鉄道車両構体の補強方法及び鉄道車両構体

申请号 JP2010537067 申请日 2010-05-26 公开(公告)号 JPWO2010143365A1 公开(公告)日 2012-11-22
申请人 川崎重工業株式会社; 发明人 友則 梅林; 友則 梅林; 厚之 久保; 厚之 久保; 文秀 稲村; 文秀 稲村; 江 杉浦; 江 杉浦;
摘要 本発明の鉄道車両構体の補強方法は、金属製の枠体と、前記枠体に接合され、車両長手方向に直交する断面が 波形 状からなる金属製の板とを含む構体のうち、前記板の少なくとも一部に繊維シートを配置する工程と、前記繊維シートを含浸接着樹脂により前記板の一部に接着して繊維強化樹脂部材を形成する工程と、を備えている。
权利要求
  • 金属製の枠体と、前記枠体に接合され、車両長手方向に直交する断面が波形状からなる金属製の板とを含む構体のうち、前記板の少なくとも一部に繊維シートを配置する工程と、
    前記繊維シートを含浸接着樹脂により前記板の一部に接着して繊維強化樹脂部材を形成する工程と、
    を備えている、鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維シートを配置する工程は、前記繊維シートを前記板の波形状に沿うように配置することを含んでいる、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維強化樹脂部材を形成する工程は、前記板の一部を脱脂処理した後にプライマーを塗布し、そのプライマーが固化した後に前記含浸接着樹脂を下塗りし、その下塗りされた前記含浸接着樹脂が固化する前に前記繊維シートを重ね、さらにその上に前記含浸接着樹脂を上塗りし、前記繊維シートに前記含浸接着樹脂を浸透させることを含んでいる、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維シートを配置する工程の前に、前記板の一部に形成された凹部又は亀裂に対して隣接部分の表面と面一になるようにパテを塗布する、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維シートを配置する工程の前に、前記板の一部に形成された亀裂を囲む部分を取り除いて開口を形成して当該開口をふさぎ板で閉塞し、
    前記繊維シートを配置する工程は、当該ふさぎ板とその周囲を含めるように前記繊維シートを配置する、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維シートを配置する工程は、複数の前記繊維シートを敷き詰めて配置する、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記複数の繊維シートは、それぞれ平面視矩形状からなり、
    前記繊維シートを配置する工程は、前記複数の繊維シートのうち隣接する繊維シートの向かい合う端部のそれぞれを前記板の波形状の山部に配置する、請求項6に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記繊維シートを配置する工程は、前記繊維シートをその繊維方向が車両長手方向となるように配置する、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 前記板は、屋根板であり、
    前記繊維シートを配置する工程は、妻構体の上端部の一部に重ねて接合された前記屋根板の前端部と前記妻構体の上端部とを跨いで覆うように前記繊維シートを配置し、
    前記繊維強化樹脂部材を形成する工程は、前記繊維シートを前記含浸接着樹脂により前記屋根板の前端部と前記妻構体の上端部とに跨いで接着する、請求項1に記載の鉄道車両構体の補強方法。
  • 金属製の枠体と、
    前記枠体に接合され、車両長手方向に直交する断面が波形状からなる金属製の板と、
    前記板の一部に接合され、前記板を補強する繊維強化樹脂部材と、
    を備えている、鉄道車両構体。
  • 说明书全文

    本発明は、波形状の板と枠体とを含む鉄道車両構体の補強方法及び鉄道車両構体に関する。

    従来、鉄道車両構体としてステンレスやアルミニウム等を用いたものが知られている。 鉄道車両における屋根構体の屋根板や台枠の床板には、強度を保ちながら軽量化を図るために、断面波形状からなる薄肉のコルゲートパネル(以下、薄波板という)が使用されている。 従来、鉄道車両の屋根構体や台枠の脆弱部分は、補強板の溶接等により剛性を高めるよう補強されていた。 しかし、補強すべき脆弱部分が薄波板の一部である場合、溶接やボルトによる補強材の接合が困難である。 例えば、溶接による場合には、熱歪みにより製作精度が低下するとともに、ボルトによる場合には、ボルト孔が欠損しての浸水を防ぐシール性能(以下、水密性という)が低下するなどの問題があった。 さらに、補強により屋根板や床板の重量が増大するという問題もあった。

    ところで、特許文献1乃至4には、鉄道車両の外板や骨部材に炭素繊維強化樹脂を用いる技術が提案されている。 これらの技術によれば、車両構体の大幅な軽量化を図ることができるとしている。

    特開平5−213189号公報

    特開平6−263029号公報

    特開平7−81556号公報

    特許第3219278号公報

    しかしながら、これらの技術によれば、鉄道車両構体の主要部を炭素繊維強化樹脂で構成しているため、構体に占める炭素繊維強化樹脂の使用割合が高い。 炭素繊維強化樹脂は、金属と比べてコストが高く且つリサイクルが難しいため、主要部を炭素繊維強化樹脂で構成した鉄道車両構体は、コストが大幅に増加してしまうと共にリサイクル性が悪くなるという問題がある。 よって、コストやリサイクル性を考慮して、ステンレス鋼などの金属からなる薄波板を構体に用いているが、その薄波板の脆弱部分を適切に補強できていないのが現状である。 また、炭素繊維強化樹脂で形成する構成要素が立体形状をなす場合には、炭素繊維強化樹脂を所定形状に成形するための工程が必要であり、製作効率が悪くなる。

    そこで本発明は、鉄道車両構体において、製作精度及び水密性を向上させ車体軽量化を図りながらも、コストやリサイクル性や製作効率を良好に保つことを目的としている。

    本発明の鉄道車両構体の補強方法は、金属製の枠体と、前記枠体に接合され、車両長手方向に直交する断面が波形状からなる金属製の板とを含む構体のうち、前記板の少なくとも一部に繊維シートを配置する工程と、前記繊維シートを含浸接着樹脂により前記板の一部に接着して繊維強化樹脂部材を形成する工程と、を備えている。 なお、「繊維シート」とは、炭素繊維等のように繊維強化樹脂に利用される繊維を布状に形成したものであって、樹脂が含浸されていないものいう。

    前記方法によれば、断面波形状からなる金属製の板の一部に、可撓性を有する繊維シートを沿わせて含浸接着樹脂により含浸接着することで、当該板に接着された繊維強化樹脂部材を容易に形成することができ、車体軽量化を図りながらも簡単な施工で構体を補強することができる。 また、板の一部に繊維シートを配置して含浸接着するため、熱歪みによる製作精度の低下やボルト孔の欠損による水密性が低下しない。 しかも、繊維シートは板の一部に配置されて主要部である枠体や板は金属製であるため、コストやリサイクル性も良好に保つことができる。 以上より、鉄道車両構体において、製作精度及び水密性を向上させ車体軽量化を図りながらも、コストやリサイクル性や製作効率を良好に保つことができる。

    また本発明の鉄道車両構体は、金属製の枠体と、前記枠体に接合され、車両長手方向に直交する断面が波形状からなる金属製の板と、前記板の一部に接合され、前記板を補強する繊維強化樹脂部材と、を備えている。

    前記構成によれば、前記同様に、製作精度及び水密性を向上させ車体軽量化を図りながらも、コストやリサイクル性や製作効率を良好に保つことができる。

    本発明によれば、鉄道車両構体において、製作精度及び水密性を向上させ車体軽量化を図りながらも、コストやリサイクル性や製作効率を良好に保つことができる。

    本発明の第1実施形態の鉄道車両構体の一部を示す斜視図である。

    図1に示す屋根構体の要部斜視図である。

    図2のIII−III線断面の一部を表した拡大図である。

    (a)は平面用の脱泡ローラを示す斜視図、(b)は用の脱泡ローラを示す斜視図である。

    (a)〜(d)は図1に示す屋根板の亀裂を補強する手順を説明するための図面である。

    (a)は図1に示す屋根板と妻構体との接続部分を表した要部平面図、(b)はその要部断面図、(c)は従来例の図6(b)相当の図面である。

    図1に示す台枠と床板との接続部分を表した要部斜視図である。

    本発明の第2実施形態の屋根構体の要部斜視図である。

    図8のIX−IX線断面の一部を表した拡大図である。

    図8のX−X線断面の一部を表した拡大図である。

    本発明の第3実施形態の屋根構体の図9相当の図面である。

    図11に示す屋根構体の図10相当の図面である。

    以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。

    (第1実施形態)
    図1は本発明の第1実施形態の鉄道車両構体1の一部を示す斜視図である。 図1に示すように、鉄道車両構体1は、屋根構体2、側構体3、妻構体(図示せず)及び台枠4を備えている。 屋根構体2は、縦桁及び垂木を含む金属製の枠体5と、その枠体5の上面に接合された金属製の屋根板6とを有している。 側構体3は、側壁を構成する金属製の側外板7と、その側外板7の内面に接合された金属製の複数の骨部材8とを有している。 また、金属製の台枠4の上には、金属製の床板9が接合されている。 なお、それらの部材に用いる金属としては、ステンレスやアルミニウム等を用いるとよい。

    図2は屋根構体2の要部斜視図である。 図3は図2のIII−III線断面の一部を表した拡大図である。 図2及び3に示すように、屋根板6は、車両長手方向Xに延びる山部6a及び谷部6bが車両幅方向に交互に設けられた薄肉のコルゲートパネルであり、車両長手方向Xに直交する断面が波形状を呈する。 屋根板6は、側構体3の側外板7よりも肉厚が薄く、その肉厚は0.5〜1.0mm(例えば、0.6mm)である。 本実施形態の屋根板6には、その一部領域(例えば、車両長手方向Xの中央部分)を補強すべく炭素繊維強化樹脂部材12が設けられている。 炭素繊維強化樹脂部材12の肉厚は、屋根板6の肉厚よりも大きい。

    炭素繊維強化樹脂部材12の具体的な接合手順は、屋根板6の上面のうち補強対象部分を脱脂処理して当該部分に含浸接着樹脂からなるプライマー11(例えば、エポキシ樹脂)を塗布して放置する。 次いで、時間経過により固化したプライマー11の上に含浸接着樹脂14(例えば、エポキシ樹脂)を下塗りし、その下塗りが固化する前に樹脂未含浸の炭素繊維シート13を重ねる。 その際、炭素繊維シート13は、その繊維方向が車両長手方向Xと略平行となるように屋根板6の波形状に沿わせて配置する。 次いで、その炭素繊維シート13の上に含浸接着樹脂14を塗布し、脱泡ローラ20,30(図4参照)等を用いて炭素繊維シート13に含浸接着樹脂14を浸透させるとともに表面を平坦化して放置する。 そして、時間経過により含浸接着樹脂14が固化すると、屋根板6に接着された炭素繊維強化樹脂部材12が形成される。 これにより、炭素繊維強化樹脂部材12は、薄肉の屋根板6の所定部分を補強する効果を発揮する。 なお、屋根板6の補強対象部分に局所的な凹部6cが存在する場合には、この凹部6cにパテ15を充填し、パテ15の表面とその隣接部分の表面とを面一にしてからプライマー11を塗布してもよい。 但し、凹部6cの曲率が小さければパテ15を充填せずに直接プライマー11を塗布してもよい。 また、炭素繊維シート13は一層としてもよいし、複数層にしてもよい。

    図4(a)は平面用の脱泡ローラ20を示す斜視図、図4(b)は角用の脱泡ローラ30を示す斜視図である。 図4(a)(b)に示すように、脱泡ローラ20,30は、棒状の支持部20a,30aと、支持部20a,30aの一端側に設けられて周方向に複数の溝が形成されたローラ部20b,30bと、支持部20a,30aの他端側に設けられた把持部20c,30cとを備えている。 角用の脱泡ローラ30のローラ部30bは、平面用の脱泡ローラ20のローラ部20bよりも狭幅であり、ローラ部30bの回転軸線に直交する方向から見て表面が全体的に凸形状を呈している。 これら脱泡ローラ20,30を適用箇所により使い分け、炭素繊維シート13の表面上でローラ部20b,30bを転がすことで、屋根板6と炭素繊維シート13との間の空気を抜きながら炭素繊維シート13を屋根板6の波形状に沿わせ、炭素繊維シート13に含浸接着樹脂14を含浸させる。

    図5(a)〜(d)は屋根板6の亀裂Cを補強する手順を説明するための図面である。 図5(a)(b)に示すように屋根板6の一部に亀裂Cが生じた場合の補強について説明する。 この場合、図5(c)に示すように、屋根板6のうち亀裂Cを囲む部分を取り除いて丸穴形状の開口Sを形成する。 次いで、図5(d)に示すように、その開口Sをふさぎ板40で閉塞する。 このとき、ふさぎ板40は、その周縁の2カ所を溶接などにより屋根板6の開口縁に仮止めする。 その後、ふさぎ板40及びその周囲の上面に対してプライマーを介して炭素繊維シートを含浸接着樹脂により接着して炭素強化繊維樹脂部材を形成する。 なお、亀裂Cの状態に応じて、開口Sを設けることなく亀裂C及びその周囲に炭素繊維シートをそのまま含浸接着樹脂により接着してもよい。 例えば、亀裂発生後、亀裂の進展がなく、亀裂が線状で、水漏れが少ない場合には亀裂の除去が必要ではない。 一方、亀裂の進展があり、目視で亀裂が確認でき、水漏れ量が大きい場合には、亀裂を除去した後、ふさぎ板を設けることが望ましい。

    図6(a)は屋根板6と妻構体50との接続部分を表した要部平面図、図6(b)はその要部断面図、図6(c)は従来例の図6(b)相当の図面である。 図6(c)に示すように、従来例では、屋根板6の前端部と妻構体50の上端部とを接合する際には、シール性が求められることから、互いをスポット溶接W1により固定したうえで更に隅肉連続溶接W2を行っていた。 そうすると、隅肉連続溶接W2の熱影響による屋根板6の歪みが大きくなる。 そこで、図6(a)(b)に示すように、屋根板6の前端部を妻構体50の上端部の一部に重ねて互いをスポット溶接W1により接合し、屋根板6の前端部と妻構体50の上端部とを跨いで覆うように炭素繊維シートを配置し、その炭素繊維シートを含浸接着樹脂により屋根板6の前端部と妻構体50の上端部とに跨いで接着して炭素繊維強化樹脂部材51を形成する。 これにより、隅肉連続溶接の熱影響による屋根板6の歪みがなく、シール性も確保でき、屋根板6の端部を補強することができる。

    図7は台枠4と床板9との接続部分を表した要部斜視図である。 図7に示すように、床板9は、車両長手方向Xに直交する断面が波形状からなる薄肉の金属板であり、その肉厚は0.6〜1.2mm(例えば、0.6mm)である。 台枠4の端梁61の上面には、断面逆凹状で車体幅方向に延びる後端部材60が接合されている。 床板9の端部を後端部材60の側面に隅肉溶接する前に、床板9の端部に予め炭素繊維シートをプライマーを介して含浸接着樹脂により接着させて炭素繊維強化樹脂部材62を形成する。 これにより、床板9の剛性が高まって形状の安定化が図られる。 その後、床板9の端部を後端部材60の側面に対して隅肉溶接を行えば、床板9は炭素繊維強化樹脂部材62により形状の安定化が図られているため、熱影響による歪みの発生が抑えられる。 なお、炭素繊維強化樹脂部材62を設ける範囲は、床板9の端部(隅肉溶接部)からL1=5〜10mm離れた位置からL2=50〜100mmの幅の範囲であればよい。

    以上に説明したように、断面波形状からなる金属製の屋根板6や床板9の一部領域に、可撓性を有する炭素繊維シート13を沿わせて含浸接着樹脂14により含浸接着することで、屋根板6等に接着された繊維強化樹脂部材12を容易に形成することができ、車体軽量化を図りながらも簡単な施工で屋根板6等を補強することができる。 また、屋根板6等の一部領域に炭素繊維シート13を配置して含浸接着するため、熱歪みによる製作精度の低下やボルト孔の欠損による水密性も低下しない。 しかも、炭素繊維シート13は屋根板6等の一部領域に配置されて主要部である枠体5や屋根板6等は金属製であるため、コストやリサイクル性も良好に保つことができる。 以上より、鉄道車両構体1において、製作精度及び水密性を向上させ車体軽量化を図りながらも、コストやリサイクル性や製作効率を良好に保つことができる。

    (第2実施形態)
    図8は本発明の第2実施形態の屋根構体102の要部斜視図である。 図9は図8のIX−IX線断面の一部を表した拡大図である。 図10は図8のX−X線断面の一部を表した拡大図である。 図8に示すように、本実施形態の屋根構体102では、複数の平面視矩形状からなる炭素繊維シート113A〜113Hが屋根板6の一部領域の上面にプライマー11(図9参照)を介して敷き詰めるように配置されている。 なお、これら炭素繊維シート113A〜113Hを含浸接着樹脂により屋根板6の一部領域に接着して炭素繊維強化樹脂部材を形成する手順は第1実施形態と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。

    図9に示すように、屋根板6は、枠体5に対してスポット溶接W2により接合されている。 炭素繊維シート113Aの後端部113Aaと、その後方に隣接する炭素繊維シート113Bの前端部113Baとは、枠体5の上方に位置している。 これら向かい合う端部113Aa,113Baはスポット溶接箇所W2の直上に隙間をあけるように配置されている。 図10に示すように、炭素繊維シート113Aの右端部113Abと、その右方に隣接する炭素繊維シート113Cの左端部113Cbとは、屋根板6の山部6aに位置している。 これら向かい合う端部113Ab,113Cbは、互いに重なるように接合されている。

    以上に説明したように、複数の平面視矩形状からなる炭素繊維シート113A〜113Hを敷き詰めるように配置することで、作業者が1度にハンドリングする炭素繊維シートのサイズが小さくなり、作業性が良好となる。 また、炭素繊維シート113A,113Bの車両長手方向に向き合う端部113Aa,113Baは、スポット溶接箇所W2を避けるように互いに隙間をあけているので、これら端部113Aa,113Baの接着が安定する。 さらに、炭素繊維シート113A,113Cの車両幅方向に隣接する端部113Ab,113Cbは屋根板6の山部6aに位置するので、これら端部113Ab,113Cbの含浸接着作業が行い易くなり、これら端部113Ab,113Cbの接着が安定する。 また、これら端部113Ab,113Cb同士は互いに重ねられているので、たとえ一枚一枚の炭素繊維シート113A〜113Hのサイズに誤差があっても、この重なり量を調節することにより、敷き詰められた複数の炭素繊維シート全体として容易に所望のサイズを形成することができる。 なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。

    (第3実施形態)
    図11は本発明の第3実施形態の屋根構体202の図9相当の図面である。 図12は図11に示す屋根構体202の図10相当の図面である。 図11及び図12に示すように、本実施形態の屋根構体202では、炭素繊維シート213A〜213C,313A〜313Cが複数層(例えば、2層)に積層して配置されている。 図11に示すように、二層目の炭素繊維シート313A,313Bの車両長手方向の端部313Aa,313Baは、一層目の炭素繊維シート213A,213Bの車両長手方向の端部213Aa,213Baよりも、向かい合う端部313Aa,313Ba同士が互いに離れるように5〜10mm程度ずらして配置されている。 つまり、積層された炭素繊維シートの端部が階段状に配置されることで、応集中が緩和される。

    図12に示すように、一層目の炭素繊維シート213A,213Cの車両幅方向の端部213Ab,213Cbと、二層目の炭素繊維シート313A,313Cの車両幅方向の端部313Ab,313Cbは、上から見て略同じ位置に配置されている。 炭素繊維シート213A、313Aの右端部213Ab,313Abと、その右方に隣接する炭素繊維シート213C,313Cの左端部213Cb,313Cbとは、屋根板6の山部6aに位置している。 これら向かい合う右端部213Ab,313Abと左端部213Cb,313Cbは、互いに重ならずに突き合わされるように配置されている。

    以上に説明したように、複数枚の炭素繊維シート213A〜213C,313A〜313Cを積層すれば、屋根板6等に対して所望の強度や剛性を容易に付与することができる。 なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。

    (実施例)
    以下、鉄道車両構体に炭素繊維強化樹脂部材を接合する際の施工手順の実施例について説明する。 なお、施工は0〜40℃程度の雰囲気温度で行うものとする。 まず、炭素繊維シート、プライマー及び含浸接着樹脂の各材料を用意する。 炭素繊維シートは、高弾性タイプ一方向材(日鉄コンポジット株式会社製 FTS−C8−30)を用いる。 その炭素繊維シートに含まれる炭素繊維単体の特性は、引張強度が1900N/mm 2 、引張弾性率が6.4×10 5 N/mm 2である。 プライマーは、2液混合型エポキシ樹脂(日鉄コンポジット株式会社製 FP-NSL:粘度は1000mPa・s程度)、含浸接着樹脂は2液混合型エポキシ樹脂(日鉄コンポジット株式会社製 FR−E3PL:粘度は4400mPa・s程度)を用いる。 そして、以下の(1)〜(7)の工程を順に行う。

    (1)下地処理 補強を必要とする所定部分をグラインダー(例えば#100)で研磨する、又は、いわゆるBG#80仕上げ(仕上げ方向は車両長手方向)のままとする。 そして、その所定部分の表面をアセトンにて十分に脱脂処理して汚れを取り除く。

    (2)炭素繊維シートの裁断 例えばカッターナイフや定規などの裁断用道具を用いて、炭素繊維シートを前記所定部分に対応する所望の形状に切断する。

    (3)プライマー塗布 ローラ刷毛にて、プライマーを例えば200g/m 2の割合で塗布し、2〜4時間以上(好ましくは1日程度)養生する。 ここで、プライマーを塗布するのは、屋根板の研磨後直ちに表面を保護するため、及び、炭素繊維が屋根板に直接接触して炭素繊維と屋根板との電位差により腐食が発生するのを回避するためである。 つまり、プライマーは絶縁層としても機能する。 また、プライマーの塗布量を管理するのは、施工中に樹脂厚さを管理することが困難であるからである。 また、プライマーの粘度が含浸接着樹脂より低いのは、プライマーが屋根板の表面によく馴染むようにするためである。

    (4)含浸接着樹脂下塗り 含浸接着樹脂をローラ刷毛にて下塗りする。 例えば、含浸接着樹脂は1層あたり500g/m 2で下塗りする。 なお、含浸接着樹脂は、所定の混合比(主剤:硬化剤=2:1)で混合・計量した後、ヘラで均一に練り混ぜる。

    (5)炭素繊維シートの貼り付け 前記下塗りが固化する前に、その上に炭素繊維シートを作業者が手で押しながら屋根板に沿わせるように貼り付ける。 この際、含浸接着樹脂の粘度は高いため、炭素繊維シートがずれることはない。 そして、炭素繊維シートを脱泡ローラにてしごき、含浸接着樹脂を繊維に含浸させた後、30分間程度放置する。 この放置により、毛細管現象で含浸が進む(含浸した樹脂が繊維間から浮き上がってくる)。

    (6)含浸接着樹脂上塗り さらにその上から含浸接着樹脂をローラ刷毛にて上塗りする。 例えば、含浸接着樹脂は1層あたり300g/m 2として、下塗りより少なくする。 ここで、下塗り1層あたり500g/m 2とするのに対し、上塗り1層あたり300g/m 2とし、上塗りに比べて下塗りを多くしているのは、含浸作業中にシートを保持する目的のため、毛細管現象によりシート内に樹脂を効率よく含浸させるためである。

    (7)二層目以降 必要に応じて、(4)に戻って、2層目以降の炭素繊維シートを貼り付ける。 なお、シート間の樹脂の使用量は、作業性や含浸し易さを考慮して決定するが、繊維と樹脂の比率が同じ程度になるように単位容積あたりの繊維量に応じて変更することができる。

    1 鉄道車両構体2 屋根構体3 側構体4 台枠5 枠体6 屋根板9 床板11 プライマー12 炭素繊維強化樹脂部材13,113A〜H,213A〜C,313A〜C 炭素繊維シート14 含浸接着樹脂

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