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浮遊移動体および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システム

申请号 JP2012060598 申请日 2012-03-16 公开(公告)号 JP6145613B2 公开(公告)日 2017-06-14
申请人 株式会社人機一体; 发明人 金岡 克弥;
摘要
权利要求

機体本体と、流体の運動量を変化させることによって推を発生する6基以上のスラスタとを備えた、重力下で運用される浮遊移動体であって、 前記6基以上のスラスタは、 前記推力が所望の値となるように各々独立して制御されるとともに、前記機体本体上に定められた機体座標系において全てのスラスタの主推力ベクトルが上方を向くように、前記機体座標系に対して固定して配置され、さらに、 前記機体座標系において、前記全てのスラスタが発生する前記推力のベクトルを合成した全推力ベクトルの発生可能領域が並進3方向および回転3方向の6次元空間を張り、かつ前記全てのスラスタにおいて、一のスラスタの推力軸線が、他の全てのスラスタの推力軸線と交差することなく、前記一のスラスタに流出入する流れが、前記他の全てのスラスタに流出入する流れと離間するように配置されている ことを特徴とする浮遊移動体。前記スラスタは、(6+α)基(ただし、αは正整数)設けられており、 前記(6+α)基のスラスタのうちのβ基(ただし、βはα以下の正整数)のスラスタを除く(6+α−β)基のスラスタは、 各スラスタが発生する前記推力のベクトルを合成した全推力ベクトルの発生可能領域が、β基のスラスタの選択によらず、どのβ基のスラスタを選択しても前記6次元空間を張るように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の浮遊移動体。前記推力は、一以上の入力手段から出力された指令、および前記機体本体に設けられた一以上のセンサから出力された指令に基づいて制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の浮遊移動体。前記入力手段から出力される指令には、操縦者が遠隔地で操作する操作盤から出力される入力信号が含まれることを特徴とする請求項3に記載の浮遊移動体。前記センサから出力される指令には、前記機体本体の位置、姿勢、速度、速度、加速度および角加速度のうちの少なくとも1つの計測値が含まれることを特徴とする請求項3または4に記載の浮遊移動体。前記入力手段から出力される指令には、操縦者の特定身体部位の姿勢を計測するセンサから出力される計測値が含まれることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の浮遊移動体。前記機体本体に設けられたカメラをさらに備え、 前記カメラは、撮影している動画をリアルタイムで操縦者が使用する動画提示装置に出力可能なことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浮遊移動体。前記カメラは、前記機体本体に揺動可能に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の浮遊移動体。前記カメラは、操縦者の頭部の姿勢を計測するセンサから出力された計測値に基づいて、揺動角度が制御されることを特徴とする請求項8に記載の浮遊移動体。請求項1または2に記載の浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムであって、 操縦者が遠隔地で操作する操作盤と、 前記浮遊移動体の加速度を計測する加速度センサと、 前記浮遊移動体の姿勢を計測する姿勢センサと、 前記操作盤から出力された入力信号に基づいて、前記浮遊移動体の目標加速度を決定し、かつ前記加速度センサおよび前記姿勢センサから出力された計測値に基づいて、前記目標加速度を実現するための並進方向目標全推力ベクトルを決定する制御部とを備え、 前記並進方向目標全推力ベクトルと前記全推力ベクトルとが一致するように、前記各スラスタが各々独立して制御されることを特徴とする浮遊移動体システム。前記操縦者の特定身体部位の姿勢を計測する旋回角度センサと、 前記浮遊移動体の角速度を計測する角速度センサと、 をさらに備え、 前記制御部は、前記旋回角度センサから出力された計測値に基づいて前記浮遊移動体の目標姿勢を決定し、かつ前記角速度センサおよび前記姿勢センサから出力された計測値に基づいて、前記目標姿勢を実現するための回転方向目標全推力ベクトルを決定し、 前記各スラスタは、前記並進方向目標全推力ベクトルおよび前記回転方向目標全推力ベクトルを合成した目標全推力ベクトルと前記全推力ベクトルとが一致するように、各々独立して制御されることを特徴とする請求項10に記載の浮遊移動体システム。

说明书全文

本発明は、推を発生する複数のスラスタを備えた浮遊移動体、および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムに関するものである。

空中または中で運用される従来の大半の浮遊移動体(飛行機、ヘリコプタ、潜水艇等)は、各スラスタが発生する推力のベクトルを合成した全推力ベクトルの発生可能領域が6次元未満になる劣駆動系であり、6次元空間での移動を可能にするためのが設けられている。 かかる非ホロノミックな浮遊移動体(以下、非ホロノミック浮遊移動体)では、6次元空間の全方向に推力を発生させる必要がないのでスラスタの推力効率が高くなる。これは、浮遊するために常に上向きの力を必要とする重力下において特に有利である。しかしながら、かかる非ホロノミック浮遊移動体には、機体構造の複雑化や制御則の複雑化といった問題点がある。

すなわち、非ホロノミック浮遊移動体では、舵を設けたことにより舵の可動機構や舵の制御機構が必要になるので、機体構造が複雑化してしまう。このことは、比較的小型の浮遊移動体において、特に問題となる。

また、非ホロノミック系は滑らかな時不変状態フィードバック制御則によっては平衡点へ漸近安定化できないことがブロケット(Brockett)の定理によって示されている(非特許文献1参照)ことから、例えば、単純なPD制御則のみによって非ホロノミック浮遊移動体を安定に制御することは不可能であることが分かる。このため、非ホロノミック浮遊移動体では、制御則の階層化や切換等が必要になる。

例えば、ヘリコプタやクアドロータ(quadrotor)は、機体が水平にホバリングしているときには、上方向にしか推力を発生させることができず、横方向に推力を発生させることができない。このため、ヘリコプタやクアドロータでは、ホバリング状態から水平移動する場合、水平移動という単一の指令に対して、機体(またはプロペラ)を傾斜させた後に水平方向の推力を発生させるといった複数の手順を踏む必要がある。 また、機体が水平にホバリングしているときに横風を受けた場合、定位置でホバリングを継続するためには、上記の場合と同様に、機体(またはプロペラ)を傾斜させた後に水平方向の推力を発生させるといった手順を踏む必要があるので、横風への反応が遅れてしまう。 結局、非ホロノミック浮遊移動体では、制御則が複雑化し、かつ風等の外乱が存在する場合には制御性能が低下してしまう。

そこで、非ホロノミック浮遊移動体の上記問題点を解決すべく、ホロノミックな浮遊移動体(以下、ホロノミック浮遊移動体)が提案されている(例えば、非特許文献2および特許文献1、2参照)。

非特許文献2には、各々独立して制御される8基のスラスタを備えたホロノミック浮遊移動体であるODIN(Omni-Directional Intelligent Navigator)が開示されている。特許文献1には、各々独立して制御される6基のスラスタを備え、各スラスタが異なる方向に推力を発生するホロノミック浮遊移動体が開示されている。 これらのホロノミック浮遊移動体では、いずれも浮力によって重力の影響が相殺される水中で使用されるため、ホロノミック系の短所であるスラスタの推力効率の低さを気にする必要はない。このため、これらのホロノミック浮遊移動体によれば、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを活かすことができる。

特許文献2には、バルーンと各々独立して制御される複数のスラスタとを備えたホロノミック浮遊移動体であるハイブリッド飛行船が開示されている。 このハイブリッド飛行船では、バルーンの浮力によって重力の影響が相殺されるため、水中で使用される上記ホロノミック浮遊移動体と同様に、ホロノミック系の短所であるスラスタの推力効率の低さを気にする必要はない。このため、このハイブリッド飛行船でも、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを活かすことができる。

特開2007−118702号公報

特開2011−245944号公報

R.W. Brockett, “Asymptotic Stability and Feedback Stabilization,” in Differential Geometric Control Theory, R.W. Brockett, R.S. Millman, and H.J. Sussmann, eds., pp. 181-191, Birkhaeuser, Boston, 1983.

S.K. Choi, J. Yuh, and N. Keevil, “Design of Omni-Directional Underwater Robotic Vehicle,” OCEANS ’93, vol. 1, pp. I192-I197, 1993.

ところで、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを十分に活かすためには、各スラスタを操作することによって全推力ベクトルを高精度に制御することが必要になる。 ホロノミック浮遊移動体では、各スラスタの推力と実際に発生した全推力ベクトルとの関係が線形に近づくほど、全推力ベクトルを高精度に制御することが可能になり、制御性能が向上する。

しかしながら、上記従来のホロノミック浮遊移動体では、スラスタの推力軸線が互いに交差するように各スラスタが配置されているので、各スラスタから流出する流れ(または各スラスタへ流入する流れ)が互いに干渉することになる。 スラスタは流体の運動量変化の反作用によって推力を得る手段であり、スラスタから発生する推力は流体の非線形なダイナミクスの影響を受けるため、各スラスタに流出入する流れが互いに干渉しあうと、流体の運動量変化が予測困難な影響を受けてしまう。

このため、上記従来のホロノミック浮遊移動体では、各スラスタの推力と実際に発生した全推力ベクトルとの関係における非線形性が増加してしまい、全推力ベクトルを高精度に制御することができず、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを十分に活かすことができなかった。

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、全推力ベクトルを高精度に制御可能なホロノミック浮遊移動体、および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムを提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明に係る浮遊移動体は、(1)機体本体と、流体の運動量を変化させることによって推力を発生する6基以上のスラスタとを備えた、重力下で運用される浮遊移動体であって、6基以上のスラスタは、推力が所望の値となるように各々独立して制御されるとともに、機体本体上に定められた機体座標系において全てのスラスタの主推力ベクトルが上方を向くように、機体座標系に対して固定して配置され、さらに、機体座標系において、全てのスラスタが発生する推力のベクトルを合成した全推力ベクトルの発生可能領域が並進3方向および回転3方向の6次元空間を張り、かつ全てのスラスタにおいて、一のスラスタの推力軸線が、他の全てのスラスタの推力軸線と交差することなく、一のスラスタに流出入する流れが、他の全てのスラスタに流出入する流れと離間するように配置されていることを特徴とする。

この構成によれば、全推力ベクトルの発生可能領域が並進3方向および回転3方向の6次元空間を張り、かつ全てのスラスタにおいて、一のスラスタに流出入する流れが、他の全てのスラスタに流出入する流れと離間し、さらに該一のスラスタ自身を除く全ての機体構造物とも離間するように各スラスタが配置されているので、ホロノミック系を構築しつつ、各スラスタの推力と実際に発生した全推力ベクトルとの関係を線形に近づけることができる。 したがって、この構成によれば、全推力ベクトルを高精度に制御することができる。

また、重力下の空中において、主に浮力に依らずスラスタの推力に依って重力に抗するホロノミック浮遊移動体を考えた場合、スラスタの推力効率の低さをカバーするためには、各スラスタの主推力ベクトルを主に鉛直上方に向けると有利であるところ、この構成によれば、各スラスタの主推力ベクトルを主に鉛直上方に向けつつも、少しずつ異なる方向に向けて、全推力ベクトルが6次元空間を張り、かつ各スラスタに流出入する流れが互いに干渉しないように各スラスタを配置することができる。したがって、この構成によれば、重力下の空中で主に浮力に依らずスラスタの推力に依って重力に抗する場合であっても、ホロノミック系の短所であるスラスタの推力効率の低さをカバーしつつ、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを活かすことができる。

スラスタ故障時の危険性を考慮した場合、上記(1)の浮遊移動体は、(2)スラスタが(6+α)基(ただし、αは正整数)設けられており、(6+α)基のスラスタのうちのβ基(ただし、βはα以下の正整数)のスラスタを除く(6+α−β)基のスラスタは、各スラスタが発生する推力のベクトルを合成した全推力ベクトルの発生可能領域が、β基のスラスタの選択によらず、どのβ基のスラスタを選択しても6次元空間を張るように配置されていることが好ましい。

一般に、重力の影響が相殺されない浮遊移動体においては、スラスタが一つでも停止すると、機体の位置および姿勢の維持が困難となり墜落する危険性が生じる。 しかしながら、この構成によれば、(6+α)基のスラスタのうちの任意のβ基までのスラスタが同時に停止したとしても、ホロノミック系を構築し続けることができるので、墜落する危険性を減らすことができる。

上記(1)または(2)の浮遊移動体では、(3)上記各スラスタが発生する推力は、例えば、一以上の入力手段から出力された指令、および機体本体に設けられた一以上のセンサから出力された指令に基づいて制御することができる。

ホロノミック浮遊移動体では、全推力ベクトルの発生可能領域が並進3方向および回転3方向の6次元空間を張るため、これら6自由度の操作を何らかの方法で行う必要がある。これら6自由度の操作を操縦者に全て任せると、同時に操作すべき自由度数が多いことから操縦者には非常に高度な操作スキルが要求されるので、場合によっては操縦者の直感的理解を超え、操作できなくなる可能性もある。 しかしながら、上記の構成によれば、入力手段から出力された指令、およびセンサから出力された指令に基づいて推力が制御されるので、操縦者に要求される操作スキルのハードルを低くすることができ、操縦者が操作不能に陥るのを防ぐことができる。

上記(3)の浮遊移動体では、(4)上記入力手段から出力される指令としては、例えば、操縦者が遠隔地で操作する操作盤から出力される入力信号が考えられ、(5)上記センサから出力される指令としては、例えば、機体本体の位置、姿勢、速度、速度、加速度および角加速度のうちの少なくとも1つの計測値が考えられる。

また、(6)上記入力手段から出力される指令には、操縦者の特定身体部位の姿勢を計測するセンサから出力される計測値が含まれていてもよい。

この場合、操縦者は特定身体部位の姿勢を変えるといった直感的操作を行うことができるので、操縦者に要求される操作スキルのハードルを低くすることができる。

操縦者が遠隔地で操作する場合、上記(1)〜(6)の浮遊移動体は、(7)機体本体に設けられたカメラをさらに備え、カメラは、撮影している動画をリアルタイムで操縦者が使用する動画提示装置に出力可能な構成が考えられる。

この構成によれば、機体本体に設けられたカメラで撮影した動画が、リアルタイムで操縦者が使用する動画提示装置に出力されるので、操縦者は、浮遊移動体の座標系(機体本体上に定められた機体座標系)の視点で操作することができる。すなわち、この構成によれば、操縦者の座標系と浮遊移動体の座標系との不一致による操作の複雑化を解消することができる。

上記(7)の浮遊移動体では、(8)上記カメラは、機体本体に揺動可能に設けられていることが好ましい。

この構成によれば、機体本体の姿勢と独立にカメラの方向を決定することができるので、操縦者に広い視野を提供することができる。

さらに、(9)上記カメラは、操縦者の頭部の姿勢を計測するセンサから出力された計測値に基づいて、揺動角度が制御されるよう構成できる。

この構成によれば、操縦者が頭部の姿勢を変えるといった直感的操作によってカメラの方向を決定することができるので、操作の複雑化を招くことなく操縦者に広い視野を提供することができる。

また、上記課題を解決するために、本発明に係る浮遊移動体システムは、(10)上記(1)または(2)の浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムであって、操縦者が遠隔地で操作する操作盤と、浮遊移動体の加速度を計測する加速度センサと、浮遊移動体の姿勢を計測する姿勢センサと、操作盤から出力された入力信号に基づいて、浮遊移動体の目標加速度を決定し、かつ加速度センサおよび姿勢センサから出力された計測値に基づいて、目標加速度を実現するための並進方向目標全推力ベクトルを決定する制御部とを備え、並進方向目標全推力ベクトルと全推力ベクトルとが一致するように、各スラスタが各々独立して制御されることを特徴とする。

上記(10)の浮遊移動体システムは、(11)操縦者の特定身体部位の姿勢を計測する旋回角度センサと、浮遊移動体の角速度を計測する角速度センサと、をさらに備え、制御部は、旋回角度センサから出力された計測値に基づいて浮遊移動体の目標姿勢を決定し、かつ角速度センサおよび姿勢センサから出力された計測値に基づいて、目標姿勢を実現するための回転方向目標全推力ベクトルを決定し、各スラスタは、並進方向目標全推力ベクトルおよび回転方向目標全推力ベクトルを合成した目標全推力ベクトルと全推力ベクトルとが一致するように、各々独立して制御されることが好ましい。

これらの構成によれば、操作の複雑化を招くことなく、浮遊移動体の全推力ベクトルを高精度に制御することができる。

[用語の定義] 本明細書における「浮遊移動体」とは、空中または水中を浮遊する人工の移動体をいう。この「浮遊移動体」は、地面・建造物等の固定点や他の移動体とは原則として切り離されているものをいう。ただし、電力供給や通信用のケーブルで接続されていたり、推力を節約するために機体の自重の一部あるいは全部を支持するケーブル・バネ等で接続されていたりしても、6次元空間での移動が可能である場合には、「浮遊移動体」に含まれるものとする。

本明細書における「重力下」とは、運動に対する重力の効果が無視できない程度に大きい環境を指す。すなわち、本明細書における「重力下」は、いわゆる「微小重力下」を包含しない。

本明細書における「スラスタ」とは、流体の運動量変化の反作用によって推力を得る手段の総称である。この「スラスタ」には、例えば、プロペラ、スクリュー、ファン、ジェットエンジン、ロケットエンジン等が含まれる。

本明細書における「主推力」とは、スラスタによって発生された推力のうち、スラスタの推力軸線方向の並進成分をいい、本明細書における「副推力」とは、スラスタによって発生された推力のうち、主推力以外の成分をいう。 例えば、スラスタとしてプロペラを使用した場合、プロペラが回転すると、プロペラの回転軸線(推力軸線)方向に「主推力」が発生し、並進力として機体に印加される一方、プロペラの回転軸線まわりにプロペラの回転と反対方向に機体本体を回転させようとするトルクが発生し、このトルクが「副推力」となる。 なお、単に「推力」という場合は、「主推力」と「副推力」との和を意味するものとする。

本明細書における「全推力」とは、浮遊移動体に配置された全ての(または、正常に稼働している全ての)スラスタの推力の総和をいう。

本発明によれば、全推力ベクトルの発生可能領域が並進3方向および回転3方向の6次元空間を張り、かつ全てのスラスタにおいて、一のスラスタに流出入する流れが、他の全てのスラスタに流出入する流れと離間し、さらに該一のスラスタ自身を除く全ての機体構造物とも離間するように各スラスタが配置されているので、各スラスタの推力と実際に発生した全推力ベクトルとの関係を線形に近づけることができ、その結果、全推力ベクトルを高精度に制御可能なホロノミック浮遊移動体、および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムを提供することができる。

本発明の第1実施形態に係る浮遊移動体であって、(a)は上面図、(b)は斜視図、(c)は側面図である。

本発明の第1実施形態に係る浮遊移動体であって、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)はスラスタS

1に流出入する流れが、他の全てのスラスタに流出入する流れと離間し、さらに該スラスタS

1自身を除く全ての機体構造物とも離間していることを示す斜視図である。

本発明における浮遊移動体システムの一例を示すブロック図である。

図3の浮遊移動体システムの模式構成図である。

本発明の第2実施形態に係る浮遊移動体であって、(a)は上面図、(b)は斜視図、(c)は側面図である。

本発明の第2実施形態に係る浮遊移動体であって、(a)は正面図、(b)は下面図、(c)はスラスタS

1に流出入する流れが、他の全てのスラスタに流出入する流れと離間し、さらに該スラスタS

1自身を除く全ての機体構造物とも離間していることを示す斜視図である。

以下、添付図面を参照して、本発明に係る浮遊移動体、および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムの好ましい実施形態について、重力下の空中において使用される例を挙げて説明する。

なお、以下では、慣性系(近似的に地球表面)の絶対位置に固定された基準座標系をΣRとし、浮遊移動体の重心位置に原点を持ち、浮遊移動体の機体本体に固定された機体座標系をΣBとし、各効果器(スラスタ)が発生する主推力を束ねた効果器座標系をΣEとする。 ベクトルおよび行列は、浮遊移動体のダイナミクス解析の慣例に従い、機体座標系ΣBで表現されたものとする。ただし、ベクトルに左上付き添字があるときは、その添字を持つ座標系で表現されたものとする。

また、変数は以下のように定義する。

各変数における“6”は浮遊移動体が移動する空間の次元数、“n”はスラスタの数(ただし、n≧6)、tは時刻である。

[第1実施形態] 図1および図2に、本発明の第1実施形態に係る浮遊移動体Aを示す。機体座標系ΣBは、浮遊移動体Aの前後方向をxB軸(ただし、前方を正)、浮遊移動体Aの上下方向をyB軸(ただし、上方を正)、浮遊移動体Aの左右方向をzB軸(ただし、右方を正)としている。

同図に示すように、本実施形態に係る浮遊移動体Aは、機体本体Mと、推力を発生する8基のスラスタSi(i=1、2・・・8)と、パンチルトカメラCとを備えている。

8基のスラスタSiには、いずれも同じ仕様のダクテッドファンが使用されている。ダクテッドファンは、風等の外乱の影響をあまり受けずに一定方向の推力を発生させることができ、しかも、機体が障害物と接触した際に、高速で回転するファンブレードが直接障害物と接触して破損してしまうのを防ぐことができる。 各スラスタSiから延びている破線で描いた円筒は、実質的に推力の発生に寄与する各スラスタSiの吸排気流(本発明の「スラスタに流出入する流れ」に相当)であり、この円筒の中心軸がスラスタSiの推力軸線となる。なお、厳密にはスラスタSiに流出入する流れは完全な層流ではないため、図1および図2のような一定の径の円筒とはならないが、一定の径の円筒を基準として、個別の特性に応じたマージンを考慮して離間すれば、実質上は問題ない。

(スラスタ配置) 各スラスタSiの主推力ベクトルEuEと、機体座標系ΣBからみた全推力ベクトルuEとの関係は、以下の式で近似できる。

ここで、*Tは行列*の転置を表わす。また、ヤコビ行列JEBは、機体座標系ΣBにおけるスラスタSiの幾何学的配置によって決定される定数行列である。 このとき、浮遊移動体Aをホロノミック系とするような幾何学的配置は、以下のように定義される。

上記(2)式を満たすように8基のスラスタSiを配置することによって、浮遊移動体Aは、全方向(xByBzBの並進3方向およびxByBzB軸まわりの回転3方向)に推力を発生可能なホロノミック系を構築することができる。

しかしながら、従来のホロノミック浮遊移動体のようにスラスタの推力軸線が交差していると、各スラスタSiの吸排気流同士が干渉してしまい、主推力ベクトルEuEと全推力ベクトルuEとが、上記(1)式のような線形関係として近似できない可能性が高い。

また、重力下の空中において、主に浮力に依らずスラスタの推力に依って重力に抗するホロノミック浮遊移動体を考えた場合、スラスタSiの推力効率の低さをカバーするためには、各スラスタSiの主推力ベクトルEuEを主に鉛直上方に向けると有利である。

そこで、本実施形態に係る浮遊移動体Aでは、各スラスタSiの主推力ベクトルEuEを主に鉛直上方に向けつつも、少しずつ異なる方向に向けることで、上記(2)式を満たすだけでなく、全てのスラスタSiにおいて、一のスラスタSiの吸排気流が、他の全てのスラスタSiの吸排気流と離間し、さらに該一のスラスタSi自身を除く全ての機体構造物(本実施形態では、機体本体M、スラスタSi、パンチルトカメラC)とも離間するように8基のスラスタSiを配置している。 例えば、スラスタS1に着目すると、図2(c)に示すように、スラスタS1の吸排気流は、他のスラスタS2〜S8の吸排気流と離間し、さらに該スラスタS1自身を除く全ての機体構造物とも離間していることが分かる。言い換えれば、図2(c)から、スラスタS1の吸排気流は、他のスラスタS2〜S8の吸排気流と交差も一致もしておらず、かつ該スラスタS1自身を除く全ての機体構造物とも交差していないことが分かる。

より具体的には、8基のスラスタSiは、機体座標系ΣBの原点を中心とするxBzB平面における半径rの円周上に等間隔に配置される(図1(a)参照)。 すなわち、基準となる位置ベクトル

をyB軸まわりにθiだけ回転させて、スラスタSiの位置ベクトルriを定める。本実施形態では、

とした。ただし、角度の単位は[rad]である。

8基のスラスタSiの姿勢は、機体座標系ΣBにおいて以下のように定められる。 すなわち、基準となる機体座標系ΣB上向きの推力軸線ベクトル

を、まずzB軸まわりにφiだけ回転させ、次いでxB軸まわりにψiだけ回転させ、次いでyB軸まわりにθiだけ回転させて、8基のスラスタSiの推力軸線ベクトルfaxisiを定める。本実施形態では、

とした。ただし、角度の単位はいずれも[deg]である。

また、本実施形態では、スラスタSiとしてダクテッドファンを使用しているため、推力軸線に沿う並進力としての主推力と、推力軸線まわりの回転力としての副推力が発生するが、副推力は主推力と線形関係にあると仮定することができる。さらに、全てのスラスタSiの吸排気流は互いに離間しており、自己のスラスタSiを除く全ての機体構造物とも離間しているので、吸排気流の干渉による影響は極めて小さい。

したがって、本実施形態に係る浮遊移動体Aでは、主推力ベクトルEuEと全推力ベクトルuEとが線形関係になり、高精度で上記(1)式が成立する。また、上記(4)、(6)式を転置ヤコビ行列JEBTに代入すれば、上記(2)式が成立することが分かる。

以上のように、本実施形態に係る浮遊移動体Aによれば、全推力ベクトルuEの発生可能領域がxByBzBの並進3方向およびxByBzB軸まわりの回転3方向の6次元空間を張り、かつ全てのスラスタSiにおいて、一のスラスタSiの吸排気流が、他の全てのスラスタSiの吸排気流と離間し、さらに該一のスラスタSi自身を除く全ての機体構造物とも離間するように各スラスタSiを配置しているので、全推力ベクトルuEを高精度に制御することが可能となる。

また、本実施形態に係る浮遊移動体Aによれば、各スラスタSiの主推力ベクトルEuEを主に鉛直上方に向けつつも、少しずつ異なる方向に向けることにより、全推力ベクトルuEが6次元空間を張り、かつ各スラスタSiに流出入する流れが互いに干渉しないように各スラスタSiを配置しているので、重力下の空中で主に浮力に依らずスラスタSiの推力に依って重力に抗する場合であっても、ホロノミック系の短所であるスラスタSiの推力効率の低さをカバーしつつ、ホロノミック系の長所である制御性能の高さを活かすことができる。

(浮遊移動体システム) 次に、浮遊移動体Aを用いた浮遊移動体システムについて、図3および図4を参照して説明する。 図3に示すように、浮遊移動体システムは、操作指令部10を含む操縦者側のシステムと、制御部20を含む浮遊移動体A側のシステムとから構成されている。 本実施形態では、制御部20を、浮遊移動体Aの機体本体M内部に設けているが、機体本体M以外の場所(例えば、操作指令部10の操作盤11)に設けることもできる。

操縦者側のシステムは、浮遊移動体AをxByBzBの並進3方向に移動させるためのレバーが設けられた操作盤11、浮遊移動体Aをヨー方向(yB軸まわりの回転方向)に回転させるための旋回角度センサ12、およびパンチルトカメラCの揺動角度を調整するための頭部姿勢センサ13等の入力手段からなる操作指令部10と、パンチルトカメラCで撮影している動画をリアルタイムで表示する動画提示装置14とを含んでいる。 なお、「リアルタイム」とは、操縦者がリアルタイムと感じることができれば、多少の時間的な遅れがある場合も含むものとする。例えば、後述する画像処理部26で行われる画像処理に一定の時間がかかる場合であっても、「リアルタイム」に表示しているといえる。

図4に示すように、操作盤11は、操縦者が手に持って操作できるよう構成されており、旋回角度センサ12は、操縦者が座る回転椅子の回転軸に設けられている。また、頭部姿勢センサ13および動画提示装置14は、操縦者が頭部に装着できるよう構成されている。

再び図3を参照して、浮遊移動体Aは、スラスタSiおよびパンチルトカメラCに加えて、浮遊移動体Aの加速度(並進加速度)を計測するための加速度センサ(並進加速度センサ)31と、浮遊移動体Aの角速度を計測するための角速度センサ32と、浮遊移動体Aの姿勢(浮遊移動体Aからみた重力加速度)を計測するための姿勢センサ33とを備えている。

制御部20は、データ処理部21〜23と、機体制御則演算部24と、パンチルト制御則演算部25と、画像処理部26とを含んでいる。

データ処理部21は、操作盤11から出力された指令(レバー操作量)に基づいて浮遊移動体Aの目標並進加速度を決定する。データ処理部22は、旋回角度センサ12から出力された旋回角度の計測値に基づいて浮遊移動体Aの目標ヨー角度を決定する。また、データ処理部23は、頭部姿勢センサ13から出力された頭部姿勢(頭部の傾き)の計測値に基づいてパンチルトカメラCの目標パンチルト角度を決定する。

パンチルト制御則演算部25は、目標パンチルト角度に基づいてパンチルトカメラCの揺動角度の目標値(指令値)を決定する。これにより、パンチルトカメラCは、操縦者の視線方向の変化に合わせて揺動角度が変化するように制御される。 また、画像処理部26は、パンチルトカメラCで撮影した動画を動画提示装置14に伝送するために必要な画像処理や、操縦者が見やすくなるような画像処理を行う。

機体制御則演算部24は、目標並進加速度、目標ヨー角度、および浮遊移動体Aに設けられた各種センサ31〜33の計測値に基づいて、各スラスタSiの主推力ベクトルEuEの目標値(指令値)EuEd(t)を決定する。

ところで、浮遊移動体Aでは、各スラスタSiの主推力ベクトルEuEと全推力ベクトルuEとが線形関係にあり、高精度で上記(1)式が成立する。このため、上記(1)式は、

となる。ここで、*+Tは行列*の疑似逆行列の転置、ベクトルξは任意の定数ベクトルを表わす。特にスラスタ数n=6の場合、上記(7)式は、

となる。ここで、*-Tは行列*の逆行列の転置を表わす。 所望の6次元全推力ベクトルuEd(目標値)を得るために必要な各スラスタSiの主推力ベクトルEuEd(目標値)は、上記(7)式または(8)式から逆算して求めることができる。したがって、各スラスタSiの主推力を、

となるように制御すれば、結果的に全推力ベクトルuE全推力ベクトルの目標値uEdに一致することが期待できる。

上記(7)式または(8)式では、全推力ベクトルの目標値uEdを決定する必要がある。ここで、全推力ベクトルの目標値uEdが、以下のような関数(制御則)によって決定されるとする。

上記(10)式の独立変数x1、x2、・・・の全てを、操縦者の直接操作(操作盤11のレバー操作)のみに基づいて決定するのであれば、操縦者に非常に高度なスキルが要求される。

この点、本実施形態における浮遊移動体システムでは、浮遊移動体Aに設けられた各種センサ31〜33の計測値に基づいて、上記(10)式の独立変数x1、x2、・・・のうちのいくつかが決定されるので、操縦者に要求される操作スキルのハードルを低くすることができる。

さらに、本実施形態における浮遊移動体システムでは、旋回角度センサ12から出力された旋回角度の計測値に基づいて、上記(10)式の独立変数x1、x2、・・・のうちのいくつかが決定されるので、操縦者に要求される操作スキルのハードルをより一層低くすることができる。

(浮遊移動体の機体制御) まず、浮遊移動体Aの並進方向の機体制御について説明する。 本実施形態における浮遊移動体システムでは、浮遊移動体Aの並進方向の機体制御を行うために、仮想推力伝達ゲートを備えた推力伝達ゲートシステム(例えば、特許第4742329号、第3例参照)を構築している。 なお、「仮想推力伝達ゲート」とは、計算上便宜的に本体部(例えば、浮遊移動体Aの質量の主な部分)と効果器部(スラスタSi)に分離された浮遊移動体Aにおいて、並進加速度センサ31等の測定値に基づき、本体部と効果器部の間にかかる力とトルク、すなわち効果器部から本体部に作用する全ての推力を推定できるよう構成されたものをいう。

仮想推力伝達ゲートにおいて効果器部から受けるべき推力である目標仮想ゲート推力ベクトルを、以下のように定める。

上記(11)式の各変数の定義は、以下の通りである。

また、並進方向の目標仮想ゲート推力ベクトルを実現するために必要な目標全推力ベクトル(並進方向目標全推力ベクトル)tuEd(t)を、以下のように定める。

上記(12)式の各変数の定義は、以下の通りである。

上記(11)式および(12)式の計算において必要となる推定値は、浮遊移動体Aに設けられた並進加速度センサ31および姿勢センサ33の計測値に基づいて、以下のように得られる。

上記(13)式の各変数の定義は、以下の通りである。

以上のように、並進加速度センサ31および姿勢センサ33の計測値に基づいて、浮遊移動体Aの目標並進加速度aBd(t)を実現するために必要な目標全推力ベクトルtuEd(t)を得ることができる。なお、浮遊移動体Aの目標並進加速度aBd(t)は、操作盤11から出力された指令(レバー操作量)に基づいてデータ処理部21で決定される。

次に、浮遊移動体Aの回転方向の機体制御について説明する。 本実施形態における浮遊移動体システムでは、浮遊移動体Aの回転方向の機体制御を行うために、例えば、単純なPD制御則を用いることができる。

回転方向の目標姿勢を実現するために必要な目標全推力ベクトル(回転方向目標全推力ベクトル)ruEd(t)を、以下のように定める。

上記(14)式の各変数の定義は、以下の通りである。

上記(14)式の計算において必要となる回転角度δ(t)および単位ベクトルn(t)は、浮遊移動体Aの現在姿勢と目標姿勢から容易に得られる。浮遊移動体Aの現在姿勢は、姿勢センサ33の計測値から得られ、浮遊移動体Aのヨー方向の目標姿勢については、旋回角度センサ12の計測値から得られる。なお、本実施形態では、ロール方向、ピッチ方向の目標姿勢は一定(水平)としている。 また、上記(14)式の計算において必要となる角速度ベクトルω(t)は、角速度センサ32の計測値から得られる。

以上のように、姿勢センサ33および角速度センサ32の計測値に基づいて、浮遊移動体Aの目標姿勢を実現するために必要な目標全推力ベクトルruEd(t)を得ることができる。 上記(12)式と(14)式をまとめると、

となり、上記(10)式に相当する浮遊移動体Aの制御則が得られる。 また、上記(15)式と、上記(7)式または(8)式とにより機体制御則演算部24に機体制御則が構築される。

[第2実施形態] 続いて、本発明の第2実施形態に係る浮遊移動体について説明する。 本発明の第2実施形態に係る浮遊移動体は、スラスタ故障時にも全方向へ推力を発生させることができるようにしたものである。

浮遊移動体にスラスタがn(n=6+α)基(ただし、αは正整数)設けられているものとし、このうち任意に選択したβ基(ただし、βはα以下の正整数)のスラスタが停止した場合を考える。以下では、任意に選択したβ基のスラスタを除く各スラスタが発生する主推力を束ねた効果器座標系をΣeとし、変数を以下のように定義する。

各スラスタの主推力ベクトルeuEと、機体座標系ΣBからみた全推力ベクトルuEとの関係は、上記(1)式と同様に、以下の式で近似できる。

このとき、浮遊移動体をホロノミック系とするような幾何学的配置は、n基のスラスタのうち、どのβ基のスラスタを選んでも、以下のようになる配置として定義される。

β基のスラスタの選択によらず上記(17)式が満たされるようにn基のスラスタを配置することによって、n基のスラスタのうち任意のβ基までのスラスタが同時に停止したとしても、依然として、この浮遊移動体は全方向に推力を発生可能なホロノミック系を構築することができる。

図5および図6に、本実施形態に係る浮遊移動体A’を示す。 本実施形態に係る浮遊移動体A’は、スラスタS1〜S8の設置角度φiおよびψiを除いて、第1実施形態に係る浮遊移動体Aと共通している。

具体的には、本実施形態では、

とした。

本実施形態に係る浮遊移動体A’も、全てのスラスタSiの吸排気流は互いに離間しており、自己のスラスタSiを除く全ての機体構造物とも離間しているので、吸排気流の干渉による影響は極めて小さい。 例えば、スラスタS1に着目すると、図6(c)に示すように、スラスタS1の吸排気流は、他のスラスタS2〜S8の吸排気流と離間し、さらに該スラスタS1自身を除く全ての機体構造物とも離間していることが分かる。

したがって、本実施形態に係る浮遊移動体A’では、主推力ベクトルEuEと全推力ベクトルuEとが線形関係にあり、第1実施形態に係る浮遊移動体Aと同様に高精度で上記(1)式が成立する。また、上記(4)式および(18)式を転置ヤコビ行列JEBTに代入すれば、上記(2)式が成立することが分かる。

さらに、本実施形態に係る浮遊移動体A’では、各スラスタSiを上記(18)式のように配置したことによって、全スラスタS1〜S8のうち任意に選択した1基ないし2基のスラスタSiを除く6基ないし7基のスラスタSiが発生する推力を合成した全推力ベクトルuEについて、その選択によらず(どの1基ないし2基のスラスタSiを選択しても)上記(17)式が成立することが、転置ヤコビ行列JeBTの計算から分かる。

なお、本実施形態に係る浮遊移動体A’を用いた浮遊移動体システムは、第1実施形態における浮遊移動体システムと同じ構成であるため、ここでは説明を省略する。

以上、本発明に係る浮遊移動体、および該浮遊移動体を用いた浮遊移動体システムの好ましい実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。

例えば、上記各実施形態では、重力下の空中において使用される浮遊移動体A、A’を例に挙げて説明したが、本発明は、水中で使用される浮遊移動体(潜水艇、水中ロボット等)にも応用することができる。

また、上記各実施形態で示したスラスタSiの位置ベクトルri、設置角度θi、φiおよびψiは、上記(1)式および(2)式を満たすのであれば、浮遊移動体の構造に応じて任意に変更可能である。 さらに、β基までのスラスタSiが同時に停止したとしても全方向に推力を発生可能なホロノミック系を構築させる場合のスラスタSiの位置ベクトルri、設置角度θi、φiおよびψiは、上記(16)式および(17)式を満たすのであれば、浮遊移動体の構造に応じて任意に変更可能である。

また、上記各実施形態では、スラスタSiにダクテッドファンが使用されているが、特定の方向に推力を発生するスラスタ、例えばプロペラ、スクリュー、ファン、ジェットエンジン、ロケットエンジン等であれば任意に変更することができる。

さらに、上記各実施形態では、パンチルトカメラCを機体本体Mの底部に設けているが、設置位置は任意に変更可能であり、パンチルトカメラC以外のカメラを設置することも可能である。 なお、パンチルトカメラC等のカメラを設置しない場合には、浮遊移動体が制御される座標系を基準座標系ΣRに合わせることで、具体的には、基準座標系ΣRにおける操縦者からの操作指令を、制御部20において基準座標系ΣRから機体座標系ΣBへ座標変換することで、操作の複雑化を解消することができる。

A、A’ 浮遊移動体 C パンチルトカメラ M 機体本体 Si スラスタ 10 操作指令部 11 操作盤 12 旋回角度センサ 13 頭部姿勢センサ 14 動画提示装置 20 制御部 21、22、23 データ処理部 24 機体制御則演算部 25 パンチルト制御則演算部 26 画像処理部 31 並進加速度センサ 32 角速度センサ 33 姿勢センサ

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