Combined plate, and production method thereof

申请号 JP2012268398 申请日 2012-12-07 公开(公告)号 JP2014113726A 公开(公告)日 2014-06-26
申请人 Tosoh Corp; 東ソー株式会社; 发明人 YAMASHITA ISAO; IMAI KOHEI; YAMAUCHI SHOICHI; TSUKUMA KOJI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a combined plate of zirconia with fiber-reinforced plastics, which is light in weight and excellent in impact resistance and scratch resistance and can be used suitably in housings of portable electronic instruments, watch members or the like.SOLUTION: The combined plate is obtained by layering a zirconia-based sintered compact on fiber-reinforced plastics so that they are tightly stuck/fixed to each other and has the thickness equal to or thinner than 2 mm. A thickness ratio ((the thickness of the zirconia-based sintered compact)/(that of the fiber-reinforced plastics)) of the zirconia-based sintered compact to the fiber-reinforced plastics is 0.01-1 and the combined plate has the apparent density equal to or lower than 4.3 g/cm.
权利要求
  • ジルコニア質焼結体、繊維強化プラスチックスが積層し、互いに密着固定されてなる厚み2mm以下の複合プレートであって、ジルコニア質焼結体と繊維強化プラスチックスとの厚み比率(ジルコニア質焼結体厚み/繊維強化プラスチックス厚み)が0.01〜1であり、且つ、複合プレートの見かけ密度が4.3g/cm 以下である複合プレート。
  • ジルコニア質焼結体が、ジルコニアに対して2〜10mol%のイットリアを含有するジルコニアである請求項1記載の複合プレート。
  • ジルコニア質焼結体が、白色顔料、遷移金属酸化物、着色顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するジルコニアである請求項1乃至2のいずれかに記載の複合プレート。
  • ジルコニア質焼結体の相対密度が97%以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の複合プレート。
  • ジルコニア質焼結体のビッカース硬度が1000以上である請求項1乃至4のいずれかに記載の複合プレート。
  • 繊維強化プラスチックスが、ガラス繊維強化プラスチックス又は炭素繊維強化プラスチックスである請求項1乃至5のいずれかに記載の複合プレート。
  • 130gの鋼球を自由落下させる試験において、破壊高さが10cm以上である高耐衝撃性を示すことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の複合プレート。
  • ジルコニア質焼結体と繊維強化プラスチックスを、エポキシ系熱硬化型接着剤を用いて300℃以下の温度で接合することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれかに記載の複合プレートの製造方法。
  • ジルコニア質焼結体が、ジルコニア粉末と有機バインダーを混合したスラリーを厚さ1mm以下のグリーンシートに成膜し、次いで1300〜1500℃で焼結したものである請求項8記載の複合プレートの製造方法。
  • 請求項1〜7のいずれかに記載の複合プレートを用いた携帯用電子機器の筐体。
  • 請求項1〜7のいずれかに記載の複合プレートを用いた時計部材。
  • 说明书全文

    本発明は、耐擦傷性、耐衝撃性を有する、ジルコニアと繊維強化プラスチックスとの複合プレートおよびその製造方法に関する。

    近年、スマートフォン等に代表される携帯用電子機器において耐擦傷性、耐衝撃性の優れた部材への需要が高まっている。 特に携帯用電子機器の外装部材は、厚み2mm以下の薄板形状で且つ、落下等の衝突にも耐えなくてはならないため、とりわけ耐衝撃性の高い材質が要求されている。

    外装用部材として使用されている材質は、金属、樹脂、ガラスなどがあるが、耐擦傷性、高い意匠性のためガラス素材が広く用いられている。 現在使用されているガラス素材は、イオン交換によって強化された強化ガラスである。 この強化ガラスにおいては、イオン交換によってガラス表面に数十μm程度の強化層を生成し、表面に圧縮応を発生させ傷の進展を防いでいる。 しかしながら強化ガラスの強化機構は、強化層に由来するため、次に示すような課題があり更なる改善が求められている。
    (1)強化層を超える傷が入ると直ちに破壊してしまうおそれがある。
    (2)ガラス自体のビッカース硬度は600程度であり、金属、コンクリート等との接触により容易に傷が付き、使用に伴う加傷により強度が著しく低下することがある。
    (3)強化ガラスにおいては、強化処理後に加工することが出来ない。
    (4)化学強化処理したものであっても、端面の加工傷の存在により端面強度が低下することがある。
    (5)強化ガラスの破壊により細かな鋭利な破片を生ずる。

    一方、セラミックスは耐熱性、耐摩耗性、耐食性に優れていることから、産業部材用途に広く使用されている。 とりわけジルコニアセラミックスは高強度、高靭性かつ高硬度で耐擦傷性を有しており、更に着色による意匠性の向上が容易であることから、時計部材などへの使用が進んでいる。

    また、携帯用電子機器等の外装部材へのセラミックスの使用も検討されているが、特に携帯用電子機器の外装部材の場合、耐衝撃性を向上するために部材を厚くすると、部材が重くなり実用的ではなかった。 また、部材を軽量化のために薄くすると、落下、衝突等の衝撃に対する部材の耐性が十分でなく、容易に割れてしまい使用することが出来なかった。

    セラミックス部材の耐衝撃性の向上については、セラミックス板を繊維強化プラスチックスと接合し砲弾や弾丸などの飛翔体の貫通を防ぐといった、いわゆる合わせガラスと類似した方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。 特許文献1には、厚さ8mmのアルミナ、炭化ケイ素を繊維強化プラスチックスに接合したものが報告されている。

    携帯用電子機器などの外装部材には、製品自重程度(100g程度)の衝撃物の自由落下に対する耐われ性が必要である。 従来の方法では、厚いセラミックスを使用せざるを得ないため、部材重量が増加してしまい携帯用外装部材としては使用することは出来なかった。 軽量化のためには、薄板で耐われ性を向上させることが必須であるが、これまでに厚さ2mm以下のジルコニア板において落下、衝突等の衝撃に対する耐われ性を向上させた耐衝撃部材およびその製造方法は存在しなかった。

    特開2008−162164号公報

    特開2009−264692号公報

    携帯用電子機器の部材としてジルコニアセラミックスを使用する場合、その耐衝撃性を向上するために部材を厚くする必要があり、未だ改良の余地があった。 本発明は、耐衝撃性、特に衝撃による耐われ性を向上させたジルコニア焼結体と繊維強化プラスチックスとの複合プレートおよびその製造方法に関する。

    上記の課題を鑑み、本発明者らは、ジルコニア薄板の鋼球落下における破壊現象を詳細に検討した。 その結果、鋼球の落下衝撃によりセラミックス板がたわみ、曲げモーメントが発生し、インパクト面の裏側の面のインパクト点近傍より引っ張り破壊が生じていることを見出した。 また材料の弾性率が小さいものほど、衝撃により大きく変形し、長い時間をかけて衝撃を吸収することで、インパクト面の裏面にかかる最大引っ張り応力の絶対値が減少することを見出した。

    本発明者らは、上記の知見を基に鋭意検討することで、ジルコニア薄板(弾性率200GPa)の裏面に繊維強化プラスチックスを配置し、両者を密着固定することで、衝撃変形能をジルコニア薄板に付与し、最大引っ張り応力の低減を図ると共に、引っ張り応力が発生する裏面を繊維強化プラスチックスとし、専ら圧縮応力が発生するインパクト面をジルコニア薄板とする構造を実現し、ジルコニア薄板の耐衝撃性を向上させることを見出し、本発明を完成するに至った。

    すなわち、本発明は、ジルコニア質焼結体、繊維強化プラスチックスが積層し、互いに密着固定されてなる厚み2mm以下の複合プレートであって、ジルコニア質焼結体と繊維強化プラスチックスとの厚み比率(ジルコニア質焼結体厚み/繊維強化プラスチックス厚み)が0.01〜1であり、且つ、複合プレートの見かけ密度を4.3g/cm 以下とした複合プレート及びその製造方法に関する。

    以下、本発明を詳細に説明する。

    本発明の複合プレートは、ジルコニア質焼結体、繊維強化プラスチックスが積層し、互いに密着固定されてなる厚み2mm以下である複合プレートである。 軽量のためには好ましくは1.5mm以下である。 更に好ましくは1.0mm以下である。

    本発明の複合プレートにおける、ジルコニア質焼結体の厚みと繊維強化プラスチックスの厚みの比率(ジルコニア質焼結体厚み/繊維強化プラスチックス厚み)は、0.01〜1である。 ジルコニア質焼結体の厚みと繊維強化プラスチックスの厚みの比率を0.01〜1とすることで、軽量かつ耐擦傷性に優れる耐衝撃性複合プレートとすることができる。 0.01未満では、十分な耐摩耗性が得られず、1を超えると複合体の見かけ密度が増加する。 ジルコニア焼結体の厚みが増加して複合プレートの見かけ密度が増加することを抑制し、耐衝撃強度の低下を抑制できる点、及びジルコニア焼結体の厚みが薄くなることによる耐擦傷性の低下を抑制できる点で、好ましくは0.1〜0.75、更に好ましくは0.1〜0.5である。

    本発明の複合プレートの見かけ密度(ρ(複合プレート))は、ジルコニア焼結体の真密度(ρ(ジルコニア))と繊維強化プラスチックスの真密度(ρ(繊維強化プラスチックス))から式(1)で与えられる。

    ρ(複合プレート)=ρ(ジルコニア)×ジルコニア体積分率+ρ(繊維強化プラスチックス)×繊維強化プラスチックス体積分率
    =ρ(ジルコニア)×ジルコニア厚み分率+ρ(繊維強化プラスチックス)×繊維強化プラスチックス厚み分率 (1)
    繊維強化プラスチックスの密度は、プラスチックスの種類および繊維の添加量によって異なるが、一般的な密度としては0.9〜2.45g/cm の密度が例示できる。

    本発明の複合プレートの見かけの密度が4.3g/cm 以下であれば、外装部材として使用するのに十分な軽量感を得ることができる。 またガラスを用いないことから安全性に関しても優れている。

    本発明の複合プレートにおいて、ジルコニア質焼結体と繊維強化プラスチックスは、密着固定されている。 両者の密着固定の方法としては、接着剤による固定方法や、プラスチックスを熱、溶剤等に溶かしてジルコニア質焼結体と密着させて固定する方法等を例示することができる。 接着剤を用いる場合は、接着層の厚みは、200μm以下が好ましい。 接着層の厚みは、好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。 このように密着固定することで、ジルコニア焼結体と繊維強化プラスチックスとが一体となって変形して衝撃吸収するために耐衝撃性の向上を図ることができる。

    本発明の複合プレートにおけるジルコニア質焼結体としては、高強度、耐摩耗性、高靭性を併せ持つイットリア安定化ジルコニアが好ましく、イットリア含有量をジルコニアに対して2−10mol%とすることにより、高強度、耐摩耗性、高靭性のイットリア安定化ジルコニアとすることができる。 より好ましいイットリア含有量は2−4mol%である。 ジルコニア質焼結体は、イットリア以外の安定化剤のものも使用できる。 他の安定化剤としては、カルシア、マグネシア、セリア等が例示できる。

    本発明の複合プレートにおけるジルコニア質焼結体には、更に着色剤等を含有させて、意匠性を向上しても良い。 このような着色剤としては、例えば、アルミナ等の白色顔料、遷移金属酸化物等の着色顔料を含有することが好ましい。 白色顔料としては、アルミナ、シリカ、ムライト、酸化亜鉛、スピネル等の酸化物を使用することができる。 白色以外の色調については、一般的な無機顔料であれば使用することができ、例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属が含まれるスピネル系複合酸化物やエルビウム、ネオジム、プラセオジム等の希土類酸化物が使用できる。 また遷移金属を添加したジルコンなども使用できる。 またニッケル、鉄などの遷移金属酸化物も顔料として使用することができる。

    本発明の複合プレートにおけるジルコニア質焼結体は、その相対密度が97%以上であることが好ましく、より耐擦傷性を向上させるため、また、残留気孔に基づく焼結体表面の凹凸に起因する鏡面仕上げ時の意匠性低下を抑制するためには、98%以上がより好ましく、99%以上が更に好ましい。

    本発明の複合プレートにおけるジルコニア質焼結体は、十分な耐擦傷性を示すために、そのビッカース硬度が1000以上であることが好ましく、1100以上が更に好ましく、1200以上がより好ましく、1400以上が極めて好ましい。

    本発明の複合プレートに用いる繊維強化プラスチックスとしては、ガラス繊維強化プラスチックス、炭素繊維強化プラスチックス、芳香族ポリアミド繊維強化プラスチックス、セルロース繊維強化プラスチックス等を例示することができる。 工業的な利用が容易な炭素繊維強化プラスチックス又はガラス繊維強化プラスチックスが好ましい。 また電波透過性が必要な部材に対しては、ガラス繊維強化プラスチックスが好ましい。

    繊維で強化されるプラスチックとしては、例えば、不飽和ポリエステルの熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、PET等を例示することができる。

    一方、プラスチックスを強化する繊維に関しては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ポリエチレン繊維などが挙げられる。 これらの繊維を細かく切断し樹脂に均一にまぶしたり、繊維に方向性を持たせたままプラスチックに浸潤させる方法などが挙げられる。

    本発明の複合プレートにおける耐衝撃性(耐われ性)は、複合プレートを、アルミ合金の上に厚さ0.1mmの両面テープで接着し、130gの鋼球を任意の高さから、自然落下させるという衝撃試験において、ジルコニア焼結体に割れが発生する高さ(破壊高さ)が10cm以上、好ましくは15cm以上、更に好ましくは20cm以上という高い耐衝撃性値を示すものである。 10cm以上の破壊高さとすることで、携帯用電子機器の筐体として使用した場合、落下や衝突などに対する耐衝撃性を付与することができる。

    次に、本発明の複合プレートの製造方法について詳述する。

    本発明の複合プレートは、例えば、ジルコニア質焼結体からなる薄板と繊維強化プラスチックスとを接着剤を用いて300℃以下の温度で接合することで製造できる。 接合に用いる接着剤としては、例えば、エポキシ系熱硬化型接着剤、室温で硬化するアクリル系接着剤、シアノアクリレート接着剤、紫外線硬化レジン等の接着剤等を例示することができる。 ジルコニア質焼結体と繊維強化プラスチックスとの接合強度が高く、耐熱性、耐衝撃性も高いと言う点で、エポキシ系熱硬化型接着剤を使用することが好ましい。 また、接着剤中に無機粒子などのフィラーを添加し、接着層の剛性を向上させることも可能である。 より高い接着力を実現するため接着面に対して紫外線/オゾン処理やプラズマ処理をして清浄にすることが好ましい。 またジルコニアの接着面は加熱により清浄とすることもできる。

    更に熱や溶媒により繊維強化プラスチックスを溶かしジルコニア薄板に溶着させることもできる。 また型にジルコニア薄板を配置し、流動性を付与した繊維強化プラスチックスを型に流し込み溶着させ接合体を得ることも可能である。 その他として繊維を含浸したプリプレグをジルコニアに密着し、その後、紫外線や熱などにより硬化させポリマー化させ複合体を得ることも可能である。

    本発明の複合プレートに係るジルコニア焼結体の薄板の作製方法は、一般的なセラミックスの成型方法を用いて作製することができる。 例えば、プレス法、押し出し法、泥漿鋳込み法、射出成形法、シート成型法が例示できるが、この中でもドクターブレードによるシート成型法が好ましい。 具体的には、ジルコニア粉末と有機バインダーを混合したスラリーをドクターブレードにより厚さ1mm以下のグリーンシートに成膜し、1300〜1500℃で焼結し、ジルコニア質焼結体を得て、それを繊維強化プラスチックスに接合した後、ジルコニア質焼結体表面を研削・研磨し複合プレートを製造することができる。 焼結は、通常の大気焼結の他、真空焼結、ホットプレス、熱間等方圧加圧法(HIP)なども使用することができる。

    本発明の複合プレートは、薄板状であり且つ耐衝撃性や耐擦傷性も高いことから、スマートフォン、タブレット型端末、ノートPC、小型音楽プレーヤー等の携帯用電子機器の筐体部材として使用することができる。 またタッチパッドなどの入力装置部材としても使用することができる。 またガラス繊維強化プラスチックスを用いたものは、高い電波透過性を有するためにアンテナの保護部材等の部材にも使用できる。 更に着色ジルコニアを使用することで、意匠性の向上が容易なことから時計部材としても使用することができる。

    実施例4で得られたジルコニア複合プレートの外観を示す図である。

    実施例37で得られたジルコニア複合プレートに加傷処理を行った後の表面を示す顕微鏡写真である。

    実施例39で得られたジルコニア複合プレートに釘刺し試験を行った後の状態を示す図である。

    比較例5で用いたアルミノシリケート系の強化ガラスに加傷処理を行った後の表面を示す顕微鏡写真である。

    比較例6の母材(白色ジルコニア焼結体)に対して釘刺し試験を行った後の状態を示す図である。

    以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
    (相対密度)
    アルキメデス法を用いて試料の密度を測定した。 得られた密度を真密度に対する相対密度として求めた。 以下の実施例・比較例で使用した粉末を焼結して得られる、それぞれの焼結体の真密度は、白色ジルコニア粉末(3YS20A)を用いた焼結体:5.51g/cm 、黒色ジルコニア粉末(東ソー製、商品名「TZ−Black」)を用いた焼結体:6.06g/cm 、ジルコニア粉末(東ソー製、商品名「3YSE」)を用いた焼結体:6.09g/cm とした。

    なお、3YS20Aは、3mol%のイットリアを含むジルコニアに、重量比で20wt%のアルミナを添加した系であり、TZ−Blackは、3mol%のイットリアを含むジルコニアに対してスピネル化合物系の黒色顔料を添加したものであり、3YSEは、3mol%のイットリアを含むジルコニアに対して助剤としてアルミナを0.25wt%添加した系である。

    (衝撃強度測定)
    複合プレートの衝撃強度評価は鋼球落下試験を用いて行った。 鋼球落下試験は、「ウオッチ用ガラスの寸法、試験方法」規格のISO14368−3に類似した方法を適用した。 すなわち、厚さ5mmの平坦なアルミ合金上(50mm×52mm)に厚さ0.1mmの両面テープ(3M製、商品番号「4511−100」)で、実施例又は比較例で得られた複合プレートを固定し、当該複合プレートの中心位置に130gの鋼球を任意の高さから自由落下させ、複合プレートが破壊する高さを測定した。 なおインパクト面については表面粗さRa=0.02μm以下に鏡面研磨したものを用いた。

    (二軸曲げ測定)
    二軸曲げ強度測定(ISO/DIS6872)に準じて複合プレートの曲げ強度を測定した。 サポート半径を6mmとし、複合プレートの中央をサポートに設置し、ジルコニア面を表向き、繊維強化プラスチックス面を裏面として、圧子がジルコニア面の中央に荷重が懸かるようにして測定を行なった。 曲げ強度の算出は、平板面積を用いた換算半径を用いた。 ジルコニアは表面粗さRa=0.02μm以下に両面鏡面研磨したものを用いた。

    実施例1−3
    白色ジルコニア粉末(東ソー製、商品名「3YS20A」)を金型プレスによって圧力50MPaで成形した。 成形体を更に圧力200MPaの冷間静圧プレス(CIP)で成形した。

    得られた成形体を、大気中、昇温速度100℃/hで1500℃まで昇温し、1500℃で2時間保持して焼結した。 得られた焼結体の特性を参考例として表3に示す。 得られた焼結体を両面研削、両面研磨して所定の厚みとし、ジルコニア薄板を得た。 なお表3中のHv10とは、圧子荷重10kgfを用いて測定されたビッカース硬度を示す。

    得られたジルコニア薄板とエポキシ樹脂ベースのガラス繊維強化プラスチックス(日東シンコー製、エポキシ/ガラスクロス積層成型品SL−EC)の各表面をアセトンにより洗浄し、次いで、エポキシ系熱硬化性樹脂(ナガセケムテックス製、商品番号「XN1245SR」)を接着面に均一に塗布し、複合プレートの上下面に均等に荷重が懸かる状態とし、120℃、30分の条件で接着した。 得られた複合プレートにおける各層の厚みを表1に示した。 得られた複合プレートを32mm×25mmとなるよう切断加工した。 加工による接着剤の剥がれ、ジルコニアのチッピングなど見られず高い加工性であった。 使用したガラス繊維強化プラスチックスの特性を参考例として表4に示す。 見かけ密度の計算には、強化プラチック密度として2.0g/cm を用いた。

    得られた複合プレートの評価結果を表1に示す。 複合プレートの見かけ密度は、いずれも4.3g/cm 以下であり、複合プレートのビッカース硬度は、いずれも1000以上であった。 5cm刻みで鋼球落下試験を行った結果、いずれも10cm以上となり高い耐衝撃性を示すことが分かった。 更に試験済みテストピースの健全な部分を狙い鋼球落下高さ30cmおよび50cmからそれぞれ一回落下させる鋼球落下試験を行った。 耐衝撃性は5cm刻みで評価したものより高くなった。 繰り返しの衝撃試験に起因する接着層の界面剥がれなかったために高い値を示したと考えられる。

    実施例4−10
    実施例1と同様な方法で白色ジルコニア焼結体(3YS20A)を得た。 加工による接着剤の剥がれ、ジルコニアのチッピングなど見られず高い加工性であった。 また得られた複合体の写真を図1に示す。 得られた白色ジルコニア焼結体を片面研削し、研削した側を鏡面研磨加工した。

    次いで、ジルコニア焼結体の鏡面研磨面とガラス繊維強化プラスチックスをエポキシ系熱硬化性樹脂(ナガセケムテックス製、商品番号「XN1245SR」)を用いて、複合プレートの上下面に均等に荷重が懸かる状態とし、120℃、30分の条件で接着した。 得られた複合プレートを32mm×25mmの形状に切断し、ジルコニア、接着剤、繊維強化プラスチックスの全厚みが0.8mm程度となるようにセラミックス側を研削、鏡面研磨した。

    得られた複合プレートの評価結果を表1に示す。 複合プレートの見かけ密度は、いずれも4.3g/cm 以下であり、複合プレートのビッカース硬度は、いずれも1000以上であった。 実施例1と同様な条件で鋼球落下試験を行った結果を表1に示す。 また耐衝撃試験の結果も、いずれも10cm以上となり高い耐衝撃性を示すことが分かった。

    実施例11−12
    接着剤として、室温硬化型のアクリル系接着剤(電気化学工業社製 G55−03、NS−700M−20)を用い、接着面に均一に塗布し、複合プレートの上下面に均等に荷重が懸かる状態とし、室温で一昼夜硬化させて接着した他は実施例4と同様の手法によってジルコニア複合プレートを得た。 得られた複合プレートの評価結果を表1に示す。 いずれの複合プレートについても10cm以上の高い耐衝撃性を得た。

    実施例13−18
    接着に際しては、ジルコニア板とガラス繊維強化プラスチックスの接着面をアセトンにて洗浄し、更に紫外線オゾンにて照射し、洗浄処理をしたものについてエポキシ接着剤を用いて接着した他は、実施例4と同様の手法によってジルコニア複合プレートを得た。 得られた複合プレートの評価結果を表1に示す。 紫外線オゾンを照射したものは高い耐衝撃性を示すことがわかった。

    実施例19−25
    ジルコニア粉末(東ソー製、商品名「3YSE」)黒色ジルコニア粉末(東ソー製,商品名「TZ−Black」)のそれぞれを金型プレスによって圧力50MPaで成形した。 各成形体を更に圧力200MPaの冷間静水圧プレス(CIP)で成形した。

    次に、3YSEについては、大気中、昇温速度100℃/hで1450℃まで昇温し、1450℃で2時間保持して焼結し、TZ−Blackについては、同じ昇温速度にて1400℃まで昇温し、1400℃で1時間保持して焼結した。 得られた焼結体の特性を参考例として表3に示す。 得られた焼結体を両面研削、両面研磨し所定の厚みとし、ジルコニア薄板を得た。 得られたジルコニア薄板を実施例4と同様な方法でガラス繊維強化プラスチックスに接着し複合プレートを得た。

    複合プレートの見かけ密度は、いずれも4.3g/cm 以下であり、複合プレートのビッカース硬度は、いずれも1000以上であった。 実施例1と同様な条件で鋼球落下試験を行った結果を表1に示す。 また耐衝撃試験の結果も、いずれも10cm以上となり高い耐衝撃性を示すことが分かった。

    実施例26−31
    3YS20A、3YSE、TZ−Blackの各粉末から得られたジルコニア質焼結体について熱間静水圧プレス(HIP)処理を行って得られたジルコニア薄板から複合プレートを作製した。

    具体的には、3YS20A、3YSE、TZ−Black焼結体は、それぞれ実施例4、実施例19、実施例22に従って作製し、次いでアルゴンガス雰囲気、150MPaの条件でHIP処理を行った。 HIP処理温度は、3YS20A、3YSEについては1450℃で1時間、TZ−Blackについては1350℃で1時間とした。 HIP処理体を1000℃で1時間の条件で焼き戻し処理を行い、実施例4と同様な方法によって複合プレートとした。 HIP処理により、いずれの焼結体も相対密度は100%に到達した。

    得られた複合プレートの耐衝撃試験の結果を表1に示す。 HIP処理したジルコニアを用いたものでは、より高い耐衝撃性を示すことがわかった。

    実施例32−35
    炭素繊維強化プラスチックス(株式会社CFデザイン社製)を用いた以外は実施例1と同様な方法でジルコニア複合プレートを作製した。 使用した炭素繊維強化プラスチックスの特性を参考例として表4に示す。 ここで炭素繊維強化プラスチックスの密度は1.5g/cm とした。 得られた複合プレートに対して、5cm刻みで鋼球落下試験を行った結果を表1に示す。 また耐衝撃試験の結果も、いずれも10cm以上となり高い耐衝撃性を示すことが分かった。

    実施例36
    実施例4と同様な条件で複合プレートを作製した。 焼結体の厚みは、0.239mmであり、ガラス繊維強化樹脂の厚みは0.501mm、接着層の厚みは31μmであった。 ジルコニア質焼結体の厚み/繊維強化プラスチックスの厚みは0.48であった。 複合プレートの見かけ密度は、3.00g/cm 、ビッカース硬度は1430であった。

    得られた複合プレートに対して、鋼球落下試験を複合体の端面からテストピース中央に向かって1mm離れた領域について評価した。 15cmから鋼球落下しても割れは観測されず、エッジにおいても高い耐衝撃強度を示した。

    実施例37
    実施例4と同様な方法にて、複合プレートを製造した。 焼結体の厚みは、0.210mmであり、ガラス繊維強化樹脂の厚みは0.510mm、接着層の厚みは35μmであった。 ジルコニア質焼結体の厚み/繊維強化プラスチックスの厚みは0.41であった。 複合プレートの見かけ密度は、2.87g/cm 、ビッカース硬度は1430であった。

    この複合プレートのジルコニア側表面に#100の紙ヤスリを置き、更に3kgの鉄製おもりによる荷重をかけて、鉄製おもりを紙ヤスリ上で30cmの距離を5回往復させて加傷した。 鋼球破壊高さは、加傷処理前後で20cmと変化なく、加傷処理による衝撃強度の低下は見られなかった。 加傷後のジルコニアの表面の顕微鏡写真を図2にしめす。 ジルコニアの傷つけ後の表面粗さはRa=0.13、Rz=2.73であり、本発明の複合プレートは加傷に対して高い耐性を有していることがわかった。

    実施例38
    実施例4と同様の方法にて3YS20Aの32mm×25mmの複合プレートを製造し、二軸曲げ強度を測定した。 焼結体の厚みは、0.257mmであり、ガラス繊維強化樹脂の厚みは0.525mm、接着層の厚みは19μmであった。 ジルコニア質焼結体の厚み/繊維強化プラスチックスの厚みは0.49であった。 複合プレートの見かけ密度は、3.07g/cm 、ビッカース硬度は1430であった。

    二軸曲げ強度は800MPaとなり高い値を示した。 試験における荷重−変位曲線から曲げ弾性率を見積もると40GPa程度であり、ジルコニアの弾性率(250GPa)と比較して著しく低下した。

    実施例39
    実施例4と同様の方法にて3YS20A(32mm×25mm)をガラス繊維強化プラスチックスに接着したものについて釘刺し試験を行った。 焼結体の厚みは、0.198mmであり、ガラス繊維強化樹脂の厚みは0.504mm、接着層の厚みは45μmであった。 ジルコニア質焼結体の厚み/繊維強化プラスチックスの厚みは0.39であった。 複合プレートの見かけ密度は、2.80g/cm 、ビッカース硬度は1430であった。 釘を刺してもクラックは全体に進行せず、釘周辺部のみに貫通穴が開いた。 釘刺し試験後の複合プレートの様子を図3に示す。

    実施例40
    TZ−3YS粉末を700g、分散剤として市販のポリカルボン酸エステル型高分子分散剤14g、消泡剤として市販のポリエチレングリコールモノ−パラ−イソ−オクチルフェニルエーテル3.5g、溶剤として酢酸エチル245g及び酢酸n−ブチル245g、結合剤としてブチラール樹脂(重合度約1000)粉末49g、及び可塑剤として、工業用のフタル酸ジオクチル42gを添加してボールミルにて48時間混合した。 ドクターブレード装置およびブレードを使用しキャリヤーフィルムとしてPETを使用し、キャリヤーフィルム上にグリーンシートを成膜した。

    得られたグリーンシートを、多孔質アルミナセッター上に重しのアルミナセッターを載せて焼結した。 焼結は、室温から450℃までは、昇温速度を5℃/hとして、450℃で10時間保持し脱脂を行い、450℃から1000℃までは、昇温速度を50℃/hとし、1000℃で5時間保持し、その後1450℃で2時間保持して焼結した。 得られた焼結体の相対密度は99%以上であった。

    得られた焼結体を、32mm×25mm、厚み0.501mmのガラス繊維強化プラスチックスにエポキシ系の熱硬化性樹脂(ナガセケムテックス製、商品番号「XN1245SR」)を用いて実施例1と同様に接着処理した。 接着した複合プレートのジルコニア側表面を研削・研磨し複合プレートを作製した。

    焼結体の厚みは、0.234mmであり、接着層の厚みは32μmであった。 ジルコニア質焼結体の厚み/繊維強化プラスチックスの厚みは0.47であった。 複合プレートの見かけ密度は、3.15g/cm 、ビッカース硬度は1430であった。 実施例1と同様な鋼球落下(5cm刻み)にて耐衝撃試験を行った結果、複合プレートの破壊高さは20cmであった。

    比較例1
    3YS20Aを用い、実施例1と同様の方法で、ジルコニア質焼結体厚み/ガラス繊維強化プラスチックス厚みの比率を2.56にしたものを製造した。 結果を表2に示す。 複合プレートの見かけの密度は4.3g/cm を超えた。

    比較例2
    3YS20Aを用い、実施例1と同様の方法で、接着材を使用することなく単にジルコニア質焼結体とガラス繊維強化プラスチックスとを積層したプレートを作成し、このプレートの鋼球落下試験を行った結果を表2に示す。 接着せずガラス繊維強化プラスチックスに直置きしてある場合、5cmで破壊し、耐衝撃特性は著しく低いことが分かった。

    比較例3
    3YS20Aを用い、ガラス繊維強化プラスチックスのかわりにABS樹脂を用いた他は実施例1と同様の方法で複合プレートを作製した。 この複合プレートの鋼球落下試験の結果を表2に示す。 ABS樹脂を用いたものでは5cmで破壊し、耐衝撃特性は著しく低いことが分かった。

    比較例4
    厚み0.7mmのアルミノシリケート系の強化ガラス(32mm×25mm)の端面から母材中央に向かって1mm離れた場所に130gの鋼球を落下した。 端面付近では5cmで破壊が生じた。

    比較例5
    アルミノシリケート系の強化ガラス(32mm×25mm、厚み0.7mm)の表面に対して、実施例23と同じ方法で加傷処理を行い、加傷前後の耐衝撃性を評価した。 加傷前の鋼球落下破壊強度は、30cmであり、加傷によって鋼球破壊高さは、10cmとなった。 加傷後の表面粗さは、Ra=0.8μm、Ry=6.72μmであった。 加傷処理をしたガラスの表面写真を図4に示す。

    比較例6
    実施例1に記載した条件で白色ジルコニア焼結体を作製した。 この焼結体の両面を研磨し厚み0.2mmとしたものについて釘刺し試験を行った。 ジルコニア薄板では釘刺しにより焼結体全体にクラックが進展し、母材は数個の破片に破断した。 釘刺し試験後の母材の様子を図5に示す。

    比較例7
    実施例1に記載した条件でジルコニアの代わりにサファイヤ薄板を用いた複合プレートを作製した。 サファイヤの厚みは、0.218mmであり、接着層の厚みは45μmであった。 ガラス繊維強化プラスチックスの厚みは0.527mmであった。 この複合プレートを実施例1記載の方法にて評価した結果、5cmで破壊した。 サファイヤ(弾性率400GPa)は、ジルコニアと比較して弾性率が高いため、衝撃による変形能力が不十分であり、サファイヤ側に高い引っ張り応力が発生したものと考えられる。

    本発明のジルコニア焼結体と繊維強化プラスチックスとの複合プレートは、軽量でかつ耐衝撃性、耐擦傷性を有するため携帯用電子機器、時計部材等の小型・薄型部材に好適に使用することができる。

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