【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、たばこ等の箱形のパッケージ商品を順次１個ずつ安定的に払い出すことのできる自動販売機に関する。

【０００２】

【関連する背景技術】たばこ等の箱形のパッケージ商品を販売する自動販売機は、図５に示すように自動販売機本体１の内部に、複数のパッケージ商品（図示せず）を銘柄毎に分類して積み重ねて収納する複数の商品コラム２を備えている。 そしてその前扉３に設けられた商品選択釦（図示せず）の選択的な操作に応じて該当商品を上記商品コラム２から選択的に順次１個ずつ払い出し、これを商品シュート４を介して商品取出部５に導くように構成される。 尚、商品取出部５は、前記商品コラム２から払い出された商品を前扉３の前面側から取り出し可能に受け止める役割を担い、通常、その開口部には透明なプラスチック板からなる蓋体が開閉自在に設けられる。

【０００３】しかして前記各商品コラム２の下部には、
例えば図６に示す如く構成された商品払出ユニット６がそれぞれ組み込まれる。 この商品払出ユニット６は、概略的にはその上面をパッケージ商品の載置面とした装置本体７と、この装置本体７の上面からその内部に掛けて前後方向に周回軌道を形成して設けられた無端状ベルト（無端状可撓体）８と、この無端状ベルト８の外周に取り付けられた押圧部材（プッシャ）９とを備えている。
そして商品の選択操作に応じて無端状ベルト８を走行駆動し、上記押圧部材９を装置本体７の上面後端部から前端部に向けて周回走行させることで該装置本体７上に載置されたパッケージ商品（図示せず）を押出し、その前方（商品コラム２の前面側）に払い出す如く構成される。 尚、図中１０は、装置本体７の上面に載置されたパッケージ商品の荷重を受けて該装置本体７の内部に埋没して該装置本体７の内部に組み込まれた売切検出スイッチ（図示せず）を付勢する売り切れ検出レバーである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところでこの種の自動販売機における商品コラム２は、水平方向に所定の間隔を隔てて垂直に設けられた複数の仕切壁により、自動販売機本体１の内部空間を幅方向に区画して形成される。
また各商品コラム２の前面側には、商品払出ユニット６
上に位置付けられた最下位置のパッケージ商品だけの払い出しを実現する為の、図示しない２個落ち防止板やコラム前扉が設けられる。

【０００５】しかして商品払出ユニット６を駆動して最下位置のパッケージ商品を払い出す際、その上に積み重ねられている商品は前記２個落ち防止板等により前方（払い出し方向）への移動が阻止され、上記最下位置の商品の払い出し完了に伴って前記仕切壁等によりガイドされて商品コラム２内を落下する。 この際、商品コラム２内に残されたパッケージ商品の収納姿勢が乱れることことがある。 例えば最下位置の商品の払い出しに伴ってその上に積み重ねられていた次商品がその後端部側から支えを失って大きく後傾し、更にその上の商品が前側に落ち込む等して、収納姿勢が乱れることがある。 この場合、次商品の払い出しができなくなったり、更には前記２個落ち防止板との隙間を通して商品コラムから抜け落ちる（２個落ち）虞が生じる。

【０００６】本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、商品コラムに積み重ねて収納したパッケージ商品の安定した払い出しを実現する簡易な構成の自動販売機を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するべく本発明に係る自動販売機は、垂直に設けた複数の仕切壁により区画されて箱形のパッケージ商品を積み重ねて収納する複数の商品コラムの下部に、前記パッケージ商品を順次１個ずつ払い出す商品払出ユニットを組み込んだものであって、特に前記各商品払出ユニットにより形成する前記各商品コラムの商品載置面を、前記パッケージ商品の払い出し方向と直交する方向（幅方向）に傾斜させ、複数のパッケージ商品を前記仕切壁に沿って斜めに積み重ねて収納するようにしたことを特徴としている。

【０００８】例えばその上面を商品載置面とする商品払出ユニット自体を、商品の払い出し方向と直交する方向に傾斜させた構造とし、或いは商品コラムの下部への商品払出ユニットの組み込み角度を傾斜させることで、その商品載置面を傾斜させることを特徴としている。 そして前記仕切壁に沿わせて前記商品載置面上に複数のパッケージ商品を斜めに積み重ねることで、該パッケージ商品を商品載置面と仕切壁との間で支持し、仕切壁によりパッケージ商品の前傾や後傾を防いでその収納姿勢の安定化を図り、安定した商品の払い出しを実現したことを特徴としている。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態について、たばこ等の箱形パッケージ商品Ｐの自動販売機を例に説明する。 図１はこの実施形態に係る自動販売機の要部概略構成を示す図であり、１１は水平（横）方向に所定の間隔を隔てて垂直に設けられて自動販売本体１の内部空間を幅方向に区画し、複数の商品コラム２を形成した仕切壁である。 また１２は前記自動販売機本体１の内部空間を複数段に亘って上下方向に区画する棚部１３にそれぞれ固定されて、前記各商品コラム１１の下部にそれぞれ組み込まれた商品払出ユニットである。

【００１０】しかして商品払出ユニット１２は、例えば図２にその概略的な外観構成を示すように、装置本体１
２ａの上面を商品載置面としたもので、特にその上面を商品払い出し方向（前後方向）と直角な方向に所定の角度だけ傾けた構造を有している。 しかして商品払出ユニット１２は、装置本体１２ａの上面からその内部に掛けて前後方向に周回軌道を形成して無端状ベルト（無端状可撓体）１２ｂを張架し、この無端状ベルト１２ｂの外周に押圧部材（プッシャ）１２ｃを取り付けた構造をなす。 そして無端状ベルト１２ｂの走行駆動に伴い、その上面に載置したパッケージ商品の後端を上記押圧部材１
２ｃにより押圧することで、該パッケージ商品を払い出す如く構成される。

【００１１】このような構造の商品払出ユニット１２をその下部に組み込み、該商品払出ユニット１２の上面を商品の載置面として、複数のパッケージ商品Ｐを積み重ねて収納する商品コラム２は、図１に示すようにその傾斜面に対峙する側（正面から見て右側）の仕切壁１１にてパッケージ商品Ｐの上縁部を受け止めながら、複数のパッケージ商品Ｐを前記商品払出ユニット１２上に斜めに積み重ねて収納することになる。 換言すれば各商品コラム２は、商品払出ユニット１２の傾斜した上面（商品載置面）にてパッケージ商品Ｐの収納姿勢を規制し、仕切壁１１に沿って各パッケージ商品Ｐの収納位置を規制することで、複数のパッケージ商品Ｐを斜めに階段状に積み重ねて収納するものとなっている。

【００１２】尚、このようにして複数のパッケージ商品Ｐを積み重ねて収納する商品コラム２の前面には、商品払出ユニット１２上に位置する最下位置のパッケージ商品Ｐを除いてその前端位置を規制し、商品の２重払い出しを阻止する為の前面パネル１４が開閉自在に設けられる。 各商品コラム２へのパッケージ商品Ｐの収納（装填）は、例えば上記前面パネル１４を開き、商品コラム２の前面を解放した状態で行われる。

【００１３】かくして上述した如くパッケージ商品Ｐを斜めに積み重ねて収納する商品コラム２によれば、商品払出ユニット１２を選択的に駆動して最下位置のパッケージ商品Ｐから順次１個ずつ払い出す際、最下位置のパッケージ商品Ｐ上に積み重ねられている商品Ｐは、上記最下位置のパッケージ商品Ｐとの接触摩擦により該商品の払い出しに伴って前方に移動しようとするが、前記前面パネル１４に当接してその移動が規制されることで商品コラム２内に残される。

【００１４】この際、最下位置のパッケージ商品Ｐの払い出しが進むに従って、その上に載置された次のパッケージ商品Ｐは最下位置の商品による支えを失ない、該最下位置の商品の後端上縁を支点として後傾しようとする。 しかしパッケージ商品Ｐは、その幅方向に傾斜して収納されており、図中右側の上端縁部を仕切壁１１に当接させて位置規制された状態にあるので、上記後傾が仕切壁１１により阻止されてその姿勢が維持される。 この結果、商品コラム２内に残されたパッケージ商品Ｐは、
最下位置のパッケージ商品Ｐの払い出し完了に伴い、前記仕切壁１１にガイドされながら商品払出ユニット１２
の上面に落下する。 この結果、商品コラム２内に残されたパッケージ商品Ｐの収納姿勢を殆ど崩すことなしに最下位置の商品から順に１個ずつ払い出すことが可能となり、安定した商品の払い出しが可能となる。

【００１５】しかも前面パネル１４は、傾斜させて積み重ねたパッケージ商品Ｐの前端部に、図中その左端において厚み方向に斜めに大きく当接することになるので、
少ない当接面積で効果的にパッケージ商品Ｐの移動を阻止し得る。 従ってパッケージ商品Ｐが水平に積み重ねて収納されている場合よりも効果的に、商品コラム２内に残されたパッケージ商品Ｐの収納姿勢の安定化を図り、
安定した商品の払い出しに寄与することになる。

【００１６】また上述した如くその上面を商品載置面として幅方向に傾斜させた商品払出ユニット１２によれば、例えば図３に示すように内蔵したモータ１２ｄの動力を伝達して前記無端状ベルト１２ｂを駆動する減速機構の大径歯車１２ｅを装置本体１２ａの正面視左側の背高部分に配置する等して右側部分の背丈を低くし、その実質的な全体高さを低くして商品払出ユニット１２のコンパクト化を図ることができる。 換言すれば従来一般的な商品払出ユニットにあっては、減速機構における大径歯車１２ｅによりその外観形状、特にその高さ寸法が規定されたが、大径歯車１２ｅを幅方向に片寄せて配置することで、全体形状のコンパクト化を図ることが可能となる。

【００１７】更には商品載置面の幅方向の傾斜角を或る程度大きく設定すれば、商品コラム２内への商品収納数が減るものの、商品コラム２の幅自体を狭くすることができる。 従って、例えば自動販売機本体１の限られた内部空間（横幅）内に数多くの商品コラム２を形成して多銘柄対応の自動販売機とすることも可能である。 尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。 例えば図４に示すように図６に示した如き商品載置面をなす上面を水平に形成した一般的な構造を有する商品払出ユニット６を、各商品コラム２の下部に幅方向に傾けて組み込むことも可能である。 この場合、商品払出ユニット６を組み込む棚部１３に所定の角度をなす鋸歯状の支持体を設ける等すれば良い。 またここでは無端状ベルト１２ｂにて押圧部材（プッシャ）１２ｃを走行駆動する構造の商品払い出しユニット１２を例に説明したが、送りねじ機構やチェーンを用いて押圧部材を移動させる構造のものであっても同様に適用可能である。 更には商品を前後二重に収納する、所謂ダブルコラム型の自動販売機にも適用し得ることは言うまでもない。

【００１８】また実施形態においては、商品払出ユニットの上面を商品載置面としたが、商品コラム自体がその底部に幅方向に傾斜した商品載置面を備えたものとし、
この商品載置面に設けたスリット孔を通して押圧部材を突出させて商品を払い出す商品払出ユニットを、上記商品載置面の裏側に位置付けるようにしても良い。 更にはパッケージ商品Ｐの傾斜の向きを実施形態とは逆向きに設定しても良いことは勿論のことである。 その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、商品コラム内に収納する複数のパッケージ商品を、その幅方向に傾け、商品コラムの幅を規制する仕切壁に沿わせて階段状に積み重ねて収納するようにしたので、その収納姿勢の安定化を図ることができ、最下位置の商品から順次１個ずつ安定して払い出すことのできる簡易な構成の自動販売機を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る自動販売機の要部概略構成を示す図。

【図２】図１に示す自動販売機に組み込まれる商品払出ユニットの概略的な外観構成を示す図。

【図３】図２に示す商品払出ユニットの内部構造を模式的に示す図。

【図４】本発明の別の実施形態に係る自動販売機の要部概略構成を示す図。

【図５】自動販売機の概略構成を示す図。

【図６】商品払出ユニットの概略的な外観構成を示す図。

【符号の説明】

１ 自動販売機本体 ２ 商品コラム １１ 仕切壁 １２ 商品払出ユニット １３ 棚部 １４ 前面パネル