【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、請求項1の上位概念に記載の装置に関する。 以下において該装置は、例へば船舶プロペラに基いて説明されており、そのプロペラピッチは、船舶推進装置の停止中に調節することができる。 【0002】 【従来の技術】船舶用プロペラは、固定プロペラ、調節プロペラ又は可動プロペラとして設計されている。 【0003】可動プロペラは、大きな角度範囲(約60 °までの)に亘り“全速前進”から“零推力位置”を介して“全速前進”にまで連続的に、かつ軸の全回転数に亘って調節可能である。 つまり可動プロペラは、船舶の種々の運転状態において推力装置に適合し、かつ逆方向航行への逆転装置にも適合しており、また遅滞のない迅速な操縦が可能である。 これらの問題を達成するためには、プロペラボス内の機構と、プロペラ軸の中空孔と、 流体装置とが必要である。 従って可動プロペラの調達費は固定プロペラよりも高価である。 またより大きいな直径のプロペラボスを組み込むため、プロペラの効率に負の影響を及ぼす可能性がある。 【0004】固定プロペラは、今日では一般的に1つの部材から製造されていて、価格的に有利に調達することができる。 前進航行から逆進航行への切換操作は、固定プロペラの回転方向の逆転によって行われており、このことは、例へば長期間航行のディーゼルエンジンにあっては問題なく可能である。 更に操縦のために駆動機械の回転数ひいてはプロペラの回転数を変えることができる。 またボス部の直径は、可動プロペラのボスの直径よりも小さい。 【0005】固定プロペラは1つの部材から成っているため、損傷があった場合には全プロペラの翼を交換しなければならない。 従って1つの部材で製造された固定プロペラは、古くから所謂“組み込みプロペラ”であり、 その場合個々の翼は、別々にボスに固定されていて別々に交換可能である。 【0006】固定プロペラの重大な欠点は、船舶の交互の運転条件例へば積載状態、船齢、気象条件、季節等への適合が不可能であるという点にある。 また模型試験の際の又はプロペラ計算の際の、試算における不確実さが常に発生して、固定プロペラが運転中駆動装置の構造条件に完全には一致しないで、ピッチが変化してしまうようなことがある。 【0007】固定プロペラのこの欠点は調節プロペラによって取り除くことができる。 その際調節プロペラは“組込みプロペラ”であって、ピッチが限定された調節範囲(2°乃至6°)内で変化することができる。 この種の調節プロペラのために、既に多数の発明及び構造提案がなされている。 【0008】簡単な構成例にあっては翼固定ねじが長孔を貫通して翼フランジ内に案内されており、かつ翼のボスに対するロックが嵌合ピンによってなされており、該嵌合ピンは予め準備された2つ又は3つの位置に位置せしめられている。 翼調節の変更には翼固定ねじの弛緩が必要である。 この作業を水中で行うのは困難であり、従ってコストのかかる船舶のドック作業が必要になる。 【0009】複雑な構造型式の場合には、プロペラの総ての翼のための共通の調節機構が存在しており、該機構は機械的、流体的又は電磁式に作動可能である。 【0010】この調節機構は、翼を調節された位置に保持するために必要なモーメント及び力によって、常に負荷せしめられている。 【0011】この問題を解決するためドイツ国特許第3 417853A1号明細書に図示の構造体が提示されており、その場合翼ピンは自縛式の円錐形リングによって固定されている。 この調節機構は、軸停止中の調節作業の間にだけ使用され、運転中は翼モーメント及び翼力が負荷されなないようになっている。 しかし一度調節されたピッチは、プロペラ軸からプロペラを解体した場合にだけ弛緩可能である。 【0012】つまり従来公知の調節プロペラは、1つ又はそれ以外の形式の問題を抱えているためいままでは広範囲に使用されることがなかった。 また多くの場合費用は、完全機能型の可動プロペラよりも著しく安価であるとは限らない。 【0013】しかしここに船舶用プロペラの例で説明した諸問題は、同じ様に翼の設けられた別の流体機械にも発生している。 この場合も、機械の作動形式を変化した運転条件に適合させるため、一時的な調節作業が必要である。 その際例へばプロペラタービンを念頭においている。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前述の形式の調節装置を改良して、該装置を確実かつ容易に操作可能にすることにある。 このため本発明の対象に基くロータは、その(少くとも付属部材のコストも考慮した)製造コストが、調節できないロータのコストよりも高くないか又はほんの僅か高いだけでなければならず、 かつボス領域が良好なプロポーションを有していなければならない。 特に船舶用プロペラにあっては、調節プロペラの場合に必要なボス寸法よりも小さなボス寸法を実現することを狙っている。 つまりボスの寸法が効率に僅かな影響を与えるだけか、又全く与えないようにすることを狙っている。 【0015】 【課題を解決するための手段】本発明では、請求項1に記載の特徴によって上記課題を解決することができた。 【0016】請求項2以下には特に有利な別の構成が述べられている。 【0017】 【発明の効果】多くの場合、調節の変更作業は極く限られた場合にだけ必要であるということが基礎になっている。 つまり調節の変更作業は、本発明の対象を備えた船の荷卸し又は積荷の後、東/西大洋横断航行及び西/東大洋横断帰還航行の後、数か月の運航の後の船舶本体の状態を検査する時又はそれに類似した運航の後等に限定されている。 従ってこれらの総ての場合には、調節作業を港湾停泊中の軸停止時に行うことができる。 つまり本来の船舶運行中調節モーメント及び調節力がプロペラ翼に負荷せしめられることのないような調節機構を設計することが充分に可能である。 【0018】本発明の基本的な考え方は、プロペラ翼が通常運転中確実なプレス結合部によってボスに不動に保持されていて、調節できないようになっているということである。 この結合部は翼の調節のためにだけ、高圧オイルを翼フランジと支持ディスクとの間の分離面内に導入することによって、一時的に弛緩せしめられる。 その場合翼は僅かな費用で調節されうる。 この調節のために調節機構が設けられている。 調節した後高圧が放圧されて、再び不動なプレス結合部が形成される。 【0019】船舶用プロペラにおける上述の調節作業は、少くとも港湾設備内で作業できるダイバによって水面下で行われる。 従って船のドック作業は不必要である。 【0020】 【実施例】本発明に基く調節プロペラが図に図示されている。 【0021】1部分状のプロペラボス1が従来の形式でプロペラ軸2に固定されている。 図1においては、固定装置がプロペラ軸の後方フランジ上に図示されており(可動プロペラにあっては通常の形式である)、図2においては、ボス1の固定部が円筒形又は円錐形の後方軸端部上に図示されている(固定プロペラにあっては通常の形式である)。 プロペラボス1はその外周部に、翼数(3乃至7)に対応してプロペラ翼3のための半径方向又はほぼ半径方向の複数の開口部を有している。 図1及び図2には5翼のプロペラが図示されている。 【0022】翼3のフランジ4は、複数の歪ボルト6によってボス1内方の支持ディスク5に結合されている。 歪ボルト6は有利には内方から差し込まれている。 それは、外方から差し込む場合よりも多数の歪ボルトを差し込むことができるからである。 歪ボルトの歪及びバイアスは、翼フランジ4/支持ディスク5の構造グループが充分な確実性を以ってボス1の孔内の突起7に押し込まれるように設計されている。 【0023】翼フランジ4は、嵌合ピン8によって、ボス本体1に対してではなく支持ディスク5に対してロックされている。 構造グループ4/5のボス1に対するロックは、専ら摩擦結合によって行われている。 例へば翼の基本接触部の近傍に摩擦結合を凌駕しかねないような異常に高い回転モーメントが負荷された場合に、予め規定された2°から6°までの調節範囲を超えることがないように、2つのストッパ9が設けられている。 【0024】更に本発明にあっては、翼固定部の摩擦結合が翼調節のために一時的に弛緩され得るように構成されている。 そのために、中心孔17、高圧ホース18及び支持ディスク5内の孔を貫通する(1000バールオーダの)高圧オイルが、翼フランジ4と支持ディスク5 との間の、シール装置10によって制限されている圧力室内に導入される。 全圧力面は、適切に配置された溝を貫き高圧オイルによって負荷され得るように保証されている。 この高圧オイルによる負荷によって歪ボルト6が伸びて突起7の押圧力を相殺し、付加的に10分の数ミリメートルの大きさのギャップが発生する。 このようにして構造グループ4/5を、ボス本体1の突起7に対して軽く回動させることができる。 【0025】図1に図示されているように、各支持ディスク5の回動にためにピン11及び滑子12が設けられており、これらは調節ヨーク13の溝に配置されている。 調節ヨーク13は、ピストン14とシリンダ15とから成っているサーボモータによって流体的に制御されている。 ピストン14は調節ロッド16によって調節ヨーク13に結合されている。 【0026】調節ロッド16には、公知の形式で船舶内方の接続部に接続されている種々の長手方向孔が配置されている。 高圧オイルは、孔17を貫き高圧ホース18 を経て翼フランジ4と支持ディスク5との間の圧力室に導かれる。 孔19内の高圧オイルによってサーボモータ14の運動ひいては翼の運動が前進の方向に開始される。 孔20内の高圧オイルによってサーボモータ14の運動ひいては翼の運動がバックの方向に開始される。 【0027】ピストン14とシリンダ15とから成るサーボモータは、調節作業が静止したプロペラの場合にだけ行われかつ調節力も小さいので、小さな寸法になっている。 そして特に翼シール装置における摩擦の比率が重要である。 【0028】調節作業の終了後高圧導管17は再び放圧され、それによって歪ボルト6の伸びが相殺され、元の摩擦結合が再度形成される。 【0029】翼を調節するために、サーボモータ14の両終端位置から厳重に規定された2つのピッチ調節が行われる。 大きな回転範囲(4°から6°まで)の場合には、中間値がサーボモータへの供給容積量の制限によって達成される。 つまり極めて小さな吐出量を有するポンプが使用されていて、両終端位置間の調節が例へば20 乃至30秒間続くように構成されている。 度量衡検定として全サーボモータストロークに亘る調節のための所要時間が確定される。 その後中間位置は、ポンプ吐出時間の制限ひいてはオイル量の制限によって充分な精度で調節可能である。 【0030】調節精度に関する要求が厳しい場合には、 可動プロペラの場合に種々の実施例で公知である調節指示器を使用することができる。 【0031】図1によれば、オイル導管を船舶の内方に案内するための孔がプロペラ軸に設けられており、かつ船舶内方から装置を操作する装置が設けられている。 しかし現状の潜水技術ではこのことを断念して、翼の調節を潜水夫によって行っている。 【0032】図2に図示のように、接続管路17,19 及び20は、前方に向って船舶の内方に案内されているのではなく、後方に向ってボス構造体の後方縁部に案内されている。 通常運転にあっては接続部がカバーによって閉鎖されている。 翼を調節するため潜水夫によって特殊な継手が取り付けられ、かつ高圧ホースと、船舶の後部甲板上に可動に設置されたポンプ装置とが結合せしめられる。 その際所望の中間位置は、潜水夫によって翼皿4の外周面上のマークによって達成され、かつボス本体1の外周面上で調整される。 勿論この装置は、船舶が乾ドックに位置している場合でも、又はプロペラボスの中心部が船の釣合の後に吃水線の上方に位置している場合においても、使用可能である。 【0033】図1にはアキシアルサーボモータが図示されており、一方図2には、支持ディスク5を調節するための回転クラウン22を備えたラジアルサーボモータ2 1(図3に図示されている)が示されている。 【0034】本発明は、通常の運転時に流体機械の別の部材との確実かつ不動な結合がなされていて流れの影響を受けている部分を、一時的に調節することが望まれている場合には、例へばタービン又はポンプのような類似の流れ機械にもこれを使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の調節プロペラであって、図1のaはプロペラボスの縦断面図を、図1のbは横断面図を夫々図示している。 【図2】本発明の調節プロペラの別の実施例の図であて、図2のaは縦断面図を、図2のbは横断面図を、図2のcはストッパの配置を夫々図示している。 【図3】本発明の調節プロペラの後方からみた部分切断斜視図である。 【符号の説明】 1 プロペラボス 2 プロペラ軸 3 プロペラ翼 4 フランジ 5 支持ディスク 6 歪ボルト 7 突起 8 嵌合ピン 9 ストッパ 10 シール装置 11 ピン 12 滑子 13 調節ヨーク 14 ピストン 15 シリンダ 16 調節ロッド 17 孔 18 高圧ホース 19,20 孔 21 ラジアルサーボモータ 22 回転クラウン |