発明において、DnaA蛋白質を精製する標的となる病原性細菌としては、特に制限はない。 本発明において「病原性細菌」とは、宿主に感染して病気を引き起こす能を有する細菌を意味する。 ヒトにおける病原性細菌の感染症に対する抗菌剤の開発の一ステップとして、DnaA蛋白質の精製を行なう場合には、病原性細菌としては、ヒトに感染するものが標的となる。 病原性細菌には、グラム陰性菌およびグラム陽性菌の双方が含まれる。 グラム陰性菌としては、例えば、緑膿菌、コレラ菌、病原性大腸菌(O-157)を、グラム陽性菌としては、例えば、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌属の菌(ブドウ球菌属の菌とは、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などを含む、すでに、公知の分類である17種の菌を意味する)を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。

    【0016】効率的なDnaA蛋白質の精製のために、病原性細菌のDnaA蛋白質はATPと高い親和性を有するものであることが好ましい。 ATPに対する高い親和性とは、一般的に、Kd値が0.3μM以下、より好ましくは0.2μM以下(例えば、0.15μM)である。 黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌属の菌は、そのDnaA蛋白質がATPと高い親和性を有するため、DnaA蛋白質の精製の標的として好適である。

    【0017】これら病原性細菌のdnaA遺伝子は、その病原性細菌の染色体DNAの塩基配列が決定されている場合には、大腸菌のdnaA遺伝子と共通配列を有する遺伝子としてPCRなどの方法により容易に得ることができる。 また、染色体DNAの塩基配列の解析によるdnaA遺伝子の同定が困難な病原性細菌についても、大腸菌のdnaA遺伝子をプローブとしたハイブリダイゼーション等の方法により、大腸菌dnaA遺伝子と相同な遺伝子として、容易に入手することが可能である。 本発明者は、この方法を利用して、初めて黄色ブドウ球菌のdnaA遺伝子を分離している(Katayama, H.et al. (1997) Biol. Pharm. Bull. 2
    0: 820)。 これらの方法を用いれば、所望の病原性細菌のdnaA遺伝子をもクローニングすることができる。

    【0018】dnaA遺伝子は、公知の遺伝子工学の手法を用いて、発現ベクターに連結し、宿主細胞に導入することができる。 発現ベクターとしては、宿主細胞内でdnaA
    遺伝子の発現を保証しうるものであれば、特に、制限はない。 本実施例においては、発現ベクターとしてpHK011
    を用いた。 pHK011は、pBR322由来の複製開始点を有する、黄色ブドウ球菌のdnaA遺伝子の発現プラスミドであり、アンピシリン耐性遺伝子を有している。 宿主細胞としては、dnaA遺伝子の発現により、増殖停止または死滅しない細胞であれば制限されず、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、植物細胞、動物細胞などが例示できる。 本実施例においては、大腸菌KA450株を用いた。 KA450株は、染色体DNA複製開始点(oriC)を欠く大腸菌の変異株で、stableDNA replicationという特殊なDNA複製開始機構により増殖する(Kogoma, T. (1986) J. Bacteriol.
    166:361)。 黄色ブドウ球菌のdnaA遺伝子の発現は野生型の大腸菌の増殖を抑えるのに対し、この菌では抑えない(Katayama, H. et al. (1997) Biol. Pharm. Bull.
    20:820)。 このため大腸菌KA450は、黄色ブドウ球菌のd
    naA遺伝子を発現させるための宿主細胞として好適である。 他の病原性細菌のdnaA遺伝子の発現も、野生型大腸菌の増殖を抑制するが、この菌の増殖は抑制しないと予想される。 dnaA遺伝子を組み込んだベクターの宿主細胞への導入は、例えば、エレクトロポレーション法(村松正実編、ラボマニュアル遺伝子工学第3版(1996)丸善p1
    46-p149)及びルビジウム・マンガン法(Hanahan, D. (1
    983) J. Mol. Biol. 166:557)などの方法により行うことができるが、これらに制限されない。 ベクターが導入された宿主細胞の選択は、例えば、ベクターが有する薬剤耐性マーカーを用いて行うことができる。 発現ベクターとしてpHK011を用いた場合は、50μg/mlのアンピシリンを含む寒天培地上でベクターが導入された宿主細胞を選別することができる。 すでに、大腸菌dnaA遺伝子(Fu
    ller, RS and Kornberg, A. (1983) Proc.Natl. Aca
    d. Sci. USA 80: 5817)及び、枯草菌dnaA遺伝子(Fukuoka, T.et al. (1990) J. Biochem. 107: 732)
    について、大腸菌での多量発現が報告されている。

    【0019】宿主細胞内で発現させたDnaA蛋白質の精製は、一般的に、蛋白質精製のための生化学的方法が用いられる。 生化学の一般的な手法として、電気泳動法により多量生産された蛋白質を同定し、それを指標に蛋白質の精製をおこなう場合がある。 しかしながら、蛋白質を抗菌剤の標的として精製する場合には、精製した後に、
    蛋白質の活性に対して阻害効果を示す物質を検索する必要があり、この方法は不適当である。 これまで、大腸菌及び枯草菌のDnaA蛋白質について、複製開始点中のDnaA
    boxに特異的に結合する性質があることが報告されているが、このDnaA蛋白質の活性の測定は煩雑で手間がかかるばかりでなく、定量性にも問題があり、阻害薬の検索の指標としては不適当である。 本発明では、DnaA蛋白質が有する、ATPへの高い親和性を利用して精製を行う。 D
    naA蛋白質とATP結合活性は、定量的測定が容易である点でも、精製の指標として好適である。

    【0020】ATP結合活性の検出においては、例えば、A
    TPの他の部位を32 Pあるいは他の核種で放射標識したATP
    を用いたり、他のATPの誘導体を放射標識して用いることができる。 また、放射標識以外に、蛍光標識など定量的測定が可能な標識方法を用いることができる。 標識した化合物がDnaA蛋白質の活性定量に適しているか否かは、その化合物がDnaA蛋白質に対するATP結合を競合阻害するか、あるいは、その化合物のDnaA蛋白質への結合がATPにより競合阻害されるかを検出することにより評価できる。 また、ATP結合活性の測定は、例えば、実施例4で示したフィルター結合試験により行なうことができるが、これ以外にも様々な方法をとることが可能である。 例えば、ゲル濾過法、ウエスタンブロット法、表面プラズモン共鳴現象SPRを利用する方法(BIACORE、橋本せつ子(1997)ぶんせき5:362)が適当な方法として考えられる。

    【0021】蛋白質の分離、精製は、通常の蛋白質の精製で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、
    何ら限定されるものではない。 例えば、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈殿、
    免疫沈降、等電点電気泳動法、透析、再結晶等を適宜選択、組み合わせれば蛋白質を分離、精製することができる。 クロマトグラフィーとしては、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる。 これらのクロマトグラフィーは、液相クロマトグラフィー、例えば、HPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。

    【0022】単一ポリペプチドからなる蛋白質の最終標品は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で、遺伝子から予想される分子量の単一のバンドが示されるべきである。 本発明においても、純度は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動において単一のバンドが示されたか否かを基準とした。 この条件が満たされれば、DnaA蛋白質の精製が完了したと判断することができる。

    【0023】最終標品が示すべき基本的性質は、ATPに対する高い親和性である。 一般に生化学で、蛋白質がある物質に高い親和性を有するというのは、その物質に対するKd値(解離定数)が、他の蛋白質より著しく小さいことを意味している。 Kd値を求める方法は、生化学実験の基本的操作であり、いろいろな方法が考えられる。 Dn
    aA蛋白質のATPに対するKd値を簡便に求めるひとつの方法として、実施例に示すように、いろいろな濃度の放射標識したATP存在下でフィルター結合試験をおこない、
    スキャッチャードプロットをおこない、算出するのがよいが、これに制限されない。 大腸菌DnaA蛋白質の、ATP
    に対するKd値は、0.03μMである(Sekimizu, K. et a
    l. (1987) Cell 50: 259)。 ATPに対する親和性が高いということは、具体的には、Kd値が0.3μMよりも小さいことを意味している。 好ましくは、精製の各段階において、収率及び、比活性の上昇が図られているかを確認する。

    【0024】本発明は、また、上記の精製方法により精製された病原性細菌のDnaA蛋白質を提供する。 本発明の精製方法によれば、DnaA蛋白質をその活性を保持したまま高い純度で精製することができる。 従って、本発明の方法により精製されたDnaA蛋白質は、抗菌活性の評価や抗菌活性を有する化合物のスクリーニングに好適である。 精製後のDnaA蛋白質の純度は、好ましくは90%以上である。 また、精製後のDnaA蛋白質のATPへの親和性は、好ましくは、Kd値で0.3μM以下であり、より好ましくは0.2μM以下(例えば、0.15μM)である。 本発明のDnaA蛋白質の好ましい態様は、ブドウ球菌属の菌由来のDnaA蛋白質(例えば、黄色ブドウ球菌由来のDnaA蛋白質)である。

    【0025】また、本発明は、病原性細菌のDnaA蛋白質とATPとの親和性を利用して、被検試料の病原性細菌に対する抗菌活性を評価する方法を提供する。

    【0026】病原性細菌のDnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、本発明の評価方法の第一の態様は、DnaA蛋白質のATP結合活性を指標とする方法である。 DnaA蛋白質はATPと結合し、これにより活性型となる。 DnaA蛋白質とATPとの結合を阻害する物質は、DnaA蛋白質の活性化を阻害し、ひいては細菌の増殖を阻害すると考えられる。 従って、被検試料がDnaA蛋白質のATP結合活性を阻害するか否かは、抗菌活性の重要な指標となる。 本発明の評価方法の第一の態様は、(a) 病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) 該DnaA蛋白質のAT
    P結合活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が該DnaA蛋白質のATP結合活性を低下させるか否かを評価する工程、を含む方法である。

    【0027】病原性細菌のDnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、本発明の評価方法の第ニの態様は、DnaA蛋白質のATP加水分解活性を指標とする方法である。 ATPが結合して活性型となったDnaA蛋白質は、自身の加水分解活性により結合しているATPをADPに変換し、不活性型となる。 従って、DnaA蛋白質のATP加水分解活性を増強する物質は、DnaA蛋白質の不活性化を促進し、ひいては細菌の増殖を阻害すると考えられる。 このため、被検試料がDnaA蛋白質のATP加水分解活性を増強するか否かは、
    抗菌活性の重要な指標となる。 DnaA蛋白質のATP加水分解活性の検出においても、DnaA蛋白質とATPとの高い親和性は重要な基礎となる。 なぜなら、この加水分解活性の検出においては、ATPが結合したDnaA蛋白質を利用するからである。 本発明の評価方法の第ニの態様は、(a)
    ATPが結合した病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) DnaA蛋白質のATP加水分解活性を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDn
    aA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が
    DnaA蛋白質のATP加水分解活性を増強させるか否かを評価する工程、を含む方法である。

    【0028】病原性細菌のDnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、本発明の評価方法の第三の態様は、活性制御因子によるDnaA蛋白質の活性の制御を指標とする方法である。 病原性細菌細胞内でのDnaA蛋白質の活性は、Dn
    aA蛋白質に結合したアデニンヌクレオチドにより制御されている。 即ち、ATP結合型DnaA蛋白質には複製活性があるが、ADP結合型DnaA蛋白質は不活性である(Sekimiz
    u, K. et al. (1987)Cell 50: 259))。 DNA複製がおこるべきでない時期には、複製開始蛋白質の活性は抑えられていなければならない。 この制御機構に乱れが生じれば、病原性細菌は正常に増殖することができなくなる(Mizushima T. et al. (1997) EMBO J.16: 3724, Kata
    yama, T. et al. (1998) Cell 94:61)。 このDnaA蛋白質の活性制御は、DnaN蛋白質(Katayama, T. et al. (1
    998) Cell 94:61)を含む他の蛋白質や酸性リン脂質(S
    ekimizu, K. et al. (1988) J. Biol. Chem. 263: 713
    1)との相互作用によりなされている。 DnaA蛋白質の、
    そのような活性制御因子との相互作用部位に結合する物質は、たとえそれがDnaA蛋白質の活性を阻害しなくとも、DNA複製制御機構を破綻させ、結果として病原性細菌の増殖を抑えることが期待される。 従って、被検試料がDnaA蛋白質活性制御因子のDnaA蛋白質に対する作用を阻害するか否かは、抗菌活性の重要な指標となる。 このような活性制御因子の活性の検出においては、活性制御因子存在下におけるDnaA蛋白質のATP結合活性あるいはA
    TP加水分解活性を検出するため、DnaA蛋白質とATPとの高い親和性はこの評価方法の重要な基礎となる。 本発明の評価方法の第三の態様は、(a)病原性細菌のDnaA蛋白質に被検試料を接触させる工程、(b) DnaA蛋白質活性制御因子による該DnaA蛋白質のATP結合活性またはATP加水分解活性の制御を検出する工程、および(c) 被検試料を接触させていないDnaA蛋白質を用いて測定した場合と比較して、被検試料が該DnaA蛋白質のATP結合活性のDnaA
    蛋白質活性制御因子による制御を抑制させるか否かを評価する工程、を含む方法である。

    【0029】本発明の評価方法に用いるDnaA蛋白質としては、抗菌剤開発の標的としたい所望の病原性細菌由来のDnaA蛋白質を用いることができる。 ヒトにおける病原性細菌の感染症に対する抗菌剤の開発の点からは、病原性細菌としては、ヒトに感染するものが標的となる。 病原性細菌には、グラム陰性菌およびグラム陽性菌の双方が含まれる。 グラム陰性菌としては、例えば、緑膿菌、
    コレラ菌、病原性大腸菌(O-157)を、グラム陽性菌としては、例えば、黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌属の菌を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。 病原性細菌は、そのDnaA蛋白質がATPと高い親和性を有するものであることが好ましい。 高い親和性とは、一般的に、Kd値が0.3μM以下、より好ましくは0.2
    μM以下(例えば、0.15μM)である。 黄色ブドウ球菌などブドウ球菌属の菌由来のDnaA蛋白質は、ATPと高い親和性を有するため、本発明の評価方法における抗菌活性の評価において好適である。 上記本発明の精製方法により精製されたDnaA蛋白質は、高い純度およびATPとの高い親和性を有するため、本発明の評価方法に好適に用いることができる。 また、本発明の評価方法に用いられるDnaA蛋白質は、上記した抗菌活性の評価の指標となる活性を有する限り、部分ペプチドであってもよい。

    【0030】本発明の評価方法においてDnaA蛋白質に接触させる被検試料としては特に制限はなく、抗菌活性の評価を行ないたい所望の試料を用いることができる。 被検試料の形態としては特に制限はなく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清、発酵生物産生物、海洋生物抽出物、植物抽出物、精製若しくは粗精製蛋白質、ペプチド、非ペプチド性化合物、合成低分子化合物、天然化合物などを例示できるが、これらに制限されない。

    【0031】本発明の評価方法の第一の態様における、
    DnaA蛋白質のATP結合活性の検出は、上記の本発明の精製方法において記載した様にして実施することができる。 この評価方法においては、被検試料存在下で検出したDnaA蛋白質のATP結合活性が、被検試料非存在下での検出した場合と比較して、有意に(即ち、実験誤差の範囲を超えて)、抑制された場合、該被検試料は、抗菌活性を有すると評価される。 抗菌活性を有すると評価された試料による、DnaA蛋白質のATP結合活性の阻害様式が競合阻害であるか、非競合阻害であるかは、ATPの濃度を変化させた際に、阻害の程度が変化するか否かを調べることにより評価できる。 前者の場合は、通常、ATPのアナログであると考えられ、後者の場合は、通常、DnaA
    蛋白質のATP結合部位以外の場所に結合して、DnaA蛋白質のATP結合活性を阻害する物質であると考えられる。

    【0032】本発明の評価方法の第ニの態様における、
    DnaA蛋白質のATP加水分解活性の検出は、以下のいずれかの方法によって行うことができるが、これらの方法に制限されない。 (1)[α- 32 P]ATPとDnaA蛋白質の複合体をインキュベーションした後、複合体をフィルター上にトラップし、
    ギ酸で抽出後、薄層クロマトグラフィーでATPとADPとに分離し、生じたADPの量を測定する方法(Sekimizu, K. e
    t al. (1987) Cell 50:259)。 (2)[α- 32 P]ATPとDnaA蛋白質の複合体をインキュベーションした後、複合体を抗DnaA蛋白質抗体で沈殿させ、薄層クロマトグラフィーでATPとADPとに分離し、生じたADPの量を測定する方法(Kurokawa, K. et al. (199
    8) Biochem. Biophys. Res. Commun. 243:90)。 (3)[γ- 32 P]ATPとDnaA蛋白質の複合体をインキュベーションした後、複合体をフィルター上にトラップし、
    放射性リン酸の遊離を測定する方法(関水ら、未発表)。

    【0033】すでに、大腸菌のDnaA蛋白質について、Dn
    aA蛋白質に結合したATPのADPへの加水分解活性(Sekimi
    zu, K. et al. (1987) Cell 50: 259)が報告されている。 この評価方法においては、被検試料存在下で検出したDnaA蛋白質のATP加水分解活性が、被検試料非存在下で検出した場合と比較して、有意に増強された場合、該被検試料は、抗菌活性を有すると評価される。

    【0034】本発明の評価方法の第三の態様における、
    活性制御因子によるDnaA蛋白質の活性の制御の検出においては、例えば、上記したDnaA蛋白質のATP結合活性を検出する系あるいはDnaA蛋白質のATP加水分解活性を検出する系にDnaA蛋白質のこれら活性を制御する生体物質を加え、該生体物質のDnaA蛋白質の活性に対する作用を検出すればよい。 生体物質としては、例えば、DNAポリメラーゼIIIホロ酵素やカルジオリピンなどの酸性リン脂質が挙げられるが、DnaA蛋白質の活性を制御するものであれば特に制限はない。 DNAポリメラーゼIIIホロ酵素はDnaA蛋白質に結合したATPの加水分解を促進する。 DNA
    ポリメラーゼIIIホロ酵素のサブユニットの一つであるβがDNA上に固定されて生じる、βクランプと呼ばれる構造がDnaA蛋白質に結合したATPの加水分解に必要である。 さらに未同定の蛋白質の活性がこの加水分解に必要であることも判明している(Katayama, T. et al. (199
    8) Cell 94:61)。 また、酸性リン脂質は、DnaA蛋白質と
    ATPとの結合を阻害する(Sekimizu, K. et al. (1988)
    J. Biol. Chem. 263: 7131)。 酸性リン脂質を用いたDn
    aA蛋白質のATP結合活性の阻害については実施例5に示した。 この評価方法においては、被検試料存在下で検出した、活性制御因子によるDnaA蛋白質の活性の制御が、
    被検試料非存在下での検出した場合と比較して、有意に(即ち、実験誤差の範囲を超えて)、抑制されていた場合、該被検試料は、抗菌活性を有すると評価される。

    【0035】本発明の評価方法を利用して、複数の被検試料について抗菌活性を評価し、抗菌活性を有する化合物を選択することにより、効率的に抗菌活性を有する化合物をスクリーニングすることが可能となる。 本発明は、このような抗菌活性を有する化合物のスクリーニング方法をも提供する。

    【0036】本発明の評価方法またはスクリーニング方法により同定された抗菌活性を有する化合物は、病原性細菌に対する抗菌剤の有力な候補となる。

    【0037】これら化合物をヒトや他の哺乳動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ニワトリ、
    ネコ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル、マントヒヒ、
    チンパンジーの抗菌剤として使用する場合には、化合物自体を直接患者に投与する以外に、公知の製剤学的方法により製剤化して投与を行うことも可能である。 例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用できる。 例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、
    具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤などと適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。

    【0038】患者への投与は、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射などのほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法により行いうる。 投与量は、患者の症状、体重や年齢、投与方法などにより変動するが、当業者であれば、
    意図した抗菌効果を生じるのに十分な薬剤の投与量を適宜選択することが可能であろう。

    【0039】本発明の抗菌剤の対象となる疾患としては、病原性細菌により引き起こされる疾患であれば特に制限はない。 具体的には、黄色ブドウ球菌、緑膿菌による日和見感染症、コレラ菌、赤痢菌による下痢症、緑膿菌、黄色ブドウ球菌による敗血症、ウエルシュ菌、化膿連鎖球菌による皮膚創傷感染症、結核菌、インフルエンザ菌、レジオネラ菌による呼吸器感染症、淋菌による尿路感染症、腸管出血性大腸菌O-157による腸管感染症、
    等が挙げられるが、これらに制限されない。

    【0040】

    【実施例】以下、本発明を黄色ブドウ球菌のDnaA蛋白質の実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。

    【0041】[実施例1] 黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質の精製のための発現ベクターの構築と、黄色ブドウ球菌Dn
    aA蛋白質の大腸菌での発現誘導 黄色ブドウ球菌のdnaA遺伝子をアラビノースオペロンのプロモーター(Kubota, T., et al. (1997) Biochem. B
    iophys. Res. Commun. 232: 130)の下流につないだプラスミドpHK011を構築し(図1)、大腸菌KA450株(Kat
    ayama, T. (1994) J. Biol. Chem. 269:22075)を形質転換した。 形質転換体は、アンピシリン100μg/ml及び5
    0μg/mlのチミンを含むLB寒天培地上で分離した。 この形質転換体をアンピシリン100μg/ml及び50μg/mlのチミンを含むLB液体培地4lでOD 660値が0.5となるまで、30
    度で培養した。 その後アラビノースを最終濃度1%となるように加え、30度で3時間培養し、黄色ブドウ球菌Dna
    A蛋白質を誘導させた。 これを以下に示す、精製の出発材料とした。

    【0042】[実施例2] ATP結合活性を指標とした黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質の精製 全ての操作は、特に注釈を加えない限り、4度にておこなった。 菌体を遠心(6000rpm x 10分)により集め、菌体重量と等量のバッファー(50mM HEPES KOH pH7.6, 1mM
    EDTA, 2mMジチオスレイトール、0.25M KCl, 20%(v/v)グリセロール)に懸濁し、-80度にて冷凍保存した。 これを氷上でゆっくりと解凍し、0.3mg/mlのリゾチーム及び
    20mMスペルミジンを加え、氷上にて30分放置した。 サンプルを液体窒素に浸して凍らせ、さらに氷上でゆっくり解凍した。 さらに超音波処理により菌を破壊し、遠心(35000rpm x 30分)により抽出液を得た(Extract画分)。 抽出液に硫酸アンモニウムを0.2g/ml加え、4度にて3時間放置した。 その後遠心(30000rpm x 20分)により沈殿を集め、4mlのバッファー(50mM HEPES KOH pH7.6,
    1mM EDTA, 2mMジチオスレイトール、10mM酢酸マグネシウム、20%(v/v)グリセロール)に溶かし(Ammonium sul
    fate画分)、同じバッファー1lに対して6時間透析した。 サンプルを遠心し(30000rpm x 20分)、上清(Dia
    lysis sup画分)をモノSカラム(アマーシャム・ファルマシア・バイオテク)に充填した。 カラムをバッファー(50mM HEPES KOH pH7.6, 1mM EDTA, 2mMジチオスレイトール、10mM酢酸マグネシウム、20%(v/v)グリセロール)で洗った後、カラムに吸着したDnaA蛋白質を、0-0.
    5M KClを含むグラジエントにより溶出した(MonoS colu
    mn画分)。

    【0043】精製の各段階の標品について、以下に述べる方法により、ATP結合活性を測定した。 バッファー(5
    0mM HEPES KOH pH7.6, 1mM EDTA, 2mMジチオスレイトール、10mM酢酸マグネシウム、20%(v/v)グリセロール)で希釈したサンプル2μlを、1μmolの[α- 32 P]ATPを含む結合バッファー(40mM HEPES KOH pH7.6, 0.5mM EDTA,
    1mMジチオスレイトール、10%(w/v)スクロース、100mMグルタミン酸カリウム、0.05mg/ml血清アルブミン)50
    μlに加え、氷上で15分間放置した。 サンプルをフィルター(Millipore社、HA, 0.45μm、直径25mm)で濾過し、
    トラップされた放射能を液体シンチレーションカウンターにより定量した(Sekimizu, K. et al. (1987) Cell
    50:259)。 最初の画分(Extract画分)に比べ、最終標品
    (MonoS column画分)のATP結合活性の比活性(単位蛋白質量あたりの活性量)は約20倍に上昇した(表1)。 AT
    P結合活性の収率は、30%であった。 上で示した4lの培養によって得られた菌体からは、2mgの最終標品が得られた。

    【0044】

    【表1】

    【0045】表中の各精製画分の蛋白質の定量は、Micr
    o Lowry法を用いて行った。 各精製段階での、蛋白質量、ATP結合活性、ATP結合の比活性および収率を示す。
    ATP結合アッセイは、各精製画分の100倍希釈液2μlについて行い、各精製画分全体のATP結合活性を求めた。

    【0046】[実施例3] 黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質の各精製段階での標品のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動による純度の分析 精製の各段階での画分の蛋白質5μgを1%SDS、2%2-メルカプトエタノール存在下で、90度にて4分熱処理し、1
    0%ポリアクリルアミドゲル中で電気泳動した(Laemml
    i, UK (1970) Nature 227:680)。 ゲル中の蛋白質をクマシーブリリアントブルーR250により染色した(図2)。 最終標品(MonoS column画分)は、分子量52kDa
    のほぼ単一なバンドを示し、その純度は90%以上であると推定された。

    【0047】[実施例4] 精製した黄色ブドウ球菌DnaA
    蛋白質のATPに対する親和性の定量 精製の最終標品(MonoS column画分)のDnaA蛋白質2.4pmo
    lを種々の濃度(0.1μM)のATP存在下でATP結合量を上記のフィルター結合アッセイにより定量した。 スキャッチャードプロット(図3)により、Kd値を求めたところ、0.15μMと算定された。 DnaA蛋白質のATPとの親和性は、DnaA蛋白質の由来により異なるが、黄色ブドウ球菌のDnaA蛋白質は、ATPと高い親和性を有することが、本実施例により判明した。

    【0048】[実施例5] 精製した黄色ブドウ球菌DnaA
    蛋白質のATP結合活性に対する、酸性リン脂質の阻害効果 DnaA蛋白質のATP結合活性は、この蛋白質のDNA複製開始活性に必要である(Mizushima, T. et al. (1996) J. B
    iol. Chem. 271: 25178)。 したがって、病原性細菌のD
    naA蛋白質のATP結合活性を阻害する物質は、その病原性細菌のDNA複製開始を阻害すると考えられ、抗菌活性を持つ化合物の候補である。 本発明は、このような抗菌剤のスクリーニングに有効な方法を提供するものである。
    すでに、大腸菌のDnaA蛋白質について、カルジオリピンがATP結合活性を阻害することが分かっている(Sekimiz
    u, K. et al. (1988) J. Biol. Chem. 263: 7131)。 カルジオリピンは病原性細菌細胞の細胞膜に存在する酸性リン脂質である。

    【0049】牛心臓由来のカルジオリピンはシグマ社より購入した。 溶媒を蒸発させた後、超音波処理(ブランソン社超音波機450)で水に懸濁した。 種々の量のカルジオリピン及び精製した5ピコモルのDnaA蛋白質(MonoS
    column画分)を、1μMの[α- 3 2 P]ATPを含むバッファー(40mM HEPES KOH pH7.6, 40mM KCl, 40μM 酢酸マグネシウム、0.5mM EDTA, 2mMジチオスレイトール、10%(w/
    v)スクロース、100mMグルタミン酸カリウム、0.05mg/ml
    牛血清アルブミン)50μlに加え、氷上で2時間放置した。 サンプルをフィルター(Millipore社、HA, 0.45μ
    m、直径25mm)で濾過し、トラップされた放射能を液体シンチレーションカウンターにより定量した(Sekimizu,
    K. et al. (1987) Cell 50:259)。 DnaA蛋白質のATP結合活性は、10μgのカルジオリピンによりほぼ完全に阻害された(図4)。

    【0050】

    【発明の効果】DNA複製は、病原性細菌の増殖に必要不可欠である。 さらに、DnaA蛋白質は、DNA複製の開始蛋白質である。 従って、DnaA蛋白質の活性を阻害する物質は病原性細菌の増殖を阻害する可能性がある。 また、Dn
    aA蛋白質の活性は、この蛋白質に対するATP結合により制御されており、その制御機構に異常を生じれば、病原性細菌細胞は増殖できなくなる(Katayama, T. et al.
    (1998) Cell 94:61)。 DnaA蛋白質の活性及び制御機構に対する阻害剤は、病原性細菌のDNA複製を阻害したり、あるいは異常な複製を引き起こすことにより、病原性細菌細胞の増殖を抑制することが期待される。 本発明により、このような阻害剤の候補化合物を効率的に探索することが可能となった。 また、本発明により、このような阻害剤の候補化合物の探索に有用な、活性を保持した高純度のDnaA蛋白質を効率的に精製することが可能となった。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質大量生産系による黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質の発現を示す図(左)および写真(右)である。 左側に、多量生産プラスミドpHK011
    の構造を示す。 黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質は、アラビノースにより誘導される。 図の右側に、誘導前後の菌体の
    SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の解析結果を示す。 ゲル中の蛋白は、クマシーブリリアントブルーR250
    で染色した。 分子量52kDaの黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質が誘導されていることが分かる。

    【図2】 精製段階の進行に伴う、黄色ブドウ球菌DnaA
    蛋白質含量の上昇を示す写真である。 各精製段階画分の蛋白質5μgをSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。 ゲル中の蛋白は、クマシーブリリアントブルーR250で染色した。

    【図3】 黄色ブドウ球菌DnaA蛋白質のATPに対する解離定数(Kd) を示す図である。 様々な濃度の放射標識したATP存在下で精製した2.4 pmolのDnaA蛋白質(MonoScol
    umn画分)について、ATP結合活性を測定した。 右側に、
    スキャッチャードプロットを示す。 Kd値は、0.15μMと算定された。

    【図4】 酸性リン脂質によるDnaA蛋白質のATP結合阻害を示す図である。 種々の量のカルジオリピン及び精製した5 pmolのDnaA蛋白質(MonoS column画分)を、1μmol
    の[α- 32 P]ATPを含むバッファー50μlに加え、氷上で2
    時間放置した。 サンプルをフィルター(Millipore社、H
    A, 0.45μm、直径25mm)で濾過し、トラップされた放射能を液体シンチレーションカウンターにより定量した。

    フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 C12Q 1/68 Z 4H045 C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 C12N 15/00 A 33/53 A61K 37/22 Fターム(参考) 4B024 AA11 BA80 CA02 DA06 EA04 GA11 HA03 4B063 QA01 QA18 QQ98 QR42 QR48 QS24 QS32 QX07 4B064 AG01 CA02 CA19 CC24 CE02 CE04 CE09 DA13 4C084 AA02 AA17 BA47 ZB352 4H011 AA02 BB17 4H045 AA10 AA20 AA30 CA11 EA50 FA74 GA06 GA20 (54)【発明の名称】 DnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、病原性細菌の染色体DNA複製開始蛋白質Dn aAの精製方法、並びに、DnaA蛋白質とATPとの親和性を利用した、抗菌活性の評価方法 および抗菌活性を有する化合物のスクリーニング方法

    高效检索全球专利

    专利汇是专利免费检索,专利查询,专利分析-国家发明专利查询检索分析平台,是提供专利分析,专利查询,专利检索等数据服务功能的知识产权数据服务商。

    我们的产品包含105个国家的1.26亿组数据,免费查、免费专利分析。

    申请试用

    分析报告

    专利汇分析报告产品可以对行业情报数据进行梳理分析,涉及维度包括行业专利基本状况分析、地域分析、技术分析、发明人分析、申请人分析、专利权人分析、失效分析、核心专利分析、法律分析、研发重点分析、企业专利处境分析、技术处境分析、专利寿命分析、企业定位分析、引证分析等超过60个分析角度,系统通过AI智能系统对图表进行解读,只需1分钟,一键生成行业专利分析报告。

    申请试用

    QQ群二维码
    意见反馈