Ceramic sheet

申请号 JP2007289817 申请日 2007-11-07 公开(公告)号 JP4936391B2 公开(公告)日 2012-05-23
申请人 北川工業株式会社; 发明人 秀治 川合; 徹 松崎;
摘要
权利要求
  • 積層された複数の層を有する構造で、前記複数の層のうち、少なくとも1層は、セラミック材料によって形成されたセラミック層とさ れ、他の層は、樹脂シート層、又は粘着性材料によって形成された粘着層とされているセラミックシートであって、
    前記セラミック層は、薄板状に形成されたセラミック板 を曲げて不規則な割れ目を形成することにより、当該割れ目で前記セラミック板を複数のセラミック小片に分割してなる構造とされている ことを特徴とするセラミックシート。
  • 前記セラミック層は、前記セラミック板を 前記他の層に挟み込むか 前記他の層に貼り付けてから、 曲げて前記不規則な割れ目を形成したものである ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックシート。
  • 前記セラミック層は、前記セラミック板が前記他の層とともにロールに通されて、前記ロールに沿う形状に曲げられることによって割られたものである ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックシート。
  • 前記セラミック層は、前記セラミック板が前記他の層とともに複数回にわたって前記ロールに通されて割られたものであり、前記複数回それぞれで前記ロールに通す方向が変えられている ことを特徴とする請求項3に記載のセラミックシート
  • 前記セラミック材料は、Ni−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ba系フェライト、フェロックスプレーナ系フェライト、Cu−Zn系フェライト、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、マグネシア、または黒鉛である ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のセラミックシート。
  • 前記他の層は、少なくとも1層が 前記粘着層とされている ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のセラミックシート
  • 前記他の層は、少なくとも1層が導電性材料によって形成された導電層とされている ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のセラミックシート。
  • 前記他の層は、少なくとも1層が熱伝導性材料によって形成された熱伝導層とされている ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のセラミックシート。
  • 说明书全文

    本発明は、セラミック層を含む複数の層が積層された構造で、セラミック層が複数のセラミック小片を面状に配列してなる構造とされたセラミックシートに関する。

    従来、複数のセラミック小片を面状に配列してなる層を備えたセラミックシートは、既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。 下記特許文献1には、複数のセラミック小片を面状に配列する方法として、セラミックを含むグリーンシートにスリットを設け、グリーンシートを焼成して焼成体を生成し、焼成体をシート上に載置して、スリットを設けた箇所で焼成体を割って複数のブロックに分割する方法が開示されている(特許文献1:段落[0036]〜[0037]等)。

    このような方法でセラミック小片を設ければ、グリーンシートは焼成反応により、スリットの設けられた部分近傍が、他の部分より収縮するので、隣接するブロック同士が接触しない非接触面を容易に形成できる、とされている。 そして、このような非接触面を設けることにより、ブロックのコーナーに応を集中させないようにできる旨が開示されている(例えば、特許文献1:段落[0048]等)

    特開2006−315368号公報

    ところで、上述のセラミックシートは、直線状のスリットが形成されて、その位置で焼成体が複数の四いブロックに分割された構造になっている。 そのため、セラミックシートを曲面に沿わせるように配置したい場合に、直線状のスリットに平行な軸線が曲率中心となる曲面をなすようにセラミックシートを曲げることは、比較的容易である。

    しかし、スリットとは平行でない軸線が曲率中心となる曲面をなすようにセラミックシートを曲げようとすると、セラミックシートを大きく曲げることが難しくなる傾向があった。 また、それ故、セラミックシートをそのような方向に無理に曲げようとすると、四角いブロックの角が表層側のフィルムを突き破ってしまうことがあった。

    そのため、上述のセラミックシートを曲面に沿わせて配置する作業は、必ずしも容易な作業ではなく、セラミックシートの曲げ方向についての特性に十分に注意して作業を行わなければならない、という問題があった。

    また、上述のセラミックシートの場合、各セラミックブロックに上述の如き非接触面を形成すると、その分だけ隣り合う磁性ブロック同士の接触面が減少してしまう。 そのため、セラミック層の連続性が失われてしまい、セラミック層の特性が損なわれてしまう、という欠点があった。

    以上より、各セラミックブロックのコーナーに応力を集中させないことを重視する場合には、上記特許文献1に記載の如き技術が有効であるとしても、上記特許文献1に記載の技術では、セラミック層の特性を十分に向上させることは困難であった。

    本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のセラミック小片からなるセラミック層を備えたセラミックシートにおいて、セラミック層の特性をさらに向上させることができる技術を提供することにある。

    以下、本発明において、採用した構成について説明する。
    本発明のセラミックシートは、積層された複数の層を有する構造で、前記複数の層のうち、少なくとも1層は、セラミック材料によって形成されたセラミック層とされ、他の層は、樹脂シート層、又は粘着性材料によって形成された粘着層とされているセラミックシートであって、
    前記セラミック層は、薄板状に形成されたセラミック板を曲げて不規則な割れ目を形成することにより、当該割れ目で前記セラミック板を複数のセラミック小片に分割してなる構造とされていることを特徴とする。

    本発明のセラミックシートにおいて、セラミック層は、薄板状に形成されたセラミック板を曲げて不規則な割れ目を形成することにより、当該割れ目で前記セラミック板を複数のセラミック小片に分割してなる構造とされている。

    そのため、方眼状の割れ目を持つものとは異なり、セラミックシートを曲げるときに方向性が現れないので、セラミックシートの曲げ方向についての特性に過剰に注意を払わなくても、容易に曲面に沿わせるように配置することができる。

    また、隣り合うセラミック小片同士は、元々は薄板状に形成されたセラミック板である。 そのため、薄板状のセラミックに割れ目を形成し分割した際に、仮に破断面上に微視的な凹凸が形成されるようなことがあったとしても、隣り合うセラミック小片同士は、それらの凹凸が互いにぴったりと一致する形態となる。 したがって、隣り合うセラミック小片の間には、略空隙が存在しないか、存在してもきわめて狭い空隙となり、隣り合うセラミック小片の間に過大な空隙が生じることはないので、セラミック層の連続性が損なわれず、セラミック層の特性が向上する。

    更に、上記特許文献1に記載されているセラミックシートでは、スリット部分の収縮分だけセラミック小片間の接触面積が減少している。 しかし、本発明のセラミックシートにおいては、上述のようなスリットがなく、セラミック板の板厚を有効利用してセラミック小片間の接触面積を最大限に上げている。 したがって、セラミック層の連続性が損なわれず、セラミック層の特性を向上させることができる。

    なお、上記特許文献1に記載されているセラミックシートのように、焼成体に人為的にスリットを形成してから焼成体を割ったものは、必ずしも焼成体の脆弱な箇所が割られているとは限らない。 そのため、セラミックシートに外部から衝撃が加わると、スリットを形成した箇所とは別の箇所でセラミックブロックが割れてしまうことがあり、このことが原因でセラミックシートの特性が変化してしまうことがあった。

    この点、本発明のセラミックシートにおいては、セラミック板に不規則な割れ目を形成するにあたって、規則性のある割れ目とするためのスリットは形成しなくてもよく、セラミック板の脆弱な箇所を割ることによって、所期の不規則な割れ目を形成することができる。 したがって、脆弱な箇所が割れないまま残っているセラミック小片を有するセラミックシートに比べ、個々のセラミック小片が後から更に割れてしまうのを抑制することができ、これにより、セラミックシートの特性変化を抑制することができる。

    次に、本発明において、セラミック層は、セラミック板を他の層に挟み込むか他の層に貼り付けてから、 曲げて不規則な割れ目を形成したものであると好ましい。
    セラミック板を割ってから他の層を積層する場合、積層作業に伴ってセラミック小片間の隙間が拡大すると性能低下を招くおそれがある。 そのような性能低下を招かないように留意して他の層を積層すると、慎重な作業を強いられる分、生産性の低下を招く恐れがある。 しかし、上記構成を採用すれば、過剰に慎重な作業をしなくてもセラミック小片間に隙間ができるのを抑制できるので、生産性を低下させることなくセラミック層の特性を向上させることができる。

    次に、本発明において、セラミック層は、セラミック板が他の層とともにロールに通されてロールに沿う形状に曲げられることによって割られたものであると好ましい。
    セラミック板が他の層とともにロールに通されると、セラミック板には徐々に割れ目が入って、セラミック板がいくつかの断片に分割されてゆく。 このとき、比較的小さい断片はそれ以上割れることなくロールを通過するが、過剰に大きい断片はさらに割れて、より小さな断片になる。

    したがって、このように細かく割られたセラミック小片からなるセラミック層を形成しておけば、セラミックシートを利用する際には、セラミックシートをロールの曲率程度まで曲げることができるようになる。 よって、セラミックシート利用時の曲率を想定して適切な曲率のロールを選定しておけば、所期の曲率で曲げるのに好適なセラミックシートとなる。

    また、セラミック層に過剰に大きな断片が混在していると、セラミックシートを曲げたときに過剰に大きな断片が他の層を突き破ってしまうことがある。 しかし、上記の通り、セラミックシート利用時の曲率を想定して適切な曲率のロールを選定しておけば、所期の曲率で曲げた際に、セラミック小片が他の層を突き破るのを防止することができる。

    次に、本発明において、セラミック層は、他の層とともに複数回にわたってロールに通されて割られたものであり、前記複数回それぞれでロールに通す方向が変えられていると好ましい。 こうすれば、セラミックシートを曲げるときに方向性がより現れないので、セラミックシートが配置される箇所の形状がどのような曲面になっていても、その曲面に沿わせるようにセラミックシートを曲げることが容易になる。

    次に、本発明において、セラミック材料は、Ni−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ba系フェライト、フェロックスプレーナ系フェライト、Cu−Zn系フェライト、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、マグネシア、または黒鉛である磁性材料、誘電材料、または熱伝導材料であると好ましい。

    セラミック材料として、Ni−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ba系フェライト、フェロックスプレーナ系フェライト、またはCu−Zn系フェライトを用いた場合、本発明のセラミックシートは磁性体として優れた特性を発揮するものとなる。 また、セラミック材料として、アルミナ、炭化ケイ素、またはチタン酸バリウムを用いた場合、本発明のセラミックシートは誘電体として優れた特性を発揮するものとなる。 また、セラミック材料として、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、マグネシア、または黒鉛を用いた場合、本発明のセラミックシートは熱伝導体として優れた特性を発揮するものとなる。

    更に、本発明のセラミックシートにおいて、セラミック層は、厚さが0.01mm〜1mmとされていると好ましく、さらに望ましくは、厚さが0.01mm〜0.3mmとされているとよい。 この程度までセラミック層を薄くすれば、セラミックシートを容易に曲げたり撓ませたりすることができるようになる。

    次に、本発明のセラミックシートにおいて、セラミック層以外の他の層は、基本的には、セラミック層を保持するための層であり、セラミック層の機能を損なわないような材質で構成されていれば、その材質については限定されない。

    より具体的には、シート状に形成可能な各種プラスチック材料、エラストマー材料等を任意に利用することができる。 一例を挙げれば、他の層は、PET(polyethylene terephthalate)シート、PEN(polyethylene naphthalate)シート、PPS(polyphenylene sulfide)シート、PVC(polyvinyl chloride)シート、ウレタンシート、ポリイミドシートなどによって構成することができる。 これらの場合、他の層の厚みは、0.005mm〜0.5mm程度にすると好ましく、さらに望ましくは0.01mm〜0.3mm程度にするとよい。

    また、他の層は、セラミック層を保持する機能以外に、何らかの機能を備えていてもよい。 具体的には、例えば、本発明のセラミックシートにおいて、前記他の層は、少なくとも1層が粘着性材料によって形成された粘着層とされていてもよい。 このように構成した場合、最も外側にある層が粘着層となっていれば、粘着層を利用して、本発明のセラミックシート以外の被着体に対してセラミックシートを固定することができる。

    また、内側にある層を粘着層としてもよく、この場合は、粘着層を挟む位置にある両側の層が、粘着層を介して固定されることになる。 中でも、前記セラミック層を挟む位置にある両側の層が、前記粘着層とされている場合には、セラミック層の両側が粘着性材料によって覆われることになる。 そのため、セラミック層が割れたときに微細破片が発生したような場合でも、そのような微細破片は粘着層によって捕捉・保持されて、破断箇所付近に止まる。 したがって、微細破片が破断箇所付近から脱落したり偏った位置へ移動してしまったりするものに比べ、セラミックシートの性能が安定し、性能を容易に維持できるようになる。

    また、例えば、本発明のセラミックシートにおいて、前記他の層は、少なくとも1層が導電性材料によって形成された導電層とされていてもよい。 このように構成した場合、導電層は電磁波シールド層として機能するので、セラミック層との相乗効果により、放射ノイズを抑制する効果をさらに向上させることができる。

    更に、例えば、本発明のセラミックシートにおいて、前記他の層は、少なくとも1層が熱伝導性材料によって形成された熱伝導層とされていてもよい。 このように構成した場合、熱伝導層を利用して、熱源側から放熱部側へ熱を逃がすことができる。

    そして、例えば、本発明のセラミックシートにおいて、前記他の層は、少なくとも1層が、制振性材料によって形成された制振層とされていてもよい。 このように構成した場合、例えば、セラミックシートを電子部品に接触するように配設すると、電子部品に伝わる振動を緩和し、電子部品を保護することができる。 なお、制振性材料としては、エラストマー材料がある。

    そしてまた、例えば、本発明のセラミックシートにおいて、前記他の層は、少なくとも1層が、耐衝撃性材料によって形成された耐衝撃層とされていてもよい。 このように構成した場合、例えば、セラミックシートを電子部品に接触するように配設すると、電子部品に衝撃が加わったとしても、電子部品の破損を防止することができる。

    なお、以上、他の層がセラミック層を保持する機能以外に何らかの機能を備える構成について説明したが、本発明のセラミックシートは、セラミック層、セラミック層の表裏いずれか一方又は両方に存在する他の層に加え、さらにいくつかの層が積層された構造になっていてもかまわない。 したがって、例えば、セラミック層を他の層に挟み込んだ3層構造、あるいは、セラミック層を他の層に貼り付けた2層構造、いずれかを基本構造として、この基本構造に加えて、さらに粘着層、導電層、熱伝導層、制振層、耐衝撃層などを、いくつか積層してもよい。

    次に、本発明の実施形態について、具体的な例を挙げて説明する。
    [第1実施形態]
    図1(a)は、本発明の一実施形態として例示するセラミックシートの斜視図、同図(b)は、同セラミックシートの構造を示す分解図である。

    このセラミックシート1は、可撓性のある樹脂シート層3、セラミック材料によって形成されたセラミック層5、および可撓性のある樹脂シート層3を、この順序で積層した3層構造になっている。

    これらの内、樹脂シート層3は、本実施形態の場合、片面に粘着性を有する厚さ0.085mmのPETシートによって構成されている。 また、セラミック層5は、本実施形態の場合、軟磁性フェライト(例えば、Ni−Zn系フェライト)の焼結体によって構成されている。

    セラミック層5は、図1においては図示を省略してあるが、実際には、図2に示すように、複数のセラミック小片5aが面状に配置された構造になっている。 これら複数のセラミック小片5aは、互いに大きさや形状が異なる不規則な形状になっているが、元々は1枚であった薄板状セラミック5bに外力を加えて不規則な割れ目を形成することにより、当該割れ目で薄板状セラミック5bを複数のセラミック小片5aに分割したものである。

    このようなセラミック層5は、本実施形態においては、次のような手順で作成した。
    すなわち、まず、本実施形態の場合、薄板状セラミック5bとしては、厚さ0.2mmの薄板状フェライト焼結体を利用し(図3(a)参照)、この薄板状セラミック5bの底面に樹脂シート層3を貼り付けた(図3(b)参照)。

    そして、これら樹脂シート層3及び薄板状セラミック5bの積層体をロール(図示略)に通して薄板状セラミック5bを割ることにより、複数のセラミック小片5aを形成した(図3(c)参照)。

    積層体をロールに通した際、薄板状セラミック5bは、ロールの曲率に追従する程度まで曲げられるため、その程度まで曲げることができない部分には亀裂が入り、小さな断片(セラミック小片5a)に分解される。 そのため、積層体がロールを通過した後は、各セラミック小片5aが、それ以上は割れない程度まで細かく割られた状態になる。

    また、積層体をロールに通す回数は任意であるが、ロールに通す回数が増えれば過大な断片が残りにくいので、よりきめ細かく薄板状セラミック5bを割るためには、複数回にわたって積層体をロールに通すとよい。

    ちなみに、本実施形態においては、樹脂シート層3および薄板状セラミック5bの積層体を複数回にわたってロールに通すとともに、その複数回それぞれで積層体の曲げ方向が代わるように積層体の向きを変えてロールに通した。 このように曲げ方向を変えると、曲げ方向に方向性が現れにくくなるので、より曲げやすいシート材になる。

    そして、以上のような手順でセラミック小片5aを形成したら、薄板状セラミック5bの上面に樹脂シート層3を貼り付けて、所期のセラミックシート1を完成させた(図3(d)参照)。

    なお、本実施形態において、樹脂シート層3とセラミック層5との界面は、粘着剤により粘着した状態または熱融着した状態になっている。 本実施形態の場合、粘着剤としてはアクリル系粘着剤を採用しているが、この他、感圧接着剤、感熱接着剤、または各種粘着テープ類や粘着シート類において採用されている粘着剤などを任意に採用することができる。

    以上のような構造のセラミックシート1は、軟磁性フェライトからなるセラミック層5を備えているので、一般的なフェライト焼結体等と同様、電磁波遮蔽体や電磁波吸収体として利用できる。 例えば、電子部品や各種ケーブル類からの放射ノイズ対策等に利用することができる。

    また、上記セラミックシート1は、複数のセラミック小片5aによって構成されたセラミック層5と樹脂シート層3とを積層したものであり、これらの積層体は容易に曲げることができる構造となるので、セラミックシート1全体が可撓性を有するものとなる。 したがって、セラミックシート1を曲げたりたわませたりすることができる。 よって、剛性の高いフェライト焼結体などに比べ、セラミックシート1を配設する際の自由度は高く、この点からも、従来のフェライト焼結体では配置することが困難であったような箇所にセラミックシート1を配設できるようになる。

    また、特に、上記複数のセラミック小片5aは、薄板状セラミック5bを不規則な割れ目で分割してなる不規則な形状を持つものである。 したがって、このようなセラミック小片5aを備えるセラミックシート1であれば、方眼状の割れ目で分割されたセラミック小片を備えるセラミックシートとは異なり、セラミックシート1を曲げるときに方向性が現れず、曲面や凹凸に沿わせるように配置しやすいものとなる。

    さらに、隣り合うセラミック小片5a同士は、元々は1枚の薄板状セラミック5bである。 そのため、薄板状セラミック5bに割れ目を形成し分割した際に、破断面上に微視的な凹凸が形成されるようなことはありうるが、隣り合うセラミック小片5a同士は、それらの凹凸が互いにぴったりと一致する形態となる。 したがって、上記セラミックシート1においては、隣り合うセラミック小片5aの間には、略空隙が存在しないか、存在してもきわめて狭い空隙となり、過大な空隙が生じることはなく、セラミックシート1の特性を向上させることができる。

    また更に、薄板状セラミック5bに溝を入れてから割ったものは、溝の分だけセラミック小片5a間の接触面積が減少しているが、上記セラミックシート1は、薄板状セラミック5bの板厚を有効利用してセラミック小片5a間の接触面積を最大限に上げている。 したがって、この点でもセラミックシート1の特性を向上させることができる。

    更にまた、セラミック層5は、薄板状セラミック5bを樹脂シート層3に貼り付けてから、外力を加えて不規則な割れ目を形成したものである。 薄板状セラミック5bを割ってから樹脂シート層3を積層する場合、積層作業に伴ってセラミック小片5a間の隙間が拡大すると性能低下を招くおそれがある。 また、そのような性能低下を招かないように留意して樹脂シート層3を積層すると、慎重な作業を強いられる分、生産性の低下を招く恐れがある。 この点、薄板状セラミック5bを樹脂シート層3に貼り付けてから、外力を加えて割れ目を形成すれば、過剰に慎重な作業をしなくてもセラミック小片5a間に隙間ができるのを抑制できる。 したがって、生産性を低下させることなくセラミック層の特性を向上させることができる。
    [第2実施形態]
    以下、上記第1実施形態とは、別の実施形態について説明する。

    図4に示すセラミックシート21は、樹脂シート層3、セラミック層5、および剥離紙27を有する粘着層25が積層された構造になっている。 なお、粘着層25は、本実施形態の場合、上述と同様の粘着剤により形成されている層としているが、粘着層として両面粘着テープを任意に採用することもできる。

    このような構造を採用したセラミックシート21であっても、上記第1実施形態のものと同様の作用、効果を奏する。 また、このセラミックシート21のセラミック層5と粘着層25が直接接する箇所においては、セラミック層5が割れたときに微細破片が発生したような場合でも、そのような微細破片は粘着層25によって捕捉・保持される。 これにより、セラミック層5の破断箇所付近にとどまりやすくなる。 したがって、微細破片が破断箇所付近から脱落したり偏った位置へ移動してしまったりするものに比べ、セラミックシート21の性能が安定し、セラミックシート21の性能を容易に維持できるようになる。

    更に、このセラミックシート21は、剥離紙27を剥がして任意の箇所に貼り付けることができるものとなる。
    [第3実施形態]
    図5(a)に示すセラミックシート31は、樹脂シート層3、セラミック層5、および粘着層25が積層された構造を備える点で、先に説明したセラミックシート21(図4参照)と基本的な構造が共通するものであるが、これらに加えて、さらに帯状体37と粘着部38とを備えている点に特徴がある。

    このように構成されたセラミックシート31は、図5(b)に示すように、帯状体37をフラットケーブル35(あるいは、FPC等;以下同様)に巻きつけて、粘着部38を帯状体37の外周側に貼り付けることにより、フラットケーブル35に対して取り付けることができる。 これにより、フラットケーブル35からの放射ノイズ対策に利用することができる。
    [第4実施形態]
    図6(a)に示すセラミックシート41は、粘着層45、セラミック層5、粘着層48、帯状体37が積層された積層体構造になっている。 このセラミックシート41は、帯状体37を備える点で、先に説明したセラミックシート31(図5(a)参照)に類似する構造となっている。 ただし、セラミックシート31が、樹脂シート層3、セラミック層5、および粘着層25の積層体を1組備えていたのに対し、セラミックシート41は、粘着層45、セラミック層5の積層体を2組備えている。

    このように構成されたセラミックシート41は、図6(b)に示すように、帯状体37をフラットケーブル35に巻きつけて、粘着層45および粘着層48をフラットケーブル35に貼り付けることにより、フラットケーブル35に対して取り付けることができる。

    セラミックシート41をフラットケーブル35に対して取り付けると、セラミックシート41は、上記の積層体を2組備えているので、これら2組の積層体でフラットケーブル35を両側から挟み込むことができる。 したがって、このようなセラミックシート41であれば、1組分しか積層体を備えていない上記セラミックシート31よりも、フラットケーブル35からの放射ノイズ対策効果を向上させることができる。

    さらに、このように構成されたセラミックシート41は、粘着層45をフラットケーブル35へ直接接着することにより、フラットケーブル35に取り付けることができる。 したがって、このようなセラミックシート41であれば、セラミック層5を含む積層体がフラットケーブル35に対する所定の取付け位置からずれるのを防ぐことができる。
    [第5実施形態]
    図7(a)および同図(b)に示すセラミックシート51は、RFIDアンテナ基板55に対して貼り付けられたもので、樹脂シート層3、セラミック層5、および粘着層25が積層された構造になっている点で、先に説明したセラミックシート21(図4参照)と同等な構造になっている。

    このようなセラミックシート51をRFIDアンテナ基板55に対して張り付ければ、RFIDによる通信を行う際、RFIDアンテナ基板55の周囲にある金属の影響を回避することができ、これにより、通信距離を拡大することができる。

    図7(c)に示すセラミックシート58は、上記セラミックシート51が備えていた樹脂シート層3に代えて、導電性材料によって形成された導電層57を採用した変形例である。 このセラミックシート58も、上記セラミックシート51同様、RFIDアンテナ基板55に対して貼り付けて使用される。

    ここで、導電性材料としては、例えば、金属粉末、金属めっき粉末、カーボン粉末などの導電性フィラーをマトリクス樹脂中に分散させてなる材料を用いることができる。 あるいは、金属蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、金属めっき、導電性材料の塗装などの方法によって樹脂シートの表面に金属コーティングを施してなるものを、導電層として採用してもよい。 あるいは、アルミ箔や銅箔などの金属箔で導電層を構成してもよいし、金属めっきされた織布ないし不織布で導電層を構成してもよい。 また、金属メッシュ、金属網、カーボンメッシュで導電層を構成してもよい。

    このようなセラミックシート58であっても、上記セラミックシート51同様、RFIDによる通信を行う際に、RFIDアンテナ基板55の周囲にある金属の影響を回避して通信距離を拡大することができる。 特に、導電層57により、電磁波シールド効果を向上させることができる。
    [第6実施形態]
    図8(a)に示すアンテナ61は、磁心62の外周に銅線65がコイル状に巻かれた構造になっている。 磁心62は、短冊形状に切断した5枚のセラミックシート1が積層された構造となっている。

    ここで、この種のアンテナとしては、従来、フェライト焼結体を磁心として使用したものがある。 しかし、フェライト焼結体は衝撃を受けると割れやすいため、アンテナを組み込んだ製品が落下した場合に、磁心が割れて磁心の特性が変化してしまい、これが原因でアンテナの性能が低下してしまうことがある。

    この点、磁心62を構成するセラミックシート1は、不規則な割れ目を形成する際に、セラミック層の脆弱な箇所を予め割ってあるものなので、上記のような衝撃が加わっても、セラミック層が更に割れてしまうようなことは殆ど無い。 したがって、アンテナ61を組み込んだ製品が落下したとしても、磁心62の特性は殆ど変化することがなく、アンテナ61の性能低下を抑制することができる。

    また、従来のアンテナとしては、樹脂に磁性フィラーを配合してなる磁性樹脂材料で製造された磁心を使用したものもあった。 しかし、このような磁性樹脂材料製の磁心では、フェライト焼結体に比べて、磁気特性が悪く、満足する性能が得られないこともあった。

    この点、セラミックシート1が備えるセラミック層は、フェライト焼結体によって形成されているので、このようなセラミック層1によって形成された磁心62は、上記のような磁性樹脂材料製の磁心とは異なり、フェライト焼結体に近い性能を発揮する。 したがって、磁心62は、上述の磁性樹脂材料製磁心に比べ、磁気特性が良く、製品の安定性の向上と小型化が可能である。

    なお、図8(a)に示した磁心62は、短冊状の5枚のセラミックシート1が積層された構造となっているが、アンテナ用の磁心としての利用に適した大きさであれば、積層枚数は何枚でもよい。 また、積層されるセラミックシートは、1種類のみではなく、特性が異なる複数の種類のセラミックシートを積層してもよく、例えば、2種類のセラミックシートを交互に積層してもよい。
    [第7実施形態]
    図8(b)に示すアンテナ71は、上記のアンテナ61と同様に磁心72の外周に銅線65がコイル状に巻かれた構造になっている。 磁心72は、1枚のセラミックシート1を筒状に丸め、セラミックシート1の端面同士が接合された筒状の構造となっている。

    図9(a)、図9(b)および図9(c)は、磁心72と同じような筒状の構造の磁心であるが、丸め方を変えた変形例の断面図である。 図9(a)の磁心73は、セラミックシート1の端部の一部が重なるように丸めた構造となっている。 図9(b)の磁心75は、セラミックシート1の端面同士が接触しない状態に丸めた構造となっている。 図9(c)の磁心77は、断面が、渦巻状となるようにセラミックシート1を丸めた構造となっている。

    このように構成された磁心71、73、75、77を備えるアンテナであっても、上記のアンテナ61と同様の効果がある。
    [その他の実施形態]
    以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。

    例えば、上記各実施形態のセラミックシートにおいては、セラミック層と樹脂シート層のサイズは略同一であったが、セラミック層よりも一回りサイズが大きい樹脂シート層でセラミック層を挟み込み、その周縁部で両側の樹脂シート層を直接熱融着させた構造を採用してもよい。 こうすれば、セラミック層が樹脂シート層の内部に封入されセラミックシートの端面にセラミック層が露出しない状態になるので、セラミック層をより確実に保護することができるようになる。

    例えば、上記第1〜第4実施形態のセラミックシートにおいて、導電性材料によって形成された導電層を備えるように構成してもよい。 なお、導電層は、上述と同様の導電性材料などにより形成されている層とすることができる。 こうすれば、導電層が電磁波シールド層として機能するため、セラミック層との相乗効果で、より積極的に放射ノイズを抑制することができる。

    例えば、上記各実施形態のセラミックシートにおいて、熱伝導材料によって形成された熱伝導層を備えるように構成してもよい。 ここで、熱伝導材料としては、例えば、アルミナなどの熱伝導性フィラーをマトリクス樹脂中に分散させてなる材料を用いることができる。 こうすれば、熱伝導層を有するセラミックシートを電子部品に配置した場合に、その電子部品からの放熱を促すことができると同時に電子部品からの放射ノイズ対策に利用することができる。

    例えば、上記各実施形態のセラミックシートにおいて、セラミック層は1層だけであったが、複数のセラミック層を備えるように構成してもよい。 こうすれば、セラミック層を設けたことによる効果(例えば、電磁波遮蔽効果)を高めることができる。 また、複数のセラミック層は別材質のセラミック層になっていてもよい。 例えば、一方は相対的に低周波帯の電磁波を遮断する磁性体とし、他方は相対的に高周波帯の電磁波を遮断する誘電体とすることにより、より広帯域の電磁波を遮断できる構造にしてもよい。

    例えば、上記各実施形態のセラミックシートにおいて、防振性熱伝導層を備えるように構成してもよい。 ここで、防振性熱伝導層は、制震性に優れたエラストマー材料中に熱伝導性フィラーを配合してなる複合材料によって構成されている。 こうすれば、防振性熱伝導層を備えるセラミックシートを電子部品に配置した場合には、電子部品からの放射ノイズ対策と熱対策だけでなく、電子部品に伝わる振動や衝撃を緩和し、電子部品を保護することができる。

    例えば、上記各実施形態のセラミックシートにおいては、セラミック層5をNi−Zn系フェライトで構成する例を示したが、他のセラミック材料でセラミック層5を形成しても良い。 具体例としては、例えば、Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ba系フェライト、フェロックスプレーナ系フェライト、Cu−Zn系フェライト、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸バリウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、マグネシア、または黒鉛などでセラミック層5を構成してもよい。 Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ba系フェライト、フェロックスプレーナ系フェライト、またはCu−Zn系フェライトを用いれば、磁性体として優れた特性を発揮するものとなる。 また、アルミナ、炭化ケイ素、またはチタン酸バリウムを用いれば、誘電体として優れた特性を発揮するものとなる。 さらに、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、マグネシア、または黒鉛を用いれば、熱伝導体として優れた特性を発揮するものとなる。

    また、上記実施形態では、セラミックシートの形状、セラミック層5の厚さについて、具体的な事例を例示したが、これらはセラミックシートとしての機能が損なわれない範囲内で、任意に変更可能である。

    (a)は第1実施形態として例示したセラミックシートの斜視図、(b)は 同セラミックシートの構造を示す分解図。

    割れた状態のセラミック層を示す説明図。

    (a)〜(d)はセラミックシートの形成手順を示す説明図。

    第2実施形態として例示したセラミックシートの断面図。

    (a)は第3実施形態として例示したセラミックシートの斜視図、(b)は同セラミックシートの使用状態を示す斜視図。

    (a)は第4実施形態として例示したセラミックシートの斜視図、(b)は同セラミックシートの使用状態を示す斜視図。

    (a)は第5実施形態として例示したセラミックシートとRFIDアンテナ基板を示す斜視図、(b)は第5実施形態として例示したセラミックシートの使用状態を示す斜視図、(c)第5実施形態の変形例として例示したセラミックシートの使用状態を示す説明図。

    (a)は第6実施形態として例示したアンテナの斜視図、(b)は第7実施形態として例示したアンテナの斜視図。

    (a)〜(c)は第7実施形態の変形例として例示した磁心の断面図。

    符号の説明

    1,21,31,41,51,58・・・セラミックシート、3・・・樹脂シート層、5・・・セラミック層、5a・・・セラミック小片、5b・・・薄板状セラミック、25,45,48・・・粘着層、27・・・剥離紙、37・・・帯状体、38・・・粘着部、35・・・フラットケーブル、55・・・RFIDアンテナ基板、57・・・導電層、61,71・・・アンテナ、62,72,73,75,77・・・磁心、65・・・銅線。

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