Wing structure and the rectifier

申请号 JP2011535459 申请日 2010-10-07 公开(公告)号 JP5445586B2 公开(公告)日 2014-03-19
申请人 トヨタ自動車株式会社; 发明人 雪秀 木村; 知昭 森本;
摘要
权利要求
  • 体の流れ方向である第1方向と交差する第2方向に延在する主翼と、
    前記主翼と離間して配置され、前記主翼の前部側で前記主翼と対面する補助翼と、を備え、
    前記補助翼の翼弦長は、前記主翼の翼弦長より短く
    記補助翼の前縁と前記主翼との間隔は、前記補助翼の後縁と前記主翼との間隔よりも広 く、
    前記主翼は、前記前部側に形成された縮小流れ形成部と、前記縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、前記縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が前記第1方向と略平行な面を形成しており、前記拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴とする翼構造。
  • 体の流れ方向である第1方向と交差する第2方向に延在する主翼と、
    前記主翼と離間して配置され、前記主翼の前部側で前記主翼と対面する補助翼と、を備え、
    前記補助翼は、前記主翼との間に流体の圧縮領域を形成可能な第1湾曲面を有し、
    前記主翼は、前記補助翼と反対側へ湾曲する第2湾曲面を有し、
    記補助翼の前縁と前記主翼との間隔は、前記補助翼の後縁と前記主翼との間隔よりも広 く、
    前記主翼は、前記前部側に形成された縮小流れ形成部と、前記縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、前記縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が前記第1方向と略平行な面を形成しており、前記拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴とする翼構造。
  • 前記補助翼の前記主翼と対面する湾曲面の曲率は、前記主翼の前記補助翼側に形成された湾曲面の曲率より大きいことを特徴とする請求項1又は2記載の翼構造。
  • 前記補助翼は、前記第2方向に延在する所定の軸周りに回転可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の翼構造。
  • 移動体に設けられる整流装置であって、
    前記移動体の前後方向である第1方向と交差する第2方向に突出する主翼と、
    前記主翼と離間して配置され、前記主翼の前部側で前記主翼と対面する補助翼と、を備え、
    前記補助翼の翼弦長は、前記主翼の翼弦長より短く、
    記補助翼の前縁と前記主翼との間隔は、前記補助翼の後縁と前記主翼との間隔よりも広 く、
    前記主翼は、前記前部側に形成された縮小流れ形成部と、前記縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、前記縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が前記第1方向と略平行な面を形成しており、前記拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴とする整流装置。
  • 前記補助翼は、前記主翼の両側に設けられている、請求項5記載の整流装置。
  • 前記主翼及び前記補助翼は前記移動体の側部に設けられており、前記主翼は前記移動体の上下方向に翼厚を有する形状である、請求項5又は6記載の整流装置。
  • 前記主翼及び前記補助翼は前記移動体の下側に設けられ、前記主翼は前記移動体の幅方向に翼厚を有する形状である、請求項5又は6記載の整流装置。
  • 前記補助翼は、前記移動体の上下方向に翼厚を有する形状であり、
    前記補助翼の翼厚が最大となる部位が、前記主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されている、請求項7記載の整流装置。
  • 前記補助翼は、前記移動体の幅方向に翼厚を有する形状であり、
    前記補助翼の翼厚が最大となる部位が、前記主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されている、請求項8記載の整流装置。
  • 前記補助翼の高さは、前記主翼の翼厚が最大となる部位における主翼の高さの半分よりも大きい、請求項5〜10のいずれか一項に記載の整流装置。
  • 前記第1方向及び前記第2方向と垂直に交差する第3方向から見た前記主翼及び前記補助翼の形状が流線形である、請求項5〜11のいずれか一項に記載の整流装置。
  • 前記主翼の前記第1方向における中心軸と前記補助翼との距離Lに対する、前記主翼と前記補助翼との最短距離Cの比L/Cが所定値以下である、請求項5〜12のいずれか一項に記載の整流装置。
  • 说明书全文

    本発明は、翼構造および整流装置に関する。

    従来、翼構造に係る技術として、コアンダ効果を利用し、揚の増大が図られた飛翔体がある(例えば、特許文献1参照)。 この特許文献1に記載の移動体は、流体を供給する流体供給部と、流体の流れ方向に対して下方に傾斜する外面を有し流体の流れ方向を下方に変化させて揚力を得る揚力生成部と、この揚力生成部の外面に対向する対向面を有し、流体の流れ方向の上流側における外面と対向面との間隔が、下流側における外面と対向面との間隔より広い流体収集部とを備えている。 このような移動体では、流体損失による流速低下を防止し、揚力の向上を図っている。

    特開2009−29400号公報

    図2は、従来の翼の側面図であり、翼周辺の流体の流れを示す図である。 図2に示すように、従来型の翼101の上面では、流体の流れ方向Xにおいて、縮小流れ領域Aが形成された後に、拡大流れ領域Bが形成されるが、周辺の流体が十分に翼の縮小流れ部に流入せずに逃げてしまう場合があり、その結果、十分な作用力が得られない場合があった。

    本発明は、流体を効率的に圧縮し、作用力を増大させることができる翼構造および整流装置を提供することを目的とする。

    本発明者は、上記課題の解決のため鋭意研究を重ねる過程で、主翼に補助翼を設け、その補助翼の形状や配置を最適化することで、流体を効率的に圧縮し、作用力を増大させることができることを見出した。 すなわち、補助翼を用いることにより、主翼前部に流体の圧縮過程領域を形成させることができ、圧縮過程後の断熱膨張による流体の内部エネルギーの運動エネルギー乃至は力学的エネルギーへの変換により、作用力を増大させることができるという知見を得て本発明に至った。

    本発明による翼構造は、 体の流れ方向である第1方向と交差する第2方向に延在する主翼と、主翼と離間して配置され、主翼の前部側で主翼と対面する補助翼と、を備え、補助翼の翼弦長は、主翼の翼弦長より短く、補助翼の前縁と主翼との間隔は、補助翼の後縁と主翼との間隔よりも広く、主翼は、前部側に形成された縮小流れ形成部と、縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が第1方向と略平行な面を形成しており、拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴としている。

    本発明に係る翼構造は、主翼の前部側で当該主翼と対面する補助翼を備え、当該補助翼の翼弦長は、主翼の翼弦長より短くされている。 このような翼構造では、主翼の前部側に形成された補助翼に流体が当り、この流体が補助翼と主翼との間に誘導され、補助翼と主翼との間を通過する際に圧縮されるので、主翼面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができ、圧縮過程後の断熱膨張による流体の内部エネルギーの運動エネルギー乃至は力学的エネルギーへの変換により、作用力を増大させることができ、揚力の向上にも有効である。

    また、本発明に係る翼構造は、 体の流れ方向である第1方向と交差する第2方向に延在する主翼と、主翼と離間して配置され、主翼の前部側で主翼と対面する補助翼と、を備え、補助翼は、主翼との間に流体の圧縮領域を形成可能な第1湾曲面を有し、主翼は、補助翼と反対側へ湾曲する第2湾曲面を有し、補助翼の前縁と主翼との間隔は、補助翼の後縁と主翼との間隔よりも広く、主翼は、前部側に形成された縮小流れ形成部と、縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が第1方向と略平行な面を形成しており、拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴としている。 このような翼構造では、主翼の前部側に形成された補助翼の第1湾曲面に流体が当り、この流体が補助翼と主翼との間に誘導され、補助翼と主翼との間を通過する際に圧縮されるので、主翼面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができ、作用力を増大させることができる。 また、主翼は、補助翼と反対側へ湾曲する第2湾曲面を有する構成であるため、圧縮過程領域の後に、拡大流れ領域を形成することができる。

    ここで、補助翼の主翼と対面する湾曲面の曲率は、主翼の補助翼側に形成された湾曲面の曲率より大きいことが好ましい。 これにより、流体の圧縮をより効果的に起こす機能を実現することができる。

    また、補助翼は、第2方向に延在する所定の軸周りに回転可能であることも好ましい。 これにより、流体の流速に応じて、補助翼の回転を調整することで、流体の流れ方向に対する補助翼の傾斜角を変更することができる。 高速領域では抵抗値が大きくなるので補助翼の傾斜角を調整することで、抵抗を減らすことができる。

    また、本発明に係る整流装置は、移動体に設けられる整流装置であって、移動体の前後方向である第1方向と交差する第2方向に突出する主翼と、主翼と離間して配置され、主翼の前部側で主翼と対面する補助翼と、を備え、補助翼の翼弦長は、主翼の翼弦長より短く、補助翼の前縁と主翼との間隔は、補助翼の後縁と主翼との間隔よりも広く、主翼は、前部側に形成された縮小流れ形成部と、縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部とを有し、縮小流れ形成部の一面及び該一面の裏側の他面が第1方向と略平行な面を形成しており、拡大流れ形成部の翼厚が後方に向けて小さくなっていることを特徴とする。

    上記整流装置においては、主翼の前部側に形成された補助翼に流体が当り、この流体が補助翼と主翼との間に誘導され、補助翼と主翼との間を通過する際に圧縮されるので、主翼面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができる。 これにより、拡大流れ領域における断熱膨張で流体の内部エネルギーを運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換させることができ、周囲の流体に運動量を与えて流量を増やすことができることから、低流速時においても整流装置の作用力が大きくなる。 さらに、整流装置を従来よりも小型化することも可能となる。

    本発明の整流装置においては、補助翼は主翼の両側に設けられていることが好ましい。 補助翼が主翼の両側に設けられることによって、主翼の両面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができ、より多くの流体の内部エネルギーを運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換させることができ、より多くの周囲の気体に運動量を与えて流量を増やすことができる。

    主翼及び補助翼は移動体の側部に設けられており、主翼は移動体の上下方向に翼厚を有する形状であることが好ましい。 主翼及び補助翼を移動体の側部に設け、主翼が移動体の上下方向に翼厚を有する形状であることによって、移動体の側部を流れる流体をより整流装置に取り込むことが可能になる。 また、移動体をより安定的に移動させることも可能となる。

    また、主翼及び補助翼は移動体の下側に設けられ、主翼は移動体の幅方向に翼厚を有する形状であることも好ましい。 主翼及び補助翼を移動体の下側に設け、主翼が移動体の幅方向に翼厚を有する形状であることによって、移動体の下側を流れる流体を移動体の両側から整流装置に取り込むことが可能となり、効果的に作用力を大きくすることができる。

    補助翼は、移動体の上下方向に翼厚を有する形状であり、補助翼の翼厚が最大となる部位が、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されていることが好ましい。 補助翼が移動体の上下方向に翼厚を有する形状であり、補助翼の翼厚が最大となる部位が、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されていることによって、拡大流れ領域に流れ込む流体を十分確保しつつ、圧縮過程の効果を向上させることができる。

    補助翼は、移動体の幅方向に翼厚を有する形状であり、補助翼の翼厚が最大となる部位が、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されていることが好ましい。 補助翼が移動体の幅方向に翼厚を有する形状であり、補助翼の翼厚が最大となる部位が、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前側に設定されていることによって、拡大流れ領域に流れ込む流体を十分確保しつつ、圧縮過程の効果を向上させることができる。

    補助翼の高さは、主翼の翼厚が最大となる部位における主翼の高さの半分よりも大きいことが好ましい。 補助翼の高さが、主翼の翼厚が最大となる部位における主翼の高さの半分未満であると、圧縮過程の効果が著しく低下してしまう場合がある。

    補助翼の移動体前後方向の中心は、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前方側に設定されていることが好ましい。 補助翼の移動体前後方向の中心が、主翼の翼厚が最大となる部位よりも前方側に設定されていることによって、縮小流れ領域と拡大流れ領域部の境界点よりも前方となり、拡大流れ領域に流れ込む流体を十分確保しつつ、圧縮過程の効果を向上させることができる。

    補助翼は、流体の種類及び温度に応じて、主翼との距離及び角度が変更されることが好ましい。 圧縮の後、断熱膨張する際に体積膨張に寄与する割合、温度上昇に寄与する割合は流体分子の種類やそのときの系の温度(開始温度)に左右されるため、流体の種類及び温度に応じて、補助翼の主翼との距離及び角度が変更されることによって、作用力を調整することが可能となる。

    本発明によれば、流体を効率的に圧縮し、作用力を増大させることができる翼構造および整流装置を提供することが可能となる。

    本発明の実施形態に係る翼構造及び周辺流体の流れを示す概略図である。

    従来の翼構造及び周辺流体の流れを示す概略図である。

    本発明の実施形態に係る整流装置を搭載した車両の側面図である。

    本発明の実施形態に係る整流装置を搭載した車両の上面図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図である。

    整流装置の主翼及び補助翼と周辺気流を示す概略図である。

    主翼と補助翼の各等高面と高さを示す概略図である。

    主翼と補助翼の各等高面と位置関係を示す概略図である。

    主翼と補助翼の各等高面と位置関係を示す概略図である。

    主翼と補助翼の各等高面と位置関係を示す概略図である。

    主翼の境界点と補助翼の長手方向の中心の位置関係を示す概略図である。

    (a)補助翼が主翼より後ろに位置する場合、(b)補助翼が主翼の前に位置する場合を示す概略図である。

    (a)主翼と2つの補助翼を備えた整流装置の概略図、(b)主翼と補助翼の等高面と主翼に対する補助翼の投影面積を示す概略図である。

    車両のボデー面に配置された主翼と補助翼に光を投影した場合の投影面積の幅及び高さの例を示す概略図である。

    主翼と補助翼の距離と最近接部を示す概略図である。

    主翼と補助翼の距離と角度を示す概略図である。

    主翼の最大厚位置と補助翼の位置関係を示す概略図である。

    主翼の最大厚位置と補助翼の位置関係を示す概略図である。

    整流装置の実験において補助翼を設けない配置を示す図である。

    整流装置の実験において補助翼を縮小流れ部に設けた配置を示す図である。

    整流装置の実験において補助翼を縮小流れ部と拡大流れ部の中間に設けた配置を示す図である。

    整流装置の実験において補助翼を拡大流れ部に設けた配置を示す図である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    流体の流速による流れの違いを示す写真である。

    以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。 なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。 図1は、本発明の実施形態に係る翼構造及び周辺流体の流れを示す概略図である。 流体は特に限定されず、空気などの気体であってもよく、などの液体であってもよいが、以下の説明においては気体(空気)を主として述べる。 翼構造1は、前後方向(第1方向)Xと交差する機幅方向(第2方向)Yに延在する主翼2と、主翼2の前部側で主翼2と対面する補助翼3とを備えている。

    主翼2は、前部側となる縮小流れ形成部21と、この縮小流れ形成部の後方に連続して形成された拡大流れ形成部22とを有する。 縮小流れ形成部21は、進行方向Xにおいて略同一の厚さを有し、縮小流れ形成部21の上面21a及び下面21bは、進行方向Xと略平行な面を形成している。 主翼2では、例えば翼弦長の約1/3程度が縮小流れ形成部21とされている。 また、主翼2では、大きなキャンバが形成されていない。 拡大流れ形成部22は、後方に向かうにつれて下方に湾曲している。 拡大流れ形成部22の上面22aは緩やかな湾曲面を有している。 拡大流れ形成部22の翼厚は、後縁2bに向かって小さくなっている。

    補助翼3は、主翼2の前部側で上下方向Zにおいて、主翼2と離間して配置されている。 補助翼3の前後方向Xの幅(前縁3aから後縁3bまでの長さ)は、主翼2の前後方向の幅(前縁2aから後縁2bまでの長さ)よりも短く形成され、縮小流れ形成部21の前後方向の長さLよりも短くされている。 また、補助翼3の前縁3aと、主翼2の前縁2aとは、前後方向Xにおいて略同じ位置に形成されている。 なお、補助翼3の前縁3aは、主翼2の前縁2aよりも前方に形成されていてもよく、後方に形成されていてもよい。 また、補助翼3の後縁3bは、主翼2の拡大流れ形成部22よりも前に形成されていることが効果的である。

    また、補助翼3の上面3cは、前部側で前後方向Xと略平行な面を形成し、その後湾曲して、後方側で下方に傾斜する面を形成している。 一方、補助翼3の下面3bは、前部側で下方に傾斜して湾曲する面を形成し、その後、後部側で前後方向Xと略平行な面を形成している。 補助翼3の翼厚は、前後方向Xにおいて中央付近で最も大きくなっている。 たとえば、補助翼3の最大翼厚は、対面する主翼2の縮小流れ形成部21の翼厚の約2倍程度とすることができる。

    そして、補助翼3の下面3dは、主翼2の上面側に縮小流れ領域Aを形成させる湾曲面として機能するものである。 上下方向Zにおいて、主翼2の縮小流れ形成部21上面21aと補助翼3の下面3dとの間隔は、後方側に向かい狭くなり、その後、略一定になっている。 例えば、補助翼3の前縁3aと主翼2の前縁2aとの間隔は、縮小流れ形成部21の翼厚の4倍程度であり、補助翼3の後縁3bと縮小流れ形成部21の翼上面21aとの間隔は、縮小流れ形成部21の翼厚の3倍程度とすることができる。

    また、補助翼3の下面3dの湾曲面は、前方に向く傾斜面が後方にいくにつれて、前後方向Xと平行な面を形成するように湾曲している。 また、補助翼3の下面3dの湾曲面の曲率は、拡大流れ形成部22の上面22aの湾曲面の曲率より大きいことが好ましい。

    また、補助翼3は、補助翼3の中央に、機幅方向Yに延在する回転軸3eを有し、この回転軸3e周りに回転可能とされている。 また、補助翼3は、下方から支持され主翼2に固定される構成でもよく、例えば、機幅方向Yから支持され機体胴部に固定される構成でもよい。 これにより、流体の流速に応じて、補助翼の回転角を調整することで、流体の流れ方向に対する補助翼の傾斜角を変更することができる。 高速領域では抵抗値が大きくなるので補助翼の傾斜角を調整し、補助翼が主翼と略平行になることで、抵抗を減らすことができる。

    翼構造1の周辺気流について説明する。 翼構造1では、縮小流れ形成部21の上面21a側に縮小流れ領域Aが形成され、拡大流れ形成部22の上面22a側に拡大流れ領域Bが形成される。 また縮小流れ領域Aの前部側に圧縮過程領域Cが形成され、後部側に圧縮拡大領域(縮小→拡大移行部)Dが形成される。

    圧縮過程領域C付近では、圧縮による流体の内部エネルギー(温度)の上昇が起きるが、流速上昇(縮小流れ)に従い圧力が低下すると共に、空気の体積膨張が抑制され、空気の温度上昇も抑制される。 その際、特に拡大流れ領域Bにおいて、空気が断熱膨張することで、外部(周囲の空気)に仕事をし、周囲の空気と共に流速(運動量)が増大する。 このとき、仕事の方向は、翼上面22aの空気の膨張が流線方向になるので、流線方向に仕事をしていることになる。 すなわち、主翼2の翼上面22aの流速が増大する。 このことは、実験などにより確認することができる。

    拡大流れ領域Bで、断熱膨張によって周囲の空気に対して仕事をすることで、空気の温度低下が発生する。 この温度低下は、ウイングカーや飛行機の急旋回などで、翼端に白いモヤ(雲)が発生することで観察することができる。 これは、真空中で、自由膨張する気体では温度低下は起きず、温度低下が起こるのは外部に対して仕事をした場合であるのと同じである。 ここで、ウイングカーなどの翼端のモヤは、水蒸気の凝縮によるものであり、この凝縮は圧力には依存せず、温度のみに依存するものである。 よって、ウイングカー等の白いモヤの発生は、温度低下すなわち外部に仕事をしている結果として観測できることになる。

    また、補助翼3の後縁3bの位置は、拡大流れ領域Bより前までが効果的である。 拡大流れ領域Bでは、主たる流れの圧力が低下しているため周囲の空気が流れ込んでこようとする。 このとき、主たる流れは、作用反作用の法則によって、周囲の気流の方に減速するように力を受けることになる。 ここで、主たる流れの内部エネルギーは、運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換される。 そして、この変換された運動エネルギー乃至は力学的エネルギーによって、主たる流れは、周囲の気流の方に減速するように作用する力に打ち勝つことになる。

    ここで、周囲の気流が流れ込む際、その周囲から流れ込む(曲げられる)気流自体も圧力が低下(断熱膨張)し、内部エネルギーの運動量への変換が行われる。 そして、この運動量によって、周囲の気流は主たる流れに合流し、主たる流れの運動量を更に増加させ、作用力を増大させることになる。 周囲の気流と主たる流れとが合流した流体が、主翼2の湾曲面(22a)においてコアンダ効果によって下方に流れの方向が変えられると、その反作用としての力が翼構造1に作用し、少なくとも揚力の一部となる。 周囲の気流は主たる流れの圧力低下によって引き込まれ、主たる流れは周りの空気から運動量をもらうことになる。 そのため、この拡大流れ領域Bは周囲の気流を取り込む機能を有するため、その周囲の気流の流入を邪魔しないように、補助翼3の後縁3bは、拡大流れ領域Bより前までに形成されることが、より効果的となる。

    このような翼構造1では、主翼2の前部側において、主翼2に対向するように補助翼3が設けられているため、補助翼3に衝突した空気は補助翼3と主翼2との間に導かれ、補助翼3と主翼2と間を通過する際に圧縮される。 これにより、縮小流れ領域Aに圧縮過程領域Cを形成することができる。 また、主翼2の後部側には、補助翼3とは反対方向に湾曲する湾曲面22aが形成されている。 これらにより、前部側の縮小流れ(圧縮流れ)のあと、後部側で拡大流れを形成することで、圧縮−断熱膨張を促し、運動量を増加させることができる。 これにより、主翼2のキャンバを大きくすることなく、揚力を確保することが可能となり主翼2の薄型化を図ることができる。 そのため、主翼2のキャンバを大きくしないことにより、その主翼2による縮小流れの部分での下方への力(マイナスの揚力)を大きくしないという効果が得られ、揚力を向上することができ、機体の動力源における消費エネルギーを抑えることができる。

    また、気体の流入側に斜め下方に向く傾斜面(湾曲面)を形成する補助翼3を備える構成であるため、補助翼3の流入側の下面3dに空気が当り、上方への力F を受けることができ、揚力を向上させることができる。

    以上、本発明の実施形態に係る翼構造によれば、主翼の前部側に形成された補助翼に流体が当り、この流体が補助翼と主翼との間に誘導され、補助翼と主翼との間を通過する際に圧縮されるので、主翼面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができる。 これにより、拡大流れ領域における断熱膨張で流体の内部エネルギーを運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換させることができ、作用力を増大させることができる。

    次に、本発明の整流装置について説明する。 本発明の整流装置は、移動体に設けられ、移動体の前後方向である第1方向と交差する第2方向に突出する主翼と、主翼と離間して配置され、主翼の前部側で主翼と対面する補助翼と、を備え、補助翼の翼弦長は、主翼の翼弦長より短いことを特徴としている。

    図3は、本発明の実施形態に係る整流装置を搭載した車両の側面図であり、図4は同車両の上面図である。 図3及び図4に示すとおり、車両50の前方側面及び後方下面には、主翼32と、主翼32より翼弦長が短い2つの補助翼33を備えた整流装置31が配置されている。 ここで、前方側面の整流装置31は、2つの補助翼33が上下方向で主翼32を挟むように両側に離間して配置され、車両50のボデー面における前方の両側に左右対照に設けられている。 一方、後方下面の整流装置31は、2つの補助翼33が水平方向で主翼32を挟むように両側に離間して配置され、車両50のリアバンパー部の下面中央近辺に設けられている。 このように車両50の両側から空気を引き込むため、従来のように路面方向から空気を引くと流入に制限されるということも発生せず、効果的に作用力を大きくできる。

    整流装置31は、車両50の側部や下部を流れる気体及びその周辺気流を整流装置に引き込み、上述の翼構造1と同様に、主翼32の前部側に形成された補助翼33に気体が当り、この気体が補助翼33と主翼32との間に誘導され、補助翼33と主翼32との間を通過する際に圧縮されるので、主翼32前部に気体の圧縮過程領域を好適に形成することができる。 これにより、拡大流れ領域における断熱膨張で気体の内部エネルギーを運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換させることができる。 また、拡大流れ領域における断熱膨張により低圧領域81を発生させ、周囲の気体82を流入させ、運動量を与えて流量を増やすことによって、低流速時においても作用力を大きくすることができる。

    図5は、整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図であり、上面及び側面から示したものである。 主翼32aは横方向(移動体の幅方向)に厚みを有する翼構造であり、その前方に2つの補助翼33aが位置している。 この補助翼33aは板形状であり、その側面は四角形の形状を有している。 このように、前方の2つの補助翼33aが、主翼32aを挟み込むように離間して配置されていることによって、主翼32aの前部に気体の圧縮過程領域を好適に形成することができ、効率的に圧縮が行われ、同じ抵抗(動圧抵抗)でも効果を同等以上にでき、低流速時から十分な作用力が出せる。

    図6〜図10も整流装置の主翼及び補助翼を示す概略図であり、主翼又は補助翼の形状が図5の形状と相違している。 図6は、図5に示した主翼32aが2つに分割された主翼32zであり、このように主翼が2つに分割された形状であっても、前方の2つの補助翼33aが、2つの主翼32zを挟みこんで位置していることによって、主翼32zと補助翼33aの間の縮小流れ領域において圧縮過程領域が好適に形成される。 また、図7においては主翼32aを2つ備える整流装置であるが、このような形状であっても、前方の2つの補助翼33aが、2つの主翼32aを挟みこんで位置していることによって、縮小流れ部において圧縮過程領域が好適に形成される。

    また、2つの補助翼33bが横方向(肉厚方向)に対象の板状の翼構造の場合(図8)や、2つの補助翼33cが主翼32aと同じバンプ型の場合(図9)、補助翼33dが補助翼33cを分割した形状の場合(図10)であっても、主翼と補助翼の間の縮小流れ部において圧縮過程領域が好適に形成されるものであればよい。 特に図9に示すように、補助翼33cの形状が主翼32aと同様のバンプ形状であると、補助翼33cの湾曲面に気体が当り、この気体が補助翼33cと主翼32aとの間に誘導され、補助翼33cと主翼32aとの間を通過する際に圧縮されるので、主翼32a面上に気体の圧縮過程領域をより好適に形成することができることから、好ましい。

    図11は、整流装置及びその周辺気流を示す概略図である。 図11に示すように、補助翼33eはその中央で分割されている。 この分割部40がスリットとして機能し、補助翼33eの外側(主翼32aと反対側)を流れる空気を主翼32aと補助翼33eの間に引き寄せることによって、拡大流れ領域への気体の流入を増大させることができる。 また、補助翼33eがより前方に配置される場合には、縮小流れ領域への気体の流入を増大させることもできる。

    図12は、主翼と補助翼の各等高面と高さを示す概略図である。 主翼32aにおける各等高面における最も厚みのある最大厚位置52は、長手方向中心51よりも前方にあり、主翼32aは高さHを有している。 また、補助翼33fは高さhを有しているが、補助翼の高さhが主翼の高さHの半分未満であると、圧縮効果が著しく低下してしまう場合があることから、補助翼の高さhは主翼の高さHの半分以上であることが好ましい。

    図13は、主翼と補助翼の各等高面と位置関係を示す概略図である。 最も低い主翼の等高面32a と補助翼の等高面33f においては、主翼の最大厚位置よりも前方に補助翼の長手方向中心(移動体前後方向の中心)が位置している。 また、主翼の等高面32a 〜32a と補助翼の等高面33f 〜33f においても、主翼の最大厚位置よりも前方に補助翼の長手方向中心が位置している。 このように、等高面の半分以上において、補助翼の長手方向中心位置が主翼の最大厚位置よりも前にあれば、拡大流れ部に流れ込む外部空気を十分確保しつつ、圧縮行程の効果を向上させることができる。 このような整流装置は、膨大な計算を伴わずに実用的な設計が工学的に可能となる。

    図14及び図15は、主翼と補助翼の各等高面と位置関係を示す概略図である。 図14に示すように、主翼32bと補助翼33gの各等高面における最近接部54を、各等高面の長手方向における縮小流れ部Aと拡大流れ部Bとの境界点53とした場合に、補助翼33gの長手方向中心が境界点53よりも前方に位置していると、拡大流れ部に流れ込む外部空気を十分確保しつつ、圧縮行程の効果を向上させることができることから好ましい。

    図15においては、補助翼の各等高面33g 〜33g の長手方向中心位置は、主翼の各等高面32b 〜32b の境界点よりも前方に位置しているが、補助翼の等高面33g の長手方向中心位置のみは、主翼の等高面32b の境界点よりも後方に位置している。 このように、主翼の境界点よりも前方に補助翼の長手方向中心が位置する等高面の割合が半分以上であれば、整流装置全体として効果が得られることから好ましい。

    図16は、主翼の境界点と補助翼の長手方向の中心の位置関係を示す概略図である。 図16における補助翼33hの側面においては、補助翼33hは長手方向に高さhが不均一の形状となっている。 このように、補助翼33hの高さが長手方向に不均一である場合であっても、各等高面の長手方向中心を基準として、主翼32cの境界点よりも前方に位置している等高面の割合が半分以上であることが好ましい。

    図17(a)は、補助翼が主翼より後ろに位置する場合であり、図17(b)は補助翼が主翼の前に位置する場合を示す概略図である。 図17(a)に示すように、補助翼33i (横方向に肉厚の板形状)が主翼32dよりも後ろに下がっている場合は比較的動圧小さくすることができる。 また、図17(b)に示すように、補助翼33i が主翼32dよりも前にある場合は気体の圧縮過程領域を好適に形成することができる。

    図18(a)は、主翼と2つの補助翼を備えた整流装置の概略図であり、図18(b)は主翼と補助翼の等高面と主翼に対する補助翼の投影面積を示す概略図である。 図18(a)に示すように、補助翼33jが、拡大流れ部にまで伸びて主翼32eに対向している場合には、長手方向に主翼32eと補助翼33jが最大に重なることが好ましい。 図18(b)に示すように、主翼32eの側面に対して、長手方向垂直に補助翼33j の側面33j を投影した場合に、投影面33j においては主翼32eの縮小流れ部における投影面積S が、主翼32eの拡大流れ部における投影面積S より大きいことが好ましい。 拡大流れ、すなわち膨張行程に気体の流れを確実に送り込むことが重要なことによる。

    図19は、車両のボデー面に配置された主翼と補助翼に光を投影した場合の投影面積の幅及び高さの例を示す概略図である。 図19においては、主翼32側から光源により補助翼33側へ投影した場合であり、このような投影によっても、投影される幅及び高さから投影面積を算出することができる。

    図20は、主翼と補助翼の距離と最近接部を示す概略図である。 主翼32dの幅方向中心と補助翼33iとの距離Lと、主翼32dの最大厚位置と補助翼33iとの最近接部54の長さCは、主翼32dと補助翼33iの間を流れる流体の流速(マッハ数(Ma))がMa<0.3のときにL/C>1.05であることが好ましく、Ma≧0.3のときにL/C≦1.05であることが好ましい。 マッハ数0.3は約3〜5%程度の体積変化に対応しており、距離Lは空力的影響がある、すなわち流体の体積を5%以上圧縮することができる距離であることを示す。

    図21は、主翼と補助翼の距離と角度を示す概略図である。 圧縮の後、断熱膨張する際に体積膨張に寄与する割合、温度上昇に寄与する割合は流体分子の種類やそのときの系の温度(開始温度)に左右される。 そこで、そのときの流体の種類や温度に応じて距離Lや角度αを変更することが好ましい。

    図22及び図23は、主翼の最大厚位置と補助翼の位置関係を示す概略図である。 図22においては、主翼の等高面32e 、32e 、32e における最大厚位置よりも、補助翼の等高面33k 、33k 、33k が前方にあり、補助翼の等高面33k のみがその一部が主翼の等高面32e の最大厚位置よりも後方に位置している。 このように、主翼の最大厚位置よりも補助翼が前方にあるという条件を等高面において満たす割合は50%以上が好ましく、75%以上がより好ましい。

    図23においては、主翼の等高面32e 〜32e における最大厚位置から後方にはみ出した補助翼の等高面33k 〜33k のはみ出し量T 〜T が35%未満、すなわち補助翼の65%以上が主翼32の最大厚位置の前方であることが好ましい。 このように、各等高面において補助翼の65%以上が主翼32の最大厚位置の前方にあるという条件を満たす割合は50%以上が好ましく、75%以上がより好ましい。

    さらに、本発明の整流装置の効果を確認するために、小型風洞装置を用いた実験を行った。 以下に写真を用いて、その実験結果を示す。 なお、本実験においては、主翼は全長210mm、先頭から最大厚み位置までの長さが70mm、横幅(厚み)60mm、高さ45mmのものを用いた。 また、補助翼を設けない場合の配置を図24に、補助翼を縮小流れ部に配置した場合を図25に、補助翼を縮小流れ部と拡大流れ部の中間に設けた場合を図26に、補助翼を拡大流れ部に設けた場合を図27に示す。

    図28〜図31は、補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真であり、手持ち式スモーク発生器を壁から25mm付にして、流体としてスモークを風速20m/秒で流した。 図28においては、補助翼を設けず主翼のみであり、周囲の流体は拡大流れ部においてわずかに主翼側に引き寄せられただけであった。 図29においては、補助翼を縮小流れ部に設けており、より外側から周囲の流体を引き込み、拡大流れ部において主翼側に引き寄せられた。 一方、図30及び図31のように、補助翼が拡大流れ部に寄っていくほど、周囲の流体の引き込みの効果が小さくなり、特に図31のように、補助翼が拡大流れ部に設けられていると、周囲の流体の拡大流れ部への引き込みを阻害した。

    図32〜図35は、補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真であり、電熱線加熱によるスモーク発生器を壁から25mm付にして、流体としてスモークを風速20m/秒で流した。 図32においては、主翼のみであり補助翼を設けなかったので、周囲の流体は主翼側にわずかに引き寄せられただけであった。 一方、図33においては、補助翼を縮小流れ部に設けたので、縮小流れ部で翼外側へ空気が逃げるのを抑制し(圧縮作用を促し)、拡大流れ部で周囲の流体の流入を阻害しないことが、周囲の流体の引き込みの作用を効果的にしていることが見てとれた。 また、図34及び図35のように、補助翼が拡大流れ部に寄っていくほど、引き込みの効果が小さくなり、特に図35のように、補助翼が拡大流れ部に設けられていると、周囲の流体の引き込みを阻害していることが明確となり、これらから、引き込まれる範囲が広いと、圧縮差のある範囲が広くなり、移動体の走行安定性を高める要因の一つとなると推察された。

    図36〜図39は、補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真であり、高さ45mm及び高さ22mmに2種類のタフトを設け、空気を風速20m/秒で流した。 このうち、図38のように補助翼を縮小流れ部と拡大流れ部の中間に設けた場合には、高さ22mmのタフトは拡大流れ部に寄っていくが、高さ45mmのタフトは拡大流れ部から逆に離れていく流れを示し、高さの違いで流れの方向に違いが出ることを確認した。

    図40〜図43は、補助翼の位置による流体の流れの違いを示す写真であり、図40において補助翼は縮小流れ部に配置されているが、図41では拡大流れ部の1/3まで、図42では拡大流れ部の2/3まで、図43では拡大流れ部の3/3まで補助翼の長さが拡大流れ部に向けてより伸びており、空気を風速20m/秒で流した。 図40〜図43における主翼の拡大流れ部付近の枠線で囲った部分の流れをみても明らかなように、縮小流れ部で圧縮が促されても、拡大流れ部に阻害物(例えば補助翼の後半部)があると、主翼の拡大流れ部付近の引き込み効果が小さくなった。 これは、周囲の空気の圧の介在が流れに影響を与えており、翼の表面付近で観察されるコアンダ効果も粘性のみではなく、周囲の空気圧の介在が影響を与えていることが推察された。

    図44〜図49は、流体の流速による流れの違いを示す写真であり、図44〜図46においては補助翼を設けず、図47〜図49においては補助翼を縮小流れ部に配置した。 また、図44及び図47においては風速10m/秒、図45及び図48においては風速20m/秒、図46及び図49においては風速30m/秒で空気を流した。 補助翼を縮小流れ部に配置することによって、周辺の空気がより拡大流れ部に引き込まれていることを確認でき、縮小流れ部での圧縮性が向上しているので、剥離が起き難いと推察された、なお、上記の風速の変化においては、特に大きな流れの違いは見られなかった。

    以上、本発明の実施形態に係る整流装置により、主翼の前部側に形成された補助翼に流体が当り、この流体が補助翼と主翼との間に誘導され、補助翼と主翼との間を通過する際に圧縮されるので、主翼面上に流体の圧縮過程領域を好適に形成することができる。 これにより、拡大流れ領域における断熱膨張で流体の内部エネルギーを運動エネルギー乃至は力学的エネルギーに変換させることができ、周囲の流体に運動量を与えて流量を増やすことができることから、低流速時においても整流装置の作用力が大きくなる。 また、整流装置を小型化することも可能となる。

    なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。 上記翼構造の実施形態においては、本発明の翼構造の飛行機への適用について例示したが、本発明の翼構造をその他の飛翔体に適用してもよく、例えばプロペラやタービンなど、その他の翼構造に適用可能である。

    また、本翼構造を上下に逆にすることで、下方向の力を発生させることができる。 よって、下向きの力を発生させたい車両のウイングなどにも適用可能である。 上下方向だけではなく、主翼前後方向と垂直な方向であれば、その方向へ力を発生させたいときに利用可能である。

    例えばプロペラやタービンなどの回転体に本発明の翼構造を適用した場合には、効率が向上されるため、回転数を低下させることができる。 従来、高速回転となるため、強度不足が懸念される分野において、本発明の翼構造を使用することができる。 回転数を低下させても所望の能力を発揮することが可能であるため、強度不足を解消して耐久性の向上を図ることができる。 また、例えば、ベアリングなどその他の部品についても、回転数を下げることで、耐久性を向上させることができる。

    なお、補助翼3は、図1に示されるように層流翼でもよく剥離が起きなければよい。 これにより主翼2での下向きの揚力が発生し難くなる。

    また、主翼2は、図1に示されるように、迎え角を積極的に与えた形状である方がより効果的である。 また、主翼2は層流翼でもよく、圧縮−断熱膨張を形成可能であればよく、剥離が起きなければよい。

    補助翼3の前後方向Xの幅は、主翼2の縮小流れ領域Aの前後方向Xの長さより短くてもよい。 翼構造1では、補助翼3を備え、主翼2及び補助翼3によって上下から挟むように形成されているので、翼構造1における圧縮効率は、補助翼3を備えていない従来の翼構造より高くなる。 これにより、補助翼3の前後方向の幅を短くすることができる。

    また、補助翼3は、所定の軸周りに回転可能とされているが、固定されているものでもよい。 また、補助翼3は、機幅方向Yにおいて主翼2の全長に形成されていてもよく、部分的に形成されていてもよい。 また、補助翼は複数枚設けてもよい。

    図11においては、補助翼33eが分割されることによってスリットを形成しているが、例えば、補助翼33の一部に穴をあけることによってスリットを形成してもよい。

    図14においては、最近接部54は、各等高面の高い部分から低い部分になるに従い、流れ後方になるように補助翼33gが配置されているが、これが上流になるように配置されていてもよい。

    図16においては、補助翼33hの長手方向の長さが主翼32cよりも短いが、補助翼33hのように後部の高さが低い形状である場合には、外部の流体が主翼の拡大流れ部に流れ込むことを阻害しにくいため、補助翼の長手方向の長さが主翼よりも長くてもよい。

    本発明によれば、流体を効率的に圧縮し、作用力を増大させることができる翼構造および整流装置を提供することができる。

    1…翼構造、2…主翼(翼構造)、2a…前縁、2b…後縁、3…補助翼(翼構造)、3a…前縁、3b…後縁、3d…補助翼の下面(第1湾曲面)、21…縮小流れ形成部、22…拡大流れ形成部、22a…拡大流れ形成部の翼上面(第2湾曲面)、31…整流装置、32…主翼(整流装置)、33…補助翼(整流装置)、40…分割部(スリット)、50…車両(移動体)、51…長手方向中心、52…最大厚位置、53…境界点、54…最近接部、A…圧縮流れ領域、B…拡大流れ領域、C…圧縮過程領域、D…圧縮拡大領域、X…進行方向(流体の流れ方向、第1方向)、Y…幅方向(第2方向)、Z…上下方向。

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