波長変換部材及び発光デバイス

申请号 JP2016005767 申请日 2016-01-15 公开(公告)号 JP2017058654A 公开(公告)日 2017-03-23
申请人 日本電気硝子株式会社; 发明人 古山 忠仁; 藤田 俊輔;
摘要 【課題】蛍光体層と 基板 との界面に発生する応 力 歪みを低減し、使用時に破損しにくい波長変換部材を提供する。 【解決手段】基板10と、ガラスマトリクス21中に無機蛍光体粉末22が分散してなる蛍光体層20と、が接合してなる波長変換部材1。30℃〜蛍光体層20の固着点の 温度 範囲において、基板10の熱膨張係数をα 1 、蛍光体層20の熱膨張係数をα 2 とした場合、−10×10 −7 ≦α 1 −α 2 ≦10×10 −7 (/℃)の関係を満たすことを特徴とする。 ただし、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点) 【選択図】図1
权利要求

基板と、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末が分散してなる蛍光体層と、が接合してなる波長変換部材であって、 30℃〜前記蛍光体層の固着点の温度範囲において、前記基板の熱膨張係数をα1、前記蛍光体層の熱膨張係数をα2とした場合、−10×10−7≦α1−α2≦10×10−7(/℃)の関係を満たすことを特徴とする波長変換部材。 ただし、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)前記基板が酸化物セラミックスまたはガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の波長変換部材。前記酸化物セラミックスが多結晶アルミナまたは単結晶サファイアであることを特徴とする請求項2に記載の波長変換部材。前記蛍光体層が、前記基板に融着していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の波長変換部材。前記蛍光体層の厚みが30〜300μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の波長変換部材。前記無機蛍光体粉末が、窒化物蛍光体粉末、酸窒化物蛍光体粉末、酸化物蛍光体粉末、硫化物蛍光体粉末、酸硫化物蛍光体粉末、ハロゲン化物蛍光体粉末及びアルミン酸塩蛍光体粉末から選択される1種以上からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の波長変換部材。前記蛍光体層における前記無機蛍光体粉末の含有量が30〜80体積%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項のいずれか一項に記載の波長変換部材。ホイール形状であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項のいずれか一項に記載の波長変換部材。請求項1〜8のいずれか一項に記載の波長変換部材と、前記波長変換部材における前記蛍光体層に励起光を照射する光源とを備えることを特徴とする発光デバイス。プロジェクター光源として使用されることを特徴とする請求項9に記載の発光デバイス。ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含むグリーンシートを作製する工程、 前記グリーンシートを基板上に貼付し、焼成することにより蛍光体層を形成する工程、 を含む波長変換部材の製造方法であって、 30℃〜前記蛍光体層の固着点の温度範囲において、前記基板の熱膨張係数をα1、前記蛍光体層の熱膨張係数をα2とした場合、−10×10−7≦α1−α2≦10×10−7(/℃)の関係を満たすことを特徴とする波長変換部材の製造方法。 ただし、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)

说明书全文

本発明は、プロジェクター用蛍光ホイール等として好適な波長変換部材及びそれを用いた発光デバイスに関するものである。

近年、プロジェクターを小型化するため、LED(Light Emitting Diode)等の光源と、蛍光体層を有する波長変換部材とを用いた発光デバイスが提案されている。例えば、光源の光を蛍光体層で波長変換し、得られた蛍光を、波長変換部材に隣接して設けられた反射基板により光源の入射側に反射させて外部に取り出す、いわゆる反射型の蛍光ホイールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。反射型の蛍光ホイールは外部への蛍光取出し効率が高く、プロジェクターを高輝度化しやすいという利点がある。

蛍光体層は、光源からの光の照射により発熱を伴うため、耐熱性が要求される。そこで、耐熱性の高いガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末が分散してなる蛍光体層を有する波長変換部材が提案されている。しかしながら、この場合、蛍光体層と反射基板との熱膨張係数差に起因して、両者の界面に応歪みが発生する場合がある。例えば、反射基板として金属基板を用いた場合、蛍光体層との熱膨張係数差が大きいため、応力歪みが大きくなる。その結果、使用中に受ける振動等により、蛍光体層にクラックが生じたり、蛍光体層が反射基板から剥離するという不具合が発生するおそれがある。

上記の問題を軽減するために、反射基板と蛍光体層との熱膨張係数差を小さくする方法が考えられる。例えば、先行文献2には、反射基板をセラミック基板と金属反射層の2層構造とし、セラミック基板側の表面に蛍光体層を設けた波長変換部材(プロジェクター用蛍光ホイール)が開示されている。セラミック基板は金属材料と比較して熱膨張係数が低いため、蛍光体層との熱膨張係数差を小さくすることができる。

特開2015−1709号公報

国際公開第2015/068562号公報

反射基板と蛍光体層との熱膨張係数差を小さくしても、両者の界面に発生する応力歪みが十分に小さくならない場合がある。

従って、本発明は、基板と蛍光体層との界面に発生する応力歪みを低減し、使用時に破損しにくい波長変換部材を提供することを技術課題とする。

本発明の波長変換部材は、基板と、ガラスマトリクス中に無機蛍光体粉末が分散してなる蛍光体層と、が接合してなる波長変換部材であって、30℃〜前記蛍光体層の固着点の温度範囲において、基板の熱膨張係数をα1、蛍光体層の熱膨張係数をα2とした場合、−10×10−7≦α1−α2≦10×10−7(/℃)の関係を満たすことを特徴とする。ここで、固着点はTf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)で表される温度を意味する。

本発明者等が検討した結果、波長変換部材における基板と蛍光体層との界面に発生する応力歪みは、その製造工程に起因することがわかった。具体的には以下のように説明される。

基板上に蛍光体層が形成されてなる波長変換部材は、例えばガラス粉末及び無機蛍光体粉末を含むグリーンシートを基板上に貼付し、焼成することにより作製される。具体的には、グリーンシートを焼成すると、ガラス粉末及び無機蛍光体粉末の焼結体からなる蛍光体層が形成される。蛍光体層はその固着点で基板に固着し、その後常温付近まで冷却することにより、基板上に蛍光体層が形成されてなる波長変換部材が得られる。ここで、30℃〜蛍光体層の固着点の温度範囲において、基板の熱膨張係数と、蛍光体層の熱膨張係数の差が大きいと、蛍光体層が基板に固着した後、降温過程において両者の界面に残留応力が発生しやすくなる。そこで、30℃〜蛍光体層の固着点の温度範囲において、基板の熱膨張係数と、蛍光体層の熱膨張係数の差を上記の通り規定することにより、上記の不具合の発生を抑制することができる。

本発明の波長変換部材において、基板が酸化物セラミックスまたはガラスからなることが好ましい。

本発明の波長変換部材において、酸化物セラミックスが多結晶アルミナまたは単結晶サファイアであることが好ましい。

本発明の波長変換部材において、蛍光体層が、基板に融着していることが好ましい。当該構成によれば、耐熱性の低い樹脂接着剤等を使用することなく、蛍光体層と基板を接合することができるため、耐熱性に優れた波長変換部材を得ることができる。具体的には、樹脂接着剤は励起光の照射熱により劣化して黒化するため、発光強度が経時的に低下しやすいが、上記構成によればそのような問題が生じにくい。また、樹脂接着剤は熱伝導性が低いため、蛍光体層と基板を樹脂接着剤で接着した場合は、蛍光体層で発生した熱が基板側に放熱されにくい。一方、蛍光体層が、基板に融着していれば、蛍光体層で発生した熱が基板側に効率良く放熱されやすい。

本発明の波長変換部材において、蛍光体層の厚みが30〜300μmであることが好ましい。

本発明の波長変換部材において、無機蛍光体粉末が、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、酸化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体及びアルミン酸塩蛍光体から選択される1種以上からなることが好ましい。

本発明の波長変換部材において、蛍光体層における無機蛍光体粉末の含有量が30〜80体積%であることが好ましい。

本発明の波長変換部材は、ホイール形状であることが好ましい。当該構成によれば、回転による放熱が容易となり、蛍光体層の昇温に伴う破損や温度消光を低減することができる。よって、特に高輝度のプロジェクター光源用として好適である。

本発明の発光デバイスは、上記の波長変換部材と、波長変換部材における蛍光体層に励起光を照射する光源とを備えることを特徴とする。

本発明の発光デバイスは、プロジェクター光源として好適である。

本発明の波長変換部材の製造方法は、ガラス粉末と無機蛍光体粉末を含むグリーンシートを作製する工程、グリーンシートを基板上に貼付し、焼成することにより蛍光体層を形成する工程、含む。ここで、30℃〜前記蛍光体層の固着点の温度範囲において、基板の熱膨張係数をα1、蛍光体層の熱膨張係数をα2とした場合、−10×10−7≦α1−α2≦10×10−7(/℃)の関係を満たすことを特徴とする。ここで固着点は、上記と同様に、Tf−(Tf−Tg)/3 (Tg:ガラス転移点、Tf:屈伏点)で表される温度を意味する。

本発明によれば、蛍光体層と基板との界面に発生する応力歪みを低減し、使用時に破損しにくい波長変換部材を提供することができる。

本発明の一実施形態に係る波長変換部材の模式的断面図である。

本発明の一実施形態に係る波長変換部材を用いた発光デバイスの模式的側面図である。

以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、下記の実施形態は単なる例示であり、本発明は下記の実施形態に何ら限定されない。

(波長変換部材1) 図1は、本発明の一実施形態を示す波長変換部材の略図的断面図である。図1に示すように、波長変換部材1は、基板10と、その表面に接合されている蛍光体層20を備えている。蛍光体層20は、ガラスマトリクス21中に無機蛍光体粉末22が分散してなる。

蛍光体層20は基板10に融着していることが好ましい。無機接合層としてはガラス層が挙げられる。具体的には、ガラスマトリクス21と同じ組成からなるガラス層が挙げられる。

波長変換部材1の形状寸法は、波長変換部材1が用いられるデバイスの形状寸法等に応じて適宜設定することができる。波長変換部材1の形状としては、例えば矩形板状、円盤状、ホイール形状が挙げられる。特にプロジェクター用光源に使用する場合は、ホイール形状であることが好ましい。なお、基板10の表面(少なくとも一方の主面)の全体に蛍光体層20が形成されていてもよく、基板10の表面の一部のみに蛍光体層10が形成されていてもよい。

(基板10) 基板10としては、酸化物セラミックスやガラスからなるものが挙げられる。酸化物セラミックスとしては、多結晶アルミナ、単結晶サファイア等が挙げられる。多結晶アルミナは多孔質体であっても良い。多結晶アルミナは反射基板として使用される。一方、単結晶サファイアは光透過性であるため、透過型の波長変換部材として使用することができる。

(蛍光体層20) 蛍光体層20は、ガラスマトリクス21と無機蛍光体粉末22を含む。例えば、蛍光体層20は、ガラス粉末焼結体からなるガラスマトリクス21中に無機蛍光体粉末22が分散してなる。このようにすれば、ガラスマトリクス21中に無機蛍光体粉末22が均一に分散した蛍光体層20が得られやすくなる。

ガラスマトリクス21の組成としては、例えば、SiO2、B2O3のいずれか1種以上を60〜90質量%含有するものが好ましい。具体的にはSiO2−B2O3−RO(RはMg、Ca、SrまたはBa)系ガラス、SiO2−B2O3−R’2O(R’はLi、NaまたはKa)系ガラス、SiO2−B2O3−RO−R’2O系ガラス等が挙げられる。

本実施形態では、30℃〜蛍光体層20の固着点の温度範囲において、基板10の熱膨張係数をα1、蛍光体層20の熱膨張係数をα2とした場合、−10×10−7≦α1−α2≦10×10−7(/℃)の関係を満たす。α1−α2が小さすぎると、既述の理由から、基板10と蛍光体層20の界面に発生する応力歪み(基板10から蛍光体20に対する引張応力)が大きくなり、使用時に破損するおそれがある。一方、α1−α2が大きすぎる場合も、基板10と蛍光体層20の界面に発生する応力歪み(基板10から蛍光体20に対する圧縮応力)が大きくなり、蛍光体層20が基板10から剥離しやすくなる。α1−α2は−8×10−7以上、特に−6×10−7以上(/℃)が好ましく、8×10−7以下、特に6×10−7以下(/℃)が好ましい。

無機蛍光体粉末22としては、一般に市場で入手できるものであれば特に限定されない。例えば、窒化物蛍光体粉末、酸窒化物蛍光体粉末、酸化物蛍光体粉末(YAG蛍光体粉末等のガーネット系蛍光体粉末を含む)、硫化物蛍光体粉末、酸硫化物蛍光体粉末、ハロゲン化物蛍光体粉末(ハロリン酸塩化物粉末等)及びアルミン酸塩蛍光体粉末等からなるものが挙げられる。なかでも、窒化物蛍光体粉末、酸窒化物蛍光体粉末及び酸化物蛍光体粉末は耐熱性が高く、焼成時に比較的劣化しにくいため好ましい。なお、窒化物蛍光体粉末及び酸窒化物蛍光体粉末は、近紫外〜青の励起光を緑〜赤という幅広い波長領域に変換し、しかも発光強度も比較的高いという特徴を有している。そのため、窒化物蛍光体粉末及び酸窒化物蛍光体粉末は、特に白色LED素子用波長変換部材に用いられる無機蛍光体粉末22として有効である。

無機蛍光体粉末22としては、波長300〜500nmに励起帯を有し波長380〜780nmに発光ピークを有するもの、特に青色(波長440〜480nm)、緑色(波長500〜540nm)、黄色(波長540〜595nm)または赤色(波長600〜700nm)に発光するものが挙げられる。

波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の発光を発する無機蛍光体粉末としては、(Sr,Ba)MgAl10O17:Eu2+、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu2+等が挙げられる。

波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl2O4:Eu2+、SrBaSiO4:Eu2+、Y3(Al,Gd)5O12:Ce2+、SrSiOn:Eu2+、BaMgAl10O17:Eu2+,Mn2+、Ba2MgSi2O7:Eu2+、Ba2SiO4:Eu2+、Ba2Li2Si2O7:Eu2+、BaAl2O4:Eu2+等が挙げられる。

波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、SrAl2O4:Eu2+、SrBaSiO4:Eu2+、Y3(Al,Gd)5O12:Ce3+、SrSiOn:Eu2+、β−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。

波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、La3Si6N11:Ce3+等が挙げられる。

波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、Y3(Al,Gd)5O12:Ce3+、Sr2SiO4:Eu2+が挙げられる。

波長300〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaGa2S4:Mn2+、MgSr3Si2O8:Eu2+,Mn2+、Ca2MgSi2O7:Eu2+,Mn2+等が挙げられる。

波長440〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末としては、CaAlSiN3:Eu2+、CaSiN3:Eu2+、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu2+、α−SiAlON:Eu2+等が挙げられる。

なお、励起光や発光の波長域に合わせて、複数の無機蛍光体粉末を混合して用いてもよい。例えば、紫外域の励起光を照射して白色光を得る場合は、青色、緑色、黄色、赤色の蛍光を発する無機蛍光体粉末を混合して使用すればよい。

蛍光体層20における無機蛍光体粉末22の含有量が多すぎると、焼結性が低下して蛍光体層20の機械的強度が低下しやすくなる。一方、無機蛍光体粉末22の含有量が少なすぎると、所望の発光強度が得られにくくなる。このような観点から、蛍光体層20における無機蛍光体粉末22の含有量は、体積%で、20〜90%、30〜80%、特に40〜75%であることが好ましい。

無機蛍光体粉末22の平均粒子径が大きすぎると発光色が不均一になる場合がある。従って、無機蛍光体粉末22の平均粒子径は50μm以下、特に25μm以下であることが好ましい。ただし、無機蛍光体粉末22の平均粒子径が小さすぎると、発光強度が低下する場合がある。従って、無機蛍光体粉末22の平均粒子径は1μm以上、特に5μm以上であることが好ましい。

蛍光体層20の厚みは30〜300μm、特に50〜200μmであることが好ましい。蛍光体層20の厚みが小さすぎると、所望の発光強度が得られにくくなる。一方、蛍光体層20の厚みが大きすぎると、蛍光体層20からの光の取り出し効率に劣り、発光強度が低下する傾向がある。なお、蛍光体層20の厚みが大きいほど蛍光体層20と基板10の界面応力が大きくなりやすいため、本発明の効果が享受しやすくなる。

(波長変換部材1の製造方法) 次に、波長変換部材1の製造方法の一例について説明する。

まず、ガラスマトリクス21を構成するためのガラス粉末と、無機蛍光体粉末22とを含む混合粉末を用いてグリーンシートを作製する。具体的には、混合粉末に対し、有機溶剤や樹脂バインダー等を適量添加して混錬することによりスラリーを得たのち、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の樹脂フィルム上にシート成形することによりグリーンシートを作製する。

ガラス粉末の粒子径は、最大粒子径(Dmax)が200μm以下(特に150μm以下、さらには105μm以下)、かつ、平均粒子径(D50)が0.1μm以上(特に1μm以上、さらには2μm以上)であることが好ましい。ガラス粉末の最大粒子径が大きすぎると、蛍光体層20において励起光が散乱しにくくなり発光効率が低下しやすくなる。また、平均粒子径が小さすぎると、蛍光体層20において、励起光が過剰に散乱してかえって発光効率が低下しやすくなる。

なお、本発明において、最大粒子径及び平均粒子径はレーザー回折法により測定した値を指す。

次に、グリーンシートと基板10を積層し、必要に応じてプレスすることにより、積層体を作製する。積層体を焼成することにより波長変換部材1を得る。なお、基板10とガラス粉末は、各々の熱膨張係数が既述の関係となる材料を選択する。焼成温度は、緻密な焼結体を得るため、ガラス粉末の軟化点以上であることが好ましい。一方、焼成温度が高すぎると、無機蛍光体粉末がガラス粉末中に溶出して発光強度が低下するおそれがある。そのため、焼成温度は、ガラス粉末の軟化点+150℃以下、特にガラス粉末の軟化点+100℃以下であることが好ましい。

(発光デバイス2) 図2は、波長変換部材1を用いた発光デバイス2の一実施形態を示す模式的側面図である。発光デバイス2は、波長変換部材1と光源30を有する。光源30は、波長変換部材1に対して励起光L1を照射する。励起光L1が波長変換部材1における蛍光体層20に入射すると、蛍光L2に波長変換される。蛍光L2は、反射基板である基板10により反射され、光源30側に向けて出射される。蛍光L2は、光源30と波長変換部材1との間に配されたビームスプリッタ40により分離され、外部に取り出される。

以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。

表1は実施例1〜3及び比較例1、2を示す。

(1)波長変換部材の作製 表1に記載のガラス組成となるように原料を調合し、溶融急冷法によってフィルム状にガラスを成形した。得られたガラスフィルムを、ボールミルを用いて湿式粉砕し、平均粒子径が2μmであるガラス粉末を得た。

得られたガラス粉末と、YAG蛍光体粉末(Yttrium Aluminum Garnet:Y3Al5O12、平均粒子径15μm)を、体積比で、ガラス粉末:蛍光体粉末=30:70となるように振動混合機を用いて混合した。得られた混合粉末50gに結合剤、可塑剤、溶剤等を適量添加し、24時間混練することによりスラリーを得た。このスラリーを、ドクターブレード法(ブレードギャップ200μm)を用いてPETフィルム上に塗布し、乾燥させることによりグリーンシートを作製した。得られたグリーンシートの厚みは120μmであった。

多結晶アルミナ基板(MARUWA製HA−96−2、180mm×15mm、厚み0.25mm)の表面に、同サイズに切断した上記のグリーンシートを貼付し、熱圧着機を用いて100℃で10kPaの圧力を3分印加することにより積層体を作製した。積層体を大気中にて600℃で1時間脱脂処理した後、表1に記載の焼成温度で30分間焼成することにより、波長変換部材を作製した。得られた波長変換部材における蛍光体層の厚みは100μmであった。

蛍光体層の固着点、及び、30℃〜固着点の温度範囲における熱膨張係数は以下のようにして測定した。上記で得られたガラス粉末とYAG蛍光体粉末の混合粉末を、金型を用いて50MPaでプレスすることにより圧粉体を作製した。圧粉体を電気炉にて表1に記載の焼成温度で60分間焼成することにより緻密な焼結体を得た。得られた焼結体を所定形状に加工し、TMA(熱機械分析)装置(リガク製Thermo Plus TMA8310)を用いて得られた熱膨張曲線からガラス転移点Tg及び屈伏点Tfを求め、固着点=Tf−(Tf−Tg)/3の式から固着点を算出した。熱膨張曲線は昇温過程で急激な勾配をもつ直線に変化する。この屈曲点をガラス転移点Tgとした。さらに昇温を行うと、焼結体は軟化によって見かけ上、伸びが停止して収縮が検出される。この変曲点を屈服点Tfとした。また熱膨張曲線より、30℃〜前記蛍光体層の固着点の温度範囲における熱膨張係数を算出した。多結晶アルミナ基板についても、TMA装置を用いて得られた熱膨張曲線より、30℃〜蛍光体層の固着点の温度範囲における熱膨張係数を算出した。

(2)特性評価 上記で作製した波長変換部材につき、基板と蛍光体層の界面における残存応力を確認した。なお、基板及び蛍光体層はともに不透明体であり、偏光顕微鏡等による光学的歪みを観察することができないため、波長変換部材の反り量を測定して残存応力の指標とした。具体的には、波長変換部材の長手方向の端部を定盤上に押さえつけた際、反対側の端部と定盤との距離を測定し、反り量として評価した。なお、表には蛍光体層側が凹となるように反る場合を正、基板側が凹となるように反る場合を負として記載した。

表1から明らかなように、実施例1〜3の波長変換部材は、比較例1、2の波長変換部材と比較して、反り量の絶対値が小さく、基板と蛍光体層の界面における残存応力が小さいことがわかる。

1 波長変換部材 2 発光デバイス 10 基板 20 蛍光体層 21 ガラスマトリクス 22 無機蛍光体粉末 30 光源 40 ビームスプリッタ

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