【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数の商品を吊り下げた状態でかつ前後方向に並んだ状態で収納するとともに、販売時に、複数の商品のうちの最前に位置する販売商品を払い出す自動販売機の商品収納払出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の商品収納払出し装置として、例えば、本出願人が既に提案した特開２００１−７
６２４２号公報に記載のものが知られている。 この商品収納払出し装置は、水平な商品ラックと、この商品ラック上に取り付けられた複数の商品払出し機構とを備えている。 複数の商品払出し機構のうち、吊り下げた状態で収納した商品を払い出すタイプのものは、図３に示すように、前後方向（図３では左右方向）に延びる商品通路４０内に配置された商品吊下げロッド４１を有している。 この商品吊下げロッド４１は、ロッド本体４２と、
このロッド本体４２の表面に螺旋状に連続して延びる螺旋凸部４３とで構成されている。 このように構成された商品吊下げロッド４１は、前後方向に水平に延びるように、商品通路内にこれに沿って配置されるとともに、後端部が所定の駆動機構４４に支持された状態で、所定の方向に回転駆動されるようになっている。

【０００３】このような商品吊下げロッド４１を有する商品収納払出し装置に商品を補充（ローディング）する場合には、複数の商品Ｓのパッケージなどに予め形成されている図示しない吊し用の孔（吊し孔）を、商品吊下げロッド４１にその前端から順次通すことによって、それらの商品Ｓが、商品吊下げロッド４１に吊り下げた状態でかつ前後方向に並んだ状態で収納される。 このような収納状態から、販売時に、商品吊下げロッド４１が所定の方向に回転駆動されると、各商品Ｓは、吊し孔の縁部が螺旋凸部４３に後ろから徐々に押されることで、前方に送られる。 そして、最前に位置する販売商品Ｓが商品吊下げロッド４１の前端から離脱し、前方へ払い出される。 この販売商品Ｓの払出しが、図示しないセンサで検出されると、商品吊下げロッド４１の回転が停止し、
これに伴い、商品吊下げロッド４１に吊り下げられた商品Ｓの前方への移動も停止し、商品の払出し動作が終了する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような商品収納払出し装置では、例えば、図３の一点鎖線の円内に示すように、隣り合う商品Ｓ、Ｓ同士の間隔が近い状態で収納された場合には、１回の販売で、２個の商品Ｓ、Ｓが払い出される、いわゆる２個販売を行ってしまうことがある。 もちろん、商品Ｓ、Ｓ同士の間隔を大きくすることで、２個販売を防止することは可能である。 しかし、この場合には、商品吊下げロッド４１に吊り下げ可能な商品の数が少なくなることで、商品の収納効率が悪くなるとともに、払出し動作の時間が長くなることで、販売に要する時間も長くなってしまう。 以上のような点において、この商品収納払出し装置には改善の余地がある。

【０００５】本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、商品同士の間隔を適切に保った状態で商品を収納することができ、その結果、２個販売を確実に防止することができる自動販売機の商品収納払出し装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る自動販売機の商品収納払出し装置は、前後方向に延びる商品通路に、複数の商品を吊り下げた状態でかつ前後方向に並んだ状態で収納するとともに、販売時に、複数の商品のうちの最前に位置する販売商品を、商品通路から前方へ払い出す自動販売機の商品収納払出し装置であって、商品通路の前端部および後端部にそれぞれ回転自在に設けられた前プーリおよび後プーリと、これら前プーリおよび後プーリに巻き掛けられたベルトと、複数の商品を、それぞれの上端部を挟持した状態で吊り下げるために、ベルトの外周面に、ベルトの長さ方向に互いに所定間隔を存して形成された複数の切込みと、販売時に、前プーリおよび後プーリの少なくとも一方を所定の方向に回転駆動することによって、ベルトを所定の方向に回すことにより、複数の切込みにそれぞれ挟持された複数の商品を前方に移動させ、販売商品を挟持した切込みが前プーリを回り込むときに拡開することによって、販売商品を解放し、払い出す駆動手段と、を備えていることを特徴とする。

【０００７】この構成によれば、ベルトの外周面に、その長さ方向に互いに所定間隔を存した状態で、商品を吊り下げるための複数の切込みが形成されているので、商品の上端部を切込みに順次挟持させながら、複数の商品を吊り下げた状態にローディングすることにより、前後方向に並んだ複数の商品の間隔が、切込み間の所定間隔分、隔てた状態に保持される。 販売時に、駆動手段により、前プーリおよび後プーリの少なくとも一方が、所定の方向に回転駆動されることにより、これらのプーリに巻き掛けられたベルトが所定の方向に回る。 そうすると、商品通路内の商品は、ベルトに吊り下げられた状態のまま、全体として前方に移動する。 そして、最前に位置する販売商品を挟持する切込みが、前プーリの付近に到達し、それを回り込む際に、前プーリによるベルトの外周面と内周面との曲率の相違によって拡開する。 これにより、切込みに挟持されていた販売商品は、解放され、商品通路から前方へ払い出される。

【０００８】このように、ベルトの外周面に、複数の切込みを互いに適切な間隔を存して形成するとともに、これらの切込みに商品をそれぞれ挟持して吊り下げるだけで、商品同士を適切な間隔に保った状態で商品通路に収納することができる。 その結果、販売商品の払出し後、
その他の商品の前方への移動を、余裕を持って停止させることが可能であり、これにより、販売商品のすぐ後ろに位置する次販商品が販売商品とともに払い出されてしまう、いわゆる２個販売を確実に防止することができる。 また、商品通路内の商品は、その上端部がベルトの切込みで挟持されることによって吊り下げられるので、
吊下げ用の孔が無くても、商品を吊り下げることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 図１は、本発明の一実施形態による自動販売機の商品収納払出し装置の一部を示している。 この商品収納払出し装置１は、多数の商品を前後方向に並んだ状態で収納するとともに、
販売時に、最前に位置する販売商品Ｓを前方へ払い出すものであり、収納されている商品を正面から見ることのできるショーケース型の自動販売機に適用されている。
同図では、のし袋などの薄物商品やスナック菓子などの袋物商品、さらにはボールペンなどの文具商品など、吊り下げた状態での収納および払い出しに適した商品を収納し払い出す商品収納払出し装置１を示している。

【００１０】商品収納払出し装置１は、上下方向に並んだ状態で配置された複数の商品ラック２（図１では１つのみ図示）と、各商品ラック２上に、適宜、間隔を存して左右方向に並んだ状態で取り付けられた複数の仕切壁３（図１では実線および２点鎖線で２つ図示）と、隣り合う仕切壁３、３間の上方に配置された商品吊下げ払出しユニット４と、この商品吊下げ払出しユニット４を含め、自動販売機内の各種の制御を行うマイクロコンピュータを有する図示しない制御回路などを備えている。

【００１１】商品ラック２は、平面形状が矩形状の水平なラック本体１１と、このラック本体１１の前端部から下方に若干延びる前壁１２と、ラック本体１１の後端部から上方に所定長さ延びる奥壁１３とを有している。 前壁１２および奥壁１３にはそれぞれ、仕切壁３の前端部および後端部を係止するための多数の係止孔１２ａ、１
３ａが、左右方向に並んだ状態で形成されている。 さらに、奥壁１３には、係止孔１３ａの上方に、上下方向に複数列（本実施形態では６列）で、左右方向に多数並んだ縦長の係止スリット１３ｂが形成されている。 上記各仕切壁３は、ラック本体１１上に載置された状態で、前端部および後端部がそれぞれ前壁１２および奥壁１３に係止孔１２ａ、１３ａ、１３ａを介して選択的に係止されることにより、商品ラック２に取り付けられている。
そして、互いに隣り合う２つの仕切壁３、３によって、
ラック本体１１上に、前後方向に延びる商品通路１４が画成されている。 また、上記商品吊下げ払出しユニット４は、後述するフレーム支持ケース２５の背面側の係止爪を介して、奥壁１３の係止スリット１３ｂに選択的に係止されることにより、奥壁１３に取り付けられている。

【００１２】仕切壁３は、前後方向に延びる仕切壁本体１５と、この仕切壁本体１５の前端部に回転自在に設けられたスイッチ切替ギヤ１６と、仕切壁本体１５に内蔵され、スイッチ切替ギヤ１６が所定の方向に回転駆動されるのに伴って、ＯＮ／ＯＦＦ切り替えされる図示しないスイッチとを有している。 このスイッチは、商品吊下げ払出しユニット４の後述する駆動モータを、作動および停止させるためのものである。

【００１３】商品吊下げ払出しユニット４は、図２に示すように、前後方向に延びるフレーム２１と、このフレーム２１の前端部および後端部にそれぞれ回転自在に設けられた前プーリ２２および後プーリ２３と、これらのプーリ２２、２３に巻き掛けられた商品吊下げベルト２
４（ベルト）と、後プーリ２３を回転駆動するための図示しない駆動モータ（駆動手段）と、フレーム２１を支持するとともに、フレーム２１およびベルト２４の後端部を覆うフレーム支持ケース２５とを有している。 フレーム２１は、金属板などからなり、平面形状が細長矩形状に形成されている。 また、前プーリ２２および後プーリ２３は、直径および横幅が同一のプーリで構成されている。

【００１４】商品吊下げベルト２４は、肉厚のゴムベルトからなり、この商品吊下げベルト２４の外周面には、
商品（パッケージを含む）の上端部を挟持した状態で吊り下げるための多数の切込み２６が形成されている。 これらの切込み２６は、互いに所定間隔を存し且つ平行に形成されており、その所定間隔は、商品Ｓの２個販売を防止するために、商品Ｓ、Ｓ同士をある程度離した状態で吊り下げ得るように設定されている。 したがって、それらの切込み２６に商品Ｓをそれぞれ吊り下げることにより、商品Ｓ、Ｓ同士の間隔を、切込み２６、２６間の間隔分、隔てた状態に保持することができる。

【００１５】また、各切込み２６は、前プーリ２２と後プーリ２３との間に位置するときには閉鎖する一方、プーリ２２、２３の周囲に位置するとき、すなわちこれらのプーリ２２、２３に回り込むときには、これらによる商品吊下げベルト２４の外周面と内周面との曲率の相違によって拡開する。 これにより、販売商品Ｓを挟持する切込み２６が前プーリ２２の前側に回り込むと、挟持されていた販売商品Ｓは解放され、商品通路１４から前方へ払い出される。

【００１６】フレーム支持ケース２５は、図２に示すように、背面に係止爪２５ａ、２５ａを有しており、上述したように、これらの係止爪２５ａ、２５ａを介して、
商品ラック２の奥壁１３に形成された多数の係止スリット１３ｂに、選択的に係止される。 これにより、商品吊下げ払出しユニット４は、収納すべき商品Ｓのサイズや形状に見合う最適な位置にセットされる。

【００１７】以上のように構成された商品収納払出し装置１を適用した自動販売機には、図１および図２に示すように、商品吊下げベルト２４から離脱し払い出された販売商品Ｓを、図示しない商品取出口まで搬送する商品搬送装置３１が設けられている。 この商品搬送装置３１
は、商品ラック２との前後方向の隙間を保った状態で上下左右に移動し、払い出された販売商品Ｓを、それが収納されていた商品通路１４の前端の払出口の前方で受け取り、商品取出口まで搬送するバケット３２を有している。 このバケット３２は、背面側が大きく開口したボックス状に形成されるとともに、左右の側部には、上記スイッチ切替ギヤ１６を回転駆動するための駆動装置３３
が取り付けられている。 この駆動装置３３は、前後方向に揺動自在でかつ回転自在の駆動ギヤ３４を有している。 この駆動ギヤ３４が後方に突出し、スイッチ切替ギヤ１６にかみ合って回転することにより、スイッチ切替ギヤ１６が所定方向に回転し、商品吊下げ払出しユニット４を作動させるためのスイッチがＯＮ／ＯＦＦ切り替えされる。 これにより、商品吊下げ払出しユニット４の駆動モータが作動し、商品吊下げベルト２４が所定方向に、すなわち商品Ｓ全体を前方に移動させる方向に回る。

【００１８】次に、商品収納払出し装置１における商品の収納および払出しについて説明する。 多数の商品Ｓ
を、商品収納払出し装置１の商品吊下げユニット４に吊り下げた状態で、商品通路１４に収納する場合には、まず、商品吊下げベルト２４の前プーリ２２の周囲に位置しかつ拡開した状態の切込み２６に、商品Ｓの上端部を挿入する。 そして、その商品Ｓを後方に送る方向、すなわち図２の反時計方向に、商品吊下げベルト２４を手動で若干回す。 そうすると、拡開していた切込み２６は、
前プーリ２２の下方を後方に向かって移動することで閉鎖し、この切込み２６によって、商品Ｓの上端部が挟持される。 このようにして、前プーリ２２の周囲の拡開した切込み２６に商品Ｓを順次挿入しながら、商品吊下げベルト２４を少しずつ回すことによって、商品吊下げベルト２４の下側の切込み２６にそれぞれ、多数の商品Ｓ
が挟持された状態で吊り下げられ、商品通路１４に収納される。

【００１９】販売時に、スイッチ切替ギヤ１６が駆動ギヤ３４で回転駆動されると、図示しないスイッチがＯＮ
に切り替えされ、商品吊下げ払出しユニット４の駆動モータが作動する。 これにより、商品吊下げベルト２４が所定方向、すなわち図２の時計方向に回ることによって、吊り下げられた商品Ｓ全体が前方に移動する。 そして、商品吊下げベルト２４の販売商品Ｓを挟持する切込み２６が、前プーリ２２の下方に到達し、更に前プーリ２２の前側に回り込むと、その切込み２６は拡開し、これにより、挟持されていた販売商品Ｓが解放され落下する。 この落下した販売商品Ｓは、商品通路１４の前端の払出口から前方へ払い出され、バケット３２に受け渡される。

【００２０】なお、販売商品Ｓがバケット３２に受け渡され、そのことがバケット３２の後端部に設けられた商品センサで検出されると、駆動ギヤ３４が停止し、これに伴い、スイッチがＯＦＦに切り替えられることで、商品吊下げ払出しユニット４の駆動モータが停止する。 これにより、商品吊下げベルト２４が停止し、商品通路１
４内の商品Ｓの前方への移動も停止する。 そして、販売商品Ｓは、バケット３２によって、商品取出口に搬送され、購入者に提供される。

【００２１】以上詳述したように、本実施形態の商品収納払出し装置１によれば、商品吊下げベルト２４の下側の多数の切込み２６にそれぞれ、商品Ｓを挟持して吊り下げるだけで、多数の商品Ｓを、互いに適切な間隔に保った状態で、商品通路１４に収納することができる。 その結果、販売商品Ｓの払い出し後、その他の商品Ｓの前方への移動を、余裕を持って停止させることが可能となり、これにより、２個販売を確実に防止することができる。 また、商品通路１４内の商品Ｓは、それぞれの上端部が商品吊下げベルト２４の切込み２６に挟持されることによって吊り下げられるので、吊下げ用の孔が無くても、商品Ｓを吊り下げることができる。

【００２２】なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。 例えば、本実施形態では、商品吊下げベルト２４として、ゴムベルトを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ある程度の弾性を有する材料で構成され、切込み２６が、前プーリ２２と後プーリ２３との間では閉鎖することによって商品を確実に挟持し、かつ、
前プーリ２２を回り込む際に拡開することによって商品を確実に解放するものであればよい。 また、収納すべき商品のサイズ（特に奥行き寸法）や形状に応じて、切込み２６の複数個ごとに、商品を吊り下げるようにしてもよい。 また、実施形態で示した商品収納払出し装置１の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の自動販売機の商品収納払出し装置は、商品同士の間隔を適切に保った状態で商品を収納することができ、その結果、２個販売を確実に防止することができるなどの効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態による自動販売機の商品収納払出し装置の一部を示す斜視図である。

【図２】図１に示す商品収納払出し装置の側断面図である。

【図３】従来の商品払出し機構を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 商品収納払出し装置 １４ 商品通路 ２２ 前プーリ ２３ 後プーリ ２４ 商品吊下げベルト（ベルト） ２６ 切込み Ｓ 商品

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